JP2023542347A - 自己標的化発現ベクター - Google Patents

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Abstract

本発明は、多くの適用において使用することができる新しい核酸分子、およびそれを作製するための方法に関する。これらの核酸分子は、好ましくは、DNAベクター、任意選択で、DNA発現ベクターである。核酸分子は、核酸分子自体の中の1つまたは複数の特定の結合モチーフの存在のため、核などの特定の細胞位置にベクターを標的化することができる。かくして、本発明の核酸分子は、標的化送達ベクター、とりわけ、自己標的化送達ベクターまたはスマート送達ベクターと記載することもできる。

Description

本発明は、多くの適用において使用することができる新しい核酸分子、およびそれを作製するための方法に関する。これらの核酸分子は、好ましくは、DNAベクター、任意選択で、DNA発現ベクターである。核酸分子は、核酸分子自体の中の1つまたは複数の特定の結合モチーフの存在のため、核などの特定の細胞位置にベクターを標的化することができる。かくして、本発明の核酸分子は、標的化送達ベクター、とりわけ、自己標的化送達ベクターまたはスマート送達ベクターと記載することもできる。したがって、これらの構築物は、発現が望ましい位置にペイロードを効率的に送達することができるため、標的化をもたらすものとして記載することができる。本発明はまた、ベクターを作製する独特の方法にも関する。本発明のベクターは、閉じている、すなわち、遊離末端を有していないものであってもよく、またはそれは開いており、末端ヌクレオチドは同じベクター内で塩基対合するが、互いに連結されていなくてもよい。事実上、ベクターを所望の位置に標的化することができる少なくとも1つの「付着末端」を有するベクターが開示される。
異常な遺伝子を補う、もしくは補正するため、または有益なタンパク質を作製するためなどのいくつかの理由から、遺伝物質を細胞中に導入することが目標である。突然変異遺伝子が、必須タンパク質の非存在またはその突然変異を引き起こす場合、細胞機能を回復させるために遺伝子の正常なコピーの導入が望ましい。さらに、ペプチドよりもむしろ活性RNAの実体をコードする遺伝物質の導入が望ましい。
遺伝子などの遺伝物質は、一般的には療法において直接適用されない。それは細胞への送達のためのベクター内に含まれる。遺伝物質の細胞中への送達は、複数の方法によって達成することができる。ある特定のウイルスは細胞に感染することによって遺伝物質を送達することができるため、それらはベクターとして使用されることが多い。ネイキッドDNAまたはDNA複合体(非ウイルスベクター)も使用される。
非ウイルスベクターは、より大規模な生産および低い宿主免疫原性などの、ウイルスベクターを超えるある特定の利点を提供する。しかしながら、プラスミドなどの非ウイルスベクターは、より低レベルのトランスフェクションおよび発現、かくして、より低い有効性をもたらし得る。プラスミドなどの伝統的な非ウイルスベクターを細菌中で増幅させることもできるが、これは、以下でより詳細に考察されるように、遺伝物質の夾雑の可能性があることを意味する。
プラスミドおよびミニサークルなどの非ウイルスベクターは、とりわけ、必要に応じて、どのように核酸を正確な細胞に到達させ、それを細胞内に到達させ、さらに、それを核または他の細胞内位置に到達させるかといった、送達に関する大きな障害に直面し得る。細胞外マトリックス、エンドソーム/リソソーム環境、エンドソーム膜、および核エンベロープを含む、細胞への遺伝物質の効率的な移行に関する多くの障壁が存在する。
核内輸送は、真核細胞における遺伝子発現のための非常によく知られたボトルネックであり、核に移行するトランスフェクトされたDNAは相対的にごくわずかである。
核局在化シグナルまたは配列(NLS)などのペプチドで非ウイルスベクターをタグ付けすることを含む、様々な戦略が用いられてきた。二重鎖DNA核標的化配列(DTS)の利用も、核に局在化するベクターの能力を増大させたが、これらのものは二重鎖内に含まれ、本明細書に記載の結合モチーフではない。さらに、DNAは、標的化を試みるために表面機能化されたリポソームと複合体化された。リポソームの使用にも限界がないわけではない。カチオン性脂質の毒性のため、全身送達を可能にしないからである。
標的化送達システムは通常、目的のDNA、ポリカチオン、通常はポリリシンまたはカチオン性脂質、およびポリカチオンにコンジュゲートされる標的化リガンドを含む。しかしながら、DNAは環化の間に標的化リガンドから解離する可能性がある。さらに、DNAの活性を維持しながらDNAに直接的に機能性ドメインをコンジュゲートすることが必要である。例えば、NLSがプラスミドとコンジュゲートされた場合、プラスミドの核取込みの有意な増加が起こることが証明された。しかしながら、使用されたコンジュゲーション法のため、プラスミドはコンジュゲーション後にその発現活性を失った(Sebestyenら、Natl.Biotech.、16(1998)、80~85頁)。かくして、コンジュゲーションは、DNAからの発現の低下をもたらし得る。
化学的に標的化された送達のさらなる提供は、ウイルス由来ITRを含むDNAベクターの特質である。例えば、WO2019/143885に記載された無カプシドAAVベクターは、ITR配列などのウイルス由来配列を含み、WO2019/051289に記載された脂質ナノ粒子送達システムを使用して送達される。同様に、WO2019/246544は、DNAベクターを標的化するために二次的薬剤に依拠するウイルス由来ITRを含むベクターを記載する。
標的化がなければ、多くがその所望の目的地に到達する前に失われるため、所望の効果を確保するためには、はるかに大量のベクターが必要とされる。したがって、供給されるベクターの量を減少させることができることが望ましい。
しかしながら、ペプチドおよび実際のタンパク質および他の低分子によるDNAのタグ付けは困難であることがあり、これは、ベクターが追加の実体を含むことを意味する。特異的なタグ付けを可能にするが、標的化のためにベクター上で追加の実体をタグ付けする必要がない、「オールインワン型」または最小限の解決法を提供することがはるかにより望ましい。したがって、単一ユニットの標的化送達は魅力的である。
免疫系は循環する「外来」DNAを認識することができるため、ウイルスゲノムに由来する遺伝子送達ベクターなどの、当業界における典型的に使用される核酸分子は、遺伝子送達ベクターのレシピエントにおいて免疫応答を誘導し得るので、それらは問題が多い。そのような遺伝子送達ベクターは、逆方向末端反復(ITR)などのウイルス配列を有し、自然免疫系を誘発し、また、ベクターからの発現を阻害するDNA修復酵素を動員することができる。DNAが細菌細胞中で産生される場合、それは原核生物パターンのDNAメチル化を有し、真核生物内では外来として同定され、同様に拒絶されるであろう。例えば、プラスミド(pDNA)は、ある世代から次の世代に安定に継承される、天然に存在する染色体外DNA断片である環状dsDNA分子である。プラスミドおよびその誘導体は、遺伝子送達ベクターとして使用されてきたが、成功の量は多様である。
核酸ベクターを生産する方法も問題が多い。細菌細胞内での核酸構造の製造は、最終産物のリポ多糖(LPS)、内毒素および他の原核生物特異的分子による夾雑の危険がある。これらは効率的に微生物病原体の指標となるため、これらは真核生物において免疫応答を高める能力を有する。実際、任意の細胞ベースのシステム内での核酸ベクターの製造は、細胞培養物に由来する夾雑物が宿主細胞に由来するゲノム物質などの最終産物内に存在する危険性をもたらす。核酸を産生させるために、合成方法よりも多くの物質を供給する必要があるため、細胞内での核酸の産生は不十分である。費用の問題に加えて、細胞培養物の使用は多くの場合、増幅プロセスの再現性に関する困難をもたらし得る。細胞の複雑な生化学的環境においては、所望の核酸生成物の品質および収量を制御することは困難である。また、核酸が増幅される細胞に対して毒性的であり得る配列に対処することも困難である。組換え事象も、目的の核酸の正確な生産における問題をもたらし得る。
DNAを、細胞を使用することなく合成的に生産することができる。オリゴヌクレオチドを、修飾ヌクレオチドを使用する鎖の伸長によって化学的に合成することができる。これらの構成要素の調製には出費が伴う。それぞれのヌクレオチドの段階的付加は、不完全なプロセスであり(それぞれの鎖が伸長される機会は「カップリング効率」と呼ばれる)、より長い配列については、大部分の開始された鎖は全長の正確な生成物にならないであろう。これは、大規模での長い配列の生産を不可能にする。これらのプロセスにとって、長さ、精度、および規模の間で犠牲となるものが常に存在するはずなのである。そのようなオリゴヌクレオチドのための主な使用は依然としておよそ200~300ヌクレオチドの範囲(例えば、プライマーおよびプローブ)であり、正確な長さの最大値は、約300ヌクレオチド長であると考えられる。典型的には、合成オリゴヌクレオチドは、約15~25塩基長の一本鎖核酸分子である。
合成プロセスに対する好ましい代替手段は、鋳型に依拠する、核酸の酵素的生産である。核酸の合成のための無細胞のin vitroでの酵素プロセスは、宿主細胞の使用に関する要件を回避し、したがって、特に、医薬品適正製造基準(GMP)による生産が必要とされる場合に有利である。結果として、酵素的に生産される核酸を、はるかにより効率的に、かつ細胞由来夾雑物の危険性もなく作製することができる。
したがって、より安全であり、かつレシピエントによってより許容でき、理想的には、細胞内での即時の分解に抵抗性でもある、酵素的に生産され、改善された構築物が必要である。さらに、これらの改善された構築物が、標的化をもたらすものである場合、例えば、それらは構築物に、特定の組織もしくは細胞型、または核などの細胞内の特定の位置に対する指向性を持たせることができることが望ましい。所望の位置に向かってベクターを標的化することは、遺伝子療法などの目標である。あるいは、特定の細菌細胞の標的化は、特定の細胞型内での殺菌剤の発現を可能にし得る。真菌または原生生物などの他の微生物に関しても同様の手法を採ることができる。
本発明は、特に、標的化核酸構築物を効率的かつ効果的に作製するための新規な無細胞およびin vitroでの方法、ならびにまた、標的化構築物自体に関する。
利用可能な技術は、実質的にDNAから作製された合成標的化構築物/ベクターを開示せず、そのような構築物を製造するための方法も記載していない。
ベクターの右側のキャップ中に異なる構造モチーフおよびしたがって、結合モチーフを含むベクターの性能の比較を示すグラフである。結合モチーフは、核内輸送経路をハイジャックし、報告されたDNAの核内輸送を増強するための標的タンパク質と相互作用するように選択された;HEK293中で試験された。この例では、ベクターは完全に共有結合的に閉じられていた。 中程度の濃度でトランスフェクトされたキャップ内に単一の結合モチーフを有するベクターの性能を示すグラフである;HEK293中で試験された。 低い濃度でトランスフェクトされたキャップ内に単一の結合モチーフを有するベクターの性能を示すグラフである;HEK293中で試験された。 中程度の濃度でトランスフェクトされたキャップ内に単一の結合モチーフを有するベクターの性能を示すグラフである;HepG2中で試験された。 ベクターが全て共有結合的に閉じられている本発明のベクターの種々の実施形態を描写する図である。一番上には、左端と右端との両方にグアニン四重鎖(G-quadruplex)を有するベクターが示される。2番目のベクターは、左端にアプタマーおよび右端に異なるアプタマーを含む。3番目の構造は、一方の末端にグアニン四重鎖および他方にアプタマーを含む。4番目の構造は、各末端にステムループを含み、ループはDNAの一本鎖であり、ステム構造によって一緒に保持される。この場合、ループは、GAAなどの単純なトリヌクレオチドであってもよい。 ベクターが共有結合的に閉じておらず、1つまたは複数のニックを含む本発明の種々の実施形態を描写する図である。全ての例が、左端および右端にグアニン四重鎖を含む。ニックは、描写されるように、二重鎖のいずれかの末端で、または二重鎖の両方の末端で二重鎖中に存在してもよい。 図7Aは、本出願の実施例で使用される例示的なベクターを描写する。一番上は、複数のストレプトアビジンアプタマーを含む一方の末端にキャップを含むが、他方が単純なステムループ(ループ中のGAA)である、ベクターの単純化された描写である。また、ベクター中に存在する発現カセット、および単一のアプタマーを含むベクターも示される。図7Bは、実施例4で使用される実験プロトコールの一部を描写する。 これは、図7Bに示された結合実験のグラフである。4つのストレプトアビジンアプタマーを含むベクターが結合する改善された能力が示されるが、良好な結合の結果は、単一のアプタマーについても得られる。対照(アプタマーなし)は、特異的結合を示さない。 ベクター上の実施例で使用される様々なキャップを描写する図である。使用される様々なキャップ付末端は、ステムループ、アプタマー、グアニン四重鎖および多重アプタマーである。 本明細書に記載の方法の一実施形態を描写する図である。プロセシングモチーフおよび構造モチーフをコードする配列を含む二本鎖鋳型分子(1)が示される。一本鎖形態になったら、プロセシングモチーフが形成され、エンドヌクレアーゼなどの適切な酵素(ハサミおよび点線)を使用してプロセシングすることができる(2)。プロセシングが完了したら(3)、分子をポリメラーゼと接触させて、二重鎖を充填し、開いたままにするか(4)、またはリガーゼで共有結合的に閉じることができる(5)。 実施例5で使用される鋳型の描写である。 実施例5で詳述されるような、標的化ベクターを生成するために本発明の方法を使用する結果を示すゲル写真である。 中程度の濃度でトランスフェクトされた単一のキャップ内に複数の結合モチーフを有するベクターの性能を示すグラフである;HEK293中で試験された。
発明の概要
本発明は、標的化ベクターに関し、これは本明細書を通して互換的に、構築物とも呼ばれる。標的化ベクターは、標的化送達ベクターと呼んでもよい。標的化ベクターは、好ましくは、DNAベクターまたはDNAとRNAとのハイブリッドである。ベクターは、二重鎖核酸の一部を含む。標的化ベクターは、好ましくは発現ベクターである。「発現」のための遺伝物質を二重鎖中に含有させることができる。二重鎖部分はそれぞれの末端でキャップされている。これらのキャップは二重鎖と全体として連続していてもよく、すなわち、キャップ付末端は閉じた末端であるか、または二重鎖の一方の鎖のみと連続し、「非連続」鎖の末端ヌクレオチド間にニックもしくはより大きいギャップを含んでもよい。ベクターは、連続的(共有結合的に閉じている)または不連続的(ニックもしくはギャップを含む)である、一本鎖の核酸を含んでもよい。一部の実施形態では、一方のキャップ付末端中に、単一のギャップまたはニックのみが存在する。ベクターは、少なくとも1つのキャップ付末端中に少なくとも1つの構造モチーフを含む。構造モチーフは、ベクターを標的化する、誘導する、または指向性を持たせることができる少なくとも1つの結合モチーフを含む。ベクターは、好ましくは、合成のものであり、無細胞様式で酵素的に作製される。
ベクターのための標的は、好ましくは細胞性である。細胞性標的は、細胞と関連するものである。標的は、その細胞または細胞位置(すなわち、核)の標的化を可能にする細胞上のまたは細胞内の任意の適切な実体であってもよい。かくして、本明細書で使用される標的化は、発現レベルを援助するために非標的細胞に優先して標的細胞への、または標的細胞位置への核酸の送達を可能にすることである。
したがって、二重鎖部分を含む標的化DNAベクターであって、二重鎖が両方の末端でキャップされ、二重鎖の少なくとも一方の末端が構造モチーフでキャップされ、前記構造モチーフが少なくとも1つの結合モチーフを含むことを特徴とする標的化DNAベクターが提供される。
標的化DNAベクターは、送達ベクターであってもよい。ベクターを、所望の標的細胞または細胞中の所望の標的位置に送達することができる。
独立して、ベクターは、以下の任意選択の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい:
二重鎖DNAを、両方の末端で、同じか、または異なってもよい構造モチーフでキャップすることができる。
それぞれのキャップ付末端は独立して共有結合的に閉じられている、すなわち、二重鎖DNAと連続してもよいか、または開いている、すなわち、ニックもしくはギャップを含んでもよい。
二重鎖DNAを、一方の末端で構造モチーフで、第2の末端でヘアピン、T型ヘアピン、ステムループ、ループ、バルジまたは十字形で独立してキャップすることができる。
構造モチーフは、同じか、または異なってもよい複数の結合モチーフを含んでもよい。構造モチーフは、同じか、または異なってもよい、3つ以上の結合モチーフなどの結合モチーフのアレイを含んでもよい。かくして、アレイは、多重結合モチーフであってもよい。
結合モチーフは、ベクターの標的化された送達を担う。結合モチーフは、細胞性標的に結合する。結合モチーフは、細胞性標的への結合を可能にするコンフォメーションを形成する。
結合モチーフは、
(i)細胞表面;
(ii)核エンベロープ;
(iii)核輸送系;
(iv)細胞コンパートメント;
(v)核成分;
(vi)細胞質内封入体;および/または
(vii)細胞質タンパク質もしくはペプチド
のうちのいずれか1つまたは複数の上の標的に結合することができる。
結合モチーフは核標的化を可能にすることが好ましい場合がある。かくして、結合モチーフは、細胞の核に一般に輸送される実体にとって特異的であってもよい。そのような実体は、ヒストン、ヌクレオリン、テロメア結合タンパク質などを含む。
DNA修復酵素を動員する既知の部位が含まれないように結合モチーフを設計することが好ましい場合がある。代表的な部位としては、ウイルスITRが挙げられる。
結合モチーフを、それが結合モチーフの結合特異性を担うコンフォメーションまたはコンフォメーションと、重要/特異的残基および/もしくは配列との組合せであるように設計することが好ましい場合がある。
疑いを回避するために、本明細書で使用される結合モチーフは、二本鎖DNA中に存在するコンセンサス配列ではない。代表的なコンセンサス配列部位は、制限エンドヌクレアーゼ部位、メチルトランスフェラーゼおよび転写因子である。そのようなものは特定のコンフォメーションを必要としない。結合は、一次配列よりもむしろ構造によって決定される。
任意選択で、結合モチーフは、逆方向末端反復などのウイルス由来ゲノム配列に由来しない。
とりわけ、結合モチーフが構造モチーフ内にあり、一本鎖として効果的に提供されることが本明細書で提示される。結合モチーフが相補的配列と共に存在する場合、これは潜在的な二本鎖干渉をもたらし得る。この状況では、二重鎖または二本鎖配列の形成は、望ましくない結合モチーフのコンフォメーションの形成と競合するであろう。結合モチーフが相補的配列と共に存在していた場合、それぞれの結合モチーフは、センスおよびアンチセンスバージョンとして存在し、同様に二重鎖を形成することができる。かくして、二重鎖部分内よりもむしろ、構造モチーフ内に結合モチーフを含むことが好ましい。
ベクターはまた、
(i)ペプチドもしくはタンパク質;
(ii)低分子;
(iii)抗体もしくはその誘導体;
(iv)酵素;
(v)免疫刺激剤;
(vi)アゴニストもしくはアンタゴニスト;
(vii)アジュバントおよび/または
(viii)核酸
のいずれか1つまたは複数に結合することができるさらなる結合モチーフを含んでもよい。
そのような結合モチーフは、標的化を担う結合モチーフとは異なっていてもよい。かくして、これは、ベクターに対してさらなる機能性を提供するためにベクターに提供されるさらなる結合モチーフである。
標的化ベクターに、真核細胞、任意選択で、植物細胞、原生生物細胞、真菌細胞、ヒト細胞または非ヒト動物細胞中に、またはその細胞上に存在する細胞性標的に対する指向性を持たせることができる。標的実体は、任意の好適な細胞性標的であってもよい。
標的化ベクターに、細菌細胞などの原核細胞上に、またはその細胞中に存在する細胞性標的に対する指向性を持たせることができる。任意選択で、前記細胞は、グラム陰性またはグラム陽性細菌細胞である。標的化ベクターは、結合モチーフの特異的結合によって標的に送達される。
ベクターは結合モチーフによって細胞核に送達されることが好ましい場合がある。標的は、ヒストン、ヌクレオリン、および/またはテロメア結合タンパク質であってもよい。
二重鎖DNAは、遺伝子配列またはその断片と、任意選択で、プロモーターとを含んでもよい。プロモーターは、遺伝子配列またはその断片に作動可能に連結されていてもよい。
標的化ベクターは、標的化発現ベクターであってもよい。
標的化ベクターは、修飾ヌクレオチド、任意選択で、キャップ付末端中の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
標的化ベクターは、実質的に純粋なDNA、任意選択で、95%DNA(重量による)であってもよい。
標的化ベクターは、DNA/RNAハイブリッドであってもよい。
構造モチーフは、構造モチーフの配列中のヌクレオチド塩基間での水素結合の形成を可能にしてもよく、任意選択で、ヌクレオチド塩基間の前記水素結合は、ワトソン・クリック塩基対、フーグスティーン塩基対または非カノニカル塩基対合を含む。
構造モチーフは、非カノニカルDNA構造を形成し、
a)ヘアピン;
b)クロスアーム;
c)三重鎖;
d)グアニン三重鎖;
e)グアニン四重鎖;
f)i-モチーフ;
g)シュードノット;
h)ステムループ;および/または
i)バルジもしくはループ
のうちのいずれか1つまたは複数を含んでもよい。
結合モチーフがとる構造またはコンフォメーションは、構造および/または配列依存的様式での標的との結合を可能にしてもよい。
結合モチーフは、
a)アプタマー;
b)グアニン四重鎖;
c)触媒;
d)i-モチーフおよび/または
e)三本鎖DNA
のうちのいずれか1つまたは複数であってもよい。
結合モチーフは、特異的であってもよい。特異的とは、結合モチーフが他の実体よりも優先して標的実体に選択的に結合することを意味する。これは、主にそれが形成するコンフォメーションに起因するが、特異的残基または重要残基の存在を含んでもよい。
本発明はまた、本明細書に記載のベクターのレシピエントへの投与を含む、DNAベクターを標的細胞位置に送達する方法にも関する。レシピエントは、それを必要とするヒトもしくは動物であってもよいか、またはin vitroの細胞、組織もしくは臓器であってもよい。かくして、本発明は、DNAベクターの標的位置への送達のための本明細書に記載のベクターの使用に拡張される。
本発明はまた、核酸ベクターを製造する方法にも関する。ベクターは、本明細書に記載のものであってよい。
前記方法のステップは、
(a)(i)下記のものに隣接した、第1のプロセシングモチーフ、
(ii)第1のキャップ付末端の少なくとも一部を含む第1の構造モチーフ、
(iii)前記二重鎖DNAの一本鎖、
(iv)下記に隣接した、第2のキャップ付末端の少なくとも一部を含む第2の構造モチーフ、
(v)第2のプロセシングモチーフ
をコードする配列を含む核酸鋳型であって、
前記プロセシングモチーフが、切断部位を含有するエンドヌクレアーゼのための認識部位を含む塩基対合部分を形成することができる配列を含み、
前記構造モチーフが、分子内水素結合を形成することができる少なくとも1つの配列を含み、
前記第1または第2のキャップ付末端のいずれかまたは両方が、結合モチーフを含有する構造モチーフ
を含む、核酸鋳型を提供するステップ;
(b)一本鎖コンカテマーが産生されるようにローリングサークル増幅を行うことができるポリメラーゼを使用して前記鋳型を増幅するステップ;
(c)一本鎖コンカテマーと、エンドヌクレアーゼとを接触させて、3’末端ヌクレオチドが構築物の一本鎖部分に隣接して塩基対合する一本鎖DNA構築物を遊離させるステップ;および
(d)一本鎖DNA構築物と、ポリメラーゼ酵素とを接触させて、鋳型として一本鎖DNA構築物を使用して3’末端ヌクレオチドを伸長させて、二重鎖部分を形成させるステップ
を含んでもよい。
この方法の増幅部分は、プライマーの使用を必要としてもよいか、またはプライマーゼもしくはニッカーゼ酵素を使用して開始してもよい。
当業者であれば、本明細書に記載の方法の使用が、キャップ付末端の1つがニックまたはギャップを有するベクターをもたらすことを理解できるであろう。かくして、キャップ付末端の1つは、閉じた末端である。ニックが両端に必要である場合、これをニッカーゼ酵素を使用して達成することができる。
