JP2024005496A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板に付着することを抑制する。【解決手段】基板処理装置2は、基板9が水平状態で支持される第1支持状態において、基板9が取り付けられるとともに基板9の周囲に広がる取付部材81を支持する支持部32と、第1支持状態において、基板9の周辺に近接して配置される、取付部材81の部位を基板周辺部として、基板9の周囲にて取付部材81を変形しつつ基板9を基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態を形成する昇降部33と、第2支持状態において基板9の上面に処理液を供給して、上面を処理する処理液供給部42とを備える。これにより、処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板9に付着することを抑制することができる。【選択図】図4
Description
本発明は、基板処理装置に関する。
近年、半導体基板等の基板の表面にキャリア基板を貼り合わせた状態で、基板の裏面を研削することにより、基板の薄板化が行われている。裏面の研削後、エッチングにより研削歪が除去される。また、内側にフィルム(剥離テープとも呼ばれる。)が設けられたフレームが準備され、基板の裏面が当該フレームの内側にてフィルムに貼着される。続いて、フィルム上の基板からキャリア基板が剥離される。その後、基板の表面が洗浄され、接着剤の残渣等の不要物が除去される。
特許文献1の装置では、キャリア基板ホルダを用いてキャリア基板が引っ張られ、フィルムの変形を伴ってキャリア基板が基板から剥離される。特許文献2では、基板よりも外側にはみ出したフィルム(粘着テープ)の露出面とフレームとに保護膜が形成され、その後、基板が洗浄液により洗浄される。これにより、接着剤中のフィラーなどに由来する溶解残渣物が、上記露出面およびフレームに付着することが防止される。
ところで、キャリア基板の剥離後、基板処理装置において基板の表面を洗浄する場合、フレームが支持部により支持された状態で、基板の表面に処理液である洗浄液が供給され、不要物が基板の表面から除去される。しかしながら、基板の周辺に近接して配置される基板周辺部(フレーム、フィルム、支持部等)に、当該不要物が付着することがある。この場合、基板の表面から周囲に飛散する洗浄液が、基板周辺部にて跳ね返り、不要物を含む処理液が基板に付着する、すなわち、不要物が基板に再付着する可能性がある。
基板周辺部から跳ね返る処理液の基板への付着は、フレームおよびフィルムを用いない場合も生じ得る。例えば、基板の外縁部を支持部により直接的に支持する基板処理装置において、基板の表面を処理液により処理する場合に、基板周辺部である支持部から跳ね返る処理液が基板に付着し、基板が汚染されることがある。したがって、処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板に付着することを抑制する手法が求められている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板に付着することを抑制することを目的としている。
本発明の態様1は、基板処理装置であって、基板が水平状態で支持される第1支持状態において、前記基板が取り付けられるとともに前記基板の周囲に広がる取付部材を支持する、または、前記基板の外縁部を直接的に支持する支持部と、前記第1支持状態において、前記基板の周辺に近接して配置される、前記取付部材または/および前記支持部の部位を基板周辺部として、前記基板の周囲にて前記取付部材を変形しつつ前記基板を前記基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、または、前記支持部による前記基板の直接的な支持を解除しつつ前記基板を前記基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、前記基板周辺部に対する前記基板の相対位置が前記第1支持状態よりも上方となる第2支持状態を形成する昇降部と、前記第2支持状態において前記基板の上面に処理液を供給して、前記上面を処理する処理液供給部とを備える。
本発明の態様2は、態様1の基板処理装置であって、前記取付部材が、前記基板の下面に貼着され、前記基板の外側に広がるフィルムと、前記基板の周囲を囲むとともに、前記フィルムが接続されるフレームとを備え、前記支持部が、前記第1支持状態において前記取付部材を支持し、前記第2支持状態において前記基板の周囲にて前記フィルムが変形している。
本発明の態様3は、態様1または2の基板処理装置であって、前記第2支持状態において前記基板の前記上面を覆う遮断板をさらに備え、前記処理液供給部のノズルが、前記遮断板に設けられる。
本発明の態様4は、態様1または2(態様1ないし3のいずれか1つであってもよい。)の基板処理装置であって、前記基板周辺部の上方の雰囲気を吸引する吸引部をさらに備える。
本発明の態様5は、態様1または2(態様1ないし4のいずれか1つであってもよい。)の基板処理装置であって、前記基板周辺部に洗浄液を直接的に供給する周辺洗浄部をさらに備える。
本発明の態様6は、態様1または2(態様1ないし5のいずれか1つであってもよい。)の基板処理装置であって、前記支持部が、前記取付部材または前記基板を保持するチャック部を有し、前記昇降部が、前記基板の下面に対向する対向部を上昇させることにより、前記第2支持状態を形成する。
本発明の態様7は、態様1または2(態様1ないし6のいずれか1つであってもよい。)の基板処理装置であって、前記基板の前記上面への前記処理液の供給後、前記第2支持状態において前記基板および前記支持部を回転することにより、前記基板および前記支持部を乾燥する基板回転機構をさらに備える。
本発明によれば、処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板に付着することを抑制することができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板転写装置1の構成を示すブロック図である。基板転写装置1は、基板受けステージ11と、UV照射装置12と、アライメント装置13と、フレームマウント装置14と、剥離装置15と、基板処理装置2と、基板収納カセット16と、搬送機構(図示省略)とを備える。搬送機構は、例えば、モータ等を含む搬送ロボットであり、これらの構成の間における基板9の搬送を担う。基板転写装置1の各構成は、CPU等を有する制御部(図示省略)により制御される。
