JP2024006491A - プリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 プリンタが印刷動作を行うと駆動系の出す熱により本体内の温度が上昇する。モータ単体では、高温になるほど電力効率が低下する。モータ単体では低温になるほど効率は良くなるが、動力を伝達するギア・グリス等の駆動部を考えると、適切な温度を維持することが望ましい。【解決手段】 昇温時に負荷が下がったときの温度を設定下限温度として不揮発性メモリに記録し、さらに負荷が下がったときの設定下限温度を更新し、継続する。その後、昇温時に負荷が上がったときの温度を設定上限温度とし、不揮発性メモリに記録された設定下限温度より機内温度が低い場合、設定下限温度に機内温度を近づけるために加熱し、設定上限温度より機内温度が高い場合、設定上限温度に機内温度を近づけるために放熱する。【選択図】 図6
Description
本発明は、駆動効率を向上する機能を備えるプリンタに関する。
現在普及しているインクジェットプリンタは、給紙用の駆動部とインクヘッドの移動用の駆動部を備え、給紙送り量とインクの吐出位置へのヘッドの移動を制御することで高画質印刷を実現している。このプリンタは給紙を行った後、インクヘッドを搭載するキャリッジを往復動作し、画像信号に応じて一定位置にインクを吐出して、紙面上に画像形成する。給紙の送り量を一定に制御し、さらにキャリッジの移動を一定速度にし、一定間隔でインクを紙面に吐出するよう制御している。このような制御により、高画質な印刷を実現している。
制御では駆動系のモータに対し、駆動に応じた電力供給をコントロールし、加速・等速・減速を操作している。さらにプリンタの印字速度を上げるため、給紙とキャリッジの同時駆動が行われている。同時駆動を行うには、複数のモータに同時に電力供給する必要がある。単独のモータ駆動より多くの電力を供給するため、電源容量を増やしてきた。
一方、本体サイズが小さく、軽く持ち運びし易いプリンタも求められている。大容量電源を搭載することは本体のサイズ肥大と重量化に繋がり、利便性と携帯性を損なっていた。電源の容量を増やさず、一定の電力供給を維持しながらの印刷速度向上が望まれている。
そこで、将来のプリンタは印刷速度向上と供給電力抑制の相反する事象を両立していく必要がある。世の中の動きにおいても、環境の負荷低減と資源節約に向けあらゆる電気機器の省電力化、エネルギーの効率化の持続的な開発が要求されている。
インクジェットプリンタは、給紙用の駆動部とインクヘッドの移動用の駆動部を備えている。駆動においては、同じ動力をより少ない電力供給で生み出すことと、同じ電力供給でより大きい動力を生み出すことがエネルギーの効率化である。
プリンタの駆動系の動力源としては、DCブラシモータが主に使われている。DCブラシモータの効率は、高温下で低下することが解っている。図1にDCブラシモータの簡易的な構成図を示す。モータは主にブラシ330と誘導コイル331と永久磁石332で構成され、コイルに流れる電流とコイルに掛かる永久磁石の磁場によって電流と磁場の外積の方向に動力が発生する。これはフレミングの左手の法則として知られている。高温下では、コイル331の電気抵抗が上がり、さらに、永久磁石332の磁場も熱により弱くなる。
コイル331内の自由電子3310の移動が熱振動する原子3311に妨げられ、永久磁石332内の磁気モーメント3320の向きが熱により振れるためである。モータの動力はコイル331に流れる電流と掛かる磁場に比例しているため、モータのエネルギー効率は高温下で低下する。
プリンタの印刷動作で駆動系の出す熱により本体内の温度が上昇するとモータの駆動効率が低下していく。特許文献1では、モータの許容温度の上限と残りの印刷データからモータが許容温度を上げず、印刷を完了するために印刷速度を再設定する方法が紹介されている。また、給紙ローラやキャリッジガイドに付加されているグリスの粘度が低温化で増加し、負荷が上がることが知られている。特許文献2では、意図的なモータ駆動で暖気を発生し周囲温度を上げ、負荷を下げて駆動効率を改善する方法が紹介されている。
しかしながら、このような解決手段は、モータ等の単体の高温のみもしくは低温のみに着目した手段であった。駆動系全体の効率化を狙ったものでは無かった。図2の駆動系全体の必要な供給電力の温度特性を示すグラフの通り、プリンタの印刷動作において、モータ単体では低温になるほど、効率は良くなる。ただし、グリスと歯付きベルトの影響を含め考えると、駆動系全体のエネルギー効率は低温であるほど効率が良いと一概にはいえない。グリスの粘度増加とモータベルトの硬化による摩擦上昇により負荷がモータに掛かる負荷が増加するためである。駆動系全体では、モータとグリスの負荷の総和が小さくなる駆動に適切な温度がある。その温度を検出し、その温度を維持するよう制御し、駆動することがエネルギー効率上、望ましい。
