JP2024003850A - 炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 1次中間材料作成の際に、炭素繊維集合体にあらかじめ熱可塑性樹脂繊維を加えることで2次中間材料を製造するための炭素繊維と熱可塑性樹脂との混錬の工程を省略し、機械的物性に優れた炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダを含む、紡錘形の集合体を成形機に供給し、加熱成形することを特徴とする炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法。【選択図】 なし

Description

本開示は、炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法に関する。
炭素繊維は、比強度・比弾性率に優れ、軽量であるため、熱可塑性樹脂の強化繊維などとして用いられている。炭素繊維強化樹脂複合材料(又は、炭素繊維強化プラスチック、CFRP)は、スポーツ・一般産業用途だけでなく、航空・宇宙用途、自動車用途など、幅広い用途に利用される。
炭素繊維強化樹脂複合材料の一つの成形方法として、炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用いた射出成形がある。炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、連続炭素繊維を熱可塑性樹脂で被覆処理した樹脂ストランドをカット(切断)することで製造される長繊維強化ペレットと、不連続炭素繊維を熱可塑性樹脂に混錬分散した樹脂ストランドをカットすることで製造される短繊維強化ペレットの2つがある。短繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは、長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットに対して、機械物性は劣るものの安価に製造できる方法として広く採用されている。
また、炭素繊維強化樹脂複合材料などの炭素繊維含有製品の原料となる炭素繊維に関して、炭素繊維及び集束剤等から粒子状の炭素繊維集合体を造粒する方法が検討されてきた。使用済みの炭素繊維含有製品などから回収される再生炭素繊維(リサイクル炭素繊維)についても、炭素繊維集合体を造粒する方法が検討されている。
特許文献1及び特許文献2は、炭素繊維から溶融混錬によりリサイクル炭素繊維含有複合体を製造する方法を記載している。この方法で用いられる炭素繊維には、炭素繊維強化樹脂複合材料の廃材から熱分解法によって回収され、マトリックス成分が炭化した残留炭素が付着している。
特許文献3は、炭素繊維強化複合材料から回収したリサイクル炭素繊維に繊維処理剤を添加し、押出造粒機で円柱状とすることによりフィード性を向上した炭素繊維集合体について記載している。
特開2020-49820号公報 特開2019-155634号公報 特開2021-55198号公報
一般に、上記のような炭素繊維集合体を用いて炭素繊維含有樹脂成形品を製造する際には、炭素繊維集合体(1次中間材料)に熱可塑性樹脂を加えて混錬機などに供給して混錬を行い、炭素繊維及び熱可塑性樹脂を含有するペレット(2次中間材料)を製造する。そして、このペレットを射出成型機などに供給して、炭素繊維含有樹脂成形品を製造する。炭素繊維のリサイクル品(再生炭素繊維)を使用する場合は、サイジング剤が消失している事から取り扱い性が悪いため、取り扱い性の良い1次中間材料の作製が必須となる。
また、上記2次中間材料を製造する際には、炭素繊維が折れてしまうことによる物性低下がしばしばみられる。再生炭素繊維を使用する場合には、再生炭素繊維を得る際の炭素繊維へのダメージと、混錬時の炭素繊維の折れにより二重の物性低下を招く。
本開示は、1次中間材料作成の際に、炭素繊維集合体にあらかじめ熱可塑性樹脂繊維を加えることで2次中間材料を製造するための炭素繊維と熱可塑性樹脂との混錬の工程を省略し、機械的物性に優れた炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る下記の態様によれば、上記の課題を解決することができる:
<態様1>
炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダを含む、紡錘形の集合体を成形機に供給し、加熱成形することを特徴とする炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法。
<態様2>
前記集合体の平均長さが、1.5mm~60mmである、態様1に記載の製造方法。
<態様3>
前記炭素繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維の平均長さが、それぞれ、1mm以上30mm未満である、態様1又は2に記載の製造方法。
<態様4>
前記集合体の平均長さが、前記集合体に含有される前記炭素繊維の平均長さ及び前記熱可塑性樹脂繊維の平均長さの1.2倍~5.0倍である、態様1~3のいずれかに記載の製造方法。
<態様5>
前記バインダの含有量が、前記集合体に対して、0.1重量%~10重量%である、態様1~4のいずれかに記載の製造方法。
<態様6>
前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリオレフィン樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、ポリアミド樹脂繊維、ポリエーテルケトン樹脂繊維、ポリカーボネート樹脂繊維、フェノキシ樹脂繊維、及びポリフェニレンスルフィド樹脂繊維、並びにこれらの混合物から選択される、態様1~5のいずれかに記載の製造方法。
<態様7>
前記炭素繊維が、再生炭素繊維を含む、態様1~6のいずれかに記載の製造方法。
<態様8>
