JP2024007864A - 既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法 - Google Patents

既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法 Download PDF

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Toshiaki Kobayashi
明夫 正司
Akio Shoji
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Kenichi Takahashi
智大 石井
Tomohiro Ishii
誠司 安部
Seiji Abe
裕樹 萩原
Hiroki Hagiwara
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Abstract

【課題】既設鉄筋コンクリート構造物の内部コンクリートの厚さが厚い場合でも内部コンクリートにインヒビターを確実に浸透させて、内部鉄筋の腐食を抑制することができる既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法を提供する。【解決手段】既設鉄筋コンクリート構造物Cの外表面から鉄筋Sで囲まれた内部コンクリートCiに達する電気泳動孔1を削孔する削孔工程と、削孔した電気泳動孔1に、電解質溶液(亜硝酸リチウム水溶液31)を供給する電解質溶液供給工程と、電気泳動孔1に連通する前記電解質溶液に浸漬された電極(E1,E1’)を設け、前記電極に接続する既設コンクリート構造物Cの外部に設置された直流電源(V1,V2)から電圧を印加する電圧印加工程と、を備え、電気泳動孔1を塩橋として内部コンクリートCiに前記インヒビターを浸透させて防食する。【選択図】図1

Description

本発明は、既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法に関する。
鉄筋などの鋼材で内部補強されたRC構造物やPC構造物などの鉄筋コンクリート構造物は、塩害で鉄筋の不動態被膜が破壊され、鉄筋が錆びることで膨張したり、又は鋼材の断面積が減少することが知られている。このため、鉄筋コンクリート構造物は、コンクリートにひび割れが発生、構造物の表面からコンクリート片が剥落したり、部材耐力が低下したりして劣化することが知られている。これらの問題を解決するべく、種々のインヒビター(酸化抑制剤、防錆剤:阻害剤)や電気化学工法を用いた様々な塩害対策工法が提案されている。
例えば、コンクリート構造物の表面に陽極材を設置し、コンクリートを介し鋼材に防食電流を供給することで、劣化損傷の原因となる鉄筋表面のアノード反応を停止させる電気防食工法が知られている。しかし、このような電気防食工法では、通電や継続的な電位等の測定など共用期間中の維持管理が必要であり、ランニングコストが嵩むという問題があった。
また、コンクリート表面に電解質を介して外部電極を設置し、コンクリート中の鋼材を陰極とし直流電流を流し、塩分を電気泳動によってコンクリート中から外部電極側へ排出する脱塩工法も知られている。しかし、従来の脱塩工法は、鋼材近傍と鋼材間の内部コンクリートでは、脱塩効果が著しく違い、コンクリート構造物を均一に脱塩することができないという問題があった。
この種の塩害対策工法としては、特許文献1に、亜硝酸イオンの含有量が5質量%以上の水溶液に増粘剤を混和してなる粘度5000mPa・s以上100000mPa・s以下のゲル状物質を、鉄筋コンクリート構造物の表面に100g/m以上3000g/m以下の塗布量で塗布する鉄筋コンクリート構造物の保全工法が開示されている(特許文献1の請求項1、明細書の段落[0011]~[0035]等参照)。
しかし、特許文献1に記載の鉄筋コンクリート構造物の保全工法は、鉄筋コンクリート構造物の片面の鉄筋位置まで程度しか亜硝酸イオンが浸透せず、塗布した反対面側の鉄筋に防錆効果が及ばないという問題があった。また、特許文献1に記載の鉄筋コンクリート構造物の保全工法は、水セメント比55%程度の鉄筋コンクリート構造物には適用できるものの(特許文献1の段落[0018]等参照)、PC構造物のような水セメント比が30~35%程度の高強度のコンクリート構造物には、真空ポンプや超音波を用いても亜硝酸イオンを浸透させることができないという問題もあった。その上、特許文献1に記載の鉄筋コンクリート構造物の保全工法は、鉄筋位置で、NO /Clモル比=1.0以上にすることはできないという問題もあった。
また、特許文献2には、塩素含有物混合溶液中に投入した金属材料を外部電極とし、該塩素含有物混合溶液に接するコンクリート内部の鋼材を内部電極とし、外部電極と内部電極間に電流を流すことを特徴とする塩素含有物混合溶液に接する面のコンクリートの脱塩工法が開示されている(特許文献2の請求項1、明細書の段落[0011]~[0016]等参照)。
