JP2023550880A - 非黒色腫皮膚癌を治療するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト - Google Patents

非黒色腫皮膚癌を治療するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト Download PDF

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Abstract

本発明は、非黒色腫皮膚癌の治療に使用するためのインターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストに関する。非黒色腫皮膚癌を有する患者をIL-2/IL-15Rβγアゴニストにより治療するための投薬スキームがさらに提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、非黒色腫皮膚癌の治療に使用するためのインターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストに関する。
癌及び感染性疾患の治療における最近の進歩にもかかわらず、より効果的で耐容性の良い治療に対する満たされていない医学的ニーズが依然として存在する。免疫療法、すなわち、身体自体の免疫系を利用して疾患との戦いを助ける治療は、健康な組織を無傷のままにしながら、悪性腫瘍細胞又は感染細胞を死滅させる免疫系の能力を利用することを目的とする。免疫系は悪性腫瘍を発見及び排除する固有の能力を有するが、腫瘍及び持続感染は、免疫監視を逃れるメカニズムを発達させている(Robinson及びSchluns、2017)。免疫寛容の潜在的な理由としては、自然免疫活性化の失敗、物理的障壁としての密な間質の関与、及び免疫抑制性癌遺伝子経路の寄与の可能性が挙げられる(Gajewskiら、2013)。いくつかの臨床的に成功した免疫療法の1つの群は、サイトカイン治療、より具体的には、アルデスロイキン/PROLEUKIN(登録商標)(Prometheus Laboratories Inc.(プロメテウス・ラボラトリーズ))として市販されているインターロイキン2(IL-2)、及びNK細胞を介した自然免疫応答とCD8T細胞を介した適応免疫応答の両方を活性化することが公知であるインターロイキン15(IL-15)療法(Steelら、2012、Conlonら、2019)である。印象的な腫瘍退縮がIL-2療法で観察されたが、応答は患者のわずかな割合に限定され、高レベルの生命を脅かす毒性さえも有する。さらに、IL-2は、T細胞の活性化誘導性細胞死の誘導及び免疫抑制制御性T細胞(Treg)の増殖を介して免疫増強活性だけでなく免疫抑制活性も示した(Robinson及びSchluns、2017)。
IL-2及びIL-15の両方が、α、β及びγサブユニットを有するヘテロ三量体受容体を介して作用するが、それらは共通のγ鎖受容体(γ又はγ)を共有し、IL-4、IL-7、IL-9及びIL-21並びにIL-2/IL-15Rβ(IL-2Rβ、CD122としても知られる)とも共有する。第3のサブユニットとして、ヘテロ三量体受容体は、IL-2又はIL-15に対する特定のサブユニット、すなわち、IL-2Rα(CD25)又はIL-15Rα(CD215)を含有する。下流のIL-2及びIL-15ヘテロ三量体受容体は、同様の機能をもたらす細胞内シグナル伝達のためにJAK1(Janus(ヤヌス)キナーゼ1)、JAK3、及びSTAT3/5(シグナル伝達性転写因子3及び5)分子を共有するが、両方のサイトカインは、Waldmann(2015、例えば表1参照)及びConlon(2019)において概説されるように、異なる役割も有する。従って、IL-2、IL-15又はその誘導体の結合による異なるヘテロ三量体受容体の活性化は、免疫系の特異的調節及び潜在的な副作用を潜在的にもたらす。最近、新規化合物が、NK細胞及びCD8T細胞の活性化を特異的に標的とすることを目的として設計された。
これらは、中親和性IL-2/IL-15Rβγ、すなわち、NK細胞、CD8T細胞、NKT細胞、並びにγδT細胞上で発現されるIL-2/IL-15Rβ及びγサブユニットからなる受容体、を標的とする化合物である。これは、IL-15トランスプレゼンテーションによって媒介される安全かつ強力な免疫刺激にとって重要であるが、設計された化合物SO-C101(SOT101、RLI-15)、ノガペンデキン-アルファ(nogapendekin-alfa)/インバキセプト(inbakicept)(ALT-803)及びhetIL-15は、既にIL-15Rαサブユニット(の一部)を含有しており、それゆえ、抗原提示細胞によるαサブユニットのトランスプレゼンテーションを模倣する。SO-C101は、IL-15Rαの共有結合したsushi(スシ)+ドメインを含むので、中親和性IL-15Rγのみに結合する。一方で、SO-C101は、IL-15RαにもIL-2Rαにも結合しない。同様に、ALT-803及びhetIL-15は、それぞれIL-15Rαsushiドメイン又は可溶性IL-15Rαを保有し、それゆえ中親和性IL-15Rβγ受容体に結合する。しかしながら、それらの非共有結合に起因して、複合体がインビボで解離し、これにより適用された複合体の解離画分が他の結合をさらに発揮する機会がある(以下を参照)。ALT-803は、IL-15への部分的な結合のみを媒介することが公知であるIL-15Rαのsushiドメインのみを含むが、完全な結合にはsushi+ドメインが必要とされるので(Weiら、2001)、解離の確率はhetIL-15に対してALT-803の方が高いようである。
中親和性IL-2/IL-15Rβ受容体を標的とする別の例はNKTR-214であり、NKTR-214のその最も活性な1-PEG-IL-2状態への加水分解は、IL-2/IL-2Rα界面におけるPEG鎖の位置が高親和性IL-2Rα受容体への結合を妨害するが、中親和性IL-2/IL-15Rβへの結合は妨害されないままである種を生成する(Charychら、2016)。さらに、IL-2Rαサブユニットへの結合が消失した変異体IL-2 IL2vは、このクラスの化合物の例である(Kleinら、2013、Bacacら、2016)。また、IL-2Rαの細胞外ドメインと(リンカーとβ及びγ受容体鎖との相互作用を回避するために)環状に並べ替えられたIL-2を含むIL-2/IL-2Rα融合タンパク質ネムバロイキンアルファ(nemvaleukin alfa)(ALKS4230)は、α結合側が既にIL-2Rα融合成分によって占められているので、βγ受容体を選択的に標的化する(Lopesら、2020)。中親和性IL-2/IL-15Rβγ受容体の標的化は、高親和性IL-2及びIL-15受容体の標的化に関連する負担、例えばIL-2によって誘導される制御性T細胞(Treg)活性化又は高濃度の可溶性IL-2又はIL-15によって誘導されることが可能な血管漏出症候群等を回避する。
これは、IL-2Rαβγ高親和性受容体がCD4reg及び血管内皮上でさらに発現され、IL-2シスプレゼンテーションによって活性化されるという事実による。それゆえ、高親和性IL-2Rαβγを(も)標的とする化合物は、天然のIL-2又は可溶性IL-15について観察されるように、Treg増殖及び血管漏出症候群(VLS)をもたらす可能性がある(Conlonら、2019)。潜在的にVLSは、脱ペグ(PEG)化NKTR-214によっても引き起こされることが可能である。しかしながら、脱ペグ化NKT2-214は短い半減期を有し、臨床開発において、この副作用が全く役割を果たさないか又はどの程度役割を果たすかが調べられる必要がある。
IL-15シスプレゼンテーションによって活性化された高親和性IL-15Rαβγ受容体は、T細胞白血病において構成的に発現され、炎症性NK細胞、炎症性CD8T細胞及び線維芽細胞様滑膜細胞において上方制御され(Kurowskaら、2002、Perdreauら、2010)、すなわち、これらの細胞もIL-15Rαサブユニットを発現する。そのような活性化は回避されるべきである。というのは、これらの細胞上のIL-15シスプレゼンテーションがT細胞白血病の発症、及び潜在的に自己免疫疾患を誘発する免疫応答の増悪に関与するためである。同様に、高親和性IL-15Rαβγ受容体は血管内皮上で発現され、可溶性IL-15もVLSを誘導することができる。IL-15/IL-15Rα複合体は、少なくともIL-15Rαのsushiドメインを既に保有し、これがヘテロ三量体IL-15Rαβγ受容体への結合を立体的に妨げるので、上記の高親和性受容体に結合しない。高親和性IL-15Rαβγ受容体の係合(結合)を介して誘発されるこれらの副作用は、天然IL-15によって誘発されるが、複合体の崩壊がインビボで起これば、ALT-803及びhetIL-15等の非共有結合IL-15/IL-15Rα複合体によっても誘発される。
最後に、高親和性IL-15Rαは、骨髄系細胞、マクロファージ、B細胞及び好中球上で構成的に発現され(Chenowethら、2012)、天然のIL-15によって活性化されてもよく、同様に、複合体の崩壊がインビボで起これば、ALT-803及びhetIL-15等の非共有結合IL-15/IL-15Rα複合体によって活性化されてもよい。
要約すると、IL-15はIL-2と同様の免疫増強特性を有するが、Treg細胞の活性化のような免疫抑制活性を共有しないと考えられており、臨床においてVLSを引き起こさないが(Robinson及びSchluns、2017)、IL-15治療の欠点は、その短いインビボ半減期及び他の細胞型によるトランスプレゼンテーションへのその依存を含む(Robinson及びSchluns、2017)。これは、操作されたIL-2/IL-15Rβγアゴニストの開発につながり、そのうちのいくつかは、最近、臨床開発に入った。
高用量IL-2治療は、腎細胞癌及び転移性黒色腫において承認されているが(最大14回の用量で、8時間ごとに15分間にわたり静脈内ボーラスによって600,000IU/kgで投与され、患者によって許容できる場合、9日間の休止の後、このレジメンが繰り返される)、IL-2は、例えば、NK細胞を低用量で90日にわたって注入しIL-2の中間パルスで増殖させて増殖したNK細胞プールの活性化をもたらすことによる、より良好な耐容性の安全性プロファイルを有する充分な免疫活性化を提供する低用量スケジュールを規定するために依然として検討され続けており、通常他の免疫療法薬と組み合わせて与えられる多くの他の低用量の静脈内又は皮下処置が評価されているが、結論的な結果は出ていない(Conlonら、2019)。低用量の皮下レジメン(100~3000万IU/m/d)が検討されている。それは、この皮下レジメンが毒性を低下させる可能性がある一方で有効性を損なう可能性がある(Fyfeら、1995)がTregを優先的に活性化するためである。それゆえ、低用量IL-2は、免疫抑制性の治療において使用される(Rosenzwajgら、2019)。
従って、操作されたIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与、投薬及び投薬スケジュールはそれらの臨床的成功にとって重要であり、この臨床的成功は、例えば、有効性、副作用、患者のコンプライアンス、及び例えば他の薬物と組み合わせた利便性に関連する複数の要因によって推進される。
近年、アカゲザルにおけるhetIL-15の薬物動態及び薬力学が公開された(Bergamaschiら、2018)。hetIL-15は、0.5、5又は50μg/kgの固定用量で、1、3、5、8、10及び12日目(サイクル1)並びに29、31、33、36、38、40日目(投与サイクル2)に投与する投薬サイクルで皮下投与された。さらに、サルに、1、3、5、8、10及び12日目に2、4、8、16、32及び64μg/kgの用量で注射する倍加段階用量レジメンで投与した。静脈内投与は、注射の10分後にIL-15血漿レベルのピークをもたらし約1.5時間の半減期を有するが、hetIL-15の皮下投与は、約12時間のT1/2をもたらした。AUC及びCmaxの両方が、固定用量での皮下処置の際に1日目と40日目との間で、5μg/kgの固定用量で2倍及び4倍、さらには50μg/kgの固定用量で9倍及び8倍減少することが示された。著者らは、「投与されたhetIL-15の消費は、IL-15に応答する細胞のプールの増加を反映して、治療サイクル中に漸進的に増加した」、及び「固定用量レジメンは、2週間のサイクルの早期に過剰のIL-15を提供したが、治療サイクルの後期には充分なサイトカインを提供しなかった」と結論づけている。それゆえ、著者らは、2~64μg/kgの6段階の漸増倍加用量のhetIL-15からなる投与スキームを2週間にわたって継続し、これは、全身曝露の漸増及び同等のトラフレベルをもたらし、全体的に、治療中の標的細胞の増殖プールによるIL-15の必要性の増大によりよく合致すると解釈された。CD8T細胞の増殖に関して、著者らは、固定用量レジメンでは増殖性Ki67CD8T細胞について15日目に低下を観察したが、段階的用量レジメンで治療されたマカクは、8日目及び15日目に高い及び同等のCD8T細胞増殖を示した。
設計されたIL-2/IL-15Rβγアゴニストのほとんどは、IL-15、IL-2又はそのバリアントを別のタンパク質に、例えば、抗体のFc部分を複合体(ALT-803)又は米国特許第10,206,980号明細書に開示されるIL-15/IL-15Rα Fc融合物(P22339)及び延長された半減期を有するIL15/IL15Rαヘテロ二量体Fc融合物(Bernettら、2017)(国際公開第2014/145806号パンフレット)に付加するために可溶性IL-15Rα(hetIL-15。この場合、上記受容体との複合体形成は、半減期のかなりの延長と共に進行する)に、非結合IgG(IgG-IL2v)に、又はアルブミン結合ドメイン(国際公開第2018/151868A2号パンフレットを参照)に融合することによって、上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストのインビボ半減期を増加させることを目的とする。IL-2/IL-15Rβγアゴニストの他の例は、CT101-IL2(Ghasemiら、2016、Lazearら、2017)、ペグ化IL-2分子様、並びにNKTR-214(Charychら、2016)及びTHOR-924(Caffaroら、2019)(国際公開第2019/028419号パンフレット、国際公開第2019/028425号パンフレット)、ポリマー被覆IL-15 NKTR-255(Miyazakiら、2018)、NL-201/NEO-201(Silvaら、2019)、RGD標的化IL-15/IL-15Rα Fc複合体(米国特許出願公開第2019/0092830号明細書)、Rubius Therapeutics(ルビウス・セラピューティクス)によるRTX-240(IL-15/IL-15Rα融合タンパク質を発現する赤血球、国際公開第2019/173798号パンフレット)、及びTHOR-707(Josephら、2019)である。さらに、特定の細胞、例えば、腫瘍、腫瘍微小環境又は免疫細胞を標的とする結合分子にアゴニストが融合している標的化IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、増加したインビボ半減期を有する(RG7813、RG7461、国際公開第2012/175222A1号パンフレットの免疫サイトカイン、国際公開第2015/018528A1号パンフレットのモジュロカイン(modulokine)、及びKadmon(カドモン)によるKD033、国際公開第2015/109124号パンフレット)。
研究は、ALT-803が、IL-15について観察された<40分(Hanら、2011)と比較して、マウスにおいて7.5時間(Liuら、2018)及びカニクイザルにおいて7.2~8時間(Rhodeら、2016)の血清半減期を有することを示した。臨床では、ALT-803は、第I相用量漸増試験において、連続4週間にわたって毎週静脈内又は皮下投与され、そのあと継続的なモニタリングのために2週間の休止期間が続き、2回の6週間の治療サイクルについて、0.3μg/kgで開始して20μg/kgまで上昇した。この試験の結果は、ALT-803の最適な用量及び送達経路として毎週20μg/kg/用量の皮下投与の選択につながった(Margolinら、2018)。
NKTR-214は、インビボでの半減期が長いため、サイトカインよりも抗体のように投与される高度に「組み合わせ可能なサイトカイン」と記載されている。ヒトにおけるその予想される投薬スケジュールは21日毎に1回である。しかし、NKTR-214は、サイトカインに特徴的な直接免疫刺激の機構を提供する。ペグ化は、IL-2と比較してNKTR-214の薬物動態を劇的に変化させ、IL-2等価用量と比較して腫瘍におけるAUCの500倍の増加を提供する。NKTR-214の薬物動態は、マウスにおける静脈内投与後に測定され、NKTR-214の最も活性な種(すなわち、2-PEG-IL2、1-PEG-IL2、遊離IL2)について、徐々に増加し、投与後16時間でCmaxに達して減少し、t1/2は17.6時間であった(Charychら、2017)。ペグ化による半減期の増加に基づいて、NCT02983045においてニボルマブと組み合わせた5つの用量レジメンでNKTR-214が試験された(www.clinicaltrials.govを参照)。
・3週間ごとに(q3w)0.006mg/kg NKTR-214、及び2週間ごとに(q2w)240mgニボルマブ、
・q2wで0.003mg/kg NKTR-214、及びq2wで240mgニボルマブ
・q2wで0.006mg/kg NKTR-214、及びq2wで240mgニボルマブ
・q3wで0.006mg/kg NKTR-214、及びq3wで360mgニボルマブ、
・q3wで0.009mg/kg NKTR-214、及びq3wで360mgニボルマブ。
試験の第1部の完了後、試験はq3wでの0.006mg/kg NKTR-214及びq3wでの360mgのニボルマブの用量で継続された。
最近、IL-2/IL-15模倣体がコンピュータによるアプローチによって設計されており、このIL-2/IL-15模倣体は、IL-2Rβγヘテロ二量体に結合するが、IL-2Rαに対する結合部位を有さず(Silvaら、2019)、それゆえIL-2/IL-15Rβγアゴニストとしても適格であることが報告されている。約15kDaのそれらの小さなサイズのために(補足情報の図S13参照)、それらはかなり短いインビボ半減期を有すると予想される。
このようなIL-2ベースのIL-2/IL-15Rβγアゴニストの別の例は、抗体との融合タンパク質において使用されるRoche(ロシュ)によるIL-2バリアント(IL2v)である。IL2vを含む例のRO687428は、臨床で静脈内投与される。
・1日目、15日目、29日目、及び29日目以降2週間に1回で、5mgの用量で開始してその後増加させるか、又はq3wスケジュールで(NCT03063762、www.clinicaltrials.govを参照)、
・単剤療法として5mgの開始用量で週に1回(qw)、
・セツキシマブと組み合わせた5mg qwの開始用量
・トラスツズマブと組み合わせた10mg qwの開始用量(NCT02627274、www.clinicaltrials.govを参照)、
又はアテゾリズマブと組み合わせて、
・最初の4回の用量についてqw、残りの用量について最大36ヶ月まで2週間に1回(q2w)であり、10mgの第1の用量から開始し、2回目以降の用量については15mg、
・最初の4回の用量についてqw、残りの用量について最大36ヶ月までq2wであり、開始用量は10mgであり、2回目以降の用量は15mg、
・最大36ヶ月までq3wで、用量は10mg、
・4週間のqw、その後q2w、開始用量は15mgであり、2回目以降の投与から20mg、又は
・15mgの用量でのq3w(NCT03386721、www.clinicaltrials.govを参照)。
Figure 2023550880000001
しかしながら、天然IL-15に対する受容体を発現する細胞のIL-15(10ng/ml)による15分未満の曝露ですでに、Stat5活性化及びその後の薬力学的効果の最大レベルをもたらす(Castroら、2011)。
要約すると、現在、IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、短命の分子の連続注入によって、又はペグ化若しくはFc断片若しくは抗体への融合を通してIL-2/IL-15Rβγアゴニストの半減期を劇的に延長することによって、患者における上記分子の連続的な利用可能性を達成するために投与される。これは、NK細胞の腫瘍ホーミング及びインビボ抗腫瘍活性の両方がIL-2又はIL-15の連続的な利用可能性に依存するが、NK細胞がIL-15によって頻繁に刺激されない場合、それらは急速に死滅するという共通の理解(Larsenら、2014)と合致している。さらに、そのような療法は、CD8T細胞増殖の最大化に非常に多く焦点を当てるが、同時にTreg増殖の最小化を試みる(Charychら、2013)。
他方、Frutosoらは、IL-15又はIL-15アゴニストの注射の2サイクルが免疫適格マウスにおいてインビボでNK細胞の弱い増殖をもたらすか又は全く増殖をもたらさないが、CD44CD8T細胞はIL-15又はそのアゴニストによる刺激の第2のサイクルの後に依然として応答性であることをマウスにおいて実証した(Frutosoら、2018)。第2のサイクルの用量を漸増しても顕著な差はなかった。さらには、2サイクルの刺激後にマウスから抽出されたNK細胞は、1サイクル後と比較してより低いIFN-γ分泌を有し、これは未処置マウスのものと同等であった(Frutosoら、2018)。この現象は、強い活性化シグナルによるNK細胞の長期刺激が、活性化の変化及び機能的能力の低下を伴う成熟NK細胞の優先的な増加をもたらすという知見によって説明されてもよい(Elpekら、2010)。同様に、IL-15による継続的な処置は、ヒトNK細胞を枯渇させると記載されており、この効果は、NK細胞の活性に対する脂肪酸酸化の影響と関連づけられ、これは、脂肪酸酸化の誘導がIL-15媒介性NK細胞免疫療法を大いに増強する可能性を有することを示唆している(Felicesら、2018)。
サイトカイン治療に関連する自然免疫及び適応免疫の理解が高まっているにもかかわらず、単剤療法として長い間待たれているIL-15を用いた最初の単剤臨床試験は、前臨床実験で見られる有効性の見込みを満たさなかったが、併用試験は依然として進行中である(Conlonら、2019)。IL-2及びIL-15アゴニスト/スーパーアゴニストの適応症が実際に患者に有意な治療利益をもたらし得ることは依然として非常に不明である。おそらくIL-2及びIL-15の既知の高い免疫原性(Haanen 2013、Prattichizzoら、2016)に起因して転移性黒色腫及び転移性腎細胞癌における高用量IL-2の有効性、並びに転移性黒色腫におけるIL-15の有効性のいくつかの徴候(最良で安定状態、第1相、毎日のボーラス注入)が示されたこと(Conlonら、2019)に起因して、黒色腫及び腎細胞癌は、βγアゴニストが試験される主要な適応症である。依然として、Conlonは、癌治療において大きい影響を及ぼすためにIL-15を、癌の治療には不充分であるが既に作用を有する薬剤と組み合わせて投与しなければならないことが試験から明らかであると結論付けている(Conlonら、2019)。従って、βγアゴニストは、それらの抗体依存的細胞傷害性(ADCC)を増加させるための免疫チェックポイント阻害剤(若しくは短縮してチェックポイント阻害剤)若しくは抗癌抗体、抗癌ワクチン又は細胞療法と組み合わせて広く試験されている。
それゆえ、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの機能を理解する最近の進歩にもかかわらず、そのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストがどのように最適に投与されて治療レジメンに組み込まれるか、並びに黒色腫及び腎細胞癌に罹患している患者以外のどの患者が、単剤としての又は他の治療と組み合わせたβγアゴニストによる治療から利益を受け得るかは、依然として不明である。
米国特許第10,206,980号明細書 国際公開第2014/145806号パンフレット 国際公開第2018/151868A2号パンフレット 国際公開第2019/028419号パンフレット 国際公開第2019/028425号パンフレット 米国特許出願公開第2019/0092830号明細書 国際公開第2019/173798号パンフレット 国際公開第2012/175222A1号パンフレット 国際公開第2015/018528A1号パンフレット 国際公開第2015/109124号パンフレット
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本発明者らは、驚くべきことに、インターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストが癌治療において単剤活性を示すことを見出した。さらに、それらは、予想外に、チェックポイント阻害剤治療に抵抗性の癌患者において抗腫瘍活性を示すことができた。本発明者らは、霊長類におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストのパルス状周期的投与が、NK及びCD8T細胞の最適な活性化をもたらすこと、すなわち、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が、Ki-67NK細胞及びCD8T細胞の顕著な増加並びに/又はNK細胞及びCD8T細胞の数の増加をもたらすことを特定した。これらは、複数ラウンドの投与の間に繰り返される/維持される。このようなパルス状周期的投薬スケジュールは、ファースト・イン・ヒューマン(ヒト初回)試験において非常に良性の安全性プロファイルを示し(現在依然として進行中)、驚くべきことに、後期のチェックポイント阻害剤に抵抗性の皮膚扁平上皮癌に罹患している患者において単剤活性を示した。この治療の成功は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが何を達成できるか、及びどの適応症がIL-2/IL-15Rβγアゴニスト治療に感受性であるかの新たな理解を開く。
