JP2023177929A - 被膜形成用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】なじみの良い被膜を形成するための被膜形成用組成物、被膜製造方法及び被膜形成用キットに関する。【解決手段】本発明の一形態に係る被膜形成用組成物は、被膜形成対象部位に直接的又は間接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成するためのものである。上記被膜形成用組成物は、第1ポリマーと、第2ポリマーとを含む。上記第1ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が1.0%以下である。上記第2ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が5%以上29%以下である。上記被膜形成用組成物中の上記第1ポリマーの質量をM1、上記第2ポリマーの質量をM2としたときに、 M2/(M1+M2)の値が0.05以上0.60以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、被膜形成用組成物、被膜製造方法、及び被膜形成用キットに関する。
静電スプレー法によって被膜を形成する方法が知られている。例えば特許文献1には、揮発性物質、水不溶性ポリマー及び粘着性ポリマーを含む組成物を直接皮膚に静電スプレーすることで、皮膚との密着性及び透明性の良好な被膜を形成することが記載されている。
特開2018-177802号公報
被膜形成対象部位、例えば皮膚に形成される被膜において、皮膚へのなじみが良好な被膜が望まれている。
皮膚への被膜のなじみをよくするために、被膜形成用組成物に水溶性高分子化合物を用いると、なじみが改善するものの、被膜が湿気を吸収して被膜が溶解してしまうことがあった。また、このような被膜の溶解は、高温又は高湿度といった状況下で特に生じやすい傾向にあり、静電スプレー法により被膜を形成するための被膜形成用組成物には改善の余地があった。
本発明の課題は、高温又は高湿度といった状況下であってもなじみの良い被膜を形成するための被膜形成用組成物、被膜製造方法及び被膜形成用キットに関する。
本発明の一形態に係る被膜形成用組成物は、被膜形成対象部位に直接的又は間接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成するためのものである。
上記被膜形成用組成物は、第1ポリマーと、第2ポリマーとを含む。
上記第1ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が1%以下である。
上記第2ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が5%以上29%以下である。
本発明の一形態に係る被膜製造方法は、被膜形成対象部位に被膜を形成する方法である。
上記被膜製造方法は、被膜形成工程を具備する。
上記被膜形成工程では、被膜形成対象部位に被膜形成用組成物を直接的又は間接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する。
上記被膜形成用組成物は、第1ポリマーと、第2ポリマーとを含む。
上記第1ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が1%以下である。
上記第2ポリマーは、高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が5%以上29%以下である。
本発明の一形態に係る被膜形成用キットは、上記被膜形成用組成物と、製剤とを備える。
上記製剤は、上記被膜形成用組成物を用いた被膜形成の前又は後に上記皮膚に適用される。
本発明の被膜形成用組成物、被膜製造方法及び被膜形成用キットによれば、高温又は高湿度といった状況下であっても、なじみの良い被膜を得ることができる。
本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を示す概略図である。 上記静電スプレー装置を用いて静電スプレー法によって皮膚に被膜を形成する様子を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る被膜形成用キットの概略図である。 被膜形成用組成物中の第2ポリマーの割合と高温多湿保存後の被膜の使用性総合平均点との関係を示すグラフである。
本発明は、静電スプレーによって被膜形成対象部位に形成された被膜のなじみを高めることに関する。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明では、所定の成分を含む被膜形成用組成物を静電スプレーより被膜形成対象部位に直接的又は間接的に施して被膜を形成する。
本発明では、被膜形成用組成物を所定の成分が含まれるように構成することで、被膜の被膜形成対象部位へのなじみを向上させることができる。
静電スプレー法を用いることで、繊維径がナノメートルオーダーの繊維(所謂ナノファイバ)の堆積物の被膜を形成することが可能となっている。
