JP2023053828A - 延伸フィルム - Google Patents

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卓治 中川
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Abstract

【課題】延伸性に優れ、透明性も高い延伸フィルムを提供する。【解決手段】本発明の延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン系樹脂Aと、結晶性バイオマスプラスチックBと、熱可塑性エラストマーCとを含有する層aを備え、前記熱可塑性エラストマーCのMFRが1~35g/10分であり、JIS K7136に準拠して測定した内部ヘーズ値が、厚み1μmあたり0.01~1%である。本発明の延伸フィルムは、延伸性に優れ、透明性も高い。【選択図】なし

Description

本発明は、延伸フィルムに関する。
樹脂フィルムは、耐湿性、耐水性及び耐油性等の諸性能に優れると共に、良好な機械強度を有することから、食品や薬品等の包装材料、ディスプレイ等の保護フィルムなど、種々の用途に広く適用されており、利用価値の高い機能性材料である。
一方で、近年では、プラスチック材料の廃棄量が増大していること、また、プラスチック材料の焼却処理で発生する二酸化炭素による地球温暖化をもたらす懸念がある等の様々な問題が提起されている。このため、地球環境や人体への配慮等の観点から生分解性を有するバイオマスプラスチックが大きく注目されており、従来のプラスチック材料と、バイオマスプラスチックとを組み合わせた様々な材料開発が盛んに進められている(例えば、特許文献1,2等を参照)。
国際公開第2008/23758号 特表2017-519863号公報
しかしながら、熱可塑性樹脂、特に結晶性の熱可塑性樹脂と、バイオマスプラスチックとは互いに混ざりにくい材料であるため、両者を組み合わせたフィルムを形成するにしても、互いに均一に混ざり合わない(相溶しない)ことが多い。これが原因で、十分に延伸されたフィルムを得ることが難しく、また、透明性も損なわれやすいという様々な問題があることから、結晶性の熱可塑性樹脂とバイオマスプラスチックとをブレンドさせて得られるフィルム材料は、その用途が著しく制限されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、延伸性に優れ、透明性も高い延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の熱可塑性エラストマーCを使用すると共に内部ヘーズ値を適正範囲に調整することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aと、結晶性バイオマスプラスチックBと、熱可塑性エラストマーCとを含有する層aを備え、
前記熱可塑性エラストマーCのMFRが1~35g/10分であり、
JIS K7136に準拠して測定した内部ヘーズ値が、厚み1μmあたり0.01~1%である、延伸フィルム。
項2
拡散角度0°における拡散透過率に対する、拡散角度3°における拡散透過率の割合が20%以下である、項1に記載の延伸フィルム。
項3
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂AのMFRが1~4g/10分であり、
前記結晶性バイオマスプラスチックBのMFRが5~80g/10分である、項1又は2に記載の延伸フィルム。
項4
前記層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aを30~96質量%含み、
前記結晶性バイオマスプラスチックBの含有割合を3~69質量%含む、
項1~3のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項5
前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点が150℃以上である、項1~4のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項6
前記熱可塑性エラストマーCは、スチレン系エラストマーである、項1~5のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
本発明の延伸フィルムは、延伸性に優れ、透明性も高い。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明の延伸フィルムは、結晶性ポリオレフィン系樹脂Aと、結晶性バイオマスプラスチックBと、熱可塑性エラストマーCとを含有する層aを備え、前記熱可塑性エラストマーCのMFRが1~70g/10分であり、JIS K7136に準拠して測定した内部ヘーズ値が、厚み1μmあたり0.01~1%である。
本発明の延伸フィルムは、バイオマスプラスチックを含むにもかかわらず、延伸性に優れ、透明性も高い。なお、念のための注記に過ぎないが、延伸フィルムが延伸性に優れるとは、延伸フィルムを形成するための材料(原反シート)が延伸しやすい結果、得られる延伸フィルムが十分に延伸された状態になり得るであることを意味する。
本発明の延伸フィルムは、樹脂で形成された層aを少なくとも備える。斯かる層aは、延伸フィルムにおけるコア層としての役割を果たす層である。まず、層aに含まれる各成分について説明する。
(結晶性ポリオレフィン系樹脂A)
