JP2024007338A - 多環芳香族化合物 - Google Patents

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琢次 畠山
Takuji Hatakeyama
亮介 川角
Ryosuke Kawakado
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Abstract

【課題】有機電界発光素子等の有機デバイス用材料として有用な新規化合物を提供する。【解決手段】式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物。TIFF2024007338000056.tif62170(A環、B環、C環、D環、E環、およびF環は、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、式(1)または(2)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、多環芳香族化合物に関する。本発明はまた、上記多環芳香族化合物を用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池などの有機デバイス、並びに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の1つである青色や緑色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用の発光材料としては、例えば、アザボリン誘導体を改良した材料などが報告されている(特許文献1)。また、電子輸送材料としても種々の化合物が開発されている(例えば、特許文献2)。
国際公開第2015/102118号 国際公開第2021/079915号
上述のように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。特に、有機EL素子等の有機デバイスの性能をさらに向上させることができる材料や、製造プロセスを改善させる材料が求められている。
本発明は有機EL素子等の有機デバイス用材料として有用な新規化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討し、ホウ素を含有する新規骨格を有する多環芳香族化合物が有機デバイス用材料として有利な特性を有していることを見出した。そしてこの知見に基づき、さらに検討を重ねて、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような多環芳香族化合物、さらには以下のような多環芳香族化合物を含む有機デバイス用材料等を提供する。
<1>式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物;
Figure 2024007338000001
式(1)および(2)中、
A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(1)または(2)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
<2>式(1X)または(2X)で表される、<1>に記載の多環芳香族化合物;
Figure 2024007338000002
式(1X)、式(2X)中、
Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=であり、
Zは、それぞれ独立して、水素または置換基であり、
隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、前記形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよく、
Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Seであってもよく、RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよく、
a環とe環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(1X)または(2X)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
<3>すべてのZがそれぞれ独立して、-C(-RZ)=である、<2>に記載の多環芳香族化合物。
<4>下記のいずれかの式で表される、<3>に記載の多環芳香族化合物。
Figure 2024007338000003
<5><1>~<4>のいずれかに記載の多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
<6>前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料、有機薄膜太陽電池用材料、または波長変換フィルタ用材料である、<5>に記載の有機デバイス用材料。
<7>陽極および陰極からなる一対の電極と該一対の電極間に配置される有機層とを有し、前記有機層が<1>~<4>のいずれかに記載の多環芳香族化合物を含有する、有機電界発光素子。
<8>前記有機層が電子輸送層である、<7>に記載の有機電界発光素子。
<9><7>または<8>に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
<10>下記式(SM)で表される化合物;
Figure 2024007338000004
式(SM)中、
A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(SM)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
<11>式(SM-X)で表される、<10>に記載の化合物;
Figure 2024007338000005
式(SM-X)中、
Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=であり、
Zは、それぞれ独立して、水素または置換基であり、
隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、前記形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよく、
Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Seであってもよく、RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよく、
a環とe環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(SM-X)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
<12>すべてのZがそれぞれ独立して、-C(-RZ)=である、<11>に記載の多環芳香族化合物。
<13>下記式で表される、<12>に記載の化合物。
Figure 2024007338000006
<14>下記式(SM)で表される化合物とホウ素化剤とをブレンステッド塩基の存在下で反応させることを含む<1>に記載の多環芳香族化合物の製造方法;
Figure 2024007338000007
式(SM)中、
A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(SM)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
本発明により、有機電界発光素子等の有機デバイス用材料として有用な新規多環芳香族化合物が提供される。本発明の多環芳香族化合物は有機電界発光素子等の有機デバイスの製造に用いることができる。
有機電界発光素子の一例を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において構造式の説明における「水素」は「水素原子(H)」を意味する。同様に「炭素原子(C)」を「炭素」ということがある。
本明細書において、「隣接する基」というときは、構造式中で隣接する2つの原子(共有結合で直接結合する2つの原子)にそれぞれ結合している2つの基を意味する。
本明細書において「Me」はメチル、「Et」はエチル、「nBu」はn-ブチル(ノルマルブチル)、「tBu」はt-ブチル(ターシャリーブチル)、「iBu」はイソブチル、「secBu」はセカンダリーブチル、「nPr」はn-プロピル(ノルマルプロピル)、「iPr」はイソプロピル、「tAm」はt-アミル、「2EH」は2-エチルヘキシル、「tOct」はt-オクチル、「Ph」はフェニル、「Mes」はメシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、「Ad」は1-アダマンチル、「Tf」はトリフルオロメタンスルホニル、「TMS」はトリメチルシリル、「D」は重水素を表す。
本明細書において、有機電界発光素子を有機EL素子ということがある。
本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
<環および置換基の説明>
まず、本明細書において使用する環および置換基の詳細について以下で説明する。
本明細書における「アリール環」としては、例えば、炭素数6~30のアリール環があげられ、炭素数6~16のアリール環が好ましく、炭素数6~12のアリール環がより好ましく、炭素数6~10のアリール環が特に好ましい。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、インデン環、三環系であるテルフェニル環(m-テルフェニル、o-テルフェニル、p-テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、クリセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。また、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、インデン環には、それぞれフルオレン環、ベンゾフルオレン環、シクロペンタン環などがスピロ結合した構造も含まれる。なお、フルオレン環、ベンゾフルオレン環およびインデン環には、その構造中のメチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ後述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置き換わって、ジメチルフルオレン環、ジメチルベンゾフルオレン環、ジメチルインデン環などとなっているものも含まれる。
本明細書における「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2~30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2~25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2~20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2~15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2~10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、窒素、セレン、リン、テルルから選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環(フラザン環など)、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H-インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環、ジベンゾインドロカルバゾール環、ナフトベンゾフラン環、ジオキシン環、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環、ジベンゾジオキシン環、ジオキサボラナフトアントラセン環(5,9-ジオキサ-13b-ボラ-13bH-ナフト[3,2,1-de]アントラセン環など)、ベンゾセレノフェン環、ジベンゾセレノフェン環、アザカルバゾール環、アザジベンゾチオフェン環、アザジベンゾフラン環、アザジベンゾセレノフェン環、アザトリフェニレン環、イミダゾイミダゾール環、インドロインドール環、ベンゾフロカルバゾール環、ベンゾチエノカルバゾール環、インデノカルバゾール環およびセレノフェノカルバゾール環、スピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]環、スピロビ[シラフルオレン]環などがあげられる。また、ジヒドロアクリジン環、キサンテン環、チオキサンテン環は、その構造中のメチレンの2つの水素のうちの2つがそれぞれ後述の第1の置換基としてのメチルなどのアルキルに置き換わって、ジメチルジヒドロアクリジン環、ジメチルキサンテン環、ジメチルチオキサンテン環などとなっているものも好ましい。また二環系であるビピリジン環、フェニルピリジン環、ピリジルフェニル環、三環系であるテルピリジル環、ビスピリジルフェニル環、ピリジルビフェニル環も「ヘテロアリール環」としてあげられる。また、「ヘテロアリール環」にはピラン環も含まれるものとする。
