JP2023535311A - 強化エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、架橋性ポリマーと、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーとを含む硬化性エラストマー組成物であって、この表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のH3O+イオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、H3O+イオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される硬化性エラストマー組成物に関する。さらに、本発明は、この組成物から形成された硬化したエラストマー生成物、この硬化したエラストマー生成物を含む物品、硬化したエラストマー生成物を製造する方法、及び硬化したエラストマー生成物を強化するためのこのフィラーの使用に関する。

Description

本発明は、エラストマーに関し、特に、硬化性エラストマー組成物、硬化したエラストマー生成物、この生成物の製造方法、及び硬化したエラストマー生成物を強化するための表面反応炭酸カルシウム及び/又は沈降ハイドロマグネサイトから選択されるフィラーの使用に関する。
ゴムとも一般的に呼ばれるエラストマーは、ゴム様弾性、すなわち、外部変形力の適用時に可逆的変形能力を有する架橋ポリマー材料である。エラストマーは、例えば、タイヤ、チューブレスタイヤ、O-リング、使い捨て手袋、自動車伝動ベルト、ホース、ガスケット、オイルシール、Vベルト、合成皮革、プリンターのフォームローラー、ケーブルジャケット、顔料バインダー、接着剤、シーラント、動的及び静的シール、コンベヤーベルト、又は衛生用途に広く適用されている。
例えば、機械的特性を改善するために、エラストマー組成物にある特定のフィラー(充填材)を添加することは、当技術分野において一般的である。一般的に使用される強化フィラーには、カーボンブラック、(変性)シリカ粒子、カオリン及びその他の粘土が含まれる。しかしながら、これらのフィラーは、ある特定の欠点を有する。例えば、カーボンブラックはわずかに導電性であるため、絶縁ケーブルのフィラーとしては使用できない。カーボンブラックの色はまた、その適用に関して制限を課し、カーボンブラック又は変性シリカのようなフィラー材料は、健康上の安全性及び環境上の懸念のために取り扱いが困難である。さらに、これらのフィラーを含有するエラストマーは、引裂抵抗に関して依然として不十分なことがある。それらは、例えば、既に切り込みが存在する場合に、加工中に容易に破壊し得る。これは、特にエラストマーが、まだ熱い場合、例えば未成形時の場合に起こり得る。
エラストマー組成物における粉砕炭酸カルシウム及び沈降炭酸カルシウムの使用が報告されている。例えば、米国特許第3,374,198 A号明細書は、エチレン-プロピレンゴム及び強化用フィラーとしての炭酸カルシウムを含む組成物を開示している。Sobhyら(Egyptian Journal of Solids 2003、26、241-257)は、炭酸カルシウムを充填した天然ゴム及びニトリルゴムの硬化特性及び機械的特性について報告している。
欧州特許出願公開第3 192 837 A1号公報は、無水物又はその酸若しくは塩で表面処理した表面改質炭酸カルシウムに言及しており、とりわけ、ポリマー組成物、製紙、塗料、接着剤、シーラント、医薬用途、ゴムの架橋、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルにおける、不飽和ポリエステル及びアルキド樹脂における、その使用を示唆している。
上記を考慮すると、優れた機械的特性を有するエラストマーに対する継続的な必要性が存在している。
したがって、本発明の目的は、優れた機械的特性を有し、特に、改善された引裂抵抗性、改善された引張弾性率、引張強度及び/又は破断点伸びを有するエラストマーを提供することである。さらに、良好な加工性を有するエラストマーを提供することが望ましい。
また、本発明の目的は、エラストマーの機械的特性を改善するだけでなく、少なくとも部分的に天然源から誘導可能であり、環境に優しく、かつ安価なエラストマー用フィラーを提供することである。明るい色を有するフィラーを提供することが望ましい。さらに、エラストマーの硬化時に悪影響を及ぼさないフィラーを提供することが望ましい。
上記の及び他の目的は、独立請求項に定義される主題によって解決される。
本発明の一態様によれば、以下を含む硬化性エラストマー組成物であって:
架橋性ポリマー、及び
表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラー、
ここで、この表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
硬化性エラストマー組成物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る硬化性エラストマー組成物から形成される硬化したエラストマー生成物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による硬化したエラストマー生成物を含む物品が提供され、好ましくは、この物品は、チューブレス物品、メンブラン、シーリング、グローブ、パイプ、ケーブル、電気コネクター、オイルホース、靴底、O-リングシール、シャフトシール、ガスケット、管材、バルブステムシール、燃料ホース、タンクシール、ダイアフラム、ポンプ用柔軟ライナー、メカニカルシール、管継ぎ手、バルブライン、軍用フレアブラインダー、電気コネクター、燃料ジョイント、ロールカバー、防火壁シール、ジェットエンジン用クリップ、コンベアベルト、及びタイヤを含む群から選択される。
本発明のなおさらなる態様によれば、以下の工程を含む、硬化したエラストマー生成物の製造方法が提供される:
(i)架橋性ポリマーを提供すること、
(ii)表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを提供すること、
ここで、この表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
(iii)1つ又は複数の工程で、工程(i)の架橋性ポリマーと、工程(ii)のフィラーとを混ぜ合わせて、硬化性エラストマー組成物を形成すること、及び
(iv)工程(iii)の硬化性エラストマー組成物を硬化させること。
本発明のなおさらなる態様によれば、硬化したエラストマー生成物を強化するためのフィラーの使用が提供され、
ここで、このフィラーが、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択され、かつ
この表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。
本発明のなおさらなる態様によれば、以下の工程を含む、ハイドロマグネサイトの表面処理方法が提供され:
(I)沈降ハイドロマグネサイトを提供すること、
(II)工程(I)で提供した沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの範囲の量の少なくとも1つの表面処理組成物を提供すること、
ここで、この少なくとも1つの表面処理組成物が、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む、
及び
(III)上記沈降ハイドロマグネサイトと上記少なくとも1つの表面処理組成物とを20~180℃の温度で、1つ又は複数の工程で接触させること、
好ましくは、この少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される、表面処理方法が提供される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
(d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
(e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
(f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
(g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
(h)(a)~(g)による材料の混合物。
本発明のなおさらなる態様によれば、本発明による方法によって得られる、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトが提供される。
本発明の有利な実施形態は、対応する従属請求項に定義されている。
一実施形態によれば、架橋性ポリマーは、天然又は合成ゴムから選択され、好ましくは、この架橋性ポリマーは、アクリルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、水素化ニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレン-イソブチレンゴム、クロロ-イソブテン-イソプレンゴム、臭素化イソブテン-イソプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ポリウレタンゴム、ポリスルフィドゴム、熱可塑性ゴム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ニトリル-ブタジエンゴム及び/又はエチレン-プロピレン-ジエンゴムからなる群から選択される。
一実施形態によれば、このフィラーは、硬化性エラストマー組成物の総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~70重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~50重量%の量で存在し、又はこのフィラーは、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、100部当たり5~175部(phr)、好ましくは100部当たり20~160部、最も好ましくは100部当たり30~150部の量で存在する。
さらなる実施形態によれば、このフィラーは、以下を有する:
0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらにより好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50;及び/又は
0.2~150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらにより好ましくは2.4~60μm、最も好ましくは3~30μmの体積トップカット粒径d98;及び/又は
窒素及びBET法を使用して測定した、15m/g~200m/g、好ましくは20m/g~180m/g、より好ましくは25m/g~140m/g、さらにより好ましくは27m/g~120m/g、最も好ましくは30m/g~100m/gの比表面積。
さらに別の実施形態によれば、天然粉砕炭酸カルシウムは、大理石、チョーク、石灰石、及びそれらの混合物からなる群から選択され、又は
沈降炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライト、又はカルサイトの結晶形を有する沈降炭酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択され、及び/又は
少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酸性塩、酢酸、ギ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸;Li、Na及び/又はKから選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO ;Li、Na、K、Mg2+及び/又はCa2+から選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-;及びこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
最も好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、リン酸である。
さらなる実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトであるか、又は沈降ハイドロマグネサイトと表面処理した沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。
一実施形態によれば、このフィラーは、フィラーの表面の少なくとも一部に、少なくとも1つの表面処理層を含み、
この少なくとも1つの表面処理層が、上記フィラーを、上記フィラーの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物が、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含み、
好ましくは、この少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
(d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
(e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
(f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
(g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
(h)(a)~(g)による材料の混合物。
一実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、架橋剤を含み、好ましくは、この架橋剤は、過酸化物架橋剤、硫黄系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、アミン若しくはジアミン系架橋剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、着色顔料、染料、ワックス、潤滑剤、酸化-及び/又はUV-安定剤、酸化防止剤、追加のフィラー、加工助剤、可塑剤、追加のポリマー、及びそれらの混合物をさらに含み、好ましくは、この追加のフィラーは、カーボンブラック、シリカ、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ナノフィラー、グラファイト、クレー、タルク、カオリンクレー、焼成カオリン、焼成クレー、珪藻土、硫酸バリウム、二酸化チタン、珪灰石、及びこれらの混合物を含む群から選択され、より好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、珪灰石、及びこれらの混合物を含む群から選択され、最も好ましくは、カーボンブラックである。
本発明の方法の一実施形態によれば、架橋剤、加熱処理、紫外線放射、電子ビーム放射、及び/又は核放射を加えることによって、硬化工程(iv)を実施する。
本発明の使用の一実施形態によれば、
硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張強度及び/又は引張弾性率は、フィラーを含まない硬化したエラストマーと比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加し、かつ/又は
硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張強度及び/又は引張弾性率は、フィラーとして等容量のカーボンブラックN550を含有する硬化したエラストマー生成物と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加し、
ここで、このカーボンブラックは、ASTM D 6556-19に準拠して測定して、39±5m/gの統計的厚さ表面積(STSA)を有し、かつ
上記引裂抵抗をNF ISO 34-2に準拠して測定し、かつ上記破断点伸び、引張強度、及び引張弾性率をNF ISO 37に準拠して測定する。
本発明の方法の一実施形態によれば、工程(I)において、水性懸濁液の総重量に対して5~80重量%の範囲の固形分を有する水性懸濁液の形態で、沈降ハイドロマグネサイトを提供し、
少なくとも1つの表面処理組成物をこの水性懸濁液に添加し、かつ20~120℃の範囲の温度でこの水性懸濁液を混合することによって工程(III)を実施し、かつ
本発明の方法は、以下の工程をさらに含む:
(IV)得られた表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの水分含量が、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの総重量に対して、0.001~20重量%の範囲になるまで、周囲圧力又は減圧下に40~160℃の範囲の温度で、工程(III)の間又は後に、上記水性懸濁液を乾燥させること。
本発明の目的のため、以下の用語は以下の意味を有することが理解されるべきである:
本明細書で使用される用語「酸」とは、ブレンステッド及びローリーによる定義の意味での酸を意味し(例えば、HSO、HSO )、ここで「遊離酸」という用語は、完全にプロトン化された形態である酸のみを意味する(例えばHSO)。
本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」は、一般に、ホモポリマー及びコポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマー並びにそれらのブレンド及び改質物を含む。ポリマーは、非晶質ポリマー、結晶性ポリマー、又は半結晶性ポリマー、すなわち、結晶性部分と非晶質部分とを含むポリマーであってよい。結晶化度は、パーセントで特定され、示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。非晶質ポリマーは、そのガラス転移温度によって特徴付けることができ、かつ結晶性ポリマーは、その融点によって特徴付けることができる。半結晶性ポリマーは、そのガラス転移温度及び/又はその融点によって特徴付けることができる。
本明細書中で使用される用語「コポリマー」は、モノマーの1つを超える種に由来するポリマーをいう。2つのモノマー種の共重合によって得られるコポリマーは、バイポリマーとも呼ばれ、3つのモノマーから得られるコポリマーはターポリマー、4つのモノマーから得られるコポリマーは、クアターポリマーなどとも呼ぶこともできる(IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2014、「コポリマー」を参照されたい)。したがって、用語「ホモポリマー」は、モノマーの1つの種に由来するポリマーを指す。
「エラストマー」は、ゴム様弾性を示し、かつ架橋、好ましくは永久架橋を含むポリマーである。
本発明の目的のために、「架橋性ポリマー」は、架橋性部位、例えば、炭素多重結合、ハロゲン官能基、又は炭化水素部分を含み、架橋時にエラストマーを形成するポリマーである。この用語は、用語「エラストマー前駆体」と同義に使用される。
本発明の目的のために、用語「ゴム」は、硬化反応によって、例えば加硫によってエラストマーに変換することができる、架橋性ポリマー又はエラストマー前駆体を指す。
本発明の意味における用語「ガラス転移温度」は、ガラス転移が起こる温度を指し、ガラス転移は、非晶質材料(又は半結晶性材料内の非晶質領域)において、硬質で比較的脆い状態から溶融又はゴム様状態への可逆的転移である。ガラス転移温度は、結晶状態の材料が存在する場合、その材料の結晶状態の融点よりも常に低い。本発明の意味における用語「融点」は、固体が、大気圧で固体から液体の状態に変化する温度を指す。融点において、固相と液相とは平衡状態で存在する。ガラス転移温度及び融点は、10℃/分の加熱速度でISO 11357によって決定される。
本出願の目的のために、「水不溶性」材料は、100gのこの材料を100gの脱イオン水と混合し、20℃で0.2mmの細孔サイズを有するフィルター上でろ過して液体ろ液を回収し、続いて周囲圧力でこの液体ろ液100gの95~100℃での蒸発を行った場合に、1g又はそれ未満の回収固体材料を与える材料として定義される。「水溶性」材料は、100gのこの材料を100gの脱イオン水と混合し、20℃で0.2mmの細孔サイズを有するフィルター上でろ過して液体ろ液を回収し、続いて周囲圧力でこの液体ろ液100gの95~100℃での蒸発を行った場合に、1gを超える回収固体材料を与える材料として定義される。
本出願の意味における「表面反応」という用語は、ある材料が、水性環境中でのこの材料の部分的な溶解を含むプロセスに供され、その後、さらなる結晶化添加剤の非存在下又は存在下で起こり得る、この材料の表面及びその周辺の結晶化プロセスに供されたことを示すために使用されるものとする。
本発明の意味における「表面処理」という用語は、少なくとも1つの表面処理剤を含む少なくとも1つの表面処理組成物と接触させた材料であって、この材料の表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層が得られるようになっている材料を指す。
本明細書では、表面反応炭酸カルシウム及び沈降ハイドロマグネサイト以外の粒子状物質の「粒径」は、その重量基準の分布である粒径dによって記載される。ここで、dは、粒子のx重量%がd未満の直径を有することに関する直径を表す。これは、例えば、d20値が、全粒子の20重量%がその粒径より小さい粒径であることを意味する。したがって、d50値は重量メジアン粒径であり、すなわち、全粒子の50重量%がこの粒径よりも小さい。本発明の目的のために、特に断りのない限り、粒径は、重量メジアン粒径d50(wt)として規定される。粒径は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(登録商標) 5100装置又はSedigraph(登録商標) 5120装置を使用して決定した。この方法及び装置は当業者に知られており、フィラー及び顔料の粒径を決定するために一般に使用される。測定は0.1重量%Naの水溶液中で行った。
本明細書では、表面反応炭酸カルシウム及び沈降ハイドロマグネサイトの「粒径」は、体積基準の粒径分布として記載される。体積基準のメジアン粒径d50を、Malvern Mastersizer 2000又は3000 Laser Diffraction Systemを使用して評価した。Malvern Mastersizer 2000又は3000 Laser Diffraction Systemを使用して測定されたd50又はd98は、粒子の50体積%又は98体積%が、それぞれ、この値より小さい直径を有するような直径の値を示す。粒子屈折率1.57、吸収係数0.005として、測定により得られた生データは、Mie理論を用いて解析する。
本発明の意味における「塩」は、カチオン及びアニオンの集合からなる化合物である(IUPAC、Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed.(「ゴールドブック」)、1997、「塩」を参照されたい)。
本明細書全体を通じて使用する物質の「比表面積」(m/gで表される)は、吸着ガスとしての窒素を用い、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法によって、Micromeritics社製のASAP 2460装置を使用して決定することができる。この方法は当業者に周知であり、ISO 9277:2010に定義されている。試料は、測定の前に、真空下で30分間、100℃で調整される。この材料の総表面積(m)は、この材料の比表面積と質量(g)との乗算によって得ることができる。
本発明の目的のために、液体組成物の「固形分」は、すべての溶媒又は水が蒸発した後に残る材料の量の尺度である。必要に応じて、本発明の意味における重量%で与えられる懸濁液の「固形分」は、5~20gの試料サイズを有するMettler-Toledo社製のMoisture Analyzer HR73(T=120℃、自動スイッチオフ3、標準乾燥)を使用して決定することができる。
別段の規定がない限り、「乾燥」という用語は、乾燥すべき材料から水の少なくとも一部を除去し、それによって、得られる「乾燥」材料が200℃で一定の重量に達するようになっているプロセスを指す。さらに、「乾燥した」又は「乾燥」材料は、特に明記しない限り、その総水分含有量が、乾燥材料の総重量に基づいて、1.0重量%又はそれ未満、好ましくは0.5重量%又はそれ未満、より好ましくは0.2重量%又はそれ未満、最も好ましくは0.03~0.07重量%であることによって定義することができる。
本発明の目的のために、「粘度」又は「ブルックフィールド粘度」という用語は、ブルックフィールド(Brookfield)粘度を指す。このためのブルックフィールド粘度は、Brookfield RV-スピンドルセットの適切なスピンドルを使用して、25℃±1℃、100rpmで、Brookfield DV-II+Pro粘度計によって測定することができ、かつmPa・sで規定される。当業者は、その技術的知識に基づいて、測定される粘度範囲に適したBrookfield RV-spindleセットからスピンドルを選択する。例えば、粘度範囲が200~800mPa・sでは、スピンドル番号3を使用することができ、粘度範囲が400~1600mPa・sではスピンドル番号4を使用することができ、粘度範囲が800~3200mPa・sではスピンドル番号5を使用することができ、粘度範囲が1000~2000000mPa・sではスピンドル番号6を使用することができ、粘度範囲が4000~8000000mPa・sではスピンドル番号7を使用することができる。
本発明の意味における「懸濁液」又は「スラリー」は、未溶解の固体及び水、及び任意にさらなる添加剤を含み、通常、大量の固体を含み、したがって、それが形成される液体よりも粘性が高く、かつより高い密度であり得る。
用語「水性」懸濁液は、液相が水を含み、好ましくは水からなる系を指す。しかしながら、この用語は、水性懸濁液の液相が、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物を含む群から選択される少量の少なくとも1つの水混和性有機溶媒を含むことを排除しない。水性懸濁液が少なくとも1つの水混和性有機溶媒を含む場合、水性懸濁液の液相は、水性懸濁液の液相の総重量に基づいて、0.1~40.0重量%、好ましくは0.1~30.0重量%、より好ましくは0.1~20.0重量%、最も好ましくは0.1~10.0重量%の量の少なくとも1つの水混和性有機溶媒を含む。例えば、水性懸濁液の液相は水からなる。
材料の「吸湿感受性」は、規定された湿潤雰囲気への曝露時に、ある時間内にこの材料の表面に吸収された水分の量を指し、mg/gで表される。材料の「正規化吸湿感受性」は、規定された湿潤雰囲気への曝露時に、ある時間内にこの材料の表面に吸収された水分の量を指し、mg/mで表される。
単数名詞に言及するときに、不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」又は「the」を使用する場合、これには、特に明記されていない限り、その名詞の複数を含む。
本明細書及び特許請求の範囲において用語「含む(comprising)」を使用する場合、これは他の要素を排除しない。本発明の目的のため、用語「からなる(consisting of)は、用語「含む(comprising)」の好ましい実施形態であると見なされる。以下において、ある群が少なくとも特定の数の実施形態を含むように定義されている場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も開示しているということが理解されるべきである。
「得られる、得ることのできる(obtainable)」又は「定義される、定義可能な(definable)」及び「得られた(obtained)」又は「定義された(defined)」などの用語は、互換的に使用される。例えば、このことは、文脈上明白に他の指示がなされているのでないかぎり、「得られた」なる用語は、例えばある実施形態が、例えば「得られた」なる用語の後に続く工程の順番によって得られなければならないということを示すことを意味するものではないが、このような限定された理解は、好ましい実施形態として、「得られた」又は「定義された」なる用語の中に常に含まれる、ということを意味する。
用語「含む(including)」又は「有する(having)」が使用される場合、これらの用語は、上記で定義される「含む(comprising)」と等価であることを意味する。
本発明の硬化性エラストマー組成物は、架橋性ポリマーと、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーとを含む。この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。
以下で、本発明の生成物の好ましい実施形態をより詳細に説明する。これらの実施形態及び詳細は、それらの製造及びそれらの使用のための本発明の方法にも適用されることを理解されたい。
