JP2023532273A - 二重特異性スーパーカイン及びその使用 - Google Patents

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Abstract

二重特異性ヒトインターロイキン-2(IL-2)サイトカイン融合体を提供する。特に、提供するのは、がんの治療のために、単独療法の用途、及び抗PD-1抗体との併用療法で使用する際に、IL-2Rβ受容体に対する結合能が、野生型IL-2と比べて向上している二重特異性IL-2サイトカイン融合体である。提供するのは、このような二重特異性IL-2サイトカイン融合体を含む医薬組成物でもある。

Description

本願は、米国特許法第119条の下、2020年6月24日に出願した米国特許出願第63/043,227号、2020年10月19日に出願した同第63/093,724号、2020年10月20日に出願した同第63/094,322号、2021年3月24日に出願した同第63/165,600号及び2021年3月24日に出願した同第63/165,738に対する優先権を主張するものであり、これらの特許出願はいずれも、参照により、その全体が本明細書に明示的に援用される。
インターロイキン2(IL-2)は、活性化CD4+ T細胞によって主に産生される多能性のサイトカインであり、正常な免疫応答をもたらす際に重要な役割を果たす。IL-2は、活性化Tリンパ球の増殖及び増加を促進し、B細胞の成長を増強し、単球及びナチュラルキラー細胞を活性化する。IL-2の試験が行われたのは、これらの活性が理由であり、認可済みのがん治療薬(アルデスロイキン、Proleukin(登録商標))として用いられている。真核細胞では、ヒトIL-2は、153アミノ酸の前駆体ポリペプチドとして合成され、このポリペプチドから、20アミノ酸が除去されて、分泌される成熟IL-2が生成される(Taniguchi 1983)。E.coli(Rosenberg 1984)、昆虫細胞(Smith 1985)及び哺乳動物COS細胞(Taniguchi 1983)で、組み換えヒトIL-2が作製されてきた。
インターロイキン-2(IL-2)は、最初はT細胞成長因子として特定された4αヘリックスバンドルのI型サイトカインである(Morgan et al.,Science 193:1007(1976))が、その後、広範な作用を有することが示されている。IL-2は、Tヘルパーの分化(Zhu et al.,Annual review of immunology 28:445(2010)、Liao et al.,Nat Immunol 9:1288(2008)及びLiao et al.,Nat Immunol 12:551(2011))と、制御性T(Treg)細胞の発生(Cheng et al.,Immunol Rev 241:63(2011))を促進し、ナチュラルキラー活性及びリンフォカイン活性化キラー活性を誘導し(Liao et al.,Immunity 38:13(2013))、活性化誘導細胞死(AICD)を媒介する(Lenardo et al.,Nature 353:858(1991))。
IL-2は、インターロイキン2受容体α(IL-2Rα、CD25)、インターロイキン2受容体β(IL-2Rβ、CD122)及びインターロイキン2受容体γ(IL-2Rγ、CD132、共通γ鎖)という3つの異なる受容体と相互作用することによって機能する。特定すべき最初の受容体は、T細胞が活性化すると現れる55kDのポリペプチド(p55)であるIL-2Rαであったとともに、その受容体は、元々は、Tac(T活性化)抗原と呼ばれていた。IL-2Rαは、IL-2と、およそ10-8MのKで結合し、「低親和性」IL-2受容体としても知られる。IL-2Rαのみを発現している細胞に、IL-2が結合しても、いずれの検出可能な生物学的応答も起こらない。大半の状況では、IL-2は、IL-2Rα、IL-2Rβ及びIL-2Rγという3つの異なる受容体を通じて機能する。休止T細胞のような大半の細胞は、IL-2に応答しない。IL-2Rβ及びIL-2Rγしか発現せず、IL-2に対する親和性が低いからである。休止T細胞は、刺激すると、比較的親和性の高いIL-2受容体IL-2Rαを発現する。IL-2が、そのIL-2Rαに結合すると、この受容体が、順次にIL-2Rβ及びIL-2Rγと結合して、T細胞の活性化をもたらす。IL-2Rβに対する結合親和性の増強により、作用を増大させたIL-2「スーパーカイン」が以前開発された(Levin et al.,Nature 484:529(2012))。
IL-2スーパーアゴニストを含め、IL-2に関わる豊富な知識にもかかわらず、当該技術分野においては、二重特異性IL-2サイトカイン融合体に対するニーズが依然として存在する。本発明は、このニーズを満たし、IL-2スーパーアゴニストまたはIL-2アゴニストを、第2のサイトカインとの二重特異性融合体として提供する。いくつかの実施形態では、この二重特異性融合体のIL-2ムテイン部分は、野生型IL-2を基準にして番号付けすると、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
IL-2は、免疫系に対して広範な作用を及ぼし、免疫の活性化及びホメオスタシスの両方の調節において重要な役割を果たす。二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、免疫系刺激因子として説明されており、がんの治療のために、単独療法とともに、抗PD-1抗体との併用での用途も見られる。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインを第2のサイトカインと融合したものを含む二重特異性IL-2サイトカイン融合体を提供する。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインが、K43Nという置換をさらに含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項1に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換及びF42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、表2、4、5及び/または6に記載されているようなIL-2ムテインである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、表2、4、5、6、10及び/または12、及び/または図54に記載されているような配列を含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149または配列番号150を含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、MDNA413-Fc-MDNA109またはMDNA109FEAA-Fc-MDNA413を含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、Fc抗体断片をさらに含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、Fc抗体断片は、ヒトFc抗体断片である。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、Fc抗体断片は、N297Aという置換を含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、アルブミンをさらに含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、第2のサイトカインは、IL-4、IL-13、IL-10、IL-12、IL15及びIL-18からなる群から選択されている。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、第2のサイトカインは、IL-4またはIL-13である。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、第2のサイトカインは、表7及び/または表8及び/または表12及び/または表28及び/または図54に記載されているようなものである。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、IL-2Rβに対する結合能が、野生型ヒトIL-2と比べて向上している。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて高い。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体では、IL2Rαとの結合が妨げられる(すなわち、IL2Rαにあまり結合しない)。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、CD25に対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて低下している。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、配列番号146、配列番号147、配列番号148及び213、配列番号149及び213、配列番号150、配列番号151及び214、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157及び213、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161及び215、配列番号162及び216、配列番号163、配列番号164、配列番号165及び213、配列番号166及び213もしくは配列番号167及び217、または表12、表28もしくは図54の配列を含む。
その二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、MDNA413-Fc-MDNA109、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413、Fc-MDNA132(1:1KiH)、Fc-A11(1:2)、Fc-A11(1:2)、Fc-MDNA413(1:2)、Fc-MDNA413(1:2)、Fc4-MDNA413(1:2)、MDNA413-Fc(1:1KIH)、MDNA109-Fc(2:1)、MDNA-109FEAA-Fc(2:1)、Fc-MDNA109(1:2)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA132(2:1:1KiH)、MDNA413-Fc-MDNA132(2:1:1KiH)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)バージョン1、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)バージョン2、MDNA132-Fc-MDNA109(1:1:1KIH)、MDNA413-Fc-MDNA109(1:1:1KIH)、MDNA132-Fc-MDNA109FEAA(1:1:1KIH)またはMDNA109-Fc-MDNA413を含む。
本発明は、がんの治療方法であって、本明細書に記載されているような二重特異性IL-2サイトカイン融合体を投与することを含む方法も提供する。
いくつかの実施形態では、そのがんは、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍からなる群から選択する。いくつかの実施形態では、そのがんは、結腸癌である。
本発明は、がんの治療方法であって、
(i)抗PD-1の抗体もしくは阻害剤、または抗PD-L1の抗体もしくは阻害剤と、
(ii)本明細書に記載されているような二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、
を含む配合治療薬を投与することを含む方法も提供する。
いくつかの実施形態では、その抗PD-1の抗体または阻害剤は、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、MK-3475(ペムブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175及びCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299及びCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、ならびに米国特許出願公開第2017/0081409号または表38に列挙されているようなPD-1抗体からなる群から選択する。
いくつかの実施形態では、その抗PD-L1の抗体または阻害剤は、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択する。
いくつかの実施形態では、そのがんは、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍からなる群から選択する。いくつかの実施形態では、そのがんは、結腸癌である。
本発明は、本明細書に記載されているような二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。
本発明は、抗PD-1の抗体または阻害剤と、本明細書に記載されているような二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。
IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の配列の例を示す。 IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の配列の例を示す。 例示的なH9-Fc融合体の配列を示す。 例示的な腫瘍溶解性ウイルスである。 精製後のMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)[ロット:T1848A12]のSDS-PAGE及びHPLC分析の結果である。 精製後のMDNA413-Fc-MDNA109(KIH)[ロット:T1903A08]のSDS-PAGE及びHPLC分析の結果である。 精製後のMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)[ロット:T1914B08]のSDS-PAGE及びHPLC分析の結果である。 ゲーティング方法である。PBMCをIL-2(25nM)で15分刺激してから染色し、フローサイトメトリーによる分析を行った。単一のリンパ球を同定し、そのリンパ球から、NK細胞(CD3-CD56+)、CD8 T細胞(CD3+CD8+)、Treg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+)及び非Treg CD4 T細胞(CD3+CD25-CD4+FOXP3-)をゲーティングした。各免疫細胞サブセットにおいて、pSTAT5陽性細胞の頻度を求めた。 Fluorescence Minus One(FMO)コントロールである。A)図4に記載されている刺激及びゲーティング法の後、様々な免疫サブセットを特定するために使用する、pSTAT5以外のすべての抗体を含めて、各集団において、pSTAT5+ゲートをかけるのに使用できるFMOコントロールを供給した。B)FOXP3及びCD25のFMOを用いて、Treg集団を求めた。 pSTAT5 PBMCでのIL-2、IL2-Fc、MDNA109バリアント及び二重特異性スーパーカインの代表的な用量応答性である。グラフ及びEC50値は、非線形回帰を用いて計算した。各データポイントは、1個である。 ナイーブCD8T細胞のEC50(左)及びNK細胞のEC50(右)のTregのEC50に対する比率である。 様々な用量のMDNA132-Fc-MDNA109(左)及びMDNA413-Fc-MDNA109(右)の投与を受けたBALB/cマウスの生存率である。 様々な用量のMDNA132-Fc-MDNA109(左)及びMDNA413-Fc-MDNA109(右)の投与を受けたC57Bl/6マウスの生存率である。 MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)は、CT26結腸腫瘍の成長を阻害する。(a)ビヒクルコントロール及びMDNA132-Fc-MDNA109処置群における腫瘍の平均サイズである。(b)各群における個々の腫瘍の成長結果である。それぞれの線は、1つの腫瘍を表している。CRは、完全な退縮である。 CT26腫瘍のリチャレンジ結果である。(a)未処置のナイーブマウス、またはMDNA132-Fc-MDNA109によってCT26腫瘍が事前に治癒したマウスの反対の側腹部に、CT26腫瘍細胞のリチャレンジを行った。(b)その時点までの全生存率である。 MDNA413-Fc-MDNA109は、B16F10メラノーマの成長を阻害する。各処置群の腫瘍の平均サイズ(左)、個々の腫瘍の成長(右)である。 A~Bは、B16F10腫瘍を有するマウスをビヒクル(PBS)またはMDNA109FEAA-Fc-MDNA413で処置した結果である。 4T1モデルにおいて、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109の単独療法及び抗PD1との併用時の有効性試験の結果である。 PBSまたはMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)をB16F10腫瘍内に注射した結果である。注射は、移植から14日目、17日目及び20日目に行った。 MDNA109FEAA-Fc-MDNA413をCT26腫瘍内に注射した結果である。注射は、11日目、14日目及び17日目に行った。 HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞において、ヒトIL-4(hIL4)、ヒトIL-13(hIL13)またはマウスIL-13(mIL13)の存在下で、STAT6シグナル伝達経路が活性化した結果である。 HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞を、hIL13と併せて、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413またはFc-MDNA413とともにインキュベートした場合に、その細胞において、STAT6シグナル伝達経路が阻害した結果である。 HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞を、mIL13と併せて、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413またはFc-MDNA413とともにインキュベートした場合に、その細胞において、STAT6シグナル伝達経路が阻害した結果である。 HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞を、hIL4と併せて、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413またはFc-MDNA413とともにインキュベートした場合に、その細胞において、STAT6シグナル伝達経路が阻害した結果である。 細胞培養液に、示されているタンパク質を添加した場合に、CTLL2細胞が増殖した結果である。 MDNA11の概略及び結合の情報である。 MDNA11では、ナイーブCD8+ T細胞及びNK細胞に対する効力の増強と、Tregに対する活性の低下が見られる。 MDNA11は、CT26腫瘍モデルにおいて、単独療法の場合及びαCTLA4と組み合わせた場合に、腫瘍の成長を阻害するとともに、強力なメモリー応答を誘導する。CT26腫瘍(約60mm)を有するBALB/cマウスをMDNA11(5mg/kg、週に1回で2週間)または抗CTLA4(200μg、週に2回で2週間)で、腹腔内注射によって処置した。さらなる処置を行わずに、2×10個のCT26細胞を反対の側腹部に移植することによって(49日目、116日目及び165日目)、リチャレンジ実験を行った。コントロールマウスでは、それぞれのリチャレンジ実験で、腫瘍の活発な成長が見られた(コントロールの代表的なデータが示されている)。 長期の(gp70)特異的なCD8 T細胞の発現により、マウスがCT26腫瘍から保護された。マウスには、安楽死の5日前に、CT26細胞のチャレンジを行い、コントロールマウスは、週齢を適合させた。APC抗マウスCD3ε、抗CD8FITCクローンKT15及びH-2Ld MuLV gp70 Tetramer-PEを用いて、フローサイトメトリーによって分析した。 MDNA11は、単独療法の場合及びTA99 MAbと組み合わせた場合に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を促すことによって、B16F10メラノーマの成長を遅延させる。有効性試験では、1)移植から9日後、腫瘍の平均サイズが約15mmになった時点に、処置を開始し、2)MDNA11(5mg/kg、腹腔内、週に1回)、TA99 MAb(150μg、腹腔内、週に2回)を3サイクル行った。TIL分析では、1)腫瘍の平均サイズが約50mmとなったら、マウスに、MDNA11を1用量投与し(5mg/kg、腹腔内)、2)TILをフローサイトメトリーによって分析した。TILについては、フローサイトメトリーによって、1)CD8 T細胞(CD45CD8)、2)NK細胞(CD45NK1.1)及び3)Treg(CD4CD25FoxP3)を分析した。 MDNA11では、マウス及びNHPにおいて、半減期の延長が見られる。 MDNA11は、NHPにおいて、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞及びNK細胞の増殖及び増加を誘導するが、Tregでは誘導しない。 TMEをIL-2/IL-13二重特異性スーパーカインによって調節することによって、「コールド腫瘍」を免疫学的に標的とする。「コールド」腫瘍は、腫瘍誘発性のTMEが理由で、すなわち、1)CD8細胞及びNK細胞のカウント数が低く、Tregのカウント数が高く、2)免疫抑制性の骨髄系細胞(すなわち、TAM及びMDSC)の数が多いために、チェックポイント阻害剤に応答しない。 二重特異性MDNA109FEAA-Fc-MDNA413スーパーカインは、Th1免疫応答を誘導し、Th2免疫応答を低減する。 CD8+ T細胞及びNK細胞に対する効力の増強、Tregに対する活性の低下(強力なTh1応答)が見られたMDNA109FEAA-Fc(MDNA11)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413は、HEK-Blueレポーター細胞において、hIL-4/hIL-13の誘導によるシグナル伝達を阻害する(Th2応答の抑制)。 ヒトIL13Rα2、マウスIL13Rα2、ヒトIL13Rα1、マウスIL13Rα1、ヒトIL4R及びマウスIL4Rを含む様々なIL13受容体及びIL4受容体へのFc-hIL13の結合を測定したELISAアッセイの結果である。 Aは、ヒトIL13Rα2に結合するMDNA132-Fc-MDNA109の結合を測定したELISAアッセイの結果である。Bは、マウスIL13Rα2に結合するMDNA132-Fc-MDNA109の結合を測定したELISAアッセイの結果である。 Aは、MDNA413を含む様々な融合タンパク質の、ヒトIL13Rα1への結合を測定したELISAアッセイの結果である。Bは、MDNA413を含む様々な融合タンパク質の、マウスIL13Rα1への結合を測定したELISAアッセイの結果である。 A~Bは、リガンドとしてのFc-MDNA132(1:1KIH)と、抗原としての受容体IL13Rα1及びIL13Rα2のBiacore分析のセンサーグラムである。 A~Bは、リガンドとしてのFc-MDNA413(1:2)と、抗原としての受容体IL13Rα1のBiacore分析のセンサーグラムである。 A~Bは、リガンドとしてのFc-MDNA413(1:2)と、抗原としての受容体IL13Rα2のBiacore分析のセンサーグラムである。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)によるIL13Rα1に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)によるIL13Rα1に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)によるIL13Rα1に対する結合親和性である。 A~Bは、ヒトPBMCでのpSTAT5シグナル伝達アッセイの結果である。 pSTAT6シグナル伝達の測定結果である。 pSTAT6シグナル伝達の測定結果である。 pSTAT6シグナル伝達の測定結果である。 A~Bは、マクロファージ極性化アッセイの結果である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2に対する結合親和性である。 SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2に対する結合親和性である。 CT26結腸癌モデルにおいて、二重特異性コンストラクトMDNA132-Fc-MDNA109によって、腫瘍の成長が阻害された結果である。 CT26結腸癌モデルにおいて、二重特異性コンストラクトMDNA132-Fc-MDNA109によって、腫瘍の成長が阻害された結果である。 CT26結腸癌モデルにおいて、二重特異性コンストラクトMDNA132-Fc-MDNA109によって、腫瘍の成長が阻害された結果である。 HEK Blue IL2アッセイ結果である。 CTTL-2アッセイ結果である。 HEK Blue IL4アッセイ結果である。 HEK Blue IL4アッセイ結果である。 HEK Blue IL13アッセイ結果である。 HEK Blue IL13アッセイ結果である。 TF-1アッセイ結果である。 TF-1アッセイ結果である。 TF-1アッセイ結果である。 TF-1アッセイ結果である。 ヒトPBMCでのpSTAT5アッセイ結果である。 ヒトPBMCでのpSTAT5アッセイ結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 様々なコンストラクトの実施形態の二重特異性配列の情報である。 酵母ディスプレイと組み合わせた指向性進化法により、調整可能なスーパーカインが得られる。 MDNA109は、アゴニスト活性の増強が見られる操作済みバージョンのヒトIL-2である。 長時間作用型IL-2スーパーカインの概論である。 MDNA11は、CD122に対する親和性が特有の形で増強された「βのみの」スーパーカインである。 MDNA11は、免疫エフェクター細胞を優先的に刺激する。 MDNA11では、MC38腫瘍モデルにおいて、単独療法での抗腫瘍有効性と、抗PD1との併用効果が見られる。 MDNA11+抗CTLA4は、腫瘍の消失を誘導し、リチャレンジから保護し、抗原特異的CD8 T細胞を促す。 MDNA11は、NHPにおいて、免疫エフェクター細胞の永続性及び持続性の増殖及び増加を誘導するが、Tregでは誘導しない。 Superkine Targeted with Antibody(STAb)では、腫瘍における蓄積が向上する。 STAbは、チェックポイント耐性及び「コールド」腫瘍を克服する。 がんにおけるIL-4受容体及びIL-13受容体の役割である。 MDNA132は、腫瘍特異的な抗原を標的とする操作済みバージョンのヒトIL-13である。 MDNA132は、T細胞エンゲージャー及びチェックポイント阻害剤を腫瘍に局在化させる際に役割を果たす。 MDNA413は、アンタゴニスト活性を示す操作済みバージョンのヒトIL-13である。 Fc-MDNA413は、IL-4誘導性及びIL-13誘導性のシグナル伝達及び機能を阻害する。 二重特異性サイトカイン(DUCK Cancer)MDNA109FEAA-Fc-MDNA413の作用機序である。 TF-1アッセイ結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 SPR試験結果である。 IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害である。 IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害である。
本開示が、さらに容易に理解されるように、下記及び本明細書全体にわたって、特定の用語及び語句を定義する。
定義
本明細書に引用されているすべての参照文献は、完全に示されているかのように、参照により、その全体が本明細書に援用される。別段の定義がない限り、本明細書で用いられている技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 2001)、March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 5th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY 2001)及びSambrook and Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd ed.,Cold Spring harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2001)により、当業者は、本開示で用いられている多くの用語の一般的な指針を得られる。適宜、市販のキット及び試薬の使用を伴う手順は概して、別段の記述がない限り、メーカーの定めたプロトコール及び/またはパラメーターに従って実施する。
本明細書で使用する場合、「IL-2」は、天然型か組み換え型かにかかわらず、野生型IL-2を意味する。成熟ヒトIL-2は、Fujita,et.al.,PNAS USA,80,7437-7441(1983)に記載されているように、133個のアミノ酸配列(追加の20個のN末端アミノ酸からなるシグナルペプチドを除く)として生じる。ヒトIL-2のアミノ酸配列(配列番号1、完全長)は、Genbankにおいて、アクセッションロケーターNP_000577.2で見られる。成熟ヒトIL-2のアミノ酸配列は、配列番号2(ヒト野生型成熟体、置換位の番号付けは、この配列に基づく)に示されている。マウス(Mus musculus)IL-2アミノ酸配列は、Genbankにおいて、アクセッションロケーター(配列番号3)で見られる。成熟マウスIL-2のアミノ酸配列は、配列番号4に示されている。
配列番号1
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
配列番号2
APTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
配列番号3
MYSMQLASCVTLTLVLLVNSAPTSSSTSSSTAEAQQQQQQQQQQQQHLEQLLMDLQELLSRMENYRNLKLPRMLTFKFYLPKQATELKDLQCLEDELGPLRHVLDLTQSKSFQLEDAENFISNIRVTVVKLKGSDNTFECQFDDESATVVDFLRRWIAFCQSIISTSPQ
配列番号4
APTSSSTSSSTAEAQQQQQQQQQQQQHLEQLLMDLQELLSRMENYRNLKLPRMLTFKFYLPKQATELKDLQCLEDELGPLRHVLDLTQSKSFQLEDAENFISNIRVTVVKLKGSDNTFECQFDDESATVVDFLRRWIAFCQSIISTSPQ
本明細書で使用する場合、「IL-2ムテイン」は、インターロイキン-2タンパク質に所定の置換が行われたIL-2ポリペプチドを意味する。そのIL-2ムテインは、天然型のIL-2ポリペプチド鎖における1つ以上の部位、または天然型のIL-2ポリペプチド鎖の他の残基におけるアミノ酸の挿入、欠失、置換及び改変を特徴とする。本開示によれば、このような挿入、欠失、置換及び改変のいずれかにより、IL-2Rβ結合活性を保持するIL-2ムテインが得られる。例示的なムテインは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個以上のアミノ酸の置換を含むことができる。
ムテインは、IL-2の他の位置(すなわち、ムテインの二次構造または三次構造に対する作用が最小限である位置)に、保存的な改変及び置換も含む。このような保存的置換としては、DayhoffによってThe Atlas of Protein Sequence and Structure 5(1978)に、及びArgosによってEMBO J.,8:779-785(1989)に説明された置換が挙げられる。例えば、グループI(ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr)、グループII(cys、ser、tyr、thr)、グループIII(val、ile、leu、met、ala、phe)、グループIV(lys、arg、his)、グループV(phe、tyr、trp、his)及びグループVI(asp、glu)というグループのうちの1つに属するアミノ酸は、保存的変化を示す。
「IL-2を基準にして番号付けした」とは、野生型IL-2の成熟配列でアミノ酸が通常見られる位置を参照して、所定のアミノ酸を特定することを意味し、例えば、R81は、配列番号2で見られる81番目のアミノ酸であるアルギニンを指し、L80は、配列番号2で見られる80番目のアミノ酸であるロイシンを指す。L85は、配列番号2で見られる85番目のアミノ酸であるロイシンを指す。I86は、配列番号2で見られる86番目のアミノ酸であるイソロイシンを指す。I92は、配列番号2で見られる92番目のアミノ酸であるイソロイシンを指す。F42は、配列番号2で見られる42番目のアミノ酸であるフェニルアラニンを指す。K43は、配列番号2で見られる43番目のアミノ酸であるリシンを指す。
本明細書で使用する場合、遺伝的にコードされるL体のエナンチオマーであるアミノ酸であって、本開示の方法で用いるアミノ酸の略号は、従来のものであり、以下の表1に示されているとおりである。
Figure 2023532273000002
「親水性アミノ酸」は、Eisenberg et al.,1984,J.Mol.Biol.179:125-142の正規化コンセンサス疎水性スケールによる疎水性が0未満であるアミノ酸を指す。遺伝的にコードされる親水性アミノ酸には、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びArg(R)が含まれる。
「IL-2Rαβγ受容体を有する種類の細胞」という用語は、この種類の受容体を有することが知られている細胞、すなわち、T細胞、活性化T細胞、B細胞、活性化単球及び活性化NK細胞を意味する。「IL-2Rβγ受容体を有する種類の細胞」という用語は、その種類の受容体を有することが知られている細胞、すなわち、B細胞、休止単球及び休止NK細胞を意味する。
「同一性」という用語は、ポリペプチド配列またはDNA配列に関連して本明細書で使用する場合、2つの分子間のサブユニット配列の同一性を指す。両方の分子におけるサブユニットの位置が、同じ単量体サブユニット(すなわち、同じアミノ酸残基または同じヌクレオチド)で占められているときには、それらの分子は、その位置において同一である。2つのアミノ酸配列または2つのヌクレオチド配列間の類似性は、同じ位置の数の一次関数である。概して、最大限の一致が得られるように、配列をアラインメントする。必要な場合、同一性は、公開されている技法、ならびにGCSプログラムパッケージ(Devereux et al.,Nucleic Acids Res.12:387,1984)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul et al.,J.Molecular Biol.215:403,1990)のような広く利用可能なコンピュータープログラムを用いて計算できる。配列同一性は、University of Wisconsin Biotechnology Center(1710 University Avenue,Madison,Wis.53705)のGenetics Computer GroupのSequence Analysis Software Packageのような配列分析ソフトウェアを、そのデフォルトパラメーターとともに用いて測定できる。
「ポリペプチド」、「タンパク質」または「ペプチド」という用語は、その長さまたは翻訳後修飾(例えば、糖鎖付加もしくはリン酸化)にかかわらず、いずれかのアミノ酸残基鎖を指す。
本開示の変異体IL-2ポリペプチドが、「実質的に純粋」である場合には、そのポリペプチドでは、対象となるポリペプチド、例えば、その変異体IL-2のアミノ酸配列を含むポリペプチドが、少なくとも約60重量%(乾燥重量)であることができる。例えば、そのポリペプチドでは、対象となるポリペプチドが少なくとも約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%または約99重量%であることができる。純度は、いずれかの適切な標準的な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC分析によって測定できる。
「アゴニスト」は、標的と相互作用して、その標的の活性化を増大させるか、またはその活性化の増大を促す化合物である。
「部分アゴニスト」は、アゴニストと同じ標的と相互作用するが、部分アゴニストの投与量を増加させても、アゴニストほどは大きな生化学的及び/または生理学的な作用を及ぼさない化合物である。
「スーパーアゴニスト」(「スーパーカイン」ともいう)は、標的受容体に対する内因性アゴニストよりも大きい最大応答をもたらすことができる種類のアゴニストであり、すなわち、有効性が100%超である。
「機能可能に連結された」は、(例えば、in vitro転写/翻訳システム内で、またはベクターを宿主細胞に導入するときには、その宿主細胞内で)対象となるヌクレオチド配列を発現させる形で、目的のヌクレオチド配列(すなわち、IL-2ムテインをコードする配列)が、調節配列(複数可)に連結していることを意味するように意図されている。「調節配列」としては、プロモーター、エンハンサー及びその他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)が挙げられる。例えば、Goeddel(1990)in Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,Calif.)を参照されたい。調節配列としては、多くの種類の宿主細胞で、ヌクレオチド配列の構成的発現を誘導する配列、及び特定の宿主細胞のみで、ヌクレオチド配列の発現を誘導する配列(例えば、組織特異的な調節配列)が挙げられる。発現ベクターの設計が、トランスフォーメーションする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような要因に左右されることがあることは、当業者には明らかであろう。本発明の発現コンストラクトを宿主細胞に導入して、それによって、本明細書に開示されているヒトIL-2ムテインを産生させるか、またはその生物活性バリアントを産生させることができる。
「宿主細胞」及び「組み換え宿主細胞」という用語は、本明細書では、同義的に使用する。このような用語は、特定の対象細胞のみならず、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫も指すことが理解される。後続の世代では、変異または環境的な影響のいずれかにより、特定の改変が生じる場合があるので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないことがあるが、それでも、本明細書で使用する場合には、上記の用語の範囲内に含まれる。
本明細書で使用する場合、「トランスフォーメーション」及び「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウム共沈、塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランの媒介によるトランスフェクション、リポフェクション、粒子銃またはエレクトロポレーションを含め、外来の核酸(例えばDNA)を宿主細胞に導入するためのものとして、当該技術分野で認識されている様々な技法を指す。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」という用語としては、医薬的投与と適合する生理食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などが挙げられるが、これらに限らない。補足的な活性化合物(例えば抗生物質)も、本発明の組成物に組み込むことができる。
本明細書で使用する場合、「抗PD-1抗体」という用語は、阻害抗体を含め、PD-1に結合するいずれかの抗体を指す。「抗PD-1阻害剤」は、PD-1に結合して、PD-1を阻害する阻害剤を指す。このような抗PD-1の抗体及び/または阻害剤としては、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011及びMK-3475などが挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、「がん」(または「がん性」)、「過剰増殖性」及び「新生物」という用語は、自律性の成長能力を持つ細胞(すなわち、急速に増殖する細胞成長を特徴とする異常な状態または病態)を指す。過剰増殖性及び新生物の疾患状態は、病的なものとして分類でき(すなわち、疾患状態を特徴づけるかもしくは構成する)、または非病的なものとして(すなわち、正常な状態から逸脱しているが、疾患状態とは関連しないものとして)分類できる。これらの用語は、侵襲性の組織病理学的な種類または段階にかかわらず、あらゆる種類のがん性の成長、発がんプロセス、転移性の組織、または悪性形質転換した細胞、組織もしくは器官を含むように意図されている。「病的な過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍の成長を特徴とする疾患状態で見られる。非病的な過剰増殖性細胞の例としては、創傷の修復と関連する細胞増殖が挙げられる。「がん」または「新生物」という用語は、肺、乳房、甲状腺、リンパ腺及びリンパ組織、生殖系、胃腸器官ならびに尿生殖器管に影響を及ぼす悪性腫瘍を含む、様々な器官系の悪性腫瘍と、概して、大半の結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌及び/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌、ならびに食道の癌のような悪性腫瘍を含むとみなされる腺癌を指す目的で使用する。がんとしては概して、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍を挙げることができる。
「癌腫」という用語は、当該技術分野で認識されており、呼吸器系癌腫、胃腸系癌腫、尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、乳房癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫及びメラノーマを含め、上皮または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。「腺癌」は、腺組織に由来する癌腫、または腫瘍細胞が、認識可能な腺構造を形成する癌腫を指す。
本明細書で使用する場合、「造血器新生物性障害」という用語は、造血器由来の過形成細胞/新生物細胞を伴う疾患、例えば、骨髄、リンパもしくは赤血球の系統、またはその前駆体細胞に起因する疾患を指す。好ましくは、その疾患は、低分化急性白血病(例えば、赤芽球性白血病及び急性巨核芽球性白血病)に起因する。追加の例示的な骨髄障害としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられるが、これらに限らず(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267-97において論評されている)、リンパ悪性腫瘍としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(B細胞系列ALL及びT細胞系列ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)、ならびにワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症(WM)が挙げられるが、これらに限らない。追加の形態の悪性リンパ腫としては、非ホジキンリンパ腫及びその亜型、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ性白血病(LGF)、ホジキン病、ならびにリード・シュテルンベルグ病が挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、「治療」、「治療すること」などの用語は、所望の薬理学的及び/または生理学的な作用を得ることを指す。その作用は、疾患またはその症状を完全もしくは部分的に予防するという観点では、予防的であってよく、及び/または疾患及び/またはその疾患に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒という観点では、治療的であってよい。「治療」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の治療のいずれも網羅し、(a)その疾患に対する素因を有するか、またはその疾患を罹患するリスクがあるが、まだその疾患と診断されていない対象において、その疾患が生じるのを予防すること、(b)その疾患を阻害すること、すなわち、その発現を阻止すること、及び(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患を好転させることを含む。治療有効量は、腫瘍の数、腫瘍のサイズを低減し、及び/または生存率を上昇させる量であることができる。
「個体」、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では同義的に使用し、ヒト及び非ヒト霊長類(類人猿及びヒトを含む)、競技用哺乳動物(例えばウマ)、哺乳動物の家畜(例えば、ヒツジ、ヤギなど)、哺乳動物のペット(イヌ、ネコなど)、ならびに齧歯類(例えば、マウス、ラットなど)(ただし、これらに限らない)を含む哺乳動物を指す。
「薬学的に許容される」及び「生理学的に許容される」という用語は、1つ以上の投与経路、in vivo送達経路または接触経路に適する生物学的に許容される製剤、気体、液体もしくは固体、またはその混合物を意味する。「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」組成物は、生物学的にまたは別段に望ましくないことがない物質であり、例えば、その物質は、対象に、あまり望ましくない生体作用を引き起こさずに投与できる。すなわち、このような医薬組成物は、例えば、IL-2ムテインを対象に投与する際に使用できる。特に、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含むIL-2ムテインは、抗PD-1と組み合わせて、がんである対象に投与する。いくつかの実施形態では、投与するIL-2ムテインは、F42Aという位置に置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、投与するIL-2ムテインは、K43Nという位置に置換をさらに含む。
「単位剤形」という語句は、本明細書で使用する場合、治療する対象への単位投与として適する物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位は、任意に医薬用担体(賦形剤、希釈剤、ビヒクルまたは充填剤)とともに、所定の量を含み、1回以上の用量で投与すると、所望の作用(例えば、予防的または治療的作用)をもたらす。いくつかの実施形態では、治療的作用は、腫瘍の数を減少させることである。いくつかの実施形態では、治療的作用は、腫瘍のサイズを縮小させることである。いくつかの実施形態では、治療的作用は、生存率を上昇させることである。
いくつかの実施形態では、単位剤形は、液体組成物または凍結乾燥(freeze-dried)状態または凍結乾燥(lyophilized)状態の組成物を含め、例えば、アンプル及びバイアル内に入っていてよく、例えば、滅菌液体担体を、in vivoでの投与または送達の前に加えることができる。個々の単位剤形は、多用量のキットまたは容器に含めることができる。抗PD-1抗体と組み合わせたIL-2ムテイン、及びその医薬組成物は、投与のしやすさ、及び投与量の均一性のために、単一または複数の単位剤形で包装できる。
「治療有効量」は、実験及び/または臨床試験を通じて求めることができる比較的広い範囲に入ることになる。例えば、in vivo注射では、例えば、対象の組織または血管系(例えば、肝臓組織または静脈)への直接注射である。他の有効な投与量は、用量応答曲線を定める常法の試験を通じて、当業者が容易に定めることができる。
「有効量」または「十分な量」とは、1回用量または複数回用量で、単独で、または1つ以上の他の組成物(薬物などの治療剤)、治療、プロトコールもしくは治療レジメン剤(例えばワクチンレジメンを含む)と組み合わせて、いずれかの期間(長期または短期)の検出可能な応答、対象における予想または所望の転帰または利益であって、いずれかの測定可能もしくは検出可能な程度、またはいずれかの継続期間(例えば、数分、数時間、数日、数カ月もしくは数年、または治癒)の転帰または利益をもたらす量を指す。
治療(例えば、改善させるか、または治療効果もしくは改善をもたらすための治療)のための「有効量」または「十分な量」の用量は典型的には、その疾患の有害な症状、転帰または合併症の1つ、複数もしくはすべて、例えば、その疾患を原因とするか、もしくはその疾患と関連する1つ以上の有害な症状、障害、疾病、病理または合併症に対する応答を、測定可能な程度までもたらすのに有効である。ただし、その疾患の進行または悪化を減少、低減、阻害、抑制、限定または制御することも、十分な結果である。いくつかの実施形態では、有効量は、腫瘍の数を減少させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、腫瘍のサイズを縮小させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、生存率を上昇させるのに十分な量である。
「予防」及びその文法的な変形表現は、対象への接触、投与またはin vivo送達が、疾患の発症前である方法を意味する。その疾患を原因とするか、またはその疾患と関連する有害な症状、状態、合併症などの発現前に、対象への投与またはin vivo送達を行うことができる。例えば、スクリーニング(例えば遺伝子スクリーニング)を用いて、記載されている方法及び用途の候補として、そのような対象を特定できるが、その対象では、その疾患が顕在化していなくてもよい。したがって、このような対象には、その対象において、その疾患の症状が顕在化していなくても、機能的遺伝子産物(タンパク質)が不十分な量であるかもしくは欠損しているか、または異常な遺伝子産物(タンパク質)、機能が部分的な遺伝子産物(タンパク質)もしくは非機能的な遺伝子産物(タンパク質)を産生し、疾患につながることに関して、スクリーニングで陽性となった対象、及び疾患につながる異常であるかまたは欠陥がある(変異体)遺伝子産物(タンパク質)に関して、スクリーニングで陽性となった対象が含まれる。
I.詳細な説明
本明細書に記載されているのは、第2のサイトカインに融合されたIL-2ムテインを含む二重特異性IL-2サイトカイン融合体である。本明細書に記載されているのは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含むIL-2ムテインであって、IL-2Rβ受容体に対する結合能が向上しており、その二重特異性IL-2サイトカイン融合体に含めることができるIL-2ムテインでもある。本明細書に記載されているのは、単独療法、及び抗PD-1抗体との併用治療での用途に、二重特異性IL-2サイトカイン融合体を使用することでもある。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(野生型ヒトIL-2(配列番号2、野生型hIL-2)を基準にして番号付けした)を含むIL-2ムテインは、H9という。このようなIL-2ムテインは、例えば、がんの治療のために、抗PD-1抗体と組み合わせると、用途が見出される。提供するのは、このようなIL-2ムテインをコードする核酸、このようなIL-2ムテインを作製する方法、このようなIL-2ムテインを含む医薬組成物、及びこのようなIL-2ムテインを使用する治療方法でもある。
