JP2023533154A - 合成サンタレンシンターゼ - Google Patents

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Abstract

改良型生成物プロファイルを有するサンタレンシンターゼ及びサンタレンシンターゼを改良する方法が開示される。本発明はさらに、アルファ-サンタレン含有量よりも高いベータ-サンタレン含有量を有する、発酵によって生成されるサンタレン組成物に関する。【選択図】なし

Description

合成サンタレンシンターゼ。
サンタレンシンターゼは、サンタレン、例えば、α-サンタレン、β-サンタレン及びエピ-β-サンタレンを含む、広範囲の化合物へのファルネシル二リン酸(FPP)の変換を触媒するテルペンシンターゼである。
Figure 2023533154000001
式Iは、(-)-β-サンタレン(CAS番号511-59-1、以下、ベータ-サンタレンと称する)を表す。
サンタレンシンターゼは、基質であるファルネシルピロリン酸から出発するが、典型的にはセスキテルペン生成物の混合物を生成する。典型的には、サンタレンシンターゼは、(-)-α-サンタレン(CAS番号512-61-8、以下、アルファ-サンタレンと称する)を主生成物として生成し、続いてベータ-サンタレン(式Iを参照されたい)及び/又はトランス-α-ベルガモテン(CAS番号13474-59-4、以下、ベルガモテンとも称する)を2番目と3番目に豊富な生成物として生成する。生成される量は、その特定の酵素、また、ベータ-サンタレンが2番目に豊富な生成物であるか又はベルガモテンであるかに依存するが、これまで入手可能な油ではアルファ-サンタレンが優勢である。
サンタレンシンターゼをコードするいくつかの遺伝子が報告されている(例えば、国際特許出願第WO2018/160066号及びその参考文献を参照されたい)。さらに、これらのサンタレンシンターゼは、一連のサンタレンセスキテルペン(最も顕著には、ベータ-サンタレン、アルファ-サンタレン、エピ-β-サンタレン、ベルガモテン及びベータ-ビサボレンを含む)を生成する。
主生成物としてアルファ-サンタレンを生成するサンタレンシンターゼは、例えば、WO201100026及びJonesら(2011年)(「Sandalwood fragrance biosynthesis involves sesquiterpene synthases of both the terpene synthase (TPS)-a and TPS-b subfamilies, including santalene synthases」、Jones C.G.、Moniodis J.、Zulak K.G.ら、The Journal of biological chemistry volume 286 issue 20 pages 17445-17454 5/20/2011; DOI: 10.1074/jbc.M111.231787)から公知であり、これらは、α-サンタレン、α-トランス-ベルガモテン、エピ-β-サンタレン及びβ-サンタレンを同時に生成する3種のビャクダン(Santalum)属の種(サンタラム・アルバム(Santalum album)、S.アウストロカレドニクム(S. austrocaledonicum)、及びS.スピカタム(S. spicatum))からのテルペンシンターゼを記載する。図1及び表2のデータに開示された国際特許出願第WO201100026号は、例えば、化合物の量に関するこの方法の定量化の信頼性の欠如を指摘することなく、非定量的GC-MS分析からのデータを示すことによって、アルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレンが存在したと誤解される可能性がある。同じ開示内で、信頼できる定量的GC-FIDデータを示すWO201100026の表2、列4、及び天然のビャクダン油中のベータ-サンタレンよりもアルファ-サンタレンが2倍以上過剰であることを報告しているWO201100026の表1に示されるように、逆(ベータ-サンタレンよりもアルファ-サンタレンが多い)が事実であったことが当業者に明確に実証される。
また2011年に公開されたWO201100026の背後にある研究者の次の刊行物においても、同じ酵素についてベータ-サンタレンではなくアルファ-サンタレンが過剰であることが報告されており、したがっておそらく同じデータに基づいている:「Sandalwood fragrance biosynthesis involves sesquiterpene synthases of both the terpene synthase (TPS)-a and TPS-b subfamilies, including santalene synthases」、Jones C.G.、Moniodis J.、Zulak K.G.ら、The Journal of biological chemistry、286巻、20号、17445-17454頁、2011年5月20日; DOI: 10.1074/jbc.M111.231787。この記事の補足資料、及び初版の図の修正(誤植:Sandalwood fragrance biosynthesis involves sesquiterpene synthases of both the terpene synthase (TPS)-a and TPS-b subfamilies, including santalene synthases (Journal of Biological Chemistry(2011年)286巻(17445-17454頁))、Journal of Biological Chemistry volume 287 issue 45 pages 37713-37714 2012, DOI: 10.1074/jbc.A111.231787s)は、ベータ-サンタレンよりも多くのアルファ-サンタレンがこれらの研究者によって観察されたという事実を裏付ける。その後の研究者らの発表により、天然のビャクダン油は、アルファ-サンタレンよりもベータ-サンタレンが過剰ではないことが確認された(Moniodisら、2017年、「Sesquiterpene Variation in West Australian Sandalwood (Santalum spicatum)」; Molecules 2017年;22巻(6号))。公知のサンタレンシンターゼは、タバコ植物で異種発現した場合でさえも(Yin JL、Wong WS(2019年)「Production of santalenes and bergamotene in Nicotiana tabacum plants.」PLOS ONE 14巻(1号): e0203249. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0203249)、ベータ-サンタレンよりも多くのアルファ-サンタレンを生成する(Diaz-Chavezら、2013年、「Biosynthesis of Sandalwood Oil: Santalum album CYP76F Cytochromes P450 Produce Santalols and Bergamotol」、PLoS ONE、2013年;8巻(9号))。
WO2015153501として公開された国際特許出願は、ベータ-サンタレンよりもアルファ-サンタレンが過剰であるにもかかわらず、天然のS.albumサンタレンシンターゼと比較した場合、増加したテルペンシンターゼ活性を有するS.albumサンタレンシンターゼに由来する改変サンタレンシンターゼ酵素を記載し、アルファ-サンタレンの高い生成物プロファイルを有するサンタレンシンターゼが発見された(Schalk, M.、2011年. Method for Producing Alpha-Santalene、米国特許出願公開第2011/008836 A1号;WO2018160066として公開された国際特許出願)。WO2010/067309として公開された国際特許出願は、ビャクダン属からサンタレンシンターゼを用いてβ-サンタレンを生成する方法を記載している(Schalk、2014)。米国特許第8,993,284号であるが、ベータ-サンタレンを超えるアルファサンタレンが依然として存在する。
したがって、公知の酵素では、ベータ-サンタレンはアルファ-サンタレンと比較して常に少量生成され、インビボでアルファ-サンタレンよりもベータ-サンタレンの生成物プロファイルが大きいサンタレンシンターゼの例は公知ではない。
サンタレンシンターゼの生成物は、生合成的又は化学的に酸化されて、それぞれ、それらのサンタレンアルコール、アルファ-サンタロール、ベータ-サンタロール及びエピ-ベータ-サンタロールを生成することができる。サンタロールはビャクダン油の主成分であり、香水、化粧品、トイレタリー、アロマセラピー及び医薬品の重要成分である天然に存在する香料として高い評価を得ている。それは、主にセスキテルペンアルコールであるアルファ-サンタロール及びベータ-サンタロールから与えられる、柔らかく甘い木質及びバルサミン臭を有する。特に、ベータ-サンタロールはサンダルウッドの最も重要な嗅覚ノートを与えると考えられている。ベータ-サンタレンに対してより高い特異性を有するシンターゼは、生成物が高いベータ-サンタロール含有量を有する油に酸化され得るため望ましい。
現在公知であるサンタレンシンターゼは、工業的なサンタレン生成プロセスに適用する場合に特に望ましくない多くの明確な欠点があり、サンタレン(おそらくは、続いてサンタロール、特にβ-サンタロール)が、例えば、単離されたサンタレンシンターゼ若しくは(透過化された)全細胞を用いて隔離された反応(インビトロ)において、又は、さもなければ、例えば、より長い代謝経路の一部であり、最終的には、糖からβ-サンタレンの生成に至る発酵過程において(インビボ)、FPPから調製される。
また、酵素がより少ないアルファ-サンタレン及びより多くのトランス-α-ベルガモテンを生成する場合、いくつかの用途に有利な可能性がある。
サンタレンシンターゼの3つの主要生成物の生成物比を特定の必要に応じて誘導することができることが望ましい。
本発明は、驚くべきことに、サンタレンシンターゼの三次構造のある部分の柔軟性(flexibility)を比較的単純に変化させることによって、サンタレンシンターゼの生成物プロファイルを改良することができることを開示する。これらの改良型サンタレンシンターゼのいくつかは、ベータ-サンタレンを生成し、ときにはアルファ-サンタレンを超えるベルガモテンを生成し、他のものは、野生型酵素と比較してアルファ-サンタレン生成を増加させており、それらは、例えば、大規模工業プロセスにおけるこれらの化合物の生成に有用である。
属性又は値と関連する用語「本質的に」、「約」、「おおよそ」、「実質的に」などはまた、特に、それぞれ、属性を正確にも、又は値を正確にも、規定する。同じ機能的活性又は実質的に同じ機能の文脈での用語「実質的に」とは、参照機能と比較して、好ましくは20%の範囲内、より好ましくは10%の範囲内、最も好ましくは5%以下の範囲内の、機能の差異を意味する。製剤又は組成物の文脈では、用語「実質的に」(例えば、「実質的に化合物Xからなる組成物」)は、製剤又は組成物内で所与の作用を有する言及された化合物を実質的に含有し、そのような作用を有するさらなる化合物を含有しないか、又はそのような化合物の測定可能若しくは関連する作用を示さない最大量で含有することとして、本明細書中で用いることができる。所与の数値又は範囲の文脈での用語「約」は、特に、所与の値若しくは範囲の、20%以内、10%以内、又は5%以内である値若しくは範囲に関する。本明細書中で用いる場合、用語「含む」はまた、用語「からなる」も包含する。
用語「単離された」とは、物質が、その元来の環境内で天然に関連する少なくとも1種の他の構成要素を実質的に含まないことを意味する。例えば、生存動物中に存在する、天然に存在するポリヌクレオチド、ポリペプチド、又は酵素は単離されていないが、天然の系で共存する物質の一部若しくは全部から分離された同じポリヌクレオチド、ポリペプチド、又は酵素は、単離されている。さらなる例として、単離された核酸(例えば、DNA又はRNA分子)は、それが由来する生物の天然に存在するゲノム中に存在する場合には通常は直に連続する、5'又は3'隣接配列と直に連続していないものである。そのようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であるか、無関係の遺伝的バックグラウンドの細胞のゲノムに(又は本質的に類似する遺伝的バックグラウンドを有する細胞のゲノムに、しかしそれが天然に存在する箇所とは異なる箇所に)組み込まれるか、又はPCR増幅若しくは制限酵素消化により生成されることができるであろうが、あるいはin vitro転写により生成されるRNA分子、及び/又はそのようなポリヌクレオチド、ポリペプチド、又は酵素は、組成物の一部であり得、かつさらに単離されて、そのようなベクター又は組成物がその天然の環境の一部ではないものであり得る。
「精製された」とは、物質が比較的純粋な状態にあること、例えば、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、又は少なくとも約98%若しくは99%純粋であることを意味する。好ましくは、「精製された」とは、物質が100%純粋な状態にあることを意味する。
「合成」又は「人工的」化合物は、in vitro化学合成又は酵素合成により生成される。この用語は、限定するものではないが、酵母細胞宿主若しくは選択された他の発現宿主などの宿主生物に対する最適なコドン使用頻度を有して作製された変異体核酸、又は、例えば、ポリペプチドの特性を最適化するために、野生型タンパク質配列と比較して、アミノ酸改変(例えば、置換など)を有する変異体タンパク質配列を含む。合成ポリペプチドは、それゆえ、合成の、天然に存在しない、「人工の」タンパク質配列であるポリペプチドとして理解されるものである。好ましくは、合成ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸位置において、本発明の時点における任意の天然に存在するポリペプチドと異なっている。
用語「天然に存在しない」とは、その元来の環境又は供給源中に存在しない、(ポリ)ヌクレオチド、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、酵素、タンパク質、細胞、生物、又は他の物質を意味するが、それが当初はその元来の環境又は供給源に由来し、その後に他の手段により再生したものであり得る。そのような天然に存在しない(ポリ)ヌクレオチド、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、酵素、タンパク質、細胞、生物、又は他の物質は、構造的及び/若しくは機能的に、その天然の対応物に類似するか又はそれと同じであることができる。
用語「生来型」(又は「野生型」若しくは「内因性」)細胞又は生物及び「生来型」(又は野生型若しくは内因性)ポリヌクレオチド又はポリペプチドとは、それぞれ、天然に見出される細胞又は生物、並びに、その天然の形態及び遺伝的環境中の細胞中で見出される(すなわち、いかなるヒト介入も有さない)、対象となるポリヌクレオチド又はポリペプチドを意味する。
用語「異種」(又は外因性若しくは外来性若しくは組換え)ポリペプチドは、以下の通りに本明細書中で定義される:
(a) 宿主細胞に対して生来型でないポリペプチド。そのような異種ポリペプチドのタンパク質配列は、合成、天然に存在しない、「人造の」タンパク質配列である;
(b) 宿主細胞に対して生来型のポリペプチドであるが、構造的改変(例えば、欠失、置換、及び/又は挿入)が、該生来型ポリペプチドを変化させるための組換えDNA技術による宿主細胞のDNAの操作の結果として含められる;又は
(c) 組換えDNA技術による宿主細胞のDNAの操作(例えば、より強力なプロモーター)の結果として、その発現が量的に変更されるか、又はその発現が生来型の宿主細胞とは異なるゲノム位置から行なわれる、宿主細胞に対して生来型であるポリペプチド。
上記の説明(b)及び(c)は、その天然の形態にあるが、産生に用いられる細胞により天然に発現されない配列を意味する。産生されたポリペプチドは、したがって、「組換え的に発現される内因性ポリペプチド」としてより正確に定義され、これは上記の定義とは矛盾しないが、タンパク質の配列は合成又は操作されていないが、ポリペプチド分子が産生される様式である特別な状況を反映する。
同様に、用語「異種」(又は外因性若しくは外来性若しくは組換え)ポリヌクレオチドは、以下のことを意味する:
(a) 宿主細胞に対して生来型でないポリヌクレオチド;
(b) 宿主細胞に対して生来型のポリヌクレオチドであるが、構造的改変(例えば、欠失、置換、及び/又は挿入)が、該生来型ポリヌクレオチドを変化させるための組換えDNA技術による宿主細胞のDNAの操作の結果として含められる;
(c) 組換えDNA技術によるポリヌクレオチドの調節エレメントの操作(例えば、より強力なプロモーター)の結果として、その発現が量的に変更されている、宿主細胞に対して生来型であるポリヌクレオチド;又は
(d) 組換えDNA技術による遺伝子操作の結果として、宿主細胞に対して生来型であるが、その天然の遺伝的環境内にインテグレーションされていないポリヌクレオチド。
2種類以上のポリヌクレオチド配列又は2種類以上のアミノ酸配列に関して、用語「異種」は、2種類以上のポリヌクレオチド配列又は2種類以上のアミノ酸配列が、互いにその特定の組み合わせで天然に存在しないことを特徴付けるために用いられる。
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」は、本明細書中で相互に交換可能に用いられ、かついずれかの長さのポリマー性非分岐形態のヌクレオチド(リボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチド又は両者の組み合わせのいずれか)を意味する。
ヌクレオチド配列(例えば、コンセンサス配列)に関して、IUPACヌクレオチド命名法(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry (NC-IUB) (1984). “Nomenclature for Incompletely Specified Bases in Nucleic Acid Sequences”)を、本発明に対して重要な以下のヌクレオチド及びヌクレオチド多義性定義を含めて用いた:A、アデニン;C、シトシン;G、グアニン;T、チミン;K、グアニン又はチミン;R、アデニン又はグアニン;W、アデニン又はチミン;M、アデニン又はシトシン;Y、シトシン又はチミン;D、シトシンでない;N、いずれかのヌクレオチド。
加えて、表記「N(3~5)」は、示されたコンセンサス位置が、3~5個のいずれかの(N)ヌクレオチドを有し得ることを意味する。例えば、コンセンサス配列「AWN(4~6)」は、4個、5個、又は6個のいずれかのヌクレオチドを末端に含む、3種類の考えられる変異体AWNNNN、AWNNNNN、AWNNNNNNを表わす。
