JP2024000779A - 放射線検出器 - Google Patents

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槙子 柳田
Makiko Yanagida
博之 會田
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Abstract

【課題】 シンチレータ層への水分の透湿を抑制することができ、かつ、長期にわたってシンチレータ層で発生する光の利用効率を高めることができる放射線検出器を提供する。【解決手段】 放射線検出器は、光電変換基板と、シンチレータ層5と、封止部と、カバー(7)と、吸湿層6と、を備える。上記カバーは、上記光電変換基板及び上記封止部とともにシンチレータ層5を覆っている。吸湿層6は、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化するベース層6aと、上記ベース層の内部に設けられた複数の光散乱性粒子6bと、を有し、シンチレータ層5と上記カバーとの間に設けられ、少なくとも検出領域に位置している。【選択図】図6

Description

本発明の実施形態は、放射線検出器に関する。
放射線検出器として、例えばX線検出器(X線平面検出器)が知られている。X線検出器は、複数の光電変換素子が格子状に設けられた光電変換基板と、光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、シンチレータ層の形成領域全体を覆う形状のカバーと、を有している。カバーは、シンチレータ層の外側において光電変換基板に接着されている。上記カバーは、防湿体であり、熱可塑性樹脂で光電変換基板に張り合わせられている。これにより、外部からシンチレータ層への透湿を抑えている。
ところで、光電変換基板、カバー、及び熱可塑性樹脂で囲まれ、シンチレータ層が存在している空間に、吸湿部材及び光反射層を設ける場合がある。吸湿部材により、シンチレータ層への水分の透湿を抑制することができる。光反射層により、シンチレータ層で発生する光(蛍光)の利用効率を高めることができる。
上述したことから、シンチレータ層への水分の透湿を抑制することができ、かつ、X線検出器を長期にわたって使用してもシンチレータ層で発生する光の利用効率を高めることができるX線検出器が望まれている。
特開2009-31098号公報
本実施形態は、シンチレータ層への水分の透湿を抑制することができ、かつ、長期にわたってシンチレータ層で発生する光の利用効率を高めることができる放射線検出器を提供する。
一実施形態に係る放射線検出器は、
検出領域及び前記検出領域の外側の非検出領域を有する光電変換基板と、
前記光電変換基板の上に設けられ、少なくとも前記検出領域に位置したシンチレータ層と、
前記非検出領域に位置し、前記シンチレータ層を囲み、前記光電変換基板に接着された枠状の封止部と、
前記シンチレータ層の上方に設けられ、前記検出領域及び前記非検出領域に位置し、前記封止部に接着され、前記光電変換基板及び前記封止部とともに前記シンチレータ層を覆ったカバーと、
内部の水分量が変化することにより光透過率が変化するベース層と、前記ベース層の内部に設けられた複数の光散乱性粒子と、を有し、前記シンチレータ層と前記カバーとの間に設けられ、少なくとも前記検出領域に位置した吸湿層と、を備える。
図1は、比較例に係るX線検出器を示す断面図である。 図2は、上記X線検出器の支持基板、X線検出パネル、回路基板、及び複数のFPCを示す斜視図であり、画像伝送部を併せて示す図である。 図3は、上記X線検出器のX線検出モジュールの一部を示す拡大断面図である。 図4は、上記X線検出モジュールを示す平面図である。 図5は、上記X線検出モジュールの一部を線V-Vに沿って示す断面図である。 図6は、第1の実施形態に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図であり、シンチレータ層、防湿カバー、及び吸湿層を示す図である。 図7は、上記第1の実施形態の吸湿層6の光散乱性粒子の粒径と光反射率との関係を光学シミュレーションした結果をグラフで示す図である。 図8は、上記第1の実施形態の第1の変形例に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図であり、シンチレータ層、防湿カバー、及び吸湿層を示す図である。 図9は、上記第1の実施形態の第2の変形例に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図であり、シンチレータ層、防湿カバー、及び吸湿層を示す図である。 図10は、第1の上記実施形態の第3の変形例に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図であり、シンチレータ層、防湿カバー、及び吸湿層を示す図である。 図11は、上記第1の実施形態の第4の変形例に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図であり、シンチレータ層、防湿カバー、及び吸湿層を示す図である。 図12は、第2の実施形態に係るX線検出器のX線検出モジュールの一部を示す断面図である。 図13は、図8に示したX線検出モジュールを示す平面図である。
以下に、本発明の各実施形態、変形例、及び比較例について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(比較例)
まず、比較例について説明する。図1は、比較例に係るX線検出器1を示す断面図である。X線検出器1は、X線画像検出器であり、X線検出パネルを利用するX線平面検出器である。
図1に示すように、X線検出器1は、X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、スペーサ9a,9b,9c,9d、筐体51、FPC(フレキシブルプリント基板)2e1、入射窓52等を備えている。X線検出モジュール10は、X線検出パネルPNLを備えている。X線検出パネルPNLは、支持基板12と入射窓52との間に位置している。X線検出パネルPNLは、入射窓52と対向した防湿カバー7を備えている。
