JP2023527508A - 金属有機化合物 - Google Patents

金属有機化合物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023527508A
JP2023527508A JP2022560090A JP2022560090A JP2023527508A JP 2023527508 A JP2023527508 A JP 2023527508A JP 2022560090 A JP2022560090 A JP 2022560090A JP 2022560090 A JP2022560090 A JP 2022560090A JP 2023527508 A JP2023527508 A JP 2023527508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ether
free
silicon
mox
essentially
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022560090A
Other languages
English (en)
Inventor
ニコラス・ラウ
ヴォルフ・ショルン
アニカ・フレイ
アンゲリノ・ドッピウ
アイリーン・ヴェルナー
ラルフ・カルヒ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Umicore AG and Co KG
Original Assignee
Umicore AG and Co KG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Umicore AG and Co KG filed Critical Umicore AG and Co KG
Publication of JP2023527508A publication Critical patent/JP2023527508A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F11/00Compounds containing elements of Groups 6 or 16 of the Periodic Table
    • C07F11/005Compounds containing elements of Groups 6 or 16 of the Periodic Table compounds without a metal-carbon linkage
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F11/00Compounds containing elements of Groups 6 or 16 of the Periodic Table

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、一般式[M(O)(OR)y](式中、M=Mo、y=3であるか、又はM=W、y=3若しくは4である)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスに関する。更に、前述のプロセスによって得られた化合物及びそのような得られた化合物の使用を対象とする。本明細書に記載の本発明の別の目的は、前述のプロセスを使用して調製された一般式MOXy若しくは[MOXy(solv)p]、(式中、M=Mo、y=3であるか、又はM=W、y=3若しくは4であり、X=Cl又はBrであり、solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、p=1又は2である)の本質的にケイ素を含まない化合物である。本発明はまた、一般式MOXy若しくは[MOXy(solv)p]の前述のプロセスを使用して調製された本質的にケイ素を含まない化合物の使用を対象とする。

Description

本発明は、一般式[M(O)(OR)]、(式中、M=Mo、y=3、M=W及びy=3又は4である)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスに関する。Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、[式中、n=1~5又は1、2、若しくは3である]、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択される。Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択される。更に、本発明は、前述のプロセスによって得られた化合物及びそのような得られた化合物の使用を対象とする。
一般式[M(O)(OR)]、(式中、M=Mo、y=3、又はM=W及びy=3又は4である)に従うモリブデン及びタングステンのオキシアルコキシド、及びそれらを調製するためのプロセスは、最新技術で知られている。このグループのタングステン(VI)オキシアルコキシドのいくつかの揮発性代表物、例えば[W(O)(O/Pr)]、及び[W(O)(Os/Bu)]が、WOのための前駆体として使用される。WOの調製については、全般に、層又はフィルムガス化学蒸着(CVD)プロセス又はゾル-ゲルプロセスが適用される。
化合物の堆積、半導体、光電池(photovoltaic)又は触媒に関する全ての用途については、それらの前駆体、例えば、[W(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]は、直接的で費用効率の高いプロセスにおいて大量に製造可能である必要がある。更に、高純度仕様に準拠することが必須である。特に、イオン混入、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムイオン、並びにケイ素(Si)又はケイ素化合物による混入を回避するべきである。
最新技術によれば、[W(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]のタイプのモリブデン(VI)及びタングステン(VI)のオキシテトラアルコキシド化合物は、通常、オキシ四塩化モリブデン及びタングステン(VI)から開始して製造される。目標化合物[W(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]は、i)遊離アルコール及びアンモニア、又はii)対応するリチウムアルコレートとの化学反応によって得られる。
WOCl及び対応するアルコール及びアンモニアから始まる第1の合成経路i)は、R=Me、Et、iPr、nBu、C11の場合について、H.Funkらによって公開されている。ベンゼンは溶媒として使用される。(Z.Anorg.Allg.Chem.1960,304,238-240)。塩化物を含まない化合物を選択的に得るために、アンモニアガスを反応混合物に通すことは必須である。それによって、大量のNHClが形成される。生成物及びNHClフレート(freight)の主要部分の沈殿を回避するために、4つの塩素原子を置換するために必要とされるものと同じ3倍多いアルコールが、添加される必要がある。この経路による困難は、特に加水分解感受性の出発物質WOClを使用することである。後者は、以前の反応ステップで調製される必要があり、更なる適用前に昇華によって精製される必要がある。
合成経路ii)は、例えば、[W(O)(OsBU)]について国際公開第2016/006231(A1)号に記載されており、sBuOH、nBuLi及びWOClが出発物質として適用され、テトラヒドロフラン及びトルエンが溶媒として使用される。真空蒸留後、生成物を、わずかに黄色の液体として73%(87mmol)の収率で得る。[W(O)(OiPr)]は、46%(5.5mmol)の収率で昇華後に単離される。[W(O)(OiPr)]のための、144mmolのWOClから出発するプロセスを規模拡大しようとしたとき、識別不可能な褐色油状物が得られた。したがって、工業規模での[W(O)(OiPr)]の調製は、困難と見なされている(段落[0093]を参照)。この調製方法の不利な点は、4当量のLiClの形成が、少しでもあれば、エーテル溶液から分離することだけが特に困難であることである。更に、分離不可能なタングステン酸リチウム錯体の形成が可能である。Z.A.Starikova et al.,Polyhedron 2002,21,193-195 und V.zi-.Kessler et al.,J.Chem.Soc.,Dalt.Trans.1998,21-29)
Koord.Khimiya 1985,11、1521-1528では、S.I.Kucheikoらは、WOCl及びROH/EtO溶媒混合物中の対応するNaORから出発する[W(O)(OR)](R=Me、ET、iPr、tBu)の調製について報告した。[W(O)(OtBu)]の合成は、テトラヒドロフラン中のWOCl及びLiOtBuから行われる。
1986年に、一般式[WO(OR)](R=アルキル)の化合物を調製するための手順が、特許第S6136292号においてK.Ishioらによって記載された。第1のステップでは、ハロゲン化タングステン、好ましくは、WClを、好ましくは1~10個の炭素原子を含むアルコールと反応させる。優先的に、塩素系溶媒、例えば、四塩化炭素と芳香族溶媒、例えばベンゼンとの溶媒混合物を、溶媒として使用する。反応温度は、通常、60℃以下である。その後、中間生成物を脱酸性剤、好ましくはアンモニアガスと反応させる。この方法は、WOClの代わりに市販されているWClであるタングステン(VI)出発物質に関する上記の合成経路i)とは異なる。しかしながら、主な欠点は、上で説明したものと同じであり、すなわち、大過剰のアルコールの使用を適用する必要がある。これは、環境及び商業的観点からだけでなく、生成物品質及び生成物純度に関してそれぞれ、不利である。後者の理由は、特に長鎖及びしたがって高沸点アルコールの場合、過剰なアルコールの分離は、少しでも可能であっても非常に困難であることである。
[W(O)(OR)]のタイプの化合物を調製するための既知のプロセスの大部分の主な欠点は、高品質で市販されそうにないWOClの使用である。加水分解感受性の出発物質WOClは、前もって合成で製造される必要があり、更なる適用前に単離され、昇華される必要がある。したがって、その調製は、更なる合成ステップを含むだけでなく、更に複雑でコストがかかる。リチウムアルコレートLiORの生成のためのnBuLiを使用することも、手が込み高価である。別の欠点は、LiCl又はNHClなどの大量の無機塩が形成され、その定量的分離は、少しでも可能であっても、多くの場合には困難である。その理由は、反応が通常、溶媒としてテトラヒドロフラン又はアルコール中で行われるためである。更に、リチウムイオンの存在下では、タングステン酸リチウム錯体、例えば、Li[W(O)(OR)]の形成が可能であり、これも分離するのが非常に難しいか、又は分離不可能である。
文献から知られている手順は通常、分別蒸留及び/又は昇華による複雑な精製を提供する。しかしながら、得られた生成物は、無機塩による混入物を含むことがあり、これは正確に定量化可能ではない。したがって、それらの特性は、純粋な生成物と比較して、制御不能かつ部分的に不可逆的な方法で、それぞれ変更及び減少され得る。別の主な欠点は、大過剰のアルコールの適用である。これは、環境及び商業的観点からだけでなく、生成物品質及び生成物純度に関してそれぞれ、不利である。後者の理由は、過剰なアルコールの分離に時間がかかり、長鎖及びしたがって高沸点アルコールの場合も、少しでも可能であっても、非常に困難であることである。更に、工業用途の観点から、前述の調製方法の大部分によって達成される収率は比較的低い。
一般式[W(O)(OR)]のタングステン(VI)オキシアルコキシドの合成のためのおそらく最も一般的な出発物質であるWOClの合成に関して、基本的に3つの異なる反応タイプ、すなわち輸送反応、固体反応、及び湿式化学プロセスが、最新技術において既知である。湿式化学法に関しては、本質的に2つの確立された方法が存在する。WOClを調製するための第1の湿式化学手順a)は、WO、並びにCCl、CCl、SCl、SOCl、ClCNOなどの塩素源から開始する。副生成物は、例えば、COCl(CClとの反応)、SO(SOCl又はSClとの反応)、及びClである。この合成経路の主な欠点は、塩素源及び副生成物の両方が環境に対して危険であることである。したがって、特定の安全対策及び廃棄物処理の概念が必要であり、この経路に従う生産を非環境保護的なものにするだけではなく、非経済的なものにし、したがって満足できるものではない。第2の湿式化学手順b)によれば、WClは、酸化剤、特にシロキサン系のものと反応される。例えば、ヘキサメチルジシロキサン(TMSО)又はtBuOTMSが酸化剤として適用される。不都合なことに、目標化合物は、ケイ素(Si)及び/又はケイ素を含む化合物で混入される。これは、特に電気工学、電気化学、及び半導体の分野において、最終用途に関連して問題が発生する可能性が高いために、主な欠点である。加えて、経路b)の副生成物、TMSClは毒性であり、空気接触中に塩化水素に反応する。
国際公開第2016/006231(A1)号 特許第S6136292号
Z.Anorg.Allg.Chem.1960,304,238-240 Z.A.Starikova et al.,Polyhedron 2002,21,193-195 V.zi-.Kessler et al.,J.Chem.Soc.,Dalt.Trans.1998,21-29 Koord.Khimiya 1985,11、1521-1528
要約すると、事前記載されたプロセスは、環境保護的及び経済的な観点から満足できるものではないとして分類される。
本発明の目的は、最新技術の上述した欠点及び他の欠点を克服し、アルカリ金属イオン、ケイ素(Si)、及びケイ素化合物を本質的に含まないモリブデン(V)オキシアルコキシド、タングステン(V)オキシアルコキシド、及びタングステン(VI)オキシアルコキシドを調製するためのプロセスを提供することである。プロセスは、高純度及び良好な収率を有する工業製造のために、汎用性があり、直接的で費用効率が高く、再現性があり、比較的環境に優しく容易に拡張可能であるものとする。このプロセスによって得られたオキシアルコキシドは、化合物の堆積、半導体、光電池、又は触媒のような用途に必要な非常に要求の厳しい純度仕様に準拠するものとする。更に、本発明は、化合物の堆積、半導体、光電池、又は触媒のような用途におけるそのようなオキシアルコキシドの使用を対象とする。本発明の別の目的は、ケイ素(Si)及びケイ素化合物を本質的に含まないモリブデン(V)オキシハロゲン化物、タングステン(V)オキシハロゲン化物及びタングステン(VI)オキシハロゲン化物を提供することである。プロセスは、高純度及び良好な収率を有する工業製造のために、汎用性があり、直接的で費用効率が高く、比較的環境に優しく、再現性があり容易に拡張可能であるものとする。更に、本発明は、アルカリ金属イオン、ケイ素(Si)及びケイ素化合物を本質的に含まないモリブデン(V)オキシアルコキシド、タングステン(V)オキシアルコキシド、及びタングステン(VI)オキシアルコキシドを調製するための本明細書の方法によって調製されるオキシハロゲン化物の使用に関する。
本発明の主な特徴は、特許請求の範囲で示される。
問題は、一般式
[M(O)(OR)] (I)
[式中、
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
及び
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキレン基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、置換若しくは非置換のアリール基(C6~C11)からなる群から選択され、
及び
- n=1~5又は1、2、若しくは3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスによって解決され、
当該方法は、
a)一般式MXy+2
[式中、
M及びyは、上記で定義されたとおりであり、
及び
X=Cl又はBrである]の化合物を、
1~10個の炭素原子を含む本質的にケイ素(Si)を含まない酸化剤Zと、
少なくとも1:0.75のMXy+2の酸化剤Zに対するモル比で、
少なくとも1つの非プロトン性溶媒A中で反応させるステップと、
b)アルコールROHを添加するステップであって、
- Rは、上記で定義されたとおりであり、
- MXy+2のアルコールROHに対するモル比が、少なくとも1:3であり、
及び
- ROHが、ステップa)の酸化剤Zとは異なる、添加するステップと、
c)少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基を供給するステップと、を含む。
本発明の範囲内で、「本質的にケイ素を含まない」という用語は、試薬、反応物、添加剤、前駆体、溶媒、又は生成物がその式中にケイ素を含有しないが、少量の(検出限界付近の)遊離又は結合ケイ素を含有し得ることを意味する。特に、これは、適用された酸化剤及び塩基、並びに一般式[M(O)(OR)](I)の目標化合物に関するものである。したがって、本発明の文脈において、酸化剤、塩基、又は一般式[M(O)(OR)](I)による目標化合物は、それぞれ、それが1000ppm(1000)以下、好都合には500ppm(500)以下、特に70ppm(70)ppm以下、より具体的には50(50)ppm以下、又は10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素含有量を有する場合、「本質的にケイ素を含まない」と見なされる。適用された試薬、反応物、添加剤、前駆体、若しくは溶媒の、又は生成物のケイ素含有量、特に適用された酸化剤及び塩基並びに一般式[M(O)(OR)](I)の目標化合物のケイ素含有量を決定するための好適な方法は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)である。
ステップa)、ステップb)、又はその両方は、蒸留を含み得る。そのような蒸留は、反応物の化学反応が完了した後に実施されるべきである。そのような蒸留は、後続のステップ、又は前述の全てにおいて異なる溶媒を使用するために、未反応抽出物、反応の副生成物、反応媒体/溶媒を除去するために実施され得る。
それぞれの所望の生成物は、この反応において、除去されないが、「ワンポット反応」の意味で以下の反応ステップに供されるために反応容器内に残る。
ステップa)の一部として蒸留が実施される場合、一般式MXy+2の化合物と本質的にケイ素を含まない酸化剤Zとの反応の副生成物を除去することができる。これらは通常、ジクロロ炭化水素、クロロ炭化水素及び/又は塩化水素のような化合物である。例えば、アセトンが本質的にケイ素を含まない酸化剤Zとして使用される場合、蒸留される副生成物は、2,2-ジクロロプロパンである。蒸留が行われる条件に応じて、未反応酸化剤Z、非プロトン性溶媒A、又はその両方が同様に除去され得る。
ステップb)の一部として蒸留が実施される場合、酸化剤Zとは異なるアルコールROHの反応の副生成物が除去されてもよく、蒸留条件に応じて、ステップa)の副生成物の除去と同時に又は逐次的に、任意選択で、未反応のアルコールROH、もしあれば未反応の酸化剤Z、もしあれば非プロトン性溶媒A、又は前述の全てとともに除去されてもよい。
特定の実施形態では、蒸留はステップb)の一部として実施され、これは、いくつかの条件下でステップc)を容易にする。
一般式Iは、モノマーだけでなく、可能なオリゴマーも含む。例えば、[W(O)(OiPr)]は固体状態の二量体として存在する。(W.Clegg et al.,J.Chem.Soc.,Dalt.Trans.1992,1,1431-1438)
Rは、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーン、部分的若しくは完全にハロゲン化されていない直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)であり得るばかりでなく、式(R-O)n-R-にも準拠し得る(式(I)、[M(O)(OR)]、及び適用されたアルコールROHの両方において)。ここで、nは、1~5の整数、例えば、4、特に1、2、又は3である。
Rが式(R-O)n-Rに対応する場合、nは1より大きい、すなわち2、3、4、又は5であるという条件で、いくつかの残基Rが存在することができる。残基は同一であっても異なっていてもよく、残基Rは、互いに独立して、1~6個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基、例えば、メチレン(CH)、エチレン(CHCH)、プロピレン(CHCHCH)、イソプロピレン(CH(CH)CH)、n-ブチレン(CHCHCHCH)、ペンチレン(CHCHCHCHCH)、ヘキシレン(CHCHCHCHCHCH)、並びに1~6個の炭素原子、より具体的には2~4個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状、又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基からなる群から選択され得る。結果として、nが、例えば2である場合、式(R-О)n-Rは(RE1-О)-(RE2-О)-Rであり、式中RE1及びRE2は、同一であることができ、例えば、n-プロピレンであるか又は異なることができ、例えば、RE1はn-プロピレンであり、RE2はn-ブチレンであり、又はRE1及びRE2は異性体であり、例えば、RE1はn-プロピレンであり、RE2はイソ-プロピレンである。異なる残基Rとしたがって、異なる残基Rとの混合物がそれぞれROH及び(R-О)n-R中に存在するように、いくつかの異性体又は異なる残基を適用することも可能であり、[M(O)(OR)](I)の異性体混合物をもたらす。
残基Rが(R-О)n-Rに対応する場合、残基Rは互いに独立して、1~10個の炭素原子を有する(C1~C10)、特に3~7個の炭素原子を有する(C3~C7)直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、及び1~10個の炭素原子を有する(C1~C10)直鎖状、分岐状、又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基、又は置換若しくは非置換のアリール基(C6~C11)、例えば、フェニル、ベンジル、トルイル、メシチル、ナフチル、特にフェニル、トルイル、メシチル、又はベンジルのようなC6~C8からなる群から選択され得る。残基Rはまた、残基Rが異なり、したがって、不均等な残基Rをもたらすことができるのと同じ方法で異なる場合がある。上記のように、異なる残基R及び/又はR並びにしたがって混合残基Rが存在する場合、適用されたアルコールROHは混合物である。有利には、特に異性体混合物が含まれ、例えば、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルが、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルの様々な異性体の異性体混合物であり、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、主異性体である。
本明細書に特許請求されるプロセスの一実施形態では、アルコールROHは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-BuCHOH、i-BuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、C11OH、CCHOH、及びCOH、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。あるいは、又は補足として、アルコールROHは、(2,2-ジクロロ-3,3-ジメチルシクロプロピル)メタノール、(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペンタノール、6-クロロ-1-ヘキサノール、6-ブロモ-1-ヘキサノール、8-クロロ-1-オクタノール、8-ブロモ-1-オクタノール、10-クロロ-1-デカノール、10-ブロモ-1-デカノール、CC(CFOH、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特許請求されるプロセスの別の実施形態は、アルコールROHがグリコールエーテルであることを提供する。「グリコールエーテル」という用語は、ポリエーテル及びポリグリコールエーテルも含む。プロセスの一変形例では、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
より具体的には、Rは、アルキレンアルキルエーテル基(R-О)n-Rであってもよく、式中Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルブタ-2-イル、3-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンタ-1-イル、3-メチルペンタ-1-イル、4-メチルペンタ-1-イル、2-メチルペンタ-2-イル、3-メチルペンタ-2-イル、4-メチルペンタ-2-イル、2-メチルペンタ-3-イル、3-メチルペンタ-3-イル、2,2-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-1-イル、3,3-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-2-イル、3,3-ジメチルブタ-2-イル、2-エチルブタ-1-イル、フェニル、ベンジル、トルイル、メシチル、ナフチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Rは、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、イソプロピレン(-CH(CH)CH-)、n-ブチレン(-CHCHCHCH-)、ペンチレン(-CHCHCHCHCH-)、ヘキシレン(-CHCHCHCHCHCH-)からなる群から選択され、nは有利には、1、2、又は3である。
本明細書に記載されるプロセスの更なる実施形態によれば、グリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。示されたグリコールエーテルはまた、異性体混合物としても使用することができる。例えば、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルの様々な異性体の異性体混合物であり、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、主異性体である。有利には、グリコールエーテルは、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
一般式MXy+2の化合物は、満足できる高い品質で市販されている。式MXy+2はまた、場合により存在する溶媒付加物も含む。
特許請求されるプロセスの更なる実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、アルコール、ケトン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを提供する。これは、酸化剤自体が比較的環境に優しく、目標化合物の純度に関して重要であるいかなる要素も含まないため、主な利点である。特に、酸化剤は本質的にケイ素を含まないか又はケイ素を含まないため、ケイ素を含有する副生成物の形成は不可能である。好都合には、ほとんどの場合、前述の酸化剤のうちの1つを適用するときに、HCl、MeCl、tBuCl、C(CH、Cl、及びイソブテンなどの容易に分離可能で比較的環境に優しい副生成物のみが形成される。例えば、ケトンを酸化剤として使用する場合、唯一の副生成物はジクロロアルカンである。アルコールを酸化剤として適用する場合、塩化水素及び少なくとも1つのハロゲノアルカンが副生成物として形成される。更に、ステップa)から生じる副生成物の蒸留及び/又は大気圧より低い圧力下による分離は、形成された副生成物が更なるプロセスを妨げないために、この段階では必須ではない。しかしながら、副生成物の分離は、ステップa)の完了後、及び/又は反応ステップc)の後に可能であり、分離は、部分的及び完全に各々実施され得る。全体として、前述の酸化剤のうちの1つを使用する場合、所望の目標化合物が、ケイ素若しくは任意のハロゲン、又はケイ素、M以外の金属、若しくはハロゲンを含む任意の化合物を含むことを、ほぼ除外し、有利には除外することができる。
特許請求されるプロセスの別の実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、1~8個の炭素原子、例えば、メチルtert-ブチルエーテルなどの5個の炭素原子を含むことを提供する。更なる実施形態によれば、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、1~6個の炭素原子、例えば、テトラヒドロフランなどの4個の炭素原子を含む。別の変形例では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、1~4個の炭素原子、例えば、メタノール、エタノール、又はプロパノールなどの1、2、又は3個の炭素原子を含む。
