JP2023510590A - 組換えaavの産生 - Google Patents

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Abstract

原核生物配列を欠く高力価の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)の集団を産生する方法が開示される。

Description

関連出願の相互参照
本願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、2020年1月17日に出願された米国仮出願第 62/962,911号の恩典を主張し、その内容の全体を参照により組み入れる。
本開示の分野
本開示は、原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンの産生に関する。
背景
現在のrAAV産生方法は、長年の研究にもかかわらず未だ多額の費用がかかる。現時点で、およそ105個のゲノムコピー(GC)/細胞の産生率が一般的であり、それにより1014 GC/Lが得られる(Kotin RM. Large-scale recombinant adeno-associated virus production. Hum Mol Genet. 2011;20(R1):R2-R6. doi: 10.1093/hmg/ddr141(非特許文献1))。これは初期の臨床試験を支えるのに十分であることが示されており、かつ小さな患者集団の症例に対しては市販品を供給することが可能かもしれないが、このプラットフォームによる規模拡大性(scalability)の欠如は大きな制約である(Clement N, Grieger JC. Manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors for clinical trials. Mol Ther Methods Clin Dev. 2016;3:16002. doi: 10.1038/mtm.2016.2(非特許文献2); Wright JF. manufacturing and characterizing AAV-based vectors for use in clinical studies. Gene Ther. 2008; 15(11):840-848. doi: 10.1038/gt.2008.65(非特許文献3))。想像され得るように、1つの細胞に3つのプラスミドを首尾よく送達することは、比較的非効率なプロセスである。大規模製造への取り組みとして、プラスミドの一過的な送達は、過剰な量のDNAを必要とし、産生および精製の全体のコストを増やす。さらに、ヘルパー遺伝子の存在下でのrep/cap遺伝子の一過的な送達はまた、導入遺伝子を欠くAAVベクターを含む産生物の不均一性にも寄与し得る。これらの「空カプシド」は、一過的トランスフェクションアッセイにおいて産生されるウイルスの大きな比率を占める。したがって、産生ロット間の類似性を確実にする堅牢な解析的品質管理(QC)方法を開発することが極めて重要である。
Kotin RM. Large-scale recombinant adeno-associated virus production. Hum Mol Genet. 2011;20(R1):R2-R6. doi: 10.1093/hmg/ddr141 Clement N, Grieger JC. Manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors for clinical trials. Mol Ther Methods Clin Dev. 2016;3:16002. doi: 10.1038/mtm.2016.2 Wright JF. manufacturing and characterizing AAV-based vectors for use in clinical studies. Gene Ther. 2008; 15(11):840-848. doi: 10.1038/gt.2008.65
要旨
本発明の態様は、原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターの閉鎖された直鎖状での大規模産生に関する。
1つの局面において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法が本明細書に提供される。概して、この方法は、培養培地中の宿主細胞株に、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、トランスフェクトする工程;例えば、トランスフェクトされた宿主細胞株を、rAAVを産生するのに十分な時間インキュベートする工程;任意で、トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させ、培養培地からrAAVを単離/精製する工程を含む。この方法は、高力価のrAAVの産生に適している。したがって、この方法により産生されるrAAVの力価は、同じ異種導入遺伝子を含む対応する量のプラスミドDNA(pDNA)によりトランスフェクトされた宿主細胞株を用いて産生されるrAAVの力価よりも高くなり得る。特定の態様において、1×106個の宿主細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、約2μg未満である。特定の態様において、宿主細胞は、(a)、(b)および(c)、ならびにポリカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:1~約3:1(重量:重量)である。いくつかの態様において、トランスフェクトされた宿主細胞は溶解される。いくつかの他の態様において、トランスフェクトされた細胞は溶解されない。
特定の態様において、本発明の方法により産生されるrAAVの力価は、異種導入遺伝子を含む対応する量のプラスミドDNAによりトランスフェクトされた宿主細胞株を用いて産生されるrAAVの力価よりも高い。例えば、本発明の方法により産生されるrAAV力価は、対応する量のプラスミドDNAを用いて得られるrAAVの力価よりも少なくとも1.25倍、例えば、1.5倍、1.75倍、2倍、2.25倍、2.5倍、2.75倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍またはそれ以上高い。
特定の態様において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法は、AAV核酸配列をコードするベクターまたは閉鎖された直鎖状AAV核酸配列を提供する工程;ヒト胚細胞株を懸濁状態で培養する工程;AAV核酸をコードするベクターおよびトランスフェクション組成物を、または閉鎖された直鎖状AAV核酸配列およびトランスフェクション組成物を、ヒト細胞株にトランスフェクトする工程;トランスフェクトされたヒト細胞株を約40~400時間インキュベートする工程;任意で、トランスフェクトされたヒト細胞株を溶解させて、rAAVをコードする核酸配列を精製する工程を含み、それによってrAAVを産生する。この態様のいくつかの局面において、トランスフェクトされた宿主細胞は溶解される。いくつかの他の態様において、トランスフェクトされた細胞は溶解されない。
特定の態様において、トランスフェクション組成物は、(i)アデノウイルスヘルパータンパク質をコードするベクター、(ii)AAV rep遺伝子およびAAVカプシド(cap)タンパク質遺伝子を含むベクター、ならびに(iii)AAV逆位末端反復(ITR)配列を含むベクター、を含む。いくつかの態様において、(i)~(iii)のベクターの少なくとも1つは、閉鎖された直鎖状AAV核酸配列に含まれる。例えば、ベクター(iii)は、少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖ベクター核酸に含まれる。
特定の態様において、アデノウイルスヘルパータンパク質をコードするベクターは、アデノウイルス構造および複製遺伝子を欠いている。特定の態様において、AAV repおよびカプシド(cap)遺伝子は、異なる血清型由来である。特定の態様において、AAV repおよびカプシド遺伝子は、同じ血清型由来である。AAV血清型の例は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV13等を含む。特定の態様において、AAV rep遺伝子は、AAV2、3、8、9および10からなる群より選択される血清型由来である。特定の態様において、AAV cap遺伝子は、AAV2、3、8、9および10からなる群より選択される血清型由来である。例えば、AAV rep遺伝子はAAV2 rep遺伝子であり、AAVカプシド遺伝子はAAV8カプシド遺伝子である。特定の態様において、AAV逆位末端反復(ITR)配列は、アデノ随伴ウイルス2逆位末端反復(ITR)配列である。実質的にあらゆる他の血清型の組み合わせが使用され得る。
特定の態様において、rAAV粒子は、少なくとも、AAV1、2、3(例えば、3a、3b)、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択されるAAV血清型由来のAAV ITRを有する。特定の態様において、AAV ITRは、AAV2、3(例えば、3a、3b)、8、9および10からなる群より選択される血清型由来である。特定の態様において、AAV ITRおよびAAV cap遺伝子は、異なる血清型由来である。特定の態様において、AAV ITRおよびAAV cap遺伝子は、同じ血清型由来である。いくつかの態様において、AAV ITRは、野生型、変異体または合成である。特定の態様において、変異ITRは、1つまたは複数のアミノ酸の置換(substation)、付加およびまたは欠失を含む。いくつかの態様において、AAV ITRは、US 7,790,154;US 8,361,457;US 8,784,799;US 9,447,433;US 9,169,494;またはUS 10, 233,428由来の例示的なITRである。
特定の態様において、ヒト胚細胞株は、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である。
特定の態様において、ヒト胚細胞株の懸濁物は、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される。特定の態様において、培養物の体積は、約50 mlの体積から約100リットルの体積まで漸進的に増加される。特定の態様において、約50 mlから約10リットルの体積へのヒト胚細胞懸濁物の漸進的拡張のための培養培地は、約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸を含む。特定の態様において、約5リットルの体積を有する培養培地は、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む。特定の態様において、アミノ酸は、L-グルタミンである。特定の態様において、約50リットルの体積を有する培養培地は、少なくとも約1 mM~約20 mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤、および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む。特定の態様において、非イオン性サーファクタントポリオールは、プルロニック酸(pluronic acid)を含む。
宿主細胞の細胞密度は、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの範囲であり得る。例えば、宿主細胞の細胞密度は、生細胞約3.5×107~約8.5×107個/mlの範囲であり得る。特定の態様において、宿主細胞の細胞密度は、生細胞約3×106~約6×106個/mlの範囲であり得る。例えば、宿主細胞の細胞密度は、生細胞約4.0×106~約6×106個/mlであり得る。特定の態様において、宿主細胞の細胞密度は、生細胞約2.5×107個/mlであり得る。いくつかの他の態様において、細胞培養物中の宿主細胞の細胞密度は、生細胞約3×107個/mlであり得る。
特定の態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの細胞密度を含む。1つの態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞2.5×107個/mlを含む。別の態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞3×107個/mlを含む。いくつかの態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞約3.5×107~約8.5×107個/mlの細胞密度を含む。特定の態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞約4.0×106~約6×106個/mlの細胞密度を含む。特定の態様において、ヒト胚細胞株は、生細胞約3×106~約5×106個/mlの細胞密度で、AAV核酸配列をコードするベクターおよびトランスフェクション組成物を、または閉鎖された直鎖状AAV核酸配列およびトランスフェクション組成物を、トランスフェクトされる。
特定の態様において、トランスフェクション組成物は、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約50% v/vの培養培地を含む。特定の態様において、トランスフェクション組成物は、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約20% v/vの培養培地を含む。特定の態様において、トランスフェクション組成物は、少なくとも約10%体積/体積(v/v)~約20% v/vの培養培地を含む。いくつかの態様において、トランスフェクション組成物は、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約10% v/vの培養培地を含む。特定の態様において、トランスフェクション組成物は、約1リットル~約5リットルの培地を含む。特定の態様において、トランスフェクション組成物に添加される核酸配列は、0.5×106~約5×106個の細胞あたり約0.1μg~約1μgのAdヘルパーDNA、Rep/Cap DNA、または導入遺伝子を含む。
特定の態様において、この方法はさらに、(i)トランスフェクトされた細胞に約1リットルの培地を添加する工程、および、(ii)約1~約5分間の時間経過にわたって、カチオン性ポリマーを、約1:1のポリマー対DNA~約3:1のポリマー対DNAの比で添加する工程を含む。特定の態様において、カチオン性ポリマーは、約1分間の時間経過にわたって、2.2:1のポリマー対DNAの比で添加される。特定の態様において、カチオン性ポリマーは、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含む。
特定の態様において、宿主細胞を含む培養培地の温度は、トランスフェクションの約12~36時間前に37℃まで上げられる。例えば、ヒト胚細胞懸濁物を含む培養培地の温度は、トランスフェクションの約12~36時間前に37℃まで上げられる。
特定の態様において、培養培地は、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される。特定の態様において、培養培地は、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される。特定の態様において、培養培地は、約1.5 LPM、2 LPM、5 LPM、7 LPM、10 LPM、15 LPM、20 LPM、30 LPM、40 LPM、50 LPM、60 LPM、70 LPM、80 LPM <90 LPMまたは100 LPMの流量でのエアスパージに供される。特定の態様において、培養培地は、少なくとも約7.0のpHで維持される。
特定の態様において、原核生物配列を欠く高力価の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法は、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITR配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、哺乳動物細胞にトランスフェクトする工程であって、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が1μg未満である工程;トランスフェクトされた細胞を少なくとも24時間、例えば、少なくとも40時間培養する工程;任意で、トランスフェクトされた細胞を溶解させ、産生されたrAAVベクター粒子を精製する工程を含み、rAAVの力価は、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個のトランスフェクトされた生細胞である。この態様のいくつかの局面において、トランスフェクトされた宿主細胞は溶解される。いくつかの他の態様において、トランスフェクトされた細胞は溶解されない。
特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1010~少なくとも1×1016個のベクターゲノム/1.0×108~1×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1011個のベクターゲノム/1.0×109~2×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1012個のベクターゲノム/2.0×109~3×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1013個のベクターゲノム/2.0×109~2×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1014個のベクターゲノム/2.0×109~4×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも2×1014個のベクターゲノム/3.0×109~5×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも3×1014個のベクターゲノム/4.0×109~5×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも4×1014個のベクターゲノム/5.0×109~5×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも5×1014個のベクターゲノム/6.0×109~5×1011個のトランスフェクトされた生細胞である。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1.25×1014個のベクターゲノム/4.0×109個のトランスフェクトされた生細胞である。
特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも2×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも2.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも3×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも3.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも4×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも4.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも5.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも6×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも6.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも7×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも7.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも8×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも8.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも9×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも9.5×1011vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1×1012vp/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも5×1012vp/mlである。
本発明の特定の態様において、閉鎖された直鎖状(clDNA)を用いて得られるrAAVベクター粒子の力価は、少なくとも1e11vg/mlである。いくつかの態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも2e11vg/mlである。いくつかの態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも3e11vg/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも4e11vg/mlである。特定の態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも5e11vg/mlである。様々な態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも6e11vg/mlである。いくつかの態様において、rAAVベクター粒子の力価は、少なくとも7e11vg/mlである。特定の態様において、rAAV粒子の力価は、少なくとも8e11vg/mlである。いくつかの態様において、rAAV粒子の力価は、少なくとも8.5e11vg/mlである。他の態様において、rAAV粒子の力価は、少なくとも9e11vg/mlである。さらに別の態様において、rAAV粒子の力価は、少なくとも9.5e11vg/mlである。特定の態様において、rAAV粒子の力価は、少なくとも1e12vg/mlである。
いくつかの態様において、閉鎖された直鎖状(clDNA)を用いて得られるrAAVベクター粒子は、プラスミドDNA(pDNA)を用いて得られるものよりも約2~約3倍多い。別の態様において、閉鎖された直鎖状(clDNA)を用いて得られるrAAVベクター粒子は、プラスミドDNA(pDNA)を用いて得られるものよりも約4~約5倍多い。別の態様において、閉鎖された直鎖状(clDNA)を用いて得られるrAAVベクター粒子は、プラスミドDNA(pDNA)を用いて得られるものよりも約6~約8倍多い。様々な態様において、閉鎖された直鎖状(clDNA)を用いて得られるrAAVベクター粒子は、プラスミドDNA(pDNA)を用いて得られるものよりも約9~約15倍多い。
本明細書に記載される方法の特定の態様は、(a)ヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸の使用を含む。(a)ヘルパータンパク質をコードする核酸配列 対 (b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列 対 (c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸の比[(a):(b):(c)]は、使用される具体的核酸に対して最適化され得る。例えば、(a):(b):(c)の比は、約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)であり得る。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.75~1.5:約1~1.75:約0.75~1.25(重量:重量:重量)である。
特定の態様において、(a)ヘルパータンパク質をコードする核酸配列 対 (b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列 対 (c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸の比[(a):(b):(c)]は、約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.5:1:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.5:1:0.5(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.75:1:0.75(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.5:1:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.5:1:0.75(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約0.5:1.5:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.5:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.6:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.75:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.8:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.85:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.90:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:1.95:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1:2:1(重量:重量:重量)である。特定の態様において、(a):(b):(c)の比は、約1.4:約1.5:約1(重量:重量:重量)である。
特定の態様において、宿主細胞は、(a)ヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸ならびに(d)ポリカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされる。カチオン性ポリマーは、1分子あたり少なくとも2つの正電荷を有し、生理学的条件下で核酸に結合するのに十分な電荷密度および分子サイズを有する任意の合成または天然ポリマーであり得る。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)のように1つまたは複数のアミン残基、またはポリオルニチン、ポリアルギニン、およびポリリジンのようなポリアミノ酸を含む。好ましい態様において、ポリカチオン性ポリマーは、PEIである。
ポリカチオン性ポリマーは、1分子あたり少なくとも2つの正電荷を有し、トランスフェクション条件(すなわち、細胞培養物内で遭遇するpHおよび塩条件)下で核酸に結合するのに十分な電荷密度および分子サイズを有する任意の合成または天然ポリマーであり得る。適切なカチオン性ポリマーは、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、アミノアセタール化ポリ(ビニルアルコール)、1つまたは複数のアミン残基を有するアクリル酸またはメタクリル酸ポリマー(例えば、ポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート))、ポリアミノ酸、例えば、ポリオルニチン、ポリアルギニン、およびポリリジン、プロタミン、カチオン性多糖、例えば、キトサン、DEAE-セルロース、およびDEAE-デキストラン、およびポリアミドアミンデンドリマー(カチオン性デンドリマー)、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドを含む。