A.二重特異性IL-2サイトカイン融合体で使用するIL-2ムテイン
その置換アミノ酸残基(複数可)は、保存的置換であることができ(だたし、必ずしもそうではない)、その保存的置換には典型的には、グリシン、アラニンというグループ、バリン、イソロイシン、ロイシンというグループ、アスパラギン酸、グルタミン酸というグループ、アスパラギン、グルタミンというグループ、セリン、トレオニンというグループ、リシン、アルギニンというグループ、及びフェニルアラニン、チロシンというグループ内での置換が含まれる。これらの変異は、IL-2Rβ及び/またはIL-2Rγと接するアミノ酸残基での変異であることができる。
より具体的には、変異(付加(複数可)または欠失(複数可)による保存的置換または非保存的置換のいずれか)は、1つ以上の位置で行うことができる。例えば、その変異は、I24V、P65H、Q74R、Q74H、Q74N、Q74S、L80F、L80V、R81I、R81T、R81D、L85V、I86V、I89V、I92F、V93Iであることができる。例示的なIL-2ムテインの配列は、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15、H9の配列番号16である。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、F42A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、F42A、Y45A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、F42A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、F42A、Y45A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、Y45A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、Y45A及びE62A(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換であって、IL-2Rβとの結合を増大及び/または増強させる置換には、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明で使用するIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fを含み、IL-2Rβとの結合が増大している。いくつかの実施形態では、本発明で使用するIL-2ムテインは、F42Aという位置に置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、本発明で使用するIL-2ムテインは、K43Nという位置に置換をさらに含む。いくつかの実施形態では、ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換、ならびにF42A、Y45A及びE62Aからなる群から選択した1つ以上の置換(いずれも、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べたものである)を含む。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合親和性を上昇させるアミノ酸置換には、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fが含まれる。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合親和性を上昇させるアミノ酸置換には、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fが含まれる。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて高い、本発明のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、
Figure 2023532273000003
というアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2Rβ/IL-2Rγのヘテロ二量化に依存する1つ以上のシグナル伝達経路を刺激する能力が増大している。いくつかの実施形態では、本発明のIL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβ+細胞内でSTAT5のリン酸化を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でSTAT5のリン酸化を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%以上のレベルで、IL-2Rβ+細胞内でSTAT5のリン酸化を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でSTAT5のリン酸化を刺激するレベルと比べて、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%または195%以上であるレベルで、IL-2Rβ+細胞内でSTAT5のリン酸化を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、T細胞である。特定の実施形態では、T細胞は、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態では、CD8+ T細胞は、新たに単離したCD8+ T細胞である。別の実施形態では、CD8+ T細胞は、活性化CD8+ T細胞である。別の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
いくつかの実施形態では、ムテインは、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβ+細胞内でERK1/ERK2のシグナル伝達を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でpERK1/ERK2のシグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%以上であるレベルで、IL-2Rβ+細胞内でpERK1/ERK2のシグナル伝達を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でpERK1/ERK2のリン酸化を刺激するレベルと比べて、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%または195%以上であるレベルで、IL-2Rβ+細胞内でpERK1/ERK2のリン酸化を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、T細胞である。特定の実施形態では、T細胞は、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態では、CD8+ T細胞は、新たに単離したCD8+ T細胞である。別の実施形態では、CD8+ T細胞は、活性化CD8+ T細胞である。別の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
STAT5及びERK1/2のシグナル伝達は、例えば、当該技術分野で知られているいずれかの適切な方法を用いて、STAT5及びERK1/2のリン酸化によって測定できる。例えば、STAT5及びERK1/2のリン酸化は、これらの分子のリン酸化型に特異的な抗体を、本明細書に記載されているようなフローサイトメトリー分析と組み合わせて用いて測定できる。いくつかの実施形態では、ムテインは、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβ+細胞内でPI3キナーゼのシグナル伝達を刺激する能力が増強されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でPI3キナーゼのシグナル伝達を刺激するレベルの1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%以下であるレベルで、IL-2Rβ+細胞内でPI3キナーゼのシグナル伝達を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型IL-2が、IL-2Rβ+細胞内でPI3キナーゼのシグナル伝達のリン酸化を刺激するレベルと比べて、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%または195%以上であるレベルで、IL-2Rβ+細胞内でPI3キナーゼのシグナル伝達を刺激する。いくつかの実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、T細胞である。特定の実施形態では、T細胞は、CD8+ T細胞である。いくつかの実施形態では、CD8+ T細胞は、活性化CD8+ T細胞である。別の実施形態では、IL-2Rβ+細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。PI3キナーゼのシグナル伝達は、当該技術分野で知られているいずれかの適切な方法を用いて測定できる。例えば、PI3キナーゼのシグナル伝達は、リン酸化S6リボソームタンパク質に特異的である抗体を、本明細書に記載されているようなフローサイトメトリー分析と併せて用いて測定できる。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、CD8+ T細胞内でのIL-2 STAT5及び/またはIL-15 STAT5のリン酸化の刺激因子である。いくつかの実施形態では、ムテインは、CD8+ T細胞のIL-2誘導性及び/またはIL-15誘導性の増殖のプロモーターである。いくつかの実施形態では、ムテインは、IL-2依存性のTCR誘導性細胞増殖の刺激因子である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
IL-2は、Th1細胞、Th9細胞及びTreg T細胞の分化を促し、Th17の分化を阻害する。したがって、働きの特定の理論のいずれかに拘束されるものではないが、IL-2スーパーアゴニストとして機能するIL-2ムテインは、Th1細胞、Th9細胞及び/またはTreg細胞の分化を促したり、またはTh17細胞の分化を阻害したりすることができると考えられる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-2依存性のTh1、Th9及び/またはTregの分化のプロモーターである。いくつかの実施形態では、ムテインは、Th17の分化の阻害剤である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2と比べて、CD25へのシグナル伝達が低減され、及び/またはCD25から独立して、シグナル伝達を行う(例えば、CD25への結合が低減または喪失している)。いくつかの実施形態では、CD25に関して、シグナル伝達が低減しているか、及び/またはシグナル伝達が独立していることにより、エフェクターT細胞の優先的な活性化が可能となる一方で、Tregの刺激が制限される。いくつかの実施形態では、CD25に関して、シグナル伝達が低減しているか、及び/またはシグナル伝達が独立していることにより、毒性の低減が可能となる。いくつかの実施形態では、ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換、ならびにF42A、Y45A及びE62Aからなる群から選択した1つ以上の置換(いずれも、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べたものである)を含む。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、アネルギー性NK細胞に対する応答性を増大及び/または回復することができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、腫瘍微小環境において、アネルギー性NK細胞に対する応答性を増大及び/または回復することができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、野生型ヒトIL-2(配列番号2)と比べて、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fという置換を含む。
いくつかの実施形態では、ムテインは、IL-2依存性のナチュラルキラー(NK)細胞活性化の阻害剤である。IL-2による、NK細胞の活性化は、当該技術分野で知られているいずれかの適切な方法によって、例えば、本明細書に記載されているように、IL-2誘導性のCD69発現及び/または細胞傷害性を測定することによって測定できる。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合親和性の上昇とは、IL-2Rβに対するいずれかの結合親和性が、野生型ヒトIL-2の、IL-2Rβに対する結合親和性よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、その結合親和性は、IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2の、IL-2Rβに対する結合親和性と比べて、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、150倍、170倍、190倍、200倍、220倍または240倍以上、上昇している。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合能の上昇とは、IL-2Rβに対するいずれかの結合能が、野生型ヒトIL-2の、IL-2Rβに対する結合能よりも高いことである。いくつかの実施形態では、その結合能は、IL-2Rβに対する結合能が、野生型ヒトIL-2の、IL-2Rβに対する結合能と比べて、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、120倍、150倍、170倍、190倍、200倍、220倍または240倍以上、上昇している。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて高い、本発明のIL-2ムテインは、CD25への結合が低減されてもおり、F42A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、その結合親和性の低減の程度は、約220分の1であり、すなわち、F42A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fを含むムテインでは、Kdが、野生型ヒトIL-2の約6.6nMから約1.4μMに低減されている。いくつかの実施形態では、そのIL-2ムテインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2023532273000004
いくつかの実施形態では、IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて高い、本発明のIL-2ムテインは、CD25への結合が低減されてもおり、K43N、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、その結合親和性の低減は、43位で糖鎖を付加させたことと、K43Nという置換によるものである。K43N、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含むIL-2ムテインでは、リシンをアスパラギンに置換することによって(K43N)、CD25への結合が低減されているか及び/または喪失されている。いくつかの実施形態では、そのIL-2ムテインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2023532273000005
いくつかの実施形態では、CD25に対する結合親和性の低減とは、CD25に対するいずれかの結合親和性が、野生型ヒトIL-2の結合親和性よりも低いことである。いくつかの実施形態では、その結合親和性は、CD25に対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2の、CD25に対する結合親和性の10分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1、60分の1、70分の1、80分の1、90分の1、100分の1、120分の1、150分の1、170分の1、190分の1、200分の1、220分の1、240分の1以下である。
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβに対する結合親和性が高いとともに、CD25に対する結合親和性が低減された、本発明のIL-2ムテインは、F42A、Y45A L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、そのIL-2ムテインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2023532273000006
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβに対する結合親和性が高いとともに、CD25に対する結合親和性が低減された、本発明のIL-2ムテインは、F42A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、そのIL-2ムテインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2023532273000007
いくつかの実施形態では、野生型ヒトIL-2と比べて、IL-2Rβに対する結合親和性が高いとともに、CD25に対する結合親和性が低減された、本発明のIL-2ムテインは、F42A、Y45A、E62A、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、そのIL-2ムテインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2023532273000008
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2または配列番号6~配列番号10のいずれか1つと99%同一である。
さらなる例示的なIL-2の配列は、下記の表に示されている。
Figure 2023532273000009
Figure 2023532273000010
Figure 2023532273000011
Figure 2023532273000012
Figure 2023532273000013
B.IL-2ムテイン融合タンパク質
IL-2ムテインは、本発明のIL-2ムテインと、異種のポリペプチド(すなわち、IL-2またはその変異体ではないポリペプチド)(例えば、米国特許第6,451,308号を参照されたい)とを含む融合ポリペプチド、すなわちキメラポリペプチド(例えば、二重特異性IL-2サイトカイン融合体が挙げられる)として調製できる。例示的な異種のポリペプチドは、in vivoにおいて、そのキメラポリペプチドの循環血中半減期を延長できるので、本発明の変異体IL-2ポリペプチドの特性をさらに増強し得る。様々な実施形態では、循環血中半減期を延長するポリペプチドは、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)、PEG、PEG誘導体、またはIgGサブクラス抗体のFc領域(IgGの重鎖可変領域を欠損している)であってよい。例示的なFc領域は、補体結合及びFc受容体結合を阻害する変異を含むこともできるし、または、溶菌性であってもよく、すなわち、補体に結合するか、もしくは抗体依存性の補体溶菌(ADCC、1994年12月12日に出願されたUSSN08/355,502)のような別の機構によって、細胞を溶解することができる。
その「Fc領域」は、天然のポリペプチド、またはIgGをパパインで消化することによって生成されるIgG C末端ドメインと相同である合成ポリペプチドであることができる。IgG Fcは、分子量がおよそ50kDaである。変異体IL-2ポリペプチドは、Fc領域全体、またはそれよりも小さいFc領域部分であって、そのFc領域部分が一部分であるキメラポリペプチドの循環血中半減期を延長する能力を保持するFc領域部分を含むことができる。加えて、完全長Fc領域または断片化されたFc領域は、野生型分子のバリアントであることができる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン融合タンパク質(例えば、本明細書に記載されているようなIL-2ムテイン)は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のFc領域を含む(例えば、図2A~2Bの配列を参照されたい)。いくつかの実施形態では、Fc領域は、N297Aという置換を含む。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、異種の融合ポリペプチドに直接または間接的に連結されている。
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Fc領域に直接連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Fc領域に、GGGGSのようなリンカーペプチドを介して連結されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、(GGGGS)nであり、そのnは、1~10の整数である。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSである。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGS(配列番号16)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号17)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号18)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号19)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のプロテアーゼ切断部位を含む(例えば、プロテアーゼ切断性リンカーである)。リンカーは、加えて、1つ以上のプロテアーゼ切断部位を含むか、酸化及び/または還元による切断を受けやすいことができる。ある1つの例では、補体系の酵素、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲンアクチベーター、トリプシン、プラスミン、カスパーゼ、カリクレイン、カテプシン、レグマイン、MMP、トロンビン、ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーター(uPA)、マトリプターゼ、またはタンパク質分解活性を有する別の酵素による切断を受けやすいペプチドリンカーを用いてよい。別の例によれば、リンカーは、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子でのジスルフィド結合)を含んでよい。別の例によれば、リンカーは、プロテアーゼ切断性のVal-Cit(VC)リンカー、Phe-Argリンカー、Val-Lysリンカー、Val-Alaリンカー、Val-Argリンカー、Val-Leu-Lysリンカー、Gly-Phe-Leu-Glyリンカー、Ala-Phe-Lysリンカー、pol-L-リシンリンカー、β-Ala-Leu-Ala-Leuリンカー、Arg-Arg-Ala-Leu-Ala-Leuリンカー、ペプチド模倣体リンカー、レグマイン切断性Ala-Ala-Asnトリペプチドリンカー、カテプシンB及びその他のリソソームプロテアーゼによって切断されるペプチドリンカー(Gly-Phe-Leu-Gly及びAla-Leu-Ala-Leuなど)、カスパーゼ3 DEVD配列、または自壊性リンカーを含んでよい。例えば、Poreba,M,FEBS J.287(10):1936-1969(2020)(参照により、本明細書に援用される)に開示されているリンカーが、本開示によって企図されている。多くの腫瘍は、天然においては、高レベルのグルタチオン(還元剤)を放出するので、グルタチオンが、ジスルフィド結合を還元でき、その後、送達部位で、カーゴ部分が放出される。いくつかの実施形態では、リンカーは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)によって切断可能なプロテアーゼ切断性リンカーである。MMPは、腫瘍において、in situで過剰発現し、このような文脈において切断可能なリンカーは、本開示によって企図されている。例えば、Hsu,E.J.,et al.,Nat.Commun.12(2768):1-13(2021)(参照により、本明細書に援用される)に開示されているリンカーが、本開示によって企図されている。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、SGARYRWLTA(配列番号234)、SGRSYAILTA(配列番号235)、SRSGRSPAIFTATG(配列番号236)、GSSGRSPAIFTAGS(配列番号237)及びSGFIANPVTA(配列番号238)からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、SGARYRWLTAである。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、SGRSYAILTAである。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、SRSGRSPAIFTATGである。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、GSSGRSPAIFTAGSである。いくつかの実施形態では、MMPリンカー配列は、SGFIANPVTAである。
Fc領域は、「溶解性」であることも、または「非溶解性」であることもできるが、典型的には、非溶解性である。非溶解性Fc領域は典型的には、高親和性のFc受容体結合部位及びC’1q結合部位を欠損している。マウスIgG Fcの高親和性のFc受容体結合部位は、IgG Fcの235位に、Leu残基を含む。すなわち、そのFc受容体結合部位は、Leu235を変異または欠損させることによって破壊できる。例えば、Leu235をGluに置換することにより、Fc領域が、高親和性のFc受容体に結合する能力が阻害される。マウスC’1q結合部位は、IgGのGlu318、Lys320及びLys322の残基を変異または欠損させることによって、機能を破壊できる。例えば、Glu318、Lys320及びLys322をAla残基に置換すると、IgG1 Fcが、抗体依存性の補体溶菌を誘導できなくなる。これに対して、溶解性のIgG Fc領域は、高親和性のFc受容体結合部位及びC’1q結合部位を有する。高親和性のFc受容体結合部位は、IgG Fcの235位に、Leu残基を含み、C’1q結合部位は、IgG1のGlu318、Lys320及びLys322の残基を含む。溶解性のIgG Fcは、これらの部位に、野生型残基または保存的アミノ酸置換を含む。溶解性のIgG Fcは、細胞を抗体依存性細胞傷害または補体誘導性細胞溶解(CDC)の標的とすることができる。ヒトIgGに適する変異も知られている(例えば、Morrison et al.,The Immunologist 2:119-124,1994及びBrekke et al.,The Immunologist 2:125,1994を参照されたい)。
別の実施形態では、キメラポリペプチドは、本発明のIL-2ムテインと、抗原性タグとして機能するポリペプチド(FLAG配列など)を含むことができる。FLAG配列は、本明細書に記載されているように、特異性の高いビオチン化抗FLAG抗体によって認識される(Blanar et al.,Science 256:1014,1992、LeClair et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8145,1992も参照されたい)。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、C末端c-mycエピトープタグをさらに含む。
別の実施形態では、キメラポリペプチドは、変異体IL-2ポリペプチドと、その変異体IL-2ポリペプチドの発現を増強したり、またはその変異体IL-2ポリペプチドの細胞局在を誘導したりするように機能する異種のポリペプチド(Aga2pというアグルチニンサブユニットなど)を含む(例えば、Boder and Wittrup,Nature Biotechnol.15:553-7,1997を参照されたい)。
別の実施形態では、変異体IL-2と、抗体またはその抗原結合部分とを含むキメラポリペプチドを作製できる。そのキメラタンパク質の抗体または抗原結合成分は、ターゲティング部分として機能できる。例えば、抗体または抗原結合成分を用いて、そのキメラタンパク質を特定の細胞サブセットまたは標的分子に局在させることができる。サイトカイン-抗体キメラポリペプチドを作製する方法は、例えば、米国特許第6,617,135号に記載されている。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、PD-1受容体とそのリガンドPD-L1との相互作用を阻害する抗体もしくはその抗原結合部分、及び/またはPD-1/PD-L1シグナル伝達経路の成分に対する抗体への融合体を含む。当該技術分野において知られている抗体であって、PD-1に結合して、PD-1とそのリガンドPD-L1との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激する抗体は、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-1に特異的に結合する。例えば、PD-1を標的とするとともに、本発明での用途を見出すことができる抗体としては、例えば、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK03475またはMK-3475、Merck)、ヒト化抗PD-1抗体JS001(ShangHai JunShi)、モノクローナル抗PD-1抗体TSR-042(Tesaro,Inc.)、ピジリズマブ(抗PD-1 mAb CT-011、Medivation)、抗PD-1モノクローナル抗体BGB-A317(BeiGene)及び/または抗PD-1抗体SHR-1210(ShangHai HengRui)、ヒトモノクローナル抗体REGN2810(セミプリマブ、Regeneron)、ヒトモノクローナル抗体MDX-1106(Bristol-Myers Squibb)、及び/またはヒト化抗PD-1 IgG4抗体PDR001(Novartis)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、PD-1抗体は、クローン:RMP1-14(ラットIgG)(BioXcellカタログ番号BP0146)から得られる。他の適切な抗体としては、米国特許第8,008,449号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている抗PD-1抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-L1に特異的に結合して、PD-L1とPD-1との相互作用を阻害することによって、免疫活性を向上させる。当該技術分野において知られているいずれかの抗体であって、PD-L1に結合して、PD-1とPD-L1との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激する抗体は、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適する。例えば、PD-L1を標的とするとともに、臨床試験中にある抗体としては、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)及びMPDL3280A(Genetech)が挙げられる。PD-L1を標的とする他の適切な抗体は、米国特許第7,943,743号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。PD-1またはPD-L1に結合して、PD-1/PD-L1相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗PD-1抗体への融合体を含む。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗PD-L1抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CTLA-4を標的として、CTLA-4とCD80及びCD86との相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。CTLA-4を標的とする例示的な抗体としては、FDAによって認可済みであるイピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Bristol-Myers Squibb)、及び現在ヒトでの試験が行われているトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675、206、Pfizer)が挙げられる。CTLA-4を標的とする他の適切な抗体は、WO2012/120125、米国特許第6,984720号、同第6,682,7368号、ならびに米国特許出願公開第2002/0039581号、同第2002/0086014号及び同第2005/0201994号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。CTLA-4に結合して、CTLA-4とCD80及びCD86との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CTLA-4抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、LAG-3を標的として、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。LAG-3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒトでの試験が行われているIMP321(Immutep)である。LAG-3を標的とする他の適切な抗体は、米国特許出願公開第2011/0150892号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。LAG-3に結合して、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗LAG-3抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、B7-H3またはB7-H4を標的とする抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。B7ファミリーには、明確に定められた受容体は1つもないが、これらのリガンドは、腫瘍細胞上または腫瘍浸潤細胞上でアップレギュレートする。B7-H3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒトでの試験が行われているMGA271(Macrogenics)である。B7ファミリーメンバーを標的とする他の適切な抗体は、米国特許出願公開第2013/0149236号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。B7-H3またはH4に結合するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗B7-H3抗体または抗B7-H4抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、TIM-3を標的として、TIM-3とガレクチン9との相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。TIM-3を標的とする適切な抗体は、米国特許出願公開第2013/0022623号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。TIM-3に結合して、TIM-3とガレクチン9との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗TIM-3抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、4-1BB/CD137を標的として、4-1BB/CD137とCD137Lとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。4-1BB/CD137に結合して、4-1BB/CD137とCD137Lまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗4-1BB/CD137抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、GITRを標的として、GITRとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。GITRに結合して、GITRとGITRLまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗GITR抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、OX40を標的として、OX40とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。OX40に結合して、OX40とOX40Lまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗OX40抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CD40を標的として、CD40とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。CD40に結合して、CD40とそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CD40抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、ICOSを標的として、ICOSとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。ICOSに結合して、ICOSとそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗ICOS抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、CD28を標的として、CD28とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。CD28に結合して、CD28とそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗CD28抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、IFNαを標的として、IFNαとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体またはその抗原結合部分への融合体を含む。IFNαに結合して、IFNαとそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、本明細書に開示されているキメラポリペプチドでの使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、抗IFNα抗体への融合体を含む。
いくつかの実施形態では、キメラポリペプチドは、腫瘍抗原または腫瘍抗原を標的とするポリペプチドへの融合体を含む。概して、腫瘍抗原により、腫瘍細胞を、その正常な細胞対応物から区別可能になり、腫瘍抗原としては、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA)及び腫瘍関連抗原(TAA)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、がん原遺伝子及び/または腫瘍抑制因子、ならびに過剰発現または異常発現した細胞タンパク質、発がん性ウイルスによって産生される腫瘍抗原、がん胎児抗原、変化した細胞表面糖脂質及び糖タンパク質、及び/または細胞種特異的分化抗原である。このような腫瘍抗原としては、メラノーマ抗原、がん-精巣抗原、上皮腫瘍抗原、細胞周期調節タンパク質、前立腺特異抗原(例えば、米国特許第5,538,866号に開示されている抗原のような前立腺癌抗原を含む)、リンパ腫(米国特許第4,816,249号、同第5,068,177号及び同第5,227,159号)を挙げることができる。腫瘍抗原としては、例えば、2G3及び369F10が結合するHMWムチン、c-erbB-2関連腫瘍抗原(およそ42kDまたは55kDの糖タンパク質)、113F1が結合するおよそ40kD、60kD、100kD及び200kDの抗原、9-O-アセチルGD3、p97、αフェトプロテイン(AFP)(例えば、胚細胞腫瘍及び/または肝細胞癌の場合)、がん胎児性抗原(CEA)(例えば、腸癌の場合、肺癌または乳癌の場合もある)、CA-125(例えば、卵巣癌の場合)、MUC-1(例えば、乳癌の場合)、上皮腫瘍抗原(ETA)(例えば、乳癌の場合)、チロシナーゼ(例えば、悪性メラノーマの場合)、メラノーマ関連抗原(MAGE)(例えば、悪性メラノーマの場合)、がん/精巣抗原1(CTAG1B)、メラノーマ関連抗原1(MAGEA1)、異常なRas産物、異常なp53産物、サイクリン(例えば、サイクリンB1を含む)の過剰発現、フィブロネクチンの変異、MUC1糖タンパク質の翻訳後変化、分泌腫瘍抗原(例えば、ガングリオシドを含む)を挙げることができるが、これらに限らない。
他の融合体としては、プロアポトーシスペイロードとの融合体を挙げることができる。このような例示的な配列は、下記の表に示されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインは、プロアポトーシスペイロード、例えば、BAD配列、BAX配列、BAK配列、BIK配列及び/またはBID配列に融合されている。いくつかの実施形態では、プロアポトーシスペイロードは、Bcl-2ドメインを含むペプチド、及び/またはBAD配列、BAX配列、BAK配列、BIK配列及び/またはBID配列の部分配列である。例示的なプロアポトーシス融合体は、下記の表3に示されている。
Figure 2023532273000014
Figure 2023532273000015
いくつかの特定の実施形態では、がんの治療のために、IL-2アンタゴニストをプロアポトーシスペイロードに融合できる。「アンタゴニスト」は、例えば、アゴニストの活性を阻止、低減、阻害または中和することによって、アゴニストの作用を阻む化合物である。「アンタゴニスト」は、特定されているアゴニストが存在しない場合でも、標的、例えば標的受容体の構成的活性を阻止、阻害または低減することもできる。典型的には、本発明のがんの治療方法では、野生型IL-2と比べて、アゴニスト活性またはスーパーアゴニスト活性を持つIL-2ムテインを用いるが、上記のようなアンタゴニストをプロアポトーシスペイロードに融合するときには、アンタゴニスト特性を持つIL-2ムテインを用いることができる。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比べて、L18R、Q22E、Q126T及びS130Rというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比べて、L18R、Q22E、L80F、R81D、L85V、I86V及びQ126Tというアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IL-2アンタゴニストは、配列番号2の野生型IL-2と比べて、L18R、Q22E、L80F、R81D、L85V、I86V、Q126T及びS130Rというアミノ酸置換を含む。上に示したようなプロアポトーシスペイロードと融合できる例示的なアンタゴニストは、下記の表4に示されている。
Figure 2023532273000016
Figure 2023532273000017
Figure 2023532273000018
他の融合体としては、CD8細胞、NK細胞及びアネルギー性NK細胞の活性化を延長するのに用いる抗アポトーシスペイロードとの融合体を挙げることができ、このような例示的な配列は、下記の表に示されている。このような、T細胞の活性化の延長は、がん療法のための治療方法において有益であるのが明らかとなることがある。
Figure 2023532273000019
Figure 2023532273000020
他の例示的なIL-2融合体としては、下記の表に列挙されている融合体が挙げられる。
Figure 2023532273000021
Figure 2023532273000022
Figure 2023532273000023
Figure 2023532273000024
Figure 2023532273000025
Figure 2023532273000026
Figure 2023532273000027
Figure 2023532273000028
Figure 2023532273000029
Figure 2023532273000030
Figure 2023532273000031
Figure 2023532273000032
Figure 2023532273000033
Figure 2023532273000034
Figure 2023532273000035
Figure 2023532273000036
Figure 2023532273000037
Figure 2023532273000038
Figure 2023532273000039
いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン-Fc融合体は、下記の配列のうちの1つを含む。
Figure 2023532273000040
Figure 2023532273000041
いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15及び/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書に示されているIL-2配列のいずれか)と90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15及び/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書に示されているIL-2配列のいずれか)と95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15及び/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書に示されているIL-2配列のいずれか)と98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテイン配列は、配列番号12~配列番号15及び/または配列番号20~配列番号80のいずれか1つ(例えば、本明細書に示されているIL-2配列のいずれか)と99%同一である。
C.二重特異性IL-2サイトカイン融合体で使用するIL-4、IL-13、IL-10、IL-12、IL15及びIL-18
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に記載されているようなIL-4ムテインに融合できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に記載されているようなIL-13ムテインに融合できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-10に融合できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-12に融合できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-15に融合できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-18に融合できる。いくつかの実施形態では、このような融合体は、がん細胞及び/またはがん幹細胞を特異的に標的として、がん幹細胞の成長を低減または阻害するとともに、腫瘍微小環境(TME)における免疫抑制細胞を標的とするように機能する。
