JP2017186410A - 乳酸系樹脂組成物、並びに、これを用いた成形体及び二軸延伸フィルム - Google Patents

乳酸系樹脂組成物、並びに、これを用いた成形体及び二軸延伸フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明性や成形性を維持しつつ、ブリードアウトを抑えたまま柔軟性を付与することができ、フィルムや射出成形品として、用途の制約なく幅広く使用できる乳酸系樹脂組成物の提供。【解決手段】乳酸系重合体(A)と、数平均分子量Mnが1.0×104g/mol以上、1.0×106g/mol以下であるアルキレンオキサイド系重合体(B)とを、質量比(A):(B)=99:1〜70:30の割合で有する乳酸系樹脂組成物。アルキレンオキサイド系重合体(B)が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、又は、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であり、アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度が40〜100℃である、乳酸系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は乳酸系樹脂組成物に関し、詳しくは、乳酸系重合体にアルキレンオキサイド系重合体を配合してなり、柔軟性や耐ブリードアウト性に優れる樹脂組成物に関する。
植物由来プラスチックは、枯渇性資源の利用量を軽減できるだけでなく、資源のリサイクル活用にも大きく貢献することができることから、次世代の材料として注目されている。特に、ポリ乳酸を始めとする乳酸系重合体は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性や剛性に優れることから、ポリスチレンや芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の代替材料として、フィルム包装材や射出成形分野において注目されている。
ただし、乳酸系重合体は、室温付近で非常に脆く、用途によっては実用に供しづらいという課題がある。このような課題に対して、ポリ乳酸に対してポリエチレングリコールをブレンドし、柔軟性を向上させる技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、柔軟性を付与しているものの、時間の経過と共に樹脂表面にポリエチレングリコールがブリードアウト(析出)するという問題がある。特に、ポリ乳酸のガラス転移点やポリエチレングリコールの融点よりも高い50〜60℃以上では、それぞれの樹脂の分子鎖の運動性が増し、ブリードアウトしやすくなる。
特表2000−506204号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決すること、即ち、透明性や成形性を維持しつつ、ブリードアウトを抑えたまま柔軟性を付与した乳酸系樹脂組成物、これを用いた成形体、二軸延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、乳酸系重合体に対し、特定の分子量を有するアルキレンオキサイド系重合体を配合することで、透明性や成形性を維持したまま柔軟性が付与でき、かつ、この樹脂組成物から得られる成形体は経時によってブリードアウトを生じにくい事を見出し、本発明に至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 乳酸系重合体(A)と、数平均分子量Mnが1.0×10g/mol以上、1.0×10g/mol以下であるアルキレンオキサイド系重合体(B)とを、質量比で(A):(B)=99:1〜70:30の割合で有する乳酸系樹脂組成物。
[2] アルキレンオキサイド系重合体(B)が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、または、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であることを特徴とする[1]に記載の乳酸系樹脂組成物。
[3] アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度が40℃以上、100℃以下であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の乳酸系樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の乳酸系樹脂組成物を用いた成形体。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載の乳酸系樹脂組成物を用いた二軸延伸フィルム。
本発明が提案する乳酸系樹脂組成物によって、透明性や成形性を維持しつつ、ブリードアウトを抑えたまま柔軟性を付与することができ、フィルムや射出成形品として、用途の制約なく幅広く使用できる。
以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、乳酸系重合体(A)と、数平均分子量Mnが1.0×10g/mol以上1.0×10g/mol以下であるアルキレンオキサイド系重合体(B)とを、質量比で(A):(B)=99:1〜70:30の割合で有することを特徴とする。
以下、本発明の乳酸系樹脂組成物を構成する乳酸系重合体(A)、アルキレンオキサイド系重合体(B)について詳述する。
1.乳酸系重合体(A)