従って、本発明は、新しい腫瘍適応症及び患者群のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト治療を提供する。
定義、略語及び頭字語
「IL-2/IL-15Rβγアゴニスト」は、中親和性IL-2/IL-15Rβγを標的とし、IL-2Rα又はIL-15Rαの結合が減少又は放棄されたIL-2若しくはIL-2誘導体又はIL-15若しくはIL-15誘導体の複合体を指す。この文脈における結合の減少は、野生型のIL-15又はIL-2と比較して、それぞれの受容体αへの結合がそれぞれ少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、とりわけ少なくとも90%減少したことを意味する。以下に記載及び例示するように、それぞれのIL-15RαへのIL-15の結合の減少又は放棄は、IL-15Rα誘導体との複合体(共有結合若しくは非共有結合)を形成することによって、結合の減少若しくは放棄をもたらすIL-15における変異によって、又は結合の減少若しくは放棄をもたらすIL-15の部位特異的なペグ化若しくは他の翻訳後修飾によって媒介されてもよい。同様に、それぞれのIL-2RαへのIL-2の結合の減少又は放棄は、結合の減少若しくは放棄をもたらすIL-2における変異によって、又は結合の減少若しくは放棄をもたらすIL-15の部位特異的なペグ化若しくは他の翻訳後修飾によって媒介されてもよい。
「インターロイキン-2」、「IL-2」又は「IL2」は、NCBI参照配列AAB46883.1又はUniProt ID P60568(配列番号1)によって記載されるヒトサイトカインを指す。その前駆体タンパク質は153個のアミノ酸を有し、20-aaペプチドリーダーを有し、133-aa成熟タンパク質をもたらす。そのmRNAは、NCBI GenBank参照番号S82692.1に記載されている。
「IL-2誘導体」は、成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号2)と少なくとも92%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の同一率を有するタンパク質を指す。好ましくは、IL-2誘導体は、リンパ球増殖バイオアッセイによって測定される場合に、ヒトIL-2の活性の少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%を有する。インターロイキンは極めて強力な分子であるため、ヒトIL-2の0.1%等の低い活性でさえも、とりわけより高く投与される場合、又は半減期の延長が活性の喪失を補償する場合、依然として充分に強力であってもよい。その活性は、World Health Organization 1st International Standard for Interleukin-2(human)(世界保健機関第1回インターロイキン-2(ヒト)に関する国際規格)によって確立され、2nd International Standard(第2の国際規格)に置き換えられた(Gearing及びThorpe 1988,Wadhwaら、2013)国際単位で表される。効力とタンパク質質量との関係は以下の通りである:1800万IU PROLEUKIN=1.1mgタンパク質。上述のように、変異(置換)は、THOR-707に関して行われたように(Josephら、2019)(国際公開第2019/028419A1号パンフレット)半減期を延長するため、又は分子の結合特性を改変するため、例えば、IL2vに関して行われたように(Kleinら、2013、Bacacら、2016)(国際公開第2012/107417A1号パンフレット)、L72、F42及び/又はY45の変異、とりわけF42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、F42K、Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45R、Y45K、L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、及びL72K、好ましくは変異F42A、Y45A及びL72GによってIL-2α受容体への結合を減少させるために、PEGをIL-2に特異的に連結するために導入されてもよい。IL-2の様々な他の変異が記載されている:血管透過性活性の低下による毒性を低減するためのR38W(Huら、2003)(米国特許出願公開第2003/0124678号明細書);NK細胞よりもT細胞に対する選択性を高めるためのN88R(Shanafeltら、2000);NK細胞からの炎症誘発性サイトカインの分泌を減少させるためのR38A及びF42K(Heatonら、1993)(米国特許第5,229,109号明細書);VLSを低減するためのD20T、N88R及びQ126D(米国特許出願公開第2007/0036752号明細書);有効性を増強するためにCD25との相互作用及びTreg細胞の活性化を低減するためのR38W及びF42K(国際公開第2008/003473号パンフレット)。また、凝集を回避するためのT3A及びO-グリコシル化を消失させるためのC125A等のさらなる変異が導入されてもよい(Kleinら、2017)。他の変異又は上記のものの組み合わせは、遺伝子工学的方法によって生成されてもよく、当該技術分野において周知である。アミノ酸番号は、133アミノ酸の成熟IL-2配列を参照している。
「インターロイキン-15」、「IL-15」又は「IL15」は、NCBI参照配列NP_000576.1又はUniProt ID P40933(配列番号3)によって記載されるヒトサイトカインを指す。その前駆体タンパク質は、162個のアミノ酸を有し、長い48-aaペプチドリーダーを有し、114-aa成熟タンパク質(配列番号4)をもたらす。そのmRNAの完全なコード配列は、NCBI GenBank参照番号U14407.1に記載されている。IL-15Rαsushiドメイン(又はIL-15Rαsushi、配列番号6)は、IL-15への結合に必須であるIL-15Rαのドメインである。
「IL-15誘導体」又は「IL-15の誘導体」は、成熟ヒトIL-15(114aa)のアミノ酸配列(配列番号4)と少なくとも92%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の同一率を有するタンパク質を指す。好ましくは、IL-15誘導体は、IL-15の活性の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%を有する。より好ましくは、IL-15誘導体は、ヒトIL-15の活性の少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも1%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%を有する。上記のIL-2についてのように、インターロイキンは極めて強力な分子であり、ヒトIL-15の0.1%等の低い活性でさえも、とりわけより高く投与される場合、又は半減期の延長が活性の喪失を補償する場合、依然として充分に強力であってもよい。IL-15についても、分子に対する様々な明確な変化を達成するための多数の変異が記載されている:IL-15Rβγβγ受容体への結合を低減するためのD8N、D8A、D61A、N65D、N65A、Q108R(国際公開第2008/143794A1号パンフレット);(ALT-803中の)活性化変異としてのN72D;増殖活性を低下させるためのN1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D、及びQ108E(米国特許出願公開第2018/0118805号明細書);IL-15Rαへの結合を減少させるためのL44D、E46K、L47D、V49D、I50D、L66D、L66E、I67D、及びI67E(国際公開第2016/142314A1号パンフレット);IL-15Rbの結合を抑止するためのN65K及びL69R(国際公開第2014/207173A1号パンフレット);IL-15の機能を阻害するためのQ101D及びQ108D(国際公開第2006/020849A2号パンフレット);IL-15Rβ結合を減少させるためのS7Y、S7A、K10A、K11A(Ringら、2012);IL-15Rαへの結合を増加させるための、L45、S51、L52のD、E、K又はRによる置換、並びにE64、I68、L69及びN65のD、E、R又はKによる置換(国際公開第2005/085282A1号パンフレット);脱アミド化を低減するための、N71のS、A又はNによる置換、N72のS、A又はNによる置換、N77のQ、S、K、A又はEによる置換、及びN78のS、A又はGによる置換(国際公開第2009/135031A1号パンフレット);国際公開第2016/060996A2号パンフレットは、IL-15の特定の領域を置換に適していると定義し(段落0020、0035、00120及び00130を参照)、具体的には、PEG又は他の修飾のためのアンカーを提供するための潜在的置換を特定する方法の指針を提供し(段落0021を参照);CD122に対する親和性が増加し、IL-2及びIL-15エフェクター機能を阻害するためのCD132の動員が損なわれるQ108D、及びCD122親和性を抑止するためのN65K(国際公開第2017/046200A1号パンフレット);NK細胞及びCD8T細胞の活性化に関するそれぞれのIL-15/IL-15Rα複合体の活性を徐々に低下させるためのN1D、N4D、D8N、D30N、D61N、E64Q、N65D、及びQ108E(図51、国際公開第2018/071918A1号パンフレット、国際公開第2018/071919A1号パンフレットを参照)。加えて、又は代わりに、当業者は、保存的アミノ酸置換を容易に行うことができる。
IL-2及びIL-15の両方の活性は、Horiら(1987)によって記載されるように、kit225細胞の増殖の誘導によって測定することができる。好ましくは、例えば、CTLL-2細胞を使用するSomanらによって記載されるように(Somanら、2009)、IL-2又はIL-15刺激による増殖活性化を測定するために比色分析又は蛍光等の方法が使用される。kit225細胞等の細胞株の代替として、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)又はバフィーコートを使用することができる。IL-2又はIL-15の活性を測定するための好ましいバイオアッセイは、STAT5-RE CTLL-2細胞を使用するIL-2/IL-15バイオアッセイキット(Promega(プロメガ)カタログ番号CS2018B03/B07/B05)である。
IL-15変異タンパク質は、標準的な遺伝子操作法によって生成することができ、例えば、国際公開第2005/085282号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0057680号明細書、国際公開第2008/143794号パンフレット、国際公開第2009/135031号パンフレット、国際公開第2014/207173号パンフレット、国際公開第2016/142314号パンフレット、国際公開第2016/060996号パンフレット、国際公開第2017/046200号パンフレット、国際公開第2018/071918号パンフレット、国際公開第2018/071919号パンフレット、米国特許出願公開第2018/0118805号明細書から当該技術分野で周知である。IL-15誘導体はさらに、当該技術分野で公知の化学修飾によって、例えばペグ化又は他の翻訳後修飾によって生成されてもよい(国際公開第2017/112528A2号パンフレット、国際公開第2009/135031号パンフレットを参照)。
「IL-2Rα」は、ヒトIL-2IL-2受容体α又はCD25を指す。
「IL-15Rα」は、NCBI参照配列AAI21142.1又はUniProt ID Q13261(配列番号5)によって記載されるヒトIL-15受容体α又はCD215を指す。その前駆体タンパク質は、267個のアミノ酸を有し、30-aaペプチドリーダーを有し、231-aa成熟タンパク質をもたらす。そのmRNAは、NCBI GenBank参照番号HQ401283.1に記載されている。IL-15Rαsushiドメイン(又はIL-15Rαsushi、配列番号6)は、IL-15への結合に必須であるIL-15Rαのドメインである(Weiら、2001)。sushi+断片(配列番号7)はsushiドメイン、及びこのIL-15Rαのsushiドメインの後に位置する14個のアミノ酸として定義される、このsushiドメインに対してC末端位置のヒンジ領域の一部を含み、すなわち、このIL-15Rαヒンジ領域は、上記(C4)システイン残基の後の最初のアミノ酸で始まり、(標準的な「N末端からC末端へ」の向きに数えて)14番目のアミノ酸で終わる。sushi+断片は、IL-15に対する完全な結合活性を再構成する(国際公開第2007/046006号パンフレット)。
「受容体α」はIL-2Rα又はIL-15Rαを指す。
「IL-15Rα誘導体」は、ヒトIL-15Rαのsushiドメインのアミノ酸配列(配列番号6)、好ましくはヒトIL-15Rαのsushi+ドメインのアミノ酸配列(配列番号7)と少なくとも92%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の同一率を有する、そして最も好ましくは100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。好ましくは、IL-15Rα誘導体は、N末端及びC末端が切断されたポリペプチドであるが、シグナルペプチド(配列番号5のアミノ酸1~30)は欠失し、IL-15Rαの膜貫通ドメイン及び細胞質内部分は欠失している(配列番号5のアミノ酸210~267)。従って、好ましいIL-15Rα誘導体は、少なくともsushiドメイン(aa33~93)を含むが、配列番号5のアミノ酸31~209である成熟IL-15Rαの細胞外部分を超えて伸長しない。特定の好ましいIL-15Rα誘導体は、IL-15Rαのsushiドメイン(配列番号6)、IL-15Rαのsushi+ドメイン(配列番号7)及びIL-15Rαの可溶性形態(例えば、配列番号5のアミノ酸31からアミノ酸172、197、198、199、200、201、202、203、204若しくは205のいずれかまで。国際公開第2014/066527号パンフレットを参照(Giron-Michelら、2005))又はIL-15Rαの細胞外ドメインである。この定義によって提供される制限内で、IL-15Rα誘導体は、天然に存在する変異又は導入された変異を含んでもよい。天然のバリアント及び代替配列は、例えば、UniProtKBエントリーQ13261(https://www.uniprot.org/uniprot/Q13261)に記載されている。さらに、当業者は、依然として機能的である誘導体を生成するために、哺乳動物IL-15Rαホモログ又はさらには霊長類IL-15Rαホモログの間であまり保存されていないアミノ酸を容易に特定することができる。哺乳動物IL-15Rαホモログのそれぞれの配列は、国際公開第2007/046006号パンフレット、18頁及び19頁に記載されている。追加的に又は代替的に、当業者は保存的アミノ酸置換を容易に行うことができる。
好ましくは、IL-15Rα誘導体は、例えば、(Weiら、2001)において測定されたようにヒトIL-15に対するヒトsushiドメインの結合活性の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%を有する。
「IL-2Rβ」は、ヒトIL-Rβ又はCD122を指す。
「IL-2Rγ」は、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15及びIL-21によって共有される共通のサイトカイン受容体γ又はγ又はCD132を指す。
「RLI-15」は、ヒトIL-15Rαsushi+断片とヒトIL-15との受容体-リンカー-インターロイキン融合タンパク質であるIL-15/IL-15Rα複合体を指す。好適なリンカーは国際公開第2007/046006号パンフレット及び国際公開第2012/175222号パンフレットに記載されている。
「RLI2」又は「SO-C101」は、RLI-15の特定のバージョンであり、配列番号8を有するリンカーを使用するヒトIL-15Rαsushi+断片とヒトIL-15との受容体-リンカー-インターロイキン融合タンパク質(配列番号9)であるIL-15/IL-15Rα複合体を指す。
「ALT-803」(ノガペンデキンアルファ/インバキセプト)は、Altor BioScience Corp.(アルター・バイオサイエンス・コーポレーション)のIL-15/IL-15Rα複合体を指し、これは、最適化されたアミノ酸置換(N72D)ヒトIL-15「スーパーゴニスト」の2分子、ヒトIL-15α受容体「sushi」ドメインの2分子を含み、これらが、安定性を付与しIL-15N72D:IL-15Rαsushi-Fc複合体の半減期を延長する二量体ヒトIgG1 Fcに融合した複合体である(例えば米国特許出願公開第2017/0088597号明細書を参照)。
「ヘテロ二量体IL-15:IL-Rα」、「hetIL-15」又は「NIZ985」は、IL-15に類似するNovartis(ノバルティス)のIL-15/IL-15Rα複合体を指し、これは、ヒトIL-15及び可溶性ヒトIL-15Rα(sIL-15Rα)、すなわちシグナルペプチド並びに膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを伴わないIL-15Rαの170アミノ酸の、組換えにより同時発現される非共有結合複合体である、可溶性IL-15Rαとの安定な分子複合体として循環する((Thaysen-Andersenら、2016、例えば表1参照)及び国際公開第2021/156720A1号パンフレット(配列番号3を有するIL-15、配列番号5又は配列番号14の配列を有するIL-15Rα誘導体)を参照)。
「IL-2/IL-15Rβγアゴニスト」は、IL-2Rα及び/又はIL-15Rα受容体に結合することなくこれによりTregの刺激を欠く、中親和性IL-2/IL-15Rβγ受容体を主に標的とする分子又は複合体を指す。例は、IL-15Rαの少なくともsushiドメインに結合したIL-15であり、これはトランスプレゼンテーション又は細胞間相互作用に依存しないという利点、及び分子のサイズの増加に起因するより長いインビボ半減期を有するという利点を有し、この分子は、インビトロ及びインビボで天然のIL-15よりも有意に強力であることが示されている(Robinson及びSchluns、2017)。これは、IL-15/IL-15Rαベースの複合体以外に、IL-2/15Rβ及びγ受容体への結合に影響を及ぼすことなく、IL-2α受容体への結合を著しく低減又は適時まで遅延させる、変異IL-2又は化学的に修飾されたIL-2によって達成することができる。
「NKTR-214」(ベムペガルデスロイキン(bempegaldesleukin))は、6つの放出可能なポリエチレングリコール(PEG)鎖が結合したIL-2からなる生物学的プロドラッグである(国際公開第2012/065086A1号パンフレット)、IL-2に基づくIL-2/IL-15Rβγアゴニストを指す。複数のPEG鎖の存在は、不活性なプロドラッグを生成し、これは、投与の際の急速な全身性免疫活性化を妨げる。放出可能なリンカーの使用により、PEG鎖がゆっくりと加水分解して、2つのPEG又は1つのPEGによって結合された活性コンジュゲートIL-2を連続的に形成することが可能になる。IL-2/IL-2Rα界面におけるPEG鎖の位置は、高親和性IL-2Rαへの結合を妨害するが、低親和性IL-2Rβへの結合は妨害されずに残し、腫瘍における抑制よりも免疫活性化に有利に働く(Charychら、2016、Charychら、2017)。
「IL2v」は、配列番号10を有するIL-2Rαサブユニットへの結合が消失したIL-2バリアントである、RocheによるIL-2に基づくIL-2/IL-15Rβγアゴニストを指す。IL2vは、例えば、抗体のC末端に融合された融合タンパク質において使用される。IL2vは、アミノ酸置換F42A、Y45A及びL72G(ヒト、マウス及び非ヒト霊長類間で保存されている)を介してIL-2Rαに対する結合能力を破壊することによって、並びにアミノ酸置換T3Aを介してO-グリコシル化を消失させることによって、並びにアルデスロイキンにおけるようにC125A変異によって凝集を回避することによって設計された(シグナルペプチドを除くUniProt ID P60568に基づく番号付け)(Kleinら、2017)。IL2vは、その半減期を増加させるために、抗体との融合パートナーとして、例えば、非標的化IgGとの融合パートナーとして(IgG-IL2v)使用される(Bacacら、2017)。RG7813(又はセルグツズマブアムナロイキン(cergutuzumab amunaleukin)、RO-6895882、CEA-IL2v)において、IL2vは、FcγR及びC1q結合を欠くヘテロ二量体Fcを有する癌胎児性抗原(CEA)を標的とする抗体に融合される(Klein 2014、Bacacら、2016、Kleinら、2017)。そして、RG7461(又はRO6874281若しくはFAP-IL2v)において、IL2vは、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)を標的とする腫瘍特異的抗体に融合される(Klein 2014)。
「THOR-707」は、中間親和性IL-2Rβγシグナル伝達複合体への結合を保持しながら、IL2Rα鎖係合を減少/欠失させたIL-2の部位特異的な単独ペグ化型に基づくIL-2/IL-15Rβγアゴニスト(Josephら、2019)(国際公開第2019/028419A1号パンフレット、P65_30KD分子)を指す。
「ALKS4230」(ネムバロイキンアルファ)は、(リンカーとβ及びγ受容体鎖との相互作用を回避するために)環状に並べ替えられたIL-2であって、α結合側が既にIL-2Rα融合成分によって占められているので、IL-2Rαの細胞外ドメインがβγ受容体を選択的に標的とするものを指す(Lopesら、2020)。
「P-22339」は、国際公開第2016/095642号パンフレット及びHuら(2018)に記載されているように、IL-15が1つのFc鎖のN末端に結合し、IL-15Rαsushiドメインが第2のFc鎖のN末端に結合し、IL-15ポリペプチド(配列番号15)上のL52C置換及びIL-15Rαsushi+ポリペプチド(配列番号16)上のS40C置換がジスルフィド結合を形成するIL-15/IL-15Rαsushi複合体を指す。
「NL-201」は、IL-2受容体βγヘテロ二量体(IL-2Rβγ)に結合するためにIL-2を模倣するがIL-2Rα又はIL-15Rαに対する結合部位を有しない、コンピュータにより設計されたタンパク質であるIL-2/IL-15Rβγアゴニストを指す((Silvaら、2019)及び国際公開第2021/081193A1号パンフレット(NEO 2-15 E62C、配列番号17))。
「NKRT-255」は、PEGコンジュゲートヒトIL-15に基づくIL-2/IL-15Rβγアゴニストであって、IL-15Rαに対する結合親和性を保持し、クリアランスの減少を示し、持続的な薬力学的応答を提供するものを指す(国際公開第2018/213341A1号パンフレット、コンジュゲート1)。
「XmAb24306」は、米国特許出願公開第2018/0118805号明細書に記載されるように(図94CのXENP024306、配列番号18及び配列番号19を参照)、変異体IL-15が、1つのFc鎖のN末端に結合し、IL-15Rαsushiドメインが第2のFc鎖のN末端に結合するIL-15/IL-15Rαsushi複合体を指す。
「ANV419」は、IL-2とIL-2特異的抗体との融合タンパク質を指す(Huberら、ポスター番号571、SITC Annual Meeting 2020、Arenas-Ramirezら(2016)に記載されている)。
「XTX202」(CLN-617)は、国際公開第2020/069398号パンフレット及びO’Neil Jら、ASCO annual meeting 2021のポスターに記載されているように、活性がマスクされた操作されたIL-2プロドラッグを指す。
「AB248」は、SITC 2021のMoynihan Kら、「Selective activation of CD8+ T cells by a CD8-targeted IL-2 results in enhanced anti-tumor efficacy and safety」のポスターに記載されている抗CD8抗体とIL-2との融合タンパク質を指す。
