JP2024000270A - 積層体の製造方法、積層体、及びウレタン防水材付きアスファルト防水層 - Google Patents

積層体の製造方法、積層体、及びウレタン防水材付きアスファルト防水層 Download PDF

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昭人 吉成
Akito Yoshinari
和典 今井田
Kazunori Imaida
有紀子 濱田
Yukiko Hamada
恭宏 桂田
Yasuhiro Katsurada
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Abstract

【課題】プライマー層とウレタン塗膜防水層の積層体をアスファルト防水層上に設けたときの、ウレタン塗膜防水層の変色を抑制する。【解決手段】アスファルト防水層上に積層体を設ける、積層体の製造方法であって、アスファルト防水層の上に、プライマー層形成用組成物の硬化層であるプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、プライマー層の上にウレタン塗膜防水層を形成するウレタン塗膜形成工程を有し、プライマー層形成用組成物が、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとを含み、第1の化合物E及び第2の化合物Hの少なくとも一方が、-(R10-Sx)-で表される(R10は2価又は3価の有機基、xは1~5の整数であり、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)ポリサルファイド構造Pを有する、積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、アスファルト防水層上に積層体を設ける積層体の製造方法、アスファルト防水層上に設けられた積層体、及びウレタン防水材付きアスファルト防水層に関する。
建造物等のコンクリート下地上に設ける防水層としてアスファルト層からなるアスファルト防水層が知られている。
アスファルト防水層が経年劣化したときの改修法として、アスファルト防水層上にアスファルト防水シートを積層するトーチ工法(例えば特許文献1)が知られている。
トーチ工法では、重量物であるアスファルトシートを用い、該シートの裏面のアスファルトをトーチバーナーにより溶融させながら、改修対象のアスファルト防水層上に貼着させる作業が必要である。このため技術に習熟した作業者が必要であり、作業環境も厳しいという問題がある。
特許文献2には、建築物、特に、住環境に近い建築物の屋上、ベランダ、バルコニーや開放廊下などの防水用途に適したウレタン系塗膜防水工法が記載されている。
特開2010-255336号公報 特開2002-250099号公報
本発明者等は、アスファルト防水層上に、従来のプライマー層とウレタン塗膜防水層の積層体を設けて改修する方法を試みたところ、アスファルト成分のブリードアウトによるウレタン塗膜防水層の変色が生じやすいことを知見した。
本発明は、プライマー層とウレタン塗膜防水層の積層体をアスファルト防水層上に設けたときの、アスファルト成分のブリードアウトを抑制できる、積層体の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]アスファルト防水層上に積層体を設ける、積層体の製造方法であって、前記アスファルト防水層の上に、プライマー層形成用組成物の硬化層であるプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、前記プライマー層の上にウレタン塗膜防水層を形成するウレタン塗膜形成工程を有し、前記プライマー層形成用組成物が、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとを含み、前記第1の化合物E及び第2の化合物Hの少なくとも一方が、下記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有する、積層体の製造方法。
-(R10-Sx)- …式1
(式中、R10は2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
[2]前記第1の化合物Eが、前記ポリサルファイド構造Pを有する化合物E1を含む、[1]の積層体の製造方法。
[3]前記化合物E1が、下記式2で表される化合物E11を含む、[2]の積層体の製造方法。
Figure 2024000270000001
(式中、R及びRはそれぞれ独立に有機基を表し、Rは-(R-Sx)-を含む有機基を表し、Rは2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
[4]前記第2の化合物Hが、前記ポリサルファイド構造Pを有する化合物H1を含む、[1]~[3]のいずれかの積層体の製造方法。
[5]前記化合物H1が、下記式6で表される化合物H11を含む、[4]の積層体の製造方法。
HS-(R11-Sx)-R11-SH …式6
(式中、R11は-O-CH-O-結合を含む2価の有機基、あるいは-CHC(H)CH-を含む3価の有機基を表し、nは(R11-Sx)の繰り返し数を表し1~200の整数であり、xは1~5の整数であり、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
[6]前記プライマー層形成用組成物が、さらに硬化触媒を含む、[1]~[5]のいずれかの積層体の製造方法。
[7]前記プライマー層形成用組成物に含まれる、前記エポキシ基のモル数と前記ポリサルファイド構造Pのモル数との合計に対する前記エポキシ基の含有比率が、40~90モル%である、[1]~[6]のいずれかの積層体の製造方法。