架橋性ポリマー
本発明の硬化性エラストマー組成物は、架橋性ポリマーを含む。
用語「架橋性」とは、ポリマーが、ポリマーの硬化中に2つのポリマー鎖間に架橋を形成することができる少なくとも1つの部位又は基を含有することを示す。本発明の意味における「架橋」とは、少なくとも4つの鎖が生じるポリマー中の小さな領域であり、既存のポリマー上の部位又は基を含む反応によって、又は既存のポリマー間の相互作用によって形成され、ここで、この小さな領域は、原子、原子の基であるか、又は結合、原子の基若しくはオリゴマー鎖によって接続した多数の分岐点であり得る(IUPAC、 Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed.(「ゴールドブック」)、1997、「架橋」を参照されたい)。好ましくは、架橋は、共有結合構造、例えば、2つのポリマー鎖を一緒に結合する共有結合又は短い一連の化学結合であってよい。架橋性ポリマー内で架橋が形成されると、ポリマーネットワークが形成され、したがって、より高分子量のポリマーが形成される。したがって、本発明のエラストマーは、エラストマー前駆体とも呼ばれる架橋性ポリマーの架橋によって形成されることが理解される。架橋剤による化学架橋、加硫、紫外線照射、電子ビーム照射、核照射、ガンマ線照射、マイクロ波照射及び/又は超音波照射による硬化などの任意の架橋方法が、本発明の目的に適している。
本発明の架橋性ポリマーは、天然ゴムであっても、合成ゴムであってもよい。一実施形態によれば、架橋性ポリマーは、天然又は合成ゴムから選択され、好ましくは、架橋性ポリマーは、アクリルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、水素化ニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレン-イソブチレンゴム、クロロ-イソブテン-イソプレンゴム、臭素化イソブテン-イソプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ポリウレタンゴム、ポリスルフィドゴム、熱可塑性ゴム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明による特に好ましいゴムは、ニトリル-ブタジエンゴム及び/又はエチレン-プロピレン-ジエンゴムである。これらのタイプのゴムは当業者に周知である(Winnacker/Kuechler、「Chemische Technik。Prozesse und Produkte」,5th vol.、5th Ed.、Wiley-VCH 2005、Ch.4、pp.821~896を参照されたい)。一般に、ゴムは、DIN ISO-R 1629:2015-03又はASTM D1418-17に従い、略称形で示される。
本発明の意味における天然ゴム(NR)は、架橋ポリイソプレンを含むポリマー材料であり、ここで、ポリイソプレンは、ゴムノキ(Hevea Brasiliensis)、スパージ(Euphorbia spp.)、ダンデライオン(Taxacum Officinale及びTaxacum Kok-saghyz)、パラキウムグッタ、ゴムフィグ(Ficus Elastica)、バレットウッド(Manilkara Bidentata)又はグアユール(Parthenium Argentatum)などの天然源から得られ得る。天然ゴムの供給源に応じて、ゴムは、例えば、カウチュク(シス-1,4-ポリイソプレン)、ガタ-パーチャ(トランス-1,4-ポリイソプレン)、又はチクル(一般に、シス-1,4-ポリイソプレン及びトランス-1,4-ポリイソプレンの混合物)として存在し得る。
合成ゴムは、一般に、合成モノマーからのラジカル、アニオン重合、カチオン重合又は配位重合、及びその後の架橋から製造される。重合反応は、例えば、エマルジョン、溶液、又は懸濁液中での重合として行うことができる。
例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPR)は、典型的には、エチレンとプロピレンとのラジカル共重合によって形成される。場合により、少量(例えば、モノマーの総量に対して10モル%未満、好ましくは5モル%未満)のジエンモノマー、例えばブタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデン、ノルボルネン又はノルボルナジエンが存在していてもよい。共重合中にジエンモノマーが存在する場合、形成されたエチレン-プロピレンゴムは、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)として示され、得られたゴムの架橋を容易にし得る不飽和炭素部分を含む。あるいは、EPDMは、VCl又はVOClなどのバナジウム系触媒を使用する配位重合によって合成することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、架橋性ポリマーは、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)である。
ブタジエンゴム(BR)は、通常、チーグラー・ナッタ触媒の存在下でのブタジエンの配位重合から形成され、かつアニオン重合によっても形成される。このようにして得られたブタジエンゴムは、シス-1,4-、トランス-1,4-及び1,2-ブタジエン構造単位などの異なる構造単位を有していてもよく、1,2-ブタジエン構造単位は、シンジオタクチック、アイソタクチック及び/又はアタクチック形態で存在していてもよい。
スチレンブタジエンゴム(SBR)はスチレンとブタジエンの共重合体であり、ランダム共重合体又はブロック共重合体として存在することができる。具体的には、E-SBR(すなわち、乳化重合により得られるSBR)、L-SBR(すなわち、溶液中でアニオン重合により得られるSBR)等が挙げられる。
ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)は、典型的には、アクリロニトリルとブタジエンとの統計的共重合体であり、様々な量のシス-1,4-、トランス-1,4-及び1,2-ブタジエンとアクリロニトリルの構造単位を含み得る。当業者は、これらの構造単位の適切な分布を得るために、乳化共重合における重合条件、例えば、モノマー比、反応時間、反応温度、乳化剤、促進剤(例えば、チウラム、ジチオカルバメート、スルホンアミド、ベンゾチアゾールジスルフィド)及び連鎖停止剤(ジメチルジチオカルバメート及びジエチルヒドロキシルアミンなど)の使用をどのように調整するかを知っている。NBRは、1500g/mol~1500kg/mol、例えば3000g/mol~1000kg/mol、又は5000g/mol~500kg/molの広い範囲の数平均分子量Mを有することができる。アクリロニトリル含量は、モノマー単位の合計量に対して10モル%~75モル%、好ましくは15~60モル%の範囲であり得る。NBRは、油、燃料及び他の非極性化学薬品に対して耐性を有し、したがって、燃料及びオイルを取り扱うホース、シール、グロメット、及び自己密封式燃料タンク、保護グローブ、履物、スポンジ、膨張発泡体、マット、及び航空用途において一般的に適用されている。NBRと他のゴム、例えばEPDM又は熱可塑性ポリマー、例えばPVCとの混合物も使用することができる。
水素化ニトリル-ブタジエンゴム(HNBR)は、コバルト-、ロジウム-、ルテニウム-、イリジウム-、又はパラジウム系システムなどの水素化触媒の存在下でのNBRの水素化によって得ることができる。
本発明の別の実施形態では、カルボキシル化NBR(XNBR)を使用することができ、これは、ブタジエン及びアクリロニトリルと、少量(例えば、モノマーの総量に対して10モル%未満、好ましくは5モル%未満)のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合によって得ることができる。XNBRは、以下に記載される架橋方法に加えて、又はその代わりに、金属塩、好ましくは多価金属塩、例えばカルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、ジルコニウム塩、又はアルミニウム塩を添加することによって架橋することができる。
イソプレンゴム(IR)とも呼ばれるポリイソプレンは、イソプレンのアニオン重合又はチーグラー・ナッタ重合によって合成することができ、シス-1,4-、トランス-1,4-、1,2-、及び3,4-イソプレン構造単位を含むことができる。当業者は、この基礎単位の適切なモル分布を得るために、反応条件を調整する方法を知っている。
ブチルゴムとも呼ばれるイソブテン-イソプレンゴム(IIR)は、典型的には、三塩化アルミニウム又は塩化ジアルキルアルミニウムなどの触媒の存在下で、イソブテン及びイソプレンモノマー単位から出発するカチオン重合によって合成される。塩素化IIR(CIIR)又は臭素化IIR(BIIR)などのハロゲン化IIRは、IIRの後重合修飾、例えば、塩素を使用する塩素化又は臭素を使用する臭素化によって適切に得ることができ、これは、典型的には、光の排除下及び40~60℃の範囲の温度下で行われる。ハロゲン化IIRのハロゲン含有量は、ハロゲン化IIRの総重量を基準として、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは1.0~2.5重量%の範囲である。
クロロプレンゴム(CR)としても示されるポリクロロプレンは、クロロプレン(2-クロロブタジエン)のラジカル乳化重合によって製造することができる。このポリマーは、重合条件に依存して、様々な量のトランス-1,4-クロロプレン及び1,2-クロロプレン単位を主に含むことができ、これは、当業者によって適切に適合され得る。以下に記載する架橋方法に加えて、又はその代わりに、CRは、任意に金属酸化物若しくは水酸化物、好ましくは酸化亜鉛、酸化マグネシウム、又はそれらの組み合わせのような酸受容体の存在下で、塩酸の噴出に起因してより高い温度で架橋することができる。この酸受容体は、既に重合中に、又はエラストマー前駆体とエラストマー組成物の残りの化合物との混合中に、エラストマーに導入されてもよい。
アクリルゴム(ACM)は、エマルジョン又は懸濁ラジカル重合によって合成することができる。典型的なモノマーは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐基を好ましくは含むアクリル酸エステルモノマーを含む。適切なACMは、例えば、Noxtite(登録商標)ACM又はNipol(登録商標)ARの商品名で市販されている。
エピクロロヒドリンゴムは、典型的にはトリアルキルアルミニウムのような触媒の存在下で、任意にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びアリルグリシジルエーテルを含む群から選択されるモノマーをさらに含むエピクロロヒドリンの開環重合によって得ることができる。
シリコーンゴムは、典型的には、ポリ(ジオルガニル)シロキサンであり、例えば、ジオルガニルジハロゲニドシロキサンの加水分解-縮合によって形成することができる。オルガニル基は、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基を含む群から選択することができる。
ポリウレタンゴムは、イソシアネート(すなわち、ジイソシアネート及びポリイソシアネート)とアルコール(すなわち、ジオール、トリオール、ポリオール)との反応から形成されるウレタン構造基礎単位を含む。
ポリスルフィドゴムは、ジハロゲン化物(X-R-X)とポリスルフィドナトリウム(Na-S-Na、x≧2)との重縮合反応から形成することができる。代表的なものには、Thiokol(登録商標) A、Thiokol(登録商標) FA、Thiokol(登録商標) STなどがある。
本発明の意味における熱可塑性ゴム(TPR又はTPE)は、熱可塑性材料の弾性特性、及び加工特性を示す材料である。TPRは、スチレン-ジエンブロックコポリマーなどのブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレンゴム、ポリエステルTPE、ポリウレタンTPE又はポリアミドTPE、EPDMとPP及び/又はPEとの混合物などのエラストマーと非エラストマーとの混合物、NRとポリオレフィンとの混合物、又はIIRとポリオレフィンとの混合物、並びにイオノマーポリマー、例えばスルホン化及びマレイン化EPDMの亜鉛塩を含む群から選択することができる。
本発明の意味における「フッ化炭素ゴム」は、低いTg値、例えば、0℃未満、好ましくは-5℃未満、より好ましくは-10℃未満、最も好ましくは-15℃未満のTg値を有し、ゴム様弾性を示すフッ素含有ポリマーである(IUPAC、Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed.(「ゴールドブック」)、1997年、「エラストマー」を参照されたい)。フルオロカーボンゴムは、ASTM D1418-「Standard Practice for Rubber and Rubber Latices-Nomenclature」に従って分類することができる。ASTM D1418は、以下の3つのクラスのフルオロカーボンゴムを規定している:
FKMフルオロカーボンゴム:フッ化ビニリデンをコモノマーとして用い、かつポリマー鎖中に置換基としてのフルオロ、アルキル、ペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルコキシ基を有し、硬化部位(キュアサイト)モノマーを含むか又は含まないポリメチレンタイプのフルオロゴム;
FFKMフルオロカーボンゴム:ポリマー鎖上にフルオロ、ペルフルオロアルキル、又はペルフルオロアルコキシ基のいずれかのすべての置換基を有するポリメチレンタイプのペルフルオロゴム;
FEPMフルオロカーボンゴム:1つ又は複数のモノマーとしてのアルキル基、パーフルオロアルキル基、及び/又はパーフルオロアルコキシ基を含有し、(反応性ペンダント基を有する)硬化部位(キュアサイト)モノマーを含むか又は含まないポリメチレンタイプのフルオロゴム。
最も好ましくは、フルオロカーボンゴムは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンの共重合体である。
フルオロカーボンゴムの製造方法は、当技術分野において公知である。あるいは、フルオロカーボンゴムは市販されている。市販のフルオロカーボンゴムの例は、デュポン社のViton(登録商標)、Viton(登録商標)Extreme(登録商標)、及びKalrez(登録商標)フルオロカーボンゴム、3M社のDyneon(登録商標)フルオロカーボンゴム、ダイキン工業社のDAI-EL(登録商標)フルオロカーボンゴム、Solvay S.AのTechnoflon(登録商標)、及び旭硝子社のAflas(登録商標)である。当業者は、その必要性に応じて、これらのフルオロカーボンゴムブランドのうちの適切なグレードを選択する。
一実施形態によれば、架橋性ポリマーは、ASTM D297に準拠して測定した比重が0.5~5、好ましくは0.7~4、及びより好ましくは1~3である。
一実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、硬化性フルオロポリマー組成物の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは40~98重量%、より好ましくは60~95重量%、最も好ましくは70~90重量%の量で架橋性ポリマーを含む。別の実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、架橋性ポリマー及びフィラーの総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは40~98重量%、より好ましくは60~95重量%、最も好ましくは70~90重量%の量で架橋性ポリマーを含む。
架橋性ポリマーは、固体形態又は溶融形態で提供することができる。一実施形態によれば、架橋性ポリマーは、例えば、顆粒、シート、又は粉末の形態の固体ポリマーである。別の実施形態によれば、架橋性ポリマーは溶融ポリマーである。好ましい実施形態によれば、架橋性ポリマーは固体形態で提供される。
フィラー(充填材)
架橋性ポリマーに加えて、本発明の硬化性エラストマー組成物は、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを含み、ここで、この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。
一実施形態によれば、フィラーは、硬化性エラストマー組成物の総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~70重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~50重量%の量で存在する。別の実施形態によれば、フィラーは、架橋性ポリマー及びフィラーの総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~70重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~50重量%の量で存在する。別の実施形態によれば、フィラーは、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、100部当たり5~175部(phr)、好ましくは20~160phr、及び最も好ましくは30~150phrの量で存在する。
好ましい実施形態では、フィラーは、窒素及びBET法を用いて測定して、15m/g~200m/g、好ましくは20m/g~180m/g、より好ましくは25m/g~140m/g、さらにより好ましくは27m/g~120m/g、最も好ましくは30m/g~100m/gの比表面積を有する。例えば、フィラーの比表面積は、窒素及びBET法を用いて測定して、75m/g~100m/gである。本発明の意味におけるBET比表面積は、粒子の質量で割った粒子の表面積として定義される。ここで使用されるように、比表面積は、BET等温線(ISO 9277:2010)を用いる吸着によって測定され、m/gで規定される。
フィラー粒子は、0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらにより好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50を有することがさらに好ましい。
一実施形態によれば、フィラー粒子は、0.2~150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらにより好ましくは2.4~60μm、最も好ましくは3~30μmの体積トップカット粒径d98を有する。
は、粒子のx%の直径がd未満の直径を有することに関する直径を表す。このことは、d98値が全粒子の98%はこれより小さい粒径であることを意味する。d98値は、「トップカット」とも呼ばれる。dは、体積又は重量パーセントで与えることができる。したがって、d50(wt)値は重量メジアン粒径であり、すなわち、全粒子の50重量%が、この粒径よりも小さく、かつd50(vol)値は体積メジアン粒径であり、すなわち、全粒子の50体積%が、この粒径よりも小さい。
体積メジアン粒径d50は、Malvern Mastersizer 3000 Laser Diffraction Systemを用いて評価した。Malvern Mastersizer 3000 Laser Diffraction Systemを用いて測定したd50又はd98値は、粒子の50体積%又は98体積%が、それぞれ、この値より小さい直径を有するような直径の値を示す。粒子屈折率1.57、吸収係数0.005として、測定により得られた生データは、Mie理論を用いて解析する。
重量メジアン粒径は、重量場における沈降挙動の分析である沈降法によって決定される。測定は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(登録商標)5100又は5120を用いて行う。この方法及び器具は、当業者に知られており、フィラー及び顔料の粒径を決定するために一般に使用されている。0.1重量%のNaの水溶液中で測定を行う。高速撹拌機を用いて試料を分散し、かつ超音波処理した。
この方法及び器具は、当業者に知られており、フィラー及び顔料の粒径を決定するために一般に使用されている。
比細孔容積は、0.004μm(~nm)のラプラス喉部直径と等価の、水銀の最大印加圧力414MPa(60000psi)を有するMicromeritics Autopore V 9620水銀ポロシメーターを使用し、水銀圧入ポロシメトリー測定法を用いて測定する。各加圧工程で使用される平衡時間は20秒である。試料材料を、分析のために、5cmチャンバーの粉末貫通度計中に密封する。データは、ソフトウェアPore-Compを使用して、水銀の圧縮、貫通度計の膨張、及び試料材料の圧縮について補正する(Gane,P.A.C.,Kettle,J.P.,Matthews,G.P.and Ridgway,C.J.,“Void Space Structure of Compressible Polymer Spheres and Consolidated Calcium Carbonate Paper-Coating Formulations”,Industrial and Engineering Chemistry Research,35(5),1996,pp.1753-1764)。
積算圧入データ内に見られる全細孔容積は、214μmから約1~4μmに至るまでの圧入データを有する2つの領域に分離することができ、任意の凝集体構造間の試料の粗い充填が強く寄与していることを示している。これらの直径未満では、粒子自体の微細な粒子間充填が存在する。粒子が粒子内細孔をも有している場合には、この領域は二峰性であり、モードの転換地点よりも細い、すなわち二峰性の変曲点よりも細い細孔内に水銀が圧入した比細孔容積をもってして、粒子内比細孔容積が定義される。これら3つの領域の総和は、粉末の合計の総細孔容積を与えるが、もともとの試料の圧縮/分布の粗い細孔末端における粉末の沈殿によって大きく左右される。
積算圧入曲線の一次導関数を取り上げることにより、必然的に細孔遮へいを含めた等価ラプラス直径に基づく細孔径分布が明らかになる。その微分曲線は、粗い凝集体の細孔構造領域、粒子間細孔領域、及び存在する場合には粒子内細孔領域を明らかに示す。粒子内細孔径範囲がわかれば、合計細孔容積から残りの粒子間細孔容積及び凝集体間細孔容積を差し引いて、単位質量当たりの細孔容積として(比細孔容積として)、内部細孔の所望の細孔容積だけを得ることが可能である。当然のことながら同じ差し引きの原理は、興味ある任意のその他の細孔径領域を分離する場合にも当てはまる。
好ましくは、フィラーは、水銀ポロシメトリー測定から計算して、0.1~2.3cm/g、より好ましくは0.2~2.0cm/g、特に好ましくは0.4~1.8cm/g、最も好ましくは0.6~1.6cm/gの粒子内圧入比細孔容積を有する。
フィラーの粒子内細孔径は、水銀ポロシメトリー測定によって測定して、好ましくは0.004~1.6μmの範囲、より好ましくは0.005~1.3μm、特に好ましくは0.006~1.15μm、最も好ましくは0.007~1.0μm、例えば0.1~0.67μmの範囲である。
フィラーは、任意の適切な乾燥形態で提供することができる。例えば、フィラーは、粉末の形態及び/又はプレス若しくは造粒形態であってもよい。フィラーの水分含有量は、フィラーの総重量に基づいて0.01~10重量%であってもよい。一実施形態によれば、フィラーの水分含有量は、フィラーの総重量に基づいて8重量%又はこれ未満であり、好ましくは6重量%又はこれ未満であり、より好ましくは4重量%又はこれ未満である。別の実施形態によれば、フィラーの水分含有量は、フィラーの総重量に基づいて、0.01~8重量%、好ましくは0.02~6重量%、及びより好ましくは0.03~4重量%である。
一実施形態によれば、フィラーの吸湿感受性は、0.3~60mg/g、好ましくは1~50mg/g、より好ましくは2~40mg/g、最も好ましくは4~35mg/gである。
表面反応炭酸カルシウム
一実施形態によれば、フィラーは、表面反応炭酸カルシウム及び/又は表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物であり、ここで、この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素は、Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。別の実施形態によれば、フィラーは、本明細書で定義される表面反応炭酸カルシウムである。さらに別の実施形態によれば、フィラーは、本明細書で定義される表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。
本発明の文脈におけるHイオン供与体は、ブレンステッド酸及び/又は酸性塩である。
本発明の好ましい実施形態では、表面反応炭酸カルシウムは、以下の工程を含む方法によって得られる:
(a)天然又は沈降炭酸カルシウムの懸濁液を提供すること、
(b)20℃において0又はこれ未満のpK値を有するか、又は20℃において0~2.5のpK値を有する少なくとも1つの酸を工程(a)の懸濁液に添加すること、及び
(c)工程(b)の前、間、又は後に、工程(a)の懸濁液を二酸化炭素で処理すること。
別の実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、以下の工程を含む方法によって得られる:
(A)天然又は沈降炭酸カルシウムを提供すること、
(B)少なくとも1つの水溶性酸を提供すること、
(C)COガスを提供すること、
(D)工程(A)の上記天然又は沈降炭酸カルシウムを、工程(B)の少なくとも1つの酸及び工程(C)のCOと接触させること、
ここで、この方法は以下を特徴とする:
(i)工程(B)の少なくとも1つの酸が、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、20℃において2.5を超え、かつ7又はこれ未満のpKを有し、かつ対応するアニオンが、水溶性カルシウム塩を生成することができるこの第一の利用可能な水素の損失時に形成されること、及び
(ii)少なくとも1つの酸と天然又は沈降炭酸カルシウムとの接触後に、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、水素含有塩が20℃において7を超えるpKを有し、かつその塩アニオンが水不溶性のカルシウム塩を形成することができる場合には、少なくとも1つの水溶性塩を付加的に提供すること。
本発明の意味における「天然粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰石、大理石、又はチョークなどの天然源から得られ、かつ例えばサイクロン又は分級機によって、粉砕、スクリーニング及び/又は分画などの湿式及び/又は乾式処理によって処理された炭酸カルシウムである。一実施形態によれば、天然粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、大理石、チョーク、石灰石及びそれらの混合物を含む群から選択される炭酸カルシウム含有鉱物から選択される。天然炭酸カルシウムは、炭酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩などのような天然に存在する成分をさらに含んでいてもよい。
一般的に、天然粉砕炭酸カルシウムの粉砕は、乾式又は湿式粉砕工程であってよく、例えば、粉砕が二次物体との衝撃の結果として主に得られるような条件下で、任意の従来からの粉砕装置で行うことができ、すなわち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心衝撃式ミル、垂直ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、粉砕機、シュレッダー、デクランパー、ナイフカッター、又は当業者に既知の他のこのような装置のうちの1つ又は複数において行うことができる。炭酸カルシウム含有鉱物物質が湿式粉砕炭酸カルシウム含有鉱物物質を含む場合、自生粉砕が起こるような条件下で、及び/又は水平及び/又は垂直型ボールミル粉砕によって、及び/又は当業者に公知の他のこのような方法によって、粉砕工程を行うことができる。このように得られた湿式加工した粉砕炭酸カルシウム含有鉱物物質を、洗浄し、かつ周知の方法によって、例えば、乾燥前に、凝集、ろ過、又は強制蒸発によって脱水することができる。その後の乾燥工程(必要な場合)を、噴霧乾燥などの一段階工程、又は少なくとも二段階工程で行うことができる。このような鉱物物質は、選鉱工程(浮遊選鉱、ブリーチング、又は磁気選鉱工程)を経て、不純物を除去することも一般的である。
