JP2023508873A - レシプロコンプレッサのシリンダカバー - Google Patents

Abstract

本発明は、レシプロコンプレッサのシリンダカバーに関し、より詳細には、コンパクトな構造からなる少なくとも１つの吐出チャンバを備え、異なる容量のレシプロコンプレッサへの適用を保証でき、異なる内部容積を有する気密ハウジングを備えたシリンダカバーに関する。【選択図】 図２

Description

本発明は、レシプロコンプレッサ（往復動圧縮機）のシリンダカバーに関し、より詳細には、少なくとも１つの吐出室（吐出チャンバ、排出チャンバ）を備えるシリンダカバーに関する。

当業者に知られているように、レシプロコンプレッサは、圧縮シリンダと可動ピストンとによって基本的に構成された圧縮機構を備え、可動ピストンが圧縮シリンダ内で往復運動を行う。通常、圧縮シリンダの一端には、圧縮シリンダの内部からの冷媒ガスの流出(排出、排気)および流入(吸入、吸気)およびを制御するバルブのセット（一組の弁）が設けられている。このバルブのセットは、シリンダカバーとして一般に知られている構成要素によって圧縮シリンダの端部に取り付けられる。

特定のレシプロコンプレッサでは、シリンダカバーは、必要な締結手段に加えて、排出バルブ（排気弁）を含むチャンバも有する。このチャンバ（室）は、熱力学的性能に影響を与え、また、圧縮プロセスからの圧力過渡変動（pressure transients）を減衰させるように作用する。

レシプロコンプレッサの大多数において、シリンダカバーは吐出チャンバを有し、したがって、レシプロコンプレッサの内部で吐出部に沿って配置された他の膨張チャンバを設ける必要がある。

一方で、従来のレシプロコンプレッサのシリンダカバーは、２つ以上の吐出消音チャンバをさらに備える。

例えば、特許文献US5328338（米国特許第5328338号明細書）には、以下のようなレシプロコンプレッサが記載されている。このレシプロコンプレッサは、連続的に配置され（た）吐出部に３つの膨張チャンバを画定するために互いに流体的に接続（連通）された３つのチャンバによって構成されたシリンダカバーと、その他の構成要素と、を備える。構造上の観点から、前記シリンダカバーは打ち抜かれた（打ち抜き加工された）金属板と、平滑な金属板との結合からなり、前記打ち抜かれた金属板は、平滑な金属板によって閉じられ、排出部の膨張チャンバと、チャンバ間の流体連通を確立するそれぞれのダクトとを形成する複数のリブを含む。もちろん、金属板の間には封止手段(例えばシール用（封止用）ガスケット)が設けられている。しかしながら、金属板は上下方向に延在し、したがって、このタイプの構造はコンパクトなレシプロコンプレッサには適しておらず、結局、このようなレシプロコンプレッサはその気密ハウジングの内部に大きな垂直空間を有さない。

例えば、特許文献US9587634には、以下のようなレシプロコンプレッサが記載されている。このレシプロコンプレッサは、圧縮シリンダの自由端との境界面（インタフェース）に適した円形領域と、２つの大きな半径方向突出部と、を有するシリンダカバーを備える。前記円形領域は２つのチャンバを備え、これらチャンバの各々はラジアル突起のうちの１つに流体接続（連通）される。上記半径方向突出部の各々は、追加の閉鎖体も受容する。したがって、シリンダカバーと追加の閉鎖体とによって形成されるセット（構造体）は、最終的に、シリンダカバーに一体化された吸引膨張チャンバと、シリンダカバーに一体化された排出膨張チャンバとを画定することになり、吸引膨張チャンバと排出膨張チャンバとの両方が、それぞれ２つの連続して配置された容積を備える。シリンダカバーの円形領域に画定された開口部の閉鎖境界面（閉鎖インタフェース）は垂直面により画定され、ラジアル突起の閉鎖境界面は水平面により画定されていることが分かる。閉鎖面間のこの相違(これは消音室の開口面間の相違に関係する)は、製造の複雑さ（難しさ）を増大する原因であることが知られており、結局、特許文献US9587634に記載されているシリンダカバーは、可動部品によって構成された複雑な射出モールド（成形金型）を使用する射出プロセスによって製造するしかない。