しかし、前述のように、特許文献2記載の従来のコンクリートの脱塩工法は、鋼材近傍と鋼材間の内部コンクリートでは、脱塩効果が著しく違い、コンクリート構造物を均一に脱塩することができないという問題があった。
それに加え、これらの特許文献1,2に記載の塩害対策工法では、鉄筋間の内部のコンクリート部分に、インヒビターが浸透しなかったり、塩化物イオンが残留したりするおそれがあり、鉄筋コンクリート構造物全体の劣化を抑制することができないという問題があった。
また、鉄筋コンクリート構造物の表裏のそれぞれの外部にインヒビターを接触させた上、外部電極を設け、これらの外部電極間に直流電圧をかけ、鉄筋コンクリート構造物全体にインヒビターを浸透させる防食工法も考えられる。しかし、鉄筋(鋼材)に流入した電流が鉄筋(鋼材)から流出する際に、逆に電気化学作用により腐食(電食)してしまうという問題が発生する。
そこで、本願出願人らは、特許文献3に記載された、インヒビターを含有する溶液をコンクリート構造物の両側に接触させるとともに、前記コンクリート構造物の外部に設置された電極E1,E2から電圧を印加して前記コンクリート構造物を貫通するように直流電流を流す第1の回路C1を設け、前記インヒビターを電気化学的に浸透させて防食するコンクリート構造物の防食工法を提案した。
特許文献3に記載のコンクリート構造物の防食工法は、2系統の別個の電源を設けてコンクリート構造物を貫通するように直流電流を流すので、鉄筋間の内部コンクリートにもインヒビターを供給できるという優れた作用効果を奏する。しかし、コンクリート床版のようなコンクリート構造物の厚さが比較的薄く、表裏両面からの内部コンクリートまでの距離が近い場合は適用できるものの、鉄筋間の内部コンクリートの厚さが厚い場合は対応できないという問題があった。
また、電気泳動法では、コンクリート側表面の電解液内部に設置した陽極材を陽極、コンクリート内部の鋼材を陰極とする。そうすると、電解液中のLiイオンなど陽イオンを鋼材側に電気泳動することは可能であるが、NO イオンなど陰イオンを鋼材側に電気泳動により移動することは困難である。床版など部材厚が薄い場合には、反対面のコンクリート側表面の電解液内部に陽極材を設置することにより、陰イオンを鋼材側に電気泳動により移動することは可能である。その場合、迷走電流による内部鉄筋に腐食が起こる。そこで、本願発明者らは、防食回路を設定し、迷走電流による内部鉄筋の腐食を防止する方法を発明して、その効果を検証した。
特開2017-210815号公報 特開平8-34681号公報 特許第6622372号公報
本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、既設鉄筋コンクリート構造物の内部コンクリートの厚さが厚い場合でも内部コンクリートにインヒビターを確実に浸透させて、内部鉄筋の腐食を抑制することができる既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法を提供することにある。
請求項1に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、既設鉄筋コンクリート構造物の外表面から鉄筋で囲まれた内部コンクリートに達する電気泳動孔を削孔する削孔工程と、削孔した前記電気泳動孔に、電解質溶液を供給する電解質溶液供給工程と、前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液に浸漬された電極を設け、前記電極に接続する前記既設コンクリート構造物の外部に設置された直流電源から電圧を印加する電圧印加工程と、を備え、前記電気泳動孔を塩橋として前記内部コンクリートにインヒビターを浸透させて防食することを特徴とする。
請求項2に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項1に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、前記電圧印加工程では、前記既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触して鉄筋コンクリートの劣化を抑制するインヒビターを含有する電解質溶液に浸漬された電極に前記直流電源を接続し、鉄筋コンクリート構造物の内部補強鉄筋に前記直流電源を電気的に接続し、前記直流電源で電圧を印加して、前記鉄筋コンクリート構造物の外表面から前記インヒビターを浸透させるとともに、前記電気泳動孔を塩橋として防食することを特徴とする。
請求項3に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項2に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触する前記電解質溶液は、亜硝酸化合物水溶液であり、前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液は、カルシウム化合物水溶液又はリチウム化合物水溶液であることを特徴とする。
