JP2024006001A - 二軸延伸フィルム及び保護フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械的特性を有しながら、打ち抜き加工性及び耐熱性の両方を兼ね備える二軸延伸フィルム及び該二軸延伸フィルムを含む保護フィルムを提供する。【解決手段】本発明の二軸延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン樹脂Aと、脂肪族系ポリエステル樹脂Bとを含み、少なくとも一方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、二軸延伸フィルム及び保護フィルムに関する。
樹脂フィルムは、耐湿性、耐水性及び耐油性等の諸性能に優れると共に、良好な機械強度を有することから、食品や薬品等の包装材料、ディスプレイ等の保護フィルムなど、種々の用途に広く適用されており、利用価値の高い機能性材料である。
一方で、近年では、プラスチック材料の廃棄量が増大していること、また、プラスチック材料の焼却処理で発生する二酸化炭素による地球温暖化をもたらす懸念がある等の様々な問題が提起されている。このため、地球環境や人体への配慮等の観点から生分解性を有するバイオマスプラスチックが大きく注目されており、従来のプラスチック材料と、バイオマスプラスチックとを組み合わせた様々な材料開発が盛んに進められている。
バイオマスプラスチックとしては、代表的にはポリ乳酸が知られているが、耐衝撃性、耐引裂き性等の機械特性、あるいは、耐熱性が従来のプラスチックよりも劣るため、これを解決すべく、ポリ乳酸と他の成分とを組み合わせて、ポリ乳酸の欠点を補うことが一般的に行われている(例えば、特許文献1を参照)。
特許4699180号公報
上記のようにポリ乳酸の欠点を解消するための方法は種々提案されているものの、ポリ乳酸を含む二軸延伸フィルムでは依然として改善の余地が残っていた。特に、機械的特性、耐熱性並びに加工性を兼ね備えた二軸延伸フィルムは、種々の用途に適用できることから、斯かる二軸延伸フィルムの開発が急務である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、優れた機械的特性を有しながら、打ち抜き加工性及び耐熱性の両方を兼ね備える二軸延伸フィルム及び該二軸延伸フィルムを含む保護フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、結晶性ポリオレフィン樹脂と脂肪族系ポリエステル樹脂とを含む樹脂で形成すると共に引裂強度を特定の範囲とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、引裂強度が打ち抜き加工性に依拠するという知見を本発明者らが初めて見出すことに成功して、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
二軸延伸フィルムであって、
結晶性ポリオレフィン樹脂Aと、脂肪族系ポリエステル樹脂Bとを含み、
少なくとも一方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満である、二軸延伸フィルム。
項2
前記少なくとも一方向がMD方向及びTD方向である、項1に記載の二軸延伸フィルム。
項3
100℃雰囲気下での加熱寸法変化率が、MD方向及びTD方向共に±3%以内であり、
100℃雰囲気下でのMD方向の加熱荷重寸法変化率が±3%以内である、項1又は2に記載の二軸延伸フィルム。
項4
項1~3のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルムを備える、保護フィルム。
本発明の二軸延伸フィルムは、優れた機械的特性を有しながら、打ち抜き加工性及び耐熱性の両方を兼ね備える。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.二軸延伸フィルム
本発明の二軸延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン樹脂Aと、脂肪族系ポリエステル樹脂Bとを含み、少なくとも一方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満である。
本発明の二軸延伸フィルムは、適度な引裂強度を有しつつ、打ち抜き加工性が良好であり、しかも、耐熱性にも優れるので、寸法安定性が高いものである。
(結晶性ポリオレフィン樹脂A)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aは、結晶性を有するポリオレフィンである限り、特にその種類は限定されない。例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂Aとして、公知の結晶性ポリオレフィン系樹脂を広く挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、例えば、オレフィンが重合してなるポリマーを挙げることができる。前記オレフィンの炭素数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~10、さらに好ましくは3~6である。