前記炭素繊維が、再生炭素繊維である、態様1~7のいずれかに記載の製造方法。
<態様9>
前記再生炭素繊維が、残留炭素成分を含み、前記残留炭素成分が、前記再生炭素繊維に対して0重量%超5.0重量%以下である、態様1~8のいずれかに記載の製造方法。
<態様10>
炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液から少なくとも構成される混合物を提供すること、
前記混合物を、容器中で転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造すること、並びに
前記前駆体を乾燥させること、
を含む、
態様1~9のいずれかに記載の紡錘形の集合体の製造方法。
<態様11>
前記混合物を、容器中で、前記容器の内壁と前記容器内の回転体との間のクリアランスで転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造する、態様10に記載の方法。
<態様12>
前記炭素繊維が、再生炭素繊維を含む、態様10又は11に記載の方法。
<態様13>
前記炭素繊維が、再生炭素繊維である、態様10~12にいずれかに記載の方法。
<態様14>
炭素繊維含有プラスチック製品に含有されるプラスチック成分を半導体熱活性法によって分解して、前記再生炭素繊維を製造することを含む、態様12~13にいずれかに記載の方法。
本発明によれば、炭素繊維と熱可塑性樹脂とをあらかじめ混錬する事なく、炭素繊維及び熱可塑性樹脂の集合体を用いて直接成形品の製造を行うことで、炭素繊維がほとんど折れることなく機械的高物性を維持した炭素繊維含有樹脂成形品を提供することができる。
図1は、本開示で用いることができる攪拌造粒器の1つの実施態様の概略図である。 図2は、実施例1に係る複数の集合体の写真である。
本開示に係る熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維の紡錘形の集合体は、
炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダを含み、
集合体に含有される前記炭素繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維が、集合体の長軸方向に沿って配向している。
本開示に係る集合体は、熱可塑性樹脂繊維、すなわち繊維状の熱可塑性樹脂を含有する。理論によって限定する意図はないが、熱可塑性樹脂が繊維状であることによって、炭素繊維及び熱可塑性繊維が一定の方向に沿って配列しやすくなっており、その結果、粒状の集合体へとまとまりやすくなっており、さらには、紡錘形を呈するようになっていると考えられる。集合体が粒状である場合には、この集合体を用いて炭素繊維含有成形品を製造する際などの取扱い性が向上する。また、紡錘形の形状を有する集合体は、この集合体を用いて炭素繊維含有樹脂成形品を製造する際などに、特に良好なフィード性(供給性)を有すると考えられる。理論によって限定する意図はないが、紡錘形の形状を有する集合体は、比較的小さい接触抵抗を有するので、押出器等の供給口を閉塞させることなく比較的滑らかに供給口の中を流れることができると考えられる。
また、本開示に係る集合体は、炭素繊維に加えて熱可塑性樹脂繊維を有しているので、炭素繊維のみを含む従来の炭素繊維集合体とは異なり、炭素繊維集合体と熱可塑性樹脂とを混錬してペレットを製造する工程を省くことができ、直接に炭素繊維含有樹脂成形品の製造を行うことができる。
さらに、本開示に係る集合体によれば、従来の炭素繊維集合体の場合には必要であったペレットを製造する工程を省くことができるので、ペレットを製造する際の炭素繊維の折れを減少させまたは回避することができる。したがって、本開示に係る集合体を用いて炭素繊維含有樹脂成形品を製造することによって、改善された物性を有する成形品が得られると考えられる。
以下、本開示に係る発明について、さらに詳細に説明する。
<熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維の集合体>
本開示に係る熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維の集合体は、紡錘形であり、
炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダを含み、
集合体に含有される炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維が、集合体の長軸方向に沿って配向している。
本開示に係る集合体は、炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維及びバインダを含む。集合体中で、炭素繊維及び熱可塑性樹脂から構成される繊維成分が、バインダによって互いに結合している。集合体は、好ましくは、炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダから実質的に構成され、特に好ましくはこれらの構成要素からなる。
集合体中のバインダの量は、好ましくは、集合体に対して、0.1重量%~10重量%であり、特には、0.5重量%~9重量%、又は1重量%~8重量%であってよい。
集合体は、再生炭素繊維100重量部に対して、1重量部~1000重量部、5重量部~900重量部、10重量部~750重量部、20重量部~500重量部、又は、50重量部~250重量部の熱可塑性樹脂繊維を含有することができる。
本開示に係る集合体は、紡錘形の形状を有する。なお、紡錘形とは、中央部が太く、両端に向かって次第に細くなる形状を意味する。
集合体の長軸方向に対する繊維の平均的な延在方向は、集合体の長軸方向に平行な断面において、デジタルカメラ又は光学顕微鏡等を用いて、ランダムに選択したN=30の繊維の計測値に基づいて平均値を算出することによって決定することができる。なお、この算出において、毛羽立っている繊維(集合体から部分的に離れている繊維)は除外する。