図2は、基板転写装置1における処理を説明するための図である。基板転写装置1では、図2の上段に示すように、表面91にキャリア基板89が張り合わされた基板9が、基板受けステージ11に載置される。基板9は、例えば、半導体基板であり、表面91には回路パターンが形成されている。キャリア基板89は、例えば、ガラス基板等であり、基板9と略同じサイズである。基板9とキャリア基板89との間には、接着剤の層である接着層88が設けられる。接着層88の接着剤として、接着性を有する様々な樹脂を利用することが可能であり、フィラーを含んでもよい。また、接着剤の調製において有機溶剤が用いられてもよい。本処理例における接着層88は、紫外線の照射により分解される光吸収剤を含む。後述するように、接着層88に対する紫外線の照射により、接着層88における粘着力が低下する。上記樹脂、フィラー、有機溶剤および光吸収剤として、例えば、特開2013-247299号公報(上記特許文献2)に記載のものが利用可能である。
基板転写装置1への搬送前に、基板9の表面91にキャリア基板89が張り合わされ、グラインド装置により基板9の裏面92が研削されて基板が薄板化される。また、裏面92の研削後、バックサイドエッチング装置により裏面92がエッチングされ、研削歪が除去される。バックサイドエッチング装置では、ウエットエッチングまたはドライエッチング(プラズマエッチング)のいずれが行われてもよい。その後、基板9が基板転写装置1に搬送され、基板受けステージ11に載置される。
基板転写装置1のUV照射装置12では、基板9に対してキャリア基板89側から紫外線(UV)が照射される。これにより、接着層88における粘着力が低下する。続いて、アライメント装置13において基板9のノッチの向きが所定方向に合わせられる。その後、フレームマウント装置14において、図2の中段に示すように、基板9が取付部材81に取り付けられる。
図3は、基板9が取り付けられた取付部材81を示す平面図である。図3では、後述するように、キャリア基板89が剥離された基板9を示している。取付部材81は、基板9が取り付けられる部材であり、基板9の周囲に広がる。詳細には、図2の中段、および、図3に示すように、取付部材81は、フィルム82(剥離テープとも呼ばれる。)と、フレーム83とを備える。フィルム82は、フィルム本体と、フィルム本体上に設けられた粘着層とを備える。フィルム本体は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリオレフィン、または、ポリプロピレン等の樹脂フィルムである。フィルム本体上の粘着層により、基板9の裏面92がフィルム82に貼着される。フィルム82の外縁は、基板9よりも大きく、フィルム82は、基板9の全周に亘って基板9の外側に広がる部位を有する。フレーム83は、基板9の周囲を囲む略円環状であり、フィルム82が接続される。フレーム83の内縁は円形であり、フレーム83の内径は基板9の外径よりも大きい。これにより、基板9の周囲においてフィルム82が露出する。フレーム83は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、または、樹脂等により形成される。フレーム83の外形は、略円形以外に、矩形等の他の形状であってもよい。
剥離装置15では、図2の中段および下段に示すように、基板9からキャリア基板89が剥離される。本実施の形態では、UV照射装置12における紫外線の照射により、接着層88の粘着力が低下しているため、キャリア基板89を容易に剥離することが可能である。紫外線照射後の接着層88の粘着力によっては、基板9が取付部材81に取り付けられた後に、UV照射装置12における紫外線の照射が行われてもよい。基板9および取付部材81は、基板処理装置2に搬入され、基板9の表面91が洗浄される。これにより、当該表面91上における接着層88の残渣等の不要物が除去される。基板処理装置2については、後述する。洗浄後の基板9および取付部材81は、基板処理装置2から搬出され、基板収納カセット16に収納される。
図4は、基板処理装置2の構成を示す図である。図4では、一部の構成を、後述の中心軸J1を含む面での断面により示している。基板処理装置2は、処理液である洗浄液を基板9に供給して基板9を処理(ここでは、洗浄)する基板洗浄装置である。基板処理装置2は、支持ユニット3と、ガード41と、洗浄液供給部42と、吸引部43とを備える。支持ユニット3は、支持ベース31と、チャック部32と、昇降部33と、基板回転機構36とを備える。支持ベース31は、上下方向(鉛直方向)に平行な中心軸J1を中心とする略円板状の部材であり、略水平な上面を有する。基板処理装置2に搬入された基板9および取付部材81は、支持ベース31の上面上に載置される。支持ベース31の下面の中央には、中心軸J1を中心とするシャフト部361の上端が固定される。モータを有する基板回転機構36が、シャフト部361を回転することにより、支持ベース31が基板9および取付部材81と共に中心軸J1を中心として回転する。
チャック部32は、複数のチャックピン321を有する。複数のチャックピン321は、支持ベース31の上面において中心軸J1を中心とする周方向に等角度間隔にて配列される。チャックピン321の個数は、典型的には3個以上である。図3では、二点鎖線にてチャックピン321における後述の当接部322を示している。各チャックピン321は、回動軸部と、当接部322とを有する。回動軸部は、上下方向に延びる円柱状の部位であり、支持ベース31に設けられた上下方向に延びる穴部内に配置される。チャックピン321は、回動軸部を中心として支持ベース31に対して回動可能に支持される。後述するように、当接部322は、チャックピン321の回動により、フレーム83の上面の外縁部に当接する位置と、フレーム83から離れた位置とに選択的に配置される。
チャック部32は、リング部323と、伝達機構324と、リング昇降機構325とをさらに備える。リング部323は、中心軸J1を中心とする環状部材であり、支持ベース31の下方に配置される。リング部323は、図示省略のガイド部により上下方向に移動可能に支持される。伝達機構324は、リング部323と複数のチャックピン321の回動軸部とを連結するリンク機構である。伝達機構324は、リング部323の上下方向の移動に連動して、回動軸部を回動する。基板回転機構36による支持ベース31の回転時には、リング部323および伝達機構324は、支持ベース31と共に中心軸J1を中心として回転する。
