JP2023552500A - 長時間作用型グルカゴン誘導体 - Google Patents

長時間作用型グルカゴン誘導体 Download PDF

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Abstract

アミノ酸配列がSEQ ID NO.9に示す配列を含む長時間作用型グルカゴン誘導体を提供する。動物実験において、当該長時間作用型グルカゴン誘導体は、類似の脂肪酸で修飾されたGLP-1R単一アゴニストであるセマグルチド(J Med Chem.2015,58(18):7370-80)と比較して、マウス体内における耐糖能及び体重減少活性がいずれも強く、且つより長時間にわたり持続可能であった。【選択図】図10

Description

本発明は、バイオテクノロジーの分野に関し、特に、長時間作用型グルカゴン誘導体に関する。
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)とは、生体内で発現されたプログルカゴン(Proglucagon)が特定の組織内で加工されてなる低分子ペプチドであり、分子量は約3kDaほどである。人体において、プログルカゴン分子の選択的切断により生成されるGLP-1の2種類の生物活性形式は、それぞれ、GLP-1(7-37)-OH及びGLP-1(7-36)-NHである。このうち、後者の30個のアミノ酸形式が生体内で主要な部分を占め、その割合は80%程度となる。GLP-1の生理学的作用は、ランゲルハンス島β細胞の増殖及び再生刺激、ランゲルハンス島β細胞のアポトーシス阻害、インスリン分泌の促進、膵臓からのトリプシン及びエステラーゼの分泌抑制、グルカゴン分泌の抑制、胃腸の蠕動を弱め、胃排出を抑制することによる食欲低下や食物吸収の減少、及び心血管系の保護などとして表れる。よって、臨床では、2型糖尿病や肥満症の治療に適用可能である。GLP-1は、インスリンと比較して低血糖症を招来するリスクが低い。
グルカゴン(Glucagon,GCGと略称する)は、生体内で血糖を調整するホルモンとして、やはりプログルカゴンが組織内で加工されることにより形成される。分子量は約3kDaほどであり、生物活性形式はGCG-(1-29)OHである。グルカゴンは、生体内で血糖を上昇させる唯一のホルモンとして、低血糖状況における血糖レベルの上昇、脂肪の分解促進、満腹感の増加に使用可能である。また、GCGと血糖降下系の薬物を併用することで、エネルギー消費を増加させ、体重を減少させることが可能となる(非特許文献1)。
グルコース依存性インスリン分泌性ペプチドは、胃抑制ペプチド(GIP)とも称される生理学的インクレチンホルモンの一種であって、インスリン分泌を刺激し、胃酸分泌を抑制することで血糖を低下させる。
GLP-1やGCG及びGIPは、いずれもプログルカゴン(Proglucagon)が処理及び加工されてなるため、配列に高い相同性が存在しており、インクレチン(incretins)系ホルモンと総称される。また、GCG配列を改変することで、GLP-1又はGIPの活性を強化する作用が得られるとの報告がある。例えば、特許文献1及び特許文献2では、改変によりGCG/GLP-1両活性ハイブリッドペプチドを生成しており、特許文献3では、改変によりGCG/GIP両活性ハイブリッドペプチドを生成している。また、特許文献4では、GCGの改変により、GCG/GLP-1/GIP三活性ハイブリッドペプチドを取得したことに言及している。しかし、現在のところ、この種の両活性ないしは複数活性のハイブリッドペプチド薬物は上市が承認されていない。そのほか、現在研究されている両活性又は複数活性のハイブリッドペプチド系薬物はいずれも活性が極めて高い。しかし、周知のように、GLP-1Rアゴニストの副作用には、一般的に、吐き気、嘔吐、下痢、緊張、腹痛等があり、臨床患者が深刻な副作用のために臨床試験から離脱することすらある。よって、副作用が低く、治療効果が相応か、ひいてはより優れた製品を開発することには依然として深い意義がある。
国際公開第2011075393号 国際公開第2012177444号 国際公開第2013192130号 国際公開第2015067716号
Physiol Rev 97:721-766,2017
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、従来技術の課題を解決するために、長時間作用型グルカゴン誘導体を提供することである。
上記の目的及び関連するその他の目的を実現するために、本発明は、第1の局面において、長時間作用型グルカゴン誘導体を提供する。
前記長時間作用型グルカゴン誘導体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.9で示されたHXQGTFTSDX10SKX1314DSQAAQDFVQWLLAGGPSSGAPPPS-NH(SEQ ID No.9)という配列を含み、Xは、Aibを表し、X10は、Y又は第1長時間作用型ベクターを架橋したKを表し、X13は、Y又はAibを表し、X14は、L又は第2長時間作用型ベクターを架橋したKを表す。
本発明のいくつかの実施形態において、前記第1長時間作用型ベクター及び/又は第2長時間作用型ベクターは脂肪酸鎖である。
本発明のいくつかの実施形態において、前記脂肪酸鎖の炭素鎖長は5~30であり、好ましくは8~30である。
及び/又は、前記脂肪酸鎖の化学構造式は次のいずれかで表される。
Figure 2023552500000002
各nは、それぞれが独立して3~28であり、好ましくは、6~28であり、より好ましくは、17、18又は19である。
