JP2024001371A - 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置 - Google Patents

蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2024001371A
JP2024001371A JP2020192433A JP2020192433A JP2024001371A JP 2024001371 A JP2024001371 A JP 2024001371A JP 2020192433 A JP2020192433 A JP 2020192433A JP 2020192433 A JP2020192433 A JP 2020192433A JP 2024001371 A JP2024001371 A JP 2024001371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phosphor
atoms
phosphor particles
crystal
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020192433A
Other languages
English (en)
Inventor
広朗 豊島
Hiroaki Toyoshima
雄介 武田
Yusuke Takeda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denka Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denka Co Ltd filed Critical Denka Co Ltd
Priority to JP2020192433A priority Critical patent/JP2024001371A/ja
Priority to PCT/JP2021/041484 priority patent/WO2022107675A1/ja
Priority to TW110142671A priority patent/TW202231834A/zh
Publication of JP2024001371A publication Critical patent/JP2024001371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K11/00Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
    • C09K11/08Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K11/00Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
    • C09K11/08Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
    • C09K11/64Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing aluminium
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L33/00Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L33/00Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L33/48Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof characterised by the semiconductor body packages
    • H01L33/50Wavelength conversion elements

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)
  • Led Device Packages (AREA)

Abstract

【課題】発光特性を保持しつつ、耐久性が向上した蛍光体粒子に関する技術を提供する。【解決手段】本発明の蛍光体粒子は、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2xN4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、当該コアの表面がポリシロキサン結合を有する層により被覆されている。【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光体粒子、蛍光体粒子の製造方法、発光装置及び画像表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイや照明用途のLEDでは、高い色再現性が強く求められており、そのためにはなるべく発光ピークの半値全幅の狭い光を発する蛍光体が望ましいとされている。例えば液晶ディスプレイ用途の白色LEDでは、発光ピークの半値全幅の狭い光を発する緑色蛍光体や赤色蛍光体が求められており、このような要求を満たす半値全幅の狭い発光ピークを有する光を発する、狭帯緑色蛍光体や狭帯赤色蛍光体が近年報告されている。また、高輝度化が求められる照明用途では、発光ピークの半値全幅の狭い光を発する狭帯黄色蛍光体が求められている。
狭帯緑色蛍光体の例として、β型サイアロンを母体結晶とし、それをEu原子で賦活した緑色の蛍光体、即ちβ型サイアロン蛍光体が知られている(特許文献1参照、本明細書では、前記β型サイアロンのような結晶を「蛍光体母体結晶」という。単に「母体結晶」と表記することもある。)。β型サイアロン蛍光体では、結晶構造を保ったまま酸素含有量を変化させることにより、発光ピーク波長がより短波長側にシフトすることが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、β型サイアロンをCe原子で賦活すると、青色の光を発する蛍光体となることが知られている(例えば、特許文献3参照)。また、狭帯赤色蛍光体の一例として、SrLiAlを蛍光体母体結晶として、これにEu原子を賦活した蛍光体(非特許文献1参照)が知られている。
ここでEu原子やCe原子のような発光を司る原子のことを賦活原子という。一般に賦活原子は、蛍光体中でイオンの状態で存在し、蛍光体母体結晶中の原子の一部に置換して存在している。
このように蛍光体は、蛍光体母体結晶と、それに置換させる賦活原子との組み合わせで、発光色が決まる。さらに、蛍光体母体結晶と賦活原子との組み合わせによって、発光スペクトル、励起スペクトル等の発光特性や、化学的安定性、あるいは熱的安定性が決まるため、蛍光体母体結晶が異なる場合、あるいは賦活原子が異なる場合は、異なる蛍光体とみなされる。また、化学組成が同じであっても蛍光体母体結晶の結晶構造が異なれば発光特性や化学的な安定性が異なるため、異なる蛍光体とみなされる。
一方、蛍光体は外部環境に対して不安定であるため、経時劣化を防ぐために蛍光体を他の無機物で被覆することが知られている。例えば、特許文献4には、EuSrLiAl(0<a≦0.2、0.8≦b≦1.2、2.4≦c≦3.6、3.2≦d≦4.8)を蛍光体母体結晶として、これにEu原子を賦活させた蛍光体に対し、ケイ素原子と酸素原子とからなる化合物を含む被覆膜を形成する技術が開示されている。
特開2005-255895号公報 国際公開第2007/066733号 国際公開第2006/101096号 特開2017-214516号公報
NATURE MATERIALS VOL.13 SEPTEMBER 2014
蛍光体の経時劣化のなかでも、耐湿性・耐水性は、蛍光体の品質保持の観点から重要となる。近年、LED(light emitting diode)の品質向上への要望はますます高まり、耐湿性・耐水性等の耐久性のさらなる向上が求められている。
一方、上記のように蛍光体母体結晶と賦活原子との組み合わせによって、発光スペクトル、励起スペクトル等の発光特性が決まるため、蛍光体それぞれの発光特性を保持しつつ耐久性を高める手法も、その蛍光体母体結晶によって様々である。
そこで、本発明者は、特許文献4に開示される結晶構造の蛍光体とは母体結晶が異なる結晶構造の蛍光体に新たに着目し、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体において、発光特性を保持しつつ、耐久性を高めるという新たな課題を解決する観点から鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
本発明によれば、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、
当該コアの表面がポリシロキサン結合を有する層により被覆されている、蛍光体粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記蛍光体粒子と、発光光源と、を備える、発光装置が提供される。
