JP2023540193A - ヘモペキシン:ヘム複合体の検出に使用するためのcd91ポリペプチド - Google Patents

ヘモペキシン:ヘム複合体の検出に使用するためのcd91ポリペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出および数量化のためのCD91ポリペプチドの使用、生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離のためのCD91ポリペプチドの使用、ならびにCD91ポリペプチドを使用する溶血治療の監視に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出および数量化のためのCD91ポリペプチドの使用、生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離のためのCD91ポリペプチドの使用、ならびにCD91ポリペプチドを使用する溶血治療の監視に関する。
溶血は、赤血球の破壊を特徴とし、赤血球異常に関連する貧血性障害、例えば、酵素欠損症、異常ヘモグロビン症、遺伝性球状赤血球症、発作性夜間ヘモグロビン尿症および棘細胞性貧血、ならびに外的要因、例えば、脾腫、自己免疫障害(例えば、新生児溶血性疾患)、遺伝性障害(例えば、鎌状赤血球症またはG6PD欠損症)、微小血管障害性溶血、グラム陽性菌感染症(例えば、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus))、寄生虫感染症(例えば、プラスモジウム属(Plasmodium))、毒素および外傷(例えば、熱傷)の顕著な特徴である(非特許文献1)。溶血はまた、輸血、特に大量輸血のおよび体外心肺補助装置を使用している患者における、一般的な障害である(非特許文献2)。
溶血に関連する状態を有する患者に見られる有害作用は、赤血球からの鉄および鉄含有化合物、例えば、ヘモグロビン(Hb)およびヘムの放出に大いに起因する(非特許文献3)。生理的条件下では、放出されたヘモグロビンは、可溶性タンパク質、例えば、ハプトグロビンによって結合され、マクロファージおよび肝細胞に輸送される(非特許文献4および非特許文献5)。しかし、溶血の発生が加速され、本質的に病的になる場合、ハプトグロビンの緩衝能力が圧倒される(非特許文献6)。その結果、ヘモグロビンは急速に酸化されてフェリヘモグロビンとなり、これが次に遊離フェム(プロトポルフィリンIXおよび鉄を含む)を放出する。ヘムはいくつかの生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす(例えば、ヘモグロビンおよびミオグロビンなどの必須タンパク質の一部として)が、遊離ヘムは非常に有毒である。遊離ヘムは酸化還元活性鉄の供給源であり、脂質膜、タンパク質および核酸に損傷を与える毒性の高い反応性酸素種(ROS)を生成する(非特許文献7)。ヘム毒性は、脂質膜にインターカレートするその能力によってさらに悪化し、膜成分の酸化を引き起こして、細胞溶解および細胞死を促進する。生理学的な定常状態条件下および軽度の溶血中に、継続的な低レベル細胞外Hb/ヘム曝露の進化圧が、遊離Hb/ヘムの有害作用を制御する代償メカニズムをもたらしている。これらの系は、Hbスカベンジャーであるハプトグロビン(Hp)ならびにヘムスカベンジャータンパク質であるヘモペキシン(Hpx)およびα1-ミクログロブリンを含む、Hbまたはヘムに結合する血漿タンパク質の群の放出を含む。
血漿および脳脊髄液中の主なヘム結合タンパク質はヘモペキシンである。したがって、ヘモペキシンは、細胞に対するヘムの悪影響に対する重要な防御である。線形ではないが有意な関係性で、複合体においてヘモペキシンによってヘムが結合されると、ヘモペキシン:ヘム複合体が、肝細胞、マクロファージ、合胞体栄養細胞を含むさまざまな細胞によって、受容体媒介メカニズムによって細胞内に取り込まれ、複合体はリソソームで分解される。ヘモペキシン:ヘム複合体の受容体タンパク質はCD91タンパク質である(非特許文献8)。
表面抗原分類(cluster of differentiation)91(CD91)(非特許文献9および非特許文献10)は、とりわけ、プロ低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(略して:LRP1)、アルファ-2-マクログロブリン受容体(A2MR)またはアポリポタンパク質E受容体(APOER)としても知られ、非特許文献11に初めて記載された。ヒトプレプロタンパク質は600kDaの前駆体タンパク質であり、フューリンによってタンパク質分解性にプロセシングされて、非共有結合的に会合した515kDaのアルファ鎖と85kDaのベータ鎖(SDSによって特定)となる。一次アミノ酸配列に基づく総タンパク質の分子量は504,606kDaである。これは、マクロファージ、肝細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、ニューロン、血管平滑筋細胞および合胞体栄養細胞を含む広範囲の細胞型で、最も豊富には血管平滑筋細胞、肝細胞およびニューロンで発現される。CD91オルソログは脊椎動物に見られ、そのヌクレオチドおよびアミノ酸構造が多くの種について解明されている。
タンパク質の低密度リポタンパク質受容体ファミリー(LDLRファミリー)のメンバーとして、CD91は、システインリッチな補体型リガンド結合リピート、上皮増殖因子前駆体型リピート(EGFリピート)、β-プロペラドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。CD91の細胞外ドメインはアルファ鎖であり、それぞれ2、8、10および11個のリピートを含む4つの「リガンド結合ドメイン」(I、II、IIIおよびIVと番号付けされている)に配置された31個のシステインリッチな補体型リガンド結合リピートを含む。リガンド結合ドメインは、細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤複合体およびリポタンパク質代謝に関与する他のタンパク質を含む、様々なリガンドを結合する。4つのドメインのうち、ドメインIIおよびIVはリガンドの大部分を結合する(非特許文献12)。システインは、リガンド結合ドメインの安定性に重要と考えられている分子内ジスルフィド結合を形成する。システインリッチなEGFリピートの22個のコピーがリガンド結合ドメインに隣接している。EGFリピートおよびβープロペラドメインは、エンドソーム内などの低pH条件においてリガンドを放出する働きをし、β-プロペラドメインはリガンド結合リピートにおいてリガンドに取って代わると推論されている。膜貫通ドメインは、100残基の細胞質テールを含むβ鎖である。このテールは、エンドサイトーシスおよびシグナル伝達における機能を担う2つのNPxYモチーフを含む。
CD91は、細胞内シグナリングおよびエンドサイトーシスにおいて重要な役割を果たし、したがって、脂質およびリポタンパク質の代謝、プロテアーゼ分解、血小板由来増殖因子受容体の調節、インテグリンの成熟および再循環、血管緊張の調節、血液脳関門透過性の調節、細胞増殖、細胞遊走、炎症ならびにアポトーシスを含む多くの細胞内プロセスおよび生物学的プロセス、ならびに疾患、例えば、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症およびがんに関連付けられている(非特許文献13および非特許文献14)。
CD91タンパク質はまた、受容体タンパク質として、肝細胞、マクロファージおよびニューロンを含むさまざまな細胞において、受容体媒介メカニズムによるヘモペキシン:ヘム複合体のエンドサイトーシスに関与し、細胞へのヘム取込およびリソソームでのヘモペキシン分解につながり、したがって、血液から危険なヘムを排除する。CD91は、最も高い親和性を有するヘモペキシン:ヘム複合体の受容体として公知である(非特許文献15)。
内因性ヘモペキシンは、生理学的な定常状態条件下においては遊離ヘムの有害作用を制御できるが、病態生理学状態、例えば、溶血に関連する状態では定常状態のヘムレベルを維持することにはほとんど効果がなく、高レベルのヘムは内因性ヘモペキシンの枯渇をもたらし、ヘム媒介性酸化的組織損傷を引き起こす。ヘモペキシン注入が、鎌状赤血球症(SCD)およびβ-サラセミアなどの溶血性障害の実験的マウスモデルにおいて、ヘム誘導性内皮活性化、炎症および酸化的傷害を軽減することが、研究により示されている。ヘモペキシン投与はまた、炎症誘発性サイトカインのレベルを有意に低減し、溶血動物のヘム誘導性血管収縮を相殺することが示されている(非特許文献16および非特許文献17)。
病態生理学的状態で放出されるヘムの複合体形成には、ヘムの複合体形成およびその有害な影響の補償のために、ヘモペキシンの追加投与が必要であり得るため、ヘモペキシン:ヘム複合体の検出および対象におけるその量の決定が最重要である。
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しかし、これまで、好適な検出剤は見出されていない。CD91は、ヘモペキシン:ヘム複合体への親和性が高いため、溶血に関連する状態を有する対象の試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出および数量化に好適な薬剤であるが、CD91タンパク質はサイズが大きいため、取り扱いが難しい。例えば、組換え産生は、タンパク質のサイズが大きいことを考慮すると、可能でないか、または悪化した条件下でしか可能でない。他方、タンパク質の単なる単離および精製では、検出剤としての複雑でない使用に十分な収量が得られない。したがって、ヘモペキシン:ヘム複合体の効率的な検出を可能にするヘモペキシン:ヘム複合体の検出剤、ならびに効率的な検出剤を高収量で簡単に、迅速にかつコスト効率よく生成することが必要とされている。
本発明は、ヘモペキシン:ヘム複合体に高親和性で結合するCD91ポリペプチドを提供することによって、この課題を解決する。
以下において、本発明を詳述する。本発明の特徴を、個々の段落または節において説明する。しかし、これは、段落または節において説明される特徴が、他の段落または節において説明される1つまたはそれ以上の特徴から切り離されていることを意味するものではない。むしろ、段落または節において説明される特徴は、他の段落または節において説明される1つまたはそれ以上の特徴と組み合わされることが可能である、さらに、段落または節において説明される特徴の意味は、同じ特徴が別の段落または節において別の文脈で言及されている場合にも、適用可能である。
本明細書中で使用する「含む(comprise/es/ing)」という用語は、開示された特徴と具体的に述べられていないさらなる特徴とを「包含する(include)または網羅する(encompass))ことを意味する。「含む(comprise/es/ing)」という用語はまた、示された特徴「からなる(consist/s/ing of)という意味で、したがって示された特徴以外のさらなる特徴を含まないという意味で、意味される。したがって、本発明の産物は、示されている特徴に加えて追加の特徴を特徴とすることもできる。
第1の態様において、本発明は、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出のためのCD91ポリペプチドの使用であって、CD91ポリペプチドが、300~1000アミノ酸長を有し、かつヘモペキシン:ヘム複合体に結合できるCD91のリガンド結合ドメインIIIまたはその断片を含むまたはそれからなる、使用を提供する。
本発明はさらに、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法であって、本発明の文脈で使用されるCD91ポリペプチドと共に生体試料をインキュベートする工程と、CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との結合を検出する工程とを含む、方法を提供する。
本発明はさらに、溶血または溶血に関連する状態を治療する方法において使用するための、本発明の文脈で使用されるCD91ポリペプチドを提供する。
本発明はさらに、本発明の文脈で使用されるCD91ポリペプチドを含むキットを提供する。
本発明はさらに、本発明の文脈で使用されるCD91ポリペプチドが連結されている固体支持体を提供する。
Hisタグ付きタンパク質と標的分析物との相互作用の動態キャラクタライゼーションのワークフロー例を示す図である。アッセイは、5つのアッセイ工程からなる。工程1:平衡化、工程2:Hisタグ付きタンパク質のロード(捕捉)、工程3:ベースライン、工程4:分析物の会合、工程5:分析物の解離。さらなる詳細については、TechNote 43(6)を参照されたい。 huLRP1可溶性ミニ受容体(5)を示す略図である。4つの可溶性ミニ受容体のそれぞれを、全長内因性hulRP1と比較して図示する。4つの推定上のリガンド結合ドメインに、数字I、II、IIIおよびIVと名前を付けてある。 ExpiCHO-S(商標)細胞におけるhuLRP1ミニ受容体の発現および精製を示す図である。(A)一過性にトランスフェクトされたExpiCHO-S(商標)細胞において産生された、結合ドメインI~IV(ゲルの上部に表示)をコードするhuLRP1ミニ受容体のクーマシー染色還元性SDS-PAGE。huLRPAP1(RAP)(+)を同時発現させると、発現レベルの相対的増加が認められる。(B)一過性にトランスフェクトされたExpiCHO-S(商標)細胞において産生された、結合ドメインI~IV(ゲルの上部に表示)をコードするhuLRP1ミニ受容体の還元性SDS-PAGEの抗Hisウエスタンブロットを示す図である。(C)タンデムニッケル-サイズ排除クロマトグラフィーによって精製された、結合ドメインI~IV(ゲルの上部に表示)をコードするhuLRP1ミニ受容体のクーマシー染色還元性SDS-PAGEを示す図である。 ヘム-hx複合体を結合する能力に関して分析されたLRP1ドメインのそれぞれの代表的なセンサーグラムを示す図である。個々のLRP1ドメインを、バイオセンサー表面に固定化した。ベースラインの記録後に、4つの濃度のヘム-hpx複合体を試験した(2.5、1.25、0.625、および0.312μM)。LRP1.3については、参照減算および処理した動態データセットを、1:1結合モデルを使用して全体的にフィットさせた。フィッティングの正確度を、表5に示すChiおよびRによって記載した。ヘム-hpxを赤い曲線、黒い実線としての近似曲線で示す。LRP1.1、LRP1.2、LRP1.4、LRP1.5はフィットさせなかった。 図4-1の続き。 図4-2の続き。 4つのLRP1ドメイン全てについての、手動ランから得られた代表的なセンサーグラムを示す図である。ポリクローナル抗ヘモペキシンを、その後のヘム-Hpx捕捉工程でCM5に固定。(A)LRP1ドメイン3および(B)ドメイン2を分析物として10μMで使用。(C)ヘム-Hpxの代わりに、非結合Hpxを、陰性対照として、分析物(10μM)としてのLRP1ドメイン3で捕捉した。センサーグラム全て、参照減算してある。 図5-1の続き。 定性的ヘモペキシン捕捉アッセイを示す図である。(A)アッセイセットアップの略図。(B)LRP1.3のヘム-hx複合体への結合の代表的なセンサーグラム。用量依存的結合を示している。 ヘム-hpxとLRP1.3との相互作用のSPRセンサーグラムを示す図である。(A)アッセイセットアップの略図。(B)ヘム-hpx複合体および(C)LRP1.3へのヘモペキシンの結合の欠如の代表的なセンサーグラム。(D)LRP1.3へのヘム-hx複合体結合の定常状態1:1フィット、および(E)わずかな負の協同的相互作用を示す各スキャッチャードプロット。 種々のバッチのヘム-hpx複合体の代表的なセンサーグラムおよび各定常状態フィット。(A)Hpxバッチ:TO411122、(B)Hpxバッチ:TO341022BM(「新」)、および(C)Hpxバッチ:LRP1.3に結合したTO342022B(「エイジング」)。 ヘモペキシン:ヘムアッセイが、ヘムに結合したヘモペキシン(ヘモペキシン:ヘム)に特異的であり、遊離ヘモペキシン(ヘモペキシン)には結合しないことを示すグラフである。ヘモペキシン:ヘム複合体または遊離ヘモペキシンのいずれかを使用して、7点標準曲線を作成した。
以下において、本発明について説明する。
本発明の文脈において、驚くべきことに、CD91のリガンド結合ドメインIII(LPR1)はヘモペキシン:ヘム複合体に結合するが、ヘモペキシン単独には結合しないことが判明した(実施例1を参照のこと)。これにより、血液中および他の生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の特定のためのその使用が可能になる(実施例2を参照のこと)。