本発明に用いる乳酸系重合体(A)としては、構造単位がL乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL乳酸及びD乳酸であるポリ(LD−乳酸)、またはこれらの混合体を挙げることができる。
乳酸系重合体(A)は、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(LD−乳酸)、またはこれらの混合体と、ヒドロキシカルボン酸、又はジオール/ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
ここで、前記の「ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、前記の「ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、前記の「ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
これらの中でも入手のし易さの観点から、乳酸系重合体(A)は、L乳酸とD乳酸の共重合体、またはこの共重合体の混合物であることが好ましい。
更に、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、前記乳酸系重合体(A)の本質的な性質を損なわない範囲で、前記乳酸系重合体(A)は少量共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールのいずれか、または両方を含んでいてもよい。
また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを含んでいてもよい。
本発明に用いる乳酸系重合体(A)が含有するL−乳酸とD−乳酸の比率については、特に制限されるものではないが、これらの比率によって乳酸系重合体(A)の結晶性が異なるため、用途や製造方法によって適宜選択するのがよい。
L−乳酸とD−乳酸が質量比でL/D=93/7〜7/93の範囲にある場合は、得られる乳酸系重合体(A)は実質的に非晶性であり、透明性や柔軟性に優れる。この場合、L−乳酸とD−乳酸が質量比でL/D=92/8〜8/92の範囲にあることがより好ましく、L/D=90/10〜10/90質量%の範囲にあることが更に好ましい。L−乳酸とD−乳酸の質量比をかかる範囲とすることで、結晶性を低く抑えることができ、優れた非晶性の成形体が得られる。
L−乳酸とD−乳酸が質量比でL/D=100/0〜93/7、または、L/D=7/100〜0/100の範囲にある場合は、得られる乳酸系重合体(A)は実質的に結晶性であり、耐熱性や剛性に優れる。特に、一軸または二軸の延伸フィルムを作製する場合には、実質的に結晶性の乳酸系重合体(A)を使用することで、柔軟性に加え、耐熱性や剛性に優れるフィルムを得ることができる。この場合、L−乳酸とD−乳酸が質量比でL/D=99.9/0.1〜95/5、または、L/D=5/95〜0.1/99.9の範囲にあることがより好ましく、L/D=99.5/0.5〜97/3、または、L/D=3/97〜0.5/99.5の範囲にあることが更に好ましい。L−乳酸とD−乳酸の質量比をかかる範囲とすることで、結晶性を高めることができ、優れた結晶性の成形体が得られる。
2.アルキレンオキサイド系重合体(B)
本発明に用いるアルキレンオキサイド系重合体(B)は、二価アルコールであるアルキレンオキサイド化合物を重合して得られる。
ポリアルキレンオキサイド系重合体(B)の数平均分子量Mnは1.0×10g/mol以上、1.0×10g/mol以下であり、2.0×10g/mol以上、8.0×10g/mol以下であることが好ましく、3.0×10g/mol以上、6.0×10g/mol以下であることがより好ましい。ポリアルキレンオキサイド系重合体(B)の数平均分子量Mnがかかる範囲であれば、乳酸系重合体(A)とポリアルキレンオキサイド系重合体(B)が混ざりやすく、成形性や透明性を維持したまま柔軟性を付与することができる。
本発明において、数平均分子量Mnは以下に記載の方法にて測定するものである。
装置 :東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:Agilent社製 PLgel 20μ Mixed−A (7.5×300mm、20μm)×2本
溶離液:10mM LiBr/DMF
流速 :0.8mL/min(Ref 0.3mL/min)
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃。
サンプル濃度:約0.06〜0.2wt%
注入量:100μL注入
前記ポリアルキレンオキサイド系重合体(B)は、アルキレンオキサイド化合物を重合させて得られるものであれば特に制限されないが、具体的にはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブテンオキシド、ポリペンテンオキシド、ポリヘキセンオキシド、ポリヘプテンオキシド、ポリオクテンオキシド、ポリノネンオキシド、ポリデセンオキシド、ポリウンデセンオキシド及びポリドデセンオキシド等のポリアルキレンオキシド;ポリ(メチル)エチレンオキシド、ポリ(エチル)エチレンオキシド、ポリ(プロピル)エチレンオキシド、ポリ(ブチル)エチレンオキシド、ポリ(オクチル)エチレンオキシド、ポリ(ジメチル)エチレンオキシド、ポリ(メチルエチル)エチレンオキシド、ポリ(エチル)(シクロヘキシル)エチレンオキシド等、さらにこれらの共重合体が挙げられる。この中でも、乳酸系重合体(A)との混ざりやすい、乳酸系重合体(A)とブレンドした際に柔軟性を付与しやすい、融点が室温以上なのでブリードアウトしにくい等の観点から、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、または、これらの共重合体であることが好ましい。なお、一般的に、分子量が数万以上のものをポリエチレンオキサイド、それ以下のものをポリエチレングリコールと呼び分けることがあるが、これらの違いは不明瞭であり、実質的に同一のものとみなせることから、本明細において、これらは同一のものとして扱う。
アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度は、40℃以上、100℃以下であることが好ましく、45℃以上、95℃以下であることがより好ましく、50℃以上、90℃以下であることが更に好ましい。アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度がかかる範囲であれば、本発明の乳酸系樹脂組成物は耐ブリードアウト性に優れる。なお、一般に、アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度は、数平均分子量と相関があり、数平均分子量が高いほど結晶融解温度も高くなる傾向にある。
以下、前記乳酸系重合体(A)と前記アルキレンオキサイド系重合体(B)を配合してなる乳酸系樹脂組成物について詳述する。
3.乳酸系樹脂組成物
本発明の乳酸系樹脂組成物は、前記乳酸系重合体(A)と、前記アルキレンオキサイド系重合体(B)とを、質量比で(A):(B)=99:1〜70:30質量%の割合で有する。(A)と(B)の混合質量比をかかる範囲とすることで、ブリードアウトを抑制したまま十分な柔軟性を付与することができる。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、JIS K7127:1999に基づいた引張弾性率が500MPa以上、3000MPa以下であることが好ましく、600MPa以上、1900MPa以下であることがより好ましく、700MPa以上、2800MPa以下であることが更に好ましい。引張弾性率がかかる範囲にあれば、本発明の乳酸系樹脂組成物は柔軟性に優れる。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、JIS K7375:2008に準じて測定したヘーズが10%以下であることが好ましく、9%以下であることがより好ましく、8%以下であることが更に好ましい。引張弾性率がかかる範囲にあれば、本発明の乳酸系樹脂組成物は透明性に優れる。なお、ヘーズは以下の式に基づいて計算した。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
本発明の乳酸系樹脂組成物は、アルキレンオキサイド系重合体(B)が経時でブリードアウトしないことが大きな特徴である。例えば、乳酸系重合体(A)のガラス転移温度やアルキレンオキサイド系重合体(B)の融点に近く、それぞれの分子鎖の運動性が向上する60℃付近で長時間曝された場合にも、ブリードアウトが見られないことが重要である。ブリードアウトを抑制することで、製品の外観や物性が損なわれることが無い。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、JIS K7127:1999に基づいた引張破断伸度が200%以上であることが好ましく、300%以上であることがより好ましく、400%以上であることが更に好ましく、500%以上であることが特に好ましい。引張破断伸度がかかる範囲にあれば、本発明の乳酸系樹脂組成物は柔軟性に優れる。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、必要に応じて上記以外の他の合成樹脂や、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、スリップ剤(滑剤)、アンチブロッキング剤、顔料、着色剤、充填剤、核剤、難燃剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。本発明の乳酸系樹脂組成物をフィルム用途に使用する場合、フィルムは単層でも多層でもよく、各層に前記添加剤を配合してもよい。
[成形方法]
本発明の樹脂組成物は、フィルムやプレート等に成形することができる。具体的には、乳酸系重合体(A)、アルキレンオキサイド系重合体(B)、及び、必要に応じてその他の樹脂や添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機、あるいは、射出成形機に投入して成形する方法を挙げることができる。
この際、各原料の組成比や配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。具体的には、成形温度は180℃以上、230℃以下が好ましく、185℃以上、220℃以下がより好ましく、190℃以上、210℃以下が更に好ましい。成形温度をかかる範囲にすることにより、樹脂を劣化させることなく、十分な流動性が得られる。
フィルムの成形方法としては、ロール延伸、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法のほか、フィルムの成形方法として一般的なTダイキャスト法、プレス法などを採用することができる。
