JP2024004507A - エラストマー形成用組成物、エラストマー、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサ、及び、エラストマー形成用組成物の製造方法 - Google Patents

エラストマー形成用組成物、エラストマー、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサ、及び、エラストマー形成用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたコート性、伸長性、柔軟性、戻り性を有するエラストマーを形成可能な、エラストマー形成用組成物及びその製造方法、当該組成物を用いて形成したエラストマー、並びに、当該エラストマーを用いた、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサを提供する。【解決手段】単官能アクリレートモノマーと、前記単官能アクリレートモノマーに可溶なフォトポリマーと、光重合開始剤と、を含み、組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が20質量%以下である、エラストマー形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー形成用組成物、エラストマー、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサ、及び、エラストマー形成用組成物の製造方法に関し、特に誘電エラストマーとして好適に用いることのできるエラストマーに関する。
近年種々のエラストマーが開発されており、その用途も拡大している。例えば、誘電体材などに用いるエラストマーとしては、電圧の印加によって形状を変位させることが可能な誘電エラストマーが知られている。誘電エラストマーは、アクチュエータ、産業用ロボットなどに使用されるセンサ、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサ、人工筋肉、小型ポンプ、医療用器具などの用途に使用することができ、例えば、低電圧を印加したときに大きい変位量を示す誘電体材料が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2017-132905号公報
一方、誘電エラストマーとして用いる材料においても、コート性や、伸長性、柔軟性(即ち低いヤング率)、戻り性など優れた機械特性が求められている。
本発明は、上述の課題を解決すべく、優れたコート性、伸長性、柔軟性、及び、戻り性を有するエラストマーを形成可能な、エラストマー形成用組成物及びその製造方法、当該組成物を用いて形成したエラストマー、並びに、当該エラストマーを用いた、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサを提供することを目的とする。
<1> 単官能アクリレートモノマーと、
前記単官能アクリレートモノマーに可溶なフォトポリマーと、
光重合開始剤と、を含み、
組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が20質量%以下である、エラストマー形成用組成物。
<2> 前記単官能アクリレートモノマーが、無置換又は置換基を有するアルキルアクリレートである、前記<1に記載のエラストマー形成用組成物。
<3> 前記置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、及び、エーテル結合又はエステル構造を有する基から選ばれる少なくとも一つである、前記<2>に記載のエラストマー形成用組成物。
<4> 前記フォトポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)に由来する構成単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)に由来する構成単位と結合するポリマー主鎖と、前記構成単位(B)に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)に由来する構成単位と、を含む前記<1>~前記<3>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物。
<5> 前記アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物である、前記<4>に記載のエラストマー形成用組成物。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;R2は、ハロゲン原子、エーテル結合若しくはエステル構造を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基、又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基を示す。)
<6> 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)が、下記式(2)で示される化合物である、前記<4>又は前記<5>に記載のエラストマー形成用組成物。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;Zは、O、NH、又はSを示す;X1は、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基、アリール基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキル基を示す。aは1以上の整数を表す。)
<7> 前記(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)が、下記式(3-1)で示される化合物である、前記<4>~前記<6>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;X2は直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキレン基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキレン基を示す。)
<8> 前記フォトポリマーが光塊重合反応によって合成された、前記<1>~前記<7>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物。
<9> 組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が5質量%以下である、前記<1>~前記<8>のいずれか一つにエラストマー形成用組成物。
<10> 溶媒を含まない、前記<1>~前記<9>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物。
<11> 前記<1>~前記<10>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物を用いて形成されたエラストマー。
<12> 下記式EA-4HBA-AOIで示されるポリマーと、単官能アクリレートと、の合成によって得られたエラストマー。
<13> 誘電エラストマーである、前記<11>又は前記<12>に記載のエラストマー。
<14> シート状である、前記<11>~前記<13>のいずれか一つに記載のエラストマー。
<15> 前記<11>~前記<14>のいずれか一つに記載のエラストマーを積層した、積層体。
<16> 前記<11>~前記<14>のいずれか一つに記載のエラストマー、又は、前記<15>に記載の積層体を備えた、電機デバイス。
<17> 前記<11>~前記<14>のいずれか一つに記載のエラストマー、又は、前記<15>に記載の積層体を備えた、アクチュエータ。
<18> 前記<11>~前記<14>のいずれか一つに記載のエラストマー、又は、前記<15>に記載の積層体を備えた、センサ。
<19> 前記<1>~前記<10>のいずれか一つに記載のエラストマー形成用組成物の製造方法であって、
アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)とを光塊重合させて第1の重合体を得る工程と、
前記第1の重合体を単官能アクリレートモノマー中に溶解して樹脂溶液を得る工程と、
前記樹脂溶液に、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の水酸基に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)と、触媒と、を添加してフォトポリマーを合成する工程と、
を含むエラストマー形成用組成物の製造方法。
本発明によれば、優れたコート性、伸長性、柔軟性、戻り性を有するエラストマーを形成可能な、エラストマー形成用組成物及びその製造方法、当該組成物を用いて形成したエラストマー、並びに、当該エラストマーを用いた、積層体、電機デバイス、アクチュエータ、センサを提供することができる。
アクチュエータの一実施態様を示す概略平面図である。 図1に示されるアクチュエータのA-A部における概略断面図である。 エラストマーの変位を説明するための概略図である。
以下、本発明について説明するが、本発明の内容は以下の説明に限定されるものではない。また、本明細書を通じて、「アルキル(メタ)アクリレート」は、「アルキルアクリレート」又は「アルキルメタクリレート」を意味し、「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」は「ヒドロキシアルキルアクリレート」又は「ヒドロキシアルキルメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」又は「メタクリロイル」を意味する。また、特に限定がない限り、“アルキル基”と称した場合には、直鎖、分岐及び脂環構造のアルキル基が含まれる。さらに、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
《エラストマー形成用組成物》