集合体の長軸方向に対する繊維の平均的な延在方向は、簡略的に、集合体の表面において、デジタルカメラ又は光学顕微鏡等を用いて、ランダムに選択したN=30の繊維の計測値に基づいて平均値を算出することによって決定することもできる。この場合も、毛羽立っている繊維(集合体から部分的に離れている繊維)は除外して行う。
なお、集合体が変形した紡錘形(例えば湾曲した紡錘形)である場合には、集合体の軸線に対して、繊維の配向及び繊維の延在方向を決定することができる。集合体の長さ及びアスペクト比も、同様にして決定することができる。
(集合体の平均長さ)
本開示に係る集合体の平均長さは、1.5mm~60mmであってよい。好ましくは、集合体の平均長さが、1.8mm以上、2.0mm以上、3.0mm以上、4.0mm以上、5.0mm以上、6.0mm以上、7.0mm以上、8.0mm以上、9.0mm以上、10mm以上、11mm以上、12mm以上、若しくは15mm以上であり、かつ/又は、50mm以下、40mm以下、30mm以下、若しくは25mm以下である。集合体の平均長さが上記の範囲である場合には、特に良好なフィード性を得ることができると考えられる。
集合体の平均長さは、目視でノギス等を用いて、又はデジタルカメラ若しくは光学顕微鏡などで取得された画像において、50個の集合体の長軸方向の長さを計測し、計測値を平均することによって、算出することができる。
好ましくは、集合体の平均長さが、集合体に含有される炭素繊維の平均長さ及び熱可塑性樹脂繊維の平均長さの、1.2倍~5.0倍である。集合体の平均長さが上記の範囲である場合には、特に良好なフィード性を得ることができることがある。
特に好ましくは、集合体の平均長さが、炭素繊維の平均長さ及び熱可塑性樹脂繊維の平均長さの、1.4倍以上、1.5倍以上、若しくは1.6倍以上であり、かつ/又は、4.5倍以下、4.0倍以下、3.5倍以下、3.0倍以下、若しくは2.5倍以下である。集合体の平均長さが上記の範囲である場合には、特に良好なフィード性を得ることができることがある。
炭素繊維の平均長さ、及び熱可塑性樹脂繊維の平均長さは、それぞれ、50本の繊維の長さを、目視でノギス等を用いて、又はデジタルカメラ若しくは光学顕微鏡などで取得された画像において計測し、計測値を平均することによって、算出することができる。
(アスペクト比)
集合体のアスペクト比は、2~20、3~15、又は3~10であることが好ましい。アスペクト比がこの範囲である場合には、形状安定性及びフィード性に特に優れる集合体を得ることができる場合がある。
アスペクト比は、紡錘形の集合体の長径を短径で除した値であり、つまり長径/短径である。細長い度合いが増すにつれて、アスペクト比は高くなる。
アスペクト比は、目視でノギス等を用いて、又はデジタルカメラ若しくは光学顕微鏡等を用いて、集合体の長径及び短径を測定し、長径/短径を計算することによって、得ることができる。なお、長径の方向に垂直な方向で最も大きい長さ(幅)を、「短径」とすることができる。
本開示に係る集合体を製造する方法は、特に限定されない。本開示に係る集合体は、例えば、後述する本開示に係る方法によって製造することができる。
(炭素繊維)
炭素繊維は、集合体の原料であり、通常の炭素繊維(再生炭素繊維ではない炭素繊維、いわゆるヴァージン炭素繊維)、再生炭素繊維、及びこれらの混合物が挙げられる。炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、又はピッチ系炭素繊維であってよい。
炭素繊維の形態は、特に制限されないが、複数の単糸(フィラメント)から構成される炭素繊維束の形態であってよい。炭素繊維束を構成するフィラメントの構成本数は、1,000本~80,000本、又は3,000本~50,000本の範囲であってよい。また、炭素繊維を構成するフィラメントの直径は、0.1μm~30μm、1μm~10μm、又は3μm~8μmであってよい。
(再生炭素繊維)
再生炭素繊維(リサイクルされた炭素繊維)は、炭素繊維成分、及び炭素繊維成分以外の炭素成分(特には残留炭素成分)を含む。通常、再生炭素繊維中で、炭素繊維成分以外の炭素成分は、炭素繊維成分の表面に付着している。
再生炭素繊維は、特に限定されないが、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの炭素繊維含有プラスチック製品を熱処理することによって得られた再生炭素繊維であってよい。
特に好ましくは、再生炭素繊維は、半導体熱活性法によって得られた再生炭素繊維である。本開示に係る下記の方法の特に好ましい実施態様は、炭素繊維含有プラスチック製品に含有されるプラスチック成分を、半導体熱活性法によって分解して、再生炭素繊維を製造すること、を含む。
なお、「半導体熱活性法」(TASC法)は、半導体の熱活性(Thermal Activation of Semi-conductors、TASC)を利用してポリマーなどの被分解化合物を分解する方法である。炭素繊維含有プラスチック製品に含有されるプラスチック成分を半導体熱活性法によって分解して再生炭素繊維を製造する方法については、例えば、特許第4517146号、及び特開2019-189674号公報の記載などを参照することができる。
再生炭素繊維中の炭素繊維成分は、再生炭素繊維の製造の過程で熱処理等を受けることによって改質されていてもよい。再生炭素繊維中の炭素繊維成分の詳細については、上記の炭素繊維についての記載を参照することができる。
再生炭素繊維中の残留炭素成分は、通常、再生炭素繊維を製造する際に原料として用いた炭素繊維含有プラスチック製品に含まれていた樹脂に由来する。一般に、炭素繊維含有プラスチック製品を熱処理する過程で、プラスチック成分が熱分解され、炭素繊維成分の表面に残留炭素が残存する。
本開示では、好ましくは、残留炭素成分が、再生炭素繊維に対して、0重量%超5.0重量%以下である。この場合には、フィード性が向上した集合体を得ることができることがある。