5’末端ヌクレオチドを構築物の一本鎖部分と塩基対合させることもでき、ポリメラーゼは5’末端ヌクレオチドまで二重鎖を構築することができる。次いで、5’ヌクレオチドと3’ヌクレオチドとの間のニックを、適切にライゲーションすることができる。
方法は、(e)好適な酵素または試薬を添加して、ニックまたはギャップを共有結合的に閉じるステップをさらに含んでもよい。好適な酵素は、リガーゼであってもよい。
鋳型核酸は、キャップ付末端を形成するのに必要とされる配列の全部よりも大きい、キャップ付末端の一部を含んでもよい。そのような例では、それから転写される一本鎖生成物を、ポリメラーゼ酵素を用いた伸長の前にニッカーゼと接触させることができる。ニッカーゼは、伸長のために適切な3’末端ヌクレオチドを露出させることができる。
図面の詳細な説明
図1は、キャップ中での使用のために選択された結合モチーフに関して異なるベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞中でのベクターからの正規化されたSEAP発現(培地1mLあたりのU)の比較を示すグラフである。結合モチーフは、核に輸送される標的タンパク質:ヒストンH4:H4_Gq、およびH4_sl、ヌクレオリン:nuclおよびヒトテロメアグアニン四重鎖:hTelを認識する因子と相互作用するように選択された。グラフは、使用されたベクターに対する結果(U/mLでのSEAP発現)を示す棒グラフである。
図2は、右端に単一の結合モチーフを含有する減少した量のベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞中での正規化されたSEAP発現(培地1mLあたりのU)を示すグラフである。結合モチーフは、ヒトテロメアグアニン四重鎖モチーフであった。0.4μgのキャップ付末端を有するベクターに、0.5μgの競合ベクター(SEAPなし)を添加した。グラフは、使用されたベクターに対する結果(U/mLでのSEAP発現)を示す棒グラフである。
図3は、右端に単一の結合モチーフを含有する減少した量のベクターをトランスフェクトされたHEK293細胞中での正規化されたSEAP発現(培地1mLあたりのU)を示すグラフである。結合モチーフは、ヒトテロメアグアニン四重鎖モチーフであった。0.2μgの結合モチーフを有するベクターに、0.7μgの競合ベクター(SEAPなし)を添加した。グラフは、使用されたベクターに対する結果(U/mLでのSEAP発現)を示す棒グラフである。
図4は、右手端に単一の結合モチーフを含有する減少した量のベクターをトランスフェクトされたHepG2細胞中でのSEAP発現(培地1mLあたりのU)を描写するグラフである。結合モチーフは、ヒトテロメアグアニン四重鎖モチーフであった。0.4μgの結合モチーフを有するベクター、0.5μgの競合ベクター(SEAPなし)を使用した。グラフは、使用されたベクターに対する結果(U/mLでのSEAP発現)を示す棒グラフである。
図5:ベクターが全て共有結合的に閉じられている本発明のベクターの種々の実施形態を描写する。一番上には、左端と右端との両方にグアニン四重鎖を有するベクターが示される。2番目のベクターは、左端にアプタマーおよび右端に異なるアプタマーを含む。3番目の構造は、一方の末端にグアニン四重鎖および他方にアプタマーを含む。4番目の構造は、各末端にステムループを含み、ループはDNAの一本鎖であり、ステム構造によって一緒に保持される。全て、DNAの二重鎖部分および構造モチーフから形成される少なくとも1つのキャップ付末端を含み、ベクターを所望のように標的化するか、または指向性を持たせることができるような結合モチーフを含む。
図6:ベクターが共有結合的に閉じておらず、1つまたは複数のニックもしくはギャップを含む本発明の種々の実施形態を描写する。全ての例が、線状の二重鎖部分およびまた、キャップ付末端を示す。ここで示される全ての例示的ベクターは、左端および右端にグアニン四重鎖を含む。ニック(単純な骨格切断)またはギャップ(そうでなければ二重鎖部分中の単鎖の1つもしくは複数のヌクレオチド)が、描写されるように、二重鎖のいずれかの末端(右もしくは左)で、または二重鎖の両端(右および左)で二重鎖中に存在してもよい。
図7A:本出願の実施例で使用される例示的なベクターを描写する。一番上のベクターは、複数のストレプトアビジンアプタマーを含む一方の末端にキャップを含むが、他方のキャップが単純なステムループ(ループ中のGAA)である、二重鎖線状ベクターであるベクターの単純化された描写である。この例におけるベクターは、共有結合的に閉じられている。また、プロモーター(EF1α)、遺伝子(SEAP)およびポリAシグナル(SV40)を含む、ベクター中に存在する発現カセットも示される。この例では、ベクターは、結合モチーフとしての単一のアプタマー(このアプタマーはストレプトアビジンに結合する)を含むキャップ付末端、または4つのストレプトアビジンアプタマーを含むキャップ付末端を含む。図7Bは、未結合のベクターを洗浄除去する前に2.5時間にわたってベクターをストレプトアビジン被覆プレートに曝露する、実施例において使用される実験プロトコールの一部を描写する。アプタマーを含まないベクターを、対照として使用する。次いで、挿入フルオロフォアを使用して、検出のためのプレートに結合したベクターに結合させる。
図8:これは、3つのベクターを使用する、図7Bに示された結合実験のグラフである。これらのベクターは、対照(アプタマーなし)、単一のアプタマー、および4つのアプタマーを含むキャップ付末端である。4つのストレプトアビジンアプタマーを含むベクターが結合する改善された能力が示されるが、良好な結合の結果は、単一のアプタマーについても得られる。対照(アプタマーなし)は、特異的結合を示さず、洗浄除去される。グラフは、RFU(相対蛍光単位)で示される結合したDNAに対するnMで示されるベクターの濃度のプロットである。
図9:これは、実施例において作製および試験されたベクターのために用いられる様々な代替的なキャップ付末端を描写する。使用される様々なキャップ付末端は、ステムループ、アプタマー、グアニン四重鎖および多重アプタマーである。この例では、全てのキャップ付末端が、ベクターの右端(遺伝子のセンス配列に関して見た場合)に含まれていたが、当業者であれば、いずれかの「末端」(左または右)が結合モチーフを含んでもよいことを理解できるであろう。
図10:本明細書に記載の方法の一実施形態を描写する。示されるのは、二本鎖鋳型分子(1)である。三角形は、二本鎖鋳型にニックを入れ、したがって、鋳型の一方の鎖のみの増幅を開始させることができる好適なニッキング部位を示す。プロセシングモチーフ(101)および構造モチーフ(103)をコードする配列が示される。この場合、構造モチーフは、以下の3成分2配列(3 components two sequence)を含む:構造ステムを形成する2つの配列(105および106)ならびに結合モチーフを形成する中央配列(107)。一本鎖形態(2)になったら、プロセシングモチーフ(201)が形成され、エンドヌクレアーゼ(202)などの適切な酵素を使用してプロセシングすることができる。構造モチーフ(203)は、この例では、(205)と(206)との間で形成されるステムであり、グアニン四重鎖(207)が介在する構造を形成するのを可能にすることがわかる。プロセシング(3)後、分子をポリメラーゼと接触させて、二重鎖(210)を埋めることができ、(4)に示されるように、開いたままにしてもよい(ニック(211)が示される)か、または(5)に示されるように、ライゲーションによって共有結合的に閉じてもよい(213)。明確性を補助するために、一方の末端のみを一時に標識したが、標識を他方の末端に同等に適用してもよい。
図11は、実施例5で使用される鋳型がニッキング部位、コンフォメーションモチーフに隣接するプロセシングモチーフ、目的の配列、第2のプロセシングモチーフに隣接する第2のコンフォメーションモチーフ、および目的の配列と類似するサイズの骨格を含むことの描写である。dsDNAのみを切断する、追加のエンドヌクレアーゼ標的部位が骨格中に存在する。
図12は、第2鎖合成およびライゲーションによる実施例5におけるベクターの産生を示すSafeViewで染色した0.8%アガロースゲルを示す。レーン1および9は、Thermo Scientific Gene Ruler 1kb Plus DNAラダーである。レーン2は全ての酵素を欠く;レーン3はT4 DNAリガーゼを含む;レーン4はT4 DNAリガーゼおよびT5エキソヌクレアーゼクリーンアップステップを含む;レーン5はT4 DNAポリメラーゼを含む;レーン6はT4 DNAポリメラーゼおよびT5エキソヌクレアーゼクリーンアップステップを含む;レーン7はT4ポリメラーゼとT4リガーゼとの両方を含む;レーン8はT4ポリメラーゼとT4リガーゼとの両方およびT5エキソヌクレアーゼステップを含む。
図13は、実施例6に記載されるように、単一の末端に複数の構造化末端モチーフを含有するリポーターDNAをトランスフェクトされたHEK293細胞中での正規化されたSEAP発現(培地1mlあたりのU)を描写するグラフを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、所望の細胞位置を標的化し、自身をそこに送達することができるベクターの提供の必要性を満たす。かくして、ベクターはその所望の位置に到達するために追加の支援を必要としないため、標的化をもたらすものとして記載することができる。所望の位置は、組織型、細胞型、および/または細胞内の位置であってもよい。所望の位置は、細菌または真菌などの病原体の特定の株であってもよい。前記細胞は、in vivoまたはex vivoまたはin vitroにあってもよい。ベクターは、ベクター内、とりわけ、構造モチーフ内に含まれる結合モチーフの存在に起因して標的化することができる。1つまたは複数の結合モチーフが含まれるのが好ましい。結合モチーフは、二重鎖または線状部分よりも、キャップ付末端中に存在するのが好ましい。実験により、本発明者らは、複数の結合モチーフの含有がさらに改善された標的化を可能にすることを証明した。ベクターを、両端でキャップされている二重鎖核酸の部分を含むものとして記載することができる。二重鎖を線状部分として記載することができる。キャップは、同じか、または異なってもよい。キャップは、開いた末端であるか、または閉じていてもよい。少なくとも1つのキャップが、構造モチーフを含む。前記構造モチーフは、ある構造をとることができる。構造モチーフは、1つまたは複数の結合モチーフを含む。結合モチーフは一緒になって構造モチーフを形成するか、または構造モチーフは1つもしくは複数の結合モチーフの構造を支持することができる。ベクターは、同一のキャップ付末端を有するか、またはそれぞれの末端は異なっていてもよい。標的化のための結合モチーフを含むために必要とされる末端はただ1つである。他の末端は、低分子の輸送などの他の機能のための結合モチーフを含んでもよい。したがって、ベクターは、非対称性であってもよい。
ベクターは、それが結合モチーフを介する特異的結合によって所望の細胞標的に送達されるように設計される。ベクターは、DNA損傷修復経路の開始が、これが望ましい場合、ベクターからの発現を減少させ得るため、DNA修復酵素を動員することが知られる配列および構造が回避されるように設計される。そのような構造は、好ましくは排除されるウイルスITRを含んでもよい。
ベクター
本発明は、核酸ベクター、好ましくは、DNAベクターに関する。核酸ベクターは、遺伝物質を細胞に運搬するためのビヒクルと定義することができ、そこでそれを複製および/または発現させることができる。遺伝情報を細胞に移動させるベクターの目的は、典型的には、標的細胞中で挿入物を単離する、複製する、または発現させることである。ベクターを、RNAへの転写および/またはタンパク質発現のために設計することができる。標的細胞中での導入遺伝子またはその断片の発現のために特異的に設計されたベクターは、遺伝子またはその断片の発現を駆動するプロモーター配列を有してもよい。本発明によるベクターは、任意の好適な型のベクターであってよく、細胞内で任意の型のRNAまたはタンパク質の発現をもたらすことができる。ベクターは、細胞中で、遺伝子またはその断片中にコードされた情報の、タンパク質またはRNA構造への翻訳を可能にする。発現される遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写された後、タンパク質に翻訳される遺伝子、ならびに転移RNAおよびリボソームRNAなどのRNAに転写されるが、タンパク質に翻訳されない遺伝子を含む。ベクターは発現ベクターであるのが好ましい場合がある。発現ベクターは、遺伝子またはその断片を含んでもよく、遺伝子は導入遺伝子、すなわち、それが導入される細胞中にまだ存在しない遺伝子であってもよい。遺伝子は、タンパク質またはRNA実体をコードしてもよい。
発現ベクターは、遺伝子またはその断片の転写、次いで、産生されるmRNAの翻訳によって細胞内でタンパク質を産生することができる。異なる生物における発現は、タンパク質の産生を可能にするために異なる要件をもたらすが、エレメントの多くは類似している。一般に、必要とされるエレメントは、転写の開始のためのプロモーター、および終結シグナルであってもよい。発現カセットが含まれていてもよい。真核細胞中での発現のためには、発現カセットは、1つもしくは複数のプロモーターまたはエンハンサーエレメントおよび遺伝子、遺伝子の断片、または目的のmRNAもしくはタンパク質をコードする他のコード配列を含む。発現カセットは、目的のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結された真核プロモーター、および任意選択で、エンハンサーおよび/または真核転写終結配列からなってもよい。真核系のための目的の遺伝子またはコード配列の例は、抗原性実体のためのコード配列を含んでもよく、したがって、ベクターは核酸ワクチンであってもよい。原核発現ベクターについては、ベクターは、原核プロモーターおよび終結配列を含んでもよい。任意の発現ベクターまたは発現カセット中のプロモーターは、誘導性であってもよく、これは、誘導因子の導入によって要求される場合にのみ、発現が開始されることを意味する。
タンパク質を産生せずにRNAを産生するように設計された発現ベクターは、遺伝子またはその断片の転写を駆動するための好適なプロモーターを含んでもよい。遺伝子またはその断片は、任意の好適なRNA分子、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ガイドRNA(gRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、長鎖非コードRNA(lncRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)をコードしてもよい。あるいは、RNAは、リボザイムまたはアプタマーを形成することができる。
ベクターは無細胞プロセスにおいて酵素的に作製されるなど、人工的に合成されるのが好ましいため、発現のために任意の遺伝子またはその断片を設計することが可能である。したがって、それは細胞傷害性であってもよく、その遺伝子配列は細菌などにおいて増殖することが困難である。
したがって、遺伝子、またはその断片は、細胞内でRNAまたはタンパク質産物をコードする。遺伝子断片は、エクソンのみを含有する遺伝子の一片に関してもよい(遺伝子のこれらの部分は実際にタンパク質配列をコードする)。あるいは、遺伝子断片は、タンパク質全体そのものよりも、より大きいタンパク質の単量体またはサブユニットをコードしてもよい。遺伝子断片は、核酸ワクチンの生産、例えば、細胞中での発現のためのウイルスに由来する抗原性タンパク質の一部の含有に関連してもよい。そのような環境では、細胞中で全タンパク質を産生させることは望ましくない場合がある。したがって、断片は、これが細胞中での発現にとって適切である場合、遺伝子の小片であってもよい。例は、免疫応答を誘導するためのウイルスのスパイクタンパク質の一部である。
ベクターは、好ましくは、DNA(デオキシリボ核酸)ベクターである。ベクターは、ハイブリッドベクターであってもよく、これは、異なる型のヌクレオチドがベクター中に組み込まれることを意味し、本明細書で考察される合成方法を使用して可能となる。ハイブリッドベクターでは、二重鎖部分はDNAであるが、キャップ付末端はRNA(リボ核酸)または修飾ヌクレオチドの使用などの別の型の核酸であってもよい。あるいは、二重鎖の部分が、RNAまたは修飾ヌクレオチドであってもよい。ベクターは、80%以上がDNA、85、90、または95%のDNAであってもよい。
ベクターは実質的に純粋な核酸である、例えば、ベクターは少なくとも95%が核酸であるのが好ましい。ベクターは、95、96、97、98、99または100%が核酸であってもよい。任意選択で、ベクターは、実質的に純粋なDNAであり、例えば、ベクターは少なくとも95%がDNAである。ベクターは、95、96、97、98、99または100%がDNAであってもよい。ベクターは、ベクターの5%未満がタンパク質またはペプチドであるように、実質的にタンパク質またはペプチドを含まないのが好ましい場合がある。任意選択で、ベクターは、4、3、2、または1%未満がペプチドまたはタンパク質である。ベクターはNLSなどのペプチド標的化配列を含まないのが好ましい。本明細書で使用される場合、パーセンテージは、ベクター自体の重量によるパーセンテージを指す。結合部位を使用して、分子を治療剤として運搬されるベクターに結合することができ、そのため、分子はベクターの材料でも、標的化機構でもないことが理解されるであろう。
ベクターは、DNAまたはRNAなどの天然核酸分子であってもよい。ベクターはDNAであるのが好ましい。ベクターはまた、非天然核酸分子を含んでもよい。非天然核酸分子または異種核酸(XNA)の例としては、1,5-アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)およびFANAが挙げられる。ハチモジDNAは、天然核酸であるDNAおよびRNA中に存在する4/5種に加えて、4種の合成ヌクレオチドを使用する合成核酸アナログである。酵素は、合成核酸分子を認識するために操作、突然変異または開発されてきた。したがって、本発明の方法および生成物は、これらのアナログ、または合成核酸と天然核酸とのハイブリッドおよびそのキメラにも同等に適用される。
ベクターは、図5および図6を含むいくつかの図面に描写されている。DNAベクターを描く場合、線状二重鎖の「上側の鎖」を「センス鎖」として正しい向き(末端が開いていた場合、5’-3’の向きである)に配置することが慣例である。そのような慣例は、本明細書に含まれる図面を通して完遂された。明確性のため、ベクターのキャップ付末端は、分子が実際に共有結合的に閉じており、いかなる末端ヌクレオチドも有しない場合、末端に遊離ヌクレオチドが存在することを暗示する5’および3’よりもむしろ、そのような慣例に従って描写される場合、「左」および「右」と指定することができる。構造モチーフは、左端および/または右端のいずれかに存在してもよい。
ベクターは、in vitroで酵素的に、無細胞様式で産生され得る、合成DNA構造である。この合成DNAは、de novoで製造することができ、染色体などの天然ゲノム構造を編集することによっては生産されない。ベクターは、セントロメア配列またはセントロメアとして作用する配列を含まない。ベクターは、人工ヒト染色体ではない。
ベクターは、任意の好適なサイズであってよく、任意選択で、5Mb未満のサイズ、例えば、0.1KB~5Mbの任意のサイズ、例えば、最大1Mb、最大2Mb、最大3Mb、最大4Mbまたは最大5Mbであってもよい。遺伝子配列の送達のために、ベクターは、0.1Kb~1Mbの任意の好適なサイズ、任意選択で、0.1Kb~0.75Mb、任意選択で、0.1Kb~0.5Mb、任意選択で、0.1Kb~0.25Mb(250Kb)であってもよい。最小サイズは、二重鎖配列の長さに依存するであろうが、0.1Kb、0.2Kb、0.3Kb、0.4Kbまたは0.5Kbの規模であってもよい。これらの間の任意の中間サイズも可能である。
二重鎖
ベクターは、二重鎖部分または「二重鎖」を含んでもよい。二重鎖部分を線状部分として記載することもできる。二重鎖は、DNAまたはDNAとRNAとのハイブリッドのいずれかの相補的ポリヌクレオチド鎖を有する分子の部分である。当業者であれば、2つの相補的ポリヌクレオチド鎖(分子間)または同じポリヌクレオチド鎖の2つの相補的部分(分子内)から二重鎖を形成させることができることを理解できるであろう。本発明の二重鎖は、任意の好適な長さのものであってよい。二重鎖を、2つの鎖または1つの鎖によって形成させることができる。二重鎖は、純粋なDNAまたはRNAとのハイブリッドであってもよい。本明細書に記載の方法は、RNAおよびDNAを用いた二重鎖の生産を可能にする。
遺伝子またはその断片は二重鎖部分内に含まれるのが好ましい。かくして、プロモーターおよび任意選択で、終結配列を含む、発現カセット全体が二重鎖中に存在してもよい。プロモーターは、遺伝子またはその断片に作動可能に連結されていてもよい。
ベクターを人工的に作製することができるため、選択のためのマーカーなどの外来配列を含ませるための要件はない。ベクターが細胞環境中で増殖される場合には、抗生物質耐性遺伝子などの、そのようなものが必要である。
二重鎖部分は、平滑の開いた末端を有せず、そのため、平行な末端ヌクレオチド残基、つまり、それぞれの相補鎖の3’および5’末端(自己相補性を有する一方の鎖であってもよい)を有しない。両端で、二重鎖の少なくとも一方は他方の鎖を超えて伸長し、突出部となる。この突出部は、キャップ付末端を形成することができる。突出部は、継続し、二重鎖の反対側の鎖に接続することができる(閉じた末端)。
二重鎖は任意の好適な長さのものであってよく、一部のヒト遺伝子は数キロベースの長さであるため、それが担持する配列に依存するであろう。ベクターは、プラスミドの有効な代替物であり、最大で100,000塩基対の挿入物を担持することができる。かくして、二重鎖部分は、最大で100,000塩基対、50,000塩基対または25,000塩基対の長さであってもよい。
本明細書に記載されるような標的化および送達のための結合モチーフは、好ましくは二重鎖部分には含まれない;それらはその代わりに、分子の末端の構造モチーフ内に存在する。これは、ベクターのペイロードがいかなる構造からの干渉もなく適切に送達されることを確保するためである。
二重鎖は、遺伝子、導入遺伝子、活性RNAのためのコード配列、遺伝子編集のためのドナー配列などを含む、それが細胞に送達されることが望まれる任意の適切な配列(「ペイロード」)を含有してもよい。
二重鎖は、標的細胞内での核酸の活性を増加させる、プロモーター、エンハンサー、終結配列、ポリAシグナル配列などの適切な配列を含有してもよい。そのようなものは、当業者の権限の範囲内にある。
キャップ付末端
二重鎖のそれぞれの末端はキャップされている。キャップ付末端または「キャップ」は、特に、エキソヌクレアーゼによる細胞内での分解から、二重鎖の末端を保護するために役立つ。本明細書で使用される場合、二重鎖のキャップ付末端は、分子内水素結合を使用して一緒に保持され得る構造をとってもよい。かくして、二重鎖の少なくとも一方の鎖は他方の鎖の末端を超えて続き、キャップを形成し、細胞中での分解から二重鎖を保護するのに役立つ。したがって、二重鎖は、遊離5’および3’末端を有する平滑末端ではない。キャップ付末端は他方よりも長い二重鎖の一方から形成され、この単一の延長された鎖は構造中に折り畳まれ、末端を「キャップ」し、エキソヌクレアーゼなどの進入を立体的に防止するのに役立つなどのために、好ましくは、二重鎖の他方の鎖の末端ヌクレオチドの近くでアニーリングすると考えられる。それは閉じた末端中の他方の鎖と連続し、したがって、共有結合的に閉じた末端を提供してもよい。
キャップ付末端は、閉じた末端であってもよく、これは、二重鎖のそれぞれの末端がキャップに共有結合的に結合していることを意味する。あるいは、キャップと二重鎖とは、連続する鎖である。
キャップ付末端は、開いた末端であってもよく、これは、二重鎖の一方の末端のみがキャップに共有結合的に結合していることを意味する。あるいは、二重鎖の一方の鎖のみがキャップ中で続くが、キャップの末端ヌクレオチドと、二重鎖の反対側の鎖の末端ヌクレオチドとの間にギャップが存在する。この状況では、末端ヌクレオチドは、ベクターを安定化し、細胞内での即時の分解を防止するために、ベクター内で保護され得る。