請求項4に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項3に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、前記亜硝酸化合物水溶液とする亜硝酸化合物は、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸カルシウム(Ca(NO)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸バリウム(Ba(NO)、からなる群からいずれか一つ又は複数が組み合わされて選択されることを特徴とする。
請求項5に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項3又は4に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触する前記電解質溶液及び前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液は、いずれも亜硝酸リチウム水溶液であることを特徴とする。
請求項6に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項2に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、前記電圧印加工程では、5~60Vの電圧で浸透電流密度を0.1~1.5A/mとして1~12ヶ月間連続して通電することを特徴とする。
請求項7に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項2又は6に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、前記電圧印加工程では、陽極材の金属として、チタンを基体としてルテニウムとチタンの酸化物、又はルテニウム、チタン、イリジウムなどの白金族金属酸化物で被覆したものを用いて電圧を印加することを特徴とする。
請求項8に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法は、請求項1に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法において、前記電気泳動孔の直径は、10mm以上50mm以下であることを特徴とする。
請求項1~8に係る発明によれば、内部コンクリートに達する電気泳動孔を削孔して、削孔した電気泳動孔に電解質溶液を供給し、電圧を印加して、電気泳動孔を塩橋として内部コンクリートにインヒビターを浸透させて防食する。このため、請求項1~8に係る発明によれば、コンクリート構造物の鉄筋で囲まれた内部コンクリートにも確実にインヒビターを浸透させて、塩害によるコンクリート構造物の劣化を抑制することができる。
特に、請求項3,4によれば、電解質溶液に亜OHイオンが含まれているので、再アルカリ化して鉄筋の腐食を抑制することができる。
特に、請求項5によれば、供給目的の相違する2種類の電解質溶液を1種類の亜硝酸リチウムで兼用することができ、その点でコストダウンを達成することができる。
特に、請求項6によれば、鉄筋周囲のコンクリートが脆化することを抑制しつつ、亜硝酸イオン(NO2-)を内部コンクリートCiに配筋された鉄筋Sまで浸透させるとともに、内部コンクリートCiに存在する塩化物イオン(Cl)を排出することができる
特に、請求項7によれば、陽極材の金属が、自然電位が高い貴なチタンの酸化物や白金族金属酸化物で被覆されているので、電圧印加工程において陽極材が電解質溶液に溶けるおそれを払しょくすることができる。
特に、請求項8によれば、電気泳動孔の直径が10mm以上50mm以下であるので、鉄筋コンクリート構造物を損傷するおそれを低減することができるとともに、インヒビターを含有する電解質溶液を電気泳動孔の奥まで行き渡らすことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法を説明するための説明図である。 図2は、同上の鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法の削孔工程を示す工程説明図である。 図3は、同上の鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法の電解質溶液供給工程を示す工程説明図である。
以下、本発明に係る鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~図3を用いて、本発明の実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法を説明するための説明図である。
図1に示す鉄筋コンクリート構造物Cは、コンクリート床版を想定している。コンクリート床版であれば、背景技術で述べた特許文献3に記載のコンクリート構造物の防食工法でも内部コンクリートCiまで防食するこが可能である。しかし、特許文献3に記載のコンクリート構造物の防食工法では、床版厚が厚いと外表面から鉄筋Sに囲まれた内部コンクリートCiまでインヒビターを電気泳動させるのに時間がかかるという問題があった。そこで、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法では、電気泳動孔1を削孔して、電気泳動孔1を塩橋として利用することで内部コンクリートCiまでイオンを電気泳動させる距離を短くしてこの問題を解決しようとするものである。