種々の脊椎動物のさまざまなCD91タンパク質のヌクレオチドおよび核酸配列は、当技術分野において公知である。例示のみを目的として、これに限定されるものではないが、配列番号1として本明細書中に開示するヒトCD91のアミノ酸配列に言及する。対応するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、NCBI(アメリカ国立生物工学情報センター(National Centre for Biotechnology Information);National Library of Medicine、Bethesda、MD20894、USA;www.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能である。アイソフォーム1のアミノ酸配列は、受入番号Q07954.2で入手可能である(LRP1_HUMAN;プロ低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1または低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1;略してLRP-1)。配列番号1はまた、以下に示す。リガンド結合ドメインI、II、IIIおよびIVには下線を引いてあり、文献Obermoeller-McCormickら、J.Cell Sci.、2001、114(5):899~908頁に基づいて、表示した順に出現する。
配列番号1
1 mltpplllll pllsalvaaa idapktcspk qfacrdqitc iskgwrcdge rdcpdgsdea
61 peicpqskaq rcqpnehncl gtelcvpmsr lcngvqdcmd gsdegphcre lqgncsrlgc
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本明細書中で使用する「CD91」または「CD91タンパク質」という用語は、前駆体形態または成熟形態のいずれかの全長タンパク質を指す。これは、前駆体形態では4,544アミノ酸から、成熟形態では4,525アミノ酸からなる。アミノ酸1~19はシグナル配列であり、アミノ酸20~4419は細胞外配列であり、アミノ酸4420~4444は膜貫通領域であり、アミノ酸4445~4544は細胞質テールである。
本明細書中で使用する「CD91ポリペプチド」という用語は、ヘモペキシン:ヘム複合体には結合するが、ヘムが結合していないヘモペキシンには結合しない、前駆体または成熟CD91の任意のポリペプチドプチド部分を指し、全長前駆体または成熟CD91を指すものではない。
特許請求の範囲によれば、CD91ポリペプチドは300~1000アミノ酸長を有する。
本発明の文脈において使用するCD91ポリペプチドは、特に、400、500、600、700、800または900アミノ酸長を有し得る。それは、400~900アミノ酸長、500~900アミノ酸長、500~800アミノ酸長、600~900アミノ酸長または600~800アミノ酸長を有し得ることも予想される。
本発明の文脈において使用するCD91ポリペプチドは、CD91に由来する配列とさらなるペプチド配列とを含むことができる。
好ましくは、CD91ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸2481~2942内の断片を含むまたはそれからからなり、この断片の開始点は、アミノ酸2481および/またはアミノ酸2942から最大で100、70、50、30、20、10または5アミノ酸離れている。
本発明の文脈で使用するCD91ポリペプチドは、CD91の種々の部分を含み得る。例えば、それは、CD91のN末端に位置するアミノ酸配列およびリガンド結合ドメインIII、すなわち、アミノ酸2481~2942を含み得る。
特に指示のない限り、本出願におけるCD91ポリペプチド残基のアミノ酸番号付けは、CD91分子が配列番号1の全ての残基を含む必要がないとしても、配列番号1を指す。
より好ましくは、CD91ポリペプチドは、配列番号2に示される、配列番号1のアミノ酸2481~2942または相同CD91の対応するアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号2は、CD91のリガンド結合ドメインIIIを示す。配列番号2は462アミノ酸長を有する。
配列番号2:
PCRINNGGCQDLCLLTHQGHVNCSCRGGRILQDDLTCRAVNSSCRAQDEFECANGECINFSLTCDGVPHCKDKSDEKPSYCNSRRCKKTFRQCSNGRCVSNMLWCNGADDCGDGSDEIPCNKTACGVGEFRCRDGTCIGNSSRCNQFVDCEDASDEMNCSATDCSSYFRLGVKGVLFQPCERTSLCYAPSWVCDGANDCGDYSDERDCPGVKRPRCPLNYFACPSGRCIPMSWTCDKEDDCEHGEDETHCNKFCSEAQFECQNHRCISKQWLCDGSDDCGDGSDEAAHCEGKTCGPSSFSCPGTHVCVPERWLCDGDKDCADGADESIAAGCLYNSTCDDREFMCQNRQCIPKHFVCDHDRDCADGSDESPECEYPTCGPSEFRCANGRCLSSRQWECDGENDCHDQSDEAPKNPHCTSQEHKCNASSQFLCSSGRCVAEALLCNGQDDCGDSSDERGCHIN
さらに好ましい実施形態において、本発明に従って使用されるCD91ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸を含み、かつCD91ポリペプチドの培地への分泌のためのシグナル配列、好ましくは、配列番号1のシグナル配列、リンカー、好ましくはAIDAP(配列番号5)、CD91ポリペプチド精製のためのタグ、好ましくは当技術分野において公知のFlagタグ(DYKDDDDKK;配列番号6)をN末端に、およびCD91ポリペプチド精製のためのタグ、好ましくはHisタグをC末端にさらに含む。好ましいCD91ポリペプチドを、以下の配列番号3に示す。このコンストラクトは、以下の実施例2において使用されている。
配列番号3:
MLTPPLLLLLPLLSALVAAAIDAPDYKDDDDKKPCRINNGGCQDLCLLTHQGHVNCSCRGGRILQDDLTCRAVNSSCRAQDEFECANGECINFSLTCDGVPHCKDKSDEKPSYCNSRRCKKTFRQCSNGRCVSNMLWCNGADDCGDGSDEIPCNKTACGVGEFRCRDGTCIGNSSRCNQFVDCEDASDEMNCSATDCSSYFRLGVKGVLFQPCERTSLCYAPSWVCDGANDCGDYSDERDCPGVKRPRCPLNYFACPSGRCIPMSWTCDKEDDCEHGEDETHCNKFCSEAQFECQNHRCISKQWLCDGSDDCGDGSDEAAHCEGKTCGPSSFSCPGTHVCVPERWLCDGDKDCADGADESIAAGCLYNSTCDDREFMCQNRQCIPKHFVCDHDRDCADGSDESPECEYPTCGPSEFRCANGRCLSSRQWECDGENDCHDQSDEAPKNPHCTSQEHKCNASSQFLCSSGRCVAEALLCNGQDDCGDSSDERGCHINHHHHHHHH
当業者ならば、本発明の文脈で使用されるCD91ポリペプチドがさらに長くなり得ることも理解するであろう。例えば、それは、1100、1200、1300、1400、1600またはさらには2000もしくは2500アミノ酸長であり得るであろう。
本発明のポリペプチドは、アミノ酸2481~2942に隣接する、すなわち、リガンド結合ドメインIIIに隣接するCD91配列の部分をさらに含み得る。それは、リガンド結合ドメインIIおよびIVの部分さえも包含し得る。この文脈で、隣接とは、対応するアミノ酸配列が2480位で終了するまたは2943位で開始することを意味する。
本発明の文脈で使用するCD91ポリペプチドは、リガンド結合ドメインIII、すなわち、アミノ酸2481~2942をさらに含み、リガンド結合ドメインIIIとIIの間および/またはリガンド結合ドメインIIIとIVの間に位置するペプチドストレッチを追加的に含み得る。好ましくは、CD91ポリペプチドは、リガンド結合ドメインIIの終了(すなわち、アミノ酸1183)後に開始して、リガンド結合ドメインIVの開始(すなわち、アミノ酸3293)前に終了する、CD91由来のアミノ酸の連続ストレッチを含み得る。ことによると、CD91ポリペプチドは、1184位で開始しかつ/または3292位で終了する、CD91由来のアミノ酸の連続ストレッチを含み、アミノ酸2481~2942を含む。
本発明のポリペプチドは好ましくはグリコシル化することができる。
「リガンド結合ドメイン」という用語は、リガンド結合ドメインI、II、IIIおよびIVと称する、CD91タンパク質内の4つの定義された領域を指す。リガンド結合ドメインは、細胞外マトリックスタンパク質、増殖因子、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害剤複合体およびリポタンパク質代謝に関与する他のタンパク質を含む一連の種々のリガンドを結合する、リガンド結合ドメインI内に2個のリピート、リガンド結合ドメインII内に8個のリピート、リガンド結合ドメインIII内に10個のリピートおよびリガンド結合ドメインIV内に11個のリピートを有する、4個のリガンド結合ドメイン中に配置されたシステインリッチな補体型リガンド結合リピートから構成される。4個のドメインのうち、ドメインIIおよびVIは、大部分のリガンドを結合する。これまで、リガンド結合ドメインIII(例えば、FVIIIa)については、極めて少数のリガンドしか検出されていない。他のリガンドとしては、apoEに富むβ-VLDLおよびラクトフェリンが挙げられる(Croyら、Biochemistry、2004;43(23):7328~35頁)。
CD91ホモログは、脊椎動物に見られる。したがって、本明細書中で言及する「CD91」または「CD91タンパク質」という用語は、脊椎動物において見られる任意のCD91オルソログまたはホモログを指す。あるいは、本明細書中で言及するCD91は、配列番号1の配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸同一性を有する、任意のCD91を指す。あるいは、本明細書中で言及するCD91は、配列番号1の配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%のアミノ酸相同性を有する、任意のCD91を指す。好ましくは、脊椎動物に見られる任意のCD91および上記で定義した配列番号1の配列とアミノ酸同一性または相同性を有する任意のCD91を含む、本明細書中で言及するCD91は、配列番号1によるCD91と同じ活性を有する。より好ましくは、本明細書中で言及するCD91は、ヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体に対する配列番号1のCD91と同じ親和性でまたはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体に対する配列番号1のCD91の親和性の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%である親和性で、ヘモペキシン:ヘム複合体、好ましくはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体を結合する。関係、相同性、同一性および機能の前記定義を有するCD91は、本明細書において「CD91ホモログ」とも称する。
CD91ポリペプチドは、CD91の一部である。「CD91ポリペプチド」という用語は、上記で定義されている。したがって、本明細書中で言及する「CD91ポリペプチド」という用語は、脊椎動物において見られるCD91オルソログまたはホモログおよび上記で示した配列番号1に対するそのアミノ酸同一性または相同性によって定義されるCD91を含む、上記で定義した任意のCD91の一部であるCD91ポリペプチドを指す。あるいは、CD91ポリペプチドは、配列番号2の配列とアミノ酸同一性を有する、または配列番号2の配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のアミノ酸同一性を有するもしくは配列番号2と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%もしくは100%のアミノ酸相同性を有する、アミノ酸配列を含む。あるいは、CD91ポリペプチドは、配列番号3の配列とアミノ酸同一性を有する、または配列番号3の配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のアミノ酸同一性を有するもしくは配列番号3と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%もしくは100%のアミノ酸相同性を有する、アミノ酸配列を含む。好ましくは、本明細書中で言及するCD91ポリペプチドは、配列番号1に由来するCD91ポリペプチドと、または配列番号2もしくは3に由来するCD91ポリペプチドと、それぞれ同じ活性を有する。より好ましくは、CD91ポリペプチドは、ヘモペキシン:ヘム複合体、好ましくはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体を結合する。結合は、配列番号1に由来するCD91ポリペプチドもしくは配列番号2もしくは3のCD91ポリペプチドと同じ親和性であり得る、または配列番号1に由来するCD91ポリペプチドもしくは配列番号2もしくは3のCD91ポリペプチドがヘモペキシン:ヘム複合体、好ましくはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体に結合する親和性の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%である親和性であり得る。
本発明のCD91ポリペプチドは、好ましくはヘモペキシン:ヘムを100μM未満、50μM未満、10μM未満、または5μM未満のKdで結合する。好ましくは、Kdは4μM未満または2μM未満である。Kdは、0.1μM超であり得、または0.01μM超であり得る。
実施例において示されるように、ヘモペキシン:ヘム複合体に対するリガンド結合ドメインIIIの親和性は、約1.5μMまたは約2μMであり得る。
配列同一性の百分率は、2つの最適にアラインされた配列の対応する位置で同一であるアミノ酸残基の百分率を指す。それは、2つの最適にアラインされた配列を比較ウインドウ全体にわたって比較することによって決定される。比較ウインドウにおけるアミノ酸配列の一部は、2つの配列の最適アライメントのための参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、付加または欠失(例えば、ギャップまたはオーバーハング)を含み得る。この百分率は、同一アミノ酸残基が両配列に存在する位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で除算し、計算結果に100を乗算して配列同一性の百分率を得ることによって算出する。比較のための配列の最適アライメントは、SmithおよびWatermanの局所的相同性アルゴリズム(Add.APL Math、1981年;2:482~9頁)によって、NeedlemanおよびWunschの相同性アライメントアルゴリズム(J.Mol.Biol.、1970年;48:443~53頁)によって、PearsonおよびLipmanの類似法(PNAS、1988年;85:2444~8頁)によって、KarlinおよびAltschulのアルゴリズム(PNAS、1990年;87:2264~8頁)をKarlinおよびAltschulが修正したもの(PNAS、1993年;90:5873~7頁)によって、またはこれらのアルゴリズムのコンピュータ実装(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group(GCG)、575Science Dr.、Madison、WI)のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTAおよびTFASTA)によって、または精査によって行うことができる。好ましくは、GAPおよびBESTFITを使用して、最適アライメントを決定する。典型的には、ギャップ重み(gap weight)には5.00のデフォルト値およびギャップ重み長(gap weight length)には0.30のデフォルト値を使用する。