[8]前記プライマー層形成工程において、前記アスファルト防水層の上に前記プライマー層形成用組成物を、0.1~1.0kg/mの塗布量で塗布し、硬化させて前記プライマー層を形成する、[1]~[7]のいずれかの積層体の製造方法。
[9]前記ウレタン塗膜形成工程において、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーを含む主剤組成物と、活性水素含有基を有する化合物を含む硬化剤組成物との混合物を前記プライマー層上に塗布する、[1]~[8]のいずれかの積層体の製造方法。
[10]アスファルト防水層上に設けられた積層体であって、前記積層体は、アスファルト防水層上のプライマー層と、プライマー層上のウレタン塗膜防水層を有し、前記プライマー層は、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとの反応物を含み、前記反応物は下記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有し、前記ウレタン塗膜防水層は、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素含有基を有する化合物との反応物を含む、積層体。
-(R10-Sx)- …式1
(式中、R10は2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
[11]アスファルト防水層と、前記アスファルト防水層を被覆するウレタン防水材とを有し、前記ウレタン防水材が[10]の積層体を含む、ウレタン防水材付きアスファルト防水層。
本発明によれば、プライマー層とウレタン塗膜防水層の積層体をアスファルト防水層上に設けたときの、アスファルト成分のブリードアウトを抑制できる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
「活性水素含有基」は、炭素原子に結合する水酸基、カルボキシ基、アミノ基、第一級アミンから1個の水素原子を除去した1価の官能基及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基である。
「活性水素」とは、前記活性水素含有基に基づく水素原子、及び水の水酸基に基づく水素原子である。
本明細書において、数平均分子量は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)で測定して得られるポリスチレン換算分子量である。
≪積層体の製造方法≫
本実施形態の積層体の製造方法は、アスファルト防水層の上に、プライマー層形成用組成物の硬化層であるプライマー層を形成する工程(プライマー層形成工程)と、プライマー層の上にウレタン塗膜防水層を形成する工程(ウレタン塗膜形成工程)を有する。
<プライマー層形成用組成物>
プライマー層形成用組成物は、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとを含む。
第1の化合物E及び第2の化合物Hの少なくとも一方が、下記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有する。
-(R10-Sx)- …式1
式1において、R10は2価あるいは3価の有機基を表す。R10としては、-O-CH-O-結合を含む2価あるいは-CHC(H)CH-を含む3価の有機基のいずれかが挙げられ、-CHCHOCHOCHCH-あるいは-CHC(H)CH-が例示できる。
式1において、xは1~5の整数を表す。
前記式1で表されるポリサルファイド構造Pは1分子中に1つ以上存在し、1~50個存在してもよい。前記式1で表されるポリサルファイド構造Pは少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。
プライマー層形成用組成物において、第1の化合物Eは、ポリサルファイド構造Pを有する化合物E1、及びポリサルファイド構造Pを有さない化合物E0の一方又は両方を含む。
プライマー層形成用組成物において、第2の化合物Hは、ポリサルファイド構造Pを有する化合物H1、及びポリサルファイド構造Pを有さない化合物H0の一方又は両方を含む。
プライマー層形成用組成物が、化合物E1及び化合物H1の少なくとも一方を含むように、第1の化合物Eと第2の化合物Hを組み合わせる。
<化合物E1>
化合物E1は、エポキシ基を分子内に2個以上有し、かつ前記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有する化合物である。
化合物E1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物E1は、下記式2で表される化合物E11が好ましい。
Figure 2024000270000002
式2において、R及びRはそれぞれ独立に有機基を表し、Rは-(R-Sx)-を含む有機基を表し、Rは2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。
は、例えば-Z-(R-Sx)m-R-Y-である。
は2価あるいは3価の有機基を表す。R、Rは互いに同じであってもよく、異なってもよい。R、Rの好ましい態様はR10と同様である。
Y、Zは、-S-、-O-、及び-NH-から選ばれる2価基である。Y、Zは互いに同じであってもよく、異なってもよい。
mは1~50の整数である。
xは1~5の整数であり、Sxが複数存在するとき、xは互いに同じであってもよく、異なってもよい。m個のSxのうち少なくとも1つはx=2であり、xの平均値は1超2.5以下である。
式2において、R又はRである有機基としては、下記式3~5で表される基が好ましい。式3~5において、bは1以上、好ましくは1~20の整数を表し、Rは水素原子又はメチル基である。
-(OCHCH-OCHCH(OH)CH- …式3