被膜形成対象部位は、典型的にはヒトの皮膚であるが、ヒトの歯、歯茎、非ヒト哺乳類の皮膚、歯、歯茎、枝や葉等の植物表面等であってもよい。以下の説明では、ヒトの皮膚に被膜を形成する例をあげて説明する。
また、以下の説明では、ヒトの皮膚に直接的に静電スプレーにより被膜を形成する例をあげるが、中間被膜形成対象物であるアプリケータ上に静電スプレーにより被膜を形成した後、該被膜を皮膚に転写することで、皮膚上に被膜を形成してもよい。このように、中間被膜形成対象物に被膜を形成した後、該被膜を被膜形成対象部位に転写する態様を、「被膜形成対象部位に間接的に静電スプレーにより被膜を形成する」という。
本明細書において、最終的に被膜を形成する対象部位を「被膜形成対象部位」という。したがって、一旦アプリケータに被膜を形成した後、該被膜を皮膚に転写する場合では、被膜形成対象部位は皮膚となる。
また、本明細書において、「使用者」とは皮膚に被膜が付着される者をいう。また、「介添者」とは、製剤の適用作業及び被膜の形成作業の少なくとも一部を使用者の代わりに行う者という。
本発明の被膜形成用組成物を用いて形成される被膜は、皮膚表面から表皮部位の基底層までの傷や状態異常に好適に用いることができ、具体的には組織再生の促進、基底膜再生の促進、表皮細胞増殖活性化、表皮細胞上皮化(角化促進)、バリア能改善、水分量改善、鱗屑改善、痂皮形成抑制、炎症抑制、炎症後色素沈着抑制等を目的とした皮膚の状態改善用や創傷治癒用として好適に用いることができる。被膜は、例えば、鱗屑、炎症等の症状が生じているヒトの皮膚やレーザ治療後の損傷皮膚等の皮膚といった創傷治癒対象部位に形成され、該皮膚を保護する。皮膚に被膜を形成することで、被膜によって外部の刺激や異物から皮膚を守ることができると共に、鱗屑、炎症等の症状やレーザ治療後の損傷を効率的に治癒することも可能である。
本発明の被膜形成用組成物は、典型的には製剤(後述する)とあわせて用いられる。製剤をあわせて用いることで、被膜の繊維が有する毛管力を利用して繊維間に製剤を保持させることができる。これにより、皮膚を保護しつつ、製剤が効率的かつ効果的に皮膚に作用する状況をつくることができる。
製剤は、静電スプレーによる被膜形成前又は後に肌に適用することができる。以下の説明では、被膜形成前に製剤を適用して使用する例をあげる。
尚、被膜は、製剤と合わせて使用せず単独で用いてもよい。被膜を皮膚に形成することで、皮膚を外部の刺激や異物から守ることができる。
以下、詳細に説明する。
<被膜形成用組成物>
発明者らは、被膜形成用組成物に用いるポリマーの高温多湿環境下での吸湿度に着目し、高温多湿環境下での吸湿度が相対的に低い第1ポリマーと相対的に高い第2ポリマーとを配合して被膜形成用組成物を構成することで、該被膜形成用組成物を用いて、使用環境に影響されにくく、なじみの良好な被膜を形成することができることを見出した。
以下、詳細に説明する。
ここで、「なじみが良好」とは、使用者が、形成した被膜が皮膚(被膜形成対象部位)にしっかりと密着していると実感し、被膜が形成された皮膚を指の腹や手のひら等で触れたときに、触れている身体の部位(指の腹や手のひら)全体で均一に皮膚に吸い付くような密着性を感じる状態を指す。
本発明の被膜形成用組成物は、高温多湿環境下で吸湿度が1%以下の第1ポリマーと、高温多湿環境下での吸湿度が1%超40%以下の第2ポリマーと、溶媒と、を含んで構成される。溶媒は、被膜形成工程で蒸発し、被膜は第1ポリマーと第2ポリマーから構成される。尚、被膜形成用組成物は、第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒から構成されるが、これら以外の他の成分を含んでもよい。
第1ポリマーは、被膜のコアになる部分である。
第2ポリマーは、被膜を構成する繊維表面の改質に寄与する。
[ポリマーの高温多湿環境下での吸湿度の測定方法]
本明細書において、ポリマーの高温多湿環境下での吸湿度は、以下に説明する測定方法で測定されたものである。
測定対象のポリマー1gを、40℃、90%RH(高温多湿環境)のインキュベータに24時間静置し、測定対象ポリマーに高温多湿負荷をかける。
高温多湿負荷をかける前の測定対象のポリマーを25℃で50%RHの環境下で1分静置した直後に測定したときの重量を「初期重量」とし、高温多湿負荷後の測定対象のポリマーをインキュベータから取り出した直後に25℃で50%RHの環境下で1分静置したすぐ後に測定したときの重量を「高温多湿負荷後の重量」として、測定対象のポリマーの吸湿度を次の式(1)で求める。
吸湿度=(高温多湿負荷後の重量-初期重量)/初期重量×100(%) …(1)
本明細書において、特に断らない限り、「吸湿度」は「高温多湿環境下での吸湿度」を意味する。
[第1ポリマー]
第1ポリマーは、使用環境に影響されにくく良好な品質を維持しやすい被膜とする観点から、吸湿度が1%以下、より好ましくは0.9%以下である。また、同様の観点から、好ましくは吸湿度が0.1%以上、より好ましくは0.6%以上である。
先述の吸湿度の他、水不溶性という観点でも第1ポリマーの物性を説明することができる。具体的には、第1ポリマーは、1気圧・23℃の環境下において、ポリマー1g秤量したのちに、10gの脱イオン水に浸漬し、24時間経過後、浸漬したポリマーの0.5g超が溶解しない性質を有するポリマーであることが好ましい。
