JP2023545930A - 眼追跡デバイスを使用するデバイス用の視覚補正を提供する光学物品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、前部主面を有し、且つ後部主面を有する透過基材を含む光学物品であって、主面の少なくとも1つが、1.55以上の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層(HI)と、1.55未満の屈折率層を有する少なくとも1つの低屈折率層(LI)との積層体を含む多層干渉コーティングでコーティングされており、前記多層干渉コーティングが、・少なくとも35°以下の入射角に対して2.5%以下である、可視領域における平均光反射率(Rvと記される)と、・20°以下の入射角において1.5%以下である、800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(RmET(800-900)と記される)と、を有する、光学物品において、・前記多層干渉コーティングが、20°以下の入射角において11.5%以上である、900nm~2000nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(RmNIRと記される)を有し、及び/又はその透明基材が、900~2000nmの範囲の波長において近赤外領域で吸収する少なくとも1つの吸収色素を含む、ことを特徴とする、光学物品に関する。

Description

本発明は、多層干渉コーティング、特に、可視領域(すなわち、380~780nm)及び近赤外線(NIR)領域、特に約900~2000nmの範囲の波長の両方に対して、反射を強く低減するとともに、赤外線波長において動作する眼追跡(ET)システムと互換性がある反射防止コーティングを含む、光学物品に関する。光学物品は、特に、眼鏡レンズのような眼科用レンズであり得る。
本発明はまた、特に前記光学物品を備え、且つ例えば拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、又は眼追跡デバイスを形成するために好適であり得る光学デバイスに関する。
NIR範囲は、一般に、眼追跡の目的で眼を照らす光に使用され、これは、NIR光がユーザに見えないのと同時に、瞳孔のコントラストが非常に良好になるためであり、それにより視線方向若しくは眼運動の測定、又は瞳孔のサイズ及び位置、角膜表面、水晶体表面、まぶた上の眼反射などに関連する任意の他の測定において高精度且つ高信頼性を得ることが可能である。
そのような測定は、眼科用レンズに加えて、深紅及びNIR光源並びにビデオカメラを含む特定の光学デバイスを通して行うことができる。
しかしながら、深紅及びNIR光源が、そのような機器を着用しているユーザの眼に向けて光を送ると、眼科用レンズの面上で複数の反射が生じる。そのような多重反射はカメラの検出器に対してノイズを生成するため、瞳孔を適切に位置特定することができなくなる。
例えば、文献、米国特許出願公開第2018/003961号明細書は、投影システムについて記載している(この文献の図4を参照)。投影システムは、投影面(レンズなど)、赤外線(IR)光ビーム発光器(IR源)、及びユーザの眼から来るIR光を受け取る赤外線光ビーム受光器を含む。投影面に組み込まれたホログラフィック光学素子(HOE)は、光を眼に対して又は眼に届くように反射する。したがって、この文献では、眼を追跡するための反射ソリューションが提案されている。ユーザは、投影面を通して現実世界を見ることができ、また、ホログラフィック光学素子及び可視追加光源を介して仮想画像が表示され得る。しかしながら、この投影システムでは、投影面上に反射防止コーティングを設ける必要性が存在する。実際、この投影面から来る反射は、画像品質を低下させ(ゴースト画像の形成)、眼追跡(ET)の性能を制限する可能性がある。
本明細書で使用されて図1に示されるように、ゴースト画像3は、レンズ1内部の内部反射の物理現象である。この現象は、屈折度数又はプリズムが光源2の画像からゴースト画像3を分離するため、屈折度数又はプリズムを備えたレンズでのみ見ることができるものである。ゴースト画像3は、レンズ1を通して光源を見る際に見える。その色及び強度によっては、これは、着用者にとって不快感の源となり得る。
文献、米国特許出願公開第2018/113508号明細書には、仮想及び複合現実又は拡張現実(VR/AR)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用の眼追跡システムが記載されている。特に、眼追跡システムは、画像を表示するディスプレイと、ウェアラブルハウジングに取り付けられた2つの接眼レンズとを含み得る。このディスプレイは透過的であるため、ユーザが現実世界を見ることも可能になる。ユーザは、接眼レンズを通してディスプレイ上を見る。接眼レンズは、典型的には接眼レンズの光学的無限遠に近い設計距離において、表示されたコンテンツの仮想画像を形成する。IRカメラは、接眼レンズを通してユーザの顔をキャプチャする。しかしながら、この文献では、レンズ面での反射によりゴースト画像も作成され得る。
したがって、このHMDの着用者/ユーザに対して正しい屈折を可能にする、仮想及び複合又は拡張現実(VR/AR)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)用の光学物品を提供する必要性が存在する。特に、IR波長で動作するETシステムのユーザのゴースト画像を制限することができる一方で、それ(反射型又は透過型ETシステム)と互換性がある、すなわち、ETによって使用されるIR波長に対して十分に透過性であって、ET照明システムに対して必要とされる電力消費を制限する、光学物品を提供する必要性が存在する。
また、ユーザの眼に到達することができ、且つHMDの外部環境から来るIR光(以下、「外部IR」と称する)を制限するVR/AR HMD用の光学物品を提供する必要性が存在する。実際、知られているように、IR光は、白内障リスクの増加、ドライアイ症候群、涙膜の変質など、視覚的問題につながる場合がある。加えて、環境から来るIR光、特に近赤外線光(NIR)の低減は、ETシステムによって提供される追加のNIR光のバランスをとる方法でもあり、これによって、眼に来るグローバルなNIR光は変化しないままであるか改善される(すなわち、眼追跡器を使用する際ですらグローバルに低減される)。
実際、従来のソリューションを使用して外部IRから眼を保護することは、IR波長を使用するETシステムの性能の低下につながる場合があり、逆に効率的なETソリューションを使用することは、外部IRから眼を保護するソリューションの低下につながる場合がある。実際、例えば、外部IRを低減するように設計された任意の利用可能なNIR反射積層体は、正しく設計されていなかった場合、ETシステムにとって非常に邪魔なゴースト画像を作成することになるが、眼追跡で使用されるIR領域の反射を制限するように設計された任意の利用可能なNIR反射積層体は、正しく設計されていなかった場合、外部IRを除去しないことになる。別のソリューションは、レンズ内に吸収色素を加えることである。しかしながら、眼追跡器がレンズを通して眼を照明又は画像化した場合、任意の利用可能な吸収色素は透過型ETシステムの透過性の低下をもたらすため、IR源で眼を照明するためにより高いレベルのパワーが必要となる。
加えて、380nm~780nmの範囲の可視領域における反射を制限することもまた、光学物品の着用者の快適にとって重要である。
したがって、上述の問題の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、又は眼追跡デバイスに使用されることを意図した光学物品用の新規な干渉コーティングを提供する必要性が存在する。
したがって、本発明の目的は、反射防止コーティングなどの、少なくとも干渉コーティングを含む鉱物又は有機ガラスの基材を含み、前記反射防止コーティングが可視領域において非常に良好な反射防止性能を有する一方で、NIR領域において非常に明確な反射も有する、透明光学物品、特に眼鏡レンズなどの眼科用レンズを開発することを希求することによって、上記の欠点を改善することであり、且つその製造の経済的及び/又は工業的実現性を損なうことなく、そうすることである。
したがって、本発明は、前部主面を有し、且つ後部主面を有する透過基材を含む光学物品、好ましくは眼科用レンズであって、主面の少なくとも1つが、1.55以上の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層(HI)と、1.55未満の屈折率層を有する少なくとも1つの低屈折率層(LI)との積層体を含む多層干渉コーティングでコーティングされており、前記多層干渉コーティングが光学物品に対して、
・少なくとも35°以下の入射角に対して2.5%以下である、可視領域における平均光反射率(Rと記される)と、
・20°以下の入射角において1.5%以下である、800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-900)と記される)と、
を有するか又は付与する、光学物品において、
・前記多層干渉コーティングが、900nm~2000nmの範囲の近赤外線(NIR)領域において、20°以下の入射角において12%以上である、平均反射率(RmNIRと記される)を有し、及び/又は前記透過基材が、900~2000nmの範囲の波長において近赤外領域で吸収する少なくとも1つの吸収色素を含む、
ことを特徴とする、光学物品に関する。
したがって、本発明による光学物品は、可視領域における非常に低い反射率、従来の眼追跡器で使用されるNIR範囲において非常に低い反射率、すなわち、800~900nm(以下、R ET (800-900)と称される)、及び、特に光学物品の着用者/ユーザの外部環境から来得る900~2000nmの範囲のNIR領域における高い反射率を有する、高効率多層干渉コーティングを含む。
したがって、本発明の多層干渉コーティングは、光学製品着用者/ユーザの環境から来る潜在的に有害なIR光をカットして眼を保護することができる一方で、眼追跡(ET)システムにおいて使用されるNIR光に対して良好な性能(カットなし)を提供して、ゴースト画像及びET照明システムの高電力消費を維持することを可能にする。
本発明はまた、上述のものなどのそのような光学物品と、深紅及び近赤外領域において発光する光源とを備える、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、及び眼追跡デバイスであり得る光学デバイスを提供する。