そこで本発明は、周囲温度による動力の効率低下を回避するため、駆動系の周囲温度を駆動に適した温度に維持し、駆動効率向上と省電力化の実現を目的とする。
本願発明は、モータの駆動により印刷用紙を給紙し、記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータ駆動で往復動作する機構を備えるプリンタであって、前記プリンタの状態と操作指示を伝達する表示手段と、前記プリンタの機内温度を検出する温度検出手段と、モータの負荷を検知する負荷検知手段と、駆動動作の負荷とその温度を記録しておく不揮発性メモリと、を備え、昇温時に負荷が下がったときの温度を設定下限温度として前記不揮発性メモリに記憶し、さらに負荷が下がったときの前記設定下限温度を更新し、継続後、昇温時に負荷が上がったときの温度を設定上限温度とし、前記設定下限温度より機内温度が低い場合、前記設定下限温度に機内温度を近づけるための加熱手段と、前記設定上限温度より機内温度が高い場合、前記設定上限温度に機内温度を近づけるための放熱手段と、をさらに備えることを特徴とする。
本発明により、駆動系の周囲温度を駆動に適した温度に維持し、駆動効率向上と省電力化を実現する。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態のプリンタ内の構成と動作について説明する。プリンタは、印刷用紙の給紙後、インクヘッドを搭載するキャリッジを往復動作し、画像信号に応じて一定位置にインクを吐出して、紙面上に画像を形成する。給紙の送り量を一定に制御し、さらにキャリッジの移動を一定速度にし、一定間隔でインクを紙面に吐出するように制御する。
この制御は、本体の電源オン状態で印刷動作をせず、PC等からの印刷データを受けておらず、待機状態に行うことを想定している。本体が置かれている環境差を考慮した場合、本体の持ち運び等により置かれている状況が変わるたびに制御を行うのが好ましい。本実形態の動作の過程は、設定温度を決める判定動作と、設定温度確定後、設定温度を維持する放熱・加熱制御の二段階になる。
図3は、本実施形態のプリンタ1のハードウェア構成を示すブロック図である。メインバスライン2を介して、CPU20は、装置各部の制御および画像データ処理を実行する。CPU20は、RAM21に展開されたプログラムに従い、データ処理を行う。RAM21は、CPU20によるデータ処理等のワークエリアとして用いられ、画像データもRAM21に保存する。ROM22はRAM21に展開するプログラムを格納するメモリ手段である。電源オフ時も、記憶を留める不揮発性メモリであることが好ましく、フラッシュメモリでもハードディスクでもよい。また、ROM22はプリンタ1の動作に関連する設定情報が記録されている。駆動系全体の効率が高い温度は、ROM22に記録される。インターフェイス23を介して、CPU20は、PC等ホスト装置との通信処理を行う。PCからの画像データ受信もここで行われる。USB、LANが該当するが、有線に限らず無線であってもよい。タイマ24により取得された印刷開始後の経過時間を検出し、ROM22に時刻情報が記録される。温度計25は、印刷用紙を給紙するための給紙駆動系、キャリッジ駆動系のある本体内の温度を検出する温度検出手段として機能する。サーミスタもしくはダイオードであってもよい。温度計25は複数あってもよい。検出された温度は、ROM22に記録される。
ヘッド制御回路30は画像データに従い、インク吐出の制御信号をキャリッジ3へ送る。キャリッジ駆動制御回路31は、CPU20で処理されたプリントデータに従い、CPU20による指示によりキャリッジ3の往復移動動作を制御し、キャリッジ3の移動動作を制御する。CPU20からの制御信号に従い、モータ駆動のパルス幅変調のパルス波のデューティ比を変え、キャリッジ駆動系の電力供給を制御する。キャリッジ駆動制御回路31は、半導体デバイス内の集積回路であってもよい。搬送制御回路40は、搬送機構4による記録シートの搬送動作を制御する。搬送制御回路40は、CPU20による指示により記録ヘッドによる1行分の記録動作の終了後、次行の記録データに対応する画像を記録するために記録シートを搬送方向に所定量ずつ間欠的に搬送する間欠搬送動作を制御する。CPU20からの制御信号に従い、パルス幅変調のパルス波のデューティ比を変え、搬送駆動系の電力供給を制御する。搬送制御回路40は、半導体デバイス内の集積回路であってもよい。
