JP7268804B2 - 延伸フィルム及び溶断シール袋並びに積層体 - Google Patents

延伸フィルム及び溶断シール袋並びに積層体 Download PDF

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Description

本発明は、延伸フィルム及び溶断シール袋並びに積層体に関する。
樹脂フィルムは、耐湿性、耐水性及び耐油性等の諸性能に優れると共に、良好な機械強度を有することから、食品や薬品等の包装材料、ディスプレイ等の保護フィルムなど、種々の用途に広く適用されており、利用価値の高い機能性材料である。
一方で、近年では、プラスチック材料の廃棄量が増大していること、また、プラスチック材料の焼却処理で発生する二酸化炭素による地球温暖化をもたらす懸念がある等の様々な問題が提起されている。このため、地球環境や人体への配慮等の観点から生分解性を有するバイオマスプラスチックが大きく注目されており、従来のプラスチック材料と、バイオマスプラスチックとを組み合わせた様々な材料開発が盛んに進められている(例えば、特許文献1,2等を参照)。
国際公開第2008/23758号 特表2017-519863号公報
しかしながら、熱可塑性樹脂、特に結晶性の熱可塑性樹脂と、バイオマスプラスチックとは互いに混ざりにくい材料であるため、両者を組み合わせたフィルムを形成するにしても、互いに均一に混ざり合わない(相溶しない)ことが多い。これが原因で、十分に延伸されたフィルムを得ることが難しく、また、透明性も損なわれやすいという様々な問題があることから、結晶性の熱可塑性樹脂とバイオマスプラスチックとをブレンドさせて得られるフィルム材料は、その用途が著しく制限されていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、延伸性に優れ、透明性も高い延伸フィルム及び該延伸フィルムから形成される溶断シール袋並びに積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の融点を有する結晶性ポリオレフィン系樹脂と、特定の融点を有するバイオマスプラスチックとを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
結晶性熱可塑性樹脂Aと、結晶性熱可塑性樹脂Bとを含有する樹脂成分を含む層aを備え、
前記結晶性熱可塑性樹脂Aは、融点が135℃~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂であり、
前記結晶性熱可塑性樹脂Bは、融点が110℃~200℃であるバイオマスプラスチックであり、
前記層aは、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの全質量に対して、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを30~96質量%含有し、
ヘーズが0.5~30%である、延伸フィルム。
項2
前記結晶性熱可塑性樹脂Aの融点と、前記結晶性熱可塑性樹脂Bの融点との差の絶対値が0~50℃である、項1に記載の延伸フィルム。
項3
前記樹脂成分は、前記熱可塑性樹脂Cをさらに含み、
該熱可塑性樹脂Cは、ガラス転移温度が-60℃~10℃である熱可塑性樹脂である、項1又は2に記載の延伸フィルム。
項4
前記層aは、前記樹脂成分の全質量を基準として、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを96~30質量%、前記結晶性熱可塑性樹脂Bを3~60質量%、及び、熱可塑性樹脂Cを1~20質量%含有する、項3に記載の延伸フィルム。
項5
前記熱可塑性樹脂Cは熱可塑性エラストマーである、項3又は4に記載の延伸フィルム。
項6
前記結晶性熱可塑性樹脂Bは脂肪族系ポリエステル樹脂である、項1~5のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項7
前記層aの片面又は両面に層bを備え、
前記層bは、融点が100~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂Dを含有する、項1~6のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項8
前記層bがヒートシール機能を有する、項7に記載の延伸フィルム。
項9
少なくとも片面にヒートシール層を有する、項1~7のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項10
前記結晶性熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度が50℃以下であり、前記結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が-20℃~70℃である、項1~9のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項11
溶断シールに用いられる、項1~10のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
項12
項1~10に記載の延伸フィルムを備える、溶断シール袋。
項12´
項1~10のいずれか1項に記載の延伸フィルムを溶断して形成される、溶断シール袋。
項13
項7又は8に記載の延伸フィルムの製造方法であって、
層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、
前記層aと前記層bとを積層し、横方向の両端部に結晶性熱可塑性樹脂Aからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、延伸フィルムの製造方法。
項14
項7又は8に記載の延伸フィルムの製造方法であって、
層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、
結晶性熱可塑性樹脂Aからなる層cの両面に前記層aを設け、前記層aの層c側とは逆の少なくとも一方の面に層bを設け、横方向の両端部に前記層cからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、延伸フィルムの製造方法。
項15
項1~11のいずれか1項に記載の延伸フィルムと、基材とを有する、積層体。
本発明の延伸フィルムは、延伸性に優れ、透明性も高い。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明の延伸フィルムは、結晶性熱可塑性樹脂Aと、結晶性熱可塑性樹脂Bとを含有する樹脂成分を含む層aを備える。前記結晶性熱可塑性樹脂Aは、融点が135℃~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂であり、前記結晶性熱可塑性樹脂Bは、融点が110℃~200℃であるバイオマスプラスチックである。また、前記層aは、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの全質量に対して、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを30~96質量%含有する。本発明の延伸フィルムは、ヘーズが0.5~30%である。
本発明の延伸フィルムは、バイオマスプラスチック含むにもかかわらず、延伸性に優れ、透明性も高い。なお、念のための注記に過ぎないが、延伸フィルムが延伸性に優れるとは、延伸フィルムを形成するための材料(原反シート)が延伸しやすい結果、得られる延伸フィルムが十分に延伸された状態になり得るであることを意味する。
本発明の延伸フィルムは、層aを少なくとも備える。斯かる層aは、延伸フィルムにおけるコア層としての役割を果たす層である。
層aは、前述のとおり、結晶性熱可塑性樹脂Aと、結晶性熱可塑性樹脂Bとを含有する樹脂成分を含むものである。当該樹脂成分は、必要に応じ、後記する熱可塑性樹脂Cを含むこともできる。まず、樹脂成分に含まれる各成分について説明する。
(結晶性熱可塑性樹脂A)
結晶性熱可塑性樹脂Aは、結晶性であって、融点が135℃~175℃である限り、特にその種類は限定されない。本明細書において、結晶性熱可塑性樹脂とは、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて、窒素流下、-40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持し、20℃/分で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間保持した後、再び20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線に、明確な溶融ピークが現れる熱可塑性樹脂をいう。一方、非晶性熱可塑性樹脂とは、DSCを用いた上記測定において明確な溶融ピークが現れない熱可塑性樹脂をいう。
結晶性熱可塑性樹脂Aとしては、例えば、公知の結晶性ポリオレフィン系樹脂を広く挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンを重合してなるポリマーであり、好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、さらに好ましくは炭素数3~6のオレフィンを重合してなるポリマーを挙げることができる。具体的には、結晶性ポリオレフィン系樹脂として、結晶性であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ(1-ブテン)樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリ(1-ペンテン)樹脂、ポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂が挙げられる。結晶性ポリオレフィン系樹脂は、前記バイオマスプラスチックと混ざりやすい(相溶しやすい)という点で、結晶性ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂は、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