また、本発明によれば、上記発光装置を用いた、画像表示装置が提供される。
また、本発明によれば、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、当該コアの表面にポリシロキサン結合を有する層を形成する工程を有する、蛍光体粒子の製造方法が提供される。
本発明によれば、発光特性を保持しつつ、耐久性が向上した蛍光体粒子に関する技術を提供できる。
SrLiAlO結晶の結晶構造を示す図である。 SrLiAlO結晶の結晶構造から計算したCuKα線を用いた粉末X線回折を示す図である。 本実施形態の蛍光体を用いた表面実装型LED素子の概略図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下であることを表す。
また、図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
<1.蛍光体粒子>
本実施形態の蛍光体粒子は、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、当該コアの表面がポリシロキサン結合を有する層により被覆されている。これにより、発光特性を保持しつつ、耐湿性・耐水性といった耐久性を向上することができる。
なお、本実施形態の蛍光体粒子において、ポリシロキサン結合を有する層による表面の被覆とは、連続的である状態に限られず、一部が非連続な状態であってもよい。言い換えると、ポリシロキサン結合を有する層(被覆層ともいう)がコアの表面全体を覆うように形成されていてもよく、また、被覆層の少なくとも一部がコアの表面に島状に形成されていてもよい。
また、被覆層は、その全体がポリシロキサン結合を有する化合物の微粒子の連続帯であってもよく、その一部がポリシロキサン結合を有する化合物の微粒子の連続帯であってもよい。
例えば、コアの表面全体の10~90%の領域に被覆層が形成されていてもよい。
また、被覆層が、ポリシロキサン結合を有する化合物の微粒子である場合、その粒径(D50)は、特に限定されないが、例えば、蛍光体粒子の粒径(D50)の1~30%であってもよい。
本実施形態の蛍光体粒子は、好ましくは、発光ピーク波長が550~600nmにあり、半値全幅が70nm以下である。これにより、高輝度の狭帯黄色蛍光体が得られる。
本実施形態の蛍光体粒子の粒径(D50)は、1~100μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましく、10~70μmであることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、粒径(D50)とは、レーザ回折散乱法による体積基準の積算分率における累積50%に相当する粒径を意図する。
本実施形態の蛍光体粒子のSi原子の含有量(質量%)は、0~4質量%であることが好ましく、0.05~2質量%であることがより好ましく、0.1~1.5質量%であることがさらに好ましい。
なお、Si原子の含有量(質量%)は、蛍光体粒子の製造方法において、仕込みの際のポリシロキサン結合含有化合物の量を調整すること、被覆処理の際の温度、時間、又は溶媒の種類を調整すること等により、制御できる。
なお、Si原子の含有量(質量%)の測定は、蛍光体粒子をアルカリ融剤(NaCOとKCOとHBOとの混合物)に完全に溶解した試験液を調製して、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析法により行うことができる。
本実施形態の蛍光体粒子は、以下の条件を満たすものであることが好ましい。これにより、蛍光体粒子の耐久性が向上する。
条件:温度50℃、相対湿度80%の環境下で7時間保管した後の蛍光体粒子の外部量子粒子効率が、当該環境下で保管される前の前記蛍光体粒子の外部量子粒子効率に対して30%以上である。
以下、本実施形態の蛍光体粒子を構成するコア及び被覆層について説明する。
[コア]
本実施形態の蛍光体粒子において、コアとは、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相からなる。該蛍光体は、Sr原子の少なくとも一部が賦活物質としてのEu原子で置換されたEu賦活蛍光体であり、本件出願人による特願2019-118166に記載される結晶相の蛍光体を用いることができる。
なお、本発明者らは、Sr原子、Li原子、Al原子及びO原子をそれぞれ含む原料物質から、組成式がSrLiAlOで表される物質を合成し、鋭意検討していた。その結果、該合成物質は、混合物ではなく、その結晶構造解析により、SrLiAlOを単位とし、本発明以前において報告されてない結晶構造を有する単一の化合物であることが判明した。また、SrLiAlO結晶のみならず、その一部又は全ての原子が他の特定の原子で置換されても、SrLiAlO結晶と同じ結晶構造を保持しうることを確認した。また、これらの一連の物質が、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有することも確認した。
さらに、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶のSr原子の少なくとも一部がEu原子に置換されており、一般式:Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する結晶についても、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶と同じ結晶構造を保持し、しかも蛍光発光することを確認した。
表1に、SrLiAlO結晶に関する、X線結晶構造解析の結果を示した。当該SrLiAlO結晶の作製方法については後述する。
Figure 2024001371000001
表1において、格子定数a、b、cは、SrLiAlO結晶の単位格子の軸の長さを示し、α、β、γは単位格子の軸間の角度を示す。また、表1中の原子座標x、y、zは、単位格子中の各原子の位置を、単位格子を単位とした0から1の間の値で示す。この結晶中には、Sr原子、Li原子、Al原子、O原子の各原子が存在し、Sr原子は、2種類の同じ席(Sr(1)からSr(2))に存在することを示す解析結果を得た。また、Li原子とAl原子とは、7種類の同じ席(Li,Al(1)からLi,Al(7))に存在することを示す解析結果を得た。Li原子は、1種類の同じ席(Li(8))に存在することを示す解析結果を得た。さらに、O原子は、8種類の同じ席に存在することを示す解析結果を得た。
図1に、SrLiAlO結晶の結晶構造を示す。図1中、1は、四面体の頂点に位置するO原子である。2は、四面体間に位置するSr原子である。3は、中心がAl原子のAlO四面体である。4は、中心がLi原子のLiO四面体である。即ち、SrLiAlO結晶は、三斜晶系に属し、P-1空間群(International Tables for Crystallographyの2番の空間群)に属する。なお、この結晶中には、発光を担う所謂賦活原子としてEu原子が、Sr原子の一部を置換する形で結晶中に取り込まれている。
以上の結果は、本発明の蛍光体が見出される以前に、公知の技術情報として知られてなく、即ち、組成式が、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される結晶(蛍光体母体結晶)のSr原子の少なくとも一部がEu原子で置換されている本実施形態の蛍光体は新規な蛍光体である。
さらに組成式が、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶、即ち、SrLiAlO結晶の原子の一部又は全部を他の原子で置換したり、後述するようにEu原子を賦活原子としてさらに置換した結晶では、その格子定数が表1に示されるSrLiAlO結晶の格子定数からは変動する。しかしながら、かかる結晶において、基本的な結晶構造、原子が占める席、及び、その座標によって与えられる原子位置は、骨格原子同士の間の化学結合が切れるほどには大きく変わることはなく、その結晶構造が変化することはない。
即ち、前述の「前記SrLiAlO結晶のみならず、その一部又は全ての原子が他の特定の原子で置換されても、SrLiAlO結晶と同じ結晶構造を保持しうる」とは、組成式が、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶に関し、X線回折又は中性子線回折の結果を、P-1の空間群でリートベルト解析して求めた格子定数、及び原子座標から計算されたAl原子-O原子間及びLi原子-O原子間の化学結合の長さ(近接原子間距離)が、前記表1に示すSrLiAlO結晶の格子定数と原子座標とから計算された化学結合の長さと比べて、±5%以内を満たすことを意味する。このとき、化学結合の長さが±5%を超えて変化すると、化学結合が切れて別の結晶となることが実験上確認された。