ファン5は、羽を回転動作し、霧状に浮遊するインク粒子を吸い込む気流を機体内に発生し、インク粒子をフィルタに吸着し駆除する。また、羽の回転を逆向き動作することで機体内に機体外の空気を取り入れ循環させることによって、駆動系周囲の熱を発散し緩和させ、空冷することもできる。操作部6は、ユーザーが様々な設定を行う箇所である。表示手段は液晶でも複数の発光ダイオードによるものでもよい。印刷に関わる設定から、本体の省エネ設定の操作指示を伝達することができる。機内温度を一定の温度に維持する機能を使用するか否かもここで行われる。また、放熱を目的にユーザーに対し、外装を開けることを促すメッセージを表示するのも操作部6で行われる。操作部6の傾きは搬送機構4と連結し、自動で傾きを変えることができる。ヒーター7は、ニクロム線等に電流を流し、ジュール熱に発生させる。熱により生じた暖気が用紙の紙面上に吐出されたインクを乾燥させる。印刷動作外でも、機体内に暖気を送り、駆動系周囲を温めることもできる。
図4は、本実施形態のプリンタを示す斜視図である。排紙トレイ8は、印刷を完了した用紙を保持するものである。搬送機構4と連結し、自動で排紙トレイ8を本体前面に押し出すことができる。
図5は、本実施形態のプリンタ1の内部の駆動系を示す斜視図である。プリンタ1は、キャリッジ駆動系と給紙駆動系から成る。キャリッジ3はインクタンク32を保持する装着機構を備える。キャリッジ3は、キャリッジガイド35上の主走査方向に移動可能に支持される。キャリッジモータ33によって主走査方向を往復移動し、キャリッジエンコーダ読み取り部34によって、キャリッジガイド35上の位置を把握することができる。キャリッジガイド35上には、キャリッジ3の移動を円滑にするため、グリスが塗布されている。キャリッジガイド35上には、キャリッジ3の移動を円滑にするため、グリスが塗布されている。キャリッジベルト36はキャリッジモータ33の動力を伝達する。キャリッジモータ33の正転、逆転でキャリッジ3を往復動作する。
搬送モータ41は、搬送ローラ42に動力を伝える。搬送ローラ42は用紙を装置本体内へと自動的に給送する。搬送モータ41と搬送ローラ42間で動力を伝達するギア等の機構には、動力の伝達を円滑にするため、グリスが塗布されている。
搬送エンコーダ読み込み部43によって搬送エンコーダ44を読み取り、紙送り量を検出する。搬送モータ41により1枚ずつ送出される記録シートを所定の記録位置から排出部45へと導く。空気孔51はファン5で発生した気流を出入りさせるための孔である。
図6は、本実施形態の駆動系の駆動効率の高い温度を判定するフローチャートである。印刷動作等により駆動系の動作開始からフローチャートが開始される。
S101では、プリンタ1が静止状態である。S102へ進む。
S102では、プリンタ1の本体内の熱が緩和し、機内温度と室温が同じになるまで待機する。熱緩和されておらず、機内温度と室温が異なる場合は、S101へ進む。十分、熱緩和した後の機内温度を温度計25で測定し、検出した温度を室温する。駆動系の駆動効率の高い温度の設定温度の初期値を室温としてROM22に記録し、機内温度と室温が同じ場合は、S103へ進む。
S103では、キャリッジモータ33と搬送モータ41の駆動動作を開始し、S104へ進む。
S104では、機内温度と負荷を検知する。負荷検知はパルス幅変調のパルス波のデューティ比もしくは、CPU20からキャリッジ駆動制御回路31、搬送制御回路40への駆動制御信号に基づき算出される。S105へ進む。
S105では、機内温度の上昇ともに負荷が下がったか判定する。負荷が下がった場合は、S106へ進む。負荷が上がった場合は、S107へ進む。
S106では、この時点の機内温度を設定温度として不揮発性メモリであるROM22に記録し、S103へ進む。これを繰り返し負荷が下がり続ければ、設定下限温度を更新する。
S107では、設定上限温度を記録し、フローチャートを終了する。