-(-OCHCH(OH)CH- …式4
Figure 2024000270000003
化合物E11は、上記式2において、R及びRが前記式5で表される2価基であり、Rが-S-(R-S-S)-R-S-であり、R及びRがいずれも-(CHCHOCHOCHCH)-である化合物が好ましい。
化合物E11の分子量は200~2,000が好ましく、300~1,600がより好ましい。
化合物E11のエポキシ当量は100~1,000g/eqが好ましく、150~800g/eqがより好ましい。
このような化合物は市販品から入手できる。例えば、東レ・ファインケミカル社製品名「フレップ-50」、「フレップ-60」等が挙げられる。
<化合物E0>
化合物E0は、エポキシ基を分子内に2個以上有し、かつ前記式1で表されるポリサルファイド構造Pを含まない化合物である。
化合物E0は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物E0は、エポキシ樹脂系プライマーの分野において公知の化合物を使用できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。形成したプライマー層の硬度を高めやすい点でビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
化合物E0の、1分子中のエポキシ基の数は2個(2官能)が好ましい。
化合物E0の分子量は200~2,000が好ましく、300~1,600がより好ましい。
化合物E0のエポキシ当量は100~1,000g/eqが好ましく、150~800g/eqがより好ましい。
<化合物H1>
化合物H1は、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有し、かつ前記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有する化合物である。
化合物H1は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物H1の硬化性官能基は、チオール基が好ましい。
化合物H1の、1分子中の硬化性官能基の数は2個(2官能)が好ましい。
化合物H1は、下記式6で表される化合物H11が好ましい。
HS-(R11-Sx)-R11-SH …式6
式6において、R11は-O-CH-O-結合を含む2価の有機基あるいは-CHC(H)CH-を含む3価の有機基を表し、nは1~200の整数であり、xは1~5の整数であり、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。
1分子中に複数存在するR11は互いに同じであってもよく、異なってもよい。
11は、-O-CH-O-結合と、トリハロアルカンからハロゲン原子を除いた分岐状の3価基とを含む3価の有機基であってもよい。トリハロアルカンは、例えばトリハロプロパンである。
11は、-C-O-CH-O-C-で表される2価基であることがより好ましい。
1分子中に存在するR11の総モル数に対して、-C-O-CH-O-C-の含有量は50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。100モル%でもよい。
nは(R11-Sx)の繰り返し数を表し、1~200の整数である。
xは1~5の整数であり、Sxが複数存在するとき、xは互いに同じであってもよく、異なってもよい。n個のSxのうち少なくとも1つはx=2であり、xの平均値は1超2.5以下である。
化合物H11は、上記式6において、R11が-C-O-CH-O-C-で表される2価基であり、xが2である化合物が好ましい。
化合物H11の数平均分子量は500~10,000が好ましく、800~8,000がより好ましい。
化合物H11におけるチオール基の含有量は0.5~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましい。
このような化合物は市販品から入手できる。例えば、東レ・ファインケミカル社製「チオコールLP」シリーズが挙げられる。化合物H11としては東レ・ファインケミカル社製品名「チオコールLP-3」が好ましい。
<化合物H0>
化合物H0は、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有し、かつ前記式1で表されるポリサルファイド構造Pを含まない化合物である。
化合物H0は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物H0は、エポキシ樹脂系プライマーの分野において、硬化剤として公知の化合物を使用できる。
化合物H0の硬化性官能基としては、アミノ基、チオール基、スルホン酸基、水酸基が挙げられる。エポキシ基との反応性がより良好である点からはアミノ基又はチオール基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
化合物H0の、1分子中の硬化性官能基の数は2個(2官能)又は3個(3官能)が好ましく、3個がより好ましい。
化合物H0は、例えば、脂肪族ポリアミン又はポリエーテルポリアミンが好ましい。脂肪族ポリアミンは鎖状脂肪族ポリアミンがより好ましい。
ポリエーテルポリアミンは、ポリオキシアルキレン鎖を有し、末端にアミノ基(-NH)を有する化合物である。ポリオキシアルキレン鎖は、オキシプロピレン基を含むことが好ましい。ポリエーテルポリアミンとしては、トリエチレングリコールジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、グリセリルポリ(オキシプロピレン)トリアミンが例示できる。ポリエーテルポリアミンの分子量は200~5,000が好ましく、300~4,000がより好ましい。