「WTX-124」は、AACR annual meeting 2021のSalmeron A.ら、「WTX-124 is an IL-2 Pro-Drug Conditionally Activated in Tumors and Able to Induce Complete Regressions in Mouse Tumor Models」のポスター及び国際公開第2020/232305A1号パンフレットに記載されている半減期延長ドメイン、IL-2及び切断可能な不活性化ドメインの融合タンパク質を指す。
「THOR-924、-908、-918」は、部位特異的ペグ化に使用される非天然アミノ酸を有しIL-15Rαへの結合が低下したPEGコンジュゲートIL-15に基づくIL-2/IL-15Rβγアゴニスト(国際公開第2019/165453A1号パンフレット)を指す。
2つのアミノ酸配列間の「同一率」は、それらの配列の最良のアラインメントを用いて得られる、比較される2つの配列間の同一アミノ酸のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは純粋に統計的であり、これらの2つの配列間の差はアミノ酸配列にわたってランダムに広がる。本明細書中で使用される場合、「最良のアラインメント」又は「最適なアラインメント」は、決定された同一率(以下を参照)が最も高いアラインメントを意味する。2つのアミノ酸配列間の配列比較は、通常、最良のアラインメントに従って予めアラインメントされたこれらの配列を比較することによって実現される。この比較は、類似性の局所領域を識別及び比較するために、比較セグメント上で実現される。比較を行うための最良の配列アラインメントは、手動の方法の他に、Smith及びWaterman(1981)によって開発されたグローバル相同性アルゴリズムを使用することによって、Needleman及びWunsch(1970)によって開発されたローカル相同性アルゴリズムを使用することによって、Pearson及びLipman(1988)によって開発された類似性の方法を使用することによって、そのようなアルゴリズム(米国ウィスコンシン州マディソン(Madison)、575 Science Dr.(サイエンス・ドライブ 575)、Genetics Computer Group(ジェネティクス・コンピュータ・グループ)のWisconsin Genetics software Packageの中のGAP、BESTFIT、BLAST P、BLAST N、FASTA、TFASTA)を使用するコンピュータソフトウェアを使用することによって、MUSCLE多重アラインメントアルゴリズム(Edgar 2004)を使用することによって、又はCLUSTAL(Goujonら、2010)を使用することによって実現することができる。最良のローカル(局所)アラインメントを得るために、好ましくはBLOSUM62マトリクスとともにBLASTソフトウェアを使用することができる。2つのアミノ酸配列間の同一率は、最適にアラインメントされたこれらの2つの配列を比較することによって決定され、それらのアミノ酸配列は、これらの2つの配列間の最適なアラインメントを得るために、参照配列に対する付加又は欠失を包含することができる。同一率は、これら2つの配列間の同一位置の数を決定し、この数を比較された位置の総数で除算し、得られた結果に100を乗算してこれら2つの配列間の同一性の百分率を得ることによって計算される。
「保存的アミノ酸置換」は、脂肪族アミノ酸(すなわち、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)が別の脂肪族アミノ酸によって置換されるか、ヒドロキシル若しくは硫黄/セレン含有アミノ酸(すなわち、セリン、システイン、セレノシステイン、トレオニン、メチオニン)が別のヒドロキシル若しくは硫黄/セレン含有アミノ酸によって置換されるか、芳香族アミノ酸(すなわち、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)が別の芳香族アミノ酸によって置換されるか、塩基性アミノ酸(すなわち、ヒスチジン、リジン、アルギニン)が別の塩基性アミノ酸によって置換されるか、又は酸性アミノ酸若しくはそのアミド(アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン)が別の酸性アミノ酸若しくはそのアミドによって置換されるアミノ酸の置換を指す。
「インビボ半減期」、T1/2又は終末相半減期(terminal half-life)は、排出の半減期又は終末相の半減期を指し、すなわち、投与後、インビボ半減期は、分布の擬似平衡に達した後に血漿濃度/血中濃度が50%減少するのに必要な時間である(Toutain及びBousquet-Melou、2004)。血液/血漿中の薬物、ここではポリペプチドであるIL-2/IL-15βγアゴニストの測定は、典型的にはポリペプチド特異的ELISAによって行われる。
「免疫チェックポイント阻害剤」又は略して「チェックポイント阻害剤」は、T細胞等のいくつかの種類の免疫系細胞及びいくつかの癌細胞によって作製される特定のタンパク質を遮断する種類の薬物を指す。これらのタンパク質は、免疫応答のチェックを助け、T細胞が癌細胞を死滅させないようにすることができる。これらのタンパク質が遮断されると、免疫系上の「ブレーキ」が解放され、T細胞は癌細胞をより良好に死滅させることができる。従って、チェックポイント阻害剤は、免疫阻害性チェックポイント分子のアンタゴニスト又は阻害性チェックポイント分子のアゴニストリガンドのアンタゴニストである。T細胞又は癌細胞上に見出されるチェックポイントタンパク質の例としては、例えば、Darvinら(2018)によって概説されるように、PD-1/PD-L1及びCTLA-4/B7-1/B7-2(National Institute of Health(米国国立衛生研究所)のNational Cancer Institute(米国国立癌研究所)の定義、https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/immune-checkpoint-inhibitorを参照)が挙げられる。このようなチェックポイント阻害剤の例は、抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体であるが、LAG-3若しくはTIM-3に対する抗体、又は臨床で現在試験されているBTLAの遮断薬(De Sousa Linharesら、2018)も挙げられる。さらなる有望なチェックポイント阻害剤は、抗TIGIT抗体(Solomon及びGarrido-Laguna、2018)である。
「PD-1アンタゴニスト」又は「PD-1阻害剤」は、PD-1チェックポイントに拮抗するか又はそれを阻害する任意の薬剤を指す。PD-1アンタゴニスト又はPD-1阻害剤は、プログラム死リガンド(programmed death-ligand)1(PD-L1、CD274)及び/又はプログラム死リガンド2(PD-L2、CD273)と、その受容体であるプログラム細胞死タンパク質(programmed cell death protein)1(PD-1、CD279)との会合を阻害するように作用する。この相互作用は、免疫系の抑制に関与し、免疫系を回避するために多くの癌によって使用される。PD-1アンタゴニスト/阻害剤には、抗PD1抗体及び抗PD-L1抗体が含まれる。
「抗PD-L1抗体」は、PD-L1に結合する抗体又はその抗体断片を指す。例は、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035、MGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)である。
「抗PD-1抗体」は、PD-1に結合する抗体又はその抗体断片を指す。例は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、BMS-936558、SHR1210、IBI308、PDR001、BGB-A317、BCD-100、JS001である。
「抗PD-L2抗体」は、抗PD-L2に結合する抗体又はその抗体断片を指す。例はsHIgM12である。
「抗CTLA4抗体」は、CTLA-4に結合する抗体又はその抗体断片を指す。例は、イピリムマブ及びトレメリムマブ(チシリムマブ)である。
「抗LAG-3」抗体は、LAG-3に結合する抗体又はその抗体断片を指す。抗LAG-3抗体の例は、レラトリマブ(BMS986016)、Sym022、REGN3767、TSR-033、GSK2831781、MGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)、LAG525(IMP701)である。
「抗TIM-3抗体」は、TIM-3に結合する抗体又はその抗体断片を指す。例はTSR-022及びSym023である。
「抗TIGIT抗体」は、TIGITに結合する抗体又はその抗体断片を指す。例は、チラゴルマブ(tiragolumab)(MTIG7192A、RG6058)及びエチギリマブ(etigilimab)(国際公開第2018/102536号パンフレット)である。
「治療用抗体」又は「腫瘍標的化抗体」は、治療される腫瘍細胞の表面上に発現される標的への抗体の結合を介して腫瘍細胞に対して直接的な治療効果を有する抗体又はその抗体断片を指す。このような治療活性は、細胞におけるシグナル伝達の改変をもたらす受容体結合、抗体依存的細胞傷害性(ADCC)、補体依存的細胞傷害性(CDC)又は腫瘍細胞の他の抗体媒介性死滅に起因してもよい。
「抗CD38抗体」は、環状ADPリボースヒドロラーゼとしても知られる、CD38に結合する抗体又はその抗体断片を指す。抗CD38抗体の例は、ダラツムマブ、イサツキシマブ(SAR650984)、MOR-202(MOR03087)、TAK-573若しくはTAK-079(Abramson、2018)又はGEN1029(HexaBody(登録商標)-DR5/DR5)である。
「HPV誘導性非黒色腫皮膚癌」又は「HPV誘導性非黒色腫皮膚腫瘍」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって誘導されるか、又はそれに関連する非黒色腫の皮膚腫瘍又は皮膚癌を指す。HPV誘導性の腫瘍又は癌は、陰茎癌、肛門癌、膣癌、外陰癌、皮膚扁平上皮癌又はケラチノサイト癌(角化細胞癌)を含む、任意の種類の非黒色腫の腫瘍又は癌であってもよい。HPV誘導性の腫瘍又は癌は、例えば、E6及び/若しくはE7遺伝子/転写物の存在/発現、又は血液中のE6タンパク質に対する体液性応答を測定することによって、少なくとも1つの型のHPVについて陽性である(Augustinら、2020、とりわけ表1を参照)。HPV誘導性の腫瘍又は癌は、1種以上のHPV型16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73及び82、とりわけ型16、18、31、33及び45について陽性であってもよい。
「組み合わせて投与される」と記載される場合、これは、典型的には、2つの薬剤が同時製剤化され、同時投与されることを意味するのではなく、むしろ、1つの薬剤が、他の薬剤と組み合わせたその使用を特定するラベルを有することを意味する。そのため、例えば、IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、癌の治療又は管理に使用するためのものであり、この使用は、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト及びさらなる治療剤を同時に、別々に、又は逐次的に投与すること、又はその逆を含む。しかし、本出願におけるいかなるものも、2つの組み合わされた薬剤がひとまとまり若しくはキットとして提供されること、又はさらには投薬スケジュールが合致する場合に共製剤化され、一緒に投与されることを排除すべきではない。そのため、「組み合わせて投与される」は、(i)薬物が、関節注入、関節注射等で一緒に投与されること、(ii)薬物が、各薬物の所与の投与方法に従って別々であるが並行して投与されること、及び(iii)薬物が、別々にかつ逐次的に投与されることを含む。
この文脈における並行投与は、好ましくは、両方の治療が一緒に開始されること、例えば、治療レジメン内の各薬物の最初の投与が同じ日に投与されることを意味する。潜在的な異なる治療スケジュールを考慮すると、以降の日/週/月の間に、投与が常に同じ日に起こらなくてもよいことは明らかである。概して、並行投与は、両方の薬物が各治療サイクルの開始時に同時に体内に存在することを目的とする。
この文脈における逐次投与は、好ましくは、両方の治療が逐次的に開始される、例えば、第2の薬物が活性になる前に第1の薬物に対する身体の薬力学的応答を可能にするために、第1の薬物の最初の投与が、第2の薬物の最初の投与より少なくとも1日、好ましくは数日又は1週間早く行われることを意味する。その後、治療スケジュールは、互いに重複若しくは断続的であってもよく、又は直接続いてもよい。
用語「チェックポイント阻害剤治療に対して耐性(resistant)」は、チェックポイント阻害剤を受けたときに治療応答を決して示さなかった患者を指す。
用語「チェックポイント阻害剤治療に対して抵抗性(不応性、refractory)」は、最初はチェックポイント阻害剤治療に対して治療応答を示したが、その治療応答は経時的に維持されなかった患者を指す。
用語「約」は、値と共に使用される場合、その値±10%、好ましくはその値の±5%、とりわけ±1%を意味する。
用語「を含む(comprising)」が本明細書及び請求項において使用される場合、その用語は他の要素を除外しない。本発明の目的のために、用語「からなる(consisting of)」は、用語「を含む(comprising of)」の好ましい実施形態であると考えられる。以下において、群が少なくともある数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も開示すると理解されるべきである。
単数の名詞に言及するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」又は「the」が使用される場合、他に何かが具体的に述べられていない限り、これはその名詞の複数形を含む。
従って、「少なくとも1種の化学療法剤」等における用語「少なくとも1種の」は、1種以上の化学療法剤を意味するということを意味してもよい。用語「そ(れら)の組み合わせ」は、同じ文脈において、複数の化学療法剤を含む組み合わせを指す。
技術用語は、それらの共通の意味で使用される。特定の意味が特定の用語に伝えられる場合、用語の定義は、用語が使用される文脈において以下で与えられる。
ラテン語quaque/each、every(各、毎)に由来する「qxw」は、x週毎を表し、例えばq2wは2週毎を表し、q3wは3週毎を表す。
「s.c.」は皮下を表す。
「i.v.」は静脈内を表す。
「i.p.」は腹腔内を表す。
ファースト・イン・ヒューマン臨床試験の投薬スケジュール。±1日;DLT 用量制限毒性。パートA:SO-C101投薬スケジュール。 ファースト・イン・ヒューマン臨床試験の投薬スケジュール。±1日;DLT 用量制限毒性。パートB:ペムブロリズマブ投薬スケジュールと組み合わせたSO-C101。 (A)患者のスクリーニング時の62歳の女性患者の皮膚扁平上皮癌の写真;(B)Aのそれぞれの領域のCTスキャン;(C)SO-C101単剤療法の4サイクル/12週間後の患者の皮膚扁平上皮癌(SSCC)の写真;(D)Cのそれぞれの領域のCTスキャン。 (E)上パネル:スクリーニング時(左、2020年6月3日)及びSO-C101での治療中(2020年7月3日、2020年9月2日、2020年9月23日及び2020年10月14日)のSSCCの写真;下パネル:SO-C101とペムブロリズマブとの併用療法の開始時(2020年11月25日)及び併用療法中(2020年12月15日、2021年1月14日)のSSCCの写真。 (F)~(M)SO-C101治療前(ベースライン - パネルF、G、H、I)又はSO-C101治療後(18週目 - パネルJ、K、L、M)に採取した生検の免疫組織化学。パネルF及びJ:ヘマトキシリン及びエオシンについて染色;パネルG及びK:CD8について染色;パネルH及びL:PD-L1/CD8について染色;パネルI及びM:NKp46について染色。 SO-C101/ペムブロリズマブ治療前(ベースライン - パネルA、B、C、D)又はSO-C101/ペムブロリズマブ治療後(6週目 - パネルE、F、G、H)に採取した甲状腺癌患者由来の生検の免疫組織化学。パネルA及びE:ヘマトキシリン及びエオシンについて染色;パネルB及びF:CD8について染色;パネルC及びG:PD-L1/CD8について染色;パネルD及びH:NKp46について染色。 患者のスクリーニング時(2021年3月18日)及び6μg/kgのSO-C101及び200mgのペムブロリズマブによる併用療法の2サイクル後(2021年5月6日)の74歳の女性患者の皮膚扁平上皮癌の写真。 SO-C101/ペムブロリズマブ治療前(ベースライン - パネルA、B、C、D)又はSO-C101/ペムブロリズマブ治療後(6週目 - パネルE、F、G、H)に採取した肛門扁平上皮癌患者由来の生検の免疫組織化学。パネルA及びE:ヘマトキシリン及びエオシンについて染色;パネルB及びF:CD8について染色;パネルC及びG:PD-L1/CD8について染色;パネルD及びH:NKp46について染色。 パルス状周期的投与レジメンのグラフ表示。0は、初期1日用量を増加させない周期的投与を描く。A~Eは、1日用量の増加の様々なシナリオを描く:A - 各治療サイクルの第1の治療期間xの後、各治療サイクルは初期用量で再び開始する;B - 各治療サイクルの各治療期間xの後、1日用量は中断zの後に増加しない;C - 各治療期間x内の各治療日の後、各治療サイクルは、初期用量で再び開始する;D - 各治療期間x内の各治療日の後、1日用量は、サイクル内の1つの治療期間xから次の治療期間xまで増加されず、各治療サイクルは、初期用量で再び開始する;E - 各治療期間x内の各治療日の後、1日用量は、サイクル内で1つの治療期間xから次の治療期間xまで増加されず、新しいサイクルの第1の治療期間xの1日用量は、前の治療期間xの1日目の1日用量で開始する。 SO-C101並びにSO-C101及びペムブロリズマブでの治療後の末梢血中のCD8T細胞並びにNK細胞の増殖の増加。0.25~15μg/kgのSO-C101単剤療法及び1.5~5μg/kgのSO-C101とペムブロリズマブとの併用療法のSO-C101用量レベルに依存した、(A)%Ki-67CD8T細胞及び(B)%Ki-67NK細胞。臨床的に応答性の患者(PR又は≧2SD)は、#でマークされている。 腫瘍組織におけるSO-C101並びにSO-C101及びペムブロリズマブでの治療によるCD3並びにCD8T細胞の密度の増加並びにCD8T細胞/Tregの比の増加。0.25~15μg/kgのSO-C101単剤療法及び1.5~5μg/kgのSO-C101とペムブロリズマブとの併用療法のSO-C101用量レベルに依存した、(A)腫瘍組織におけるCD3T細胞密度(単位:細胞/mm)、(B)腫瘍組織におけるCD8T細胞密度(単位:細胞/mm)。臨床的に応答性の患者(PR又は≧2SD)は、#でマークされている。 腫瘍組織におけるSO-C101並びにSO-C101及びペムブロリズマブでの治療によるCD3及びCD8T細胞の密度の増加並びにCD8T細胞/Tregの比の増加。0.25~15μg/kgのSO-C101単剤療法及び1.5~5μg/kgのSO-C101とペムブロリズマブとの併用療法のSO-C101用量レベルに依存した、(C)腫瘍組織におけるCD8T細胞/Treg比。臨床的に応答性の患者(PR又は≧2SD)は、#でマークされている。 SO-C101は、T細胞及びNK細胞の活性化並びに免疫媒介性腫瘍退縮に関与する遺伝子を誘導する。(A)T細胞活性化、誘引、細胞傷害性及びT細胞配向を反映する遺伝子の、予め定義されたセットをプロファイリングするImmunosign(登録商標)21遺伝子シグネチャースコア(gene signature score)(HalioDx(ハリオディーエックス))、(B)抗原プロセシング及びプレゼンテーション(提示)に関連する遺伝子の発現、並びに(C)NK細胞機能に関連する遺伝子の発現。各点は異なる患者を表す。18人の患者のうち、15人がSO-101単剤療法で治療され(黒色)、3人がペムブロリズマブと組み合わせてSO-C101で治療された(灰色)。臨床的に応答性の患者(PR又は≧2SD)は、#でマークされている。
配列
Figure 2023550880000002
Figure 2023550880000003
Figure 2023550880000004
非黒色腫皮膚癌
第1の態様では、本発明は、ヒト患者における非黒色腫皮膚癌の治療に使用するためのインターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストに関する。黒色腫は、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストが黒色腫細胞の高い免疫原性のために有効性を示すと予想される適応症であると広く見られるが、本発明者らは、驚くべきことに、非黒色腫皮膚癌の治療において有効性を観察した。本発明者らは、非黒色腫皮膚癌、この場合は皮膚扁平上皮癌を有する患者の治療前のCTスキャンと比較して、造影剤を用いたCTスキャンによって測定された病変の合計の約50%、後にはさらに約60%の減少を観察した。局所放射線療法を前治療として、2つの化学療法モダリティ(ドセタキセル及びシスプラチン)と抗癌抗体(セツキシマブ)との組み合わせを第一選択全身治療として、並びにPD-1に対する免疫チェックポイント阻害剤による治療を第二選択として受けた後期段階の患者については、単剤治療における別の免疫腫瘍学的薬物(すなわちSO-C101)が、その免疫腫瘍学的作用様式のみに基づいて腫瘍病変のそのような大幅な減少をもたらしたことは非常に驚くべきことであった。というのは、その患者がSO-C101のみを受けたからである。腫瘍が4.5ヶ月後に再び進行し始めた後、その患者はSO-C101とPD-1に対する別のチェックポイント阻害剤との組み合わせで治療され、治療の3ヶ月以内にさらに62%の腫瘍減少をもたらした。さらに1.5ヶ月後、PET-CTは、「ホットスポット」、すなわち増殖性腫瘍を示さなかった。この患者の病歴の異なる時点の免疫組織化学データと合わせて、この患者は、SO-C101治療の開始時に、腫瘍浸潤免疫エフェクター細胞(NK細胞、CD8T細胞)のレベルが低いためにチェックポイント阻害剤治療に応答していなかったと結論付けることができる。SO-C101による単剤療法は、免疫細胞の大規模な活性化を誘導し、腫瘍に対する新規の免疫応答の開始をもたらし、これは最初に観察された部分応答をもたらす。この治療の成功にもかかわらず、腫瘍は、免疫エフェクター細胞をサイレンシングするPD-L1の上方制御によりこの治療に対して耐性となった。しかしながら、この耐性は、SO-C101(すなわち、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト)と抗PD-1抗体(すなわち、チェックポイント阻害剤)との併用療法での治療を継続することによって克服することができた(実施例2を参照)。
加えて、甲状腺癌を有する患者(実施例3)、皮膚扁平上皮癌を有するさらなる患者(実施例4)、子宮頸部腺癌を有するさらなる患者(実施例5)及び肛門癌を有するさらなる患者(実施例6)を含む、さらなる後期段階の患者は、SO-C101及びペムブロリズマブ治療の併用治療において臨床応答を示した。
中間の結果として、ペムブロリズマブとの併用治療の9μg/kgのコホートの治療が開始されたところではあるが、データは既に、SO-C101が自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を活性化することを示す。
非黒色腫皮膚癌は、皮膚扁平上皮癌(skin squamous cell carcinoma、SSCC。cutaneous squamous cell carcinoma(皮膚の扁平上皮癌)とも呼ばれる)、メルケル細胞癌、基底細胞癌及び皮脂癌を含む癌群である。皮膚扁平上皮癌は、実施例2の患者の治療の成功を考慮すると特に好ましい。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染との関連又はさらにはHPV感染の原因的役割が観察されるため、陰茎癌、肛門癌、膣癌、外陰癌、皮膚扁平上皮癌又はケラチノサイト癌を含むHPV関連非黒色腫皮膚癌(Boudaら、2000、Sterling 2005、Howley及びPfister 2015、Smola 2017、Augustinら、2020、Paradisiら、2020)が好ましい。皮膚扁平上皮癌は、実施例2及び4の患者の治療の成功を考慮すると特に好ましい。皮膚扁平上皮癌再発の5年確率は、高リスク型のHPV(ここではHPV-16)に対して血清陽性である患者において増加するので(Paradisiら、2020)、高リスク型のHPV(16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、68、73及び82型、とりわけ16、18、31、33及び45型)に対して陽性である患者の治療も本発明に包含される。好ましい実施形態では、患者は、HPV高リスク陽性SSCCを有する。
日常的な実務において現在実行可能なHPV検出方法は、HPV PCR、E6/E7 mRNA RT-PCT、E6/E7 mRNA in situハイブリダイゼーション、HPV DNA in situハイブリダイゼーション、及びP16免疫化学である。血液からの非侵襲的技術としては、E6体液性応答及びddPCR検出HPVct DNA、並びに次世代配列決定(NGS)ベースの「捕捉HPV」が、循環DNA材料(及び生検)に対して実行可能な技術である(Augustinら、2020、とりわけ表1を参照)。