図7は、本実施形態の駆動系の駆動効率の高い温度の設定を示すグラフである。プリンタ1の本体内の熱が十分に緩和され、機内温度と室温が同じであることを前提にキャリッジモータ33と搬送モータ41の駆動により、プリンタ1の負荷を上げる。機内温度と負荷を測定する。負荷はパルス幅変調のパルス波のデューティ比もしくは、CPU20からキャリッジ駆動制御回路31、搬送制御回路40への駆動制御信号に基づき算出される。機内温度の昇温時に負荷が下がった場合を左図に示す。この場合、設定温度を更新しROM22に記録する。機内温度の上昇ともに負荷が下がり続ける場合は、この動作を継続後、設定温度をさらに更新する。負荷が上がった温度でこの動作を完了する。機内温度の上昇ともに負荷が下がった場合を右図に示す。この場合、動作開始時の機内温度を設定温度とし、ROM22に記録し動作を完了する。
図8は、本実施形態の設定温度を維持するフローチャートである。印刷動作時に機内温度が設定温度から乖離したとき、フローチャートが開始される。
S201では、プリンタ1が静止状態である。静止状態で温度計25により測定した温度を室温と設定する。S202へ進む。
S202では、印刷動作開始する。印刷動作開始しない場合は、S201へ進む。印刷動作開始する場合、S203へ進む。
S203では、印刷しながら温度計25で機内温度を測定し、S204へ進む。
S204では、機内温度と設定温度を比較し、機内温度が設定上限温度より高い場合は、S205へ進む。機内温度が設定温度より低い場合は、S206へ進む。
S205では、本体内に気流を発生し循環させ駆動系周囲の熱を緩和し放熱する。ファン5の羽を回転動作し本体内に気流を発生でも、外装を自動で開き、暖気を発散させることで機内温度をさげてもよい。S204へ進む。
S206では、機内温度と設定下限温度を比較し、機内温度が設定下限温度より低い場合は、S207へ進む。機内温度が設定下限温度より低く無い場合は、フローチャートを終了する。
S207では、機内温度を設定温度に昇温すべく、加熱動作を行う。加熱動作は、キャリッジ3をキャリッジ突当て位置38に押し付け駆動を続け、キャリッジモータ33の励磁による熱の発生でも、ヒーター7をインク乾燥以外に使用し、暖気を発生させ、機内温度を上げるものでもよい。機内温度が設定温度になった場合、フローチャートを終了する。
図9は、本実施形態の設定温度を維持する放熱と加熱の動作を示した図示したものである。機内温度が設定温度より高く放熱する様子を右図に示す。羽の回転をインク除去とは、逆向き回転動作することで機体内に空気孔51より機体外の空気を取り入れ気流90を発生し循環させることによって、駆動系周囲の熱を発散し緩和させ、空冷する。これにより駆動系周囲の温度が下がる。機内温度が設定温度より5℃以上低く、加熱する様子を左図に示す。キャリッジ3をインク吸引位置36に留めた状態から本体外装側のキャリッジ突当て位置38に突当て動作し、キャリッジモータ33の励磁により印刷動作以上の負荷が発生し、負荷が熱になり、暖気91が発生し駆動系周囲温度が上げる。
(第2の実施形態)
本実施形態を適用するのに好適なプリンタ1は、第1の実施形態と同一である。第1の実施形態では、印刷動作時に、ファン5により放熱するものであった。本実施形態はより簡易的にし、外装を開くことによる熱緩和を行い、加熱方法は紙面のインク乾燥用のヒーター7を用いる点で、第1の実施形態とは異なる。
本実施形態を適用するのに好適なプリンタ1は、第1の実施形態と同一である。第1の実施形態では、印刷動作時に、ファン5により放熱するものであった。本実施形態はより簡易的にし、外装を開くことによる熱緩和を行い、加熱方法は紙面のインク乾燥用のヒーター7を用いる点で、第1の実施形態とは異なる。
図10は、本実施形態の設定温度を維持する放熱と加熱の動作を示した図示したものである。機内温度が設定上限温度より高い場合、外装を開くことによる熱緩和を行う。搬送機構4と操作部6を連結し、操作部6の傾きを搬送モータ41の駆動で開け、機内と機外の空気の通りを広くする。さらに、搬送機構4と排紙トレイ8を連結し、排紙トレイ8を搬送モータ41の駆動で本体前面に押し出し、機内と機外の空気の通りを広くする。これにより機内の暖気91に発散し、熱緩和により機内温度が下がる。
図11は、本実施形態の設定温度を維持する放熱と加熱を示した図である。機内温度が設定上限温度より高い場合、操作部6と排紙トレイ8をそれぞれ搬送機構4と連結し、自動で外装を開く。機内と機外の空気の通りを広くすることで熱緩和を行い、機内温度が下がる。機内温度が設定下限温度より低く加熱動作する場合は、加熱はヒーター7による電流を流すことによるジュール熱の発生により行われる。ヒーター7周囲の熱が暖気91となり、ヒーター孔71より機内に流れ込み、機内温度が上がる。
第1及び第2の実施形態により、駆動系の周囲温度を駆動に適した温度に維持し、一定の動力をより少ない電力で作り出すことができる。これにより、プリンタ1の印刷動作の駆動効率の向上と省電力化を実現することができる。