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、結晶性を有するポリオレフィンである限りは特に限定されず、例えば、公知の結晶性ポリオレフィン系樹脂を広く挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂が結晶性であることは、示差走査熱量計で判定することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂の示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)において、窒素流下-40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持し、20℃/分で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間保持した後、再び20℃/分で300℃まで昇温して得られたDSC曲線に明確な溶融ピークが現れる場合は、ポリオレフィン系樹脂が結晶性であると判定することができる。なお、斯かる明確な溶融ピークが現れない場合は、非結晶性である。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、例えば、オレフィンを重合してなるポリマーを挙げることができる。前記オレフィンの炭素数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~10、さらに好ましくは3~6のオレフィンである。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの具体例として、結晶性であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ(1-ブテン)樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリ(1-ペンテン)樹脂、ポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂が挙げられる。前記結晶性バイオマスプラスチックBと混ざりやすい(相溶しやすい)という点で、結晶性ポリオレフィン系樹脂は、結晶性ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂は、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、及び、プロピレンとエチレンとの共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種であることがさらに好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂が結晶性プロピレン単独重合体である場合は、結晶性バイオマスプラスチックBとの相溶性が高まりやすいことに加えて、フィルムの機械強度及び耐熱性が向上しやすく、また、結晶性ポリオレフィン系樹脂が結晶性プロピレン-エチレン共重合体である場合、結晶性バイオマスプラスチックBとの相溶性が高まりやすいことに加えて、低温での折り割れ性が良化し、かつ、表面光沢度を低くしやすい。
結晶性ポリプロピレン系樹脂が前記結晶性プロピレン単独重合体と前記結晶性プロピレン-エチレン共重合体の2成分を含む場合、耐熱性と低温での折り割れ性が共に優れたフィルムが得られやすい。結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレン共重合体の両方を含む場合の好ましい質量比率は、結晶性プロピレン単独重合体(P1):結晶性プロピレン-エチレン共重合体(P2)=70:30~99:1であり、より好ましい質量比率はP1:P2=75:25~98:2であり、さらに好ましい質量比率はP1:P2=78:22~97:3である。
前記結晶性プロピレン単独重合体は、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂が好ましい。斯かる結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度であるメソペンタッド分率([mmmm])が92%~98%であることが好ましく、93%~97%であることがさらに好ましい。メソペンタッド分率[mmmm]が92%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械強度が得られやすい。一方、メソペンタッド分率[mmmm]を98%以下とすることで、延伸性が良好となりやすい。
メソペンタッド分率([mmmm])を測定するための使用できる高温NMR装置は特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置を使用することができ、例として、日本電子株式会社製高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)JNM-ECP500を挙げることができる。観測核は13C(125MHz)であり、測定温度は135℃、溶媒にはオルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(体積混合比=4/1))が用いられる。高温NMRによる方法は、公知の方法、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行うことができる。測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準はCH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載が参照される。メソペンタッド分率([mmmm])は、ポリプロピレン樹脂の重合条件や触媒の種類、触媒量等の重合条件を、適宜調整することによってコントロールすることができる。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aのメルトマスフローレート(すなわち、MFR)は特に限定されない。流動性が適度な範囲となって所望の延伸フィルムが作製しやすく、かつ、透明性が特に高くなるという点で、結晶性ポリオレフィン系樹脂AのMFRは1~4g/10分であることが好ましい。本明細書でいう結晶性ポリオレフィン系樹脂AのMFRは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点は特に限定されない。流動性が適度な範囲となって所望の延伸フィルムが作製しやすく、かつ、透明性及び耐熱性が特に高くなるという点で、結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点は150℃以上であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点は、170℃以下であることが好ましく、この場合、延伸性及び透明性に優れる延伸フィルムが得られやすい。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、120℃以下とすることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、50℃以下であってもよく、-30℃~30℃であってもよい。結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、前述の結晶性ポリプロピレン系樹脂であって、そのMFRが1~4g/10分であり、かつ、融点が150℃以上であることが特に好ましい。