第I相試験(実施例1)の少数の患者から、非黒色腫皮膚癌の群に入る腫瘍徴候を有する重度に前治療された患者において、顕著な臨床応答が観察された。すなわち、SSCCを有する2人の患者について、一方の患者は単剤療法に応答し、その後併用療法に応答し(実施例2)、他方の患者は併用療法による治療後に応答し(実施例4)、そして、肛門SCCを有する1人の患者は約48週間にわたって長期安定状態を示した(実施例5)。
好ましい実施形態では、患者は、少なくとも1種の免疫チェックポイント阻害剤治療に対して(原発性)耐性又は抵抗性(獲得耐性による)である。一方で、PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-1抗体若しくは抗PD-L1抗体)又はCTLA-4アンタゴニスト抗体(例えば、抗CTLA-4抗体)等のチェックポイント阻害剤は、高い奏効率を有する多くの腫瘍徴候のための標準治療である。それでもなお、患者の大部分は治療から利益を受けず(原発性耐性)、応答者はしばしば応答期間後に再発する(獲得耐性)(Sharmaら、2017)。抗原性タンパク質の不存在、抗原提示の不存在、遺伝的T細胞排除、T細胞の不感受性、T細胞の不存在、(さらなる)阻害性免疫チェックポイント、又は免疫抑制細胞の存在を含む、複数の機構が、免疫療法に対するそのような耐性をもたらすか、又はそれに寄与する可能性がある。免疫療法に対する耐性を克服することは、依然として巨大な課題であり、内因性T細胞機能の増強、抗原特異的T細胞又は操作されたT細胞(CAR又はTCR)の養子移植、ワクチン接種、分子標的化戦略を含む、複数の複雑な治療様式が試験されているが、戦略のほとんどは組み合わせ戦略に焦点を当てており、これらの組み合わせ手法を試験する緊急の必要性があると結論付けられている(Sharmaら、2017)。従って、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストは、免疫療法、この場合は抗PD-1抗体である免疫チェックポイント阻害剤セミプリマブに対して抵抗性(ここでは、SO-C101治療の前に免疫細胞の低い浸潤が観察されたことを考慮すると、原発性耐性である可能性が高い)であった患者において観察された治療成功をもたらすことができるとは予想されなかった。この効果はSO-C101による単剤療法の結果として観察されたので、治療効果はIL-2/IL-15Rβγアゴニストの活性のみから生じたと仮定せざるを得ない。
本発明の1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与されない。実施例2の患者について観察されたように、治療の成功を達成するために追加の治療は必要とされず、IL-2/IL-15Rβγアゴニストは驚くべきことに単剤活性を示した。それゆえ、免疫チェックポイント阻害剤で患者を治療しないことが本発明の1つの実施形態である。他の公知の又は将来の治療様式が、依然として、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストと組み合わせるのに有意義である可能性があることは明らかである。
本発明の別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、PD-1アンタゴニストと組み合わせて投与されない。実施例2の患者はPD-1アンタゴニストに対して抵抗性であったので、PD-1アンタゴニスト治療に対して耐性又は抵抗性がある患者は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストと組み合わせた場合、そのようなPD-1アンタゴニスト治療からさらなる利益を受けないと仮定することが合理的である。
好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、患者が抵抗性又は耐性である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与されず、好ましくは、患者が抵抗性又は耐性であり組み合わせて投与されない免疫チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである。実施例2の患者について観察されたように、治療の成功を達成するために追加の治療は必要とされず、免疫チェックポイント阻害剤に対する耐性を考慮すると、そのような患者をそのような免疫チェックポイント阻害剤でさらに治療しないことが本発明の1つの実施形態である。他の公知の又は将来の治療様式が、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストと組み合わせるのに有意義である可能性があることは明らかである。
1つの実施形態では、患者は、以前はチェックポイント阻害剤で治療されていた。1つの実施形態では、患者は、以前はPD-1アンタゴニストで治療されていた。
1つの実施形態では、患者は、以前は単剤療法としてチェックポイント阻害剤で治療されていた。1つの実施形態では、患者は、以前は単剤療法としてPD-1アンタゴニストで治療されていた。
1つの実施形態では、患者は、以前は単独の抗癌剤としてチェックポイント阻害剤で治療されていた。1つの実施形態では、患者は、以前は単独の抗癌剤としてPD-1アンタゴニストで治療されていた。
驚くべきことに、ペムブロリズマブと組み合わせたSO-C101の第I相試験(実施例1)の6μg/kgコホートにおいて、後期段階の腫瘍(SSCC、子宮頸部、肝臓、胃及び結腸直腸、表3参照)を有する6人の患者のうち5人が、明らかに上記治療から利益を受けた(部分応答を有する2人の患者 - SSCC及び皮膚黒色腫;少なくとも1回の安定状態を有する3人の患者 - 子宮頸部、肝臓、胃;5人の患者すべてが依然として治療を継続している)が、1人の患者のみは上記治療から利益を受けなかったようであった。このコホートからの1人の患者は、その患者が有害事象(結腸直腸)のために迅速に中止したので、カウントしなかった。より驚くべきことに、併用治療に対して臨床応答を示すこれら5人の患者のうち3人が、併用治療前のチェックポイント阻害剤治療後に再発していた:SSCCを有する1人の患者、肝臓癌を有する1人の患者、及び皮膚黒色腫を有する1人の患者(表3を参照)。加えて、このSSCC患者は、チェックポイント阻害剤治療に耐性でありSO-C101単剤療法に最初に応答し、次いで、SO-C101単剤療法の下で進行した後、上記併用療法に再び応答した(実施例2を参照)。おそらく、これらの患者は、初期のチェックポイント阻害剤治療に対して原発性耐性又は抵抗性(獲得された耐性)であった。
それゆえ、別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与され、好ましくは免疫チェックポイント阻害剤に対して耐性又は抵抗性である患者の治療のために投与される。別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、PD-1アンタゴニストと組み合わせて、好ましくは免疫チェックポイント阻害剤に対して耐性又は抵抗性である患者の治療のために投与される。そのような組み合わせは意味がある。というのは、IL-2及びIL-15を含む共通のγ鎖サイトカインは、PD-1及びそのリガンド等の免疫チェックポイント阻害剤の発現を上方制御することが公知であるからである(Kinterら、2008)。本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストによる耐性又は抵抗性の患者の治療は、免疫チェックポイント阻害剤による治療のためにそのような患者を再び感作し、これにより腫瘍の耐性機構に対抗する可能性がある。そのような効果は、実施例2の患者について観察されており、その患者は、抗PD-1抗体治療に耐性であり、顕著な腫瘍サイズ縮小を伴ってSO-C101治療に応答したが、しかしながら次いで、進行してSO-C101治療に耐性になったが、次いで、SO-C101及びペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)の併用治療に再び応答した。それゆえ、SO-C101は、(腫瘍生検で観察された)腫瘍細胞上のPD-L1の上方制御に起因して腫瘍の感作をもたらすと想定される。
いかなる理論にも拘束されるものではないが、腫瘍浸潤が低い患者は、チェックポイント阻害剤治療に応答しないか/チェックポイント阻害剤治療に対する原発性耐性を発現する。これは、その腫瘍が免疫系によって認識されておらず、それゆえ免疫応答がチェックポイント阻害剤、例えばPD-L1-PD-1相互作用を介してまだ下方制御されていないためである。IL-2/IL-15Rβγアゴニストでの治療は、第2のステップにおいて免疫エフェクター細胞上で受容体、例えばPD-1の上方制御を誘導する新しい免疫応答を開始することができ、また、チェックポイント、例えばPD-L1、陽性腫瘍細胞の選択をもたらし、これによりチェックポイント阻害剤治療、例えばPD-1/PD-L1標的チェックポイント阻害剤治療に対して腫瘍を感作してもよい。また、患者が、抗PD-1抗体に対して原発性耐性であるか、又はエフェクター細胞上のPD-1発現を下方制御することによって治療下で耐性になる場合には、IL-2/IL-15Rβγアゴニストによる治療は、再びPD-1発現を上方制御し、これにより抗PD-1抗体に対して患者を(再び)感作することになろう。さらに、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト治療は、抗原特異的T細胞媒介性免疫応答を新規にプライミングすることができるNK細胞を強力に活性化した。このような新たに動員された/浸潤するCD8T細胞は、次いで、再びPD-1遮断に対して感受性であろう。
本発明の1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、患者に投与される唯一の抗癌剤である。
好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、患者が抵抗性又は耐性である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与され、好ましくは、患者が抵抗性又は抵抗性であり組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである。当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストの活性による抵抗性患者の潜在的な感作に基づくと、患者が抵抗性又は耐性であった免疫チェックポイント阻害剤でさえ用いて患者を治療することが有意義であろう。この効果は、実施例2の患者について観察されている。さらに、実施例エラー!参照ソースが見つからない及び実施例5からの患者は、抗PD-1抗体と組み合わせたSO-C101試験に入る前に、抗PD-1治療に対して応答性ではなかったか/耐性になった。今日現在のPD-1アンタゴニストの広範な適用及びIL-2/IL-15Rβγアゴニスト活性による示されたPD-1の上方制御を考慮すると、IL-2/IL-15Rβγアゴニストによって感作されたPD-1耐性又は抵抗性の患者の治療は、大きい治療利益をもたらすことができよう。
好ましい実施形態では、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストによる癌の治療は、治療の前に存在する腫瘍の少なくとも約30%のサイズ縮小、好ましくは治療の16週間以内に約30%のサイズ縮小、好ましくは治療の16週間以内に約50%のサイズ縮小をもたらす。皮膚扁平上皮癌を有する患者については、12週間の治療後に腫瘍病変の49%の減少(縮小)が観察された。腫瘍サイズの縮小は、典型的には、造影剤を用いるか若しくは用いないCTスキャン、磁気共鳴画像法又は他の画像化技術によって測定され、治療の前に得られた値は、治療(又は治療サイクル)の間又はその後の特定の時点における値と比較される。腫瘍の質量/体積又は腫瘍の直径を比較してもよい。典型的には、値は、治療前にすでに検出可能であった病変(ベースライン)に基づき、すなわち、治療中に発症する新しい病変は、そのような計算に含まれない。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストに対する応答は、NK細胞によって媒介される自然免疫応答によって媒介される。実施例2の高度に応答性の患者は、潜在的に不活性化/枯渇したCD8T細胞に起因して抗PD-1抗体に対して抵抗性であったので、その患者について観察された多数の活性化NK細胞が新規の抗原特異的T細胞媒介性免疫応答をプライミング(刺激)したが、その場合、そのような新たに動員されたCD8T細胞は再びPD-1遮断に対して感受性であると推測してもよい。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体及びインターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)又はその誘導体を含む複合体である。1つの実施形態では、この複合体は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体との間の非共有結合性相互作用を含む。1つの実施形態では、この複合体は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体との間の共有結合を含む。この共有結合は、IL-15誘導体の導入されたシステインとIL-15Rα誘導体のsushiドメインとの間のジスルフィド結合(例えば、国際公開第2016/095642号パンフレットに記載される)であってもよい。1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-15又はその誘導体及びIL-15Rα又はその誘導体を含む融合タンパク質である。この融合タンパク質は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体との間に柔軟なリンカーをさらに含んでもよい。
1つの実施形態では、IL-15Rαの誘導体は、IL-15Rαの可溶性形態である。1つの実施形態では、IL-15Rαの誘導体は、IL-15Rαの細胞外ドメインである。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、インターロイキン15(IL-15)又はその誘導体と、インターロイキン15受容体α(IL-15Rα)又はその誘導体のsushiドメインとを含む複合体である。1つの実施形態では、この複合体は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体のsushiドメインとの間の非共有結合性相互作用を含む。1つの実施形態では、この複合体は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体のsushiドメインとの間の共有結合を含む。この共有結合は、IL-15誘導体の導入されたシステインとIL-15Rα誘導体のsushiドメインの導入されたシステインとの間のジスルフィド結合(例えば、国際公開第2016/095642号パンフレットに記載される)であってもよい。1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-15又はその誘導体及びIL-15Rα又はその誘導体のsushiドメインを含む融合タンパク質である。この融合タンパク質は、IL-15又はその誘導体とIL-15Rα又はその誘導体のsushiドメインとの間に柔軟なリンカーをさらに含んでもよい。この柔軟なリンカーは、配列番号8を含んでもよい。
1つの実施形態では、IL-15Rαに対するsushiドメインは、配列番号6又は配列番号7のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態では、IL-15は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態では、上記融合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、
配列番号9を含むタンパク質、
ノガペンデキンアルファ/インバキセプト(米国特許出願公開第2017/0088597号明細書に記載されるALT-803)、
国際公開第2021/156720A1号パンフレットに記載されるヘテロ二量体IL-15:IL-Rα(hetIL-15又はNIZ985)(IL-15は配列番号3を有し、IL-15Rα誘導体は配列番号5又は配列番号14の配列を有する)、
Robinson及びSchluns(2017)に記載されるIL-2/IL-15Rβγアゴニスト、
ベムペガルデスロイキン(国際公開第2012/065086A1号パンフレット並びにCharychら(2016)及びCharychら(2017)に記載されるNKTR-214)、
配列番号10に記載のIL2v、
Josephら(2019)及び国際公開第2019/028419A1号パンフレットに記載されている(P65_30KD分子)THOR-707、
Lopesら(2020)に記載されているネムバロイキンアルファ(ALKS4230)、
IL-15ポリペプチド上のL52C置換(配列番号15)及びIL-15Rαsushi+ポリペプチド上のS40C置換(配列番号16)を有する、国際公開第2016/095642号パンフレット及びHuら(2018)に記載されているP-22339、
Silvaら(2019)及び国際公開第2021/081193A1号パンフレット(NEO 2-15 E62C、配列番号17)に記載されているNL-201、
国際公開第2018/213341A1号パンフレット(コンジュゲート1)に記載されているNKRT-255、
米国特許出願公開第2018/0118805号明細書(図94C、配列番号18及び配列番号19のXENP024306を参照)に記載されているXmAb24306、
(Huberら、ポスター番号571、SITC Annual Meeting 2020、Arenas-Ramirezら(2016)に記載されている)IL-2及びIL-2特異的抗体のANV419融合タンパク質、
国際公開第2020/069398号パンフレット及びO’Neil Jら、ポスターASCO annual meeting 2021に記載されているXTX202(CLN-617)、
SITC 2021のMoynihan Kら、「Selective activation of CD8+ T cells by a CD8-targeted IL-2 results in enhanced anti-tumor efficacy and safety」ポスターに記載されるAB248、
AACR annual meeting 2021のポスター、Salmeron A.ら、「WTX-124 is an IL-2 Pro-Drug Conditionally Activated in Tumors and Able to Induce Complete Regressions in Mouse Tumor Models」、及び国際公開第2020/232305A1号パンフレットに記載されているWTX-124、並びに
国際公開第2019/165453A1号パンフレットに記載されている、THOR-924、-908、及び-918
からなる群から選択される。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、
(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号3のアミノ酸配列を含むIL-15と、配列番号14のアミノ酸配列又は配列番号5のアミノ酸31~アミノ酸172、197、198、199、200、201、202、203、204若しくは205のいずれかに対応するアミノ酸配列を含むIL-15Rα誘導体とを含むタンパク質複合体、
(iii)配列番号10のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(iv)配列番号15のアミノ酸配列を含むIL-15と配列番号16のアミノ酸配列を含むIL-15Rαsushiドメインとを含むタンパク質複合体、
(v)配列番号17のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(vi)配列番号18のアミノ酸配列を含むポリペプチドと配列番号19のアミノ酸配列を含むポリペプチドとを含むタンパク質複合体
からなる群から選択される。
パルス状周期的投与
別の態様では、本発明は、本発明に係るIL-2/IL-15Rβγアゴニストであって、周期的投与レジメンを用いてヒト患者に当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与することを含むIL-2/IL-15Rβγアゴニストに関し、この周期的投与レジメンは、
(a)期間の開始時に連続y日間、1日用量(日用量)でこのIL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与され、その後IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないx-y日間が続くx日間の第1の期間であって、xは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日であり、好ましくは7又は14日であり、yは2、3又は4日であり、好ましくは2又は3日である第1の期間、
(b)第1の期間を少なくとも1回繰り返すこと、及び
(c)IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないz日間の第2の期間であって、zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、35、42、49、56、63又は70日、好ましくは7、14、21又は56日、より好ましくは7、14又は21日である第2の期間を含む。説明のために、投薬のグラフ表示を図6に描く。より好ましい実施形態では、yは2日であり、xは7日である。
別の態様では、本発明は、癌の治療又は管理に使用するためのインターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストであって、周期的投与レジメンを用いてヒト患者に当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与することを含むIL-2/IL-15Rβγに関し、この周期的投与レジメンは、
(a)期間の開始時に連続y日間、1日用量でこのIL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与され、その後IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないx-y日が続くx日間の第1の期間であって、xは5、6、7、8又は9日であり、yは2、3又は4日である第1の期間、
(b)第1の期間を少なくとも1回繰り返すこと、及び
(c)IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないz日間の第2の期間であって、zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20日である第2の期間を含む。説明のために、投薬のグラフ表示を図6に描く。
この投与スキームは「パルス状周期的」投与として記載することができる。「パルス状」というのは、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが、例えば、週の1日目及び2日目に投与され、NK及びCD8T細胞の両方を活性化及び増殖させ(「パルス」)、その後、週の残りでアゴニストを投与しない(工程(a))ためである。このオン/オフ投与は、少なくとも1回、例えば、2週間又は3週間繰り返され(工程(b))、その後、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与されない別の期間、例えば、さらに一週間が続く(工程(c))。従って、サイクルの例は、(a)-(a)-(c)((a)は1回繰り返される)又は(a)-(a)-(a)-(c)((a)は2回繰り返される)である。パルス状投与は、工程(a)による第1の期間において、及び工程(b)における第1の期間の繰り返しにおいて行われる。工程(a)、(b)及び(c)は合わせて、すなわち、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしの第2の期間と組み合わせたパルス状投与は、1サイクル又は1治療サイクルと呼ばれる。次いで、この治療サイクル全体(第1の期間及び第2の期間)は複数回繰り返されてもよい。
本発明者らは、驚くべきことに、カニクイザルにおいて、連続日におけるIL-2/IL-15RβγアゴニストRLI-15/SO-C101のパルス状投与が、i.v.投与及びs.c.投与の両方について、NK細胞及びCD8T細胞の強力な用量依存的活性化(Ki67、すなわちKi67になるKi67の発現を測定することによって測定される)をもたらすことを見出した。同時に、Tregは誘導されなかった。1日目に霊長類においてIL-2/IL-15Rβγアゴニストの1回目の投与を行った後、2日目の同じ用量の2回目の投与が、NK細胞及びCD8T細胞の両方の活性化のさらなる増加につながるということは驚くべきことであった。4日目の4回目の投与は、活性化のさらなる増加をもたらさなかったが、依然として活性化レベルを高く維持した。次いで、数日間の休止期間は、第2のパルスにおいて同様のレベルの活性化を達成するのに充分であった。