本発明のいくつかの実施形態において、前記脂肪酸鎖はリンカーを介してKに連結される。前記リンカーは、-Abu-、-GABA-、-EACA-、-β-Ala-、-γGlu-、-D-γGlu-又はそのジペプチド、-β-Ala-β-Ala-、-γGlu-γGlu-及びその立体異性体形式、-5-Aminopentanoyl-、-8-Aminooctanoyl-、-9-Aminononanoyl-、-10-Am
inodecanoyl-、-OEG-、-2xOEG-、-γGlu-OEG-、-γGlu-2xOEG-、-D-γGlu-2xOEG-、-2xOEG-γGlu-、-γGlu-3xOEG-、-γGlu-8xPEG-、-γGlu-3xOEG-γ-Glu-8xPEG-のうちの1種類又は複数種類の組み合わせから選択される。
本発明のいくつかの実施形態において、X13はYを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
及び/又は、X13はAibを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
及び/又は、X13はAibを表し、X10はYを表し、X14は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
本発明のいくつかの実施形態において、前記長時間作用型グルカゴン誘導体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.6~8のいずれかに示す配列を含む。
本発明は、第2の局面において、上述した長時間作用型グルカゴン誘導体の調製方法を提供する。当該方法は、固相合成法により前記長時間作用型グルカゴン誘導体を生成することを含む。
本発明は、第3の局面において、上記長時間作用型グルカゴン誘導体の、薬物の調製における使用を提供する。好ましくは、前記薬物は代謝性疾患を治療するための薬物である。
本発明のいくつかの実施形態において、前記代謝性疾患は、糖尿病、肥満、血中脂質異常、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝炎、糖尿病に関連するその他のメタボリックシンドローム、高トリアシルグリセロール、低HDLコレステロール及び高LDLコレステロール、インスリン抵抗性、肥満症又は耐糖能異常から選択される。
本発明は、第4の局面において、治療有効量の上記長時間作用型グルカゴン誘導体を含む薬物組成物を提供する。
図1は、本発明の実施例2におけるP13Fの質量分析結果の概略図を示す。 図2は、本発明の実施例3におけるP16Fの質量分析結果の概略図を示す。 図3は、本発明の実施例4におけるP29Fの質量分析結果の概略図を示す。 図4は、本発明の実施例5におけるインビトロでのグルカゴン誘導体のhGLP-1Rアゴニスト活性の結果の概略図を示す。 図5は、本発明の実施例5におけるインビトロでのグルカゴン誘導体のhGIPRアゴニスト活性の結果の概略図を示す。 図6は、本発明の実施例5におけるインビトロでのグルカゴン誘導体のhGCGRアゴニスト活性の結果の概略図を示す。 図7は、本発明の実施例6のIPGTTテストにおけるICRマウスの血糖変動に対するグルカゴン誘導体の影響の概略図を示す。 図8は、本発明の実施例6における血糖変動のAUC結果の概略図を示す。 図9は、本発明の実施例7におけるグルカゴン誘導体がdb/dbマウス体内に存在する場合の随時血糖変動の結果の概略図を示す。 図10は、本発明の実施例8におけるグルカゴン誘導体がDIOマウス体内に存在する場合の体重変動の結果の概略図を示す。
本発明における発明の目的、技術方案及び有益な技術的効果をより明瞭にするために、以下に、実施例を組み合わせて本発明につき更に詳細に説明する。本技術を熟知する者は、本明細書で開示する内容から本願の発明におけるその他の利点及び効果を容易に理解可能である。
本発明の発明者は、膨大な実践研究の結果、新たな長時間作用型グルカゴン誘導体を提供する。当該長時間作用型グルカゴン誘導体は、潜在的に良好なインビボ臨床活性を有し、動物実験では、被験体の血糖レベルを有効にコントロール可能であったほか、被験体の体重を明らかに減少させられたため、薬物の調製に適用可能である。よって、これに基づき本発明を完成させた。
本発明は、第1の局面において、長時間作用型グルカゴン誘導体を提供する。前記長時間作用型グルカゴン誘導体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.9で示されたHXQGTFTSDX10SKX1314DSQAAQDFVQWLLAGGPSSGAPPPS-NH(SEQ ID No.9)という配列を含み、Xは、Aib(2-アミノイソ酪酸基)を表し、X10は、Y又は第1長時間作用型ベクターを架橋したKを表し、X13は、Y又はAibを表し、X14は、L又は第2長時間作用型ベクターを架橋したKを表す。
2-アミノイソ酪酸基の化学構造式は以下で表すことができる。
Figure 2023552500000003
本発明で提供する長時間作用型グルカゴン誘導体は、通常、グルカゴン類似体(GCG類似体)を適切に修飾(例えば、長時間作用型ベクターを架橋)して調製することで得られる。これらのGCG類似体は、天然型GCGと、天然型GCG配列をベースにアミノ酸の突然変異、添加又は欠失等を実施することで得られるGCG突然変異体を含み得る。本発明の具体的実施例において、GCG類似体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.3~5のいずれかで示される配列を含み得る。GCG類似体のC末端のアミノ酸は修飾可能であり、例えばアミド化してもよい。通常、アミド化とは、C末端の-COOH基を-CONH基に変換することを意味する。