本実施形態のエラストマー形成用組成物(以下、単に「本実施形態の組成物」と称することがある)は、単官能アクリレートモノマーと、前記単官能アクリレートモノマーに可溶なフォトポリマーと、光重合開始剤と、を含み、組成物中の全質量に対し、溶媒の含有量が20質量%以下である。
本実施形態の組成物は、単官能アクリレートモノマーと、当該モノマーに溶解可能なフォトポリマーと、を含んでおり、これらを光硬化させることでエラストマーを得ることができる。本実施形態の組成物は、溶媒の使用量を低くする(好ましくは無溶媒とする)ことができ、得られるエラストマーの伸長性、柔軟性(ヤング率)及び戻り性(ひずみ)を向上させることができる。
また、本実施形態のエラストマーは、単官能アクリレートモノマーとフォトポリマーとの組み合わせに応じて誘電率や耐電圧を高めることが可能である。一般に誘電率と耐電圧とは相反する性能であり両立させることが難しいが、本実施形態の組成物を用いると、単官能アクリレートモノマーとフォトポリマーとの組み合わせによって、誘電率と耐電圧と高い次元で両立させることができる。
さらに、本実施形態のエラストマーは、単官能アクリレートモノマーとフォトポリマーとの組み合わせに応じて電圧を印加した際の変化率を高めることができる。このため、本実施形態のエラストマーは誘電エラストマーとして好適に用いることができる。
さらに、本実施形態の組成物は、組成物中の全質量に対し溶媒の含有量が20質量%以下である。このため、本実施形態の組成物によれば、はじきの少ない均一な塗布層を形成可能であり、優れたコート性を発揮することができる。
さらに、本実施形態の組成物は溶媒の使用量が少ないため(好ましくは無溶媒)、以下の効果も発揮することができる。
・溶剤乾燥工程が短い又は不要なため、生産性が向上する。
・溶剤の揮発が少ない又は生じないため、環境負荷を低減できる。
・溶剤乾燥工程が短い又は不要なため、乾燥の際に生じるムラの発生を抑制でき、ムラのない均一な塗膜を形成することができる。
・溶剤を用いずに光硬化によってエラストマーを製造できる無溶剤光硬化系組成物とできるため、厚塗り成形が可能である。
・溶剤を用いずに光硬化によってエラストマーを製造できる無溶剤光硬化系組成物とできるため、3Dプリンタを用いた成形が可能である。
〈単官能アクリレートモノマー〉
本実施形態の組成物は、単官能アクリレートモノマーを含む。単官能アクリレートモノマーとは、官能基を一つのみ有するアクリレートモノマーであり、組み合わせるフォトポリマーに対する溶解力(溶解度)が高いことが好ましい。また、単官能アクリレートモノマーの好ましい特性としては、光反応性が高いことが挙げられる。一方、本実施形態の組成物は官能基を一つのみ有するアクリレートモノマーを用いることで、多官能モノマーのみを用いた場合に比して、得られるエラストマーの伸長率、柔軟性、戻り性を高めることができる。
本実施形態の組成物に用いられる単官能アクリレートモノマーとしては、フォトポリマーに対する溶解度及び光反応性の観点から、無置換又は置換基を有するアルキルアクリレートを用いることができる。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、及び、エーテル結合(-C-O-C-)又はエステル構造(-O-C(=O)-)を有する基から選ばれる少なくとも一つが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、エラストマーの耐薬品性の点からフッ素原子がさらに好ましい。また、エーテル結合又はエステル構造を有する基としては特に限定はないが、メトキシ基が挙げられる。誘電エラストマーに要求される誘電率及び変化率の観点からは、これら置換基としては、メトキシ基やシアノ基など極性を有する置換基が好ましい。
単官能アクリレートモノマーは、例えば、フォトポリマーに対する溶解度及び光反応性の観点、並びに、得られるエラストマーの機械特性を考慮して選択されることが好ましい。得られるエラストマーの機械特性としては、例えば、柔軟性(例えば、ヤング率1MPa以下)、伸縮性(例えば、伸び率200%以上)、戻り性(例えば、ひずみ5%以下)が挙げられる。これらの観点から、好ましい単官能アクリレートモノマーとしては、イソブチルアクリレート(AIB)、メトキシエチルアクリレート(MTA)、シアノエチルアクリレート(CNEA)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(V#3F)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)などが挙げられ、イソブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレートが好ましく、極性の観点から、メトキシエチルアクリレート、シアノエチルアクリレートがさらに好ましい。
また、単官能アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。2種以上の単官能アクリレートモノマーの組み合わせとしては、特に限定はないが、MTAとCNEAとの組み合わせ、V#3FとMTAとの組み合わせ、MTAとAIBとの組み合わせ等が挙げられ、耐電圧と誘電率との両立、及び、電圧を印加した際の変化率などの観点からは、MTAとCNEAとの組み合わせが好ましい。
本実施形態の組成物中の単官能アクリレートモノマーの含有量は、コート性の点で、通常、エラストマー形成用組成物100質量部に対し、20~95質量部であることが好ましく、30~90質量部がさらに好ましく、60~80質量部が特に好ましい。
〈フォトポリマー〉
本実施形態におけるフォトポリマーとは、単官能アクリレートモノマーに可溶であり、且つ、側鎖に光架橋部位を有するポリマーを意味する。
ここで、「単官能アクリレートモノマーに可溶なフォトポリマー」とは、単官能アクリレート100g(1気圧下、液温25℃)に対するフォトポリマーの溶解度が10質量%以上であることを意味する。フォトポリマーの溶解度が10質量%未満であると、組成物中の溶媒量を20質量%超とする必要があり、コート性や伸長率などの性質が低下する。当該溶解度は後述の実施例に記載の方法で測定することができる。また、単官能アクリレートモノマーに対するフォトポリマーの溶解度は10質量%以上であるが、コート性や伸長性の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
また、本実施形態におけるフォトポリマーの好ましい特性としては単官能アクリレートへの溶解性が挙げられるが、加えて、通常の取り扱いで分解等を起こさず、性状が安定していることが挙げられる。かかる観点から、本実施形態におけるフォトポリマーは周辺温度に対する安定性に優れていることが好ましく、例えば、-20~120℃における温度範囲で形状及び性状が安定していることが好ましく、更に具体的には-20~120℃の温度範囲内で重量平均分子量の変動幅が±20%であるものが好ましい。
(共重合体(X))
フォトポリマーの例としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)〔以下、単に「モノマー(A)」と称することがある〕に由来する構成単位(以下、単に「構成単位(A)」と称することがある〕、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)〔以下、単に「モノマー(B)」と称することがある〕に由来する構成単位(以下、単に「構成単位(B)」と称することがある〕と結合するポリマー主鎖と、前記構成単位(B)に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)〔以下、単に「モノマー(C)」と称することがある〕に由来する構成単位(以下、単に「構成単位(C)」と称することがある〕と、を含むポリマー(以下、「共重合体(X)」と称することがある)を挙げることができる。
-アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)-
本実施形態において、「アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)」は、(メタ)アクリロイル基を一つ有するモノマーであり、後述のモノマー(B)及びモノマー(C)と区別される。
本実施形態におけるモノマー(A)は、例えば、下記式(1)で表わされる化合物を用いることができる。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;R2は、ハロゲン原子、エーテル結合若しくはエステル構造を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基、又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基を示す。)
式(1)で表わされるアルキル(メタ)アクリレートモノマーにおいて、R1は、水素原子又はメチル基である。R1のなかでは、重合のさせやすさやヤング率の低い(メタ)アクリル系エラストマーを得る観点から水素原子が好ましい。
式(1)で表わされる化合物において、R2は、ハロゲン原子、エーテル結合若しくはエステル構造を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基である。
直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、などが挙げられるが、本実施形態はこれら例示のみに限定されるものではない。
アルキル基に含まれるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルキル基に含まれるハロゲン原子の数は、当該アルキル基の炭素数などによって異なるので一概には決定することができないことから、本実施形態の目的が阻害されない範囲内で適宜調整することが好ましい。
ハロゲン原子を有する直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロn-プロピル基、トリフルオロイソプロピル基、トリフルオロn-ブチル基、トリフルオロイソブチル基、トリフルオロtert-ブチル基などが挙げられるが、本実施形態はこれら例示のみに限定されるものではない。