本発明の樹脂組成物は、フィルムとして使用する場合、更に用途に応じて、耐熱性や剛性、耐衝撃性の向上を目的として、一軸または二軸延伸を施すことができる。この際、上記の未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)、およびこれと直角な方向(横方向)で、少なくとも一方向に、好ましくは縦横二軸方向に延伸する。 二軸延伸の方法としては、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれを用いてもよい。本発明の乳酸系重合体組成物からなるフィルムは、どちらの延伸法を用いても問題なく延伸が可能である。
上記方法により延伸された延伸フィルムは、引き続き熱固定をする。熱固定をすることにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の処理温度は、好ましくは、乳酸系重合体(A)の融点−10〜40℃、さらに好ましくは、融点−10〜30℃である。熱固定温度が上記範囲内にあれば、熱固定が十分に行われ、延伸時の応力が緩和され、十分な機械強度を持ったフィルムが得られる。なお、熱固定を施す場合には、実質的に結晶性の乳酸系重合体を使用することが好ましい。
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(JIS K6900:1994)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まずは、実施例・比較例で得られたサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。なお、測定・評価は特に説明がない限り全て厚み100μmのキャストフィルムについて行った。
(1)引張弾性率
JIS K7127:1999に準じて測定した。20℃における引張弾性率が500MPa以上、3000MPa以下であるものを合格(○)、それ以外の範囲であるものを不合格(×)とした。
(2)引張破断伸度
JIS K7127:1999に準じて測定した。20℃における引張破断伸度が200%以上であるものを合格(○)、200%未満であるものを不合格(×)とした。
(3)透明性
JIS K7375:2008に準じて測定した。ヘーズが10%以下のものを合格(○)、10%を超えるものを不合格(×)とした。なお、ヘーズは以下の式に基づいて計算した。
[ヘーズ]=([拡散透過率]/[全光線透過率])×100
(4)耐ブリードアウト性
縦100mm×横100mm×厚み100μmの試験片について、60℃、50%RHの環境下で24時間熱処理を行い、試験後に析出したアルキレンオキサイド系重合体(B)の重量を測定した。析出しなかったものを合格(○)、析出したものを不合格(×)とした。
(5)アルキレンオキサイド系重合体の分子量測定法
アルキレンオキサイド系重合体(B)の分子量は、次の方法にて測定を行った。
装置 :東ソー社製 HLC−8120GPC
カラム:Agilent社製 PLgel 20μ Mixed−A(7.5×300mm、20μm)×2本
溶離液:10mM LiBr/DMF
流速 :0.8mL/min(Ref 0.3mL/min)
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃。
サンプル濃度:約0.06〜0.2wt%
注入量:100μL注入
実施例・比較例で用いた重合体は以下のとおりである。
[乳酸系重合体(A)]
(a)−1:NW4060D(Nature Works社製、ポリ乳酸、L乳酸/D乳酸=88/12質量%)
(a)−2:NW4032D(Nature Works社製、ポリ乳酸、L乳酸/D乳酸=98.7/1.3質量%)
[アルキレンオキサイド系重合体(B)]
(b)−1:アルコックス E−300(明成化学社製、ポリエチレンオキサイド、数平均分子量=5.8×10、結晶融解温度=72℃)
(b)−2:アルコックス E−60(明成化学社製、ポリエチレンオキサイド、数平均分子量=3.6×10、結晶融解温度=71℃)
(b)−3:アルコックス R−150(明成化学社製、ポリエチレンオキサイド、数平均分子量=2.2×10、結晶融解温度=68℃)
(b)−4:ポリエチレングリコール #20000(ナカライテスク社製、ポリエチレンオキサイド、数平均分子量=1.4×10、結晶融解温度=66℃)
(b)−5:ポリエチレングリコール #2000(ナカライテスク社製、ポリエチレンオキサイド、数平均分子量=1.8×10、結晶融解温度=39℃)
(b)−6:アルコックス EP−20(明成化学社製、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体、数平均分子量=8×10、結晶融解温度=45℃)
(実施例1)
(a)−1と(b)−1を混合質量比80:20となるように190℃に設定したΦ25mm二軸押出機にて溶融混練し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、厚み100μmのキャストフィルムを得た。このキャストフィルムについて各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
(a)−1と(b)−2を混合質量比80:20となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
(a)−1と(b)−3を混合質量比90:10となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
(a)−1と(b)−3を混合質量比80:20となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