RLI-15は、霊長類において週に2回連続の1日用量でNK細胞及びCD8T細胞の最適な活性化を提供する。これは、RLI-15の比較的短い半減期を考慮すると驚くべきことであり、第1の投与の4日後、及び第2の投与の3日後にも依然としてNK細胞及びCD8T細胞の高レベルの増殖をもたらした。
中親和性IL-2/IL-15Rβγ受容体の長期連続刺激は、RLI-15等の比較的短命のIL-2/IL-15Rβγ受容体アゴニストによる2回連続の1日用量による比較的短い刺激と比較して、NK細胞及びCD8T細胞の刺激においてさらなる利益を提供しない可能性がある。反対に、過度に頻繁な投与又は有意に長い半減期を有するアゴニストによる連続刺激は、霊長類におけるNK細胞及びCD8T細胞の消耗及びアネルギーさえも引き起こす可能性がある。
本明細書で提供されるパルス状周期的投与は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの連続投与を適用し、古典的薬物と同様に経時的にAUC及びCmaxを最適化しようと試みる、すなわち、一定の薬物レベル、従ってエフェクター細胞の連続刺激を目的とする、霊長類及びヒトにおいて試験されたそのようなアゴニストIL-2/IL-15Rβγアゴニストについての以前に記載された投与レジメンとは対照的である。
例えば、IL-2及びIL-15は連続的に投与される:8時間ごとに15分間にわたるIL-2 i.v.ボーラス;及び1~8日目及び22~29日目のs.c.、又は連続5日間若しくは連続10日間のi.v.連続注入、又は連続12日間の毎日のi.v.のIL-15(臨床試験:NCT03388632、NCT01572493、NCT01021059を参照)。IL-2/IL-15RβγアゴニストhetIL-15が、1、3、5、8、10、12及び29、31、33、36、38及び40日目(すなわち、常に週の1、3及び5日目)に連続的に霊長類に投与された。応答性の欠如は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの用量を、ヒトにおいて許容できる(Conlonら、2019)よりもはるかに高い64μg/kgのかなりの高用量(Bergamaschiら、2018)まで増加させることによって克服しようとした。ヒトにおいて、hetIL-15(NIZ985)は0.25~4.0μg/kgで投与され、この場合も2週間オン/2週間オフで週3回(TIW)(Conlonら、2019)s.c.投与された。比較として、ALT-803はヒト臨床試験において週に1回投与された(4回の6週間のサイクルのうち1~5週目)(Wrangleら、2018)。NKT-214は3週間ごとに1回投与される。
本発明者らの知見はさらに、マウスにおけるパルス状投与(1日目及び3日目、その後の治療中断)で、IL-15又はIL-2/IL-15Rβγアゴニストによる第2の刺激は、インビボでNK細胞の顕著な活性化をもたらさなかったFrutosoらによる報告(Frutosoら、2018)とは対照的であった。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、xが6、7又は8日、好ましくは7日である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。利便性の理由から、患者が週ごとのリズムで治療されることが有利であり、これはとりわけそのようなリズムが数週間にわたって繰り返されるべきである場合に当てはまり、すなわちxは好ましくは7日であるが、リズムを6日又は8日に変化させることは治療結果に大きい影響を及ぼさず、6日又は8日も好ましい実施形態となると合理的に想定することができる。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、yが2又は3日であり、好ましくは2日である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。カニクイザルにおいて、NK細胞及びCD8T細胞の両方の最適な活性化(Ki67としての測定値)は、2日間連続で週2日の投与によって達成することができるが、1週間以内の4日の連続投与は、活性化されたNK細胞及びCD8T細胞に関していかなるさらなる利益も提供しないことが示された。言い換えれば、NK細胞及びCD8T細胞の活性化は、2回目の投与と4回目の投与との間でプラトーに達した。従って、患者の薬物への曝露を最小限に抑えるが、依然としてエフェクター細胞の高レベルの活性化を達成するために、2日及び3日、より好ましくは2日連続の投与が好ましい。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、zが6、7又は8日である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。患者の利便性のために週ごとのリズムにとどまるために、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が行われない期間zは、好ましくは7又は14日間、より好ましくは7日間である。
本発明に係る投与レジメンの前に、IL-2/IL-15Rβγアゴニストがより低い1日用量で投与され、より少ない頻度で投与されるか、又は患者の応答を試験するために、若しくは患者を治療に慣れさせるために、若しくは後のより高い免疫細胞応答のために免疫系をプライミングするために延長された治療中断が適用される前治療期間があってもよい。例えば、治療期間x(例えば、7日)においてy日の治療(例えば、2日又は3日)による前治療として1つの追加の治療サイクルが存在するが、zは、以降の治療サイクルと比較して延長される(例えば、7日の代わりに14日)ことが想定される。
とりわけ好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、xが7日であり、yが2日であり、zが7日である周期的投与レジメンで使用するためのものである。2日連続での2回の投与に続いて投与なしで7-2=5日間、それゆえ一週間のサイクルを構成するこのとりわけ好ましい治療サイクルは、NK細胞及びCD8T細胞の最大活性化を達成する当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストの2回の投与の最小曝露を、患者にとって都合のよい一週間のサイクルと組み合わせる。単剤療法としてRLI-15/SO-C101を用いるファースト・イン・ヒューマン臨床試験は、現在、このスキームに従って行われており、1日目及び2日目に治療を行い、続いて5日間の非治療があって最初の週/期間を完了し(すなわち、x=7;yは2である)、この最初の治療期間が1回繰り返され、続いて投与なしの1週間が続く(z=7)。次いで、この21日サイクルが疾患進行まで繰り返される。
とりわけ好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、xが7日であり、yが2、3又は4日であり、zが7日である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。2日連続での2回の投与はすでにNK細胞及びCD8細胞の最大活性化を示したが、4日連続での4回の投与は、活性化NK細胞及びCD8細胞の顕著な減少をもたらすことなく、さらに2日間そのような活性化を維持した。それゆえ、代替の好ましい治療レジメンは、xが7日であり、yが3日であり、zが7日であり、すなわち、3日連続での3回の投与に続いて投与なしで7-3=4日間であり、これは、NK細胞及びCD8T細胞の長期活性化がより高い有効性となって現れる場合に有益である可能性がある。また、別の代替の好ましい治療レジメンは、xが7日であり、yが4日であり、zが7日であり、すなわち、4日間連続での4回の投与に続いて投与なしで7-4=3日間であり、これは、NK細胞及びCD8T細胞の長期活性化がより高い有効性となって現れる場合に有益である可能性がある。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が0.1μg/kg(0.0043μM)~50μg/kg(2.15μM)のIL-2/IL-15Rβγアゴニストである周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が0.0043μM~2.15μMのIL-2/IL-15Rβγアゴニストである周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
本発明者らは、RLI-15/SO-C101(これについては1μMが23μg/kgに等しい)と、ヒトNK細胞及びCD8T細胞についてのインビトロでのNK及びCD8T細胞増殖と、カニクイザルから得られたインビボデータとの間の良好な相関を示すことができた。この相関から、RLI-15及びIL-2/IL-15Rβγアゴニストについて、好ましくは、ほぼ同じ分子量を有するIL-2/IL-15Rβγアゴニストについて、約0.25μg/kgの推定最小薬理作用量(最小予測生物学的影響量、Minimal Anticipated Biologic Effect Level、MABEL)、約0.6μg/kg~10μg/kgの薬理学的作用量(Pharmacologic Active Doses、PAD)とともに、約25μg/kgの無毒性量(No Observed Adverse Effect Level、NOAEL)、及び約32μg/kgの最大耐用量(Maximum Tolerated Dose、MTD)を予測することが可能である。これらの値は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの約0.011μMのMABEL、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの約0.026μM~0.43μMのPAD、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの約1.1μMのNOAEL、及びIL-2/IL-15Rβγアゴニストの約1.38μMのMTDに等しい。
上記予測からの潜在的な逸脱を考慮して、臨床試験のための0.1μg/kg(0.0043μM)の開始用量が決定されており、ヒトにおいて観察されるMTDは、50μg/kg(2.15μM)までであってもよい。好ましくは、用量は0.25μg/kg(0.011μM)(MABEL)~25μg/kg(1.1μM)(NOAEL)、より好ましくは0.6μg/kg(0.026μM)~10μg/kg(0.43μM)(PAD)、より好ましくは、1μg/kg(0.043μM)~15μg/kg(0.645μM)、とりわけ2μg/kg(0.087μM)~12μg/kg(0.52μM)である。
従って、別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が0.0043μM~2.15μMのIL-2/IL-15Rβγアゴニストであり、好ましくはこの用量が0.011μM(MABEL)~1.1μM(NOAEL)、より好ましくは0.026μM~0.52μM(PAD)である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、0.1~50μg/kg、好ましくは0.25~25μg/kg、より好ましくは0.6~12μg/kg、とりわけ2~12μg/kgの用量範囲内で選択される1日用量が投与レジメン中に実質的に増加せず、好ましくはこの用量が投与レジメン中に維持される周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。驚くべきことに、本発明に係る投与レジメンは、NK細胞及びCD8T細胞の反復活性化を示し、経時的な用量増加を必要としなかった。これは、例えばhetIL-15に使用される用量レジメンでは観察されておらず、これは2μg/kgから64μg/kgまで用量を徐々に倍増することによって補償された(Bergamaschiら、2018)。それゆえ、0.1~50μg/kgの範囲内で選択される1日用量が、最初の投与期間を繰り返す間、又はあるサイクルから次のサイクルまで増加される必要がないことは重要な利点である。これは、毒性用量になるリスクを引き起こすことなく、又は経時的に治療が無効になることなく、治療の繰り返しサイクルを可能にする。さらに、投与レジメン中に同じ1日用量を維持することは、医師又は看護師が治療ごとに用量を調整する必要がないので、より高いコンプライアンスを確保する。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が3μg/kg(0.13μM)~20μg/kg(0.87μM)、好ましくは6μg/kg(0.26μM)~12μg/kg(0.52μM)のIL-2/IL-15Rβγアゴニストである周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が、体重によらず、7μg~3500μg(0.30mol~150mol)、好ましくは17.5μg~1750μg(0.76mol~76mol)、より好ましくは42μg~700μg(1.8mol~30mol)、とりわけ140μg~700μg(6.1mol~30mol)の固定用量である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が投与レジメンの間に増加される周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγ受容体を発現する細胞の増殖及び表面上での受容体の発現の増強をもたらすので、より多くのアゴニスト分子が細胞に結合することになるので、等用量のアゴニストは経時的にアゴニストの血漿濃度の低下をもたらす。標的細胞によってますます多く捕捉される分子を補うために、投与レジメン中に1日用量を増やすことが好ましい。
1日用量のそのような増加は、好ましくは、x日の各期間後に起こってもよい。典型的には、そのような増加は、x日の各パルス後に増加が起こる場合、運用上最良に管理することができる。とりわけ、CD8T細胞は、x日のパルス治療後にIL-2/IL-15Rβγアゴニストによる刺激に対する感受性を失うようである。従って、(許容できる1日用量の上限に達するまで)x日間の各パルス後に1日用量を増加させることが好ましい。
1つの実施形態では、次の治療サイクルは、最初の1日用量で再び開始し、x日間の各パルス後に再び増加される(図6、選択肢Aを参照)。あるいは、次の治療サイクルは、x日間の前のパルスの最後の1日の(増加した)用量と同じ1日用量で開始する(図6、選択肢Bを参照)。
1つの実施形態では、1日用量は、標的細胞の増殖を補償するために、x日間の各期間後に約20%~約100%、好ましくは約30%~約50%増加される。
このような増加は、例えば用量制限毒性のために超えることができない上限によって制限されるであろう。しかしながら、標的細胞へのアゴニストの結合を考慮すると、この上限は標的細胞の数に依存すると予想され、すなわち、標的細胞区画が拡大した患者は、標的細胞の数が少ない(未治療)患者と比較して、より高い用量のアゴニストに耐えると予想される。また、用量増加後の耐容される1日用量の上限は50μg/kg(2.15μM)、好ましくは32μg/kg(1.4μM)、より好ましくは20μg/kg(0.87μM)、とりわけ12μg/kg(0.52μM)であると想定される。
別の実施形態では、1日用量は、x日間の第1の期間の後に1回だけ、好ましくはx日間の第1の期間の後に約20%~約100%、好ましくは約30%~約50%増加される。1日用量の1回の増加ですでに、耐容される1日用量の上限に達する可能性があり、さらに、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしのz日間のあいだに、NK細胞及びCD8細胞のレベルはほぼ正常なレベルに戻り、1回の増加が充分になると予想される。
別の実施形態では、1日用量は、パルス期間y内の各1日用量の後に増加される。好ましい実施形態は、同じサイクル内の次の治療期間xについて、次いで、次の1日用量はさらに増加されてもよく(図6、選択肢Cを参照)、又は前の治療期間xの最後の1日用量と同じ1日用量レベルで継続してもよい(図6、選択肢Dを参照)というものである。治療サイクル間で、1日用量は、常に初期用量レベルで再び開始してもよく(図6、選択肢C及びBを参照)、又は先行する治療期間xの第1の治療日から増加した用量レベルで継続してもよい(図6、選択肢Eを参照)。この場合もやはり、そのような増加は、例えば用量制限毒性のために超えることができない上限によって制限されるであろう。しかしながら、標的細胞へのアゴニストの結合を考慮すると、この上限は標的細胞の数に依存すると予想され、すなわち、標的細胞区画が拡大した患者は、標的細胞の数が少ない(未治療)患者と比較して、より高い用量のアゴニストに耐えると予想される。また、用量増加後の耐容される1日用量の上限は50μg/kg(2.15μM)、好ましくは32μg/kg(1.4μM)、とりわけ20μg/kg(0.87μM)であると想定される。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が単回注射で投与される使用のためのものである。1日の単回注射は、患者及び医療提供者にとって便利であり、それゆえ好ましい。
しかしながら、上記分子の短い半減期と、免疫細胞の活性化が、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの連続レベルではなく、そのようなアゴニストの増加に依存するという仮説とを考慮すると、1日用量が1日以内に投与される2回又は3回の個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が少なくとも約4時間、好ましくは12時間以下である(高密度パルス状周期的投与)ことが、別の好ましい実施形態である。同量のアゴニストがいくつかの用量に分割され1日のうちに投与されることは、ヒト患者のNK細胞、とりわけCD8細胞の刺激においてより有効であり、後者は、単回注射のみで投与されるよりも刺激に対してより低い感受性を示すことが予想される。これは、驚くべきことに、マウスにおいて観察された。実際には、そのような複数回投与は、病院の日常業務、医師の診療、又は外来患者の設定に組み込むことができなければならず、それゆえ、8~12時間のシフトを含む業務時間中に投与される2~3回の等しい用量は、依然として便利に管理可能であり、8時間又は10時間の間隔が、最初の用量と最後の用量との間の最大時間差として好ましい。従って、1日用量が1日以内に投与される3つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が約5~約7時間、好ましくは約6時間であることが好ましい実施形態である。これは、患者が、例えば、毎日午前7時、午後2時及び午後7時に(6時間間隔で)、又は午前7時、午後1時及び午後6時に(5時間間隔で)投薬されてもよいことを意味する。別の好ましい実施形態では、1日用量は、1日以内に投与される2つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔は、約6時間~約10時間、好ましくは8時間である。2用量の場合、患者は、例えば午前8時及び午後4時に(8時間間隔で)投薬されてもよい。病院の日常的な仕事を考慮して、投与の間隔は、1日のうちで又は1日ごとに変動してもよい。
別の好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが皮下(s.c.)又は腹腔内(i.p.)、好ましくはs.c.投与される周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。本発明者らは、カニクイザル研究において、s.c.投与がNK細胞及びCD8T細胞の活性化に関してi.v.投与よりも強力であることを認めた。i.p.投与は、s.c.投与と同様の薬力学的効果を有する。それゆえ、i.p.投与は、とりわけ腹膜腔内の器官に由来する癌、例えば卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、胃癌及び肝臓癌、並びに腹膜外癌の局所領域拡散及び遠隔転移による腹膜転移についての別の好ましい実施形態である。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、工程(a)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、全NK細胞のKi-67NKの%の増加をもたらし、工程(b)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が、工程(a)のKi-67NK細胞の少なくとも70%であるKi-67NK細胞レベルをもたらす周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。Ki-67は増殖細胞のマーカーであり、それゆえ、全NK細胞中のKi-67NK細胞の割合は、それぞれのNK細胞集団の活性化状態を判定するための尺度である。驚くべきことに、当該アゴニストを投与しないx-y日間後に連続の1日投与を繰り返すと、再びNK細胞の強力な活性化がもたらされ、この活性化は、x日間の日投与を伴う第1の期間(工程a)中のNK細胞の活性化レベルの少なくとも70%であることが示された。NK細胞活性化のレベルは、全NK細胞に対するKi-67NK細胞の%として測定される。
さらに、別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト投与が、第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、NK細胞数の維持、又は好ましくはNK細胞数の少なくとも110%への増加をもたらす周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。NK細胞活性化を測定する代わりに、又はそれに加えて、NK細胞の総数も重要であり、アゴニストを投与しないx-y日間後に連続の1日投与を繰り返すと、平均して、第1の期間(a)の1回又は2回の繰り返しにわたるNK細胞の総数の増加がもたらされることが示された。絶対数において、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト投与は、第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に、少なくとも約1.1×10NK細胞/μlのNK細胞数をもたらした。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、周期的投与が少なくとも3サイクル、好ましくは5サイクル、より好ましくは少なくとも10サイクルにわたって、さらにより好ましくは疾患進行まで繰り返される周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。連続4日の投与に続いて18日間の治療の中断によるカニクイザルにおける薬物動態学的及び薬力学的試験の第1相におけるNK細胞及びCD8T細胞の最初の強力な活性化の後、NK細胞及びCD8T細胞は再び強力に活性化されることが可能であるという本発明者らの知見を考慮すると、連続日における1日投与の2回又は3回の繰り返しは、治療中断後に再度繰り返すことができると合理的に結論付けることができる。従って、免疫系をブーストするための少なくとも3サイクル、好ましくは5サイクル又は好ましくは少なくとも10サイクルの繰り返しが予見される。腫瘍はしばしばほとんどの治療様式に対する耐性を発現するので、腫瘍の治療のために、疾患の進行までサイクルを繰り返すことがとりわけ予見される。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが、30分~24時間、好ましくは1時間~12時間、より好ましくは2時間~6時間のインビボ半減期を有する周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。好ましくは、上記インビボ半減期は、30分~12時間、より好ましくは1時間~6時間のマウスにおいて測定されるインビボ半減期である。別の好ましい実施形態では、上記インビボ半減期は、1時間~24時間、より好ましくは2時間~12時間のカニクイザル又はマカクにおいて測定されるインビボ半減期である。別の実施形態では、カニクイザルにおいて測定されるインビボ半減期は、30分~12時間、より好ましくは30分~6時間である。
本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストの薬物動態学的及び薬力学的特性は、そのようなアゴニストのインビボ半減期に依存する。種々の操作技術により、インビボ半減期は、例えば、抗体(例えば、ALT-803、RO687428)若しくは複数種の抗体(RG7813、RG7461、国際公開第2012/175222A1号パンフレット、国際公開第2015/018528A1号パンフレット、国際公開第2015/109124号パンフレットの免疫サイトカイン)のFc部分への融合、又はペグ化(NKT-214)によってより大きいタンパク質を作製することによって増加している。しかしながら、半減期が長すぎると、実際にはNK細胞があまりに長く刺激され、活性化の変化及び機能的能力の低下を伴う成熟NK細胞の優先的な増加をもたらす可能性がある(Elpekら、2010、Felicesら、2018)。それゆえ、好ましいIL-2/IL-15Rβγアゴニストは、30分~24時間、好ましくは1時間~12時間、より好ましくは2時間~6時間、又は好ましくは30分~12時間、より好ましくは30分~6時間のインビボ半減期を有する。好ましくは、このインビボ半減期は、ヒトにおける半減期を指す。しかしながら、ヒトにおけるインビボ半減期が公表されていない場合、そのインビボ半減期の測定は、測定するのが非倫理的である場合があるので、マウス又は霊長類、例えばカニクイザル若しくはマカクのインビボ半減期を使用することも好ましい。マウスにおける半減期が概して短いことを考慮すると、マウスにおいて測定されるインビボ半減期は、好ましくは30分~12時間、より好ましくは1時間~6時間又は30分~6時間であり、カニクイザル又はマカクにおいて測定されるインビボ半減期は、1時間~24時間、より好ましくは2時間~12時間又は30分~6時間である。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγアゴニストが少なくとも70%モノマー、好ましくは少なくとも80%モノマーである周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。そのようなアゴニストの凝集体も、アゴニストの薬物動態学的及び薬力学的特性に影響を及ぼす可能性があり、それゆえ、再現性のある結果の面で避けるべきである。
