JP2023510935A - Mri用造影剤としての鉄錯体およびその塩 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023510935000001
本発明は、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。また、本発明は、経口投与および/または非経口投与、好ましくは静脈内投与のために製剤化された医薬組成物に関し、該医薬組成物は、好ましくは前記錯体または塩を含有する水性溶液として製剤化される。本発明はさらに、磁気共鳴イメージング(MRI)用造影剤として使用するための前記錯体もしくはその塩または前記医薬組成物、ならびに前記錯体または塩および前記医薬組成物のin situ調製のための方法およびキットに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)のための造影剤の分野に属し、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、および該錯体または塩を含有する医薬組成物に関する。本発明はさらに、前記錯体または塩および前記医薬組成物をin situで調製するための方法およびキットに関する。
先行技術
ここ数十年、磁気共鳴イメージング(MRI)は、極めて高い空間・時間分解能で画像を得ることができるため、診断技術の中でも特に重要な役割を担っている。MRI画像は、単位体積(ボクセル)の信号強度H-NMR(SI)を位相的に示したものであり、SIの主な寄与は生体組織の主成分である水のプロトンによるものである。MRI画像のコントラストは、厳密には装置の動作手順(例えば励起シーケンスや信号取得など)と造影剤(CA)の使用によって変化させることができる。MRIの代表的な造影剤は、例えば常磁性体であり、投与されると、それが分布する解剖学的領域において水のプロトンの緩和時間TおよびTを短縮することが可能である。MRI用造影剤の最も重要な特徴の一つは「緩和能」であり、造影剤の濃度に対するTまたはTの変化で定量化される。1980年代には、常磁性体のうち常磁性金属錯体がMRI用造影剤に最適であることが分かった。特に、金属イオンであるGd3+は、高い常磁性(不対電子が7個)と比較的長い電子緩和時間を特徴としており、特に有効であることが実証された。さらに、Gd3+は、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)のような直鎖状や、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)のような環状の八座配位子と熱力学的に高い安定性を持つ錯体を形成することができる。これらの錯体では、金属イオンの8つの配位部位は配位子のドナー原子(NとO)が占め、9番目の位置は水分子が占めることが可能である。造影剤として用いられ診断目的の解剖学的領域の水性環境に分布すると、Gd3+錯体はそれに配位した水分子を外部溶媒の水分子と交換することができ、常磁性効果が周囲のミクロ環境の水プロトン全体に伝達されるため、特に有利であることが証明された。また、緩和能に関しても、ガドリニウム錯体は優れた値(3~4mM-1s-1)を示し、Gd-BOPTA(ガドベン酸)、Gd-EOB-DTPA(ガドキセチン酸)、MS-325(ガドフォスベセット)などの錯体をヒト血清中で使用した場合に、その表面に疎水性置換基が存在し血清中に存在するアルブミンと可逆的に相互作用できるため著しく増大する。したがって、ガドリニウム錯体は造影剤として優れた特性を示し、今日、MRI診断において選択されているが、Gd3+イオン自体が人体に有毒(主にCa2+イオンに対する拮抗作用による)であるため、より安定な錯体、すなわち、フリーのGd3+イオンを放出せず、患者に投与した量の100%に限りなく近い量で排泄できる錯体の製造に多くの努力がなされている(そして現在もなお、この努力は継続されている)。しかし、フリーのGd3+イオンの毒性が知られているにもかかわらず、数年前まで、科学界では、安定なガドリニウム錯体に基づく造影剤(一般に「ガドリニウム系造影剤」と呼ばれる)は毒性がない物質であるとされていた。しかし、10年ほど前、ガドリニウム錯体の投与とNSF(腎性全身性線維症)と呼ばれる病態との関係が示されたため(病態の原因が糸球体濾過量30mL/分未満である患者に限られているようであるが)、この確信は弱まった。さらに最近、GBCAの潜在的な毒性に関する別の懸念材料として、GBCAを投与された患者の体内にごく微量のガドリニウムが、腎不全がない場合にも残存することが確認されたことが挙げられた。残存量は投与回数と錯体の種類に依存するようである。Gdの残存に関連する臨床的相関性(毒性、急性)は報告されていないが、欧州医薬品庁(EMA)は、いわゆる「Gdの残存」に最も関与していると考えられるいくつかのGd錯体の販売認可を取り消した。科学界では、ガドリニウム錯体の使用で得られるのと同様の効率が得られると同時に毒物学的安全性が保証された代替手段を模索することとなった。そこで、人体に必須で、ガドリニウムのような生体内リサイクル過程が存在しない非必須元素に比べて生体組織による「管理」が容易になるのではないかとの期待から、Mn2+やFe3+などの内因性金属イオンの常磁性錯体に注目が集まっている。Mn2+(不対電子5個)に関しては、Mn2+イオンの一部が生体分子(例えばアルブミンなど)に移行しないような熱力学的安定性を保証できる配位子は、今のところ見つかっていない。並行して、例えばWorah D.らの出版物(「Ferrioxamine as a magnetic resonance contrast agent: preclinical studies and phase I and II human clinical trials」; Invest Radiol 1988; 23 (Suppl): S281-S285)に報告されているように、GBCAに代わるMRI用造影剤としてFe3+錯体(同様に不対電子を5個持つ)の探索にも様々な取り組みがなされている。しかし、現状では、Fe3+錯体の緩和能は約2mM-1-1と低く、現在最も広く普及し使用されている造影剤の基礎となっているGd3+錯体の緩和能に及ばないことが示されている。この主な理由は、錯体の熱力学的安定性を確保するためには、6つのFe3+イオン配位点すべてが配位子ドナー原子によって占有される必要があるためである。只、このような場合、(ガドリニウムベースの錯体の場合に生じるような)水分子の配位の可能性が失われるため、第2配位圏または外圏の水分子に帰属する水分子または可動プロトンによって生じる緩和能への寄与のみが作用することになる。
本発明は、良好な緩和能を示し、水性環境における良好な溶解性によって特徴付けられ、限られた量の溶液を用いて患者に投与することができ、患者自身の体からそのままの形で排泄されるMRI用造影剤を提供することによって、先行技術の上述の問題を解決する。本出願人は、事実、驚くべきことに、(例えばEP0914118に記載されている)鉄の過剰摂取や体内蓄積を治療するためのキレート療法で通常使用されるデフェラシロクス(DFX=4-[(3,5-ビス-(2-ヒドロキシフェニル)-1,2,4)トリアゾール-1-イル]-安息香酸、ICL670)およびその誘導体との鉄錯体を用いることで、従来から研究されているFe3+錯体と比べて緩和能が顕著に向上すると同時に、人体から完全に排泄されることを特徴とするMRI用の鉄ベースの造影剤を提供することが可能であることを見い出した。本発明により、出願人はさらに、デフェラシロクスおよびその誘導体との前記鉄錯体を塩とし、および/または医薬製剤とすることで、溶解度を制御することができるMRI用造影剤を提供する。
本発明は、一般式(I)
Figure 2023510935000002
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。本発明はまた、経口および/または非経口投与、好ましくは静脈内投与のために製剤化された医薬組成物に関し、該医薬組成物は、好ましくは、前記錯体または塩を含有する水溶液として製剤化される。本発明はさらに、磁気共鳴イメージング(MRI)の造影剤として使用するための、前記錯体またはその塩または前記医薬組成物、ならびに前記錯体または塩および前記医薬組成物のin situ調製のための方法およびキットに関する。
