JP2023533000A - 遺伝子操作された、生きている細菌及びその構築方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、前記細菌の寿命を短縮する少なくとも一つの遺伝子改変とを含む、遺伝子操作された、生きている細菌に関する。被験者に投与された後、前記細菌は、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅する。前記細菌は、疾患に対する有効な処置又は病状の改善を提供するとともに、医療用途の生物学的安全性を確保する。
Description
本出願は、コンピュータ可読形式の配列表を含み、前記配列表は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、遺伝子操作された、生きている細菌及びその構築方法に関する。特に、本発明は、疾患又は病状を効果的に処置及び/又は予防できる遺伝子操作された、生きている細菌の提供に関する。
天然に存在するか、又は人工的に改変された細菌は、感染症および最近の癌などの様々な疾患に対するワクチン又は薬物として使用されてきた。効能に加えて、細菌を医療目的に利用する上で、最も重要な問題は安全性である。このため、標的細菌を殺滅するか、又は、細菌が病巣内で優先的又は選択的に増殖する能力を得るように細菌を遺伝子改変するために、多くの努力がなされてきた。
疾患の処置又は病状の改善に有効で生物学的安全性を確保するための新規な細菌の必要性が高い。
上記背景を鑑み、いくつかの例示的な実施例において、従来技術の欠点のうちの少なくとも一つの欠点を克服するために、代替可能な細菌を提供することを目的とする。
一態様では、遺伝子操作された、生きている細菌を提供し、前記遺伝子操作された、生きている細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、細菌の寿命を短縮することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにする少なくとも一つの遺伝子改変とを含む。いくつかの実施例において、細菌は毒性株から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、被験者に対する、対象疾患又は病状を処置するのに十分な少なくとも一つの免疫応答を誘導し得る抗原である。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、対象疾患又は病状を処置するのに十分な程度に、被験者において、少なくとも一つの免疫応答を誘発し、及び/又は標的病巣の大きさを減少させ得る治療因子である。
いくつかの例示的な実施例において、免疫応答は、CD4+及び/又はCD8+ T細胞により誘発される。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、抗原、又は細菌の相同遺伝子から発現された治療因子である。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは抗原、又は異種遺伝子から発現された治療因子である。
いくつかの例示的な実施例において、異種遺伝子は、細菌における異種発現を改善するリーダー配列及び/又はターミネーター領域をさらに含む。
いくつかの例示的な実施例において、治療因子は、標的病巣において細胞溶解を引き起こす細胞毒素である。
いくつかの例示的な実施例において、対象疾患又は病状は、癌又は腫瘍であり、且つここで、医療エフェクターは、被験者において腫瘍抑制又は融解を引き起こす。
いくつかの例示的な実施例において、発症メカニズムを最小化するのに十分な時間は48時間未満である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、被験者内でコピー又はコロニー形成することができない。
いくつかの例示的な実施例において、遺伝子改変は、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の、細菌の染色体からの欠失又は突然変異である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、ジアミノピメリン酸における栄養要求体である。
いくつかの例示的な実施例において、遺伝子改変は、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の細菌の染色体からの欠失である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、インビボ投与時に細菌の生存時間を調節する一つ又は複数の調節エフェクターへの前記細菌の曝露によって制御し得る生存時間を有する。
いくつかの例示的な実施例において、調節エフェクターは、ジアミノピメリン酸である。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、chuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBD、yfcV及びpksアイランドからなる群から選択される遺伝子により発現される相同ペプチドである。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のエキソリシンA(ExlA)、セレウス菌(Bacillus cereus)の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の空胞化毒素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞毒素である。
いくつかの例示的な実施例において、医療エフェクターは、CpG、環状ジヌクレオチド及び腫瘍抗原からなる群から選択される抗癌因子である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、リステリア属(Listeria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)又はラクトコッカス属(Lactococcus)から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌派は、大腸菌(Escherichia coli)から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center、CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は静脈内投与される。いくつかの例示的な実施例において、細菌は、静脈内投与用に配合される。
いくつかの例示的な実施例において、静脈内投与時、発症メカニズムを最小化するのに十分な時間は48時間未満である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は局所投与される。いくつかの例示的な実施例において、細菌は、局所投与用に配合される。
いくつかの例示的な実施例において、注射部位で局所投与される場合、細菌は、注射部位で最大5日間生存するが、前記注射部位以外では48時間以内に死滅する。いくつかの実施例において、細菌は、正常な組織と器官から除去される。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、7.5×109 cfu/kgマウスの当量投与量で投与される。いくつかの例示的な実施例において、細菌は、7.5×109 cfu/kgマウスの当量投与量で静脈内投与される。
いくつかの例示的な実施例において、疾患は、癌又は腫瘍であり、且つ細菌は、腫瘍内投与される。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、腫瘍1グラム(約100-200mm3)あたりに5×108 cfuの当量投与量で腫瘍内投与される。いくつかの例示的な実施例において、細菌は、腫瘍1グラム(約100-200mm3)あたりに4×109 cfuの当量投与量で腫瘍内投与される。いくつかの例示的な実施例において、細菌は、腫瘍1グラム(約100-200mm3)あたりに少なくとも5×108 cfuの当量投与量で腫瘍内投与される。
別の態様では、大腸菌属種の生きている細菌を提供し、前記生きている細菌は、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子を発現する。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center、CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)をコードする遺伝子をさらに含む。
いくつかの例示的な実施例において、遺伝子は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%配列同一性を有する。
いくつかの例示的な実施例において、細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである。
別の態様では、先行請求項のいずれか一項に記載の細菌を含む免疫原性組成物を提供した。
別の態様では、例示的な実施例のいずれか一項に記載の細菌と、任意選択的なアジュバントとを含む生きている細菌ワクチンを提供した。
別の態様では、有効量の例示的な実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む組成物を被験者に投与することを含む、疾患又は病状を処置する方法を提供した。
いくつかの例示的な実施例において、疾患は、腫瘍又は癌である。
別の態様では、遺伝子操作された、生きている細菌を構築する方法を提供し、前記方法は、細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである。
いくつかの例示的な実施例において、前記方法は、少なくとも一つの医療エフェクターを発現するように、前記細菌を遺伝子操作するステップをさらに含む。
本明細書では、他の例示的な実施例についても検討した。
本開示の内容には多くの利点がある。いくつかの実施例において、提供された細菌は、被験者インビボの生きている細菌であるため、そのエフェクター分子の完全性と機能性を維持することによって医療効能を確保する。
いくつかの例示的な実施例において、短寿命細菌は、より優れた医療的効果を果たすために投与後一定期間体内で生存することができるため、殺滅又は不活化された細菌よりも優れている。
いくつかの実施例において、提供された細菌は、毒性又は病原性菌株から派生したものであるとともに、医療エフェクターとして使用するために毒性因子のうちの全て又は少なくとも一部の毒性因子を維持するため、処置効能が非病原性菌株の処置効能よりも遙かに優れている。これらの毒性株の多くの抗原と毒性因子は、疾患に対する免疫力を誘発するか又は癌細胞を直接殺滅するなどの様々な処置可能性をもたらす。いくつかの実施例において、腫瘍進行を効果的に抑制するか又は腫瘍を治癒するには、腫瘍内又は静脈内注射された少量の短寿命細菌で十分である。
いくつかの実施例において、提供された細菌の寿命が短いため、遺伝子突然変異の潜在的なリスクが最小限にされるとともに、医療用途の生物学的安全性が確保された。
いくつかの実施例において、提供された細菌は、寿命が短く、且つ高い免疫原性と治療性効能を有するため、前記細菌は、静脈内投与時にも十分な治療効果を実現することができる。いくつかの実施例において、十分な腫瘍抑制を実現するためには、短寿命細菌の少量の静脈内投与又は全身投与で十分である。細菌は、腫瘍などのような標的を特異的に標的化するか又は前記標的にコロニー形成されるように設計される必要はなく、局所又は腫瘍内投与に限定される必要もないが、疾患の処置において依然として良好な効能を実現することができる。
いくつかの実施例において、短寿命細菌はその短期生存特性を失うように容易に突然変異しないが、病巣特異的細菌はその病巣標的化能力を失うように突然変異しやすいため、短寿命細菌は、遺伝子改変された、病巣特異的細菌よりも優れている。
いくつかの実施例において、短寿命細菌は、様々な疾患を処置又は予防するか又はいくつかの病状を改善するためのワクチン又は治療剤のベクター又は媒体として使用されてもよい。いくつかの実施例において、短寿命細菌は、診断目的に使用されてもよい。
微生物保蔵
細菌株SH2は、2021年6月10日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22685である。細菌株SH3は、2020年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19836である。細菌株mp107は、2020年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19835である。細菌株SH4は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22557である。細菌株mp105は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22555である。細菌株mp106は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22556である。
細菌株SH2は、2021年6月10日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22685である。細菌株SH3は、2020年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19836である。細菌株mp107は、2020年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19835である。細菌株SH4は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22557である。細菌株mp105は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22555である。細菌株mp106は、2021年5月18日に、中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号(100101)の中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22556である。
本明細書と請求項で使用されるように、「含む(comprising)」は、以下の要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味する。
本明細書と請求項で使用されるように、単数形「一つ/一種(a/an)」と「前記(the)」は、文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。例えば、以上で使用されるように、「一つの」遺伝子は、一つ又は複数の遺伝子を意味し、それは同じであってもよく、異なってもよい。
本明細書で使用されるように、「約」という用語は、当該技術分野の通常の許容差の範囲内にあり、且つ規定値の±10%を超えないと理解される。単なる例として、約50は、45~55を意味し、その間の全ての値を含む。本明細書で使用されるように、「約」特定の値という語句は、前記特定の値をも含み、例えば、約50は50を含む。
本明細書と請求項で使用されるように、「免疫原性組成物」は、疾患又は病状に対する免疫(免疫学)応答を(例えば、適切な形と量で)効果的に誘発する組成物である。いくつかの実施例において、免疫原性組成物は、癌又は腫瘍を効果的に予防するワクチンである。
本明細書と請求項で使用されるように、「有効量」とは、少なくとも測定可能な量の所望の効果を効果的に実現する量である。例えば、前記量は、免疫応答を効果的に誘発することができ、及び/又はそれは、標的ポリペプチドを運ぶ病原体に対して、防御応答を効果的に誘発することができる。いくつかの実施例において、前記量は、癌又は腫瘍に対する免疫応答を効果的に誘発することができる。
本明細書と請求項で使用されるように、「被験者」は、霊長類動物(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むが、これらに限定されず、哺乳類などの動物を指す。
本明細書と請求項で使用されるように、細菌の「発症メカニズム」は、宿主又は被験者の罹患状態を引き起こす一つ又は複数の生物学的メカニズムである。
本明細書と請求項で使用されるように、「無毒」株(例えば、非侵襲的、片利共生又は相利共生)は、被験者に疾患を引き起こしたり、有害な病原性効果を有したりしない菌株である。このような細菌は、天然に存在する細菌、GRAS(「安全であると認められる」)細菌又はプロバイオティクスであってもよい。別の態様では、「毒性」菌株は、少なくとも一つの毒性因子を有し、疾患を引き起こすか又は被験者に対して有害な病原性効果を有する可能性があり、且つ通常、安全であるとは考えられない。
いくつかの例示的な実施例における「毒性」菌株は、それがいくつかの付加的毒性因子を保持しているか又は有する場合であっても、疾患を引き起こさないか、又は被験者又は宿主に対して有害な病原性効果を有しないように、被遺伝子改変され得る。
「毒性因子」は、宿主又は宿主内の細胞(例えば、宿主内の腫瘍)を傷害する細菌の能力を改善することができる、細菌により産生された分子である。毒性因子の例は、細胞毒素、毒素、溶血素、プロテアーゼ、破壊酵素、及び細菌のコロニー形成、細胞への出入りと栄養取得の能力に役立つ因子を含む。
