JP2023551481A - 標的分子の選択的枯渇のための組成物及び方法 - Google Patents

標的分子の選択的枯渇のための組成物及び方法 Download PDF

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フレッド ハッチンソン キャンサー センター
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Abstract

本明細書に記載されるのは、標的のエンドサイトーシス及び細胞分解を誘発するために、再循環可能なCDP受容体結合媒介複合体を使用して標的分子を選択的に枯渇させるための組成物及び方法である。トランスフェリン受容体に結合するCDPペプチドなどのペプチドを含む例示的な組成物は、標的分子に結合するペプチドに連結させることができる。このような組成物を使用して、組成物及び結合した標的分子のトランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスを介して標的分子をエンドソームに選択的に動員することができる。エンドソーム内に入ると、標的分子に対する組成物のpH依存性結合により、酸性pHが組成物からの標的分子の放出を引き起こし得、トランスフェリン受容体部分は「リロード」のために細胞表面に再循環される。次に、標的分子はリソソームに輸送され得、そこで分解される。【選択図】図12A

Description

本出願は、2020年11月30日に出願された「標的分子の選択的枯渇のための組成物及び方法」という名称の米国仮出願第63/119,195号の権益を主張し、その出願は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2021年11月24日に作成された上記ASCIIコピーは、108406-702531_SL.txtという名称であり、665,995バイトのサイズである。
可溶性タンパク質及び細胞表面タンパク質の蓄積または過剰発現は、神経変性疾患からがんに至るまで、さまざまなヒト疾患で示されている。さらに、多くの疾患は、構成的活性、治療に対する抵抗性、またはドミナントネガティブ活性をもたらす可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質の変異に関連している。しかし、これらのタンパク質の多くは、低分子治療薬でそれらを標的とすることが難しいため、「創薬不可能」、「創薬が困難」、または「まだ創薬されていない」標的とみなされてきた。例えば、神経変性アルツハイマー病では、アミロイドタンパク質が蓄積して脳内にプラークを形成し、この疾患の特徴的な態様となるが、神経変性における重要な役割にもかかわらず、このタンパク質を標的とする治療薬がない。疾患に関連する可溶性タンパク質及び細胞表面タンパク質を標的とし、選択的に枯渇させるための組成物及び方法が必要とされている。
さまざまな態様において、本開示は、ペプチド複合体であって、細胞受容体結合ペプチドと、細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドとを含み、(i)標的結合ペプチドが、細胞外環境よりもエンドソームにおいてより低い標的に対する親和性を有するように操作されるか、(ii)細胞受容体結合ペプチドが、細胞外環境よりもエンドソームにおいてより低い細胞受容体に対する親和性を有するように操作されるか、または(i)と(ii)の両方である、ペプチド複合体を提供する。
いくつかの態様において、標的に対する標的結合ペプチドの親和性、細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性、またはその両方は、pH依存性である。いくつかの態様において、標的に対する標的結合ペプチドの親和性、細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性、またはその両方は、イオン強度依存性である。
さまざまな態様において、本開示は、ペプチド複合体であって、細胞受容体結合ペプチドと、細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドとを含み、(i)標的に対する標的結合ペプチドの親和性がpH依存性であるか、(ii)細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性がpH依存性であるか、または(i)と(ii)の両方である、ペプチド複合体を提供する。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、トランスフェリン受容体結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチドである。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、トランスフェリン受容体結合ペプチドである。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、PD-L1結合ペプチドである。いくつかの態様では、受容体は、トランスフェリン受容体またはPD-L1である。いくつかの態様では、受容体は、トランスフェリン受容体である。いくつかの態様では、細胞受容体はPD-L1である。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、pH4.5~pH7.4、pH5.5~pH7.4、またはpH6.5~pH7.4のpHで細胞受容体に結合する。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、pH7.4において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、または0.1nM以下の解離定数(KD)で細胞受容体に結合することができる。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、pH5.5において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、または0.1nM以下の解離定数(KD)で細胞受容体に結合することができる。いくつかの態様では、細胞受容体に対する細胞受容体の親和性は、pH非依存性である。いくつかの態様では、pH7.4とpH5.5での細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性は、2倍以下、5倍以下、10倍以下、15倍以下、20倍以下、25倍以下、30倍以下、40倍以下、または50倍以下異なる。
いくつかの態様では、細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性は、pH依存性である。いくつかの態様では、細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性は、pHが低下するにつれて低下する。いくつかの態様では、細胞受容体に対する細胞受容体結合ペプチドの親和性は、pH5.5よりもpH7.4で高い。
いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH依存性である。いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pHが低下するにつれて低下する。いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、より低いpHよりもより高いpHでより高い。いくつかの態様では、より高いpHは、pH7.4、pH7.2、pH7.0、またはpH6.8である。いくつかの態様では、より低いpHは、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5である。いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH6.0よりもpH7.4で高い。いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH5.5よりもpH7.4で高い。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、pH7.4において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(KD)で標的分子に結合することができる。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、pH5.5において、1nM以上、2nM以上、5nM以上、10nM以上、20nM以上、50nM以上、100nM以上、200nM以上、または500nM以上の解離定数(KD)で標的分子に結合することができる。いくつかの態様では、pH7.4での標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH5.5での標的に対する標的結合ペプチドの親和性よりも、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、または少なくとも20倍大きい。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、1つ以上のヒスチジンアミノ酸残基を含む。いくつかの態様では、標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、イオン強度が増加するにつれて低下する。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、標的分子との極性相互作用または電荷-電荷相互作用を形成することができる1つ以上の極性アミノ酸残基または荷電アミノ酸残基を含む。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、標的結合ペプチドにコンジュゲートされる。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドと標的結合ペプチドは、単一のポリペプチド鎖を形成する。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、二量体化ドメインを介して二量体化された二量体を含む。いくつかの態様では、二量体化ドメインはFcドメインを含む。いくつかの態様では、二量体は、ホモ二量体化ドメインを介して二量体化されたホモ二量体である。いくつかの実施形態では、ホモ二量体化ドメインは、配列番号245~配列番号259のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、二量体は、第1のヘテロ二量体化ドメインと第2のヘテロ二量体化ドメインを介して二量体化されたヘテロ二量体である。いくつかの態様では、第1のヘテロ二量体化ドメインは、配列番号260、配列番号262、配列番号264、配列番号266、配列番号268、配列番号270、配列番号272、配列番号274、配列番号276、配列番号278、配列番号280、配列番号282、配列番号284、または配列番号286のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、第2のヘテロ二量体化ドメインは、配列番号261、配列番号263、配列番号265、配列番号267、配列番号269、配列番号271、配列番号273、配列番号275、配列番号277、配列番号279、配列番号281、配列番号283、配列番号285、または配列番号287のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、ペプチドリンカーを介して二量体化ドメインに連結される。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、ペプチドリンカーを介して二量体化ドメインに連結される。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、ペプチドリンカーを介して標的結合ペプチドに連結される。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、1~50個のアミノ酸残基、2~40個のアミノ酸残基、3~20個のアミノ酸残基、または3~10個のアミノ酸残基の長さを有する。いくつかの態様では、リンカーは、グリシンアミノ酸及びセリンアミノ酸を含む。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、6Å以下、8Å以下、10Å以下、12Å以下、15Å以下、20Å以下、20Å以下、25Å以下、30Å以下、40Å以下、または50Å以下の持続長を有する。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、免疫グロブリンペプチドに由来する。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、ダブルノット(double-knot)毒素ペプチドに由来する。いくつかの態様では、ペプチドリンカーは、配列番号129~配列番号141、配列番号195~配列番号218、配列番号223~配列番号227、または配列番号391のいずれか1つの配列を含む。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチド、標的結合ペプチド、またはその両方は、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、抗体断片、scFv、DARPin、またはアフィボディを含む。いくつかの態様では、抗体はIgGを含むか、または抗体断片はFab、F(ab)2、scFv、または(scFv)2を含む。いくつかの態様では、ミニタンパク質は、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合、少なくとも2つのジスルフィド結合、少なくとも3つのジスルフィド結合、または少なくとも4つのジスルフィド結合を含む。
いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、少なくとも1つのジスルフィド結合、少なくとも2つのジスルフィド結合、少なくとも3つのジスルフィド結合、または少なくとも4つのジスルフィド結合を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、少なくとも6つのシステイン残基を含む。いくつかの態様では、少なくとも6個のシステイン残基は、細胞受容体結合ペプチドのアミノ酸位置4、8、18、32、42、及び46に位置する。いくつかの態様では、少なくとも6つのシステイン残基は、少なくとも3つのジスルフィド結合を形成する。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号148~配列番号177のいずれか1つの配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号96の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96の配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号392~配列番号399のいずれか1つの配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、もしくは配列番号401と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、もしくは配列番号401の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、または配列番号401の配列を含む。さらなる実施形態では、断片は、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、または少なくとも50個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、細胞受容体結合界面に1つ以上のヒスチジン残基を含む。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、標的結合界面に1つ以上のヒスチジン残基を含む。いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、PD-L1結合ペプチド、EGFR結合ペプチド、またはTNFα結合ペプチドである。いくつかの態様では、PD-L1結合ペプチドは、配列番号233、配列番号234、配列番号187、配列番号235~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号240のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、EGFR結合ペプチドは、EGFRバリアントIIIまたはチロシンキナーゼ阻害剤耐性EGFRに結合する。いくつかの実施形態では、EGFR結合ペプチドは、配列番号243、配列番号244、配列番号219、または配列番号242と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、EGFR結合ペプチドは、配列番号242の配列を含む。いくつかの態様では、EGFR結合ペプチドは、配列番号243の配列を含む。
いくつかの態様では、標的は、細胞表面分子、増殖因子受容体、分泌ペプチド、分泌タンパク質、循環分子、細胞シグナル伝達分子、細胞外マトリックス巨大分子、神経伝達物質、サイトカイン、増殖因子、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはホルモン、チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、抑制性免疫受容体、抑制性免疫受容体のリガンド、マクロファージ表面タンパク質、リポ多糖、抗体、抑制性免疫受容体、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原、または自己抗体である。いくつかの態様では、標的は、コラーゲン、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、プロテオグリカン、CD200R、CD300a、CD300f、CEACAM1、FcgRiib、ILT-2、ILT-3、ILT-4、ILT-5、LAIR-1、PECAM-1、PILR-α、SIRL-1、SIRP-α、CLEC4A、Ly49Q、MIC、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD14、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1である。いくつかの態様では、標的は、PD-L1、EGFR、またはTNFαである。
いくつかの態様では、ペプチド複合体は、配列番号288~配列番号313または配列番号315~配列番号346のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号347、配列番号348、配列番号351、配列番号352、配列番号355、配列番号356、配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号371、配列番号373、配列番号376、配列番号378、配列番号382、配列番号384、配列番号387、もしくは配列番号389のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、配列番号288、配列番号289、配列番号307、配列番号313、配列番号327、配列番号328、配列番号332、配列番号333、配列番号337、配列番号338、配列番号342、もしくは配列番号343;配列番号302、配列番号305、配列番号339、配列番号340、配列番号344、もしくは配列番号345と二量体化された配列番号292、配列番号293、配列番号310、配列番号315、もしくは配列番号316;配列番号302、配列番号339、もしくは配列番号344と二量体化された配列番号296;配列番号298;配列番号301と二量体化された配列番号299;配列番号330もしくは配列番号335と二量体化された配列番号331もしくは配列番号336;または配列番号329、配列番号330、配列番号334、もしくは配列番号335と二量体化された配列番号292、配列番号315、もしくは配列番号316の配列を含む。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、配列番号290、配列番号291、配列番号308、配列番号317、配列番号318、配列番号322、もしくは配列番号323;配列番号304、配列番号306、配列番号319、配列番号320、配列番号321、配列番号324、もしくは配列番号325と二量体化された配列番号292、配列番号294、配列番号315、配列番号316;配列番号304、配列番号319、配列番号321、もしくは配列番号324と二量体化された配列番号295もしくは配列番号297;配列番号303と二量体化された配列番号298もしくは配列番号300;または配列番号306、配列番号311、配列番号320、もしくは配列番号325と二量体化された配列番号326の配列を含む。
いくつかの態様では、細胞受容体からの細胞受容体結合ペプチドのオフ速度は、細胞受容体の再循環速度よりも遅い。いくつかの態様では、細胞受容体からの細胞受容体結合ペプチドのオフ速度は、1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内、または20分以内である。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされ得る。いくつかの態様では、受容体媒介エンドサイトーシスは、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスである。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、エンドサイトーシス小胞内で細胞受容体に結合したままである。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、細胞受容体結合ペプチドが細胞受容体に結合し、細胞受容体が再循環される場合に再循環される。いくつかの態様では、標的は、ペプチド複合体が受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる場合、標的結合ペプチドから放出または解離される。
いくつかの態様では、標的は、細胞外タンパク質、循環タンパク質、または可溶性タンパク質である。いくつかの態様では、標的は細胞表面タンパク質である。いくつかの態様では、標的は膜貫通タンパク質である。いくつかの態様では、ペプチド複合体は、第2の標的結合ペプチドをさらに含む。いくつかの態様では、第2の標的結合ペプチドは、第2の標的に結合する。いくつかの態様では、標的及び第2の標的は、標的結合ペプチド及び第2の標的結合ペプチドに結合すると二量体を形成する。いくつかの態様では、標的及び第2の標的の二量体化は、標的及び第2の標的のエンドサイトーシスの速度を増加させる。いくつかの態様では、第2の標的は標的と同じである。
いくつかの態様では、ペプチド複合体は、細胞受容体結合ペプチド、標的結合ペプチド、またはその両方に結合された半減期改変剤をさらに含む。いくつかの態様では、半減期改変剤は、ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリマー、双極性イオン水溶性ポリマー、水溶性ポリ(アミノ酸)、プロリン、アラニン及びセリンの水溶性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、及びセリンを含む水溶性ポリマー、Fc領域、脂肪酸、パルミチン酸、またはアルブミンに結合する分子を含む。いくつかの態様では、アルブミンに結合する分子は、血清アルブミン結合ペプチドである。いくつかの態様では、血清アルブミン結合ペプチドは、配列番号178、配列番号179、または配列番号193のいずれか1つの配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチド、標的結合ペプチド、またはその両方が組換え発現される。
いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5で標的から解離するように構成されている。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5で細胞受容体から解離するように構成されている。
さまざまな態様では、本開示は、標的分子を選択的に枯渇させる方法であって、この方法が、細胞受容体結合ペプチド、細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドを含むペプチド複合体を、細胞受容体を発現する細胞に接触させることと;細胞外条件下で標的結合ペプチドを標的分子に結合させることと;細胞外条件下で細胞受容体結合ペプチドを細胞受容体に結合させることと;ペプチド複合体、標的分子、及び細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;エンドソーム条件下で、標的分子から標的結合ペプチドを、細胞受容体から細胞受容体結合ペプチドを、またはその両方を解離させることと;標的分子を分解し、それによって標的分子を枯渇させることと、を含む方法を提供する。
さまざまな態様では、本開示は、標的分子を選択的に枯渇させる方法であって、この方法が、本明細書に記載のペプチド複合体を、細胞受容体を発現する細胞に接触させることと;細胞外条件下で標的結合ペプチドを標的分子に結合させることと;細胞外条件下で細胞受容体結合ペプチドを細胞受容体に結合させることと;ペプチド複合体、標的分子、及び細胞受容体をエンドサイトーシス区画またはリソソーム区画にエンドサイトーシスすることと;エンドソーム条件下で、標的分子から標的結合ペプチドを、細胞受容体から細胞受容体結合ペプチドを、またはその両方を放出させることと;標的分子を分解し、それによって標的分子を枯渇させることと、を含む方法を提供する。
いくつかの態様では、方法は、ペプチド複合体及び細胞受容体を再循環することをさらに含む。いくつかの態様では、細胞受容体はトランスフェリン受容体またはPD-L1であり、細胞受容体結合ペプチドはトランスフェリン受容体結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチドである。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、トランスフェリン受容体結合ペプチドであり、細胞受容体はトランスフェリン受容体である。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドはPD-L1結合ペプチドであり、細胞受容体はPD-L1である。いくつかの態様では、エンドサイトーシスすることは、受容体媒介エンドサイトーシスを含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、エンドサイトーシス区画またはリソソーム区画において細胞受容体に結合したままである。いくつかの態様では、標的分子は、エンドサイトーシス区画またはリソソーム区画で分解される。いくつかの態様では、受容体媒介エンドサイトーシスは、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスである。
いくつかの態様では、標的分子は、細胞外タンパク質、循環タンパク質、または可溶性タンパク質である。いくつかの態様では、標的分子は細胞表面タンパク質である。いくつかの態様では、標的分子は膜貫通タンパク質である。いくつかの態様では、方法は、ペプチド複合体に血液脳関門(BBB)を含む細胞層を透過させることを含む。いくつかの態様では、標的分子は中枢神経系で分解される。いくつかの態様では、細胞は、細胞受容体を発現する。
いくつかの態様では、方法は、細胞外条件下で細胞受容体結合ペプチドを細胞受容体に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(KD)で結合させることを含む。いくつかの態様では、方法は、エンドソーム条件下で細胞受容体結合ペプチドを細胞受容体に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(KD)で結合させることを含む。
いくつかの態様では、標的結合ペプチドは、エンドサイトーシス区画において標的分子に結合したままである。いくつかの態様では、方法は、細胞外条件下で標的結合ペプチドを標的分子に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(KD)で結合させることを含む。いくつかの態様では、方法は、エンドソーム条件下で標的結合ペプチドを標的分子に、1nM以上、2nM以上、5nM以上、10nM以上、20nM以上、50nM以上、100nM以上、200nM以上、または500nM以上の解離定数(KD)で結合させることを含む。いくつかの態様では、方法は、エンドソーム条件下と比べて細胞外条件下で、2倍以下、5倍以下、10倍以下、15倍以下、20倍以下、25倍以下、30倍以下、40倍以下、または50倍以下異なる親和性で、細胞受容体結合ペプチドを細胞受容体に結合させることを含む。いくつかの態様では、この方法は、標的結合ペプチドと標的分子との間で1つ以上の極性相互作用または電荷-電荷相互作用を形成することを含む。
いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号96の配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号392~配列番号399のいずれか1つの配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号235、配列番号238、もしくは配列番号239と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号235、配列番号238、もしくは配列番号239の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様では、細胞受容体結合ペプチドは、配列番号187、配列番号235、配列番号238、または配列番号239の配列を含む。
いくつかの態様では、方法は、第2の標的分子を第2の標的結合ペプチドと結合させることをさらに含む。いくつかの態様では、標的分子及び第2の標的分子は、標的結合ペプチド及び第2の標的結合ペプチドに結合すると二量体を形成する。いくつかの態様では、方法は、標的分子及び第2の標的分子の二量体化の際に、標的分子及び第2の標的分子のエンドサイトーシスの速度を増加させることを含む。いくつかの態様では、第2の標的分子は、標的分子及び第2の標的分子のエンドサイトーシスにより分解される。いくつかの態様では、第2の標的分子は標的分子と同じである。
さまざまな態様では、本開示は、対象において疾患または状態を治療する方法であって、この方法が、細胞受容体結合ペプチド、細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドを含むペプチド複合体を対象に投与することと;細胞外条件下で標的結合ペプチドを標的分子及び細胞受容体を発現している対象の細胞上で疾患または状態と関連している標的分子に結合させることと;細胞外条件下で細胞受容体結合ペプチドを対象の細胞上の細胞受容体に結合させることと;ペプチド複合体、標的分子、及び細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;エンドソーム条件下で、標的分子から標的結合ペプチドを、細胞受容体から細胞受容体結合ペプチドを、またはその両方を解離させることと;標的分子を分解し、それによって疾患または状態を治療することと、を含む方法を提供する。
さまざまな態様では、本開示は、対象において疾患または状態を治療する方法であって、この方法が、本明細書に記載のペプチド複合体を対象に投与することと;細胞外条件下で標的結合ペプチドを標的分子及び細胞受容体を発現している対象の細胞上で疾患または状態と関連している標的分子に結合させることと;細胞外条件下で細胞受容体結合ペプチドを対象の細胞上の細胞受容体に結合させることと;ペプチド複合体、標的分子、及び細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;エンドソーム条件下で、標的分子から標的結合ペプチドを、細胞受容体から細胞受容体結合ペプチドを、またはその両方を解離させることと;標的分子を分解し、それによって疾患または状態を治療することと、を含む方法を提供する。
いくつかの態様では、標的分子は、細胞表面分子、増殖因子受容体、分泌ペプチド、分泌タンパク質、循環分子、細胞シグナル伝達分子、細胞外マトリックス巨大分子、神経伝達物質、サイトカイン、増殖因子、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはホルモン、チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、抑制性免疫受容体、抑制性免疫受容体のリガンド、マクロファージ表面タンパク質、リポ多糖、抗体、抑制性免疫受容体、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原、または自己抗体である。いくつかの態様では、標的分子は、コラーゲン、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、プロテオグリカン、CD200R、CD300a、CD300f、CEACAM1、FcgRiib、ILT-2、ILT-3、ILT-4、ILT-5、LAIR-1、PECAM-1、PILR-α、SIRL-1、SIRP-α、CLEC4A、Ly49Q、MIC、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD14、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1である。いくつかの態様では、標的分子は受容体チロシンキナーゼである。いくつかの態様では、受容体チロシンキナーゼは、EGF受容体、ErbB、インスリン受容体、PDGF受容体、VEGF受容体、FGF受容体、CCK受容体、NGF受容体、HGF受容体、Eph受容体、AXL受容体、TIE受容体、RYK受容体、DDR受容体、RET受容体、ROS受容体、LTK受容体、ROR受容体、MuSK受容体、またはLMR受容体である。いくつかの態様では、標的分子は病原体または病原体表面分子である。
いくつかの態様では、疾患または状態は、がん、神経変性疾患、リソソーム蓄積症、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、免疫疾患、または疼痛である。いくつかの態様では、がんは、乳癌、肝臓癌、結腸癌、脳癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、血液細胞由来のがん、肺癌、肉腫、胃癌、胃腸癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、非小細胞肺癌、扁平上皮非小細胞肺癌、膵臓癌、卵巣癌、血液癌、皮膚癌、肝臓癌、腎臓癌、または結腸直腸癌である。いくつかの態様では、がんは、TKI耐性、セツキシマブ耐性、ネシツムマブ耐性、またはパニツムマブ耐性である。いくつかの態様では、がんは、進行がん、転移がん、中枢神経系の転移がん、転移性乳癌、転移性皮膚癌、難治性がん、KRAS野生型がん、KRAS変異型がん、またはエクソン20変異型非小細胞肺癌である。いくつかの態様では、標的分子は、HER2、EGFR、FGFR-1、PD-L1、VEGF、PD-1、CD38、GD2、SLAMF7、CTLA-4、CCR4、CD20、PDGFRα、VEGFR2、CD33、CD30、CD22、CD79B、ネクチン-4、またはTROP2である。いくつかの態様では、標的分子はEGFRまたはPD-L1である。いくつかの態様では、この方法は、追加の治療を対象に施すことをさらに含む。いくつかの態様では、追加の治療は、放射線、化学療法、プラチナ治療、または代謝拮抗治療を含む。いくつかの態様では、追加の治療は、フルオロウラシル、FOLFIRI、イリノテカン、FOLFOX、ゲムシタビン、またはシスプラチンを含む。
いくつかの態様では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、パーキンソン病、または脊髄性筋萎縮症である。いくつかの態様では、標的分子は、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、またはα-シヌクレインである。いくつかの態様では、リソソーム蓄積症はゴーシェ病またはポンペ病である。いくつかの態様では、標的分子はグルコセレブロシダーゼまたはα-グルコシダーゼである。いくつかの態様では、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、糸球体腎炎、ループス、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、神経炎症性疾患、炎症関連神経変性、アルツハイマー病、脳卒中、外傷性脳損傷、シェーグレン病、または嚢胞性線維症である。いくつかの態様では、標的分子は、アポリポタンパク質E4、TNF-α、IL-1、IL-6、IL-7、IL-12、またはIL-23である。いくつかの態様では、標的分子はTNF-αである。いくつかの態様では、細胞は、がん細胞、免疫細胞、中枢神経系細胞、神経細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好塩基球、または好酸球である。
いくつかの態様では、方法は、選択的枯渇複合体、標的分子、及び細胞受容体の間で三元複合体を形成することをさらに含む。いくつかの態様では、三元複合体の形成は、細胞受容体、標的分子、またはその両方の再循環または代謝回転を増加させる。いくつかの態様では、三元複合体の形成は、標的分子の細胞受容体への結合を増加させる。
参照による組み込み
本明細書において引用されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、各々個々の刊行物、特許または特許出願が、参照により本明細書に組み入れられるように具体的かつ個別に示されているかのように、それと同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書に記述される新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に特に記載される。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実行形態を説明する以下の詳細な説明、及びその添付の図面を参照することによって得られるであろう。
ヒト可溶性トランスフェリン受容体(hTfR)細胞外ドメインタンパク質をクマシー染色したゲルと、プールされた高多様性ペプチドライブラリに由来する、hTfR細胞外ドメインに結合する細胞の連続的濃縮を示すフローサイトメトリープロットを示す。Aは、トランスフェリン受容体(TfR)の精製の成功を示すTfRタンパク質のクマシー染色ゲルを示す。Bは、1回のフローソーティング後における、候補であるTfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。Cは、1回のフローソーティング後における、候補であるTfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて染色された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。Dは、Bに示される1回目のフローソート後の2回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。Eは、B及びCに示される1回目のフローソート後の2回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて染色された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。Fは、Dに示される2回目のフローソート後の3回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。ボックスは、TfRに結合するペプチドを発現する細胞を示す。Gは、D及びEに示される2回目のフローソート後の3回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて染色された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。ボックスは、陰性対照タンパク質に結合するペプチドを発現する細胞を示す。 単一のクローンTfR結合ペプチドを提示し、TfRまたは陰性対照タンパク質のいずれかとの結合についてスクリーニングして、図1A~1Gで同定されたTfRへのTfR結合ペプチドの結合を確認した細胞のフローサイトメトリーを示す。結合がストレプトアビジン標識に依存しないことを検証するために、ストレプトアビジンまたは抗His抗体のどちらかで標識されたTfRまたは対照タンパク質を使用してフローサイトメトリーを実施した。Aは、標識された陰性対照タンパク質(y軸、蛍光抗His抗体で染色)への結合についてスクリーニングされた配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。Bは、TfR(y軸、蛍光抗His抗体で染色)への結合についてスクリーニングされた配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)のフローサイトメトリープロットを示す。ボックスは、TfR結合ペプチドを発現し、TfRに結合する細胞を示す。Cは、標識された陰性対照タンパク質(y軸、蛍光抗ストレプトアビジンで染色)への結合についてスクリーニングされた配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。Dは、TfRへの結合についてスクリーニング(y軸、蛍光抗ストレプトアビジンで染色)された配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)のフローサイトメトリープロットを示す。ボックスは、TfR結合ペプチドを発現し、TfRに結合する細胞を示す。 部位飽和変異導入(SSM)で濃縮されたバリアントを順列することで生じるペプチドバリアントに対するTfR結合を示す。それぞれのグラフは、完了したSSMのラウンドを表し、該当するグラフ内のそれぞれの影付きバーは、SSMのラウンドが開始されたそれぞれの参照ペプチド配列と比較した、バーの下に示された特定のバリアントペプチドの変異の数を示す(図3Aにおける配列番号1、または図3Bにおける配列番号2)。データは、TfRに対する同定されたペプチドの相対的な結合親和性を示しており、採用されたSSMの最後のステップを表し、次世代の分子を示している。Aは、配列番号1の配列を有するペプチドの親和性成熟のための部位飽和変異導入(SSM)から得られた配列番号3~配列番号23の配列をそれぞれ含むバリアントに対して結合したhTfRのレベルを示す。Bは、配列番号2の配列を有する開始ペプチドの親和性成熟のための部位飽和変異導入(SSM)から得られた配列番号24~配列番号28及び配列番号30~配列番号32の配列をそれぞれ有するペプチドバリアントに対して結合したhTfRのレベルを示す。 TfRに対する異なる親和性を有するTfR結合ペプチドバリアントの結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)曲線を示す。それぞれのペプチドバリアントについて解離動態を定量化した。配列番号1、配列番号2、配列番号4、及び配列番号32のそれぞれ300nMを使用して、経時的な表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。配列番号32は、SPRによって評価されるように、TfRへの最も強い結合を示す。データはそれぞれのトレースの最大応答に正規化された。 配列番号2の配列を有するペプチドの濃度を変えた場合のhTfR結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。このデータに基づいて、配列番号2のペプチドの解離定数(K)は8.7nMであると決定された。 配列番号4の配列を有するペプチドの濃度を変えた場合のhTfR結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。このデータに基づいて、配列番号4のペプチドの解離定数(K)は14.8nMであると決定された。 表面プラズモン共鳴(SPR)による、捕捉されたビオチン化hTfRに結合する配列番号32の結合及びシングルサイクルカイネティクスデータを示す。5つの濃度の配列番号32の配列を有するペプチド(0.037nM、0.11nM、0.33nM、1nM、3nM)を2つの密度の捕捉ビオチン化(Bt)-hTfRに対して注入し、全体的に解析した。分析パラメーターは、高密度及び低密度の実行で一定に保たれ、両方のチャネルからのデータが同じ分析に含まれていた。このデータに基づいて、配列番号32のペプチドの解離定数(K)は216pMであると決定され、結合速度(k)は8.55×10-1-1であると決定され、解離速度(k)は1.85×10-3-1であると決定された。 SPRによる、捕捉されたビオチン化hTfRに結合する配列番号30の結合及びシングルサイクルカイネティクスデータを示す。5つの濃度の配列番号30の配列を有するペプチド(0.037nM、0.11nM、0.33nM、1nM、3nM)を2つの密度の捕捉Bt-hTfRに対して注入し、全体的に解析した。分析パラメーターは、高密度及び低密度の実行で一定に保たれ、両方のチャネルからのデータが同じ分析に含まれていた。このデータに基づいて、配列番号30のペプチドの解離定数(K)は486pMであると決定され、結合速度(k)は8.57×10-1-1であると決定され、解離速度(k)は4.16×10-3-1であると決定された。 トランスフェリンに結合するか否かを評価するための、可溶性トランスフェリン受容体(TfR)細胞外ドメインの精製及び試験を示す。Aは、精製したTfR外部ドメインに結合するホロトランスフェリンまたはアポトランスフェリン(Tf)の表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。データは、ホロTfは経時的な応答(RU)の増加をするが、アポTfは増加しないことによって示されるように、ホロTfはTfR外部ドメインに結合するが、アポTfは結合しないことを示している。このデータは、TfR結合CDPペプチドのスクリーニングで使用される可溶性TfRが、細胞の表面にTfRの内因性タンパク質構造を含むことを検証し、結合物質が受容体媒介エンドサイトーシスに有用であるというデータを提供する。Bは、ペプチドの結合特性についてのスクリーニング及び最適化に使用されるベクター提示足場及び標的結合の模式図を示す。結合物質(例えば、配列番号1、配列番号2、または配列番号32)のGFPタグ付構築物をコードする表面提示ベクター(SDGF)は、細胞表面上に発現される。蛍光色素(「共染色」)で標識された標的タンパク質(例えば、TfR)は、表面に発現される結合物質に結合する。標的タンパク質に対して高い親和性を有するペプチドを発現する細胞は、標的タンパク質に対して低い親和性を有するペプチドを発現する細胞よりも多くの共染色された標的を動員するため、共染色の蛍光強度は、標的に対するペプチド親和性の尺度として使用される。Cは、結合したAlexa Fluor 647-TfR(図9B中の共染色)の量によって測定した、既知のTfR結合標的である、マチュポウイルス糖たんぱく質に対するTfR結合の特性を検証するフローサイトメトリーを示す。マチュポウイルス糖タンパク質(SDGF-MaCV)をトランスフェクトした細胞は、ビオチン化TfRとAlexa Fluor647標識ストレプトアビジン(Strep-647)の組み合わせ、SDGF-MaCV細胞とAlexa Fluor647標識エラスターゼの組み合わせ、またはSDGF-エラフィン細胞とTfR+Strep-647の組み合わせで試験される。エラスターゼ及びエラフィンの細胞コンジュゲートは、細胞に結合しない。これらの結果は、ペプチドスクリーニングで使用される可溶性TfRが内在性タンパク質構造を構成していることを示し、TfRのその内在性リガンドに対する結合の特異性と、新規TfR結合パートナーを同定する手段としてのSDGFの有用性の両方を示した。 フローサイトメトリーを使用して、GFPと融合したTfR結合シスチン高密度ペプチド(CDP、配列番号32)の、ストレプトアビジン-AlexaFluor647(strep-647)で標識されたTfRへの結合を、生理学的細胞外環境(pH7.4)またはエンドソーム環境(pH5.5)を表すpH条件下で同定するデータを示す。Aは、生理学的細胞外環境を表す、pH7.4でのTfRへのTfR結合シスチン高密度ペプチド(CDP)(配列番号32)の結合を測定するための結合アッセイにおけるフローサイトメトリーの結果を示す。配列番号32を発現する細胞を、pH7.4で10nMのTfR及び10nMのStrep-647で染色した。ボックスは、Cに示される定量で使用される、「スライス」ゲートを示す。Bは、pH5.5でのTfRへのTfR結合CDP(配列番号32)の結合を測定するための結合アッセイにおけるフローサイトメトリーの結果を示す。配列番号32を発現する細胞を、エンドソーム環境を表すpH5.5で10nMのTfR及び10nMのStrep-647で染色した。ボックスは、Cに示される定量で使用される、「スライス」ゲートを示す。Cは、Aで測定されたpH7.4でのTfR結合ペプチドの標識効率と、Bで測定されたpH5.5での標識効率との比較を示す。結果は、TfR結合シスチン高密度ペプチド(CDP、配列番号32)の結合が、生理学的細胞外条件及とエンドソーム条件の両方で堅牢であり、匹敵することを示している。 標的分子の選択的枯渇のための組成物を開発するためのワークフローを概略的に示す。標的結合ペプチドは、標的結合ペプチド候補を含む発現ライブラリを標識された標的分子で染色することによって同定される。ライブラリからの標的結合ペプチドは、結合した標的分子からのシグナルの蓄積によって識別される。任意選択で、同定された標的結合ペプチドを選択し、例えば点変異スクリーニングを使用して、結合のためにさらに成熟させる。同定された標的結合ペプチドは、例えば、Dに示されるようにヒスチジン点変異スキャンを実施することによって、pH依存性結合のために改変される。得られたpH依存性標的結合ペプチドは、(例えば、融合ペプチドとして)再循環物質(例えば、TfR結合ペプチド)に連結されて、選択的枯渇複合体を形成する。 細胞表面または培地などから標的を枯渇させる選択的枯渇複合体の能力のインビトロ検証を概略的に示す。 選択的枯渇複合体の表現型スクリーニングを概略的に示す。選択的枯渇複合体は、選択的枯渇複合体を発現する細胞における標的枯渇を試験することによって検証できる。複合体を健康な細胞及び形質転換細胞株でさらに試験して、選択的枯渇複合体の疾患特異的機能を測定することができる。複合体の特異性は、アポトーシス阻害剤の枯渇によるがん特異的な増殖阻害など、標的特異的な細胞機能の変化を試験することによって測定できる。 pH依存性結合親和性を標的結合ペプチドに導入するためのヒスチジン置換スキャンの例を示す。PD-L1結合CDP(配列番号187)のヒスチジン置換スキャンが示されている。ペプチド配列は上と横に提供され、それぞれの黒いボックスは、Hisが置換される可能性のある1番目と2番目の部位を表す。左上から右下への対角線に沿って落ちるものは、単一のHisの置換を表す。同定されたヒスチジン含有ペプチドを含むペプチドライブラリは、例えば、Aに示されるワークフローを使用して生成及びスクリーニングされ得る。 pH依存性結合を有する標的結合ペプチドと、pH非依存性結合を有するTfR結合ペプチドなどのTfR結合ペプチドとを含む組成物を使用して、可溶性標的分子を選択的に枯渇させるための方法を概略的に示す。組成物は、TfR及び可溶性標的分子に結合し、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる。エンドサイトーシス区画の酸性化により標的分子が放出され、標的分子の一部または全部がリソソーム区画で分解される。TfRと組成物は細胞表面に再循環される。 pH依存性結合を有する標的結合ペプチドと、pH非依存性結合を有するTfR結合ペプチドなどのTfR結合ペプチドとを含む組成物を使用して、表面標的分子を選択的に枯渇させるための方法を概略的に示す。組成物は、TfR及び表面標的分子に結合し、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる。エンドサイトーシス区画の酸性化により標的分子が放出され、標的分子の一部または全部がリソソーム区画で分解される。TfRと組成物は細胞表面に再循環される。 血清アルブミン結合ペプチド(SA21)に融合されたペプチドの産生及び純度を示す。Aは、配列番号181に対応する血清アルブミンペプチド(SA21)に融合されたTfR結合ペプチドの産生及び純度を示す。配列番号181のペプチドは、シデロカリン(SCN、配列番号147)融合体として産生され、次いでTEVによってSCNから切断された。純度は、DTT還元(「R」)または非還元(「NR」)条件下におけるSDS-PAGE(左)及びRP-HPLC(右)によって検証した。SDS-PAGEを、切断していない(「U」)シデロカリン-CDP融合ペプチドでも実施した。このデータは、SCNに融合された配列番号181が首尾よく生成され、次いでTEV切断によって切断され、配列番号181の遊離CDP融合物を生じたことを示している。Bは、配列番号182に対応するSA21に融合されたペプチドの産生及び純度を示す。配列番号182のペプチドは、SCN融合体として産生され、次いでTEVによってSCNから切断された。純度は、DTT還元(「R」)または非還元(「NR」)条件下におけるSDS-PAGE(左)及びRP-HPLC(右)によって検証した。SDS-PAGEを、切断していない(「U」)シデロカリン-CDP融合ペプチドでも実施した。このデータは、SCNに融合された配列番号182が首尾よく生成され、次いでTEV切断によって切断され、配列番号181の遊離CDP融合物を生じたことを示している。 ダブルノット毒素(DkTx)ペプチドリンカー(配列番号139、KKYKPYVPVTTN)を介してTfR結合CDPに連結された標的結合CDPを含むCDP-CDP二量体を概略的に示す。 ポリ-GlySerリンカー(配列番号138、GGGSGGGSGGGS)を介してTfR結合CDPに連結された標的結合CDPを含むCDP-CDP二量体を概略的に示す。 5位にCysからSerへの変異を有するヒトIgGリンカー(配列番号140、EPKSSDKTHT)を介してTfR結合CDPに連結された標的結合CDPを含むCDP-CDP二量体を概略的に示す。 Fc二重特異性二量体を介して標的結合ペプチドに非共有結合したTfR結合ペプチドを概略的に示す。 標的結合ペプチドとTfR結合ペプチドとの間にアルブミン結合タンパク質(例えば、配列番号192)を含み、ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)によって分離されたTfR結合ペプチドと標的結合ペプチドの融合体を概略的に示す。 ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)によって標的結合ペプチドに融合されたアルブミン結合タンパク質(例えば、配列番号192)を含む、TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドの融合体を概略的に示す。 ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)によってTfR結合ペプチドに融合されたアルブミン結合タンパク質(例えば、配列番号192)を含む、TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドの融合体を概略的に示す。 DkTxリンカー(配列番号139)またはGS3リンカー(配列番号141もしくは配列番号195~配列番号218)のいずれかを介して、イオンチャネル阻害性CDP(Z1E-AnTx、Z1P-AnTx、EWSS-ShK、HsTx、Pro-Vm24、またはVm24)に融合されたTfR結合ペプチド(配列番号2)を含む、発現されTEV切断されたCDP-CDP二量体のSDS-PAGEゲルを示す。TEV切断後の発現産物には、SCN-CDP二量体、SCN、及びCDP二量体が含まれていた。それぞれのゲルに存在する二量体のバンドは、長方形で示される。これは、CDP二量体が首尾よく発現され、SCNから切断されたことを実証している。それぞれのゲルは、左から右へ、後者の分子量(「L」)、非還元条件下のペプチド試料(「NR」)、及び還元条件下のペプチド試料(「R」)を含んでいた。 TfR結合ペプチド(配列番号32、上)、Vm24イオンチャネル阻害性ペプチド(中央)、及びVm25イオンチャネル阻害性ペプチドに融合されたTfR結合ペプチドを含むCDP-CDP二量体(下)についてのSDS-PAGE(左)、RP-HPLC(中央)、及びチャネル阻害アッセイ(右)を示す。「フォールディング」は試料が非還元条件下で分析されたことを示し、「アンフォールディング」は試料が還元条件下で分析されたことを示す。このデータは、標的結合CDP(ここでは、CDPを阻害するイオンチャネル)がTfR結合ペプチド(配列番号32など)と二量体化でき、発現、フォールディング、及び精製できること、ならびに標的結合CDPが、TfR結合CDPとの二量体にある間、その標的結合機能を維持できることを示す(ここに示されている機能はイオンチャネル阻害性である)。 TfR結合ペプチドが、細胞表面結合アッセイにおいて、マウスTfR(mTfR)に対して交差反応性があることを示すフロー染色データを示す。表面上にヒトまたはマウスのいずれかのTfRを発現する293F細胞を、AlexaFluor 647色素で直接標識した可溶性TfR結合ペプチドで染色した。これは、TfR結合ペプチドがヒト(hTfR、配列番号190)とマウスTfRの両方に結合することを示している。Aは、これらの実験で使用されたTfR、この事例ではヒトTfRの種特異性を示す。データは、2つのトポグラフィー密度マップとして示され、抗hTfR(CD71)抗体で染色されたトランスフェリンのフローサイトメトリーデータを示す。左下から右上に斜めに配置された上の密度マップは、293ST+SDGF-hTfRを示す。水平に配置された下の密度マップは、293ST+SDGF-mTfRを示す。y軸は、hTfR+ストレプトアビジンを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。x軸は、GFPを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。Bは、これらの実験で使用されたTfR、この事例ではマウスTfRの種特異性を示す。データは、2つのトポグラフィー密度マップとして示され、抗mTfR(CD71)抗体で染色されたトランスフェリンのフローサイトメトリーデータを示す。左下から右上に斜めに配置された上の密度マップは、293ST+SDGF-mTfRを示す。3つの葉を有する下の密度マップは、293ST+SDGF-hTfRを示す。y軸は、hTfR+ストレプトアビジンを10-4~10で、10刻みの対数スケールで示す。x軸は、GFPを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。Cは、ヒトTfRに対する、配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号2の配列を有するペプチド、配列番号30の配列を有するペプチド、及び配列番号32の配列を有するペプチドの結合の定量化を示す。データは、4つのトポグラフィー密度マップとして示され、293ST細胞+SDGF-hTFRを使用するフローサイトメトリーデータを示す。3つの密度マップは、ほぼ重ね合わせることができ、4つ目の密度マップの上に配置されている。下の密度マップは、水平に配置され、配列番号1を示す(第1世代)。上の3つの密度マップは、左下から右上に斜めに配置されている。他の2つよりもわずか上にある密度マップは、配列番号32に対応する(第3世代)。他の2つよりもわずか下にある密度マップは、配列番号2に対応する(第2世代)。3番目の密度マップは、配列番号30に対応する(第3世代)。このデータは、配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号2の配列を有するペプチド、配列番号30の配列を有するペプチド、及び配列番号32の配列を有するペプチドがヒトTfRに結合することを示す。配列番号1の配列を有するペプチドは、試験された他の3つのペプチドと比較して結合がより弱い。y軸は、hTfR+ストレプトアビジンを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。x軸は、GFPを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。Dは、マウスTfRに対する、配列番号1の配列を有するペプチド、配列番号2の配列を有するペプチド、配列番号30の配列を有するペプチド、及び配列番号32の配列を有するペプチドの結合の定量化を示す。データは、4つのトポグラフィー密度マップとして示され、293ST細胞+SDGF-mTFRを使用するフローサイトメトリーデータを示す。3つの密度マップは、ほぼ重ね合わせることができ、4つ目の密度マップの上に配置されている。下の密度マップは、水平に配置され、配列番号1を示す(第1世代)。上の3つの密度マップは、左下から右上に斜めに配置されている。他の2つよりもわずか上にある密度マップは、配列番号32に対応する(第3世代)。他の2つよりもわずか下にある密度マップは、配列番号2に対応する(第2世代)。3番目の密度マップは、配列番号30に対応する(第3世代)。このデータは、配列番号2の配列を有するペプチド、配列番号30の配列を有するペプチド、及び配列番号32の配列を有するペプチドがマウスTfRに結合することを示す。配列番号1の配列を有するペプチドは、試験された条件下でmTfRへの結合を実証しなかった。y軸は、hTfR+ストレプトアビジンを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。x軸は、GFPを0~10で、10刻みの対数スケールで示す。 CRE-ルシフェラーゼ(CRE-Luc)マウスと哺乳動物細胞の両方でニューロテンシン受容体(NTSR)の下流でIP応答を誘導するCDP-NTペプチド複合体を示す。Aは、CRE-LucマウスのCRE駆動型ルシフェラーゼに影響を及ぼす関連経路を示す。PLCは、ホスホリパーゼCを示す。ACは、アデニリルシクラーゼを示す。CaMKは、カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼを示す。CREBは、cAMP応答配列結合タンパク質を示す。PKAは、プロテインキナーゼAを示す。PDEは、cAMPホスホジエステラーゼを示す。FSは、フォルスコリンを指す。Rolは、ロリプラムを指す。GPCRは、Gタンパク質共役受容体を指す。Bは、インビトロでのニューロテンシン(NT)受容体結合を示しており、NTSR1を発現するHEK-293細胞において、NTまたはNTペプチド複合体に応答する場合にのみIP蓄積を示す。IPは、アッセイキット(CisBio 62IPAPEB)を使用してFRET比の読み取りで測定した。ウェル数は、ビヒクルを除くすべてでN=3であり、ビヒクルはN=36であった。横棒は、試料の平均を示す。mTF=マウストランスフェリン。ベースラインHEK293=NTSR1を発現していないHEK293細胞(N=36ウェル)の平均アッセイ値が参照として含まれた。 EGFR駆動型がん細胞におけるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)または抗EGFR抗体療法(例えば、セツキシマブ)に対する耐性の機序を概略的に示す。正常なEGFRを有するEGFR駆動型がん細胞(パネル1)は、抗EGFR抗体とチロシンキナーゼ阻害剤の両方に感受性があり、いずれかの治療に応答して下流のKRAS及びMEKシグナル伝達が減少する(灰色の破線矢印で示される)。TKI結合を妨げるEGFRの変異(パネル2)はTKIに耐性があり、TKI処理に応答して下流のシグナル伝達にほとんどまたはまったく変化を示さない(黒い実線の矢印で示される)。TKI耐性EGFR駆動型がん細胞は、抗EGFR抗体に対して依然として感受性であり得る。他の関連する増殖因子受容体(例えば、HER2、ERBB3、またはMET)によるヘテロ二量体化及び交差活性化により、二量体化パートナーが過剰発現しているEGFR駆動型がん細胞(パネル3)が、抗EGFR抗体とTKIの一方または両方に対して非感受性になる。EGFRバリアントIII(EGFRvIII)など、EGFRが構成的に活性なEGFR駆動型がん細胞(パネル4)は、二量体化によるEGFRの活性化を防ぐ抗EGFR抗体に対して感受性がない。構成的に活性なEGFRを有する細胞は、依然としてTKIに対して感受性であり得る。 EGFR駆動型がん細胞における耐性機序を克服するための選択的枯渇複合体(SDC)の使用を概略的に示す。これは、SDCが、正常なEGFRを有するがんまたはがん細胞、及びTKIまたはEGFR抗体療法に耐性のあるがんまたはがん細胞を含む、EGFR駆動型がんに対して有効であり得ることを示している。EGFR駆動型がん細胞内の正常なEGFRを持つEGFR駆動型がん細胞(パネル1)は、SDCによって効果的に枯渇され、その結果、SDC治療に応答して下流のKRAS及びMEKシグナル伝達が減少する(灰色の破線の矢印で示される)。TKI結合を妨げる変異型EGFR(パネル2)は、SDC によって効果的に枯渇され、SDC処理に応答して下流のKRAS及びMEKシグナル伝達が減少する。過剰発現した増殖因子受容体(例えば、HER2、ERBB3、MET、パネル3)とヘテロ二量体化され交差活性化されたEGFRは、SDCによって効果的に枯渇され、SDC処理に応答して下流のKRAS及びMEKシグナル伝達が減少する。ヘテロ二量体化EGFRの枯渇は、ヘテロ二量体化のパートナー(例えば、HER2、ERBB3、またはMET、パネル3)を枯渇させる可能性もある。EGFRvIIIなどの構成的に活性なEGFR(パネル4)は、SDCによって効果的に枯渇され、SDC処理に応答して下流のKRAS及びMEKシグナル伝達が減少する。 PD-L1へのpH依存性結合によるペプチドの濃縮を示すフローソーティングデータを示す。このデータは、フローソーティングによってpH依存性結合ペプチドを生成できることを示している。図11Dに記載のように調製された、PD-L1結合ペプチド(配列番号187)に基づくヒスチジンドープライブラリは、中性pH(7.4)でより強いPD-L1結合を示し、酸性pH(5.5)でより弱い結合を示すペプチドについてスクリーニングされた。入力ライブラリは、最初にpH7.4で高いPD-L1結合についてスクリーニングされた。スクリーニングの第2ラウンドと第3ラウンド(それぞれ「ソート1」と「ソート2」)は、エンドソームpHを模倣するためにpH5.5で実行され、このpHでの乏しいPD-L1結合について濃縮された。スクリーニングの最終ラウンド(「ソート3」)は、pH7.4で実行された。スクリーニング後、pH7.4及びpH5.5で異なる結合が観察された(「ソート4」)。それぞれのグラフの5角形で囲まれた領域は、ソーティング中に選択された集団を示す。より暗いトポグラフィー密度マップは、pH7.4条件下でのPD-L1による染色を示し、明るいトポグラフィー密度マップは、pH5.5条件下でのPD-L1による染色を示す。 図21で同定されたpH依存性PD-L1結合ペプチドバリアントについてのpH7.4(左側のバー)及びpH5.5(右側のバー)での結合データを示す。E2H、M13H、及びK16H置換を有する配列番号187のバリアントを、個別に及び組み合わせて、PD-L1へのpH依存性結合についてスクリーニングした。E2H(配列番号234)、M13H(配列番号235)、K16H(配列番号236)、E2H及びM13H(配列番号237)、E2H及びK16H(配列番号233)、M13H及びK16H(配列番号238)、またはE2H、M13H、及びK16H(配列番号239)に置換を含むペプチドバリアントは、PD-L1に対するさまざまな程度のpH依存性結合を示した。「UTF」は、トランスフェクトされていない細胞(陰性対照)を示す。親ペプチド(配列番号187)は、PD-L1に対してある程度のpH依存性結合を示した。配列番号187のいくつかのバリアントは、親よりもPD-L1結合においてより多くのpH依存性を示したが、配列番号187のいくつかのバリアントは、親よりもPD-L1結合においてより少ないpH依存性を示した。配列番号234のペプチドは、pH7.4対pH5.5での結合において大きな差異を有することが示され、pH5.5よりもpH7.4でより高い結合を実証した。配列番号233のペプチド(黒い矢印)は、pH7.4対pH5.5での結合において特に大きな差異を有することが示され、pH5.5よりもpH7.4でより高い結合をも実証した。このデータは、pH7.4ではより高いレベルで、pH5.5ではより低いレベルでPD-L1に結合するペプチドの生成を示している。 図23B及び図23Cに示されるアッセイで利用されるものなどの選択的枯渇複合体のドメイン構成を概略的に示す。選択的枯渇複合体は、N末端からC末端まで、標的結合ペプチド、第1のペプチドリンカー(GGGGS×4、配列番号224)、アルブミン結合ペプチド(配列番号227)、第2のペプチドリンカー(GGGGS×4、配列番号224)、及びTfR結合ペプチドを含む。 図23Aに示されるように配置された2つの精製された選択的枯渇複合体、及びTfR結合ペプチドがTfRに結合しないペプチドで置換されている2つの陰性対照複合体のSDS-PAGEゲルを示す。ペプチド1(配列番号367)は、EGFRに結合する標的結合ペプチド(配列番号244)、及び配列番号232に対応するTfRに有意に結合しないペプチドを含んでいた。ペプチド2(配列番号328)は、EGFRに結合する標的結合ペプチド(配列番号244)及び配列番号96に対応する高親和性TfR結合ペプチドを含んでいた。ペプチド3(配列番号357)は、PD-L1に結合する標的結合ペプチド(配列番号187)及び配列番号232に対応するTfRに有意に結合しないペプチドを含んでいた。ペプチド4(配列番号356)は、PD-L1に結合する標的結合ペプチド(配列番号187)及び配列番号96に対応する高親和性TfR結合ペプチドを含んでいた。このデータは、これらのペプチドの生産と純度を示している。 図23Bに示される4つのペプチド複合体の、EGFR(左)またはPD-L1(右)を発現する細胞との三元複合体形成を示す。細胞を蛍光標識したTfRで染色し、細胞表面上に発現した標的タンパク質、ペプチド複合体、及びTfR間の三元複合体形成を検出した。EGFR結合ペプチドと高親和性TfR結合ペプチドを含むペプチド2(配列番号328)は、EGFR発現細胞と三元複合体を形成したが、PD-L1発現細胞とは形成しなかった。PD-L1結合ペプチドと高親和性TfR結合ペプチドを含むペプチド4(配列番号356)は、PD-L1発現細胞と三元複合体を形成したが、EGFR発現細胞とは形成しなかった。高親和性TfR結合ペプチドを含まないペプチド1及び3は、三元複合体を形成しなかった。このデータは、標的結合ペプチドとTfR結合ペプチドを含むペプチド複合体が、細胞表面上で標的及びTfRと三元複合体を形成できることを示している。 選択的枯渇複合体(SDC、標的結合ペプチド、受容体結合ペプチド、及びHisタグ(配列番号228)を含む)と、細胞表面上に発現する標的タンパク質、及び細胞表面上に発現するトランスフェリン受容体との三元複合体の形成を概略的に示す。 PD-L1に結合する標的結合ペプチド(配列番号187、「PDL1」)を含む(+)か、または含まない(-)、及びTfRに結合する受容体結合ペプチド(配列番号96、「TfR」)を含むか、または含まないペプチド複合体の、PD-L1(「PDL1」)を発現するかまたは発現しないでTfRを発現する細胞に対する結合データを示す。すべてのペプチド複合体は、Hisタグ(配列番号228)を含んでいた。1番目のバーは、ペプチド複合体なしのPBS陰性対照に対応する。2番目と3番目のバーは、配列番号357のペプチド複合体を使用して測定された。4番目及び5番目のバーは、PD-L1とTfRの両方に結合することができる配列番号356のペプチド複合体を使用して測定された。PD-L1結合ペプチドとTfR結合ペプチドの両方を含むペプチド複合体は、選択的枯渇複合体(SDC)であり得る。ペプチド複合体上のHisタグに結合した蛍光抗His抗体を用いて結合を測定した。PD-L1とTfRの両方を発現している細胞で、PD-L1とTfRの両方に結合するSDCを使用すると、高レベルの結合が観察された。このデータは、細胞が標的と受容体の両方を発現している場合、標的と受容体の両方に結合するペプチドを含むSDCがその細胞に高レベルで結合することを示している(5番目のバー)。データはまた、TfRに結合するペプチド複合体がTfRを発現している細胞に結合することも示している(4番目のバー)が、表面の標的結合物質を追加するとSDC結合が増加するが(5番目のバー)、おそらく協同的結合が原因である。協同的な結合は、2つのTfR結合ペプチドを含むSDCを使用することによっても達成し得る。 単一の標的結合部分(この例ではEGFR結合ナノボディまたはPD-L1結合CDP)と単一の受容体結合部分(この例ではTfR結合CDPまたはscFv)を含む一価の選択的枯渇複合体の例を概略的に示す。これらは、両方の部分がリンカーによって分離されている単一のタンパク質、または1つの単量体がTfR結合部分を含み、別の単量体が標的結合部分を含む二量体複合体として配置できる。活性触媒分子は、TfR結合部分がpH非依存的に結合し、標的結合部分がpH依存的に結合する分子である。活性非触媒分子は、TfR結合部分がpH依存的に結合し、標的結合部分がpH非依存的に結合する分子である。活性触媒分子または活性非触媒分子のいずれかが、それらの標的の選択的枯渇を引き起こすと予想される。非触媒分子は標的とともにエンドソーム分解経路を移動し、触媒分子はTfRを追って細胞表面に戻り、別の標的に結合する。代表的な対照分子は、TfR結合部分と標的結合部分の両方がpH非依存的に結合するが、活性触媒または活性非活性分子と同じくらい効果的または同程度に標的の選択的枯渇を引き起こすか、または、標的の選択的枯渇をまったくまたは有意な方法で引き起こすとは予想されないものである。他の対照を使用して、活性触媒分子または活性非触媒分子のTfR依存性を評価することができ、TfRに結合しない分子の枯渇を比較測定することを含むことができる。その対照は、活性触媒分子または活性非触媒分子と同じくらい効果的または同程度に標的の選択的枯渇を引き起こすか、または、標的の選択的枯渇をまったくまたは有意な方法で引き起こすとは予想されないものである。 TfR結合及び/または標的結合について異なる原子価を有する選択的枯渇複合体の例を概略的に示す。この図は、TfR結合部分(この場合はpH非依存性TfR結合CDP)が分子内に1回(一価)または分子内に2回(二価)存在し得、標的結合部分(この場合はpH依存性EGFR結合ナノボディ)は、分子内に1回(一価)または分子内に2回(二価)存在し得るFc融合体を示す。2つの単量体が同一でないFc融合体は、ノブインホール(KIH)二量体化によって組み立てることができる。多価の選択的枯渇複合体は、単一のポリペプチド鎖として発現することもできる(図示せず)。 PD-L1に結合またはドッキングした高親和性PD-L1結合CDP(配列番号187、漫画)の共結晶構造を示す(表面、明るい陰影は酸素を示し、暗い陰影は窒素を示す)。 図26Aの共結晶構造に見られるように、分解された(R)残基または分解されていない(UR)残基にアミノ酸置換を含むPD-L1結合CDPバリアントの、平均SSM富化の絶対値として示される、相対的結合富化を示す。分解された残基での置換は、分解されていない残基での置換よりも結合に対して正または負の大きな影響を及ぼし(**:P=0.0055)、分解された残基が分解されていない残基よりもPD-L1との相互作用においてより大きな役割を果たしたことを示している。 PD-L1との結合界面におけるPD-1(メッシュ)と配列番号187(漫画)との重ね合わせを示す(表面、明るい陰影は酸素を示し、暗い陰影は窒素を示す)。PD-1結合部位は配列番号187と重複しており、配列番号187がPD-L1への結合についてPD-1と競合すると予想されることを示している。 図26Aの配列番号187のPD-L1共結晶構造の、2つの異なる角度からの拡大図を示す。K5、V9、W12、M13、K16、V39、F40、L43、及びD44を含む、PD-L1と相互作用する配列番号187の残基は棒として示されている。Y56、Q66、R113、M115、A121、及びY123を含む、配列番号187と相互作用するPD-L1の残基も標識される。 配列番号187(灰色)の選択された残基の単離された側鎖を、親CDPに対するPD-L1結合界面で示す(黒色、最小限に衝突する回転異性体)。M13、V39、F40、及びL43を含む配列番号187の標識された残基は、PD-L1への結合を改善した親CDPに対する置換に対応する。 配列番号187(漫画)とPD-L1(表面)との間の結合界面の拡大図を示す。PD-L1表面は、ヒト(Hs)とマウス(Mm)の相同性に応じて色分けされている。白は同一の残基に対応し、暗い影は類似の残基に対応し、明るい影は異なる残基に対応する。ヒトPD-L1とマウスPD-L1の間の結合界面におけるこれらの差異は、配列番号187で見られるマウスのPD-L1交差反応性の欠如と一致している。 配列番号187とPD-L1の共結晶構造を示し、配列番号187は、目的の側鎖が太い棒で示されているワイヤー図として示されている(上)。比較のために、PD-L1へのPD-1の結合を下に示す。