リング昇降機構325は、支持ベース31の下方に配置される。リング昇降機構325は、例えば、モータおよびボールねじを備え、モータの回転によりボールねじにおける移動体(ナット)を上下方向に移動する。リング部323は、ベアリングの内輪に挿入されており、当該ベアリングの外輪には、リング昇降機構325の移動体が固定される。これにより、リング部323が中心軸J1を中心として回転可能な状態で、リング昇降機構325によるリング部323の上下方向への移動が可能となる。リング昇降機構325のモータは、基板回転機構36を収容するケースに固定される。
例えば、リング昇降機構325がリング部323を上下方向における第1の位置に配置することにより、図4に示すように、複数のチャックピン321における当接部322が、フレーム83の上面の外縁部に当接する。すなわち、複数の当接部322が保持位置に配置され、チャック部32により取付部材81が保持される。リング昇降機構325がリング部323を上下方向における第2の位置へと移動することにより、各チャックピン321の回動軸部が回動し、当接部322がフレーム83の外縁部から離れる。すなわち、複数の当接部322が解除位置に配置され、チャック部32による取付部材81の保持が解除される。チャック部32の上記構造は一例に過ぎず、適宜変更されてよい。例えば、リング昇降機構325としてエアシリンダ等が用いられてもよく、また、磁石等を用いることにより、リング昇降機構325と非接触にてリング部323が昇降されてもよい。
昇降部33は、昇降ステージ331と、リング部332と、リング昇降機構333とを備える。昇降ステージ331は、中心軸J1を中心とする略円板状の部材であり、略水平な上面を有する。昇降ステージ331の外径は、基板9と略同じ、または、基板9よりも僅かに小さい。支持ベース31の上面の中央部には、凹部が設けられており、昇降ステージ331の全体は、当該凹部内に配置可能である。リング部332は、中心軸J1を中心とする環状部材であり、支持ベース31の下方に配置される。リング部332は、図示省略のガイド部により上下方向に移動可能に支持される。昇降ステージ331は、リング部332に接続されており、リング部332と一体的に上下方向に移動する。基板回転機構36による支持ベース31の回転時には、昇降ステージ331およびリング部332は、支持ベース31と共に中心軸J1を中心として回転する。
リング昇降機構333は、支持ベース31の下方に配置される。リング昇降機構333は、例えば、エアシリンダを備え、ピストンロッドを上下方向に移動する。リング部332は、ベアリングの内輪に挿入されており、当該ベアリングの外輪には、ピストンロッドが固定される。これにより、リング部332が中心軸J1を中心として回転可能な状態で、リング昇降機構333によるリング部332の上下方向への移動が可能となる。リング昇降機構333の本体は、基板回転機構36を収容するケースに固定される。
図4の基板処理装置2では、昇降ステージ331が、支持ベース31の上記凹部内に配置された下位置と、支持ベース31の上面よりも上方に突出した上位置とに選択的に配置される(後述の図6Aの下段参照)。昇降ステージ331が下位置に配置された状態では、昇降ステージ331の上面は、支持ベース31の上面と略同じ高さ、または、支持ベース31の上面よりも僅かに下方に配置される。昇降部33の上記構造は一例に過ぎず、適宜変更されてよい。例えば、リング昇降機構333としてモータ等が用いられてもよく、また、磁石等を用いることにより、リング昇降機構333と非接触にてリング部332が昇降されてもよい。
ガード41は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、支持ベース31の周囲を全周に亘って囲む。ガード41は、モータ等を有する昇降機構(図示省略)により上下方向に移動可能である。洗浄液供給部42は、処理液供給部であり、洗浄液ノズル421と、洗浄液供給源422とを備える。洗浄液ノズル421は、基板9の中央部の上方に配置され、洗浄液供給源422に接続される。洗浄液供給源422が洗浄液ノズル421に洗浄液を送ることにより、上方を向く基板9の表面91の中央部に向けて洗浄液ノズル421から洗浄液が吐出される。基板処理装置2における洗浄液は、基板9の表面91を洗浄する処理液であり、表面91に付着する不要物(接着層88の残渣等)に応じて適宜選択される。一例では、洗浄液は、p-メンタン等のテルペン系溶剤を含む。洗浄液として、例えば、特開2013-247299号公報(上記特許文献2)に記載のものが利用可能である。洗浄液ノズル421は、ノズル移動機構(図示省略)に支持されており、図4に示す支持ベース31の上方の位置(すなわち、基板9の中央部の上方の位置)と、中心軸J1を中心とする径方向に支持ベース31から離れた位置とに洗浄液ノズル421が選択的に配置される。
吸引部43は、吸引ノズル431と、吸引機構432とを備える。吸引ノズル431は、径方向において、基板9の外縁よりも外側、かつ、支持ベース31の外縁よりも内側に配置される。図4の例では、吸引ノズル431は、フレーム83の略上方に配置される。吸引ノズル431は、吸引機構432に接続される。吸引機構432を駆動することにより、吸引ノズル431の周囲の雰囲気の吸引が行われる。吸引ノズル431は、ノズル移動機構(図示省略)に支持されており、吸引ノズル431の径方向の位置が変更可能である。
図5は、基板処理装置2における基板9の洗浄処理の流れを示す図である。図6Aないし図6Cは、基板9の洗浄処理を説明するための図である。基板9の洗浄処理では、まず、基板9が取り付けられた取付部材81が、基板転写装置1の搬送機構により基板処理装置2に搬入され、図6Aの上段に示すように、支持ベース31上に載置される(ステップS11)。このとき、昇降ステージ331は下位置に配置されており、取付部材81のフィルム82は、支持ベース31の上面に接触する。昇降ステージ331は、フィルム82を介して基板9の裏面92と対向する。上下方向に沿って見た場合(すなわち、平面視した場合)、昇降ステージ331の上面の全体が基板9と重なる。
続いて、図6Aの中段に示すように、複数の当接部322が保持位置に配置され、チャック部32により取付部材81のフレーム83が保持される(ステップS12)。すなわち、後述の第1支持状態が形成される。取付部材81がチャック部32により保持された状態では、基板9は水平である。そして、図6Aの下段に示すように、昇降部33の昇降ステージ331が下位置から上位置に移動し、基板9が上昇する(ステップS13)。すなわち、後述の第2支持状態が形成される。このとき、チャック部32によりフレーム83が保持されているため、基板9の周囲にてフィルム82が変形する。本処理例では、基板9は5~10mmほど上昇する。フィルム82の変形は、弾性変形であっても、塑性変形であってもよい。