図1は、本発明のFe(DFX)錯体の、1/T H-NMRDプロファイル(水中およびヒト血清中25℃にて、0.01~80MHzのラーモア周波数で記録)および1/T H-NMRDプロファイル(水中およびヒト血清中25℃にて、20~80MHzのラーモア周波数で記録)を示す。 図2は、Fe(DFX)錯体の緩和能(r1p)の傾向を示したものである(HO中、固定磁場(B=0.5T)下でpHを変化させた)。 図3は、本発明のFe(DFX)錯体の緩和能(R1p)の傾向を示す(PBSおよびヒト血清中、固定磁場(B=0.5T)下で温度を変化させた)。 図4は、本発明のFe(DFX)錯体の緩和能(r1p)の経時変化を示したものである(PBSおよびヒト血清中、固定磁場(B=0.5T)下、温度25℃にて、2種類の温度(37℃および4℃)で6日間まで維持した試料で測定)。 図5は、PBS中にFe(DFX)を0.5mMの濃度で含む水溶液(ヒト血清のアルブミンの濃度を増加させた)の水プロトン緩和時間(R=1/T)の傾向を示したものである。 図6は、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスのMRI画像である(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与前および投与20分後に、7Tの固定磁場下で記録した)。 図7は、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの腫瘍領域におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、7Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図7aは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの腎臓におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、7Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図7bは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの膀胱におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、7Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図7cは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの脾臓におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、7Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図8は、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの腫瘍領域におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、3Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図8aは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの腎臓におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、3Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図8bは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの膀胱におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、3Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図8cは、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスの脾臓におけるコントラストの増加率(En%)の経時変化を示したものである(0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)の投与後に、3Tの固定磁場下、in vivoで記録した)。 図9は、0.1mmol/kgのFe(DFX)およびGd-DTPA(マグネビスト)を投与したマウスの血漿中のFe3+およびGd3+濃度の経時変化を示す。
発明の好ましい実施形態の詳細な説明
本発明において、用語「ヒト血清」(「human blood serum」および「human serum」)は、完全に交換可能な同義語として使用される。
本発明において、「置換されていてもよい」という表現は、示された基が非置換であるか、または1、2または3つの位置で置換されている可能性があることを意味する。
用語「ハロゲン」は、本発明において、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択される、ハロゲングループの元素を意味する。
本発明において、「C-Cアルキル」は、最小1個から最大5個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖のアルキル基を示す。同様に、「C-Cアルキル」は、最小1個から最大3個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を示す。同様に、「C-Cアルキル」は、最小1個から最大2個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味する。
「C-Cアルコキシル」は、最小1個から最大5個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖のアルコキシル基を示す。同様に、「C-Cアルコキシル」は、最小1個から最大3個の炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖状のアルコキシル基を示す。
本発明において、「C-Cヒドロキシアルキル」は、1個以上のヒドロキシル基で置換されたC-Cアルキル基を示す。同様に、「C-Cヒドロキシアルキル」は、1個以上のヒドロキシル基で置換されたC-Cアルキル基を示す。
本発明において、「C-Cカルボキシアルキル」は、1個以上のカルボキシル基で置換されたC-Cアルキル基を示す。同様に、「C-Cカルボキシアルキル」は、1個以上のカルボキシル基で置換されたC-Cアルキル基を示す。
本発明において、「アリール」は、6~15個の炭素原子を有する炭素環式系を示す。該環式系は、単環式、二環式または三環式の系であり得る。
本発明において、用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の実施形態による一般式(I)を有する鉄錯体の有効性および生物学的特性を維持し、典型的には生物学的またはその他の点で好ましくないものではない、塩を指す。
本発明は、一般式(I):
Figure 2023510935000003
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明の好ましい実施形態によれば、RおよびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択される。本発明の別の好ましい実施形態によれば、
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(前記少なくとも一つの基が前記アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましい実施形態によれば、本発明は、
およびRが、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
が、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(前記少なくとも一つの基が前記アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される、