二重鎖の1つのキャップ付末端は単純なキャップであってもよく、例えば、それは1つまたは複数のヘアピン(連続的)またはニックヘアピン(ギャップを有する)であってもよい。あるいは、一方の末端は、ステムループ(一本鎖核酸のループを有する二重鎖)、ループ(一本鎖核酸のループ)、2つのヘアピンから形成されるT型、バルジまたはそれに類するものなどの、いくつかの単純なコンフォメーションをとってもよい。しかしながら、キャップ付末端は、複数のステムループ(星型を形成する)、複数のヘアピン、クロスアーム、十字形、シュードノット、グアニン四重鎖またはi-モチーフなどの、ギャップ内のより複雑な構造を含んでもよい。そのようなものは、ヒト染色体の末端でキャップとして使用される。この単純な、またはより複雑なキャップは、開いていても、または閉じていてもよい。キャップが開いている場合、以下でさらに考察されるように、末端ヌクレオチドを、キャップおよび/または二重鎖内で保護することができる。
所望の位置に送達することができる標的化ベクターであるためには、少なくとも1つのキャップは構造モチーフを含む。両方のキャップが構造モチーフを含んでもよく、それぞれ独立に設計することができる。構造モチーフは、望ましい構造がキャップ中で形成されるのを可能にする配列である。そのような構造を、生理的条件またはベクターが使用される環境(例えば、細菌細胞培養物)などの関連する条件下で構造が形成されるように設計することができる。構造モチーフは、ベクターを安定化するように、例えば、それが分解に対してより抵抗性となるように作用してもよい。遺伝子またはその断片が、変化することなく、所望の標的に無傷のまま到達することを確保するためには、安定なベクターが望ましい。構造モチーフは、その環境のイオン強度および/またはpHに応じて、ある特定の条件下でのみ、ある構造を形成することができる。ベクターが細胞条件などの特定のセットの条件下でのみ特定の構造を形成するように設計される場合、構造モチーフを含有するキャップ付末端は閉じた末端であり、したがって、他の条件下で二重鎖の末端間で一本鎖ループを単に形成することができることが好ましい場合がある。
閉じたキャップ付末端とは、保護を必要とする末端ヌクレオチドが存在しないことを意味する。閉じた末端は、二重鎖の両端と連続的である。キャップ付末端の少なくとも一方が閉じているか、または両方のキャップ付末端が閉じていることが好ましい場合がある。
キャップ付末端が開いている場合、末端ヌクレオチドは即時の分解を防止するために保護されるのが好ましい。
キャップ付末端は、任意の好適な長さのポリヌクレオチドの部分を含んでもよい。キャップ付末端の長さは、キャップ付末端の複雑性に依存するであろう。それが単純なヘアピンである場合、二重鎖の末端でヘアピンを形成するために必要とされる最小量の配列が存在する。しかしながら、複数のアプタマーまたはグアニン四重鎖などの、より複雑な構造については、キャップ付末端は、最大800塩基、または最大700塩基、最大600塩基もしくは最大500塩基の長さなどの数百塩基の長さであってもよい。
開いたキャップ付末端
本発明のベクターは、ポリヌクレオチド/ベクターが連続的ではないような、「開いた」1つまたは2つのキャップ付末端を有してもよい。開いたキャップ付末端が存在する場合、ニック/ギャップのそれぞれの側に、遊離末端ヌクレオチド(5’および3’末端ヌクレオチド)が存在する。ニックは、骨格が不完全である2つの隣接するヌクレオチドの間に見出され、それらが連結されないようにする。ギャップは、末端残基間に1つまたは複数の失われているヌクレオチドがある場合、任意選択で、末端ヌクレオチドが多くのヌクレオチド分、離れている場合に存在する。このニックまたはギャップは、キャップの箇所に、またはその近くに存在し、二重鎖部分には存在しない。
キャップ付末端が開いている場合、末端ヌクレオチド残基は、その末端に存在する場合、構造モチーフを含む、ベクターの別の部分に分子内水素結合しているのが好ましい。かくして、例えば、キャップ付末端の末端ヌクレオチド(3’または5’のいずれか)は、キャップ付末端中の別の残基と塩基対合してもよく、二重鎖の末端残基(5’または3’)は二重鎖内で塩基対合する。一態様では、末端ヌクレオチドは、構築物中の他のヌクレオチドと塩基対を形成する。効果的に、ベクターは、エキソヌクレアーゼが分解するために利用可能な末端ヌクレオチドを有する遊離の一本鎖の核酸が存在しないことを確保する。
しかしながら、1つまたは複数の末端残基は、水素結合を含まないか、またはより具体的には、塩基対合しなくてもよい。この例では、キャップ付末端は、末端ヌクレオチドを包囲する、取り巻く、または取り囲むことによって末端ヌクレオチドを保護し、それが構築物中の隣接するヌクレオチドから末端ヌクレオチドを切断する(次いで、隣接するヌクレオチドなどを切断する)一本鎖ヌクレアーゼを含まないようにする。換言すれば、末端は、より大きな実体がそれに到達することができないため、分解から立体的に保護される。例として、末端ヌクレオチドを、四重鎖モチーフ内で保護することができる。
さらなる態様では、それぞれの末端を、少なくとも末端残基を含む二重鎖の形成によって保護することができる。二重鎖は、ヌクレオチド配列間の塩基対合によって形成される。これらの配列は、隣接していても(ヘアピン)、または分離していてもよい(ステムループなど)。
残基は、ヌクレオチドなどの、核酸ポリマーを構成する単一ユニットを指す。末端残基は、3’または5’末端のいずれかのヌクレオチド鎖の末端にある残基である。
末端は、四重鎖などのコンフォメーション/構造内で保護され得る。
四重鎖は、染色体のテロメア末端の構造中に含まれ得る四重(4鎖)構造である。基礎となるパターンは、フーグスティーン水素結合および中央カチオンへの配位によって安定化される、テトラド、すなわち、4個の残基の平面配置である。四重鎖は、複数のテトラドのスタッキングによって形成される。配列がこれらの配置に最初にフォールディングする方法に応じて、多くの異なるトポロジーが形成され得る。四重鎖構造は、カチオン、特に、カリウムの存在によってさらに安定化され得る。四重鎖は、DNA、RNA、LNA、およびPNA中で可能であることが示されており、分子内であってもよい。
例示的な四重鎖としては、Gに富む配列から形成されるグアニン四重鎖およびシトシンに富む配列によって形成されるi-モチーフ(挿入モチーフ)が挙げられる。
したがって、一態様では、末端ヌクレオチドは、四重鎖、任意選択で、グアニン四重鎖またはi-モチーフ内で保護される。

構造モチーフ
構造モチーフは、それが核酸の一本鎖から形成されるように設計される。構造モチーフは、それがある構造を形成するのを可能にする配列を有し、この構造は、好ましくは、DNAの一本鎖から形成される二次構造である。この構造は伸長してキャップ付末端を形成する二重鎖の一方の鎖であるため、それは核酸のフォールディングされた一本鎖と記載することができる。閉じた末端の構成では、この一本鎖は、その後、二重鎖の反対の相補鎖を形成する。かくして、アンフォールディングされた構成にある場合、閉じた末端は、二重鎖の末端の間でループを形成する核酸の一本鎖である。貯蔵条件などのある特定の条件下では、構造モチーフは単に一本鎖のループとして存在することが可能であってよい。次いで、構造は、生理的条件などの、使用にとって適切な条件下で再形成することができる。
モチーフが形成する構造を、互いに相互作用する核酸の塩基によって達成することができる。構造は、モチーフを構造内に保持するために分子内水素結合を含んでもよい。その構造を適所に保持する好適な相互作用および結合は、本明細書でさらに記載される。
構造モチーフは、任意の好適な構造またはコンフォメーションを形成してもよい。核酸の一本鎖に基づいて、多くの構造が可能である。そのようなものとしては、ヘアピン、ステム、ステムループ、ループ、バルジ、T型(ヘアピン対)および十字形が挙げられる。三重鎖(分子内であってもよい、核酸の三本鎖)、G三重鎖、四重鎖、i-モチーフ、シュードノットまたはそのいずれかの組合せなどの、より複雑な構造を達成することもできる。
一本鎖内に相補的配列の適切な領域を含有させることによって、構造モチーフを設計することが可能である。相補性は、本明細書で定義される。
配列および他の条件に応じて、核酸は、生物学的有意性を有すると考えられる様々な構造モチーフを形成することができる。
ヘアピンは、通常、反対方向に読んだ時にヌクレオチド配列において相補的である、同じ鎖の2つの領域が塩基対合して、二重鎖を形成する場合に形成される。パリンドロームヌクレオチド配列は、ヘアピンを形成することができる。ヘアピンは全体として相補的であってよいが、立体障害のため、ヘアピンの先端のいくつかの塩基対は非対であってもよい。ヘアピンは、その先端に非相補的配列のいくつかの塩基を含んでもよい。
ステムループ分子内塩基対合は、一本鎖核酸において生じ得るパターンである。その構造はヘアピンループとしても知られる。それは、通常、反対方向に読んだ時にヌクレオチド配列において相補的である、同じ鎖の2つの領域が、塩基対合して、非対一本鎖ループで終わる二重らせんを形成する場合に生じる。
シュードノットは、一方のステムの半分が別のステムの2等分の間に挿入される少なくとも2つのステムループ構造を含有する核酸二次構造である。
十字形核酸は、十字形の形状のステム、分岐点およびループからなる構造を形成するために、逆方向反復の少なくとも6ヌクレオチドの配列を必要とする構造である。
グアニン四重鎖二次構造(G4)は、グアニンに富む配列によって核酸中で形成される。それらはらせんの形状であり、1つまたは複数の鎖から形成され得るグアニンテトラドを含有する。i-モチーフは、グアニン四重鎖構造と同様、シトシンに富むDNAによって形成される四本鎖の四重鎖構造である。Cに富むDNA領域は、ヒトゲノムの遺伝子調節部分において一般的である。
i-モチーフ(挿入モチーフDNA)は、グアニン四重鎖構造を同様、シトシンに富む四本鎖の四重鎖DNA構造である。
三重鎖DNA(H-DNAまたは三本鎖DNAとしても知られる)は、3つのオリゴヌクレオチドが互いに巻き付き、三重らせんを形成するDNA構造である。三本鎖DNAでは、第3鎖は、フーグスティーン塩基対または逆フーグスティーン水素結合を形成することによって、B型DNA(ワトソン・クリック塩基対合による)二重らせんに結合する。
したがって、この構造モチーフは、ヌクレオチドが非カノニカル構造を形成するのを可能にする。この構造は、結合モチーフを提供する、構造モチーフの機能の文脈において重要である。結合モチーフは、様々な部分の間の混乱を防止する「コンフォメーション」を有すると説明されるが、コンフォメーション、構造、二次構造、三次構造、構成または幾何といった用語は全て互換的に使用することができる。確認のため、二重らせんまたはB-DNAは、カノニカルなワトソン・クリック塩基対を有するDNA構造である。
構造モチーフは、分子内水素結合を形成することができる配列を含む。これらの水素結合は、任意の種類の塩基対、または四本鎖/四重鎖などの構造において見られるフーグスティーン型水素結合であってもよい。
とりわけ、構造モチーフは、配列の別の部分と塩基対を形成することができる配列の1つまたは複数の部分を含む配列であってもよい。
したがって、構造モチーフは単に、「相補的」であり、塩基対を形成して、逆平行の、または実際に平行の二重鎖を形成する配列の2つの部分を含んでもよい。この二重鎖は、鎖の末端残基(すなわち、3’または5’末端)を含んでも、含まなくてもよい。この例では、構造モチーフは、ヘアピン(2つの部分が連続する)またはステムループ(2つの部分が一本鎖核酸を遊離させるスペーサー配列によって隔てられている場合)を形成してもよい。そのような構造は、構造モチーフ中に逆方向反復配列を含有させることによって達成することができることが理解されるであろう。パリンドローム配列は、ある部分で5’から3’まで前方に読んだものが、それと二重鎖を形成する相補的部分で5’から3’まで前方に読んだ配列と一致する、二本鎖核酸配列の部分である。
したがって、構造モチーフは、ヘアピン、ステムループ、またはシュードノットのうちの1つまたは複数の形成にとって必要な配列を含んでもよい。これらのコンフォメーションは全て、共通して、二重鎖を形成することができる配列の2つの部分を有する。代替的な構造は、二重鎖を形成することができる配列の部分も含む、ラリアートまたはラッソを含む。
構造モチーフは、三重鎖であってもよい。そのような場合、3つのオリゴヌクレオチドが互いに巻き付き、三重らせんを形成する。三本鎖DNAでは、第3鎖は、フーグスティーン塩基対または逆フーグスティーン水素結合を形成することによって、B型DNA(ワトソン・クリック塩基対合による)二重らせんに結合する。三重鎖DNAは、H-DNAとも呼ばれる。それは、3つの部分が適切な配列を有する場合に分子内で形成され得る。一部の例では、三重鎖を、ベクター内の二重鎖を使用して形成させることができ、オリゴヌクレオチドを形成する追加の三重鎖が付加され、かくして、三重鎖は分子間である。三重鎖は、DNA鎖とRNA鎖とのハイブリッドであってもよい。
構造モチーフは、異なるコンフォメーションまたは構造のハイブリッドであってもよい。
鎖の配列、長さおよび向きに基づく構造の形成のためには、それらの条件と共に、ある特定の必要条件が存在する。核酸の水和ならびに様々なイオンおよび/またはリガンドの存在も、核酸の構造に影響し得る。例えば、より酸性のpHでは、i-モチーフが形成される可能性がより高いが、アルカリ性のpHまたは中性では、それは一本鎖であり得る。四重鎖モチーフは、より低い塩濃度では、より単純なヘアピン構造を形成し得るが、生理的pHでカリウムイオン中にある場合には、それらはグアニン四重鎖形式を採るであろう。
構造の形成のための配列要件の一部は、以下の表1中の一部の例示的配列と共に詳述される:
Figure 2023542347000001
構造モチーフは、キャップ付末端の形成を可能にする配列を効果的に提供する。かくして、それは最大800ヌクレオチドの長さ、最大700、最大600または最大500ヌクレオチドの長さであってもよい。最小構造モチーフは、好ましくは、少なくとも5ヌクレオチド長の結合モチーフの最小部分と一緒に、6塩基対のヘアピンが形成され得るような、約12ヌクレオチドを含んでもよい。
構造モチーフのための好適な配列を設計する場合、当業者であれば、相補的である構造モチーフおよび二重鎖において大きな配列を使用することは、特に、ベクターが一本鎖の出発分子から調製される場合、正確な向きでの二重鎖およびキャップ付末端の形成を妨げ得るので、これを避けるためにいくらかの注意を払う必要があることを理解するであろう。当業者であれば、配列の構造を、https://RNA.urmc.rochester.edu/RNAstructureWeb/Servers/Predict1/Predict1.htmlを含む、適切なソフトウェアを用いて調べることができることを知っているであろう。
構造モチーフは、少なくとも1つの結合モチーフを含む。本明細書に記載の異なる構造は、結合モチーフを形成する能力を有し得る。例えば、四重鎖は、ヌクレオリンのための結合モチーフであるGに富むループを含む構造モチーフである。
水素結合および塩基対合
水素結合は、分子の間またはそれらの中での、分子間または分子内の非共有型の結合である。これらの結合は、電気陰性原子(水素アクセプター)および同じ分子または異なる分子の別の電気陰性原子と共有的に結合する水素原子(水素ドナーは窒素、酸素、またはフッ素原子であってよいが、より弱い水素結合を他のドナーを用いて形成させることができる)から形成される。それらは最も強い種類の双極子-双極子相互作用である。水素結合は、DNA二重らせんにおける特異的塩基対形成を担い、DNA二重らせん構造の安定化要因である。
典型的には、ワトソン・クリック塩基対合において、水素結合は、ヌクレオチドの窒素含有塩基(核酸塩基)の間で形成する。DNAにおけるアデニン-チミン(A-T)、RNAにおけるアデニン-ウラシル(A-U)および両方におけるシトシン-グアニン(C-G)である、標準的な塩基対合において、水素結合が形成される。A-T/UおよびC-G対は、相補的塩基上のアミンおよびカルボニル基の間で二重または三重の水素結合を形成するように機能する。
揺らぎ塩基対は、標準的なワトソン・クリック塩基対規則には従わない、核酸分子中の、中でも注目すべきは、RNA中の、2つのヌクレオチド間の対合である。4つの主な揺らぎ塩基対は、グアニン-ウラシル(G-U)、ヒポキサンチン-ウラシル(I-U)、ヒポキサンチン-アデニン(I-A)、およびヒポキサンチン-シトシン(I-C)である。揺らぎ塩基対の熱力学的安定性は、ワトソン・クリック塩基対のものと同等である。揺らぎ塩基対は、RNA構造においては基本的である。
再度、水素結合によって一緒に保持される、核酸構造においては、代替的な、または非カノニカルな塩基対合も可能である。これらのものは、全体として、RNAにおいてより一般的であるが、DNAおよび他の核酸においても可能である。非カノニカルな塩基対合の一例は、フーグスティーンおよび逆フーグスティーン塩基対合である。これらの相互作用では、プリン塩基であるアデニンおよびグアニンはその正常な向きを反転させ、それらのパートナーとの新しいセットの水素結合を形成する。フーグスティーン水素結合は、本明細書でより詳細に考察されるi-モチーフおよびグアニン四重鎖などの四重鎖に存在することが示されている。
様々な塩基対合機構の組合せも想定され得る。例えば、カノニカルなB型DNA中のA-TおよびG-C塩基対において水素結合が形成される場合、核酸塩基中のいくつかの水素結合ドナーおよびアクセプター基が未使用のままである。それぞれのプリン塩基は、主溝中に露出している端部上に2つのそのような基を有する。三重鎖DNAは、二重鎖と第3のオリゴヌクレオチド鎖との間で分子間的に形成してもよい。第3鎖の塩基は、B型二重鎖中のプリンとフーグスティーン型水素結合を形成してもよい。
塩基対はまた、天然塩基と非天然塩基との間で、また、非天然塩基の対の間で形成してもよい。
分子内水素結合はまた、フーグスティーン水素結合によって安定化される、グアニン四重鎖のGテトラド中のグアニン残基の平面配置などの、古典的な塩基対合として定義されない相互作用であってもよい。これらの構造は、以下でさらに考察される。
さらに、核酸分子の安定化は、塩基スタッキング相互作用にも依拠し得る。パイ-パイスタッキング(π-πスタッキングとも呼ばれる)は、芳香環はパイ結合を含有するため、それらの間の誘引的な、非共有的相互作用を指す。これらの相互作用は、水素結合によって一緒にもたらされた、核酸分子内の核酸塩基スタッキングにおいて重要である。かくして、一本鎖核酸構築物は塩基スタッキング相互作用によってさらに安定化される可能性が高い。核酸を安定化する他の相互作用も可能であり、これらのものとしては、パイ-カチオン相互作用、ファンデルワールス相互作用および疎水性相互作用が挙げられる。
これらの相互作用および結合は全て、本発明による二重鎖部分の任意の型のキャップ付末端、単純な、もしくは複雑なキャップ付末端、または構造モチーフ中に存在してもよい。
2つのヌクレオチド配列がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズする場合、その2つの配列は実質的に相補的であると考えてよい。一部の実施形態では、2つのヌクレオチド配列が高ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズする場合、それらは実質的に相補的であると考えられる。
核酸ハイブリダイゼーションの文脈におけるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、配列依存的であり、異なる条件下では異なる。核酸のハイブリダイゼーションは、参照により本明細書に組み込まれるTijssen Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes part I chapter 2、Elsevier、New York(1993)に詳細に記載されている。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション温度および塩濃度によって決定される(高温および低塩はよりストリンジェントである)。完全に相補的ではない配列については、ストリンジェンシーは、不完全なハイブリッドを形成させるレベルにまで低下するはずである。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが低すぎる場合、多すぎる非特異的結合が生じ、望ましいベクターが形成または維持されず、そのような低ストリンジェンシー条件は、本発明の文脈では望ましくない。
一般的には、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、規定のイオン強度およびpHでの特定の配列に関する融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択される。
Tmは、標的配列の50%が完全に一致した配列にハイブリダイズする(相補的である)温度(規定のイオン強度およびpHの下で)である。特定のセットの相補的配列に関するTmに等しくなるように非常に高いストリンジェントな条件が選択される。
ハイブリダイゼーションのための好適な条件を使用することができ、例えば、PCRプライマーのアニーリングのための条件が適切であろう。ハイブリダイゼーションは、45~65℃、任意選択で、50~55℃の温度で行うことができる。
四重鎖
グアニン四重鎖の配列は多様であり、推定式:
(G3+1-n3+1-n3+1-n3+)(式中、Nはグアニンを含む任意のヌクレオチドである)によって定義することができる。グアニン間の残基数はループの長さを定義する。7ヌクレオチドより大きいループが見られた。グアニン四重鎖は、天然では非常に多形である。右手と左手の両方の四重鎖が天然において報告された。
四重鎖(あるいは、四本鎖と呼ばれる)は、例えば、中心イオンの周囲で複合体化し得る。いくつかのリガンド、低分子とタンパク質との両方が、四重鎖に結合することができる。これらのリガンドは、天然に存在するか、または合成のものであってよい。全ての特徴付けられたグアニン四重鎖結合タンパク質が、FMR1グアニン四重鎖結合タンパク質の以前に記載されたRGに富むドメイン(RRGDG RRRGG GGRGQ GGRGR GGGFKG - 配列番号2)と類似する、NIQI(Novel Interesting Quadruplex Interaction Motif)と呼ばれる20アミノ酸長のモチーフ/ドメイン(RGRGR GRGGG SGGSG GRGRG - 配列番号1)を共有することが見出された。カチオン性ポルフィリンは、グアニン四重鎖と挿入的に結合することが示されている。四重に積み重なった四重鎖と、それを一緒に保持する核酸のループとを一致させることが重要であり得る。π-π相互作用は、リガンド結合のための重要な決定因子であり得る。リガンドは、平行にフォールディングされた四重鎖に対するより高い親和性を有するべきである。他の構造モチーフに結合して、それらを安定化するリガンドも企図される。
i-モチーフ
二重鎖を形成する少なくとも2つの平行のシトシンに富む鎖が、「挿入モチーフ」の形成をもたらす逆平行の向きに挿入される。そのような構造は1、2、3または4つの鎖によって形成され、それぞれ、鎖の向き、配列の長さおよびC:C塩基対の数に関して異なるであろう。一般に、そのような構造は、酸性条件で安定化される。i-モチーフが生理的条件で機能することができるように、それらを安定化するために種々のリガンドが設計されている。
クロスアーム
クロスアーム構造は、逆方向反復を有する核酸によって形成され、鎖内塩基対合を含む。DNAでは、それは一般に、ATに富む領域に埋め込まれている。これらのアームは、鋭角で形成し得る。T型ヘアピンは、クロスアーム構造の一例である。
ヘアピン
逆方向反復(IR)またはパリンドロームを有する配列は、ヘアピンの形成をもたらす。ヘアピンは、配列が完全に相補的である場合であっても、末端/先端に非対塩基の小さいループを有してもよい。ヘアピンは、任意の好適な逆方向反復配列から構成されてもよい。
バブルまたはバルジ
そのような構造は、一方の鎖が一本鎖として突出する非対ヌクレオチドを含む二重鎖核酸において形成される。これは、二重鎖の一方の側または両方の側で起こり得る。これらのものは、転写バブル中に天然に存在する。
三重鎖DNA