本発明の範囲内では、「アルコール」という用語は、不飽和及び飽和脂肪族並びに脂環式モノアルコール、ポリオール、及びグリコールエーテルを指す。「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含有する有機化合物を意味する。したがって、「ポリオール」は、ジオール、通常は1,2-ジオールを指す。例は、エチレングリコール(EG)及びその誘導体である。更に、「ポリオール」という用語は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)に至るまでのジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、テトラエチレングリコール(TTEG)などを指す。加えて、「ポリオール」は、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどの異性体を意味する。2つを超えるヒドロキシル基を有する化合物、例えば、グリセロール(GLY)、ペンタエリスリトール、及び炭水化物もまた、本発明の範囲内の「ポリオール」の定義に該当する。
特許請求されるプロセスの一実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、一般式RОHに従うアルコール又はアルコールの混合物であり、式中、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~10個の炭素原子を有するアリール基を表す。別の実施形態は、Rが、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~8個の炭素原子、例えば5個の炭素原子を有するアリール基を表すことを提供する。あるいは、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~6個の炭素原子、例えば3個の炭素原子を有するアリール基を表す。更なる変形例では、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子、例えば2又は3個の炭素原子を有するアリール基を表す。例えば、RОHは、MeOH、EtOH、nPrOH、iPrOH、nBuOH、tBuOH、sBuOH、iBuOH、sBuCHOH、iBuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、CCHOH、COH、2-フルオロエタノール、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタノール、2-クロロエタノール、2-ブロモエタノール、2,2-ジブロモエタノール、2,2,2-トリブロモエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、(2,2-ジクロロシクロプロピル)メタノール、及び(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
酸化剤Zは、それがアルコールである場合、副生成物が最終生成物とは異なること、及び互いにより容易に分離することができることを確実にするために、アルコールROHとは異なる必要があることに留意することが重要である。酸化剤Zとして使用されるのに好適なアルコールは、1~8個の炭素原子(C1~C8)を有するアルコール、特に1~6個の炭素原子(C1~C6)を有するアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、ヘキサン-1-オールである。
特許請求されるプロセスの更なる実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、グリコールエーテル又は2つ以上のグリコールエーテルの混合物であり、各グリコールエーテルは、3~6個の炭素原子を含む。変形例では、各グリコールエーテルは、4~6個の炭素原子、例えば、5個の炭素原子を含む。別の実施形態によれば、各グリコールエーテルは、3又は4個の炭素原子を含む。例えば、グリコールエーテルは、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本明細書に記載のプロセスの別の実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、一般式R(CO)Rに従うケトン又はケトンの混合物であり、式中、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~8個の炭素原子、例えば、6個の炭素原子を有するアリール基を表す。変形例では、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~6個の炭素原子、例えば、4個の炭素原子を有するアリール基を表す。別の実施形態は、R及びRが、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子、例えば、2個の炭素原子を有するアリール基を表すことを提供する。更なる実施形態では、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1若しくは2個の炭素原子を有するアリール基を表す。例えば、R(CO)Rは、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-sec-ブチルケトン、メチルtert-ブチルケトン、メチルn-ペンチルケトン、メチルオクチルケトン、ジエチルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル-n-ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチル-sec-ブチルケトン、エチルtert-ブチルケトン、エチルn-ペンチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジ-n-ブチルケトン、ジイソブチルケトン、n-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。ケトンはまた、例えば、アセチルアセトン、シクロヘキサジオン又はキノンのようなジオンなどの2つ以上のケト基を有する化合物も包含する。
特許請求されるプロセスの更なる実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、一般式R-O-Rに従うエーテル又はエーテルの混合物であり、式中、R及びRが、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~9個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=4個の炭素原子を表し、R及びRが、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成し得ることを提供する。別の実施形態によれば、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=2及びR=3個の炭素原子を表し、R及びRは、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成することができる。あるいは、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~5個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=3個の炭素原子を表し、R及びRは、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成することができる。別の実施形態によれば、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~3個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=2個の炭素原子を表し、R及びRは、任意選択的に環を形成することができる。例えば、R-O-Rは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メチル-n-プロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチル-n-プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、エチルtert-ブチルエーテル(ETBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、アルコール、ケトン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。その結果、異なるアルコール、ケトン、又はエーテルを、純粋な化合物として、又はメタノールとエタノールの混合物のような異なるアルコール、アセトンとメチルエチルケトンとの混合物などの異なるケトン、又はジエチルエーテルとテトラヒドロフランとの混合物などの異なるエーテルの混合物などの、同じクラスの異なる酸化剤と共にの両方で使用することができる。異なるタイプの酸化剤間の混合物、例えば、アルコールとケトンとの、ケトンとエーテルとの、又はアルコールとエーテルとの混合物、あるいはアルコール、エーテル、及びケトンの混合物も可能である。可能な例は、エタノールとアセトンとの混合物、アセトンとテトラヒドロフランとの混合物、メタノールとジエチルエーテルとの混合物、又はエタノールとテトラヒドロフラン及びアセトンとの混合物であり得る。
特許請求されるプロセスの別の実施形態によれば、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比は、1:0.75~1:2.50の範囲内である。例えば、1モル当量のWClと2.00モル当量のアセトンとのモル比を適用する場合、溶媒付加物[W(O)Cl(アセトン)]が得られる。しかしながら、更なる反応ステップ中に、この化合物は、WOClと同様の方法で反応する。別の実施形態では、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比は、1:0.80~1:1.50の範囲である。更なる実施形態は、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比が、1:0.85~1:1.30の範囲であることを提供する。通常、酸化剤は、化学量論量で、又は1:1.15などのわずかな過剰で、すなわち、特に費用効率が高く環境保護的に有利である、本質的に化学量論量で適用される。しかしながら、過剰の本質的にケイ素を含まない酸化剤が適用される場合、ステップa)の完了後、又はそれぞれの目標化合物の単離の前及び/又は単離中のいずれかで、過剰な酸化剤を比較的容易に除去することができる。これは、特に、比較的少ない炭素原子、具体的には、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランなどの1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する酸化剤に適用される。ステップa)において、1、2、3、又は4個の炭素原子を有する比較的短鎖の、したがって低沸点アルコールの使用が有利なものであるのに対して、ステップb)で適用されるアルコールROHは、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する。
「溶媒」という用語は、単一の溶媒又は溶媒混合物を指す。
ステップc)による「少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基の供給」は、各々が少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含む気体又は液体又は固体を導入することによって、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液を導入することによって、又はそれぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧容器内での加圧によって、本質的にケイ素を含まない塩基を添加する選択肢を含む。
それぞれ、ステップc)の反応の完全性及び反応の終了は、例えば、反応器に通されたアンモニウムガスが反応混合物中でもはや消費されないが、反応混合物を通過するのみであるという事実によって判定され得る。あるいは、又は補足として、反応混合物の温度が低下し、発熱性が減退することが観察される。この目的のために、例えば、気泡カウンタ、圧力リリーフ弁及び/又は圧力センサ、質量流量計、若しくは流量計、温度センサ及び温度スイッチのそれぞれを使用することができる。反応の完全性が、ある一定のタイムラグ後にのみ判定される場合、反応器内に大気圧より低い圧力又は真空を作り出すことによって、過剰なアンモニアガスを反応混合物から除去することができる。アンモニア及び/又はアミンが圧力下でガスの形態で反応器に通されるか、又は液体状態で若しくは溶液として反応混合物に添加される場合、同様のアプローチを適用することができる。
「反応器」という用語は、反応容器のいかなる容量、材料、特徴、又は形態にも限定されない。好適な反応器は、例えば、撹拌槽反応器、撹拌圧力反応容器、管状反応器、マイクロリアクター、及び流動反応器である。
本明細書に記載されるプロセスによって調製されたタイプの[M(O)(OR)](I)のオキシアルコキシド錯体は、NMR及び元素分析によって、それらの単離後にアミンもアンモニアも含有しないことが示された。しかしながら、単離された化合物は、検出限界付近又はそれよりも低い量でアミン及び/又はアンモニアを含み得る。この場合、それらは「本質的にアンモニアを含まない」と称される。したがって、それぞれの目標化合物のアンモニア付加物は、少しでもあれば、溶液中にのみ存在することが推測され得る。反応の完了後に過度に長い期間にわたってアンモニアを反応混合物に導入することは、環境保護的及び経済的な側面の両方で不都合である。
また、ICP-OESによる元素分析及び微量金属分析によって、特許請求されるプロセスによって調製された一般式[M(O)(OR)](I)の化合物が本質的にケイ素を含まず、また本質的にアルカリ金属を含まないことが証明された。その結果、それらは、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)によって決定される、1000ppm(1000)以下、好都合には500ppm(500)以下、特に70ppm(70)ppm以下、より具体的には50(50)ppm以下、又は10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素含有量を含む。
特許請求されるプロセスによって調製された一般式[M(O)(OR)](I)の化合物は、1000ppm(1000)以下、好都合には500ppm(500)以下、特に70ppm(70)ppm以下、より具体的には50(50)ppm以下、又は10ppm(10)以下、特に0.20ppm以下(0.20ppmが検出限界である)のアルカリ金属含有量を含む。
特許請求されるプロセスによって調製された一般式[M(O)(OR)](I)の化合物は、1000(1000)ppm未満、又は500ppm(500)未満、又は250ppm(250)未満のハロゲン含有量、特に塩素含有量を含む。
本明細書に特許請求されるプロセスは、3つのステップのみを含み、一般式[M(O)(OR)](I)、特に[W(O)(OR)]の本質的にケイ素を含まない化合物を得るワンポット合成として実施される。MXy+2を含む出発物質、具体的には、WCl、WCl又はMoClは市販されており安価である。例えば、加水分解感受性タングステン(VI)化合物WOClは、WClを、本質的にケイ素を含まない酸化剤、好都合にはメタノール、tert-ブタノール、アセトン、ブタノン、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、又はテトラヒドロフランと、非プロトン性溶媒又は溶媒混合物中で、好都合にはハロゲン化されていないか、部分的若しくは完全にハロゲン化された脂肪族又は芳香族炭化水素、又はそれらの混合物中で反応させることによって、ステップa)に従って合成される。有利には、ステップa)の中間生成物は単離されない。これは、この場合の中間生成物のみが不要であるWOClの複雑な単離及び昇華精製のために特に有益である。更に、ステップa)から得られる比較的環境に優しい副生成物、例えば、HCl、MeCl、tBuCl、C(CHCl、並びにイソブテンの蒸留及び/又は大気圧より低い圧力若しくは真空を作り出すことによる分離は、この段階では必須ではないが可能であり、分離は部分的及び完全に実施され得る。更なる利点は、酸化剤が本質的にケイ素を含まないか、又はケイ素を含まないため、ケイ素含有副生成物の形成が不可能であることである。通常、酸化剤は、化学量論的に、又はわずかな過不足で適用され、すなわち特に費用効率が高く環境保護的に有利である、本質的に化学量論量で適用される。しかしながら、過剰の本質的にケイ素を含まない酸化剤が適用される場合、ステップa)の完了後、又はそれぞれの目標化合物の単離の前及び/又は単離中のいずれかで、過剰な酸化剤を比較的容易に除去することができる。特に、これは、比較的少ない炭素原子、特に1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する酸化剤、例えば、tert-ブタノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランに適用される。ステップb)によれば、それぞれの金属オキシアルコキシド錯体は、少なくとも4モル当量のアルコールROHをMXy+2、例えば、WClに対して添加することによって得られ、それによって一般式[M(O)(OR)](I)、例えば[W(O)(OR)]の化合物の調製には4モル当量のみが必要である。好都合には、ステップb)による反応は、アルコールROHも関与するステップa)からの副生成物の競合反応によっては妨げられない。概して、4~6当量又は4~5当量のアルコールが十分である。ステップa)の酸化剤がアルコールである場合、それはステップb)のアルコールROHとは異なる。ステップa)において、1、2、3、又は4個の炭素原子を有する比較的短鎖の、したがって低沸点アルコールの使用は、上で説明したように有利なものであるのに対して、ステップb)で適用されるアルコールROHは、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有する。アルコールROHが、ほとんどの場合、化学量論量又はわずかに過剰で、すなわち本質的に化学量論量で適用され、したがってそれぞれの目標化合物の形成中に完全に消費されるため、より高い沸点のアルコールROHがステップb)で適用可能である。ステップc)に従って本質的にケイ素を含まない塩基、例えば、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアミン、好都合にはアンモニアガス若しくはアンモニア溶液又は液体アミンを供給することにより、ステップa)及び/又はステップb)で形成された塩化水素は、例えば、NHClの形成によってそれぞれ捕捉及び消費される。その結果、反応の化学的平衡は、所望の生成物[M(O)(OR)](I)にシフトする。特許請求されるプロセスのステップa)~c)を実施した後、タイプ[M(O)(OR)](I)の所望の本質的にケイ素を含まないオキシアルコキシド、必要に応じて溶媒、並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClのみが存在する。これらの不純物は、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。副生成物が、例えば、濾過又は遠心分離及び/若しくはデカンテーションによって容易に分離可能であるという事実の1つの理由は、ベンゼン、石油エーテル40-60、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、若しくは他のアルカン、ジクロロメタン、及びクロロホルムのような炭化水素又は塩素化炭化水素などの非プロトン性溶媒の溶媒としての選択が、生成物、例えば、[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]が溶液中に残りながらNHClの定量的な沈殿を通常もたらすためである。結果として、形成されたNHClのフレートによるそれぞれのオキシアルコキシドの混入物は、著しく低減される。特許請求されるプロセスの別の利点は、タングステン酸リチウム錯体塩などの、少しでもあれば、分離することが非常に難しい定義することができない副生成物が形成されないことである。溶液中にあるそれぞれの目標化合物は、1つ以上の反応物と直接反応させることができる。あるいは、タイプ[M(O)(OR)]又は[M(O)(OR)]の化合物は、必要に応じて、木炭、パーライト、モンモリロナイト、又はアルミノケイ酸塩などのフィルター補助剤を使用する直接濾過、続いて溶媒などの全ての揮発性成分を除去することによって単離することができる。特許請求されるプロセスの主な利点は、NHClがほぼ定量的に、好ましくは定量的に、濾過ステップによる直接的な方法によって分離可能であることである。別の主な利点は、単離された化合物が、アンモニアも、ケイ素若しくはアルカリ金属又はケイ素若しくはアルカリ金属を含む化合物による混入物も含まないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物(NHClなど)を含むことがある。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択されたアルコール及び溶媒又は溶媒混合物に依存し、通常は>80%又は>90%である。
全体として、最新技術の欠点は、特許請求されるプロセスによって克服される。これにより、テトラヒドロフラン中のLiCl又はアルコール中のNHClなどの分離することが困難な塩フレートによる混入が形成され及び/又は存在することは、特に大幅に少なくなる。本明細書に記載のプロセスは、それがワンポット合成として実施されるので、特に汎用性があり、直接的かつ費用効率が高い。更に、ごくわずかな反応ステップだけが必要であり、それらの全ては、特に工業生産のために、達成することが比較的簡易であり、容易に拡張可能である。これにより、市販の費用効率の高い出発物質が適用される。排他的に定義可能、容易かつ十分に分離可能な副生成物が形成され、ほぼ定量的に、好都合には定量的に分離可能である。特に、分離不可能なタングステン酸リチウム錯体、例えば、Li[W(O)(OR)]の形成が除外される。したがって、所望のオキシアルコキシドは、更なる蒸留及び/又は昇華精製なしに、改善された高純度で再現可能に得られる。特に、このプロセスによって得られたオキシアルコキシドは、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒用途に必要な要求の厳しい純度仕様に準拠する。収率及び純度は、良好ないし非常に良好であり、大規模で再現可能であり、プロセスは容易な規模拡大を可能にする。特許請求されるプロセスは、時間効率的で、比較的環境に優しくエネルギー及びコスト節約的である。比較すると、それはより効率的であると分類することができる。
上述のアルコール及び酸化剤のうちの1つをそれぞれ使用する場合、タイプ[M(O)(OR)]又は[M(O)(OR)]の化合物は、本明細書に特許請求されるプロセスによって、高純度の直接かつ再現可能な方法で得られ、すなわち本質的にアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、好都合にはアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、並びに良好ないし非常に良好な収率で得られる。
特許請求される別の実施形態では、MXy+2が、固体、非プロトン性溶媒A中の飽和溶液、非プロトン性溶媒A中の懸濁液、又は非プロトン性溶媒A中若しくは非プロトン性溶媒Aと混和性溶媒中の溶液として適用されることが提供される。本明細書に記載のプロセスの別の実施形態によれば、未希釈の本質的にケイ素を含まない酸化剤Z、又は非プロトン性溶媒A中若しくは非プロトン性溶媒Aと混和性の溶媒中の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液が適用される。MXy+2及び本質的にケイ素を含まない酸化剤Zを適用する方法は、反応プロセス及び発熱性のそれぞれに対する制御を高めるために、他の反応パラメータに依存して選択することができる。
プロセスの別の実施形態によれば、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、有機塩基、有機金属塩基、及び無機塩基、並びにそれらの混合物からなる群から好都合には選択される。更なる変形例では、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、アミン、アンモニア、複素環式窒素塩基、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属アミド、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。塩基がアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ金属アミドである場合、塩基は、好都合にはリチウム、ナトリウム、及びカリウム金属酸化物、並びにアミドからなる群から選択され、より好都合にはナトリウム及びカリウム金属酸化物並びにアミドから選択される。特許請求されるプロセスの更なる実施形態では、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、有機塩基又は無機塩基である。有利には、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、アミン、アンモニア、及び複素環式窒素塩基からなる群から選択される。低アルカリ金属含有量が望ましい場合、アルカリ金属を含有しケイ素を含まない塩基は回避されるべきである。全般に、本発明の方法は、低含有量の金属不純物を示す生成物をもたらし、なぜならそれらがモリブデン及びタングステン化合物、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属酸化物などの金属を含有しケイ素を含まない塩基、水酸化物若しくはアミド、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、又は同様の化合物などを介してのみ導入され得るためである。金属含有塩基を回避することは、概して、少量/低濃度の金属不純物をもたらす。
ステップc)に従って本質的にケイ素を含まない塩基、例えば、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアミン、有利にはアンモニアガス又はアンモニア溶液、例えば、メタノール溶液、若しくは液体アミンをそれぞれ供給及び添加することによって、ステップa)及び/又はステップb)で形成される塩化水素が、例えば、NHClの形成によってそれぞれ捕捉及び消費される。特許請求されるプロセスのステップa)~c)を実施した後、タイプ[M(O)(OR)]の所望の本質的にケイ素を含まない金属オキシアルコキシド、必要に応じて溶媒、並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClのみが存在する。これらの不純物は、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。好都合にはNHClである副生成物が、例えば、濾過又は遠心分離及び/若しくはデカンテーションによって容易に分離可能であるという事実の1つの理由は、非プロトン性溶媒の有利な選択である。例えば、ヘプタン、別の脂肪族溶媒、例えば、イソ-ヘキサン若しくはヘキサン異性体の混合物、ペンタン、又はジクロロメタンの適用は、特に、NHClの定量的沈殿をもたらし、一方で、目標化合物、例えば、[M(O)(OR)]又は[M(O)(OR)]は溶液中に留まる。したがって、有利には、形成されたNHClフレートによるそれぞれのオキシアルコキシドの混入物は、著しく低減される。溶液中にあるそれぞれの目標化合物は、1つ以上の反応物と直接反応させることができる。あるいは、タイプ[M(O)(OR)]又は[M(O)(OR)]の化合物は、必要に応じて、フィルター補助剤、例えば、木炭、パーライト、モンモリロナイト、又はアルミノケイ酸塩を使用する直接濾過、続いて溶媒などの全ての揮発性成分を除去することによって単離することができる。特許請求されるプロセスの主な利点は、NHClがほぼ定量的に、好ましくは定量的に、濾過ステップによる直接的な方法によって分離可能であることである。別の主な利点は、単離された化合物が、直接的又は間接的に、すなわち、適用された塩基からの塩基の副反応に起因して、アンモニアもアミン残基も又は他の混入物も含有しないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClを含むことがある。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択されたアルコール及び溶媒又は溶媒混合物に依存し、通常は>80%又は>90%である。
例えば、多種多様なアミンが、混合物としても適用可能である。アミンは、第一級、第二級、及び第三級アミンからなる群から選択することができ、アルキルアミン、アリールアミン、又はそれらの組み合わせであり得る。アルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、及びそれらの誘導体並びに混合物は、有利に使用することができる。混合置換アミン及びそれらの混合物もまた考えられ、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。加えて、アセトアミジン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、グアニジン、尿素、チオ尿素、イミン、アニリン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルアミノピリジン、ピロール、モルホリン、キノリン、及びそれらの混合物が適用可能である。
アンモニアは、ガス自体として、又はアンモニア溶液として有利に適用可能である。本明細書に記載のプロセスの一実施形態では、アンモニア溶液は、少なくとも1つの非プロトン性有機溶媒B及び/又は少なくとも1つのアルコールROHを含み、