プライマー層形成用組成物が溶媒として水を含む場合、化合物H0として水溶性のアミン化合物を用いることが好ましい。水溶性のアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン、変性ポリアミドアミンが例示できる。水溶性のアミン化合物の活性水素当量は80~1,000g/eqが好ましく、100~400g/eqがより好ましい。
<硬化触媒>
プライマー層形成用組成物は硬化触媒を含むことが好ましい。
硬化触媒は、エポキシ樹脂系プライマーの分野において硬化触媒として公知の化合物を使用できる。例えば、公知のアミン系硬化剤を使用できる。
アミン系硬化剤としてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルドデシルアミン等の脂肪族第三級アミン;ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の芳香族第三級アミン;ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環式第三級アミン;3-ジメチルアミノ-1-プロパノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のヒドロキシ基含有第三級アミン;トリエチレンジアミン等の環状第三級アミン;N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン系第三級アミン;ジイソプロパノールアミン等のヒドロキシ基含有第二級アミン;N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等の第一級アミノ基及びアルコキシシリル基を含有するアミノ官能シラン;が例示できる。
これらのうち、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、脂環式第三級アミン、ヒドロキシ基含有第三級アミン、環状第三級アミン、ポリアミン系第三級アミン等の第三級アミンが好ましい。
<任意成分>
プライマー層形成用組成物は、第1の化合物E、第2の化合物H及び硬化触媒以外の任意成分を含んでもよい。
任意成分は、エポキシ樹脂系プライマーの分野において公知の成分を適宜使用できる。例えば、有機溶剤、水、乳化・分散剤、はじき防止剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色顔料等が挙げられる。
有機溶剤としては、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、n-デカン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン、石油系炭化水素、メタノール、エタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸ジメチル等が例示できる。有機溶剤を用いる場合、プライマー層形成用組成物の総質量に対して、有機溶剤は1~70質量%が好ましく、3~50質量%がより好ましい。
水を用いる場合、プライマー層形成用組成物の総質量に対して、水は1~70質量%が好ましく、3~50質量%がより好ましい。
<含有量>
プライマー層形成用組成物に含まれる、エポキシ基のモル数とポリサルファイド構造Pのモル数との合計に対する、エポキシ基の含有比率は、40~90モル%が好ましく、45~90モル%がより好ましく、50~85モル%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層の柔軟性に優れブリードアウトの抑制効果により優れる。上限値以下であるとプライマー層が割れにくくなる。
第1の化合物Eと第2の化合物Hは、前記エポキシ基の含有比率が上記の範囲となるように組み合わせることが好ましい。
例えば、第1の化合物Eの100質量部に対して、第2の化合物Hは15~200質量部が好ましく、20~120質量部がより好ましい。
硬化触媒を用いる場合、第1の化合物Eの100質量部に対して、硬化触媒は1~30質量部が好ましく、2~20質量部がより好ましい。
<プライマー層形成用組成物の好ましい態様>
プライマー層形成用組成物は下記態様1又は態様2が好ましい。
態様1:第1の化合物Eの総質量に対して化合物E1の含有量が50質量%超100質量%以下、好ましくは55~100質量%であり、かつ第2の化合物Hの総質量に対して化合物H0の含有量が50質量%超100質量%以下、好ましくは60~100質量%である態様。
態様2:第1の化合物Eの総質量に対して化合物E0の含有量が50質量%超100質量%以下、好ましくは55~100質量%であり、かつ第2の化合物Hの総質量に対して化合物H1の含有量が50質量%超100質量%以下、好ましくは60~100質量%である態様。
[態様1]
態様1において、第1の化合物Eの100質量部に対して、第2の化合物Hは10~60質量部が好ましく、20~55質量部がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層を形成する際の硬化性がより良好となりやすく、上限値以下であると形成されたプライマー層がより柔軟になりやすく、アスファルト層からのブリードアウトを抑制しやすい。
硬化触媒を用いる場合、第1の化合物Eの100質量部に対して、硬化触媒は1~30質量部が好ましく、2~20質量部が好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層を形成する際の硬化性がより良好となり、上限値以下であるとプライマー層の強度がより良好となる。
態様1において、プライマー層を形成する際の硬化性がより良好となる点で、化合物H0がポリエーテルポリアミンを含むことが好ましい。
態様1において、プライマー層形成用組成物が水を含む場合、化合物H0として水溶性のアミン化合物を用いることが好ましい。
[態様2]