したがって、従来技術では、２つ以上の膨張チャンバを備えるシリンダカバーは、異なる容量のレシプロコンプレッサ(US5328338)に適していない寸法を有するか、または金属合金の使用を制限する過度に複雑な製造プロセスを必要とする構造(US9587634)を備えるかのいずれかであり、それによって、アセンブリ（最終製品）の低い剛性に起因する圧縮機騒音を発生し、チャンバの閉鎖を保証するために追加の構成要素を使用する必要性に起因するコスト増加を招く。本発明は、上記した課題に鑑みてなされたものである。

したがって、本発明の基本的な目的は、互いに流体接続（連通）された少なくとも１つの吐出チャンバを備え、金属材料から作製され、且つ、シンプルで過度に高価ではない製造プロセスによって作製され得るレシプロコンプレッサ（往復動圧縮機）シリンダカバーを開示することである。

また、本発明の他の目的の１つは、本明細書に開示されたレシプロコンプレッサのシリンダカバーがコンパクトな構成を有するようにすることであり、当該シリンダカバーは、異なる容量のレシプロコンプレッサに適用できることを保証することができるコンパクトな構造を有し、異なる内部容積を備える密閉ハウジングを備える。

また、本発明の他の目的の１つは、ここに開示されたレシプロコンプレッサのシリンダカバーがレシプロコンプレッサの励起周波数（excitation frequencies）における共振を回避するのに十分な剛性を有し、スクリューおよび油圧ジョイントなどの単純で安価な部品を介して閉鎖のための固定を可能にすることである。

本発明の他の目的の１つは、ここに開示されたシリンダカバーによって、第２のチャンバ（室）が追加のチャンバに細分化されることを可能にし、組立体（アッセンブリ）をコンパクトに保つことである。

前述の目的はすべて、少なくとも１つの第１の膨張チャンバ（膨張室）と、少なくとも１つの連通ダクト（連通路）によって第１の膨張チャンバに流体接続（連通）された少なくとも１つの第２の膨張チャンバと、を備えるレシプロコンプレッサのシリンダカバーによって完全に達成され、第１の膨張チャンバは圧縮シリンダの閉鎖領域内に少なくとも部分的に画定（形成）され、第２の膨張チャンバは圧縮シリンダ領域と同じ面に面する閉鎖領域から延在する垂直突起内に少なくとも部分的に画定される。

本発明によれば、第１の膨張チャンバは圧縮シリンダの端部に配置されたバルブプレートとの閉鎖インタフェース（境界面、接触部分）を備え、第２の膨張チャンバは吐出系（discharge system）の対向部分（対向部品）との閉鎖インタフェースを備え、第１の膨張チャンバの取り付けインタフェース（接触部分）と、第２の膨張チャンバの取り付けインタフェースとが、構成要素の同じ面に面する（向いている）。

本発明は、以下の図面に基づいて詳細に説明される。

図１は、本発明に係るレシプロコンプレッサのシリンダカバーの正面斜視図である。

図２は、本発明によるレシプロコンプレッサのシリンダカバーを後方から見た斜視図である。

図３は、本発明によるレシプロコンプレッサのシリンダカバーを背面から見た図である。

図４は、本発明によるレシプロコンプレッサのシリンダカバーを正面から見た図である。

図５は、図４のＡ－Ａ線断面図である。

図６は、少なくとも１つの連通ダクトによって相互接続された２つのチャンバに細分化された吐出（排出）チャンバを示す。

図７は、少なくとも１つの連通ダクトによって相互接続された２つのチャンバに細分された吐出チャンバおよびシリンダカバーの断面を示す。

本発明の主な目的によれば、少なくとも第１の膨張チャンバ（膨張室）1と少なくとも第２の膨張チャンバ2とを少なくとも１つの連通ダクト（連通路）3によって互いに流体的に接続したレシプロコンプレッサのシリンダカバーが開示される。

本発明によれば、好ましくは、単一の第１の膨張チャンバ1及び単一の膨張チャンバ2が設けられており、これらの両方が連通ダクト3を介して互いに流体接続される。また、本発明によれば、膨張チャンバ1および2ならびに連通ダクト3は、部品の剛性を調整できる部品間結合度・気密度（tightness between the parts）を有する一体の金属体から作られる。

好ましくは（限定されないが）、膨張チャンバ1および2は排出(吐出）膨張チャンバを備え、それらの形状および幾何学的配置は特定のプロジェクト（設計）に従って決定され、本発明の目的および構成（核心）に必ずしも関連しない。