ポリカチオン性ポリマーは、直鎖状または分枝状のいずれかであり得、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであり得、そしてアミノ酸を含む場合、L構造またはD構造のいずれかを有し得、そしてこれらの特徴の任意の組み合わせを有し得る。好ましくは、カチオン性ポリマー分子は、それが1つまたは複数の核酸分子とコンパクトな複合体を形成するのを可能にするために十分な柔軟性を有する。
ポリカチオン性ポリマーの分子量は、1つまたは複数の核酸の性質を考慮して変更され得る。したがって、いくつかの態様において、ポリカチオン性ポリマーは、約5,000ダルトン~約100,000ダルトン、より好ましくは約5,000~約50,000ダルトン、最も好ましくは約10,000~約35,000ダルトンの分子量を有する。
特定の態様において、ポリカチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)である。例えば、ポリカチオン性ポリマーは、直鎖ポリエチレンイミンである。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマーは、完全加水分解ポリエチレンイミンである。
いくつかの態様において、ポリカチオン性ポリマーは、安定なカチオン性ポリマーである。
ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、最適なトランスフェクションのために変更され得る。例えば、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1.5:1~約2.75:1であり得る。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1.9:1~約2.6:1であり得る。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:1.5~約1:2.75であり得る。例えば、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:1.9~約1:2.6であり得る。
ポリカチオン性ポリマーは、(a)、(b)および(c)からの核酸と複合体化して複合体を形成するのに有効な量でトランスフェクション組成物中に存在する。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマーと(a)、(b)および(c)からの核酸の相対量は、ポリカチオン性ポリマー中の窒素原子の数を核酸中のリン原子の数で割ったもの(N/P比)により表され得る。特定の態様において、ポリカチオン性ポリマーおよび(a)、(b)および(c)からの核酸は、約2~約15、より好ましくは約3~約12、最も好ましくは約4~約9のN/P比で存在する。
特定の態様において、(a)、(b)および(c)の工程は、(a)、(b)および(c)、ならびに安定なカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は約1.5:1である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約0.5:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約0.75:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1.75:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約2:1(重量:重量)である、約2.2:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約2.5:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約3:1(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:0.75(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:0.5(重量:重量)である。特定の態様において、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比は、約1:0.25(重量:重量)である。
特定の態様において、(a)、(b)および(c)の各々は、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される。特定の態様において、トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)は、合成核酸であり、原核細胞性のDNA修飾をもたない。特定の態様において、トランスフェクトされる(a)、(b)および(c)は、合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない。特定の態様において、精製された組換えAAV(rAAV)内にパッケージされる核酸は、原核生物および真核生物DNA配列を欠いている。1つの態様において、非AAVベクターDNAは、rAAV粒子内の総DNAの10%未満を構成する。
特定の態様において、原核生物配列を欠く精製された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法は、培養培地中に懸濁された哺乳動物細胞株に、トランスフェクション組成物をトランスフェクトする工程であって、トランスフェクション組成物が、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)安定なカチオン性ポリマーを含み、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が少なくとも1.5:1である、工程;トランスフェクトされた細胞株を少なくとも24時間、例えば少なくとも40時間培養する工程;工程(ii)のトランスフェクトされた細胞株を溶解させる工程;rAAVを精製する工程を含み、精製されたウイルスが、2×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比(a particle to infectivity ratio)を有する。この態様のいくつかの局面において、トランスフェクトされた宿主細胞は、任意で溶解される。いくつかの態様において、生成される精製された組換えAAV(rAAV)は、1.5×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、1×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、9×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、8×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、7×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、6×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、5×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、4×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、3×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、2×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、1×103 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、9×102 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、8×102 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、7×102 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、6×102 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。いくつかの態様において、精製された組換えAAV(rAAV)は、5×102 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する。
これらの局面の任意の1つの特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1.5×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2.5×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも3×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも3.5×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも4×104 vg/TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも4.5×104 vg/TCID50である。特定の態様において、精製されたウイルスは、少なくとも5×104 vg/TCID50の粒子対感染性比を有する。
いくつかの態様において、組換えAAVを産生する方法は、一過的トランスフェクション法を用いる。いくつかの態様において、組換えAAVを産生する方法は、安定的トランスフェクション法を用いる。様々な態様において、トランスフェクションは、懸濁状態で行われる。
本明細書に記載される方法の態様は、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた宿主細胞を、rAAVを産生する期間、インキュベートする工程を含む。例えば、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた宿主細胞は、少なくとも24時間の期間、インキュベートされ得る。例えば、トランスフェクトされた宿主細胞は、少なくとも30時間の期間、インキュベートされ得る。特定の態様において、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた宿主細胞は、30~100時間、または30~150時間、または30~200時間、または40~100時間、または40~150時間、または40~200時間、または40~300時間、または40~350時間、または40~400時間、または40~450時間、または40~500時間、または40~550時間、または40~600時間、または40~650時間、または40~700時間、または40~750時間、または40~800時間、または40~850時間、または40~900時間、または40~950時間、または40~1000時間、インキュベートされる。特定の態様において、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた細胞は、約40~400時間培養される。特定の態様において、トランスフェクトされた細胞は、約40~100時間、または約40~150時間、または約40~200時間、または約40~250時間、または約40~300時間、または約40~350時間、または約40~400時間、または約40~450時間、または約40~450時間、または約40~500時間、または約40~550時間、または約40~600時間、または約40~650時間、または約40~700時間、または約40~750時間、または約40~800時間、または約40~850時間、または約40~900時間、または約40~950時間、または約40~1000時間培養される。特定の態様において、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた細胞は、少なくとも24時間または少なくとも30時間または少なくとも40時間または少なくとも45時間または少なくとも50時間または少なくとも55時間または少なくとも60時間または少なくとも65時間または少なくとも70時間または少なくともまたは少なくとも72時間または少なくとも75時間培養される。特定の態様において、接種された細胞培養培地、例えば、トランスフェクトされた細胞は、1000時間以下、または950時間以下、または900時間以下、または850時間以下、または800時間以下、または750時間以下、または700時間以下、または650時間以下、または600時間以下、または550時間以下、または500時間以下、または450時間以下、または400時間以下、または350時間以下、または300時間以下、または250時間以下、または200時間以下、または150時間以下、または100時間以下、培養される。
特定の態様において、哺乳動物細胞株は、懸濁細胞または細胞株、すなわち、非接着細胞または細胞株であり、細胞は懸濁状態でトランスフェクトされる。特定の態様において、細胞株は、ヒト胎児腎293細胞株(HEK293)由来である。特定の態様において、ヒト胎児腎細胞は、SV40抗原または他の形質転換抗原を欠いている。特定の態様において、哺乳動物細胞株は、懸濁適合化無血清細胞株である。特定の態様において、細胞株は、初代血液細胞、例えば、リンパ球、単球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、赤血球由来である。特定の態様において、細胞株は、細胞生検由来であり、例えば、リンパ節細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞を含む。特定の態様において、細胞株は、循環腫瘍細胞由来である。特定の態様において、細胞株は、血液細胞株、例えば、JurkatおよびMolt4 T細胞株、U937およびTHP前単球細胞株、B細胞ハイブリドーマ由来である。特定の態様において、細胞株は、幹細胞由来である。特定の態様において、組換えAAVの産生に使用される細胞株は、安定な細胞株である。
特定の態様において、哺乳動物細胞株の懸濁物は、トランスフェクションの前に、漸増体積の培養培地の下で漸進的に培養される。
本明細書に開示される方法は、規模拡大可能であり、rAAVの効率的かつ規模拡大可能な産生に適用され得る。言い換えると、本明細書に記載される方法は、数ミリリットルの体積から数千リットルの体積で使用され得る。したがって、記載される方法は、治療用rAAV組成物の産業規模での産生に使用され得る。特定の態様において、宿主細胞を含む細胞培養物の体積は、少なくとも約50リットルであり得る。例えば、細胞培養物の体積は、約50リットル~約4000リットルであり得る。特定の態様において、細胞培養物の体積は、約50リットル~約2000リットルであり得る。例えば、細胞培養物の体積は、約50リットル~約250リットルであり得る。別の非限定的な例において、細胞培養物の体積は、約50リットル~約100リットルであり得る。
宿主細胞を含む細胞培養物の体積は、トランスフェクション前に増加され得る。例えば、細胞培養物の体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約4000リットルの体積に増加され得る。特定の態様において、細胞培養物の体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約2000リットルに増加され得る。例えば、細胞培養物の体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約250リットルに増加され得る。別の非限定的な例において、細胞培養の体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約50リットルまたは約100リットルに増加され得る。特定の態様において、細胞培養物の体積は、約100リットルの体積から増加され得る。特定の態様において、細胞培養物の体積は、約50mlの体積から約50リットルの体積に増加され得る。特定の態様において、細胞培養物の体積は、約50mlの体積から約10リットルの体積に増加され得る。
特定の態様において、培養体積は、約50mlの体積から約4000リットルの体積に漸進的に増加される。特定の態様において、培養体積は、約50mlの体積から約2000リットルの体積に漸進的に増加される。特定の態様において、培養体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約250リットルの体積に漸進的に増加される。特定の態様において、培養体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約100リットルの体積に漸進的に増加される。特定の態様において、培養体積は、約10~20、30、40または50mlの体積から約50リットルの体積に漸進的に増加される。特定の態様において、約50mlの体積から約50リットルの体積へのヒト胚細胞懸濁物の漸進的拡張のための培養培地は、約1mM~約20mMの濃度のアミノ酸を含む。特定の態様において、約5リットルの体積を有する培養培地は、約10mMの濃度のアミノ酸を含む。特定の態様において、アミノ酸は、L-グルタミンである。
特定の態様において、rAAVビリオンのパッケージされた核酸は、原核生物DNA配列を欠いている。
特定の態様は、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列を含む。rAAV複製に十分なヘルパータンパク質は、広く研究されており、ヘルパータンパク質機能をコードする多くのアデノウイルス遺伝子が公知となっている。例えば、初期アデノウイルス遺伝子領域E1A(例えば、HEK293細胞に存在)、E2A、E4Orf6、VAI RNA、および任意でVAII RNA、ならびに任意でE1B(これもHEK293細胞に存在)によりコードされるタンパク質が、rAAV複製プロセスに関与すると考えられている。したがって、特定の態様において、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルス(Ad)ヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルスヘルパータンパク質E2Aおよび/またはE4をコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の態様において、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列は、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードする核酸を含むアデノウイルス(Ad)ヘルパーである。
特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約50μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約20μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約10μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約8μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約6μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、約1~約3μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、任意で、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6または1.8μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からのDNAの総量は、0.75μgである。
特定の態様において、細胞培養物に接種するため、例えば、宿主細胞にトランスフェクトするために使用される、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列;(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列;ならびに(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約2μg未満である。例えば、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約1.5μg未満である。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約1μg未満、または1×106個の細胞あたり約0.75μg未満である。
特定の態様において、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり少なくとも0.25μgである。例えば、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり少なくとも0.5μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約0.25μg~1×106個の細胞あたり約2μgである。例えば、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約0.5μg~1×106個の細胞あたり約1.5μgである。特定の態様において、(a)、(b)および(c)からの核酸の総量は、1×106個の細胞あたり約0.5μg~1×106個の細胞あたり約0.75μgである。
特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも3×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×105 TCID50/ml(組織培養物感染量中央値(Median Tissue Culture Infectious Dose))~約1×1011 TCID50である。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8.5×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.5×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.9×105 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8.5×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.5×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.9×106 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.9×107 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2.5×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8.5×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.5×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.9×108 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも0.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも3×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも3.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも4×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも4.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも6×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも6.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.5×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.9×109 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも2×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも5×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも7.5×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも8.5×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9×1010 TCID50/mlである。特定の態様において、感染性粒子力価は、少なくとも9.5×1010 TCID50/mlである。いくつかの態様において、感染力価TCID50/mlは、好ましくは、vg/mlに標準化される。いくつかの態様において、いくつかの態様において、感染性粒子力価は、少なくとも1011 TCID50/mlである。
特定の態様において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の大規模産生方法は、AAV核酸配列をコードするベクターまたは閉鎖された直鎖状AAV核酸配列を提供する工程、ヒト胚細胞株を懸濁状態で培養する工程、AAV核酸配列をコードするベクターおよびトランスフェクション組成物を、または閉鎖された直鎖状AAV核酸配列およびトランスフェクション組成物を、ヒト細胞株にトランスフェクトする工程、トランスフェクトされたヒト細胞株を約30~250時間インキュベートする工程、トランスフェクトされたヒト細胞株を溶解させ、rAAVをコードする核酸配列を精製する工程を含み、それによりrAAVの大規模産生を提供する。特定の態様において、トランスフェクトされた細胞は、30~100時間、または30~150時間、または30~200時間、または40~100時間、または40~150時間、または40~200時間、または40~300時間、または40~350時間、または40~400時間、または40~450時間、または40~500時間、または40~550時間、または40~600時間、または40~650時間、または40~700時間、または40~750時間、または40~800時間、または40~850時間、または40~900時間、または40~950時間、または40~1000時間インキュベートされる。
特定の態様において、AAV Rep遺伝子およびAAV Cap遺伝子は、同じAAV血清型由来である。特定の態様において、AAV Rep遺伝子およびAAV Cap遺伝子は、異なるAAV血清型由来である。
特定の態様において、ヒト胚細胞株は、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である。ヒト胚細胞株の懸濁物は、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される。特定の局面において、培養体積は、約50 mlの体積から約100リットルの体積まで漸進的に増加される。特定の態様において、ヒト胚細胞懸濁物の漸進的拡張のための培養培地は、約50ml~約10リットルの体積の培養培地体積中に約1mM~約20mMの濃度のL-グルタミンを含む。特定の態様において、約5リットルの体積を有する培養培地は、約10mMの濃度のL-グルタミンを含む。特定の態様において、約50リットルの体積を有する培養培地は、少なくとも約1mM~約20mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%のプルロニック酸および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む。
特定の態様において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの細胞密度を含む。特定の局面において、培養されたヒト胚細胞株は、生細胞約4.0×106~約6×106個/mlの細胞密度を含む。特定の態様において、ヒト胚細胞株は、生細胞約3×106~約5×106個/ml3の細胞密度で、AAV核酸配列をコードするベクターおよびトランスフェクション組成物を、または閉鎖された直鎖状AAV核酸配列およびトランスフェクション組成物を、トランスフェクトされる。