Figure 2023552500000004
本発明で提供する長時間作用型グルカゴン誘導体において、第1長時間作用型ベクター及び/又は第2長時間作用型ベクターは脂肪酸鎖とすることができる。通常、脂肪酸鎖とは、炭素、水素、酸素の3種類の元素からなる基の一種である。脂肪酸鎖には一定の長さの炭素鎖が備わっている。例えば、炭素鎖長は、5~30、5~6、6~8、8~10、10~15、15~20、20~25又は25~30であり、好ましくは8~30である。本発明の具体的実施例において、脂肪酸鎖の化学構造式は、次のいずれかで表すことができる。
Figure 2023552500000005
本発明の別の具体的実施例において、各nは、それぞれが独立して3~28である。
本発明の別の具体的実施例において、各nは、それぞれが独立して6~28である。
本発明の別の具体的実施例において、各nは、それぞれが独立して17~19であり、例えば、17、18、19である。
本発明で提供する長時間作用型グルカゴン誘導体において、第1長時間作用型ベクターは、第2長時間作用型ベクターと同時に存在してもよいし、単独で存在してもよい。通常、長時間作用型ベクターは、リンカーを介してアミノ酸残基(例えば、K)に連結されるため、-Linker-Aと表すことができる。このうち、Linkerはリンカーであり、Aは長時間作用型ベクターである。本発明の具体的実施例において、リンカーは、-A
bu-(-L-2-アミノブタノイル-)、-GABA-(-γ-アミノブタノイル-)、-EACA-(-ε-アミノカプロイル-)、-β-Ala-(-β-アラニル-)、-γGlu-(-γ-グルタミル)、-D-γGlu-(-D-γ-グルタミル-)又はそのジペプチド、例えば、-β-Ala-β-Ala-、-γGlu-γGlu-及びその立体異性体形式(S及びRエナンチオマー)、-5-Aminopentanoyl-(-5-アミノペンタノイル-)、-8-Aminooctanoyl-(-ω-アミノオクタノイル-)、-9-Aminononanoyl-(-9-アミノノナノイル-)、-10-Aminodecanoyl-(-10-アミノデカノイル-)、-OEG-(2-(2-(-2-アミノエトキシ)エトキシ)アセチル-)、-2xOEG-、-γGlu-OEG-、-γGlu-2xOEG-、-D-γGlu-2xOEG-、-2xOEG-γGlu-、-γGlu-3xOEG-、-γGlu-8xPEG-(-3-((γ-グルタミン)-8xポリエチレングリコール)-プロピオニル-)、-γGlu-3xOEG-γ-Glu-8xPEG-、のうちの1種類又は複数種類の組み合わせから選択可能である。
本発明の別の具体的実施例において、リンカーの化学構造式は、次のいずれかで表すことができる。
Figure 2023552500000006
本発明の具体的実施例において、X13はYを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
本発明の具体的実施例において、X13はAibを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
本発明の具体的実施例において、X13はAibを表し、X10はYを表し、X14は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-である。
本発明の具体的実施例において、長時間作用型グルカゴン誘導体のアミノ酸配列はSEQ
ID NO.6~8のいずれかに示す配列を含む。
HXQGT FTSDK(2xOEG-γE-COC1836COOH) SKYLD SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH=Aib(SEQ ID NO.6)
HXQGT FTSDK(2xOEG-γE-COC1836COOH) SKX13LD SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH=Aib X13=Aib(SEQ ID NO.7)
HXQGT FTSDY SKX13K(2xOEG-γE-COC1836COOH)D SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH=Aib X13=Aib(SEQ ID NO.8)
本発明は、第2の局面において、本発明の第1の局面で提供した長時間作用型グルカゴン誘導体の調製方法を提供する。当該方法は、固相合成法により前記長時間作用型グルカゴン誘導体を生成することを含み得る。例えば、グルカゴン誘導体は、固相化学合成法によりワンステップで調製してもよい。即ち、まず、脂肪酸鎖を架橋したアミノ酸を生成してから(例えば、リシンKに脂肪酸鎖を架橋する)、固相化学合成過程でこのアミノ酸をポリペプチド鎖に直接連結する。
上述した長時間作用型グルカゴン誘導体の調製方法は、以下を含んでもよい。即ち、適切な条件で適切な宿主細胞を培養し、当該宿主細胞に上記のグルカゴン類似体を発現させて、分離、精製することによりグルカゴン類似体を取得する。次に、化学架橋によりグルカゴン類似体に脂肪酸鎖を連結して、上記の長時間作用型グルカゴン誘導体を提供する。例えば、宿主細胞は、通常、上記のグルカゴン類似体をコードするポリヌクレオチドを含有する構造体を含むか、ゲノム中に上記グルカゴン類似体をコードする外来のポリヌクレオチドが統合されている。
本発明は、第3の局面において、本発明の第1の局面で提供した長時間作用型グルカゴン誘導体の、薬物の調製における使用を提供する。本発明で提供する長時間作用型グルカゴン誘導体は、インビトロの細胞学的活性実験では明らかな優位性を示さなかったが(例えば、高いGLP-1R、GIPR又はGCGR活性等を有さなかった)、インビボ実験では、被験体(例えば、疾病モデル(例えば、db/dbマウス)又は正常モデル)の血糖レベルを有効に低下させることができ、更には、被験体の体重を著しく減少させることも可能であったため、薬物の調製に適用可能であった。