本明細書で使用されるように、「処置(treat)」、「処置(中)(treating)」又は「処置すること(treatment)」という用語は、疾患又は病状の症状を予防的及び/又は治療的に緩和、除去又は寛解し、別の症状を予防する方法と、症状の根底にある代謝の原因を寛解又は予防すると、疾患又は病状を抑制する方法と、疾患又は病状の発症を阻止する方法と、疾患又は病状を軽減する方法と、疾患又は病状の退行を引き起こす方法と、疾患又は病状によって引き起こされた病状を軽減する方法と、又は疾患又は病状の症状を終止する方法とを含む。
本明細書と請求項で使用されるように、「短寿命(short-lived)」細菌又は「短い寿命(short lifespan)」を有する細菌は、被験者にインビボ投与された後に、短い期間、例えば、数時間(例えば、1時間~3時間)から数日(例えば1日~3日)しか生存しない細菌を指し、これは投与された細菌の数及び細菌の投与方式に依存する。いくつかの実施例において、「短寿命」細菌は、投与された後に、被験者内でインビボコピー又はコロニー形成することができない。
本明細書と請求項で使用されるように、細菌「死滅」は、細菌の生命が永久に停止することを意味する。
本明細書と請求項で使用されるように、「弱毒化」細菌は、親形態又は菌株に比べて、毒性又は感染性が低下した細菌を指す。
本明細書と請求項で使用されるように、「医療エフェクター」は、疾患又は病状に対して少なくとも一つの医療的効果を果たす薬剤を指す。医療エフェクターの例は、治療因子、抗原、ペプチド及び細胞毒素を含むが、これらに限定されない。
本明細書と請求項で使用されるように、被験者の疾患又は病状「医療的効果を果たす」とは、被験者の疾患又は病状を処置する生物学的変化を引き起こすことを意味する。医療的効果の例は、免疫応答の誘発、疾患病巣内の細胞溶解の誘発、生物学的経路の抑制、受容体への結合、受容体の抑制、標的細胞又は生体内での細胞プロセスの抑制、及び疾患又は病状を引き起こすか又は維持する一つ又は複数の因子の産生の抑制又は減少を含むが、これらに限定されない。細胞プロセスは、DNAコピー、RNA翻訳、細胞分裂及び細胞恒常性の維持を含むが、これらに限定されない。
いくつかの例示的な実施例において、殺滅された細菌と生きている細菌の両方の利点を有するとともに、それぞれの短所を避ける新規な細菌を開発することが非常に必要である。
いくつかの例示的な実施例において、提供された細菌は短寿命細菌である。短寿命細菌をインビボ投与する場合、前記短寿命細菌は、数時間の時間スケールで生存する。特定の化合物又は分子で細菌懸濁液を補充することによって、短寿命細菌の寿命を人為的に変化させることができる。投与時に短寿命細菌が生きているため、それらにより産生されたエフェクター分子は完全性と機能性を維持する。投与後の数時間又は数日内に短寿命細菌が体内で死滅するため、発症メカニズムは最小限にされる。
いくつかの例示的な実施例において、遺伝子操作された細菌を含む薬物組成物を提供した。
いくつかの例示的な実施例において、短寿命細菌は、一つ又はいくつかの必須遺伝子を欠失させることによって生成され得る。代替的に、細菌の栄養要求体は、関連する栄養要求性遺伝子の突然変異又は欠失によって遺伝子的に構築され得る。得られた突然変異型細菌は、変化した、相対的に短い寿命を有する可能性がある。そのうちのいくつかの得られた突然変異型細菌は、体内で迅速に死滅する可能性があり、これは、それらが投与された増殖環境における栄養成分に依存する。増殖環境が、細菌が一時的に生存するために必要な栄養又は化合物の残留量を含めば、細菌はより長期間生存することができる。
番号付けされた実施例-第1組
1.遺伝子操作された、生きている細菌であって、
少なくとも一つの医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、
前記細菌が、被験者に投与された後、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するように、前記細菌の寿命を短縮させる少なくとも一つの遺伝子改変とを含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、遺伝子操作された、生きている細菌。
1.遺伝子操作された、生きている細菌であって、
少なくとも一つの医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、
前記細菌が、被験者に投与された後、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するように、前記細菌の寿命を短縮させる少なくとも一つの遺伝子改変とを含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、遺伝子操作された、生きている細菌。
2.前記医療エフェクターは、前記被験者において、対象疾患又は病状を処置するのに十分な少なくとも一つの免疫応答を誘発し得る抗原である、実施例1に記載の細菌。
3.前記医療エフェクターは、対象疾患又は病状を処置するのに十分な程度に、前記被験者において、少なくとも一つの免疫応答を誘発し、及び/又は標的病巣の大きさを減少させ得る治療因子である、実施例1に記載の細菌。
4.前記免疫応答は、CD4+及び/又はCD8+ T細胞により誘発される、実施例2又は3に記載の細菌。
5.前記医療エフェクターは、抗原、又は前記細菌の相同遺伝子から発現された治療因子である、実施例1に記載の細菌。
6.前記医療エフェクターは、抗原、又は異種遺伝子から発現された治療因子である、実施例1に記載の細菌。
7.前記異種遺伝子は、前記細菌における異種発現を改善するリーダー配列及び/又はターミネーター領域をさらに含む、実施例6に記載の細菌。
8.前記治療因子は、前記標的病巣において細胞溶解を引き起こす細胞毒素である、実施例3又は6に記載の細菌。
9.前記対象疾患又は病状は、癌又は腫瘍であり、且つここで、前記医療エフェクターは、前記被験者において腫瘍抑制を引き起こす、実施例2又は3に記載の細菌。
10.前記細菌は、前記被験者内でコピー又はコロニー形成することができない、実施例1に記載の細菌。
11.前記遺伝子改変は、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、実施例1に記載の細菌。
12.前記細菌は、ジアミノピメリン酸における栄養要求体である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
13.前記遺伝子改変は、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体からの欠失である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
14.前記細菌は、一つ又は複数の調節エフェクターへの前記細菌の曝露によって制御し得る生存時間を有し、前記調節エフェクターは、インビボ投与時に前記細菌の前記生存時間を調節する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
15.前記調節エフェクターは、ジアミノピメリン酸である、実施例14に記載の細菌。
16.前記医療エフェクターは、chuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBD、yfcV及びpksアイランドからなる群から選択される遺伝子により発現される相同ペプチドである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
17.前記医療エフェクターは、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のエキソリシンA(ExlA)、セレウス菌(Bacillus cereus)の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の空胞化毒素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞毒素である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
18.前記医療エフェクターは、CpG、環状ジヌクレオチド及び腫瘍抗原からなる群から選択される抗癌因子である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
19.前記細菌は、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、リステリア属(Listeria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)又はラクトコッカス属(Lactococcus)から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
20.前記細菌は大腸菌(Escherichia coli)から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
21.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
22.前記細菌は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
23.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
24.前記細菌は、静脈内投与用に配合される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
25.静脈内投与時、発症メカニズムを最小化するのに十分な時間は日又は48時間未満である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
26.前記細菌は、局所投与用に配合される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
27.注射部位で局所投与される場合、前記細菌は、前記注射部位で最大5日間生存するが、前記注射部位以外では48時間以内に死滅する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
28.前記細菌は、7.5×109 cfu/kgマウスの当量投与量で投与される、実施例24に記載の細菌。
29.前記疾患は、癌又は腫瘍であり、且つ細菌は、腫瘍内投与される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
30.前記細菌は、腫瘍1グラムあたりに少なくとも5×108 cfuの当量投与量で約100-200mm3投与される、実施例29に記載の細菌。
31.大腸菌属種の生きている細菌であって、前記生きている細菌は、
アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、大腸菌属種の生きている細菌。
アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、大腸菌属種の生きている細菌。
32.前記細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子を発現する、実施例31に記載の細菌。
33.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、実施例31に記載の細菌。
34.前記細菌は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)をコードする遺伝子をさらに含む、実施例31に記載の細菌。
35.前記遺伝子は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する、実施例34に記載の細菌。
36.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、実施例31に記載の細菌。
37.先行実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む、免疫原性組成物。
38.先行実施例のいずれか一項に記載の細菌と、任意選択的なアジュバントとを含む、生きている細菌ワクチン。
39.有効量の先行実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む組成物を被験者に投与することを含む、疾患又は病状を処置する方法。
40.前記疾患は、腫瘍又は癌である、実施例39に記載の方法。
41.遺伝子操作された、生きている細菌を構築する方法であって、
細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、方法。
細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、方法。
42.少なくとも一つの医療エフェクターを発現するように、前記細菌を遺伝子操作するステップをさらに含む、実施例41に記載の方法。
番号付けされた実施例-第2組
1.遺伝子操作された、生きている細菌であって、
少なくとも一つの医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、
前記細菌の寿命を短縮することによって、前記生きている細菌が、被験者に投与された後、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化する時間の後に死滅するようにする少なくとも一つの遺伝子改変とを含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、遺伝子操作された、生きている細菌。
1.遺伝子操作された、生きている細菌であって、
少なくとも一つの医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、
前記細菌の寿命を短縮することによって、前記生きている細菌が、被験者に投与された後、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化する時間の後に死滅するようにする少なくとも一つの遺伝子改変とを含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、遺伝子操作された、生きている細菌。
2.前記医療エフェクターは、前記被験者において、対象疾患又は病状を処置するのに十分な少なくとも一つの免疫応答を誘発し得る抗原である、実施例1に記載の細菌。
3.前記医療エフェクターは、対象疾患又は病状を処置するのに十分な程度に、前記被験者において、少なくとも一つの免疫応答を誘発し、及び/又は標的病巣の大きさを減少させ得る治療因子である、実施例1に記載の細菌。
4.前記免疫応答は、CD4+及び/又はCD8+ T細胞により誘発される、実施例2又は3に記載の細菌。
5.前記医療エフェクターは、抗原、又は前記細菌の相同遺伝子から発現された治療因子である、実施例1に記載の細菌。
6.前記医療エフェクターは、抗原、又は異種遺伝子から発現された治療因子である、実施例1に記載の細菌。
7.前記異種遺伝子は、前記細菌における異種発現を改善するリーダー配列及び/又はターミネーター領域をさらに含む、実施例6に記載の細菌。
8.前記治療因子は、前記標的病巣において細胞溶解を引き起こす細胞毒素である、実施例3又は6に記載の細菌。
9.前記対象疾患又は病状は、癌又は腫瘍であり、且つここで、前記医療エフェクターは、前記被験者において腫瘍抑制を引き起こす、実施例2又は3に記載の細菌。
10.前記細菌は、前記被験者内でコピー又はコロニー形成することができない、実施例1に記載の細菌。
11.前記遺伝子改変は、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、実施例1に記載の細菌。
12.前記細菌は、ジアミノピメリン酸における栄養要求体である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
13.前記遺伝子改変は、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体からの欠失である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
14.前記細菌は、一つ又は複数の調節エフェクターへの前記細菌の曝露によって制御し得る生存時間を有し、前記調節エフェクターは、インビボ投与時に前記細菌の前記生存時間を調節する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
15.前記調節エフェクターは、ジアミノピメリン酸である、実施例14に記載の細菌。
16.前記医療エフェクターは、chuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBD、yfcV及びpksアイランドからなる群から選択される遺伝子により発現される相同ペプチドである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
17.前記医療エフェクターは、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のエキソリシンA(ExlA)、セレウス菌(Bacillus cereus)の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の空胞化毒素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞毒素である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