(第3の実施形態)
本実施形態を適用するのに好適なプリンタ1は、前述の第1及び第2の実施形態と同一である。前述の実施形態と異なる点は、印刷動作時の放熱を避け、放熱手段をユーザーによる外装の駆動開放のような簡易的なものにし、さらに印刷速度低下を避け、クリーニング時のみ行う点である。
本実施形態を適用するのに好適なプリンタ1は、前述の第1及び第2の実施形態と同一である。前述の実施形態と異なる点は、印刷動作時の放熱を避け、放熱手段をユーザーによる外装の駆動開放のような簡易的なものにし、さらに印刷速度低下を避け、クリーニング時のみ行う点である。
図12は、本実施形態の設定温度に維持する制御のフローチャートである。印刷動作時に機内温度が設定温度から乖離したとき、本フローチャートの処理が開始される。
S301では、プリンタ1が静止状態である。静止状態で温度計25により測定した温度を室温と設定する。S302へ進む。
S302では、印刷動作開始する。印刷動作開始しない場合は、S301へ進む。印刷動作開始する場合、S303へ進む。
S303では、印刷しながら温度計25で機内温度を測定し、S304へ進む。
S304では、インクタンクのクリーニング時であるかを判定する。クリーニングで無く、印刷動作を継続し、進行している場合、S303へ進む。クリーニング時で、印刷動作を停止している場合、S305へ進む。
S305では、機内温度と設定温度を比較し、機内温度が設定温度より高い場合は、S306へ進む。機内温度が設定温度より高い場合は、S307へ進む。
S306では、本体の外装を開いて放熱動作を行う。操作部6に放熱を促す文字を表示し、ユーザーによる開放動作であってもよい。放熱し、S305へ進む。
S307では、機内温度と設定温度を比較し、機内温度が設定温度より5℃以上低い場合は、S308へ進む。機内温度が設定温度より5℃以上低く無い場合は、フローチャートを終了する。
S308では、機内温度を設定温度に昇温すべく、加熱動作を行う。加熱動作は、搬送モータ41の回転動作による発熱でも、キャリッジ3をインク吸引位置36に留めた状態でのキャリッジモータ33の励磁による発熱でもよい。機内温度が設定温度になった場合、フローチャートを終了する。
図13は、本実施形態の設定温度を維持する放熱の動作を示した図示したものである。機内温度が設定上限温度より高い場合、放熱を目的にユーザーに対し、外装を開けることを促すメッセージを操作部6に表示する。ユーザーがプリンタ1の上面の蓋を開くと機内と機外の空気の通りを広くなり、熱緩和により暖気91が発散し、機内温度が下がる。
図14は、本実施形態の設定温度を維持する放熱を示した図である。機内温度が設定上限温度より高い場合、放熱を目的にユーザーに対し、外装を開けることを促すメッセージを操作部6に表示する。メッセージに従い、ユーザーがプリンタ1の外装を開くと、暖気91が発散し、機内温度が下がる。機内温度が設定下限温度より低く加熱動作する場合は、加熱を目的にユーザーに対し、外装を開かないことを促すメッセージを操作部6に表示する。熱を生み出す方法は第1の実施形態と同一である。
本実施形態により、駆動系の周囲温度を駆動に適した温度に維持し、一定の動力をより少ない電力で作り出すことができる。クリーニング時に放熱を行い、全体的に印刷速度を落とさず、実行できる。これにより、プリンタ1の印刷動作の駆動効率の向上と省電力化と、さらに実行的な印刷速度の維持を実現することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明の駆動系の周囲温度を駆動に適した設定温度は、温度計25による実測に基づき決められるが、温度と負荷の相関を統計的に算出し設定しても、機械学習分野における回帰学習モデルに基づいて設定してもよい。また、放熱について説明してきたが、物理的に熱を逃がす方法であってもよい。例えば、金属シャーシを放熱素子に適用して放熱時に金属シャーシとキャリッジモータ33を接触しキャリッジモータ33の温度を下げる方法を適用してもよい。
なお、本発明の駆動系の周囲温度を駆動に適した設定温度は、温度計25による実測に基づき決められるが、温度と負荷の相関を統計的に算出し設定しても、機械学習分野における回帰学習モデルに基づいて設定してもよい。また、放熱について説明してきたが、物理的に熱を逃がす方法であってもよい。例えば、金属シャーシを放熱素子に適用して放熱時に金属シャーシとキャリッジモータ33を接触しキャリッジモータ33の温度を下げる方法を適用してもよい。