配列相同性の百分率は、2つの最適にアラインされた配列の対応する位置において相同であるアミノ酸残基の百分率を指す。2つの配列間の「相同性の百分率」は、計算において同一な位置でだけでなく相同な位置も考慮に入れるという事実を除いて、「同一性の百分率」の決定に関して前述した方法と実質的に同一の方法で確定する。2つの相同アミノ酸には、2つの同一または相同アミノ酸がある。相同アミノ酸残基は、類似した化学的-物理的性質を有する、例えば、アミノ酸が、同じ群:芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、極性アミノ酸(GIn、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、ヒドロキシル基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、または短い側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)に属する。このような相同アミノ酸間の置換はタンパク質の表現型を変化させない(保存的置換)ことが予想される。
さらに、本明細書中で言及するCD91ポリペプチドとは、CD91ポリペプチドがヘモペキシン:ヘム複合体に結合する限り、CD91ポリペプチドの1つのホモログ、または同じ種の2つ以上の個体に由来するおよび/もしくは異なる種の2つ以上の個体に由来するCD91ポリペプチドホモログの混合物を指し得る。
ヘモペキシン-ヘム複合体をヒトで検出しようとする場合、CD91ポリペプチドはヒトCD91に由来することが一般に好ましい。しかし、CD91ポリペプチドの非ヒトホモログがヒトヘモペキシン-ヘム複合体に結合する能力を有する限り、CD91の非ヒトホモログに由来するCD91ポリペプチドをヒトにおけるヘモペキシン-ヘム複合体の検出に使用できることを理解すべきである。その他の場合には、ヒトCD91またはCD91の非ヒト相同体に由来するCD91ポリペプチドを、非ヒトにおけるヘモペキシン-ヘム複合体の検出に使用することができる。それによって、CD91ポリペプチドのヒトまたは非ヒトホモログが非ヒトにおいてヘモペキシン-ヘム複合体に結合する能力を有する限り、CD91ポリペプチドの非ヒトホモログは同じ種のものであっても他の種のものであってもよい。上記と同様に、CD91ポリペプチドが非ヒトにおけるヘモペキシン-ヘム複合体の検出を意図する場合には、CD91ポリペプチドは、ヘモペキシン-ヘム複合体を検出しようとする種と同じ種に由来することが一般に好ましい。ウサギ、マウス、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはトリ起源のCD91を含むCD91の非ヒトホモログの例示的な例は、当業者によく知られている。
配列番号によって特定される特定のアミノ酸配列または配列番号によって特定される特定のアミノ酸配列の特定のアミノ酸領域に言及する場合、異なるCD91ホモログまたは異なるCD91ポリペプチドホモログの対応するアミノ酸配列または対応するアミノ酸領域はそれぞれ、特定のアミノ酸配列または特定のアミノ酸領域に含まれることが理解される。例えば、配列番号1のアミノ酸2481~2942内の断片に言及する場合、CD91ポリペプチドホモログの対応するアミノ酸領域が網羅される。配列番号2によるアミノ酸2481~2942に言及する場合、CD91ポリペプチドホモログの対応するアミノ酸領域が網羅される。
本明細書中で使用する「CD91のリガンド結合ドメインIIIの断片」もしくは「その断片」もしくは「断片」という用語または対応する表現は、ヘモペキシン:ヘム複合体、好ましくはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体に結合することができるCD91のリガンド結合ドメインIIIの任意の断片を意味する。結合は、配列番号1に由来するCD91ポリペプチドもしくは配列番号2もしくは3のCD91ポリペプチドと同じ親和性で、または配列番号1に由来するCD91ポリペプチドもしくは配列番号2のCD91ポリペプチドがヘモペキシン:ヘム複合体、好ましくはヒトヘモペキシン:ヒトヘム複合体に結合する親和性の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%である親和性であり得る。重要なことは、断片が、ヘムが結合されていないヘモペキシンには結合しないことである。
本明細書中で使用する「~の長さを有するCD91ポリペプチド」という用語は、CD91ポリペプチドが正確に、示された長さのものであり、追加のアミノ酸を含むことによりより長い長さとなっていることはないと、理解すべきである。しかし、その長さによって定義されるCD91ポリペプチドは、ポリペプチドをより長くするが示された長さに含まれていない、追加のアミノ酸をNおよび/またはC末端に含むことができる。このような追加のアミノ酸は非CD91タンパク質配列、例えば、シグナルペプチドおよび/もしくは融合タグに由来するか、またはCD91タンパク質内のCD91ポリペプチド配列から除去されるCD91タンパク質部分配列であって、シグナル配列、1つもしくはそれ以上の増殖因子リピートおよび/もしくは膜貫通ドメインである。
本明細書中で使用する「~に由来する」という用語は、CD91ポリペプチドが由来する対象または種のCD91の対応するアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する、またはそれと実質的に(すなわち、少なくとも90%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)同一であることを意味する。「~に由来する」という用語はまた、ヘモペキシンと関連して使用され、ヘモペキシンが、ヘモペキシンが由来する対象または種のヘモペキシの対応するアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する、またはそれと実質的に(すなわち、少なくとも90%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)同一であることを意味する。
本明細書中で言及するCD91ポリペプチドは、「少なくとも部分的に精製された」、「単離された」または「精製された」形態で存在し得る。「少なくとも部分的に精製された」、「単離された」または「精製された」などの用語は、CD91ポリペプチドが、それが天然の環境またはそれが産生される環境から分離され、単離されまたは精製されていることを意味する、単離されたおよび/または精製された形態で提供されることを意味するために本明細書中で使用する。したがって、CD91ポリペプチドは好ましくは、自然に会合される物質、例えば、他のポリペプチドもしくは核酸、またはそれが調製中に自然に会合される物質(例えば、細胞培養物中の細胞の物質)を含まないまたは実質的に含まない。例えば、少なくとも部分的に精製されたCD91ポリペプチドは、50%以下(総タンパク質の)の不純物、好ましくは45%以下、好ましくは40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下(総タンパク質の)の不純物を含む可能性がある。単離または精製されたCD91ポリペプチドは、15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下または好ましくは1%以下(総タンパク質の)の不純物を含む可能性があり、最も好ましくは不純物を全く含まない。不純物は、アッセイを実行するためのアッセイ液中に存在する成分を指すものではない。
CD91ポリペプチドは、CD91ポリペプチドを産生することができる、当技術分野において公知の任意の方法によって産生することができ、例えば、CD91ポリペプチドは、当技術分野において周知のルーチンの方法および試薬を使用して、組換えまたは合成によって産生することができる。好ましくは、CD91ポリペプチドは、好適な宿主細胞(例えば、細菌、酵母、昆虫細胞、哺乳動物細胞)において当技術分野において公知の方法(例えば、Ausubelら、Curr.Protoc.Mol.Biol.、第2版、1992年およびSambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第2版、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)に従って、組換えによって産生する、すなわち、遺伝子組換えによって遺伝子改変する。
ポリペプチドを組換えによって産生する方法は、当技術分野において周知である。例えば、CD91ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を、好適な宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli))に導入して発現させることができ、発現されたCD91ポリペプチドを、ルーチンの方法および容易に入手できる試薬を使用して宿主細胞(例えば、封入体中)から単離/精製することができる。CD91ポリペプチドをコードするDNAコンストラクトを宿主細胞に導入するための方法は、当技術分野において周知であり、その方法としては、例えば、標準的な形質転換およびトランスフェクション技術(例えば、エレクトロポレーション、化学的形質転換)が挙げられる。本発明の分野における当業者ならば、DNAコンストラクトを宿主細胞に導入するための適当な方法を容易に選択できる。宿主細胞においてタンパク質を発現させるための様々な方法が当技術分野において周知である(例えば、大腸菌におけるIPTG誘導発現)。本発明の分野における当業者ならば、宿主細胞においてCD91ポリペプチドを発現させる適当な方法を容易に選択できる。発現されたCD91ポリペプチドは、例えばリゾチーム処理、超音波処理、濾過、塩析、超遠心分離およびクロマトグラフィーを含む公知の方法および試薬を使用して、宿主細胞から単離することができる。別法として、発現されたCD91ポリペプチドを、シグナルペプチドによって培地中に分泌させる。それは、当技術分野において公知の方法によって培地から回収することができる。例えば、CD91ポリペプチドは、標準的な技術および試薬を使用して支持体に結合させることによって、宿主細胞もしくは宿主細胞の細胞可溶化物からまたは培地から、精製することができる。例えば、CD91ポリペプチドは、特異的受容体、例えば、CD91ポリペプチドに特異的な抗体またはその断片を介して固体支持体に結合させることによって、単離する。別法として、CD91ポリペプチドは、当技術分野において公知の方法によって、精製を可能にするタグによって単離することができる。
組換えCD91ポリペプチドを産生するために、CD91ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むコンストラクトを、例えば、そのヌクレオチド配列をベクターのクローニングサイトにクローニングすることによって、産生する。好適なベクターは当技術分野において公知であり、好適なベクターとしては、プラスミド、コスミド、人工染色体(例えば、細菌、酵母またはヒト)、バクテリオファージ、ウイルスベクター(レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス)またはナノ改変物質(例えば、オルモシル)が挙げられる。ベクターは好ましくは、好適な宿主において発現を行うことができる1つまたはそれ以上の好適な配列を含む。このような配列は、宿主細胞にとって内因性である1つまたはそれ以上のタンパク質によって認識されるプロモーター配列であって、宿主細胞においてプロモーターに操作可能に連結された核酸の転写を指示できるものであり得る。プロモーター配列に加えて、CD91ポリペプチドヌクレオチド配列に操作可能に連結されることができる他の配列としては、これらに限定されるものではないが、融合タグをコードする配列、シグナルペプチドをコードする配列、開始配列、ターミネーター配列、転写および翻訳停止シグナル、ならびに選択可能なマーカー配列、例えば、抗生物質耐性遺伝子、例えばカナマイシン耐性遺伝子を挙げることができる。さまざまな選択可能なマーカーが当技術分野において公知であり、本発明において使用できる。さらに、コンストラクトは、所望の目的のための、アミノ酸配列をコードする1つまたはそれ以上の配列、例えば、タンパク質タグ、もしくは別の種類のタグ、例えば、化学分子、例えば、ビオチンをCD91ポリペプチドに結合させるためのリンカー配列をさらに含み得る。例えば、タンパク質タグが存在する場合には、タンパク質タグのコード配列を、CD91ポリペプチドのコードDNA配列中に、例えば、リーディングフレームを維持しながら開始コドン後ろにまたは停止コドンの前に、挿入することができる。これにより、CD91ポリペプチドのN末端またはC末端タンパク質タグが生成される。
ヘモペキシンは、少なくとも部分的には、ヘムを高い親和性(Kd<1pM)で結合しかつ血流から肝臓へのヘム特異的担体として機能するその能力に起因して、ヘム毒性に対する第一の防御ラインとなる。ヘモペキシンはまた、セリンプロテアーゼ活性、ならびにいくつかの他の機能、例えば、抗炎症活性および炎症促進活性、細胞接着およびある特定の二価金属イオンの結合を阻害する能力を有することが報告されている(Mauk,M.R.、2011年. An alternative view of the proposed alternative activities of hemopexin. Protein Science、20巻、791~805頁)。
ヘモペキシンは、20~22%の炭水化物含有量を有する単一の439アミノ酸長ペプチド鎖で構成される61±2kDaの血漿β-1 B糖タンパク質であり、2つの4ブレードβプロペラドメインによって形成されており、これは、90°の角度で一緒に固定されかつドメイン間リンカーペプチドによって連結された2つの厚いディスクに似ている。ヘムは、血管内および血管外の溶血の結果として血液中に放出され、ドメイン間リンカーペプチドによって形成される高疎水性のポケット内において2つの4ブレードβプロペラドメイン間に結合される。残基His213およびHis266は、ヘム鉄原子を配位し、ヘモグロビンと類似した、安定したビス-ヒスチジル錯体を生じる。
ヘモペキシンは、シアル酸、マンノース、ガラクトースおよびグルコサミンを含む炭水化物を20~22%含む。12個のシステイン残基がタンパク質配列に見られた。これは、おそらく6個のジスルフィド架橋を構成する。ヘモペキシンは、ヘムを高い親和性(K<1pM)で結合しかつ血流から肝臓へのヘム特異的担体として機能するその能力のため、ヘム毒性に対する第一の防御ラインとなる。これは等モル比でヘムを結合するが、ヘムがタンパク質に共有結合される証拠はない。さらなる特徴は次の通りである:280nmにおけるUV吸光係数が1.97[mL(mg×cm)];理論上のpIが6.55;およびの疎水性の平均が-0.43(高スコアの疎水性セグメントがない)。
本明細書中で使用する「ヘモペキシン」という用語は、脊椎動物、例えば、ヒト、ウサギ、マウス、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはトリ、好ましくはヒトの血液中に天然に見られるような、ヘモペキシンタンパク質を意味することを意図する。好ましくは、ヘモペキシンは、配列番号4として示されるNCBI参照配列NP_000604.1のアミノ酸残基24~462、または配列番号4と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性もしくは配列番号4と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%の相同性を有するアミノ酸配列からなる、成熟形態のヒトヘモペキシンである。
配列番号4
1 MARVLGAPVA LGLWSLCWSL AIATPLPPTS AHGNVAEGET KPDPDVTERC SDGWSFDATT
61 LDDNGTMLFF KGEFVWKSHK WDRELISERW KNFPSPVDAA FRQGHNSVFL IKGDKVWVYP
121 PEKKEKGYPK LLQDEFPGIP SPLDAAVECH RGECQAEGVL FFQGDREWFW DLATGTMKER
181 SWPAVGNCSS ALRWLGRYYC FQGNQFLRFD PVRGEVPPRY PRDVRDYFMP CPGRGHGHRN
241 GTGHGNSTHH GPEYMRCSPH LVLSALTSDN HGATYAFSGT HYWRLDTSRD GWHSWPIAHQ
301 WPQGPSAVDA AFSWEEKLYL VQGTQVYVFL TKGGYTLVSG YPKRLEKEVG TPHGIILDSV
361 DAAFICPGSS RLHIMAGRRL WWLDLKSGAQ ATWTELPWPH EKVDGALCME KSLGPNSCSA
421 NGPGLYLIHG PNLYCYSDVE KLNAAKALPQ PQNVTSLLGC TH
CD91ポリペプチドによるヘモペキシン:ヘム複合体の検出は、受容体へのリガンドの結合を検出できる、当技術分野において公知の任意の方法によって実行することができる。このような方法としては、イムノアッセイ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)アッセイ、または典型的なリガンド結合アッセイ、例えば、標識、無標識、熱力学的もしくは構造ベースのアッセイを挙げることができる(Yakimchuk K.、Materials and Methods、2011年;1:199(最終修正:2020年3月26日)を参照のこと)。