エーテル結合を有する直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メトキシエチルアクリレートなどの直鎖状のアルキル基や、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテルを有するアルキル基などが挙げられる。エステル構造を有する直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、γ―ブチロラクトンアクリレートが挙げられる。
直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシブチル基などの炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数1~6のアルキル基を有するアルコキシアルキル基などが挙げられるが、本実施形態はこれら例示のみに限定されるものではない。
2としては、低ヤング率や単官能アクリレートモノマーへの高溶解性の観点から、メチル基、エチル基、シクロヘキシル、テトラヒドロフラン又はジオキソランが好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましい。
式(1)で表わされるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、メチルペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの式(1)において、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が炭素数1~6のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー;2,2,2-トリフルオロエチルアクリレートなどの式(1)において、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がハロゲン原子を有する炭素数1~6のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー;(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどの式(1)において、R1が水素原子又はメチル基であり、R2がエーテル結合を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、などの式(1)において、R1が水素原子又はメチル基であり、R2が炭素数2~12のアルコキシアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
これらの中でも、本実施形態におけるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートが好ましく、メチルアクリレート及びエチルアクリレートがさらに好ましい。
これらアルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)-
本実施形態において、「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)」は、(メタ)アクリロイル基を一つと、水酸基と、を各々少なくとも一つ有するモノマーである。
本実施形態におけるモノマー(B)は、例えば、下記式(2)で表わされる化合物を用いることができる。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;Zは、O、NH、又はSを示す;X1は、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基、アリール基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキル基を示す。aは1以上の整数を表す。)
式(2)で表わされるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーにおいて、R1は、水素原子又はメチル基である。R1のなかでは、低ヤング率や単官能アクリレートモノマーへの高溶解性の観点から2-ヒドロキシエチルアクリレートや4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
式(2)で表わされる化合物において、Zは、-O-、-NH-、又は-S-を示す。Zのなかでは、溶媒への高溶解性の観点から-O-が好ましい。
式(2)で表わされる化合物において、X1は、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基、アリール基、又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基である。式(2)においては、これらX1が少なくとも1以上の水酸基を有する。
式(2)で表されるaは1以上の整数であり、特に限定はないが、低ヤング率や単官能アクリレートモノマーへの高溶解性の観点から、1~3が好ましく、1又は2が好ましい。
1における、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基;、ハロゲン原子を有する直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基;及び、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルコキシアルキル基については、式(1)におけるR2で例示されたものと同様の基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラ基等が挙げられる。また、水酸基を一つ有するX1としては、例えば、下記のような直鎖状アルキル基、環状アルキル基又はアリール基が挙げられる。
式(2)で表わされるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、特に限定されるものはではないが、破断応力向上の観点から、以下の化合物を挙げることができる。また、下記化合物の他水酸基を2つ以上有するグリセリンモノメタクリレートなども用いることができる。これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態において、「(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)」は、(メタ)アクリロイル基を一つ有するイソシアネート系モノマーであり、フォトポリマーの光架橋部位に該当する。
本実施形態におけるモノマー(C)は、例えば、下記式(3-1)で表わされる化合物を用いることができる。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;X2は直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキレン基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキレン基を示す。)
式(3-1)で表わされるモノマー(C)において、R1は、水素原子又はメチル基である。R1のなかでは、反応性向上の観点から水素原子が望ましい。
式(3-1)で表わされるモノマー(C)において、X2は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキレン基、又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキレン基を示す。
炭素数1~10の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、sec-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソアミレン基、n-ヘキシレン基、イソヘキシレン基、シクロヘキシレン基、n-オクチレン基などが挙げられるが、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。
炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキレン基としては、例えば、メトキシエチレン基、エトキシエチレン基、メトキシブチレン基などの炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数1~6のアルキレン基を有するアルコキシアルキレン基などが挙げられるが、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(3-1)で表わされるモノマー(C)としては、例えば、特に限定されるものはではないが、製造の容易さや入手性の観点から、以下の(1)~(3)の化合物を挙げることができ、式(3-1)で表わされないモノマー(C)としては、以下の(4)の化合物を挙げることができる。モノマー(C)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
-他のモノマー-
共重合体(X)は、上述のモノマー成分(A)~(C)以外のモノマー成分を含んでいてもよい。他のモノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、式(1)で表わされるアルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)以外のカルボン酸アルキルエステル系モノマー、アミド基含有モノマー、アリール基含有モノマー、スチレン系モノマー、窒素原子含有モノマー、脂肪酸ビニルエステル系モノマー、ベタインモノマーなどが挙げられるが、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
-フォトポリマーの合成方法-
本実施形態におけるフォトポリマーの一例である共重合体(X)は、例えば、以下のPC工程(1)~(2)を含む製造方法にて合成することができる。なお、フォトポリマーの合成方法は、下記に示す式で示される化合物を用いた態様に限定されるものではない。
PC工程(1):モノマー(A)とモノマー(B)とを重合させて第1の重合体を合成し、さらに当該重合体を溶媒に溶解し、樹脂溶液を得る工程
PC工程(2):得られた前記樹脂溶液に、モノマー(C)と触媒とを添加し、加熱してフォトポリマー(共重合体(X))を得る工程
