JP2023524710A - アクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本出願は、アクリル酸の製造方法に関する。

Description

本出願は、2020年11月24日付けで韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0159107号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
本出願は、アクリル酸の製造方法に関する。
一般に、アクリル酸は、プロピレンの酸化脱水素反応により製造され、アクリル酸は、高吸水性樹脂、塗料、接着剤などの原料になるものであり、その需要が増加している。特に高吸水性樹脂は、オムツなどの衛生用品として用いられている。
これまで化学品の多くは、石炭や石油などの化石原料から誘導される原料を用いて製造されてきた。しかし、近年、地球温暖化の防止および環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来の資源を従来の化石原料の代替として用いることが注目されている。例えば、トウモロコシや小麦などのデンプン系バイオマス、サトウキビなどの糖質系バイオマス、および菜種の絞りかすや稲わらなどのセルロース系バイオマスなどといったバイオマス資源を原料として用いる方法の開発が試みられている。
すなわち、近年、伝統的な石油化学ベースの製造方法から脱して環境に優しい原料をベースにした化学品を製造することで、持続可能性を得るとともに環境保護の観点から優れた特徴を有する研究が進まれている傾向である。
乳酸から他の化学品を製造する反応の形式の一つとして、乳酸を含む原料を蒸発させ、気体状態で触媒と接触させて生成物を得る気相反応が挙げられる。例えば、乳酸を用いてアクリル酸を製造する技術として固体触媒を用いる気相脱水方法が知られており、乳酸の脱水反応は主に気相反応として研究が進行中にある。
乳酸は、水がない状況で触媒がなくても液相にてエステル化反応が起こって重合をする物質であり、乳酸が濃縮されて高濃度になるほど、乳酸オリゴマーとして反応する。乳酸がオリゴマー化すると脱水が起こり、水が無い状態で乳酸が濃縮されると、乳酸のオリゴマー化反応が起こる。
乳酸オリゴマーがアクリル酸の製造のための反応器に投入される場合、反応器内でファウリングが発生し、反応収率が低くなるため、アクリル酸の製造のために乳酸オリゴマーの含量を低減する方法が研究中にある。
その中で、乳酸オリゴマーの含量を低くするために乳酸水溶液状態で気化装置に供給されるが、気化装置において、沸点の低い水が先に気化してから乳酸が気化し、気化中に液相に乳酸が濃縮され、依然として乳酸オリゴマーが生成されるという問題が発生している。
また、気化した乳酸水溶液にオリゴマーが含まれないように沸点差を用いて分離する蒸留塔を用いることができるが、この場合にも同様に、乳酸のオリゴマー化反応が起こることで、乳酸オリゴマーが濃縮され、蒸留塔下部の温度が高くなるという問題が発生している。
したがって、このような問題を解決するために、乳酸オリゴマーの含量を低くし、生産されるアクリル酸の収率を高める研究が進められている。
国際公開第2005/095320号
本出願は、アクリル酸の製造方法を提供する。
本出願の一実施態様は、乳酸原料を蒸留塔の上段部に供給するステップ;前記蒸留塔の下段部に水を供給するステップ;前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ;および前記蒸留塔にて気化していない第2乳酸水溶液を前記蒸留塔の中段部に供給するステップ;を含むアクリル酸の製造方法を提供する。
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合、沸点差を用いて分離する蒸留塔を用いるものであって、特に蒸留塔の稼動時に蒸留塔下部の温度が高くなる問題を解決するために、乳酸水溶液形態で蒸留塔に供給するのではなく、水と濃縮乳酸原料を別に供給するものであり、水を蒸留塔の下部に供給し、下部に濃縮された乳酸オリゴマーを乳酸に一部分解することで、蒸留塔下部の温度を低くできるという特徴を有することになる。
特に、乳酸の場合、高温(約200℃~250℃以上)で熱分解され、プロピオン酸(Propionic acid)などの副産物が生成されるという問題があったが、上記のように水を蒸留塔の下部に別に供給して蒸留塔の下部温度および蒸留塔の温度を低くすることができるため、乳酸の熱分解に応じた副産物の生成を抑制できるという特徴を有することになる。
また、本出願に係るアクリル酸の製造方法は、気化装置を用いるのではなく、蒸留塔を用いるものであって、乳酸水溶液の気化時に乳酸オリゴマーの生成を防止することができ、また、濃縮された乳酸原料をそのまま蒸留塔に投入するものであり、別の希釈装置を備えることなくアクリル酸を製造できるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。 本出願の比較例1によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。 本出願の比較例2によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