本実施形態に係るSr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶においては、例えば図1に示されるSrLiAlO結晶において、Sr原子が入る席には、Mの記号で表される原子が、Li原子とAl原子とが入る席には、それぞれL、Aの記号で表される原子が、O原子が入る席には、Xの記号で表される原子が入ることができる。この規則性により、SrLiAlO結晶の結晶構造を保持したまま、Mが1に対して、LとAとが合計で4、Xが合計で4の原子数の比とすることができる。また、Eu原子は、Sr原子が入る席に入ることができる。ただし、M、L、Aで表される原子及びEu原子が示すプラス電荷の合計と、Xで表される原子が示すマイナス電荷の合計とは、互いに打ち消し合い、結晶全体の電気的中性が保たれることが望ましい。
図2に、SrLiAlO結晶の結晶構造から表1に示される数値を基に計算した、CuKα線を用いた粉末X線回折のピークパターンを示す。
なお、結晶構造が未知である結晶が、前記SrLiAlO結晶と同じ結晶構造を有しているか否かの簡便な判定方法として、次の方法を好ましく用いることができる。即ち、判定対象となる結晶構造が未知である結晶に関して、測定したX線回折ピークの位置(2θ)と、図2に示される回折のピーク位置とが、主要ピークについて一致したときに両者の結晶構造が同じである、即ち結晶構造が未知であった結晶の結晶構造は、SrLiAlO結晶と同じ結晶構造であると判定する方法である。主要ピークとしては、回折強度の強い10本程度で判定するとよい。本実施形態においては、実施例にてこの判定方法を用いた。
以上に述べたように、本実施形態の蛍光体は、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体母体結晶の少なくとも一部のMをEu原子で置換した蛍光体であるが、Lは、その一部又は全部がLi原子であり、Aは、その一部又は全部がAl原子、Ga原子及びSi原子から選ばれる1種類又は2種類以上の原子であり、Xは、O原子及びN原子から選ばれる1種類又は2種類の原子(ただし、XがN原子のみであることを除く)であってもよい。
ここで、従来の蛍光体の製造では、N原子を含む原料物質、即ち窒化物を用いると、該原料物質由来でO原子がわずかに含まれる蛍光体が製造されていた。しかし、本実施形態では、後述するが、O原子を含む原料物質、即ち酸化物を用いて蛍光体が製造される。この製造方法で用いる原料物質は、酸化物のみに限定されず、窒化物を含んでもよいが、窒化物のみであることはない。よって、Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体母体結晶のXの全部がN原子で置換されることはない。
また、本実施形態の蛍光体では、蛍光体母体結晶が、三斜晶系に属し、空間群P-1対称性を有する結晶であってもよい。
さらに本実施形態の蛍光体では、組成式SrLiAlh1h2Euで表され、
組成比e、f、g、h1、h2及びiが、以下に示される関係式を満たすことが好ましい。
e+f+g+h1+h2+i=9、
0<e<1.3、
0.7≦f≦3.3、
0.7≦g≦3.3、
3.7≦h1+h2≦4.3(ただし、h1>0)
0<i<1.3、及び
0.7≦e+i≦1.3
このような組成比とすることで蛍光体母体結晶が安定して生成すると考えられ、より発光強度が高い蛍光体が得られうる。
前記組成比eは、Sr原子の組成割合を表すパラメータであり、1.3未満であれば、結晶構造が安定になり発光強度の低下を抑制できる。前記組成比fは、Li原子の組成割合を表すパラメータであり、0.7以上であって、3.3以下であれば、結晶構造が不安定にならず、発光強度の低下を抑制できる。前記組成比gは、Al原子の組成割合を表すパラメータであり、0.7以上であって、3.3以下であれば、結晶構造が不安定にならず、発光強度の低下を抑制できる。前記組成比h1、h2は、それぞれO原子及びN原子の組成割合を表すパラメータであり、h1+h2が3.7以上であって、4.3以下(ただしh1>0)であれば、蛍光体の結晶構造が不安定にならず、発光強度の低下を抑制できる。前記組成比iは、Eu原子の組成割合を表すパラメータであり、iが0を超えていれば、賦活原子の不足による輝度の低下を抑制することができる。なお、iは、1.3未満であれば、蛍光体母体結晶の構造を維持することが十分可能である。iが1.3以上であると、蛍光体母体結晶の構造が不安定となることがある。また、iをさらに1.3未満にすれば、賦活原子同士の間の相互作用により引き起こされる濃度消光現象による発光強度の低下を抑制することができるため好ましい。
さらに、前記組成比f及びgが、
7/40≦g/(f+g)<30/40
である蛍光体は、結晶構造が安定であり特に発光強度が高いと考えられ、好ましい。
また、前記組成比h1及びh2が、0<h1/(h1+h2)≦1である蛍光体は、さらにより結晶構造が安定であり、発光強度が高いと考えられ、好ましい。
また、本実施形態の蛍光体は、例えば、250~500nmの波長範囲に光強度ピークを含む光を照射すると、430~670nmの波長範囲に発光ピークを含む蛍光を発し得る。
特に好ましくは、前記波長250~500nmの波長範囲に発光ピークを含む光を照射すると、560~580nmの波長範囲に発光ピークを含む蛍光を発し得る。
本実施形態の蛍光体は、前記蛍光体母体結晶に、Eu原子が賦活原子として置換している蛍光体である。賦活原子としてEu原子を含む蛍光体は、発光強度が高い蛍光体であり、特定の組成では430~670nmの波長範囲に発光ピークを含む青色から赤色の蛍光を発する蛍光体が得られる。
特に好ましくは、本実施形態の蛍光体は、組成式Sr1-rLi3-qAl1+q4-2q2qEuで表され、
パラメータq及びrが、
0≦q<2、及び
0<r<1
である蛍光体でもある。前記組成式で表される蛍光体は、安定な結晶構造を保持したまま、q及びrのパラメータの値を適宜調整して、Eu原子/Sr原子比、Li原子/Al原子比、N原子/O原子比を変化させることにより、蛍光体の励起ピーク波長や発光ピーク波長を連続的に変化させることができる。
蛍光体の発光ピーク波長が変化することにより、励起光が照射されたときに発光する色が、CIE1931色度座標上の(x,y)の値で、例えば0≦x≦0.8、0≦y≦0.9の範囲とすることができる。このような蛍光体は、青色から赤色までを発光させうることから、例えば、白色LED用の蛍光体として好ましく用いられる。
なお、本実施形態の蛍光体は、例えば、励起源が100~500nmの波長を持つ真空紫外線、紫外線、可視光、又は放射線の持つエネルギーを吸収して発光する蛍光体である。放射線としては、例えば、X線、ガンマ線、α線、β線、電子線、中性子線が挙げられるが、特に限定されない。これらの励起源を用いることにより、本実施形態の蛍光体を効率よく発光させることができる。
また、励起光の波長が380nm~450nmのときに、発光ピーク波長が550~650nm、好ましくは550~630nm、より好ましくは550~590nmになるように制御するときには、上述したパラメータq及びrが、q=0、及び0<r<0.05を満たすことが好ましい。
本実施形態の蛍光体は、その単結晶の粒子、又はその単結晶の粒子が凝集した凝集粒子、あるいはそれらの混合物であることが好ましい。本実施形態の蛍光体は、なるべく純度の高いことが望ましいが、蛍光体以外の物質、例えば不可避的に含まれる蛍光体以外の不純物を、蛍光体の発光が損なわれない限り含んでいてもよい。
例えば、原料物質や焼成容器に含まれるFe原子、Co原子及びNi原子の不純物原子は、蛍光体の発光強度を低下させる恐れがある。この場合、蛍光体中に含まれる不純物原子の合計での量を500ppm以下とすることにより、蛍光体の発光強度低下への影響は少なくなる。
また、本実施形態の蛍光体を製造すると、蛍光体以外の他の結晶相やアモルファス相(副相ともいう)を有する化合物が同時に生成することがありうる。副相は、本実施形態の蛍光体と同じ組成を有するとは限らない。本実施形態の蛍光体は、なるべく副相を含まない方が好ましいが、蛍光体の発光が損なわれない範囲において、副相を含んでいてもよい。
即ち、実施形態の蛍光体の1つの態様として、上述のSr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶を蛍光体母体結晶とし、これにEu原子(賦活原子)がイオンの状態で置換している化合物と、前記化合物とは異なる副相等を有する化合物との混合物であり、前者の化合物の含有量が本実施形態の蛍光体全量に対して50質量%以上である態様がある。
Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する結晶の単体のみでは、目的の特性が得られない場合、前記態様を用いるとよい。Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x)(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体母体結晶の含有量は、目的とする特性により調整するとよいが、20質量%以上にすれば、蛍光体の発光強度が十分に高まる。このような観点から、本実施形態の蛍光体において、20質量%以上を上述の化合物とすることが好ましい。このような蛍光体であれば、励起源を照射することにより400~670nmの範囲の波長に発光ピークを持つ蛍光を発光し得る。