一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、RおよびRがいずれも芳香環の5位に存在する、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。本発明の特に好ましい実施形態によれば、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキルから選択される)から選択される基で置換されていてもよいアリールであり、前記基は、前記アリールの芳香環の4位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZから選択される基で置換されていてもよいアリールであり、Zは、同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選ばれ;前記基は前記アリールの芳香環の4位に存在する。
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、式(Ia):
Figure 2023510935000004
で示される、RおよびRが、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり、Rが、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明において、前述の式(Ia)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩は、Fe(DFX)として記載することもでき、ここでDFXは、4-[(3,5-ビス-(2-ヒドロキシフェニル)-1,2,4)トリアゾール-1-イル]-安息香酸を表し、商品名デフェラシロクス(Deferasirox)、エクジェイド(Exjade)として知られている。一実施形態によれば、本発明の式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩は、ラセミまたはエナンチオマーに富む混合物の形態である。特に好ましい実施形態によれば、本発明は、式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩に関し、この塩は、前記錯体の塩化により得られるものである。すなわち、前記薬学的に許容される塩は、無機または有機塩基で塩にされた一般式(I)を有する鉄錯体であり、前記無機または有機塩基は、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、アミン、アミノアルコールからなる群から選択される。前記アミノアルコールは、好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)、より好ましくはメグルミンからなる群から選択される。好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、本発明の式(I)を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる塩である。特に好ましい実施形態によれば、前記薬学的に許容される塩は、本発明の式(Ia)を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる塩である。好ましくは、前述の本発明の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩は、37℃、1Tにて測定されるヒト血清中の緩和能が、2.5mM-1-1より大きく、好ましくは3.4mM-1-1(Gd-DTPAの緩和能)より大きいことによって特徴付けられる。
本発明の鉄錯体が式(Ia)を有する錯体またはその薬学的に許容される塩、好ましくはメグルミンとの塩である、本発明の好ましい実施形態によれば、37℃、1Tで測定されるヒト血清中の前記緩和能は3.5mM-1-1より大きい。出願人は、本発明の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、好ましくは式(Ia)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、好ましくはメグルミンとの塩が、ヒト血清中に存在するアルブミンに安定的に結合し付加体を形成することを見出した。したがって、特定の理論に束縛されることを望むものではないが、ヒト血清中での本発明の鉄錯体またはその塩の高い緩和能は、i)印加磁場の増大とアルブミンとの付加体の形成に伴ってFe3+イオンの電子緩和時間(T1e)が長くなること、およびii)アルブミンとの付加物の特に長い分子再配向時間(T)(すなわち、10~50ナノ秒、好ましくは15~45ナノ秒)の組み合わせに起因するということができる。換言すれば、本発明の鉄錯体またはその薬学的に許容される塩の緩和能は、印加磁場が、次式に従いTRにより1/Tが決定されるようになるまで増大することに伴い、増大するといえる。
Figure 2023510935000005
好ましくは、本発明の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩は、高い熱力学的安定性、すなわち25 logβより大きい、好ましくは30 logβより大きい熱力学的安定性を有することによってさらに特徴付けられる。本発明の鉄錯体が式(Ia)を有する錯体またはその薬学的に許容される塩、好ましくはメグルミンとの塩である本発明の好ましい実施形態によれば、前記熱力学的安定性は35~40 logβである。本発明は、さらに、前述の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩と、1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含む医薬組成物に関する。前記添加剤は、好ましくは、NaCl、HCl、NaOH、硫酸およびそのナトリウム塩、リン酸およびそのナトリウム塩、クエン酸およびそのナトリウム塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸二ナトリウム、EDTA、塩化ベンザルコニウムからなる群から選択される。前記希釈剤は、好ましくは、注射用水、生理食塩水、デキストロースの溶液、エタノール、プロピレングリコールからなる群から選択される。前記薬学的に許容される媒体は、好ましくは、デキストロース、マンニトール、デキストラン、シクロデキストリン(α、γ、HP-β)からなる群から選択される。一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、経口および/または非経口投与用に製剤化される。好ましくは、前記医薬組成物は、静脈内投与のために製剤化される。特に好ましい実施形態によれば、前記医薬組成物は、水溶液として製剤化される。前記医薬組成物は、好ましくは、長期間、すなわち、5日~12ヶ月間、好ましくは5日~1ヶ月間、安定である。本発明はまた、磁気共鳴イメージング(MRI)用の造影剤として使用するための、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、あるいは前述の医薬組成物に関する。好ましい実施形態によれば、一般式(I)を有する鉄錯体もしくはその薬学的に許容される塩または前述の医薬組成物は、0.005~0.5mmol/kg、好ましくは0.01~0.3mmol/kgの用量で使用される。
