JP2023514819A - 血圧異常症を予防及び治療する方法並びに薬剤 - Google Patents

血圧異常症を予防及び治療する方法並びに薬剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験者に有効量のプラスミノーゲン活性化経路の成分を投与することを含む、血圧異常症を治療する方法に関する。本発明はまた、血圧異常症を治療するための薬剤及び製品、ならびにその使用に関する。

Description

本発明は、血圧異常症及びその合併症を治療する方法及び薬剤に関する。
高血圧症は世界で多発する疾患の1つであり、中国ではその発生率が年々増加している。高血圧は、心臓、脳、腎臓などの内臓の合併症を引き起こし、障害や死に至る。高血圧の害は、最も一般的な合併症の脳卒中など、心臓、脳、腎臓などの複数の臓器やシステムの病変につながる可能性があることである。そして、高血圧は、心筋肥大、冠動脈硬化症、不整脈、心不全など、関連する心臓の損傷につながる。高血圧はまた、しばしば腎臓の損傷及び末梢血管疾患が伴う。高血圧は中期から後期に進行すると、網膜症が発生することがある。糖尿病はまた、高血圧の一般的な合併症の1つである。高血圧の予防と治療に関する研究は、世界中の学者の注目を集めている。また、高血圧の合併症を効果的に予防及び治療することで、患者の罹患率と死亡率を大幅に減らすことができる。
本発明は、プラスミノーゲンが高血圧によって引き起こされる組織及び器官の損傷、線維化及び機能障害を改善しながら、高血圧を有意に低下させることができることを発見し、高血圧及び関連疾患ならびに合併症の予防及び治療のための新しい道を開く。
本出願は、プラスミノーゲンなどのプラスミノーゲン活性化経路の成分の、(高血圧症及び低血圧症を含む)血圧異常症の予防及び治療における方法、使用及び薬剤に関する。本出願は研究によって、プラスミノーゲンなどのプラスミノーゲン活性化経路の成分が、高血圧症または低血圧症を患っている被験者の血圧を正常値に戻すことを促進できるとともに、異常な血圧(例えば、高血圧または低血圧)によって引き起こされる心臓、肺、腎臓、肝臓などの組織器官の構造の損傷と機能的損傷を軽減及び緩和できることを証明した。
具体的には、本発明は下記のことに係る。
1、一態様では、本願は、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の有効量の化合物を高血圧症の被験者に投与することを含む、高血圧症を予防または治療する方法に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物の、高血圧症を予防または治療する薬剤の調製における使用に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物を含む、高血圧症を予防または治療する薬剤に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物の、高血圧症の予防または治療における使用に関する。
2、前記プラスミノーゲン活性化経路の成分が、プラスミノーゲン、組換えヒトプラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、プラスミン、プラスミノーゲンとプラスミンの1つ以上のkringleドメイン及びプロテアーゼドメインを含むプラスミノーゲン及びプラスミン変異体並びに類縁体、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)、ミニプラスミン(mini-plasmin)、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、マイクロプラスミン(micro-plasmin)、delta-プラスミノーゲン、delta-プラスミン(delta-plasmin)、プラスミノーゲン活性化剤、tPA、及びuPAから選択されるものである、項1に記載の方法、使用、または薬剤。
3、前記線維素溶解阻害剤の拮抗剤が、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミンまたはα2マクログロブリンの阻害剤、例えば、抗体である、項1に記載の方法、使用、または薬剤。
4、前記高血圧症が、高血圧による心臓、脳、肺、肝臓、腎臓、もしくは血管の損傷または合併症を含む、項1に記載の方法、使用、または薬剤。
5、前記合併症が、不整脈、心不全、脳出血、脳血栓症、脳梗塞、高血圧性腎症、腎不全、尿毒症、肝硬変、肺高血圧症、肺線維症、及び微小血栓症を含む、項4に記載の方法、使用、または薬剤。
6、前記化合物が、高血圧症の被験者の血圧を下げる効果、高血圧症の被験者の血清アンギオテンシンIIレベルを下げる効果、被験者のACEまたはACE2のレベルを調節する効果、高血圧によって引き起こされる組織及び器官の損傷を軽減する効果、損傷した組織及び器官の修復を促進する効果、組織及び器官の繊維化を軽減する効果、及びフリーラジカルの除去を促進する効果から選択される1つ以上の効果を有する、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
7、前記損傷した組織及び器官の修復を促進することが、損傷した心臓組織、脳組織、肺組織、腎臓組織もしくは肝臓組織の構造または機能の回復を促進することである、項6に記載の方法、使用、または薬剤。
8、前記組織及び器官の繊維化を軽減することが、心臓組織、肺組織、腎臓組織または肝臓組織の線維化を減少させることを含む、項6に記載の方法、使用、または薬剤。
9、前記化合物がSOD産生を促進することによってフリーラジカルを除去する、項6に記載の方法、使用、または薬剤。
10、前記化合物がプラスミノーゲンである、項1~9のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
11、前記プラスミノーゲンが、配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有する、項1~9のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
12、前記プラスミノーゲンが、配列14に示されるプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を有する、項1~11のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
13、前記プラスミノーゲンがGlu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta-プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲンタンパク質加水分解活性を保持した変異体から選択されるものである、項1~9のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
14、前記プラスミノーゲンが、天然もしくは合成のヒトプラスミノーゲン、またはそのプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性もしくはリジン結合活性を保持した変異体もしくはフラグメントである、項1~9のいずれか1項に記載の方法、使用、または薬剤。
15、前記化合物が、1つまたは複数の他の治療方法または薬剤と組み合わせて使用する、項1~14のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
16、前記他の薬剤が、降圧薬、ホルモン、免疫抑制剤、抗生物質または抗ウイルス薬を含む、項15に記載の方法、使用、または薬剤。
17、前記化合物が、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点耳薬または点眼薬によって投与され、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内、直腸内及び/または筋肉内によって投与される、項1~16のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
本発明はまた下記のことに係る。
1、一態様では、本願は、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の有効量の化合物を血圧異常症の被験者に投与することを含む、異常な血圧または血圧異常症を予防または治療する方法に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物の、異常な血圧または血圧異常症を予防または治療する薬剤の調製における使用に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物を含む、異常な血圧または血圧異常症を予防または治療する薬剤に関する。
一態様では、本願はまた、プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の化合物の、異常な血圧または血圧異常症の予防または治療における使用に関する。
本出願の前記異常な血圧または血圧異常症は、血圧が正常レベルより高い高血圧または高血圧症、及び血圧が正常レベルより低い低血圧または低血圧症を含む。したがって、本出願は、上記の1つ以上の化合物を使用して、高血圧症の被験者における高血圧または低血圧症の被験者における低血圧を正常レベルに回復させるための方法、使用及び薬剤に関する。
2、前記プラスミノーゲン活性化経路の成分が、プラスミノーゲン、組換えヒトプラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、プラスミン、プラスミノーゲンとプラスミンの1つ以上のkringleドメイン及びプロテアーゼドメインを含むプラスミノーゲン及びプラスミン変異体並びに類縁体、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)、ミニプラスミン(mini-plasmin)、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、マイクロプラスミン(micro-plasmin)、delta-プラスミノーゲン、delta-プラスミン(delta-plasmin)、プラスミノーゲン活性化剤、tPA、及びuPAから選択されるものである、項1に記載の方法、使用、または薬剤。
3、前記線維素溶解阻害剤の拮抗剤が、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミンまたはα2マクログロブリンの拮抗剤、例えば、抗体である、項1に記載の方法、使用、または薬剤。
4、前記血圧異常症が、血圧異常症によって引き起こされる組織及び器官の損傷または合併症を含む、項1~3のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。いくつかの実施形態では、前記組織及び器官の損傷または合併症は、心臓、脳、肺、肝臓、腎臓または血管の損傷または合併症である。いくつかの実施形態では、前記組織及び器官の損傷は、組織器官の構造損傷(例えば、正常組織の構造の変化)または組織器官の機能損傷(例えば、組織器官の機能低下)である。
上記の実施形態において、前記血圧異常症は、高血圧症または低血圧症を含む。
5、前記血圧異常症によって引き起こされる合併症が、高血圧によって引き起こされる合併症であり、不整脈、心不全、冠状動脈性心疾患、脳出血、脳血栓症、脳梗塞、高血圧性腎症、腎不全、尿毒症、肝硬変、肺高血圧症、肺線維症、または微小血栓症を含む、項4に記載の方法、使用、または薬剤。
前記血圧異常症によって引き起こされる合併症が、低血圧によって引き起こされる合併症であり、低血圧症による組織器官への供血不足、例えば、心臓供血不足、狭心症、ショック、脳供血不足、失神、脳梗塞、腎供血不足、乏尿、タンパク尿及び腎機能不全を含む、項4に記載の方法、使用、または薬剤。
6、前記化合物が、高血圧症の被験者の血圧を下げる効果、高血圧症の被験者の血清アンギオテンシンIIのレベルを下げる効果、被験者のACEまたはACE2のレベルを調節する効果、低血圧症の被験者の血圧を上昇させる効果、高血圧症の被験者または低血圧症の被験者の血圧を正常なレベルに戻すことを促進する効果、高血圧または低血圧によって引き起こされる組織及び器官の損傷を軽減する効果、損傷した組織及び器官の修復を促進する効果、組織及び器官の繊維化を軽減する効果、及びフリーラジカルの除去を促進する効果から選択される1つ以上の効果を有する、項1~5のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
7、前記損傷した組織及び器官の修復を促進することが、損傷した心臓組織、脳組織、肺組織、腎臓組織もしくは肝臓組織の構造または機能の回復を促進することである、項1~6のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
8、前記組織及び器官の繊維化を軽減することが、心臓組織、肺組織、腎臓組織または肝臓組織の線維化を減少させることを含む、項1~7のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
9、前記化合物がSOD産生を促進することによってフリーラジカルを除去する、項1~8のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
10、前記化合物がプラスミノーゲンである、項1~9のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
11、前記プラスミノーゲンが、配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有する、項1~10のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
12、前記プラスミノーゲンが、配列14に示されるプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を有する、項1~11のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
13、前記プラスミノーゲンがGlu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta-プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲンタンパク質加水分解活性を保持した変異体から選択されるものである、項1~12のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
14、前記プラスミノーゲンが、天然もしくは合成のヒトプラスミノーゲン、またはそのプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性もしくはリジン結合活性を保持した変異体もしくはフラグメントである、項1~13のいずれか1項に記載の方法、使用、または薬剤。
15、前記化合物が、1つまたは複数の他の治療方法または薬剤と組み合わせて使用する、項1~14のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
16、前記他の薬剤が、血圧異常症の被験者における血圧異常症以外の他の疾患を治療するための薬剤である、項15に記載の方法、使用、または薬剤。
17、前記化合物が、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点耳薬または点眼薬によって投与され、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内、直腸内及び/または筋肉内によって投与される、項1~16のいずれか一項に記載の方法、使用、または薬剤。
本発明の一態様はまた、被験者の血圧異常症(例えば、高血圧症または低血圧症)及び関連する損傷または合併症を予防または治療するためのプラスミノーゲン、プラスミノーゲンを含む薬剤、薬剤組成物、キット、製品に関する。
本発明の一態様はまた、ラスミノーゲン、プラスミノーゲンを含む薬剤、薬剤組成物、キット、製品に関し、被験者の血圧異常症(例えば、高血圧症または低血圧症)及び関連する損傷または合併症の予防または治療における、以上の方法のプラスミノーゲン、プラスミノーゲンを含む薬剤、薬剤組成物、キット、製品の使用に関する。
本願の上記いずれか1つの実施形態において、前記プラスミノーゲンが配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有し得る。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、配列2、6、8、10または12に基づいて、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換され、かつ依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有するタンパク質である。