本発明で提供する使用において、上記の薬物は、代謝性疾患を治療するための薬物の使用に使用可能である。通常、上記の代謝性疾患は、インスリン分泌異常に関連する疾患とすることができる。或いは、例えば、代謝性疾患は、糖尿病、肥満、血中脂質異常、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、糖尿病に関連するその他のメタボリックシンドローム、高トリアシルグリセロール、低HDLコレステロール及び高LDLコレステロール、インスリン抵抗性、肥満症又は耐糖能異常から選択可能である。
本発明は、第4の局面において、治療有効量の上記長時間作用型グルカゴン誘導体を含む薬物組成物を提供する。上記の薬物組成物は、更に、薬学的に許容可能なベクターを含んでもよい。これらのベクターは、各種の賦形剤及び希釈剤を含み得るが、通常、これらのベクター自体は必須の活性成分ではなく、且つ、投与後に過度の毒性を有さない。適切な
ベクターとは、当業者が熟知するものとし、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J.,1991)から、薬学的に許容可能なベクターについての十分な検討を得ることができる。
本発明では、上記の薬物又は組成物等において、上記の長時間作用型グルカゴン誘導体を単一の有効成分としてもよいし、その他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。
本発明は、第5の局面において、治療方法を提供する。当該治療方法は、個体に対し、治療有効量の本発明の第1の局面で提供した長時間作用型グルカゴン誘導体、又は本発明の第4の局面で提供した組成物を投与することを含む。本発明で提供する治療方法は、代謝性疾患等の治療に適用可能である。
本発明において、「個体」には、通常、ヒト、ヒト以外の霊長類、哺乳動物(例えば、犬、猫、馬、羊、豚、牛)等が含まれる。「個体」は、上記の薬物、組成物、製剤、試薬キット又は配合剤を用いて治療することで利益を獲得可能である。
本発明において、「治療有効量」とは、通常、適切な投与期間を経たあと、上記で列挙した疾患を治療又は緩和する効果を達成可能な用量を意味する。
本発明で提供する長時間作用型グルカゴン誘導体は、低いGLP-1R及びGIPRアゴニスト活性と、微弱なGCGRアゴニスト活性を有するが、動物実験では、類似の脂肪酸で修飾されたGLP-1R単一アゴニストであるセマグルチド(Semaglutide)(J Med Chem.2015、58(18):7370-80)と比較して、マウス体内における耐糖能及び体重減少活性がいずれも強く、且つ、より長時間にわたり持続可能であった。よって、良好な産業化の可能性を有している。
以下に、実施例によって本願の発明につき更に説明するが、これにより本願の範囲は制限されない。
別途説明している場合を除き、本発明で開示する実験方法、検出方法、調製方法は、いずれも当該分野において一般的な分子生物学、生化学、クロマチン構造及び分析、分析化学、細胞培養、組換えDNA技術及び関連分野における一般的技術を用いている。これらの技術については、既存の文献で十分に説明されている。具体的には、Sambrookほか,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989 and Third edition,2001、Ausubelほか,CURRENTPROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,1987 and periodic updates、the series METHODS IN ENZYMOLOGY,Academic Press,San Diego、Wolffe,CHROMATIN STRUCTURE AND FUNCTION,Third edition,Academic Press,San Diego,1998、METHODS IN ENZYMOLOGY,Vol.304,Chromatin(P.M.Wassarman and A.P.Wolffe,eds.),Academic Press,San Diego,1999、及び、METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Vol.119,Chromatin Protocols(P.B.Becker,ed.)Humana Press,Totowa,1999等を参照すればよい。
実施例で言及する略語の意味は、具体的に次の通りである。
RT:室温
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
Fmoc:9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
Trt:トリチル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
tBu:tert-ブチル基
DCM:ジクロロメタン
DBLK:20%N,N-ジメチルホルムアミドピペリジン
DIC:N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド
MeOH:メタノール
TFA:トリフルオロ酢酸
Aib:2-アミノイソ酪酸
TFEA:2,2,2-トリフルオロエタノール
Pd(PPh:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
