JP2023514919A - 銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び該銅箔積層フィルムの製造方法 - Google Patents

銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び該銅箔積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び銅箔積層フィルムの製造方法に係り、該銅箔積層フィルムは、基材の少なくとも一面に、プライマー層が配された基材構造体と、基材構造体上に配された銅含有層と、を含み、該銅含有層のX線回折(XRD)分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])が2.0以上でもある。該銅箔積層フィルムは、高周波数において、低い誘電率、低い誘電損失、及び低い表面粗度により、低い伝送損失を有しながら、同時に高い疲労寿命と、基材構造体と銅含有層との間における、高い常温接着力及び耐熱接着力と、を有する。それにより、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止が可能である。

Description

本発明は、銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び前記銅箔積層フィルムの製造方法に関する。
最近、5G移動通信機器の開発により、GHz帯域の信号伝送速度が一般化されており、半導体集積回路の発展により、電子製品は、小型化、軽量化、薄膜化、高密度化及び高屈曲化を有する趨勢が加速化されている。そのような信号の高周波化傾向により、印刷回路またはアンテナ素子のような電子素子は、向上された特性を有しながら、高集積度が具現される素材への要求がある。
例えば、印刷回路基板(PCB:printed circuit board)は、絶縁基材フィルムの上下面がいずれも銅箔で接着され、回路を形成した構造である。前記構造は、ランド(land)(半田付けすることができるところ)が、上下面のいずれもにも形成される。そのために、部品が装着される場合、同一サイズにおいて、部品の密度を高めることができる。一般的に、印刷回路基板は、銅箔上に溶融状態の高分子フィルム基材をコーティングして製造するキャスティング(casting)法、基材フィルムの一面にスパッタリングした後、電解メッキする方法、及び銅箔と熱硬化性基材フィルムとを熱圧着するラミネーティング法を利用しても製造される。しかしながら、前記三種類の印刷回路基板の製造方法をもってしては、印刷回路工程において、パターンの剥離または変形の問題を十分に解決することができない。
従って、基材層と銅含有層との間に、十分な接着力を有し、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止が可能であり、同時に高周波数において、低い誘電率、低い誘電損失、及び低い表面粗度により、低い伝送損失を有する銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び前記銅箔積層フィルムの製造方法への要求がある。
一態様は、高周波数において、低い誘電率、低い誘電損失、及び低い表面粗度によって低い伝送損失を有しながら、同時に高い疲労寿命と、基材構造体と銅含有層との間における、高い常温接着力及び耐熱接着力と、を有する銅箔積層フィルムを提供するものである。
他の一態様は、前記銅箔積層フィルムを含む電子素子を提供するものである。
さらに他の一態様は、前記銅箔積層フィルムの製造方法を提供するものである。
一態様により、
基材の少なくとも一面に、プライマー層が配された基材構造体と、
前記基材構造体上に配された銅含有層と、を含み、
前記銅含有層のX線回折(XRD:X-ray diffraction))分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])が2.0以上である銅箔積層フィルムが提供される。
前記銅含有層表面の表面粗度(R)は、0.1μm以下でもある。
25℃において、前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度は、0.80kgf/cm以上でもある。
150℃における2時間熱処理後、常温で30分間2回放置し、240℃における10分間追加熱処理後に測定した前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度は、0.45kgf/cm以上でもある。
前記銅含有層は、銅シード層、または銅と、ニッケル、亜鉛、ベリリウム及びクロムのうちから選択された1種以上との銅合金シード層を含んでもよい。
前記銅含有層は、銅とニッケルとの銅合金シード層を含み、
前記銅合金シード層の芯部が表面部よりニッケル元素の含量が多いものでもある。
前記銅シード層または前記銅合金シード層の表面に対するXPS分析時、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、下記数式1のピーク強度比を満足することができる:
数式1:ICu+Ni/ICu≦0.9
数式1で、
Cu+Niは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅合金シード層のピーク強度であり、
Cuは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅シード層のピーク強度である。
前記銅シード層または前記銅合金シード層は、スパッタ層でもある。
前記銅シード層または前記銅合金シード層の一面に、金属メッキ層をさらに含んでもよい。
前記銅含有層の厚みは、15μm以下でもある。
前記銅含有層の厚みは、12.5μm以下でもある。
前記基材は、ポリイミド系基材であり、
前記ポリイミド系基材は、周波数20GHzにおいて、3.4以下の誘電率(D)、及び0.007以下の誘電損失(D)を有しうる。
前記ポリイミド系基材は、周波数28GHzにおいて、3.3以下の誘電率(D)及び0.005以下の誘電損失(D)を有しうる。
前記ポリイミド系基材は、周波数28GHzにおいて、0.8dB/cm以下の伝送損失を有しうる。
前記基材の厚みは、5μmないし100μmでもある。
前記プライマー層は、下記化学式1で表されるシランカップリング剤を含んでもよい:
化学式1:RC2mSi(OC2n
化学式1で、
Rは、置換もしくは非置換のC-C20アルケニル基、-N(R)(R)、またはそれらの組み合わせであり、ここで、R、Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC-C10アルキル基、置換もしくは非置換のC-C10アルケニル基、置換もしくは非置換のC-C10アルキニル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C20ヘテロアリール基であり、
nは、1ないし5の整数であり、
mは、0ないし10である。
前記プライマー層は、アミノ系シラン化合物、ビニル系シラン化合物、またはそれら混合物を含んでもよい。
前記アミノ系シラン化合物対ビニル系シラン化合物の重量比は、1:1ないし9:1でもある。
前記プライマー層表面に対するXRF(X-ray fluorescence spectrometry)分析によるSi含量は、10cpsないし120cpsでもある。
前記プライマー層表面の水接触角は、45°ないし70°でもある。
前記プライマー層の厚みは、500nm以下でもある。
前記プライマー層の厚みは、300nm以下でもある。
前記プライマー層の厚みは、20nm以下でもある。
前記フィルムのJIS C 6471によるMIT測定による疲労寿命が、270回以上でもある。
他の一態様により、
前述の銅箔積層フィルムを含む電子素子が提供される。
さらに他の一態様により、
基材を準備する段階と、
前記基材の少なくとも一面に、プライマー層形成用組成物を塗布し、プライマー層を形成する段階と、
前記プライマー層上にスパッタリングで銅含有層を形成し、前述の銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含む、銅箔積層フィルムの製造方法が提供される。
前記プライマー層を形成する段階後、プラズマ処理を行う段階をさらに含んでもよい。