一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性フラグメントを含み、且つ依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有するタンパク質である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、Glu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ-プラスミノーゲンまたはそれらのタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した変異体である。上記実施形態において、前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然プラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した変異体若しくはフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンのアミノ酸は配列2、6、8、10または12に示される。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンである。
一部の実施形態において、前記被験者はヒトである。一部の実施形態において、前記被験者はプラスミノーゲンが不足、または欠乏している。一部の実施形態において、前記不足または欠乏は、先天的、継発的及び/または局所的である。
いくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、薬学的に許容される担体と、前述の方法で使用するプラスミノーゲンとを含む。いくつかの実施形態では、前記キットは、(i)前述の方法で使用するプラスミノーゲン、及び(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための部材(means)を含む、予防または治療キットであり得る。いくつかの実施形態では、前記部材は注射器またはバイアルである。いくつかの実施形態では、前記キットは、前述の方法のいずれかを実施するために前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するためのラベルまたはプロトコルをさらに含む。
いくつかの実施形態では、前記製品は、ラベルを含む容器と、(i)前述の方法で使用するためのプラスミノーゲンまたはプラスミノーゲンを含む医薬組成物とを含み、前記ラベルは、前述の方法のいずれかを実施するために前記プラスミノーゲンまたは組成物を前記被験者に投与することを指示する。
いくつかの実施形態では、前記キットまたは製品は、他の薬剤を含む1つまたは複数の追加の部材または容器をさらに含む。
前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは全身または局所にて投与され、好ましくは、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点耳薬または点眼薬によって投与され、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内、直腸内及び/または筋肉内によってプラスミノーゲンを投与することで治療する。前記方法のいくつかの実施形態では、前記プラスミノーゲンは、適切なポリペプチド担体または安定剤と組み合わせて投与される。前記方法の一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは毎日0.0001~2000mg/kg、0.001~800mg/kg、0.01~600mg/kg、0.1~400mg/kg、1~200mg/kg、1~100mg/kg、10~100mg/kg(体重1キロあたりで計算)または0.0001~2000mg/cm、0.001~800mg/cm、0.01~600mg/cm、0.1~400mg/cm、1~200mg/cm、1~100mg/cm、10~100mg/cm(体表面積平方センチメートルあたりで計算)の用量で投与し、好ましくは一回以上繰り返し、好ましくは少なくとも毎日投与する。
本発明は、本発明の実施形態に属する技術的特徴のすべての組み合わせを明確にカバーし、これらの組み合わせ後の技術構成は、上記の技術構成が別個に明確に開示されたのと同様に、本出願において明確に開示された。さらに、本発明はまた、各実施形態とそれらの要素との間の組み合わせを明確にカバーし、組み合わせ後の技術構成は、本明細書に明確に開示されている。
図1A~1Bは、15~16週齢の糖尿病高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを21日間投与した後の血圧測定結果を示す図である。図1Aは収縮圧を示し、図1Bは平均圧を示す。その結果、投与21日後、PBS投与対照群のマウスの血圧は、投与前と比較して有意な変化はなかったが、プラスミノーゲン投与群のマウスの収縮圧及び平均圧は有意に低下し、いずれも溶媒PBS投与対照群よりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表し、**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンが15~16週齢の糖尿病マウスの高血圧を有意に低下させることができることを示している。 図2A~2Bは、25~26週齢の糖尿病高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを21日間投与した後の血圧測定結果を示す図である。図2Aは収縮圧を示し、図2Bは平均圧を示す。その結果、投与21日後、PBS投与対照群のマウスの収縮圧は、投与前と比較して有意な変化はなかったが、プラスミノーゲン投与群のマウスの収縮圧は投与7日後に有意に低下し始め、溶媒PBS投与対照群よりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(P=0.019)。投与の14、21日後に、2つの群のマウスの間の差は有意であった。投与の21日後に、プラスミノーゲン投与群のマウスの平均圧は溶媒PBS投与対照群よりも低く、その差は有意に近かった(P=0.09)。これは、プラスミノーゲンが25~26週齢の糖尿病マウスの高収縮圧を有意に低下させることができることを示している。 図3は、15~16週齢の糖尿病高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の血清アンギオテンシンIIの検出結果を示す図である。その結果、プラスミノーゲンを28日間投与した後、プラスミノーゲン投与群の血清アンギオテンシンIIのレベルは、溶媒PBS投与対照群よりも有意に低かった。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの血清アンギオテンシンIIのレベルを低下させ、それによって高血圧を改善できることを示している。 図4A~4Bは、25~26週齢の糖尿病高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の心臓のH&E染色の代表的な写真を示す図である。図4Aは溶媒PBS投与対照群、図4Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群(図4A)と比較して、プラスミノーゲン投与群(図4B)のマウスの心筋細胞はより密集し、より規則的に配置されている。 図5A~5Bは、25~26週齢の糖尿病高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の腎臓のSR染色の代表的な写真を示す図である。図5Aは溶媒PBS投与対照群、図5Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、プラスミノーゲン投与28日後、プラスミノーゲン投与群の腎臓におけるコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群より有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの腎線維化を有意に減少させることができることを示している。 図6は、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを14日間投与した後の血清SODレベルの検出結果を示す図である。その結果、ブランク対照群の血清には一定レベルのSODがあり、溶媒PBS投与対照群の血清SODレベルは有意に低下し、プラスミノーゲン投与群の血清SODレベルは溶媒PBS投与対照群よりも有意に高く、しかもその差は統計学的に有意であった(*はP<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンがフリーラジカルを除去する生体の能力を高めることができることを示している。 図7A~7Cは、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを14日間投与した後の腎臓のシリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図7Aはブランク対照群、図7Bは溶媒PBS投与対照群、図7Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの腎臓には明らかなコラーゲン線維の沈着はなく、プラスミノーゲン群のコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの腎線維化を有意に減少させ、高血圧による腎病変を改善できることを示している。 図8A~8Cは、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを14日間投与した後の心臓のシリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図8Aはブランク対照群、図8Bは溶媒PBS投与対照群、図8Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの心臓には明らかなコラーゲン線維の沈着はなく、プラスミノーゲン群のコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの心線維化を有意に減少させ、高血圧による心臓病変を改善できることを示している。 図9A~9Cは、モノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の肺シリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図9Aはブランク対照群、図9Bは溶媒PBS投与対照群、図9Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの肺には基本的にコラーゲン沈着はなく、プラスミノーゲン群のマウスの肺組織のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺高血圧症モデルマウスの肺の線維化を有意に減少させることができることを示している。 図10A~10Cは、モノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の心臓シリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図10Aはブランク対照群、図10Bは溶媒PBS投与対照群、図10Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの心臓には基本的にコラーゲン沈着はなく、プラスミノーゲン群のマウスの心臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの心臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。 図11A~11Cは、モノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の腎臓のシリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図11Aはブランク対照群、図11Bは溶媒PBS投与対照群、図11Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの腎臓には基本的にコラーゲン沈着はなく、プラスミノーゲン群のマウスの腎臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺高血圧症モデルマウスの腎臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。 図12A~12Cは、モノクロタリンによって誘発された肺高血圧症モデルマウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の肝臓のシリウスレッド染色の代表的な写真を示す図である。図12Aはブランク対照群、図12Bは溶媒PBS投与対照群、図12Cはプラスミノーゲン投与群である。その結果、ブランク対照群のマウスの肝臓には基本的にコラーゲン沈着はなく、プラスミノーゲン群のマウスの肝臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの肝臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。 図13は、腎萎縮モデルマウスにプラスミノーゲンを14日間投与した後の血圧測定結果を示す図である。その結果、プラスミノーゲン投与群及びブランク対照群の収縮圧及び平均圧は、PBS対照群の血圧よりも有意に高く、プラスミノーゲン投与群とPBS対照群との間の差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表す)。これは、プラスミノーゲンが腎萎縮による低血圧の正常レベルへの回復を促進できることを示している。 図14は、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを5日間投与した平均圧及び収縮圧の測定結果を示す図である。その結果、ブランク対照群のマウスは一定レベルの平均圧及び収縮圧を有し、溶媒群のマウスの平均圧及び収縮圧は有意に上昇し、投与群のマウスの平均圧及び収縮圧は溶媒群のマウスよりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表し、**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンが高血圧モデルマウスの血圧を下げることができることを示している。 図15は、24~25週齢の糖尿病マウスにプラスミノーゲンを28日間投与した後の血清ACE2レベルの検出結果を示す図である。その結果、投与群のマウスの血清ACE2レベルは溶媒群よりも有意に高く、しかもその統計学的差は有意に近かった(P=0.057)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの血清ACE2レベルの上昇を促進できることを示している。 図16は、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを7日間投与した後の血清ACE2レベルの検出結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスの血液には一定レベルのACE2があり、溶媒群マウスの血液中のACE2レベルはブランク対照群マウスよりも有意に高く、投与群マウスの血液中のACE2レベルは溶媒群マウスよりも有意に低く、しかもその差は統計的に極めて有意であった(**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンがAngIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACE2レベルの低下を促進できることを示している。 図17は、アンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスにプラスミノーゲンを7日間投与した後の血清ACEレベルの検出結果を示す図である。その結果、ブランク対照群マウスの血液には一定レベルのACEがあり、溶媒群マウスの血液中のACEレベルはブランク対照群マウスよりも有意に高く、投与群マウスの血液中のACEレベルは溶媒群マウスよりも有意に低く、しかもその統計学的差は有意に近かった(P=0.051)。これは、プラスミノーゲンがAngIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACEレベルの低下を促進できることを示している。 図18は、患者の投薬中の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。その結果、患者の収縮圧は投与後6日目に141mmHgまで低下し、11日目で血圧が変動して不安定(正常と異常の交互)になり、12日目以降は血圧が下がり、一週間内で正常で安定していた。これは、プラスミノーゲンが高血圧患者の血圧を下げることができることを示している。 図19は、患者の投薬中の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。その結果、患者の血圧は投与後13日目に135/54mmHgであり、その後は正常で安定しており、基本的に降圧薬を必要としなかった。これは、プラスミノーゲンが高血圧を治療できることを示している。 図20は、患者の投薬中の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。その結果、投与後、拡張圧は、以前の60mmHg未満から正常値に達し、治療中の血圧は正常で安定しており、治療後、降圧薬は半減し、血圧は基本的に130~140/64~76mmHgに制御された。これは、プラスミノーゲンが高血圧患者の血圧を正常に戻すことを促進し、降圧薬の投与量を減らすことができることを示している。 図21A~21Bは、患者の投薬中の朝(21A)及び夕方(21B)の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。投薬5日目以降、朝晩の血圧が下がり始め、血圧差が小さくなった。患者は、以前降圧薬を服用しても血圧が140/75mmHg以下に下がったこともなかったが、初めて改善したと報告した。投薬の6日目から朝晩の血圧は約136/73mmHgを維持していた。投薬の7日目から朝晩の血圧は安定しており、血圧は約130/70mmHgであった。これは、プラスミノーゲンが患者の高血圧症の症状を改善できることを示している。 図22は、患者の投薬中の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。その結果、血圧は投与後に上昇傾向を示し、投薬3日目に初めて正常血圧が現れた。血圧は投薬9日目から正常になり始め、それ以降血圧は常に正常であり、投薬中止後、血圧は95/70mmHgを維持していた。これは、プラスミノーゲンが低血圧患者の血圧回復を促進できることを示している。 図23は、患者の投薬中の収縮圧(高圧)及び拡張圧(低圧)の検出結果を示す図である。その結果、投薬後、患者の精神状態は改善し、血圧は投薬の翌日に正常に戻り、1週間後に約110/70mmHgに達した。これは、プラスミノーゲンが低血圧患者の血圧回復を促進できることを示している。