ここで、ステップS12において取付部材81が支持された状態を「第1支持状態」と呼び、ステップS13において取付部材81を変形しつつ基板9を上昇させた状態を「第2支持状態」と呼ぶ。また、基板9の外側周辺に近接して配置される、取付部材81およびチャック部32の部位を「基板周辺部」と呼ぶ。図6Aの例では、基板周辺部は、基板9の周囲のフィルム82の部位、フレーム83、および、チャックピン321を含む。ステップS13における昇降ステージ331の上昇では、チャックピン321およびフレーム83の位置は変化しないため、第2支持状態では、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる。換言すると、第1支持状態では、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第2支持状態よりも下方となる。なお、第2支持状態においても基板9が水平に支持される。好ましい処理例では、第2支持状態において、基板9の表面91がフレーム83の上面よりも上方に位置するが、基板9の表面91がフレーム83の上面よりも下方に位置してもよい。
第2支持状態が形成されると、基板回転機構36による基板9(および支持ベース31)の回転が開始される(ステップS14)。基板9の回転速度は、例えば、500~800rpmである。図6Bの上段では、矢印A1により基板9の回転を示している(他の図において同様)。また、洗浄液ノズル421が基板9の中央部の上方の位置に配置される。そして、洗浄液ノズル421から基板9の表面91の中央部への洗浄液の供給が開始される(ステップS15)。表面91では、基板9の回転による遠心力により洗浄液が基板9の外縁に向かって広がり、表面91の全体に洗浄液が供給される。これにより、表面91に付着する不要物が除去される。また、基板9の外縁から周囲に洗浄液が飛散する。すなわち、上述の基板周辺部に洗浄液が衝突する。このとき、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となっているため、基板9から飛散して基板周辺部にて跳ね返る洗浄液が基板9の表面91に付着することが抑制される。なお、基板周辺部も基板9と共に回転しており、基板周辺部から周囲に飛散する洗浄液は、ガード41(図4参照)の内周面により受けられ、回収される(以下同様)。
基板処理装置2では、洗浄液の供給と共に、吸引ノズル431による基板周辺部の上方の雰囲気の吸引も開始される(ステップS16)。吸引ノズル431は、例えば、径方向において、露出したフィルム82の上方とチャックピン321の上方との間を揺動する。図6Bの上段では、矢印A2により吸引ノズル431の揺動を示している(他の図において同様)。基板周辺部から飛散する洗浄液のミスト等が、吸引ノズル431により回収されるため、当該ミスト等が基板9の表面91に付着することが抑制される。
本処理例では、洗浄液の供給開始から所定時間が経過した後、基板9の回転速度が小さくされる。例えば、回転速度が、500rpm、200rpm、10rpm、100rpmの順に変更される。基板9の回転速度が小さい状態では、図6Bの中段に示すように、洗浄液が基板9の外縁からフィルム82の上面を流れて外側へと移動する。これにより、基板周辺部も洗浄される。その後、図6Bの下段に示すように、洗浄液ノズル421から基板9の表面91への洗浄液の供給が停止される(ステップS17)。
続いて、基板9の回転速度が大きくされ、基板9の乾燥が行われる(ステップS18)。例えば、回転速度が、100rpm、300rpm、500rpm以上の回転数に順に変更される。図6Cの上段に示すように、基板9の乾燥時においても、吸引ノズル431による基板周辺部の上方の雰囲気の吸引が継続され、基板周辺部から飛散する洗浄液のミスト等が基板9の表面91に付着することが抑制される。ステップS18では、基板周辺部も乾燥される。
基板9の乾燥が完了すると、基板9の回転が停止されるとともに(ステップS19)、吸引ノズル431による吸引、および、吸引ノズル431の揺動が停止される(ステップS20)。また、図6Cの中段に示すように、昇降ステージ331が上位置から下位置に移動し、基板9が下降する(ステップS21)。これにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が、昇降ステージ331を上位置に配置する前の状態(図6Aの中段に示すステップS12の状態)に戻される。換言すると、基板9が第2支持状態から第1支持状態へと戻される。図6Cの中段および下段に示すように、複数の当接部322が解除位置に配置され、チャック部32による取付部材81のフレーム83の保持が解除される。その後、基板転写装置1の搬送機構により、基板9および取付部材81が基板処理装置2から搬出され、基板9の洗浄処理が完了する(ステップS22)。
ここで、比較例の基板処理装置について説明する。図7は、比較例の基板処理装置71における基板9の洗浄処理を説明するための図である。比較例の基板処理装置71では、昇降部33が設けられない。したがって、ステップS12において取付部材81がチャックピン72により支持されて第1支持状態が形成された後、基板周辺部に対して基板9を相対的に上昇させることなく(すなわち、第2支持状態を形成することなく)、基板9の表面91に洗浄液が供給される。したがって、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9の表面91に付着しやすくなる。当該洗浄液には、基板9の表面91から除去された不要物が含まれており、表面91に不要物が再付着してしまう。
これに対し、基板処理装置2では、基板9が水平状態で支持される第1支持状態において、支持部であるチャック部32により取付部材81が支持される。また、第1支持状態において、基板9の周辺に近接して配置される、取付部材81および支持部の部位を基板周辺部として、昇降部33が基板9の周囲にて取付部材81を変形しつつ基板9を基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される。そして、第2支持状態において、洗浄液供給部42が基板9の上面(上記の例では、表面91)に洗浄液を供給することにより、当該上面が処理される。基板処理装置2では、洗浄液による基板9の処理時に、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することを抑制することができる。その結果、再度の洗浄を不要として洗浄液の消費量を削減し、環境負荷を軽減することができる。