18.前記医療エフェクターは、CpG、環状ジヌクレオチド及び腫瘍抗原からなる群から選択される抗癌因子である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
19.前記細菌は、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、リステリア属(Listeria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)又はラクトコッカス属(Lactococcus)から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
20.前記細菌は大腸菌(Escherichia coli)から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
21.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
22.前記細菌は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
23.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
24.前記細菌は、静脈内投与用に配合される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
25.静脈内投与時、発症メカニズムを最小化するのに十分な時間は2日未満、5日未満又は11日未満である、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
26.前記細菌は、局所投与用に配合される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
27.注射部位で局所投与される場合、前記細菌は、前記注射部位で最大5日間生存するが、前記注射部位以外では48時間以内に死滅する、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
28.前記細菌は、7.5×109 cfu/kgマウスの当量投与量で投与される、実施例24に記載の細菌。
29.前記疾患は、癌又は腫瘍であり、且つ細菌は、腫瘍内投与される、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
30.前記細菌は、腫瘍1グラムあたりに少なくとも5×108 cfuの当量投与量で約100-200mm3投与される、実施例29に記載の細菌。
31.前記少なくとも一つのエフェクター遺伝子は、細胞毒素遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片とを含む、実施例1から20のいずれか一項に記載の細菌。
32.前記細胞毒素は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)である、実施例31に記載の細菌。
33.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22556の菌株mp106から派生したものである、実施例31又は32に記載の細菌。
34.前記細菌の毒性を弱める少なくとも一つの毒性遺伝子改変をさらに含む、先行実施例のいずれか一項に記載の細菌。
35.前記少なくとも一つの毒性遺伝子改変は、少なくとも一つの毒性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、実施例34に記載の細菌。
36.前記毒性遺伝子改変は、hlyCABDオペロンの、前記細菌の染色体からの欠失である、実施例34又は35に記載の細菌。
37.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22557の菌株SH4から派生したものである、実施例36に記載の細菌。
38.前記細菌は、SEQ ID NO:40の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、実施例34から37のいずれか一項に記載の細菌。
39.前記細菌は、SEQ ID NO:41の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第1の配列を発現し、及び/又はSEQ ID NO:42の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第2の配列を発現する、実施例34から37のいずれか一項に記載の細菌。
40.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22555の菌株mp105から派生したものである、実施例38又は39に記載の細菌。
41.前記細菌は、2×108 cfu/マウスの当量投与量で投与される、実施例31から40のいずれか一項に記載の細菌。
42.前記細菌は、静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせで投与するように配合される、実施例34から40のいずれか一項に記載の細菌。
43.前記腫瘍内注射は、7.5×107 cfu/マウスの当量投与量を有し、且つ前記静脈内注射は、3×107 cfu/マウスの当量投与量を有する、実施例42に記載の細菌。
44.大腸菌属種の生きている細菌であって、
アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、大腸菌属種の生きている細菌。
アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、大腸菌属種の生きている細菌。
45.前記細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子を発現する、実施例44に記載の細菌。
46.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、実施例44に記載の細菌。
47.前記細菌は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)をコードする遺伝子をさらに含む、実施例44に記載の細菌。
48.前記遺伝子は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%配列同一性を有する、実施例47に記載の細菌。
49.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、実施例44に記載の細菌。
50.前記少なくとも一つのエフェクター遺伝子は、細胞毒素遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片とを含む、実施例44に記載の細菌。
51.前記細胞毒素は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)である、実施例50に記載の細菌。
52.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22556の菌株mp106から派生したものである、実施例50又は51に記載の細菌。
53.前記細菌の毒性を弱める少なくとも一つの毒性遺伝子改変をさらに含む、実施例44から52のいずれか一項に記載の細菌。
54.前記少なくとも一つの毒性遺伝子改変は、少なくとも一つの毒性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、実施例53に記載の細菌。
55.前記毒性遺伝子改変は、hlyCABDオペロンの、前記細菌の染色体からの欠失である、実施例53又は54に記載の細菌。
56.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22557の菌株SH4から派生したものである、実施例55に記載の細菌。
57.前記細菌は、SEQ ID NO:40の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、実施例53から56のいずれか一項に記載の細菌。
58.前記細菌は、SEQ ID NO:41の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第1の配列を発現し、及び/又はSEQ ID NO:42の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第2の配列を発現する、実施例53から56のいずれか一項に記載の細菌。
59.前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22555の菌株mp105から派生したものである、実施例57又は58に記載の細菌。
60.前記細菌は、2×108 cfu/マウスの当量投与量で投与される、実施例50から59のいずれか一項に記載の細菌。
61.前記細菌は、静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせで投与するように配合される、実施例53から59のいずれか一項に記載の細菌。
62.前記腫瘍内注射は、7.5×107 cfu/マウスの当量投与量を有し、且つ前記静脈内注射は、3×107 cfu/マウスの当量投与量を有する、実施例61に記載の細菌。
63.先行実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む、免疫原性組成物。
64.先行実施例のいずれか一項に記載の細菌と、任意選択的なアジュバントとを含む、生きている細菌ワクチン。
65.有効量の先行実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む組成物を被験者に投与することを含む、疾患又は病状を処置する方法。
66.前記疾患は、腫瘍又は癌である、実施例65に記載の方法。
67.遺伝子操作された、生きている細菌を構築する方法であって、
細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、方法。
細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、方法。
68.少なくとも一つの医療エフェクターを発現するように、前記細菌を遺伝子操作するステップをさらに含む、実施例67に記載の方法。
69.有効量の先行実施例のいずれか一項に記載の細菌を含む、組成物の、疾患又は病状を処置するための薬物の製造における用途。
70.前記疾患は、腫瘍又は癌である、実施例69に記載の用途。
いくつかの実施例において、遺伝子操作された、生きている細菌を提供し、該遺伝子操作された、生きている細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、細菌の寿命を短縮することによって、細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間後に死滅するようにする少なくとも一つの遺伝子改変とを含む。前記細菌は、毒性株から派生したものである。
いくつかの実施例において、非病原性又は無毒性細菌に比べて、毒性株は、基礎レベルのより高い免疫原性と治療可能性を提供することができる。
いくつかの実施例において、前記時間は、医療エフェクターが少なくとも一つの疾患又は病状に対して少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分である。前記効果は、細菌が死滅し且つ被験者体内から除去された後にも長時間に存在し得る。
いくつかの例示的な実施例において、医療的効果は、予防及び/又は治療効果である。
いくつかの例示的な実施例において、細菌の医療エフェクターが予防及び/又は治療効果を開始するのに十分な時間は48時間未満である。
例1
材料と方法
(1)短寿命細菌を構築する方法
必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の欠失又は突然変異
短寿命細菌を産生するために、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子には欠失又は突然変異が発生し得る。いくつかの例示的な実施例において、毒性細菌株を突然変異に使用した。
材料と方法
(1)短寿命細菌を構築する方法
必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の欠失又は突然変異
短寿命細菌を産生するために、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子には欠失又は突然変異が発生し得る。いくつかの例示的な実施例において、毒性細菌株を突然変異に使用した。
該例示的な実施例において、健康なボランティアによって提供された糞便サンプルから大腸菌(E.coli)菌株SH2を単離し且つ精製した。糞便サンプルをPBS緩衝液に再懸濁させ、且つ1mMイソプロピルβ-D-チオガラクトシド(IPTG)とX-gal(0.06mg/ml)が補充されたLB寒天上に広げた。大腸菌は、青色のコロニーを形成し、且つ他の菌種と区別された。SH2は、糞便大腸菌分離株のうちの一つの分離株である。菌株SH2は、2021年6月10日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22685である。
該例示的な実施例において、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素をコードする必須遺伝子として、asd遺伝子は、大腸菌株SH2の染色体から欠失していた。ラムダ(λ)-Red組換えシステムを使用して、asd遺伝子を大腸菌の細菌染色体から欠失させた。二つのプライマーは欠失の産生に用いられ、
asd-F(順方向プライマー):
asd-R(逆方向プライマー):
asd-F(順方向プライマー):
asd-R(逆方向プライマー):
クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)をテンプレートとして使用し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、loxP-cat-loxPクロラムフェニコール耐性カセットを含むDNA断片を増殖し、前記断片は、asd遺伝子に直接隣接する領域と相同性(45nt)を有する。プライマーasd-Fとasd-Rを該PCRに使用した。プラスミドpSim6を用いてエレクトロコンピテント大腸菌を形質転換し、前記プラスミド上においてλ組換えタンパク質の発現を42℃で誘導した。エレクトロポレーションによって、pSim6を運ぶ大腸菌に上記PCR断片を導入した。λ-redを誘導した後、37oCで一晩インキュベーションしてから、クロラムフェニコール耐性に対して組換えコロニーを選択した。耐性コロニーを単離し、且つasd遺伝子に隣接するように設計されるプライマーであるasd-F2(順方向)TAGGTTTCCGAGCGGATCCA(SEQ ID NO:3)とCm-R3(逆方向)CCTCTTACGTGCCGATCAACG(SEQ ID NO:4)を用いて、コロニーPCRによって検証した。PCRの大きさは505bpであると検証された。表現型試験によってasd欠失をさらに確認し、前記表現型試験では、正確なコロニーは、LB培地上で増殖していなかったが、DAP(50μg/ml)が補充されたLB培地上で容易に増殖した。asd欠失を確認した後、単一のコロニーを選択し、且つカナマイシン耐性遺伝子を運ぶ705Creプラスミドで形質転換した。前記プラスミドからのCreリコンビナーゼの発現は、37℃で誘導され、且ついずれの抗生物質もない場合に、Luria-Bertani(LB)寒天上に広げられた。そして、LB寒天とクロラムフェニコールが補充されたLB寒天の両方で、単一のコロニーを線引きした。LB寒天上で増殖するが、クロラムフェニコールを有するLB寒天上で増殖しない単一のコロニーを選択した。asdの遺伝子欠失を有するが、loxp-cat-loxpカセットを有しない該突然変異株を、SH3と命名した。菌株SH3は、2020年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19836である。
突然変異株の毒性遺伝子同定
コロニーPCRによってSH3内の毒性遺伝子を検出した。プライマーを設計するために、まず、多重配列アラインメントに対する評価によって、異なる大腸菌株において保存配列領域を同定した。そして、プライマーは、保存領域に対して特異的であるように設計された。使用された全てのプライマーは、いずれも表1に一覧表示されている。
コロニーPCRによってSH3内の毒性遺伝子を検出した。プライマーを設計するために、まず、多重配列アラインメントに対する評価によって、異なる大腸菌株において保存配列領域を同定した。そして、プライマーは、保存領域に対して特異的であるように設計された。使用された全てのプライマーは、いずれも表1に一覧表示されている。
インビトロ細菌増殖アッセイ
10μl細菌SH3の一晩培養物を、50μg/ml DAPを有するか又は有しない1mlのLBプロス培地で継代培養(時間0)した。24時間と48時間インキュベーションした後、細菌を連続的に希釈し、且つLuria-Bertani(LB)寒天と、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天の両方上のコロニー形成単位をカウントすることによって、生存力のある細菌を定量した。