一態様による銅箔積層フィルムは、基材の少なくとも一面に、プライマー層が配された基材構造体と、前記基材構造体上に配された銅含有層と、を含み、前記銅含有層のX線回折(XRD)分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])は、2.0以上である。前記銅箔積層フィルムは、高周波数において、低い誘電率、低い誘電損失、及び低い表面粗度によって低い伝送損失を有しながら、同時に高い疲労寿命と、基材構造体と銅含有層との間における、高い常温接着力及び耐熱接着力と、を有しうる。それにより、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止が可能である。
一具現例による銅箔積層フィルムの断面模式図である。 他の一具現例による両面銅箔積層フィルムの断面模式図である。 一具現例による銅箔積層フィルムの銅含有層に係わる[111]方位面、[200]方位面、[220]方位面、[311]方位面及び[222]方位面を示したXRD結果である。 実施例3による銅箔積層フィルムの構造を示したTEM/EDAX結果である。 実施例3による銅箔積層フィルムのポリイミドフィルム基材から銅合金シード層までのニッケル元素の含量分布を示したTEM/EDAX結果である。 実施例3による銅箔積層フィルムのポリイミドフィルム基材から銅合金シード層までのニッケル元素の含量分布を示したTEM/EDAX結果である。 実施例2,3による銅箔積層フィルムにつき、その表面に回路パターンを形成し、熱処理を行った後、前記銅箔積層フィルムにおいて、銅含有シード層と銅メッキ層とを剥離した後、前記銅含有シード層表面に対するXPS分析結果である。
以下、本発明の実施例と図面とを参照し、銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び前記銅箔積層フィルムの製造方法について詳細に説明する。それら実施例は、単に本発明についてさらに具体的に説明するために例示的に提示されたものであるのみ、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではないということは、当業界で当業者であるならば、自明であろう。
取り立てて定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する技術分野の熟練者によって一般的に理解されるところの同一の意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先されるのである。
本明細書で説明されるところと類似しているか、あるいは同等な方法及び材料が、本発明の実施または試験に使用されうるが、適する方法及び材料が本明細書に記載される。
本明細書において「含む」という用語は、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。
本明細書において「それら組み合わせ」という用語は、記載された構成要素1以上との混合または組み合わせを意味する。
本明細書において「及び/または」という用語は、関連記載された1以上の項目の任意の組み合わせ、及び全ての組み合わせを含むということを意味する。本明細書で「または」という用語は、「及び/または」を意味する。本明細書において、構成要素の前に「少なくとも1種」、または「少なくとも1以上」という表現は、全体構成要素のリストを修飾することができ、前記記載の個別構成要素を修飾することができるということを意味するものではない。
本明細書において、1構成要素が他の構成要素の「上」または「上部」に配されていると言及される場合、該1構成要素は、他の構成要素上に直接配されうるか、あるいは前記構成要素間に介在された構成要素が存在しうる。一方、1構成要素が他の構成要素の「上」に直接」または「上部に直接」配されていると言及される場合、介在された構成要素が存在しないのである。
本明細書において、「~系重合体(樹脂)」または「~系共重合体(樹脂)」は、「~重合体(樹脂)」、「~共重合体(樹脂)」または/及び「~重合体(樹脂)または共重合体(樹脂)の誘導体」をいずれも含む広義の概念である。
本明細書において「ポリイミド」は、イミド基を含む反復構造単位を含む重合体を意味する。「ポリイミド系」は、ポリイミドと、イミド基以外に、アミド基を含む反復構造単位を含む重合体と、をいずれも含む概念である。イミド基及びアミド基のいずれをも含む反復構造単位を含む重合体の例としては、ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
電子素子において、 印刷回路基板(PCB:printed circuit board)を製造する一方法としては、基材層の一面にスパッタリングした後、電解メッキする方法を利用することができる。前記方法は、基材層と、蒸着された銅層との間に低い接着力を有させうる。そのように、基材層と銅層との間において接着力が低ければ、印刷回路基板の製造時に形成された回路パターンが脱落されたり変形されたりしてしまう。その問題を解決するために、基材層と銅層との間に、ニッケル、またはニッケルクロム合金のような接合層を配し、印刷回路基板を製造する方法を利用している。しかしながら、そのようなニッケル、またはニッケルクロム合金のような接合層を含める製造工程は、工数の増加と、有害物質の使用とにより、安定性及び環境汚染の問題が生じる。また、高周波信号を使用する回路において、ニッケル、またはニッケルクロム合金などの接合層による信号損失が生じうる。
そのような点に着眼し、本発明の発明者らは、新規構造の銅箔積層フィルム、それを含む電子素子、及び前記銅箔積層フィルムの製造方法を提案するものである。
一具現例による銅箔積層フィルムは、基材の少なくとも一面に、プライマー層が配された基材構造体と、前記基材構造体上に配された銅含有層と、を含み、前記銅含有層のX線回折(XRD:X-ray diffraction)分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])が2.0以上でもある。前記銅箔積層フィルムは、高周波数において、低い誘電率、低い誘電損失、及び低い表面粗度によって低い伝送損失を有しながら、同時に高い疲労寿命と、基材構造体と銅含有層との間における、高い常温接着力及び耐熱接着力と、を有しうる。それにより、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止が可能である。
図1及び図2は、それぞれ一具現例による銅箔積層フィルムの断面模式図である。
図1及び図2を参照すれば、一具現例による銅箔積層フィルム100,200は、基材構造体として、基材11の一面または両面にプライマー層21,22が配されており、プライマー層21,22上に、銅含有層40,50として、銅層31,32及び金属メッキ層41,42が順に配されている。
以下、前記銅箔積層フィルムを構成するそれぞれの基材構造体、銅含有層、銅箔積層フィルム及び電子素子などについては、詳細に説明する。
<基材構造体>
一具現例による基材構造体は、基材の少なくとも一面に、プライマー層が配されうる。
一具現例による基材は、フィルムまたはシートでもある。例えば、該基材は、フィルムでもある。前記基材は、印刷回路基板の製造時、高い温度に耐えることができるように、耐熱性にすぐれるフィルムを使用することができる
例えば、前記基材は、ポリイミド、低誘電率を有するポリイミド(modified polyimide)、ポリフェニルスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、またはフッ素が含有されたフィルムを含んでもよい。例えば、前記基材は、ポリイミド系基材でもある。
前記ポリイミド系基材は、ポリイミドフィルム、または低誘電率を有するポリイミド(modified polyimide)フィルムを使用することができる。該基材に使用するポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミン酸を押出してフィルムを作り、前記ポリアミン酸のイミド化のために、前記フィルムを熱処理して乾燥させても製造される。当該技術分野において一般的に使用される乾燥過程を介し、水分及び残留ガスを除去することができる。例えば、前記乾燥は、常圧下において、ロール・ツー・ロール(roll to roll)タイプの熱処理を介して行われるか、あるいは真空雰囲気下において、赤外線(IR)ヒータを利用しても行われる。