本発明の意味において「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に水性、半乾燥、又は湿潤環境において二酸化炭素と水酸化カルシウムとの反応後に沈殿させることによって得られるか、又はカルシウムイオンと炭酸イオンとの、例えば、CaClとNaCOとの溶液からの沈殿によって得られる合成材料である。PCC製造のさらなる可能な方法は、石灰ソーダ法、又はPCCがアンモニア製造の副産物となるソルベー法である。沈降炭酸カルシウムは、3つの一次結晶形、すなわち、カルサイト、アラゴナイト、及びバテライトの結晶形で存在し、これらの結晶形の各々について多くの異なる多形(晶癖)がある。カルサイトは、偏三角面体(S-PCC)、菱面体晶(R-PCC)、六方晶系角柱、卓面体、コロイド状(C-PCC)、立方晶、及び角柱体(P-PCC)などの典型的晶癖を伴う三方晶系構造を有する。アラゴナイトは、双晶の六方晶系角柱状の典型的晶癖を伴う斜方晶系構造のみならず、薄く細長い角柱、曲面羽根付き、急勾配錐体、チゼル状結晶、分岐樹木形態、及びサンゴ又は蠕虫様形態の様々な取り合わせを伴う構造を有する。バテライトは、六方晶系に属する。得られたPCCスラリーを機械的に脱水しかつ乾燥することができる。PCCは、例えば、欧州特許出願公開第2 447 213 A1号公報、欧州特許出願公開第2 524 898 A1号公報、欧州特許出願公開第2 371 766 A1号公報、欧州特許出願公開第1 712 597 A1号公報、欧州特許出願公開第1 712 523 A1号公報、又は国際公開第2013/142473 A1号に記載されている。
本発明の一実施形態によれば、沈降炭酸カルシウムは、好ましくは、アラゴナイト、バテライト若しくはカルサイトの鉱物学的結晶形を含む沈降炭酸カルシウム、又はこれらの混合物である。
沈降炭酸カルシウムを、上述した天然炭酸カルシウムを粉砕するために使用するのと同じ手段によって、二酸化炭素及び少なくとも1つのHイオン供与体を用いた処理の前に粉砕することができる。
本発明の一実施形態によれば、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムは、0.05~10.0μm、好ましくは0.2~5.0μm、より好ましくは0.4~3.0μm、最も好ましくは0.6~1.2μm、特に0.7μmの重量メジアン粒径d50を有する粒子の形態である。本発明のさらなる実施形態によれば、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムは、0.15~55μm、好ましくは1~40μm、より好ましくは2~25μm、最も好ましくは3~15μm、特に4μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
天然粉砕炭酸カルシウム及び/又は沈降炭酸カルシウムを、乾燥状態で又は水に懸濁して、使用することができる。好ましくは、対応するスラリーは、スラリーの重量に対して、1重量%~90重量%、より好ましくは3重量%~60重量%、さらにより好ましくは5重量%~40重量%、最も好ましくは10重量%~25重量%の範囲内の天然又は沈降炭酸カルシウムの含有率を有する。
表面反応炭酸カルシウムの製造に使用される1つ又は複数のHイオン供与体は、製造条件下でHイオンを生成する任意の強酸、中強酸、若しくは弱酸、又はこれらの混合物であってよい。本発明によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、製造条件下でHイオンを生成する酸性塩であってもよい。
一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃において0又はこれ未満のpKを有する強酸である。
別の実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃において0~2.5のpK値を有する中強酸である。20℃におけるpKが0又はこれ未満である場合、この酸は、好ましくは、硫酸、塩酸、又はこれらの混合物から選択される。20℃におけるpKが0~2.5である場合、Hイオン供与体は、好ましくは、HSO、HPO、シュウ酸、又はこれらの混合物から選択される。また、少なくとも1つのHイオン供与体は、酸性塩、例えば、Li、Na若しくはKなどの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHSO 若しくはHPO 、又はLi、Na、K、Mg2+若しくはCa2+などの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-であり得る。少なくとも1つのHイオン供与体は、1つ又は複数の酸、及び1つ又は複数の酸性塩の混合物であってもよい。
さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、20℃で測定したときに、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、2.5を超えかつ7又はこれ未満のpK値を有し、かつ水溶性のカルシウム塩を生成することができる対応するアニオンを有する弱酸である。続いて、20℃で測定したときに、その第一の利用可能な水素のイオン化と関連して、水素含有塩が7を超えるpKを有し、かつその塩アニオンが水不溶性のカルシウム塩を生成することができる場合に、少なくとも1つの水溶性塩を追加的に提供する。好ましい実施形態によれば、弱酸は、20℃において2.5超~5のpK値を有し、より好ましくは、この弱酸は、酢酸、ギ酸、プロパン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。上記水溶性塩の例示的なカチオンは、カリウム、ナトリウム、リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、上記のカチオンは、ナトリウム又はカリウムである。上記の水溶性塩の例示的なアニオンは、リン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、シュウ酸アニオン、ケイ酸アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、上記のアニオンは、リン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。最も好ましい実施形態では、上記のアニオンは、リン酸二水素アニオン、リン酸一水素アニオン、これらの混合物、及びこれらの水和物からなる群から選択される。滴下又は一段階で水溶性塩の添加を行うことができる。滴下添加の場合、この添加を好ましくは10分の時間内に行う。上記の塩を一段階で添加することがより好ましい。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酸性塩、酢酸、ギ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸;Li、Na又はKなどの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO ;Li、Na、K、Mg2+又はCa2+などの対応するカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-;及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは少なくとも1つの酸は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは少なくとも1つのHイオン供与体は、リン酸である。
1つ又は複数のHイオン供与体を、高濃度溶液又はより希釈された溶液として懸濁液に添加することができる。好ましくは、天然又は沈降炭酸カルシウムに対するHイオン供与体のモル比は、0.01~4であり、より好ましくは0.02~2、さらにより好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.58である。
代わりとして、天然又は沈降炭酸カルシウムを懸濁させる前に、Hイオン供与体を水に添加することも可能である。
次の段階では、天然又は沈降炭酸カルシウムを、二酸化炭素で処理する。硫酸又は塩酸などの強酸を、天然又は沈降炭酸カルシウムのHイオン供与体での処理のために使用する場合、二酸化炭素が自動的に生成する。あるいは又はこれに加えて、二酸化炭素を外部供給源から供給することができる。
イオン供与体での処理及び二酸化炭素による処理を、強酸又は中強酸を使用する場合には同時に行うことができる。例えば、20℃において0~2.5の範囲のpKを有する中強酸を用いて、最初にHイオン供与体での処理を行うことも可能であり、ここで、二酸化炭素がその場で形成され、したがって、二酸化炭素での処理が、Hイオン供与体での処理と同時に自動的に行われ、次いで、外部供給源から供給された二酸化炭素で追加の処理が行われる。
好ましい実施形態では、Hイオン供与体処理工程及び/又は二酸化炭素処理工程を、少なくとも1回、より好ましくは複数回反復する。一実施形態によれば、少なくとも1つのHイオン供与体を、少なくとも約5分、好ましくは少なくとも約10分、典型的には約10分~約20分、より好ましくは約30分、さらにより好ましくは約45分、時には約1時間又はそれを超える時間にわたって添加する。
イオン供与体での処理及び二酸化炭素による処理の後、20℃において測定された水性懸濁液のpHは、自然に6.0を超える値に、好ましくは6.5を超え、より好ましくは7.0を超え、さらにより好ましくは7.5を超える値に達し、これによって、6.0を超え、好ましくは6.5を超え、より好ましくは7.0を超え、さらにより好ましくは7.5を超えるpHを有する水性懸濁液として表面反応天然炭酸カルシウム又は表面反応沈降炭酸カルシウムを製造する。
表面反応天然炭酸カルシウムの製造についてのさらなる詳細は、国際公開第00/39222 A1号、国際公開第2004/083316 A1号、国際公開第2005/121257 A2号、国際公開第2009/074492 A1号、欧州特許出願公開第2 264 108 A1号公報、欧州特許出願公開第2 264 109 A1号公報、及び米国特許出願公開第2004/0020410 A1号公報に開示されており、これらの参考文献の内容は本願に援用される。
同様に、表面反応沈降炭酸カルシウムを得る。国際公開第2009/074492 A1号から詳細に理解することができるように、表面反応沈降炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムを、Hイオンと、及び水性媒体中で可溶化されかつ水不溶性のカルシウム塩を生成することができるアニオンと、水性媒体中で接触させて、表面反応沈降炭酸カルシウムのスラリーを形成することによって得られ、ここで、この表面反応沈降炭酸カルシウムは、沈降炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面に形成された不溶性であり少なくとも部分的に結晶性の上記アニオンのカルシウム塩を含む。
上記の可溶化されたカルシウムイオンは、Hイオンによる沈降炭酸カルシウムの溶解によって自然に生成する可溶化されたカルシウムイオンと比較して、過剰な可溶化されたカルシウムイオンに相当し、ここで、このHイオンは、アニオンに対する対イオンの形態でもっぱら提供され、すなわち、酸又は非カルシウム酸塩の形態のアニオンの添加を介して、及び任意のさらなるカルシウムイオン又はカルシウムイオン生成源の非存在下で、もっぱら提供される。
上記の過剰な可溶化されたカルシウムイオンは、好ましくは、可溶性の中性若しくは酸性のカルシウム塩の添加によって、又は可溶性の中性若しくは酸性のカルシウム塩をその場で生成する酸又は中性若しくは酸性の非カルシウム塩の添加によって提供される。
上記Hイオンを、酸若しくは上記アニオンの酸性塩の添加、又は上記の過剰な可溶化されたカルシウムイオンのすべて若しくは一部を提供するように同時に働く酸若しくは酸性塩の添加によって提供してもよい。
表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムの製造のさらなる好ましい実施形態では、ケイ酸塩、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム若しくはカリウムなどのアルカリ土類アルミン酸塩、酸化マグネシウム、又はこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物の存在下で、天然又は沈降炭酸カルシウムを、1つ又は複数のHイオン供与体及び/又は二酸化炭素と反応させる。好ましくは、少なくとも1つのケイ酸塩は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はアルカリ土類金属のケイ酸塩から選択される。これらの成分を、1つ又は複数のHイオン供与体及び/又は二酸化炭素の添加前に、天然又は沈降炭酸カルシウムを含む水性懸濁液に添加することができる。
あるいは、天然又は沈降炭酸カルシウムと1つ又は複数のHイオン供与体及び二酸化炭素との反応を既に開始させながら、ケイ酸塩及び/又はシリカ及び/又は水酸化アルミニウム及び/又はアルカリ土類アルミン酸塩及び/又は酸化マグネシウムの1つ又は複数の成分を、天然又は沈降炭酸カルシウムの水性懸濁液に添加することができる。ケイ酸塩及び/又はシリカ及び/又は水酸化アルミニウム及び/又はアルカリ土類アルミン酸塩の1つ又は複数の成分の少なくとも1つの存在下における表面反応天然又は沈降炭酸カルシウムの製造についてのさらなる詳細は、国際公開第2004/083316 A1号に開示されており、この参考文献の内容は本願に援用される。
顆粒又は粉末の形態の固体表面反応炭酸カルシウムを得るために、表面反応炭酸カルシウムを含む水性懸濁液を乾燥させる。適切な乾燥方法は、当業者に知られている。
表面反応炭酸カルシウムを乾燥させた場合、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの含水量は、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.01~8重量%であり得る。一実施形態によれば、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの水分含有量は、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて、6重量%又はこれ未満であり、好ましくは4重量%又はこれ未満であり、より好ましくは3重量%又はこれ未満である。別の実施形態によれば、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの水分含有量は、乾燥させた表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.01~6重量%、好ましくは0.02~4重量%、及びより好ましくは0.03~3重量%である。
表面反応炭酸カルシウムは、例えば、バラ、ゴルフボール及び/又は脳の形状などの異なる粒子形状を有してもよい。
本発明の一実施形態によれば、フィラーは、表面反応炭酸カルシウム及び/又は表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物であり、天然粉砕炭酸カルシウムは、大理石、チョーク、石灰石、及びそれらの混合物からなる群から選択されるか、又は沈降炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライト、又はカルサイトの結晶形を有する沈降炭酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
さらなる実施形態によれば、フィラーは、表面反応炭酸カルシウム及び/又は表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物であり、かつ
少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酸性塩、酢酸、ギ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸;Li、Na及び/又はKから選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO ;Li、Na、K、Mg2+及び/又はCa2+から選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-;及びこれらの混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、少なくとも1つのHイオン供与体は、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
最も好ましくは、少なくとも1つの前記Hイオン供与体は、リン酸である。
本発明の一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムの表面に形成される、少なくとも1つの酸のアニオンの水不溶性の少なくとも部分的に結晶性のカルシウム塩を含む。一実施形態によれば、少なくとも1つの酸のアニオンの水不溶性で少なくとも部分的に結晶性の塩は、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムの表面を少なくとも部分的に、好ましくは完全に覆っている。使用される少なくとも1つの酸に依存して、アニオンは、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩及び/又は塩化物であってよい。
表面反応炭酸カルシウムは、少なくとも1つの表面処理剤を含む少なくとも1つの表面処理組成物で表面処理することができ、又は表面処理した表面反応炭酸カルシウムと未処理の表面反応炭酸カルシウムとのブレンドであってもよい。表面処理は、表面特性をさらに改善することができ、特に、表面反応炭酸カルシウムの疎水性を増加させることができ、これは、表面反応炭酸カルシウムの架橋性ポリマーとの相溶性をさらに改善し得る。適切な表面処理剤を以下にさらに記載する。
本発明の一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、表面処理層を含まない。すなわち、未処理の表面反応炭酸カルシウムが、それぞれ、本発明の硬化性エラストマー組成物、本発明の硬化したエラストマー生成物、本発明の物品、本発明の方法、又は本発明の使用において使用される。
沈降ハイドロマグネサイト
本発明の一実施形態によれば、フィラーは、沈降ハイドロマグネサイト及び/又は本明細書で定義される表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。本発明の別の実施形態によれば、フィラーは、沈降ハイドロマグネサイトである。本発明のさらに別の実施形態によれば、フィラー、本明細書で定義される表面反応炭酸カルシウムと沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。
ハイドロマグネサイト又は塩基性炭酸マグネシウムは、ハイドロマグネサイトの標準的な産業上の名称であり、蛇紋岩及び変質したマグネシウムに富む火成岩のようなマグネシウムに富む鉱物中に見出される天然に存在する鉱物であるが、ペリクレース大理石中のブルサイトの変質生成物としても見出される。ハイドロマグネサイトは、次の式:Mg(CO(OH)・4HOを有するものとして記述される。
ハイドロマグネサイトは、炭酸マグネシウムの非常に特異的な鉱物形態であり、小さな針状結晶又は針状若しくは翼状結晶のクラストとして天然に存在することが理解されるべきである。それに加えて、ハイドロマグネサイトは、炭酸マグネシウムの独特かつ特有の形態であり、かつ炭酸マグネシウムの他の形態とは化学的、物理的及び構造的に異なることに留意されたい。ハイドロマグネサイトはX線回折分析、熱重量分析又は元素分析によって他の炭酸マグネシウムと容易に区別することができる。ハイドロマグネサイトとして具体的に記述していない限り、他のすべての形態の炭酸マグネシウム(例えば、アルチナイト(Mg(CO)(OH)・3HO)、ジピンガイト(Mg(CO(OH)・5HO)、ギオルギオサイト(Mg(CO(OH)・5HO)、ポロブスカイト(Mg(CO)(OH)・0.5HO))、マグネサイト(MgCO)、バリントナイト(MgCO・2HO)、ランスフォルダイト(MgCO・5HO)及びネスケホナイト(MgCO・3HO))は、本発明の意味内のハイドロマネサイトではなく、上述の式には化学的に対応していない。
天然ハイドロマグネサイトの他に、沈降ハイドロマグネサイト(又は合成炭酸マグネシウム)を調製することができる。例えば、米国特許第1,361,324号明細書、米国特許第935,418号明細書、英国特許第548,197号明細書及び英国特許第544,907号明細書は、一般的に、重炭酸マグネシウム(典型的には「Mg(HCO」として記載されている)の水溶液の形成を記載しており、これは、次いで、塩基、例えば水酸化マグネシウムの作用によって変換され、ハイドロマグネサイトを形成する。当技術分野で記載されている他のプロセスは、ハイドロマグネサイトと水酸化マグネシウムとの両方を含有する組成物を調製することを示唆しており、ここで、水酸化マグネシウムを水と混合して懸濁液を形成し、この懸濁液を二酸化炭素及び塩基性水溶液とさらに接触させて、対応する混合物を形成する;例えば、米国特許第5,979,461号明細書を参照されたい。国際公開第2001/054831 A1号は、水性環境中で沈降ハイドロマグネサイトを調製する方法に関する。
本発明の本実施形態は、沈降ハイドロマグネサイトに関する。沈降ハイドロマグネサイトは、沈降ハイドロマグネサイトの1つ又は異なるタイプの混合物であってよいことが理解される。本発明の一実施形態では、沈降ハイドロマグネサイトは、1つのタイプの沈降ハイドロマグネサイトを含み、好ましくはそれからなる。あるいは、ハイドロマグネサイトは、2つ又はそれを超えるタイプの沈降ハイドロマグネサイトを含むか、好ましくはそれらからなる。例えば、沈降ハイドロマグネサイトは、2つ又は3つの種類のハイドロマグネサイトを含むか、好ましくはそれからなる。好ましくは、沈降ハイドロマグネサイトは、1種類の沈降ハイドロマグネサイトを含むか、より好ましくはそれからなる。
沈降ハイドロマグネサイトは、少なくとも1つの表面処理剤を含む少なくとも1つの表面処理組成物で表面処理することができ、又は表面処理した沈降ハイドロマグネサイトと表面処理していない沈降ハイドロマグネサイトとのブレンドであってもよい。表面処理は、表面特性をさらに改善することができ、特に、ハイドロマグネサイトの疎水性を増加させることができ、これは、沈降ハイドロマグネサイトの架橋性ポリマーとの相溶性をさらに改善し得る。適切な表面処理剤を以下にさらに記載する。
一実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理した沈降ハイドロマグネサイト、又は沈降ハイドロマグネサイトと表面処理した沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。
フィラーの表面処理
一実施形態によると、フィラーは、フィラーの表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層を含む。この少なくとも1つの表面処理層は、フィラーを、このフィラー表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成することができ、ここで、表面処理組成物は、少なくとも1つの表面処理剤を含む。
本発明の意味における「表面処理剤」は、フィラー材料の表面と反応し、かつ/又は付加物を形成することができ、それによってこのフィラー材料の表面の少なくとも一部に表面処理層を形成する任意の材料である。本発明について特定の表面処理剤に限定されないことを理解されたい。当業者は、表面処理剤として使用するための適切な材料をどのように選択するかを知っている。しかしながら、表面処理剤は、不飽和及び/又は飽和表面処理剤から選択されることが好ましい。
本発明の意味における「少なくとも1つの」表面処理剤という用語は、表面処理組成物が1つ又は複数の表面処理剤を含み、好ましくは1つ又は複数の表面処理剤からなることを意味する。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの表面処理組成物は、1つの表面処理剤を含み、好ましくは1つの表面処理剤からなる。あるいは、少なくとも1つの表面処理組成物は、2つ又はそれを超える表面処理剤を含み、好ましくはそれらからなる。例えば、少なくとも1つの表面処理組成物は、2つ又は3つの表面処理剤を含み、好ましくはそれらからなる。
好ましくは、少なくとも1つの表面処理組成物は、1つの表面処理剤を含み、より好ましくは、1つの表面処理剤からなる。
表面処理剤は、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択することができる。
少なくとも1つの表面処理剤は、不飽和表面処理剤、飽和表面処理剤、又はそれらの混合物であってもよい。
不飽和表面処理剤は、下記からなる群から選択される:
モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量。
飽和表面処理剤は、下記からなる群から選択される:
トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン。
本発明の一実施形態によれば、フィラーは、フィラーの表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層を含み、
この少なくとも1つの表面処理層は、フィラーを、このフィラー表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物は、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む。
本発明の一実施形態によれば、この少なくとも1つの表面処理剤は、下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
(d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
(e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
(f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
(g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
(h)(a)~(g)による材料の混合物。
本発明の一実施形態によれば、フィラー、好ましくは、沈降ハイドロマグネサイトは、このフィラーの表面の少なくとも一部に、少なくとも1つの表面処理層を含み、
この少なくとも1つの表面処理層が、フィラーを、このフィラーの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物が、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の塩、リン酸の不飽和エステル、不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、不飽和炭素部分を含むトリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含み、
好ましくは、この少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン。
「不飽和炭素部分を含む」という表現は、それぞれの化合物が、炭素-炭素二重結合などの少なくとも1つの不飽和炭素部分を含むということを理解されたい。例えば、それぞれの化合物は、1つの不飽和炭素部分を含むことができる。しかしながら、それぞれの化合物はまた、1つを超える不飽和炭素部分を含むことができる。
本発明の目的のために、「不飽和炭素部分」は、二重又は三重結合、例えば、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合又は炭素-ヘテロ原子多重結合を指す。好ましくは、不飽和炭素部分は炭素-炭素二重結合である。不飽和炭素部分は、化学的に架橋可能であるべきであり、すなわち、芳香族系の一部を形成していないということが理解される。
以下、不飽和及び飽和表面処理剤についてより詳細に説明する。
一実施形態によれば、不飽和表面処理剤は、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、又は不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物であってよい。好ましくは、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸含有化合物、又は不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸塩含有化合物である。
用語「無水コハク酸含有化合物」は、無水コハク酸を含有する化合物を指す。「無水コハク酸」という用語は、ジヒドロ-2,5-フランジオン、コハク酸無水物又はコハク酸酸化物とも呼ばれ、分子式Cを有し、コハク酸の酸無水物である。
本発明の意味における「モノ置換」無水コハク酸含有化合物という用語は、1つの水素原子が別の置換基によって置換されている無水コハク酸を指す。
本発明の意味における「ジ置換」無水コハク酸含有化合物という用語は、2つの水素原子が別の置換基によって置換されている無水コハク酸を指す。