入射窓52は、筐体51の開口に取付けられている。入射窓52はX線を透過させる。そのため、X線は入射窓52を透過してX線検出モジュール10に入射される。入射窓52は、板状に形成され、筐体51内部を保護する機能を有している。入射窓52は、X線吸収率の低い材料で薄く形成することが望ましい。これにより、入射窓52で生じる、X線の散乱と、X線量の減衰とを低減することができる。そして、薄くて軽いX線検出器1を実現することができる。
X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、FPC2e1等は、筐体51及び入射窓52で囲まれた空間の内部に収容されている。
X線検出モジュール10は、薄い部材を積層して構成されているため、軽く機械的強度の低いものである。このため、X線検出パネルPNL(X線検出モジュール10)は、粘着シートを介して支持基板12の平坦な一面に固定されている。支持基板12は、例えばアルミニウム合金で板状に形成され、X線検出パネルPNLを安定して保持するために必要な強度を有している。これにより、X線検出器1に外部から振動や衝撃が加わった際におけるX線検出パネルPNLの破損を抑制することができる。
支持基板12の他面には、スペーサ9a,9bを介して回路基板11が固定されている。スペーサ9a,9bを使用することで、主に金属から構成される支持基板12から回路基板11までの電気的絶縁距離を保持することができる。
筐体51の内面には、スペーサ9c,9dを介して回路基板11が固定されている。スペーサ9c,9dを使用することで、主に金属から構成される筐体51から回路基板11までの電気的絶縁距離を保持することができる。筐体51は、回路基板11及びスペーサ9a,9b,9c,9dを介して支持基板12等を支持している。
回路基板11にはFPC2e1に対応するコネクタが実装され、FPC2e1はコネクタを介して回路基板11に電気的に接続されている。FPC2e1とX線検出パネルPNLとの接続には、ACF(異方性導電フィルム)を利用した熱圧着法が用いられる。この方法により、X線検出パネルPNLの複数の微細なパッドと、FPC2e1の複数の微細なパッドとの電気的接続が確保される。なお、X線検出パネルPNLのパッドに関しては後述する。
上記のように、回路基板11は、上記コネクタ、FPC2e1等を介してX線検出パネルPNLに電気的に接続されている。回路基板11は、X線検出パネルPNLを電気的に駆動し、かつ、X線検出パネルPNLからの出力信号を電気的に処理するものである。
図2は、本比較例のX線検出器1の支持基板12、X線検出パネルPNL、回路基板11、及び複数のFPC2e1,2e2を示す斜視図であり、画像伝送部4を併せて示す図である。なお、図2には、X線検出器1の全ての部材を示していない。後述する封止部等、X線検出器1のいくつかの部材の図示は、図2において省略している。
図2に示すように、X線検出パネルPNLは、光電変換基板2、シンチレータ層5等を備えている。光電変換基板2は、基板2a、光電変換部2b、複数の制御ライン(又はゲートライン)2c1、複数のデータライン(又はシグナルライン)2c2等を有している。なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、及びデータライン2c2の数、配置等は図2の例に限定されるものではない。
複数の制御ライン2c1は、行方向Xに延在し、列方向Yに所定の間隔をあけて並べられている。複数のデータライン2c2は、列方向Yに延在し、複数の制御ライン2c1と交差し、行方向Xに所定の間隔をあけて並べられている。
複数の光電変換部2bは、基板2aの一方の主面側に設けられている。光電変換部2bは、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより区画された四角形状の領域に設けられている。1つの光電変換部2bは、X線画像の1つの画素に対応する。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。上記のことから、光電変換部2bは、アレイ基板である。
各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、スイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)2b2と、を有している。TFT2b2は、対応する一の制御ライン2c1と、対応する一のデータライン2c2とに接続されている。光電変換素子2b1はTFT2b2に電気的に接続されている。
制御ライン2c1は、FPC2e1を介して回路基板11に電気的に接続されている。回路基板11は、FPC2e1を介して複数の制御ライン2c1に制御信号S1を与える。データライン2c2は、FPC2e2を介して回路基板11に電気的に接続されている。光電変換素子2b1によって変換された画像データ信号S2(光電変換部2bに蓄積された電荷)は、TFT2b2、データライン2c2、及びFPC2e2を介して回路基板11に伝送される。
X線検出器1は、画像伝送部4をさらに備えている。画像伝送部4は、配線4aを介して回路基板11に接続されている。なお、画像伝送部4は、回路基板11に組込まれてもよい。画像伝送部4は、図示しない複数のアナログ-デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データの信号に基づいて、X線画像を生成する。生成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
図3は、本比較例に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す拡大断面図である。