PC工程(1)はモノマー(A)とモノマー(B)とを重合させてポリマー主鎖を合成することを目的とする工程である。PC工程(1)では、モノマー(A)とモノマー(B)とを重合させることで、共重合体(X)のポリマー主鎖となる第1の重合体を得ることができる。
第1の重合体の合成方法は特に限定はないが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられる。ただし、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、高分子量化の観点から、塊状重合法及び乳化重合法が好ましく、塊状重合法がより好ましく、光塊状重合法がさらに好ましい。塊状重合法によって本実施形態のエラストマーを重合させた場合には、合成の際に分散剤や溶媒などを用いる必要がないため、フォトポリマーを合成した系から分散剤や溶媒などを除去する必要がなく、生産性に優れる。
本実施形態におけるフォトポリマーを光塊重合反応によって合成する場合、具体的には、モノマー(A)とモノマー(B)とを必要に応じて重合開始剤を用いて重合(例えば、紫外線照射による塊状重合)し、構成単位(A)及び(B)とで構成された第1の重合体を合成する。ついで、第1の重合体を溶媒中に溶解して溶液とし、当該溶液中にモノマー(C)を添加(必要に応じて触媒を使用)することで、第1の重合体の構成単位(B)に構成単位(C)が結合した共重合体(X)を合成することができる。本実施形態においては後述のように、第1の重合体を溶解する溶媒として上述の単官能アクリレートを用いることができる。
第1の重合体を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、或いは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
第1の重合体を重合させる際の温度は、特に限定がなく、通常、5~100℃程度の温度であることが好ましい。モノマー成分を重合させるのに要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意であるが、通常、10分間~20時間程度である。
重合反応は、残存しているモノマー成分の量が20質量%以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存しているモノマー成分の量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。この際、モノマー(A)とモノマー(B)とに加えて、後述する光重合開始剤などを用いてもよい。第1の重合体の塊状重合の条件は、特に限定はないが、上述の好ましい分子量の範囲のものを得る観点、低ヒステリシス化の観点から、紫外線照射量10mW/cm2以下が好ましく、1mW/cm2以下がより好ましく、0.6mW/cm2以下がさらに好ましい。また、重合性の観点から0.01mW/cm2以上が好ましい。
PC工程(1)においては第1の重合体を溶媒に溶解し樹脂溶液とすることができる。当該溶媒としては、本実施形態の単官能アクリレートモノマーを用いるのが好ましい。
第1の重合体を溶解する溶媒として、本実施形態の単官能アクリレートモノマー以外の溶媒を用いる場合、特に限定はないが、例えば、ベンゼン系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を用いることができ、具体的には、トルエン、シクロペンタノン、酢酸ブチル、カルビトールアセテート等を挙げることができる。PC工程(1)において第1の重合体を溶解するために用いられる溶媒は、後述する共重合体(X)を溶解するために用いられる溶媒として用いることができる。ただし、単官能アクリレートモノマー以外の溶媒を用いる場合、組成物中の溶媒の含有量は20質量%以下であることが必要である。
つぎに、PC工程(2)は、第1の重合体(構成単位(A)と構成単位(B)と含む重合体)にモノマー(C)を導入してフォトポリマー(第2の重合体)を合成する工程である。第2の重合体は、共重合体(X)に該当する。PC工程(2)においてはモノマー(C)とともに触媒を用いることができる。当該触媒は、主として、PC工程(1)で合成された第1の重合体に、モノマー(C)を付加させることを目的として添加される。PC工程(2)においては、第1の重合体の(ポリマー(B)由来の)ヒドロキシアルキルアクリロイル基とポリマー(C)のイソシアネート基との縮合反応によって、第1のポリマーにモノマー(C)が導入される。触媒としては、第1の重合体とモノマー(C)との縮合反応に用いることのできるものであれば特に限定はないが、例えば、錫触媒などを用いることができる。
(式中、R1、R2、X1、Z、X2は、各々対応する上述の式(1),式(2)及び式(3-1)中のものと同義である。l1,m1は各構成単位のモル比を示す。)
共重合体(X)としては、例えば、以下の重合体が例示される。
PC工程(2)において第1の重合体及びモノマー(C)の反応における反応条件は特に限定はないが、モノマー(C)同士の反応を防ぐ観点、及びモノマー(C)と第1の重合体とを反応させる点から、加熱温度は40~100℃が好ましく、60~80℃がさらに好ましく;加熱時間は0.5~12時間が好ましく、1~6時間がさらに好ましい。加熱温度を40℃以上、加熱時間を1時間以上とすることで、モノマーCと第1の重合体を十分に反応させることができる。また、加熱温度を100℃以下、加熱時間を12時間以下とすることで、モノマー(C)同士が反応することを防ぐことができる。
また、上述のモノマー成分を重合させて共重合体(X)を合成するためには、重合開始剤(光重合開始剤、熱重合開始剤)、連鎖移動剤などと用いてもよい。これらについては公知のものを適宜選定して用いることができる。
共重合体(X)中の構成単位(A)の含有率は、特に限定はないが、低ヤング率や単官能アクリレートモノマーへの高溶解性の観点から、共重合体(X)の総量に対して、30~99質量%が好ましく、60~99質量%がさらに好ましく、80~99質量%が特に好ましい。
共重合体(X)中の構成単位(B)の含有率は、特に限定はないが、得られるエラストマーの耐溶剤性や単官能アクリレートモノマーへの高溶解性の観点から、構成単位(A)の総量に対して、好ましくは0.05~10mol%、0.1~5mol%がさらに好ましく、0.25~2.5mol%が特に好ましい。
共重合体(X)中の構成単位(C)の含有率は、特に限定はないが、得られるエラストマーの耐溶剤性の観点から、構成単位(A)の総量に対して、好ましくは0.05~10mol%、0.1~5mol%がさらに好ましく、0.25~2.5mol%が特に好ましい。
フォトポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5万以上300万以下であることが好ましい。具体的に、成膜性、並びに、機械物性(低ヤング率、低ヒステリシス)の観点から、10万以上であることが好ましく、20万以上であることがさらに好ましい。また、単官能アクリレートモノマーに対する溶解性の観点から、300万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系エラストマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔東ソー(株)製、品番:HLC-8320GPC、カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel GMHH-R、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.6mL/min〕を用いてポリスチレン換算で測定することができる。
本実施形態におけるフォトポリマーのガラス転移温度(は、特に限定はないが、低ヤング率の観点から、50℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがさらに好ましく、0℃以下であることが特に好ましい。ガラス転移温度の測定は、JIS. K 6240:2011に準拠して行うことができる。
本実施形態において単官能アクリレートとフォトポリマーとの組み合わせとしては、単官能アクリレートモノマーに対するフォトポリマーの溶解度を満たす限り特に制限されるものではないが、エラストマーの機械物性及び良好な溶解性の観点から、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
(A)EA-4HBA-AOI(フォトポリマー)と、イソブチルアクリレート(AIB)と、の組み合わせ、
(B)EA-4HBA-AOI(フォトポリマー)と、メトキシエチルアクリレート(MTA)と、の組み合わせ、
(C)EA-4HBA-AOI(フォトポリマー)とシアノエチルアクリレート(CNTA)と、の組み合わせ、
(D)EA-4HBA-AOI(フォトポリマー)と、メトキシエチルアクリレート(MTA)及びシアノエチルアクリレート(CNTA)と、の組み合わせ、
(E)EA-4HBA-AOI(フォトポリマー)と、メトキシエチルアクリレート(MTA)及び2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(V#3F)と、の組み合わせ及び、
(F)その他、共重合体(X)の例として記載したフォトポリマーと、前記(A)~(E)のいずれかの組み合わせで用いられた単官能アクリレートとの組み合わせが挙げられる。
なお、本実施形態のエラストマーは誘電エラストマー用途の他、所望の用途に適宜用いることが可能である。各用途を考慮した場合、誘電率と耐電圧との両立の観点、及び、変化率の観点からは、前記(C)及び(D)が好ましい。また、戻り性(ひずみ)の観点からは、前記(A)、(B)、(D)、(E)、(F)が好ましく、(A)、(B)、(D)がさらに好ましい。
本実施形態の組成物中のフォトポリマーの含有量は、コート性の点で、通常、エラストマー形成用組成物100質量部に対し、5~50質量部であることが好ましく、10~40質量部がさらに好ましく、10~30質量部が特に好ましい。