用語「調節エレメント」及び「調節配列」は、本明細書中ですべて相互に交換可能に用いられ、限定するものではないが、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現をはじめとする、それに関連付けられる配列の発現に影響を及ぼすことが可能である調節核酸配列を意味するとして広い文脈で解釈されるべきである。調節エレメント又は調節配列としては、個別に、かつ/あるいは特定の配置内又は配置内の他のエレメント若しくは配列のグループ内で、機能又は目的を有するいずれかのヌクレオチド配列が挙げられる。調節配列の例としては、限定するものではないが、リーダー又はシグナル配列(5'-UTRなど)、開始シグナル、プロペプチド配列、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、ポリアデニル化配列、リボソーム結合部位(RBS、シャイン・ダルガノ配列)、終止シグナル、ターミネーター、3'-UTR、及びそれらの組み合わせが挙げられる。調節エレメント又は調節配列は、互いに、又は発現対象であるヌクレオチド配列に対して、生来型(すなわち、同じ遺伝子に由来する)又は外来性(すなわち、異なる遺伝子に由来する)であり得る。
用語「機能的に連結された」とは、記載された構成要素が、それらの意図される様式で機能することを許容する関係にあることを意味する。例えば、コード配列に機能的に連結された調節配列は、コード配列の発現が調節配列と適合し得る条件下で達成される様式で、ライゲーションされる。
核酸及びポリペプチドは、タグ又はドメインを含むように改変することができる。タグは、検出、精製、可溶化、又は固相化のためをはじめとする様々な目的のために利用することができ、例えば、ビオチン、蛍光団、エピトープ、接合因子、又は調節配列を含むことができる。ドメインは、いずれかのサイズであり得、所望の機能を提供する(例えば、増大した安定性、溶解性、活性を賦与する、精製を簡素化する)ものであり得、例えば、結合性ドメイン、シグナル配列、プロモーター配列、調節配列、N末端伸長部、又はC30末端伸長部を含むことができる。タグ及び/又はドメインの組み合わせもまた利用することができる。
用語「融合タンパク質」とは、当技術分野で公知のいずれかの手段により、一緒に連結された2つ以上のポリペプチドを意味する。これらの手段としては、化学合成又は組換え遺伝子操作によるコード核酸のスプライシングが挙げられる。
コードされるタンパク質に変化を導入するための核酸の改変方法
・遺伝子編集
遺伝子編集又はゲノム編集は、DNAが挿入されるか、置き換えられるか又はゲノムから除去され、かつ改変された生物学的活性を有するタンパク質をコードする核酸若しくはその一部の変異体を作製するために(Castle et al., (2004) Science 304(5674): 1151-4;米国特許第5,811,238号及び同第6,395,547号)、DNAシャッフリングの反復及びそれに続く適切なスクリーニング及び/若しくは選択からなる「遺伝子シャッフリング」又は「指向性進化」などの様々な技術を用いることにより、又は生じるトランスジェニック生物が導入されたプロモーターに近接する遺伝子の改変された発現に起因して優性表現型を示す「T-DNA活性化」タグ付け(Hayashi et al. Science (1992) 1350-1353)、又は「TILLING」(ゲノム中の標的化誘発性局所的損傷(Targeted Induced Local Lesions In Genomes))により、取得できる、遺伝子操作の種類であり、改変された発現及び/又は活性を有するタンパク質をコードする核酸を作製及び/又は特定するために有用な突然変異誘発技術を意味する。TILLINGはまた、そのような突然変異体を保持する生物の選択も可能にする。TILLINGのための方法は、当技術分野で周知である(McCallum et al., (2000) Nat Biotechnol 18: 455-457;Stemple (2004) Nat Rev Genet 5(2): 145-50により総説される)。別の技術は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Casシステム、及び遺伝子操作型メガヌクレアーゼ(再遺伝子操作型ホーミングエンドヌクレアーゼなど)などの人工的に操作されたヌクレアーゼを用いる(Esvelt, KM.; Wang, HH. (2013), Mol Syst Biol 9 (1): 641; Tan, WS.et al. (2012), Adv Genet 80: 37-97; Puchta, H.; Fauser, F. (2013), Int. J. Dev. Biol 57: 629-637)。
・突然変異誘発
DNA及びそれらがコードするタンパク質は、新規若しくは変化した特性を有する変異体タンパク質又は酵素を作製するために、分子生物学で公知の様々な技術を用いて、改変することができる。例えば、ランダムPCR突然変異誘発(例えば、Rice (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5467-5471を参照されたい);又はコンビナトリアル多重カセット突然変異誘発(例えば、Crameri (1995) Biotechniques 18:194-196を参照されたい)。
あるいは、核酸(例えば、遺伝子)は、ランダムな、又は「確率論的」な断片化後に再アセンブリさせることができ、例えば、米国特許第6,291,242号;同第6,287,862号;同第6,287,861号;同第5,955,358号;同第5,830,721号;同第5,824,514号;同第5,811,238号;同第5,605,793号を参照されたい。
あるいは、改変、付加又は欠失は、エラープローンPCR、シャッフリング、部位指向性突然変異誘発、アセンブリPCR、セクシュアルPCR突然変異誘発(sexual PCR mutagenesis)、in vivo突然変異誘発(ファージ支援漸進的進化、in vivo漸進的進化)、カセット突然変異誘発、再帰的アンサンブル突然変異誘発、指数関数的アンサンブル突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、遺伝子再アセンブリ、遺伝子部位飽和突然変異誘発(GSSM)、合成的ライゲーション再アセンブリ(SLR)、組換え、再帰的配列組換え、ホスホロチオエート(phosphothioate)修飾DNA突然変異誘発、ウラシル含有鋳型突然変異誘発、ギャップあり二重鎖突然変異誘発、点ミスマッチ修復突然変異誘発、修復欠損宿主株突然変異誘発、化学的突然変異誘発、放射起源突然変異誘発、欠失突然変異誘発、制限選択突然変異誘発、制限精製突然変異誘発、人工的遺伝子合成、アンサンブル突然変異誘発、キメラ型核酸マルチマー作製、並びに/又はこれら及び他の方法の組み合わせにより、導入される。
あるいは、「遺伝子部位飽和突然変異誘発」又は「GSSM」は、米国特許第6,171,820号及び同第6,764,835号に詳細に記載される通り、ポリヌクレオチドに点突然変異を導入するために、縮重オリゴヌクレオチドプライマーを用いる方法を含む。
あるいは、合成的ライゲーション再アセンブリ(SLR)は、非確率論的にオリゴヌクレオチド構成要素同士を一緒にライゲーションさせる方法を含む(例えば、米国特許第6,537,776号に開示される通り)。
あるいは、テイラーメイド複数部位コンビナトリアルアセンブリ(Tailored multi-site combinatorial assembly)(「TMSCA」)は、1回の反応で、少なくとも2種類の突然変異誘発性非重複オリゴヌクレオチドプライマーを用いることにより、複数部位で様々な突然変異の異なる組み合わせを有する複数の子孫ポリヌクレオチドを生成する方法である(PCT国際公開第2009/018449号に記載される通り)。
配列アライメントは、以下のものなどの多数のソフトウェアツールを用いて生成できる:
- Needleman and Wunschアルゴリズム - Needleman, Saul B. & Wunsch, Christian D. (1970). "A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequence of two proteins". Journal of Molecular Biology. 48 (3): 443-453. このアルゴリズムは、例えば、2つの配列の全域アライメントを行なう、「NEEDLE」プログラム中に実装される。NEEDLEプログラムは、例えば、欧州分子生物学オープンソフトウェアスイート(EMBOSS)内に含められる。
- EMBOSS:様々なプログラムの集合体:The European Molecular Biology Open Software Suite (EMBOSS), Trends in Genetics 16 (6), 276 (2000)。
- BLOSUM(BLOcks SUbstitution Matrix):典型的には、(例えば、タンパク質ドメインの)保存領域のアライメントに基づいて作成される(Henikoff S, Henikoff JG: Amino acid substitution matrices from protein blocks. Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA. 1992 Nov 15;89(22):10915-9)。多数のBLOSUMのうちの1つが、「BLOSUM62」であり、これはしばしば、タンパク質配列をアライメントする場合の多数のプログラムの「デフォルト」設定である。
- BLAST(基本的局所アライメント検索ツール)は、数種類の個別のプログラム(BlastP、BlastN、...)からなり、これらは、大型配列データベース中で類似配列に関して検索をするために主に用いられる。BLASTプログラムはまた、局所アライメントも作成する。典型的には、NCBI(米国国立生物工学情報センター)により提供される「BLAST」インターフェースが用いられ、これは改良バージョン(「BLAST2」)である。「元の」BLAST:Altschul, S.F., Gish, W., Miller, W., Myers, E.W. & Lipman, D.J. (1990) "Basic local alignment search tool." J. Mol. Biol. 215:403-410;BLAST2:Altschul, Stephen F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller, and David J. Lipman (1997), "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res. 25:3389-3402。
酵素変異体は、親酵素と比較した場合の、それらの配列同一性により定義することができる。配列同一性は、通常、「%配列同一性」又は「%同一性」として提供される。第1のステップで2種類のアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定するために、それら2種類の配列間でペアワイズ配列アライメントを作成し、このとき、2種類の配列は、それらの完全長でアライメントされる(すなわち、ペアワイズ全域アライメント)。アライメントは、プログラムのデフォルトパラメータ(gapopen=10.0、gapextend=0.5及びmatrix=EBLOSUM62)を用いて、好ましくはプログラム「NEEDLE」(欧州分子生物学オープンソフトウェアスイート(EMBOSS))を用いることにより、Needleman and Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. (1979) 48, p. 443-453)を実装するプログラムを用いて、生成される。本発明の目的のために好ましいアライメントは、最高配列同一性を決定できるアライメントである。
以下の例は、2種類のヌクレオチド配列を説明することを意図するが、同じ計算が、タンパク質配列に適用される:
Seq A:AAGATACTG 長さ:9塩基
Seq B:GATCTGA 長さ:7塩基。
それ故、より短い配列は、配列Bである。
それらの完全長にわたって両方の配列を示すペアワイズ全域アライメントの生成は、以下のものを生じる。
Figure 2023533154000002
アライメント中の「|」記号は、同一の残基(DNAに関しては塩基又はタンパク質に関してはアミノ酸を意味する)を示す。同一残基の数は6である。
アライメント中の「-」記号はギャップを示す。Seq B内でアライメントにより導入されるギャップの数は、1である。Seq Bの縁でアライメントにより導入されるギャップの数は2であり、Seq Aの縁では1である。
それらの完全長にわたってアライメントされた配列を示すアライメント長は、10である。
本発明に従ってその完全長にわたってより短い配列を示すペアワイズアライメントの生成は、結果として、以下のものを生じる:
Figure 2023533154000003
本発明に従ってその完全長にわたって配列Aを示すペアワイズアライメントの生成は、結果として、以下のものを生じる:
Figure 2023533154000004
本発明に従ってその完全長にわたって配列Bを示すペアワイズアライメントの生成は、結果として、以下のものを生じる:
Figure 2023533154000005
その完全長にわたってより短い配列を示すアライメント長は、8である(1つのギャップが存在し、これは、より短い配列のアライメント長に含まれる)。
したがって、その完全長にわたってSeq Aを示すアライメント長は、9である(Seq Aが本発明の配列であることを意味する)。
したがって、その完全長にわたってSeq Bを示すアライメント長は、8である(Seq Bが本発明の配列であることを意味する)。
2つの配列をアライメントした後、第2のステップで、同一性値が、生成されたアライメントから決定される。この説明の目的のために、同一性パーセントは、%同一性=(同一残基/その完全長にわたってより短い配列を示すアライメント領域の長さ)*100により算出される。つまり、本実施形態に従う2つのアミノ酸配列の比較に関連する配列同一性は、その完全長にわたってより短い配列を示すアライメント領域の長さによって、同一残基の数を除算することにより、算出される。この値に100を乗じて、「%同一性」を与える。上記で提供された例に従えば、%同一性は:(6/8)*100=75%である。
サンタレンシンターゼの変異体は、全長ポリペプチド配列と比較して、それぞれの親ポリペプチド分子のアミノ酸配列に対して少なくともnパーセント同一であるアミノ酸配列を有することができ、nは、50~100の整数、好ましくは、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99である。
サンタレンシンターゼ変異体は、親酵素と比較した場合のそれらの配列類似性により定義することができる。配列類似性は通常、「%配列類似性」又は「%類似性」として提供される。第1のステップで配列類似性を算出するために、上記の通りに配列アライメントを作成する必要がある。第2のステップでは、類似性パーセントを算出する必要があり、一方で、配列類似性パーセントは、規定されたアミノ酸の組が、例えば、それらのサイズにより、それらの疎水性により、それらの電荷により、又は他の特徴により、類似の特性を共有することを考慮する。本明細書中では、類似するアミノ酸による、あるアミノ酸の交換は、「保存的突然変異」と称される。保存的突然変異を含む酵素変異体は、タンパク質フォールディングに対して最小限の影響を有するようであり、それにより、親酵素の酵素特性と比較した場合に、特定の酵素特性が実質的に維持される。
本発明に従う%類似性の決定のために、例えば、データベース検索及び配列アライメントのために最も用いられるアミノ酸類似性マトリックスのうちの1つである、「NEEDLE」プログラム(上記で言及される通り)により用いられる通りの、BLOSUM62マトリックスにも従って、以下のことが適用される。
アミノ酸Aは、アミノ酸Sに類似する
アミノ酸Dは、アミノ酸E;Nに類似する
アミノ酸Eは、アミノ酸D;K;Qに類似する
アミノ酸Fは、アミノ酸W;Yに類似する
アミノ酸Hは、アミノ酸N;Yに類似する
アミノ酸Iは、アミノ酸L;M;Vに類似する
アミノ酸Kは、アミノ酸E;Q;Rに類似する
アミノ酸Lは、アミノ酸I;M;Vに類似する
アミノ酸Mは、アミノ酸I;L;Vに類似する
アミノ酸Nは、アミノ酸D;H;Sに類似する
アミノ酸Qは、アミノ酸E;K;Rに類似する
アミノ酸Rは、アミノ酸K;Qに類似する
アミノ酸Sは、アミノ酸A;N;Tに類似する
アミノ酸Tは、アミノ酸Sに類似する
アミノ酸Vは、アミノ酸I;L;Mに類似する
アミノ酸Wは、アミノ酸F;Yに類似する
アミノ酸Yは、アミノ酸F;H;Wに類似する。
保存的アミノ酸置換は、酵素などの機能的タンパク質のポリペプチド配列の配列の全長にわたって生じ得る。一実施形態では、そのような突然変異は、酵素の機能的ドメインに付随しない。一実施形態では、保存的突然変異は、酵素の触媒中心に付随しない。
したがって、本説明に従えば、以下の類似性パーセントの算出が適用される:
%類似性=[(同一残基+類似残基)/その完全長にわたってより短い配列を示すアライメント領域の長さ]*100。つまり、本実施形態に従う2つのアミノ酸配列の比較に関連する配列類似性は、同一残基の数プラス類似残基の数をその完全長にわたってより短い配列を示すアライメント領域の長さによって除算することによって算出される。この値に100を乗じて、「%類似性」を与える。
全長ポリペプチド配列と比較して、それぞれの親配列に対して少なくともm%類似である保存的突然変異を含む変異体酵素であって、mは50~100の整数、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99である変異体酵素は、本質的に変化していない酵素特性(酵素活性など)を有することが予測される。
本明細書中で用いる場合、「構築物」、「遺伝子構築物」又は「発現カセット」(相互に交換可能に用いられる)は、本明細書中に記載される通りの1種以上の調節配列に(少なくともプロモーターに)機能的に連結された、発現される対象となる少なくとも1種の配列から構成されるDNA分子である。典型的には、発現カセットは、3つのエレメントを含む:プロモーター配列、オープンリーディングフレーム、及び3'非翻訳領域(真核生物では通常、ポリアデニル化部位を含む)。追加の調節エレメントとしては、転写エンハンサー並びに翻訳エンハンサーが挙げられる。イントロン配列もまた、細胞質中に蓄積する成熟メッセージの量を増加させるために、5'非翻訳領域(UTR)に、又はコード配列中に、付加することができる。当業者は、成功裏に発現されるべき発現カセット中に存在しなければならない遺伝的エレメントをよく知っている。好ましくは、DNA又は発現カセットを形成する遺伝的エレメントの配置のうちの少なくとも一部が、人工的である。発現カセットはベクターの一部であることができ、又は宿主細胞のゲノムへとインテグレートされ、その宿主細胞のゲノムと共に複製されることができる。発現カセットは、対象となるDNA及び/又はタンパク質の発現を増加又は減少させることが可能である。
用語「導入」又は「形質転換」は、本明細書中で言及される場合、移入のために用いる方法とは無関係に、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの移入を包含する。すなわち、本明細書中で用いる場合、用語「形質転換」は、ベクター、シャトル系、又は宿主細胞から独立しており、当技術分野で公知の形質転換のポリヌクレオチド移入法(例えば、Sambrook, J. et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NYを参照されたい)に関連するばかりでなく、限定するものではないが、形質導入又はトランスフェクションなどの、いずれかのさらなる種類のポリヌクレオチド移入法を包含する。