10μl細菌SH3の一晩培養物を、50μg/ml DAPを有するか又は有しない1mlのLBプロス培地で継代培養(時間0)した。24時間と48時間インキュベーションした後、細菌を連続的に希釈し、且つLuria-Bertani(LB)寒天と、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天の両方上のコロニー形成単位をカウントすることによって、生存力のある細菌を定量した。
エクスビボ細菌生存アッセイ
生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウスを安楽死させた。器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)を除去し、且つそれぞれ均質化処理を行った。等体積の単独の器官懸濁液のうちの各懸濁液を混合して、混合器官懸濁液を形成した。懸濁液混合物をエクスビボ生存アッセイに使用した。5μl細菌の一晩培養物を500μl器官懸濁液において継代培養(時間0)した。24時間と48時間後に、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上においてコロニー形成単位をカウントすることによって、生存力のある細菌を定量した。
生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウスを安楽死させた。器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)を除去し、且つそれぞれ均質化処理を行った。等体積の単独の器官懸濁液のうちの各懸濁液を混合して、混合器官懸濁液を形成した。懸濁液混合物をエクスビボ生存アッセイに使用した。5μl細菌の一晩培養物を500μl器官懸濁液において継代培養(時間0)した。24時間と48時間後に、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上においてコロニー形成単位をカウントすることによって、生存力のある細菌を定量した。
インビボ細菌生存アッセイ
5μg/ml DAPを有するか又は有しない細菌懸濁液(約1×109 cfu)を、生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウス(平均体重は約20gである)の脇腹に皮下注射した。そして、異なる時点のコロニー形成単位を確定するために、細菌注射部位及び肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からの組織を除去した。約1グラムの各組織に対して、1mlのPBS緩衝液内で均質化処理を行った。得られた組織懸濁液を連続的に希釈し、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上に広げ、且つそれぞれ37oCで一晩インキュベーションした。希釈された組織懸濁液のコロニー形成単位(cfu)をそれぞれカウントし、且つ希釈倍率に基づいて組織における細菌の数を計算した。
5μg/ml DAPを有するか又は有しない細菌懸濁液(約1×109 cfu)を、生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウス(平均体重は約20gである)の脇腹に皮下注射した。そして、異なる時点のコロニー形成単位を確定するために、細菌注射部位及び肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からの組織を除去した。約1グラムの各組織に対して、1mlのPBS緩衝液内で均質化処理を行った。得られた組織懸濁液を連続的に希釈し、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上に広げ、且つそれぞれ37oCで一晩インキュベーションした。希釈された組織懸濁液のコロニー形成単位(cfu)をそれぞれカウントし、且つ希釈倍率に基づいて組織における細菌の数を計算した。
以上と類似している方法を用いて同様なインビボ細菌生存アッセイを繰り返し、ここで、細菌懸濁液(約5×108 cfu)を、生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウス(平均体重は約20gである)の尾静脈に注射した。そして、異なる時点のコロニー形成単位を確定するために、細菌注射部位及び肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からの組織を除去した。約1グラムの各組織に対して、1mlのPBS緩衝液内で均質化処理を行った。得られた組織懸濁液を連続的に希釈し、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上に広げ、且つそれぞれ37oCで一晩インキュベーションした。希釈された組織懸濁液のコロニー形成単位(cfu)をそれぞれカウントし、且つ希釈倍率に基づいて組織における細菌の数を計算した。
例2
(2)短寿命細菌を医療エフェクターのベクターとして使用した
遺伝子クローニングによって細胞毒素を発現する短寿命細菌を構築した
プロモーターとターミネーターを有する、シュードモナス・エルギノーサPA7のエキソリシンA(ExlA)(図4)をコードするexlA遺伝子(SEQ ID NO:35)(Genbank:CP000744.1)を合成し、且つメーカーの説明書に従ってCloneEZシームレスクローニング技術(ジェンスクリプト社(GenScript))を利用して、それをpBAD-DEST49プラスミド(米国インビトロジェン社(Invitrogen)、カタログ番号12283-016)にクローニングした。配列決定分析によって組換えプラスミドpExlAを検証した。その後に、エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlAをasd欠失の突然変異型SH3に導入し、且つプライマーoxb-F(順方向:CTGTTGTGACCGCTTGCTCT)(SEQ ID NO:33)とexlA-R(逆方向:GAGGTGGAAGACAGGATTGTC)(SEQ ID NO:34)を用いて、コロニーPCRによって検証した。プラスミドの形質転換を確認した後に、単一のコロニーを選択した。得られた、組換えプラスミドを有する突然変異株はmp107と命名された。菌株mp107は、2020年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19835である。
(2)短寿命細菌を医療エフェクターのベクターとして使用した
遺伝子クローニングによって細胞毒素を発現する短寿命細菌を構築した
プロモーターとターミネーターを有する、シュードモナス・エルギノーサPA7のエキソリシンA(ExlA)(図4)をコードするexlA遺伝子(SEQ ID NO:35)(Genbank:CP000744.1)を合成し、且つメーカーの説明書に従ってCloneEZシームレスクローニング技術(ジェンスクリプト社(GenScript))を利用して、それをpBAD-DEST49プラスミド(米国インビトロジェン社(Invitrogen)、カタログ番号12283-016)にクローニングした。配列決定分析によって組換えプラスミドpExlAを検証した。その後に、エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlAをasd欠失の突然変異型SH3に導入し、且つプライマーoxb-F(順方向:CTGTTGTGACCGCTTGCTCT)(SEQ ID NO:33)とexlA-R(逆方向:GAGGTGGAAGACAGGATTGTC)(SEQ ID NO:34)を用いて、コロニーPCRによって検証した。プラスミドの形質転換を確認した後に、単一のコロニーを選択した。得られた、組換えプラスミドを有する突然変異株はmp107と命名された。菌株mp107は、2020年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が19835である。
インビトロ細胞毒性アッセイ
マウスLewis肺癌(LLC)細胞系と人肺癌細胞系(A549)をインビトロ細胞毒性アッセイに使用した。増殖培地(DMEM+10% FBS+1% Gln+1% P/S)において、各細胞系を、ウェルあたりに1×104個の細胞で、96ウェルプレートに接種した。細胞が80%の集密度(confluency)に増殖した後、それらと細菌mp107を、抗生物質の含まない培地で5μg/ml DAPを加えて、100のmoi(即ち細胞あたりに100個の細菌)で共培養した。大腸菌基準菌株MG1655を対照細菌として用いた。対照として、対照細菌も、1×リン酸塩緩衝塩水(PBS)緩衝液と共培養された。3時間インキュベーションした後、細菌細胞をPBSで三回洗浄し、且つ1%のクリスタルバイオレットで5min染色した。死細胞が洗浄により除去されたため、クリスタルバイオレット染色された細胞は、生存可能な細胞と見なされる。染色された細胞をPBSで軽く洗浄し、そして95%のエタノールで脱色した。脱色溶液におけるクリスタルバイオレット染色の量(595nm位置での光密度(OD))を、595nm位置でマイクロタイタープレートリーダーによって測定し、それは生存可能な癌細胞の数を示す。共培養された細菌により殺滅された細胞の割合(又は殺滅率(%))を、式(対照的OD595-処理的OD595)/対照的OD595)×100%を用いて計算した。
マウスLewis肺癌(LLC)細胞系と人肺癌細胞系(A549)をインビトロ細胞毒性アッセイに使用した。増殖培地(DMEM+10% FBS+1% Gln+1% P/S)において、各細胞系を、ウェルあたりに1×104個の細胞で、96ウェルプレートに接種した。細胞が80%の集密度(confluency)に増殖した後、それらと細菌mp107を、抗生物質の含まない培地で5μg/ml DAPを加えて、100のmoi(即ち細胞あたりに100個の細菌)で共培養した。大腸菌基準菌株MG1655を対照細菌として用いた。対照として、対照細菌も、1×リン酸塩緩衝塩水(PBS)緩衝液と共培養された。3時間インキュベーションした後、細菌細胞をPBSで三回洗浄し、且つ1%のクリスタルバイオレットで5min染色した。死細胞が洗浄により除去されたため、クリスタルバイオレット染色された細胞は、生存可能な細胞と見なされる。染色された細胞をPBSで軽く洗浄し、そして95%のエタノールで脱色した。脱色溶液におけるクリスタルバイオレット染色の量(595nm位置での光密度(OD))を、595nm位置でマイクロタイタープレートリーダーによって測定し、それは生存可能な癌細胞の数を示す。共培養された細菌により殺滅された細胞の割合(又は殺滅率(%))を、式(対照的OD595-処理的OD595)/対照的OD595)×100%を用いて計算した。
局所投与時の短寿命細菌に対するインビボ抗腫瘍評価
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。特に、癌細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日から12日目に、腫瘍の平均体積が約100-200mm3に達した時、対照細菌MG1655、短寿命細菌SH3とmp107を、1グラムの腫瘍あたりに5×108 cfuの投与量でそれぞれ各マウスの各腫瘍に注射した。PBSを注射することによって陰性対照を製造し、且つ一グラムの腫瘍に4×109 cfu注射することによって高投与量のmp107群を製造した。細菌腫瘍内(i.t.)注射後、腫瘍の大きさを、デジタルノギスを用いて約週に二回(0日目から20日目)測定した。処置群と対照の各々の間の腫瘍増殖抑制率(TGI)の違いを評価した。
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。特に、癌細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日から12日目に、腫瘍の平均体積が約100-200mm3に達した時、対照細菌MG1655、短寿命細菌SH3とmp107を、1グラムの腫瘍あたりに5×108 cfuの投与量でそれぞれ各マウスの各腫瘍に注射した。PBSを注射することによって陰性対照を製造し、且つ一グラムの腫瘍に4×109 cfu注射することによって高投与量のmp107群を製造した。細菌腫瘍内(i.t.)注射後、腫瘍の大きさを、デジタルノギスを用いて約週に二回(0日目から20日目)測定した。処置群と対照の各々の間の腫瘍増殖抑制率(TGI)の違いを評価した。
5μg/mlのDAPが補充された短寿命細菌SH3とmp107を用いて、医療エフェクターによるインビボでの短寿命細菌の生存時間に対する調節を評価した。
全身投与時の短寿命細菌のインビボ抗腫瘍評価
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。特に、癌細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日から12日目に、腫瘍平均体積が約100-200mm3に達した時、7.5×109 cfu/kgマウスの投与量で各マウスの尾静脈にそれぞれ注射することによって、短寿命細菌mp107を全身注射した。PBSを注射することによって陰性対照を製造した。細菌静脈内(i.v.)注射後、腫瘍の大きさを、デジタルノギスを用いて約週に二回(0日目から20日目)測定した。処置群と対照の各々の間の腫瘍増殖抑制率(TGI)の違いを評価した。
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。特に、癌細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日から12日目に、腫瘍平均体積が約100-200mm3に達した時、7.5×109 cfu/kgマウスの投与量で各マウスの尾静脈にそれぞれ注射することによって、短寿命細菌mp107を全身注射した。PBSを注射することによって陰性対照を製造した。細菌静脈内(i.v.)注射後、腫瘍の大きさを、デジタルノギスを用いて約週に二回(0日目から20日目)測定した。処置群と対照の各々の間の腫瘍増殖抑制率(TGI)の違いを評価した。
マウスにおける短寿命細菌の体内分布
インビボ抗腫瘍評価の後、マウスを安楽死させた。そして、異なる時点のコロニー形成単位を確定するために、腫瘍組織及び肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からの組織を除去した。約1グラムの各組織に対して、1mlのPBS緩衝液内で均質化処理を行った。得られた組織懸濁液を連続的に希釈し、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上に広げ、且つそれぞれ37oCで一晩インキュベーションした。希釈された組織懸濁液のコロニー形成単位(cfu)をそれぞれカウントし、且つ希釈倍率に基づいて組織における細菌の数を計算した。
インビボ抗腫瘍評価の後、マウスを安楽死させた。そして、異なる時点のコロニー形成単位を確定するために、腫瘍組織及び肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からの組織を除去した。約1グラムの各組織に対して、1mlのPBS緩衝液内で均質化処理を行った。得られた組織懸濁液を連続的に希釈し、50μg/ml DAPが補充されたLB寒天上に広げ、且つそれぞれ37oCで一晩インキュベーションした。希釈された組織懸濁液のコロニー形成単位(cfu)をそれぞれカウントし、且つ希釈倍率に基づいて組織における細菌の数を計算した。
フローサイトメトリー
37.5μg/mL Liberase TM(ロシュ社(Roche))と8,000U/mL DNase I、牛膵臓(メルクミリポア社(Merck Millipore))で、腫瘍組織を分解した。細胞懸濁液を200μM細胞濾過網で濾過し、且つPBSで洗浄した。そして、以下の抗体でマーカーに対して細胞を染色し、BB700ラット抗マウスCD4クローニングRM4-5(RUO)(BD)、Ms CD3e FITC 145-2C11(BD)、Ms CD4 BV510 RM4-5(BD)、Ms CD8a APC-Cy7 53-6.7(BD)及びBV510ラット抗マウスCD45RB(BD)。メーカーの説明書に従って、染色された細胞を、フローサイトメーターLife Attune NxT(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies))で分析した。
37.5μg/mL Liberase TM(ロシュ社(Roche))と8,000U/mL DNase I、牛膵臓(メルクミリポア社(Merck Millipore))で、腫瘍組織を分解した。細胞懸濁液を200μM細胞濾過網で濾過し、且つPBSで洗浄した。そして、以下の抗体でマーカーに対して細胞を染色し、BB700ラット抗マウスCD4クローニングRM4-5(RUO)(BD)、Ms CD3e FITC 145-2C11(BD)、Ms CD4 BV510 RM4-5(BD)、Ms CD8a APC-Cy7 53-6.7(BD)及びBV510ラット抗マウスCD45RB(BD)。メーカーの説明書に従って、染色された細胞を、フローサイトメーターLife Attune NxT(ライフテクノロジーズ社(Life Technologies))で分析した。
