JP2024004317A - 撮像レンズ製造装置及びカメラモジュール製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズ製造装置を提供する。【解決手段】撮像レンズ製造装置(100)は、少なくとも固定レンズ(112)を保持するステージ(140)と、調整レンズ(111)を保持し、かつ、撮像レンズ(110)の光軸(L)に対して垂直な面内における、固定レンズに対する調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構(130)と、光源(160)と、光源からの光を透過する3つ以上のスリット(151)を有するレチクル(150)と、スリットを透過した複数の光束を、撮像レンズを介してそれぞれ検出する、複数のセンサー(121)を有する光検出部(120)と、を備え、レンズ調整機構はさらに、光軸に対する調整レンズの傾き角度を調整可能であり、傾き角度の調整は、光軸上に位置する回転中心点を中心として調整レンズが回転することにより行われる。【選択図】図1

Description

本発明は、撮像素子により撮像された撮像情報に基づいてレンズを調整する撮像レンズ製造装置及びカメラモジュール製造装置に関する。
昨今急速に進むカメラモジュールの高解像化及び高性能化により、部品精度を上記高解像化に対応して向上させることが難しくなっている。撮像レンズの製造プロセスにおいて撮像レンズを構成する複数のレンズ間の組立精度が撮像レンズの製造プロセスにおける良品率に大きく影響するため、高精度な組立精度が必要とされている。
ところで、撮像レンズの製造プロセスにおいて、鏡筒本体に配置された複数のレンズのうち、一部のレンズを調整レンズとして、位置を調整することで、撮像レンズの光学性能を調整する方法が知られている。例えば、撮像素子により撮像された撮像情報を元に、光軸に対するタンジェンシャル像面の傾きの絶対値と前記光軸に対するサジタル像面の傾きの絶対値とが略等しくなるように、調整レンズを水平移動させることで、像面の傾きを調整する方法が、特許文献1により提案されている。
特開2010-230745号公報
しかしながら、特許文献1には、調整レンズをどのように調整するのかについては記載されていない。さらに、特許文献1に記載されている発明では、調整後にタンジェンシャル像面とサジタル像面に傾きが残る。そのため、特許文献1では、調整後の撮像レンズを効果的に使用するためには、撮像レンズまたはカメラモジュールのイメージセンサーのどちらかの傾きの調整が必要になる。
本発明の一態様は、上記問題を鑑み、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを製造可能な撮像レンズ製造装置及びカメラモジュール製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮像レンズ製造装置は、複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズを保持するステージと、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、光源と、前記撮像レンズと前記光源との間に配置され、前記光源からの光を透過する3つ以上のスリットを有するレチクルと、前記光源からの光が、前記スリットを透過することで得られた複数の光束を、前記撮像レンズを介してそれぞれ検出する、複数のセンサーを有する光検出部と、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする。
本発明の他の態様に係る撮像レンズ製造装置は、複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズを保持するステージと、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターンが形成されているチャートと、前記撮像レンズによって前記チャートを撮像する撮像素子と、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする。
本発明の一態様に係るカメラモジュール製造装置は、複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズと、撮像素子と、を有するカメラモジュールを製造する、カメラモジュール製造装置であって、前記カメラモジュールを保持するステージと、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターンが形成されているチャートと、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記撮像レンズの光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを製造可能な撮像レンズ製造装置及びカメラモジュール製造装置を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る撮像レンズ製造装置の概略構成の一例を示す模式図である。 前記撮像レンズ製造装置のレンズ調整機構による調整レンズの調整の一例を示す説明図である。 前記撮像レンズ製造装置のレチクルの一例を示す上面図である。 前記撮像レンズ製造装置の光束経路の一例を示す模式図である。 調整レンズの主点から回転中心点までの光軸方向の距離rの一例を示す説明図である。 PSと焦点位置の関係を示す模式図である。 各光束において、光軸方向の位置と光学性能との関係を示す模式図である。 前記撮像レンズ製造装置の撮像レンズの製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る撮像レンズ製造装置の概略構成の一例を示す模式図である。 前記撮像レンズ製造装置のチャートの一例を示す上面図である。 本発明の実施形態3に係るカメラモジュール製造装置の概略構成の一例を示す模式図である。
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る撮像レンズ製造装置の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。なお、図面には、X軸、Y軸及びZ軸の互いに直交する座標系を適宜に記載した。この座標系において、撮像レンズ製造装置100に撮像レンズ110を設置した場合の撮像レンズ110の光軸L方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向と直交する撮像レンズ製造装置100の幅方向をX軸方向とし、X軸方向及びZ軸方向と直交する撮像レンズ製造装置100の奥行方向をY軸方向とする。
(撮像レンズ製造装置100)
図1は、本発明の実施形態1に係る撮像レンズ製造装置100の概略構成の一例を示す模式図である。撮像レンズ製造装置100は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ110であって、複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ111として構成されている撮像レンズ110を製造する装置である。
撮像レンズ110は、調整レンズ111と、固定レンズ112と、レンズバレル113とから構成されている。レンズバレル113は、固定レンズ112を保持し、ステージに140に固定されている。調整レンズ111及び固定レンズ112はそれぞれ複数枚であってもよい。
撮像レンズ製造装置100は、光検出部120と、レンズ調整機構130と、ステージ140と、レチクル150と、光源160と、デフォーカス機構170と、制御部180と、を備えている。
ステージ140は、例えばレンズバレル113を保持するように構成されていることによって、少なくとも調整レンズ111以外のレンズ(固定レンズ112)を保持する。ステージ140は撮像レンズ110の光軸L方向に駆動するデフォーカス機構170に保持されている。
デフォーカス機構170は、ステージ140に保持された、調整レンズ111以外のレンズ(固定レンズ112)に対するレチクル150の距離を、光軸L方向に変化させるデフォーカス動作を行う。デフォーカス機構170は、ステージ140を光軸L方向に移動させることで、デフォーカス動作を実施する。
光源160は、撮像レンズ110に向かって光を射出する。
(レンズ調整機構130)
レンズ調整機構130は、調整レンズ111を保持し、かつ、撮像レンズ110の光軸Lに対して垂直な面内(X軸及びY軸を通る面内)における、固定レンズ112に対する調整レンズ111の位置を調整可能とする。
図2は、撮像レンズ製造装置100のレンズ調整機構130による調整レンズ111の調整の一例を示す説明図である。図2の2001に示すように、調整レンズ111は、光軸Lに垂直な面内で位置が調整される(図2の2001の白抜き矢印)。
レンズ調整機構130は、調整レンズ111を保持しながら、調整レンズ111を光軸Lに垂直な面内に調整可能な2軸の微動ステージを備えている。これにより、調整レンズ111を光軸Lに垂直な面内で移動させ、撮像レンズ110の調整を実施する。
また、図2の2002及び2003に示すように、レンズ調整機構130は、光軸Lに対する調整レンズ111の傾き角度を調整可能であり、傾き角度の調整は、光軸L上に位置する回転中心点RCを中心として調整レンズ111が回転することにより行われる。これにより、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑え、光軸Lを傾かせることなく調整レンズ111の調整を実現することができる。
言い換えると、レンズ調整機構130は、調整レンズ111を保持しながら、調整レンズ111を光軸Lに垂直なX方向とY方向及びθX方向とθY方向に調整可能な4軸の微動ステージを備えている。θX方向及びθY方向の回転調整は、傾き調整の回転中心RCを中心として実施される。上記構成により、調整レンズ111がX方向、Y方向、θX方向及びθY方向に移動されることで、撮像レンズ110の調整が実施される。