本明細書に記載されるのは、細胞エンドサイトーシス経路(例えば、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシス)を使用して標的分子を選択的に枯渇させるための組成物及び方法である。細胞外タンパク質、可溶性タンパク質、及び細胞表面タンパク質は、増殖、細胞死、炎症、代謝など、細胞と器官の間のシグナル伝達を媒介する。このようなタンパク質は、生産、使用、分解を定期的に繰り返しており、それらの分解は典型的には、エンドソーム-リソソーム経路内で行われる。この経路では、細胞外空間から取り込まれた物質を含むエンドサイトーシス小胞及び埋め込まれた膜タンパク質が酸性化され、そのようなタンパク質を分解する酵素を含むリソソームと融合するか、リソソームに入る。リソソームへの選択的送達を介した循環組織または疾患関連組織からの特定の細胞表面タンパク質または可溶性タンパク質の選択的除去は、可溶性タンパク質もしくは細胞表面タンパク質の過剰発現もしくは蓄積に起因する疾患、または可溶性タンパク質もしくは表面タンパク質における変異(例えば、構成的活性、治療に対する耐性、もしくはドミナントネガティブ活性を引き起こす変異)に関連する疾患を治療するのに使用できる。代替的に、または追加的に、本明細書に記載の選択的枯渇複合体を使用して、投与された治療薬をエンドソーム区画またはリソソーム区画に送達し、例えば、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼの欠乏)またはポンペ病(α-グルコシダーゼの欠乏)などのリソソーム蓄積症を治療することができる。治療分子(例えば、酵素補充療法のためのリソソーム酵素)は、治療分子に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体とともに投与することができ、それによって治療分子をエンドソームまたはリソソームに送達する。いくつかの実施形態では、選択的枯渇構築物は、選択的送達複合体として機能し、エンドソームまたはリソソームへの活性酵素の送達を促進することができる。例えば、リソソーム酵素は、選択的枯渇複合体を使用して送達することができ、エンドソームまたはリソソーム内で酵素活性を保持することができる。リソソーム酵素に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体と組み合わせたリソソーム酵素の投与は、リソソーム酵素単独の投与と比較して、投与される酵素の用量あたりの治療応答を増加させることができる。標的タンパク質の選択的枯渇またはリソソームタンパク質の送達のために、リソソーム送達は、既存のタンパク質の取り込みと再循環のメカニズムを利用し、pH依存性結合ドメインを標的結合分子に操作することによって達成できる。
標的分子の選択的枯渇に使用できるエンドサイトーシス経路の独特な例は、トランスフェリン受容体(TfR)の細胞内移行と輸送を介したものであり、これは通常、細胞及び組織への鉄の送達のためのトランスフェリン受容体(TfR)を介したトランスフェリンの再循環に使用される。トランスフェリンは、レドックス感受性細胞内酵素に向かう鉄イオンの血清シャペロンとして知られている。鉄負荷トランスフェリン(ホロ-トランスフェリン)は、TfRへの特異的結合を介して鉄を細胞に送達し、鉄負荷トランスフェリンはエンドソームに輸送され、そこでは天然のプロトンポンプによってpHが低下している。酸性条件下では、トランスフェリンは鉄結合親和性を失い、細胞内に鉄を放出するが、TfR結合親和性は維持する。TfR:トランスフェリン複合体は本来細胞表面に再循環され、トランスフェリンを中性pH条件にさらす。鉄によって結合されていないトランスフェリン(アポ-トランスフェリン)は、細胞表面での中性pH条件下ではもはやTfR親和性を有さず、循環に放出されてより多くの鉄を拾い上げ、本質的に細胞への鉄送達の触媒プロセスであるプロセスを繰り返す。
本開示の組成物及び方法は、トランスフェリン受容体エンドサイトーシス及び再循環経路を利用して、標的分子(例えば、可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質)をリソソーム分解のためにエンドサイトーシス小胞に送達する。本開示の組成物及び方法は、この経路を介して疾患において過剰発現する特定の標的受容体または可溶性タンパク質を選択的に分解するために使用することができる。標的受容体または可溶性タンパク質のリソソーム分解の結果として、記載されている組成物及び方法は、循環中の細胞表面タンパク質または可溶性タンパク質から標的受容体を効果的に低減、減少、排除、または枯渇させ、これは、本明細書に記載のように医学において多くの用途を有する。本開示の選択的枯渇複合体は、標的結合ペプチド(例えば、標的結合シスチン高密度ペプチド、標的結合抗体、標的結合ナノボディ、標的結合抗体断片、または他の標的化剤)に結合したTfR結合ペプチド(例えば、TfR結合システイン高密度ペプチド)は、TfR(TfR結合ペプチドを介して)と標的(標的結合を介して)の両方に結合することにより、標的分子をTfRに動員することができる。エンドサイトーシスの際、TfRは選択的枯渇複合体と標的分子をエンドサイトーシス小胞に運ぶことができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体のTfR結合ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4)からエンドソームpH(約pH5.5)まで(両端を含む)で、TfRに対して高い親和性を有し得る。TfR結合ペプチドは、内部移行時及びエンドソーム区画が酸性化する際に、TfRに対する親和性を維持できる。選択的枯渇複合体の標的結合ペプチドは、細胞外pHで標的分子に対してより高い親和性を有することができ、より低いエンドソームpHで標的分子に対してより低い親和性を有することができる。エンドサイトーシス小胞内で、選択的枯渇複合体はTfRに結合したままになり、エンドソームの酸性化によって標的分子を放出することができる。標的が放出されると、選択的枯渇複合体はTfRに結合したままになり、TfRは細胞表面に再循環されて別の標的分子が再ロードされる。標的分子はエンドソームに留まったままになり得、そこでリソソームに送達されて分解される。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体のTfR結合ペプチドは、細胞外pHでTfRに対してより高い親和性を有することができ、より低いエンドソームpHで標的分子に対してより低い親和性を有することができる。エンドサイトーシス小胞の内部では、選択的枯渇複合体がエンドソームの酸性化の際にTfRら放出され得る。
本開示の方法は、細胞(例えば、TfRを発現する細胞)を選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む分子)と接触させることを含み得る。選択的枯渇複合体は、トランスフェリン受容体を介した(TfRを介した)エンドサイトーシスを介して、標的分子をエンドサイトーシス小胞に動員できる。標的分子はエンドサイトーシス小胞に放出され得、そこでリソソームに送達されて分解される。選択的枯渇複合体は、TfRに結合したままにすることができ、TfRが細胞表面に再循環されるため、TfRに結合したままにすることができる。そのような方法は、疾患または状態に関連する分子などの標的分子を枯渇させるために使用することができる。例えば、本開示の方法を使用して、過剰発現しているか、疾患関連変異(例えば、構成活性、治療抵抗性、またはドミナントネガティブ活性を引き起こす変異)を含むか、または疾患または状態において蓄積する、可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質を選択的に枯渇させることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の選択的枯渇複合体は、小分子、ペプチド、もしくはタンパク質などの任意の分子タイプの化学コンジュゲーションによって、またはペプチドもしくはタンパク質の組換え融合によってそれぞれ連結される、ペプチドコンジュゲート、ペプチド複合体、ペプチド構築物、融合ペプチド、または融合分子を含み得る(例えば、ペプチド構築物またはペプチド複合体)。「融合ペプチド」及び「ペプチド融合体」という用語は、本明細書中で交換可能に使用される。いくつかの実施形態では、ペプチド構築物またはペプチド複合体は、生物学的または合成的に生成することができる。したがって、場合によっては、選択的枯渇複合体は、小分子、ペプチド、もしくはタンパク質などの別の分子もしくは分子群、またはナノ粒子などの他の巨大分子に連結されたTfR結合ペプチドドメインを含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の選択的枯渇複合体は、1つ以上の標的結合ペプチド、1つ以上の活性剤(例えば、治療剤、検出可能な薬剤、またはそれらの組み合わせ)、またはそれらの組み合わせにコンジュゲート、連結、または融合された、1つ以上の本明細書に記載のTfR結合ペプチドを含むペプチド複合体であり得る。本明細書に記載の選択的枯渇複合体は、化学コンジュゲート及び組換え融合分子を含み得る。場合によっては、化学コンジュゲートは、別のペプチド(例えば、標的結合ペプチド)、分子、薬剤、またはそれらの組み合わせに化学的にコンジュゲートされるか、または連結された本明細書に記載のTfR結合ペプチドを含み得る。分子は、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または他の巨大分子(例えば、ナノ粒子)及びポリマー(例えば、核酸、ポリリジン、またはポリエチレングリコール)を含み得る。場合によっては、本開示のTfR結合ペプチドは、リンカーを介して別のペプチドまたは分子にコンジュゲートされる。リンカー部分は、切断可能(例えば、pH感受性リンカーもしくは酵素に不安定なリンカー)または安定なリンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチド複合体は、組換え発現され得る融合分子(例えば、融合ペプチドまたは融合タンパク質)であり、融合分子は、組換え発現され得る1つ以上の他の分子ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または他の巨大分子に融合された1つ以上のTfR結合ペプチドを含み得る。
本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)は、分解されているが細胞表面に再循環されていないリソソーム送達分子と比較して、より低い用量で治療効果を有するか、またはより長く持続する治療効果を有することができる。本開示の選択的枯渇複合体は、リソソーム内で分解されるのではなく、細胞表面に再循環して標的を「リロード」することができ、これは、本開示の1つの選択的枯渇複合体の可能性が、潜在的な触媒効果によって、複数の標的の分解を促進できることを意味する。細胞表面に再循環されないリソソーム送達分子は、再循環または「リロード」されることなく、それ自体が分解され得るか、リソソームに蓄積し得る。本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)は、細胞表面に再循環されないリソソーム送達分子と比較して、より広い治療ウィンドウ(すなわち、それを超えると治療薬力学的応答が観察されるが、それを下回ると毒性が観察される投与量)を有することができる。薬物(例えば、本開示の選択的枯渇複合体)の治療ウィンドウは、薬物が許容できない毒性作用を有さずに有効である用量範囲である。本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)は、毒性のリスクがより少なく使用することができる。本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)は、細胞表面に再循環されない代替的な療法(例えば、リソソーム送達分子)よりも低いモル投与量で使用することができる。細胞内での本開示の選択的枯渇複合体の選択性及び再循環可能な性質のために、治療剤として、それらは、使用されるにつれて枯渇するリソソームを標的とする再循環不可能な送達組成物ほど急速に枯渇しないという利点がある。さらに、本開示の選択的枯渇複合体の選択性及び再循環の側面のために、治療剤として、非選択的治療剤より毒性が低いという利点がある。これは、治療薬が非選択的で毒性が高くなり得、正常な細胞、器官、及び組織に有害な副作用を示すか、または効果的な治療用量よりも少ない量が必要とされるため、疾患を軽減、治癒、除去する能力が低くなる、がんへの適用に特に有利である。
本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)は、糖、グリカン、糖様分子含有ポリマー、または他の誘導体を含む代替的な療法(例えば、リソソーム送達分子)よりも免疫原性が低くなり得る。本開示の選択的枯渇複合体は、マンノース-6-リン酸受容体またはアシアロ糖タンパク質受容体を標的とする代替的な療法(例えば、リソソーム送達分子)よりも免疫原性が低くなり得る。本開示の選択的枯渇複合体は、単一の組換え発現によって製造することができ、マンノース-6-リン酸受容体またはアシアロ糖タンパク質受容体に対するリガンドを生成する多重合成ステップを有する分子よりも、製造歩留まり、純度、コスト、または製造時間が向上し得る。本開示の選択的枯渇複合体は、細胞表面で結合する標的を含めて、TfR及び標的に同時に結合する能力が最大になるようにリンカーを設計する能力により、より大きな治療効果またはより低い治療用量を有することができる。本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、TfR結合抗体ベースの治療薬と比較して、適応免疫応答を誘発するエピトープがより少ないため、免疫原性が低下し得る。本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、TfR結合抗体ベースの治療薬と比較して、活性薬剤のタンパク質融合複合体への組み込みがより容易でより破壊的でないことを示し得る。本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、TfR結合抗体ベースの治療薬と比較して、表面積が小さいため、オフターゲット結合のリスクが低くなり得る。本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、分子量がより小さい、流体力学的半径がより小さい、またはモル溶液粘度がより低いため、TfR結合抗体ベースの治療薬よりも高いモル濃度で製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、対象に同じモル用量または同様の有効用量で投与された場合、抗TfR抗体または他の治療剤よりもより低いオンターゲット毒性を示す。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、対象に同じモル用量または同様の有効用量で投与された場合、抗体または他の治療剤よりもより低いオフターゲット毒性を示す。例えば、本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、抗体よりも約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍高いモル用量で対象に投与され得るが、観察される毒性は同等であるか、または低い。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチド、TfR結合ペプチドコンジュゲート、またはTfR結合融合ペプチドは、抗TfR抗体または他の治療剤と同じ重量用量で対象に投与された場合、抗TfR抗体または他の治療剤よりもより高い有効性を示す。本開示のTfR結合ペプチドは、半減期延長部分(例えば、Fc、SA21、PEG)に融合された場合、活性及び有効性を維持しながら、さらに低用量で送達することができ、したがって、抗TfR抗体または他の治療剤の投与よりもはるかに優れている。
いくつかの実施形態では、本開示は、TfRに結合する、ペプチド(例えば、CDP、ノットペプチド、またはヒッチン)、化学コンジュゲート(例えば、1つ以上のTfR結合ペプチド及び1つ以上の活性剤を含む)、または組換え発現された融合分子(例えば、1つ以上のTfR結合ペプチド及び1つ以上の活性剤を含む)を提供する。TfR結合ペプチドは、システイン高密度ペプチド(CDP)であり得る。「ペプチド」、「ミニタンパク質」、「タンパク質」「CDP」、「TfR結合ペプチド」、「TfR結合CDP」、「TfR結合ペプチド」、及び「操作されたTfR結合ペプチド」という用語は、本明細書中で交換可能に使用される。本開示に記載のペプチドのTfRへの結合は、選択的枯渇複合体、ペプチド、ペプチド複合体、またはペプチド構築物(例えば、融合タンパク質、または薬剤にコンジュゲート、連結、もしくは融合されたペプチド)の細胞障壁(例えば、BBB)を越えたトランスサイトーシスを促進することができる。本開示に記載のペプチドのTfRへの結合は、TfRを発現する任意の細胞における、またはいくつかのがん細胞、肝細胞、脾臓細胞、及び骨髄細胞における、選択的枯渇複合体、ペプチド、またはペプチド複合体のエンドサイトーシスを促進することができる。また本明細書で開示されるのは、CDPの多様なライブラリをスクリーニングし、ヒトTfRに特異的に結合するCDPを同定するための哺乳動物表面提示スクリーニングプラットフォームの使用である。そのような同定されたペプチドは、改変してTfRへの結合を改善し、TfRに結合して細胞表面に再循環されるペプチドまたはペプチド複合体(例えば、図12A及び図12Bに示されるようなpH非依存性TFR結合CDP)として、選択的枯渇複合体において使用することができる。また本明細書で開示されるのは、CDPの多様なライブラリをスクリーニングし、分解することが望まれる標的に特異的に結合するCDPを同定するための哺乳動物表面提示スクリーニングプラットフォームの使用である。そのような同定されたペプチドは、選択された標的への結合について最適化され、そのような選択された標的に結合し、細胞内での分解のためにエンドソーム内で放出されるペプチドまたはペプチド複合体(例えば、図12A及び図12Bに示されるようなpH依存性標的結合CDP)として選択的枯渇複合体で使用することができる。その後、さらなる親和性成熟を実施して、必要に応じてさまざまな親和性を有するTfR結合CDPまたは標的結合CDPのアレルシリーズを得ることができる。いくつかの実施形態では、TfR結合CDPまたは標的結合CDPが同定され、結合は結晶学または他の方法によって決定され得る。本開示のペプチドは、種間で交差反応性を有し得る。例えば、本明細書で開示されるペプチドは、場合によっては、ヒトとマウスのTfRに結合する。本明細書で開示されるペプチドは、静脈内投与後、CNSに蓄積し、TfRの結合を介してBBBを透過することができる。本明細書で開示されるのは、腫瘍学、自己免疫疾患、急性及び慢性の神経変性、ならびに疼痛管理における治療薬送達剤として使用するためのTfR結合CDPである。TfR結合CDPを介した活性剤または医薬品の送達は、製造がより簡単で(ペプチドは生物学的または合成的な手段により製造することができる)、安定性が改善され、治療ウィンドウが改善され、サイズが小さい(カーゴ活性の立体障害の可能性が低い)ことから、従来の抗TfR抗体よりも有利であり得る。したがって、本開示の方法及び組成物は、CNS(例えば、脳)内にカーゴ分子(例えば、治療用及び/または診断用の小分子、ペプチドまたはタンパク質)を効果的に輸送するという課題に対する解決策を提供することができる。例えば、本開示のペプチドは、脳内に位置する腫瘍への薬物送達を助ける。
本開示のいくつかの実施形態では、CDP、ノットペプチド、ヒッチン、またはノットペプチドもしくはヒッチンに由来するペプチドの多様なライブラリは、哺乳動物表面提示スクリーニングプラットフォームと組み合わせて使用することができ、再循環が望まれるヒトTfRまたは分解が望まれる標的に特異的に結合するペプチドを同定するために使用される。(例えば、Crook et al.(2017) Mammalian display screening of diverse cystine-dense peptides for difficult to drug targets. Nat Commun 8:2244を参照されたい)。いくつかの実施形態では、CDP、ノットペプチド、ヒッチン、またはノットペプチドもしくはヒッチンに由来するペプチドの多様なライブラリは、新規ペプチド配列を得るために内在性ペプチド配列から変異導入される。TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチドが同定されたら、親和性成熟(例えば、部位飽和変異導入)を実施して、TfRまたは標的に対する親和性がさまざまな(例えば、改善された)結合物質のアレルシリーズを得ることができる。これらの技術は、ペプチド-受容体相互作用の性質(例えば、受容体結合などに重要なアミノ酸残基)を同定するために、さまざまな他の分析方法(例えば、結晶学または分光法)と組み合わせて使用することができる。場合によっては、本開示のペプチドを成熟させてヒトTfRに結合させる。
いくつかの実施形態では、本開示の操作されたペプチド(例えば、ヒスチジン含有またはヒスチジンリッチの標的結合ペプチド)は、生理学的な細胞外pH(例えば、約pH7.2~約pH7.5のpH、約pH6.5~約7.5のpH、または約pH6.5~約pH6.9のpH)で高い標的結合親和性を有するが、エンドソームの約6.5、約6.0、または約5.5などの低いpHレベルでは、結合親和性が著しく低下し得る。細胞外pHは、例えばpH7.4であり得る。細胞外pHは、pH7.2、7.0、または6.8など、腫瘍の微小環境を含めてより低くなり得る。いくつかの実施形態では、例えば腫瘍環境において、細胞外pHは、約pH6.5~約pH6.9であり得る。エンドサイトーシスの際、エンドソームのpHが低下する。エンドソームのpHは、プロトンポンプの作用によって、またはpHのより低い他の小胞と合体することによって低下し得る。pHは7.0に低下し、次いで6.5に低下し、次いで6.0に低下し、次いで5.5以下に低下し得る。一部のエンドソームは初期エンドソームと呼ばれ、pH6.5前後になり得る。これらのエンドソームの一部は、再循環エンドソームになる。一部のエンドソームは後期エンドソームと呼ばれ、pH5.5前後になり得る。一部のエンドソームは、pHが4.5になり得るリソソームになるか、リソソームと合体する。リソソーム内の酵素及びその他の因子は、リソソームの内容物の分解を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、約pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下でエンドソーム内に放出される。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、エンドサイトーシスに続くpHの低下により、エンドソーム成熟プロセス中の任意の時点で放出され得る。場合によっては、ヒスチジンスキャン及び比較結合実験を実施して、そのようなペプチドを開発及びスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチド中のアミノ酸残基は、標的またはTfRへのpH依存性結合親和性を変更するために、異なるアミノ酸残基で置換される。アミノ酸置換は、低いpHにおける結合親和性を増加させること、高いpHにおける結合親和性を増加させること、低いpHにおける結合親和性を減少させること、高いpHにおける結合親和性を減少させること、またはこれらの組み合わせをなし得る。例えば、TfRに対して高い親和性を有し、細胞表面への再循環のためにTfRに結合するペプチドまたはペプチド複合体として選択的枯渇複合体において使用されるペプチドは、エンドソーム内で放出されないような、pH非依存性TfR結合ペプチド(例えば、pH非依存性TfR結合CDP)であり得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、エンドソームの酸性化によりエンドソーム区画のイオン強度が増加するので、TfRに結合したままであり得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、エンドソームpHで安定であり、例えば、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下ではエンドソーム内で放出しない。逆に、選択された標的に結合するための高い親和性を有し、そのような選択された標的に結合し、細胞内での分解のためにエンドソームで放出されるペプチドまたはペプチド複合体として選択的枯渇複合体で使用されるペプチドは、エンドソーム内で放出されるようなpH依存性標的結合CDPであり得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、エンドソームの酸性化によりエンドソーム区画のイオン強度が増加するので、標的を放出することができる。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、エンドソームpHで安定性が低くなり、例えば、pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下でエンドソーム内ですべてまたは一部を放出する。場合によっては、本開示のTfR結合ペプチドは、高いTfR結合能力を保持しながら、小胞内(例えば、エンドソーム内)での機能を改善するために最適化され得る。例示的な本開示のTfR結合ペプチドは、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列を含む表1に示される。
本明細書に記載されるのは、いくつかの実施形態では、TfRなどの目的のタンパク質もしくは分子に結合するか、もしくは枯渇のために標的分子に結合するか、またはその両方のための、ペプチド及びペプチド複合体、ならびにペプチド及びペプチド複合体をスクリーニングする方法である。トランスフェリンなどの野生型または内在性分子と比較して、本明細書に記載の方法及び組成物は、改善されたTfR結合能力を有するペプチド、もしくはBBBを越える改善された輸送能力を示すペプチド、またはこれらの任意の組み合わせを提供することができる。場合によっては、本明細書中に記載のペプチドは、カーゴ分子(例えば、標的結合分子)を内皮細胞層(例えば、BBB)または上皮層を越えて効率的に輸送する。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドは、TfRに結合し、小胞性トランスサイトーシスを促進する。場合によっては、本開示のTfR結合ペプチドは、TfRを過剰発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合し、細胞によるペプチドの取り込みを促進する。いくつかの態様では、本明細書に記載のTfR結合ペプチドまたはペプチド複合体は、がんなどのTfR過剰発現細胞による小胞性トランスサイトーシス及び取り込み、またはこれらの組み合わせを促進する。場合によっては、本開示のTfR結合ペプチドは、選択的枯渇複合体及び標的分子のTfR媒介性エンドサイトーシスを促進する。
本開示のTfR結合ペプチドは、ヒト、サル、マウス、及びラットのTfRを含む、異なる種のTfRに結合することができる。場合によっては、TfR結合ペプチドのアミノ酸残基のいずれかにおけるバリエーションまたは変異は、交差反応性に影響を及ぼし得る。場合によっては、TfRの結合部位と相互作用するTfR結合ペプチドのアミノ酸残基のいずれかにおけるバリエーションまたは変異は、交差反応性に影響を及ぼし得る。
本明細書に記載されるのは、非限定的に、高い親和性で標的タンパク質(例えば、TfR)に結合する能力を保持しながら、カーゴ分子を運搬するのに十分な大きさでありながら、細胞凝集体(例えば、固形腫瘍)の中心部など、細胞組織に接近するのに十分な小ささであり得る、設計されたかまたは操作されたペプチド、組換えペプチド、及びシステイン高密度ペプチド(CDP)/小ジスルフィド-ノットペプチド(例えば、ノットペプチド、ヒッチン、及びそれらに由来するペプチド)を含む、ペプチドである。場合によっては、本明細書に記載のペプチドは、血管のトランスサイトーシスを介してBBBを越えてCNS(例えば、実質)にカーゴ分子を運搬する。場合によっては、トランスサイトーシスは、TfR媒介性である。
さらに、本明細書に記載されるのは、ペプチド-受容体相互作用の性質を決定(例えば、X線結晶学を使用する)するため、ならびにCNS(例えば、脳)または他のり患した器官及び組織内の蓄積を含むインビボにおける薬力学及び薬物動態の特性を決定するための方法及び組成物である。本明細書に記載のペプチドのいくつかは、腫瘍細胞を標的とし、腫瘍細胞内に蓄積する能力を有する。場合によっては、腫瘍細胞は、TfRを過剰発現している。いくつかの態様において、本開示のペプチドは、高いインビボ安定性、例えば、高いプロテアーゼ安定性、グルタチオン(GSH)などの還元剤に対する高い耐性を有し、高温(例えば、95℃まで)に耐える。
本開示は、いくつかの実施形態では、そのような受容体に結合することが可能なペプチドまたはタンパク質を同定するための、3Dタンパク質または受容体構造に基づいたペプチドまたはタンパク質の設計アプローチを提供する。場合によっては、受容体は、トランスフェリン受容体である。
本明細書で使用される場合、天然のL-エナンチオマーアミノ酸の略語は、標準的なものであり、次のとおりである:アラニン(A、Ala);アルギニン(R、Arg);アスパラギン(N、Asn);アスパラギン酸(D、Asp);システイン(C、Cys);グルタミン酸(E、Glu);グルタミン(Q、Gln);グリシン(G、Gly);ヒスチジン(H、His);イソロイシン(I、Ile);ロイシン(L、Leu);リジン(K、Lys);メチオニン(M、Met);フェニルアラニン(F、Phe);プロリン(P、Pro);セリン(S、Ser);トレオニン(T、Thr);トリプトファン(W、Trp);チロシン(Y、Tyr);バリン(V、Val)。典型的に、Xaaは、任意のアミノ酸を示し得る。いくつかの実施形態では、Xは、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、またはアルギニン(R)であり得る。
本開示のいくつかの実施形態は、任意の標準もしくは非標準のアミノ酸またはそれらの類似体のD-アミノ酸残基を企図する。アミノ酸配列が一連の三文字または一文字のアミノ酸略語で表される場合、標準的な用法及び慣例に従って、左方向はアミノ末端方向、右方向はカルボキシ末端方向である。
「ペプチド」、「ポリペプチド」、「ミニタンパク質」、「タンパク質」、「ヒッチン」、「システイン高密度ペプチド」、「ノットペプチド」、または「CDP」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で交換可能に使用され得る。種々の実施形態では、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、そのアルファ炭素がペプチド結合を介して連結されているアミノ酸の鎖であり得る。したがって、鎖の一端(例えば、アミノ末端またはN末端)の末端アミノ酸は、遊離アミノ基を有し得、鎖の他端(例えば、カルボキシ末端またはC末端)の末端アミノ酸は、遊離カルボキシル基を有し得る。本明細書で使用される場合、「アミノ末端」(例えば、略してN末端)という用語は、ペプチドのアミノ末端のアミノ酸上の遊離α-アミノ基、またはペプチド内の任意の他の位置にあるアミノ酸のα-アミノ基(例えば、ペプチド結合に関与する場合のイミノ基)を指し得る。同様に、「カルボキシ末端」という用語は、ペプチドのカルボキシ末端上の遊離カルボキシル基、またはペプチド内の任意の他の位置にあるアミノ酸のカルボキシル基を指し得る。ペプチドはまた、非限定的に、アミド結合に対し、エーテルまたはチオエーテルによって連結されたアミノ酸などのペプチド模倣体を含むがそれらに限定されない、本質的に任意のポリアミノ酸を含む。
本明細書で使用される場合、「ペプチド構築物」という用語は、1つ以上のペプチドまたはカーゴ分子にコンジュゲート、連結、または融合することができる1つ以上の本開示のペプチドを含む分子を指し得る。場合によっては、カーゴ分子は、活性剤である。「活性剤」という用語は、任意の分子、例えば、それぞれのペプチド構築物の局在化、検出、または可視化を可能にし得る生物学的作用及び/または物理的作用(例えば、放射線の放出)を誘発することが可能な任意の分子を指し得る。種々の実施形態では、「活性剤」という用語は、治療剤及び/または診断剤を指す。本開示のペプチド構築物は、本明細書に記載の1つ以上のリンカー部分(例えば、切断可能または安定なリンカー)を介して1つ以上の活性剤に連結されたTfR結合ペプチドを含み得る。
本明細書で使用される場合、「ペプチド複合体」という用語は、複合体を形成するために融合、連結、コンジュゲート、または接続される本開示の1つ以上のペプチドを指すことができる。場合によっては、1つ以上のペプチドは、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、半減期改変ペプチド、薬力学及び/または薬物動態の特性を改変するペプチド、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含むペプチド複合体は、本明細書では選択的枯渇複合体と呼ぶことができる。
本明細書で使用される場合、「含む」及び「有する」という用語は、交換可能に使用され得る。例えば、「配列番号32のアミノ酸配列を含むペプチド」と「配列番号32のアミノ酸配列を有するペプチド」という用語は、交換可能に使用され得る。
本明細書で使用される場合、別途の指定がない限り、「TfR」または「トランスフェリン受容体」という用語は、本明細書で使用されるタンパク質の一種であり、任意の種に由来するトランスフェリン受容体(例えば、ヒトもしくはマウスのTfR、または任意のヒトもしくは非ヒト動物のTfR)を指し得る。場合によっては、本明細書で使用される場合、「TfR」または「トランスフェリン受容体」という用語は、ヒトTfR(hTfR)を指し、TfR、またはTfR1、TfR2、可溶性TfRを含む既知のTfRホモログもしくはオルソログのいずれか、またはこれらの任意の組み合わせもしくは断片(例えば、細胞外ドメイン)を含み得る。
本明細書で使用される場合、「エンドソーム」、「エンドソームの」、「エンドソーム区画」、または「エンドサイトーシス経路」という用語は、交換可能に使用することができ、細胞内エンドソームネットワークまたはトランスゴルジネットワーク(TGN)の任意の1つ以上の構成要素を指し得る。これにより、リソソーム分解及び細胞表面への再循環など、細胞内の異なる膜結合コンパートメント間のペプチドとカーゴの小胞トランスサイトーシスまたは輸送と移動が可能になる。そのような経路は、一般に輸送小胞と呼ばれる小胞の、つまり初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソームまでの成熟及び移行を含み、またエンドソーム区画の酸性度は、成熟プロセス全体でエンドソームの酸性化により増加することが理解される。成熟したエンドサイトーシス経路の最後の小胞として機能するリソソームには、典型的に、後期エンドソームの内容物を消化する加水分解酵素が含まれている。他のエンドソームは、内容物が細胞表面に再循環されるエンドソームの再循環経路に進む。
本明細書で使用される場合、「pH非依存性」は、分子または部分に関して使用されるとき、エンドソーム区画が酸性化されるにつれて、分子または部分のその標的への結合親和性が、エンドソーム内での標的との解離を可能にするほどには変化しないことを意味する。例えば、参照の分子または部分は、細胞外pH及びエンドソームpHでその標的に対して同じまたは類似の親和性を有する。pH依存性の分子または部分のその標的に対する結合親和性が、エンドソーム経路に入り、通過するにつれて変化し、エンドソーム内で標的との解離をある程度可能にするか、または参照の分子または部分が細胞外pHとエンドソームpHで異なる親和性を持つため、pH非依存性の分子または部分が、pH依存性の分子または部分を含まないことも理解される。
「操作された」という用語は、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドがその天然の遺伝子環境から取り出され、そのため、他の無関係なコード配列または望ましくないコード配列を含まず、遺伝子操作されたタンパク質産生系内での使用に好適な形態であることを示す。そのような操作された分子は、その天然環境から分離されたものであり、cDNA及びゲノムクローン(すなわち、異なる生物に由来するDNAの断片を含むベクターを含む原核細胞または真核細胞)を含む。本発明の操作されたDNA分子は、通常関連する他の遺伝子を含まないが、エンハンサー、プロモーター、及びターミネーターなどの天然または非天然の5’及び3’非翻訳領域は含み得る。
「操作された」ポリペプチドまたはタンパク質は、血液及び動物組織などから離れて、その本来の環境以外の状態で存在するポリペプチドまたはタンパク質である。好ましい形態において、操作されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。ポリペプチドは、高度に精製された形態、例えば、90%を超える純度、95%を超える純度、より好ましくは、98%を超える純度、または99%を超える純度で提供することが好ましい。本文脈で使用される場合、「操作された」という用語は、二量体、ヘテロ二量体、及び多量体、または代替的にグリコシル化、カボキシル化、修飾、もしくは誘導体化された形態などの代替的な物理的形態で同じポリペプチドが存在することを排除しない。
「操作された」ペプチドまたはタンパク質は、天然に存在するポリペプチドの構造、配列、または組成とは明確に異なるポリペプチドである。操作されたペプチドとしては、非天然ペプチド、人工ペプチド、単離ペプチド、合成ペプチド、設計されたペプチド、修飾されたペプチド、または組換え発現されたペプチドが挙げられる。操作されたTfR結合ペプチド、そのバリアント、または断片が本明細書で提供される。これらの操作されたTfR結合ペプチドは、標的結合部分または半減期延長部分にさらに連結することができ、または活性剤または検出可能な薬剤、または前述の任意の組み合わせにさらに連結することができる。
本開示のポリペプチドは、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減すること、(2)酸化に対する感受性を低減すること、(3)タンパク質複合体を形成するために結合親和性を変更すること、(4)結合親和性を変更すること、(5)特定のpH値における結合親和性を変更すること、及び(6)他の物理化学的特性または機能特性を付与または改変することが何らかの方法でなされるように修飾されたポリペプチドを含む。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列(例えば、分子間接触を形成するドメイン(複数可)以外のポリペプチドの部分)においてなされる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸のポリペプチドにおける、機能的に類似したアミノ酸による置換を指し得る。次の6つの群には、それぞれ互いに保存的置換となり得るアミノ酸が含まれる:i)アラニン(A)、セリン(S)、及びトレオニン(T);ii)アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E);iii)アスパラギン(N)及びグルタミン(Q);iv)アルギニン(R)及びリジン(K);v)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V);vi)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、非天然アミノ酸を含み得る。例えば、同じアミノ酸の非天然誘導体に対するアミノ酸の置換は、保存された置換であり得る。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド断片」及び「切り詰め型ポリペプチド」という用語は、対応する完全長ペプチドまたはタンパク質と比較して、アミノ末端及び/またはカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドを指し得る。種々の実施形態では、断片は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、または少なくとも1000のアミノ酸の長さである。種々の実施形態では、断片はまた、例えば、最大1000、最大900、最大800、最大700、最大600、最大500、最大450、最大400、最大350、最大300、最大250、最大200、最大150、最大100、最大50、最大25、最大10、または最大5アミノ酸の長さであり得る。断片は、その末端のいずれかまたは両方に、1つ以上の追加のアミノ酸、例えば、異なる天然に存在するタンパク質に由来するアミノ酸の配列(例えば、Fcもしくはロイシンジッパードメイン)、または人工アミノ酸配列(例えば、人工リンカー配列)をさらに含み得る。
本明細書で使用される場合、「バリアント」「変異体」または「濃縮された変異体」または「順列濃縮された変異体」と関連する「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、別のポリペプチド配列を基準として、1つ以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入され、それから欠失され、及び/または置換されたアミノ酸配列を含み得るペプチドまたはポリペプチドを指し得る。種々の実施形態では、挿入、欠失、または置換されるアミノ酸残基の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、または少なくとも500のアミノ酸の長さである。本開示のバリアントは、ペプチドコンジュゲートまたは融合分子(例えば、ペプチド構築物またはペプチド複合体)を含む。
ペプチドまたはポリペプチドの「誘導体」は、化学修飾、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、リン酸化、及びグリコシル化などの別の化学部分への、例えば、コンジュゲーションがなされていてもよいペプチドまたはポリペプチドであり得る。
「配列同一性%」という用語は、「同一性%」と本明細書中で交換可能に使用され得、配列アライメントプログラムを使用して整列させた場合における、2つ以上のペプチド配列間のアミノ酸配列の同一性のレベル、または2つ以上のヌクレオチド配列間のヌクレオチド配列の同一性のレベルを指し得る。例えば、本明細書で使用される場合、80%の同一性は、定義されたアルゴリズムによって決定された80%の配列同一性と同じことを意味し、所与の配列が別の長さの別の配列に対して少なくとも80%同一であることを意味する。さまざまな実施形態では、同一性%は、所定の配列に対する、例えば、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99%、または最大100%の配列同一性から選択される。種々の実施形態では、同一性%は、例えば、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、または約95%~約99%の範囲内である。
「配列相同性%」または「配列相同性パーセント」または「配列同一性パーセント」という用語は、「相同性%」、「配列同一性%」または「同一性%」という用語と本明細書中で交換可能に使用され得、配列アライメントプログラムを使用して整列させた場合における、2つ以上のペプチド配列間のアミノ酸配列の相同性のレベル、または2つ以上のヌクレオチド配列間のヌクレオチド配列の相同性のレベルを指し得る。例えば、本明細書で使用される場合、80%の相同性は、定義されたアルゴリズムによって決定された80%の配列相同性と同じことを意味し、したがって、所与の配列の相同体は、所与の配列の長さにわたって80%を超える配列相同性を有する。さまざまな実施形態では、相同性%は、所定の配列に対する、例えば、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または最大100%の配列相同性から選択される。種々の実施形態では、相同性%は、例えば、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、または約95%~約99%の範囲内である。
タンパク質またはポリペプチドは、試料の少なくとも約60%~75%が単一種のポリペプチドを示す場合、「実質的に純粋」、「実質的に均一」、または「実質的に精製されている」であり得る。ポリペプチドまたはタンパク質は、単量体または多量体であり得る。実質的に純粋なポリペプチドまたはタンパク質は、典型的に、約50%、60%、70%、80%、または90%W/Wのタンパク質試料、より一般的には約95%のタンパク質試料を含み得、例えば、98%または99%を超える純度である。タンパク質の純度または均質性は、タンパク質試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、当該技術分野においてよく知られている染色によりゲルを染色して単一ポリペプチドバンドを可視化することなど、当該技術分野においてよく知られている多数の手段によって示すことができる。ある特定の目的のために、高速液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)または他の高分解能分析技術(例えば、LC質量分析)を使用することによって、高分解能が得られる。
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、一般に、動物(例えば、ヒトまたはマウス)などの対象における薬学的使用に好適な組成物を指し得る。医薬組成物は、薬理学上有効な量の活性剤と、薬学的に許容される担体と、を含み得る。「薬理学上有効な量」という用語は、意図された生物学的または薬理学的な結果をもたらすのに有効な薬剤の量を指し得る。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、標準的な薬学的担体、ビヒクル、緩衝液、及び賦形剤、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、または緩衝生理食塩水、5%デキストロース水溶液、及び油/水または水/油のエマルションなどのエマルション、ならびにさまざまな種類の湿潤剤及び/またはアジュバントのいずれかを指し得る。好適な薬学的担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,21st Ed.2005,Mack Publishing Co,Eastonに記載されている。「薬学的に許容される塩」は、薬学的使用のための化合物に製剤化することができる塩であり得、例えば、金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)、及びアンモニアまたは有機アミンの塩を含む。
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、生物学的障害及び/またはそれに付随する症状の少なくとも1つを緩和または軽減する方法を指し得る。本明細書で使用される場合、疾患、障害、または状態を「緩和する」ことは、例えば、疾患、障害、または状態の重症度及び/またはその症状の発生頻度を減らすことを意味する。さらに、本明細書における「治療」への言及は、治癒的、緩和的、及び予防的または診断的治療への言及を含み得る。
一般に、本開示の細胞は、真核細胞または原核細胞であり得る。細胞は、上皮細胞であり得る。細胞は、微生物、細菌、酵母、真菌、または藻類の細胞であり得る。細胞は、動物細胞または植物細胞であり得る。動物細胞は、海洋無脊椎動物、魚類、昆虫、両生類、爬虫類、または哺乳動物に由来する細胞を含み得る。哺乳動物細胞は、霊長類、猿人類、ウマ科動物、ウシ亜科の動物、ブタ、イヌ科動物、ネコ科動物、またはげっ歯類から得ることができる。哺乳動物は、霊長類、猿人類、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレットなどであり得る。げっ歯類は、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、ハムスター、チンチラ、またはモルモットであり得る。鳥類細胞は、カナリア、インコ、またはオウムに由来し得る。爬虫類細胞は、カメ、トカゲ、またはヘビに由来し得る。魚類細胞は、熱帯魚に由来し得る。例えば、魚類細胞は、ゼブラフィッシュ(例えば、Danino rerio)に由来し得る。蠕虫細胞は、線虫(例えば、C.elegans)に由来し得る。両生類細胞は、カエルに由来し得る。節足動物細胞は、タランチュラまたはヤドカリに由来し得る。
哺乳動物細胞は、霊長類(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)から得られる細胞も含み得る。哺乳動物細胞は、血液細胞、幹細胞、上皮細胞、結合組織細胞、ホルモン分泌細胞、神経細胞、骨格筋細胞、または免疫系細胞を含み得る。
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、一般に、宿主細胞で複製が可能なDNA分子、及び/または別のDNAセグメントが作動可能に連結され得、それにより、その結合されたセグメントの複製が生じるDNA分子を指す。プラスミドは、例示的なベクターである。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、一般に、ヒトまたは別の動物を指す。対象は、任意の年齢であり得、例えば、対象は、乳児、幼児、小児、思春期前の子ども、青年、成人、または高齢者の個体であり得る。
範囲は、本明細書において、1つの特定の「おおよそ(約)」の値から、及び/または別の特定の「おおよそ(約)」の値までを表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/または他の特定の値までを含む。同様に、値が「約」という先行詞の使用により近似値で表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。範囲のそれぞれの端点は、他の端点に対応するものであり、他の端点とは独立していることがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の使用の範囲内で、指定された数値からプラスマイナス15%の範囲を指す。例えば、約10は、8.5~11.5の範囲を含み得る。
ペプチド
本開示の選択的枯渇複合体は、1つ以上のペプチドを含むことができる。例えば、本開示の選択的枯渇複合体は、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、リンカーを介して2つ以上のペプチドを接続することができる。本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または標的結合ペプチドに連結されたTfR結合ペプチドを含むペプチド)は、標的分子を選択的に枯渇させる方法において使用することができる。本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または標的結合ペプチドに連結されたTfR結合ペプチドを含むペプチド)は、エンドサイトーシス後に細胞表面に再循環され得る。
いくつかの例では、本明細書で開示されるペプチドは、リジン残基を1つのみを含むか、またはリジン残基を含有しない。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのリジン残基がアルギニン残基によって置換されている。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのメチオニン残基がロイシンまたはイソロイシンによって置換される。ペプチド中の1つ以上またはすべてのトリプトファン残基がフェニルアラニンまたはチロシンによって置換され得る。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのアスパラギン残基がグルタミンによって置換される。いくつかの実施形態では、1つ以上またはすべてのアスパラギン酸残基がグルタミン酸残基によって置換され得る。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのリジン残基がアラニンまたはアルギニンによって置換され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドのN末端は、アセチル基またはtert-ブチルオキシカルボニル基などによって、ブロッキングまたは保護される。代替的にまたは組み合わせで、ペプチドのC末端は、アミド基などによって、またはエステルの形成(例えば、ブチルまたはベンジルエステル)などによって、ブロッキングまたは保護され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、遊離アミン上のメチル化によって修飾される。例えば、完全なメチル化は、ホルムアルデヒド及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元的メチル化の使用を介して達成される。
いくつかの実施形態では、ジペプチドGSは、配列番号1~配列番号64に示されるように、最初の2つのN末端アミノ酸として追加することができ、または、そのようなN末端ジペプチドGSは、配列番号65~配列番号128に示されるようになくてもよく、または任意の他の1つもしくは2つのアミノ酸によって置換されてもよい。いくつかの実施形態では、ジペプチドGSは、リンカーとして使用されるか、またはリンカーに結合され、ペプチド構築物またはペプチド複合体などのペプチドコンジュゲートまたは融合分子を形成するために使用される。いくつかの実施形態では、リンカーは、G(配列番号130)ペプチドを含み、式中、x及びyは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10などの任意の整数であり、G及びS残基は任意の順番で配置される。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、(GS)x(配列番号131)を含み、式中、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10などの任意の整数であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、GGSSG(配列番号132)、GGGGG(配列番号133)、GSGSGSGS(配列番号134)、GSGG(配列番号135)、GGGGS(配列番号136)、GGGS(配列番号129)、GGS(配列番号137)、GGGSGGGSGGGS(配列番号138)、またはそれらのバリアントもしくは断片、またはそれらの任意の数の反復及びそれらの組み合わせを含む。さらに、DkTxに由来するKKYKPYVPVTTN(配列番号139)、及びヒトIgG3に由来するEPKSSDKTHT(配列番号140)、またはそれらの任意の数の反復及びそれらの組み合わせは、ペプチドリンカーとして使用され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、GGGSGGSGGGS(配列番号141)、またはそのバリアントもしくは断片、またはその任意の数の反復及び組み合わせを含む。前述のリンカーまたはそれらのバリアントもしくは断片のいずれも、それらの任意の数の反復または任意の組み合わせとともに使用できることが理解される。また、当該技術分野における他のペプチドリンカーまたはそれらのバリアントもしくは断片を、それらの任意の数の反復または任意の組み合わせとともに使用できることも理解される。リンカーの長さは、選択的送達複合体のTfRと標的の両方への結合を、立体アクセスを考慮することも含めて同時に最大化するように調整することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体内のTfR結合ペプチドと標的結合ペプチドとの間のリンカーは、特に、例えば標的が可溶性タンパク質ではなく、細胞表面タンパク質または細胞受容体タンパク質である場合、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65の残基から最大100残基まで段階的に増加する。
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。本明細書で開示されるペプチドは、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65残基長である、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つの連続断片を含む断片であり得、ペプチド断片は、ペプチドの任意の部分から選択される。いくつかの実施形態では、ペプチド配列は、追加のアミノ酸に隣接する。1つ以上の追加のアミノ酸は、例えば、特定のインビボ電荷、等電点、化学コンジュゲーション部位、安定性、または生理学的特性をペプチドに付与する。
いくつかの例では、TfRの標的化及び結合が可能な本明細書に記載のペプチドは、80以下のアミノ酸の長さ、または70以下、60以下、40以下、35以下、30以下、25以下、20以下、15以下、もしくは10以下のアミノ酸の長さを含む。いくつかの例では、標的分子の標的化及び結合が可能な本明細書に記載のペプチドは、80アミノ酸長以下、または70以下、60以下、50以下、40以下、35以下、30以下、25以下、24以下、23以下、22以下、21以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、もしくは10以下のアミノ酸の長さを含む。
他の実施形態では、ペプチドは、目的の細胞または標的細胞に対して標的化機能またはホーミング機能を有する担体または分子にコンジュゲートされるか、連結されるか、または融合され得る。他の実施形態では、ペプチドは、ペプチドの半減期の延長、または薬力学及び/または薬物動態の特性の変更、またはこれらの任意の組み合わせをもたらす分子にコンジュゲートされるか、連結されるか、または融合され得る。
いくつかの例では、ペプチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個のArgもしくはLys、またはこれらの任意の組み合わせなどの正電荷残基を含む。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上のリジン残基がアルギニン残基によって置換されている。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1つ以上のArgパッチを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドにおいて、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10個以上のArgまたはLys残基が、溶媒露出している。いくつかの例では、ペプチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個のヒスチジン残基を含む。
本開示のペプチドは、中性アミノ酸残基をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、35個以下の中性アミノ酸残基を有する。他の実施形態では、ペプチドは、81個以下の中性アミノ酸残基、70個以下の中性アミノ酸残基、60個以下の中性アミノ酸残基、50個以下の中性アミノ酸残基、40個以下の中性アミノ酸残基、36個以下の中性アミノ酸残基、33個以下の中性アミノ酸残基、30個以下の中性アミノ酸残基、25個以下の中性アミノ酸残基、または10個以下の中性アミノ酸残基を有する。
本開示のペプチドは、負のアミノ酸残基をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、6個以下の負のアミノ酸残基、5個以下の負のアミノ酸残基、4個以下の負のアミノ酸残基、3個以下の負のアミノ酸残基、2個以下の負のアミノ酸残基、または1個以下の負のアミノ酸残基を有する。負のアミノ酸残基は、任意の負荷電アミノ酸残基から選択され得るが、いくつかの実施形態では、負のアミノ酸残基は、EもしくはDのいずれか、またはEとDの両方の組み合わせである。
本開示のいくつかの実施形態では、ペプチドの三次元構造または三次構造は、主に、ベータシート及び/またはアルファヘリックス構造から構成される。いくつかの実施形態では、本開示の設計または操作されたTfR結合ペプチドまたは標的結合は、シスチン及び疎水性コアを形成する鎖内ジスルフィド結合(例えば、システインによって媒介される)によって安定化された小型で緻密なペプチドまたはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、操作されたTfR結合ペプチドは、アルファヘリックスのそれぞれの間に少なくとも1つのジスルフィド架橋を有するらせん状バンドルを含む構造を有し、それによって、ペプチドが安定化される。他の実施形態では、操作されたTfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチドは、3つのアルファヘリックス及び3つの鎖内ジスルフィド結合を有する構造を含み、鎖内ジスルフィド結合は、アルファヘリックスバンドル中の3つのアルファヘリックスのぞれぞれの間に1つある。
受容体結合ペプチド
受容体(例えば、トランスフェリン受容体またはプログラム死リガンド1)に結合することができる、表1及び表2に列記されるものなどのペプチド配列が本明細書に開示される。受容体に結合することができるペプチドは、受容体結合ペプチドと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、再循環経路を介して再循環を受ける再循環受容体に結合することができる。再循環された受容体は、初期エンドソームにエンドサイトーシスされ、初期エンドソームが後期エンドソームに成熟する前に、再循環エンドソームにパッケージ化され得る。再循環された受容体を含む再循環エンドソームは、細胞膜と融合し、再循環された受容体を細胞表面に戻すことができる。いくつかの実施形態では、本開示の受容体結合ペプチドは、再循環プロセス中に受容体に結合したままであってもよく、それによって受容体結合ペプチドも再循環される。受容体結合ペプチドによって標的とされ得る再循環受容体の例には、トランスフェリン受容体及びプログラム死リガンド1が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の受容体結合ペプチドは、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、IgG、抗体断片、Fab、F(ab)2、scFv、(scFv)2、DARPin、またはアフィボディを含み得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示の受容体結合ペプチドは、pH非依存性の親和性で受容体(例えば、再循環された受容体)に結合することができる。例えば、受容体結合ペプチドは、エンドサイトーシスpH(約pH5.5または約pH6.5など)での結合親和性と実質的に同じ親和性で、細胞外pH(約pH7.4)で受容体に結合することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、エンドサイトーシスpH(約pH5.5または約pH6.5など)での結合親和性よりも低い親和性で、細胞外pH(約pH7.4)で受容体に結合することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、エンドサイトーシスpH(約pH5.5または約pH6.5など)での結合親和性よりも高い親和性で、細胞外pH(約pH7.4)で受容体に結合することができる。いくつかの実施形態では、細胞外pH(約pH7.4)での受容体に対する受容体結合ペプチドの結合親和性と、エンドサイトーシスpH(約pH5.5)での受容体に対する受容体結合ペプチドの結合親和性とは、約1%以下、約2%以下、約3%以下、約4%以下、約5%以下、約6%以下、約7%以下、約8%以下、約9%以下、約10%以下、約12%以下、約15%以下、約17%以下、約20%以下、約25%、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、または約50%以下異なり得る。いくつかの実施形態では、pH7.4とpH5.5での受容体に対する受容体結合ペプチドの親和性は、2倍以下、5倍以下、10倍以下、15倍以下、20倍以下、25倍以下、30倍以下、40倍以下、または50倍以下異なり得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、配列番号1~配列番号64、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号241のいずれか1つ)は、TfR結合界面における1つ以上のヒスチジンアミノ酸を除去するように改変することができ、それによって、受容体に対する受容体結合ペプチドの結合親和性のpH依存性を低下させる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、配列番号1~配列番号64、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号241のいずれか1つ)は、受容体結合界面においてヒスチジンアミノ酸を欠いてもよい。