より詳細には、第1ポリマーとして、良好な品質を維持しやすい被膜とする観点から、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸から選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーを含んで用いることがより好ましく、ポリビニルブチラール樹脂を用いることが更に好ましい。
[第2ポリマー]
第2ポリマーは、なじみが良好で、かつ、皮膚に形成された被膜のよれや気泡の混入を低減するという観点から、吸湿度が5%超であり、好ましくは6.5%以上であり、また、同様の観点及び静電スプレー時のノズル詰まりを抑制する観点から、29%以下であり、好ましくは28.4%以下である。そして、第2ポリマーの吸湿度は、5%超29%以下であり、好ましくは6.5%以上28.4%以下である。
第2ポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアルキレングリコール、シリコーン構造含有共重合体から選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーを含んで用いることができ、皮膚に形成された被膜のなじみを良好にする観点から、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアルキレングリコールから選ばれる1種又は2種以上のポリマーを含んで用いることが好ましい。
なお、第2ポリマー全量に対する、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアルキレングリコール、シリコーン構造含有共重合体から選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーの含有割合は、皮膚に形成された被膜のなじみを良好にする観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
ポリビニルピロリドンの共重合体としては、例えば酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体 硫酸ジエチル、ビニルカプロラクタム・ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・塩化メタクリロイルアミノプロピルラウリルジモニウム共重合体などを挙げることができ、皮膚に形成された被膜のなじみを良好にする観点から、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を用いることが好ましい。
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体は、酢酸ビニルとビニルピロリドンが重合することで得られるコポリマーであり、ポリマー中に酢酸ビニルに基づく構造とビニルピロリドンに基づく構造を有する。ここで、酢酸ビニルに基づく構造をVP、ビニルピロリドンに基づく構造をVAとすると、本発明における酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体中のVPとVAの比率(VP:VA)は、皮膚に形成された被膜のなじみを良好にする観点から、VP:VA=20:80~80:20の範囲であることが好ましく、VP:VA=25:75~65:35の範囲であることがより好ましい。なお、本項目における比率とは、モル比をさしており、仕込みモノマー組成に対して残存モノマー量をガスクロマトグラフィーにて算出することができる。
より具体的な例として、ポリビニルピロリドン及びその共重合体として、以下の市販品を用いることができる。
商品名:PVA/VA E735(アシュランド・ジャパン(株))
商品名:PLASDONE(登録商標) S630(アシュランド・ジャパン(株))
商品名:PVA/VA E535(アシュランド・ジャパン(株))
商品名:PVA/VA E335(アシュランド・ジャパン(株))
商品名:Gafquat(登録商標)734(アシュランド・ジャパン(株))
商品名:Aquastyle300N(アシュランド・ジャパン(株))
ポリアルキレングリコールとしては、例えばポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどを挙げることができ、皮膚に形成された被膜のなじみを良好にする観点から、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを用いることが好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキシド平均付加モル数は、なじみが良好で、かつ、皮膚に形成された被膜のよれや気泡の混入を低減するという観点から、好ましくは5~200であり、より好ましくは10~30である。また、プロピレンオキシド平均付加モル数は、同様の観点から、好ましくは5~100であり、より好ましくは10~30である。なお、エチレンオキシド平均付加モル数の算出は例えば「JIS K 0070-1992 7.1 中和滴定法」に記載の方法により求めることができ、またプロピレンオキシド平均付加モル数はH-NMRを用いて求める事ができる。