用語「組換え生物」とは、遺伝的に変化、改変又は遺伝子操作されており、それにより、それから誘導された野生型生物と比較した場合に、変化したか、改変されたか又は異なる遺伝子型を示す、真核生物(酵母、真菌、藻類、植物、動物)又は原核微生物(例えば、細菌)を意味する。好ましくは、「組換え生物」は、外因性核酸を含む。「組換え生物」、「遺伝的に改変された生物」及び「トランスジェニック生物」は、相互に交換可能に本明細書中で用いられる。外因性核酸は、DNAの染色体外小片(プラスミドなど)上に位置することができ、又は生物の染色体DNAにインテグレートされることができる。組換え真核生物の場合、用いる核酸が、当該生物のゲノム中に存在しないか、若しくはそれに由来せず、又は当該生物のゲノム中に存在するが、当該生物のゲノム中のその天然の遺伝子座には存在せず、1種以上の内因性及び/又は外因性調節エレメントの調節下で核酸が発現されることが可能であることを意味するものと理解される。
「宿主細胞」は、細菌細胞、酵母細胞、真菌、藻類、若しくはシアノバクテリア細胞、非ヒト動物若しくは哺乳動物細胞、又は植物細胞から選択されるいずれかの細胞であり得る。当業者は、対象となる配列を含む宿主細胞を成功裏に形質転換、選択及び繁殖させるために遺伝子構築物上に存在しなければならない遺伝的エレメントをよく知っている。宿主細胞は、これらの生物のいずれかから選択され得る:
細菌
〇グラム陽性:バシラス属(Bacillus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)
・有用なグラム陽性細菌としては、限定するものではないが、バシラス(Bacillus)細胞、例えば、バシラス・アルカロフィウス(Bacillus alkalophius)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サークランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシラス・ジャウタス(Bacillus Jautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミラス(Bacillus pumilus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)及びバシラス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)が挙げられる。最も好ましくは、原核生物は、バシラス(Bacillus)細胞、好ましくは、枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・プミラス(Bacillus pumilus)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、又はバシラス・レンタス(Bacillus lentus)のバシラス細胞である。
・一部の他の好ましい細菌としては、放線菌目(Actinomycetales)の菌株、好ましくは、ストレプトミセス属(Streptomyces)、好ましくはストレプトミセス・スフェロイデス(Streptomyces spheroides)(ATTC 23965)、ストレプトミセス・テルモビオラセウス(Streptomyces thermoviolaceus)(IFO 12382)、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)又はストレプトミセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)又はストレプトベルチシルム・ベルチシリウムssp.ベルチシリウム(Streptoverticillum verticillium ssp. verticillium)が挙げられる。他の好ましい細菌としては、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドモナス・パルストリ(Rhodomonas palustri)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)が挙げられる。さらに好ましい細菌としては、ミクソコッカス属(Myxococcus)に属する菌株、例えば、M.ビレセンス(M. virescens)が挙げられる。
〇グラム陰性:大腸菌、シュードモナス属(Pseudomonas)
・好ましいグラム陰性細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス属種(Pseudomonas sp.)、好ましくは、シュードモナス・プルロシニア(Pseudomonas purrocinia)(ATCC 15958)又はシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(NRRL B-11)である。
真菌
〇アスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム属(Fusarium)、トリコデルマ属(Tricoderma)
・微生物は、真菌細胞であり得る。本明細書中で用いる場合、「真菌」としては、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ門(Chytridiomycota)、及び接合菌門(Zygomycota)並びに卵菌門(Oomycota)及び不完全菌亜門(Deuteromycotina)及びすべての栄養胞子形成性(mitosporic)真菌が挙げられる。子嚢菌門の代表的な群としては、例えば、ニューロスポラ属(Neurospora)、ユーペニシリウム属(Eupenicillium)(=ペニシリウム属(Penicillium))、エメリセラ属(Emericella)(=アスペルギルス属(Aspergillus))、ユーロチウム属(Eurotium)(=アスペルギルス属(Aspergillus))、及び以下に列記される正酵母(true yeast)が挙げられる。担子菌門の例としては、キノコ、さび菌、及び黒穂菌が挙げられる。ツボカビ門の代表的な群としては、例えば、アロミセス属(Allomyces)、ブラストクラジエラ属(Blastocladiella)、コエロモミセス属(Coelomomyces)、及び水生真菌が挙げられる。卵菌門の代表的な群としては、例えば、ワタカビ属(Achlya)などのサプロレグニオミセトス(Saprolegniomycetous)水生真菌(ミズカビ)が挙げられる。栄養胞子形成性真菌の例としては、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、カンジダ属(Candida)、及びアルタナリア属(Alternaria)が挙げられる。接合菌門の代表的な群としては、例えば、クモノスカビ属(Rhizopus)及びケカビ属(Mucor)が挙げられる。
・一部の好ましい真菌としては、不完全菌亜門(subdivision Deuteromycotina)、不完全糸状菌綱(class Hyphomycetes)に属する菌株、例えば、フザリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、トリコデルマ属(Tricoderma)、ミロテシウム属(Myrothecium)、バーティシリウム属(Verticillum)、アルトロミセス属(Arthromyces)、カルダリオミセス属(Caldariomyces)、ウロクラジウム属(Ulocladium)、エンベリシア属(Embellisia)、クラドスポリウム属(Cladosporium)又はドレスクレラ属(Dreschlera)、特に、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(DSM 2672)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、トリコデルマ・レシイ(Trichoderma resii)、ミロテシウム・ベルルカナ(Myrothecium verrucana)(IFO 6113)、バーティシリウム・アルボアトラム(Verticillum alboatrum)、バーティシリウム・ダーリエ(Verticillum dahlie)、アルトロミセス・ラモサス(Arthromyces ramosus)(FERM P-7754)、カルダリオミセス・フマゴ(Caldariomyces fumago)、ウロクラジウム・チャルタラム(Ulocladium chartarum)、エンベリシア・アリイ(Embellisia alli)又はドレスクレラ・ハロデス(Dreschlera halodes)が挙げられる。
・他の好ましい真菌としては、担子菌門(subdivision Basidiomycotina)、担子菌綱(class Basidiomycetes)に属する菌株、例えば、ササクレヒトヨタケ属(Coprinus)、マクカワタケ属(Phanerochaete)、カワラタケ属(Coriolus)又はシロアミタケ属(Trametes)、特に、コプリナス・シネレウスf.ミクロスポラス(Coprinus cinereus f. microsporus)(IFO 8371)、コプリナス・マクロリズス(Coprinus macrorhizus)、ファネロケテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)(例えば、NA-12)又はシロアミタケ属(Trametes)(以前にはタマチョレイタケ属(Polyporus)と称された)、例えば、カワラタケ(T. versicolor)(例えば、PR4 28-A)が挙げられる。
・さらなる好ましい真菌としては、接合菌門(subdivision Zygomycotina)、ミコラセアエ綱(class Mycoraceae)に属する菌株、例えば、クモノスカビ属(Rhizopus)又はケカビ属(Mucor)、特に、ムコール・ヒエマリス(Mucor hiemalis)が挙げられる。
酵母
〇ピチア属(Pichia)
〇サッカロミセス属(Saccharomyces)
・真菌宿主細胞は、酵母細胞であり得る。本明細書中で用いる場合、「酵母」としては、子嚢胞子形成性(ascosporogenous)酵母(エンドミセタレス(Endomycetales))、担子胞子形成性(basidiosporogenous)酵母、及び不完全真菌(Fungi lmperfecti)(ブラストミセス属(Blastomycetes))に属する酵母が挙げられる。子嚢胞子形成性酵母は、スペルモフトラ科(Spermophthoraceae)及びサッカロミセス科(Saccharomycetaceae)に分けられる。後者は、4つの亜科:Schizosaccharomycoideae亜科(例えば、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces))、Nadsonioideae亜科、Lipomycoideae亜科、及びSaccharomycoideae亜科(例えば、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、ピチア属(Pichia)、及びサッカロミセス属(Saccharomyces))から構成される。担子胞子形成性酵母としては、ロイコスポリジウム属(Leucosporidim)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、スポリジオボラス属(Sporidiobolus)、フィロバシジウム属(Filobasidium)、及びフィロバシジエラ属(Filobasidiella)が挙げられる。不完全真菌に属する酵母は、2つの科:Sporobolomycetaceae科(例えば、スポロボロミセス属(Sporobolomyces)及びブレラ属(Bullera))及びCryptococcaceae科(例えば、カンジダ属(Candida))に分けられる。
真核生物
〇非ヒト動物、非ヒト哺乳動物、鳥類、爬虫類、昆虫、植物、酵母、真菌。
用語「サンタレンシンターゼ」は、本明細書において、ファルネシル二リン酸からのα-サンタレン、β-サンタレン、トランス-α-ベルガモテン及びエピ-β-サンタレンのようなサンタレン及びサンタレン様テルペンの形成において触媒活性を有するポリペプチド、並びにこのようなポリペプチドを含む他の部分について使用される。このような他の部分の例としては、上記ポリペプチドと1つ以上の他のポリペプチドとの複合体、ペプチド又はタンパク質タグ配列に融合されたサンタレンシンターゼポリペプチドを含む融合タンパク質、上記ポリペプチドの他の複合体(例えば、金属タンパク質複合体)、上記ポリペプチド及び別の有機部分を含む高分子化合物、支持体材料に結合された上記ポリペプチドなどが挙げられる。サンタレンシンターゼは、その天然環境、すなわち、それが生成された細胞内、又はそれを生成する細胞によって排出された培地内に提供することができる。それは、ポリペプチドを生成した供給源から分離して提供することもでき、担体への結合によって操作され、標識部分によって標識するなどが可能である。
サンタレンシンターゼの活性及び生成物プロファイルは、公知の方法、例えば、WO2018160066として公開された国際特許出願に開示されている方法を用いて測定することができる。
以下では、「合成サンタレンシンターゼ」及び「改良型サンタレンシンターゼ」という用語は、典型的な条件下では、アルファ-サンタレンを超えてベータ-サンタレンを生成する、又は野生型サンタレンシンターゼと比較してアルファ-サンタレン量が増加して生成する、合成配列のサンタレンシンターゼを指すために、互換的に使用される。
したがって、「改良型アルファサンタレンシンターゼ」とは、典型的な条件下では、それらの天然由来の対応物と比較して、アルファサンタレン生成が増加した合成サンタレンシンターゼを指す。「改良型ベータサンタレンシンターゼ」とは、典型的な条件下でアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成する合成配列のサンタレンシンターゼを指す。
用語「超える(in excess)」は、用語「過剰(surplus)」と同義で使用され、2番目に指定された物質が、1番目に指定された物質よりも多く存在することが理解されるべきである。したがって、Bを超えるAは、モル又は重量又はパーセンテージであり得る同じ基準で、物質Bより多くの物質Aが存在することを意味する。
ファルネシルピロリン酸からテルペン生成物への変換では、二リン酸が切断されて反応性のカルボカチオン遷移状態になり、一連の反応、例えば、ヒドリド移動及び環化が起こり得る。したがって、他の遷移状態よりもいくつかの潜在的な遷移状態を優先することに関与する残基(residue)は、最終の可能な生成物の比に影響を与える場合がある。公知のサンタレンシンターゼの主な生成物は、主にアルファ-サンタレン、ベルガモテン及び/又はベータサンタレンである。
サンタレンシンターゼは、テルペンシンターゼファミリーの酵素であり、同一の基質から生成された多数の生成物のために、酵素クラスEC4.2.3.81、EC4.2.3.82及び/若しくはEC4.2.3.83、又はEC4.2.3.50に属するものとして分類される。後者のクラスの酵素は、(2E,6E)-ファルネシル二リン酸の代わりに(2Z,6Z)-ファルネシル二リン酸を基質として使用する。それらは、活性部位及び金属結合部位を含む、N末端PFAMドメインPF01397及びC末端PFAMドメインPF03936(PFAMのバージョン32.0を使用して分析される。PFAMの詳細については、「The Pfam protein families database in 2019: S. El-Gebali, J. Mistry、A. Bateman、S.R. Eddy、A. Luciani、S.C. Potter、M. Qureshi、L.J. Richardson、G.A. Salazar、A. Smart、E.L.L. Sonnhammer、L. Hirsh、L. Paladin、D. Piovesan、S.C.E. Tosatto、R.D. Finn Nucleic Acids Research(2019年)及びhttp://pfam.xfam.org/を参照されたい)を含む。それらは、通常、マグネシウム又はマンガンの補助因子として二価の陽イオンを必要とする。それらの機能的状態では、それらは典型的に、アスパラギン酸に富む2つの金属結合部位によって配位された3つのMg2+イオンを有する。これらのうちの1つは、DDxxDモチーフと呼ばれ、これは、2つのアスパラギン酸の配列であり、続いて任意のアミノ酸、続いて別の可変アミノ酸、好ましくはフェニルアラニン又はチロシン、より好ましくはチロシン、続いてさらなるアスパラギン酸である。第2の金属結合部位は、NSE/DTEトライアドと呼ばれる。これは、アスパラギン又はアスパラギン酸で出発するアミノ酸の配列であり、続いて第2のアスパラギン酸、続いて2つの可変アミノ酸、続いてセリン又はスレオニン、さらに続いて1つ又は2つの可変アミノ酸、続いてリジン又はアルギニン、続いて場合により可変アミノ酸であり、アスパラギン酸又はグルタミン酸残基で終わる。これらのモチーフにおいて、可変アミノ酸は、好ましくはモチーフの規定されたアミノ酸が、金属イオン結合、典型的にはマグネシウム結合に必要な三次構造を推定することを可能にするものである。
マグネシウムイオンを配位するこれらの保存された結合部位のうちの1つであるDDxxDモチーフはアルファへリックスに位置している。CiCaSSyとして公知であるクスノキ(Cinnamomum camphora)由来のサンタレンシンターゼ(配列番号1として提供されている)において、このアルファヘリックスは、278位のプロリンから、又はその直後に配列番号1の302位のアスパラギン酸に伸びており、ヘリックスDと呼ばれている。他のサンタレンシンターゼにおいては、DDxxDモチーフを含む同等のアルファヘリックスが存在するが、それらの命名は異なる場合があるが、ヘリックスは常に活性部位に直接衝突する。以下では、ヘリックスDへの任意の参照は、配列番号1の298~302のアミノ酸位置に対応する位置において、DDxxDモチーフを含む所定のサンタレンシンターゼのアルファヘリックスを指し、ヘリックスが文字Dで同定され得るか、又はそれぞれのタンパク質配列において異なるものであるかにかかわらない。DDxxDモチーフ及び他の保存された残基及び構造的特徴の高い保存性のために、これらのヘリックスは当該技術分野において公知であり、サンタレンシンターゼの新規配列において容易に同定することができる。
本発明者らは、ヘリックスDはサンタレンシンターゼの生成物プロファイルにとって重要であるが、それを変化させることは活性部位の感受性領域における酵素構造を過度に乱し、及び/又は酵素作用に必要なマグネシウムイオン結合を危険にさらす可能性があることを認識した。
本発明者らは、酵素の生成物プロファイルの変化は、より微妙な変化によって認識され得ることを見出した。サンタレンシンターゼでは、ヘリックスDの前に別のアルファヘリックスがある。CiCaSSyでは、これはヘリックスCと呼ばれ、配列番号1の位置263から位置272まで伸びる。いくつかの予測は、このアルファ-へリックスを276位に伸長するが、コアは263位から272位にある。
配列番号1の263位の開始点には、アルギニン-アスパラギン酸-アルギニントライアドの一部であるアルギニン残基が、配列番号1の261~263位に見出される。このトライアドは、サンタレンシンターゼに保存されているアルギニン残基をN末端に含む。