具体的な結晶性ポリオレフィン系樹脂Aとしては、結晶性であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ(1-ブテン)樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリ(1-ペンテン)樹脂、ポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂が挙げられる。結晶性ポリオレフィン樹脂A脂は、前記脂肪族系ポリエステル樹脂Bと混ざりやすい(相溶しやすい)という点で、結晶性ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂は、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性ポリプロピレン系樹脂である場合、結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、及び、プロピレンとエチレンとの共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性プロピレン単独重合体である場合は、フィルムの機械強度及び耐熱性が向上しやすい。結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性プロピレン-エチレン共重合体である場合、低温での折り割れ性が良化し、かつ、表面光沢度を低くしやすい。
前記結晶性プロピレン単独重合体としては、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂が好ましい。斯かる結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度であるメソペンタッド分率([mmmm])が92%~98%であることが好ましく、93%~97%であることがさらに好ましい。メソペンタッド分率[mmmm]が92%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械強度が得られやすい。一方、メソペンタッド分率[mmmm]を98%以下とすることで、延伸性が良好となりやすい。
上記メソペンタッド分率([mmmm])を測定するための使用できる高温NMR装置は特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置を使用することができ、例として、日本電子株式会社製高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)JNM-ECP500を挙げることができる。観測核は13C(125MHz)であり、測定温度は135℃、溶媒にはオルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(体積混合比=4/1))が用いられる。高温NMRによる方法は、公知の方法、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行うことができる。測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準はCH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載が参照される。上記メソペンタッド分率([mmmm])は、ポリプロピレン樹脂の重合条件や触媒の種類、触媒量等の重合条件を、適宜調整することによってコントロールすることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレン共重合体の2成分の混合物とすることもできる。この場合、耐熱性と低温での折り割れ性が共に優れた二軸延伸フィルムが得られやすい。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aが、結晶性プロピレン単独重合体及び結晶性プロピレン-エチレン共重合体の混合物である場合、両者の比率は特に限定されず、例えば、結晶性プロピレン単独重合体(P1):結晶性プロピレン-エチレン共重合体(P2)で表される質量比率が、70:30~99:1であることが好ましく、75:25~98:2であることがより好ましく、78:22~97:3であることがさらに好ましい。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aの融点は特に限定されない。例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂Aの融点が135℃~175℃である場合、得られる二軸延伸フィルムは、耐熱性及び延伸性が低下しにくく、透明性も損なわれにくい。結晶性ポリオレフィン樹脂Aの融点は、好ましくは138~170℃、より好ましくは140~166℃、さらに好ましくは145~164℃、特に好ましくは150~163℃である。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、50℃以下とすることができ、-30℃~30℃がより好ましい。結晶性ポリオレフィン樹脂Aの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aのメルトマスフローレートは特に限定されない。樹脂の流動性が適度な範囲となり、また、微細分散物の大きさが制御しやすくなって、所望の二軸延伸フィルムが作製しやすいという点で、結晶性ポリオレフィン樹脂Aのメルトマスフローレートは好ましくは0.5g/10分~8g/10分、より好ましくは1g/10分~6g/10分である。本明細書でいうメルトマスフローレートは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aは公知の方法で製造することができる。例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性プロピレン単独重合体である場合、チタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中プロピレンを重合する方法、液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合)、気相で重合する方法等により製造することができる。結晶性プロピレン単独重合体は、市販品等から入手することができ、代表的な市販品としては、例えば、株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)シリーズの単独重合体、サンアロマー株式会社製のPC412A等、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)シリーズの単独重合体、Borealis社製Daployシリーズ、大韓油化工業株式会社製5014Lシリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの単独重合体等が挙げられる。