より具体的な例として、ポリエチレングリコール付加物として、以下の市販品を用いることができる。
商品名:プロノン(登録商標)124P(日油(株))
より具体的な例として、シリコーン構造含有共重合体として、以下の市販品を用いることができる。
商品名:シリコーンKF-6011(信越化学工業(株))
[溶媒]
溶媒は、一価のアルコール及びケトンから選択される1種以上を含む。一価のアルコール及びケトンは揮発性物質である。形成された被膜のなじみを良好にするという観点から、溶媒は、一価アルコールとして、好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール及びブチルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を含有し、より好ましくはエタノールを含有する。同様の観点から、溶媒は、ケトンとして、好ましくはアセトンを含有する。用いる溶媒の種類は、第1ポリマーの種類によって適宜決定することができ、溶媒として第1ポリマーの可溶化剤を用いることができる。例えば、第1ポリマーとしてポリビニルブチラール樹脂やポリウレタン樹脂を用いる場合、溶媒としてエタノールを用いることができる。第1ポリマーとしてポリ乳酸を用いる場合、溶媒としてアセトンを用いることができる。
溶媒にエタノールを用いる場合、溶媒におけるエタノールの含有量は、揮発性の高さと形成された被膜のなじみの観点から、溶媒の全量に対して、好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。また、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは95質量%である。そして、溶媒におけるエタノールの含有量は、溶媒の全量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、更に好ましくは80質量%以上95質量%以下である。
また、溶媒に水が含まれていても良い。
後述する実施例において、溶媒として、エタノール分が99.5容量%以上の無水アルコールである、99度合成アルコール(日本合成アルコール(株))を用いる例をあげているが、エタノールは空気中の水分を吸収しやすく、エタノール分は100容量%とはならないため、溶媒として例えば上記99度合成アルコールを用いる場合、溶媒に水分が含まれることになる。
尚、上述の溶媒中におけるエタノールの含有量に関する記載において、エタノールは、上記の無水アルコールである99度合成アルコール(日本合成アルコール(株))を指す。
溶媒における水の含有量は、形成された被膜のなじみの観点から、溶媒中の全量に対して、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、更に好ましくは0.4質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。そして、溶媒における水の含有量は、溶媒の全量に対して、好ましくは0.2質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上10質量%以下、更に好ましくは0.4質量%以上5質量%以下である。
静電スプレー法を用いてナノファイバの被膜を形成する場合、溶媒を揮発させてナノファイバを形成するため、溶媒の主成分は揮発性物質であることが好ましい。
揮発性物質は、その蒸気圧が20℃において0.01kPa以上、106.66kPa以下であることが好ましく、0.13kPa以上、66.66kPa以下であることがより好ましく、0.67kPa以上、40.00kPa以下であることが更に好ましく、1.33kPa以上、40.00kPa以下であることがより一層好ましい。
本発明の被膜形成用組成物を用いて形成された被膜において、第1ポリマーの含有量は、なじみが良好で、かつ、皮膚に形成された被膜のよれや気泡の混入を低減するという観点から、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは48質量%以上、更に好ましくは54質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは64質量%以上であり、また、同様の観点から、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは89質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、より更に好ましくは82質量%以下、より更に好ましくは79質量%以下である。そして、第1ポリマーの含有量は、好ましくは40質量%以上98質量%以下であり、より好ましくは48質量%以上89質量%以下、更に好ましくは54質量%以上85質量%以下、より更に好ましくは60質量%以上82質量%以下、より更に好ましくは64質量%以上79質量%以下である。