結晶性熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリプロピレン系樹脂である場合、結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、及び、プロピレンとエチレンとの共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。結晶性ポリオレフィン系樹脂が結晶性プロピレン単独重合体である場合は、フィルムの機械強度及び耐熱性が向上しやすく、結晶性ポリオレフィン系樹脂が結晶性プロピレン-エチレン共重合体である場合、低温での折り割れ性が良化し、かつ、表面光沢度を低くしやすい。
また、結晶性ポリオレフィン系樹脂が結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレン共重合体の2成分を含む場合、耐熱性と低温での折り割れ性が共に優れたフィルムが得られやすい。結晶性プロピレン単独重合体と結晶性プロピレン-エチレン共重合体の好ましい質量比率は、結晶性プロピレン単独重合体(P1):結晶性プロピレン-エチレン共重合体(P2)=70:30~99:1であり、より好ましい質量比率はP1:P2=75:25~98:2であり、さらに好ましい質量比率はP1:P2=78:22~97:3である。
結晶性プロピレン単独重合体としては、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂が好ましい。斯かる結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度であるメソペンタッド分率([mmmm])が92%~98%であることが好ましく、93%~97%であることがさらに好ましい。メソペンタッド分率[mmmm]が92%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械強度が得られやすい。一方、メソペンタッド分率[mmmm]を98%以下とすることで、延伸性が良好となりやすい。
上記メソペンタッド分率([mmmm])を測定するための使用できる高温NMR装置は特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置を使用することができ、例として、日本電子株式会社製高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT-NMR)JNM-ECP500を挙げることができる。観測核は13C(125MHz)であり、測定温度は135℃、溶媒にはオルト-ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(体積混合比=4/1))が用いられる。高温NMRによる方法は、公知の方法、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行うことができる。測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準はCH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載が参照される。上記メソペンタッド分率([mmmm])は、ポリプロピレン樹脂の重合条件や触媒の種類、触媒量等の重合条件を、適宜調整することによってコントロールすることができる。
結晶性熱可塑性樹脂Aは、融点が135℃~175℃である。結晶性熱可塑性樹脂Aの融点が135℃未満である場合には、得られる延伸フィルムの耐熱性が低下し、延伸フィルムの生産性が低下するおそれがあり、所望の延伸性も得られない。結晶性熱可塑性樹脂Aの融点が175℃を超える場合には、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bが相溶することが困難となり、所望の延伸性が得られず、また、延伸できたとしても透明又は半透明な外観になりにくい。
結晶性熱可塑性樹脂Aの融点は、好ましくは138℃~170℃、より好ましくは140℃~166℃、さらに好ましくは145℃~164℃、特に好ましくは150℃~163℃である。これによって、延伸フィルムの生産性及び得られる耐熱性が良好となり、加えて、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bが相溶することが容易となり、フィルムの透明性を高めやすい。
結晶性熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、50℃以下とすることができ、-30℃~30℃がより好ましい。
本発明では、結晶性樹脂Aの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
結晶性熱可塑性樹脂Aのメルトマスフローレートは特に限定されない。樹脂の流動性が適度な範囲となり、また、前記微細分散物の大きさが制御しやすくなって、所望の延伸フィルムが作製しやすいという点で、結晶性熱可塑性樹脂Aのメルトマスフローレートは好ましくは0.5g/10分~8g/10分、より好ましくは1g/10分~6g/10分である。本明細書でいうメルトマスフローレートは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
結晶性熱可塑性樹脂Aは公知の方法で製造することができる。例えば、結晶性熱可塑性樹脂Aが結晶性プロピレン単独重合体である場合、チタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中プロピレンを重合する方法、液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合)、気相で重合する方法等により製造することができる。結晶性プロピレン単独重合体は、市販品等から入手することができ、代表的な市販品としては、例えば、株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)シリーズの単独重合体、サンアロマー株式会社製のPC412A等、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)シリーズの単独重合体、Borealis社製Daployシリーズ、大韓油化工業株式会社製5014Lシリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの単独重合体等が挙げられる。
結晶性熱可塑性樹脂Aが結晶性プロピレン-エチレン共重合体である場合、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体のいずれであってもよい。結晶性プロピレン-エチレン共重合体におけるエチレン単位の含有割合は、50質量%以下とすることができる。結晶性プロピレン-エチレン共重合体は公知の方法で製造することができ、あるいは市販品等から入手することができる。代表的な市販品としては、例えば株式会社プライムポリマー社製プライムポリプロ(登録商標)シリーズの共重合体、日本ポリプロ株式会社製のノバテックPP(登録商標)シリーズの共重合体及びウインテック(登録商標)シリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズの共重合体等が挙げられる。
(結晶性熱可塑性樹脂B)
結晶性熱可塑性樹脂Bは、融点が110℃~200℃であるバイオマスプラスチックである限り、つまり、結晶性熱可塑性樹脂Bは、生分解性を有する樹脂である限り、特にその種類は限定されず、例えば、公知のバイオマスプラスチックを広く挙げることができる。結晶性熱可塑性樹脂Bとしては、例えば、生分解性を有する脂肪族系ポリエステル樹脂が挙げられる。
生分解性を有する脂肪族系ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸(ポリ乳酸を除く)、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。天然高分子としては、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等を挙げることができる。結晶性熱可塑性樹脂Bは、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
結晶性熱可塑性樹脂Bは、前記結晶性熱可塑性樹脂Aと均一に混ざりやすく、所望のヘーズを有する延伸フィルムが得られやすいという点で、脂肪族系ポリエステル樹脂が好ましく、中でもポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカン酸、並びに、乳酸及びポリヒドロキシアルカン酸を含む混合モノマーの重合体、からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。
ポリ乳酸としては、例えば、原料モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く使用することができる。なお、ポリ乳酸は、L-乳酸(L体)及びD-乳酸(D体)のいずれかの光学異性体のみ、あるいは、双方を含有することができる。
ポリヒドロキシアルカン酸としては、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸グリコール酸等の少なくとも1種を含むヒドロキシカルボン酸成分の重合体が挙げられる。
乳酸とポリヒドロキシアルカン酸とを含む混合モノマーの重合体としては、乳酸モノマーと前記ヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させて得られる重合体が挙げられる。