有利なことに、実施例の項にも示したように、前記鉄錯体もしくはその塩または前記医薬組成物は、MRI用造影剤として使用した場合、取得画像(T強調画像)のコントラストにおいて、当分野で通常用いられるガドリニウムベースの錯体(ガドペンテト酸、Gd-DTPA、商品名マグネビスト(Magnevist))を用いて得られるものと同等の性能を示す(同じ実験条件および同じ投与量において)。さらに、既に記載したように、本発明の錯体またはその薬学的に許容される塩の高い熱力学的安定性は、前記錯体またはその塩が、MRI用造影剤として使用するために、好ましくは医薬組成物の形態で、好ましくは静脈内投与によって、患者に投与されると、前記錯体またはその塩はその構造完全性がそのまま維持されるので特に有利である。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩は、まさに上述の熱力学的安定性のおかげで、患者の体内に存在する鉄イオンの内因性プールまたは他のイオンのそれを妨害せず、フェントン型反応を誘発せず、したがってMRI用の造影剤としての応用に特に有利であるということができる。本発明は、さらに、既述の一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩をin situ調製するための方法に関する。本発明において、「in situ調製」とは、患者への経口および/または非経口投与時またはその数分前に、適切な成分を混合することによって、前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩が生成されることを意味する。したがって、本発明の方法は、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II)
Figure 2023510935000006
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され、
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物を、
(ii)好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体が形成するまで混合するか、または
(iii)無機または有機塩基(好ましくは以下からなる群から選択される:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される))と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合した後、Fe(III)イオンを提供できる鉄化合物(好ましくは酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される)と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する
工程を含んでなる。
本発明の方法の一実施形態によれば、前記アミノアルコールはメグルミンである。本発明の方法の好ましい実施形態によれば、RおよびRはいずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択される。本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここで、Zは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましくは、本発明の方法の好ましい実施形態によれば、RおよびRはいずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここで、Zは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
本発明の方法の別の好ましい実施形態によれば、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、Rは、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。本発明の方法の特に好ましい実施形態によれば、RおよびRはいずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり;Rは、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである。特に好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II)
Figure 2023510935000007
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり、
は、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールであり、
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物を、
(iii)以下からなる群から選択される無機または有機塩基:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される))と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合した後、鉄化合物と混合する
工程を含む。好ましくは、式(Ia)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩を形成するまでの、Fe(III)イオンを提供できる鉄化合物は、酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択することができる。本発明の方法の一実施形態によれば、前記アミノアルコールはメグルミンである。
本発明はまた、前記の医薬組成物のin situ調製のための方法に関する。本発明において、「in situ調製」とは、患者への経口および/または非経口投与の時または数分前に、適切な成分を混合することにより、前記医薬組成物が生成されることを意味する。したがって、本発明の医薬組成物の前記in situ調製法は、好ましくは経口および/または非経口投与時に、上に記載した方法に従って得られた一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容できる塩を、
(iv)1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体と混合する工程を含んでなる。前記添加剤は、好ましくは、NaCl、HCl、NaOH、硫酸およびそのナトリウム塩、リン酸およびそのナトリウム塩、クエン酸およびそのナトリウム塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸二ナトリウム、EDTA、塩化ベンザルコニウムからなる群から選択される。前記希釈剤は、好ましくは、注射用水、生理食塩水、デキストロースの溶液、エタノール、プロピレングリコールからなる群から選択される。前記薬学的に許容される媒体は、好ましくは、デキストロース、マンニトール、デキストラン、シクロデキストリン(α、γ、HP-β)からなる群から選択される。本発明はさらに、一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を、先に述べた方法に従ってin situ調製するためのキットに関する。該キットは、少なくとも2つの別々の容器を含んでおり、ここで
(i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含み;
(ii)第2の容器は、鉄(III)化合物を含む。
一般式(II)を有する前記化合物および前記鉄(III)化合物は、上に記載したとおりである。本発明の一実施形態によれば、前記キットは、任意選択で、上に記載した医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含む第3の容器を含む。本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記キットは、上に記載した医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含み、前記1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体は、2つの別々の容器(i)-(ii)の少なくとも1つに収容される。本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記キットは、以下の少なくとも3つの別個の容器を含んでなり、
(i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含んでなり;
(ii)第2の容器が、鉄(III)化合物を含んでなり;および
(iii)第3の容器は、無機または有機塩基を含む。