また、レンズ調整機構130は、光軸L方向に駆動可能な微動ステージを備え、調整レンズ111を光軸L方向に駆動可能である。これにより、調整レンズ111と固定レンズ112との適切なレンズ間距離を調整することができるだけでなく、光軸Lに垂直な面内での調整レンズ111の調整の際に、調整レンズ111と固定レンズ112とを離隔させることが可能となる。その結果、撮像レンズ110を調整する際の調整レンズ111と固定レンズ112との摩擦抵抗を低減することができる。
調整レンズ111は、上記位置調整が行われた後に、固定レンズ112と接触する位置にまで光軸L方向に移動されて最終的に固定レンズ112に固定される。
(レチクル150)
レチクル150は、撮像レンズ110と光源160との間に配置され、光源160からの光を透過する3つ以上のスリット151を有する。光源160からの光が、スリット151を透過することで複数の光束が得られる。
図1に示すように、上記の複数の光束は、光軸Lと一致する光軸光束RLと、光軸Lに対して対称である方向に出射される一対の光束群である、一対の第1光束Ra、一対の第2光束Rb、一対の第3光束(図示無)及び一対の第4光束(図示無)と、を含む。
図3は、撮像レンズ製造装置100のレチクル150の一例を示す上面図である。図3に示すように、スリット151は、光軸スリット151Lと、一対の第1スリット151aと、一対の第2スリット151bと、一対の第3スリット151cと、一対の第4スリット151dと、を含む。
光源160からの光が、光軸スリット151L、一対の第1スリット151a、一対の第2スリット151b、一対の第3スリット151c及び一対の第4スリット151dを透過することで、それぞれ、光軸光束RL、一対の第1光束Ra、一対の第2光束Rb、一対の第3光束及び一対の第4光束が得られる。
レチクル150において、各スリット151は以下のように配置される。光軸スリット151Lは、光軸スリット151Lを通過する光束が、光軸Lに沿った光軸光束RLとなるように配置される。すなわち、光軸スリット151Lは、光軸L上に配置される。
一対の第1スリット151aは、一対の第1光束Raがそれぞれ最大像高に対して6割以上の像高(第1調整像高)に相当するように配置される。すなわち一対の第1スリット151aは、それぞれの第1光束Raが、像面において、最大像高に対して6割以上の像高の位置で集光するように配置される。更に言い換えると、それぞれの第1スリット151aが像面において、最大像高に対して6割以上の像高の位置で像を結ぶように配置される。
一対の第2スリット151bは一対の第2光束Rbがそれぞれ最大像高に対して1割以上5割以下の像高(第2調整像高)に相当するように配置される。すなわち一対の第2スリット151bは、それぞれの第2光束Rbが、像面において、最大像高に対して1割以上5割以下の像高の位置で集光するように配置される。更に言い換えると、それぞれの第2スリット151bが像面において、最大像高に対して1割以上5割以下の像高の位置で像を結ぶように配置される。
一対の第3スリット151cは、それぞれの第3光束が第1光束Raから、光軸L周りに回転した方向に出射されるように配置される。一対の第4スリット151dは、それぞれの第4光束が第2光束Rbから、光軸L周りに回転した方向に出射されるように配置される。
ここで、像高は光軸Lに垂直な面における、光軸Lからの距離であり、光軸Lに垂直な面上において、光軸Lを中心とした同心円上の像高は等しくなる。また、最大像高は、光軸Lに垂直な面におけるイメージサークルの半径と一致してもよい。イメージサークル半径は結像可能な最大半径を示す。
また、撮像レンズ110の調整に用いる像高を調整像高と定義する。例えば、調整像高を最大像高の5割とした場合、光軸Lに垂直な面における光軸Lを通る1つの軸上には、最大像高の5割の調整像高の位置が2箇所存在する。
図3に示すように、例えば、一対の第1スリット151aは、光軸スリット151Lに対して対称である。また、一対の第3スリット151cは、光軸スリット151Lに対して対称である。第1スリット151aと第3スリット151cとは、光軸スリット151Lを中心とする同一円上において90度ピッチで、交互に配置されている。
一対の第2スリット151bは、光軸スリット151Lに対して対称である。また、一対の第4スリット151dは、光軸スリット151Lに対して対称である。第2スリット151bと第4スリット151dとは、光軸スリット151Lを中心とする同一円上において90度ピッチで、交互に配置されている。
第2スリット151bは、光軸スリット151Lと第1スリット151aとを通る直線上に配置され、第4スリット151dは、光軸スリット151Lと第3スリット151cを通る直線上に配置されている。
なお、レチクル150におけるスリット151の位置は上記に限らず、撮像レンズ110の調整に用いる像高(調整像高)に相当する光束を生成できるようにレチクル150に配置されていればよい。撮像レンズ110は、1つ以上の調整像高に基づき調整される。したがって、例えば、スリット151は、光軸スリット151L及び第1スリット151aのみを有していてもよい。
また、撮像レンズ110は、2つ以上の調整像高に基づき調整されることが望ましい。その場合、例えば、光軸スリット151L、第1スリット151a及び第2スリット151bのみを有していてもよく、光軸スリット151L、第1スリット151a及び第4スリット151dを有していてもよい。2つ以上の調整像高に基づき調整されることが望ましい理由について、詳細は後述する。
レチクル150は、撮像レンズ110の焦点面に概一致する箇所に設置されており、金属の薄板からなる。またスリット151は、任意の像高におけるタンジェンシャル方向とサジタル方向の光学性能を測定する為、各方向に沿った十字形状で有ることが望ましい。
光源160から射出された光は、スリット151を通過し、撮像レンズ110に入射し、撮像レンズ110を通過後、光検出部120を構成するセンサー121に検出される。
(光検出部120)
光検出部120は、光源160からの光が、スリット151を透過することで得られた複数の光束を、撮像レンズ110を介してそれぞれ検出する、複数のセンサー121を有する。
図1に示すように、光検出部120は、4個以上のセンサー121を有する。具体的には、センサー121は、光軸センサー121Lと、第1センサー121aと、第2センサー121bと、第3センサー(図示無)と、第4センサー(図示無)と、を備えている。
光軸センサー121Lは、光軸光束RLを検出する。言い換えると、光軸センサー121Lは、イメージサークルにおいて中心の光を検出する。光軸センサー121Lは、光軸Lと略一致する位置に配置されている。
第1センサー121aから第4センサーは、イメージサークルにおいて周辺像高の光を検出する。周辺像高は、光軸Lから任意の距離が離隔された位置の像高である。
第1センサー121aは、一対の第1光束Raのそれぞれを検出する。一対の第1センサー121aは、光軸Lに対称に配置されている。第2センサー121bは、一対の第2光束Rbのそれぞれを検出する。一対の第2センサー121bは、光軸Lに対称に配置されている。
第3センサーは、一対の第3光束のそれぞれを検出する。第3センサーは、光軸Lに対称に配置され、第1センサー121aから光軸L周りに回転した位置に配置されている。第4センサーは、一対の第4光束のそれぞれを検出する。第4センサーは、光軸Lに対称に配置され、第2センサー121bから光軸L周りに回転した位置に配置されている。
なお、図1では、光源160からの光の射出方向に向かって凸となる扇状となるように各センサー121が配置されているが上記に限らない。しかしながら、各センサー121を扇状に配置することで、撮像レンズ製造装置100の大きさを抑制することができる。
また、センサー121を扇状に配置する場合、ドーム形状を有する支持部(図示無)を用いて当該支持部のドーム形状部の内側にセンサー121を設置することで、センサー121を扇状に配置することができる。このようにドーム形状を有する支持部を用いてセンサー121を扇状に配置する場合、当該支持部にセンサー121を設置することでセンサー121の設置角度がおおよそ決まるため、センサー121の設置角度を調整しやすくなる。
第1光束Raを検出する第1センサー121aと、第3光束を検出する第3センサーとは、光軸Lを中心とする同一円上において90度ピッチで、交互に配置されている。さらに、第2光束Rbを検出する第2センサー121bと、第4光束を検出する第4センサーとは、光軸Lを中心とする同一円上において90度ピッチで、交互に配置されている。すなわち、本実施形態では、光検出部120は、9個のセンサー121を備えている。
図1では、光検出部120として、光軸光束RLを検出する位置に光軸センサー121Lが配置され、調整像高に相当する光を検出する位置に4個のセンサー121が配置されているのが図示されている。光検出部120は、さらに、図示しない軸方向に、他の4個のセンサー121を備えている。
なお、1つの調整像高に基づき撮像レンズ110が調整される場合は、例えば、光軸センサー121Lを配置し、第1センサー121aと、第3センサーとが、光軸Lを中心とする同一円上において90度ピッチで、交互に配置される。この場合、合計5個のセンサー121が配置される。
また、センサー121は、光軸Lを中心として必ずしも90度ピッチで配置する必要はない。センサー121が1つの調整像高につき3個以上配置され、かつ、センサー121が光軸Lを中心に既知の角度で配置されていれば、像面の傾きをX軸方向とY軸方向の成分に変換することで、調整レンズ111のX軸方向とY軸方向の調整量を求めることができる。
例えば、撮像レンズ110が、1つの調整像高に基づき調整される場合であれば、光検出部120は、光軸センサー121Lと、以下のように配置される第1センサー121aと、を備えていてもよい。例えば、上記第1センサー121aは、中心が光軸Lであり、半径が第1調整像高となる同心円上において、光軸Lを中心に120°ピッチで配置されていてもよい。この場合、光検出部120は合計4個のセンサー121を備えることになる。
また、撮像レンズ110が、2つの調整像高に基づき調整される場合であれば、光検出部120は、上述した1つの調整像高に基づき調整される場合のセンサー121に加え、以下のように配置される第2センサー121bを備えていてもよい。例えば、上記第2センサー121bは、中心が光軸Lであり、半径が第2調整像高となる同心円上において、光軸Lを中心に120°ピッチで配置されていてもよい。この場合、光検出部120は合計7個のセンサー121を備えることになる。