本明細書で提供される記載及びその利点をより詳細に理解するために、添付の図面及び詳細な説明に関連してここで以下の簡単な説明を参照し、ここで、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
レンズ1を通る直接画像2(光源の画像)の経路及びゴースト画像3の経路を示すレンズ1の概略図である。 第1実施形態に係る、本発明による眼追跡デバイスの概略図である。 15°の入射角における、実施例2~6で準備された本発明によるレンズ2~6の前面上での反射率(R、%)の変化を、それぞれ、可視領域(400~780nm)及びほぼNIR領域(780~2000nm)における波長の関数として示す図である。 15°の入射角における、実施例2、10及び11で準備された本発明によるレンズ2、10及び11の透過率(T、%)の変化を、それぞれ、可視領域(380~780nm)及びほぼNIR領域(780~1500nm)における波長の関数として示す図である。 15°の入射角における、実施例2、12及び13で準備された本発明によるレンズ6、12及び13の透過率(T、%)の変化を、それぞれ、可視領域(380~780nm)及びほぼNIR領域(780~1500nm)における波長の関数として示す図である。
以下の説明では、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴は、明瞭さ及び簡潔さのために又は情報提供の目的のために、一般化された又は概略的な形式で示されてもよい。加えて、本明細書で論じられる実施形態は、単に代表的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
1.定義
用語「含む(comprise)」(並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などのその文法的変形形態)、「有する(have)」(並びに「有する(has)」及び「有する(having)」などのその文法的変形形態)、「含む(contain)」(並びに「含む(contains)」及び「含む(containing)」などのその文法的変形形態)、並びに「含む(include)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(including)」などのその文法的変形形態)は、オープンエンドの連結動詞である。これらは、述べられる特徴、整数、工程、若しくは構成要素、又はこれらの群の存在を規定するために使用されるが、1つ以上のその他の特徴、整数、工程、若しくは構成要素、又はこれらの群の存在又は追加を排除するものではない。結果として、1つ以上の工程又は要素を「含む(comprises)」、「有する」、「含む(contains)」、又は「含む(includes)」方法又は方法内の工程は、それらの1つ以上の工程又は要素を有するが、それらの1つ以上の工程又は要素のみを有することに限定されない。
別段の指示がない限り、本明細書で使用される成分の量や反応条件などを指す全ての数字又は表現は、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものとして理解される。
また、別段の指示がない限り、本発明による、「XからYまで」又は「XからYの間」という値の間隔の指示は、X及びYの値を含むことを意味する。加えて、別段の指示がない限り、値の間隔に対して、「Xよりも低い」又は「Yよりも高い」という表現は、X又はYの値を含まない。
本出願において、光学物品がその表面上に1つ以上のコーティングを含む場合、「物品上に層又はコーティングを設ける」という表現は、層又はコーティングが物品の外側コーティングの外部(露出)表面上に設けられること、すなわち基材から最も離れたコーティングを意味することが意図されている。
基材「上にある」又は基材「の上方に」設けられているとされるコーティングは、(i)基材の上に配置されているコーティングとして、(ii)基材と必ずしも接触していない、すなわち基材と当該コーティングとの間に1つ以上の中間コーティングが配置されていてもよいコーティングとして、及び(iii)必ずしも基材を完全に覆っていないコーティングとして、定義される。
好ましい実施形態では、基材上のコーティング又は基材の上方に設けられたコーティングは、この基材と直接接触している。
「層1が層2の下にある」場合、それは、層2が層1より基材からより離れていることを意味することが意図されている。
以下に説明する実施形態によれば、多層干渉コーティングは、好ましくは、多層反射防止コーティングである。したがって、以降の説明では、これら2つの用語は類似している。
多層反射防止コーティングの最外層とは、基材から最も遠い反射防止(AR)コーティングの層を意味する。
多層反射防止コーティングの最内層とは、基材に最も近い反射防止コーティングの層を意味する。
多層反射防止コーティングの内層とは、前記ARコーティングの最外層を除いた反射防止コーティングの全ての層を意味する。
また、別段の規定がない限り、本出願で開示される全ての厚さは、物理的厚さに関する。
多層反射防止コーティング又はARコーティング、及びAR積層体という用語は、同じ意味を有する。
別段の規定がない限り、本出願で言及される屈折率は、550nmの波長において25℃で表される。
本発明による多層反射防止コーティングは、裸の基材、すなわちコーティングされていない基材の主面の少なくとも1つの上に形成されていてもよく、或いは耐摩耗性コーティングなどの1つ以上の機能性コーティングで既にコーティングされている基材の主面の少なくとも1つの上に形成されていてもよい。
本明細書で使用される場合、基材の後面(又は内側面又は凹面又はCC面)とは、物品を使用する際に着用者の眼から最も近くなる面を意味することが意図されている。これは一般的に凹面である。逆に、基材の前面(又は凸面又はCX面)は、物品を使用する際に着用者の眼から最も遠くなる面である。これは、一般的に凸面である。
また、本明細書で使用される場合、「透過基材」とは、前記基材を介した画像の観察がコントラストの大幅な損失なく知覚されるとき、すなわち、前記基材を介した画像の形成が画像の品質に悪影響を及ぼすことなく得られるときに、透明であると理解される。
美的外観の用語は、透過率において目視で評価される経時的な美的欠陥がない、又はほとんどないことを意味し、好ましくはアークランプ下で測定される。
本発明における眼科用レンズなどの光学物品の「堅牢性」という用語は、このレンズがその製造工程によって導入される変化にもかかわらず、変化に抵抗する能力として定義される。これらの変化は、例えば、使用される基材のタイプ、製造装置の設定(温度スケジュール、好適な時間、電子銃の設定など)及び/又はその使用モード、前記製造装置の他の装置への交換に依存する。
実際、多層反射防止コーティングを工業規模で製造する場合、一般的に、各層に対していくらかの厚さの変化が生じる。これらの変化は、異なる反射性能、特に多層反射防止コーティングの知覚される残留反射色の差につながる。2つのレンズの反射防止コーティングの知覚される残留反射色が異なる場合、これらのレンズは異なって見え、ペアで関連付けることができなくなる。
本発明によれば、「入射角(記号θ)」は、眼科用レンズ表面に入射する光線と、入射点の表面に対する垂線とにより形成される角度である。光線は、例えば、国際表色法CIE L*a*b*(1976)で定義されている標準光源D65などの照明光源である。一般に、入射角は0°(垂直入射)から90°(かすめ入射)まで変化する。入射角の通常の範囲は、0°~75°である。
システムの「光度透過率」とも呼ばれるT係数は、2013年規格であり、範囲の各波長における眼の感度に従って重み付けされ、D65照明条件(昼光)下で測定される、380~780nmの波長範囲における平均に関連する、ISO 8980-3で定義されているようなものである。
本発明では、別段の規定がない限り、透過率(transmittance)/透過率(transmission)は、0°~15°の範囲の入射角、好ましくは0°の入射角で、0.7~2mmの範囲の厚さ、好ましくは0.8~1.5mmの範囲の厚さの光学物品の中心において測定される。本明細書では、透過光とは、光学物品の前部主面に到達してレンズを通過した光を指す。
平均透過率(Tと略される)は、ISO 13666:1998規格に定義されているようなものであり、ISO 8980-4規格(一般に17°未満、典型的には15°の入射角における)に従って測定され、すなわちこれは、380nm~780nmの光スペクトル全体内のスペクトル透過率(重み付けなし)平均を表す。
類推により、システムの「光度透過率」とも呼ばれる平均透過率は、800nm~900nmの間で定義され(T ET (800-900)と略される)、これは、800nm~900nmの波長範囲内のスペクトル透過率(重み付けなし)平均に対応する。
また、類推により、システムの「光度透過率」とも呼ばれる平均透過率は、900nm~1500nmの間で定義され(Tm(900-1500)と略される)、これは、900nm~1500nmの波長範囲内のスペクトル透過率(重み付けなし)平均に対応する。
本明細書では、Rと記された「発光反射率」は、ISO13666:1998規格に定義されているようなものであり、ISO8980-4に従って測定され、すなわち、これは、380~780nmの可視スペクトル全体にわたる、重み付けされたスペクトル反射平均値である。Rは、通常17°未満、典型的には15°の入射角で測定されるものの、任意の入射角について評価することができる。
本願では、Rm(X-Y)と記される「平均反射率」は、ISO 13666:1998規格に定義されるようなものであり、ISO 8980-4規格に従って測定され、すなわちこれは、波長「X」~「Y」nmの間の電磁スペクトルにわたる(重み付けなし)スペクトル反射平均値である。本発明によれば、Rは、異なる入射角に対して測定される。
例えば、800nm~900nmの範囲の波長に対する特性平均反射率(R ET (800-900)と記される)は、以下の式によって定義され、1nmの測定ステップを想定している。
Figure 2023545930000002
ここで、R(λ)は波長λにおける反射率を表す。
ET (800-900)は、同じ入射角において測定されたR(λ)に基づいて、任意の入射角θに対して測定され得る。好ましくは、入射角は、0°~20°の範囲であり、0°である。
同じことが、800nm~950nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-950)と記される)にもあてはまる。