本明細書において、「p~q」は、「p以上q以下」の範囲を意味する。
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
本出願の一実施態様は、乳酸原料を蒸留塔の上段部に供給するステップ;前記蒸留塔の下段部に水を供給するステップ;前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ;および前記蒸留塔にて気化していない第2乳酸水溶液を前記蒸留塔の中段部に供給するステップ;を含むアクリル酸の製造方法を提供する。
本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法の場合、沸点差を用いて分離する蒸留塔を用いるものであって、特に蒸留塔の稼動時に蒸留塔下部の温度が高くなる問題を解決するために、乳酸水溶液形態で蒸留塔に供給するのではなく、水を蒸留塔の下部に供給し、下部に濃縮された乳酸オリゴマーを乳酸に一部分解することで、蒸留塔下部の温度を低くできるという特徴を有することになる。
図1は、本出願の一実施態様によるアクリル酸の製造方法を示す概略図である。具体的に、図1の場合、4段の蒸留塔100を用いたものであり、乳酸原料を蒸留塔100の上段部に供給するステップ(1)、前記蒸留塔の下段部に水を供給するステップ(2)、前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ(3)、および前記蒸留塔にて気化していない第2乳酸水溶液を前記蒸留塔の中段部に供給するステップ(4)を具体的に確認することができる。
本出願の一実施態様において、前記乳酸原料は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記乳酸原料100重量部に対して、前記水を20重量部以下で含んでもよい。
本出願において、前記乳酸は、Lactic acidであって、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メチル基、水素の4原子団が結合した不斉炭素原子を有する有機化合物であり、D-乳酸およびL-乳酸をいずれも含み、単独の乳酸単量体を意味し得る。
本出願において、前記乳酸オリゴマーは、乳酸が互いに反応して二量体、三量体などを形成した物質を意味し、前記乳酸オリゴマーは、乳酸の二量体~100量体を意味し得る。
乳酸は、水がない状況でも、触媒なしに液相にてエステル化反応により重合をする物質であり、乳酸の重合反応により形成された物質をひっくるめて乳酸オリゴマーと表現することができる。
本出願の一実施態様において、前記乳酸原料は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記乳酸原料100重量部に対して、前記水を20重量部以下、好ましくは18重量部以下、より好ましくは13重量部以下で含んでもよい。
本出願の一実施態様において、前記乳酸原料は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記乳酸原料100重量部に対して、前記水を0重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは1.5重量部以上で含んでもよい。
本出願に係るアクリル酸の製造方法は、濃縮された乳酸原料をそのまま蒸留塔に投入するものであり、乳酸原料中の水の含量は前記範囲のように最小化され、別の乳酸希釈装置を備えることなくアクリル酸を製造できるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記蒸留塔の上段部の温度は150℃以上200℃以下であり、前記蒸留塔の下段部の温度は200℃以上250℃以下である、アクリル酸の製造方法を提供する。
他の一実施態様において、前記蒸留塔の上段部の温度は150℃以上200℃以下、好ましくは155℃以上190℃以下、より好ましくは160℃以上185℃以下、最も好ましくは170℃以上180℃以下であってもよい。
他の一実施態様において、前記蒸留塔の下段部の温度は200℃以上250℃以下、好ましくは210℃以上245℃以下、より好ましくは220℃以上245℃以下、最も好ましくは230℃以上245℃以下であってもよい。
乳酸の場合、高温(約200℃~250℃以上)で熱分解され、プロピオン酸(Propionic acid)などの副産物が生成されるという問題があったが、本出願は、上記のように水を蒸留塔の下部に別に供給して蒸留塔の下部温度および蒸留塔の全体温度を低くすることができるものであり、蒸留塔の上段部および下段部が上記の範囲の温度を有することで、乳酸の熱分解に応じた副産物の生成を抑制できるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~95:5である、アクリル酸の製造方法を提供する。