図3に示すように、光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、絶縁層21,22,23,24,25を有している。複数の光電変換部2bは、検出領域DAに位置している。各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、TFT2b2と、を備えている。
TFT2b2は、ゲート電極GE、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEを有している。光電変換素子2b1は、フォトダイオードで構成されている。なお、光電変換素子2b1は、CCD(Charge Coupled Device)等で構成されてもよく、光を電荷に変換するように構成されていればよい。
基板2aは、板状の形状を有し、絶縁材料で形成されている。上記絶縁材料としては、無アルカリガラスなどのガラスを挙げることができる。基板2aの平面形状は、例えば四角形である。基板2aの厚みは、例えば0.7mmである。絶縁層21は、基板2aの上に設けられている。
絶縁層21の上に、ゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEは、上記制御ライン2c1に電気的に接続されている。絶縁層22は、絶縁層21及びゲート電極GEの上に設けられている。半導体層SCは、絶縁層22の上に設けられ、ゲート電極GEに対向している。半導体層SCは、非晶質半導体としての非晶質シリコン、多結晶半導体としての多結晶シリコン等の半導体材料で形成されている。
絶縁層22及び半導体層SCの上に、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ゲート電極GE、ソース電極SE、ドレイン電極DE、上記制御ライン2c1、及び上記データライン2c2は、アルミニウムやクロムなどの低抵抗金属を用いて形成されている。
ソース電極SEは、半導体層SCのソース領域に電気的に接続されている。また、ソース電極SEは、上記データライン2c2に電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、半導体層SCのドレイン領域に電気的に接続されている。
絶縁層23は、絶縁層22、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEの上に設けられている。光電変換素子2b1は、ドレイン電極DEに電気的に接続されている。絶縁層24は、絶縁層23及び光電変換素子2b1の上に設けられている。バイアス線BLは、絶縁層24の上に設けられ、絶縁層24に形成されたコンタクトホールを通り光電変換素子2b1に接続されている。絶縁層25は、絶縁層24及びバイアス線BLの上に設けられている。
絶縁層21,22,23,24,25は、無機絶縁材料、有機絶縁材料等の絶縁材料で形成されている。無機絶縁材料としては、酸化物絶縁材料、窒化物絶縁材料、及び酸窒化物絶縁材料を挙げることができる。有機絶縁材料としては樹脂を挙げることができる。
シンチレータ層5は、光電変換基板2(複数の光電変換部2b)の上に設けられている。シンチレータ層5は、少なくとも検出領域DAに位置し、複数の光電変換部2bの上方を覆っている。シンチレータ層5は、入射されるX線を光(可視光、蛍光)に変換するように構成されている。
なお、光電変換素子2b1は、シンチレータ層5から入射される光を電荷に変換する。変換された電荷は光電変換素子2b1に蓄積される。TFT2b2は、光電変換素子2b1への蓄電及び光電変換素子2b1からの放電を切替えることができる。なお、光電変換素子2b1の自己容量が不十分である場合、光電変換基板2はコンデンサ(蓄積キャパシタ)をさらに有し、光電変換素子2b1で変換された電荷をコンデンサに蓄積してもよい。
シンチレータ層5は、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)で形成されている。真空蒸着法を用いてシンチレータ層5を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ層5が得られる。シンチレータ層5の厚みは、実質的に200乃至1000μmである。シンチレータ層5の最表面において、シンチレータ層5の柱状結晶の太さは、3乃至10μmである。
シンチレータ層5を形成する材料は、CsI:Tlに限定されるものではない。シンチレータ層5は、タリウム賦活ヨウ化ナトリウム(NaI:Tl)、ナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)、ユーロピウム賦活臭化セシウム(CsBr:Eu)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、酸硫化ガドリニウム(GdS)等で形成されてもよい。
なお、真空蒸着法を用いてシンチレータ層5を形成する際には、開口を有するマスクが用いられる。この場合、光電変換基板2上の開口に対峙する領域にシンチレータ層5が形成される。また、蒸着によるシンチレータ材は、マスクの表面にも堆積する。そして、シンチレータ材は、マスクの開口の近傍にも堆積し、開口の内部に徐々に張り出すように結晶が成長する。マスクから開口の内部に結晶が張り出すと、開口の近傍において、光電変換基板2へのシンチレータ材の蒸着が抑制される。そのため、図2に示したように、シンチレータ層5の周縁近傍は、外側になるに従い厚みが漸減している。
又は、シンチレータ層5は、マトリクス状に並べられ、光電変換部2bに一対一で設けられ、それぞれ四角柱状の形状を有する複数のシンチレータ部を有してもよい。そのようなシンチレータ層5を形成する際、酸硫化ガドリニウム蛍光体粒子をバインダ材と混合したシンチレータ材を、光電変換基板2上に塗布し、シンチレータ材を焼成して硬化させる。その後、ダイサによりダイシングするなどし、シンチレータ材に格子状の溝部を形成する。上記の場合、複数のシンチレータ部の間には、空気又は酸化防止用の窒素(N)等の不活性ガスが封入される。又は、複数のシンチレータ部の間の空間は、大気圧より減圧された空間に設定されてもよい。