吸湿率は、材料が吸湿している水分量を示す比率である。一般的に、吸湿率が高いとき、誘電率と誘電損失とが増大すると知られている。
基材外に、水蒸気状態で存在する水は、基材の誘電率と誘電損と失に実質的に影響を及ぼさない。しかしながら、水蒸気などが基材に吸湿された状態においては、水が液体状態で存在するが、そのような場合、基材の誘電率と誘電損失は、飛躍的に増大してしまう。従って、基材の吸湿率を低くすることは、絶縁フィルムとして、基材に非常に重要な要素として見ることができる。前記基材の吸湿率は、5重量%未満でもある。例えば、前記基材の吸湿率は、4重量%以下であるか、3重量%以下であるか、2重量%以下でもある。前記基材の吸湿率が5重量%以上であるならば、高周波回路における信号損失が増大してしまう。
前記基材は、ポリイミド系基材でもあり、前記ポリイミド系基材は、周波数20GHzにおいて、3.4以下の誘電率(D)、及び0.007以下の誘電損失(D)を有しうる。例えば、前記ポリイミド系基材は、周波数28GHzにおいて、3.3以下の誘電率(D)、及び0.005以下の誘電損失(D)を有しうる。例えば、前記ポリイミド系基材は、周波数28GHzにおいて、0.8dB/cm以下の伝送損失を有しうる。
前記基材のガラス転移温度(Tg)は、200℃以上でもある。前記基材は、十分な耐熱性を有することができ、高い温度範囲内、及び長時間の間、物理・化学的な変化が生じないのである。前記基材のガラス転移温度(Tg)が200℃以下である場合には、印刷回路基板製造工程において、基材が溶けたり、高温工程後、基材の寸法変化が生じたりして、回路基板反り現象が生じうる。
前記基材の厚みは、一般的に、5μmないし100μmでもある。例えば、前記基材の厚みは、10μmないし75μmでもあるか、12.5μmないし70μmでもあるか、12.5μmないし60μmでもあるか、12.5μmないし50μmでもあるか、あるいは12.5μmないし40μmでもある。前記基材の厚み範囲内において、外力によるしわ現象を抑制し、適切な耐熱性を維持し、取り扱いが容易にもなる。
前記基材は、表面にプラズマ処理を行うことができる。前記プラズマ処理は、RFプラズマまたはイオンビームことを使用することができる。前記プラズマ処理は、前記基材の一面または両面にも行われる。前記プラズマ処理により、基材表面の化学的活性を強化させることができるだけではなく、表面粗度を改善させ、前記基材と銅含有層との間に、接着力をさらに向上させることができる。
一具現例によるプライマー層は、シランカップリング剤を含む。
例えば、前記プライマー層は、下記化学式1で表されるシランカップリング剤を含んでもよい:
化学式1:RC2mSi(OC2n
化学式1で、
Rは、置換もしくは非置換のC-C20アルケニル基、-N(R)(R)、またはそれらの組み合わせであり、ここで、R、Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC-C10アルキル基、置換もしくは非置換のC-C10アルケニル基、置換もしくは非置換のC-C10アルキニル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C20ヘテロアリール基でもあり、
nは、1ないし5の整数でもあり、
mは、0ないし10でもある。
前記プライマー層は、アミノ系シラン化合物、ビニル系シラン化合物、またはそれら混合物を含んでもよい。前記アミノ系シラン化合物の含量は、ビニル系シラン化合物の含量と同一であるか、あるいはそれよりも多いのである。
前記プライマー層は、前記化学式1で表されるシランカップリング剤を含み、アミノ系シラン化合物が、ビニル系シラン化合物と同一であるか、あるいはそれよりも多い含量で含まれる場合、銅箔積層フィルムの基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力が向上され、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止が可能であり、印刷回路基板に適用することができる。
前記アミノ系シラン化合物対ビニル系シラン化合物の重量比は、1:1ないし9:1でもある。例えば、前記アミノ系シラン化合物対ビニル系シラン化合物の重量比は、1:1ないし8:1でもあるか、1:1ないし7:1でもあるか、1:1ないし6:1でもあるか、1:1ないし5:1でもあるか、あるいは1:1ないし4:1でもある。
前記ビニル系シラン化合物対アミノ系シラン化合物の重量比が前記範囲内であるならば、銅箔積層フィルムの基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力がされに向上され、印刷回路工程において、パターンの剥離防止または変形防止を容易にすることができる。
前記プライマー層表面に対するXRF(X-ray fluorescence spectrometry)分析によるSi含量は、10cpsないし120cpsでもある。例えば、前記プライマー層表面に対するXRF分析によるSi含量は、12cpsないし120cpsでもあるか、14cpsないし120cpsでもあるか、16cpsないし120cpsでもあるか、18cpsないし120cpsでもあるか、20cpsないし120cpsでもあるか、22cpsないし120cpsでもあるか、24cpsないし120cpsでもあるか、26cpsないし120cpsでもあるか、あるいは28cpsないし120cpsでもある。前記プライマー層表面に対するXRF分析によるSi含量が120cps超過であるならば、銅箔積層フィルムの基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力が低い。それにより、銅箔積層フィルム上に回路パターンを形成し、常温における塩酸処理後、前記銅箔積層フィルムから回路パターンを剥離するとき、一部回路パターンが剥離されるか、あるいはいずれも剥離されて落ちる現象を示すのである。
前記プライマー層表面の水接触角は、45°ないし70°でもある。前記プライマー層表面の水接触角が前記範囲内であるならば、基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力にすぐれ、常温において、塩酸処理後銅箔積層フィルムから回路パターンを剥離するとき、剥離現象が発生しない。
前記シランカップリング剤は、前記プライマー層全体重量を基準にし、0.01ないし10重量%未満の含量で含まれうる。例えば、前記プライマー層は、溶液塗布法を利用し、基材上にプライマー層形成用組成物を塗布して乾燥させても形成される。
前記プライマー層形成用組成物に使用された溶媒は、限定されるものではないが、例えば、前記溶媒は、水、アセトン、メタノール、エタノール及びイソプロパノールから選択される1種以上でもある。前記溶媒は、単独または混合して使用することができる。
前記プライマー層の厚みは、500nm以下でもある。例えば、前記プライマー層の厚みは、450nm以下でもあるか、400nm以下でもあるか、350nm以下でもあるか、300nm以下でもあるか、250nm以下でもあるか、200nm以下でもあるか、150nm以下でもあるか、100nm以下でもあるか、80nm以下でもあるか、60nm以下でもあるか、40nm以下でもあるか、あるいは20nm以下でもある。例えば、前記プライマー層の厚みは、18nm以下でもあるか、16nm以下でもあるか、あるいは15nm以下でもある。前記プライマー層の厚みが前述のように、薄膜厚である場合にも、基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力が向上しうる。
<銅含有層>
一具現例による銅含有層は、面心立方構造の結晶を有する。そのような面心立方構造の銅含有層は、多様な方向の結晶配向面または結晶方位面を有している。該結晶配向面または該結晶方位面の方向及び/または位置は、ミラー指数(Miller indices)で示すことができる。例えば、[111]方位面、[200]方位面、[220]方位面、[311]方位面及び[222]方位面は、それぞれ[111]方向の結晶配向面または結晶方位面、[200]方向の結晶配向面または結晶方位面、[220]方向の結晶配向面または結晶方位面、[311]方向の結晶配向面または結晶方位面、及び[222]方向の結晶配向面または結晶方位面のミラー指数を示す。そのような多様な方向の結晶面は、X線回折(XRD)分析によって特定することができる。