Alloc:アリルオキシカルボニル基
-OEG-:-2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)アセチル-
-γE-:-γ-グルタミル-
DMAP:ジメチルアミノピリジン
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
実施例で言及する商業的に取引される各アミノ酸及びアミノ酸断片、及び商業的に取引される各樹脂のメーカー及び商品型番は下記の通りである。
Fmoc保護基アミノ酸原料、2-CTC樹脂及び王樹脂(Wang resin)は、いずれも一般的な市販試薬である(保護アミノ酸メーカー:成都鄭源生化科技有限公司、樹脂メーカー:天津南開和成科技有限公司)。
有機溶媒及びその他の原料の入手元は、いずれも市販品である(メーカー:シノファーム化学試剤有限公司。化学的純品)。
そのほか、HPLC及び質量分析法の条件、使用する機器の型番及びメーカーの説明は下記の通りである。
計器:HPLC UltiMate3000(サーモフィッシャー社)、検出条件は表2に示す通りとした。
Figure 2023552500000007
分取液体:北京創新通恒、LC3000。
質量分析法:計器型番は5800 MALDI-TOF-TOF(エービー・サイエックス社)、分析ソフトはTOF/TOF Explorer、Data Explorerとした。また、MSには、Reflector Positiveパラメータとして、CID(OFF)、massrang(700-6500Da)Focus Mass(1200Da)Fixed laser intensity(5600)Digitizer:BinSize(0.5ns)を使用した。
分枝鎖を有する保護アミノ酸W2の合成
Alloc-Lys((Octadecanedioic Acid mono-tert-butylester)-Glu-OtBu)-OEG-OEG)-OHの構造は次の通りである。
Figure 2023552500000008
W2の合成:
置換度が1.0mmol/gの2-CTC樹脂(天津南開和成科技有限公司、製品番号G55W0509)を20g計量し、固相反応カラムに投入して、固相反応カラムに投入して、DMFで1回洗浄した。DMFで樹脂を30分間膨潤させたあと、8.53gのAlloc-Lys(Fmoc)-OH(20mmol)を取り、DMFで溶解した。続いて、氷水浴しつつ、7.5mlのDIEA(45mmol)を加えて活性化させてから、これを上記の樹脂が充填されている反応カラムに投入した。そして、2時間反応させたあと、30mlのメタノールを加えて1時間ブロッキングし、DMFで3回洗浄した。次に、DMF:ピリジンの体積比が4:1の混合溶液を用いてFmocの保護を解除してから、DMFで6回洗浄した。次に、15.42gの[2-[2-(Fmoc-アミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸と、5.41gのHOBtを計量し、DMFに加えて溶解させた。そして、氷水浴しつつ、6.2mlのDICを加えて活性化させたあと、上記の樹脂が充填されている反応カラムに投入し、室温下で2時間反応させた。上記のFmocの保護解除
及び対応材料を加えてカップリングするステップを繰り返し、分枝鎖断片の順序に従って、[2-[2-(Fmoc-アミノ)エトキシ]エトキシ]酢酸、Fmoc-Glu-OtBu、オクタデカン二酸モノ-tert-ブチルを順に完成させた。カップリングの完了後、樹脂をDMFで3回洗浄し、MeOHで5回洗浄してから乾燥させた。次に、樹脂を400mlのTFEA/DCM=1:4に加え、室温で4h反応させた。そして、樹脂を濾過したあと、濾液からDCMを遠心除去し、500mlのMTBEに加えて沈降させた。これを遠心乾燥して目標とする化合物を20.12g取得した。
グルカゴン誘導体-P13Fの調製:
グルカゴン誘導体P13Fの構造式は下記の通りである。
Figure 2023552500000009
即ち、HAibQGT FTSD K(2xOEG-γE-COC1836COOH)SKYL D SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH(SEQ ID NO.6)
ペプチド樹脂の合成:
置換度が0.35mmol/gのRink amide MBHA樹脂(天津南開和成科技有限公司、GRMS1217)を2.85g計量し、固相反応カラムに投入して、反応カラムに投入して、20mLのDCMで30分間膨潤させたあと、DMFで3回(毎回20mL)洗浄した。洗浄の完了後、反応カラムに10mLのDBLK溶液(20%ピペリジン/DMF(V/V))を加え、5分間反応させてから吸引濾過した。そして、20mLのDMFで1回洗浄したあと、10mLのDBLK溶液(20%ピペリジン/DMF(V/V))を加えて10分間反応させたところ、カイザーテストで陽性となった。これを吸引濾過し、DMFで3回(毎回20mL)洗浄した。また、上記とは別に、Fmoc-Ser(tBu)-OH(1.91g、5.0eq)、HOBt(0.81g、6.0eq)を計量し、10mLのDMFに投入して溶解した。続いて、5~8℃下でDIC(0.69g、5.5eq)を加えて5min活性化させたあと、反応カラムに投入して1時間反応させた。そして、カイザーテストで陰性となり、完全に反応してから、DMFで3回(毎回20mL)洗浄した。上記の保護及びカップリング操作を繰り返し、ポリペプチドのアミノ酸配列に従ってその他のアミノ酸のカップリングを順次完了した。X10にはW2を用いてカップリングを行うとともに、Pd(PPhを用いてAlloc基を除去した。最後のアミノ酸のカップリングが完了したあと、上記の保護方法で保護し、完全に保護されてから、順に、DMF洗浄を2回、MeOH洗浄を2回、DCM洗浄を2回、MeOH洗浄を2回行った。なお、洗浄溶媒は毎回20mLとした。そして、材料を回収し、常温で減圧乾燥させて目標のペプチド樹脂を取得した。