発明の詳細な説明
線維素溶解系(Fibrinolytic system)は、線溶系とも呼ばれ、線維素溶解(線溶)の過程に関与する一連の化学物質からなる系であり、主にプラスミノーゲン(PLG)、プラスミン、プラスミノーゲン活性化因子、及び線維素溶解阻害剤を含む。プラスミノーゲン活性化因子には、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、及びウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u-PA)が含まれる。t-PAはセリンプロテアーゼであり、血管内皮細胞によって合成される。t-PAはプラスミノーゲンを活性化し、このプロセスは主にフィブリンで行われる。ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u-PA)は、尿細管上皮細胞と血管内皮細胞によって産生され、補因子としてフィブリンを必要とすることなくプラスミノーゲンを直接活性化することができる。プラスミノーゲン(PLG)は肝臓で合成される。血液が凝固すると、PLGはフィブリンネットに大量に吸着され、t-PAまたはu-PAの作用によりプラスミンに活性化されて線維素溶解を促進する。プラスミナーゼ(PL)はセリンプロテアーゼであり、フィブリンとフィブリノーゲンを分解し、様々な凝固因子V、VIII、X、VII、XI、IIなどを加水分解し、プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、補体を加水分解するなどの作用がある。線維素溶解阻害剤には、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI)、及びα2-抗チプラスミン(α2-AP)が含まれる。PAIには主にPAI-1とPAI-2の2つの形態があり、t-PAに1:1の比率で特異的に結合し、それによってそれを不活性化すると同時にPLGを活性化することができる。α2-APは肝臓で合成され、PLと1:1の比率で結合して複合体を形成し、それによってPL活性を阻害する。FXIIIはα2-APをフィブリンと共有結合させ、それによってPLに対するフィブリンの感受性を弱める。インビボでの線維素溶解系の活性を阻害する物質としては、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミン、及びα2-マクログロブリンが挙げられる。
本明細書で使用される「プラスミノーゲン活性化経路の成分」という用語は、
1、プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、delta-プラスミノーゲン、それらの変異体または類縁体;
2、プラスミン及びそれらの変異体または類縁体;及び
3、プラスミノーゲン活性化剤、例えば、tPA及びuPA、ならびにtPAまたはuPAの1つ以上のドメイン(1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメインなど)を含むtPAまたはuPA変異体及び類縁体をカバーする。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」は、すべての天然に存在するヒトの遺伝的変異体及びこれらのタンパク質の他の哺乳動物型、並びに、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換されてかつ依然としてプラスミノーゲン活性、プラスミン活性、tPAまたはuPA活性を有するタンパク質を含む。例えば、プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの「変異体」は、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個の保存的アミノ酸によって置換されて得られるこれらのタンパク質の突然変異体を含む。
本発明の「プラスミノーゲン変異体」は、配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有するタンパク質をカバーする。例えば、本発明の「プラスミノーゲン変異体」は、配列2、6、8、10または12に基づいて、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を追加、削除、及び/または置換し、且つ依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有するタンパク質であり得る。具体的には、本発明のプラスミノーゲン変異体は、すべての天然に存在するヒトの遺伝的変異体及びこれらのタンパク質の他の哺乳動物型、並びに、例えば、1~100、1~90、1~80、1~70、1~60、1~50、1~45、1~40、1~35、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~4、1~3、1~2、1個のアミノ酸を保存的置換によって得られるこれらのタンパク質の突然変異体を含む。
本発明のプラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した変異体、例えば、配列2、6、8、10または12に示されるプラスミノーゲン、例えば、配列2に示されるヒト天然プラスミノーゲンであり得る。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「類縁体」はそれぞれ、プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAと実質的に同様の効果を与える化合物を含む。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のドメイン(例えば、1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むプラスミノーゲン、プラスミン、tPA及びuPAの「変異体」及び「類縁体」をカバーする。例えば、プラスミノーゲンの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のプラスミノーゲンドメイン(例えば、1つ以上のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むプラスミノーゲン変異体及び類縁体、例えば、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)をカバーする。プラスミンの「変異体」及び「類縁体」は、1つ以上のプラスミンドメイン(例えば、1つまたは複数のkringleドメイン及びタンパク質加水分解ドメイン)を含むミニプラスミン(mini-plasmin)やδ-プラスミン(delta-plasmin)などのプラスミンの「変異体」及び「類縁体」をカバーする。
上記プラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの「変異体」または「類縁体」がそれぞれプラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAの活性を有するかどうか、またはそれらがプラスミノーゲン、プラスミン、tPAまたはuPAと実質的に同様の効果をそれぞれ与えるかどうかは、当技術分野で知られている方法、例えば、ザイモグラフィー(enzymography)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)及びFACS(蛍光活性化細胞ソーティング法)を使用して、活性化されたプラスミン活性のレベルによって測定できる。例えば、次の文献に記載されている方法を参照して測定することができる。Ny,A.,Leonardsson,G.,Hagglund,A.C,Hagglof,P.,Ploplis,V.A.,Carmeliet,P. and Ny,T. (1999). Ovulation inplasminogen-deficient mice. Endocrinology 140,5030-5035;Silverstein RL, Leung LL, Harpel PC, Nachman RL (November 1984). ”Complex formation of platelet thrombospondin with plasminogen. Modulation of activation by tissue activator”. J. Clin. Invest. 74 (5): 1625-33;Gravanis I, Tsirka SE (February 2008). ”Tissue-type plasminogen activator as a therapeutic target in stroke”. Expert Opinion on Therapeutic Targets. 12 (2): 159-70;Geiger M, Huber K, Wojta J, Stingl L, Espana F, Griffin JH, Binder BR (Aug 1989). ”Complex formation between urokinase and plasma protein C inhibitor in vitro and in vivo”. Blood. 74 (2): 722-8。
本発明の一部の実施形態において、本発明の「プラスミノーゲン活性化経路の成分」はGlu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、δ-プラスミノーゲンから選ばれるプラスミノーゲンであり、またはそれらのタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した変異体である。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然タンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した保存的突然変異体若しくはそのフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然タンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を保持した保存的突然変異体若しくはそのフラグメントである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンのアミノ酸は配列2、6、8、10または12に示される。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンである。一部の実施形態において、前記プラスミノーゲンは配列2に示されるヒト天然プラスミノーゲンである。
「プラスミノーゲンを直接活性化できる、若しくはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによってプラスミノーゲンを間接に活性化できる化合物」とは、プラスミノーゲンを直接活性化できる、若しくはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによってプラスミノーゲンを間接に活性化できる任意の化合物を指し、例えば、tPA、uPA、ストレプトキナーゼ、サルプラーゼ、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、モンテプラーゼ、ラノテプラーゼ、パミテプラーゼ、及びスタフィロキナーゼが挙げられる。
本発明の「線維素溶解阻害剤の拮抗薬」は、線維素溶解阻害剤の作用に拮抗し、その作用を弱め、遮断し、阻止する化合物である。前記線維素溶解阻害剤は、例えば、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミン、及びα2-マクログロブリンである。前記拮抗剤は、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの抗体、または、例えばPAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの発現を遮断またはダウンレギュレートするアンチセンスRNAもしくはミニRNA、または、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンまたはα2-マクログロブリンの結合部位を占めるが、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンまたはα2-マクログロブリンの機能を持たない化合物、または、PAI-1、補体C1阻害剤、α2-抗プラスミンもしくはα2-マクログロブリンの結合ドメイン及び/または活性ドメインをブロックする化合物である。
プラスミンはプラスミノーゲン活性化系(PA系)の重要な成分である。それは広スペクトルのプロテアーゼであり、細胞外マトリックス(ECM)の幾つかの成分を加水分解することができ、これらの成分はフィブリン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン及びプロテオグリカンを含む。また、プラスミンは一部のプロマトリックスメタロプロテアーゼ(pro-MMP)を活性化させて活性のあるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)にすることができる。そのためプラスミンは細胞外タンパク加水分解作用の一つの重要な上流調節因子である。プラスミンはプラスミノーゲンが二種類の生理性のPA:組織型プラスミノーゲン活性化剤(tPA)またはウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)をタンパク質加水分解することで形成されるものである。プラスミノーゲンは血漿及び他の体液中において、相対的レベルが比較的高く、従来的にはPA系の調節は主にPAの合成及び活性レベルよって実現されると考えられている。PA系成分の合成は異なる要素によって厳格な調節を受け、例えばホルモン、成長因子及びサイトカインである。また、この他に、プラスミンとPAsの特定の生理的阻害剤が存在する。プラスミンの主な阻害剤はα2-抗プラスミン(α2-antiplasmin)である。PAsの活性は、uPAとtPAのプラスミノーゲン活性化剤阻害剤-1(PAI-1)に同時に阻害され、uPAを主に阻害するプラスミノーゲン活性化剤阻害剤-2(PAI-2)によって調節される。一部の細胞表面には直接加水分解する活性のあるuPA特異性細胞表面受容体(uPAR)がある。