本明細書に記載されているようなIL-2ムテインとの融合体では、いずれのIL-13配列またはそのバリアントも使用できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。例示的なIL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128及び下記の表に示されている。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つに示されているようなものである。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号82である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号83である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号84である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号85である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号86である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号87である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号88である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号89である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号90である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号91である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号92である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号93である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号94である。いくつかの実施形態では、そのポリペプチド配列は、配列番号95である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号96である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号97である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号98である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号99である。いくつかの実施形態では、そのポリペプチド配列は、配列番号100である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号101である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号102である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号103である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号104である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号105である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号106である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号107である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号108である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号109である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号110である。いくつかの実施形態では、そのポリペプチド配列は、配列番号111である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号112である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号113である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号114である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号115である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号116である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号117である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号118である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号119である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号120である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号121である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号122である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号123である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号124である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号125である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号126である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号127である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号128である。IL-13。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと95%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-13のポリペプチド配列は、配列番号81~配列番号128のいずれか1つと99%同一である。
いくつかの実施形態では、配列番号81~配列番号128のいずれか1つが、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号81が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号82が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号83が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号84が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号85が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号86は、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号87は、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号88が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号89が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号90が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号91が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号92が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号93が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号94が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号94が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号96が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号97が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号98が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号99が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号100が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号101が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号102が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号103が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインにに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号104が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号105が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号106が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号107が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号108が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号109が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号110が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号111が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号112が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号113が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号114が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号115が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号116が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号117が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号118が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号119が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号120が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号121が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号122が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号123が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号124が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号125が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号126が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号127が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号128が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のIL-13のペプチドは、(1)L10F、L10I、L10V、L10A、L10D、L10T、L10H、(2)R11S、R11N、R11H、R11L、R11I、(3)I14L、I14F、114V、I14M、(4)V18L、V18F、V18I、(5)E12A、(6)R65D、(7)R86K、R86T、R86M、(8)D87E、D87K、D87R、D87G、D87S、(9)T88I、T88K、T88R、(10)K89R、K89T、K89M、(11)L101F、L101I、L101Y、L101H、L101N、(12)K104R、K104T、K104M、(13)K105T、K105A、K105R、K105E、(14)F107L、F107I、F107V、F107M及び(15)R108K、R108T、R108Mというアミノ酸置換のうちの1つ以上を含み、これらの置換は、IL-13Rα1及びIL-13Rα2の一方または両方に対する親和性を変化させる。別の実施形態では、改変残基は、上で定義した接触残基を組み合わせたセットにおける2個以上、3個以上、4個以上、5個以上かつ14個以下のアミノ酸におけるものである。国際公開第WO2013/112871号(その開示内容は、参照により、その全体が、本明細書に援用される)に記載されているとおりである。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換としては、図4に示されている置換が挙げられるが、これらに限らない。
改変セットは、(1)L10H、L10A、(2)R11L、(4)V18I、(7)R86M、R86K、R86T、(8)D87K、D87G、(9)T88R、T88S、T88K、(10)K89R、(11)L101N、(12)K104R、(13)K105A、K105E、(14)R108Kという具体的な変更を含んでよい。いくつかの実施形態では、改変は、列挙されている具体的な変化のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、改変は、L10Hを含む。いくつかの実施形態では、改変は、L10Aを含む。いくつかの実施形態では、改変は、R11Lを含む。いくつかの実施形態では、改変は、V18Iを含む。いくつかの実施形態では、改変は、R86Mを含む。いくつかの実施形態では、改変は、R86Kを含む。いくつかの実施形態では、改変は、R86Tを含む。いくつかの実施形態では、改変は、D87Kを含む。いくつかの実施形態では、改変は、D87Gを含む。いくつかの実施形態では、改変は、T88Rを含む。いくつかの実施形態では、改変は、T88Sを含む。いくつかの実施形態では、改変は、T88Kを含む。いくつかの実施形態では、改変は、K89Rを含む。いくつかの実施形態では、改変は、L101Nを含む。いくつかの実施形態では、改変は、K104Rを含む。いくつかの実施形態では、改変は、K105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変は、K105Eを含む。いくつかの実施形態では、改変は、R108Kを含む。いくつかの実施形態では、これらの1つ以上の改変を含むポリペプチドが、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換としては、図4に示されているアミノ酸置換が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
IL-13Rα1よりもIL-13Rα2に結合する選択性が、天然型のIL-13配列と比べて大きくなる具体的な改変セットとしては、下記のセットを挙げてよいが、これらに限らない。
●[L10D、R11I、V18I、R86K、D87K、k89R、R108K](例えばC2、例えば、配列番号31または配列番号49)
●[L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、R108K](例えばC3、例えば、配列番号32または配列番号50)
●[L10V、K89R、L101N、K105E、R108T](例えばC4、例えば、配列番号33または配列番号31)
●[R11S、I14M、T88S、L101N、K105A、R108K](例えばC7、例えば、配列番号34または配列番号52)
●[L10H、R11L、V18I、R86K、D87E、K89R、L101N、K105T、R108K](C9、例えば配列番号53)
●[L10H、R86T、D87G、T88R、R108K](C11、例えば、配列番号38または配列番号55)
●[L10A、V18F、R86K、D87K、K89R、L101I、K104R、R108K](D7、例えば、配列番号40または配列番号57)
●[L10T/D、R11I、V18I、R86K、D87K/G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、R108K]
●[L10A/V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A/E、R108K/T]
いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、K89R、L101N、K105E、R108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、I14M、T88S、L101N、K105A及びR108K(C7、例えば、配列番号35または配列番号52)を含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10H、R11L、V18I、R86K、D87E、K89R、L101N、K105T及びR108K(C9、例えば、配列番号36または配列番号53)を含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10H、R86T、D87G、T88R及びR108K(C11、例えば、配列番号38または配列番号55)を含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A、V18F、R86K、D87K、K89R、L101I、K104R及びR108K(D7、例えば、配列番号40または配列番号57)を含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10T/D、R11I、V18I、R86K、D87K/G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10T、R11I、V18I、R86K、D87K、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10T、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10D、R11I、V18I、R86K、D87K、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10D、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、K89R、L101Y、K104R、K105T、R108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A/V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A/E及びR108K/Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A及びR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10A、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E及びR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E及びR108Kを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105A、dR108Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、R86T、D87G、T88K、K89R、L101N、K104R、K105E及びR108Tを含む。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、90%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、95%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、98%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、99%同一である。いくつかの実施形態では、改変を1つ以上含むポリペプチドが、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換としては、図4に示されているアミノ酸置換が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
IL-13Rα2よりもIL-13Rα1に結合する選択性が、天然型のIL-13配列と比べて大きくなる具体的な改変セットとしては、下記のセットを挙げてよいが、これらに限らない。
●[L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T]
●[R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T]
●[L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T]
●[L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T]
●[L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A]
●[L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T]
●[V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A]
●[R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M]
これらの置換は、[E12A/G/S、R65D/E]という置換と任意に組み合わされている。
いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R及びK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R及びK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R及びK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R及びK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R及びK105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R及びK105Tを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R及びK105Aを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A及びF107Mを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S及びR65D/Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S及びR65Dを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87




S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12A及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12G及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、D88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11S、V18I、R86K、D87G、T88S、K89M、L101Y、K104R、K105T、E12A/G/S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V/I、D87S、T88S、K89R、L101H/F、K104R、K105T、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10I、V18I、R86T、D87G、T88S、K89R、L101Y/H、K104R、K105A、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、V18I、D87S、T88S、L101F、K104R、K105T、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、V18I、R86T、D87G、T88S、L101Y、K104R、K105A、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、R11I、V18I、R86K、D87G、T88S、L101H、K104R、K105A、F107M、E12S及びR65Eを含む。いくつかの実施形態では、改変セットは、L10V、E12A、V18I、R65D、D87S、T88S、L101F、K104R及びK105Tを含む(例えば、IL-13dn、配列番号38を参照されたい)。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、90%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、95%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、98%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、99%同一である。いくつかの実施形態では、改変を1つ以上含むポリペプチドが、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換としては、図4に示されているアミノ酸置換が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
IL-13の配列の表は、以下に示されている。
Figure 2023532273000042
Figure 2023532273000043
Figure 2023532273000044
Figure 2023532273000045
Figure 2023532273000046
Figure 2023532273000047
Figure 2023532273000048
IL-2ムテインまたはバリアントとの融合体では、本明細書に記載されているようなものを含め、いずれかのIL-4配列またはそのバリアントを使用できる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。例示的なポリペプチド配列は、本明細書に示されている配列のいずれも含め、配列番号130~配列番号135に示されている。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つに示されている。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号130である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号131である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号132である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号133である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号134である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号135である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つと98%同一である。いくつかの実施形態では、IL-4のポリペプチド配列は、配列番号130~配列番号135のいずれか1つと99%同一である。いくつかの実施形態では、配列番号130~配列番号135のいずれか1つが、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号130が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号131が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号132が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号133が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号134が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号135が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
IL-4の配列の表は、以下に示されている。
Figure 2023532273000049
いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、IL-10、IL-12、IL-15及び/またはIL-18の配列に融合できる。いくつかの実施形態では、このような融合体は、その融合コンストラクトをNK細胞及び/またはCD8+細胞に特異的にターゲティングするように機能する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、配列番号136が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号137が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号138が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号139が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号140が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、配列番号141が、本明細書に記載されているようなIL-2またはIL-2ムテインに連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、下記の表(配列番号136~141)に示されているようなIL-IL-10、IL-12、IL-15及び/またはIL-18の配列に融合できる。
Figure 2023532273000050
例示的なIL-2ムテインの配列は、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
いくつかの実施形態では、サイトカイン-サイトカイン融合体は、下記の表に含まれている融合体の1つである。
Figure 2023532273000051
Figure 2023532273000052
Figure 2023532273000053
Figure 2023532273000054
いくつかの実施形態では、サイトカイン-サイトカイン融合体は、下記の表に含まれている融合体の1つである(表12及び図54を参照されたい)。
Figure 2023532273000055
Figure 2023532273000056
Figure 2023532273000057
Figure 2023532273000058
Figure 2023532273000059
Figure 2023532273000060
Figure 2023532273000061
Figure 2023532273000062
Figure 2023532273000063
Figure 2023532273000064
Figure 2023532273000065
Figure 2023532273000066
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D.IL-2ムテインの組み換え発現、発現ベクター及び宿主細胞
様々な実施形態では、本発明の実施の際に用いるポリペプチドは、合成のものであるか、または組み換え核酸分子を発現させることによって作製する。ポリペプチドが、キメラ(例えば、少なくとも、変異体IL-2ポリペプチドと、異種のポリペプチドとを含む融合タンパク質(二重特異性IL-2サイトカイン融合体を含む))である場合、そのポリペプチドは、IL-2ムテインの全部または一部をコードする1つの配列と、異種のポリペプチドの全部または一部をコードする第2の配列を含むハイブリッド核酸分子によってコードできる。例えば、本明細書に記載されている本発明のIL-2ムテインは、細菌で発現させたタンパク質の精製を促すためのヘキサヒスチジンタグ、または真核細胞で発現させたタンパク質の精製を促すためのヘマグルチニンタグに融合してよい。
IL-2ムテインをコードするDNA配列を構築するとともに、それらの配列を、適切にトランスフォーメーションした宿主で発現させるための方法としては、PCRによる変異誘発の技法の使用が挙げられるが、これに限らない。また、IL-2ポリペプチドへのアミノ酸残基の欠失または付加からなる変異は、標準的な組み換え技法によって行うことができる。欠失または付加の場合には、IL-2をコードする核酸分子を任意に、適切な制限酵素で消化する。得られた断片は、直接発現させるか、または例えば、その断片を第2の断片にライゲーションすることによって、さらに操作するかできる。核酸分子の2つの末端が、互いに重複する相補的なヌクレオチドを含む場合には、ライゲーションが促されることがあるが、平滑末端を有する断片をライゲーションすることもできる。PCRによって生成された核酸を用いて、様々な変異体配列を作製することもできる。
完全なアミノ酸配列を用いて、逆翻訳した遺伝子を構築できる。IL-2ムテインをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成できる。例えば、所望のポリペプチドの一部分をコードする小さいオリゴヌクレオチドをいくつか合成してから、ライゲーションすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは典型的には、相補的なアセンブルのための5’オーバーハングまたは3’オーバーハングを含む。
分子生物学的な組み換え技法によって変化させた核酸分子を発現させることによって、変異体ポリペプチドを作製するのに加えて、本発明のIL-2ムテインは、化学合成することができる。化学合成したポリペプチドは、当業者であれば常法によって生成できる。
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法によって)アセンブルしたら、IL-2ムテインをコードするDNA配列を発現ベクターに挿入し、トランスフォーメーションする所望の宿主でIL-2ムテインを発現させるのに適する発現制御配列に機能可能に連結する。適切にアセンブルされたかは、ヌクレオチドシーケンシング、制限酵素マッピング、適切な宿主での生物活性ポリペプチドの発現によって確認できる。当該技術分野において周知なように、宿主において、トランスフェクション遺伝子の高い発現レベルを得るために、その遺伝子は、選択した発現宿主において機能的である転写発現制御配列及び翻訳発現制御配列に機能可能に連結しなければならない。
IL-2ムテインをコードするDNA配列は、部位特異的変異誘発、化学合成またはその他の方法によって調製したかにかかわらず、シグナル配列をコードするDNA配列も含むことができる。このようなシグナル配列は、存在する場合、そのIL-2ムテインを発現させるために選択した細胞によって認識される配列でなければならない。そのシグナル配列は、原核配列、真核配列またはこれらの2つを組み合わせたものであることができる。その配列は、天然型のIL-2のシグナル配列であることもできる。シグナル配列を含めるかは、IL-2ムテインが作られる組み換え細胞から、IL-2ムテインを分泌させるのが望ましいかに左右される。選択した細胞が原核細胞である場合には、概して、そのDNA配列が、シグナル配列をコードしないことが好ましい。選択した細胞が真核細胞である場合には、概して、シグナル配列がコードされるのが好ましく、野生型IL-2シグナル配列を用いるのが最も好ましい。
E.部分を標的とする腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの例では、本明細書に記載されている二重特異性IL-2サイトカイン融合体及び/またはIL-2ムテインを用いて、腫瘍溶解性ウイルスをターゲティングすることができる(例えば、Allen et al.,Mol.Ther.16:1556-64,2008を参照されたい)。いくつかの例では、腫瘍溶解性ウイルスを用いて、IL-2ムテインを腫瘍またはTMEにターゲティングすることができる。アデノウイルス、自己複製アルファウイルス及び腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを含め、多くのウイルスを腫瘍溶解性ウイルスとして用いることができる(例えば、WO2013038066(参照により、その全体が、本明細書に援用される)、特に図17を参照されたい)。他の腫瘍溶解性ウイルスとしては、セネカバレーウイルス、ニューカッスル病ウイルス(ニューカッスルウイルスともいう)、マラバウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンドビスウイルス、粘液腫ウイルス及び/またはレトロウイルスを挙げることができる(例えば、Twumasi-Boateng,et al.,“Oncolytic viruses as engineering platforms for combination immunotherapy”,Nature Reviews Cancer,2018)及びKaufman et al.,Cancer Immunotherapy,14:642-662(2015)(いずれも、参照により、その全体が、本明細書に援用されるを参照されたい)。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスとしては、アデノウイルス、自己複製アルファウイルス、ワクシニアウイルス、セネカバレーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、マラバウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ヘルペスウイルス(HSV-1及びHSV-2を含む)、麻疹ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、コクサッキーウイルス、レンチウイルス、モルビリウイルス、インフルエンザウイルス、シンドビスウイルス、粘液腫ウイルス及び/またはレトロウイルスが挙げられるが、これらに限らない。本発明のIL-2スーパーカイン(本明細書に記載されているようなH9及びIL-2バリアント)を用いて、T細胞/OVをTMEに誘導することもできる。IL-2バリアント(H9など)は、エフェクターT細胞及びNK細胞をブーストできると同時に、IL-2バリアントは、Tregの活性を抑制できる。他の腫瘍溶解性ウイルスとしては、例えばoncoVex/T-VECを挙げることができ、このウイルスは、条件的に複製する単純ヘルペスウイルス(がん細胞に優先的に感染する)の腫瘍内注射を伴う。また、GM-CSFを発現するように操作したウイルスは、がん細胞の内側で複製でき、そのプロセスにおいて、その溶解を引き起こし、新たなウイルス及び一連の腫瘍抗原を放出し、GM-CSFを分泌する。このような腫瘍溶解性ウイルスワクチンは、腫瘍微小環境内でDCの機能を増強して、抗腫瘍免疫応答を刺激する。これらの腫瘍溶解性ウイルスを用いて、本明細書に記載されているIL-2ムテインを腫瘍に導いたり、または送達したりできる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインを発現できる導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)というアミノ酸置換を含むIL-2ムテインを発現できる導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)というアミノ酸置換を含むIL-2ムテインをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、治療用ペイロードとして発現する導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、治療用ペイロードは、本明細書に記載されているようなIl-2である。いくつかの実施形態では、治療用ペイロードは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)というアミノ酸置換を含むIL-2ムテインである。
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスである。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスベクターは、ウイルス粒子が、細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞結合性エンベロープウイルス(CEV)または細胞外エンベロープウイルス(EEV)という型の粒子であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス粒子は、EEVまたはIMVという種類の型である。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス粒子は、EEV型の粒子である。
概して、腫瘍細胞で優先的に複製するとともに、少なくとも1つの導入遺伝子(例えば、本明細書に記載されているようなIL-2ムテイン)を発現するベクターを含む組み換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、細胞及び医薬組成物の構築により、抗腫瘍効果及びアポトーシスの誘導が促され、対象における宿主免疫応答が調節される。本発明によれば、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたは腫瘍溶解性アデノウイルスをターゲティングし、及び/またはIL-2ムテインを発現させるために、腫瘍溶解性アデノウイルス及び腫瘍溶解性ワクシニアウイルスを、本明細書に記載されているようなIL-2発現部分またはターゲティング部分と組み合わせることができる。腫瘍溶解により、腫瘍抗原が放出され、共刺激危険シグナルが供給される。しかしながら、ウイルスを武装化させると、有効性をさらに向上できる。例えば、CD40リガンド(CD40L、CD154)は、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが知られているともに、いくつかの免疫機構も始動させる。これらの1つは、細胞傷害性T細胞を活性化させて、免疫抑制を低減させるTヘルパー1型(Thl)応答である。本発明は、本発明のIL-2ムテインを発現する腫瘍溶解性ウイルスを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のIL-2ターゲティング部分によってターゲティングされる(例えば、「武装化されている」)腫瘍溶解性ウイルスを提供する。
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、改変ワクシニアウイルスベクター、ウイルス粒子、宿主細胞、ワクシニアウイルスゲノムを含む医薬組成物及びキットであり、そのチミジンキナーゼ遺伝子は、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子における置換及び/または少なくとも1つのヌクレオチドをオープンリーディングフレームにおいて喪失させる欠失(それにより、部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子をもたらす)のいずれかによって不活化されており、そのワクシニア成長因子遺伝子は、欠失しており、その改変ワクシニアウイルスベクターは、非ウイルスタンパク質(例えば、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインであって、発現できるIL-2ムテイン)をコードする核酸配列を少なくとも1つ含む。別の態様では、その改変ワクシニアウイルスベクター、ウイルス粒子、医薬組成物またはキットは、対象において免疫応答を誘発するためのがん療法で用いることもできるし、哺乳動物において悪性細胞の増殖を阻害する方法で用いることもできるし、がんの療法または予防で用いることもできるし、対象において改変ワクシニアウイルスの存在を検出するために用いることもできるし、及び任意にアデノウイルスと組み合わせたin situがんワクチンとして用いることもできる。いくつかの実施形態では、本発明は、ワクシニアウイルスゲノムを含む改変ワクシニアウイルスを作製する方法であって、そのチミジンキナーゼ(TK)遺伝子における置換及び/または少なくとも1つのヌクレオチドをオープンリーディングフレームにおいて喪失させる欠失(それにより、部分的に欠失したチミジンキナーゼ遺伝子をもたらす)によって、そのチミジンキナーゼ遺伝子が不活化されており、ワクシニア成長因子遺伝子が欠失しており、その改変ワクシニアウイルスベクターが、非ウイルスタンパク質(例えば、本明細書に記載されているようなIL-2ムテイン)をコードする核酸配列を少なくとも1つ含み、ワクシニアウイルス粒子の産生を持続できるとともに、改変ワクシニアベクターを担持できるプロデューサー細胞をもたらす工程と、ウイルスの複製及び産生に適する条件で、そのプロデューサー細胞を培養する工程と、そのウイルス粒子を回収する工程を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインをコードする核酸で「武装化されている」か、またはその核酸を含む腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法であって、そのIL-2ムテインが、腫瘍の位置で発現するか、または対象の全身で発現する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインによって「武装化されている」かまたはターゲティングされる腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法も提供する。投与経路は当然ながら、腫瘍の位置及び性質によって変動し、その経路としては、例えば、皮内投与、経皮(transdermal)投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、皮下投与、局部的(例えば、腫瘍の近く、特に、血管系または腫瘍に隣接する血管系)、経皮(percutaneous)投与、気管内投与、腹腔内投与、動脈内投与、膀胱内投与、腫瘍内投与、吸入投与、灌流投与、洗浄投与及び経口投与が挙げられる。組成物は、特定の投与経路に関連させて調合する。
1.腫瘍溶解性ワクシニアウイルス
ワクシニアウイルスは、ポックスウイルス科のオルトポックスウイルス属のメンバーである。ワクシニアウイルスは、大きな二本鎖DNAゲノム(約200kb、約200遺伝子)を有し、複雑な形態形成経路が、各感染細胞から、独特の形態の感染性ビリオンをもたらす。ウイルス粒子は、コアの周囲に脂質膜(複数可)を含む。ウイルスのコアは、ウイルス構造タンパク質、小さく圧縮されたウイルスDNAゲノム、及び転写酵素を含む。ワクシニアウイルスの寸法は、約360×270×250nmであり、重量は、約5~10fgである。遺伝子は、非コードDNAがほとんどない状態で小さく束ねられており、オープンリーディングフレーム(ORF)には、イントロンがない。3つのクラスの遺伝子(初期、中期、後期)が存在する。初期遺伝子(約100遺伝子、最初期遺伝子及び後初期遺伝子)は、免疫の調節及びウイルスDNAの複製に主に関係するタンパク質をコードする。中期遺伝子は、後期遺伝子(例えば転写因子)の発現に必要となる調節タンパク質をコードし、後期遺伝子は、次の感染ラウンドを開始する目的で、新たなビリオンにパッケージングされるウイルス粒子及び酵素を作るのに必要なタンパク質をコードする。ワクシニアウイルスは、細胞の細胞質内で複製する。
様々なワクシニアウイルス株が特定されている(例:Copenhagen株、改変ワクシニアAnkara(MVA)株、Lister株、Tian Tan株、Wyeth株(New York City Board of Health株)、Western Reserve(WR)株)。WRワクシニアのゲノムは、シーケンシングされている(アクセッション番号AY243312)。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、Copenhagen株、改変ワクシニアAnkara(MVA)株、Lister株、Tian Tan株、Wyeth株またはWestern Reserve(WR)株のワクシニアウイルスである。
形態の異なるウイルス粒子ごとに、ウイルス生活環における役割が異なる。細胞内成熟ウイルス(IMV)、細胞内エンベロープウイルス(IEV)、細胞結合性エンベロープウイルス(CEV)、細胞外エンベロープウイルス(EEV)という、いくつかの形態のウイルス粒子が存在する。EEV粒子は、トランスゴルジ網に由来する外膜を有する。この外側の膜には、a)免疫による攻撃から、内部のIMVを保護する役割、及びb)細胞表面上へのウイルスの結合を媒介する役割という2つの重要な役割がある。
CEV及びEEVは、宿主由来の膜で取り囲まれることによって、ウイルスが宿主の抗体及び補体を回避するのを助ける。IMV粒子及びEEV粒子には、生物学的な特性にいくつか違いがあり、ウイルスの生活環において、異なる役割を果たす。EEV及びIMVは、異なる(不明の)受容体(1)に結合し、異なる機序によって細胞に入り込む。EEV粒子は、エンドサイトーシスによって細胞に入り込み、そのプロセスは、pH感受性である。インターナリゼーション後、酸性化したエンドソーム内で、EEVの外膜が破裂し、暴露されたIMVがエンドソーム膜と融合し、ウイルスのコアが細胞質内に放出される。一方で、IMVは、細胞膜とウイルス膜の融合によって細胞に入り込み、このプロセスは、pH非依存性である。これに加えて、CEVは、細胞表面からのアクチンテールの形成を誘導し、このテールが、ビリオンを、近くの非感染細胞の方に誘導する。
さらには、EEVには、抗体(NAb)及び補体の毒性による中和に対する耐性があり、IMVにはない。したがって、EEVは、in vitro及びin vivoにおいて、広範な拡散を媒介する。コメット阻害試験は、EEV特異的抗体を測定する方法の1つとなっている。遊離EEVをEEV NAbによって中和できなくても、感染細胞からのEEVの放出がEEV NAbによってブロックされ、コメット状のパターンが見えなくなるからである。EEVは、IMV粒子(粒子/pfu比が低い)よりも特異性の高い感染性を有し、このことにより、EEVは、治療で使用する興味深い候補となっている。しかしながら、EEVの外膜は、非常に脆弱な構造であり、EEV粒子は、慎重に扱う必要があり、それにより、治療用途に必要な量でEEV粒子を得るのは困難になっている。EEVの外膜は、低pH(pH約6)で破裂する。EEVの外膜が破裂すると、エンベロープ内側のウイルス粒子は、IMVとして完全な感染性を保持する。
宿主細胞由来のタンパク質のいくつかは、EEV調製物と共局在するが、IMVとは共局在せず、細胞由来のタンパク質の量は、宿主細胞株及びウイルス株に左右される。例えば、WR EEVは、細胞由来のタンパク質を、VV IHD-J株よりも多く含む。宿主細胞由来のタンパク質は、EEV粒子の生体作用を改変できる。例として、宿主膜タンパク質CD55が、EEVの表面に導入されると、その表面は、補体の毒性に対して耐性を持つようになる。本発明では、EEV粒子の表面におけるヒトA549細胞由来のタンパク質が、ウイルスをヒトがん細胞の方にターゲティングすることができることが示されている。類似の現象は、1型ヒト免疫不全ウイルスによる試験で示されており、この試験では、宿主由来のICAM-1糖タンパク質が、ウイルスの感染性を上昇させた。IEV膜は、少なくとも9個のタンパク質を含み、そのうちの2つは、CEV/EEVに存在しない。F12Lタンパク質及びA36Rタンパク質は、細胞表面へのIEVの輸送に関与し、これらのタンパク質は、取り残され、CEV/EEVの一部とならない(9,11)。F13L、A33R、A34R、A56R、B5R、E2、(K2L)という7つのタンパク質は、(IEV)/CEV/EEVに共通である。ワクシニアウイルスのWestern Reserve株では、通常、最大1%のウイルス粒子がEEVであり、プロデューサー細胞の腫瘍溶解前に、培養液上清に放出される。International Health Department(IHD)-J株のワクシニアからは、50倍以上のEEV粒子が放出される。しかしながら、IHDは、ヒトのがん治療での用途用として研究されたことがない。IHD-Wの表現型は、A34R EEVレクチン様タンパク質における点変異に主に起因していた。また、A34Rの欠失により、放出されるEEVの数が増加する。EEV粒子は、まず、感染から6時間後に細胞表面上で(CEVとして)検出でき、5時間後には、上清中で検出できる(IHD-J株)。低い多重感染度(MOI)で感染させると、ウイルス量が多い場合よりも、EEVの比率が高くなる。CEVとEEVのバランスは、宿主細胞及びウイルス株の影響を受ける。