フィルム状のカバーとしての防湿カバー(防湿フィルム)7は、シンチレータ層5の上方に設けられ、シンチレータ層5を覆っている。防湿カバー7は、大気中に含まれる水分により、シンチレータ層5の特性の劣化を抑制するために設けられている。防湿カバー7は、シンチレータ層5の露出部分を完全に覆っている。
防湿カバー7は、金属を含むシートで形成されている。上記金属としては、アルミニウムを含む金属、銅を含む金属、マグネシウムを含む金属、タングステンを含む金属、ステンレス、コバール等を挙げることができる。防湿カバー7が金属を含んでいる場合、防湿カバー7は、水分の透過を、防止したり、大幅に抑制したりすることができる。
また、防湿カバー7は、樹脂層と金属層とが積層された積層シートで形成されてもよい。この場合、樹脂層は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、テフロン(登録商標)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、弾性ゴム等の材料で形成することができる。金属層は、例えば、前述した金属を含むものとすることができる。金属層は、スパッタリング法、ラミネート法等を用いて形成することができる。
この場合、樹脂層より金属層をシンチレータ層5側に設けた方が好ましい。樹脂層により金属層を覆うことができるので、外力などにより金属層が受け得る損傷を抑制することができる。また、金属層が樹脂層よりもシンチレータ層5側に設けられていれば、樹脂層を介した透湿によるシンチレータ層5の特性の劣化を抑制することができる。
防湿カバー7としては、金属層を含むシート、無機絶縁層を含むシート、樹脂層と金属層とが積層された積層シート、及び樹脂層と無機絶縁層とが積層された積層シートを挙げることができる。上記のことから、防湿カバー7の無機層は、金属層にかぎらず、無機絶縁層であってもよい。又は、防湿カバー7は、金属層及び無機絶縁層の両方を有してもよい。無機絶縁層は、酸化珪素、酸化アルミニウム等を含む層で形成することができる。無機絶縁層は、スパッタリング法等を用いて形成することができる。本比較例において、防湿カバー7は、薄いアルミニウム箔で形成されている。
X線検出器1は、吸湿層6をさらに備えている。吸湿層6は、シンチレータ層5と防湿カバー7との間に設けられている。吸湿層6は、シンチレータ層5に接している。吸湿層6は、防湿カバー7のシンチレータ層5と対向する側の面に積層され、防湿カバー7に接着されている。吸湿層6は、少なくとも検出領域DAに位置している。
図4は、X線検出モジュール10を示す平面図である。図4において、シンチレータ層5には右上がりの斜線を付し、封止部8には右下がりの斜線を付している。図5は、X線検出モジュール10の一部を線V-Vに沿って示す断面図である。
図4及び図5に示すように、光電変換基板2は、検出領域DAと、検出領域DAの外側の非検出領域と、を有している。検出領域DAは、四角形の領域である。光電変換基板2の非検出領域は、検出領域DAの周囲に位置する枠状の第1非検出領域NDA1と、第1非検出領域NDA1の外側の第2非検出領域NDA2と、を有している。本比較例において、第2非検出領域NDA2は枠状の形状を有している。
シンチレータ層5は、少なくとも検出領域DAに位置している。シンチレータ層5は、側面5a及び上面5bを有している。側面5aは、第1非検出領域NDA1に位置している。側面5aは、順テーパ面である。シンチレータ層5の上面5bは、防湿カバー7と対向している。
光電変換基板2は、さらに複数のパッド2d1及び複数のパッド2d2を有している。パッド2d1及びパッド2d2は、第2非検出領域NDA2に位置している。本比較例において、複数のパッド2d1は基板2aの左辺に沿って並べられ、複数のパッド2d2は基板2aの下辺に沿って並べられている。例えば、パッド2d1,2d2は、絶縁層23の上に設けられ、絶縁層24及び絶縁層25で覆われていない。
なお、図4には複数のパッドを模式的に示しており、複数のパッドの個数、形状、サイズ、位置、及びピッチは、図4に示す例に限定されるものではない。
1つの制御ライン2c1は、検出領域DA、第1非検出領域NDA1、及び第2非検出領域NDA2を延在し、複数のパッド2d1のうちの1つと電気的に接続されている。1つのデータライン2c2は、検出領域DA、第1非検出領域NDA1、及び第2非検出領域NDA2を延在し、複数のパッド2d2のうちの1つと電気的に接続されている。
1つのパッド2d1にはFPC2e1に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続され、1つのパッド2d2にはFPC2e2に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている(図2)。
X線検出モジュール10は、封止部8をさらに備えている。封止部8は、第1非検出領域NDA1に位置し、シンチレータ層5を囲んでいる。封止部8は、枠状の形状を有し、シンチレータ層5の周囲を連続的に延在している。封止部8は、光電変換基板2(例えば、上記絶縁層25)に接着されている。本比較例において、封止部8は、シンチレータ層5の側面5aに接触している。
封止部8の外面8aの形状が外側に突出する曲面となっていれば、吸湿層6及び防湿カバー7の周縁近傍を封止部8の外面8aに倣わせ易くなる。そのため、吸湿層6を封止部8に密着させるのが容易となる。また、吸湿層6及び防湿カバー7をなだらかに変形させることができるので、防湿カバー7の厚みを薄くしても防湿カバー7への亀裂等の不良の発生を抑制することができる。
吸湿層6及び防湿カバー7は、検出領域DA及び第1非検出領域NDA1に位置している。吸湿層6及び防湿カバー7は、図4に示す平面図において、シンチレータ層5を完全に覆っている。図5に示すように、シンチレータ層5のうち光電変換基板2及び封止部8で覆われていない部分は、防湿カバー7で完全に覆われている。言い換えると、防湿カバー7は、光電変換基板2及び封止部8とともにシンチレータ層5を覆っている。