特定の態様において、トランスフェクション組成物は、(i)アデノウイルスヘルパータンパク質をコードするベクター、(ii)AAV rep遺伝子およびAAVカプシド(cap)タンパク質遺伝子を含むベクター、ならびに(iii)AAV逆位末端反復(ITR)配列を含むベクターを含む。特定の態様において、アデノウイルスヘルパータンパク質をコードするベクターは、アデノウイルス構造および複製遺伝子を欠いている。特定の局面において、AAV repおよびカプシド遺伝子は、異なる血清型または同じ血清型である。特定の局面において、AAV rep遺伝子はAAV2 rep遺伝子であり、AAVカプシド遺伝子はAAV8カプシド遺伝子である。特定の局面において、AAV逆位末端反復(ITR)配列は、アデノ随伴ウイルス2逆位末端反復(ITR)配列である。特定の態様において、トランスフェクション組成物に添加される核酸配列は、0.5×106~約5×106個の細胞あたり約0.1μg~約1μgのAdヘルパーDNA、Rep/Cap DNAまたは導入遺伝子を含む。いくつかの態様において、トランスフェクションは、約10分間~約60分間の時間経過にわたって行われる。特定の態様において、トランスフェクションは、約10分間~約120分間の時間経過にわたって行われる。
特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約2.0×104~約1.0×108個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約5.0×104~約5.0×107個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約1.0×105~約1×107個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約5.0×105~約1×107個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約2.0×105~約9×106個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約1.0×106~約7.5×106個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約1.0×106~約7×106個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約1.0×106~約5×106個/mlである。特定の態様において、トランスフェクション時の細胞密度は、生細胞約1.0×106~約4×106個/mlである。
特定の態様は、宿主細胞にトランスフェクトするためのトランスフェクション組成物を含む。概して、トランスフェクション組成物は、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)ポリカチオン性ポリマーを含む。核酸(a)、(b)および(c)に加えて、トランスフェクション組成物はまた、細胞培養培地、すなわち、宿主細胞のために使用される培地を含み得る。トランスフェクション組成物は、宿主細胞株培養物の体積の約5%~約20%(体積/体積)の体積を有し得る。例えば、宿主細胞株は、宿主細胞株培養物の体積の約7.5%~約15%(体積/体積)の体積のトランスフェクション組成物をトランスフェクトされる。
特定の態様において、トランスフェクション組成物は、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約20% v/vの培養培地を含む。特定の態様において、トランスフェクション組成物は、約1リットル~約5リットルの培地を含む。細胞がトランスフェクトされた後、約1リットルの培地が、トランスフェクトされた細胞に添加される。特定の態様において、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)が、約1~約5分間の時間経過にわたって約1:1(PEI:DNA)~約3:1(PEI:DNA)の比で添加される。特定の態様において、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)が、約1分間の時間経過にわたって2.2:1(PEI:DNA)の比で添加される。特定の局面において、トランスフェクトされた細胞の懸濁物は、大容量のバイオリアクタに移される前に、約1~20分間インキュベートされる。特定の態様において、トランスフェクション細胞懸濁物は、約3時間インキュベートされ、そして約10 mMのL-グルタミンを補充された、10%(v/v)の体積の化学的に定義された無血清培地により鎮静化される。特定の態様において、ヒト胚細胞懸濁物を含む培養培地の温度は、トランスフェクションの約12~36時間前に、37℃に上げられる。特定の態様において、培養培地は、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される。特定の態様において、培養培地は、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される。特定の態様において、培養培地は、少なくとも約7.0のpHで維持される。
特定の態様において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、プロテロメラーゼ標的配列を含む。特定の局面において、プロテロメラーゼ標的配列は、少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む。特定の態様において、rAAVは、導入遺伝子を含む。
特定の態様において、薬学的組成物は、閉鎖された直鎖状組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む。特定の態様において、rAAVは、導入遺伝子を含む。
特定の態様において、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15およびAAV-16を含むAAV血清型由来のAAVカプシド遺伝子を有する。特定の態様において、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15およびAAV-16を含むAAV血清型由来のAAV rep遺伝子を有する。いくつかの態様において、非限定的に、rAAV粒子は、米国特許第10,550,405号、公開された国際出願第W02018170310A1号、米国特許第7,892,809号、米国特許第6,491,907号、または米国特許第7,172,893号に記載の例示的なrAAVである。特定の態様において、rAAVは、特定のAAV血清型由来のITRおよび異なるAAV血清型由来のカプシドを含むハイブリッドAAVである。いくつかの態様において、rAAVは、rAAVビリオンを含み得る。特定の態様において、rAAVカプシドは、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加および/または欠失を含む、例えば、カプシドは、標的化のための挿入されたペプチドを含む。
本特許または出願書類は、少なくとも1つのカラー版の図面を含んでいる。カラー図面を含む本特許または特許出願公報の複写物は、請求および必要経費の支払いにより、関係官庁から提供されるであろう。
図1は、プラスミドベース(AskBio)のシステム(N=2)およびclDNAシステムを用いた好ましいトランスフェクション条件(N=5)についての、vg/mL収量で表される、細胞溶解産物中のベクターゲノム力価の比較を示すグラフである。プロットは、平均+/-1標準偏差を表す。 図2は、μg clDNA/1E6細胞およびPEI:DNA比の両方が、Vg力価に対して統計的に有意な影響を有することを示す予測プロファイラーのプロットである。p≦0.0066 図3は、vg/mLで表される、細胞溶解産物中のベクターゲノム力価に対するclDNAおよびPEI:DNA比の効果を示す等高線プロットである。 図4は、vp/mLで表される、ウイルス力価に対するclDNAおよびPEI:DNA比の効果を示すプロットである。 図5は、vp/mLで表されるAAHrh10 CYP力価の収量に対して、PEI:DNA比は統計的に有意な影響を有するが、clDNAの量はそうではないことを示す予測プロファイラーのプロットである。 図6は、μg clDNA/1E6細胞およびPEI:DNA比の両方が、vp/mlで表されるAAV8 GAA力価の収量に対して統計的に有意な影響を有することを示す予測プロファイラーのプロットである。
詳細な説明
AAVは、およそ4.8キロベース(kb)の小さな一本鎖DNAゲノムを包囲し保護するタンパク質シェルである。AAVは、パルボウイルス科に属し、複製に関しては、他のウイルス、主としてアデノウイルスとの共感染に依存している。当初は血清学的に区別された、AAV遺伝子の分子クローニングは、多数の種において数百の特有のAAV株を同定した。その一本鎖ゲノムは、Rep(複製)、Cap(カプシド)、およびaap(アセンブリ)という3つの遺伝子を含む。これらの3つの遺伝子は、3つのプロモーター、代替的な翻訳開始部位、および異なるスプライシングの使用を通じて少なくとも9つの遺伝子産物を生じる。これらのコード配列は、ゲノムの複製およびパッケージングに必要とされる逆位末端反復(ITR)に隣接している。Rep遺伝子は、ウイルスゲノムの複製およびパッケージングに必要とされるタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52、およびRep40)をコードし、Cap発現は、ウイルスゲノムを保護しまた細胞結合および内部移行に能動的に関与する外側カプシドシェルを形成するウイルスカプシドタンパク質(VP;VP1/VP2/VP3)を生じる(Samulski RJ, Muzyczka N. AAV-mediated gene therapy for research and therapeutic purposes. Annu Rev Virol. 2014;1(1):427-451. doi: 10.1146/annurev-virology-031413-085355)。ウイルスの外被は、1:1:10(VP1:VP2:VP3)のモル比のカプシドタンパク質と共に二十面体構造に配置される60個のタンパク質から構成される。aap遺伝子は、cap遺伝子と重複する代替的なリーディングフレーム内にアセンブリ活性化タンパク質(AAP)をコードする。この核タンパク質は、カプシドのアセンブリのための足場機能を提供すると考えられている(Naumer M, et al., J Virol. 2012;86(23): 13038-13048. doi: 10.1128/JVI.01675-12)。AAPは、AAV2におけるVPタンパク質の核局在化およびカプシドのアセンブリに必須なのに対して、AAPの核内局在化は11個の他の血清型の間で様々であり、AAV4、AAV5、およびAAV11では必須でない(Earley LF, et al. Adeno-associated Virus (AAV) assembly-activating protein is not an essential requirement for capsid assembly of AAV serotypes 4, 5, and 11. J Virol. 2017;91(3):1-21. doi:10.1128/jvi.01980-16)。
下記の実施例の項では、rAAVの大規模産生のための組成物および方法が詳細に記載されている。特定の態様において、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の大規模産生方法は、AAV核酸配列をコードするベクターまたは閉鎖された直鎖状AAV核酸配列を提供する工程、ヒト胚細胞株を懸濁状態で培養する工程、AAV核酸配列をコードするベクターおよびトランスフェクション組成物を、または閉鎖された直鎖状AAV核酸配列およびトランスフェクション組成物を、ヒト細胞株にトランスフェクトする工程、トランスフェクトされたヒト細胞株を約50~100時間インキュベートする工程、トランスフェクトされたヒト細胞株を収集し、rAAVベクターを精製する工程を含み、それによってrAAVの大規模産生を提供する。特定の態様において、産生されるrAAVは、閉鎖された直鎖状rAAVである。
したがって、特定の態様において、原核生物配列を欠く高力価の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法は、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、哺乳動物細胞にトランスフェクトする工程であって、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が1μg未満である工程;トランスフェクトされた細胞を少なくとも40時間培養する工程;トランスフェクトされた細胞を収集して、産生されたrAAVベクター粒子を精製する工程を含み、rAAVの力価は、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個のトランスフェクトされた生細胞である。
AAV配列は、様々な供給源から入手され得る。例えば、適切なAAV配列は、WO 2005/033321に記載されるようにしてまたは公知の供給源、例えば、American Type Culture Collection、もしくは様々な学術目的のベクターのコア施設から入手され得る。あるいは、適切な配列は、公開された配列を参考にして公知の技術を用いて合成により生成される。
AAV capおよびrep配列は、異なるAAV親配列から独立して選択され得、そして当業者に公知の適切な様式で宿主細胞に導入され得る。特定の態様において、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13を含むAAV血清型由来のAAVカプシド遺伝子を有する。特定の態様において、rAAV粒子は、AAV2、3、8、9および10からなる群より選択されるAAV血清型由来のAAVカプシド遺伝子を有する。
特定の態様において、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13を含むAAV血清型由来のAAV rep遺伝子を含む。特定の態様において、rAAV粒子は、AAV2、3、8、9および10からなる群より選択されるAAV血清型由来のAAV rep遺伝子を有する。
本開示はまた、原核生物配列を欠く精製された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法を提供し、該方法は、培養培地中に懸濁された哺乳動物細胞株にトランスフェクション組成物をトランスフェクトする工程であって、トランスフェクション組成物が、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)安定なカチオン性ポリマーを含み、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が、少なくとも1.5:1である、工程;トランスフェクトされた細胞株を少なくとも40時間培養する工程;工程(ii)のトランスフェクトされた細胞株を収集する工程;rAAVを精製する工程を含み、精製されたウイルスが、2×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有し、原核生物DNAを欠く。
本発明の態様において使用される哺乳動物細胞株は、懸濁細胞または細胞株、すなわち、非接着細胞または細胞株を含む。特定の態様において、細胞株は、ヒト胎児腎細胞株由来である。特定の態様において、ヒト胎児腎細胞は、SV40抗原または他の形質転換抗原を欠いている。特定の態様において、哺乳動物細胞株は、懸濁適合化無血清細胞株である。特定の態様において、細胞株は、初代血液細胞、例えば、リンパ球、単球、マクロファージ、顆粒球、樹状細胞、赤血球由来である。特定の態様において、細胞株は、細胞生検由来であり、例えば、リンパ節細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞を含む。特定の態様において、細胞株は、循環腫瘍細胞由来である。特定の態様において、細胞株は、血液細胞株、例えば、JurkatおよびMolt4 T細胞株、U937およびTHP前単球細胞株、B細胞ハイブリドーマ由来である。特定の態様において、細胞株は、幹細胞由来である。
ウイルス細胞の培養は、AAV粒子を生成するのに必要とされる最小限の要素を安定的にまたは一過的にのいずれかで少なくとも含む、細胞を利用する。必要最小限の要素は、AAVカプシドにパッケージされる発現カセット、AAV cap、およびAAV repまたはその機能的フラグメント、ならびにヘルパー機能を含む。
細胞はまた、本発明のAAVをパッケージするためにヘルパー機能を必要とする。任意で、これらのヘルパー機能は、ヘルペスウイルスにより供給され得る。別の態様において、必要なヘルパー機能は各々、例えば、American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, Va. (US)を含む様々な供給源から入手可能な、ヒトまたは非ヒト霊長類アデノウイルス源から提供される。様々な適切なアデノウイルスの配列が報告されている。例えば、チンパンジーアデノウイルスC1およびC68[米国特許第6,083,716号];Pan 5、Pan 6およびPan 7[WO 02/33645]、ならびにハイブリッドアデノウイルス、例えば[例えば、WO 05/001103に]報告されているもの、ならびにGenBankを参照のこと。
様々な適切な細胞および細胞株が、AAVの産生における使用に関して報告されている。細胞自体は、原核(例えば、細菌)細胞ならびに、昆虫細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞を含む真核細胞を含む、任意の生物学的組織から選択され得る。特に望ましい宿主細胞は、A549、WEHI、3T3、10T1/2、BHK、MDCK、COS 1、COS 7、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、HeLa、(機能性のアデノウイルスE1を発現する)HEK 293細胞、Saos、C2C12、L細胞、HT1080、HepG2, Sf’c9、Sf-21、Tn368、BTI-Tn-5B1-4 (High-Five)等の細胞、ならびにヒト、サル、マウス、ラット、ウサギおよびハムスターを含む哺乳動物由来の初代線維芽細胞、肝細胞および筋芽細胞を含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物種の中から選択される。これらの細胞を提供する哺乳動物種の選択は、本発明の限定ではなく、哺乳動物細胞のタイプ、すなわち、線維芽細胞、肝細胞、腫瘍細胞等についても同様である。
本明細書に記載される局面の任意の1つの特定の態様において、宿主細胞株は、ヒト胎児腎293細胞株(HEK293)由来である。
宿主細胞は、少なくとも、E1A遺伝子産物、E1B遺伝子産物、E2A遺伝子産物、および/またはE4 ORF6遺伝子産物を発現するのに必要な最小限のアデノウイルスDNA配列を含み得る。宿主細胞は、他のアデノウイルス遺伝子、例えば、VAI RNAを含み得るが、これらの遺伝子は必須ではない。細胞は、E1、E2Aおよび/またはE4 ORF6以外のいかなるアデノウイルス遺伝子も保持せず、rAAVの産生の間に混入ウイルスの相同組換えを引き起こし得るいかなる他のウイルス遺伝子も含まず、なおかつ感染またはトランスフェクションが可能である。
これらの局面の任意の1つの特定の態様において、宿主細胞は、SV40抗原または他の形質転換抗原を欠いている。例えば、ヒト胎児腎細胞、例えば、HEK293細胞が宿主細胞として使用される場合、そのような細胞は、SV40抗原または他の形質転換抗原を欠くものであり得る。
別のタイプの宿主細胞は、repおよびcapをコードする配列で安定的に形質転換され、かつアデノウイルスE1、E2AおよびE4 ORF6 DNAならびに上記の発現カセットを保持する構築物でトランスフェクトされるものである。安定なrepおよび/またはcap発現細胞株、例えばB-50(国際特許出願公開第WO 99/15685号)または米国特許第5,658,785号に記載されるものもまた、同様に使用され得る。別の望ましい宿主細胞は、E4 ORF6を発現するのに十分な最小限のアデノウイルスDNAを含む。さらに別の細胞株も、本発明の新規の改変されたcapを用いて構築され得る。
宿主細胞の調製は、選択されたDNA配列のアセンブリ等の技術を用いる。このアセンブリは、従来技術を用いて達成され得る。そのような技術は、ポリメラーゼ連鎖反応、合成法、および所望のヌクレオチド配列を提供する任意の他の適切な方法を含む、周知であり、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y に記載されるcDNAおよびゲノムクローニングを含む。
特定の態様において、宿主細胞は哺乳動物細胞である、すなわち、宿主細胞株は哺乳動物細胞株である。例えば、宿主細胞、すなわち宿主細胞株は、ヒト細胞、例えば、ヒト胚細胞株である。本明細書に記載される局面の任意の1つの特定の態様において、宿主細胞株は、ヒト胎児腎細胞株である。
接着細胞の拡張、播種およびトランスフェクションを含むrAAV産生に関係する細胞培養作業は、手間がかかり、資源消費的である。したがって、rAAVベクター産生のための水性液体培地中に懸濁された細胞(「懸濁細胞」)の使用は、その規模拡大性および費用対効果の点で望ましい。したがって、本明細書に記載される局面の任意の1つの特定の態様において、宿主細胞株は、懸濁に適合化され得る。例えば、宿主細胞は、懸濁状態で核酸ベクターをトランスフェクトされ得る。
AAV産生のための要素(例えば、アデノウイルスE1a、E1b、E2a、および/またはE4ORF6遺伝子産物、repまたはそのフラグメント、cap、発現カセット、ならびに任意の他の所望のヘルパー機能)は、保持している配列を移転させる任意の遺伝子エレメントの形態で、個別にまたは組み合わせて、パッケージング宿主細胞に送達され得る。本明細書で使用される場合、遺伝子エレメント(ベクター)は、例えば、保持している配列を移転させる、裸のDNA、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、エピソーム、非ウイルス送達ビヒクル(例えば、脂質ベースのキャリア)中のタンパク質、ウイルス等を含む。選択されたベクターは、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット(high velocity DNA-coated pellets)、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を含む、任意の適切な方法により送達され得る。本発明の任意の態様を構築するために使用される方法は、核酸操作の技術を有する者に公知であり、遺伝子工学、組換え工学、および合成技術を含む。例えば、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Yを参照のこと。例えば、K. Fisher et al, J Virol., 70:520-532 (1993)および米国特許第5,478,745号を参照のこと。
アデノウイルス遺伝子の1つまたは複数は、宿主細胞のゲノムに安定的に組み込まれ得るまたはエピソームとして安定的に発現され得る。アデノウイルス遺伝子の各々のためのプロモーターは、構成性プロモーター、誘導性プロモーターまたはネイティブアデノウイルスプロモーターから独立して選択され得る。プロモーターは、例えば、生物または細胞の特定の生理学的状態により(すなわち、その分化状態によりまたは複製もしくは休止細胞において)または外部から添加される因子により調節され得る。そのような因子の例は、非限定的に、抗生物質、サイトカイン、成長因子、ホルモン等を含む。
1つの態様において、安定的または一過的な宿主細胞は、必要とされる要素を誘導性または調節性プロモーターの制御下に含む。しかし、必要とされる要素は、構成性プロモーターまたは合成プロモーターの制御下に置かれることもある。
調節性プロモーターは、外部から供給される化合物、環境因子、例えば温度、または特定の生理学的状態の存在、例えば急性期、細胞の特定の分化状態による、もしくは複製中の細胞のみにおける遺伝子発現の制御を可能にする。調節性プロモーターおよびシステムは、非限定的に、Invitrogen、ClontechおよびAriadを含む様々な商業的供給源から入手可能である。多くの他のシステムも報告されており、当業者により容易に選択され得る。外部から供給されるプロモーターにより調節されるプロモーターの例は、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーターシステム[WO 98/10088];エクジソン昆虫プロモーター[No et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:3346-3351 (1996)]、テトラサイクリン抑制性システム[Gossen et al.. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:5547-5551 (1992)]、テトラサイクリン誘導性システム[Gossen et al., Science, 268:1766-1769 (1995)、Harvey et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 2:512-518 (1998)も参照のこと]、RU486誘導性システム[Wang et al., Nat. Biotech., 15:239-243 (1997)およびWang et al., Gene Ther., 4:432-441 (1997)]およびラパマイシン誘導性システム[Magari et al., J Clin. Invest., 100:2865-2872 (1997)]を含む。この関係で有用であり得るさらに他のタイプの誘導性プロモーターは、特定の生理学的状態、例えば、温度、急性期、細胞の特定の分化状態により、または複製中の細胞においてのみ、調節されるものである。
特定の例において、ネイティブプロモーターが使用される。ネイティブプロモーターは、遺伝子産物の発現がネイティブ発現を模倣することが望まれる場合に使用され得る。ネイティブプロモーターは、所望の導入遺伝子の発現が時間的にもしくは発生的に、または組織特異的な様式で、または特定の転写刺激に応答して調節されなければならない場合に使用され得る。他のネイティブ発現制御エレメント、例えば、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位またはKozakコンセンサス配列も、ネイティブ発現を模倣するために使用され得る。
導入遺伝子が含まれる例において、導入遺伝子は、組織特異的プロモーターに機能的に連結される。例えば、骨格筋における発現が望まれる場合、筋内で活性なプロモーターが使用されるべきである。これらは、骨格β-アクチン、ミオシン軽鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコードする遺伝子由来のプロモーター、および天然に存在するプロモーターよりも高い活性を有する合成筋プロモーターの非限定的な例を含む(Li et al., Nat. Biotech., 17:241-245 (1999)を参照のこと)。組織特異的であるプロモーターの例は、特に、肝臓(アルブミン、Miyatake et al., J. Virol., 71:5124-32 (1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandig et al., Gene Ther., 3:1002-9 (1996);アルファ-フェトタンパク質(AFP)、Arbuthnot et al., Hum. Gene Ther., 7:1503-14 (1996))、骨オステオカルシン(Stein et al., Mol. Biol. Rep., 24:185-96 (1997));骨シアロタンパク質(Chen et al., J. Bone Miner. Res., 11:654-64 (1996))、リンパ球(CD2、Hansal et al., J. Immunol., 161:1063-8 (1998);免疫グロブリン重鎖;T細胞受容体α鎖)、ニューロン性、例えばニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersen et al., Cell. Mol. Neurobiol., 13:503-15 (1993))、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子(Piccioli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5611-5 (1991))およびニューロン特異的vgf遺伝子(Piccioli et al., Neuron, 15:373-84 (1995))に関して公知である。肝臓特異的プロモーターに関して、例は、HLP、LP1、HCR-hAAT、ApoE-hAAT、およびLSPを含む。これらのプロモーターは、以下の参考文献により詳細に記載されている:HLP:McIntosh J. et al., Blood 2013 Apr. 25, 121(17):3335-44;LP1:Nathwani et al., Blood. 2006 April 1, 107(7): 2653-2661;HCR-hAAT:Miao et al., Mol Ther. 2000;1: 522-532;ApoE-hAAT:Okuyama et al., Human Gene Therapy, 7, 637-645(1996);およびLSP:Wang et al., Proc Natl Acad Sci USA. 1999 March 30,96(7): 3906-3910。Brown H. C. et al., Mol. Ther.: Meth. Clin. Dev. Vol. 9, pp:57-91, June 2018も参照のこと。