ワクシニアは、天然痘の撲滅のために使用され、その後、外来遺伝子用の発現ベクターとして、ならびに感染症及びがんに対する組み換え生ワクチンとして使用されている。ワクシニアウイルスは、ヒトにおいて最も広く使用されているポックスウイルスであるので、ヒトでの使用に関する安全性データが豊富である。全世界での天然痘ワクチン接種プログラムでは、数十万人の人々が、改変ワクシニアウイルス株により、安全にワクチン接種を受け、深刻な有害事象が報告されたのは極めてまれに過ぎない。それらの有害事象は、全身性ワクシニア(ワクシニアが体の全身に拡散する)、多形性紅斑(毒性反応/アレルギー反応)、種痘性湿疹(皮膚の広範な感染)、進行性ワクシニア(組織破壊)及び種痘後脳炎である。
1960年代~1990年代に、早期臨床試験で、合計44人のメラノーマ患者を野生型ワクシニアウイルスで処置したところ、接種した腫瘍の客観的全奏効率は、50%であった。また、有益な免疫学的応答が多少見られた(36)。野生型ワクシニアウイルスは、膀胱癌、肺癌、腎臓癌及び骨髄腫の治療にも使用されており、軽度な有害事象が見られたに過ぎなかった。JX-594(GM-CSFをコードする腫瘍溶解性ワクシニアウイルスWyeth株)は、3件の第1相試験での評価において成功を収めており、無作為化第2相試験から得られた予備的な結果が、学会で発表されている。
ワクシニアウイルスは、いくつかの特徴により、がん遺伝子療法用として興味深いウイルスである。ワクシニアウイルスは、がん細胞に対して天然のトロピズムを有し、そのウイルス遺伝子のいくつかを欠失させることによって、選択性を有意に増強できる。本発明は、ウイルスチミジンキナーゼ(TK)及びワクシニア成長因子(VGF)という2つのウイルス遺伝子が、少なくとも部分的に欠失されている二重欠失ワクシニアウイルス(vvdd)を使用することに関するものである。TK遺伝子及びVGF遺伝子は、正常細胞では、ウイルスの複製に必要となるが、がん細胞では不要である。TKの部分欠失は、活性を付与するTK領域で操作し得る。
TKが欠失されたワクシニアウイルスは、DNAの合成及び複製のためには、分裂細胞に存在する、細胞のヌクレオチドプールに依存する。いくつかの実施形態では、TKの欠失により、静止細胞においては、ウイルスの複製が有意に制限され、活発に細胞分裂を行っている細胞(例えばがん細胞)のみで、効率的なウイルス複製が行われる。VGFは、感染細胞から分泌され、マイトジェンとして作用することによって、パラクラインプライミング作用を周辺細胞に及ぼす。VGFが欠失されたワクシニアウイルスの複製は、静止細胞(非がん細胞)において、大きく減弱する。TK及びVGFの欠失の作用は、相乗的であることが示されている。
2.腫瘍溶解性アデノウイルス
概して、アデノウイルスは、36kbの直鎖状の二本鎖DNAウイルスである(Grunhaus and Horwitz,1992)。「アデノウイルス」、すなわち「AAV」という用語には、AAV1型(AAV1)、AAV2型(AAV2)、AAV3型(AAV3)、AAV4型(AAV4)、AAV5型(AAV5)、AAV6型(AAV6)、AAV7型(AAV7)、AAV8型(AAV8)、AAV9型(AAV9)、AAV9_hu14、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV及びヒツジAAVが含まれる。「霊長類AAV」は、霊長類に感染できるAAVを指し、「非霊長類AAV」は、非霊長類の哺乳動物に感染できるAAVを指し、「ウシAAV」は、ウシ哺乳動物に感染できるAAVを指すなどである。
宿主細胞がアデノウイルスに感染すると、アデノウイルスDNAはエピソーマルに維持され、それにより、組み込まれるベクターと関連する遺伝毒性の可能性は低下する。また、アデノウイルスは、構造的に安定しており、大規模な増幅後でも、ゲノムの再構成が検出されたことはない。アデノウイルスは、実質的にすべての上皮細胞に、それらの細胞周期ステージにかかわらず感染できる(例えば、US20060147420(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)。さらに、アデノウイルスのE1a領域及びE4領域は、ヒト細胞への効率的な増殖感染に不可欠である。E1a遺伝子は、増殖感染において転写される最初のウイルス遺伝子であり、その転写は、いずれかの他のウイルス遺伝子産物の作用に依存しない。しかしながら、残りの初期ウイルス遺伝子の転写には、E1a遺伝子の発現が必要となる。E1aプロモーターは、E1a遺伝子の発現を調節するのに加えて、ウイルスゲノムのパッケージングのためのシグナル、及びウイルスDNAの複製の開始に必要な部位も集約する。Schmid,S.I.,and Hearing,P.in Current Topics in Microbiology and Immunology,vol.199:pages 67-80(1995)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性アデノウイルスである。天然のウイルスを操作して、腫瘍細胞において腫瘍溶解性作用をもたらすことができることが確立されている(Wildner,2001、Jacotat,1967、Kim,2001、Geoerger et al.,2002、Yan et al.,2003、Vile et al.,2002(それぞれ、参照により、本明細書に援用される))。アデノウイルスの場合には、そのアデノウイルスゲノムにおける特定の欠失により、そのウイルスが、正常な静止細胞内で複製する能力を減弱させることができる一方で、腫瘍細胞で複製する能力は保持される。このように条件的に複製するアデノウイルス1つであるΔ24が、Fueyo et al.(2000)によって説明されており、米国特許出願公開第20030138405号も参照されたい(それぞれ、参照により、本明細書に援用される)。Δ24アデノウイルスは、アデノウイルス5型(Ad-5)に由来し、E1A遺伝子のCR2部分に、24塩基対の欠失を含む。例えば、WO2001036650A2(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい。
腫瘍溶解性アデノウイルスには、Δ24のように、条件的に複製するアデノウイルス(CRAD)が含まれ、これらのウイルスは、バイオ治療剤として使用する候補となる特性をいくつか有する。このような特性の1つは、許容細胞または許容組織において複製する能力であり、その能力は、腫瘍溶解性ウイルスの元々の投入量を増幅して、その薬剤が、隣接腫瘍細胞に拡散するのを助けて、直接的な抗腫瘍作用をもたらす。
いくつかの実施形態では、武装化されたΔ24を産生するための導入遺伝子発現アプローチによる、Δ24の腫瘍溶解性成分である。武装化されたΔ24アデノウイルスは、腫瘍内で、バイスタンダー効果をもたらしたり、もしくは増強したり、及び/または患者もしくは腫瘍関連組織及び/または腫瘍関連細胞において、腫瘍溶解性アデノウイルスの検出/撮像を行ったり、もしくは増強したりするのに利用し得る。いくつかの実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスを様々な導入遺伝子策(例えば、IL-2ムテインの発現)を組み合わせると、例えば、様々な難治性腫瘍に対する潜在能力を含め、潜在的な治療能力が改善することになるとともに、撮像能力が向上する。特定の実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスは、複製欠損アデノウイルス、別の腫瘍溶解性ウイルス、複製コンピテントなアデノウイルス及び/または野生型アデノウイルスと投与してよい。それぞれのウイルスは、他のアデノウイルスと同時に、またはその前または後に投与してよい。
いくつかの実施形態では、E1aアデノウイルスベクターは、CAATボックス、TATAボックス及び転写開始のための開始部位を含め、基本アデノウイルスE1aプロモーターが、腫瘍特異性を示す基本プロモーターに置換されていることを含み、その基本プロモーターは、好ましくはE2F応答性であり、より好ましくはヒトE2F-1プロモーターである。したがって、このウイルスは、E2F応答性プロモーターからの転写を活性化する分子を欠損しているか、またはそのような分子が非機能的である細胞で抑制されることになる。正常な非分裂細胞、すなわち静止細胞が、このケースに当たる。転写因子E2Fが、pRb、すなわち網膜芽腫タンパク質に結合しているので、E2F応答性プロモーターに結合して活性化するためにE2Fを利用できないからである。これに対して、遊離E2Fを含む細胞は、E2Fに基づく転写に対応するはずである。このような細胞の例は、pRb機能を欠損していて、ウイルスの増殖感染を起こすことができる腫瘍性細胞である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているようなIL-2部分を用いて、E1aアデノウイルスベクターをターゲティングする。
E1aプロモーターにあるエンハンサー配列、パッケージングシグナル及びDNA複製開始部位の保持により、pRb機能を欠損している腫瘍性細胞において、アデノウイルス感染が野生型レベルまで進行するようになる。本質的に、改変E1aプロモーターにより、腫瘍特異的な転写活性化が行われ、その結果、腫瘍特異的な殺傷が十分に行われ、さらには、正常細胞での安全性が増強される。
いくつかの実施形態では、E1aアデノウイルスベクターは、内因性E1aプロモーターをE2F応答性プロモーターに置換することによって調製し、アデノウイルス5型ゲノムにおける375番目のヌクレオチドの上流のエレメントは、インタクトなままである。このヌクレオチドの番号付けは、Schmid,S.I.,and Hearing,P.Current Topics in Microbiology and Immunology,vol.199:pages 67-80(1995)に記載されているとおりである。このエレメントには、ウイルスゲノムのパッケージング用として特定された7つのAリピートモチーフのすべてが含まれる。375番目のヌクレオチドから536番目のヌクレオチドまでの配列は、BsaAIまたはBsrBIの制限開始部位によって欠失させ、その一方で、E1Aタンパク質の翻訳開始コドンの上流の23塩基対は保持したままとする。既知の材料及び方法を用いて、欠失させた内因性E1aプロモーター配列を、E2F応答性プロモーター、好ましくはヒトE2F-1に置換する。E2F-1プロモーターは、実施例1に記載されているようにして単離してよい。
E4領域は、アデノウイルス感染の後期に生じるイベントの多くに関与し、効率的なウイルスDNAの複製、後期でのmRNAの蓄積及びタンパク質の合成、スプライシング、ならびに宿主細胞タンパク質の合成の停止に必要となる。E4転写ユニットの大半が欠損しているアデノウイルスは、複製が著しく欠損しており、概して、高い力価を得るためには、E4相補細胞株で増殖させる必要がある。E4プロモーターは、ウイルスゲノムの右端近くに位置し、複数のオープンリーディングフレーム(ORF)の転写を制御する。このプロモーターでは、最大の転写活性を媒介するのに不可欠である多くの調節エレメントが特徴付けられている。これらの配列に加えて、E4プロモーター領域は、ウイルスDNAの複製のために必要である調節配列を含む。E4プロモーター、及びこれらの調節配列の位置の記述は、米国特許第7,001,596号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)の図2及び3に見ることができる。
いくつかの実施形態では、アデノウイルスベクターは、E4基本プロモーターが、腫瘍特異性を示すことが示されているプロモーター、好ましくは、E2F応答性プロモーター、より好ましくは、ヒトE2F-1プロモーターに置換されている。E4の発現を駆動するのに、E2F応答性プロモーターが好ましい理由は、E1aプロモーターが、E2F応答性プロモーターに置換されているE1aアデノウイルスベクターに関して、上で論じた理由と同じである。pRbの腫瘍抑制因子の機能は、pRbが、E2F-1プロモーターのようなE2F応答性プロモーターを抑制する能力と相関する(Adams,P. D.,and W.G.Kaelin,Jr.1995,Cancer Biol.6:99-108、Sellers,W.R.,and W.G.Kaelin.1996,published erratum appears in Biochim Biophys Acta 1996 Dec.9;1288(3)、E-1,Biochim Biophys Acta.1288:M1-5、Sellers,W.R.,J.W.Rodgers,and W.G.Kaelin,Jr.1995,Proc Natl Acad Sci USA.92:11544-8)。ヒトE2F-1プロモーターは、広範に特徴付けられており、pRb/p107、E2F-1/-2/-3及びG1サイクリン/cdk複合体、ならびにE1Aを含め、pRbシグナル伝達経路に応答することが示されている(Johnson,D.G.,K.Ohtani,and J.R.Nevins.1994,Genes Dev.8:1514-25、Neuman,E.,E.K.Flemington,W.R.Sellers,and W.G.Kaelin,Jr.1995. Mol Cell Biol.15:4660、Neuman,E.,W.R.Sellers,J.A.McNeil,J.B.Lawrence,and W.G.Kaelin,Jr.1996,Gene.173:163-9)。この調節は、全部ではないが、大半が、E2F-1プロモーター内に存在する複数のE2F部位の存在に起因している。すなわち、この改変(これらの改変)を有するウイルスは、インタクト(野生型)のpRb経路を含む正常細胞で減弱するが、pRbの抑制機能を欠損している細胞では、通常の感染/複製プロファイルを示すと予想される。この変異体ウイルスの通常の感染/複製プロファイルを維持するために、我々は、E4プロモーターの遠位端に、逆位末端反復配列(ITR)を保持させた。ITRは、ウイルスDNAの複製に必要となるすべての調節エレメントを含むからである(Hatfield,L.and P.Hearing.1993,J.Virol.67:3931-9、Rawlins,D.R.,P.J.Rosenfeld,R.J.Wides,M.D.Challberg,and T.J.Kelly,Jr.1984,Cell.37:309-19、Rosenfeld,P.J.,E.A.O’Neill,R.J.Wides,and T.J.Kelly.1987,Mol Cell Biol.7:875-86、Wides,R.J.,M.D.Challberg,D.R.Rawlins,and T.J.Kelly.1987,Mol Cell Biol.7:864-74)。これにより、pRb経路を欠損した腫瘍細胞のうち、このウイルスに感染した腫瘍細胞において、野生型レベルのウイルスの到達が促進される。
いくつかの実施形態では、E4プロモーターは、ウイルスゲノムの右端近くに位置し、複数のオープンリーディングフレーム(ORF)の転写を制御する(Freyer,G.A.,Y.Katoh,and R.J.Roberts.1984, Nucleic Acids Res.12:3503-19、Tigges,M.A.,and H.J.Raskas.1984. Splice junctions in adenovirus 2 early region 4 mRNAs:multiple splice sites produce 18 to 24 RNAs. J.Virol.50:106-17、Virtanen,A.P.Gilardi,A.Naslund,J.M.LeMoullec,U.Pettersson,and M.Perricaudet.1984,J.Virol.51:822-31)。このプロモーターでは、転写活性を媒介する多くの調節エレメントが特徴付けられている(Berk,A.J.1986,Annu Rev Genet.20:45-79、Gilardi,P.,and M.Perricaudet.1986,Nucleic Acids Res.14:9035-49、Gilardi,P.,and M.Perricaudet.1984,Nucleic Acids Res.12:7877-88、Hanaka,S.,T.Nishigaki,P.A.Sharp,and H.Handa.1987,Mol Cell Biol.7:2578-87、Jones,C.,and K.A.Lee.1991,Mol Cell Biol.11:4297-305、Lee,K.A.,and M.R.Green.1987,Embo J.6:1345-53)。これらの配列に加えて、E4プロモーター領域は、ウイルスDNAの複製に関与するエレメントを含む(Hatfield,L.,and P.Hearing.1993,J Virol.67:3931-9、Rawlins,D.R.,P.J.Rosenfeld,R.J.Wides,M.D.Challberg,and T.J.Kelly,Jr.1984,Cell.37:309-19、Rosenfeld,P.J.,E.A.O’Neill,R.J.Wides,and T.J.Kelly.1987,Mol Cell Biol.7:875-86、Wides,R.J.,M.D.Challberg,D.R.Rawlins,and T.J.Kelly.1987,Mol Cell Biol.7:864-74)。E4プロモーター、及びこれらの調節配列の位置の記述は、図1及び2に見ることができる。Jones,C.,and K.A.Lee. Mol Cell Biol.11:4297-305(1991)も参照されたい。これらの考察を考慮して、35,576番目のヌクレオチドにおけるXhoI部位、及び35,815番目のヌクレオチドにおけるSpeI部位という2つの新規な制限酵素部位を作ることによって、E4プロモーターシャトルを設計した(図3を参照されたい)。XhoI及びSpeIの両方で消化すると、35,581~35,817番目のヌクレオチドが除去される。これにより、E4の転写に最大級の影響を及ぼすことが知られているすべての配列を含め、E4転写開始部位を基準にして-208番目から+29番目の塩基が効果的に排除される。特に、この配列には、プロモーターの活性化に最も大きい影響を及ぼすことが示されている、E4F結合部位の2つの逆位反復配列が含まれる。しかしながら、ウイルスDNAの複製に不可欠である、3つのSp1結合部位のすべて、5つのATF結合部位のうちの2つ、ならびにNF1結合部位及びNFIII/Oct-1結合部位の両方は保持される。
いくつかの実施形態では、E2F応答性プロモーターは、ヒトE2F-1プロモーターである。E2F-1プロモーターにおける調節エレメントのうち、pRb経路に対する応答を媒介する重要な調節エレメントは、in vitro及びin vivoの両方でマッピングされている(Johnson,D.G.,K.Ohtani,and J.R.Nevins.1994,Genes Dev.8:1514-25、Neuman,E.,E.K.Flemington,W.R.Sellers,and W.G.Kaelin,Jr.1995,Mol Cell Biol.15:4660、Parr,M.J.,Y.Manome,T.Tanaka,P.Wen,D.W.Kufe,W.G.Kaelin,Jr.,and H.A.Fine.1997,Nat Med.3:1145-9)。したがって、我々は、SpeI部位及びXhoI部位をそれらの塩基対に組み込むプライマーを用いたPCRによって、転写開始部位を基準にして-218番目から+51番目までの塩基対から、ヒトE2F-1プロモーター断片を単離した。これにより、E4プロモーターシャトルに存在する同じ部位が作られ、E4プロモーターをE2F-1プロモーターに直接置換可能になる。
F.変異体IL-2をコードする核酸分子
いくつかの実施形態では、本発明のIL-2ムテインは、単独で、または上に記載されているようなキメラポリペプチド(二重特異性IL-2サイトカイン融合体を含む)の一部として、核酸分子の発現によって得ることができる。IL-2ムテインを、野生型IL-2ポリペプチドとの同一性の観点で説明できるように、IL-2ムテインをコードする核酸分子は必ず、野生型IL-2をコードする核酸分子と特定の同一性を有することになる。例えば、本発明のIL-2ムテインをコードする核酸分子は、野生型IL-2(例えば配列番号2)をコードする核酸と少なくとも50%、少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも95%(例えば99%)同一であることができる。
提供する核酸分子は、天然の配列、または天然で見られる配列とは異なるが、遺伝暗号の縮退により、同じポリペプチドをコードする配列を含むことができる。これらの核酸分子は、RNAもしくはDNA(例えば、ゲノムDNA、cDNAもしくは合成DNA(ホスホロアミダイトベースの合成によって作製したDNAなど))、またはこれらの種類の核酸内のヌクレオチドを組み合わせるかもしくは改変したものからなることができる。加えて、その核酸分子は、二本鎖、または一本鎖(すなわち、センス鎖もしくはアンチセンス鎖のいずれか)であることができる。
その核酸分子は、ポリペプチドをコードする配列に限らず、コード配列(例えば、IL-2のコード配列)から上流または下流にある非コード配列の一部または全部も含めることができる。分子生物学の当業者は、核酸分子を単離するための常法の手順に精通している。それらの分子は、例えば、ゲノムDNAを制限酵素で処理するか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことによって作製できる。その核酸分子がリボ核酸(RNA)である場合には、分子は、例えば、in vitro転写によって作製できる。
本開示の例示的な単離核酸分子は、天然の状態などでは見られない断片を含むことができる。すなわち、本開示には、ベクター(例えば、プラスミドもしくはウイルスベクター)に、または異種の細胞のゲノムに(もしくは天然の染色体位置以外の位置で、相同な細胞のゲノムに)、核酸配列(例えば、変異体IL-2をコードする配列)が組み込まれているような組み換え分子が含まれる。
上記のように、本発明のIL-2ムテインは、キメラポリペプチドの一部として存在してよい。上記の異種のポリペプチドに加えて、またはその代わりに、本発明の核酸分子は、「マーカー」または「レポーター」をコードする配列を含むことができる。マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子の例としては、β-ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、lacz(β-ガラクトシダーゼをコードする)及びキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)が挙げられる。当業者は、例えば、マーカーまたはレポーターの機能を果たすことができる追加の配列の追加の有用な試薬を認識するであろう。
本発明の核酸分子は、IL-2をコードするDNAであって、いずれかの生体細胞(哺乳動物の細胞など)から得たDNAに、変異を導入することによって得ることができる。すなわち、本発明の核酸(及びその核酸がコードするポリペプチド)は、マウス、ラット、モルモット、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウサギ、サル、ヒヒ、イヌまたはネコのものであることができる。一実施形態では、核酸分子は、ヒトの分子となる。
G.キメラ抗原受容体(CAR)
標的免疫療法は、悪性腫瘍の治療において有望な研究分野として台頭しており、近年、大きな関心が寄せられている。実際、CD19悪性細胞を標的とする操作済みまたは遺伝子改変済みのT細胞によって、リンパ腫患者の治癒が報告されている。このことにより、遺伝子療法及び免疫療法の標的として、がん細胞上に存在する抗原に対する関心が増大している。これらのCARを用いて、本明細書に記載されている二重特異性IL-2サイトカイン融合体及び/またはIL-2ムテインを腫瘍に導いたりもしくは送達したりでき、または全身でIL-2ムテインを発現させることさえできる。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。
特定の腫瘍抗原を特異的に標的とするように、自己または同種異系のT細胞またはNK細胞を遺伝子操作することにより、細胞傷害性免疫応答の誘導が、大半の腫瘍細胞によって無効化されるのを回避するための方策が得られる。いくつかの実施形態では、これらの遺伝子操作済みのT細胞またはNK細胞を用いて、本明細書に記載されているIL-2ムテインを腫瘍にターゲティングして、例えば、そのIL-2ムテインが、その腫瘍の場所で発現するようにできる。これらの技法は、ヒト免疫細胞の遺伝子改変をベースとしており、その際に、その免疫細胞は、患者またはドナーから、白血球アフェレーシスによって採取してよい。特定の細胞、通常T細胞を精製し、対象となるがん抗原を標的とする受容体を発現するように操作する。操作では、レトロウイルス、レンチウイルス、トランスポゾン、mRNAエレクトロポレーションなどによるトランスダクションを用いてよい。免疫細胞を所望の量まで増加させて、患者に導入してよい。その操作済み細胞は、細胞媒介性の傷害作用(細胞傷害性T細胞)を通じて、がん細胞を特異的に殺傷したり、及び/または腫瘍の免疫認識、サイトカインの放出及び免疫細胞の動員によって、がん細胞に対する免疫応答を誘発したりできる。
例えば、悪性腫瘍の免疫遺伝子療法に、キメラ抗原受容体(CAR)を適用することは、有望な方策であり、このCARでは、抗体またはリガンド結合ドメインが、T細胞受容体のζシグナル伝達鎖と融合している。得られたCAR免疫細胞を、新たに獲得した特異性によってリダイクレクトし、遺伝子を改変したそのT細胞受容体によって認識される表面抗原または受容体を発現している腫瘍を攻撃するとともに、このCAR免疫細胞によって、高度に調節された形式の正常な宿主免疫応答を通じて、腫瘍を攻撃する細胞療法が実現する。これらの細胞は、脳循環及び体循環の全体にわたって自由に循環し、共局在化及びバイオアベイラビリティのニーズにおける問題を少なくする。
何世代ものCAR免疫細胞が開発されてきた。CARは、腫瘍特異的なscFv抗体またはその他の細胞外リガンド結合ドメインを、TCRと会合されたCD3ζシグナル伝達ドメイン、または共刺激タンパク質受容体由来の別の細胞内シグナル伝達ドメインのいずれかに融合することによって作製する。この構造により、CARは、B細胞抗原受容体の腫瘍特異性を有するとともに、MHCとの結合とは無関係に、T細胞抗原受容体を通じて、T細胞を活性化するようになる。第1世代のCARは、TCRのシグナル伝達を可能にするために、細胞内シグナル伝達ドメインを1つ、典型的にはCD3ζシグナル伝達ドメインとともに含んでいた。第2世代のCARは、2つの細胞内シグナル伝達ドメイン、すなわち、CD28シグナル伝達ドメインまたは4-1BBシグナル伝達ドメインのいずれかを含む共刺激ドメインを、CD3ζシグナル伝達ドメインと結合したものを有する。この構成により、CARのscFv領域によって抗原が認識されると、T細胞の活性化及び増殖が行われる。第3世代のCARは、2つの共刺激ドメインと、CD3ζシグナル伝達ドメインとを有する。第1の共刺激ドメインは、CD28ドメインまたは4-1BBドメインのいずれかであり、第2の共刺激ドメインは、CD28ドメイン、4-1BBドメインまたはOX40ドメインのいずれかからなる。第4世代の「武装化CAR T細胞」では、CAR T細胞の殺腫瘍活性作用を増強するために、第2世代のCARと、サイトカインを含む追加の様々な遺伝子及び共刺激リガンドが組み合わされている。例えば、Batlevi et al.(2016)Nature Reviews Clinical Oncology 13:25-40を参照されたい。米国特許第7,741,465号及び国際公開第WO2014127261号(いずれも、参照により、その全体が、本明細書に援用されるも参照されたい。
T細胞のターゲティングに対する代替的なアプローチとしては、「Trifunctional T cell antigen Coupler and Methods and Uses thereof」という名称の国際公開第WO2015/117229号(参照により、本明細書に具体的に援用される)に記載されているようなT細胞抗原カップラーが挙げられる。T細胞抗原カップラーシステムは、標的特異的なポリペプチドリガンド、TCR複合体と関連するタンパク質、例えばCD3(TCR、T細胞受容体)に結合するscFvと結合して、T細胞の活性化を刺激するリガンド、及びT細胞受容体シグナル伝達メイン、例えば、T細胞の活性化を増幅するCD4膜貫通細胞内ドメインという3つのドメインを連結したものを含む。TACは、TCRを通じて、T細胞の活性化を刺激することによって、T細胞の本質的な分子機構とともに働くように操作されている。
T細胞受容体と結合した抗体が、T細胞のターゲティングの別のアプローチである。ACTRは、CARと確立済みのモノクローナル抗体によるオンコロジー医薬に対するハイブリッドなアプローチである。ACTRは、Fc受容体CD16の高親和性バリアントを通じて、抗体の重鎖と結合できる典型的なCARコンストラクトで構成される。ACTR-T細胞は、特異的ながん抗原にターゲティングされるリガンドと結合することによって、腫瘍を標的とできる。T細胞の活性化は、CARモジュールによって行われる。
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)は、がんを標的とするリガンドと、T細胞を腫瘍に架橋するCD3結合性scFvドメインという2つのモジュールを通じて、T細胞のTCRと標的腫瘍細胞を結合できる二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、スーパーカインを含む二重特異性融合タンパク質は、Bi-functional SuperKines as ImmunoTherapies(BiSKIT)と称されることもある。いくつかの実施形態では、新規なインターロイキンスーパーアゴニスト、部分アゴニスト及びスーパーアンタゴニストは、指向性進化を用いて設計する。いくつかの実施形態では、合理的なアプローチを用いて、機能的活性を遮断することなく、長時間作用型のIL-2スーパーカイン、IL-4スーパーカイン及びIL-13スーパーカインをさらに設計する。
いくつかの実施形態では、酵母ディスプレイとともに、指向性進化を用いるプラットフォームにより、調整可能なスーパーカインをもたらす。いくつかの実施形態では、このようなプラットフォームによって、特有の特性を有するIL-2スーパーカイン、IL-4スーパーカイン及びIL-13スーパーカインの広範なライブラリーを作製する(図55)。いくつかの実施形態では、MDNA109は、アゴニスト活性が増強されている操作済みバージョンのヒトIL-2である(図56)。いくつかの実施形態では、「IL-2スーパーカイン」のMDNA109ファミリーは、PK特性が改善するとともに、治療域をさらに改善させるための選択性が増強されるように操作されている(図57)。
いくつかの実施形態では、MDNA11は、CD122に対する親和性が独自に増強された「βのみの」スーパーカインである(図58)。いくつかの実施形態では、MDNA11は、免疫エフェクター細胞を優先的に刺激する(図59)。いくつかの実施形態では、MDNA11は、MC38腫瘍モデルにおいて、単独療法での抗腫瘍有効性と、抗PD1との併用効果を示す(図60)。いくつかの実施形態では、抗CTLA4と併せたMDNA11は、腫瘍の消失を誘導し、リチャレンジから保護し、抗原特異的なCD8 T細胞を促す(図61)。いくつかの実施形態では、MDNA11は、NHPにおいて、免疫エフェクター細胞の耐性及び持続性のある増殖及び増加を誘導するが、Tregsでは誘導しない(図62)。
いくつかの実施形態では、Superkine Targeted with Antibody(STAb)では、腫瘍での蓄積が増強される(図63)。いくつかの実施形態では、STAbは、チェックポイント耐性及び「コールド」腫瘍を克服する(図64)。
いくつかの実施形態では、IL-4受容体及びIL-13受容体は、がんにおいて重要な役割を果たす(図65)。いくつかの実施形態では、MDNA55は、腫瘍細胞及び腫瘍微小環境(MDSC及びTAM)に発現した2型IL-4Rを標的とする強力なペイロードを有する増強型のスーパーカインである。いくつかの実施形態では、MDNA413は、2型IL-4Rを介して、IL-4及びIL-13のシグナル伝達をブロックして、MDSC及びTAMを抑制するスーパーアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、MDNA132は、固形腫瘍上に過剰発現するデコイIL-13Rα2を選択的に標的とするスーパーカインである。いくつかの実施形態では、MDNA132は、腫瘍特異的な抗原を標的とする操作済みバージョンのヒトIL-13である(図66)。いくつかの実施形態では、MDNA132は、T細胞エンゲージャー及びチェックポイント阻害剤を腫瘍に局在化させる際に役割を果たす(図67)。
いくつかの実施形態では、MDNA413は、アンタゴニスト活性を示す操作済みバージョンのヒトIL-13である(図68)。いくつかの実施形態では、Fc-MDNA413は、IL-4及びIL-13の誘導によるシグナル伝達及び機能を阻害する(図69)。
いくつかの実施形態では、二重特異性サイトカイン(DUCK Cancer)は、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413であり、図70に示されているような作用機序を有する。
標的療法は、IL13にコンジュゲートされた細菌毒素、ナノ粒子、腫瘍溶解性ウイルス、ならびにモノクローナル抗体、IL13Rα2パルス樹状細胞及びIL13Rα2標的キメラ抗原受容体を用いた免疫療法を含め、IL13Rα2に対して開発されてきた(Kahlon et al.(2004)Cancer Research.64(24):9160-9166、Kong et al.(2012)Clinical Cancer Research.18(21):5949-5960、Thaci et al.(2014)Neuro-Oncology、ならびに臨床試験NCT02208362、NCT00730613及びNCT01082926を参照されたい)。いくつかの実施形態では、これらの標的療法を用いて、IL-2ムテインを腫瘍に送達できる。
IL-13の活性を選択的に変更させる生物製剤は、T細胞の特異性を操作することによる、特定のがんの治療を含め、多くの治療目的で注目されている。本発明は、この課題に対処するものである。
キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞抗原カップラー(TAC)、抗体結合T細胞受容体(ACTR)及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(これらに限らない)を含む標的化組成物によって、抗腫瘍免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞などを増強するための方法及び組成物を提供し、この場合には、IL-13スーパーカインまたはIL-4スーパーカインが、標的特異的なリガンドをもたらす。さらなる実施形態では、免疫エフェクター細胞が、IL-2ムテインを発現する。
IL-2スーパーカイン配列を含む免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトを提供し、このコンストラクトは、本明細書に記載されているようないずれかのIL-2配列を含むことができる。スーパーカインは、少なくとも1つの受容体を発現している細胞、例えば腫瘍細胞に、免疫細胞をターゲティングするのに有用である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。
そのコンストラクトのIL-2スーパーカイン成分またはIL-2ムテイン成分は、少なくとも約50アミノ酸長、少なくとも約75アミノ酸長、少なくとも約100アミノ酸長、少なくとも約110アミノ酸長、少なくとも約115アミノ酸長、最大で、膜貫通ドメインにおける野生型タンパク質の完全長、すなわち、約116アミノ酸長であってよい。例えば、そのスーパーカインまたはムテインは、CARのヒンジドメイン、膜貫通ドメインまたはシグナル伝達ドメインに融合されていてもよい。例示的なポリペプチド配列は、示されている。
スーパーカインまたはムテインとして含まれるのは、これらの配列と90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列及び核酸コード配列、それらの配列を含むうえに、3’末端または5’末端に、追加のヌクレオチド、例えば、いずれかの数の追加のヌクレオチドまたはコドン(3個、6個、9個もしくは12個以上のヌクレオチド、または最大で約12個、20個、50個もしくは100個の追加のヌクレオチドなど)も含むさらに長い配列、ならびに遺伝暗号の縮退により、これらの核酸と同じアミノ酸配列をコードするいずれかの配列である。特に、所望の宿主による発現に合わせて、コドン最適化(CO)されている配列は、本発明の一部として企図されている。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、90%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、95%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、98%同一である。いくつかの実施形態では、そのアミノ酸配列は、99%同一である。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドは、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトに連結されている。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、CD3-ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOS及びCD137に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトもしくは発現コンストラクト、または発現は、CD3-ζに由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、CD28に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、DAP10に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、OX-40に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、CD137に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、本明細書に示されているものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、配列番号2~配列番号38に示されているものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
1.NK細胞
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、NKG2D、CD16、ならびにナチュラルキラー細胞の細胞傷害性受容体(NCR)(NKp44、NKp46及びNKp30など)を含む複数の細胞表面受容体を通じて、感染細胞または形質転換細胞を認識する。これらの受容体は、DAP10、DAP12及びCD3ζのようなシグナル伝達アダプタータンパク質を活性化し、これらのタンパク質は、パーフォリン及びグランザイムを含む細胞傷害性顆粒の放出を開始するとともに、IFN-γ及びTNF-αのようなサイトカイン及びケモカインの産生及び放出を媒介する免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。重要なことに、NK細胞媒介性細胞傷害は、自己HLAの提示には依存しない。したがって、NK細胞は、同種異系の設定で用いることができるとともに、既製の細胞製品を実現できる可能性があることにより、細胞ベースのがん療法として、臨床上大きな関心が保たれている。
ナチュラルキラー細胞は、養子免疫療法でのT細胞の使用に対する代替策をもたらす。ナチュラルキラー細胞では、HLAの一致が不要であるので、同種異系エフェクター細胞として使用できるからである。養子導入する同種異系NK細胞の臨床試験により、これらの細胞が、患者において、数週間から数カ月生存できることが示されている。加えて、NK細胞でCARを発現させることにより、これらの細胞は、NK細胞媒介性の活性に耐性を持つことが多い固形腫瘍を、典型的にはNK細胞感受性が高めである血液悪性腫瘍(特に急性骨髄性白血病)よりも効果的に殺傷可能になる。NK細胞のターゲティングに有用なCARとしては、例えば、CD3ζを唯一のシグナル伝達ドメインとして含む第1世代のCARコンストラクトが挙げられる。第2世代及び第3世代のCARも、NK細胞において有用である。いくつかの実施形態では、NKG2D(NK細胞活性化受容体)の細胞外ドメインが、CD3ζに直接連結されている。
改変用のNK細胞としては、細胞株または末梢血NK細胞が挙げられ、末梢血NK細胞は、ドナーから、単純な採血を通じて、またはもっと多くの細胞が必要な場合には、アフェレーシスによって単離できる。活性化PB-NK細胞は、CD16、NKp44及びNKp46、ならびにKIR(NK細胞のライセンシングにおいて、重要な役割を果たす)のような広範な活性化受容体を発現する。加えて、PB-NK細胞は、その細胞に照射を行うことなく投与できるので、in vivoで増殖する能力を有する。CARを発現させるのに適するNK細胞の別の供給源は、ヒト多能性幹細胞(誘導多能性幹細胞(iPSC)またはヒト胚性幹細胞(hESC)の両方)に由来するNK細胞である。これらのNK細胞は、PB-NK細胞と類似の表現型を示し、hESC/iPSC-NK細胞は、臨床スケールで成長することができる。
2.キメラ抗原受容体(CAR)
スーパーカイン配列に加えて、CARは、CD3ζのシグナル伝達ドメイン、ならびにCARを発現している免疫細胞のリサイクル、生存及び/または増加をさらに促進する1つ以上の共刺激受容体のシグナル伝達ドメインを含む。その共刺激受容体のシグナル伝達ドメインは、細胞で活性化シグナルを生成する各受容体タンパク質の細胞内部分である。例は、天然型のCD28分子の180~220番目のアミノ酸、及び天然型の4-1BB分子の214~255番目のアミノ酸である。
スーパーカインをシグナル伝達領域に連結する適切なヒンジ領域及び膜貫通領域の例としては、免疫グロブリンの定常(Fc)領域、ヒトCD8a、ならびに標的細胞へのアクセス及び結合の改善のために、ターゲティング部分を細胞表面から遠くに移動させる役割を果たす人工のリンカーを挙げてよいが、これらに限らない。適切な膜貫通ドメインの例としては、白血球CDマーカーの膜貫通ドメイン、好ましくは、CD4またはCD28の膜貫通ドメインが挙げられる。細胞内受容体シグナル伝達ドメインの例としては、T細胞抗原受容体複合体、好ましくは、CD3のζ鎖が挙げられるが、CARを膜内に固定するのに十分であるいずれの膜貫通領域も用いることができる。当業者は、数多くの膜タンパク質において膜貫通ドメインを作る数多くの膜貫通領域及び構造エレメント(新油性のアミノ酸領域など)を認識しており、したがって、いずれかの利便的な配列を置換できる。CAR発現細胞の機能及び活性を向上させるのに適するT細胞共刺激シグナル伝達受容体としては、CD28、CD137及びOX-40が挙げられるが、これらに限らない。
CD28を介したシグナル伝達は、IL2の産生及び増殖に必要であるが、T細胞の機能及び活性の持続では、中心的な役割は果たさない。CD137(CD28の活性化後に発現する腫瘍壊死因子受容体ファミリーメンバー)及びOX-40は、T細胞の長期生存及びT細胞の蓄積を促すのに関与する。これらの受容体のリガンドは典型的には、樹状細胞及び活性化マクロファージのようなプロフェッショナルな抗原提示細胞上に発現するが、腫瘍細胞上には発現しない。CD4 T細胞において、CD28及び/または4-1BBのシグナル伝達ドメインが組み込まれているCARを発現させると、それらの細胞の活性及び抗腫瘍効果が、CD3ζシグナル伝達ドメインしか含まないCARを発現する細胞よりも増強される(このコンストラクトは、第2世代または第3世代のCARと称する場合もある)。
対象となるCARコンストラクトとして含まれるのは、タンデムCARであり、例えば、Hegde et al.(2016)J.Clin.Invest 126(8):3036-3052(参照により、本明細書に具体的に援用される)を参照されたい。このようなコンストラクトでは、腫瘍特異的な抗原に対する結合部分が、IL-13スーパーカインとタンデムに組み合わされている。その結合部分は例えば、当該技術分野において知られているようなHER-2、EGFR、CD20など(これらに限らない)を含め、腫瘍細胞抗原に特異的なscFvであってよい。
様々な実施形態では、抗原結合ドメインは、標的細胞、例えばがん細胞上の抗原に結合する。その抗原結合ドメインは、腫瘍標的抗原(ただし、これらに限らない)のような抗原と結合できる。場合によっては、その抗原結合ドメインは、1つ以上の抗原と結合する。例示的な抗原結合ドメインは、D19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1(CD2サブセット1、CRACC、SLAMF7、CD319及び19A24ともいう)、C型レクチン様分子-1(CLL-1またはCLECL1)、CD33、上皮細胞成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドGD3、TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA)、Tn抗原((Tn Ag)または(GalNAcα Ser/Thr))、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、CD38、CD44v6、がん胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EPCAM)、B7H3(CD276)、KIT(CD117)、インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Rα2またはCD213A2)、メソセリン、インターロイキン11受容体α(IL-11Ra)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、プロテアーゼセリン21(テスチシンまたはPRSS21)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ルイス(Y)抗原、CD24、血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β)、ステージ特異的胚性抗原-4(SSEA-4)、CD20、葉酸受容体α、受容体チロシンタンパク質キナーゼERBB2(Her2/neu)、ムチン1、細胞表面関連(MUC1)、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)、神経細胞接着分子(NCAM)、プロスターゼ、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、伸長因子2変異型(ELF2M)、エフリンB2、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)、インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニットβ型9(LMP2)、糖タンパク質100(gp100)、切断点クラスター領域(BCR)及びアベルソンマウス白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ1(Abl)(bcr-abl)からなるがん遺伝子融合タンパク質、チロシナーゼ、エフリンA型受容体2(EphA2)、フコシルGM1、シアリルルイス接着分子(sLe)、ガングリオシドGM3(aNeu5Ac(2-3)bDGalp(1-4)bDGlcp(1-1)Cer)、トランスグルタミナーゼ5(TGS5)、高分子量メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2)、葉酸受容体β、腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248)、腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R)、クローディン6(CLDN6)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、Gタンパク質共役型受容体クラスCグループ5メンバーD(GPRC5D)、X染色体オープンリーディングフレーム61(CXORF61)、CD97、CD179a、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、ポリシアル酸、胎盤特異的1(PLAC1)、globoHグリコセラミド(GloboH)の六糖部分、乳腺分化抗原(NY-BR-1)、ウロプラキン2(UPK2)、A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1)、アドレナリン受容体β3(ADRB3)、パネキシン3(PANX3)、Gタンパク質共役型受容体20(GPR20)、リンパ球抗原6複合体座位K9(LY6K)、嗅覚受容体51E2(OR51E2)、TCRγオルタネートリーディングフレームタンパク質(TARP)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1)、がん/精巣抗原1(NY-ESO-1)、がん/精巣抗原2(LAGE-1a)、メラノーマ関連抗原1(MAGE-A1)、染色体12pに位置するETS転座バリアント遺伝子6(ETV6-AML)、精子タンパク質17(SPA17)、X抗原ファミリーメンバー1A(XAGE1)、アンジオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie2)、メラノーマがん精巣抗原-1(MAD-CT-1)、メラノーマがん精巣抗原-2(MAD-CT-2)、Fos関連抗原1、腫瘍タンパク質p53(p53)、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1またはガレクチン8)、T細胞1によって認識されるメラノーマ抗原(MelanAまたはMART1)、ラット肉腫(Ras)変異体、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、肉腫転座切断点、アポトーシスのメラノーマ阻害剤(ML-IAP)、ERG(膜貫通プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子)、N-アセチルグルコサミニル-トランスフェラーゼV(NA17)、ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3)、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、v-mycトリ骨髄細胞腫ウイルスがん遺伝子神経芽腫由来ホモログ(MYCN)、RasホモログファミリーメンバーC(RhoC)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2)、シトクロムP450 1B1(CYP1B1)、CCCTC結合因子(ジンクフィンガータンパク質)様(BORIS、すなわちBrother of the Regulator of Imprinted Sites)、T細胞3によって認識される扁平上皮細胞癌抗原(SART3)、ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5)、プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4)、滑膜肉腫X切断点2(SSX2)、最終糖化産物受容体(RAGE-1)、腎臓ユビキタス1(RU1)、腎臓ユビキタス2(RU2)、レグマイン、ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6)、ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7)、腸カルボキシルエステラーゼ、熱ショックタンパク質70-2変異型(mut hsp70-2)、CD79a、CD79b、CD72、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、IgA受容体のFc断片(FCARまたはCD89)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2)、CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF)、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2)、リンパ球抗原75(LY75)、グリピカン-3(GPC3)、Fc受容体様5(FCRL5)及び免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド1(IGLL1)(ただし、これらに限らない)を含む抗原に結合できる。
いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、非ヒト抗体、ナノボディ、一本鎖可変断片(scFv)、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fvなどを含む。その抗原結合ドメインは、CARの膜貫通ドメインに連結することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインをコードする核酸が、CARの膜貫通ドメインをコードする核酸に機能可能に連結されている。
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来することができる。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインの野生型アミノ酸配列と比べて、1つ以上、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個以上のアミノ酸の改変(例えば、置換、挿入及び欠失)を含む。CARの膜貫通ドメインの非限定的な例としては、T細胞受容体のα鎖、β鎖もしくはζ鎖、CD28、CD3エンプシロン(CD3ξ)、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはエリスロポエチン受容体の少なくとも膜貫通領域(複数可)が挙げられる。いくつかの実施形態では、その膜貫通ドメインは、ヒト免疫グロブリン(Ig)ヒンジ領域、例えばIgG4Fcヒンジを含む。別の実施形態では、その膜貫通ドメインは、疎水性のアミノ酸残基(例えば、ロイシン及びバリン)を含む組み換えドメインまたは合成ドメインである。場合によっては、その膜貫通ドメインは、そのドメインの一方または両方の末端に、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンを含む。
その膜貫通ドメインは、抗原結合ドメインをCARの細胞内シグナル伝達ドメインに連結する。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインをコードする核酸は、膜貫通ドメインをコードする核酸であって、細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸に機能可能に連結されている核酸に機能可能に連結されている。
いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、シグナル活性化ドメインまたはシグナル伝達ドメインを含む。したがって、細胞内シグナル伝達ドメインは、タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインであって、シグナル、例えば活性化シグナルを伝達もしくは運搬するか、または細胞内で細胞応答を媒介するのに十分なドメインのいずれかの部分を含む。非限定的な例としては、TCR、CD2、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD7、CD27、CD86、共通FcRγ、FcRβ、CD79a、CD79b、FcγRIIa、DAP10、DAP12、T細胞受容体(TCR)、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、CD127、CD160、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、これらのいずれかの誘導体、バリアントまたは断片が挙げられる。特定の実施形態では、その細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3、CD27、CD28、CD127、ICOS、4-1BB(CD137)、PD-1、T細胞受容体(TCR)、これらのいずれかの誘導体またはいずれかのバリアントのような共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択されている。
3.BiTES
二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)は、CD3に特異的に結合する抗体可変領域に融合されたIL-13スーパーカインを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、その抗体可変領域は、一本鎖可変断片(scFv)である。そのスーパーカインは、リンカーを通じて、可変領域に融合されていてよい。Fc領域が、任意に供給されている。
4.TAC
TACコンストラクトは、TCR複合体と関連するタンパク質と結合するリガンド融合されたIL-2スーパーカインを含み、そのリガンドは、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合されている。それらのドメインは、リンカーによって隔てられていてよい。TCR複合体と関連するタンパク質は、CD3であってよい。TCR複合体と関連するタンパク質と結合するリガンドは、一本鎖抗体であってよい。TCR複合体と関連するタンパク質と結合するリガンドは、UCHT1またはそのバリアントであってよい。そのT細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドは、細胞質ドメイン及び膜貫通ドメインを含んでよい。その細胞質ドメインは、CD4の細胞質ドメインであってよく、その膜貫通ドメインは、CD4の膜貫通ドメインである。
5.ACTR
ACTRは、CARと、確立済みのモノクローナル抗体によるオンコロジー医薬に対するハイブリッドなアプローチである。ACTRは、Fc受容体CD16の高親和性バリアントを通じて、抗体の重鎖と結合できる典型的なCARコンストラクトで構成される。スーパーカインは、CARによって認識される部分に融合されており、その部分としては、CD16に対する親和性が高い抗体のFc領域を挙げてよいが、これに限らない。
免疫細胞ターゲティングコンストラクト、または配列をコードする発現コンストラクトは、組み換えDNA技法を含め、当該技術分野において知られているいずれかの手段によって作製できる。そのキメラ受容体の核酸領域のいくつかをコードする核酸は、利便的であるように、当該技術分野において知られている分子クローニングの標準的な技法(ゲノムライブラリーのスクリーニング、PCR、プライマーによるライゲーション、部位特異的変異誘発など)によって、完全なコード配列に調製及びアセンブルできる。得られたコード領域を発現ベクターに挿入して、それを用いて、適切な発現宿主細胞株、例えば、同種異系または自己のTリンパ球、同種異系または自己のNK細胞(初代培養物、細胞株、iPSC由来の細胞などを含む)の集団をトランスフォーメーションしてよい。この方法は、in vitro(例えば無細胞系中)、培養下、例えばin vitroまたはex vivoにおいて、細胞で用いることができる。例えば、IL-2スーパーカインCARを発現する細胞をin vitroで、培養培地において培養及び増加させることができる。
非IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトを用いて、免疫細胞を特異的に誘導して、所定の腫瘍細胞を標的とするようにすることもできる。CD3-ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOS及びCD137に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含むスーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトをT細胞に導入することによって、抗腫瘍エフェクター細胞、例えば、CD4またはCD8エフェクターT細胞を作製して、上記のような腫瘍細胞を認識するようにリダイレクトする。いくつかの実施形態では、その細胞は、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインを発現できる導入遺伝子をさらに含むことができる。IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、腫瘍細胞を含め、IL-2R発現細胞を標的とするように、免疫細胞を特異的に誘導できる。CD3-ζ、CD28、DAP10、OX-40、ICOS及びCD137に由来するシグナル伝達ドメインを1つ以上含むIL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトをT細胞に導入することによって、抗腫瘍エフェクター細胞、例えば、CD4またはCD8エフェクターT細胞を作製して、上記のような腫瘍細胞を認識するようにリダイレクトする。
IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、例えば、当該技術分野において知られているような非ウイルスプラスミドベクター及びエレクトロポレーション方法、ウイルスベクター及び感染法などを用いて、ヒト免疫細胞に感染またはトランスフェクションする。共刺激シグナル伝達ドメインを含むCARは、養子療法のプロトコールの臨床効果を有意に向上させることができる形式で、抗腫瘍活性の持続期間及び/または保持を増強し得る。CD4及びCD8 T細胞エフェクターの機能、ならびにNK細胞の機能は、これらの受容体を介して誘発できるので、これらの種類の細胞は、本発明とともに使用するものとして企図されている。これらの細胞の機能の中でもとりわけ、本発明のIL13スーパーカインCARを発現するCD8 T細胞を用いて、標的細胞を溶解させるとともに、標的細胞の存在下でIL-2を産生させてよい。CD4 T細胞及びCD8 T細胞のいずれかまたは両方での適切な共刺激CARの発現を用いて、養子免疫療法用の最も効果的な細胞集団、すなわち、生存能及び抗腫瘍活性が増強されており及び/または長期的であるプロフェッショナルなヘルパーT細胞及びキラーT細胞のいずれかまたは両方からなる集団をもたらす。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、図2に示されているものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、本明細書に示されているもののいずれかを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
本発明のポリペプチドは、様々な目的でさらに改変でき、例えば、多種多様な他のオリゴペプチドまたはタンパク質に接合できる。例えば、例えば、プレニル化、アセチル化、アミド化、カルボキシル化、糖鎖付加、ペグ化などによって翻訳後修飾される。このような修飾としては、糖鎖付加の改変、例えば、ポリペプチドの合成及びプロセシングの際に、またはさらなるプロセシング工程において、例えば、哺乳動物の糖鎖付加酵素または糖鎖除去酵素のように、糖鎖付加に影響を及ぼす酵素に、そのポリペプチドを暴露することによって、ポリペプチドの糖鎖付加パターンを改変することによって行う改変を挙げることができる。
当業者に周知である方法を用いて、コード配列と、適切な転写/翻訳制御シグナルとを含むT細胞ターゲティングコンストラクト発現ベクターを構築できる。これらの方法としては、例えば、in vitro組み換えDNA技法、合成技法及びin vivo組み換え/遺伝子組み換えが挙げられる。あるいは、対象となるポリペプチドをコードできるRNAを化学合成してもよい。当業者は容易に、周知のコドン使用頻度表及び合成方法を用いて、本発明のポリペプチドのいずれかに適するコード配列をもたらすことができる。その核酸は、十分な純度で単離及び入手し得る。通常、その核酸は、DNAまたはRNAのいずれかとして、他の天然の核酸配列を実質的に含まない状態で、概して、純度が少なくとも約50%、通常は、少なくとも約90%である状態で得ることになり、典型的には「組み換え体」例えば、天然の染色体では通常は会合していない1つ以上のヌクレオチドによって挟まれた組み換え体である。本発明の核酸は、直鎖状分子として、または環状分子内に供給できるとともに、自律的に複製する分子(ベクター)または複製配列を含まない分子内に供給できる。その核酸の発現は、その核酸自体によって、または当該技術分野において知られている他の調節配列によって調節できる。本発明の核酸は、当該技術分野において利用可能な様々な技法を用いて、適切な宿主細胞に導入できる。
本発明によれば、免疫細胞ターゲティングコンストラクトベクターまたは発現コンストラクトベクター、及び免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクト改変細胞は、治療的用途、例えばヒトの治療に適する医薬組成物に供給できる。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の治療用物質、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくは溶媒和物を1つ以上含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、別の治療剤、例えば別の抗腫瘍剤と組み合わせて、本発明の治療用物質を1つ以上含む。
本発明の治療用物質は、活性な治療剤と別の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物として投与する場合が多い。このような製剤は、無毒の薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤及び/またはアジュバントを1つ以上含むことができる。好ましい形態は、意図する投与方法及び治療用途に左右される。その組成物は、所望の製剤に応じて、薬学的に許容される無毒の担体または希釈剤も含むことができ、これらは、動物またはヒトへの投与用の医薬組成物を調合するのに一般に使用されるビヒクルとして定義されている。その希釈剤は、組みわせたものの生物活性に影響が及ばないように選択する。このような希釈剤の例は、蒸留水、生理学的なリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液及びハンクス液である。加えて、その医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバントまたは無毒な非治療用の非免疫原性安定剤なども含んでよい。
さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、タンパク質、多糖(キトサンなど)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コポリマー(ラテックスで官能化したSepharose(商標)、アガロース、セルロースなど)、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び脂質集合体(油滴またはリポソームなど)のような大きくてゆっくり代謝される巨大分子も含むことができる。
CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、臨床試験の展開の際に求めてよく、実験に基づき求めた場合、例えば、最大で体重1kg当たり約10T細胞、最大で体重1kg当たり約10細胞、最大で体重1kg当たり約10細胞、最大で体重1kg当たり約5×10細胞、最大で体重1kg当たり約10細胞、最大で体重1kg当たり約5×10細胞以上である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約10T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約10T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約10T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約10T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約5×10T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞の最大耐用量(MTD)は、最大で体重1kg当たり約5×10T細胞である。
本明細書に記載されている細胞の毒性は、細胞培養液または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の半数致死量)またはLD100(集団の全数致死量)を求めることによって判断することができる。毒性作用と治療的作用との用量比が、治療指数である。これらの細胞培養アッセイ及び動物試験から得たデータは、ヒトで使用する際に毒性がない投与量範囲を策定する際に用いることができる。本明細書に記載されている投与量は好ましくは、毒性がほとんどないかまたは毒性がない有効用量を含む循環濃度の範囲内である。その投与量は、採用する剤形及び使用する投与経路に応じて、この範囲内で変更し得る。厳密な製剤、投与経路及び投与量は、個々の医師が、患者の状態に鑑みて選択できる。
拡大コホートの患者は、用量漸増フェーズの後、MTDの免疫細胞で処置する。例示的な治療レジメは、2週間に1回、1カ月に1回または3~6カ月に1回の投与を伴う。本発明の治療用物質は通常、複数回で投与する。各投与間の間隔は、1週間、1カ月または1年であることができる。間隔は、患者において、治療用物質の血中レベルを測定することによって定める場合のように、不定期であることもできる。
例えば、患者において寛解を維持するための予防的な用途では、比較的低い投与量を比較的頻度の低い間隔で、長期間にわたって投与してよい。一部の患者では、残りの生涯にわたって治療を継続する。他の治療的用途では、疾患の進行が低減または停止されるまで、好ましくは、患者において、疾患の症状の部分的または完全な改善が見られるまで、比較的高い投与量を比較的短い間隔で必要とすることもある。その後、その患者は、予防的なレジメで投与できる。
免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトと併用投与及び/または同時配合できる追加の治療剤の例には、宿主における腫瘍細胞及びその他の望ましくない細胞を除去する目的で治療で使用するとともに、電離性放射線の送達及び化学療法剤の投与のような療法の使用を含む抗増殖性療法剤または細胞減少療法が挙げられる。化学療法剤は、例えば、アントラサイクリン(ダウノルビシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、エピルビシン、イダルビシン、アナマイシン、MEN 10755などの化合物を含む)のようなトポイソメラーゼ阻害剤を含め、当該技術分野において周知であり、従来の用量及びレジメン、または低減した投与量もしくはレジメンで使用する。他のトポイソメラーゼ阻害剤としては、ポドフィロトキシンアナログであるエトポシド及びテニポシド、ならびにアントラセンジオン、ミトキサントロン及びアムサクリンが挙げられる。他の抗増殖性剤、例えば、ビンカアルカロイドのファミリーは、微小管重合を妨げる。ビンカアルカロイドの例としては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン(NAVELBINE)、ビンデシン、ビンドリン、ビンカミンなどが挙げられる。DNA傷害剤としては、ヌクレオチドアナログ、アルキル化剤などが挙げられる。アルキル化剤としては、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)など、及びニトロソウレア、例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)、ストレプトゾシン、クロロゾトシンなどが挙げられる。ヌクレオチドアナログとしては、ピリミジン、例えば、シタラビン(CYTOSAR-U)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン(FUdR)など、プリン、例えば、チオグアニン(6-チオグアニン)、メルカプトプリン(6-MP)、ペントスタチン、フルオロウラシル(5-FU)など、及び葉酸アナログ、例えば、メトトレキサート、10-プロパルギル-5,8-ジデアザ葉酸(PDDF、CB3717)、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸(DDATHF)、ロイコボリンなどが挙げられる。対象となる他の化学療法剤としては、金属錯体、例えば、シスプラチン(cis-DDP)、カルボプラチン、オキサリプラチンなど、尿素、例えば、ヒドロキシウレア及びヒドラジン、例えばN-メチルヒドラジンが挙げられる。
例えば、電離性放射線(IR)は、治療する区域内の細胞を損傷または破壊するエネルギーを堆積させることによって、がん患者の約60%を治療するのにを用いられており、本発明の目的では、IRは、従来の線量及びレジメンで、または低減した線量で送達してよい。放射線による細胞の損傷は、非特異的であるとともに、DNAに対して複雑な作用が及ぶ。療法の有効性は、正常細胞への損傷よりも、がん細胞への細胞損傷が大きいことに依存する。放射線療法を用いて、あらゆる種類のがんを治療し得る。いくつかの種類の放射線療法は、X線またはγ線のような光子を伴う。放射線をがん細胞に送達する別の技法は、内部放射線療法であり、この療法では、放射性インプラントを腫瘍または体腔に直接配置して、放射線量が小さい区域に集中するようにする。適切な電離性放射線量は、少なくとも約2Gy~約10Gy以下の範囲、通常約5Gyであってよい。適切な紫外線量は、少なくとも約5J/m~約50J/m以下の範囲、通常約10J/mであってよい。紫外線の照射から少なくとも約4時間~約72時間以内、通常約4時間前後に、試料を採取してよい。
治療は、免疫共刺激分子、例えばCD40、OX40などをアゴナイズする薬剤、及び/または(iii)免疫阻害分子、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1などをアンタゴナイズする薬剤を含む免疫調節剤と組み合わせてもよい。その活性剤は、宿主におけるがん細胞の除去に対して相加作用または相乗作用を及ぼす期間内で投与する。投与方法としては、全身投与、腫瘍内投与などが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、個別のがんは、チェックポイント阻害剤、例えば、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、BTLAアンタゴニスト、VISTAアンタゴニスト、LAG3アンタゴニストなどに応答する種類のがんであるという理由で、併用療法による治療に対して選択する。いくつかの実施形態では、このような免疫調節剤は、CTLA-4アンタゴニスト、PD1アンタゴニストまたはPDL1アンタゴニスト、例えば、アベルマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブなどである。いくつかのこのような実施形態では、がんは、メラノーマまたは小細胞肺癌であるが、これらに限らない。いくつかのこのような実施形態では、がんは、ネオアンチゲン量、すなわち変異誘発量が高い種類のものである(Vogelstein et al.(2013)Science 339(6127):1546-1558(参照により、本明細書に具体的に援用される)を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、個別のがんは、免疫応答アゴニスト、例えば、CD28アゴニスト、OX40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD137アゴニスト、CD27アゴニスト、HVEMアゴニストなどに応答する種類のがんであるという理由で、本発明の併用療法による治療に対して選択する。いくつかの実施形態では、このような免疫調節剤は、OX40アゴニスト、CD137アゴニストまたはGITRアゴニスト、例えばトレメリムマブなどである。いくつかのこのような実施形態では、がんは、メラノーマまたは小細胞肺癌であるが、これらに限らない。いくつかのこのような実施形態では、がんは、ネオアンチゲン量、すなわち変異誘発量が高い種類のものである。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、PD-1に結合して、PD-1とそのリガンドPD-L1との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激する抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-1に特異的に結合する。例えば、PD-1を標的とする抗体であって、本発明における用途を見出すことができる抗体としては、例えば、ニボルマブ(BMS-936558、Bristol-Myers Squibb)、ペムブロリズマブ(ランブロリズマブ、MK03475もしくはMK-3475、Merck)、ヒト化抗PD-1抗体JS001(ShangHai JunShi)、モノクローナル抗PD-1抗体TSR-042(Tesaro,Inc.)、ピジリズマブ(抗PD-1 mAb CT-011、Medivation)、抗PD-1モノクローナル抗体BGB-A317(BeiGene)、及び/または抗PD-1抗体SHR-1210(ShangHai HengRui)、ヒトモノクローナル抗体REGN2810(Regeneron)、ヒトモノクローナル抗体MDX-1106(Bristol-Myers Squibb)、及び/またはヒト化抗PD-1 IgG4抗体PDR001(Novartis)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、PD-1抗体は、クローン:RMP1-14(ラットIgG)(BioXcellカタログ番号BP0146)から得たものである。他の適切な抗体としては、米国特許第8,008,449号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている抗PD-1抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合部分は、PD-L1に特異的に結合して、PD-L1とPD-1との相互作用を阻害することによって、免疫活性を向上させる。当該技術分野において知られているいずれかの抗体であって、PD-L1に結合して、PD-1とPD-L1との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激する抗体は、本明細書に開示されている併用治療法での使用に適する。例えば、PD-L1を標的とするとともに、臨床試験中にある抗体としては、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)及びMPDL3280A(Genetech)が挙げられる。PD-L1を標的とする他の適切な抗体は、米国特許第7,943,743号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。PD-1またはPD-L1に結合して、PD-1/PD-L1の相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、CTLA-4に結合して、CTLA-4とCD80及びCD86との相互作用を阻害する抗体が含まれる。CTLA-4を標的とする例示的な抗体としては、FDAによって認可済みであるイピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Bristol-Myers Squibb)、及び現在ヒトでの試験が行われているトレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675、206、Pfizer)が挙げられる。CTLA-4を標的とする他の適切な抗体は、WO2012/120125、米国特許第6,984720号、同第6,682,7368号、ならびに米国特許出願公開第2002/0039581号、同第2002/0086014号及び同第2005/0201994号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。CTLA-4に結合して、CTLA-4とCD80及びCD86との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、LAG-3に結合して、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用を阻害する抗体が含まれる。LAG-3を標的とする例示的な抗体は、現在ヒトでの試験が行われているIMP321(Immutep)である。LAG-3を標的とする他の適切な抗体は、米国特許出願公開第2011/0150892号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。LAG-3に結合して、LAG-3とMHCクラスII分子との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、TIM-3に結合して、TIM-3とガレクチン9との相互作用を阻害する抗体が含まれる。TIM-3を標的とする適切な抗体は、米国特許出願公開第2013/0022623号(参照により、本明細書に援用される)に開示されている。TIM-3に結合して、TIM-3とガレクチン9との相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍免疫応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、4-1BB/CD137に結合して、4-1BB/CD137とCD137Lとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。4-1BB/CD137に結合して、4-1BB/CD137とCD137Lまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、GITRに結合して、GITRとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。GITRに結合して、GITRとGITRLまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、OX40に結合して、OX40とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。OX40に結合して、OX40とOX40Lまたは別のリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、CD40に結合して、CD40とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。CD40に結合して、CD40とそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、ICOSに結合して、ICOSとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。ICOSに結合して、ICOSとそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、CD28に結合して、CD28とそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。CD28に結合して、CD28とそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、併用療法には、当該技術分野において知られている抗体であって、IFNαに結合して、IFNαとそのリガンドとの相互作用を阻害する抗体が含まれる。IFNαに結合して、IFNαとそのリガンドとの相互作用を阻害するとともに、抗腫瘍活性を全身にもたらす抗腫瘍免疫応答または免疫刺激応答を刺激するいずれの抗体も、この併用治療法での使用に適することを当業者は理解するであろう。
「抗がん治療」は、がん細胞の成長及び/または転移を阻止または遅延する化合物、組成物または治療(例えば手術)である。このような抗がん治療としては、手術(例えば、腫瘍の全部または一部の除去)、化学療法薬による治療、放射線照射、遺伝子療法、ホルモン操作、免疫療法(例えば、治療用抗体及びがんワクチン)、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはRNAiオリゴヌクレオチドによる療法が挙げられるが、これらに限らない。有用な化学療法薬の例としては、ヒドロキシウレア、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、Navelbine(登録商標)(ビノレルビン)、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、シトシン、アラビノシド、ブレオマイシン、ネオカルジノスタチン、スラミン、タキソール、マイトマイシンC、アバスチン、Herceptin(登録商標)、フルオロウラシル及びテモゾロミドなどが挙げられるが、これらに限らない。その化合物は、2つ以上の化学療法剤を用いる標準的な併用療法での使用にも適する。抗がん治療には、今後開発される新規な化合物または治療が含まれることを理解されたい。
上記の医薬組成物及び/または製剤は、治療用物質を1つ以上、意図する目的を達成するのに有効な量で含む。すなわち、「治療有効用量」という用語は、がんの症状を改善する治療用物質量を指す。化合物の治療有効用量の決定は十分に、当業者の能力の範囲内である。例えば、治療有効用量はまず、細胞培養アッセイ、または本明細書に記載されているような動物モデルのいずれかで推定できる。動物モデルを用いて、適切な濃度範囲及び投与経路も求めることができる。そして、このような情報を用いて、当業者において既知の標準的な方法を使用して、ヒトを含む他の動物において有用な投与用量及び投与経路を求めることができる。
本発明の組成物と使用説明書とを含むキットも、本発明の範囲内である。そのキットは、追加の試薬、例えば、化学療法薬、抗腫瘍抗体などを少なくとも1つ、さらに含んでよい。キットは典型的には、そのキットの中身の、意図する用途を示しているラベルを含む。ラベルという用語には、キット上にまたはキットとともに供給されるか、または別段にキットに添付される文書または記録物のいずれかが含まれる。
これまで、本発明について十分に説明してきたが、本発明の趣旨または範囲から逸脱しなければ、様々な変更及び改変を加えることができることは、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載されているようなIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含むIL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトを含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に示されているものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含むIL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトを含む。いくつかの実施形態では、IL-2スーパーカイン免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、本明細書に示されているものを含むIL-2バリアント/IL-2スーパーカインを含む。
6.例示的な免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトの実施形態
免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、インターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質を含み、その結合タンパク質のIL-2Rβに対する平衡解離定数は、免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトに連結された野生型ヒトIL-2(hIL-2)よりも小さい。いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、インターロイキン-2受容体β(IL-2Rβ)結合タンパク質でもある。
いくつかの実施形態では、免疫細胞ターゲティングコンストラクトまたは発現コンストラクトは、T細胞、例えば、CD8+ T細胞またはCD4+ T細胞に対して細胞傷害性作用を示す。
いくつかの実施形態では、そのコンストラクトは、キメラ抗原受容体(CAR)であり、本発明のIL-2スーパーカインが、細胞内シグナル伝達領域に連結された膜貫通ドメインに融合されている。
いくつかの実施形態では、その細胞内シグナル伝達領域は、CD3シグナル伝達ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、その細胞内シグナル伝達領域は、CD28シグナル伝達ドメイン、CD137シグナル伝達ドメイン、OX-40シグナル伝達ドメイン、ICOSシグナル伝達ドメイン、DAP10シグナル伝達ドメインの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、そのコンストラクトは、T細胞抗原カップラー(TAC)であり、IL-2スーパーカインが、TCR複合体と関連するタンパク質と結合するリガンドに融合されており、そのリガンドは、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドに融合されている。
いくつかの実施形態では、TCR複合体と関連するタンパク質は、CD3である。
いくつかの実施形態では、T細胞受容体シグナル伝達ドメインポリペプチドは、CD4の細胞質ドメイン及びCD4の膜貫通ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、そのコンストラクトは、高い親和性で、IL-2スーパーカインに結合するキメラ抗原受容体成分を含む抗体結合T細胞受容体(ACTR)である。
いくつかの実施形態では、CAR成分は、CD16を含み、IL-2スーパーカインが、Fc配列に融合されている。
いくつかの実施形態では、そのコンストラクトは、T細胞受容体の成分に結合する抗体の可変領域に融合されたIL-2スーパーカインを含む二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。
いくつかの実施形態では、T細胞受容体のBiTE成分は、CD3である。
いくつかの実施形態では、IL-2Rβ結合タンパク質は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(野生型hIL-2を基準にして番号付けした)というアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているIL-2をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、その核酸を含むベクターを提供する。
いくつかの実施形態では、上記のいずれかによるコンストラクトを含むT細胞を提供する。いくつかの実施形態では、上記のいずれかによるコンストラクトを含むNK細胞を提供する。いくつかの実施形態では、そのT細胞は、CD4 T細胞である。いくつかの実施形態では、そのT細胞は、CD8 T細胞である。
上記の免疫細胞の単離集団も提供する。提供するのは、上記の免疫細胞集団を含む医薬製剤でもある。
H.変異体IL-2遺伝子産物の発現
上記の核酸分子は、例えば、ベクターをトランスダクションした細胞において、発現を誘導できるベクター内に含めることができる。したがって、本発明のIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体に加えて、本発明のIL-2ムテインをコードする核酸分子を含む発現ベクター、及びこれらのベクターをトランスフェクションした細胞は、好ましい実施形態に含まれる。
当然ながら、すべてのベクター及び発現制御配列が、本明細書に記載されているDNA配列を発現するように十分に等しく機能するわけではないことを理解されたい。また、すべての宿主は、同じ発現系で十分に等しく機能するわけではない。しかしながら、当業者は、過度の実験を行うことなく、これらのベクター、発現制御配列及び宿主から選択を行うことができる。例えば、ベクターを選択する際には、宿主を考慮する必要がある。ベクターは、宿主内で複製しなければならないからである。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、及びそのベクターによってコードされるいずれかの他のタンパク質(抗生物質マーカーなど)の発現も考慮する必要がある。例えば、使用できるベクターとしては、IL-2ムテインをコードするDNAをコピー数で増幅させるベクターが挙げられる。このような増幅可能なベクターは、当該技術分野において周知である。このベクターとしては例えば、DHFR増幅(例えば、Kaufmanの米国特許第4,470,461号、Kaufman and Sharp,“Construction of a Modular Dihydrafolate Reductase cDNA Gene:Analysis of Signals Utilized for Efficient Expression”,Mol.Cell.Biol.,2,pp.1304-19(1982)を参照されたい)またはグルタミンシンテターゼ(「GS」)増幅(例えば、米国特許第5,122,464号及び欧州特許出願公開第338,841号を参照されたい)によって増幅できるベクターが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示のヒトIL-2ムテインは、ベクター、好ましくは発現ベクターから発現することになる。そのベクターは、宿主細胞での自律性複製に有用であるか、または宿主細胞に導入したときに、宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよく、それによって、宿主ゲノムとともに複製される(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)。発現ベクターは、そのベクターに機能可能に連結されているコード配列の発現を誘導できる。概して、組み換えDNA技法で有用な発現ベクターは、プラスミド(ベクター)の形態である場合が多い。しかしながら、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)のような他の形態の発現ベクターも含まれる。
例示的な組み換え発現ベクターは、発現のために使用する宿主細胞に基づいて選択した調節配列であって、発現させる核酸配列に機能可能に連結された調節配列を1つ以上含むことができる。
発現コンストラクトまたは発現ベクターは、原核宿主細胞または真核宿主細胞で、IL-2ムテインまたはそのバリアントを発現するように設計できる。
ベクターDNAは、原核細胞または真核細胞に、従来のトランスフォーメーション技法またはトランスフェクション技法によって導入できる。宿主細胞にトランスフォーメーションまたはトランスフェクションするのに適する方法は、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,N.Y.)及びその他の標準的な分子生物学ラボマニュアルに見ることができる。
原核生物におけるタンパク質の発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを有するEscherichia coliで行うことが最も多い。E.coliにおいて、組み換えタンパク質の発現を最大化する方策は、例えば、Gottesman(1990)in Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,Calif.),pp.119-128及びWada et al.(1992)Nucleic Acids Res.20:2111-2118に見ることができる。IL-2ムテインまたはそのバリアントを細胞から成長、回収、破壊または抽出するプロセスは実質的に、例えば、米国特許第4,604,377号、同第4,738,927号、同第4,656,132号、同第4,569,790号、同第4,748,234号、同第4,530,787号、同第4,572,798号、同第4,748,234号及び同第4,931,543号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)に記載されている。
いくつかの実施形態では、組み換えIL-2ムテインまたはその生物活性バリアントは、酵母またはヒト細胞のような真核生物において作製することもできる。適切な真核宿主細胞としては、昆虫細胞(培養昆虫細胞(例えばSf9細胞)でのタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターの例としては、pAc系列(Smith et al.(1983)Mol.Cell Biol.3:2156-2165)及びpVL系列(Lucklow and Summers(1989)Virology 170:31-39)が挙げられる)、酵母細胞(酵母S.cerenvisiaeでの発現用のベクターの例としては、pYepSec1(Baldari et al.(1987)EMBO J.6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz(1982)Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al.(1987)Gene 54:113-123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)及びpPicZ(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)が挙げられる)、または哺乳動物細胞(哺乳動物発現ベクターとしては、pCDM8(Seed(1987)Nature 329:840)及びpMT2PC(Kaufman et al.(1987)EMBO J.6:187:195)が挙げられる)が挙げられる。適切な哺乳動物細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞が挙げられる。哺乳動物細胞では、発現ベクターの制御機能は、ウイルス調節エレメントによってもたらす場合が多い。例えば、一般的に用いられているプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス及びシミアンウイルス40に由来する。原核細胞及び真核細胞の両方に適する他の発現系については、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview,N.Y.)のチャプター16及び17を参照されたい。Goeddel(1990)in Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185(Academic Press,San Diego,Calif.)を参照されたい。
本開示のヒトIL-2ムテインをコードする配列は、対象となる宿主細胞での発現に合わせて最適化できる。その配列のG-C含有率は、所定の宿主細胞で発現する既知の遺伝子を参照することによって計算した場合の、その細胞宿主での平均レベルに調整できる。コドンの最適化方法は、当該技術分野において周知である。IL-2ムテインコード配列内のコドンは、宿主細胞での発現を増強させるように最適化して、そのコード配列内のコドンの約1%、約5%、約10%、約25%、約50%、約75%または最大で100%が、特定の宿主細胞での発現に合わせて最適化されるようにできる。
使用に適するベクターとしては、細菌で用いられるT7ベースのベクター(例えば、Rosenberg et al.,Gene 56:125,1987を参照されたい)、哺乳動物細胞で用いられるpMSXND発現ベクター(Lee and Nathans,J.Biol.Chem.263:3521,1988)、及び昆虫細胞で用いられるバキュロウイルス由来ベクター(例えば、Clontech,Palo Alto,Calif.製の発現ベクターpBacPAK9)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、このようなベクターにおいて、本発明のIL-2ムテインをコードする核酸インサートは、プロモーターに機能可能に連結でき、このプロモーターは、例えば、発現を行わせようとする細胞の種類に基づき選択する。
発現制御配列を選択する際には、様々な要因を考慮する必要もある。これらの要因としては、例えば、その配列の相対的強度、制御性、及び本発明のIL-2ムテインをコードする実際のDNA配列との適合性(特に、潜在的な二次構造に関する適合性)が挙げられる。宿主は、選択したベクターとの適合性、本発明のDNA配列によってコードされる産物の毒性、その宿主の分泌特性、ポリペプチドを正確にフォールティングさせる能力、発酵または培養の要件、及びそのDNA配列によってコードされる産物の精製のしやすさを考慮することによって選択する必要がある。
当業者は、これらのパラメーター内で、発酵時、または例えば、CHO細胞もしくはCOS7細胞を用いた大規模な動物培養時に、所望のDNA配列を発現する、様々なベクター/発現制御配列/宿主の組み合わせを選択し得る。
発現制御配列及び発現ベクターの選択は、いくつかの実施形態では、宿主の選択に左右されることになる。多種多様な発現宿主/発現ベクターの組み合わせを用いることができる。真核宿主に有用な発現ベクターとしては、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス及びサイトメガロウイルスに由来する発現制御配列を有するベクターが挙げられる。細菌宿主に有用な発現ベクターとしては、col El、pCRI、pER32z、pMB9及びその誘導体を含むE.coli由来プラスミドのような既知の細菌プラスミド、RP4のような広宿主域プラスミド、ファージDNA、例えば、λファージの数多くの誘導体、例えばNM989、ならびにM13及び繊維状一本鎖DNAファージのようなDNAファージが挙げられる。酵母細胞に有用な発現ベクターとしては、2μプラスミド及びその誘導体が挙げられる。昆虫細胞に有用なベクターとしては、pVL941及びpFastBac(商標)1(GibcoBRL,Gaithersburg,Md.)が挙げられる。Cate et al.,“Isolation Of The Bovine And Human Genes For Mullerian Inhibiting Substance And Expression Of The Human Gene In Animal Cells”,Cell,45,pp.685-98(1986)。
加えて、多種多様な発現制御配列のいずれかをこれらのベクターで用いることができる。このような有用な発現制御配列としては、上記の発現ベクターの構造的遺伝子と関連する発現制御配列が挙げられる。有用な発現制御配列の例としては、例えば、SV40またはアデノウイルスの初期プロモーター及び後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系またはTRC系、λファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、例えばPL、fdのコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼまたはその他の解糖系酵素に対するプロモーター、酸性ホスファターゼ、例えばPhoAのプロモーター、酵母a交配系のプロモーター、バキュロウイルスの多角体プロモーター、ならびに原核細胞もしくは真核細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られているその他の配列とともに、それらを様々に組み合わせたものが挙げられる。
T7プロモーターは、細菌で使用でき、ポリヘドリンプロモーターは、昆虫細胞で使用でき、サイトメガロウイルスプロモーターまたはメタロチオネインプロモーターは、哺乳動物細胞で使用できる。また、高次の真核生物の場合には、組織特異的及び細胞種特異的なプロモーターが、広く利用可能である。これらのプロモーターは、体内における所定の種類の組織または細胞での核酸分子の発現を誘導する能力から名付けられている。当業者は、核酸の発現を誘導するのに使用できる数多くのプロモーター及びその他の調節エレメントを十分に認識している。