また、本実施形態のコアの形状については、特に限定はないが、分散した粒子として蛍光体粒子を用いる場合には、例えば、平均粒径が0.1~50μmの単結晶の粒子、あるいは単結晶の粒子が凝集(集合)した凝集粒子であることが好ましい。この範囲の粒径に制御されたコアを有する蛍光体粒子は、発光効率が高く、LEDに実装する場合の操作性が良い。前記平均粒径は、JIS Z8825(2013)で定められる、レーザ回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて測定される粒度分布(累積分布)から算出される体積基準の粒径(D50)である。また、本実施形態のコア(蛍光体)を再度焼成し、非粒子の形状としても用いることが可能である。特に蛍光体を含む板状の焼結体は、一般に蛍光体プレートとも呼ばれ、例えば発光素子の発光部材として、好ましく用いることができる。
[被覆層(ポリシロキサン結合を有する層)]
本実施形態の被覆層は、コアの少なくとも一部を被覆する層である。被覆層としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、蛍光特性を保持しつつ、効果的に高い耐久性を付与する観点から、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物を用いてなることが好ましい。
上記シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラ珪酸エチル(TEOS)、テトラ珪酸メチル(TMOS)、メチルトリ珪酸エチル(MeTEOS)、及びフェニルトリ珪酸エチル(PhTEOS)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、安定的に被覆層が形成できる観点から、テトラ珪酸エチル(TEOS)であることが好ましい。
また、本実施形態の被覆層の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、1~200nmが好ましく、3~180nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。
平均厚さの測定方法としては、例えば、走査型又は透過型電子顕微鏡により本実施形態の蛍光体粒子の断面を観察し、任意の5~20箇所で測定した被覆層の厚さから算出する方法が挙げられる。また、その他の平均厚さを測定する方法としては、コアの表面を被覆層が均一に被覆できていると仮定して、ICP発光分光分析法を用いた元素分析によるSi分析値、蛍光体粒子の比表面積、被覆層の密度から平均厚さを算出する方法等が挙げられる。なかでも、比較的簡便に安定な測定が可能となる観点から、ICP発光分光分析法を用いた元素分析によるSi分析値、および蛍光体粒子の比表面積から算出する方法が好ましい。
本実施形態の被覆層の形成方法としては、後述の蛍光体粒子の製造方法における被覆層形成工程等が挙げられる。
<2.蛍光体粒子の製造方法>
本実施形態の蛍光体粒子の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の蛍光体粒子は、少なくとも、コアとなる蛍光体を準備する準備工程(工程1)と、コアの表面に被覆層を形成する被覆層形成工程(工程2)とを含む。以下、各工程について詳述する。
[工程1:準備工程]
コアとなる蛍光体を準備する工程について説明する。
まず、Sr原子を含む原料物質と、Li原子を含む原料物質と、Al原子を含む原料物質と、O原子を含む原料物質と、N原子を含む原料物質と、Eu原子を含む原料物質とを混合して、原料混合物を得る。なお、原料物質が化合物の場合、1つの化合物に、Sr原子、Li原子、Al原子、O原子、N原子及びEu原子のうち複数の原子を含んでいてもよく、また、原料物質が単体、即ち単独の原子からなる物質でもよい。
Sr原子を含む原料物質は、Sr原子を含有する金属、酸化物、炭酸塩、水酸化物、酸窒化物、窒化物、水素化物、フッ化物及び塩化物から選ばれる単体又は2種類以上の混合物であり、具体的には酸化物が好ましく用いられる。
Li原子を含む原料物質は、Li原子を含有する金属、酸化物、炭酸塩、水酸化物、酸窒化物、窒化物、水素化物、フッ化物及び塩化物から選ばれる単体又は2種類以上の混合物であり、具体的には酸化物が好ましく用いられる。
Al原子を含む原料物質は、Al原子を含有する金属、酸化物、炭酸塩、水酸化物、酸窒化物、窒化物、水素化物、フッ化物及び塩化物から選ばれる単体又は2種類以上の混合物であり、具体的には酸化物が好ましく用いられる。
Eu原子を含む原料物質は、Eu原子を含有する合金、酸化物、窒化物、フッ化物及び塩化物から選ばれる単体又は2種類以上の混合物であり、具体的には酸化ユーロピウムが好ましく用いられる。各原料物質は粉末状であることが好ましい。
例えば、Eu原子で賦活したSrLiAlO蛍光体(結晶)を製造する場合は、Eu原子を含む酸化物、窒化物、又はフッ化物と、Sr原子を含む酸化物、窒化物、又はフッ化物と、Li原子を含む酸化物、窒化物、又はフッ化物と、Al原子を含む酸化物、窒化物、又はフッ化物とを用いて原料混合物となすことが好ましい。また、Sr原子とLi原子、Sr原子とAl原子、Al原子とLi原子、Sr原子とLi原子とAl原子からなる複合金属、酸化物、炭酸塩、水酸化物、酸窒化物、窒化物、水素化物、フッ化物、又は塩化物等を原料物質として用いてもよい。特に、Eu原子を含む酸化物(酸化ユーロピウム)とSr原子を含む酸化物(酸化ストロンチウム)とLi原子を含む酸化物(酸化リチウム)とLi原子及びAl原子を含む酸化物(酸化リチウムアルミニウム)とを用いるのがより好ましい。
本実施形態の蛍光体の製造方法では、蛍光体を合成するための焼成時に、焼成温度以下の温度で液相を生成する、すなわち、蛍光体を構成する原子以外の原子を含む化合物を、原料物質に添加して焼成してもよい。このような液相を生成する化合物は、フラックスとして働き、蛍光体の合成反応及び粒成長を促進するように機能する。このため、安定な結晶が得られて蛍光体の発光強度が向上することがある。
前記焼成温度以下の温度で液相を生成する化合物には、Sr原子、Li原子、及びAl原子から選ばれる1種類又は2種類以上の原子を含むフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物及びリン酸塩の1種類又は2種類以上の混合物がある。これらは蛍光体を構成する原子以外の原子を含む化合物であってもよい。また、これらの化合物は、それぞれ融点が異なるため、合成温度によって使い分けるとよい。これらの液相を生成する化合物も、本実施形態では便宜上原料物質に含める。
蛍光体を粒子又は凝集粒子として製造するには、各原料物質は粒子であることが好ましい。また、蛍光体の合成反応は、原料物質の粒子同士の間の接触部分が起点となり起こることから、原料物質の粒子の平均粒径を500μm以下とすると、粒子同士の接触部が増えて反応性が向上するため好ましい。
(混合方法)
本実施形態の蛍光体の製造方法において、各原料物質を混合して原料混合物となす方法は、特に限定はなく、公知の混合方法が用いられる。即ち、各原料物質は、乾式で混合する方法の他、各原料物質と実質的に反応しない不活性な溶媒中で湿式混合した後に、溶媒を除去する方法等により混合することができる。なお、混合装置としては、V型混合機、ロッキングミキサー、ボールミル、振動ミル等が好ましく利用される。
(焼成容器)
原料混合物の焼成において、原料混合物を保持する焼成容器としては、種々の耐熱性材料の容器が使用されうるが、例えば、窒化ホウ素焼結体等の窒化ホウ素製の容器、アルミナ焼結体等のアルミナ製の容器、カーボン焼結体等のカーボン容器、モリブテン、タングステンやタンタル等の金属製の容器等を用いることができる。
(焼成温度)
本実施形態の蛍光体の製造方法において、原料混合物の焼成温度は、適宜設定可能だが、例えば、780~1500℃としてもよい。焼成温度を780℃以上とすることにより、蛍光体の結晶成長を進行しやすくし、十分な蛍光特性を得ることができる。また焼成温度を1500℃以下とすることにより、蛍光体が分解することを抑制し、蛍光特性の低下を抑制することができる。なお、焼成時間は焼成温度によっても異なるが、通常1~10時間程度である。焼成における加熱、温度保持、冷却の経時パターンは特に限定はなく、また焼成の途中で、必要に応じ原料物質を追加してもよい。
(焼成雰囲気)
焼成工程は、原料混合物中の少なくとも一部のEu3+をEu2+の状態に還元可能な還元性の焼成雰囲気下で行うことが好ましい。焼成雰囲気としては、例えば、NH、N等の中性ガス、H、CH等の還元性ガスが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、蛍光体の発光強度を向上させる観点から、焼成雰囲気には、NH、N、又はHを用いてもよく、好ましくはNH、又はNを用いてもよい。