三重鎖は、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン結合によって配列特異的様式でオリゴプリン-オリゴピリミジン二重鎖と第3の鎖との間で形成する。三重鎖は、純粋にDNA、純粋にRNAまたは2つのハイブリッドであってもよい。三重鎖構造の形成は、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成、pH、二価カチオンの存在および温度などのいくつかの因子に依存する。三重鎖は、ヒト細胞において検出されており、したがって、生理的条件下で形成するであろう。
結合モチーフ
構造モチーフは、1つまたは複数の結合モチーフを含む。結合モチーフは、ベクターの標的化を担う。結合モチーフは、ベクターと所望の標的との相互作用を可能にして、ベクターの所望の位置への送達を支援する。結合モチーフは構造モチーフ内に含まれるため、それはその構造の一部を形成する。かくして、結合モチーフは、構造モチーフ内であるコンフォメーションをとることができる。換言すれば、結合モチーフは、形状、形態、幾何または構成を有する。そのようなコンフォメーションは、結合モチーフの機能にとって重要である。モチーフの標的への結合を確保するためには、コンフォメーションのみで十分であり得る。
結合モチーフのコンフォメーションはモチーフの配列に依存するが、それは単に結合モチーフの活性を担う配列自体ではない。かくして、その効果は、送達中に自己相補的な核酸配列にハイブリダイズする核酸配列、または二重鎖DNA中に存在し得るコンセンサスDNA配列の認識に起因するものではない。
結合モチーフの特異性は、特定の残基の存在と、重要であるコンフォメーションとの組合せ、例えば、ヌクレオリンへの結合のための四重鎖ループ中のG残基に起因し得る。
かくして、結合モチーフの活性は、コンフォメーションのみ、またはコンフォメーションと、構造内の1つもしくは複数の残基の位置との組合せに起因し得る。四重鎖ループ中のG残基などの、これらの残基は、重要または特異的残基と記載することができる。
結合モチーフは、本明細書に記載のいずれか1つまたは複数の構造/コンフォメーションの任意の組合せを含んでもよい。例えば、トロンビンに結合するDNAアプタマーは、配列d(GGTTGGTGTGGTTGG)を有し、一方の末端で狭い溝に広がる2つのT-Tループおよび他方の末端で広い溝に広がるT-G-Tループによって接続された2つのグアニンカルテットから構成される、溶液中のフォールディングされた構造を形成することがわかった。Gカルテットは、Gテトラドとも呼ばれる平面正方形構造であり、これらの構造はグアニン四重鎖中で形成される。かくして、この特定のアプタマーは、カルテットおよびループを必要とする。
この構造は結合モチーフの機能にとって重要であるため、結合モチーフは構造モチーフ内に存在する。例えば、図10に見られるように、結合モチーフ(この例では、207)は、ステム構造(205および206)を形成する2つの配列間で適合する。かくして、この例では、構造モチーフ全体が、結合モチーフとステムとを含む。この例では、構造モチーフは、足場として作用する、結合モチーフに対する支持を提供し、また、キャップ付末端で安定性を提供する。構造モチーフは、ベクター中で結合モチーフを支持するために必要とされる残基数が最小となるように、実質的に、1つまたは複数の結合モチーフを含んでもよい。例えば、四重鎖は、前記結合モチーフを提供する前記四重鎖のループを有する構造モチーフを提供することができる。
結合モチーフのアレイが存在する場合、これらのそれぞれは、それぞれの結合モチーフが正確なコンフォメーションを形成するのを可能にするために、介在配列によって隔てられていてもよい。アレイの適切なフォールディングを確保するために、これらの介在配列は、ユニークな配列の分枝ステムを形成することができるか、またはそうでなければ、それぞれのモチーフの独立したフォールディングを強化し、アレイのフォールディングを単一のコンフォメーションへと制限するように設計することができる。
結合モチーフは、アプタマーであってもよい。アプタマーは、特定の標的分子に結合するオリゴヌクレオチドである。一般に、アプタマーは、独特の構造および潜在的な標的結合能力を有する。これらの特徴は、アプタマーを、ただ1つの機能性基が異なる標的間を識別することができる、高親和性(nM~pMの範囲)かつ特異的結合分子にする。アプタマーは、「核酸抗体」と呼ぶことができる。それらは、低分子およびタンパク質から全細胞または細菌までの規定の標的に結合することができる。がん細胞に結合することができるアプタマーが定義されている(参照により本明細書に組み込まれるTawiahら、Biomedicines 2017、5、51、5030051)。
アプタマーは通常、大きなランダム配列プールから反復的に選択することによって作出することができるが、天然のアプタマーも、例えばリボスイッチ中に存在する。核酸アプタマーは、それらの標的に対するin vitroでの選択または同様に、SELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的進化)によって生成される、所与の標的に対する抗体と同等の選択性を有する核酸種(抗体模倣体)である。これは、低分子から細胞までの範囲におよんでもよい。アプタマーは、静電気的相互作用、疎水性相互作用、コンフォメーション選択および誘導適合などの様々な非共有的相互作用を介してそのコグネート標的に結合することができる。アプタマー配列の変動性は、その多用途性を提供するものである。アプタマーがフォールディングする方法、核酸の順序およびそれらが存在する環境の条件は全て、標的への結合に寄与する。アプタマーは、識別認識を提供することができるが、それらをin vitroで完全に操作することができるため、抗体を超える利点を有し、化学合成によって容易に生産され、治療適用において免疫原性をほとんど惹起しないか、または全く惹起しない。
一般的には、アプタマーは通常、ヒト体内からの迅速なクリアランスをもたらす一本鎖核酸として提供されるが、例えば、本発明は、アプタマーをより大きなベクター内に含有させることによって、それを効果的に安定化し、それを即時の分解から保護する。
アプタマーを、細胞表面上の、または細胞内の任意の好適な標的に結合するように設計することができる。例としては、細胞表面受容体または核内輸送成分が挙げられる。標的は、本明細書で定義される通りであってよい。
結合モチーフは、三重鎖であってもよい。三重鎖は、本明細書に記載される通りである。
結合モチーフは、四重鎖であってもよい。四重鎖は、本明細書で考察される。四重鎖の形成は、8個のフーグスティーン水素結合を使用する4個の残基の平面集合によって形成されるスタッキングしたGテトラドまたはCテトラドを必要とし、かくして、これらの構造を非常に熱力学的に安定にする。安定化金属カチオンを含有させるか、またはあるいは、安定化低分子を用いてもよい。そのようなものは、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、Malekiら、Nucleic Acid Research、47(20)、10744~10753頁、2019、およびGoncalvesら、Chem Commun、2006、7(45)、4685~4687頁に記載されている。
四重鎖はそれぞれ、独自の顕著な特徴を有してもよい。それらの独自性は、その異なるフォールディングパターンに見られる。フォールディングパターンのこれらの固有の差異は、溝構造の差異をもたらす、ループ接続性および安定化金属カチオンの変化を含んでもよい。溝の幅および形状の差異は、結合能力を設計するための機会を提供する。四重鎖は、特定の標的に結合することができる。四重鎖を用いて、ベクターを細胞核に対して標的化することができる。
結合モチーフは、リボザイムまたはデオキシリボザイム(DNAzyme)などの触媒であってもよい。触媒的核酸は、その構造をプログラム可能であり、修飾が容易であり、より安定である;特に、これらはDNAを含む。それらは、アプタマーとほぼ同じように標的に対して特異的であるように設計することができる。触媒的核酸は、当業者には公知である。触媒的核酸は、その構造をプログラム可能であり、修飾が容易であり、DNA酵素はそのタンパク質対応物よりも安定である傾向がある。アプタマーの開発と同様の方法を使用して、触媒的核酸を開発することができる。報告された初めてのDNAzymeは、GR5と呼ばれ、活性部位に15ヌクレオチドを有するに過ぎないが、RNA切断のために設計されている。DNAzymeを、グアニン四重鎖または三重鎖構造内に含有させることができる。そのようなものは、参照により本明細書に組み込まれる、Ma & Liu、iScience 23、100815頁、2020に記載されている。
結合モチーフは、構造またはコンフォメーションエレメントの任意の適切な混合物であってもよい。結合モチーフは、結合特異性をもたらすために特定の位置における1つまたは複数の重要な、または特異的な残基に依拠してもよい。
結合モチーフは、構造モチーフによって適所に保持される一本鎖核酸の部分であってもよい。そのような構造の例は、グアニン四重鎖中のループである。したがって、一本鎖のための相補的配列は、ベクター中に存在しない。これは、結合モチーフの形成と、二重鎖の形成との間の競合を防止する。
以前に記載されたように、それは、結合モチーフがその標的実体に選択的に結合する能力を付与する特定の(特異的な、または重要な)残基のコンフォメーション、またはコンフォメーションと存在との組合せである。かくして、結合モチーフは、所望の位置内のヌクレオチド配列に対する相補性にのみ基づいて送達のためのベクターを標的化するのではない。
したがって、結合モチーフのコンフォメーションまたは非線形情報が重要である。以下でさらに定義される、コンセンサス配列は、コンフォメーションではなく、線形情報の内容に依拠する。これは、結合モチーフが、その構造が維持される限り、配列の改変により適していることを意味する。
さらに、疑いを避けるために、結合モチーフは、コンフォメーションとは無関係であるコンセンサス配列ではない。例えば、コンセンサス配列は、制限酵素、メチルトランスフェラーゼ、リコンビナーゼ、転写因子などの、タンパク質および酵素のDNAへの結合を可能にする二本鎖DNA中に存在する。これらのものは、短いDNA配列、典型的には、4~50ヌクレオチドの長さである傾向がある。配列特異的DNA結合タンパク質は一般に、二本鎖B-DNAの主溝と相互作用するが、これは、それが塩基対を同定するより多くの機能性基を露出しているからである。かくして、配列は通常、配列が非カノニカル構造を有しない、二本鎖またはさらに、時には一本鎖のDNA中に存在する間に認識される。
結合モチーフが所望の標的に特異的に結合し、他の成分には結合しないように、結合モチーフは特異的であるのが好ましい。結合条件は、好ましくは生理的であるか、または細胞が維持される条件である。結合は、修飾された標的と、修飾されていない標的とを、例えば、グリコシル化、ユビキチン化、メチル化などの翻訳後修飾を識別するのに十分に特異的であってよい。アプタマーは、例えば、修飾されていない標的にのみ結合するのに十分に特異的であることが示されている。
構造モチーフ内にただ1つの結合モチーフが存在してもよいが、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の結合モチーフ、好ましくは、2~5個、2~4個の結合モチーフなどの、複数の結合モチーフが存在するのが好ましい。これらの結合モチーフは、同じか、または異なってもよい。それらが異なる場合、それらは異なる実体に結合することができるか、またはより好ましくは、それらはそれぞれ同じ標的の異なる部分に結合する。このように、それは特異的標的化が達成されるのを確保する。
結合モチーフのアレイを提供することができる。アレイは、それぞれ、同じか、または異なってもよい、3個以上の結合モチーフを含む。アレイ中の結合モチーフは、モチーフをフォールディングするために、リンカーまたはスペーサー配列によって好適に隔てられていてもよい。
結合親和性は、ベクター(この場合、結合モチーフ)と、そのリガンド/結合パートナーとの結合相互作用の強度と定義することができる。結合親和性は、典型的には、平衡解離定数(K)によって測定および報告される;これは、2つの実体間の相互作用が破壊する可能性を定義する。K値が小さいほど、結合モチーフの、その標的に対する結合親和性は高い。K値が大きいほど、結合モチーフと標的とが弱く互いに誘引され、結合する。リガンド結合アッセイを、好ましくは平衡条件下で実施することができる。Kを決定するためのプロトコールは当業者には周知であり、ゲルシフトアッセイ、プルダウンアッセイ、平衡透析、ELISA、分析的超遠心分離、バイオレイヤー干渉法、表面プラズモン共鳴(SPR)、および分光アッセイなどの多様な技術が挙げられる。Kは、KoffのKonに対する比(すなわち、Koff/Kon)から得られ、モル濃度(M)として表される。
結合親和性は、2つの分子間の水素結合、静電気的相互作用、疎水性相互作用およびファンデルワールス力などの非共有的分子間相互作用によって影響される。かくして、結合モチーフの慎重な設計により、それは所望の標的に結合することができる。
最適な/生理的な条件下での結合の特異性を、結合され得る標的の均一性と定義することができる。特異性が高いほど、結合され得る標的は均一性は高い。非常に特異的なアプタマーは、標的の型だけでなく、為された修飾も識別することができる。対照的に、雑多な結合モチーフは、様々な関連構造に結合するであろう。
特定の実施形態では、標的に特異的に結合する結合モチーフは、1mM以下、100nM以下、10nM以下、または3nM以下のKで標的に結合するモチーフを指すことが意図される。将来、ピコモルまたはさらにはフェムトモル範囲のKで結合する結合モチーフを選択することが可能となるかもしれない。
競合アッセイを使用して、モチーフがその標的に結合する能力を決定することができる。
本明細書で使用される場合、特異的結合という用語は、モチーフが、結合が起こる環境中のあり得る結合パートナー間を識別する能力を指す。他の潜在的な標的が存在する場合にある特定の標的と相互作用する結合モチーフは、それが相互作用する標的に「特異的に結合する」と言われる。一部の実施形態では、特異的結合は、結合モチーフとその標的との間の会合の程度を検出または決定することによって評価される;一部の実施形態では、特異的結合は、結合モチーフ-標的複合体の解離の程度を検出または決定することによって評価される;一部の実施形態では、特異的結合は、結合剤が、その標的と別の実体との相互作用において競合する能力を検出または決定することによって評価される。一部の実施形態では、特異的結合は、一定範囲の濃度にわたってそのような検出または決定を実施することによって評価される。
結合モチーフの標的
結合モチーフは、好ましくは標的にとって特異的であるか、または標的に特異的に結合することができる。この標的は、任意の好適な、または望ましい標的であってもよい。本明細書で使用される結合モチーフは、標的に結合することができる標的化可能な核酸を指すことを意味する。結合モチーフは、構造モチーフの一部である。ベクターは、細胞性標的にとって特異的である少なくとも1つの結合モチーフを含む。ベクターは、必要に応じて、ベクターを使用して非DNAペイロードを運搬することができるように、任意選択で、非細胞性標的にとって特異的である別の結合モチーフを含んでもよい。
本明細書で使用される場合の標的とは、1つまたは複数の結合モチーフに結合するか、またはそうでなければそれと相互作用することができる任意の化合物または実体を指すことを意味する。標的の例としては、ペプチド、タンパク質、修飾タンパク質、糖タンパク質、ペプチドグリカン、脂質、リン脂質、糖脂質、核酸、および/またはコレステロールが挙げられる。標的はまた、標的実体、または単に実体と呼んでもよい。
細胞性標的は、細胞の表面上に存在してもよく、例えば、膜タンパク質、受容体、リガンド、糖、グリコシル化されたタンパク質、ペプチドグリカン、脂質、リン脂質または糖脂質であってもよい。
多細胞生物においては、適切なマーカー/標的の選択によって、ベクターに、特定の組織または細胞型に対する指向性を持たせることができるため、細胞表面標的の標的化が望ましい。細胞型は、がん性であってもよく、標的はそのような細胞上でのみ発現されてもよい。これは、除去することが望ましい細胞のみへの、細胞傷害性遺伝子またはその断片の特異的送達を可能にしてもよい。あるいは、結合モチーフは、特定の組織型、例えば、心疾患を処置するためには心筋に対するベクターの標的化を可能にしてもよい。
細胞性標的は、血液脳関門にあって、ベクターが血液脳関門を横断するのを支援してもよい。アプタマーは、血液脳関門を標的化し、それを横断することが既に成功裏に示されている。
細胞性標的は、細胞内に存在してもよい。真核細胞については、標的は、核膜、ミトコンドリア膜、小胞体(ER)膜、ゴルジ装置膜、およびリソソーム膜などの、オルガネラの周囲の細胞の内膜上に存在してもよい。それぞれの内膜は、独自のものであり、したがって、これらの差異を活用して、これらの特定のオルガネラへの標的化を可能にすることができる。
核の標的化は、発現のための適切な位置へのベクターの送達を可能にするため、真核細胞にとってはそれが望ましい。核膜は、二重膜であるため、核エンベロープとも呼ばれる。標的は、核膜孔複合体(NPC)の一部であってもよい。標的は、インポーチン-αおよびインポーチン-βなどの細胞核輸送タンパク質であってもよい。標的は、核輸送系の任意の部分であってもよい。核標的化は、四重鎖の含有によって達成することができる。核の標的化は、ヒストンなどを標的化するように結合モチーフを設計することによって達成することもできる。核マトリックスの標的化も有利であり得る。多くのタンパク質が、クロマチンの組織化において役割を有すると考えられる、足場、またはマトリックス関連タンパク質(SARまたはMAR)などの核マトリックスと結合してもよい。そのような標的化は、ベクターを核内の転写活性スポットに局在化させることが望ましい場合に有利であり得る。
細胞性標的は、エンドソーム系の一部であってもよく、かくして、細胞の内外への輸送を支援してもよい。
あるいは、タンパク質および含有物などの細胞質成分を標的化することができる。例えば、これは、プリオンまたはタンパク質性プラークなどの望ましくない細胞質成分を含む細胞の特異的標的化を可能にしてもよい。
細胞性標的は、ミトコンドリア内での発現を可能にするために、ミトコンドリア上に存在してもよい。これは、ミトコンドリア関連疾患と適していてもよい。
核の標的化は、多くの遺伝子またはその断片が、発現が望まれる位置に送達されるため、それが治療用量にとって必要とされるベクターの量の減少を可能にし得るという点で有利である。さらに、ワクチンなどの適用のために、それは遺伝子またはその断片のより早い発現を可能にし、免疫系からのより迅速な応答をもたらすことができる。
核酸は一般に、核膜孔複合体(NPC)を介して核に進入する;これは、大きく、いくつかのタンパク質から形成される核エンベロープにおける水性チャネルである。NPCを通る進入は、サイズ依存的であってよく、より小さいベクターは核により迅速に局在化することができる。他の技術は、NLSペプチドに結合させて、NPCを介してベクターを標的化するよう試みることができるが、そのような手法は、成功のレベルが様々であった。転写因子などのタンパク質は、細胞の型および/または細胞の発生段階に応じて、細胞質中に存在し、すぐに核に輸送されてもよい。さらに、転写因子の存在量および発現は可変性であってよい。核への送達を確保するために、一般的に核に輸送される実体を標的化することが好ましい。そのような標的は、ヒストン、ヌクレオリン、テロメア結合タンパク質などを含む。そのようなものは、異なる細胞型にわたるそのより構成的な発現および核の標的化を可能にするこれらの証明された能力のため、好ましい標的である。
細胞特異的核標的化は、核に輸送される細胞特異的タンパク質を標的化することによって可能であり得る。
ベクターの生産的移行は細胞進入を必要とし得るだけでなく、ベクターを、細胞表面から、細胞質を通って、最終的には、核エンベロープをわたって、核に移動させるいくつかの細胞事象も必要とし得る。したがって、細胞内輸送成分はまた、結合モチーフのための標的を提供することができる。いくつかのタンパク質と他の分子が細胞内輸送/細胞質輸送/核内輸送と関与し、これらのものとしては、ポリアミン、核酸結合タンパク質、微小管、ダイニン、カチオン性タンパク質、シャペロンおよび核内輸送タンパク質、テロメア結合タンパク質、ヒストンまたはヌクレオリンが挙げられる。
細胞質はタンパク質で混雑しており、2000塩基対より大きい核酸は、有用な時間枠で細胞質を通って効果的に拡散することができないことが以前に示されている。したがって、細胞内輸送における成分に結合する結合モチーフを含有させることは、特に、より大きいベクターについて、細胞質をわたる移行の速度を増大させることができる。
ベクターが細胞に進入する時、それらはエンドサイトーシスを受け、エンドソーム中でのベクターの濃縮をもたらし得る。最終的に、エンドソームはリソソームに送達され、エンドソームの内容物は分解される。したがって、ベクターを効果的に標的化するために、エンドソーム経路を標的化することは望ましくない。したがって、ベクターは、エンドサイトーシス以外の機構(特異的輸送因子の標的化など)によって細胞進入を標的化するか、またはエンドソームを脱出するための機構を含んでもよい。高効率のエンドソーム脱出を、以下の特性のうちの1つまたは複数を示す受容体を選択することによって達成することができる:高度に発現される細胞表面受容体(>10)、速い受容体取込み(約20分が速いと考えられる)、および/または受容体が増強されたエンドソーム脱出効率を有すること(約1%のカーゴ脱出)。例えば、肝細胞表面受容体ASGPRは、肝細胞の表面上に高レベルで発現され(細胞あたり10個の受容体)、迅速に内在化する。
標的に結合するだけでなく、細胞中に内在化もする結合モチーフを選択することが可能である。アプタマーと関連して、例えば、細胞に基づくSELEXは、アプタマーが標的に結合した後に内在化されることを確保するために使用されてきた。
標的化のためのあり得る膜貫通受容体は、以下に含まれる;この一覧は包括的なものではない:
Figure 2023542347000002
Figure 2023542347000003
一部の好適な細胞標的化アプタマーは、以下に含まれる:
Figure 2023542347000004
Figure 2023542347000005
以下の表は、本発明者らによって選択され、例示される標的を描写する(実施例を参照されたい)。ヒストンH4は、真核細胞中のクロマチンの構造に関与する5つの主なヒストンタンパク質のうちの1つである。
Figure 2023542347000006
本発明のベクターは、複数の結合モチーフを有してもよく、したがって、複数の標的に結合してもよい。例えば、特定の細胞性標的のための結合モチーフだけでなく、核標的に対するものも含有させ、特異的細胞進入だけでなく、その特異的細胞中での核進入をも確保することができる。それは、結合モチーフがベクターの異なる末端上にある例において好ましい場合がある。あるいは、これらの異なる結合モチーフは、ベクターの一方の末端にアレイとして存在してもよい。
送達
本発明の核酸ベクターは、ベクターに所望の細胞性標的に対する指向性を持たせる結合モチーフにより、送達ベクターと記載することができる。かくして、本発明のベクターは、細胞標的化機構が、結合モチーフを含む構造モチーフの含有によってベクター自体の核酸内に含まれる、送達ベクターであってもよい。
本発明のベクターを使用して、それ自身を特定の、または所望の細胞性標的に送達することができる。この細胞性標的は、in vivoまたはin vitroにあってもよい。
ペプチド配列、リポソームなどの化学的送達剤を使用することなく、そのような送達のためにベクターを調製することができる。これは、ベクターがオールインワン型解決法を提供し、完全には解決されていない問題に対する最小限の解決法を提供するからである。換言すれば、ベクターを、「ネイキッド」DNAとして提供することができる。ネイキッドDNAは、その固有の単純性およびDNA自体の低い免疫原性のため、魅力的な非ウイルス遺伝子ベクターである。