適切な活性化可能および構成性プロモーターの例は、当業者に公知である。さらに別の代替例において、選択された安定な宿主細胞は、構成性プロモーターの制御下にある選択された要素および1つまたは複数の誘導性プロモーターの制御下にある他の選択された要素を含み得る。例えば、(構成性プロモーターの制御下にE1ヘルパー機能を含む)293細胞由来であるが、誘導性プロモーターの制御下にrepおよび/またはcapタンパク質を含む安定な宿主細胞が生成され得る。さらに他の安定な宿主細胞も当業者により生成され得る。
閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸
閉鎖された直鎖状DNA分子は、典型的に、ヘアピンループとも表現される共有結合により閉鎖された末端を含み、そこには相補的なDNA鎖間の塩基対形成が存在しない。このヘアピンループが、相補的なDNA鎖の末端を接続している。このタイプの構造は典型的に、閉鎖された構造内に末端ヌクレオチドを閉じ込めることにより染色体DNAの喪失または損傷から保護するために、染色体のテロメア末端に形成される。本明細書に記載される閉鎖された直鎖状DNA分子の例において、ヘアピンループは相補的に塩基対形成されたDNA鎖に隣接し、閉鎖された直鎖状(cl)DNA形状の構造を形成する。閉鎖された直鎖状DNA分子は、バーベル形状のDNAを含む。
核酸(a)~(c)、すなわち、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、の1つまたは複数が、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸上に存在し得る。そのような核酸は、インビトロ無細胞合成およびインビボ法を含む様々な公知の方法により生成され得る。
特定の態様において、(a)、(b)または(c)の1つまたは複数を含む核酸配列は、平滑末端を有するまたはオーバーハングを有する、増幅された直鎖状開放末端DNAであり、合成されたヘアピン分子が一方または両方の末端にライゲートされて、(a)、(b)、または(c)の核酸の1つまたは複数を含む閉鎖末端化された直鎖状DNAが形成される。ライゲートされていないヘアピンは、当業者に周知の手段を用いて精製される。DNAは、PCRにより増幅され、二本鎖形態にライゲートされる。
共有結合により閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸を生成する1つの方法は、プロテロメラーゼ結合部位が関心対象の核酸に隣接するよう前駆体分子にプロテロメラーゼ結合部位を組み込むことによる。関心対象の核酸は、(a)、(b)、および(c)の1つまたは複数、すなわち、(a)、(b)および(c);(a)、(b)および(c)の任意の組み合わせ;または(a)のみ、(b)のみ、もしくは(c)のみを含み得;この分子のプロテロメラーゼへの暴露により、この部位でDNAが切断およびライゲートされる。無細胞インビトロ合成の非限定的な例は、例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる、US 9,109,250;US 6,451,563;Nucleic Acids Res. 2015 Oct 15; 43(18): el20;US 9499847;15/508,766;PCT/GB2017/052413;およびAntisense & nucleic acid drug development 11:149-153 (2001)に記載されている。無細胞インビトロ合成からのDNAは、いかなる原核生物DNA修飾ももたない。
組換えAAVベクターゲノムは、プロテロメラーゼ部位、例えばtelRLを含む不完全回文構造に隣接する、野生型ITR、合成ITR、もしくはDD ITRの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせを有するよう設計され得る。テロメラーゼにより切断され共有結合により閉鎖された末端が形成されたときに閉鎖された直鎖状二本鎖核酸ベクターを生成するために、テンプレートが使用される。1つの態様において、ベクターは、2つのDD ITR、発現カセット、およびDD ITRの各側に隣接するテロメラーゼ結合部位を含み、これがテロメラーゼにより切断され、共有結合により閉鎖された末端を形成し得る。閉鎖された直鎖状DNAは、プロテロメラーゼ結合部位の半分を含む。
加えて、原核生物システムが使用され得る。溶原菌内で、バクテリオファージN15は、共有結合により閉鎖された末端を有する直鎖状染色体外DNAとして存在する(Rybchin VN, Svarchevsky AN (1999) The plasmid prophage N15: a linear DNA with covalently closed ends. Mol Microbiol 33:895-903を参照のこと)。このDNAは、単一の酵素であるプロテロメラーゼ、例えばTelN(原核生物テロメラーゼ)により行われる切断・接続反応により生じる[Deneke J, Ziegelin G, Lurz R, Lanka E (2000) The protelomerase of temperate Escherichia coli phage N15 has cleaving-joining activity. Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]。プロテロメラーゼ、例えばTelNは、二本鎖DNA内の標的配列を認識する。標的部位は、直鎖状プロファージの共有結合により閉鎖された末端に対応するtelRおよびtelLという2つの半分体により形成される、telRLと呼ばれる不完全回文構造である。この酵素は、両方のDNA鎖を切断し、生じる末端を接続して共有結合により閉鎖されたヘアピン構造を形成する。生じるDNA分子は、2つのヘアピンループを有する。TelNは、telRL部位を有する組換えプラスミドを直鎖状にすることができる[Deneke J, et al., (2000). Proc Natl Acad Sci U S A 97:7721-7726]。したがって、この酵素を、高等生物における発現のためのプラスミドDNAにおいて用いることができる。
特定の態様において、インビボ細胞システムを使用して、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が産生される。この方法は、プロテロメラーゼ、例えばTelN、または他のプロテロメラーゼを発現する細胞の使用を含み、プロテロメラーゼ遺伝子は、調節性プロモーターの制御下に置かれる。例えば、誘導性プロモーター、例えば低分子調節プロモーターまたは温度感受性プロモーター、例えば熱ショックプロモーター。AAVテンプレートDNA、もしくは関心対象の他の核酸、またはそれらの組み合わせの十分な産生の後、プロテロメラーゼを発現させることができ、これが、テンプレートから関心対象の核酸、例えば、(a)ヘルパー、(b)rep/cap、または(c)AAVゲノムの1つまたは複数を含む核酸を切り出すであろう。
特定の態様において、インビボ細胞システムを使用して、既定の核酸配列を持続的発現のために標的細胞に送達するための非ウイルスDNAベクター構築物が産生される。非ウイルスDNAベクターは、2つのDD-ITRを含み、これらは各々:A、A’、B、B’、C、C’およびD領域を有する逆位末端反復;D’領域;ここでDおよびD’領域は約5~20nt長の相補的な回文配列であり、AおよびA’領域に隣接して配置される;既定の核酸配列(例えば、発現させる異種遺伝子);ここで2つのDD-ITRは、共有結合により閉鎖された非ウイルスDNAの中で該核酸に隣接し、閉鎖された直鎖状ベクターは、各末端に1/2プロテロメラーゼ結合部位を含む、を含む。
本明細書に記載されるTelN/telRLシステムは、1つのtelRL部位を含む親のプラスミドを直鎖状にすることにより、または2つの隣接するITRを有し、それぞれのセグメントに隣接する2つのtelRL部位をさらに有する親プラスミドからプロモーター、関心対象の遺伝子、ポリアデニル化シグナルを含むrAAV DNAフラグメントまたは非ウイルスベクターフラグメントを切り出すことによりのいずれかにより、閉鎖された直鎖状DNAフラグメントを産生するために使用され得る。1つの態様において、少なくとも1つの二重「D」ITRが存在する。生じる直鎖状の共有結合により閉鎖されたDNA分子はインビボで機能的である。
このシステムは、組換え宿主細胞を含む。本産生システムにおいて使用するのに適した宿主細胞は、微生物細胞、例えば、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)細胞、および酵母細胞、例えば出芽酵母(S.cerevisiae)を含む。例えばPro5変種(ATCC CRL 1281)を含むK1系統(ATCC CCL 61)の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;CV-1系統(ATCC CCL 70)、COS-1系統(ATCC CRL 1650)およびCOS-7系統(ATCC CRL 1651)の、SV40形質転換アフリカグリーンモンキー腎臓由来の線維芽細胞様細胞;マウスL細胞、マウス3T3細胞(ATCC CRL 1658)、マウスC127細胞、293系統(ATCC CRL 1573)のヒト胎児腎細胞、HeLa系統(ATCC CCL 2)のそれらを含むヒト癌細胞、ならびにIMR-32(ATCC CCL 127)、SK-N-MC(ATCC HTB 10)およびSK-N-SH(ATCC HTB 11)株の神経芽腫細胞を含む、哺乳動物宿主細胞も使用され得る。
宿主細胞は、少なくとも1つのリコンビナーゼをコードするよう設計される。宿主細胞はまた、2つまたは多数のリコンビナーゼをコードするよう設計される。「リコンビナーゼ」という用語は、切除/挿入、反転、転座、および交換による特定標的部位、例えば、回文配列でのDNA交換を触媒する酵素を表す。本システムにおいて使用するのに適したリコンビナーゼの例は、TelN、Tel、Tel(gp26 K02ファージ) Cre、Flp、phiC31、Intおよび他のラムダファージインテグラーゼ、例えばphi80、HK022およびHP1リコンビナーゼを含むがこれらに限定されない。これらのリコンビナーゼの各々の標的配列は、それぞれ以下である:
telRL部位:
Figure 2023510590000001

pal部位:
Figure 2023510590000002

φK02 telRL部位:
Figure 2023510590000003

loxP部位:
Figure 2023510590000004

FRT部位:
Figure 2023510590000005

phiC31 attP部位:
Figure 2023510590000006
;および
λattP部位:
Figure 2023510590000007
リコンビナーゼの発現は、任意の調節または誘導性プロモーター、すなわち、特定の物理的または化学的条件または刺激の下で活性化されるプロモーターの制御下で行われる。適切なプロモーターの例は、熱調節プロモーター、例えば、λpLプロモーター、IPTG調節lacプロモーター、グルコース調節araプロモーター、T7ポリメラーゼ調節プロモーター、冷ショック誘導性cspAプロモーター、pH誘導性プロモーター、またはそれらの組み合わせ、例えば、tac(T7およびlac)二重調節プロモーターを含む。
細菌配列を欠く共有結合により閉鎖末端化された直鎖状DNAを生成する別の方法は、当技術分野で公知である、例えば、(例えば、各々の内容の全体が参照により組み入れられる、米国特許第8,828,726号および米国特許第7,897,380号に記載される)プラスミドからのミニ環状DNAの形成による。例えば、1つの無細胞合成方法は、Phi29 DNAポリメラーゼおよびプロテロメラーゼという2つの酵素の使用を組み合わせ、高い忠実性の、共有結合により閉鎖された直鎖状DNA構築物を生成する。この構築物は、抗生物質耐性マーカーを含まず、したがってこれらの配列のパッケージングを排除する。このプロセスは、2週間のプロセスでAAVゲノムDNAを商業的規模で増幅することができ、かつウイルス産生に必要とされるITR配列を維持することができる。
Phi29 DNAポリメラーゼは、ローリングサークル増幅により二本鎖DNAを増幅するために使用され、プロテロメラーゼは、共有結合により閉鎖された直鎖状DNAを生成するために使用され、これらは最新式の精製プロセスと組み合わされ、関心対象の配列のみを含む純粋なDNA産物を生成する。Phi29 DNAポリメラーゼは、高い忠実性(1×106~1×107)および高い処理性(およそ70 kbp)を有する。これらの特徴が、このポリメラーゼを、GMP DNAの大規模産生に特に適するものにしている。プロテロメラーゼ(テロメアリゾルバーゼとしても公知)は、直鎖状DNA上で、共有結合により閉鎖されたヘアピン末端の形成を触媒し、いくつかのファージ、細菌プラスミドおよび細菌染色体において同定されている。一対のプロテロメラーゼが、逆位回文DNA認識配列を認識し、鎖の切断、鎖の交換およびDNAライゲーションを触媒して、閉鎖された直鎖状ヘアピン末端を生成する。これらの閉鎖末端化された構造の形成は、そのDNAを、エキソヌクレアーゼ活性に対して耐性にし、それにより簡易な精製を可能にし、安定性および発現の期間を改善し得る。
プロテロメラーゼ結合部位
1つの態様において、DNA構築物は、プロテロメラーゼ結合部位を含み、共有結合により閉鎖された末端は、(例えば、インビトロでの)プロテロメラーゼ酵素活性により形成される。本発明において使用されるプロテロメラーゼ結合部位および対応するプロテロメラーゼは、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9,499,847号に提供されている。本発明において使用されるプロテロメラーゼ標的配列は、好ましくは、少なくとも14塩基対長の二本鎖回文(完全逆位反復)配列を含む。好ましい完全逆位反復配列は、SEQ ID NO:1~6の配列およびその変種を含む。
Figure 2023510590000008
は、中等温度好性バクテリオファージの完全逆位反復における22塩基のコンセンサス配列である。完全逆位反復の塩基対は、特定の位置において異なるバクテリオファージ間で保存されており、配列の柔軟性は、他の位置で見られ得る。したがって、SEQ ID NO:1は、本発明のプロセスにおいてバクテリオファージプロテロメラーゼと共に使用される、完全逆位反復配列の最小コンセンサス配列である。
SEQ ID NO:1により定義されるコンセンサス内の、
Figure 2023510590000009
は、大腸菌ファージN15およびクレブシエラファージPhi KO2プロテロメラーゼと共に使用される完全逆位反復配列である。また、SEQ ID NO:1により定義されるコンセンサス内の、SEQ ID NO:3~5:
Figure 2023510590000010
は、それぞれエルシニアファージPY54、ハロモナスファージphiHAP-1、およびビブリオファージVP882由来のプロテロメラーゼと共に使用するのに特に好ましい完全逆位反復配列である。
Figure 2023510590000011
は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)プロテロメラーゼと共に使用するのに特に好ましい完全逆位反復配列である。この完全逆位反復配列は、ボレリア・ブルグドルフェリに含まれる、直鎖状の共有結合により閉鎖されたプラスミドであるlpB31.16由来である。この14塩基配列は、バクテリオファージの22 bpコンセンサス完全逆位反復(SEQ ID NO:1)よりも短く、このことは、細菌プロテロメラーゼが、特異的標的配列の要件に関してバクテリオファージのプロテロメラーゼと異なっている可能性を示している。しかし、すべてのプロテロメラーゼ標的配列は、完全逆位反復の共通構造モチーフを共有している。
完全逆位反復配列は、本発明のプロセスにおいて使用される具体的なプロテロメラーゼの要件に依存して22bpを超える長さであり得る。したがって、いくつかの態様において、完全逆位反復は、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80、または少なくとも100塩基対長であり得る。そのような完全逆位反復配列の例は、SEQ ID NO:7~9およびそれらの変種を含む。
Figure 2023510590000012
SEQ ID NO:7~9およびそれらの変種は、それぞれ、ビブリオファージVP882、エルシニアファージPY54およびハロモナスファージphi HAP-1由来のプロテロメラーゼと共に使用するのに特に好ましい。
完全逆位反復は、さらなる逆位反復配列に隣接し得る。隣接する逆位反復は、完全または不完全反復であり得る、すなわち、完全に対称的または部分的に対称的であり得る。隣接する逆位反復は、中心の回文に対して連続的であり得るまたは非連続的であり得る。プロテロメラーゼ標的配列は、少なくとも14塩基対長の完全逆位反復配列を含む不完全逆位反復配列を含み得る。例は、SEQ ID NO:14である。不完全逆位反復配列は、少なくとも22塩基対長の完全逆位反復配列を含み得る。例は、SEQ ID NO:10である。
特定の態様において、プロテロメラーゼ標的配列は、SEQ ID NO:10~14の配列またはそれらの変種を含む。
Figure 2023510590000013
SEQ ID NO:10~14の配列は、上で定義されるような完全逆位反復配列を含み、さらに関連生物由来の隣接配列を含む。SEQ ID NO:10の配列またはその変種を含むプロテロメラーゼ標的配列は、大腸菌N15 TelNプロテロメラーゼおよびその変種と組み合わせて使用するのに好ましい。SEQ ID NO:11の配列またはその変種を含むプロテロメラーゼ標的配列は、クレブシエラファージPhi K02プロテロメラーゼおよびその変種と組み合わせて使用するのに好ましい。SEQ ID NO:12の配列またはその変種を含むプロテロメラーゼ標的配列は、エルシニアファージPY54プロテロメラーゼおよびその変種と組み合わせて使用するのに好ましい。SEQ ID NO:13の配列またはその変種を含むプロテロメラーゼ標的配列は、ビブリオファージVP882プロテロメラーゼおよびその変種と組み合わせて使用するのに好ましい。SEQ ID NO:14の配列またはその変種を含むプロテロメラーゼ標的配列は、ボレリア・ブルグドルフェリプロテロメラーゼと組み合わせて使用するのに好ましい。
上記の任意の回文配列またはプロテロメラーゼ標的配列の変種は、そのホモログまたは変異体を含む。変異体は、ネイティブ配列に対する短縮、置換または欠失を含む。変種配列は、DNAテンプレートにおけるその存在がプロテロメラーゼの酵素活性による閉鎖された直鎖状DNAへのその変換を可能にする任意の配列である。これは、閉鎖された直鎖状DNAの形成に関する適切なアッセイの使用により容易に決定され得る。当技術分野で報告されている任意の適切なアッセイが使用され得る。適切なアッセイの例は、Deneke et al., PNAS (2000) 97, 7721-7726に記載されている。特定の態様において、変種は、ネイティブ配列で観察されるものに匹敵するプロテロメラーゼ結合および活性を実現する。本明細書に記載される回文配列の好ましい変種の例は、完全反復構造を保存し、閉鎖された直鎖状DNAの形成を依然として行うことができる短縮回文配列を含む。しかし、変種プロテロメラーゼ標的配列は、それらがプロテロメラーゼ活性に対する基質として作用することができる限り、それらがもはや完全な回文を保存しないよう修飾され得る。
当業者は、上で概説された構造上の原理に基づき、本発明において使用するのに適したプロテロメラーゼ標的配列を容易に同定することができることが理解されるべきである。候補プロテロメラーゼ標的配列は、上記のアッセイを用いて、閉鎖された直鎖状DNAの形成を促進するそれらの能力についてスクリーニングされ得る。
共有結合により閉鎖された直鎖状DNA構築物の生成
本明細書に記載される共有結合により閉鎖されたベクターは、インビトロまたはインビボで生成され得る。ベクターは、標的細胞において導入遺伝子を発現することができる共有結合により閉鎖された直鎖状二本鎖ベクターである。例えば本明細書に記載されるITRを含む、閉鎖された直鎖状発現カセットDNAの産生のためのインビトロプロセスの1つの例は、(a)いずれかの側面でプロテロメラーゼ標的配列に隣接する少なくとも1つの発現カセットを含むDNAテンプレートを、該テンプレートの増幅を促進する条件の下、1つまたは複数のプライマーの存在下で少なくとも1つのDNAポリメラーゼと接触させる工程、および(b)(a)で産生された増幅されたDNAを、閉鎖された直鎖状発現カセットDNAの形成を促進する条件下で、少なくとも1つのプロテロメラーゼと接触させる工程、を含む。閉鎖された直鎖状発現カセットDNA産物は、関心対象のコード配列に機能的に連結された真核生物プロモーター、および任意で、真核生物転写終結配列を含み得る、からなり得る、またはから本質的になり得る。閉鎖された直鎖状発現カセットDNA産物はさらに、典型的に(i)細菌複製起点、(ii)細菌選択マーカー(典型的に抗生物質耐性遺伝子)および(iii)非メチル化CpGモチーフからなる群より選択される、1つまたは複数の細菌またはベクター配列を欠き得る。
上で概説されたように、本発明のプロセスにしたがい、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を含む任意のDNAテンプレートが増幅され得る。したがって、例えばDNAワクチンまたは他の治療タンパク質および核酸のための、治療DNA分子の産生が好ましいものの、本発明のプロセスは、任意のタイプの閉鎖された直鎖状DNAを産生するために使用され得る。DNAテンプレートは、二本鎖(ds)または一本鎖(ss)DNAであり得る。二本鎖DNAテンプレートは、開放的な環状二本鎖DNA、閉鎖された環状二本鎖DNA、開放的な直鎖状二本鎖DNAまたは閉鎖された直鎖状二本鎖DNAであり得る。好ましくは、テンプレートは、閉鎖された環状二本鎖DNAである。閉鎖された環状dsDNAテンプレートは、RCA(ローリングサークル増幅)DNAポリメラーゼと共に使用するのに特に好ましい。環状dsDNAテンプレートは、典型的に細菌増殖用の遺伝子を収容するために使用されるプラスミドまたは他のベクターの形態であり得る。したがって、本発明のプロセスは、任意の市販のプラスミドまたは他のベクター、例えば、市販のDNA薬を増幅し、ついで増幅されたベクターDNAを閉鎖された直鎖状DNAに変換するために使用され得る。
開放的な環状dsDNAは、DNAポリメラーゼが、ニックを有するDNA鎖から増幅を開始することができる鎖置換ポリメラーゼである場合に、テンプレートとして使用され得る。この態様において、テンプレートは、テンプレートのDNA鎖の1つまたは複数の部位にニックを加える1つまたは複数の酵素と共に事前にインキュベートされ得る。閉鎖された直鎖状dsDNAもまた、テンプレートとして使用され得る。閉鎖された直鎖状dsDNAテンプレート(出発物質)は、閉鎖された直鎖状DNA産物と同一であり得る。閉鎖された直鎖状DNAがテンプレートとして使用される場合、それは、テンプレートDNAの増幅を促進する条件の前にまたはその条件の間に、一本鎖環状DNAを形成する変性条件下でインキュベートされ得る。1つの態様において、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖DNAは、真核細胞、例えば、PCT公報WO 2019032102およびWO 2019169233に記載される昆虫細胞において産生される。1つの態様において、DNAは真核細胞において産生されず、DNAは真核生物配列を欠いている。1つの態様において、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖DNAベクターは、PCT公報WO 2019143885に記載されるようにして産生される。
上で概説されたように、DNAテンプレートは典型的に、上記のような、すなわち、関心対象のタンパク質をコードする配列に機能的に連結された真核生物プロモーターおよび任意で真核生物転写終結配列を含む、からなるまたはから本質的になる発現カセットを含む。任意で、発現カセットは、上で定義されるような、すなわち、典型的に(i)細菌複製起点、(ii)細菌選択マーカー(典型的に抗生物質耐性遺伝子)および(iii)非メチル化CpGモチーフからなる群より選択される1つまたは複数の細菌またはベクター配列を欠く最小発現カセットであり得る。
細胞培養培地
本明細書で使用される場合、「細胞培養培地」および「培養培地」という用語は、典型的に以下のカテゴリーの1つまたは複数からの少なくとも1つの成分を提供する、インビトロで細胞を成長させるために使用される栄養溶液を表す:1)通常は炭水化物、例えばグルコースの形態の、エネルギー源;2)全必須アミノ酸の1つまたは複数、通常は20個のアミノ酸の基本セット;3)低濃度で必要とされるビタミンおよび/または他の有機化合物;4)遊離脂肪酸;ならびに5)典型的に非常に低濃度で、通常マイクロモル範囲で必要とされる無機化合物または天然に存在する元素として定義される、微量元素。栄養溶液は、任意で、細胞の成長および/またはトランスフェクションを最適化するようさらなる成分を補充され得る。
本発明の細胞培養物は、培養される特定の宿主細胞に適した培地中で調製される。特定の細胞型を培養するために使用され得る適切な細胞培養培地は、当業者に明らかであろう。例示的な市販の培地は、例えば、Ham's F 10(SIGMA)、最小必須培地(MEM、SIGMA)、RPMI-1640(SIGMA)、Dulbecco's改変Eagle's培地(DMEM, SIGMA);10%ウシ胎仔血清を含むIscove改変Dulbecco培地(Gibco)(Xiao et al, Production of High-Titer Recombinant Adeno-Assoeiated Virus Vectors in the Absence of Helper Adenovirus, J Virol, 72: 2224-2232 (1998)を参照のこと)およびDMEM/F 12(Life Technologies)を含む。これらまたは他の適切な培地はいずれも、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(例えば、非限定的に、インスリン、トランスフェリン、または上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝剤(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、ピューロマイシン、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ブラスティシジン、またはゲンタマイシン(商標))、微量元素(通常マイクロモル範囲の終濃度で存在する無機化合物と定義される)、脂質(例えば、リノール酸または他の脂肪酸)およびそれらの適切なキャリア、およびグルコースまたは同等のエネルギー源を補充され得、ならびに/または本明細書に記載されるように、低マンノース含量を有する組換え糖タンパク質の産生を促進するよう改変され得る。