さらに、撮像レンズ110が、3つの調整像高に基づき調整される場合であれば、上述した2つの調整像高に基づき調整される場合のセンサー121に加え、以下のように配置される第3調整像高に相当する第5光束を検出する第5センサーを備えていてもよい。例えば、第5センサーは、中心が光軸Lであり、半径が第3調整像高となる同心円上において、光軸Lを中心に120°ピッチで配置されていてもよい。この場合、光検出部120は合計10個のセンサー121を備えることになる。
なお、レチクル150に配置されるスリット151は、各センサー121に対応して配置される。
(制御部180)
制御部180は、撮像レンズ製造装置100の各部を制御するとともに、それぞれのセンサー121が検出した光束による画像からそれぞれの光学性能を導出する。具体的には、制御部180は、それぞれのセンサー121が検出した光束による画像から光学性能としてMTF(Modulation Transfer Function)を導出する。
制御部180は、デフォーカス機構170を制御して、デフォーカス動作をさせながら一対の第1光束RaについてのMTFを導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出する。
制御部180は、撮像レンズ110のデフォーカス動作を行うことで、デフォーカスに対応したMTFの評価が可能であり、撮像レンズ110の調整像高における焦点情報を取得することができる。焦点情報は、例えば、各光束の焦点位置の情報を含む。制御部180はさらに、焦点情報を基に、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の焦点距離の差を求めることができる。
制御部180は、算出したタンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きに基づいて、レンズ調整機構130を制御する。
具体的には、制御部180はタンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きから(1)光軸Lに対して垂直な面内における、固定レンズ112に対する調整レンズ111の位置の調整量、及び、(2)調整レンズ111の傾き角度の回転調整量を算出する。また、制御部180は、算出した調整レンズ111の上記調整量に基づき、制御部180はレンズ調整機構130により(1)光軸Lに対して垂直な面内における、固定レンズ112に対する調整レンズ111の位置、及び、(2)調整レンズ111の傾き角度の調整を行う。
さらに、制御部180は、レンズ調整機構130を制御して、調整レンズ111を、調整レンズ111以外のレンズ(固定レンズ112)に当接するように光軸L方向に駆動する。
(像面の傾きの算出)
以下に、制御部180による像面の傾きの算出の一例について、図4を用いて説明する。図4は、撮像レンズ製造装置100の光束経路の一例を示す模式図である。図4は、像面が傾いている撮像レンズ110を示している。具体的には、図4に示す撮像レンズ110は、光軸スリットIH0を透過する光軸光束RIH0の焦点位置にピントを合わせた状態であるとき、スリットIH1を透過した光束RIH1が理想像面よりも前方に合焦し、スリットIH2を透過した光束RIH2が理想像面よりも後方に合焦する。ここで、理想像面は、光軸光束RIH0を通る光軸Lに垂直な面である。スリットIH1とスリットIH2とは、光軸Lに対称な位置で配置されおり、像面に傾きがない場合、光束RIH1と光束RIH2の焦点位置は、理想像面上となり、理想像面において光軸Lに対称な位置となる。
一般的な撮像レンズ110は全ての像高において、一般的に平坦である理想像面上に、傾きなく結像することが求められる。つまり、光軸スリットIH0を透過する光軸光束RIH0の焦点位置と、光束RIH1及び光束RIH2の焦点位置が等しくなることが理想である。しかしながら、撮像レンズ110を製造する過程で、各レンズの製造バラつきや、組立ての同軸ズレや傾きによって、図4に示すように、理想像面から像面に傾きが生じる。
ここで、像面の傾きを、下記のようにPeak Separation(PS)として、下記式(1)及び下記式(2)のように定める。
PS = FP1-FP2 式(1)
FP1は、撮像レンズ110の光束RIH1のT面(タンジェンシャル像面)またはS面(サジタル像面)での焦点位置である。FP2は、FP1と光軸Lまでの距離が同一であり、かつ、方向がマイナス方向の像高におけるT面またはS面での焦点位置である。すなわち、FP2は光束RIH2のT面またはS面での焦点位置である。このように、傾きPSは、T面またはS面における一対のセンサー121位置間での光軸L方向焦点位置の差で求めることができる。
像面に傾きが生じていない場合PSは0であり、像面に傾きが生じている場合は、傾き角度と周辺像高の位置に対応したPSが発生する。
(調整レンズ111の調整量の算出)
次に、制御部180による調整レンズ111の各調整量の求め方について、以下に説明する。
光軸Lに対して垂直な面内における調整レンズ111の位置の調整において、PSは光軸Lに対して垂直な面内の移動量とおおよそ線形関係に有り、下記式(2)及び式(3)のように示すことができる。ただし、調整レンズ111が撮像レンズ110を構成する他のレンズに比べ屈折率が小さい場合や、光学設計が破綻するような大きなPSである場合は、その限りではない。
PS1≒k1x+PSi1 式(2)
PS2≒k2x+PSi2 式(3)
ここで、PS1はT面における焦点距離の差であり、PS2はS面における焦点距離の差である。k1はT面における光軸Lに対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度(以降、感度k1と称する)であり、k2はS面における光軸Lに対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度(以降、感度k2と称する)である。xは、光軸Lに対して垂直な面内における調整レンズ111の移動量(位置の調整量)であり、PSi1はT面における調整前の焦点距離の差であり、PSi2はS面における調整前の焦点距離の差である。
式(2)及び式(3)から、調整レンズの水平移動によってT面とS面の像面傾きを無くす、すなわちPS1とPS2とを同時に0にするためには、下記式(4)を満足する必要が有る。
x=-PSi1/k1=-PSi2/k2 式(4)
しかしながら実際には、PSi1/k1=PSi2/k2を満足することは難しい。k1及びk2は、光学設計によって決まり、同一規格の製品であれば、個々の撮像レンズ110で大きく変わることはないが、PSi1とPSi2は、生産プロセス上でバラつきを持つ値であり、個々の撮像レンズ110で種々の値を取るからである。
そこで、撮像レンズ製造装置100では、光軸Lに対して垂直な面内において調整レンズ111の位置を調整することに加え、回転中心点RCを中心として調整レンズ111を回転させ光軸Lに対する調整レンズ111の角度を調整する。これにより、撮像レンズ製造装置100は、T面とS面の像面の傾きをなくすように調整レンズ111を調整して撮像レンズ110を製造することが可能となる。
光軸Lに対して垂直な面内における調整レンズ111の位置の移動において、傾きPSは移動量とおおよそ線形関係に成り立つことは前述した通りであるが、調整レンズ111の傾き角度についても同様の関係性が成り立つ。すなわち、下記式(5)及び式(6)が成り立つ。
PS1≒k3t+PSi1 式(5)
PS2≒k4t+PSi2 式(6)
ここで、PS1はT面における焦点距離の差であり、PS2はS面における焦点距離の差である。
また、k3はT面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度であり(以降、感度k3と称する)、k4はS面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度(以降、感度k4と称する)である。tは調整レンズ111の回転量である。PSi1はT面における調整前の焦点距離の差であり、PSi2はS面における調整前の焦点距離の差である。
なお詳しくは後述するが、感度k3及び感度k4には、調整レンズ111の回転量によって発生する光軸Lに対して垂直な面内の位置の移動によるPS変動成分も含むことに注意する必要がある。
調整レンズ111の光軸Lに対して垂直な面内における調整レンズ111の位置の移動と、調整レンズ111の回転は、互いに独立にPS1およびPS2を変動させる。つまり、式(2)、式(3)、式(5)及び式(6)により、下記式(7)及び式(8)が成立つ。
PS1≒(k1x+k3t)+PSi1 式(7)
PS2≒(k2x+k4t)+PSi2 式(8)
したがって、T面とS面の像面傾き、すなわちPS1とPS2を同時に0にするためには、下記式(9)及び式(10)の連立方程式を解き、光軸Lに対して垂直な面内における調整レンズ111の位置の調整量x(以降、面内調整量xと称する)、及び、調整レンズ111の回転調整量tを求めればよい。
PSi1-(k1x+k3t)=0 式(9)
PSi2-(k2x+k4t)=0 式(10)
ところで、調整レンズ111を回転させると、調整レンズ111が光軸Lに対して垂直な面内の位置の移動し、PS値が変動する。そのため、前述の通り、回転量単位当たりで変化するPS量の感度k3及び感度k4には、調整レンズ111の回転量によって発生する光軸Lに対して垂直な面内の位置の移動によるPS変動成分も含む必要がある。
具体的に説明する。図5は、調整レンズ111の主点PPから回転中心点RCまでの光軸L方向の距離Dの一例を示す説明図である。図5に示すように、調整レンズ111が回転する場合、回転中心点RCの位置によって、下記式(11)のように光軸Lに対して垂直な面内の位置が移動する。
xt=Dsint 式(11)
ここで、Dは調整レンズ111の主点PPから回転中心点RCまでの光軸L方向の距離であり(以降、距離Dと称する。)、xtは、調整レンズ111の回転による、光軸Lに対して垂直な面内での調整レンズ111の移動量であり(以降、回転による移動量xtと称する。)、tは調整レンズ111の回転量である。例えば、D=1mm、t=0.2度である場合、回転による移動量xtはおおよそ3.5μmとなる。