式中、
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- ROHは、酸化剤Zとは異なる。
更なる実施形態では、非プロトン性有機溶媒Bは、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ベンゼン、ベンゼン誘導体、及びそれらの混合物の群から選択される。
別の実施形態によれば、アルコールROHは、sBuCHOH、iBuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、C11OH、CCHOH、及びCOH、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。特許請求されるプロセスの代替実施形態では、ROHは、(2,2-ジクロロ-3,3-ジメチルシクロプロピル)メタノール、(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペンタノール、6-クロロ-1-ヘキサノール、6-ブロモ-1-ヘキサノール、8-クロロ-1-オクタノール、8-ブロモ-1-オクタノール、10-クロロ-1-デカノール、10-ブロモ-1-デカノール、CC(CFOH、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態は、アルコールROHが、グリコールエーテルであることを提供する。例えば、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。グリコールエーテルの例は、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物である。
有利には、アルコールROHは、ジブチレングリコールモノプロピルエーテル、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の実施形態では、アルコールROHは、特許請求されるプロセスのステップb)からのアルコールROHと有利には同一である。この場合、試薬及び溶媒の数が減少し、これは、本明細書に特許請求されるプロセスの更なる簡素化をもたらし、したがって経済的及び環境保護的側面の下での改善につながる。概して、別のプロトン性又は非プロトン性溶媒中のアンモニアガスの溶液が適用可能であり、限定されないが、以下のアンモニア溶液、メタノール中7N、ジオキサン中0.4M、エタノール中2.0M、メタノール中4M、又はテトラヒドロフラン中0.4Mのうちの1つを適用することができる。有利には、溶液が20重量パーセントのアンモニアガスを含む、メタノールアンモニア溶液を使用することができる。
1つ以上の複素環窒素の本質的にケイ素を含まない塩基は、ウロトロピン、モルホリン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1、4-ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン(DABCO(登録商標))、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、オクサゾール、チアゾール、プリン、プテリジン、キノリン、キノリノン、イミダゾール、キナゾリン、キノキサリン、アクリジン、フェナジン、シンノリン、8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、それらの誘導体、異性体、及び派生体、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
反応中の圧力は変化することができ、必要に応じて周囲圧力又はそれ以上であり得る。より具体的には、反応中の圧力pは、1013.25ヘクトパスカル(hPa)~6000ヘクトパスカル(hPa)の範囲、例えば、1500ヘクトパスカル(hPa)~4500ヘクトパスカル(hPa)又は1500ヘクトパスカル(hPa)~3000ヘクトパスカル(hPa)の範囲であり得る。
本発明によれば、「圧力p」という用語は、それぞれの反応器の内圧を指す。「反応器」という用語は、上記のように定義される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例によれば、非プロトン性溶媒Aは、直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、部分的又は完全にハロゲン化された直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、エーテル、ベンゼン、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。プロセスの別の実施形態では、非プロトン性溶媒Aは、好都合には脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択され、例えば、ベンゼン、石油エーテル40-60、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、又は他のアルカン、ジクロロメタン及びクロロホルムが、例えば、非プロトン性溶媒Aとして適用され得る。
本明細書に記載のプロセスの別の実施形態は、ステップa)による反応が、
i.非プロトン性溶媒A中のMXy+2の溶液又は懸濁液を提供するステップと、
ii.本質的にケイ素を含まない酸化剤Zを添加するステップと、を含み、
本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの添加中及び/又は添加後に、MXy+2と本質的にケイ素を含まない酸化剤Zとの反応が生じる。
非プロトン性溶媒はまた、溶媒混合物であってもよい。プロセスの一実施形態では、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比が、1:1である。
プロセスの別の変形例では、ステップa)iiにおける本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの、非プロトン性溶媒A中のMXy+2、具体的にWClの溶液又は懸濁液への添加が計量装置を使用することによって行われることが提供される。例えば、添加は、滴下するか、又は注入によって行うことができる。あるいは、又は補足として、停止弁及び/又はストップコック及び/又は計量ポンプを、反応器の供給ラインに提供することができる。プロセスの更なる実施形態によれば、溶媒S中の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液は、非プロトン性溶媒A中のMXy+2の溶液又は懸濁液に添加され、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが溶解又は懸濁されている溶媒Sは、非プロトン性溶媒Aと混和性であるか又はそれと同一である。他の反応パラメータに依存してこのアプローチは、反応プロセス及び発熱性のそれぞれに対する制御を高めるために有利であり得る。
非プロトン性溶媒又は溶媒混合物Aの選択、並びに他の反応条件の選択、例えば、酸化剤Zの添加形態、すなわち物質としてか又は溶媒中に溶解されるか、酸化剤Zの添加の期間、撹拌速度、反応器の内部温度に依存して、MXy+2の酸化剤Zとの反応は本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの添加中及び/又は添加後に既に生じている。
特許請求されるプロセスの別の実施形態では、MXy+2と酸化剤Zとの反応は、-100~200℃の範囲である温度Tで行われる。
本発明の範囲内では、「温度T」という用語は、それぞれの反応器の内部温度を指す。反応器の内部温度は、反応器内の少なくとも1つのドメインに対する少なくとも1つの温度センサによって決定することができる。したがって、反応器の平均内部温度Tと通常同一である内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。
反応の発熱性のために、酸化剤の添加中に速度率及び/又は内部温度を比較的低く保つことが有利であり得る。あるいは、又は補足として、非プロトン性溶媒又は溶媒混合物中の酸化剤Zの溶液が添加されることが提供され得る。それぞれの手順は、MXy+2の濃度及び溶媒又は溶媒混合物などの他の反応パラメータを考慮して選択する必要がある。
本明細書に提示されるプロセスの別の実施形態では、温度Tは、-90℃~170℃の範囲である。更なる変形例によれば、温度Tは、-20℃~140℃の範囲である。更なる実施形態は、MXy+2と酸化剤Zとの反応中に、温度Tが10℃~100℃の範囲、又は20℃~100℃の範囲であることを提供する。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS1からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップa)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TR1及びTR2で実施することができる。「温度TR1」及び「温度TR2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TR1及びTR2を指す。反応器の平均内部温度TA1及びTA2のそれぞれと通常同一である、内部温度TR1及びTR2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TR1及びTR2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。他の反応条件に依存して、ステップa)の反応のための温度プログラムを実装することが有利であり得、温度プログラムは、少なくとも2つの段階を含む。したがって、反応プロセス及び/又は発熱性のより良好な制御が達成され得る。例えば、酸化剤Zの添加の第1の段階中に、酸化剤Zの添加の第2の段階よりも比較的低い温度及び比較的低い温度範囲をそれぞれ選択することができる。また、酸化剤Zの添加を2段階よりも多く提供することができ、したがって2つよりも多くの事前選択された温度及び温度範囲をそれぞれ提供することができる。他の反応パラメータ、例えば、MXy+2の濃度及び溶媒又は溶媒混合物の選択に応じて、熱伝達媒体Wを使用することによって、酸化剤Zの添加中及び/又は酸化剤Zの添加後に温度Tを上昇させることが有利であり得る。これにより、必要に応じて、MXy+2の酸化剤Zとの反応が完全に生じることが確実になり得る。熱伝達媒体Wを適用することによって温度Tを上昇させる期間は、10分~6時間であり得る。
プロセスの別の実施形態では、ステップb)におけるアルコールROHの添加は、計量装置を使用することによって行われることが提供される。例えば、添加は、滴下するか、又は注入によって行うことができる。あるいは、又は補足として、停止弁及び/又はストップコック及び/又は計量ポンプを、反応器の供給ラインに提供することができる。プロセスの更なる実施形態によれば、溶媒M中のアルコールROHの溶液を、ステップa)の反応混合物に添加する。したがって、アルコールROHが溶解されている溶媒Mは、ステップa)の非プロトン性溶媒Aと混和性であるか、又は同一である。他の反応パラメータに依存して、このアプローチは、反応プロセス及び発熱性のそれぞれに対する制御を高めるために有利であり得る。
プロセスの別の実施形態では、MXy+2のアルコールROHに対するモル比は、少なくとも1:3又は1:4であり得る。より具体的には、MXy+2のアルコールROHに対するモル比は、y=3の場合少なくとも1:3であるか、又はy=4の場合1:4であるか、又は1:3~1:40の範囲、又は1:6.1~1:40の範囲、又は1:4~1:6.1の範囲である。したがって、モル比は、それぞれのアルコールROH並びにそれぞれの溶媒及び溶媒混合物に依存して選択される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例は、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に、温度Tが、-30℃~50℃の範囲であることを提供する。別の実施形態では、温度Tは、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に-25℃~30℃の範囲である。あるいは、温度Tは、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に-15℃~20℃の範囲である。反応器の平均内部温度TA3と通常同一である、内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度Tを決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS2からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、通常熱伝達媒体Wと同一である熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップb)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TC1及びTC2で実施することができる。「温度TC1」及び「温度TC2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TC1及びTC2を指す。反応器の平均内部温度TA4及びTA5のそれぞれと通常同一である、内部温度TC1及びTC2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TC1及びTC2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。他の反応条件に依存して、ステップb)の反応のための温度プログラムを実装することが有利であり得、温度プログラムは、少なくとも2つの段階を含む。したがって、反応プロセス及び/又は発熱性のより良好な制御が達成され得る。
プロセスの別の実施形態によれば、温度Tは、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガスの供給中及び/又は供給後に、-30℃~100℃の範囲である。更なる変形例では、温度Tは、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガスの供給中及び/又は供給後に、-25℃~80℃の範囲である。プロセスの別の実施形態は、温度Tが、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガス又はアンモニア溶液、例えば、メタノール溶液の供給中及び/又は供給後に、-20℃~60℃の範囲である。このステップc)において、アンモニア及び/又は塩基は、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体を導入することによって、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液を導入することによって、又はそれぞれの本質的にケイ素を含まない塩基を加圧することによって、反応混合物に導入される。加圧の場合、圧力は1013.25のヘクトパスカル(hPa)~6000ヘクトパスカル(hPa)の範囲、例えば1100ヘクトパスカル(hPa)~4500ヘクトパスカル(hPa)、又は1500ヘクトパスカル(hPa)~3000ヘクトパスカル(hPa)の範囲である。反応器の平均内部温度TA6と通常同一である、内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度Tを決定するための温度センサは、内部温度T及び/又はTを決定するために適用されたものと同一であり得る。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS3からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、通常熱伝達媒体W及びWのそれぞれと同一である熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップc)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TN1及びTN2で実施することができる。「温度TN1」及び「温度TN2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TN1及びTN2を指す。反応器の平均内部温度TA7及びTA8のそれぞれと通常同一である、内部温度TN1及びTN2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TN1及びTN2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度T及び/又はTを決定するために適用されたものと同一であり得る。
特許請求されるプロセスの別の実施形態によれば、
- 温度TN1は、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第1の段階中に、-30℃~20℃の範囲であり、
及び
- 温度TN2は、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は段階後に、21℃~100℃の範囲であり、
少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入される。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。別の代替例では、温度TN2は少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は第2の段階後に、22℃~80℃の範囲であり、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入される。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。更なる実施形態は、温度TN2は少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は第2の段階後に、23℃~60℃の範囲であり、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入されることを提供する。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。
供給及び導入のそれぞれについてのそのような温度プログラム、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧のための温度プログラムによって、反応プロセス及び/又は発熱性の更に良好な制御を達成することができる。
供給及び導入のそれぞれの期間、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の期間、並びに温度T又はTN1及びTN2は、他の反応パラメータの中でもとりわけ、バッチサイズ、アルコールROHの選択及び溶媒又は溶媒混合物の選択に依存する。
供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1及び第2の段階である場合、第1及び第2の段階は、特にそれらの持続時間に関して互いに異なり得る。
例えば、第1の段階は、比較的高い温度TN2における第2の段階よりも比較的低い温度TN1におけるより長い期間を含むことができる。例えば、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1の段階は、TN1<20℃で1時間を含むことができ、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第2の段階は、TN2≧21℃で30分を含むことができる。反応物ROHの選択及び溶媒の選択に依存して、この手順は、例えば、NHClの形成による放出された塩化水素の定量的な捕捉及び消費をそれぞれ達成するために、好都合になり得る。プロセスの別の実施形態によれば、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1及び第2の段階は、同一の期間を含む。その結果、手順は比較してより簡素である。
プロセスの別の実施形態では、ステップa)の後、揮発性副生成物及び/又は溶媒の除去を含む反応ステップが行われることが提供される。特許請求されるプロセスの一実施形態では、この反応ステップは、ステップb)を実施する前に、及び/又はステップc)を実施した後に実施される。揮発性副生成物及び/又は溶媒若しくは溶媒混合物の分離は、それぞれ、例えば、減圧下及び副生成物の沸点未満での蒸発によって、又は蒸留によって簡素に実施される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例は、ステップc)の後に、一般式[M(O)(OR)](I)の化合物の単離を含む反応ステップd)が実施されることを提供する。ステップd)に従う目標化合物の単離は、更なる反応ステップ、例えば、反応混合物の濃縮、すなわち、例えば、バルブトゥバルブによる溶媒体積の低減、蒸発若しくは蒸留、生成物の結晶化若しくは沈殿を達成し、並びに/又は反応混合物からの不純物若しくは出発物質を除去するための溶媒の添加及び/又は溶媒の交換、デカンテーション若しくは濾過による固体/液体分離、生成物の精製及び乾燥、再結晶化、蒸留及び/又は昇華を含むことができる。溶液中にある目標化合物が、目標化合物の調製直後の二次反応における反応物ではないが、単離され、保管され、及び/又は更に使用されるものとする場合に、分離は1つ以上のステップを含み得る。
別の実施形態では、目標化合物の単離は、特許請求されるプロセス中に形成される副生成物の除去を含む。そうすることで、アミン又はアンモニアとの反応によってそれぞれ捕捉及び消費された塩化水素を、沈殿した塩化アンモニウム及びアンモニウム塩、すなわち、適用されたアミンの塩化物、例えば、塩化ジエチルアンモニウムとしてそれぞれ分離することができる。主に、これは、全ての適切な方法によって行うことができる。
例えば、濾過は好適であり、フィルターケーキは、適用された溶媒で有利に洗浄され得る。同様に、沈殿した副生成物は、沈降又は遠心分離することができ、生成物[M(O)(OR)]の溶液は、デカンテーションによって分離することができる。
一実施形態では、分離は濾過によって行われ、第2のステップでは、濾液の遠心分離及びその後のデカンテーションによって残存する不溶性副生成物が分離される。
プロセスの1つの変形例では、単離は濾過ステップを含む。これにより、また、可溶性で微細なものも分離することができるように、必要に応じて、活性炭又はシリカ、木炭、パーライト、モンモリロナイト又はアルミノケイ酸塩などの洗浄剤上の1つ以上の濾過のいくつかの濾過ステップを提供することができる。
例えば、NHClフレート中に含有される可能性がある生成物を抽出するために、NHClフレートも含み得るフィルターケーキを、少量のジクロロメタンなどの高揮発性溶媒で洗浄することができる。特定の実施形態では、それは、反応媒体として適用される溶媒で洗浄される。
一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための本明細書に特許請求されるプロセスの別の変形例によれば、ステップb)とc)との反応混合物及び単離された化合物は、1000ppm(1000)以下、好都合には500ppm(500)以下、特に70ppm(70)ppm以下、より具体的には50(50)ppm以下、又は好都合には10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素を各々含有し、ケイ素含有量は誘導結合プラズマ発光分析法によって決定される。
更に、問題は、一般式
[M(O)(OR)](I)
[式中、
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
及び
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- n=1~5又は1、2、若しくは3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない、
一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記プロセスのいずれかの実施形態に従って得られた化合物によって解決される。
有利なことに、タイプ[M(O)(OR)](I)のオキシアルコキシドは、ワンポット合成において特に直接的に製造することができる。オキシアルコキシドは高純度で、すなわち本質的にアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、好都合には、更なる蒸留/又は昇華精製なしにアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まずに再現可能に調製される。特に、上記の特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られたオキシアルコキシドは、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒用途に必要な要求の厳しい純度仕様に準拠する。収率は良好ないし非常に良好であり、再現可能である。更に、プロセスは、工業規模で行うこともでき、目標化合物は、同等の収率及び純度で得られる。
「本質的にアンモニアを含まない」、「本質的にアルカリ金属を含まない」、及び「本質的にハロゲンを含まず、またケイ素を含まない」という用語は、上記のように定義される。
特に、複雑な精製なしに、単離された目標化合物は、分別蒸留及び/又は昇華によって文献に慣習的であるように、最新技術からの方法に従って合成され精製されたタイプ[M(O)(OR)]、特に[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]の化合物のものと少なくとも同じ程度に高い純度を有する。例えば、これは、核磁気共鳴スペクトル、元素分析、並びに微量金属分析から分かり得る。主な利点は、単離された化合物が、アンモニアも、ケイ素若しくはアルカリ金属又はケイ素若しくはアルカリ金属を含む化合物による混入物も含まないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物(NHClなど)を含むことがある。溶媒による不純物並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義された容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClは、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。
上記の実施形態のいずれか1つに従うオキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の一実施形態では、Rは、CHsBu、CHiBu、CH(Me)(iPr)、CH(Me)(nPr)、CH(Et)、C(Me)(Et)、C11、CH及びCからなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれか1つに従うオキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の実施形態によれば、Rは、(2,2-ジクロロ-3,3-ジメチルシクロプロピル)メチル、(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メチル、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペンチル、6-クロロ-1-ヘキサニル、6-ブロモ-1-ヘキサニル、8-クロロ-1-オクチル、8-ブロモ-1-オクチル、10-クロロ-1-デシル、10-ブロモ-1-デシル、CC(CFからなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれか1つに従うオキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の実施形態によれば、ORは、グリコールエーテルに対応する塩基である。例えば、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
上記の実施形態のうちのいずれか1つによるオキシアルコキシドの調製ためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の更なる実施形態によれば、グリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。示されたグリコールエーテルはまた、異性体混合物としても使用することができる。例えば、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルの様々な異性体の異性体混合物であり、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、主異性体である。
上記の実施例のいずれか1つに従うオキシアルコキシドを調製するためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の変形例によれば、単離された化合物は、1000ppm(1000)以下、好都合には500ppm(500)以下、特に70ppm(70)ppm以下、より具体的には50(50)ppm以下、又は好都合には10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素を各々含有し、ケイ素含有量は誘導結合プラズマ発光分析法によって決定される。