検出は固相または溶液中で実行することができる。好ましくは、方法は固相法である。したがって、CD91ポリペプチドは固体支持体に連結することができ、または固体支持体に連結するのが好適であり得る。別法として、ヘモペキシン:ヒトヘム複合体を固体支持体に連結する。
好ましくは、CD91ポリペプチドは固体支持体に連結するか、または固体支持体に連結するのが好適である。任意の好適なポリマー、好ましくは合成ポリマーを固体支持体として使用することができる。固体支持体への連結は直接的であってもよく、これは、固体支持体の表面へのCD91ポリペプチドの親和性が高い場合には特に、CD91ポリペプチドが中間体なしで連結されることを意味する。したがって、この連結は、吸着を介して非特異的であり得る。CD91ポリペプチドを連結するのに好適な表面の例は、CD91ポリペプチドの荷電領域が高親和性を有する荷電表面である。好ましくは、表面は、MaxiSorp(商標)プレート上に存在するような高荷電ポリスチレン表面である。一実施形態によれば、固体支持体は、樹脂材料またはビーズ様粒子であり得、いずれもクロマトグラフィー法に好適であり得る。別法として、固体支持体への連結は間接的であってもよく、これは、CD91ポリペプチドが連結用化合物を介して連結されることを意味する。連結用化合物は、中間体化合物として、固体支持体に、固体支持体表面とCD91ポリペプチドとの間で結合される。間接的連結の例は、抗原-抗体結合であり、この場合、CD91ポリペプチド(抗原である)に特異的な抗体が固体支持体に結合され、CD91ポリペプチドが抗体によって固体支持体に連結される。別法として、抗体以外の、CD91ポリペプチドのための結合用化合物を、固体支持体に結合させてもよい。さらなる別法として、CD91ポリペプチドが、固体支持体に結合された親和性結合パートナーを介してCD91ポリペプチドを固体支持体に連結するタグを含んでいてもよい。このようなタグとしては、親和性タグ、例えば、チキン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、Strepタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)もしくはポリ(His)タグまたは結合対の結合パートナー、例えば、ビオチンが挙げられ、これらは、当技術分野において公知であり、本明細書中で論じられる。固体支持体へのCD91ポリペプチドの連結は、CD91ポリペプチドへのヘモペキシン:ヘム複合体の結合を妨害するものではない。
好ましくは、検出方法は、イムノアッセイであり、好ましくは生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の存在または濃度を、ヘモペキシンに特異的に結合する検出抗体を使用することによって測定する。最も好ましくは、方法は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)であり、これはサンドイッチELISAアッセイであってもよい。
特に好ましい実施形態において、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の量を決定する。
この方法を実行するために、CD91ポリペプチドは好ましくは、固体支持体に連結させる。次いで、生体試料を固体担体に添加する。固体支持体の表面上に検出抗体を適用して、検出抗体が、CD91ポリペプチドに結合したヘモペキシン:ヘム複合体のヘモペキシンに結合できるようにする。抗体は、酵素に連結させてもよいし、または酵素に連結された二次抗体によって検出してもよい。最終工程で、酵素の基質を含有する反応溶液を含む読み取り成分を添加する。酵素反応によって、検出可能なシグナルを生成される。検出可能なシグナルは、色、蛍光または電気化学シグナルであり得る。色、蛍光または電気化学シグナルを生成するための酵素および基質の種類は、当技術分野において公知である。各工程間で、すなわち、連結工程、生体試料の添加工程、検出抗体の添加工程および基質の添加工程の間で、固体支持体は典型には、中性洗剤溶液で洗浄して、結合していないまたは非特異的に結合しているあらゆる成分、例えば、タンパク質または抗体が除去される。最終洗浄工程後に、酵素基質を添加することによって、固体支持体を発現させて、シグナルを生成する。吸光度、蛍光または電気化学シグナルを測定して、生体試料中におけるヘモペキシン:ヘム複合体の存在および/または量を決定する。
CD91ポリペプチドを使用してヘモペキシン:ヘム複合体を検出するための条件の実験的検討の間に、古典的なプレートベースのフォーマットがヘモペキシン:ヘム複合体の検出および定量化に非常に有効であることが判明した。したがって、CD91ポリペプチドは、極性基または親水性基を有する分子に対して高親和性を有するMaxiSorp(商標)高結合プレートに被膜として非特異的に結合させる。試料のヘモペキシン:ヘム複合体は、プレートに結合したCD91ポリペプチドに結合し、ウサギ抗ヘモペキシン抗体および抗ヘモペキシン抗体に対するHRPコンジュゲート抗ウサギ抗体を使用して検出される。検出抗体および二次抗体は当技術分野において公知であり、商業的に入手可能である。例えば、検出抗体は、抗ヘモペキシン抗体、例えば、Abcamからのウサギポリクローナル抗体(Ab48135)である。二次抗体は、抗検出抗体、例えば、非特異的ヤギ抗ウサギ抗体、例えば、過酸化水素による種々の有機基質の酸化を触媒する酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に連結された、例えば、Seracareからのもの(5220-0336)である。ペルオキシダーゼ基質としてTMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)を使用して、検出可能なシグナルを発生させる。その結果、TMB基質とHRPとの反応により、試料中のヘモペキシン:ヘム複合体のレベルと相関する、測定可能な色の変化(650nmで直接読み取ることができる濃い青色、または酸溶液で停止した後に450nmで読み取ることができる濃い黄色)が生じる。このようにして、ヘモペキシン:ヘム複合体の量を決定することができる。一般に、以下の実施例2に記載する条件を使用することができる。
ヘモペキシン:ヘム複合体の検出のために、ヘモペキシン:ヘム複合体中のヘモペキシンに対する検出抗体を使用することができる。「検出抗体」は、ヘモペキシンに特異的であり、ヘモペキシン:ヘム複合体中のヘモペキシンに結合する、その検出のための抗体である。検出抗体は、CD91ポリペプチドへのおよびヘムへのヘモペキシンの結合を妨害しない。当業者ならば、特定のタンパク質に対する抗体を調製する方法を知っている。さらに、本発明において使用できるヘモペキシンに特異的な抗体は、商業的に入手可能であり、例えば、Abcamからのウサギポリクローナル抗ヘモペキシン抗体(Ab48135)がある。
検出抗体を介する生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出は、検出抗体に結合することができるが反応溶液中に存在する抗原には結合しない、「二次抗体」を介して行うことができる。二次抗体は通常、検出抗体の重鎖に結合することによって異なる種の抗体を識別する非特異的抗体であり、ヘモペキシンに結合する検出抗体の結合を妨害しない。したがって、検出抗体は通常、1種類の種、例えば、ウサギ種に由来し、二次抗体は、検出抗体の種特異的配列に向けられる。二次抗体は商業的に、例えば、Seracare(5220-0336)から入手可能である。
「特異的結合」、「抗体の特異的結合」、「特異的抗体」という用語または対応する用語は、化合物または抗体が、抗体の場合には抗原である特定の結合パートナーと結合するが、反応混合物中に存在する他の分子にはそれほど多い量では結合しない(特定のタンパク質への結合の10%未満)、結合反応を指す。一般に、結合パートナー、例えば、抗体の場合の抗原などのその対応する結合パートナーに「特異的に結合する」結合対の抗体は、その標的分子に対して約10モル/リットル超(例えば、10、10、10、10、1010、1011、1012モル/リットルまたはそれ以上)の平衡親和性定数を有する。
本明細書中で使用する「抗体」という用語は、当技術分野において公知の全長抗体、または少なくとも1つの抗体可変ドメインを含むが抗体の構造全体を含まない分子と本明細書中で定義する「抗体派生物」を含む。抗体派生物は依然として、標的分子を結合することができる。派生物は、抗体断片、例えば、Fab、Fab2、scFv、Fvもしくはその部分、またはイムノグロブリンの他の派生物もしくは組合せ、例えば、ナノボディ、ダイアボディ、ミニボディ、ラクダ科動物の単一ドメイン抗体、単一ドメインもしくはFab断片、可変領域の重鎖および軽鎖のドメイン(例えば、Fd、VラムダおよびVカッパを含むVL、VH、VHH)、および少なくとも2つの構造ループによって接続されたイムノグロブリンドメインの2つのベータ-ストランドからなるミニドメインであり得る。
CD91ポリペプチドの連結またはヘモペキシン:ヘム複合体の検出はまた、「抗体模倣物」によって行うことができる。「抗体模倣物」は本明細書中で、抗体のようにCD91ポリペプチドまたはヘモペキシン:ヘム複合体を特異的に結合できるが、抗体と構造的に関連していない有機化合物と定義する。抗体模倣物は通常は、約3~20kDa分子質量を有する人工ペプチドまたはタンパク質である。抗体模倣物の非限定的例は、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アンチカリン、アビマー、DARPin、フィノマー、Kunitzドメインペプチド、モノボディ、プロテインAのZドメイン、ガンマBクリスタリン、ユビキチン、シスタチン、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来のSac7D、リポカリン、膜受容体のAドメイン、アンキリンリピートモチーフ、FynのSH3ドメイン、プロテアーゼ阻害剤のKunitsドメイン、フィブロネクチンの10番目のIII型ドメイン、合成ヘテロ二価またはヘテロ多価リガンドである(Josanら、Bioconjug.Chem.、2011年;22:1270~8頁,Shallalら、Bioconjug.Chem.、2014年;25:393~405頁およびXuら、PNAS、2012年;109:21295~300頁)。
CD91ポリペプチドの連結またはヘモペキシン:ヘム複合体の検出はまた、CD91ポリペプチドまたはヘモペキシンにそれぞれ特異的に結合できるが、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出に必要な他の成分の結合を妨害しない、任意の他の化合物によって行うことができる。「特異的結合」は、前記意味で、すなわち、反応混合物中に存在する他の分子にはそれほど多い量では結合しない(それぞれCD91ポリペプチドまたはヘモペキシン:ヘム複合体への結合の10%未満)という意味で、意味される。
本発明の検出方法はまた、抗体などの特異的化合物を介して生体試料のヘモペキシン:ヘム複合体を固体支持体に連結し、次いでCD91ポリペプチドを添加し、結合したCD91ポリペプチドの検出を介してヘモペキシン:ヘム複合体を検出することによって、実行することができる。
生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の検出はまた、溶液中でも行うことができる。生体試料は、ヘモペキシン:ヘム複合体を含む生体試料、または生体試料と、検出方法の完了を容易にする緩衝剤もしくは塩などの成分を含む溶液との混合物であり得る。したがって、ヘモペキシン:ヘム複合体へのCD91ポリペプチドの結合は溶液中で行う。CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との複合体の検出のために、固相を使用する検出と同様に、検出抗体を添加する。次いで、複合体全体を、固体支持体に連結し、読み取りを行う。
生体試料は、ヘモペキシン:ヘム複合体が存在する可能性がある任意の流体であり得る。
生体試料は、ヘモペキシン:ヘム複合体が存在するまたは存在すると予想される、対象からの任意の生物学的流体であり得る。ヘモペキシンは内因性ヘモペキシンであってもよく、および/または対象に、好ましくは溶血もしくは溶血に関連する状態を治療するために、投与される外来性ヘモペキシンであってもよい。生体試料の例は、血液、脳脊髄液(CSF)、羊水、尿、唾液、粘液、汗、気管支肺胞洗浄液、痰、精液、涙、糞便および/または胆汁であり得る。血液は、未処理であっても(および全血のままであっても)、または処理された血液であってもよい。好ましくは、本発明の使用および方法において使用する血液は、処理された血液である。処理された血液としては、血漿または血清を挙げることができる。
生体試料は、溶血に関連する状態を有する患者に由来し得る。好ましくは、溶血に関連する状態は、急性溶血状態および/または慢性溶血状態であり、より好ましくは、以下からなる群から選択される:鎌状赤血球貧血、溶血性貧血、骨髄無形成クリーゼ、過剰溶血クリーゼ、輸血によって誘導された溶血、溶血性尿毒症症候群、心筋梗塞、急性胸部症候群、肺高血圧、下腿潰瘍、発育遅滞、骨梗塞、妊娠子癇、腎不全、急性腎傷害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、出血性脳卒中を含む脳卒中、くも膜下出血、頭蓋内出血(ICH)、脾臓血球貯留、脾梗塞、自己免疫性溶血性貧血を含む自己免疫疾患、微生物感染、感染に対する感受性の増加、マラリア感染、外傷、移植関連状態、心肺バイパスを使用する直視下心臓手術、熱傷、例えば、熱傷後の溶血を伴うヘモグロビン血症またはヘモグロビン血尿症、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、サラセミア、先天性赤血球形成異常性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿(PNH)、全身性エリテマトーデスおよび慢性リンパ性白血病。さらに好ましいのは、溶血に関連する状態が鎌状赤血球貧血であることである。
生体試料は、ヘモペキシン:ヘム複合体が存在する可能性がある、製造プロセスから生じる任意の流体であることができる。このような流体の例は、タンパク質製造プロセスの中間生成物または最終生成物を含み得る。このようなプロセスは、ヒト血漿由来のタンパク質または組換え発現されたヒトタンパク質を生成することができる。例えば、「生体試料」という用語はまた、細胞培養物上清、および細胞培養物上清とヘムなどの他の成分との混合物を包含する。
本発明の好ましい実施形態において、使用するCD91ポリペプチドは、シグナルペプチドおよび/または1種またはそれ以上のタグをさらに含むことができる。
CD91ポリペプチドは、CD91ポリペプチドを単離するのに有用なおよび/または本発明の方法を行うのに有用な追加成分が添加されていてもよいし、または追加成分を添加してもよい。追加成分はヘモペキシン:ヘム複合体への結合に関与しない。それらがCD91タンパク質に由来する場合には、それらは、CD91タンパク質内のCD91ポリペプチド配列に直接隣接しておらず、ヘモペキシン:ヘム複合体への結合に関与しない。好適な追加成分は、新たに合成されたCD91ポリペプチドのN末端に存在する短いペプチド配列(通常16~30アミノ酸長)であって、CD91ポリペプチドを分泌経路に向けるために使用される、シグナルペプチドなどのペプチド配列であり得る。本発明において使用するためのシグナルペプチドは当技術分野において公知である。好ましくは、CD91ポリペプチドに連結されるシグナルペプチドは、同じCD91タンパク質に由来する。シグナルペプチドは、分泌の間にCD91ポリペプチドから切断され、本発明のアッセイに使用されるCD91ポリペプチドの一部とはならない。