結晶性ポリオレフィン系樹脂Aは、例えば、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品から入手することもできる。代表的な市販品としては、例えば、株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)シリーズの単独重合体、サンアロマー株式会社製のPC412A等、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)シリーズの単独重合体、Borealis社製Daployシリーズ、大韓油化工業株式会社製5014Lシリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの単独重合体等が挙げられる。また、結晶性プロピレン-エチレン共重合体の市販品としては、株式会社プライムポリマー社製プライムポリプロ(登録商標)シリーズの共重合体、日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP(登録商標)シリーズの共重合体及びウインテック(登録商標)シリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの共重合体等が挙げられる。
(結晶性バイオマスプラスチックB)
結晶性バイオマスプラスチックBは、生分解性を有する樹脂である限り特に限定されず、例えば、公知の結晶性バイオマスプラスチックを広く挙げることができる。バイオマスプラスチックが結晶性であることは、結晶性ポリオレフィン系樹脂A同様、示差走査熱量計で判定することができる。
結晶性バイオマスプラスチックBは、例えば、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂を挙げることができ、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸(ポリ乳酸を除く)、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。結晶性バイオマスプラスチックBは天然高分子であってもよく、たとえな、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等を挙げることができる。結晶性バイオマスプラスチックBは、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
結晶性バイオマスプラスチックBは、結晶性ポリオレフィン系樹脂Aと均一に混ざりやすく、透明性の高い延伸フィルムが得られやすいという点で、脂肪族系ポリエステル樹脂が好ましく、中でもポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、並びに、乳酸及びポリヒドロキシアルカン酸を含む混合モノマーの重合体からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましく、ポリ乳酸であることが特に好ましい。
ポリ乳酸としては、例えば、原料モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く使用することができる。なお、ポリ乳酸は、L-乳酸(L体)及びD-乳酸(D体)のいずれかの光学異性体のみ、あるいは、双方を含有することができる。ポリヒドロキシアルカン酸としては、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸グリコール酸等の少なくとも1種を含むヒドロキシカルボン酸成分の重合体が挙げられる。乳酸とポリヒドロキシアルカン酸とを含む混合モノマーの重合体としては、乳酸モノマーと前記ヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合体が挙げられる。
結晶性バイオマスプラスチックBのメルトマスフローレートは特に限定されない。流動性が適度な範囲となって所望の延伸フィルムが作製しやすく、かつ、透明性が特に高くなるという点で、結晶性バイオマスプラスチックBのMFRは5~80g/10分であることが好ましい。結晶性バイオマスプラスチックBのMFRは、好ましくは7g/10分以上、より好ましくは10g/10分以上、さらに好ましくは13g/10分以上、特に好ましくは15g/10分以上であり、また、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは40g/10分以下、さらに好ましくは30g/10分以下、特に好ましくは25g/10分以下である。本明細書でいう結晶性バイオマスプラスチックBのMFRは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
結晶性バイオマスプラスチックBの融点は特に限定されない。流動性が適度な範囲となって所望の延伸フィルムが作製しやすく、かつ、透明性及び耐熱性が特に高くなるという点で、結晶性バイオマスプラスチックBの融点は110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、140℃以上であることが特に好ましく、また、200℃以下であることが好ましく、190℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましく、170℃以下であることが特に好ましい。
結晶性バイオマスプラスチックBのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、-40℃~70℃とすることができ、0℃~70℃がより好ましい。結晶性バイオマスプラスチックBの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