本明細書において、置換基は、さらなる置換基で置換されていることがある。例えば、特定の置換基に関して、「置換もしくは無置換の」と説明がされることがある。これはその特定の置換基が少なくとも1つのさらなる置換基で置換されているか、または置換されていないことを意味する。同様の意味で「置換されていてもよい」ということもある。本明細書において、このときの上記特定の置換基を「第1の置換基」、上記のさらなる置換基を「第2の置換基」ということがある。
本明細書において、置換基群Zは、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリール、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいヘテロアリール、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジアリールアミノ(2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジヘテロアリールアミノ(2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールとは互いに連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアルキル、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいシクロアルキル、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアルコキシ、
アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいアリールオキシ、
置換シリル、シアノ、ならびにハロゲンからなる。
置換基群Zの各基における第2置換基であるアリールは、さらにアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい、同様に、第2置換基であるヘテロアリールはアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シアノ、またはハロゲンで置換されていてもよい。
本明細書において、「置換基」という場合、特に別途の説明がないときは、置換基群Zから選択されるいずれかの基であればよい。例えば、「置換もしくは無置換の」とされる基が置換されているとき、当該基は置換基群Zから選択される少なくとも1つの基で置換されていればよい。
本明細書において、「アリール」は、例えば炭素数6~30のアリールであり、好ましくは、炭素数6~20のアリール、炭素数6~16のアリール、炭素数6~12のアリール、または炭素数6~10のアリールなどである。
具体的な「アリール」は、上述した「アリール環」から1つの水素を除いた1価の基があげられる。例えば、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル(2-ビフェニリル、3-ビフェニリル、もしくは4-ビフェニリル)、縮合二環系であるナフチル(1-ナフチルもしくは2-ナフチル)、三環系であるテルフェニリル(m-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-4'-イル、m-テルフェニル-5'-イル、o-テルフェニル-3'-イル、o-テルフェニル-4'-イル、p-テルフェニル-2'-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-2-イル、p-テルフェニル-3-イル、もしくはp-テルフェニル-4-イル)、縮合三環系である、アセナフチレン-(1-、3-、4-、もしくは5-)イル、フルオレン-(1-、2-、3-、4-、もしくは9-)イル、フェナレン-(1-もしくは2-)イル、フェナントレン-(1-、2-、3-、4-、もしくは9-)イル、もしくはアントラセン-(1-、2-、もしくは9-)イル、四環系であるクアテルフェニリル(5'-フェニル-m-テルフェニル-2-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-3-イル、5'-フェニル-m-テルフェニル-4-イル、もしくはm-クアテルフェニル)、縮合四環系である、トリフェニレン-(1-もしくは2-)イル、ピレン-(1-、2-、もしくは4-)イル、もしくはナフタセン-(1-、2-、もしくは5-)イル、または、縮合五環系である、ペリレン-(1-、2-、もしくは3-)イル、もしくはペンタセン-(1-、2-、5-、もしくは6-)イルなどである。その他、スピロフルオレンの1価の基などがあげられる。
なお、第2置換基としてのアリールには、当該アリールが、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は後述する基)、およびシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキル(具体例は後述する基)からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換された構造も含まれる。
その一例としては、第2置換基としてのフルオレニルの9位が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキル、またはシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキルで置換された基があげられる。
「アリーレン」は、例えば炭素数6~30のアリーレンであり、好ましくは、炭素数6~20のアリーレン、炭素数6~16のアリーレン、炭素数6~12のアリーレン、または炭素数6~10のアリーレンなどである。
具体的な「アリーレン」は、例えば、上述した「アリール」(1価の基)から1つの水素を除いた2価の基があげられる。
「ヘテロアリール」は、例えば炭素数2~30のヘテロアリールであり、好ましくは、炭素数2~25のヘテロアリール、炭素数2~20のヘテロアリール、炭素数2~15のヘテロアリール、または炭素数2~10のヘテロアリールなどである。「ヘテロアリール」は、環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、および窒素等から選ばれるヘテロ原子を、1個以上、好ましくは1~5個含有する。
具体的な「ヘテロアリール」としては、上述した「ヘテロアリール環」から1つの水素を除いた1価の基があげられる。例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H-ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェナントロリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チエニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、ナフトベンゾチエニル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリル、ジベンゾインドロカルバゾリル、イミダゾリニル、またはオキサゾリニルなどである。その他、スピロ[フルオレン-9、9’-キサンテン]の1価の基、スピロビ[シラフルオレン]の1価の基、ベンゾセレノフェンの1価の基があげられる。
なお、第2置換基としてのヘテロアリールには、当該ヘテロアリールが、フェニルなどのアリール(具体例は上述した基)、メチルなどのアルキル(具体例は後述する基)およびシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキル(具体例は後述する基)からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換された構造も含まれる。
その一例としては、第2置換基としてのカルバゾリルの9位が、フェニルなどのアリール、メチルなどのアルキル、またはシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどのシクロアルキルで置換された基があげられる。また、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、カルバゾリルなどの含窒素ヘテロアリールがさらにフェニルまたはビフェニリルなどで置換された基も第2置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
「ヘテロアリーレン」は、例えば炭素数2~30のヘテロアリーレンであり、好ましくは、炭素数2~25のヘテロアリーレン、炭素数2~20のヘテロアリーレン、炭素数2~15のヘテロアリーレン、または炭素数2~10のヘテロアリーレンなどである。また、「ヘテロアリーレン」は、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、および窒素から選ばれるヘテロ原子を1~5個含有する複素環などの二価の基である。
具体的な「ヘテロアリーレン」は、例えば、上述した「ヘテロアリール」(1価の基)から1つの水素を除いた2価の基があげられる。
「ジアリールアミノ」は、2つのアリールが置換したアミノであり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
「ジヘテロアリールアミノ」は、2つのヘテロアリールが置換したアミノ基であり、このヘテロアリールの詳細については上述した「ヘテロアリール」の説明を引用できる。
「アリールヘテロアリールアミノ」は、アリールおよびヘテロアリールが置換したアミノ基であり、このアリールおよびヘテロアリールの詳細については上述した「アリール」および「ヘテロアリール」の説明を引用できる。
第1の置換基としてのジアリールアミノにおける2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、第1の置換基としてのジヘテロアリールアミノにおける2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよく、第1の置換基としてのアリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい。ここで、「連結基を介して結合」という記載は、下記に示すように例えばジフェニルアミノの2つのフェニルが連結基で結合を形成することを表す。またこの説明はアリールやヘテロアリールで形成された、ジヘテロアリールアミノおよびアリールヘテロアリールアミノについても適用される。
Figure 2024007338000008
連結基としては具体的には、>O、>N-RX、>C(-RX2、-C(-RX)=C(-RX)-、>Si(-RX2、>S、>CO、>CS、>SO、>SO2、および>Seがあげられる。RXはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールで置換されていてもよい。また、>C(-RX2、-C(-RX)=C(-RX)-、>Si(-RX2それぞれにおける2つのRXは、単結合または連結基XYを介して互いに結合して環を形成してもよい。XYとしては>O、>N-RY、>C(-RY2、>Si(-RY2、>S、>CO、>CS、>SO、>SO2、および>Seがあげられ、RYはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールで置換されていてもよい。ただし、XYが>C(-RY2および>Si(-RY2の場合には、2つのRYは結合してさらに環を形成することはない。さらに連結基としては、アルケニレンもあげられる。該アルケニレンの任意の水素はそれぞれ独立してR2Xで置換されていてもよく、R2Xはそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールおよびヘテロアリールであり、これらはアルキル、シクロアルキル、置換シリル、アリールで置換されていてもよい。-C(-RX)=C(-RX)-における2つのRXは、互いに結合してそれらが結合するC=Cとともにアリール(ベンゼン環など)またはヘテロアリール環を形成していてもよい。すなわち、-C(-RX)=C(-RX)-は、アリーレン(1,2-フェニレンなど)またはヘテロアリーレンとなっていてもよい。
なお、本明細書で単に「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、または「アリールヘテロアリールアミノ」と記載されている場合は、特に断りがない限りは、それぞれ「ジアリールアミノの2つのアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」、「前記ジヘテロアリールアミノの2つのヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」および「前記アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリールは互いに連結基を介して結合していてもよい」という説明が加わっているものであるとする。