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤は、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合反応を開始させる化合物である。光重合開始剤としては、例えば、ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤、アニオン光重合開始剤が挙げられる。これら光重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ラジカル光重合開始剤を2種以上併用することができる。
光重合開始剤は、本実施形態の組成物を光硬化させる際の露光波長に吸収がある化合物を適宜選定することが望ましいが、例えば、ベンゾインエーテル、ベンゾインα、α-ジメチルベンジルケタール、α,α-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルアセトン-1、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-p-ヒドロキシエチルエーテルフェニルアセトン-1、[2-メチル1-(4-カルボキシフェニル)-2-モルホリノン-1]、[2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリニルフェニル)ブタノン-1]、ベンゾイルホルメート、2,4,6-トリメチルフェニルアシル-エトキシ-フェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルフェニルアシルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)フェニルホスフィンオキシド、及び4-p-トリルヒドラジルベンゾフェノンなどからなる群から選択される1種以上のラジカル光重合開始剤を用いることができる。
本実施形態の組成物中の光重合開始剤の含有量は、当該光重合開始剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、エラストマー形成用組成物100質量部に対し、0.01~20質量部程度であることが好ましい。
〈溶媒〉
本実施形態の組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が20質量%以下である。溶媒の含有量が20質量%を超えると、コート性や伸長率などの性質が低下する。
また、上述した、エラストマーに残留する溶媒の量が少ないことで得られる効果の観点から、本実施形態の組成物の全質量にする溶媒の含有量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、当該組成物が溶媒を含まないことが特に好ましい。
本実施形態の組成物に用いることのできる溶媒としては、本実施形態における単官能アクリレートモノマー及びフォトポリマーを溶解可能であれば特に限定はないが、例えば、ベンゼン系溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)、ケトン系溶媒(例えば、シクロペンタノン、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸へキシル、酢酸ブチル、カルビトールアセテート等)等が挙げられる。
〈他の成分〉
(他のモノマー)
本実施形態の組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で、所望に応じて、上述の単官能アクリレートモノマー以外の他のモノマーを含んでいてもよい。他のモノマーとしては、例えば、単官能メタクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレート以外のモノマー等が挙げられる。他のモノマーの具体例としては、アクリレートと共重合可能なビニルエーテル類、スチレン類、マレイミド類などの単官能モノマー;トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP-3A)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET-3A)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)などの多官能アクリレートやアクリレートと共重合可能な多官能ビニルエーテル類;スチレン類、マレイミド類が挙げられる。
本実施形態の組成物に他のモノマーを用いる場合、上述した機械物性の点から、通常、エラストマー形成用組成物100質量部に対し、1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部がさらに好ましく、1~5質量部が特に好ましい。
(界面活性剤)
本実施形態の組成物中には、界面活性剤を含んでいてもよい。本実施形態の組成物に界面活性剤が含まれていると、表面の凹凸が少ないフィルムや膜を形成することができる。
本実施形態の組成物中の界面活性剤の含有量は、特に限定はないが、塗布時における塗膜表面の凹凸発生抑制の観点から、本実施形態の組成物の総量に対して、0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましく、0.1~0.3質量%が特に好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ジメチルシロキサン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられ、ジメチルシロキサン系界面活性剤が好ましい。また、界面活性剤としては、アクリロイル基含有ポリエーテル変性ジメチルシロキサンなど、架橋性官能基を有する界面活性剤が好ましい。当該架橋性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基が挙げられる。
ジメチルシロキサン系界面活性剤としては、市販品として、例えば、BYK Additives & Instruments社製の、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3510、BYK-UV3535、BYK-UV3570、BYK-UV3575、BYK-UV3576などを用いることができ、その中でも、BYK-UV3500が好ましい。
その他、本実施形態の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、所望に応じて、連鎖移動剤、熱重合開始剤、光増感剤などを併用することができる。
《エラストマー》
本実施形態のエラストマーは、本実施形態の組成物を用いて形成することができる。具体的には、フォトポリマーと単官能アクリレートモノマーとを反応させることで、フォトポリマーの光架橋部位(例えば、構成単位(C))に単官能アクリレートモノマーを結合させることで、本実施形態のエラストマーを合成することができる。本実施形態のエラストマーは、従来のアクリルゴムのように原料のモノマー成分を懸濁重合法によって重合させるのではなく、溶媒を用いない光塊状重合法によって重合させることができ、特に、伸長性、柔軟性、戻り性等の機械特性に優れる。
なお、本実施形態のエラストマーの幅や厚み、長さなどの形状は特に限定されるものではない。
本実施形態のエラストマーの具体例としては、例えば、下記式EA-4HBA-AOIで示されるポリマーと、単官能アクリレートとの合成によって得られたエラストマー等が挙げられる。EA-4HBA-AOIと組み合わせる単官能アクリレートモノマーとしては、上述のように、AIB、MTA、CNTAや、MTA及びCNTA組み合わせ、MTA及び2,2,2-トリフルオロエチルアクリレートの組み合わせ等が挙げられる。
《エラストマー形成用組成物の製造方法》
上述のように、本実施形態の組成物を光照射によって硬化(重合)させることでエラストマーとすることができる。当該重合方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本実施形態、かかる例示のみに限定されるものではない。ただし、本実施形態の組成物は溶媒の含有量が20質量%以下であるため、光塊状重合法を採用することが好ましい。
本実施形態の組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)とを光塊重合させて第1の重合体を得る工程と、前記第1の重合体を単官能アクリレートモノマー中に溶解して樹脂溶液を得る工程と、前記樹脂溶液に、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の水酸基に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)と、触媒と、を添加してフォトポリマーを合成する工程と、を含むエラストマー形成用組成物の製造方法で製造することができる。本実施形態のエラストマー形成用組成物の製造方法においては、フォトポリマーを合成した後などに、光重合開始剤を加えることができる。
当該組成物の製造方法は、上述のPC工程(1)~(2)を含む製造方法によってフォトポリマーを製造する際に、第1の重合体を溶解する溶媒として単官能アクリレートモノマーを用いた方法と同様である。
得られた本実施形態の組成物を用いて、例えば、下記PC工程(3)によって本実施形態のエラストマーを合成することができる。
PC工程(3)は、フォトポリマー(上述の共重合体(X))をさらに光照射によって反応させることでエラストマーとする工程である。フォトポリマーは、モノマー(C)由来のアクリロイル基などの光架橋部位を有している。PC工程(3)において、例えば、フォトポリマー、単官能アクリレートモノマー及び光重合開始剤に加え、必要に応じて、溶媒、界面活性剤などを含む本実施形態の組成物に光を照射することによって、単官能アクリレートモノマーとのアクリロイル基とフォトポリマーの光架橋部位とを結合させることができ、本実施形態のエラストマーを得ることができる。PC工程(3)における光照射条件は、特に限定はないが、紫外線などを用いることができ、各重合体のアクリロイル基同士を確実に結合させる観点と必要十分な照射量の観点から、紫外線の積算照射量が600~7000mJ/cm2であることが好ましく、2800~5600mJ/cm2がさらに好ましい。特に、紫外線照射量は4200mJ/cm2以上であることが好ましい。