本発明のベクターを、対象の細胞、組織、または臓器へのin vivoでの送達のために対象への投与にとって好適な医薬組成物中に組み込むことができる。典型的には、医薬組成物は、本発明のベクターと、薬学的に許容される担体とを含む。例えば、本発明のベクターを、治療剤投与の望ましい経路にとって好適な医薬組成物中に組み込むことができる。高圧静脈内または動脈内注入による受動的組織形質導入は、潜在的な治療経路である。治療目的での医薬組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、分散体などとして製剤化することができる。必要に応じて、成分の1つまたは組合せと共に、適切な緩衝剤中に、必要な量のベクターを含有させた後、滅菌濾過を行うことによって、滅菌注射溶液を調製することができる。
本明細書に開示されるベクターを、局所、全身、羊膜内、髄腔内、頭蓋内、動脈内、静脈内、リンパ管内、腹腔内、皮下、気管内、組織内(例えば、筋肉内、心臓内、肝内、腎臓内、大脳内)、髄腔内、膀胱内、結膜(例えば、眼窩外、眼窩内、眼窩後、網膜内、網膜下、脈絡膜、脈絡膜下、間質内、眼房内および硝子体内)、蝸牛内、および粘膜(例えば、経口、直腸、経鼻)投与にとって好適な医薬組成物中に組み込むことができる。
ベクターを含む薬学的に活性な組成物を製剤化して、導入遺伝子をレシピエントの特定の細胞に送達し、そこでの導入遺伝子の治療的発現をもたらすことができる。組成物はまた、薬学的に許容される担体を含んでもよい。
本明細書で提供される組成物およびベクターを使用して、様々な目的のための導入遺伝子を送達することができる。
本明細書に記載のベクターを、in vivoでの細胞の形質導入のために生物に投与することができる。
そのような核酸を投与する好適な方法は、当業者には利用可能であり、周知である。本明細書に開示されるベクターの例示的な投与様式としては、経口、直腸、経粘膜、鼻内、吸入(例えば、エアロゾルによる)、頬(例えば、舌下)、経膣、髄腔内、眼内、皮下、経皮、内皮内、子宮内、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、頭蓋内、筋肉内、胸膜内、大脳内、および関節内)、局所(例えば、皮膚と、気道表面を含む粘膜表面との両方に対する、および経皮投与)、リンパ管内など、ならびに直接組織または臓器注射が挙げられる。直接注射は、例えば、ワクチンのために、所望の細胞が筋肉細胞である場合に関連してもよい。
さらに、1つより多い導入遺伝子/コード配列を、組成物内の単一のベクター、または複数のベクター中に含有させることができる。
あるいは、細胞を対象から取り出し、ベクターをその中に導入した後、細胞を対象に戻してもよい。ex vivoでの処置のために対象から細胞を取り出した後、対象に導入し戻す方法は、当業者には公知である。あるいは、同種異系細胞(異なるドナーに由来する)を改変し、対象に導入することができる。
送達は、対象の細胞ではない標的細胞、例えば、細菌、真菌または寄生虫細胞に対して特異的であってもよい。この例では、ベクターは、望ましくない細胞型の除去を支援するための毒性導入遺伝子を含んでもよい。
条件
核酸構造は、条件の変化によって影響され得る。構造モチーフの配列は、核酸構築物が使用される条件(pH、温度、塩濃度、圧力、タンパク質濃度、糖濃度、浸透圧など)下でコンフォメーションが採用されるように選択することができる。
ベクターは、生理的条件または例えば、微生物中でのタンパク質の産生を好む条件などの多くの様々な条件において使用することができる。
生理的条件は、その生物または細胞系にとって自然に存在し得る外部または内部環境の条件であり、関連するコンフォメーションをとるための構造モチーフにとって適切な条件であり得る。
追加の安定化実体を用いて、キャップ/構造モチーフのフォールディングを支援することができる。例えば、グアニン四重鎖は、上記のイオンおよび低分子リガンドを使用して安定化され得る。三重鎖の安定化剤としては、参照により本明細書に組み込まれる、del Mundoら、BBA-Molecular Cell Research 1866(2019)、118539頁に記載されたような拡張芳香環構造を有する分子が挙げられる。
相補的と本明細書で定義される配列は、生理的条件下で二重鎖を形成することができることが好ましい。

核酸ワクチン
本発明のベクターは、核酸、任意選択で、DNAワクチンとして特に有用である。
ベクターは、宿主細胞中での発現のために、特に、抗原の生産のために使用することができる。DNAまたはRNAワクチンは、典型的には、感染性生物の改変形態または部分をコードする。DNAまたはRNAワクチンは、対象に投与された後、そこでそれらは、感染性生物の選択されたタンパク質を発現し、典型的には、保護的であるそのタンパク質に対する免疫応答を開始する。DNAまたはRNAワクチンはまた、がん免疫療法手法における腫瘍抗原をコードしてもよい。
したがって、本発明のベクターは、ワクチン組成物であってもよい。組成物は、免疫原性効果を促進するための任意のアジュバント配列をさらに含んでもよい。ワクチン組成物を、そのようなワクチンの容易な発現を可能にする好適な組織に対して標的化することができる。例は、筋肉細胞である。ワクチンががんワクチンである場合、局在化された応答を可能にするために、がんによって影響される細胞型にベクターを標的化することができ、例えば、前立腺がんワクチンを、前立腺細胞に標的化することができる。
遺伝子療法
対象が機能障害型の機能的遺伝子によって引き起こされる遺伝子障害を有する場合、ベクターを使用して、その遺伝子またはその断片を発現させることができる。そのような疾患の例は、当業界で周知である。疾患によって影響される組織、臓器または細胞型における遺伝子またはその断片の発現を標的化する、例えば、膵臓においてインスリンを発現させることが望ましい場合がある。
細胞毒素送達
ベクターを使用して、細胞に対して細胞傷害性である遺伝子またはその断片を発現させることができる。そのようなものは、がんの処置において望ましい。がん関連マーカーを発現する細胞に対して特異的にベクターを標的化することによって、細胞を殺滅することができる。さらに、抗細菌または抗真菌手法を有するために同じ手法を採用することができる。これらのものは、対象の感染を引き起こした、ヒトもしくは動物である、または環境内に、もしくは工業プロセス中に存在する病原性生物であり得る。ベクターを特定の微生物に対して標的化することによって、その微生物を選択的に除去することができる。これは、例えば、病原性細菌のみが標的化されるため、治療的に明確な利益を有し、また、夾雑物、例えば、水域中のシアノバクテリアを除去することもできるため、環境的および工業的にも明確な利益を有する。
細胞毒素は、アポトーシスまたは細胞壊死によって細胞死を誘導し得る任意の好適なタンパク質またはペプチドであってもよい。細胞毒素は、対象の免疫細胞によって産生されるものであってよいか、またはあるいは、植物由来の毒もしくは毒素などの、異なる種に由来するものであってもよい。
治療的使用
特に、ヒトまたは動物での治療的使用のためには、ベクターが細菌の複製起点を欠く、耐性遺伝子(すなわち、抗生物質に対する)を欠く、原核生物のメチル化パターンを欠く(それが有用であり得るワクチンについては除く)、および核酸を宿主細胞に対して外来のものとして同定する配列を含まないことが好ましい。
ベクターの任意のあり得る治療的使用が想定される。

さらなる機能
本発明のベクターは、修飾ヌクレオチドを含んでもよい。以下のセクションに見られるように、ベクターを作製する1つの方法は、ポリメラーゼ酵素を使用することを含むため、反応物に修飾ヌクレオチドを供給することが可能である。修飾ヌクレオチドは、低分子、ペプチド、アジュバント、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫刺激剤、マーカー、ビーコン、抗体もしくはその断片および/またはタンパク質などの多くの他の実体のための結合点を形成することができる。これらの実体は、細胞内での機能を有し、ベクターによって提供される遺伝子もしくはその断片を補完する、および/またはさらなる標的化を提供するように作用することができる。例えば、パクリタキセルなどの化学療法薬を、がん細胞を標的化するために細胞毒性遺伝子に結合させることができる。
かくして、本発明のベクターは、併用療法を所望の位置に標的化することができる。
ベクターがワクチンを送達する場合、アジュバント、免疫刺激剤もしくはアゴニストをコードする配列をベクターに含有させるか、または本明細書に記載の結合点を使用してベクターに結合させたそれを供給することができる。これは、がんワクチンに特に適している。
あるいは、ベクターは、低分子、ペプチド、アジュバント、アゴニスト、アンタゴニスト、免疫刺激剤、マーカー、ビーコン、抗体もしくはその断片および/またはタンパク質などの実体に特異的である追加の結合モチーフを含んでもよい。これは、ベクターがこれらの実体を所望の位置に運搬するのをさらに可能にするであろう。一実施形態では、キャップ付末端の一方は、標的に特異的な結合モチーフを含んでもよいが、他方のキャップ付末端は低分子薬物などの実体を担持する結合モチーフを含む。
さらにあるいは、この技術は、輸送を可能にする蛍光ヌクレオチドなどの、マーカーおよびトレーサーのベクターへの結合を可能にする。
ベクターのキャップ付末端はまた、プライマー結合部位またはプライマーゼのための認識配列のための位置などの、さらなる機能を提供するための追加の配列を含んでもよい。
ベクターに導入される修飾ヌクレオチドは、他の実体の連結を可能にするか、または電荷修飾に寄与するか、もしくは追跡可能なマーカーを提供してもよい。そのようなものの例は、以下の表5に記載される:
Figure 2023542347000007
修飾ヌクレオチドを、ベクターの任意の部分に含有させることができる。ベクターを製造する独自の方法から見られるように、修飾ヌクレオチドを、二重鎖部分および/または実際にキャップ付末端のいずれかもしくは両方に付加することができる。
ベクターの製造
本明細書に記載のベクターは、本明細書に記載の独自の方法を使用して作製することができる。下記の製造方法は、少なくとも一方が閉じた末端である2つのキャップ付末端を有するベクターを調製するのに好適である。その方法は、非常に効率的であり、埋め、閉じることができる一本鎖中間体を最初に生産することによって、大規模生産を可能にする。方法を改変して、リガーゼなどの2つの遊離末端を連結する酵素の使用によって完全に共有結合的に閉じたベクターを生産することができる。あるいは、2つの開いたキャップが必要である場合、特異的ニッカーゼを使用して、キャップ中にニックを導入することができ、このニッカーゼのための特異的認識部位をベクター中に含有させることができる。
ベクターを製造する方法は、他にコンカテマーと呼ばれる、鋳型の数回の反復を含む一本鎖核酸の生産をもたらす、関連するポリメラーゼ酵素を用いたローリングサークル増幅による鋳型核酸の増幅に依拠する。次いで、この一本鎖核酸コンカテマーをベクター中でプロセシングすることができる。かくして、ベクターは、一本鎖の核酸を最初に合成することによって作製することができる。
ヘアピンの二本鎖部分は酵素の結合および切断を可能にするため、本発明の方法は、適切な酵素を用いた切断を可能にする一本鎖中の塩基対合部分の形成に依拠する。次いで、これは多くのベクターのコンカテマーからそれぞれ個々のベクターを分離する。
この方法によって作製されるベクターは、構造モチーフと共にそれぞれの末端でキャップされた、二重鎖の部分(その一本鎖)を有するベクターである。この例では、構造モチーフは、単純または複雑であってよい。キャップ付末端の一方は、この方法に従って作製された場合、閉じている、すなわち、ベクターは、全体として核酸の一方の鎖から作製されるが、反対側の末端は、一本鎖の5’および3’末端ヌクレオチドによって形成されない。追加のステップにおいて、ベクターを完全に共有結合的に閉じることができる。
鋳型は、一本鎖核酸をコードする。鋳型は、
(i)下記のものに隣接した、第1のプロセシングモチーフ、
(ii)第1の構造モチーフ、
(iii)前記二重鎖部分の一本鎖、
(iv)下記のものに隣接した、第2の構造モチーフ、
(v)第2のプロセシングモチーフ
をコードし、
前記プロセシングモチーフは、切断部位を含有するエンドヌクレアーゼのための認識部位を含む塩基対合部分を形成することができる配列を含み、
前記構造モチーフは、分子内水素結合を形成し、キャップ付末端を形成することができる少なくとも1つの配列を含み、任意選択で、前記第1または第2の(左または右の)キャップ付末端のいずれかは、結合モチーフを含有する構造モチーフを含む。
鋳型を、ローリングサークル増幅を使用して増幅させ、一本鎖コンカテマーを生産することができる。このコンカテマーを、エンドヌクレアーゼを使用して一本鎖中間体にプロセシングすることができる。
次いで、二重鎖部分が形成されるように、3’末端を伸長させるための鋳型として中間体を使用して、一本鎖中間体を、好ましくは鎖置換しない第2のポリメラーゼと接触させることができる。
鎖を遊離5’末端のところまで伸長させることができ、その点で、ベクターをリガーゼなどの酵素および隣接する残基の間で閉じたニックと接触させることができる。
増幅プロセスまたは伸長プロセスは、基質(すなわち、核酸生成のための適切なヌクレオシド)、および任意のコファクター(塩、イオンなど)の添加を必要とするであろう。反応のための適切な条件は、酵素が機能することができる緩衝剤の存在および温度を含む。ローリングサークル増幅のための適切な条件は、等温であってもよい。鎖伸長のための適切な条件は、等温であってもよい。
増幅は、複数コピーの核酸鋳型の生産、または核酸鋳型と相補的である複数の核酸配列コピーの生産である。本発明の方法では、増幅とは、核酸鋳型と相補的である複数の核酸配列コピーの生産を指すのが好ましい。
鋳型が二本鎖である場合、所望の生成物と相補的な鎖が鋳型として使用されることを確保する技術が使用されるのが好ましい。これは、以下でさらに考察されるいくつかの方法によって達成することができる。
増幅または伸長において使用される場合、ヌクレオシドは、核酸の塩基(核酸塩基)が糖部分に連結されている化合物である。核酸の塩基は、天然または修飾/合成核酸塩基であってもよい。核酸の塩基は、特に、プリン塩基(例えば、アデニンもしくはグアニン)、ピリミジン(例えば、シトシン、ウラシル、もしくはチミン)、またはデアザプリン塩基を含んでもよい。核酸の塩基は、リボースまたはデオキシリボース糖部分であってもよい。糖部分は、天然の糖、糖置換物、置換糖、または修飾糖を含んでもよい。ヌクレオシドは、2’-ヒドロキシル、2’-デオキシ、または2’,3’-ジデオキシ型の糖部分を含有してもよい。
ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基とは、ヌクレオシドリン酸を指す。これは、天然、合成、もしくは修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、イノシン)を含む。ヌクレオシドリン酸は、ヌクレオシド一リン酸(NMP)、ヌクレオシド二リン酸(NDP)またはヌクレオシド三リン酸(NTP)であってもよい。ヌクレオシドリン酸中の糖部分は、リボースなどのペントース糖であってもよい。ヌクレオチドは、限定されるものではないが、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)またはリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)であってもよい。
ヌクレオチドアナログは、天然に存在するヌクレオチドと構造的に類似する化合物である。ヌクレオチドアナログは、変更された骨格、糖部分、核酸塩基、またはその組合せを有してもよい。そのようなアナログの使用は、異なる塩基対合特性を有してもよい核酸をもたらし、そのような塩基が積み重なった場合に生じる相互作用は、天然の核酸において見られるものと異なってもよいことが理解されるであろう。
増幅反応および/または伸長反応は、温度サイクリングを必要とするPCRなどの増幅と違って、好ましくは等温(一定温度)である。この方法を、任意の適切な鋳型、好ましくは、環状核酸鋳型の増幅において使用することができる。核酸鋳型は、最小量を含む、反応物に対する任意の適切な量で提供することができる。
核酸鋳型は、RCAを使用して増幅されるのが好ましい。
ポリメラーゼ酵素または増幅のために使用される酵素は、校正または非校正核酸ポリメラーゼであってもよい。使用される核酸ポリメラーゼは、鎖置換核酸ポリメラーゼであってもよい。核酸ポリメラーゼは、好熱性または中温性核酸ポリメラーゼであってもよい。
方法は、高忠実性増幅のための条件下で核酸鋳型を増幅するために、高度に前進性の鎖置換ポリメラーゼを必要としてもよい。ポリメラーゼが正確に鋳型を複製する能力は、ポリメラーゼの忠実性と称される。正確対不正確なヌクレオチド組込みの有効な識別に加えて、一部のポリメラーゼは、3’から5’に向かうエキソヌクレアーゼ活性を有する。この校正活性は、不正確に組み込まれた塩基を切り出した後、正確なものと置き換えるために使用される。高忠実度増幅は、低い誤組込み率と、校正活性とを合わせて、鋳型の正確な複製を与えるポリメラーゼを利用する。あるいは、非鎖置換酵素を、ヘリカーゼと共に使用することができる。
増幅反応は、増幅後に一本鎖の増幅された核酸を生成するポリメラーゼを用いてもよい。したがって、ポリメラーゼは、鎖置換合成を行うことができる。
一部の実施形態では、Phi29 DNAポリメラーゼまたはPhi29様ポリメラーゼを、鋳型を増幅するために使用することができる。あるいは、Phi29 DNAポリメラーゼと別のポリメラーゼとの組合せを使用することができる。
増幅反応は、ある型の方法においては、低濃度のプライマーを用いてもよい。本発明者らは、低濃度のプライマーは一本鎖核酸のみを生成するための増幅反応を可能にするため、それが有利であることを見出した。プライマーは、核酸合成反応をプライミングするための鋳型内の配列にハイブリダイズする短い線状オリゴヌクレオチドである。プライマーは、RNA、DNA、非天然核酸またはその混合物などの任意の核酸であってもよい。プライマーは、天然、合成、または修飾ヌクレオチドを含有してもよい。
あるいは、鋳型が二本鎖の環状鋳型であると仮定すると、ニッキング酵素を用いて、二本鎖鋳型の一方の鎖の上にニックを作製することができる。これは、ポリメラーゼのための進入点を残し、次いで、鋳型自体のニッキングされた鎖を使用して、核酸合成反応をプライミングする。
したがって、核酸鋳型は、鋳型と、少なくともポリメラーゼおよびヌクレオチドと接触させること、ならびに核酸増幅にとって好適な条件下で反応混合物をインキュベートすることによって増幅される。核酸鋳型の増幅を、等温条件下で実施することができる。追加の成分は、ニッキング酵素(ニッカーゼ)、コファクター(例えば、マグネシウムイオン)、プライマー、プライマーゼ、ヘリカーゼ、および/または緩衝剤のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
環状鋳型のローリングサークル増幅は、鋳型によってコードされる隣接する複数の反復(本明細書ではそれぞれ1つが配列単位と呼ばれる)を有する線状一本鎖コンカテマーを生成する。鋳型の性質のため、これは、それぞれの配列単位が構造モチーフによって挟まれる二重鎖の形成のための部分を含み、外側の隣接部がプロセシングモチーフによるものであることを意味する。それぞれの配列単位はまた、骨格配列を含んでもよい。
コンカテマーを、エンドヌクレアーゼを使用して核酸構築物にプロセシングすることができる。切断部位は、構造モチーフの末端残基を遊離させる。
コンカテマー核酸中の切断部位が必要なエンドヌクレアーゼによって切断される場合、これは、プロセシングモチーフから構造モチーフを遊離し、適切な条件下でのキャップ付末端の形成を可能にする。
増幅およびプロセシング反応は、同時に行ってもよく、すなわち、エンドヌクレアーゼが、コンカテマーが形成されるとすぐにそれをプロセシングするために存在してもよいか、または増幅がさらに進行するか、もしくは実際に完了するまで、エンドヌクレアーゼの添加に遅延があってもよい。
この方法の初期ステップは、構造モチーフによって形成されるキャップ付末端を有する一本鎖核酸を調製する。構造モチーフは、一部の例では、キャップ付末端が第2のステップにおいてさらに伸長され、完全なキャップ付末端を形成するような、キャップ付末端を形成する配列の割合を提供する。この一本鎖核酸中間体を、ニッカーゼと接触させて、それが完全に保護される場合、伸長のために3’ヌクレオチドを露出させることが必要であってよい。
方法の次のステップは、一本鎖核酸中間体と、ポリメラーゼ酵素とを接触させることである。ポリメラーゼ酵素は、中間体の遊離3’末端を伸長させ、鋳型として「二重鎖部分」の一本鎖部分を使用して、この部分のための相補的配列を合成し、かくして、二重鎖を形成する。したがって、「二重鎖部分」全体を、鎖の伸長によって作出することができる。鎖を、中間体の遊離5’末端のところまで伸長させ、2つの隣接する残基の間のニックのみを残すことができる。このニックを、リガーゼなどの適切な酵素を使用して閉じて、分子を完全に共有結合的に閉じることができる。
第2のステップは、鎖置換ではないポリメラーゼを必要としてもよい。それは、ハイブリッド二重鎖を作製するためのRNAポリメラーゼを含む任意の好適なポリメラーゼであってもよい。好適な酵素としては、Q5(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NEB、US)、Q5U(登録商標)Hot Start High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NEB)、Phusion(登録商標)High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NEB)、OneTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ(NEB)、Taq DNAポリメラーゼ(NEB)、LongAmp(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(NEB)、Epimark(登録商標)Hot Start Taq DNAポリメラーゼ(NEB)、T7 DNAポリメラーゼ(NEB)、DNAポリメラーゼI(NEB)、SP6 RNAポリメラーゼ(NEB)、T7 RNAポリメラーゼ(NEB)、E.coliポリ(A)ポリメラーゼ(NEB)、ポリ(U)ポリメラーゼ(NEB)、T3 RNAポリメラーゼ(NEB)、E.coli RNAポリメラーゼコア酵素(NEB)、E.coli RNAポリメラーゼホロ酵素(NEB)、またはHi-T7(登録商標)RNAポリメラーゼ(NEB)が挙げられる。末端トランスフェラーゼはまた、本発明の方法における使用にとって適切であってもよい。
増幅ステップまたは伸長ステップを、適切なヌクレオチドの存在下で実行して、核酸を合成することができる。いずれかのステップに、修飾ヌクレオチドを供給して、これらのものをベクター中に組み込むことができる。
したがって、ベクターを作製するための方法は、的確かつ効率的である。

鋳型
鋳型(1)において、二重鎖の一方の鎖をコードする配列(104)は、両側で、構造モチーフをコードする配列(103)によって挟まれており、外側の隣接部は、プロセシングモチーフ(101)によって提供される。二重鎖部分が構造モチーフによって挟まれ、次いで、プロセシングモチーフに直接隣接し、構造モチーフとプロセシングモチーフとが一緒になって初期化エレメントを形成するように、コードされた配列が入れ子になっている。プロセシングモチーフおよび構造モチーフの配列は、かくして、連続する。あるいは、二重鎖部分のそれぞれの末端の初期化エレメントは、反対の、または鏡に映った向きにあり、構造モチーフが二重鎖部分に最も近いが、プロセシングモチーフが初期化エレメントの最も外側の部分であることを確保する。
初期化エレメントは、独自のものであるが、プロセシングモチーフは構造モチーフから切断されるため、最終生成物中に完全な形態では存在しない。プロセシング中のエンドヌクレアーゼの作用は、プロセシングモチーフの切断部位が切断され、したがって、プロセシングモチーフを破棄することを確保する。かくして、それは、部分的に除去される有用な生成物を生産するための機構であり、最終生成物が最小量の不必要な配列を含有し、二重鎖部分のためのより多くの余裕を提供することを確保する。かくして、プロセシングモチーフおよび隣接する構造モチーフは、切断部位が切断され、生成物の末端残基を遊離するまで効果的に連結される。エンドヌクレアーゼのための切断部位によって効果的に分離される、構造モチーフに隣接するプロセシングモチーフの組合せは、エンドヌクレアーゼを使用する、単一ステップのプロセスにおいてより長い一本鎖核酸分子からの、末端が隔離された一本鎖核酸の直接生産を可能にする。プロセシングモチーフは、制限酵素を用いるプロセシングによって一本鎖核酸から除去され、末端が隔離された一本鎖核酸中には存在しない。