「ジアリールボリル」は、2つのアリールが置換したボリルであり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。また、この2つのアリールは、単結合または連結基(例えば、-CH=CH-、-CR=CR-、-C≡C-、>N-R、>O、>S、>CO、>C(-R)2、>Si(-R)2、または>Se)を介して結合していてもよい。ここで、前記-CR=CR-のR、>N-RのR、>C(-R)2のR、および>Si(-R)のRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、当該Rにおける少なくとも1つの水素は、さらにアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはシクロアルキルで置換されていてもよい。また、隣接する2つのR同士が結合して環を形成し、シクロアルキレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンを形成していてもよい。ここで列挙した置換基の詳細については、上述した「アリール」、「アリーレン」、「ヘテロアリール」、「ヘテロアリーレン」、および「ジアリールアミノ」の説明、ならびに、後述する「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルキレン」、「アルコキシ」、および「アリールオキシ」の説明を引用できる。また、本明細書で単に「ジアリールボリル」と記載されている場合は、特に断りがない限りは、「ジアリールボリルの2つのアリールは互いに単結合または連結基を介して結合していてもよい」という説明が加わっているものであるとする。
「アルキル」は、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば炭素数1~24の直鎖アルキルまたは炭素数3~24の分岐鎖アルキルであり、好ましくは、炭素数1~18のアルキル(炭素数3~18の分岐鎖アルキル)、炭素数1~12のアルキル(炭素数3~12の分岐鎖アルキル)、炭素数1~6のアルキル(炭素数3~6の分岐鎖アルキル)、炭素数1~5のアルキル(炭素数3~5の分岐鎖アルキル)、炭素数1~4のアルキル(炭素数3~4の分岐鎖アルキル)などである。
具体的な「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、1-エチル-1,2,2-トリメチルプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-エチルブチル、1,1-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1-ジエチルブチル、1-エチル-1-メチルブチル、1-プロピル-1-メチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、1-エチル-1,3-ジメチルブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル(t-アミル)、1-メチルペンチル、2-プロピルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、1-エチル-1-メチルペンチル、1-プロピル-1-メチルペンチル、1-ブチル-1-メチルペンチル、1,1,4-トリメチルペンチル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1,1-ジメチルヘキシル、1-エチル-1-メチルヘキシル、1,1,5-トリメチルヘキシル、3,5,5-トリメチルヘキシル、n-ヘプチル、1-メチルヘプチル、1-ヘキシルヘプチル、1,1-ジメチルヘプチル、2,2-ジメチルヘプチル、2,6-ジメチル-4-ヘプチル、n-オクチル、t-オクチル(1,1,3,3-テトラメチルブチル)、1,1-ジメチルオクチル、n-ノニル、n-デシル、1-メチルデシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、またはn-エイコシルなどである。
「アルキレン」は、「アルキル」のいずれかの水素を除いて得られる2価の基であり、例えばメチレン、エチレン、プロピレンである。
「アルケニル」については、上述した「アルキル」の説明を参考にすることができ、「アルキル」の構造中のC-C単結合をC=C二重結合に置換した基であり、1つだけでなく2つ以上の単結合が二重結合に置換された基(アルカジエン-イルやアルカトリエン-イルとも呼ばれる)も含める。
「アルケニレン」は「アルケニル」のいずれかの水素を除いて得られる2価の基であり、例えばビニレンがあげられる。
「アルキニル」については、上述した「アルキル」の説明を参考にすることができ、「アルキル」の構造中のC-C単結合をC≡C三重結合に置換した基であり、1つだけでなく2つ以上の単結合が三重結合に置換された基(アルカジイン-イルやアルカトリイン-イルとも呼ばれる)も含める。
「シクロアルキル」は、例えば炭素数3~24のシクロアルキルであり、好ましくは、炭素数3~20のシクロアルキル、炭素数3~16のシクロアルキル、炭素数3~14のシクロアルキル、炭素数3~12のシクロアルキル、炭素数5~10のシクロアルキル、炭素数5~8のシクロアルキル、炭素数5~6のシクロアルキル、または炭素数5のシクロアルキルなどである。
具体的な「シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、もしくはこれらの炭素数1~5や炭素数1~4のアルキル(特にメチル)置換体、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、またはデカヒドロアズレニルなどである。
「シクロアルキレン」は、例えば炭素数3~24のシクロアルキレンであり、好ましくは、炭素数3~20のシクロアルキレン、炭素数3~16のシクロアルキレン、炭素数3~14のシクロアルキレン、炭素数3~12のシクロアルキレン、炭素数5~10のシクロアルキレン、炭素数5~8のシクロアルキレン、炭素数5~6のシクロアルキレン、または炭素数5のシクロアルキレンなどである。
具体的な「シクロアルキレン」は、例えば、上述した「シクロアルキル」(1価の基)から1つの水素を除いて二価の基にした構造があげられる。
「シクロアルケニル」は、上述した「シクロアルキル」における少なくとも1組の2つの炭素の間の単結合が二重結合となった構造を有する基(例えば、-CH2-CH2-が-CH=CH-に置き換わった基)であって、アリールに該当しない基があげられる。具体的には、1-シクロヘキセニル、1-シクロペンテニル等があげられる。
「アルコキシ」は、「Alk-O-(Alkはアルキル)」で表される基であり、このアルキルの詳細については上述した「アルキル」の説明を引用できる。
「アリールオキシ」は、「Ar-O-(Arはアリール)」で表される基であり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
「置換シリル」は、例えば、アリール、アルキル、およびシクロアルキルの少なくとも1つで置換されたシリルであり、好ましくは、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、またはアルキルジシクロアルキルシリルである。
「トリアリールシリル」は、3つのアリールで置換されたシリル基であり、このアリールの詳細については上述した「アリール」の説明を引用できる。
具体的な「トリアリールシリル」は、例えば、トリフェニルシリル、ジフェニルモノナフチルシリル、モノフェニルジナフチルシリル、またはトリナフチルシリルなどである。
「トリアルキルシリル」は、3つのアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルの詳細については上述した「アルキル」の説明を引用できる。
具体的な「トリアルキルシリル」は、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリn-プロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリn-ブチルシリル、トリイソブチルシリル、トリs-ブチルシリル、トリt-ブチルシリル、エチルジメチルシリル、n-プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、n-ブチルジメチルシリル、イソブチルジメチルシリル、s-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、n-プロピルジエチルシリル、イソプロピルジエチルシリル、n-ブチルジエチルシリル、s-ブチルジエチルシリル、t-ブチルジエチルシリル、メチルジn-プロピルシリル、エチルジn-プロピルシリル、n-ブチルジn-プロピルシリル、s-ブチルジn-プロピルシリル、t-ブチルジn-プロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、エチルジイソプロピルシリル、n-ブチルジイソプロピルシリル、s-ブチルジイソプロピルシリル、またはt-ブチルジイソプロピルシリルなどである。
「トリシクロアルキルシリル」は、3つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このシクロアルキルの詳細については上述した「シクロアルキル」の説明を引用できる。
具体的な「トリシクロアルキルシリル」は、例えば、トリシクロペンチルシリルまたはトリシクロヘキシルシリルなどである。
「ジアルキルシクロアルキルシリル」は、2つのアルキルおよび1つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルおよびシクロアルキルの詳細については上述した「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用できる。
「アルキルジシクロアルキルシリル」は、1つのアルキルおよび2つのシクロアルキルで置換されたシリル基であり、このアルキルおよびシクロアルキルの詳細については上述した「アルキル」および「シクロアルキル」の説明を引用できる。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素、または臭素、より好ましくはフッ素または塩素であり、フッ素がさらに好ましい。
<同一の原子に結合する2つの基が互いに結合する場合>
本明細書において同一の原子に結合する2つの基について互いに結合して環を形成していてもよいという場合、単結合または連結基(これらをまとめて結合基ともいう)により結合していればよく、連結基としては、-CH2-CH2-、-CHR-CHR-、-CR2-CR2-、-CH=CH-、-CR=CR-、-C≡C-、-N(-R)-、-O-、-S-、-C(-R)2-、-C(=O)-、-Si(-R)2-、または-Se-があげられ、例えば以下の構造があげられる。なお、前記-CHR-CHR-のR、-CR2-CR2-のR、-CR=CR-のR、-N(-R)-のR、-C(-R)2-のR、および-Si(-R)2-のRは、それぞれ独立して、水素、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、シクロアルキルで置換されていてもよいアルキル、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアルケニル、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアルキニル、またはアルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいシクロアルキルである。また、隣接する2つのR同士が結合して環を形成し、シクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンを形成していてもよい。
Figure 2024007338000009
結合基としては、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、-S-、-C(-R)2-、-Si(-R)2-、および-Se-が好ましく、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、-S-、および-C(-R)2-がより好ましく、単結合、連結基としての-CR=CR-、-N(-R)-、-O-、および-S-がさらに好ましく、単結合が最も好ましい。
結合基により2つのRが結合する位置は、結合可能な位置であれば特に限定されないが、最も隣接する位置で結合することが好ましく、例えば2つの基がフェニルである場合、フェニルにおける「C」や「Si」の結合位置(1位)を基準としてオルト(2位)の位置同士で結合することが好ましい(上記構造式を参照)。
1.多環芳香族化合物
<多環芳香族化合物の全体構造の説明>
本発明の多環芳香族化合物は、式(1)または(2)で表される。
Figure 2024007338000010
式(1)および(2)中、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環である。
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物は、ホウ素を環構成原子として含む3つの単環がすべて4π反芳香族性であり、電子を入れると安定な芳香族性に近づくことから、高い電子受容性を有する。また、平面性が高く、薄膜にしたときに隣の分子と近づきやすくなり、キャリア移動が早くなる。これらの特徴から、式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物は電子輸送性に優れており、電子輸送層形成用材料または正孔阻止層形成用材料としての利用が可能である。