別の好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、IL-2/IL-15Rβγアゴニストがインターロイキン15(IL-15)/インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)複合体である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。IL-15/IL-15Rα複合体、すなわち、IL-15又はその誘導体及び少なくともIL-15Rα又はその誘導体のsushiドメインを含む複合体(共有結合性又は非共有結合性)。それらは、NK細胞、CD8T細胞、NKT細胞及びγδT細胞上で発現される中親和性IL-2/IL-15Rβγ、すなわち、IL-2/IL-15Rβ及びγサブユニットからなる受容体を標的とする。これらの複合体は当該技術分野で周知であり、それらの結合能力はよく理解されているが、IL-2Rα結合を低減/破棄するようにIL-2を改変することによる他の試み又は合成アプローチは、予測不可能なリスクに直面する可能性がある。好ましくは、上記複合体は、ヒトIL-15又はその誘導体と、IL-15Rαのsushiドメイン(配列番号6)、IL-15Rαのsushi+ドメイン(配列番号7)又はIL-15Rαの可溶性形態(配列番号5のアミノ酸31からアミノ酸172、197、198、199、200、201、202、203、204又は205のいずれかまで。国際公開第2014/066527号パンフレットを参照)(Giron-Michelら、2005)とを含む。
より好ましい実施形態では、当該IL-15/IL-15Rα複合体は、ヒトIL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体と、柔軟なリンカーと、ヒトIL-15又はその誘導体とを含む融合タンパク質であり、好ましくは、ヒトIL-15Rαsushiドメインは、配列番号6の配列を含み、より好ましくはsushi+断片(配列番号7)を含み、ヒトIL-15は、配列番号4の配列を含む。このような融合タンパク質は、好ましくは、(N末端からC末端への)IL-15Rα-リンカー-IL-15(RLI-15)の順序になっている。とりわけ好ましいIL-2/IL-15Rβγアゴニストは、配列番号9の配列を有するRLI2(SO-C101)と命名された融合タンパク質である。
とりわけ好ましい実施形態では、IL-15/IL-15Rαは、CAS登録番号1416390-27-6で登録された分子である。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、さらなる治療剤がIL-2/IL-15Rβγアゴニストと組み合わせて投与される周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。過去数年間、癌療法は、典型的には、複数の作用機序を通して腫瘍に対処するために、既存の又は新しい治療剤と組み合わされる。同時に、確立された療法を新しい療法に置き換えることは困難又は非倫理的であり、そのため、典型的には、新しい療法は患者にとってさらなる利益を達成するために標準治療と組み合わされる。従って、提供される投与レジメンについても、これらを他の治療薬のレジメンと組み合わせなければならない。さらなる治療剤及びIL-2/IL-15Rβγアゴニストは、同じ日及び/又は異なる日に投与されてもよい。同日の投与は、典型的には、病院又は医師への訪問を最小限にするので、患者にとってより便利である。他方で、本発明のアゴニストと別の薬物との間に望ましくない相互作用が存在する可能性がある特定の組み合わせでは、異なる日にわたる投与のスケジューリングが重要となる場合がある。
典型的な臨床開発経路は標準治療との組み合わせであるので、併用剤の投与は維持され、それゆえIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与レジメンとは無関係である。
別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、さらなる治療剤が免疫チェックポイント阻害剤(若しくは略してチェックポイント阻害剤)又は治療用抗体である周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
好ましくは、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体は、各サイクルの各期間(a)の開始時に投与される。治療剤の適時の投与に対する高いコンプライアンスを保証し、処置を最小限に抑えるために、当該アゴニスト及びチェックポイント阻害剤又は治療用抗体の治療サイクルは、理想的には一緒に、例えば同じ週に開始される。アゴニストと組み合わせた抗体との間の潜在的な相互作用に応じて、これは、同じ日であってもよく、同じ週の異なる日であってもよい。例えば、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体を添加する前に最初に1、2、3又は4日間、NK細胞及びCD8T細胞を増殖させることは、治療の有効性の改善をもたらす可能性がある。
1つの実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、x日数及びz日数は、x日数+z日数の整数倍(n×x+z、nは2、3、4、5、...に属する)がチェックポイント阻害剤若しくは治療用抗体の1治療サイクルの日数に等しいか、又はチェックポイント阻害剤若しくは治療用抗体の治療サイクルが経時的に変化する場合は、チェックポイント阻害剤若しくは治療用抗体の各個々の治療サイクルに等しい使用のためのものである。
例えば、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体は、典型的には、3週間ごと又は4週間ごとに投与される。例えば、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト及びチェックポイント阻害剤の両方が第1の期間(a)(治療期間x)の開始時、好ましくは第1の期間(a)の第1日に投与されて、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体が治療サイクルの残りの間さらに投与されない場合、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストの治療スケジュールは、チェックポイント阻害剤の治療スケジュールと合致する。次いで、その後の治療サイクルごとに、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体は、期間(a)の開始時、好ましくは1日目に再度投与される。従って、xが7(すなわち、1週間)であり、(a)が1回繰り返され(従って、整数倍数nが2であり)、zが7である場合、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体は、3週間(2×7+7=3週間)ごとに投与されることになり、xが7であり、(a)が2回繰り返され(従って、整数倍数nが3であり)、zが7である場合、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体は、4週間(3×7+7=4週間)ごとに投与されることになる。チェックポイント阻害剤又は治療用抗体の6週間スケジュールの場合、当該アゴニストは、3週間サイクル(2×7+7)又は1回の6週間サイクル(5×7+7又は4×7+14)のいずれかにスケジュールされてもよい。チェックポイント阻害剤又は治療用抗体の治療レジメンが経時的に変更される場合、典型的には、スケジュールのリズムは、期間zを延長してリズムを同期させることによって、例えばz=7からz=14に延長することによって適合される。
好ましい実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗LAG3、抗TIM-3、抗CTLA4抗体又は抗TIGIT抗体、好ましくは抗PD-L1抗体又は抗PD-1抗体であってもよい。これらの抗体は、免疫細胞、とりわけT細胞が癌細胞を死滅させることを遮断又は下方制御する細胞相互作用を遮断/それに拮抗するという点で共通しており、従って、これらの抗体はすべてアンタゴニスト抗体である。抗PD-1抗体の例は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ(REGN2810)、BMS-936558、SHR1210、IBI308、PDR001、BGB-A317、BCD-100及びJS001であり、抗PD-L1抗体の例は、アベルマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035及びMGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)であり、PD-L2抗体の例は、sHIgM12であり、抗LAG-3抗体の例は、レラトリマブ(BMS986016)、Sym022、REGN3767、TSR-033、GSK2831781、MGD013(PD-1及びLAG-3に二重特異的)並びにLAG525(IMP701)であり、抗TIM-3抗体の例は、TSR-022及びSym023であり、抗CTLA-4抗体の例は、イピリムマブ及びトレメリムマブ(チシリムマブ)であり、抗TIGIT抗体の例は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058)及びエチギリマブである。
とりわけ好ましいのは、周期的投与レジメンにおいて使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト、とりわけSO-C101とペムブロリズマブとの組み合わせである。現在、ペムブロリズマブは3週間ごとに投与される。従って、当該アゴニストも3週間サイクルで投与され、すなわち、xは7日間であり、2回繰り返され、yは2、3又は4日間であり、zは7日間であるのが好ましい実施形態である。1つの実施形態では、チェックポイント阻害剤の添加前にNK細胞及びCD8T細胞の増殖/活性化を可能にするために、ペムブロリズマブは、当該アゴニストのように各治療サイクルの1日目に、又はそのような治療サイクル内の任意の他の日に、好ましくはそのような治療サイクルの3日目、4日目若しくは5日目に投与される。本発明のインビトロ実験は、同時治療及び逐次治療の両方が、PBMCからのIFNγ産生の顕著な増加をもたらすことを示し、これは示す。最近、ペムブロリズマブのラベルは、6週間ごとの投与も可能にするように広がっている。このセクションに上記されるスケジュールと比較して、当該アゴニストのスケジュールは、好ましくは、2つの3週間のサイクル(例えば、x=7を1回繰り返し、z=7)を有することによって、又は6週間のサイクル(例えば、x=7を4回繰り返し、z=7であるか、又はx=7を3回繰り返し、z=14である)を有することによって適合される。
好ましい実施形態では、治療用抗体又は腫瘍標的化抗体は、抗CD38抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗CD79B抗体、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、抗GD2抗体、抗ネクチン(Nectin)4抗体及び抗Trop-2抗体、好ましくは抗CD38抗体から選択されてもよい。このような治療用抗体又は腫瘍標的化抗体は、毒素に連結されてもよい、すなわち、抗体薬物コンジュゲートであってもよい。治療用抗体は、腫瘍細胞の表面上に発現される標的への結合を介して腫瘍標的細胞に対して直接的な細胞傷害効果を発揮する。治療活性は、細胞におけるシグナル伝達の改変をもたらす受容体結合、抗体依存的細胞傷害性(ADCC)、補体依存的細胞傷害性(CDC)又は腫瘍細胞の他の抗体媒介性死滅に起因してもよい。例えば、本発明者らは、IL-2/IL-15RβγアゴニストRLI-15/SO-C101が、インビトロでのDaudi細胞の腫瘍細胞死滅において、逐次設定及び同時設定の両方で抗CD38抗体(ダラツムマブ)と相乗作用することを示し、これは、インビボでの多発性骨髄腫モデルにおいて確認された。従って、抗CD38抗体がとりわけ好ましい。抗CD38抗体の例は、ダラツムマブ、イサツキシマブ(SAR650984)、MOR-202(MOR03087)、TAK-573若しくはTAK-079又はGEN1029(HexaBody(登録商標)-DR5/DR5)であるが、最も好ましいのはダラツムマブである。好ましくは、ダラツムマブは、そのラベルに従って、とりわけ好ましくはi.v.注入を介して、及び/又はそのラベルによって推奨される用量に従って、好ましくは16mg/kgの用量で投与される。
好ましい実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、抗CD38抗体、好ましくはダラツムマブがIL-2/IL-15Rβγアゴニストと組み合わせて投与され、(i)抗CD38抗体が最初の8週間は週に1回投与され、(ii)続いて4週間の4つのセクション(16週間)からなる第2の期間投与され、各4週間のセクション中、抗CD38抗体は、セクションの最初の2週間において毎週投与され、その後、2週間は投与されず、(iii)その後、疾患進行まで4週間ごとに1回の抗CD38抗体の投与を伴う第3の期間が続く使用のためのものである。それゆえ、抗CD38抗体が最初の8週間ごと週1回投与され、続いて週1回の2回の治療及び2週間の治療中断の16週間が続き、その後疾患進行まで4週間ごとに1回投与されることが好ましい。IL-2/IL-15Rβγアゴニストの治療スケジュールに合わせ、アゴニストによる最初の治療の日から数え始め、抗CD38抗体投与を伴う週において、抗CD38抗体はその週の1日目(同時治療)又は3日目(逐次治療)に投与される。x=7を1回繰り返し、z=14である治療スケジュールは、8週間の抗CD38治療の第1期間、続いてx=7を1回繰り返し、z=14である第2期間、続いてx=7を1回繰り返し、z=14である第3期間と合致する。あるいは、アゴニストスケジュールは、抗CD38抗体の4週間のリズムに合致するように、x=7を2回繰り返し、z=7であってもよい。
抗CD19抗体の例はブリナツモマブ(CD19及びCD3に対して二重特異的)であり、抗CD20抗体についてはオファツムマブ及びオビヌツズマブであり、抗CD30抗体はブレンツキシマブであり、抗CD33抗体はゲムツズマブであり、抗CD52抗体についてはアレムツズマブであり、抗CD79B抗体はポラツズマブであり、抗EGFR抗体についてはセツキシマブであり、抗HER2抗体はトラスツズマブであり、抗VEGFR2抗体はラムシルマブであり、抗GD2抗体はジヌツキシマブであり、抗ネクチン4抗体はエンホルツマブであり、抗Trop-2抗体はサシツズマブである。
合わせた投薬スケジュールの例は、SO-C101とラムシルマブとの組み合わせであり、これは適応症に応じて2~3週間ごとに注入される。ラムシルマブの3週間のサイクルについて、SO-C101は、x=7で1回繰り返され、z=7で投与されてもよい。ラムシルマブの2回の2週間サイクルについて、SO-C101は、x=7で2回繰り返され、z=7で投与されてもよい。
高密度パルス状投与
本発明の別の態様では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、高密度パルス状投与レジメンを用いてヒト患者にIL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与することを含む、本発明に係る使用のためのものであって、この高密度投与レジメンは、
(a)期間の開始時に連続y日間、1日用量でこのIL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与され、その後IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないx-y日が続くx日間の第1の期間であって、xは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日であり、好ましくは7又は14日であり、yは2、3又は4日であり、好ましくは2又は3日である第1の期間、
(b)第1の期間を少なくとも1回繰り返すこと
を含み、
上記1日用量は、1日以内に投与される2回又は3回の個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔は、少なくとも約4時間、好ましくは12時間以下である(「高密度パルス状」)。
好ましくは、投与レジメンは、(c)IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないz日間の第2の期間をさらに含み(「高密度パルス状周期的」)、zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、35、42、49、56、63又は70日、好ましくは7、14、21又は56日、より好ましくは7又は21日である。
同量のアゴニストがいくつかの用量に分割され1日のうちに投与されることは、NK細胞、とりわけCD8細胞を刺激するのにより有効であり、後者は、単回注射のみで投与されるよりも刺激に対してより低い感受性を示すことが示された。
そのような複数回投与は、病院の日常業務、医師の診療、又は外来患者の設定に組み込むことができなければならず、それゆえ、8~12時間のシフトを含む、業務時間中に投与される2~3回の等しい用量は、依然として便利に管理可能であり、8時間又は10時間の間隔が、最初の用量と最後の用量との間の最大時間差として好ましい。従って、1日用量が1日以内に投与される3つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が約5~約7時間、好ましくは約6時間であることが好ましい実施形態である。これは、患者が、例えば、毎日午前7時、午後2時及び午後7時に(6時間間隔で)、又は午前7時、午後1時及び午後6時に(5時間間隔で)投薬されてもよいことを意味する。別の好ましい実施形態では、1日用量は、1日以内に投与される2つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔は、約6時間~約10時間、好ましくは8時間である。2用量の場合、患者は、例えば午前8時及び午後4時に(8時間間隔で)投薬されてもよい。病院の日常的な仕事を考慮して、投与の間隔は、1日のうちで又は1日ごとに変動してもよい。驚くべきことに、マウスにおいて、同量(約40μg/kg)のSO-C101を3用量(13μg/kg)に分割し、その日のうちに投与すると、CD8T細胞数、並びに増殖性CD8T細胞の尺度としてのKi67CD8T細胞の劇的な増加がもたらされ、また、3×7μg/kgに分割された量でさえ、CD8T細胞のはるかに高い増殖及び活性化を依然として示した。
従って、1日用量が1日以内に投与される3つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が約5~約7時間、好ましくは約6時間であることが好ましい実施形態である。これは、患者が、例えば、毎日午前7時、午後2時及び午後7時に(6時間間隔で)、又は午前7時、午後1時及び午後6時に(5時間間隔で)投薬されてもよいことを意味する。別の好ましい実施形態では、1日用量は、1日以内に投与される2つの個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔は、約6時間~約10時間、好ましくは8時間である。2用量の場合、患者は、例えば午前8時及び午後4時に(8時間間隔で)投薬されてもよい。病院の日常的な仕事を考慮して、投与の間隔は、1日のうちで又は1日ごとに変動してもよい。
パルス状周期的投与に関する本明細書の上記の実施形態は、高密度パルス状(及び高密度パルス状投与のサブフォームとしての高密度パルス状周期的投与)に適用される。これは、投与されるべきIL-2/IL-15Rβγアゴニストの用量、投与方法(例えば、s.c.又はi.p.)、NK細胞活性化及びNK細胞数に対する効果、治療される状態、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの半減期、IL-2/IL-15Rβγアゴニスト、並びにチェックポイント阻害剤の同時投与に関する実施形態に特に当てはまる。
好ましくは、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、1日用量が0.1μg/kg(0.0043μM)~50μg/kg(2.15μM)、好ましくは0.25μg/kg(0.011μM)~25μg/kg(1.1μM)、より好ましくは0.6μg/kg(0.026μM)~12μg/kg(0.52μM)、とりわけ2μg/kg(0.087μM)~12μg/kg(0.52μM)であり、好ましくは、0.1μg/kg(0.0043μM)~50μg/kg(2.15μM)の用量範囲内で選択される1日用量が投与レジメン中に実質的に増加されず、好ましくは、用量が投与レジメン中に維持される高密度パルス状又は高密度パルス状周期的投与レジメンにおいて使用するためのものである。
別の実施形態では、高密度パルス状投与は、体重によらず7μg~3500μg、好ましくは17.5μg~1750μg、より好ましくは42μg~700μg、とりわけ140μg~700μgの固定用量である1日用量を適用する。
別の実施形態では、高密度パルス状投与は、投与レジメンの間に増加される1日用量を適用する。好ましくは、1日用量は、x日の各期間後に増加される。さらなる実施形態では、1日用量は、x日の各期間後に20%~100%、好ましくは30%~50%増加される。
別の実施形態では、1日用量は、最初のサイクルの後に1回増加される。好ましくは、1日用量は、最初のサイクル後に20%~100%、好ましくは30%~50%増加される。
高密度パルス状投与の別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、皮下(s.c.)又は腹腔内(i.p.)、好ましくはs.c.投与される。
好ましくは、上にさらに記載されたように、工程(a)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与は、(1)IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、全NK細胞のKi-67NKの%の増加をもたらし、工程(b)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与は、工程(a)のKi-67NK細胞の少なくとも70%であるKi-67NK細胞レベルをもたらし、又は(2)第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後に、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、NK細胞数の維持、若しくは好ましくはNK細胞数の少なくとも110%への増加をもたらし、かつ/又は(3)第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後に、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に、少なくとも1.1×10個のNK細胞/μlのNK細胞数をもたらす。
高密度パルス状周期的投与では、周期的投与が少なくとも5サイクル、好ましくは8サイクル、より好ましくは少なくとも15サイクル、さらにより好ましくは疾患進行まで繰り返されることがさらに好ましい。
高密度パルス状投与レジメンの別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、30分~24時間、好ましくは1時間~12時間、より好ましくは2時間~6時間のインビボ半減期を有する。
高密度パルス状投与レジメンの別の実施形態では、当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、インターロイキン15(IL-15)/インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)複合体、好ましくはヒトIL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体、柔軟なリンカー及びヒトIL-15又はその誘導体を含む融合タンパク質であり、好ましくはヒトIL-15Rαsushiドメインは配列番号6の配列を含み、ヒトIL-15は配列番号4の配列を含み、より好ましくはIL-15/IL-15Rα複合体は配列番号9である。