焼成雰囲気は、例えば、NH、又はNを主成分として構成されてもよい。NH又はNの純度は、200℃で、例えば、98体積%以上、好ましくは99体積%以上である。
また、断熱材やヒーター等の炉材として、カーボン製である黒鉛抵抗加熱方式の電気炉、モリブテンやタングステン製であるオールメタル炉、アルミナや石英製の炉心管をヒーターで加熱する管状炉、耐腐食性を付与した炉を用いてもよい。炉材に応じて、適切なガス種を使用してもよい。
(焼成圧力)
焼成時の圧力は、原料混合物及び生成物である蛍光体の熱分解が抑えられるため、可能な範囲で高い値が好ましい。焼成時の具体的な圧力は、0.1MPa(大気圧)以上が好ましい。
(焼成回数)
上述した焼成工程の回数は、1回でもよいが、複数回としてもよい。
なお、焼成工程の回数は、焼成温度及び焼成圧力を制御し、この制御された焼成温度及び焼成圧力を保持した状態で、原料混合物を焼成した後、焼成圧力の制御を解除するとともに、焼成して得られた蛍光体(焼結体)が室温まで冷却するまでを1サイクルとし、このサイクルの繰り返し数をいう。
(焼成後のアニール処理)
焼成して得られた蛍光体、及びこれを粉砕処理した後の蛍光体粒子、さらに粒度調整後の蛍光体粒子を、600~1300℃の温度で熱処理(アニール処理ともいう)することもできる。この操作により、蛍光体に含まれる欠陥及び粉砕による損傷が回復することがある。欠陥及び損傷は、発光強度の低下の要因となることがあり、前記熱処理により発光強度が回復することがある。
さらに、焼成後や前記アニール処理後の蛍光体を、溶剤や、酸性又は塩基性溶液で洗浄することもできる。この操作により、焼成温度以下の温度で液相を生成する化合物の含有量や副相を低減させることもできる。その結果、蛍光体の発光強度が高くなることがある。
[工程2:被覆層形成工程]
次に、得られたコアの表面に被覆層を形成する。例えば、工程1で得られた蛍光体と後述のポリシロキサン結合含有化合物とを接触させ、熱処理することによって、蛍光体の結晶相の表面にポリシロキサン結合を有する層を形成することが好ましい。以下、詳述する。
(スラリーの調製)
まず、得られたコア(結晶相)を分散媒に分散し、スラリーを調製する。分散媒としては、コアが溶解せず、ポリシロキサン結合含有化合物が溶解するものであれば、特に限定されず用いることができる。分散媒としては、例えば、公知の有機溶剤が挙げられ、エタノール、イソプロパノール等を用いることができる。さらに、後述の加水分解のため、NHOHを用いてもよい。
また、均一に分散させるため、公知の方法で攪拌を行ってもよく、この攪拌を室温で行ってもよい。
(ポリシロキサン結合含有化合物の添加)
得られたスラリーに、ポリシロキサン結合含有化合物等を添加、分散させる。
ポリシロキサン結合含有化合物の添加量としては、ポリシロキサン結合含有化合物中のSi原子の含有量が、コア100質量部に対して0.001~10質量部となるように調整することが好ましい。
ポリシロキサン結合含有化合物の添加方法は、公知の方法を用いることができ、滴下により行ってもよい。また、ポリシロキサン結合含有化合物として、APTESやTEOSを用いた場合には、塩基、例えば、NHOHを用いた公知の方法により、APTESやTEOSを加水分解してゲル化してもよい。
攪拌時間は、特に限定されないが、例えば、15分~2時間であってもよい。
(後処理)
その後、分散液を濾過して、加熱することによって、コアの表面に被覆層が形成された蛍光体粒子を得ることができる。
濾過、加熱方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。加熱条件は、例えば、大気下で、100~500℃、1~15時間とすることができ、1~5時間としてもよい。これにより、ポリシロキサン結合含有化合物の層をコア表面に安定的に形成できる。また、Eu2+の酸化を抑制する等の観点から、窒素雰囲気下としてもよい。
このようにして、コアの表面が被覆層により被覆されている、蛍光体粒子を得ることができる。
[性能]
このように、本実施形態の蛍光体粒子は、放射線、及び、紫外線から可視光までの幅広い励起範囲を持つことができ、青色から赤色の光を発することができる。特に、特定の組成のコアを有する蛍光体粒子は、450~650nmの青色から赤色の光を発することができ、かつ、発光ピーク波長やその半値全幅を調節することができる。そして、本実施形態の蛍光体粒子は、このような発光特性を保持しつつ、耐久性を向上することができる。
また、本実施形態の蛍光体粒子は、蛍光体プレートや、この蛍光体プレートを用いた発光素子を構成する材料として有用である。さらに、前記発光素子を用いた照明器具、画像表示装置も、高い色再現性を発揮する。また、本実施形態の蛍光体粒子は、顔料、紫外線吸収剤にも好適である。本実施形態の蛍光体粒子は、それ単独で用いるだけでない。例えば、本実施形態の蛍光体粒子を含む諸材料と樹脂等とを混合して組成物を調製し、さらに、この組成物を成形することにより、蛍光成形物、蛍光シートや蛍光フィルムのような成形体として提供することができる。なお、本実施形態の蛍光体粒子は、高温にさらしても劣化し難いことから、耐熱性に優れており、酸化雰囲気及び水分環境下での長期間の安定性にも優れているという利点をも有し、耐久性に優れた製品を提供し得る。
<3.発光素子>
本実施形態の蛍光体粒子は、種々の用途に使用することができる。本実施形態の蛍光体粒子を含む発光素子も、また本発明の態様の1つである。前記発光素子においては、本実施形態の蛍光体粒子を、そのまま粒子状で用いても、再度焼成してブロック状としてもよい。蛍光体粒子を再度特に平板状に焼成して得られたた焼結体を蛍光体プレートと呼ぶこともある。また、ここでいう発光素子は、一般的に蛍光体、及び前記蛍光体の励起源とを含み構成されている。
本実施形態の蛍光体粒子を用いて、一般に発光ダイオード(LEDともいう)と呼ばれる発光素子をなす場合には、例えば、樹脂やガラス(これらを纏めて固体媒体という)中に、本実施形態の蛍光体粒子を分散させた蛍光体粒子含有組成物の成形体又は焼結体を、励起源からの励起光が蛍光体粒子に照射されるように配置した形態が一般的に好ましく採用される。このとき、蛍光体粒子含有組成物中には、本実施形態の蛍光体粒子以外の蛍光体を併せて含有させてもよい。
前記蛍光体粒子含有組成物の固体媒体として使用可能な樹脂は、成形する以前や蛍光体粒子を分散させるときには液状であり、本実施形態の蛍光体粒子や発光素子として好ましくない反応等を生じないものであれば、任意の樹脂を目的等に応じて選択することが可能である。樹脂の例としては、付加反応型シリコーン樹脂、縮合反応型シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。前記樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、これを硬化させることにより、本実施形態の蛍光体粒子を散させた蛍光体粒子含有組成物の成形体(硬化体)が得られる。
前記固体媒体の使用割合は、特に限定はなく、用途等に応じて適宜調整すればよいが、一般的には、本実施形態の蛍光体粒子に対する固体媒体の質量割合で、通常3質量%以上、好ましくは5質量%以上、また、通常30質量%以下、好ましくは15質量%以下である。
また、本実施形態の蛍光体含有組成物は、本実施形態の蛍光体粒子及び固体媒体に加え、その用途等に応じて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、拡散剤、増粘剤、増量剤、干渉剤等が挙げられる。具体的には、アエロジル等のシリカ系微粉、アルミナ等が挙げられる。これにより、良好な拡散性や粘性が得られやすくなる。
また、本実施形態の蛍光体粒子以外の蛍光体としては、BAM蛍光体、β-サイアロン蛍光体、α-サイアロン蛍光体、SrSi蛍光体、(Sr,Ba)Si蛍光体、CaAlSiN蛍光体、(Ca,Sr)AlSiN蛍光体、KSF蛍光体、YAG蛍光体、及び(Ca,Sr,Ba)Siから選ばれる1種類又は2種類以上の蛍光体が挙げられる。
発光素子の実施形態の1つとして、本実施形態の蛍光体粒子含有組成物は、本実施形態の蛍光体粒子に加えて、さらに、発光体又は励起源により発光ピーク波長が420~500nmの光を発する青色蛍光体を含むことができる。このような、青色蛍光体としては、例えば、AlN:(Eu,Si)、BAM:Eu、SrSiAl19ON31:Eu、LaSiAl1932:Eu、α-サイアロン:Ce、JEM:Ce等が挙げられる。
また、発光素子の実施形態の1つとして、本実施形態の蛍光体粒子含有組成物は、本実施形態の蛍光体粒子に加えて、さらに、発光体又は励起源により発光ピーク波長が500~550nmの光を発する緑色蛍光体を含むことができる。このような、緑色蛍光体としては、例えば、β-サイアロン:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu等が挙げられる。