態様2において、第1の化合物Eの100質量部に対して、第2の化合物Hは50質量部超100質量部以下が好ましく、60~100質量部がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層を形成する際の硬化性がより良好となりやすく、上限値以下であると形成されたプライマー層がより柔軟になりやすく、アスファルト層からのブリードアウトをより抑制しやすい。
硬化触媒を用いる場合、第1の化合物Eの100質量部に対して、硬化触媒は1~30質量部が好ましく、2~20質量部が好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層を形成する際の硬化性がより良好となり、上限値以下であるとプライマー層の強度がより良好となる。
態様2において、プライマー層の硬度がより良好となる点で、化合物E0がビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
<プライマー層形成用組成物の製造方法>
プライマー層形成用組成物は、第1の化合物Eを含む第1の組成物と、第2の化合物Hを含む第2の組成物をそれぞれ調製して保管し、使用時に両者を混合してプライマー層形成用組成物を製造する。溶剤及び水以外の任意成分は、第1の組成物に含有させることが好ましい。
<プライマー層形成工程>
プライマー層形成工程では、アスファルト防水層上にプライマー層形成用組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成する。
下地であるアスファルト防水層は、防水工事用アスファルトを含むアスファルト組成物を加熱溶融して施工した防水層でもよく、アスファルトシートで構成されたシート防水層でもよい。
プライマー層形成用組成物を塗布する方法は、ローラー塗布法、刷毛塗り法、スプレー法等、公知の塗布方法を使用できる。
プライマー層形成用組成物の塗布量は0.1~1.0kg/mが好ましく、0.15~0.8kg/mがより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとプライマー層とウレタン塗膜防水層の積層体をアスファルト防水層上に設けたときの、アスファルト成分のブリードアウトをより抑制しやすい。上限値以下であるとプライマー層がより硬化しやすく作業性がより良好となる。
硬化後のプライマー層の厚さは、プライマー層形成用組成物に含まれる溶剤又は水の量、及び塗布量によって調整できる。例えば100μm~1.0mmが好ましく、200μm~0.5mmがより好ましい。
次のウレタン塗膜形成工程において、硬化したプライマー層上に作業者が載って作業できるように、プライマー層形成用組成物の硬化時間は長すぎないことが好ましい。
プライマー層形成用組成物の硬化性は、23℃における指触乾燥時間が1~5時間であることが好ましい。上記範囲内であると工期短縮の点で好ましい。
本明細書における指触乾燥時間は、JIS K5600-1-1(1999)に規定される測定方法による値である。
<ウレタン塗膜形成工程>
次いで、硬化したプライマー層上にウレタン塗膜形成用組成物を塗布し、硬化させてウレタン塗膜防水層を形成する。
ウレタン塗膜形成用組成物は、ポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーを含む主剤組成物と、活性水素含有基を有する化合物(以下、活性水素化合物ともいう。)を含む硬化剤組成物を混合した混合物である。
主剤組成物及び硬化剤組成物は、ウレタン塗膜防水層において公知のものを使用できる。
主剤組成物を構成するポリオール、ポリイソシアネート化合物、及びイソシアネート基末端プレポリマーは、例えば特開2007-119665号公報に記載されているポリオール、ポリイソシアネート化合物、イソシアネート基末端プレポリマーを使用できる。
ポリオールは、1分子中に2個又は3個の活性水素を持つ開始剤に、プロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合して得たポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は800~8,000が好ましく、1,000~5,000がより好ましい。
ポリオールは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物は、トリレンジイソシアネート(TDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等の直鎖又は分岐の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等の脂環式ジイソシアネート化合物;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が例示できる。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物が好ましい。硬化までの時間がより短く、工期をより短くできる点でTDI、MDIがより好ましく、取り扱いやすい点でTDIがさらに好ましい。
ポリイソシアネート化合物は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成する際の、NCO/OHのモル比は1.5~12.0が好ましい。TDIの場合は1.5~3.0がより好ましい。MDIの場合は8.0~12.0がより好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーの総質量に対して、NCO基の含有量は2.0~12.0質量%が好ましい。TDIの場合は2.0~7.0質量%がより好ましい。MDIの場合は8.0~12.0質量%がより好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーの数平均分子量は500~150,000が好ましく、1,000~100,000がより好ましい。