また、鉄筋コンクリート構造物Cは、塩害で鉄筋Sが腐食して膨張し、コンクリートにひび割れが発生しており、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法により、劣化した内部コンクリートCiに鉄筋コンクリートの劣化を抑制するインヒビターを浸透させて補修し、防食して鉄筋コンクリート構造物Cの耐久年数を延長することを想定している。
(削孔工程)
先ず、図2に示すように、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法では、鉄筋コンクリート構造物Cの上面Xから内部コンクリートCiに達する電気泳動孔1を削孔する削孔工程を行う。図2は、本施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法の削孔工程を示す工程説明図である。なお、図中のXは、コンクリート床版である鉄筋コンクリート構造物Cの上面Xを示し、図中Yは、下面Yを示している。
具体的には、図2に示すように、本工程では、コアドリルなどの一般的な削孔機2を鉄筋コンクリート構造物Cの上面Xに設置し、設置した削孔機2で電気泳動孔1を削孔する。勿論、電気泳動孔1自体は、所定間隔をおいて複数削孔してもよい。劣化した鉄筋コンクリート構造物Cの広範囲を同時に補修・防食できるからである。
この電気泳動孔1の直径は、10~50mm(10mm以上50mm以下)とすることが好ましい。電気泳動孔1の直径が50mmを超えると、所定ピッチで配筋された鉄筋コンクリート構造物Cの内部補強鉄筋Sを切断するおそれが高くなり、鉄筋コンクリート構造物Cを損傷するおそれが高くなるからである。また、電気泳動孔1の直径が10mmを下回ると、電解液接触面積の減少により、50V以上に電圧が上昇して、使用する電源が高価となり適当ではないからである。なお、図示しないが、通筋、帯筋など孔の近くに鉄筋がある場合、電食を避けるために、コンクリート表面から50mm程度、コンクリートと電解液接触面を塩ビ管などで絶縁する。
(電解質溶液供給工程)
次に、図3に示すように、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法では、前述の削孔工程で削孔した電気泳動孔1及び外表面である上面X,下面Yに鉄筋コンクリートの劣化を抑制するインヒビターを含有する電解質溶液を供給する電解質溶液供給工程を行う。図3は、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法の電解質溶液供給工程を示す工程説明図である。
具体的には、図3に示すように、本工程では、鉄筋コンクリート構造物Cの外部(上方)に後述の第1電気泳動装置3を設けるとともに、削孔した電気泳動孔1に接続し、第1電気泳動装置3に貯留した電解質溶液を水頭圧等で電気泳動孔1の奥まで供給する。勿論、必要に応じてポンプ等で圧力をかけて圧入してもよいことは云うまでもない。
この第1電気泳動装置3は、電解質溶液を貯留するタンク30を備えており、第1電気泳動装置3のタンク30には、電解質溶液として鋼材の腐食を抑制するインヒビターである亜硝酸イオンと、リチウムイオンを含有する亜硝酸リチウム水溶液31(LiNO溶液(Li+NO ))が貯留されている。
但し、電気泳動装置3において、電気泳動孔1を通じて鉄筋コンクリート構造物Cの内部コンクリートCiに供給する電解質溶液は、亜硝酸リチウム水溶液31に限られず、リチウム化合物水溶液又はカルシウム化合物水溶液であればよい。
電気泳動装置3において供給する電解質溶液をリチウム化合物水溶液とする場合は、入手の容易性とコストの点から、リチウム化合物は、入炭酸リチウム(LiCO)、塩化リチウム(LiCl)、水酸化リチウム(LiOH)、亜硝酸リチウム(LiNO)、硫酸リチウム(LiSO)、硝酸リチウム(LiNO)、酸化リチウム(LiO)からなる群からいずれか一つ又は複数が組わされて選択されることが好ましい。
また、電気泳動装置3において供給する電解質溶液をカルシウム化合物水溶液とする場合は、カルシウム化合物は、入手の容易性とコストの点、及び電気泳動によるカルシウム溶脱を補充する目的から、前述のように、水酸化カルシウム(Ca(OH))であることが好ましい。
また、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法では、鉄筋コンクリート構造物Cの外部2カ所に第2電気泳動装置4を設け、鉄筋コンクリート構造物Cの上面X及び下面Yに亜硝酸リチウム水溶液31を接触させて外表面からも電気泳動で鉄筋コンクリート構造物Cの内部の内部コンクリートCiに供給する。