結晶性バイオマスプラスチックBの製造方法は特に限定されず、例えば、公知のバイオマスプラスチックを製造する方法を広く採用することができる。また、結晶性バイオマスプラスチックBは、市販品等からも入手することができる。ポリ乳酸の代表的な市販品としては、例えば、NatureWorks社製「4032D」(融点163℃)、トタルコービオン社製「L175」(融点175℃)、「LX175」(融点155℃)、「LX930」(融点130℃)等が挙げられる。その他の代表的な結晶性バイオマスプラスチックBの市販品としては、例えば、Tianan Biologic Material社製のポリヒドロキシアルカノエート「ENMAT(登録商標)Y1000P」、三菱ケミカル株式会社製のポリブチレンサクシネート「BioPBS(登録商標)FZ91」、「BioPBS(登録商標)FD82」、BASF株式会社製のポリブチレンアジペートテレフタレート「エコフレックス(登録商標)」等が挙げられる。
(熱可塑性エラストマーC)
熱可塑性エラストマーCは、メルトマスフローレート(MFR)が1~70g/10分であって、結晶性ポリオレフィン系樹脂A及び結晶性バイオマスプラスチックBの相溶性を高めるための相溶化剤としての役割を果たし得る成分である。熱可塑性エラストマーCが含まれることによって、結晶性ポリオレフィン系樹脂A及び結晶性バイオマスプラスチックBの相溶性が高まると共に、内部ヘーズを顕著に小さくすることができ、延伸フィルムの透明性がより向上し、また、強度(例えば、後記する突刺し強度)に優れるものとなる。本明細書でいう熱可塑性エラストマーCのMFRは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
熱可塑性エラストマーCのMFRが1g/10分未満であると、結晶性ポリオレフィン系樹脂A及び結晶性バイオマスプラスチックBの相溶性を高める効果を得ることができず、延伸フィルムの透明性が悪化する。また、熱可塑性エラストマーCのMFRが70g/10分を超過すると、結晶性ポリオレフィン系樹脂A及び結晶性バイオマスプラスチックBの相溶性を高める効果を得ることができず、延伸フィルムの透明性が悪化し、また、フィルム強度の低下を引き起こす。
熱可塑性エラストマーCのMFRは、1.5g/10分以上であることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、2.5g/10分以上であることがさらに好ましく、3g/10分以上であることが特に好ましい。また、熱可塑性エラストマーCのMFRは、50g/10分以下であることが好ましく、40g/10分以下であることがより好ましく、35g/10分以下であることがさらに好ましく、30g/10分以下であることが特に好ましい。
熱可塑性エラストマーCは、MFRが1~70g/10分である限り、その種類は特に限定されず、例えば、公知の熱可塑性エラストマーを広く挙げることができる。中でも、熱可塑性エラストマーCは、スチレン系エラストマーであることが好ましい。スチレン系エラストマーとは、少なくともスチレン単位又はスチレン誘導体単位を含むエラストマーである。
スチレン系エラストマーはスチレン単位の他、オレフィン単位、(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸エステル単位及び(メタ)アクリロニトリル単位ならなる群より選ばれる少なくとも1種の他の単位を含むことができる。オレフィン単位、(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸エステル単位及び(メタ)アクリロニトリル単位はいずれも、1種単独でもよいし、2種以上であってもよい。
スチレン系エラストマーの具体例として、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレングラフトエチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体を挙げることができる。中でも、スチレン系エラストマーは、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体であることが好ましい。
スチレン系エラストマーにおいて、スチレン単位又はスチレン誘導体単位の含有割合は特に限定されない。例えば、スチレン系エラストマー中のスチレン単位又はスチレン誘導体単位の含有割合は10~80質量%であることが好ましい。この場合、延伸フィルムの延伸性が優れると共に内部ヘーズが特に小さくなるので透明性が高く、しかも、強度にも特に優れるものとなる。スチレン系エラストマー中のスチレン単位又はスチレン誘導体単位の含有割合は20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、スチレン系エラストマー中のスチレン単位又はスチレン誘導体単位の含有割合は70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性エラストマーCは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体等の構造を有することができる。
熱可塑性エラストマーCのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、-60~-10℃とすることができる。熱可塑性エラストマーCのガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
熱可塑性エラストマーCは、例えば、公知の製造方法で得ることができ、あるいは、市販品等からも入手することができる。熱可塑性エラストマーCの代表的な市販品としては、例えば、JSRチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体である「DYNARON(登録商標)」、JSR社製の水添SBR「ダイナロン(登録商標)」、クラレ社製のスチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体である「セプトン2002(登録商標)、その他、旭化成社製「タフテック(登録商標)」、日油製「モディパーA1100(登録商標)」、「モディパーA1401(登録商標)」「モディパーA3400(登録商標)」、「モディパーA4100(登録商標)」「モディパーA5400(登録商標)」等を挙げることができる。