使用される特定の細胞株または方法の要求に依存して、細胞培地は、血清添加物、例えば、ウシ胎仔血清、または血清代用物を含み得る。(細胞の無血清生育のための)血清代用物の例は、TCH(商標)、TM-235(商標)およびTCH(商標)であり、これらの製品はCelox(St. Paul, Minn.)およびKOSR(ノックアウト(KO)血清代用物;Life Technologies)から市販されている。
これらの局面の任意の1つの特定の態様において、宿主細胞は、無血清、無タンパク質、無成長因子、および/または無ペプトン培地中で生育され得る。培地に適用される「無血清」という用語は、概して、血清、例えばウシ胎仔血清(FBS)を含まない任意の哺乳動物細胞培養培地を含む。培地に適用される「無成長因子」という用語は、外因性の成長因子(例えば、インスリン、IGF-1)が添加されていない任意の培地を含む。培地に適用される「無ペプトン」という用語は、外因性のタンパク質加水分解産物、例えば、動物および/または植物タンパク質加水分解産物が添加されていない任意の培地を含む。
これらの局面の任意の1つの特定の態様において、細胞培養培地は無血清である。「無血清」により、培地中の血清の濃度が好ましくは0.1%(v/v)未満の血清、より好ましくは0.01%(v/v)未満の血清であることが理解される。「本質的に無血清」により、約2%(v/v)未満の血清が存在すること、より好ましくは約1%未満の血清が存在すること、さらにより好ましくは約0.5%(v/v)未満の血清が存在すること、なおさらにより好ましくは約0.1%(v/v)未満の血清が存在することが意味される。無血清である定義された培地が使用される場合、培地は通常、特定のアミノ酸、ビタミンおよび/または微量元素を高濃度にされる(例えば、Matherらに対する米国特許第5,122,469号およびKeenらに対する米国特許第5,633, 162号を参照のこと)。
(宿主細胞または宿主細胞株の生育、形質転換および/または維持に関して言い換え可能に使用される)「培養」または「インキュベート」は、意図されている目的に適したおよび哺乳動物細胞培養の分野で従来から公知の滅菌、温度、pH、大気ガス成分(例えば、酸素、二酸化炭素、二窒素)、湿度、培養容器、培養体積、継代、動作、ならびに他のパラメータの条件の下で行われる。
特定の態様において、培養培地は、約1 mM~約100 mMの濃度のアミノ酸を含む。例えば、培養培地は、約1 mM~約20 mM、例えば約5 mM~約15 mMの濃度のアミノ酸を含む。特定の態様において、培養培地は、約7.5 mM~約12.5 mMの濃度のアミノ酸を含む。例えば、培養培地は、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む。
特定の態様において、培養培地は、L-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドを含む。例示的なL-グルタミンを含むジペプチドは、L-アラニル-L-グルタミン(例えば、GLUTAMAX(商標))である。通常、培養培地は、約1 mM~約100 mMの濃度のL-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドを含む。例えば、培養培地は、約1 mM~約20 mM、例えば約5 mM~約15 mMの濃度のL-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドを含む。特定の態様において、培養培地は、約7.5 mM~約12.5 mMの濃度のL-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドを含む。例えば、培養培地は、約10 mMの濃度のL-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドを含む。
特定の態様において、培養培地はまた、非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤を含み得る。例示的な非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20(TWEEN 20)、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、およびポリソルベート85;ポロキサマー、例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407;ポリエチレンポリプロピレングリコール;またはポリエチレングリコール(PEG)を含むがこれらに限定されない。これらの局面の任意の1つのいくつかの態様において、非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤は、ポロキサマーである。例示的なポロキサマーは、ポロキサマー188(P188)、プルロニック(登録商標)F127、プルロニック(登録商標)F38、プルロニック(登録商標)F68、プルロニック(登録商標)F87、プルロニック(登録商標)F108、プルロニック(登録商標)10R5、プルロニック(登録商標)17R2、プルロニック(登録商標)17R4、プルロニック(登録商標)25R2、プルロニック(登録商標)25R4、プルロニック(登録商標)31R1、プルロニック(登録商標)F108キャストソリッドサーファクタ、プルロニック(登録商標)F108 NF、プルロニック(登録商標)F108 パスティール、プルロニック(登録商標)F108NF プリル ポロキサマー338、プルロニック(登録商標)F127 NF、プルロニック(登録商標)F127 NF 500 BHT プリル、プルロニック(登録商標)F127 NF プリル ポロキサマー407、プルロニック(登録商標)F38 パスティール、プルロニック(登録商標)F68 LF パスティール、プルロニック(登録商標)F68 NF、プルロニック(登録商標)F68 NF プリル、プルロニック(登録商標)F68 パスティール、プルロニック(登録商標)F77、プルロニック(登録商標)F77 マイクロパスティール、プルロニック(登録商標)F87 NF、プルロニック(登録商標)F87 NF プリル ポロキサマー237、プルロニック(登録商標)F 88、プルロニック(登録商標)F88 パスティール、プルロニック(登録商標)F 98、プルロニック(登録商標)FT L 61、プルロニック(登録商標)L10、プルロニック(登録商標)L101、プルロニック(登録商標)L121、プルロニック(登録商標)L31、プルロニック(登録商標)L35、プルロニック(登録商標)L43、プルロニック(登録商標)L61、プルロニック(登録商標)L62、プルロニック(登録商標)L62 LF、プルロニック(登録商標)L62D、プルロニック(登録商標)L64、プルロニック(登録商標)L81、プルロニック(登録商標)L92、プルロニック(登録商標)L44 NF INHサーファクタントポロキサマー124、プルロニック(登録商標)N3、プルロニック(登録商標)P103、プルロニック(登録商標)P104、プルロニック(登録商標)P105、プルロニック(登録商標)P123サーファクタント、プルロニック(登録商標)P65、プルロニック(登録商標)P84、プルロニック(登録商標)P85等を含むがこれらに限定されない。
培養培地中の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤の量は、少なくとも約0.01%、0.015%、0.02%、0.025%、0.03%、0.035%、0.04%、0.045%、0.05%(w/w、w/vもしくはv/v)またはそれ以上であり得る。例えば、培養培地中の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤の量は、約0.001%~約1%(重量/体積)の範囲であり得る。例えば、培養培地は、約0.01%~約0.5%、約0.015%~約0.45%、約0.02%~約0.4%、または約0.025%~約0.35%の濃度の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤を含む。0.1%。例えば、培養培地は、約0.01%、約0.015%、約0.02%、約0.025%、約0.03%、約0.035%、約0.04%、約0.045%、または約0.05%の濃度の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤を含む。
特定の態様において、培養培地は、消泡剤を含む。「消泡剤」という用語は、液体に添加されたときに、その液体の界面活性を実質的に低下させることができ、それによってその液体が発泡することを実質的に防ぐことができる化学物質を表す。本発明で利用可能な例示的な消泡剤は、高分子量シリコーンおよびそのような用途に関して当技術分野で周知の他の物質を含むがこれらに限定されない。
培養培地中の消泡剤の量は、少なくとも約0.01%、0.015%、0.02%、0.025%、0.03%、0.035%、0.04%、0.045%、0.05%(w/w、w/vもしくはv/v)またはそれ以上であり得る。例えば、培養培地中の消泡剤の量は、約0.001%~約1%(重量/体積)の範囲であり得る。例えば、培養培地は、約0.01%~約0.5%、約0.015%~約0.45%、約0.02%~約0.4%、または約0.025%~約0.35%の濃度の消泡剤を含む。0.1%。例えば、培養培地は、約0.01%、約0.015%、約0.02%、約0.025%、約0.03%、約0.035%、約0.04%、約0.045%、または約0.05%の濃度の消泡剤を含む。
本明細書で使用される場合、「細胞株」という用語は、インビトロでの継続的または長期間の成長および分裂が可能な細胞の集団を表す。多くの場合、細胞株は、単一の先祖細胞由来のクローン性集団である。さらに、そのようなクローン性集団の保管または移送の間に核型に関して自然発生的または誘導された変化が生じ得ることが、当技術分野で公知である。したがって、参照される細胞株由来の細胞は、その祖先の細胞または培養物と厳密には同一でない場合があり、参照される細胞株は、そのような変種を含む。
宿主細胞の溶解
これらの局面の任意の1つの特定の態様において、この方法は、トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させる工程を含む。細胞培養物中の宿主細胞を溶解させる方法は、当技術分野で周知である。例えば、非イオン性サーファクタントが、細胞培養物または細胞培養上清に添加され得る。通常、非イオン性サーファクタントは、少なくとも約0.05%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1%(w/v、w/wもしくはv/v)またはそれ以上の終濃度まで細胞培養物に添加される。例えば、非イオン性サーファクタントは、約0.05%~約1%、約0.1%~約0.95%、約0.15%~約0.9%、約0.2%~約0.85%、約0.25%~約0.8%、約0.3%~約0.75%、約0.35%~約0.65%、約0.4%~約0.6%、または0.45%~約0.55%の終濃度まで細胞培養物に添加される。いくつかの態様において、非イオン性サーファクタントは、約0.05%、0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、または約1%の終濃度まで細胞培養物に添加される。例えば、非イオン性サーファクタントは、約0.5%の終濃度まで細胞培養物に添加され得る。
通常、非イオン性サーファクタントは、細胞培養物または細胞培養上清中に存在する宿主細胞を溶解させるのに十分な期間、細胞培養物と混合される。例えば、非イオン性サーファクタントは、約15分間~約2時間の期間、細胞培養物と混合される。いくつかの態様において、非イオン性サーファクタントは、約30分間~約60分間の期間、細胞培養物と混合される。
混合は、大気温度または高温で行われ得る。例えば、非イオン性サーファクタントとの混合は、約15℃~約37℃の温度で行われ得る。いくつかの態様において、非イオン性サーファクタントとの混合は、約18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、28℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃の温度で行われ得る。
トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させるために任意の所望の非イオン性サーファクタントを使用できることに留意されたい。トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させるための例示的な非イオン性サーファクタントおよび非イオン性サーファクタントのクラスは、ポリアリルフェノールポリエトキシエーテル;ポリアルキルフェノールポリエトキシエーテル;飽和脂肪酸のポリグリコールエーテル誘導体;不飽和脂肪酸のポリグリコールエーテル誘導体;脂肪族アルコールのポリグリコールエーテル誘導体;脂環式アルコールのポリグリコールエーテル誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル;アルコキシル化植物油;アルコキシル化アセチレンジオール(alkoxylated acetylenic dials);ポリアルコキシル化アルキルフェノール;脂肪酸アルコキシレート;ソルビタンアルコキシレート;ソルビトールエステル;C8~C22アルキルまたはアルケニルポリグリコシド;ポリアルコキシスチリルアリルエーテル;アルキルアミンオキシド;ブロックコポリマーエーテル;ポリアルコキシル化脂肪酸グリセリド;ポリアルキレングリコールエーテル;直鎖脂肪族または芳香族ポリエステル;有機シリコーン;ポリアリルフェノール;ソルビタンエステルアルコキシレート;ならびにエチレングリコールのモノおよびジエステルおよびそれらの混合物;エトキシル化トリスチリルフェノール;エトキシル化脂肪族アルコール;エトキシル化ラウリルアルコール;エトキシル化ひまし油;ならびにエトキシル化モニルフェノール;アルコキシル化アルコール、アミンまたは酸を含み得る。これらの局面の任意の1つのいくつかの態様において、宿主細胞を溶解させるための非イオン性サーファクタントは、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルグルコシド、アルキルフェノールエトキシレート、好ましくはポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させるための特定の例示的な非イオン性サーファクタントは、ECOSURF EH-9、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20(TWEEN 20)、ポリソルベート28、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、およびポリソルベート85)、ECOSURF EH-14、TWEEN 60非イオン性界面活性剤、PPG-PEG-PPGプルロニック10R5、ポリオキシエチレン(18)トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン(12)トリデシルエーテル、MERPOL SHサーファクタント、MERPOL OJサーファクタント、MERPOL HCSサーファクタント、IGEPAL CO-720、IGEPAL CO-630、IGEPAL CA-720、Brij S20、BrijS10、Brij O10、Brij C10、BRIJ O20、TERGITOL 15-S-7、ECOSURF SA-15、TERGITOL15-S-9、TERGITOL 15-S-12、TERGITOL L-64、TERGITOLNP-7、TERGITOL NP-8、TERGITOL NP-9、TERGITOL NP-9.5、TERGITOL NP-10、TERGITOL NP-11、TERGITOL NP-12、およびTERGITOLNP-13ならびにそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させるための非イオン性サーファクタントは、Triton X-100ではない。
いくつかの態様において、両性サーファクタントが、トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させるために細胞培養物に添加され得る。例示的な両性サーファクタントは、スルホネート、例えば、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、CHAPSO(3-{(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホネート)、3-(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(ドデシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(N,N-ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホネート、3-(N,N-ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホネート、および3-(N,N-ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホネート;スルタイン、例えば、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン;ベタイン、例えば、コカミドプロピルベタイン;ならびにホスフェート、例えば、レシチンを含むがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、サーファクタント、例えば両性サーファクタントは、アミンオキシドサーファクタントであり得る。例えば、アミンオキシドサーファクタントが、宿主細胞を溶解させるために細胞培養物に添加され得る。本明細書に記載される方法において使用され得るアミンオキシドサーファクタントは、トリアルキルアミンN-オキシド、例えば、式R1R2R3NOのアミンオキシドであり得、ここでR1は約8~約30個の炭素原子を含む置換または非置換アルキルまたはアルケニルであり、R2およびR3は、独立して、約1~約18個の炭素原子を含む置換または非置換アルキルまたはアルケニル基である。使用されるトリアルキルアミンN-オキシドおよびトリアルキルアミンN-オキシドサーファクタントの非限定的な例は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO1998055581に記載されている。
溶解産物は、不純物、例えば宿主細胞DNA(hcDNA)を含み得る。したがって、この方法は、rAAVを単離/精製する前に溶解産物から不純物、例えばhcDNAを除去するまたはその量を減少させる溶解後工程を含み得る。細胞培養物または細胞培養上清中の宿主細胞DNAの量を減少させるための方法および組成物は、当技術分野で周知である。例えば、カチオン性アミンまたはヌクレアーゼが溶解産物に添加され得る。
いくつかの態様において、溶解後工程は、溶解産物から不純物、例えばhcDNAを減少させるまたは除去するために選択的沈降剤を添加することを含む。本明細書で使用される場合、「選択的沈降剤」は、組換えウイルス粒子の集団および混入核酸分子を含む調製物に添加されたときに、組換えウイルス粒子からの少なくとも実質的な量の混入核酸分子の選択的沈降をもたらす任意の薬剤、化合物等を表す。溶解後工程において溶解産物に添加される例示的な薬剤は、臭化セチルトリエチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレンイミンおよびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、ヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼが、不純物、例えばhcDNAを減少させるまたは除去するために溶解産物に添加される。例示的なエンドヌクレアーゼは、原核生物および真核生物の両方由来のエンドヌクレアーゼを含む。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは、BENZONASE(登録商標)または塩活性ヌクレアーゼ(SAN)である。
通常、ヌクレアーゼは、少なくとも約0.05%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%、1% (w/v、w/wもしくはv/v)またはそれ以上の終濃度まで溶解産物に添加される。例えば、ヌクレアーゼは、約0.05%~約1%、約0.1%~約0.95%、約0.15%~約0.9%、約0.2%~約0.85%、約0.25%~約0.8%、約0.3%~約0.75%、約0.35%~約0.65%、約0.4%~約0.6%、0.45%~約0.55%、約0.05%~約0.4%、または約0.2%~約0.4%の終濃度まで溶解産物に添加される。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは、約0.05%、0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、または約1%の終濃度まで溶解産物に添加される。例えば、ヌクレアーゼは、約0.2%の終濃度まで溶解産物に添加される。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは、約0.05%~約0.4%の終濃度まで溶解産物に添加され得る。
通常、薬剤またはヌクレアーゼは、約15、20、30、35、40、45、50、55分間またはそれより長い期間、溶解産物と混合される。いくつかの態様において、薬剤またはヌクレアーゼは、約10分間~約4時間の期間、溶解産物と混合される。例えば、薬剤またはヌクレアーゼは、約15分間~約3時間の期間、溶解産物と混合される。いくつかの態様において、薬剤またはヌクレアーゼは、約30分間~約120分間の期間、溶解産物と混合される。例えば、薬剤またはヌクレアーゼは、約30分間の期間、溶解産物と混合される。
いくつかの態様において、この方法は、溶解産物を浄化する工程を含む。例えば、この方法は、深層ろ過により溶解産物を浄化し、浄化された組成物を生成する工程を含む。
rAAVの単離/精製
宿主細胞株由来の溶解産物からrAAVを単離/精製する様々な方法が、当技術分野で公知である。そのような方法は、密度勾配、タンジェンシャルフローフィルトレーション、親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびそれらの様々な組み合わせを含むがこれらに限定されない。宿主細胞溶解産物からrAAVを単離/精製する例示的な方法は、例えば、米国特許第6.592,123号;米国特許第9,862,936号;国際特許公報第WO2019/241535号;国際特許公報第W02005/035743号;および国際特許公報第WO2019/212921号に記載されており、それらすべての内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の局面は、以下の番号付きの態様1~103により表され得る。
態様1:原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、
(i)任意で、ヒト胚細胞株を懸濁状態で培養する工程、
(ii)(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、ヒト胚細胞株にトランスフェクトする工程、
(iii)トランスフェクトされたヒト細胞株を約40~400時間インキュベートする工程、ならびに
(iv)トランスフェクトされたヒト細胞株を溶解させて、rAAVをコードする核酸配列を精製する工程
を含み、それによって、rAAVを産生する、前記方法。
態様2:前記細胞株の細胞が、懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項1記載の方法。
態様3:ヒト胚細胞株が、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項1~2のいずれか一項記載の方法。
態様4:AAV repおよびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
態様5:AAV repおよびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
態様6:AAV rep遺伝子がAAV2 rep遺伝子であり、AAV cap遺伝子がAAV8 cap遺伝子である、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
態様7:AAV ITRおよびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
態様8:AAV ITRおよびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
態様9:AAV逆位末端反復(ITR)配列がアデノ随伴ウイルス2逆位末端反復(ITR)配列である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
態様10:AAV ITR配列が、AAV2血清型由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
態様11:AAV ITR配列が合成である、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
態様12:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が2μg未満であり、任意で、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が1Eg未満である、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
態様13:(a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)であり、任意で、(a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
態様14:(a)、(b)および(c)が、(a)、(b)および(c)ならびに安定なカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1:1~約3:1(重量/重量)であり、任意で、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1.5:1である、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
態様15:(a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
態様16:トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項1~15のいずれか一項記載の方法。
態様17:rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパー(Adヘルパー)タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
態様18:rAAVの力価が、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個の生きたトランスフェクト細胞である、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
態様19:ヒト胚細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
態様20:培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
態様21:約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
態様22:約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
態様23:アミノ酸が、L-グルタミンまたはL-アラニル-L-グルタミン(Glutamax(商標))である、請求項21または22記載の方法。
態様21:約50リットルの体積を有する培養培地が、少なくとも約1 mM~約20 mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤、および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