防湿カバー7は、封止部8の外面8aに吸湿層6を介して間接に接着されている。防湿カバー7は、封止部8の少なくとも一部を覆っている。例えば、大気圧よりも減圧された環境において防湿カバー7と封止部8とを接合すれば、吸湿層6をシンチレータ層5の上面5b等に接触させることができる。
また、一般的に、シンチレータ層5には、その体積の10乃至40%程度の空隙が存在する。そのため、空隙にガスが含まれていると、X線検出器1を航空機などで輸送した場合や、X線検出器1を高地で使用した場合にガスが膨張して防湿カバー7が破損する恐れがある。大気圧よりも減圧された環境において防湿カバー7と封止部8とを接合すれば、X線検出器1が航空機などで輸送された場合であっても防湿カバー7の破損を抑制することができる。上記のことから、光電変換基板2、封止部8及び防湿カバー7により画された空間の圧力は、大気圧よりも低くした方が好ましい。
また、後述するように、吸湿層6及び防湿カバー7の周縁近傍を加熱することで、吸湿層6の周縁近傍と封止部8を接合する。この場合、吸湿層6及び防湿カバー7の周縁近傍の温度と、封止部8の温度が低下すると、吸湿層6及び防湿カバー7の周縁近傍と封止部8との間に熱応力が発生する。吸湿層6及び防湿カバー7の周縁近傍と封止部8との間に熱応力が発生すると、吸湿層6の周縁近傍と封止部8との間に剥離が生じる恐れがある。剥離が生じると防湿性能が著しく低下する恐れがある。
本比較例の防湿カバー7は、薄いアルミニウム箔で形成されているので、熱応力が発生した際に防湿カバー7が延び易くなる。そのため、熱応力を緩和させることができ、封止部8から吸湿層6の周縁近傍の剥離を抑制することができる。
封止部8は、熱可塑性樹脂を含む材料で形成されている。封止部8は、熱可塑性樹脂を主成分として含む材料で形成されている。封止部8は、100%熱可塑性樹脂で形成されてもよい。又は、封止部8は、熱可塑性樹脂に添加物が混在した材料で形成されてもよい。封止部8が熱可塑性樹脂を主成分として含んでいれば、封止部8は、加熱により、光電変換基板2と防湿カバー7とを接合することができる。
熱可塑性樹脂は、ナイロン、PET(Polyethyleneterephthalate)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、アクリル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を利用することができる。この場合、ポリエチレンの水蒸気透過率は0.068g・mm/day・mであり、ポリプロピレンの水蒸気透過率は0.04g・mm/day・mである。これらの水蒸気透過率は低い。そのため、封止部8が、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも何れかを主成分として含んでいれば、封止部8の内部を透過してシンチレータ層5に到達する水分を大幅に少なくすることができる。
熱可塑性樹脂の剛性は、防湿カバー7の剛性よりも低くすることができる。
本比較例において、光電変換基板2、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれている空間(空隙13)は、大気圧より減圧された空間である。なお、吸湿層6及び防湿カバー7の外部からの加熱により封止部8を溶かすことで、吸湿層6の表面に溶かした封止部8の樹脂を密着させており、その後に封止部8を冷却することで封止部8と吸湿層6との接着が行われる。
水分に関し、吸湿層6は、封止部8の吸収率より高い吸収率を有している。本比較例において、吸湿層6は、封止部8の吸湿量より多い吸湿量を有している。長期の使用により封止部8から透湿が発生してしまった場合、吸湿層6が水分を吸収する。このことから、封止部8から透湿が起きたとしても、吸湿層6が水分の吸収及び保持を行うことができ、水分によるシンチレータ層5の劣化を抑制することができる。
吸湿層6は、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化する特性を有している。吸湿層6は、アルミノケイ酸塩類、酸化アルミニウム、又はシリカゲルを含有している。アルミノケイ酸塩類としては、例えばゼオライトを挙げることができる。詳しくは、吸湿層6は、アルミノケイ酸塩類(ゼオライト)、酸化アルミニウム、又はシリカゲルを50重量%以上含有している。吸湿層6は、アルミノケイ酸塩類(ゼオライト)、酸化アルミニウム、又はシリカゲルのみで形成されてもよい。又は、吸湿層6は、アルミノケイ酸塩類(ゼオライト)、酸化アルミニウム、又はシリカゲルと、樹脂との混合物であってもよい。
物理的乾燥剤であるアルミノケイ酸塩類(ゼオライト)は、物質の表面が多孔質構造であり、その空隙に水分が吸着する性質を利用した乾燥剤である。例えば、吸湿層6は、温度が25℃、湿度が50%である環境において、実質的に5.1g/mの飽和吸湿量を有している。また、吸湿層6の成分及びその含有量を例示すると、吸湿層6は、30乃至95wt%のポリエチレンと、5乃至70wt%の合成ゼオライトと、を含んでいる。吸湿層6は、封止部8から透湿が発生しても、光電変換基板2、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれた空間の内部の水分に関して吸湿及び保持することができる。そのため、シンチレータ層5の劣化を抑制することができる。
吸湿層6は、水分を吸着していない初期の状態において例えば白色である。吸湿層6は、水分に関する吸湿量が飽和した状態において例えば透明である。上記のことから、吸湿層6は、内部の水分量が増加することにより白色から透明に変化する。
白色の吸湿層6は、光反射層として機能する。吸湿層6は光(蛍光)の利用効率を高めて解像度及び感度の向上を図ることに寄与することができる。吸湿層6は、シンチレータ層5において生じた光のうち、光電変換部2bが設けられた側とは反対側に向かう光を反射させて、光電変換部2bに向かうようにすることができる。
一方、透明な吸湿層6は、シンチレータ層5側からみてアルミ箔である防湿カバー7の色を露出させている。白色の吸湿層6の反射効率と比較し、防湿カバー7の反射効率は低い。吸湿層6の吸湿量が飽和すると、X線画像の解像度と感度が共に10%ほど低下することとなる。