結果
例3
短寿命細菌の構築
例1に記載の方法に基づいて染色体における遺伝子欠失を含む突然変異株を製造し、且つSH3と命名した。大腸菌株の四つの系統発生グループ(phylogenetic group)(A、B1、B2とD)が存在し、且つ大腸菌の染色体におけるchuAとyjaA遺伝子及びDNA断片TSPE4.C2に対してPCR検出を行うことによって系統発生タイプを確定することができる。使用されたプライマーペアは、chuA-F(GACGAACCAACGGTCAGGAT)(SEQ ID NO:23)とchuA-R(TGCCGCCAGTACCAAAGACA)(SEQ ID NO:24)、yjaA-F(TGAAGTGTCAGGAGACGCTG)(SEQ ID NO:25)とyjaA-R(ATGGAGAATGCGTTCCTCAAC)(SEQ ID NO:26)及びTspE4C2-F(GAGTAATGTCGGGGCATTCA)(SEQ ID NO:27)とTspE4C2-R(CGCGCCAACAAAGTATTACG)(SEQ ID NO:28)である。得られたPCR産物の大きさは、それぞれ279-、211-、及び152bpである。大腸菌株がchuAとyjaAの両方に対していずれも陽性である場合、前記菌株を系統発生B2グループと確定する。系統発生タイピングは、SH3が系統発生タイプB2大腸菌に属することを示した。大腸菌毒性遺伝子に対するさらなるPCR検出により、SH3がポリケチド合成酵素ゲノムアイランド(pksアイランド)(前記アイランドは、巨大モジュール化非リボソームペプチドとポリケチド合成酵素をコードする病原性アイランドである)及びchuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBDとyfcVなどのような他の毒性遺伝子又はオペロンンに対して陽性であることが示された。結果によれば、SH3は、複数の毒性因子を有するため、非病原性又は無毒株からエンジニアリングされた菌株に比べて、より高い基礎レベルの免疫原性と治療性効能を提供する大腸菌株である。
例3
短寿命細菌の構築
例1に記載の方法に基づいて染色体における遺伝子欠失を含む突然変異株を製造し、且つSH3と命名した。大腸菌株の四つの系統発生グループ(phylogenetic group)(A、B1、B2とD)が存在し、且つ大腸菌の染色体におけるchuAとyjaA遺伝子及びDNA断片TSPE4.C2に対してPCR検出を行うことによって系統発生タイプを確定することができる。使用されたプライマーペアは、chuA-F(GACGAACCAACGGTCAGGAT)(SEQ ID NO:23)とchuA-R(TGCCGCCAGTACCAAAGACA)(SEQ ID NO:24)、yjaA-F(TGAAGTGTCAGGAGACGCTG)(SEQ ID NO:25)とyjaA-R(ATGGAGAATGCGTTCCTCAAC)(SEQ ID NO:26)及びTspE4C2-F(GAGTAATGTCGGGGCATTCA)(SEQ ID NO:27)とTspE4C2-R(CGCGCCAACAAAGTATTACG)(SEQ ID NO:28)である。得られたPCR産物の大きさは、それぞれ279-、211-、及び152bpである。大腸菌株がchuAとyjaAの両方に対していずれも陽性である場合、前記菌株を系統発生B2グループと確定する。系統発生タイピングは、SH3が系統発生タイプB2大腸菌に属することを示した。大腸菌毒性遺伝子に対するさらなるPCR検出により、SH3がポリケチド合成酵素ゲノムアイランド(pksアイランド)(前記アイランドは、巨大モジュール化非リボソームペプチドとポリケチド合成酵素をコードする病原性アイランドである)及びchuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBDとyfcVなどのような他の毒性遺伝子又はオペロンンに対して陽性であることが示された。結果によれば、SH3は、複数の毒性因子を有するため、非病原性又は無毒株からエンジニアリングされた菌株に比べて、より高い基礎レベルの免疫原性と治療性効能を提供する大腸菌株である。
短寿命細菌のインビトロ細菌増殖アッセイの結果
ここで図1Aと図1Bを参照すると、インビトロ増殖アッセイは、asd欠失の突然変異型SH3が、DAPを補充しない増殖培地(LB)で生存できないが(図1A)、増殖培地にDAPが補充された場合、増殖しやすい(24時間後に約8×107 cfuであり、且つ48時間後に約5×107 cfuである)(図1B)ことを示した。これらの結果により、必須な補充がない場合、必須遺伝子欠失を有する、遺伝子改変された短寿命細菌はインビトロ生存できないことが示された。
ここで図1Aと図1Bを参照すると、インビトロ増殖アッセイは、asd欠失の突然変異型SH3が、DAPを補充しない増殖培地(LB)で生存できないが(図1A)、増殖培地にDAPが補充された場合、増殖しやすい(24時間後に約8×107 cfuであり、且つ48時間後に約5×107 cfuである)(図1B)ことを示した。これらの結果により、必須な補充がない場合、必須遺伝子欠失を有する、遺伝子改変された短寿命細菌はインビトロ生存できないことが示された。
短寿命細菌のエクスビボ細菌生存アッセイの結果
ここで図1Cを参照すると、asd突然変異型SH3は、エクスビボ研究においても生存不良(24時間又は48時間後に増殖しない)が観察され、前記研究において、asd突然変異型SH3を、均質化された混合器官懸濁液内でインキュベーションし、そしてDAP(50μg/ml)が補充されたLB寒天上で、コロニー形成単位をカウントすることによって、生存可能な細菌を定量した(図1C)。結果により、必須な補充がない場合、必須遺伝子欠失を有する、遺伝子改変された短寿命細菌はエクスビボ生存できないことが示された。
ここで図1Cを参照すると、asd突然変異型SH3は、エクスビボ研究においても生存不良(24時間又は48時間後に増殖しない)が観察され、前記研究において、asd突然変異型SH3を、均質化された混合器官懸濁液内でインキュベーションし、そしてDAP(50μg/ml)が補充されたLB寒天上で、コロニー形成単位をカウントすることによって、生存可能な細菌を定量した(図1C)。結果により、必須な補充がない場合、必須遺伝子欠失を有する、遺伝子改変された短寿命細菌はエクスビボ生存できないことが示された。
短寿命細菌のインビボ細菌生存アッセイの結果
asd突然変異型SH3が短時間インビボ生存できるか否かを確定するために、asd突然変異型SH3(約1×109 cfu)をマウスに皮下注射した。
asd突然変異型SH3が短時間インビボ生存できるか否かを確定するために、asd突然変異型SH3(約1×109 cfu)をマウスに皮下注射した。
ここ図1Dを参照すると、DAPが補充されない場合、注射後の2日目に、SH3の生きている細菌カウントは約1×109 cfuから約2.7×108に下降し、ここで、依然として約27%のSH3は注射部位に生存していた。5日後に、生きている細菌カウントは大幅に低下し続けた。11日後に、生きている細菌カウントを検出できず、これにより、必須遺伝子欠失を有する、遺伝子改変された細菌は寿命が短く、且つインビボコピー又はコロニー形成が不可能であることが示された。
短寿命細菌のインビボ細菌生存アッセイの結果
インビボ細菌生存アッセイの結果により、さらに、注射後の2日、5日と11日目に、細菌懸濁液におけるDAPが補充されたか否かにかかわらず、SH3は、皮下注射部位のみに存在し且つ最大5日生存できるが、他の全ての試験された器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)にはいずれも存在しないことが示された。
インビボ細菌生存アッセイの結果により、さらに、注射後の2日、5日と11日目に、細菌懸濁液におけるDAPが補充されたか否かにかかわらず、SH3は、皮下注射部位のみに存在し且つ最大5日生存できるが、他の全ての試験された器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)にはいずれも存在しないことが示された。
結果により、短寿命細菌は、皮下注射部位内に局在するため、局所投与時に安全に使用し得ることが示された。
全身投与時の短寿命細菌の安全性をさらに評価するように、短寿命細菌SH3(約5×108 cfu)を生後六から八週間の雌C57BL/6Jマウスの尾静脈に注射した。静脈内注射後に、短寿命細菌で処理したマウスは死滅していなかった。それに比べて、用野生型細菌で処理されたマウスの100%は48時間内に死滅した。なお、静脈内(i.v.)注射後の6目に検査する時、短寿命細菌で処理されるいずれのマウスのいずれの器官からもSH3を検出しなかった。
注意すべきこととして、全てのこれらのインビボ評価において、asd欠失の突然変異型SH3の突然変異率は0%である。即ち、注射部位から単離されたSH3の細胞の100%は、生存と増殖のために、そのDAPへの依存性を維持し、これは、遺伝子改変された細菌がそれらの毒性因子を保持していても、前記細菌が、局所投与又は全身投与のいずれにおいても安全に使用できることを示している。
要するに、これらのデータは、局所投与又は全身投与の場合、毒性因子を有する短寿命細菌は、インビボ使用時に、驚くほど安全であることを示した。いかなる理論にも拘束されることなく、細菌が複数の毒性因子を有しても、全身感染又は疾患が発生しないように、短寿命細菌は、被験者又は宿主内で一時的に生存する。そのため、前記細菌は、様々な疾患を処置又は予防するか又はいくつかの病状を改善するためのワクチン又は治療剤を製造するための安全で高効能なベクター又は媒体として使用することができる。例えば、SH3などの短寿命突然変異型細菌は、活性治療薬を開発するためのプラットフォームとして使用され得る。
短寿命細菌の生存時間の調節
依然として図1Dを参照すると、最終濃度が5μg/mlである、DAPが補充された細菌懸濁液を用い、且つインビボ細菌生存アッセイを行った。DAPが補充された場合、注射後の2日目に、SH3の生きている細菌カウントは、約1×109 cfuから約6.27×108 cfuにのみ低下した。言い換えれば、注射後、asd突然変異型SH3の約62.7%は、注射部位で2日間生存した(図1D)。該割合は、DAPがない場合のSH3の割合よりも遙かに高かった。そのため、結果により、調節エフェクターの補充によって短寿命細菌の生存時間を調節し得ることが示された。有利には、突然変異型短寿命細菌の生存時間は、調節エフェクターによって制御され得る。注射部位SH3の生存時間が5μg/ml DAPの添加で増加したが、注射後2日、5日と11日に検査する時、SH3は、いずれのマウスのいずれの肝心な器官にも存在しなかった。
依然として図1Dを参照すると、最終濃度が5μg/mlである、DAPが補充された細菌懸濁液を用い、且つインビボ細菌生存アッセイを行った。DAPが補充された場合、注射後の2日目に、SH3の生きている細菌カウントは、約1×109 cfuから約6.27×108 cfuにのみ低下した。言い換えれば、注射後、asd突然変異型SH3の約62.7%は、注射部位で2日間生存した(図1D)。該割合は、DAPがない場合のSH3の割合よりも遙かに高かった。そのため、結果により、調節エフェクターの補充によって短寿命細菌の生存時間を調節し得ることが示された。有利には、突然変異型短寿命細菌の生存時間は、調節エフェクターによって制御され得る。注射部位SH3の生存時間が5μg/ml DAPの添加で増加したが、注射後2日、5日と11日に検査する時、SH3は、いずれのマウスのいずれの肝心な器官にも存在しなかった。
例4
異種毒性因子を発現する短寿命細菌の構築結果
該例示的な実施例において、構成的プロモーターoxb18の制御で、細胞毒素、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)を発現するプラスミドを用いて、例2から得られた短寿命細菌SH3をさらに形質転換した。oxb 18プロモーターと、pelBリーダー配列と、シュードモナス・エルギノーサPA7のexlA遺伝子と、ターミネーター(rrnB転写ターミネーター領域)とを含む配列は、SEQ ID NO:35に示されるとおりであり、且つ組換えプラスミドpExlAを形成するように、プラスミドpBAD-DEST49にクローニングされた(図4)。精製され検証された組換え菌株は、mp107と命名された。
異種毒性因子を発現する短寿命細菌の構築結果
該例示的な実施例において、構成的プロモーターoxb18の制御で、細胞毒素、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)を発現するプラスミドを用いて、例2から得られた短寿命細菌SH3をさらに形質転換した。oxb 18プロモーターと、pelBリーダー配列と、シュードモナス・エルギノーサPA7のexlA遺伝子と、ターミネーター(rrnB転写ターミネーター領域)とを含む配列は、SEQ ID NO:35に示されるとおりであり、且つ組換えプラスミドpExlAを形成するように、プラスミドpBAD-DEST49にクローニングされた(図4)。精製され検証された組換え菌株は、mp107と命名された。
細胞毒素を発現する短寿命細菌のインビトロ細胞毒性アッセイの結果
ここで図2Aを参照すると、mp107の細胞毒性をインビトロ評価した。DAP(5μg/ml)を添加した増殖培地で細胞系と細菌を3時間共培養した後に殺滅率を確定した。両者はいずれもP<0.001(独立t検定)である。データによると、LLC細胞に対する短寿命細菌mp107の殺滅率は驚くほど高い(約92%)が、対照細菌MG1655の殺滅率は約13%に過ぎなかった(図2A)。データによると、さらに、A549細胞に対するmp107の殺滅率は驚くほど高い(約90%)が、対照細菌MG1655の殺滅率は約30%に過ぎなかった(図2B)。これらの結果は、mp107がマウス肺癌細胞とヒト肺癌細胞に対して毒性又は致死性を有することを示し、これは、例えば、細胞毒素などの異種毒性因子を発現する短寿命細菌が、例えば、肺癌などの癌を処置するための高効能を有し得ることを示した。
ここで図2Aを参照すると、mp107の細胞毒性をインビトロ評価した。DAP(5μg/ml)を添加した増殖培地で細胞系と細菌を3時間共培養した後に殺滅率を確定した。両者はいずれもP<0.001(独立t検定)である。データによると、LLC細胞に対する短寿命細菌mp107の殺滅率は驚くほど高い(約92%)が、対照細菌MG1655の殺滅率は約13%に過ぎなかった(図2A)。データによると、さらに、A549細胞に対するmp107の殺滅率は驚くほど高い(約90%)が、対照細菌MG1655の殺滅率は約30%に過ぎなかった(図2B)。これらの結果は、mp107がマウス肺癌細胞とヒト肺癌細胞に対して毒性又は致死性を有することを示し、これは、例えば、細胞毒素などの異種毒性因子を発現する短寿命細菌が、例えば、肺癌などの癌を処置するための高効能を有し得ることを示した。
局所投与時の短寿命細菌に対するインビボ抗腫瘍評価の結果
ここで図2Bを参照すると、マウスがLewis肺癌細胞(LLC)から形成された皮下腫瘍を運ぶ同遺伝子マウス癌モデルを構築した。短寿命細菌のインビボ腫瘍内での生存時間を改善するために、マウスにおける腫瘍に投与する前に、DAPが5μg/mlの投与量で補充された細菌懸濁液でインビボ抗腫瘍評価を行った。対照菌株MG1655、短寿命細菌SH3及びexlAのエキソリシンを発現する短寿命細菌mp107の群について、これらの細菌は、腫瘍1グラムあたりに5×108 cfuの投与量で注射され、mp107(高投与量)の群について、注射投与量は腫瘍1グラムあたりに4×109 cfuである。図2Bに示すように、処置期間(3日目から20日目)にわたって、対照MG 1655群とPBS群(无細菌注射)に比べると、SH3群の腫瘍増殖は著しく抑制された。基準菌株MG1655(p=0.0002)に比べて、短寿命細菌SH3はより高い腫瘍抑制レベルを示し、毒性因子を有するSH3細菌が対照細菌に比べてより高い抗癌効能を有することを示した。データにより、さらに、処置期間(3日目から20日目)にわたって、SH3群に比べると、mp107群の腫瘍増殖が著しく抑制されたことが示されたデータは、自体では、短寿命細菌SH3に比べて、別の細胞毒素を発現する短寿命細菌mp107による腫瘍増殖への抑制がより有効であり(p=0.03)ことを示し、exlAによりコードされた細胞毒素が、短寿命細菌に追加の抗癌能力を付与することを示している。注射投与量が腫瘍1グラムあたりに4×109 cfu(より高い投与量)に増加した時、それに応じてmp107の抗癌効能も増加した。細菌を腫瘍内に20日間注射した後、高投与量のmp107の競合応答率は75%(8匹のマウスのうちの6匹のマウス)に達し、例えば、細胞毒素ExlAなどをさらに発現する異種毒性因子の短寿命細菌SH3(即ちmp107の処置群)の抗癌効能における相加効果又は相乗効果を示した。腫瘍増殖抑制率(TGI)の比較は、処置群と対照群の各々の間の著しい違いを示した。