好ましくは、取付部材81が、基板9の下面(上記の例では、裏面92)に貼着され、基板9の外側に広がるフィルム82と、基板9の周囲を囲むとともに、フィルム82が接続されるフレーム83とを備える。また、第2支持状態において基板9の周囲にてフィルム82が変形される。このとき、基板9の周囲において、径方向外側かつ下方に向かってフィルム82が傾斜するため、フィルム82から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することをさらに抑制することができる。
好ましくは、基板周辺部の上方の雰囲気を吸引する吸引部43が設けられる。吸引部43により、基板周辺部から飛散する洗浄液のミスト等を回収することにより、当該洗浄液が基板9に付着することをさらに抑制することができる。
好ましくは、支持部が、取付部材81を保持するチャック部32を有し、昇降部33が、基板9の下面に対向する対向部(上記の例では、昇降ステージ331)を上昇させる。これにより、第2支持状態を容易に形成することができる。
好ましくは、基板回転機構36が設けられ、基板9の上面への洗浄液の供給後、第2支持状態において基板9および支持部を回転することにより、基板9および支持部が乾燥される。これにより、基板9の乾燥時に、基板9から飛散する洗浄液が、基板周辺部で跳ね返って基板9に再付着することを抑制することができる。なお、基板9の乾燥時における、基板周辺部に対する基板9の相対位置が、洗浄液の供給時における相対位置と相違してもよい。例えば、基板9の乾燥時における洗浄液の再付着をより確実に抑制する場合には、基板9の乾燥時における基板周辺部に対する基板9の相対位置が、洗浄液の供給時よりも上方に配置されてもよい。
基板処理装置2では、基板周辺部を洗浄する周辺洗浄部が設けられてもよい。図4の例では、周辺洗浄部44は、周辺洗浄ノズル441(図4中に破線にて示す。)を有する。周辺洗浄ノズル441は、径方向において、基板9の外縁よりも外側、かつ、支持ベース31の外縁よりも内側に配置される。図4の例では、周辺洗浄ノズル441は、基板周辺部の上方に配置される。周辺洗浄ノズル441は洗浄液供給源422に接続され、洗浄液が周辺洗浄ノズル441に送られる。これにより、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部に向けて洗浄液が吐出される、すなわち、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部に洗浄液が直接的に供給される。洗浄液供給源422は、洗浄液供給部42および周辺洗浄部44により共有される。周辺洗浄ノズル441が、専用の洗浄液供給源に接続され、洗浄液ノズル421から吐出される洗浄液とは異なる種類の洗浄液が吐出されてもよい。周辺洗浄ノズル441は、ノズル移動機構(図示省略)に支持されており、周辺洗浄ノズル441の径方向の位置が変更可能である。
図5の洗浄処理では、例えば、洗浄液ノズル421から基板9に洗浄液が供給されている間、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部に洗浄液が直接的に供給される。具体的には、ステップS15にて洗浄液ノズル421から基板9への洗浄液の供給を開始する際に、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部への洗浄液の供給が開始される。これにより、基板9の表面91の洗浄に並行して、基板周辺部が洗浄される。周辺洗浄ノズル441は、吸引ノズル431と同様に、径方向において、例えば、露出したフィルム82の上方とチャックピン321の上方との間を揺動する。そして、ステップS17にて洗浄液ノズル421から基板9への洗浄液の供給を停止する際に、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部への洗浄液の供給が停止される。なお、洗浄液ノズル421から基板9への洗浄液の供給と、周辺洗浄ノズル441から基板周辺部への洗浄液の供給は、必ずしも並行して行われる必要はない。
以上のように、好ましい基板処理装置2では、基板周辺部に洗浄液を直接的に供給する周辺洗浄部44が設けられる。周辺洗浄部44を用いて基板周辺部を洗浄することにより、基板周辺部から不要物をより確実に除去することができる。その結果、基板周辺部に対する基板9の相対位置を第1支持状態よりも上方とする第2支持状態の形成と相俟って、不要物が基板9に再付着することをさらに抑制することができる。
図8は、基板処理装置の他の例を示す図である。図8の基板処理装置2では、図4の基板処理装置2に対して、遮断板45、遮断板昇降機構451および補助ガス供給部46が追加される。他の構成は、図4と同様であり、同じ構成に同じ符号を付す。
遮断板45は、中心軸J1を略中心とする円板状である。遮断板45は、支持ベース31の上方に配置される。遮断板45の下面は、支持ベース31上の基板9の表面91と上下方向に対向する。遮断板45の下面は、基板9の表面91と略平行である。遮断板45の直径は、基板9の直径と略同じ、または、基板9の直径以上であり、基板9の表面91の全体が遮断板45により覆われる。遮断板45は、遮断板昇降機構451により支持される。遮断板昇降機構451は、例えば、モータおよびボールねじを備え、遮断板45を上下方向に移動する。基板9の処理時には、遮断板45が、基板9の表面91に近接した位置に配置される。基板処理装置2に対する基板9の搬入搬出時には、遮断板45が、基板9の表面91から離隔した離隔位置に配置され、搬送機構と干渉することが防止される。
遮断板45において、中心軸J1と略重なる位置には、上下方向に延びる中空部が設けられ、洗浄液供給部42の洗浄液ノズル421が、当該中空部内に配置される。洗浄液ノズル421の吐出口は、遮断板45の下面近傍に配置され、基板9の表面91の中央部に直接的に対向する。洗浄液ノズル421の外周面と当該中空部の内周面との間の空間は、ガス流路となっており、当該ガス流路には、補助ガス供給部46の補助ガス供給源462が接続される。遮断板45の下面には、洗浄液ノズル421の周囲を囲む略環状のガス噴出口461が設けられる。補助ガス供給源462が当該ガス流路に所定のガス(以下、「補助ガス」という。)を供給することにより、ガス噴出口461から基板9の表面91の中央部に向けて補助ガスが噴出される。補助ガスは、典型的には、窒素ガス等の不活性ガスであるが、清浄な空気等、不活性ガス以外のガスであってもよい。なお、遮断板45が、中心軸J1を略中心として回転可能であってもよい。