図3は、一具現例による銅箔積層フィルムの銅含有層に係わる[111]方位面、[200]方位面、[220]方位面、[311]方位面及び[222]方位面を示したXRD結果である。
図3を参照すれば、一具現例による銅箔積層フィルムの銅含有層に係わる[111]方位面は、ブラッグ2θ 43.4±0.5°でピークを示し、[200]方位面は、ブラッグ2θ 50.5±0.5°でピークを示し、[220]方位面は、ブラッグ2θ 74.2±0.5°でピークを示し、[311]方位面は、ブラッグ2θ 90.0±0.5°でピークを示し、[222]方位面は、ブラッグ2θ 95.2±0.5°でピークを示す。
一具現例による銅含有層は、X線回折(XRD)分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])が2.0以上でもある。XRD分析による前記銅含有層のピーク強度の比(I[200]/I[311])が前記範囲にあるならば、銅粒子間に生じた引っ張り応力及び弾性エネルギーの内部ストレスを解消するために、密度が低く、安定した状態に置かれているので、高い疲労寿命を有しうる。
前記銅含有層表面の表面粗度(R)は、0.1μm以下でもある。
25℃において、前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度は、0.80kgf/cm以上でもある。
150℃における2時間熱処理後、常温で30分間2回放置し、240℃における10分間追加熱処理後に測定した前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度は、0.45kgf/cm以上でもある。
一具現例による銅含有層は、銅シード層、または銅と、ニッケル、亜鉛、ベリリウム及びクロムのうちから選択された1種以上との銅合金シード層と、を含んでもよい。
前記銅含有層が、銅とニッケルとの銅合金シード層を含んでもよい。
例えば、前記銅合金シード層の銅とニッケルとの重量(%)比は、60:40ないし95:5でもあるか、あるいは60:40ないし90:10でもある。例えば、前記銅合金シード層は、銅、ニッケル以外に、亜鉛、ベリリウム及びクロムから選択された1種以上の合金シード層でもある。前述の銅、ニッケル以外の、亜鉛、ベリリウム及びクロムから選択された1種以上の金属の重量(%)比は、60:35:5ないし90:5:5でもあるか、あるいは60:35:5ないし80:15:5でもある。
前記銅合金シード層の芯部は、表面部よりニッケル元素の含量が多いものでもある。本明細書において芯部は、基材から銅含有シード層に向け、約0~60mmまでの領域を意味し、該表面部は、基材から銅含有シード層に向け、60mm超過の領域を意味する。そのような銅含有シード層は、基材を通過した水分と空気とが銅含有シード層で酸化されることを防止することができる。それにより、それを含む銅箔積層フィルム表面に、塩酸、ギ酸、硫酸のような酸で化学的研磨(soft etching)を行う場合、基材構造体と、銅含有シード層を含む銅含有層との剥離を防止することができる。銅含有シード層のニッケル元素の含量については、後述する図4Aないし図4CのTEM/EDAXで確認することができる。
前記銅シード層または前記銅合金シード層の表面に対するXPS分析時、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、下記数式1のピーク強度比を満足することができる:
数式1:ICu+Ni/ICu≦0.9
数式1で、
Cu+Niは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅合金シード層のピーク強度であり、
Cuは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅シード層のピーク強度である。
XPS分析時、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域は、酸化銅(Cu、0<x≦5、0<y≦5)ピーク領域を意味する。そのような酸化銅ピーク領域において、前記式1のピーク強度比を有する銅箔積層フィルムは、耐化学性にすぐれる。XPS分析結果は、後述する図5で確認することができる。
前記銅シード層または前記銅合金シード層は、スパッタ層でもある。
前記プライマー層の一面または両面に、10-4ないし10-2torrの減圧状態の真空タンク(tank)において、スパッタリングにより、前記銅シード層または前記銅合金シード層を蒸着させることができる。蒸着法としては、当該技術分野で使用可能な全ての蒸着法を使用することができるが、例えば、物理気相蒸着(PVD)、化学気相蒸着(CVD)、低圧化学気相蒸着(LPCVD)または真空蒸着などの方法を利用することができる。
前記銅含有層は、前記銅シード層または前記銅合金シード層の一面に、金属メッキ層をさらに含んでもよい。
例えば、前記金属メッキ層は、電解メッキ法を利用して形成される。
前記金属は、当業者が具現する金属質感により、適切な金属を選択することができる。例えば、前記金属は、金、銀、コバルト、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロムまたは銅でもある。例えば、前記金属は、銅でもある。
前記電解メッキは、当該技術分野で一般的に使用される方法を介して遂行することができる。前記電解メッキは、例えば、硫酸銅及び硫酸を基本物質にして電解メッキを実施し、前記銅シード層上または前記銅合金シード層上に、金属メッキ層を形成する方法によって遂行される。
前記電解メッキは、銅が15g/Lないし40g/L、例えば、15g/Lないし38g/L、例えば、17g/Lないし36g/Lの濃度で含まれたメッキ液を使用して実施することができる。前記電解メッキは、メッキ液の温度が、22℃ないし37℃、例えば、25℃ないし35℃、例えば、27℃ないし34℃にも維持される。前記メッキ液の温度範囲内において、メッキ層形成が容易であり、優秀な生産性を有しうる。
前記メッキ液のpHは、7超過でもある。選択的には、1種以上のpH調節剤は、前記メッキ液に含まれ、前記メッキ液のpHをアルカリ性pHに調節することができる。前記pH調節剤は、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基、またはそれら混合物を含んでもよい。例えば、前記無機酸は、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、またはそれら組み合わせを含んでもよい。例えば、前記無機塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはそれら組み合わせを含んでもよい。
一方、前記メッキ液には、生産性及び表面均一性のために、公知の添加剤、例えば、光沢剤、レベラ、補正剤、緩和剤などが添加されうる。
前記電解メッキは、電流密度が0.1A/mないし20A/m、例えば、0.1A/mないし17A/m、例えば、0.3A/mないし15A/mの条件で遂行されうる。前記電流密度の範囲内において、金属メッキ層形成が容易であり、優秀な生産性を有しうる。
前記銅含有層の厚みは、15μm以下でもある。例えば、前記銅含有層の厚みは、12.5μm以下でもある。
前記銅シード層または前記銅合金シード層の厚みは、50nmないし150nmでもある。例えば、前記銅シード層または前記銅合金シード層の厚みは、50nmないし140nmでもあるか、50nmないし130nmでもあるか、あるいは50nmないし120nmでもある。前記銅合金層が前記厚み範囲を有するならば、成膜時、導電性を確保することができ、低い表面粗度(R)を有する銅箔積層フィルムを提供することができる。
前記金属メッキ層の厚みは、0.1μmないし12μmでもある。例えば、前記金属メッキ層の厚みは、0.2μmないし12μmでもあるか、あるいは0.7μmないし12μmでもある。前記金属メッキ層の厚みが前記範囲内において、金属メッキ層形成が容易であり、生産性にすぐれ、基材構造体と銅含有層との間において、常温接着力及び耐熱接着力が向上されうる。
<銅箔積層フィルム及び電子素子>
一具現例による銅箔積層フィルムのJIS C 6471によるMIT測定による疲労寿命が、270回以上でもある。例えば、前記銅箔積層フィルムのJIS C 6471によるMIT測定による疲労寿命は、280回以上でもある。