そのため、解像度及び感度をモニタすることで、光電変換基板2、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれた空間の内部に浸入した水分の量を検出することができる。吸湿層6の吸湿機能の失活の目安とすることができ、吸湿層6(吸湿層6及び防湿カバー7の積層体)の取り換え等、X線検出器1の修理の時期の目安とすることができる。しかも、シンチレータ層5が劣化する前にX線検出器1を修理することが可能となる。
因みに、吸湿層6の取り換え及び修理をする場合、吸湿層6及び防湿カバー7の積層体の単位で取り外す必要がある。
吸湿層6は、平面視においてシンチレータ層5の全体を覆っている。吸湿層6は、防湿カバー7とともに封止部8の上方まで延在している。本比較例において、吸湿層6は、平面視において、防湿カバー7と同一サイズを有し、防湿カバー7に完全に重なっている。吸湿層6は、封止部8に直に接着されている。そのため、防湿カバー7は、封止部8に間接に接着されている。
上記のように、平面視における吸湿層6のサイズを可能な限り拡大することで、吸湿層6の吸湿量を大きくすることができる。例えば、温度が25℃であり、湿度が50%である環境下で、吸湿層6の厚みTが80μmである場合、吸湿層6の吸湿量は5.1g/mである。吸湿層6の面積が大きくなるのに伴い、吸湿層6の吸湿量が大きくなる。なお、厚みTは80μmに限定されるものではない。厚みTは、100μm程度であってもよく、50μm以上であればよい。
吸湿層6の弾性率は防湿カバー7の弾性率より低いため、吸湿層6の剛性は防湿カバー7の剛性より低い。なぜなら、防湿カバー7の外部からの加熱により熱可塑性の封止部8を溶かし、吸湿層6の表面に溶かした封止部8を密着させ、その後に冷却することで封止部8に対する吸湿層6の接着が行われるためである。
この接着のための加熱と冷却の際に、吸湿層6の収縮は避けられず、この収縮に対して防湿カバー7と吸湿層6との界面に応力がかかることとなる。そのため、吸湿層6の剛性(弾性率)は高くない方が望ましい。なぜなら、その応力によって、吸湿層6と防湿カバー7の界面の剥離が発生する恐れがあるためである。
上記の事態を回避するために、本実施形態において、吸湿層6の弾性率を低くし、吸湿層6の弾性率を防湿カバー7の弾性率より低くしている。これにより、上記界面での応力を下げつつ、上記界面での応力による防湿カバー7の表面での「しわ」や「折れ曲がり」を発生し難くすることができ、「しわ」や「折れ曲がり」による防湿性能の劣化を抑制することが可能となる。
一方、上記の事態を回避するために、防湿カバー7の剛性(弾性率)を低くすることで、吸湿層6と防湿カバー7の界面の応力を下げることも可能である。しかしながら、防湿カバー7の剛性を下げてしまうと、上記界面での応力にて、防湿カバー7の表面に「しわ」や「折れ曲がり」が発生し易くなってしまう。「しわ」や「折れ曲がり」の部分の封止部8と吸湿層6との界面に、剥離や気泡が発生することとなる。ひいては、外部からの水蒸気が侵入し易くなるため、シンチレータ層5が水分により劣化してしまう。そのため、防湿カバー7の剛性を低くすることは望ましくない。
比較例のX線検出器1は、上記のように構成されている。
上記のように構成された比較例に係るX線検出器1によれば、防湿カバー7を封止部8によって光電変換基板2に張り合わせることで、シンチレータ層5への水分が到達を抑制することができる。ところが、長期間の使用により、封止部8から少なからず透湿が発生してしまい、シンチレータ層5に劣化が生じる可能性がある。例えば、シンチレータ層5は、潮解性を持つため、水分を吸収して液体化する事態を回避する必要がある。シンチレータ層5が劣化すると、X線(放射線)から光(蛍光)への変換が困難となってしまう。
そこで、X線検出器1は、吸湿層6をさらに備えている。水分に関し、吸湿層6は、封止部8の吸収率より高い吸収率を有している。X線検出器1に吸湿層6を備えた方が、シンチレータ層5への水分の透湿を抑制することができる。言い換えると、高い防湿性能を持つことのできるX線検出器1を得ることができる。
但し、吸湿層6は、内部の水分量が増加することにより白色から透明に変化する。吸湿層6の光反射機能が低下するため、X線画像の解像度と感度の低下を招いてしまう。本比較例において、シンチレータ層への水分の透湿を抑制することはできるが、長期にわたってシンチレータ層5で発生する光の利用効率を高めることができるX線検出器1を得ることは困難である。
(第1の実施形態)
次に、第1の実施形態について説明する。X線検出器1は、本実施形態で説明する構成以外、上記比較例と同様に構成されている。図6は、第1の実施形態に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図であり、シンチレータ層5、防湿カバー7、及び吸湿層6を示す図である。
図6に示すように、本実施形態の吸湿層6は、上記比較例の吸湿層と比較し、複数の光散乱性粒子6bをさらに含んでいる。吸湿層6は、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化するベース層6aと、ベース層6aの内部に設けられた複数の光散乱性粒子6bと、を有している。言うまでもないが、ベース層6aは、乾燥剤を含み、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化する特性を有している。
複数の光散乱性粒子6bは、光散乱性の高い粒子を含んでいることが好ましい。光散乱性粒子6bは、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物で形成されている。また、吸湿層6は、酸化チタン等の光散乱性物質とバインダ樹脂との混合も含有している。本実施形態において、光散乱性粒子6bは、酸化チタンで形成されている。吸湿層6において、複数の光散乱性粒子6bは、ベース層6aの全域に実質的に均一に分散されている。