調整レンズ111の調整誤差を小さくするためには、回転による移動量xtより、面内調整量xが主であることが望ましい。そのため、回転による移動量xtは、下記式(12)を満たす必要がある。
|x/xt|≧1 式(12)
式(12)を満足しない、または、式(9)と式(10)の連立方程式で解が求められない場合、制御部180は、回転中心点RCを調整することで、調整レンズ111の主点PPから回転中心点RCまでの光軸L方向の距離を変更し、回転による移動量xtを調整する。その調整方法については後述する。
(回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度の算定)
上述したように、距離Dは、式(9)と式(10)の感度k3および感度k4を変動させる主要因である。
当然ながら、感度k3及び感度k4は不変の定数であることが望ましい。しかし距離Dは、撮像レンズ製造装置100の仕様や、撮像レンズ製造装置100における撮像レンズ110の製造環境によって変動し、一定に保つことができない場合がある。
言い換えれば、式(9)および式(10)における感度k3及び感度k4の値は、実生産において、一定に保つことが困難である場合がある。それは例えば、撮像レンズ製造装置100が複数ある場合であって、各装置の調整を一定に合わせることが困難である場合や、撮像レンズ製造装置100の稼働中に撮像レンズ製造装置100の状態が変動する場合等が考えられる。さらに、例えば、撮像レンズ110の製造過程において、調整レンズ111を把持する高さがその時々で変動する場合や、調整レンズ111の主点PPの高さの個体差が無視できない場合等も考えられる。
そこで、制御部180は、タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度k3、及び、サジタル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度k4を、回転中心点RCを中心として調整レンズ111を所定の角度tc回転させることで算出する。
つまり、制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させることで、撮像レンズ製造装置100固有の感度k3及び感度k4を算定する。所定の角度tcは任意に決めることができるが、大きすぎると誤差を生じる可能性があるため、|tc|<1度とすることが好ましい。例えば、所定の角度tcはθX方向に0.5度とすることができる。
制御部180は、まず、調整前の撮像レンズ110についてデフォーカスMTF測定を行い、調整前の撮像レンズ110についてT面の傾きPSi1及びS面の傾きPSi2を算出する。制御部180は、傾きPSi1及び傾きPSi2を算出した撮像レンズ110について、調整レンズ111を所定の角度tc回転させる。制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態で撮像レンズ110のデフォーカスMTF測定を行う。そして、制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態での傾きPS、すなわち、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態でのT面の傾きPS1cと、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態でのS面の傾きPS2cと、を算出する。
調整レンズ111を所定の角度tc回転させたとき、式(7)および式(8)から下記の関係が成立つ。
PS1c≒(k1x+k3tc)+PSi1 式(7-1)
PS2c≒(k2x+k4tc)+PSi2 式(8-1)
ここで、式(7-1)及び式(8-1)において、tcが既知、PS1c、PS2c、PSi1、PSi2が光学性能の測定から既知、またk1とk2が設計値から不変として既知であり、k3とk4とが未知のパラメータとなる。
したがって、制御部180は、上記式(7-1)、式(8-1)を解き、下記式(13)及び式(14)に基づき、感度k3および感度k4の同定を行うことで、感度k3及び感度k4を算出する。
k3=(PS1c-PSi1)/tc 式(13)
k4=(PS2c-PSi2)/tc 式(14)
(回転中心点RCの調整)
上述したように、式(12)を満足しない、または、式(9)と式(10)の連立方程式で解が求められない場合、制御部180は、回転中心点RCの位置を調整する。具体的には、調整レンズ111の主点PPから本来あるべき回転中心点RCまでの光軸L方向の距離r(以降、距離r)を算出し、本来あるべき回転中心点RCの位置を導出する。距離rは下記式(15)により算出する。
r=(k3tc―k3ctc)/(k1sintc) 式(15)
ここで、tcは、回転中心点RCを中心として調整レンズ111を回転させる所定の角度である。k3は、タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度であり、k1は、タンジェンシャル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度である。k3cは、回転中心点RCの位置が、調整レンズ111の主点PPの位置と一致しているとき(距離r=0のときの)のタンジェンシャル像面における回転量単位当たりの焦点距離の差が変化する感度である(以降、感度k3cと称する)。感度k3cは、感度k1や感度k2と同じく、調整レンズ111の設計値であり、環境により変化しないレンズ固有の定数である。
式(15)の導出過程を以下に示す。式(11)のDにrを代入したxt=rsintにより、調整レンズ111を所定の角度tc回転させたときに発生する回転による移動量xtは、式(11-1)となる。
xt=r×sintc 式(11-1)
上記xtによるTanPSをΔPSとして、感度k1を掛け算すると、式(11-2)となる。
ΔPS=rk1sintc 式(11-2)
式(11-2)において、r=0の時はΔPS=0となる。また、距離rの値が変わっても、式(7)のk1とPSi1の値は変わらない。
x=0で、t=tcかつr=0でない時のPSをPS1c、t=tcかつr=0の時のPSをPS1c´とすると、その差は、tc傾けたときに発生するxtによるPSのみ、つまりΔPSになる。したがって、下記式(11-3)が成立つ。
PS1c-PC1c´=ΔPS 式(11-3)
式(11)かつx=0と、式(11-2)とから、下記式(11-4)が成立つ。
k3tc-k3ctc=rk1sintc 式(11-4)
これにより、r=(k3tc―k3ctc)/(k1sintc) 式(15)が導出される。
制御部180は、距離rとなるように、回転中心点RCの位置を調整する。制御部180は、調整レンズ111の主点PPから調整レンズ111を所定の角度tc回転させた際の回転中心点RCまでの光軸L方向の距離と、距離rとの差に基づき、回転中心点RCの位置を調整してもよい。なお、調整レンズ111を所定の角度tc回転させる際の回転中心点RCの位置は、例えば過去の実績値等により決定される。
制御部180は、回転中心点RCを調整する場合、マニュアル的に装置の手動で調整を実施してもよい。また、制御部180は、図示しない回転中心点RCの自動調整機構を備え、自動で回転中心点RCの調整をおこなってもよい。これにより、距離r算出後、速やかに調整を行うことができるので、回転中心点RCの調整で撮像レンズ製造装置100を長時間止めることなく、連続的に稼働を続けることが可能となる。
また、距離rは、0mm≦r≦6mmに調整することが望ましい。距離rが0より小さくなると、調整レンズ111の回転により、調整レンズ111と固定レンズ112とが衝突するおそれがあり、距離rが6mmより大きくなると、式(12)を満たすことが難しくなるためである。
例えば、調整レンズ111の面内調整量x=100μm、調整レンズ111の回転調整量t=1度であるとき、式(11)及び式(12)により、r≦(x/sint)となり、式(12)を満たす距離rの上限が約5.7mmとなる。なお、ここでは、式(11)の距離Dを距離rとして説明している。
調整レンズ111の面内調整量x及び調整レンズ111の回転調整量tは、上記で例示した調整レンズ111の面内調整量xが100μm程度、調整レンズ111の回転調整量tが1度程度を限度とすることが想定される。上記限度を超える調整量が必要な場合は、通常、厳しい組立精度を求められるスマートフォン等向けの撮像レンズ110では光学性能が全く出ず、傾きPSを測定することもできないからである。したがって、距離rは、0mm≦r≦6mmに調整することが望ましい。
(調整像高の設定)
調整像高の設定は像面の傾きの算出に関わる。図6及び図7を用いて、調整像高の設定について説明する。図6は、傾きPSと焦点位置との関係を示す模式図である。図6の横軸は理想像面上の像高の位置を示し、縦軸は光軸L方向の焦点位置を示す。図6に示す、FP0、FP1及びFP2は、それぞれ、図4に示す光軸光束RIH0、光束RIH1及び光束RIH2の焦点位置である。また、図6に示す、像高IH1G及び像高IH2Gは、像面に傾きがない場合の光束RIH1及び光束RIH2の理想像面上の合焦点であり、調整像高と一致する。
図6に示すように、傾きPSは、焦点位置FP1と焦点位置FP2の差となる。そのため、像面の傾き角度が同じであったとしても、調整像高が大きくなるほど、傾きPSの絶対値が大きくなるのは明らかである。言い換えれば、調整像高が大きいほど、像面の傾きによる影響が反映されやすいため、調整像高が大きいほど、調整レンズ111の調整量に対する傾きPSの感度が大きいといえる。したがって、調整レンズ111の調整量を算出する際には調整像高が大きいほど精度が高くなり好ましい。
傾きPSを求めるための調整像高の絶対値は、撮像レンズ110のイメージサークル半径の6割以上であることが望ましい。また、光学系のイメージサークル端である10割(最大像高)以降は一般的な光学設計において諸公差が大きくなる為、焦点位置を取得する上で、調整精度の悪化を招くことがある。そのため、調整像高はイメージサークル半径の6割から9割が好ましい。