「コハク酸含有化合物」という用語は、コハク酸を含有する化合物を指す。「コハク酸」は分子式Cを有する。
本発明の意味における「モノ置換」コハク酸という用語は、1つの水素原子が別の置換基によって置換されているコハク酸を指す。
本発明の意味における「ジ置換」コハク酸含有化合物という用語は、2つの水素原子が別の置換基によって置換されているコハク酸を指す。
用語「コハク酸塩含有化合物」は、活性酸基が部分的に又は完全に中和されているコハク酸を含有する化合物を指す。用語「部分的に中和された」コハク酸塩含有化合物は、40~95モル%、好ましくは50~95モル%、より好ましくは60~95%、最も好ましくは70~95%の範囲の活性酸基の中和度を指す。用語「完全に中和された」コハク酸塩含有化合物は、>95モル%、好ましくは>99モル%、より好ましくは>99.8モル%、最も好ましくは100モル%の活性酸基の中和度を指す。好ましくは、活性酸基は、部分的に又は完全に中和されている。
コハク酸塩含有化合物は、好ましくは、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩からなる群から選択される化合物であり、ここで、このアミン塩は、直鎖状又は環状である。一方又は両方の酸基が塩の形態であってよく、好ましくは両方の酸基が塩の形態であることが理解される。
本発明の意味における「モノ置換」コハク酸塩という用語は、1つの水素原子が別の置換基によって置換されているコハク酸塩を指す。
本発明の意味における「ジ置換」コハク酸塩含有化合物という用語は、2つの水素原子が別の置換基によって置換されているコハク酸塩を指す。
したがって、不飽和炭素部分を含むモノ-置換又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-置換又はジ-置換コハク酸含有化合物、又は不飽和炭素部分を含むモノ-置換又はジ-置換コハク酸塩含有化合物は、不飽和炭素部分を含む1つ又は複数の置換基R及び/又はRを含む。不飽和炭素部分は、末端に、及び/又は置換基R及び/又はRの側鎖に位置する。
炭素-炭素二重結合を含む1つ又は複数の置換基R及び/又はRは、好ましくは、イソブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、アクリロイル、メタクリロイル基又はそれらの混合物から選択される。例えば、表面処理剤は、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー、好ましくは、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩であってよい。
無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーは、好ましくは、以下を有する:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量。
用語「無水マレイン酸をグラフトした」は、無水マレイン酸の二重結合と、炭素-炭素二重結合を含む1つ又は複数の置換基R及び/又はRとの反応後に、無水コハク酸が得られることを意味する。したがって、用語「無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー」及び「無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー」は、それぞれ、無水マレイン酸の二重結合と炭素-炭素二重結合との反応から形成される無水コハク酸部分を各々有するポリブタジエンホモポリマー及びポリブタジエン-スチレンコポリマーを指す。
「無水物当量」という用語は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量Mを、1鎖当たりの無水物基の数で割ったものをいう。
例えば、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーは、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量M;ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり20~200meq KOH、好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価;及び10~60mol%、好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量を有することができる。別の実施形態では、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーは、2000~5000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量M;ASTM D974-14に準拠して測定された、30~100meq KOH/gの範囲の酸価;及び15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量を有することができる。
本発明の一実施形態では、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマーの塩は、それらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩を含む群から選択することができ、好ましくは、それらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩からなる群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、表面処理剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩からなる群から選択され、好ましくは、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩からなる群から選択される、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの塩である。より好ましくは、この無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの塩は、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量M;ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり20~200meq KOH、好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価;及び10~60mol%、好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量を有する。
無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマーの塩は、対応する無水物からの部分的な又は完全な中和によって得ることができ、例えば、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸を、塩基、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化ナトリウムの水溶液で処理することによって、得ることができる。
したがって、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの酸又は塩は、好ましくは、以下を有する無水コハク酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーからの加水分解によって誘導することが可能であると理解される:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量。
表面処理組成物は、好ましくは、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩を含むことができ、好ましくはそれらからなることができる。したがって、フィラーの表面処理層は、フィラー材料の表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の表面処理組成物とフィラー材料とを接触させることによって形成することができる。
例えば、フィラー材料の表面の少なくとも一部にある表面処理層は、フィラー材料と、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー、又は1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された数平均分子量M;ASTM D974-14に準拠して測定された、無水コハク酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり20~200meq KOH、好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価;及び/又は10~60mol%、好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩とを、フィラー材料の表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量で接触させることによって形成することができる。
本発明の別の実施形態では、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、不飽和炭素部分を含む少なくとも1つの直鎖又は分岐アルケニルモノ置換コハク酸無水物化合物である。例えば、少なくとも1つのアルケニルモノ置換無水コハク酸は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、トリイソブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、デセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
したがって、例えば、用語「ヘキサデセニルコハク酸無水物」は、直鎖状及び分岐状の1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物を含むことが理解される。直鎖状ヘキサデセニル無水コハク酸の1つの具体的な例は、14-ヘキサデセニル無水コハク酸、13-ヘキサデセニル無水コハク酸、12-ヘキサデセニル無水コハク酸、11-ヘキサデセニル無水コハク酸、10-ヘキサデセニル無水コハク酸、9-ヘキサデセニル無水コハク酸、8-ヘキサデセニル無水コハク酸、7-ヘキサデセニル無水コハク酸、6-ヘキサデセニル無水コハク酸、5-ヘキサデセニル無水コハク酸、4-ヘキサデセニル無水コハク酸、3-ヘキサデセニル無水コハク酸及び/又は2-ヘキサデセニル無水コハク酸などのn-ヘキサデセニル無水コハク酸である。分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物の具体例は、14-メチル-9-ペンタデセニル無水コハク酸、14-メチル-2-ペンタデセニル無水コハク酸、1-ヘキシル-2-デセニル無水コハク酸及び/又はイソヘキサデセニル無水コハク酸である。
さらに、例えば、用語「オクタデセニルコハク酸無水物」は、直線状及び分岐状の1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物を含むことが理解される。直鎖状オクタデセニルコハク酸無水物の1つの具体例は、16-オクタデセニル無水コハク酸、15-オクタデセニル無水コハク酸、14-オクタデセニル無水コハク酸、13-オクタデセニル無水コハク酸、12-オクタデセニル無水コハク酸、11-オクタデセニル無水コハク酸、10-オクタデセニル無水コハク酸、9-オクタデセニル無水コハク酸、8-オクタデセニル無水コハク酸、7-オクタデセニル無水コハク酸、6-オクタデセニル無水コハク酸、5-オクタデセニル無水コハク酸、4-オクタデセニル無水コハク酸、3-オクタデセニル無水コハク酸及び/又は2-オクタデセニル無水コハク酸などのn-オクタデセニル無水コハク酸である。分岐状オクタデセニルコハク酸無水物の具体例は、16-メチル-9-ヘプタデセニル無水コハク酸、16-メチル-7-ヘプタデセニル無水コハク酸、1-オクチル-2-デセニル無水コハク酸及び/又はイソオクタデセニル無水コハク酸である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、ヘキセニルコハク酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の一実施形態において、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物である。例えば、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、ヘキセニル無水コハク酸である。あるいは、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、オクテニル無水コハク酸である。あるいは、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、ヘキサデセニル無水コハク酸である。例えば、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、n-ヘキサデセニル無水コハク酸のような直鎖状ヘキサデセニルコハク酸無水物又は1-ヘキシル-2-デセニル無水コハク酸のような分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物である。あるいは、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、オクタデセニル無水コハク酸である。例えば、1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、n-オクタデセニル無水コハク酸のような直鎖状オクタデセニルコハク酸無水物、あるいはイソオクタデセニル無水コハク酸又は1-オクチル-2-デセニル無水コハク酸のような分岐状オクタデセニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態では、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、n-オクタデセニル無水コハク酸などの直鎖状オクタデセニルコハク酸無水物である。本発明の別の実施形態では、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、n-オクテニル無水コハク酸などの直鎖状オクテニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸無水物化合物は、2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸無水物化合物は、2種類又は3種類のアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。
不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸無水物化合物が2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は直鎖状又は分岐状オクタデセニルコハク酸無水物であり、一方、各々のさらなるアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物及びそれらの混合物から選択される。例えば、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸無水物は、2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物であり、ここで、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、直鎖状オクタデセニルコハク酸無水物であり、かつ各々のさらなるアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物及びそれらの混合物から選択される。あるいは、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸無水物は、2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物であり、ここで、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、分岐状オクタデセニルコハク酸無水物であり、かつ各々のさらなるアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、エテニルコハク酸無水物、プロペニルコハク酸無水物、ブテニルコハク酸無水物、ペンテニルコハク酸無水物、ヘキセニルコハク酸無水物、ヘプテニルコハク酸無水物、ノネニルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水物及びそれらの混合物から選択される。
例えば、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、直鎖状又は分岐状の1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物のような1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物と、直鎖状又は分岐状の1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物のような1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物とを含む、2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。
本発明の一実施形態において、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、直鎖状の1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物と、直鎖状の1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物とを含む2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。あるいは、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、分岐状の1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物と、分岐状の1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物とを含む2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物は、n-ヘキサデセニル無水コハク酸のような直鎖状ヘキサデセニルコハク酸無水物及び/又は1-ヘキシル-2-デセニル無水コハク酸のような分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物である。さらに、又は代わりに、1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物は、n-オクタデセニルコハク酸無水物のような直鎖状オクタデセニルコハク酸無水物、及び/又はイソオクタデセニル無水コハク酸及び/又は1-オクチル-2-デセニル無水コハク酸のような分岐状オクタデセニルコハク酸無水物である。
不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物が、2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つのアルケニルモノ置換コハク酸無水物は、提供されるモノ置換コハク酸無水物の総重量に基づいて、20~60重量%、好ましくは30~50重量%の量で存在するということが理解される。
例えば、不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物が、1つ又は複数の直鎖状又は分岐状ヘキサデセニルコハク酸無水物のような1つ又は複数のヘキサデセニルコハク酸無水物と、1つ又は複数の直鎖状又は分岐状オクタデセニルコハク酸無水物のような1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物とを含む2種類又はそれを超えるアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物である場合、1つ又は複数のオクタデセニルコハク酸無水物は、モノ置換コハク酸無水物の総重量に基づいて、20~60重量%及び好ましくは30~50重量%の量で存在することが好ましい。
不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物は、アルキルモノ置換コハク酸無水物及びアルケニルモノ置換コハク酸無水物の混合物であり得ることもまた理解される。
別の実施形態では、表面処理剤は、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸化合物、又は不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸塩化合物であってよく、ここで、不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸化合物、又は不飽和炭素部分を含むモノ置換コハク酸塩化合物は、上述した不飽和炭素部分を含むモノ置換無水コハク酸化合物から誘導される。
一実施形態では、表面処理剤は、1000~300000mPa・sの範囲の25℃におけるブルックフィールド粘度、及び/又はマレイン化ポリブタジエン1g当たり10~300mgの水酸化カリウムの範囲の酸価、及び/又はマレイン化ポリブタジエン100g当たり100~1000gのヨウ素の範囲のヨウ素価を有するマレイン化ポリブタジエンである。例えば、表面処理剤は、1000~300000mPa・sの範囲の25℃におけるブルックフィールド粘度、又はマレイン化ポリブタジエン1g当たり10~300mgの水酸化カリウムの範囲の酸価、又はマレイン化ポリブタジエン100g当たり100~1000gのヨウ素の範囲のヨウ素価を有するマレイン化ポリブタジエンである。あるいは、表面処理剤は、1000~300000mPa・sの範囲の25℃におけるブルックフィールド粘度、及びマレイン化ポリブタジエン1g当たり10~300mgの水酸化カリウムの範囲の酸価、及びマレイン化ポリブタジエン100g当たり100~1000gのヨウ素の範囲のヨウ素価を有するマレイン化ポリブタジエンである。
「マレイン化」という用語は、架橋性二重結合を含む置換基R及び/又はRと無水マレイン酸の二重結合との反応の後に、無水コハク酸が得られることを意味する。
追加的又は代替的に、少なくとも1つの表面処理剤は、不飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸の塩から選択される。
本発明の意味における「不飽和脂肪酸」という用語は、炭素及び水素から構成される直鎖又は分岐鎖の不飽和有機化合物を指す。この有機化合物は、炭素骨格の端部に配置されたカルボキシル基をさらに含む。
不飽和脂肪酸は、好ましくは、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、不飽和脂肪酸である表面処理剤は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、不飽和脂肪酸である表面処理剤は、オレイン酸及び/又はリノール酸であり、好ましくはオレイン酸又はリノール酸であり、最も好ましくはリノール酸である。
さらに、又は代わりに、表面処理剤は、不飽和脂肪酸の塩である。
用語「不飽和脂肪酸の塩」は、活性酸基が部分的に又は完全に中和されている不飽和脂肪酸を指す。用語「部分的に中和された」不飽和脂肪酸は、40~95モル%好ましくは50~95モル%、より好ましくは60~95モル%、最も好ましくは70~95モル%の範囲の活性酸基の中和度を指す。用語「完全に中和された」不飽和脂肪酸は、>95モル%、好ましくは>99モル%、より好ましくは>99.8モル%、最も好ましくは100モル%の活性酸基の中和度を指す。好ましくは、活性酸基は、部分的に又は完全に中和されている。
不飽和脂肪酸の塩は、好ましくは、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩からなる群から選択される化合物であり、ここで、このアミン塩は、直鎖状又は環状である。例えば、表面処理剤は、オレイン酸及び/又はリノール酸の塩であり、好ましくはオレイン酸又はリノール酸であり、最も好ましくはリノール酸である。
さらに、又は代わりに、少なくとも1つの表面処理剤は、リン酸の不飽和エステル及び/又は不飽和リン酸エステルの塩である。
したがって、リン酸の不飽和エステルは、1つ又は複数のリン酸モノエステル及び1つ又は複数のリン酸ジエステル及び任意に1つ又は複数のリン酸トリエステルのブレンドであってもよい。一実施形態では、このブレンドは、リン酸をさらに含む。
例えば、リン酸の不飽和エステルは、1つ又は複数のリン酸モノエステル及び1つ又は複数のリン酸ジエステルのブレンドである。あるいは、リン酸の不飽和エステルは、1つ又は複数のリン酸モノエステル及び1つ又は複数のリン酸ジエステル及びリン酸のブレンドである。あるいは、リン酸の不飽和エステルは、1つ又は複数のリン酸モノエステル及び1つ又は複数のリン酸ジエステル及び1つ又は複数のリン酸トリエステルのブレンドである。あるいは、リン酸の不飽和エステルは、1つ又は複数のリン酸モノエステルと、1つ又は複数のリン酸ジエステルと、1つ又は複数のリン酸トリエステルと、リン酸とのブレンドである。
例えば、このブレンドは、ブレンド中の化合物のモル合計量に基づいて、≦8モル%、好ましくは≦6モル%、より好ましくは≦4モル%、例えば0.1~4モル%の量のリン酸を含む。
本発明の意味における「リン酸モノエステル」なる用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18までの総炭素原子数を有する、不飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される1つのアルコール分子でモノエステル化されたo-リン酸分子を指す。
本発明の意味における「リン酸ジエステル」なる用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18までの総炭素原子数を有する、同一又は異なる、不飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される2つのアルコール分子でジエステル化されたo-リン酸分子を指す。
本発明の意味における「リン酸トリエステル」なる用語は、アルコール置換基中にC6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18までの総炭素原子数を有する、同一又は異なる、不飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される3つのアルコール分子でトリエステル化されたo-リン酸分子を指す。
さらに、又は代わりに、表面処理剤は、不飽和リン酸エステルの塩である。一実施形態では、不飽和リン酸エステルの塩は、少量のリン酸の塩をさらに含むことができる。
用語「不飽和リン酸エステルの塩」は、活性酸基が部分的に又は完全に中和されている、不飽和リン酸エステルを指す。用語「部分的に中和された」不飽和リン酸エステルは、40~95モル%、好ましくは50~95モル%、より好ましくは60~95モル%、最も好ましくは70~95モル%の範囲の活性酸基の中和度を指す。用語「完全に中和された」不飽和リン酸エステルは、>95モル%、好ましくは>99モル%、より好ましくは>99.8モル%、最も好ましくは100モル%の活性酸基の中和度を指す。好ましくは、活性酸基は、部分的に又は完全に中和されている。
不飽和リン酸エステルの塩は、好ましくは、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩からなる群から選択される化合物であり、ここで、このアミン塩は、直鎖状又は環状である。
さらに、又は代わりに、少なくとも1つの表面処理剤は、アビエチン酸(アビエタ-7,13-ジエン-18-酸とも呼ばれる)である。
さらに、又は代わりに、表面処理剤は、アビエチン酸の塩である。
用語「アビエチン酸の塩」は、活性酸基が部分的に又は完全に中和されているアビエチン酸を指す。用語「部分的に中和された」アビエチン酸は、40~95モル%、好ましくは50~95モル%、より好ましくは60~95モル%、最も好ましくは70~95モル%の範囲の活性酸基の中和度を指す。用語「完全に中和された」アビエチン酸は、>95モル%、好ましくは>99モル%、より好ましくは>99.8モル%、最も好ましくは100モル%の活性酸基の中和度を指す。好ましくは、活性酸基は部分的に又は完全に中和され、より好ましくは完全に中和されている。