初期化エレメントは、エンドヌクレアーゼの作用によって効果的に切断され、したがって、最終生成物から部分的に除去される。

プロセシングモチーフ
プロセシングモチーフ(101)は、エンドヌクレアーゼのための認識部位および関連する切断部位を含む塩基対合部分(201)を形成することができる配列を含む。切断部位は認識部位から離れていてもよいが、両方とも一般的には二重鎖構造中にあることが必要であることが理解されるであろう。
1つの形式では、プロセシングモチーフは、プロセシングモチーフ内の別の配列に結合することができる配列の少なくとも1つの領域の含有のため、塩基対合部分を形成することができ、これらの部分は、配列が自己相補的であることがわかっていてもよい。これらの配列は、連続的であるか、またはスペーサーエレメントによって隔てられていてもよい。そのようなモチーフを、一本鎖核酸中に配列の相補的ストレッチを含有させることによって設計することができる。両配列は核酸の同じ鎖上に存在するが、分子の設計は、一方の配列が分子内的に、他方に結合する正確な向きにあることを確保することが理解されるであろう。例えば、DNAでは、塩基対が形成されるためには、配列が逆平行に走る必要がある。そのようなモチーフは、例えば、ウイルス一本鎖ゲノム間で一般的である。
プロセシングモチーフの塩基対合部分は連続的であってよく、その部分はヘアピンなどを形成する。核酸は、逆平行二本鎖ヘアピン様構造を形成してもよい。ヘアピン構造は、ステムと呼ばれる二本鎖塩基対合領域からなる。あるいは、プロセシングモチーフの塩基対合部分は、ステムループなどの構造が形成されるように、塩基対合することができる配列の2つのストレッチ間にスペーサー配列を含んでもよい。スペーサーは、任意の好適な長さであってもよい。ヘアピンは、本明細書で定義されるような、パリンドロームである核酸配列から形成されていてもよい。
核酸分子の塩基対合部分または二本鎖部分はまた、相補的配列を有してもよい。塩基対合および二重鎖は、本明細書でさらに定義される。
プロセシングモチーフの塩基対合部分には、エンドヌクレアーゼのための認識部位、および関連する切断部位が含まれる。プロセシングモチーフ全体を必要なエンドヌクレアーゼを使用して一本鎖から切断することができるように、切断部位は塩基対合部分の基部で形成することが好ましい。
塩基対合は、一本鎖内の配列の少なくとも2つの部分の間で起こる。この塩基対合は、標準的(すなわち、DNAにおけるアデニン(A)-チミン(T)、RNAにおけるアデニン(A)-ウラシル(U)、および両方におけるシトシン(C)-グアニン(G))であるワトソンおよびクリックの古典的塩基対)であるか、または非カノニカル(すなわち、フーグスティーン塩基対もしくは炭素-水素および酸素/窒素基などの間の相互作用)であってもよい。これらのものは、他の箇所に記載される。
鋳型は、これらの特徴のいずれかを有するプロセシングモチーフをコードする1つまたは複数の配列を含む。プロセシングモチーフは、異なる配列であってもよい。
鋳型は、第1のプロセシングモチーフをコードする配列および第2のプロセシングモチーフをコードする配列を含有してもよい。鋳型によってコードされる、第1および第2のプロセシングモチーフは、二重鎖部分のそれぞれの末端が反対の向き(フォワードおよびリバース)にある初期化エレメントで終わるように、構造モチーフの外側の端部(かつ初期化エレメント内)に位置する。
一本鎖核酸コンカテマー中のプロセシングモチーフに関する要件の性質を考慮すると(プロセシングの前)、第1および第2のプロセシングモチーフの配列は、同じか、または異なってもよい。それらが同じである場合、プロセシングモチーフ全体を必要なエンドヌクレアーゼを使用して一本鎖から切断することができるように、制限部位は塩基対合部分の基部で形成する。したがって、切断部位は、対合部分の最後の塩基対、またはその塩基として記載することもできる、塩基対合部分の基部にあるため、二重鎖部分に関するプロセシングモチーフの向きに関係なく(前または後)、プロセシングモチーフの全部を核酸から切断することができる。
あるいは、一本鎖核酸コンカテマー中の第1および第2のプロセシングモチーフ(プロセシングの前)は異なってもよく、切断部位を含有するエンドヌクレアーゼのためのそれぞれの認識部位も異なり、本発明の一本鎖コンカテマーをプロセシングする場合に異なるエンドヌクレアーゼの使用を可能にする。
したがって、鋳型は、同一の、または異なる第1および第2のプロセシングモチーフをコードする配列を含んでもよい。
エンドヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖内のホスホジエステル結合を切断する、タンパク質性であろうと、DNAなどの核酸から構成されようと、酵素である。本発明では、末端が隔離された核酸分子を生産するためには、二本鎖核酸を介する切断が必要である。したがって、それぞれの1つが一本鎖を介して切断する、2つのエンドヌクレアーゼの組合せが必要とされ得る。あるいは、両方の鎖を切断する単一の酵素を用いてもよい。エンドヌクレアーゼは、例えば、ニッキングエンドヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、Cas9などの誘導型エンドヌクレアーゼ、または制限エンドヌクレアーゼであってもよい。ニッキングエンドヌクレアーゼは、一方の鎖のみを切断するように改変された改変制限エンドヌクレアーゼであってよい。
一態様では、エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼである。
制限エンドヌクレアーゼは、特定の認識部位内の、またはその近くの切断部位で二本鎖核酸を切断する酵素である。切断するために、全ての制限エンドヌクレアーゼは、二重鎖のそれぞれの骨格(すなわち、それぞれの鎖)を通過したら、2つの切り口を作る。制限エンドヌクレアーゼは認識部位を認識するために二本鎖核酸の存在を必要とするため、そのような構造は、エンドヌクレアーゼに核酸を切断させるために必要である。したがって、本発明者らは、一本鎖分子が認識部位および切断部位を含む二本鎖構造を形成するような、好ましくは、自己相補性配列を使用する、一本鎖核酸内での塩基対合部分の構築を提唱する。
制限エンドヌクレアーゼは、特定のヌクレオチド配列を認識し、二重鎖中での二本鎖切断をもたらす。また、認識部位を、通常は4~8塩基の塩基数によって分類することもできる。全てではないが、多くの認識部位は、パリンドロームであり、この特性は、それを塩基対合部分により容易に配置することができる配列の設計を支援するため、プロセシングモチーフを設計する場合に非常に有用である。一本鎖形式では、互いに塩基対合する時にパリンドロームを形成することができる部分は、逆方向反復配列と呼ばれる。これらの2つの配列は、一本鎖核酸中でスペーサー配列によって隔てられていてもよい。
制限エンドヌクレアーゼは、平滑切断(すなわち、塩基対合部分を通してまっすぐ切断する)であるか、またはオフセット様式での切断(すなわち、切断が塩基対合部分を通して互い違いである)であってもよい。切断部位は、認識部位内に、またはその近くにあってもよく、かくして、切断部位は認識部位の一部である必要はない。したがって、切断部位は認識部位と結合するが、必ずしもその一部を形成しない。
その認識部位および切断部位と一緒に、天然のものと、操作されたものとの両方の、何千もの制限エンドヌクレアーゼが公知である。任意の好適な認識部位および切断部位を、プロセシングモチーフ中に含有させることができる。クローニングなどにおいて一般的に使用される例示的な制限エンドヌクレアーゼは、HhaI、HindIII、NotI、EcoRI、ClaI、BamHI、BglII、DraI、EcoRV、PstI、SalI、SmaI、SchIおよびXmaIである。多くはNew England BiolabsおよびThermoFisher Scientificなどの供給業者から商業的に入手可能である。
一本鎖核酸コンカテマー中の初期化エレメントから構造モチーフを遊離させるエンドヌクレアーゼを使用する切断のために、構造モチーフの末端ヌクレオチドが一本鎖核酸分子中間体の末端残基および末端を形成するように、切断部位が鋳型中の構造モチーフに隣接するのが好ましい。
鋳型内で、初期化エレメントがコードされ、その一部分は、中間体一本鎖核酸分子および最終的なベクター中でフォールディングされるように設計された、構造モチーフをコードする配列である。構造モチーフは、3’および5’末端が最終的に連結されるように、特に、3’末端が伸長のためのプライマーとして作用するように、一本鎖核酸分子中間体の末端(すなわち、DNAおよびRNAの5’および3’末端)を保護することができる。
構造モチーフ
構造モチーフ(103)は、内部的に塩基対合部分または二重鎖を形成することができる配列(105および106)を含む。この塩基対合部分または二重鎖は、エンドヌクレアーゼによるプロセシングの前にコンカテマー中で形成してもよいか、またはそれはプロセシングモチーフがコンカテマーから除去されたら、エンドヌクレアーゼによるプロセシングの後に形成してもよい。これらの構造は、プロセシングモチーフがエンドヌクレアーゼによって切断されるまで形成しなくてもよい。
二重鎖は、一本鎖内の配列の少なくとも2つの部分の間での塩基対合によって形成され得る。この塩基対合は、標準的(すなわち、DNAにおけるアデニン(A)-チミン(T)、RNAにおけるアデニン(A)-ウラシル(U)、および両方におけるシトシン(C)-グアニン(G))であるワトソンおよびクリックの古典的塩基対)であるか、または非カノニカル(すなわち、フーグスティーン塩基対、炭素-水素および酸素/窒素基などの間の相互作用)であってもよい。フーグスティーン対は、一本鎖核酸の特定の構造、グアニン四重鎖と呼ばれるGに富むセグメント、またはi-モチーフと呼ばれるCに富むセグメントの形成を可能にする。グアニン四重鎖は一般に、短いスペーサーによって隔てられた、Gの4個のトリプレットを必要とする。これは、フーグスティーン結合したグアニン分子のスタッキングされた結合から構成される平面カルテットの集合を可能にする。
したがって、構造モチーフは、自己相補的であるか、または一本鎖核酸分子内の別の配列、すなわち、二重鎖部分もしくは二重鎖部分内のスペーサー配列と相補的である配列の部分を含んでもよい。
構造モチーフは、それぞれ、一本鎖核酸のスペーサー配列によって隔てられた、1つより多い塩基対合部分もしくは二重鎖を形成するための配列を含んでもよいか、または塩基対合部分もしくは二重鎖は、下記:ヘアピン;一本鎖領域;バルジループ;内部ループ;多分岐ループまたは結合点のうちのいずれか1つもしくは複数を含んでもよい、より大きい構造の一部を形成してもよい。構造モチーフは、ベクターと関連して上に記載された通りであってよい。構造モチーフは、ベクターと関連して上に記載された通りである結合モチーフを含んでもよい。
構造モチーフが少なくとも1つの塩基対合部分または二重鎖を形成したら、一本鎖核酸分子の末端残基は保護され得る。一本鎖DNAのいずれかの末端の末端ヌクレオチド(または残基)は、好ましくは、中間体中の別の残基と塩基対合する。これは、末端残基を、ポリメラーゼ酵素を用いた伸長または伸長した鎖へのライゲーションにとって好適なものにする。
末端(末端ヌクレオチド)は、一本鎖核酸中間体において一本鎖形態ではないことが好ましい。これらの末端は、それぞれの末端残基と、一本鎖核酸中間体の別の部分との塩基対合の存在によって安定化される。
コンカテマー核酸分子に由来する構造モチーフは、プロセシングされたら、一本鎖核酸構築物の一方の末端を形成する。末端残基は、一般に、構造モチーフによって保護される。
本発明による好ましい構造モチーフは、ヘアピン、ステムループ、結合点、シュードノット、ITR、修飾ITR、合成ITR、i-モチーフおよびグアニン四重鎖としてフォールディングし得る配列を含む。構造モチーフは、本明細書の以前に記載された通りであってよい。
ヘアピンは、核酸の一本鎖の近隣の相補的配列間での塩基対合に起因して形成される、DNAまたはRNAなどの核酸中の構造である。近隣の相補的配列は、数個のヌクレオチド、例えば、1~10個または1~5個のヌクレオチドによって隔てられていてもよい。非相補的配列のループが相補的配列の2つの部分の間に含まれる場合、これはヘアピンループまたはステムループを形成する。ループは、ステムまたは二本鎖部分と同様、任意の好適な長さのものであってよい。他の類似する構造はラリアートを含む。
それぞれの末端の構造モチーフは、同じ特定の構造(すなわち、ヘアピン、ステムループ、ITRなど)にフォールディングすることができるか、またはそれらはそれぞれ独立に、異なる構造(すなわち、第1の末端はヘアピンであり、第2の末端はITRである)にフォールディングするように設計することができる。
以前に考察されたように、構造モチーフは、本明細書で上記されたような、結合モチーフを含んでもよい。それらは、アプタマーなどの機能的構造を形成することができる。例示的なプロセスでは、2つの相補的配列(105および106)は、構造モチーフ内の結合モチーフを挟む。隣接相補的配列はステム構造の形成を確保し、結合モチーフを「支持する」ため、そのような設計により、本発明者らは、結合モチーフの中心部分を除去し、構造モチーフが本発明の方法における使用にとって好適であることを確保しながら、それを代替的なモチーフで置き換えることができる。
二重鎖
鋳型はまた、二重鎖部分の一本鎖をコードする。二重鎖部分は、任意の好適な長さの、任意の望ましい核酸配列であってもよい。
二重鎖部分は、好ましくは、任意選択で発現カセット内に、遺伝子またはその断片を含む。二重鎖部分は、細胞中での発現のための、遺伝子または遺伝物質などの導入遺伝子を含んでもよい。導入遺伝子を、発現カセット内のプロモーター配列に作動可能に接続することができる。
二重鎖部分は、治療的生成物をコードする配列を含んでもよい。治療的生成物は、DNAアプタマー、タンパク質、ペプチド、または低分子干渉RNAなどのRNA分子であってもよい。治療的有用性を提供するために、そのような二重鎖部分は、1つまたは複数のプロモーターまたはエンハンサーエレメントおよび目的のmRNAまたはタンパク質をコードする遺伝子または他のコード配列を含む発現カセットを含んでもよい。発現カセットは、目的のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結された真核プロモーター、および任意選択で、エンハンサーおよび/または真核転写終結配列を含んでもよい。
二重鎖部分を、宿主細胞中での発現のためのDNAの生産のため、特に、DNAワクチンの生産のために使用することができる。DNAワクチンは、典型的には、全ゲノムなどの、改変形態の感染性生物のDNAをコードする。DNAワクチンは、対象に投与された後、そこでそれらは、感染性生物の選択されたタンパク質を発現し、典型的には、保護的であるそのタンパク質に対する免疫応答を開始する。DNAワクチンはまた、がん免疫療法手法における腫瘍抗原をコードしてもよい。任意のDNAワクチンを二重鎖部分として使用することができる。
また、本発明のプロセスは、他の型の治療的DNA分子、例えば、遺伝子療法において使用されるものを生産することもできる。例えば、対象が機能障害型の機能的遺伝子によって引き起こされる遺伝性障害を有する場合、そのようなDNA分子を使用して、その遺伝子を発現させることができる。そのような疾患の例は、当業界で周知である。
二重鎖部分または構造モチーフをコードする鋳型の一部が、細菌複製起点を欠く、耐性遺伝子(すなわち、抗生物質に対する)を欠く、原核生物のメチル化パターンを欠く(それが有用であり得るDNAワクチンについては除く)、または外来DNAの任意の他のマーカーを欠くことが好ましい。しかしながら、これらの実体は、鋳型の残りがプロセシングされ、生成物から除去されるため、二重鎖部分および構造モチーフの外部に存在してもよい。
鋳型は、好ましくは、環状であるか、または環化することができる。鋳型は、二本鎖または一本鎖であってもよい。
鋳型が二本鎖である場合、それは第1のプロセシングモチーフの前にニッキング酵素のための配列を含むことが好ましい。あるいは、ニッキングエンドヌクレアーゼとして知られる、これらの酵素は、二重鎖の一方の鎖のみを加水分解して、切断された核酸分子よりもむしろ「ニッキングされた」核酸分子を生産する。これは、追加のプライマーを必要とすることなく、ローリングサークル増幅のための開始点を提供し、核酸コンカテマーの一方の鎖のみが増幅反応において産生されることを確保することができる。そのような酵素は、例えば、New England BiolabsおよびThermo Fisher Scientificから商業的に入手可能である。これらの酵素は、認識および切断部位を鋳型の関連する鎖上で設計して、正確な鎖が鋳型として直接使用されることを確保することができるように十分に特異的である。
鋳型は、DNAもしくはRNAなどの天然の、または以前に考察されたような人工の、任意の好適な核酸であってもよい。鋳型はDNAであるのが好ましい。
生産される核酸は、DNA、RNAまたはそのハイブリッドなどの任意の好適な核酸であってもよい。好ましいのは、DNAベクターである。ベクターは、他の実体を、単純な化学的手段を使用してベクターに接続することができるような、修飾塩基を含んでもよい。
鋳型の増幅
一本鎖核酸中間体を生産するために、鋳型は酵素的に増幅する必要がある。
鋳型を、1つまたは複数のポリメラーゼ酵素を用いて増幅することができる。ポリメラーゼ酵素は、核酸を増幅するために十分な生材料または基質(ヌクレオチドなど)およびコファクター(金属イオンなど)を提供した場合、鋳型を使用して、相補的核酸コピーを合成することができる。
この増幅ステップのために、任意の好適なポリメラーゼ酵素を使用することができ、1つの酵素、または酵素の組合せを使用することができる。
酵素は、鋳型の性質に応じて、DNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼ、または合成鋳型を使用するため、もしくは合成一本鎖核酸を製造するため、人工の、修飾された、操作された、もしくは突然変異体ポリメラーゼであってもよい。
増幅は、鎖置換法によって進行するのが好ましい。これは、加熱および冷却の反復サイクル(PCRのように)を必要としない等温法であるが、ポリメラーゼ酵素は、鋳型にアニーリングした鎖を排除することができる。Phi29、Deep Vent(登録商標)、BST DNAポリメラーゼIおよびそのバリアントを含む、鎖置換型ポリメラーゼが公知である。これは、それぞれの1つがより早いポリメラーゼによって産生された新生の鎖を排除する、複数のポリメラーゼが同時に同じ鋳型上で作用することができることを意味する。
最も好ましい鎖置換増幅技術は、ローリングサークル増幅(RCA)である。この増幅方法では、鎖置換ポリメラーゼは、新生オリゴヌクレオチドを伸長させながら、環状鋳型を周って継続的に前進する。これは、核酸の長いコンカテマー鎖の生成をもたらす。
増幅反応は、ニッキングエンドヌクレアーゼを用いて鋳型をニッキングすることによって二本鎖環状鋳型上で開始させるのが好ましい。そのような酵素は、上で考察されている。二本鎖鋳型の一本鎖をニッキングすることによって、これはポリメラーゼが結合するために鋳型を開き、それは作出された遊離3’末端を利用して、環状鋳型を周って何回もプロセシングすることによってこの鎖を伸長しコンカテマー核酸にすることができる。
ただ1つの骨格が酵素を使用して切断されるため、鋳型中のニッキング部位およびニッキングエンドヌクレアーゼの使用により、方法はまた、RCAから一本鎖コンカテマーのみを作製することができ、反対の鎖の増幅を防止する。
かくして、所望の生成物の産生を可能にし、二本鎖鋳型の相補鎖の望ましくない増幅を防止するため、鋳型中のニッキング部位の使用が好ましい。
あるいは、本発明者らは、所望の鋳型鎖にアニーリングする(その相補鎖にはアニーリングしない)ように設計されたごく少量の特異的プライマーを使用して、増幅を強制的に進行させて、二本鎖鋳型の一方の鎖のみを大量に作製することができることを見出した。この態様では、必要とされるプライマーはピコモル量に過ぎない。かくして、プライマーを、1pM~100nMの量で供給することができる。
鋳型が一本鎖である場合、ローリングサークル増幅を開始するためのプライマーを使用することができる。好ましくは、プライマーは、鋳型にのみアニーリングし、コンカテマー核酸分子にはアニーリングしないように設計され、かくして、1種のみのコンカテマーが作製されることを確保する。
鋳型は、少なくとも1つのポリメラーゼと接触される。1、2、3、4または5つの異なるポリメラーゼを使用してもよい。ポリメラーゼは、それが核酸のポリマーを合成するような、任意の好適なポリメラーゼであってもよい。ポリメラーゼは、DNAまたはRNAポリメラーゼであってもよい。任意の商業的に入手可能なポリメラーゼを含む、任意のポリメラーゼを使用することができる。例えば、1つは校正機能を提供し、1つまたは複数の他のものはそうしない、2、3、4、5つ以上の異なるポリメラーゼを使用することができる。異なる機構を有するポリメラーゼ、例えば、鎖置換型ポリメラーゼおよび他の方法によって核酸を複製するポリメラーゼを使用することができる。鎖置換活性を有しないDNAポリメラーゼの好適な例は、T4 DNAポリメラーゼである。
ポリメラーゼは、その活性がプロセス条件下で長期のインキュベーションによって実質的に低下しないように、非常に安定であってもよい。したがって、酵素は、好ましくは、限定されるものではないが、温度およびpHなどの一定範囲のプロセス条件下で長い半減期を有する。また、ポリメラーゼは、製造プロセスにとって好適な1つまたは複数の特徴を有することも好ましい。ポリメラーゼは、好ましくは、例えば、校正活性を有することによって、高い忠実性を有する。さらに、ポリメラーゼは、高いプロセシビティ、高い鎖置換活性ならびにヌクレオチドおよび核酸に関する低いKmを示すのが好ましい。ポリメラーゼは、鋳型として環状および/または線状DNAを使用することができる。ポリメラーゼは、鋳型として二本鎖または一本鎖核酸を使用することができる。ポリメラーゼは、その校正活性と関連しないエキソヌクレアーゼ活性を示さないのが好ましい。
当業者であれば、所与のポリメラーゼが、商業的に入手可能なポリメラーゼ、例えば、Phi29(New England Biolabs,Inc.、Ipswich、MA、US)、Deep Vent(登録商標)(New England Biolabs,Inc.)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(Bst)DNAポリメラーゼI(New England Biolabs,Inc.)、DNAポリメラーゼIのKlenow断片(New England Biolabs,Inc.)、M-MuLv逆転写酵素(New England Biolabs,Inc.)、Vent(登録商標)(exo-minus)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、Vent(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、Deep Vent(登録商標)(exo-)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、Bst DNAポリメラーゼラージ断片(New England Biolabs,Inc.)、高忠実性融合DNAポリメラーゼ(例えば、ピュロコックス様、New England Biolabs、MA)、ピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来Pfu DNAポリメラーゼ(Agilent、La Jolla、CA)、T7 DNAポリメラーゼのSequenase(商標)バリアント、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、ピュロコックス種GB-D由来DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、MA)、またはサーモコックス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来DNAポリメラーゼ(New England Biolabs-NEB、MA)によって示される特性との比較によって上で定義された特性を示すかどうかを決定することができる。