1 プリンタ
3 キャリッジ
20 CPU
21 RAM
22 ROM
33 キャリッジモータ
41 搬送モータ
3 キャリッジ
20 CPU
21 RAM
22 ROM
33 キャリッジモータ
41 搬送モータ
Claims (14)
- モータの駆動により印刷用紙を給紙し、記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータ駆動で往復動作する機構を備えるプリンタであって、
前記プリンタの状態と操作指示を伝達する表示手段と、
前記プリンタの機内温度を検出する温度検出手段と、
モータの負荷を検知する負荷検知手段と、
駆動動作の負荷とその温度を記録しておく不揮発性メモリと、
を備え、
昇温時に負荷が下がったときの温度を設定下限温度として前記不揮発性メモリに記憶し、さらに負荷が下がったときの前記設定下限温度を更新し、継続後、昇温時に負荷が上がったときの温度を設定上限温度とし、
前記設定下限温度より機内温度が低い場合、前記設定下限温度に機内温度を近づけるための加熱手段と、
前記設定上限温度より機内温度が高い場合、前記設定上限温度に機内温度を近づけるための放熱手段と、
をさらに備えることを特徴とするプリンタ。 - 前記温度検出手段は、ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 前記温度検出手段は、サーミスタであることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 前記負荷検知手段は、駆動制御信号を受ける駆動制御回路であることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 前記負荷検知手段は、前記駆動制御信号を受け、モータ駆動のパルス幅変調のパルス波のデューティ比を制御する駆動制御回路であることを特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
- 加熱するヒーターを備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 放熱するファンを備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- 外装を駆動開放し、放熱することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
- モータの駆動により印刷用紙を給紙し、記録ヘッドを搭載したキャリッジをモータ駆動で往復動作する機構を備えるプリンタの制御方法であって
前記プリンタの状態と操作指示を伝達する表示と、
前記プリンタの機内温度を検出する温度検出と、
前記モータの負荷を検知する負荷検知と、
昇温時に負荷が下がったときの温度を設定下限温度として不揮発性メモリに記憶し、
さらに負荷が下がったときの前記設定下限温度を更新し、
継続後、昇温時に負荷が上がったときの温度を設定上限温度として不揮発性メモリに記憶し、
前記設定下限温度よりも機内温度が低い場合、機内温度を前記設定下限温度に近づけるための加熱が行われ、
前記設定上限温度よりも機内温度が高い場合、機内温度を前記設定上限温度に近づけるための放熱が行われることを特徴とする制御方法。 - 前記負荷検知は、駆動制御信号を受ける駆動制御回路が、前記駆動制御信号から負荷を算出することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
- 前記負荷検知では、前記駆動制御信号を受けモータ駆動のパルス幅変調のパルス波のデューティ比を制御する駆動制御回路が、前記デューティ比から負荷を算出することを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
- 前記加熱は、前記モータを定位置へ突き当て回転動作により発熱することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
- 前記放熱は、外装の開放動作で放熱することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
- 前記放熱では、表示による外装の開放を促す文字が表示されることを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
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