ただし、イメージサークル半径の6割以上の調整像高(第1調整像高、以降、大調整像高と称する)に基づく調整レンズ111の調整は、傾きPSの感度が大きくなるため、下記のような問題がある。すなわち、例えば、調整レンズ111の調整前の設置位置が固定レンズ112の光軸Lから大きく外れているような場合、調整レンズ111で大きな調整量が必要となる。この場合において、焦点位置FP1及び焦点位置FP2がデフォーカス範囲を外れると、MTFの評価ができず像面の傾きを検出できないことがある。
上記問題の対策として、デフォーカス範囲を広げることが考えられるが、これは撮像レンズ製造装置100での生産に要する時間を増やすことになり、生産効率を下げることになる。
またデフォーカス範囲を広げたとしても、傾きPSが大きい場合、一般的に大調整像高におけるMTFは大きく値が下がる傾向が有り、焦点位置FP1及び焦点位置FP2の検出精度は、著しく低下する。
そのため、大調整像高において像面の傾きを検出できない場合、イメージサークル半径の1割から5割(第2調整像高、以下、小調整像高と称する)で調整レンズ111の調整を行うことも有効である。
図7は、各光束において光軸L方向の位置と光学性能との関係を示す模式図である。図7の横軸は光軸L方向の位置を示し、縦軸は光学性能を示す。一例として、図1に示す撮像レンズ製造装置100を用いて、図7について以下に説明する。
図7のグラフ60は、図1に示す光軸光束RLの光軸L方向の位置における光学性能を示す。ここで、光学性能にはMTFが適用できる。図7のグラフ61及びグラフ62は、図1に示す一対の第1光束Raの光軸L方向の位置における光学性能を示す。図7のグラフ63及びグラフ64は、図1に示す一対の第2光束Rbの光軸L方向の位置における光学性能を示す。つまり、図7のグラフ61及びグラフ62は、大調整像高に対応する第1光束Raの光学性能を示し、図7のグラフ63及びグラフ64は、小調整像高に対応する第2光束Rbの光学性能を示す。
グラフ60からグラフ64において、それぞれ光学性能が最大となる光軸L方向の位置が、各光束の焦点位置となり、焦点位置FP3及び焦点位置FP4は、小調整像高に対応する一対の第2光束Rbの各々の焦点位置を示す。
図7には、小調整像高に対応する第2光束Rbにより算出された傾きPS及びデフォーカス範囲が示されている。図7に示すように、小調整像高では調整レンズ111の調整量に対する感度が小さいことから、焦点位置FP3及び焦点位置FP4(小調整像高による傾きPS)が、デフォーカスの範囲を外れにくくなる。また、光学性能の劣化も比較的少ないため、焦点位置FP3及び焦点位置FP4を検出しやすい。
本実施形態では、大調整像高に対応する位置だけでなく、小調整像高に対応する位置にもセンサー121及びスリット151を配置している。これにより、2つの調整像高について一度のデフォーカス動作で同時に傾きPSを取得することができるので、より高精度な調整を行うことができる。
また、例えば大調整像高での傾きPSの値が一定の閾値を超える場合や、大調整像高での傾きPSの測定が不能であった場合に、小調整像高での傾きPSで調整量を計算して、調整レンズ111の調整を行うことができる。
また、例えば、調整レンズ111の調整を、大調整像高と小調整像高とで、ラフ調整と本調整の2回以上に分けることで、ラフ調整での調整量を抑えることができる。これにより、大きな調整量を必要とする場合であっても、デフォーカス範囲を抑えながら、高精度な撮像レンズ110の調整を行うことができる。
(撮像レンズの製造方法)
本実施形態の撮像レンズ製造装置100を用いて、撮像レンズ110の製造を実現する方法の一例を説明する。なお、以下の例では、調整像高が大調整像高と小調整像高との2種あり、1つの調整像高につき、同心円上の各4個の点において調整に用いるMTFを検出するものとする。つまり、センサー121は、図1に示す撮像レンズ製造装置100と同様に9つ配置され、レチクル150に配置されるスリット151も、センサー121に対応して配置されている。なお、大調整像高は、イメージサークル半径の6割以上の調整像高(第1調整像高)を示し、小調整像高は、イメージサークル半径の1割から5割の調整像高(第2調整像高)を示す。
図8は、本実施形態の撮像レンズ製造装置100による撮像レンズ110の製造方法の一例を示すフローチャートである。
ステップS01において、制御部180は、撮像レンズ110の光学性能測定(デフォーカスMTF測定)を実施する。より詳細には、まず、デフォーカス機構170によって撮像レンズ110を微小ステップずつデフォーカスするごとに、光検出部120によりスリット151を透過した光束の検出を行う。
次に、光検出部120が検出した各光束の像について、制御部180は、撮像レンズ110の光学性能として、T面及びS面のMTFを導出する。そして、制御部180は、MTFにより算出された焦点位置から、調整前のT面の傾きに相当するT面における調整前の焦点距離の差PSi1、及び調整前のS面の傾きに相当するS面における調整前の焦点距離の差PSi2を算出する。
ステップS02において、制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させるようにレンズ調整機構130を制御する。なお、このときの回転中心点RCは、例えば、過去の実績値等により決定される。
ステップS03において、制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態のまま、再度撮像レンズ110の光学性能測定(デフォーカスMTF測定)を行う。制御部180は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態でのT面における焦点距離の差PS1c、S面における焦点距離の差PS2cを算出する。
ステップS04において、制御部180は、式(13)及び式(14)を用いて感度k3及び感度k4の同定を行う。
その後、ステップS04-1において、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態から、所定の角度tc回転させる前の状態(S01の状態)に戻す。
ステップS05において、制御部180は、式(9)及び式(10)の連立方程式を解くことにより、式(12)を満たす面内調整量xと、回転調整量tと、を求める。なお、ステップS05において、式(9)及び式(10)のk3及びk4には、ステップS04で算出された値が代入され、式(9)及び式(10)のPSi1及びPSi2には、ステップS01で算出されたPSi1およびPSi2が代入される。
また、前述のステップS02からステップS05の手順は、光軸Lに対して垂直な面内における互いに垂直な2軸方向(X軸方向およびY軸方向)のうち、いずれかの軸方向(例えばX軸方向)での調整レンズ111の面内調整量x及び回転調整量tを実施する手順を記載している。しかしながら、センサー121及びスリット151の対は、X軸方向とY軸方向にそれぞれ配置している。したがって、いずれかの一方の軸方向(例えばX軸方向)だけでなく他の軸方向(例えば、Y軸方向)での調整レンズ111の面内調整量x及び回転調整量tについても、同時に算出される。
次に、ステップS06において、制御部180は、ステップS05で面内調整量xと回転調整量tの解が得られたかどうかを判断する。ステップS05において、面内調整量xと回転調整量tの解が得られた場合(ステップS06でYES)、ステップS07において、レンズ調整機構130は、調整レンズ111を所定の角度tc回転させる前に戻した状態(S01の状態)から、調整レンズ111の面内調整量x及び回転調整量tの調整を実施する。
一方、制御部180は、ステップ05において面内調整量xと回転調整量tの解が得られなかった場合(ステップS06でNO)、ステップS08において、制御部180は式(15)により距離rを算出する。次に、ステップS09において、調整レンズ111を所定の角度tc回転させる前に戻した状態(S01の状態)で、制御部180は調整レンズ111の主点PPから、回転の中心点RCまでの光軸L方向の距離が、算出した距離rとなるように、回転の中心点RCを調整し、ステップS01の処理に戻る。
なお、本製造方法においいて、ステップS01の前に、撮像レンズ110における調整レンズ111を、固定レンズ112から離隔させてもよい。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る撮像レンズ製造装置200について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、像高に関する説明、制御部180Aにおける撮像レンズ110の像面の傾きの求め方、像面の傾きからの調整レンズ111の調整量の算出方法、及び調整レンズ111の調整方法については実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
図9は、本発明の実施形態2に係る撮像レンズ製造装置200の概略構成の一例を示す模式図である。図9に示すように、撮像レンズ製造装置200は、光検出部120、レチクル150、光源160及び制御部180に代えてチャート210、撮像素子220及び制御部180Aを備えることが撮像レンズ製造装置100と異なり、その他の構成は同じである。
これにより、撮像素子220による出力に基づき調整レンズ111の調整を行うことができるので、より製品に近い条件で調整レンズ111の調整を実現することができる。
(撮像レンズ製造装置200)
撮像レンズ製造装置200は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ110であって、複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ111として構成されている撮像レンズ110を製造する、撮像レンズ製造装置である。
また、撮像レンズ製造装置200は、レンズ調整機構130と、ステージ140と、デフォーカス機構170と、制御部180Aと、チャート210と、撮像素子220と、を備えている。レンズ調整機構130、ステージ140及びデフォーカス機構170は、撮像レンズ製造装置100と同様の機能を有する。
チャート210には、撮像レンズ110のタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにチャートパターン211(パターン)が形成されている。