主剤組成物は、イソシアネート基末端プレポリマー以外の任意成分を1種以上含んでもよい。任意成分はウレタン塗膜防水層の主剤組成物において公知のものを使用できる。例えば特開2007-119665号公報の段落0038~0040に記載されている任意成分を使用できる。具体例としては、有機溶剤、触媒、可塑剤等が挙げられる。
硬化剤組成物を構成する活性水素化合物は、例えば特開2015-91965号公報に記載されている活性水素化合物(アミン硬化剤)を使用できる。
活性水素化合物の活性水素含有基としては、アミノ基、水酸基が好ましい。
アミノ基を有する活性水素化合物の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン等のビス芳香族第一級ジアミン、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。
水酸基を有する活性水素化合物の具体例としては、1分子中に2個又は3個の活性水素を持つ開始剤に、プロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールが挙げられる。
活性水素化合物は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤組成物は、活性水素化合物以外の任意成分を1種以上含んでもよい。任意成分はウレタン塗膜防水層の硬化剤組成物において公知のものを使用できる。例えば特開2007-119665号公報の段落0047~0053に記載されている任意成分を使用できる。
具体例としては、フタル酸ジイソノニル等の可塑剤、炭酸カルシウム等の無機充填剤、顔料、2-エチルヘキサン酸鉛等の触媒、湿潤分散剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、脱水剤等が挙げられる。
主剤組成物と硬化剤組成物とを混合してウレタン塗膜形成用組成物を調製する工程において、硬化剤組成物に含まれる活性水素のモル数に対する、主剤組成物に含まれるNCO基のモル数の比を表すNCO/活性水素は0.8/1~2.0/1が好ましく、1.0/1~1.6/1がより好ましい。
ウレタン塗膜形成用組成物を塗布する方法は、ローラー塗布法、刷毛塗り法、スプレー法等、公知の塗布方法を使用できる。
ウレタン塗膜形成用組成物の塗布量は、所望の厚さが得られるように設定できる。2回以上重ね塗りしてもよい。
例えばウレタン塗膜形成用組成物の合計の塗布量は、0.1~5.0kg/mが好ましく、2.0~4.0kg/mがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると防水層が破断しにくく、上限値以下であると塗布回数の増加を抑えることができ、施工性の点で好ましい。
硬化後のウレタン塗膜防水層の厚さは、例えば1.0~5.0mmが好ましく、2.0~3.0mmがより好ましい。
≪積層体≫
本実施形態の製造方法で得られる積層体は、プライマー層と、プライマー層上のウレタン塗膜防水層を有する。プライマー層はアスファルト防水層上に存在する。
プライマー層は、第1の化合物Eのエポキシ基と、第2の化合物Hの硬化性官能基とが反応した反応物を含む。この反応物は、第1の化合物E及び第2の化合物Hの一方又は両方に由来するポリサルファイド構造Pを有する特定のエポキシ樹脂である。
ウレタン塗膜防水層は、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基と、活性水素化合物の活性水素含有基とが反応した反応物(ウレタン樹脂、ウレア樹脂)を含む。
本実施形態の積層体は、プライマー層及びウレタン塗膜防水層以外の他の層を、さらに有してもよい。例えばウレタン塗膜防水層上に保護仕上げ塗料の塗膜(トップコート層)を有してもよい。
保護仕上げ塗料は、ウレタン塗膜防水層の硬化剤組成物において公知のものを使用できる。例えば特開2002-250099号公報に記載されているトップコート層形成用組成物を使用できる。
≪ウレタン防水材付きアスファルト防水層≫
本実施形態の積層体は、アスファルト層に接していてもアスファルト成分のブリードアウトによる変色を抑制できるため、アスファルト防水層を被覆する防水材として好適である。
本実施形態のウレタン防水材付きアスファルト防水層は、アスファルト防水層と、アスファルト防水層を被覆するウレタン防水材とを有し、ウレタン防水材が本実施形態の積層体を含む。
本実施形態によれば、例えばアスファルト防水層が経年劣化したときに、アスファルト防水層上に本実施形態の積層体(ウレタン防水材)を設ける方法で改修することができる。
後述の実施例に示されるように、プライマー層が従来のウレタン樹脂系プライマーであると、アスファルトの成分がブリードアウトしてウレタン塗膜防水層の黄変が生じる。これに対して、本実施形態のプライマー層は、ポリサルファイド構造Pを有する特定のエポキシ樹脂を含み、アスファルト成分のブリードアウトを抑制する効果に優れる。
また、プライマー層が硬いと割れが発生し、割れ目からのブリードアウトが生じるおそれがある。後述の実施例に示されるように、本実施形態のプライマー層は柔軟性にも優れるため割れが生じ難く、割れ目からのブリードアウトを防止する効果にも優れる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
[硬化性試験]
砂付きアスファルトシート(日新工業社製品名「メルタンキャップ21F」)の表層にある砂をバーナーであぶり落とし、表面がアスファルト面である試験用下地材とした。
試験用下地材のアスファルト面に、各例のプライマー層形成用組成物を、0.2kg/mの塗布量で塗布した。塗布終了後、温度23±2℃、相対湿度50±10%の雰囲気中に静置した。プライマー層の厚さは0.1~0.3mmであった。1時間毎に指触により硬化状態を確認する方法で指触乾燥時間を測定した。