ここで図2Bを参照すると、マウスがLewis肺癌細胞(LLC)から形成された皮下腫瘍を運ぶ同遺伝子マウス癌モデルを構築した。短寿命細菌のインビボ腫瘍内での生存時間を改善するために、マウスにおける腫瘍に投与する前に、DAPが5μg/mlの投与量で補充された細菌懸濁液でインビボ抗腫瘍評価を行った。対照菌株MG1655、短寿命細菌SH3及びexlAのエキソリシンを発現する短寿命細菌mp107の群について、これらの細菌は、腫瘍1グラムあたりに5×108 cfuの投与量で注射され、mp107(高投与量)の群について、注射投与量は腫瘍1グラムあたりに4×109 cfuである。図2Bに示すように、処置期間(3日目から20日目)にわたって、対照MG 1655群とPBS群(无細菌注射)に比べると、SH3群の腫瘍増殖は著しく抑制された。基準菌株MG1655(p=0.0002)に比べて、短寿命細菌SH3はより高い腫瘍抑制レベルを示し、毒性因子を有するSH3細菌が対照細菌に比べてより高い抗癌効能を有することを示した。データにより、さらに、処置期間(3日目から20日目)にわたって、SH3群に比べると、mp107群の腫瘍増殖が著しく抑制されたことが示されたデータは、自体では、短寿命細菌SH3に比べて、別の細胞毒素を発現する短寿命細菌mp107による腫瘍増殖への抑制がより有効であり(p=0.03)ことを示し、exlAによりコードされた細胞毒素が、短寿命細菌に追加の抗癌能力を付与することを示している。注射投与量が腫瘍1グラムあたりに4×109 cfu(より高い投与量)に増加した時、それに応じてmp107の抗癌効能も増加した。細菌を腫瘍内に20日間注射した後、高投与量のmp107の競合応答率は75%(8匹のマウスのうちの6匹のマウス)に達し、例えば、細胞毒素ExlAなどをさらに発現する異種毒性因子の短寿命細菌SH3(即ちmp107の処置群)の抗癌効能における相加効果又は相乗効果を示した。腫瘍増殖抑制率(TGI)の比較は、処置群と対照群の各々の間の著しい違いを示した。
全身投与時の短寿命細菌に対するインビボ抗腫瘍評価の結果
ここで図3Aを参照すると、短寿命細菌mp107をマウスの尾静脈に静脈内注射(7.5×109 cfu/kgマウス)した。処置期間(2日目から30日目)にわたって、PBS対照群の腫瘍増殖に比べて、静脈内注射された短寿命細菌は、腫瘍増殖を著しく抑制した。mp107処置されたマウスの44.4%(9匹のマウスのうちの4匹のマウス)は、第30日目の腫瘍が治癒され、これは、7.5×109 cfu/kgマウスの単回投与量で全身投与された時、これらの短寿命細菌が癌を効果的に処置し得ることを示した。
ここで図3Aを参照すると、短寿命細菌mp107をマウスの尾静脈に静脈内注射(7.5×109 cfu/kgマウス)した。処置期間(2日目から30日目)にわたって、PBS対照群の腫瘍増殖に比べて、静脈内注射された短寿命細菌は、腫瘍増殖を著しく抑制した。mp107処置されたマウスの44.4%(9匹のマウスのうちの4匹のマウス)は、第30日目の腫瘍が治癒され、これは、7.5×109 cfu/kgマウスの単回投与量で全身投与された時、これらの短寿命細菌が癌を効果的に処置し得ることを示した。
マウスにおける短寿命細菌の体内分布結果
実験終了時、細菌により処理されたマウスの細菌体内分布を分析した。腫瘍又はいずれの肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からいずれも短寿命細菌mp107を検出していなかったことは、これらの短寿命細菌が腫瘍組織又は被験者にコロニー形成しないことを示した。腫瘍が細菌を含まないため、データは、これらの短寿命細菌を静脈内注射した後に観察された腫瘍抑制が、例えば、免疫メカニズムなどの間接的なメカニズムによるものであることを示した。
実験終了時、細菌により処理されたマウスの細菌体内分布を分析した。腫瘍又はいずれの肝心な器官(肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓を含む)からいずれも短寿命細菌mp107を検出していなかったことは、これらの短寿命細菌が腫瘍組織又は被験者にコロニー形成しないことを示した。腫瘍が細菌を含まないため、データは、これらの短寿命細菌を静脈内注射した後に観察された腫瘍抑制が、例えば、免疫メカニズムなどの間接的なメカニズムによるものであることを示した。
フローサイトメトリーの結果
現在図3Bと図3Cを参照すると、フローサイトメトリーによって腫瘍内リンパ球を分析した。データは、短寿命細菌mp107で処理されたマウスの腫瘍におけるCD4+ T細胞とCD8+ T細胞が、対照細菌MG1655で処理されたマウスの細胞に比べて、それぞれ19倍と12倍増加したことを示し、これは、これらの短寿命細菌が、処理されたマウスにおいてT細胞応答を誘発することを示した。これらのデータにより、異種タンパク質ExlAを発現する短寿命細菌mp107は、抗癌免疫を誘発することによって、腫瘍増殖を抑制することが示された。
現在図3Bと図3Cを参照すると、フローサイトメトリーによって腫瘍内リンパ球を分析した。データは、短寿命細菌mp107で処理されたマウスの腫瘍におけるCD4+ T細胞とCD8+ T細胞が、対照細菌MG1655で処理されたマウスの細胞に比べて、それぞれ19倍と12倍増加したことを示し、これは、これらの短寿命細菌が、処理されたマウスにおいてT細胞応答を誘発することを示した。これらのデータにより、異種タンパク質ExlAを発現する短寿命細菌mp107は、抗癌免疫を誘発することによって、腫瘍増殖を抑制することが示された。
これらのデータにより、いくつかの抗原を発現する短寿命細菌は、例えば、癌などの疾患の進行に対するワクチンとしても使用できることが示された。
例5
材料と方法
(3)短寿命細菌を構築する方法
毒性遺伝子の欠失又は突然変異
短寿命細菌の使用上の安全性をさらに改善するために、短寿命細菌の毒性は、さらなる遺伝子改変によってさらに弱められ得る。該例示的な実施例において、細菌(大腸菌)菌株SH3のα溶血素をコードするhlyCABDオペロンを欠失又は突然変異させて、新規細菌株SH4を生成した。
材料と方法
(3)短寿命細菌を構築する方法
毒性遺伝子の欠失又は突然変異
短寿命細菌の使用上の安全性をさらに改善するために、短寿命細菌の毒性は、さらなる遺伝子改変によってさらに弱められ得る。該例示的な実施例において、細菌(大腸菌)菌株SH3のα溶血素をコードするhlyCABDオペロンを欠失又は突然変異させて、新規細菌株SH4を生成した。
該例示的な実施例において、ラムダ(λ)-Red組換えシステムを使用して、hlyCABDオペロンを大腸菌株SH3の細菌染色体から欠失させた。二つのプライマーは欠失の産生に用いられ、
M-hly-F(順方向):
M-hly-R(逆方向):
M-hly-F(順方向):
M-hly-R(逆方向):
M-hly-FとM-hly-Rプライマーを用いて、PCRによってクロラムフェニコール耐性カセットを増殖した。クロラムフェニコール耐性遺伝子(cat)をテンプレートとして使用し、PCRによって、loxP-cat-loxPクロラムフェニコール耐性カセットを含むDNA断片を増殖し、前記クロラムフェニコール耐性カセットは、hlyCABDオペロンに直接隣接する領域と相同性(45nt)を有する。プライマーM-hly-FとM-hly-Rを該PCRに使用した。プラスミドpSim6を用いて細菌株SH3を形質転換し、前記プラスミド上においてλ組換えタンパク質の発現を42℃で誘導した。エレクトロポレーションによって、pSim6を運ぶSH3に上記PCR断片を導入した。λ-redを誘導した後、クロラムフェニコール耐性に対して組換え体を選択し、且つコロニーPCRによって前記組換え体を検証した。そして、メーカーの説明書(ジーンブリッジ社(Gene Bridges)、ドイツ)に従って、705Cre方法でクロラムフェニコール耐性カセットを除去した。つまり、形質転換体におけるプラスミドからのCreリコンビナーゼの発現を37℃で誘導し、そしていずれの抗生物質もないLB寒天上に細菌を広げた。37℃で一晩培養した後、LB寒天とクロラムフェニコールが補充されたLB寒天の両方で、単一のコロニーを線引きした。LB寒天上で増殖するが、クロラムフェニコールを有するLB寒天上で増殖しない単一のコロニーを選択した。hlyCABDオペロン欠失とasd遺伝子欠失の両方を有するが、loxp-cat-loxpカセットを有する該突然変異株は、SH4と命名された。細菌株SH4は、2021年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22557である。
例6
(4)短寿命細菌を医療エフェクターのベクターとして使用する
遺伝子クローニングによって細胞毒素と溶血素IIIの一部の断片を発現する短寿命細菌を構築する
シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンAをコードするexlA遺伝子(SEQ ID NO:41)及び溶血素IIIをコードするhly III遺伝子の一部のDNA断片(SEQ ID NO:42)を合成し、且つメーカーの説明書に従ってCloneEZシームレスクローニング技術(ジェンスクリプト社)を利用して、組換えプラスミドpExlA2を形成するように、それをpBAD-DEST49プラスミド(米国インビトロジェン社、カタログ番号12283-016)にクローニングした(図5)。配列決定分析によって組換えプラスミドpExlA2を検証した。その後に、エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlA2を細菌株SH4とSH3にそれぞれ導入し、且つコロニーPCRによって検証した。形質転換を確認した後、各細菌株に対して単一のコロニーを選択した。組換えプラスミドpExlA2形質転換で得られた突然変異株SH4とSH3は、それぞれmp105とmp106命名された。菌株mp105は、2021年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22555である。菌株mp106は、2021年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22556である。
(4)短寿命細菌を医療エフェクターのベクターとして使用する
遺伝子クローニングによって細胞毒素と溶血素IIIの一部の断片を発現する短寿命細菌を構築する
シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンAをコードするexlA遺伝子(SEQ ID NO:41)及び溶血素IIIをコードするhly III遺伝子の一部のDNA断片(SEQ ID NO:42)を合成し、且つメーカーの説明書に従ってCloneEZシームレスクローニング技術(ジェンスクリプト社)を利用して、組換えプラスミドpExlA2を形成するように、それをpBAD-DEST49プラスミド(米国インビトロジェン社、カタログ番号12283-016)にクローニングした(図5)。配列決定分析によって組換えプラスミドpExlA2を検証した。その後に、エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlA2を細菌株SH4とSH3にそれぞれ導入し、且つコロニーPCRによって検証した。形質転換を確認した後、各細菌株に対して単一のコロニーを選択した。組換えプラスミドpExlA2形質転換で得られた突然変異株SH4とSH3は、それぞれmp105とmp106命名された。菌株mp105は、2021年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22555である。菌株mp106は、2021年5月18日に、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託され、寄託番号が22556である。
例7
溶血アッセイ
エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlA2を対照細菌株MG1655に導入し、且つコロニーPCRによって検証した。形質転換を確認した後、単一のコロニーを選択した。プラスミドpExlA2形質転換で得られたMG1655は、MG1655/pExlA2と命名された。
溶血アッセイ
エレクトロポレーションによって組換えプラスミドpExlA2を対照細菌株MG1655に導入し、且つコロニーPCRによって検証した。形質転換を確認した後、単一のコロニーを選択した。プラスミドpExlA2形質転換で得られたMG1655は、MG1655/pExlA2と命名された。
細菌株SH3、SH4、対照細菌株MG1655及びMG1655/pExlA2の一晩培養物を、ジアミノピメリン酸(DAP、50μg/ml)と10%(v/v)ウサギ血が補充されたLB寒天上にそれぞれ滴下し、そして37oCで8時間から10時間インキュベーションした。終点では、対応細菌株の溶血能力を観察した。寒天の清澄化が観察されたことにより、赤血球の破裂による溶血が示された。
例8
短寿命細菌注射後の安全性と抗癌効能に対するインビボ評価
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。具体的には、LLC細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日目から12日目に、腫瘍平均体積が約50-200mm3に達した時、細菌株(mp105、mp106及び/又はmp107)を各マウスの尾静脈にそれぞれ静脈内注射(iv)するか、又は各マウスに対して静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせ(iv+it)を行った。陰性対照として、同様な方式でPBS緩衝液を注射した。細菌注射後の4日目、6日目、8日目と11日目に体重を測定した。細菌注射後に、デジタルノギスを用いて腫瘍の大きさを週に2~3回測定した。
短寿命細菌注射後の安全性と抗癌効能に対するインビボ評価
生後六から八週間の雌C57BL/6JマウスをマウスLewis肺癌細胞系(LLC)の腫瘍移植に使用した。具体的には、LLC細胞系の1×106個の細胞を各マウスの脇腹に皮下注射した。細胞系移植後の7日目から12日目に、腫瘍平均体積が約50-200mm3に達した時、細菌株(mp105、mp106及び/又はmp107)を各マウスの尾静脈にそれぞれ静脈内注射(iv)するか、又は各マウスに対して静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせ(iv+it)を行った。陰性対照として、同様な方式でPBS緩衝液を注射した。細菌注射後の4日目、6日目、8日目と11日目に体重を測定した。細菌注射後に、デジタルノギスを用いて腫瘍の大きさを週に2~3回測定した。
例9
属種同定
同定対象の細菌を組織から単離し、且つ継代培養によって精製した。そして、メーカーの説明書に従って、天根(Tiangen)ゲノムDNAキット(天根生物化学科技(北京)株式会社(Tiangen Biotech,Beijing))を用いて、各細菌株からゲノムDNAを単離し、且つ16SリボソームDNA(rDNA)配列分析によって種属同定を確定した。具体的には、ゲノムDNAをテンプレートとして使用して、プライマー27Fと1492RでPCR増殖を実行した。そしてPCR産物に対して配列決定を行い、且つGenBankにおいてBLASTアラインメント(blasted)を行った。
27F(順方向):
1492R(逆方向):
属種同定
同定対象の細菌を組織から単離し、且つ継代培養によって精製した。そして、メーカーの説明書に従って、天根(Tiangen)ゲノムDNAキット(天根生物化学科技(北京)株式会社(Tiangen Biotech,Beijing))を用いて、各細菌株からゲノムDNAを単離し、且つ16SリボソームDNA(rDNA)配列分析によって種属同定を確定した。具体的には、ゲノムDNAをテンプレートとして使用して、プライマー27Fと1492RでPCR増殖を実行した。そしてPCR産物に対して配列決定を行い、且つGenBankにおいてBLASTアラインメント(blasted)を行った。
27F(順方向):
1492R(逆方向):
例10
治療ワクチンと予防ワクチンとしての短寿命細菌に対する評価
該例では、細菌感染が存在する雌C57BL/6Jマウスを用いて、細菌感染の軽減におけるmp105の能力を証明且つ評価した。種属同定を行うように、例9に記載の方法に基づいて、マウスの器官(肝臓と肺とを含む)から単離した細菌を分析した。16S rDNA配列決定は、マウスがネズミチフス菌に自然に感染したことを示した。mp105が従来のネズミチフス菌(S.typhimurium)感染を処置し、及び/又はその後の細菌感染を予防することができるか否かを調べるために、マウスにmp105(1×108 cfu/マウス)又はPBSを、14日の間隔で、二回皮下注射した。注射後の14日目に、2×107 cfu/マウスの投与量で、病原性大腸菌株CFT073でマウスをチャレンジ(challenge)して、追加の感染を確立した。チャレンジ後の5日目に、マウスを安楽死させ、且つコロニー形成単位(CFU)に対するプレートカウントとコロニーに対するPCR検証によって、例えば、肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓などの肝心な器官の細菌感染状況を分析した。ネズミチフス菌がhlyCABDオペロンに対して陰性であるが、CFT073がオペロンを運ぶため、PCRを用いて二つのタイプの細菌を区別してもよい。PCRに用いられるプライマーは、hly-Fとhly-Rである。
hly-F(順方向):
hly-R(逆方向):
治療ワクチンと予防ワクチンとしての短寿命細菌に対する評価