本明細書では、近赤外線(NIR)領域における特性平均反射率R NIR (900-2000)は、以下の式によって定義される。
Figure 2023545930000003
ここで、R(λ)は波長λにおける反射率を表す。R NIRは、同じ入射角において測定されたR(λ)に基づいて、任意の入射角θに対して測定され得る。好ましくは、入射角は、0°~20°の範囲であり、0°である。
類推により、近赤外線(NIR)領域における特性平均反射率R NIR (900~1500)は、以下の式によって定義される。
Figure 2023545930000004
ここで、R(λ)は波長λにおける反射率を表す。R NIRは、同じ入射角において測定されたR(λ)に基づいて、任意の入射角θに対して測定され得る。好ましくは、入射角は、0°~20°の範囲であり、0°である。
同じことが、950nm~1500nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(R ET (950-1500)と記される)にもあてはまる。
2.光学物品
本発明による光学物品は、透明光学物品、好ましくはレンズ又はレンズブランク、より好ましくは眼科用レンズ又はレンズブランクである。光学物品は、その凸状主面(前面)、凹状主面(裏面)、又は両面上に、本発明の多層反射防止コーティングでコーティングされ得る。
好ましくは、本発明の多層反射防止コーティングは、光学物品の前部主面及び後部主面上にコーティングされる。
A°)基材
一般的に言って、本発明による光学物品の干渉多層コーティングは、反射防止コーティング(以下、ARコーティングと呼ぶ)であってもよく、任意の基材、好ましくは有機レンズ基材、例えば熱可塑性又は熱硬化性プラスチック材料上に堆積させることができる。
熱可塑性プラスチックは、例えば、ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリカーボネート及びそのコポリマー;ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択することができる。
熱硬化性材料は、例えば、エチレン/ノルボルネン又はエチレン/シクロペンタジエンコポリマーなどのシクロオレフィンコポリマー;ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(CR 39(登録商標))のホモポリマーなどの直鎖又は分岐の脂肪族又は芳香族のポリオールのアリルカーボネートのホモポリマー及びコポリマー;ビスフェノールAから誘導することができる(メタ)アクリル酸及びそのエステルのホモポリマー及びコポリマー;チオ(メタ)アクリル酸及びそのエステルのポリマー及びコポリマー、ビスフェノールA又はフタル酸とスチレンなどのアリル芳香族とから誘導することができるアリルエステルのポリマー及びコポリマー、ウレタン及びチオウレタンのポリマー及びコポリマー、エポキシのポリマー及びコポリマー、並びにスルフィド、ジスルフィド、及びエピスルフィドのポリマー及びコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択することができる。
本明細書では、(コ)ポリマーは、コポリマー又はポリマーを意味することが意図されている。本明細書で使用される場合、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味することが意図されている。本明細書で使用される場合、ポリカーボネート(PC)は、ホモポリカーボネート又はコポリカーボネート及びブロックコポリカーボネートのいずれかを意味することが意図されている。
ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のホモポリマー(CR 39(登録商標))、1.54~1.58の屈折率を有するアリル及び(メタ)アクリルコポリマー、チオウレタンのポリマー及びコポリマー、ポリカーボネートが好ましい。
基材は、本発明の反射防止コーティングを堆積する前に1つ以上の機能性コーティングでコーティングされ得る。光学において従来使用されているこれらの機能性コーティングは、限定するものではないが、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性コーティング及び/又は耐傷性コーティング、偏光コーティング、フォトクロミックコーティング又は着色コーティングであり得る。以降において、基材とは、裸の基材又はそのようなコーティングされた基材のいずれかを意味する。
好ましくは、基材、及び任意選択的な耐摩耗性コーティング、並びに/又は前記基材上に一般にコーティングされる耐傷性コーティングは、フリンジ又は美観上の欠陥を回避するために類似の/近い屈折率を有する。
反射防止コーティングを設ける前に、前記基材の表面は、通常、反射防止コーティングの接着を強化するために物理的又は化学的な表面活性化処理にかけられる。そのような前処理は、一般的に真空下で行われる。これは、例えばイオンビーム(「イオン前洗浄」又は「IPC」)又は電子ビームを用いたエネルギー種及び/又は反応性種による衝撃、コロナ放電処理、イオン剥離処理、紫外線処理、又は通常酸素若しくはアルゴンプラズマを使用する真空下でのプラズマ媒介処理であってもよい。また、これは酸若しくは塩基による処理及び/又は溶媒ベースの処理(水、過酸化水素、又は任意の有機溶媒)であってもよい。
B°)多層反射防止コーティング
ここで、以下、本発明の多層反射防止コーティングについて説明する。
前述のように、本発明の多層反射防止コーティング(ARコーティング)は、特定の反射スペクトルを有する。
実際それは、第1に、光学物品に対して、380nm~900nmの範囲の波長、更には380n~950nmの範囲の波長に対する低い反射率を有するか又は付与し、すなわち、この範囲には、したがって、380nm~780nmの範囲の可視領域だけでなく、780nm~900nm又は780nm~950nmの範囲のNIR領域の一部も含まれる。
したがって、本発明の第1の特徴によれば、ARコーティングは、光学物品に対して、少なくとも35°以下、好ましくは35°に等しい入射角において2.5%以下である、可視領域(380~780nm)における平均光反射率(Rと記される)を有するか又は付与する。
本発明によれば、「可視領域(380~780nm)における平均光反射率(Rと記される)が2.5%以下である」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。2.5;2.4;2.3;2.3;2.2;2.1;2.0;1.9;1.8;1.7;1.6;1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1.0;0.95;0.90;0.85;0.80;0.75;0.70;0.65;0.60;0.55;0.50;0.45;など。
好ましくは、可視領域における平均光反射率Rは、35°以下の入射角において、2.0%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下、典型的には0.9%以下である。
一般に、可視領域における平均光反射率Rは、35°以下の入射角において、0.8%以下、好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.65%以下、典型的には0.60%以下、例えば0.55%以下である。
加えて、光度透過率(透過性)、すなわち、380~780nmの範囲の波長において測定されたT係数は、82%以上である。
一実施形態によれば、Tは、20°以下の入射角において83%以上、好ましくは84%以上、特に85%以上である。
別の実施形態によれば、Tは、20°以下の入射角において、86%以上、好ましくは87%以上、特に90%以上、例えば95%である。
本発明のARコーティングのこれらの特性(すなわち、低いR及び高いT)は、仮想及び複合又は拡張現実(VR/AR)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのETデバイスにおいて使用されることを意図した光学物品の視覚補正を改善し、特に光学物品の透過性及び着用者の視覚的快適さの両方を改善することを可能にする。
また、本発明の第2の特徴によれば、ARコーティングは、ETシステムにおいて使用されるNIR範囲の一部、すなわち800~900nmの範囲、更には800~950nm又は800~1000nmの範囲の波長のために、光学物品に対して低い反射率を有するか又は付与する。
したがって、本発明のARコーティングの800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-900)と記される)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において、1.5%以下である。
本発明によれば、「800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-900)と記される)が1.5%以下である」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1.0;0.95;0.90;0.85;0.80;0.75;0.70;0.65;0.60;0.55;0.50;0.45;0.40;0.35;0.30;0.25;0.20;など。
好ましくは、平均反射率R ET (800-900)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において、1%以下、好ましくは0.9%以下、典型的には0.8%以下、特に0.7%以下、例えば0.65%以下である。
一般に、本発明のARコーティングの800nm~950nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-950)と記される)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において、1.5%以下であり得る。
本発明によれば、「800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-900)と記される)が1.5%以下である」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1.0;0.95;0.90;0.85;0.80;など。