あるいは、ポリメラーゼは、DNA依存的RNAポリメラーゼであってもよい。例示的な酵素としては、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、Hi-T7(商標)RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、E.coliポリ(A)ポリメラーゼ、E.coli RNAポリメラーゼ、およびE.coli RNAポリメラーゼ、ホロ酵素(全てNEBから入手可能)が挙げられる。
高いプロセシビティと言う場合、これは典型的には、鋳型との結合/解離あたりのポリメラーゼ酵素によって付加されるヌクレオチドの平均数、すなわち、1回の結合事象から得られるプライマー伸長の長さを指す。
鎖置換型ポリメラーゼが好ましい。好ましい鎖置換型ポリメラーゼは、Phi29、Deep VentおよびBst DNAポリメラーゼIまたはそのいずれかのバリアントである。「鎖置換」は、合成中の二本鎖DNAの領域との遭遇時に相補鎖を排除するポリメラーゼの能力を記述する。かくして、鋳型は、相補鎖を排除し、新しい相補鎖を合成することによって増幅される。かくして、鎖置換複製中に、ポリメラーゼがさらに相補鎖を複製する余地が得られるように、新しく複製された鎖は排除されるであろう。増幅反応は、プライマーまたは一本鎖鋳型の遊離末端が、鋳型上の相補的配列にアニーリングする時に開始する(両方ともプライミング事象である)。核酸合成が進行する時およびそれがさらなるプライマーまたは鋳型にアニーリングした他の鎖に遭遇する場合、ポリメラーゼはこれを排除し、その鎖伸長を継続する。鎖置換増幅法は、二本鎖鋳型が新しい鎖の合成の継続に対する障害とならないため、変性のサイクルが効率的増幅にとって必須ではないという点でPCRに基づく方法とは異なることが理解されるべきである。鎖置換増幅は、初期鋳型が二本鎖である場合、それを変性させ、使用される場合、プライマー結合部位にプライマーをアニーリングさせるために、1回だけの初回の加熱を必要としてもよい。この後、さらなる加熱または冷却は必要とされないため、増幅は等温であると記載することができる。対照的に、PCR法は、二本鎖DNAを融解し、新しい一本鎖鋳型を提供するために、増幅プロセス中に変性のサイクル(すなわち、94℃以上への温度の上昇)を必要とする。鎖置換中に、ポリメラーゼは、既に合成された核酸の鎖を排除するであろう。
本発明のプロセスにおいて使用される鎖置換ポリメラーゼは、好ましくは、少なくとも20kb、より好ましくは、少なくとも30kb、少なくとも50kb、または少なくとも70kb以上のプロセシビティを有する。一実施形態では、鎖置換DNAポリメラーゼは、phi29 DNAポリメラーゼと同等であるか、またはそれより高いプロセシビティを有する。
鋳型と、ポリメラーゼおよびニッカーゼまたはプライマーとの接触は、プライマーの鋳型へのアニーリングを促進する条件下で行ってもよい。条件は、プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする一本鎖DNAの存在を含む。条件はまた、プライマーの鋳型へのアニーリングを可能にする温度および緩衝剤も含む。プライマーの性質に応じて、適切なアニーリング/ハイブリダイゼーション条件を選択することができる。本発明において使用される好ましいアニーリング条件の例は、30mM Tris-HCl pH7.5、20mM KCl、8mM MgClを含む緩衝剤を含む。所望の反応温度への徐々の冷却により、熱を使用する変性後にアニーニングを実行することができる。
鋳型およびポリメラーゼは、ヌクレオチドとも接触される。鋳型、ポリメラーゼおよびヌクレオチドの組合せは、反応混合物を形成する。反応混合物はまた、1つもしくは複数のプライマーまたはあるいは、ニッキング酵素(ニッカーゼ)もしくはプライミング酵素(プライマーゼ)を含んでもよい。反応混合物は独立して、核酸合成のための1つまたは複数の金属カチオンまたはその他に必要とされるコファクターを含んでもよい。
ヌクレオチドは、核酸の単量体、または単一ユニットであり、ヌクレオチドは、窒素含有塩基、5炭素糖(リボースまたはデオキシリボース)、および少なくとも1個のリン酸基から構成される。任意の好適なヌクレオチドを使用することができる。
ヌクレオチドは、遊離酸、その塩もしくはキレート、または遊離酸および/または塩もしくはキレートの混合物として存在してもよい。
ヌクレオチドは、一価金属イオンヌクレオチド塩または二価金属イオンヌクレオチド塩として存在してもよい。
窒素含有塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、および/またはウラシル(U)であってもよい。窒素含有塩基はまた、5-メチルシトシン(m5C)、シュードウリジン(Ψ)、ジヒドロウリジン(D)、イノシン(I)、および/または7-メチルグアノシン(m7G)などの修飾塩基であってもよい。
ヌクレオチドがデオキシヌクレオチドとなるように、5炭素糖はデオキシリボースであるのが好ましい。
ヌクレオチドは、dNTPと呼ばれる、デオキシヌクレオシド三リン酸の形態であってもよい。これは、本発明の好ましい実施形態である。好適なdNTPは、dATP(デオキシアデノシン三リン酸)、dGTP(デオキシグアノシン三リン酸)、dTTP(デオキシチミジン三リン酸)、dUTP(デオキシウリジン三リン酸)、dCTP(デオキシシチジン三リン酸)、dITP(デオキシイノシン三リン酸)、dXTP(デオキシキサントシン三リン酸)、およびその誘導体および修飾型を含んでもよい。dNTPは、dATP、dGTP、dTTP、もしくはdCTPのうちの1つもしくは複数、またはその修飾型もしくは誘導体を含むのが好ましい。dATP、dGTP、dTTPおよびdCTPまたはその修飾型の混合物を使用するのが好ましい。
ヌクレオチドは、溶液中にあるか、または凍結乾燥形態で提供され得る。ヌクレオチドの溶液が好ましい。
ヌクレオチドを、任意の新しく設計された人工塩基、好ましくは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)のうちの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の好適な塩基の混合物中で提供することができる。核酸を合成するためのプロセスにおいては、2、3種または好ましくは4種全部のヌクレオチド(A、G、T、およびC)が使用される。
コンカテマー
コンカテマーは、鋳型中に存在する配列単位の反復単位を有する核酸分子である。それぞれの配列単位は、以前に記載されたように、初期化エレメントによって両側で挟まれた二重鎖部分の配列を含む。配列単位はまた、最終的には、本発明のベクター中には存在しない、鋳型によってコードされる骨格配列を含んでもよい。
コンカテマー核酸分子は、連続系列中に、複数の配列単位、例えば、10、50、100、200、500個またはさらには1000個以上の配列単位を含んでもよい。コンカテマー分子は、少なくとも5kbのサイズ、少なくとも50kb、少なくとも100kb、またはさらには、最大で200kbの長さであってもよい。
コンカテマー核酸分子のプロセシング
鋳型が増幅されたら、または増幅中でさえ、1つまたは複数のプロセシング部位を切断する必要なエンドヌクレアーゼを使用して、コンカテマー核酸を一本鎖中間体にプロセシングすることができる。
したがって、プロセシングモチーフはコンカテマー核酸の形態にありながら、塩基対合部分を形成することができることが好ましい。かくして、塩基対が等温増幅にとって好適な条件下で形成するように、プロセシングモチーフを設計することができる。これらの塩基対合部分がコンカテマー核酸内で形成したら、エンドヌクレアーゼのための認識部位が、必要な切断部位と一緒に形成する。この的確なシステムは、コンカテマーが核酸の一本鎖のみであるという事実にも拘わらず、そのプロセシングを可能にする。それは、コンカテマー核酸内でのプロセシング部位の形成を可能にする鋳型の設計であり、1つまたは複数のエンドヌクレアーゼの添加によってこのコンカテマーをプロセシングするための単一のステップを可能にする。
増幅反応が完了したら、エンドヌクレアーゼを添加することができるが、それは進行中であるか、または増幅反応の開始時である。コンカテマー核酸が迅速にプロセシングされることを確保するために、増幅反応はエンドヌクレアーゼを添加する前に進行中であるのが好ましい。あるいは、エンドヌクレアーゼの添加前に、増幅プロセスを完了させることができる(すなわち、鋳型を使い果たす、ヌクレオチドを使い果たす、反応混合物の粘度が高すぎる)。
また、プロセシングモチーフと、任意の関連する鋳型「骨格」とからなる副生成物も産生される。
3’末端の伸長および任意選択の閉鎖
エンドヌクレアーゼによる切断後の一本鎖中間体の3’末端は、それがプライマーとして作用することができるように、中間体と塩基対合する。3’末端がニッカーゼの適用後に伸長のために利用可能となることを確実にするために、3’末端に、またはその近くにニッキング部位を設計することができる。
中間体を、1つまたは複数のポリメラーゼ酵素と接触させる。1、2、3、4または5つの異なるポリメラーゼを使用してもよい。ポリメラーゼは、それが核酸のポリマーを合成するような、任意の好適なポリメラーゼであってもよい。ポリメラーゼは、DNAまたはRNAポリメラーゼであってもよい。任意の商業的に入手可能なポリメラーゼを含む、任意のポリメラーゼを使用することができる。例えば、1つは校正機能を提供し、1つまたは複数の他のものはそうしない、2、3、4、5つ以上の異なるポリメラーゼを使用することができる。異なる機構を有するポリメラーゼを使用してもよいが、ポリメラーゼは鎖置換しないのが好ましい。鎖置換活性を有しないDNAポリメラーゼの好適な例は、T4 DNAポリメラーゼである。
ポリメラーゼは、その活性がプロセス条件下で長期のインキュベーションによって実質的に低下しないように、非常に安定であってもよい。したがって、酵素は、好ましくは、限定されるものではないが、温度およびpHなどの一定範囲のプロセス条件下で長い半減期を有する。また、ポリメラーゼは、製造プロセスにとって好適な1つまたは複数の特徴を有することも好ましい。ポリメラーゼは、好ましくは、例えば、校正活性を有することによって、高い忠実性を有する。さらに、ポリメラーゼは、高いプロセシビティ、ならびにヌクレオチドおよび核酸に関する低いKmを示すのが好ましい。ポリメラーゼは、鋳型として線状DNAを使用することができる。ポリメラーゼは、鋳型として一本鎖核酸を使用することができる。ポリメラーゼは、その校正活性と関連しないエキソヌクレアーゼ活性を示さないのが好ましい。
当業者であれば、所与のポリメラーゼが、商業的に入手可能なポリメラーゼ、例えば、Deep Vent(登録商標)(New England Biolabs,Inc.)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bst)DNAポリメラーゼI(New England Biolabs,Inc.)、DNAポリメラーゼIのKlenow断片(New England Biolabs,Inc.)、M-MuLv逆転写酵素(New England Biolabs,Inc.)、VentR(登録商標)(exo-minus)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、Deep Vent(登録商標)(exo-)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.)、Bst DNAポリメラーゼラージ断片(New England Biolabs,Inc.)、高忠実性融合DNAポリメラーゼ(例えば、ピュロコックス様、New England Biolabs、MA)、ピュロコックス・フリオスス由来Pfu DNAポリメラーゼ(Agilent、La Jolla、CA)、T7 DNAポリメラーゼのSequenase(商標)バリアント、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、ピュロコックス種GB-D由来DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、MA)、またはサーモコックス・リトラリス由来DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、MA)によって示される特性との比較によって上で定義された特性を示すかどうかを決定することができる。
あるいは、ポリメラーゼは、DNA依存的RNAポリメラーゼであってもよい。例示的な酵素としては、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、Hi-T7(商標)RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、E.coliポリ(A)ポリメラーゼ、E.coli RNAポリメラーゼ、およびE.coli RNAポリメラーゼ、ホロ酵素(全てNEBから入手可能)が挙げられる。
高いプロセシビティと言う場合、これは典型的には、鋳型との結合/解離あたりのポリメラーゼ酵素によって付加されるヌクレオチドの平均数、すなわち、1回の結合事象から得られるプライマー伸長の長さを指す。
中間体およびポリメラーゼ酵素はまた、二重鎖の相補鎖を合成するためのプライマーとして二重鎖部分の一本鎖を使用して中間体の3’末端を伸長させるための好適な条件下に、および好適な試薬と共に置かれるであろう。かくして、このステップにおけるポリメラーゼの作用は、鋳型として一本鎖部分を使用して二重鎖を合成することである。3’末端は、二重鎖部分の末端のところまで、最も好ましくは、中間体の5’末端に隣接するまで伸長されるのが好ましい。リガーゼなどの酵素を使用したベクターの共有結合的閉鎖を可能にするため、3’末端が5’末端に隣接するまでそれを伸長させることが有利である。伸長反応のための好適な条件は、試薬の提供を含めて、増幅ステップと関連して記載される。
3’および5’末端を、ライゲーションし、ベクターを共有結合的に閉じることができる。伸長した中間体を、リガーゼ酵素と接触させて、ベクターを共有結合的に閉じることができる。DNAベクターの末端は、一方の末端の3’-ヒドロキシルと、他方の末端の5’-ホスホリルとの間のホスホジエステル結合の形成によって互いに連結される。RNAも同様にライゲーションすることができる。反応にはコファクターが一般的に含まれ、これは通常、ATPまたはNADである。
核の標的化
ヒストンは核において最も豊富なタンパク質であり、異なる輸送経路が細胞質から核へのヒストンの能動的輸送に関与する。この事実は、ヒストン輸送経路のハイジャックが、治療目的または他の目的で目的のDNAの核局在化を増強するための普遍的な方法であることを意味する。
ヌクレオリンは、多様な機能を有するシャトルタンパク質であり、様々な細胞コンパートメント中に見出すことができるが、それがもっと多く存在するのは核である。
ヒトテロメアは複数のタンパク質によって維持され、それらの一部はテロメア配列(TTAGGG)nの反復によって形成され得るグアニン四重鎖構造に特異的に結合するが、4つの反復(TTAGGG)4がグアニン四重鎖構造を形成するのに必要な最小配列である。さらに、反復(TTAGGG)nを含む染色体の末端が、グアニン四重鎖構造に選択的であるDNAアプタマーに効率的に結合することを示す証拠がある。
グアニン四重鎖構造(TTAGGG)4を形成するのに必要であるDNAの最小配列は、グアニン四重鎖構造を天然に認識するタンパク質の核内輸送をハイジャックすることができる結合モチーフを有する構造を形成することができる構造モチーフを構築するために本発明者らによって用いられた。
本明細書で例示される構造モチーフは、3つの異なるクラスのタンパク質因子を標的化して、その核内輸送経路をハイジャックする。結合モチーフを含むキャップで目的の二重鎖DNAの一方または両方の末端を閉じることは、治療目的または他の目的で目的のDNAの核取込みおよび発現を増強するための革新的戦略である。
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例を参照して説明する。
DNAベクター中の結合モチーフの存在によって増強される核内輸送
ベクターの合成:
分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)遺伝子を含むベクターDNAを、社内で合成した。それぞれのバージョンが異なるキャップ付末端を有する、種々のバージョンを構築した。これらのキャップ付末端は、
i)ヒストンH4アプタマー、
ii)ヌクレオリンアプタマー、
iii)テロメアグアニン四重鎖構造
であった。
それぞれのバージョンが、それぞれ発現カセットの下流に配置され、したがって、ベクターの右のキャップ付末端を形成した、様々なキャップ付末端のための構造モチーフを含有する、哺乳動物発現カセット[プロモーター-遺伝子-ポリA配列][Ef1α-SEAP-SV40ポリ(A)]を含む種々の線状二重鎖DNAを生成した。
i)ヒストンH4(H4_Gq、およびH4_sl)
ii)ヌクレオリン:(nucl)
iii)ヒトテロメアグアニン四重鎖(hTel)
また、ベクターの左端も、構造モチーフ、この場合、既知のタンパク質因子に対する結合親和性を有しない、3-ヌクレオチドのループGAAを有する単純なステムループの配列でキャップした。
参照DNA(「アプタマーなし」と称される)は、両端に3-ヌクレオチドのGAAループを含有していた。
トランスフェクション:
製造業者のガイドラインに従って、市販のPEIproトランスフェクション試薬(Polyplus-transfection)を使用して、DNAをHEK293細胞(ATCC)にトランスフェクトした。
簡単に述べると、細胞を、10%FBS(Sigma)、2mM L-グルタミン(Sigma)および1%非必須アミノ酸溶液(Sigma)を添加した総量2mlのDMEM培養培地中、ウェルあたり7x10細胞の密度でトランスフェクションの24h前に6ウェルプレート中に播種した。
細胞を、それらが70%の集密度に達するまで(24h)、5%COインキュベーター中、37℃でインキュベートした。PEIproとのベクター複合体を、表6に示されるように生成した。室温で15minインキュベートする際に、無血清DMEM中のDNA-PEI複合体を細胞培養物に添加した(滴下)。細胞培養物を含むプレートを、37℃の5%CO雰囲気に維持するインキュベーターに入れた。分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)活性のために9時間後に培地を収集し、生物学的反復を全ての試料について実施した。Luminescence-based SEAP Reporter Gene Assay Kit(Abcam)を使用して、SEAP発現のレベル(培地1mlあたりのU)を決定した。
実験にわたって等しいトランスフェクション効率を確保するために、CMV-eGFPベクターとの同時トランスフェクションを実施した(トランスフェクションのために使用したDNA塊の10%はeGFPをコードする線状DNAであった)。フローサイトメトリーを使用して48h後に蛍光中央値を測定し、実験間で不変であることを確認した。
Figure 2023542347000008
以下は、発現カセット(Ef1a-SEAP-SV40ポリ(A))の下流に位置する様々な構造モチーフの配列である。下線で印を付けた配列は、結合モチーフとして作用する構造モチーフの部分(または対照においてトリヌクレオチドループを形成する部分)を示す。結合モチーフのそれぞれの側(隣接部)には、この例では、互いにハイブリダイズして支持的ステム構造を形成し、アプタマーをベクター中の適所に効果的に保持する相補的配列である構造モチーフに由来する配列がある。かくして、特定の結合モチーフをその中に配置することができる「鋳型」構造モチーフを設計することが可能であることがわかる。この例では、隣接配列は、互いに相補的である。
>アプタマーなし(対照)
ctgctcacctgccagctacggacgcggaacgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>H4_Gq
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>H4_SL
ctgctcacctgccagctacggacgcgcgcaggttaaatcccaaatggtccgagggttgcgcgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>nucl
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>hTEL
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EF1α-SEAP-SV40pAカセットの配列
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結果
核内輸送経路を改良するためにキャップ付末端中にアプタマーを含有するベクターは、対照ベクター(no apt)と比較してSEAP発現の有意な増加を示した(図1)。SEAPのない「ベクター」は、発現を示さなかった。
少量のベクターを使用する場合にアプタマーを含むキャップ付末端の存在によって増強されるベクターの核内輸送
上記のベクターを、実施例1に概略されたように、製造業者のプロトコールに従って、PEI Proを使用してHEK293にトランスフェクトした;6ウェルプレートを使用し、生物学的反復を全ての試料について実施した。分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)活性(培地1mlあたりのUとして表した)を、AbCamの市販のキットを使用して、トランスフェクションの9時間後にアッセイした。
実験にわたって等しいトランスフェクション効率を確保するために、CMV-eGFPベクターとの同時トランスフェクションを実施した(トランスフェクションのために使用したDNA塊の10%はeGFPをコードする線状DNAであった)。フローサイトメトリーを使用して蛍光中央値を測定し、実験間で不変であることを確認した。
SEAPリポーター遺伝子を有する少量のベクターを使用したが、競合ベクター(リポーター遺伝子がない)は、一定量のトランスフェクトされたDNAを維持する。
Figure 2023542347000009
Figure 2023542347000010
>hTEL:ctgcgcgctcgctcgctcactgaggcctttagggttagggttagggttagggttggcctcagtgagcgagcgagcgcgcag
結果
構造モチーフhTelを含むベクターの発現レベルは、トランスフェクションにおいて少量のベクター、0.4μg/ウェル(図2)および0.2μg/ウェル(図3)を使用した場合、参照ベクター(no apt)のものよりも有意に高い。これは、ベクターを非改変ベクターよりも少量で使用することができることを示している。
HepG2細胞系中で評価した核内輸送の増強
上記のベクターを、実施例1で概略されたように、製造業者の推奨に従って、PEIproトランスフェクション試薬を使用してHepG2にトランスフェクトした。6ウェルプレートを使用し、生物学的反復を全ての試料について実施した。分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)活性(培地1mlあたりのUとして表した)を、AbCamの市販のキットを使用して、トランスフェクションの9時間後にアッセイした。実験にわたって等しいトランスフェクション効率を確保するために、CMV-eGFPベクターとの同時トランスフェクションを実施した(トランスフェクションのために使用したDNA塊の10%はeGFPをコードする線状DNAであった)。フローサイトメトリーを使用して蛍光中央値を測定し、実験間で不変であることを確認した。
Figure 2023542347000011
>hTEL
ctgcgcgctcgctcgctcactgaggcctttagggttagggttagggttagggttggcctcagtgagcgagcgagcgcgcag
結果
HepG2細胞培養物中での構造モチーフhTelを含むベクターからのSEAP発現は、構造モチーフを欠く同等のベクター(no apt)よりも有意に高い(図4)。
結合モチーフがベクターにおいて機能的であることの証明 - ストレプトアビジンアプタマー