電気泳動装置4において、鉄筋コンクリート構造物Cの下面Yに亜硝酸リチウム水溶液31を接触させる具体的な方法としては、亜硝酸リチウム水溶液31をセルロースファイバーなどの溶液保持材に含侵させて当接する方法や、アクリル製のパネル槽などの容器に電解質溶液を溜めて接触させる方法など、が考えられる。勿論、溶液保持材は、セルロースファイバーに限られず、多孔質で柔軟性のある気泡性(発泡性)プラスチックや不織布、有機ファイバーなどとすることもできる。
但し、電気泳動装置4において、鉄筋コンクリート構造物Cの外表面に接触して、鉄筋コンクリート構造物Cの上面X及び下面Yから供給する電解質溶液は、亜硝酸リチウム水溶液に限られず、鋼材の腐食を抑制するインヒビターである亜硝酸イオンを含有する亜硝酸化合物水溶液でればよい。但し、亜硝酸化合物水溶液とする亜硝酸化合物は、入手の容易性とコストの点から、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸カルシウム(Ca(NO)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸バリウム(Ba(NO)、からなる群からいずれか一つ又は複数が組わされて選択されることが好ましい。
(電圧印加工程)
次に、図1に示すように、本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法では、電極(E1,E1’,E2,E2)を設けて直流電源(V1,V2)と接続して電圧を印加する電圧印加工程を行う。
具体的には、図1に示すように、第1電気泳動装置3のタンク30に貯留され、電気泳動孔1に連通する亜硝酸リチウム水溶液31に、一対の電極E1,E1’を浸漬するように設置する。
そして、上下2つの電気泳動装置4にそれぞれ電極E2,E2をそれぞれ挿置する。そして、鉄筋コンクリート構造物Cの外部に直流電源(V1,V2)を設置し、これらの電極(E1,E1’,E2,E2)に直流電源(V1,V2)を接続する。
詳しくは、第1電気泳動装置3の亜硝酸リチウム水溶液31に浸漬されている一方の電極E1と、第1の直流電源V1の陽極(正極)とを接続し、亜硝酸リチウム水溶液31に浸漬されている上下2つの電気泳動装置4のそれぞれの電極E2と第1の直流電源V1の負極とを接続する。
そして、第1電気泳動装置3の亜硝酸リチウム水溶液31に浸漬されている他方の電極E1’と、第2の直流電源V2の陽極(正極)とを接続する。また、直流電源V2の負極は、鉄筋コンクリート構造物Cの内部補強鉄筋である鉄筋Sに接続する。
なお、陽極(正極)材となる電極(E1,E1’)の金属としては、チタンを基体としてルテニウムとチタンの酸化物、又はルテニウム、チタン、イリジウムなどの白金族金属酸化物で被覆したものを用いることが好ましい。陽極材である電極(E1,E1’)の金属が、自然電位が高い貴なチタンの酸化物や白金族金属酸化物で被覆されているので、電圧印加工程において陽極材が電解質溶液に溶けるおそれを払しょくすることができるからである。
ここで、直流電源V1,V2で印加する電圧は、5~60V、コンクリート表面積あたりの浸透電流密度を0.1~1.5A/m程度に抑えることが好ましい。過大な電流密度を与えると鉄筋周囲のコンクリートが脆化し、付着力が低下するおそれがあるからである。
また、浸透電流密度を0.1~1.5A/m程度に浸透電流密度を低く抑えているため、前述の条件で1~12ヶ月間連続して通電することが好ましい。鉄筋周囲のコンクリートが脆化することを抑制しつつ、後述のように、亜硝酸イオン(NO )を内部コンクリートCiに配筋された鉄筋Sまで浸透させるとともに、内部コンクリートCiに存在する塩化物イオン(Cl)を排出することができる。
このように接続することにより、電気泳動孔1に充填された電解質溶液である亜硝酸リチウム水溶液31と、電気泳動装置4のそれぞれの電極E2の間に電圧が印加される。電圧が印加されると、鉄筋コンクリート構造物Cの内部コンクリートCiに存在する各イオンが、図1に示す矢印方向に電気泳動する。
具体的には、イオン化傾向の違いから、陽極(正極)の塩橋となる電気泳動孔1から亜硝酸リチウム水溶液31の陽イオンであるリチウムイオン(Li)が電気泳動して内部コンクリートCi内に直接浸透する。
また、鉄筋コンクリート構造物Cの上面X及び下面Yから陰イオンの腐食抑制インヒビターである亜硝酸イオン(NO )が図の矢印方向に電気泳動して鉄筋Sまで浸透する。このため、亜硝酸イオン(NO )の働きにより、失われた鉄筋Sの不動態被膜であるFeを再生し、鉄筋Sの腐食を抑制することができる。よって、塩害の問題を解決することができる。
それに加え、鉄筋コンクリート構造物Cの内部コンクリートCiに塩化物イオン(Cl)が存在する場合は、この塩化物イオン(Cl)が、塩橋である電気泳動孔1内まで引き寄せられて鉄筋コンクリート構造物Cの外部となる第1電気泳動装置3まで電気泳動して溶け出し排出されることとなる。このため、内部コンクリートCiを含め鉄筋コンクリート構造物Cを脱塩することができる。