アビエチン酸の塩は、好ましくは、そのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、ストロンチウム塩、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩及び/又はアンモニウム塩からなる群から選択される化合物であり、ここで、このアミン塩は、直鎖状又は環状である。
本発明の他の実施形態によれば、この少なくとも1つの表面処理剤は、式:R-Si(ORで表される不飽和トリアルコキシシランである。その場合、置換基Rは、任意の種類の不飽和置換基、すなわち、例えばビニル、アリル、プロパルギル、ブテニル、クロチル、プレニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル又はビニルフェニル部分のような、C2からC30までの総炭素原子数を有する任意の分岐、直鎖又は環状のアルケン部分を表す。ORは加水分解性基であり、ここで、置換基Rは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、ブチル基、ブテニル基、フェニル基又はベンジル基のような、C1~C30の総炭素原子数を有する任意の飽和又は不飽和の、分岐、直鎖、環状又は芳香族の部分を表す。好ましい実施形態によれば、Rは、C1~C15、好ましくはC1~C8、最も好ましくはC1~C2の総炭素原子数を有する直鎖アルキル基である。本発明の例示された実施形態によれば、加水分解性アルコキシ基はメトキシ又はエトキシ基である。したがって、本発明での使用に適した不飽和炭素部分を含むトリアルコキシシランの具体的又は好ましい例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン又はアリルトリエトキシシランが挙げられる。
本発明の一実施形態によれば、表面処理剤は、飽和表面処理剤を含み、この表面処理剤は、1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はその塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はその塩のリン酸エステルブレンドである。
本発明の一実施形態では、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC6~C30の総炭素原子数を有する飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。例えば、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC8~C22、より好ましくはC8~C20、及び最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する、飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
リン酸のアルキルエステルは、特に、界面活性剤、潤滑剤及び帯電防止剤として、産業界においてよく知られている(Die Tenside; Kosswig und Stache、Carl Hanser Verlag Munchen、1993)。
異なる方法によるリン酸のアルキルエステルの合成及びリン酸のアルキルエステルを用いた鉱物の表面処理は、例えば以下の文献から当業者に周知である:Pesticide Formulations and Application Systems:17th Volume;Collins HM、Holl FR、Hopkinson M、STP1268;Published:1996;米国特許第3,897,519 A号明細書、米国特許第4,921,990 A号明細書、米国特許第4,350,645 A号明細書、米国特許第6,710,199 B2号明細書、米国特許第4,126,650 A号明細書、米国特許第5,554,781 A号明細書、欧州特許第1 092 000 B1号明細書及び国際公開第2008/023076 A1号。
本発明の一実施形態では、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にCからC30までの総炭素原子数を有する飽和の、直鎖又は分岐の脂肪族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。例えば、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC8~C22、より好ましくはC8~C20、及び最も好ましくはC8~C18総炭素原子数を有する飽和の、直鎖又は分岐の脂肪族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC6~C30、好ましくはC8~C22、より好ましくはC8~C20、最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する飽和の直鎖脂肪族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。あるいは、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中にC6~C30、好ましくはC8~C22、より好ましくはC8~C20、及び最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する飽和の分岐脂肪族アルコールから選択される1つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、ヘキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、2-エチルヘキシルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、ドデシルリン酸モノエステル、テトラデシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸モノエステル及びそれらの混合物を含む群から選択される。
例えば、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、2-エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸モノエステル及びそれらの混合物を含む群から選択される。本発明の一実施形態では、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、2-オクチル-1-ドデシルリン酸モノエステルである。
「1つ又は複数の」リン酸ジエステルという表現は、1つ又は複数の種類のリン酸ジエステルが、表面処理材料生成物の処理層中に及び/又はリン酸エステルブレンド中に存在し得ることを意味することが理解される。
したがって、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、1種類のリン酸ジエステルであってもよいことに留意されたい。あるいは、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、2つ又はそれを超える種類のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。例えば、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、例えば2種類のリン酸ジエステルのような、2種類又は3種類のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。
本発明の一実施形態では、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6~C30の総炭素原子数を有する、飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。例えば、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC8~C22、より好ましくはC8~C20、及び最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する、飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから選択される2つの脂肪アルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
リン酸をエステル化するために使用される2つのアルコールは、アルコール置換基中にC6~C30の総炭素原子数を有する、同一又は異なる、飽和の、分岐又は直鎖の、脂肪族又は芳香族のアルコールから独立して選択することができることが理解される。換言すれば、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、同じアルコールから誘導される2つの置換基を含んでいてもよく、又はリン酸ジエステル分子は、異なるアルコールから誘導される2つの置換基を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6~C30の総炭素原子数を有する、同一又は異なる、飽和の、直鎖又は分岐の脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。例えば、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC8~C22、より好ましくはC8~C20、最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する、同一又は異なる、飽和の、直鎖又は分岐の脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6~C30、好ましくはC8~C22、より好ましくはC8~C20、最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する、同一又は異なる、飽和の直鎖脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。あるいは、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中にC6~C30、好ましくはC8~C22、より好ましくはC8~C20、最も好ましくはC8~C18の総炭素原子数を有する、同一又は異なる、飽和の分岐脂肪族アルコールから選択される2つのアルコールでエステル化されたo-リン酸分子からなる。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、ヘキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、2-エチルヘキシルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、ドデシルリン酸ジエステル、テトラデシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸ジエステル及びそれらの混合物を含む群から選択される。
例えば、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、2-エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸ジエステル及びそれらの混合物を含む群から選択される。本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、2-オクチル-1-ドデシルリン酸ジエステルである。
本発明の一実施形態において、1つ又は複数のリン酸モノエステルは、2-エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸モノエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸モノエステル及びそれらの混合物を含む群から選択され、1つ又は複数のリン酸ジエステルは、2-エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-デシルリン酸ジエステル、2-オクチル-1-ドデシルリン酸ジエステル及びそれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の別の実施形態によれば、表面処理組成物は、飽和表面処理剤を含み、この飽和表面処理剤は、少なくとも1つの飽和脂肪族の、直鎖又は分岐のカルボン酸及び/又はそれらの塩であり、好ましくはC4~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩である。
本発明の意味における脂肪族カルボン酸は、1つ又は複数の直鎖の、分岐鎖の、飽和の、及び/又は脂環式のカルボン酸から選択することができる。好ましくは、脂肪族カルボン酸はモノカルボン酸であり、すなわち、脂肪族カルボン酸は、ただ1つのカルボキシル基が存在することを特徴とする。このカルボキシル基は、炭素骨格の末端に配置される。
本発明の一実施形態では、脂肪族直鎖又は分岐カルボン酸及び/又はその塩は、飽和非分岐カルボン酸から選択され、好ましくは、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、トリコシル酸、リグノセリン酸、それらの塩、それらの無水物及びこれらの混合物からなるカルボン酸の群から選択される。
本発明の別の実施形態では、脂肪族直鎖又は分岐カルボン酸及び/又はその塩は、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、それらの塩、それらの無水物、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
好ましくは、脂肪族カルボン酸及び/又はその塩若しくは無水物は、ステアリン酸及び/又はステアリン酸塩又は無水ステアリン酸である。
本発明の別の実施形態によれば、表面処理組成物は、少なくとも1つの脂肪族アルデヒドである飽和表面処理剤を含む。
この点に関して、少なくとも1つの脂肪族アルデヒドは、飽和表面処理剤に相当し、任意の直鎖状、分枝状又は脂環式の、置換又は非置換の、飽和又は脂肪族アルデヒドから選択することができる。このアルデヒドは、好ましくは、炭素原子の数が6又はこれを超え、より好ましくは8又はこれを超えるように選択される。さらに、このアルデヒドは、一般に、14又はこれより少なく、好ましくは12又はこれより少なく、より好ましくは10又はこれより少ない数の炭素原子を有する。1つの好ましい実施形態において、脂肪族アルデヒドの炭素原子の数は、6~14、好ましくは6~12、より好ましくは6~10である。本発明での使用に適した適切なアルデヒドは、例えば国際公開第2011/147802 A1号から当業者に知られている。
本発明の別の実施形態によれば、表面処理組成物は、飽和表面処理剤を含み、この飽和表面処理剤は、置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩である。
したがって、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、1種類のモノ置換コハク酸無水物であってもよいことに留意されたい。あるいは、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、2種類又はこれを超える種類のモノ置換コハク酸無水物の混合物であってもよい。例えば、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、2種類のモノ置換コハク酸無水物のような、2種類又は3種類のモノ置換コハク酸無水物の混合物であってもよい。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、1種類のモノ置換コハク酸無水物である。
少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、表面処理剤に相当し、かつ置換基中にC2~C30の総炭素原子数を有する任意の直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換されたコハク酸無水物からなることが理解される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC3~C20の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。例えば、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC4~C18の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC2~C30、好ましくはC3~C20、最も好ましくはC4~C18の総炭素原子数を有する直鎖脂肪族基である1つの基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。さらに、又は代わりに、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC2~C30、好ましくはC3~C20、最も好ましくはC4~C18の総炭素原子数を有する分岐脂肪族基である1つの基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。
したがって、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC2~C30、好ましくはC3~C20、最も好ましくはC4~C18の総炭素原子数を有する直鎖又は分岐のアルキル基である1つの基でモノ置換されたコハク酸無水物からなることが好ましい。
例えば、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC2~C30、好ましくはC3~C20、最も好ましくはC4~C18の総炭素原子数を有する直鎖アルキル基である1つの基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。さらに、又は代わりに、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、置換基中にC2~C30、好ましくはC3~C20、最も好ましくはC4~C18の総炭素原子数を有する分岐アルキル基である1つの基でモノ置換されたコハク酸無水物からなる。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、少なくとも1つの直鎖又は分岐鎖状のアルキルモノ置換コハク酸無水物である。例えば、少なくとも1つのアルキルモノ置換無水コハク酸は、エチルコハク酸無水物、プロピルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、トリイソブチルコハク酸無水物、ペンチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ノニルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
したがって、例えば、用語「ブチルコハク酸無水物」は、1つ又は複数の、直鎖及び分岐ブチルコハク酸無水物を含むことが理解される。1つ又は複数の直鎖ブチルコハク酸無水物の1つの具体例は、n-ブチルコハク酸無水物である。1つ又は複数の分岐ブチルコハク酸無水物の具体例は、イソブチルコハク酸無水物、sec-ブチルコハク酸無水物及び/又はtert-ブチルコハク酸無水物である。
さらに、例えば、用語「ヘキサデカニルコハク酸無水物」は、1つ又は複数の、直鎖及び分岐ヘキサデカニルコハク酸無水物を含むことが理解される。1つ又は複数の直鎖ヘキサデカニルコハク酸無水物の1つの具体例は、n-ヘキサデカニル無水コハク酸である。1つ又は複数の分岐ヘキサデカニル無水コハク酸の具体例は、14-メチルペンタデカニル無水コハク酸、13-メチルペンタデカニル無水コハク酸、12-メチルペンタデカニル無水コハク酸、11-メチルペンタデカニル無水コハク酸、10-メチルペンタデカニル無水コハク酸、9-メチルペンタデカニル無水コハク酸、8-メチルペンタデカニル無水コハク酸、7-メチルペンタデカニル無水コハク酸、6-メチルペンタデカニル無水コハク酸、5-メチルペンタデカニル無水コハク酸、4-メチルペンタデカニル無水コハク酸、3-メチルペンタデカニル無水コハク酸、2-メチルペンタデカニル無水コハク酸、1-メチルペンタデカニル無水コハク酸、13-エチルブタデカニル無水コハク酸、12-エチルブタデカニル無水コハク酸、11-エチルブタデカニル無水コハク酸、10-エチルブタデカニル無水コハク酸、9-エチルブタデカニル無水コハク酸、8-エチルブタデカニル無水コハク酸、7-エチルブタデカニル無水コハク酸、6-エチルブタデカニル無水コハク酸、5-エチルブタデカニル無水コハク酸、4-エチルブタデカニル無水コハク酸、3-エチルブタデカニル無水コハク酸、2-エチルブタデカニル無水コハク酸、1-エチルブタデカニル無水コハク酸、2-ブチルドデカニル無水コハク酸、1-ヘキシルデカニル無水コハク酸、1-ヘキシル-2-デカニル無水コハク酸、2-ヘキシルデカニル無水コハク酸、6,12-ジメチルブタデカニル無水コハク酸、2,2-ジエチルドデカニル無水コハク酸、4,8,12-トリメチルトリデカニル無水コハク酸、2,2,4,6,8-ペンタメチルウンデカニル無水コハク酸、2-エチル-4-メチル-2-(2-メチルペンチル)-ヘプチル無水コハク酸及び/又は2-エチル-4,6-ジメチル-2-プロピルノニル無水コハク酸である。
さらに、例えば、用語「オクタデカニルコハク酸無水物」は、1つ又は複数の直鎖及び分岐のオクタデカニルコハク酸無水物を含むことが理解される。1つ又は複数の直鎖オクタデカニルコハク酸無水物の1つの具体例は、n-オクタデカニル無水コハク酸である。1つ又は複数の分岐オクタデカニルコハク酸無水物の具体例は、16-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、15-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、14-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、13-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、12-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、11-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、10-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、9-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、8-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、7-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、6-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、5-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、4-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、3-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、2-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、1-メチルヘプタデカニル無水コハク酸、14-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、13-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、12-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、11-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、10-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、9-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、8-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、7-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、6-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、5-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、4-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、3-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、2-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、1-エチルヘキサデカニル無水コハク酸、2-ヘキシルドデカニル無水コハク酸、2-ヘプチルウンデカニル無水コハク酸、イソオクタデカニル無水コハク酸及び/又は1-オクチル-2-デカニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、ヘプチルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ヘキサデカニルコハク酸無水物、オクタデカニルコハク酸無水物及びそれらの混合物を含む群から選択される。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、1種類のアルキルモノ置換コハク酸無水物である。例えば、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、ブチル無水コハク酸である。あるいは、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、ヘキシル無水コハク酸である。あるいは、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、ヘプチル無水コハク酸又はオクチル無水コハク酸である。あるいは、1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、ヘキサデカニル無水コハク酸である。例えば、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、n-ヘキサデカニル無水コハク酸のような直鎖ヘキサデカニルコハク酸無水物、又は1-ヘキシル-2-デカニル無水コハク酸のような分岐ヘキサデカニルコハク酸無水物である。あるいは、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、オクタデカニル無水コハク酸である。例えば、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、n-オクタデカニルコハク酸無水物のような直鎖オクタデカニルコハク酸無水物、又はイソオクタデカニル無水コハク酸若しくは1-オクチル-2-デカニル無水コハク酸のような分岐オクタデカニルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態では、この1つのアルキルモノ置換コハク酸無水物は、n-ブチル無水コハク酸のようなブチルコハク酸無水物である。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つのモノ置換コハク酸無水物は、2種類又はこれを超える種類のアルキルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。例えば、少なくとも1つモノ置換コハク酸無水物は、2種類又は3種類のアルキルモノ置換コハク酸無水物の混合物である。
本発明の別の実施形態によれば、表面処理組成物は、少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンである飽和表面処理剤を含む。
好ましいポリジアルキルシロキサンは、例えば、米国特許出願公開第2004/0097616 A1号公報に記載されている。最も好ましいのは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサン及び/又はそれらの混合物からなる群から選択されるポリジアルキルシロキサンである。