該例では、細菌感染が存在する雌C57BL/6Jマウスを用いて、細菌感染の軽減におけるmp105の能力を証明且つ評価した。種属同定を行うように、例9に記載の方法に基づいて、マウスの器官(肝臓と肺とを含む)から単離した細菌を分析した。16S rDNA配列決定は、マウスがネズミチフス菌に自然に感染したことを示した。mp105が従来のネズミチフス菌(S.typhimurium)感染を処置し、及び/又はその後の細菌感染を予防することができるか否かを調べるために、マウスにmp105(1×108 cfu/マウス)又はPBSを、14日の間隔で、二回皮下注射した。注射後の14日目に、2×107 cfu/マウスの投与量で、病原性大腸菌株CFT073でマウスをチャレンジ(challenge)して、追加の感染を確立した。チャレンジ後の5日目に、マウスを安楽死させ、且つコロニー形成単位(CFU)に対するプレートカウントとコロニーに対するPCR検証によって、例えば、肝臓、肺、心臓、腎臓と脾臓などの肝心な器官の細菌感染状況を分析した。ネズミチフス菌がhlyCABDオペロンに対して陰性であるが、CFT073がオペロンを運ぶため、PCRを用いて二つのタイプの細菌を区別してもよい。PCRに用いられるプライマーは、hly-Fとhly-Rである。
hly-F(順方向):
hly-R(逆方向):
結果
例11
弱毒化された短寿命細菌の構築結果
例5に記載の方法に基づいて、hlyCABDオペロンのSH3の染色体における遺伝子欠失を有する突然変異株を製造し、且つSH4と命名した。α溶血素をコードするhlyCABDオペロンの欠失は、例えば、癌療法と微生物感染のためのワクチンなどの複数の用途のための短寿命細菌の例としてのSH4の使用の安全性を改善し得る。
例11
弱毒化された短寿命細菌の構築結果
例5に記載の方法に基づいて、hlyCABDオペロンのSH3の染色体における遺伝子欠失を有する突然変異株を製造し、且つSH4と命名した。α溶血素をコードするhlyCABDオペロンの欠失は、例えば、癌療法と微生物感染のためのワクチンなどの複数の用途のための短寿命細菌の例としてのSH4の使用の安全性を改善し得る。
例12
細胞毒素を発現する、弱毒化された短寿命細菌の構築結果
例6に記載の方法に基づいて、例5から得られた短寿命細菌SH4と、例2から得られたSH3を細胞毒素、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(SEQ ID NO:41)及び溶血素IIIをコードするhly III遺伝子の一部のDNA断片(SEQ ID NO:42)を発現するプラスミドを用いて、それぞれさらに形質転換した。oxb 18プロモーターと、pelBリーダー配列と、シュードモナス・エルギノーサPA7のexlA遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片と、ターミネーター(rrnB転写ターミネーター領域)とを含む配列は、SEQ ID NO:40に示されるとおりであり、且つ組換えプラスミドpExlA2を形成するように、プラスミドpBAD-DEST49にクローニングされた。組換えプラスミドpExlA2形質転換から得られた突然変異株SH4とSH3は、それぞれmp105とmp106に命名された。
細胞毒素を発現する、弱毒化された短寿命細菌の構築結果
例6に記載の方法に基づいて、例5から得られた短寿命細菌SH4と、例2から得られたSH3を細胞毒素、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(SEQ ID NO:41)及び溶血素IIIをコードするhly III遺伝子の一部のDNA断片(SEQ ID NO:42)を発現するプラスミドを用いて、それぞれさらに形質転換した。oxb 18プロモーターと、pelBリーダー配列と、シュードモナス・エルギノーサPA7のexlA遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片と、ターミネーター(rrnB転写ターミネーター領域)とを含む配列は、SEQ ID NO:40に示されるとおりであり、且つ組換えプラスミドpExlA2を形成するように、プラスミドpBAD-DEST49にクローニングされた。組換えプラスミドpExlA2形質転換から得られた突然変異株SH4とSH3は、それぞれmp105とmp106に命名された。
例13
溶血アッセイの結果
ここで図6Aを参照すると、その結果、α溶血素をコードするhlyCABDオペロンがSH3ゲノムから欠失した後、SH4が溶血を起こす能力を失っていることが示され、これは、SH4がα溶血素を産生する能力を失っていることを示した。これに対して、SH3は、依然として溶血を引き起こす能力を維持している。
溶血アッセイの結果
ここで図6Aを参照すると、その結果、α溶血素をコードするhlyCABDオペロンがSH3ゲノムから欠失した後、SH4が溶血を起こす能力を失っていることが示され、これは、SH4がα溶血素を産生する能力を失っていることを示した。これに対して、SH3は、依然として溶血を引き起こす能力を維持している。
ここで図6Bを参照すると、溶血アッセイ結果により、MG1655とMG1655/pExlA2の両方はいずれも溶血を引き起こしていないことが示された。結果により、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片が存在するが、プラスミドから溶血素IIIが産生されないことが明らかになった。驚くべきこととして、腫瘍療法に対するインビボ評価の結果(以下の例15に詳細を示す)は、該断片の発現が抗癌効能を増強したことを示した。
以上のように、mp105が、pExlA2で形質転換されたSH4から得られたものであり、例示的な短寿命細菌mp105も溶血素産生能力を欠いているため、該短寿命細菌は、癌療法などの複数の用途で被験者体内に使用される場合により安全であると推測される。
例14
短寿命細菌注射後の安全性と抗癌効能に対するインビボ評価の結果
ここで図7を参照すると、マウスがLewis肺癌細胞(LLC)から形成された皮下腫瘍を運ぶ同遺伝子マウス癌モデルを確立した。例8に記載の方法に基づいて、それぞれ細菌mp105、mp106及びmp107で処理された各マウスの体重減少率変化を示した。各細菌株を2×108 cfu/マウスの投与量で静脈内注射した。一般的には、細菌で処理された全てのマウスは、静脈内注射後にいずれも体重がある程度軽減するが、mp105で処理されたマウス体重は、mp106又はmp107で処理されたマウスより有意に体重減少が少なかった。特に、mp105で処理されたマウスとmp106で処理されたマウスとの間で、4日目と8日目の体重減少の差は統計的有意性に達した(独立t検定、P<0.05)。これらの結果により、さらに、少なくともhlyCABDオペロンが欠失したため、mp106又はmp107に比べて、例示的な短寿命細菌mp105は、より良好な抗癌効能を有し、且つ被験者体内でインビボ使用される時により安全であることが明らかになった。
短寿命細菌注射後の安全性と抗癌効能に対するインビボ評価の結果
ここで図7を参照すると、マウスがLewis肺癌細胞(LLC)から形成された皮下腫瘍を運ぶ同遺伝子マウス癌モデルを確立した。例8に記載の方法に基づいて、それぞれ細菌mp105、mp106及びmp107で処理された各マウスの体重減少率変化を示した。各細菌株を2×108 cfu/マウスの投与量で静脈内注射した。一般的には、細菌で処理された全てのマウスは、静脈内注射後にいずれも体重がある程度軽減するが、mp105で処理されたマウス体重は、mp106又はmp107で処理されたマウスより有意に体重減少が少なかった。特に、mp105で処理されたマウスとmp106で処理されたマウスとの間で、4日目と8日目の体重減少の差は統計的有意性に達した(独立t検定、P<0.05)。これらの結果により、さらに、少なくともhlyCABDオペロンが欠失したため、mp106又はmp107に比べて、例示的な短寿命細菌mp105は、より良好な抗癌効能を有し、且つ被験者体内でインビボ使用される時により安全であることが明らかになった。
例15
短寿命細菌により媒介された腫瘍療法に対するインビボ評価の結果
ここで図8を参照すると、例8に記載の方法に基づいて、mp105、mp106及びmp107の抗癌効能を比較した。インビボ数据は、mp106の腫瘍体積の増加が、特に処置後21日目に、mp107の腫瘍体積の増加よりも著しく遅いことを示し、これは、mp107に比べて、mp106が抗癌効能において適度な改善を示すことを示した。これらの結果は、に比べて、pExlA2が、pExlAよりも優れた抗癌能力を細菌に付与することを示した。驚くべきこととして、mp105は、腫瘍増殖の抑制において、mp106(p=0.04)とmp107(p=0.031)の両方よりも著しく優れていた。実験の終了時に、mp105で処理されたマウスの腫瘍の37.5%は治癒された。mp106で処理された群とmp107で処理された群の治癒率は、それぞれ12.5%と11.1%であり、mp-105で処理されたマウスの治癒率よりも低かった。これらの結果は、mp106とmp107に比べて、例示的な短寿命細菌mp105が、より安全であるだけでなく、癌に対してより有効であることをまとめて示した。
短寿命細菌により媒介された腫瘍療法に対するインビボ評価の結果
ここで図8を参照すると、例8に記載の方法に基づいて、mp105、mp106及びmp107の抗癌効能を比較した。インビボ数据は、mp106の腫瘍体積の増加が、特に処置後21日目に、mp107の腫瘍体積の増加よりも著しく遅いことを示し、これは、mp107に比べて、mp106が抗癌効能において適度な改善を示すことを示した。これらの結果は、に比べて、pExlA2が、pExlAよりも優れた抗癌能力を細菌に付与することを示した。驚くべきこととして、mp105は、腫瘍増殖の抑制において、mp106(p=0.04)とmp107(p=0.031)の両方よりも著しく優れていた。実験の終了時に、mp105で処理されたマウスの腫瘍の37.5%は治癒された。mp106で処理された群とmp107で処理された群の治癒率は、それぞれ12.5%と11.1%であり、mp-105で処理されたマウスの治癒率よりも低かった。これらの結果は、mp106とmp107に比べて、例示的な短寿命細菌mp105が、より安全であるだけでなく、癌に対してより有効であることをまとめて示した。
例16
異なる経路で投与された短寿命細菌により媒介された抗癌効能のインビボ評価の結果
ここで図9を参照すると、例8に記載の方法に基づいて、mp105の異なる投与経路を比較した。癌療法におけるmp105の腫瘍内注射と静脈内注射との組み合わせを単独の静脈内注射と比較した。腫瘍内注射と静脈内注射の投与量は、それぞれ7.5×107 cfu/マウスと3×107 cfu/マウスである。図9は、mp105の静脈内注射(iv)のみが行われたマウスに比べて、皮下LLC腫瘍を運び且つmp105の静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせ(iv+it)を行ったマウスにおいて、処置後の12日目に腫瘍体積が驚くほど減少したことを示した。結果により、単独の静脈内注射に比べて、二つの投与経路(即ち静脈内注射と腫瘍内注射)の組み合わせが、例示的な短寿命細菌mp105の抗癌効能を著しく改善したことを示した。これは、臨床用途のために、例示的な短寿命細菌mp105を、原発性癌病巣に直接注射し、且つそれと同時に、静脈内注射を行って転移病巣を制御することが可能であることを示した。
異なる経路で投与された短寿命細菌により媒介された抗癌効能のインビボ評価の結果
ここで図9を参照すると、例8に記載の方法に基づいて、mp105の異なる投与経路を比較した。癌療法におけるmp105の腫瘍内注射と静脈内注射との組み合わせを単独の静脈内注射と比較した。腫瘍内注射と静脈内注射の投与量は、それぞれ7.5×107 cfu/マウスと3×107 cfu/マウスである。図9は、mp105の静脈内注射(iv)のみが行われたマウスに比べて、皮下LLC腫瘍を運び且つmp105の静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせ(iv+it)を行ったマウスにおいて、処置後の12日目に腫瘍体積が驚くほど減少したことを示した。結果により、単独の静脈内注射に比べて、二つの投与経路(即ち静脈内注射と腫瘍内注射)の組み合わせが、例示的な短寿命細菌mp105の抗癌効能を著しく改善したことを示した。これは、臨床用途のために、例示的な短寿命細菌mp105を、原発性癌病巣に直接注射し、且つそれと同時に、静脈内注射を行って転移病巣を制御することが可能であることを示した。
例17
治療ワクチンと予防ワクチンとしての短寿命細菌に対する評価の結果
ここで図10Aと図10Bを参照すると、微生物感染に対するワクチンとしての例示的な短寿命細菌mp105の能力を評価した。mp105は、複数の毒性因子と抗原を有するB2型大腸菌の遺伝子操作によって改造された短寿命細菌であり、先行例において高い免疫原性を示した。これは、exlAの異種発現、及びhlyCABD欠失によるさらなる弱毒化と共に、mp105を被験者体内で安全な生ワクチンとして使用することを可能にした。図10Aと図10Bにおける結果は、mp105の二回の皮下注射が、試験された器官(肝臓と肺とを含む)におけるネズミチフス菌を著しく減少させたことを示した。PBSに比べて、mp105は、ネズミチフス菌の肝臓における数を73.6%減少させ(図10A)、且つ肺における数を64.6%減少させた(図10B)。これは、例示的な短寿命細菌mp105が、従来の細菌感染に対する有効な治療ワクチンとして効果を果たすことを示した。なお、PBSで処理されたマウスの肝臓(100CFU/10mgの肝臓組織)、PBSで処理されたマウス心臓(3CFU/10mgの心臓組織)、及びPBSで処理されたマウスの肺(15CFU/10mgの肝臓組織)からCFT073を検出した。換言すれば、PBSで処理されたマウスの50%は、CFT073に感染された。逆に、mp105で処理された群におけるいずれのマウスからもCFT073を検出していなかった(カイ二乗検定、P=0.046)。これは、例示的な短寿命細菌mp105が、潜在的な細菌感染に対する予防ワクチンとして効果を果たし得ることを示した。
治療ワクチンと予防ワクチンとしての短寿命細菌に対する評価の結果
ここで図10Aと図10Bを参照すると、微生物感染に対するワクチンとしての例示的な短寿命細菌mp105の能力を評価した。mp105は、複数の毒性因子と抗原を有するB2型大腸菌の遺伝子操作によって改造された短寿命細菌であり、先行例において高い免疫原性を示した。これは、exlAの異種発現、及びhlyCABD欠失によるさらなる弱毒化と共に、mp105を被験者体内で安全な生ワクチンとして使用することを可能にした。図10Aと図10Bにおける結果は、mp105の二回の皮下注射が、試験された器官(肝臓と肺とを含む)におけるネズミチフス菌を著しく減少させたことを示した。PBSに比べて、mp105は、ネズミチフス菌の肝臓における数を73.6%減少させ(図10A)、且つ肺における数を64.6%減少させた(図10B)。これは、例示的な短寿命細菌mp105が、従来の細菌感染に対する有効な治療ワクチンとして効果を果たすことを示した。なお、PBSで処理されたマウスの肝臓(100CFU/10mgの肝臓組織)、PBSで処理されたマウス心臓(3CFU/10mgの心臓組織)、及びPBSで処理されたマウスの肺(15CFU/10mgの肝臓組織)からCFT073を検出した。換言すれば、PBSで処理されたマウスの50%は、CFT073に感染された。逆に、mp105で処理された群におけるいずれのマウスからもCFT073を検出していなかった(カイ二乗検定、P=0.046)。これは、例示的な短寿命細菌mp105が、潜在的な細菌感染に対する予防ワクチンとして効果を果たし得ることを示した。
本開示の内容の例示的な実施例は、これにより完全に説明された。記述が特定の実施例を参照したが、本発明はこれらの具体的な詳細の変形によって実施され得ることが当業者には明らかであろう。そのため、本開示の内容は、本明細書に記載される実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。
例えば、明らかに、被験者の疾患又は病状の処置に用いられ得る医療エフェクターは、選択された細菌株の内在性エフェクターであってもよい。これらの医療エフェクターは、遺伝子改変の特定の設計に応じて過剰発現又は抑制され得る。他の菌株又は供給源から派生した医療エフェクターの異種発現も使用され得る。
例えば、必須遺伝子であるアスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の染色体における遺伝子欠失は以上に記載のとおりであるが、他の必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子も欠失又は突然変異して短寿命細菌を産生することができる。これらの必須遺伝子は、asd、csrA、thyA、dapA、dapB、ribF、ispH、folA、ftsL、murE、mraY、lpxC、secA、can、heml、map、rpsB及びtsfであってもよいが、これらに限定されない。関連する遺伝子に応じて適切なプライマー配列を設計することができる。
例えば、上述した染色体における遺伝子欠失は、ラムダ(λ)-Red組換えシステムによって達成されたが、また制限エンドヌクレアーゼクローニングなどの当分野で既知の他の遺伝子改変技術を用いてもよい。
例えば、以上で使用される細菌株は大腸菌株であるが、グラム陽性菌及びグラム陰性菌を含む他の細菌株も使用可能である。例は、バチルス属、エシェリキア属、サルモネラ、シゲラ属、リステリア属を含むが、これらに限定されない。また、例えば、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、クロストリジウム属、ラクトバチルス属及びラクトコッカス属などの他の細菌を用いてもよい。
例えば、上記のような遺伝子改変は遺伝子欠失であるが、例えば、遺伝子突然変異などの他の遺伝子改変を用いてもよい。二つ以上の遺伝子改変を導入して短寿命細菌を産生することができる。