ヘリックスCは、それらの面する側のヘリックスDと相互作用する。ヘリックスDの特定の関連アミノ酸位置は、配列番号1の291位に対応する領域にある。ヘリックスCのアミノ酸の側鎖との可能な側鎖相互作用を有するさらなる位置は、配列番号1、2及び3においてそれぞれ287位及び288位のイソロイシン及びスレオニンの上流であり、配列番号1、2及び3においてそれぞれ294位及び295位のメチオニン及びスレオニンの下流である。
本発明者らは、ヘリックスCを操作することにより、生成された生成物に影響を与えるより大きな柔軟性を酵素に与える一方で、同時に、酵素の構造又はマグネシウム結合又は酵素の基質結合を負の形で過度に妨害しないことを見出した。本発明者らは、一次構造から、多くのサンタレンシンターゼが、原理的に所望の変化に適応し、本発明の効果を実証するためにCiCaSSy(配列番号1)を選択するように思われることを見出した。CiCaSSyは、ヘリックスCエレメントとサンタレンシンターゼを共有し、ベータ-サンタレンの生成量は比較的高いが、生成されたアルファサンタレンよりは少ない。これは、これら2つのサンタレンに関するCiCaSSyの生成物プロファイルでもある。CiCaSSyに近いこのような公知の酵素の例は、SaSSy(配列番号4)、SaSSy14(配列番号5)、SspiSSy(配列番号6)又はSauSSy(配列番号7)又はSaSSy134(配列番号9)である。しかし、CiCaSSyはまた、エレメントと、ベータ-サンタレンの低生成物であるサンタレンシンターゼ、及びClaSSy(配列番号8)のような強力なアルファ-サンタレン生成物であるサンタレンシンターゼを共有する。これらのグループ間のこの中間の位置により、CiCaSSyは、例えば、ヘリックスD及び他の下流部分の酵素構造の柔軟性に積極的な方法で影響を与えるために、ヘリックスCを操作するための出発点として選択された。
詳細な研究の後、CiCaSSyの残基267を突然変異のために選択した。この残基は、ヘリックスDの面とその側鎖が相互作用することが予想される(図3を参照されたい)。この残基に隣接して、CiCaSSyは、生成物プロファイルの変化を生じやすくすることが予想されていた他のサンタレンシンターゼと比較して、いくつかの頻度の低いアミノ酸を有する。配列番号1のアスパラギン267(N267と呼ばれる)に対応する位置において、多くの他のサンタレンシンターゼは、セリン又はロイシンのいずれかを有する(図1のアライメントを参照されたい)。しかし、この位置にセリン又はロイシンを有するこれらのサンタレンシンターゼは、配列番号1の突然変異していないCiCaSSyと同様に、それらの生成物プロファイルにおいて、記載されたマイナス面を有する。しかしながら、本発明者らは、配列番号1のN267の周囲が非常に好ましいことを認識していたため、本発明者らは、267位のその異常なアスパラギンをセリン及びロイシンで置換することを選択したが、これらは、性能が不十分であることが公知である他のサンタレンシンターゼの対応する位置に見出された。N267S及びN267Lと呼ばれる改良型サンタレンシンターゼの、得られた合成タンパク質配列は、それぞれ配列番号2及び配列番号3に示される。驚くべきことに、この位置のより一般的なアミノ酸への復帰は、酵素の触媒部分の空間的柔軟性の変化、例えば、2つの隣接するαヘリックスの変化、及び生成物プロファイルの新規で好ましい変化をもたらした。さらに、生成物プロファイルにおけるこの好ましい変化はまた、配列番号1の267に対応する位置、例えば、本明細書において以下に示されるグリシン又はアラニンでの他の巧妙な置換によって達成することができる。
野生型CiCaSSy、N267S及びN267LをコードするDNA配列は、それぞれ配列番号10、11及び12として列挙される。
配列番号1の267位に対応する位置にセリンを有する追加の合成タンパク質配列を配列番号13~20として示し、配列番号1の267位に対応する位置にロイシンを有するさらなる改良型タンパク質配列を配列番号21~28として示す。
一実施形態では、本発明は、したがって、これらのサンタレンの両方の合成を典型的にもたらす条件下で、ファルネシルピロリン酸からアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成する合成ベータサンタレンシンターゼに言及し、このような条件下では、公知のサンタレンシンターゼは典型的には、ベータ-サンタレンを超えるアルファ-サンタレンを生成するが、本発明の合成ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1のアミノ酸272位から291位、好ましくは284位に伸びるアルファヘリックスに対応する三次構造の柔軟性が、ベータ-サンタレンと比較して過剰のアルファ-サンタレンを生成する天然のサンタレンシンターゼにおける同じ三次構造と比較して増加するという事実によって特徴付けられる。柔軟性は、例えば、pH8.0、300K、1気圧、水環境、基質なしで存在するイオンを設定した同一条件下で500nsのシミュレーション、及びシミュレーションの最後の450ns上の各酵素構造についての評価を用いた二乗平均平方根ゆらぎ分析によって決定することができ、計算は、gmx trjconvを使用し、参照として平衡化されたシステムのタンパク質Cαを使用して、各軌道フレームのタンパク質構造の構造的重ね合わせを実行した後、GROMACSソフトウェア(バージョン2018)のgmx rmsfツールによって実行された。
一実施形態では、本発明のポリペプチドは、ベータサンタレンシンターゼの酵素的機能を有する合成ポリペプチドであり、ヘリックスDの柔軟性を増大させる手段であり、好ましくは配列番号1の272位に対応するアミノ酸位置から291位に伸びるアルファヘリックスに対応する三次構造の柔軟性を、その天然に存在する対応物と比較して増大させ、さらに、ベータサンタレン生成に適した条件下でFPPから、アルファサンタレンを超えるベータサンタレンを生成することによってさらに特徴付けられる。
本発明の一態様では、配列番号1のアミノ酸272位から291位、好ましくは284位までのストレッチに対応する三次構造の柔軟性は、ベータ-サンタレンよりも過剰のアルファ-サンタレンを生成する天然のサンタレンシンターゼの同じ三次構造と比較して増加され、柔軟性は、pH8.0、300K、1気圧、水環境、基質なしで存在するイオンを設定した同一条件下で500nsのシミュレーション、及びシミュレーションの最後の450ns上の各酵素構造についての評価を用いた二乗平均平方根ゆらぎ分析によって決定され、計算は、gmx trjconvを使用し、参照として平衡化されたシステムのタンパク質Cαを使用して、各軌道フレームのタンパク質構造の構造的重ね合わせを実行した後、GROMACSソフトウェア(バージョン2018)のgmx rmsfツールによって実行された。柔軟性の増加は、ベータ-サンタレンよりも過剰のアルファ-サンタレンを生成する天然のサンタレンシンターゼの対応する三次構造の柔軟性と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%である。
さらなる実施形態では、配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はロイシンで満たされる。本発明の別の態様では、合成サンタレンシンターゼは、Mg2+を結合するための2つのアスパラギン酸リッチモチーフ、好ましくはDDxxDモチーフ及びNSE/DTEトライアドをさらに含む。
一実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の261位に対応するアルギニン(R261)から配列番号1の298位及び299位に対応する2つのアスパラギン酸残基(D298及びD299)までのアミノ酸のストレッチ、続いて2つのアミノ酸、好ましくはこれらの2番目のアミノ酸はチロシンであり、続いて配列番号1の302位に対応する3番目のアスパラギン酸(D302)を含み、これらの5つのアミノ酸は、好ましくは酵素の金属結合に関与し、好ましくは配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はロイシンで満たされる。好ましい実施形態では、合成サンタレンシンターゼは、そのようなストレッチを含み、さらに前記ストレッチは配列番号1のR261に対応するアルギニンで始まり、配列番号1のD302に対応するアスパラギン酸で終わり、さらに、優先が増加する順番で、配列番号2、3、13~53のアミノ酸261~302の全長、好ましくは配列番号2、3、14~17、21~52のアミノ酸261~302の全長と比較して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、又は97%の配列同一性を有し、より好ましくは図1に示されるように、このストレッチ内のすべての強く保存されたアミノ酸がストレッチ内に存在する。
本発明の一態様では、本発明の改良型サンタレンシンターゼであって、本発明の方法及び宿主細胞において有用である改良型サンタレンシンターゼは、R(R/K)xxxxxxxxWモチーフ(アルギニン、続いてアルギニン又はリジン、続いて任意のタイプの8個のアミノ酸、次にアルギニン、配列番号55を参照されたい)、好ましくはモチーフRRxxxxxxxxW(RRX8W、配列番号54を参照されたい)を、それらのN末端開始の近くで有する。一実施形態では、RRX8Wモチーフは、配列番号2、3、29、57又は58の7位に対応する位置で始まり、配列番号2、3又は29の17位に対応する位置で終わる。別の実施形態では、本発明の改良型サンタレンシンターゼに見出され、本発明の方法及び宿主細胞において有用なRRX8Wモチーフは、配列番号2、3、29、57又は58の7~17位に対応する位置において、配列番号2、3、29、57又は58の位置、配列番号2、3又は29の次の位置:7、8及び12~17と同一のアミノ酸を有する。
さらなる実施形態では、本発明の改良型サンタレンシンターゼであって、本発明の方法及び宿主細胞において有用なものは、配列番号2、3又は29に見出されるように、RRX8Wモチーフと少なくとも80又は90%同一である、それらのN末端開始に近いRRX8Wモチーフを保持する。別の態様では、本発明の改良型サンタレンシンターゼであって、本発明の方法及び宿主細胞において有用なサンタレンシンターゼにおけるこのモチーフは、配列番号2、3又は29のRRX8Wモチーフと同一である。
本発明の一態様では、本発明の改良型サンタレンシンターゼであって、本発明の方法及び宿主細胞において有用なものは、PFAMドメインPF01397「テルペン_synth」及びC末端PFAMドメインPF03936「テルペン_synth_C」を含む。
本発明の別の態様では、本発明の改良型サンタレンシンターゼであって、本発明の方法及び宿主細胞において有用なものは、InterProソフトウェアによって同定された次の特徴を含む:
ドメイン「テルペンシンターゼ、金属結合ドメイン」IPR005630、「テルペンシクラーゼ様1、C末端ドメイン」IPR034741及び「テルペンシンターゼ、N末端ドメイン」IPR001906
並びに相同スーパーファミリー「イソプレノイドシンターゼドメインスーパーファミリー」IPR008949、「テルペノイドシクラーゼ/タンパク質プレニルトランスフェラーゼアルファ-アルファトロイド」IPR008930及び「テルペンシンターゼ、N末端ドメインスーパーファミリー」IPR036965。
実証されているように、改良型生成物プロファイルの所望の効果を提供するためには、ヘリックスCの重要な領域において、1つ又は複数のアミノ酸変化のみが必要である。ヘリックスC領域が短いため、1つ又は複数の変化が、迅速に、ヘリックスC領域に対する2つの配列の配列同一性において比較的大きな相違を生じる。
さらに好ましい実施形態は、ファルネシルピロリン酸からアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成するように、野生型酵素よりも改良された合成サンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、配列同一性決定に2つのタンパク質配列をアライメントさせるために、配列番号2又は3の261位のアルギニンに対応するアルギニン残基、及び配列番号2、3、29、57又は58の278位のプロリンに対応するプロリン残基を用いて、配列番号2、3又は29のアミノ酸位置261~278の全長、好ましくは配列番号2、3又は29の261位~272位と比較して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。より好ましくは配列番号2、3、29、57又は58の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はロイシンで満たされ、配列番号2、3、29、57又は58の291位に対応する位置は、ヒスチジン又はロイシン以外のアミノ酸で満たされ、好ましくはこの位置は、イソロイシン、バリン、セリン、システイン、フェニルアラニン又はスレオニンのこれらのアミノ酸のいずれかで満たされる。本発明の一態様では、上記合成ベータサンタレンシンターゼは、以下のサンタレンの生成に適切な条件下で、1に等しいか又はそれを超える、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.2、さらにより好ましくは1.3の比でベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンを生成している。
本発明の別の態様は、ファルネシルピロリン酸からアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成する合成ベータサンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、配列番号2、3、29~40、57又は58のアミノ酸261位から302位と、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有し、配列番号2又は3の261位に対応する位置は、配列番号2又は3の261位のアルギニンに対応するアルギニン残基であり、3つのアスパラギン酸残基は、配列番号2又は3又は29~40の298、299及び302位のアスパラギン酸に対応する位置であることが見出され、本発明の一態様では、上記合成ベータサンタレンシンターゼは、以下のサンタレンの生成に適切な条件下で、1に等しいか又はそれを超える、好ましくは少なくとも1.1、より好ましくは少なくとも1.2、さらにより好ましくは1.3の比でベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンを生成している。
好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼにおいて、配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はスレオニンで満たされ、配列番号1の282位に対応する位置は、極性の非荷電側鎖又は正荷電側鎖を有するアミノ酸、好ましくはグルタミン又はアスパラギン又はアルギニン又はリジンで満たされる。
別の好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼにおいて、配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はロイシンで満たされ、それはまた、次のアミノ酸の名前の後ろの括弧内に提供される配列番号1の位置に対応する位置に次のアミノ酸を有する:アルギニン(261)、アスパラギン酸又はアスパラギン(262)、アルギニン又はアスパラギン(263)、ロイシン又はイソロイシン又はバリン又はメチオニン(264)、ロイシン又はイソロイシン又はバリン又はメチオニン(265)、グルタミン酸又はグルタミン(266)、ヒスチジン又はチロシン(268)及びグルタミン又はアルギニン又はリジン(282)。
より好ましくは、これらは、括弧内に提供される配列番号1の位置に対応する位置の次のアミノ酸である:アルギニン(261)、アスパラギン酸(262)、アルギニン(263)、ロイシン(264)、ロイシン(265)、グルタミン酸(266)、ヒスチジン(268)、ロイシン(269)、フェニルアラニン(270)、及びグルタミン又はアルギニン(282)。
本発明の一態様では、前のパラグラフで定義されたアミノ酸に加えて、本発明の改良型ベータサンタレンシンターゼにおいて、配列番号2、3、29、57又は58の291位に対応する位置は、ヒスチジン又はロイシン以外のアミノ酸で満たされ、好ましくはこの位置は、イソロイシン、バリン、セリン、システイン、フェニルアラニン又はスレオニンのアミノ酸のいずれかで満たされる。
さらに別の好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、さらに、配列番号1の271位に対応する位置にセリン又はスレオニン、好ましくはセリン、及び配列番号1の273位に対応する位置にアラニン、イソロイシン、バリン又はシステイン、好ましくはアラニンを含む。
さらに好ましくは、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の267位に対応する位置に、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン又はロイシンを有するものであり、さらに、配列番号1の位置に対応する位置は、以下の表A、B又はCの配列番号1の対応する位置に列挙されたアミノ酸で満たされる。
Figure 2023533154000006
Figure 2023533154000007
Figure 2023533154000008
配列番号1の298位のアスパラギン酸は、配列番号1のDDXXDモチーフの開始を示す。
別の好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の268位に対応する位置にヒスチジン、配列番号1の269位に対応する位置にロイシン、及び配列番号1の270位に対応する位置にフェニルアラニンを含み、好ましくは配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン又はロイシンで満たされる。より好ましくは、改良型サンタレンシンターゼはまた、配列番号1について表A、B又はCに列挙された位置に対応する位置で、表A、B又はCに列挙されたアミノ酸を含む。
好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の291位に対応する位置に、ヒスチジン、グリシン又はロイシン以外の別のアミノ酸を有する。
本発明者らは、ヘリックスC及びヘリックスDの周りの柔軟性を増加させるために、さらなるアプローチを適用した。配列番号1、2、3、29、57又は58の291位は、ヘリックスCに面するヘリックスDの一部である位置である。配列番号1の野生型CiCassyにおいて、その位置は、イソロイシンで満たされる。驚くべきことに、本発明者らは、配列番号1の291位のイソロイシンを、スレオニン、セリン、バリン、フェニルアラニン又はシステインで置換することが、N267S又はN267L突然変異体よりも高いアルファ-サンタレンレベルを維持しながら、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比において正の効果を有することを見出した。本発明の別の態様では、合成ベータサンタレンシンターゼは、スレオニン、セリン、メチオニン、バリン、フェニルアラニン又はシステイン、好ましくはスレオニン、セリン、バリン、フェニルアラニン又はシステインを、配列番号1の291位に対応する位置に有するものであり、Mg2+と結合するための2つのアスパラギン酸に富むモチーフ、好ましくはDDxxDモチーフ及びNSE/DTEトライアドをさらに含む。