図10は、撮像レンズ製造装置200のチャート210の一例を示す上面図である。図10に示すように、チャート210は、複数のチャートパターン211を有する。図10において、チャートパターン211は長方形の形状で形成されているが、上記に限らない。チャートパターン211はタンジェンシャル方向とサジタル方向の光学性能を、直接的あるいは計算により間接的に求められればよく、その大きさと形状を制限する必要はない。例えば、チャートパターン211は台形形状であってもよく、円状形状であってもよい。
チャートパターン211は、例えば1つのチャートパターン211が、撮像レンズ110の中心像高の位置に配置され、それ以外のチャートパターン211が、撮像レンズ110の周辺像高の位置に配置されている。
具体的には、チャートパターン211は、光軸Lの位置に配置されるチャートパターン211Lと、周辺像高に位置するその他のチャートパターン211を備えている。周辺像高に位置するその他のチャートパターン211は、各々一対を成している。図10には、複数の一対のチャートパターン211の一部の例として、一対のチャートパターン211a・211bを示している。一対のチャートパターン211aは光軸Lに対して対称であり、同様に、一対のチャートパターン211bは光軸Lに対して対称である。例えば、一対のチャートパターン211aは、第1調整像高(イメージサークル半径の6割以上の調整像高)に配置され、一対のチャートパターン211bが、第2調整像高(イメージサークル半径の1割から5割の調整像高)に配置されていてもよい。ただし、チャートパターン211の数は図示に制限されず、チャートパターン211Lと、少なくとも1つの一対のチャートパターン211があればよい。
チャート210は、撮像レンズ110に対して所定側に配置され、図示せぬ撮像レンズ製造装置200の固定部に固定されている。
撮像素子220は、撮像レンズ110によってチャート210を撮像する。撮像素子220は、撮像レンズ110に対して、チャート210とは反対側に配置されている。撮像素子220は、各チャートパターン211を撮像可能に配置され、撮像レンズ110を介して各チャートパターン211を撮像する。撮像素子220は、撮像したチャートパターン211の撮像データを制御部180Aに出力する。
制御部180Aは、デフォーカス機構170を制御して、デフォーカス動作をさせながら撮像素子220の出力信号から撮像レンズ110の光学性能を導出する。また、制御部180Aは、光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の焦点距離の差を算出し、算出したタンジェンシャル像面及びサジタル像面の焦点距離の差に基づいて、レンズ調整機構130を制御する。
具体的には、制御部180Aは、撮像素子220が出力するチャートパターン211の撮像データから、撮像レンズ110の光学性能として、SFR(Spatial Frequency Response)を導出する。ここで、MTFとSFRは、検出手段が異なるものの共に光学性能(解像力)を評価する指標であり、本発明における光学性能評価においては、同等の測定指標として扱うものとする。
また、制御部180Aは、デフォーカス機構170を制御してステージ140を駆動させ、デフォーカス動作をさせながら撮像素子220の出力信号から撮像レンズの光学性能を導出することで、デフォーカスに対応したSFRの評価をすることができる。これにより、制御部180Aは、撮像レンズ110の調整像高における焦点情報を取得することができる。
さらに、制御部180Aは撮像レンズ110の像面の傾きから調整レンズ111の調整量を求めることができ、制御部180Aが求めた撮像レンズ110の調整量について、制御部180Aはレンズ調整機構130を制御して撮像レンズ110の調整を行う。
(撮像レンズの製造方法)
図8を参照し、本実施形態の撮像レンズ製造装置200を用いて、撮像レンズ110の製造を実現する方法を説明する。なお、以下の例では、チャートパターン211が大調整像高と小調整像高とに配置され、1つの調整像高につき、同心円上の各4個の点において調整に用いるSFRを検出するものとする。つまり、チャートパターン211は9つ配置され、撮像素子220は各チャートパターンを撮像可能に配置されている。
撮像レンズ製造装置200における撮像レンズ110の製造方法は、ステップS01及びステップS03のみが撮像レンズ製造装置100と異なり、その他のステップについては撮像レンズ製造装置100と同様である。
ステップS01において、制御部180Aは、撮像レンズ110の光学性能測定(デフォーカスSFR測定)を実施する。より詳細には、まず、デフォーカス機構170によって撮像レンズ110を微小ステップずつデフォーカスするごとに、撮像素子220によりチャートパターン211を撮像する。
次に、撮像素子220が撮像したチャートパターン211の撮像データについて、制御部180Aは、撮像レンズ110の光学性能として、T面及びS面のSFRを導出する。そして、制御部180Aは、SFRにより算出された焦点位置から、調整前のT面の傾きに相当するT面における調整前の焦点距離の差PSi1、及び調整前のS面の傾きに相当するS面における調整前の焦点距離の差PSi2を算出する。
ステップS02において、制御部180Aは、調整レンズ111を所定の角度tc回転させるようにレンズ調整機構130を制御する。
ステップS03において、制御部180Aは、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態のまま、再度撮像レンズ110の光学性能測定(デフォーカスSFR測定)を行う。制御部180Aは、調整レンズ111を所定の角度tc回転させた状態でのT面における焦点距離の差PS1c、S面における焦点距離の差PS2cを算出する。以降ステップS04からステップS09については、実施形態1と同様である。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係るカメラモジュール製造装置300について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、像高に関する説明、制御部180Aにおける撮像レンズ110の像面の傾きの求め方、像面の傾きからの調整レンズ111の調整量の算出方法、及び調整レンズ111の調整方法については上述の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態3に係るカメラモジュール製造装置300の概略構成の一例を示す模式図である。図11に示すように、カメラモジュール製造装置300は、カメラモジュール半完成品310に対して、調整レンズ111で光学性能の調整を行うことが撮像レンズ製造装置200と異なり、その他の構成は同じである。
本実施形態によれば、カメラモジュールの最終製品で最適な光学性能に調整を行うことができる。その結果、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを備えたカメラモジュールを製造可能なカメラモジュール製造装置300を実現することができる。
(カメラモジュール製造装置300)
カメラモジュール製造装置300は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ110であって、複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ111として構成されている撮像レンズ110と、撮像素子220と、を有するカメラモジュールを製造する。
カメラモジュール製造装置300は、上述したように、カメラモジュール半完成品310に対して、調整レンズ111で光学性能の調整を行い、カメラモジュールの製造を行う装置である。カメラモジュール製造装置300は、レンズ調整機構130と、ステージ140と、デフォーカス機構170と、制御部180Aと、チャート210と、を備えている。レンズ調整機構130、ステージ140、デフォーカス機構170、制御部180A及びチャート210は、撮像レンズ製造装置200と同様の機能を有する。
カメラモジュール半完成品310は、撮像レンズ110と、レンズバレル113と、撮像素子220と、レンズホルダ320と、センサーカバー330と、基板340と、を備えている。
レンズホルダ320は、レンズホルダ320の内面に、固定レンズ112を保持するレンズバレル113を接着剤で固定し、固定レンズ112を保持する。レンズホルダ320はセンサーカバー330の上面に固定される。また、センサーカバー330は基板340を介してステージ140に固定されている。これにより、ステージ140はカメラモジュール半完成品310を保持する。また、これにより、ステージ140は、少なくても固定レンズ112を保持する。
レンズホルダ320は、撮像レンズ110を光軸L方向、あるいは光軸L方向に垂直な方向に駆動するための、アクチュエータ機能を有していてもよい。撮像レンズ110が光軸L方向あるいは光軸L方向に垂直な方向に駆動することで、オートフォーカスや手振れ補正機能を実現することができる。
センサーカバー330は、内部に撮像素子220を収容する。センサーカバー330の上方(Z軸方向+側)の面には、撮像素子220のチャートパターン211の撮像を妨げないように開口部330aが設けられている。センサーカバー330の下端と基板340の上面とは接着剤で固定されている。撮像レンズ110における固定レンズ112は、撮像素子220に対して、光軸L方向の位置が精密に保持されていることが望ましい。
基板340は、撮像素子220の入出力信号を制御部180Aと通信する回路を内包する。撮像素子220の下面(撮像レンズ110側とは反対側の面)は、基板340の上面(撮像レンズ110側の面)に接着剤で固定されている。
また、カメラモジュール半完成品310は図示しない赤外線カットフィルターを内包していてもよい。赤外線カットフィルターは、センサーカバー330において開口部330aに蓋をするように接着されており、撮像素子220への不要な波長の光線の侵入を防ぐだけでなく、撮像素子220への異物の付着を防ぐ役割を有する。
なお、カメラモジュール製造装置300のカメラモジュール製造方法における撮像レンズ110の調整は、撮像レンズ製造装置200と同様に行われる。
〔効果〕
撮像レンズ110の光軸Lの傾きに合わせて、撮像レンズ110またはイメージセンサーの傾きを調整する製造手法は、一般的にアクティブアライメント(以後、AA)と呼ばれ、カメラモジュールの製造手法として知られている。ただし、AAを行うためには専用の装置を必要とし、装置が高価であることや、製造プロセスが複雑になる問題がある。