結晶性ポリオレフィン樹脂Aが結晶性プロピレン-エチレン共重合体である場合、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体のいずれであってもよい。結晶性プロピレン-エチレン共重合体におけるエチレン単位の含有割合は、50質量%以下とすることができる。結晶性プロピレン-エチレン共重合体は公知の方法で製造することができ、あるいは市販品等から入手することができる。代表的な市販品としては、例えば株式会社プライムポリマー社製プライムポリプロ(登録商標)シリーズの共重合体、日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP(登録商標)シリーズの共重合体及びウインテック(登録商標)シリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの共重合体等が挙げられる。
(脂肪族系ポリエステル樹脂B)
脂肪族系ポリエステル樹脂Bとしては、バイオマスプラスチックを挙げることができ、例えば、公知のバイオマスプラスチックを広く挙げることができる。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bの具体例として、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸(ポリ乳酸を除く)、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。脂肪族系ポリエステル樹脂Bは、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bは、前記結晶性ポリオレフィン樹脂Aと均一に混ざりやすく、高い透明性を有する二軸延伸フィルムが得られやすいという点で、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、並びに、乳酸及びポリヒドロキシアルカン酸を含む混合モノマーの重合体からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリ乳酸であることが特に好ましい。
ポリ乳酸としては、例えば、原料モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く使用することができる。なお、ポリ乳酸は、L-乳酸(L体)及びD-乳酸(D体)のいずれかの光学異性体のみ、あるいは、双方を含有することができる。
ポリヒドロキシアルカン酸としては、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸グリコール酸等の少なくとも1種を含むヒドロキシカルボン酸成分の重合体が挙げられる。乳酸とポリヒドロキシアルカン酸とを含む混合モノマーの重合体としては、乳酸モノマーと前記ヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合体が挙げられる。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bの融点は、例えば、110℃~200℃であることが好ましい。この場合、得られる二軸延伸フィルムの耐熱性が低下しにくく、また、結晶性ポリオレフィン樹脂Aと均一に混ざり合う(相溶する)ことができ、延伸倍率の調節も容易になりやすい。脂肪族系ポリエステル樹脂Bの融点は、好ましくは120℃~190℃、より好ましくは130℃~185℃、さらに好ましくは140℃~180℃である。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、-40℃~70℃とすることができ、0℃~70℃がより好ましい。
本発明では、脂肪族系ポリエステル樹脂Bの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bのメルトマスフローレートは特に限定されない。樹脂の流動性が適度な範囲となり、また、前記微細分散物の大きさが制御しやすくなって、所望の二軸延伸フィルムが作製しやすいという点で、脂肪族系ポリエステル樹脂Bのメルトマスフローレートは好ましくは0.5g/10分~15g/10分、より好ましくは1g/10分~10g/10分、さらに好ましくは2g/10分~10g/10分である。本明細書でいうメルトマスフローレートは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
脂肪族系ポリエステル樹脂Bの製造方法は特に限定されず、例えば、公知のバイオマスプラスチックを製造する方法を広く採用することができる。また、脂肪族系ポリエステル樹脂Bは、市販品等からも入手することができる。ポリ乳酸の代表的な市販品としては、例えば、NatureWorks社製「4032D」(融点163℃)、トタルコービオン社製「L175」(融点175℃)、「LX175」(融点155℃)、「LX930」(融点130℃)等が挙げられる。その他の代表的な結晶性熱可塑性樹脂Bの市販品としては、例えば、Tianan Biologic Material社製のポリヒドロキシアルカノエート「ENMAT(登録商標)Y1000P」、三菱ケミカル株式会社製のポリブチレンサクシネート「BioPBS(登録商標)FZ91」、「BioPBS(登録商標)FD82」等が挙げられる。