以上説明した本実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法によれば、内部コンクリートCiに達する電気泳動孔1を削孔して、削孔した電気泳動孔1にインヒビターを含有する亜硝酸リチウム水溶液31を供給し、電圧を印加して、電気泳動孔1を塩橋として内部コンクリートCiにインヒビターを浸透させ、内部コンクリートCiに存在する塩化物イオンを排出することができる。このため、鉄筋コンクリート構造物Cの鉄筋で囲まれた内部コンクリートCiにも確実にインヒビターを浸透させて、塩害を防止することができる。
以上、本発明の実施形態に係る既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
C:コンクリート構造物
Ci:内部コンクリート
S:内部補強鉄筋(鉄筋:鋼材)
X:上面
Y:下面
E1,E1’:陽極(電極)
E2:陰極(電極)
V1:第1の直流電源(直流電源)
V2:第2の直流電源(直流電源)
1:電気泳動孔
2:削孔機
3:第2電気泳動装置(電気泳動装置)
30:タンク
31:亜硝酸リチウム水溶液(電解質溶液)
4:第2電気泳動装置(電気泳動装置)

Claims (8)

  1. 既設鉄筋コンクリート構造物の外表面から鉄筋で囲まれた内部コンクリートに達する電気泳動孔を削孔する削孔工程と、
    削孔した前記電気泳動孔に、電解質溶液を供給する電解質溶液供給工程と、
    前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液に浸漬された電極を設け、前記電極に接続する前記既設コンクリート構造物の外部に設置された直流電源から電圧を印加する電圧印加工程と、を備え、
    前記電気泳動孔を塩橋として前記内部コンクリートにインヒビターを浸透させて防食すること
    を特徴とする既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  2. 前記電圧印加工程では、前記既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触して鉄筋コンクリートの劣化を抑制するインヒビターを含有する電解質溶液に浸漬された電極に前記直流電源を接続し、鉄筋コンクリート構造物の内部補強鉄筋に前記直流電源を電気的に接続し、前記直流電源で電圧を印加して、前記鉄筋コンクリート構造物の外表面から前記インヒビターを浸透させるとともに、前記電気泳動孔を塩橋として前記内部コンクリートに前記インヒビターを浸透させて防食すること
    を特徴とする請求項1に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  3. 既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触する前記電解質溶液は、亜硝酸化合物水溶液であり、
    前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液は、カルシウム化合物水溶液又はリチウム化合物水溶液であること
    を特徴とする請求項2に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  4. 前記亜硝酸化合物水溶液とする亜硝酸化合物は、亜硝酸カリウム(KNO)、亜硝酸カルシウム(Ca(NO)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)、亜硝酸リチウム(LiNO)、亜硝酸バリウム(Ba(NO)、からなる群からいずれか一つ又は複数が組み合わされて選択されること
    を特徴とする請求項3に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  5. 既設鉄筋コンクリート構造物の外表面に接触する前記電解質溶液及び前記電気泳動孔に連通する前記電解質溶液は、いずれも亜硝酸リチウム水溶液であること
    を特徴とする請求項3又は4に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  6. 前記電圧印加工程では、5~60Vの電圧で浸透電流密度を0.1~1.5A/mとして1~12ヶ月間連続して通電すること
    を特徴とする請求項2に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  7. 前記電圧印加工程では、陽極材の金属として、チタンを基体としてルテニウムとチタンの酸化物、又はルテニウム、チタン、イリジウムなどの白金族金属酸化物で被覆したものを用いて電圧を印加すること
    を特徴とする請求項2又は6に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
  8. 前記電気泳動孔の直径は、10mm以上50mm以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の既設鉄筋コンクリート構造物の塩害対策工法。
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