吸湿層6において、ベース層6aの吸湿量が飽和状態になるにつれて、ベース層6aが白色から透明に変化しても、ベース層6aの替わりに光散乱性粒子6bが光反射の役割を担うことができる。そのため、吸湿層6は、長期にわたって光反射効率を維持することができる。吸湿層6は光(蛍光)の利用効率を高めて解像度及び感度の向上を図ることに寄与することができる。
次に、吸湿層6の複数の光散乱性粒子6bの平均粒径と、シンチレータ層5にて発生する光の最大波長との関係について説明する。図7は、本第1の実施形態の吸湿層6の光散乱性粒子6bの粒径と光反射率との関係を光学シミュレーションした結果をグラフで示す図である。
図7に示すように、光散乱性粒子6bの屈折率と、周辺のベース層6aの屈折率との比率が大きいほど、各光散乱性粒子6bによる光散乱角が大きく、従って複数の光散乱性粒子6bによる光反射効果が小領域でも得られ易くなる。また、光散乱性粒子6bの粒径が小さいほど、単位体積に充填される光散乱性粒子6bの数が増えるため、小領域で光反射効果が得られ易くなる。但し、蛍光波長に対して概ね1/10程度以下に光散乱性粒子6bの粒径が小さくなると、蛍光を屈折する効果は低下する。
上記のことから、より小領域で光反射効果を確保するために、複数の光散乱性粒子6bの平均粒径は、シンチレータ層5にて発生する光の最大波長の1/10乃至10倍の範囲内にある方が望ましい。
上述した技術は、特開2009-31098号公報に開示されている。すなわち、図7に示す光散乱性粒子6bの粒径と光反射率との光学シミュレーションの結果から、光散乱性粒子6bを用いた吸湿層6が高反射率の優れた光反射層として機能するためには、シンチレータ層5で生じた蛍光波長の1/10~10倍程度の範囲内であることが分かる。実際に試作に用いる酸化チタン等の光散乱性粒子6bの粒径は、CsI:Tlで形成されたシンチレータ層5の蛍光波長ピーク(540nm)に対して1/10~10倍の範囲に入っている。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線検出器1によれば、X線検出器1は、光電変換基板2と、シンチレータ層5と、封止部8と、防湿カバー7と、を備えている。防湿カバー7は、光電変換基板2及び封止部8とともにシンチレータ層5を気密に閉塞している。光電変換基板2、封止部8、及び防湿カバー7でシンチレータ層5を密閉したとしても、長期間の使用により、封止部8から少なからず透湿が発生してしまい、シンチレータ層5に劣化が生じる可能性がある。例えば、シンチレータ層5は、潮解性を持つため、水分を吸収して液体化する事態を回避する必要がある。シンチレータ層5が劣化すると、X線(放射線)から光(蛍光)への変換が困難となってしまう。
そこで、X線検出器1は、吸湿層6をさらに備えている。水分に関し、吸湿層6のベース層6aは、封止部8の吸収率より高い吸収率を有している。X線検出器1に吸湿層6を備えた方が、シンチレータ層5への水分の透湿を抑制することができる。言い換えると、高い防湿性能を持つことのできるX線検出器1を得ることができる。
吸湿層6は、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化する特性を有している。吸湿層6のベース層6aが白色から透明に変化すると、ベース層6aの光反射機能が低下してしまう。
そこで、吸湿層6は、複数の光散乱性粒子6bを有している。ベース層6aの替わりに光散乱性粒子6bが光反射の役割を担うことができる。そのため、吸湿層6は、長期にわたって高い光反射効率を維持することができる。
上述したことから、シンチレータ層5への水分の透湿を抑制することができ、かつ、長期にわたってシンチレータ層5で発生する光の利用効率を高めることができるX線検出器1を得ることができる。また、吸湿層6の光反射特性の変化(低下)を抑制することができるため、吸湿層6は、解像度及び感度の向上を図ることに長期にわたって寄与することができる。ひいては、製品寿命の長期化を図ることのできるX線検出器1を得ることができる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
次に、上記第1の実施形態の第1の変形例について説明する。X線検出器1は、本変形例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図8は、本第1の変形例に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図であり、シンチレータ層5、防湿カバー7、及び吸湿層6を示す図である。
図8に示すように、吸湿層6において、複数の光散乱性粒子6bは、防湿カバー7側に偏って設けられてもよい。吸湿層6は、複数の光散乱性粒子6bが分散されている第1領域A1と、複数の光散乱性粒子6bが含まれていない第2領域A2と、を有している。本第1の変形例において、第1領域A1は防湿カバー7側に位置し、第2領域A2は、第1領域A1よりシンチレータ層5側に位置している。
本第1の変形例においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。吸湿層6のうち第2領域A2は、シンチレータ層5側に位置している。そのため、吸湿層6の吸湿性能をより発揮し易くすることができる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
次に、上記第1の実施形態の第2の変形例について説明する。X線検出器1は、本変形例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図9は、本第2の変形例に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図であり、シンチレータ層5、防湿カバー7、及び吸湿層6を示す図である。
図9に示すように、吸湿層6において、第2領域A2は防湿カバー7側に位置し、第1領域A1は、第2領域A2よりシンチレータ層5側に位置している。