結晶性熱可塑性樹脂Bは、融点が110℃~200℃である。結晶性熱可塑性樹脂Bの融点が110℃未満である場合には、得られる延伸フィルムの耐熱性が低下し、延伸フィルムの生産性が低下するおそれがあり、また、結晶性熱可塑性樹脂Aと均一に混ざり合う(相溶する)ことが難しくなり、延伸倍率の調節も難しくなりやすく、また、透明性が高い所望の延伸フィルムを得ることができない。結晶性熱可塑性樹脂Bの融点が200℃を超える場合には、結晶性熱可塑性樹脂Aと均一に混ざり合う(相溶する)ことが難しくなり、延伸倍率の調節も難しく、所望の延伸フィルムを得ることができない。結晶性熱可塑性樹脂Bの融点は、好ましくは120℃~190℃、より好ましくは130℃~185℃、さらに好ましくは140℃~180℃である。
結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度は特に限定されず、例えば、-40℃~70℃とすることができ、0℃~70℃がより好ましい。
本発明では、結晶性熱可塑性樹脂Bの融点及びガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
結晶性熱可塑性樹脂Bのメルトマスフローレートは特に限定されない。樹脂の流動性が適度な範囲となり、また、前記微細分散物の大きさが制御しやすくなって、所望の延伸フィルムが作製しやすいという点で、結晶性熱可塑性樹脂Bのメルトマスフローレートは好ましくは0.5g/10分~15g/10分、より好ましくは1g/10分~10g/10分、さらに好ましくは2g/10分~10g/10分である。本明細書でいうメルトマスフローレートは、JIS K-7210(1999)に準拠し、230℃、21.18Nで測定した値をいう。
結晶性熱可塑性樹脂Bの製造方法は特に限定されず、例えば、公知のバイオマスプラスチックを製造する方法を広く採用することができる。また、結晶性熱可塑性樹脂Bは、市販品等からも入手することができる。ポリ乳酸の代表的な市販品としては、例えば、NatureWorks社製「4032D」(融点163℃)、トタルコービオン社製「L175」(融点175℃)、「LX175」(融点155℃)、「LX930」(融点130℃)等が挙げられる。その他の代表的な結晶性熱可塑性樹脂Bの市販品としては、例えば、Tianan Biologic Material社製のポリヒドロキシアルカノエート「ENMAT(登録商標)Y1000P」、三菱ケミカル株式会社製のポリブチレンサクシネート「BioPBS(登録商標)FZ91」、「BioPBS(登録商標)FD82」等が挙げられる。
(熱可塑性樹脂C)
熱可塑性樹脂Cは、樹脂成分に含まれる任意成分であって、例えば、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの相溶性を高めるための相溶化剤としての役割を果たし得る成分である。熱可塑性樹脂Cは、例えば、ガラス転移温度が-60℃~90℃(好ましくは-60℃~10℃)である熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂Cのガラス転移温度が上記範囲であることで、結晶性樹脂A及び結晶性樹脂Bの相溶性を高めやすく、また、これらの界面に存在する熱可塑性樹脂Cによってフィルムの延伸性が高まりやすい。優れた延伸性を得るには分子運動が束縛されないことが求められるので、延伸温度よりも相当低いガラス転移温度が必要となるからである。
熱可塑性樹脂Cのガラス転移温度は、-55℃~0℃がより好ましい。本発明では、熱可塑性樹脂Cのガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSC)を用いて測定された値である。
熱可塑性樹脂Cは、結晶性及び非晶性のいずれでもよいが、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの相溶性をより高めることができるという点で、非晶性であることが好ましい。つまり、熱可塑性樹脂Cは、示差走査熱量計において、融点が検出されないことが好ましい。
熱可塑性樹脂Cは、具体的に、熱可塑性エラストマーを挙げることができ、例えば、-60℃~90℃(好ましくは-60℃~10℃)のガラス転移温度を有する公知の熱可塑性エラストマーを広く挙げることができる。熱可塑性樹脂Cは、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bそれぞれの樹脂に対する親和性が良好である2以上のセグメントで形成されるランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体等が好ましい。この場合、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの相溶性が高まりやすく、フィルムの透明性を高めやすい。具体的な熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレングラフトポリエチレン、水素添加されたスチレン-ブタジエンブロック共重合体(以下、「SEBS」)、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体とアクリロニトリル-スチレン共重合体のグラフト化合物(以下、「EGMA-g-AS」と略記する)等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂Cのメルトフローレートは特に限定されず、例えば、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bと混練しやすくなるという点で、両者のメルトフローレートと同等もしくは両者のメルトフローレートより高いことが好ましい。
熱可塑性樹脂Cの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の熱可塑性エラストマーを製造する方法を広く採用することができる。また、熱可塑性樹脂Cは、市販品等からも入手することができる。熱可塑性樹脂Cの代表的な市販品としては、例えば、JSR社製の水添SBR「ダイナロン」、旭化成社製「タフテック」、クラレ社製「セプトン」、日油製「モディパーA1100」、「モディパーA1401」「モディパーA3400」、「モディパーA5400」等を挙げることができる。
(層a)
次に、層aの構成について説明する。層aは、前記結晶性熱可塑性樹脂Aと、前記結晶性熱可塑性樹脂Bとを少なくとも有する樹脂成分を含む層である。つまり、層aは、前記樹脂成分によって形成される層である。本発明の延伸フィルムのコア層として機能する層である。
前記層aは、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの全質量に対して、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを30~96質量%含有する。これにより、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bは相溶性が良好となり、所望のヘーズかつ延伸倍率を有する延伸フィルムを得ることができる。また、結晶性熱可塑性樹脂Aの含有割合が上記範囲であることで、所望の透明性を有し、機械強度に優れたフィルムが得られやすくなる。
結晶性熱可塑性樹脂Aの含有割合は、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの全質量に対して、50~90質量%であることがより好ましい。
層aに含まれる結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bはそれぞれ、前述した各種樹脂を挙げることができ、組み合わせは任意とすることができる。中でも、結晶性熱可塑性樹脂Aの融点と、結晶性熱可塑性樹脂Bの融点との差が絶対値で0~50℃であることが好ましい。この場合、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bがより均一に混ざり合うようになり(つまり、両者の相溶性がより高くなり)、延伸倍率の調節がより容易になりやすい。結晶性熱可塑性樹脂Aの融点と、結晶性熱可塑性樹脂Bの融点との差は、0~40℃であることがより好ましく、0~30℃であることがさらに好ましく、0~20℃であることがさらに好ましい。
また、他の一態様において、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの好ましい組み合わせとして、層aに含まれる結晶性熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度が50℃以下であり、結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が-40℃~70℃であることも好ましい。この場合、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bがより均一に混ざり合うようになり(つまり、両者の相溶性がより高くなり)、延伸倍率の調節がより容易になり、また、所望の透明性も有しやすい。この組み合わせにおいて、結晶性熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度は-30℃~30℃であることがさらに好ましい。また、この組み合わせにおいて、結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度は、0℃~60℃であることがより好ましい。
層aに含まれる結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が上記範囲であると共に、互いの融点差が前記範囲である組み合わせが特に好ましい。
層aを形成する前記樹脂成分は、さらに前記熱可塑性樹脂Cを含むこともできる。層aが熱可塑性樹脂Cを含む場合、層aは、樹脂成分の全質量を基準として、結晶性熱可塑性樹脂Aを96~30質量%、結晶性熱可塑性樹脂Bを3~60質量%、及び、熱可塑性樹脂Cを1~20質量%含有することが好ましい。この場合、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bが特に均一に混ざり合うようになり(つまり、両者の相溶性が特に高くなり)、延伸倍率の調節が特に容易になり、また、所望の透明性が特に得られやすい。