前述のタイプ[M(O)(OR)](I)の化合物のいくつかは、それぞれ残基R及び配位子ORの組成により比較的低い融点を示す。これにより、これらのオキシアルコキシドのいくつかの代表例は、周囲温度又はそれよりもわずかに高温で液体である。一般式[M(O)(OR)](I)、例えば、[Mo(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]のこれらの低融点化合物は、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に特に適格である。
加えて、問題は、一般式
MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)
[式中、
M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
X=Cl又はBrであり、
solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
及び
p=1及びy=4又はp=2及びy=3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスによって解決され、
プロセスは、
a)一般式MXy+2の化合物を提供するステップ
と、
b)MXy+2を、1~10個の炭素原子を含む少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない酸化剤Zと、少なくとも1つの非プロトン性溶媒A中で、少なくとも1:0.75のMXy+2の酸化剤Zに対するモル比で反応させるステップと、を含む。
一般式MXy+2の化合物、すなわち、MoCl、WCl、及びWClは満足できる高い品質で市販されている。式MXy+2はまた、場合により存在する溶媒付加物も含む。
「本質的にケイ素を含まない」及び「溶媒」という用語の定義は、既に上記で与えられている。
有利には、本明細書に特許請求されるプロセスは、2つのステップのみを含むワンポット合成として実施され、一般式でMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)、特に[WOCl]及び[WOCl(アセトン)]の本質的にケイ素を含まない化合物をもたらす。MXy+2を含む出発物質、具体的には、WClは市販されており安価である。例えば、加水分解感受性タングステン(VI)化合物WOClは、WClを、本質的にケイ素を含まない酸化剤、好都合にはメタノール、tert-ブタノール、アセトン、ブタノン、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、又はテトラヒドロフランと、非プロトン性溶媒又は溶媒混合物中で、好都合にはハロゲン化されていないか、部分的若しくは完全にハロゲン化された脂肪族又は芳香族炭化水素、又はそれらの混合物中で反応させることによって、ステップa)に従って合成される。有利には、ステップa)及びb)を実施し、目標化合物を単離した後に、更なる複雑な精製が必要ではなく、特に複雑で時間がかかる昇華精製が必要ではない。主な利点は、酸化剤が本質的にケイ素を含まないか、又はケイ素を含まないため、ケイ素含有副生成物の形成が不可能であることである。通常、酸化剤は、化学量論的に、又はわずかな過不足で適用され、すなわち特に費用効率が高く環境保護的に有利である、本質的に化学量論量で適用される。しかしながら、過剰の本質的にケイ素を含まない酸化剤が適用される場合、ステップb)の完了後、又はそれぞれの目標化合物の単離の前及び/又は単離中のいずれかで、過剰な酸化剤を比較的容易に除去することができる。これは、特に、比較的少ない炭素原子、具体的には、tert-ブタノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランなどの1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する酸化剤に適用される。更に、MXy+2と少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない酸化剤Zとの反応が完了した後、ステップb)から得られた副生成物、例えば、HCl、MeCl、tBuCl、C(CHCl及びイソブテンなどの分離、並びに/又は適用された溶媒若しくは溶媒混合物Aの除去は、蒸留によって、及び/又は大気圧より低い圧力又は真空下で容易に実施され得る。副生成物及び/又は溶媒若しくは溶媒混合物Aは、必要に応じて、それぞれ、完全に又は部分的にのみ分離及び除去され得る。副生成物の部分的分離及び/又は溶媒若しくは溶媒混合物の部分的除去は、目標化合物MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)を含む直後の二次反応が、反応物として反応混合物中に含まれ、副生成物及び/又は溶媒若しくは溶媒混合物Aがいかなる副反応によっても妨害されない場合に十分であり得る。別の利点は、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を含む反応混合物が、直ちに、すなわち時間がかかり高価であり、並びに/又は複雑な精製なしで二次反応において出発物質及び/若しくは反応物として使用することができることである。あるいは、又は補足として、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を含む反応混合物は、生成物のいかなる変化、劣化及び/又は分解なしに少なくとも1週間の期間にわたって保管することができる。
特許請求されるプロセスの一実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、アルコール、ケトン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを提供する。これは、酸化剤自体が比較的環境に優しく、目標化合物の純度に関して重要であるいかなる要素も含まないため、主な利点である。特に、酸化剤は本質的にケイ素を含まないか又はケイ素を含まないため、ケイ素を含有する副生成物の形成は不可能である。好都合には、ほとんどの場合、前述の酸化剤のうちの1つを適用するときに、HCl、MeCl、tBuCl、C(CH、Cl、及びイソブテンなどの容易に分離可能で比較的環境に優しい副生成物のみが形成される。例えば、ケトンを酸化剤として使用する場合、唯一の副生成物はジクロロアルカンである。アルコールを酸化剤として適用する場合、塩化水素及び少なくとも1つのハロゲノアルカンが副生成物として形成される。
特許請求されるプロセスの別の実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、1~8個の炭素原子、例えば、メチルtert-ブチルエーテルなどの5個の炭素原子を含むことを提供する。更なる実施形態によれば、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、1~6個の炭素原子、例えば、テトラヒドロフランなどの4個の炭素原子を含む。別の変形例では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、1~4個の炭素原子、例えば、メタノール、エタノール、又はプロパノールなどの1、2、又は3個の炭素原子を含む。
特許請求されるプロセスの一実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、一般式
ОHに従うアルコール又はアルコールの混合物であり、式中、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~10個の炭素原子を有するアリール基を表す。別の実施形態は、Rが、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~8個の炭素原子、例えば5個の炭素原子を有するアリール基を表すことを提供する。あるいは、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~6個の炭素原子、例えば3個の炭素原子を有するアリール基を表す。更なる変形例では、Rは、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子、例えば2又は3個の炭素原子を有するアリール基を表す。例えば、RОHは、MeOH、EtOH、nPrOH、iPrOH、nBuOH、tBuOH、sBuOH、iBuOH、sBuCHOH、iBuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、CCHOH、COH、2-フルオロエタノール、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタノール、2-クロロエタノール、2-ブロモエタノール、2,2-ジブロモエタノール、2,2,2-トリブロモエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、(2,2-ジクロロシクロプロピル)メタノール、及び(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
特許請求されるプロセスの更なる実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、グリコールエーテル又は2つ以上のグリコールエーテルの混合物であり、各グリコールエーテルは、3~6個の炭素原子を含む。変形例では、各グリコールエーテルは、4~6個の炭素原子、例えば、5個の炭素原子を含む。別の実施形態によれば、各グリコールエーテルは、3又は4個の炭素原子を含む。例えば、グリコールエーテルは、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本明細書に記載のプロセスの別の実施形態では、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zは、一般式R(CO)Rに従うケトン又はケトンの混合物であり、式中、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~8個の炭素原子、例えば、6個の炭素原子を有するアリール基を表す。変形例では、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~6個の炭素原子、例えば、4個の炭素原子を有するアリール基を表す。別の実施形態は、R及びRが、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1~4個の炭素原子、例えば、2個の炭素原子を有するアリール基を表すことを提供する。更なる実施形態では、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、又は1若しくは2個の炭素原子を有するアリール基を表す。例えば、R(CO)Rは、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-sec-ブチルケトン、メチルtert-ブチルケトン、メチルn-ペンチルケトン、メチルオクチルケトン、ジエチルケトン、エチル-n-プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル-n-ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチル-sec-ブチルケトン、エチルtert-ブチルケトン、エチルn-ペンチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジ-n-プロピルケトン、ジ-n-ブチルケトン、ジイソブチルケトン、n-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特許請求されるプロセスの更なる実施形態は、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、一般式R-O-Rに従うエーテル又はエーテルの混合物であり、式中、R及びRが、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~9個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=4個の炭素原子を表し、R及びRが、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成し得ることを提供する。別の実施形態によれば、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~7個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=2及びR=3個の炭素原子を表し、R及びRは、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成することができる。あるいは、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~5個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=3個の炭素原子を表し、R及びRは、例えば、テトラヒドロフランの場合のように、任意選択的に環を形成することができる。別の実施形態によれば、R及びRは、互いに独立して、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、又は1~3個の炭素原子を有するアリール基、例えば、R=1及びR=2を表し、R及びRは、任意選択的に環を形成することができる。例えば、R-O-Rは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メチル-n-プロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチル-n-プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、エチルtert-ブチルエーテル(ETBE)、tert-アミルメチルエーテル(TAME)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特許請求されるプロセスの別の実施形態によれば、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比は、1:0.75~1:2.50の範囲内である。例えば、1モル当量のWCl及び2.50モル当量のアセトンのモル比を適用する場合、溶媒付加物[W(O)Cl(アセトン)]が得られる。しかしながら、[W(O)Cl(アセトン)]が反応物として適用される二次反応中に、それはWOClと同様の方法で反応する。別の実施形態では、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比は、1:0.80~1:1.50の範囲である。更なる実施形態は、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比が、1:0.85~1:1.30の範囲であることを提供する。通常、酸化剤は、化学量論量で、又は1:1.15などのわずかな過剰で、すなわち、特に費用効率が高く環境保護的に有利である、本質的に化学量論量で適用される。しかしながら、過剰の本質的にケイ素を含まない酸化剤が適用される場合、ステップa)の完了後、又はそれぞれの目標化合物の単離の前及び/又は単離中のいずれかで、過剰な酸化剤を比較的容易に除去することができる。これは、特に、比較的少ない炭素原子、具体的には、メタノール、エタノール、tert-ブタノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランなどの1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する酸化剤に適用される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例によれば、非プロトン性溶媒Aは、直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、部分的又は完全にハロゲン化された直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、エーテル、ベンゼン、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。プロセスの別の実施形態では、非プロトン性溶媒Aは、好都合には、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。有利には、例えば、ヘプタン、イソ-ヘキサン若しくはヘキサン異性体の混合物、ペンタン、ジクロロメタン、又はトルエンが非プロトン性溶媒Aとして適用される。
本明細書に記載のプロセスの別の実施形態は、ステップa)による反応が、
i.非プロトン性溶媒A中のMXy+2の溶液又は懸濁液を提供するステップと、
ii.本質的にケイ素を含まない酸化剤Zを添加するステップと、を含み、
本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの添加中及び/又は添加後に、MXy+2と本質的にケイ素を含まない酸化剤Zとの反応が生じる。
非プロトン性溶媒はまた、溶媒混合物であってもよい。プロセスの一実施形態では、MXy+2の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対するモル比が、1:1である。
特許請求されるプロセスの一実施形態は、MXy+2が、固体、非プロトン性溶媒A中の飽和溶液、非プロトン性溶媒A中の懸濁液として、又は非プロトン性溶媒A若しくは溶媒Aと混和性の溶媒中の溶液として適用される。プロセスの更なる変形例では、未希釈の本質的にケイ素を含まない酸化剤Z、又は溶媒A若しくは溶媒Aと混和性の溶媒中の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液が適用される。プロセスの別の変形例では、ステップa)iiにおける本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの、非プロトン性溶媒A中のMXy+2、具体的にWClの溶液又は懸濁液への添加が計量装置を使用することによって行われることが提供される。例えば、添加は、滴下するか、又は注入によって行うことができる。あるいは、又は補足として、停止弁及び/又はストップコック及び/又は計量ポンプを、反応器の供給ラインに提供することができる。プロセスの更なる実施形態によれば、溶媒S中の本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液は、非プロトン性溶媒A中のMXy+2の溶液又は懸濁液に添加され、本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが溶解又は懸濁されている溶媒Sは、非プロトン性溶媒Aと混和性であるか又はそれと同一である。他の反応パラメータに依存してこのアプローチは、反応プロセス及び発熱性のそれぞれに対する制御を高めるために有利であり得る。
非プロトン性溶媒又は溶媒混合物Aの選択、並びに他の反応条件の選択、例えば、酸化剤Zの添加形態、すなわち物質としてか又は溶媒中に溶解されるか、酸化剤Zの添加の期間、撹拌速度、反応器の内部温度に依存して、MXy+2の酸化剤Zとの反応は本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの添加中及び/又は添加後に既に生じている。
特許請求されるプロセスの別の実施形態では、MXy+2と酸化剤Zとの反応は、-100~200℃の範囲である温度Tで行われる。本発明の範囲内では、「温度T」という用語は、それぞれの反応器の内部温度を指す。反応器の内部温度は、反応器内の少なくとも1つのドメインに対する少なくとも1つの温度センサによって決定することができる。したがって、反応器の平均内部温度Tと通常同一である内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。
反応の発熱性のために、酸化剤の添加中に速度率及び/又は内部温度を比較的低く保つことが有利であり得る。あるいは、又は補足として、非プロトン性溶媒又は溶媒混合物中の酸化剤Zの溶液が添加されることが提供され得る。それぞれの手順は、MXy+2の濃度及び溶媒又は溶媒混合物などの他の反応パラメータを考慮して選択する必要がある。
本明細書に提示されるプロセスの別の実施形態では、温度Tは、-90℃~170℃の範囲である。更なる変形例によれば、温度Tは、-20℃~140℃の範囲である。更なる実施形態は、MXy+2と酸化剤Zとの反応中に、温度Tが10℃~100℃の範囲、又は20℃~100℃の範囲であることを提供する。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS1からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップa)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TR1及びTR2で実施することができる。「温度TR1」及び「温度TR2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TR1及びTR2を指す。反応器の平均内部温度TA1及びTA2のそれぞれと通常同一である、内部温度TR1及びTR2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TR1及びTR2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。他の反応条件に依存して、ステップa)の反応のための温度プログラムを実装することが有利であり得、温度プログラムは、少なくとも2つの段階を含む。したがって、反応プロセス及び/又は発熱性のより良好な制御が達成され得る。例えば、酸化剤Zの添加の第1の段階中に、酸化剤Zの添加の第2の段階よりも比較的低い温度及び比較的低い温度範囲をそれぞれ選択することができる。また、酸化剤Zの添加を2段階よりも多く提供することができ、したがって2つよりも多くの事前選択された温度及び温度範囲をそれぞれ提供することができる。他の反応パラメータ、例えば、MXy+2の濃度及び溶媒又は溶媒混合物の選択に応じて、熱伝達媒体Wを使用することによって、酸化剤Zの添加中及び/又は酸化剤Zの添加後に温度Tを上昇させることが有利であり得る。これにより、必要に応じて、MXy+2の酸化剤Zとの反応が完全に生じることが確実になり得る。熱伝達媒体Wを適用することによって温度Tを上昇させる期間は、10分~6時間であり得る。
一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための本明細書に特許請求されるプロセスの別の実施形態によれば、ステップb)の後に反応ステップc)が実施されることが提供され、ステップc)は、
i.副生成物を分離すること
及び/又は
ii.一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を単離すること、を含む。
特許請求されるプロセスのステップc)i.に従う、専ら揮発性、好都合には高揮発性である副生成物の分離は、例えば、減圧下及び副生成物の沸点未満での蒸発によって、又は蒸留によって真空下で、簡素に実施される。
ステップc)ii.に従う目標化合物の単離は、更なる反応ステップ、例えば、反応混合物の濃縮、すなわち、例えば、バルブトゥバルブによる溶媒体積の低減、蒸発若しくは蒸留、生成物の結晶化若しくは沈殿を達成し、並びに/又は反応混合物からの不純物若しくは出発物質を除去するための溶媒の添加及び/若しくは溶媒の交換、デカンテーション若しくは濾過による固体/液体分離、生成物の精製及び乾燥、再結晶化、蒸留及び/若しくは昇華を含むことができる。
本明細書に特許請求されるプロセスの一実施形態では、ステップc)ii.は、少なくとも1つの濾過ステップ、少なくとも1つの洗浄ステップ、及び少なくとも1つの乾燥ステップを含む。別の実施形態では、目標化合物の単離は、特許請求されるプロセス中に形成される副生成物の除去を含む。その後、沈殿した生成物を濾別する。主に、これは、全ての適切な方法によって行うことができる。
特許請求されるプロセスの別の変形例によれば、ステップa)からの反応混合物及び一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の単離された化合物は、100ppm(100)以下、好都合には10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素を各々含有し、ケイ素含有量は誘導結合プラズマ発光分析法によって決定される。
上記の酸化剤のうちの1つを使用する場合、タイプMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物が、本明細書に特許請求されるプロセスによって、高純度で直接的かつ再現可能な様式で得られ、すなわち本質的にアルカリ金属を含まず、またケイ素を含まず、好都合にはアルカリ金属を含まず、またケイ素を含まず、良好ないし非常に良好な収率で得られる。特に、調製された実施例のX線粉末回折図(図1~図5を参照)から、関連する反射の位置(=回折角2シータ)、並びにそれらの強度が各々参照に良好に従うことが分かる。更に、いずれかの不純物、例えば、WOClから生じるいかなるわずかな反射も観察することができない。わずかな反射が観察される場合、これはおそらくは、目標化合物が非常に水分感受性であるため、プローブ調製中の取り扱いによるものである。したがって、本明細書に特許請求されるプロセスは、一般式MOXy(II)のケイ素を含まない化合物、例えば、WOClを高純度でもたらすことが証明されている。
本明細書に記載されるプロセスによって調製されたタイプMOX(II)若しくは[MOXy(solv)](III)の錯体は、特に、タングステン及び塩素のための含有量決定、並びにICP-OESによる微量金属分析を含む元素分析によれば、少なくとも97%、好都合には97%超、特に98%超、又は99%超の純度を有することが示された。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択された酸化剤Z及び溶媒若しくは溶媒混合物に依存し、通常、>75%、又は>90%、好都合には>95%である。したがって、収率は、文献から知られている手順及びTMSOを酸化剤として使用することによって達成されるものと少なくとも同等であり、純度は比較的良好である。
全体として、最新技術の欠点は、特許請求されるプロセスによって克服される。これにより、分離することが非常に困難なケイ素化合物及びケイ素による混入物が形成され及び/又は存在することは、特に大幅に少なくなる。本明細書に記載されるプロセスは、それがワンポット合成として実施されるので、特に汎用性であり比較的環境に優しく、直接的かつ費用効率が高い。更に、ごくわずかな反応ステップだけが必要であり、それらの全ては、特に工業生産のために、達成することが比較的簡易であり、容易に拡張可能である。これにより、市販の費用効率の高い出発物質が適用される。排他的に定義可能、容易かつ十分に分離可能な副生成物が形成され、ほぼ定量的に、好都合には定量的に分離可能である。したがって、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の所望の化合物は、更なる蒸留及び/又は昇華精製なしに、改善された高純度で再現可能に得られる。具体的には、このプロセスによって得られる化合物MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)は、本明細書に特許請求されるタイプ[M(O)(OR)]のオキシアルコキシドのための前駆体に必要な要求の厳しい純度仕様に準拠しており、特に更なる用途のために、非常に高純度で必要とされる[W(O)(OR)]の調製に準拠している。収率は良好ないし非常に良好であり、再現可能である。更に、プロセスは、工業規模で行うこともでき、目標化合物は、同等の収率及び純度で得られる。特許請求されるプロセスは、時間効率的で、環境に優しくエネルギー及びコスト節約的である。比較すると、それはより効率的であると分類することができる。
更に、問題は、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物によって解決され、
式中、
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
- X=Cl又はBrであり、
- solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
及び
- p=1及びy=4又はp=2及びy=3である。
更に、問題は、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液又は懸濁液によって解決され、
式中、
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
- X=Cl又はBrであり、
- solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
及び
p=1及びy=4又はp=2及びy=3である。
この特定の文脈において、「溶液」という用語は、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)による化合物の飽和溶液も含む。
一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液の一実施形態は、化合物がMoOCl、WOCl、WOCl又は[MoOCl(solv)]、[WOCl(solv)]又は[WOCl(solv)]であることを提供し、式中、配位子solvはアルコール、ケトン、及びエーテルからなる群から選択され、pは1又は2であり得、より具体的にはpは1であり得、yは4であり得るか、又はpは2であり得、yは3であり得る。有利には、solvは、メタノール、tert-ブタノール、アセトン、ブタノン、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、及びtert-アミルメチルエーテルの群から選択される。