プラスミノーゲンは単一鎖の糖タンパクであり、791個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDaである。プラスミノーゲンは主に肝臓で合成され、大量に細胞外液に存在している。血漿中に含まれるプラスミノーゲンの含有量は約2μMである。そのためプラスミノーゲンは組織及び体液中のタンパク質加水分解活性の大きな潜在的な由来である。プラスミノーゲンには二種類の分子の形が存在する:グルタミン酸-プラスミノーゲン(Glu-plasminogen)及びリジン-プラスミノーゲン(Lys-plasminogen)である。天然的に分泌され及び分解していない形のプラスミノーゲンは一つのアミノ基末端(N-末端)グルタミン酸を有し、そのためグルタミン酸-プラスミノーゲンと称される。しかし、プラスミンが存在する場合、グルタミン酸-プラスミノーゲンはLys76-Lys77においてリジン-プラスミノーゲンに加水分解される。グルタミン酸-プラスミノーゲンと比較して、リジン-プラスミノーゲンはフィブリンとより高い親和力を有し、さらにより高い速度でPAsによって活性化されることができる。この二種類の形のプラスミノーゲンのArg560-Val561ペプチド結合はuPAまたはtPAによって切断され、これによりジスルフィド結合によって連結された二重鎖プロテアーゼプラスミンの形成をもたらす。プラスミノーゲンのアミノ基末端部分は五つの相同三環を含み、即ちいわゆるkringlesであり、カルボキシル基末端部分はプロテアーゼドメインを含む。一部のKringlesはプラスミノーゲンとフィブリン及びその阻害剤α2-APの特異的相互作用を介在するリジン結合部位を含む。最も新しく発見されたのは38kDaのフィブリンプラスミノーゲンフラグメントであり、kringlel-4を含み、血管生成の有効的な阻害剤である。このフラグメントはアンギオスタチン(Angiostatin)と命名され、幾つかのプロテアーゼ加水分解プラスミノーゲンから生成される。
プラスミンの主な基質はフィブリンであり、フィブリンの溶解は病理性血栓の形成を予防するキーポイントである。プラスミンはさらにECMの幾つかの成分に対する基質特異性を有し、これらの成分はラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン及びゼラチンを含み、これはプラスミンがECM再建において重要な作用を有することを示している。間接的に、プラスミンはさらにMMP-1、MMP-2、MMP-3及びMMP-9を含むいくつかのプロテアーゼ前駆体を活性プロテアーゼに変換することによりECMのその他の成分を分解する。そのため、プラスミンは細胞外タンパク加水分解の重要な上流調節因子であることを提出ことがある。また、プラスミンはいくつかの潜在的な形の成長因子を活性化させる能力を有する。体外において、プラスミンはさらに補体系の成分を加水分解させて走化性の補体フラグメントを放出することができる。
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD-二量体に加水分解する。
「プラスミノーゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドを含む天然ヒト由来プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)として計算すれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノーゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1-5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1-Gly19を含み、PApは残基Glu20-Val98を含み、Kringle1は残基Cys103-Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184-Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275-Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377-Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481-Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581-Arg804を含む。
Glu-プラスミノーゲンはヒトの天然のフルサイズのプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)。該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu-プラスミノーゲンの第76-77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys-プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。Delta-プラスミノーゲン(δ-plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2-Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず(プロテアーゼドメイン(protease domain、PD)とも呼ばれる)、δ-プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini-plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443-Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro-plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543-Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基は開始アミノ酸である)と文献が報告し、特許文献CN102154253Aはそれが残基Lys531-Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu-プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許出願において、マイクロプラスミノーゲンの配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
全長プラスミノーゲンの構造は、Aisinaらの論文にも記載されている(Aisina R B,Mukhametova L I.Structure and function of plasminogen/plasmin system[J].Russian Journal of Bioorganic Chemistry,2014,40(6):590-605)。Aisinaらの前記文章によれば、プラスミノーゲンにはKringle 1、2、3、4、5ドメインとセリンプロテアーゼドメイン(プロテアーゼドメイン(protease domain、PD)とも呼ばれる)が含まれ、Kringlesは、プラスミノーゲンが低分子量及び高分子量のリガンドに結合する役割(すなわち、リジン結合活性)を担っており、その結果、プラスミノーゲンがよりオープンな構成に変換され、より活性化しやすくなり、プロテアーゼドメイン(PD)は、残基Val562-Asn791であり、tPAとUPAはプラスミノーゲンのArg561-Val562位活性化結合を特異的に切断し、それによってプラスミノーゲンがプラスミンを形成できる。したがって、プロテアーゼドメイン(PD)は、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を付与する領域である。
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
本願において、前記プラスミノーゲンの「欠乏」とは、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より低く、前記被験者の正常な生理学的機能に影響を及ぼすのに十分に低いことをいう。前記プラスミノーゲンの「欠乏」の意味は、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より明らかに低く、活性または発現が極微量であり、外部供給によってのみ正常な生理学的機能を維持できることである。
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノーゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノーゲン及びプラスミンをカバーするものである。循環プロセスにおいて、プラスミノーゲンは閉鎖した非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、開放性のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD-二量体に加水分解させ、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPApドメインはプラスミノーゲンを非活性閉鎖コンフォメーションにする重要なエピトープであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などを含む。
「プラスミノーゲン活性フラグメント」とは、基質のターゲット配列中のリジンに結合する活性(リジン結合活性)フラグメント、またはタンパク質加水分解機能を発揮する活性(タンパク質加水分解活性)フラグメント、またはタンパク質加水分解活性とリジン結合活性との両方を有するフラグメントを指す。本発明のプラスミノーゲンに関する技術構成は、プラスミノーゲンをプラスミノーゲン活性フラグメントに置き換えた技術構成を包含する。いくつかの実施形態では、本発明のプラスミノーゲン活性フラグメントは、プラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むか、またはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインからなり、好ましくは、本発明のプラスミノーゲン活性フラグメントは、配列14を含むか、または配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有するアミノ酸配列からなる。一部の実施形態において、本発明のプラスミノーゲン活性フラグメントは、Kringle 1、Kringle 2、Kringle 3、Kringle 4、及びKringle 5から選択される1つ以上のドメインを含むか、またはKringle 1、Kringle 2、Kringle 3、Kringle 4、及びKringle 5から選択される1つ以上のドメインからなる。いくつかの実施形態では、本発明のプラスミノーゲンは、上記のプラスミノーゲン活性フラグメントを含むタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノーゲン及びその活性測定方法は組織プラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t-PAA)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t-PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン-抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)を含む。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象(被験者)の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を添加し、測定対象の血漿中のPLGはSKの作用下においてPLMとなり、後者は発光基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノーゲンの活性と正比例の関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のプラスミノーゲン活性に対して測定を行うことができる。
「オーソログまたはオルソログ(ortholog)」とは異なる種どうしのホモログであり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含み、直系遺伝子ともいう。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲン活性を有するプラスミノーゲンのオーソログまたはオルソログを含む。
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、アルカリ性、疎水性など)のアミノ酸で親タンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性のアルカリ性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%~99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素を含み、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然または親タンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。
「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になるまで精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造され、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体を指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するあるいは有しない)を含む融合物;等々である。
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要に応じてギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的とした比較は本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は配列をアライメントするための適切なパラメーターを決めることができ、該パラメーターが比較対象の配列のフルサイズに対して最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN-2により得られるものである。
ALIGN-2を用いることによりアミノ酸配列を比較する場合、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bに対して、と、またはについてのある%のアミノ酸配列同一性を有する又は含む所定のアミノ酸配列Aともいう)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
ここで、Xは配列アライメントプログラムALIGN-2において該プログラムのA及びBのアライメントにおいて同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列の同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。特に断りのない限り、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性値%は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN-2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状の発生、発症を完全または一部予防すること、あるいは疾患及び/またはその症状を一部または完全軽減すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾患が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況であること;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害すること;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を減退させること。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)の量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン活性化経路の成分またはその関連化合物(例えば、プラスミノーゲン)、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