好ましくは、平均反射率R ET (800-950)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において、1.5%以下、好ましくは1.3%以下、より好ましくは1.2%以下、典型的には1.0%以下であり得る。
加えて、本発明のARコーティングの800nm~1000nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-1000)と記される)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において1.5%以下であり得る。
本発明によれば、「800nm~1000nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-1000)と記される)が1.5%以下である」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。1.5;1.4;1.3;1.2;1.1;1.0;0.95;0.90;0.85;0.80;など。
好ましくは、平均反射率R ET (800-1000)は、20°以下の入射角において、好ましくは0°~20°の範囲、典型的には0°の入射角において、1.5%以下、好ましくは1.3%以下、より好ましくは1.2%以下、典型的には1.0%以下であり得る。
本発明のARコーティングのこの特性(すなわち、低いR ET (800-900)又は低いR ET (800-950)、更には低いR ET (800-1000))により、本発明の光学物品がVR/ARヘッドマウントディスプレイ又はETシステム内で使用されるときに、外乱反射又はゴースト画像を回避することを可能にする。
本発明の特徴によれば、ARコーティングは、光学物品に対して、0°~20°の範囲の入射角において、0.65%以下である低いR及び0.65%以下である低いR ET (800-900)を有するか又は付与する。
加えて、ARコーティングは、光学物品に対して、800~900nmの範囲の波長領域(すなわち、ETシステムにおいて使用されるNIR範囲)に対して高い透過率を有するか又は付与する。
実際、光学物品は、20°以下、好ましくは0°~20°の範囲の入射角において、60%以上、好ましくは70%以上、特に75%以上である、800nm~900nmの範囲の波長に対する平均透過率(T ET (800-900)と記される)を有する。
一実施形態によれば、平均透過率T ET (800-900)は、20°以下の入射角において、80%以上、好ましくは83%以上、特に84%以上である。
別の実施形態によれば、平均透過率T ET (800-900)は、20°以下の入射角において、86%以上、好ましくは88%以上、特に90%以上、例えば95%である。
ETシステムに対して使用されるNIRの一部におけるこの高い透過率(すなわち、高いT ET (800-900))により、ET照明システムにとって有用である消費電力の制限を可能にする。
次いで、本発明の第3の特徴によれば、ARコーティング又は光学物品は、900又は950nm以上のNIR領域、すなわち、900~1500nmの範囲及び/又は更には900~2000nmの範囲及び/又は950~1000nmの範囲及び/又は950~1500nmの範囲の波長に対して高い反射率を有する。実際、このNIRカットにより、ETシステム又はVR/ARヘッドマウントディスプレイの外部環境から来るIR光に対して、光学物品の着用者の眼を保護することを可能にする。
この特性に到達するために、本発明により以下の2つの構成が提案される。
第1の構成A(反射)によれば、多層干渉コーティングはまた、20°以下、好ましくは0°~20°の範囲の入射角において11.5%以上である、900nm~2000nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(R NIRと記される)を有し得る。
好ましくは、ARコーティングは、20°以下の入射角において、12%以上、好ましくは13%以上、より好ましくは15%以上、典型的には20%以上、特に30%以上、例えば40%以上である、近赤外線における平均反射率R NIRを有する。
本明細書で使用される場合、900nm~2000nmの近赤外線(NIR)領域における平均反射率R NIRが11.5%以上であるとは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含む(限界値も含む)ことである。11.5;12;12.5;13;13.5;14;14.5;15;15.5;16,5;17;17.5;18;18.5;19;19.5;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;31;32;33;34;35;36;37;38;39;40,など。
特に、この構成Aによれば、多層干渉コーティングはまた、20°以下、好ましくは0°~20°の範囲の入射角において11.5%以上である、950nm~1500nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(R NIR (950-1500)と記される)を有し得る。
例えば、R NIR (950-1500)は、20°以下の入射角において、12%以上、好ましくは13%以上、より好ましくは15%以上、典型的には20%以上、特に25%以上であり得る。
本明細書で使用される場合、11.5%以上のR NIR (950-1500)とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含む(限界値も含む)ことである。11.5;12;12.5;13;13.5;14;14.5;15;15.5;16,5;17;17.5;18;18.5;19;19.5;20;21;22;23;24;25;など。
加えて、この構成Aによれば、多層干渉コーティングはまた、20°以下、好ましくは0°~20°の範囲の入射角において11.5%以上である、950nm~1000nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(R NIR (950-1000)と記される)を有し得る。
例えば、R NIR (950-1000)は、20°以下の入射角において、12%以上、好ましくは13%以上、より好ましくは15%以上、典型的には20%以上、特に25%以上であり得る。
本明細書で使用される場合、R NIR (950-1000)が11.5%以上であるとは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含む(限界値も含む)ことである。11.5;12;12.5;13;13.5;14;14.5;15;15.5;16,5;17;17.5;18;18.5;19;19.5;20;21;22;23;24;25;など。
第2の構成B(吸収)によれば、透過基材は、900~2000nmの範囲の波長において近赤外領域で吸収する少なくとも1つの吸収色素を含み得る。
本発明によれば、「透過基材が少なくとも1つの吸収色素を含み得る」という表現は、吸収色素を基材内に直接組み込むことができる、及び/又は透過基材の表面に直接堆積させた1つのコーティングに組み込むことができることを意味する。色素を基材内又は基材上に組み込む方法は、当業者には周知であり、したがって、以降の詳細は、欧州特許出願公開第3327488A1号明細書には記載されていない。この特許は、光学物品の表面又は任意の他の基材上に堆積されたエポキシコーティング内に色素を組み込むための様々な方法を記載している。
一般に、前記少なくとも1つの吸収色素は、基材の主面の少なくとも一方に到達する800~900nm、好ましくは700~1000nmの範囲の波長を有する光の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を透過させ、且つ基材の主面の少なくとも一方に到達する1000~1500nmの範囲の波長を有する光の少なくとも30%、好ましくは40%を遮断することができる。
したがって、本発明による吸収色素は、特にNIR領域において吸収して、最も低い色値及び高いNIR吸収を有する選択的色素である。
有利には、少なくとも1つの吸収色素は、可視領域(380~780nm)において最小の吸収率を有する。
一般に、少なくとも1つの色素は、以下の成分のファミリーの中から選択することができる。パーレン、ポリメチン(シアニン、スクアライン、クロコナインなど)ジイモニウム、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ジチオレン、及び他の金属錯体、より新しい構造のクエテルリンジイミド及びそれらの混合物。
これらの有機物質の他に、六ホウ化ランタン、インジウムスズ酸化物、ナノ粒子形態のアンチモンスズ酸化物、コーティングされたマイカ材料などの無機物質が存在する。しかしながら、有機材料は、近赤外領域においてより選択的である。
好ましくは、本発明に好適な少なくとも1つの色素は、シアニン化学物質を含む。例えば、Few Chemicals GmbHによって商品名S2007で市販されている色素は、本発明に適切である。
もちろん、これら2つの構成A、Bを組み合わせてもよい(高いR NIRを有するARコートと、900~2000nmの範囲の波長において近赤外領域で吸収する特定の色素を含む透過基材との組み合わせ)。
加えて、本発明の光学物品は、以下の特徴を備え得る。
本発明の特徴によれば、光学物品は、20°以下の入射角において、80%以下、好ましくは75%以下、典型的には65%以下である、900nm~1500nmの範囲の波長に対する平均透過率(Tm(900-1500)と記される)を有し得る。
本発明の別の特徴によれば、光学物品は、20°以下の入射角において、50%以下、好ましくは45%以下、典型的には35%以下である、Tm(900-1500)を有し得る。
本明細書で使用される場合、Tm(900-1500)が80%以下であるとは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含む(限界値も含む)ことである。80;79;78;77;76;75;74;73;72;71;70;69;68;67;66;65;64;63;62;61;60;59;58;57;56;55;54;53;52;51;50;49;48;47;46;45;44;43;42;41;40;39;38;37;36;35;など。