前記第1乳酸蒸気は、蒸留塔に投入された乳酸原料を沸点差を用いて分離した物質であり、前記第1乳酸蒸気は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含んでもよい。
他の一実施態様において、前記第1乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~95:5、最も好ましくは100:0の割合を満たしてもよい。
本出願に係るアクリル酸の製造方法は、気化装置を用いるのではなく、蒸留塔を用いるものであって、乳酸水溶液の気化時に乳酸オリゴマーの生成を防止できるものであり、気相のアクリル酸の製造において、オリゴマーの含量を低くして反応器内のファウリングの発生を最小化でき、反応収率を最大化できるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記第2乳酸水溶液中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が1:99~20:80である、アクリル酸の製造方法を提供する。
前記第2乳酸水溶液は、蒸留塔にて気化せず蒸留塔の下部に濃縮されたオリゴマーを含むものであり、本出願において、蒸留塔の下部に水を直接投入し、濃縮されたオリゴマーを再び乳酸に分解することができるため、蒸留塔下部の温度を直接的に低くできるという特徴を有することになる。
また、前記第2乳酸水溶液の流れを再び蒸留塔の中段部に供給し、乳酸の損失を最小化して蒸留塔を運転できるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記蒸留塔は、コンデンサ(condenser)なしにリボイラ(reboiler)だけを有するものであり、蒸留塔の底から抽出した沸点の高い側の成分が豊富な液を加熱蒸発して、発生した蒸気を蒸気塔の塔底に戻して残留した液を缶出液として抽出するための蒸発装置を意味し得、当業界で通常用いられている蒸留塔を制限なく用いることができる。
本出願の一実施態様において、前記蒸留塔は3段~7段で構成され、前記上段部は1段、前記中段部は前記上段部と下段部との間の段、前記下段部は最後の段である、アクリル酸の製造方法を提供する。
本出願に係る蒸留塔は、5段で構成してもよく、10段、15段など、蒸留塔の段数には制限がなく、この場合、前記上段部は、蒸留塔段数の最上段を意味し、前記下段部は、蒸留塔段数の最下段を意味し、前記蒸留塔の中段部は、前記上段部および下段部を除いた全ての段数を意味し得る。
本出願の一実施態様において、前記蒸留塔の内部圧力が0.1bar以上2.0bar以下である、アクリル酸の製造方法を提供する。
他の一実施態様において、前記蒸留塔の内部圧力が0.1bar以上2.0bar以下、好ましくは0.3bar以上1.8bar以下の範囲を満たしてもよい。
上記のように蒸留塔の内部圧力が前記範囲を満たすことで、気化装置にて温度が好適であって乳酸の分解を最小化することができ、また、その後の反応器との圧力差を減らすことができるため、用いる圧縮器の容量を適当範囲に設定できるという特徴を有することになる。
乳酸類は、非常に腐食性が高く、特に200℃を超過する高温になると顕著な腐食性を示す。したがって、蒸留塔および反応器の材質は、乳酸類に対してある程度の耐食性を有していることが好ましい。乳酸類に対して耐食性を示す材質としては、例えば、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、二相系ステンレス、ニッケル合金、チタン、ジルコニウム、タンタル、チタン合金、金、白金などが挙げられる。上記のように得られた乳酸を含む蒸気組成物は、触媒と接触させることで、他の有用な化学品に転換させることができる。乳酸類からの生成物として、例えば、アクリル酸やピルビン酸などが挙げられる。
本出願の一実施態様において、前記第1乳酸蒸気は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第1乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸および乳酸オリゴマーを5重量部以上80重量部以下で含む、アクリル酸の製造方法を提供する。
他の一実施態様において、前記第1乳酸蒸気は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第1乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸および乳酸オリゴマーを5重量部以上80重量部以下、好ましくは10重量部以上75重量部以下、より好ましくは30重量部以上70重量部以下で含んでもよい。