さらに、本発明者らは、ロイシンに置換された、配列番号1の291位に対応する位置にアミノ酸を有する合成サンタレン配列を作成し、配列番号1のものと比較してアルファ-サンタレン生成が増加した。
本発明のさらに別の態様は、配列番号1の267及び/又は291に対応する位置に好ましい突然変異を有する合成サンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、Mg2+に結合するためのアスパラギン酸に富むモチーフであるDDxxDを含み、4番目の位置にチロシン又はフェニルアラニンを有し、より好ましくは、結合モチーフは、N末端から出発して、2つのアスパラギン酸、フェニルアラニン、チロシン、続いてさらなるアスパラギン酸の配列を有する。
配列番号1の291位に対応する位置でイソロイシンを置換する好ましいアミノ酸に加えて、改良型サンタレンシンターゼは、好ましい実施形態では、287位に対応する位置にイソロイシン又はロイシン、好ましくはイソロイシンを有し、及び配列番号1の288位に対応する位置にスレオニン、セリン又はバリン、好ましくはスレオニン又はセリン、より好ましくはスレオニンを有する。さらに、本発明の好ましい一態様は、改良型サンタレンシンターゼに関し、配列番号1の286位に対応する位置にアラニン、配列番号1の287位に対応する位置にイソロイシン、配列番号1の288位に対応する位置にスレオニン、配列番号1の289位に対応する位置にリジン、配列番号1の290位に対応する位置にアラニンを有する。
配列番号1の291位に対応する位置でイソロイシンを置換する好ましいアミノ酸に加えて、改良型サンタレンシンターゼは、好ましい実施形態では、配列番号1の294位に対応する位置にメチオニン又はロイシン又はグルタミン酸残基、好ましくはメチオニン又はグルタミン酸残基、より好ましくはメチオニンを有する。
本発明の一態様は、ファルネシルピロリン酸からアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成する合成ベータサンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、配列番号1と少なくとも50%同一のアミノ酸配列を有し、
(a)配列番号1の位置267に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニン
のいずれかを有するか、又は
(b)配列番号1の位置291に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
スレオニン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはバリン
のいずれかを有するか、又は
(c)上記(a)及び(b)の組み合わせであるか、又は
(d)配列番号1の267位に対応するアミノ酸位置にアスパラギンを有し、及び配列番号1の291位に対応する位置は、次のアミノ酸:
スレオニン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはバリン
のいずれかであるか、又は
(e)配列番号1の位置267に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニンのいずれかを有し、及び配列番号1の291位に対応する位置は、イソロイシンである。
他の一態様では、本発明は、したがって、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを、ファルネシルピロリン酸から生成する合成ベータサンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、配列番号1と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有し、(a)配列番号1の267位に対応するアミノ酸位置に次のアミノ酸:セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン若しくはアラニン、好ましくはセリン若しくはスレオニンのいずれかを有し、及び/又は(b)配列番号1の291位に対応するアミノ酸位置にイソロイシン、セリン、システイン、バリン、フェニルアラニン若しくはスレオニン、好ましくはスレオニン、フェニルアラニン若しくはバリンを有し、又は、配列番号1の267位に対応する位置がアスパラギンである場合、配列番号1の291位に対応する位置にセリン、システイン、バリン、フェニルアラニン又はスレオニン、好ましくはスレオニン、フェニルアラニン又はバリンを有する。本発明の別の態様では、前文の特徴に加えて、合成ベータサンタレンシンターゼは、バリンで満たされた配列番号1の285位に対応する位置、グルタミン若しくはアルギニンで満たされた配列番号1の282位に対応する位置、セリンで満たされた配列番号1の271位に対応する位置、アラニンで満たされた配列番号1の273位に対応する位置、及び/又はバリンで満たされた配列番号1の274位に対応する位置を有する。
さらに、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の291位に対応する位置にイソロイシン、バリン、メチオニン、システイン、セリン、フェニルアニン若しくはスレオニン、好ましくはバリン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはスレオニン、より好ましくはシステイン、スレオニン若しくはバリン、又は改良型アルファサンタレンシンターゼの場合はロイシンを有するものであり、さらに、配列番号1の位置に対応する位置は、以下の表A'、B'又はC'の配列番号1の対応する位置について列挙されたアミノ酸で満たされる。
Figure 2023533154000009
Figure 2023533154000010
Figure 2023533154000011
本発明の一態様では、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の267位に対応する位置に、配列番号2、3又は29のいずれかのポリペプチドの267位に見出されるアミノ酸を有し、配列番号1の291位に対応する位置に、改良型ベータサンタレンシンターゼについては、配列番号30、31、32、33若しくは34のいずれか、又は改良型アルファサンタレンシンターゼについては、配列番号53のポリペプチドの291位に見出されるアミノ酸を有し、配列番号2、3、29~40又は53のポリペプチドのいずれかに対する全長と比較して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。
本発明のさらなる態様では、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の位置に対応する位置に、表Dに列挙される次のアミノ酸残基を有し、好ましくは配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、好ましくはセリン、スレオニン又はロイシンで満たされ、より好ましくは配列番号1の255位に対応する位置は、疎水性側鎖又は極性非荷電側鎖を有するアミノ酸、好ましくはセリン、スレオニン、アラニン又はバリン、より好ましくはアラニンで満たされる。
Figure 2023533154000012
本発明のさらに好ましい態様では、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の267位及び291位に対応する位置に好ましいアミノ酸に加えて、次のアミノ酸:セリン(271)、アラニン(273)、バリン(274)、グルタミン(282)、バリン(285)、アラニン(286)、バリン(292)、メチオニン(294)、アラニン(296)及びフェニルアラニン(300)を、ここに列挙された各アミノ酸の隣りの括弧内に提供される配列番号1の位置に対応する位置に有する。
本発明の別の好ましい態様では、改良型サンタレンシンターゼは、上記で列挙された位置に好ましいアミノ酸に加えて、配列番号1の232位に対応する位置にアルギニンを有する。
以下の表1は、改良型サンタレンシンターゼの一部及び対照における、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比を示す。
Figure 2023533154000013
表1に示されるように、巧妙な改良が、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比の増加、又は改良型サンタレンシンターゼの生成物におけるアルファサンタレンの増加をもたらした。イタリック体中のエントリーは、配列番号1の未改変酵素(「野生型」)、及び過剰なアルファサンタレンを生成するI291Lについてのものである。後者は、所定の位置における巧妙な改変が、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比、又はアルファ-サンタレン生成のいずれかの所望の改良をもたらすことを示す。これは、I291L改変が、I291Lのより低いベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比によって示されるように、配列番号1の未改変酵素よりも大量のアルファ-サンタレンを生成することを可能にするためである。
生成されるベータ-サンタレンを増加又は減少させるには、267位及び/又は291位におけるアミノ酸の発明的選択が必要である。例えば、本発明者らは、配列番号1の291位に対応する位置でイソロイシンをロイシンに置換し(配列番号53を参照されたい)、配列番号1よりもアルファ-サンタレン生成を増加させたが、その代償としてベータ-サンタレン及びベルガモテンは改良されず、むしろ減少する。したがって、本発明の一態様は、配列番号1の291位に対応する位置にロイシンを有する合成アルファサンタレンシンターゼに関し、未改変酵素と比較してアルファ-サンタレンの生成が改良される。
配列番号1の291位にヒスチジンを導入した場合、サンタレンシンターゼの活性は破壊され、アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンは生成されなかった。本発明の一態様では、本発明による改良型サンタレンシンターゼは、291位にヒスチジン以外のアミノ酸を有する。
一態様では、本発明の改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の291位に対応する位置にヒスチジン又はグリシン残基を有さないが、イソロイシン、バリン、スレオニン、システイン、フェニルアラニン若しくはセリン、好ましくはシステイン、バリン、セリン、フェニルアラニン若しくはスレオニンを有し、又はアルファサンタレンとベータサンタレンとの比の増加が望まれる場合、配列番号1の291位に対応する位置にロイシンを有する。本発明の別の態様では、イソロイシンは、配列番号1の267位に対応する位置がセリン、スレオニン若しくはロイシンで満たされる場合、配列番号1の291位に対応する位置に見出されるか、又はその291位に、バリン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはスレオニンのいずれかは、配列番号1の267位に対応する位置がアスパラギンで満たされる場合に見出される。
別の好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、アルギニン(261)、ロイシン(264)、ロイシン(265)、セリン(271)、アラニン(273)、プロリン(278)、アルギニン(284)、イソロイシン(287)、アスパラギン酸(298)、アスパラギン酸(299)及びアスパラギン酸(302)を、ここに列挙された各アミノ酸の隣りの括弧内に提供される配列番号1の位置に対応する位置に含み、好ましくは配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシン、より好ましくはセリン又はロイシンで満たされる。さらなる実施形態における改良型ベータサンタレンシンターゼでは、この位置はアスパラギンで満たされ、配列番号1の291位に対応する位置は、バリン、システイン、セリン、フェニルアラニン又はスレオニンで満たされる。
さらに好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼはさらに、図1において、黒い背景陰影によって強く保存されているものとして記されるすべてのアミノ酸の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、より好ましくは少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%、さらにより好ましくは100%を有する。
別の好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、267位のアミノ酸がロイシン、セリン又はスレオニンで置換され、291位のアミノ酸がスレオニン、セリン、システイン、フェニルアラニン又はバリンで置換されるか、又は増加したアルファサンタレン量を生成することが望まれる場合にロイシンで置換された、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含む。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がLeuで置換され、291位のアミノ酸がThrで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がLeuで置換され、291位のアミノ酸がSerで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がLeuで置換され、291位のアミノ酸がCys又はPheで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がLeuで置換され、291位のアミノ酸がValで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がSerで置換され、291位のアミノ酸がThrで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がSerで置換され、291位のアミノ酸がSerで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がSerで置換され、291位のアミノ酸がCys又はPheで置換される。
別の好ましい実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号1の配列、そのバリアント、誘導体、オルソログ、パラログ又はホモログを含み、267位のアミノ酸がSerで置換され、291位のアミノ酸がValで置換される。
改良型サンタレンシンターゼは、典型的には60~70kDa、好ましくは61~66kDaの分子量を有し、いずれのタグもなく、他のタンパク質部分にドメイン又は融合を付加している。
好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、配列番号1の全長と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%、例えば100%の配列同一性を有する。さらに好ましい実施形態では、改良型サンタレンシンターゼは、改良型ベータサンタレンシンターゼについて、配列番号2、3、14~17、21~52のいずれか、好ましくは配列番号2、3、29~40のいずれかのタンパク質配列の全長と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%、例えば100%の配列同一性を有し、又は、増加したアルファサンタレン生成が望まれる場合は、配列番号13、18、19、20若しくは53、好ましくは配列番号53のタンパク質配列の全長と比較して、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%、例えば100%の配列同一性を有し、より好ましくは強く保存されているものとして、さらに、図1において黒の背景陰影によって記されているすべてのアミノ酸を有する。
ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比が増加したサンタレンシンターゼでは、好ましくは(a)配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン若しくはロイシン、より好ましくはセリン若しくはロイシンで満たされ、又は配列番号1の291位に対応する位置は、バリン、スレオニン、システイン、フェニルアラニン若しくはセリン、より好ましくはThr、Val、Cys若しくはSerで満たされ、或いは(b)配列番号1の267位に対応する位置は、アスパラギンであり、配列番号1の291位に対応する位置は、バリン、スレオニン、システイン、フェニルアラニン若しくはセリン、より好ましくはThr、Val、Cys若しくはSerで満たされ、或いは(c)配列番号1の267位に対応する位置は、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン若しくはロイシン、より好ましくはセリン、グリシン、アラニン若しくはロイシンで満たされ、配列番号1の291位に対応する位置は、イソロイシン、バリン、スレオニン若しくはメチオニンで満たされ、或いは(d)(a)、(b)又は(c)と配列番号1の255位に対応する位置のアラニン残基との組み合わせ、或いは(e)(a)、(b)、(c)又は(d)と配列番号1の268位に対応する位置のヒスチジンとの組み合わせである。
アルファ-サンタレンとベータ-サンタレンとの比が増加したサンタレンシンターゼでは、配列番号1の291位に対応する位置は、ロイシンで満たされ、配列番号1の267位に対応する位置は、アスパラギン、セリン、スレオニン又はロイシン、好ましくはアスパラギンである。
本発明の一態様は、ファルネシルピロリン酸からベータ-サンタレンを超えるアルファ-サンタレンを生成する合成サンタレンシンターゼに関し、サンタレンシンターゼは、配列同一性の決定に2つのタンパク質配列をアライメントさせるために、配列番号1、2、3、29、57又は58の261位のアルギニンに対応するアルギニン残基、及び配列番号1、2、3、29、57又は58の298、299及び302位のアスパラギン酸に対応する3つのアスパラギン酸残基を用いて、配列番号1、2、3、29、57又は58のいずれかのアミノ酸位置261~302に対して、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有し、配列番号2又は3の291位に対応する位置は、グリシン又はロイシン、好ましくはロイシンである。一態様では、これらの改良型アルファサンタレンシンターゼは、配列番号1の267位に対応する位置にアスパラギンを有する。