前記一般式(II)を有する化合物、前記鉄(III)化合物、および前記無機または有機塩基は、既述の通りである。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記キットは、前述の医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含み、前記1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体は、3つの別々の容器(i)-(iii)の少なくとも1つに収容される。
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、一般式(I)
Figure 2023510935000008
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、および1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含有する医薬組成物に関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。特に好ましい実施形態によれば、鉄錯体は、RおよびRはいずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にHであり;Rは、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである一般式(I)を有する鉄錯体、すなわち、以下の式(Ia):
Figure 2023510935000009
を有する鉄錯体である。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、一般式(I)(または(Ia))を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を、ラセミまたはエナンチオマーに富む混合物の形態で含有する。好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、上記の一般式(I)(または(Ia))を有する鉄錯体を、好ましくは以下からなる群:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(該アミノアルコールは、好ましくは、以下からなる群:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)、好ましくはN-メチルグルカミン(メグルミン)から選択される)から選択される無機または有機塩基で塩にしたものである。本発明の好ましい実施形態によれば、前記薬学的に許容される塩は、一般式(I)(または(Ia))を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる。好ましくは、本発明の医薬組成物は、水溶液として製剤化される。
また、本発明は、磁気共鳴画像法(MRI)のための造影剤として使用するための、前記の一般式(I)
Figure 2023510935000010
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩または医薬組成物に関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)である。特に好ましい実施形態によれば、鉄錯体は、RおよびRがいずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にHであり;Rが芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである一般式(I)を有する鉄錯体であり、すなわち、次式(Ia):
Figure 2023510935000011
を有する鉄錯体である。
また、本発明は、一般式(I):
Figure 2023510935000012
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる薬学的に許容される塩に関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該基は該アリールの芳香環の4位に存在する)である。一実施形態によれば、前記薬学的に許容される塩は、RおよびRが、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり;Rが、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである一般式(I)を有する鉄錯体、すなわち、以下の式(Ia)
Figure 2023510935000013
を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる。
本発明はまた、
一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を、
1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体と、好ましくは経口および/または非経口投与時に、混合する
工程を含む、上記の医薬組成物のin situ調製法に関し、
該一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩が、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II):
Figure 2023510935000014
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物を、
(ii)好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体が形成するまで混合するか、または
(iii)好ましくは以下:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される)からなる群から選択される無機または有機塩基と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する工程を含む方法に従って得られる、
調製法に関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。
好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)である。本発明はまた、上記の一般式(I)を有する錯体とメグルミンとの薬学的に許容される塩のin situ調製のための方法に関し、該方法は、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II)を有する化合物
Figure 2023510935000015
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物と、
(iii)N-メチルグルカミン(メグルミン)を、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する
工程を含んでなる方法に関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ、(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキルから選択される)から選択される基で置換されていてもよいアリールであり、該基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する。本発明はまた、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II)を有する化合物
Figure 2023510935000016
[式中、
およびRがいずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり;
は、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールであり;
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物と、
(iii)N-メチルグルカミン(メグルミン)とを、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する