MoOCl及びWOClなどの化合物は、大筋で知られている。しかしながら、上記の実施形態のいずれか1つに従って、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスによって得られた、タイプMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物は、それらの特性に関して最新技術からの手順によって調製されるものとは大幅に異なる。特に、適用される溶媒中に部分的に溶解及び/又は懸濁される目標化合物並びに単離された目標化合物はそれぞれ、複雑な精製、すなわち、昇華及び/又は蒸留及び/又は再結晶化なしに、特にWOClの場合には、それぞれ市販の化合物の純度よりも比較的良好である純度を有する。これは一方では、酸化剤が本質的にケイ素を含まないか又はケイ素を含まないという事実により、副生成物を含有するケイ素の形成が不可能になる。他方では、好都合には、ほとんどの場合アルコール、ケトン、及びエーテルからなる群から選択される前述の酸化剤のうちの1つを適用するときに、HCl、MeCl、tBuCl、C(CHCl、及びイソブテンなどの容易に分離可能で比較的環境に優しい副生成物のみが形成される。例えば、ケトンを酸化剤として使用する場合、唯一の副生成物はジクロロアルカンである。結果として、一般式MOX(II)の単離された目標化合物、特にWOClの高純度が、例えば、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)によって証明された。この分析方法の結果は、単離された化合物、特にWOClのケイ素含有量が100ppm(100)以下、好都合には10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下であることを確認する。
上記の酸化剤のうちの1つを使用する場合、タイプMOX(II)又は[MOX(solv)](III)の化合物が、本明細書に特許請求されるプロセスによって、高純度で直接的かつ再現可能な様式で得られ、すなわち本質的にアルカリ金属を含まず、またケイ素を含まず、好都合にはアルカリ金属を含まず、またケイ素を含まず、良好ないし非常に良好な収率で得られる。特に、調製された実施例のX線粉末回折図(図1~図5を参照)から、関連する反射の位置(=回折角2シータ)、並びにそれらの強度が各々参照に良好に従うことが分かる。更に、いずれかの不純物、例えば、WOClから生じるいかなる反射も観察することができない。したがって、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、特にWOClを調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本明細書に特許請求される本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、及び一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物のそれぞれを含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液は、高純度を示すことが証明された。
本明細書に記載されるプロセスによって調製されたタイプMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の錯体は、特に、タングステン及び塩素のための含有量決定、並びにICP-OESによる微量金属分析を含む元素分析によれば、少なくとも97%、好都合には97%超、特に98%超、又は99%超の純度を有することが示された。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択された酸化剤Z及び溶媒若しくは溶媒混合物に依存し、通常、>75%、又は>90%、好都合には>95%である。したがって、収率は、文献から知られている手順及びTMSOを酸化剤として使用することによって達成されるものと少なくとも同等であり、収率は比較してより良好である。
全体として、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、特にWOClを調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本明細書に特許請求される本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、及び一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物をそれぞれ含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液は、タイプ[M(O)(OR)]、特に[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]の本明細書に特許請求されるオキシアルコキシド錯体を製造するための出発物質として適用されることが好適である。
更に、問題は、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の使用によって、又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液の使用によって解決される。一般式MOX(II)及び/又は[MOX(solv)](III)による少なくとも2つの本質的にケイ素を含まない化合物の本質的にケイ素を含まない混合物、又は一般式MOX(II)及び/又は[MOX(solv)](III)による少なくとも2つの本質的にケイ素を含まない化合物を含む本質的にケイ素を含まない溶液若しくは懸濁液を適用することも可能である。
一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の前述の使用、又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液の前述の使用は、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスに関連する。プロセスは、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記のプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液を使用することによって実施される。以下を適用する:
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
- X=Cl又はBrであり、
- solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
及び
- p=1及びy=4又はp=2及びy=3であり、
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- n=1~5又は1、2、若しくは3である。
プロセスは、
a)一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を提供するステップと、
b)アルコールROHの添加をするステップであって、
式中、
- Rは、上記で定義されたとおりであり、
及び
- MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)のアルコールROHに対するモル比が、少なくとも1:4である、添加するステップと、
c)少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基を供給するステップと、を含む。
一般式MOX(II)及び/又は[MOX(solv)](III)による少なくとも2つの本質的にケイ素を含まない化合物の本質的にケイ素を含まない混合物、あるいは一般式MOX(II)及び/又は[MOX(solv)](III)に従う少なくとも2つの本質的にケイ素を含まない化合物を含む本質的にケイ素を含まない溶液若しくは懸濁液を適用することも可能である。
一般式Iは、モノマーだけでなく、可能なオリゴマーも含む。例えば、[W(O)(OiPr)]は固体状態の二量体として存在する。(W.Clegg et al.,J.Chem.Soc.,Dalt.Trans.1992,1,1431-1438)
「本質的にケイ素を含まない」という用語は、上記のように定義される。同じことは、「本質的にアルカリ金属を含まない」及び「本質的にハロゲンを含まない」という用語にも当てはまる。「溶媒」という用語は、単一の溶媒の溶媒又は溶媒混合物を指す。ステップc)による「少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基の供給」は、それぞれが少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含む気体又は液体を導入することによって、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液を導入することによって、又はそれぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧容器内での加圧によって、本質的にケイ素を含まない塩基を添加する選択肢を含む。
それぞれ、ステップc)の反応の完全性及び反応の終了は、例えば、反応器に通されたアンモニウムガスが反応混合物中でもはや消費されないが、反応混合物を通過するのみであるという事実によって判定され得る。あるいは、又は補足として、反応混合物の温度が低下し、発熱性が減退することが観察される。この目的のために、例えば、気泡カウンタ、圧力リリーフ弁及び/又は圧力センサ、質量流量計、若しくは流量計、温度センサ及び温度スイッチのそれぞれを使用することができる。反応の完全性が、ある一定のタイムラグ後にのみ判定される場合、反応器内に大気圧より低い圧力又は真空を作り出すことによって、過剰なアンモニアガスを反応混合物から除去することができる。アンモニア及び/又はアミンが圧力下でガスの形態で反応器に通されるか、又は液体状態で若しくは溶液として反応混合物に添加される場合、同様のアプローチを適用することができる。
「反応器」という用語は、反応容器のいかなる容量、材料、特徴、又は形態にも限定されない。好適な反応器は、例えば、撹拌槽反応器、撹拌圧力反応容器、管状反応器、マイクロリアクター、及び流動反応器である。
Rは、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーン、部分的若しくは完全にハロゲン化されていない直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)であり得るばかりでなく、式(R-O)n-R-にも準拠し得る(式(I)、[M(O)(OR)]、及び適用されたアルコールROHの両方において)。ここで、nは、1~5の整数、例えば、4、特に1、2、又は3である。
Rが式(R-O)n-Rに対応する場合、nは1より大きい、すなわち2、3、4、又は5であるという条件で、いくつかの残基Rが存在することができる。残基は同一であっても異なっていてもよく、残基Rは、互いに独立して、1~6個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、及び1~6個の炭素原子を有する直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基からなる群から選択される。結果として、nが、例えば2である場合、式(R-О)n-Rは(RE1-О)-(RE2-О)-Rであり、式中RE1及びRE2は、同一であることができ、例えば、n-プロピルであるか又は異なることができ、例えば、RE1はn-プロピルであり、RE2はn-ブチルであり、又はRE1及びRE2は異性体であり、例えば、RE1はn-プロピルであり、RE2はイソ-プロピルである。異なる残基Rとしたがって、異なる残基Rとの混合物がそれぞれROH及び(R-О)n-R中に存在するように、いくつかの異性体又は異なる残基を適用することも可能であり、[M(O)(OR)](I)の異性体混合物をもたらす。
残基Rが、式(R-О)n-Rに対応する場合、残基Rは互いに独立して、1~10個の炭素原子を有する(C1~C10)、特に3~7個の炭素原子(C3~C7)を有する直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、及び1~10個の炭素原子(C1~C10)を有する直鎖状、分岐状、又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基からなる群から選択することができる。残基Rはまた、残基Rが異なり、したがって、不均等な残基Rをもたらすことができるのと同じ方法で異なる場合がある。上記のように、異なる残基R及び/又はR並びにしたがって混合残基Rが存在する場合、適用されたアルコールROHは混合物である。有利には、特に異性体混合物が含まれ、例えば、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルが、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルの様々な異性体の異性体混合物であり、ジブチレングリコールモノプロピルエーテルは、主異性体である。
本明細書に特許請求されるプロセスの一実施形態では、アルコールROHは、sBuCHOH、iBuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、C11OH、CCHOH及びCOH、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。あるいは、又は補足として、アルコールROHは、(2,2-ジクロロ-3,3-ジメチルシクロプロピル)メタノール、(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペンタノール、6-クロロ-1-ヘキサノール、6-ブロモ-1-ヘキサノール、8-クロロ-1-オクタノール、8-ブロモ-1-オクタノール、10-クロロ-1-デカノール、10-ブロモ-1-デカノール、CC(CFOH、2,2-ビス(ブロモメチル)-1,3-プロパンジオール、それらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
特許請求されるプロセスの別の実施形態は、アルコールROHがグリコールエーテルであることを提供する。「グリコールエーテル」という用語は、ポリエーテルも含む。プロセスの一変形例では、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書に記載されるプロセスの更なる実施形態によれば、グリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。上述したように、示されたグリコールエーテルはまた、異性体混合物としても使用することができる。有利には、グリコールエーテルは、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本明細書に記載されるプロセスによって調製された[M(O)(OR)](I)のオキシアルコキシド錯体は、それらの単離後にアミンもアンモニアも含有しない。しかしながら、単離された化合物は、検出限界付近又はそれよりも低い量でアミン及び/又はアンモニアを含み得る。この場合、それらは「本質的にアンモニアを含まない」と称される。したがって、それぞれの目標化合物のアンモニア付加物は、少しでもあれば、溶液中にのみ存在することが推測され得る。反応の完了後に過度に長い期間にわたってアンモニアを反応混合物に導入することは、環境保護的及び経済的な側面の両方で不都合である。更に、有利には、特許請求されるプロセスによって調製された一般式[M(O)(OR)](I)の化合物は、本質的にケイ素を含まず、また特に、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記プロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液が適用される使用に起因して、本質的にアルカリ金属を含まない。結果として、それらは、それぞれ、最大で100ppmのケイ素含有量及び0.20ppmのアルカリ金属含有量を含む。
本明細書に特許請求されるプロセスは、3つのステップのみを含み、一般式[M(O)(OR)](I)、特に[Mo(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]の本質的にケイ素を含まない化合物を得るワンポット合成として実施される。有利には、出発物質は、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記プロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、本質的にケイ素を含まないMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)、特にWOClである。これは、このタイプの市販の化合物の使用と比較した主な利点である。特に、市販されているタングステン(VI)化合物WOClは、場合によっては、出発物質としてのヘキサメチルジシロキサンの一般的な適用に起因して、ケイ素(Si)及び/又はケイ素を含む化合物で混入されており、本明細書に記載のプロセスにおける出発材料としての適用に関しては不十分な純度をもたらす。一般的な不純物は、毒性があり、空気接触中に塩化水素に反応する副生成物のTMSCl、並びにヘキサメチルジシロキサン残基及び/又は他のシロキサン並びに/若しくはシラン種である。これは、特に市販のWOClが、電気工学、電気化学、及び半導体の分野に関する化合物を調製するための出発物質として使用される場合、主な欠点である。対照的に、タイプMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本明細書に適用される化合物は、単離された物質として、あるいは一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む溶液若しくは懸濁液としてのいずれかで、WCl及び本質的にケイ素を含まない酸化剤、好都合にはメタノール、tert-ブタノール、アセトン、ブタノン。メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-アミルメチルエーテル、又はテトラヒドロフランから出発して、比較的環境に優しく直接的かつ費用効率の高い合成によって合成される。反応は、非プロトン性溶媒又は溶媒混合物中で、好都合には、ハロゲン化されていない部分的若しくは完全にハロゲン化された、又はそれらの混合物である脂肪族又は芳香族炭化水素中で実施される。有利なことに、得られたMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)は、それが溶液若しくは懸濁液として数週間にわたって少なくとも3週間にわたって安定であるため、単離される必要はない。溶液又は懸濁液は、比較的環境に優しく分離することが容易な副生成物、例えば、HCl、MeCl、tBuCl、C(CHCl及びイソブテンを含むことができる。副生成物は、大気圧より低い圧力又は真空を作り出すことによって直接的に除去することができる。更なる利点は、酸化剤が本質的にケイ素を含まないか、又はケイ素を含まないため、ケイ素含有副生成物の形成が不可能であることである。通常、酸化剤は、化学量論的に、又はわずかな過不足で適用され、すなわち特に費用効率が高く環境保護的に有利である、本質的に化学量論量で適用される。しかしながら、過剰の本質的にケイ素を含まない酸化剤が適用される場合、ステップa)の完了後、又はそれぞれの目標化合物の単離の前及び/又は単離中のいずれかで、過剰な酸化剤を比較的容易に除去することができる。これは、特に、比較的少ない炭素原子、具体的には、tert-ブタノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフランなどの1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する酸化剤に適用される。
タイプ[M(O)(OR)](I)の化合物を調製するための本明細書に特許請求されるプロセスのステップb)によれば、それぞれのオキシアルコキシド錯体は、少なくとも4モル当量のアルコールROH(ステップaからのMOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)、例えば、WOClに対して)の添加によって得られ、これにより一般式[M(O)(OR)](I)の化合物、例えば、[Mo(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]の調製のために4モル当量のみが必要である。好都合には、ステップb)に従う反応は、以前の反応ステップから生じるいかなる混入物又は副生成物によっても妨げられない。したがって、ほとんどの場合、4当量のみのアルコールが必要である。アルコールROHが、ほとんどの場合、化学量論量で、又はわずかな過剰で適用され、したがってそれぞれの目標化合物の形成中に完全に消費されるため、高沸点のアルコールROHがステップb)で適用可能である。ステップc)に従って本質的にケイ素を含まない塩基、例えば、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアミン、好都合には、アンモニアガス若しくはアンモニア溶液を供給することにより、ステップa)及び/又はステップb)で形成された塩化水素は、例えば、NHClの形成によってそれぞれ捕捉及び消費される。特許請求されるプロセスのステップa)~c)を実施した後、タイプ[M(O)(OR)]の所望の本質的にケイ素を含まないオキシアルコキシド、必要に応じて溶媒、並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClのみが存在する。これらの不純物は、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。副生成物が、例えば、濾過又は遠心分離及び/若しくはデカンテーションによって容易に分離可能であるという事実の1つの理由は、非プロトン性溶媒の有利な選択である。例えば、イソ-ヘキサン若しくはヘキサン異性体の混合物、ペンタン、又はジクロロメタンなどのヘプタン又は別の脂肪族溶媒の溶媒としての使用は、特に、NHClの定量的沈殿をもたらし、一方、目標化合物、例えば、[Mo(O)(OR)]及び[W(O)(OR)]は溶液中に残る。したがって、有利には、形成されたNHClフレートによるそれぞれのオキシアルコキシドの混入物は、著しく低減される。特許請求されるプロセスの別の利点は、タングステン酸リチウム錯体塩などの、少しでもあれば、分離することが非常に難しい定義することができない副生成物が形成されないことである。溶液中にあるそれぞれの目標化合物は、1つ以上の反応物と直接反応させることができる。あるいは、タイプ[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]の化合物は、必要に応じて、例えば、木炭、パーライト、モンモリロナイト、又はアルミノケイ酸塩などのフィルター補助剤を使用する直接濾過、続いて溶媒などの全ての揮発性成分を除去することによって単離することができる。特許請求されるプロセスの主な利点は、NHClがほぼ定量的に、好ましくは定量的に、濾過ステップによる直接的な方法によって分離可能であることである。別の主な利点は、単離された化合物が、ケイ素若しくはアルカリ金属又はケイ素若しくはアルカリ金属を含む化合物によってアンモニアも混入物も含まないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はNHClなどのアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物を含むことがある。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択されたアルコール及び溶媒又は溶媒混合物に依存し、通常は>80%又は>90%である。
全体として、最新技術の欠点は、特許請求されるプロセスによって克服される。これにより、テトラヒドロフラン中のLiCl又はアルコール中のNHClなどの分離することが困難な塩フレートによる混入物が形成され及び/又は存在することは、特に大幅に少なくなる。本明細書に記載のプロセスは、それがワンポット合成として実施されるので、特に汎用性があり、直接的かつ費用効率が高い。更に、ごくわずかな反応ステップだけが必要であり、それらの全ては、特に工業生産のために、達成することが比較的簡易であり、容易に拡張可能である。好都合には、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記のプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、あるいは一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液が適用される。排他的に定義可能、容易かつ十分に分離可能な副生成物が形成され、ほぼ定量的に、好都合には定量的に分離可能である。特に、分離不可能なタングステン酸リチウム錯体、例えば、Li[W(O)(OR)]の形成が除外される。したがって、所望のオキシアルコキシドは、更なる蒸留及び/又は昇華精製なしに、改善された高純度で再現可能に得られる。特に、このプロセスによって得られたオキシアルコキシドは、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒用途に必要な要求の厳しい純度仕様に準拠する。収率は良好ないし非常に良好であり、再現可能である。更に、プロセスは、工業規模で行うこともでき、目標化合物は、同等の収率及び純度で得られる。特許請求されるプロセスは、時間効率的で、比較的環境に優しくエネルギー及びコスト節約的である。比較すると、それはより効率的であると分類することができる。
一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記のプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、純粋な形態での又は溶液若しくは懸濁液としての、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物と、上述したアルコールのうちの1つとをそれぞれ使用する場合、タイプ[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]の化合物が、本明細書に特許請求されるプロセスによって、高純度で直接的かつ再現性のある様式で得られ、すなわち本質的にアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、好都合にはアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、並びに良好ないし非常に良好な収率で得られる。
プロセスの別の実施形態によれば、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、好都合には有機塩基、有機金属塩基、及び無機塩基、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。更なる変形例では、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、アミン、アンモニア、複素環式窒素塩基、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属アミド、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。塩基がアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ金属アミドである場合、塩基は、好都合にはリチウム、ナトリウム、及びカリウム金属酸化物、並びにアミドからなる群から選択され、より好都合にはナトリウム及びカリウム金属酸化物並びにアミドから選択される。特許請求されるプロセスの更なる実施形態では、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、有機塩基又は無機塩基である。有利には、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基は、アミン、アンモニア、及び複素環式窒素塩基からなる群から選択される。