いくつかの実施形態では、pH非依存性結合を有する受容体結合ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で受容体に結合することができる。いくつかの実施形態では、pH非依存性結合を有する受容体結合ペプチドは、エンドソームpH(約pH5.5)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で受容体に結合することができる。
いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、pH依存性の親和性で受容体に結合することができる。例えば、受容体結合分子は、細胞外pH(約pH7.4)ではより高い親和性で受容体に結合することができ、エンドソームpH(約pH5.5)ではより低い親和性で受容体に結合することができ、それによって、エンドソーム区画の内在化及び酸性化の際に、受容体から選択的枯渇複合体を放出する。
いくつかの実施形態では、再循環受容体はTfRであってもよい。トランスフェリン受容体(TfR)に結合することのできるペプチドは、TfR、もしくはTfR1、TfR2、可溶性TfRを含む、既知のTfRホモログのいずれか、またはこれらの任意の組み合わせもしくは断片(例えば、細胞外ドメイン)に結合することができる。トランスフェリン受容体またはTfRホモログに結合することができるペプチドは、本明細書において、トランスフェリン受容体結合ペプチドまたはTfR結合ペプチドと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、TfRを媒介した様式で標的細胞に透過、通過、または侵入することができる。これらの細胞層または細胞は、TfR発現の内皮細胞、上皮細胞、ならびに腫瘍細胞、脳細胞、がん性もしくは腫瘍細胞、肝臓細胞(例えば、肝細胞(HC)、肝星状細胞(HSC)、クッパー細胞(KC)、または肝類洞内皮細胞(LSEC))、膵細胞、結腸細胞、卵巣細胞、乳房細胞、脾臓細胞、骨髄細胞、及び/または肺細胞、またはこれらの任意の組み合わせなどのさまざまな組織または器官のTfR発現細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドは、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、IgG、抗体断片、Fab、F(ab)2、scFv、(scFv)2、DARPin、またはアフィボディを含み得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、例えば、TfR媒介性小胞性トランスサイトーシス及びTfR媒介性エンドサイトーシスをそれぞれ介して、細胞層もしくは障壁(例えば、BBB)または細胞膜を通過することができる。TfRに結合し、トランスサイトーシス及び/またはエンドサイトーシスを促進することに加えて、本開示のペプチドはまた、がん細胞などの細胞上の追加の標的タンパク質にも結合することができる。場合によっては、ペプチドは、追加の標的タンパク質(例えば、受容体または酵素)に対して親和性を有する小分子またはペプチドなどの標的化部分または活性剤(例えば、治療用または診断用薬剤)にコンジュゲート、連結、または融合されたTfR結合ペプチドを含む、ペプチドまたはペプチド複合体である。場合によっては、TfR結合ペプチドは、標的結合ペプチドに連結され、BBBを越える標的結合ペプチドのTfR媒介性トランスサイトーシスまたは細胞内へのTfR媒介性エンドサイトーシスを可能にするか、または促進する。いくつかの例では、トランスサイトーシスの後、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含むペプチド複合体は、CNS内の特定の細胞または組織を標的とし、当該細胞または組織に到達すると、生物学的作用(例えば、標的タンパク質への結合)を発揮することができる。場合によっては、本開示のペプチド複合体は、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、活性剤、またはこれらの組み合わせによって媒介される生物学的作用を発揮する。場合によっては、1つの標的結合ペプチドを含む本開示のTfR結合ペプチド複合体は、TfRを発現する細胞に標的分子を輸送及び/または送達する(例えば、標的分子をエンドソームに送達する)ことができる。場合によっては、TfR結合ペプチドは、CNSの組織に蓄積する。場合によっては、CNS特異的蓄積により、オフターゲット効果が減少する。場合によっては、TfR結合ペプチドは、CNS以外の組織(例えば、肝臓、腎臓、脾臓、または皮膚)に蓄積する。場合によっては、TfRを発現する細胞は、腫瘍細胞であり、TfR結合ペプチド複合体は、これらの腫瘍細胞に抗腫瘍剤を送達する。場合によっては、抗腫瘍剤は、単独では、腫瘍細胞に対する治療効果が全くないか、非常に限られているが、抗腫瘍剤を本開示のTfR結合ペプチドと、例えば、ペプチド複合体として組み合わせる場合、これらの抗腫瘍薬剤の治療効果が大幅に改善される。
いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、及び配列番号1~配列番号64)は、生物学的に適切な応答を誘導することができる。例えば、標的結合ペプチドにコンジュゲートしたTfR結合ペプチドは、可溶性標的分子または細胞表面標的分子を選択的に枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、生物学的に適切な応答は、静脈内、皮下、腹腔内、頭蓋内、または筋肉内の投与後に誘発され得、いくつかの実施形態では、単一の静脈内、皮下、腹腔、頭蓋内、または筋肉内の投与後に誘発され得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、疼痛、神経障害性疼痛、または神経変性障害、感染症、免疫障害(例えば、自己免疫疾患)などの他の神経障害、またはリソソーム蓄積症を治療及び/または予防するために使用されるさまざまな他のクラスの治療用化合物と組み合わせて使用することができる。本明細書に記載されるペプチド及びペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、TfR媒介性小胞性トランスサイトーシスを介して)、または細胞膜を越えて(例えば、TfR媒介性エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、対象(例えば、ヒト)における、標的分子の過剰発現もしくは蓄積に関連する疾患、状態、もしくは状態(例えば、がん、神経変性、もしくはリソソーム蓄積症)、または可溶性タンパク質または表面タンパク質における変異(例えば、構成的活性、治療に対する耐性、もしくはドミナントネガティブ活性を引き起こす変異)に関連する疾患の多くに影響を及ぼし得る。
本明細書に記載のペプチド及びペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、小胞性トランスサイトーシスを介して)または細胞膜を越えて(例えば、エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、神経変性に関連する多数の疾患、状態、または障害に影響を及ぼし得る。本明細書に記載のTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体によって治療、予防、または診断することができる神経変性疾患としては、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、パーキンソン病、脊髄性筋萎縮症、運動ニューロン疾患、ライム病、毛細血管拡張性運動失調症、常染色体優性小脳失調症、バッテン病、大脳皮質基底核症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、脆弱X随伴振戦/失調症候群、クフォー・ラケブ症候群、マシャド・ジョセフ病、多発性硬化症、慢性外傷性脳症、または前頭側頭型認知症を挙げることができる。
いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドは、TfR1、TfR2、可溶性TfRを含む既知のTfRホモログのいずれか、またはこれらの任意の組み合わせもしくは断片(例えば、細胞外ドメイン)に結合することができる。したがって、本明細書で使用される場合、「TfR」は、TfR1、TfR2、及び可溶性TfRを含む、任意の既知のホモログ、誘導体、断片、またはTfRファミリーのメンバーを指し得る。他の実施形態では、ペプチドは、1つ、1つ以上、またはすべてのTfRホモログに結合することが可能である。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、TfRに結合し、小胞性トランスサイトーシスなどの特定の生物学的作用を促進することができる。いくつかの実施形態では、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、及び配列番号220~配列番号222、及び配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列、ならびにその任意の誘導体またはバリアントを含むペプチド及びペプチド複合体を含む、本開示のTfR結合ペプチドは、内在性TfR結合物質(例えば、トランスフェリンまたはアポトランスフェリンもしくはホロトランスフェリンなどの任意の誘導体)のTfRへの結合を阻止または減少させる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、及び配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも40%の相同性、少なくとも50%の相同性、少なくとも60%の相同性、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも91%の相同性、少なくとも92%の相同性、少なくとも93%の相同性、少なくとも94%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性、または少なくとも100%の相同性を有する誘導体及びバリアントを含む。
種々の実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドの界面残基(例えば、受容体結合についてTfRと相互作用するアミノ酸残基)は、ペプチドのうち、主に2つのヘリカルドメインに分けることができる。場合によっては、界面残基は、配列番号32を基準として、残基5~25に対応する残基(例えば、G5、A7、S8、M11、N14、L17、E18、及びE21の対応する残基を含む)、もしくは配列番号32を基準として、残基35~51に対応する残基(例えば、L38、L41、L42、L45、D46、H47、H49、S50、及びQ51の対応する残基を含む)、または両方を含み得る。例えば、界面残基は、配列番号32を基準として、残基5~25に対応する残基(例えば、G5、A7、S8、M11、N14、L17、E18、及びE21の対応する残基を含む)、または配列番号32を基準として、残基35~51に対応する残基(例えば、L38、L41、L42、L45、D46、H47、H49、S50、及びQ51の対応する残基を含む)を含み得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、本明細書で提供されるペプチドの断片を含み得、断片は、結合のための最小界面残基、例えば、配列番号32を基準として、残基5~25に対応する残基(例えば、G5、A7、S8、M11、N14、L17、E18、及びE21の対応する残基を含む)、または配列番号32を基準として、残基35~51に対応する残基(例えば、L38、L41、L42、L45、D46、H47、H49、S50、及びQ51の対応する残基を含む)を含む。場合によっては、TfR結合ペプチドは、配列番号32を基準として、ドメインの残基G5、A7、S8、M11、N14、L17、E18、及びE21に対応するTfR結合残基、ならびに第2のドメインの残基L38、L41、L42、L45、D46、H47、H49、S50、及びQ51に対応するTfR結合残基を含む、配列番号32に示される配列を有するペプチドである。
いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、内在性分子(例えば、トランスフェリン、ホロトランスフェリン(鉄が結合したトランスフェリン)、アポトランスフェリン(鉄が結合していないトランスフェリン)、もしくは任意の他の内在性TfRリガンド)または他の外来性分子と比較して、同等、類似、またはより高い親和性(例えば、より低い解離定数K)でTfRに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満のKを有し得る。いくつかの実施形態では、TfRによるペプチド輸送は、内在性分子と比較して、より低い親和性(例えば、より高い解離定数K)を有することによって、改善される。いくつかの実施形態では、TfRによるペプチド輸送は、内在性分子よりも速いオフ速度またはより高いkoffを有することによって、改善される。いくつかの実施形態では、オフ速度またはkoffは、トランスフェリンと同様である。いくつかの実施形態では、ペプチド輸送は、より速いオン速度またはより高い、任意選択によりトランスフェリンよりも高い、konを有することによって改善される。他の実施形態では、トランスフェリン(Tf)-TfR結合界面にある1つ以上の保存残基は、本明細書に記載のペプチドのアミノ酸配列にも存在する。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、TfR結合ペプチドが再循環プロセス中にTfRに結合したままである可能性が高いように、TfRの再循環速度よりも遅いオフ速度を有する。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内、または20分以内のオフ速度を有し得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、約1分~約20分間、約2分間~約15分間、約2分間~約10分間、または約5分間~約10分間のオフ速度を有し得る。
いくつかの実施形態では、改善されたTfR受容体結合を示すTfR結合ペプチドは、改善されたトランスサイトーシス機能、改善されたエンドサイトーシス機能、改善された再循環、またはそれらの組み合わせを示す。いくつかの実施形態では、TfR受容体結合の改善を示すTfR結合ペプチドは、トランスサイトーシス機能、エンドサイトーシス機能、再循環、またはそれらの組み合わせに変化が全くないか、または小さな変化を示す。いくつかの実施形態では、改善されたTfR受容体結合を示すTfR結合ペプチドは、減少したトランスサイトーシス機能、減少したエンドサイトーシス機能、減少した再循環、またはそれらの組み合わせを示す。いくつかの態様において、TfR結合ペプチドは、ヒトTfR1(配列番号190、MMDQARSAFSNLFGGEPLSYTRFSLARQVDGDNSHVEMKLAVDEEENADNNTKANVTKPKRCSGSICYGTIAVIVFFLIGFMIGYLGYCKGVEPKTECERLAGTESPVREEPGEDFPAARRLYWDDLKRKLSEKLDSTDFTGTIKLLNENSYVPREAGSQKDENLALYVENQFREFKLSKVWRDQHFVKIQVKDSAQNSVIIVDKNGRLVYLVENPGGYVAYSKAATVTGKLVHANFGTKKDFEDLYTPVNGSIVIVRAGKITFAEKVANAESLNAIGVLIYMDQTKFPIVNAELSFFGHAHLGTGDPYTPGFPSFNHTQFPPSRSSGLPNIPVQTISRAAAEKLFGNMEGDCPSDWKTDSTCRMVTSESKNVKLTVSNVLKEIKILNIFGVIKGFVEPDHYVVVGAQRDAWGPGAAKSGVGTALLLKLAQMFSDMVLKDGFQPSRSIIFASWSAGDFGSVGATEWLEGYLSSLHLKAFTYINLDKAVLGTSNFKVSASPLLYTLIEKTMQNVKHPVTGQFLYQDSNWASKVEKLTLDNAAFPFLAYSGIPAVSFCFCEDTDYPYLGTTMDTYKELIERIPELNKVARAAAEVAGQFVIKLTHDVELNLDYERYNSQLLSFVRDLNQYRADIKEMGLSLQWLYSARGDFFRATSRLTTDFGNAEKTDRFVMKKLNDRVMRVEYHFLSPYVSPKESPFRHVFWGSGSHTLPALLENLKLRKQNNGAFNETLFRNQLALATWTIQGAANALSGDVWDIDNEF)の残基506~510、523~531、及び611~662に対応するアミノ酸ドメインの1つ以上、またはすべてを含む、ヒトTfRとマウスTfRの間の高い相動性の部位で結合する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドまたはそのバリアントが結合するTfRの領域は、そのようなTfRドメインのすべてまたは一部である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、ヒトTfR(配列番号190)の残基506~510、523~531、及び611~662に対応するアミノ酸ドメインを含む、高い相同性を示すTfR領域のいずれか1つ、いずれか2つ、または3つすべてに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、ヒトTfRの残基611~662に対応するドメインに少なくとも結合する。
いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドのK値及びK値を調節及び最適化して(例えば、アミノ酸置換を介して)、TfR結合親和性と効率的なトランスサイトーシス機能の最適な比率をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドまたはそのバリアントは、TfRと他の外来性または内在性リガンド(例えば、トランスフェリン(Tf)、Tf誘導体、またはTf様ペプチドもしくはタンパク質)との結合界面(例えば、結合ドメインまたは結合ポケット)に見出される残基でTfRに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfRに結合するペプチドまたはそのバリアントは、結合ポケットを構成する、TfRの残基に結合する配列に対して、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性、または少なくとも100%の相同性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfRに結合するペプチドまたはそのバリアントは、TfRに結合することが知られている内在性もしくは外来性ポリペプチド、例えば、内在性トランスフェリン、または表1に列挙されるペプチドのいずれか1つに対して、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性、または少なくとも100%の相同性を含む。他の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、TfR、その断片、ホモログ、またはバリアントに対して、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性、または少なくとも100%の相同性を含む目的のタンパク質に結合する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドまたはそのバリアントは、残基506~510、523~531、及び611~662に対応するアミノ酸残基を含むTfRの領域に結合する(これらのアミノ酸残基のナンバリングは、内在性ヒトTFRC UniProtKB-P02786(配列番号190、TFR1_HUMAN)の参照タンパク質配列に基づく)。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドまたはそのバリアントが結合するTfRの領域は、Tf、その断片、ホモログ、またはバリアントのものと重複する。
他の実施形態では、核酸、ベクター、プラスミド、またはドナーDNAは、本開示に記載されるペプチド、ペプチド構築物、ペプチド複合体、またはそのバリアントもしくは機能性断片をコードする配列を含む。さらなる実施形態では、TfR結合モチーフ(例えば、保存された結合モチーフ)のある特定の部分または断片は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つの配列を含むペプチドまたはペプチド複合体上にグラフトされ得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、TfRの分解を引き起こすか、またはTfRの細胞の核への局在化を阻止するか、またはTfRとトランスフェリンもしくはトランスフェリン様タンパク質との相互作用を阻止することができる。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、ある特定のアミノ酸残基またはアミノ酸残基のモチーフに結合する能力に基づいて、さらなる試験または使用のために選択され得る。TfR中のある特定のアミノ酸残基またはアミノ酸残基のモチーフは、TfRのTfへの結合に関与するアミノ酸残基またはアミノ酸残基の配列で同定することができる。ある特定のアミノ酸残基またはアミノ酸残基のモチーフは、TfR:Tf複合体の結晶構造から同定することができる。いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、CDP)は、熱、プロテアーゼ(ペプシン)、及び還元に対する耐性を示す。
配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列のうちの1つ以上を含む、ペプチド、ペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲートまたは融合ペプチド)、及び選択的送達複合体は、目的のタンパク質に結合することができる。いくつかの実施形態では、目的のタンパク質は、TfRである。いくつかの実施形態では、TfRに結合するペプチド及びペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲートまたは融合ペプチド)は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、本開示のTfRに結合するペプチド、ペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート及び融合分子)は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性、または少なくとも100%の相同性を有するペプチド誘導体またはバリアントを含む。例えば、本開示のTfRに結合するペプチドまたはペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート及び融合分子)は、配列番号96に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の相同性、少なくとも75%の相同性、少なくとも80%の相同性、少なくとも85%の相同性、少なくとも90%の相同性、少なくとも95%の相同性、少なくとも96%の相同性、少なくとも97%の相同性、少なくとも98%の相同性、または少なくとも99%の相同性または少なくとも100%の相同性を有するペプチド誘導体またはバリアントを含み得る。
表1は、本開示の方法及び組成物による例示的なペプチド配列を列挙する。
Figure 2023551481000002
Figure 2023551481000003
Figure 2023551481000004
Figure 2023551481000005
Figure 2023551481000006
Figure 2023551481000007
Figure 2023551481000008
Figure 2023551481000009
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCAXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQEXEDXYCXCX(配列番号148)またはREGCAXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQEXEDXYCXCX(配列番号167)を含み、式中、Xは、S、T、D、またはNから独立して選択することができ、Xは、A、M、I、L、またはVから独立して選択することができ、Xは、D、E、N、Q、S、またはTから独立して選択することができ、Xは、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができ、Xは、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREXCXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号149)またはREXCXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号168)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、及びXは、TfR結合界面残基であり、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQEXEDXYCXCX(配列番号150)またはREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQEXEDXYCXCX(配列番号169)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、及びXは、TfR結合界面残基であり、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREXCXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQEXEDX1011YCX121313CX151617(配列番号151)またはREXCXRCXKYXDEXKCXARMMSMSNTEEDCEQEXEDX1011YCX121313CX151617(配列番号170)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、及びX17は、TfR結合界面残基であり、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号32)を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、XGXASXMXNX1011LEX1213EX141516171819202122232425262728293031323334353637383940414243(配列番号152)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、X42、及びX43は、独立して任意のアミノ酸であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、X10111213141516171819202122232425262728293031323334353637LX3839LLX4041LDHX42HSQ(配列番号153)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、及びX42は、独立して任意のアミノ酸であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、XGXASXMXNX1011LEX1213EX14151617181920212223242526272829LX3031LLX3233LDHX34HSQ(配列番号154)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、及びX34は、独立して任意のアミノ酸であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ、またはその任意のバリアント、ホモログ、もしくは機能性断片に対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ、またはその任意のバリアント、ホモログ、もしくは機能性断片を含む。いくつかの実施形態では、TfRに結合するペプチドは、配列番号32に示されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置5、7、8、14、17、18、21、38、42、45、46、47、50、51のいずれか1つまたはこれらの組み合わせに、表面界面残基として標準的なアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置G5、A7、S8、N14、L17、E18、E21、L38、L42、L45、D46、H47、S50、Q51のいずれか1つまたはこれらの組み合わせに、表面界面残基として標準的なアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のこれらの対応する残基の少なくとも1つ以上を含む。したがって、そのようなペプチドは、TfRへの結合が増大するように操作することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、XGXASX10NX1112LEX1314EX15161718192021222324252627282930LX313233LX3435LDHX3637SQ(配列番号155)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、及びX37は、独立して任意のアミノ酸であり得る。
いくつかの実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列に存在する表面遠位親水性アミノ酸残基(例えば、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはT)は、ペプチドの可溶性に寄与する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置3、4、9、11、15、16、19、23、26、28、29、30、31、32、33、35、36、37、39、40のいずれか1つ、またはこれらの任意の組み合わせに親水性アミノ酸残基を含む。いくつかの例では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、次の対応する位置の親水性アミノ酸残基:R3、E4、R9、K12、D15、E16、K19、R23、S26、S28、N29、T30、E31、E32、D33、E35、Q36、E37、E39、D40、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置R3、E4、R9、K12、D15、E16、K19、R23、S26、S28、N29、T30、E31、E32、D33、E35、Q36、E37、E39、D40のいずれか1つまたは任意の組み合わせは、可溶性またはTfR結合に大きな影響を及ぼすことなく、別の親水性残基へと変異させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、XREXRXKX10DEX1112KX131415RX1617SX18SNTEEDX19EQEX20EDX2122232425262728293031配列番号156)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、及びX31は、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSXGCASXCMXYNXLEXCEAXMMXMX101112131415CX161718LX1920LLYCLDHCHSQ(配列番号157)またはXGCASXCMXYNXLEXCEAXMMXMX101112131415CX161718LX1920LLYCLDHCHSQ(配列番号171)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、及びX20は、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号96を基準として、対応する位置4、8、18、32、42、及び46にシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置6、10、20、34、44、及び48にシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置15、35、39、49、またはこれらの任意の組み合わせに親水性残基(例えば、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはT)を含む。いくつかの例では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、次の対応する位置の親水性アミノ酸残基:D15、E35、E39、H49、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置D15、E35、E39、H49のいずれか1つまたは任意の組み合わせは、可溶性またはTfR結合に大きな影響を及ぼすことなく、別の親水性残基へと変異させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、X1011121314DX15161718192021222324252627282930313233EX343536EX373839404142434445HX4647(配列番号158)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、X42、X43、X44、X45、X46、及びX47は、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCMKYNXELEKCEARMMSMSNTEEDCXQELXDLLYCLDHCXSQ(配列番号159)またはREGCASRCMKYNXELEKCEARMMSMSNTEEDCXQELXDLLYCLDHCXSQ(配列番号172)を含み、式中、X、X、X、及びXは、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置15、35、39、49、またはこれらの任意の組み合わせに疎水性残基(例えば、A、M、I、L、V、F、W、またはY)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCMKYNXELEKCEARMMSMSNTEEDCXQELXDLLYCLDHCXSQ(配列番号160)またはREGCASRCMKYNXELEKCEARMMSMSNTEEDCXQELXDLLYCLDHCXSQ(配列番号173)を含み、式中、X、X、X、及びXは、A、M、I、L、V、F、W、またはYから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置15、35、39、及び49のいずれか1つの親水性アミノ酸残基は、TfRに対するより高い結合親和性(例えば、標的結合)及びより高い可溶性に関連する。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置15、35、39、及び49のいずれか1つのアミノ酸残基の疎水性残基から親水性残基への変異は、TfRに対するより高い結合親和性(例えば、標的結合)及びより高い可溶性をもたらすことができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置11、25、27、またはこれらの任意の組み合わせに疎水性残基(例えば、A、M、I、L、V、F、W、またはY)を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置11、25、27、またはこれらの任意の組み合わせに親水性残基(例えば、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはT)を含む。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置11、25、及び27のいずれか1つの疎水性アミノ酸残基は、TfRに対するより高い結合親和性(例えば、標的結合)及びより高い可溶性に関連している。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置11、25、及び27のいずれか1つのアミノ酸残基の親水性残基から疎水性残基への変異は、TfRに対するより高い結合親和性(例えば、標的結合)及びより高い可溶性をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置の疎水性アミノ酸残基:M11、M25、M27、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの例では、ペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置の疎水性アミノ酸残基M11、M25、及びM27を含む。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置M11、M25、及びM27の任意の組み合わせは、可溶性またはTfR結合に大きな影響を及ぼすことなく、別の疎水性残基へと変異させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、X10MX11121314151617181920212223MX24MX252627282930313233343536373839404142434445464748(配列番号161)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、X42、X43、X44、X45、X46、X47、及びX48は、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCXKYNDELEKCEARMXSXSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号162)またはREGCASRCXKYNDELEKCEARMXSXSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号174)を含み、式中、X、X、及びXは、A、M、I、L、V、F、W、またはYから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCXKYNDELEKCEARMXSXSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号163)またはREGCASRCXKYNDELEKCEARMXSXSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号175)を含み、式中、X、X、及びXは、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、配列番号32を基準として、対応する位置45に脂肪族アミノ酸残基(例えば、A、M、I、L、またはV)を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、対応する位置45に芳香族アミノ酸残基(例えば、F、W、またはY)を含む。いくつかの実施形態では、対応する位置45の脂肪族アミノ酸残基は、TfRへのより高い結合親和性に関連する。いくつかの例では、ペプチドは、配列番号32を基準として、L45に対応する脂肪族アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、対応する位置45のアミノ酸残基の芳香族残基から脂肪族残基への変異は、TfRに対するより高い結合親和性(例えば、標的結合)及びより高い可溶性をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、対応する位置L45を別の脂肪族残基に変異させることは、可溶性またはTfR結合に大きな影響を及ぼさないようにできる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、X1011121314151617181920212223242526272829303132333435363738394041424344LX454647484950(配列番号164)を含み、式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、X42、X43、X44、X45、X46、X47、X48、X49、及びX50は、独立して任意のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるTfR結合ペプチドは、GSREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCXDHCHSQ(配列番号165)またはREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCXDHCHSQ(配列番号176)を含み、式中、Xは、A、M、I、L、またはVから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、GSREGCASRCMXYNDELEXCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号166)またはREGCASRCMXYNDELEXCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ(配列番号177)を含み、式中、X及びXは、KまたはRから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、配列番号32を基準として、対応する位置12及び19のこれらの残基は、別の分子(例えば、活性剤または検出可能な剤)への化学コンジュゲーションに使用することができる。いくつかの実施形態では、XとXは両方ともRであり、化学コンジュゲーションはペプチドのN末端でなされる。
いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、抗体または抗体断片に由来し得る。例えば、受容体結合ペプチドは、単鎖抗体断片(scFv)に由来し得る。本開示の選択的枯渇複合体に組み込むことのできるTfR結合ペプチドの例としては、配列番号220(QVQLQESGGGVVQPGRSLRLSCAASRFTFSSYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLSGYGDYPDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSSELTQDPAVSVALGQTVRITCQGDSLRSYYASWYQQKPGQAPVLVMYGRNERPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQPEDEANYYCAGWDDSLTGPVFGGGTKLTVLG)、配列番号221(QVQLQESGGGVVQPGRSLRLSCAASRFTFNNYAMHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLSGYGDYPDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSSELTQDPAVSVALGQTVRITCQGDSLRSYYASWYQQKPGQAPVLVMYGRNERPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQPEDEANYYCAGWDDSLTGPVFGGGTKLTVLG)、及び配列番号222(QVQLQESGGGVVQPGRSLRLSCAASRYPFHHHDHHWVRQAPGKGLEWVAVISYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLSGYGDYPDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSSELTQDPAVSVALGQTVRITCQGDSLRSYYASWYQQKPGQAPVLVMYGRNERPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQPEDEANYYCAGWDDSLTGPVFGGGTKLTVLG)が挙げられる。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、配列番号220~配列番号222のいずれか1つの配列、またはその断片を有し得る。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、配列番号220~配列番号222のいずれか1つ、またはその断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を有し得る。いくつかの実施形態では、配列番号220または配列番号221のペプチドは、pH非依存性TfR結合ペプチドとして機能し得る。いくつかの実施形態では、配列番号222のペプチドは、pH依存性TfR結合ペプチドとして機能し得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基のうちの任意の1つ以上の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の5~80%における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の1~100%、5~100%、または5~50%における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の15~50%における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の15~30%における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の25~30%における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。例えば、配列番号32の配列を有するペプチドの51アミノ酸残基のうちの14アミノ酸残基(27.5%)における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基のうちの任意の1つ以上の変異は、TfRの結合界面にあり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドに対する変異は、結合親和性を改善することができ、これは、本明細書で開示されるペプチドまたはペプチド複合体の結合及びトランスサイトーシスに有益であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるペプチドは、最適な活性を得るために、多くの変異または少数の変異を有し得、ここで、最適な活性は、TfRの結合に十分な結合であるが、必ずしもペプチド及び/またはペプチド複合体のトランスサイトーシス後の放出を妨げるほど強い結合である必要はない。したがって、本開示のペプチドは、ペプチドまたはペプチド複合体の最適な結合、機能(例えば、トランスサイトーシス、BBB透過、細胞膜透過、生物学的障壁を越えた輸送、エンドサイトーシス、再循環、またはそれらの組み合わせ)、及び放出を得るために、結合親和性及びオフ速度を調整する多数の変異(変異されたアミノ酸残基%とも称される)を含み得る。したがって、最大限の親和性をもたらす変異は、最適な結合及びトランスサイトーシスを有する優れたペプチドと必ずしも相関しない場合がある。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の1~100%または5~100%は、TfRの結合界面にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の10~90%は、TfRの結合界面にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の20~80%は、TfRの結合界面にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の30~70%は、TfRの結合界面にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の40~60%は、TfRの結合界面にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の30~35%は、TfRの結合界面にある。例えば、配列番号32の配列を有するペプチドの51アミノ酸残基のうちの17アミノ酸残基(33%)は、TfRの結合界面にあり得る。
いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基のうちの任意の1つ以上の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の1~100%または5~100%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の5~80%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の10~70%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の15~60%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の20~50%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の25~30%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。例えば、TfRの結合界面にある配列番号32の配列を有するペプチドの17アミノ酸残基のうちの5アミノ酸残基(29%)における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基のうちの任意の1つ以上の変異は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の1~100%または5~100%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の10~90%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の20~80%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の30~70%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の40~60%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基の65~70%は、TfRの結合界面に対して遠位にある。例えば、配列番号32の配列を有するペプチドの51アミノ酸残基のうちの34アミノ酸残基(66%)は、TfRの結合界面にあり得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドのアミノ酸残基のうちの任意の1つ以上の変異は、TfRの結合界面に対して遠位にあり、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の1~100%または5~100%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の5~80%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の10~70%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の15~60%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の20~50%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。いくつかの実施形態では、TfRの結合界面に対して遠位にある本開示のペプチドのアミノ酸残基の25~30%の変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善する。例えば、TfRの結合界面に対して遠位にある17アミノ酸残基のうちの5アミノ酸残基における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。例えば、TfRの結合界面に対して遠位にある、配列番号32の配列を有するペプチドの34アミノ酸残基のうちの9アミノ酸残基(26.5%)における変異は、ペプチドのTfRへの結合親和性を改善することができる。いくつかの実施形態では、いかなる理論に拘束されるものではないが、TfRの結合界面に対して遠位にあるペプチドのアミノ酸残基における1つ以上の変異は、タンパク質のフォールディングを改善することができ、タンパク質の可溶性を向上させることができ、及び/または最適化された界面形状の相補性を介して結合を改善することができる骨格の幾何学的形状を変更することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の受容体結合ペプチドは、PD-L1結合ペプチドであり得る。PD-L1結合ペプチドは、本開示の選択的枯渇複合体に組み込まれて、PD-L1媒介エンドサイトーシスによる標的分子の選択的枯渇を促進することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドであるPD-L1結合ペプチドは、pH非依存性の親和性(例えば、細胞外pH及びエンドソームpHで同様の親和性)でPD-L1に結合し得るか、またはpH依存性の親和性(例えば、細胞外pHでの親和性が高く、エンドソームpHでの親和性が低い)でPD-L1に結合し得る。PD-L1結合ペプチドの例を表2に提供する。
Figure 2023551481000010
Figure 2023551481000011
Figure 2023551481000012
Figure 2023551481000013
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPD-L1結合ペプチドは、XCXCX101112131415CX16171819202122232425262728CX293031323334353637CX383940CX414243(配列番号392)の配列を含み、式中、Xは、E、M、V、またはWから独立して選択することができ;Xは、G、E、L、またはFから独立して選択することができ;Xは、D、E、またはSから独立して選択することができ;Xは、K、R、またはVから独立して選択することができ;Xは、E、Q、S、M、L、またはVから独立して選択することができ;Xは、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはYから独立して選択することができ;Xは、D、M、またはVから独立して選択することができ;Xは、A、K、R、Q、S、またはTから独立して選択することができ;Xは、A、D、E、H、Q、S、T、M、I、L、V、またはWから独立して選択することができ;X10は、A、E、R、Q、S、T、W、またはPから独立して選択することができ;X11は、A、E、K、R、N、Q、T、M、I、L、V、またはWから独立して選択することができ;X12は、G、A、E、K、N、T、またはYから独立して選択することができ;X13は、G、A、D、E、H、K、R、N、Q、S、T、M、I、L、V、W、Y、またはPから独立して選択することができ;X14は、D、K、R、N、L、またはVから独立して選択することができ X15は、G、A、D、T、L、W、またはPから独立して選択することができ;X16は、G、A、E、H、K、N、S、F、またはPから独立して選択することができ;X17は、G、A、D、E、N、またはPから独立して選択することができ;X18は、G、D、H、K、R、N、Q、S、T、V、またはYから独立して選択することができ;X19は、G、D、E、H、K、N、Q、S、T、M、I、F、W、Y、またはPから独立して選択することができ;X20は、G、A、D、E、H、K、R、N、Q、S、Y、またはPから独立して選択することができ;X21は、G、A、D、H、N、Q、S、V、F、またはPから独立して選択することができ;X22は、A、D、H、N、Q、S、T、M、I、V、Y、またはPから独立して選択することができ;X23は、G、A、D、K、R、T、W、またはYから独立して選択することができ;X24は、G、A、E、N、Q、T、I、V、またはPから独立して選択することができ;X25は、G、D、N、Q、T、L、V、F、またはPから独立して選択することができ;X26は、G、A、E、K、R、N、Q、S、T、I、Y、またはPから独立して選択することができ;X27は、A、D、N、またはIから独立して選択することができ;X28は、G、D、E、H、N、F、またはWから独立して選択することができ;X29は、G、A、E、N、S、Y、またはPから独立して選択することができ;X30は、G、M、またはLから独立して選択することができ;X31は、G、A、D、K、N、Q、またはWから独立して選択することができ;X32は、D、E、H、K、N、Q、S、T、L、V、F、Y、またはPから独立して選択することができ;X33は、G、E、Q、またはFから独立して選択することができ;X34は、DまたはKから独立して選択することができ;X35は、G、V、またはPから独立して選択することができ;X36は、G、H、R、V、F、W、またはPから独立して選択することができ;X37は、A、D、またはKから独立して選択することができ;X38は、E、H、Q、L、またはFから独立して選択することができ;X39は、D、E、R、S、T、M、L、またはFから独立して選択することができ;X40は、G、A、D、E、H、K、R、M、L、またはPから独立して選択することができ;X41は、G、A、K、S、I、またはLから独立して選択することができ;X42は、G、A、D、E、R、Q、T、またはFから独立して選択することができ;X43は、A、H、N、Q、S、F、またはPから独立して選択することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結合ペプチドは、EEDCKVXCVXKXCXEXAXCXGXFXVFXCLXCX(配列番号393)の配列を含み、式中、Xは任意の非システインアミノ酸から独立して選択することができ;Xは、M、I、L、またはVから独立して選択することができ;Xは、Y、A、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができ;Xは、D、E、N、Q、またはPから独立して選択することができ;Xは、KまたはPから独立して選択することができ;Xは、DまたはKから独立して選択することができる。
PD-L1結合ペプチドは、PD-L1との結合界面の一部または全部を形成するPD-L1結合モチーフを含み得る。PD-L1結合モチーフの1つ以上の残基は、PD-L1結合ペプチドとPD-L1との間の結合界面でPD-L1の1つ以上の残基と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、複数のPD-L1結合モチーフがPD-L1結合ペプチドに存在し得る。PD-L1結合モチーフは、CXCX101112C(配列番号394)の配列を含んでもよく、式中、Xは、K、R、またはVから選択することができ;Xは、E、Q、S、M、L、またはVから選択することができ;Xは、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはYから選択することができ;Xは、D、M、またはVから選択することができ;Xは、A、K、R、Q、S、またはTから選択することができ;Xは、A、D、E、H、Q、S、T、M、I、L、V、またはWから選択することができ;Xは、A、E、R、Q、S、T、W、またはPから選択することができ;Xは、A、E、K、R、N、Q、T、M、I、L、V、またはWから選択することができ;Xは、G、A、E、K、N、T、またはYから選択することができ;X10は、G、A、D、E、H、K、R、N、Q、S、T、M、I、L、V、W、Y、またはPから選択することができ;X11は、D、K、R、N、L、またはVから選択することができ;X12は、G、A、D、T、L、W、またはPから選択することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、CKVXCVXKXC(配列番号396)の配列を含んでもよく、式中、Xは、任意の非システインアミノ酸から独立して選択することができ;Xは、M、I、L、またはVから独立して選択することができ;Xは、Y、A、H、K、R、N、Q、S、またはTから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、CKVHCVKEWMAGKAC(配列番号398)の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、配列番号398に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の同一性を含み得る。
PD-L1結合モチーフは、XCXC(配列番号395)の配列を含んでもよく、Xは、D、E、H、K、N、Q、S、T、L、V、F、Y、またはPから独立して選択することができ;Xは、G、E、Q、またはFから独立して選択することができ;Xは、DまたはKから独立して選択することができ;Xは、G、V、またはPから独立して選択することができ;Xは、G、H、R、V、F、W、またはPから独立して選択することができ;Xは、A、D、またはKから独立して選択することができ;Xは、E、H、Q、L、またはFから独立して選択することができ;Xは、D、E、R、S、T、M、L、またはFから独立して選択することができ;Xは、G、A、D、E、H、K、R、M、L、またはPから独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、XFXVFXCLXC(配列番号397)の配列を含んでもよく、式中、Xは、KまたはPから独立して選択することができ;Xは、DまたはKから独立して選択することができ;Xは、任意の非システインアミノ酸から独立して選択することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、KFDVFKCLDHC(配列番号399)の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、PD-L1結合モチーフは、配列番号399に対し、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の同一性を含み得る。
エンドソームpHで高親和性PD-L1結合を有するPD-L1結合ペプチド(例えば、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号240のいずれか1つ、またはそれらのpH非依存性バリアント)は、標的分子の選択的枯渇のための選択的枯渇複合体を形成するために、本明細書に記載の標的結合ペプチドと複合体を形成することができる。選択的枯渇複合体は、細胞層または細胞膜を横切って標的分子を選択的に送達するために使用することができる。例えば、選択的枯渇複合体は、PD-L1媒介エンドサイトーシスを介して標的分子をエンドサイトーシス区画に選択的に送達するために使用することができる。標的分子は、記載されているように、選択的枯渇複合体の標的結合ペプチドへの結合及びPD-L1媒介エンドサイトーシスによるエンドサイトーシスにより、選択的に枯渇させることができる。
PD-L1を介したエンドサイトーシスを使用する標的分子の選択的枯渇は、PD-L1を発現する組織で特異的に標的分子を選択的に枯渇させるために使用することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1に結合する受容体結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、PD-L1陽性のがん、肺組織、膵島組織、リンパ組織、胃腸組織、骨髄組織、生殖組織、筋肉組織、脂肪組織、またはその他のPD-L1陽性組織において、標的分子を選択的に枯渇させることができる。例えば、PD-L1結合ペプチド及びACE2結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、肺組織内のACE2を選択的に枯渇させてウイルス感染(例えば、SARS-CoV-2感染)を防止することができる。別の例では、PD-L1結合ペプチド及びHLA結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、膵島細胞内のHLAを選択的に枯渇させ、I型糖尿病におけるインスリン発現細胞へのT細胞攻撃を防止することができる。
PD-L1結合ペプチド(例えば、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号240のいずれか)は、選択的枯渇複合体で標的結合ペプチドまたは受容体結合ペプチドとして機能することができる。いくつかの実施形態では、PD-L1を選択的に枯渇させるための選択的枯渇複合体は、PD-L1に結合しない受容体結合ペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)と、PD-L1結合ペプチド(例えば、pH依存性PD-L1結合ペプチド)と、を含み得る。いくつかの実施形態では、PD-L1ではない標的を選択的に枯渇させるための選択的枯渇複合体は、標的に結合する標的結合ペプチド(例えば、EGFR結合ペプチド)と、PD-L1結合ペプチド(例えば、pH非依存性PD-L1結合ペプチド)と、を含み得る。
標的結合ペプチド
本開示のペプチド、ペプチド複合体、または選択的枯渇複合体は、標的結合ペプチドを含み得る。標的結合ペプチドは、標的分子(例えば、標的タンパク質)に結合することができる。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、pH依存性である親和性で標的分子に結合することができる。例えば、標的結合ペプチドは、エンドソームpH(約pH5.5など)よりも細胞外pH(約pH7.4など)でより高い親和性で標的分子に結合することができる。標的結合ペプチドは、本開示の受容体結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つのTfR結合ペプチド、または、配列番号187、配列番号233配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つのPD-L1結合ペプチド)とコンジュゲートして、選択的枯渇複合体を形成することができる。選択的枯渇複合体は、細胞層または細胞膜(例えば、BBBまたは細胞膜)を横切って標的分子を選択的に送達するために使用することができる。例えば、選択的枯渇複合体を使用して、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、PD-L1媒介エンドサイトーシスまたはTfR媒介エンドサイトーシス)を介して標的分子をエンドサイトーシス区画に選択的に送達することができる。標的分子は、選択的枯渇複合体の標的結合ペプチドへの結合及び受容体媒介エンドサイトーシスによるエンドサイトーシスにより、選択的に枯渇させることができる。標的分子は、可溶性分子であり得る。例えば、標的分子は、分泌ペプチドもしくは分泌タンパク質、細胞シグナル伝達分子、細胞外マトリックス高分子(例えば、コラーゲン、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、またはプロテオグリカン)、神経伝達物質、サイトカイン、増殖因子、腫瘍関連抗原、腫瘍特異抗原、またはホルモンであり得る。標的分子は、細胞表面分子であり得る。例えば、標的分子は、膜貫通タンパク質、増殖因子受容体を含む受容体、チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、抑制性免疫受容体、抑制性免疫受容体のリガンド、マクロファージ表面タンパク質(例えば、CD14もしくはCD16)、リポ多糖、または抗体であり得る。抑制性免疫受容体は、CD200R、CD300a、CD300f、CEACAM1、FcgRiib、ILT-2、ILT-3、ILT-4、ILT-5、LAIR-1、PECAM-1、PILR-α、SIRL-1、及びSIRP-α、CLEC4A、Ly49Q、MICLであり得る。細胞表面分子に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用する細胞表面分子の選択的枯渇は、細胞表面分子(例えば、表面露出タンパク質)の減少をもたらすことができる。表面露出タンパク質は、疾患または状態に関連し得る。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体は、標的分子の二量体化を促進するために、2つ以上の標的結合ペプチドを含むことができる。二量体化の促進は、標的分子の内在化を増加させ、標的分子の選択的枯渇をもたらす。例えば、標的結合ペプチドの2つのコピーを含む選択的枯渇複合体は、標的分子のホモ二量体化を促進することができる。いくつかの実施形態では、本開示の標的結合ペプチドは、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、IgG、抗体断片、Fab、F(ab)2、scFv、(scFv)2、DARPin、またはアフィボディを含み得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示の標的結合ペプチドは、pH依存性である親和性で標的分子に結合することができる。例えば、標的結合ペプチドは、エンドサイトーシスpH(約pH7.0、pH6.5、pH6.0、またはpH 5.5など)での結合親和性よりも高い親和性で、細胞外pH(約pH7.4など)で標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、細胞外pH(約pH7.4)での標的分子に対する標的結合ペプチドの結合親和性は、エンドソームpH(約pH7.0、pH6.5、pH6.0、pH5.5、またはpH5.0など)での標的分子に対する標的結合ペプチドの結合親和性の、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約10,000倍であり得る。いくつかの実施形態では、pH6.5またはpH5.5での標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH7.4での標的に対する標的結合ペプチドの親和性の、約0.1%以下、約0.5%以下、約1%以下、約5%以下、約10%以下、約20%以下、約30%以下、約40%以下、または約50%以下である。いくつかの実施形態では、pH7.4での標的に対する標的結合ペプチドの親和性は、pH6.5またはpH5.5での標的に対する標的結合ペプチドの親和性よりも、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、または少なくとも20倍大きい。