また、残留炭素成分が0重量%超5.0重量%以下である場合には、炭素成分(特には炭)が比較的多いことによる汚染を回避することができ、また、集合体を材料として炭素繊維含有製品等を製造する際に異物となりうる炭素成分を低減することができ、また、炭素繊維含有製品中での繊維の均一な分布を向上させることができる。
好ましくは、残留炭素成分は、再生炭素繊維に対して、4.0重量%以下、3.0重量%以下、又は2.0重量%以下である。残留炭素成分は、できるだけ低減されていることが好ましいが、炭素繊維に対して、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.4重量%以上、0.6重量%、0.8重量%以上、1.0重量%以上、若しくは1.2重量%以上であってもよい。
再生炭素繊維中の残留炭素成分の含有量は、熱重量分析法(TGA法)によって計測することができる。
熱重量分析法による残留炭素成分は、下記の手順で計測することができる:
(i)再生炭素繊維を粉砕して得た1~4mgのサンプル片に対して、熱重量分析計において、0.2L/minの空気供給速度、5℃/minの加熱上昇率、及び1/6sの記録速度で、
室温から100℃への昇温、
30分間にわたる100℃での保持、
100℃から400℃への昇温、及び、
480分間にわたる400℃での保持
の工程を有し合計約600分間にわたる熱重量分析を行い、
(ii)重量減少率を時間に対してプロットしたグラフにおいて、傾きの変曲点を特定し、当該変曲点における重量減少率の値から、100℃での保持期間における重量減少率を差し引くことによって、残留炭素量を算出する。
なお、上記の条件で傾きの変曲点を特定できない場合には、400℃で480分間にわたって保持する代わりに、400℃超500℃以下の範囲内の特定の温度で、480分間にわたって保持してもよい。
また、再生炭素繊維がサイジング剤などに由来する樹脂を有している場合には、当該樹脂を除去した後で、上記の計測を行うことができる。
(熱可塑性樹脂繊維)
熱可塑性樹脂繊維としては、ポリオレフィン樹脂繊維(例えば、ポリプロピレン樹脂繊維及びポリエチレン)、ポリエステル樹脂繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維、ポリブチレンテレフタレート樹脂繊維、及びポリ乳酸)、ポリアミド樹脂繊維、ポリエーテルケトン樹脂繊維、ポリカーボネート樹脂繊維、フェノキシ樹脂繊維、並びにポリフェニレンスルフィド樹脂繊維が挙げられる。熱可塑性樹脂繊維は、1種のみであってよく、又は、2種以上の熱可塑性樹脂繊維の混合物であってもよい。
(繊維の平均長さ)
炭素繊維は、1mm以上30mm未満の平均長さを有することができる。この範囲の長さを有する繊維は、例えば、比較的長い寸法を有する繊維を切断処理することによって得ることができる。炭素繊維の平均長さは、それぞれ、2mm以上、3mm以上、若しくは4mm以上であってよく、かつ/又は、29mm以下、28mm以下、27mm以下、26mm以下、25mm以下、24mm以下、23mm以下、22mm以下、21mm以下、若しくは20mm以下であってよい。特には、炭素繊維の平均長さが、8mm~25mm、又は9mm~20mmであってもよい。
本開示に係る1つの実施態様では、再生炭素繊維の平均長さが、1mm超10mm未満、特には2mm以上5mm以下である。この場合には、本開示に係る集合体を用いて炭素繊維含有製品を製造する際に、繊維集合体の状態で射出成形機へ定量供給可能であり、強度などの物性に特に優れる再生炭素繊維含有製品を得ることができる場合がある。
熱可塑性樹脂繊維は、1mm以上30mm未満の平均長さを有することができる。この範囲の長さを有する繊維は、例えば、比較的長い寸法を有する繊維を切断処理することによって得ることができる。熱可塑性樹脂繊維の平均長さは、それぞれ、1.5mm以上、2mm以上、若しくは3mm以上であってよく、かつ/又は、28mm以下、26mm以下、24mm以下、22mm以下、20mm以下、18mm以下、16mm以下、14mm以下、12mm以下、10mm以下、若しくは8mm以下であってよい。
再生炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の平均長さが1mm以上30mm未満である場合には、繊維の均一な配向が促進され、特に良好なフィード性を有する紡錘上の集合体が得られると考えられる。理論によって限定する意図はないが、原料となる繊維の平均長さが十分に長いことによって、繊維同士が一方向に沿って配向しやすくなっており、紡錘形の形状の集合体を得ることができると考えられる。また、繊維の平均長さが十分に短いことによって、繊維同士が絡み合ってしまうことが防止され、結果として、繊維の均一な配向が促進されると考えられる。
再生炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の平均長さは、それぞれ、目視でノギス等を用いて、又はデジタルカメラ若しくは光学顕微鏡などで取得された画像において、50本の繊維の長さを計測し、計測値を平均することによって、算出することができる。
≪集合体の製造方法≫
本開示は、本開示に係る集合体を製造するための、下記を含む製造方法を含む:
再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液から少なくとも構成される混合物を提供すること(提供工程)、
混合物を、容器中で転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造すること(造粒工程)、並びに
前駆体を乾燥させること(乾燥工程)。
上記の製造方法に係る各構成要素に関しては、本開示に係る集合体についての上記の記載を参照することができる。
<提供工程>