さらに、発光素子の実施形態の1つとして、本実施形態の蛍光体粒子含有組成物は、本実施形態の蛍光体粒子に加えて、さらに、発光体又は励起源により発光ピーク波長が550~600nmの光を発する黄色蛍光体を含むことができる。このような黄色蛍光体としては、例えば、YAG:Ce、α-サイアロン:Eu、CaAlSiN:Ce、LaSiN11:Ce等が挙げられる。
さらにまた、発光素子の実施形態の1つとして、本実施形態の蛍光体粒子含有組成物は、本実施形態の蛍光体粒子に加えて、さらに、発光体又は励起源により発光ピーク波長が600~700nmの光を発する赤色蛍光体を含むことができる。このような赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSi:Eu、SrSi:Eu、KSF:Mn等が挙げられる。
本実施形態の発光素子に、本実施形態の蛍光体粒子が、蛍光体プレートとして含まれる場合、前記蛍光体プレートとは、粒子状の本実施形態の蛍光体を、所望の形状に成形後、加熱焼成した焼結体である。ただし、本実施形態の蛍光体プレートには、本実施形態の蛍光体粒子以外の蛍光体や、その他の成分を含んでいてもよい。ここでいうその他成分としては、例えば、媒体となるガラス等や、バインダー樹脂、分散剤、及び焼結助剤が挙げられる。前記バインダー樹脂、分散剤、及び焼結助剤の添加剤は、特に限定はないが、一般に加熱焼成時に同時に分解除去される、当該分野で公知の物質を好ましく用いることができる。
前記蛍光体プレートを製造する際に用いる蛍光体粒子の平均粒径は、特に限定はないが、成形性を付与するバインダー樹脂の添加量を蛍光体粒子の比表面積に応じて加減するため、例えば、0.1~30μmであることが好ましい。
前記蛍光体プレートは、例えば、以下の方法で製造することができる。本実施形態の蛍光体粒子に、バインダー樹脂、分散剤、焼結助剤等の添加剤を添加し、さらに分散媒を加えて湿式混合し、得られたスラリーの粘度を調整して、シート状、ディスク状等の形状にし、これを加熱焼成して添加剤を分解除去する。これにより、本実施形態の蛍光体シートを得ることができる。加熱焼成の温度、時間、及び焼成雰囲気は、用いた材料によって公知の条件に適宜変更すればよい。その他に、本実施形態の蛍光体粒子より低融点なガラス粉末を加えて成形し、その後焼成して蛍光体プレートを製造する方法等も有効である。
本実施形態の発光素子に含まれる励起源は、本実施形態の蛍光体粒子や他の種類の蛍光体を励起させて発光させうる。該励起源は、例えば、励起エネルギーを発する光源である。本実施形態の蛍光体は、100~190nmの真空紫外線、190~380nmの紫外線、電子線等を照射しても発光するが、好ましい励起源としては、例えば、青色半導体発光素子が挙げられる。この励起源からの光により本実施形態の蛍光体粒子も発光するので、発光素子に好適に用いられる。なお、本実施形態の発光素子は、単一の素子である必要は無く、複数の発光素子が組み合わされた一体型の素子であってもよい。
本実施形態の発光素子の一形態として、発光体又は励起源によりピーク波長が300~500nm、好ましくは300~470nmの紫外又は可視光を発し、本実施形態の蛍光体粒子が発する青色光~黄緑色光~赤色光(例えば、435nm~570nm~750nm)と、本実施形態の他の蛍光体が発する450nm以上の波長の光を混合することにより白色光又は白色光以外の光を発する発光素子がある。
なお、前述の発光素子の実施形態は例示であって、本実施形態の蛍光体に加えて、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体あるいは赤色蛍光体を適宜組み合わせれば、所望の色味を有した白色光を生成しうることは言うまでもない。
またさらに、発光素子の実施形態の1つとして、発光体又は励起源により280~500nmの波長の光を発するLEDを用いると発光効率が高いため、高効率の発光装置を構成することができる。なお、使用する励起源からの光は、特に単色光に限定されず、複色光でもよい。
図3に、本実施形態の蛍光体粒子を用いた発光素子(表面実装型LED)の概略を示す。
表面実装型白色発光ダイオードランプ(11)を製作した。可視光線反射率の高い白色のアルミナセラミックス基板(19)に2本のリードワイヤ(12、13)が固定されている。それらのリードワイヤ(12、13)の一端部は、アルミナセラミックス基板(19)のほぼ中央部に位置し、他端部は、それぞれ外部に露出しており、電気基板への実装時には、はんだ付けされる電極として機能する。リードワイヤ(12、13)のうちの一方のリードワイヤ(13)の一端部には、基板中央部となるように発光ピーク波長が450nmの青色発光ダイオード素子(14)が載置され固定されている。青色発光ダイオード素子(14)の下部電極とリードワイヤ(13)とは導電性ペーストによって電気的に接続されており、上部電極と他方のリードワイヤ(12)とが金細線からなるボンディングワイヤ(15)によって電気的に接続されている。
第一の樹脂(16)と上述した実施形態の蛍光体粒子(17)との混合物が、青色発光ダイオード素子(14)近傍に配置されている。この蛍光体粒子(17)を分散した第一の樹脂(16)は、透明であり、青色発光ダイオード素子(14)の全体を被覆している。また、アルミナセラミック基板(19)上には、中央部に穴の開いた形状である壁面部材(20)が固定されている。壁面部材(20)は、その中央部が青色発光ダイオード素子(14)及び蛍光体粒子(17)を分散させた第一の樹脂(16)がおさまるための穴となっていて、中央に面した部分は斜面となっている。この斜面は、光を上方に取り出すための反射面であって、その斜面は、平坦であっても、曲面形であってもよく、その場合の曲面形は光の反射方向を考慮して決定される。また、少なくとも反射面を構成する面は白色又は金属光沢を持った可視光線反射率の高い面となっている。当該発光素子では、該壁面部材(20)を白色のシリコーン樹脂によって構成した。壁面部材(20)の中央部の穴は、チップ型発光ダイオードランプとして使用される際の最終形状としては凹部を形成してもよいが、図3においては、ここには青色発光ダイオード素子(14)及び蛍光体粒子(17)を分散させた第一の樹脂(16)のすべてを封止するようにして透明な第二の樹脂(18)を充填している。当該発光素子では、第一の樹脂(16)及び第二の樹脂(18)には、同一のエポキシ樹脂を用いることができる。同発光素子は白色発光する。
<4.発光装置>
さらに、本実施形態の蛍光体粒子と、発光光源と、を備える発光装置も、本発明の態様の1つである。発光装置の具体例としては、照明器具、液晶パネル用バックライト、各種の表示器具等が挙げられる。発光光源としては、公知の発光素子を用いることができる。例えば、発光素子のひとつである白色LEDを発光光源として、本実施形態の蛍光体粒子と組み合わせることで白色光を発光する発光装置が得られる。
<5.画像表示装置>
さらに、上述した態様の発光装置を備える画像表示装置も、本発明の態様の1つである。画像表示装置の具体的としては、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等が挙げられる。
<6.顔料>
本実施形態の蛍光体粒子は、その機能を利用して、例えば、顔料の構成材料として使用することも可能である。本実施形態の蛍光体粒子に、太陽光、蛍光灯等の照明を照射したときに観察される白色の物体色の発色がよく、長期間に渡り劣化しないことから、本実施形態の蛍光体粒子は、例えば、無機顔料に好適に使用することができる。このため、本実施形態の蛍光体粒子は、塗料、インキ、絵の具、釉薬、プラスチック製品に添加する顔料として用いると、長期間に亘って良好な白色を高く維持することができる。
<7.紫外線吸収剤>
本実施形態の蛍光体粒子は、それ単独で使用するのではなく、その機能を利用して、例えば、紫外線吸収剤の構成材料として使用することも可能である。即ち、本実施形態の蛍光体粒子を含む紫外線吸収剤を、例えば、プラスチック製品や塗料に練り込んだり、プラスチック製品の表面に塗布したりすると、それらを紫外線劣化から効果的に保護することができる。
<8.蛍光体シート>
本実施形態の蛍光体粒子を、例えば、樹脂と混合して組成物となし、さらにこれを成形した蛍光体成形物、蛍光体フィルム、蛍光体シートも、本実施形態の蛍光体粒子の好ましい使用例として挙げられる。例えば、ここでいう本実施形態の蛍光体シートとは、本実施形態の蛍光体粒子を、媒体中に均一に分散した状態で含むシートである。媒体の材質は、特に限定されないが、透明性を有することが好ましく、シート状に形態を保持できる材料であり、例えば、樹脂が挙げられる。具体的な樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、PET変性ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性アクリル、ポリスチレン樹脂及びアクリルニトリル・スチレン共重合体樹脂等が挙げられる。本実施形態の蛍光体シートにおいては、透明性の面からシリコーン樹脂やエポキシ樹脂が好ましく用いられる。耐熱性の面を考慮すると、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