<多環芳香族化合物中の環構造の説明>
式(1)および(2)において円内の「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」は各円で示される環構造を示す符号である。式(1)または(2)で表される構造は、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環である少なくとも6つの芳香族環をホウ素および炭素で連結してさらに環構造が形成された構造を有する。形成されている環構造は少なくとも12個の環から構成される縮合環構造である。
A環、B環、およびC環は、それぞれ、その構造中のアリール環またはヘテロアリール環の環上で連続する3つの元素(好ましくは炭素)に結合手を有する3価の基を形成している。この3つの結合手でそれぞれ他の環に結合し、また、結合手自体が他の環を形成している。なお、A環とE環、B環とF環、およびC環とD環がそれぞれ単結合または連結基を介して結合しているときはA環、B環、およびC環は、それぞれ、4価の基を形成する。A環、B環、C環それぞれの中で上記の3つの結合手を有する元素を環構成元素とする環は5員環または6員環であることが好ましい。この環はさらに他の環と縮合していてもよい。6員環の例としては、ベンゼン環があげられる。6員環がさらに他の環と縮合している例としては、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環などがあげられる。5員環の例としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環などがあげられる。5員環がさらに他の環と縮合している例としては、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環などがあげられる。
A環、B環、C環それぞれの中のアリール環またはヘテロアリール環としてはベンゼン環が好ましい。
D環、E環、およびF環はそれぞれ、その構造中のアリール環またはヘテロアリール環の環上で互いに隣接する2つの元素(好ましくは炭素)に結合手を有する2価の基を形成している。この2つの結合手でそれぞれ他の環に結合し、また、結合手自体が他の環を形成している。なお、A環とE環、B環とF環、およびC環とD環がそれぞれ単結合または連結基を介して結合しているときはD環、E環、およびF環は、それぞれ、3価の基を形成する。D環、E環、およびF環の各環中で上記の2つの結合手を有する元素を環構成元素とする環は5員環または6員環であることが好ましい。この環はさらに他の環と縮合していてもよい。6員環の例としては、ベンゼン環、ピリジン環などがあげられる。6員環がさらに他の環と縮合している例としては、ナフタレン環、キノリン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ベンゾセレノフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ジベンゾセレノフェン環などがあげられる。5員環の例としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、セレノフェン環などがあげられる。5員環がさらに他の環と縮合している例としては、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ベンゾセレノフェン環などがあげられる。
D環、E環、およびF環中のアリール環またはヘテロアリール環としては、それぞれ独立して、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾセレノフェン環、またはインドール環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
式(1)または式(2)で表される多環芳香族化合物において、A環とE環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよい。すなわち、以下式(1’)および式(2’)それぞれに示す3箇所の破線部のうちの1つ、2つまたは3つの位置の単結合または連結基を介して環は追加で互いに結合していてもよい。A環とE環と、B環とF環と、C環とD環とがいずれも上記のように単結合または連結基を介する追加の結合を有しているとき、式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物は、少なくとも15個の環から構成される縮合環構造となる。
Figure 2024007338000011
連結基としては-N(-RNG)-、-O-、-C(-RCG2-、-Si(-RIG2-、-S-、-Se-、-C(-RDG)=C(-RDG)-などがあげられる。RNG、RCG、RIG、およびRDGはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCGは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIGは互いに結合して環を形成していてもよい。RNGは置換もしくは無置換のアリールであることが好ましく、無置換のフェニルであることがより好ましい。ここでの連結基としては、-O-、-C(-Me)2-、-C(-Ph)2-、-Si(-Ph)2-、-S-、-Se-、または-CH=CH-が好ましい。-C(-Ph)2-については、2つのPhが互いに単結合を介して結合して環を形成していることがより好ましく、-Si(-Ph)2-については、2つのPhが互いに単結合を介して結合して環を形成していることがより好ましい。A環、B環、C環、D環、E環、F環中のアリール環またはヘテロアリール環における環構成原子が直接上記連結基に結合していることが好ましい。
<多環芳香族化合物中の置換基の説明>
式(1)および(2)中、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環における置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環において、「置換もしくは無置換の(置換または無置換の)」というときの置換基としては、置換もしくは無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、トリアリールシリル、またはシアノが好ましい。第2の置換基としてはメチル、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ等も好ましい。
好ましい置換基の具体例としては以下をあげることができる。下記構造式において、*は各置換基の結合位置を表す。
Figure 2024007338000012
Figure 2024007338000013
Figure 2024007338000014
合成と昇華性の観点からは、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環におけるアリール環またはヘテロアリール環はいずれも置換基を有してないことが好ましい。
<式(1X)または式(2X)で表される多環芳香族化合物>
式(1)で表される多環芳香族化合物の好ましい例としては、式(1X)で表される多環芳香族化合物、式(2)で表される多環芳香族化合物の好ましい例としては、式(2X)で表される多環芳香族化合物をあげることができる。
式(1)における「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」はそれぞれ、式(1X)における「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」に対応し、式(2)における「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」はそれぞれ、式(2X)における「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」に対応する。
Figure 2024007338000015
式(1X)、式(2X)中、Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=である。-N=であるZはa環、b環、c環、d環、e環、f環、それぞれにおいて0~3個であることが好ましく、0~2個であることがより好ましく、0~1個であることがさらに好ましい。Zはいずれも-C(-RZ)=であることが好ましい。
Zは、それぞれ独立して、水素または置換基である。置換基としては式(1)および式(2)における置換基の説明を参照することができる。RZは、水素であるか、または後述するように隣接するRZと結合していることが好ましい。隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよい。このときの置換基としては式(1)および式(2)における置換基の説明を参照することができる。Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Se、好ましくは>N-RNZ、>O、>S、または>Seであってもよい。RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよい。RNZは置換もしくは無置換のアリールであることが好ましく、無置換のフェニルであることがより好ましい。
Zを含む環の構造例を、Zを4つ含み、2価の基となっている環(d環、e環、f環)の例として以下に示す。なお、下記式中、RはRZと同義であるが、水素を意味せず、かつR同士で結合するものを意味しない。R0はRZと同義であるが、R0同士で結合するものを意味しない。また、nは0~4の整数であり、RNおよびRcは、水素、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルもしくはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、シクロアルキルで置換されていてもよいアルキル、またはアルキルで置換されていてもよいシクロアルキルであり、2つのRcは互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2024007338000016
Figure 2024007338000017
Figure 2024007338000018
上記各部分構造において、Rはアリールまたはヘテロアリールであることが好ましく、フェニルであることがより好ましい。nは0または1が好ましく、0であることがより好ましい。R0は水素、アリール、またはヘテロアリールであることが好ましく、水素であることがより好ましい。
Zを3つ含み、3価の基となっている環(a環、b環、c環)についても同様の構造例があげられる。
式(1X)、式(2X)において、a環とe環とは、式(1X)、式(2X)には示されていない単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに式(1X)、式(2X)には示されていない単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに式(1X)、式(2X)には示されていない単結合または連結基を介して結合していてもよい。これは式(1)または式(2)で表される多環芳香族化合物において、A環とE環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とは式(1)および式(2)には示されてない単結合または連結基を介して結合していてもよいというとおりである。
a環とe環と、b環とf環と、c環とd環とは、それぞれ、各組み合わせにおいて最も近い位置にあるZが上記単結合または連結基に結合している炭素となるように結合していてもよく、置換基であるRZにおけるいずれかの水素が上記単結合または連結基との結合手に置き換わるように結合していてもよく、隣接する2つのRZが互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともに形成したアリール環またはヘテロアリール環の環構原子または置換基において結合していてもよい。
式(1X)、式(2X)において、以下のいずれかの場合が好ましい。
a)Zがいずれも-C(-H)=である。
b)a環、b環、c環それぞれにおいて、1つのZ=Zが>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、もしくは>Seであり、その他のZがそれぞれ独立して、-C(-RZ)=である。
c)d環、e環、f環それぞれにおいて、1つのZ=Zが>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、もしくは>Seであり、d環、e環、f環、それぞれにおける残りの2つのZが隣接し、いずれも-C(-RZ)=であり、当該2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにベンゼン環を形成しており、その他のZがそれぞれ独立して、-C(-R0)=である。
<式(1-a)、式(1-b)、式(1-c)、式(1-d)、式(1-e)、式(2-a)、式(2-b)、式(2-c)、式(2-d)および式(2-e)>
式(1X)で表される多環芳香族化合物の好ましい例として、式(1-a)、式(1-b)、式(1-c)、式(1-d)、または式(1-e)からなる群より選択されるいずれかの式で表される多環芳香族化合物、式(2X)で表される多環芳香族化合物の好ましい例として、式(2-a)、式(2-b)、式(2-c)、式(2-d)および式(2-e)からなる群より選択されるいずれかの式で表される多環芳香族化合物をあげることができる。