ステップc)に従って本質的にケイ素を含まない塩基、例えば、アンモニア及び/又は少なくとも1つのアミン、有利にはアンモニアガス又はアンモニア溶液、例えば、メタノール溶液をそれぞれ供給及び添加することによって、ステップb)で形成される塩化水素が、例えば、NHClの形成によってそれぞれ捕捉及び消費される。特許請求されるプロセスのステップa)~c)を実施した後、タイプ[M(O)(OR)]の所望の本質的にケイ素を含まないオキシアルコキシド、必要に応じて溶媒、並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClのみが存在する。これらの不純物は、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。塩化物などのハロゲン化物であり得るハロゲン含有量は、全ての種類のハロゲン化合物、具体的には、ジクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどのハロゲン化抽出物若しくは溶媒に由来する塩素不純物、並びに塩化物などのハロゲン化物を包含し、概して、そのようなハロゲン含有量、特に塩素含有量は、通常、1000(1000)ppm未満、又は500ppm(500)未満、又は250ppm(250)未満である。好都合にはNHClである副生成物が、例えば、濾過又は遠心分離及び/若しくはデカンテーションによって容易に分離可能であるという事実の1つの理由は、非プロトン性溶媒の選択である。例えば、通常、ベンゼン、石油エーテル40-60、ヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくは他のアルカン、ジクロロメタン、及びクロロホルムなどの、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、ベンゼン誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される、直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、部分的又は完全にハロゲン化された直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、エーテル、ベンゼン、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物の適用は、通常、NHClの定量的沈殿をもたらし、一方で目標化合物、例えば、[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]は溶液中に残る。したがって、有利には、形成されたNHClフレートによるそれぞれのオキシアルコキシドの混入物は、著しく低減される。溶液中にあるそれぞれの目標化合物は、1つ以上の反応物と直接反応させることができる。あるいは、タイプ[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]の化合物は、必要に応じて、例えば、木炭、パーライト、モンモリロナイト、又はアルミノケイ酸塩などのフィルター補助剤を使用する直接濾過、続いて溶媒などの全ての揮発性成分を除去することによって単離することができる。特許請求されるプロセスの主な利点は、NHClがほぼ定量的に、好ましくは定量的に、濾過ステップによる直接的な方法によって分離可能であることである。別の主な利点は、単離された化合物が、直接的又は間接的に、すなわち、適用された塩基からの塩基の副反応に起因して、アンモニアもアミン残基も又は他の混入物も含有しないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClを含むことがある。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。再現性のある収率は、工業規模に向けた規模拡大の場合であっても、選択されたアルコール及び溶媒又は溶媒混合物に依存し、通常は>80%又は>90%である。
例えば、多種多様なアミンが、混合物としても適用可能である。アミンは、第一級、第二級、及び第三級アミンからなる群から選択することができ、アルキルアミン、アリールアミン、又はそれらの組み合わせであり得る。アルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリ-tert-ブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、及びそれらの誘導体並びに混合物は、有利に使用することができる。混合置換アミン及びそれらの混合物もまた考えられ、例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。加えて、アセトアミジン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、グアニジン、尿素、チオ尿素、イミン、アニリン、ピリジン、イミダゾール、ジメチルアミノピリジン、ピロール、モルホリン、キノリン、及びそれらの混合物が適用可能である。
アンモニアは、ガス自体として、又はアンモニア溶液として有利に適用可能である。本明細書に記載のプロセスの一実施形態では、アンモニア溶液は、少なくとも1つの非プロトン性有機溶媒B及び/又は少なくとも1つのアルコールROHを含み、
式中、
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンであり、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- ROHは、酸化剤Zとは異なる。
更なる実施形態では、非プロトン性有機溶媒Bは、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ベンゼン、ベンゼン誘導体、及びそれらの混合物の群から選択される。
別の実施形態によれば、ROHは、sBuCHOH、iBuCHOH、(iPr)(Me)CHOH、(nPr)(Me)CHOH、(Et)CHOH、(Et)(Me)COH、C11OH、CCHOH、及びCOH、並びにそれらの混合物である。特許請求されるプロセスの代替実施形態では、ROHは、(2,2ジクロロシクロプロピル)メタノール並びに(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メタノール、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペントール、6-クロロ-1-ヘキサノール、6-ブロモ-1-ヘキサノール、8-クロロ-1-オクトール、8-ブロモ-1-オクトール、10-クロロ-1-デコール、10-ブロモ-1-デコール、及びCC(CF、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態は、アルコールROHが、グリコールエーテルであることを提供する。例えば、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。グリコールエーテルの例は、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物である。
有利には、アルコールROHは、ジブチレングリコールモノプロピルエーテル、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の実施形態では、アルコールROHは、特許請求されるプロセスのステップb)からのアルコールROHと有利には同一である。この場合、試薬及び溶媒の数が減少し、これは、本明細書に特許請求されるプロセスの更なる簡素化をもたらし、したがって経済的及び環境保護的側面の下での改善につながる。概して、別のプロトン性又は非プロトン性溶媒中のアンモニアガスの溶液が適用可能であり、限定されないが、以下のアンモニア溶液、メタノール中7N、ジオキサン中0.4M、エタノール中2.0M、メタノール中4M、又はテトラヒドロフラン中0.4Mのうちの1つを適用することができる。有利には、溶液が20重量パーセントのアンモニアガスを含む、メタノールアンモニア溶液を使用することができる
1つ以上の複素環窒素の本質的にケイ素を含まない塩基は、ウロトロピン、モルホリン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1、4-ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン(DABCO(登録商標))、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、オクサゾール、チアゾール、プリン、プテリジン、キノリン、キノリノン、イミダゾール、キナゾリン、キノキサリン、アクリジン、フェナジン、シンノリン、8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、それらの誘導体、異性体、及び派生体、並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
圧力pが、1013.25ヘクトパスカル(hPa)~6000ヘクトパスカル(hPa)の範囲であり、好ましくは1500ヘクトパスカル(hPa)~3000ヘクトパスカル(hPa)の範囲である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスである。
本発明によれば、「圧力p」という用語は、それぞれの反応器の内圧を指す。「反応器」という用語は、上記のように定義される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例によれば、非プロトン性溶媒Aは、直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、部分的又は完全にハロゲン化された直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、エーテル、ベンゼン、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。プロセスの別の実施形態では、非プロトン性溶媒Aは、好都合には、脂肪族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。有利には、例えば、ヘプタン、イソ-ヘキサン若しくはヘキサン異性体の混合物、ペンタン、ジクロロメタン、又はトルエンが非プロトン性溶媒Aとして適用される。
プロセスの別の実施形態では、ステップb)におけるアルコールROHの添加は、計量装置を使用することによって行われることが提供される。例えば、添加は、滴下するか、又は注入によって行うことができる。あるいは、又は補足として、停止弁及び/又はストップコック及び/又は計量ポンプを、反応器の供給ラインに提供することができる。プロセスの更なる実施形態によれば、溶媒M中のアルコールROHの溶液を、固体、溶液、また飽和溶液、必要に応じて、又は懸濁液としてステップa)で提供される反応物MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)に添加する。したがって、アルコールROHが溶解されている溶媒Mは、ステップa)の非プロトン性溶媒Aと混和性であるか、又は同一である。他の反応パラメータに依存して、このアプローチは、反応プロセス及び発熱性のそれぞれに対する制御を高めるために有利であり得る。
プロセスの別の実施形態では、MOX又は[MOX(solv)](III)のアルコールROHに対するモル比は、少なくとも1:3若しくは1:4であるか、又は1:4~1:40、若しくは1:6.1~1:40、若しくは1:4~1:6.1の範囲であり、より具体的には、MOX又は[MOX(solv)](III)のアルコールROHに対するモル比は、y=3の場合には少なくとも1:3であり、又はy=4の場合には1:4である。したがって、モル比は、それぞれのアルコールROH並びにそれぞれの溶媒及び溶媒混合物に依存して選択される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例は、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に、温度Tが、-30℃~50℃の範囲であることを提供する。別の実施形態では、温度Tは、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に-25℃~30℃の範囲である。あるいは、温度Tは、アルコールROHの添加中及び/又は添加後に-15℃~20℃の範囲である。反応器の平均内部温度TA3と通常同一である、内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS2からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップb)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TC1及びTC2で実施することができる。「温度TC1」及び「温度TC2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TC1及びTC2を指す。反応器の平均内部温度TA4及びTA5のそれぞれと通常同一である、内部温度TC1及びTC2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TC1及びTC2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。他の反応条件に依存して、ステップb)の反応のための温度プログラムを実装することが有利であり得、温度プログラムは、少なくとも2つの段階を含む。したがって、反応プロセス及び/又は発熱性のより良好な制御が達成され得る。
プロセスの別の実施形態によれば、温度Tは、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガスの供給中及び/又は供給後に、-30℃~100℃の範囲である。更なる変形例では、温度Tは、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガスの供給中及び/又は供給後に、-25℃~80℃の範囲である。プロセスの別の実施形態は、温度Tが、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基、好都合にはアンモニアガス又はアンモニア溶液、例えば、メタノール溶液の供給中及び/又は供給後に、-20℃~60℃の範囲である。このステップc)において、アンモニア及び/又は塩基は、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体を導入することによって、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液を導入することによって、又はそれぞれの本質的にケイ素を含まない塩基を加圧することによって、反応混合物に導入される。加圧の場合、1mbar~6mbarの範囲、特に100mbar~4、5barの範囲の圧力を選択することができる。反応器の平均内部温度TA6と通常同一である、内部温度Tを決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度Tを決定するための温度センサは、内部温度Tを決定するために適用されたものと同一であり得る。
プロセスの別の実施形態は、内部温度Tが、熱伝達媒体Wによって調節及び/又は制御されることを提供する。この目的のために、冷却及び加熱の両方に適用可能な熱伝達媒体を理想的に含むクライオスタットを使用することができる。熱伝達媒体Wを使用することによって、定義された設定点TS3からの内部温度Tの偏りは、最大程度まで相殺され得る。一定の内部温度Tの実現は、一般的な機器障害のためにほとんど不可能である。しかしながら、通常熱伝達媒体Wと同一である熱伝達媒体Wを適用することによって、ステップc)は少なくとも2つの事前定義された温度範囲TN1及びTN2で実施することができる。「温度TN1」及び「温度TN2」はそれぞれ、対応する反応器のそれぞれ内部温度TN1及びTN2を指す。反応器の平均内部温度TA7及びTA8のそれぞれと通常同一である、内部温度TN1及びTN2をそれぞれ決定する少なくとも1つの温度センサが備えられる。内部温度TN1及びTN2をそれぞれ決定するための温度センサは、内部温度T及び/又はTを決定するために適用されたものと同一であり得る。
特許請求されるプロセスの別の実施形態によれば、
- 温度TN1は、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第1の段階中に、-30℃~20℃の範囲であり、
及び
- 温度TN2は、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は段階後に、21℃~100℃の範囲であり、
少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入される。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。別の代替例では、温度TN2は少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は第2の段階後に、22℃~80℃の範囲であり、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入される。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。更なる実施形態は、温度TN2は少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の供給の第2の段階中及び/又は第2の段階後に、23℃~60℃の範囲であり、少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含むガス又は液体が、反応器に導入されるか、又は少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液が、反応器に導入されるか又は少なくとも1つのケイ素を含まない塩基が、それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧によって反応器に導入されることを提供する。好都合には、アンモニアガス又は有機溶媒中のアンモニア溶液、特にアルコール溶液、例えば、メタノール溶液が反応器に導入される。あるいは、又は補足として、アミンが反応器に導入される。
供給及び導入のそれぞれについてのそのような温度プログラム、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧のための温度プログラムによって、反応プロセス及び/又は発熱性の更に良好な制御を達成することができる。
供給及び導入のそれぞれの期間、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の期間、並びに温度T又はTN1及びTN2は、他の反応パラメータの中でもとりわけ、バッチサイズ、アルコールROHの選択及び溶媒又は溶媒混合物の選択に依存する。
供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1及び第2の段階である場合、第1及び第2の段階は、特にそれらの持続時間に関して互いに異なり得る。
例えば、第1の段階は、比較的高い温度TN2における第2の段階よりも比較的低い温度TN1におけるより長い期間を含むことができる。例えば、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1の段階は、TN1<20℃で1時間を含むことができ、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第2の段階は、TN2≧21℃で30分を含むことができる。反応物ROHの選択及び溶媒の選択に依存して、この手順は、例えば、NHClの形成による放出された塩化水素の定量的な捕捉及び消費をそれぞれ達成するために、好都合になり得る。プロセスの別の実施形態によれば、供給及び導入のそれぞれ、又はアミン若しくはアンモニア、特にアンモニアガスの加圧の第1及び第2の段階は、同一の期間を含む。その結果、手順は比較してより簡素である。
プロセスの別の実施形態では、ステップb)の後、揮発性副生成物及び/又は溶媒の除去を含む反応ステップが行われることが提供される。特許請求されるプロセスの一実施形態では、この反応ステップは、ステップc)を実施する前に実施される。あるいは、又は補足として、反応ステップは、ステップc)を実施した後に実施される。揮発性副生成物及び/又は溶媒若しくは溶媒混合物の分離は、それぞれ、例えば、減圧下及び副生成物の沸点未満での蒸発によって、又は蒸留によって簡素に実施される。
特許請求されるプロセスの更なる変形例は、ステップc)の後に、一般式[M(O)(OR)](I)の化合物の単離を含む反応ステップd)が実施されることを提供する。ステップd)に従う目標化合物の単離は、更なる反応ステップ、例えば、反応混合物の濃縮、すなわち、例えば、バルブトゥバルブによる溶媒体積の低減、蒸発若しくは蒸留、生成物の結晶化若しくは沈殿を達成し、並びに/又は反応混合物からの不純物若しくは出発物質を除去するための溶媒の添加及び/若しくは溶媒の交換、デカンテーション若しくは濾過による固体/液体分離、生成物の精製及び乾燥、再結晶化、蒸留及び/若しくは昇華を含むことができる。溶液中にある目標化合物が、目標化合物の調製直後の二次反応における反応物ではないが、単離され、保管され、及び/又は更に使用されるものとする場合に、分離は1つ以上のステップを含み得る。
別の実施形態では、目標化合物の単離は、特許請求されるプロセス中に形成される副生成物の除去を含む。そうすることで、アミン又はアンモニアとの反応によってそれぞれ捕捉及び消費された塩化水素を、沈殿した塩化アンモニウム及びアンモニウム塩、すなわち、適用されたアミンの塩化物、例えば、塩化ジエチルアンモニウムとしてそれぞれ分離することができる。主に、これは、全ての適切な方法によって行うことができる。
例えば、濾過は好適であり、フィルターケーキは、適用された溶媒で有利に洗浄され得る。同様に、沈殿した副生成物は、沈降又は遠心分離することができ、生成物[M(O)(OR)]の溶液は、デカンテーションによって分離することができる。
一実施形態では、分離は濾過によって行われ、第2のステップでは、濾液の遠心分離及びその後のデカンテーションによって残存する不溶性副生成物が分離される。
プロセスの1つの変形例では、単離は濾過ステップを含む。これにより、また、可溶性で微細なものも分離することができるように、必要に応じて、活性炭又はシリカ、木炭、パーライト、モンモリロナイト又はアルミノケイ酸塩などの洗浄剤上の1つ以上の濾過のいくつかの濾過ステップを提供することができる。
例えば、NHClフレート中に含有される可能性がある生成物を抽出するために、NHClフレートも含み得るフィルターケーキを、少量のジクロロメタンなどの高揮発性溶媒で洗浄することができる。特定の実施形態では、それは、反応媒体として適用される溶媒で洗浄される。
問題はまた、一般式
[M(O)(OR)](I)、
[式中、
- M=Mo及びy=3又はM=W及びy=3又は4であり、
及び
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- n=1~5又は1、2、若しくは3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない、
一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記プロセスのいずれかの実施形態に従って得られた化合物によって解決される。当該プロセスは、好都合には、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記のプロセスのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物、あるいは一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液を使用する。
有利には、タイプ[M(O)(OR)](I)のオキシアルコキシドは、ワンポット合成において特に直接的に製造することができる。オキシアルコキシドは高純度で、すなわち本質的にアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、好都合には、更なる精製、すなわち蒸留/又は昇華精製若しくは再結晶化なしにアンモニアを含まず、アルカリ金属を含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まずに再現可能に調製される。特に、上記の特許請求されるプロセスのいずれかの実施形態に従って得られたオキシアルコキシドは、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途のための前駆体に必要な要求の厳しい純度仕様に準拠する。収率は良好ないし非常に良好であり、再現可能である。更に、プロセスは、工業規模で行うこともでき、目標化合物は、同等の収率及び純度で得られる。
「本質的にアンモニアを含まない」、「本質的にアルカリ金属を含まない」、「本質的にハロゲンを含まない」及び「ケイ素を含まない」という用語は、上記のように定義される。「アンモニアを含まない」、「アルカリ金属を含まない」、「ハロゲンを含まない」、及び「ケイ素を含まない」という用語は、それぞれ、特に0(ゼロ)ppmに相当する量で、アンモニア、アルカリ金属、ハロゲン、及びケイ素をそれぞれ含む化合物を指す。
[W(O)(OiPr)]及び[W(O)(OsBu)]などのオキシアルコキシドは、大筋で知られている。上記の実施形態のいずれか1つに従うオキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られたタイプ[M(O)(OR)](I)の化合物は、それらの特性に関して、最新技術からの手順によって調製されるものとは大幅に異なる。特に、複雑な精製なしに、単離された目標化合物は、分別蒸留及び/又は昇華によって文献に慣習的であるように、最新技術からの方法に従って合成され精製されたタイプ[M(O)(OR)]、特に[W(O)(OR)]の化合物のものと少なくとも同じ程度に高い純度を有する。主な利点は、単離された化合物が、アンモニアも、ケイ素若しくはアルカリ金属又はケイ素若しくはアルカリ金属を含む化合物による混入物も含まないことである。概して、最終生成物は、溶媒残留物、又はアミン若しくはアンモニアの反応の定義され、容易に分離可能な副生成物(NHClなど)を含むことがある。溶媒による不純物並びにアミン及び/又はアンモニアの反応の定義された容易に分離可能な副生成物、例えば、NHClは、概して、2重量パーセント未満(<2重量%)、1重量パーセント未満(<1重量%)、特に1重量パーセントの半分未満(<0.5重量%)の量で存在し得る。その結果、最終生成物は、少なくとも95%、好都合には95%を超、特に98%又は99%を超の純度を有する。したがって、単離後、目標化合物は更に精製することなく適用及び/又は保管することができる。
上記の実施形態のいずれか1つに従う金属オキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の一実施形態では、Rは、CHsBu、CHiBu、CH(Me)(iPr)、CH(Me)(nPr)、CH(Et)、C(Me)(Et)、C11、CH及びCからなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれか1つに従う金属オキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の実施形態によれば、Rは、(2,2-ジクロロ-3,3-ジメチルシクロプロピル)メチル、(2,2-ジクロロ-1-フェニルシクロプロピル)メチル、1,1,5-トリヒドロペルフルオロペンチル、6-クロロ-1-ヘキサニル、6-ブロモ-1-ヘキサニル、8-クロロ-1-オクチル、8-ブロモ-1-オクチル、10-クロロ-1-デシル、10-ブロモ-1-デシル、及びCC(CFからなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれか1つに従う金属オキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の実施形態によれば、ORは、グリコールエーテルに対応する塩基である。例えば、グリコールエーテルは、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
上記の実施形態のうちのいずれか1つによる金属オキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の更なる実施形態によれば、グリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールエチルエーテルCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。上述のように、示されたグリコールエーテルを、異性体混合物として使用することもできる。例えば、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルは、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルの様々な異性体の異性体混合物であり得、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルは、主異性体である。
上記の実施形態のいずれか1つに従うオキシアルコキシドの調製のためのプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物の別の変形例によれば、単離された化合物は、00ppm(100)以下、好都合には10ppm(10)以下、特に1.500ppb(1500)以下のケイ素を各々含有し、ケイ素含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法によって決定される。
前述のタイプ[M(O)(OR)](I)の化合物のいくつかは、それぞれ残基R及び配位子ORの組成により比較的低い融点を示す。これにより、これらの金属オキシアルコキシドのいくつかの代表例は、周囲温度又はそれよりもわずかに高温で液体である。一般式[M(O)(OR)](I)、好都合には、[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)]のこれらの低融点化合物は、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に特に適格である。