さらに、上記高密度パルス状投与において使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニストは、さらなる治療剤と組み合わせて投与されてもよい。好ましくは、このさらなる治療剤及び当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、同じ日及び/又は異なる日に投与される。さらに、さらなる治療剤の投与は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与レジメンとは独立した投与レジメンに従って行われることが好ましい。
高密度パルス状投与レジメンの1つの実施形態では、さらなる治療剤は、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体から選択される。
好ましくは、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗LAG-3抗体、抗TIM-3抗体、抗CTLA4抗体又は抗TIGIT抗体、好ましくは抗PD-L1抗体又は抗PD-1抗体から選択される。
好ましくは、治療用抗体は、抗CD38抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗CD79B抗体、抗EGFR抗体、抗HER2抗体、抗VEGFR2抗体、抗GD2抗体、抗ネクチン4抗体及び抗Trop-2抗体、好ましくは抗CD38抗体、好ましくは抗CD38抗体から選択される。
本発明の別の実施形態は、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のずれかの実施形態に係る周期的投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む部品のキットである。
本発明の別の実施形態は、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のいずれかの実施形態に係るパルス状投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む部品のキットである。
本発明の別の実施形態は、本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のいずれかの実施形態に係る高密度パルス状投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む部品のキットである。
別の実施形態は、癌の治療のための部品のキットの製造におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの使用であって、この部品のキットは、
本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のいずれかの実施形態に係る周期的投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む。
別の実施形態は、癌の治療のための部品のキットの製造におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの使用であって、この部品のキットは、
本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のいずれかの実施形態に係るパルス状投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む。
別の実施形態は、癌の治療のための部品のキットの製造におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの使用であって、この部品のキットは、
本発明のIL-2/IL-15Rβγアゴニストのいくつかの用量と、上記のいずれかの実施形態に係る高密度パルス状投与レジメンにおけるそのようなIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与のための説明書と、任意選択でIL-2/IL-15Rβγアゴニストのための投与デバイスとを含む。
好ましい実施形態では、当該キットは、チェックポイント阻害剤と、チェックポイント阻害剤又は治療用抗体の使用説明書とをさらに含む。
本発明は、上記のパルス状周期的投与レジメン及び高密度パルス状投与レジメンを含む治療方法、並びに上記のパルス状周期的投与レジメン及び高密度パルス状投与レジメンを含むNK細胞及び/又はCD8T細胞を刺激する方法も含む。
高密度投与
本発明の別の態様では、インターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニストは、癌の治療又は管理に使用するためのものであって、この癌の治療又は管理は、高密度投与レジメンを用いてヒト患者に上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与することを含み、この高密度投与レジメンは、患者に1日用量を投与することを含み、この1日用量は、1日以内に投与される2回又は3回の個々の用量に分割され、この個々の用量の投与の間の時間間隔は、少なくとも約4時間、好ましくは12時間以下である。
個々の用量の投与の間の時間間隔は、上記の実施形態について記載されたとおりであってもよい。IL-2/IL-15Rβγアゴニストの量も、上記の実施形態に記載されたとおりであってもよい。
本発明は、以下の実施形態によってさらに説明される。
IL-2/IL-15Rβγアゴニストの1日用量が、0.1μg/kg~50μg/kg、好ましくは0.25μg/kg~25μg/kg、より好ましくは0.6μg/kg~12μg/kg、さらにより好ましくは2μg/kg~12μg/kg、好ましくは3μg/kg~20μg/kg、より好ましくは6~12μg/kgである、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
0.1~50μg/kgの用量範囲内で選択される1日用量が、投与レジメン中に実質的に増加されず、好ましくは、この用量が投与レジメン中に維持される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、体重によらず、7μg~3500μg、好ましくは17.5μg~1750μg、より好ましくは42μg~700μg、とりわけ140μg~700μgの固定用量である、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が投与レジメンの間に増加される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、x日間の各期間後に増加される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、x日間の各期間後に20%~100%、好ましくは30%~50%増加される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、x日間の第1の期間の後に1回増加される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、x日間の第1の期間後に20%~100%、好ましくは30%~50%増加される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が単回注射で投与される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、1日以内に投与される2回又は3回の個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が、少なくとも約4時間、好ましくは14時間以下である、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、1日以内に投与される3回の個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が、約5~約7時間、好ましくは約6時間である、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
1日用量が、1日以内に投与される2回の個々の用量に分割され、個々の用量の投与の間の時間間隔が、約6時間~約10時間、好ましくは約8時間である、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストが、皮下(s.c.)又は腹腔内(i.p.)、好ましくはs.c.投与される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
工程(a)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が、
(1)IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、全NK細胞のKi-67NKの%の増加をもたらし、工程(b)におけるIL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与が、工程(a)のKi-67NK細胞の少なくとも70%であるKi-67NK細胞レベルをもたらし、又は
(2)第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後に、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの投与なしと比較して、NK細胞数の維持、若しくは好ましくはNK細胞数の少なくとも110%への増加をもたらし、かつ/又は
(3)第1の期間の少なくとも1回の繰り返しの後に、好ましくは第1の期間の少なくとも2回の繰り返しの後に少なくとも1.1×10個のNK細胞/μlのNK細胞数をもたらす、
本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
周期的投与が、少なくとも3サイクル、好ましくは5サイクル、より好ましくは少なくとも10サイクルにわたって、さらにより好ましくは疾患進行まで繰り返される、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
当該IL-2/IL-15Rβγアゴニストが、30分~24時間、好ましくは1時間~12時間、より好ましくは2時間~6時間のインビボ半減期を有する、本明細書に記載される使用のためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
ペムブロリズマブと組み合わせたSO-C101の第I相試験(実施例1)の6μg/kgコホートの、免疫チェックポイント阻害剤に対して抵抗性である予後不良を有する3人の重度に前治療された患者がSO-C101と免疫チェックポイント阻害剤、すなわち、ペムブロリズマブとの組み合わせに応答した驚くべき結果に基づいて、本発明は、以下の項目にも記載される。
1. ヒト患者における癌の治療に使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニストであって、上記患者は少なくとも1種の免疫チェックポイント阻害剤治療に対して耐性又は抵抗性である、使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
複数の腫瘍型にわたる試験において1.5μg/kg、3μg/kg及び6μg/kgを用いたコホートにおける12人の評価可能な患者のうち、7人の患者について臨床的利益が示され、6μg/kgのコホートにおいて6人の患者のうち5人について臨床的利益が示された(1人のさらなる患者は、有害事象後の早期中止のためにカウントされない)。9μg/kgを用いた現在進行中のコホートは、登録されている3人の患者すべてが依然として治療中であり、まだ評価することができない。臨床的利益を有する患者は、肛門SCC、胃癌、甲状腺癌、SSCC、子宮頸癌、肝臓癌及び皮膚黒色腫を有していた。併用治療に対して臨床応答を示す6μg/kgコホートからのこれら5人の患者のうち3人は、併用治療の前に免疫チェックポイント阻害剤治療後に再発した。従って、自然免疫応答の全般的な活性化は、広範囲の腫瘍にとって、並びに黒色腫若しくは腎細胞癌等の免疫腫瘍学的治療を特に受けやすいとは知られていない腫瘍、及び/又は免疫チェックポイント阻害剤に対して耐性若しくは抵抗性である腫瘍にとってさえ有益であると思われる。好ましい実施形態では、治療される癌は、黒色腫又は腎細胞癌ではない。
2. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される、項目1に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。明らかに、IL-2/IL-15Rβγアゴニストによる治療は、免疫チェックポイント阻害剤治療に対して腫瘍を(再)感作することができ、より早期の耐性にもかかわらず、免疫チェックポイント阻害剤による患者の(再)治療を可能にする。
3. 上記IL-2/IL-15RβγアゴニストはPD-1アンタゴニストと組み合わせて投与される、項目1又は項目2に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
4. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、上記患者が抵抗性又は耐性である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与され、好ましくは、上記患者が抵抗性又は耐性であり組み合わせて投与される免疫チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである、項目1から項目3のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
5. 上記癌は腫瘍であり、この腫瘍の治療は、この治療の前に存在する腫瘍の少なくとも約30%のサイズ縮小、好ましくは上記治療の16週間以内に約30%のサイズ縮小、好ましくは上記治療の16週間以内に約50%のサイズ縮小をもたらす、項目1から項目4のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
6. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストに対する応答は、NK細胞によって媒介される自然免疫応答によって媒介される、項目1から項目5のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
7. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、周期的投与レジメンに従って投与され、この周期的投与レジメンは、
(a)期間の開始時に連続y日間、1日用量で上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与され、その後上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないx-y日間が続くx日間の第1の期間であって、xは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日であり、好ましくは7又は14日であり、yは2、3又は4日であり、好ましくは2又は3日である第1の期間、
(b)上記第1の期間を少なくとも1回繰り返すこと、及び
(c)上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないz日間の第2の期間であって、zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、35、42、49、56、63又は70日、好ましくは7、14、21又は56日、より好ましくは7、14又は21日である第2の期間
を含む、項目1から項目6のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
8. xは7日であり、yは2、3又は4日であり、zは7日であり、好ましくはyは2日であり、zは7日である、項目7に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
9. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストの1日用量は、0.1μg/kg~50μg/kg、好ましくは0.25μg/kg~25μg/kg、より好ましくは0.6μg/kg~12μg/kg、さらにより好ましくは2μg/kg~12μg/kg、好ましくは3μg/kg~20μg/kg、より好ましくは6~12μg/kgである、項目1から項目8のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
10. 上記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは、インターロイキン15(IL-15)/インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)複合体であり、
好ましくは、ヒトIL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体、柔軟なリンカー及びヒトIL-15又はその誘導体を含む融合タンパク質であり、好ましくは、上記ヒトIL-15Rαsushiドメインは配列番号6の配列を含み、上記ヒトIL-15は配列番号4の配列を含み、より好ましくは上記IL-15/IL-15Rα複合体は配列番号9である、項目1から項目9のいずれか1つに記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
さらなる実施形態では、本明細書で規定されるIL-2/IL-15Rβγアゴニストによる治療方法が含まれる。
以下の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分を決して限定するものではない。本明細書で引用されるすべての刊行物は、本明細書で参照される目的又は主題のために参照により組み込まれる。
1. RLI-15/SO-C101の臨床試験
進行中の、選択された進行性/転移性固形腫瘍を有する患者における単剤療法としての、及びペムブロリズマブと併用したSO-C101の安全性及び予備的有効性を評価するためのファースト・イン・ヒューマン多施設非盲検第1/1b相試験(EurdraCT番号2018-004334-15、Clinicaltrials.gov番号NCT04234113)。RLI-15を、1、2、8及び9日目に0.25μg/kgの開始用量で48μg/kgまでs.c.投与する。臨床試験の併用部分において、RLI-15は、200mg q3wの用量でi.v.投与されるキイトルーダ(Keytruda)(登録商標)25mg/ml/ペムブロリズマブと併用される。
本研究は、選択された再発性/難治性の進行性/転移性固形腫瘍(腎細胞癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、黒色腫、メルケル細胞癌、皮膚扁平上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性固形腫瘍、トリプルネガティブ乳癌、中皮腫、甲状腺癌、胸腺癌、子宮頸癌、胆道癌、肝細胞癌、卵巣癌、胃癌、頭頸部扁平上皮癌、及び肛門癌)を有する患者において、単剤療法として(パートA)、及び抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)と併用して(パートB)投与されたSO-C101の安全性及び耐容性を評価する。上記患者は、その患者らの状態に対して臨床的利益を提供することが公知である既存の療法に対して抵抗性であるか又は不耐容である。
重要な試験対象患者基準は以下の通りである。
スクリーニング時に18歳以上である成人;既存の療法に対して抵抗性若しくは不耐容である組織学的若しくは細胞学的に確認された進行性及び/又は転移性固形腫瘍;以前の治療に由来する副作用からグレード≦1の毒性までの回復;充分な血液学的機能、心臓血管機能、肝臓機能及び腎臓機能;充分な検査室パラメータ;新鮮な生検に利用可能な接近可能な腫瘍組織;Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG、米国東海岸癌臨床試験グループ)パフォーマンスステータス0~1;iRECISTによる測定可能な疾患。
重要な除外基準は以下の通りである。
未治療のCNS転移及び/又は髄膜癌腫症を有する患者;任意の活動性自己免疫疾患(AD)又は全身性ステロイド(許容用量を除く)若しくは免疫抑制薬を必要とした症候群の病歴;IL-2又はIL-15のアゴニストである薬物への事前の曝露;既知のHIV又は活動性B型若しくはC型肝炎;第1の試験薬の6ヶ月前以内の、制御されない高血圧(収縮期160mmHg超及び/若しくは拡張期110mmHg超)又は臨床的に有意な心血管疾患、脳血管発作/脳卒中、又は心筋梗塞。
パートAは、s.c.投与された0.25μg/kgからのSO-C101単剤療法用量漸増で開始し、MTDは15μg/kgに到達した。SO-C101単剤療法の推奨される第2相用量(RP2D)は、15μg/kg未満、すなわち12μg/kgの用量レベルで規定されている。患者を、21日サイクルの1日目(±1日;水曜日)、2日目(木曜日)、8日目(水曜日)、及び9日目(木曜日)にSO-C101で治療する(図1A)。治療の開始(1日目)は、平日のバイオマーカーサンプリング(新鮮な末梢血単核細胞[PBMC]を中央検査室に移す)を可能にするために、可能な限り水曜日に計画される。しかしながら、週あたり2回の用量が、連続する日(1日目及び2日目)に与えられ、2週目の投与(8日目及び9日目)が1日目の7日後に行われる限り、1日目の投与が火曜日又は木曜日に行われるように±1日の融通性がある。パートAに動員された患者は、割り当てられた用量レベルで治療を継続する。患者は、以下の事象のいずれかがあると試験治療を中止される:(i)X線撮影による疾患進行;(ii)臨床疾患進行(治験責任医師の評価);(iii)AE(治験責任医師の判断において、臨床状態の評価に有意な程度まで影響を及ぼすか若しくは試験治療の中止を必要とする、介入疾病、又は用量制限毒性を含む試験治療関連毒性)
パートBの開始用量は、パートAと同様に投与された1.5μg/kgのSO-C101であり、これを固定用量のペムブロリズマブ(3週間ごとの200mg i.v.)と組み合わせた。患者を、1日目(±1日)(水曜日)、2日目(木曜日)、8日目(水曜日)、及び9日目(木曜日)に、1日目のSO-C101の投与時に与えられる固定用量のペムブロリズマブ(3週間ごとの200mg i.v.)を伴う漸増用量のSO-C101を用いて治療することになる(図1B)。ペムブロリズマブは、SO-C101の初回用量後30分以内に、添付文書に概説されるように投与される。治療の開始(1日目)は、平日のバイオマーカーサンプリング(新鮮なPBMCを中央検査室に移す)を可能にするために、可能な限り水曜日に計画される。しかしながら、週あたり2回のSO-C101の用量が連続する日(1日目及び2日目)に与えられ、2週目のSO-C101投与(8日目及び9日目)が1日目の7日後に行われる限り、±1日の融通性がある。患者は、SO-C101の割り当てられた用量レベルでSO-C101及びペムブロリズマブ治療を継続する。SO-C101が疾患進行以外の理由で停止される必要がある場合、患者が進行せず、治療に耐え得るならば、DECによって評価されるように、ペムブロリズマブ治療は最大1年間継続してもよいと思われる。ペムブロリズマブを停止する必要がある場合、SO-C101治療は、疾患進行又は許容できない毒性まで継続することができると思われる。患者は、以下の事象のいずれかがあると試験治療を中止される:(i)X線撮影による疾患進行;(ii)臨床疾患進行(治験責任医師の評価);(iii)AE(治験責任医師の判断において、臨床状態の評価に有意な程度まで影響を及ぼすか若しくは試験治療の中止を必要とする、介入疾病、又は用量制限毒性を含む試験治療関連毒性)。
予備段階の結果
パートA登録は2019年7月に開始し、MTDは15μg/kgの用量レベルに到達した。以前の全身療法の3(1~9の範囲)系統の中央値を有する30人の患者を、用量レベル0.25、0.75、1.5、3.0、6.0、9.0、12.0、及び15μg/kg BWで治療した。15μg/kgのMTDは、2つのDLT(後遺症なしに試験薬物中止後に迅速に消散した肝機能試験値の増加)により定義された。患者の徴候及び最良の全体応答を表2に示す。NK細胞活性化の最大レベルは低用量レベルで既に到達し、最大CD8T細胞活性化は9~12μg/kgで到達した。それゆえ、RP2Dは12μg/kgであるように選択した。8用量レベルで治療した30人の患者からの安全性データは、SO-C101単剤療法が良好に耐容されることを示す。AEの大部分は、発熱、リンパ球減少症、局所注射部位反応、悪寒、トランスアミナーゼ増加、インフルエンザ様症状並びにサイトカイン放出症候群の症状(リンパ球減少症を除いて、主にグレード2以下)であった。リンパ球減少症は、作用機序に関連すると考えられ、通常、数日以内に消散すると考えられる。
部分応答は、以前はCPI抵抗性であったSSCCの62歳の女性患者において見られた。長期持続性安定状態(SD)を3人の患者において認めた。
・腎臓癌を有する71歳の男性患者、7つの以前の系統、CPI再発、93日間のSD
・NSCLCを有する47歳の男性患者、5つの以前の系統、CPI再発、155日間のSD
・胆道癌を有する57歳の女性患者、4つの以前の系統、CPI再発、148日間のSD