Figure 2024007338000019
Figure 2024007338000020
式(1-a)、式(1-b)、式(1-c)、式(1-d)、式(1-e)、式(2-a)、式(2-b)、式(2-c)、式(2-d)および式(2-e)中、Lはそれぞれ独立して、>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、もしくは>Seであり、>N-RNZ、>O、>S、または>Seであることが好ましい。RNZは置換もしくは無置換のアリールであることが好ましく、無置換のフェニルであることがより好ましい。RZは、式(1)および式(2)におけるRZと同義であり、それぞれ独立して、水素または置換基である。置換基としては式(1)および式(2)における置換基の説明を参照することができる。RZは、それぞれ独立して、水素であるか、または隣接するRZと結合していることが好ましく、RZは、いずれも水素であることがより好ましい。
<重水素による置き換え>
式(1)または式(2)で表される構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。式(1X)または(2X)で表される構造、式(1-a)、式(1-b)、式(1-c)、式(1-d)、式(1-e)、式(2-a)、式(2-b)、式(2-c)、式(2-d)または式(2-e)で表される構造も同様である。
例えば、式(1)または式(2)で表される化合物においては、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環におけるアリール環またはヘテロアリール環、A環、B環、C環、D環、E環、およびF環中の置換基における水素が重水素で置き換えられうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素が重水素で置き換えられた態様があげられる。また耐久性の観点から、式(1)または式(2)で表される化合物中の水素は、その全てまたは一部が重水素化されていることも好ましい。
<多環芳香族化合物の具体例>
本発明の多環芳香族化合物の例として、下記構造式のいずれかで表される化合物があげられる。
Figure 2024007338000021
Figure 2024007338000022
Figure 2024007338000023
Figure 2024007338000024
Figure 2024007338000025
Figure 2024007338000026
Figure 2024007338000027
Figure 2024007338000028
Figure 2024007338000029
Figure 2024007338000030
Figure 2024007338000031
Figure 2024007338000032
Figure 2024007338000033
Figure 2024007338000034
Figure 2024007338000035
<多環芳香族化合物の製造方法>
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物は式(SM)で表される化合物を原料として製造することができる。
まず、原料として用いられる式(SM)で表される化合物について説明する。
Figure 2024007338000036
式(SM)中、
A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、式(SM)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
式(SM)中のA環、B環、C環、D環、E環、およびF環の詳細や好ましい範囲については式(1)および式(2)中のA環、B環、C環、D環、E環、およびF環の好ましい範囲の記載をそれぞれ参照することができる。ただし、式(SM)で表される化合物においては、D環、E環、およびF環はそれぞれ、その構造中のアリール環またはヘテロアリール環の環上の1つの元素(好ましくは炭素)に結合手を有する1価の基を形成している。この1つの結合手でそれぞれ他の環に結合している。なお、A環とE環、B環とF環、およびC環とD環がそれぞれ単結合または連結基を介して結合しているときはD環、E環、およびF環は、それぞれ、2価の基を形成する。
式(SM)で表される化合物の好ましい例としては式(SM-X)で表される化合物をあげることができる。
Figure 2024007338000037
式(SM-X)中、
Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=であり、
Zは、それぞれ独立して、水素または置換基であり、
隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、前記形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよく、
Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Seであってもよく、RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよく、
a環とe環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
式(SM-X)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
ZおよびRZの好ましい範囲については式(1X)、式(2X)中のZおよびRZの好ましい範囲の記載を参照することができる。
式(SM-X)で表される化合物の具体例としては以下の式(SM-a)、式(SM-b)、式(SM-c)、式(SM-d)、式(SM-e)で表される化合物をあげることができる。式(SM-a)で表される化合物を原料として、式(1-a)または式(2-a)で表される多環芳香族化合物、式(SM-b)で表される化合物を原料として、式(1-b)または式(2-b)で表される多環芳香族化合物、式(SM-c)で表される化合物を原料として、式(1-c)または式(2-c)で表される多環芳香族化合物、式(SM-d)で表される化合物を原料として、式(1-d)または式(2-d)で表される多環芳香族化合物、および、式(SM-e)で表される化合物を原料として、式(1-e)または式(2-e)で表される多環芳香族化合物を製造することができる。
Figure 2024007338000038
式(SM-X)で表される化合物の特に好ましい具体例としては、以下の式(SM-1)または式(SM-2)で表される化合物をあげることができる。
Figure 2024007338000039
式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物は、式(SM)で表される化合物をEur. J. Org. Chem.2019, 6783-6795に記載の方法を参照して合成し(第1反応)、それにホウ素を導入することで製造できる(第2反応)。第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。
第2反応は、下記スキーム(1)に示すように、A環(a環)~F環(f環)を含む縮合環を結合するホウ素を導入する反応である。ホウ素化剤がアルキンに付加し、生じたアルケニルカチオンに、近接するD環(d環)~F環(f環)がフリーデルクラフツ反応を起こすことで、目的物を得ることができる。生じる酸を捕捉するため、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン等のブレンステッド塩基を加えることで、目的の反応を促進できる。
Figure 2024007338000040
使用する原料を適宜選択することで、所望の位置に置換基を有する多環芳香族化合物、A環とE環、B環とF環、およびC環とD環とのいずれか1~3つがそれぞれ互いに単結合または連結基を介して結合している多環芳香族化合物を合成することができる。
以上の反応で用いられる溶媒の具体例は、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、t-ブチルベンゼン、キシレンやメシチレンなどである。
なお、上記スキーム(1)で使用するホウ素化剤としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素などのホウ素のハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物、ホウ素のアリールオキシ化物などがあげられる。
なお、上記スキーム(1)で使用するブレンステッド塩基としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、2,6-ルチジン、2,6-di-tert-ブチルピリジンなどがあげられる。
1つの式(SM)で表される化合物から、上記反応にて式(1)系化合物および式(2)系化合物が同時に生成することがあるが、その場合、生成後適切な手段で両者を分離精製すればよい。分離精製手段としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などのクロマトグラフィーがあげられる。
また、本発明の多環芳香族化合物には、少なくとも一部の水素原子が重水素で置換されているものも含まれるが、このような化合物などは所望の箇所が重水素化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
2.有機デバイス
本発明の多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。本発明の多環芳香族化合物は、有機電界発光素子における、いずれか1つ以上の有機層を形成する材料として用いられることが好ましい。
<2-1.有機電界発光素子>
2-1-1.有機電界発光素子の構造
図1は、有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
有機EL素子はさらに電子阻止層(電子ブロッキング層)および正孔阻止層(正孔ブロッキング層)から選択されるいずれかまたは双方を有していてもよい。電子阻止層は発光層より浅いLUMOおよび発光層または正孔輸送層と近いHOMOとを有し、発光層と正孔輸送層の間に配置される。電子が発光層内に留まり正孔輸送層へ漏れ出ないために、正孔輸送層の劣化による短寿命化と再結合効率低下による効率の低下を防ぐことができる。正孔阻止層は発光層より深いHOMOおよび発光層または正孔輸送層と近いLUMOとを有し、発光層と電子輸送層の間に配置される。正孔が発光層内に留まり電子輸送層へ漏れ出ないために、電子輸送層の劣化による短寿命化と再結合効率低下による効率の低下を防ぐことができる。正孔注入・輸送層が電子阻止層を兼ねていてもよい。電子注入・輸送層が正孔阻止層を兼ねていてもよい。
有機EL素子はさらに高T1層を有していてもよい。高T1層は、発光層に用いられるホスト化合物、アシスティングドーパント化合物またはエミッティングドーパント化合物より高いT1を有し、発光層と正孔輸送層の間および/または発光層と電子阻止層の間に配置される。T1エネルギーの値は素子の発光機構により異なるが、ホストに用いられる化合物より高いT1を有する。発光層の周囲に高T1層を有することで、三重項エネルギーを閉じ込め、通常蛍光分子では発光につながらない三重項エネルギーを一重項エネルギーへと変換し、高い効率を得ることができる。正孔注入・輸送層または電子阻止層が高T1層を兼ねていてもよい。電子注入・輸送層または正孔阻止層が高T1層を兼ねていてもよい。
本発明の多環芳香族化合物は、電子輸送層形成用材料または正孔阻止層形成用材料として用いることが好ましく、電子輸送層形成用材料として用いることがより好ましい。
2-1-2.有機電界発光素子における基板
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよい。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
2-1-3.有機電界発光素子における陽極
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および正孔輸送層104の少なくとも1つの層が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
2-1-4.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層または混合により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N-アリールカルバゾール)またはビス(N-アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(3-メチルフェニル)-4,4'-ジアミノビフェニル、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジナフチル-4,4'-ジアミノビフェニル、N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(3-メチルフェニル)-4,4'-ジフェニル-1,1'-ジアミン、N,N'-ジナフチル-N,N'-ジフェニル-4,4'-ジフェニル-1,1'-ジアミン、N4,N4'-ジフェニル-N4,N4'-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、N4,N4,N4',N4'-テトラ[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン、4,4',4"-トリス(3-メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pfeiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