他の追加成分は1種またはそれ以上のタグであり得る。タグは、CD91ポリペプチドに望ましい性質を提供するために、CD91ポリペプチドに融合または結合される成分である。タグは、タンパク質タグであってもよい。タグは通常、N末端および/またはC末端でCD91ポリペプチドに融合されるので、融合タグとも称される。融合タグは、結合パートナーへの親和性によってタンパク質精製を可能にする親和性タグである。精製は、当技術分野において公知の方法、例えば、クロマトグラフィー法によって、結合パートナーへの結合を介して行われる。親和性パートナー、親和性パートナーを介する精製方法、ならびに系およびキットは、当技術分野において公知であり、および/または商業的に入手可能である(例えば、Kimpleら、Curr Protoc Protein Sci.、2013年;73:9.9.1-9.9.23を参照のこと)。タグはまた、結合パートナー、蛍光または認識モチーフの存在を介する検出などの検出のために、発現を増加させるために、溶解性を増加させるために、タンパク質フォールディングを改善するために、または極性の増加により、例えば、HPLCにおける分離をより容易にするために、有用であり得る。融合タグの例は当技術分野において公知であり、親和性技術による単離を可能にする親和性タグを含む。例は、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、Strepタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)またはポリ(His)タグであり、親和性技術による単離を可能にする(親和性タグ)。例えば、ポリ(His)タグは金属マトリックスに結合する。安定化タグは、特に、大腸菌などのシャペロン欠損種において発現される組換えタンパク質に使用されて、タンパク質における適切なフォールディングを支援し、タンパク質が沈殿しないようにする。例は、チオレドキシンおよびポリ(NANP)である。MBPおよびGSTなどの一部の親和性タグは、可溶化剤として二重の役割を果たす。クロマトグラフィータグは、タンパク質のクロマトグラフィー特性を変更して、特定の分離技術全体にわたって異なる分解能を提供するために使用する。例は、ポリアニオン性アミノ酸、例えば、FLAGタグである。エピトープタグは、抗体に対して高親和性を有する短いペプチド配列である。例は、V5タグ、Mycタグ、HAタグ、Spotタグ、T7タグおよびNEタグである。これらのタグは、ウエスタンブロッティング、免疫蛍光および免疫沈降実験に特に有用である。蛍光タグは、目視読み取りを可能にする。一例は、GFPであり、そのバリアントは最も一般的に使用される蛍光タグである。GFPのより先進的な用途は、フォールディング受容体(フォールディングされている場合には蛍光、フォールディングされていない場合には無色)としてのその使用を含む。あるいは、タグは、CD91ポリペプチドの検出を可能にする酵素、例えば、化学発光検出を可能にする西洋ワサビペルオキシダーゼであり得る。あるいは、タグは、結合対の結合パートナーであって、その結合パートナーへのタグの結合を介してCD91ポリペプチドの検出を可能にするものであり得る。一例は、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジン系であり、タグとして、ビオチンはCD91ポリペプチドに結合させることができ、アビジン/ストレプトアビジンは、CD91ポリペプチドを捕捉するための固体支持体に結合させる。タグは、化学薬剤または酵素剤によって除去可能であり得、したがって、CD91ポリペプチドを、例えば、単離中において融合タグのその親和性パートナーへの結合後に、タグから分離させることができる。
本発明の好ましい実施形態において、CD91ポリペプチドは、固体支持体、好ましくは、高荷電ポリスチレン表面がある固体支持体、より好ましくはMaxiSorp(商標)プレートに連結させる。
本明細書中で使用する固体支持体は、ヘモペキシン:ヘム複合体の検出のために、CD91ポリペプチドの結合または生体試料のヘモペキシン:ヘム複合体の結合を可能にする任意の固体支持体である。好ましくは、CD91ポリペプチドを固体支持体に連結させる。あるいは、固体支持体は、単離、精製または検出のために固体支持体に既に結合されているタグの親和性パートナーを介して、結合タグによるCD91ポリペプチドの結合を可能にする任意の固体支持体である。固体支持体の例は、プレート、好ましくはウェルプレート、ビーズ、電磁ビーズ、樹脂、カラムであり、ビーズもしくは樹脂はカラムの一部であることができ、またはカラム、フィルターもしくは膜を構成することができる。プレートベースの方法は、スループットがより高く、感受性がより大きく、実行がより容易であるという、非プレートベースの方法よりも有利な点を有するため、ヘモペキシン:ヘム複合体の検出のためのCD91ポリペプチドの連結において、好ましくは、プレートベースの方法が適用される。プレートは、より好ましくはウェルプレート、より好ましくはマルチウェルプレート、例えば、6、12、24、48または96プレートである。さらにより好ましくは、プレートの表面は、MaxiSorp(商標)プレート上に存在するような、高荷電ポリスチレン表面である。
CD91ポリペプチドによる生体試料のヘモペキシン:ヘム複合体の検出は、対象における溶血の監視または溶血もしくは溶血に関連する状態の治療の監視、好ましくはヘモペキシンによる溶血もしくは溶血に関連する状態の治療の監視に役立つことができる。
ヘモペキシンによるヘムの複合体形成は、ヘム毒性から細胞を直接的に保護する。溶血に苦しむ対象において、ヘモペキシンの発現が増加して、毒性ヘムと複合体形成してそれを解毒する。次いで、ヘモペキシン:ヘム複合体を体から取り除く。しかし、対象が溶血に苦しんでいても、内因性ヘモペキシンは、体内で限定的にしか産生されないので、産生されるヘモペキシンは、大量のヘムと複合体形成するのに十分でない可能性がある。したがって、溶血の追加の治療が必要となる。このような治療は、大量のヘムと複合体形成してそれを解毒するための外来性ヘモペキシンの投与であり得る。
ヘモペキシンは、生物学的流体中のヘムと複合体形成してそれを解毒するのに役立つ。溶血中のヘムレベルの上昇は、限定的ではあるが、ヘモペキシンの発現の増加につながる。したがって、内因性ヘモペキシン:ヘム複合体レベルは、溶血または溶血の重症度を示す。したがって、ヘモペキシン:ヘム複合体レベルが高いほど、溶血の重症度は高い。しかし、ヘモペキシンは限定的にしか産生されないので、この相関は限定的である。したがって、体液中のヘモペキシン:ヘム複合体の濃度の検出は、対象における溶血の出現および溶血の重症度を示す。
加えて、対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体の検出および数量化は、対象における溶血の治療が有効であるかどうかを監視するのに有用であり得る。したがって、溶血を有する対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体のレベルが治療によって減少する場合には、これは、有効な溶血治療を示し得る。したがって、対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体のレベルの決定は、溶血治療の有効性の監視に役立ち、ヘモペキシン:ヘム複合体の量に応じた治療の適応を可能にすることができる。
さらに、対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体の検出および数量化は、対象における溶血の、ヘモペキシンによる治療が有効であるかどうかを監視するのに有用であり得る。高レベルのヘムが溶血中に生じかつ内因性ヘモペキシンがヘムと完全に複合体形成するのに十分に生成されない場合、外来性ヘモペキシンの投与は、内因性ヘモペキシン:ヘム複合体レベルを超えて、ヘモペキシン:ヘム複合体レベルを上昇させることができる。したがって、このような高いヘモペキシン:ヘム複合体レベルは、外来性ヘモペキシンによる大量のヘムとの効率的な複合体形成を示すが、対象において高レベルのヘムが産生されていることを示している可能性もあり、このことは、溶血が依然として進行中であり、重篤な状態であることを示している。したがって、対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体のレベルの決定は、ヘモペキシン治療の有効性の監視に役立ち、対象におけるヘモペキシン:ヘム複合体のレベルに応じたヘモペキシン治療の適応を可能にすることができる。
あるいは、ヘモペキシン:ヘム複合体の検出は、ヘモペキシンに関する臨床試験中に溶血を有する対象における医薬品としてのヘモペキシの使用の効能の監視に役立ち得る。ある特定のレベルを超えるヘモペキシン:ヘム複合体レベルの数量化は、治療的に投与されたヘモペキシンがヘムとの複合体形成に有効であり、したがって医薬品として有効であることを示し得る。
このため、好ましい実施形態において、本発明の使用は、対象における溶血の診断もしくは監視、対象における溶血もしくは溶血に関連する状態の治療の監視を目的とする。
さらなる態様において、本発明は、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法であって、上記で定義したCD91ポリペプチドと共に生体試料をインキュベートする工程と、CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との結合を検出する工程とを含む、方法に関する。
上記で定義した全ての実施形態はまた、本発明のこの方法に適用される。
一実施形態によれば、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法は、少なくとも以下の方法工程:
- 上記で定義したCD91ポリペプチドと共に生体試料をインキュベートする工程と、
- CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との結合を検出する工程と
を含む。
一実施形態によれば、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法は、少なくとも以下の方法工程:
- 上記で定義したCD91ポリペプチドを連結させる固体支持体を用意する工程と、
- 生体試料をCD91ポリペプチドと共にインキュベートする工程と、
- 場合により、洗浄工程を実行する工程と、
- CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との結合を検出する工程と、
- 生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体の量を決定する工程と
を含む。
さらに好ましい実施形態において、本発明の方法は、生体試料、好ましくは血液または血清中の、ヘモペキシンとの結合に到達可能なヘムの量を決定するために使用する。
ヘモグロビンに結合しているもののように、血清中に存在する全てのヘムがヘモペキシンに到達可能とは限らないことは公知である。本発明の方法はまた、生体試料中の到達可能なヘムの量を決定するために、すなわち、ヘモペキシンと複合体を形成するために到達可能なヘムの量を決定するために使用することができる。このために、追加のヘモペキシン:ヘム複合体を生成する過剰のヘモペキシンを生体試料に添加する。次いで、ヘモペキシン:ヘム複合体の量を、過剰のヘモペキシンを添加したおよび添加していない試料において決定する。2つの試料間のモル濃度の差が、ヘモペキシンに到達可能なヘムの濃度である(ヘモペキシン:ヘムが1:1の比で結合するため)。
一実施形態によれば、生体試料中の到達可能なヘムの量を決定するための方法は、少なくとも以下の工程:
- 追加のヘモペキシン:ヘム複合体を生成する過剰のヘモペキシンを生体試料に添加する(スパイクあり)、および過剰のヘモペキシンが添加されていない生体試料(スパイクなし)を用意する工程と、
- 本明細書中で記載した、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法を好ましくは適用することによって、過剰のヘモペキシンが添加された生体試料(スパイクあり)および過剰のヘモペキシンが添加されていない生体試料(スパイクなし)中のヘモペキシン:ヘム複合体の量を決定する工程と、
- ヘモペキシン:ヘムが1:1の比で結合するという前提に基づいて、ヘモペキシンに到達可能なヘムの濃度を得るために、過剰のヘモペキシンが添加された(スパイクあり)および過剰のヘモペキシンが添加されていない(スパイクなし)2つの試料間における、決定されたヘモペキシン:ヘム複合体のモル濃度の差を算出する工程と
を含む。
一実施形態によれば、生体試料中の到達可能なヘムの相対濃度(C)を決定するための方法は、少なくとも以下の工程:
- 追加のヘモペキシン:ヘム複合体を生成する過剰のヘモペキシンを生体試料に添加する(スパイクあり)、および過剰のヘモペキシンが添加されていない生体試料(スパイクなし)を用意する工程と、
- 本明細書中に記載した、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法を好ましくは適用することによって、過剰のヘモペキシンが添加された生体試料(スパイクあり)中のヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(B)および過剰のヘモペキシンが添加されていない生体試料(スパイクなし)中のヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(A)を決定する工程と、
- ヘモペキシンスパイクありの試料中に存在するヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(B)から、スパイクスパイクなしの試料中に存在するヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(A)を減算し、ヘムがヘモペキシンに1:1の比で結合することを所与として、得られたデルタヘモペキシン:ヘム複合体濃度(B-A)をヘモペキシンの分子量で除算することによって、ヘモペキシンに到達可能なヘムの濃度を決定する工程と、
- 前工程のデルタ値をヘモペキシンの分子量で除算することによって、試料内のヘモペキシンに到達可能なヘムの相対濃度(C)を得る工程と
を含む。
したがって、到達可能なヘムの相対濃度は、(C)=([スパイクあり(B)-スパイクなし(A)]/63000)*1000(μM)として算出することができる。
本発明はまた、生体試料からヘモペキシン:ヘム複合体をインビトロで分離するためのまたは体外で分離するための方法であって、上で定義したCD91ポリペプチドを生体試料と共にインキュベートする工程と、生体試料からCD91ポリペプチド-ヘモペキシン:ヘム複合体を分離する工程とを含む、方法に関する。
生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離とは、ヘモペキシン:ヘム複合体をCD91ポリペプチドに結合させて、CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との得られた複合体を生体試料から除去することによって、生体試料からヘモペキシン:ヘム複合体を除去するまたは枯渇させることを意味する。生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離は、当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。主に、分離は、本発明のヘモペキシン:ヘム複合体の検出の手順の第1の部分に相当し、ここで、CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体とを一緒に結合させる。したがって、前記記載は、生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離の態様に適用される。好ましくは、前述のように、CD91ポリペプチドを固体支持体に連結させ、CD91ポリペプチドが連結されている固体支持体を生体試料と接触させ、CD91ポリペプチドが連結されている固体支持体および結合されたヘモペキシン:ヘム複合体を生体試料から除去する。したがって、生体試料を、例えば、カラムに、樹脂、フィルターもしくは膜上に通す、またはその後に例えば遠心分離もしくは磁気分離によって除去できるビーズと接触させる場合に、有効な除去を得ることができる。
生体試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の分離はインビトロであってもよいし、または体外であってもよい。これは、ヘモペキシン:ヘム複合体から生体試料を取り除くのに役立ち得る。「体外」分離とは、対象から得られた血液試料を用いて対象の外部で行われる操作を意味する。したがって、血液を対象から採取し、場合により、上記に示したように処理し、CD91ポリペプチドと接触させる。CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との得られた複合体を血液から分離し、取り除かれた血液を対象に戻す。体外操作は、インビトロで実行することができ、すなわち、血液を対象から収集し、インビトロでCD91ポリペプチドと接触させ、CD91ポリペプチドとヘモペキシン:ヘム複合体との得られた複合体を分離し、血液を体に戻す。別法として、体外操作は、血液を対象の循環に戻す前に、ヘモペキシン:ヘム複合体を分離して対象から対象へ循環する回路操作で実行してもよい。血液を体外に運搬する操作の全ては、体外回路で行う。好ましくは、操作はアフェレーシスであり、対象の血液を、CD91ポリペプチドを使用することによってヘモペキシン:ヘム複合体を分離除去しかつ残りを循環に戻す、装置に通す。
本発明のさらなる態様は、状態に関してヘモペキシン:ヘム複合体のその内因性CD91受容体への相互作用をブロックまたは低減するのが望ましいという前提で、前記状態を治療する方法において使用するための、上記で定義したCD91ポリペプチドである。このような状況において、CD91受容体媒介エンドサイトーシスおよび/またはさらなる下流シグナリングをブロックするまたは減少させるために、本発明のポリペプチドをヘモペキシン:ヘム複合体のデコイとして、それを必要とする対象に投与することができる。