したがって、本発明により提案されたソリューションは、ET照明システムにとって有用な電力消費を制限することを可能にする(ETシステムに使用されるNIRの一部における高い透過率、すなわち、高いT ET (800-900)のおかげで)一方で、また、NIRのこの部分(低いR ET (800-900))におけるゴースト画像を制限し、ユーザ/着用者の外部環境から来る、その眼に有害であろうNIR光(900~1500nm又は900~2000nm)を抑制又は低減することが可能である。
この目的のために、出願人は、驚くべきことに、本発明によるARコーティングが、可視領域及びETシステムで使用されるNIR範囲の一部(すなわち、800~900nm)において両方とも低い反射率を得ることを可能にし、同時に、光学物品に対して、着用者の眼に潜在的に有害であるNIR領域(すなわち、900~1500nm又は900~1500nm)における高い反射率を有するか又は付与することができることを発見した。代替的に又は組み合わせて、光学物品は、この波長範囲(すなわち、900~2000nm)において吸収することができる色素を含み得る。
ここで、本発明の多層反射防止コーティングの異なる構造(上記の実施形態にかかわらず)について説明する。
前述したように、本発明の多層反射防止コーティングは、高屈折率(HI)及び低屈折率(LI)を有する誘電材料からなる少なくとも2つの層の積層体を含む。
好ましくは、反射防止コーティングは、低屈折率(LI)を有する少なくとも2つの層、特に少なくとも3つの層、及び高屈折率層(HI)を有する少なくとも2つの層、特に少なくとも3つの層を含む。反射防止コーティングの層の総数が4以上であり、一般に14以下であるため、ここではそれは、単純な積層体である。
本発明の特徴によれば、反射防止コーティングにおける層の総数は、4以上であり、より好ましくは5以上であり、典型的には6以上である。
本発明の別の特徴によれば、反射防止コーティングにおける層の総数は、14以下であり、より好ましくは12以下であり、更に好ましくは10以下である。
本明細書で使用される場合、反射防止コーティングの層は、1nm以上の厚さを有するものとして定義される。したがって、厚さが1nm未満の任意の層は、反射防止コーティング内の層数をカウントする際に考慮されないことになる。以下に説明するような副層も、反射防止コーティングの層数をカウントする際に考慮されない。
HI層及びLI層は、本発明の一実施形態によれば、積層体内で互いに交互である必要はないが、交互である場合もある。2つ(又はそれ以上)のHI層は互いの上に堆積されてもよく、並びに2つ(又はそれ以上)のLI層が互いの上に堆積されてもよい。
一般に、HI層及びLI層は、本発明によるARコーティングの積層体内で互いに交互である。
有利には、ARコーティングは、HI層及びLI層を交互に含み、4以上、好ましくは5以上、特に6以上の層数を有する。
好ましくは、反射防止コーティングの総厚さは、450nm以下、より好ましくは400nm以下、更により好ましくは370nm以下である。反射コーティングの総厚さは、一般に250nm超、好ましくは300nm以上である。典型的には、前記反射防止コーティングの物理的厚さは、300~370nmである。
本明細書で使用される場合、450nm以下の間隔とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含む(限界値も含む)ことである。450;440;430;420;410;400;390;380;370;360;350;340;330;320;310;300,290;280;270;260;250;など。
別段の規定がない限り、本出願で開示される全ての厚さは、物理的厚さに関する。
本発明の第1の態様によれば、ARコーティングは、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
-8nm~25nm、好ましくは10nm~20nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-15nm~50nm、好ましくは20nm~40nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
-110nm~200nm、好ましくは150nm~175nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-80nm~130nm、好ましくは90nm~125nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
を含む。
本発明の第2の態様によれば、ARコーティングは、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
-8nm~25nm、好ましくは10nm~20nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-20nm~60nm、好ましくは30nm~50nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
-50nm~95nm、好ましくは65nm~85nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-1nm~15nm、好ましくは3nm~8nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
-50nm~90nm、好ましくは60nm~80nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-80nm~130nm、好ましくは90nm~125nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
を含む。
本発明の第3の態様によれば、ARコーティングは、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、バリウム(Ba)、ホウ素(B)、カドミウム(Cd)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、カリウム(K)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、ニオブ(Nb)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、レニウム(Re)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、テルル(Te)、タリウム(Tl)、バナジウム(V)、タングステン(N)、亜鉛(Zn)、若しくはジルコニウム(Zr)から選択された少なくとも1つ以上の金属(好ましくは金(Au)である)、又はそれらの組み合わせで作成された、少なくとも1つの連続金属層を更に含む。
一般に、この連続金属層は、1nm~10nm、好ましくは1.5nm~8nmの範囲の物理的厚さを有する。
特に、この態様によれば、ARコーティングは、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
-8nm~40nm、好ましくは10nm~30nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-8nm~60nm、好ましくは10nm~45nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
-170nm~240nm、好ましくは180nm~225nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
-1nm~10nm、好ましくは1.5nm~8nmの物理的厚さを有する少なくとも1つの連続金属層、
-8nm~40nm、好ましくは10nm~30nmの物理的厚さを有する任意選択的なHI層、
-50nm~110nm、好ましくは55nm~100nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
を含む。
本発明によれば、「8nm~40nmの物理的厚さを有するHI層」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;31;32;33;34;35;36;37;38;39;40。
本発明によれば、「8nm~60nmの物理的厚さを有するLI層」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;18;19;20;21;22;23;24;25;26;27;28;29;30;31;32;33;34;35;36;37;38;39;40;41;42;43;44;45;46;47;48;49;50;51;52;53;54;55;56;57;58;59;60。
本発明によれば、「170nm~240nmの物理的厚さを有するHI層」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200,201;202;203;204;205;206;207;208;209;210;211;212;213;214;215;216;217;218;219;220;221;222;223;224;225;226;227;228;229;230;231;232;233;234;235;236;237;238;239;240。
本発明によれば、「1nm~10nm以下の物理的厚さを有する1つの連続金属層」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。1;2;3;4;5;6;7;8;9;10。
本発明によれば、「50nm~110nmの物理的厚さを有するLI層」とは、以下の値及び/又はこれらの値の間に含まれる任意の間隔を含むことである。50;51;52;53;54;55;56;57;58;59;60;61;62;63;64;65;66;67;68;69;70;71;72;73;74;75;76;77;78;79;80;81;82;83;84;85;86;87;88;89;90;91;92;93;94;95;96;97;98;99;100;101;102;103;104;105;106;107;108;109;110。
本発明の別の特徴によれば、ARコーティングは、以下に説明するような帯電防止層(導電層とも呼ばれる)を含み得る。一般に、この帯電防止層は、「LI外層」(すなわち、基材から最も遠いLi層)の下方、好ましくは真下に基材から離れて移動する方向に配置される。