指触乾燥時間が5時間以内であれば硬化性が良好(○)、5時間を超えた場合は硬化性が不良(×)と評価した。
[ブリード試験:耐ブリード性]
前記硬化性試験と同様にして、試験用下地材のアスファルト面に各例のプライマー層形成用組成物を塗布し、指触により硬化が確認されるまで養生して、プライマー層を形成した。
得られたプライマー層の上に、下記調製例1で得たウレタン塗膜形成用組成物を、1.3kg/mの塗布量で塗布した。塗布終了後、温度23±2℃、相対湿度50±10%の雰囲気中で24時間静置し、プライマー層の上にウレタン塗膜防水層を形成した。次いで80℃の恒温槽内で1週間静置した。ウレタン塗膜防水層の厚さは約1mmであった。
ウレタン塗膜防水層の表面を目視で観察し、黄変の状態を確認した。ウレタン塗膜防水層の総面積と、黄変が生じた部分の面積を測定し、下記の基準で評価した。
(判定基準)
○:黄変した部分の面積は総面積に対して10%以下であった。
△:黄変した部分の面積は総面積に対して10%超90%以下であった。
×:総面積の90%超で黄変が見られた。
[調製例1:ウレタン塗膜形成用組成物の調製]
ウレタン塗膜防水材は、JIS A 6021:2011にあるウレタンゴム系高伸長形の基準を満たすものを使用した。
ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量;2000)の61.2質量部と、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量;3000)の23.6質量部と、トリレンジイソシアネート(2,4-異性体80質量%)の15.2質量部とを反応させ(NCO/OHモル比=2.06)、NCO基の含有量が3.78質量%のイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成した。得られた反応生成物を主剤組成物とした。
これとは別に、MBOCA(4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン))の3.90質量部を、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量;5000)の18.0質量部に、80℃で溶解させた後、常温まで冷却した。次いで、フタル酸ジイソノニルの15.6質量部と、炭酸カルシウムの58.0質量部と、顔料ペーストの3.0質量部と、2-エチルヘキサン酸鉛の1.0質量部と、湿潤分散剤の0.2質量部と、消泡剤の0.3質量部を加えて混合し、硬化剤組成物とした。
主剤組成物と硬化剤組成物を、NCO/活性水素のモル比が1.10となるように混合してウレタン塗膜形成用組成物を得た。
[柔軟性試験]
テフロン(登録商標)コーティングした鉄板上に、縦25mm、横120mm、高さ2mmの枠を設け、各例のプライマー層形成用組成物を枠内に注ぎ入れた。室温(23℃±2℃)、相対湿度50%±10%の雰囲気中で、4日間静置した後、枠から取り出して裏返し、更に3日間静置して硬化させた。得られた硬化物を試験片とした。
試験片の短辺方向(前記枠の高さ方向)の厚さを、厚み測定器で任意の3点について測定し、中央値を代表値とした。
得られた試験片を、筒状の曲げ器の外周面に沿うように曲げて3秒間保持したときに、目視観察で割れが認められなかった場合を良好(○)、割れが発生した場合を不良(×)とした。
曲げ器の直径は95mm、77mm、50mmの3種類とし、直径が大きいものから試験に用い、割れが発生したら試験終了とした。割れが発生しない直径が小さいほど柔軟性が高いことを示す。
[総合評価]
アスファルト防水層上の積層体におけるブリードアウト抑制性の観点から、ブリード試験及び柔軟性試験の両方が○であったものを総合評価○とし、それ以外を×とした。
<使用原料>
[第1の化合物]
・E1-1:東レ・ファインケミカル社製品名「フレップ-50」、式2において、R及びRが式5で表される2価基であり、Rが-S-(R-S-S)-R-S-であり、R及びRが-(CHCHOCHOCHCH)-であり、Rが水素原子である化合物、分子量640、エポキシ当量320g/eq。
・E0-1:三菱ケミカル社製品名「jER828」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1分子中のエポキシの数2個(2官能)、分子量370、エポキシ当量185g/eq。
[第2の化合物]
・H1-1:東レ・ファインケミカル社製品名「チオコールLP-3」、式6において、R11が-C-O-CH-O-C-であり、xの平均値が2である化合物、数平均分子量は1000、スルファニル基含有量6.6質量%。
・H0-1:ハンツマン社製品名「JEFFAMINE T-403」、ポリオキシプロピレントリアミン、分子量440。
・H0-2:アデカ社製品名「アデカハードナーWEH-102」、水溶性アミン化合物、活性水素当量(g/eq)=120。
[硬化触媒]
・硬化触媒(1):2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール。
[任意成分]
・はじき防止剤(1):楠本化成社製品名「SEI-1502」、アクリルポリマー、粘度(20℃)3.6Pa・s。
・乳化・分散剤(1):花王ケミカル社製品名「エマルゲンA-60」、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル。
[溶剤]
・溶剤(1):メチルシクロヘキサン(MCH)。
[比較プライマー]
・比較プライマー(1):AGCポリマー建材社製品名「PJプライマー」、ウレタン樹脂系プライマー組成物、溶剤はメチルシクロヘキサン。