例えば、少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンは、好ましくはポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
本発明のさらに別の実施形態によれば、表面処理組成物は、少なくとも1つのトリアルコキシシランである飽和表面処理剤を含む。トリアルコキシシランは、式:R-Si(ORで表される。ここで、置換基Rは、任意の種類の飽和置換基、すなわち、任意にさらなる置換基を含む、メチル、エチル、プロピル、アリル、ブチル、ブテニル、フェニル又はベンジル基部分などの、C1~C30の総炭素原子数を有する任意の分岐の、直鎖の又は環状のアルカン部分を表す。さらなる置換基は、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、エタクリルオキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、無水物基、エステル基、アルデヒド基、アミノ基、ウレイド基、アジド基、ハロゲン基、ホスホネート基、ホスフィン基、硫黄含有基、イソシアネート基又はマスクされたイソシアネート基、フェニル基、ベンジル基、及びベンゾイル基からなる群から選択することができ、好ましくはアミノ基及び硫黄含有基からなる群から選択される。
ORは加水分解性基であり、ここで置換基Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、ブチル基、ブテニル基、フェニル基又はベンジル基などの、C1~C30の総炭素原子数を有するものからの任意の飽和又は不飽和の、分岐、直鎖、環状又は芳香族の部分を表す。好ましい実施形態によれば、Rは、C1~C15、好ましくはC1~C8、最も好ましくはC1~C2の総炭素原子数を有する直鎖アルキル基である。本発明の例示的な実施形態によれば、加水分解性アルコキシ基はメトキシ基又はエトキシ基である。したがって、トリアルコキシシランの具体的又は好ましい例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリエトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
好ましくは、トリアルコキシシランは、硫黄含有トリアルコキシシランであり、すなわち、置換基Rは、スルホネート基、スルフィド基、ジスルフィド基、テトラスルフィド基又はチオール基などの少なくとも1つの硫黄含有官能基を含む。したがって、具体的かつ好ましい例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。硫黄含有トリアルコキシシランは、架橋反応に関与することができ、すなわち、エラストマー組成物のエラストマーと架橋することができることを理解されたい。
別の好ましい実施形態では、トリアルコキシシランはアミノ含有トリアルコキシシランであり、すなわち、置換基Rは、少なくとも1つの第1級、第2級又は第3級アミノ基、好ましくは少なくとも1つの第1級アミノ基-NHを含む。より好ましくは、トリアルコキシシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
一実施形態によれば、フィラーは、表面反応炭酸カルシウムであり、
ここで、この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給され、かつ
この表面反応炭酸カルシウムは、この表面反応炭酸カルシウムの表面の少なくとも一部に、少なくとも1つの表面処理層を含み、
この少なくとも1つの表面処理層が、この表面反応炭酸カルシウムを、この表面反応炭酸カルシウムの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物は、上述した表面処理剤のいずれか1つから選択される少なくとも1つの表面処理剤を含み、
好ましくは、この表面処理剤は、トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の実施形態によれば、フィラーは沈降ハイドロマグネサイトであり、この沈降ハイドロマグネサイトは、この沈降ハイドロマグネサイトの表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層を含み、
この少なくとも1つの表面処理層が、この沈降ハイドロマグネサイトを、この沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物は、上述した表面処理剤のいずれか1つから選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む。
処理層の形成
フィラーの少なくとも一部にある表面処理層は、フィラー材料を上述した表面処理剤と接触させることによって形成されるということが理解される。フィラーを、フィラー材料の表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の表面処理組成物に接触させる。すなわち、フィラーと表面処理剤との間に化学反応を起こすことができる。言い換えれば、表面処理層は、表面処理剤及び/又はそれらの塩含有反応生成物を含んでいてもよい。
表面処理剤の「塩含有反応生成物」という用語は、フィラーと、表面処理剤を含む表面処理組成物とを接触させることによって得られる生成物を指す。この反応生成物は、適用した表面処理剤の少なくとも一部と、フィラーの表面に位置する反応性分子との間で形成される。
例えば、表面処理層が、フィラーと、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物とを接触させることによって形成される場合、この表面処理層は、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物と、フィラー材料との反応から形成される塩をさらに含むことができる。同様に、表面処理層が、フィラーとステアリン酸とを接触させることによって形成される場合、この表面処理層は、ステアリン酸とフィラーとの反応から形成される塩をさらに含むことができる。本発明による代替の表面処理剤を使用する場合に、類似の反応が起こり得る。
一実施形態によれば、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物の1つ又は複数の塩含有反応生成物は、それらの1つ又は複数のカルシウム塩及び/又はマグネシウム塩である。
一実施形態によれば、フィラー材料の表面の少なくとも一部に形成された不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物の1つ又は複数の塩含有反応生成物は、それらの1つ又は複数のカルシウム塩及び/又は1つ又は複数のマグネシウム塩である。
一実施形態によれば、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物の、それらの1つ又は複数の塩含有反応生成物に対するモル比は、99.9:0.1~0.1:99.9、好ましくは70:30~90:10である。
本発明の一実施形態によれば、フィラーは、フィラーと上述した少なくとも1つの表面処理剤を含む表面処理層とを含み、好ましくはそれらからなる。処理層は、このフィラー材料の表面の少なくとも一部、好ましくは全面に形成される。
表面処理された表面反応炭酸カルシウムを調製するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、少なくとも1つのリン酸エステルブレンドで処理した表面処理した表面反応炭酸カルシウム及びコーティングに適した化合物は、例えば、欧州特許出願公開第2 770 017 A1号公報に記載されている。置換基中に少なくともC2~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸で処理された表面処理された表面反応炭酸カルシウムを調製するための方法、及びコーティングに適した化合物は、例えば、国際公開第2016/023937 A1号に記載されている。
本発明のさらなる態様によれば、沈降ハイドロマグネサイトの表面処理方法が提供され、この方法は、以下の工程を含む:
(I)沈降ハイドロマグネサイトを提供すること、
(II)沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの範囲の量の少なくとも1つの表面処理組成物を提供すること、
ここで、この少なくとも1つの表面処理組成物は、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和及び不飽和脂肪酸、飽和及び不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和及び不飽和エステル、飽和及び不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む、
及び
(III)沈降ハイドロマグネサイトと少なくとも1つの表面処理組成物とを20~180℃の温度で、1つ又は複数の工程で接触させること。
好ましい実施形態によれば、工程(c)は、60~150℃の温度又は20~120℃の温度で実施される。
沈降ハイドロマグネサイトは、乾燥形態又は水性懸濁液の形態で提供することができる。
一実施形態によれば、工程(I)において沈降ハイドロマグネサイトを乾燥形態で提供し、かつ工程(III)を少なくとも1つの表面処理組成物の融点よりも少なくとも10℃高い温度、好ましくは60~150℃の温度で実施する。
別の実施形態によれば、工程(I)において、水性懸濁液の総重量に対して5~80重量%の範囲の固形分を有する水性懸濁液の形態で、沈降ハイドロマグネサイトを提供し、
少なくとも1つの表面処理組成物をこの水性懸濁液に添加し、かつ20~120℃の範囲の温度でこの水性懸濁液を混合することによって工程(III)を実施し、かつ以下の工程をさらに含む:
(IV)得られた表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの水分含量が、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの総重量に対して、0.001~20重量%の範囲になるまで、周囲圧力又は減圧下に40~160℃の範囲の温度で、工程(III)の間又は後に、この水性懸濁液を乾燥させること。
当業者は、本発明の方法が追加の工程を含むことができることを理解するであろう。例えば、この方法は、工程(IV)の前に得られた水性懸濁液をろ過する工程、又は工程(III)の前、工程(III)の間又は工程(III)の後にpH制御添加剤を添加する工程を含むことができる。
一実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトの表面処理方法は以下の工程を含む:
(A)水性懸濁液の総重量に対して5~80重量%の範囲の固形分を有する沈降ハイドロマグネサイトの水性懸濁液を提供すること;
(B)沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの範囲の量の少なくとも1つの表面処理組成物を、工程(A)で得られる水性懸濁液に添加すること、
ここで、この少なくとも1つの表面処理組成物は、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和及び不飽和脂肪酸、飽和及び不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和及び不飽和エステル、飽和及び不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む;
(C)工程(B)で得られた水性懸濁液を30~120℃の範囲の温度で混合すること;及び
(D)得られた表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの水分含量が、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの総重量に対して、0.001~20重量%の範囲になるまで、工程(C)の間又は後に、周囲圧力又は減圧下に20~120℃の範囲の温度でこの水性懸濁液を乾燥させること。
沈降ハイドロマグネサイトを水性懸濁液の形態で提供する場合に、工程(I)又は(A)の水性懸濁液のpH値を7.5~12の範囲に調整することができる。追加的又は代替的に、工程(III)又は(C)の間又は後に、pH値を7.5~12の範囲に再調整するために、少なくとも1つの塩基を水性懸濁液に添加してもよい。追加的又は代替的に、工程(III)若しくは(C)又は工程(IV)若しくは(D)の表面処理された沈降ハイドロマグネサイトを、工程(IV)又は(D)の後又は間に、解凝集させる。
沈降ハイドロマグネサイトを2つ又はそれを超える表面処理剤を含む少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって、少なくとも1つの表面処理層が形成される場合、沈降ハイドロマグネサイトを表面処理組成物と接触させる前に、この2つ又はそれを超える表面処理剤を混合物として提供することができることを理解されたい。あるいは、沈降ハイドロマグネサイトを第1の表面処理剤を含む第1の表面処理組成物と接触させ、続いて、第2の表面処理剤を含む第2の表面処理組成物を添加してもよく、すなわち、沈降ハイドロマグネサイトと第1の表面処理組成物との混合物が第2の表面処理組成物と接触した際に、表面処理層が形成される。沈降ハイドロマグネサイトを乾燥形態で提供する場合、工程(III)は、2つ又はそれを超える表面処理剤の最も高い融点よりも少なくとも10℃高い温度で実施されることが理解されるべきである。
一実施形態によれば、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトは、沈降ハイドロマグネサイトの表面の少なくとも一部に2つ又はそれを超える表面処理層を含む。方法工程(III)又は(C)において、沈降ハイドロマグネサイトと2つ又はそれを超える表面処理組成物とを、2つ又はそれを超える工程で接触させ、任意にその間に乾燥工程を用いることによって、2つ又はそれを超える表面処理層を形成することができる。本発明の一実施形態によれば、工程(II)において、第1の表面処理組成物及び第2の表面処理組成物が提供され、工程(III)において、沈降ハイドロマグネサイトを第1の表面処理組成物と最初に接触させ、続いて、第2の表面処理組成物と接触させ、ここで、好ましくは、第1の表面処理組成物及び第2の表面処理組成物は、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和及び不飽和脂肪酸、飽和及び不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和及び不飽和エステル、飽和及び不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から互いに独立して選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む。
好ましい実施形態によれば、第1又は第2の表面処理組成物のうちの1つは、少なくとも1つの不飽和表面処理剤を含み、他の1つは少なくとも1つの飽和表面処理剤を含み、
ここで、少なくとも1つの不飽和表面処理剤は、下記からなる群から選択され:
モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、かつ
少なくとも1つの飽和表面処理剤は、下記からなる群から選択される:
1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン。
好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つの表面処理剤は、下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、上記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
(d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
(e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
(f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
(g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
(h)(a)~(g)による材料の混合物。
本発明の好ましい実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトの表面処理方法は、以下の工程を含む:
(I)沈降ハイドロマグネサイトを提供すること、
(II)沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの範囲の量の少なくとも1つの表面処理組成物を提供すること、
ここで、この少なくとも1つの表面処理組成物が、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の塩、リン酸の不飽和エステル、不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、不飽和炭素部分を含むトリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む、
及び
(III)沈降ハイドロマグネサイトと少なくとも1つの表面処理組成物とを20~180℃の温度で、1つ又は複数の工程で接触させること、
好ましくは、この少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、前記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による方法によって得られる表面処理した沈降ハイドロマグネサイトが提供される。
一実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトの表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層を含む、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトが提供され、
ここで、この少なくとも1つの表面処理層が、沈降ハイドロマグネサイトを、沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
この少なくとも1つの表面処理組成物が、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含み、
好ましくは、この少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される:
(a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、前記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
(b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
(i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
(ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
(iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
(iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
(v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
(c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
(d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
(e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
(f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
(g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
(h)(a)~(g)による材料の混合物。
好ましい実施形態では、フィラーは、以下を有する表面処理した沈降ハイドロマグネサイトであり:
0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらにより好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50
0.2~150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらにより好ましくは2.4~60μm、最も好ましくは3~30μmの体積トップカット粒径d98;及び
窒素及びBET法を使用して測定した、15~200m/g、好ましくは20~180m/g、より好ましくは25m/g~140m/g、さらにより好ましくは27~120m/g、最も好ましくは30~100m/g;
この沈降ハイドロマグネサイトは、沈降ハイドロマグネサイトの表面の少なくとも一部に少なくとも1つの表面処理層を含み、
ここで、この少なくとも1つの表面処理層が、沈降ハイドロマグネサイトを、沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理剤を含む少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、
この少なくとも1つの表面処理剤が、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、不飽和炭素部分を含むモノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、トリアルコキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、無水コハク酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー、無水コハク酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー、ビニルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、無水コハク酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー、ビニルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理層を含まない。すなわち、未処理の沈降ハイドロマグネサイトを、それぞれ、本発明の硬化性エラストマー組成物、本発明の硬化したエラストマー生成物、本発明の物品、本発明の方法、又は本発明の使用において使用する。
別の実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理層を含む。すなわち、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトを、それぞれ、本発明の硬化性エラストマー組成物、本発明の硬化したエラストマー生成物、本発明の物品、本発明の方法、又は本発明の使用において使用する。
別の実施形態によれば、沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトであるか、又は未処理の沈降ハイドロマグネサイトと表面処理した沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である。
本発明の一実施形態によれば、フィラーは、未処理の表面反応炭酸カルシウム、未処理の沈降ハイドロマグネサイト、表面処理した沈降ハイドロマグネサイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
さらなる成分
本発明の各態様、すなわち、本発明の使用、本発明の方法、本発明の生成物、及び本発明の物品において、エラストマー組成物は、さらなる成分を含むことができる。
一実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、着色顔料、染料、ワックス、潤滑剤、酸化-及び/又はUV-安定剤、酸化防止剤、追加のフィラー、加工助剤、可塑剤、追加のポリマー、及びそれらの混合物をさらに含む。
一実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、少なくとも1つの追加のフィラーを含み、好ましくは、少なくとも1つの追加のフィラーは、カーボンブラック、シリカ、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ナノフィラー、グラファイト、クレー、タルク、カオリンクレー、焼成カオリン、焼成クレー、珪藻土、硫酸バリウム、二酸化チタン、珪灰石、及びそれらの混合物を含む群から選択され、好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、珪灰石、及びそれらの混合物を含む群、好ましくはこれらからなる群から選択され、最も好ましくは、カーボンブラックである。追加のフィラーは、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、0.1~50重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは2~20重量%の量で存在することができる。好ましくは、少なくとも1つの追加のフィラーは、硬化性エラストマー組成物中に、表面反応炭酸カルシウム及び/又は沈降ハイドロマグネサイトから選択されるフィラーとの体積比で、10:90~90:10、好ましくは25:75~75:25、及びより好ましくは40:60~60:40の範囲、例えば50:50で存在する。好ましい実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、架橋性ポリマーと、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト又はそれらの混合物から選択されるフィラーと、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、珪灰石、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加のフィラー、好ましくはカーボンブラックとを含み、追加のフィラーは、表面反応炭酸カルシウム及び/又は沈降ハイドロマグネサイトから選択されるフィラーとの体積比で、10:90~90:10、好ましくは25:75~75:25、より好ましくは40:60~60:40の範囲で、最も好ましくは50:50で存在する。
本願の意味において、「ナノフィラー」という語は、エラストマー樹脂に本質的に不溶性である材料に関し、ここで、この材料は、1μm未満の体積メジアン粒径d50を有する。
好ましい実施形態では、硬化性エラストマー組成物は架橋剤をさらに含み、この架橋剤は、好ましくは、過酸化物硬化剤、硫黄系硬化剤、ビスフェノール系架橋剤、アミン又はジアミン系架橋剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらに、架橋助剤が存在していてもよい。
硬化剤が過酸化物である場合、硬化剤は、ペルエステル、ペルケタール、ハイドロペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジアシルペルオキシド、及びケトンペルオキシドを含む非常に広範囲の材料から選択することができる。このような過酸化物の例としては、t-ブチルペルオクタノエート、ペルベンゾエート、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ビス-(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス-(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン、又はα,α’-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、1,1-ビス(tert-ヘキシルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルペルオキシマレエート又はtert-ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネートなどが含まれる。必要に応じて、2種類又はそれを超える過酸化物の混合物を使用することができる。
好ましくは、過酸化物架橋剤は、助剤と組み合わせて使用することができる。適切な助剤の例は、1,2-ポリブタジエン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、m-フェニレンジアミン-ビス-マレイミド又はトリアリルシアヌレートである。