層aは、樹脂成分の全質量を基準として、結晶性熱可塑性樹脂Aの含有割合が95~40質量%であることが好ましく、90~50質量%であることがさらに好ましい。層aは、樹脂成分の全質量を基準として、結晶性熱可塑性樹脂Bの含有割合が4~50質量%であることが好ましく、9~40質量%であることがさらに好ましい。層aにおいて、熱可塑性樹脂Cの含有割合は、結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの含有割合に応じて適宜設定することができ、例えば、樹脂成分の全質量を基準として、熱可塑性樹脂Cの含有割合が1~15質量%であることがさらに好ましく、1~10質量%であることが特に好ましい。
層aを構成する前記樹脂成分は、結晶性熱可塑性樹脂A、結晶性熱可塑性樹脂B及び熱可塑性樹脂Cのみからなるものであってもよい。ただし、この場合において樹脂成分に不回避的に含まれる成分までも除外するものではない。また、本発明の効果が阻害されない限り、層aを構成する前記樹脂成分は、結晶性熱可塑性樹脂A、結晶性熱可塑性樹脂B及び熱可塑性樹脂C以外の他の樹脂を含むこともできる。
結晶性熱可塑性樹脂A、結晶性熱可塑性樹脂B及び熱可塑性樹脂C以外の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1-ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1-ペンテン)、ポリメチルペンテン(例えばポリ(4-メチル-1-ペンテン))等のポリオレフィン系樹脂、又は、それらの共重合体樹脂であって、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等の、α-オレフィン同士の共重合体等が例示できる。これらのポリオレフィン系樹脂は、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたものでも良い。また、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂やそれらの共重合体、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体等のビニル単量体-ジエン単量体共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体等のビニル単量体-ジエン単量体-ビニル単量体共重合体等が挙げられる。
他の樹脂の含有量は、層aに含まれる樹脂成分の全質量を基準に15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。他の樹脂の含有量の下限値は、特に限定されないが、例えば0質量%、1質量%などである。
(延伸フィルム)
本発明の延伸フィルムは、少なくとも前記層aを備え、ヘーズが0.5~30%である。ヘーズが0.5%未満であると、フィルムを極端に薄くすることが必要となり実用的な強度に耐えられないという問題が生じる。ヘーズが30%を超えると、透明性が損なわれ、所望の延伸フィルムが得られない。本発明の延伸フィルムのヘーズは、好ましくは0.5~20%、より好ましくは1~15%、さらに好ましくは1~10%である。延伸フィルムのヘーズは、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS-K7361に準拠して測定される値のことである。
本発明の延伸フィルムは、透明又は半透明であることが好ましく、透明であることが、つまり、透明性延伸フィルムであることが好ましい。
本発明の延伸フィルムは、層a(つまり、コア層)のみを備える単層構造とすることができ、あるいは、層a以外の他の層を備える、いわゆる積層構造をすることができる。
本発明の延伸フィルムが積層構造である場合、例えば、層aの片面又は両面に他の層を貼り合わせてなる積層体が挙げられる。斯かる他の層としては、例えば、樹脂で形成される層bを挙げることができる。斯かる層bに含まれる樹脂としては、例えば、融点が100~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂Dが挙げられる。
つまり、本発明の延伸フィルムの一態様としては、前記層aの片面又は両面に層bを備え、前記層bは、融点が100~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂Dを含有する態様が挙げられる。層bはいわゆるスキン層としての役割を果たすことができ、これにより、延伸フィルムがより平滑になって、ヘーズをより小さくすることができ、透明性を高めることができる。
融点が100~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂Dとしては、例えば、前記結晶性熱可塑性樹脂Aと同様、例えば、オレフィンを重合してなるポリマーであり、好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、さらに好ましくは炭素数3~6のオレフィンを重合してなるポリマーを挙げることができる。具体的には、結晶性ポリオレフィン系樹脂として、結晶性であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ(1-ブテン)樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリ(1-ペンテン)樹脂、ポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂が挙げられる他、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体等の、α-オレフィン同士の共重合体等が例示できる。結晶性ポリオレフィン系樹脂Dは、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。層bに含まれる結晶性ポリオレフィン系樹脂Dは、層aに含まれる前記結晶性熱可塑性樹脂Aと同一であってもよい。
層bに含まれる樹脂は、前記結晶性熱可塑性樹脂Dのみであってもよい。あるいは、層bに含まれる樹脂は、前記結晶性熱可塑性樹脂Dと共に、前記結晶性熱可塑性樹脂A、前記結晶性熱可塑性樹脂B及び熱可塑性樹脂Cからなる群より選ばれる1種以上を含むこともできる。さらに、層bに含まれる樹脂は、前述の他の樹脂を含むことができる。つまり、層bに含まれる樹脂は前記結晶性熱可塑性樹脂Dを必須とし、これ以外に、前記結晶性熱可塑性樹脂A、前記結晶性熱可塑性樹脂B、熱可塑性樹脂C及び前記他の樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
延伸フィルムのヘーズをより小さくすることができる点で、層bに含まれる樹脂は、前記結晶性熱可塑性樹脂Dのみであることが好ましい。層bが前記結晶性熱可塑性樹脂D以外を含む場合、層bの全質量に対する前記結晶性熱可塑性樹脂Dの含有割合は80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上である。
層bは、ヒートシール機能を有することもできる。層bがヒートシール機能を有する場合、層bに含まれる前記結晶性熱可塑性樹脂Dは、ポリエチレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体であることが好ましい。なお、ヒートシール機能とは、層bどうしが互いに向き合うように重ねて熱圧着したときに両者が融着する性質を有することを意味する。ヒートシール機能を有しているかどうかは、例えば、ヒートシールテスタTP-701-B(テスター産業製)を用いて130℃、0.5MPa、30秒の条件でヒートシールすることで判断することができる。
本発明の延伸フィルムが層bを備える場合、層bは、層aに直接貼り合わされて積層されてもよいし、あるいは、層a及び層bの間に、他の層が介在されていてもよい。延伸フィルムのヘーズをより小さくすることができる点で、層bは、層aに直接貼り合わされて積層されていることが好ましい。
層bが層aの両面に形成されている場合、互いの層bは同一の成分で形成されていてもよいし、あるいは互いの層は異なる成分で形成されていてもよい。
なお、層aの形成方法、層bの積層方法等は、後記延伸フィルムの製造方法の項で説明する。
本発明の延伸フィルムは、層bと共に、あるいは層bに替えて、層b以外の層を備えることもできる。例えば、層b以外の層としてはヒートシール層が挙げられる。つまり、本発明の延伸フィルムは、少なくとも片面にヒートシール層を有することができる。これにより、延伸フィルムのヒートシール性を向上させることができる。なお、ここでいうヒートシール層とは、前記層b以外の層を意味する。
ヒートシール層の種類は特に限定されず、例えば、延伸フィルムに適用される公知のヒートシール層を広く適用することができる。ヒートシール層は、例えば、各種樹脂(前記結晶性熱可塑性樹脂Dを除く樹脂)で形成することができる。
例えば、ヒートシール層に用いる樹脂としては、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂(前記結晶性熱可塑性樹脂Dを除く樹脂)を挙げることができ、斯かる樹脂である限りは、公知のヒートシール層を形成するための樹脂を広く挙げることができる。特に、ヒートシール層に用いる樹脂としては、結晶性プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、α-オレフィンとしてはエチレンまたは炭素数が4~20のα-オレフィン等が挙げられ、エチレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等を用いることが好ましく、エチレンもしくはブチレンを用いたコポリマーもしくはターポリマーを用いることがさらに好ましく、プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体(住友化学工業株式会社製FL6741G)が特に好ましい。ヒートシール層には本発明の効果を損なわない範囲内で、アクリル樹脂系微粒子やシリカ等のブロッキング防止剤が含まれ得る。