本開示に係る方法では、再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液から少なくとも構成される混合物を提供する。混合物は、特には、再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有溶液からなる。
混合物中のバインダ含有液の量は、好ましくは20重量%~70重量%であり、特に好ましくは、25重量%~60重量%、又は30重量%~50重量%である。この場合には、バインダに含有される液体に起因して、繊維が特に良好に集束する。また、この場合には、バインダに含有される液体の量が過度にならないことに起因して、乾燥処理の負荷を低減することができる。
混合物中における再生炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の量は、得られる集合体におけるこれらの繊維の重量割合が所望の値となるように、適宜設定することができる。特には、混合物中の再生炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の含有量は、それぞれ、2.5重量%~80重量%、5重量%~70重量%、又は10重量%~60重量%であってよい。
(バインダ含有液)
バインダ含有液は、バインダ分散液又はバインダ溶液であり、バインダ、及び溶媒又は分散媒を含有する。
(バインダ)
バインダは、集合体中で繊維(炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維)を集束させ、集合体の形状を保持する役割を有する。バインダは、特に限定されないが、好ましくは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である。より具体的には、バインダとしては、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ変性ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、バインダとして、ベントナイト、リグニンスルホン酸塩、糖蜜、カルボキシメチルセルロース、コンニャク飛粉、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、でんぷんを挙げることもできる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、また、上記の樹脂と併用することもできる。
(溶媒、分散媒)
溶媒又は分散媒は、バインダを溶解又は分散することができる液体であれば、特に制限されない。溶媒又は分散媒としては、水、アルコール(例えばメタノール又はエタノール)、ケトン(例えばメチルエチルケトン又はアセトン)、炭化水素(例えばシクロヘキサン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、アミド(例えばN-メチルピロリドン又はジメチルホルムアミド)、エーテル(例えばテトラヒドロフラン)が挙げられる。溶媒又は分散媒は、特に好ましくは、水である。
本開示で用いるバインダ含有液は、例えば、バインダ及び溶媒又は分散媒から構成される比較的濃度の高い市販のサイジング剤に、溶媒又は分散媒をさらに添加することによって、調製することができる。特には、バインダ及び分散媒(特には水)を有するサイジング剤に、分散媒(特には水)を添加することによって、バインダ含有液を調製することができる。
サイジング剤(及びサイジング剤に溶媒又は分散媒を添加したバインダ含有液)は、例えば、バインダが水に分散した水エマルジョンの形態であってよく、特には、水系ポリウレタンであってよい。
サイジング剤中のバインダの濃度は、特に限定されないが、例えば、10~80重量%、20~60重量%、又は30~50重量%であってよい。
バインダの量は、バインダ含有液に対して、0.5重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2.0重量%以上、若しくは3.0重量%であってよく、かつ/又は、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、若しくは8重量%以下であってよい。バインダの量は、特に好ましくは、バインダ含有液に対して、1重量%~10重量%、又は2重量%~8重量%である。
また、バインダの量は、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の合計に対して、0.1重量%~10重量%であることが好ましく、特に好ましくは、0.5重量%~9.0重量%、1.0重量%~8.0重量%、又は2.0重量%~7.0重量%である。
(開繊)
繊維成分、特には再生炭素繊維に対して、あらかじめ開繊処理を行うことができる。開繊処理を行うことによって、繊維同士の絡まり合いを解消し、造粒工程において繊維同士が一方向に配向することを促進できる場合がある。
開繊処理の方法は、特に限定されないが、例えば回転ブレードによって行うことができる。開繊のための回転ブレードは、造粒器中に備え付けられた補助ブレードであってよい。
また、開繊処理は、高速攪拌によって行うこともできる。
(混合)
再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液から混合物を得る方法は、特に限定されない。再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維及びバインダ含有液は、混合物の形態で、造粒工程で用いる容器に投入することができる。例えば、再生炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維の塊にバインダ含有液を注ぎ、随意に攪拌することによって混合物を得、この混合物を容器に投入してよい。あるいは、容器内に、再生炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液を別個に投入し、当該容器内で混合して混合物とすることもできる。混合と造粒を同時に行ってもよい。