ベクターは、挿入された核酸分子の転写を促す配列に加えて、複製起点、及び選択可能なマーカーをコードするその他の遺伝子を含むことができる。例えば、ネオマイシン耐性(neo)遺伝子は、発現する細胞にG418耐性を付与するので、トランスフェクションされた細胞の表現型の選択を可能にする。当業者は、所定の調節エレメントまたは選択可能なマーカーが、実験の特定の状況での使用に適するかを容易に判断できる。
本発明で使用できるウイルスベクターとしては、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクターベクター、ヘルペスウイルスベクター、シミアンウイルス40(SV40)ベクター及びウシパピローマウイルスベクターが挙げられる(例えば、Gluzman(Ed.),Eukaryotic Viral Vectors,CSH Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたい)。
本明細書に開示されている本発明のIL-2ムテインをコードする核酸分子を含むとともに、その核酸分子を発現する原核細胞または真核細胞も、本発明の特徴である。本発明の細胞は、トランスフェクション細胞、すなわち、核酸分子、例えば、変異体IL-2ポリペプチドをコードする核酸分子が、組み換えDNA技法によって導入されている細胞である。このような細胞の子孫も、本発明の範囲内とみなす。
その発現系の正確な成分は、重要ではない。例えば、IL-2ムテインは、細菌であるE.coliのような原核宿主、または昆虫細胞(例えばSf21細胞)もしくは哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞、COS細胞、NIH 3T3細胞もしくはHeLa細胞)のような真核宿主で産生させることができる。これらの細胞は、American Type Culture Collection(Manassas,Va.)を含む多くの供給源から入手可能である。発現系を選択する際には、その成分が、互いに適合していることのみが重要である。当業者は、このような判断をすることができる。さらに、発現系を選択する際に、手引きが必要な場合には、当業者は、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons,New York,N.Y.,1993)及びPouwels et al.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,1985 Suppl.1987)を参考にすることができる。
発現させたポリペプチドは、常法の生化学的な手順を用いて発現系から精製できるとともに、例えば、本明細書に記載されているような治療剤として使用できる。
いくつかの実施形態では、得られたIL-2ムテインには、そのムテインを産生させるのに使用した宿主生物に応じて、糖鎖付加または糖鎖除去を行うことになる。細菌を宿主とした選択した場合には、産生されたIL-2ムテインでは、糖鎖除去を行うことになる。一方で、真核細胞では、IL-2ムテインに糖鎖付加を行うことになるが、おそらくは、天然型のIL-2に糖鎖付加が行われる方法とは、同じではない。トランスフォーメーションした宿主によって産生されたIL-2ムテインは、いずれかの適切な方法に従って精製できる。IL-2を精製するための様々な方法が知られている。例えば、Current Protocols in Protein Science,Vol 2.Eds:John E.Coligan,Ben M.Dunn,Hidde L.Ploehg,David W.Speicher,Paul T.Wingfield,Unit 6.5(Copyright 1997,John Wiley and Sons,Inc.)を参照されたい。IL-2ムテインは、E.coliで作られる封入体から、または所定のムテインを産生する哺乳動物培養液もしくは酵母培養液のいずれかに由来する馴化培地から、陽イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー及び/または逆相液体クロマトグラフィーを用いて単離できる。
IL-2ムテインをコードするDNA配列を構築する別の例示的な方法は、化学合成によるものである。この方法には、記載されている特性を示すIL-2ムテインをコードするタンパク質の化学的手段によって、ペプチドを直接合成することが含まれる。この方法では、IL-2とIL-2Rα、IL-2Rβ及び/またはIL-2Rγとの相互作用に影響を及ぼす位置に、天然のアミノ酸及び非天然のアミノ酸の両方を組み込むことができる。あるいは、オリゴヌクレオチド合成装置を用いて、化学的手段によって、所望のIL-2ムテインをコードする遺伝子を合成することができる。このようなオリゴヌクレオチドは、所望のIL-2ムテインのアミノ酸配列に基づき、好ましくは、組み換えムテインを産生する宿主細胞において優先されるこれらのコドンの選択に基づき設計する。この点では、遺伝暗号が縮退していること、すなわち、アミノ酸が、2つ以上のコドンによってコードされることができることは十分に認識されている。例えば、Phe(F)は、TICまたはTTTという2つのコドンによってコードされ、Tyr(Y)は、TACまたはTATによってコードされ、his(H)は、CACまたはCATによってコードされる。Trp(W)は、TGGという1つのコドンによってコードされる。したがって、特定のIL-2ムテインをコードする所定のDNA配列においては、そのIL-2ムテインをコードするDNA縮退配列が数多く存在することは明らかであろう。例えば、ムテインH9に好ましいDNA配列に加えて、示されているIL-2ムテインをコードする縮退DNA配列が数多く存在することは明らかであろう。これらの縮退DNA配列は、本開示の範囲内であるとみなす。したがって、本発明の関連では、「その縮退バリアント」は、特定のムテインをコードし、それによって、そのムテインを発現させるすべてのDNA配列を意味する。
そのIL-2ムテインの生物学的活性は、当該技術分野で知られているいずれかの適切な方法によってアッセイできる。このようなアッセイとしては、PHA幼若化細胞の増殖及びNK細胞の増殖が挙げられる。
I.抗PD-1抗体及び組み合わせ
本発明及び本明細書に記載されている方法に従って用いる抗PD-1抗体としては、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、MK-3475(ペムブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175及びCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299及びCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、及び/または米国特許出願公開第2017/0081409号に列挙されているようなPD-1抗体(例えば、表38を参照されたい)が挙げられるが、これらに限らない。認可済みの抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標)、MK-3475-033)及びニボルマブ(Opdivo(登録商標)、CheckMate078)と、2つ存在し、本明細書に記載されている併用法で使用できるさらに多くが開発中である。例示的な抗PD-1抗体配列は、図10に示されており、これらのいずれかを、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインとの併用法で使用できる。
Figure 2023532273000092
Figure 2023532273000093
Figure 2023532273000094
Figure 2023532273000095
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Figure 2023532273000100
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Figure 2023532273000103
Figure 2023532273000104
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテイン部分は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、抗PD-1の抗体または阻害剤と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、ニボルマブと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、ペムブロリズマブと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、セミプリマブと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、BMS-936558と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、MDX-1106と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、ONO-4538と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、AMP224と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、CT-011と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、MK-3475と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、言及した抗体のいずれかと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体と組み合わせて用いるIL-2ムテインは、本明細書に記載されているような融合ムテインである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体と組み合わせて用いるIL-2ムテインは、本明細書に記載されているような融合ムテインである。
J.抗PD-L1抗体及び組み合わせ
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているIL-2ムテインまたは二重特異性IL-2サイトカイン融合体のいずれも、抗PD-1抗体と組み合わせて使用できる。認可済みの抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A)、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標)、MSB001071 8C)及びデュルバルマブ(MEDI4736)と3つ存在し、開発中の他の抗PD-L1抗体も存在する。数多くの抗PD-L1抗体が利用可能であり、本明細書に記載されているようなIL-2ムテインと組み合わせて使用できるさらに多くが開発中である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、米国特許出願公開第2017/0281764号、ならびに国際公開第WO2013/079174号(アベルマブ)及び同第WO2010/077634号(または米国特許出願公開第20160222117号もしくは米国特許第8,217,149号、アテゾリズマブ)に記載されている抗体である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、配列番号34の重鎖配列及び配列番号36の軽鎖配列(US2017/281764から得られる)を含む。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A、IMpower110)である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標)、MSB001071 8C)である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、デュルバルマブ(MEDI4736)である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、例えば、アテゾリズマブ(IMpower133)、BMS-936559/MDX-1105及び/またはRG-7446/MPDL3280A及び/またはYW243.55.S70、ならびに本発明の図17に示されている例示的な抗PD-L1抗体のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体と組み合わせて用いるIL-2ムテインは、本明細書に記載されているような融合ムテインである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体と組み合わせて用いるIL-2ムテインは、本明細書に記載されているような融合ムテインである。
K.その他の免疫療法の組み合わせ
本発明の方法に従って用いるその他の抗体及び/または免疫療法としては、抗CTLA4 mAb(イピリムマブ、トレメリムマブなど)、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(BMS-936559/MDX-1105、MEDI4736、RG-7446/MPDL3280Aなど)、抗LAG-3(IMP-321など)、免疫刺激タンパク質を標的とするアゴニスト抗体(CP-870,893、ルカツムマブ、ダセツズマブのような抗CD40 mAbを含む)、抗CD137 mAb(抗4-1-BB抗体)(BMS-663513ウレルマブ(抗4-1BB抗体、例えば、米国特許第7,288,638号及び同第8,962,804号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)、リリルマブ(抗KIR mAB、IPH2102/BMS-986015、NK細胞抑制性受容体をブロックする)、及びPF-05082566(ウトミルマブ、例えば、米国特許第8,821,867号、同第8,337,850号及び同第9,468,678号、ならびに国際公開第WO2012/032433号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗OX40 mAb(例えば、WO2006/029879またはWO2010/096418(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗GITR mAb(TRX518(例えば、米国特許第7,812,135号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)、抗CD27 mAb(バルリルマブCDX-1127(例えば、WO2016/145085、ならびに米国特許出願公開第2011/0274685号及び同第2012/0213771号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗ICOS mAb(例えば、MEDI-570、JTX-2011及び抗TIM-3抗体(例えば、WO2013/006490または米国特許出願公開第2016/0257758号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
その他の抗体としては、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌を含む)、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、脳腫瘍に対するモノクローナル抗体も挙げることができる(概して、www.clinicaltrials.govを参照されたい)。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、参照した抗体のいずれかと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。
抗体としては、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)のための抗体も挙げることができる。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)のための抗体と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
L.治療方法
いくつかの実施形態では、本発明のIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体、及び/またはこれらを発現する核酸を対象に投与して、異常なアポトーシスプロセスまたは分化プロセスと関連する障害を治療できる(例えば、能動免疫または受動免疫をもたらすことによって、例えば、細胞増殖性障害または細胞分化性障害(がんなど)を治療できる)。このような疾患の治療では、開示されているIL-2ムテインは、血管漏出症候群の軽減のような有益な特性を有し得る。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、本明細書に開示されているいずれかのIL-2ムテインまたはバリアントである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの配列は、配列番号2、配列番号6~配列番号10または配列番号16のいずれか1つと90%同一である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、5-1の配列番号5、5-2の配列番号6、6-6の配列番号7、A2の配列番号8、B1の配列番号9、B11の配列番号10、C5の配列番号11、D10の配列番号12、E10の配列番号13、G8の配列番号14、H4の配列番号15及びH9の配列番号16のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインにおける置換は、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にして番号付けした)を含む。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、CAR-Tコンストラクトと会合しており、及び/またはCAR-Tコンストラクトによって発現される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、腫瘍溶解性ウイルスによって発現され、及び/または腫瘍溶解性ウイルスと会合している。
細胞増殖性障害及び/または細胞分化性障害の例としては、がん(例えば、癌腫、肉腫、転移性障害または造血器新生物性障害、例えば白血病)が挙げられる。転移腫瘍は、数多くの種類の原発腫瘍に起因することができ、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌を含む)、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍の原発腫瘍が挙げられるが、これらに限らない。
本発明の変異体IL-2ポリペプチドを用いて、腎臓癌もしくはメラノーマを含むいずれかの種類のがん、またはいずれかのウイルス性疾患である疑いがある患者、あるいはそのがんまたはウイルス性疾患を発現するリスクが高い場合のある患者を治療できる。例示的な癌腫としては、子宮頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸及び卵巣の組織から形成される癌腫が挙げられる。この用語には、がん性組織及び肉腫性組織で構成される悪性腫瘍を含む癌腫も含まれる。
増殖性障害のさらなる例としては、造血器新生物性障害が挙げられる。
患者への投与を行う方法の代わりに、またはその方法に加えて、いくつかの実施形態では、変異体IL-2ポリペプチドをex vivoの方法で使用できる。例えば、細胞(例えば、患者から単離して、培養液に配置するかまたは培養液で維持するかした末梢血リンパ球または精製リンパ球集団)をin vitroで、培養培地において培養でき、その接触工程では、IL-2変異体をその培養培地に加えることによって、作用を及ぼすことができる。その培養工程は、例えば、対象となる抗原(例えば、がん抗原またはウイルス抗原)に対する反応性がある細胞集団の増殖を刺激するか、またはその集団を増加させるために、細胞を他の物質で刺激または処理する工程をさらに含むことができる。そして、その細胞を処理した後に、その細胞を患者に投与する。
治療法用に、本明細書に開示されているIL-2ムテインと組み合わせて使用する抗PD-1抗体としては、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011及びMK-3475が挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、がんの治療のために、抗PD-1の抗体または阻害剤と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、ニボルマブと組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、BMS-936558と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、MDX-1106と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、ONO-4538と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、AMP224と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、CT-011と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインは、がんの治療のために、MK-3475と組み合わせて使用する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、K43Nという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、がんの治療のために、抗CTLA4 mAbs(イピリムマブ、トレメリムマブなど)、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(BMS-936559/MDX-1105、MEDI4736、RG-7446/MPDL3280Aなど)、抗LAG-3(IMP-321など)、免疫刺激タンパク質を標的とするアゴニスト抗体(CP-870,893、ルカツムマブ、ダセツズマブのような抗CD40 mAbを含む)、抗CD137 mAb(抗4-1-BB抗体)(BMS-663513ウレルマブ(抗4-1BB抗体、例えば、米国特許第7,288,638号及び同第8,962,804号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)、リリルマブ(抗KIR mAB、IPH2102/BMS-986015、NK細胞抑制性受容体をブロックする)、及びPF-05082566(ウトミルマブ、例えば、米国特許第8,821,867号、同第8,337,850号及び同第9,468,678号、ならびに国際公開第WO2012/032433号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗OX40 mAb(例えば、WO2006/029879またはWO2010/096418(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗GITR mAb(TRX518(例えば、米国特許第7,812,135号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)、抗CD27 mAb(バルリルマブCDX-1127(例えば、WO2016/145085、ならびに米国特許出願公開第2011/0274685号及び同第2012/0213771号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)、抗ICOS mAb(例えば、MEDI-570、JTX-2011及び抗TIM-3抗体(例えば、WO2013/006490または米国特許出願公開第2016/0257758号(参照により、その全体が、本明細書に援用される)を参照されたい)など)を含む(ただし、これらに限らない)抗体及び/または免疫療法と組み合わせて使用する。
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、がんの治療のために、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌を含む)、腎臓癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、脳腫瘍に対するモノクローナル抗体(概して、www.clinicaltrials.govを参照されたい)を含むことができる別の抗体と組み合わせて使用する。
いくつかの実施形態では、二重特異性IL-2サイトカイン融合体のIL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含み、がんの治療のために、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)のための抗体と組み合わせて使用する。
M.医薬組成物及び投与方法
いくつかの実施形態では、本発明のIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体、ならびに核酸は、医薬組成物を含む組成物に組み込むことができる。このような組成物は典型的には、ポリペプチドまたは核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む。このような組成物は、抗PD-1抗体も含むことができる。いくつかの実施形態では、その組成物は、融合タンパク質であり、及び/またはCAR-Tコンストラクトと会合されており、及び/または腫瘍溶解性ウイルスによって発現されるか、もしくは腫瘍溶解性ウイルスと会合しているIL-2ムテインを含む。
その抗PD-1抗体、ならびにIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、複合組成物として、2つの別々の組成物として同時に、及び/または2つの別々の組成物として順次に投与することができる。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤、及びIL-2ムテインは、1つの複合組成物として一緒に投与する(すなわち、一緒に配合する)。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤、及びIL-2ムテインは、2つの別々の組成物(すなわち、別々の製剤)として同時に投与する。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤、及びIL-2ムテインは、別々の組成物(すなわち、別々の製剤)として順次に投与する。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤、及びIL-2ムテインを別々の組成物として順次に投与するときには、IL-2ムテインの前に、抗PD-1の抗体または阻害剤を投与する。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤、及びIL-2ムテインを別々の組成物として順次に投与するときには、抗PD-1の抗体または阻害剤の前に、IL-2ムテインを投与する。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体としては、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011及びMK-3475が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、K43Nという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
記載されているような他の免疫療法剤、ならびにIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体は、複合組成物として、2つの別々の組成物として同時に、及び/または2つの別々の組成物として順次に投与することができる。いくつかの実施形態では、他の免疫療法剤及びIL-2ムテインは、1つの複合組成物として一緒に投与する(すなわち、一緒に配合する)。いくつかの実施形態では、他の免疫療法剤及びIL-2ムテインは、2つの別々の組成物(すなわち、別々の製剤)として同時に投与する。いくつかの実施形態では、他の免疫療法剤及びIL-2ムテインは、別々の組成物(すなわち、別々の製剤)として順次に投与する。いくつかの実施形態では、他の免疫療法剤及びIL-2ムテインを別々の組成物として順次に投与するときには、IL-2ムテインの前に、抗PD-1の抗体または阻害剤を投与する。いくつかの実施形態では、他の免疫療法剤及びIL-2ムテインを別々の組成物として順次に投与するときには、他の免疫療法剤の前に、IL-2ムテインを投与する。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92F(ヒト野生型IL-2(配列番号2)を基準にして番号付けした)という置換を含むIL-2ムテインである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、K43Nという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインは、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けは、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである。
医薬組成物は、意図する投与経路と適合するように調合する。本発明の抗PD-1抗体及び/または変異体IL-2ポリペプチド(二重特異性IL-2サイトカイン融合体を含む)は、経口投与してよいが、例えば静脈内投与を含む非経口経路を通じて投与する可能性の方が高い。非経口投与経路の例としては、例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与及び直腸投与が挙げられる。非経口的な適用に使用する溶液または懸濁液としては、滅菌希釈剤(注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶媒)、抗菌剤(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)、緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩など)、及び浸透圧調整剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)という成分を挙げることができる。pHは、リン酸一ナトリウム及び/または第二リン酸ナトリウム、塩酸、あるいは水酸化ナトリウムのような酸または塩基で、(例えば、pH約7.2~7.8、例えば7.5)に調整できる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックで作られたアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは多用量バイアルに入れることができる。
注射用に適する医薬組成物としては、滅菌した水溶液(水溶性の場合)または分散液、及び滅菌した注射用溶液または注射用分散液を即座に調製するための滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与用では、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合にも、その組成物は、滅菌されている必要があるとともに、容易に注射針を通過する程度に、流体である必要がある。その組成物は、製造条件及び保存条件下で安定である必要があり、細菌及び真菌のような微生物の汚染物の作用から保護されるように保存しなければならない。その担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを用いることによって、分散の場合には、所要の粒径を維持することによって、及び界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウムを用いることによって維持できる。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって行うことができる。多くの場合、その組成物に、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、塩化ナトリウムを含めるのが好ましいであろう。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅らせる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めることによって実現できる。
滅菌注射用溶液は、必要な場合には、上に列挙されている成分の1つまたはそれらを組み合わせたものとともに、活性化合物を所要量で適切な溶媒に組み込んだ後に、ろ過滅菌することによって調製できる。概して、分散液は、塩基性分散媒、及び上に列挙されている他の成分のうちの必要な成分を含む滅菌ビヒクルに、活性化合物を組み込むことによって調製する。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、この方法により、活性成分の粉末、及びいずれかの所望の追加成分が、事前に滅菌ろ過したそれらの溶液から得られる。
経口組成物を使用する場合には、その経口組成物は概して、不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療剤を投与する目的では、活性化合物は、賦形剤とともに組み込むことができ、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤、例えばゼラチンカプセル剤の形態で使用できる。経口組成物は、流体担体を用いて、含嗽剤として使用するように調製することもできる。薬学的に適合性のある結合剤及び/またはアジュバント材を、その組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ剤などは、結合剤(微結晶性セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチンなど)、賦形剤(デンプンもしくはラクトースなど)、崩壊剤(アルギン酸、Primogel(商標)もしくはコーンスターチなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes(商標)など)、流動化剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、甘味剤(スクロースもしくはサッカリンなど)、または香味剤(ペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジフレーバーなど)という成分、または類似の性質の化合物のうちのいずれかを含むことができる。
吸入による投与の場合には、抗PD-1抗体及び/またはIL-2ムテイン、あるいはそれらをコードする核酸は、適切な噴射剤、例えば、二酸化炭素のような気体を含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーから供給されるエアゾールスプレー剤の形態で送達する。このような方法としては、米国特許第6,468,798号に記載されている方法が挙げられる。
抗PD-1抗体及び/またはIL-2ムテイン、あるいは核酸の全身投与は、経粘膜的または経皮的な手段によるものであることもできる。経粘膜投与または経皮投与では、透過させるバリアに適する透過剤を製剤において使用する。このような透過剤は概して、当該技術分野において知られており、例えば、経粘膜投与用では、洗浄剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、点鼻スプレーまたは坐剤の使用を通じて行うことができる。経皮投与では、活性化合物は、概ね当該技術分野において知られているような軟膏剤(ointment)、軟膏剤(salve)、ゲル剤またはクリームに調合する。
いくつかの実施形態では、化合物(抗PD-1抗体及び/または変異体IL-2ポリペプチド、あるいは核酸)は、直腸送達用の坐剤(例えば、カカオ脂及びその他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を有する)または保持型浣腸剤の形態で調製することもできる。
いくつかの実施形態では、化合物(本発明のIL-2ムテインまたは核酸)は、当該技術分野において知られている方法を用いて、トランスフェクションまたは感染によって投与することもでき、その方法としては、McCaffrey et al.(Nature 418:6893,2002)、Xia et al.(Nature Biotechnol.20:1006-1010,2002)またはPutnam(Am.J.Health Syst.Pharm.53:151-160,1996,erratum at Am.J.Health Syst.Pharm.53:325,1996)に記載されている方法が挙げられるが、これらに限らない。
一実施形態では、抗PD-1抗体及び/またはIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体、あるいは核酸は、その抗PD-1抗体及び/または変異体IL-2ポリペプチドが体内から急速に排除されないように保護する担体とともに調製する(インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む放出制御型製剤など)。エチレン酢酸ビニル、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸のような生分解性生体適合性ポリマーを使用できる。このような製剤は、標準的な技法を用いて調製できる。その材料は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Incから市販のものを入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって、感染細胞にターゲティングされるリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に知られている方法に従って調製できる。
このような抗PD-1抗体、IL-2ムテインまたは核酸の化合物の投与量、毒性及び治療効果は、例えば、LD50(集団の半数致死量)及びED50(集団の50%で治療上有効な用量)を求めるための、細胞培養液または実験動物における標準的な薬学的手順によって求めることができる。毒性作用と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができる。治療指数が高い化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用してよいものの、非感染細胞が損傷する可能性を最小限にすることによって、副作用を軽減するために、そのような化合物を罹患組織の部位にターゲティングする送達システムを設計するように配慮する必要がある。
ヒトで用いるための投与量の範囲を策定する際には、細胞培養アッセイ及び動物試験から得たデータを使用できる。このような化合物の投与量は、毒性がほとんどないかまたは毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内であるのが好ましい。その投与量は、採用する剤形及び使用する投与経路に応じて、この範囲内で変更し得る。本発明の方法で用いるいずれの化合物でも、最初は、治療有効用量を細胞培養アッセイから推定できる。用量は、細胞培養液で求めた場合に、IC50(すなわち、症状の最大阻害作用の50%を得られる試験化合物濃度)を含む循環血漿中濃度範囲が得られるように、動物モデルで策定してよい。このような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をさらに正確に求めることができる。血漿中レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定してよい。
本明細書に定義されているように、本発明のIL-2ムテイン及び/または二重特異性IL-2サイトカイン融合体の治療有効量(すなわち、有効な投与量)、及び/または抗PD-1の抗体もしくは阻害剤の治療有効量は、選択したポリペプチドまたは抗体に左右される。いくつかの実施形態では、IL-2ムテインの1回投与量は、患者の体重1kg当たり、およそ0.001mg~0.1mgの範囲であることができる。いくつかの実施形態では、抗PD-1の抗体または阻害剤の1回投与量は、患者の体重1kg当たり、およそ1mg~20mgもしくは約5mg~約15mgの範囲、または約10mgであることができる。いくつかの実施形態では、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.025mg/kg、約0.05mg/kg、約0.1mg/kg、約0.25mg/kg、約0.5mg/kg、約1.0mg/kg、約5.0mg/kg、約10.0mg/kgの用量の抗PD-1の抗体もしくは阻害剤、及び/またはIL-2ムテインを投与してよい。いくつかの実施形態では、600,000IU/kgを投与する(IUは、リンパ球増殖バイオアッセイによって求めることができ、World Health Organization 1st International Standard for Interleukin-2(human)によって定められた国際単位(IU)で表される)。その投与量は、PROLEUKIN(登録商標)で処方される量と同程度であってもよいが、その量よりも少ないことが予測される。その組成物は、1日に1回以上から、週に1回以上まで投与でき、2日に1回を含む。その疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の全身健康状態及び/または年齢、ならびに存在するその他の疾患(ただし、これらに限らない)を含む特定の要因により、対象を効果的に治療するのに必要な投与量及びタイミングが影響を受けることがあることは、当業者には明らかであろう。さらに、治療有効量の本発明のIL-2ムテインによる、対象の治療は、1回の治療を含むこともできるし、または一連の治療を含むこともできる。一実施形態では、その組成物は、5日間、8時間おきに投与した後、2~14日、例えば9日の休薬期間を設けてから、さらに5日間、8時間おきに投与する。いくつかの実施形態では、投与は、4日おきに3回の投与である。
その医薬組成物は、容器、パックまたはディスペンサーに、投与の説明書とともに入れることができる。
下記の実施例は、本明細書に示されている本発明の特定の実施形態を説明する目的で示されており、限定するものとして解釈すべきではない。
実施例1:強力な免疫調節剤としての長時間作用型の単一特異性及び二重特異性の新規IL-2/IL-13スーパーカインの台頭
この実施例では、活発な応答を用量依存的にもたらす併用療法を示すデータを提供する。
背景:
IL-2(Proleukin(登録商標))の利用は、IL2RβよりもIL2Rαに対する親和性が高いことによって誘導される短い半減期、毒性及びTregsの優先的な活性化により、限られたままである。これらの制限を回避するために、我々は、(1)IL2Rαへの結合を妨げる変異の付加、及び(2)半減期を延長するための、アルブミンとの融合によって、IL-2スーパーカインであるMDNA109をさらに操作して、MDNA11を作製した。また、我々は、我々のスーパーカインプラットフォームの多用途性を利用して、同時に、IL-2のシグナル伝達を活性化する(すなわち炎症誘発性)とともに、IL-4/IL-13の機能を抑制し(すなわち抗炎症性)及び/または腫瘍に蓄積させるように、長時間作用型の二重特異性コンストラクトを操作した。
材料及び方法:In vitro試験及びin vivo試験に、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の存在下または非存在下で、ヒトPBMCにおけるIL-2シグナル伝達、BLI/Octet結合分析、マウスにおけるPK試験、及び同系腫瘍モデルにおける有効性試験を含めた。カニクイザル(NHP)での用量設定試験を行って、MDNA11の安全性及びPK/PDプロファイルを特徴付けた。
結果
MDNA11及び二重特異性コンストラクトでは、ヒトNK細胞及び休止CD8 T細胞においてSTAT5シグナル伝達の増強が見られ、Treg活性が、IL-2よりも低下した。週に1回で2週間という投与だったにもかかわらず、CT26腫瘍モデルにおいて、MDNA11の単独療法またはICIとの併用で、強力な有効性が見られ、その結果、長期の腫瘍退縮及び強力なメモリー応答が得られた。MDNA11は、B16F10メラノーマの成長も阻害し、腫瘍に浸潤しているCD8 T細胞及びNK細胞の持続的な増加も見られた。二重特異性コンストラクトによる予備試験では、CT26及びB16F10の腫瘍モデルの両方において、治療応答性が示された。NHPでは、MDNA11は、NK細胞及びCD8 T細胞の持続的な増殖及び増加を誘導したとともに、Tregに対する作用は限られていた。MDNA11を反復投与しても、サイトカインストーム、抗薬物抗体応答または好酸球増加症(血管漏出症候群(VLS)と関連する)は誘発されなかった。組織病理学的な評価により、主なIL-2誘発毒性である肺水腫が見られないことが確認された。
結論
MDNA11は、ナイーブCD8 T細胞及びNK細胞の活性化において、優れた効力を有するとともに、Tregに対する活性が低減された長時間作用型IL-2スーパーカインである。MDNA11は、腫瘍の成長を強力に阻害したとともに、持続的な退縮及び強力なメモリー応答を誘導した。新規な二重特異性コンストラクトでは、上記のin vivo腫瘍モデルにおける有効性も示された。NHPでは、MDNA11は、有害な副作用なしに、免疫エフェクター細胞の持続的な増殖及び増加を誘導した。これらのデータにより、MDNA11の効力が示され、イムノオンコロジーな適応のための多機能な医薬の設計に対する、我々のスーパーカインプラットフォームの多用途性が浮き彫りになった。
実施例2:MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)二重特異性スーパーカイン
序論
MDNA109は、親和性が中程度であるIL2受容体(IL2R)(ナイーブCD8 T細胞上及びNK細胞上に発現するIL-2Rβ(CD122)及びIL-2Rγc(CD132)からなる)に対する選択性が高いIL-2スーパーカインである。したがって、MDNA109は、NK細胞及びCD8 T細胞の強力な活性化因子であり、IL-2よりも優れた抗がん応答を誘導できる。しかしながら、MDNA109は依然として、IL-2Rα(CD25)に結合することがあり、その結果、免疫抑制性のTreg上に発現する高親和性のIL-2R(IL-2Rαβγc)が強力に活性化されるので、エフェクターT細胞の抗がん作用が低下する。FEAA変異をMDNA109に付加することにより、MDNA109のCD122への結合能に影響を及ぼさずに、CD25への結合が消失し、それにより、エフェクター免疫細胞間のバランスがシフトし、がん細胞を制御または根絶させる。
MDNA109及びMDNA109FEAAは、hIgG1 Fc(エフェクター機能を抑制するN297Aという変異を有する)のような足場タンパク質に結合して、in vivo半減期を延長できる多用途な分子である。これらのFc融合コンストラクトを、追加のサイトカインまたはスーパーカインとさらに融合して、特有の特性及び潜在的に新規な機能を有する二重特異性分子を作製できる。Medicennaはこれまで、3つの特有の二重特異性スーパーカインの操作及び製造を行ってきた(開発中のものは6個以上である)とともに、イムノオンコロジーにおけるそれらの潜在的な治療能力の評価を行う予定である。これらの二重特異性物質の開発の明細及び理由が、表14及び下記の節に示されている。これらの二重特異性スーパーカインの配列は、表15及び図54に列挙されている。
MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)二重特異性スーパーカイン:
IL13Rα2は、IL-13サイトカインに対するデコイ受容体であり、理論に拘束されるものではないが、炎症組織において、IL13媒介性の応答を弱めることによって作用すると考えられる。IL13Rα2は、正常組織では、発現が最小限であるが、グリオブラストーマ、結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍及び基底細胞様型乳房腫瘍を含む特定の腫瘍で過剰発現する。したがって、IL13Rα2は、これらの種類のがんにおいて、免疫療法の潜在的な標的とみなすことができ、MDNA109のようなサイトカインの治療活性を増強する目的で、そのサイトカインの腫瘍部位への局在化を向上させる手段として利用できる。
MDNA132は、IL13Rα2に選択的に結合するように操作したIL-13スーパーカインであり、親和性が、IL-13よりも10倍向上している。標的部位におけるバイオアベイラビリティを向上させることによって、MDNA109の治療的作用を増強するために、IL13Rα2を過剰発現する腫瘍に局在化させるMDNA132を利用する目的で、二重特異性スーパーカインMDNA132-Fc-MDNA109(表12を参照されたい)を設計した。FEAAの変異によって操作したMDNA109を含むバリアントコンストラクト(例えばMDNA132-Fc-MDNA109FEAA)を試験用に作製した。
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)二重特異性スーパーカイン:
インターロイキン4受容体(IL4R)は、免疫系の重要な成分である。IL4Rは、T細胞の分化、抗体のアイソタイプスイッチ及びその他の免疫反応に深く関与する。興味深いことに、IL4Rは、I型受容体またはII型受容体のいずれかに分類できる。I型受容体の関連では、IL4Rα-鎖は、γc鎖(通常、免疫細胞上に発現する)に結合する。これに対して、II型受容体は、IL13Rα1に結合するIL4Rα鎖からなる。II型IL4Rは、様々な種類の腫瘍上に多く見られるので、特に、がん免疫療法に関連付けられている。例えば、II型IL4Rは、膵臓腫瘍及び卵巣腫瘍の50%超、結腸直腸癌、乳癌、頭頸部癌及び肺癌(すなわちNSCLC)の70%超で過剰発現する。固形腫瘍に加えて、腫瘍微小環境(TME)の重要な成分を構成する骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)及び腫瘍随伴マクロファージ(TAM)は、II型IL4Rが陽性である。この関連では、IL4/IL4Rの軸は、TAMにおいて、がん促進性の表現型を誘導し、いくつかの作用の中でも特に、増殖の促進、アポトーシスの阻害を含め、MDSCを増強し、腫瘍代謝を高める。したがって、この経路の阻害により、TMEを大幅に変化できるとともに、腫瘍の成長を制限できるであろう。
MDNA413は、IL4R II型への結合を選択的にブロックすることによって、IL-4誘導性及びIL-13誘導性の活性を効率的に阻害するように設計された二重のIL4/IL-13スーパーアンタゴニストである。したがって、MDNA413は、MDSCの機能を阻害して、TAMが免疫抑制性のM2表現型に偏るのを最小限にすることができ、それによって、バランスが、抗がん応答に優位な方にシフトする。MDNA413のMDNA109-FcまたはMDNA109FEAA-Fcへの融合体(表15及び図54)では、エフェクター免疫細胞(すなわち、CD8 T細胞及びNK細胞)の抗がん活性を刺激する一方で、MDSC及びM2/TAMの腫瘍促進機能を低減するという利点が組み合わされている。
Figure 2023532273000105
Figure 2023532273000106
Figure 2023532273000107
Figure 2023532273000108
二重特異性スーパーカインの作製及び精製