ヒートシール層は、層aに直接貼り合わされて積層されてもよいし、あるいは、層a及びヒートシール層の間に、他の層(例えば、前記層b)が介在されていてもよい。ヒートシール層が層aの両面に形成されている場合、互いのヒートシール層は同一の成分で形成されていてもよいし、あるいは互いの層は異なる成分で形成されていてもよい。
本発明の延伸フィルムは、本発明の効果が阻害されない限り、層b及びヒートシール層以外の層cをさらに備えることができる。層cとしては、例えば、防曇性、帯電防止性、粘着性、非粘着性、平滑性、光沢性、印刷適性、耐ブロッキング性、滑り性、強度付与性、柔軟性付与、酸素ガス、エチレンガス等のガスバリア性、水蒸気バリア性、匂い成分のバリア性、包装内容物の成分移行の防止性、抗菌性、抗カビ性等の各種機能を一つ以上有する層、これら各種機能を一つ以上とヒートシール性を有する層等が挙げられる。
層cは、層aに直接貼り合わされて積層されてもよいし、あるいは、層a及び層cの間に、他の層(例えば、前記層b及び/又はヒートシール層)が介在されていてもよい。層cが層aの両面に形成されている場合、互いの層cは同一の成分で形成されていてもよいし、あるいは互いの層cは異なる成分で形成されていてもよい。
以上のように、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、必要に応じて、層b、ヒートシール層及び層cからなる群より選ばれる少なくとも1種の層が積層されていてもよい。より具体的には、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、この片面又は両面に層bが直接貼り合わされてなる積層体(つまり、b/a/b)を含むことができる。また、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、この片面に層bが直接貼り合わされ、逆側の面には、ヒートシール層又は層cが貼り合わされてなる積層体(つまり、b/a/ヒートシール層、又は、b/a/c)を含むことができる。また、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、この両面にヒートシール層が直接貼り合わされてなる積層体(つまり、ヒートシール層/a/ヒートシール層)を含むことができる。また、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、この両面にc層が直接貼り合わされてなる積層体(つまり、c/a/c)を含むことができる。さらには、本発明の延伸フィルムは、層aをコア層として、この片面にヒートシール層が直接貼り合わされ、逆側の面には、層cが貼り合わされてなる積層体(つまり、ヒートシール層/a/c)を含むことができる。
本発明の延伸フィルムは、好ましくは、層aをコア層として、この片面又は両面に層b及び/又はヒートシール層が直接貼り合わされた積層体であり、より好ましくは、層aをコア層として、この片面又は両面に層bが直接貼り合わされた積層体である。
本発明の延伸フィルムは、層cをコア層とした積層構造であってもよい。好ましくは、層cをコア層として、この両面に層aが直接貼り合わされ、さらに層aの層c側とは逆の少なくとも一方の面に層bが直接貼り合わされた積層構造を有することである。
本発明の延伸フィルムは、必要に応じて、任意成分として、添加剤を含むことができる。添加剤は、例えば、延伸フィルムに適用される公知の添加剤を広く挙げることができ、例として、熱安定剤、酸化防止剤、有機及び無機滑剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、防曇剤、加水分解抑制剤等が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤の例としては、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤や酸化防止剤が例示される。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製「Irganox(登録商標)1010」)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシ)ベンゼン(BASFジャパン株式会社製「Irganox(登録商標)1330」)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン株式会社製「Irgafos(登録商標)168」)等が挙げられる。これらのなかでも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、あるいはフェノール系とホスファイト系との組み合わせ、及びフェノール系とラクトン系、フェノール系とホスファイト系とラクトン系の組み合わせが、フィルムの化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
滑剤の例としては、有機系滑剤として、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリコーン架橋ポリマー、また無機系滑剤として、シリカ、アルミナ等が挙げられるが、印刷用途での印刷版の汚れの少ない有機系滑剤が好ましい。
塩素捕獲剤の例としては、ステアリン酸カルシウムや金属石鹸類、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
帯電防止剤の例としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等が挙げられる。これらのうち2種類以上の帯電防止剤を併用しても良く、さらに脂肪族アルコールを併用しても良い。それらのなかでも、ステアリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステルとステアリルジエタノールアミンを併用すると、帯電防止性能に優れ、印刷適性が向上することから好ましい。帯電防止剤の代表的な市販品の例としては、花王株式会社製エレクトロストリッパー(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
防曇剤の種類は特に制限されず、例えば、一般のポリオレフィンフィルムに用いられる防曇剤を広く例示することができる。例えば、防曇剤として、グリセリン、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールとラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とのエステル、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アルカノールアミド、高級アルコールリン酸エステル塩、及びその混合物等が挙げられる。
加水分解安定剤抑制剤の種類は特に制限されず、例えば、加水分解を防止または抑制する機能を有するものを広く挙げることができる。加水分解安定剤抑制剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物などから選ばれる少なくとも1種の従来公知の適宜の耐加水分解安定剤を用いることができる。ここで、カルボジイミド化合物とは、分子中に1個以上のカルボジイミドを意味する。本発明における加水分解抑制剤としては、上述した結晶性熱可塑性樹脂Bの水酸基および/またはカルボキシル基と反応性を有する官能基を有するものであることが好ましく、このような官能基としては、たとえばエポキシ基、カルボジイミド基、アミノ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、無水カルボン酸基、無水フタル酸などが挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂の一部を構成する水酸基および/またはカルボキシル基との反応性の高さからは、カルボジイミド基が好ましく、このカルボジイミド基を分子中に1個以上有する化合物であるカルボジイミド化合物を加水分解抑制剤として用いることが好ましい。
上述したカルボジイミド化合物としては、具体的には、分子内に1個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としてイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミドなどが例示され、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としては、1,3-フェニレンジイソシアナート、1,4-フェニレンジイソシアナート、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアナート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアナート、1,4-シクロヘキサンジイソシアナート、1-メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアナート、1-メチル―2、6-シクロヘキサンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどが例示される。良好な加水分解抑制性を示す観点からは、分子内に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物を加水分解抑制剤として用いることが、好ましい。
添加剤は、層aに含まれていてもよいし、本発明の延伸フィルムが層a以外の他の層(層b、ヒートシール層、層c等)を備える場合は、当該他の層が添加剤を含むこともできる。添加剤の含有割合は、本発明の効果が損なわれない程度で任意に調節することができ、例えば、延伸フィルムの全質量を基準に1質量%以下とすることができ、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好まし、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の延伸フィルムの厚みは特に限定されず、その使用用途に応じて適宜設定することができる。延伸フィルムの厚みは、例えば、10~150μmであることが好ましく、より好ましくは15~100μm、さらに好ましくは20~60μmである。