図１、図２、図３および図４に示すように、第１の膨張チャンバ1は、圧縮シリンダ(図示せず)の領域4に画定（形成）され、第２の膨張チャンバ2は、少なくとも部分的に、領域4から延在する領域5に画定（形成）される。図示されているように、領域4は閉鎖領域を画定し、領域5は垂直凸部を画定する。

特許文献US9587634に記載された圧縮機（コンプレッサ）シリンダカバーと同様に、第１の膨張チャンバ1は開かれ、圧縮シリンダ(図示せず)の端部に配置されたバルブプレート(図示せず)との閉鎖インタフェース（閉鎖するための接触部、閉鎖する際の境界面）11を備える。したがって、膨張チャンバ自体を考慮（構成）するために、第１の膨張チャンバ1は、圧縮シリンダ(図示せず)の端部に配置されたバルブ(図示せず)に取り付けられなければならない。

特許文献US9587634に記載されたコンプレッサシリンダカバーと同様に、第２の膨張チャンバ2は、閉鎖構造(図示せず)との閉鎖インタフェース21を備える。したがって、膨張チャンバ自体を考慮（構成）するために、第２の膨張チャンバ2を閉鎖構造(図示せず)に取り付ける必要がある。

いずれの場合も、特許文献US9587634に記載されているコンプレッサのシリンダカバーとは異なり、第１の膨張チャンバ1の取り付けインタフェース11と第２の膨張チャンバ2の閉鎖インタフェース21とは同じ面に面している。

第１の膨張チャンバ1の閉鎖インタフェース11と、第２の膨張チャンバ2の閉鎖インタフェース21とが同じ面に面するという特徴は、極めて革新的であり、最終的に、a)単純かつ低コストのツール（工具、用具、型、機械）を用いて、射出製造プロセスを通して往復シリンダカバーの製造を可能にし、b)コンパクトなコンプレッサの設計を可能にし、c)チャンバ間のフレキシビリティの調整を可能にし、コンプレッサの励起周波数における共振を低減し、d)レシプロコンプレッサにおける従来の固定方法・手段(スクリューおよび油圧ジョイント)を使用して、吐出系の対向部分（部品）の固定を可能にし、e)第２のチャンバを追加のチャンバに細分してセット（set）をコンパクトに保つことを可能にする。

最後に、好ましい実施形態では、本発明のシリンダカバーは、少なくとも１つの連通ダクト（連通路）によって相互接続された２つ以上のチャンバに好ましくは細分される吐出（排出）チャンバを備えることができる。

上記の説明は、本発明の特定の実施態様を例示的に説明するという目的だけを有することに留意することが重要である。したがって、同じ結果・効果を達成するために実質的に同じ方法で同じ機能を果たす要素の修正、変形、および構造的組合せが、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲内に含まれることは明らかである。

Claims (2)

1. レシプロコンプレッサのシリンダカバーであって、
   少なくとも１つの連絡ダクト（3）によって互いに流体的に接続された少なくとも第１の膨張チャンバ（1）と少なくとも第２の膨張チャンバ（2）とを備え、
   前記第１の膨張チャンバ（1）は、少なくとも部分的に、前記カバーの領域（4）と圧縮シリンダの対向部分によって形成され、
   前記第２の膨張チャンバ（2）は、少なくとも部分的に、前記カバーの領域（5）と排出系の対向部分によって形成され、
   前記レシプロコンプレッサのシリンダカバーにおいて、
   前記第１の膨張チャンバ（1）は、前記圧縮シリンダの端に配置されたバルブプレートとの閉鎖インターフェース（11）を有し、前記第２の膨張チャンバ（2）は、前記排出系の対向部分との閉鎖インターフェース（21）を有し、
   前記第１の膨張チャンバ（1）の閉鎖インターフェース（11）と前記第２の膨張チャンバ（2）の閉鎖インターフェース（21）とが同じ面を向いており、
   前記シリンダカバーの前記領域（4）及び前記領域（5）は、それらの間に少なくとも１つの制限部を有し、前記制限部は、前記レシプロコンプレッサの励起周波数における共振を低減するように構成されていることを特徴とするレシプロコンプレッサのシリンダカバー。
2. 排出チャンバが、少なくとも１つの連絡ダクトによって相互に接続された２つ以上のチャンバに細分化されていることを特徴とする請求項１に記載のレシプロコンプレッサのシリンダカバー。

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