他の一具現例による電子素子は、前述の銅箔積層フィルムを含んでもよい。例えば、前記電子素子は、電子回路素子または電子部品などを含んでもよい。例えば、前記電子回路素子は、半導体、印刷回路基板または配線基板などを含んでもよい。例えば、前記電子素子は、LCD、OLEDのようなディスプレイ素子を含んでもよい。
<銅箔積層フィルムの製造方法>
他の一具現例による銅箔積層フィルムの製造方法は、基材を準備する段階と、前記基材の少なくとも一面に、プライマー層形成用組成物を塗布し、プライマー層を形成する段階と、前記プライマー層上にスパッタリングでもって銅含有層を形成し、前述の銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含んでもよい。
前記銅箔積層フィルムの製造方法は、印刷回路工程において、パターンの剥離または変形を防止することができる。前記銅箔積層フィルムの製造方法は、高周波回路における信号損失を低減させることができる。
前記プライマー層を形成する段階後、プラズマ処理を行う段階をさらに含んでもよい。
前記化学式1で使用される置換(基)の定義について述べれば、次の通りである。
前記化学式1で使用されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基が有する「置換された」における「置換」は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたC-C10アルキル基(例:CCF、CHCF、CHF、CClなど)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸基やその塩、C-C10アルキル基、C-C10アルケニル基、C-C10アルキニル基、C-C20ヘテロアルキル基、C-C20アリール基、C-C20アリールアルキル基、C-C20ヘテロアリール基、またはC-C20ヘテロアリールアルキル基で置換されたものを意味する。
前記化学式1で使用されるC-C10アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、ter-ブチル、neo-ブチル、iso-アミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキル基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C10アルケニル基の具体的な例としては、ビニレン、アリレンなどを挙げることができ、前記アルケニル基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C20アルキニル基の具体的な例としては、アセチレンなどを挙げることができ、前記アルキニル基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C20シクロアルキル基の具体的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを挙げることができ、前記シクロアルキル基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C20シクロアルケニル基の具体的な例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを挙げることができ、前記シクロアルケニル基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C20アリール基は、単独または組み合わせて使用され、1以上の環を含む芳香族系であることを意味し、例えば、フェニル、ナフチルなどを挙げることができる。また、前記アリール基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
前記化学式1で使用されるC-C20ヘテロアリール基は、N、O、PまたはSのうちから選択された1以上のヘテロ原子を含み、残り環原子が炭素である有機化合物であるものを意味し、例えば、ピリジルなどを挙げることができる。また、前記ヘテロアリール基のうち1以上の水素原子は、前述の「置換」で定義したような置換基で置換可能である。
以下、実施例と比較例とを介し、本発明の構成、及びそれによる効果についてさらに詳細に説明する。しかしながら、本実施例は、本発明についてさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではないということは、自明な事実であるのである。
[実施例]
実施例1:銅箔積層フィルム
基材として、約25μm厚のポリイミドフィルム(PI尖端素材製、誘電率(D):3.3、誘電損失(D):0.005@28GHz)を準備した。
それと別途に、シランカップリング剤として、N-2-(アミノエチル)-8-アミノ-オクチル-トリメトキシシラン(N-2-(aminoethyl)-8-aminooctyl-trimethoxysilane)と7-オクテニルトリメトキシシラン(7-octenyltrimethoxysilane)とを1:0.5の重量比で、蒸溜水10gに混合して撹拌し、混合水溶液を得た。前記混合水溶液に、エタノール50g及びイソプロピルアルコール50gに溶解させ、1時間撹拌し、プライマー層形成用組成物を製造した。前記プライマー層形成用組成物を、前記ポリイミドフィルムの上面に、バーコータを利用して塗布し、150℃で約2分間乾燥させ、約300nm厚のプライマー層を形成した。前記プライマー層上に、RFプラズマ処理を行った。該RFプラズマ処理は、アルゴンガスと酸素ガスとを4:1体積比で投入し、約1,000W電力で行った。前記プライマー層の上面に、物理気相蒸着法(PVD)で、純度99.995%の銅を利用し、1,200Å厚に銅シード層を形成した。前記銅シード層上に、電解銅メッキ法で、約12μm厚の銅めっき層を形成し、銅箔積層フィルムを製造した。
使用した電解銅メッキ液は、Cu2+濃度28g/L、硫酸180g/Lの溶液であり、追加して光沢剤として、3-N,N-ジメチルアミノジチオカルバモイル-1-プロパンスルホン酸0.01g/Lと補正剤(Atotech社製品)とを含んだものを利用した。該電解メッキは、30℃で行い、電流密度1A/mで電流を印加して作製した。
実施例2:銅箔積層フィルム
基材として、50μm厚のポリイミドフィルム(PI尖端素材製、誘電率(D):3.3、誘電損失(D):0.005@28GHz)を準備したことを除いては、実施例1と同一方法で銅箔積層フィルムを作製した。
実施例3:銅箔積層フィルム
前記プライマー層の上面に、物理気相蒸着法(PVD)で、銅とニッケルとが90:10の重量(%)比を有する銅とニッケルとの合金を利用し、1,200Å厚の銅とニッケルとの銅合金シード層を形成したことを除いては、実施例1と同一方法で銅箔積層フィルムを作製した。
実施例4:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚のポリイミドフィルム(誘電率(D):3.4、誘電損失(D):0.007@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、アミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane)1gを使用し、約5nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例1と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例5:銅箔積層フィルム
シランカップリング剤として、アミノプロピルトリエトキシシラン5gを使用し、約15nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例6:銅箔積層フィルム
シランカップリング剤として、アミノプロピルトリエトキシシラン3gを使用し、約10nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例7:銅箔積層フィルム
シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン(vinyltriethoxysilane)0.2gとアミノプロピルトリエトキシシラン0.8gとを使用し、約5nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例8:銅箔積層フィルム
シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン0.2gとアミノプロピルトリエトキシシラン0.8gとを使用し、約5nm厚のプライマー層を形成し、前記プライマー層の上面に、物理気相蒸着法(PVD)でもって、銅とニッケルとが90:10の重量(%)比を有する銅とニッケルとの合金を利用し、1,200Å厚の銅とニッケルとの合金シード層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例9:銅箔積層フィルム
シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン2.5gとアミノプロピルトリエトキシシラン2.5gとを使用し、約15nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例10:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン0.6gとアミノプロピルトリエトキシシラン2.4gとを使用し、約10nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
実施例11:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、前記プライマー層の上面に、物理気相蒸着法(PVD)でもって、銅とニッケルとが90:10の重量(%)比を有する銅とニッケルとの合金を利用し、1,200Å厚の銅とニッケルとの銅合金シード層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例1:銅箔積層フィルム
基材として、約25μm厚の液晶ポリマー(LCP)フィルム(Kaneka社製、誘電率(D):3.1、誘電損失(D):0.0022@28GHz)を準備した。
それと別途に、約5,000cP粘度のジメチルアセトアミド(DMAC)溶媒に、ポリジアセチレン(PDA)-4,4’-オキシジアニリン(ODA)溶液と、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とを添加し、約1時間撹拌し、てポリアミン酸溶液の接着層形成用組成物を準備した。前記接着層形成用組成物を、前記液晶ポリマー(LCP)フィルムの上面に、バーコータを利用して塗布し、12μm厚の銅箔を、2個の回転するニップローラ間を通過させ、ラミネートされた銅箔積層フィルムを製造した。
比較例2:銅箔積層フィルム
基材として、約25μm厚の変性ポリイミド(m-PI:modified PI)フィルム(Kaneka社製、誘電率(D):3.1、誘電損失(D):0.006@28GHz)を準備した。
それと別途に、約5,000cP粘度のジメチルアセトアミド(DMAC)溶媒に、ポリジアセチレン(PDA)-4,4’-オキシジアニリン(ODA)溶液と、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)-ピロメリット酸二無水物(PMDA)溶液とを添加し、約1時間撹拌し、ポリアミン酸溶液の接着層形成用組成物を準備した。前記接着層形成用組成物を、前記変性ポリイミドフィルムの上面に、バーコータで利用して塗布し、12μm厚の銅箔を、2個の回転するニップローラ間を通過させ、ラミネートされた銅箔積層フィルムを製造した。
比較例3:銅箔積層フィルム
上面に、プライマー層形成用組成物を塗布していないおよそ50μm厚のポリイミドフィルム(誘電率(D):3.4、誘電損失(D):0.007@20GHz)を準備したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例4:銅箔積層フィルム
上面に、プライマー層形成用組成物を塗布していないおよそ50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例5:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン(信越化学工業、KBE-1003)10.5gとアミノプロピルトリエトキシシラン(ダウケミカル、OFS-6011)4.5gとを使用し、65nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例6:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン(信越化学工業、KBE-1003)9.0gとアミノプロピルトリエトキシシラン(ダウケミカル、OFS-6011)1.0gとを使用し、43nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例4と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例7:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、アミノプロピルトリエトキシシラン6.0gを使用し、45nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例10と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
比較例8:銅箔積層フィルム
基材として、約50μm厚の低誘電率ポリイミドフィルム(誘電率(D):3.2、誘電損失(D):0.004@20GHz)を準備し、シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシラン6.0gを使用し、30nm厚のプライマー層を形成したことを除いては、実施例10と同一方法で銅箔積層フィルムを製造した。
評価例1:物性評価
実施例1~11及び比較例1~8によって製造されたそれぞれの銅箔積層フィルムの物性を、下記のように評価した。その結果の一部を、下記の表1ないし表4、図4Aないし図4C、及び図5にそれぞれ示した。
(1)誘電率(D)及び誘電損失(D
それぞれの銅箔積層フィルムの基材につき、4cmx4cmサイズのサンプルに作り、ネットワークアナライザ(network analyzer、アンリツ社製)と、28GHzまたは20GHz空洞共振器(cavity resonator、AET社製)とを利用し、誘電率(D)及び誘電損失(D)を測定した。その結果を表1ないし表4に示した。
(2)プライマー層厚(nm)
それぞれの銅箔積層フィルムのプライマー層厚を、FIB(focused ion beam)-TEM装備を利用して測定した。その結果の一部を表3及び表4に示した。
(3)伝送損失(dB/cm)
実施例1及び比較例1,2の銅箔積層フィルムの基材につき、エッチングで、幅100μm、長さ100mm、縦方向40mm間隔に、10個の直線回路を形成した。その後、前記直線回路が形成された伝送路の各信号導体と接地導体とを測定器(vector network analyzer)の測定ポートにそれぞれ接続し、周波数28GHzまで信号を印加し、国際公開特許WO2005-101034に開示された測定方法で伝送損失を求めた。その結果を表1に示した。
(4)XRD分析(I[200]/I[311]
実施例1及び比較例1,2の銅箔積層フィルムの銅含有層または銅箔の[311]方位面及び[200]方位面のピーク強度につき、XRD(X線回折)分析を実施した。該XRD分析は、CuKα radiation(1.540598Å)を利用したRigaku RINT2200HF+回折計(diffractometer)を利用して実施し、[200]方位面は、ブラッグ2θ 50.5±0.5°でピークを示し、[311]方位面は、ブラッグ2θ 90.0±0.5°でピークを示した。銅箔積層フィルムの銅含有層または銅箔の[311]方位面及び[200]方位面のピーク強度から、[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比を計算した。その結果を表1に示した。
(5)表面粗度(R
実施例1及び比較例1,2の銅箔積層フィルムの表面につき、原子力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)で表面粗度(R)を測定した。表面粗度(R)は、測定区間全体を5等分し、各等分別に最大値を求め、求めた値の和を5で除して得た。その結果を表1に示した。
(6)MIT(疲労寿命:回)