また、AAは撮像レンズ110の性能を最大限に活用できることから有効なカメラモジュールの製造手法ではあるが、無制限に撮像レンズ110の光軸L傾きを吸収できるものではない。大きく光軸Lの傾いた撮像レンズ110を使用することは、カメラモジュール製造プロセスの良品率を下げることに繋がりかねない。
したがって、撮像レンズ110の調整手段において光軸Lの傾きは極力避けるべきものであり、前述の特許文献1における調整手段は、カメラモジュール製造の観点から問題が有る。
それに対して、上述の実施形態の撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300では、撮像レンズ110の調整において光軸Lを傾けるものではなく、調整レンズ111を光軸Lに垂直な面内で移動及び回転させて撮像レンズ110の調整を行うものである。その結果、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾き、つまり撮像レンズ110の光軸Lの傾きを抑えた、高精度な撮像レンズ110またはカメラモジュールが製造可能となる。また、これによりカメラモジュール製造プロセスの良品率の低下を抑制することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300の制御部180・180Aの機能は、当該制御部180・180Aとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る撮像レンズ製造装置(100)は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ(110)であって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ(111)として構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズ(固定レンズ112)を保持するステージ(140)と、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸(L)に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構(130)と、光源(160)と、前記撮像レンズと前記光源との間に配置され、前記光源からの光を透過する3つ以上のスリット(151)を有するレチクル(150)と、前記光源からの光が、前記スリットを透過することで得られた複数の光束を、前記撮像レンズを介してそれぞれ検出する、複数のセンサー(121)を有する光検出部(120)と、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点(RC)を中心として前記調整レンズが回転することにより行われる。
上記の構成によれば、撮像レンズ製造装置は、光軸に対する調整レンズの傾き角度を調整可能であるので、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑え、光軸Lを傾かせることなく調整レンズの調整を実現することができる。その結果、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを製造可能な撮像レンズ製造装置を実現することができる。
本発明の態様2に係る撮像レンズ製造装置(100)は、上記態様1において、制御部を更に備え、前記制御部は、前記センサー(121)が検出した前記光束による画像から前記撮像レンズ(110)の光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構(130)を制御してもよい。
上記の構成によれば、撮像レンズ製造装置は、レンズの製品としての光学性能を基に撮像レンズの調整を行うことができるため、高精度な撮像レンズの製造を実現することができる。
本発明の態様3に係る撮像レンズ製造装置(200)は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ(110)であって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ(111)として構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズ(固定レンズ112)を保持するステージ(140)と、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸(L)に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構(130)と、前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターン(211)が形成されているチャート(210)と、前記撮像レンズによって前記チャートを撮像する撮像素子(220)と、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点(RC)を中心として前記調整レンズが回転することにより行われる。
上記の構成によれば、撮像レンズ製造装置は、光軸に対する調整レンズの傾き角度を調整可能であるので、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑え、光軸Lを傾かせることなく調整レンズの調整を実現することができる。
また、撮像素子による出力に基づき調整レンズの調整を行うので、より製品に近い条件で調整レンズの調整を実現することができる。その結果、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを製造可能な撮像レンズ製造装置を実現することができる。
本発明の態様4に係る撮像レンズ製造装置(200)は、上記態様3において、制御部を更に備え、前記制御部は、前記撮像素子(220)の出力信号から前記撮像レンズ(110)の光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構(130)を制御してもよい。
上記の構成によれば、撮像レンズ製造装置は、レンズの製品としての光学性能を基に撮像レンズの調整を行うことができるため、高精度な撮像レンズの製造を実現することができる。
本発明の態様5に係る撮像レンズ製造装置(100・200)は、上記態様1から4において、前記光軸(L)に対して垂直な面内における前記調整レンズ(111)の位置を調整する場合の、前記調整レンズの位置の調整量x、及び、前記傾き角度を調整する場合の、前記調整レンズの回転調整量tは、式(E1)、式(E2)及び式(E3):PSi1-(k1x+k3t)=0 式(E1)、PSi2-(k2x+k4t)=0 式(E2)、|x/xt|≧1 式(E3)、PSi1:タンジェンシャル像面における焦点距離の差、PSi2:サジタル像面における焦点距離の差、k1:タンジェンシャル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、k2:サジタル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、k3:タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、k4:サジタル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、xt:調整レンズの回転による光軸に対して垂直な面内における移動量を満たしてもよい。
上記の構成によれば、式(E1)及び式(E2)は調整レンズの垂直な面内における調整レンズの位置の調整量及び調整レンズの回転調整量を規定する。式(E1)及び式(E2)を満たすことで、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑制して、調整レンズを調整することができる。また、式(E1)及び式(E2)により撮像レンズ全体の光軸傾きを抑えつつ、調整レンズの垂直な面内における調整レンズの位置の調整量及び調整レンズの回転調整量を簡易な計算により、瞬時に算出することができる。
本発明の態様6に係る撮像レンズ製造装置(100・200)は、上記態様5において、前記タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度(k3)、及び、前記サジタル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度(k4)は、前記回転中心点(RC)を中心として前記調整レンズ(111)を所定の角度(tc)回転させることで算出されてもよい。
上記の構成によれば、撮像レンズ製造装置及び撮像レンズの保持状態に左右されることなく、最適な調整レンズの垂直な面内における調整レンズの位置の調整量及び調整レンズの回転調整量を算出することができる。
本発明の態様7に係る撮像レンズ製造装置(100・200)は、上記態様6において、前記調整レンズの主点から前記回転中心点までの光軸方向の距離rを、式(E4):r=(k3tc―k3ctc)/(k1sintc) 式(E4)、tc:回転中心点を中心として調整レンズを回転させる所定の角度、k3:タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、k1:タンジェンシャル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、k3c:r=0の時のタンジェンシャル像面における回転量単位当たりの焦点距離の差が変化する感度、としてもよい。
上記の構成によれば、式(E4)により、調整レンズの主点から回転中心点までの光軸方向の距離を瞬時に算出することができ、回転中心点の位置の変動を監視することができるため、撮像レンズ製造装置の保守において有効となる。