好ましくは本発明の改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号2、3、29、57又は58の261位のアルギニンに対応する位置のアルギニンで始まり、配列番号2、3又は29~40、57又は58の298、299及び302位のアスパラギン酸に対応する位置で3つのアスパラギン酸まで伸びるタンパク質の一部において、配列番号2、3、14~17、21~52、57又は58のいずれか、好ましくは配列番号2、3、29~40、57又は58のいずれかに対して、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性を有し、配列番号2、3、29、57又は58の267位に対応する位置に、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシンを有し、及び/又は配列番号2、3、29、57又は58の291位に対応する位置に、バリン、システイン、セリン、フェニルアラニン又はスレオニン、好ましくはバリン、セリン、フェニルアラニン又はスレオニンを有し、又は配列番号2、3、29、57又は58の267位に対応する位置にセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシンが存在する場合、配列番号2、3又は29の291位に対応する位置にイソロイシンを有する。
別の好ましい態様では、改良型ベータサンタレンシンターゼは、配列番号2、3、29、57又は58の261位のアルギニンに対応する位置のアルギニンで始まり、配列番号2、3、29、57又は58の298、299及び302位のアスパラギン酸に対応する位置で3つのアスパラギン酸まで伸びるタンパク質の一部において、配列番号2、3、14~17、21~52、57又は58のいずれか、好ましくは配列番号2、3又は29~40、57又は58のいずれかに対して、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、少なくとも70%又は少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号2、3、29、57又は58の267位に対応する位置に、アスパラギン、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン又はアラニン、好ましくはアスパラギン、セリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン又はロイシンを有し、及び/又は配列番号2、3、29、57又は58の291位に対応する位置に、バリン、セリン、システイン、フェニルアラニン又はスレオニン、好ましくはセリン、バリン、フェニルアラニン又はスレオニンを有し、好ましくは配列番号2、3、29、57又は58の268位に対応する位置にヒスチジンを有する。
ベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンの量は、信頼できる定量法、好ましくはFID検出器付きガスクロマトグラフィーにより決定される。アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンの量を決定するための好ましい方法は、実施例のセクションに詳細に記載される。
改良型ベータサンタレンシンターゼは、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成し、これは、これらのサンタレンの生成に適した条件下で、酵素が、1.0より大きいベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとのモル比でベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンを生成することを意味する。改良型アルファサンタレンシンターゼは、ベータ-サンタレンを超えるアルファ-サンタレンを生成し、これは、これらのサンタレンの生成に適した条件下で、酵素が、1.0未満であるベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとのモル比でベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンを生成することを意味する。
これらのサンタレンの生成に適した条件は、例えば、改良型サンタレンシンターゼをコードするDNAを宿主細胞中で発現させることによって提供することができ、これは、活性な改良型サンタレンシンターゼを提供し、アルファ-及びベータ-サンタレンに対する反応を行う改良型酵素のために、すべての基質及び補助因子、例えばファルネシルピロリン酸及びマグネシウムイオンを提供する。
これまでのところ、公知のサンタレンシンターゼは、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとのモル比が1未満である組成物を生成する。本発明の改良型ベータサンタレンシンターゼは、好ましくはGC-FIDによって測定される、1に等しいか又は1より大きいベータサンタレンとアルファサンタレンとのモル比で、ベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンを生成し、例えば、比は、少なくとも1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2である。ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、さらにより好ましくは6:1、なおさらにより好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1、さらに少なくとも9:1であり得る。本発明の一態様では、比は100:1以下である。
本発明の一態様は、本発明の合成サンタレンシンターゼのいずれかをコードする合成核酸、ベータ-サンタレンからアルファサンタレンへの生成が増加したサンタレンシンターゼ(例えば、限定するものではないが、配列番号2、3、14~17、21~52のポリペプチド、又はそれらのバリアント)、又は改変前の天然サンタレンシンターゼと比較してアルファサンタレン生成が改良されたサンタレンシンターゼ、例えば、限定するものではないが、配列番号53のポリペプチド又はそのバリアントのいずれかに関する。本発明のさらなる部分は、本発明の合成核酸を含む発現カセットである。
さらに好ましい実施形態は、アルファ-サンタレンよりも過剰であるベータ-サンタレンを有する組成物を生成する方法、好ましくは本明細書に開示される改良型ベータサンタレンシンターゼを用いた大規模生成に適した方法であり、以下の工程を含む:(i)1つ以上の改良型ベータサンタレンシンターゼを活性型で、必要なすべての補因子、例えば、限定するものではないが、マグネシウムイオンのような金属イオンとともに提供する工程、(ii)ファルネシルピロリン酸を、サンタレンの生成を可能にする条件下で、1つ以上の改良型ベータサンタレンシンターゼと接触させる工程、(iii)ファルネシルピロリン酸から、ベータ-サンタレン及びアルファサンタレン、並びに場合によりベルガモテン及び場合により他のサンタレンを生成する工程であって、生成されるベータ-サンタレンの量は、生成されるアルファ-サンタレンの量よりも多く、場合により生成物を精製して、例えば、それらをサンタレンシンターゼ及びあらゆる残りの基質及び望ましくない化合物から分離する工程。好ましくはこれらの方法は、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2である2つのモル比でアルファサンタレンよりも多くのベータ-サンタレンを含む組成物を生成し、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、さらにより好ましくは6:1、なおさらにより好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1、さらには少なくとも9:1であり得る。本発明の一態様では、比は100:1以下である。
改良型ベータサンタレンシンターゼを提供し、ファルネシルピロリン酸をそれと接触させ、サンタレンを生成するための発酵工程を含む、アルファ-サンタレンよりも過剰であるベータ-サンタレンを有する組成物を生成する方法を行うことは特に有益である。したがって、例えば、インビトロで本発明の単離されたサンタレンシンターゼを使用する方法が可能であるが、次の工程を含むアルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを含む組成物を生成するための発酵方法が特に好ましい:
(a)改良型ベータサンタレンシンターゼをコードする核酸を、宿主中で発現させるのに適した方法で提供する工程、
(b)(a)の核酸を、ファルネシルピロリン酸及びすべての必要な補助因子を活性化するサンタレンシンターゼに提供することができる宿主細胞に導入する工程、
(c)(a)の核酸によりコードされるサンタレンシンターゼを活性型で生成し、ファルネシルピロリン酸及びすべての必要な補助因子をサンタレンシンターゼに提供するように宿主細胞を培養する工程、
(d)改良型ベータサンタレンシンターゼの使用により、ベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレン、並びに場合によりベルガモテンをファルネシルピロリン酸から生成する工程であって、生成されるベータ-サンタレンの量は生成されるアルファ-サンタレンの量よりも大きい工程、
(e)所望の量のこれらの化合物が生成された場合、生成されたベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレン、並びに場合によりベルガモテンを回収する工程、
(f)場合により、ベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレン、並びに場合によるベルガモテンを精製する工程。
改良型ベータサンタレンシンターゼによって、及び本発明の方法によって生成されるベータ-サンタレンの量は、重量/重量基準で、同一条件下で未改変サンタレンシンターゼによって生成されるものと比較して、増加する優先順位で、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%多いベータ-サンタレンを含む。場合により、改良型ベータサンタレンシンターゼによって、及び本発明の方法により生成されるベルガモテンの量は、重量/重量基準で、同一条件下で未改変サンタレンシンターゼによって生成されるものと比較して、増加する優先順位で、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%多いベルガモテンを含む。本発明の一態様では、少なくとも12%(w/w)、18%(w/w)又は20%(w/w)のベルガモテンが、改良型サンタレンシンターゼ及び本発明の方法によって生成される。さらにより好ましくは、少なくとも2倍の量のベータ-サンタレン及び場合によりベルガモテンが生成される組成物中に存在する。
本発明の一態様では、本発明はさらに、アルファ-サンタレン含有量よりも高いベータ-サンタレン含有量を有する改良型ベータサンタレンシンターゼを使用して生成されるサンタレン組成物に関する。本発明の一態様では、本発明の組成物は、1つ以上の合成ベータサンタレンシンターゼ、本発明の方法(複数可)又は宿主細胞(複数可)によって生成され、組成物は、アルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレンを含む。
好ましい一実施形態は、改良型ベータサンタレンシンターゼを使用して生成されるベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレン及びベルガモテンを含む組成物、好ましくは実質的にそれらからなる組成物であり、組成物は、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを有する。本発明の特定の態様では、組成物は、ベルガモテンよりも多くのベータ-サンタレン、及びアルファ-サンタレンよりも多くのベルガモテンを含む。
本発明の組成物は、好ましくは、アルファサンタレンよりもベータ-サンタレンを、1を超えるこれらの2つの比で含み、例えば、比は少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2である。ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、さらに好ましくは6:1、さらにより好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1、さらに少なくとも9:1であり得る。本発明の一態様では、比は1000:1以下である。
本発明はさらに、アルファ-サンタレン含有量よりも高いベルガモテン含有量を有する改良型ベータサンタレンシンターゼを使用して生成される組成物に関する。このような組成物は、アルファサンタレンよりも多くのベルガモテンを、1より大きい、好ましくはその比が少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2であるこれらの2つの比で含む。ベルガモテンとアルファ-サンタレンとの比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、さらにより好ましくは6:1、さらにより好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1、さらに少なくとも9:1であり得る。本発明の一態様では、比は1000:1以下である。
本発明の一態様では、改良型サンタレンシンターゼを使用して、本発明の一態様において生成される組成物は、少なくとも12%(w/w)、18%(w/w)又は20%(w/w)のベルガモテンを含む。
改良型サンタレンシンターゼによって生成され、本発明の組成物中に見出されるベルガモテンとベータ-サンタレンとの比は、1を超える(ベルガモテン過剰)か、又は1を下回る(ベータ-サンタレン過剰)ことができる。第1は、例えば、N267S(配列番号2)又はアルファサンタレン過剰生成物I291L(配列番号53)を使用して生成される組成物の場合であり、後者は、図4及び5に見ることができるように、N267L(配列番号3)、又は配列番号30~34若しくは36若しくは37のいずれかを使用して生成される組成物によって例示される。所望の生成物、及び組成物のさらなる加工に依存して、ベルガモテン過剰型の改良型ベータサンタレンシンターゼ、又はベータ-サンタレン過剰型の1つを使用することは有利である。改良型ベータ-サンタレンシンターゼN267G(配列番号57)及びN267A(配列番号58)は、ベータ-サンタレンのレベルにほぼ等しい量のベルガモテンを示し、一部の使用については望ましいこともあるアルファ-サンタレン生成が強く低減された。
本発明の一態様では、ベルガモテンとベータ-サンタレンとの比は、1.0を下回り、例えば、0.95、0.9、0.85、0.8若しくは0.75に等しいか又はそれを下回り、例えば、0.70に等しいか又はそれを下回るが、0.28より高く、例えば、0.30よりも高い。
一実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼを使用して生成される組成物中のベルガモテンとベータ-サンタレンとの比は、少なくとも1:1である。本発明の一態様では、比は、5.5:1以下であり、例えば、5:1若しくは4.5~1、又は4:1、又は3.5~1若しくは3~1、又は2.5~1、又は2:1以下である。
別の実施形態では、改良型ベータサンタレンシンターゼを使用して生成された組成物中のベルガモテンとベータ-サンタレンとの比は、1:2、1:3、1:4、1:5若しくは1:10又はそれ未満である。
したがって、一態様では、本発明は、改良型ベータサンタレンシンターゼ、本発明の宿主細胞又は本発明の方法に関し、サンタレンシンターゼは、アルファ-サンタレンよりも多いベータ-サンタレンを生成することに加えて、アルファ-サンタレンよりも過剰なトランス-α-ベルガモテンを生成する。
さらなる実施形態は、改良型ベータサンタレンシンターゼ、本発明の宿主細胞又は本発明の方法によって生成され得る、ベータ-サンタレンより多いベルガモテン、及びアルファ-サンタレンよりも多いベータ-サンタレンを含む組成物に関する。好ましくは組成物が生成され、改良型ベータサンタレンシンターゼの生成又は組成物の生成のための発酵工程を含む。
好ましい実施形態では、アルファ-サンタレンよりも多いベータ-サンタレンを有する組成物は、1つ以上のタイプの宿主細胞、好ましくは細菌、植物又は菌(酵母を含む)細胞、より好ましくは細菌、さらに好ましくは大腸菌(Escherichia coli)、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属の種又は紅色非硫黄細菌(Rhodobacter sphaeroides)の培養によって得られる。
さらに好ましい実施形態では、本発明は、本発明の方法により生成されるベータ-サンタレンとアルファサンタレンの両方を含む前駆体組成物から生成されるβ-サンタロール((2Z)-2-メチル-5-[2-メチル-3-メチレン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル]ペンタ-2-エン-1-オール、CAS番号77-42-9)及びα-サンタロール((Z)-5-(2,3-ジメチルトリシクロル[2.2.1.22,6]ヘプタ-3-イル)-2-メチルペンタ-2-エン-1-オール、CAS番号115-71-9)を含む組成物に関し、β-サンタロール(本明細書ではベータ-サンタロールとも呼ばれる)は、前駆体組成物中の過剰なベータサンタレン含有量のために、α-サンタロール(本明細書ではアルファサンタロールとも呼ばれる)よりもw/w基準でより多くの量で存在する。これらの組成物中のベータ-サンタロールとアルファサンタロールとの比は1より大きく、好ましくは、比は少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は少なくとも2である。ベータ-サンタロールとアルファ-サンタロールとの比は、少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1、より好ましくは少なくとも5:1、さらに好ましくは6:1、さらにより好ましくは少なくとも7:1、最も好ましくは少なくとも8:1、さらに少なくとも9:1であり得る。本発明の一態様では、比は100:1以下である。
さらなる好ましい実施形態は、α-サンタロールに比べて過剰のβ-サンタロールを有する組成物を生成する方法であって、(a)アルファ-サンタロールに変換する前に、アルファ-サンタレン含有量を減少させる必要はなく、及び/又は(b)蒸留若しくは他の手段によって、サンタレンからの変換後にベータ-サンタロール含有量を増加させる必要はなく、該方法は、本発明の方法によって、アルファ-サンタレンに比べて過剰のベータ-サンタレンを有する組成物を生成する工程、及び1つ以上のその後の工程において、ベータ-サンタレンをβ-サンタロールに酸化し、及びアルファ-サンタレンをα-サンタロールに酸化する工程を含む。サンタレンのこの変換は、生合成的及び/又は化学的にそれらのそれぞれのアルコールに行うことができる。サンタロールへの変換後に、他の化合物を除去するための蒸留のような精製工程を含めることができ、所望により、ベータ-サンタロールとアルファ-サンタロールとの比を蒸留により変更することができるが、改良型ベータサンタレンシンターゼの使用により、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを有する組成物を提供した後、ベータ-サンタロールとアルファ-サンタロールとの比をさらに変更することなく、アルファ-サンタロールよりも多いベータ-サンタロールを有する組成物を達成することができる。したがって、本発明の一態様は、アルファ-サンタロールを超えるベータ-サンタロールを含む組成物を生成する方法であって、該方法は、本発明の方法によってアルファ-サンタレンより過剰のベータ-サンタレンを有する組成物を生成する工程を含み、1つ以上のその後の工程において、ベータ-サンタレンをβ-サンタロールに酸化し、アルファ-サンタレンをα-サンタロールに酸化する工程を含み、サンタレンの酸化後にサンタロールの蒸留が、実質的にアルファ-サンタロール含有量に対してベータ-サンタロール含有量を増加させることなしに、サンタロールの精製のために行われる。