実施例1及び比較例1,2の銅箔積層フィルムにつき、JIS C 6471により、MITで疲労寿命を測定した。MIT測定のために、それぞれの銅箔積層フィルムを15mmx170mmサイズに切り、パターン(幅:1,000μm(1mm))をエッチングした後、24時間保管し、オーブン器80℃で1時間保管したサンプルを準備した。前記サンプルの両端に、(+)電極、(-)電極をかけてMITを測定した。その結果を表1に示した。
MIT測定装備としてはs、SFT-9250(TOYO SEIKI社製)を使用した。
(7)表面接触角(°)
実施例4~6,8、及び比較例3,4の銅箔積層フィルムのプライマー層表面につき、接触角測定器(KYOUWA社製)を利用し、水3μL及びジヨードメタン1μLで表面接触角を測定した。その結果を表3に示した。
(8)TEM/EDAX分析:ニッケル元素の含量分布
実施例3の銅箔積層フィルムにつき、TEM/EDAXを利用し、深さ分析度(depth profile)、及びニッケル元素の含量分布を分析した。その結果を、図4Aないし図4Cに示した。
該分析に使用されたTEM/EDAXは、Titan G2 ChemiSTEM Cs Probe(FEI Company社製)装備を利用した。
(9)XPS分析
実施例2,3の銅箔積層フィルムにつき、その表面に、幅1mm回路パターンを形成し、回路パターンが形成された銅箔積層フィルムの全体の反対面を全面エッチングした後、前記回路パターンが形成された銅箔積層フィルムに対し、オーブン器で150℃温度で12時間熱処理した。その後、銅箔積層フィルムにおいて、銅含有層として、銅含有シード層及び銅メッキ層を、180°角及び50m/min速度で剥離した後、前記銅含有シード層表面に係わるXPSを分析した。その結果を、表2及び図5に示した。
該分析に使用されたXPSは、K-Alpha(ThermoFisher社製)装備を利用した。
(10)XRF分析:Si含量(cps)
実施例7,9~11及び比較例5~8の銅箔積層フィルムのプライマー層表面につき、XRF(X-ray fluorescence spectrometry;Minipal4、Panalytical社製)分析機器で、He(ヘリウム)雰囲気で6.2kv、45sの分析条件で、Si含量を測定した。その結果を表4に示した。
(11)基材構造体に対する銅含有層の接着力(または、剥離強度(kgf/cm))
1)接着力評価1
実施例1~3及び比較例1,2の銅箔積層フィルムにつき、3mm幅に切取線を入れ、サンプルを準備した。前記サンプルにつき、剥離強度試験機器(AG-50NIS、Shimazu社製)を利用し、50mm/min引っ張り速度、及び180°角度で剥離し、基材構造体に対する銅含有層の剥離強度(kgf/cm)を測定した。その結果を、表1及び表2に示した。
2)接着力評価2
実施例4~11及び比較例3~8の銅箔積層フィルムにつき、約3mm幅の回路パターンが形成されたサンプルを製造した。それぞれのサンプルにつき、接着力測定器(TA.XT.plus、Texture Analyser社製)を利用し、50mm/minの速度で25℃(「常温接着力」)、及び140℃~160℃で、160~180時間放置した後(「耐熱接着力」)、基材構造体から銅含有層を分離するときの剥離強度(kgf/cm)を測定した。その結果を、表3及び表4に示した。
(12)塩酸処理後の回路パターン剥離いかん
実施例2~6,8及び比較例3~4の銅箔積層フィルムにつき、その表面に、約1mm幅の回路パターンを形成し、回路パターンが形成された銅箔積層フィルム全体の反対面を全面エッチングした後、オーブン器で150℃温度で12時間熱処理した。その後、熱処理した銅箔積層フィルムを、塩酸(HCl)10%溶液に3分間浸漬し、剥離いかんを肉眼で観察した。回路パターンの剥離いかんは、次のような基準で判定した。その結果を、表2及び表3に示した。
X:銅箔積層フィルム上に回路パターンが付着している面積が90%以上(または、回路パターンの未剥離)
△:銅箔積層フィルム上に回路パターンが付着している面積が11%~89%である(または、回路パターンの一部剥離)
○:銅箔積層フィルム上に回路パターンが付着している面積が10%以下(または、回路パターンの全部剥離)
Figure 2023514919000002
表1から分かるように、実施例1の銅箔積層フィルムのポリイミドフィルム基材は、比較例2の銅箔積層フィルムの変性ポリイミド(m-PI)フィルム基材と比較し、周波数28GHzにおいて、誘電損失(D)が低く、比較例1,2の銅箔積層フィルムの基材と比較し、伝送損失が低かった。
実施例1のポリイミドフィルム基材及びシランカップリング剤含有プライマー層を含む銅箔積層フィルムは、比較例2の変性ポリイミド(m-PI)フィルム基材にポリアミン酸含有接着層がラミネートされた銅箔積層フィルムと比較し、XRD分析によるI[200]/I[311]が低かった。
実施例1のポリイミドフィルム基材及びシランカップリング剤含有の銅箔積層フィルムは、比較例1,2の液晶ポリマー(LCP)フィルム基材または変性ポリイミド(m-PI)フィルム基材に、ポリアミン酸含有接着層がラミネートされた銅箔積層フィルムと比較し、表面粗度が低く、疲労寿命が高かった。実施例1の銅箔積層フィルムは、基材構造体に対する銅含有層の接着力または剥離強度が、比較例1の銅箔積層フィルムと比較して大きかった。
それにより、実施例1の銅箔積層フィルムは、28GHzの高周波数において、低い誘電損失、低い伝送損失、及びXRD分析による低いI[200]/I[311]を有しながら、同時に高い疲労寿命と、高い基材構造体に対する銅含有層の接着力と、を有することを確認することができる。
Figure 2023514919000003
表2から分かるように、実施例3の銅とニッケルとの銅合金シード層を含む銅箔積層フィルムは、塩酸処理後、回路パターンの剥離現象が生じていない。それと比較し、実施例2の銅シード層を含む銅箔積層フィルムは、塩酸処理後、回路パターンが一部剥離された。
一方、図4Aを参照すれば、実施例3の銅箔積層フィルムは、下からポリイミドフィルム基材、プライマー層、及び銅とニッケルとの銅合金シード層が順に配されていることを確認することができる。図4B及び図4Cを参照すれば、実施例3の銅箔積層フィルムは、ポリイミドフィルム基材から銅含有層、具体的には、銅合金シード層に向け、約0~60mmまでの領域、すなわち、芯部が、ポリイミドフィルム基材から銅合金シード層に向かい、60mm超過の領域、すなわち、表面部よりニッケル元素の含量が多いということを確認することができる。
図5を参照すれば、実施例2の銅箔積層フィルムの銅シード層の結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、ピーク強度(ICu)に対する、実施例3の銅箔積層フィルムの銅とニッケルとの銅合金シード層の結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、ピーク強度(ICu+Ni)の比(ICu+Ni/ICu)は、0.87であった。
Figure 2023514919000004
表3から分かるように、実施例4~6及び8の銅箔積層フィルムのプライマー層表面の水接触角は、48°ないし69°であり、ジヨードメタン接触角は、33°ないし56°であった。実施例4~6及び8の銅箔積層フィルムの基材構造体に対する、銅含有層の25℃における剥離強度(「常温接着力」)は、0.80kgf/cm以上であり、140℃~160℃における剥離強度(「耐熱接着力」)は、0.45kgf/cm以上であり、常温における塩酸処理後、回路パターンの剥離現象が生じていない。
その結果、実施例4~6及び8の基材として、(低誘電率)ポリイミドフィルム、プライマー層としてアミノ系シランカップリング剤、またはアミノ系シランカップリング剤とビニル系シランカップリング剤とを15nm以下の厚みで含み、銅(合金)シード層を含む銅箔積層フィルムは、印刷回路基板製造工程において使用されうるということを確認することができる。
それと比較し、プライマー層を含んでいない比較例3~4の銅箔積層フィルムは、基材構造体に対する銅含有層の低い常温接着力と低い耐熱接着力とを示した。それにより、比較例3~4の銅箔積層フィルムに形成された回路パターンは、塩酸処理後、一部剥離現象が生じた。また、低誘電率ポリイミドフィルム基材を使用した比較例4の銅箔積層フィルムは、さらに低い常温接着力を示した。それは、低誘電率ポリイミドフィルム基材により、銅箔積層フィルム表面に反応性官能基が少なく、接着力が低下してしまうと見られる。