本発明の延伸フィルムは、溶断シール袋用、包装用、食品包装用、薬品包装用、装飾用(ファッション用含む)、ラベル用、テープ用基材、印刷用基材、文具用、家電用、ポスター用紙、感熱紙基材、記録用紙基材、住宅の内装用及び外装用、自動車用、容器等に好適に用いることができる。
本発明の延伸フィルムが溶断シールに用いられる場合、延伸フィルムを溶断する方法は特に限定されず、公知の方法を広く採用することができ、例えば、各種の溶断シール袋を得ることができる。前述の延伸フィルムを溶断して形成される溶断シール袋は、高い透明性を有するものであり、また、溶断シール強度も高いものである。従って、本発明の延伸フィルムが溶断シール袋への使用に特に好適である。
本発明の延伸フィルムは、延伸フィルムと、基材とを有する積層体として使用されることが好ましい。すなわち、本発明は、当該積層体も包含する。
延伸フィルムと基材とは、これらの間に接着剤層または接着樹脂層を備えて、ドライラミネーション法、溶融押出しラミネーション法といった公知のラミネート加工によって、必要によりコロナ処理等の表面処理を施して、貼合することがきる。
基材としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタラートやポリエチレンナフタラート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムまたはシート、紙等が挙げられる。これらのなかでも、柔軟性、ヒートシール性の観点から、基材としてポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレン(CPP)を使用することが好ましい。基材にはバイオマスプラスチックが含有されることが好ましい。
(延伸フィルムの製造方法)
本発明の延伸フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bを少なくとも含む樹脂原料を押出成形して樹脂シートを得て、この樹脂シートの延伸を施すことにより、本発明の延伸フィルムを製造することができる。斯かる製造方法を「製造方法A」と略記する。
製造方法Aで使用する樹脂原料は、必要に応じて、前記熱可塑性樹脂Cを含むことが好ましい。さらに、製造方法Aで使用する樹脂原料は、必要に応じて他の樹脂及び/又は添加剤が含まれていてもよい。樹脂原料中の各成分の含有割合は、前述の層aに含まれる樹脂成分中の各樹脂の含有割合と同様である。従って、例えば、延伸フィルムの製造方法で使用する樹脂原料の全質量を基準として、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを96~30質量%、前記結晶性熱可塑性樹脂Bを3~60質量%、及び、熱可塑性樹脂Cを1~20質量%含有することができる。
当該樹脂原料の調製方法は、例えば、公知の調製方法と同様とすることができ、樹脂のペレットや粉体等を、タンブラーやミキサー等のバッチ式混合装置や、あるいは連続計量式混合装置を用いてドライブレンドする方法;もしくは、樹脂のペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体及び/又は添加剤と共に混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンド樹脂組成物を得る方法;等が挙げられる。中でも、溶融混錬することで、樹脂原料を調製することが好ましく、この場合、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bが均一に混ざりやすく、所望のヘーズを有する延伸フィルムが得られやすい。
溶融混練に用いる混練機としては公知の混錬機を使用でき、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いてよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のいずれの混練タイプをも用いてよい。前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bが均一に混ざりやすい点で、同方向回転の2軸スクリュータイプの混錬機が好ましい。
溶融混錬の混練温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。上記温度範囲とすることで、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び前記結晶性熱可塑性樹脂Bがより均一に混ざり合うことができる。溶融混錬の際の樹脂の劣化防止のため、窒素等の不活性ガスをパージすることもできる。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによってメルトブレンド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
製造方法Aでは、上述の通り得られた樹脂原料を用いて樹脂シートを得ることができる。具体的には、樹脂原料を押出機に供給し、加熱溶融して、必要に応じて、フィルター等により微小異物等を除去した後、Tダイよりシート状に溶融押出することで、樹脂シートを得ることができる。
樹脂シートを得るために使用する押出機は、例えば、公知の押出機を広く使用することができる。押出機のスクリュータイプに制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いて良く、樹脂原料を前記ドライブレンドで調製した場合は、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いると混合及び分散性に優れやすい。押出温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。押出の際の樹脂の熱劣化防止のため、窒素等の不活性ガスパージをすることができる。
溶融押出された樹脂シートは、例えば、25~120℃の温度に設定した少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアナイフや他のロール、又は静電気等により密着させるといった公知の方法により、シート状に成形され、樹脂シートは、いわゆる原反シートとして得られる。金属ドラムのより好ましい温度は30~80℃である。
製造方法Aは、例えば、積層工程をさらに備えることができ、これにより、積層構造を有する樹脂シートを得ることができる。例えば、層aの片面または両面に前記層bが形成された延伸フィルムを得ようとする場合、及び/又は、前記ヒートシール層を有する延伸フィルムを得ようとする場合に、製造方法Aは積層工程を備えることができる。
積層工程では、例えば、従来から採用されている積層方法を広く使用することができ、例えば、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法等を用いて積層することにより得られるフィルムが挙げられる。
具体的には、積層構造を有する延伸フィルムを製造する場合、2以上のドライブレンド及び/又はメルトブレンド樹脂組成物(各樹脂組成物の組成は異なっていても同じであってもよい)を共押出して積層構造を有する樹脂シートを得て、斯かる積層構造を有する樹脂シートを延伸させることができる。あるいは、単層構造の延伸フィルムと、他のフィルムとをラミネートすることによっても積層構造を有する延伸フィルムを製造することができる。その他、単層として押出しされた無延伸フィルムを2層以上互いに貼り合わせて得られる多層無延伸フィルム(各層を構成する樹脂組成物の組成は異なっていても同じであってもよい)を延伸することによっても積層構造を有する延伸フィルムを製造することができる。
前記共押出法としては、溶融樹脂を金型手前のフィードブロック内で接触させるダイ前積層法、金型、例えばマルチマニホールドダイの内部の経路で接触させるダイ内積層法、同心円状の複数リップから吐出し接触させるダイ外積層法等が挙げられる。例えばダイ内積層法の場合には、3層マルチマニホールドダイ等の多層ダイを用いて、表層(スキン層:層b)とコア層(中間層:層a)からなる、層b/層a/層bの3層の層構成などとすることができる。
ラミネート法としては、Tダイ法に用いる溶融押出成型法の設備を使用し、溶融樹脂のフィルムを別のフィルム上に直接押し出して積層フィルムを成型する押出ラミネート法等が挙げられる。
ヒートシール法としては、貼り合わせた複数のフィルムに加熱した金属体をフィルム外部から押し当て、伝導した熱がフィルムを溶融させて接着する外部加熱法、及び高周波の電波や超音波によってフィルムに熱を発生させ接合する内部発熱法等が挙げられる。
製造方法Aでは、上記の積層方法を単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
以上のように、製造方法Aが積層工程を有する場合、樹脂シートは積層構造を有することができ、製造方法Aが積層工程を有さない場合、樹脂シートは単層構造を有する。単層構造を有する樹脂シートを用いて後記延伸をすることで、層aからなる延伸フィルムを得ることができる。積層構造を有する樹脂シートを用いて後記延伸をする場合は、層aを少なくとも備える多層の延伸フィルムを得ることができる。
製造方法Aでは、上述の単層又は積層構造を有する樹脂シート(原反シート)の延伸を施す。延伸方法としては、周速差を設けたロール間で延伸する方法、テンター法、チューブラー法等公知の方法を用いることができる。延伸方向としては、一軸延伸、二軸延伸、斜め方向への二軸延伸等が可能であり、二軸以上の延伸では、逐次延伸及び同時延伸がいずれも適用可能である。これらのうち所望の延伸フィルムが得られ易い点から、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、及び周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が好ましい。以下、逐次二軸延伸法により本発明の延伸フィルムを得る方法を説明するが、これに限定されるものではない。