本発明によれば、HI層は、前記技術分野で周知の従来の高屈折率層である。これは、通常、限定するものではないが、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、五酸化タンタル(Ta)、酸化プラセオジム(Pr)、チタン酸プラセオジム(PrTiO)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、二酸化チタン(TiO)、及びこれらの混合物などの1種以上の金属酸化物を含む。好ましい材料としては、ジルコニア(ZrO)、五酸化タンタル(Ta)が挙げられる。本発明の特徴によれば、HI層は、ジルコニア(ZrO)(屈折率1.997)である。任意選択的に、HI層は、上記で示したように、1.55以上、好ましくは1.6以上の屈折率を有するという条件で、低屈折率を有するシリカ又は他の材料を更に含み得る。
LI層も周知であり、限定するものではないが、MgF、SiO、シリカとアルミナの混合物、特にアルミナでドープされたシリカ(アルミナは反射防止コーティングの耐熱性の増加に寄与する)、又はこれらの混合物が含まれ得る。LI層は、層の総重量に対して、好ましくは少なくとも80重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも90重量%のシリカを含む層であり、更により好ましくは、シリカ層(SiO)(屈折率1.473)からなる。任意選択的に、得られる層の屈折率が1.55未満であるという条件で、LI層は、高屈折率又は非常に高い屈折率を有する材料を更に含んでいてもよい。
SiOとAlとの混合物を含むLI層が使用される場合、これは好ましくはそのような層の中のSiO+Alの総重量に対して1~10重量%、より好ましくは1~8重量%、更により好ましくは1~5重量%のAlを含む。
例えば、4重量%以下のAlでドープされたSiO、又は8%のAlでドープされたSiOを使用することができる。Umicore Materials AG社が販売しているLIMA(登録商標)(550nmで屈折率n=1.48~1.50)又はMerck KGaA社が販売しているL5(登録商標)(500nmで屈折率n=1.48)などの、市販のSiO/Al混合物を使用することができる。
上述のように、本発明の眼科用レンズは、物品の表面上に存在する積層体に少なくとも1つの導電層を組み込むことによって、帯電防止、すなわち実質的な静電荷を保持及び/又は発生させないようにすることができる。
布切れでこすったり、任意の他の手段を使用したりして静電荷(コロナによって加えられた電荷など)を生成した後に得られた静電荷をガラスが除去する能力は、前記電荷が散逸するために要する時間を測定することによって定量化することができる。したがって、帯電防止ガラスは約数百ミリ秒、好ましくは500ms以下の放電時間を有する一方で、静電ガラスではこれは約数十秒である。本出願では、放電時間は、仏国特許第2943798号明細書に公開されている方法に従って測定される。
本明細書で使用される場合、「導電層」又は「帯電防止層」とは、非帯電性基材(すなわち、放電時間が500ms超)の表面に存在することにより、その表面に静電荷を印加した後の放電時間を500ms以下にすることを可能にする層を意味することが意図されている。
導電層は、その反射防止特性が影響を受けないことを条件として、積層体内の様々な位置上に、通常は反射防止コーティング内に、又は反射防止コーティングと接触して、配置することができる。これは、好ましくは、反射防止コーティングの2つの層の間に配置され、及び/又はそのような反射防止コーティングの高屈折率層に隣接している。好ましくは、導電層は、反射防止コーティングの低屈折率層の直下に配置され、最も好ましくは、反射防止コーティングのシリカベースの外層の直下に配置されることによる反射防止コーティングの最後から2番目の層、例えば「LI外層」である。
導電層は、反射防止コーティングの透過性を変えないように十分に薄くする必要がある。導電層は、好ましくは、導電性且つ透過性の高い材料、通常は任意選択的にドープされていてもよい金属酸化物から製造される。この場合、その厚さは、好ましくは1~15nm、より好ましくは1~10nmの範囲で変化する。好ましくは、導電層は、インジウム、スズ、亜鉛酸化物、及びこれらの混合物から選択される、任意選択的にドープされていてもよい金属酸化物を含む。スズ-インジウム酸化物(In:Sn、スズでドープされたインジウム酸化物)、アルミニウムでドープされた亜鉛酸化物(ZnO:Al)、インジウム酸化物(In)、及びスズ酸化物(SnO)が好ましい。最も好ましい実施形態では、導電性且つ光学的に透明な層は、スズ-インジウム酸化物層であり、ITO層又はスズ酸化物層と呼ばれる。
C°)副層
本発明の一実施形態では、反射防止コーティングを副層上に堆積させることができる。そのような副層は反射防止コーティングに属さないことに留意する必要がある。
本明細書で使用される場合に、副層又は接着層は、前記コーティングの耐摩耗性及び/若しくは耐傷性などの機械的特性を改善するために、並びに/又は基材若しくは下にあるコーティングへの接着を強化するために使用される、比較的厚いコーティングを意味することが意図されている。
その比較的大きい厚さのため、特に、下にある基材(通常は耐摩耗性及び耐傷性のコーティング又は裸の基材)の屈折率に近い屈折率を有する場合には、副層は通常反射防止光学活性に関与しない。
副層は、反射防止コーティングの耐摩耗性を促進するのに十分な厚さを有するべきであるが、好ましくは、光の吸収が生じ得るような程度のものではなく、副層の性質に応じて、相対透過率τを著しく低下させ得るようなものである。その厚さは、一般に300nm未満、より好ましくは200nm未満、一般に90nm超以上、より好ましくは100nm超である。
副層は、好ましくは、SiOベースの層を含み、この層は、層の総重量に対して好ましくは少なくとも80重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも90重量%のシリカを含み、更により好ましくはシリカ層からなる。そのようなシリカに基づく層の厚さは、通常300nm未満、より好ましくは200nm未満であり、通常90nm超、より好ましくは100nm超である。
特定の実施形態では、副層は、SiO層からなる。
一実施形態によれば、反射防止コーティングは、上述したような副層上に堆積されない。
D°)プロセス
反射防止コーティングの様々な層及び任意選択的な副層は、好ましくは、以下の方法のいずれかに従って、真空下で化学蒸着により堆積される。i)任意選択的にはイオンビーム支援されてもよい蒸着;ii)イオンビームスパッタリング;iii)カソードスパッタリング;iv)プラズマ支援化学蒸着。これらの様々な方法は、参考文献「Thin Film Processes」及び「Thin Film Processes II」、Vossen & Kern編、Academic Press、1978年及び1991年にそれぞれ記載されている。特に推奨される方法は、真空下での蒸着である。
好ましくは、反射防止コーティングの各層及び任意選択的な副層の堆積は、真空下での蒸発によって行われる。
E°)他の機能層
通常、反射防止コーティングが設けられる基材の前部主面及び/又は後部主面は、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性及び/若しくは耐傷性コーティング、又は耐摩耗性及び/若しくは耐傷性コーティングでコーティングされた耐衝撃性プライマー層、でコーティングされている。
本発明の反射防止コーティングは、好ましくは、耐摩耗性及び/又は耐傷性コーティングの上に設けられる。耐摩耗性及び/又は耐傷性コーティングは、眼科用レンズの技術分野で耐摩耗性及び/又は耐傷性コーティングとして従来使用されている任意の層であってもよい。
耐摩耗性及び/又は耐傷性コーティングは、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート又はシランに基づくハードコーティングであり、通常、硬化後のコーティングの硬度及び/又は屈折率を高めることを目的とした1種以上の無機フィラーを含む。
耐摩耗性及び/又は耐傷性のハードコーティングは、好ましくは、例えば塩酸溶液並びに任意選択的な縮合及び/又は硬化触媒を用いた加水分解によって得られる、少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその加水分解物を含有する組成物から準備される。
本発明のために推奨される適切なコーティングとしては、仏国特許第2702486号明細書(欧州特許第0614957号明細書)、米国特許第4211823号明細書、及び米国特許第5015523号明細書に記載されているものなどのエポキシシラン加水分解物に基づくコーティングが挙げられる。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティング組成物は、ディップコーティング又はスピンコーティングによって基材の主面に堆積されてもよい。これは、その後適切な方法により(好ましくは熱又は紫外線を使用して)硬化される。
耐摩耗性及び/又は耐擦り傷性コーティングの厚さは、通常2~10μm、好ましくは3~5μmで様々である。
耐摩耗性コーティング及び/又は耐傷性コーティングを設ける前に、最終製品における後続の層の耐衝撃性及び/又は接着性を改善するために、基材上にプライマーコーティングを塗布することもできる。このコーティングは、眼科用レンズなどの透明なポリマー系材料の物品で従来使用されている任意の耐衝撃性プライマー層であってもよい。
好ましいプライマー組成物は、ポリウレタンに基づく組成物及びラテックスに基づく組成物であり、特には、任意選択的にポリエステル単位を含んでいてもよいポリウレタンタイプのラテックスである。
そのようなプライマー組成物は、ディップコーティング又はスピンコーティングによって製品の面に堆積することができ、その後、少なくとも70℃且つ最大100℃、好ましくは約90℃の温度で、2分~2時間の範囲の時間、通常は約15分間乾燥されることで、硬化後に0.2~2.5μm、好ましくは0.5~1.5μmの厚さを有するプライマー層を形成する。
本発明による眼科用レンズは、反射防止コーティング上に形成され、疎水性及び/又は疎油性コーティング(防汚トップコート)などのその表面特性を変更することができるコーティングも含んでいてもよい。これらのコーティングは、好ましくは、反射防止コーティングの外層上に堆積される。原則として、それらの厚さは10nm以下であり、好ましくは1~10nm、より好ましくは1~5nmの範囲である。