ベクターを合成するための末端変換法がキャップ付末端を形成するための構造の独立したフォールディングと適合することを確保するために、ストレプトアビジンアプタマーのストレプトアビジン被覆プレートへの結合を選択した。ストレプトアビジンアプタマー配列は、哺乳動物リポーターカセットと共に発現カセットの下流で使用した。ベクターの1つの末端上でのプロセシングなどのために、構造モチーフの2つの異なる構成を合成した:i)単一のストレプトアビジンアプタマー、およびii)4つの分枝状ストレプトアビジンアプタマーのアレイ。
ストレプトアビジンアプタマーを含むコンフォメーションモチーフをプロセシングする配列
>strSQ(4つのアプタマー)
ctgctcacctgccagctacggacgcggccacgaacgcaccgatcgcaggtttcgtggcgcgcgtaacgcaccgatcgcaggtttacgcgcagcgagcaacgcaccgatcgcaggtttgctcgccgcccaaacgcaccgatcgcaggttttgggcgcgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>strApt(単一のアプタマー)
ctgctcacctgccagctacggacgcggggaacgcaccgatcgcaggtttccccgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>noApt(アプタマーなしの対照)
ctgctcacctgccagctacggacgcggaacgcgtccgtagctggcaggtgagcag
二重鎖配列
>SEAP-2A-eGFP
cgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggcagtacatcaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccattgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaacaactccgccccattgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggtgggaggtctatataagcagagctcctaggcgtttagtgaaccgtcagaatcgatcgaatcccggccgggaacggtgcattggaacgcggattccccgtgccaagagtgacgtaagtaccgcctatagagtctataggcccacaaaaaatgctttcttcttttaatatacttttttgtttatcttatttctaatactttccctaatctctttctttcagggcaataatgatacaatgtatcatgcctctttgcaccattctaaagaataacagtgataatttctgggttaaggcaatagcaatatttctgcatataaatatttctgcatataaattgtaactgatgtaagaggtttcatattgctaatagcagctacaatccagctaccattctgcttttattttatggttgggataaggctggattattctgagtccaagctaggcccttttgctaatcatgttcatacctcttatcttcctcccacagctcctgggcaacgtgctggtctgtgtgctggcccatcactttggcaaagaattgggatatcgattgatggctgtaagcttggaccgccaccatggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaagttcagcgtgtccggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaagcagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgaggtgaagttcgagggcgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggaggacggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaacggcatcaaggtgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacacccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacgagaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtataagggaagcggagctactaacttcagcctgctgaagcaggctggagacgtggaggagaaccctggacctatggttctggggccctgcatgctgctgctgctgctgctgctgggcctgaggctacagctctccctgggcatcatcccagttgaggaggagaacccggacttctggaaccgcgaggcagccgaggccctgggtgccgccaagaagctgcagcctgcacagacagccgccaagaacctcatcatcttcctgggcgatgggatgggggtgtctacggtgacagcagccaggatcctaaaagggcagaagaaggacaaactggggcctgagatacccctggctatggaccgcttcccatatgtggctctgtccaagacatacaatgtagacaaacatgtgccagacagtggagccacagccacggcctacctgtgcggggtcaagggcaacttccagaccattggcttgagtgcagccgcccgctttaaccagtgcaacacgacacgcggcaacgaggtcatctccgtgatgaatcgggccaagaaagcagggaagtcagtgggagtggtaaccaccacacgagtgcagcacgcctcgccagccggcacctacgcccacacggtgaaccgcaactggtactcggacgccgacgtgcctgcctcggcccgccaggaggggtgccaggacatcgctacgcagctcatctccaacatggacattgatgtgatcctgggtggaggccgaaagtacatgtttcgcatgggaaccccagaccctgagtacccagatgactacagccaaggtgggaccaggctggacgggaagaatctggtgcaggaatggctggcgaagcgccagggtgcccggtatgtgtggaaccgcactgagctcatgcaggcttccctggacccgtctgtgacccatctcatgggcctctttgagcctggagacatgaaatacgagatccaccgagactccacactggacccctccctgatggagatgacagaggctgccctgcgcctgctgagcaggaacccccgcggcttcttcctcttcgtggagggtggtcgcatcgaccacggtcatcacgaaagcagggcttaccgggcactgactgagacgatcatgttcgacgacgccattgagagggcgggccagctcaccagcgaggaggacacgctgagcctcgtcactgccgaccactcccacgttttctccttcggaggctaccccctgcgagggagctccatcttcgggctggcccctggcaaggcacgggacaggaaggcctacacggtcctcctatacggaaacggtccaggctatgtgctcaaggacggcgcccggccggatgttaccgagagcgagagcgggagccccgagtatcggcagcagtcagcagtgcccctggacgaagagacgcacgcaggcgaggacgtggcggtgttcgcgcgcggcccgcaggcgcacctggttcacggcgtgcaggagcagaccttcatagcgcacgtcatggccttcgccgcctgcctggagccctacaccgcctgcgacctggcgccccccgccggcaccaccgacgccgcgcacccagggcggtcccggtccaagcgtctggattgagaattccctttcggggcagacatgataagatacattgatgagtttggacaaaccacaactagaatgcagtgaaaaaaatgctttatttgtgaaatttgtgatgctattgctttatttgtaaccattataagctgcaataaacaagtt
得られたベクターを、ストレプトアビジン被覆プレートへの結合について試験した。プレート上に保持されたDNAの量を、ピコグリーン取込みアッセイによって検出した。
結合プロトコール
DNAを、室温で2h、結合緩衝剤中のストレプトアビジン被覆プレートと混合した。プレートを同じ結合緩衝剤で3回洗浄し、プレートに結合したDNAを、DNAを剥離させることなく、プレート中でピコグリーンアッセイを用いて検出した。
結合緩衝剤(10倍)
1M NaCl
20mM MgCl2
50mM KCl
10mM CaCl2
200mM Tris-HCl、pH7.6。
結果
4つのストレプトアビジンアプタマー(丸)を含む本発明によるベクターは、単一のアプタマーを含有するベクター(KD=17.4nM、四角)よりも有意に強く結合する(解離定数、KD=5.6nM)。いずれかの末端にアプタマーを含まない対照DNAは、プレートへの特異的結合を示さなかった。この結果は、機能的アプタマーを単一のモチーフまたはモチーフのアレイとしてベクターの末端に配置することができることの証拠である。適合曲線は図8に示される。
共有結合的に閉じた、特注のキャップ付末端を有するベクターの生産
鋳型:鋳型A(図11)。
鋳型は、ニッキング部位、コンフォメーションモチーフに隣接するプロセシングモチーフ、目的の配列、第2のプロセシングモチーフに隣接する第2のコンフォメーションモチーフ、および目的の配列と類似するサイズの骨格を含む。dsDNAのみを切断する、追加のエンドヌクレアーゼ標的部位が骨格中に存在する。
20μlでのニッキング反応
・4μlの鋳型(1μg/μl)
・13μlのH
・2μlのCutSmart緩衝剤(NEB)
・1μlのニッカーゼ(Nb.BsrDI、NEB)
37℃で180分間、次いで、80℃で20分間インキュベートした。
1000μlでの増幅反応
・4μlの鋳型(0.2μg/μl)
・100μlの緩衝剤(10倍)
-300mM Tris pH7.9
-300mM KCl
-50mM (NHSO
-100mM MgCl
・837μlのddH
・20μlのdNTP(100mM)(Bioline)
・35μlのSSB(5μg/μl)(E.coli SSB、社内調製)
・2μlの無機ピロホスファターゼ(2U/μl)(Enzymatics)
・2μlのphi29 DNAポリメラーゼ(100U/μl)(Enzymatics)
30℃で16時間インキュベートした。
プロセシング反応
・1000μlの増幅反応
・20μlのMlyI(10U/μl)
37℃で180分間インキュベートした。
精製反応
200μlのプロセシングされた反応液をPCRクリーンアップカラム(Macherey-Nagel)に通過させ、20μl中に溶出させた。
50μlでの第2鎖合成反応
・10μlの鋳型
・1μlのT4 DNAポリメラーゼ(exo)(3U/μl)
・1μlのT4 DNAリガーゼ(400,000U/μl)
・5μlのT4 DNAリガーゼ緩衝剤(10倍)
-50mM Tris-HCl
-10mM MgCl
-1mM ATP
-10mM DTT
・0.5μlのdNTP(40mM)
・32.5μlのddH
37℃で180分間インキュベートした。
エキソヌクレアーゼのクリーンアップ
・25μlの第2鎖合成反応
・0.2μlのT5エキソヌクレアーゼ(10U/μl)
37℃で16時間インキュベートした。
結果:ゲルを図12に示す。図12は、第2鎖合成およびライゲーションによる閉じた線状DNAベクターの産生を示すSafeViewで染色した0.8%アガロースゲルを示す。レーン1および9は、Thermo Scientific Gene Ruler 1kb Plus DNAラダーである。レーン2は全ての酵素を欠く;レーン3はT4 DNAリガーゼを含む;レーン4はT4 DNAリガーゼおよびT5エキソヌクレアーゼクリーンアップステップを含む;レーン5はT4 DNAポリメラーゼを含む;レーン6はT4 DNAポリメラーゼおよびT5エキソヌクレアーゼクリーンアップステップを含む;レーン7はT4ポリメラーゼとT4リガーゼとの両方を含む;レーン8はT4ポリメラーゼとT4リガーゼとの両方およびT5エキソヌクレアーゼステップを含む。
2つの酵素の一方だけの存在下では、エキソヌクレアーゼ耐性(すなわち、閉じたDNA)生成物は存在しないが、ポリメラーゼとリガーゼとの両方を含有させることにより、エキソヌクレアーゼ分解に抵抗する閉じた分子が形成されることがわかる。
核内輸送はベクターの3’末端(キャップ)での複数の結合モチーフの存在によって増強され得る
1つの構造モチーフ中に結合モチーフのアレイを含有させる効果を検査するために、ヒストンおよびヌクレオリンなどの様々な核エレメントを標的化する結合モチーフを使用して、いくつかの核内輸送実験を行った。
哺乳動物発現カセット[Ef1a-SEAP-SV40ポリ(A)]を有する線状二本鎖DNAを、標的に対してその3’末端に異なるバージョンの複数のアプタマーを含有するように生成した:
i)ヒトテロメアグアニン四重鎖-ヒストンH4(hTel-H4_Gq)
ii)3xヌクレオリン(3x nucl)
iii)ヒストンH4-ヌクレオリン(H4_Gq-nucl)
iv)4x EpCAMステムループ(4xEpCAM)。
DNAを、PEI Proトランスフェクション試薬を使用してHEK293T中にトランスフェクトした。分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)活性(培地1mlあたりのUとして表した)を、AbCamの市販のキット(AbCam、Cambridge、UK)を使用して、トランスフェクションの9時間後にアッセイした。実施例にわたって等しいトランスフェクション効率を確保するために、CMV-eGFPベクターとの同時トランスフェクションを実施した(トランスフェクションのために使用したDNA塊の10%はeGFPをコードする線状DNAであった)。フローサイトメトリーを使用して蛍光中央値を測定し、実験間で不変であることを確認した。
使用した配列:
>hTel-H4_Gq
ctgctcacctgccagctacggacgcggccacgtttagggttagggttagggttagggttcgtggcagcgcgttggtggggttcccgggagggcggctacgggttccgtaatcagatttgtgtacgcgccgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>3x nucl
ctgctcacctgccagctacggacgcggccacgtggtggtggtggttgtggtggtggtgggcgtggcagcgcgttggtggtggtggttgtggtggtggtgggacgcgcagcgagctggtggtggtggttgtggtggtggtggggctcgccgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>H4_Gq-nucl
ctgctcacctgccagctacggacgcggccacgtggtggggttcccgggagggcggctacgggttccgtaatcagatttgtgtcgtggcagcgcgttggtggtggtggttgtggtggtggtgggacgcgccgcgtccgtagctggcaggtgagcag
>4xEpCAM
ctgctcacctgccagctacggacgcggccacgACAGAGGTTGCGTCTGTcgtggcgcgcgtACAGAGGTTGCGTCTGTacgcgcagcgagcACAGAGGTTGCGTCTGTgctcgccgcccaACAGAGGTTGCGTCTGTtgggcgcgcgtccgtagctggcaggtgagcag
この実施例に関する結果を図13に描写するが、これは、結合モチーフのアレイを含有させることが、核標的化の間に有利であることを明確に示している。対照DNA(「No Apt」)は明らかに、核標的化結合モチーフのアレイを含む全ての実験バージョンよりも少ないSEAPを生産した。単一の構造モチーフ内でクラスター化した複数のアプタマーは、リポーター遺伝子発現の最大5倍の増加を示すことがわかる。アレイの適切なフォールディングを確保するために、独自配列の分枝ステムは、それぞれのモチーフの独立したフォールディングを実行し、アレイのフォールディングを単一のあり得るコンフォメーションへと制限するように設計された。

Claims (22)

  1. DNAの二重鎖部分を含む標的化DNA発現ベクターであって、二重鎖部分が両端でキャップされ、二重鎖の少なくとも1つの末端が構造モチーフでキャップされ、前記構造モチーフが、細胞性標的に結合することができるコンフォメーションを形成する少なくとも1つの結合モチーフを含むことを特徴とする標的化DNA発現ベクター。
  2. 二重鎖DNAが、両端において、同じか、または異なってもよい構造モチーフでキャップされている、請求項1に記載の標的化発現ベクター。
  3. 二重鎖DNAが、1つの末端において構造モチーフでキャップされ、第2の末端においてヘアピン、T型ヘアピン、クロスアーム、ステムループ、ループ、バルジまたは十字形でキャップされている、請求項1に記載の標的化発現ベクター。
  4. 前記構造モチーフが、同じか、または異なってもよい結合モチーフのアレイを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  5. 結合モチーフが、
    (i)細胞表面;
    (ii)核エンベロープ;
    (iii)核輸送系;
    (iv)細胞コンパートメント;
    (v)核成分;
    (vi)細胞質内封入体;および/または
    (vii)細胞質タンパク質もしくはペプチド
    のうちのいずれか1つまたは複数の上の細胞性標的に結合することができる、請求項1から4のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  6. (i)ペプチドもしくはタンパク質;
    (ii)低分子;
    (iii)抗体もしくはその誘導体;
    (iv)酵素;
    (v)免疫刺激剤;
    (vi)アゴニストもしくはアンタゴニスト;
    (vii)アジュバントおよび/または
    (viii)核酸
    のいずれか1つまたは複数に結合することができる結合モチーフも含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  7. 前記標的が真核細胞中またはその細胞上に存在する請求項5に記載の標的化発現ベクターであって、任意選択で、植物細胞、原生生物細胞、真菌細胞、ヒト細胞または非ヒト動物細胞中に、またはその細胞上に存在する、標的化発現ベクター。
  8. 前記標的が、原核細胞上に、またはその細胞中に存在し、任意選択で、前記細胞が細菌細胞である、請求項5に記載の標的化発現ベクター。
  9. 前記線状二重鎖DNAが、遺伝子配列またはその断片および任意選択で、プロモーターを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  10. 前記遺伝子またはその断片が、機能的RNA分子をコードする、請求項9に記載の標的化発現ベクター。
  11. 修飾ヌクレオチド、任意選択で、キャップ付末端中に修飾ヌクレオチドを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  12. 実質的に純粋なDNA、任意選択で、95%のDNAである、請求項1から11のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  13. 構造モチーフが、構造モチーフの配列中のヌクレオチド塩基間での水素結合の形成を可能にし、任意選択で、ヌクレオチド塩基間の前記水素結合がワトソン・クリック塩基対、フーグスティーン塩基対または非カノニカル塩基対合を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  14. キャップ付末端の一方または両方が共有結合的に閉じている、請求項1から13のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  15. 前記構造モチーフが非カノニカルDNA構造を形成し、
    a)ヘアピン;
    b)クロスアーム;
    c)三重鎖;
    d)グアニン三重鎖;
    e)グアニン四重鎖;
    f)i-モチーフ;
    g)シュードノット;
    h)ステムループ;および/または
    i)バルジもしくはループ
    のうちのいずれか1つまたは複数を含んでもよい、請求項1から14のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  16. 結合モチーフがとる構造が、構造および/または配列依存的様式での標的との結合を可能にする、請求項1から15のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  17. 結合モチーフが、
    a)アプタマー;
    b)四重鎖;
    c)触媒;
    d)i-モチーフ;および/または
    e)三本鎖DNA
    のうちのいずれか1つまたは複数である、請求項1から16のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  18. 結合モチーフが特異的である、請求項1から17のいずれか一項に記載の標的化発現ベクター。
  19. 構造モチーフによって両端でキャップされた二重鎖部分を含むベクターを製造する方法であって、下記の(a)から(d)のステップを含む方法:
    (a)核酸鋳型を提供するステップであって、
    (i)下記のものに隣接した、第1のプロセシングモチーフ、
    (ii)第1の構造モチーフ、
    (iii)前記二重鎖DNAの一本鎖、
    (iv)下記のものに隣接した、第2の構造モチーフ、
    (v)第2のプロセシングモチーフ
    をコードする配列を含む核酸鋳型であり、
    前記プロセシングモチーフが、切断部位を含有するエンドヌクレアーゼのための認識部位を含む塩基対合部分を形成することができる配列を含み、
    前記構造モチーフが、分子内水素結合を形成し、キャップ付末端を形成することができる少なくとも1つの配列を含み、
    任意選択で、前記第1または第2のキャップ付末端のいずれかが結合モチーフを含む、核酸鋳型を提供するステップ;
    (b)一本鎖コンカテマーが産生されるようにローリングサークル増幅を行うことができるポリメラーゼを使用して前記鋳型を増幅するステップ;
    (c)コンカテマーと、エンドヌクレアーゼとを接触させて、3’末端ヌクレオチドが構築物の一本鎖部分に隣接して塩基対合する一本鎖DNA中間体を遊離させるステップ;および
    (d)一本鎖DNA構築物と、ポリメラーゼ酵素とを接触させて、鋳型として一本鎖DNA中間体を使用して3’末端ヌクレオチドを伸長させて、二重鎖部分を形成させるステップ。
  20. 前記5’末端ヌクレオチドがベクターの一本鎖部分に隣接して塩基対合し、前記方法がベクターを共有結合的に閉じるためのリガーゼ酵素の使用をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 結合モチーフが、細胞性標的への結合を可能にするコンフォメーション内の特異的ヌクレオチド残基の存在を含む、請求項1に記載の核酸。
  22. 結合モチーフが、タンパク質;糖タンパク質、リポタンパク質を含む修飾タンパク質;ペプチド;炭水化物;脂質または糖脂質もしくはリン脂質を含む修飾脂質から選択される細胞性標的に結合する、請求項1に記載の核酸。
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