上述のようにフォトポリマーは単官能アクリレートモノマーに対する溶解性に優れるため、溶媒の含有量が20質量%以下であっても塗布などによって塗膜を形成することができる。また、本実施形態の組成物は塗布後の塗膜にはじきが少なく、コート性に優れる。
本実施形態のエラストマーは、使用用途に応じて形状などを適宜設計することができる。本実施形態のエラストマーは、例えば、シート状のエラストマーや、エラストマーを積層した積層体として用いることができる。
本実施形態のエラストマーをシート状にした場合、シート厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、誘電エラストマー用途の場合、10μm~300μmが好ましく、20μm~100μmが特に好ましい。
また、本実施形態のエラストマーを積層体とする場合、例えば、誘電エラストマー用途の場合、には、厚さ10μm~50μmのシート状のエラストマーを100~300枚積層することで形成することができる。
本実施形態のエラストマーには、その粘度を調製するためなど、所望の目的に応じて、他のポリマーを適量含有していてもよい。他のポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられるが、本実施形態は、これら例示のみに限定されるものではない。これらの他のポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態のエラストマーには、必要により、中和剤が含まれていてもよい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、オクチルアミン、トリブチルアミン、アニリンなどの有機塩基性化合物などが挙げられるが、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの中和剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態のエラストマーには、本実施形態の目的が阻害されない範囲内で、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、熱伝導性フィラー、導電性フィラーなどが挙げられるが、本実施形態は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本実施形態のエラストマーの伸長率、ヤング率、ひずみは、例えば、引張測定器を用い後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本実施形態のエラストマーの伸長率は、200%以上が好ましく、400%以上がさらに好ましく、700%以上が特に好ましい。
本実施形態のエラストマーのヤング率は、1MPa以下が好ましく、0.5MPa以下がさらに好ましく、0.2MPa以下が特に好ましい。
本実施形態のシートをセンサーに用いるなど戻り性が求められる場合、そのひずみは、9%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましく、3%以下が特に好ましい。
本実施形態のエラストマーは誘電エラストマーとして用いた場合について、好ましい特性を以下に示す。これら特性は後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本実施形態の誘電エラストマーの誘電率は、誘電アクチュエーター用途の場合、2以上が好ましく、5以上がさらに好ましく、8以上が特に好ましい。
本実施形態の誘電エラストマーの耐電圧は、誘電アクチュエーター用途の場合、50(v/μm)以上が好ましく、60(v/μm)以上がさらに好ましく、100(v/μm)以上が特に好ましい。
本実施形態の誘電エラストマーの電圧を印加した際の変化率は、 誘電アクチュエーター用途の場合、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がさらに好ましく、 2.0%以上が特に好ましい。
本実施形態のエラストマーは、伸長性及び低電圧を印加したときに大きい変位量を示すという観点から、ガラス転移温度(Tg)が、5℃以下であることが好ましく、0℃以下がさらに好ましく、-20℃以下が特に好ましい。
《エラストマーの用途》
本実施形態のエラストマーはシート状とした際に、用途によっては、そのままの状態で用いることができるが、強靭性を付与する観点から、一軸延伸又は二軸延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。前記シートの延伸倍率は、強靭性を付与する観点から、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上であり、当該フィルムの厚さにもよるが、延伸時の破断を防止する観点から、好ましくは8倍以下、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下である。なお、シートを延伸させる際には、必要により、加熱してもよい。
本実施形態のエラストマーは、印加電圧に応じて厚みやサイズが変位する誘電エラストマーとして用いることができる。本実施形態の誘電エラストマーは、例えば、アクチュエータ、産業用ロボットなどに使用されるセンサ、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサ、人工筋肉、小型ポンプ、医療用器具などの電機デバイスに使用することが期待される。これらのなかでも、本実施形態のエラストマーは、印加電圧が低くても大きな変位量を示すように設計できるため、アクチュエータに好適に使用することができる。
以下に、本実施形態のエラストマーを用いた電機デバイスの一例として、アクチュエータについて説明する。なお、本発明は、以下の説明に示される実施形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明のアクチュエータの一実施態様を示す概略平面図である。図2は、図1に示されるアクチュエータのA-A部における概略断面図である。図3は、エラストマーの変位を説明するための概略図である。
図1及び図2に示されるように、アクチュエータ1は、フィルム状のエラストマー2と一対の電極3A,電極3Bとから形成されている。エラストマー2と電極3A,電極3Bとは、例えば、導電性ペースト(図示せず)などで接着させることができる。導電性ペーストとしては、例えば、カーボン、銀などの導電性フィラーを含有する導電性ペーストなどが挙げられる。
エラストマー2は、一軸延伸又は二軸延伸、好ましくは二軸延伸されていることが好ましい。エラストマー2の延伸倍率は、特に限定されないが、強靭性を付与する観点から、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上である。また、エラストマーの厚さにもよるが、延伸時の破断を防止する観点から、好ましくは8倍以下、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下である。
エラストマー2の厚さは、印加電圧が低くてもアクチュエータ1が大きな変位量を呈するようにする観点から、好ましくは1~100μm、より好ましくは1~80μm、さらに好ましくは1~50μm、さらに一層好ましくは1~30μmである。
図2に示されるように、電極3A,電極3Bは、エラストマー2の両面にそれぞれ対向するよう配置されている。また、各電極は、電極材料で形成されている。電極材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ito)、アンチモン酸化スズ(ato)、フッ素がドープされた酸化スズ(fto)、フッ素酸化スズ(fto)、アルミニウム酸化亜鉛(azo)、ガリウム酸化亜鉛(gzo)、酸化スズ(nesa)、酸化インジウム亜鉛(izo)、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロムなどの金属や金属酸化物、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボンなどの炭素材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの電極材料は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
電極3A,電極3Bの形状、大きさ及び厚さは、特に限定されず、アクチュエータ1の用途に応じて任意に決定することができる。電極3A,電極3Bの形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形などが挙げられる。電極3A,電極3Bの大きさの一例として、直径が1~20mmである円形のものなどを挙げることができる。電極3A,電極3Bの厚さは、特に限定されないが、通常、50~500μm程度である。
電極3Aの直径方向の外周面には端子4Aが配設されており、電極3Bの直径方向の外周面には端子4Bが配設されている。端子4A,端子4Bは、それぞれ5A,導線5を介して電源6と接続されている。
電源6によって、電極3A,電極3Bに電圧を印加した際、各電極間に静電引力が生じ、図3に示されるように、エラストマー2が図3中の太矢印で示される方向に圧縮されることから、エラストマー2の厚さ(図2におけるW)が小さくなり、エラストマー2は、幅方向(図3における細矢印で示される方向)に延伸される。このとき、電極3A,電極3Bは、エラストマー2とともに幅方向に延伸される。
電極3Aにマーカー7を装着させておくことにより、電極3A,3Bに電圧を印加したときのアクチュエータ1の変位量を変位計8で測定することができる。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
エチルアクリレート(EA)85g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1.2g、及び重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.3gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を得た。