硫黄系硬化剤は、元素硫黄又は硫黄含有システムを使用することができ、チオ尿素、例えば、エチレンチオ尿素、N,N-ジブチルチオ尿素、N,N-ジエチルチオ尿素など;チウラムモノスルフィド及びジスルフィド、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTMS)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTDS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTDS)、テトラエチルチウラムモノスルフィド(TETMS)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(DPTH)など;ベンゾチアゾールスルフェンアミド、例えば、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)など;2-メルカプトイミダゾリン、N,N-ジフェニルグアナジン、N,N-ジ-(2-メチルフェニル)-グアナジン;チアゾール促進剤、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛など;ジチオカルバメート促進剤、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛など;を使用することができる。必要に応じて、2種類又はそれを超える硫黄系硬化剤の混合物を使用することができる。
適切なアミン架橋剤の例は、ブチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、トリメチルアミン、又はジエチルシクロヘキシルアミンである。適切なジアミン架橋剤の例は、ビス-シンナミリデンヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、ビス-ペルオキシカルバメート、例えば、ヘキサメチレン-N,N’-ビス(tert-ブチルペルオキシカルバメート)又はメチレンビス-4-シクロヘキシル-N,N’-(tert-ブチルペルオキシカルバメート)、ピペラジン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチルジアミン、又はジエチレントリアミンである。
適切なビスフェノール架橋剤の例は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、置換ハイドロキノン、4,4’-二置換ビスフェノール、又はヘキサフルオロ-ビスフェノールAである。
架橋剤及び架橋助剤は、存在する場合、硬化工程中に架橋性ポリマーと反応し、したがって、硬化したエラストマー生成物の一部を形成し得ることを理解されたい。さらに、硬化したエラストマー生成物は、したがって、架橋剤及び存在する場合に架橋助剤の反応生成物を含み得る。
一実施形態によれば、硬化性エラストマー組成物は、架橋性ポリマーの総重量に基づいて0.1~20重量%の量で、好ましくは0.2~15重量%の量で、より好ましくは0.5~10重量%で、最も好ましくは1~5重量%の量で架橋剤を含む。
硬化性エラストマー組成物の調製
一実施形態によれば、本発明の硬化性エラストマー組成物の製造方法は、以下の工程を含む:
(i)架橋性ポリマーを提供すること、
(ii)表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを提供すること、
ここで、この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、及び
(iii)工程(i)の架橋性ポリマーと工程(ii)のフィラーとを、1つ又は複数の工程、好ましくは1つの工程で混ぜ合わせること。
任意に、上述のさらなる成分のいずれかを、工程(iii)の前、間及び/又は後に添加することができる。例えば、架橋剤及び/又は追加のフィラーを、工程(iii)の前、間及び/又は後に添加することができる。一実施形態によれば、少なくとも1つの架橋剤を、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、0.1~20重量%の量で、好ましくは0.2~15重量%の量で、より好ましくは0.5~10重量%の量で、最も好ましくは1~5重量%の量で、工程(iii)の前、間及び/又は後に添加し、かつ/又は少なくとも1つの追加のフィラーを、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%の量で、最も好ましくは2~15重量%の量で、工程(iii)の前、間及び/又は後に添加する。
組成物の成分は、当技術分野で公知の任意の方法によって混ぜ合わせることができる。一実施形態によれば、これらの成分は、ミキサー、好ましくは開放ミルシリンダーミキサー中で混合される。別の実施形態によれば、これらの成分は、オープンロール、バンバリーミキサー又はニーダーなどの混練機によって混練される。
成分は、溶媒に溶解又は分散した状態で混ぜ合わせることができる。さらに、架橋性ポリマーが2種類又はこれを超えるタイプのポリマーである場合には、最初に個々に製造したポリマーをまずブレンドしてポリマー混合物を製造してから、フィラーを添加してもよく、あるいは、2種類又はこれを超えるタイプのポリマーをフィラーと同時にブレンドしてもよい。
当業者は、硬化性エラストマー組成物の成分間の反応が回避されるように、ブレンドする温度を適合させる。例えば、架橋剤が存在する場合、架橋反応を回避するためにブレンド時の冷却が必要となり得る。一実施形態によれば、ブレンドする温度は、20~120℃、好ましくは40~60℃である。ブレンド時間は、5~60分が好ましく、10~30分がより好ましい。
一実施形態によれば、フィラーは、硬化性エラストマー組成物の総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~60重量%、より好ましくは5~40重量%、最も好ましくは10~30重量%の量で提供され、かつ架橋性ポリマーは、硬化性エラストマー組成物の総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは40~98重量%、より好ましくは60~95重量%、最も好ましくは70~90重量%の量で提供される。
別の実施形態によれば、フィラーは、架橋性ポリマー及びフィラーの総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~60重量%、より好ましくは5~40重量%、及び最も好ましくは10~30重量%の量で提供され、架橋性ポリマーは、架橋性ポリマー及びフィラーの総重量に基づいて、20~99重量%、好ましくは40~98重量%、より好ましくは60~95重量%、及び最も好ましくは70~90重量%の量で提供される。
硬化したエラストマー生成物
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る硬化性エラストマー組成物から形成される硬化したエラストマー生成物が提供される。
本発明の硬化したエラストマー生成物は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって硬化性エラストマー組成物から形成することができる。硬化したエラストマー生成物の製造方法は、以下の工程を含むことができる:
(I)硬化性エラストマー組成物を提供すること、及び
(II)硬化性エラストマー組成物を硬化させること。
一実施形態によれば、以下の工程を含む、硬化したエラストマー生成物の製造方法が提供される:
(i)架橋性ポリマーを提供すること、
(ii)表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを提供すること、
ここで、この表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
(iii)1つ又は複数の工程で、工程(i)の架橋性ポリマーと、工程(ii)のフィラーとを混ぜ合わせて、硬化性エラストマー組成物を形成すること、及び
(iv)工程(iii)の硬化性エラストマー組成物を硬化させること。
一実施形態によれば、工程(iii)を一工程で実施する。
硬化性エラストマー組成物の硬化は、当技術分野で公知の任意の方法によって実施することができる。一実施形態によれば、硬化工程(II)又は(iv)は、架橋剤、加熱処理、紫外線放射、電子ビーム放射及び/又は核放射を加えることによって実施される。
加熱処理は、95~230℃、好ましくは125~180℃、最も好ましくは150~170℃の温度で行うことができる。加熱時間は、1分~15時間、好ましくは5分~2時間、最も好ましくは10~30分であってよい。
好ましい実施形態によれば、硬化工程(II)又は(iv)は、架橋剤を添加し、かつ加熱処理を適用することによって行われる。架橋剤は、上記に開示した架橋剤から選択することができる。一実施形態によれば、架橋剤は、架橋性ポリマーの総重量に基づいて、0.1~20重量%の量で、好ましくは0.2~15重量%の量で、より好ましくは0.5~10重量%、最も好ましくは1~5重量%の量で、工程(iii)の前、間及び/又は後に添加される。架橋剤の添加と加熱処理は同時に行ってもよいし、架橋剤の添加後に加熱処理を施してもよい。
硬化性エラストマー組成物は、同時に成形されかつ硬化されてもよく、又は最初に成形され、その後硬化されてもよい。本発明のさらなる実施形態によれば、硬化したエラストマー生成物を製造する方法は、工程(II)又は(iv)の間に硬化性エラストマー組成物を成形するさらなる工程(III)又は(v)を含む。
硬化性エラストマー組成物を成形する方法は、当業者に公知である。例えば、成形は、射出形状、トランスファー成形又は圧縮成形、好ましくは圧縮成形などの押出又は成形によって行うことができる。圧縮成形の間に圧力が加えられ、混合物は型の所定の形状になって、混合物が型のすべての領域と接触するようになり、かつ混合物が型内で架橋して、硬化したエラストマー生成物が所望の形状を保持するようになっている。好ましくは、圧縮成形は、少なくとも10MPa(100バール)、好ましくは少なくとも15MPa(150バール)、より好ましくは少なくとも20MPa(200バール)の圧力で行われる。
本発明のさらなる態様によれば、本発明による硬化したエラストマー生成物を含む物品が提供される。好ましい実施形態によれば、物品は、チューブレス物品、メンブラン、シーリング、グローブ、パイプ、ケーブル、電気コネクター、オイルホース、靴底、O-リングシール、シャフトシール、ガスケット、管材、バルブステムシール、燃料ホース、タンクシール、ダイアフラム、ポンプ用柔軟ライナー、メカニカルシール、管継ぎ手、バルブライン、軍用フレアブラインダー、電気コネクター、燃料ジョイント、ロールカバー、防火壁シール、ジェットエンジン用クリップ、タイヤ、及びコンベアベルトを含む群から選択される。
本出願の発明者らは、驚くべきことに、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを、硬化したエラストマー生成物を強化するために使用できることを見出した。言い換えれば、上述のフィラーを含む硬化したエラストマー生成物の機械的特性は、カーボンブラックなどの当技術分野で従来から使用されているフィラーを含むか又はフィラーを含まない硬化したエラストマー生成物と比較して、改善することが見出された。特に、硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び破断点伸びは、本発明のフィラーの存在によって改善され得ることが見出された。
さらなる態様によれば、硬化したエラストマー生成物を強化するためのフィラーの使用が提供され、ここで、このフィラーは、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択され、かつこの表面反応炭酸カルシウムは、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、この二酸化炭素が、上記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される。
一実施形態によれば、硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張強度及び/又は引張弾性率は、フィラーなしの硬化したエラストマーと比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加し、ここで、引裂抵抗は、NF ISO 34-2に準拠して測定され、かつ破断点伸び、引張強度、引張弾性率は、NF ISO 37に準拠して測定される。
さらなる実施形態によれば、硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張弾性率(引張モジュラス)M100は、フィラーとして等容量のカーボンブラックN550を含む硬化したエラストマー生成物と比較して増加し、ここで、カーボンブラックは、ASTM D 6556-19に準拠して測定して、39±5m/gの統計的厚さ表面積(STSA)を有し、引裂抵抗はNF ISO 34-2に準拠して測定され、かつ破断点伸び、引張強度、引張弾性率は、NF ISO 37に準拠して測定される。好ましくは、エラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸びを、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加させることができる。
本発明の範囲及び本発明による利益は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図し、かつ非限定的なものである以下の実施例に基づいてより良く理解される。
1.方法
分子量
数平均分子量Mは、ISO 16014-1:2019及びISO 16014-2/2019に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される。
酸価
酸価は、ASTM D974-14に従って測定される。
比表面積(BET)
比表面積(m/g)は、当業者に周知のBET法(吸着ガスとして窒素を使用)を使用して決定される(ISO 9277:2010)。したがって、フィラー材料の総表面積(m)は、この比表面積と対応する試料の質量(g)との乗算によって得られる。
ヨウ素価
ヨウ素価はDIN 53241/1に従って測定される。
粒径
体積メジアン粒径d50(vol)及び体積トップカット粒径d98(vol)は、Malvern Mastersizer 3000 Laser Diffraction Systemを使用して評価する。Malvern Mastersizer 3000 Laser Diffraction Systemを使用して測定されたd50又はd98値は、粒子の50体積%又は98体積%が、それぞれ、この値未満の直径を有するような直径の値を示す。粒子屈折率1.57、吸収係数0.005として、測定により得られた生データを、Mie理論を用いて解析する。
重量メジアン粒径d50(wt)及び重量トップカット粒径d98(wt)は、重量場における沈降挙動の分析である沈降法によって決定される。測定は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(登録商標)5100又は5120を用いて行う。この方法及び器具は、当業者に知られており、フィラー及び顔料の粒径を決定するために一般に使用されている。0.1重量%のNaの水溶液中で測定を行う。高速撹拌機を用いて試料を分散し、かつ超音波処理した。
これらの方法及び器具は、当業者に知られており、フィラー及び顔料の粒径を決定するために一般に使用されている。
吸湿感受性
本明細書で言及する材料の吸湿感受性は、+23℃(±2℃)の温度で2.5時間、10%及び85%相対湿度の雰囲気にそれぞれ曝露した後の、1g当たりの水分のmg(mg水分/g)で決定される。測定は、Gintronic社のGraviTest 6300装置で行った。この目的のために、試料を最初に10%相対湿度の雰囲気に2.5時間保ち、次いで、この雰囲気を85%相対湿度に変化させ、そこで試料をさらに2.5時間保つ。次いで、10%相対湿度から85%相対湿度の間の重量増加を使用して、試料1g当たりの水分のmg(mg水分/g試料)での水分の取り込み(吸湿性)を計算する。
硬化したポリマー生成物試料の分析
硬化したエラストマー生成物試料に関するすべての試験について、生成物試料の成形と試験との間に最低16時間を保った。試料は制御された環境(温度:23±2℃、相対湿度(RH):50±5%)に保った。
引張強度、破断点伸び、引張モジュラスM300及びM100:
以下の表1に概説したパラメータを用いて、Zwick T2000、Zwick Z005、又はZwick Z100装置で、NF ISO 37に従って、引張強度、破断点伸び、引張モジュラスM300及びM100を測定した。
Figure 2023535311000001
引裂抵抗
引裂抵抗(DELFT)は、表2に概説したパラメータを使用して、Zwick T2000、Zwick Z005、Zwick Z100装置でNF ISO 34-2に従って測定した。
Figure 2023535311000002
Shore A硬度
硬度(Shore A)は、表3に概説したパラメータを用いてBareiss Digitest II装置で、NF ISO 7619-1に従って測定した。
Figure 2023535311000003
IRHD硬度
硬度(IRHD)は、表4に概説したパラメータを使用して、Wallace IRHD H14/1 + Gibitre-PCタイプN自動装置で、NF ISO 48-1に従って測定した。
Figure 2023535311000004
圧縮永久歪み
これらの試験は、円筒成形ゴム試料である圧縮永久歪みプロットタイプBについて行った。試料の直径は13.0±0.5mm、厚さは6.3±0.3mmであった。試験は、表5に概説したパラメータを使用して、100℃で72時間行った。
Figure 2023535311000005
2.材料
処理剤A
処理剤Aは、RICON(登録商標)130MA8(Cray Valley社)の商品名で市販されている、無水マレイン酸で官能化した低分子量ポリブタジエン(M=3100Da、ブルックフィールド粘度:6500cps±3500(25℃)、酸価:40.1~51.5meq KOH/g、全酸:7~9重量%;微細構造(ブタジエンのモル%):20~35%の1,2-ビニル官能基)である。
処理剤B
処理剤Bは、Sigma-Aldrichから市販されている、(ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド)(TESPT)(CAS:40372-72-3)である。
処理剤C
処理剤Cは、約40%のステアリン酸及び約60%のパルミチン酸からなる脂肪酸混合物である。
処理剤D
処理剤Dは、モノ置換アルケニル無水コハク酸(2,5-フランジオン、ジヒドロ-、モノ-C15-20アルケニル誘導体、CAS:68784-12-3)である。これは、主に分枝したオクタデセニルコハク酸無水物(CAS:28777-98-2)と、主に分枝したヘキサデセニルコハク酸無水物(CAS:32072-96-1)とのブレンドであり、ここで、このブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、80重量%を超える分枝状オクタデセニルコハク酸無水物を含有する。ブレンドの純度は>95重量%であり、残留オレフィン含有量は、ブレンドの総重量に基づいて3重量%未満であった。
処理剤E
処理剤Eは、オクタデシルトリエトキシシラン(CAS:7399-00-0、Gelest Inc.から市販されている)である。
処理剤F
処理剤Fは、RICOBOND(登録商標)1031(Cray Valley)の商品名で市販されている、無水マレイン酸で官能化された低分子量の低ビニルブタジエン(M=5000g/mol、ブルックフィールド粘度:48000cps(25℃)、1,2-ビニル含量=28重量%;MA基/鎖=5)である。
粉末1
粉末1は、d50(vol)4.8μm、d98(vol)13.3μm、比表面積(SSA)33m/gの表面反応炭酸カルシウムである。
粉末2
粉末2は、80%ヒドロキシアパタイトと20%カルサイトとからなる表面反応炭酸カルシウム(BET=85m/g、d50(vol)=6.1μm、d98(vol)=13.8μm)であり、以下の方法で調製した:
沈降によって測定して、2μm未満が90重量%の粒径分布を有するノルウェーのHustadmarmorからの粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて10重量%の固形分が得られるようにして調整することによって、混合容器中で350リットルの天然粉砕炭酸カルシウムの水性懸濁液を調製した。
懸濁液を混合しながら、62kgの30%濃リン酸を、70℃の温度で10分間にわたってこの懸濁液に添加した。最後に、リン酸を添加した後、スラリーをさらに5分間撹拌し、その後容器から取り出して乾燥させた。
粉末3
粉末3は、83%ヒドロキシアパタイトと17%カルサイトとからなる表面反応炭酸カルシウムである(BET=67m/g、d50(vol)=1.2μm、d98(vol)=9.7μm)。
粉末4
粉末4は、沈降ハイドロマグネサイト(BET比表面積:84.2m/g、d50(vol)=7.6μm、d95(vol)=20.6μm)である。
粉末5
粉末5は、粉末4を2.5重量%の処理剤Aで表面処理することによって調製した。この処理を行うために、まず、処理剤(25g)を脱イオン水100mLに分散させ、60℃に加熱し、NaOH溶液でpH9~10に中和した。
粉末4の懸濁液(7.5L脱イオン水中1kg)を10LのESCOバッチ反応器(ESCO-Labor AG、スイス)中で調製し、85℃に加熱した。Ca(OH)でpHを10~11に調整し、次いで激しく撹拌しながら中和された処理剤を添加した。85℃で45分間混合を続け、次いで懸濁液を金属トレイに移し、オーブン(110℃)中で乾燥させた。次いで、乾燥ケーキをSR300ロータービーターミル(Retsch GmbH、ドイツ)を用いて解凝集させた。
粉末6
粉末6は、7.5重量%の処理剤Bで粉末2を表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ)中で行った。粉末2(300g)をミキサーに入れ、500rpm及び室温で撹拌した。次いで、処理剤B(7.5重量%、24g)を混合物に滴下添加し、撹拌をさらに10分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末7
粉末7は、沈降ハイドロマグネサイト(d50(vol)=8.8μm、d98(vol)=29μm)である。
粉末8
粉末8は、沈降ハイドロマグネサイト(d50(vol)=11.6μm、d98(vol)=47μm)である。
粉末9
粉末9は、粉末7を4重量%の処理剤Cで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末7(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤C(4重量%、6g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末10
粉末10は、粉末7を10重量%の処理剤Cで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末7(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤C(10重量%、15g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末11
粉末11は、粉末7を4重量%の処理剤Dで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末7(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤D(4重量%、6g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末12
粉末12は、粉末7を10重量%の処理剤Dで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末7(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤D(10重量%、15g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末13
粉末13は、粉末7を5重量%の処理剤C及び5重量%の処理剤Aで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行われた。粉末7(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。処理剤C(5重量%、7.5g)を最初にゆっくりと添加し、処理剤A(5重量%、7.5g)を続いて混合物に添加した。次いで、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末14
粉末14は、粉末8を4重量%の処理剤Dで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末8(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤D(4重量%、6g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末15
粉末15は、粉末8を4重量%の処理剤Bで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末8(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤B(4重量%、6g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末16
粉末16は、粉末8を4重量%の処理剤Eで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ、2.5L容器を装備)中で行った。粉末8(150g)をミキサーに入れ、500rpm及び120℃で撹拌した。次いで、処理剤E(4重量%、6g)を混合物に添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末17
粉末17は、粉末7を4重量%の処理剤Cで表面処理することによって調製した。処理を行うために、処理剤(8g)をまず300mLの脱イオン水中に分散させ、80℃に加熱し、NaOH溶液(1.5g)で中和した。
粉末7(5Lの脱イオン水中0.2kg)の懸濁液を10LのESCOバッチ反応器(ESCO-Labor AG、スイス)中で調製し、85℃に加熱した。次いで、激しく撹拌しながら中和された処理剤を添加した。85℃で45分間混合を続け、次いで懸濁液をフィルタープレス中でろ過し、金属トレイに移し、オーブン中(110℃)で乾燥させた。次いで、乾燥ケーキを、200マイクロメートルの篩を備えたSR300ロータービーターミル(Retsch GmbH、ドイツ)を使用して解凝集させた。
Figure 2023535311000006
粉末18
粉末18は、表面反応炭酸カルシウムであり(BET=139m/g、d50(vol)=6.1μm、d98(vol)=14.2μm)、以下の方法で調製した:
沈降によって測定して、2μm未満が90重量%の粒径分布を有するノルウェーのHustadmarmorからの粉砕大理石炭酸カルシウムの固形分を、水性懸濁液の総重量に基づいて10重量%の固形分が得られるようにして調整することによって、混合容器中で350リットルの天然粉砕炭酸カルシウムの水性懸濁液を調製した。
懸濁液を混合しながら、62kgの30%濃リン酸を、70℃の温度で10分間にわたってこの懸濁液に添加した。さらに、リン酸添加の間に、1.9kgのクエン酸を迅速に(約30秒間)スラリーに添加した。最後に、リン酸を添加した後、スラリーをさらに5分間撹拌し、その後容器から取り出して乾燥させた。
粉末19
粉末19は、粉末7を5重量%の処理剤Aで表面処理することによって調製した。処理を実施するために、処理剤(35g)を、最初に400mLの脱イオン水中に分散させ、60℃に加熱し、NaOH溶液でpH10に中和した。
粉末7の懸濁液(6Lの脱イオン水中700g)を10LのESCOバッチ反応器中で調製し、85℃に加熱した。Ca(OH)でpHを10に調整し、次いで激しく撹拌しながら中和された処理剤を添加した。85℃で45分間混合を続け、次いで懸濁液をフィルタープレス上でろ過し、オーブン(110℃)中で一晩乾燥させた。次いで、乾燥したろ過ケーキを、Retsch SR300ロータービーターミルを用いて解凝集させた。
粉末20
粉末20は、沈降ハイドロマグネサイト(BET=70.1m/g、d50(vol)=6.3μm、d98(vol)=70μm)である。
粉末21