いくつかの実施形態では、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4など)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドは、エンドソームpH(約pH5.5または約pH6.5)で、少なくとも1nM、少なくとも2nM、少なくとも5nM、少なくとも10nM、少なくとも20nM、少なくとも50nM、少なくとも100nM、少なくとも200nM、少なくとも500nM、少なくとも1μM、少なくとも2μM、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも500mM、または少なくとも1Mの解離定数(K)で、標的分子に結合することができる。
いくつかの実施形態では、標的結合分子は、エンドソーム区画への内在化及びエンドソームの酸性化の際に標的分子を放出することができる。エンドソームの酸性化の際のそのような標的分子の放出は、約pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下で起こり得る。いくつかの実施形態では、標的分子の放出は、約pH7.0~約pH4.5、約pH6.5~約pH5.0、または約pH6.0~約pH5.5、またはそれ以下のpHで起こり得る。
pH依存性結合親和性を有する標的結合ペプチドは、標的結合界面にヒスチジン(His)アミノ酸残基を選択的に組み込むことによって操作できる。いくつかの例では、pH依存性結合親和性を有する標的結合ペプチドは、標的結合界面に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個のヒスチジン残基を含む。ヒスチジンの側鎖は、約6.0~約9.2の間のpHでは主に非荷電であり、約6.0未満のpHでは主に正に荷電しているため、標的結合ペプチドにHis残基を選択的に挿入または除去することで、pH依存性の結合特性を付与することができる。標的結合ペプチド(例えば、pH依存性結合親和性を有する標的結合ペプチド)は、シスチン高密度ペプチド(CDP)、アフィボディ、DARPin、センチリン、ナノフィチン、またはアドネクチンを含み得る。標的結合CDP、標的結合アフィボディ、標的結合アドネクチンは、低いpH(例えば、エンドソームpH)で安定であり得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、低いpHで安定であり得る、抗体(例えば、IgGもしくは他の抗体)、抗体断片(例えば、scFv、scFv2、Fab、F(ab)2、もしくは他の抗体断片)、またはナノボディ(例えば、ラクダまたはサメ由来のVHHドメインナノボディまたはVNARドメインナノボディ)を含み得る。
いくつかの実施形態では、エンドソーム区画への内在化時の標的結合ペプチドによる標的分子の放出は、細胞外生理学的環境とエンドソーム細胞区画との間のイオン強度の差によって影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、エンドソーム区画のイオン強度は、細胞外生理学的環境のイオン強度よりも高い。塩濃度によって変化するイオン強度は、溶液中のさまざまな電解質、例えば、水素(H)、水酸化物(OH)、ヒドロニウム(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)、マンガン(Mn2+)、塩化物(Cl)、炭酸塩(CO 2-)、コバルト(Co2+)、リン酸塩(PO 3-)、または硝酸塩(NO )の濃度に依存し得る。いくつかの実施形態では、塩依存性またはイオン強度依存性の結合親和性を有する標的結合ペプチドは、エンドソームにおける標的結合分子の解離を可能にする、標的結合界面における塩不安定部分(例えば、極性または荷電のアミノ酸側鎖)の選択的組み込みによって操作され得る。例えば、標的結合ペプチドの標的結合界面は、環境のイオン強度が増加するにつれて破壊され得る、標的結合ペプチドとの1つ以上の極性相互作用または電荷-電荷相互作用を形成し得る。
場合によっては、イオン強度に依存する(例えば、水素、水酸化物、ヒドロニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、塩化物、炭酸塩、コバルト、リン酸塩、及び/または硝酸塩に依存する)結合親和性を有する標的結合ペプチドは、ある範囲のイオン強度、例えば約30mMから約1Mのイオン強度にわたって解離し得る。いくつかの実施形態では、イオン強度に依存する結合親和性を有するイオン強度依存性標的結合ペプチドは、約50mM超、約50mM~約1M、約60mM~約950mM、約70mM~約900mM、約80mM~約850mM、約90mM~約800mM、約100mM~約750mM、約110mM~約700mM、約120mM~約650mM、約130mM~約600mM、約140mM~約550mM、約150mM~約500mM、約160mM~約450mM、約170mM~約400mM、約180mM~約350mM、約190mM~約300mM、または約200mM~約250mMのイオン強度で解離し得る。いくつかの実施形態では、イオン強度依存性標的結合ペプチドは、標的結合界面に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20個の極性相互作用または電荷-電荷相互作用を含む。
本開示の標的結合ペプチドは、臨床的に適切な標的分子などの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、可溶性分子、細胞外分子、または細胞表面分子であり得る。いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物、核酸、またはグリカンである。いくつかの実施形態では、標的分子は、疾患または状態において過剰発現または過剰活性化されるタンパク質であり得る。例えば、標的分子は、発がん性シグナル伝達、免疫抑制、または炎症促進性シグナル伝達に関与する膜貫通タンパク質であり得る。本開示の標的結合ペプチドによって標的化され得る標的分子の例としては、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、及びPD-L1が挙げられるが、これらに限定されない。標的分子の追加の例としては、マンノース-6-リン酸グリカン、グルコース-6-リン酸、及び糖特異的受容体(例えば、レクチン)が挙げられる。標的分子の追加の例としては、リウマチ因子、抗核抗体、抗好中球細胞質抗体、抗dsDNA、抗セントロメア抗体、抗ヒストン抗体、環状シトリウリン化ペプチド抗体、抽出可能な核抗原抗体、カルジオリピン抗体、ベータ-2糖タンパク質1抗体、抗リン脂質抗体、ループス抗凝固因子、糖尿病関連自己抗体、抗組織トランスルグタミナーゼ、抗グリアジン抗体、内在性因子抗体、壁細胞抗体、甲状腺自己抗体、平滑筋抗体、抗ミトクロリア抗体、肝腎ミクロソーム1型抗体、抗糸球体基底膜、アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体が挙げられる。標的分子(例えば、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1)は、選択的除去複合体の標的結合ペプチドに結合すると、エンドサイトーシスを受けて分解され得る。
いくつかの実施形態では、標的分子は、受容体チロシンキナーゼなどの膜貫通タンパク質であり得る。選択的枯渇複合体を使用して標的とすることができる受容体チロシンキナーゼの例としては、EGF受容体、ErbB、インスリン受容体、PDGF受容体、VEGF受容体、FGF受容体、CCK受容体、NGF受容体、HGF受容体、Eph受容体、AXL受容体、TIE受容体、RYK受容体、DDR受容体、RET受容体、ROS受容体、LTK受容体、ROR受容体、MuSK受容体、及びLMR受容体が挙げられる。選択的枯渇複合体を使用して膜貫通タンパク質を標的とすることは、膜貫通タンパク質の内在化及び分解をもたらし得る。いくつかの実施形態では、標的分子は、病原体(例えば、ウイルスもしくは細菌)、または病原体表面分子(例えば、タンパク質もしくは糖タンパク質)であり得る。例えば、標的分子は、コロナウイルスのスパイクタンパク質、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン、または単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質Mであってもよい。選択的枯渇複合体を使用して病原体または病原体の表面タンパク質を標的とすることは、病原体の細胞内移行及び分解をもたらすことができ、それによって、病原体によって引き起こされる感染症を治療または予防する。
標的分子のエンドサイトーシス及びその後の分解により、標的分子に関連する疾患または状態を治療(例えば、排除、軽減、進行遅延、またはその症状の治療)することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体による受容体チロシンキナーゼの標的化及び分解は、がんのバリアントを治療するのに有益であり得る。例えば、EGFR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体によるEGFRの標的化及び分解は、非小細胞肺癌、原発性非小細胞肺癌、転移性非小細胞癌、肺癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、神経膠芽腫、脳癌、転移性脳癌、結腸直腸癌、結腸癌、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)耐性がん、セツキシマブ耐性がん、ネシツムマブ耐性がん、パニツムマブ耐性がん、局所がん、局所進行がん、再発がん、転移がん、難治性がん、KRAS野生型がん、KRAS変異がん、またはエクソン20変異非小細胞肺癌などのがんの治療に有益であり得る。別の例では、TNF-α結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体によるTNF-αの標的化及び分解は、CNSにおけるものを含む、炎症性または神経学的状態、例えば、神経炎症、神経炎症性疾患、脳卒中、外傷性脳傷害、アルツハイマー病、または神経原線維変化型認知症、慢性外傷性脳症(CTE)、加齢関連タウアストログリオパチー、前頭側頭型認知症、パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、リチコボーディグ病、神経節膠腫、髄膜血管腫症、または亜急性硬化症全脳炎を含むその他のタウオパシーの治療に有益であり得る。例えば、TNF-α結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体によるTNF-αの標的化及び分解はまた、CNSに限局していない可能性のある炎症状態(例えば、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、痛風、炎症性関節炎センター、筋炎、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン病、全身性エリテマトーデス(ループス)、血管炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、または潰瘍性大腸炎)の治療に有益であり得る。本開示の選択的枯渇複合体は、循環中のものなどの病原性免疫複合体を標的とするために使用することができる。循環する抗原抗体複合体は、自己免疫疾患、炎症性疾患、及び悪性腫瘍に関与し得る。これには、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス(ループス)、関節リウマチ、及び皮膚血管炎が含まれる。
本開示の選択的枯渇複合体を使用して、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)または統合失調症などの補体介在性疾患における補体経路を標的とすることができる。TfRは筋肉細胞で高度に発現されているため、そのような選択的枯渇複合体はFSDHの治療に適していることができ、補体経路成分(複数可)の効率的な分解が期待される。いくつかの実施形態では、CNSにおける補体因子C4、または補体経路におけるC4の上流の因子(例えば、補体因子C1q、補体因子C1s、もしくは補体因子C1r)、もしくは下流の因子(例えば、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、もしくは補体因子C5a)を標的化及び分解することは、統合失調症を治療し得る。その後、C4は、C4の活性化を調節する、またはこの経路の継続を実行する他の補体成分が、この経路の活性の増加の生物学的結果を調節するという同等の立場を有しているという理解のもとで、この経路の模範として使用される。統合失調症はヒトの約1%が思春期に発症することが最も多いため、統合失調症を治療するための選択的枯渇複合体を含む組成物は有益であろう。補体経路は、統合失調症における一般的な経路として役立つことができ、C4または下流の補体経路の分解を促進する本開示の選択的枯渇複合体を含む療法は、患者にとって有益であろう。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体を使用して、中枢神経系における補体媒介性疾患を標的とすることができる。例えば、1つ以上のC4A形態に結合するペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、本明細書に記載の分解のためにC4Aロング形態(例えば、HERV取り込みを含む)またはショート形態を標的とすることができる。統合失調症の治療のために選択的枯渇複合体を使用して標的化及び枯渇させることができる追加の標的分子としては、第6染色体上の拡張MHC複合体によってコードされる分子、補体C4遺伝子座によってコードされる分子(例えば、C4Along遺伝子座またはc4Ashort遺伝子座によってコードされる分子)、第8染色体上のCUB及びSushi multiple domain 1(CSMD1)遺伝子、補体因子C4、補体因子C3、またはC3受容体に一塩基多型を含む配列によってコードされる分子が挙げられる。補体因子C4、補体因子C3、または補体因子C4もしくは補体因子C3の分解を防止する分子の標的化された分解は、統合失調症の治療に有益であり得る。例えば、本開示の選択的枯渇複合体は、C4、CSMD1、または他の遺伝子の多型によって統合失調症の素因がある患者において、過度のシナプス剪定を減少させ、灰白質の減少を防止し、精神病症状を防止することにより、統合失調症を治療することができる。統合失調症の治療のための選択的枯渇複合体(例えば、補体因子C4結合ペプチドを含む)は、統合失調症などの慢性疾患に共通する、広範囲の免疫抑制が長期間使用された場合に発生する毒性を防ぐことのできる、狭く正確な形態の免疫抑制を提供することができる。いくつかの実施形態では、統合失調症の治療のための選択的枯渇複合体は、追加の薬物(例えば、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ステロイド、C4分解の阻害剤、または抗精神病薬)と組み合わせて投与され得る。さらに、本開示の選択的枯渇複合体は、選択的枯渇複合体が、TfR結合を介して、血液脳関門(BBB)を貫通し、CNSにアクセスする能力により、統合失調症などのCNS関連障害の治療に適していることができる。選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチドを含む)は、より高いBBBを促進し得る。
いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドを含む本開示の選択的枯渇複合体を使用する標的分子の結合及びその後の枯渇は、疾患または状態を治療するために使用することができ、標的分子は、疾患または状態が関連する細胞ベースまたは可溶性部分であり、疾患組織または細胞で発現または存在する。いくつかの実施形態では、標的分子の枯渇は、細胞型または組織に依存し得る。例えば、標的分子の枯渇は、選択的枯渇複合体の標的結合ペプチドによって標的とされる標的分子と、選択的枯渇複合体の受容体結合ペプチドによって標的とされる細胞表面受容体の両方を発現する細胞または組織に特異的であり得る。選択的枯渇複合体を使用する標的分子の分解及び枯渇は、疾患または状態を予防、治療、または改善できる。
いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、配列番号187、配列番号219、配列番号233~配列番号244、または配列番号400~配列番号456のいずれか1つの配列を含み得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、配列番号233、配列番号187、または配列番号234~配列番号244のいずれか1つ、またはその断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み得る。例えば、標的結合ペプチドは、配列番号233と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み得るか、または、標的結合ペプチドは、配列番号233の配列を含み得る。標的結合ペプチド及びそれらの対応する標的分子の例を表3に提供する。
Figure 2023551481000014
Figure 2023551481000015
Figure 2023551481000016
Figure 2023551481000017
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シスチン高密度ペプチド
いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチドは、1つ以上のCys、または1つ以上のジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチドは、システイン高密度ペプチド(CDP)、ノットペプチド、またはヒッチンに由来する。本明細書で使用される場合、「ペプチド」という用語は、「ノットペプチド」、「システイン高密度ペプチド」、「CDP」、及び「ヒッチン」という用語と交換可能であるとみなされる。(例えば、Correnti et al.Screening,large-scale production,and structure-based classification for cystine-dense peptides.Nat Struct Mol Biol.2018 Mar;25(3):270-278を参照されたい)。
本開示のTfR結合ペプチド、またはその誘導体、断片、もしくはバリアントは、TfR、またはその誘導体もしくは類似体に対して、親和性及び選択性を有し得る。本開示の標的結合ペプチド、またはその誘導体、断片、もしくはバリアントは、標的分子に対して、親和性及び選択性を有し得る。場合によっては、本開示のTfR結合ペプチドは、部位飽和変異導入(SSM)を使用して操作され、改善されたTfR結合特性を示すか、またはトランスサイトーシスまたはエンドサイトーシスをより効果的に促進することができる。場合によっては、本開示の標的結合ペプチドは、部位飽和変異導入(SSM)を使用して操作され、改善されたTfR結合特性を示すことができる。場合によっては、本開示のペプチドは、ノットペプチドまたはヒッチン由来ペプチドもしくはノッチン由来ペプチドに関連するシステイン高密度ペプチド(CDP)である。TfR結合ペプチドは、システイン高密度ペプチド(CDP)であり得る。ヒッチンは、CDPのサブクラスであり得、6個のシステイン残基が接続性[1-4]、2-5、3-6に従ってジスルフィド結合を形成し、これは、1番目のシステイン残基が4番目の残基と、2番目のシステイン残基が5番目の残基と、3番目のシステイン残基が6番目の残基とジスルフィド結合を形成することを示す。この命名法の括弧は、システイン残基がノッチングジスルフィド結合を形成することを示す。(例えば、Correnti et al.Screening,large-scale production,and structure-based classification for cystine-dense peptides.Nat Struct Mol Biol.2018 Mar;25(3):270-278を参照されたい)。ノッチンは、CDPのサブクラスであり得、6個のシステイン残基は、接続性1-4、2-5、[3-6]に従ってジスルフィド結合を形成する。ノッチンは、通常、約20~約80アミノ酸長の範囲のペプチドのクラスであり、多くの場合、コンパクトな構造に折り畳まれる。ノッチンは、多数の分子内ジスルフィド架橋を特徴とし、ベータストランド及び他の二次構造を含み得る、複雑な三次構造に組み立てられる。ジスルフィド結合の存在は、ノッチン及びヒッチンに顕著な環境安定性を付与し、それにより、ノットペプチドは、極端な温度及びpHに耐え、血流のタンパク質分解酵素に抵抗することができる。場合によっては、本明細書に記載のペプチドは、ノットペプチドに由来し得る。本明細書で開示されるペプチドのアミノ酸配列は、複数のシステイン残基を含み得る。場合によっては、ペプチドのアミノ酸配列内に存在する複数のシステイン残基の少なくともシステイン残基がジスルフィド結合の形成に関与する。場合によっては、ペプチドのアミノ酸配列内に存在する複数のシステイン残基のすべてのシステイン残基がジスルフィド結合の形成に関与する。本明細書に記載される場合、「ノットペプチド」という用語は、「システイン高密度ペプチド」、「CDP」、または「ペプチド」という用語と交換可能に使用され得る。
本明細書で提供されるのは、トランスフェリン受容体に結合し、対象(例えば、ヒトまたは非ヒト動物)における治療上適切な濃度で生物活性分子としての使用を含む、選択的枯渇複合体において使用することのできるCDP-TfR結合ペプチドの選択、最適化、及び特性評価を可能にする、CDPの同定、成熟、特性評価、及び利用の方法である。本開示は、現代の創薬戦略への適用の可能性についてスクリーニングすることができる、多様な足場ファミリーとしてのCDPの実用性を実証するものである。CDPは、既存の生物学的製剤、主に抗体の代替物であり、低い組織透過性、免疫原性、及び毒性が生じた場合に問題となり得る長い血清半減期を含む、免疫グロブリン足場の不利益のいくつかを回避することができる。20~80アミノ酸の範囲の本開示のペプチドは、中型であり、抗体の好ましい結合特異性及び親和性の特徴の多くを有しつつも、安定性が改善され、免疫原性が低く、製造方法がより簡単である、医学的に適切な治療薬である。CDPの分子内ジスルフィド構造により、特に高い安定性指標が付与され、それにより、断片化及び免疫原性が低減し、また、サイズが小さいことで、組織透過または細胞透過が改善し、血清半減期の調整が容易になる。本明細書で開示されるのは、標的分子をエンドサイトーシス区画に送達するためのビヒクルとして機能することができるペプチド候補を表すペプチドである。
いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、操作されたペプチドであり得る。操作されたペプチドは、天然に存在しない、人工、単離、合成、設計、または組換え発現されたペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドは、安定性、タンパク質分解に対する耐性、還元条件に対する耐性、及び/または血液脳関門を通過する能力などのCDP、ノットペプチド、またはヒッチンの1つ以上の特性を含む。いくつかの実施形態では、本開示の標的結合ペプチドは、安定性、タンパク質分解に対する耐性、または還元条件に対する耐性などのCDP、ノットペプチド、またはヒッチンの1つ以上の特性を含む。
CDPは、抗体などの他の分子と比較して、サイズが小さく、組織または細胞への透過が高く、Fc機能を欠き、血清からのクリアランスが速いという点で、また、小さいペプチドと比較して、プロテアーゼに耐性があるという点(安定性及び免疫原性の低下の両方)で、CNSへの送達について有利であり得る。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド(例えば、CDP、ノットペプチド、またはヒッチン)、選択的枯渇複合体(例えば、1つ以上のTfR結合ペプチドと1つ以上の標的結合ペプチドを含む)、または操作されたTfR結合融合ペプチド(例えば、1つ以上のTfR結合ペプチドと1つ以上のペプチドを含む)は、TfR結合抗体または標的結合ペプチドよりも優れた特性を有し得る。例えば、本明細書に記載のペプチド及び複合体は、細胞及び標的組織へのより優れた、より深い、及び/またはより速い組織または細胞透過(例えば、脳実質への透過、固形腫瘍への透過)、ならびに非標的組織及び血清からの速いクリアランスを提供し得る。本開示のTfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはTfR結合融合ペプチドは、TfR結合抗体または標的結合抗体よりも低い分子量を有し得る。分子量が低いことは、TfR結合抗体または標的結合抗体と比較して、本開示のTfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはTfR結合融合ペプチドに有利な特性を付与し得る。例えば、本開示のTfR結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはTfR結合融合ペプチドは、抗TfR抗体よりも容易に細胞または組織に透過し得るか、または抗TfR抗体よりも低いモル用量毒性を有し得る。本開示のTfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはTfR結合融合ペプチドは、抗体のFc機能を欠くため、有益であり得る。本開示のTfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはTfR結合融合ペプチドは、モル基準で、製剤の高い濃度を可能にするため、有利であり得る。
いくつかの実施形態では、操作された天然に存在しないCDP及び天然に見出されるものを含む、CDPまたはノットペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、標的分子を細胞のエンドサイトーシス区画に選択的に送達するために、表1に記載されるものなどの本開示のTfR結合ペプチドにコンジュゲート、連結、または融合され得る。細胞は、がん細胞、膵臓細胞、肝細胞、結腸細胞、卵巣細胞、乳房細胞、肺細胞、脾臓細胞、骨髄細胞またはそれらの任意の組み合わせであり得る。細胞は、TfRを発現する任意の細胞であり得る。操作されたペプチドは、天然に存在しない、人工、合成、設計、または組換え発現されたペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、本開示のTfR結合ペプチドまたはTfR結合ペプチドを含む複合体(例えば、選択的枯渇複合体)は、TfR媒介性トランスサイトーシス及び/または細胞エンドサイトーシスを可能にし、TfR結合ペプチドにコンジュゲート、連結、または融合される追加のCDPまたはノットペプチドは、疾患または状態に関連する細胞内の分子(例えば、酵素または目的の他のタンパク質)を選択的に標的とすることができる。場合によっては、細胞は、がん細胞である。がんとしては、乳癌、肝癌、結腸癌、脳癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、血球由来がん、脾臓癌、唾液腺の癌、腎癌、筋肉癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、肉腫、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、上衣腫、脈絡叢癌、正中膠腫、びまん性内在性橋膠腫、肺癌、骨髄細胞癌、または皮膚癌、泌尿生殖器癌、骨肉腫、筋肉由来肉腫、黒色腫、頭頸部癌、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、上衣腫、脈絡叢癌、正中膠腫、及びびまん性内在性橋膠腫(DIPG)、またはCMYC過剰発現がんが挙げられ得る。場合によっては、他のCDPまたはノットペプチド(例えば、天然に見出されるもの)は、TfR結合ペプチドにコンジュゲート、連結、または融合され、血液脳関門を越えてTfR結合ペプチドを局在化させ、中枢神経系の標的細胞にTfR結合ペプチドを送達することができる。
CDP(例えば、ノットペプチドまたはヒッチン)は、通常、約11~約81アミノ酸長の範囲のペプチドのクラスであり、多くの場合、コンパクトな構造に折り畳まれる。ノットペプチドは、多数の分子内ジスルフィド架橋を特徴とし、ベータストランド、アルファヘリックス、及び他の二次構造を含み得る、複雑な三次構造に組み立てられる。ジスルフィド結合の存在は、ノットペプチドに顕著な環境安定性を付与し、それにより、ノットペプチドは、極端な温度及びpHに耐え、血流のタンパク質分解酵素に抵抗することができる。ジスルフィドノットの存在は、還元剤による還元に対する耐性を提供し得る。ノットペプチドはまた、その剛直性により、柔軟なペプチドが標的と結合するときに生じる「エントロピーペナルティ」を受けることなく、標的への結合が可能になる。例えば、結合は、ペプチドが標的に結合して複合体を形成するときに生じるエントロピー損失により、悪影響を受ける。したがって、「エントロピーペナルティ」は、結合に対して有害な作用であり、この結合の際に生じるエントロピー損失が大きいほど「エントロピーペナルティ」が大きくなる。さらに、柔軟な非結合分子は、結合して複合体になると柔軟性が失われるため、剛直性構造の分子よりも複合体を形成するときに多くのエントロピーを失う。しかしながら、非結合分子の剛直性はまた、一般に、分子が形成することができる複合体の数を限定することで、特異性を高める。ペプチドは、抗体と同様の親和性、またはナノモルもしくはピコモルの親和性で標的に結合することができる。ノットペプチドの配列構造及び配列同一性または相同性を詳しく調べると、あらゆる種類の動物及び植物において、ノットペプチドが収斂進化によって生じていることがわかる。動物において、ノットペプチドは、多くの場合、毒液、例えば、クモ及びサソリの毒液に見出され、イオンチャネルの調節に関与している。植物のノットタンパク質は、動物のタンパク質分解酵素を阻害するか、または抗菌活性を有し得ることから、ノットペプチドが植物に見出される分子防御系で機能し得ることを示唆している。
本開示のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、システインアミノ酸残基を含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のシステインアミノ酸残基を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも6個のシステインアミノ酸残基を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも8個のシステインアミノ酸残基を有する。他の実施形態では、ペプチドは、少なくとも10個のシステインアミノ酸残基、少なくとも12個のシステインアミノ酸残基、少なくとも14個のシステインアミノ酸残基、または少なくとも16個のシステインアミノ酸残基を有する。
ノットペプチドは、ジスルフィド架橋を含み得る。ノットペプチドは、残基の5%以上が分子内ジスルフィド結合を形成するシステインであるペプチドであり得る。ジスルフィド連結ペプチドは、薬物の足場であり得る。いくつかの実施形態では、ジスルフィド架橋は、ノットを形成する。ジスルフィド架橋は、例えば、システイン1と4、2と5、または3と6との間などのシステイン残基間で形成され得る。いくつかの実施形態では、1つのジスルフィド架橋は、他の2つのジスルフィド架橋によって形成されるループを通過して、例えば、ノットを形成する。他の実施形態では、ジスルフィド架橋は、任意の2つのシステイン残基間に形成され得る。
本開示は、ペプチド足場をさらに含み、これは、例えば、追加のペプチドを生成するための出発点として使用することができる。いくつかの実施形態では、これらの足場は、さまざまなノットペプチド(CDPまたはノットペプチドまたはヒッチンなど)に由来し得る。特定の実施形態では、CDP(例えば、ノットペプチドまたはヒッチン)は、多数の分子内ジスルフィド架橋を特徴とし、任意選択によりベータストランド、及びアルファヘリックスなどの他の二次構造を含む、複雑な三次構造に組み立てられる。例えば、CDP(例えば、ノットペプチド)は、いくつかの実施形態では、ジスルフィドノットを介したジスルフィドを特徴とする小ジスルフィドリッチタンパク質を含む。このノットは、例えば、1つのジスルフィド架橋が、他の2つのジスルフィド及びその相互接続骨格によって形成される大環状高分子を通過する場合に得ることができる。いくつかの実施形態では、ノットペプチドとしては、増殖因子システインノットまたは阻害因子システインノットが挙げられ得る。他の可能なペプチド構造としては、βシートを含まずに2つのジスルフィド架橋によって連結された2つの平行ヘリックスを有するペプチド(例えば、ヘフトキシン)が挙げられる。
いくつかの本開示のペプチドは、L立体配置である少なくとも1つのアミノ酸残基を含み得る。ペプチドは、少なくとも1個のD立体配置のアミノ酸残基を含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、15~75アミノ酸残基長である。他の実施形態では、ペプチドは、11~55アミノ酸残基長である。さらに他の実施形態では、ペプチドは、11~65アミノ酸残基長である。さらなる実施形態では、ペプチドは、少なくとも20アミノ酸残基長である。
いくつかのCDP(例えば、ノットペプチド)は、毒素または毒液に存在することまたは関連することが知られているタンパク質のクラスから誘導または単離することができる。場合によっては、ペプチドは、サソリまたはクモに関連する毒素または毒液に由来し得る。ペプチドは、さまざまな属及び種のクモ及びサソリの毒液及び毒素に由来し得る。例えば、ペプチドは、Leiurus quinquestriatus hebraeus、Buthus occitanus tunetanus、Hottentotta judaicus、Mesobuthus eupeus、Buthus occitanus israelis、Hadrurus gertschi、Androctonus australis、Centruroides noxius、Heterometrus laoticus、Opistophthalmus carinatus、Haplopelma schmidti、Isometrus maculatus、Haplopelma huwenum、Haplopelma hainanum、Haplopelma schmidti、Agelenopsis aperta、Haydronyche versuta、Selenocosmia huwena、Heteropoda venatoria、Grammostola rosea、Ornithoctonus huwena、Hadronyche versuta、Atrax robustus、Angelenopsis aperta、Psalmopoeus cambridgei、Hadronyche infensa、Paracoelotes luctosus、及びChilobrachys jingzhaoor、別の好適な属または種のサソリまたはクモの毒液または毒素に由来し得る。場合によっては、ペプチドは、Buthus martensii Karsh(サソリ)毒素に由来し得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、例えば、配列番号96を参照して、対応する位置11、12、13、14、19、20、21、22、36、38、39、41のうちの1つ以上にシステイン残基を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、位置11、12、19、20、36、39、またはこれらの任意の組み合わせにCysを含む。例えば、特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置11にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置12にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置13にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置14にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置19にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置20にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置21にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置22にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置36にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置38にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置39にシステイン残基を有する配列を含み得る。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置41にシステイン残基を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態では、配列中の1番目のシステイン残基は、配列中の4番目のシステイン残基とジスルフィド結合することができ、配列中の2番目のシステイン残基は、配列中の5番目のシステイン残基とジスルフィド結合することができ、配列中の3番目のシステイン残基は、配列中の6番目のシステイン残基とジスルフィド結合することができる。任意選択で、ペプチドは、「ツーアンドスルー」構造系としても知られる、他の2つのジスルフィド架橋によって形成される環を通過する1つのジスルフィド架橋を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、セリンに変異された1つ以上のシステインを有し得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、少なくとも1個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも2個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも3個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも4個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも5個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも6個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも10個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、6個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、7個のシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、8個のシステイン残基を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、例えば、配列番号96を参照して、1つ以上の位置にシステイン残基を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のシステイン残基は、アミノ酸位置6、10、20、34、44、48のいずれか1つ、またはこれらの任意の組み合わせに位置する。本開示のいくつかの態様において、1つ以上のシステイン(C)残基は、さまざまな対形成パターン(例えばC10-C20)を有するジスルフィド結合に関与する。いくつかの実施形態では、対応する対形成パターンは、C-C48、C10-C44、及びC20-C34である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、または少なくとも3個のジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1個、少なくとも2個、または少なくとも3個のジスルフィド結合は、対応するC-C48、C10-C44、及びC20-C34の対形成パターン、またはこれらの組み合わせに従って配置される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、対応する対形成パターンC-C48、C10-C44、及びC20-C34を有する3個のジスルフィド結合を含む。
特定の実施形態では、ペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、対応する位置6にシステイン残基を有する配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置10にシステイン残基を有する配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置20にシステイン残基を有する配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置34にシステイン残基を有する配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置44にシステイン残基を有する配列を含む。特定の実施形態では、ペプチドは、対応する位置50にシステイン残基を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、配列中の1番目のシステイン残基は、配列中の最後のシステイン残基とジスルフィド結合する。いくつかの実施形態では、配列中の2番目のシステイン残基は、配列中の最後から2番目のシステイン残基とジスルフィド結合する。いくつかの実施形態では、配列中の3番目のシステイン残基は、配列中の最後から3番目のシステイン残基とジスルフィド結合するなどである。
いくつかの実施形態では、配列中の1番目のシステイン残基は、配列中の6番目のシステイン残基とジスルフィド結合し、配列中の2番目のシステイン残基は、配列中の5番目のシステイン残基とジスルフィド結合し、配列中の3番目のシステイン残基は、配列中の4番目のシステイン残基とジスルフィド結合する。任意選択で、ペプチドは、「ツーアンドスルー」構造系としても知られる、他の2つのジスルフィド架橋によって形成される環を通過する1つのジスルフィド架橋を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるペプチドは、セリンに変異された1つ以上のシステインを有する。
いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)はシステインまたはジスルフィドを含まない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、または15個以上のシステインまたはジスルフィドを含む。他の実施形態では、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上のシステイン残基がセリン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上のシステイン残基がトレオニン残基で置換されている。
いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)はCysまたはジスルフィドを含まない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、または15個以上のCysまたはジスルフィドを含む。他の実施形態では、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上のCys残基がSer残基で置換されている。いくつかの実施形態では、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上のCys残基がThr残基で置換されている。
いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのメチオニン残基がロイシンまたはイソロイシンによって置換される。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのトリプトファン残基がフェニルアラニンまたはチロシンによって置換される。いくつかの例では、ペプチド中の1つ以上またはすべてのアスパラギン残基がグルタミンによって置換される。いくつかの実施形態では、ペプチドのN末端は、アセチル基などによってブロックされる。代替として、または組み合わせて、いくつかの例では、ペプチドのC末端は、アミド基などによってブロックされる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、遊離アミン上のメチル化によって修飾される。
例えば、完全なメチル化は、ホルムアルデヒド及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元的メチル化の使用を介して達成され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドまたはペプチド複合体は、TfR発現細胞層もしくは障壁及び/またはTfR発現細胞の膜を標的及び/または透過する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、細胞の細胞膜を標的化及び/または透過し、当該細胞は、脳などのCNSに位置する。例えば、TfR結合ペプチド及び1つ以上の活性剤(例えば、治療用または診断用化合物)を含むペプチド複合体は、細胞障壁(例えば、BBB)を小胞性トランスサイトーシスを介して通過し、その後、CNS内に位置する細胞の細胞膜を標的化及び/または透過して、当該細胞に当該1つ以上の活性剤を送達する。
さまざまな実施形態では、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、胃腸管、脾臓、肝臓、腎臓、筋肉、骨髄、脳、または皮膚に位置するTfR発現細胞に結合する。場合によっては、TfR発現細胞は、腫瘍細胞、免疫細胞、赤血球、赤血球前駆細胞、幹細胞、骨髄細胞、または幹細胞である。場合によっては、例えば、細胞がTfRを過剰発現している場合において、TfR結合ペプチドは、細胞の標的化に関与する。種々の実施形態では、本明細書に記載のペプチド複合体は、脾臓、脳、肝臓、腎臓、筋肉、骨髄、消化管、または皮膚などのさまざまな器官内に位置する細胞に結合する、標的結合ペプチドにコンジュゲート、連結、または融合されたTfR結合ペプチドを含む。
場合によっては、標的結合ペプチドは、標的分子のエンドサイトーシスを促進する。いくつかの態様において、本開示のペプチドまたはペプチド複合体(例えば、ペプチドコンジュゲートまたは融合ペプチド)は、ある特定の生物学的(例えば、治療的)効果を発揮するために、標的分子の標的化に使用される。いくつかの態様では、本開示の選択的枯渇複合体(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む複合体)を使用して、前記細胞への標的分子のエンドサイトーシスを促進し、特定の生物学的効果(例えば、標的分子の選択的枯渇)を発揮することができる。
ペプチドリンカー
提示された開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、選択的枯渇複合体、またはそれらの組み合わせ)は、多数の方法で二量体化することができる。例えば、TfR結合ペプチドは、ペプチドリンカーを介して標的結合ペプチドと二量体化して、選択的枯渇複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ペプチドドメイン(例えば、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド)の独立したフォールディングを妨害しない。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ペプチド複合体(例えば、選択的枯渇複合体)を介した標的分子とTfRとの間の接触を容易にするために、ペプチド複合体に対して十分な長さを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ペプチド複合体(例えば、選択的枯渇複合体)の製造可能性(合成または組換え)に悪影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、ペプチド複合体(例えば、選択的枯渇複合体)の合成後の化学変化(例えば、フルオロフォアまたはアルブミン結合化学基のコンジュゲーション)を損なわない。
いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、第1のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または半減期改変ペプチド)のC末端を、第2のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または半減期改変ペプチド)のN末端に接続することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、第2のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または半減期改変ペプチド)のC末端を、第3のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または半減期改変ペプチド)のN末端に接続することができる。例えば、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、標的結合ペプチドのC末端をTfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のN末端に結合して、選択的枯渇複合体を形成することができる。別の例では、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のC末端を、標的結合ペプチドのN末端に接続して、選択的枯渇複合体を形成することができる。別の例において、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のC末端を、半減期延長ペプチド(例えば、配列番号178、配列番号179、または配列番号192)のN末端に接続し、半減期延長ペプチドのC末端を、標的結合ペプチドのN末端に接続し、選択的枯渇複合体を形成することができる。別の例では、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、標的結合ペプチドのC末端を、半減期延長ペプチド(例えば、配列番号178、配列番号179、または配列番号192)のN末端に接続することができ、第2のリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、半減期延長ペプチドのC末端を、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のN末端に接続することができ、選択的枯渇複合体を形成することができる。別の例では、第1のリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、標的結合ペプチドのC末端を、半減期延長ペプチド(例えば、配列番号178、配列番号179、または配列番号192)のN末端に接続することができ、第2のリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、半減期延長ペプチドのC末端を、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のN末端に接続することができ、選択的枯渇複合体を形成することができる。別の例では、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、半減期延長ペプチド(例えば、配列番号178、配列番号179、または配列番号192)のC末端を、標的結合ペプチドのN末端に接続することができ、第2のリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)は、標的結合ペプチドのC末端を、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)のN末端に接続することができ、選択的枯渇複合体を形成することができる。
いくつかの実施形態では、リンカーは、Haplopelma schmidti由来の天然のノッチン-ノッチン二量体から抽出された、DkTx(ダブルノット毒素)としても知られるTau-セラフォトキシン-Hs1aを含むことができる(例えば、配列番号139)。リンカーは、独立して機能するCDP(例えば、TfR結合CDP及び標的結合CDP)の二量体化を妨げる構造的特徴を欠いていてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-セリン(Gly-SerまたはGS)リンカー(例えば、配列番号129~配列番号138または配列番号141または配列番号195~配列番号:218)を含み得る。Gly-Serリンカーは最小限の化学反応性を有し得、リンカーに柔軟性を与えることができる。セリンは、側鎖のヒドロキシルが親水性であるため、リンカーまたはペプチド複合体の溶解度を高めることができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、ヒト免疫グロブリンGの重鎖(例えば、配列番号140)中のFvドメインからFcを分離するペプチドに由来し得る。いくつかの実施形態では、ヒトIgGの重鎖からのペプチドに由来するリンカーは、天然のIgGペプチドと比較して、システインからセリンへの変異を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、免疫グロブリン重鎖Fcドメインを使用して二量体化することができる。これらのFcドメインは、抗体または他の可溶性機能ドメインのいずれかに基づいて、機能ドメイン(例えば、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチド)を二量体化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、二量体化は、Fc配列が天然である場合、ホモ二量体であり得る。いくつかの実施形態では、二量体化は、Fcドメインを変異させて、一方のFc CH3ドメインが他方のFc CH3ドメイン上の空洞(穴)に適合するように設計された新規残基(ノブ)を含む「ホールインノブ」フォーマットを生成することによって、ヘテロ二量体であり得る。第1のペプチドドメイン(例えば、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド)をノブに結合させることができ、第2のペプチドドメイン(例えば、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド)をホールに結合させることができる。ノブ+ノブ二量体は、エネルギー的に非常に不利になり得る。精製タグを「ノブ」側に追加して、ホール+ホールダイマーを除去し、ノブ+ホールダイマーを選択することができる。
本開示のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、別のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、選択的枯渇複合体、または半減期を変更するペプチド)に、N末端またはC末端で連結することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のペプチドを、ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つの配列を含むペプチドリンカー)を介して連結または融合することができる。例えば、TfR結合ペプチドは、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つのペプチドリンカーを介して標的結合ペプチドに融合することができる。ペプチドリンカー(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、半減期改変ペプチド、またはそれらの組み合わせを接続するリンカー)は、約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、約7個、約8個、約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、約15個、約16個、約17個、約18個、約19個、約20個、約21個、約22個、約23個、約24個、約25個、約30個、約35個、約40個、約45個、または約50個のアミノ酸残基の長さを有し得る。ペプチドリンカー(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、半減期改変ペプチド、またはそれらの組み合わせを接続するリンカー)は、約2個~約5個、約2個~約10個、約2個~約20個、約3個~約5個、約3個~約10個、約3個~約15個、約3個~約20個、約3個~約25個、約5個~約10個、約5個~約15個、約5個~約20個、約5個~約25個、約10個~約15個、約10個~約20個、約10個~約25個、約15個~約20個、約15個~約25個、約20個~約25個、約20個~約30個、約20個~約35個、約20個~約40個、約20個~約45個、約20個~約50個、約3個~約50個、約3個~約40個、約3個~約30個、約10個~約40個、約10個~約30個、約50個~約100個、約100個~約200個、約200個~約300個、約300個~約400個、約400個~約500個、または約500個~約600個のアミノ酸残基の長さを有し得る。
いくつかの実施形態では、第1のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)と第2のペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、柔軟なペプチドリンカーによって連結され得る。柔軟なリンカーは、第1のペプチドと第2のペプチドとの間に回転の自由を提供することができ、第1のペプチド及び第2のペプチドがそれぞれの標的(例えば、トランスフェリン受容体及び標的分子)に最小限の歪みで結合することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、6Å以下、7Å以下、8Å以下、9Å以下、10Å以下、12Å以下、15Å以下、20Å以下、25Å以下、30Å以下、40Å以下、または50Å以下の持続長を有し得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、約4Å~約100Å、約4Å~約50Å、約4Å~約20Å、約4Å~約10Å、約10Å~約20Å、約20Å~約30Å、約30Å~約50Å、または約50Å~約100Åの持続長を有し得る。リンカーの持続長は、ペプチドリンカーの柔軟性の尺度となり得、接線方向の相関が失われるペプチド長として定量化することができる。
いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、所望のリンカー長、流体力学的半径、クロマトグラフィー移動度、翻訳後修飾傾向、またはそれらの組み合わせに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、ペプチド複合体の2つ以上の機能ドメインを分離する(例えば、TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを分離する)リンカーは、例えば、糸球体濾過の傾向を低下させるために、大きな安定した球状ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチド複合体の2つ以上の機能ドメインを分離する(例えば、TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを分離する)リンカーは、高密度コア腫瘍間質のような狭いスペースでの使用のために、例えば複合体の流体力学的半径を減少させるために、小さく柔軟なリンカーを含むことができる。ペプチドリンカーを介して接続された標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドを含む単一のポリペプチド鎖から形成される選択的枯渇複合体の例を、図25A及び図25Bに示す。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、2つ以上の機能ドメインの独立したフォールディングを支持することができ、2つ以上の機能ドメインとそれらの結合標的との間の相互作用(例えば、TfR結合ペプチドとTfRとの間、または標的結合ペプチドと標的分子の間)を阻害できない。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、本開示の任意のペプチドのN末端に、N末端GSジペプチドの後、かつ、例えば、GGGS(配列番号129)スペーサーの前に付加され得る。いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、G(配列番号130)(式中、x及びyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10などの任意の整数であり得る)などのペプチドリンカーを使用して、本明細書で開示される任意のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)のN末端またはC末端のいずれかに付加され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、(GS)x(配列番号131)を含み、式中、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10などの任意の整数であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、GGSSG(配列番号132)、GGGGG(配列番号133)、GSGSGSGS(配列番号134)、GSGG(配列番号135)、GGGGS(配列番号136)、GGGS(配列番号129)、GGS(配列番号137)、GGGSGGGSGGGS(配列番号138)、またはそれらのバリアントもしくは断片を含む。さらに、DkTxに由来するKKYKPYVPVTTN(配列番号139)、及びヒトIgG3に由来するEPKSSDKTHT(配列番号140)は、ペプチドリンカーとして使用され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーはGGGSGGSGGGS(配列番号141)を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号195~配列番号218のいずれか1つのリンカーを含む。本開示の標的枯渇複合体と適合するペプチドリンカーの例を表4に提供する。前述のリンカーまたはそれらのバリアントもしくは断片のいずれも、それらの任意の数の反復または任意の組み合わせとともに使用できることが理解される。また、当該技術分野における他のペプチドリンカーまたはそれらのバリアントもしくは断片を、それらの任意の数の反復または任意の組み合わせとともに使用できることも理解される。
いくつかの実施形態では、タグペプチド(例えば、配列番号142~配列番号147のいずれか1つのペプチド)を任意のアミノ酸残基でペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)に付加することができる。さらなる実施形態では、タグペプチド(例えば、配列番号142~配列番号147のいずれか1つのペプチド)は、TfR結合活性、標的結合活性、選択的枯渇活性、またはそれらの組み合わせを妨害することなく、任意のアミノ酸残基でペプチドに付加することができる。いくつかの実施形態では、タグペプチドは、コンジュゲーション、連結、または融合技術を介して付加される。他の実施形態では、ペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、任意のアミノ酸残基で第2のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)に付加することができる。さらなる実施形態では、ペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、TfR結合活性、標的結合活性、選択的枯渇活動、またはその組み合わせを妨害することなく、任意のアミノ酸残基で第2のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)に付加することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、コンジュゲーション、連結、または融合技術を介して付加される。他の実施形態では、ペプチド(例えば、標的結合ペプチド)は、任意のアミノ酸残基で第2のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)に付加することができる。
Figure 2023551481000019
Figure 2023551481000020
Figure 2023551481000021
Figure 2023551481000022
Figure 2023551481000023
Figure 2023551481000024
いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、2つ以上のポリペプチド鎖を含み得る。例えば、標的結合ペプチド及び受容体結合ペプチドは、二量体化ドメインを介して複合体を形成し、選択的枯渇複合体を形成することができる。二量体化ドメインは、ヘテロ二量体化ドメインまたはホモ二量体化ドメインであり得る。二量体化ドメイン(例えば、Fcホモ二量体化ドメインまたはノブインホールヘテロ二量体化ドメイン)を介して接続された標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体の例を図25A、図25B、及び図25Cに示す。
標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドは、ヘテロ二量体化ドメインを介してヘテロ二量体を形成することによって複合体を形成することができる。標的結合ペプチドは、第1のヘテロ二量体化ドメインに連結または融合され得、受容体結合ペプチドは、第2のヘテロ二量体化ドメインに連結または融合され得る。第1のヘテロ二量体化ドメインは、第2のヘテロ二量体化ドメインに結合して、標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドを含むヘテロ二量体複合体を形成し得る。例えば、受容体結合ペプチドは、Fc「ノブ」ペプチド(例えば、配列番号260)に連結または融合することができ、免疫細胞標的化剤は、Fc「ホール」ペプチド(例えば、配列番号261)に連結または融合することができる。別の例では、受容体結合ペプチドは、Fc「ホール」ペプチド(例えば、配列番号261)に連結または融合することができ、標的結合は、Fc「ノブ」ペプチド(例えば、配列番号260)に連結または融合することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチド(例えば、配列番号1~配列番号222のいずれか1つ)は、表5に提供されるヘテロ二量体化ドメインを介して標的結合ペプチドとヘテロ二量体を形成し得る。例えば、受容体結合ペプチドは、Fcペアの鎖1(例えば、配列番号260)に融合され得、標的結合ペプチドは、Fcペアの鎖2(例えば、配列番号261)に融合され得る。別の例では、受容体結合ペプチドは、Fcペアの鎖2(例えば、配列番号263)に融合され得、標的結合ペプチドは、Fcペアの鎖1(例えば、配列番号262)に融合され得る。ヘテロ二量体化ドメインを含む選択的枯渇複合体は、図25Bに示されるように、一価の選択的枯渇複合体を形成し得る。あるいは、ヘテロ二量体化ドメインを含む選択的枯渇複合体は、図25Cに示されるように、多価選択的枯渇複合体を形成し得る。
Figure 2023551481000025
Figure 2023551481000026
Figure 2023551481000027
Figure 2023551481000028
Figure 2023551481000029
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Figure 2023551481000032
Figure 2023551481000033
いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドは、ホモ二量体化ドメインを介して複合体形成されたホモ二量体を含む選択的枯渇複合体を形成し得る。標的結合ペプチドは、ホモ二量体化ドメインのN末端に連結または融合され得、受容体結合ペプチドは、ホモ二量体化ドメインのC末端に連結または融合され得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、ホモ二量体化ドメインのC末端に連結または融合され得、受容体結合ペプチドは、ホモ二量体化ドメインのN末端に連結または融合され得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドは、両方ともホモ二量体化ドメインのN末端で融合され得るか、または両方がホモ二量体化ドメインのC末端で融合され得る。ホモ二量体化ドメインを含む選択的枯渇複合体は、図25Cに示されるように、多価選択的枯渇複合体を形成し得る。標的結合ペプチドを受容体結合ペプチドに連結または融合するために使用できるホモ二量体化ドメインの例を表6に提供する。
Figure 2023551481000034
Figure 2023551481000035
Figure 2023551481000036
Figure 2023551481000037
ペプチドの修飾