得られたモノマー成分を、SUS製の成型容器(縦:43cm、横:43cm、深さ:2mm)に満たし、上から透明ガラス(縦:43cm、横:43cm、厚さ:2mm)でふたをした後、当該モノマー成分に照射線量が0.6mw/cm2となるように紫外線を上から照射し、モノマー成分を2時間塊状重合させることによって、第1の重合体(poly-EA/4HBA(Mw160,000))を得た。
得られた第1の重合体86.5gを単官能アクリルモノマー(イソブチルアクリレート:AIB)164gに溶解し第1の樹脂溶液を得た。
ついで、得られた第1の樹脂溶液に、下記(C-1:2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート(AOI))2.4g及び錫触媒〔日東化成(株)製、製品名:ネオスタンU-100〕0.1gを添加し、これを50℃の温度で7時間よく撹拌し、poly-EA/4HBAのAOI付加体(フォトポリマーA)と単官能アクリレート(AIB)とを含む第2の樹脂溶液を得た。
(エラストマー形成用組成物の調製)
得られた第2の樹脂溶液に、光重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO(下記表中の“TPO”〕0.8g、界面活性剤(BYK Additives & Instruments社製、商品名:BYK-UV3500(下記表中の“BY”))0.3gを加えて撹拌し硬化性樹脂組成物(エラストマー形成用組成物)を調製した。
[実施例2]
実施例1において、単官能アクリレート(AIB)を、メトキシエチルアクリレート(MTA)164gに変更した以外は同様にして、本実施例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1において、単官能アクリレート(AIB)を、シアノエチルアクリレート(CNEA)164gに変更した以外は同様にして、本実施例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[実施例4]
実施例1において、単官能アクリレート(AIB)を、メトキシエチルアクリレート(MTA)49g及びシアノエチルアクリレート(CNEA)115gの混合物に変更した以外は同様にして、本実施例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[実施例5]
エチルアクリレート(EA)120g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1.7g、及び重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.1gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を得た。
得られたモノマー成分を、SUS製の成型容器(縦:43cm、横:43cm、深さ:2mm)に満たし、上から透明ガラス(縦:43cm、横:43cm、厚さ:2mm)でふたをした後、当該モノマー成分に照射線量が0.6mw/cm2となるように紫外線を上から照射し、モノマー成分を2時間塊状重合させることによって、第1の重合体(poly-EA/4HBA(Mw1,600,000))を得た。
得られた第1の重合体10gを単官能アクリルモノマー(イソブチルアクリレート:AIB)89.6gに溶解し第1の樹脂溶液を得た。
ついで、得られた第1の樹脂溶液に、上述の(C-1:2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート(AOI))0.2g及び錫触媒〔日東化成(株)製、製品名:ネオスタンU-100〕0.1gを添加し、これを50℃の温度で7時間よく撹拌しpoly-EA/4HBAのAOI付加体(フォトポリマーB)と単官能アクリレート(AIB)とを含む第2の樹脂溶液を得た。
(エラストマー形成用組成物の調製)
得られた第2の樹脂溶液に、光重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.3g、界面活性剤(BYK Additives & Instruments社製、商品名:BYK-UV3500)0.1gを加えて撹拌し硬化性樹脂組成物(エラストマー形成用組成物)を調製した。
[実施例6]
実施例5において、単官能アクリレート(AIB)を、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート(V#3F)44.8g及びメトキシエチルアクリレート(MTA)44.8gの混合物に変更した以外は同様にして、本実施例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[比較例1,2]
実施例2及び3において、フォトポリマーを用いず、AIB又はCNEAの含有量を各々250gづつ用いた以外は同様にして、本比較例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[比較例3]
エチルカルビトールアクリレート(CBA)153g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1.2g、及び重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.3gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を得た。
得られたモノマー成分を、SUS製の成型容器(縦:43cm、横:43cm、深さ:2mm)に満たし、上から透明ガラス(縦:43cm、横:43cm、厚さ:2mm)でふたをした後、当該モノマー成分に照射線量が0.6mw/cm2となるように紫外線を上から照射し、モノマー成分を2時間塊状重合させることによって、第1の重合体(poly-CBA/4HBA(Mw200,000))を得た。
得られた第1の重合体154.4gを単官能アクリルモノマー(イソブチルアクリレート:AIB)92gとメチルエチルケトン(MEK)200gとの混合物に溶解し第1の樹脂溶液を得た。
ついで、得られた重合体溶液に、上述の(C-1:2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート(AOI))2.4g及び錫触媒〔日東化成(株)製、製品名:ネオスタンU-100〕0.1gを添加し、これを50℃の温度で7時間よく撹拌したpoly-CBA/4HBAのAOI付加体(フォトポリマーC)と単官能アクリレート(AIB)とを含む第2の樹脂溶液を得た。
(エラストマー形成用組成物の調製)
得られた第2の樹脂溶液に、光重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕1.5g、界面活性剤(BYK Additives & Instruments社製、商品名:BYK-UV3500)0.6gを加えて撹拌し硬化性樹脂組成物(エラストマー形成用組成物)を調製した。
[比較例4]
エチルカルビトールアクリレート(CBA)153g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1.2g、及び重合開始剤として2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製、商品名:IrgacureTPO〕0.3gを混合することにより、重合開始剤を含有するモノマー成分を得た。
得られたモノマー成分を、SUS製の成型容器(縦:43cm、横:43cm、深さ:2mm)に満たし、上から透明ガラス(縦:43cm、横:43cm、厚さ:2mm)でふたをした後、当該モノマー成分に照射線量が0.6mw/cm2となるように紫外線を上から照射し、モノマー成分を2時間塊状重合させることによって、第1の重合体(poly-CBA/4HBA(Mw200,000))を得た。
得られた第1の重合体154.4gは単官能アクリルモノマー(イソブチルアクリレート:AIB)292gに混合し第1の樹脂溶液を得た。但し、第1の重合体は単官能アクリルモノマーに溶解しなかった。
ついで、得られた第1の樹脂溶液に、上述の(C-1:2-(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート(AOI))2.4g及び錫触媒〔日東化成(株)製、製品名:ネオスタンU-100〕0.1gを添加し、これを50℃の温度で7時間よく撹拌したが、第1の重合体にAOIが付加せず、フォトポリマーCが得られなかった。
[比較例5]
実施例1において、単官能アクリレート(AIB)を、イソブチルビニルエーテル(IBVE)164gに変更した以外は同様にして、本比較例のエラストマー形成用組成物を調製した。
[比較例6]
実施例1において、単官能アクリレート(AIB)を、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMP3A)164gに変更した以外は同様にして、本比較例のエラストマー形成用組成物を調製した。
(単官能アクリレートモノマー等に対するフォトポリマーの溶解度)
各実施例及び比較例で用いたフォトポリマーについて、実施例及び比例で用いた単官能アクリレートモノマー、及び、非単官能アクリレートモノマーに対する溶解度を測定した。
当該測定は、実施例及び比較例で用いた、単官能アクリレート、又は、非単官能アクリレート化合物(混合物の場合は各化合物の比率は実施例等と同等とした)10gとフォトポリマー1~5gとを用いた。
具体的には、実施例及び比較例で用いた、各単官能アクリレート、又は、非単官能アクリレート化合物10gに対し、各フォトポリマーを滴下し、50℃で加熱混合し、冷却後の状態の確認を行った。フォトポリマーの滴下は0.5gずつ行い、冷却後不溶物が目視で確認できず、均一溶液となる上限濃度をポリマーの溶解度とした。例えば、例えば、1gのフォトポリマーを溶解させた際に不溶物が確認できず、1.5gのフォトポリマーを溶解させた際に不溶物が確認できたものの溶解度は、10質量%となる。
各フォトポリマーの詳細及び溶解度の結果を下記表に示す。
(シート状エラストマーの形成)
PETフィルム上に硬化性樹脂組成物を塗布し厚さ100μm塗膜を形成した。ついで、照射線照度300mW/m2、露光量2000mJとなるように紫外線を塗膜に照射し、硬化性樹脂組成物を光重合させることにより、誘電エラストマーを得た。
《各評価について》