態様24:非イオン性サーファクタントポリオールがプルロニック酸(pluronic acid)を含む、請求項24記載の方法。
態様26:培養されたヒト胚細胞株が、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの細胞密度を含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
態様27:培養されたヒト胚細胞株が、生細胞約4.0×106から約6×106個/mlまで、または任意で約2.5×107個/mlまでの細胞密度を含む、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
態様28:(i)トランスフェクトされた細胞に約1リットルの培地を添加する工程、および、(ii)約10分間~約60分間の時間経過にわたって、約1:1のポリマー対DNA~約3:1のポリマー対DNAの比でカチオン性ポリマーを添加する工程をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
態様29:カチオン性ポリマーが、約1分間~約10分間の時間経過にわたって、2.2:1のポリマー対DNAの比で添加される、請求項28記載の方法。
態様30:カチオン性ポリマーが、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項14~29のいずれか一項記載の方法。
態様31:ヒト胚細胞懸濁物を含む培養培地の温度が、トランスフェクションの約12~36時間前に、37℃まで上げられる、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
培養培地が、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項27記載の方法。
培養培地が、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項27記載の方法。
態様34:原核生物配列を欠く高力価の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法であって、
(i)(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、哺乳動物細胞株にトランスフェクトする工程であって、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が2μg未満、例えば1μg未満である、工程、
(ii)トランスフェクトされた細胞を少なくとも24時間、例えば少なくとも40時間培養する工程、ならびに
(iii)トランスフェクトされた細胞を収集して、産生されたrAAVベクター粒子を精製する工程、
を含み、rAAVの力価が、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個の生きたトランスフェクト細胞である、前記方法。
態様35:哺乳動物細胞株が懸濁細胞株であり、細胞が懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項34記載の方法。
態様36:細胞株がヒト胎児腎細胞株由来である、請求項34または35のいずれか一項記載の方法。
態様37:哺乳動物細胞株が、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項34~36のいずれか一項記載の方法。
態様38:(a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)であり、例えば、(a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項34~37のいずれか一項記載の方法。
態様39:(a)、(b)および(c)が、(a)、(b)および(c)ならびに安定なカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1:1~約3:1(重量/重量)であり、例えば、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1.5:1である、請求項34~38のいずれか一項記載の方法。
態様40:(a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項34~39のいずれか一項記載の方法。
態様41:トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項34~40のいずれか一項記載の方法。
態様42:(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、Adヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項34~41のいずれか一項記載の方法。
態様43:(a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、任意で、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6または1.8Egである、請求項34~42のいずれか一項記載の方法。
態様44:哺乳動物細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積の培養培地中で漸進的に培養される、請求項34~43のいずれか一項記載の方法。
態様45:培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項34~44のいずれか一項記載の方法。
態様46:約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項34~45のいずれか一項記載の方法。
態様47:約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項34~46のいずれか一項記載の方法。
態様48:アミノ酸が、L-グルタミンである、請求項34~47のいずれか一項記載の方法。
態様49:細胞が、50~100リットルの培養体積中にある、請求項34~48のいずれか一項記載の方法。
態様50:感染性粒子力価が少なくとも3×109 TCID50/mlである、請求項34~49のいずれか一項記載の方法。
態様51:AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項34~50のいずれか一項記載の方法。
態様51:AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項34~50のいずれか一項記載の方法。
態様53:AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項34~52のいずれか一項記載の方法。
態様54:AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項34~52のいずれか一項記載の方法。
態様55:AAV ITR配列が、AAV2由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項34~54のいずれか一項記載の方法。
態様56:AAV ITR配列が合成である、請求項34~55のいずれか一項記載の方法。
態様57:原核生物配列を欠く精製された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法であって、
(i)培養培地中に懸濁された哺乳動物細胞株に、トランスフェクション組成物をトランスフェクトする工程であって、トランスフェクション組成物が、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)安定なカチオン性ポリマーを含み、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が、少なくとも1:1であり、例えば、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が、少なくとも1.5:1である、工程、
(ii)トランスフェクトされた細胞株を少なくとも24時間、例えば少なくとも40時間、培養する工程、
(iii)工程(ii)のトランスフェクトされた細胞株を収集する工程、ならびに
(iii)rAAVを精製する工程
を含み、精製されたウイルスが、2×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比(a particle to infectivity ratio)を有する、前記方法。
態様57:哺乳動物細胞株が懸濁細胞株であり、細胞が懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項57記載の方法。
態様59:哺乳動物細胞株がヒト胎児腎細胞株由来である、請求項57~58のいずれか一項記載の方法。
態様60:ヒト胚細胞株が、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項57~59のいずれか一項記載の方法。
態様61:安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が約1.75:1~約2.75:1であり、例えば、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が約2:1である、請求項57~60のいずれか一項記載の方法。
態様62:安定なカチオン性ポリマーが、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項57~61のいずれか一項記載の方法。
態様63:安定なカチオン性ポリマーが、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミンを含み、PEI 対 核酸の比が、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1、2:1、2.5:1、2.8:1、および2.2:1からなる群より選択される、請求項57~62のいずれか一項記載の方法。
態様64:細胞懸濁物を含む培養培地の温度が、トランスフェクションの約12~36時間前に、37℃まで上げられる、請求項57~63のいずれか一項記載の方法。
態様65:培養培地が、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項57~64のいずれか一項記載の方法。
態様66:培養培地が、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項57~65のいずれか一項記載の方法。
態様66:トランスフェクション組成物が、約10分間~約60分間の時間経過にわたって懸濁細胞に添加される、請求項57~66のいずれか一項記載の方法。
態様68:工程(i)の後かつ工程(ii)の前に、培養培地が添加される、請求項57~67のいずれか一項記載の方法。
態様69:(a)、(b)および(c)からの核酸(DNA)の総量が約1μg~約20μgである、請求項57~68のいずれか一項記載の方法。
態様70:(a)、(b)および(c)からのDNAの総量が約1μg~約10μgである、請求項57~69のいずれか一項記載の方法。
態様71:(a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)である、請求項57~70のいずれか一項記載の方法。
態様72:(a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項57~71のいずれか一項記載の方法。
態様73:トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項57~72のいずれか一項記載の方法。
態様74:(a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項57~73のいずれか一項記載の方法。
態様75:(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、Adヘルパータンパク質をコードするヌクレオチドを含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項57~74のいずれか一項記載の方法。
態様76:(a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6または1.8μgである、請求項57~75のいずれか一項記載の方法。
態様77:(a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、約0.75μgである、請求項57~76のいずれか一項記載の方法。
態様78:哺乳動物細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される、請求項57~77のいずれか一項記載の方法。
態様79:培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項57~78のいずれか一項記載の方法。
態様80:培養体積を、約50 mlの体積から約100リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項57~79のいずれか一項記載の方法。
態様81:約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項57~80のいずれか一項記載の方法。
態様82:約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項57~81のいずれか一項記載の方法。
態様83:アミノ酸が、L-グルタミンまたはL-アラニル-L-グルタミン(Glutamax(商標))である、請求項81または82記載の方法。
態様84:細胞が、50リットル~100リットルの培養体積中にある、請求項57~83のいずれか一項記載の方法。
態様85:約50リットルの体積を有する培養培地が、少なくとも約1 mM~約20 mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤、および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む、請求項57~84のいずれか一項記載の方法。
態様86:非イオン性サーファクタントポリオールがプルロニック酸を含む、請求項85記載の方法。
態様87:トランスフェクション組成物が、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約20%v/vの培養培地を含む、請求項57~86のいずれか一項記載の方法。
態様88:トランスフェクション組成物が、約1リットル~約5リットルの培地を含む、請求項57~87のいずれか一項記載の方法。
態様89:トランスフェクション組成物が、5~50%(体積/体積)の培養培地を含む、請求項57~88のいずれか一項記載の方法。
態様90:トランスフェクションに添加される核酸配列が、0.5×106~約5×106個の細胞あたり約0.1μg~約1μgのAdヘルパーDNA、Rep/Cap DNA、または導入遺伝子を含む、請求項57~89のいずれか一項記載の方法。
態様91:AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項57~90のいずれか一項記載の方法。
態様92:AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項57~90のいずれか一項記載の方法。
態様93:AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項57~92のいずれか一項記載の方法。
態様94:AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項57~92のいずれか一項記載の方法。
態様95:AAV ITR配列が、AAV2由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項57~94のいずれか一項記載の方法。
態様96:Cap遺伝子がAAV8血清型由来である、請求項57~95のいずれか一項記載の方法。
態様97:rAAVのパッケージされた核酸が真核生物DNA配列をさらに欠いている、請求項1~96のいずれか一項記載の方法。
態様98:閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が、プロテロメラーゼ結合部位の1/2を含む、請求項1~97のいずれか一項記載の方法。
態様99:閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が、プロテロメラーゼ結合部位の1/2を含み、プロテロメラーゼ結合部位の1/2が、少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む標的結合部位のプロテロメラーゼ消化により形成される、請求項1~98のいずれか一項記載の方法。
態様100:請求項1~99のいずれか1項記載の方法により産生される、原核生物DNAを欠くrAAVビリオンの集団。
態様101:プロテロメラーゼ標的配列を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
態様102:プロテロメラーゼ標的配列が、少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む、請求項101記載のrAAV。
態様103:導入遺伝子をさらに含む、請求項101または102記載のrAAV。
本発明の例示的なさらなる局面は、以下の番号付きの態様1~74により表され得る。
態様1:原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の高力価集団を産生する方法であって、(i)任意で宿主細胞株の細胞を含む、細胞培養培地に、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)任意でポリカチオン性ポリマーを接種する工程であって、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が約1:1~約3:1(重量/重量)であり、任意で、1×106個の宿主細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約2μg未満である、工程;(ii)接種された細胞培養培地を、rAAVを産生するのに十分な期間インキュベートする工程;ならびに(iii)rAAVを精製する工程を含み、任意で、産生されたrAAVの力価が、異種導入遺伝子を含む対応する量のプラスミドDNA(pDNA)を接種された細胞培養培地により産生されるrAAVの力価よりも高い、方法。
態様2:原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の高力価集団を産生する方法であって、(i)培養培地中の宿主細胞株の細胞に、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、トランスフェクトする工程であって、(i)1×106個の宿主細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約2μg未満である、または(ii)宿主細胞が、(a)、(b)および(c)、ならびにポリカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、ポリカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が約1:1~約3:1(重量/重量)である、工程;(ii)トランスフェクトされた宿主細胞を、rAAVを産生するのに十分な期間インキュベートする工程;(iii)任意で、トランスフェクトされた宿主細胞を溶解させる工程;ならびに(iv)rAAVを精製する工程を含み、任意で、産生されたrAAVの力価が、異種導入遺伝子を含む対応する量のpDNAをトランスフェクトされた宿主細胞株を用いて産生されるrAAVの力価よりも高い、方法。
態様3:rAAVのウイルス力価が、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個の生きたトランスフェクト細胞である、態様1または2記載の方法。
態様4:rAAVのウイルス力価が、少なくとも3.5×1011 vp/mlである、態様1~3のいずれか1つ記載の方法。
態様5:精製されたrAAVが、2×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比を有する、態様1~4のいずれか1つ記載の方法。
態様6:トランスフェクトされた宿主細胞株のインキュベートが、少なくとも約24時間行われる、態様1~5のいずれか1つ記載の方法。
態様7:トランスフェクトされた宿主細胞株のインキュベートが、約40時間~約400時間行われる、態様1~6のいずれか1つ記載の方法。
態様8:宿主細胞株が、少なくとも約50リットルの細胞培養体積中に含まれる、態様1~7のいずれか1つ記載の方法。
態様9:宿主細胞株が、約50リットル~約100リットルの細胞培養体積中に含まれる、態様1~8のいずれか1つ記載の方法。
態様10:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約1.5μg未満である、態様1~9のいずれか1つ記載の方法。
態様11:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約1μg未満である、態様1~10のいずれか1つ記載の方法。
態様12:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約0.75μg未満である、態様1~11のいずれか1つ記載の方法。
態様13:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が少なくとも約0.25μgである、態様1~12のいずれか1つ記載の方法。
態様14:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が少なくとも約0.5μgである、態様1~13のいずれか1つ記載の方法。
態様15:(a):(b):(c)の核酸の比が、約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)である、態様1~14のいずれか1つ記載の方法。
態様16:(a):(b):(c)の核酸の比が、約0.75~1.5:約1~1.75:約0.75~1.25(重量:重量:重量)である、態様1~15のいずれか1つ記載の方法。
態様17:(a):(b):(c)の核酸の比が、約1.4:約1.5:約1(重量:重量:重量)である、態様1~16のいずれか1つ記載の方法。
態様18:ポリカチオン性ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)である、態様1~17のいずれか1つ記載の方法。
態様19:ポリカチオン性ポリマーが直鎖ポリエチレンイミンである、態様1~18のいずれか1つ記載の方法。
態様20:安定なカチオン性ポリマーが完全加水分解ポリエチレンイミンである、態様1~19のいずれか1つ記載の方法。
態様21:安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が約1.5:1~約2.75:1である、態様1~20のいずれか1つ記載の方法。
態様22:安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が約1.9:1~約2.6:1である、態様1~21のいずれか1つ記載の方法。
態様23:1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からの核酸の総量が約0.55μg~約0.75μgであり、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比の比が約2:1~約2.5:1である、態様1~22のいずれか1つ記載の方法。
態様24:宿主細胞株を、宿主細胞株培養体積の約5%~約20%(体積/体積)のトランスフェクション組成物体積を用いて感染させる、態様1~23のいずれか1つ記載の方法。
態様25:宿主細胞株を、宿主細胞株培養体積の約7.5%~約15%(体積/体積)のトランスフェクション組成物体積を用いて感染させる、態様1~24のいずれか1つ記載の方法。
態様26:トランスフェクション組成物が、約10分間~約60分間の時間経過にわたって宿主細胞に添加される、態様1~25のいずれか1つ記載の方法。
態様27:宿主細胞株のトランスフェクションの前に、宿主細胞株を一定期間培養する工程をさらに含む、態様1~26のいずれか1つ記載の方法。
態様28:宿主細胞株を培養する工程が、培養体積を約50 ml~約2000リットルに増加させることを含む、態様27記載の方法。
態様29:宿主細胞株を培養する工程が、培養体積を約50 ml~約100リットルに増加させることを含む、態様27または28記載の方法。
態様30:宿主細胞株を含む培養培地の温度が、トランスフェクションの約12時間~36時間前に、37℃に上げられる、態様1~29のいずれか1つ記載の方法。
態様31:培養培地が、約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸を含む、態様1~30のいずれか1つ記載の方法。
態様32:培養培地が、約5 mM~約15 mMの濃度のアミノ酸を含む、態様1~31のいずれか1つ記載の方法。
態様33:培養培地が、約7.5 mM~約12.5 mMの濃度のアミノ酸を含む、態様1~32のいずれか1つ記載の方法。
態様34:アミノ酸が、L-グルタミンまたはL-グルタミンを含むジペプチドである、態様31~33のいずれか1つ記載の方法。
態様35:L-グルタミンを含むジペプチドが、L-アラニル-L-グルタミンである、態様34記載の方法。
態様36:培養培地が、約0.01%~約1%(重量/体積)の濃度の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤を含む、態様1~35のいずれか1つ記載の方法。
態様37:非イオン性サーファクタントポリオールがプルロニック酸を含む、態様36記載の方法。
態様38:培養培地が、約0.001%~約1%(重量/体積)の濃度の消泡剤を含む、態様1~37のいずれか1つ記載の方法。
態様39:培養培地が、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される、態様1~38のいずれか1つ記載の方法。
態様40:培養培地が、約0.25 LPM~約0.75 LPMの流量でのエアスパージに供される、態様1~39のいずれか1つ記載の方法。
態様41:宿主細胞株が哺乳動物細胞株である、態様1~40のいずれか1つ記載の方法。
態様42:宿主細胞株がヒト細胞株である、態様1~41のいずれか1つ記載の方法。
態様43:宿主細胞株がヒト胚細胞株である、態様1~42のいずれか1つ記載の方法。
態様44:宿主細胞株がヒト胎児腎細胞株である、態様1~43のいずれか1つ記載の方法。
態様45:宿主細胞株が無血清細胞株である、態様1~44のいずれか1つ記載の方法。
態様46:宿主細胞株が懸濁適合化される、態様1~45のいずれか1つ記載の方法。
態様47:宿主細胞株が培養培地中に懸濁される、態様1~46のいずれか1つ記載の方法。
態様48:宿主細胞株の細胞が懸濁状態でトランスフェクトされる、態様1~47のいずれか1つ記載の方法。
態様49:宿主細胞株が、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの細胞密度を含む、態様1~48のいずれか1つ記載の方法。
態様50:宿主細胞株が、生細胞約4.0×106~約6×106個/mlの細胞密度を含む、態様1~49のいずれか1つ記載の方法。
態様51:宿主細胞株が、生細胞約2.5×107個/mlの細胞密度を含む、態様1~50のいずれか1つ記載の方法。
態様52:(a)および(b)の核酸の少なくとも1つが、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子中に含まれる、態様1~51のいずれか1つ記載の方法。
態様53:(a)および(b)の核酸の各々が、独立して、閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子中に含まれる、態様1~52のいずれか1つ記載の方法。
態様54:閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が、プロテロメラーゼ結合部位の1/2を含む、態様1~53のいずれか1つ記載の方法。