(a)−1と(b)−3を混合質量比70:30となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
(a)−1と(b)−4を混合質量比80:20となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
(a)−1と(b)−6を混合質量比80:20となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
(a)−2と(b)−3を混合質量比80:20となるように190℃に設定したΦ25mm二軸押出機にて溶融混練し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、キャストフィルムを得た。このキャストフィルムについて、縦延伸機を用いて延伸温度60℃で流れ方向(MD)に2.5倍に延伸した後、横延伸機を用いて延伸温度65℃で幅方向(TD)に2.5倍に延伸し、130℃で熱固定を行った。得られた二軸延伸フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
(a)−1を単体で使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
(a)−1と(b)−3を混合質量比60:40となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
(a)−1と(b)−5を混合質量比80:20となるように使用した以外は実施例1と同様にサンプルの作製及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
(a)−2を単独で用い、190℃に設定したΦ25mm二軸押出機にて溶融混練し、Tダイ内からフィルムとして押出し、20℃のキャストロールに密着急冷し、キャストフィルムを得た。このキャストフィルムについて、縦延伸機を用いて延伸温度80℃で流れ方向(MD)に2.5倍に延伸した後、横延伸機を用いて延伸温度85℃で幅方向(TD)に2.5倍に延伸し、140℃で熱固定を行った。得られた二軸延伸フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017186410
実施例1〜6では、実質的に非晶性のポリ乳酸と、数平均分子量Mn=1.4×10〜5.8×10のポリエチレンオキサイドを、90:10〜70:30質量%の混合質量比で使用している。該フィルムは透明性と柔軟性、耐ブリードアウト性に優れることが分かる。
実施例7では、実質的に非晶性のポリ乳酸と、数平均分子量Mn=8×10のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体を、80:20質量%の混合質量比で使用している。該フィルムは、ポリエチレンオキサイド系と同様に、透明性と柔軟性、耐ブリードアウト性に優れることが分かる。
実施例8では、実質的に結晶性のポリ乳酸と、数平均分子量Mn=2.2×10のポリエチレンオキサイドを、80:20質量%の混合質量比で使用し、二軸延伸を施している。該フィルムは結晶化しているにも関わらず、透明性と柔軟性、耐ブリードアウト性に優れることが分かる。
一方、比較例1では、実質的に非晶性のポリ乳酸を単独で使用している。該フィルムは弾性率が高く柔軟性に劣る上、脆く、引張破断伸度が低いことが分かる。
比較例2では、実質的に非晶性のポリ乳酸と、数平均分子量Mn=2.2×10のポリエチレンオキサイドを、60:40質量%の混合質量比で使用している。該フィルムは、ポリエチレンオキサイドの含有量が高すぎるために、引張弾性率が低くハンドリング性が悪い上、また、相分離が生じて透明性が悪化していることが分かる。
比較例3では、実質的に非晶性のポリ乳酸と、数平均分子量Mn=1.8×10のポリエチレンオキサイドを、80:20質量%の混合質量比で使用している。該フィルムは、ポリエチレンオキサイドの分子量が低すぎるために、ポリエチレンオキサイドがブリードアウトしてしまっており、それに伴って透明性も悪化している。
比較例4では、実質的に結晶性のポリ乳酸を単独で使用し、二軸延伸を施している。該フィルムは引張弾性率が高く柔軟性に劣る上、未延伸サンプルと比較すると優れるものの、引張破断伸度が十分でない。

Claims (5)

  1. 乳酸系重合体(A)と、数平均分子量Mnが1.0×10g/mol以上、1.0×10g/mol以下であるアルキレンオキサイド系重合体(B)とを、質量比で(A):(B)=99:1〜70:30の割合で有する乳酸系樹脂組成物。
  2. アルキレンオキサイド系重合体(B)が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、または、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系樹脂組成物。
  3. アルキレンオキサイド系重合体(B)の結晶融解温度が40℃以上、100℃以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乳酸系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸系樹脂組成物を用いた成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸系樹脂組成物を用いた延伸フィルム。
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