また、本発明は、本発明の方法のいずれかによって生成されるアルファ-サンタロールを超えるベータ-サンタロールを含む組成物に関し、本発明の改良型ベータサンタレンシンターゼを含むか又は本発明の宿主細胞を含み、場合により組成物中のベルガモトールの合計は10%(w/w)未満又はさらには8%(w/w)未満である。別の態様では、本発明の改良型ベータサンタレンシンターゼ又は本発明の宿主細胞を含む、本発明の方法のいずれかによって生成されるアルファ-サンタロールを超えるベータ-サンタロールを含む本発明の組成物は、3%未満のエピ-β-サンタロールを含む。
本発明の一態様は、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを生成する合成サンタレンシンターゼ、それをコードする核酸、このような核酸を含む発現カセット、このような発現カセットを含む宿主細胞、本発明の方法、並びに本発明の酵素と方法を用いて生成される組成物であって、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレン及び/又はベータ-サンタロールとアルファサンタロールを含み、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの比、又はベータ-サンタロールとアルファ-サンタロールとの比はそれぞれ、少なくとも1.3、1.5又は2に等しいか又はそれよりも大きい組成物に関する。
好ましくは本発明の組成物は親油性組成物である。
本発明の方法によって生成されるベータ-サンタレン、アルファサンタレン若しくはベルガモテン、又は本発明の組成物は、風味又は香りの用途、化粧用途、虫除け剤又は昆虫誘引剤として、又は農業、例えば作物保護若しくは動物飼育のために使用することができる。
本発明の一態様は、改良型サンタレンシンターゼ(複数可)をコードする1つ以上の核酸から1つ以上の改良型サンタレンシンターゼを生成するのに適し、ファルネシルピロリン酸及びその活性に必要なすべての補助因子を用いて改良型サンタレンシンターゼを提供するのに適した宿主細胞であり、ここで宿主細胞はそのような核酸(複数可)を含む。
したがって、さらに好ましい実施形態は、本発明の改良型サンタレンシンターゼを含む宿主細胞である。アルファ-サンタレンよりもベータ-サンタレンを多く含む組成物を生成することができる微生物は、真菌細胞(酵母を含む)又は細菌又は植物細胞又は動物細胞であり得、例えば、エシェリキア(Escherichia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、ヘリコバクター(Helicobacter)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、アミコラトプシス属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ピキア(Pichia)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属及びクルイベロミセス(Kluyveromyces)属からなる群から選択される。好ましい実施形態では、アルファ-サンタレンよりも多いベータ-サンタレンを含む組成物の生成に適した1つ以上の宿主細胞は、a)グラム陰性菌、例えば、ロドバクター属(例えば、R.スフェロイデス(R. sphaeroides)、R.カプスラツス(R.capsulatus))、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、パラコッカス(Paracoccus)属(例えば、P.カロチニファシエンス(P. carotinifaciens)、P.ゼアキサンチニファシエンス(P. zeaxanthinifaciens))、又はエシェリキア属の群から選択される細菌細胞、b)グラム陽性細菌、例えば、バチルス属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アミコラトピス(Amycolatopis)属の群から選択される細菌細胞、c)アスペルギルス(Aspergillus)属、ブラケスレア(Blakeslea)属、ペニシリウム(Peniciliium)属、ファフィア(Phaffia)属(キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属)、ピキア属、サッカロミセス(Saccharamoyces)属、クルイベロミセス属、ヤロウイア(Yarrowia)属及びハンセヌラ(Hansenula)属の群から選択される真菌細胞、又はd)トランスジェニック植物又はトランスジェニック植物細胞を含む培養物であって、細胞(ocell)がニコチアナ(Nicotiana)属の種、チコラム・インティバス(Cichorum intybus)、ラクカ・サティバ(lacuca sativa)、メンタ(Mentha)属の種、アルテミシア・アンヌア(Artemisia annua)、塊茎形成植物、油糧作物及び樹木から選択されるトランスジェニック植物のものである、トランスジェニック植物又はトランスジェニック植物細胞を含む培養物、又はe)トランスジェニックキノコ又はトランスジェニックキノコ細胞を含む培養物であって、微生物がシゾフィルム(Schizophyllum)属、アガリクス(Agaricus)属及びプレウロチス(Pleurotisi)属から選択される。より好ましい生物は、エシェリキア属、サッカロミセス属、ピキア属、アミコラトプシス属、ロドバクター属又はパラコッカス属に属する微生物であり、さらにより好ましくは種である大腸菌、S.セレビシエ(S. cerevisae)、ロドバクター・スフェロイデス又はアミコラトピス属の種の微生物である。
さらなる態様は、改良型サンタレンシンターゼをコードする合成核酸を含む発現カセットである。これらの核酸は、配列番号11若しくは12として列挙されたもの、又は配列番号2、3、14~17、21~52のいずれかのポリペプチドをコードするもの、又は増加されたアルファサンタレン生成について、配列番号53のポリペプチドをコードする核酸であり得る。発現カセットにおいて、宿主細胞におけるサンタレン生成の変化に適した他の核酸は、改良型サンタレンシンターゼをコードするもの、例えば、それらに限定はされないが配列番号2、3、13~53のいずれかに開示されているものである。増加したアルファ-サンタレン生成を有するサンタレンシンターゼをコードする核酸について、配列番号53のポリペプチドをコードする核酸は、このような発現カセット及び宿主細胞において使用することができる。上記発現カセットは、ベクター、核、プラスミド、人工染色体、又は所望の強度及び様式で宿主細胞において発現を可能にする任意の他の手段に含有され得る。
本発明のさらなる態様は、配列番号1のヘリックスC及び配列番号1のヘリックスD、及び配列番号1のこれら2つを連結するポリペプチド鎖に対応する三次構造の柔軟性を変化させることにより、サンタレンシンターゼの生成物プロファイルを意図的に変化させる方法である。例えば、この方法は、配列番号1の267位に対応する位置のアミノ酸が、セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニン、好ましくはセリン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、アラニン若しくはロイシン、例えばセリン若しくはロイシンであるようにサンタレンシンターゼをコードする核酸を変化させる工程、及び/又は、ここで、配列番号1の291位のコドンに対応するコドンが、ロイシン、バリン、スレオニン、システイン若しくはセリン、例えばThr、Val、Cys、Phe若しくはSerをコードするようにサンタレンシンターゼをコードする核酸のコドンを変更する工程、続いて、本発明の合成サンタレンシンターゼの発現に適した宿主細胞において改変核酸を発現させる工程を伴う。
公知のサンタレンシンターゼCiCaSSy野生型(配列番号1)、SaSSY、SaSSy14、SspiSSy、SauSSy、ClaSSy及びSaSSy134の配列(それぞれ配列番号4~9)を示す図である。SaSSY134は、このアライメントにおいてSEQ280で標識される。また、2つの改良型ベータサンタレンシンターゼN267S及びN267L突然変異体(配列番号2及び3)も含まれる。アライメントは、典型的な設定を用いてclustalwソフトウェアを用いて行った。黒色の背景陰影は、強く保存された残基を記し、灰色の背景陰影は、アライメントされた配列の少なくとも50%に保存されている残基を記し、白色の背景陰影は、保存されていないアミノ酸を記す。 図1-1の続き。 図1-2の続き。 PyrMolソフトウェアを用いて作製されたCiCaSSy配列番号1の3Dモデルを示す図である。アルファヘリックスが示され、黒色はCiCaSSyの2つのヘリックスC(短い黒色ヘリックス)及びヘリックスD(長い黒色ヘリックス)を記す。 野生型CiCaSSy(A)及びN267S突然変異体(B)におけるヘリックスCとヘリックスDの相互作用のグラフ表示を示す図である。画像の中央にあるアルファヘリックスはヘリックスDを表し、左側にあるアルファヘリックスはヘリックスCを表す。267位にある2つのアミノ酸の側鎖は濃い灰色で記されている。 配列番号1のサンタレンシンターゼ(「野生型」)を改良することによる、3つの主要生成物アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンの変化を示す図である。これら3つの主要生成物について値は標準化されているが、微量生成物は示されていない。黒塗りバーはアルファ-サンタレンを表し、白抜けバーはベルガモテンを表し、斜線バーはベータ-サンタレンを表す。配列番号2におけるようなセリン(「N267S」)又は配列番号3におけるようなロイシン残基(「N267L」)で267位を置換することにより、酵素は、アルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレン及びベルガモテン(N267S)、又はより多くのベルガモテン及び依然としてかなりのアルファ-サンタレンを生成することができるが、ベータ-サンタレンを生成することはほとんどできない(N267L)。当該技術分野において公知である2つのサンタレンシンターゼのデータを比較のために示す(図4において「SaSSy」及び「SaSSY-134」と称する)。データは、当該技術分野において報告されている値から得られたものであり、WO2015153501を参照されたい。公知のサンタレンシンターゼ(野生型CICassy、SaSSY及びSaSSy-134)は、他の2つの化合物よりもアルファ-サンタレンの生成量が大きいことを示す。N267S及びN267Lの改良型バージョンは、どのようにしてこの生成物プロファイルを、N267Lによる場合のようにアルファ-サンタレンを上回るベータ-サンタレン単独の望ましい優先率、又はN267Sによる場合のようにアルファ-サンタレンを上回るベータ-サンタレンとベルガモテンの両方の望ましい優先率に従って変化させ得るかを示している。 単独で配列番号1の291位に対応する位置で、又は配列番号1の267位に対応する位置の改変と組み合わせて、サンタレンシンターゼを改良することによって、3つの生成物、アルファ-サンタレン、ベルガモテン及びベータ-サンタレンにおける変化を示す図である。微量生成物は、より明確にするために示されていない。黒塗りバーはアルファ-サンタレンを表し、白抜けバーはベルガモテンを表し、斜線バーはベータ-サンタレンを表す。野生型(配列番号1)及び改変酵素「I291L」を対照として示す。配列番号53におけるように291位をロイシン残基で置換すること(「I291L」)によって、ベータ-サンタレン及びベルガモテンと比較して過剰のアルファ-サンタレンが生成されるという事実は変化しなかったが、反対に、この改変は、図から見ることができるように、野生型酵素の1つを上回るアルファ-サンタロールの生成を増強する。
291位をバリン、セリン、スレオニン又はシステインで置換すること(それぞれ「I291V」、「I291S」、「I291T」及び「I291C」)によって、酵素はアルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレンを生成することができるが、改良型ベータサンタレンシンターゼのN267Sバージョンよりもはるかに高いアルファ-サンタレンレベルを維持することができる。I291V、I291S、I291C及びI291Tの改良型バージョンは、どのようにしてこの生成物プロファイルを、N267Sの改良と比較してより大きなアルファ-サンタレンレベルを維持しつつ、I291T、I291S及びI291Cによる場合のようにアルファ-サンタレンを上回るベータ-サンタレン単独の望ましい優先率、又はI291Vによる場合のように、アルファ-サンタレンを上回るベータ-サンタレンと、アルファ-サンタレンと同じレベルで若しくはそれを上回るレベルのベルガモテンの両方の望ましい優先率に従って変化させ得るかを示す。より多くのアルファ-サンタレンが残存するこのようなプロファイルは、いくつかの用途において有利であり得る。
バーの最後の2つの群は、配列番号1の位置267及び291に対応する位置が改変されている2つの二重突然変異体についての結果を示す。「I291T/N267S」について示されるデータは、267位がセリンで満たされ、291位がスレオニンで満たされた酵素由来である。「I291T/N267T」について示されるデータは、これらの両方の位置にスレオニンが導入されたものである。図5に示す突然変異体から見ることができるように、ベータ-サンタレンの最大パーセンテージは二重突然変異体「I291T/N267S」によって生成される。「I291T/N267S」酵素についてのアルファ-サンタレン及びベルガモテンの量は、2つの単一突然変異体についてのこれらの値の中間体の一種であり、突然変異N267Sは、この組み合わせにおいてI291Tよりもこれらの値に大きな影響を及ぼす。他の二重突然変異体についてのデータは、267位のスレオニンが、この位置のセリンと同様であるが、この位置のセリンほど強力とまではいかない、アルファ-サンタレン、ベルガモテン及びベータ-サンタレンにおける効果を有することを示している。
[実施例]
公衆に利用可能な電子配列情報を用いて、標準的なソフトウェアツールによりサンタレンシンターゼ構造を分析した。通常のアルファ-サンタレンとベータ-サンタレンとの比を有する、WO2018160066として公開された国際特許出願において配列番号3として開示されているクスノキ由来のサンタレンシンターゼであるCiCaSSy(配列番号1)の3Dモデルを作製した。このような分析のための一般的なツールは、例えば、構造アライメントソフトウェア:DALI、CE、STAMPであり、選択のためのhttp://www.rcsb.org/pdb/home/home.doを参照されたい。
CiCaSSyとして公知である酵素は、他のサンタレンシンターゼと比較して、わずかに異常なアミノ酸位置を有する。例えば、他の多くのサンタレンシンターゼと50%未満の配列同一性を共有するが、いくつかのストレッチにおいて他の多くのサンタレンシンターゼ由来のエレメントが組み合わされている。活性部位空洞(cavity)を同定し、この内の残基を突然変異誘発の標的とした。特に、生成物プロファイルに影響を与える可能性のある残基が優先された。アミノ酸配列の中央における2つの空間的に近いα-へリックスを含む領域を突然変異のために選択した。CiCaSSyは、タンパク質のこの領域において、公知である各サンタレンシンターゼと比較して、いくつかのアミノ酸の相違を有するが、同時に多くのエレメントが、サンタレンシンターゼの異なる群と、CiCaSSyにおいてのみ見出される組み合わせにおいて共有される。タンパク質のこの領域が所望される生成物プロファイル変化の重要な部分である場合、たとえ残りの部分がかなり異なっていたとしても、他のサンタレン配列への転移は容易に可能である。
突然変異試験
詳細な研究の後、CiCaSSyの残基267を突然変異のために選択した。本発明者らは、配列番号1のN267の周囲が非常に好ましいことを認識していたため、本発明者らは、267位のその異常なアスパラギンをセリン及びロイシンにも置換することを選択したが、これらは、性能が不十分であることが公知である他のサンタレンシンターゼの対応する位置に見出された。267位に2つの所望の突然変異を有するCiCaSSyタンパク質をコードするDNA配列を合成した。得られたN267S及びN267Lと命名されたタンパク質配列は、それぞれ配列番号2及び配列番号3に示される。
原子位置の平均二乗偏差(RMSD)及び二乗平均平方根ゆらぎ(RSMF)分析を、これら2つの新規タンパク質配列を用いて行った。各酵素を同じ条件(pH8.0、300K、1気圧、水環境、基質なしに存在するイオン)で500ns間、シミュレーションした。RMSDは、全体のタンパク質の移動及び柔軟性の指標を提供し、一方、RSMFは、所定の位置における平均移動及び柔軟性を示す。RSMFは、N267Sが、野生型CiCaSSyにわたって、配列番号1~3の267位の側鎖と相互作用する、ヘリックスCとヘリックスDとヘリックスDの一部の間のループの領域において、予測されるゆらぎの増加、したがって、柔軟性を示すことを示した。野生型CiCaSSyにおける柔軟性と比較して、N267Sにおいて増加した272~291位(267位のアミノ酸の側鎖と相互作用するヘリックスDの側鎖が位置する領域である)に対応するストレッチの柔軟性が観察された。この増加は、ヘリックスCとヘリックスDの間のループを含有する272から284までのストレッチにおいてより大きな程度であり、これは、当然、ヘリックスよりも剛性が低いことが予想される。N267SとN267Lの両方は、380~500位の領域において、さらに下流での柔軟性の指標として、増大したゆらぎのさらなるストレッチを有した。これはアルファ-サンタレン過剰生成を有する他のサンタレンシンターゼのRSMF分析と比較した場合、このパターンは、分析された配列番号4、5、8又は9のいずれの配列においても観察されなかった。RSMD分析は、30000ピコ秒後のN267Sについて、nmにおける偏差が初期平衡から約5分の1増加することを示した。この構造の柔軟性は、分析された他のサンタレン配列のいずれにおいても観察されなかった。
WO2018160066(p.44, l.19~p.50, l.22、参照により本明細書に組み込まれる)の実施例6~19に野生型CiCaSSyについて記載された手順を、タンパク質N267S及びN267Lをコードする突然変異CiCaSSy配列を用いた実験に適用した。配列番号2及び3のCiCaSSyサンタレンシンターゼをコードする突然変異型DNA配列は、DNA配列を異種的に発現し、突然変異酵素を形成するためのプラスミドベースのシステムを用いて、CiCaSSy(本発明の配列番号1)、WO2018160066の配列番号3について、WO2018160066として公開された国際特許出願に開示された手順により、紅色非硫黄細菌に導入された。宿主細胞により生成されたアルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンの生成、抽出及び分析のための紅色非硫黄細菌の発酵をWO2018160066と同様に行った。
アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンの定量は、FID検出器付きガスクロマトグラフィーを用いて行った:
ガスクロマトグラフィーは、Restek RTX-SSil MSキャピラリーカラム(30m×0.25mm、0.5pm)を備えたShimadzu GC2010 Plus上で行われた。インジェクター及びFID検出器温度は、それぞれ280℃及び300℃に設定された。カラムを通過するガス流を40mL/分に設定した。オーブンの初期温度は160℃であり、2℃/分の速度で180℃に上昇させ、50℃/分の速度で300℃にさらに上昇させ、3分間その温度に保持した。注入された試料体積は1:50の分割比で1μLであり、窒素メークアップ流量は30ml/分であった。
CiCaSSyの267位にある2つの酵素突然変異体、N267S及びN267Lは、アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びベルガモテンの生成物比に有意な影響を及ぼした。両方の突然変異は野生型CiCaSSyと比較してベータ-サンタレン生成の増加をもたらし、アルファ-サンタレンよりもベータ-サンタレンの生成さえ初めて増加し、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとの生成物比が増加した(図4)。驚くべきことに、N267S突然変異体はまた有意に少ないアルファ-サンタレンを生成したことから、この突然変異体はアルファ-サンタレンよりもベータ-サンタレンに対して高い特異性を有することを意味し、このような現象が初めて観察された。N267L突然変異は、生成物比のより大きな変化を有し、その主要生成物としてベータ-サンタレンを生成したが、図4に示されるように、比較的少ないアルファ-サンタレン及びトランス-αベルガモテンを生成した。
追加の突然変異体を上述の同じ実験セットアップを用いて試験した。また、例えば、配列番号267に対応する位置をグリシン、アラニン又はトリプトファンで置換することにより、改良型サンタレンシンターゼがもたらされた。
さらに、配列番号1の291位に対応する位置でイソロイシンを置換することにより、野生型よりも高いアルファ-サンタレンレベルがもたらされ、この位置にヒスチジンを導入することにより、サンタレンシンターゼとしての活性が破壊されることが見出された。これは、位置が重要であることを示しているが、それがどのように変化するかも重要である。
I291V、I29S、I291C、I291F及びI291T突然変異体もまた試験し、N267S又はN267Lとして、過剰のベータ-サンタレンが示されたが、N267Sと比較して、野生型対照よりもアルファ-サンタレンが少ないにもかかわらず、より多くのアルファ-サンタレンが残っていた(図5及び表1を参照されたい)。ベータ-サンタレンの最大パーセンテージ値は、配列番号34が宿主細胞において発現された場合に見出された。
N267S又はN267Tを有する二重突然変異体は、配列番号1の267位に対応する位置で変化し、配列番号1の291位に対応する位置でイソロイシンの代わりのスレオニンはまた、過剰なベータ-サンタレンを伴う改良型ベータサンタレンシンターゼを生じさせたが、それらは、単一突然変異体の改良型ベータサンタレンシンターゼ酵素と比較して中間的な生成物プロファイルを示した(図5を参照されたい)。
これらの突然変異体のモデリングは、N257S単一突然変異体、並びに配列番号1の291に対応する位置にセリン、システイン又はスレオニンを有するその二重突然変異体が、ヘリックスC及びヘリックスDにおいて増加した柔軟性を示すことを、RSMFプロットにおいて示し、これは、配列番号1の291位に対応する位置にN267S及びスレオニンを有するその二重突然変異体の実験結果と一致する(図5を参照されたい)。興味深いことに、RSMFデータが示しているように、さらに下流のいくつかの他の領域における柔軟性も改良されているようである。
使用したソフトウェアツール
相同性モデル
相同性モデルはSchrodingerプライムパッケージ(www.schrodinger.com/prime; Schrodinger Release 2020-2: Prime、Schrodinger, LLC、New York、NY、2020年; M Jacobsonら、Proteins、2004年、55巻、351-367頁)を使用して作製された。鋳型構造は、PDB-タンパク質データバンク(HM Bremanら、Nucleic Acid Research、2000年、28巻、235-242頁)からダウンロードし、各相同性モデル生成の鋳型構造を表2に示す。
Figure 2023533154000014
MDシミュレーション
MDシミュレーションは、ソフトウェアGROMACSのバージョン2018(www.gromacs.org; D van Der Spoelら、J Comput Chem、2005年、26巻、1701-1718頁)を使用して行われた。すべての酵素はOPLS-AA力場で定義され(WL Jorgensen及びJ Tirado-Rives、J Am Chem Soc、1988年、110巻、1657-1666頁)、酵素プロトン化はpH8.0で定義され、ツールpdb2pqr(TJ Dolinskyら、Nucleic Acids Res、2007年、35巻、W522-W525)を使用して計算された;3つの金属イオン(Mg2+)は、MW van der Kampら、Biochemistry、2013年、52巻、8094-8105頁に記載されるように、それらの配位アミノ酸残基に対する相対位置を固定することにより、モデルに含まれた。各酵素を1000nm3の立方系の中心に配置し、TIP4P水で明示的に溶媒和し(WL Jorgensenら、J Chem Phys、1983年、79巻、926-935頁)、系の全電荷を適切な量のNa+又はCl-イオンを添加することによって中和した。各システムは、最急降下アルゴリズムを使用して10000工程で最小化され、その後、10nsで平衡化された。平衡化後、各システムは500ns使用のためにシミュレートされた。v-rescaleアルゴリズム(G Bussiら、J Chem Phys、2007年、126巻、014101)を使用して温度を300Kで一定に保持し、Parrinello-Rahmanアルゴリズム(M Parrinello及びA Rahman、Phys Rev Lett、1980年、45巻、1196-1198頁.)を使用して圧力を1気圧で一定に保持し、静電相互作用は、拡張粒子メッシュEwaldアルゴリズム(U Essmannら、J Chem Phys、1995年、103巻、8577-8593頁)によってシミュレートされた。シミュレーションフレームは5psごとに保存された。
RMSD
全シミュレーション長(500ns)上の各酵素構造について平均二乗偏差(RMSD)を評価した。平衡系を基準として各軌道フレーム(gmx trjconv)についてタンパク質構造の構造的重ね合わせを行った後、GROMACSパッケージのgmx rmsツールによって計算を行った。
RMSF
シミュレーションの最後の450nsで、各酵素構造について二乗平均平方根ゆらぎ(RMSF)を評価した。各軌道フレーム(gmx trjconv)について、平衡系のタンパク質Cαを基準としてタンパク質構造の構造的重ね合わせを行った後、GROMACSパッケージのgmx rmsfツールによって計算を行った。
画像
図2及び図3のタンパク質画像は、PyMOL(pymol.org)ソフトウェアを用いて作製した。RMSD及びRMSF画像は、Pythonのバージョン3.6(python.org)のMatplotlibライブラリー(matplotlib.org)を用いて作製した。
PFAMドメイン分析
PFAMドメインPF01397「Terpene_synth」及びC末端PFAMドメインPF03936「Terpene_synth_C」は、2020年5月29日にPFAMソフトウェアのバージョン32.0を使用して同定され、2020年6月11日にリリースされたPFAMソフトウェアのバージョン33.1で確認された。PFAMに関する詳細については、「The Pfam protein families database in 2019: S. El-Gebali、J. Mistry、A. Bateman、S.R. Eddy、A. Luciani、S.C. Potter、M. Qureshi、L.J. Richardson、G.A. Salazar、A. Smart、E.L.L. Sonnhammer、L. Hirsh、L. Paladin、D. Piovesan、S.C.E. Tosatto、R.D. Finn Nucleic Acids Research(2019年)」及びhttp://pfam.xfam.org/、並びに「Pfam: The protein families database in 2021: J. Mistry、S. Chuguransky、L. Williams、M. Qureshi、G.A. Salazar、E.L.L. Sonnhammer、S.C.E. Tosatto、L. Paladin、S. Raj、L.J. Richardson、R.D. Finn、A. Bateman Nucleic Acids Research(2020年)doi: 10.1093/nar/gkaa913」を参照されたい。
Interproモチーフ
以下のドメイン
「テルペンシンターゼ、金属結合ドメイン」 IPR005630
「テルペンシクラーゼ様1、C末端ドメイン」 IPR034741
「テルペンシンターゼ、N末端ドメイン」 IPR001906
及び、これらの相同なスーパーファミリー
「イソプレノイドシンターゼドメインスーパーファミリー」 IPR008949
「テルペノイドシクラーゼ/タンパク質プレニルトランスフェラーゼアルファ-アルファトロイド」 IPR008930
「テルペンシンターゼ、N末端ドメインスーパーファミリー」 IPR036965
は、2020年12月にリリースされたInterProスキャンソフトウェアのバージョン83.0で同定された。InterProのさらなる詳細については、Blum M、Chang H、Chuguransky S、Grego T、Kandasaamy S、Mitchell A、Nuka G、Paysan-Lafosse T、Qureshi M、Raj S、Richardson L、Salazar GA、Williams L、Bork P、Bridge A、Gough J、Haft DH、Letunic I、Marchler-Bauer A、Mi H、Natale DA、Necci M、Orengo CA、Pandurangan AP、Rivoire C、Sigrist CJA、Sillitoe I、Thanki N、Thomas PD、Tosatto SCE、Wu CH、Bateman A及びFinn RD The InterPro protein families and domains database: 20 years on. Nucleic Acids Research、2020年11月(doi: 10.1093/nar/gkaa977)を参照されたい。

Claims (15)

  1. 合成ベータサンタレンシンターゼであって、配列番号1のアミノ酸272位~291位までのストレッチに対応する前記合成ベータサンタレンシンターゼの部分の三次構造が、天然に存在するサンタレンシンターゼの同じ三次構造の柔軟性と比較して、増加した柔軟性を有するという事実によって特徴付けられ、柔軟性が、これらの設定:pH8.0、300K、1気圧、水環境、基質なしで存在するイオンで、合成と天然に存在するサンタレンシンターゼの両方について500nsのシミュレーション、及びシミュレーションの最後の450nsでの各酵素構造の評価を使用した二乗平均平方根ゆらぎ分析によって決定され、前記合成ベータサンタレンシンターゼが、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンの両方の生成に適した典型的な条件下で、1に等しいか又はそれを超える比でベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとを生成する能力によってさらに特徴付けられる、合成ベータサンタレンシンターゼ。
  2. ファルネシルピロリン酸からベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンを生成する合成ベータサンタレンシンターゼであって、サンタレンシンターゼが、
    (a)配列番号2、3、29、57若しくは58のアミノ酸261~278位、好ましくは261位~272位であって、配列番号2、3、29、57若しくは58の261位に対応する位置が、アルギニン残基であり、配列番号2、3、29、57若しくは58の278位に対応する位置がプロリン残基であり、前記アルギニン及び前記プロリンが、配列同一性決定のために2つのタンパク質配列をアライメントさせるために使用される、又は
    (b)配列番号2、3又は40のアミノ酸261~302位であって、配列番号2若しくは3の261位に対応する位置がアルギニン残基であり、3つのアスパラギン酸残基が配列番号2若しくは3若しくは29~40の298、299及び302位のアスパラギン酸に対応する位置に見出される、又は
    (c)上記(a)及び(b)の組み合わせ、又は
    (d)配列番号1の全長、
    (e)上記(a)~(c)のいずれかと(d)の組み合わせ
    に対して少なくとも50%の配列同一性を有し、前記合成ベータサンタレンシンターゼが、ベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンの生成に適した条件下で、ベータ-サンタレンとアルファ-サンタレンとを1に等しいか又はそれを超えるこれらの2つの比で生成する、合成ベータサンタレンシンターゼ。
  3. 括弧内に提供される配列番号1の位置に対応する位置に次のアミノ酸:
    アルギニン(261)、アスパラギン酸(262)、アルギニン(263)、ロイシン又はイソロイシン又はバリン又はメチオニン(264)、ロイシン又はイソロイシン又はバリン(265)、グルタミン酸又はグルタミン(266)及びヒスチジン又はチロシン(268)
    をさらに有する、請求項1又は2に記載の合成ベータサンタレンシンターゼ。
  4. (a)配列番号1の267位に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
    セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニン
    のいずれかを有するか、又は
    (b)配列番号1の291位に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
    スレオニン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはバリン
    のいずれかを有するか、又は
    (c)上記の(a)及び(b)の組み合わせであるか、又は
    (d)配列番号1の267位に対応するアミノ酸位置にアスパラギンを有し、及び配列番号1の291位に対応する位置が、次のアミノ酸:
    スレオニン、システイン、セリン、フェニルアラニン若しくはバリン
    のいずれかであるか、又は
    (e)配列番号1の267位に対応するアミノ酸位置に、次のアミノ酸:
    セリン、ロイシン、スレオニン、システイン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、グリシン若しくはアラニンのいずれかを有し、及び配列番号1の291位に対応する位置が、イソロイシンである、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の合成ベータサンタレンシンターゼ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の合成サンタレンシンターゼのいずれかをコードする合成核酸。
  6. 請求項5に記載の合成核酸を含む発現カセット。
  7. アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを含む組成物を生成する方法であって、次の工程:
    (I)請求項1から4のいずれか一項に記載の1つ以上の改良型ベータサンタレンシンターゼを活性形態で、必要なすべての補助因子とともに提供する工程、
    (II)サンタレンの生成を可能にする条件下で、ファルネシルピロリン酸を1つ以上の改良型ベータサンタレンシンターゼと接触させる工程、
    (III)ベータ-サンタレン及びアルファサンタレン、並びに場合によりベルガモテンをファルネシルピロリン酸から生成する工程であって、生成されるベータ-サンタレンの量が生成されるアルファ-サンタレンの量よりも大きい工程、
    (IV)場合により生成物を精製する工程
    を含む方法。
  8. 請求項1から4のいずれか一項に記載のサンタレンシンターゼを、前記サンタレンシンターゼをコードする核酸から生成するのに適し、サンタレンシンターゼをファルネシルピロリン酸及びその活性に必要なすべての補助因子とともに提供するのに適した非ヒト宿主細胞であって、
    宿主細胞が、請求項1から4のいずれか一項に記載のサンタレンシンターゼをコードする核酸を含む、非ヒト宿主細胞。
  9. アルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレンを生成することに加えて、サンタレンシンターゼがアルファ-サンタレンよりも過剰のトランス-α-ベルガモテンを生成する、請求項1から8のいずれか一項に記載のサンタレンシンターゼ、非ヒト宿主細胞、又は方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の合成サンタレンシンターゼ、方法又は非ヒト宿主細胞によって生成される組成物であって、アルファ-サンタレンを超えるベータ-サンタレンを含む組成物。
  11. ベルガモテンよりも多くのベータ-サンタレンを含み、及びアルファ-サンタレンよりも多くのベルガモテンを含む、請求項10に記載の組成物。
  12. 少なくとも12%(w/w)のトランス-α-ベルガモテンを含む、請求項10又は11に記載の組成物。
  13. アルファ-サンタロールよりも多くのベータ-サンタロールを含む組成物を生成する方法であって、
    (I)請求項7に記載の方法によって、又は請求項1から4及び9のいずれか一項に記載の宿主細胞若しくはサンタレンシンターゼを用いて、アルファ-サンタレンよりも多くのベータ-サンタレンを含む組成物を生成する工程、
    (II)(a)において生成された組成物中のベータ-サンタレン及びアルファ-サンタレンの少なくとも一部をそれらのそれぞれのアルコールに酸化して、アルファ-サンタロールよりも多くのベータ-サンタロールを含む組成物を生成する工程、及び
    (III)場合により生成物を精製する工程
    を含む方法。
  14. アルファ-サンタロールよりも多くのベータ-サンタロールを含む、請求項13に記載の方法によって生成された組成物。
  15. アルファ-サンタレン、ベータ-サンタレン及びトランス-α-ベルガモテンを含む組成物を生成するための配列番号2、3、13~53、56~58の合成サンタレンシンターゼのいずれかの使用。
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