(層a)
層aは、延伸フィルムのコア層として機能する層であって、結晶性ポリオレフィン系樹脂A、結晶性バイオマスプラスチックB及び熱可塑性エラストマーCを含む樹脂成分によって形成される。
層aにおいて、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの含有割合は特に限定されない。
例えば、延伸フィルムの延伸性が良好であり、内部ヘーズを所望の範囲に調節しやすく、強度も向上しやすい点で、層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aを30~96質量%含み、前記結晶性バイオマスプラスチックBの含有割合が3~69質量%含むことが好ましい。この場合において、残部は熱可塑性エラストマーCである(すなわち、熱可塑性エラストマーCの含有割合は1~10質量%である)。
層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aを40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましく、また、90質量%以下含むことがより好ましく、85質量%以下含むことがさらに好ましい。
層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性バイオマスプラスチックBを10質量%以上含むことがより好ましく、15質量%以上含むことがさらに好ましく、また、55質量%以下含むことがより好ましく、45質量%以下含むことがさらに好ましい。
層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記熱可塑性エラストマーCを1.5質量%以上含むことがより好ましく、2質量%以上含むことがさらに好ましく、また、8質量%以下含むことがより好ましく、7質量%以下含むことがさらに好ましい。
層aの特に好ましい構成として、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aが結晶性ポリプロピレン系樹脂、前記結晶性バイオマスプラスチックBがポリ乳酸、前記熱可塑性エラストマーCがスチレン系エラストマーである。
層aを構成する前記樹脂成分は、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCのみからなるものであってもよい。ただし、この場合に不回避的に含まれる成分までも除外するものではない。また、本発明の効果が阻害されない限り、層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーC以外の他の樹脂を含むこともできる。他の樹脂としては、例えば、公知の延伸フィルムに含まれる種々の樹脂を挙げることができる。
他の樹脂の含有量は、層aに含まれる樹脂成分の全質量を基準に10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
(延伸フィルム)
本発明の延伸フィルムは、少なくとも前記層aを備え、JIS K7136に準拠して測定した内部ヘーズ値が、厚み1μmあたり0.01~1%である。延伸フィルムの厚み1μmあたりの内部ヘーズ値が0.01%未満であると、フィルムを極端に薄くすることが必要となり実用的な強度に耐えられないという問題が生じる。延伸フィルムの厚み1μmあたりの内部ヘーズ値が1%を超過すると、透明性が悪くなる。
延伸フィルムの厚み1μmあたりの内部ヘーズ値は、0.03%以上であることが好ましく、0.04%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることがさらに好ましく、0.06%以上であることが特に好ましい。また、延伸フィルムの厚み1μmあたりの内部ヘーズ値は、0.7%以下であることが好ましく、0.6%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましく、0.4%以下であることが特に好ましい。
延伸フィルムの内部ヘーズ値は、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS-K7136に準拠して測定される値のことである。具体的には、延伸フィルムの内部ヘーズをヘーズメーターによって測定し、得られた測定値を延伸フィルムの厚みで除した値を、「厚み1μmあたりのフィルムの内部ヘーズ値(%/μm)」とする。
内部ヘーズとは、延伸フィルムのヘーズにおける光の散乱因子から、フィルム表面の散乱因子に起因するヘーズを排除し、延伸フィルム内部の散乱因子のみを考慮したヘーズであることを意味する。すなわち、内部ヘーズは、例えば、フィルム表面の凹凸による影響が排除されている。
本発明の延伸フィルムは、拡散角度0°における拡散透過率に対して、拡散角度3°における拡散透過率の割合が20%以下であることが好ましい。要するに本発明の延伸フィルムの拡散透過率の測定において、拡散角度0°における拡散透過率をD(0)とし、拡散角度3°における拡散透過率をD(3)としたとき、下記式
{D(3)/D(0)}×100
で表される拡散透過率の割合が20%以下であることが好ましい。この場合、延伸フィルムの透明性が顕著に優れるものとなり、透過像の鮮明性も良好となりやすい。
本発明の延伸フィルムにおいて、拡散角度0°における拡散透過率に対する拡散角度3°における拡散透過率の割合は、19%以下であることがより好ましく、18%以下であることがさらに好ましい。拡散角度0°における拡散透過率に対する拡散角度3°における拡散透過率の割合は、例えば、0であってもよく、あるいは、0.1%以上であってもよい。
本発明の延伸フィルムは、透明又は半透明であることが好ましく、透明であることが、つまり、透明性延伸フィルムであることが好ましい。
本発明の延伸フィルムは、所定の樹脂成分で構成される層aを備えるので、強度にも優れるものである。例えば、本発明の延伸フィルムは、突刺強度が2.5N以上、8N以下となり得る。これにより、延伸フィルムは強度に優れるので、例えば、各種包装用途に好適である。本発明の延伸フィルムの突刺強度は、3N以上であることが好ましく、3.5N以上であることがより好ましく、4N以上であることがさらに好ましい。