(二軸延伸フィルム)
本発明の二軸延伸フィルムにおいて、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの含有割合は特に限定されず、任意の含有割合とすることができる。
例えば、フィルム引裂強度が前記範囲に入りやすくなるという点で、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの総質量に対し、結晶性ポリオレフィン樹脂Aの含有割合は、5~95質量%とすることができる。結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの総質量に対し、結晶性ポリオレフィン樹脂Aの含有割合は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの総質量に対し、結晶性ポリオレフィン樹脂Aの含有割合は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムは、本発明の効果が阻害されない限り、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂B以外に他の樹脂や添加剤等の成分を含むことができる。斯かる成分としては、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂B以外の熱可塑性樹脂、具体的に、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーによって、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの相溶性が向上する場合がある。
本発明の二軸延伸フィルムは、任意成分として、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、有機及び無機滑剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、防曇剤、加水分解抑制剤等の添加剤を含むこともできる。
本発明の二軸延伸フィルムが結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂B以外の成分を含む場合、その含有割合は特に限定されない。二軸延伸フィルムが高い耐熱性と良好な打ち抜き加工性を有しやすい点で、本発明の二軸延伸フィルムに対する結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。本発明の二軸延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bのみからなるものであってもよい。
本発明の二軸延伸フィルムは、少なくとも一方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満である。フィルム引裂強度は、具体的には、JIS-K7128-3 プラスチックーフィルム及びシートの引裂強さ試験方法―第3部:直角形引裂法に準拠して測定する。
少なくとも一方向に引き裂いたときのフィルム引裂強度が50N/mm未満になる場合、機械的強度が十分ではなく、フィルムの損傷が起こりやすく二軸延伸フィルムを各種用途に適用することが難しくなる。一方、少なくとも一方向に引き裂いたときのフィルム引裂強度が100N/mmを超過すると、打ち抜き加工性が悪くなる。
本発明の二軸延伸フィルムは、少なくとも一方向に引き裂いたときのフィルム引裂強度が55N/mm以上であることが好ましく、60N/mm以上であることがより好ましく、65N/mm以上であることがさらに好ましく、70N/mm以上であることが特に好ましい。
また、本発明の二軸延伸フィルムは、少なくとも一方向に引き裂いたときのフィルム引裂強度が95N/mm以下であることが好ましく、90N/mm以下であることがより好ましい。
ここで、前述の「少なくとも一方向に引き裂いたとき」において、前記少なくとも一方向は、MD方向及び/又はTD方向であることが好ましく、MD方向であることが好ましい。すなわち、本発明の二軸延伸フィルムは、MD方向及び/又はTD方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満であることが好ましく、MD方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満であることがより好ましい。これらの場合、二軸延伸フィルムの打ち抜き加工性が特に向上しやすい。なお、念のために記載するに過ぎないが、本明細書において、MD方向とは、二軸延伸におけるフィルムの流れ方向を意味し、TD方向とはMD方向に直行する方向であって、二軸延伸フィルムの幅方向を意味する。
本発明の二軸延伸フィルムにおいて、前記引裂強度を調節する方法は特に限定されない。例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bの含有割合、それぞれの樹脂の種類によって調節することができる他、二軸延伸フィルムの厚み、二軸延伸フィルムの製造条件によっても調節することができ、とりわけ延伸倍率を調節及び/又は後記する延伸後のフィルムの緩和条件や熱処理条件を調節することは、フィルム引裂強度をより適切な範囲に調節しやすい。
本発明の二軸延伸フィルムは、100℃雰囲気下での加熱寸法変化率が、MD方向及びTD方向共に±3%以内であり、100℃雰囲気下でのMD方向の加熱荷重寸法変化率が±3%以内であることが好ましい。これにより、本発明の二軸延伸フィルムは、寸法安定性に優れるものとなり、耐熱性が向上しやすい。