態様55:閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が、プロテロメラーゼ結合部位の1/2を含み、プロテロメラーゼ結合部位の1/2が、標的結合部位のプロテロメラーゼ消化により形成される、態様1~54のいずれか1つ記載の方法。少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む。
態様56:AAV repおよびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、態様1~55のいずれか1つ記載の方法。
態様57:AAV repおよびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、態様1~56のいずれか1つ記載の方法。
態様58:AAV ITR配列およびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、態様1~57のいずれか1つ記載の方法。
態様59:AAV ITR配列およびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、態様1~58のいずれか1つ記載の方法。
態様60:AAV ITR配列およびAAV rep遺伝子が同じ血清型由来である、態様1~59のいずれか1つ記載の方法。
態様61:AAV ITR配列およびAAV rep遺伝子が異なる血清型由来である、態様1~60のいずれか1つ記載の方法。
態様62:AAV rep遺伝子が、AAV1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、態様1~61のいずれか1つ記載の方法。
態様63:AAV rep遺伝子が、AAV2、3a、3b、8、9および10からなる群より選択される血清型由来である、態様1~62のいずれか1つ記載の方法。
態様64:AAV cap遺伝子が、AAV1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、態様1~63のいずれか1つ記載の方法。
態様65:AAV cap遺伝子が、AAV2、3a、3b、8、9および10からなる群より選択される血清型由来である、態様1~64のいずれか1つ記載の方法。
態様66:AAV ITR配列が、AAV1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13から独立して選択される血清型由来である、態様1~65のいずれか1つ記載の方法。
態様67:AAV ITR配列が、AAV2、3a、3b、8、9および10から独立して選択される血清型由来である、態様1~66のいずれか1つ記載の方法。
態様68:AAV ITR配列が合成配列である、態様1~67のいずれか1つ記載の方法。
態様69:rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、態様1~68のいずれか1つ記載の方法。
態様70:rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、態様1~69のいずれか1つ記載の方法。
態様71:トランスフェクトされる核酸の少なくとも1つが合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、態様1~70のいずれか1つ記載の方法。
態様72:rAAVがさらに真核生物DNA配列を欠いている、態様1~71のいずれか1つ記載の方法。
態様73:rAAVを産生するのに十分な期間のインキュベートが、少なくとも24時間の期間のインキュベートである、態様1~72のいずれか1つ記載の方法。
態様74:態様1~73のいずれか1つ記載の方法により産生されるrAAVビリオンの集団。
本明細書に記載される様々な態様の特性の1つ、複数、またはすべてが、本発明の他の態様を形成するよう組み合わされ得ることが理解されるべきである。本発明の様々な態様が上記されているが、それらは例として示されているにすぎず、限定ではないことが理解されるべきである。本開示にしたがい、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、開示される態様に対して多くの変更がなされ得る。したがって、本発明の幅および範囲は、上記の態様のいずれかにより限定されるべきでない。
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的上、それ以外のことが示されていない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される量(amounts)、サイズ、寸法、比率、形状、処方、パラメータ、百分率、パラメータ、量(quantities)、特徴、および他の数値を表すすべての数字は、すべての例において、「約」という用語がその値、量または範囲と共に明示的に示されていないこともあるが、「約」という用語により修飾されていると理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されていない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、厳密ではなく、かつ厳密である必要がなく、近似値であり得、および/または、望ましい場合、本開示の技術思想により得られることが求められる所望の特性に依存して、許容差、変換係数、四捨五入、測定誤差等、および当業者に公知の他の因子を反映したより大きいまたはより小さいものであり得る。例えば、ある値を参照する「約」という用語は、開示される方法を実施するまたは開示される組成物を利用する上で適切である限り、示されている量からの、いくつかの態様において±100%、いくつかの態様において±50%、いくつかの他の態様において±20%、いくつかの他の態様において±10%、いくつかの態様において±5%、いくつかの態様において±1%、いくつかの態様において±0.5%、いくつかの態様において±0.1%のばらつきを包含することが意味され得る。
さらに、1つまたは複数の数字または数的範囲に関連して使用される「約」という用語は、範囲内のすべての数字を含むすべてのそのような数字を表すと理解されるべきであり、示されている数値の上下の境界を拡張することによりその範囲を変更する。終点による数的範囲の言及は、すべての数字、例えば、その範囲内に包含される、それらの分数を含む、全整数(例えば、1~5の言及は、1、2、3、4、および5、ならびにそれらの分数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1等を含む)ならびにその範囲内の任意の範囲を含む。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈がそれ以外のことを明確に示していない限り、その複数形も含むことが意図されている。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語またはそれらの派生語が詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲で、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の様式で包括的であることが意図されている。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈がそれ以外のことを明確に示していない限り、複数の参照を含むことに留意されなければならない。したがって、例えば、「タンパク質(a protein)」の参照は、1つまたは複数のタンパク質の参照であり、当業者に公知のそれらの等価物を含む、等である。
本明細書で使用される場合、ある物、組成物、装置、方法、プロセス、システム等の定義されたまたは記載された要素を参照する、「含む(comprising)」、「含む(comprise)」または「含まれる(comprised)」という用語およびそれらの派生語は、包括的またはオープンエンド型であり、さらなる要素を許容し、それによって定義されたまたは記載された物、組成物、装置、方法、プロセス、システム等が、示されている要素 - または適切な場合、その等価物 - を含むこと、および他の要素も含まれ得、それでも定義された物、組成物、装置、方法、プロセス、システム等の範囲/定義に含まれることが示されることが意味されている。
本明細書で使用される場合、「ヘルパーウイルス」または「混入ヘルパーウイルス」という用語は、それ自体は複製する能力を有さない、ヘルパーウイルス依存的ウイルスベクター、例えば、アデノ随伴ウイルスのコピーを産生する際に使用されるウイルスを表す。ヘルパーウイルスは、ウイルスベクターと共に細胞に共感染させるために使用され、ウイルスベクターのゲノムの複製に必要なタンパク質を提供する。この用語は、インタクトなウイルス粒子、空のカプシド、ウイルスDNA等を包含する。rAAV粒子を産生するために通常使用されるヘルパーウイルスは、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、およびワクシニアウイルスを含む。
ヘルパーウイルスは、アデノウイルス(AV)、および単純ヘルペスウイルス(HSV)、およびバキュロウイルスを用いて昆虫細胞中でAAVを産生するために存在するシステムを含む。パピローマウイルスもまたAAVのためのヘルパー機能を提供し得ることも提案されている(例えば、Hermonat el al., Molecular Therapy 9, S289-S290(2004)を参照のこと)。ヘルパーウイルスは、AAV複製を実現することができる任意のウイルスを含む。AVは、およそ36 kbの二本鎖DNAゲノムを有する非エンベロープ核DNAウイルスである。AVは、E1a、E1b55K、E2a、E4orf6およびVA遺伝子を提供し、AAV複製およびカプシド化を可能にすることにより、細胞内の潜伏AAVプロウイルスを救済することができる。HSVは、脂質二重層エンベロープで覆われた二十面体カプシドにカプシド化された比較的大きな二本鎖直鎖状DNAゲノムを有するウイルスのファミリーである。HSVは、感染性であり、高伝染性である。以下のHSV-1複製タンパク質が、AAV複製に必要となることが同定されている:ヘリカーゼ/プライマーゼ複合体(UL5、UL8、およびUL52)ならびにUL29遺伝子によりコードされるDNA結合タンパク質ICP8、それと共に、ヘルパー機能を増強する他のタンパク質。
「非接着細胞株」または「懸濁細胞株」という用語は、本明細書で使用される場合、表面(例えば、組織培養プラスチックキャリアまたはマイクロキャリア)に付着することなく懸濁培養物中で生存することができる細胞株を表す。非接着細胞株への適合は、血清の量を減らしつつ継代を行い、それによって不可逆的に変化した細胞集団を選択することを必要とする長期間を要するプロセスである。この細胞株は、接着条件が実現するよりも高密度まで生育され得、したがって、産業規模での、例えば、バイオリアクタ設定でのまたは攪拌培養物中での培養により適する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、通常、文脈がそれ以外のことを明確に示していない限り、「および/または」を含む意味で用いられる。
「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、特定のポリヌクレオチド配列の転写の開始に必要とされる、細胞の合成機構、または導入された合成機構により認識されるDNA配列と定義される。「構成性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするまたは指定するポリヌクレオチドに機能的に連結された場合、細胞において、その細胞の大部分またはすべての生理学的条件下で遺伝子産物が産生されるようにするヌクレオチド配列である。「誘導性」プロモーターは、遺伝子産物をコードするまたは指定するポリヌクレオチドに機能的に連結された場合、実質的にそのプロモーターに対応する誘導因子が細胞内に存在するときにのみ、遺伝子産物が細胞内で産生されるようにするヌクレオチド配列である。「組織特異的」プロモーターは、遺伝子によりコードされるまたは指定されるポリヌクレオチドに機能的に連結された場合、実質的に細胞がそのプロモーターに対応する組織型の細胞であるときにのみ、遺伝子産物が細胞内で産生されるようにするヌクレオチド配列である。
「プロテロメラーゼ」標的配列は、DNAテンプレートにおけるその存在が、プロテロメラーゼの酵素活性による閉鎖された直鎖状DNAへのその変換を可能にする任意のDNA配列である。別の言葉では、プロテロメラーゼ標的配列は、共有結合により閉鎖された直鎖状DNAを形成するためのプロテロメラーゼによる二本鎖DNAの切断および再連結に必要とされる。典型的に、プロテロメラーゼ標的配列は、任意の完全回文配列、すなわち、本明細書で完全逆位反復とも記載される、二回回転対称性を有する任意の二本鎖DNA配列を含む。完全逆位反復の長さは、個々の生物に依存して相違する。ボレリア・ブルグドルフェリにおいて、完全逆位反復は、14塩基対長である。様々な中等温度好性バクテリオファージにおいて、完全逆位反復は、22塩基対またはそれを超える長さである。また、いくつかの例、例えば、大腸菌N15において、中心完全逆位回文は、逆位反復配列に隣接する、すなわち、より大きな不完全逆位回文の一部を形成する。
本明細書で使用される場合、「組換えAAV(rAAV)ベクター」または「遺伝子送達ベクター」という用語は、核酸送達媒体として機能し、AAVカプシド内にパッケージされたベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を含むウイルス粒子を表す。あるいは、一部の文脈で、「ベクター」という用語は、ベクターゲノム/vDNAのみを表すために使用され得る。
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、通常、ウイルスを生成するために、インシス(in cis)の145塩基末端反復(TR)のみを必要とする。すべての他のウイルス配列は、必須でなく、イントランス(in trans)で供給され得る(Muzyczka, (1992) Curr. Topics Microbiol. Immunol. 158:97)。典型的に、rAAVベクターゲノムは、そのベクターにより効果的にパッケージできる導入遺伝子のサイズを最大化するよう最小限のTR配列のみを保持するであろう。構造および非構造タンパク質をコードする配列は、イントランスで(例えば、ベクター、例えばプラスミドから、またはその配列をパッケージング細胞に安定的に組み込むことにより)提供され得る。rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列、合成、または他のパルボウイルスTR配列)、任意で2つのTR(例えば、2つのAAV TR)を含み、これらは典型的に異種ヌクレオチド配列の5’および3’末端側にあるが、それらと連続的である必要はない。TRは、互いと同じであり得るまたは異なり得る。
「末端反復」または「TR」という用語は、ヘアピン構造を形成し、逆位末端反復(ITR)として機能する任意のウイルス末端反復および合成配列、例えば、Samulskiらに対する米国特許第5,478,745号に記載される「ダブルD配列」を含む。自律性パルボウイルスおよびAAVのカプシド構造は、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapters 69 & 70 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)により詳細に記載されている。AAV2(Xie et al., (2002) Proc. Nat. Acad. Sci. 99: 10405-10)、AAV4(Padron et al., (2005) I. Virol. 79: 5047-58)、AAV5(Walters et al., (2004) I. Virol. 78: 3361-71)ならびにCPV(Xie et al., (1996) I. Mol. Biol. 6:497-520およびTsao et al., (1991) Science 251 : 1456-64)の結晶構造の記載も参照のこと。
「AAV末端反復」または「AAV TR」は、血清型AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、または現時点で公知となっているもしくは後に発見される任意の他のAAVを含むがこれらに限定されない任意のAAV由来であり得る。AAV末端反復は、末端反復の少なくとも1つが所望の機能、機能性のTR、例えば、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスの救済等を媒介する限り、野生型末端反復配列を有している必要はない(例えば、野生型配列は、挿入、欠失、短縮またはミスセンス変異により変更され得る)。当業者は、機能性のTRの複製に関して機能的であるRepタンパク質を選択することを理解している。
「導入遺伝子」は、本明細書中で、細胞または生物に導入されることが意図されているまたは導入されたポリヌクレオチドまたは核酸を適宜表すよう使用される。導入遺伝子は、任意の核酸、例えば、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を含む。例えば遺伝子療法において使用される、適切な導入遺伝子は、当業者に周知である。例えば、本明細書に記載されるベクターは、米国特許第6,547,099号、同第6,506,559号、および同第4,766,072号、公開された米国出願第20020006664号、同第20030153519号、同第20030139363号、ならびにWO 01/68836およびWO 03/010180の公開されたPCT出願に記載されるものを含むがこれらに限定されない導入遺伝子、ならびに、例えば、WO2017/152149のmiRNAおよび他の導入遺伝子を送達することができ、使用し、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
「向性」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の細胞または組織へのウイルスの優先的侵入、任意で、それに続く、ウイルスゲノムにより運ばれてきた配列の細胞内での発現(例えば、転写および、任意で、翻訳)、例えば、組換えウイルスの場合、関心対象の異種核酸の発現、を表す。
「変種」という用語は、ポリヌクレオチド配列の文脈で使用される場合、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義はまた、例えば、「対立遺伝子」、「スプライス」、「種間」、または「多型」変種を含み得る。スプライス変種は、参照分子に対する有意な同一性を有し得るが、通常、mRNAプロセシング時のエクソンの選択的スプライシングに起因してより多数または少数のポリヌクレオチドを有し得る。対応するポリペプチドは、追加の機能的ドメインを有し得るまたはドメインが存在しない場合がある。種間変種は、ある種と別の種で異なるポリヌクレオチド配列である。本発明において特に有用なのは、野生型遺伝子産物の変種である。変種は、核酸配列内の少なくとも1つの変異から生じ得、変化したmRNAまたはその構造もしくは機能が変化している場合もしていない場合もあるポリペプチドを生じ得る。任意の与えられた天然または組換え遺伝子は、対立遺伝子形態を有さないか、1つまたは多数を有し得る。変種を生じる一般的な変異変化は、通常、ヌクレオチドの自然欠失、付加、または置換に起因する。これらのタイプの変化の各々は、与えられた配列において、単独で、または他と組み合わせて、1回または複数回、起こり得る。
範囲:本開示を通じて、本発明の様々な局面は、範囲形式で示され得る。範囲形式の記載は、利便性および簡潔性のためにすぎず、本発明の範囲に対する硬直的な限定と解釈されるべきでないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、すべての可能性のある部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等の部分範囲、およびその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.1、2.2、2.7、3、4、5、5.5、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、5.99、および6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
本明細書で言及されているすべての文献は、参照により本明細書に組み入れられる。本願を通じて引用されているすべての参考文献、特許、および公開された特許出願、ならびにそれらの図面および配列表の内容は、すべての目的のために、各々個々の刊行物または特許文献が個別に示されているものとして、参照により本明細書に組み入れられる。本書における様々な参考文献の引用により、出願人は、任意の特定の参考文献が本発明の「先行技術」であることを承認するものではない。本発明の組成物および方法の態様は、以下の実施例に例示される。
以下の非限定的な実施例は、本発明の選択された態様を例示する役割を果たし、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定するものではない。示されている構成成分の比率のバリエーションおよび要素の代替物が当業者に明らかであり、それらは本発明の態様の範囲に含まれることが理解されるであろう。
実施例1:閉鎖された直鎖状(cl)DNAを用いたAAVの産生
この研究の目的は、rAAVの大規模産生を評価することであった。
材料および方法
TCID50アッセイ:感染力価(TCID50)法を使用して、HeLa RC32細胞における医薬品のインビトロAAV感染性を評価する。このアッセイでは、アデノウイルス5型ヘルパーウイルスおよび医薬品の連続希釈物を用いてHeLa RC32細胞に形質導入を行う。3日間の感染後、細胞をプロテイナーゼKで処理してタンパク質を消化し、複製されたAAVベクターDNAをqPCR技術により定量する。この方法は、DNAプライマーおよび蛍光色素ベースの検出システムを利用する。ベクターDNA由来のITR標的配列の絶対量は、プラスミドを用いて作成された標準曲線から補間する。含有ITRを試験サンプルとして調製し、アッセイ対照として使用する。結果は、ミリリットルあたりの感染単位(IU/mL)として表す。異なる調製物間でのTCID50/mlの比較のために、TCID50/mlが好ましくはvg/mlに標準化されることに留意されたい。
(表1)分析試験の説明および50L規模のベクター産生のために達成すべき詳細
Figure 2023510590000014
組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)を製造するために使用されるPRO10(商標)細胞株(AskBio, NC, USA)は、ヒト胎児腎細胞株293(HEK293)由来の懸濁適合化無血清細胞株である。PRO10(商標)ウイルスベクター製造は、中~高の細胞密度の範囲で行われるバッチプロセスであり、産生培地カクテル中での必要なプラスミド(pDNA)または閉鎖された直鎖状(cl)DNA基質と直鎖ポリエチレンイミンMAXの縮合を通じた三重トランスフェクション法を利用する。細胞成長培地および産生培地の両方とも、化学的に定義され、動物由来の成分を含まない。各DNA分子は、組換えAAV産生における鍵となる要素を提供する。第1は、ベクターの効率的な複製およびパッケージングのためのアデノウイルスヘルパー(Adヘルパー)タンパク質を提供するが、アデノウイルスを生成するために必須のアデノウイルス構造および複製遺伝子を欠いている。第2は、AAV2 rep遺伝子およびAAV8またはAAVrh10カプシド(cap)タンパク質遺伝子を含むAAV8またはAAVrh10トランス構築物(パッケージング構築物)である。第3の構築物は、治療導入遺伝子をコードするAAVベクター構築物であり、関心対象の遺伝子に隣接(5’から3’)するアデノ随伴ウイルス2逆位末端反復(ITR)配列を含む。すべての実験で使用した構築物は、GFPおよびルシフェラーゼの二重レポーターであった。さらに、その後の研究では、CYPおよびGAA導入遺伝子を含む2つの治療導入遺伝子カセットを使用した。
初期実験は、clDNA濃度、clDNA対トランスフェクション試薬の比という因子を同時に試験することにより産生に関連する決定的パラメータを特定および最適化するために、ベンチスケール(31.25 mL~2L)での伝統的なノンブロックアプローチに実験計画(DoE)法を適用して実施した。すべての小規模実験を、最適化された三重プラスミドトランスフェクションシステムを用いた並行ベクター産生により管理した。評価され得るさらなる因子は、培地、細胞密度、トランスフェクション時間、トランスフェクション体積、温度、および他の細胞依存的または細胞非依存的因子を含むがこれらに限定されない。
小規模でトランスフェクトされた培養物を、約72トランスフェクション後時間(hpt)インキュベートし、その後、機械的な細胞溶解により収集した。総ベクター産生を、ウイルスITRに特異的な自社製qPCRベースのDNase耐性粒子(DRP)法を用いたベクターゲノム(vg)定量を通じて評価した。収量は典型的に、qPCRにより示される、4~6×1011 vg/mLの範囲である。収量を、導入遺伝子標的化qPCRおよびELISAを通じた1 mLあたりの総ウイルス粒子(カプシド)(vp/mL)の観察により、さらに評価した。相対的なパッケージング効率もまた、SEC-HPLCを通じて親和性精製された溶解産物の収集時のA260/280比を観察することによりモデル化した。
小規模スクリーニング実験の主目的は、この実験計画の50L規模化部分に関してほぼ最適なトランスフェクション条件を特定することであった。pDNAおよびclDNAの両方の実験において、細胞を解凍し、培養し、50L産生バイオリアクタへの接種まで漸進的に拡張した。この細胞培養物拡張プロセスを、一過的トランスフェクションを行うまで、産生バイオリアクタ内で継続させた。トランスフェクトされた細胞培養物を、産生バイオリアクタ内で、約72 hptインキュベートした。収集時に、トランスフェクトされた細胞培養物を溶解させ、深層および膜ろ過を通じて浄化し、その後に精製した。精製は、捕捉クロマトグラフィー、勾配超遠心分離、イオン交換クロマトグラフィー、限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、および0.2μmろ過工程からなる。表3は、pDNAおよびclDNAのそれぞれにより産生されたrAAVベクターについての特徴付け試験を提供する。
50L SUB上流操作に関する詳細なプロセスの説明
50Lバッチを生成するために、細胞を解凍し、培養し、50L産生バイオリアクタへの接種まで漸進的に拡張した。この細胞培養物拡張プロセスは、一過的トランスフェクションを行うまで、産生バイオリアクタ内で継続させた。ここでは、シードトレイン成長培地にL-グルタミンを10 mMの終濃度になるまで補充し、これを凍結細胞ストックの回復および10L WAVEバッグバイオリアクタを用いた5L懸濁物への接種物の拡張に使用する。WAVE懸濁物において使用する培地に、0.2% PLURONIC(商標)酸を補充した。ThermoFisher 50L単回使用攪拌タンクバイオリアクタ(SUB、STR)の播種の後に使用する成長培地は、約1~100 mM GLUTAMAX(商標)、約0.01%~10% PLURONIC(商標)酸(ThermoFisher, Waltham, MA)、および約0.001%~1% FOAMAWAY(商標)(Gibco, Waltham, MA)を補充したシードトレイン成長培地から構成される。GLUTAMAX(商標)は、分解を防ぎ、過剰なアンモニアの有毒な発生を減少させるよう設計されたL-グルタミンの安定化されたジペプチド供給源である。
AAVを産生するための一過的トランスフェクションを、3つのclDNAと直鎖ポリエチレンイミンMAX(Polysciences Inc., Warrington, PA)(PEI MAX)の縮合を通じて生細胞3.25~4.25×106個/mL3の細胞密度で行った。トランスフェクションカクテルは、培養体積(5L)の10% (v/v)を占める。縮合は、50L SUBに適合するチューブを装着した特注の10L WAVE Rockerバッグ内で行った。トランスフェクションカクテルは、最初に、25℃で穏やかに攪拌(8°の角度、25RPM)しつつ4Lの培地をロッカーバッグに添加することによって調製した。バッグがすぼむのを防ぐため、0.2 LPMで空気の重層を行う。ついでプラスミド(表2)を添加し、その後に培地を1L追加した。
(表2)トランスフェクション時の細胞密度に対して標準化された使用された各clDNAの比率