本出願において、「損傷した組織及び器官の修復を促進する」とは、損傷した組織及び器官の解剖学的構造の完全性及び機能をできるだけ正常に回復させるために、損傷した組織及び器官の構造及び機能の修復を促進することを指す。
本明細書において「高血圧」または「高血圧症」とは、全身の動脈圧が正常よりも高い状態を指す。1999年の世界保健機関/国際高血圧学会の治療ガイドラインによると、高血圧の診断基準は、収縮圧が18.7Kpa(140mmHg)以上または拡張圧が12.0Kpa(90mmHg)以上である。「低血圧」または「低血圧症」は、全身の動脈圧が正常よりも低い状態を指す。低血圧の診断には統一された基準はない。一般に、成人の上肢動脈の収縮圧/拡張圧がそれぞれ12/8kPa(90/60mmHg)未満である場合には、低血圧として考えられている。「高血圧」または「高血圧症」及び「低血圧」または「低血圧症」の血圧指標の診断基準は、各国の診断マニュアルの特定の規定を参照してもよい。
本願において、「高血圧」または「高血圧症」を有する被験者を治療することは、「高血圧」または「高血圧症」を患っている被験者の高血圧を「下げる」または「低下させる」ことを含み、前記「下げる」または「低下させる」こととは、薬剤投与していない場合と比較して、または投与前の被験者の血圧と比較して、被験者の血圧を下げることを指し、例えば、被験者の血圧を正常化するか、正常に近づけるか、または正常なレベルに戻すことを指す。同様に、本出願において、「低血圧」または「低血圧症」を有する被験者を治療することは、「低血圧」または「低血圧症」に罹患している被験者の低血圧を「上昇させる」ことを含む。前記「上昇させる」こととは、投与していない対照と比較して、または投与前の被験者の血圧と比較して、被験者の血圧を上昇させること、例えば、被験者の血圧を正常化するか、正常に近づけるか、または正常なレベルに戻すことを指す。
「合併症」とは、ある疾患が発生過程で別の疾患または症状の発生を引き起こし、後者が前者の合併症であり、つまり、後者の疾患の発生が前者の疾患によって引き起こされ、あるいは、疾患の診断治療中に、患者がその疾患に関連する別の1つ以上の疾患を合併して発症することを意味する。
「高血圧合併症」とは、高血圧によって引き起こされる心臓、脳、肺、肝臓、腎臓、または血管の損傷を含む、高血圧によって引き起こされる合併症を意味する。高血圧によって引き起こされる心臓損傷の合併症としては、左心室肥大、狭心症、心筋梗塞、心不全などが挙げられる。高血圧によって引き起こされる脳組織損傷の合併症としては、脳出血、脳血栓、脳梗塞、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、高血圧性脳症などが挙げられる。高血圧によって引き起こされる腎損傷としては、緩徐進行性小動脈性腎硬化症、悪性小動脈性腎硬化症、慢性腎不全、高血圧性腎症、腎不全、尿毒症などが挙げられる。高血圧の最も一般的な合併症は脳血管障害であり、次に高血圧性心疾患、心不全であり、そして腎不全である。まれではあるが深刻な合併症は、大動脈解離性動脈瘤である。
「低血圧合併症」とは、低血圧による合併症を指す。低血圧の一般的な合併症は、主に重要な器官の不十分な灌流によって引き起こされる。例えば、脳への血液供給が不十分になると、耳鳴り、めまいなどの症状が多く、重症になると脳梗塞を合併することもある。心臓への血液供給が不十分になると、主に動悸、息切れ、胸の圧迫感などの症状が現れる。腎臓への血液供給が不十分になると、ほとんどの場合、乏尿、タンパク尿として現れ、重症の場合は無尿などの腎不全が起こる。
本発明のプラスミノーゲンの調製
プラスミノーゲンは治療の用途に用いられるために、自然界から分離及び精製されるものでもよく、標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することでもよい。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid-Phase Peptide Synthesis;3-284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,tら J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3-10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723-8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築されている機能性ユニットにより小さい不溶性の多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンとN保護を受けている単一のアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と連結する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に接続させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーターシステムとすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製に適した条件下において宿主を維持する。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において遊離体または宿主染色体DNAの組み込む部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、インビトロで所望のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)は目的化合物をコードするポリヌクレオチドをクローンするための原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と相容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えば乳糖プロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、β-ラクタマーゼプロモーターシステム、またはファージλ由来のプロモーターシステムである。プロモーターは一般的に発現を制御し、必要に応じて遺伝子配列を制御する場合に、転写及び翻訳を起動するために、さらにリボソームの結合位置配列などを有してもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えばサッカロミセス(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3-ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母プロモーターには特にアルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、及びマルトースとガラクトースの利用のための酵素のプロモーターを含む。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えばインビトロ細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明のプラスミノーゲン(例えばプラスミノーゲンをコードするポリヌクレオチド)の発現及び生成に用いることができる。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマを含む。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報サイト、例えばリボソームの結合サイト、RNAの切断サイト、ポリアデノシン酸化サイト、及び転写ターミネーター配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなど由来のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦(化学または組み換え的に)合成されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%~90%の純度で、少なくとも約90%~95%の純度で、または98%~99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、プラスミノーゲン以外の大分子などである。
薬物配合剤
所望の純度のプラスミノーゲンと必要に応じた薬用担体、賦形剤、または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定化剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;m-クレゾール);低分子量ポリペプチド(約10個より少ない残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛-タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)である。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、降圧薬、抗不整脈薬、糖尿病薬などが挙げられる。
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に内包ことができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたは粗エマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術はRemington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌濾過膜で濾過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノーゲンは徐放製剤を調製できる。徐放製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過マトリックスを含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。徐放性マトリックスの実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2-ヒドロキシエチル-メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98-105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン-ビニルアセテート(ethylene-vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸-ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン-酢酸エチル及び乳酸-ヒドロキシ酢酸は、持続的に分子を100日間以上放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S-S結合を形成することであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現できる。
投与及び使用量
異なる方式、例えば鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内(例えば、頸動脈を介して)、直腸内、筋肉内、及び直腸内投与により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明のプラスミノーゲンを含有する薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001~2000mg/kgであり、または約0.001~500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)とすることができる。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1-50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量のスケジュール表は連続数日0.01~100mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において治療効果及び安全性をリアルタイムに評価する必要がある。
製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は、高血圧及び関連症状の治療に使用できる本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンを含む製品または薬物キットに係る。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはプロトコルを含む。適切な容器はボトル、バイアル、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたはバイアルであり、皮下注射針によって貫通される栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲン/プラスミンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の高血圧及びその関連症状の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝の食塩水、リンガー溶液及びグルコース溶液を含む。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するプロトコルを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
以下の実施例で使用されるプラスミノーゲンはすべてヒトプラスミノーゲンであり、ヒトドナーの血漿に由来し、以下の文書:KennethC Robbins,Louis Summaria,David Elwyn et al.Further Studies on the Purification and Characterization of Human Plasminogen and Plasmin.Journal of Biological Chemistry,1965,240(1):541-550;Summaria L,Spitz F,Arzadon L et al.Isolation and characterization of the affinity chromatography forms of human Glu- and Lys-plasminogens and plasmins.J Biol Chem.1976 Jun 25;251(12):3693-9;HAGAN JJ,ABLONDI FB,DE RENZO EC.Purification and biochemical properties of human plasminogen.J Biol Chem.1960 Apr;235:1005-10に記載された方法に基づき、プロセスを最適化し、ヒトドナー血漿から精製して得られた。そこに、ヒトLys-プラスミノーゲン(Lys-プラスミノーゲン)とGlu-プラスミノーゲン(Glu-プラスミノーゲン)は98%を上回った。
以下の実施例1~5において、db/dbマウス(南京生物医薬研究院から購入、系統名BKS.Cg-Dock7m+/-Leprdb/JNju)を高血圧モデルとして使用して、高血圧に対するプラスミノーゲンの効果を研究した。いくつかの文献では、db/dbマウスが11~14週で自然に高血圧を発症し、年齢の増加とともに血圧が上昇し続けたと報告されている[24,25]
実施例1は、プラスミノーゲンが15~16週齢の糖尿病マウスの高血圧を低下させることに関するものである。
15~16週齢のdb/dbオスマウス12匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群の2つの群に分け、各群で6匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同じ体積(同量)のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、21日間連続投与した。投与し始めた日を1日目とし、0、8、15、及び22日目に血圧を測定し、マウス1匹あたり5回連続して測定し、測定ごとに収縮圧及び平均圧を記録した。収縮圧及び平均血圧はそれぞれ、5回の測定から得られた収縮圧及び平均圧データの平均値である。平均血圧は、収縮圧の1/3+拡張圧の2/3として計算される。マウスの血圧は、非侵襲的血圧計(MRBP-M01、IITC Life science)を使用して測定した。