逐次二軸延伸方法では、使用する樹脂の融点及びガラス転移温度により延伸温度や延伸倍率を調整することが好ましい。まず、樹脂シート(原反シート)を好ましくは100~180℃、より好ましくは120~170℃の温度に保ち、周速差を設けたロール間に通して、あるいはテンター法にて、縦方向に好ましくは2~10倍、より好ましくは2.5~8倍、さらに好ましくは3~6倍に延伸する。引き続き、当該延伸フィルムをテンター法にて、好ましくは100~180℃、より好ましくは120~175℃の温度で、横方向に好ましくは2~12倍、より好ましくは2.5~11.5倍、さらに好ましくは3~11倍に延伸した後、緩和、熱セットを施し巻き取る。
巻き取られたフィルムは、好ましくは20~45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、所望の製品幅に断裁することができる。こうして延伸性、透明性、機械的強度等に優れた延伸フィルムが得られる。
製造方法Aの好ましい一態様として、層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、前記層aと前記層bとを積層し、横方向の両端部に結晶性熱可塑性樹脂Aからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、方法が挙げられる。斯かる方法によれば、フィードブロック、単層Tダイを用いて横方向の両端部に粘着性の低い単層部を設けることができ、テンター法にて単層部をクリップで把持して少なくとも横方向に延伸した後に、単層部をトリミングすることによって、層aを少なくとも備える多層の延伸フィルムを得ることができる。これにより、特に両面ヒートシールタイプでは、ヒートシール性の樹脂がロール、テンタークリップ等に粘着して汚れを発生させる虞がない。単層部の幅(片側)は、特に限定されず、未延伸の樹脂シートの全幅に対して1~30%程度であることが好ましく、2~30%程度であることがより好ましい。
製造方法Aの好ましい一態様として、層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、結晶性熱可塑性樹脂Aからなる層cの両面に前記層aを設け、前記層aの層c側とは逆の少なくとも一方の面に層bを設け、横方向の両端部に前記層cからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、方法が挙げられる。斯かる方法によれば、フィードブロック、ディッケル、多層Tダイを用いて横方向の両端部に粘着性の低い単層部を設けることができ、テンター法にて単層部をクリップで把持して少なくとも横方向に延伸した後に、単層部をトリミングすることによって、層aを少なくとも備える多層の延伸フィルムを得ることができる。これにより、特に両面ヒートシールタイプでは、ヒートシール性の樹脂がロール、テンタークリップ等に粘着して汚れを発生させる虞がない。単層部の幅(片側)は、特に限定されず、未延伸の樹脂シートの全幅に対して1~30%程度であることが好ましく、2~30%程度であることがより好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例及び比較例で用いた樹脂は、以下の通りである。
(結晶性熱可塑性樹脂A)
・樹脂A-1:プライムポリプロ(登録商標)F-300SP(株式会社プライムポリマー製)
・樹脂A-2:ウインテック(登録商標)WFW5T重合体(日本ポリプロ株式会社製、融点142℃
(結晶性熱可塑性樹脂B)
・樹脂B-1:Luminy(登録商標)LX175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
・樹脂B-2:Luminy(登録商標)L175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
・樹脂B-3:Luminy(登録商標)LX930(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
・樹脂B-4:ENMAT(登録商標)Y1000P(Tianan Biologic Material社製、ポリヒドロキシアルカノエート)
・樹脂B-5:BioPBS(登録商標)FZ91(三菱ケミカル株式会社製、ポリブチレンサクシネート)
(熱可塑性樹脂C)
・樹脂C-1:モディパーA4400(日油株式会社製、スチレン-アクリロニトリル共重合体グラフトエチレン-メタクリル酸グリシジル共重合体)
・樹脂C-2:モディパーA1100(日油株式会社製、スチレングラフトポリエチレン)
・樹脂C-3:ダイナロン9901P(JSR株式会社製、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体)
(結晶性ポリオレフィン系樹脂D)
・樹脂D-1:プライムポリプロ(登録商標)F-300SP(株式会社プライムポリマー製)
・樹脂D-2:タフマーBL3450(三井化学株式会社製、1-ブテン・エチレン共重合体、融点104℃)
・樹脂D-3:5C37F(サンアロマー株式会社製、エチレンープロピレンー1-ブテン共重合体、融点142℃)
(結晶性熱可塑性樹脂A以外の結晶性ポリオレフィン系樹脂)
・樹脂a-1:タフマーBL3110M(三井化学株式会社製、融点110℃)
・樹脂a-2:TPX MX-002(三井化学株式会社製、ポリメチルペンテン 融点224℃)
(結晶性熱可塑性樹脂B以外のバイオマスプラスチック)
・樹脂b-1:BioPBS(登録商標)FD82(三菱ケミカル株式会社製、ポリブチレンサクシネート)
(その他の樹脂)
・樹脂d-1:PA1010(アルケマ株式会社製、ポリアミド)
[樹脂の融点、ガラス転移温度]
実施例及び比較例で使用した樹脂の融点、ガラス転移温度は、パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。各樹脂を5mg量り取り、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットした。窒素流下、-40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持し、20℃/分で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間保持した。その後再び20℃/分で300℃まで昇温する際のDSC曲線より、融点およびガラス転移温度を求めた。JIS-K7121の9.1(1)に定める溶融ピーク(複数の溶融ピークを示す場合は最大の溶融ピーク)を融点とし、JIS-K7121の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
[フィルムの厚み]
延伸フィルムの厚みは、シチズンセイミツ株式会社製紙厚測定器MEI-11を用いて、JIS-C2330に準拠して測定した。
[フィルムのヘーズ]
延伸フィルムのヘーズは、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS-K7361に準拠して測定した。
[延伸性]
延伸性はブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて評価した。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸方法を採用した。設定温度150℃のオーブン内にて、原反シートを予熱してフィルム温度(Ts)が135℃に達してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて延伸倍率5倍に延伸した。次いで同オーブン内にてフィルム温度(Ts)が145℃に達してから、横方向に延伸速度1倍/秒にて延伸倍率10倍に延伸した。得られた延伸フィルムの延伸性を下記判定基準で評価した。
<延伸性の判定基準>
◎:延伸フィルムが均一に延伸され、かつ、厚み変動が小さく、延伸性に特に優れていた。
〇:延伸フィルムが均一に延伸されており、延伸性に優れていた。
△:延伸フィルムの一部に延伸ムラが見られ、及び/又は亀裂が生じ、延伸性に劣っていた。
×:延伸できずに破断した。
[60度光沢度]
各実施例及び比較例で得られた延伸フィルムの60度光沢度は、株式会社村上色彩技術研究所製変角光沢計GM-3D型を用いて、JIS Z 8741(方法3)に準拠して測定した。なお、当該測定では、フィルムの縦方向および横方向について測定し、両者を平均した値を60度光沢度とした。
[引張弾性率及び引張強度]
各実施例及び比較例で得られた延伸フィルムの引張弾性率及び引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。具体的に、引張試験機(L&W社製、Tensile Tester CODE SE-064)を用いて、温度23℃、相対湿度50%における引張弾性率及び引張強度を測定した。
[ヒートシール性評価法]
ヒートシール機能又はヒートシール層を有する延伸フィルム2枚をそれぞれ、MD方向250mm、TD方向50mmにカットして、測定用サンプルを準備した。この2枚の測定用サンプルを、23℃、50%RHの環境下で、互いのヒートシール面どうしを重ね合わせた。この状態で、熱傾斜式ヒートシーラー HG-100-2(株式会社東洋精機製作所製)を用い、シール温度110℃、シール圧力200KPa、シール時間2秒、ヒートシール部の幅(フィルムのMD方向に相当)1cmの条件でヒートシール処理を行い、下記判定基準でヒートシール性を評価した。
<ヒートシール性の判定基準>
◎:ヒートシール部が融着し、かつ、剥がしにくいものであり、ヒートシール性に特に優れていた。
〇:ヒートシール部が融着しており、ヒートシール性に優れていた。
×:ヒートシール部が融着せず簡単に剥がれ、ヒートシール性に劣っていた。
[溶断シール強度(溶断性)評価法]
溶断シール袋は自動製袋機(キョウエイ株式会社製)を用い、シール刃の温度を、400℃、製袋速度を90ショット/分の条件で遠心フィルムの溶断処理をおこなった。得られた溶断シール袋から、シール方向と垂直な方向へ幅が15mmの短冊状にサンプルを切り出した。この短冊サンプルにつき、溶断シール部が中央に位置するように180°開いて両端をチャックに挟み、溶断シール部を剥離するように引張試験を行った。引張速度300mm/分にて試験を行い、溶断シール部分が破断するときの強度を溶断シール強度(単位:N/15mm)とした。