上述した正孔注入層用材料および正孔輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、正孔層用材料に用いることができる。
2-1-5.有機電界発光素子における発光層
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であることが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の50~99.999質量%であり、より好ましくは80~99.95質量%であり、さらに好ましくは90~99.9質量%である。ホスト材料が、正孔輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料との組み合わせである場合は、ホスト材料の使用量は正孔輸送性ホスト材料の使用量と電子輸送性ホスト材料の使用量とを合わせた質量である。正孔輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料との使用量の比は質量比で1:9~9:1であればよく、4:6~6:4であることが好ましく、略1:1であることがより好ましい。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全質量の0.001~50質量%であり、より好ましくは0.05~20質量%であり、さらに好ましくは0.1~10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
ドーパント材料としては、エミッティングドーパントとアシスティングドーパントとを用いてもよい。アシスティングドーパント材料としては熱活性型遅延蛍光材料を好ましく用いることができる。アシスティングドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、エミッティングドーパント材料の使用量は低濃度である方が濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。アシスティングドーパント材料の使用量が高濃度である方が熱活性型遅延蛍光機構の効率の点からは好ましい。さらには、熱活性型遅延蛍光アシスティングドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、アシスティングドーパント材料の熱活性型遅延蛍光機構の効率の点からは、アシスティングドーパント材料の使用量に比べてエミッティングドーパント材料の使用量が低濃度である方が好ましい。
アシスティングドーパント材料が使用される場合における、ホスト材料、アシスティングドーパント材料およびエミッティングドーパント材料の使用量の目安は、それぞれ、発光層用材料全質量に対し40~99質量%、59~1質量%および20~0.001質量%であり、好ましくは、それぞれ、60~95質量%、39~5質量%および10~0.01質量%であり、より好ましくは、70~90質量%、29~10質量%および5~0.05質量%である。
<ドーパント材料>
ドーパント材料としては、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2-メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2-トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7-ジアルキルアミノクマリン誘導体、7-ピペリジノクマリン誘導体、7-ヒドロキシクマリン誘導体、7-メトキシクマリン誘導体、7-アセトキシクマリン誘導体、3-ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3-ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアントラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5-チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
ドーパント材料としては、国際公開第2015/102118号、国際公開第2020/162600号、特開2021-077890号公報の段落0097~0269等に記載のホウ素を含む多環芳香族化合物を用いることも好ましい。
ドーパント材料としては、熱活性型遅延蛍光体を用いてもよい。「熱活性型遅延蛍光体」とは、熱エネルギーを吸収して最低励起三重項状態から最低励起一重項状態への逆項間交差を起こし、その最低励起一重項状態から放射失活して遅延蛍光を放射しうる化合物のことを意味する。
発光層においては、ドーパントとしてりん光材料を用いてもよい。例えば、特開2006-089398号公報、特開2006-080419号公報、特開2005-298483号公報、特開2005-097263号公報、および特開2004-111379号公報、米国特許出願公開第2019/0051845号明細書などに記載されたイリジウム錯体、または、特開2014-239225号公報、Advanced Materials, 26: 7116-7121、NPG Asia Materials 13, 53 (2021)、Applied Physics Letters, 117, 253301 (2020)、Light-Emitting Diode - An Outlook On the Empirical Features and Its Recent Technological Advancements, Chapter 5に記載された白金錯体を用いてもよい。
<ホスト材料>
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、N-フェニルカルバゾール誘導体、カルバゾニトリル誘導体などがあげられる。
ホスト材料の最低励起三重項エネルギー準位(ET1)は、発光層内でのTADFの発生を阻害せず促進させる観点から、発光層内において最も高いET1を有するドーパントまたはアシスティングドーパントのET1に比べて高いことが好ましく、具体的には、ホスト材料のET1は、上記のドーパントまたはアシスティングドーパントのET1に比べて0.01eV以上高いことが好ましく、0.03eV以上高いことがより好ましく、0.1eV以上高いことがさらに好ましい。また、ホスト材料のET1は2.70eV以上が好ましく、2.73eV以上がより好ましく、2.80eV以上が更に好ましい。
ホスト材料にTADF活性な化合物を用いてもよい。
ホスト材料は、一種類であっても、複数の組み合わせであってもよい。複数の組み合わせである場合、正孔輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料との組み合わせであることが好ましい。
2-1-6.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。式(1)または(2)で表される本発明の多環芳香族化合物は電子輸送層材料として用いることが好ましい。本発明の多環芳香族化合物は、単独で1つの電子輸送層を形成する材料として用いてもよく、以下で説明するその他の材料と組合せて1つの電子輸送層を形成する材料として用いてもよい。また、本発明の多環芳香族化合物を含む電子輸送層に加えて、その他の材料から形成される電子注入層またはその他の材料から形成される追加の電子輸送層を用いてもよい。
本発明の多環芳香族化合物以外で、電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4'-ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、アリールニトリル誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3-ビス[(4-t-ブチルフェニル)1,3,4-オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N-ナフチル-2,5-ジフェニル-1,3,4-トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2'-ビス(ベンゾ[h]キノリン-2-イル)-9,9'-スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3-ビス(2,2’:6’,2”-テルピリジン-4'-イル)ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1-ナフチル)-4-(1,8-ナフチリジン-2-イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、アリールニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
本発明の多環芳香族化合物を他の材料と組合せて電子輸送層を形成する場合は、他の材料はキノリノール系金属錯体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、またはベンゾイミダゾール誘導体を含むことが好ましい。本発明の多環芳香族化合物と上記の他の材料とを混合して1つの電子輸送層または電子注入層の形成に用いてもよく、本発明の多環芳香族化合物と上記の他の材料とを隣接する層でそれぞれ用いてもよい。本発明の多環芳香族化合物と他の材料とを組合せて同一の層で用いる場合は、キノリノール系金属錯体と組合せることが好ましい。発光層への電子注入がさらに促進され、電子輸送性を向上させることができる。
[キノリノール系金属錯体]
キノリノール系金属錯体の例としては、式(ETM-13)で表される化合物があげられる。
Figure 2024007338000041
式(ETM-13)中、R1~R6はそれぞれ独立して水素または置換基であり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1~3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8-キノリノールリチウム(Liq)、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-t-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
<還元性物質>
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0~2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
2-1-7.有機電界発光素子における陰極
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム-リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
2-1-8.有機電界発光素子の作製方法
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm~5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50~+400℃、真空度10-6~10-3Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-150~+300℃、膜厚2nm~5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として印加すればよく、電圧2~40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
<蒸着法>
適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
<湿式成膜法>
湿式成膜法は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物を液状の有機層形成用組成物として準備し、これを用いることによって実施される。この低分子化合物を溶解する適当な有機溶媒がない場合には、当該低分子化合物に反応性置換基を置換させた反応性化合物として溶解性機能を有する他のモノマーや主鎖型高分子と共に高分子化させた高分子化合物などから有機層形成用組成物を準備してもよい。