好ましくは、溶血に関連する状態は、急性溶血状態および/または慢性溶血状態であり、より好ましくは、以下からなる群から選択される:鎌状赤血球貧血、溶血性貧血、骨髄無形成クリーゼ、過剰溶血クリーゼ、輸血によって誘導された溶血、溶血性尿毒症症候群、心筋梗塞、急性胸部症候群、肺高血圧、下腿潰瘍、発育遅滞、骨梗塞、妊娠子癇、腎不全、急性腎傷害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、出血性脳卒中を含む脳卒中、くも膜下出血、頭蓋内出血(ICH)、脾臓血球貯留、脾梗塞、自己免疫性溶血性貧血を含む自己免疫疾患、微生物感染、感染に対する感受性の増加、マラリア感染、外傷、移植関連状態、心肺バイパスを使用する直視下心臓手術、熱傷、例えば、熱傷後の溶血を伴うヘモグロビン血症またはヘモグロビン血尿症、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、サラセミア、先天性赤血球形成異常性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿(PNH)、全身性エリテマトーデスおよび慢性リンパ性白血病。
「溶血に関連する状態」という用語は、溶血がその状態の原因である状態または溶血を引き起こす状態を含む、溶血が起こる対象における任意の状態を指す。
溶血または溶血に関連する状態の治療は、対象の血液中におけるヘモペキシン:ヘム複合体の複合体形成を含む。したがって、CD91ポリペプチドを対象に投与して、体液中でヘモペキシン:ヘム複合体と複合体を形成することができる。
治療におけるCD91ポリペプチドの使用のために、CD91ポリペプチドは、CD91ポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物として提供する。医薬組成物の製造については、CD91ポリペプチドは、CD91ポリペプチドと、望ましい特性を提供する薬学的に許容される担体などの成分の混合物とを含む医薬剤形になければならない。医薬組成物は、当業者に公知である1種またはそれ以上の薬学的に許容される担体を含む。
医薬品組成物は、全身、鼻腔、非経口、経腸または局所投与用に製剤化することができる。非経口投与としては、皮下、皮内、筋肉内、静脈内または腹腔内投与が挙げられる。
医薬組成物は、経口投与用の固体剤形、例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤;経口投与用の液体剤形、例えば、薬学的に許容される乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤;注射剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁剤;ならびに局所投与もしくは経皮投与用の剤形を含む、種々の剤形として製剤化することができる。
任意の特定の対象に対する具体的な治療有効用量レベルは、剤形、対象の年齢、体重および性別、治療の持続期間ならびに医療分野において周知の同様な要因を含む、さまざまな要因によって異なる。
好ましい実施形態において、溶血または溶血に関連する状態を治療するための方法は、ヘモペキシン:ヘム複合体を血液から分離するためのCD91ポリペプチドの使用を含む。ヘモペキシン:ヘム複合体を血液から分離する文脈で前述した全ての実施形態はまた、この実施形態にも適用される。
特に、分離はアフェレーシスなどによって、体外であることができ、または分離は血液中インビボであることができる。
体液からのCD91ポリペプチド-ヘモペキシン:ヘム複合体の複合体の除去については、複合体は対象によって取り除かれ、したがって天然のプロセスによって対象から除去される。別法として、CD91ポリペプチド-ヘモペキシン:ヘム複合体の複合体は、インビトロでまたは対象の血液からの体外回路のいずれかで、体外で分離する。それによって、血液を対象から除去し、CD91ポリペプチド-ヘモペキシン:ヘム複合体の複合体を血液から分離し、次いで、血液を対象に戻す。分離は、CD91ポリペプチド-ヘモペキシン:ヘム複合体の複合体を、CD91ポリペプチドまたはヘモペキシン:ヘム複合体を介して固体支持体に結合させ、固体支持体を血液から除去することによることができる。CD91ポリペプチドまたはヘモペキシン:ヘム複合体の固体支持体への結合は、本明細書中に記載されている。
本発明はまた、薬学的に有効な量のCD91ポリペプチドを投与することよって対象を治療する方法を開示する。前述した全ての実施形態はまた、本発明のこの方法にも適用される。
CD91ポリペプチドによって治療する対象は、動物、例えば、脊椎動物、例えば、ヒト、ウサギ、マウス、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはトリ、好ましくはヒトである。
本発明のさらなる態様は、CD91ポリペプチドを含むキットを指す。キットは、CD91ポリペプチドと、および本発明の方法を行うのに必要なさらなる成分とを含む別個のユニットの集合体である。CD91ポリペプチドは、本明細書中で定義するように、溶解して遊離形態で、もしくは溶液中での再構成のための粉末などの固体形態で存在してもよいし、または固体支持体に連結させてもよい。固体支持体にまだ連結されていない場合には、固体支持体は、方法の実行中にCD91ポリペプチドが連結されるキット中に追加的に存在し得る。CD91ポリペプチドは、共有結合的にまたは非共有結合的に支持体に連結させることができる。CD91ポリペプチドは、直接的にまたは間接的に支持体に連結させることができる。CD91ポリペプチドは、本明細書中に記載した結合タグを備えることができる。場合により、さらなる試薬または溶液が存在し得る。このような溶液は、CD91ポリペプチドを固体支持体に連結させるように適合させた溶液、生体試料中のヘモペキシン:ヘム複合体をCD91ポリペプチドに結合させるように適合させた溶液、抗ヘモペキシン検出抗体をヘモペキシン:ヘム複合体に結合させるように適合させた抗ヘモペキシン検出抗体を含む溶液、二次抗体を検出抗体に結合させるように適合させた二次抗体を含む溶液、および/または二次抗体に連結された酵素による基質の酵素反応に適合させた基質を含む溶液であることができる。適合させた溶液の代わりに、抗ヘモペキシン検出抗体、二次抗体もしくは基質はまた、粉末などの固体形態で存在することもでき、または保存溶液中に存在することもできる。固体形態または保存溶液は、各反応を行うための溶液中で使用するためのものである。キットはまた、本発明の方法を行うための説明書を含むことができる。
本発明のさらなる態様は、CD91ポリペプチドが連結されている固体支持体に関する。固体支持体は、本明細書中で定義した通りである。CD91ポリペプチドには、本明細書中で定義したタグが結合していてもよい。
本明細書中で言及する配列の概要を、下記表に提示する:
Figure 2023540193000002
ここで、本発明を以下の実施例および図面によってさらに説明するが、これらの実施例および図面は例示を意図するものであって、本発明を限定することを意図するものではない。
1.序論
ヘモペキシン(HPX)は、遊離ヘムに高親和性で結合する血漿糖タンパク質である。内出血、溶血、筋融解または他の細胞損傷に起因してヘム結合タンパク質から放出されるヘムは、酸化的効果および炎症促進効果のため、毒性が高い。ヘモペキシンは遊離ヘムをスキャベンジし、このヘム-ヘモペキシン(ヘムーhpx)は、肝臓により、CD91/LRP1(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1)受容体媒介エンドサイトーシスによって取り込まれる。血漿ヘモペキシンは、ヘムの代謝プロセシングと、ヘムの酸化的触媒活性によって生じる毒性の阻害とに役立つ。
低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1、同義語アルファ2マクログロブリン受容体、アポリポタンパク質E受容体)としても知られる、CD91は、Herzら、The EMBO Journal、1988年;7(13):4119~27頁によって初めて記載された。ヒトタンパク質は約600kDaの前駆体タンパク質であり、フューリンによってタンパク質分解性にプロセシングされて、非共有結合的に会合した515kDaのアルファ鎖と85kDaのベータ鎖となる。これは、マクロファージ、肝細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、ニューロン、血管平滑筋細胞および合胞体栄養細胞を含む広範囲の細胞型で、最も豊富には血管平滑筋細胞、肝細胞およびニューロンで発現される。CD91オルソログは脊椎動物に見られ、ヌクレオチドおよびアミノ酸構造が多くの種について解明されている。
LRP1のバイオジェネシスおよびリガンド結合特性の解析は、全長受容体の組換え発現が困難であることによって妨げられている。以前の研究(Buら、J Biol Chem.、1996年;271(36):22218~24頁;Neelsら、J Biol Chem.、1999年;274(44):31305~11頁およびWillnowら、J Biol Chem. 1994年;269(22):15827~32頁)に基づき、LRP1の4つの組換え可溶性リガンド結合ドメイン(I~IV)を作製し、ヘム-hx複合体へのその結合を試験するために使用した。
2.研究目的
第1の目的は、CD91/LRP1内に含まれるリガンド結合リピートの4つのクラスターの組換え変種を発現および精製するための検討およびそれができることであった。
第2の目的は、4つのドメインのうちのいずれが2つの異なるプラットフォーム(BLIおよびSPR)でヘム-hpx複合体を結合できるかを検討することであった。
3.材料および方法
3.1 細胞培養
ExpiCHO-S(商標)細胞および哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1は、Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientificから入手した(R790-07、V790-20)。細胞は、GIBCO(登録商標)ExpiCHO Expression Medium(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)中で培養した。細胞は、8% COの雰囲気のインキュベーター中で37℃に維持した。
3.2 cDNA発現プラスミドの作製
4つのリガンド結合ドメインI~IV(Genbank受入番号NP_002323.2)およびhuhLRPAP1(Genbank受入番号NP_002328.1)のそれぞれを含む可溶性ヒト(hu)LRP1ミニ受容体をコードするcDNAを、ヒト発現にコドン最適化し、GeneArt(Invitrogen(商標)、ThermoFisherScientific)によって、それぞれ開始メチオニン(+1)のすぐ上流のKozakコンセンサス配列(Kozak M.、Nucleic Acids Res.、1987年;15(20):8125~48頁)(GCCACC)を用いて合成した。huLRP1リガンド結合ドメインは、Obermoeller-McCormickら、J Cell Sci、2001年;114(5):899~908頁によって以前に記載されたバウンダリ境界に基づいた。これを、図2に示す。各huLRP1可溶性ミニ受容体は、フレーム内で融合されたhuLRP1シグナルペプチド、N末端FLAGタグおよびC末端8×Hisタグをコードしていた。これらを、以下のように指定する:huLRP1結合ドメインI(アミノ酸25~113)[huLRP1(1~24)-FLAG-huLRP1(25~113)-8His];huLRP1結合ドメインII(アミノ酸806~1183)[huLRP1(1~24)-FLAG-huLRP1(806~1183)-8His];huLRP1結合ドメインIII(アミノ酸2481~2942)[huLRP1(1~24)-FLAG-huLRP1(2481~2942)-8His];HuLRP1結合ドメインIV(アミノ酸3293~3783)[huLRP1(1-24)-FLAG-huLRP1(3293~3783)-8His]。各cDNAが完成したら、それをNheIおよびXhoIで消化し、pcDNA3.1(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific)にライゲートした。製造元の説明書に従って、QIAGEN Plasmid Giga Kits(12191)を使用して、プラスミドDNAの大規模な調製を行った。プラスミドコンストラクトのヌクレオチド配列を、BigDye(商標)Terminator Version 3.1 Ready Reaction Cycle Sequencing(Invitrogen(商標)、Thermo Fisher Scientific.4337455)およびApplied Biosystemsの3130xl Genetic Analyzerを使用して両方のストランドを配列決定することによって、検証した。
3.3 組換えタンパク質の作製のための一過性トランスフェクション
ExpiCHO-S(商標)細胞を使用した、hulRP1可溶性ミニ受容体結合ドメインI~IV(90%)をヒトLDL受容体タンパク質関連タンパク質1(huLRPAP1、RAP、10%)と共にコードする発現プラスミドの一過性トランスフェクションを、Expifectamine(商標)トランスフェクション試薬(Invitrogen、Life Technologies)を使用して、製造元の説明書に従って行った。細胞は、生存細胞6×10個/mLの最終濃度でトランスフェクトし、振盪インキュベーター(Infors)で37℃において8%CO中で20時間インキュベートした。20時間後に、Enhancer(商標)およびFeed(商標)を培養物に添加した。次いで、培養物を32℃、5%CO、湿度70%でさらに5日間インキュベートした。トランスフェクションの5日後に、第2のFeed(商標)を培養物に添加し、それらを、32℃、5% CO、湿度70%のインキュベーターに戻した。細胞培養物上清を、2500rpmでの遠心分離によって回収し、次いで精製前に0.45μmフィルター(Nalgene)に通した。培養物上清中の組換えhuLRP1可溶性ミニ受容体の発現を、SDS-PAGE(NuPAGEシステム、Thermo Fisher Scientific、MA、USA)およびまた、ウエスタンブロット解析によって抗His抗体(Hisタグ抗体[FITC]、GenScript、Cat#A01620)によって確認した。
3.4 HULRP1可溶性ミニ受容体の精製
HuLRP1可溶性ミニ受容体を、AKTA Pure Protein Purification System(GE Healthcare Life Sciences)でのタンデムニッケル-サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。試料を、HisPrep(商標)FF 16/10 Ni+セファロース 20mLカラムに2.5mM NiClの存在下で適用した。カラムクロマトグラフィーは、製造元の説明書に従って生成した。溶出後の試料をHi Load 26/600 Superdex 200pgカラム(GE Healthcare Bio-Sciences、PA、USA)に直接適用し、10mM Hepes、150mM NaCl、pH7.3中に溶出した。HuLRP1可溶性ミニ受容体含有画分をプールし、Amicon Ultra-15遠心フィルターユニット10kDa(Merck-Millipore、MS、USA)を使用して製造元のプロトコルに従って濃縮した。精製された組換えタンパク質の濃度を、Trinean DropSense96システム(Trinean、Gentbrugge、ベルギー)でA280nmにおいて測定し、濃縮物の純度を、SDS-PAGE(NuPAGEシステム、Thermo Fisher Scientific、MA、USA)によって検証した。
3.5 結合研究(BLIおよびSPR)に使用したLRP1ドメイン
以下の表1に記載したタンパク質を、結合研究に使用した:
Figure 2023540193000003
3.6 結合研究(BLIおよびSPR)に使用したヘモペキシンバッチ
以下の表2に記載したヘモペキシンバッチを、結合研究に使用した:
Figure 2023540193000004
3.7 抗ペンタHis(HIS1K)バイオセンサー
BLIによる固定化LRP1可溶性ミニ受容体へのヘム-hpx複合体のリアルタイム結合解析では、抗ペンタHisバイオセンサーを使用した(図1)。これらは、特異性の高いペンタ-His抗体で予め固定化されている。タンパク質の固定化は、その後の動態解析のために、Hisタグ付きタンパク質を直接捕捉することによって達成した。
3.8 Octetで行ったミニLRP1結合研究(BLI)