Figure 2023514919000005
表4から分かるように、実施例7,9~11の銅箔積層フィルムのプライマー層表面に係わるSi含量は、28cpsないし105cpsであった。実施例7,9~11の銅箔積層フィルムの基材構造体に対する、銅含有層の25℃における剥離強度(「常温接着力」)は、0.80kgf/cm以上であり、140℃~160℃における剥離強度(「耐熱接着力」)は、0.50kgf/cm以上であった。実施例7,9~11の銅箔積層フィルムの基材構造体に対する、銅含有層の常温接着力及び耐熱接着力は、比較例5~8の銅箔積層フィルムと比較して高かった。
その結果、実施例7,9~11の基材として、(低誘電率)ポリイミドフィルム、プライマー層として、アミノ系シランカップリング剤とビニル系シランカップリング剤とを15nm以下の厚みで含み、銅(合金)シード層を含む銅箔積層フィルムは、印刷回路基板製造工程において使用されうるということを確認することができる。
それと比較し、低誘電率ポリイミドフィルム基材を使用した比較例5~6の銅箔積層フィルムは、さらに低い常温接着力を示した。それは、低誘電率ポリイミドフィルム基材により、銅箔積層フィルム表面に反応性官能基が少なく、接着力が低下してしまうと見られる。比較例5の銅箔積層フィルムは、厚みが厚いプライマー層を含み、自家反応によるゲルが形成されるために、基材構造体に対する銅含有層の常温接着力及び耐熱接着力が低かった。比較例7~8によって製造された銅箔積層フィルムは、実施例11と同一条件で、銅含有層及び電解メッキ層を形成したが、適用されたプライマー層の組成差により、低い基材構造体に対する銅含有層の常温接着力と、低い耐熱接着力とを示し、塩酸処理後、基材構造体に対する銅含有層の剥離強度も低く、パターンが一部剥離される現象を示した。

Claims (23)

  1. 基材の少なくとも一面に、プライマー層が配された基材構造体と、
    前記基材構造体上に配された銅含有層と、を含み、
    前記銅含有層のX線回折(XRD)分析による[311]方位面のピーク強度に対する[200]方位面のピーク強度の比(I[200]/I[311])が2.0以上である、銅箔積層フィルム。
  2. 前記銅含有層表面の表面粗度(R)が0.1μm以下である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  3. 25℃において、前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度が0.80kgf/cm以上である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  4. 150℃における2時間熱処理後、常温で30分間2回放置し、240℃における10分間の追加熱処理後に測定した前記基材構造体に対する銅含有層の剥離強度が0.45kgf/cm以上である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  5. 前記銅含有層が、銅シード層、または銅と、ニッケル、亜鉛、ベリリウム及びクロムのうちから選択された1種以上との銅合金シード層を含む、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  6. 前記銅含有層が、銅とニッケルとの銅合金シード層を含み、
    前記銅合金シード層の芯部が表面部よりニッケル元素の含量が多い、請求項5に記載の銅箔積層フィルム。
  7. 前記銅シード層または前記銅合金シード層の表面に対するXPS分析時、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、下記数式1のピーク強度比を満足する、請求項5に記載の銅箔積層フィルム:
    数式1:ICu+Ni/ICu≦0.9
    数式1で、
    Cu+Niは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅合金シード層のピーク強度であり、
    Cuは、結合エネルギー933.58eVないし953.98eVの領域において、銅シード層のピーク強度である。
  8. 前記銅シード層または前記銅合金シード層がスパッタ層である、請求項5に記載の銅箔積層フィルム。
  9. 前記銅シード層または前記銅合金シード層の一面に、金属メッキ層をさらに含む、請求項5に記載の銅箔積層フィルム。
  10. 前記基材がポリイミド系基材であり、
    前記ポリイミド系基材が、周波数20GHzにおいて、3.4以下の誘電率(D)、及び0.007以下の誘電損失(D)を有する、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  11. 前記ポリイミド系基材が、周波数28GHzにおいて、3.3以下の誘電率(D)及び0.005以下の誘電損失(D)を有する、請求項10に記載の銅箔積層フィルム。
  12. 前記ポリイミド系基材が、周波数28GHzにおいて、0.8dB/cm以下の伝送損失を有する、請求項10に記載の銅箔積層フィルム。
  13. 前記基材の厚みが5μmないし100μmである、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  14. 前記プライマー層が、下記化学式1で表されるシランカップリング剤を含む、請求項1に記載の銅箔積層フィルム:
    化学式1:RC2mSi(OC2n
    化学式1で、
    Rは、置換もしくは非置換のC-C20アルケニル基、-N(R)(R)、またはそれらの組み合わせであり、ここで、R、Rは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のC-C10アルキル基、置換もしくは非置換のC-C10アルケニル基、置換もしくは非置換のC-C10アルキニル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC-C20シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC-C20アリール基、または置換もしくは非置換のC-C20ヘテロアリール基であり、
    nは、1ないし5の整数であり、
    mは、0ないし10である。
  15. 前記プライマー層がアミノ系シラン化合物、ビニル系シラン化合物、またはそれら混合物を含む、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  16. 前記アミノ系シラン化合物対ビニル系シラン化合物の重量比が1:1ないし9:1である、請求項15に記載の銅箔積層フィルム。
  17. 前記プライマー層表面に対するXRF(X-ray fluorescence spectrometry)分析によるSi含量が10cpsないし120cpsである、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  18. 前記プライマー層表面の水接触角が45°ないし70°である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  19. 前記プライマー層の厚みが500nm以下である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  20. 前記基材の厚みが25μm厚であるとき、前記フィルムのJIS C 6471によるMIT測定による疲労寿命が、270回以上である、請求項1に記載の銅箔積層フィルム。
  21. 請求項1ないし20のうちいずれか1項に記載の銅箔積層フィルムを含む、電子素子。
  22. 基材を準備する段階と、
    前記基材の少なくとも一面に、プライマー層形成用組成物を塗布し、プライマー層を形成する段階と、
    前記プライマー層上にスパッタリングで銅含有層を形成し、請求項1ないし20のうちいずれか1項に記載の銅箔積層フィルムを製造する段階と、を含む、銅箔積層フィルムの製造方法。
  23. 前記プライマー層を形成する段階後、プラズマ処理を行う段階をさらに含む、請求項22に記載の銅箔積層フィルムの製造方法。
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