HEK293細胞において、二重特異性スーパーカインを作製した。MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)は、アフィニティークロマトグラフィー(プロテインAの後に、陽イオン交換を行った)によって精製し、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)及び高速液体クロマトグラフィーHPLCによって分析した(図4)。MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA413FEAA-Fc-MDNA109(2:1:2)は、アフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製して、SDS-PAGE及びHPLCによって分析した(それぞれ、図5及び図6)。エンドトキシンレベルは、LAL発色エンドトキシンアッセイによって測定し、表16に、純度及び緩衝剤に関する情報とともに報告されている。
Figure 2023532273000109
ヒトPBMCにおけるシグナル伝達
STAT5のリン酸化(pSTAT5)に基づく、in vitroでのシグナル伝達アッセイにより、重要な機能上の情報が得られ、このアッセイを用いて、異なる形態のIL-2受容体(IL-2R)を発現している様々な免疫細胞サブセットを活性化することにおいて、MDNA109スーパーカインの効力を評価した(Levin et al.,2012)。健常なヒトドナーから採取したPBMCにおいて、用量-応答実験を行って、同じ実験条件で、様々な免疫細胞サブセットにおける二重特異性スーパーカインの効力を測定した。これらの試験を用いて、二重特異性スーパーカインの薬理学的なプロファイルの知見を得たとともに、MDNA413及びMDNA132との融合が、MDNA109及びMDNA109FEAAの活性に影響を及ぼすかを判断した。ヒト初代PBMCを用いることによる主な強みは、遺伝的不均一性が、試験コンストラクトによって誘導される免疫応答に及ぼす潜在的作用を理解するために、複数のドナーで試験を行える能力である。
PBMCを密度勾配によって単離し、完全培地にて静置してから、15分、IL-2、様々なMDNA109バリアントまたは二重特異性スーパーカインの10点5倍希釈系列で刺激した。コントロールには、未刺激の(すなわち、MDNA109バリアントまたはIL-2を加えていない)PBMC細胞を含めた。刺激の直後に、細胞を固定し、表17に列挙されているような免疫サブセットで、リン酸化STAT5(pSTAT5)の細胞内染色を行った後、試料をフローサイトメトリーによって分析した。様々な免疫サブセットにおいてpSTAT5分析を可能にするために用いたゲーティング方法は、図7に示されており、Fluorescence Minus One(FMO)コントロールは、図8に示されている。
Figure 2023532273000110
示されている試験コンストラクトで刺激した後の各免疫サブセットの代表的な用量-応答曲線が、図9に示されており、様々なPBMCドナーの分析から得たEC50値の要約が、プロットの下の表に示されている。IL-2またはIL2-Fcと比べて、MDNA109-Fc及びMDNA109FEAA-Fcは、ナイーブ(CD25-)CD8 T細胞の活性化において、EC50値が低いことによって示されているように、明らかに強力であった。MDNA109-FcのEC50(152.2±35.8pM)は、IL2-Fc(2189.2±435.3pM)の14分の1であり、MDNA109FEAA-FcのEC50(370.6±131.1pM)は、6分の1であった。NK細胞に関しては、MDNA109-Fc及びMDNA109FEAA-Fcはいずれも、IL2よりも強力であったが、IL2-Fcとの比較では、MDNA109-Fcは、IL2-Fcよりも優れた効力が見られ、MDNA109FEAA-Fcは、IL2-Fcと同等の効力が見られ、それほど明らかではなかった。
IL2-Fc及びMDNA109-Fcのいずれも、Treg集団に対しては同等の効力が見られ、EC50はそれぞれ、0.85±0.4pM及び0.9±0.42pMであった。これに対して、MDNA109FEAA-Fcでは、Tregの活性化が大幅に低下し、EC50は、135.5±53.9pMで、IL2-Fc及びMDNA109-Fcの150分の1であった。
これらのデータから、上記の二重特異性スーパーカインが、IL-2またはIL2-Fcと比べて、ナイーブCD8 T細胞を効果的に刺激する能力を保持することが明らかに示された。IL2-Fcと比べて、MDNA132-Fc-MDNA109(EC50=258±58.8pM)は、約8倍強力であり、MDNA413-Fc-MDNA109(EC50=378.4±123.1pM)は、約6倍強力であり、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(EC50=575.8±119pM)は、約4倍強力である。加えて、3つの二重特異性スーパーカインはすべて、NK細胞の刺激において、IL-2よりも強力である。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA413は、CD8 T細胞の活性化において、他の二重特異性スーパーカインよりも強度が低いが、IL2-Fcよりも高い効果を保持しており、他のいずれのバリアントよりも、Tregを刺激する能力が低減されているという特有の特性を有する。IL2-Fc(EC50=0.85±0.4pM)と比べて、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(EC50=210.3±58)は、Tregを刺激する強度がほぼ250分の1である。
これらのコンストラクトの潜在的な治療活性を予測するのに有用な測定基準は、TregでのpSTAT5 EC50に対する、ナイーブCD8 T細胞及びNK細胞でのpSTAT5 EC50の比率である。図10に示されているように、IL-2及びIL-2-Fcにおける、CD8 T細胞/TregのEC50比は高く(IL-2では694、IL-2-Fcでは3008)、これらのコンストラクトが、ナイーブCD8 T細胞の活性化因子であることよりも、Tregの良好な活性化因子であることと整合している。この比率は、MDNA109-Fc、ならびにMDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109では、有意に低下しており、ナイーブCD8 T細胞に対する効力が増加していることと整合している。最も有意な変化は、MDNA109FEAA-Fc及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413で得られ、これらでは、CD8 T細胞/TregのEC50比が、1桁の小さい値まで大幅に低下している。TregのEC50に対する、NK細胞のEC50の比率は、MDNA109-Fc、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109で同様の傾向が見られ、IL-2及びIL2-Fcよりも比率が低い。MDNA109FEAA-Fc及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413において、NK細胞/TregのEC50比が最低レベルである。これらの結果には、これらのコンストラクトにおいて、NK細胞及びナイーブCD8 T細胞に対する効力が向上しているのみならず、Tregに対する効力も低下していることが反映されている。免疫誘導性のCD8 T細胞及びNK細胞の増加と、免疫抑制性のTregの低下が組み合わさると、強力な抗がん免疫応答が誘導されると見込まれる。
結論:
MDNA109またはMDNA109FEAAの中心成分を有する二重特異性スーパーカインは、CD8 T細胞の活性化において、IL2-Fcよりも増強された効力を保持する。MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA413-Fc-MDNA109(KIH)は、Tregの活性化に対する効力が、IL2-Fcと同程度であるのに対して、MDNA109FEAA-FC-MDNA413(2:1:2)は、Treg集団の刺激が、ほぼ250分の1に低下している。
MTD(最大耐用量)及び投与スケジュールの試験
MTDは、顕著な副作用または明白な毒性を引き起こさない最大薬物用量として定義される。BALB/c及びC57BL/6というという2つのマウス系統で、MTDの試験を行い、その後、これらを用いて、二重特異性スーパーカインの抗がん効果を評価した。これらの2系統の使用により、BALB/cマウスまたはC57BL/6マウスのいずれかと適合する様々な同系がんモデルを用いた有効性試験が可能となった。これらのデータは、最適な有効性及び実用性を得るために、二重特異性スーパーカインの投与を、併用薬の投与と提携させる併用試験を設計する際にも重要であった。一例として、マウス及び臨床における免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の投与スケジュールは、十分に立証されている。
二重特異性スーパーカインは、腹腔内(IP)注射によって投与したが、IP注射は、マウスにおいてICIを送達するための一般的な経路でもある。試験に応じて、各処置群のマウスは、5匹であった。これらの試験では、MTDは、試験期間中に、自然死、または体重減少もしくは瀕死による強制的な殺処分が発生したすべてのケースとして厳密に定義した。MTD試験は、今日まで、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA413-Fc-MDNA109(KIH)について行われている。
BALB/cマウスにおけるMTD試験:
BALB/cマウスで行ったMTD試験の設計の明細は、表18に示されている。試験は、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109によって実施し、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413は、これらの実験を行う時には利用不可能であった。
Figure 2023532273000111
図11に示されているように、1mg/kgまたは2.5mg/kgのMDNA132-Fc-MDNA109またはMDNA413-Fc-MDNA109のいずれかで、週に2回、2週間処置したBALB/cマウスはすべて、試験の終了時に生存していた。試験期間中、いずれの群のマウスも、臨床的に正常なようであったとともに、体重を維持した。要約すると、BALB/cマウスにおいては、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109のいずれでも、週に2回の投与スケジュールで2週間試験した最大用量(2.5mg/kg)では、MTDには到達しなかった。
C57Bl/6マウスにおけるMTD試験:
表19には、C57Bl/6マウスで行ったMTD試験の設計の大要が示されている。BALB/cマウスよりも低い用量範囲を使用した。C57Bl/6は、BALB/cマウスよりも、IL-2に対する感受性が高いことが分かっているからである(Chen et al.,2005)。
Figure 2023532273000112
図12に示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109またはMDNA413-Fc-MDNA109で、週に2回、2週間、0.2mg/kg、0.5mg/kg及び1.0mg/kgで処置したC57Bl/6マウスはすべて、試験の終了時に生存していた。試験期間中、いずれの群のマウスも、臨床的に正常なようであったとともに、体重を維持した。要約すると、C57Bl/6マウスにおいては、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109のいずれでも、週に2回の投与スケジュールで2週間試験した最大用量(1.0mg/kg)では、MTDには到達しなかった。
図12:様々な用量のMDNA132-Fc-MDNA109(左)及びMDNA413-Fc-MDNA109(右)の投与を受けたC57Bl/6マウスの生存率
結論:
MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109は、BALB/cマウスにおいて、週に2回で2週間、1.0mg/kg及び2.5mg/kgで投与したところ、十分な忍容性が示され、試験した最大用量(2.5mg/kg)では、MTDに到達しなかったことが示された。
MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109は、C57B/6マウスにおいては、週に2回で2週間、0.2mg/kg、0.5mg/kg及び1.0mg/kgで投与したところ、十分な忍容性が示され、試験した最大用量(1.0mg/kg)では、MTDに到達しなかったことが示された。
in vivoでの有効性試験
in vivo腫瘍モデルを用いて、強力なin vitro機能データを、臨床的に関連する抗がん表現型に転用できるかを試験した。これらのin vivoでの有効性試験は、二重特異性スーパーカインを単剤として、またはICIと組み合わせて用いて行った。MTDには到達しなかったので、試験した用量よりも高い用量を使用した。ただし、投与スケジュールの頻度は低くした。加えて、二重特異性スーパーカインを腫瘍に直接送達して、局部投与が有効性に及ぼす作用を評価する予備試験も行った。
CT26結腸癌モデルにおける有効性試験:
下記の多くの理由から、二重特異性スーパーカインの潜在的な治療能力を評価するために、同系結腸癌モデルCT26を選択した。
●CT26というがんモデルは、多くの他のがんモデル(例えば、B16F10メラノーマモデル、4T1転移性乳癌モデルまたはPanc2膵臓癌モデル)と比べて侵襲性が低いので、MDNA109バリアントの治療効果を追跡するための、より広い治療域が得られる。
●CT26というがんモデルは、いくつかの他のモデルとは対照的に、ICIに応答するので、併用治療を評価して、相乗作用の可能性を判断する機会が得られる。
●比較的成長がゆっくりであるという、CT26腫瘍の特徴により、早期の腫瘍(すなわち、小さい腫瘍)と後期の腫瘍(すなわち、大きい腫瘍)の比較という関連で、MDNA109バリアントの抗腫瘍活性を評価する機会が得られる。
CT26モデルにおいて、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)で行った有効性試験の試験設計は、以下のとおりである。
●雌(8~10週齢)のBALB/cマウスに、2×10個のCT26細胞を右側腹部に皮下移植し、腫瘍の平均サイズが60mm3に達するまで、腫瘍を成長させた。
●マウスを、腫瘍のサイズに基づき、それぞれ6匹(ビヒクルコントロール)または8匹(MDNA132-Fc-MDNA109)のいずれかの群に無作為に分けた。
●マウスに、ビヒクル(PBS)またはMDNA132-Fc-MDNA109のいずれかを5mg/kgで週に1回、2週間、腹腔内投与した。
●含めた試験測定項目:
○ケージサイドでの臨床観察を毎日
○体重及び腫瘍の測定を週に2回
○食物と水の消費のモニタリング
●下記の基準のいずれかを満たす場合には、途中で終了する動物:
○そのマウスの最大体重の20%を超える体重減少
○2000mmを超える腫瘍体積
○瀕死のように見えるマウス
図13(a)に示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)による処置により、CT26腫瘍の成長が強力に阻害された。実際、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)で処置した8匹のマウスの3匹では、完全に腫瘍が退縮した一方で、コントロールマウス(図13(b))では、腫瘍の完全な退縮は観察されなかった。これらの3匹のマウスでは、移植から120日超、または処置を停止ししてから3カ月超、腫瘍再発のいずれの徴候も見られなかったことから、がんが治癒したことが示された。
MDNA132-Fc-MDNA109の2回投与後、原発CT26腫瘍が治癒したマウスが、その後のリチャレンジから保護されるかを検証するために、上記の3匹のマウスに、試験の49日目に、CT26を反対の側腹部に移植し、さらなる処置はいずれも行わなかった。コントロールとして、未処置のナイーブマウスにも、CT26腫瘍細胞を移植した。図14(a)に示されているように、ナイーブBALB/cマウスでは、CT26腫瘍の活発な成長が見られた。これに対して、MDNA132-Fc-MDNA109で処置して、原発腫瘍が治癒したマウスでは、リチャレンジ部位において、腫瘍の成長のいずれの徴候も見られなかったことから、これらのマウスでは、CT26腫瘍細胞に対する強力なメモリー応答が発現したことが示唆された。これらのマウスには、2回目のリチャレンジを行い、引き続きモニタリングしている。したがって、MDNA132-Fc-MDNA109は、これらのマウスに、複数回のリチャレンジにもかかわらず、全生存率の点で効果をもたらす(図14(b))。
B16F10メラノーマモデルにおける有効性試験:
C57Bl/6マウスにおけるB16F10同系メラノーマモデルは、部分的には、マウスにおいて、これらの腫瘍が成長して転移する速度により、多くの治療努力に耐性を示してきた侵襲性のin vivo腫瘍モデルである。B16F10は、CT26腫瘍モデルよりも有意に治療が困難なモデルであるので、二重特異性スーパーカインの潜在的な治療活性を評価するための重要な難問をもたらす。2回の有効性試験を別々に行って、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA109の有効性を評価した。いずれの試験も、下に概説されているのと同様のプロトコールに従った。
●雌(8~10週齢)のC57Bl/6マウスに、3×105個のC57Bl/6細胞を右側腹部に皮下移植し、投与開始前に、腫瘍の成長が確立されるまで、腫瘍をそのままにした。
●腫瘍のサイズに基づき、マウスを無作為に処置群に分けて、各群の腫瘍の平均サイズが同程度になるようにした。
●マウスに、各試験に特有の用量及びスケジュールで、腹腔内投与した(下記を参照されたい)。
●含めた試験測定項目:
○ケージサイドでの臨床観察を毎日
○体重及び腫瘍の測定を週に2回
○食物と水の消費のモニタリング
● ●下記の基準のいずれかを満たす場合に、途中で終了するマウス:
○そのマウスの最大体重の20%を超える体重減少
○2000mm3を超える腫瘍体積
○瀕死のように見えるマウス
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)による、B16F10での有効性試験:
腫瘍の平均サイズは、投与開始時点において、約20mm3であった。マウスに、PBS(n=9)またはMDNA413-Fc-MDNA109を1mg/kg(n=7)または2.5mg/kg(n=9)で、週に2回、2週間、腹腔内注射した。図15に示されているように、MDNA413-Fc-MDNA109での処置により、B16F10腫瘍の成長が、用量依存的に阻害された。2.5mg/kgで投与したMDNA413-Fc-MDNA109では、成長阻害が、1mg/kgの用量よりも強力であった。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA413による、B16F10での有効性
この試験では、投与開始時において、腫瘍を約15mm3の平均サイズまで成長させた。マウスに、PBS(n=8)またはMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(n=8)を週に1回、3週間、5mg/kgで投与した。図16A~16Bに示されているように、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413は、B16F10メラノーマの成長に対する作用を有さず、腫瘍は、コントロールマウスの場合と同程度に成長した。これらのデータにより、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413によって治療的応答を得るためには、さらに頻度の高い投与スケジュール(週に2回)が必要であり得ることが示唆されている。
4T1乳癌モデルにおける有効性試験:
4T1乳癌モデルも、腫瘍の転移発生率が高い侵襲性モデルである。このモデルを用いて、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、及び腫瘍随伴線維芽細胞のM1型からM2型への偏り(両方とも、腫瘍の成長を補佐するように働く)の調節を目的とする薬物の治療活性を試験している。
これまで、単独療法としての(すなわち、アイソタイプコントロール、BioXcel BE0089との併用)または抗PD1(クローンRMP1-4、BioXcell BE0146)と組み合わせたMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA413-Fc-MDNA109(KIH)の潜在的な治療能力を評価するために、4T1での有効性試験を1回行った。試験設計は、下記のとおりであった。
●8週齢の雌BALB/cマウスに、2×106個の4T1細胞を皮下移植し、腫瘍を14日間成長させてから、投与を開始した。
●マウスを無作為に、腫瘍のサイズに基づき、それぞれ8匹のマウスの群に分けた。
●処置は、表20に概説されているとおりであった。
●含めた試験測定項目:
○ケージサイドでの臨床観察を毎日
○体重及び腫瘍の測定を週に2回
○食物と水の消費のモニタリング
● ●下記の基準のいずれかを満たす場合に、途中で終了するマウス:
○そのマウスの最大体重の20%を超える体重減少
○2000mm3を超える腫瘍体積
○瀕死のように見えるマウス
Figure 2023532273000113
図17に示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109による単独療法群及び併用群におけるマウスは、2回目の投与後、死亡が明らかとなり、このモデルにおいては、5mg/kg、週に1回の投与レジメンでは、有害な毒性が示された。BALB/cマウスにおけるCT26モデルでの以前の試験(上記を参照されたい)では、同じレジメンでのMDNA132-Fc-MDNA109による処置では、毒性が見られなかったことから、毒性が、4T1腫瘍モデル自体に関連し得ることが示唆された。
二重特異性スーパーカインの腫瘍内送達による予備的な有効性試験:
CT26腫瘍またはB6F10腫瘍が樹立された限られた数のマウスにおいて、予備試験を行って、二重特異性スーパーカインのその腫瘍への腫瘍内送達が、強力な治療的作用を及ぼすことができたかを判断した。
MDNA132-Fc-MDNA109による、B16F10の腫瘍内処置:
樹立したB16F10腫瘍に、PBS(n=2)または10μgのMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)を3日間空けて、3回(n=2)、腫瘍内注射した。サンプルサイズは非常に小さかったが、このデータにより、MDNA132-Fc-MDNA109の腫瘍内注射により、B16F10メラノーマの成長が遅くなったことが示唆された(図18)。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA413による、CT26の腫瘍内処置:
樹立されたCT26腫瘍を有するマウス(n=5)に、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413を1回当たり10μgで、3日間空けて合計3回、腫瘍内注射した。図19に示されているように、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413を注射した腫瘍は、試験中、一様に成長し続けた。しかしながら、PBSコントロールを利用しなかったので、処置が、成長速度に作用を及ぼしたかは明らかではない。
概要
ここでの報告により、二重特異性スーパーカイン(すなわち、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA109(2:1:2))に関して、生物学的活性を評価する目的で行っているそれらの作製、ならびにin vitro試験及びin vivo試験を含め、現時点で入手可能である情報の概要が得られる。
ヒトPBMCでの試験により、MDNA132-Fc-MDNA109、MDNA413-Fc-MDNA109及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413が、ナイーブCD8 T細胞の活性化において、IL-2及びIL2-Fcよりも強力であることが示されたことから、これらの二重特異性スーパーカインの中心成分であるMDNA109またはMDNA109FEAAの活性が保持されることが示されている。MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109では、Treg集団に対して、IL-2及びIL2-Fcと同程度の活性が見られたが、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413では、FEAA変異により、予想どおりに、これらの免疫抑制性細胞を刺激する能力が劇的に低下した。これらのデータから、これらの二重特異性スーパーカイン、特にMDNA109FEAA-Fc-MDNA143が、IL-2及びIL2-Fcよりも良好な抗がん性の免疫学的プロファイルを有することが示されている。
BALB/cマウス及びC57Bl/6マウスでのMTD試験により、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109が、週に2回のスケジュールで2週間投与すると、試験した最大用量(BALB/cでは2.5mg/kg、C57Bl/6では1.0mg/kg)で十分な忍容性を示したことが示された。いずれの場合にも、MTDに到達しなかったことから、これらの二重特異性スーパーカインが、さらに高い用量でも、安全に投与できることが示された。
MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)をCT26結腸腫瘍モデルで試験し、この試験では、処置スケジュールを、週に1回で2週間まで低減した一方で、用量を5mg/kgに増加させた。この投与レジメンでは、十分な忍容性が示された。データから、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)の単独療法により、成長及びCT26腫瘍が強力に阻害されたことが示され、実際、8匹のマウスのうち3匹において、腫瘍の完全かつ持続的な退縮が誘導された。これらのマウスは、処置を停止してから3カ月を超えても、まだ生存しており、腫瘍のないままである。重要なことに、これらのマウスに、CT26腫瘍細胞でリチャレンジを行ったところ、腫瘍の成長に対する耐性があることが分かったことから、これらのマウスにおいて、CT26に対して強力なメモリー応答が発現したことが示唆された。これらのマウスにおいては、追加のリチャレンジを開始した。
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)は、週に2回で2週間投与したところ、B16F10メラノーマの成長を阻害した。その阻害作用は、用量依存的であり、2.5mg/kgの用量で投与したマウスは、1mg/kgの用量で投与したマウスよりも腫瘍の成長が遅かった。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA109は、5mg/kgで週に1回、3週間投与した時には、B16F10メラノーマの成長に対する作用がほとんどないか、作用がなかった。治療的作用を得るには、もっと高い用量またはもっと高い頻度の投与スケジュールが必要である可能性がある。
MDNA132-Fc-MDNA109は、BALB/cマウスにおいて、CT26腫瘍モデルでは十分な忍容性を示したが(上記を参照されたい)、BALB/cマウスにおいて、4T1モデルでは、5mg/kgで週に1回、2週間という厳密な投与レジメンにおては、あまり十分な忍容性を示さなかった。マウスは、処置が単独療法であるか、抗PD1との併用であるかにかかわらず、2回目のMDNA132-Fc-MDNA109を投与してから間もなく死亡した。同様に、週に1回、5mg/kgのMDNA413-Fc-MDNA109によって処置した4T1腫瘍担持マウスも、2回目の投与から間もなく死亡した。これらのデータから、これらの二重特異性スーパーカインに伴う致死は、その実験で使用したマウス系統ではなく、4T1モデル自体に関連し得ることが示唆されている。
二重特異性スーパーカインの腫瘍内投与による予備試験は、コントロールの欠如及び/またはサンプルサイズの小ささにより、不確実なものである。MDNA109FEAA-Fc-MDNA413を注射したCT26腫瘍は、試験中、一様に成長し続けたが、ビヒクルを注射したコントロール腫瘍を比較として利用しなかったので、成長速度に作用を及ぼしたかは明らかではなかった。MDNA132-Fc-MDNA109は、腫瘍内注射したところ、PBSを注射したコントロール腫瘍と比べて、B16F10腫瘍の成長を遅らせたようであったが、有意義な比較を行うには、サンプルサイズが非常に小さかった(1群当たりのn=2)。
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109-Fc-MDNA413のアンタゴニスト作用
HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞を用いることによって、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109-Fc-MDNA413が、IL-4及びIL-13の誘導による、STAT6の活性化を阻害する能力をアッセイした。これらの細胞は、ヒトSTAT6遺伝子をHEK293細胞に安定的に導入して、十分な活性を有するSTAT6シグナル伝達経路を得ることによって作製した。この経路の他の遺伝子は、天然の状態で、十分な量で発現する。さらに、HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞は、4つのSTAT6結合部位に融合されたIFNb最小プロモーターの制御下で、レポーター遺伝子である分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を安定的に発現する。IL-4またはIL-13によって、HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞でSTAT6経路が活性化されることにより、そのレポーター遺伝子の発現が誘導された。SEAPの存在下で紫色/青色に変化する媒体であるQUANTI-Blue(商標)を用いたところ、上清に分泌されたSEAPが検出された。
示されている融合タンパク質の存在下または非存在下で、HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞をヒトIL-4(hIL4)、ヒトIL-13(hIL13)またはマウスIL-13(mIL13)で24時間処理した。続いて、20μlの細胞培養液上清を採取し、180μlのQUANTI-Blue(商標)溶液と混合し、2時間、37℃でインキュベートした。吸光度を650nmで測定した。
図20に示されているように、ヒトIL-4(hIL4)、ヒトIL-13(hIL13)及びマウスIL-13(mIL13)は、STAT6シグナル伝達経路を用量依存的に活性化させた。各インターロイキンタンパク質について、EC50が、図に示されている。
HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞をヒトIL-13(hIL13)で、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413、Fc-MDNA413またはFc-MDNA109とともに処理した後、STATシグナル伝達経路のhIL13による活性化は、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413によってアンタゴナイズされた(図21)。上記の3つの融合タンパク質の中でも、MDNA109-Fc-MDNA413は、hIL-13の誘導による、STAT6の活性化を、比較的有効に阻害する。
HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞をヒトIL-13(hIL13)で、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413、Fc-MDNA413またはFc-MDNA109とともに処理した後、STATシグナル伝達経路のhIL13による活性化は、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413によってアンタゴナイズされた(図21)。上記の3つの融合タンパク質の中でも、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413が、hIL13の誘導による、STAT6の活性化を特に有効に阻害する。MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)は、hIL13の誘導による、STAT6の活性化を阻害するが、その程度は、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413よりも低い。
HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞をマウスIL-13(mIL13)で、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413、Fc-MDNA413またはFc-MDNA109とともに処理した後、STATシグナル伝達経路のmIL13による活性化は、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413によってアンタゴナイズされた(図22)。上記の3つの融合タンパク質の中でも、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413が、mIL13の誘導による、STAT6の活性化を特に有効に阻害する。MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)は、mIL13の誘導による、STAT6の活性化を阻害するが、その程度は、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413よりも低い。
HEK Blue(商標)IL-4/IL-13細胞をヒトIL-4(hIL4)で、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413、Fc-MDNA413またはFc-MDNA109とともに処理した後、STATシグナル伝達経路のhIL4による活性化が、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413によってアンタゴナイズされた(図23)。これらの3つの融合タンパク質の中でも、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413が、hIL4の誘導による、STAT6の活性化を特に有効に阻害する。MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)は、hIL4の誘導による、STAT6の活性化を阻害するが、その程度は、MDNA109-Fc-MDNA413及びFc-MDNA413よりも低い。
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413及びMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)は、IL-2ムテインの活性を保持する
IL-2ムテインを含む二重特異性融合タンパク質において、IL-2活性を評価した。マウスT細胞株CTLL2を使用した。この株は、IL-2依存性であり、αβγ型のIL-2Rを構成的に発現する。10%熱不活化FBS、2mMのL-グルタミン、50U/mlのペニシリン及び50mg/mlのストレプトマイシンを添加したRPMI1640において、この細胞を培養した。組み換えヒトIL-2(rhIl2)または様々な融合タンパク質を、この細胞培養液に添加し、その細胞の増殖をアッセイした。
図24Aに示されているように、細胞の増殖は、IL-2に依存していた。細胞培養液に、IL-2の代わりに、Fc-MDNA413を添加したところ、細胞の増殖は見られなかった(図24B)。細胞培養液に、IL-2ムテインを含む二重特異性融合タンパク質(MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413またはMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)、図24C)を添加したところ、細胞の増殖は、維持されたか、または増大した。したがって、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413及びMDNA132-Fc-MDNA109(KIH)は、IL-2ムテイン活性を保持していた。
ヒトPBMCでのP-STAT5アッセイ:
簡潔に述べると、実験デザイン(CRL,Portishead,UKで行った)は、以下のとおりであった。すなわち、PBMCを密度勾配によって単離し、完全培地にて静置してから、各試験コンストラクトの10点5倍希釈液(25,000pM~0.013pM)で15分刺激して、EC50を求めるために、用量-応答曲線を作成した。刺激の直後に、細胞を固定し、表21に列挙されている免疫サブセットで、リン酸化STAT5(pSTAT5)の細胞内染色を行った後、試料をフローサイトメトリーによって分析した。これらのサブセットにおいてpSTAT5分析を可能にするために用いたゲーティング方法は、図7に示されており、代表的なFluorescence Minus One(FMO)コントロールは、図8に示されている。
Figure 2023532273000114
図7に示されているようなゲーティング方法。PBMCをIL-2(25nM)で15分刺激してから染色し、フローサイトメトリーによる分析を行った。単一のリンパ球を同定し、そのリンパ球から、NK細胞(CD3-CD56+)、CD8+ T細胞(CD3+CD8+)、Treg(CD3+CD4+CD25+FOXP3+)及び非Treg CD4+ T細胞(CD3+CD25-CD4+FOXP3-)をゲーティングした。各免疫細胞サブセットにおいて、pSTAT5陽性細胞の頻度を求めた。
図8に示されているような、Fluorescence Minus One(FMO)コントロール。A)図4に記載されている刺激及びゲーティング法の後、様々な免疫サブセットを特定するために使用する、pSTAT5以外のすべての抗体を含めて、各集団において、pSTAT5+ゲートをかけるのに使用できるFMOコントロールを供給した。B)FOXP3及びCD25のFMOを用いて、Treg集団を求めた。
MTD(最大耐用量):
図11及び12に示されているように、6~8週齢の雌のBALB/cマウス(表22)またはC57BL/6マウス(表23)を少なくとも7日間馴化してから、実験を開始した。下記の用量及びスケジュールに従って、マウスに、コンストラクトを腹腔内(IP)注射によって投与した。2週間の試験の間、ケージサイドでの観察によって、マウスを毎日モニタリングし、体重を週に2回測定した。これらの試験では、MTDは、試験期間中に、自然死、または体重減少(投与前の体重の20%超)もしくは瀕死による強制的な殺処分が発生したすべてのケースとして厳密に定義した。試験の終了時に、マウスを安楽死させて、検死を行った。
BALB/cマウスでの試験:
1mg/kgまたは2.5mg/kgのMDNA132-Fc-MDNA109またはMDNA413-Fc-MDNA109のいずれかで、週に2回、2週間処置したBALB/cマウスはすべて、試験の終了時に生存していた。試験期間中、いずれの群のマウスも、臨床的に正常なようであったとともに、体重を維持した。要約すると、BALB/cマウスにおいては、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109のいずれでも、週に2回の投与スケジュールで2週間試験した最大用量(2.5mg/kg)では、MTDには到達しなかった。
Figure 2023532273000115
C57Bl/6マウスでの試験:
BALB/cマウスよりも低い用量範囲を使用した。C57Bl/6は、BALB/cマウスよりも、IL-2に対する感受性が高いことが分かっているからである(Chen et al.,2005)。MDNA132-Fc-MDNA109またはMDNA413-Fc-MDNA109で、週に2回、2週間、0.2mg/kg、0.5mg/kg及び1.0mg/kgで処置したC57Bl/6マウスはすべて、試験の終了時に生存していた。試験期間中、いずれの群のマウスも、臨床的に正常なようであったとともに、体重を維持した。要約すると、C57Bl/6マウスにおいては、MDNA132-Fc-MDNA109及びMDNA413-Fc-MDNA109のいずれでも、週に2回の投与スケジュールで2週間試験した最大用量(1.0mg/kg)では、MTDには到達しなかった。
Figure 2023532273000116
記:Chen X,Oppenheim JJ,Howard OM. BALB/c mice have more CD4+CD25+ T regulatory cells and show greater susceptibility to suppression of their CD4+CD25- responder T cells than C57BL/6 mice. J Leukoc Biol.(2005)78(1):114-21.
CT26での有効性試験:
下記の多くの理由から、二重特異性スーパーカインの潜在的な治療能力を評価するために、同系結腸癌モデルCT26を選択した。
CT26というがんモデルは、多くの他のがんモデル(例えば、B16F10メラノーマモデル、4T1転移性乳癌モデルまたはPanc2膵臓癌モデル)と比べて侵襲性が低いので、MDNA109バリアントの治療効果を追跡するための、より広い治療域が得られる。
CT26というがんモデルは、いくつかの他のモデルとは対照的に、ICIに応答するので、併用治療を評価して、相乗作用の可能性を判断する機会が得られる。
比較的成長がゆっくりであるという、CT26腫瘍の特徴により、早期の腫瘍(すなわち、小さい腫瘍)と後期の腫瘍(すなわち、大きい腫瘍)の比較という関連で、MDNA109バリアントの抗腫瘍活性を評価する機会が得られる。
これまで、CT26モデルにおいて、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)を用いて、有効性試験が1件行われている。試験設計は、下記のとおりである。
雌(8~10週齢)のBALB/cマウスに、2×106個のCT26細胞を右側腹部に皮下移植し、腫瘍の平均サイズが60mm3に達するまで、腫瘍を成長させた。
マウスを、腫瘍のサイズに基づき、それぞれ6匹(ビヒクルコントロール)または8匹(MDNA132-Fc-MDNA109)のいずれかの群に無作為に分けた。
マウスに、ビヒクル(PBS)またはMDNA132-Fc-MDNA109のいずれかを5mg/kgで週に1回、2週間、腹腔内投与した。これは、その時点に研究中であった他のMDNA109コンストラクトの用量及びスケジュールがベースであった。
含めた試験測定項目:
●ケージサイドでの臨床観察を毎日
●体重及び腫瘍の測定を週に2回
●食物と水の消費のモニタリング
下記の基準のいずれかを満たす場合に、途中で終了するマウス:
●そのマウスの最大体重の20%を超える体重減少
●2000mm3を超える腫瘍体積
●瀕死のように見えるマウス
図13に示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)による処置により、CT26腫瘍の成長が強力に阻害された。実際、MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)で処置した8匹のマウスの3匹では、完全に腫瘍が退縮した一方で、コントロールマウスでは、腫瘍の完全な退縮は観察されなかった。これらの3匹のマウスでは、移植から120日超、または処置を停止ししてから3カ月超、腫瘍再発のいずれの徴候も見られなかったことから、がんが治癒したことが示された。
図14に示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109の2回投与後、原発CT26腫瘍が治癒したマウスが、その後のリチャレンジから保護されるかを検証するために、上記の3匹のマウスに、試験の49日目に、CT26を反対の側腹部に移植し、さらなる処置はいずれも行わなかった。コントロールとして、未処置のナイーブマウスにも、CT26腫瘍細胞を移植した。ナイーブBALB/cマウスでは、CT26腫瘍の活発な成長が見られた。これに対して、MDNA132-Fc-MDNA109で処置して、原発腫瘍が治癒したマウスでは、リチャレンジ部位において、腫瘍の成長のいずれの徴候も見られなかったことから、これらのマウスでは、CT26腫瘍細胞に対する強力なメモリー応答が発現したことが示唆された。これらのマウスには、2回目のリチャレンジを行い、引き続きモニタリングしている。したがって、MDNA132-Fc-MDNA109により、これらのマウスにおいて、複数回のリチャレンジにもかかわらず、全生存率の点で、効果が得られる。
B16F10での有効性試験
C57Bl/6マウスにおけるB16F10同系メラノーマモデルは、部分的には、マウスにおいて、これらの腫瘍が成長して転移する速度により、多くの治療努力に耐性を示してきた侵襲性のin vivo腫瘍モデルである。B16F10は、CT26腫瘍モデルよりも有意に治療が困難なモデルであるので、二重特異性スーパーカインの潜在的な治療活性を評価するための重要な難問をもたらす。これまで、2回の有効性試験を別々に行って、MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA109の有効性を評価した。いずれの試験も、下に概説されているのと同様のプロトコールに従った。
雌(8~10週齢)のC57Bl/6マウスに、3×105個のC57Bl/6細胞を右側腹部に皮下移植し、投与開始前に、腫瘍の成長が確立されるまで、腫瘍をそのままにした。
腫瘍のサイズに基づき、マウスを無作為に処置群に分けて、各群の腫瘍の平均サイズが同程度になるようにした。
マウスに、各試験に特有の用量及びスケジュールで、腹腔内投与した(下記を参照されたい)。
含めた試験測定項目:
●ケージサイドでの臨床観察を毎日
●体重及び腫瘍の測定を週に2回
●食物と水の消費のモニタリング
下記の基準のいずれかを満たす場合に、途中で終了するマウス:
●そのマウスの最大体重の20%を超える体重減少
●2000mm3を超える腫瘍体積
●瀕死のように見えるマウス
MDNA413-Fc-MDNA109(KIH)による、B16F10での有効性試験:
図15に示されているように、腫瘍の平均サイズは、投与開始時点において、約20mm3であった。マウスに、PBS(n=9)またはMDNA413-Fc-MDNA109を1mg/kg(n=7)または2.5mg/kg(n=9)で、週に2回、2週間、腹腔内注射した。MDNA413-Fc-MDNA109での処置により、B16F10腫瘍の成長が、用量依存的に阻害された。2.5mg/kgで投与したMDNA413-Fc-MDNA109では、成長阻害が、1mg/kgの用量よりも強力であった。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA413による、B16F10での有効性
図16に示されているように、この試験では、投与開始時において、腫瘍を約15mm3の平均サイズまで成長させた。マウスに、PBS(n=8)またはMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(n=8)を週に1回、3週間、5mg/kgで投与した。図13に示されているように、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413は、B16F10メラノーマの成長に対する作用を有さず、腫瘍は、コントロールマウスの場合と同程度に成長した。これらのデータにより、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413によって治療的応答を得るためには、さらに頻度の高い投与スケジュール(週に2回)が必要であり得ることが示唆されている。
HEK Blue IL-4/IL-13アッセイ:
HEK-Blue IL-4/IL-13レポーター細胞は、InvivoGenから購入した(カタログbkb0il413)。そのキットには、実施に必要な内容物がすべて含まれていた。方法の詳細な説明は、InvivoGenによって供給されている。この細胞株は、サイトカインIL-4/IL-13に応答して、IL-4/IL-13シグナル伝達が活性化されたという情報をもたらす。
ヒト(h)IL13、マウス(m)IL13及びヒト(h)IL4に対する用量応答性
図20に示されているように、細胞を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、段階希釈したhIL13、mIL13及びhIL4で24時間処理した。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180のQUANTI-Blue溶液を加え、2時間、37Cでインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った。
二重特異性コンストラクトによるブロッキングアッセイ
試験したバリアントは、表24に示されている。細胞を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、漸増濃度のhIL13、mIL13及びhIL4で24時間処理した。加えて、hIL13(10ng/mL及び30ng/mL)、mIL13(10ng/mL)、ならびにhIL4(0.1ng/mL)を含むウェルを、表25に列挙されている漸増濃度の試験コンストラクトで処理した。hIL13においては、2つの濃度を選択して、飽和レベルのhIL13でアッセイを行った場合、またはわずかの差で不飽和となるレベルのhIL13でアッセイを行った場合の違いを調べた。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180のQUANTI-Blue溶液を加え、2時間、37Cでインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った。
Figure 2023532273000117
図21に示されているように、hIL13については、hIL13を10ng/mL(ほぼEC80)で試験した場合、最大で10,000ng/mLの各種試験タンパク質を加えたところ、Fc4-MDNA413及びMDNA109FEAA-Fc-413で、hIL13応答に対する明らかな阻害作用が見られた。MDNA413-Fc-MDNA109 KIHは、作用が弱く、Fc-MDNA109では、明白な作用は観察されなかった。hIL13を30ng/mL(EC100)で含めた場合には、応答は同程度であったが、その反応液に含まれるhIL13レベルが高くなったために、観察された全体的な阻害レベルは、格段に低かった。
図22(mIL13)及び図23(hIL4)に記載されているように、mIL13(この実験における標準曲線用に、10ng/mL、すなわちEC60で試験した)及びhIL4(この標準曲線用に、0.1ng/mL、すなわちEC55で試験した)についても、その傾向は同様であった。Fc4-MDNA413及びMDNA109FEAA-Fc-413では、mIL13の活性化応答(図22及び23を参照されたい)及びhIL4の活性化の明らかな阻害が観察されたが、MDNA413-Fc-MDNA109 KIHは、全体的な作用が、これらよりも弱かった。これらのケースでも、Fc-MDNA109単独では、阻害はほとんど観察されなかった。
CTLL-2増殖アッセイ
図24に記載されているように、CTLL-2は、成長の際にIL-2に依存するマウス細胞傷害性Tリンパ球細胞株であり、IL-2の効力を測定するためのin vitro機能モデルとして用いられている。CTLL-2は、CD122、CD132及びCD25からなる高親和性のIL-2受容体(IL-2R)を発現し、IL-2による処理に対する感受性が高いことが示されているからである(Carmenate et al.,2013)。
Carmenate T,Pacios A,Enamorado M,Moreno E,Garcia-Martinez K,Fuente D,Leon K.Human IL-2 mutein with higher antitumor efficacy than wild-type IL-2. The Journal of Immunology(2013)190:6230-6238.