湿式成膜法は、一般的には、基板に有機層形成用組成物を塗布する塗布工程および塗布された有機層形成用組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。上記高分子化合物が架橋性置換基を有する場合(これを架橋性高分子化合物ともいう)には、この乾燥工程によりさらに架橋して高分子架橋体が形成される。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いる方法をスピンコート法、スリットコーターを用いる方法をスリットコート法、版を用いる方法をグラビア、オフセット、リバースオフセット、フレキソ印刷法、インクジェットプリンタを用いる方法をインクジェット法、霧状に吹付ける方法をスプレー法と呼ぶ。乾燥工程には、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で成膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、真空蒸着法と比較した場合には、湿式成膜法は積層化が難しい場合がある。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(Orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい場合がある。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機EL素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機EL素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による成膜
(手順2)正孔注入層用材料を含む正孔注入層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順3)正孔輸送層用材料を含む正孔輸送層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含む発光層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による成膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による成膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による成膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子が得られる。
もちろん、電子輸送層および電子注入層についても、それぞれ電子輸送層用材料および電子注入層用材料を含む層形成用組成物を用いて湿式成膜法により成膜してもよい。その際、下層の発光層の溶解を防ぐ手段、または上記手順とは逆に陰極側から成膜する手段を用いることが好ましい。
<その他の成膜法>
有機層形成用組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料に有機層形成用組成物を用いることができる。
<任意の工程>
成膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等があげられる。さらには、バンクを作製する一連の工程もあげられる。
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料を用いることができる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。
<湿式成膜法に使用される有機層形成用組成物>
有機層形成用組成物は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物、または当該低分子化合物を高分子化させた高分子化合物を有機溶媒に溶解させて得られる。例えば、発光層形成用組成物は、第1成分として少なくとも1種のドーパント材料である多環芳香族化合物(またはその高分子化合物)と、第2成分として少なくとも1種のホスト材料と、第3成分として少なくとも1種の有機溶媒とを含有する。第1成分は、該組成物から得られる発光層のドーパント成分として機能し、第2成分は発光層のホスト成分として機能する。第3成分は、組成物中の第1成分と第2成分を溶解する溶媒として機能し、塗布時には第3成分自身の制御された蒸発速度により平滑で均一な表面形状を与える。
<有機溶媒>
有機層形成用組成物は少なくとも一種の有機溶媒を含む。成膜時に有機溶媒の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善することができる。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善することができる。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該有機層形成用組成物より得られる有機層を有する有機EL素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、塗布成膜性改善の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)+30℃以下で行うことが好ましい。また、残留溶媒の削減の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移点(Tg)-30℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、異なる温度で複数回乾燥を行ってもよく、複数の乾燥方法を併用してもよい。
(2)有機溶媒の具体例
有機層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒、フェニルエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、環状ケトン系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、単環性ケトン系溶媒、ジエステル骨格を有する溶媒および含フッ素系溶媒などがあげられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
<任意成分>
有機層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等があげられる。
<有機層形成用組成物の組成および物性>
有機層形成用組成物における各成分の含有量は、有機層形成用組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該有機層形成用組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された有機層を有する有機EL素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点を考慮して決定される。
有機層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で撹拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
2-1-9.有機電界発光素子の応用例
本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよびセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
<2-2.その他の有機デバイス>
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
<3.波長変換材料>
現在、色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長の光へと波長変換することであり、例えば、紫外光や青色光を緑色光や赤色発光へと変換することを表す。この色変換機能を有する波長変換材料をフィルム化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有する波長変換フィルムを組み合わせた白色光源を光源ユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明などの白色光源として応用できる。また、青色有機EL素子を光源として、青色光を緑色光および赤色光に変換する波長変換フィルムと組み合わせて用いることでメタルマスクを用いないフルカラー有機ELディスプレイの作製が可能になる。さらに、青色マイクロLEDを光源として、青色光を緑色光および赤色光に変換する波長変換フィルムと組み合わせて用いることで低コストのフルカラーマイクロLEDディスプレイの作製が可能になる。
本発明の多環芳香族化合物は、この波長変換材料として使用することができる。本発明の多環芳香族化合物を含む波長変換材料を用いて、紫外光やより短波長の青色光を生成する光源や発光素子からの光を、表示装置(有機EL素子を利用した表示装置や液晶表示装置)での利用に適した色純度の高い青色光や緑色光に変換することができる。変換される色の調整は、本発明の多環芳香族化合物の置換基、後述の波長変換用組成物で用いるバインダー樹脂等を適宜選択することにより行うことができる。波長変換材料は本発明の多環芳香族化合物を含む波長変換用組成物として調製することができる。また、この波長変換用組成物を用いて波長変換フィルムを形成してもよい。
波長変換用組成物は、本発明の多環芳香族化合物のほか、バインダー樹脂、その他の添加剤、および溶媒を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては、例えば国際公開第2016/190283号の段落0173~0176に記載のものを用いることができる。その他の添加剤としては、国際公開第2016/190283号の段落0177~0181に記載の化合物を用いることができる。溶媒としては、上記の発光層形成用組成物に含まれる溶媒の記載を参照することができる。
波長変換フィルムは波長変換用組成物の硬化により形成される波長変換層を含む。波長変換用組成物からの波長変換層の作製方法としては公知のフィルム形成方法を参照することができる。波長変換フィルムは本発明の多環芳香族化合物を含む組成物から形成される波長変換層のみからなっていてもよく、他の波長変換層(例えば、青色光を緑色光や赤色光に変換する波長変換層、青色光や緑色光を赤色光に変換する波長変換層)を含んでいてもよい。さらに波長変換フィルムは基材層や、色変換層の酸素、水分、または熱による劣化を防ぐためのバリア層を含んでいてもよい。
以下,実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが,本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例>
[3-エチニル-2-ヨード-1,1’-ビフェニルの合成]
Figure 2024007338000042
上記のスキームにしたがって、3-エチニル-2-ヨード-1,1’-ビフェニルを合成した。
[化合物(SM-1)の合成]
Figure 2024007338000043
窒素雰囲気下、3-エチニル-2-ヨード-1,1’-ビフェニル(1.08g,3.6mmol)、ヨウ化銅(I)(0.229g,1.2mmol)、炭酸カリウム(0.249g,1.8mmol)をDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(36mL)に溶かし、室温で4時間撹拌したあと140℃で4時間撹拌した。反応液を室温まで冷やし、シリカゲルショートパスカラムを通し(展開溶媒:トルエン)、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物に対してヘキサン洗浄をし、化合物(SM-1)(0.420g,収率66%)を無色固体として得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ=6.85(dd,3H),7.12(dd,3H),7.20(dd,3H),7.41-7.49(m,9H),7.60(d,6H)
[化合物(1-1)および化合物(2-1)の合成]
Figure 2024007338000044
化合物(SM-1)(36.4mg、69μmol)と2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(62μl、0.28mmol)の入ったシュレンクに、1,2,4-トリクロロベンゼン(0.69ml)を加え、ここにアルゴン雰囲気下、室温で三ヨウ化ホウ素(27.0mg、69μmol)を加えた。150℃で16時間加熱撹拌した後、反応液を室温まで冷やし、リン酸緩衝液(pH=6.8、1.5ml)と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.69ml)を室温で加えた。その後、ジクロロメタン(3.0 ml、3回)で水層を抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物に対して、ヘキサン洗浄、GPC(溶離液:1,2-ジクロロエタン)を行うことで、化合物(1-1)と化合物(2-1)とを分離し、化合物(1-1)(5.10 mg、収率14%)、化合物(2-1)(3.35mg、収率9.5%)をいずれも赤色固体として得た。
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
化合物(1-1)
1H-NMR(500MHz,(CDCl22):δ=7.74-7.80(m,6H)、7.84(t,3H)、8.66(d,3H)、8.72(d,3H)、8.77(d,3H)、8.89(d,3H)
化合物(2-1)