(実施例1)
後掲の表1に示すように、層aを形成するためのA成分の樹脂として35質量部の前記樹脂A-1(結晶性ポリプロピレン単独重合体、MFR=3g/10分、融点160℃、ガラス転移温度-7℃)のペレットと、層aを形成するためのB成分の樹脂として65質量部の前記樹脂B-1(MFR=8g/10分、融点155℃、ガラス転移温度57℃)のペレットとを混合し、ミキサーにてドライブレンドして樹脂原料を調製した。得られた樹脂原料を、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル(登録商標)(モデル4C150)にストランドダイを備えた2軸押出機(L/D=25)を接続した装置に、ホッパーから投入し、230℃にて溶融混錬した。樹脂原料をストランド状に押し出し、水冷後、ストランドカッターにてペレット状に断裁して、メルトブレンド樹脂組成物ペレットを得た。メルトブレンド樹脂組成物ペレットを、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入して溶融し、単層ダイより押し出した。押し出された樹脂層を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度150℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)が135℃に達するまで予熱してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて5倍まで延伸した。次いで、設定温度165℃のオーブン内にてフィルム温度が145℃に達するまで予熱し、横方向に延伸速度1倍/秒にて10倍まで延伸した。次いで同オーブン内にて、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を9.5倍まで緩和し、次いで10秒間熱セットした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。
(実施例2~7、比較例1~5)
層aを形成するためのA成分の樹脂及びB成分の樹脂の種類及びこれらの使用割合を、後掲の表1に示すように設定して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ26.6μmの延伸フィルムを得た。
(実施例8~12)
A成分(結晶性熱可塑性樹脂A)及びB成分(結晶性熱可塑性樹脂B)に加えてC成分(熱可塑性樹脂C)を用いて樹脂原料を調製した。具体的に、層aを形成するためのA成分の樹脂及びB成分の樹脂の種類及び使用量を後掲の表1に示すように設定し、さらに、層aを形成するためのC成分の種類及び使用量を表1に示すように設定して樹脂原料を調製したこと以外は実施例1と同様の方法で厚さ26.6μmの延伸フィルムを得た。
(実施例13)
後掲の表1に示すように、層aを形成するためのA成分の樹脂として70質量部の前記樹脂A-1(結晶性ポリプロピレン単独重合体、MFR=3g/10分、融点160℃、ガラス転移温度-7℃)のペレットと、層aを形成するためのB成分の樹脂として30質量部の前記樹脂B-1(MFR=8g/10分、融点155℃、ガラス転移温度57℃)のペレットと、層aを形成するためのC成分の樹脂として2質量部の前記樹脂C-3のペレットを混合し、ミキサーにてドライブレンドして、層a用の樹脂原料aを調製した。また、前記樹脂A-1のペレットを、層b用の樹脂原料bとして調製した。
得られた樹脂原料aを、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル(登録商標)(モデル4C150)にストランドダイを備えた2軸押出機(L/D=25)を接続した装置に、ホッパーから投入し、設定温度260℃にて溶融混錬した。樹脂原料をストランド状に押し出し、水冷後、ストランドカッターにてペレット状に断裁して、ペレットaを得た。同様にして樹脂原料bのペレットbを得た。
ペレットaを、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入し、また、ペレットbを、押出機aとは別の一軸スクリュータイプ押出機bにホッパーから投入した。上記ペレットa、上記ペレットbをそれぞれ溶融させ、これらを3層マルチマニホールドダイ内部にてb-a-bの3層構成に積層し、3層積層樹脂層として押し出した。一軸スクリュータイプ押出機aと一軸スクリュータイプ押出機bの押出樹脂量の比率は2:1とした。押し出された樹脂層を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度150℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)を135℃に達するまで予熱してから、縦方向に延伸速度6倍/秒にて5倍まで延伸した。次いで設定温度165℃のオーブン内にてフィルム温度が145℃に達するまで予熱してから、横方向に延伸速度1倍/秒にて10倍まで延伸した。次いで同オーブン内にて、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を9.5倍まで緩和し、次いで10秒間熱セットした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚さ27.1μmの延伸フィルムを得た。
(実施例14~15、比較例6~7)
層aを形成するためのA成分の樹脂、B成分の樹脂及びC成分の樹脂の種類及び使用量、並びに、層bを形成するための樹脂の種類を後掲の表1に示すように設定して樹脂原料a並びに樹脂原料bをそれぞれ調製したこと以外は実施例13と同様の方法で厚さ30.8μmの延伸フィルムを得た。
Figure 0007268804000001
表1には、各実施例及び比較例で得た延伸フィルムの作製条件と、評価結果を示している。実施例で得られた延伸フィルムは、特定の融点を有する結晶性ポリオレフィン系樹脂と、特定の融点を有するバイオマスプラスチックとが所定の割合で形成される層aを備えることから、延伸性に優れ、透明性が高いものであった。また、実施例13~15の延伸フィルムは、溶断シール強度が大きいことから、溶断シール袋への使用に好適であることも示された。なお、比較例1,2,4及び7では、延伸フィルムを得ることができなかった。

Claims (14)

  1. 結晶性熱可塑性樹脂Aと、結晶性熱可塑性樹脂Bとを含有する樹脂成分を含む層aを備え、
    前記層aは単層構造であり、
    前記結晶性熱可塑性樹脂Aは、融点が135℃~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂であり、
    前記結晶性熱可塑性樹脂Bは、脂肪族系ポリエステル樹脂であり、かつ、融点が110℃~200℃であるバイオマスプラスチックであり、
    前記層aは、前記結晶性熱可塑性樹脂A及び結晶性熱可塑性樹脂Bの全質量に対して、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを30~96質量%含有し、
    ヘーズが0.5~30%である、延伸フィルム。
  2. 前記結晶性熱可塑性樹脂Aの融点と、前記結晶性熱可塑性樹脂Bの融点との差の絶対値が0~50℃である、請求項1に記載の延伸フィルム。
  3. 前記樹脂成分は、前記熱可塑性樹脂Cをさらに含み、
    該熱可塑性樹脂Cは、ガラス転移温度が-60℃~10℃である熱可塑性樹脂である、請求項1又は2に記載の延伸フィルム。
  4. 前記層aは、前記樹脂成分の全質量を基準として、前記結晶性熱可塑性樹脂Aを96~30質量%、前記結晶性熱可塑性樹脂Bを3~60質量%、及び、熱可塑性樹脂Cを1~20質量%含有する、請求項3に記載の延伸フィルム。
  5. 前記熱可塑性樹脂Cは熱可塑性エラストマーである、請求項3又は4に記載の延伸フィルム。
  6. 前記層aの片面又は両面に層bを備え、
    前記層bは、融点が100~175℃である結晶性ポリオレフィン系樹脂Dを含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  7. 前記層bがヒートシール機能を有する、請求項に記載の延伸フィルム。
  8. 少なくとも片面にヒートシール層を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  9. 前記結晶性熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度が50℃以下であり、前記結晶性熱可塑性樹脂Bのガラス転移温度が-40℃~70℃である、請求項1~のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  10. 溶断シールに用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の延伸フィルムを備える、溶断シール袋。
  12. 請求項6又は7に記載の延伸フィルムの製造方法であって、
    層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、
    前記層aと前記層bとを積層し、横方向の両端部に結晶性熱可塑性樹脂Aからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、延伸フィルムの製造方法。
  13. 請求項6又は7に記載の延伸フィルムの製造方法であって、
    層aの片面又は両面に層bを設ける工程を具備し、
    結晶性熱可塑性樹脂Aからなる層cの両面に前記層aを設け、前記層aの層c側とは逆の少なくとも一方の面に層bを設け、横方向の両端部に前記層cからなる単層部を設けて樹脂シートとなし、少なくとも前記両端部となる単層部を把持して延伸する、延伸フィルムの製造方法。
  14. 請求項1~10のいずれか1項に記載の延伸フィルムと、基材とを有する、積層体。
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