図9Aないし図9Cは、基板処理装置2における基板9の洗浄処理を説明するための図である。基板9の洗浄処理では、まず、基板9が取り付けられた取付部材81が、基板処理装置2に搬入され、図9Aの上段に示すように、支持ベース31上に載置される(ステップS11)。このとき、遮断板45は、基板9の表面91から離隔した離隔位置に配置されており、図9Aの上段では、遮断板45の図示を省略している(図9Aの中段および下段、並びに、図9Cの中段および下段において同様)。
続いて、図9Aの中段に示すように、複数の当接部322が保持位置に配置され、チャック部32により取付部材81のフレーム83が保持される(ステップS12)。すなわち、第1支持状態が形成される。その後、図9Aの下段に示すように、昇降ステージ331が下位置から上位置に移動し、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される(ステップS13)。第2支持状態が形成されると、図9Bの上段に示すように、基板9の回転が開始される(ステップS14)。基板9の回転速度は、例えば、500~800rpmである。
また、遮断板45が、基板9の表面91に対して所定距離(例えば、数cm)だけ離れた位置に配置される。その後、洗浄液ノズル421から基板9の表面91の中央部への洗浄液の供給が開始される(ステップS15)。基板9の表面91では、基板9の回転による遠心力により洗浄液が基板9の外縁に向かって広がり、表面91の全体に洗浄液が供給される。これにより、表面91に付着する不要物が除去される。また、基板9の外縁から周囲に洗浄液が飛散する。すなわち、基板周辺部に洗浄液が衝突する。このとき、基板9の上方が遮断板45により覆われ、かつ、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となっているため、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9の表面91に付着することが抑制される。
基板処理装置2では、洗浄液の供給と共に、吸引ノズル431による基板周辺部の上方の雰囲気の吸引、および、ガス噴出口461からの補助ガスの噴出が開始される(ステップS16)。吸引ノズル431は、例えば、径方向において、露出したフィルム82の上方とチャックピン321の上方との間を揺動する。吸引ノズル431により基板周辺部から跳ね返る洗浄液のミスト等が回収される。また、遮断板45の下面と基板9の表面91との間の空間において、基板9の中央部から外縁に向かって補助ガスが流れ、当該空間に当該ミスト等が侵入することが抑制される。その結果、当該ミスト等が基板9の表面91に付着することがより確実に抑制される。
本処理例では、洗浄液の供給開始から所定時間が経過した後、図9Bの中段に示すように、遮断板45が、基板9の表面91に近接した位置に配置されるとともに、基板9の回転速度が小さくされる。例えば、遮断板45の下面が、基板9の表面91に対して7mmの位置まで近づけられ、回転速度が、200rpm、250rpm、300rpm、10rpmに順に変更される。基板9の回転速度が小さい状態では、洗浄液が基板9の外縁からフィルム82の上面を流れて外側へと移動する。遮断板45が、基板9の表面91に近接しており、かつ、遮断板45と基板9との間に補助ガスの流れが形成されることにより、基板周辺部から跳ね返る洗浄液やミスト等が基板9の表面91に付着することがより確実に抑制される。
その後、図9Bの下段に示すように、洗浄液ノズル421から基板9の表面91への洗浄液の供給が停止される(ステップS17)。また、遮断板45が、基板9の表面91にさらに近接した位置(例えば、基板9の表面91に対して4mmの位置)に配置される。図9Bの下段に示す状態においても、ガス噴出口461からの補助ガスの噴出が継続されており、基板9の表面91上における洗浄液の液膜が、補助ガスにより基板9の中央部から外縁に向かって押し出される。このとき、基板9の回転速度は、例えば、50rpmとされる。
続いて、図9Cの上段に示すように、遮断板45が、基板9の表面91にさらに近接した位置(例えば、基板9の表面91に対して2.5mmの位置)に配置される。また、基板9の回転速度が大きくされ、基板9の乾燥が行われる(ステップS18)。例えば、回転速度が、50rpmから500rpm以上の回転数に変更される。基板9の乾燥時においても、吸引ノズル431による基板周辺部の上方の雰囲気の吸引が継続され、基板周辺部から跳ね返る洗浄液のミスト等が基板9の表面91に付着することが抑制される。
基板9の乾燥が完了すると、基板9の回転が停止されるとともに(ステップS19)、遮断板45が上昇し、基板9の表面91から離隔した離隔位置に配置される。また、ガス噴出口461からの補助ガスの噴出、吸引ノズル431による吸引、および、吸引ノズル431の揺動が停止される(ステップS20)。そして、図9Cの中段に示すように、昇降ステージ331が上位置から下位置に移動し、基板9が第2支持状態から第1支持状態へと戻される(ステップS21)。図9Cの中段および下段に示すように、複数の当接部322が解除位置に配置され、チャック部32による取付部材81のフレーム83の保持が解除される。その後、基板9および取付部材81が基板処理装置2から搬出され、基板9の洗浄処理が完了する(ステップS22)。
以上のように、図8の基板処理装置2は、第2支持状態において基板9の上面(上記の例では、表面91)を覆う遮断板45を備え、洗浄液供給部42の洗浄液ノズル421が、遮断板45に設けられる。このように、基板周辺部に対する基板9の相対位置を第1支持状態よりも上方とする第2支持状態の形成に加えて、遮断板45を用いることにより、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することをより確実に抑制することができる。なお、図4の基板処理装置2と同様に、図8の基板処理装置2においても、周辺洗浄ノズル441(図8中に破線にて示す。)から基板周辺部に洗浄液が直接的に供給されてもよい。これにより、不要物が基板9に付着することをさらに抑制することができる。
図10および図11は、基板処理装置2の他の例を示す図である。図10の基板処理装置2では、遮断板45が設けられず、図11の基板処理装置2では、遮断板45が設けられる。図10および図11の基板処理装置2では、図4および図8の昇降部33とは異なる構造の昇降部34が設けられる。昇降部34は、パンチングプレート341と、駆動用ガス供給部342とを備える。支持ベース31の上面に設けられる凹部311は中空部となっており、パンチングプレート341により凹部311の上部開口が閉塞される。パンチングプレート341は、支持ベース31の上面と略同じ高さ、または、支持ベース31の上面よりも僅かに下方に配置される。駆動用ガス供給部342は、凹部311の内部に駆動用ガスが供給可能である。駆動用ガスは、高圧のガスであり、例えば、清浄な空気、あるいは、窒素ガス等の不活性ガスである。