本発明の二軸延伸フィルムは、100℃雰囲気下での加熱寸法変化率が、MD方向及びTD方向共に±2.5%以内であることがより好ましく、±2%以内であることがさらに好ましく、±1.5%以内であることが特に好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムは、100℃雰囲気下でのMD方向の加熱荷重寸法変化率が±2.5%以内であることがより好ましく、±2%以内であることがさらに好ましく、±1.5%以内であることが特に好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムの厚みは特に限定されず、適用する用途に応じて適宜設定することができる。二軸延伸フィルムの記引裂強度を調節しやすい点で、二軸延伸フィルムの厚みは、例えば、5~150μmであることが好ましく、10~100μmであることが好ましく、15~90μmであることがさらに好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムは、単層構造であってもよいし、多層構造であっても良い。本発明の二軸延伸フィルムが多層構造である場合、例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bを含む層の片面又は両面に他の層が設けられ得る。
他の層としては、例えば、公知の保護フィルムに形成されている層を挙げることができ、例えば、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bを含む層(基材)の片面又は両面に再剥離性粘着剤層を設けることができる。再剥離性粘着剤層の種類は特に限定されず、例えば、公知の再剥離性粘着剤層と同様の構成とすることができる。また、基材と再剥離性粘着剤層との間に、必要に応じて他の層(中間層)を有していてもよい。また、再剥離性粘着剤層上には、保護フィルムを使用するまでの間、再剥離性粘着剤層を保護するためのセパレータが設けられていてもよい。
本発明の二軸延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bを含み、引裂強度が所定の範囲であることで、適度な引裂強度を有しつつ、打ち抜き加工性が良好であり、しかも、耐熱性にも優れるので、寸法安定性が高いものである。特に、従来は、引裂強度と打ち抜き加工性とは何ら関連性がないものとの認識であったところ、打ち抜き加工性が引裂強度に依拠するという知見を本発明者らが初めて見出すことに成功し、本発明の二軸延伸フィルムを完成するに至ったものである。
本発明の二軸延伸フィルムは、保護フィルム用、食品包装用、薬品包装用、装飾用(ファッション用含む)、ラベル用、溶断シール袋用、テープ用基材、印刷用基材、文具用、家電用、ポスター用紙、感熱紙基材、記録用紙基材、住宅の内装用及び外装用、自動車用、容器等に好適に用いることができる。
例えば、本発明の二軸延伸フィルムを保護フィルムに適用する場合、各種電子デバイスを対象とすることができる。保護フィルムは、本発明の二軸延伸フィルムを備えるので、抜き打ち加工性に優れ、耐熱性にも優れる。
2.二軸延伸フィルムの製造方法
本発明の二軸延伸フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、前記結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bを少なくとも含む樹脂原料を押出成形して樹脂シートを得て、この樹脂シートの延伸を施すことにより、本発明の延伸フィルムを製造することができる。斯かる製造方法を「製造方法A」と略記する。
製造方法Aで使用する樹脂原料は、必要に応じて、前記結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂B以外の成分を含むこともできる。
当該樹脂原料の調製方法は、例えば、公知の調製方法と同様とすることができ、樹脂のペレットや粉体等を、タンブラーやミキサー等のバッチ式混合装置や、あるいは連続計量式混合装置を用いてドライブレンドする方法;もしくは、樹脂のペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体及び/又は添加剤と共に混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンド樹脂組成物を得る方法;等が挙げられる。中でも、溶融混錬することで、樹脂原料を調製することが好ましく、この場合、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bが均一に混ざりやすく、所望の透明性を有する延伸フィルムが得られやすい。
溶融混練に用いる混練機としては公知の混錬機を使用でき、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いてよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のいずれの混練タイプをも用いてよい。結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族系ポリエステル樹脂Bが均一に混ざりやすい点で、同方向回転の2軸スクリュータイプの混錬機が好ましい。
溶融混錬の混練温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。上記温度範囲とすることで、前記結晶性ポリオレフィン樹脂A及び脂肪族ポリエステル樹脂Bがより均一に混ざり合うことができる。溶融混錬の際の樹脂の劣化防止のため、窒素等の不活性ガスをパージすることもできる。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによってメルトブレンド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