粗ペプチドの切断:
上記のペプチド樹脂を4.93g計量し、20~30℃で60mLの破砕液(トリフルオロ酢酸:チオアニソール:アニソール:エタンジチオール=90:5:3:2)にゆっくりと加え、更に2時間反応させた。反応完了後、樹脂を濾過により除去した。そして、激
しく攪拌しながら、濾液を事前に冷却しておいたメチルtert-ブチルエーテル(600mL)に投入し、取得した混合溶液を冷蔵庫に投入して2時間沈降させた。その後、上清液を除去し、予め冷却しておいたメチルtert-ブチルエーテルを用いて5回(毎回400mL)遠心分離洗浄した。完了後に材料を回収し、常温で減圧乾燥させて粗ペプチド2.37g取得した。
粗ペプチドの精製:
分取液体(北京創新通恒、LC3000)を使用して、複数のステップで粗ペプチドを精製した。
第1ステップ:固定相をC18(ダイソーゲル:sp-120-40/60-C18-RPS)とし、移動相を0.1%TFA、アセトニトリルとした。
第2ステップ:固定相をC8(ダイソーゲル:sp-120-10-C8-P)とし、移動相を0.5%リン酸、アセトニトリルとした。
第3ステップ:固定相をC8(ダイソーゲル:sp-120-10-C8-P)とし、移動相を50mMの酢酸アンモニウム、0.3%酢酸、アセトニトリルとした。
最後に、凍結乾燥させて(凍結乾燥機:北京博医康社、FD-2A)、精製ペプチド(97.1%)を取得した。質量分析法Msの検出結果m/z 4806.7957(M+H)は図1に示す通りとなった。
グルカゴン誘導体-P16Fの調製:
グルカゴン誘導体P16Fの構造式は下記の通りである。
Figure 2023552500000010
即ち、HAibQGT FTSD K(2xOEG-γE-COC1836COOH)
SKAibL D SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH (SEQ ID NO.7)
ポリペプチドの合成では、P13Fと同様に、X10にW2を用いてカップリングを行うとともに、Pd(PPhを用いてAlloc基を除去した。取得した粗ペプチドはRP-HPLCで精製し、精製ペプチド(95.3%)を取得した。MSの検出結果m/z 4728.6129(M+H)は図2に示す通りとなった。
グルカゴン誘導体-P29Fの調製:
グルカゴン誘導体P29Fの構造式は下記の通りである。
Figure 2023552500000011
即ち、HAibQGT FTSDY SKAib K(2xOEG-γE-COC1836COOH)D SQAAQ DFVQW LLAGG PSSGA PPPS-NH (SEQ ID NO.8)
ポリペプチドの合成では、P13Fと同様に、X14にW2を用いてカップリングを行うとともに、Pd(PPhを用いてAlloc基を除去した。取得した粗ペプチドはRP-HPLCで精製し、精製ペプチド(96.0%)を取得した。MSの検出結果m/z 4778.5963(M+H)は図3に示す通りとなった。
インビトロの細胞学的活性測定:
(一)GLP-1Rアゴニスト活性の測定:
GLP-1Rアゴニスト活性の測定には、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを使用した(Jonathan W Dayほか:Nat Chem Biol.2009 Oct;5(10)749-57)。ヒト由来GLP-1R遺伝子(NM_002062.5)を哺乳動物細胞発現プラスミドpCDNA3.1にクローニングし、組換え発現プラスミドpCDNA3.1-GLP-1Rを作製した。また、ルシフェラーゼ(luciferase)全長遺伝子(XM_031473197.1)をpCREプラスミドにクローニングし、pCRE-Luc組換えプラスミドを取得した。次に、pcDNA3.1-GLP-1RとpCRE-Lucプラスミドをモル比1:10の比率でCHO-K1細胞にトランスフェクションし、安定トランスフェクション発現株をスクリーニングした。
9-cmの細胞培養シャーレ内で、10%FBS及び300μg/mlのG418を含有するDMEM/F12培地を用いて細胞を培養した。そして、コンフルエンシーが90%程度となった時点で培養上清を捨て、2mlのパンクレアチンを加えて3min消化したあと、10%FBS及び300μg/mlのG418を含有する2mlのDMEM/F12培地を加えて中和し、15mlの遠沈管に移した。これを1000rpmで5min遠心分離したあと上清を捨て、10%FBS及び300μg/mlのG418を含有する2mlのDMEM/F12培地を加えて再懸濁し、カウントした。続いて、10%FBSを含むDMEM/F12培地を用いて細胞を1×10細胞/mlまで希釈し、96ウェルマイクロプレートに1ウェルあたり100μl(即ち、1×10/ウェル)でプレーティングした。これにより、単層培養したあと、0.2%FBSを含むDMEM/F12培地に交換して培養した。そして、96ウェルマイクロプレートにプレーティングした細胞から上清を捨てたあと、精製した組換えタンパク質(P13F、P16F、P29F)、或いは、対照ポリペプチドタンパク質:GLP-1(GLUC-014、中▲太▼生化有限公司)、GIP(GIPS-001、中▲太▼生化有限公司)又はGCG(GLUC-004、中▲太▼生化有限公司)を、1%BSAを含有するDMEM/F12培地で一連の指定濃度まで希釈してから、細胞培養ウェルに100μl/ウェルで加え、6h刺激したあと測定した。測定は、Bright-Glo(登録商標) Luciferase Assay System(プロメガ社、E2620)の説明書に従って行った。各サンプルの活性測定は3回繰り返した。