図10および図11の基板処理装置2では、チャック部32により取付部材81のフレーム83が保持されることにより、第1支持状態が形成される。続いて、駆動用ガス供給部342から凹部311の内部に駆動用ガスが供給されることにより、基板9の周囲にて取付部材81のフィルム82が変形しつつ、基板9が上昇する。これにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される。基板9の表面91への洗浄液の供給後、凹部311内の駆動用ガスが、外部に排出される。これにより、基板9が第2支持状態から第1支持状態へと戻される。以上のように、図10および図11の基板処理装置2では、簡素な構造の昇降部34により、第2支持状態を容易に形成することが可能である。
図12は、基板処理装置2の他の例を示す図である。図12の基板処理装置2では、支持ベース31の上面に凸部312が設けられる。凸部312は、略円板状の部材であり、基板9と略同じ、または、基板9よりも僅かに小さい外径を有する。基板9が取り付けられた取付部材81は、凸部312上に載置される。これにより、取付部材81のフィルム82が、支持部である凸部312により下方から支持され、第1支持状態が形成される。図12の例では、第1支持状態において、取付部材81がチャック部32により保持されない。
続いて、図13に示すように、チャック部32の複数の当接部322がフレーム83を支持ベース31の上面に押し付けることにより、基板9の周囲にてフィルム82が変形しつつフレーム83が下降する。換言すると、基板9の周囲のフィルム82の部位およびフレーム83を基板周辺部として、昇降部であるチャック部32が、基板9を基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される。図13の基板処理装置2においても、第2支持状態において基板9の表面91に洗浄液が供給されることにより、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することを抑制することができる。
次に、取付部材81に取り付けられていない基板9に対する洗浄処理について説明する。ここでは、図4の基板処理装置2と同様の構成である、図14の基板処理装置2が用いられる。基板9の搬入では、基板9が、支持ベース31上に載置され、チャック部32の複数の当接部322が保持位置に配置される。これにより、支持部であるチャック部32により基板9の外縁部が直接的に保持され、第1支持状態が形成される。取付部材81に取り付けられていない基板9では、複数のチャックピン321等、基板9の外側周辺に近接して配置されるチャック部32の部位が基板周辺部となる。
図14の基板処理装置2では、第1支持状態において、基板9の表面91に対して所定の処理が行われる。一例では、エッチング液等の薬液が基板9の表面91に供給され、表面91に対して薬液による処理が行われる。薬液は、洗浄液ノズル421(図15参照)から吐出されてもよく、他のノズルが用いられてもよい。第1支持状態では、薬液等の液体を用いない処理が行われてもよい。もちろん、基板9が支持ベース31と共に回転してもよい。
第1支持状態における処理が完了すると、複数の当接部322が解除位置に配置され、チャック部32による基板9の外縁部の直接的な保持が解除される。続いて、図15に示すように、昇降部33の昇降ステージ331が下位置から上位置に移動し、基板9が上昇する。換言すると、複数のチャックピン321等の基板周辺部に対して基板9が上昇し、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される。そして、第2支持状態において洗浄液ノズル421から基板9の表面91に洗浄液が供給される。これにより、基板9の洗浄時に、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することが抑制される。昇降ステージ331の上面に基板9を吸引吸着する真空チャック等を設けることにより、上記の例と同様に、基板9を回転することも可能である。吸引ノズル431により基板周辺部の上方の雰囲気が吸引されてもよく、周辺洗浄ノズル441(図4参照)から基板周辺部に洗浄液が直接的に供給されてもよい。基板9の乾燥等については、上記の例と同様である。
以上のように、図14の基板処理装置2では、基板9が水平状態で支持される第1支持状態において、支持部であるチャック部32により基板9の外縁部が直接的に支持される。続いて、支持部による基板9の直接的な支持を解除しつつ基板9を基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、基板周辺部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となる第2支持状態が形成される。そして、洗浄液供給部42が第2支持状態において基板9の上面に洗浄液を供給することにより、当該上面が処理される。基板処理装置2では、洗浄液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することを抑制することができる。もちろん、図14の基板処理装置2において、遮断板45が設けられてもよい。
図16に示すように、基板処理装置2では、チャック部32が省略されてもよい。図16の例では、基板9が支持ベース31上に載置され、第1支持状態が形成される。第1支持状態では、支持ベース31を支持部として、当該支持部により基板9の外縁部が下方から直接的に支持される。また、支持ベース31の上面において、昇降ステージ331の周囲の領域(すなわち、支持ベース31の外縁部)が、基板周辺部となる。第1支持状態における、基板9の表面91に対する所定の処理が完了すると、図17に示すように、昇降部33の昇降ステージ331が下位置から上位置に移動し、基板9が上昇する。これにより、基板周辺部である支持ベース31の外縁部に対する基板9の相対位置が第1支持状態よりも上方となり、第2支持状態が形成される。第2支持状態において基板9の表面91に洗浄液を供給することにより、基板周辺部から跳ね返る洗浄液が基板9に付着することを抑制することができる。
上記基板処理装置2では様々な変形が可能である。