製造方法Aでは、上述の通り得られた樹脂原料を用いて樹脂シートを得ることができる。具体的には、樹脂原料を押出機に供給し、加熱溶融して、必要に応じて、フィルター等により微小異物等を除去した後、Tダイよりシート状に溶融押出することで、樹脂シートを得ることができる。
樹脂シートを得るために使用する押出機は、例えば、公知の押出機を広く使用することができる。押出機のスクリュータイプに制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いて良く、樹脂原料を前記ドライブレンドで調製した場合は、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いると混合及び分散性に優れやすい。押出温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。押出の際の樹脂の熱劣化防止のため、窒素等の不活性ガスパージをすることができる。
溶融押出された樹脂シートは、例えば、25~120℃の温度に設定した少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアナイフや他のロール、又は静電気等により密着させるといった公知の方法により、シート状に成形され、樹脂シートは、いわゆる原反シートとして得られる。金属ドラムのより好ましい温度は30~80℃である。
製造方法Aは、必要に応じて積層工程をさらに備えることができる。例えば、層aの片面または両面に前記層bが形成された延伸フィルムを得ようとする場合に、製造方法Aは積層工程を備えることが好ましい。
積層工程では、例えば、従来から採用されている積層方法を広く使用することができ、例えば、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法等を用いて積層することにより得られるフィルムが挙げられる。
具体的には、積層構造を有する延伸フィルムを製造する場合、2以上のドライブレンド及び/又はメルトブレンド樹脂組成物(各樹脂組成物の組成は異なっていても同じであってもよい)を共押出して積層構造を有する樹脂シートを得て、斯かる積層構造を有する樹脂シートを延伸させることができる。あるいは、単層構造の延伸フィルムと、他のフィルムとをラミネートすることによっても積層構造を有する延伸フィルムを製造することができる。その他、単層として押出しされた無延伸フィルムを2層以上互いに貼り合わせて得られる多層無延伸フィルム(各層を構成する樹脂組成物の組成は異なっていても同じであってもよい)を延伸することによっても積層構造を有する延伸フィルムを製造することができる。
前記共押出法としては、溶融樹脂を金型手前のフィードブロック内で接触させるダイ前積層法、金型、例えばマルチマニホールドダイの内部の経路で接触させるダイ内積層法、同心円状の複数リップから吐出し接触させるダイ外積層法等が挙げられる。例えばダイ内積層法の場合には、3層マルチマニホールドダイ等の多層ダイを用いて、表層(スキン層:層b)とコア層(中間層:層a)からなる、層b/層a/層bの3層の層構成などとすることができる。
ラミネート法としては、Tダイ法に用いる溶融押出成型法の設備を使用し、溶融樹脂のフィルムを別のフィルム上に直接押し出して積層フィルムを成型する押出ラミネート法等が挙げられる。
ヒートシール法としては、貼り合わせた複数のフィルムに加熱した金属体をフィルム外部から押し当て、伝導した熱がフィルムを溶融させて接着する外部加熱法、及び高周波の電波や超音波によってフィルムに熱を発生させ接合する内部発熱法等が挙げられる。
製造方法Aでは、上記の積層方法を単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
以上のように、製造方法Aが積層工程を有する場合、樹脂シートは積層構造を有することができ、製造方法Aが積層工程を有さない場合、樹脂シートは単層構造を有する。単層構造を有する樹脂シートを用いて後記延伸をすることで、層aからなる二軸延伸フィルムを得ることができる。積層構造を有する樹脂シートを用いて後記延伸をする場合は、層aを少なくとも備える多層の二軸延伸フィルムを得ることができる。
製造方法Aでは、上述の単層又は積層構造を有する樹脂シート(原反シート)の延伸を施す。延伸方法としては、周速差を設けたロール間で延伸する方法、テンター法、チューブラー法等公知の方法を用いることができる。延伸方向としては、一軸延伸、二軸延伸、斜め方向への二軸延伸等が可能であり、二軸以上の延伸では、逐次延伸及び同時延伸がいずれも適用可能である。これらのうち所望の二軸延伸フィルムが得られ易い点から、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、及び周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が好ましい。以下、逐次二軸延伸法により本発明の二軸延伸フィルムを得る方法を説明するが、これに限定されるものではない。
逐次二軸延伸方法では、使用する樹脂の融点及びガラス転移温度により延伸温度や延伸倍率を調整することが好ましい。まず、樹脂シート(原反シート)を好ましくは100~180℃、より好ましくは120~170℃の温度に保ち、周速差を設けたロール間に通して、あるいはテンター法にて、縦方向に好ましくは2~10倍、より好ましくは2.5~8倍、さらに好ましくは3~6倍に延伸する。引き続き、当該延伸フィルムをテンター法にて、好ましくは100~180℃、より好ましくは120~175℃の温度で、横方向に好ましくは2~12倍、より好ましくは2.5~11.5倍、さらに好ましくは3~11倍に延伸した後、フィルムの熱処理として、緩和処理及び熱セット処理を施してから巻き取る。巻き取られたフィルムは、好ましくは20~45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、所望の製品幅に断裁することができる。