工程を含んでなる、一般式(Ia)を有する鉄錯体とメグルミンとの薬学的に許容される塩のin situ調製のための方法に関する。
また、本発明は、好ましくは経口および/または非経口投与時に、
(i)一般式(II)
Figure 2023510935000017
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する化合物を、
(ii)好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体が形成するまで混合するか、または
(iii)好ましくは以下:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される)からなる群から選択される無機または有機塩基と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する
工程を含んでなる方法に従って、一般式(I)
Figure 2023510935000018
[式中、
およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩をin situで調製するためのキットであって、該キットが、少なくとも2つの別々の容器を含み、ここで
(i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含み;
(ii)第2の容器が鉄化合物を含む、
キットに関する。
好ましくは、RおよびRは、いずれも芳香環の3位に存在するか、または両方とも5位に存在し同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;Rは、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(前記少なくとも一つの基が前記アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される。好ましくは、RおよびRはいずれも芳香環の5位に存在する。好ましくは、Rは、以下COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(前記少なくとも一つの基が前記アリールの芳香環の4位に存在する)である。特に好ましい実施形態によれば、鉄錯体は、RおよびRが、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり、Rが、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである一般式(I)を有する鉄錯体、すなわち下記式(Ia)
Figure 2023510935000019
を有する鉄錯体である。
本発明はまた、上記の医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含んでなるキットであって、
該1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体が、2つの別々の容器(i)-(ii)の少なくとも1つに収容されているか、あるいはそうでなければ、該キットは少なくとも3つの別々の容器を含んでなり、
ここで
(i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含んでなり;
(ii)第2の容器は、鉄化合物を含んでなり;
(iii)第3の容器は、無機または有機塩基を含んでなり、
該キットは、任意選択で、本発明の医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含んでなり、該1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体が、3つの別々の容器(i)-(iii)の少なくとも1つに収容されている、
キットに関する。
実施例1-Fe(DFX) のメグルミン塩の調製
以下の手順に従って、[Fe(DFX)Meg]錯体を調製した。0.2mmolのDFX(PM=373.73;75mg)を100mLのHOに分散させ、得られた懸濁液をメグルミン(N-メチル-D-グルカミン、MEG)の5M水溶液で完全に溶解し、pHが約9になるまで加熱および攪拌しながら塩にした。次いで、0.1mmolのFeCl(25mMの溶液4mL)を加え、得られた溶液のpHを、メグルミンの5M溶液を加えることによって、約8に近づけた。得られた溶液を60℃に加熱し、攪拌しながら1時間維持した。次に、この溶液をブフナーフィルターで濾過し、凍結乾燥し、赤色の固体を得た。得られた錯体は、2998PDA検出器を備えたHPLC-Waters Alliance Separation Moduleにより分析し特性を評価した。分析は、10分間のアイソクラティック溶液を用いて行った(流速1mL/分;注入量:200μM溶液10μL;カラム:AtlantisRPC18;溶離液:35%バッファー(50mM酢酸アンモニウム、10mMテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩)45%メタノーsルおよび20%アセトニトリル;波長467nm;t=2,7分)。錯体の存在は、シリンジポンプ(直接注入)によるESIイオン化(-)と2:1水/メタノール溶離液を用いたWaters 3100 Mass Detectorシステムによる質量分析により確認した。マススペクトルのピーク(m/z=798.3およびm/z 398.8)の分析は、錯体C42H27FeN6O8の理論質量 m/z = M-H/1= 798.13, m/z= M-2H/2= 398.6 と一致する。
このようにして得られた錯体の塩(以下、単にFe(DFX)とする)について、MRI用造影剤としての有効性を証明するため、以下の実施例に示すような種々の実験および試験を行った。
実施例2-固定磁場リラクソメトリック測定(1T):先行技術であるGd-DTPAおよびFe-DTPA錯体との比較
実施例1で得られた[Fe(DFX)Meg]錯体を用いて固定磁場リラクソメトリック測定を行い、先行技術の2つの錯体、Gd-DTPAおよびFe-DTPAと比較した。ヒト血清中および水中での測定で得られた結果を、以下の表1に示す。
Figure 2023510935000020
実施例3-Fe(DFX) の1/T H-NMRDプロファイル
図1に示すように、実施例で得られたFe(DFX)錯体の1/T(R1) H-NMRDプロファイルについて、25℃の水中とヒト血清中、0.01~80MHzのラーモア周波数で、1/T(R2)プロファイルを20~80MHzのラーモア周波数の範囲で分析した。水中と血清中で記録された1/T(R1)プロファイルは、約10MHzの周波数までは一致するが、血清中で記録されたプロファイルでは緩和能の増大が観察され、水中の錯体の場合よりもはるかに顕著であった。この現象は、血清中では錯体がアルブミンと結合し、その結果、系のサイズが大きくなり、分子の再配向時間(τ)が長くなることに起因している。予想通り、試験した全周波数範囲(20~80MHz)において、1/T2値は1/T1値より常に高い。R2/R1比は水中と血清中の両方で約1.4を維持している。
実施例4-pHの変化による安定性と緩和能の測定
実施例1に従って得られたFe(DFX)錯体の安定性を、水中でのpHを変化させて試験した。水に溶解した本発明の錯体は、試験したpH範囲(6~10)で安定である(沈殿現象は記録されなかった)ことが示された。さらに、図2に示すように、固定磁場(B=0.5T)で測定した緩和能は、試験したpH範囲(6~10)で一定であることを示しており、緩和能が変化するような構造変化が起きていないことを示唆している。
実施例5-温度変化による安定性と緩和能の測定
実施例1と同様にして得られたFe(DFX)錯体の溶液について、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)中および血清中、固定磁場(B=0.5T)下、温度を変化させて緩和率Rの増大を測定した。図3からわかるように、血清、PBSともに、温度の上昇とともにRの値が徐々に減少していることがわかる。この傾向は、温度の上昇により常磁性緩和の相関時間が短くなり、その結果Rの値が減少することに起因している。
実施例6-ヒト血清中における安定性の試験