以下、表中に示す評価方法について説明する。
(コート性の評価)
塗布後の塗膜(硬化前)を目視によって観察し下記の基準に従って塗膜のコート性を評価した。
《基準》
A:ハジキがなく、良好な外観であった。
B:塗膜に少数のハジキの発生が確認された。
C:塗膜に多数のハジキの発生が確認された。
(伸長率(%)、ヤング率の測定)
硬化後のフィルムをダンベル型(7号)で打ち抜き、引張試験機〔オリエンテック(株)製、品番:Tensilon RTG-1310〕を用いて誘電エラストマーの伸長率(%)及びヤング率を測定した。
(戻り性(ひずみ)の測定)
硬化後のフィルムをダンベル型(7号)で打ち抜き、引張試験機〔オリエンテック(株)製、品番:Tensilon RTG-1310〕を用いて誘電エラストマーの伸長率100%まで伸長後、完全に除荷し、再度伸長率100%まで伸長後、完全除荷をおこなった。ついで、2回目の引張試験において荷重が掛かり始める変位量(%)を“X”とし、完全除荷時の変位量(%)を“Y”としたときに、式:ひずみ=Y-Xにしたがって、“フィルムのひずみ”を算出した。
(誘電率の測定)
硬化後のフィルム(誘電エラストマー)の誘電率をインピーダンスアナライザ(アメテック 社製、品番:1260A)で測定した。
(耐電圧の測定)
硬化後のフィルム(誘電エラストマー)両面の中央部にカーボンブラックを塗布することによって、電極(直径:2.5mm、厚さ:5μm)を形成し、図1で示されるアクチュエータを作製した。
得られたアクチュエータの電極に電圧を印加し、電圧を徐々に上昇させて、絶縁破壊を起した際の電圧を計測した。
(フィルムの変化率(%)の測定)
同様に硬化後のフィルム(誘電エラストマー)両面の中央部にカーボンブラックを塗布することによって、電極(直径:2.5mm、厚さ:5μm)を形成し、アクチュエータを作製した。
得られたアクチュエータの電極に電圧を印加し、電圧を上昇させたときのアクチュエータの変位量及びその変化率を以下の方法に従って算出した。
まず、アクチュエータの一方の電極に変位量測定用マーカーを取り付け、電極間に電圧アンプ〔松定プレシジョン(株)製、品番:HEOPS-10B2〕で直流電圧(1000V)を印加した。この際、マーカーの変位量(mm)を変位計〔(株)キーエンス製、品番:LK-GD500〕で測定した。
その後、下記式に基づいて変位量の変化率を求めた。
[変位量の変化率(%)]=[(変位量(mm)÷電圧の印加前の電極の半径(mm))]×100
各実施例は、いずれもコート性、伸長率、柔軟性、戻り性に優れていた。
さらに、各実施例は誘電エラストマーに求められる特性に優れるものであり、特に、実施例3及び4が誘電率と耐電圧とが両立されており、高い変化率を示していた。
比較例1及び2は、はじきが多く塗膜を形成することができなかった。さらに、比較例3は、フォトポリマーCがAIBに対する溶解度が10質量%未満であったため溶媒を用いてフォトポリマーを溶解した。しかし、当該比較例は溶媒を20質量%以上含むものであり、コート性に劣っていた。比較例4は、第1の重合体がAIBに溶解せずフォトポリマーCを合成できなかったため、塗膜を形成することができなかった。
比較例5は、アクリレート以外のモノマーを用いた例であるが、戻り性に劣っていた。更に、比較例5は耐電圧の数値が低かった。
比較例6は多官能アクリレートモノマーを用いた例であるが、硬化度が高く柔軟性、戻り性に劣っていた。
本発明のエラストマーは、特に限定されるものではないが、誘電エラストマーとして有用であり、例えば、アクチュエータ、産業用ロボットなどに使用されるセンサ、発電素子、スピーカー、マイクロフォン、ノイズキャンセラ、トランスデューサ、人工筋肉、小型ポンプ、医療用器具などに使用することが期待される。
1:アクチュエータ、2:エラストマー、3A,3B:電極、4A,4B:端子、5A,5B:導線、6:電源、7:マーカー、8:変位計

Claims (19)

  1. 単官能アクリレートモノマーと、
    前記単官能アクリレートモノマーに可溶なフォトポリマーと、
    光重合開始剤と、を含み、
    組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が20質量%以下である、エラストマー形成用組成物。
  2. 前記単官能アクリレートモノマーが、無置換又は置換基を有するアルキルアクリレートである、請求項1に記載のエラストマー形成用組成物。
  3. 前記置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、及び、エーテル結合又はエステル構造を有する基から選ばれる少なくとも一つである、請求項2に記載のエラストマー形成用組成物。
  4. 前記フォトポリマーが、アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)に由来する構成単位、及び、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)に由来する構成単位と結合するポリマー主鎖と、前記構成単位(B)に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)に由来する構成単位と、を含む請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物。
  5. 前記アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物である、請求項4に記載のエラストマー形成用組成物。
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;R2は、ハロゲン原子、エーテル結合若しくはエステル構造を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基、又は、直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数2~12のアルコキシアルキル基を示す。)
  6. 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)が、下記式(2)で示される化合物である、請求項4又は請求項5に記載のエラストマー形成用組成物。
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;Zは、O、NH、又はSを示す;X1は、ハロゲン原子を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキル基、アリール基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキル基を示す。aは1以上の整数を表す。)
  7. 前記(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)が、下記式(3-1)で示される化合物である、請求項4~請求項6のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物。
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す;X2は直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1~10のアルキレン基、又は、炭素数2~12の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルコキシアルキレン基を示す。)
  8. 前記フォトポリマーが光塊重合反応によって合成された、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物。
  9. 組成物の全質量に対し、溶媒の含有量が5質量%以下である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物。
  10. 溶媒を含まない、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物。
  11. 請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物を用いて形成されたエラストマー。
  12. 下記式EA-4HBA-AOIで示されるポリマーと、単官能アクリレートと、の合成によって得られたエラストマー。
  13. 誘電エラストマーである、請求項11又は請求項12に記載のエラストマー。
  14. シート状である、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載のエラストマー。
  15. 請求項11~請求項14のいずれか一項に記載のエラストマーを積層した、積層体。
  16. 請求項11~請求項14のいずれか一項に記載のエラストマー、又は、請求項15に記載の積層体を備えた、電機デバイス。
  17. 請求項11~請求項14のいずれか一項に記載のエラストマー、又は、請求項15に記載の積層体を備えた、アクチュエータ。
  18. 請求項11~請求項14のいずれか一項に記載のエラストマー、又は、請求項15に記載の積層体を備えた、センサ。
  19. 請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のエラストマー形成用組成物の製造方法であって、
    アルキル(メタ)アクリレートモノマー(A)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)とを光塊重合させて第1の重合体を得る工程と、
    前記第1の重合体を単官能アクリレートモノマー中に溶解して樹脂溶液を得る工程と、
    前記樹脂溶液に、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)の水酸基に結合し且つ(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート系モノマー(C)と、触媒と、を添加してフォトポリマーを合成する工程と、
    を含むエラストマー形成用組成物の製造方法。
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