ペプチドは、1つ以上のさまざまな方法で修飾(例えば、化学修飾)することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、機能を追加し、機能を削除し、またはインビボ挙動を改変するために変異され得る。ペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)のジスルフィド連結間の1つ以上のループを修飾または置き換えることで、他のペプチドに由来する活性成分を含めることができる(例えば、Moore and Cochran,Methods in Enzymology,503,p.223-251,2012に記載される)。いくつかの実施形態では、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、さらなる機能ドメインを付加することによって、さらに機能化及び多量体化することができる。例えば、アルブミン結合ドメイン(ABD)は、Finegoldia magna peptostreptococcalのアルブミン結合タンパク質(配列番号192、MKLNKKLLMAALAGAIVVGGGVNTFAADEPGAIKVDKAPEAPSQELKLTKEEAEKALKKEKPIAKERLRRLGITSEFILNQIDKATSREGLESLVQTIKQSYLKDHPIKEEKTEETPKYNNLFDKHELGGLGKDKGPGRFDENGWENNEHGYETRENAEKAAVKALGDKEINKSYTISQGVDGRYYYVLSREEAETPKKPEEKKPEDKRPKMTIDQWLLKNAKEDAIAELKKAGITSDFYFNAINKAKTVEEVNALKNEILKAHAGKEVNPSTPEVTPSVPQNHYHENDYANIGAGEGTKEDGKKENSKEGIKRKTAREEKPGKEEKPAKEDKKENKKKENTDSPNKKKKEKAALPEAGRRKAEILTLAAASLSSVAGAFISLKKRK)に由来する。例えば、配列番号193のアルブミン結合ドメイン(LKNAKEDAIAELKKAGITSDFYFNAINKAKTVEEVNALKNEILKA)を本開示のペプチドに付加することができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、アルブミン親和性の改善、安定性の改善、免疫原性の低減、製造性の改善、またはそれらの組み合わせのために改変されたアルブミン結合ドメインで機能化することができる。例えば、ペプチドは、配列番号193のアルブミン結合ドメインと比較して、高い熱安定性及び改善された血清半減期を有する、配列番号194(LKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKTVEGVNALKDEILKA)または配列番号227(LKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKAVEGVNALKDEILKA)の改変されたアルブミン結合ドメインで機能化され得る。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ペプチドは、アルブミンの所望のオフ速度に基づいて選択され得る。例えば、配列番号227のアルブミン結合ペプチドは、配列番号194と比較してより速いオフ速度のために選択され得る。アルブミン結合ドメインは、他のペプチドドメイン(例えば、CDP ドメイン)の独立したフォールディングを乱す可能性が低い単純な3ヘリックス構造を含んでいる。いくつかの実施形態では、機能ドメイン(例えば、アルブミン結合ドメイン)は、本開示のペプチドまたはペプチド複合体の血清半減期を増加させることができる。機能ドメイン(例えば、アルブミン結合ドメイン)は、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチドに対して任意の配向で含まれ得る。例えば、機能ドメインは、図16A~図16Cに示されるように、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、またはTfR結合ペプチドと標的結合ペプチドとの間に連結することができる。いくつかの実施形態では、アルブミン結合ペプチド(例えば、配列番号194または配列番号227)を使用して、標的結合ペプチドを受容体結合ペプチドに連結することができる。追加の機能ドメインは、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218)を介して、1つ以上のペプチド(例えば、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド)に連結することができる。
本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、受容体結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)をシグナルペプチドで修飾して、分泌のためにペプチドを標識することができる。例えば、ペプチドは、配列番号230(METDTLLLWVLLLWVPGSTG)に対応するシグナルペプチドで改変され得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、ペプチドのN末端またはC末端のいずれかに付加され得る。ペプチドは、翻訳中または分泌中のさらなる安定性のために改変され得る。例えば、ペプチドは、配列番号229(GSQDSTSDLIPAPPLSKVPLQQNFQDNQFQGKWYVVGLAGNAILREDKDPQKMYATIYELKEDKSYNVTSVLFRKKKCDYWIRTFVPGSQPGEFTLGNIKSYPGLTSYLVRVVSTNYNQHAMVFFKKVSQNREYFKITLYGRTKELTSELKENFIRFSKSLGLPENHIVFPVPIDQCIDGGGSRRRRKRSGS)に対応するフューリン切断部位を有するシドロカリンで改変され得る。いくつかの実施形態では、フューリン切断部位を有するシドロカリンは、ペプチドのN末端またはC末端に付加され得る。ペプチドをシグナルペプチドで改変して、ペプチドを分泌のために標識し、翻訳または分泌中のさらなる安定性を得ることができる。例えば、ペプチドは、配列番号231(METDTLLLWVLLLWVPGSTGGSQDSTSDLIPAPPLSKVPLQQNFQDNQFQGKWYVVGLAGNAILREDKDPQKMYATIYELKEDKSYNVTSVLFRKKKCDYWIRTFVPGSQPGEFTLGNIKSYPGLTSYLVRVVSTNYNQHAMVFFKKVSQNREYFKITLYGRTKELTSELKENFIRFSKSLGLPENHIVFPVPIDQCIDGGGSRRRRKRSGS)に対応するシグナルペプチドとフューリン切断部位を有するシドロカリンで改変され得る。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドとフューリン切断部位を有するシドロカリンは、ペプチドのN末端またはC末端に付加され得る。
ペプチドまたはペプチド複合体(例えば、TfR結合ペプチド、受容体結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)のアミノ酸はまた、半減期の延長、インビボにおける結合挙動の改変、追加、もしくは喪失、新しい標的化機能の追加、表面電荷及び疎水性の改変、またはコンジュゲーション部位の可能をもたらすために変異がなされ得る。N-メチル化は、本開示のペプチドになされ得るメチル化の一例である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、遊離アミン上のメチル化によって修飾される。例えば、完全なメチル化は、ホルムアルデヒド及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元的メチル化の使用を介して達成され得る。
ペプチドは、他のタンパク質またはペプチドに由来するループまたは配列を本開示のペプチド上にグラフトするなど、機能を追加するために修飾され得る。同様に、本開示に由来するドメイン、ループ、または配列は、追加の機能を有する抗体などの他のペプチドまたはタンパク質上にグラフトされ得る。
いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、組織標的化ドメインを含むことができ、対象への投与時に標的組織に蓄積することができる。例えば、選択的枯渇複合体は、目的の細胞または当該細胞の表面または内部に位置する標的タンパク質に対するターゲティングまたはホーミング機能を有する分子(例えば、小分子、ペプチド、またはタンパク質)にコンジュゲート、連結、または融合することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、ペプチドの血漿半減期及び/または生物学的半減期の延長、または薬力学(例えば、標的タンパク質への結合の向上)及び/または薬物動態特性(例えば、クリアランスの速度及び様式)の変更、またはこれらの任意の組み合わせをもたらす分子にコンジュゲート、連結、または融合され得る。
化学修飾は、例えば、ペプチドの半減期の延長または生体内分布もしくは薬物動態プロファイルの変更をもたらすことができる。化学修飾は、ポリマー、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、バイオポリマー、ポリアミノ酸、脂肪酸、デンドリマー、Fc領域、パルミチン酸もしくはミリスチン酸などの単純な飽和炭素鎖、またはアルブミンを含み得る。ポリアミノ酸としては、例えば、単一のアミノ酸が反復されるポリアミノ酸配列(例えば、ポリグリシン)、及びあるパターンに従っても従わなくてもよい混合ポリアミノ酸配列(例えば、gly-ala-gly-ala;配列番号457)または前述の任意の組み合わせを挙げることができる。
本開示のペプチドは、修飾がペプチドの安定性及び/または半減期を増大させるように修飾することができる。N末端、C末端、または内部アミノ酸などへの疎水性部分の結合を使用して、本開示のペプチドの半減期を延長することができる。ペプチドはまた、ペプチドの腸透過性または細胞透過性が増加または減少するように改変することができる。場合によっては、本開示のペプチドは、腸の腺細胞に高い蓄積を示すことから、クローン病またはより一般的には炎症性腸疾患などの腸の疾患または状態の治療及び/または予防における適用可能性を実証する。本開示のペプチドは、例えば、血清半減期に影響し得る翻訳後修飾(例えば、メチル化及び/またはアミド化及び/またはグリコシル化)を含み得る。いくつかの実施形態では、単純な炭素鎖(例えば、ミリストイル化及び/またはパルミチル化による)が融合タンパク質またはペプチドにコンジュゲートされ、連結され得る。単純な炭素鎖は、融合タンパク質またはペプチドを非コンジュゲート材料から容易に分離できるようにし得る。例えば、非コンジュゲート材料から融合タンパク質またはペプチドを分離するのに使用することができる方法としては、溶媒抽出及び逆相クロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない。親油性部分は、血清アルブミンへの可逆的結合により、半減期を延長することができる。コンジュゲート部分は、例えば、血清アルブミンへの可逆的結合により、ペプチドの半減期を延長する親油性部分であり得る。いくつかの実施形態では、親油性部分は、コレステロールまたはコレステロール誘導体であり得、コレステン、コレスタン、コレスタジエン、及びオキシステロールを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ミリスチン酸(テトラデカン酸)またはその誘導体にコンジュゲートされ、連結され得る。他の実施形態では、本開示のペプチドは、半減期改変剤に結合(例えば、コンジュゲート、連結、または融合)され得る。半減期改変剤の例としては、ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリマー、双極性イオン水溶性ポリマー、水溶性ポリ(アミノ酸)、プロリン、アラニン及びセリンの水溶性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、及びセリンを含む水溶性ポリマー、Fc領域、脂肪酸、パルミチン酸、またはアルブミンに結合する分子が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、半減期改変剤は、血清アルブミン結合ペプチド、例えば、SA21(配列番号178、RLIEDICLPRWGCLWEDD)であり得る。いくつかの実施形態では、SA21ペプチドは、本開示のCDP(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか)にコンジュゲートまたは融合され得る。SA21融合ペプチドは、本明細書で開示されるSA21 TfR結合ペプチド複合体(例えば、配列番号181または配列番号184)を含み得る。SA21ペプチドは、1つ以上のペプチドへのコンジュゲーション、またはその間の融合のためのリンカー配列を含み得る(例えば、配列番号179、GGGGSGGGGSRLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGS)。例示的なSA21ペプチド、融合ペプチド、及びリンカーは、表5に提供される。対照SA21融合ペプチドは、SA21に融合された対照ペプチド(例えば、配列番号180(GSRLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGSKCLPPGKPCYGATQKIPCCGVCSHNNCT)、配列番号183(RLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGSKCLPPGKPCYGATQKIPCCGVCSHNNCT)、配列番号182(GSRLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGSVRIPVSCKHSGQCLKPCKDAGMRFGKCMNGKCDCTPK)、または配列番号185(RLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGSVRIPVSCKHSGQCLKPCKDAGMRFGKCMNGKCDCTPK))を含み得る。さらに、Cy5.5などの近赤外色素、またはAlbuタグなどのアルブミン結合因子へのペプチドのコンジュゲーションは、本明細書に記載の任意のペプチドの血清半減期を延長することができる。いくつかの実施形態では、免疫原性は、最小限の非ヒトタンパク質配列を使用することによって低減され、ペプチドの血清半減期が延長される。
Figure 2023551481000038
いくつかの実施形態では、配列番号1~配列番号64の最初の2個のN末端アミノ酸(GS)は、別の分子へのコンジュゲーションまたは融合を促進し、かつこのようなコンジュゲート、連結、または融合された分子からの切断を促進するためのスペーサーまたはリンカーの役割を果たす。いくつかの実施形態では、本開示の融合タンパク質またはペプチドは、例えば、ペプチドの特性を改変または変化させ得る他の部分にコンジュゲート、連結、または融合され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体はまた、他の親和性ハンドルにコンジュゲート、連結、または融合され得る。他の親和性ハンドルは、遺伝子融合親和性ハンドルを含み得る。遺伝子融合親和性ハンドルは、6xHis(HHHHHH(配列番号142)またはGGGGSHHHHHH(配列番号228);固定化金属アフィニティーカラム精製が可能)、FLAG(DYKDDDDK(配列番号143);抗FLAG免疫沈降)、「短い」FLAG(DYKDE(配列番号144);抗FLAG免疫沈降)、ヘマグルチニン(YPYDVPDYA(配列番号145);抗HA免疫沈降)、及びストレプトアビジン結合ペプチド(DVEAWLGAR(配列番号146);ストレプトアビジン媒介性沈殿)を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体はまた、タンパク質発現及び/または精製を改善する発現タグまたは配列にコンジュゲート、連結、または融合され得る。そのような発現タグは、遺伝子融合発現タグを含み得る。遺伝子融合発現タグは、シデロカリン(配列番号147、METDTLLLWVLLLWVPGSTGDYKDEHHHHHHGGSQDSTSDLIPAPPLSKVPLQQNFQDNQFQGKWYVVGLAGNAILREDKDPQKMYATIYELKEDKSYNVTSVLFRKKKCDYWIRTFVPGSQPGEFTLGNIKSYPGLTSYLVRVVSTNYNQHAMVFFKKVSQNREYFKITLYGRTKELTSELKENFIRFSKSLGLPENHIVFPVPIDQCIDGGGSENLYFQ)を含み得る。
さらに、1つを超えるペプチド配列(例えば、毒素またはノット毒液タンパク質に由来するペプチド)が特定のペプチドに存在するか、コンジュゲートされるか、連結されるか、または融合され得る。ペプチドは、さまざまな技術によって、生体分子に組み込むことができる。ペプチドは、アミド結合などの共有結合の形成などの化学変換によって組み込むことができる。ペプチドは、例えば、固相または溶液相ペプチド合成によって組み込むことができる。ペプチドは、生体分子をコードする核酸配列を調製することによって組み込むことができ、核酸配列は、ペプチドをコードする部分配列を含む。部分配列は、生体分子をコードする配列に付加されてもよいし、または生体分子をコードする配列の部分配列に代えてもよい。
選択的枯渇複合体
いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上のペプチドは、選択的枯渇複合体(SDC)を形成することができる。選択的枯渇複合体は、標的分子に結合する標的結合ペプチドと細胞受容体(例えば、細胞表面受容体)に結合する受容体結合ペプチドとを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞表面受容体は、エンドサイトーシスされる受容体である(例えば、トランスフェリン受容体またはプログラム死リガンド1)。いくつかの実施形態では、細胞表面受容体は、エンドサイトーシス後に細胞表面に再循環される受容体である。本開示の受容体結合ペプチドは、トランスフェリン受容体(TfR)結合ペプチドまたはプログラム死リガンド1(PD-L1)結合ペプチドであり得る。例えば、選択的枯渇複合体は、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチド(例えば、TfR結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチド)と標的結合ペプチドは、リンカー(例えば、ペプチドリンカー)を介して接続され得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドと標的結合ペプチドは、リンカーなしで直接接続することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドと標的結合ペプチドは、ヘテロ二量体化ドメインを介して接続することができる。受容体結合ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4など)とエンドソームpH(約pH5.5など)の両方で高い親和性で受容体(例えば、TfRまたはPD-L1)に結合することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体の受容体結合ペプチドは、TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)であり得る。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体の受容体結合ペプチドは、PD-L1結合ペプチド(例えば、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号141のいずれか1つ)であり得る。
標的結合ペプチドは、pH依存性の親和性で標的分子に結合することができる。例えば、標的結合分子は、細胞外pH(約pH7.4)ではより高い親和性で、より低いエンドソームpH(約pH5.5または約pH6.5など)ではより低い親和性で標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、標的結合分子は、エンドソーム区画への内在化及びエンドソームの酸性化の際に標的分子を放出することができる。エンドソームの酸性化の際のそのような標的分子の放出は、約pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下で起こり得る。いくつかの実施形態では、標的分子の放出は、約pH7.0~約pH4.5、約pH6.5~約pH5.0、または約pH6.0~約pH5.5のpHで起こり得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、pH非依存性結合(例えば、細胞外pHでの高親和性及びエンドソームpHでの高親和性)で、受容体(例えば、再循環を受ける受容体)に結合し、標的結合ペプチドは、pH依存性結合(例えば、細胞外pHで高親和性、エンドソームpHで低親和性)で標的に結合する。pH非依存性受容体結合ペプチドとpH依存性標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体(SDC)は、触媒的であり得る(例えば、再使用される)。SDCは、エンドサイトーシスの複数のラウンドを通じて受容体に結合したままになり得、それぞれのラウンドで別の標的分子を運搬し、分解のためにエンドソーム/リソソームに標的分子を残し得る。したがって、1つの触媒的SDC分子が複数の標的分子の分解を引き起こし得る。
いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、pH依存性の親和性で受容体に結合することができる。例えば、受容体結合分子は、細胞外pH(約pH7.4など)ではより高い親和性で受容体に結合することができ、より低いエンドソームpH(約pH5.5またはpH6.5など)ではより低い親和性で受容体に結合することができ、それによって、エンドソーム区画の内在化及び酸性化の際に、受容体から選択的枯渇複合体を放出する。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、pH依存性の親和性で受容体に結合することができ、標的結合ペプチドは、pH依存性またはpH非依存性の親和性で標的に結合することができる。選択的枯渇分子を使用して、標的分子(例えば、可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質)を選択的に枯渇させることができる。例えば、受容体結合ペプチドと標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、受容体結合ペプチドを介して受容体に、及び標的分子(例えば、可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質)に結合することができる。標的分子は、受容体及び選択的枯渇分子の受容体媒介性エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシス区画に送達され得る。エンドサイトーシス区画では、選択的枯渇複合体が受容体に結合したままになり、エンドサイトーシス区画が酸性化するにつれて標的分子が選択的枯渇複合体から放出される。選択的枯渇分子は、受容体とともに細胞表面に再循環される可能性があり、標的分子は分解されるリソソームに進むことができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、分解されることなくリソソーム内に留まることができ、その結果、リソソーム内の標的分子が濃縮される。本開示の選択的枯渇複合体は、標的結合抗体と比較して低分子量を有することができ、供給及び流通コールドチェーンを必要とせずに標的を結合及び枯渇させるために使用することができる。
いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチド(TfR結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチド)は、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で細胞受容体(例えば、TfRまたはPD-L1)に結合することができる。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、受容体結合ペプチドが再循環プロセス中に受容体に結合したままである可能性が高いように、細胞受容体の再循環速度よりも遅いオフ速度を有する。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内、または20分以内のオフ速度を有し得る。いくつかの実施形態では、受容体結合ペプチドは、約1分~約20分間、約2分間~約15分間、約2分間~約10分間、または約5分間~約10分間のオフ速度を有し得る。
本開示の選択的枯渇複合体は、疾患または状態に関連する標的分子を選択的に枯渇させることによって、疾患または状態を治療するために使用することができる。例えば、選択的枯渇複合体を使用して、蓄積するか、疾患関連変異(例えば、構成的活性、治療に対する抵抗性、またはドミナントネガティブ活性を引き起こす変異)を含むか、または疾患状態で過剰発現される、可溶性タンパク質または細胞表面タンパク質を選択的に枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体は、非限定的に、てんかん、統合失調症、鬱病、不安、双極性障害、脳発達障害(例えば、自閉症スペクトラム)、または気分障害を含むさまざまな神経疾患の治療及び予防に使用することができる。
本明細書に記載の選択的枯渇複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、小胞性トランスサイトーシスを介して)または細胞膜を越えて(例えば、エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、神経変性に関連する多数の疾患、状態、または障害に影響を及ぼし得る。本明細書に記載の選択的枯渇複合体によって予防することができる神経変性疾患としては、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、脊髄性筋萎縮症、運動ニューロン疾患、ライム病、毛細血管拡張性運動失調症、常染色体優性小脳失調症、バッテン病、大脳皮質基底核症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、脆弱X随伴振戦/失調症候群、クフォー・ラケブ症候群、マシャド・ジョセフ病、多発性硬化症、慢性外傷性脳症、または前頭側頭型認知症を挙げることができる。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、神経変性疾患を治療及び/または予防するために、BACE阻害薬である、ガランタミン、アマンタジン、ベンザトロピン、ビペリデン、ブロモクリプチン、カルビドパ、ドネペジル、エンタカポン、レボドパ、ペルゴリ、プラミペキソール、プロシクリジン、リバスチグミン、ロピニロール、セレギリン、タクリン、トルカポン、またはトリヘキシフェニジルと組み合わせて使用することができる。例えば、神経変性に関連するタンパク質(例えば、tau、アミロイドβ(Aβ)、ハンチンチン、またはα-シヌクレイン)に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、神経変性疾患を治療することができる。
本明細書に記載の選択的枯渇複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、小胞性トランスサイトーシスを介して)または細胞膜を越えて(例えば、エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、種々のがんに影響を及ぼし得る。本明細書に記載の選択的枯渇複合体によって治療または予防できるがんとしては、乳癌、肝癌、結腸癌、脳癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、血球由来がん、脾臓癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、食道癌、胃腸(GI)癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、膀胱癌、唾液腺の癌、腎臓癌、筋肉癌、卵巣癌、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、上衣腫、脈絡叢癌、正中膠腫、びまん性内在性橋膠腫、肺癌、骨髄細胞癌、または皮膚癌、黒色腫、泌尿生殖器癌、骨肉腫、筋肉由来肉腫、黒色腫、頭頸部癌、神経芽細胞腫、膠芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、上衣腫、脈絡叢癌、正中膠腫、及びびまん性内在性橋膠腫(DIPG)、またはCMYC過剰発現がんが挙げられ得る。例えば、がんに関連するタンパク質(例えば、HER2、EGFR、FGFR-1、PD-L1、VEGF、PD-1、CD38、GD2、SLAMF7、CTLA-4、CCR4、CD20、PDGFRα、VEGFR2、CD33、CD30、CD22、CD79B、ネクチン-4、またはTROP2)に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、がんの治療に使用できる。いくつかの実施形態では、がんの治療のための選択的枯渇複合体は、細胞増殖、細胞分裂、細胞死の回避、免疫回避、炎症応答の抑制、血管成長の促進、または低酸素症からの保護に関連する細胞外タンパク質、可溶性タンパク質、または細胞表面タンパク質に結合する標的結合ペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体を使用して、抗炎症刺激(例えば、N2分極マクロファージに関連する分子またはミクログリアまたは制御性T細胞に関連する分子)を枯渇させ、自然免疫と適応免疫システムの能力の腫瘍標的化能力を促進することができる。抗炎症刺激に関連する分子に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、そうでなければ免疫疲弊しやすい治療法(電離放射線またはCAR-T細胞療法など)を増強することができる。
いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、免疫介在性疾患などにおいて、免疫抑制を減少させるか、または炎症誘発性シグナル伝達を抑制するために使用され得る。例えば、選択的枯渇複合体は、免疫抑制または炎症誘発性シグナル伝達に関連するタンパク質(例えば、CD47、CD39、CD24、CD25、CD74、TNF-α、IL-1、IL-1R、IL-2、IL-2R、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-23、IL-12、PD-1、PD-L1)に結合する標的結合ペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、炎症性または神経学的状態(例えば、神経炎症、神経炎症性疾患、脳卒中、外傷性脳傷害、アルツハイマー病、または神経原線維変化型認知症、慢性外傷性脳症(CTE)、加齢関連タウアストログリオパチー、前頭側頭型認知症、パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、リチコボーディグ病、神経節膠腫、髄膜血管腫症、または亜急性硬化症全脳炎を含むその他のタウオパシー)を治療するために使用され得る。例えば、TNF-α結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、神経炎症、神経炎症性疾患、脳卒中、外傷性脳損傷、またはアルツハイマー病を治療することができる。
本明細書に記載の選択的枯渇複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、小胞性トランスサイトーシスを介して)または細胞膜を越えて(例えば、エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、有害な炎症に関連する多数の疾患、状態、または障害に影響を及ぼし得る。本明細書に記載の選択的枯渇複合体で治療または予防できる有害な炎症としては、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、ループス、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、痛風、炎症性関節炎中心、筋炎、強皮症、シェーグレン病、血管炎、炎症腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、サイトカインストーム、嚢胞性線維症、炎症関連神経変性(例えば、加齢関連タウオパシーもしくはアルツハイマー病)、または自己免疫疾患が挙げられ得る。例えば、急性炎症または慢性炎症に関連する標的(例えば、アポリポタンパク質E4、TNF-α、IL-1、IL-6、IL-7、IL-12、及びIL-23)に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、炎症性のサイトカインまたはケモカインを選択的に枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、自己抗体、例えば、糖尿病、甲状腺疾患、炎症性疾患、全身性エリテマトーデス(SLEまたはループス)、筋肉機能、皮膚疾患、臓器疾患、腎臓疾患、または関節リウマチなどの疾患に関連する自己抗体を標的とすることができる。いくつかの実施形態では、IL-6に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を使用して、コロナウイルス感染(例えば、SARS-CoV-2)に関連する炎症を治療することができる。IL-6除去を選択的に枯渇させる選択的枯渇複合体は、IL-6シグナル伝達を減少させる可能性がある。アポリポタンパク質E4は、アルツハイマー病に関連している可能性がある。
本明細書に記載の選択的枯渇複合体(例えば、ペプチドコンジュゲート、融合ペプチド、または組換え産生されたペプチド複合体)がTfRに結合し、その後、細胞層もしくはBBBなどの障壁を越えて(例えば、小胞性トランスサイトーシスを介して)または細胞膜を越えて(例えば、エンドサイトーシスを介して)輸送されることは、種々のリソソーム蓄積症に影響を及ぼし得る。本明細書に記載の選択的枯渇複合体で治療または予防できるリソソーム蓄積症としては、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼの欠乏)またはポンペ病(α-グルコシダーゼの欠乏)が挙げられ得る。リソソーム貯蔵酵素は、血清または他の細胞外液中で利用できるように患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体を使用して、リソソーム酵素をリソソームに選択的に動員し、それによって、リソソーム酵素の発現低下に関連するリソソーム蓄積症を治療することができる。リソソーム酵素(例えば、グルコセレブロシダーゼまたはα-グルコシダーゼ)に結合する標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、TfR媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシス区画にリソソーム酵素を選択的に動員することができる。選択的枯渇複合体は細胞表面に再循環でき、リソソーム酵素標的はリソソームに送達され、それによってリソソーム中のリソソーム酵素が濃縮され、リソソーム蓄積症が治療される。
いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体(例えば、標的結合ペプチドと細胞受容体結合ペプチドを含む)または選択的枯渇複合体成分(例えば、標的結合ペプチドまたは細胞受容体結合ペプチドと二量体化ドメインを含む)は、配列番号:288~配列番号313、配列番号315~配列番号348、配列番号351、配列番号352、配列番号355、配列番号356、配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号371、配列番号373、配列番号376、配列番号378、配列番号382、配列番号384、配列番号387、もしくは配列番号389、またはその断片のいずれか1つの配列を含み得る。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体(例えば、標的結合ペプチドと細胞受容体結合ペプチドを含む)は、配列番号96と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号288~配列番号313、配列番号315~配列番号348、配列番号351、配列番号352、配列番号355、配列番号356、配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号371、配列番号373、配列番号376、配列番号378、配列番号382、配列番号384、配列番号387、もしくは配列番号389、またはその断片のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み得る。選択的枯渇複合体及び選択枯渇複合体成分、ならびにそれらの対応する標的または細胞受容体の例を表8に提供する。
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配列同一性及び相同性
配列同一性または相同性のパーセント(%)は、従来の方法によって決定される。(例えば、Altschul et al.(1986),Bull. Math. Bio.48:603(1986)、及びHenikoff and Henikoff(1992),Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915を参照されたい)。簡潔に述べると、2つのアミノ酸配列は、ギャップ開始ペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ1、ならびにHenikoff and Henikoff(同上)の「BLOSUM62」スコアリングマトリックスを使用して、アライメントスコアを最適化するように整列させることができる。次いで、配列同一性または相同性を次のように算出する:([同一マッチ総数]/[長いほうの配列の長さ+2つの配列を整列させるために長いほうの配列に導入したギャップの数])(100)。
2つ以上のペプチド間の相同性を決定するには、NCBI BLAST、Clustal W、MAFFT、Clustal Omega、AlignMe、Praline、または別の好適な方法もしくはアルゴリズムなどのさまざまな方法及びソフトウェアプログラムを使用することができる。ペアワイズ配列アライメントは、2つの生物学的配列(例えば、アミノ酸または核酸配列)間の機能的、構造的、及び/または進化的関係を示すことができる類似性の領域を特定するために使用することができる。加えて、多重配列アライメント(MSA)は、3つ以上の生物学的配列のアライメントである。MSAアプリケーションの結果から、相同性が推定され、配列間の進化的関係を評価することができる。本明細書で使用される場合、「配列相同性」及び「配列同一性」及び「配列同一性パーセント(%)」及び「配列相同性パーセント(%)」は、交換可能に使用され、必要に応じて、参照のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する配列の関連性またはバリエーションを意味する。
さらに、2つのアミノ酸配列を整列させるには、いくつかの確立されたアルゴリズムが利用可能である。例えば、Pearson及びLipmanの「FASTA」類似性検索アルゴリズムは、本明細書で開示されるペプチドのアミノ酸配列とペプチドバリアントのアミノ酸配列とが共有する配列同一性または相同性のレベルを調べるために好適なタンパク質アライメント法であり得る。FASTAアルゴリズムは、例えば、Pearson and Lipman,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA85:2444(1988)、及びPearson,Meth.Enzymol.183:63(1990)によって記載されている。簡潔に述べると、FASTAは、まず、保存的アミノ酸置換、挿入、または欠失を考慮せずに、クエリー配列(例えば、配列番号1)と、最も高い密度の一致(ktup変数が1の場合)または一致のペア(ktup=2の場合)のいずれかを有する試験配列とによって共有される領域を同定することによって、配列類似性を特徴付ける。次いで、アミノ酸置換マトリックスを使用して、すべてのペア形成アミノ酸の類似性を比較することによって、最も高い密度の一致を有する10の領域を再スコアリングし、最も高いスコアに寄与する残基だけを含むように、領域の末端を「トリミング」する。「カットオフ」値(配列の長さ及びktup値に基づいて予め決定された式により算出される)よりも大きいスコアを有する複数の領域がある場合、トリミングされた初期領域を調べることにより、これらの領域を結合して、ギャップのある近似アライメントを形成することができるかどうかを決定する。最後に、2つのアミノ酸配列の最高スコアリング領域を、アミノ酸の挿入及び欠失を許容するNeedleman-Wunsch-Sellersアルゴリズム(Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:444(1970);Sellers,Siam J.Appl.Math.26:787(1974))の改変を使用して整列する。例えば、FASTA解析の例示的なパラメーターは、ktup=1、ギャップ開始ペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=1、及び置換マトリックス=BLOSUM62である。これらのパラメーターは、Pearson,Meth.Enzymol.183:63(1990)の補遺2に説明されるようにして、スコアリング行列ファイル(「SMATRIX」)を改変することによりFASTAプログラムに導入され得る。
FASTAはまた、上に開示されている比を使用して、核酸配列または分子の配列同一性または相同性を決定するために使用することもできる。核酸配列を比較する場合、ktup値は、1~6の範囲、好ましくは、3~6、最も好ましくは、3であり得、他のパラメーターは本明細書に記載のとおりに設定される。
「保存的アミノ酸置換」である一般的なアミノ酸のいくつかの例は、次の群:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン、(3)セリン及びトレオニン、(4)アスパラギン酸及びグルタミン酸、(5)グルタミン及びアスパラギン、ならびに(6)リシン、アルギニン及びヒスチジンのそれぞれのうちのアミノ酸間の置換によって例示される。BLOSUM62テーブルは、タンパク質配列セグメントのおよそ2,000の局所的な多数のアラインメントから導出された、500以上の関連タンパク質群の高度に保存された領域を表すアミノ酸置換行列である(Henikoff and Henikoff,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA89:10915(1992))。したがって、BLOSUM62置換頻度を使用して、本発明のアミノ酸配列へ導入することができる保存的アミノ酸置換を定義することができる。化学的特性にのみ基づいてアミノ酸置換を設計することも可能であるが(上述のとおり)、「保存的アミノ酸置換」という言葉は、好ましくは、-1よりも大きいBLOSUM62値によって表される置換を指す。例えば、アミノ酸置換は、0、1、2、または3のBLOSUM62値によって特徴付けられる置換である場合、保存的である。このシステムによれば、好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも1(例えば、1、2または3)のBLOSUM62値によって特徴付けられ、より好ましい保存的アミノ酸置換は、少なくとも2(例えば、2または3)のBLOSUM62値によって特徴付けられる。
構造的完全性の維持に重要な領域またはドメイン内のアミノ酸残基の決定を行うことができる。これらの領域のうち、変化に対してある程度の耐性があり、分子の全体的な三次構造を維持することができる特定の残基を決定することができる。配列構造を分析するための方法としては、アミノ酸またはヌクレオチドの同一性または相同性が高い複数の配列のアラインメント、及び利用可能なソフトウェア(例えば、Insight II.RTMビューア及び相同性モデリングツール;MSI,San Diego,Calif.)を使用するコンピュータ分析、二次構造の傾向、バイナリパターン、相補的充填及び埋没極性相互作用が挙げられるがこれらに限定されない(Barton,G.J.,Current Opin.Struct. Biol.5:372-6(1995)、及びCordes,M.H.et al.,Current Opin. Struct. Biol.6:3-10(1996))。一般に、分子に対する改変の設計または特定の断片の同定を行う場合、構造の決定は、典型的に、改変された分子の活性を評価することによって達成することができる。
設計された結合ペプチド
本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、ペプチドの特性を改善または変更するように操作することができる。例えば、結合パートナー(例えば、標的分子またはTfR)に対するペプチドの親和性を変更するために、ペプチドを改変することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドを改変して、pH依存的に結合親和性を変更することができる。ペプチドは、ペプチド配列に1つ以上のアミノ酸のバリエーションを導入し、ペプチド特性(例えば、結合親和性)に対する変異の効果を試験することによって改変することができる。
いくつかの実施形態では、ペプチドまたはペプチドのライブラリは、ノットペプチドの天然に存在する足場から導き出すのではなく、インシリコで設計される。他の実施形態では、ペプチドまたはペプチドのライブラリは、目的のタンパク質または受容体に結合することが知られている天然に存在するペプチドまたはタンパク質に、適切なタンパク質結合残基、またはタンパク質結合界面に保存された残基をグラフト化する誘導によってインシリコで設計される。いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64)は、単純なヘリックス・ターン・ヘリックスである。いくつかの実施形態では、ヘリックス・ターン・ヘリックスは、他の足場上にファーマコフォアを移すために使用することができ、例えば、融合タグを使用して、ヘリックス・ターン・ヘリックス足場上に所望のTfR結合表面を移植することができる。
いくつかの実施形態では、配列番号1を含むペプチドは、付加、欠失、またはアミノ酸置換を含むさらなる改変のための足場またはベース配列として使用される。いくつかの実施形態では、GSなどのアミノ酸残基の短い配列がペプチドのN末端に付加される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、N末端にGSを欠く。いくつかの例では、ペプチドは、1つ以上の翻訳後修飾を受ける。
いくつかの実施形態では、TfR結合及び細胞膜を越えたトランスサイトーシスが可能なペプチドは、表1に列挙される例示的なペプチド配列(配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、及び配列番号1~配列番号64)のいずれか1つまたはその機能性断片と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。2つ以上ペプチドは、ある程度の配列同一性または相同性を共有し得、インビボで同様の特性を有し得る。例えば、ペプチドは、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のペプチドのいずれか1つと、ある程度の配列同一性または相同性を共有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の本開示のペプチドは、最大約20%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約25%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約30%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約35%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約40%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約45%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約50%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約55%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約60%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約65%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約70%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約75%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約80%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約85%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約90%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約95%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約96%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約97%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約98%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約99%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、最大約99.5%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性、または最大約99.9%のペアワイズ配列同一性もしくは相同性を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の本開示のペプチドは、第2のペプチドと、少なくとも約20%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約25%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約30%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約35%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約40%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約45%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約50%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約55%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約60%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約65%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約70%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約75%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約80%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約85%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約90%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約95%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約96%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約97%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約98%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約99%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約99.5%のペアワイズ配列同一性または相同性、少なくとも約99.9%のペアワイズ配列同一性または相同性を有する。
いくつかの実施形態では、TfR受容体結合の改善を示すペプチドは、トランスサイトーシス機能の改善を示す。場合によっては、TfR受容体結合の改善を示すペプチドは、トランスサイトーシス機能に変化が全くないか、または小さな変化を示す。場合によっては、TfR受容体結合の改善を示すペプチドは、トランスサイトーシス機能の低下を示す。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドのK値及びK値を調節及び最適化して(例えば、アミノ酸置換を介して)、TfR結合親和性と効率的なトランスサイトーシス機能の最適な比率をもたらすことができる。
いくつかの例では、ペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つ、またはその機能性断片である。他の実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つまたはその機能性断片に対して、99%、95%、90%、85%、または80%の配列同一性または相同性を有するペプチドをさらに含む。
他の例において、ペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つまたはその機能性断片に対して相同であるペプチドであり得る。本明細書にさらに記載されるように、「相同」という用語は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、もしくは配列番号1~配列番号64のいずれか1つまたはその機能性断片の配列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の配列同一性または相同性を有するペプチドまたはペプチド複合体を示すために本明細書で使用され得る。種々の実施形態では、断片は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、または少なくとも1000のアミノ酸の長さであり得る。種々の実施形態では、断片は、最大1000、最大900、最大800、最大700、最大600、最大500、最大450、最大400、最大350、最大300、最大250、最大200、最大150、最大100、最大50、最大25、最大10、または最大5アミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態では、断片は、約5~約50、約10~約50、約10~約40、約10~約30、または約10~約20アミノ酸の長さであり得る。
さらに他の例において、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つのペプチドまたはペプチド複合体をコードする核酸分子は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つのアミノ酸配列を有するコードされたペプチドアミノ酸配列の配列同一性もしくは相同性の決定によって、または核酸ハイブリダイゼーションアッセイによって、同定することができる。配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つのそのようなペプチドバリアントまたはペプチド複合体バリアントは、(1)0.1×-0.2×SSC、0.1%SDS、50~65℃に相当する洗浄ストリンジェンシーの高ストリンジェントな洗浄条件下において、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つのヌクレオチド配列を有する核酸分子(またはその相補体)とハイブリダイズ状態を維持し、かつ(2)配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%超の配列同一性または相同性を有するペプチドをコードする、核酸分子として特徴付けることができる。
親和性成熟
本開示のペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、親和性成熟によって同定または改変することができる。例えば、目的の標的に結合する標的結合ペプチドは、結合ペプチド(例えば、CDP、ナノボディ、アフィボディ、DARPin、センチリン、ナノフィッチン、アドネクチン、または抗体断片)の親和性成熟によって同定することができる。結合ペプチドは、可能性のあるすべての点変異のライブラリを生成することによって、またはCDPの場合はすべての可能な非システイン点変異のライブラリを生成することにより、親和性成熟を受けることができる。バリアントライブラリは、表面ディスプレイを介して(例えば、酵母または哺乳動物細胞で)発現させ、結合パートナー(例えば、標的分子またはTfR)への結合についてスクリーニングすることができる。開始のペプチドと比較して、またはバリアントライブラリの他のメンバーと比較して結合親和性が増加したライブラリメンバーは、その後の成熟ラウンドを受けることができる。それぞれのラウンド中に、考えられるすべての非システイン点変異のバリアントライブラリが生成され、スクリーニングされる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、目的の結合パートナー(例えば、標的分子またはTfR)への結合親和性が改善したペプチドを同定するために、1ラウンド、2ラウンド、3ラウンド、4ラウンド、5ラウンド、6ラウンド、7ラウンド、8ラウンド、9ラウンド、または10ラウンドの親和性成熟を受け得る。バリアントは、サンガー配列決定、次世代配列決定、またはハイスループット配列決定(例えば、イルミナ配列決定)によって同定できる。
いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、TfR結合ペプチドまたは標的結合ペプチド)をpH非依存性結合について選択することができる。例えば、ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4)とエンドソームpH(約pH5.5など)の両方で結合パートナー(例えば、標的分子またはTfR)に高親和性結合するように選択することができる。pH非依存性結合を有するペプチドは、細胞外pH(約pH7.4)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で結合パートナーに結合することができる。いくつかの実施形態では、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドは、エンドソームpH(約pH5.5など)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、エンドソームpHで安定であり、例えば、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下ではエンドソーム内で放出しない。逆に、選択された標的に結合するための高い親和性を有し、そのような選択された標的に結合し、細胞内での分解のためにエンドソームで放出されるペプチドまたはペプチド複合体として選択的枯渇複合体で使用されるペプチドは、エンドソーム内で放出されるようなpH依存性標的結合CDPであり得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、エンドソームpHで、例えば、pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下のエンドソームで、安定性が低く、全体または一部が放出される。
pH依存性結合
本開示のペプチド(例えば、標的結合ペプチドまたはTfR結合ペプチド)は、pH依存性結合特性のために改変することができる。標的結合ペプチド(例えば、標的結合CDP)へのpH依存性結合の付与は、3段階で行うことができる。まず、ヒスチジン(His)点変異を含むペプチドバリアントのライブラリを設計できる。ヒスチジンアミノ酸は、Hisが中性(pH 7.4)と酸性(pH<6)エンドソーム条件の間のpK 値を有する側鎖を持つ唯一の天然アミノ酸であるため、標的結合ペプチドに導入され、pHが変化するにつれてのこの電荷の変化は、直接的(例えば、低pHでの正電荷形成時の電荷-電荷相互作用の変化)に、または間接的(例えば、電荷の変化が標的結合ペプチドの構造に微妙な変化を与え、標的分子と標的結合ペプチド間の界面を破壊する)に、結合を変化させることができる。いくつかの実施形態では、二重Hisドープライブラリを生成することによって、標的結合ペプチドのバリアントスクリーニングを実施することができる。例えば、標的結合CDPの二重Hisドープライブラリは、すべての非Cys、非His残基が一度に1つまたは2つのHisアミノ酸で置換されているライブラリを含むことができる。バリアントライブラリは、表面ディスプレイを介して細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)で発現させることができ、それぞれの標的結合ペプチドバリアントは1個または2個のHis置換を含む。中性pH(約pH7.4)下での結合の維持、及び低pH(約pH6.0または約pH5.5)下での結合の減少について、標的結合ペプチドバリアントを試験することができる。中性pHと比較して低pH下で結合親和性の低下を示したバリアントは、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドとして同定できる。
いくつかの実施形態では、本開示の標的結合ペプチド(例えば、ヒスチジン含有またはヒスチジンリッチの標的結合ペプチド)は、生理学的な細胞外pHで高い標的結合親和性を有するが、5.5のエンドソームpHなどの低いpHレベルでは、結合親和性が著しく低下し得る。場合によっては、本開示の標的結合ペプチドは、高い標的結合能力を保持しながら、小胞内(例えば、エンドソーム内)及び/または細胞内の送達機能を改善するために最適化され得る。場合によっては、ヒスチジンスキャン及び比較結合実験を実施して、そのようなペプチドを開発及びスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態では、本開示のペプチド中のアミノ酸残基は、標的分子へのpH依存性結合親和性を変更するために、異なるアミノ酸残基で置換される。アミノ酸置換は、低いpHにおける結合親和性を増加させること、高いpHにおける結合親和性を増加させること、低いpHにおける結合親和性を減少させること、高いpHにおける結合親和性を減少させること、またはこれらの組み合わせをなし得る。
いくつかの実施形態では、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドは、細胞外pH(約pH7.4など)で、50μM未満、5μM未満、500nM未満、100nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.4nM未満、0.3nM未満、0.2nM未満、または0.1nM未満の解離定数(K)で標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、pH依存性結合を有する標的結合ペプチドは、エンドソームpH(約pH5.5など)で、少なくとも1nM、少なくとも2nM、少なくとも5nM、少なくとも10nM、少なくとも20nM、少なくとも50nM、少なくとも100nM、少なくとも200nM、少なくとも500nM、少なくとも1μM、少なくとも2μM、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも500mM、または少なくとも1Mの解離定数(K)で、標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、TfR結合ペプチドは、エンドソームpHで安定であり、例えば、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下ではエンドソーム内で放出しない。逆に、選択された標的に結合するための高い親和性を有し、そのような選択された標的に結合し、細胞内での分解のためにエンドソームで放出されるペプチドまたはペプチド複合体として選択的枯渇複合体で使用されるペプチドは、エンドソーム内で放出されるようなpH依存性標的結合CDPであり得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、エンドソームpHで安定性が低くなり、例えば、pH7.3、pH7.2、pH7.1、pH7.0、pH6.9、pH6.8、pH6.7、pH6.6、pH6.5、pH6.4、pH6.3、pH6.2、pH6.1、pH6.0、pH5.9、pH5.8、pH5.7、pH5.6、pH5.5、pH5.4、pH5.3、pH5.2、pH5.1、pH5.0、pH4.9、pH4.8、pH4.7、pH4.6、pH4.5、またはそれ以下などの酸性条件下でエンドソーム内ですべてまたは一部を放出する。
選択的枯渇複合体の使用方法
本開示の選択的枯渇複合体を使用して、細胞、組織、または対象に効果を及ぼすことができる。効果は、治療効果、薬理学的効果、生物学的効果、または生化学的効果であり得る。いくつかの実施形態では、効果は、選択的枯渇複合体が結合する標的分子の選択的枯渇から生じ得る。いくつかの実施形態では、効果は、標的、受容体、及び標的と受容体を結合する選択的枯渇複合体との間の三元複合体形成から生じ得る。
標的分子の選択的枯渇
本明細書に記載されるのは、本開示の組成物(例えば、選択的枯渇複合体)を使用して標的分子を選択的に枯渇させる方法である。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、トランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスを介して分子をエンドサイトーシス区画に選択的に動員することと、リソソーム中の標的分子を濃縮することとを含み得る。選択的枯渇複合(例えば、標的結合ペプチドにコンジュゲートされた受容体結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体)は、受容体結合ペプチドを介して受容体に、及び標的分子(例えば、可溶性タンパク質、細胞外タンパク質、または細胞表面タンパク質)に結合することができる。標的分子は、受容体及び選択的枯渇分子の受容体媒介性エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシス区画に送達され得る。エンドサイトーシス区画では、選択的枯渇複合体が受容体に結合したままになり、エンドサイトーシス区画が酸性化するにつれて標的分子が選択的枯渇複合体から放出される。選択的枯渇分子は、受容体とともに細胞表面に再循環される可能性があり、標的分子は分解されるリソソームに進むことができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、分解されることなくリソソーム内に留まることができ、その結果、リソソーム蓄積症におけるリソソーム酵素などのリソソーム内の標的分子が濃縮される。
標的分子を選択的に枯渇させるため、またはリソソーム中の標的分子を選択的に濃縮するための本開示の方法は、標的分子に関連する疾患または状態を治療するために使用することができる。例えば、神経変性に関連する標的分子の選択的枯渇を使用して、神経変性疾患を治療することができる。別の例では、がんに関連する標的分子の選択的枯渇を使用して、がんを治療することができる。細胞表面分子が枯渇すると、がん細胞が免疫系の標的となり得、チェックポイント阻害が失われ得、生存シグナル伝達が無効になり得、薬剤耐性ポンプを除去することができる。別の例では、炎症性分子の選択的枯渇を使用して、有害な炎症シグナル伝達を治療することができる。別の例では、リソソーム蓄積症に関連するリソソーム酵素のリソソームにおける選択的濃縮を使用して、リソソーム蓄積症を治療することができる。この例では、リソソーム酵素は、標的枯渇複合体がリソソーム酵素をリソソーム区画に追いやるような、標的枯渇複合体との併用療法で投与することができる。疾患または状態を治療する方法は、細胞(例えば、受容体を発現する細胞)を本開示の選択的枯渇複合体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、疾患または状態(例えば、神経変性疾患、がん、有害な炎症、またはリソソーム蓄積症)を有する対象(例えば、ヒト対象)に投与することができる。
すべての哺乳動物細胞は鉄を必要とするため、この構成経路を通じてトランスフェリンを取り込むため、TfRは遍在するタンパク質である。このメカニズムにより、実質的に任意の標的組織が、TfR結合ペプチドを含む本開示の選択的枯渇方法または選択的濃縮方法の影響を受けやすいであろう。腫瘍組織は、ほとんどの腫瘍が、選択的枯渇分子において天然の腫瘍選択性を与えることができるTfRが濃縮されているため、本開示の方法に特に適していることができる。
肝臓組織もTfRが高度に濃縮されていることができるため、選択的枯渇法に適した組織となり得る。いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体(例えば、CDPを含む選択的枯渇複合体)は、肝臓において長期間安定であり得る。例えば、本開示の選択的枯渇複合体は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、または少なくとも約10時間の肝臓における半減期を有することができる。クラスとしてすでに大部分が肝代謝の対象となっている血清タンパク質は、比較的低用量の選択的枯渇複合体による選択的枯渇の標的となり得る。本開示の選択的枯渇複合体の血清半減期は、例えば血清半減期延長ペプチドの付加により、低頻度の投薬を必要とする分子を作製するために改善され得る。半減期が短い選択的枯渇複合体は、例えば有害な炎症性シグナル伝達を治療するための急性標的除去薬として機能し得る。
選択的枯渇複合体は、対象に全身的または末梢的に投与することができ、高レベルのTfR発現を有する組織(例えば、腫瘍組織、腎臓組織、脾臓、骨髄、または肝臓組織)に蓄積することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、対象に全身的または末梢的に投与することができ、腎臓組織または肝臓組織に蓄積することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は、組織標的化ドメインを含むことができ、対象への投与時に標的組織に蓄積することができる。例えば、選択的枯渇複合体は、目的の細胞または当該細胞の表面または内部に位置する標的タンパク質に対するターゲティングまたはホーミング機能を有する分子(例えば、小分子、ペプチド、またはタンパク質)にコンジュゲート、連結、または融合することができる。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体は対象に経口投与することができ、消化管に到達することができる。経口投与された選択的枯渇複合体は、消化管内の疾患関連タンパク質のクリアランスに使用できる。
いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体は、分泌表現型を有する良性細胞に遺伝的にコードされ得る。選択的枯渇複合体は、分泌細胞によって発現され得、局所細胞療法において分泌分子として投与され得る。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体をコードする遺伝子は、遺伝子療法として、目的の組織(例えば、肝臓、造血、腎臓、皮膚、腫瘍、中枢神経系(CNS)、またはニューロン)に送達することができる。
いくつかの実施形態では、選択的枯渇構築物の標的結合ペプチドは、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、IgG、抗体断片、Fab、F(ab)2、scFv、(scFv)2、DARPin、またはアフィボディを含み得る。いくつかの実施形態では、標的結合ペプチドは、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含み得る。例えば、標的結合ペプチドは、PD-L1、FGFR-1、VEGF、PD-1、EGFR、CD38、GD2、SLAMF7、CTLA-4、CCR4、CD20、PDGFRα、VEGFR2、HER2、CD33、CD30、CD22、CD79B、ネクチン-4、またはTROP2に結合する抗体単鎖可変断片(scFv)を含み得、pH依存性結合のために改変されている。選択的枯渇複合体の標的結合ペプチドは、臨床的関連性を有する標的分子などの標的分子に結合することができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、疾患または状態において過剰発現または過剰活性化されるタンパク質であり得る。例えば、標的分子は、発がん性シグナル伝達、免疫抑制、または炎症促進性シグナル伝達に関与する膜貫通タンパク質であり得る。本開示の標的結合ペプチドによって標的化され得る標的分子の例としては、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、及びPD-L1が挙げられるが、これらに限定されない。
選択的枯渇複合体による標的分子のエンドサイトーシス及び続く分解は、標的分子(例えば、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1)と関連する疾患または状態を治療(例えば、除去する、軽減する、その進行を遅らせる、またはその症状を治療する)することができる。いくつかの実施形態では、標的分子は疾患または状態において過剰発現され、標的分子を枯渇させることにより標的分子のレベルが低下し、それによって疾患または状態が治療される。いくつかの実施形態では、標的分子は疾患または病状において蓄積し、標的分子を枯渇させることで蓄積が解消または減少し、それによって疾患または病状が治療される。いくつかの実施形態では、標的分子は過剰活性化または過剰刺激されており、標的分子を枯渇させると標的分子の活性レベルが低下し、それによって疾患または状態が治療される。選択的枯渇複合体を使用して治療することができる疾患の例としては、がん(例えば、非小細胞肺癌、原発性非小細胞肺癌、転移性非小細胞肺癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、神経膠芽腫、脳癌、転移性脳癌、結腸直腸癌、結腸癌、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)耐性がん、セツキシマブ耐性がん、ネシツムマブ耐性がん、パニツムマブ耐性がん、局所がん、局所進行がん、再発がん、転移がん、難治性がん、KRAS野生型がん、KRAS変異がん、またはエクソン20変異非小細胞肺癌)、炎症、炎症状態、神経学的状態(例えば、神経炎症、神経炎症性疾患、脳卒中、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、または神経原線維変化型認知症、慢性外傷性脳症(CTE)、加齢関連タウアストログリオパチー、前頭側頭型認知症、パーキンソン症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、リチコボーディグ病、神経節膠腫、髄膜血管腫症、または亜急性硬化症全脳炎を含むその他のタウオパシー)が挙げられる。
本開示の選択的枯渇複合体の投与は、疾患または状態を治療するための追加の療法と組み合わせることができる。例えば、がんを治療するための選択的枯渇複合体の投与は、放射線療法、化学療法、白金療法、または抗代謝療法の投与と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、追加の療法は、フルオロウラシル、FOLFIRI、イリノテカン、FOLFOX、ゲムシタビン、またはシスプラチンを対象に投与することを含み得る。
三元複合体形成
標的分子、受容体、及び受容体結合ペプチドと標的結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体の間で三元複合体を形成する方法が、本明細書に記載される。三元複合体は、受容体結合ペプチドの受容体への結合及び標的結合ペプチドの標的への結合を通じて形成され得る。標的、受容体、及び選択的枯渇複合体の間の三元複合体形成は、標的及び受容体を発現する細胞、組織、または対象に対して、治療的、薬理学的、生物学的、または生化学的な効果を発揮し得る。いくつかの実施形態では、受容体、標的、及び選択的枯渇複合体の間の三元複合体の形成は、標的分子、受容体、またはその両方の再循環または代謝回転を増加させ得る。標的または受容体の再循環または代謝回転の増加は、標的または受容体の活性を変化させ(例えば、増加させ)、それによって治療的、薬理学的、生物学的、または生化学的な効果を発揮し得る。
三元複合体の形成は、標的分子を受容体に動員することにより、治療、薬理学、生物学、または生化学を発揮し得る。受容体への標的分子の動員は、受容体と標的との間の結合相互作用を促進し得る。いくつかの実施形態では、その後の受容体及び標的の再循環は、治療的、薬理学的、生物学的、または生化学的な効果を促進し得る。いくつかの実施形態では、三元複合体の形成は、標的と受容体との間の相互作用を安定化させ得る。
ペプチドの物理化学的特性
いくつかの実施形態では、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、分子の大きさ及び構造、pH、等電点、ならびに全体的な分子正味電荷などの広範囲の物理化学的特性を含み得る。これらのパラメーターは、TfRに結合する、トランスサイトーシスを促進する、BBBなどの細胞障壁を越えてカーゴ分子を輸送する、またはそれらの組み合わせのペプチドの能力に影響し得る。
本開示のペプチドは、少なくとも1個のD立体配置のアミノ酸残基を含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約5~100アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約10~90アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約15~80アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約15~75アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約15~70アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約20~65アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約20~60アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約25~55アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約25~50アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約25~40アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約11~35アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、約10~25アミノ酸残基長である。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも5アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも15アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも20アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも25アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも30アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも35アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも40アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも45アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも50アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも55アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも60アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも65アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも70アミノ酸残基長である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも75アミノ酸残基長である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドのアミノ酸配列は、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、少なくとも50個、少なくとも51個、少なくとも52個、少なくとも53個、少なくとも54個、少なくとも55個、少なくとも56個、少なくとも57個、少なくとも58残基、少なくとも59個、少なくとも60個、少なくとも61個、少なくとも62個、少なくとも63個、少なくとも64個、少なくとも65個、少なくとも66個、少なくとも67個、少なくとも68個、少なくとも69個、少なくとも70個、少なくとも71個、少なくとも72個、少なくとも73個、少なくとも74個、少なくとも75個、少なくとも76個、少なくとも77個、少なくとも78個、少なくとも79個、少なくとも80個、または少なくとも81個のアミノ酸残基を含む。
本開示のいくつかの実施形態では、ペプチドの三次元構造または三次構造は、主に、ベータシート及び/またはアルファヘリックス構造から構成される。いくつかの実施形態では、本開示の設計または操作されたペプチド(例えば、標的結合ペプチド、TfR結合ペプチド、または選択的枯渇複合体)は、鎖内ジスルフィド結合(例えば、システインによって媒介される)及び疎水性コアによって安定化された小型で緻密なペプチドまたはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、操作されたペプチドは、アルファヘリックスのそれぞれの間に少なくとも1つのジスルフィド架橋を有するらせん状バンドルを含む構造を有し、それによって、ペプチドが安定化される。他の実施形態では、操作されたTfR結合ペプチドは、3つのアルファヘリックス及び3つの鎖内ジスルフィド結合を有する構造を含み、鎖内ジスルフィド結合は、アルファヘリックスバンドル中の3つのアルファヘリックスのぞれぞれの間に1つある。
生理学的細胞外pHで、本明細書に記載のペプチドは、例えば、-5、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、または+5の全体的な分子正味電荷を有し得る。正味電荷がゼロの場合、ペプチドは、非電荷または双極性イオン性であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1つ以上のジスルフィド結合を含み、生理学的細胞外pHで正の正味電荷を有し、正味電荷は、+0.5または+0.5未満、+1または+1未満、+1.5または+1.5未満、+2または+2未満、+2.5または+2.5未満、+3または+3未満、+3.5または+3.5未満、+4または+4未満、+4.5または+4.5未満、+5または+5未満、+5.5または+5.5未満、+6または+6未満、+6.5または+6.5未満、+7または+7未満、+7.5または+7.5未満、+8または+8未満、+8.5または+8.5未満、+9または+9.5未満、+10または+10未満であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、生理学的細胞外pHで負の正味電荷を有し、正味電荷は、-0.5または-0.5未満、-1または-1未満、-1.5または-1.5未満、-2または-2未満、-2.5または-2.5未満、-3または-3未満、-3.5または-3.5未満、-4または-4未満、-4.5または-4.5未満、-5または-5未満、-5.5または-5.5未満、-6または-6未満、-6.5または-6.5未満、-7または-7未満、-7.5または-7.5未満、-8または-8未満、-8.5または-8.5未満、-9または-9.5未満、-10または-10未満であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~10の等電点(pI)値を有し得る。他の実施形態では、本開示のペプチドは、4.3~8.9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~4のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~5のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~6のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~7のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~8のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、3~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~5のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~6のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~7のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~8のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、4~10のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、5~6のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、5~7のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、5~8のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、5~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、5~10のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、6~7のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、6~8のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、6~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、6~10のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、7~8のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、7~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、7~10のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、8~9のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、8~10のpI値を有し得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、9~10のpI値を有し得る。
場合によっては、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチド)内の1つ以上の変異の操作は、生理学的細胞外pHでの等電点、電荷、表面電荷、またはレオロジーが改変されたペプチドをもたらす。サソリまたはクモの複合体に由来し得るペプチドに対するそのような変異の操作により、例えば、正味電荷を1、2、3、4、もしくは5下げるか、または正味電荷を1、2、3、4、または5上げることによって、ペプチドの正味電荷を変えることができる。そのような場合において、操作された変異は、標的タンパク質に結合し、トランスサイトーシスを促進し、細胞、エンドソーム、または核を透過するペプチドの能力を促進することができる。ペプチドのレオロジー及び効力を改善するのに好適なアミノ酸改変は、保存的または非保存的変異を含み得る。
ペプチドは、ペプチドの由来となる毒液または毒素の成分の配列と比較して、最大で1個のアミノ酸変異、最大で2個のアミノ酸変異、最大で3個のアミノ酸変異、最大で4個のアミノ酸変異、最大で5個のアミノ酸変異、最大で6個のアミノ酸変異、最大で7個のアミノ酸変異、最大で8個のアミノ酸変異、最大で9個のアミノ酸変異、最大で10個のアミノ酸変異、または別の好適な数の変異を含み得る。他の実施形態では、ペプチド、またはその機能性断片は、ペプチドが由来する毒液または毒素成分の配列と比較して、少なくとも1個のアミノ酸変異、少なくとも2個のアミノ酸変異、少なくとも3個のアミノ酸変異、少なくとも4個のアミノ酸変異、少なくとも5個のアミノ酸変異、少なくとも6個のアミノ酸変異、少なくとも7個のアミノ酸変異、少なくとも8個のアミノ酸変異、少なくとも9個のアミノ酸変異、少なくとも10個のアミノ酸の変異、または別の好適な数の変異を含む。いくつかの実施形態では、ペプチド内で変異の操作を行うことで、生理学的細胞外pHで所望の電荷または安定性を有するペプチドを提供することができる。
一般に、関連する構造ペプチドもしくはタンパク質ホモログの磁気共鳴(NMR)分解構造、X線結晶構造、及び一次構造配列アライメントまたはインシリコ設計を使用して、特定の生物学的機能(例えば、TfR親和性/結合)を維持しながら、フォールディング、安定性、及び/または製造可能性を改善することができる変異戦略を生成することができる。ホモログまたはインシリコ設計ペプチドもしくはポリペプチドを生成するための一般的な戦略は、タンパク質の荷電表面パッチまたは保存的残基の同定、重要なアミノ酸の位置及びループの変異、続いて、ペプチドのインビトロ及びインビボ試験を含み得る。全体的なペプチド最適化プロセスは、例えば、インビトロまたはインビボの試験中に得られた情報が次世代のペプチドの設計に使用されるという点で、反復的な性質のものであり得る。したがって、本明細書で開示される方法を使用して、特性が改善されたペプチドを設計すること、またはフォールディング及び製造可能性を困難にする有害な変異を修正することができる。重要なアミノ酸の位置及びループの保持を可能にしながら、ペプチド配列中の他の残基を変異させて、ペプチドの機能、例えば、結合、トランスサイトーシス、または細胞、エンドソーム、もしくは細胞の核に浸透する能力、ホーミング、または別の活性を改善、変更、除去、または他の方法で修正することができる。これらの技術を使用して、構造的に相同な足場群の3Dファーマコフォアを予測することができ、また、特性(例えば、結合特性)が改善されたキメラを生成するために、関連タンパク質のグラフト可能領域を予測することができる。例えば、この戦略は、TfR受容体結合及びトランスサイトーシス特性、高発現、インビボ高安定性、またはこれらの特性の任意の組み合わせが改善されたペプチドを設計するために使用される重要なアミノ酸位置及びループを同定するために使用される。
本開示はまた、本明細書に記載のさまざまなペプチドの多量体も包含する。多量体の例としては、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体などが挙げられる。多量体は、複数の同一のサブユニットから形成されるホモマーまたは複数の異なるサブユニットから形成されるヘテロマーであり得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、少なくとも1個の他のペプチド、または2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、もしくはそれ以上の他のペプチドとの多量体構造で配置される。特定の実施形態では、多量体構造のペプチドはそれぞれ同じ配列を有する。他の実施形態では、多量体構造の1つ以上またはすべてのペプチドは、異なる配列を有する。
いくつかの実施形態では、本開示は、より特異的な特性または改善された特性を有する追加の次世代ペプチドを生成するための出発点として使用することができるペプチド足場を提供する。いくつかの実施形態では、これらの足場は、さまざまなCDPまたはノットペプチドに由来する。足場に好適ないくつかのペプチドとしては、クロロトキシン、ブラゼイン、サーキュリン、ステクリスプ、ハナトキシン、ミッドカイン、ヘフトキシン、ジャガイモカルボキシペプチダーゼ阻害薬、バブルタンパク質、アトラクチン、α-GI、α-GID、μ-PIIIA、ω-MVIIA、ω-CVID、χ-MrIA、ρ-TIA、コナントキンG、コンツラキンG、GsMTx4、マルガトキシン、shK、毒素K、キモトリプシン阻害薬(CTI)、及びEGFエピレグリンコアを挙げることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ペプチド配列は、追加のアミノ酸に隣接する。1つ以上の追加のアミノ酸は、所望のインビボ電荷、等電点、化学コンジュゲーション部位、安定性、または生理学的特性をペプチドに付与し得る。
ペプチドの薬物動態
本開示のペプチドのいずれかの薬物動態は、異なる投与経路を介したペプチドの投与後に決定され得る。例えば、本開示のペプチドの薬物動態パラメーターは、静脈内、皮下、筋肉内、直腸、エアロゾル、非経口、眼科、肺、経皮、膣、視神経、鼻腔、経口、舌下、吸入、皮膚、髄腔内、鼻腔内、腹膜、頬部、滑膜、腫瘍内、または局所の投与後に定量化することができる。本開示のペプチドは、放射性標識またはフルオロフォアなどの追跡剤を使用することによって分析され得る。例えば、本開示の放射性標識ペプチドは、さまざまな投与経路を介して投与することができる。血漿、尿、糞便、任意の器官、皮膚、筋肉、及び他の組織などのさまざまな生体試料中のペプチド濃度または用量回収は、HPLC、蛍光検出技術(TECAN定量、フローサイトメトリー、iVIS)、または液体シンチレーション計測を含むさまざまな方法を使用して決定され得る。
本明細書に記載の方法及び組成物は、任意の経路を介した対象へのペプチド投与の薬物動態に関する。薬物動態は、例えば、コンパートメントモデルまたはノンコンパートメント方法などの方法及びモデルを使用して記述され得る。コンパートメントモデルとしては、モノコンパートメントモデル、2コンパートメントモデル、マルチコンパートメントモデルなどが挙げられるが、これらに限定されない。モデルは、多くの場合、さまざまなコンパートメントに分割され、対応するスキームによって記述され得る。例えば、1つのスキームは、吸収、分布、代謝、及び排泄(ADME)スキームである。別の例として、別のスキームは、放出、吸収、分布、代謝、及び排泄(LADME)スキームである。いくつかの態様において、代謝及び排泄は、消失コンパートメントと呼ばれる1つのコンパートメントに分類することができる。例えば、放出は、送達系からの組成物の活性部分の放出を含み、吸収は、対象による組成物の活性部分の吸収を含み、分布は、血漿を介して、異なる組織への組成物の分布を含み、代謝は、組成物の代謝または不活性化を含み、最後に排泄は、組成物または組成物の代謝産物の排泄または消失を含む。対象に静脈内投与された組成物は、多相薬物動態プロファイルに供することができ、これは、組織分布及び代謝/排泄の態様を含み得るが、これらに限定されない。したがって、組成物の血漿濃度または血清濃度の減少は、多くの場合、例えば、アルファ相及びベータ相を含む二相であり、時として、ガンマ、デルタまたは他の相が観察される。
薬物動態は、対象へのペプチドの投与に関連する少なくとも1つのパラメーターを決定することを含む。いくつかの態様において、パラメーターは、少なくとも、用量(D)、投与間隔(τ)、曲線下面積(AUC)、最大濃度(Cmax)、次の用量が投与されるまでに到達する最小濃度(Cmin)、最小時間(Tmin)、Cmaxに到達するまでの最大時間(Tmax)、分布体積(V)、定常状態分布体積(Vss)、0時点での外挿濃度(C)、定常状態濃度(Css)、消失速度定数(k)、注入速度(kin)、クリアランス(CL)、バイオアベイラビリティ(f)、変動(PTF%)、及び消失半減期(t1/2)を含む。
特定の実施形態では、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれかのペプチドまたはペプチド複合体は、経口投与後に、最適な薬物動態パラメーターを示す。他の実施形態では、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれかのペプチドまたはペプチド複合体は、任意の投与経路、例えば、経口投与、吸入、鼻腔内投与、局所投与、静脈内投与、皮下投与、関節内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、滑液嚢、またはこれらの任意の組み合わせなどの後、最適な薬物動態パラメーターを示す。
いくつかの実施形態では、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれかのペプチドまたはペプチド複合体は、Cmaxに到達するまでの平均Tmaxが0.5~12時間もしくは1~48時間、経口経路による対象へのペプチド投与後の対象の血清における平均バイオアベイラビリティが0.1%~10%、消化管への送達の場合における対象への経口投与後の血清の平均バイオアベイラビリティが0.1%未満、非経口投与後の血清における平均バイオアベイラビリティが10~100%、対象へのペプチド投与後の対象における平均t1/2が0.1時間~168時間もしくは0.25時間~48時間、対象へのペプチド投与後のペプチドの平均クリアランス(CL)が0.5~100L/時間もしくは0.5~50L/時間、対象へのペプチドの全身投与後の対象の平均分布体積(V)が200~20,000mL、または任意選択により全身取り込みなし、これらの任意の組み合わせを示す。
ペプチド安定性
本開示のペプチドは、細胞内、サイトゾル内、細胞核内、もしくはエンドソーム内、または腫瘍内の、生理学的細胞外pH、エンドソームまたはライソソームのpH、または還元環境などのさまざまな生物学的条件または生理学的条件で安定であり得る。例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれかの任意のペプチドまたはペプチド複合体は、還元剤、プロテアーゼ、酸化条件、または酸性条件に対する耐性を示し得る。
いくつかの場合では、生物学的分子(ペプチド及びタンパク質など)は、治療機能を提供し得るが、そのような治療機能は、インビボ環境によって引き起こされる不安定性によって低下するか、または阻害される(Moroz et al.Adv Drug Deliv Rev 101:108-21(2016),Mitragotri et al.Nat Rev Drug Discov 13(9):655-72(2014),Bruno et al.Ther Deliv(11):1443-67(2013),Sinha et al.Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(1):63-92(2007),Hamman et al.BioDrugs 19(3):165-77(2005))。例えば、消化管は、低pH(例えば、pH約1)の領域、還元環境、またはペプチド及びタンパク質を分解し得るプロテアーゼの多い環境を含み得る。口、眼、肺、鼻腔内の空洞、関節、皮膚、膣管、粘膜、及び血清などの身体の他の領域のタンパク質分解活性もまた、機能的に活性なペプチド及びポリペプチドの送達の障害となり得る。さらに、血清中におけるペプチドの半減期は、プロテアーゼに部分的に起因して極めて短くなり得、そのため、ペプチドは、妥当な投与レジメンを実施した場合、持続的な治療効果をもたらすにはあまりにも急速に分解され得る。同様に、リソソームなどの細胞内コンパートメント内のタンパク質分解活性ならびにリソソーム及びサイトゾル内の還元活性は、ペプチド及びタンパク質を分解し得るため、細胞内標的に治療機能を提供できないものとなり得る。したがって、還元剤、プロテアーゼ、及び低pHに対して耐性のあるペプチドは、インビボにおいて、共製剤化された、またはコンジュゲート、連結、もしくは融合された活性剤の治療効果の増大を提供するか、または治療効果を増大させることができ得る。
製造方法
本明細書に記載のペプチドの組換え発現には、さまざまな発現ベクター/宿主系が利用され得る。そのような系の非限定的な例としては、本明細書に記載のペプチド、ペプチド複合体、もしくはペプチド融合タンパク質/キメラタンパク質をコードする核酸配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌、上記の核酸配列を含む組換え酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母などの微生物、上記の核酸配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系、上述の核酸配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV))を感染させるか、もしくは上述の核酸配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、または安定的に増幅する(例えば、CHO/dhfr、CHO/グルタミンシンテターゼ)もしくは二重微小染色体で不安定に増幅する(例えば、マウス細胞株)、上述の核酸配列の複数コピーを含むように操作された細胞株を含む、組換えウイルス発現ベクター(例えば、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、レンチウイルス)を感染させた動物細胞系が挙げられる。ペプチドのジスルフィド結合形成及びフォールディングは、発現中もしくは発現後またはその両方において生じ得る。
宿主細胞は、本明細書に記載の1つ以上のペプチドを発現するように適応され得る。宿主細胞は、原核生物細胞、真核生物細胞、または昆虫細胞であり得る。場合によっては、宿主細胞は、挿入された配列の発現の調節、または所望の特定の様式での遺伝子もしくはタンパク質産物の修飾及びプロセシングが可能である。例えば、ある特定のプロモーターからの発現は、ある特定の誘導物質(例えば、メタロチオニンプロモーターに対する亜鉛及びカドミウムイオン)の存在下で増加し得る。場合によっては、ペプチド産物の修飾(例えば、リン酸化)及びプロセシング(例えば、切断)は、ペプチドの機能にとって重要であり得る。宿主細胞は、ペプチドの翻訳後プロセシング及び修飾について、特徴的かつ特異的な機序を有し得る。場合によっては、ペプチドを発現するために使用される宿主細胞は、最小限のタンパク質分解酵素を分泌する。
本開示の選択的枯渇複合体は、化学合成または修飾を必要とせずに、単一の組換え発現系によって有利に作製することができる。例えば、選択的枯渇複合体は、CHO細胞、酵母、pichia、E.coli、または他の生物で発現させることができる。
細胞ベースまたはウイルスベースの試料の場合、精製前に生物を処理して標的ポリペプチドを保存及び/または遊離させることができる。いくつかの実施形態では、細胞は、固定剤を使用して固定される。いくつかの実施形態では、細胞は、溶解される。細胞材料は、細胞の多くの部分が破壊されることなく、細胞材料の表面から、及び/または細胞間の隙間からタンパク質を取り出すような様式で処理され得る。例えば、細胞内空間内及び/または植物細胞壁内に位置するタンパク質を取り出すために、細胞材料は、液体緩衝液中に浸漬され得るか、または、植物材料の場合、真空に供し得る。細胞材料が微生物である場合、タンパク質は、微生物培地から抽出され得る。代替的に、ペプチドは、封入体にパッケージングされ得る。封入体は、培地中の細胞成分からさらに分離され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、破壊されない。インタクトな細胞またはウイルス粒子の結合及び/または精製のために、細胞またはウイルスによって提示される細胞ペプチドまたはウイルスペプチドが使用され得る。組換え系に加えて、ペプチドはまた、タンパク質及びペプチドの合成に採用されるさまざまな既知の技術を使用して、無細胞系で合成された後、抽出され得る。
場合によっては、宿主細胞は、カーゴ分子(例えば、治療薬)の結合点を有するペプチドを産生する。結合点は、リジン残基、N末端、システイン残基、システインジスルフィド結合、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸残基、C末端、または非天然アミノ酸を含み得る。ペプチドは、固相ペプチド合成、または溶液相ペプチド合成などによって、合成的に産生され得る。ペプチド合成は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)化学またはブチルオキシカルボニル(Boc)化学によって実施され得る。ペプチドは、合成中もしくは合成後またはその両方においてフォールディングが生じ得る(ジスルフィド結合の形成)。ペプチド断片は、合成的または組換え的に産生され得る。次いで、ペプチド断片は、酵素的または合成的に互いに接続され得る。
他の態様において、本開示のペプチドは、従来の固相化学合成技術によって、例えば、Fmoc固相ペプチド合成法にしたがって、調製することができる(“Fmoc solid phase peptide synthesis,a practical approach,” edited by W.C.Chan and P.D.White,Oxford University Press,2000)。
いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、製造中により安定であり得る。例えば、本開示のペプチドは、組換え発現及び精製中により安定であり得、それにより、製造プロセスに存在するプロテアーゼによる分解速度の低下、より高いペプチド純度、より高いペプチド収率、またはこれらの任意の組み合わせがもたらされる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、製造、保存、及び流通中における高温及び低温での分解により安定であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、25℃で安定であり得る。他の実施形態では、本開示のペプチドは、70℃または70℃より高い温度で安定であり得る。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドは、100℃または100℃より高い温度で安定であり得る。
医薬組成物
本開示の医薬組成物は、本明細書に記載の任意のペプチドと、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤、抗酸化剤、溶解剤、緩衝液、オスモライト、塩、界面活性剤、アミノ酸、カプセル化剤、増量剤、凍結保護剤、及び/または賦形剤などの他の化学成分との組み合わせであり得る。医薬組成物は、本明細書に記載のペプチドの生物への投与を容易にする。場合によっては、医薬組成物は、ペプチドの半減期を延長し、及び/またはペプチドが標的細胞を透過するのを助ける因子を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示の選択的枯渇複合体を発現及び分泌するように改変された細胞を含む。
医薬組成物は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、直腸、エアロゾル、非経口、眼科用、肺、経皮、膣、眼、鼻、経口、舌下、吸入、皮膚、髄腔内、腫瘍内、鼻腔内、及び局所投与を含む、さまざまな形態及び経路で、医薬組成物として治療有効量で投与され得る。医薬組成物は、例えば、本明細書に記載のペプチドを直接器官に注射することにより、任意選択でデポ注射で、局所または全身に投与され得る。
非経口注射は、ボーラス注射、注入、または連続注入用に製剤化され得る。医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の無菌懸濁液、溶液または乳剤として、非経口注射に好適な形態であり得、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの製剤化剤を含み得る。非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態である、本明細書に記載のペプチドの水溶液を含む。本明細書に記載のペプチド抗体複合体の懸濁液は、油性注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。懸濁液はまた、好適な安定剤、または本明細書に記載のそのようなペプチド抗体複合体の可溶性を高め、及び/または凝集を減少させる薬剤を含み得、これにより、高濃度の溶液の調製が可能となる。
代替的に、本明細書に記載のペプチドは、使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で再構成するために、凍結乾燥されるか、または粉末形態であり得る。いくつかの実施形態では、精製ペプチドは、静脈内投与される。本明細書に記載のペプチドは、CNS細胞、脳細胞、がん性細胞、または腫瘍にホーミング、標的化、移動、または誘導するために、対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、中枢神経系内または血液脳関門を越えた特定の標的細胞型に対する標的化機能を提供する別のペプチドにコンジュゲート、連結、または融合され得る。例示的な標的細胞としては、CNS細胞、赤血球、赤血球前駆細胞、免疫細胞、幹細胞、筋細胞、脳細胞、甲状腺細胞、副甲状腺細胞、副腎細胞、骨髄細胞、虫垂細胞、リンパ節細胞、扁桃腺細胞、脾細胞、筋細胞、肝細胞、胆嚢細胞、膵細胞、消化管の細胞、腺細胞、腎細胞、膀胱細胞、内皮細胞、上皮細胞、脈絡叢上皮細胞、ニューロン、グリア細胞、星状膠細胞、または神経系に関連する細胞が挙げられる。
本開示のペプチドは、外科手術中に脳または脳組織もしくは脳細胞などの器官または器官組織もしくは細胞に直接適用することができる。本明細書に記載の組換えペプチドは、局所投与することができ、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、香膏、クリーム、及び軟膏などのさまざまな局所投与可能な組成物に製剤化することができる。そのような医薬組成物は、溶解剤、安定剤、張度増強剤、緩衝液及び保存剤を含み得る。
本明細書で提供される治療または使用の方法において、治療有効量の本明細書に記載のペプチドは、免疫系に影響を及ぼす状態に罹患している対象に医薬組成物中で投与され得る。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトまたは霊長類などの哺乳動物である。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康、使用される化合物の効力、ならびに他の因子に応じて大きく変動し得る。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、ウイルス発現ベクターまたは非ウイルス発現ベクターにクローニングされる。そのような発現ベクターは、遺伝子治療の形態で患者に投与される、ウイルス粒子、ビリオン、または非ウイルス性の担体もしくは送達機構にパッケージングされ得る。他の実施形態では、患者の細胞が抽出され、それをTfRに結合することが可能なペプチドを発現するようにエクスビボで改変した後、その改変された細胞を細胞療法の形態で患者に戻し、それにより、その改変された細胞は、患者に移植されると、ペプチドを発現する。
医薬組成物は、活性化合物の薬学的に使用することができる製剤への加工を促進する賦形剤及び助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路に応じて、変更され得る。本明細書に記載のペプチドを含む医薬組成物は、例えば、組換え系においてペプチドを発現すること、ペプチドを精製すること、ペプチドを凍結乾燥すること、混合すること、溶解すること、造粒すること、糖衣錠を作製すること、湿式粉砕すること、乳化すること、カプセル化すること、封入すること、または圧縮することのプロセスによって、製造することができる。医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、遊離塩基もしくは薬学的に許容される塩形態である本明細書に記載の化合物とを含み得る。
本明細書に記載の化合物を含む本明細書に記載のペプチドを調製する方法は、本明細書に記載のペプチドと、1つ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体を一緒に製剤化して、固体、半固体、または液体の組成物を形成することを含む。固体組成物としては、例えば、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、及び坐剤が挙げられる。これらの組成物はまた、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、及び他の薬学的に許容される添加剤などの微量の無毒の補助物質を含み得る。
薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)に見出すことができ、これらのそれぞれはその全体が参照により組み込まれる。
医薬組成物はまた、浸透または吸収促進剤を含み得る(Aungst et al.AAPS J.14(1):10-8.(2012) and Moroz et al.Adv Drug Deliv Rev 101:108-21.(2016))。浸透促進剤は、消化管から体循環への分子の取り込みを促進し得る。浸透促進剤としては、中鎖脂肪酸の塩、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸(SNAC)、N-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸(5-CNAC)、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、及びフェニルアルコールなどの親水性芳香族アルコール、キトサン、アルキルグリコシド、ドデシル-2-N,N-ジメチルアミノプロピオン酸(DDAIPP)、EDTA、EGTA、及びクエン酸を含む二価カチオンのキレート剤、アルキル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、デオキシコール酸などのレシチンベースまたは胆汁酸塩由来の薬剤が挙げられ得る。
組成物としてはまた、ダイズトリプシン阻害薬、アプロチニン、グリココール酸ナトリウム、カモスタットメシル酸塩、バシトラシン、またはシクロペンタデカラクトンを含むプロテアーゼ阻害薬が挙げられ得る。
治療におけるペプチドの使用
いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体を使用して対象を治療する方法は、本明細書に記載の有効量のペプチドを、それを必要とする対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、本開示の選択的枯渇複合体を使用して対象を治療する方法は、本開示の選択的枯渇複合体を発現及び分泌するように対象の細胞を改変することを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、対象内の細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、対象から取り出され、改変後に再導入される細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ウイルスベクター(例えば、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス)を使用して改変される。いくつかの実施形態では、選択的枯渇複合体の発現及び分泌をコードする遺伝子は、CAR-T細胞または他の細胞療法に組み込まれる。
TfRは、脳、胃、肝臓、胆嚢などのさまざまな組織で発現し得る。したがって、本開示のペプチド(例えば、TfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体)は、さまざまな組織及び器官に関連する疾患及び状態の診断及び治療に使用することができる。例えば、これらの組織及び器官への薬物送達は、診断用及び/または治療用ペイロードを運搬する本明細書に記載のペプチド及びペプチド複合体を使用することによって、改善され得る。
「有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療される疾患または状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和するのに十分な、投与される薬剤または化合物の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または病因の減少及び/または軽減、あるいは生物系の任意の他の望ましい変化であり得る。そのような薬剤または化合物を含む組成物は、予防、増強、及び/または治療的処置のために投与され得る。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増研究などの技術を使用して決定され得る。
本開示の方法、組成物、及びキットは、状態の症状を予防、治療、停止、逆転、または改善するための方法を含み得る。治療は、対象(例えば、疾患または状態に罹患した個体、飼育動物、野生動物、または実験動物)を本開示のペプチドで処置することを含み得る。疾患は、がんまたは腫瘍であり得る。疾患を治療することにおいて、ペプチドは、腫瘍またはがん性細胞と接触し得る。対象は、ヒトであり得る。対象は、ヒト;チンパンジー、ならびに他の猿人類及びサル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などであり得る。対象は、あらゆる年齢であり得る。対象は、例えば、高齢者、成人、青年、前青年、小児、幼児、乳児、及び子宮内胎児であり得る。
治療は、疾患の臨床的な発症前に対象に提供され得る。治療は、疾患の臨床的な発症後に対象に提供され得る。治療は、疾患の臨床的な発症から1日後、1週間後、6か月後、12か月後、もしくは2年後、またはそれ以上後に対象に提供され得る。治療は、疾患の臨床的な発症から1日間、1週間、1か月間、6か月間、12か月間、2年間、またはそれ以上にわたって対象に提供され得る。治療は、疾患の臨床的な発症から1日間、1週間、1か月間、6か月間、12か月間、または2年未満の間、対象に提供され得る。治療はまた、臨床試験においてヒトを治療することを含み得る。治療は、本開示全体を通して記載される医薬組成物のうちの1つ以上などの医薬組成物を対象に投与することを含み得る。治療は、1日1回の投与を含み得る。治療は、静脈内、皮下、筋肉内、吸入、皮膚、局所、関節内注射、経口、舌下、髄腔内、経皮、鼻腔内、腹膜経路、腫瘍へ直接、例えば、腫瘍への直接注射、脳内へ直接、例えば、脳室内経路、または関節に直接、例えば、関節内局所注射経路のいずれかで、本開示のペプチドを対象に送達することを含み得る。治療は、静脈内、皮下、筋肉内、吸入、関節内注射、皮膚、局所、経口、髄腔内、経皮、鼻腔内、非経口、経口、腹膜経路、経鼻、舌下、またはがん性組織に直接のいずれかで、ペプチド活性剤複合体を対象に投与することを含み得る。
ペプチドキット
一態様において、本明細書に記載のペプチドは、キットとして提供され得る。別の実施形態では、本明細書に記載のペプチド複合体は、キットとして提供され得る。別の実施形態では、キットは、本明細書に記載のペプチドをコードするアミノ酸、ベクター、宿主生物、及び使用説明マニュアルを含む。いくつかの実施形態では、キットは、ペプチドの使用または投与についての使用説明書を含む。
本開示のさらなる態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態が示され、記載されている以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本開示は、他の実施形態及び異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、さまざまな点で、すべて本開示を逸脱することなく、改変することが可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的なものとしてみなされるべきであり、限定的なものとしてみなされるべきではない。
以下の実施例は、本開示のいくつかの態様をさらに説明するために含まれており、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
実施例1
ペプチドの製造
この実施例は、本明細書に記載のペプチド及びペプチド複合体(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)の製造について記載する。タンパク質由来のペプチドは、公開されている方法論を使用して、哺乳動物細胞培養で生成した(A.D.Bandaranayke,C.Correnti,B.Y.Ryu,M.Brault,R.K.Strong,D.Rawlings.2011. Daedalus:a robust,turnkey platform for rapid production of decigram quantities of active recombinant proteins in human cell lines using novel lentiviral vectors. Nucleic Acids Research.(39)21,e143)。
標準的な分子生物学技術を使用して、ペプチド配列をDNAに逆翻訳し、合成し、シデロカリンとインフレームでクローニングした(M.R.Green,Joseph Sambrook.Molecular Cloning.2012 Cold Spring Harbor Press)。得られた複合体をレンチウイルスにパッケージングし、HEK-293細胞に形質導入し、拡大させ、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって単離し、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼで切断し、均質になるまで逆相クロマトグラフィーによって精製した。精製後、それぞれのペプチドを凍結乾燥させ、凍結保存した。
実施例2
哺乳動物発現系を使用するペプチド発現
本実施例は、哺乳動物発現系を使用するペプチド及びペプチド複合体の発現について記載する。ペプチドは、Bandaranayake et al.,Nucleic Acids Res.2011 Nov;39(21):e143に記載されている方法に従って発現させた。ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)を、タバコエッチウイルスプロテアーゼを使用してシデロカリンから切断し、逆相HPLC(RP-HPLC)によってアセトニトリルと0.1%TFAを含む水のグラジエントで精製し、次いで、その後の使用のために等分し、凍結乾燥させた。分子量を質量分析によって検証した。
スクリーニング方法論を最適化及び検証し、TfR結合ペプチドを同定するために、トランスフェリン受容体(TfR)細胞外ドメイン(「可溶性TfR」、配列番号188、MRLAVGALLVCAVLGLCLADYKDEHHHHHHGLNDIFEAQKIEWHEGGGSKTVRWCAVSEHEATKCQSFRDHMKSVIPSDGPSVACVKKASYLDCIRAIAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYYAVAVVKKDSGFQMNQLRGKKSCHTGLGRSAGWNIPIGLLYCDLPEPRKPLEKAVANFFSGSCAPCADGTDFPQLCQLCPGCGCSTLNQYFGYSGAFKCLKDGAGDVAFVKHSTIFENLANKADRDQYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTVVARSMGGKEDLIWELLNQAQEHFGKDKSKEFQLFSSPHGKDLLFKDSAHGFLKVPPRMDAKMYLGYEYVTAIRNLREGTCPEAPTDECKPVKWCALSHHERLKCDEWSVNSVGKIECVSAETTEDCIAKIMNGEADAMSLDGGFVYIAGKCGLVPVLAENYDKSDNCEDTPEAGYFAVAVVKKSASDLTWDNLKGKKSCHTAVGRTAGWNIPMGLLYNKINHCRFDEFFSEGCAPGSKKDSSLCKLCMGSGLNLCEPNNKEGYYGYTGAFRCLVEKGDVAFVKHQTVPQNTGGKNPDPWAKNLNEKDYELLCLDGTRKPVEEYANCHLARAPNHAVVTRKDKEACVHKILRQQQHLFGSDVTDCSGNFCLFRSETKDLLFRDDTVCLAKLHDRNTYEKYLGEEYVKAVGNLRKCSTSSLLEACTFRRP)をDaedalus可溶性タンパク質産生レンチベクターにクローニングし、タンパク質を増殖培地から精製した(可溶性TfRのゲルを図1Aに示す)。同じ戦略を使用して、ヒトアポトランスフェリン(残基23~698、配列番号189、KTVRWCAVSEHEATKCQSFRDHMKSVIPSDGPSVACVKKASYLDCIRAIAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYYAVAVVKKDSGFQMNQLRGKKSCHTGLGRSAGWNIPIGLLYCDLPEPRKPLEKAVANFFSGSCAPCADGTDFPQLCQLCPGCGCSTLNQYFGYSGAFKCLKDGAGDVAFVKHSTIFENLANKADRDQYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTVVARSMGGKEDLIWELLNQAQEHFGKDKSKEFQLFSSPHGKDLLFKDSAHGFLKVPPRMDAKMYLGYEYVTAIRNLREGTCPEAPTDECKPVKWCALSHHERLKCDEWSVNSVGKIECVSAETTEDCIAKIMNGEADAMSLDGGFVYIAGKCGLVPVLAENYNKSDNCEDTPEAGYFAIAVVKKSASDLTWDNLKGKKSCHTAVGRTAGWNIPMGLLYNKINHCRFDEFFSEGCAPGSKKDSSLCKLCMGSGLNLCEPNNKEGYYGYTGAFRCLVEKGDVAFVKHQTVPQNTGGKNPDPWAKNLNEKDYELLCLDGTRKPVEEYANCHLARAPNHAVVTRKDKEACVHKILRQQQHLFGSNVTDCSGNFCLFRSETKDLLFRDDTVCLAKLHDRNTYEKYLGEEYVKAVGNLRKCSTSSLLEACTFRRP)を生成及び精製し、材料の一部に鉄をロードしてホロトランスフェリンを生成した。可溶性TfR細胞外ドメインへの結合について、アポトランスフェリンとホロトランスフェリンの両方を表面プラズモン共鳴を介して試験した(図9A)。ホロトランスフェリンのみが固定化TfRとの相互作用を示した。
スクリーニングに使用される可溶性TfRがヒト内在性タンパク質の構造を表すことをさらに検証するために、TfRを使用して指向性を決定し、細胞進入を媒介するMachupoウイルス糖タンパク質(MaCVと呼ばれる)との相互作用を試験した。このために、MaCVを哺乳動物表面提示ベクターSDGF(図9B)にクローニングし、SDGF-MaCVまたは対照タンパク質(SDGF-Elafin、いくつかの天然型CDPに結合することが知られているエラスターゼの阻害剤)を293Freestyle(293F)懸濁細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、それぞれ200nMのビオチン化TfR(細胞結合アッセイで使用されるTfRはすべてビオチン化される)及びAlexa Fluor 647標識ストレプトアビジンで染色し、次いで、フローサイトメトリーによって分析した(図9C)。MaCVをトランスフェクトした細胞は、TfRによる染色に成功したが、SDGF-エラフィン細胞は、染色されなかった。また、200nMの蛍光エラスターゼとインキュベートしたSDGF-MaCV細胞は、染色されなかった。これは、スクリーニングで使用された可溶性TfRが内在性タンパク質構造を構成していることを検証し、TfRのその内在性リガンドに対する結合の特異性と、新規TfR結合パートナーを同定するための手段としてのSDGFの有用性の両方を示している。
実施例3
TfR結合ペプチドの哺乳動物表面提示
本実施例は、配列番号1(配列番号1は配列番号65にN末端GSを付加したものである)、配列番号2(配列番号2は配列番号66にN末端GSを付加したものである)、配列番号30(配列番号30は配列番号94にN末端GSを付加したものである)、及び配列番号32(配列番号32は配列番号96にN末端GSを付加したものである)を含む本開示のTfR結合ペプチドの哺乳動物表面提示について記載する。TfR結合ペプチドのスクリーニングは、哺乳動物細胞にトランスフェクトまたは形質導入して候補ペプチドを提示させ(図9B)、続いて、可溶性ヒトトランスフェリン受容体細胞外ドメインに対するスクリーニング(200nM、図9C、図1B~図1G)によって実施した。哺乳動物細胞は、ジスルフィド架橋タンパク質のフォールディングにおける改善された忠実度を有していることから、本開示のペプチドの提示に好適な細胞型となっている。
哺乳動物細胞表面提示スクリーニングは、以下のとおりに実施した。スクリーニング戦略は、表面提示GFP FasL(SDGF)ベクターを使用した。ベクターにおいて、FasL-TMは、FasLタンパク質の膜貫通ドメインである。より詳細には、設計されたペプチドをプールとしてSDGFにクローニングし、次いで、それをレンチウイルスにした。このライブラリを用いて、約1の多重感染度で293F細胞に形質導入し、3日間の増殖後、形質導入した細胞のプールをAlexa647標識TfRとともにインキュベートした。これらの実験に関して、蛍光標識は、TfRを蛍光ストレプトアビジンまたは蛍光抗His抗体と共染色することによって実施した。可溶性TfRは、Hisタグとビオチン標識の両方を含んだ。抗体/ストレプトアビジン蛍光には、Alexa Fluor 647またはiFluor 647のいずれかを使用した。GFP及びTfR二重陽性細胞から最も高く染色されたTfR陽性細胞の一部をソーティングし、拡大させた。拡大ごとに細胞の一部を回収し、最後に、濃縮されたペプチドを配列決定によって同定した。フローサイトメトリーを使用してゲーティング基準を評価し、SDGFペプチド構築物を介して表面上にタンパク質を発現しているGFP+293F細胞を同定した。ゲーティングは、FSC-H対SSC-Hを使用してデブリをゲートアウトし、FSC-H対FSC-Aを使用してダブレットをゲートアウトし、FSC-H対Pacific Blue Hを使用してDAPI+死細胞をゲートアウトし、任意選択でFITC-Hヒストグラムを使用してGFP+細胞を同定することにより進める。このようにゲーティングしたら、Alexa Fluor 647(標的結合を検出するための共染色)を使用してソーティング及び分析を行った。
スクリーニングは、磁気ソーティングとフローソーティングの組み合わせを使用して実施した。磁気ソーティングは、次のとおりに実施した:2×10の293F細胞にSDGF CDPライブラリを約1のMOIで形質導入し、形質導入後3日まで拡大させた。最初のスクリーニングでは、磁気セルソーティングを実施した。1×10の形質導入した細胞を、最終体積25mLの200nMのビオチン化TfR、2mLの抗ビオチンMicroBeads(UltraPure、Miltenyi 130-105-637)、及び21mLのFlow緩衝液(PBS+2mM EDTA及び0.5%ウシ血清アルブミン)を含む結合緩衝液中に再懸濁した。細胞を氷上で攪拌しながら(2~5分ごとに穏やかに反転)30分間インキュベートし、次いで、Flow Bufferで10倍に希釈して250mLにし、ペレット化し(500×g、5分間)、High BSA Flow緩衝液(2mMのEDTA及び3%BSAを含むPBS)で再懸濁して40mLにした。細胞を4つの10mLアリコートに分割し、「posseld」プロトコール及びそれぞれのソート後の「クイックリンス」を使用して、Miltenyi autoMACS(登録商標)Pro Separatorにかけた。ランニング緩衝液及び洗浄緩衝液はそれぞれHigh BSA Flow緩衝液及びPBS+2mMのEDTAであった。溶出した細胞をプールし、ペレット化し、それらのCDP配列をPCR増幅した(Terra(商標)PCR Direct Polymerase Mix(Takara 639271)、16サイクル後にPhusion)。このサブライブラリを上記のようにSDGFにクローニングし、レンチウイルスにして、フローソーティングのために、新しいバッチの293F細胞(1×10細胞、MOI約1)に形質導入した。
フローソーティングは、次のとおりに実施した:200nMのTfR、200nMのストレプトアビジンAlexa Fluor 647コンジュゲート(ThermoFisher S21374)、及び1μg mL-1のDAPIを含む3mLのFlow緩衝液中で染色した2.4×10の細胞を使用してフローソーティングを行った。細胞をFlow緩衝液で4倍に希釈して12mLにし、ペレット化し(500×g、5分間)、3.6mLのFlow緩衝液中に再懸濁した。細胞をFACSAria II System(BD)でソーティングし、FSC-A(培地)、SSC-A(培地)、DAPI-A(陰性)、GFP-A(陽性)、及びAPC-A(GFP+の上位7%)のチャネルに基づいてゲーティングした。それぞれのフローソーティング後、細胞を懸濁24ウェルプレートのFreeStyle Media中で0.5~1mLから培養し、300rpmで振盪し、125RPMで振盪する125mLのバッフル付きフラスコ中で最終体積30mLまで拡大した。この時点で、細胞を上記のように再びソーティングした。3回目のフローソーティング後、細胞を拡大し、1.5×10の細胞のペレットで凍結した。ペレットを上記のようにPCR増幅し(Terra Direct PCRに続いてInFusion)、CDPインサートをSDGFにサブクローニングし、形質転換し(Stellarコンピテント細胞)、クローニングされたCDPのミニプレップ及び配列決定のためにコロニーを採取した。濃縮バリアントは、配列解析において、採取した約100のコロニーで1回を超えて出現するものとした。すべての部位飽和変異導入(SSM)による親和性成熟スクリーニングは、次の変化を加えてすべて上記のように行った:1)染色は連続的に、最初にTfRを用いて、次いで等モル量の色素標識ストレプトアビジンを用いて行った。2)TfR/ストレプトアビジン濃度を、最初のSSM成熟スクリーニングでは20nMに、2回目のSSM成熟スクリーニングでは8nMに下げた。それぞれのSSMスクリーニング後、個々の変異のうち1つまたは2つのいずれかを含むバリアントのいずれよりも高いTfR染色を示す複合変異体(配列番号2または配列番号32のペプチド)を組み立てるために、濃縮バリアントを調べた。
図1B~図1Gのフローサイトメトリーのプロットは、プールされた高多様性ライブラリからのTfRに結合する細胞の連続濃縮を示す。図1Aは、トランスフェリン受容体(TfR)の精製の成功を示すTfRタンパク質のクマシー染色ゲルを示す。図1Bは、1回のフローソート後に候補TfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。図1Cは、1回のフローソート後に候補TfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。図1Dは、図1Bに示される1回目のフローソート後の2回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。図1Eは、図1Cに示される1回目のフローソート後の2回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。図1Fは、図1Dに示される2回目のフローソート後の3回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞のフローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識されたTfRに結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光TfR-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、TfRに結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。ボックスは、TfRに結合するペプチドを発現する細胞を示す。図1Gは、図1Eに示される2回目のフローソート後の3回目のフローソート後の候補TfR結合ペプチドを提示する細胞の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。細胞は、蛍光ストレプトアビジンで標識された対照タンパク質に結合する能力に基づいて分類された。右上の領域のデータ点は、蛍光対照タンパク質-ストレプトアビジンの蛍光によって定量化された、陰性対照タンパク質に結合する、GFP蛍光によって定量化された候補ペプチドを発現する細胞を表す。ボックスは、陰性対照タンパク質に結合するペプチドを発現する細胞を示す。
それぞれのフローソーティングは、3000万細胞を超える細胞のライブラリの増殖、TfR結合の染色、及び上位の結合物質のフローソーティングを表す。ソーティングした結合物質は、増殖させてから、次のフローソーティングを実施した。
実施例4
TfR結合ペプチドの特定
本実施例は、実施例3に記載されている哺乳動物表面提示系を使用するTfR結合ペプチドの同定について記載する。
実施例3の哺乳動物表面提示系を使用して、配列番号1の配列(配列番号1は配列番号65にN末端GSを付加したものである)を有する単一クローンペプチドを同定した。10,000個のCDPをコードするオリゴヌクレオチドのライブラリを増幅し、変異導入した。CDPは、4、6、8、または10個のシステインを含む、17~50アミノ酸長であった。ライブラリには、アノテーションのあるノッチンまたはデフェンシンに対してある程度の重み付けがあるが、ライブラリにはあらゆる生物のドメイン/界のCDPが含まれた。このライブラリをSDGFにクローニングし、レンチウイルスにし、293F懸濁細胞に形質導入した。形質導入した細胞をTfR(200nM)で染色し、1ラウンドの磁気セルソーティング及び3ラウンドのフローソーティングの過程で共染色し、それぞれのラウンドでTfRで染色された細胞が濃縮された。結合は、ビオチン化したものまたはHisタグを付加したもののいずれかである200nMの可溶性AF647-TfRを使用する表面提示アッセイにおいて、TfRに特異的に結合することを検証した。染色は、四価の標的アビディティの1ステップ染色プロトコールを使用して実施した。最終の濃縮細胞集団のDNA配列決定によって、単一のTfR結合CDPが同定され、配列番号1と指定された。これは、海洋襟鞭毛虫Monosiga brevicolisに由来するシトクロムBC1複合体サブユニット6(UniprotID:A9V0D7、DOI:10.1093/nar/gku989)をランダム変異させたバリアントであり、49アミノ酸の長さ(6つのシステイン)で、予測される分子量は5.6kDaである。次いで、部位飽和変異導入(SSM)を使用して、配列番号65を親和性成熟に供し、可能な限りの非システイン単一アミノ酸置換を含むようにライブラリを作成する(43個の非Cysアミノ酸×18個の可能な非Cys置換=775個のバリアント、配列番号1を含む)。
図2A~図2Dのフローサイトメトリーのプロットは、単一クローンTfR結合ペプチドを提示し、TfRまたは陰性対照タンパク質のいずれかとの結合についてスクリーニングされた細胞のフローサイトメトリーを示す。単一のTfR結合ペプチドのフローサイトメトリーを実行して、同定されたTfR結合ペプチドが特異的にTfRに結合し、ストレプトアビジン標識には結合しないことを確認した。本実験に使用された対照タンパク質は、配列番号186(MRLAVGALLVCAVLGLCLADYKDEHHHHHHGLNDIFEAQKIEWHEGGGSKTVRWCAVSEHEATKCQSFRDHMKSVIPSDGPSVACVKKASYLDCIRAIAANEADAVTLDAGLVYDAYLAPNNLKPVVAEFYGSKEDPQTFYYAVAVVKKDSGFQMNQLRGKKSCHTGLGRSAGWNIPIGLLYCDLPEPRKPLEKAVANFFSGSCAPCADGTDFPQLCQLCPGCGCSTLNQYFGYSGAFKCLKDGAGDVAFVKHSTIFENLANKADRDQYELLCLDNTRKPVDEYKDCHLAQVPSHTVVARSMGGKEDLIWELLNQAQEHFGKDKSKEFQLFSSPHGKDLLFKDSAHGFLKVPPRMDAKMYLGYEYVTAIRNLREGTCPEAPTDECKPVKWCALSHHERLKCDEWSVNSVGKIECVSAETTEDCIAKIMNGEADAMSLDGGFVYIAGKCGLVPVLAENYDKSDNCEDTPEAGYFAVAVVKKSASDLTWDNLKGKKSCHTAVGRTAGWNIPMGLLYNKINHCRFDEFFSEGCAPGSKKDSSLCKLCMGSGLNLCEPNNKEGYYGYTGAFRCLVEKGDVAFVKHQTVPQNTGGKNPDPWAKNLNEKDYELLCLDGTRKPVEEYANCHLARAPNHAVVTRKDKEACVHKILRQQQHLFGSDVTDCSGNFCLFRSETKDLLFRDDTVCLAKLHDRNTYEKYLGEEYVKAVGNLRKCSTSSLLEACTFRRPGSSELYENKPRRPYIL)に示されるアミノ酸配列を有する。図2Aは、標識された陰性対照タンパク質への結合についてスクリーニング(y軸、蛍光抗His抗体で染色)された配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。図2Bは、配列番号1のペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)及びTfR(y軸、蛍光抗His抗体で染色)のフローサイトメトリープロットを示す。図2Cは、標識された陰性対照タンパク質への結合についてスクリーニング(y軸、蛍光抗ストレプトアビジンで染色)された配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)の陰性対照フローサイトメトリープロットを示す。図2Dは、TfRへの結合についてスクリーニング(y軸、蛍光抗ストレプトアビジンで染色)された配列番号1のTfR結合ペプチドを発現する細胞(x軸、GFP)のフローサイトメトリープロットを示す。