実施例1に従って得られた本発明のFe(DFX)錯体の血清中での安定性の試験は、調製後6日まで4℃および37℃に維持した溶液を、0.5T、25℃にて緩和能を測定することによって実施した。得られた値を、PBS中で実施した同様の試験で得られた値と比較した。図4に示すように、4℃および37℃で維持した溶液の両方で、rの値は実質的に一定であった。したがって,Fe(DFX)錯体は,試験した温度と時間において,PBS中および血清中で安定であると結論づけることができる。
実施例7-アルブミンへの結合
実施例1に従って得られた本発明の錯体Fe(DFX)のヒト血清のアルブミン(HSA-ヒト血清アルブミン)に対する結合を、PBS中に0.5mM濃度のFe(DFX)と漸増濃度のタンパク質(0.07~2.0mMの範囲)を含む溶液の水プロトンの緩和時間の値(R=1/T)を測定することにより試験した。図5に示された傾向は、Fe(DFX)とアルブミンの強い相互作用を示すものである。結合曲線の傾きの変化は、Fe(DFX):アルブミンの比率が3:1のときに生じている。これは、3分子のFe(DFX)がタンパク質上の異なる3つの部位に結合することを意味する。0.17mMを超えるアルブミン濃度でのRの増加は、非特異的結合と溶液の粘度の増加に起因するものである。
実施例8-Fe(DFX) を用いたMRI画像および先行技術のGd-DTPA錯体との比較
実施例1に従って得られた本発明の錯体Fe(DFX)の投与(0.1mmol/kg)によって生じるコントラストの増大(En%)を測定し、同じ用量および同じ実験条件下で、Gd-DTPA錯体(マグネビストの商品名で知られている)と比較した。測定は、腫瘍細胞(TSA)を接種したマウスを用い、3Tおよび7Tの固定磁場下で行った(in vivo)。画像は、皮下腫瘍の大きさが約1~2cmに達した時点(すなわち、接種から約15~20日後)で取得した。図6~8から推測されるように、種々の臓器/組織で生じるコントラストに関して、Fe(DFX)錯体とGd-DTPAとの間で全体的に類似性が観察された。主な違いは、腎臓および膀胱に関して指摘することができ、本発明の錯体と比較して、Gd-DTPAの腎臓排泄がより速いことを示す。対照的に、腫瘍の領域では、Gd-DTPAと比較してFe(DFX)の遅い「ウォッシュアウト」が観察され、本発明の錯体は、7Tおよび3Tの両方の固定磁場下で、投与後60分まで腫瘍領域のMRI信号の増大((En%、「増大」))が持続することが実証された。
実施例9-血中排泄量
Fe(DFX)またはGd-DTPAを0.1mmol/kgの用量でマウスに投与後、血漿中の鉄(Fe3+)(内因性鉄の量について値を補正後の)またはガドリニウム(Gd3+)の濃度の経時変化をICP-MSにより測定した。Fe(DFX)は、「血液プール剤」、すなわち血管造影用の造影剤の挙動に類似することを示している。但し、図9に示すように、投与から24時間後の血中のFe(DFX)濃度はゼロに近い値であることが分かる。

Claims (17)

  1. 一般式(I)
    Figure 2023510935000021
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
    は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩、および1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含有する医薬組成物。
  2. およびRが、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
    が、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(前記少なくとも一つの基が前記アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される、
    一般式(I)を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. およびRがいずれも芳香環の5位に存在する、一般式(I)を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. がアリールであり、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、から選択される)から選択される基で置換されていてもよく、該基は前記アリールの芳香環の4位に存在する、一般式(I)を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり、
    は、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである、すなわち、前記鉄錯体が次式
    Figure 2023510935000022
    で示される鉄錯体である一般式(I)を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 一般式(I)を有する前記鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を、ラセミまたはエナンチオマーに富む混合物の形態で含有する、請求項1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 前記薬学的に許容される塩が、好ましくは以下:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは好ましくは以下からなる群から選択される:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン))からなる群から選択される無機または有機塩基で塩にされた一般式(I)を有する鉄錯体である、請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. 前記薬学的に許容される塩が、一般式(I)を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる、請求項1~7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 経口および/または非経口投与、好ましくは静脈内投与のために製剤化された、好ましくは水性溶液として製剤化された、請求項1~8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. 磁気共鳴イメージング(MRI)の造影剤として使用するための、一般式(I)
    Figure 2023510935000023
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
    は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する鉄錯体もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項1~9のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. 一般式(I)
    Figure 2023510935000024
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
    は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する鉄錯体とメグルミンとの反応から得られる、薬学的に許容される塩。
  12. およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり、
    は、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである、すなわち、前記鉄錯体が次式
    Figure 2023510935000025
    で示される鉄錯体である一般式(I)を有する前記鉄錯体と、メグルミンとの反応から得られる、請求項11に記載の薬学的に許容される塩。
  13. 一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩を、好ましくは経口および/または非経口投与時に、1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体と混合する工程を含んでなる、請求項1~9のいずれかに記載の医薬組成物のin situ調製法であって、