本実施形態の蛍光体シートには、必要に応じた添加剤を加えることができる。添加剤としては、例えば、成膜時のレベリング剤、蛍光体粒子の分散を促進する分散剤や、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤のような接着補助剤等を添加してもよい。また、本実施形態の蛍光体シートには、蛍光体粒子の沈降抑制剤として、シリコーン微粒子のような無機粒子を添加してもよい。
本実施形態の蛍光体シートの厚さは、特に限定されないが、蛍光体粒子の含有量と、所望の光学特性とから決めるのがよい。蛍光体粒子の含有量を増大させ、作業性、光学特性、耐熱性を向上させる観点から、厚さは、例えば、10~3mm、より好ましくは50~1mmである。
本実施形態の蛍光体シートの製造方法には、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。なお、本実施形態の蛍光体シートは、本実施形態の蛍光体を含んでいればよく、単層シートであっても多層シートであってもよい。また、本実施形態の蛍光体シートは、その全体の厚さが均一である必要はない。本実施形態の蛍光体シートでは、その片側又は両側の表面、又は内部に、基材層を設けることも可能である。基材層の材質も、特に限定はないが、例えば、公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的な基材層には、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄のような金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミドのようなプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、又は前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネート又は蒸着された紙、前記金属がラミネート又は蒸着されたプラスチックフイルム等が用いられる。また、基材層に金属板を用いる場合、金属板の表面には、クロム系やニッケル系等のメッキ処理やセラミック処理されていてもよい。特に、基材層の材質は、柔軟で、強度が高いフィルムであることが好ましい。そのため、基材層の材質としては、例えば、樹脂フィルムが好ましく、具体的には、PETフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(原料物質)
SrLiAlOの原料物質として、酸化アルミニウム(Al、タイミクロン、大明化学工業社製)粒子と、酸化ストロンチウム(SrO、高純度化学社製)粒子と、酸化リチウム(LiO、高純度化学社製)粒子と、アルミン酸リチウム(LiAlO、高純度化学社製)粒子と、酸化ユーロピウム(Eu、純度99.9%信越化学工業社製)粒子とを用いた。
<実施例1>
1)結晶相の作製
結晶相の設計組成(Sr:Eu:Li:Al:Oの原子比(設計値)が、0.990:0.010:3.0:1.0:4.0)にしたがって、粒子状の各原料物質のSrO:LiO:LiAlO:Eu(質量比)が、51.25:14.93:32.94:0.88(質量比)となるように、乾燥したNガスで満たされたグローブボックス中で秤量した。
秤量した原料物質を、窒化ケイ素焼結体製乳棒と乳鉢とを用いて、10分間混合を行なって、原料混合物を得た。その後、この原料混合物をアルミナ製のるつぼに充填した。
原料混合物を充填した前記るつぼを、管状炉にセットした。原料混合物の焼成手順は、次の通りであった。まず、ロータリーポンプにより焼成雰囲気を、一旦10Pa以下の減圧状態とし、純度が99.999体積%のNHを導入して、炉内の圧力を大気圧とし、NHガス流量を2L/minに制御し、室温から毎分7℃の速度で800℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。その後、NHガスの導入を解除して、室温まで冷却した。
るつぼから焼成物を取り出し、窒化ケイ素焼結体製の乳棒と乳鉢とを用いて粉砕して、75μmの目のふるいを通し、粒子状の蛍光体(実施例1の結晶相であるコア)を得た。
レーザ回折法により粒度分布を測定したところ、粒径D50は18μmであった。粒子状の蛍光体について、ICP発光分光分析法で元素分析を実施したところ、Sr原子、Li原子、Al原子の原子比(分析値)が、1.0:3.0:1.0であり、焼成前後で組成変化がないことを確認した。
2)被覆
得られた粒子状の蛍光体(コア)1.5gを、エタノール20mLと28質量%のアンモニア水2.9mLとを混合した混合液に入れ、スラリーを調製した。このスラリーにテトラエトキシシラン(関東化学社製)0.6mLとエタノール6.2mLとを混合した混合液を滴下して、室温で1時間撹拌した。その後、撹拌を停止した後、スラリーの濾過を行い、回収物を100℃で12時間乾燥させ、コアの表面が被覆層で被覆された蛍光体粒子を得た。
<参考例>
実施例1で得られた結晶相を参考例の蛍光体粒子とした。
得られた蛍光体粒子を用いて、以下の測定・評価を行った。その結果を表2に示す。
(X線回折)
実施例1の結晶相(コア)について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定した。X線回折パターンは、図2に示すSrLiAlO結晶から計算したX線パターンと良い一致を示し、SrLiAlO結晶と同一の結晶構造を有する結晶であることが確認された。
よって、実施例1の結晶相は、SrLiAlO結晶にEu原子が置換している無機化合物であることが確認された。
(粒径)
実施例1で得られた蛍光体粒子について、レーザ回折散乱法による体積基準の積算分率における累積10、50、90%に相当する粒径(D10、D50、D90)を測定した。
その結果、D10は18.4μm、D50は69.4μm、D90は130.2μmであった。
[耐久性・発光特性]
各蛍光体粒子を、温度50℃、相対湿度80%の環境下で7時間保管し、耐久性試験を行った。
耐久性試験前後の蛍光体粒子の外部量子効率を、マルチチャンネル分光器(大塚電子株式会社製、「MCPD-7000」)により測定し、以下の手順で算出した。
各蛍光体粒子を凹型セルの表面が平滑になるように試料部に充填し、積分球の所定の位置に取り付けた。この積分球に、発光光源(Xeランプ)から455nmの波長に分光した単色光を、光ファイバーを用いて導入した。この単色光を励起源として、蛍光体粒子に照射し、その蛍光スペクトル測定を行った。測定より得られた発光スペクトルに基づいて、発光ピーク波長、半値全幅を求めた。
試料部に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、「スペクトラロン」)を取り付けて、波長455nmの励起光のスペクトルを測定した。その際、450~465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。
試料部に各蛍光体粒子を充填して、波長455nmの励起光を照射して得られたスペクトルデータから励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は、465~800nmの範囲で算出した。
外部量子効率=(Qem/Qex)×100
[外部量子効率の規格化]
耐久試験前の外部量子効率を100%とし、これを基準として、耐久試験後の外部量子効率(%)を算出し、規格化した。その結果を表2に示す。
[蛍光体粒子のSi原子の含有量(質量%)]
各蛍光体粒子100mgを、白金るつぼに秤取り、アルカリ融剤(NaCOとKCOとHBOとの混合物)1gを加え、900℃で15分間加熱して融解した。放冷後、塩酸10mLを加え、100℃水浴中で溶解し100mLに定容後、塩酸で5倍に希釈して試験液を得た。同試験液について、ICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジー社製社製、「5110VDV」)を用いてSi原子の元素分析を実施した。
その結果、被覆を実施していない試料(参考例)は、Si原子が検出されなかった。実施例1の蛍光体粒子のSi原子の含有量は、0.28質量%であった。
[被覆層の平均厚さ]
実施例1について、被覆層が均一にコアの表面に被覆されていると仮定して、Si原子の質量と当該蛍光体粒子の比表面積及び被覆層の密度より平均厚さを算出した。
当該蛍光体粒子の比表面積をガス吸着法にて測定を実施したところ、当該蛍光体粒子の比表面積は、0.159m/gであった。上記のとおり、実施例1の蛍光体粒子のSi原子は、0.28質量%であるため、当該蛍光体粒子1g当たり0.28×10-2gのSi原子が存在していると算出された。
Siの原子量(28.086)とSiOの原子量(60.084)からSiOの質量に換算すると5.99×10-3gとなる。これをSiOの密度(2.65g/cm)で割ると、当該蛍光体粒子1g当たりのSiOの体積が、2.26×10-9と計算でき、この体積を当該蛍光体粒子の比表面積で割ることで平均厚さが求まる。
その結果、実施例1の蛍光体粒子の平均厚さは、14nmであった。