前記第1乳酸蒸気が上記のような乳酸類の含量範囲を有することで、その後の反応器に供給される投入物量が好適であってアクリル酸の製造方法効果に優れ、また、反応器に水が適当量投入されて工程上の経済性に優れるという特徴を有することになる。
本出願の一実施態様において、前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ以後、第1乳酸蒸気の脱水反応によりアクリル酸を生成するアクリル酸の製造方法を提供する。
すなわち、本発明に係るアクリル酸の製造方法は、伝統的な石油化学ベースの製造方法から脱して環境に優しい原料である乳酸をベースにしたアクリル酸を製造することで、持続可能性を得るとともに環境保護の観点から優れた特徴を有することができる。特に蒸留塔を用い、水を下部に別に投入して、反応器に投入される乳酸オリゴマーの含量を最小化し、アクリル酸の収率を極大化し、反応器内のファウリングの発生を抑制できるという特徴を有することになる。
本発明の製造方法は、特にアクリル酸の合成に有用であり、具体的に、本発明により得られた乳酸を含む蒸気組成物を脱水触媒と接触させてアクリル酸を製造することができる。生成された反応ガスは、冷却や捕集液との接触により捕集・液化し、抽出、蒸留、結晶化などの精製工程を経て高純度のアクリル酸を得ることができる。生成されたアクリル酸は、吸水性樹脂、塗料や粘着剤などの原料として広く用いられる。
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
<製造例>
下記の実施例および比較例は、アスペンテック社のアスペンプラスでシミュレーションされた。
実施例1
蒸留塔は、コンデンサ(condenser)なしにリボイラ(reboiler)だけを有するタイプとして5段で構成した。精製された濃縮乳酸原料を希釈するステップなしに蒸留塔の1段(最上段)に投入した。蒸留塔下段の乳酸オリゴマーを分解して運転温度を低くするために、水は蒸留塔の5段(最下段)に投入した。
上部流れは、気相(第1乳酸蒸気)として得、反応器フィード(feed)として用いた。下部に出る流れ(第2乳酸水溶液)は、再び蒸留塔に再投入することで乳酸の損失なしに運転するようにし、前記下部流れに対する再投入段は2段にして運転した。
用いられた蒸留塔の内部圧力は1.5barであった。
前記実施例1の運転工程を図1から確認することができ、図1に示すように、液相乳酸水溶液1、水2、第1乳酸蒸気3、および第2乳酸水溶液4の流量および各流れの組成は下記表1のとおりである。
Figure 2023524710000002
比較例1
乳酸原料と水を別に投入せず、精製された濃縮乳酸原料を水で希釈して乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が40%となるように水溶液を作った後に蒸留塔の1段(最上段)に投入し、水は蒸留塔の5段(最下段)に投入してないことを除いては、前記実施例1と同様に運転した。
用いられた蒸留塔の内部圧力は1.5barであった。
具体的に、図2から運転方式を確認することができ、1番の流れに濃縮乳酸原料を水で希釈して乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が40%となるように水溶液を作った後に投入し、図1の2番の流れのように水を投入する工程が行われないことを確認することができる。図2に示すように、液相乳酸水溶液1、第1乳酸蒸気3、および第2乳酸水溶液4の流量および各流れの組成は下記表2のとおりである。
Figure 2023524710000003
比較例2
精製された濃縮乳酸原料を水で希釈して乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が40%となるように水溶液に作った後に熱交換器に投入し、熱交換器にて3%が気化し、気化していない液相は再び再循環した。再循環液相の流量は、液相乳酸水溶液と比べて50倍レベルであり、希釈された乳酸水溶液と合流して熱交換器に投入された。熱交換器にて気化した気相乳酸の流れを反応器フィードとして用いた。
用いられた熱交換器の圧力は1.5barであり、熱交換器の温度は217℃であった。
具体的に、図3から運転方式を確認することができ、前記実施例1および比較例1とは異なり、蒸留塔を用いる方式ではなく、熱交換器200を用いる方式で運転することを確認することができる。
前記実施例1、比較例1、および比較例2の工程により最終的な反応器フィードとして供給される乳酸蒸気(第1乳酸蒸気)の組成および含量を下記表3に記載し、用いられた蒸留塔のリボイラ温度も下記表3に記載した。
Figure 2023524710000004
前記表3において、反応器フィードとして供給される最終的な乳酸蒸気の組成および含量を確認することができ、特に、前記比較例1においては、蒸留塔を用いることで乳酸オリゴマーを分離し、乳酸が38wt%レベルであり、乳酸オリゴマーが1.8wt%であって、乳酸原料中の乳酸オリゴマーの割合が3%台に減少することを確認することができた。しかし、蒸留塔のリボイラ温度が360℃近く上がって乳酸の熱分解可能性が高いため(乳酸は200~250℃以上の温度で熱分解が起こる)、その後の反応器フィードとして供給される乳酸の損失が発生することを確認することができた。