    該一般式(I)を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩が、好ましくは経口および/または非経口投与時に、以下の工程:
    (i)一般式(II)
    Figure 2023510935000026
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
    は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
    およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する化合物を、
    (ii)好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体が形成するまで混合するか、または
    (iii)好ましくは以下:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される)からなる群から選択される無機または有機塩基と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する、
    を含む方法にしたがって得られる、調製法。
  14. 請求項11記載の薬学的に許容される塩のin situ調製法であって、
    好ましくは経口および/または非経口投与時に、
    (i)一般式(II)
    Figure 2023510935000027
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
    は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
    およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する化合物と、
    (iii)N-メチルグルカミン(メグルミン)とを、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する
    工程を含んでなる方法。
  15. 請求項12に記載の薬学的に許容される塩のin situ調製のための、請求項14に記載の方法であって、
    およびRがいずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、いずれもHであり;
    は、芳香環の4位がCOOH基で置換されたアリールである、方法。
  16. 好ましくは経口および/または非経口投与時に、(i)一般式(II)
    Figure 2023510935000028
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシルから選択され、
    は、H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、好ましくはC-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、好ましくはC-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル、C-Cアルコキシル、好ましくはC-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して以下から選択される:H、C-Cアルキル、好ましくはC-Cアルキル)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択され、
    およびRは、同時にまたは互いに独立して、H、C-Cアルカノイル、以下:COOH、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OHから選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアロイル(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アロイルの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する化合物を、
    (ii)好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体が形成するまで混合するか、または
    (iii)好ましくは以下:アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アミン、アミノアルコール(ここで、該アミノアルコールは、好ましくはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、グルコサミン、グルカミン、N-メチルグルカミン(メグルミン)からなる群から選択される)からなる群から選択される無機または有機塩基と、一般式(II)を有する化合物の薬学的に許容される塩が形成するまで混合し、次いで、好ましくは以下:酸化鉄、水酸化鉄、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、フマル酸鉄、グルコン酸鉄、酒石酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸鉄からなる群から選択される、Fe(III)イオンを提供することができる鉄化合物と、一般式(I)を有する鉄錯体の薬学的に許容される塩が形成するまで混合する、
    工程を含む方法に従って、一般式(I):
    Figure 2023510935000029
    [式中、
    およびRは、いずれも芳香環の3位またはいずれも芳香環の5位に存在し、同時にまたは互いに独立して、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシルから選択され;
    は、H、C-Cアルキル、C-Cヒドロキシアルキル、C-Cカルボキシアルキル、以下:COOH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルコキシル、OH、NZ、CONZ(ここでZは同時にまたは独立して、H、C-Cアルキルから選択される)から選択される少なくとも一つの基で置換されていてもよいアリール(ここで、該少なくとも一つの基は好ましくは該アリールの芳香環の4位に存在する)から選択される]
    を有する鉄錯体またはその薬学的に許容される塩をin situで調製するためのキットであって、該キットが、少なくとも2つの別々の容器を含み、ここで
    (i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含み;
    (ii)第2の容器が鉄化合物を含む、
    キット。
  17. 請求項13に記載の医薬組成物の調製のための、1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含んでなる請求項16に記載のキットであって、
    該1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体が、2つの別々の容器(i)-(ii)の少なくとも1つに収容されているか、あるいはそうでなければ、該キットは少なくとも3つの別々の容器を含んでなり、
    ここで
    (i)第1の容器は、一般式(II)を有する化合物を含んでなり;
    (ii)第2の容器は、鉄化合物を含んでなり;
    (iii)第3の容器は、無機または有機塩基を含んでなり、
    該キットは、任意選択で、請求項13に記載の医薬組成物の調製のための1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体を含んでなり、該1つ以上の添加剤、希釈剤および/または薬学的に許容される媒体が、3つの別々の容器(i)-(iii)の少なくとも1つに収容されている、
    キット。
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