Figure 2024001371000002
表2より、温度50℃、相対湿度80%の環境下で7時間保管した場合、実施例1の蛍光体粒子は、外部量子効率が参考例の蛍光体粒子よりも良好に保持されることが確認された。
1 酸素原子
2 ストロンチウム原子
3 AlO四面体(中心Al原子)
4 LiO四面体(中心Li原子)
11表面実装型白色発光ダイオードランプ
12 リードワイヤ
13 リードワイヤ
14 青色発光ダイオード素子
15 ボンディングワイヤ
16 第一の樹脂
17 蛍光体粒子
18 第二の樹脂
19 アルミナセラミックス基板
20 壁面部材

Claims (11)

  1. Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、
    当該コアの表面がポリシロキサン結合を有する層により被覆されている、蛍光体粒子。
  2. 前記ポリシロキサン結合を有する層は、シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物を用いてなる、請求項1に記載の蛍光体粒子。
  3. 前記シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物は、テトラ珪酸エチル(TEOS)、テトラ珪酸メチル(TMOS)、メチルトリ珪酸エチル(MeTEOS)、及びフェニルトリ珪酸エチル(PhTEOS)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項2に記載の蛍光体粒子。
  4. 発光ピーク波長が550~600nmにあり、半値全幅が70nm以下である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の蛍光体粒子。
  5. 温度50℃、相対湿度80%の環境下で7時間保管した後の前記蛍光体粒子の外部量子粒子効率が、前記環境下で保管される前の前記蛍光体粒子の外部量子粒子効率に対して30%以上である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の蛍光体粒子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蛍光体粒子と、発光光源と、を備える、発光装置。
  7. 請求項6に記載の発光装置を備える、画像表示装置。
  8. Sr(Li1+x,Al3-x)(O2x4-2x):Eu(0<X≦2)で表される組成を有する蛍光体の結晶相をコアとし、当該コアの表面にポリシロキサン結合を有する層を形成する工程を有する、蛍光体粒子の製造方法。
  9. 前記工程において、前記蛍光体にポリシロキサン結合含有化合物を接触させ、熱処理することによって、前記蛍光体の結晶相の表面に前記ポリシロキサン結合を有する層を形成する、請求項8に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  10. 前記ポリシロキサン結合含有化合物中のSi原子の含有量が、前記コア100質量部に対して0.001~10質量部である、請求項9に記載の蛍光体粒子の製造方法。
  11. 前記熱処理の温度は100~500℃である、請求項9又は10に記載の蛍光体粒子の製造方法。
JP2020192433A 2020-11-19 2020-11-19 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置 Pending JP2024001371A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020192433A JP2024001371A (ja) 2020-11-19 2020-11-19 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置
PCT/JP2021/041484 WO2022107675A1 (ja) 2020-11-19 2021-11-11 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置
TW110142671A TW202231834A (zh) 2020-11-19 2021-11-17 螢光體粒子、或其製造方法、發光裝置及圖像顯示裝置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020192433A JP2024001371A (ja) 2020-11-19 2020-11-19 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024001371A true JP2024001371A (ja) 2024-01-10

Family

ID=81708916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020192433A Pending JP2024001371A (ja) 2020-11-19 2020-11-19 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2024001371A (ja)
TW (1) TW202231834A (ja)
WO (1) WO2022107675A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2806651B2 (ja) * 1991-07-26 1998-09-30 信越化学工業株式会社 分散型エレクトロルミネッセンス素子
JP2013212998A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 被覆無機粒子及びその製造方法
WO2019188319A1 (ja) * 2018-03-27 2019-10-03 デンカ株式会社 蛍光体及びそれを用いた発光装置

Also Published As

Publication number Publication date
TW202231834A (zh) 2022-08-16
WO2022107675A1 (ja) 2022-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI399422B (zh) 螢光體、其製造方法及照明器具
JP5717076B2 (ja) 蛍光体および製造方法、蛍光体を用いる発光装置および画像表示装置
JP7340204B2 (ja) 蛍光体及びそれを用いた発光装置
JP6083881B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
JP7430182B2 (ja) 蛍光体、蛍光体の製造方法、発光素子、発光装置および画像表示装置
JP5885175B2 (ja) 蛍光体およびその製造方法、蛍光体を用いた発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
JP6057213B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
JP5770192B2 (ja) 青色発光蛍光体及び該青色発光蛍光体を用いた発光装置
JP6061331B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
JP6684412B1 (ja) 蛍光体、その製造方法および発光装置
JP2017210529A (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料、および、紫外線吸収剤
JP5920773B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置および画像表示装置
JP6735487B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
JP2023090161A (ja) 蛍光体、発光素子、及び発光装置
JP6700630B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
WO2022107675A1 (ja) 蛍光体粒子、又はその製造方法、発光装置及び画像表示装置
JP2010235912A (ja) 蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに、その発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置
JP6700632B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤
TWI839536B (zh) 螢光體、螢光體之製造方法、發光元件、發光裝置、以及圖像顯示裝置
JP7057567B2 (ja) 蛍光体及びそれを用いた発光装置
JP6700631B2 (ja) 蛍光体、その製造方法、発光装置、画像表示装置、顔料および紫外線吸収剤