本発明の延伸フィルムは、層a(つまり、コア層)のみを備える単層構造とすることができ、あるいは、層a以外の他の層を備える、いわゆる積層構造をすることができる。延伸フィルムが積層構造である場合、例えば、層aの片面又は両面に他の層を貼り合わせてなる積層体が挙げられる。他の層としては、例えば、層a以外の樹脂層を挙げることができ、具体的には、ヒートシール機能を有する樹脂層(ヒートシール層)等が例示される。ヒートシール層としては、例えば、公知のヒートシール機能を有する樹脂層を広く適用することができる。ヒートシール層以外の層としては、例えば、防曇性、帯電防止性、粘着性、平滑性、光沢性、印刷適性、耐ブロッキング性、滑り性、強度付与性、酸素ガス、エチレンガス等のガスバリア性、水蒸気バリア性、匂い成分のバリア性、包装内容物の成分移行の防止性、抗菌性、抗カビ性等の各種機能を一つ以上有する層が挙げられる。
本発明の延伸フィルムが層a以外の他の層を備える場合、他の層は、層aに直接貼り合わされて積層されてもよいし、あるいは、さらに別の層が介在されていてもよい。他の層は、層aの両面又は片面に積層させることができる。
本発明の延伸フィルムは、必要に応じて、任意成分として、添加剤を含むことができる。添加剤は、例えば、延伸フィルムに適用される公知の添加剤を広く挙げることができ、例として、熱安定剤、酸化防止剤、有機及び無機滑剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の延伸フィルムの厚みは特に限定されず、その使用用途に応じて適宜設定することができる。延伸フィルムの厚みは、例えば、10~150μmであることが好ましく、より好ましくは15~100μm、さらに好ましくは20~60μmである。
本発明の延伸フィルムは、前述のように、透明性に優れることから、包装用、食品包装用、薬品包装用、装飾用(ファッション用含む)、ラベル用、テープ用基材、印刷用基材、文具用、家電用、ポスター用紙、感熱紙基材、記録用紙基材、住宅の内装用及び外装用、自動車用等に好適である。
(延伸フィルムの製造方法)
本発明の延伸フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCを少なくとも含む樹脂原料を押出成形して樹脂シートを得て、この樹脂シートの延伸を施すことにより、本発明の延伸フィルムを製造することができる。斯かる製造方法を「製造方法A」と略記する。
前記樹脂原料の調製方法は、例えば、公知の調製方法と同様とすることができ、樹脂のペレットや粉体等を、タンブラーやミキサー等のバッチ式混合装置や、あるいは連続計量式混合装置を用いてドライブレンドする方法;もしくは、樹脂のペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体及び/又は添加剤と共に混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンド樹脂組成物を得る方法;等が挙げられる。中でも、溶融混錬することで、樹脂原料を調製することが好ましく、この場合、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A及び前記結晶性バイオマスプラスチックBが均一に混ざりやすく、所望のヘーズを有する延伸フィルムが得られやすい。
溶融混練に用いる混練機としては公知の混錬機を使用でき、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いてよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のいずれの混練タイプをも用いてよい。前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bが均一に混ざりやすい点で、同方向回転の2軸スクリュータイプの混錬機が好ましい。
溶融混錬の混練温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。上記温度範囲とすることで、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bがより均一に混ざり合うことができる。溶融混錬の際の樹脂の劣化防止のため、窒素等の不活性ガスをパージすることもできる。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによってメルトブレンド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
製造方法Aでは、上述の通り得られた樹脂原料を用いて樹脂シートを得ることができる。具体的には、樹脂原料を押出機に供給し、加熱溶融して、必要に応じて、フィルター等により微小異物等を除去した後、Tダイよりシート状に溶融押出することで、樹脂シートを得ることができる。
樹脂シートを得るために使用する押出機は、例えば、公知の押出機を広く使用することができる。押出機のスクリュータイプに制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いて良く、樹脂原料を前記ドライブレンドで調製した場合は、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いると混合及び分散性に優れやすい。押出温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。押出の際の樹脂の熱劣化防止のため、窒素等の不活性ガスパージをすることができる。
溶融押出された樹脂シートは、例えば、25~120℃の温度に設定した少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアナイフや他のロール、又は静電気等により密着させるといった公知の方法により、シート状に成形され、樹脂シートは、いわゆる原反シートとして得られる。金属ドラムのより好ましい温度は30~80℃である。
製造方法Aは、例えば、積層工程をさらに備えることができ、これにより、積層構造を有する樹脂シートを得ることができる。例えば、層aの片面または両面にヒートシール層等の他の層が形成された延伸フィルムを得ようとする場合などに、製造方法Aは積層工程を備えることができる。