その結果、投与21日後、PBS投与対照群のマウスの血圧は、投与前と比較して有意な変化はなかったが、プラスミノーゲン投与群のマウスの収縮圧(図1A)及び平均圧(図1B)は有意に低下し、いずれも溶媒PBS投与対照群よりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表し、**はP<0.01を表す)。これは、プラスミノーゲンが15~16週齢の糖尿病マウスの高血圧を有意に低下させることができることを示している。
実施例2は、プラスミノーゲンが25~26週齢の糖尿病マウスの高血圧を低下させることに関するものである。
25~26週齢のdb/dbオスマウス13匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹、プラスミノーゲン投与群で7匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、21日間連続投与した。投与し始めた日を1日目とし、0、8、15、及び22日目に血圧を測定し、マウス1匹あたり5回連続して測定し、測定ごとに収縮圧及び平均圧を記録した。収縮圧及び平均血圧はそれぞれ、5回の測定から得られた収縮圧及び平均圧データの平均値である。マウスの血圧は、非侵襲的血圧計(MRBP-M01、IITC Life science)を使用して測定した。
その結果、投与21日後、PBS投与対照群のマウスの収縮圧は、投与前と比較して有意な変化はなかったが、プラスミノーゲン投与群のマウスの収縮圧は投与7日後に有意に低下し始め、溶媒PBS投与対照群よりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(P=0.019)。投与の14、21日後に、2つの群のマウスの間の差は有意であった(図2A)。投与の21日後に、プラスミノーゲン投与群のマウスの平均圧は溶媒PBS投与対照群よりも低く、その差は有意に近かった(P=0.09)(図2B)。これは、プラスミノーゲンが25~26週齢の糖尿病マウスの高収縮圧を有意に低下させることができることを示している。
実施例3は、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの血清アンギオテンシンIIレベルを低下させることに関するものである。
15~16週齢のdb/dbオスマウス12匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群の2つの群に分け、各群で6匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。29日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離により上清を得た。血清アンギオテンシンIIレベルは、アンギオテンシンII検出キット(製造元:武漢華美生物工学有限公司、カタログ番号:CSB-E04495m)の説明書に従って検出した。
その結果、プラスミノーゲンを28日間投与した後、プラスミノーゲン投与群の血清アンギオテンシンIIレベルは、溶媒PBS投与対照群よりも有意に低かった(図3)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの血清アンギオテンシンIIレベルを低下させ、それによって高血圧を改善できることを示している。
実施例4は、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの心臓損傷の修復を促進することに関するものである。
25~26週齢のdb/dbオスマウス13匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹、プラスミノーゲン投与群で7匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。29日目に、マウスを殺処分し、心臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の組織サンプルをアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから水に浸し、ヘマトキシリン及びエオジン染色(H&E染色)をし、1%塩酸アルコールで分別した後、アンモニア水でブルーイングさせ、アルコール勾配で脱水させて封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(図4A)と比較して、プラスミノーゲン投与群(図4B)のマウスの心筋細胞はより密集し、より規則的に配置されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの心臓損傷を有意に改善できることを示している。
実施例5は、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの腎線維化を減少させることに関するものである。
25~26週齢のdb/dbオスマウス13匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群で6匹、プラスミノーゲン投与群で7匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。29日目に、マウスを殺処分し、腎臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シリウスレッド染色は、コラーゲンを永久に染色することができる。病理切片の特殊な染色方法として、シリウスレッド染色は、コラーゲン組織を特異的に表示することができる。
その結果、プラスミノーゲン投与28日後、プラスミノーゲン投与群(図5B)の腎臓におけるコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図5A)より有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの腎線維化を有意に減少させることができることを示している。
実施例6は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清SODレベルを上昇させることに関するものである。
21~22週齢のPlg+/+オスマウス14匹を取り、血圧及び体重を測定し、血圧及び体重に応じてマウスをランダムに3つの群に分け、ブランク対照群で4匹、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群でそれぞれ5匹とした。ブランク対照群マウスに0.1mlの生理食塩水を皮下注射により投与し、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/kg/匹/日でアンギオテンシンIIを皮下注射により投与し、14日間連続注射してモデリングした[26]。モデリング開始と同時にプラスミノーゲンまたは溶媒の投与を開始し、ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、14日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、15日目に眼球を摘出して採血し、血清スーパーオキシドジスムターゼ(Super Oxide Dismutase、SOD)レベルを検出するために、遠心分離により上清を得た。SODの検出は、SOD検出キット(南京建成生物工学研究所、カタログ番号A001-1)を用い、取扱説明書に記載の方法に従って行った。
SODは体がフリーラジカルを除去するための重要な酵素システムであり、スーパーオキシドアニオン(o2-)を除去することができる。o2-は酸素フリーラジカルの開始フリーラジカルである。研究によると、SODが高血圧に対する保護効果があり、高血圧患者のSODレベルは低下する[27]
その結果、ブランク対照群の血清には一定レベルのSODがあり、溶媒PBS投与対照群の血清SODレベルは有意に低下し、プラスミノーゲン投与群の血清SODレベルは溶媒PBS投与対照群よりも有意に高く、しかもその差は統計学的に有意であった(*はP<0.05を表す)(図6)。これは、プラスミノーゲンがフリーラジカルを除去する生体の能力を高めることができることを示している。
実施例7は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの腎線維化を減少させることに関するものである。
21~22週齢のPlg+/+オスマウス14匹を取り、血圧及び体重を測定し、血圧及び体重に応じてマウスをランダムに3つの群に分け、ブランク対照群で4匹、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群でそれぞれ5匹とした。ブランク対照群マウスに0.1mlの生理食塩水を皮下注射により投与し、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/kg/匹/日でアンギオテンシンIIを皮下注射により投与し、14日間連続注射してモデリングした[26]。モデリング開始と同時にプラスミノーゲンまたは溶媒の投与を開始し、ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、14日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分し、腎臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の腎臓組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群(図7A)のマウスの腎臓には明らかなコラーゲン線維の沈着はなく、プラスミノーゲン群(図7C)のコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図7B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの腎線維化を有意に減少させ、高血圧による腎病変を改善できることを示している。
実施例8は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの心線維化を減少させることに関するものである。
21~22週齢のPlg+/+オスマウス14匹を取り、血圧及び体重を測定し、血圧及び体重に応じてマウスをランダムに3つの群に分け、ブランク対照群で4匹、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群でそれぞれ5匹とした。ブランク対照群マウスに0.1mlの生理食塩水を皮下注射により投与し、溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/kg/匹/日でアンギオテンシンIIを皮下注射により投与し、14日間連続注射してモデリングした[26]。モデリング開始と同時にプラスミノーゲンまたは溶媒の投与を開始し、ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、14日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分し、心臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の心臓組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群(図8A)のマウスの心臓には明らかなコラーゲン線維の沈着はなく、プラスミノーゲン群(図8C)のコラーゲン線維の沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図8B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの心線維化を有意に減少させ、高血圧による心臓病変を改善できることを示している。
実施例9は、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの肺の線維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス12匹を取り、体重及び血圧を測定し、血圧に応じてマウスをランダムに2つの群に分け、ブランク対照群で4匹、モデル群で8匹とした。ブランク対照群マウスに100μlの生理食塩水を尾静脈注射により投与し、モデル群マウスに60mg/kg/匹でモノクロタリンを尾静脈注射により投与し、3日間連続注射し、マウスには通常食を与えた[28,29]。3日後に血圧を測定し、血圧に応じてモデル群マウスをランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群でそれぞれ4匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分し、肺を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の肺組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
モノクロタリンはビピロールアルカロイドであり、肝臓でP450モノオキシダーゼによって変換された後、血液循環を介して肺に到達し、肺血管に不可逆的な損傷を引き起こす可能性がある。肺血管内皮細胞はモノクロタリンの標的細胞であると考えられており、内皮細胞の損傷は肺血管リモデリングの過程で重要な役割を果たしている[28,29]
その結果、ブランク対照群のマウスの肺には基本的にコラーゲン沈着はなく(図9A)、プラスミノーゲン群(図9C)のマウスの肺組織のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図9B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの肺の線維化を有意に減少させることができることを示している。
実施例10は、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの心線維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス12匹を取り、体重及び血圧を測定し、血圧に応じてマウスをランダムに2つの群に分け、ブランク対照群で4匹、モデル群で8匹とした。ブランク対照群マウスに100μlの生理食塩水を尾静脈注射により投与し、モデル群マウスに60mg/kg/匹でモノクロタリンを尾静脈注射により投与し、3日間連続注射し、マウスには通常食を与えた[28,29]。3日後に血圧を測定し、血圧に応じてモデル群マウスをランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群でそれぞれ4匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分し、心臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の心臓組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群のマウスの心臓には基本的にコラーゲン沈着はなく(図10A)、プラスミノーゲン群(図10C)のマウスの心臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図10B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの心臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。
実施例11は、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの腎臓の線維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス12匹を取り、体重及び血圧を測定し、血圧に応じてマウスをランダムに2つの群に分け、ブランク対照群で4匹、モデル群で8匹とした。ブランク対照群マウスに100μlの生理食塩水を尾静脈注射により投与し、モデル群マウスに60mg/kg/匹でモノクロタリンを尾静脈注射により投与し、3日間連続注射し、マウスには通常食を与えた[28,29]。3日後に血圧を測定し、血圧に応じてモデル群マウスをランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群でそれぞれ4匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分し、腎臓を採取して4%パラホルムアルデヒド溶液で24時間固定した。固定後の腎臓組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群のマウスの腎臓には基本的にコラーゲン沈着はなく(図11A)、プラスミノーゲン群(図11C)のマウスの腎臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図11B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの腎臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。