混合物中の炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液は、混合物内で均一に分布している必要は必ずしもない。造粒工程の間に混合物を攪拌し、均一性を向上させることができる。
<造粒工程>
本開示に係る方法では、混合物を、容器中で転動させること(以下で、この処理を「造粒処理」と呼ぶこともある。)によって、紡錘形の前駆体を製造する。
混合物を容器中において転動させる方法は、特に限定されず、公知の方法(特には公知の造粒方法)を用いることができる。
特には、混合物を、容器中において、容器の内壁と容器内の回転体との間のクリアランスで転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造する。理論によって限定する意図はないが、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維並びにバインダ含有液を含む混合物を、容器の内壁と容器内の回転体との間のクリアランスで転動させることによって、繊維が特定の方向に配向しつつバインダを介して互いに結合し、結果として、紡錘形の形状を有する前駆体を特に効率的に得ることができると考えられる。
混合物を容器の内壁と容器内の回転体との間のクリアランスで転動させるための方法は、特に限定されない。このための例示的な方法について、図1を参照して下記に説明する。
図1は、本開示で用いることができる攪拌造粒器の1つの実施態様の概略図である。図1の攪拌造粒器10は、容器としての円筒状の容器部12、及び、回転体としての攪拌ブレード14を有する。図1の攪拌造粒器10は、横型であり、通常の使用状態において、容器部12の開口部が、側方に向かって開口している。図1は、容器部の内部をのぞき込む視点で見た図である。容器部12の、開口部に対向する内壁(上記視点での奥側の壁)に、軸部16が取り付けられている。軸部16は、水平方向に延在している。この軸部16を中心にして、攪拌ブレード14が回転できるようになっている(図1の例では反時計回り(「A」)だが、時計回りであってもよい)。すなわち、図1の攪拌ブレード14は、重力方向に平行な面内で回転するように構成されている。なお、図1には示されていないが、容器部12内に、繊維を開繊するための補助ブレードを設置することもできる。
造粒処理では、容器部12中で回転する攪拌ブレード14によって、炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液を含む混合物が、随意に混合・攪拌され、容器部12の内壁と容器部12内の攪拌ブレード14との間の(図1で符号「C」で示される)クリアランスで転動される。
造粒処理は、周囲雰囲気温度で、又は加熱して行うことができる。造粒処理は、例えば、1分~1時間、5分~20分、又は8分~15分にわたって行うことができる。
(容器)
本開示の容器は、その中に混合物を保持し、かつ混合物に対して上記の造粒処理を行うことに適していれば、特に限定されない。容器は、剛性及び耐久性に優れる材料でできていることが好ましい。特に、容器の内壁は、混合物の転動の間に摩耗等を生じない材料でできていること、又はそのための表面処理をされていることが好ましい。
本開示に係る1つの実施態様では、容器は、傾斜しておらず、実質的に水平方向に対して平行である。例えば、容器の内壁のうち重力方向で下方に位置する部分が、傾斜しておらず、実質的に水平方向に対して平行であってよい。
(回転体)
回転体は、容器内で回転することによって、それ自体と容器の内壁との間で、炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液を含む混合物を転動することができるように構成されている。回転体は、例えば、容器内に設置された軸部に取り付けられ、当該軸部を中心として回転することができるように構成されている。
回転体は、好ましくはブレード(羽根)の形態を有している。回転体は、特に好ましくは、攪拌ブレード(攪拌羽根)である。攪拌ブレードは、剛性及び耐久性に優れる材料でできていることが好ましく、特に、混合物の転動の間に摩耗等を生じない材料でできていること、又はそのための表面処理をされていることが好ましい。
(クリアランス)
容器の内壁と回転体との間のクリアランスの大きさ、すなわち、容器の内壁と回転体との間の距離は、一定であってもよく、又は、連続的若しくは不連続的に種々の値であってもよい。
容器の内壁と容器内の回転体との間のクリアランスの大きさ、すなわち、容器の内壁と回転体との間の距離は、集合体の所望のサイズなどに応じて適宜設定することができ、例えば1~10mmであってよい。
(攪拌造粒器)
上記の容器及び回転体を有する装置として、公知の攪拌造粒器を用いることができる。攪拌造粒器は、特に限定されないが、例えばヘンシェル型の造粒器(ヘンシェルミキサー)、バグミル型の造粒器、又はアイリッヒ型の攪拌造粒器を用いることができる。攪拌造粒器は、縦型及び横型のいずれも用いることができる。
(紡錘形の前駆体)
紡錘形の前駆体は、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維並びにバインダを含有し、かつ、バインダ含有液に由来する液体(特には水)を含んでいる。下記の乾燥工程で、前駆体中の液体(特には水分)を除去することができる。
<乾燥工程>
本開示に係る方法では、得られた紡錘形の前駆体を乾燥させる。
前駆体を乾燥させる方法は、特に限定されず、得られた前駆体の水分率などに応じて、適宜、温度条件及び時間条件などを決定することができる。
≪樹脂成形品≫
本開示に係る熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維の紡錘形の集合体を、押出成形機などを用いて成形することによって、樹脂成形品を製造することができる。