予備的PK結果は、PKプロファイルが用量比例的であり、投与後約5~6時間にTmaxがあり、終末相半減期が約4時間であることを示した。
パートB登録は2020年7月に開始し、2021年10月8日現在で、以前の全身療法の2(範囲1~6)系統の中央値を有する(3)14人の患者を、用量レベル1.5、3.0、6.0及び9μg/kg BWで治療した。用量レベル9μg/kgは進行中である。
患者は、登録時に31~80歳の年齢であった。治療の継続期間は、1日~393日の範囲にあった(2021年10月8日現在)。患者の徴候及び最良の全体応答を表3に示す。ペムブロリズマブと組み合わせたSO-C101は、良好な耐容性を示した。有害事象プロファイルは、いずれかの単剤化合物からの単剤療法AEプロファイルと一致した。用量レベル6μg/kgはDLTのために7人の患者に拡大した。DLTは、最初の投与後の1人の患者におけるサイトカイン放出症候群(CRS)グレード3であった。この患者は、減少した用量(3μg/kg)で試験を継続した。
Figure 2023550880000005
Figure 2023550880000006
2. 皮膚扁平上皮癌を有する患者の症例報告
皮膚扁平上皮癌を有する62歳の女性患者(人種及び民族性は報告されていない)は、2020年6月4日の初回用量(最初、臨床試験センターは、2020年5月15日を開始日として誤って報告した;これは現在訂正されている)から開始して、臨床試験SC103パートA(実施例1、ICFバージョン5及びプロトコルバージョン5)内で、単剤療法として6μg/kgのSO-C101でs.c.処置され、単剤療法治療は2020年10月14日まで進行中であった。
病歴では、過去に虫垂切除があり、2019年に脳卒中があったが、他のすべての病歴は、疲労、腫瘍性疼痛及び食欲不振を含めて試験中の疾患と関連していた。皮膚の扁平上皮癌の初期診断は、2014年に、既知の変異/発現状態p53、TERTを用いて行われた。最初の手術を2014年に行い、この患者は、先行抗癌非全身療法として放射線療法を受け、腫瘍母地の部位に66グレイの線量を適用し、耳の左リンパ節領域に50グレイの線量を適用した。
この患者は2系統の全身性抗癌治療を以前に受けた:ドセタキセル、シスプラチン、及びセツキシマブ(TPEx)による第一選択治療が2019年3月から2019年6月まで患者に投与された。第二選択治療では、この患者は、抗PD-1免疫チェックポイント阻害剤セミプリマブを受け、2020年1月31日から2020年4月23日まで投与された。この患者はチェックポイント阻害剤治療後に再発した。
本試験の過程の間、グレード3の血管迷走神経性反応(SO-C101に関連しない)及び嚥下障害が記録された。嚥下障害については、この患者は、経鼻胃挿管を受けたが、これは、9月18日現在依然として進行中である。グレード2の貧血、疲労及び食欲不振が報告され、他の有害事象はすべてグレード1であった。重篤な有害事象は報告されなかった。
2020年6月3日のこの患者のスクリーニングでは、1つの標的病変、直径50mmの結節性の、左頸部リンパ節腫脹が存在した。さらに、3つの非標的病変が特定され、すべて結節性であり、左右の頸部リンパ節腫脹及び肝臓区域(セグメント)IIIにあった。造影剤を用いるCTスキャンを腫瘍評価に使用した。SO-C101による治療を2020年6月4日に6μg/kgの1日用量で開始した。臨床応答の継続的な改善が4サイクルにわたって観察された。(SO-C101の4サイクルでの)2020年7月3日の腫瘍評価は、標的病変が直径40mmに縮小し、20%の疾患減少に相当することを明らかにした。全体応答を安定状態と評価した。(SO-C101の12週目の)2020年8月17日の3回目の腫瘍評価において、病変の合計の49%の減少に相当する26mmへの標的病変のさらなる収縮が観察された(図2参照)。従って、全体応答を部分応答と評価した。9月18日時点で、この患者は、併用治療としてオピオイド及び鎮痛剤、嚥下障害のための栄養サポート、並びに貧血及び低マグネシウム血症のための薬物療法を受けていた。SO-C101による治療のサイクル2の後、オピオイド及び鎮痛剤の必要性が減少した。
さらなる腫瘍進行度診断を2020年10月2日に行い、標的病変の21mmへのさらなる縮小を認め、これにより部分応答(58%の減少)を確認した(図2Eを参照)。2020年10月14日の次の腫瘍進行度診断において、この患者は、標的病変の直径が37mm(前回の進行度診断と比較して+76%)であり腫瘍進行を示した。SO-C101による単剤療法は、進行性疾患のために中止された。
驚くべきことに、SO-C101による単剤療法は、放射線療法及び免疫腫瘍学(IO)薬セミプリマブ、抗PD-1抗体を含む2つのさらなる療法系統の後に進行した皮膚扁平上皮癌を有する末期疾患患者において、標的病変の58%の減少を伴う部分応答、4ヶ月にわたる持続期間をもたらす。
観察された部分応答は、血液中の71%の増殖性NK細胞及び38%の増殖性CD8T細胞の観察を伴った。
この患者は、2020年11月26日に1.5μg/kgのSO-C101(単剤療法のスケジュールに従う)及び200mg q3wのペムブロリズマブの組み合わせによる治療を継続した。2週間以内に、患者は再び臨床応答を示し、2020年12月15日及び2021年1月14日に撮影された写真において標的病変の顕著な減少を示した(図2E参照)。2021年の2月5日及び3月19日のCTスキャンは、試験の開始から62%の減少及び最下点から9%の減少を示した。2021年5月5日のPET-CTは、「ホットスポット」、すなわち増殖性腫瘍を示さなかった。
この患者は、SO-C101で治療される前に、セミプリマブ(抗PD-1抗体)による治療下で再発したが、さらなる進行性疾患を呈する前にSO-C101単剤療法下で確認された部分応答を示した後、患者は、SO-C101と別の抗PD-1抗体であるペムブロリズマブとの併用治療下で再び有意に臨床的に応答した。従って、驚くべきことに、SO-C101単剤療法は、抗PD-1治療に(再び)応答するように腫瘍を感作したと結論付けることができる。
腫瘍への免疫細胞の浸潤を、ベースライン時及びSO-C101 EOT後(18週目)に得た腫瘍生検における免疫組織化学によって測定した。簡潔には、PD-L1発現を、Ventana Benchmark XT(ベンタナベンチマークXT)上の独自仕様のPD-L1 mAb(クローンHDX3)及びCD8 mAb(クローンHDX1)を用いたHalioseek(商標)PD-L1/CD8アッセイ(Veracyte(ベラサイト)、フランス)を使用して測定した。PD-L1の検出は、OptiView Universal DAB検出キットを用いて二次mAbを用いて行った。ヘマトキシリン及び青色染色液を用いて対比染色を行った。スライドをNanoZoomer-XRでスキャンして、デジタル画像(20×)を生成した。CD8及びNKp46発現を、NKp46、Ki-67、CD8、CD3及びAE1/AE3から構成されるBrightplex(登録商標)多重IHCパネルを用いて測定した。以下のmAbを使用した:抗NKp46 mAb カタログ番号MOG1-M-H46-2/3、Veracyte;抗Ki-67 mAb カタログ番号HD-RM-000539/9027S、Veracyte/Cell Signaling(セル・シグナリング);抗CD8 mAb カタログ番号HD-FG-000019,Veracyte);抗CD3 mAb カタログ番号HD-FG-000013、Veracyte;及び抗AE1/AE3 カタログ番号HD-RM-000502/Sc81714、Santa Cruz(サンタクルーズ)。簡潔には、Leica Bond RXを用いて同じスライド上で連続染色を行った。二次抗体としてのMACH2ウサギユニバーサルHRPポリマー、MACH2マウスユニバーサルHRPポリマー又はMACH4マウスユニバーサルHRPポリマー及びImmPACT(商標)AMEC Red検出を使用して、シグナル検出を行った。ヘマトキシリンを用いた細胞核の対比染色を染色ワークフローの最後に行った。スライドをNanozoomer XR(×20)でスキャンした。各試料を、HalioDx Digital Pathology Platformを使用して分析した。画像をBrightplex(登録商標)-fuse(社内ソフトウェア)で整列させた。
Figure 2023550880000007
SO-C101治療の前に、腫瘍へのCD8T細胞の低い浸潤のみが観察され、NK細胞についてはほとんど観察されなかった。PD-L1は主に腫瘍細胞上で発現した。SO-C101での治療後、腫瘍生検は、高レベルのCD8T細胞浸潤、悪性細胞及び免疫細胞上のPD-L1発現の確実な増加、並びにNK細胞レベルの増加を示した(表4及び図2F~Mを参照)。
従って、SO-C101での治療下で、腫瘍は、観察された部分応答によって確認されるようにSO-C101治療に応答性であった中程度にしか免疫細胞が浸潤しなかった腫瘍から、強力なPD-L1チェックポイント発現を示す高度に免疫細胞が浸潤した「ホット」腫瘍に変化した。これは、SO-C101治療に対する獲得耐性も示唆する。PD-L1の初期の低発現は、セミプリマブ(抗PD-1抗体)による初期の治療に対する、かなり限定された成功しか示さない患者の弱い応答の説明を提供すると思われる。
本発明者らは、IL-2/IL-15βγアゴニストでの治療によって引き起こされる腫瘍細胞上のPD-L1発現の誘導が、免疫チェックポイント阻害剤、ここでは抗PD-1抗体であるペムブロリズマブでの(別の)治療に対して腫瘍を(再)感作したと結論付ける。
3. 甲状腺癌を有する患者の症例報告
甲状腺癌を有する47歳の女性患者(人種及び民族性は報告されていない)は、2020年11月20日の初回用量から開始して、臨床試験SC103パートB(実施例1)内で、3μg/kgのSO-C101を200mgのペムブロリズマブと組み合わせてs.c.処置された。
病歴では、2008~2009年に、部分甲状腺摘出術及びその後の全甲状腺摘出術(左頸部リンパ節摘出術を含む)という複数の手術があった。2017年に、肝臓病変を放射線療法によって治療した。この患者は、2014~2018年に1系統の以前の全身性抗癌療法としてキナーゼ阻害剤であるバンデタニブを受けた。最後の疾患進行は2020年7月に確認された。
治療の開始前に、肝臓区域IIにおける標的病変は、22mmの直径を有し(CTスキャン)、肝臓及び骨に2つのさらなる非標的病変を有した。2020年12月29日(直径25mm、+13%)及び2021年2月11日(直径18mm、-18%)の腫瘍進行度診断は、安定状態を示し、2021年3月5日には、6サイクルの治療後の、部分応答(直径15mm、-31%)になり、これは、8サイクル後の5月5日に確認された(直径14mm、-36%)。2021年7月21日に、治療は10サイクルの治療後に依然として継続していた。
腫瘍への免疫細胞の浸潤を、実施例2に記載するように、ベースライン時及びSO-C101治療の6週間後に得た腫瘍生検における免疫組織化学によって測定した。
Figure 2023550880000008
SO-C101及びペムブロリズマブの治療の前には、腫瘍の進行度は、腫瘍微小環境におけるCD8T細胞及びNK細胞による浸潤がほとんどないため、「コールド」腫瘍として記載することができる。SC-101及びペムブロリズマブでの治療後、約10倍多いCD8T細胞が間質に蓄積し、癌巣全体に散在することも見出された。浸潤したNK細胞は、腫瘍内間質及び癌巣全体に散在していた。興味深いことに、ペムブロリズマブとの同時治療下では、腫瘍細胞上のPD-L1の発現の増加は観察されなかった(表5、図3を参照)。
4. 皮膚扁平上皮癌を有する患者の症例報告
左脚の皮膚扁平上皮癌(SSCC)を有する74歳の女性患者(人種及び民族性は報告されていない)は、2011年3月11日の初回用量から開始して、臨床試験SC103パートB(実施例1)内で、6μg/kgのSO-C101を200mg q3wのペムブロリズマブと組み合わせてs.c.処置された。
病歴では、SSCCは2006年に最初に診断され、その後、合計22回の複数の手術が続いた。2020年11月6日から2021年1月29日まで、この患者は抗PD-1抗体セミプリマブの4回の注入を受けたが、目立った応答はなかった。それゆえ、この患者は、抗PD-1療法に対して原発性耐性であるとみなされた。
6μg/kgのSO-C101及び200mgのペムブロリズマブを用いた併用療法は、2021年3月11日に開始した。部分応答は、2サイクル後に写真(図4参照)又はCTスキャン上で視覚的に観察され、標的病変の減少は-39%未満(絶対値では39%超)であり、これはサイクル4後に再び確認された(CTスキャン)。治療は依然として8サイクル後に継続する。
従って、この第I相における比較的少数の患者にもかかわらず、抗PD抗体による治療に対して耐性/抵抗性の進行性SSCCを有する2人の患者が既に、SO-C101単独又は抗PD1抗体と組み合わせたSO-C101による治療に対して明確な応答を示した。
5. 子宮頸部腺癌を有する患者の症例報告
子宮頸部腺癌を有する63歳の女性患者(人種及び民族性は報告されていない)は、2021年5月27日に開始して、臨床試験SC103パートB(実施例1)内で、6μg/kgのSO-C101を200mg q3wのペムブロリズマブと組み合わせてs.c.処置された。
病歴では、子宮頸部腺癌は2017年に診断され、その後、放射線療法、密封小線源治療及び手術が続いた。2017年6月から2017年8月までのカルボプラチンによる全身化学療法の後に、2018年3月から2018年6月までカルボプラチンとパクリタキセルとの組み合わせが続いた。3番目の系統では、この患者は2020年7月から2020年11月にカボザンチニブを受けた。最後の疾患進行は2021年3月29日に確認された。
6μg/kgのSO-C101及び200mgのペムブロリズマブを用いた併用療法は、2021年5月27日に開始した。安定状態が、1回目及び2回目のベースライン後評価について観察された。サイクル4は、2021年7月29日に開始され、治療は依然として継続している。
6. 肛門癌を有する患者の症例報告
2つの以前の治療系統後に抵抗性であった、肛門扁平上皮癌を有する49歳の女性患者。直近の治療は、2019年11月から2020年4月までのレチファンリマブ(Retifanlimab)(抗PD-1免疫チェックポイント阻害)治療であった。この患者は、2020年5月9日に開始して、1.5μg/kgのSO-C101を200mg Q3Wのペムブロリズマブと組み合わせて治療された。約48週間の長期安定状態がSO-C101及びペムブロリズマブ療法で観察されたが、治療は18サイクルの治療後に進行性疾患のために中止された。最良の応答は8サイクル後に観察され、腫瘍サイズは9%縮小した。
腫瘍への免疫細胞の浸潤を、実施例2に記載するように、ベースライン時及びSO-C101治療の6週間後に得た腫瘍生検における免疫組織化学によって測定した。
Figure 2023550880000009
この患者は、SO-C101及びペムブロリズマブの治療の前に、CD8T細胞の高い浸潤及びPD-L1細胞の高い腫瘍内密度を特徴とした「ホットな」腫瘍微小環境を示した。SO-C101及びペムブロリズマブでの治療後、間質並びに癌巣においてCD8T細胞及びPD-L1細胞による浸潤のさらなる顕著な増加が観察された。新たに浸潤したNK細胞は、腫瘍内間質及び癌巣全体に散在していた(表6参照)。
7. SO-C101を用いた臨床試験における薬力学的応答及び抗腫瘍免疫活性化
PBMCを、SO-C101単剤療法で治療した26人の患者、並びにSO-C101及びペムブロリズマブで治療した6人の患者から、サイクル1の1日目(C1D1)の治療の前並びにサイクル1の6日目(C1D6)の治療後に得た。CD8T細胞及び(B)NK細胞内のKi-67細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーによって分析した。SO-C101並びにSO-C101及びペムブロリズマブでの治療後のすべての患者について、末梢血中のCD8T細胞及びNK細胞の増殖の増加が観察された。増加は、0.25~12μg/kgの全範囲にわたってCD8T細胞について用量依存的であったが、NK細胞活性化は、約1.5μg/kgで既にプラトーに達したようである。2つの腫瘍評価にわたって部分応答又は少なくとも安定状態のいずれかを有する臨床応答患者(#でマークされる)は、非応答患者と比較して、血液中の免疫細胞活性化について顕著な差異を示さなかった(図7参照)。
腫瘍生検をベースライン時及び治療後(サイクル2、15日目;C2D15)に18人の患者(SO-C101単剤療法で治療した15人、SO-C101及びペムブロリズマブで治療した3人)から採取し、標準プロトコルに従って免疫組織化学(IHC)分析に供した。CD3T細胞の浸潤の増強が18人の患者のうちの9人(50%)で観察され(図8A)、CD8T細胞の浸潤の増強が18人の患者のうちの9人(50%)で観察され(図8B)、CD8T細胞/Treg比の増加が18人の患者のうちの10人(55%)で観察された(図8C)。臨床的に応答性の患者(PR又は≧2SD、#でマークされている)は、腫瘍組織においてCD3及びCD8T細胞の密度の増加並びにCD8T細胞対Tregの比の増加を示したが、非応答性の患者は、免疫細胞浸潤のいくらかの増加、いくらかの減少を伴う非常に異質な像を示した。
SO-C101治療患者由来の腫瘍組織のNanoStringプロファイリングをHalioDXによって行った。NanoString分析は、マッチしたスクリーニング及び治療中(サイクル2、15日目)の生検で行った。SO-C101は、18人の患者のうち11人(61%、図9A参照)において、T細胞活性化、誘引、細胞傷害性及びT細胞配向を反映する予め定義されたセットのHalioDX Immunosign(登録商標)21の遺伝子シグネチャースコアを増加させた。SO-C101は、18人の患者のうち11人(61%、図9Bを参照)において、抗原プロセシング及びプレゼンテーションに関連する遺伝子の発現も増加させた。そして、SO-C101は、18人の患者のうち13人(72%、図9Cを参照)において、NK細胞機能に関連する遺伝子の発現を増加させた。臨床的に応答性の患者における強固な免疫細胞浸潤が、上記の患者においてさらに視覚的に観察された(図2F~M、図3A~H、及び図5A~Hを参照)。
血液中で測定される免疫細胞の活性化は、IL-2/IL-15Rβγアゴニストの治療に対する応答についての乏しいマーカーであり、他方で、臨床応答を開始するために、腫瘍へのエフェクター免疫細胞の浸潤の増加は必要条件であるが、すべての患者において充分というわけではないようである。臨床的に応答性の患者は、T細胞活性化、誘引、細胞傷害性及びT細胞配向、抗原プロセシング及びNK細胞機能に関与する遺伝子の高い誘導を示した。
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2019年5月14日現在のwww.clinicaltrials.govのNCT01021059

Claims (15)

  1. ヒト患者における非黒色腫皮膚癌の治療に使用するためのインターロイキン-2/インターロイキン-15受容体βγ(IL-2/IL-15Rβγ)アゴニスト。
  2. 前記非黒色腫皮膚癌は、皮膚扁平上皮癌、メルケル細胞癌、基底細胞癌及び皮脂腺癌、とりわけ皮膚扁平上皮癌からなる群から選択される請求項1に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  3. 前記患者は少なくとも1種の免疫チェックポイント阻害剤治療に対して耐性又は抵抗性である請求項1又は請求項2に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  4. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与されない請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  5. 前記IL-2/IL-15RβγアゴニストはPD-1アンタゴニストと組み合わせて投与されない請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  6. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは前記患者が抵抗性又は耐性である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与されず、好ましくは前記患者が抵抗性又は耐性であり組み合わせて投与されない前記免疫チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである請求項3に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  7. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  8. 前記IL-2/IL-15RβγアゴニストはPD-1アンタゴニストと組み合わせて投与される請求項1から請求項3及び請求項7のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  9. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは前記患者が抵抗性又は耐性である免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与され、好ましくは前記患者が抵抗性又は耐性であり組み合わせて投与される前記免疫チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである請求項3、請求項7及び請求項8のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  10. 前記癌の治療が、前記治療の前に存在する腫瘍の少なくとも約30%のサイズ縮小、好ましくは前記治療の16週間以内に約30%のサイズ縮小、好ましくは前記治療の16週間以内に約50%のサイズ縮小をもたらす請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  11. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストに対する応答は、NK細胞によって媒介される自然免疫反応によって媒介される請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  12. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストは周期的投与レジメンに従って投与され、前記周期的投与レジメンは、
    (d)期間の開始時に連続y日間、1日用量で前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストが投与され、その後前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないx-y日間が続くx日間の第1の期間であって、xは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日であり、好ましくは7又は14日であり、yは2、3又は4日であり、好ましくは2又は3日である第1の期間、
    (e)前記第1の期間を少なくとも1回繰り返すこと、及び
    (f)前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストを投与しないz日間の第2の期間であって、zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、35、42、49、56、63又は70日、好ましくは7、14、21又は56日、より好ましくは7、14又は21日である第2の期間
    を含む請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  13. xが7日であり、yが2、3又は4日であり、zが7日であり、好ましくはyが2日であり、zが7日である請求項12に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  14. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストの1日用量は、0.1μg/kg~50μg/kg、好ましくは0.25μg/kg~25μg/kg、より好ましくは0.6μg/kg~12μg/kg、さらにより好ましくは2μg/kg~12μg/kg、好ましくは3μg/kg~20μg/kg、より好ましくは6~12μg/kgである請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
  15. 前記IL-2/IL-15Rβγアゴニストはインターロイキン15(IL-15)/インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)複合体、
    好ましくはヒトIL-15Rαsushiドメイン又はその誘導体、柔軟なリンカー及びヒトIL-15又はその誘導体を含む融合タンパク質であり、好ましくは前記ヒトIL-15Rαsushiドメインは配列番号6の配列を含み、前記ヒトIL-15は配列番号4の配列を含み、より好ましくは前記IL-15/IL-15Rα複合体は配列番号9である請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の使用するためのIL-2/IL-15Rβγアゴニスト。
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