前記表3の実施例1においては、水を蒸留塔の最下段部に投入することで、蒸留塔の下段に濃縮された乳酸オリゴマーを乳酸に分解させる役割をして蒸留塔下段の温度が低くなり、リボイラ温度が比較例1では360℃レベルであったものが240℃レベルに低くなることを確認することができ、また、反応器フィード中の乳酸蒸気の組成においても、ほぼ乳酸オリゴマーなしに得られることを確認することができた。また、比較例1と比べて、投入される乳酸水溶液1および水2の流量は同一であるが、水2を蒸留塔の最下段部に投入する差があることを確認することができた。
前記表3の比較例2においては、乳酸原料(乳酸および乳酸オリゴマー)が約39wt%であるが、そのうち、乳酸原料を基準として、乳酸は34wt%しかなく、残りは乳酸オリゴマーであって、乳酸原料中の乳酸オリゴマーの割合が14%レベルとなり、乳酸オリゴマーが多いため問題が発生することを確認することができた。
すなわち、本出願に係るアクリル酸の製造方法の場合、沸点差を用いて分離する蒸留塔を用いるものであって、特に蒸留塔の稼動時に蒸留塔下部の温度が高くなる問題を解決するために、乳酸水溶液形態で蒸留塔に供給するのではなく、水と濃縮乳酸原料を別に供給するものであり、水を蒸留塔の下部に供給し、下部に濃縮された乳酸オリゴマーを乳酸に一部分解することで、蒸留塔下部の温度を低くできるという特徴を有することを前記実施例から確認することができた。
また、本出願に係るアクリル酸の製造方法は、気化装置を用いるのではなく、蒸留塔を用いるものであって、乳酸水溶液の気化時に乳酸オリゴマーの生成を防止することができ、また、濃縮された乳酸原料をそのまま蒸留塔に投入するものであり、別の希釈装置を備えることなくアクリル酸を製造できるという特徴を有することを確認することができた。
100 ・・・蒸留塔
200 ・・・熱交換器
1 ・・・液相乳酸水溶液
2 ・・・水
3 ・・・第1乳酸蒸気
4 ・・・第2乳酸水溶液

Claims (9)

  1. 乳酸原料を蒸留塔の上段部に供給するステップ;
    前記蒸留塔の下段部に水を供給するステップ;
    前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ;および
    前記蒸留塔にて気化していない第2乳酸水溶液を前記蒸留塔の中段部に供給するステップ;
    を含む、アクリル酸の製造方法。
  2. 前記乳酸原料は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記乳酸原料100重量部に対して、前記水を20重量部以下で含む、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
  3. 前記蒸留塔の上段部の温度は150℃以上200℃以下であり、前記蒸留塔の下段部の温度は200℃以上250℃以下である、請求項1又は2に記載のアクリル酸の製造方法。
  4. 前記第1乳酸蒸気中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が100:0~95:5である、請求項1から3のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
  5. 前記第2乳酸水溶液中の乳酸:乳酸オリゴマーの割合が1:99~20:80である、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
  6. 前記蒸留塔の内部圧力が0.1bar以上2.0bar以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
  7. 前記蒸留塔は3段~7段で構成され、前記上段部は1段、前記中段部は前記上段部と下段部との間の段、前記下段部は最後の段である、請求項1から6のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
  8. 前記第1乳酸蒸気は、水;乳酸;および乳酸オリゴマーを含み、前記第1乳酸蒸気100重量部に対して、前記乳酸および乳酸オリゴマーを5重量部以上80重量部以下で含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
  9. 前記蒸留塔にて気化した第1乳酸蒸気を反応器に供給するステップ以後、前記第1乳酸蒸気の脱水反応によりアクリル酸を生成する、請求項1から8のいずれか一項に記載のアクリル酸の製造方法。
JP2022566252A 2020-11-24 2021-10-27 アクリル酸の製造方法 Active JP7408225B2 (ja)

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