疎水性コーティングの代わりに、防曇特性を付与する親水性コーティング、又は界面活性剤と併用された場合に防曇特性を付与する防曇前駆体コーティングが使用されてもよい。そのような防曇前駆体コーティングの例は、国際公開第2011/080472号パンフレットに記載されている。
典型的には、本発明による眼科用レンズは、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性及び耐傷性層、紫外線防止、反射防止コーティング、並びに疎水性及び/若しくは疎油性コーティング、又は防曇特性を付与する親水性コーティング、又は防曇前駆体コーティングで、その後面が順次にコーティングされた基材を含む。
眼科用レンズの基材の前面には、耐衝撃性プライマー層、耐摩耗性層、及び/又は耐傷性層、本発明による反射防止コーティング、並びに疎水性コーティング及び/又は疎油性コーティングが順次コーティングされてもよい。
本発明による光学物品は、好ましくは、眼鏡レンズなどの眼科用レンズ、又は眼鏡レンズ用ブランクである。レンズは、偏光レンズ、フォトクロミックレンズ、又はソーラーレンズであってもよく、着色されていてもいなくてもよく、補正されていてもいなくてもよい。
したがって、本発明は、複数の層から作成された比較的薄い積層体を含む、改善された観念を有する反射防止コーティングを提供し、その厚さ及び材料が、満足できる反射防止性能、並びにNIR領域及び可視領域において同時に非常に低い反射間で良好な妥協点を得るとともに、堅牢性特性及び良好な美的外観を有するように選択される。
3.光学デバイス
本発明はまた、以下に説明する光学デバイスに関する。
特に、光学デバイスは、少なくとも深紅及び近赤外領域において発光する光源と、上記で定義したような光学物品とを備える(すなわち、構成A及び/又はBを有する実施形態1又は実施形態2)。
一般に、光学物品は眼科用レンズであり、本発明による光学物品について上述した全ての特性を、組み合わせて又は組み合わせずに含む。一般に、この光学物品は、眼追跡デバイス、拡張現実デバイス、又は仮想現実デバイスであるか又はそれらに組み込まれる。
例えば、光学デバイスは、国際特許出願第PCT/EP2019/074697号明細書に記載されているものに対応し得る。
特に、本発明による光学デバイスは、(上述したような)眼科用レンズと、深紅及び近赤外領域において、すなわち700nm~2500nmの範囲の波長において発光する光源と、を備え得る。
光源は、例えば、発光ダイオード(LED)であり得る。
その光源から発光された光を検出するために、深紅及びNIRフィルタなしに、NIR波長に感応する、例えばCCD(電荷結合デバイス)タイプ又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)タイプのビデオカメラを使用することが可能である。変形形態として、カメラの代わりに、単一の深紅及びNIRセンサのアレイ、PSD(位置感応検出器)センサ又は他の適切なセンサを使用することができる。
例えば、図2は、本発明による光学デバイスを含む拡張現実デバイス又は仮想現実デバイスにおける構成の非限定的な例を示している。
光学デバイスは、一方ではユーザの眼14と、他方では光学素子12との間に配置された眼科用レンズ10を含む。光学素子12は、例えば、光を結合するための結合手段と、ユーザの眼14に向かって光を出力結合するための出力結合手段とを有する導波路であり得、その結果、ユーザは、仮想画像を知覚することができる。
光学素子12を通過し、眼科用レンズ10を通過する水平矢印11は、環境から到来する光を表す。
深紅及びNIR眼追跡器も拡張現実デバイス又は仮想現実デバイスに含まれる。深紅及びNIR眼追跡器は、深紅及びNIRカメラ16と、少なくとも1つの深紅及びNIR光源18とを含み、その光源18は、本発明による光学デバイスに含まれる。
図2に示される実施形態では、光源18は、光学素子12と眼科用レンズ10との間に配置される一方で、カメラ16は、光学素子12の前に配置される。
変形形態として、カメラ16及び光源18は、光学素子12の前に配置され得る。
別の変形形態として、光学素子12は、仮想画像を提供するため及び光照明を提供するための両方で使用することができる。次いで、眼14によって反射された光は、光学素子12に戻り、深紅及びNIR光センサにリダイレクトされ得る。
眼科用レンズ10は、ユーザに光学機能を提供することができる。それは、例えば、近視、遠視、乱視及び/又は老眼を治療するための補正レンズ、すなわち屈折異常のユーザのための球面、円柱及び/又は追加タイプの屈折力レンズであり得る。レンズ10は、一定の屈折力を有し得るため、単焦点レンズが提供するのと同じように屈折力を提供するか、又は可変屈折力を有する累進レンズであり得る。
また、その後方主面及び/又はその前方主面、好ましくはその後方主面及びその前方主面の両方上に、可視領域及びETシステムで使用される近赤外領域の一部(800~900nm)の両方において少なくとも非常に低い反射率を有する上述のARコーティングを備える。
実際、上述の構成Aによれば、眼科用レンズ10は、その後部主面及びその前部主面上に、以下の特性、すなわち、少なくとも35°以下の入射角において2.5%以下であるR、20°以下の入射角において1.5%以下であるR ET (800-900)、及び20°以下の入射角において11.5%以上、好ましくは12%以上であるR NIR、を満足するARコーティングを備える。
或いは、上述の構成Bによれば、眼科用レンズ10は、900~2000nmの範囲の近赤外領域で吸収する1つの吸収色素と、その後部主面及び前部主面上に、少なくとも以下の特性、すなわち、少なくとも35°以下の入射角において2.5%以下、好ましくは0.65%以下であるR、及び20°以下の入射角において1.5%以下、好ましくは0.65%以下であるR ET (800-900)、を満足するARコーティングと、を備える。したがって、この構成によれば、900~2000nmの範囲の近赤外領域における高い反射率は、色素が透過基材内に存在することに起因する。
或いは、構成A(ARコーティングから得られる近赤外線除去)を構成B(900~2000nmで吸収する吸収色素の基材内への組み込み)を組み合わせて、900~2000nmの範囲のNIR保護レベルを高めることもまた可能である。
どのような構成であっても、本発明による眼科用レンズの異なる構成は、ET照明システムにとって有用な電力消費を制限することを可能にする(ETシステムに使用されるNIRの一部における高い透過率、すなわち。高いT ET (800-900)のおかげで)一方で、また、NIRのこの部分(低いR ET (800-900))におけるゴースト画像を制限し、ユーザ/着用者の外部環境から来る、その眼に有害であろうNIR光(900~1500nm又は900~2000nm)を抑制又は低減することが可能である。
以下の実施例は、より詳細であるが非限定的な様式で本発明を説明するものである。
4.実施例
A°)一般的な手順
実施例で使用した光学物品は、直径65mm、屈折率1.60(MITSUIのMR-8(登録商標)レンズ)、屈折力-2,00ジオプタ、及び中心厚1.2mmを有し、屈折率1.5を有する3μm厚のハードコート(Mithril1.5)でその前面をコーティングした、レンズ基材を含む。
本発明による反射防止コーティングの層は、真空下での蒸発(蒸発源:電子銃)によって基材を加熱することなく、テストされたレンズの前面及び後面の両方の上に堆積された。
蒸着フレームは、酸化物を蒸発させるための電子銃(ESV14(8kV))が取り付けられており、且つアルゴンイオン(IPC)を使用して基材の表面を準備するための予備段階のためのイオン銃(Commonwealth Mark II)を備え、イオンアシスト蒸着法(IAD)で金属層(Au)を蒸発させるためのLeybold 1104装置である。
特に、Ta、ZrO2及びSiOの蒸着工程は、古典的であり、当業者には周知である。
層の厚さは、水晶振動子マイクロバランスによって制御された。スペクトル測定は、URAアクセサリ(Universal Reflectance Accessory)を備えた可変入射分光光度計Perkin-Elmer Lambda 850で行った。
B°)テスト手順
光学物品/レンズの製造方法は、耐摩耗性及び耐傷性コーティングでコーティングされた基材を真空堆積チャンバ内に導入するステップと、高真空が得られるまでポンピングするステップと、アルゴンイオンビーム(アノード電流:1A、アノード電圧:100V、中和電流:130mA)を用いて基材の前面を活性化し、イオン照射をオフにし、裏面上での連続的な蒸発によって反射防止コーティングの様々な層を形成するステップと、最後に換気するステップと、を含む。
*構成A
特に、レンズ1~6の透過基材は、いかなる吸収色素も含んでいない(内部に色素のないブランクレンズ)。
*構成B
加えて、レンズ10~15に対して、欧州特許出願公開第3327488号明細書に記載された方法に従って,色素S2007を基材内に加えた。実際、S2007シアニン色素は、欧州特許出願公開第3327488A1号明細書に記載のエポキシコーティング、及びMithril1.5ハードコート、MR 8基材に対して非常に良好な溶解性を示している。
レンズ10、12、14の基材は3ppmの色素を含み、レンズ11、13、15の基材は5ppmの色素を含む。
C°)結果
以下、本発明による実施例1~15で得られた眼科用レンズ1~15の構造特性及び光学性能について詳述する。
入射角15°でのこれらのレンズ2~6の400~2000nmの反射率グラフを図3に、入射角15°でのレンズ10~13(グローバルレンズ)の300~1500nmの透過率グラフを図4及び図5に示している。
光学値は、前面のそれらの値である。反射光の係数R(%)、T(%)、R ET (800-900)、T ET (800-900)、RmNIR、Tm(900-1500)は、入射角0°の標準光源D65及び標準観察者(角度10°)に対して提供されている。
構造
本発明によるテストレンズ1~9は、その後面及び前部主面上に、実施例1~9で例示されたARコーティング(両面とも同一の実施例)を含み、基材から移動する方向において、以下の構造(nm単位:物理的厚さ)を有している。
Figure 2023545930000005
Figure 2023545930000006
Figure 2023545930000007
本発明によるテストレンズ10~15は、その後面及び前部主面上に、それぞれ実施例10~13(両面に同一例)で例示されたARコーティングを含み、基材から移動する方向において、以下の構造(nm単位:物理的厚)を有している。