実施例12は、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの肝臓の線維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス12匹を取り、体重及び血圧を測定し、血圧に応じてマウスをランダムに2つの群に分け、ブランク対照群で4匹、モデル群で8匹とした。ブランク対照群マウスに100μlの生理食塩水を尾静脈注射により投与し、モデル群マウスに60mg/kg/匹でモノクロタリンを尾静脈注射により投与し、3日間連続注射し、マウスには通常食を与えた[28,29]。3日後に血圧を測定し、血圧に応じてモデル群マウスをランダムに2つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群でそれぞれ4匹とした。ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。ブランク対照群マウスには投与しなかった。モデリングして投与し始めた日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分し、肝臓を採取して4%パラホルムアルデヒド固定液で24時間固定した。固定後の肝臓組織をアルコール勾配で脱水させ、キシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋した。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせ再水和してから1回水で洗った。0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色後、流水で2分間すすぎ、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水ですすぎ、1%塩酸アルコールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、流水ですすぎ、乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブランク対照群のマウスの肝臓には基本的にコラーゲン沈着はなく(図12A)、プラスミノーゲン群(図12C)のマウスの肝臓のコラーゲン沈着(矢印でマーク)は、溶媒PBS投与対照群(図12B)よりも有意に少なかった。これは、プラスミノーゲンがモノクロタリンによって誘発された肺動脈性肺高血圧症モデルマウスの肝臓の線維化を有意に減少させることができることを示している。
実施例13は、プラスミノーゲンが虚血性腎萎縮のマウスの血圧の上昇を促進することに関するものである。
6~7週齢のC57オスマウス18匹を取り、ランダムに2つの群に分け、ブランク対照群で4匹、モデル群で14匹とした。ブランク対照群マウスには何ら処理もしなかった。3%ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)の腹腔内注射によりモデル群マウスを麻酔し、皮膚、筋膜、及び筋肉層を外科的方法で腹部の正中線で切開し、腸、膵臓などの臓器組織を開き、手術野を露出させ、左腎臓の腎盂の大動脈と主静脈を鈍的に分離し、分離した血管を5号絹糸で結紮し、結紮が完了したことを確認した後、腸や膵臓などの臓器組織を対応する生理学的位置に戻し、筋肉層を外科的方法で連続的に縫合し、皮膚を結節縫合し、縫合後、傷を医療用ヨードホールで消毒し、動物を37℃の加熱パッドの上に置き、観察して蘇るのを待ち、動物が完全に蘇るまで水を与えなかった。抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射し、3日間連続して注射した。外科的結紮の14日後、モデル群のマウスを3%ペントバルビタールナトリウムの腹腔内注射により麻酔し、開腹し、左腎血管の結紮線を緩め、腹腔を迅速に縫合し、傷を医療用ヨードホールで消毒し、動物を37℃の加熱パッドの上に置き、観察して蘇るのを待ち、動物が完全に蘇るまで水を与えなかった。抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射し、3日間連続して注射した[30]。抜糸後、全てのマウスの体重を測定し、モデル群のマウスをプラスミノーゲン投与群とPBS対照群の2つの群にランダムに分け、各群で7匹とし、投与を開始した。投与し始めた日を1日目とし、ブプラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、14日間連続投与した。15日目に非侵襲的血圧計(MRBP-M01、IITC Life science)を用いてマウスの血圧(収縮圧と平均圧)を測定した。
その結果、プラスミノーゲン投与群及びブランク対照群の収縮圧及び平均圧は、PBS対照群の血圧よりも有意に高く、プラスミノーゲン投与群とPBS対照群との間の差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表す)(図13)。これは、プラスミノーゲンが腎萎縮による低血圧の正常レベルへの回復を促進できることを示している。
実施例14は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血圧を下げることに関するものである。
8~9週齢のC57オスマウス21匹を取り、ブランク対照群、溶媒群及び投与群の3つの群にランダムに分け、各群で7匹とした。ブランク対照群のマウスには何ら処理もしなかった。投与群と溶媒群のマウスに1mg/kg/匹で0.25mg/mlのアンギオテンシンII溶液を皮下注射し、8時間の間隔で1日2回、6日間連続してモデリングした[31]。アンギオテンシンIIの初回注射から2時間モデリング後、投与群及び溶媒群に投与を始め、それを1日目とし、投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、5日間連続投与し、ブランク対照群には投与しなかった。6日目に全てのマウスの血圧を測定し、マウス1匹あたり5回連続して測定し、測定ごとに収縮圧及び平均圧を記録した。収縮圧及び平均血圧はそれぞれ、5回の測定から得られた収縮圧及び平均圧データの平均値である。マウスの血圧は、非侵襲的血圧計(MRBP-M01、IITC Life science)を使用して測定した。
その結果、溶媒群のマウスの平均圧及び収縮圧は有意に上昇し、投与群のマウスの平均圧及び収縮圧は溶媒群のマウスよりも有意に低く、しかもその差は統計的に有意であった(*はP<0.05を表し、**はP<0.01を表す)(図14)。これは、プラスミノーゲンが高血圧モデルマウスの血圧を下げることができることを示している。
実施例15は、プラスミノーゲンが糖尿病性高血圧モデルマウスのアンギオテンシン変換酵素2のレベルを増加させることに関するものである。
24~25週齢のdb/dbオスマウス12匹を取り、投与前日に体重測定後に基底血圧を測定し、血圧に応じてランダムに溶媒群と投与群の2つの群に分け、各群で6匹とした。投与群マウスに2mg/0.2ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群マウスに同量のPBS溶液を尾静脈注射により投与し、28日間連続投与した。29日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離により上清を得た。血清ACE2レベルは、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)検出キット(製造元:武漢華美生物工学有限公司、カタログ番号:CSB-E17204m)の説明書に従って検出した。
アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)は、レニン-アンギオテンシン系の重要な負の調節因子であり、体内のアンギオテンシンII(AngII)の分解の主な経路である。ACE2の作用下で、AngIIはAngl-7に変換される。また、ACE2はAngIのAng(1-9)への分解を触媒することもでき、後者はACEによってAngl-7に変換される。AngIIに対するACE2の親和性はAngIの400倍であり、ACE2の主な機能はAngIIからAng(1-7)への変換を触媒することである。ACE2の生理的役割は、高血圧、心機能、心機能、及び糖尿病に関連しており、重症急性呼吸器症候群コロナウイルスの受容体としての役割も果たしている[32]
その結果、投与群のマウスの血清ACE2レベルは溶媒群よりも有意に高く、しかもその統計学的差は有意に近かった(P=0.057)(図15)。これは、プラスミノーゲンが糖尿病高血圧モデルマウスの血清ACE2レベルの上昇を促進できることを示している。
実施例16は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACE2レベルを低下させることに関するものである。
8~9週齢のC57オスマウス21匹を取り、ブランク対照群、溶媒群、及び投与群の3つの群にランダムに分け、各群で7匹とした。群分けが完了した後、投与群及び溶媒群のマウスに1mg/kg/匹で0.25mg/mlのアンギオテンシンII溶液を皮下注射し、8時間の間隔で1日2回、7日間連続してモデリングした。アンギオテンシンII溶液の調製:まずアンギオテンシンII粉末(カタログ番号:A9292-10mg、製造元:Beijing Solarbio Science & Technology Co.,Ltd.)を1mlの脱イオン水に溶解し、10mg/mlの溶液を調製し、凍結融解を繰り返さないように分注して包装し、使用時に40倍希釈して0.25mg/mlに調製して使用し、原液は-20℃で保存した。初回注射から2時間モデリング後、投与群及び溶媒群に投与を始め、それを1日目とし、投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群マウスに同量の溶媒を尾静脈注射により投与し、7日間連続投与し、ブランク対照群には投与しなかった。8日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離により上清を得た。血清ACE2レベルは、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)検出キット(製造元:上海希美化学有限公司、カタログ番号:CSB-E17204m)の説明書に従って検出した。
その結果、ブランク対照群マウスの血液には一定レベルのACE2があり、溶媒群マウスの血液中のACE2レベルはブランク対照群マウスよりも有意に高く、投与群マウスの血液中のACE2レベルは溶媒群マウスよりも有意に低く、しかもその差は統計的に極めて有意であった(**はP<0.01を表す)(図16)。これは、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACE2レベルの低下を促進できることを示している。
実施例17は、プラスミノーゲンがアンギオテンシンIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACEレベルを低下させることに関するものである。
8~9週齢のC57オスマウス21匹を取り、ブランク対照群、溶媒群、及び投与群の3つの群にランダムに分け、各群で7匹とした。群分けが完了した後、投与群及び溶媒群のマウスに1mg/kg/匹で0.25mg/mlのアンギオテンシンII溶液を皮下注射し、8時間の間隔で1日2回、7日間連続してモデリングした。アンギオテンシンII溶液の調製:まずアンギオテンシンII粉末(カタログ番号:A9292-10mg、製造元:Beijing Solarbio Science & Technology Co.,Ltd.)を1mlの脱イオン水に溶解し、10mg/mlの溶液を調製し、凍結融解を繰り返さないように分注して包装し、使用時に40倍希釈して0.25mg/mlに調製して使用し、原液は-20℃で保存した。初回注射から2時間モデリング後、投与群及び溶媒群に投与を始め、それを1日目とし、投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒群マウスに同量の溶媒を尾静脈注射により投与し、7日間連続投与し、ブランク対照群には投与しなかった。8日目に眼球を摘出して採血し、遠心分離により上清を得た。血清ACEレベルは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)検出キット(製造元:武漢華美生物工学有限公司、カタログ番号:CSB-E04492m)の説明書に従って検出した。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、レニン-アンギオテンシン系の重要な酵素であり、AngIIの産生において重要な役割を果たしている[32]
その結果、ブランク対照群マウスの血液には一定レベルのACEがあり、溶媒群マウスの血液中のACEレベルはブランク対照群マウスよりも有意に高く、投与群マウスの血液中のACEレベルは溶媒群マウスよりも有意に低く、しかもその統計学的差は有意に近かった(P=0.051)(図17)。これは、プラスミノーゲンがAngIIによって誘発された高血圧モデルマウスの血清ACEレベルの低下を促進できることを示している。
実施例18は、プラスミノーゲンが臨床ボランティアに対する治療効果に関するものである。
以下は臨床ボランティアのデータであり、すべての患者は自発的に薬を服用するためのインフォームドコンセントフォームに署名し、病院倫理委員会の承認を得た。以下に使用したプラスミノーゲンは、生理食塩水で5または10mg/mlの濃度に希釈したものを使用した。吸入投与の場合、プラスミノーゲン溶液を噴霧器で霧化(エアロゾル化)してから使用した。
ケース1
患者は72歳の女性であり、30年以上の高血圧歴があり、収縮圧は160mmHg、時々180mmHgであり、降圧薬の服用後、血圧を130/80mmHg程度に制御した。患者は、ヒトプラスミノーゲンの静脈内注射を1日1回受け、開始用量は50mg/回であり、徐々に135mg/回まで増加した。患者の収縮圧は、投与後6日目に141mmHgまで低下し、11日目までに血圧が変動して不安定(正常と異常の交互)になり、12日目以降は血圧が下がり、一週間内で正常で安定していた。患者は、上記の静脈内プラスミノーゲン療法を受けている間、降圧薬を服用していなかった。投与期間中の患者の血圧を図18に示す。これは、プラスミノーゲンが高血圧患者の血圧を下げ、正常レベルに近づけることができることを示している。
ケース2
患者は79歳の女性であり、20年以上冠状動脈性心疾患を患っており、2014年に脳梗塞を発症した。23年の糖尿病歴があり、長期インスリン注射を受けていた。5年間高血圧と診断され、降圧薬の服用後、血圧は朝に130~150/50~60mmHgであり、午後に約150/60mmHgであった。ヒトプラスミノーゲンを1日1回、100mg/回で静脈内注射により患者に投与した。
患者の血圧は投与後13日目に135/54mmHgであり、その後は降圧薬をなしで血圧も正常レベルで安定した。投与期間中の患者の血圧を図19に示す。
ケース3
患者は76歳の女性であり、20年の糖尿病歴があり、高血圧歴が10年であり、血圧は最高168/70mmHgであった。経口でニフェジピン徐放性錠剤を投与した後、血圧を114/55mmHg程度に制御し、拡張圧は正常値よりも低かった。ヒトプラスミノーゲンを1日1~2回、1日35~75mgの用量で静脈内注射により患者に投与した。
投与後、拡張圧は、以前の60mmHg未満から正常値に達し、治療中の血圧は正常で安定しており、治療後、降圧薬は半減し、血圧は基本的に130~140/64~76mmHgに制御された。投与期間中の患者の血圧を図20に示す。
プラスミノーゲンは、高血圧患者の血圧を正常に戻すことを促進し、降圧薬の投与量を減らすことができる。
ケース4
患者は57歳の男性であり、再検査のために入院し、腹部大動脈が肥厚していることが発見され、大動脈解離と診断された。病院は手術を勧めた。心臓病の家族歴があり、高血圧歴は10年以上であった。患者は造影剤にアレルギーがあり、湿疹と蕁麻疹があった。朝晩は血圧が高く、収縮圧の最高値は200mmHgに達し、血圧差は大きく、80mmHg以上に達することもあった。睡眠不足、眠りにつくのが遅く、夜中に3~4回目が覚め、睡眠に影響を与えた。
ヒトプラスミノーゲンを1日1~2回、50~150mg/日の用量で静脈内注射により患者に投与した。
投与5日目以降、朝晩の血圧が下がり始め、血圧差が小さくなった。患者は、以前降圧薬を服用しても血圧が140/75mmHg以下に下がったこともなかったが、初めて改善したと報告した。投薬の6日目から朝晩の血圧は約136/73mmHgを維持していた。
投薬の7日目から朝晩の血圧は安定しており、血圧は約130/70mmHgであった。投与期間中の患者の血圧を図21に示す。
また、当薬5日目には、患者の睡眠は有意に改善され、夜中に目が覚めることはなかった。湿疹や蕁麻疹の症状も有意に改善した。それ以来、患者の症状は改善し続けている。