・比較プライマー(2):AGCポリマー建材社製品名「サラセーヌP」、ウレタン樹脂系プライマー組成物、溶剤はキシレン、エチルベンゼン、酢酸エチル。
<例1~7>
例1~4は実施例、例5~7は比較例である。
表1に示す配合成分を混合して、プライマー層形成用組成物を調製した。
得られたプライマー層形成用組成物について、上記の方法で硬化性、ブリードアウト抑制性、及び硬化物の柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2024000270000004
表の結果に示されるように、例1~4のプライマー形成用組成物は硬化性が良好であり、硬化物(プライマー層)の柔軟性及び耐ブリード性に優れていた。
例5、6のウレタン樹脂系プライマーは耐ブリード性が劣った。
ポリサルファイド構造Pを含まない例7のエポキシ樹脂系プライマーは、ブリード試験における耐ブリード性は良好であったが、柔軟性試験において割れが生じ、アスファルト防水層上に設けるプライマー層としてはブリードアウトを抑制する効果が不十分であった。

Claims (11)

  1. アスファルト防水層上に積層体を設ける、積層体の製造方法であって、
    前記アスファルト防水層の上に、プライマー層形成用組成物の硬化層であるプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、前記プライマー層の上にウレタン塗膜防水層を形成するウレタン塗膜形成工程を有し、
    前記プライマー層形成用組成物が、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとを含み、
    前記第1の化合物E及び第2の化合物Hの少なくとも一方が、下記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有する、積層体の製造方法。
    -(R10-Sx)- …式1
    (式中、R10は2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
  2. 前記第1の化合物Eが、前記ポリサルファイド構造Pを有する化合物E1を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記化合物E1が、下記式2で表される化合物E11を含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。
    Figure 2024000270000005
    (式中、R及びRはそれぞれ独立に有機基を表し、Rは-(R-Sx)-を含む有機基を表し、Rは2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
  4. 前記第2の化合物Hが、前記ポリサルファイド構造Pを有する化合物H1を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記化合物H1が、下記式6で表される化合物H11を含む、請求項4に記載の積層体の製造方法。
    HS-(R11-Sx)-R11-SH …式6
    (式中、R11は-O-CH-O-結合を含む2価の有機基、あるいは-CHC(H)CH-を含む3価の有機基を表し、nは(R11-Sx)の繰り返し数を表し1~200の整数であり、xは1~5の整数であり、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
  6. 前記プライマー層形成用組成物が、さらに硬化触媒を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記プライマー層形成用組成物に含まれる、前記エポキシ基のモル数と前記ポリサルファイド構造Pのモル数との合計に対する前記エポキシ基の含有比率が、40~90モル%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記プライマー層形成工程において、前記アスファルト防水層の上に前記プライマー層形成用組成物を、0.1~1.0kg/mの塗布量で塗布し、硬化させて前記プライマー層を形成する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記ウレタン塗膜形成工程において、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーを含む主剤組成物と、活性水素含有基を有する化合物を含む硬化剤組成物との混合物を前記プライマー層上に塗布する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  10. アスファルト防水層上に設けられた積層体であって、前記積層体は、アスファルト防水層上のプライマー層と、プライマー層上のウレタン塗膜防水層を有し、
    前記プライマー層は、エポキシ基を分子内に2個以上有する第1の化合物Eと、エポキシ基と反応し得る硬化性官能基を分子内に2個以上有する第2の化合物Hとの反応物を含み、前記反応物は下記式1で表されるポリサルファイド構造Pを有し、
    前記ウレタン塗膜防水層は、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート基末端プレポリマーと、活性水素含有基を有する化合物との反応物を含む、積層体。
    -(R10-Sx)- …式1
    (式中、R10は2価あるいは3価の有機基を表し、xは1~5の整数を表し、少なくともx=2を含み、xの平均値は1超2.5以下である。)
  11. アスファルト防水層と、前記アスファルト防水層を被覆するウレタン防水材とを有し、前記ウレタン防水材が請求項10に記載の積層体を含む、ウレタン防水材付きアスファルト防水層。
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