上記方法で得られた紡錘形の集合体を用いて樹脂成形品を得る製造方法としては、例えば、射出成形、射出プレス成形、押出し成形、押出しプレス成形等による加熱成形法を挙げることができる。成形時の温度(例えばシリンダー温度)としては、用いる熱可塑性樹脂繊維の溶融粘度や融点等によって異なるが、例えば、150~350℃、ポリアミド6を使用する場合には、250~300℃の範囲であることが好ましい。
また、成形時に、必要に応じて安定剤、各種フィラー等を加えて成形してもよい。
以下で実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例は例示的なものであり、本願はこれに限定されない。
≪実施例1≫
<材料の調製>
(炭素繊維)
炭素繊維としては、半導体熱活性法によって得た残留炭素量1.4重量%の再生炭素繊維を用いた。
再生炭素繊維における残留炭素成分の量は、熱重量分析(TGA法)によって、下記のとおりにして決定した:
(i)再生炭素繊維を粉砕して得た4mgのサンプル片に対して、熱重量分析計において、0.2L/minの空気供給速度、5℃/minの加熱上昇率、及び1/6sの記録速度で、室温から100℃への昇温、30分間にわたる100℃での保持、100℃から400℃への昇温、及び480分間にわたる400℃での保持からなる工程を有する熱重量分析を、合計約600分間にわたって行い、
(ii)重量減少率を時間に対してプロットしたグラフにおいて、傾きの変曲点を特定し、当該変曲点における重量減少率の値から、100℃での保持期間における重量減少率を差し引くことによって、残留炭素の量を算出した。
再生炭素繊維は、3mmの平均長さを有していた。
(熱可塑性樹脂繊維)
熱可塑性樹脂繊維として、平均長さ3mmのポリアミド6樹脂繊維(PA6樹脂繊維、単糸繊度9.8デシテックス)を用いた。
(繊維成分)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂繊維としてのPA6樹脂繊維は、450gであり、炭素繊維としての再生炭素繊維は、50gであった。
(バインダ含有液)
バインダとしてのウレタン系樹脂10gに対して分散媒としての水204gを有するバインダ含有液(水エマルジョンサイジング剤)を準備した。
<造粒処理>
造粒処理のために、縦型攪拌造粒器(30L MTIミキサー、月島機械社製)を使用した。この攪拌造粒器は、攪拌ブレードを有していた。この攪拌ブレードは、攪拌造粒器の容器部の下部内壁に垂直方向で取り付けられた軸部に接続し、この軸部を中心に回転するように構成されていた。また、攪拌ブレードは、容器部の内壁との間に約5mmのクリアランスを有するように構成されていた。
攪拌造粒器は、繊維の開繊を促進するための補助ブレードも有していた。
攪拌ブレードの回転の開始と同時に、攪拌造粒器の容器部に、50gの上記再生炭素繊維及び450gの上記PA6樹脂繊維、並びに95gの上記バインダ含有液を投入し、周囲雰囲気温度で、15分間にわたって、混合、及び造粒処理を行い、紡錘形の前駆体を得た。
混合物中の水分率は、30.0重量%であった。攪拌ブレードの回転数は、235rpmであり、補助ブレードの回転数は、3000rpmであった。
<乾燥処理>
得られた前駆体を、乾燥器中で乾燥して、実施例1に係る集合体を得た。
<集合体>
実施例1に係る熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維の集合体は、紡錘形の形状を有していた(図2参照)。また、集合体に含有される熱可塑性樹脂繊維及び炭素繊維が、集合体の長軸方向に沿って配向していた。
(バインダ含有量)
実施例1の集合体に対するバインダの含有量は、2.0重量%であった。
(アスペクト比)
ノギスを用いて、実施例1の集合体のアスペクト比(長径/短径)を算出した。長径は、集合体の長さである。短径は、集合体の幅が最大となる箇所で計測した。検体数50(N=50)について平均値を計測した結果、アスペクト比は、3.2であった(平均値:長径=9.7mm、下記参照;短径=3.0mm)。
(平均長さ)
ノギスを用いて検体数50(N=50)で計測したところ、実施例1に係る集合体の平均長さは、9.7mmであった。再生炭素繊維の平均長さは3mmであったので、集合体の平均長さは、再生炭素繊維の平均長さの3.2倍であった。また、PA6樹脂繊維の平均長さは3mmであったので、集合体の平均長さは、PA6樹脂繊維の平均長さの3.2倍であった。
(成形評価)
射出成形機を用いてダンベル試験片を作成し、引張強度、曲げ強度を測定した。
射出成形機には東芝機械製の130t射出成形機を使用し、シリンダー温度:280℃、金型温度:100℃、成形サイクル:200secで実施した。
実施例1に係る集合体の製造結果及び評価の結果を、下記の表1に示す。
得られた成形体中の残存繊維長を測定したところ317μmだった(N=300)。
≪実施例2≫
実施例2に係る集合体を、下記のとおりにして作製した。
<材料の調製>
(炭素繊維)
炭素繊維として、ヴァージンの炭素繊維を使用した。炭素繊維は3mmの平均長さを有していた。
(熱可塑性樹脂繊維)
熱可塑性樹脂繊維として、平均長さ3mmのポリアミド6樹脂繊維(PA6樹脂繊維、単糸繊度9.8デシテックス)を用いた。
(繊維成分)
実施例2で用いた熱可塑性樹脂繊維としてのPA6樹脂繊維は、450gであり、炭素繊維としての炭素繊維は、50gであった。
(バインダ含有液)
バインダとしてのウレタン系樹脂10.0gに対して分散媒としての水209gを有するバインダ含有液(水エマルジョンサイジング剤)を準備した。
<造粒処理>
造粒処理のために、縦型攪拌造粒器(30L MTIミキサー、月島機械社製)を使用した。
攪拌造粒器は、攪拌ブレードを有しており、繊維の開繊を促進するための補助ブレードも有していた。