前記緩和処理の条件は、横延伸後のフィルムを130℃~160℃程度でフィルムを緩和することが好ましく、この場合、フィルムの引裂強度が所定の数値範囲内に調整されやすい。また、斯かる緩和処理において、緩和速度は、0.3倍/秒~0.7倍/秒が好ましく、この場合、フィルムの引裂強度が所定の数値範囲内に調整されやすい。前記熱セット処理の条件は、130℃~160℃の温度で20秒~40秒間程度が好ましく、この場合、フィルムの引裂強度が所定の数値範囲内に調整されやすい。上記の延伸倍率、緩和処理及び熱セット処理の少なく都の一つの条件を調節することによって、引裂強度を所定の数値範囲内に調整することが容易になる。
本開示に包含される発明を特定するにあたり、本開示の各実施形態で説明した各構成(性質、構造、機能等)は、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各構成のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aとして、プライムポリプロ(登録商標)F-300SP(株式会社プライムポリマー製)を90質量部と、脂肪族ポリエステル樹脂Bとして、Luminy(登録商標)LX175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)を10質量部とを混合し、ミキサーにてドライブレンドして樹脂原料を調製した。得られた樹脂原料を、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル(登録商標)(モデル4C150)にストランドダイを備えた2軸押出機(L/D=25)を接続した装置に、ホッパーから投入し、230℃にて溶融混錬した。樹脂原料をストランド状に押し出し、水冷後、ストランドカッターにてペレット状に断裁して、メルトブレンド樹脂組成物ペレットを得た。メルトブレンド樹脂組成物ペレットを、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入して溶融し、単層ダイより押し出した。押し出された樹脂層を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度150℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)が135℃に達するまで予熱してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて5倍まで延伸した。次いで、設定温度165℃のオーブン内にてフィルム温度が145℃に達するまで予熱し、横方向に延伸速度1倍/秒にて10倍まで延伸した。次いで同オーブン内にて、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を9.5倍まで緩和処理を施し、次いで145℃で10秒間の熱セット処理をした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例2)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを70質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを30質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例3)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを50質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを50質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例4)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを30質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを70質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例5)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを10質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを90質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(実施例6)
厚さを50μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
(実施例7)
厚さを10μmに変更したこと以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