本発明の態様8に係るカメラモジュール製造装置(300)は、複数枚のレンズを備える撮像レンズ(110)であって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズ(111)として構成されている撮像レンズと、撮像素子(220)と、を有するカメラモジュール(310)を製造する、カメラモジュール製造装置であって、前記カメラモジュールを保持するステージ(140)と、前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸(L)に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズ(固定レンズ112)に対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構(130)と、前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターン(211)が形成されているチャート(210)と、を備え、前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記撮像レンズの光軸上に位置する回転中心点(RC)を中心として前記調整レンズが回転することにより行われる。
上記の構成によれば、カメラモジュール製造装置は、光軸に対する調整レンズの傾き角度を調整可能であるので、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑え、光軸Lを傾かせることなく調整レンズの調整を実現することができる。
また、撮像素子による出力に基づき調整レンズの調整を行うので、より製品に近い条件で調整レンズの調整を実現することができる。さらに、カメラモジュールの最終製品で最適な光学性能に調整を行うことができる。その結果、タンジェンシャル像面及びサジタル像面それぞれの像面の傾きを抑えた、より高精度な撮像レンズを製造可能なカメラモジュール製造装置を実現することができる。
本発明の態様9に係るカメラモジュール製造装置(300)は、上記態様8において、制御部を更に備え、前記制御部は、前記撮像素子(220)の出力信号から前記撮像レンズ(110)の光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構(130)を制御してもよい。
上記の構成によれば、カメラモジュール製造装置は、レンズの製品としての光学性能を基に撮像レンズの調整を行うことができるため、高精度な撮像レンズを有するカメラモジュールの製造を実現することができる。
本発明の各態様に係る撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300をコンピュータにて実現させる撮像レンズ製造装置100・200及びカメラモジュール製造装置300の制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
100、200 撮像レンズ製造装置
110 撮像レンズ
111 調整レンズ
112 固定レンズ(調整レンズ以外のレンズ)
120 光検出部
121 センサー
130 レンズ調整機構
140 ステージ
150 レチクル
151 スリット
160 光源
180、180A 制御部
210 チャート
211 チャートパターン(パターン)
220 撮像素子
300 カメラモジュール製造装置
310 カメラモジュール半完成品(カメラモジュール)
k1、k2、k3、k3c、k4 感度
L 光軸
PS1、PS2、PS1c 焦点位置の差
D、r 距離
Ra 第1光束(光束)
Rb 第2光束(光束)
RC 回転中心点
t 回転調整量
tc 所定の角度
x 面内調整量(調整量)
xt 回転による移動量(移動量)

Claims (9)

  1. 複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、
    少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズを保持するステージと、
    前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、
    光源と、
    前記撮像レンズと前記光源との間に配置され、前記光源からの光を透過する3つ以上のスリットを有するレチクルと、
    前記光源からの光が、前記スリットを透過することで得られた複数の光束を、前記撮像レンズを介してそれぞれ検出する、複数のセンサーを有する光検出部と、を備え、
    前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする、撮像レンズ製造装置。
  2. 制御部を更に備え、前記制御部は、
    前記センサーが検出した前記光束による画像から前記撮像レンズの光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、
    算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構を制御することを特徴とする、請求項1に記載の撮像レンズ製造装置。
  3. 複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズを製造する、撮像レンズ製造装置であって、
    少なくとも前記調整レンズ以外の前記レンズを保持するステージと、
    前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、
    前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターンが形成されているチャートと、
    前記撮像レンズによって前記チャートを撮像する撮像素子と、を備え、
    前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする、撮像レンズ製造装置。
  4. 制御部を更に備え、前記制御部は、
    前記撮像素子の出力信号から前記撮像レンズの光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、
    算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構を制御することを特徴とする、請求項3に記載の撮像レンズ製造装置。
  5. 前記光軸に対して垂直な面内における前記調整レンズの位置を調整する場合の、前記調整レンズの位置の調整量x、及び、前記傾き角度を調整する場合の、前記調整レンズの回転調整量tは、式(E1)、式(E2)及び式(E3):
    PSi1-(k1x+k3t)=0 式(E1)
    PSi2-(k2x+k4t)=0 式(E2)
    |x/xt|≧1 式(E3)
    PSi1:タンジェンシャル像面における焦点距離の差
    PSi2:サジタル像面における焦点距離の差
    k1:タンジェンシャル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    k2:サジタル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    k3:タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    k4:サジタル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    xt:調整レンズの回転による光軸に対して垂直な面内における移動量
    を満たすことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像レンズ製造装置。
  6. 前記タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度、及び、前記サジタル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度は、前記回転中心点を中心として前記調整レンズを所定の角度回転させることで算出されることを特徴とする、請求項5に記載の撮像レンズ製造装置。
  7. 前記調整レンズの主点から前記回転中心点までの光軸方向の距離rを、式(E4):
    r=(k3tc―k3ctc)/(k1sintc) 式(E4)
    tc:回転中心点を中心として調整レンズを回転させる所定の角度、
    k3:タンジェンシャル像面における回転量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    k1:タンジェンシャル像面における光軸に対して垂直な面内における移動量単位当たりで焦点距離の差が変化する感度
    k3c:r=0の時のタンジェンシャル像面における回転量単位当たりの焦点距離の差が変化する感度
    とすることを特徴とする、請求項6に記載の撮像レンズ製造装置。
  8. 複数枚のレンズを備える撮像レンズであって、前記複数枚のレンズのうちの一部のレンズが、組み立て時の調整レンズとして構成されている撮像レンズと、撮像素子と、を有するカメラモジュールを製造する、カメラモジュール製造装置であって、
    前記カメラモジュールを保持するステージと、
    前記調整レンズを保持し、かつ、前記撮像レンズの光軸に対して垂直な面内における、前記調整レンズ以外の前記レンズに対する前記調整レンズの位置を調整可能とするレンズ調整機構と、
    前記撮像レンズのタンジェンシャル方向及びサジタル方向の光学性能が評価可能であるようにパターンが形成されているチャートと、
    を備え、
    前記レンズ調整機構はさらに、前記光軸に対する前記調整レンズの傾き角度を調整可能であり、前記傾き角度の調整は、前記撮像レンズの光軸上に位置する回転中心点を中心として前記調整レンズが回転することにより行われることを特徴とする、カメラモジュール製造装置。
  9. 制御部を更に備え、前記制御部は、
    前記撮像素子の出力信号から前記撮像レンズの光学性能を導出するとともに、前記光学性能を導出した結果に基づいて、タンジェンシャル像面及びサジタル像面の傾きを算出し、
    算出した前記タンジェンシャル像面及び前記サジタル像面の傾きに基づいて、前記レンズ調整機構を制御することを特徴とする、請求項8に記載のカメラモジュール製造装置。
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