(二)GIPRアゴニスト活性の測定方法:
GIPRアゴニスト活性の測定にも同様に、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを使用した。ヒト由来GIPR遺伝子(NM_000164)を哺乳動物細胞発現プラスミドpcDNA3.1にクローニングし、組換え発現プラスミドpCDNA3.1-GIPRを作製した。CHO-K1細胞へのトランスフェクション及び安定トランスフェクション細胞株のスクリーニング、作製については上記と同様とした。各サンプルの活性測定は3回繰り返した。
(三)GCGRアゴニスト活性の測定方法:
GCGRアゴニスト活性の測定にも同様に、ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを使用した。ヒト由来GCGR遺伝子(NM_000160)を哺乳動物細胞発現プラスミドpcDNA3.1にクローニングし、組換え発現プラスミドpCDNA3.1-GCGRを作製した。CHO-K1へのトランスフェクション及び安定トランスフェクション細胞株のスクリーニング、作製については上記と同様とした。各サンプルの活性測定は3回繰り返した。
細胞の活性測定結果は図4~図6に示す通りとなった。また、対応するEC50の結果は表3に示す通りであった。
結果について:P13F、P16F及びP29Fは、いずれも低いGLP-1Rアゴニスト活性(天然型GLP-1ペプチドの約1~3%)及びGIPRアゴニスト活性(天然型GIPペプチドの約0.5~2%)を有しており、GCGRアゴニスト活性についてはほぼ存在しなかった。なお、P29のGIPRアゴニスト活性は相対的に最も高く、GIPの約2%であった。
Figure 2023552500000012
正常ICRマウス体内におけるIPGTT実験:
検疫適応期間の終了後、動物を約10h絶食させ、尾端から採血して空腹時血糖を測定した。その後、20%グルコース(2g/kg)を腹腔注射し、注射から0.5h後に血糖を測定した。次に、血糖上昇量に基づき動物を選別し、糖負荷後の血糖上昇量が平均血糖上昇量から大きく外れていた動物を除去した。これにより、40匹の動物を選別して正式な実験に投入した。
各群が8匹のICRマウスからなるよう、体重に基づき均等に5群とし、ケージを分けて適応のために2日間飼育してから、正式な実験を開始した。絶食から10時間後(T=0h)に皮下投与を行った。なお、P13F、P16F、P29F及び陽性対照であるセマグルチドの投与量はいずれも10nmol/kgとした。また、陰性対照には生理食塩水PBSを注射した(5μl/g体重)。続いて、2時間後(T=2h)に、腹腔内に20%グルコース(2g/kg体重)の注射を開始した。そして、異なるタイミングで、即ち、グルコースの注射前と、グルコースを注射してから30分後、60分後及び120分後(T=2.5h、3h、4h)に血糖を測定したところ、結果は図7、図8に示す通りとなった。図から明らかなように、P13F、P16F及びP29Fによる血糖降下及び血糖コントロールは、セマグルチド(ノボノルディスク社、Novo Nordisk A/S)よりも優れていた。
投与後のdb/dbマウスの随時血糖測定:
主に、体重、非空腹時血糖、投与前OGTT反応という3つの指標に従って、レプチン受容体欠失2型糖尿病(db/db)マウスを選別し、均等に群分けした。各群は8匹とし、大きすぎる個体又は小さすぎる個体は除外した。また、非空腹時血糖は15mMよりも大きいこととした。P13F、P16F及びP29Fは、5%ソルビトール及び0.02%v/v Tween-80を含有する50mMリン酸塩緩衝液(pH7.4)に溶解した。そして、陰性対照である生理食塩水PBS又はグルカゴン誘導体を皮下注射した。グルカゴン誘導体については、段階別に異なる投与量で投与することとし、投与量は5.0nmol/kg/4日(30日)とした。且つ、正常マウスを対照群として加え、陰性対照である生理食塩水PBSを皮下注射した(5μl/g体重)。そして、0~4日目まで全ての動物の随時血糖を毎日モニタリングしてから、6日目に測定を行い、その後は4日に1度随時血糖を測定した。測定日は、6日目、10日目、14日目、18日目、22日目、26日目とし、その後は、28日目、29日目、30日目の血糖含有量を測定した。随時血糖の変化傾向は図9に示す通りとなった。
結果から明らかなように、P13F、P16F及びP29Fでは、22日目あたりに正常マウスの血糖レベルまで低下が見られ、且つ30日目までこれを維持可能であった。
食事誘発性肥満(DIO)マウスにおける体重減少実験:
DIOマウスモデルの作製:約7週齢のオスのC57BL/6Jマウスに高脂質飼料(60%kcal from fat)を与えて約16週間飼育を続け(合計23週間)、体重が約45gとなった時点で実験を行った。DIOマウスはランダムに群分けし、各群を6匹とした。また、基礎体重に差はなく、毎日計量した。そして、P13F、P16F、P29F、陽性対照であるセマグルチド又は陰性対照である生理食塩水PBSを皮下注射した。P29Fの投与量は30nmol/kg/4日及び100nmol/kg/4日とし、P13F、P16F及び陽性対照であるセマグルチドについては30nmol/kg/4日とした。まず、投与日から体重の計測を開始し、実験が終了するDay30まで継続した。また、食物摂取の記録と計量を毎日行い、維持した。結果は図10に示す通りであった。