更に、問題は、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物のための、上記2つのプロセスのうちのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の化合物を、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に使用することによって解決される。
適用される金属オキシアルコキシドは、それらの高純度に起因して、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に特に適格である。特に、それらは本質的にケイ素を含まず、アルカリ金属を含まず、アンモニアを含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、溶媒含有量は、具体的には1重量パーセント以下である。優れた実施形態では、それらはケイ素を含まず、すなわちそれらのケイ素含有量、アルカリ金属含有量、アンモニア含有量、ハロゲン金属含有量、及び溶媒含有量はそれぞれ、具体的には0(ゼロ)ppmに相当する。全ての前述の混入は、各々の混入のタイプに依存して、多かれ少なかれ堆積プロセスに関して、したがってコーティングされた基材の性能に関して不都合である。
問題はまた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記2つのプロセスのうちの1つのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)](I)の化合物を、半導体素子、光電池、触媒を調製するために使用することによって、又は化合物を堆積させるために使用することによっても解決される。一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記2つのプロセスのうちの1つのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)](I)の化合物の前述の使用は、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための上記2つのプロセスのうちの1つのいずれかの実施形態に従って得られた、一般式[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)](I)の化合物を使用することによる、半導体素子、光電池、触媒を調製するためのプロセス、又は化合物を堆積するためのプロセスに関連し、
式中、
- Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
式中、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C6)からなる群から選択され、
- Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
及び
- n=1~5又は1、2、若しくは3である。
プロセスは、
a)一般式[Mo(O)(OR)]又は[W(O)(OR)](I)の化合物を提供するステップと、
b)タングステン層、又はモリブデン層、タングステン含有層、又はモリブデン含有層を半導体素子、光電池、自動車排気ガス触媒の基材の表面上に堆積させるステップと、
c)半導体素子、光電池、又は自動車排気ガス触媒を完成させるステップと、を含む。
プロセスはまた、
a)一般式[Mo(O)(OR)4]又は[W(O)(OR)](I)の化合物を提供するステップと、
b)モリブデン層、タングステン層、モリブデン含有層、又はタングステン含有層を粒子状基材の表面上に堆積させるステップと、
c)粒子状基材をウォッシュコートに配合するステップと、
d)ウォッシュコートを自動車排気ガス触媒の基材の表面に適用し、当該自動車排気ガス触媒を完成させるステップと、を含む。
プロセスはまた、
a)一般式[Mo(O)(OR)4]又は[W(O)(OR)](I)の化合物を提供するステップと、
b)触媒を得るための反応物及び溶媒を提供するステップと、
c)一般式[Mo(O)(OR)4]又は[W(O)(OR)](I)の化合物と当該反応物とを好適な反応条件下で反応させて、触媒を得るステップと、
d)触媒を仕上げるステップと、を含む。
触媒は、化学反応、例えば、メタセシス反応又はカップリング反応を触媒するために用いることができる。触媒は、触媒反応種を構成するか、又はその場でそのような種を生成することができる。
一般式[M(O)(OR)](I)の金属オキシアルコキシドについては例外とされ、ここでは4つの残基Rが、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基C6~C8からなる群から選択される。
適用される金属オキシアルコキシドは、それらの高純度のために、高品質タングステン層又はタングステンを含む層の調製のための前駆体として特に適格である。これらの基材は、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に使用される。加えて、適用された金属オキシアルコキシドは、良好ないし非常に良好かつ再現性のある収率でワンポット合成により調製されて、特に直接的かつ費用効率が高い。したがって、それらは工業規模での使用に好適である。
定義された2つの特許請求されるプロセスの両方によって、タイプ[M(O)(OR)](I)の金属オキシアルコキシドは、直接的に費用効率が高く比較的環境に優しいワンポット合成で再現可能に調製され、高純度及び良好ないし非常に良好な収率が達成される。単離された化合物のH NMRスペクトルは、出発物質、副生成物、分解生成物、溶媒などのいかなる不純物も示さない。これは、分別蒸留及び/又は昇華及び/又は再結晶化によるそれぞれの単離された未処理生成物の複雑な精製なしに達成される。実際、精製は必要なく、すなわち、単離された未処理生成物と最終生成物が同一であるか、又は最終生成物を得るために、それぞれの未処理生成物の簡素なバルブトゥバルブ蒸留が満足のいくものである。2つの特許請求されるプロセスのうちの1つによって得られたそれらの高純度の金属オキシアルコキシドのために、化合物の堆積に関連する用途、半導体、光電池、又は触媒の用途に特に適格である。特に、それらは本質的にケイ素を含まず、アルカリ金属を含まず、アンモニアを含まず、ハロゲンを含まず、またケイ素を含まず、溶媒含有量は、具体的には1重量パーセント以下である。優れた実施形態では、それらはケイ素を含まず、すなわちそれらのケイ素含有量、アルカリ金属含有量、アンモニア含有量、ハロゲン金属含有量、及び溶媒含有量はそれぞれ、具体的には0(ゼロ)ppmに相当する。更に、特許請求されるプロセスの両方は、それぞれの目標化合物が同等の純度及び収率で、工業規模で実施することもできることを特徴とする。全体として、一般式[M(O)(OR)](I)の金属オキシアルコキシドの調製のための2つの特許請求されるプロセスは、経済的観点及び環境保護の観点の両方で満足のいくものである。
ここで、本発明を、例示的とみなされる以下の実施例によってより詳細に説明する。実施例は、本発明の範囲も特許請求の範囲も制限するものではない。
全般的な実験注釈
材料及び方法
反応は、以下の合成手順で与えられる反応器の内部温度で、不活性ガス雰囲気下及び連続撹拌下で、三つ口丸底フラスコ又は撹拌反応器内で行った。クライオスタットを使用して、反応器の内部温度を制御及び/又は調節した。
適用された溶媒を標準的な手順に従って乾燥させた。
生成物の特性評価
WOCl及び[WOCl(solv)]のそれぞれ単離された生成物の同一性を、W含有量決定と組み合わせたX線回折(XRD)によって決定した。微量金属、特にケイ素(Si)に関する単離された生成物の純度を、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)によって決定した。決定されたケイ素(Si)値は、1.500ppbである決定限界に相当するか、又は更にそれよりも低い。
一般式[W(O)(OR)](I)による単離された生成物の同一性を、核磁気共鳴(NMR)スペクトル法によって決定した。これらの生成物の純度は、元素分析、NMR、W含有量、及びCl含有量決定、ICP-OESによる微量金属分析によって決定した。
WOCl及び[WOCl(L)]の合成
実施例1:WCl及びアセトンからのWOClの調製;溶媒:ジクロロメタン
10gの塩化タングステン(VI)(25.21mmol、1.00当量)を、それぞれ50mLのジクロロメタン中に懸濁させ、部分的に溶解する。続いて、20mLのジクロロメタン中に溶解した1.464gのアセトン(25.21mmol、1.00当量)を、滴下漏斗を使用して約10分以内に添加する。アセトン/ジクロロメタン混合物の添加中に、内部温度を20℃±5℃の範囲に保持する。添加の完了後、滴下漏斗を2mLのジクロロメタンですすぐ。その後、反応混合物を2時間撹拌する。沈殿物を濾過により分離して、各々25mLのヘプタンで2回洗浄する。真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、7.82g(90.78%)の所望の本質的にケイ素を含まない生成物WOClを単離する。
実施例2:WCl及びアセトンからのWOClの調製;溶媒:ヘプタン
100gの塩化タングステン(VI)(252.15mmol、1.00当量)を、固体物質計量漏斗によって1Lの撹拌反応器に投入する。その後、計量漏斗を300mLのヘプタンですすぎ、それによって、塩化タングステン(VI)をそれぞれ懸濁させ、部分的に溶解する。14,644gのアセトン(252.15mmol、1.00当量)と200mLのヘプタンとの混合物を、滴下漏斗によって約1時間にわたって添加した。この際、内部温度を19℃~26℃の範囲に保持した。添加の完了後、反応混合物を30℃に2.5時間加熱した。周囲温度に冷却した後、沈殿物をガラスフリット(D4)で濾別し、各々100mLのヘプタンで2回洗浄する。4時間の真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、所望の本質的にケイ素を含まない生成物WOClを、83.12g(96.49%)の収量で橙色の固体として単離する。
実施例3:WCl及びtert-ブタノールからのWOClの調製;溶媒:ヘプタン
10gの塩化タングステン(VI)(25.21mmol、1.00当量)を、それぞれ50mLのヘプタン中に懸濁させ、部分的に溶解する。20mLのヘプタンと混合された1.888gのtert-ブタノール(25.21mmol、1.00当量)を、約10分間にわたって滴下漏斗によって反応容器に投入する。それにより、内部温度はわずかに上昇する。添加の完了後、反応混合物を周囲温度で更に4時間撹拌する。その後、沈殿物をガラスフリット(D4)で分離し、各々10mLのヘプタンで2回洗浄する。真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、所望の本質的にケイ素を含まない生成物WOClを、8.12g(94.26%)の収量で橙色の固体として単離する。
実施例4:WCl及びメチルtert-ブチルエーテルからのWOClの調製;溶媒:ヘプタン
10gの塩化タングステン(VI)(25.21mmol、1.00当量)を、それぞれ50mLのヘプタン中に懸濁させ、部分的に溶解する。20mLのヘプタンと混合された2,245gのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)(25.21mmol、1.00当量)を、約5分間にわたって滴下漏斗により反応容器に投入する。添加の完了後、反応混合物を、周囲温度で更に16時間撹拌する。沈殿物をガラスフリット(D4)で濾別し、各々25mLのヘプタンで2回洗浄する。真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、所望の本質的にケイ素を含まない生成物WOClを、8.11g(94.14%)の収量で橙色の固体として単離する。
実施例5:WCl及びメタノールからのWOClの調製;溶媒:ジクロロメタン
10gの塩化タングステン(VI)(25.21mmol、1.00当量)を、それぞれ50mLのジクロロメタン中に懸濁させ、部分的に溶解する。20mLのジクロロメタンと混合された0.808gのMeOH(25.21mmol、1.00当量)を、約15分間にわたって滴下漏斗によって反応容器に投入する。続いて、反応混合物を周囲温度で4時間撹拌し、次いで、還流下で約80分間加熱する。周囲温度に冷却した後、沈殿物をガラスフリット(D4)で分離し、各々25mLのヘプタンで2回洗浄する。真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、所望の本質的にケイ素を含まない生成物WOClを、6.35g(73.71%)の収量で橙色の固体として単離する。
実施例6:WCl及びアセトンからの[WOCl(アセトン)]の調製;溶媒:ヘプタン
10gの塩化タングステン(VI)(25.21mmol、1.00当量)を、それぞれ50mLのヘプタン中に懸濁させ、部分的に溶解する。続いて、20mLのジクロロメタン中に溶解した2.93gのアセトン(50.43mmol、2.00当量)を、滴下漏斗を使用して約10分以内に添加する。アセトン/ジクロロメタン混合物の添加中に、内部温度を20℃±5℃の範囲に保持する。添加の完了後、滴下漏斗を2mLのヘプタンですすぐ。その後、反応混合物を16時間撹拌する。沈殿物を濾過により分離して、各々25mLのヘプタンで2回洗浄する。真空乾燥(900mbar~10-3mbar)後、8.63g(86.04%)の所望の本質的にケイ素を含まない生成物[WOCl(アセトン)]を黄色の結晶性固体として単離する。
WClから出発してNHを用いた[W(O)(OR)]の合成
実施例7~10:[W(O)(OR)]の調製
反応器を、60℃で1時間、真空下で乾燥させた。ヘプタン及び対応するアルコール、グリコールエーテル、及びポリグリコールエーテルを、標準的な方法に従って、モレキュラーシーブで数日間乾燥させた。
不活性ガス雰囲気下で、100gの塩化タングステン(VI)(252.15mmol、1.0当量)を、固体物質計量漏斗によって1Lの撹拌反応器に投入する。続いて、塩化タングステン(VI)を、500mLのヘプタン(無水)中でそれぞれ懸濁させ、部分的に溶解し、反応混合物を周囲温度で撹拌する。200mLのヘプタン中の14.66gのアセトン(252,15mmol、1.0当量)を約1時間にわたって添加する。反応混合物を周囲温度で16時間撹拌し、それによって明るい橙色の反応混合物を得る。約20℃で撹拌したWOClのスラリーに、対応するアルコール又はグリコールエーテル又はポリグリコールエーテルを、約1時間にわたってゆっくりと添加する。対応するアルコール又はグリコールエーテル又はポリグリコールエーテルの添加中に、沈殿物をゆっくりと溶解させ、反応混合物の色が黄色に変化し(sBuOH又はグリコールエーテル又はポリグリコールエーテル)、あるいは脱色する(iPrOH)。最後に、溶液が得られる。対応するアルコール又はグリコールエーテル又はポリグリコールエーテルの添加後、反応中に形成された塩化水素を除去するために、反応器を窒素ガスで5分間フラッシュする。窒素ガスでフラッシュした後、反応器を圧力放出バルブに接続し、アンモニアガスを反応器に通す(500mL/分、0.55bar)。反応プロセスは、質量流量コントローラを介して制御する。アンモニアガス流が0mL/分に減少してからすぐにアンモニアガスの供給を終了する。圧力を解放し、反応器を窒素ガスのパージによりフラッシュし、残留アンモニアガスを除去する。続いて、反応混合物をガラスフリット(D4)で濾過する。その後のCelite(登録商標)上の濾過によって、コロイド状固体残渣を分離する。最後に、溶媒を減圧下で除去し(10-2mbar、最大60℃)、所望の生成物[W(O)(OR)]を固体又は液体として得る。
実施例7~10:分析データ
実施例7:R=iPrである場合のWO(OR);8.0当量のiPrOH;無色固体、収率81%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.30(d、24H)、4.79-4.95(m、4H);微量金属分析(ICP-OES):全ての微量金属<10ppm;ケイ素(Si)含有量(ICP-OES):<10ppm。
実施例8:R=sBuである場合のWO(OR);8.0当量のsBuOH;黄色の液体、収率83%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=0.95(t、12H)、1.29(dd、12H)、1.53-1.69(m、8H)、4.60-4.69(m、4H);微量金属分析(ICP-OES):全ての微量金属<10ppm;ケイ素(Si)含有量(ICP-OES):<10ppm。
実施例9:R=COCHである場合のWO(OR);4.0当量のCHOCOH;黄色の液体、収率87%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.23-1.27(m、12H、CHCH3)3.38-3.43(m、20H、OCH2+OCH3)、4.74-4.83(m、4H、CH);元素分析:タングステン(W)含有量=32,8%;微量金属分析(ICP-OES):全ての微量金属<10ppmケイ素(Si)含有量(ICP-OES):<10ppm;塩素(Cl)含有量<250ppm;
実施例10:R=COCOCである場合のWO(OR);4.0当量のCOCOCOH;赤橙色の液体、収率86%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=0.85-0.97(m、3H)1.08-1.40(m、7H)、1.58(t、J=7.08Hz、2H)、3.30-4.05(m、7H)、4.24-4.61(m、1H)、4.67-4.93(m、1H);元素分析:タングステン(W)含有量=20,1%;微量金属分析(ICP-OES):全ての微量金属<10ppm、ケイ素(Si)含有量(ICP-OES):<10ppm、塩素(Cl)含有量<250ppm。
WClから出発してEtNHを用いた[W(O)(OR)]の合成
実施例11:[WO(OCOCH]の調製
反応器を、60℃で1時間、真空下で乾燥させた。ヘプタン及び1-メトキシ-2-プロパノールを、標準的な方法に従って、モレキュラーシーブで数日間乾燥させた。
不活性ガス雰囲気下で、100gの塩化タングステン(VI)(252.15mmol、1.0当量)を、固体物質計量漏斗によって1Lの撹拌反応器に投入する。続いて、塩化タングステン(VI)を、500mLのヘプタン(無水)中でそれぞれ懸濁させ、部分的に溶解し、反応混合物を周囲温度で撹拌する。200mLのヘプタン中の14.66gのアセトン(252,15mmol、1.0当量)を約1時間にわたって添加する。反応混合物を周囲温度で16時間撹拌し、それによって明るい橙色の反応混合物を得る。約20℃で撹拌したWOClのスラリーに、1-メトキシ-2-プロパノール(1.01mol、4.0当量)を約1時間にわたってゆっくりと添加する。1-メトキシ-2-プロパノールの添加中に、沈殿物をゆっくりと溶解させ、反応混合物の色は黄色に変化する。最後に、溶液が得られる。1-メトキシ-2-プロパノールの添加後、反応中に形成された塩化水素を除去するために、反応器を窒素ガスで5分間フラッシュする。窒素ガスでフラッシュした後、74.57gのEtNH(1.02mol、4.04当量)を、滴下漏斗を介して、20℃で1時間にわたって、反応溶液に添加する。EtNHの添加が完了した後、無色の反応混合物を室温で更に1時間撹拌する。続いて、反応混合物をガラスフリット(D4)で濾過する。その後のCelite(登録商標)上の濾過によって、コロイド状固体残渣を分離する。最後に、溶媒を減圧下(10-2mbar、最大60℃)で除去し、所望の生成物[W(O)(OCOCH]を黄色の液体として得る(84%)。
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.19-1.23(t、12H、CHCH3)、3.35-3.40(m、20H、OCH2+OCH3)、4.69-4.78(m、4H、CH);微量金属分析(ICP-OES):全ての微量金属<10ppm;ケイ素(Si)含有量(ICP-OES):<10ppm
実施例2に従って合成されたWOClから出発し、異なるアミン塩基を用いた[W(O)(OR)]の合成
実施例12~19
フラスコに、オキシ四塩化タングステン(3.00g、8.78mmol、1.00当量)を充填し、125mLの無水ヘプタン中に懸濁/溶解させた。反応混合物を撹拌しながら0℃に冷却した。この撹拌溶液に、6.35gの1-メトキシ-2-プロパノール(70.5mmol、8.00当量)を添加した。この反応溶液に、4.00当量の対応する塩基を添加したところ、無色の固体が形成された。反応混合物を室温に加温し、固体をCelite(登録商標)上の濾過を介して除去した。全ての揮発性副生成物及び成分を除去した後、生成物をわずかに黄色の液体として得た。
実施例12~19:分析データ
実施例12:塩基=メチルアミンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率67%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.20-1.24(m、12H、CHCH3)、3.35-3.41(m、20H、OCH2+OCH3)、4.71-4.79(m、4H、CH)。
実施例13:塩基=トリエチルアミンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率83%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.19-1.23(m、12H、CHCH3)、3.34-3.40(m、20H、OCH2+OCH3)、4.68-4.82(m、4H、CH)。
実施例14:塩基=1,2-エチレンジアミンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率93%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.17-1.19(m、12H、CHCH3)、3.30-3.40(m、20H、OCH2+OCH3)、4.68-4.73(m、4H、CH)。
実施例15:塩基=N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率30%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.24-1.28(m、12H、CHCH3)、3.37-3.47(m、20H、OCH2+OCH3)、4.74-4.84(m、4H、CH)。
実施例16:塩基=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率25%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.29-1.33(m、12H、CHCH3)、3.36-3.45(m、20H、OCH2+OCH3)、4.97-5.05(m、4H、CH)。
実施例17:塩基=モルホリンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率19%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.29-1.33(m、12H、CHCH3)、3.40-3.45(m、20H、OCH2+OCH3)、4.76-4.85(m、4H、CH)。
実施例18:塩基=ピリジンを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率80%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.24-1.28(m、12H、CHCH3)、3.38-3.43(m、20H、OCH2+OCH3)、4.74-4.84(m、4H、CH)。
実施例19:塩基=イミダゾールを用いた場合のWO(OCOCH;黄色の液体;収率77%
H-NMR(CDCl、600MHz、300K)δ(ppm)=1.22-1.26(m、12H、CHCH3)、3.36-3.46(m、20H、OCH2+OCH3)、4.73-4.83(m、4H、CH)。
実施例2に従って合成されたWOClを用いた[W(O)(OR)]の合成
実施例20:[W(O)(OCOCH]の調製
反応器を、60℃で1時間、真空下で乾燥させる。ヘプタン及びグリコールエーテル1-メトキシ-2-プロパノールを、標準的な方法に従って、モレキュラーシーブで数日間乾燥させる。
不活性ガス雰囲気下で、1Lの撹拌反応器に、固体物質計量漏斗によって、1.0当量のオキシ四塩化タングステン(VI)(252.15mmol)を充填する。続いて、オキシ四塩化タングステン(VI)を、500mLのヘプタン(無水)中でそれぞれ懸濁させ、部分的に溶解させ、反応混合物を周囲温度で撹拌する。約20℃で撹拌したオキシ四塩化タングステン(VI)のスラリーに、1-メトキシ-2-プロパノール(1.01mol、4.0当量)を約1時間にわたってゆっくりと添加する。1-メトキシ-2-プロパノールの添加後、反応器を窒素ガスで5分間フラッシュして、反応中に形成された塩化水素を除去する。窒素ガスでフラッシュした後、反応器を圧力放出バルブに接続し、アンモニアガスを反応器に通す(500mL/分、0.55bar)。反応プロセスは、質量流量コントローラを介して制御する。アンモニアガス流が0mL/分に減少してからすぐにアンモニアガスの供給を終了する。圧力を解放し、反応器を窒素ガスのパージによりフラッシュし、残留アンモニアガスを除去する。続いて、反応混合物をガラスフリット(D4)で濾過する。その後のCelite(登録商標)上の濾過によって、コロイド状固体残渣を分離する。最後に、溶媒を減圧下(10-2mbar、最大60℃)で除去し、所望の生成物[W(O)(OCOCH](>80%)を黄色の液体として得る。
実施例9に従うワンポット合成が成功した結果から、単離された本質的にケイ素を含まないWOClから出発する合成が、実施例9に類似して得られる本質的にケイ素を含まない[WO(OR)]をもたらすという結論が下される。この理由は、以下の通りである:
本明細書において、1.500ppb未満のケイ素含有量を有する本質的にケイ素を含まないWOClが、本明細書に記載のプロセスによって得られることが証明された(実施例1~6を参照)。WOClとアルコールROHと本質的にケイ素を含まない塩基との反応が実施される場合、ケイ素種による更なる不純物は導入され得ない。したがって、実施例12による合成の最終生成物によっては、<1.500ppbのケイ素含有量を超えることはできない。この実施例によって達成される収率及び純度は、本明細書に記載のワンポット合成から得られるものと同様又は同一である。
上述の反応及び実施例12に従う反応に加えて、以下を行った。
実施例21
実施例7~11に基づいて、アルコールを変えケイ素を含まない塩基を変える場合、以下の実施例の結果を得ることができる。
略語:Yd.=収率;Ex.No.:実施例番号;
使用される塩基:MA=メチルアミン、DA=ジエチルアミン、TA=トリエチルアミン、12E=1,2-エチレンジアミン、TMEDA=N,N,N’,N’-テトラメチルエタン-1,2-ジアミン(TMEDA)、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)、Mo=モルホリン、Py=ピリジン、Im=イミダゾール、DMAP=N,N-ジメチルアミノピリジン、NH3=アンモニア
Figure 2023527508000001
Figure 2023527508000002
Figure 2023527508000003
Figure 2023527508000004
Figure 2023527508000005
Figure 2023527508000006
Figure 2023527508000007
Figure 2023527508000008
Figure 2023527508000009
Figure 2023527508000010
Figure 2023527508000011
Figure 2023527508000012
Figure 2023527508000013
Figure 2023527508000014
Figure 2023527508000015
Figure 2023527508000016
Figure 2023527508000017
Figure 2023527508000018
Figure 2023527508000019
Figure 2023527508000020
Figure 2023527508000021
Figure 2023527508000022
Figure 2023527508000023
Figure 2023527508000024
Figure 2023527508000025
本発明は、上記の実施形態のうちのいずれか1つに限られず、様々な方法で変更可能である。
特許請求の範囲及び説明からもたらされる、例えば、設計の詳細、空間的配置、及び手順ステップからもたらされるあらゆる特徴及び利点は、個別に又は様々な組み合わせのいずれかで、本発明に不可欠であり得る。
分かり得るように、本発明は、一般式[M(O)(OR)](式中、M=Mo、y=3であるか、又はM=W、y=3若しくは4である)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスに関連する。更に、前述のプロセスによって得られた化合物、前述のプロセスによって得られたそのような化合物の使用、及び前述のプロセスによって得られたMの層又はMを含む層を表面に有する基材を対象とする。本明細書に記載の本発明の別の目的は、一般式MOX又は[MOX(solv)](式中、M=Mo、y=3であるか、又はM=W、y=3若しくは4であり、X=Cl又はBrであり、solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、p=1若しくは2である)の、前述のプロセスによって得られた本質的にケイ素を含まない化合物である。本発明はまた、一般式MOX又は[MOX(solv)]の、前述のプロセスによって得られた本質的にケイ素を含まない化合物の使用を対象とする。