前述のように、抗ペンタHis抗体プレコートバイオセンサー(カタログ番号:18-5120、ForteBio、TechNote 43:Anti-Penta-HIS(HIS1K) biosensors for label-free analysis of HIS-tagged protein、2019年)を使用した。種々のLRP1ドメインを、10×動態バッファー(kinetic buffer)(PBS、0.1% BSA、0.02% Tween20)中15μg/mLの濃度で固定化した。ヘム-Hpx複合体を10×動態バッファー(PBS、0.1% BSA、0.02% Tween20)で希釈した。ヘム-ヘモペキシン複合体の会合および解離動態は、2.5、1.25、0.625および0.3125μMの濃度で行った。各結合工程の設定は、以下の表3に示すように選択した。全ての実験に参照対照(reference control)を含めた(センサーに分析物なしでリガンドをロード)。データは、OctetRED96(ForteBio)で30℃において以下の設定で取得した:
Figure 2023540193000005
データは、データ解析ソフトウェア(ForteBio、バージョン9.0)によって解析した。データは、y軸へのベースラインアライメント、工程間補正、参照センサー減算、およびSavitzky-Golay Filteringによる曲線平滑化を行うことによって、処理した。処理した動態データセットを、1:1結合モデルを使用して全体的にフィットさせた。フィッティングの正確度は、測定結果がデータの解析に使用したモデルから算出されたものにどの程度類似しているかを表すパラメーター、ChiおよびRによって記載した。
3.9 Biacore(SPR)で行ったミニLRP1結合研究
3.9.1 定性的ヘモペキシン捕捉アッセイ
3.9.1.1 ヘム-Hpx複合体を結合するLRP1ドメイン
標準的なNHS/EDC化学反応を使用して、ウサギ抗ヘモペキシンポリクローナル抗体をCM5センサーチップのカルボキシメチルデキストラン表面に約18,000RUまで直接固定化した。CSL,Kankakee製のヘム-hpx複合体を、各サイクルの始めにそれぞれフローセル2および4で約350RUまで捕捉した。参照表面(フローセル1および3)は、抗ヘモペキシンポリクローナル抗体のみからなるものであった。LRP1(詳細については表1を参照のこと)の各画分(ドメイン1、2および4)の10μMを、ヘムhpx捕捉抗体表面に120秒間注入した。
3.9.1.2 ヘム-Hpx複合体を結合するLRP1.3
LRP1.3(画分3、プ-ル-1、試料4204)を、2倍希釈系列で0.312~20μMの範囲の濃度で、ヘム-hpx複合体捕捉表面に30秒間にわたって二重反復で注入した。解離を60秒間監視した。抗体表面を、10mMグリシンpH1.7を4回、各20秒間注入することによって、プレコンディショニングした。各サイクルの終わりに、10mMグリシンpH1.7を20秒間使用して、再生を行った。活性表面(フローセル2および4)からの生データを、参照表面(フローセル1および3)およびブランク注入からシグナルを減算することによって、二重参照した。
アッセイは、pH7.3の5mM CaClを補充したHBS-N中において37℃で三重反復で行った。全てのバッファーおよび溶液は、使用前に濾過した(0.22μm)
3.9.2 NTA捕捉架橋アッセイ
ヘム-hpx複合体結合LRP1.3はまた、NTAチップを使用する捕捉架橋法を使用して解析した。Hisタグ付きLRP1.3((画分3、プール-1、試料4204)を、EDC/NHS化学反応を使用してNTAチップのフローセル4に係留した。NTAチップ上におけるLRP1.3係留は、EDC/NHSを使用して予め活性化させた表面上にHisタグ-ニッケル-NTA複合体を形成することによって、行った。同じように処理したがLRP1.3係留を行わなかったフローセル3を、参照セルとして使用した。固定化は中性pHで行った。この方法は、Hisタグ付きLRP1.3を1μg/mlで1分間の注入で約800RUまで係留してリガンドを配向させることによって、チップ表面の不均一性を低減する。
捕捉架橋プロトコル法は、以下の工程に従って手動モードで行った:
Figure 2023540193000006
係留後の表面の残留アミン活性は一晩バッファーを流すことによって非活性化した。エタノールアミンを使用する化学的非活性化工程は、リガンド活性に影響を及ぼすことが判明しているので、これによって回避した。
ヘム-hpx複合体を、2倍希釈系列で0.62~20μMの範囲の濃度で30秒間にわたって二重反復で、2回注入した。解離を60秒間監視した。複合体が完全に解離したため、サイクル間に再生工程は必要ではなかった。活性表面(フローセル4)からのセンサーグラムデータを、参照表面(フローセル3)およびブランク注入からシグナルを減算することによって、二重参照した。センサーグラムデータを、1:1定常状態モデルにフィットさせた。
4.結果および知見
4.1 ヒトLRP1可溶性ミニ受容体の発現および精製
hulRP1結合ドメインI、II、IIIおよびIVのヘモペキシン:ヘム結合特性を検討するために、本発明者らは、可溶性ミニ受容体のそれぞれをコードするプラスミドをExpiCHO-S(商標)細胞において一過性に発現させた(huLRP1結合ドメインI(アミノ酸25~113)、HuLRP1結合ドメインII(アミノ酸806~1183)、huLRP1結合ドメインIII(アミノ酸2481~2942)、huLRP1結合ドメインIV(アミノ酸3293~3783))(図2)。huLRP1可溶性ミニ受容体の発現は、huLRPAP-1(RAP)同時発現を伴ってまたは伴わずに実行した(図3A)。SDS-PAGE解析により、RAP同時発現はhuLRP1ミニ受容体の分泌に必須ではないが、RAP同時発現を伴うミニ受容体の発現が約2倍高いことが実証された(図3A)。これは、RAPの同時発現がhuLRP1ミニ受容体の分泌を促進する可能性があることを示している(5)。SDS-PAGE解析により、全てのタンパク質がその予測分子量よりも高く移動することが実証された(huLRP1結合ドメインI-12.3kDa、huLRP1結合ドメインII-43.6kDa、huLRP1結合ドメインIII-53.4kDa、huLRP1結合ドメインIV 57.2kDa)。これは、グリコシル化による可能性が最も高い(図3A~C)。
4.2 ヘム-hpx複合体に対する結合ドメインとしてのLRp1.3の特定
LRP1ドメインのうちのいずれがヘム-hpx複合体に結合するかを検討および決定するために、ドメインのそれぞれを、発現Hisタグを介してバイオセンサー(HIS1K;抗ペンタHis)に係留した。図4に示されるように、LRP1の4つのリガンド結合ドメイン全てを、ヘム-hpx複合体へのそれらの結合について試験した。LRP1.3のみが複合体への明確な結合を示した。LRP1.3は、単純な1:1動態モデルによって説明される約1.5μMの親和性で、用量依存的にヘム-hpx複合体に結合した。
Figure 2023540193000007
4.3 定性的ヘモペキシン捕捉SPRアッセイによるIRP1.3の確認
LRP1の4つのドメイン全てを、チップ表面の固定化抗hpx抗体を介してヘム-hpx複合体を捕捉および固定化することにより、ヘム-hpx複合体へのそれらの結合について試験した。アッセイ戦略は、図6Aに概説する。BLI結合実験で観察されかつ図5Aに示されるように、LRP1.3のみが複合体への明確な結合を示した。LRP1.2への結合は示されていない。ヘモペキシン(10μM)単独は、試験したLRP1画分への有意な結合を示さなかった(図5C)。さらに、ヘム-hpx複合体に結合したLRP1.3を、約2μMの親和性で用量依存的に試験した。濃度依存的な二次成分も観察され、データは単純な1:1動態モデルでは十分に説明できなかった(図6B)。したがって、代替的なアッセイセットアップを、動態パラメーターの推定のために使用した。
4.4 NTA捕捉架橋SPRアッセイに基づく動態パラメーターの推定
次のステップで、前述のようにして、図7Aに示すような代替的アッセイセットアップを開発した。図7Bに示されるように、ヘム-hpx複合体はLRP1.3を用量依存的に結合し、表6に要約される約2μMの定常状態親和性によって、再現性のあるKを算出することができた。
Figure 2023540193000008
決定された通り、ヘム-hpx複合体結合LRP1.3の親和性は、約2.6μMと報告された。追加の複合体をこのアッセイセットアップで試験し、全てが約1.4μMの同様な定常状態親和性を示していた(表7および図8)。
Figure 2023540193000009
5.考察および結論
異なるLRP1免疫受容体(ドメイン)を発現できることにより、インビトロでのヘム-ヘモペキシン結合ドメインの特定が容易になった。要約すると、本発明者らは、異なる方法論(BLIおよびSPR)および異なる捕捉戦略を用いて、CD91/LRP1ドメインIIIがヘム-ヘモペキシン複合体の結合に関与することを実証することができた。複合体形成していないヘモペキシン(apoHpx)は結合しないため、ヘモペキシンがヘム分子と複合体形成すると、結合が高特異性となる。これは、本研究で使用した両プラットフォームで再び、確認された。CD91/LRP1ドメインI、IIおよびIVはいずれも、ヘムヘモペキシン複合体を結合しないことがさらに判明した。
さらに、本発明者らは、表8においてLRP1.3について要約する通り、使用したプラットフォームおよびヘモペキシンバッチとは独立して、類似した結合動態を実証することができた。
Figure 2023540193000010
6.ヘム-ヘモペキシン複合体の調製
ヘム-ヘモペキシン(ヘム-hpx)複合体の調製
1. ヘモペキシン(100mg/mL)をPBS pH7.4で約28~31mg/mL(約460~509μM)まで希釈する(最終容量=バッチサイズに依存)。注:ヘモペキシン濃縮物は、既にPBS pH7.4中で約30mg/mLであるので、希釈を必要としない。
2. 層流のフード中にある状態で、攪拌棒を備えた、滅菌ボトルまたは熱ショックを与えたボトルに、PBS希釈ヘモペキシンを0.2μm濾過する。
3. 10mLを取り出し、滅菌バイアルに入れる。ヘミンを含まない対照として使用するために取っておく。
4. 60,888の分子量を使用してPBS希釈ヘモペキシンのμM濃度を決定する。
5. 1/50希釈がヘモペキシンについて決定された同じμM濃度につながる濃度(通常、約15~17mg/mL)で、100%DMSO(Sigma-Aldrich、Cat no:D2438-10mL、滅菌濾過済、バイオパフォーマンス認定済、EP、USP試験仕様に適合)中、ヘミン(Frontier Scientific、Cat no:H651-9、m.w.=651.94)を調製する。使用直前に調製する。最終容量はヘモペキシンバッチサイズに依存する。
6. ヘモペキシン中でヘミンを1/50に希釈するのに必要な容量のヘミンを添加する。これにより、100%飽和標的に対して等μMのヘモペキシンおよびヘム(例えば、500μM+500μM)が得られるはずである。これは、依然として層流フード下にある状態で行うべきである。
7. 直ちに、蓋締めして、反転および回旋によって混合する。
8. 工程c)からの10mLのヘモペキシンを含むバイアル中でDMSOを1/50希釈する。これを、飽和パーセントを決定するための対照およびブランクとして使用する。
9. 複合体と対照の両方を、撹拌プレートを装着したインキュベーター中で37℃において一晩インキュベートし、穏やかに撹拌して、ヘム-hpx複合体の形成を進行させる。
10. 飽和分析のために1mLの試料を取り出す。
11. 28~31mg/mLの初期ヘモペキシン濃度に基づき、約0.45mg/mLおよび0.25mg/mLへの、PBS中における10%DMSO中複合体および対照の2種の希釈物を調製する。これにより、約0.83および約0.45の414nm吸光度値が得られるはずである。
12. ブランクとして対照を使用して、414nmにおいて飽和パーセントを決定する。
13. 123.1の吸光係数を使用して、各濃度におけるヘム-ヘモペキシン複合体のμMを算出する。
14. 反応物中の複合体のμMをヘモペキシンのμMで除算し、100を乗算して、飽和%を得る。最終飽和百分率の2つの読み取り値を平均する。
ヘム-ヘモペキシン複合体の限外濾過およびダイアフィルトレーション
1. ヘム-hx複合体を0.2μM濾過する。
2. BioMax 10kd mwco Millipore Pelliconカセットを使用して、目標濃度/容量まで限外濾過する。
3. 10×容量のヘモペキシンFINバッファー(0.9mMクエン酸塩、14.1mM S.ホスフェート、150mM NaCl、pH7.2)に対してダイアフィルトレーションする。
4. ウルトラフィルトレーションして、最終目標容量まで戻す。
5. 分析のための保持液を取り出す。
6. 約0.45mg/mLおよび0.25mg/mLに希釈して、ヘム-hx複合体のμMおよびmg/mLを決定する。これは次に、飽和百分率を使用してヘモペキシンmg/mLを逆算するために使用できる。
7. 分取し、チューブにラベルを付ける。
8. -65℃以下で冷凍する。
ヘモペキシン:ヘム複合体およびヘモペキシンに到達可能なヘムのアッセイ設計
1.序論
以下の実験の目的は、1-24-FLAG-HuLRP1-ドメインIII(CD91ドメインIII)を、血液試料中のヘモペキシン:ヘム複合体を測定するためのコーティング試薬として使用できるかどうかを判定することである。このために、ヘモペキシン:ヘム複合体に特異的に結合するこのコンストラクトを、Maxisorp ELISAプレートにコーティング試薬として適用する。インキュベーション後、LPR1コーティングプレートを洗浄し、次いでPBS中1%カゼインでブロックして、非特異的結合を低減する。ブロック後、プレートを洗浄し、各試料を2つのフォーマットでプレートに添加する:
1. 血清試料を50倍希釈し、アッセイして、ヘモペキシン:ヘム複合体を測定する。
2. 試料中のあらゆる遊離ヘムと複合体を形成するヘモペキシンで、スパイクしない(内因性複合体濃度を数量化する)およびスパイクする(ヘモペキシンに到達可能なヘムを測定するため)。
試料タイプ2は、ヘモペキシン:ヘム複合体のみを数量化する場合には省略してもよい。
本実施例2において言及する試料は、健常な個体または鎌状赤血球症患者のいずれかから入手した血清試料である。
試料のインキュベーション後、プレートを再び洗浄し、一次検出抗体である抗ヘモペキシンウサギポリクローナル抗体(Abcam、Ab48135)と共にインキュベートする。プレートを洗浄してから、二次検出抗体であるヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗体を添加する。別のインキュベーション後、テトラメチルベンジジン(TMB)を各ウェルに適用し、HRP中で水素ペルキシダーゼ(hydrogen peroxidase)を還元して、青色に変色させる。硫酸の添加によって反応を停止させ、還元された水素ペルオキシダーゼを黄色に変色させる。その強度は、試料中に存在するヘモペキシン:ヘム複合体の濃度に比例する。
プレートリーダーを使用して、プレートを450nm(620nm対照)で読み取る。各試料からのヘモペキシン:ヘム複合体の濃度を、標準曲線から内挿する。ヘモペキシンに到達可能なヘムの相対的準定量的濃度を、スパイクなしの試料中に存在するヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(A)をヘモペキシンスパイクありの試料中に存在するヘモペキシン:ヘム複合体の濃度(B)から減算することによって、決定する。得られたデルタヘモペキシン:ヘム複合体濃度(B-A)を、ヘモペキシンの分子量で除算する。ヘムはヘモペキシンに1:1の比で結合するので、デルタ値をヘモペキシンの分子量で除算した後に得られる濃度は、試料中のヘモペキシンに到達可能なヘムの相対的準モル濃度(C)である。
到達可能なヘムの相対濃度(C)=([スパイクあり(B)-スパイクなし(A)]/63000)*1000(μM)
2. 機器およびソフトウェア
・ 1μL~1mLを送出可能なキャリブレーション済み容量可変シングルチャンネルピペット
・ 1μL~300μLを送出可能なキャリブレーション済み容量可変マルチチャンネルピペット
・ A450nmで読み取り可能なプレートリーダー(Tecan M200または同等品)
・ MagellanソフトウェアV7.2
・ Microsoft Excel
・ プレートシェーカー(Micromix 5または同等品)
・ ボルテックスミキサー
・ タイマー
・ 96ウェルプレートウォッシャー(ウェル当たり300μLを分配して、5回の洗浄を実行可能でなければならない)
3.材料
・ 96F Maxisorp NUNC ELISAプレート(Thermo Fisher Cat No.439454)
4.試薬
・ 1-24-FLAG-HuLRP1ドメインIII(CD91ドメインIII)
・ ヘモペキシン:ヘム複合体
・ ヘモペキシン
・ Abcam抗ヘモペキシンウサギポリクローナル抗体一次検出(1.056mg/mL)Cat No.Ab48135。