Figure 2023510590000015
培地の追加後、PEIを1分間かけて添加し、1Lの培地を追加した。このカクテルを7分間インキュベートし、ついでSUBに移した。トランスフェクション細胞懸濁物を3時間インキュベートし、10mM L-グルタミンを補充した10% (v/v)の体積の化学的に定義された無血清HEK293培地により鎮静化させた。
SUB制御パラメータ
当該大規模製造プラットフォームは、ThermoFisher製ジャケット装着50L SUBに取り付けたFinesse G3Pro Universal Controllerを利用した。単回利用容器は、3枚刃、45°ピッチ角、軸インペラ、二重スパージャー(Frit-Drilled-Hole)構成、それと共に、主たるFinesse TruFluor pH/DO単回使用プローブシースおよび補助的な、再利用可能なpH/DOプローブ挿入用のPall Kleenpak接続を装備していた。培地充填の前日に、バッグをインストールし、10LPMの空気の重層により膨らませた。光学/再利用可能DOプローブをトランスミッタに接続した。充填の当日に、2点勾配キャリブレーションを用いてDOプローブをキャリブレートした。培地添加後、単回使用および再使用可能の両方のpHプローブを、キャリブレート済み血液・ガス分析器においてオフラインサンプルを用いて標準化した。
接種の前日に、SUB温度を37℃まで上昇させた。ついで培地を、0.5LPM(0.025VVM)の流量の連続ドリル穴エアスパージにより飽和させることにより調整した。接種の前に、単回使用および再使用可能の両方のDOプローブを、1点キャリブレーションを用いて100%空気飽和に対して標準化した。
接種後、0.5LPM量の連続ドリル穴エアスパージを供給するようコントローラを設定し、ヘッドスペースを1LPMの空気重層により一掃した。DOは、O2ガスカスケードを通じて制御し、フリットスパージャーへのO2の流量を0.00~5.00LPM(0~100%DO出力/0~100%MFC-3出力)まで増加させることにより設定点を維持するよう指定した。pHは、高位側(7.0~14)においてはフリットスパジャーへのCO2ガス流を0.00~2.00LPM(0~(-100)%出力/0~100%MFC-4出力)まで増加させることにより制御したが、低位側においてはpHを制御するためにベース供給を使用せず、自然の流れにまかせた。
結果
1×10 6 個の生細胞あたりの総clDNA(μg)およびPEI:DNA比のDoE評価
DoE設定下で、1×106個の生細胞あたりのμgDNAおよびPEI:DNA比を、それぞれ、0.5~2μgおよび1~3の範囲で研究した。この計画は、各要因につき3つのレベルを有し、線形効果および二次効果の両方の解釈を可能にする、独自の応答局面モデル(RSM)であった。この計画空間内の重複する中心点を使用して各効果の有意性を推定した。
収集時の総ベクター産生は、ITR-qPCRを通じて評価した(図1)。データは、出発物質としてのpDNAと比較しての、出発物質としてclDNAを用いた場合の比(vg/細胞)産生性の2~2.5倍の増加を示している。
有意なおよび交互作用性の要因を同定するためならびにトランスフェクションにおける最適なclDNA条件を見分けるために、プラスミド値を除き、フィットモデルを使用して応答をモデル化した。JMP分析の結果を以下に要約する。
(表3)フィットの要約
Figure 2023510590000016
(表4)分散分析
Figure 2023510590000017
1×106個の細胞あたりのμg clDNA(総clDNA)およびPEI:DNA比という要因についてのフィットの要約および分散分析を分析した(図2)。回帰モデルは、この実験で観察された分散の大部分を網羅している。R2は0.941であり、これはvg力価の分散の6%未満が総clDNAまたはPEI:DNAの要因により説明できないことを示している。等高線プロットは、vg/mLで表される、細胞溶解産物中のベクターゲノム力価に対するclDNAおよびPEI:DNA比の効果を示した(図3)。図4に示されるように、組換えAAVrh10CYPを生成するために使用されたclDNAは、高力価のAAVを達成するために1ug未満のDNA、例えば0.6~0.7ugが必要とされることを示唆している。さらに、図5および図6は、それぞれ、組換えAAVrh10CYPおよびAAV8GAAを生成するための2.2および2.5のPEI:DNAを示し、最適なclDNAは、全体収量およびパッケージング効率の両方を考慮して、0.6ugであった。
(表5)パラメータの概算値
Figure 2023510590000018
50L SUBの実施
各50Lロットについて、処理中のサンプル、精製されたバルクおよび最終製品ならびに製品のリリース試験に関してQCアッセイを行った。以下のQCアッセイを行い、その結果を以下に示す。
(表6)pDNAおよびclDNA由来ベクターに関する分析試験、詳細および結果
Figure 2023510590000019
(表7)pDNAおよびclDNA由来ベクターに関するTCID50/mlおよび粒子対感染性(vg/TCID50)比の結果
Figure 2023510590000020
表7に示されるように、DoE実験においておよび50L実施において、clDNA由来ベクターは、clDNAにおけるvg/TCID50比がpDNAのそれと比較して低いことにより示されるように、pDNA対照と比較して増大した感染性を示している。
結論
clDNAシステムは、AAVを産生するために使用することができることが示されたが、ベクター産生を直線的に規模拡大できることと共に小規模製造実施の際のバッチ間の一貫性が、プラスミドDNAを用いてなされたように他の血清型および導入遺伝子構築物を用いて実証される必要がある。上記実験で示された総clDNAに対する二次効果はまた、pDNAトランスフェクションプロセスを最適化するために使用した同様の実験においても観察された。さらなる実験は、総clDNAおよびPEIに関する産生物特異的な関係の可能性を明らかにし、これはさらに評価される必要がある。小規模および大規模産生のバリエーションに取り組むために、さらなる研究が実施されるであろう。これらの研究は、clDNA出発物質の安定性の確立、トランスフェクション前のclDNAの取り扱い性、PEI:clDNA比、clDNA比およびPEI:clDNA複合化の動力学の評価に焦点をあてたものであろう。
収量および強度とは別に、50L規模実験からの分析試験結果は、相互に一貫性がみられた。純度、安全性、品質および同一性についてのアッセイ結果は、出発物質にかかわらず、高度に類似した。
規模拡大されたベクター調製物における収量、パッケージング効率ならびに純度および効能の隔たりを理解するためにさらなる研究が、それと共にさらなる最適化作業が、計画されている。
本発明は、その好ましい態様を参照して具体的に示され説明されているが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その中で、形態および細部において様々な変更がなされ得ることが当業者により理解されるであろう。

Claims (103)

  1. 原核生物配列を欠く組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、
    ヒト胚細胞株を懸濁状態で培養する工程、
    (a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)AAV repおよびAAV cap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つの逆位末端反復(ITR)配列と1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、ヒト胚細胞株にトランスフェクトする工程、
    トランスフェクトされたヒト細胞株を約40~400時間インキュベートする工程、ならびに
    任意で、トランスフェクトされたヒト細胞株を溶解させて、rAAVをコードする核酸配列を精製する工程
    を含み、それによって、rAAVを産生する、前記方法。
  2. 前記細胞株の細胞が、懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項1記載の方法。
  3. ヒト胚細胞株が、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項1記載の方法。
  4. AAV repおよびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、請求項1記載の方法。
  5. AAV repおよびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、請求項1記載の方法。
  6. AAV rep遺伝子がAAV2 rep遺伝子であり、AAV cap遺伝子がAAV8 cap遺伝子である、請求項1記載の方法。
  7. AAV ITRおよびAAV cap遺伝子が異なる血清型由来である、請求項1記載の方法。
  8. AAV ITRおよびAAV cap遺伝子が同じ血清型由来である、請求項1記載の方法。
  9. AAV逆位末端反復(ITR)配列がアデノ随伴ウイルス2逆位末端反復(ITR)配列である、請求項1記載の方法。
  10. AAV ITR配列が、AAV2血清型由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項1記載の方法。
  11. AAV ITR配列が合成である、請求項1記載の方法。
  12. 1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が2μg未満であり、任意で、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が1μg未満である、請求項1記載の方法。
  13. (a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)であり、任意で、(a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項1記載の方法。
  14. (a)、(b)および(c)が、(a)、(b)および(c)ならびに安定なカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1:1~約3:1(重量/重量)であり、任意で、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1.5:1である、請求項1記載の方法。
  15. (a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項1記載の方法。
  16. トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項1記載の方法。
  17. rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパー(Adヘルパー)タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1記載の方法。
  18. rAAVの力価が、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個の生きたトランスフェクト細胞である、請求項1記載の方法。
  19. ヒト胚細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される、請求項1記載の方法。
  20. 培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項19記載の方法。
  21. 約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項20記載の方法。
  22. 約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項21記載の方法。
  23. アミノ酸が、L-グルタミンまたはL-アラニル-L-グルタミン(Glutamax(商標))である、請求項21記載の方法。
  24. 約50リットルの体積を有する培養培地が、少なくとも約1 mM~約20 mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤、および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む、請求項20記載の方法。
  25. 非イオン性サーファクタントポリオールがプルロニック酸(pluronic acid)を含む、請求項24記載の方法。
  26. 培養されたヒト胚細胞株が、生細胞約3.0×106~約1×108個/mlの細胞密度を含む、請求項1記載の方法。
  27. 培養されたヒト胚細胞株が、生細胞約4.0×106から約6×106個/mlまで、または任意で約2.5×107個/mlまでの細胞密度を含む、請求項26記載の方法。
  28. (i)トランスフェクトされた細胞に約1リットルの培地を添加する工程、および、(ii)約10分間~約60分間の時間経過にわたって、約1:1のポリマー対DNA~約3:1のポリマー対DNAの比でカチオン性ポリマーを添加する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  29. カチオン性ポリマーが、約1分間~約10分間の時間経過にわたって、2.2:1のポリマー対DNAの比で添加される、請求項28記載の方法。
  30. カチオン性ポリマーが、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項28記載の方法。
  31. ヒト胚細胞懸濁物を含む培養培地の温度が、トランスフェクションの約12~36時間前に、37℃まで上げられる、請求項1記載の方法。
  32. 培養培地が、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項27記載の方法。
  33. 培養培地が、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項27記載の方法。
  34. 原核生物配列を欠く高力価の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法であって、
    (i)(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸を、哺乳動物細胞株にトランスフェクトする工程であって、1×106個の細胞あたりの(a)、(b)および(c)からトランスフェクトされた核酸の総量が1μg未満である、工程、
    (ii)トランスフェクトされた細胞を少なくとも24時間培養する工程、
    (iii)トランスフェクトされた細胞を収集して、産生されたrAAVベクター粒子を精製する工程
    を含み、rAAVの力価が、少なくとも9.3×1013個のベクターゲノム/3.0×109個の生きたトランスフェクト細胞である、前記方法。
  35. 哺乳動物細胞株が懸濁細胞株であり、細胞が懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項34記載の方法。
  36. 細胞株がヒト胎児腎細胞株由来である、請求項34記載の方法。
  37. 哺乳動物細胞株が、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項34~36のいずれか一項記載の方法。
  38. (a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)であり、任意で、(a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項34記載の方法。
  39. (a)、(b)および(c)が、(a)、(b)および(c)ならびに安定なカチオン性ポリマーを含むトランスフェクション組成物を用いてトランスフェクトされ、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1:1~約3:1(重量/重量)であり、任意で、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸の総量の比が、約1.5:1である、請求項34記載の方法。
  40. (a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項34記載の方法。
  41. トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成核酸であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項34記載の方法。
  42. (a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、Adヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項34記載の方法。
  43. (a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、任意で、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6または1.8μgである、請求項34~42のいずれか一項記載の方法。
  44. 哺乳動物細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積の培養培地中で漸進的に培養される、請求項34~43のいずれか一項記載の方法。
  45. 培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項44記載の方法。
  46. 約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項45記載の方法。
  47. 約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項46記載の方法。
  48. アミノ酸が、L-グルタミンである、請求項47記載の方法。
  49. 細胞が、50~100リットルの培養体積中にある、請求項48記載の方法。
  50. 感染性粒子力価が少なくとも3×109 TCID50/mlである、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  51. AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項34記載の方法。
  52. AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項34記載の方法。
  53. AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項34記載の方法。
  54. AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項34記載の方法。
  55. AAV ITR配列が、AAV2由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項34記載の方法。
  56. AAV ITR配列が合成である、請求項34記載の方法。
  57. 原核生物配列を欠く精製された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の集団を産生する方法であって、
    i. 培養培地中に懸濁された哺乳動物細胞株に、トランスフェクション組成物をトランスフェクトする工程であって、トランスフェクション組成物が、(a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列、(b)repおよびcap遺伝子をコードする核酸配列、ならびに(c)少なくとも1つのITRと1つまたは複数の調節エレメントに機能的に連結された異種導入遺伝子とを含む閉鎖末端化された直鎖状二重鎖rAAVベクター核酸、ならびに(d)安定なカチオン性ポリマーを含み、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が、少なくとも1:1であり、任意で、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が、少なくとも1.5:1である、工程、
    ii. トランスフェクトされた細胞株を少なくとも24時間培養する工程、
    iii. 工程(ii)のトランスフェクトされた細胞株を収集する工程、
    iv. rAAVを精製する工程
    を含み、精製されたウイルスが、2×104 vg/TCID50未満の粒子対感染性比(a particle to infectivity ratio)を有する、前記方法。
  58. 哺乳動物細胞株が懸濁細胞株であり、細胞が懸濁状態でトランスフェクトされる、請求項57記載の方法。
  59. 哺乳動物細胞株がヒト胎児腎細胞株由来である、請求項57記載の方法。
  60. ヒト胚細胞株が、ヒト胎児腎細胞株由来の、懸濁適合化無血清細胞株である、請求項57~59のいずれか一項記載の方法。
  61. 安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が約1.75:1~約2.75:1であり、任意で、安定なカチオン性ポリマー 対 (a)、(b)および(c)からの核酸成分の総量の比が約2:1である、請求項57記載の方法。
  62. 安定なカチオン性ポリマーが、完全加水分解直鎖ポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項57~61のいずれか一項記載の方法。
  63. PEI 対 核酸の比が、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1、2:1、2.5:1、2.8:1、および2.2:1からなる群より選択される、請求項62記載の方法。
  64. 細胞懸濁物を含む培養培地の温度が、トランスフェクションの約12~36時間前に、37℃まで上げられる、請求項57記載の方法。
  65. 培養培地が、約0.1 LPM~約1.0 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項57記載の方法。
  66. 培養培地が、約0.5 LPMの流量でのエアスパージに供される、請求項65記載の方法。
  67. トランスフェクション組成物が、約10分間~約60分間の時間経過にわたって懸濁細胞に添加される、請求項57記載の方法。
  68. 工程(i)の後かつ工程(ii)の前に、培養培地が添加される、請求項57記載の方法。
  69. (a)、(b)および(c)からの核酸(DNA)の総量が約1μg~約20μgである、請求項57記載の方法。
  70. (a)、(b)および(c)からのDNAの総量が約1μg~約10μgである、請求項57記載の方法。
  71. (a):(b):(c)の比が約0.5~1.75:約0.75~2.25:約0.5~1.75(重量:重量:重量)である、請求項57記載の方法。
  72. (a)、(b)および(c)の各々が、1つまたは複数の閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸分子上に提供される、請求項57記載の方法。
  73. トランスフェクトされる核酸(a)、(b)および(c)が、合成であり、真核細胞性および原核細胞性のDNA修飾をもたない、請求項57記載の方法。
  74. (a):(b):(c)の比が約1:約1~1.6:約1(重量:重量:重量)である、請求項57記載の方法。
  75. (a)rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、Adヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、任意で、rAAV複製に十分なヘルパータンパク質をコードする核酸配列が、アデノウイルスヘルパータンパク質E2AおよびE4をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項57記載の方法。
  76. (a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6または1.8μgである、請求項57記載の方法。
  77. (a)、(b)および(c)からのDNAの総量が、約0.75μgである、請求項76記載の方法。
  78. 哺乳動物細胞株の懸濁物が、トランスフェクション前に、漸増体積で漸進的に培養される、請求項57記載の方法。
  79. 培養体積を、約50 mlの体積から約2000リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項57記載の方法。
  80. 培養体積を、約50 mlの体積から約100リットルの体積まで漸進的に増加させる、請求項57記載の方法。
  81. 約1 mM~約20 mMの濃度のアミノ酸が、培養体積に含まれる、請求項79記載の方法。
  82. 約5リットルの体積を有する培養培地が、約10 mMの濃度のアミノ酸を含む、請求項79または80記載の方法。
  83. アミノ酸が、L-グルタミンである、請求項81または82記載の方法。
  84. 細胞が、50リットル~100リットルの培養体積中にある、請求項83記載の方法。
  85. 約50リットルの体積を有する培養培地が、少なくとも約1 mM~約20 mMのL-グルタミン、少なくとも約0.01%~約1%の非イオン性サーファクタントポリオールまたは界面活性剤、および少なくとも約0.001%~約1%の消泡剤を含む、請求項57記載の方法。
  86. 非イオン性サーファクタントポリオールがプルロニック酸を含む、請求項85記載の方法。
  87. トランスフェクション組成物が、少なくとも約5%体積/体積(v/v)~約20%v/vの培養培地を含む、請求項57記載の方法。
  88. トランスフェクション組成物が、約1リットル~約5リットルの培地を含む、請求項57記載の方法。
  89. トランスフェクション組成物が、5~50%(体積/体積)の培養培地を含む、請求項57記載の方法。
  90. トランスフェクションに添加される核酸配列が、0.5×106~約5×106個の細胞あたり約0.1μg~約1μgのAdヘルパーDNA、Rep/Cap DNA、または導入遺伝子を含む、請求項57記載の方法。
  91. rAAVのパッケージされた核酸が真核生物DNA配列をさらに欠いている、請求項1、34または57のいずれか一項記載の方法。
  92. AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項57記載の方法。
  93. AAV RepおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項57記載の方法。
  94. AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が同じAAV血清型由来である、請求項57記載の方法。
  95. AAV ITRおよびAAV Cap遺伝子が異なるAAV血清型由来である、請求項57記載の方法。
  96. AAV ITR配列が、AAV2由来またはAAV1、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11および13からなる群より選択される血清型由来である、請求項57記載の方法。
  97. Cap遺伝子がAAV8血清型由来である、請求項57記載の方法。
  98. 閉鎖末端化された直鎖状二重鎖核酸が、プロテロメラーゼ結合部位の1/2を含む、請求項57記載の方法。
  99. プロテロメラーゼ結合部位の1/2が、少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む標的結合部位のプロテロメラーゼ消化により形成される、請求項98記載の方法。
  100. 請求項1、34または57のいずれか1項記載の方法により産生される、原核生物DNAを欠くrAAVビリオンの集団。
  101. プロテロメラーゼ標的配列を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
  102. プロテロメラーゼ標的配列が、少なくとも10塩基対長の二本鎖回文配列を含む、請求項101記載のrAAV。
  103. 導入遺伝子をさらに含む、請求項101記載のrAAV。
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