CTTL2細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり30,000細胞で、TSTIM増殖補助剤を含まない培地中に播種した。播種後、細胞を、表25に列挙されている漸増濃度の様々な試料で、48時間処理した。処理後、Cell Titer Blueという生存率試薬(Promega G8080)を各ウェルに加え、3時間後、そのプレートを560Ex/590Emで、蛍光の生存シグナルの発光について読み取った。各濃度の試験試料で、トリプリケートウェルを試験した。
Figure 2023532273000118
結果:
rhIL-2:(予測どおりに、)漸増濃度のrhIL-2に対して用量応答性のCTLL-2細胞の増殖が見られる。rhIL-2をコントロールとして使用した。
MDNA109FEAA-Fc-MDNA413:
漸増濃度のこのコンストラクトに対して用量応答性のCTLL-2細胞の増殖が見られる。このコンストラクト(Ec50=53pM)は、rhIL2(EC50=6.4pM)よりも、効力が低下している。これは、FEAA変異が、CTLL2によって発現されるCD25への結合を妨げるためと予想される。
MDNA132-Fc-MDNA109(KIH)及びMDNA413-Fc-MDNA109(KIH):
試験した濃度範囲の全体にわたり、同程度のシグナルが見られたことから、両方のコンストラクトとも、作用は非常に強力である。これは、両方のコンストラクトとも、FEAA変異を含まないので、CD25と結合できるからであると予想される。追加のMDNA109成分が、CD122への結合を増加させたので、rhIL2よりもかなり強力であった(CD25にも結合する)。我々は、用量-応答曲線を得るには、このアッセイでは、これらの2つのコンストラクトの濃度をさらに低下させる必要があるであろう。
Fc4-MDNA413:
予想どおり、CTLL2の増殖を誘導しない。IL-2/MDNA109部分がないからである。
rhIL2及びMDNA19:
本明細書には、比較のために、履歴データを含めた。
参考文献
Chen X,Oppenheim JJ,Howard OM. BALB/c mice have more CD4+CD25+ T regulatory cells and show greater susceptibility to suppression of their CD4+CD25- responder T cells than C57BL/6 mice. J Leukoc Biol.(2005)78(1):114-21
Levin AM,Bates DL,Ring AM,Krieg C,Lin JT,Su L,Moraga I,Raeber ME,Bowman GR,Novick P,Pande VS,Fathman CG,Boyman O,Garcia KC. Exploiting a natural conformational switch to engineer an interleukin-2 ‘superkine’. Nature(2012)484(7395):529-33
実施例3:新規な長時間作用型の単一特異性及び二重特異性IL-2/IL-13スーパーカインの強力な免疫調節剤としての台頭
背景:
腎臓癌及び転移性メラノーマを治療するためにIL-2(Proleukin)を用いると、症例の約15%で持続的な応答が得られたが、その適用は、短い半減期、毒性及びTregsの望ましくない活性化により、限られたままである。適用が限られるのは、IL-2Rαβγへの結合が原因である。
MDNA11は、IL-2Rβγ(CD8+ T細胞及びNK細胞によって発現される)への親和性が増強されたとともに、IL-2Rαβγ(Tregによって発現される)への結合が減少した長時間作用型のIL-2スーパーカインである。
結論
MDNA11では、マウス腫瘍モデルにおいて、単独療法として、及び免疫チェックポイント阻害剤との併用において、強力な治療効果が示された。
NHPでは、MDNA11は、半減期が長くなり、CD8 T細胞、CD4 Tヘルパー細胞、NK細胞の持続的な増殖及び増加を誘導したが、Tregでは誘導されなかった。
MDNA11は、血管漏出症候群(すなわち肺水腫)、高血圧、サイトカインストーム及び抗薬物抗体応答を引き起こさなかった。
IL-2及びIL-13スーパーカインプラットフォームの多用途性により、長時間作用型の二重特異性コンストラクトを操作して、IL-2のシグナル伝達の活性化(すなわち炎症誘発性)と、IL-4/IL-13の機能の抑制(すなわち抗炎症性)を同時に行って、「コールド」腫瘍を免疫学的に標的とすることが可能になる。
TME(腫瘍微小環境)をIL-2/IL-13二重特異性スーパーカインで調節することによって、「コールド腫瘍」を免疫学的に標的とする。
「コールド」腫瘍は、CD8細胞及びNK細胞のカウント数が低く、Tregのカウント数が高く、免疫抑制性の骨髄系細胞(すなわち、TAM及びMDSC)の数が多いことを含む腫瘍誘発性のTMEにより、チェックポイント阻害剤に応答しない。
実施例4:MDNA132/MDNA413の試験
MDNA132及びMDNA413のIL-13Rα2及びIL-13Rα1への結合を評価した。簡潔に述べると、下記の表26に列挙されている受容体を96ウェルプレートに(1ウェル当たり1μgで)1時間、室温で、コーティング緩衝液(Carbonate、pH9.6)において吸着させた。コーティング後、ウェルを5回、Tweenを含むトリス緩衝生理食塩水(TBST:10mMのTris HCl、0.15MのNaCl、0.1%のTween20、pH8.0)250μLで洗浄してから、ブロッキング緩衝液(TBS-T中の1%BSA)250μLで1時間、室温でブロックした。受容体を受け入れなかったウェルを単に、ブロッキング緩衝液で1時間、室温でブロックした。ウェルを5回、TBSTで洗浄してから、試料を加えた。記載されているようにして、試料を希釈してから、受容体がコーティングされたウェル、またはアルブミンでブロックしたウェルのいずれかに、各希釈液100μLを1時間、室温で加えた。続いて、ウェルを5回、TBSTで洗浄し、100μLの検出用抗体(抗ヒトIgG Fc(Sigma SAB3701284)の1:5,000希釈液)で、ブロッキング緩衝液(1ウェル当たり100μL)において、室温で45分プローブした。ウェルを再度洗浄してから、HRPコンジュゲート抗ヤギIgG(Millipore 401515)とともに45分、室温でインキュベートした。最後の一連の洗浄を行った後、100μLの発光剤(TMB基質緩衝液中の0.1mg/mLのTMB、0.006%の過酸化水素)を加えた。10分後、プレートを1MのHCl100μLでクエンチし、プレートを、450nmの吸光度について読み取って、各ウェルの光学密度単位(OD)を得た。
Figure 2023532273000119
図35に示されているように、ヒト及びマウスのIL13Rα2受容体をコーティングしたウェルでは、Fc-hIL13の良好な結合が得られたが、mIL13Rα2をコーティングしたウェルは、おそらくは、検出用抗体またはHRPコンジュゲート二次抗体のいずれかとの非特異的な相互作用により、全体的にバックグラウンドが高かった。mIL13Rα1では、低い結合が観察され、hIL13Rα1、並びにヒト及びマウスのIL4R受容体では、未コーティングのウェルと同程度の結合が観察された。
図36A及び図36Bに示されているように、MDNA132-Fc-MDNA109(1:1:1)分子は実際には、ヒト及びマウスのIL13Rα2受容体に、Fc-IL13と同程度の親和性で結合する。
図37A及び図37Bに示されているように、すべてのMDNA413バリアントで、ヒト及びマウスのIL13Rα1受容体での結合が見られた。結合は、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)及びFc4-MDNA413分子において、最大レベルの強度であったとともに、同程度であった一方で、MDNA109-Fc-MDNA413(1:1:1)の結合は、Fc-IL13と同程度であった。
実施例5:MDNA132/MDNA413試験
Biacore T200という計器を用いて、表面プラズモン共鳴によって、MDNA132及びMDNA413の受容体結合親和性を評価した。簡潔に述べると、プロテインA(または抗ヒトFc)をそのセンサーチップ上に予め固定化し、各コンストラクトを、そのFc部分を介して捕捉させた。受容体をその表面の上方に流して、結合を測定した後、解離を測定した。複数の濃度の受容体を別々のサイクルで試験した(マルチサイクルカイネティクス(MCK))。
図38に示されているように、Fc-MDNA132(1:1KIH)は、IL13Rα2に結合したが、IL13Rα1には結合しなかった。Fc-MDNA132のIL13Rα2に対するKは、1.30E-09Mと推定される。
図39に示されているように、Fc-MDNA413(1:2)は、野生型IL13よりも高い親和性で、IL13Rα1に結合した。図40に示されているように、Fc-MDNA413(1:2)は、野生型IL13よりも低い親和性で、IL13Rα2に結合した。このアッセイから得られたKの推定値は、下記の表27に示されている。
Figure 2023532273000120
実施例6:がんに対する免疫応答の、二重特異性IL-2/IL-13スーパーカインによる調節
背景
IL-2経路は、エフェクターCD8 T細胞及びNK細胞の増加及び活性化を通じて、がんに対する炎症誘発性(Th1)応答を刺激する際に、極めて重要な役割を果たす。これに対して、IL-4/IL-13経路は、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)及び腫瘍随伴マクロファージ(TAM)のM2型への偏りを刺激して、がんによって、Th1経路の作用を弱める手段として利用されることの多い抗炎症性(Th2)応答を促進する。したがって、IL-4/IL-13経路の阻害を通じて、MDSC及びM2型TAMを抑制するとともに、IL-2経路の活性化を通じて、エフェクター免疫細胞を刺激することには、別段の免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)において、炎症誘発性応答を活気づける可能性がある。この目標を達成するために、IL-2及びIL-13スーパーカインプラットフォームの多用途性を利用して、長時間作用型の二重特異性コンストラクトを操作して、このそれぞれの経路の表面受容体を同時に標的とするようにした。
材料及び方法
試験には、BLI/Octet及びBiacore/SPRによる結合分析、IL-2及びIL-4/IL-13レポーターアッセイを用いたシグナル伝達分析、ヒトPBMCでのシグナル伝達分析、ならびにin vitroでのM1/M2マクロファージ極性化アッセイを含めた。
ヒトIgG(Fc)捕捉チップの原理を用いて、SPR(MCK、マルチサイクルカイネティクス)による、IL13Rα1及びIL13Rα2への結合親和性を測定した。この原理では、(1)固定化(抗ヒトIgG(Fc)抗体をCM5チップ上に固定化する)、(2)捕捉(IL-13タンパク質、Fcタグまたは試料を捕捉する)、(3)アナライト(アナライトは、ヒトIL-13Rα1タンパク質またはヒトIL-13Rα2タンパク質である)、及び(4)再生(3Mの塩化マグネシウム)という工程が用いられる。
ヒトPBMCでのpSTAT5シグナル伝達アッセイは、下記のようにして実施した。PBMCを密度勾配によって単離し、完全培地にて静置してから、IL2、MDNA109FEAA-FcまたはMDNA109FEAA-Fc-MDNA413で15分刺激した。コントロールには、未刺激のPBMC細胞を含めた。刺激の直後に、細胞を固定し、ナイーブCD8 T細胞(CD8+ CD25-)、NK細胞及びTregという免疫サブセットで、リン酸化STAT5(p-STAT5)の細胞内染色を行った後、試料をフローサイトメトリーによって分析した。
アッセイをHEK Blue IL-4/IL-13レポーター細胞(InvivoGen製)で行って、pSTAT6シグナル伝達を下記のようにして測定した。HEK-Blue IL-4/IL-13レポーター細胞(Invivogen)を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、漸増濃度のhIL4またはhIL13(標準曲線)のいずれかで24時間処理した。加えて、hIL13またはhIL4を含むウェルを漸増濃度の試験試料で処理した。それぞれの標準試料または試験試料の段階希釈液をデュプリケートウェルでアッセイした。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180のQUANTI-Blue溶液を加え、2時間、37℃でインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った。
マクロファージ極性化アッセイは、下記のようにして行った。まず、EasySep(商標)Human Monocyte Enrichment Kit without CD16 DepletionをRoboSepで用いて、2人のドナーに由来するヒト末梢血単核球(PBMC)の新鮮なバイアルまたは解凍した凍結バイアルから、単球を単離した。続いて、細胞を低結合性6ウェルプレートに、2×10細胞/ウェルで播種した。次に、L-グルタミンを含むRPMIL(Gibco 21875-034)、10%FBS、2%Pen-Strepを含む培地において、50ng/mLのM-CSFへの暴露を用いて、単球の成熟を72時間誘導し、37℃及び5%COでインキュベートした。その後、さらに72時間、IL-13アゴニストまたはコントロールを用いて、極性化を行った後、それらを解離させ、BD CellFIXを用いて固定し、染色し、フローサイトメトリーを用いて調べた。
下記のようにして、CT26結腸癌同系マウスモデルを作製及び使用した。雌のBALB/cマウスに、2×10個のCT26細胞を右側腹部に皮下移植し(試験0日目)、11日間成長させてから、投与を開始した。投与時点での処置群の腫瘍の平均サイズは、約60mmであった。MDNA132-Fc-MDNA109を5mg/kgで使用し、腹腔内投与は、週1回を2回であった。
結果
図41DにおけるK値とともに、図41A~41Cによって、Fc-MDNA413が、機能的受容体IL13Rα1に、Fc-IL13よりも高い親和性で結合することが示されている。また、Fc-MDNA413では、デコイ受容体IL13Rα2に対する親和性が、Fc-IL13よりも低下している。Fc-MDNA413のIL13Rα1に対する高い結合親和性は、二重特異性コンストラクトMDNA109FEAA-Fc-MDNA413でも観察されたことから、Fc-IL-13よりも強力にIL13Rα1受容体に結合できることが示された。
図42A~42Bには、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413が、ナイーブCD8 T細胞及びNK細胞において、rhIL-2よりも高い効力でシグナル伝達を活性化できることが示されている。しかしながら、その効力は、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413では、TregにおけるpSTAT5のシグナル伝達に対しては、rhIL-2よりも大幅に低下している。これらのデータにより、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413が、抗がんの有効性を得るために必要とされる、免疫エフェクター細胞応答の活性化において、rhIL-2よりも優れていることが示されている。
図43A~43Cには、Fc-MDNA413(単一特異性)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(二重特異性)の両方とも、HEK Blueレポーター細胞において、上記の表に示されているようなEC50で、IL4(上パネル)及びIL13(下パネル)の誘導による、pSTAT6のシグナル伝達を阻害できることが示されている。これらのデータから、Fc-MDNA413及びMDNA109FFEAA-Fc-MDNA413が、IL-4及びIL-13の誘導によるシグナル伝達を抑制できることが示された。
図44A~44Bには、CD209が、M2マクロファージのマーカーであり、IL13で刺激されると誘導されることが示されている。上記の図から分かるように、Fc-MDNA413(単一特異性)及びMDNA109FEAA-Fc-MDNA413(二重特異性)の両方とも、IL13の誘導による、マクロファージのM2への極性化を用量依存的に阻害できる。
図45EにおけるK値とともに、図45A~45Dによって、Fc-MDNA132が、デコイ受容体IL13Rα2に対して優先的な結合親和性を有し、機能的受容体IL13Rα1に対しては、結合が観察されないことが示されている。これに対して、Fc-IL13は、機能的受容体IL13Rα1及びデコイ受容体IL13Rα2の両方に結合する。これらのデータにより、Fc-MDNA132の強力な受容体選択性プロファイルが強調されている。
図46A~46Cには、二重特異性コンストラクトMDNA132-Fc-MDNA109が、ビヒクルコントロールと比べて、CT26結腸癌モデルにおいて、腫瘍の成長を阻害できるとともに、全生存率も向上させることができることが示されている。
sIL2-Fc-sIL13は、ヒトIgG1 Fcによって連結されたIL-2スーパーアゴニスト(sIL2)及びIL-13スーパーアンタゴニスト(sIL13)で構成される二重特異性スーパーカインである。sIL2は、CD122に、IL-2よりも優れた親和性で結合するが、免疫抑制性のTreg上で発現するCD25には結合しない。sIL13は、IL-4Rαと合わさって機能的な受容体複合体を形成するIL13Rα1に対する親和性が、IL-13よりも高い。初代ヒトPBMCを用いたpSTAT5アッセイでは、sIL2-Fc-sIL13によって、CD8 T細胞及びNK細胞の活性化において、IL-2よりも増強された効力が見られた一方で、Tregに対する活性は限られていた。IL-4/IL-13依存性のpSTAT6レポーターアッセイでは、sIL2-Fc-sIL13により、IL-4及びIL-13の両方の刺激活性に対して、用量依存性のアンタゴニスト作用が見られた。このアンタゴニスト作用は、in vitroにおいて、IL-13の誘導による、マクロファージのM2への極性化の阻害によって、さらに検証された。
結論
sIL2-Fc-sIL13は、IL-2経路の活性化を通じた、Th1応答の刺激と、IL-4/IL-13経路の阻害を通じた、Th2応答の抑制を同時に行うことができる二重特異性スーパーカインである。様々な種類の腫瘍の多くで過剰発現するデコイIL-13Rα2と結合することによって、TMEにおける蓄積が可能となるように設計されたコンストラクトを含め、追加の二重特異性スーパーカインコンストラクトを試験するつもりである。
Figure 2023532273000121
Figure 2023532273000122
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Figure 2023532273000139
Figure 2023532273000140
実施例7:二重特異性融合コンストラクトを用いたアッセイ
HEK Blue IL2アッセイ
HEK-Blue IL2レポーター細胞は、InvivoGenから購入し、試験は、MDS(San Diego,USA)で行った。そのキットには、実施に必要な内容物がすべて含まれていた。細胞は、メーカーの説明に従って増加させた。アッセイをコントロール化合物で実施して、原理の実証を示すとともに、用量応答範囲を事前に確立した。その後、アッセイを実施して、HEK Blue IL-2 pSTAT5レポーターシステムにおいて、IL-2アゴニストを有する二重特異性コンストラクトの効力を試験した。
HEK-Blue IL2レポーター細胞を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、表29に示されているコンストラクトで、示されている濃度で24時間処理した。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180μLのQUANTI-Blue溶液を加え、2時間、37℃でインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った。
rhIL2(11979-828879、LP)及びMDNA19(MDNA019FEAA-Fc)とともに、MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)、MDNA132L39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1KIH)、MDNA413R39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1:1KIH)及びH4FEAA-Fc-MDNA413L39/Q111(2:1:2)を実験コントロールとして使用した。H4FEAA-Fc-MDNA413L39/Q111(2:1:2)以外のすべての分子は、観察したところ、EC50が、rhIL2(11979-828879、LP)の1.4~1.8分の1であったことから、HEK Blue IL2レポーターシステムでのpSTAT5の誘導において、rhIL2(11979-828879、LP)よりも強力であることが示された(図47)。
Figure 2023532273000141
CTTL-2アッセイ
CTTL2細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり30,000細胞で、TSTIM増殖補助剤を含まない培地中に播種した。播種後、細胞を、下の表30に列挙されている漸増濃度のコンストラクトで、48時間処理した。活性の対照物として、各プレートには、MDNA11(TP28767F)も含めた。処理後、Cell Titer Blueという生存率試薬(Promega G8080)を各ウェルに加え、そのプレートを3~6時間、560Ex/590Emで、蛍光の生存シグナルの発光について読み取った。6個のプレートでアッセイを行い、対照物であるMDNA11と、2つの試験コンストラクトの段階希釈液を含むその各プレートを、デュプリケートウェルで試験した。
実験コントロールとしてのrhIL2(11979-828879、LP)及びMDNA11とともに、CTTL-2アッセイ試料の増殖を誘導する能力について試験したコンストラクト、MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)、MDNA132L39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1:1KIH)、MDNA413R39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1:1KIH)及びH4FEAA-Fc-MDNA413L39/Q111(2:1:2)のうち、MDNA413R39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1:1KIH)及びMDNA132L39/Q111-Fc-MDNA109C125(1:1:1KIH)は、相対的効力が同程度であり(それぞれ、MDNA11の47倍及び38倍)、MDNA19(MDNA019FEAA-Fc)及びMDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)は、相対的効力が互いと同程度であった(それぞれ、MNDA11の2.89倍及び2.63倍)とともに、活性が、rhIL2よりも約1.5log低かった。観察された効力が一番低かったのは、H4FEAA-Fc-MDNA413L39/Q111(2:1:2)による場合であり、MDNA11の効力の約2%であったとともに、活性は、rhIL2の約1600分の1であった(図48)。
Figure 2023532273000142
HEK Blue IL4/IL3
HEK-Blue IL4/IL13レポーター細胞は、InvivoGenから購入し、試験は、MDS(San Diego,USA)で行った。そのキットには、実施に必要な内容物がすべて含まれていた。細胞は、メーカーの説明に従って増加させた。アッセイをコントロール化合物で実施して、原理の実証を示すとともに、用量応答範囲を事前に確立した。その後、アッセイを実施して、HEK Blue IL-4/IL-13 pSTAT6レポーターシステムにおいて、MDNA413バリアントの効力を試験した。
HEK Blue IL4
IL-4競合アッセイにおいては、HEK-Blue IL-4/IL-13レポーター細胞(Invivogen)を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、漸増濃度のhIL4(R&D Systems 204-IL-010/CF)で24時間処理した(標準曲線は、約0.5 log間隔で段階希釈した0.2nMから0.0002nMのhIL4から得た)。加えて、hIL4を(0.1nMで)含むウェルを、表30に列挙されている漸増濃度の試験試料(0.5log間隔で150nM~0.15nM)で処理した。それぞれの標準試料または試験試料の段階希釈液をデュプリケートウェルでアッセイした。このアッセイでは、合計4個のプレートを試験した。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180のQUANTI-Blue溶液を加え、2時間、37Cでインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った(図49)。
HEK Blue IL13
IL-13競合アッセイにおいては、HEK-Blue IL-4/IL-13レポーター細胞(Invivogen)を1ウェル当たり50,000細胞で、メーカーの説明に従って試験培地に播種し、漸増濃度のhIL13(R&D Systems 213-ILB-005/CF)で24時間処理した(標準曲線は、2.5倍間隔で段階希釈した8nMから0.033nMのhIL13から得た)。加えて、hIL13を(0.8nM、10ng/mLで)含むウェルを、表30に列挙されている漸増濃度の試験試料(3.33倍間隔で150nM~0.11nM)で処理した。それぞれの標準試料または試験試料の段階希釈液をデュプリケートウェルでアッセイした。このアッセイでは、合計4個のプレートを試験した。インキュベート後、細胞上清(20μL)を新たなプレートに取り出してから、180のQUANTI-Blue溶液を加え、24時間、37℃でインキュベートした。プレートを従来のプレートリーダーで、650nmの吸光度について読み取った(図50)。
HEK Blue IL13レポーターシステムにおいて、IL13の誘導による、pSTAT6の活性化を阻害する能力について、コンストラクトをスクリーニングしたことによって得たデータから、(1)39位のロイシンLによって、その分子の強度が、同じ位置にアルギニンRがある場合よりも低くなるようであること、及び(2)FcのC末端にあるMDNA413が、FcのN末端にあるMDNA413よりも強力であるようであることが立証されている。また、このアッセイから得たEC50により、下記のように、in vitroでの機能的な効力に関して、分子を序列化させることができた。
Figure 2023532273000143
TF-1アッセイ
10%FBS(Gibco)及び2ng/mLのGM-CSF(ThermoFisher)を添加したRPMI培地(ATCC)において、TF-1細胞を培養した。TF-1細胞を回収し、2回PBSで洗浄した後に、GM-CSFを含まない培地に入れた。実験日に、細胞を1ウェル当たり30,000細胞で、体積100μLで加えた。アンタゴニストアッセイを行うために、増殖アッセイでのEC50またはEC80のrhIL13を用いて、上で概説したように、TF-1増殖アッセイを設定した。反応物には、漸増濃度の抗IL13Ra1抗体またはコンストラクトも添加した。プレートに含めたコントロールは、1)完全培地で成長させた細胞、2)無添加培地(IL13またはGM-CSFを含まない)で成長させた細胞、3)EC50またはEC80のrhIL13を添加した細胞、ならびに標準曲線用のIL13で処理した細胞からなるものであった。各条件下で、トリプリケートウェルを処理した。細胞を96時間インキュベートし、CyQUANTで発光させた。発光の際には、CyQUANTアッセイ試薬の3倍溶液をメーカーの説明に従って調製し、この溶液100μLを各ウェルに加えた。プレートを1時間、37℃でインキュベートし、混合してから遠心分離して、細胞を沈殿させた。プレートを485Ex/535Emで読み取った。
すべてのコンストラクトで、TF-1の増殖の用量依存的な阻害が見られ、MDNA019FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)において、最大の阻害が見られた一方で、Fc-MDNA413L39/Q111で、最小の阻害が見られた。MDNA019FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)においては、EC50及びEC80のrhIL13の両方で、TF-1の増殖の阻害が見られた一方で、Fc-MDNA413L39/Q111(1:2)及びFc-MDNA413L39/R111(1:2)では、有意な阻害が見られたのはEC50のみにおいてであった(図51)。
TF-1細胞を回収し、2回PBSで洗浄した後に、GM-CSFを含まない培地に入れた。実験日に、細胞を1ウェル当たり30,000細胞で、体積100μLで加えた。アンタゴニストアッセイを行うために、増殖アッセイでのEC80のrhIL13を用いて、TF-1増殖アッセイを設定した。
MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111では、IC50の37nMによって、TF-1の増殖の用量依存的な阻害が見られた(図71)。
ヒトPBMCでのpSTAT5アッセイ
PBMCを密度勾配によって単離し、完全培地にて静置してから、IL2、MDNA109FEAA-FcまたはMDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111で15分刺激した。コントロールには、未刺激のPBMC細胞を含めた。刺激の直後に、細胞を固定し、ナイーブCD8 T細胞(CD8+ CD25-)、NK細胞及びTregという免疫サブセットで、リン酸化STAT5(p-STAT5)の細胞内染色を行った後、試料をフローサイトメトリーによって分析した(図52)。
MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111、ヒト抗PD1-MDNA109FEAAS125、マウス抗PD1-MDNA109FEAAS125は、ナイーブCD8 T細胞及びNK細胞におけるシグナル伝達を、rhIL-2よりも高い効力で活性化できる。しかしながら、その効力は、TregにおけるpSTAT5シグナル伝達に対しては、rhIL-2よりも大幅に低下している。これらのデータにより、MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111、ヒト抗PD1-MDNA109FEAAS125、マウス抗PD1-MDNA109FEAAS125が、抗がんの有効性を得るために必要とされる、免疫エフェクター細胞応答の活性化において、rhIL-2よりも優れていることが示されている。しかし、コンストラクトH4FEAA-Fc-MDNA413L39/Q111(2:1:2)は、ヒトPBMCsにおけるpSTAT5の誘導においては強力ではない。
SPR試験
ヒトIgG(Fc)捕捉チップの原理:(1)固定化:抗ヒトIgG(Fc)抗体をCM5チップ上に固定化する。(2)捕捉:IL-13タンパク質、Fcタグまたは試料を捕捉する。(3)アナライト:アナライトは、ヒトIL-13Rα1タンパク質またはヒトIL-13Rα2タンパク質である。(4)再生:3Mの塩化マグネシウム(図53)。
IL13Ra1及びIL13Ra2への結合は、図72及び表32に示されている。
Figure 2023532273000144
CD3エピトープであるCD3ε/δへの結合は、図73及び表33に示されている。その結果から、ヒト及びマウスの抗CD3-MDNA132が、それぞれヒト及びマウスのCD3エピトープに結合し、交差反応性も見られないことが示された。
Figure 2023532273000145
IL2Rα(CD25)及びIL2Rβ(CD122)への結合が、図74及び表34に示されている。
Figure 2023532273000146
PD1への結合が、図75及び表35に示されている。
Figure 2023532273000147
実施例8:IL-4及びIL-13の誘導による、M2への極性化の阻害
実験プロトコール:
●PBMCを全血から単離した。
●磁気選別を用いて、CD14+単球を分離し、M-CSFを用いて、AB血清の存在下で、6日間かけてM0型マクロファージに分化させた。
●6日目に、EC80値のIL-13またはIL-4のいずれかを用いて、対照または試験アンタゴニスト(10点3倍希釈液)の存在下で、マクロファージをM2に極性化した。
●処理後、フローサイトメトリーによる表現型解析のために、マクロファージを集め、抗体染色の前に、Fc受容体をブロックした。
IL-4の誘導による、M2への極性化の阻害が、図76及び表36に示されている。
図76Aには、Fc-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-4で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図76Bには、Fc4-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-4で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図76Cには、MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)の存在下で、IL-4で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図76Dには、hu抗PD1-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-4で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図76Eには、マウス抗PD1-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-4で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されている。いずれの場合にも、点線は、IL-4のみのコントロールを表しており、破線は、M0コントロールを表している。
Figure 2023532273000148
IL-13の誘導による、M2への極性化の阻害が、図77及び表37に示されている。
図77Aには、Fc-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-13で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図77Bには、Fc4-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-13で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図77Cには、MDNA109FEAAC125-Fc-MDNA413R39/Q111(2:1:2)の存在下で、IL-13で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図77Dには、hu抗PD1-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-13で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されており、図77Eには、マウス抗PD1-MDNA413R39/Q111(1:2)の存在下で、IL-13で処理したマクロファージの表現型解析結果が示されている。いずれの場合にも、点線は、IL-13のみのコントロールを表しており、破線は、M0コントロールを表している。
Figure 2023532273000149
上に示されている実施例は、本発明の組成物、システム及び方法の実施形態の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者にもたらす目的で示されており、本発明者が本発明とみなす内容の範囲を限定するようには意図されていない。本発明を実施するための上記形態の改変形態であって、当業者に明らかである改変形態は、添付の特許項の範囲内であるように意図されている。本明細書で言及されている特許及び刊行物はいずれも、本発明が属する分野の当業者の知識レベルを示している。本開示で引用されている参照文献はいずれも、参照により、それぞれの参照文献の全体が、参照により、個々に援用された場合と同程度に援用される。
いずれの見出し及びセクションの表記も、明瞭化及び参照目的のために使用されているに過ぎず、いかなる場合も、限定するものとみなすべきではない。例えば、当業者は、本明細書に記載されている本発明の趣旨及び範囲に従って、それぞれ異なる見出し及びセクションから、様々な態様を適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
本明細書に引用されているいずれの参照文献も、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願の全体が、参照により、あらゆる目的で援用されることが、具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により、あらゆる目的で、その全体が本明細書に援用される。
当業者には明らかなように、本願の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本願の改変及び変形を数多く行うことができる。本明細書に記載されている具体的な実施形態及び実施例は、例として示されているに過ぎず、本願は、添付の請求項が権利を与えられている均等物の全範囲とともに、請求項の条項によってのみ限定されるものとする。

Claims (32)

  1. 本明細書に記載されているようなIL-2ムテインを第2のサイトカインと融合したものを含む二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  2. 前記IL-2ムテインが、L80F、R81D、L85V、I86V及びI92Fというアミノ酸置換を含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項1に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  3. 前記IL-2ムテインが、F42Aという置換をさらに含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項2に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  4. 前記IL-2ムテインが、K43Nという置換をさらに含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項2または3に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  5. 前記IL-2ムテインが、Y45Aという置換をさらに含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項2~4のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  6. 前記IL-2ムテインが、E62Aという置換をさらに含み、この番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項2~5のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  7. 前記IL-2ムテインが、E62Aという置換及びF42Aという置換をさらに含み、これらの番号付けが、配列番号2の野生型ヒトIL-2を基準にしたものである、請求項2~6のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  8. 前記IL-2ムテインが、表2、4、5及び/または6に記載されているようなIL-2ムテイン配列である、請求項2~7のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  9. 表2、4、5、6、10及び/または12、及び/または図54に記載されているような配列を含む、請求項2~8のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  10. Fc抗体断片をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  11. 前記Fc抗体断片が、ヒトFc抗体断片である、請求項10に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  12. 前記Fc抗体断片が、N297Aという置換を含む、請求項10または11に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  13. アルブミンをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  14. 前記第2のサイトカインが、IL-4、IL-13、IL-10、IL-12、IL15及びIL-18からなる群から選択されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  15. 前記第2のサイトカインが、IL-4またはIL-13である、請求項1~14のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  16. 前記第2のサイトカインが、表7及び/または表8及び/または表12及び/または表28及び/または図54に記載されているようなものである、請求項1~17のいずれかに記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  17. IL-2Rβに対する結合能が、野生型ヒトIL-2と比べて向上している、請求項1~16のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  18. IL-2Rβに対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて高い、請求項1~17のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  19. IL2Rαへの結合が妨げられる(すなわち、IL2Rαにあまり結合しない)、請求項1~18のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  20. CD25に対する結合親和性が、野生型ヒトIL-2と比べて低下している、請求項1~19のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  21. 配列番号146、配列番号147、配列番号148及び213、配列番号149及び213、配列番号150、配列番号151及び214、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157及び213、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161及び215、配列番号162及び216、配列番号163、配列番号164、配列番号165及び213、配列番号166及び213もしくは配列番号167及び217、または表12、表28もしくは図54の配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  22. MDNA413-Fc-MDNA109、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413、Fc-MDNA132(1:1KiH)、Fc-A11(1:2)、Fc-A11(1:2)、Fc-MDNA413(1:2)、Fc-MDNA413(1:2)、Fc4-MDNA413(1:2)、MDNA413-Fc(1:1KIH)、MDNA109-Fc(2:1)、MDNA-109FEAA-Fc(2:1)、Fc-MDNA109(1:2)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA132(2:1:1KiH)、MDNA413-Fc-MDNA132(2:1:1KiH)、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)バージョン1、MDNA109FEAA-Fc-MDNA413(2:1:2)バージョン2、MDNA132-Fc-MDNA109(1:1:1KIH)、MDNA413-Fc-MDNA109(1:1:1KIH)、MDNA132-Fc-MDNA109FEAA(1:1:1KIH)またはMDNA109-Fc-MDNA413を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体。
  23. 請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体を投与することを含む、がんの治療方法。
  24. 前記がんが、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌を含む)、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記がんが、結腸癌である、請求項24に記載の方法。
  26. (i)抗PD-1の抗体もしくは阻害剤、または抗PD-L1の抗体もしくは阻害剤と、
    (ii)請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、
    を含む配合治療薬を投与することを含む、がんの治療方法。
  27. 前記抗PD-1の抗体または阻害剤が、ニボルマブ、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、AMP224、CT-011、MK-3475(ペムブロリズマブ)、セミプリマブ(REGN2810)、SHR-1210(CTR20160175及びCTR20170090)、SHR-1210(CTR20170299及びCTR20170322)、JS-001(CTR20160274)、IBI308(CTR20160735)、BGB-A317(CTR20160872)、ならびに表38に列挙されているようなPD-1抗体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記抗PD-L1の抗体または阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ及びデュルバルマブからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記がんが、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮体癌、多発性骨髄腫、メラノーマ、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌を含む)、腎臓癌、肝臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌及び脳腫瘍からなる群から選択される、請求項27または28に記載の方法。
  30. 前記がんが、結腸癌である、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  32. 抗PD-1の抗体または阻害剤と、請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性IL-2サイトカイン融合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
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