-レンズ10、11は、レンズ2と同じ構造を有するが、基材MR8はそれぞれ、3ppm又は5ppmを含む。
-レンズ12、13は、レンズ6と同じ構造を有するが、基材MR8はそれぞれ、3ppm又は5ppmを含む。
-レンズ14、15は、レンズ1と同じ構造を有するが、基材MR8はそれぞれ、3ppm又は5ppmを含む。
光学特性(図3~図5)
Figure 2023545930000008
したがって、表4に示されるように、本発明によるレンズ1~9は、可視領域及びETシステムで使用されるNIR範囲の一部(すなわち、800~900nm及び/又は800~950nm及び/又は800~1000nm)の両方において低い反射率を得ることができ、同時に、光学物品に対して、潜在的に着用者の眼に対して有害であるNIR領域(すなわち、900~2000nm及び/又は950~1500nm及び/又は950~1000nm)において高い反射率を有するか又は付与する。加えて、ETシステムにおいて使用されるNIR範囲の一部(すなわち、800~900nm)の透過率を最適化する。
Figure 2023545930000009
Figure 2023545930000010
Figure 2023545930000011
これらの表5及び7は、ET照明システムに使用される電力消費を制限するために、ETシステムに使用されるNIR波長の部分における透過率が高くなっているが、900~1500nmのNIR範囲(ETシステムの着用者の外部環境に対応する)における透過率は、特に色素を使用する場合に比較的低くなっていることを示している。実際,レンズ10~15の基材に色素が存在することにより,特にTm(900-1500)の値を,色素なしの場合(レンズ2、6、1)と比較して低くすることを可能にする。
この特性により、このNIR光から着用者の眼を保護することを可能にする。

Claims (15)

  1. 前部主面を有し、且つ後部主面を有する透過基材を含む光学物品であって、前記主面の少なくとも1つが、1.55以上の屈折率を有する少なくとも1つの高屈折率層(HI)と、1.55未満の屈折率層を有する少なくとも1つの低屈折率層(LI)との積層体を含む多層干渉コーティングでコーティングされており、前記多層干渉コーティングが、
    ・少なくとも35°以下の入射角に対して2.5%以下である、可視領域における平均光反射率(Rと記される)と、
    ・20°以下の入射角において1.5%以下である、800nm~900nmの範囲の波長に対する平均反射率(R ET (800-900)と記される)と、
    を有する、光学物品において、
    ・前記多層干渉コーティングが、20°以下の入射角において11.5%以上である、900nm~2000nmの範囲の近赤外線(NIR)領域における平均反射率(R NIRと記される)を有し、及び/又は前記透過基材が、900~2000nmの範囲の波長において前記近赤外領域で吸収する少なくとも1つの吸収色素を含む、
    ことを特徴とする、光学物品。
  2. 前記多層干渉コーティングが、20°以下の入射角において、12%以上、好ましくは13%以上、より好ましくは15%以上、典型的には20%以上、特に30%以上、例えば40%以上である、近赤外線における平均反射率R NIRを有する、請求項1に記載の光学物品。
  3. 前記多層干渉コーティングが、20°以下の入射角において、1%以下、好ましくは0.9%以下、典型的には0.8%以下、特に0.7%以下である、平均反射率R ET (800-900)を有する、請求項1又は2に記載の光学物品。
  4. 前記多層干渉コーティングが、20°以下の入射角において、1%以下、好ましくは0.9%以下、典型的には0.8%以下である、平均反射率R ET (800-950)及び/又は平均反射率R ET (800-1000)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学物品。
  5. 前記光学物品が、20°以下の入射角において、60%以上、好ましくは70%以上、特に75%以上である、800nm~900nmの範囲の波長に対する平均透過率(T ET (800-900)と記される)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学物品。
  6. 前記光学物品が、20°以下の入射角において、80%以下、好ましくは75%以下、典型的には65%以下である、900nm~1500nmの範囲の波長に対する平均透過率(Tm(900-1500)と記される)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学物品。
  7. 前記少なくとも1つの吸収色素が、前記基材の前記主面の少なくとも一方に到達する800~900nm、好ましくは700~1000nmの範囲の波長を有する光の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%を透過させ、且つ前記基材の前記主面の少なくとも一方に到達する1000~1500nmの範囲の波長を有する光の少なくとも30%、好ましくは40%を遮断することができる、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学物品。
  8. 前記多層干渉コーティングが、HI層及びLI層を交互に含み、且つ4以上の層数を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学物品。
  9. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
    -8nm~25nm、好ましくは10nm~20nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -15nm~50nm、好ましくは20nm~40nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    -110nm~200nm、好ましくは150nm~175nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -80nm~130nm、好ましくは90nm~125nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    を含む、請求項8に記載の光学物品。
  10. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
    -8nm~25nm、好ましくは10nm~20nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -20nm~60nm、好ましくは30nm~50nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    -50nm~95nm、好ましくは65nm~85nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -1nm~15nm、好ましくは3nm~8nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    -50nm~90nm、好ましくは60nm~80nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -80nm~130nm、好ましくは90nm~125nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    を含む、請求項8に記載の光学物品。
  11. 前記多層干渉コーティングが、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、バリウム(Ba)、ホウ素(B)、カドミウム(Cd)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ゲルマニウム(Ge)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、カリウム(K)、ランタン(La)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、ニオブ(Nb)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、レニウム(Re)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、テルル(Te)、タリウム(Tl)、バナジウム(V)、タングステン(N)、亜鉛(Zn)、若しくはジルコニウム(Zr)から選択された少なくとも1つ以上の金属(好ましくは金(Au)である)、又はそれらの組み合わせで作成された、少なくとも1つの連続金属層を更に含む、請求項8に記載の光学物品。
  12. 前記多層干渉コーティングが、少なくとも、前記基材から離れて移動する方向において、
    -8nm~40nm、好ましくは10nm~30nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -8nm~60nm、好ましくは10nm~45nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    -170nm~240nm、好ましくは180nm~225nmの物理的厚さを有する1つのHI層、
    -1nm~10nm、好ましくは1.5nm~8nmの物理的厚さを有する前記少なくとも1つの連続金属層、
    -8nm~40nm、好ましくは10nm~30nmの物理的厚さを有する任意選択的なHI層、
    -50nm~110nm、好ましくは55nm~100nmの物理的厚さを有する1つのLI層、
    を含む、請求項11に記載の光学物品。
  13. 前記光学物品の前記2つの主面が、前記多層干渉コーティングでコーティングされている、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学物品。
  14. 深紅及び近赤外領域において発光する光源を備える光学デバイスにおいて、請求項1~13に記載された前記光学物品を備える、ことを特徴とする、光学デバイス。
  15. 前記光学デバイスが、拡張現実デバイス、仮想現実デバイス、又は眼追跡デバイスである、ことを特徴とする、請求項14に記載の光学デバイス。
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