・ ヤギ抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)抗体二次検出(Seracare Cat No.5220-0336)
・ ブロッキングバッファー/アッセイ希釈液 PBS中1%カゼイン(Thermo Fisher Cat No.37528)
・ Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Sigma、Cat.#D8537)
・ 洗浄バッファー:1×PBS/Tween
・ 基質:TMB AおよびB(KPL Cat No.5120-0049および5120-0038)
・ 停止液:硫酸(0.5M)(Thermo fisher Cat No.124240010)
5.操作/手順
5.1 試薬の調製
・ 1-24-FLAG-HuLRP1ドメインIII(CD91ドメインIII)
○ 5μg/mLで必要;D-PBSで希釈
○ プレート当たり11mLが必要
・ 一次検出抗体:抗ヘモペキシンウサギポリクローナル
○ 1μg/mLで必要;ブロッキングバッファー/アッセイ希釈液(PBS中1%カゼイン)で希釈
○ プレート当たり11mLが必要
・ 二次検出抗体:ヤギ抗ウサギHRP
○ ストック試薬は1/2000に希釈する必要があり、ブロッキングバッファー/アッセイ希釈液(PBS中1%カゼイン)で希釈
○すなわち、10994.5μLのブロッキングバッファー/アッセイ希釈液に5.5μLのHRP
・ 基質:TMB AおよびB
○ 使用直前にTMB溶液AとBを等容量で合わせる。
○ プレート当たり12mLが必要
○すなわち、6mLのTMB A+6mLのTMB B
5.2 標準の調製
ヘモペキシン:ヘム複合体から、標準曲線を作成する。以下の前希釈(PD)工程は、ブロッキングバッファー/アッセイ希釈液(PBS中1%カゼイン)中で実行する。
Figure 2023540193000011
次いで、表2に示すように、アッセイの日にPD1をブロッキングバッファー/アッセイ希釈液(PBS中1×カゼイン)で2倍段階希釈することによって、標準曲線を作成する。
Figure 2023540193000012
5.3 対照の調製
陽性対照(PC)はヘモペキシン:ヘム複合体である。PCは、100%のプールしたヒト血清で表3に従って調製する。陰性対照(NC)は、PCの調製に使用するのと同じ、100%のプールしたヒト血清である。
Figure 2023540193000013
・ プレーティング前に、PCおよびNCに50倍希釈を適用する。すなわち、5μLの対照+245μLのブロッキングバッファー/アッセイバッファー。
5.4 試験試料の調製
・ 試験試料は、アッセイを行う前に室温で解凍すべきである。検証中に判定されるように、試料は24時間までは室温(RT)で安定である。試験試料は、ヘモペキシン:ヘム複合体(試料タイプ1)のみとして、またはヘモペキシン:ヘム複合体(1)とヘモペキシン:到達可能なヘム(試料タイプ2)の両方としてアッセイすることができる。
・ ヘモペキシン:ヘム複合体(試料タイプ1)の読み取り:
○ 血清試料をブロッキングバッファー/アッセイ希釈液で50倍希釈する。
すなわち、5μLの対照を245μLブロッキングバッファー/アッセイ希釈液に入れる。
・ ヘモペキシンに到達可能なヘム(試料タイプ2)の読み取り:
○ 表4に従って、各試験試料に500μg/mLのヘモペキシンをスパイクする。室温で30分間インキュベートする。
○ スパイクなしの試料は、最終的なヘモペキシンスパイクに従ってDPBSで希釈しなければならない。
○ すなわち、2.5μLのDPBSを47.5μLの血清に入れる。注:これは、スパークありの試料と同じ希釈係数で、スパイクなしの試料の内因性複合体濃度を調整するために行わなければならない。
○ スパイクありの試料に50倍希釈を適用する。すなわち、5μLの対照を245μLのブロッキングバッファー/アッセイ希釈液に入れる。
Figure 2023540193000014
5.5 アッセイ手順
1. Maxisorp NUNC 96ウェルプレートに、捕捉コーティング溶液をウェル当たり100μLでコーティングする。プレートシーラーでプレートを覆い、RTで1時間(±5分間)振盪しながらインキュベートする。
2. プレートを、ウェル当たり少なくとも200μLの1×PBS/Tween洗浄バッファーで5回洗浄する(プレートウォッシャーまたは手動)。
3. プレートを、ウェル当たり200μLのブロッキングバッファー/アッセイ希釈液(PBS中1%カゼイン)でブロックする。プレートシーラーでプレートを覆い、RTで1時間(±5分間)振盪しながらインキュベートする。
4. プレートを、1×PBS/Tween洗浄バッファーで5回洗浄する(プレートウォッシャーまたは手動)。
5. 適当なウェルに、100μLの標準/対照/試料を添加する。プレートシーラーでプレートを覆い、RTで1時間(±5分間)振盪しながらインキュベートする。
6. プレートを、1×PBS/Tween洗浄バッファーで5回洗浄する(プレートウォッシャーまたは手動)。
7. ウェル当たり100μLの抗ヘモペキシンウサギポリクローナル抗体一次検出溶液を添加する。プレートシーラーでプレートを覆い、RTで1時間(±5分間)振盪しながらインキュベートする。
8. プレートを、1×PBS/Tween洗浄バッファーで5回洗浄する(プレートウォッシャーまたは手動)。
9. ウェル当たり100μLのヤギ抗ウサギHRP二次検出を添加する。プレートシーラーでプレートを覆い、RTで1時間(±5分間)振盪しながら、光から保護して、インキュベートする。
10. プレートを、1×PBS/Tween洗浄バッファーで5回洗浄する(プレートウォッシャーまたは手動)。
11. ウェル当たり100μLの基質を添加し、RTで3.5分間または最適な色の変化まで、振盪しながらインキュベートする。ウェル当たり50μLの停止液(硫酸0.5M)を、TMBを加えたのと同じピペット操作の向きで添加する。
12.停止液を加えて10分以内に450nm(620nm対照)においてプレートリーダーでプレートを読み取る。
6.ヘモペキシン:ヘムアッセイおよびヘモペキシンに到達可能なヘムのアッセイの検証データ
6.1 システムの適合性
1. 10の別個のアッセイを、二重反復でプレーティングして、10点標準曲線を用いて行った。標準曲線は、5パラメーターのロジスティック曲線フィットを用いて、Magellanソフトウェアを使用してフィットさせて、R値を生成し、CVおよびREをExcelで算出した。
2. 以下に示すように、10個の検証プレートのうち8つが、25%内で許容可能な%CVおよび%REを生成した。したがって、アッセイ標準曲線は、適格なアッセイに適合すると考えられた。
Figure 2023540193000015
Figure 2023540193000016
7.特異性
遊離ヘモペキシン(アポヘモペキシン)とヘモペキシン:ヘム複合体との間の交差反応性を評価するために、アッセイ特異性を試験した。ヘモペキシン:ヘム複合体または遊離ヘモペキシンのいずれかを使用して、7点標準曲線を作成した。図9に示されるように、アッセイは、ヘムに結合したヘモペキシンに特異的であり、遊離ヘモペキシンには結合しない。
8.中間精度/同時再現性
ヘモペキシン:ヘム複合体から作製された5つの陽性対照(UHPC、HPC、MPC、LPC、ULPC)および陰性対照(NC)を、同時再現性について評価した(アッセイ内(1つのアッセイランにおいて3組の三重反復試験)、アッセイ間(1人の操作者による3つの独立したアッセイラン)および操作者間精度(2人の操作者が、それぞれ2つのアッセイランを実行))。
表6、7、および8に示すように、陰性対照は全てのパラメーターでCV<25%であった。表6、7、および8に示すように、HPC、MPC、LPCおよびULPCは、%CVが25%未満であるため、許容可能な精度を示した。
Figure 2023540193000017
Figure 2023540193000018
Figure 2023540193000019
9.正確度
正確度は、精度のために作成された同じデータを使用して評価した(節7.3)。対照の正確度は、各セットのNC(バックグラウンド)減算後に算出した。表6、7および8に示すように、HPC、MPC、LPCおよびULPCは許容可能な正確度を示した(HPC、MPC、LPCではRE±≦25%、およびULPCではRE±≦30%)。UHPCはその正確度基準に不合格であった(RE±30%)。これは、範囲(節7.5)においてさらに論じるように、アッセイ数量化上限をHPC濃度(プレート上で20μg/mL)に低減する。
10.範囲および定量化限界
既知量のヘモペキシン:ヘムスパイク対照をスパイクした、プールした健常血清対照を、標準曲線と組み合わせて使用して、CV≦25%およびRE±≦30%に従う最高濃度および最低濃度を評価することによって、アッセイ範囲を求めた。アッセイの数量化の有効範囲は、スパイク対照の精度および正確度に基づく。アッセイの数量化の上限は、1000μg/mL(プレート上で20μg/mL)であり、数量化の下限は50μg/mL(プレート上で1μg/mL)であると決定されている。アッセイの最低検出限界を決定するために、ヘモペキシン:ヘム複合体を、プールしたヒト血清に試料の50倍希釈において500μg/mLでスパイクした。50倍希釈後、アッセイ前に、スパイクありの試料を、スパイクなしの同様に希釈した血清試料と平行して、段階希釈した。
Figure 2023540193000020
上記に示されるように、0.15μg/mLのプレート上濃度で許容可能なRE(≦30%)が達成された。したがって、アッセイの数量化範囲は、対照の性能に基づき、100%ヒト血清において50~1000μg/mL(プレート上1~20μg/mL)と決定される。しかし、範囲のデータに基づき、バックグラウンド減算後のプレート上では、0.15μg/mLまで低下した、許容可能な検出が達成された。したがって、ヘモペキシン:ヘム複合体のアッセイ検出限界は、バックグラウンド減算後のプレート上濃度で0.15μg/mLである。0.15~1μg/mLの濃度は、ある程度の不確実性を適用して、報告することができる。
11.hpxに到達可能なヘムのアッセイの選択性
ヘモペキシンに到達可能なヘムの選択性については、個体を最初に、ヘモペキシンをスパイクして、各試料内に遊離ヘムと追加の複合体を生成することによって、評価した。ヘモペキシンに到達可能なヘムの相対濃度を、
ヘモペキシンに到達可能なヘムの相対濃度(μM)(C)=([スパイクあり(B)-スパイクなし(A)]/63000)*1000
として計算した。
結果から、個体が血清中に基底レベルのヘモペキシン:ヘム複合体を有する間は、試験した試料中において遊離ヘムが比較的まれであることが示された。
Figure 2023540193000021
ヘモペキシン単独をスパイクした場合(B)には、全ての個体において、内因性ヘモペキシン:ヘム複合体濃度(A)を超える増加を検出できた(デルタ複合体濃度は0μg/mL超であった)。結果から、SCD血清および血漿個体ならびに溶血個体(1人のドナーを除く)内のヘモペキシン:ヘム複合体の内因性濃度が低いことが示されたが、ヘモペキシンの添加は全試料においてわずかに陽性のデルタ複合体濃度を引き起こし、到達可能なヘムの陽性の測定値がもたらされた。
12.結論
ヒト血清および血漿中のヘモペキシン:ヘム複合体およびヘモペキシンに到達可能なヘムの決定の適格な検証により、アッセイが、血清試料中の到達可能なヘムの複雑で相対的な傾向の準定量的なアッセイとしての使用に適合することが示された。ヘモペキシン:ヘム複合体のプレート上の数量化範囲は、100%ヒト血清中50~1000g/mL(プレート上1~20μg/mL)と定義され、検出限界は、ある程度の不確実性を伴って0.15μg/mL(プレート上濃度、バックグランドを除算)まで低下した。このアッセイは、遊離アポヘモペキシンとは対照的に、ヘムと複合体形成したヘモペキシンに対して選択的である。このアッセイは、許容可能なアッセイ間、アッセイ内、操作者間の精度および正確度を示した。ヘモペキシンに到達可能なヘムの決定は、このアッセイの複雑な数量化の側面と同じ結果をたどる。
このELISAベースのアッセイは、1.)ヘモペキシン:ヘム複合体を準定量化するための、および2.)ヘモペキシンをスパイクした血清試料からの、相対的なヘモペキシンに到達可能なヘムを決定するための、適格なアッセイである。このアッセイは、ヘモペキシン:ヘム複合体濃度のみを測定する単一成分アッセイとして、またはヘモペキシン:ヘム複合体濃度およびヘモペキシンに到達可能なヘムを測定する2パートアッセイとして実行することができる。
13. 定義/略語
Conc 濃度
CV 変動係数
DF 希釈係数
Hpx ヘモペキシン
Hpx:ヘム ヘモペキシン:ヘム複合体
μg/mL ミリリットル当たりのマイクログラム
OD 光学濃度
SCD 鎌状赤血球症
UHPC 超高陽性対照
HPC 高陽性対照
MPC 中陽性対照
LPC 比較的低い陽性対照
ULPC 超低陽性対照

Claims (17)

  1. 生体試料中のヘモペキシン-ヘム複合体の検出のためのCD91ポリペプチドの使用であって、CD91ポリペプチドは、300~1000アミノ酸長を有し、かつヘモペキシン-ヘム複合体に結合できるCD91のリガンド結合ドメインIIIまたはその断片を含むまたはそれからなる、使用。
  2. CD91ポリペプチドは、400~900アミノ酸長、500~900アミノ酸長、500~800アミノ酸長、600~900アミノ酸長または600~800アミノ酸長を有する、請求項1に記載の使用。
  3. CD91ポリペプチドは、配列番号2によるアミノ酸配列もしくは対応する、相同CD91のアミノ酸配列を含む、または配列番号2の配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%のアミノ酸同一性を有するもしくは配列番号2と少なくとも85%、90%、95%もしくは100%のアミノ酸相同性を有する、アミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の使用。
  4. ポリペプチドは、シグナルペプチドおよび/または1種もしくはそれ以上のタグをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
  5. CD91ポリペプチドは、固体支持体に連結されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 固体支持体はウェルプレートである、請求項5に記載の使用。
  7. 検出は、イムノアッセイ、好ましくは酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を使用することによって実行される、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 生体試料中のヘモペキシン-ヘム複合体の量が決定される、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 対象における溶血を診断もしくは監視するための、または対象における溶血もしくは溶血に関連する状態の治療を監視するための、好ましくは対象における溶血もしくは溶血に関連する状態の、ヘモペキシンによる治療を監視するための、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用。
  10. 生体試料からヘモペキシン-ヘム複合体をインビトロで分離するためのまたは体外で分離するための、請求項1~6のいずれか1項において定義されたCD91ポリペプチドの使用。
  11. 生体試料からヘモペキシン-ヘム複合体を枯渇させることを含む、請求項10に記載の使用。
  12. 生体試料中のヘモペキシン-ヘム複合体を検出するためのインビトロの方法であって、請求項1~6のいずれか1項において定義されたCD91ポリペプチドと共に生体試料をインキュベートする工程と、CD91ポリペプチドとヘモペキシン-ヘム複合体との間の結合を検出する工程とを含む、方法。
  13. 検出は、請求項7または8に定義されたようにして実行される、請求項12に記載の方法。
  14. 生体試料中のヘモペキシン-ヘム複合体の量を決定することをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
  15. 対象における溶血を監視するための、または溶血もしくは溶血に関連する状態の治療を監視するための、好ましくは溶血もしくは溶血に関連する状態の、ヘモペキシンによる治療を監視するための、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1~6のいずれか1項において定義されるCD91ポリペプチドを含むキット。
  17. 請求項1~6のいずれか1項において定義されるCD91ポリペプチドが連結されている固体支持体。
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