本第2の変形例においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。吸湿層6のうち第1領域A1は、シンチレータ層5側に位置している。そのため、ベース層6aが透明に変化した際に複数の光散乱性粒子6bによる光反射性能をより発揮し易くすることができる。
(第1の実施形態の第3の変形例)
次に、上記第1の実施形態の第3の変形例について説明する。X線検出器1は、本変形例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図10は、本第3の変形例に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図であり、シンチレータ層5、防湿カバー7、及び吸湿層6を示す図である。
図10に示すように、吸湿層6に注目すると、防湿カバー7側にて複数の光散乱性粒子6bが最も密に分散され、防湿カバー7側からシンチレータ層5側に向かって複数の光散乱性粒子6bの密度が次第に低くなり、シンチレータ層5側にて複数の光散乱性粒子6bが最も疎に分散されている。
本第3の変形例においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態の第4の変形例)
次に、上記第1の実施形態の第4の変形例について説明する。X線検出器1は、本変形例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図11は、本第4の変形例に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図であり、シンチレータ層5、防湿カバー7、及び吸湿層6を示す図である。
図11に示すように、吸湿層6に注目すると、シンチレータ層5側にて複数の光散乱性粒子6bが最も密に分散され、シンチレータ層5側から防湿カバー7側に向かって複数の光散乱性粒子6bの密度が次第に低くなり、防湿カバー7側にて複数の光散乱性粒子6bが最も疎に分散されている。
本第4の変形例においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。X線検出器1は、本第2の実施形態で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図12は、本第2の実施形態に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す断面図である。図13は、図8に示したX線検出モジュール10を示す平面図である。なお、図13において、シンチレータ層5には右上がりの斜線を付し、封止部8には右下がりの斜線を付し、吸湿層6にはドットパターンを付している。
図12及び図13に示すように、平面視にて、吸湿層6のサイズは防湿カバー7のサイズより小さくともよい。本第2の実施形態においても、吸湿層6は、平面視においてシンチレータ層5の全体を覆っている。吸湿層6は、封止部8の上方まで延在していない。防湿カバー7は、封止部8に直に接着されている。吸湿層6の全体が、光電変換基板2、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれた空間の内部に位置している。吸湿層6は上記空間の外部に露出していないため、吸湿層6への不所望な水分の浸入を防止することができる。本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、吸湿層6は、内部の水分量が変化することにより光透過率が変化すればよい。吸湿層6に関して、白色から透明への変化に限定されるものではなく、種々変形可能である。
上記実施形態及び上記複数の変形例で説明した技術は、上記X線検出器1への適用に限定されるものではなく、他のX線検出器、各種の放射線検出器に適用することができる。放射線検出器は、X線検出パネルPNLの替わりに、放射線を検出する放射線検出パネルを備えていればよい。
1…X線検出器、10…X線検出モジュール、PNL…X線検出パネル、
2…光電変換基板、2a…基板、2b…光電変換部、2b1…光電変換素子、
2b2…TFT、51…筐体、52…入射窓、5…シンチレータ層、6…吸湿層、
6a…ベース層、6b…光散乱性粒子、7…防湿カバー、8…封止部、11…回路基板、
12…支持基板、13…空隙、DA…検出領域、NDA1…第1非検出領域、
NDA2…第2非検出領域、X…行方向、Y…列方向。

Claims (6)

  1. 検出領域及び前記検出領域の外側の非検出領域を有する光電変換基板と、
    前記光電変換基板の上に設けられ、少なくとも前記検出領域に位置したシンチレータ層と、
    前記非検出領域に位置し、前記シンチレータ層を囲み、前記光電変換基板に接着された枠状の封止部と、
    前記シンチレータ層の上方に設けられ、前記検出領域及び前記非検出領域に位置し、前記封止部に接着され、前記光電変換基板及び前記封止部とともに前記シンチレータ層を覆ったカバーと、
    内部の水分量が変化することにより光透過率が変化するベース層と、前記ベース層の内部に設けられた複数の光散乱性粒子と、を有し、前記シンチレータ層と前記カバーとの間に設けられ、少なくとも前記検出領域に位置した吸湿層と、を備える、
    放射線検出器。
  2. 前記吸湿層は、平面視において前記シンチレータ層の全体を覆っている、
    請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記複数の光散乱性粒子の平均粒径は、前記シンチレータ層にて発生する光の最大波長の1/10乃至10倍の範囲内にある、
    請求項1に記載の放射線検出器。
  4. 前記カバーは、前記封止部に直に接着されている、
    請求項1に記載の放射線検出器。
  5. 前記封止部は、熱可塑性樹脂を含む材料で形成されている、
    請求項4に記載の放射線検出器。
  6. 前記吸湿層は、前記カバーに接着され、前記カバーとともに前記封止部の上方まで延在し、前記封止部に直に接着されている、
    請求項1に記載の放射線検出器。
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