粉末21は、粉末2を8重量%の処理剤Bで表面処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ)中で行った。粉末2(500g)をミキサーに入れ、500rpm及び70℃で撹拌した。次いで、処理剤B(8重量%、40g)を混合物に滴下添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した。
粉末22
粉末22は、粉末7を7.5重量%の処理剤Aで表面処理することによって調製した。処理を実施するために、処理剤(64g)を、最初に400mLの脱イオン水中に分散させ、60℃に加熱し、NaOH溶液でpH10に中和した。
粉末7の懸濁液(6Lの脱イオン水中850g)を10LのESCOバッチ反応器中で調製し、85℃に加熱した。Ca(OH)でpHを10に調整し、次いで激しく撹拌しながら中和された処理剤を添加した。85℃で45分間混合を続け、次いで懸濁液をフィルタープレス上でろ過し、オーブン(110℃)中で一晩乾燥させた。次いで、乾燥したろ過ケーキを、Retsch SR300ロータービーターミルを用いて解凝集させた。
粉末23
粉末23は、沈降ハイドロマグネサイト粉末を処理剤Bで処理することによって調製した。表面処理は、高速ミキサー(Somakon MP-LB Mixer、Somakon Verfahrenstechnik、ドイツ)中で行われた。未処理の沈降ハイドロマグネサイト粉末(400g)をミキサーに入れ、500rpm及び70℃で撹拌した。次いで、処理剤B(7.5重量%、30g)を混合物に滴下添加し、撹拌をさらに15分間続けた。その後、混合物を放冷し、粉末を回収した(BET=32.8m/g、d50(vol)=8.6μm;d98(vol)=45μm)。
粉末CE1(比較)
粉末CE1は、Orion engineered Carbons GmbHから市販されているN550カーボンブラックフィラーである(Purex(登録商標)HS 45、ヨウ素価:43±5mg/g;STSA表面積(ASTM D 6556に従う):39±5m/g)。
粉末CE2(比較)
粉末CE2は、Imerysから市販されている高純度の完全焼成カオリンである(Polestar 200R、d50(wt)=2μm)。
粉末CE3(比較)
粉末CE3は、d50(wt)が2.4μm、d98が9μm、BET比表面積が約2m/gの炭酸カルシウムである。
粉末CE4(比較)
粉末CE4は、Imerysから市販されている高純度の完全焼成カオリンである(Polestar 200P、d50(wt)=2μm)。
粉末CE5(比較)
粉末CE5は、Evonikから市販されている沈降シリカである(Ultrasil VN3、BET比表面積=180m/g)。
粉末CE6(比較)
粉末CE6は、Cabotから市販されているN220カーボンブラックフィラーである(Vulcan(登録商標)6、ヨウ素価:121mg/kg、STSA表面積(ASTM D 6556による):104m/g)。
粉末CE7(比較)
粉末CE7は、フランス製(Micromya-OM)の粉砕炭酸カルシウム粉末である(d50(wt)=2.4μm、d98(wt)=20μm)。
3.実施例
3.1.実施例シリーズA:単純なEPDM配合物
硬化したエラストマー生成物を以下に記載するとおりに調製した。この調製した硬化したエラストマー生成物の組成を以下の表9にまとめる。
工程1:内部混合
第1の工程として、バンバリーローターを搭載した300cm容量のHAAKE内部ミキサーで各バッチを混合した。温度は、各混合の開始時に40℃に設定し、処理中に、組み込まれるフィラーに応じて、この温度を90℃まで上昇させた。各バッチについて以下のプロセスを使用した(表7)。
Figure 2023535311000007
工程2-外部混合
第2の工程では、機器を搭載したシリンダーミキサー(300×700又は150×350)で過酸化物架橋剤との混合を行った。すべてのゴムを、同じ時間、シリンダー速度、及びシリンダー間隔で混合し、それらのレオロジー特性の比較に影響を及ぼさないようにした。冷却システムを25℃に設定し、金属ガイドを、ゴムがシリンダー表面の70%を占めることができるように設定した。2回の加速の間に、シリンダーを掃除し、冷やしておく。このプロセスの詳細な手順は、以下の表8に記載されている。
Figure 2023535311000008
工程3:成形
次いで、160℃、200barの圧力でピースを圧縮成形により成形した。このようにして、小さな150×150×2mmのシートを調製した。成形時間を決定する硬化時間を、レオロジーMDR(Moving Die Rheometer)試験によって決定した。
上記の方法に従って、以下の表9のエラストマー組成物を得た。すべてのエラストマー組成物は、等容量のフィラーを有していた。すべてのフィラーを、カーボンブラックと50/50%体積で組み合わせた。したがって、カーボンブラック参照バッチは、100phrのN550を含有する。その他のバッチは、50phrのN550と、それらの密度に応じてわずかに変化する量のミネラルフィラーとを含有し、それによって、50phrのカーボンブラックの体積に等しい量のミネラルフィラーを有するようにした(表9に星印を付して示してある)。
Figure 2023535311000009
得られた硬化したエラストマー組成物は、以下の表10にまとめた特性を有していた。
Figure 2023535311000010
破断伸び及び引裂抵抗(DELFT)に対する効果が表10に示されている。
3.2.実施例シリーズB:EPDM硫黄硬化配合物
硬化したエラストマー生成物を以下に記載するとおりに調製した。この調製した硬化したエラストマー生成物の組成を以下の表11にまとめる。
工程1:内部混合
内部混合を実施例3.1に記載したように行った。
工程2:外部混合
外部混合を実施例3.1に記載したように行い、過酸化物硬化剤との混合を、機器を搭載したシリンダーミキサー(150×350)で行った。
工程3:成形
次いで、160℃又は180℃、100kgf/cmの圧力で圧縮成形することによってピースを成形した。このようにして、小さな150×150×2mmのシートを調製した。成形時間を決定する架橋時間を、レオロジーMDR試験を通じて決定した。
硬化性エラストマー組成物の組成を以下の表11に示し、かつ硬化したエラストマー組成物の特性を以下の表12に示す。実験用のフィラーの量は、粉末CE1(カーボンブラック)40phrと同じ体積に相当するように、各フィラーの測定した密度に従って調整した。
Figure 2023535311000011
Figure 2023535311000012
破断点伸び及び引裂抵抗(DELFT)に対する効果が表12に示されている。
3.3.実施例シリーズC:EPDM過酸化物硬化配合物
工程1:内部混合
第1の工程として、以下の表13に示す混合手順に従って、EPDM及びフィラーのバッチを2Lのバンバリー内部ミキサー中で混合した。温度は、各混合の開始時に40℃に設定し、かつ組み込まれるフィラーに応じて、この温度を処理中に150℃まで上昇させた。
Figure 2023535311000013
工程2:外部混合
第2の工程のために、過酸化物架橋剤との混合をシリンダーミキサー(300×700)で行った。すべてのエラストマー前駆体を、同じ時間、シリンダー速度、及びシリンダー間隔で混合した。冷却システムを40℃に設定し、金属ガイドを、エラストマー前駆体がシリンダー表面の70%を占めることができるように設定した。このプロセスの詳細な手順は、以下の表14に記載されている。
Figure 2023535311000014
工程3:成形
エラストマー組成物のシートを、180℃及び200バールの圧力で圧縮成形することによって製造した。このようにして、小型の300×300×2mmのプレートを作製した。成形時間を決定する硬化時間を、レオロジーMDR(Moving Die Rheometer)試験を通じて決定した。t98値(98%の架橋に達するのに必要な時間、MDR分析によって決定)をプレスプレートの硬化時間とした。圧縮永久歪み試験片の作製は、圧縮成形と同じ手順で行った。使用した硬化時間は、これらの試験片の厚さがプレスプレートよりも厚いので、t98に10分を追加したものであった。
上記の方法に従って、以下の表15のエラストマー組成物を得た。すべてのエラストマー組成物は、等容量のフィラーを有していた。すべてのフィラーを、カーボンブラックと50/50%体積で組み合わせた。したがって、カーボンブラック参照試料C-CE1は、100phrのN550を含有する(粉末CE1)。その他の試料は、50phrのN550と、それらの密度に応じてわずかに変化する量のミネラルフィラーとを含有し、それによって、50phrのカーボンブラックの体積に等しい量のミネラルフィラーを有するようにした(表15に星印を付して示してある)。
Figure 2023535311000015
得られたエラストマー組成物は、以下の表16にまとめた機械的特性を有していた。
Figure 2023535311000016
表16から分かるように、本発明の硬化したエラストマー生成物(C-E18、C-E19、及びC-E20)のShore A硬度は改善している。さらに、本発明の硬化したエラストマー生成物は、良好なM50モジュラス及び破断点伸び、又はこれらの機械的特性のさらなる改善さえも示した。
3.4.実施例シリーズD:タイヤトレッド硫黄硬化SBR配合物
工程1:内部混合
第1の工程として、以下の表17に示す混合手順に従って、SBRゴム及びフィラーのバッチを2Lのバンバリー内部ミキサー中で混合した。温度は、各混合の開始時に40℃に設定し、かつ組み込まれるフィラーに応じて、この温度を処理中に150℃まで上昇させた。
Figure 2023535311000017
工程2:外部混合
第2の工程のために、硬化システムとの混合を外部ミキサーAgila(300×400)で行った。すべてのエラストマー前駆体を、同じ時間、シリンダー速度、及びシリンダー間隔で混合した。冷却システムを40℃に設定し、金属ガイドを、エラストマー前駆体がシリンダー表面の70%を占めることができるように設定した。このプロセスの詳細な手順は、以下の表18に記載されている。
Figure 2023535311000018
工程3-圧縮成形
エラストマー組成物のシートを、160℃又は180℃、100kgf/cmの圧力で圧縮成形することによって製造した。このようにして、小さな300×300×2mmのプレートを調製した。成形時間を決定する架橋時間を、レオロジーMDR試験を通じて決定した。
上記の方法に従って、以下の表19のエラストマー組成物を得た。すべてのエラストマー組成物は、等容量のフィラーを有していた。フィラーの量は、フィラーの密度に応じて、40phrのカーボンブラック(粉末CE6)が占める体積に合うように調整した(表19に星印を付して示してある)。
Figure 2023535311000019
得られたエラストマー組成物は、以下の表20にまとめた以下の機械的特性を有していた。
Figure 2023535311000020

Claims (18)

  1. 以下を含む硬化性エラストマー組成物であって:
    架橋性ポリマー、及び
    表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラー、
    ここで、前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が、前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
    硬化性エラストマー組成物。
  2. 前記架橋性ポリマーが、天然又は合成ゴムから選択され、
    好ましくは、前記架橋性ポリマーが、アクリルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、水素化ニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレン-イソブチレンゴム、クロロ-イソブテン-イソプレンゴム、臭素化イソブテン-イソプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、ポリウレタンゴム、ポリスルフィドゴム、熱可塑性ゴム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ニトリル-ブタジエンゴム及び/又はエチレン-プロピレン-ジエンゴムからなる群から選択される、
    請求項1に記載の硬化性エラストマー組成物。
  3. 前記フィラーが、前記硬化性エラストマー組成物の総重量に基づいて、1~80重量%、好ましくは2~70重量%、より好ましくは5~60重量%、最も好ましくは10~50重量%の量で存在し、又は前記フィラーが、前記架橋性ポリマーの総重量に基づいて、100部当たり5~175部(phr)、好ましくは100部当たり20~160部、最も好ましくは100部当たり30~150部の量で存在する、請求項1又は2に記載の硬化性エラストマー組成物。
  4. 前記フィラーが以下を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物:
    0.1~75μm、好ましくは0.5~50μm、より好ましくは1~40μm、さらにより好ましくは1.2~30μm、最も好ましくは1.5~15μmの体積メジアン粒径d50;及び/又は
    0.2~150μm、好ましくは1~100μm、より好ましくは2~80μm、さらにより好ましくは2.4~60μm、最も好ましくは3~30μmの体積トップカット粒径d98;及び/又は
    窒素及びBET法を使用して測定した、15m/g~200m/g、好ましくは20m/g~180m/g、より好ましくは25m/g~140m/g、さらにより好ましくは27m/g~120m/g、最も好ましくは30m/g~100m/gの比表面積。
  5. 前記天然粉砕炭酸カルシウムが、大理石、チョーク、石灰石、及びそれらの混合物からなる群から選択され、又は
    前記沈降炭酸カルシウムが、アラゴナイト、バテライト、又はカルサイトの結晶形を有する沈降炭酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択され、及び/又は
    少なくとも1つの前記Hイオン供与体が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸、酸性塩、酢酸、ギ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
    好ましくは、少なくとも1つの前記Hイオン供与体が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸;Li、Na及び/又はKから選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO ;Li、Na、K、Mg2+及び/又はCa2+から選択されるカチオンによって少なくとも部分的に中和されているHPO 2-;及びこれらの混合物からなる群から選択され、
    より好ましくは、少なくとも1つの前記Hイオン供与体が、塩酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、シュウ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
    最も好ましくは、少なくとも1つの前記Hイオン供与体が、リン酸である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物。
  6. 前記沈降ハイドロマグネサイトは、表面処理した沈降ハイドロマグネサイトであるか、又は沈降ハイドロマグネサイトと表面処理した沈降ハイドロマグネサイトとの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物。
  7. 前記フィラーが、前記フィラーの表面の少なくとも一部に、少なくとも1つの表面処理層を含み、
    前記少なくとも1つの表面処理層が、前記フィラーを、前記フィラーの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの量の少なくとも1つの表面処理組成物と接触させることによって形成され、かつ
    前記少なくとも1つの表面処理組成物が、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含み、
    好ましくは、前記少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物:
    (a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、前記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
    (b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
    (i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
    (ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
    (iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
    (iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
    (v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
    (c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
    (d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
    (e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
    (f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
    (g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
    (h)(a)~(g)による材料の混合物。
  8. 前記硬化性エラストマー組成物が、架橋剤を含み、好ましくは、前記架橋剤が、過酸化物架橋剤、硫黄系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、アミン若しくはジアミン系架橋剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物。
  9. 前記硬化性エラストマー組成物が、着色顔料、染料、ワックス、潤滑剤、酸化-及び/又はUV-安定剤、酸化防止剤、追加のフィラー、加工助剤、可塑剤、追加のポリマー、及びそれらの混合物をさらに含み、
    好ましくは、前記追加のフィラーが、カーボンブラック、シリカ、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ナノフィラー、グラファイト、クレー、タルク、カオリンクレー、焼成カオリン、焼成クレー、珪藻土、硫酸バリウム、二酸化チタン、珪灰石、及びこれらの混合物を含む群から選択され、
    より好ましくは、粉砕天然炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、珪灰石、及びこれらの混合物を含む群から選択され、
    最も好ましくは、カーボンブラックである、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性エラストマー組成物から形成された硬化したエラストマー生成物。
  11. 請求項10に記載の硬化したエラストマー生成物を含む物品であって、好ましくは、前記物品が、チューブレス物品、メンブラン、シーリング、グローブ、パイプ、ケーブル、電気コネクター、オイルホース、靴底、O-リングシール、シャフトシール、ガスケット、管材、バルブステムシール、燃料ホース、タンクシール、ダイアフラム、ポンプ用柔軟ライナー、メカニカルシール、管継ぎ手、バルブライン、軍用フレアブラインダー、電気コネクター、燃料ジョイント、ロールカバー、防火壁シール、ジェットエンジン用クリップ、コンベアベルト、及びタイヤを含む群から選択される、物品。
  12. 以下の工程を含む、硬化したエラストマー生成物の製造方法:
    (i)架橋性ポリマーを提供すること、
    (ii)表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択されるフィラーを提供すること、
    ここで、前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が、前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
    (iii)1つ又は複数の工程で、工程(i)の前記架橋性ポリマーと、工程(ii)の前記フィラーとを混ぜ合わせて、硬化性エラストマー組成物を形成すること、及び
    (iv)工程(iii)の前記硬化性エラストマー組成物を硬化させること。
  13. 架橋剤、加熱処理、紫外線放射、電子ビーム放射、及び/又は核放射を加えることによって前記硬化工程(iv)を実施する、請求項12に記載の方法。
  14. 硬化したエラストマー生成物を強化するためのフィラーの使用であって、
    前記フィラーが、表面反応炭酸カルシウム、沈降ハイドロマグネサイト、又はそれらの混合物から選択され、かつ
    前記表面反応炭酸カルシウムが、天然粉砕炭酸カルシウム又は沈降炭酸カルシウムと、二酸化炭素及び1つ又は複数のHイオン供与体との反応生成物であり、前記二酸化炭素が、前記Hイオン供与体での処理によってその場で形成され、かつ/又は外部供給源から供給される、
    使用。
  15. 請求項14の使用であって、
    前記硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張強度及び/又は引張弾性率が、フィラーを含まない硬化したエラストマーと比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加し、かつ/又は
    前記硬化したエラストマー生成物の引裂抵抗及び/又は破断点伸び及び/又は引張強度及び/又は引張弾性率が、フィラーとして等容量のカーボンブラックN550を含有する硬化したエラストマー生成物と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%増加し、
    ここで、前記カーボンブラックは、ASTM D 6556-19に準拠して測定して、39±5m/gの統計的厚さ表面積(STSA)を有し、かつ
    前記引裂抵抗をNF ISO 34-2に準拠して測定し、かつ前記破断点伸び、引張強度、及び引張弾性率をNF ISO 37に準拠して測定する、
    使用。
  16. 以下の工程を含む、沈降ハイドロマグネサイトの表面処理方法であって:
    (I)沈降ハイドロマグネサイトを提供すること、
    (II)沈降ハイドロマグネサイトの表面1m当たり0.07~9mg、好ましくは1m当たり0.1~8mg、より好ましくは1m当たり0.11~3mgの範囲の量の少なくとも1つの表面処理組成物を提供すること、
    ここで、前記少なくとも1つの表面処理組成物が、モノ-又はジ-置換無水コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸含有化合物、モノ-又はジ-置換コハク酸塩含有化合物、飽和又は不飽和脂肪酸、飽和又は不飽和脂肪酸の塩、リン酸の飽和又は不飽和エステル、飽和又は不飽和リン酸エステルの塩、アビエチン酸、アビエチン酸の塩、ポリジアルキルシロキサン、トリアルコキシシラン、並びにそれらの混合物及びそれらの反応生成物からなる群から選択される少なくとも1つの表面処理剤を含む、
    及び
    (III)前記沈降ハイドロマグネサイトと前記少なくとも1つの表面処理組成物とを20~180℃の温度で、1つ又は複数の工程で接触させること、
    好ましくは、前記少なくとも1つの表面処理剤が下記からなる群から選択される、表面処理方法:
    (a)モノ-又はジ-置換コハク酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び/又はアンモニウム塩、ここで、前記アミン塩は直鎖状又は環状であり、一方又は両方の酸基が塩の形態であることができ、好ましくは両方の酸基が塩の形態である;不飽和脂肪酸、好ましくはオレイン酸及び/又はリノール酸;リン酸の不飽和エステル;アビエチン酸;及び/又はこれらの混合物;好ましくは、完全に中和された表面処理剤;及び/又は
    (b)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー又は無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエン-スチレンコポリマー及び/又はその酸及び/又は塩、好ましくは、以下を有する無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー及び/又はその酸及び/又は塩:
    (i)EN ISO 16014-1:2019に準拠して測定した、1000~20000g/mol、好ましくは1400~15000g/mol、より好ましくは2000~10000g/molのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した数平均分子量M、及び/又は
    (ii)1鎖あたり2~12、好ましくは2~9、より好ましくは2~6の範囲の無水物基の数、及び/又は
    (iii)400~2200、好ましくは500~2000、より好ましくは550~1800の範囲の無水物当量、及び/又は
    (iv)ASTM D974-14に準拠して測定された、無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマー1g当たり10~300meq KOH、好ましくは1g当たり20~200meq KOH、より好ましくは1g当たり30~150meq KOHの範囲の酸価、及び/又は
    (v)無水マレイン酸をグラフトしたポリブタジエンホモポリマーの不飽和炭素部分の総量に対して、5~80mol%、好ましくは10~60mol%、より好ましくは15~40mol%の範囲の1,2-ビニル基のモル量、及び/又は
    (c)トリアルコキシシラン、好ましくは、硫黄含有トリアルコキシシラン又はアミノ含有トリアルコキシシラン、より好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(TESPD)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるトリアルコキシシラン、及び/又は
    (d)1つ又は複数のリン酸モノエステル及び/又はそれらの塩、及び/又は1つ又は複数のリン酸ジエステル及び/又はそれらの塩のリン酸エステルのブレンド、及び/又は
    (e)少なくとも1つの飽和脂肪族直鎖状若しくは分岐状カルボン酸及び/又はそれらの塩、好ましくはC~C24の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、より好ましくはC12~C20の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、最も好ましくはC16~C18の総炭素原子数を有する少なくとも1つの脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、及び/又は
    (f)置換基中に少なくともC~C30の総炭素原子数を有する直鎖基、分岐基、脂肪族基及び環式基から選択される基でモノ置換された無水コハク酸からなる少なくとも1つのモノ置換無水コハク酸及び/又はそれらの塩、及び/又は
    (g)少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、好ましくは、ポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサン、及び/又は
    (h)(a)~(g)による材料の混合物。
  17. 工程(I)において、水性懸濁液の総重量に対して5~80重量%の範囲の固形分を有する前記水性懸濁液の形態で、前記沈降ハイドロマグネサイトを提供し、
    前記少なくとも1つの表面処理組成物を前記水性懸濁液に添加し、かつ20~120℃の範囲の温度で前記水性懸濁液を混合することによって工程(III)を実施し、かつ
    以下の工程をさらに含む、請求項16に記載の方法:
    (IV)得られた表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの水分含量が、前記表面処理した沈降ハイドロマグネサイトの総重量に対して、0.001~20重量%の範囲になるまで、周囲圧力又は減圧下に40~160℃の範囲の温度で、工程(III)の間又は後に、前記水性懸濁液を乾燥させること。
  18. 請求項16又は17に記載の方法によって得られる、表面処理した沈降ハイドロマグネサイト。
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