(比較例1)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを100質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを0質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(比較例2)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを0質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを100質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例6と同様の方法で厚さ20μmの二軸延伸フィルムを得た。
(比較例3)
結晶性ポリオレフィン樹脂Aを15質量部、脂肪族ポリエステル樹脂Bを85質量部に変更して樹脂原料を調製したこと以外は実施例6と同様の方法で厚さ50μmの二軸延伸フィルムを得た。
[フィルムの厚み]
二軸延伸フィルムの厚みは、シチズンセイミツ株式会社製紙厚測定器MEI-11を用いて、JIS-C2330に準拠して測定した。
[延伸性]
延伸性はブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて評価した。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸方法を採用した。設定温度150℃のオーブン内にて、原反シートを予熱してフィルム温度(Ts)が135℃に達してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて延伸倍率5倍に延伸した。次いで同オーブン内にてフィルム温度(Ts)が145℃に達してから、横方向に延伸速度1倍/秒にて延伸倍率10倍に延伸した。得られた延伸フィルムの延伸性を下記判定基準で評価した。
<延伸性の判定基準>
〇:フィルムが均一に延伸され、かつ、厚み変動が小さく、延伸性に特に優れていた。
×:延伸できずに破断した。
[フィルム引裂強度]
フィルム引裂強度は、JIS-K7128-3 プラスチックーフィルム及びシートの引裂強さ試験方法―第3部:直角形引裂法に準拠して測定した。具体的には、二軸延伸フィルムをMD方向に引き裂いたときのフィルム引裂強度を測定した。
[加熱寸法変化率]
実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムを100mm×100mmに切り出し、フィルム製膜時の流れ方向(以下、MD方向という。)と幅方向(以下、TD方向という。)のそれぞれに50mmの標線をMD方向及びTD方向と平行に書き込んだ後、当該二軸延伸フィルムを100℃に加熱したオーブンに1分間投入した。その後、フィルムを取り出し、試験前に付したMD方向に沿った標線長さL1と試験後の当該標線長さL2を測定し、以下の式を用いてMD方向の加熱寸法変化率を算出した(同様に試験前のTD方向に沿って付した標線長さL1と試験後の当該標線長さL2を測定し、以下の式を用いてMD方向の加熱寸法変化率を算出した)。
加熱寸法変化率(%)={(L2-L1)/L1}×100
[加熱荷重寸法変化率]
実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムを100mm(MD方向)×20mm(TD方向)に切り出し、MD方向に50mmの標線をMD方向と平行に書き込んだ後、MD方向に断面積あたり300gの荷重をかけながら、100℃に加熱したオーブンに1分間投入した。その後、フィルムを取り出し、試験前に付したMD方向に沿った標線長さL3と試験後の当該標線長さL4を測定し、以下の式を用いてMD方向の加熱荷重寸法変化率を算出した。
MD方向の加熱荷重寸法変化率(%)={(L4-L3)/L3}×100
[打ち抜き加工性]
幅60mm×長さ120mmの打ち抜き型の上に、実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムを置き、その上に厚み188μmのPETフィルム、厚み5mmのポリカーボネート板を順次重ねて積層体を得た。電動駆動タイプのプレス機((株)ダイテックス製、PAC-HD)を用いて、プレス圧5tおよび速度10mm/秒で前記積層体を打ち抜いた。打ち抜いて得られた積層体中のフィルム端面の荒れや、割れなどの有無を目視し、下記基準で打ち抜き加工を評価した。
○:端面に荒れが無く、使用上全く問題ないレベルであった。
△:端面が荒れているものの、使用上は問題ないレベルであった。
×:端面が顕著に荒れ、使用上問題あるレベルであった。
Figure 2024006001000001
表1には、各実施例及び比較例で得た二軸延伸フィルムの評価結果を示している。実施例で得られた二軸延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン樹脂Aと、脂肪族系ポリエステル樹脂Bとを含み、かつ、特定の引裂強度を有することから、優れた機械的特性を有しながら、打ち抜き加工性及び耐熱性の両方を兼ね備えるフィルムであった。

Claims (4)

  1. 二軸延伸フィルムであって、
    結晶性ポリオレフィン樹脂Aと、脂肪族系ポリエステル樹脂Bとを含み、
    少なくとも一方向に引き裂いたときの、JIS-K7128-3に準拠して測定されるフィルム引裂強度が50N/mm以上、100N/mm未満である、二軸延伸フィルム。
  2. 前記少なくとも一方向がMD方向又はTD方向である、請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
  3. 100℃雰囲気下での加熱寸法変化率が、MD方向及びTD方向共に±3%以内であり、
    100℃雰囲気下でのMD方向の加熱荷重寸法変化率が±3%以内である、請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の二軸延伸フィルムを備える、保護フィルム。
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