積層工程では、例えば、従来から採用されている積層方法を広く使用することができ、例えば、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法等を用いて積層することにより得られるフィルムが挙げられる。
製造方法Aでは、上述の単層又は積層構造を有する樹脂シート(原反シート)の延伸を施す。延伸方法としては、周速差を設けたロール間で延伸する方法、テンター法、チューブラー法等公知の方法を用いることができる。延伸方向としては、一軸延伸、二軸延伸、斜め方向への二軸延伸等が可能であり、二軸以上の延伸では、逐次延伸及び同時延伸がいずれも適用可能である。これらのうち所望の延伸フィルムが得られ易い点から、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、及び周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が好ましい。以下、逐次二軸延伸法により本発明の延伸フィルムを得る方法を説明するが、これに限定されるものではない。
逐次二軸延伸方法では、使用する樹脂の融点及びガラス転移温度により延伸温度や延伸倍率を調整することが好ましい。まず、樹脂シート(原反シート)を好ましくは100~180℃、より好ましくは120~170℃の温度に保ち、周速差を設けたロール間に通して、あるいはテンター法にて、縦方向に好ましくは2~10倍、より好ましくは2.5~8倍、さらに好ましくは3~6倍に延伸する。引き続き、当該延伸フィルムをテンター法にて、好ましくは100~180℃、より好ましくは120~175℃の温度で、横方向に好ましくは2~12倍、より好ましくは2.5~11.5倍、さらに好ましくは3~11倍に延伸した後、緩和、熱セットを施し巻き取る。
巻き取られたフィルムは、好ましくは20~45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、所望の製品幅に断裁することができる。こうして延伸性、透明性、機械的強度等に優れた延伸フィルムが得られる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例及び比較例で用いた樹脂は、以下の通りである。
(結晶性ポリオレフィン系樹脂(A成分))
・樹脂A-1:プライムポリプロ(登録商標)E-200GP(株式会社プライムポリマー製、融点161℃、MFR2g/10分、Tg112℃)
・樹脂A-2:ウインテック(登録商標)WMX03重合体(日本ポリプロ株式会社製、融点142℃、MFR25g/10分、)
(結晶性バイオマスプラスチック(B成分))
・樹脂B-1:Luminy(登録商標)L175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、MFR19g/10分)
・樹脂B-2:Luminy(登録商標)LX175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、MFR20g/10分)
・樹脂B-3:Luminy(登録商標)LX930(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、MFR21g/10分)
・樹脂B-4:BioPBS(登録商標)FZ91(三菱ケミカル株式会社製、ポリブチレンサクシネート、MFR16g/10分)
・樹脂B-5:エコフレックス(登録商標)(BASF株式会社製、ポリブチレンアジペートテレフタレート、MFR13g/10分)
・樹脂B-6:ENMAT(登録商標)Y1000P(Tianan Biologic Material社製、ポリヒドロキシアルカノエート、MFR120g/10分)
(熱可塑性エラストマー(C成分))
・樹脂C-1:DYNARON 9901P(JSR株式会社製、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン53%)、MFR3.3g/10分)
・樹脂C-2:DYNARON 8600P(JSR株式会社製、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン15%)、MFR30g/10分)
・樹脂C-3:モディパーA4100(日油株式会社製、スチレングラフトエチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体(スチレン30%)、MFR1.2g/10分)
・樹脂C-4:セプトン2002(クラレ株式会社製、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(スチレン30%)、MFR70g/10分)
・樹脂C-5:AR-SC-0(東亞合成製、スチレン系エラストマー)
[樹脂の融点、ガラス転移温度]
実施例及び比較例で使用した樹脂の融点、ガラス転移温度は、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。各樹脂を5mg量り取り、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットした。窒素流下、-40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持し、20℃/分で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間保持した。その後再び20℃/分で300℃まで昇温する際のDSC曲線より、融点およびガラス転移温度を求めた。JIS-K7121の9.1(1)に定める溶融ピーク(複数の溶融ピークを示す場合は最大の溶融ピーク)を融点とし、JIS-K7121の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
[フィルムの内部ヘーズ]
延伸フィルムの内部ヘーズは、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。具体的には、延伸フィルムの表裏面上を流動パラフィン(和光純薬社製、赤外分析用)で満たして測定箇所を濡らし、内部ヘーズを測定した。得られた測定値を延伸フィルムの厚みで除した値を厚み1μmあたりのフィルムの内部ヘーズ値(%/μm)とした。