Claims (37)

  1. 一般式
    [M(O)(OR)] (I)、
    [式中、
    - M=Mo及びy=3であるか、又はM=W及びy=3若しくは4であり、
    及び
    - Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アリール基、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アリール基、単環式又は多環式ヘテロアリール基、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアリール基からなる群から選択され、
    式中、
    - Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキレン基(C1~C6)からなる群から選択され、
    - Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)、置換若しくは非置換のアリール基(C6~C11)からなる群から選択され、
    及び
    - n=1~5又は1、2、若しくは3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスであって、
    a)一般式MXy+2
    [式中、
    M及びyは、上記のように定義され、
    及び
    X=Cl又はBrである]の化合物を、
    1~10個の炭素原子を含む本質的にケイ素(Si)を含まない酸化剤Zと、少なくとも1つの非プロトン性溶媒A中で、少なくとも1:0.75のMXy+2の前記酸化剤Zに対するモル比で反応させるステップと、
    b)アルコールROHを添加するステップであって、
    - Rが、上記のように定義され、
    - MXy+2の前記アルコールROHに対するモル比が、少なくとも1:4であり、
    - ROHが、ステップa)の前記酸化剤Zとは異なる、添加するステップと、
    c)少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基を供給するステップと、を含む、プロセス。
  2. 前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、アルコール、ケトン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、1~8個の炭素原子又は1~6個の炭素原子又は1~4個の炭素原子を含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. MXy+2の前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対する前記モル比が、1:0.75~1:2.50の範囲又は1:0.80~1:1.50の範囲又は1:0.85~1:1.30の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. MXy+2が、
    - 固体として、
    - 前記非プロトン性溶媒A中の飽和溶液として、
    - 前記非プロトン性溶媒A中の懸濁液として、
    又は
    - 前記非プロトン性溶媒A中若しくは前記溶媒Aと混和性の溶媒中の溶液として適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. - 前記未希釈の本質的にケイ素を含まない酸化剤Z
    又は
    - 前記非プロトン性溶媒A中若しくは前記非プロトン性溶媒Aと混和性の溶媒中の前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液が適用される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
  7. Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルブタ-2-イル、3-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンタ-1-イル、3-メチルペンタ-1-イル、4-メチルペンタ-1-イル、2-メチルペンタ-2-イル、3-メチルペンタ-2-イル、4-メチルペンタ-2-イル、2-メチルペンタ-3-イル、3-メチルペンタ-3-イル、2,2-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-1-イル、3,3-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-2-イル、3,3-ジメチルブタ-2-イル、2-エチルブタ-1-イル、フェニル、ベンジル、トルイル、メシチル、ナフチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記アルコールが、モノエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、モノプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、モノオキソメチレンモノアルキルエーテル、ジオキソメチレンモノアルキルエーテル、及びトリオキソメチレンモノアルキルエーテル、それらの異性体の混合物、並びにそれらの混合物からなる群から選択され、又はRが式(R-O)-Rに対応する場合、Rが、メテニル(-CH-)、エテニル(-CHCH-)、プロペニル(-CHCHCH-)、イソプロペニル(-CH(CH)CH-)、n-ブテニル(-CHCHCHCH-)、ペンテニル(-CHCHCHCHCH-)、ヘキセニル(-CHCHCHCHCHCH-)、及びそれらの混合物からなる群から選択され、Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルブタ-2-イル、3-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチルペンタ-1-イル、3-メチルペンタ-1-イル、4-メチルペンタ-1-イル、2-メチルペンタ-2-イル、3-メチルペンタ-2-イル、4-メチルペンタ-2-イル、2-メチルペンタ-3-イル、3-メチルペンタ-3-イル、2,2-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-1-イル、3,3-ジメチルブタ-1-イル、2,3-ジメチルブタ-2-イル、3,3-ジメチルブタ-2-イル、2-エチルブタ-1-イル、フェニル、ベンジル、トルイル、メシチル、ナフチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
  9. 前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、2-メチル-2-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-エチル-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、2-ブチル-1-オクタノール、sBuCH-OH、iBuCH-OH、(iPr)(Me)CH-OH、(nPr)(Me)CH-OH、(Et)CH-OH、(Et)(Me)C-OH、C11-OH、ベンジルアルコールCCH-OH、フェノールCOH、エチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-OH、エトキシエタノールCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-OH、エチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCH-O-CHCH-OH、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCH-O-CHCH-OH、プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CHCHCH-OH、プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CHCHCH-OH、イソ-プロピレングリコールモノメチルエーテルCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノエチルエーテルCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(CHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノブチルエーテルCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノペンチルエーテルCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノヘキシルエーテルCHCHCHCHCHCH-O-CH-C(CH)-OH、イソ-プロピレングリコールモノフェニルエーテルC-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルCHCHCH-O-CHCH(CH)OCHCH(CH)OH、イソ-プロピレングリコールモノベンジルエーテルCCH-O-CH-C(CH)-OH、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOH(必要に応じて異性体の混合物)、1-メトキシ-2-プロパノールCHOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルCHOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOH、1-ブトキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルCOCHCHCHOCHCHCHOCHCHCHOH、1-プロポキシ-2-プロパノールCOCHCHCHOH、それらの異性体の混合物、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
  10. 前記少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基が、有機塩基、有機金属塩基、及び無機塩基、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. 前記少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基が、アミン、アンモニア、複素環式窒素塩基、アルカリ金属酸化物、及びアルカリ金属アミド、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載のプロセス。
  12. ステップc)による少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基の前記供給が、
    - 各々が前記少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基であるか又はそれを含む気体又は液体又は固体を導入することによって、
    - 前記少なくとも1つの本質的にケイ素を含まない塩基を含む溶液を導入することによって、
    又は
    - 前記それぞれの本質的にケイ素を含まない塩基の加圧容器内での加圧によって、前記本質的にケイ素を含まない塩基を添加する選択肢を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
  13. 圧力pが、1013.25ヘクトパスカル(hPa)~6000ヘクトパスカル(hPa)の範囲であるか、又は1500ヘクトパスカル(hPa)~3000ヘクトパスカル(hPa)の範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記非プロトン性溶媒Aが、直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、部分的又は完全にハロゲン化された直鎖状若しくは環状、飽和若しくは不飽和、脂肪族若しくは芳香族炭化水素、エーテル、ベンゼン、及びベンゼン誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
  15. ステップa)、ステップb)、又はその両方が、蒸留を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
  16. ステップa)による前記反応が、
    i.前記非プロトン性溶媒A中のMXy+2の溶液若しくは懸濁液を提供するステップと、
    ii.前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zを添加するステップと、を含み、
    前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの前記添加中及び/又は前記添加後にMXy+2と前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zとの間の反応が生じる、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 温度Tが、-100℃~200℃の範囲、又は-90℃~170℃の範囲、又は-20℃~140℃の範囲である、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. MXy+2の前記アルコールROHに対する前記モル比が、y=3の場合の1:3から、又はy=4の場合の1:4からy=3若しくは4の場合の1:40までの範囲である、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
  19. 温度Tが、前記アルコールROHの前記添加中及び/又は前記添加後に-30℃~50℃の範囲である、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
  20. 温度Tが、少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の前記供給中及び/又は前記供給後に、-30℃~100℃の範囲である、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
  21. - 温度TN1が、前記少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の前記供給の第1の段階中に-30℃~20℃の範囲であり、
    及び
    - 温度TN2が、前記少なくとも1つのケイ素(Si)を含まない塩基の前記供給の第2の段階中及び/又第2の段階後に21℃~100℃の範囲である、請求項20に記載のプロセス。
  22. ステップa)の後に、揮発性副生成物及び/又は溶媒の除去を含む反応ステップが実施される、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
  23. ステップc)の後に、一般式[M(O)(OR)](I)の前記化合物の単離を含む反応ステップd)が実施される、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
  24. 請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた、1000ppm以下のケイ素含有量を有する、一般式[M(O)(OR)](I)の化合物。
  25. 一般式
    MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)
    [式中、
    - M=Mo及びy=3であるか、又はM=W及びy=3又は4であり、
    - X=Cl又はBrであり、
    - solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
    及び
    - p=1及びy=4であるか、p=2及びy=3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスであって、
    前記プロセスが、
    a)一般式MXy+2の化合物を提供するステップと、
    b)MXy+2を、1~10個の炭素原子を含む少なくとも1つの本質的ケイ素(Si)を含まない酸化剤Zと、少なくとも1つの非プロトン性溶媒A中で、少なくとも1:0.75のMXy+2の前記酸化剤Zに対するモル比で反応させるステップと、を含む、プロセス。
  26. 前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zが、アルコール、ケトン、エーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項25に記載のプロセス。
  27. MXy+2の前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zに対する前記モル比が、好ましくは、1:0.75~1:2.50の範囲であり、より好ましくは1:0.80~1:1.50の範囲であり、及び最も好ましくは1:0.85~1:1.30の範囲である、請求項25又は26に記載のプロセス。
  28. MXy+2が、
    - 固体として、
    - 前記非プロトン性溶媒A中の飽和溶液として、
    - 前記非プロトン性溶媒A中の懸濁液として、
    又は
    -前記非プロトン性溶媒A中若しくは前記溶媒Aと混和性の溶媒中の溶液として適用される、請求項25~27のいずれか一項に記載のプロセス。
  29. - 前記未希釈の本質的にケイ素を含まない酸化剤Z
    又は
    - 前記溶媒A中若しくは前記溶媒Aと混和性の溶媒中の前記本質的にケイ素を含まない酸化剤Zの溶液が適用される、請求項25~28のいずれか一項に記載のプロセス。
  30. 温度Tが、-100℃~200℃の範囲、好ましくは-90℃~170℃の範囲、より好ましくは-20℃~140℃の範囲である、請求項25~29のいずれか一項に記載のプロセス。
  31. ステップb)の後に、反応ステップc)が実施され、前記ステップc)が、
    i.副生成物の分離
    及び/又は
    ii.一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記化合物の単離を含む、請求項25~30のいずれか一項に記載のプロセス。
  32. ステップa)からの前記反応混合物及び一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記単離された化合物が、1000ppm(1000)以下、又は50ppm以下、又は10ppm(10)以下、又は1.500ppb(1500)以下のケイ素を各々含有し、
    前記ケイ素含有量が誘導結合プラズマ発光分析法によって決定される、請求項25~31のいずれか一項に記載のプロセス。
  33. 請求項25~32のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物。
  34. 請求項25~32のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の化合物を含む溶液若しくは懸濁液。
  35. - 請求項25~32のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた、
    又は
    - 請求項33又は34に記載のプロセスによって得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液の、
    一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するための、使用。
  36. - 請求項24~31のいずれか一項に記載のプロセスによって得られた、
    又は
    - 請求項32又は33に記載のプロセスによって得られた、一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物又は一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を含む本質的にケイ素(Si)を含まない溶液若しくは懸濁液を使用する、一般式
    [M(O)(OR)] (I)、
    [式中、
    - M=Mo及びy=3であるか、又はM=W及びy=3又は4であり、
    - X=Cl又はBrであり、
    - solv=少なくとも1つのドナー原子を介してMに結合又は配位する酸化剤Zであり、
    - p=1及びy=4であるか、p=2及びy=3であり、
    及び
    - Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C5~C10)、直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C5~C10)、アルキレンアルキルエーテル基(R-O)n-R、ベンジル基、部分的若しくは完全に置換されたベンジル基、単環式又は多環式アレーン、部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式アレーン、単環式又は多環式ヘテロアレーン、及び部分的若しくは完全に置換された単環式又は多環式ヘテロアレーンからなる群から選択され、
    式中、
    - Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基(C1~C6)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキレン基(C1~C6)からなる群から選択され、
    - Rは、互いに独立して、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(C1~C10)及び直鎖状、分岐状又は環状の部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル基(C1~C10)からなる群から選択され、
    及び
    - n=1~5又は1、2、若しくは3である]の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を調製するためのプロセスであって、
    a)前記プロセスによって調製された一般式MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記本質的にケイ素(Si)を含まない化合物を提供するステップと、
    b)アルコールROHを添加するステップであって、
    - Rが、上記のように定義され、
    - MOX(II)若しくは[MOX(solv)](III)の前記アルコールROHに対するモル比が、少なくとも1:3である、添加するステップと、
    c)少なくとも1つの本質的にケイ素(Si)を含まない塩基を供給するステップと、を含み、ステップa)又はb)が任意選択で蒸留を含む、プロセス。
  37. 請求項36に記載のプロセスによって得られた、一般式[M(O)(OR)](I)の本質的にケイ素(Si)を含まない化合物。
JP2022560090A 2020-04-01 2020-04-01 金属有機化合物 Pending JP2023527508A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/EP2020/059261 WO2021197597A1 (en) 2020-04-01 2020-04-01 Metal organic compounds

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023527508A true JP2023527508A (ja) 2023-06-29

Family

ID=70189933

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022560090A Pending JP2023527508A (ja) 2020-04-01 2020-04-01 金属有機化合物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20230295203A1 (ja)
EP (1) EP4126889A1 (ja)
JP (1) JP2023527508A (ja)
KR (1) KR20220161473A (ja)
CN (1) CN115315428A (ja)
TW (1) TW202138381A (ja)
WO (1) WO2021197597A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55122240A (en) 1979-03-07 1980-09-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd Optical recording and reproducing device
JPS6136292A (ja) * 1984-07-30 1986-02-20 Nippon Soda Co Ltd タングステンオキシアルコキシド化合物およびその製造方法ならびにエレクトロクロミツク表示素子の製造方法
TW201606115A (zh) 2014-07-07 2016-02-16 液態空氣喬治斯克勞帝方法研究開發股份有限公司 用於薄膜沉積之含鉬及鎢之前驅物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021197597A1 (en) 2021-10-07
US20230295203A1 (en) 2023-09-21
TW202138381A (zh) 2021-10-16
CN115315428A (zh) 2022-11-08
KR20220161473A (ko) 2022-12-06
EP4126889A1 (en) 2023-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5180040B2 (ja) 三座ベータケトイミネートの金属錯体
TW202214665A (zh) 形成適用於輻射圖案化的輻射敏感塗層的方法及包含單烷基三醯胺基錫化合物的組合物
KR20130140045A (ko) (아미드아미노알칸) 금속 화합물, 및 당해 금속 화합물을 사용한 금속 함유 박막의 제조 방법
US20040138491A1 (en) Process for the production and purification of bis(tertiary-butylamino)silane
EP3552699B1 (en) Organometallic complex catalyst
CN116897158A (zh) 制备有机锡化合物的方法
CN110088114B (zh) 一种制备酰基膦的通用方法
JP2024045516A (ja) トリアゼニド配位子を有する金属錯体及び気相から金属を堆積させるためのその使用
JP2023527508A (ja) 金属有機化合物
JP4002956B2 (ja) タンタルアルコラート及びニオブアルコラートの製造方法
KR101306810B1 (ko) 신규의 텅스텐 아미노알콕사이드 화합물, 이의 제조방법 및 이를 이용하여 박막을 형성하는 방법
WO2023021064A1 (en) Method for making metal trimethylenemethane-carbonyl complexes
JP5529591B2 (ja) 多座β−ケトイミネートの金属錯体の調製方法
US20230192736A1 (en) Organometallic compounds
US8981126B2 (en) Cyclopropenylidene-stabilized phosphenium cations
US11384102B2 (en) Lithium alkyl aluminates as alkyl transfer reagents
Harrison et al. Derivatives of divalent germanium, tin, and lead. Part I. The protolysis of cyclopentadienyltin (II) compounds by hydroxy-derivatives. Tin (II) Oximes and hydroxylpmines
US20240199658A1 (en) Direct synthesis of organotin alkoxides
KR100634814B1 (ko) 새로운 티타늄 산화물 선구 물질 및 그 제조 방법
Robson et al. Zinc and cadmium thioamidate complexes: rational design of single-source precursors for the AACVD of ZnS
Coward et al. Next generation adduct purification techniques for low oxygen content metal alkyls
US8722933B2 (en) Method for preparing metal complexes of polydentate beta-ketoiminates
US20220098224A1 (en) Organometallic compounds

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230320

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240304