攪拌ブレードの回転の開始と同時に、攪拌造粒器の容器部に、50gの上記炭素繊維及び450gの上記PA6樹脂繊維、並びに219gの上記バインダ含有液を投入し、周囲雰囲気温度で、15分間にわたって、混合、及び造粒処理を行い、紡錘形の前駆体を得た。
混合物中の水分率は、30.0重量%であった。攪拌ブレードの回転数は、235rpmであり、補助ブレードの回転数は、3,000rpmであった。
<乾燥処理>
得られた前駆体を、乾燥器中で乾燥して、実施例2に係る集合体を得た。
(バインダ含有量)
実施例2の集合体に対するバインダの含有量は、2.0重量%であった。
(アスペクト比)
ノギスを用いて、実施例2の集合体のアスペクト比(長径/短径)を算出した。長径は、集合体の長さである。短径は、集合体の幅が最大となる箇所で計測した。検体数50(N=50)について平均値を計測した結果、アスペクト比は、4.5であった(平均値:長径=10.2mm、下記参照;短径=2.3mm)。
(平均長さ)
ノギスを用いて検体数50(N=50)で計測したところ、実施例2に係る集合体の平均長さは、10.2mmであった。炭素繊維の平均長さは3mmであったので、集合体の平均長さは、炭素繊維の平均長さの3.4倍であった。また、PA6樹脂繊維の平均長さは3mmであったので、集合体の平均長さは、PA6樹脂繊維の平均長さの3.4倍であった。
実施例2に係る集合体の製造結果及び評価の結果を、下記の表1に示す。
得られた成形体中の残存繊維長を測定したところ271μmだった(N=300)。
≪比較例1≫
再生炭素繊維と熱可塑繊維の集合体を作成せず、再生炭素繊維(繊維長=5mm)のみで集合体を作成し、その集合体をPA6樹脂と混錬する事でペレットを得、そのペレットの射出成形評価を実施した。PA6樹脂には宇部興産製1013Bを使用した。ペレット中の炭素繊維含有量は10wt%になるように調整した。
上記ペレットの射出成形評価結果を下記の表1に示す。
得られた成形体中の残存繊維長を測定したところ231μmだった(N=300)。
≪比較例2≫
ヴァージンの炭素繊維(繊維長=5mm)のみで集合体を作成し、その集合体をPA6樹脂と混錬する事でペレットを得、そのペレットの射出成形評価を実施した。PA6樹脂には宇部興産製1013Bを使用した。ペレット中の炭素繊維含有量は10wt%になるように調整した。
上記ペレットの射出成形評価結果を下記の表1に示す。
得られた成形体中の残存繊維長を測定したところ210μmだった(N=300)。
10 攪拌造粒器
12 容器部
14 攪拌ブレード
16 軸部
A 回転方向
C クリアランス

Claims (14)

  1. 炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダを含む、紡錘形の集合体を成形機に供給し、加熱成形することを特徴とする炭素繊維含有樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記集合体の平均長さが、1.5mm~60mmである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記炭素繊維及び前記熱可塑性樹脂繊維の平均長さが、それぞれ、1mm以上30mm未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記集合体の平均長さが、前記集合体に含有される前記炭素繊維の平均長さ及び前記熱可塑性樹脂繊維の平均長さの1.2倍~5.0倍である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記バインダの含有量が、前記集合体に対して、0.1重量%~10重量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂繊維が、ポリオレフィン樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、ポリアミド樹脂繊維、ポリエーテルケトン樹脂繊維、ポリカーボネート樹脂繊維、フェノキシ樹脂繊維、及びポリフェニレンスルフィド樹脂繊維、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記炭素繊維が、再生炭素繊維を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  8. 前記炭素繊維が、再生炭素繊維である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記再生炭素繊維が、残留炭素成分を含み、前記残留炭素成分が、前記再生炭素繊維に対して0重量%超5.0重量%以下である、請求項7に記載の製造方法。
  10. 炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維、及びバインダ含有液から少なくとも構成される混合物を提供すること、
    前記混合物を、容器中で転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造すること、並びに
    前記前駆体を乾燥させること、
    を含む、
    請求項1に記載の紡錘形の集合体の製造方法。
  11. 前記混合物を、容器中で、前記容器の内壁と前記容器内の回転体との間のクリアランスで転動させることによって、紡錘形の前駆体を製造する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記炭素繊維が、再生炭素繊維を含む、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記炭素繊維が、再生炭素繊維である、請求項12に記載の方法。
  14. 炭素繊維含有プラスチック製品に含有されるプラスチック成分を半導体熱活性法によって分解して、前記再生炭素繊維を製造することを含む、請求項12又は13に記載の製造方法。
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