[延伸性]
延伸性はブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて評価した。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸方法を採用した。設定温度150℃のオーブン内にて、原反シートを予熱してフィルム温度(Ts)が135℃に達してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて延伸倍率5倍に延伸した。次いで同オーブン内にてフィルム温度(Ts)が145℃に達してから、横方向に延伸速度1倍/秒にて延伸倍率10倍に延伸した。得られた延伸フィルムの延伸性を下記判定基準で評価した。
<延伸性の判定基準>
〇:延伸フィルムが均一に延伸され、かつ、厚み変動が小さかった。
×:延伸できずに破断した。
[拡散透過率の割合]
各実施例及び比較例で得られた延伸フィルムの拡散角度0°及び3°における拡散透過率を算出し、拡散角度0°における拡散透過率をD(0)、拡散角度3°における拡散透過率をD(3)としたとき、{D(3)/D(0)}×100の値を算出し、これを拡散透過率の割合(すなわち、拡散角度0°における拡散透過率に対する、拡散角度3°における拡散透過率の割合)とした。拡散透過率は、変角光度計ゴニオフォトメータ(株式会社ジェネシア製)により測定した。
[突刺強度]
JIS Z 1707の規定に従い次のように測定した。試料を円筒状冶具に固定し、試料(延伸フィルム)面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を50mm/minの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した。
(実施例1)
後掲の表1に示すように、A成分として前記樹脂A-1のペレットと、B成分として前記樹脂B-1ペレットと、C成分として前記樹脂C-1のペレットとを、質量比65:30:5で混合し、ミキサーにてドライブレンドして樹脂原料を調製した。この樹脂原料を、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル(登録商標)(モデル4C150)にストランドダイを備えた2軸押出機(L/D=25)を接続した装置に、ホッパーから投入し、230℃にて溶融混錬した。溶融混錬した樹脂原料をストランド状に押し出し、水冷後、ストランドカッターにてペレット状に断裁して、メルトブレンド樹脂組成物ペレットを得た。このペレットを、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入して溶融し、単層ダイより押し出した。押し出された樹脂層を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度150℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)が135℃に達するまで予熱してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて5倍まで延伸した。次いで、設定温度165℃のオーブン内にてフィルム温度が145℃に達するまで予熱し、横方向に延伸速度1倍/秒にて10倍まで延伸した。次いで同オーブン内にて、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を9.5倍まで緩和し、次いで10秒間熱セットした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。
(実施例2~8、比較例1~3)
A成分の樹脂、B成分の樹脂、C成分の樹脂、及び、これらの配合比(配合割合)を、後掲の表1に示すように設定して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ25μmの延伸フィルムを得た。ただし、比較例1は、延伸できずに破断が生じたために延伸フィルムを得ることができなかった。
Figure 2023053828000001
表1には、各実施例及び比較例で得た延伸フィルムの作製条件と、評価結果を示している。実施例で得られた延伸フィルムは、延伸性に優れ、内部ヘーズ値が小さく、透明性に優れるものであり、しかも、突刺強度が高いものであった。

Claims (6)

  1. 結晶性ポリオレフィン系樹脂Aと、結晶性バイオマスプラスチックBと、熱可塑性エラストマーCとを含有する層aを備え、
    前記熱可塑性エラストマーCのMFRが1~70g/10分であり、
    JIS K7136に準拠して測定した内部ヘーズ値が、厚み1μmあたり0.01~1%である、延伸フィルム。
  2. 拡散角度0°における拡散透過率に対する、拡散角度3°における拡散透過率の割合が20%以下である、請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. 前記結晶性ポリオレフィン系樹脂AのMFRが1~4g/10分であり、
    前記結晶性バイオマスプラスチックBのMFRが5~80g/10分である、請求項1又は2に記載の延伸フィルム。
  4. 前記層aは、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂A、前記結晶性バイオマスプラスチックB及び前記熱可塑性エラストマーCの全質量に対して、前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aを30~96質量%含み、
    前記結晶性バイオマスプラスチックBの含有割合を3~69質量%含む、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  5. 前記結晶性ポリオレフィン系樹脂Aの融点が150℃以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  6. 前記熱可塑性エラストマーCは、スチレン系エラストマーである、請求項1~5のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
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