1H-NMR(500MHz,(CDCl22):δ=7.32(t,3H)、7.45(t,6H)、7.64(d,3H)、7.80(d,3H)、8.36(d,3H)、8.46(d,3H)
[化合物(1-123)および化合物(2-119)の合成]
上述の[3-エチニル-2-ヨード-1,1’-ビフェニルの合成]において、フェニルボロン酸を2-ナフタレンボロン酸に変更した以外は同様の手法で2-(3-エチニル-2-ヨードフェニル)ナフタレンを合成した。次いで、上述の[化合物(SM-1)の合成]において、3-エチニル-2-ヨード-1,1’-ビフェニルを2-(3-エチニル-2-ヨードフェニル)ナフタレンに変更した以外は同様の手法で化合物(SM-2)を合成した。
窒素雰囲気下で化合物(SM-2)(0.725g、1.0mmol)、三ヨウ化ホウ素(0.784g、2.0mmol)、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(0.66ml、3.0mmol)および1,2,4-トリクロロベンゼン(50ml)の入ったフラスコを150℃で15時間加熱撹拌した。その後、反応溶液を室温まで冷やし、リン酸緩衝液(pH=6.8、25ml)と飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(25ml)を室温で加えた。その後、ジクロロメタン(20ml,3回)で抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた組成物に対して、次に,フロリジルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン=3/7)を行い、目的物を含むフラクションを減圧濃縮した。次いで、GPC(展開溶媒:1,2-ジクロロエタン)を行うことで、化合物(1-123)(1mg、0.15%)および化合物(2-119)(41mg,6%)を紫色固体として得た。
化合物(2-119)についてはNMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
化合物(2-119)
1H-NMR(500MHz,(CDCl22):δ= 7.01(t,3H),7.20(t,3H),7.33(d,3H),7.37(t,3H),7.57(d,3H),7.87(d,3H),7.94(d,6H),8.03(d,3H)
MALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法)によって目的物の生成を確認した。
化合物(1-123):686.2219
化合物(2-119):686.2225
Figure 2024007338000045
<有機EL素子の作製と評価>
有機EL素子の構成
本発明の多環芳香族化合物を用いて、以下の有機EL素子を製造した。
<実施例1-1~実施例1-8、および比較例1>
実施例1-1~実施例1-8、および比較例1の有機EL素子における各層の材料構成を下記表1に示す。
Figure 2024007338000046
表1において、「HI」はN4,N4'-ジフェニル-N4,N4'-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンであり、「HAT-CN」は1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT-1」はN-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンであり、「HT-2」はN,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-4-アミンであり、「BH」は、2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾ[b,d]フランであり、「ET-1」は、9,9’-[(5-(6-(1,1’-ビフェニル)-4-イル)-2-フェニルピリミジン-4-イル)-1,3-フェニレン]ビス(9H-カルバゾール)であり、「ET-2」は2-エチル-1-(4-(10-フェニルアントラセン-9-イル)フェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾールである。「Liq」、および(BD)(国際公開第2015/102118号に記載の化合物)と共に以下に化学構造を示す。
Figure 2024007338000047
[比較例1]
スパッタリングにより180nmの厚さに成膜したITOを120nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT-CN、HT-1、HT-2、BH、BD、ET-1およびET-2をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成する。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HAT-CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT-1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT-2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、BHとBDとを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BHとBDの質量比がおよそ97対3になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET-1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET-2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET-2とLiqの質量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01~1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01~0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
[実施例1-1~実施例1-8]
ET-1またはET-2の代わりに表1に記載の化合物を用いた以外は比較例1と同様にして、有機EL素子を得た。
有機EL素子の評価
実施例1-1~実施例1-8、および比較例1の有機EL素子について、ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2024007338000048
実施例1-1~1-8は比較例1と比べて低い駆動電圧で同じ輝度を達成した。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (14)

  1. 式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物;
    Figure 2024007338000049
    式(1)および(2)中、
    A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
    A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
    式(1)または(2)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
  2. 式(1X)または(2X)で表される請求項1に記載の多環芳香族化合物;
    Figure 2024007338000050
    式(1X)、式(2X)中、
    Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=であり、
    Zは、それぞれ独立して、水素または置換基であり、
    隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、前記形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよく、
    Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Seであってもよく、RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよく、
    a環とe環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
    式(1X)または(2X)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
  3. すべてのZがそれぞれ独立して、-C(-RZ)=である、請求項2に記載の多環芳香族化合物。
  4. 下記のいずれかの式で表される、請求項3に記載の多環芳香族化合物。
    Figure 2024007338000051
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  6. 前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料、有機薄膜太陽電池用材料、または波長変換フィルタ用材料である、請求項5に記載の有機デバイス用材料。
  7. 陽極および陰極からなる一対の電極と該一対の電極間に配置される有機層とを有し、前記有機層が請求項1~4のいずれか一項に記載の多環芳香族化合物を含有する、有機電界発光素子。
  8. 前記有機層が電子輸送層である、請求項7に記載の有機電界発光素子。
  9. 請求項7に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
  10. 下記式(SM)で表される化合物;
    Figure 2024007338000052
    式(SM)中、
    A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
    A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
    式(SM)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
  11. 式(SM-X)で表される、請求項10に記載の化合物;
    Figure 2024007338000053
    式(SM-X)中、
    Zはそれぞれ独立して、-C(-RZ)=または-N=であり、
    Zは、それぞれ独立して、水素または置換基であり、
    隣接する2つのRZは互いに結合してそれらが結合する2つの炭素とともにアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、前記形成されたアリール環またはヘテロアリール環は、それぞれ、置換基を有していてもよく、
    Z=Zはそれぞれ独立して>N-RNZ、>O、>C(-RCZ2、>Si(-RIZ2、>S、または>Seであってもよく、RNZ、RCZおよびRIZはそれぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のアルキル、または置換もしくは無置換のシクロアルキルであり、2つのRCZは互いに結合して環を形成していてもよく、2つのRIZは互いに結合して環を形成していてもよく、
    a環とe環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、b環とf環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、c環とd環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
    式(SM-X)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
  12. すべてのZがそれぞれ独立して、-C(-RZ)=である請求項11に記載の多環芳香族化合物。
  13. 下記式で表される、請求項12に記載の化合物。
    Figure 2024007338000054
  14. 下記式(SM)で表される化合物とホウ素化剤とをブレンステッド塩基の存在下で反応させることを含む、請求項1に記載の多環芳香族化合物の製造方法;
    Figure 2024007338000055
    式(SM)中、
    A環、B環、C環、D環、E環、およびF環はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換のアリール環または置換もしくは無置換のヘテロアリール環であり、
    A環とE環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、B環とF環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、C環とD環とはさらに単結合または連結基を介して結合していてもよく、
    式(SM)で表される構造における少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
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