TfR染色は、同定されたクローンを発現する細胞で観察され、対照タンパク質では染色はみられなかった。この染色は、蛍光ストレプトアビジンまたは抗His抗体のいずれかが共染色であるときに観察され、これは、結合の性質が共染色ではなくTfRにのみ依存することを示している。二重陽性細胞(右上の四分円)は、TfRに結合したペプチド発現細胞を示す。
哺乳動物提示スクリーニングを使用する代替の方法を使用して、第2世代及び第3世代の結合物質であるTfR結合ペプチドを同定及び最適化(「成熟」)した。このライブラリを、低濃度の標的及び共染色(20nM)ならびに別個の染色ステップを使用する改変した染色プロトコールでスクリーニングした。後者は、ストレプトアビジンによって付与される四価のアビディティを排除することによって、ストリンジェンシーがさらに高まる。最大4ラウンドのフローソーティング及び濃縮を使用して、TfR結合特性が改善したバリアントを同定した。濃縮されたバリアントの順列により最適な変異体(配列番号2(配列番号2は、配列番号66にN末端GSを付加したもの))を同定し、このプロセスを再度繰り返して(8nMのTfR共染色;それ以外は同一のプロトコール)、配列番号32(配列番号32は、配列番号96にN末端GSを付加したもの)を生成した。この2回成熟したバリアントには、元のライブラリメンバー(GSREGCASHCTKYKAELEKCEARVSSRSNTEETCVQELFDFLHCVDHCVSQ、配列番号191)からの14個の点変異が含まれている。親配列からの4個の点変異が配列番号1に見られるが、配列番号2及び配列番号32は前世代からのそれぞれ6個及び4個の変異を含んでいる。
配列番号1及びそのバリアント(例えば、配列番号2及び配列番号32)を可溶性ペプチドとして生成し、逆相HPLC(RP-HPLC)、SDS-PAGE、及び質量分析によって検証した。約5~6kDaの質量に基づくと、SDS-PAGEで移動度が予想よりも遅かったことは、一部のCDPが興味深い電気泳動移動度特性を有することを示している。すべてのバリアントは、SDS-PAGEとRP-HPLCの両方でDTT還元(10mM)時に極めて異なる移動度を示したことから、ジスルフィド結合の安定化が確認された。TfRへの結合は、表面プラズモン共鳴(図4)によって検証され、成熟バリアントの親和性の増加も確認された(配列番号32[K=216±1pM]>配列番号2[K=8.7±0.4 nM]>配列番号1[Kは決定されていないが、利用可能なデータは、Kと一致する>10μM])。すべてのバリアントは、細胞の還元条件(10mMのグルタチオン)に対して完全または部分的な耐性を示したが、親和性成熟バリアントは、ペプシンに対して部分的な耐性を示した(ただし、すべてトリプシンタンパク質分解には弱かった)。配列番号32タンパク質のインタクトな非還元ペプチドは、DTT還元タンパク質と同程度まで、実質的に改善した熱耐性を示し、一般的な周囲温度をはるかに超える(50℃超)まで円偏光二色性の特徴には実質的な変化がなく、95℃まで完全なアンフォールディングが観察されなかった。
実施例5
ペプチドの部位飽和変異導入
本実施例は、有益な変異または有害な変異を同定するための本開示のペプチドの部位飽和変異導入(SSM)について例示する。部位飽和変異導入を配列番号1のペプチド(配列番号1は配列番号65にN末端GSを付加したものであり、図3Aに結果を示す)及び配列番号2のペプチド(配列番号2は配列番号66にN末端GSを付加したものであり、図3Bに結果を示す)に対して実施した。
図3A及び図3Bは、ペプチド成熟中に同定されたTfR結合ペプチドバリアントのTfR結合能力を示す。最初の哺乳動物表面提示実験(例えば、図1B~図1G、及び図2A~図2Dを参照されたい)で同定された配列番号1の配列を有するペプチドの親和性成熟のために、SSMを採用した。それぞれの成熟ラウンド中に、可能性のあるすべての非システイン点バリアントのライブラリを構築し、最初のスクリーニングよりも高いストリンジェンシーでTfRに対してスクリーニングした。結合が改善したバリアントを濃縮し、Sanger配列決定によって同定した。このように濃縮されたバリアント変異をさまざまな順列で互いに組み合わせて(データに示される)、複合的に改善された結合物質を同定した。SSMの2ラウンドを完了させ、配列番号2及び配列番号32(配列番号32は配列番号96にN末端GSを付加したものである)をそれぞれ含む成熟ペプチドを得た。SSMの最初のラウンドにおけるTfR濃度は20nMであり、1ステップ染色を使用してSSMを実施した。SSMの2回目のラウンドにおけるTfR濃度は8nMであり、2ステップ染色を使用してSSMを実施した。
SSMライブラリのペプチドを発現する哺乳動物細胞のTfR結合は、実施例3及び実施例4に記載されているように実施したが、より高いストリンジェンシープロトコールを用いた。より高いストリンジェンシープロトコールは、より低濃度のTfR(例えば、20nM)を含んだ。
図3Aは、配列番号1(配列番号1は配列番号65にN末端GSを付加したものである)の最初の部位飽和変異導入スクリーニングの結果を示しており、配列番号4、配列番号5、及び配列番号8の配列(配列番号4、配列番号5、及び配列番号8はそれぞれ配列番号68、配列番号69、及び配列番号72にN末端GSを付加したものである)を有するペプチドなどのいくつかのバリアントは、TfRに対する結合活性の改善を示している。図3Bは、第2のバリアント変異中に同定されたバリアントのTfR結合を示す。
x軸はすべてのバリアントの配列番号を示し、y軸は、フローサイトメトリー実験から推定された相対蛍光単位(RFU)でのTfR結合量を示す。
実施例6
SSMで生成されたTfR結合ペプチドバリアントのTfR結合
本実施例は、実施例5に記載されるようにSSM中に同定された、部位飽和変異導入(SSM)で生成されたTfR結合ペプチドバリアントのTfR結合を実証する。
インビボにおけるBBB透過実験により、ペプチドのTfR結合能力と小胞性トランスサイトーシスを促進する能力は、必ずしも対応しないことが明らかになった。
配列番号32を基準として、残基C6、C10、C20、C34、C44、及びC48(配列番号96を基準にすると、C4、C8、C18、C32、C42、及びC46)に対応する6個のシステインは、ジスルフィドに関与し、したがって、ペプチド安定性に寄与する。
配列番号32を基準として、残基G5、A7、S8、N14、L17、E18、E21、L38、L42、L45、D46、H47、S50、Q51、(配列番号96を基準にすると、G3、A5、S6、N12、L15、E16、E19、L36、L40、L43、D44、H45、S48、Q49)に対応する表面界面残基は、三世代すべてのTfR結合ペプチドに存在するものであり、TfR結合に寄与している可能性が高い。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のこれらの対応する残基の少なくとも1つ以上を含む。したがって、そのようなペプチドは、TfRへの結合が増大するように操作することができる。
配列番号32を基準として、次のアミノ酸残基R3、E4、R9、K12、D14、E15、K19、R23、S26、S28、N29、T30、E31、E32、D33、E35、Q36、E37、E39、及びD40(配列番号96を基準にすると、R1、E3、R7、K10、D12、E13、K17、R21、S24、S26、N27、T28、E29、E30、D31、E33、Q34、E35、E37、及びD38)に対応する、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTなどの親水性表面遠位残基は、ペプチド可溶性に寄与している可能性が高い。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のこれらの対応する残基の少なくとも1つ以上を含む。したがって、そのようなペプチドは、可溶性が増大するように操作することができる。
より高い結合親和性は、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTなどの親水性残基の存在と関連しており、これは、配列番号32を基準として、D15、E35、E39、及びH49(配列番号96を基準にすると、D13、E33、E37、及びH47)に対応する残基で、A、M、I、L、V、F、W、またはYなどの非極性残基または疎水性残基ではない変異によって結合が改善することに示されるとおりである。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のこれらの対応する残基の少なくとも1つ以上を含む。したがって、そのようなペプチドは、結合親和性が改変するように操作することができる。
TfRへのより高い結合親和性は、A、M、I、L、V、F、W、またはYなどの非極性残基または疎水性残基と関連しており、これは、配列番号32を基準として、M11、M25、及びM27(配列番号96を基準にすると、M9、M23、及びM25)に対応するアミノ酸残基で、D、E、H、K、R、N、Q、S、またはTなどの親水性残基ではない変異によって結合が改善することに示されるとおりである。いくつかの実施形態では、本開示のペプチドまたはペプチド複合体は、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のこれらの対応する残基の少なくとも1つ以上を含む。したがって、そのようなペプチドは、結合親和性が改変するように操作することができる。
より高いTfR結合親和性は、A、M、I、L、またはVなどの脂肪族残基と関連しており、これは、配列番号32を基準として、L45(配列番号96を基準にすると、L43)に対応するアミノ酸残基で、F、W、またはYなどの大きな芳香族残基ではない変異によって結合が改善することに示されるとおりである。本開示のペプチド中のいずれか1つ以上のF、W、またはYを、A、M、I、L、またはVを含む脂肪族残基に置換を使用して、ペプチドのTfRに対する結合親和性を向上させることができる。
本開示のペプチドまたはペプチド複合体のいずれか(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)を、本明細書に記載の対応残基のうちの1つ以上において改変して、安定性の向上及び結合特性の増加(もしくは減少)またはTfR結合親和性の改変及びトランスサイトーシス特性の増加(もしくは減少)、例えば、k(会合)及びk(解離)速度定数の改変を含む、特性が改善されたペプチドバリアントを生成することができる。
特定のTfR結合ペプチドの配列アライメントを表9に示す。TfRとの相互作用に関与する特定の残基を太字で示す。表面相互作用残基は、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2023551481000077
実施例7
ペプチド結合相互作用の表面プラズモン共鳴(SPR)解析
本実施例は、TfRとのペプチド結合相互作用の表面プラズモン共鳴(SPR)解析について示す。
本開示のさまざまなペプチドをTfRへの結合親和性について解析した。簡潔に述べると、Series S SAチップを備えたBiacore T100機器(GE Healthcare)において25℃で実施された、捕捉されたビオチン化TfRを使用するSPR実験によって、結合親和性を解析した。0.1mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を用いる実験において、HBS-EP+(10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%界面活性剤P20)をランニング緩衝液として使用した。試験されるTfR結合ペプチドに応じて濃度範囲を変えた希釈系列を2ug/mlのTfRとインキュベーションし、SPR実験のために約300共鳴単位(RU)のタンパク質を捕捉することによって、可溶性TfR結合ペプチドの結合を評価した。
最初に、図4に示されるように、さまざまな親和性を有するTfR結合ペプチドのアレルシリーズをSPRによって確認した。配列番号1、配列番号2、配列番号4、及び配列番号32の配列(配列番号1、配列番号2、配列番号4、及び配列番号32はそれぞれ配列番号65、配列番号66、配列番号68、及び配列番号69にN末端GSを付加したものである)を有するペプチドを300nMの濃度で試験した。データはそれぞれのトレースの最大応答に正規化された。その結果から、親和性成熟の後のラウンドのペプチドバリアントは、TfRに対して異なる結合親和性を示すことが確認された。すなわち、配列番号32の配列を有する親和性成熟の最終ラウンドのペプチドは、TfRに対して最も高い結合親和性を示したのに対し、配列番号1は、ヒトTfR(hTfR)に対して最も低い結合親和性を示した。
次に、配列番号2、配列番号4、配列番号30、及び配列番号32の配列(配列番号2、配列番号4、配列番号30、及び配列番号32はそれぞれ配列番号66、配列番号68、配列番号94、及び配列番号96にN末端GSを付加したものである)をそれぞれ有する4つのペプチドの、捕捉されたビオチン化hTfRに対する結合を測定した。図5は、配列番号2の配列を有するペプチドの濃度を100pM~200nMまで変えた場合のTfR結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。図6は、配列番号4の配列を有するペプチドの濃度を100pM~200nMまで変えた場合のTfR結合を示す表面プラズモン共鳴(SPR)トレースを示す。図7は、SPRによる、捕捉されたビオチン化(Bt)hTfRに結合する配列番号32の結合及びシングルサイクルカイネティクスデータを示す。5つの濃度の配列番号32の配列を有するペプチド(0.037nM、0.11nM、0.33nM、1nM、3nM)を2つの密度の捕捉Bt-hTfRに対して注入し、全体的に解析した。図8は、SPRによる、捕捉されたビオチン化hTfRに結合する配列番号30の結合及びシングルサイクルカイネティクスデータを示す。5つの濃度の配列番号30の配列を有するペプチド(0.037nM、0.11nM、0.33nM、1nM、3nM)を2つの密度の捕捉Bt-hTfRに対して注入し、全体的に解析した。
配列番号2及び配列番号4の結合は、100pM~200nM間の連続希釈で測定し、一方、配列番号30及び配列番号32は、37pM~3nMの連続希釈で試験して、カイネティクスデータを得た。配列番号30及び配列番号32のペプチドについては、ペプチドを2つの濃度(図7及び図8に示される)の捕捉されたビオチン化hTfRに対して注入することによってカイネティクス試験を実施し、データを全体的に解析した。
以下の表10は、図5~図8に示されるグラフを解析して得たデータを要約する。配列番号2の配列を有するペプチドについては、Kが8.7±4nM、Rmaxが23.1±2RUであると決定した。配列番号4の配列を有するペプチドについては、Kが14.8±6nM、Rmaxが21.2±2RUであると決定した。配列番号32の配列を有するペプチドについては、Kが216±1pMであると決定した。配列番号30の配列を有するペプチドについては、Kが468±1pMであると決定した。K値が小さいほど結合親和性が高いことを示す。Rmaxは、ペプチドのhTfRに対する最大結合能力を表す。以下の表10に示されるように、配列番号32が最低のKを有し、hTfRに対して最も強い結合を示すことが示されている。TfR結合親和性の増加は、トランスサイトーシス機能の改善に対応し得る。場合によっては、TfR結合親和性の増加は、トランスサイトーシス機能の低下に対応する場合があり、場合によっては、TfR結合親和性の増加は、参照ペプチドと比較して、トランスサイトーシス機能の変化に対応しない。いかなる理論に拘束されるものではないが、K/Kの比がペプチドのトランスサイトーシス機能に影響を及ぼし得ることから、K及び/またはKの調節を使用することで、最適なTfR結合親和性及びトランスサイトーシス機能を有するTfR結合ペプチドを生成することができると考えられる。
Figure 2023551481000078
実施例8
トランスフェリン受容体結合ペプチドのpH非依存性結合
この実施例では、トランスフェリン受容体結合ペプチドのpH非依存性結合について記載する。トランスフェリン受容体(TfR)に結合し、配列番号32の配列(N末端GSが付加された配列番号96に対応する)を有するCDPを、実施例5に記載の部位飽和変異導入を使用して同定した。次いで、TfRに対するTfR結合ペプチドの結合親和性のpH依存性を、例示的な細胞外pH7.4及び例示的なエンドソームpH5.5で比較した。
配列番号32のペプチドを発現する細胞を、ストレプトアビジン-AlexaFluor 647で標識された10nMのビオチン化TfRで染色した。染色は、例示的な細胞外pH(pH7.4、図10A)の緩衝液中、または例示的なエンドソームpH(pH5.5、図10B)の緩衝液中で行った。TfR蛍光は、配列番号32の発現の関数として測定された。所望のペプチド発現レベルに対応するスライスゲートを比較のために選択した。選択されたスライスゲート内のTfR 蛍光レベルは、試験されたpHでのTfRに対するペプチドの親和性を示した。結果は、TfR結合ペプチドが、生理学的細胞外pH(pH7.4、図10C)よりもエンドソームpH(pH5.5)でわずかに高い親和性でTfRに結合し、pH5.5でわずかに高い親和性を有することを示した。
結果は、配列番号32のTfR結合ペプチドが、細胞外pH及びエンドソームpHを含むpHの範囲でTfRに結合できること、及びTfRとの結合に対して比較的pHに依存しない親和性を有することを示す。これは、エンドソーム内でTfRに結合したまま、標的分子をエンドソームに動員する方法で使用するためのTfR結合ペプチドの適合性を実証する。これらの結果は、配列番号32のTfR結合ペプチド、及び本開示の同様のTfR結合CDPが、TfR結合ペプチドに連結されたペプチドとともに、TfR媒介エンドサイトーシス後にTfRとともに細胞表面に再循環され得ることを示唆している。
実施例9
PD-L1のpH依存性エンドソーム送達のためのPD-L1結合ペプチド
本実施例は、例えば、エンドソームpH(例えば、pH5.5)で、PD-L1からpH依存的に解離することが可能なPD-L1結合ペプチドの開発及びインビトロ試験について記載する。
ターゲットエンゲージドメイン(CDPまたはその他)へのpH依存性結合の付与は、さまざまな方法で行うことができ、その例を本明細書で提供する。ここでは、ヒスチジン置換を含むバリアントのライブラリが設計された。ヒスチジン残基が導入されたのは、すべての天然アミノ酸の中で、Hisが中性(例えば、pH7.4)と酸性(例えば、pH<6)のエンドソーム条件の間で電荷が大きく変化する側鎖を持つ唯一のアミノ酸であるためである。この電荷の変化は、例えば、エンドソームが酸性化するにつれて、生理学的細胞外環境からエンドソーム環境へと、pHが変化する際に、結合を直接的に(近くの陽イオン基の電荷反発を引き起こし得る低pHで正電荷を導入する)、または間接的に(電荷の変化がバインダーの構造に微妙な変化を与え、タンパク質間を破壊する)変化させることができる。最も単純な形式では、これは二重Hisドープライブラリを生成することで実行でき、CDPの場合、すべての非Cys、非His残基を一度に1つまたは2つのHisで置換できる。図11Dは、His置換マトリックスの上及び横の高親和性PD-L1結合CDP配列(配列番号187、EEDCKVHCVKEWMAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP)を示す。それぞれの黒いボックスは、Hisを置換できる1番目と2番目の部位を表す。純粋に左上から右下の対角線に沿ったものは、単一のHis置換を表す。それぞれの黒いボックスは、1個または2個の天然からHisへの置換を有するバリアントを表し、スクリーニングされる821個のペプチドバリアントを表す。親配列と、1個または2個の天然からHisへの置換を有するバリアントを含むバリアントライブラリが生成され、試験された。
得られたヒスチジン濃縮TfR結合ペプチドを、そのTfR結合について、さまざまなpHレベルまたは範囲での比較結合実験で評価した。PD-L1結合ペプチドのバリアントライブラリは、哺乳動物の表面ディスプレイを介して発現され、それぞれのバリアントは0、1個、または2個のHis置換を含む。これらのバリアントは、細胞外pH(pH7.4など)下での結合の維持、及びエンドソームpH(pH5.5など)下での結合の減少について試験された。図21に示されるように、逐次スクリーニングを行った。入力ライブラリは、最初にpH7.4でPD-L1結合についてスクリーニングされ、強力な結合物質が選択された(影付きの領域)。スクリーニングの2ラウンド目と3ラウンド目(それぞれ「ソート1」と「ソート2」)は、エンドソームのpHを模倣するためにpH5.5で実行され、弱い結合物質が収集された(影付きの領域)。スクリーニングの最終ラウンド(「ソート3」)はpH7.4で実行され、強力な結合物質が選択された。スクリーニング後、pH7.4及びpH5.5で異なる結合が観察された(「ソート4」)。
E2H、M13H、及びK16Hアミノ酸位置の1、2、または3箇所にヒスチジン置換を含む配列番号187のバリアントは、プールされたスクリーニングでPD-L1のpH依存性結合物質として同定された。pH依存性結合は、図22に示されるように、単一バリアントを発現する細胞表面へのPD-L1結合をpH7.4及びpH5.5で測定することによって検証された。E2H(EHDCKVHCVKEWMAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号234)、M13H(EEDCKVHCVKEWHAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号235)、K16H(EEDCKVHCVKEWMAGHACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号236)、E2H及びM13H(EHDCKVHCVKEWHAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号237)、E2H及びK16H(EHDCKVHCVKEWMAGHACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号233)、M13H及びK16H(EEDCKVHCVKEWHAGHACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号238)、またはE2H、M13H、及びK16H(EHDCKVHCVKEWHAGHACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAP、配列番号239)での置換を含むペプチドは、配列番号187と比較された。E2H及びK16Hでの置換を含む、配列番号233に対応するバリアントは、pH7.4でPD-L1への強い結合を示し、pH5.5で結合の実質的な喪失を示した(黒い矢印)。他のバリアントと親ペプチドは、pH7.4とpH5.5でさまざまなレベルのPD-L1結合を示し、結合に対するさまざまな程度のpH依存性を示した。
実施例10
PD-L1の選択的枯渇のためのpH依存性PD-L1結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体の開発
この実施例は、PD-L1の選択的枯渇のためのpH依存性PD-L1結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体の開発を記載する。生理学的細胞外pHで高いPD-L1結合親和性を有するが、エンドソームのpH5.5などの低いpHレベルでは著しく低下した結合親和性を有するペプチドを、実施例9に記載されるような、細胞結合、取り込み、及びエンドソーム内または小胞内放出のために選択する。エンドソーム送達能力の高いTfR結合ペプチドを同定し、特性評価する。生理学的細胞外pH(例えば、pH7.4)で高いPD-L1結合親和性を有し、エンドソームpH(例えば、pH5.5)で低い結合親和性を有するPD-L1結合ペプチドを、生理的細胞外pHとエンドソームpHで実質的に同じであるTfR結合親和性を有するTfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64)と、任意選択でPD-L1結合ペプチドとTfR結合ペプチドとの間に任意のリンカーを有するか、またはリンカーを有しないで、組換え融合するか、単一融合物として化学合成するか、別々に組換え発現させてコンジュゲートするか、または別々に化学合成してコンジュゲートする。
標的結合CDPのスクリーニングから、pH依存性結合のためのそのようなCDPの改変、選択的枯渇のための組成物への組み込みまでの進行を示す試料スクリーニングパイプラインを図11Aに示す。CDPのペプチドライブラリは、標的分子に結合する能力についてスクリーニングされる。ライブラリからの標的結合ペプチドは、結合した標的分子からのシグナルの蓄積によって識別される。任意選択で、同定された標的結合ペプチドを選択し、例えば点変異スクリーニングを使用して、結合のためにさらに成熟させる。同定された標的結合ペプチドは、例えば、図11Dに示され、実施例9に記載されるようにヒスチジン点変異スキャンを実施することによって、pH依存性結合物質に変換される。pH依存性標的結合ペプチドは、再循環ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれかのTfR結合ペプチド)に融合または連結されて、選択的枯渇複合体を形成する。任意選択で、選択的枯渇複合体は、図11Bに示されるように、選択的枯渇複合体を発現する細胞における標的枯渇を試験することによって検証される。図11Cに示すように、複合体を健康な細胞及び形質転換細胞株でさらに試験して、選択的枯渇複合体の疾患特異的機能を測定することができる。複合体の特異性は、アポトーシス阻害剤の枯渇によるがん特異的な増殖阻害など、標的特異的な細胞機能の変化を試験することによって測定される。標的特異的な細胞機能は、外因性因子または内因性因子、または外因性因子と内因性因子の組み合わせに依存し得る。標的の分解とがん細胞の選択的障害は、患者に治療ウィンドウが存在することを示唆している。
PD-L1結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体によるがん特異的増殖阻害は、T細胞と共培養した細胞を使用して試験することができる。がん細胞表面から一部のPD-L1を除去することにより、チェックポイント阻害シグナル伝達が減少し、腫瘍細胞が免疫系によって認識及び攻撃される可能性が高くなり、腫瘍増殖の減少、転移の減少、またはその他の有益な腫瘍応答の増加をもたらす。
実施例11
TfR媒介エンドサイトーシスによる可溶性標的分子の選択的枯渇
この実施例は、TfR媒介エンドサイトーシスによる可溶性標的分子の選択的枯渇を記載する。標的結合ペプチドにコンジュゲートされたTfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)を含む組成物を、TfRを発現する細胞に接触させる。TfR結合ペプチドは、生理学的細胞外pH(pH7.4など)とエンドソームpH(pH5.5など)の両方で高親和性でTfRに結合し、標的結合ペプチドは生理的細胞外pHでより高い親和性で、エンドソームpHでより低い親和性で可溶性標的分子に結合する。接触すると、TfR結合ペプチドは細胞表面上のTfRに結合し、標的結合ペプチドは溶液中の可溶性標的分子に結合する(図12A、(1))。TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを含む組成物は、TfR及び結合した標的分子とともに、TfR媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる(図12A、(2))。エンドソーム区画が酸性化されると、標的分子が標的結合ペプチドから放出される(図12A、(3))。次いで、標的分子はリソソーム区画で分解され(図12A、(4))、複合体はTfRとともに細胞表面に再循環される(図12A、(5))。
実施例12
TfR媒介エンドサイトーシスによる表面標的分子の選択的枯渇
この実施例は、TfR媒介エンドサイトーシスによる表面標的分子の選択的枯渇を記載する。標的結合ペプチドにコンジュゲートされたTfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)を含む組成物を、TfRを発現する細胞に接触させる。TfR結合ペプチドは、生理学的細胞外pH(pH7.4など)とエンドソームpH(pH5.5など)の両方で高い親和性でTfRに結合し、標的結合ペプチドは生理学的pHでより高い親和性で、エンドソームpHではより低い親和性で、表面標的分子に結合する。接触すると、TfR結合ペプチドは細胞表面のTfRに結合し、標的結合ペプチドは細胞表面上の表面標的分子に結合する(図12B、(1))。TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを含む組成物は、TfR及び結合した標的分子とともに、TfR媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる(図12B、(2))。エンドソーム区画が酸性化されると、標的分子が標的結合ペプチドから放出される(図12B、(3))。次いで、標的分子は、リソソーム区画で分解され(図12B、(4))、複合体はTfRとともに細胞表面に再循環される(図12B、(5))。
実施例13
血清アルブミン結合ペプチド複合体を使用するペプチド血漿半減期の延長
この実施例は、本明細書で開示される血清アルブミン結合ペプチド複合体を使用して、ペプチドの血清半減期または血漿半減期を延長する方法を実証する。配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つの配列を有するペプチドまたはペプチド複合体は、その血漿半減期を延長するために改変される。ペプチドと血清半減期延長部分を、組換え融合するか、単一融合体として化学合成するか、別々に組換え発現させてコンジュゲートするか、または別々に化学合成してコンジュゲートする。ペプチドを血清アルブミン結合ペプチドに融合させると、ペプチド複合体の血清半減期が延長する。ペプチドまたはペプチド複合体をSA21(配列番号178)などの血清アルブミン結合ペプチドにコンジュゲートする。任意選択で、SA21に融合されたペプチドは、配列番号181または配列番号184のいずれか1つの配列を有する。任意選択で、SA21に融合されたペプチドは、配列番号179の配列を有するペプチドリンカーを介してSA21に連結する。配列番号179に対応する配列を有するリンカーは、2つの別々の機能性CDPを連結して、血清半減期延長機能をペプチドまたはペプチド複合体に組み込む。配列番号179に対応する配列を有するリンカーは、ペプチド複合体のいずれのメンバーからも立体的な障害を受けることなく、SA21が環化することを可能にする。代替的に、AlbuタグまたはC14-C18脂肪酸もしくはパルミチン酸などの脂肪酸、などのアルブミン結合物質へのペプチドのコンジュゲーションを使用して血漿半減期を延長する。任意選択で、血漿半減期は、最小限の非ヒトタンパク質配列を使用することによって免疫原性が低下した結果として、延長される。
実施例14
TfR結合血清アルブミン結合ペプチド融合体の精製
この実施例は、血清アルブミン結合ペプチドSA21に融合されたTfR結合ペプチドの精製について記載する。図13A及び図13Bは、SA21融合ペプチドの精製を示す。SA21をCDPとの融合ペプチドとして組換え発現させ、HPLCによって精製した。ペプチドを精製してシデロカリンに融合し(「Scn-CDP」)、切断して、切断されたSA21融合ペプチド(「CDP」)及びシデロカリン(「Scn」)を生成した。図13Aは、配列番号181に対応する血清アルブミンペプチド(SA21)に融合されたペプチドTfR結合ペプチドの精製を示す。純度は、DTT還元(「R」)または非還元(「NR」)条件下におけるSDS-PAGE(左)及びRP-HPLC(右)によって検証した。SDS-PAGEを、切断していない(「U」)シデロカリン-CDP融合ペプチドでも実施した。SDS-PAGEにおいて、切断していない(「U」)試料では、シデロカリン-CDP融合体(「Scn-CDP」)に対応する明確なバンドが見られ、還元(「R」)及び非還元(「NR」)試料では、切断されたSA21融合(「CDP」)、シデロカリン単独(「Scn」)、及び切断していない融合体(「Scn-CDP」)に対応するバンドが見られた。非還元RP-HPLCトレースで単一ピークが存在することは、純粋な未分解の試料があることを示した。図13Bは、配列番号182(GSRLIEDICLPRWGCLWEDDGGGGSGGGGSVRIPVSCKHSGQCLKPCKDAGMRF GKCMNGKCDCTPK)に対応するSA21に融合されたペプチドの精製を示す。純度は、DTT還元(「R」)または非還元(「NR」)条件下におけるSDS-PAGE(左)及びRP-HPLC(右)によって検証した。SDS-PAGEを、切断していない(「U」)シデロカリン-CDP融合ペプチドでも実施した。SDS-PAGEにおいて、切断していない(「U」)試料では、シデロカリン-CDP融合体(「Scn-CDP」)に対応する明確なバンドが見られ、還元(「R」)及び非還元(「NR」)試料では、切断されたSA21融合(「CDP」)、シデロカリン単独(「Scn」)、及び切断していない融合体(「Scn-CDP」)に対応するバンドが見られた。非還元RP-HPLCトレースで単一ピークが存在することは、純粋な未分解の試料があることを示した。
実施例15
標的結合ペプチド及びTfR結合ペプチドのコンジュゲーション及び半減期延長のためのリンカー
この実施例は、標的結合ペプチド及びTfR結合ペプチドのコンジュゲーション及び任意選択で半減期延長のためのリンカーを記載する。TfR結合ペプチド(例えば、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つ)は、リンカーを介して標的結合ペプチド(例えば、実施例9に記載のようにpH依存性結合のために選択された標的結合CDP)にコンジュゲートされる。標的結合ペプチドは、図14Aに示されるように、天然CDP二量体由来のDkTxペプチド(配列番号139、KKYKPYVPVTTN)を介してTfR結合ペプチドに融合され得る。DkTxペプチドリンカーは、Haplopelma schmidtiのDkTx(ダブルノット毒素)としても知られる、Tau-セラフォトキシン-Hs1aの天然のノッチン-ノッチン二量体に由来する。本来、DkTxリンカーは2つの独立したフォールディングCDPドメインを分離し、2つの二量体化CDPの機能を維持するのに適している。標的結合ペプチドは、図14Bに示されるように、溶解性のためにセリンが介在するさまざまな長さのグリシンを含む(配列番号138、GGGSGGGSGGGS)などのポリGlySerリンカーを介してTfR結合ペプチドに融合することができる。標的結合ペプチドは、図14Cに示すように、5位にCysからSerへの変異を有するヒトIgGリンカー(配列番号140、EPKSSDKTHT)を介してTfR結合ペプチドに融合させて、分泌中の架橋を防止することができる。2つのペプチドを二量体化するためのペプチドリンカーは、任意選択で以下の特性を有する:1)リンカーは、TfR結合ドメイン及び標的結合ドメインの独立したフォールディングを妨害しない、2)リンカーは、TfR結合ペプチド標的結合ペプチド二量体を介した標的分子とTfRとの接触を促進するために、十分な長さを成熟分子に提供する、3)リンカーは、TfR結合ペプチド標的結合ペプチド二量体の製造可能性(合成または組換え)に悪影響を及ぼさない、4)リンカーは、TfR結合ペプチド標的結合ペプチド二量体の必要な合成後の化学的変化(例えば、フルオロフォアまたはアルブミン結合化学基のコンジュゲーション)を損なわない。
免疫グロブリン重鎖Fcドメインを使用して、CDP(または他のタンパク質ベースの標的結合モダリティ)を二量体化することもできる。これらは、抗体またはその他の可溶性機能ドメインに基づいて機能ドメインを二量体化するために、現代の分子医学で一般的に使用されている。標的結合ペプチドは、図15に示されるように、IgGベースのFcドメインを介してTfR結合ペプチドに非共有結合することができる。Fcドメインは、機能ドメインをホモ二量体化またはヘテロ二量体化するために、及び再循環Fc受容体(FcRn)と相互作用するドメインを介して血清半減期延長を付与するために使用することができる。Fc配列が天然である場合、二量体化はホモ二量体になる可能性があるが、ヘテロ二量体形成を促進したい場合は、Fcを、一方のFc CH3が、もう一方のFc CH3ドメインの空洞(穴)に適合するように設計された新規残基(ノブ)を含む「ノブインホール」フォーマットに変異させることができる。このプロセスを通じて、ノブ+ノブ二量体はエネルギー的に非常に不利である。ホール+ホール二量体を形成する可能性があるが、精製タグを特に「ノブ」側に追加すると、ホール+ホール二量体を除外して、ノブ+ホール二量体のみを精製することができる。Fcドメインは、再循環受容体結合ドメインとして個別に使用できるため、二量体化にFcを使用すると、ペプチド複合体の再循環または選択的分解複合体の再循環を強化できる。
TfR結合及び標的結合CDPは、第3(またはそれ以上)の機能ドメインを追加することにより、さらに機能化及び多量体化することができる。この実施例では、Finegoldia magna peptostreptococcalアルブミン結合タンパク質(配列番号192)由来のアルブミン結合ドメインが示されている。これは、他のCDPドメインの独立したフォールディングを乱す可能性が低い単純な3ヘリックス構造であるためである。そのような付加された機能ドメインは、図16A~図16Cに示されるように、TfR結合ドメイン及び標的結合ドメインに対して任意の配向で含まれ得る。ペプチドの例は、ポリ-GlySerリンカーとともに示されているが、任意の多数のリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)を使用し得る。アルブミン結合ドメイン(例えば、配列番号178または配列番号192のペプチド)は、TfR結合ペプチド、標的結合ペプチド、またはその両方に融合することができる。アルブミン結合ドメインは、ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141または配列番号195~配列番号218のいずれか1つ)を含むことができる。アルブミン結合ドメインは、図16Aに示されるように、標的結合ペプチド及びTfR結合ペプチドに連結することができる。アルブミン結合ドメインは、図16Bに示されるように、標的結合ペプチドに連結することができる。アルブミン結合ドメインは、図16Cに示されるように、TfR結合ペプチドに連結することができる。アルブミン結合ドメインの付加は、TfR結合ペプチド及び標的結合ペプチドを含む組成物の血清半減期を増加させることができる。
同様の方法及び設計を、再循環受容体としてPD-L1が使用される方法において、再循環受容体としてTfR結合ドメインではなくPD-L1結合ドメイン(例えば、PD-L1結合ペプチド)を含む選択的枯渇複合体に使用することができる。
実施例16
TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを含むCDP-CDP二量体の機能的結合
この実施例は、TfR結合ペプチドと標的結合ペプチドを含むCDP-CDP二量体の機能的結合を記載する。配列番号2のTfR結合ペプチド及びイオンチャネル阻害性CDPを含むCDP-CDP二量体。TfR結合ペプチドは、DkTxリンカー(配列番号139)またはGS3リンカー(配列番号141)のいずれかによって、Kv1.3電位依存性カリウムチャネルのペプチド阻害因子(Z1E-AnTx、Z1P-AnTx、EWSS-ShK、HsTx、Pro-Vm24、またはVm24)に連結された。CDP-CDP二量体ペプチドは、TEVプロテアーゼで切断されたシデロカリン担体ペプチド(配列番号147)との融合物として発現された。精製ペプチドをSDS-PAGEゲルにかけ、ペプチド融合物が無傷であることを確認した(図17A)。それぞれのゲルは、左から右へ、後者の分子量(「L」)、非還元条件下のペプチド試料(「NR」)、及び還元条件下のペプチド試料(「R」)を含んでいた。ペプチド試料レーンの容易に識別可能なバンドは、上から下に、シデロカリンを含む未切断のCDP-CDP二量体、切断されたシデロカリン、及び切断されたCDP-CDP二量体に対応していた。バンド強度によって示されるように、CDP-CDP二量体複合体のすべてが良好に発現し、DTTによる還元時のシフトによって示されるように、折り畳まれているように見えた。
第2のアッセイでは、配列番号32に対応する異なるTfR結合CDPを、ポリGly-Serリンカー(配列番号138)を介してVm24イオンチャネル阻害因子に融合させた。得られたCDP-CDP二量体を精製し、SDS-PAGEゲルにかけた(図17B、左下)。TfR結合ペプチド(配列番号32)及びVm24イオンチャネル阻害性CDPも個別に精製した(図17B、左上及び左中央)。TfR結合ペプチド、イオンチャネル阻害性CDP、及びCDP-CDP二量体の純度を、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC、図17B、中央)を使用して比較した。次いで、Kv1.3イオンチャネルを阻害するそれぞれの複合体の能力を試験した(図17B、右)。CDP-CDP二量体は、イオンチャネル阻害性CDP単独と比較して、イオンチャネルを阻害する能力を保持していた。予想どおり、TfR結合ペプチド単独ではKv1.3を阻害しなかった。
実施例17
TfR結合ペプチドのマウスTfRに対する交差反応性
この実施例は、細胞表面結合アッセイにおける本開示のTfR結合ペプチドのマウスTfRに対する交差反応性を示す。表面上にヒトまたはマウスのいずれかのTfRを発現する293F細胞を、NHS-エステルコンジュゲーションによってAlexaFluor 647色素で直接標識した可溶性TfR結合ペプチドで染色した。図18A及び図18Bは、種特異的抗体を使用して、ヒト対マウスのTfR発現を検証するフローサイトメトリープロットを示す。図18C及び図18Dは、ペプチドが両方のホモログに効果的に結合することを示している。同様の実験において、フローサイトメトリーを使用して、配列番号1、配列番号2、配列番号32、及び抗Tf抗体(陽性対照)の効果的な結合を実証した。
実施例18
神経CREレポーターマウスの活性化
この実施例は、本明細書に記載の1つ以上のTfR結合ペプチドを含むペプチド複合体を使用するニューロンCREトランスポーターマウスの活性化について記載する。この事例において、TfR結合ペプチド及びニューロテンシンペプチドを含む融合ペプチドを使用した。配列番号1、配列番号2、及び配列番号32(配列番号1、配列番号2、及び配列番号32はそれぞれ配列番号65、配列番号66、及び配列番号96にN末端GSを付加したものである)に対応するペプチドを、それぞれのペプチドのC末端でニューロテンシンと融合させて、ペプチド-NT複合体を生成した。ニューロテンシンの下流活性には、細胞内Ca2+制御及びcAMP応答配列(CRE)駆動型転写プログラム(図19A)が関与しており、慢性疼痛の抑制のために、その調節が探索されている。ペプチド-NTは、293F細胞で組換え的に発現させ、精製した。精製ペプチドの分子量は、質量分析を使用して検証した。
ニューロテンシン受容体への結合は、NTSR1を発現するHEK-293細胞株で実証された。さまざまなタンパク質に対するニューロテンシン拡張が機能的であることを示すために、HEK293細胞、またはヒトNTSR1を送達するレンチベクターを形質導入したHEK293細胞(HEK293-NTSR1)におけるNTSR活性を、IP-One-Gqキットを使用して測定した(CisBio 62IPAPEB、図19B)。細胞をDMEM+10%ウシ胎仔血清中で増殖させ、Accutaseを用いてプレートから取り出し、ペレット化し、ハンクス緩衝塩溶液中に1.5×10の細胞/mLの密度で懸濁した。HTFR反応は、HTFR96ウェル低容量プレート(CisBio #66PL96025)で製造者の使用説明書に従ってセットアップした。反応液25μLにつき10,000の細胞(7μL)を使用した。プレートを37℃で60分間インキュベートした。次いで、3μLのIP1-d2作業溶液を加え、続いて、3μLの抗IP1-Cryptate作業溶液を加えた。室温で1時間のインキュベーションした後、波長665nm及び620nmの励起後の蛍光発光について、プレートをPerkin Elmer 2104EnVision Multilabel Readerでスキャンした。FRET比は、10,000×(665nmのシグナル/620nmのシグナル)で算出した。哺乳動物のHEK-293細胞において、ニューロテンシン(NT)受容体の結合は、NTまたはNTペプチド複合体(NTにコンジュゲートした配列番号1及びNTにコンジュゲートした配列番号32、ならびにmTf-NT及びNT、配列番号1または配列番号32、ビヒクル、またはmTfについてはなし)に応答する場合にのみIP蓄積を示し、ウェル数は、ビヒクルを除くすべてでN=3であり、ビヒクルはN=36であった(図19B)。横棒は、試料の平均を示す。
実施例19
高親和性及びpH依存性のEGFR結合ナノボディの開発
この実施例では、高親和性及びpH依存性のEGFR結合ナノボディの開発について記載する。EGFRに結合するナノボディ(QVKLEESGGGSVQTGGSLRLTCAASGRTSRSYGMGWFRQAPGKEREFVSGISWRGDSTGYADSVKGRFTISRDNAKNTVDLQMNSLKPEDTAIYYCAAAAGSAWYGTLYEYDYWGQGTQVTVSS、配列番号219)は、より高い親和性とEGFRへのpH依存性結合のために改変された。EGFRと相互作用することが結晶構造によって示される2つの相補性決定領域のそれぞれの残基にヒスチジン点変異を含むペプチドライブラリを生成した(それぞれCDR1及びCDR3を示す配列番号219で下線を付した)。CDR1には10個の非ヒスチジン残基が含まれているため、0、1個、または2個のヒスチジンを有する最大56のバリアントを生成できる。CDR3には17個の非ヒスチジン残基が含まれているため、0、1個、または2個のヒスチジンを有する最大154のバリアントを生成できる。ヒスチジン変異体を個別にテストした後、ヒットを組み合わせて単一のVHHバリアントにするか、遺伝子組み換えを行い、56×154=8,624メンバーのバリアントライブラリとして試験した。このライブラリからのヒットは、pH約7.4で高い細胞染色/親和性を保持し、pH約6以下で低い細胞染色/親和性を示すスクリーニングによって同定された。
このスクリーニングを使用して、2個のEGFR結合ナノボディが同定された。最初のEGFR結合ナノボディ(配列番号242)は、配列番号219よりも高い親和性でEGFRに結合する高親和性EGFR結合ペプチドとして同定された。第2のEGFR結合ナノボディ(配列番号243)は、約7.4で高親和性でEGFRに結合し、約6以下で結合親和性の減少を示したpH依存性EGFR結合ナノボディとして同定された。
実施例20
pH依存性標的結合ペプチドを同定するための部位飽和変異導入
この実施例では、pH依存性標的結合ペプチドを同定するための部位飽和変異導入について記載する。標的分子(例えば、PD-L1、VEGF、PD-1、EGFR、CD38、GD2、SLAMF7、CTLA-4、CCR4、CD20、PDGFRα、VEGFR2、HER2、CD33、CD30、CD22、CD79B、ネクチン-4、またはTROP2)に結合するペプチド(例えば、ナノボディ)は、実施例5にTfR結合ペプチドに関して記載されるように、部位飽和変異導入を行うことによって、pH依存性結合のために改変される。部位飽和変異体ライブラリは、生理学的細胞外pH(例えば、pH 7.4)及びエンドソームpH(例えば、pH 5.5)での標的分子への結合についてスクリーニングされる。生理学的細胞外pHでより高い結合親和性を示し、エンドソームpHで減少した結合親和性を示す変異体が選択され、さらにスクリーニングされる。部位飽和変異導入のその後のラウンドは、pH依存性結合をさらに改善するために、ヒットに対して実行される。
実施例21
遺伝子療法または細胞療法を使用する選択的枯渇複合体の送達
この例では、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスを使用する選択的枯渇複合体の送達について記載する。選択的枯渇複合体の発現及び分泌をコードする遺伝子は、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(oHSV)ベクターを使用して標的細胞に導入される。遺伝子療法の場合、標的細胞は患者内の細胞である。細胞療法の場合、標的細胞は、収集された患者細胞であり、ウイルスベクターで改変した後に患者に再導入される。oHSVはがん細胞に感染し、ウイルスによって殺されなかったがん細胞は選択的枯渇複合体を発現して分泌する。残りの細胞は、腫瘍の微小環境を改変して、がん細胞に対する免疫活動を抑制する。選択的枯渇複合体は腫瘍細胞からインサイチュで分泌され、がんに作用し、T細胞または腫瘍微小環境の免疫抑制因子に向けられる。
代替的に、腫瘍またはT細胞の活性を変更する選択的枯渇複合体を、CAR-T細胞または他の細胞療法に組み込むことができる。CAR-T細胞は、腫瘍組織を標的とする遺伝子改変によってすでに特殊化されており、発現したキメラ抗原受容体(CAR)によって標的とされる細胞表面マーカーを運ぶ腫瘍細胞を殺傷する。これらの腫瘍に存在する制御性免疫抑制シグナル伝達の抑制などの補助的な活性が必要な場合、CAR-T細胞は、制御性免疫抑制シグナル伝達を抑制する選択的枯渇複合体も分泌するように操作されている。
実施例22
選択的枯渇複合体、標的分子、及び受容体の間の三元複合体形成
この実施例では、細胞の表面にある間の選択的枯渇複合体、標的分子、及び受容体の間の三元複合体形成について記載する。標的結合ペプチド、第1のペプチドリンカー(GGGGS×4、配列番号224)、アルブミン結合ペプチド(配列番号227)、第2のペプチドリンカー(GGGGS×4、配列番号224)、及びTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体(SDC)は、図23Aに示されるように、標的分子及びトランスフェリン受容体に結合するように設計された。SDCは、pH依存的に結合する1個の結合末端を含むことができる。好ましくは、pH依存性結合は、エンドソームpH(例えば、pH5.5、6.0、6.5、5.0、4.5)での結合と細胞外pH(例えば、pH7.4、7.0)での結合とにおいて有意な差異を有する。しかしながら、エンドソームと細胞外のpH結合の緩やかな違いも効果的であり得る。軽度のpH依存性でEGFRに結合する標的結合ペプチド(配列番号244)と、配列番号232に対応するREGCASHCTKYKAELEKCEARVSSRSNTEETCVQELFDFLHCVDHCVSQの配列を有する低親和性TfR結合ペプチド(ペプチド1、配列番号367、NSDSECPLSHDGYCLHGGVCMYIKAVDRYACNCVVGYIGERCQYRDLTWWGPRGTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSLKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKAVEGVNALKDEILKAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSREGCASHCTKYKAELEKCEARVSSRSNTEETCVQELFDFLHCVDHCVSQ)と、配列番号96に対応する高親和性TfR結合ペプチド(ペプチド2、配列番号328)とを含むペプチド複合体;軽度のplpH依存性でPD-L1に結合する標的結合ペプチド(配列番号187)と、配列番号232に対応する低親和性TfR結合ペプチド(ペプチド3、配列番号357、EEDCKVHCVKEWMAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAPGTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSLKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKAVEGVNALKDEILKAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSREGCASHCTKYKAELEKCEARVSSRSNTEETCVQELFDFLHCVDHCVSQ)とを含むペプチド複合体;または、軽度のplpH依存性でPD-L1に結合する標的結合ペプチド(配列番号187)と、配列番号96に対応する高親和性TfR結合ペプチド(ペプチド4、配列番号356;EEDCKVHCVKEWMAGKACAERQKSYTIGRAHCSGQKFDVFKCLDHCAAPGTGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSLKEAKEKAIEELKKAGITSDYYFDLINKAKAVEGVNALKDEILKAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSREGCASRCMKYNDELEKCEARMMSMSNTEEDCEQELEDLLYCLDHCHSQ)とを含むペプチド複合体は、図23Bに示されるように、発現され、精製された。図23Bは、4つのペプチド複合体のSDS-PAGE解析を示し、分子の発現及び精製の成功を確認している。4つのペプチド複合体は、細胞表面に発現した標的分子(EGFRまたはPD-L1)と受容体分子(ストレプトアビジン647で蛍光標識された可溶性TfR外部ドメイン)の両方に結合することにより、三元複合体を形成する能力についてスクリーニングされた。
EGFRまたはPD-L1のいずれかを発現する細胞は、配列番号367(1)、配列番号328(2)、配列番号357(3)、及び配列番号356(4)に対応する4つのペプチド複合体で共染色され、ストレプトアビジン647で蛍光標識された可溶性TfR外部ドメインで標識され、細胞表面への分子の結合は、図23Cに示されるようにフローサイトメトリーによって評価された。EGFR結合ペプチドと高親和性TfR結合ペプチド(ペプチド2、配列番号328に対応)を含む選択的枯渇複合体は、EGFRを発現する細胞(左)と三元複合体を形成したが、PD-L1を発現する細胞(右)とは形成しなかった。逆に、PD-L1結合ペプチドと高親和性TfR結合ペプチド(ペプチド4、配列番号356に対応)を含む選択的除去複合体は、PD-L1を発現する細胞(右)と三元複合体を形成したが、EGFRを発現する細胞(左)とは形成しなかった。TfRへの低親和性結合を有する比較ペプチド複合体(ペプチド1及び3、それぞれ配列番号367及び配列番号357に対応する)は、図23Cの右及び左のパネルにおける蛍光標識の欠如によって見られるように、三元複合体を形成しなかった。まとめると、このデータは、標的結合ペプチドと高親和性受容体結合ペプチドを含む選択的枯渇分子が、細胞表面上で標的(例えば、EGFRまたはPD-L1)及び受容体(例えば、TfR)と三元複合体を形成することを実証している。
比較として使用する追加の選択的複合体及び複合体成分を表11に提供する。
Figure 2023551481000079
Figure 2023551481000080
Figure 2023551481000081
Figure 2023551481000082
Figure 2023551481000083
Figure 2023551481000084
Figure 2023551481000085
実施例23
細胞特異的標的化のための選択的枯渇複合体の協同的結合
この実施例では、細胞特異的標的化のための選択的枯渇複合体の協同的結合について記載する。図24Aに示されるような、標的結合ペプチド及び受容体結合ペプチドを含み、Hisタグ(配列番号228)で標識された選択的枯渇複合体(SDC)、及び高親和性標的結合部分を含まないが 受容体結合部分及びHisタグを含む対照ペプチドを、細胞表面上の標的分子及び受容体に協同的に結合する能力について試験した。TfR(PDL1-、TfR+)、またはPD-L1とTfR(PDL1+、TfR+)の両方を発現する細胞を、PD-L1(PDL1+、TfR-)、PD-L1とTfRの両方(PDL1+、TfR+)と結合できるか、またはペプチドに結合できない(PBS;PDL1-、TfR-)、蛍光抗His抗体で標識されている、ペプチド複合体とともにインキュベートした。細胞へのペプチド複合体の結合を測定するための読み出しとして蛍光を使用した。PD-L1とTfRの両方に結合できるSDC(配列番号356)は、図24Bに示される高い蛍光によって示されるように、PD-L1とTfRの両方を発現する細胞に協同的に結合した。図24Bに示されるように、同じSDCは、TfRを発現するがPD-L1を発現しない細胞に対して有意ではあるが、実質的に低い結合を示した。高親和性でTfRに結合する能力を欠いているが、PD-L1結合ドメイン(配列番号357)を含むペプチド複合体は、TfRとPD-L1を発現する細胞に対して低い結合を示した。まとめると、このデータは、機能的な標的結合ドメイン(例えば、PD-L1結合ペプチド)と機能的な受容体結合ドメイン(例えば、TfR結合ペプチド)の両方を含む選択的枯渇複合体が、標的分子と受容体の両方を発現する細胞に協同的に結合することを実証している。このデータはまた、機能的な受容体結合ドメイン(例えば、TfR 結合ペプチド)と、細胞表面に発現しない標的(可溶性標的など)に結合するドメインとを含むSDCが受容体を発現する細胞に結合することも示している。
実施例24
選択的枯渇複合体の設計
この実施例では、標的分子に結合して枯渇させるための選択的枯渇複合体の設計について記載する。標的結合ペプチドと受容体結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、エンドサイトーシス経路を介して再循環される受容体(例えば、TfRまたはPD-L1)に結合し、標的分子(例えば、PD-L1またはEGFR)にも結合することによって、標的分子を枯渇させるように設計される。SDCの結合ペプチドの1つは、pH依存性結合(すなわち、エンドソーム/リソソームpHよりも細胞外pHでより高い標的または受容体への結合)を示す。受容体がpH非依存的に結合し(エンドソームまたはリソソームpHと同様の細胞外pHでの結合など)、標的がpH依存性で結合する場合、SDCは触媒的であり得る。受容体がpH依存性で結合し、標的がpH非依存性で結合する場合、SDCは非触媒的であり得る。受容体結合ペプチドは、リンカーを介した直接融合により、または二量体化ドメインを介した二量体化により、標的結合ペプチドと複合体を形成する。選択的枯渇複合体及び比較分子の例を、図25A及び図25Bに示す。選択的枯渇複合体及び複合体成分は、リンカーまたは二量体化ドメインを介して標的結合ペプチドを受容体結合ペプチドに接続することによって組み立てられる。受容体結合ペプチドの例としては、TfR結合CDP(配列番号96、「T」)またはTfR結合単鎖抗体(配列番号221、「N5」;または配列番号222、M16」)が挙げられる。配列番号96及び配列番号221は、pH非依存性でTfRに結合することができ、配列番号222は、pH依存性でTfRに結合することができる。標的結合ペプチドの例としては、pH依存性が制限されたEGFR結合ナノボディ(配列番号242、「G2」)、pH依存性EGFR結合ナノボディ(配列番号243、「P」)、中程度のpH依存性を有するPD-L1結合CDP(配列番号187;濃い黒丸)、または極度のpH依存性を有するPD-L1結合CDP(配列番号233;淡い黒丸)が挙げられる。ペプチドリンカー(例えば、配列番号129~配列番号141、配列番号194~配列番号218、配列番号223~配列番号227、もしくは配列番号391)または二量体化ドメイン(例えば、配列番号245~配列番号287)は、図25Aで、複合体の1番目の行に見られるように、単一のポリペプチド鎖中で標的結合ペプチドを受容体結合ペプチドに連結するために、または、複合体の2番目の行に見られるように、標的結合ペプチドまたは受容体結合ペプチドを二量体化ドメインに連結するために、使用される。
二量体化ドメインは、Fcホモ二量体化ドメイン(例えば、配列番号245~配列番号259のいずれか)またはノブインホール(KIH)Fcヘテロ二量体化ドメイン(例えば、配列番号260~配列番号287)であり得る。ヘテロ二量体を形成するために、配列番号260は配列番号261と二量体化し;配列番号262は配列番号263と二量体化し;配列番号264は配列番号265と二量体化し;配列番号266は配列番号267と二量体化し;配列番号268は配列番号269と二量体化し;配列番号270は配列番号271と二量体化し;配列番号272は配列番号273と二量体化し;配列番号274は配列番号275と二量体化し;配列番号276は配列番号277と二量体化し;配列番号278は配列番号279と二量体化し;配列番号280は配列番号281と二量体化し;配列番号282は配列番号283と二量体化し;配列番号284は配列番号285と二量体化し;配列番号286は配列番号287と二量体化する。好ましい標的結合、受容体結合、及び原子価特性を生成するために、成分が混合及び適合される。
一価の選択的枯渇複合体の例を、図25Aに示す。一価の選択的枯渇複合体は、リンカー(例えば、配列番号129~配列番号141、配列番号194~配列番号218、配列番号223~配列番号227、または配列番号391)を介して、受容体結合ペプチド(例えば、配列番号96、「T」;配列番号221、「N5」;または配列番号222、「M16」)に連結された標的結合ペプチド(例えば、配列番号242、「G2」;配列番号243、「P」;配列番号187、濃い黒丸;または配列番号233、淡い黒丸)を含む、単一のポリペプチド鎖として設計される。代替的に、一価の選択的枯渇複合体は、相補的ヘテロ二量体化ドメインを介して受容体結合ポリペプチドを含むポリペプチドとヘテロ二量体化された標的結合ペプチドを含むポリペプチドとして設計される(例えば、配列番号260~配列番号287から選択されるKIHヘテロ二量体化ペア)。
標的:SDC:受容体複合体はエンドソームに輸送され、そこでpHが徐々に低下する(初期エンドソーム、後期エンドソーム、リソソームなど)。低いpHでは、SDCのpH依存性結合末端が標的または受容体に結合しなくなり得る。代表的な触媒活性分子は、pH非依存的に(例えば、配列番号96または配列番号221を使用して)TfRに結合し、pH依存的に(例えば、配列番号243、配列番号187、配列番号233、または配列番号234を使用して)標的に結合することができ、したがって、TfRに結合したままであるが、低pHエンドソーム内で標的を放出する。標的はリソソームに輸送され、分解され得る。TfRは細胞表面に再循環され、触媒活性のあるSDC分子が一緒に運ばれる。非触媒活性分子は、pH依存的に(例えば、配列番号222を使用して)TfRに結合し、pH非依存的に(例えば、配列番号242を使用して)標的に結合することができ、したがって、TfRから放出され、低pH 条件で標的に結合したままである。次いで、標的とSDCの両方がエンドソーム/リソソーム分解を受け得る。TfR(例えば、配列番号96または配列番号221を使用する)と標的(例えば、配列番号242を使用する)の両方への結合がpH非依存性であり、低pHエンドソームでこれらの分子が標的を放出することができなく、したがって、標的の分解を促進することのできない、対照分子を設計することができる。
二価の選択的枯渇複合体の例を、図25Bに示す。これらの例は、TfR結合部分の一例(配列番号96)及び標的結合部分の一例(配列番号243)のみを示すが、この概念は、任意のTfR結合部分または任意の標的結合部分に適用することができ、図25Aに実証されるように、触媒活性、非触媒活性、または比較複合体について、pH依存性に基づいて同じ予想を受け得る。二価の選択的枯渇複合体には、1個または2個の標的結合ペプチドと1個または2個の受容体結合ペプチドが含まれている。二価選択的枯渇複合体は、1つ以上のリンカー(例えば配列番号129~配列番号141、配列番号194~配列番号218、配列番号223~配列番号227、もしくは配列番号391)、及び/またはホモ二量体化ドメイン(例えば、配列番号245~配列番号259のいずれか)もしくはヘテロ二量体化ドメインペア(例えば、配列番号260~配列番号287から選択されるKIHヘテロ二量体化ペア)を介して、1つ以上の受容体結合ペプチド(例えば、配列番号96、「T」;または配列番号221、または配列番号222(示さず))に連結された、1つ以上の標的結合ペプチド(例えば、配列番号243、「P」;または配列番号242、配列番号187、配列番号233、または配列番号234(示さず))を含む、ホモ二量体またはヘテロ二量体として設計される。代替的に、二価の選択的枯渇複合体は、リンカーを介して結合された1個または2個の標的結合ペプチド及び1個または2個の受容体結合ペプチドを含む単一のポリペプチド鎖として設計される。より高い価数のSDCも設計できる。二価または多価のSDCは、協同性により結合の増加を示すことができ、標的タンパク質の分解に対する分子の効力または機能を増加させることができる。例えば、受容体結合ペプチドがかなり速いオフ速度を有する場合、受容体に結合するために二価であるSDCは、SDCが細胞に結合する能力を増加させることができ、細胞表面へと戻る受容体の輸送中の受容体にSDCが結合したままになる能力も増加させることもできる。SDCは、1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上の標的結合ペプチドと1個、2個、3個、4個、5個、またはそれ以上の受容体結合ペプチドを有することができる。SDCを多量体化するために、IgM、ポリマー、または樹状足場を使用することができる。
図25A及び図25Bでの選択的枯渇複合体は、受容体結合ペプチドが複合体のN末端に向かって位置し、標的結合ペプチドがC末端に向かって位置するように示されているが、複合体は、標的結合ペプチドがN末端に向かって、受容体結合ペプチドがC末端に向かってに対して配列されてもよい。さらに、選択的枯渇複合体は、3個以上の標的結合ペプチド及び/または3個以上の受容体結合ペプチドを含む多価複合体として設計され得る。
実施例25
選択的枯渇複合体を使用するPD-L1の選択的枯渇
この実施例は、選択的枯渇複合体を使用するPD-L1の選択的枯渇を記載する。配列番号233または配列番号234のpH依存性PD-L1結合ペプチドと配列番号96または配列番号221のTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体をTfRとPD-L1を発現する細胞に接触させる。選択的除去複合体は、TfR結合ペプチドを介してTfRに、PD-L1結合ペプチドを介してPD-L1に協同的に結合し、細胞表面に三元複合体を形成する。TfRは、結合した選択的除去複合体及びPD-L1とともにエンドサイトーシスされる。エンドソーム/リソソームの成熟中の酸性化の際に、選択的枯渇複合体がPD-L1を放出し、TfRに結合したままになる。PD-L1はリソソーム内で分解され、それによってPD-L1が選択的に枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。
選択的枯渇複合体は、配列番号290、配列番号291、配列番号308、配列番号317、配列番号318、配列番号322、配列番号323であるか;または選択的枯渇複合体は、配列番号:304、配列番号:306、配列番号:319、配列番号320、配列番号321、配列番号324、もしくは配列番号325とヘテロ二量体化された配列番号:292、配列番号:294、配列番号:315、配列番号:316であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号304、配列番号319、配列番号321、もしくは配列番号324とヘテロ二量体化された配列番号295もしくは配列番号297であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号303とヘテロ二量体化された配列番号298もしくは配列番号300であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号306、配列番号311、配列番号320、もしくは配列番号325とヘテロ二量体化された配列番号326である。
実施例26
PD-L1を選択的枯渇することによるがんの治療
この実施例は、PD-L1を選択的に枯渇することによるがんの治療を記載する。配列番号233または配列番号234のpH依存性PD-L1結合ペプチドと配列番号96または配列番号221のものなどのTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、PD-L1陽性がんを有する対象に投与される。選択的枯渇複合体は、がん細胞の表面でPD-L1とTfRに結合し、選択的枯渇複合体、PD-L1、及びTfRの三元複合体がエンドサイトーシスされる。PD-L1はエンドソーム内で酸性化すると放出され、分解されて、それによってPD-L1が枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。PD-L1の枯渇は、がん細胞による宿主免疫応答の回避を阻害し、がん細胞のアポトーシスを増加させ、それによってがんを治療する。
実施例27
選択的枯渇複合体を使用するEGFRの選択的枯渇
この実施例は、選択的枯渇複合体を使用するEGFRの選択的枯渇を記載する。TfR結合価(例えば、一価、二価以上)及びEGFR結合価(例えば、一価、二価以上)の任意の組み合わせの、配列番号242、配列番号243、または配列番号244のpH依存性EGFR結合ペプチドと配列番号96、配列番号221、または配列番号222のTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を、TfRとEGFRを発現する細胞に接触させる。選択的除去複合体は、TfR結合ペプチドを介してTfRに、EGFR結合ペプチドを介してEGFRに協同的に結合し、細胞表面に三元複合体を形成する。TfRは、結合した選択的除去複合体及びEGFRとともにエンドサイトーシスされる。エンドソームでの酸性化の際に、選択的枯渇複合体はEGFRを放出し、TfRに結合したままになる。EGFRはエンドソーム/リソソーム内で分解され、それによってEGFRが選択的に枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。EGFRとKRAS及びMEKなどの下流経路の活性化を低下させ得る。細胞表面への結合、エンドソーム取り込み、輸送、分解、経路活性化は、フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡、ウェスタンブロッティング、ELISA、組織学、IHC、またはその他の方法を使用して検出できる。これらは、EGFR発現細胞のインビトロまたはインビボ曝露後にモニターできる。