ケース5
患者は78歳であり、新型コロナウイルス肺炎の重症と診断され、入院治療期間中に血圧が150/78mmHgに上昇したことが判明し、高血圧の既往歴はないため、医師の診察を受けなかった。ヒトプラスミノーゲンを1日2回、10mg/回のエアロゾル吸入によって患者に投与した。血圧は1日後正常に戻った。治療期間中の患者の血圧を表1及び表2に示す。
これは、プラスミノーゲンが新型コロナウイルス肺炎の重症患者の高血圧の正常への回復を促進できることを示している。
表1 新型コロナウイルス肺炎重症患者の投薬初日の血圧測定結果
Figure 2023514819000002
表2 新型コロナウイルス肺炎重症患者の投薬2日目の血圧測定結果
Figure 2023514819000003
ケース6
患者は新型コロナウイルス肺炎の重症と診断され、関連する臨床症状に加えて、血圧が139/94mmHgであり、拡張圧が正常値より高かった。プラスミノーゲンを1日2回、毎回10mgのエアロゾル吸入によって患者に投与した。拡張圧は、1回の治療で正常に戻った。治療期間中の患者の血圧を表3に示す。
プラスミノーゲンは、新型コロナウイルス肺炎の重症患者の高血圧の正常への回復を促進できる。
表3 新型コロナウイルス肺炎重症患者の投薬中の血圧測定結果
Figure 2023514819000004
ケース7
患者は67歳の女性であり、寝たきり、気管切開のせいで発声不能であり、糖尿病、心疾患、高血圧歴、及びアレルギー歴はなく、パーキンソン病を6年患っており、歩行不能4年、寝たきり3年、カテーテル留置1年半、患者は自力で寝返りができず、手足を自分で動かすことができ、毎日低流量で酸素を継続的に吸入していた。血圧は80/45mmHgであった。低血圧及びパーキンソン病と診断された。プラスミノーゲンを1日1回、50~250mg/日の用量で静脈内注射によって患者に投与し、初回投与量は50mg/日であり、徐々に増量した。7日間連続投与し、9、11、13日目に投与を継続し、8、10、12日目に投与を中止して観察した。
治療効果:
血圧は投与後に上昇傾向を示し、投薬3日目に初めて正常血圧が現れた。血圧は投薬9日目以降に正常に保たれ、投薬中止後、血圧は95/70mmHgを維持していた。治療期間中の患者の血圧の測定結果を図22に示す。
これは、プラスミノーゲンが低血圧患者の血圧回復を促進できることを示している。
ケース8
患者は50歳の女性であり、長年低血圧であり、平日は血圧が80/60mmHgと低く、朝起きた時にめまいが時々あった。低血圧と診断された。治療方法:静脈内注射、1日1回、投与量は100mgであった。
治療結果:
投薬後、患者の血圧は投薬の翌日に正常に戻り、1週間後に約110/70mmHgに達した。治療期間中の患者の血圧の測定結果を図23に示す。これは、プラスミノーゲンが低血圧患者の血圧回復を促進できることを示している。

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配列表
配列1:
gagcctctggatgactatgtgaatacccagggggcttcactgttcagtgtcactaagaagcagctgggagcaggaagtatagaagaatgtgcagcaaaatgtgaggaggacgaagaattcacctgcagggcattccaatatcacagtaaagagcaacaatgtgtgataatggctgaaaacaggaagtcctccataatcattaggatgagagatgtagttttatttgaaaagaaagtgtatctctcagagtgcaagactgggaatggaaagaactacagagggacgatgtccaaaacaaaaaatggcatcacctgtcaaaaatggagttccacttctccccacagacctagattctcacctgctacacacccctcagagggactggaggagaactactgcaggaatccagacaacgatccgcaggggccctggtgctatactactgatccagaaaagagatatgactactgcgacattcttgagtgtgaagaggaatgtatgcattgcagtggagaaaactatgacggcaaaatttccaagaccatgtctggactggaatgccaggcctgggactctcagagcccacacgctcatggatacattccttccaaatttccaaacaagaacctgaagaagaattactgtcgtaaccccgatagggagctgcggccttggtgtttcaccaccgaccccaacaagcgctgggaactttgtgacatcccccgctgcacaacacctccaccatcttctggtcccacctaccagtgtctgaagggaacaggtgaaaactatcgcgggaatgtggctgttaccgtgtccgggcacacctgtcagcactggagtgcacagacccctcacacacataacaggacaccagaaaacttcccctgcaaaaatttggatgaaaactactgccgcaatcctgacggaaaaagggccccatggtgccatacaaccaacagccaagtgcggtgggagtactgtaagataccgtcctgtgactcctccccagtatccacggaacaattggctcccacagcaccacctgagctaacccctgtggtccaggactgctaccatggtgatggacagagctaccgaggcacatcctccaccaccaccacaggaaagaagtgtcagtcttggtcatctatgacaccacaccggcaccagaagaccccagaaaactacccaaatgctggcctgacaatgaactactgcaggaatccagatgccgataaaggcccctggtgttttaccacagaccccagcgtcaggtgggagtactgcaacctgaaaaaatgctcaggaacagaagcgagtgttgtagcacctccgcctgttgtcctgcttccagatgtagagactccttccgaagaagactgtatgtttgggaatgggaaaggataccgaggcaagagggcgaccactgttactgggacgccatgccaggactgggctgcccaggagccccatagacacagcattttcactccagagacaaatccacgggcgggtctggaaaaaaattactgccgtaaccctgatggtgatgtaggtggtccctggtgctacacgacaaatccaagaaaactttacgactactgtgatgtccctcagtgtgcggccccttcatttgattgtgggaagcctcaagtggagccgaagaaatgtcctggaagggttgtaggggggtgtgtggcccacccacattcctggccctggcaagtcagtcttagaacaaggtttggaatgcacttctgtggaggcaccttgatatccccagagtgggtgttgactgctgcccactgcttggagaagtccccaaggccttcatcctacaaggtcatcctgggtgcacaccaagaagtgaatctcgaaccgcatgttcaggaaatagaagtgtctaggctgttcttggagcccacacgaaaagatattgccttgctaaagctaagcagtcctgccgtcatcactgacaaagtaatcccagcttgtctgccatccccaaattatgtggtcgctgaccggaccgaatgtttcatcactggctggggagaaacccaaggtacttttggagctggccttctcaaggaagcccagctccctgtgattgagaataaagtgtgcaatcgctatgagtttctgaatggaagagtccaatccaccgaactctgtgctgggcatttggccggaggcactgacagttgccagggtgacagtggaggtcctctggtttgcttcgagaaggacaaatacattttacaaggagtcacttcttggggtcttggctgtgcacgccccaataagcctggtgtctatgttcgtgtttcaaggtttgttacttggattgagggagtgatgagaaataattaa
配列2:
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配列3:
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配列4:
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配列5:
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配列6:
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配列7:
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配列8:
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配列9:
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配列10:
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配列11:
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配列12:
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配列13:
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配列14:
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Claims (18)

  1. プラスミノーゲン活性化経路の成分、プラスミノーゲンを直接活性化し得るか、またはプラスミノーゲン活性化経路の上流成分を活性化することによって間接的にプラスミノーゲンを活性化し得る化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミンの活性を模倣する化合物、プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化剤の発現をアップレギュレートすることができる化合物、プラスミノーゲン類縁体、プラスミン類縁体、tPAまたはuPA類縁体及び線維素溶解阻害剤の拮抗剤から選択される1つ以上の有効量の化合物を血圧異常な被験者に投与することを含む、血圧異常の双方向治療方法であって、前記血圧異常が高血圧または低血圧であり、前記化合物が、高血圧または低血圧に罹患している被験者の血圧を正常化するか、正常に近くするか、または正常に戻らせる、前記方法。
  2. 前記プラスミノーゲン活性化経路の成分が、プラスミノーゲン、組換えヒトプラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、Glu-プラスミノーゲン、プラスミン、プラスミノーゲンとプラスミンの1つ以上のkringleドメイン及びプロテアーゼドメインを含むプラスミノーゲン及びプラスミン変異体並びに類縁体、ミニプラスミノーゲン(mini-plasminogen)、ミニプラスミン(mini-plasmin)、マイクロプラスミノーゲン(micro-plasminogen)、マイクロプラスミン(micro-plasmin)、delta-プラスミノーゲン、delta-プラスミン(delta-plasmin)、プラスミノーゲン活性化剤、tPA、及びuPAから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記線維素溶解阻害剤の拮抗剤が、PAI-1、補体C1阻害剤、α2抗プラスミンまたはα2マクログロブリンの拮抗剤、例えば、抗体である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記化合物が、血圧異常によって引き起こされる組織及び器官の損傷または合併症をさらに緩和する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記血圧異常によって引き起こされる合併症が、高血圧によって引き起こされる合併症であり、前記合併症が、不整脈、心不全、冠状動脈性心疾患、脳出血、脳血栓症、脳梗塞、高血圧性腎症、腎不全、尿毒症、肝硬変、肺高血圧症、肺線維症、及び微小血栓症から選択される1つ以上である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記血圧異常によって引き起こされる合併症が、低血圧によって引き起こされる合併症であり、前記合併症が、心臓供血不足、狭心症、ショック、脳供血不足、失神、脳梗塞、腎供血不足、乏尿、タンパク尿及び腎機能不全から選択される1つ以上である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記化合物が、高血圧症の被験者の血圧を下げる効果、高血圧症の被験者の血清アンギオテンシンIIレベルを下げる効果、被験者のACEまたはACE2のレベルを調節する効果、高血圧症の被験者の血圧を正常レベルに戻すことを促進する効果、低血圧症の被験者の血圧を上昇させる効果、低血圧症の被験者の血圧を正常なレベルに戻すことを促進する効果、異常な血圧によって引き起こされる組織及び器官の損傷を軽減する効果、損傷した組織及び器官の修復を促進する効果、組織及び器官の繊維化を軽減する効果、及びフリーラジカルの除去を促進する効果から選択される1つ以上の効果を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記損傷した組織及び器官の修復を促進することが、損傷した心臓組織、脳組織、肺組織、腎臓組織もしくは肝臓組織の構造または機能の回復を促進することである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記組織及び器官の繊維化を軽減することが、心臓組織、肺組織、腎臓組織または肝臓組織の線維化を減少させることである、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記化合物がSOD産生を促進することによってフリーラジカルを除去する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記化合物がプラスミノーゲンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記プラスミノーゲンが、配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性またはリジン結合活性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記プラスミノーゲンが、配列14に示されるプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、プラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記プラスミノーゲンがGlu-プラスミノーゲン、Lys-プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta-プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲンタンパク質加水分解活性を保持した変異体から選択されるものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記プラスミノーゲンが、天然もしくは合成のヒトプラスミノーゲン、またはそのプラスミノーゲンのタンパク質加水分解活性もしくはリジン結合活性を保持した変異体もしくはフラグメントである、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記化合物が、1つまたは複数の他の治療方法または薬剤と組み合わせて使用する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記他の薬剤が、血圧異常症の被験者における血圧異常症以外の他の疾患を治療するための薬剤である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記化合物が、鼻吸入、エアロゾル吸入、点鼻薬、点耳薬または点眼薬によって投与され、静脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内、髄腔内、動脈内、直腸内及び/または筋肉内によって投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。


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