例えば、上記調節エフェクターはDAPである。しかしながら、用いた関連遺伝子改変に応じて、他の調節エフェクターを用いてもよい。いくつかの実施例において、調節エフェクターは、非毒性であり、且つ被験者において安全に使用され得る。
例えば、細胞毒素ExlAの発現の例示的な実施例は、上記に記載されているが、治療効果を有する他のタンパク質又は細胞毒素を異種発現する短寿命細菌の他の構築を用いてもよい。他のタンパク質は、抗癌エフェクター又は癌療法に用いられ得る組み合わせであってもよい。例示的な抗癌エフェクターは、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)、セレウス菌の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素及びヘリコバクター・ピロリの空胞化毒素からなる群から選択された一つ又は複数の遺伝子の発現であってもよいが、これらに限定されない。
例えば、シュードモナス・エルギノーサからのExlAの大腸菌における異種発現の例示的な実施例は、上記に記載されているが、他の医療エフェクターの一つ又は複数の相同遺伝子又は異種遺伝子の発現を用いてもよい。
例えば、構成的プロモーターoxb18は、上記に記載されているが、医療エフェクターの発現は、他の構成的プロモーター又は誘導性プロモーターによって駆動されてもよい。例示的な誘導性プロモーターは、低酸素又は低グルコース条件などの腫瘍特異的微小環境に応じて誘導することができる。
例えば、他の適切なリーダー配列とターミネーター領域又は他の配列又はモチーフを医療エフェクター遺伝子配列に導入して、細菌におけるタンパク質の発現を改善することができる。
例えば、上記の遺伝子exlAは、プラスミドpBAD中で発現されるが、他の適切なプラスミドを用いてもよく、且つ遺伝子を、プラスミド中ではなく、染色体に組み込んで発現してもよい。医療エフェクター遺伝子は、プラスミド中で発現され得るが、前記遺伝子が細菌染色体に挿入すれば、前記医療エフェクター遺伝子は染色体発現を行うこともできる。
例えば、上記例示的な実施例におけるSH3、SH4、mp107、mp105及びmp106などのような短寿命細菌は、被験者の疾患又は病状の処置に用いられてもよい。しかしながら、短寿命細菌は、癌又は感染症を予防するためのワクチンとしても、又は診断用としても使用され得る。
例えば、癌を処置するための短寿命細菌の遺伝子発現は、他の医療エフェクター又はCpG、環状ジヌクレオチド、抗原などのような抗癌因子、又はセレウス菌の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素、及びヘリコバクター・ピロリの空胞化毒素などのような他の細胞毒素、又はこれらの抗癌因子の組み合わせであってもよい。
Claims (68)
- 遺伝子操作された、生きている細菌であって、
少なくとも一つの医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子と、
前記細菌の寿命を短縮することによって、前記生きている細菌が、被験者に投与された後、前記医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化する時間の後に死滅するようにする少なくとも一つの遺伝子改変とを含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、遺伝子操作された、生きている細菌。 - 前記医療エフェクターは、前記被験者において、対象疾患又は病状を処置するのに十分な少なくとも一つの免疫応答を誘発し得る抗原である、請求項1に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、対象疾患又は病状を処置するのに十分な程度に、前記被験者において、少なくとも一つの免疫応答を誘発し、及び/又は標的病巣の大きさを減少させ得る治療因子である、請求項1に記載の細菌。
- 前記免疫応答は、CD4+及び/又はCD8+ T細胞により誘発される、請求項2又は3に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、抗原、又は前記細菌の相同遺伝子から発現された治療因子である、請求項1に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、抗原、又は異種遺伝子から発現された治療因子である、請求項1に記載の細菌。
- 前記異種遺伝子は、前記細菌における異種発現を改善するリーダー配列及び/又はターミネーター領域をさらに含む、請求項6に記載の細菌。
- 前記治療因子は、前記標的病巣において細胞溶解を引き起こす細胞毒素である、請求項3又は6に記載の細菌。
- 前記対象疾患又は病状は、癌又は腫瘍であり、且つここで、前記医療エフェクターは、前記被験者において腫瘍抑制を引き起こす、請求項2又は3に記載の細菌。
- 前記細菌は、前記被験者内でコピー又はコロニー形成することができない、請求項1に記載の細菌。
- 前記遺伝子改変は、少なくとも一つの必須遺伝子又は栄養要求性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、請求項1に記載の細菌。
- 前記細菌は、ジアミノピメリン酸における栄養要求体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記遺伝子改変は、アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体からの欠失である、請求項1から12のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、一つ又は複数の調節エフェクターへの前記細菌の曝露によって制御し得る生存時間を有し、前記調節エフェクターは、インビボ投与時に前記細菌の前記生存時間を調節する、請求項1から13のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記調節エフェクターは、ジアミノピメリン酸である、請求項14に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、chuA、yjaA、tspE4C2、sat、sfa、papG、fyuA、iutA、hlyACBD、yfcV及びpksアイランドからなる群から選択される遺伝子により発現される相同ペプチドである、請求項1から15のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のエキソリシンA(ExlA)、セレウス菌(Bacillus cereus)の非溶血性エンテロトキシン(Nhe)、溶血素、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の空胞化毒素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞毒素である、請求項1から16のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記医療エフェクターは、CpG、環状ジヌクレオチド及び腫瘍抗原からなる群から選択される抗癌因子である、請求項1から17のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、エシェリキア属(Escherichia)、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、リステリア属(Listeria)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)又はラクトコッカス属(Lactococcus)から派生したものである、請求項1から18のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、大腸菌(Escherichia coli)から派生したものである、請求項1から19のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、請求項1から20のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、請求項1から21のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、請求項1から22のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、静脈内投与用に配合される、請求項1から23のいずれか一項に記載の細菌。
- 静脈内投与時、発症メカニズムを最小化するのに十分な時間は2日未満、5日未満又は11日未満である、請求項1から24のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、局所投与用に配合される、請求項1から25のいずれか一項に記載の細菌。
- 注射部位で局所投与される場合、前記細菌は、前記注射部位で最大5日間生存するが、前記注射部位以外では48時間以内に死滅する、請求項1から26のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、7.5×109 cfu/kgマウスの当量投与量で投与される、請求項24に記載の細菌。
- 前記疾患は、癌又は腫瘍であり、且つ前記細菌は、腫瘍内投与される、請求項1から28のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、腫瘍1グラムあたりに少なくとも5×108 cfuの当量投与量で約100-200mm3投与される、請求項29に記載の細菌。
- 前記少なくとも一つのエフェクター遺伝子は、細胞毒素遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片とを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細胞毒素は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)である、請求項31に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22556の菌株mp106から派生したものである、請求項31又は32に記載の細菌。
- 前記細菌の毒性を弱める少なくとも一つの毒性遺伝子改変をさらに含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記少なくとも一つの毒性遺伝子改変は、少なくとも一つの毒性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、請求項34に記載の細菌。
- 前記毒性遺伝子改変は、hlyCABDオペロンの、前記細菌の染色体からの欠失である、請求項34又は35に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22557の菌株SH4から派生したものである、請求項36に記載の細菌。
- 前記細菌は、SEQ ID NO:40の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、請求項34から37のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、SEQ ID NO:41の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第1の配列を発現し、及び/又はSEQ ID NO:42の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第2の配列を発現する、請求項34から37のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22555の菌株mp105から派生したものである、請求項38又は39に記載の細菌。
- 前記細菌は、2×108 cfu/マウスの当量投与量で投与される、請求項31から40のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせで投与するように配合される、請求項34から40のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記腫瘍内注射は、7.5×107 cfu/マウスの当量投与量を有し、且つ前記静脈内注射は、3×107 cfu/マウスの当量投与量を有する、請求項42に記載の細菌。
- 大腸菌属種の生きている細菌であって、
アスパラギン酸-セミアルデヒド脱水素酵素(asd)の、前記細菌の染色体における遺伝子欠失を含み、
ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、大腸菌属種の生きている細菌。 - 前記細菌は、医療エフェクターをコードする少なくとも一つのエフェクター遺伝子を発現する、請求項44に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19836の菌株SH3から派生したものである、請求項44に記載の細菌。
- 前記細菌は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)をコードする遺伝子をさらに含む、請求項44に記載の細菌。
- 前記遺伝子は、SEQ ID NO:35の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する、請求項47に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号19835の菌株mp107から派生したものである、請求項44に記載の細菌。
- 前記少なくとも一つエフェクター遺伝子は、細胞毒素遺伝子と、溶血素IIIコード遺伝子の一部のDNA断片とを含む、請求項44に記載の細菌。
- 前記細胞毒素は、シュードモナス・エルギノーサのエキソリシンA(ExlA)である、請求項50に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22556の菌株mp106から派生したものである、請求項50又は51に記載の細菌。
- 前記細菌の毒性を弱める少なくとも一つの毒性遺伝子改変をさらに含む、請求項44から52のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記少なくとも一つの毒性遺伝子改変は、少なくとも一つの毒性遺伝子の、前記細菌の染色体からの欠失又は突然変異である、請求項53に記載の細菌。
- 前記毒性遺伝子改変は、hlyCABDオペロンの、前記細菌の染色体からの欠失である、請求項53又は54に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22557の菌株SH4から派生したものである、請求項55に記載の細菌。
- 前記細菌は、SEQ ID NO:40の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する配列を発現する、請求項53から56のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、SEQ ID NO:41の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第1の配列を発現し、及び/又はSEQ ID NO:42の全て又は断片と少なくとも約80%、85%、90%、95%又は100%の配列同一性を有する第2の配列を発現する、請求項53から56のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に寄託された寄託番号22555の菌株mp105から派生したものである、請求項57又は58に記載の細菌。
- 前記細菌は、2×108 cfu/マウスの当量投与量で投与される、請求項50から59のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記細菌は、静脈内注射と腫瘍内注射との組み合わせで投与するように配合される、請求項53から59のいずれか一項に記載の細菌。
- 前記腫瘍内注射は、7.5×107 cfu/マウスの当量投与量を有し、且つ前記静脈内注射は、3×107 cfu/マウスの当量投与量を有する、請求項61に記載の細菌。
- 請求項1から62のいずれか一項に記載の細菌を含む、免疫原性組成物。
- 請求項1から62のいずれか一項に記載の細菌と、任意選択的にアジュバントとを含む、生きている細菌ワクチン。
- 有効量の請求項1から62のいずれか一項に記載の細菌を含む組成物を被験者に投与することを含む、疾患又は病状を処置する方法。
- 前記疾患は、腫瘍又は癌である、請求項65に記載の方法。
- 遺伝子操作された、生きている細菌を構築する方法であって、
細菌を、前記細菌の寿命を短くするように遺伝子操作することによって、前記細菌が、被験者に投与された後、医療エフェクターが少なくとも一つの医療的効果を果たすことを可能にするのに十分な時間内に生存しており、且つ前記被験者への発症メカニズムを最小化するのに十分な時間内で死滅するようにするステップを含み、ここで、前記細菌は毒性株から派生したものである、方法。 - 少なくとも一つの医療エフェクターを発現するように、前記細菌を遺伝子操作するステップをさらに含む、請求項67に記載の方法。
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