結果から明らかなように、P13F、P16F及P29Fでは、30nmol/kg/4日で投与した場合に、全ての投与群の体重減少効果が高投与量のセマグルチド群よりも明らかに優れていた。また、全ての投与群は、20日目あたりに体重減少が最大値に達し、且つ、薬効を30日目あたりまで維持可能であった。そのほか、P29Fで見ると、体重
減少には投与量依存性があり、100nmol/kg/4日の投与量で投与した場合、30日目あたりの体重減少比率が30%近くに達した。このことは、本発明のグルカゴン誘導体は決して高いGLP-1R、GIPR又はGCGRアゴニスト活性を有してはいないものの、生体内での薬効は非常に明らかなことを示している。特に、GLP-1Rアゴニスト活性は胃腸の副作用との関連性が高いため、活性が非常に低いとの特性は本発明の潜在的な優位性となる。この点は、従来の前臨床又は臨床中の候補とされている高活性マルチアゴニストと全く異なっている。
以上で述べたように、本発明は従来技術における様々な欠点を解消しており、高度な産業上の利用価値を有している。
上記の実施例は本発明の原理と効果を例示的に説明するものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱しないことを前提に、上記の実施例を補足又は変形可能である。従って、当業者が本発明で開示した精神及び技術的思想から逸脱することなく完成させるあらゆる等価の補足又は変形もまた本発明の特許請求の範囲に含まれる。

Claims (10)

  1. アミノ酸配列がSEQ ID NO.9で示されたHXQGTFTSDX10SKX1314DSQAAQDFVQWLLAGGPSSGAPPPS-NHという配列を含み、
    は、Aibを表し、
    10は、Y又は第1長時間作用型ベクターを架橋したKを表し、
    13は、Y又はAibを表し、
    14は、L又は第2長時間作用型ベクターを架橋したKを表す長時間作用型グルカゴン誘導体。
  2. 前記第1長時間作用型ベクター及び/又は第2長時間作用型ベクターは脂肪酸鎖であることを特徴とする請求項1に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体。
  3. 前記脂肪酸鎖の炭素鎖長は5~30であり、好ましくは8~30であり、
    及び/又は、前記脂肪酸鎖の化学構造式は次のいずれかで表され、
    Figure 2023552500000013
    各nは、それぞれが独立して3~28であり、好ましくは、6~28であり、より好ましくは、17、18又は19であることを特徴とする請求項2に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体。
  4. 前記脂肪酸鎖はリンカーを介してKに連結され、前記リンカーは、-Abu-、-GABA-、-EACA-、-β-Ala-、-γGlu-、-D-γGlu-又はそのジペプチド、-β-Ala-β-Ala-、-γGlu-γGlu-及びその立体異性体形式、-5-Aminopentanoyl-、-8-Aminooctanoyl-、-9-Aminononanoyl-、-10-Aminodecanoyl-、-OEG-、-2xOEG-、-γGlu-OEG-、-γGlu-2xOEG-、-D-γGlu-2xOEG-、-2xOEG-γGlu-、-γGlu-3xOEG-、-γGlu-8xPEG-、-γGlu-3xOEG-γ-Glu-8xPEG-のうちの1種類又は複数種類の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項2に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体。
  5. 13はYを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-であり、
    及び/又は、X13はAibを表し、X14はLを表し、X10は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-であり、
    及び/又は、X13はAibを表し、X10はYを表し、X14は脂肪酸鎖を架橋したKを表し、リンカーは-2xOEG-γGlu-であることを特徴とする請求項2に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体。
  6. 前記長時間作用型グルカゴン誘導体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.6~8のいずれかに示す配列を含むことを特徴とする請求項2に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体の調製方法であって、
    固相合成法により前記長時間作用型グルカゴン誘導体を生成することを含む方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体の、薬物の調製における使用であって、
    好ましくは、前記薬物は代謝性疾患を治療するための薬物である使用。
  9. 前記代謝性疾患は、糖尿病、肥満、血中脂質異常、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝炎、糖尿病に関連するその他のメタボリックシンドローム、高トリアシルグリセロール、低HDLコレステロール及び高LDLコレステロール、インスリン抵抗性、肥満症又は耐糖能異常から選択されることを特徴とする請求項8に記載の使用。
  10. 治療有効量の請求項1~6のいずれか1項に記載の長時間作用型グルカゴン誘導体を含む薬物組成物。
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