上記実施の形態では、基板9が取付部材81に取り付けられる場合、図4および図8に示すように、基板周辺部は、取付部材81および支持部(チャック部32)の部位を含むが、支持部が取付部材81の下面を吸着保持する場合等に、基板周辺部が、取付部材81の部位のみを含んでもよい。また、基板9が取付部材81に取り付けられない場合、図14および図16に示すように、基板周辺部は支持部の部位を含む。したがって、基板周辺部は、取付部材81または/および支持部の部位であればよい。なお、基板9が取付部材81に取り付けられる場合、基板周辺部は、基板9の周囲に配置される取付部材81の部位を含む。また、基板9が取付部材81に取り付けられない場合、基板周辺部は、第1支持状態において基板9の外縁部に直接的に接触する部位を含む。
基板処理装置2では、第2支持状態において、洗浄液以外の処理液が基板9の上面に供給されてもよい。この場合も、処理液による処理時に、基板周辺部から跳ね返る処理液が基板9に付着することを抑制することができる。
遮断板45が設けられる基板処理装置2の設計によっては、遮断板45が、取付部材81の略全体を覆う大きさであってもよい。これにより、取付部材81の周囲から跳ね返る洗浄液が取付部材81に付着することを抑制することができる。
基板処理装置2にて用いられる各ノズルの種類、構造、姿勢等は適宜変更されてよい。例えば、図18に示すように、吸引ノズル431が、径方向に延びるスリットノズルであってもよく、周辺洗浄ノズル441における洗浄液の吐出方向が、径方向の外側に向かって傾斜してもよい。また、基板周辺部に対して清浄な空気や不活性ガス等を噴出するノズルが設けられてもよい。
基板処理装置2において処理が行われる基板は半導体基板には限定されず、ガラス基板や他の基板であってもよい。また、基板処理装置2が、円板状とは異なる外形の基板の処理に用いられてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
2 基板処理装置
9 基板
32 チャック部
33,34 昇降部
36 基板回転機構
42 洗浄液供給部
43 吸引部
44 周辺洗浄部
45 遮断板
81 取付部材
82 フィルム
83 フレーム
91 表面
92 裏面
331 昇降ステージ
421 洗浄液ノズル
9 基板
32 チャック部
33,34 昇降部
36 基板回転機構
42 洗浄液供給部
43 吸引部
44 周辺洗浄部
45 遮断板
81 取付部材
82 フィルム
83 フレーム
91 表面
92 裏面
331 昇降ステージ
421 洗浄液ノズル
Claims (7)
- 基板処理装置であって、
基板が水平状態で支持される第1支持状態において、前記基板が取り付けられるとともに前記基板の周囲に広がる取付部材を支持する、または、前記基板の外縁部を直接的に支持する支持部と、
前記第1支持状態において、前記基板の周辺に近接して配置される、前記取付部材または/および前記支持部の部位を基板周辺部として、前記基板の周囲にて前記取付部材を変形しつつ前記基板を前記基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、または、前記支持部による前記基板の直接的な支持を解除しつつ前記基板を前記基板周辺部に対して相対的に上昇させることにより、前記基板周辺部に対する前記基板の相対位置が前記第1支持状態よりも上方となる第2支持状態を形成する昇降部と、
前記第2支持状態において前記基板の上面に処理液を供給して、前記上面を処理する処理液供給部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記取付部材が、
前記基板の下面に貼着され、前記基板の外側に広がるフィルムと、
前記基板の周囲を囲むとともに、前記フィルムが接続されるフレームと、
を備え、
前記支持部が、前記第1支持状態において前記取付部材を支持し、
前記第2支持状態において前記基板の周囲にて前記フィルムが変形していることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記第2支持状態において前記基板の前記上面を覆う遮断板をさらに備え、
前記処理液供給部のノズルが、前記遮断板に設けられることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記基板周辺部の上方の雰囲気を吸引する吸引部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記基板周辺部に洗浄液を直接的に供給する周辺洗浄部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記支持部が、前記取付部材または前記基板を保持するチャック部を有し、
前記昇降部が、前記基板の下面に対向する対向部を上昇させることにより、前記第2支持状態を形成することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記基板の前記上面への前記処理液の供給後、前記第2支持状態において前記基板および前記支持部を回転することにより、前記基板および前記支持部を乾燥する基板回転機構をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022105697A JP2024005496A (ja) | 2022-06-30 | 2022-06-30 | 基板処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022105697A JP2024005496A (ja) | 2022-06-30 | 2022-06-30 | 基板処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024005496A true JP2024005496A (ja) | 2024-01-17 |
Family
ID=89539810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022105697A Pending JP2024005496A (ja) | 2022-06-30 | 2022-06-30 | 基板処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024005496A (ja) |
-
2022
- 2022-06-30 JP JP2022105697A patent/JP2024005496A/ja active Pending
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