選択的枯渇複合体は、配列番号288、配列番号289、配列番号307、配列番号313、配列番号327、配列番号328、配列番号332、配列番号 333、配列番号337、配列番号338、配列番号342、もしくは配列番号343であるか;または選択的枯渇複合体は、配列番号302、配列番号305、配列番号339、配列番号340とヘテロ二量体化された配列番号292、配列番号293、配列番号310、配列番号315、配列番号316;配列番号344;配列番号345であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号302、配列番号339、もしくは配列番号344とヘテロ二量体化された配列番号296であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号301とヘテロ二量体化された配列番号298もしくは配列番号299であるか;または、選択的枯渇複合体は、配列番号330もしくは配列番号335とヘテロ二量体化された配列番号331もしくは配列番号336であるか;または選択的枯渇複合体は、配列番号329、配列番号330、配列番号334、もしくは配列番号335とヘテロ二量体化された配列番号292、配列番号315、もしくは配列番号316である。
同様の方法及び設計を、再循環受容体としてPD-L1が使用される方法において、再循環受容体としてTfR結合ドメインではなくPD-L1結合ドメイン(例えば、PD-L1結合ペプチド)を含む選択的枯渇複合体に使用することができる。例えば、EGFRは、PD-L1結合部分とEGFR結合部分を含み、少なくとも1つの部分が細胞外pHよりもエンドソームpHでより低い親和性で結合する選択的枯渇複合体の使用によって、記載されるように同様に枯渇させることができる。
実施例28
EGFRを選択的に枯渇することによるがんの治療
この実施例は、EGFRを選択的に枯渇することによるがんの治療を記載する。配列番号243または配列番号244のものなどのpH依存性EGFR結合ペプチド、及び配列番号96のものなどのTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を、EGFR陽性がんを有する対象に投与する。対象は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、または別の種であり得る。選択的枯渇複合体は、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、または別の経路で投与することができる。それは、1回、2回、3回、4回、5回、10回、またはそれ以上の回数、及び1週間に1回、2回、3回、4回、5回、6回、または7回の頻度で、または隔週または3週ごとに1回、または毎月1回またはそれ以下の頻度で投与され得る。EGFR陽性がんは、非小細胞肺癌、頭頸部癌、神経膠芽腫、転移性脳癌、結腸直腸癌、TKI耐性がん、セツキシマブ耐性がん、ネシツムマブ耐性がん、パニツムマブ耐性がんである。選択的枯渇複合体はEGF陽性がん細胞表面上のEGFR及びTfRに結合し、選択的枯渇複合体、EGFR、及びTfRの三元複合体はエンドサイトーシスされる。EGFRはエンドソーム内で酸性化すると放出され、分解されて、それによってEGFRが枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。EGFRの枯渇は、がん細胞の増殖促進シグナル伝達を減少させ、がんの増殖または転移を遅らせ、それによってがんを治療する。任意選択で、選択的枯渇複合体は、EGFRとTfRの両方を発現する細胞を標的とするため、選択的複合体によって引き起こされる皮膚毒性は、TfR組織を標的とせずにEGFRを阻害する抗EGFR抗体またはチロシンキナーゼ阻害剤療法によって引き起こされる皮膚毒性よりも少なくなる。
がんも同様に、PD-L1とEGFRの両方に結合する選択的枯渇複合体を使用することにより治療することができる。
実施例29
選択的枯渇複合体を使用するTNFαの選択的枯渇
この実施例は、選択的枯渇複合体を使用するTNFαの選択的枯渇を記載する。pH依存性TNFα結合ペプチドと配列番号96のものなどのTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を、細胞外液、血清、細胞表面、または細胞培養培地などにTNFαが存在するTfRを発現する細胞に接触させる。選択的除去複合体は、TfR結合ペプチドを介してTfRに、TNFα結合ペプチドを介してTNFαに協同的に結合し、細胞表面に三元複合体を形成する。TfRは、結合した選択的除去複合体及びTNFαとともにエンドサイトーシスされる。エンドソームでの酸性化の際に、選択的枯渇複合体はTNFαを放出し、TfRに結合したままになる。TNFαはエンドソーム/リソソーム内で分解され、それによってTNFαが選択的に枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。
実施例30
TNFαを選択的に枯渇させることによるCNS炎症性障害の治療
この実施例は、TNFαを選択的に枯渇させることによるCNS炎症性障害の治療を記載する。pH依存性TNFα結合ペプチド及び配列番号96のTfR結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体は、炎症を伴うCNSの障害を有する対象に投与される。CNS炎症性障害は、任意選択で、神経炎症、脳卒中、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、またはタウオパシーである。SDCはBBBを通過し、それによって対象CNS内の細胞及び分子と接触する。SDCは、結合トランスフェリン及びトランスサイトーシスを受けることによって、BBBを横切って輸送され得る。選択的枯渇複合体は細胞表面上のTfRに結合し、TNFαにも結合し、選択的枯渇複合体、TNFα、及びTfRから形成された三元複合体はエンドサイトーシスされる。TNFαはエンドソーム内で酸性化すると放出され、分解されて、それによってTNFαが枯渇する。TfRと選択的枯渇複合体は、細胞表面に再循環される。TNFαの枯渇は、CNSにおけるサイトカインシグナル伝達を減少させ、神経炎症を減少させ、それによってCNS炎症性障害を治療する。
実施例31
選択的枯渇複合体を使用するCD47の選択的枯渇
この実施例は、選択的枯渇複合体を使用するCD47の選択的枯渇を記載する。TfR結合ペプチドとCD47結合ペプチドを含み、結合ペプチドの1つがその結合においてpH依存性であり、他の結合ペプチドがその結合においてpH非依存性である選択的枯渇複合体を、TfR及びCD47を発現する細胞に接触させる。選択的除去複合体は、TfR結合ペプチドを介してTfRに、CD47結合ペプチドを介してCD47に協同的に結合し、細胞表面に三元複合体を形成する。TfRは、結合した選択的除去複合体及びCD47とともにエンドサイトーシスされる。エンドソームが酸性化すると、選択的枯渇複合体がCD47を放出してTfRに結合したままになるか、またはSDCがTfRを放出してCD47に結合したままになる。CD47はエンドソーム/リソソーム内で分解され、それによってCD47が選択的に枯渇する。
実施例32
CD47を選択的に枯渇することによるがんの治療
この実施例は、CD47を選択的に枯渇することによるがんの治療を記載する。実施例31に記載のものなど、TfR結合ペプチド及びCD47結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体を、CD47陽性がんを有する対象に投与する。成熟赤血球はTfRを発現しないため、選択的枯渇複合体は成熟赤血球に少量またはまったく結合せず、赤血球と比較してがん細胞に優先的に結合する。選択的枯渇複合体はがん細胞表面上のCD47及びTfRに結合し、選択的枯渇複合体、CD47、及びTfRから形成された三元複合体はエンドサイトーシスされる。CD47はエンドソーム/リソソームに輸送されて分解され、それによってCD47が枯渇する。細胞からCD47が枯渇し、細胞から免疫抑制シグナルまたは抗アポトーシスシグナルが除去される。CD47の枯渇は、がん細胞による宿主免疫応答の回避を阻害し、がん細胞の免疫細胞攻撃またはアポトーシスを増加させるさまざまなアポトーシス促進シグナルへの応答を可能にし、それによってがんを治療する。
CD47を標的とし枯渇させる選択的枯渇複合体による第1の対象におけるがんの治療を、CD47に結合する抗体を投与することによる第2の対象における癌の治療と比較する。この抗体は、赤血球を含むCD47を発現するすべての細胞に結合する。抗CD47抗体で処理された第2の対象の成熟した赤血球もアポトーシス促進シグナルを示すため、成熟した赤血球の表面からCD47が枯渇すると、成熟した赤血球は標的にされ、免疫系によって除去され、第2の対象は赤血球が枯渇し、貧血になる。選択的枯渇複合体は赤血球に結合しないため、CD47は第1の対照の赤血球では減少しない。したがって、この実施例の選択的枯渇複合体で治療される第1の対象は、貧血を発症しない。
実施例33
CD39を選択的に枯渇することによるがんの治療
この実施例は、CD39を選択的に枯渇することによるがんの治療を記載する。CD39は、ATPをAMPに分解する細胞表面外部酵素である。次いで、CD73はAMPを免疫抑制性のアデノシンに処理するが、ATPはマクロファージを活性化して、T細胞を活性化するIL-1β及びIL-18を分泌させる。TfR結合ペプチド及びCD39結合ペプチドを含む選択的枯渇複合体(SDC)が、CD39陽性癌を有する対象に投与される。SDCは、細胞表面からCD39を除去する。細胞からCD39が枯渇し、それによってATPからAMPへの変換が阻害される。得られた腫瘍微小環境には、SDCによる治療前の腫瘍微小環境よりも多くのATPと少ないアデノシンが含まれている。腫瘍の微小環境はより炎症性になり、免疫抑制が少なくなり、免疫系によるがん細胞の標的化とアポトーシスの強化をもたらし、それによってがんが治療される。SDCは、CD39の再生速度よりもはるかに速い速度でCD39を細胞表面から除去し、CD39の長期にわたる枯渇とATPのアデノシンへの処理の持続的な減少をもたらす。
CD39を標的とし枯渇させる選択的枯渇複合体による第1の対象におけるがんの治療を、CD39に結合する抗体を投与することによる第2の対象における癌の治療と比較する。第2の対象の循環における抗体の濃度は、CD39が常に抗体によって完全に占有されないように、投与間隔にわたって変化する。第2の対象における抗CD39抗体によるCD39の低い占有率は、第2の対象におけるCD39酵素の一定の活性のために、SDCで治療された第1の対象と比較して、第2の対象におけるアデノシン枯渇がより少ない結果となる。この抗体は、第2の対象の赤血球のCD39にも結合し、貧血を引き起こす。成熟赤血球はTfRを発現しないため、SDCは第1の対象の赤血球からCD39を枯渇させない。その結果、CD39は第1の対象の赤血球では減少しない。したがって、この実施例の選択的枯渇複合体で治療される第1の対象は、貧血を発症しない。
実施例34
PD-L1媒介エンドサイトーシスによる可溶性標的分子の選択的枯渇
この実施例は、PD-L1媒介エンドサイトーシスによる可溶性標的分子の選択的枯渇を記載する。標的結合ペプチドにコンジュゲートされ、エンドソームpHでPD-L1と結合するPD-L1結合ペプチド(例えば、配列番号187、配列番号236、配列番号400、または配列番号401のいずれか1つ)を含む選択的枯渇複合体(SDC)は、PD-L1を発現する細胞に接触する。PD-L1結合ペプチドは、生理学的細胞外pH(pH7.4など)とエンドソームpH(pH5.5など)の両方でPD-L1に結合し、標的結合ペプチドは生理学的pHでより高い親和性で、エンドソームpHではより低い親和性で、可溶性標的分子に結合する。接触すると、PD-L1結合ペプチドは細胞表面のPD-L1に結合し、標的結合ペプチドは溶液中の可溶性標的分子に結合する。PD-L1結合SDCは、図12Aに示されるのと同じ再循環プロセスを受ける。「TfR結合CDP(pH非依存性)」及び「TfR(再循環)」は、「PD-L1結合CDP(pH非依存性)」及び「PD-L1(再循環)」にそれぞれ置き換えられる。SDCは、図12A(1)に示されるように、可溶性標的分子に結合する。SDC、PD-L1、及び標的分子から形成された複合体は、図12A(2)に示されるように、PD-L1媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる。図12A(3)に示されるように、エンドソーク区画が酸性化されると、標的分子は標的結合ペプチドから放出される。次いで、標的分子は、図12A(4)に示されるように、リソソーム区画で分解される。図12A(5)に示されるように、複合体はPD-L1とともに細胞表面に再循環される。
実施例35
PD-L1媒介エンドサイトーシスによる表面標的分子の選択的枯渇
この実施例は、PD-L1媒介エンドサイトーシスによる表面標的分子の選択的枯渇を記載する。標的結合ペプチドにコンジュゲートされ、エンドソームpHでPD-L1と結合するPD-L1結合ペプチド(例えば、配列番号187、配列番号235~配列番号239、配列番号400、もしくは配列番号401のいずれか1つ)を含む選択的枯渇複合体(SDC)は、PD-L1を発現する細胞に接触する。PD-L1結合ペプチドは、生理学的細胞外pH(pH7.4など)とエンドソームpH(pH5.5など)の両方でPD-L1に結合し、標的結合ペプチドは生理学的pHでより高い親和性で、エンドソームpHではより低い親和性で、表面標的分子に結合する。接触すると、PD-L1結合ペプチドは細胞表面のPD-L1に結合し、標的結合ペプチドは細胞表面上の標的分子に結合する。PD-L1結合SDCは、図12Bに示されるのと同じ再循環プロセスを受ける。「TfR結合CDP(pH非依存性)」及び「TfR(再循環)」は、「PD-L1結合CDP(pH非依存性)」及び「PD-L1(再循環)」にそれぞれ置き換えられる。SDCは、図12B(1)に示されるように、細胞表面標的分子に結合する。SDC、PD-L1、及び標的分子から形成された複合体は、図12B(2)に示されるように、PD-L1媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる。図12B(3)に示されるように、エンドソーク区画が酸性化されると、標的分子は標的結合ペプチドから放出される。次いで、標的分子は、図12B(4)に示されるように、リソソーム区画で分解される。図12B(5)に示されるように、複合体はPD-L1とともに細胞表面に再循環される。
実施例36
PD-L1結合選択的枯渇複合体を使用するHLA-Gの選択的枯渇
この実施例は、PD-L1に結合する選択的枯渇複合体を使用するHLA-Gの選択的枯渇を記載する。PD-L1結合ペプチドとHLA-G結合ペプチドとを含む選択的枯渇複合体(SDC)が構築される。任意選択で、配列番号187、配列番号236、配列番号400、または配列番号401のPD-L1結合ペプチドなどのPD-L1結合ペプチドは、細胞外pHとエンドソームpHの両方でPD-L1に結合する。HLA-G結合ペプチドは、細胞外pHでは高い親和性で、エンドソームpHではより低い親和性でHLA-Gに結合する。代替的に、配列番号233または配列番号234のPD-L1結合ペプチドなどのPD-L1結合ペプチドは、細胞外pHでPD-L1に結合し、エンドソームpHでより低い親和性を有し、HLA-G結合ペプチドは、細胞外pHとエンドソームpHの両方で高い親和性でHLA-Gに結合する。この実施例のSDCはがん細胞に接触する。SDCは、がん細胞の表面に発現するPD-L1とHLA-Gに結合し、三元複合体を形成する。SDCは、PD-L1及びHLA-Gと一緒にエンドサイトーシスされる。HLA-G結合ペプチドが細胞外pHでは高い親和性でHLA-Gに結合し、エンドソームpHではより低い親和性で結合する場合、SDCはエンドソームの酸性化の際にHLA-Gを放出し、HLA-Gは分解のためにエンドソーム/リソソーム系で標的となる。PD-L1結合ペプチドが細胞外pHとエンドソームpHの両方で高い親和性でPD-L1に結合すると、SDCは細胞表面に再循環され、そこで分解のために別のHLA-Gに結合できる。PD-L1結合ペプチドが細胞外pHでは高い親和性でPD-L1に結合し、エンドソームpHではより低い親和性で結合する場合、SDCはエンドソームの酸性化の際にPD-L1を放出し、HLA-GとSDCはエンドソーム/リソソーム系に輸送され得る。PD-L1は、細胞表面に再循環され得る。
実施例37
高親和性PD-L1結合シスチン高密度ペプチドの構造
この実施例では、高親和性PD-L1結合シスチン高密度ペプチドの構造について記載する。図26Aに示されるように、PD-L1結合CDP(配列番号187)をPD-L1と共結晶化して、CDP結合部位を確認し、PD-L1との表面相互作用を可視化した。親和性成熟中に獲得された標準的なN結合グリコサイトを除去したバリアントである配列番号187は、実施例1に記載のように可溶性分子として生成され、PD-L1と共結晶化された。A19からQ35までのCDPの一部は、2.0Å構造では分解されなかった。濃縮分析を実施して、結晶構造において分解されなかった残基に対する、結晶構造において分解された残基におけるアミノ酸置換の影響を決定した。図26Bに示されるように、分解されなかった残基の平均SSM濃縮スコアは、分解された残基で見られるよりも極端ではなく(0からの逸脱が少ない)、分解されなかった残基の特定の側鎖同一性が、高親和性結合にとってあまり重要でないことを示している。分解された部分は、E1からC18まで、及びD38からA48までのモデルと一致した。K36とF37は分解されたが、D38-A48ヘリックスの一部ではなかった。
分解された部分は、PISA(PDBe PISA v1.52)によって評価されるとき、620Åの界面表面積を有し、これは、PD-L1とPD-1の観察された界面表面積(622Å、PDB 4ZQK)に類似していた。PD-L1上のCDPの位置は、図26Cに示されるように、PD-1の占有空間の両方に完全に収まり、インシリコ低解像度ドッキング濃縮がこのヒットの界面を予測するものであることを示している。図26D及び図26Gに示されている界面を詳しく見ると、CDPがPD-1と同じ相互作用部位の多くを利用していることを明らかにした。配列番号187のK5とPD-1のK78の両方がPD-L1のA121骨格酸素と塩橋を形成したが、配列番号187のD44とPD-1のE136の両方が同様にPD-L1のY123と塩橋を形成した。配列番号187のF40は、PD-L1のY56、R113、M115、及びY123によって形成されたポケットに位置し、疎水性接触(M115)、ヘリンボーンリングスタッキング相互作用(2つのY)、及びカチオン-π相互作用(R113)を形成する。このポケットもPD-1のI134が占めていた。さらに、配列番号187のV9、W12、及びL43はまた、それぞれPD-1のL128、A132、及びI126によって使用される疎水性相互作用の部位を共有した。配列番号187をその親足場から区別した界面隣接変異は、図26Eに示されるように、親側鎖に戻したときに結合を破壊すると予想される。PD-L1の表面とのM13とL43の両方の疎水性相互作用は、親のA13とV43では失われる。F40が占有するポケットは、親のW40を収容するために変形する必要があり、他の場所で界面を変更する。親のF39は、V39のように表面にきちんとフィットしない。最後に、PD-L1表面上のヒト/マウス及びヒト/カニクイザル(cyno)の相同性の分析は、図26Fに示されるように、相互作用部位がヒトとマウスとの間のいくつかの非相同側鎖を含むことを明らかにした。
本明細書においては本発明の好ましい実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換に想到するであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態に対するさまざまな代替物が本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、そしてこれらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの均等物がそれによって包含されることが意図される。

Claims (164)

  1. ペプチド複合体であって、
    (a)細胞受容体結合ペプチドと
    (b)前記細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドとを含み、
    (i)前記標的結合ペプチドが、細胞外環境よりもエンドソームにおいてより低い標的に対する親和性を有するように操作されるか、(ii)前記細胞受容体結合ペプチドが、細胞外環境よりもエンドソームにおいてより低い細胞受容体に対する親和性を有するように操作されるか、または(i)と(ii)の両方である、
    前記ペプチド複合体。
  2. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性、前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性、またはその両方が、pH依存性である、請求項1に記載のペプチド複合体。
  3. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性、前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性、またはその両方が、イオン強度依存性である、請求項1または請求項2に記載のペプチド複合体。
  4. ペプチド複合体であって、
    (a)細胞受容体結合ペプチドと
    (b)前記細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドとを含み、
    (i)標的に対する前記標的結合ペプチドの親和性がpH依存性であるか、(ii)細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの親和性がpH依存性であるか、または(i)と(ii)の両方である、
    前記ペプチド複合体。
  5. 前記細胞受容体結合ペプチドが、トランスフェリン受容体結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチドである、請求項1~4のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  6. 前記細胞受容体結合ペプチドが、トランスフェリン受容体結合ペプチドである、請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  7. 前記細胞受容体結合ペプチドが、PD-L1結合ペプチドである、請求項1~5のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  8. 前記細胞受容体がトランスフェリン受容体またはPD-L1である、請求項1~7のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  9. 前記細胞受容体がトランスフェリン受容体である、請求項1~8のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  10. 前記細胞受容体がPD-L1である、請求項1~8のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  11. 前記細胞受容体結合ペプチドが、pH4.5~pH7.4、pH5.5~pH7.4、またはpH6.5~pH7.4のpHで前記細胞受容体に結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  12. 前記細胞受容体結合ペプチドが、pH7.4において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、または0.1nM以下の解離定数(K)で前記細胞受容体に結合することができる、請求項1~11のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  13. 前記細胞受容体結合ペプチドが、pH5.5において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、または0.1nM以下の解離定数(K)で前記細胞受容体に結合することができる、請求項1~12のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  14. 前記細胞受容体に対する前記細胞受容体の前記親和性がpH非依存性である、請求項1~13のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  15. pH7.4とpH5.5での前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性が、2倍以下、5倍以下、10倍以下、15倍以下、20倍以下、25倍以下、30倍以下、40倍以下、または50倍以下異なる、請求項1~14のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  16. 前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性がpH依存性である、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  17. pHが低下するにつれて、前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性が低下する、請求項16に記載のペプチド複合体。
  18. 前記細胞受容体に対する前記細胞受容体結合ペプチドの前記親和性が、pH5.5よりもpH7.4でより高い、請求項16または請求項17に記載のペプチド複合体。
  19. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性がpH依存性である、請求項1~18のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  20. pHが低下するにつれて、前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が低下する、請求項1~19のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  21. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が、より低いpHよりも高いpHでより高い、請求項1~20のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  22. 前記より高いpHが、pH7.4、pH7.2、pH7.0、またはpH6.8である、請求項21に記載のペプチド複合体。
  23. 前記より低いpHが、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5である、請求項21または請求項22に記載のペプチド複合体。
  24. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が、pH6.0よりもpH7.4でより高い、請求項1~23のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  25. 前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が、pH5.5よりもpH7.4でより高い、請求項1~24のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  26. 前記標的結合ペプチドが、pH7.4において、100nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(K)で前記標的分子に結合することができる、請求項1~25のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  27. 前記標的結合ペプチドが、pH5.5において、1nM以上、2nM以上、5nM以上、10nM以上、20nM以上、50nM以上、100nM以上、200nM以上、または500nM以上の解離定数(K)で前記標的分子に結合することができる、請求項1~26のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  28. pH7.4での前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が、pH5.5での前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性よりも、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、または少なくとも20倍大きい、請求項1~27のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  29. 前記標的結合ペプチドが1つ以上のヒスチジンアミノ酸残基を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  30. イオン強度が上昇するにつれて、前記標的に対する前記標的結合ペプチドの前記親和性が低下する、請求項1~29のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  31. 前記標的結合ペプチドが、前記標的分子との極性相互作用または電荷-電荷相互作用を形成することができる1つ以上の極性アミノ酸残基または荷電アミノ酸残基を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  32. 前記細胞受容体結合ペプチドが、前記標的結合ペプチドにコンジュゲートされている、請求項1~31のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  33. 前記細胞受容体結合ペプチドと前記標的結合ペプチドが単一のポリペプチド鎖を形成する、請求項1~32のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  34. 前記ペプチド複合体が、二量体化ドメインを介して二量体化された二量体を含む、請求項1~32のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  35. 前記二量体化ドメインがFcドメインを含む、請求項34に記載のペプチド複合体。
  36. 前記二量体が、ホモ二量体化ドメインを介して二量体化されたホモ二量体である、請求項34に記載のペプチド複合体。
  37. 前記ホモ二量体化ドメインが、配列番号245~配列番号259のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項36に記載のペプチド複合体。
  38. 前記二量体が、第1のヘテロ二量体化ドメインと第2のヘテロ二量体化ドメインを介して二量体化されたヘテロ二量体である、請求項34に記載のペプチド複合体。
  39. 前記第1のヘテロ二量体化ドメインが、配列番号260、配列番号262、配列番号264、配列番号266、配列番号268、配列番号270、配列番号272、配列番号274、配列番号276、配列番号278、配列番号280、配列番号282、配列番号284、または配列番号286のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項38に記載のペプチド複合体。
  40. 前記第2のヘテロ二量体化ドメインが、配列番号261、配列番号263、配列番号265、配列番号267、配列番号269、配列番号271、配列番号273、配列番号275、配列番号277、配列番号279、配列番号281、配列番号283、配列番号285、または配列番号287のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項38または請求項39に記載のペプチド複合体。
  41. 前記標的結合ペプチドが、ペプチドリンカーを介して前記二量体化ドメインに連結されている、請求項34~40のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  42. 前記細胞受容体結合ペプチドが、ペプチドリンカーを介して前記二量体化ドメインに連結されている、請求項34~41のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  43. 前記細胞受容体結合ペプチドが、ペプチドリンカーを介して前記標的結合ペプチドに連結されている、請求項1~42のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  44. 前記ペプチドリンカーが、1~50個のアミノ酸残基、2~40個のアミノ酸残基、3~20個のアミノ酸残基、または3~10個のアミノ酸残基の長さを有する、請求項43に記載のペプチド複合体。
  45. 前記ペプチドリンカーがグリシン及びセリンのアミノ酸を含む、請求項42~44のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  46. 前記ペプチドリンカーが、6Å以下、8Å以下、10Å以下、12Å以下、15Å以下、20Å以下、25Å以下、30Å以下、40Å以下、または50Å以下の持続長を有する、請求項42~45のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  47. 前記ペプチドリンカーが免疫グロブリンペプチドに由来する、請求項42~46のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  48. 前記ペプチドリンカーがダブルノット毒素ペプチドに由来する、請求項42~46のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  49. 前記ペプチドリンカーが、配列番号129~配列番号141、配列番号195~配列番号218、配列番号223~配列番号227、または配列番号391のいずれか1つの配列を含む、請求項42~48のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  50. 前記細胞受容体結合ペプチド、前記標的結合ペプチド、またはその両方が、ミニタンパク質、ナノボディ、抗体、抗体断片、scFv、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項1~49のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  51. 前記抗体がIgGを含むか、または前記抗体断片がFab、F(ab)2、scFv、または(scFv)2を含む、請求項50に記載のペプチド複合体。
  52. 前記ミニタンパク質が、シスチン高密度ペプチド、アフィチン、アドネクチン、アビマー、クニッツドメイン、ナノフィチン、フィノマー、二環式ペプチド、ベータヘアピン、またはステープルペプチドを含む、請求項51に記載のペプチド複合体。
  53. 前記細胞受容体結合ペプチドが、少なくとも1つのジスルフィド結合、少なくとも2つのジスルフィド結合、少なくとも3つのジスルフィド結合、または少なくとも4つのジスルフィド結合を含む、請求項1~52のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  54. 前記標的結合ペプチドが、少なくとも1つのジスルフィド結合、少なくとも2つのジスルフィド結合、少なくとも3つのジスルフィド結合、または少なくとも4つのジスルフィド結合を含む、請求項1~53のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  55. 前記細胞受容体結合ペプチドが少なくとも6個のシステイン残基を含む、請求項1~54のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  56. 前記少なくとも6個のシステイン残基が、前記細胞受容体結合ペプチドのアミノ酸位置4、8、18、32、42、及び46に位置する、請求項55に記載のペプチド複合体。
  57. 前記少なくとも6個のシステイン残基が、少なくとも3つのジスルフィド結合を形成する、請求項55または請求項56に記載のペプチド複合体。
  58. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号148~配列番号177のいずれか1つの配列を含む、請求項1~57のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  59. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~58のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  60. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号96の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~59のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  61. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96の配列を含む、請求項1~60のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  62. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号392~配列番号399のいずれか1つの配列を含む、請求項1~57のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  63. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号241のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号241のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~57または請求項62のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  64. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、または配列番号401と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、または配列番号401の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項62または請求項63に記載のペプチド複合体。
  65. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号235、配列番号236、配列番号238、配列番号239、配列番号400、または配列番号401の配列を含む、請求項62~64のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  66. 前記断片が、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、少なくとも46個、少なくとも47個、少なくとも48個、少なくとも49個、または少なくとも50個のアミノ酸残基を含む、請求項59~65のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  67. 前記細胞受容体結合ペプチドが、細胞受容体結合界面に1つ以上のヒスチジン残基を含む、請求項1~66のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  68. 前記標的結合ペプチドが、標的結合界面に1つ以上のヒスチジン残基を含む、請求項1~67のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  69. 前記標的結合ペプチドが、PD-L1結合ペプチド、EGFR結合ペプチド、またはTNFα結合ペプチドである、請求項1~68のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  70. 前記PD-L1結合ペプチドが、配列番号233、配列番号234、配列番号187、配列番号235~配列番号239、配列番号400~配列番号456、または配列番号240のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項69に記載のペプチド複合体。
  71. 前記EGFR結合ペプチドが、EGFRバリアントIIIまたはチロシンキナーゼ阻害剤耐性EGFRに結合する、請求項69に記載のペプチド複合体。
  72. 前記EGFR結合ペプチドが、配列番号243、配列番号244、配列番号219、または配列番号242と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項69または請求項71に記載のペプチド複合体。
  73. 前記EGFR結合ペプチドが配列番号242の配列を含む、請求項72に記載のペプチド複合体。
  74. 前記EGFR結合ペプチドが配列番号243の配列を含む、請求項72または請求項73に記載のペプチド複合体。
  75. 前記標的が、細胞表面分子、増殖因子受容体、分泌ペプチド、分泌タンパク質、循環分子、細胞シグナル伝達分子、細胞外マトリックス巨大分子、神経伝達物質、サイトカイン、増殖因子、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはホルモン、チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、抑制性免疫受容体、抑制性免疫受容体のリガンド、マクロファージ表面タンパク質、リポ多糖、抗体、抑制性免疫受容体、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原、または自己抗体である、請求項1~74のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  76. 前記標的が、コラーゲン、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、プロテオグリカン、CD200R、CD300a、CD300f、CEACAM1、FcgRiib、ILT-2、ILT-3、ILT-4、ILT-5、LAIR-1、PECAM-1、PILR-α、SIRL-1、SIRP-α、CLEC4A、Ly49Q、MIC、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD14、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1である、請求項1~75のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  77. 前記標的がPD-L1、EGFR、またはTNFαである、請求項1~76のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  78. (a)配列番号288~配列番号313、または配列番号315~配列番号346のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性、または
    (b)配列番号347、配列番号348、配列番号351、配列番号352、配列番号355、配列番号356、配列番号358、配列番号359、配列番号360、配列番号361、配列番号362、配列番号363、配列番号364、配列番号365、配列番号371、配列番号373、配列番号376、配列番号378、配列番号382、配列番号384、配列番号387、もしくは配列番号389のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、を有する配列を含む、請求項1~77のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  79. (a)配列番号288、配列番号289、配列番号307、配列番号313、配列番号327、配列番号328、配列番号332、配列番号333、配列番号337、配列番号338、配列番号342、もしくは配列番号343;
    (b)配列番号302、配列番号305、配列番号339、配列番号340、配列番号344、もしくは配列番号345とヘテロ二量体化された配列番号292、配列番号293、配列番号310、配列番号315、もしくは配列番号316;
    (c)配列番号302、配列番号339、もしくは配列番号344とヘテロ二量体化された配列番号296;配列番号298;
    (d)配列番号301とヘテロ二量体化された配列番号299;
    (e)配列番号330もしくは配列番号335とヘテロ二量体化された配列番号331もしくは配列番号336;または
    (f)配列番号329、配列番号330、配列番号334、もしくは配列番号335とヘテロ二量体化された配列番号292、配列番号315、もしくは配列番号316の配列を含む、請求項1~78のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  80. (a)配列番号290、配列番号291、配列番号308、配列番号317、配列番号318、配列番号322、もしくは配列番号323;
    (b)配列番号304、配列番号306、配列番号319、配列番号320、配列番号321、配列番号324、もしくは配列番号325とヘテロ二量体化された配列番号292、配列番号294、配列番号315、配列番号316;
    (c)配列番号304、配列番号319、配列番号321、もしくは配列番号324とヘテロ二量体化された、配列番号295もしくは配列番号297;
    (d) 配列番号303とヘテロ二量体化された配列番号298もしくは配列番号300;または
    (e)配列番号:306、配列番号:311、配列番号320、もしくは配列番号325とヘテロ二量体化された配列番号326の配列を含む、請求項1~78のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  81. 前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチドのオフ速度が、前記細胞受容体の再循環速度よりも遅い、請求項1~80のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  82. 前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチドのオフ速度が、1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内、または20分以内である、請求項1~81のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  83. 前記ペプチド複合体が、受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされ得る、請求項1~82のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  84. 前記受容体媒介エンドサイトーシスがトランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスである、請求項83に記載のペプチド複合体。
  85. 前記細胞受容体結合ペプチドが、エンドサイトーシス小胞内で前記細胞受容体に結合したままである、請求項1~84のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  86. 前記ペプチド複合体が、前記細胞受容体結合ペプチドが前記細胞受容体に結合し、前記細胞受容体が再循環される場合に再循環される、請求項1~85のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  87. 前記標的が、前記ペプチド複合体が受容体媒介エンドサイトーシスを介してエンドサイトーシスされる場合、前記標的結合ペプチドから放出または解離される、請求項1~86のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  88. 前記標的が細胞外タンパク質、循環タンパク質、または可溶性タンパク質である、請求項1~87のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  89. 前記標的が細胞表面タンパク質である、請求項1~87のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  90. 前記標的が膜貫通タンパク質である、請求項1~87のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  91. 第2の標的結合ペプチドをさらに含む、請求項1~90のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  92. 前記第2の標的結合ペプチドが第2の標的に結合する、請求項91に記載のペプチド複合体。
  93. 前記標的及び前記第2の標的が、前記標的結合ペプチド及び前記第2の標的結合ペプチドに結合すると二量体を形成する、請求項92に記載のペプチド複合体。
  94. 前記標的及び前記第2の標的の二量体化が、前記標的及び前記第2の標的のエンドサイトーシスの速度を増加させる、請求項93に記載のペプチド複合体。
  95. 前記第2の標的が前記標的と同じである、請求項92~94のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  96. 前記細胞受容体結合ペプチド、前記標的結合ペプチド、またはその両方に結合された半減期改変剤をさらに含む、請求項1~95のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  97. 前記半減期改変剤が、ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリマー、双極性イオン水溶性ポリマー、水溶性ポリ(アミノ酸)、プロリン、アラニン及びセリンの水溶性ポリマー、グリシン、グルタミン酸、及びセリンを含む水溶性ポリマー、Fc領域、脂肪酸、パルミチン酸、またはアルブミンに結合する分子を含む、請求項96に記載のペプチド複合体。
  98. 前記アルブミンに結合する分子が血清アルブミン結合ペプチドである、請求項97に記載のペプチド複合体。
  99. 前記血清アルブミン結合ペプチドが、配列番号178、配列番号179、または配列番号193のいずれか1つの配列を含む、請求項98に記載のペプチド複合体。
  100. 前記細胞受容体結合ペプチド、前記標的結合ペプチド、またはその両方が組換え発現される、請求項1~99のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  101. 前記標的結合ペプチドが、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5で前記標的から解離するように構成されている、請求項1~100のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  102. 前記細胞受容体結合ペプチドが、pH6.5、pH6.0、pH5.5、pH5.0、またはpH4.5で前記細胞受容体から解離するように構成されている、請求項1~101のいずれか1項に記載のペプチド複合体。
  103. 標的分子を選択的に枯渇させる方法であって、前記方法が、
    (a)細胞受容体結合ペプチド、及び前記細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドを含むペプチド複合体を、細胞受容体を発現する細胞に接触させることと;
    (b)細胞外条件下で前記標的結合ペプチドを前記標的分子に結合させることと;
    (c)細胞外条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを前記細胞受容体に結合させることと;
    (d)前記ペプチド複合体、前記標的分子、及び前記細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;
    (e)エンドソーム条件下で、前記標的分子からの前記標的結合ペプチド、前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチド、またはその両方の結合を解離させることと;
    (f)前記標的分子を分解し、それによって前記標的分子を枯渇させることと、
    を含む、前記方法。
  104. 標的分子を選択的に枯渇させる方法であって、前記方法が、
    (a)請求項1~102のいずれか1項に記載のペプチド複合体を、細胞受容体を発現する細胞に接触させることと;
    (b)細胞外条件下で前記標的結合ペプチドを前記標的分子に結合させることと;
    (c)細胞外条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを前記細胞受容体に結合させることと;
    (d)前記ペプチド複合体、前記標的分子、及び前記細胞受容体をエンドサイトーシス区画またはリソソーム区画にエンドサイトーシスすることと;
    (e)エンドソーム条件下で、前記標的分子からの前記標的結合ペプチド、前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチド、またはその両方の結合を放出させることと;
    (f)前記標的分子を分解し、それによって前記標的分子を枯渇させることと、
    を含む、前記方法。
  105. 前記ペプチド複合体及び前記細胞受容体を再循環することをさらに含む、請求項103または請求項104に記載の方法。
  106. 前記細胞受容体がトランスフェリン受容体またはPD-L1であり、前記細胞受容体結合ペプチドがトランスフェリン受容体結合ペプチドまたはPD-L1結合ペプチドである、請求項103~105のいずれか1項に記載の方法。
  107. 前記細胞受容体結合ペプチドがトランスフェリン受容体結合ペプチドであり、前記細胞受容体がトランスフェリン受容体である、請求項103~106のいずれか1項に記載の方法。
  108. 前記細胞受容体結合ペプチドがPD-L1結合ペプチドであり、前記細胞受容体がPD-L1である、請求項103~107のいずれか1項に記載の方法。
  109. 前記エンドサイトーシスが受容体媒介エンドサイトーシスを含む、請求項103~108のいずれか1項に記載の方法。
  110. 前記細胞受容体結合ペプチドが、前記エンドサイトーシス区画または前記リソソーム区画において前記細胞受容体に結合したままである、請求項109に記載の方法。
  111. 前記標的分子が前記エンドサイトーシス区画または前記リソソーム区画で分解される、請求項110に記載の方法。
  112. 前記受容体媒介エンドサイトーシスがトランスフェリン受容体媒介エンドサイトーシスである、請求項110または請求項111に記載の方法。
  113. 前記標的分子が細胞外タンパク質、循環タンパク質、または可溶性タンパク質である、請求項103~112のいずれか1項に記載の方法。
  114. 前記標的分子が細胞表面タンパク質である、請求項103~112のいずれか1項に記載の方法。
  115. 前記標的分子が膜貫通タンパク質である、請求項103~112のいずれか1項に記載の方法。
  116. 前記ペプチド複合体に血液脳関門(BBB)を含む細胞層を透過させることを含む、請求項103~115のいずれか1項に記載の方法。
  117. 前記標的分子が中枢神経系で分解される、請求項116に記載の方法。
  118. 前記細胞が前記細胞受容体を発現している、請求項103~117のいずれか1項に記載の方法。
  119. 前記細胞外条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを前記細胞受容体に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(K)で結合させることを含む、請求項103~118のいずれか1項に記載の方法。
  120. 前記エンドソーム条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを前記細胞受容体に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(K)で結合させることを含む、請求項103~119のいずれか1項に記載の方法。
  121. 前記標的結合ペプチドが、前記エンドサイトーシス区画において前記標的分子に結合したままである、請求項103~120のいずれか1項に記載の方法。
  122. 前記細胞外条件下で前記標的結合ペプチドを前記標的分子に、50μM以下、5μM以下、500nM以下、100nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下、2nM以下、1nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM、または0.1nM以下の解離定数(K)で結合させることを含む、請求項103~121のいずれか1項に記載の方法。
  123. 前記エンドソーム条件下で前記標的結合ペプチドを前記標的分子に、1nM以上、2nM以上、5nM以上、10nM以上、20nM以上、50nM以上、100nM以上、200nM以上、または500nM以上の解離定数(K)で結合させることを含む、請求項103~122のいずれか1項に記載の方法。
  124. 前記エンドソーム条件下と比べて前記細胞外条件下で、2倍以下、5倍以下、10倍以下、15倍以下、20倍以下、25倍以下、30倍以下、40倍以下、または50倍以下異なる親和性で、前記細胞受容体結合ペプチドを前記細胞受容体に結合させることを含む、請求項103~123のいずれか1項に記載の方法。
  125. 前記標的結合ペプチドと前記標的分子との間に1つ以上の極性相互作用または電荷-電荷相互作用を形成することを含む、請求項103~124のいずれか1項に記載の方法。
  126. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96、配列番号65~配列番号95、配列番号97~配列番号128、配列番号220~配列番号222、または配列番号1~配列番号64のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項103~125のいずれか1項に記載の方法。
  127. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項103~126のいずれか1項に記載の方法。
  128. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号96の配列を含む、請求項103~127のいずれか1項に記載の方法。
  129. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号392~配列番号399のいずれか1つの配列を含む、請求項103~128のいずれか1項に記載の方法。
  130. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つと、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号233~配列番号239、配列番号400~配列番号456、もしくは配列番号241のいずれか1つの断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項103~125、または請求項129のいずれか1項に記載の方法。
  131. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号235、配列番号238、もしくは配列番号239と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性、または配列番号187、配列番号235、配列番号238、もしくは配列番号239の断片と、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む、請求項129または請求項130に記載の方法。
  132. 前記細胞受容体結合ペプチドが、配列番号187、配列番号235、配列番号238、または配列番号239の配列を含む、請求項129~131のいずれか1項に記載の方法。
  133. 第2の標的分子を第2の標的結合ペプチドと結合させることをさらに含む、請求項103~132のいずれか1項に記載の方法。
  134. 前記標的分子及び前記第2の標的分子が、前記標的結合ペプチド及び前記第2の標的結合ペプチドに結合すると二量体を形成する、請求項133に記載の方法。
  135. 前記標的分子及び前記第2の標的分子の二量体化の際に、前記標的分子及び前記第2の標的分子のエンドサイトーシスの速度を増加させることを含む、請求項134に記載の方法。
  136. 前記第2の標的分子が、前記標的分子及び前記第2の標的分子のエンドサイトーシスにより分解される、請求項133~135のいずれか1項に記載の方法。
  137. 前記第2の標的分子が前記標的分子と同じである、請求項133~136のいずれか1項に記載の方法。
  138. 対象における疾患または状態を治療する方法であって、前記方法が、
    (a)細胞受容体結合ペプチド、及び前記細胞受容体結合ペプチドと複合体形成した標的結合ペプチドを含むペプチド複合体を、前記対象に投与することと;
    (b)標的分子及び細胞受容体を発現する前記対象の細胞上の、疾患または状態に関連する前記標的分子に、細胞外条件下で前記標的結合ペプチドを結合させることと;
    (c)前記対象の前記細胞上の前記細胞受容体に、細胞外条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを結合させることと;
    (d)前記ペプチド複合体、前記標的分子、及び前記細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;
    (e)エンドソーム条件下で、前記標的分子からの前記標的結合ペプチド、前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチド、またはその両方の結合を解離させることと;
    (f)前記標的分子を分解し、それによって疾患または状態を治療することと、を含む、
    前記方法。
  139. 対象における疾患または状態を治療する方法であって、前記方法が、
    (a)請求項1~102のいずれか1項に記載のペプチド複合体を前記対象に投与することと;
    (b)標的分子及び細胞受容体を発現する前記対象の細胞上の、疾患または状態に関連する前記標的分子に、細胞外条件下で前記標的結合ペプチドを結合させることと;
    (c)前記対象の前記細胞上の前記細胞受容体に、細胞外条件下で前記細胞受容体結合ペプチドを結合させることと;
    (d)前記ペプチド複合体、前記標的分子、及び前記細胞受容体をエンドサイトーシスすることと;
    (e)エンドソーム条件下で、前記標的分子からの前記標的結合ペプチド、前記細胞受容体からの前記細胞受容体結合ペプチド、またはその両方の結合を解離させることと;
    (f)前記標的分子を分解し、それによって疾患または状態を治療することと、を含む、
    前記方法。
  140. 前記標的分子が、細胞表面分子、増殖因子受容体、分泌ペプチド、分泌タンパク質、循環分子、細胞シグナル伝達分子、細胞外マトリックス巨大分子、神経伝達物質、サイトカイン、増殖因子、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはホルモン、チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、抑制性免疫受容体、抑制性免疫受容体のリガンド、マクロファージ表面タンパク質、リポ多糖、抗体、抑制性免疫受容体、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原、または自己抗体である、請求項138または請求項139に記載の方法。
  141. 前記標的分子が、コラーゲン、エラスチン、ミクロフィブリルタンパク質、プロテオグリカン、CD200R、CD300a、CD300f、CEACAM1、FcgRiib、ILT-2、ILT-3、ILT-4、ILT-5、LAIR-1、PECAM-1、PILR-α、SIRL-1、SIRP-α、CLEC4A、Ly49Q、MIC、CD3、CD47、CD28、CD137、CD89、CD14、CD16、CD29、CD44、CD71、CD73、CD90、CD105、CD166、CD27、CD39、CD24、CD25、CD74、CD40L、MUC1、MUC16、MUC2、MUC5AC、MUC4、OX40、4-1BB、HLA-G、LAG3、Tim3、TIGIT、GITR、TCR、TNF-α、EGFR、EGFRvIII、TKI耐性EGFR、HER2、ERBB3、PDGFR、FGF、VEGF、VEGFR、IGFR1、CTLA4、STRO1、補体因子C4、補体因子C1q、補体因子C1s、補体因子C1r、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5、補体因子C5a、TGFβ、PCSK9、P2Y6、HER3、RANK、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、α-シヌクレイン、グルコセレブロシダーゼ、α-グルコシダーゼ、IL-1、IL-1R、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2R、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6R、IL-10、IL-10R、IL-17、IL-23、IL-12、p40、B7ファミリーのメンバー、c-Met、SIGLEC、MCP-1、MHC、MHC I、MHC II、PD-1、またはPD-L1である、請求項138~140のいずれか1項に記載の方法。
  142. 前記標的分子が受容体チロシンキナーゼである、請求項138~141のいずれか1項に記載の方法。
  143. 前記受容体チロシンキナーゼが、EGF受容体、ErbB、インスリン受容体、PDGF受容体、VEGF受容体、FGF受容体、CCK受容体、NGF受容体、HGF受容体、Eph受容体、AXL受容体、TIE受容体、RYK受容体、DDR受容体、RET受容体、ROS受容体、LTK受容体、ROR受容体、MuSK受容体、またはLMR受容体である、請求項142に記載の方法。
  144. 前記標的分子が病原体または病原体表面分子である、請求項142または請求項143に記載の方法。
  145. 前記疾患または状態が、がん、神経変性疾患、リソソーム蓄積症、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経炎症性疾患、免疫疾患、または疼痛である、請求項138~144のいずれか1項に記載の方法。
  146. 前記がんが、乳癌、肝臓癌、結腸癌、脳癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、血液細胞由来のがん、肺癌、肉腫、胃癌、胃腸癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、非小細胞肺癌、扁平上皮非小細胞肺癌、膵臓癌、卵巣癌、血液癌、皮膚癌、肝臓癌、腎臓癌、または結腸直腸癌である、請求項145に記載の方法。
  147. 前記がんが、TKI耐性、セツキシマブ耐性、ネシツムマブ耐性、またはパニツムマブ耐性である、請求項145または請求項146に記載の方法。
  148. 前記がんが、進行がん、転移がん、中枢神経系の転移がん、転移性乳癌、転移性皮膚癌、難治性がん、KRAS野生型がん、KRAS変異型がん、またはエクソン20変異型非小細胞肺癌である、請求項145~147のいずれか1項に記載の方法。
  149. 前記標的分子が、HER2、EGFR、FGFR-1、PD-L1、VEGF、PD-1、CD38、GD2、SLAMF7、CTLA-4、CCR4、CD20、PDGFRα、VEGFR2、CD33、CD30、CD22、CD79B、ネクチン-4、またはTROP2である、請求項145~148のいずれか1項に記載の方法。
  150. 前記標的分子がEGFRまたはPD-L1である、請求項149に記載の方法。
  151. 追加の療法を前記対象に施すことをさらに含む、請求項145~150のいずれか1項に記載の方法。
  152. 前記追加の療法が、放射線、化学療法、白金療法、または代謝拮抗療法を含む、請求項151に記載の方法。
  153. 前記追加の療法が、フルオロウラシル、FOLFIRI、イリノテカン、FOLFOX、ゲムシタビン、またはシスプラチンを含む、請求項151または請求項152に記載の方法。
  154. 前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、パーキンソン病、または脊髄性筋萎縮症である、請求項145に記載の方法。
  155. 前記標的分子が、tau、アミロイドβ、ハンチンチン、またはα-シヌクレインである、請求項145または請求項154に記載の方法。
  156. 前記リソソーム蓄積症がゴーシェ病またはポンペ病である、請求項155に記載の方法。
  157. 前記標的分子がグルコセレブロシダーゼまたはα-グルコシダーゼである、請求項145または請求項156に記載の方法。
  158. 前記炎症性疾患が、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、糸球体腎炎、ループス、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚血管炎、神経炎症性疾患、炎症関連神経変性、アルツハイマー病、脳卒中、外傷性脳損傷、シェーグレン病、または嚢胞性線維症である、請求項145に記載の方法。
  159. 前記標的分子が、アポリポタンパク質E4、TNF-α、IL-1、IL-6、IL-7、IL-12、またはIL-23である、請求項145または請求項158に記載の方法。
  160. 前記標的分子がTNF-αである、請求項159に記載の方法。
  161. 前記細胞が、がん細胞、免疫細胞、中枢神経系細胞、神経細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好塩基球、または好酸球である、請求項103~160のいずれか1項に記載の方法。
  162. 前記選択的枯渇複合体、前記標的分子、及び前記細胞受容体の間に三元複合体を形成することをさらに含む、請求項103~161のいずれか1項に記載の方法。
  163. 前記三元複合体の形成が、前記細胞受容体、前記標的分子、またはその両方の再循環または代謝回転を増加させる、請求項162に記載の方法。
  164. 前記三元複合体の形成が、前記標的分子の前記細胞受容体への結合を増加させる、請求項162または請求項163に記載の方法。
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