本発明の被膜形成用組成物を用いて形成された被膜において、第2ポリマーの含有量は、なじみが良好で、かつ、皮膚に形成された被膜のよれや気泡の混入を低減するという観点から、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは21質量%以上であり、また、同様の観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは52質量%以下、更に好ましくは46質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは34質量%以下である。そして、第2ポリマーの含有量は、好ましくは2質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上52質量%以下、更に好ましくは15質量%以上46質量%以下、より更に好ましくは18質量%以上40質量%以下、より更に好ましくは21質量%以上34質量%以下である。
[被膜形成用組成物中の第1ポリマーと第2ポリマーの質量比(配合割合)]
より一層使用環境に影響されにくく、なじみの良好な被膜を形成する観点から、高温多湿環境下での吸湿度が相対的に低い第1ポリマーと相対的に高い第2ポリマーとの配合割合を次のように規定することが好ましい。
被膜形成用組成物において、第1ポリマーと第2ポリマーとを合わせたポリマー全体に占める第2ポリマーの割合(以下、単に「第2ポリマーの割合」ということがある。)は、なじみが良好で、かつ、皮膚に形成された被膜のよれや気泡の混入を低減するという観点から、好ましくは0.05以上であり、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.15以上、より更に好ましくは0.18以上、より更に好ましくは0.21以上であり、また、同様の観点から、好ましくは0.60以下であり、より好ましくは0.52以下、更に好ましくは0.46以下、より更に好ましくは0.40以下、より更に好ましくは0.38以下、より更に好ましくは0.34以下である。そして、第1ポリマーと第2ポリマーとを合わせたポリマー全体に占める第2ポリマーの割合は、好ましくは0.05以上0.60以下であり、より好ましくは0.11以上0.52以下、更に好ましくは0.15以上0.46以下、より更に好ましくは0.18以上0.40以下、より更に好ましくは0.21以上0.38以下、より更に好ましくは0.21以上0.34以下である。
なお、第2ポリマーの割合は、被膜形成用組成物中の第1ポリマーの質量(含有量)をM1、第2ポリマーの質量(含有量)をM2としたときに、次の式(2)により求められる。
第2ポリマーの割合=M2/(M1+M2) …(2)
本実施形態では、被膜形成用組成物は、第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒の混合物として構成される。溶媒は被膜形成工程で蒸発し、被膜は第1ポリマーと第2ポリマーから構成される。
本発明の被膜形成用組成物は、相対的に吸湿度が低い第1ポリマーと高い第2ポリマーとが上記配合割合で配合されて構成されることで、該被膜形成用組成物を用いて形成される被膜の耐湿性が向上し、例えば浴室や脱衣所といった高温多湿の使用環境下であっても、皮膚に形成した被膜が湿気を吸収して溶けてよれてしまうといった事象が生じにくく、膜形状が安定して品質が維持された被膜とすることができる。
また、被膜形成対象部位が皮膚の創傷部位である場合、被膜は滲出液を吸収しやすい状態におかれ、被膜形成部位の湿度は高くなる環境下にあるが、被膜の耐湿性が向上することで、被膜が滲出液によって溶けてしまうという事象が生じにくく、被膜の品質を安定して維持することができる。
また、被膜形成対象部位が歯や歯茎といった湿度の高い環境となる口腔内にある場合、被膜は唾液を吸収しやすい状態下におかれるが、被膜の耐湿性が向上することで、唾液で被膜が溶けてしまうという事象が生じにくく、被膜の品質を安定して維持することができる。
このように、本発明の被膜形成用組成物を用いて形成された被膜は、高温又は高湿度の環境下であっても、膜形状が安定して品質が維持される。
加えて、第2ポリマーを含めることで、被膜の皮膚への密着性を向上させて皮膚へのなじみを良好なものとすることができ、高温又は高湿度の環境下であっても、被膜の良好な密着性を継続して維持することができ、使用環境に影響されにくい、良好ななじみを継続的に維持することが可能な被膜とすることができる。
また、皮膚へのなじみが良好となることで、被膜のよれや気泡の混入が生じにくく、被膜が形成された皮膚と被膜が形成されていない皮膚との境界がわかりにくい被膜の存在を感じさせない違和感のない外観とすることができる。
また、本発明の被膜形成用組成物を用いて形成された被膜は、創傷等の凹凸のある皮膚表面に対しても、皮膚の凹凸に追従してしっかり皮膚に密着するため、皮膚上での感覚的な違和感を生じにくくすることができる。
また、第2ポリマーを含めることで、被膜と製剤とのなじみがよくなり、皮膚に形成された被膜の全域にわたって製剤が存在することとなり、使用時、ファイバ間に保持された製剤と皮膚とが接する状態を長時間にわたって良好に保持することが可能となる。その結果、製剤の皮膚への浸透等がより一層促進され、製剤による皮膚への効果を向上することが可能となる。
更に、形成された被膜は、高温又は高湿度といった状況下であっても耐湿性に優れたものとなっているので、使用環境に影響されにくく、膜形状が安定して維持されやすくなっている。このため、長時間にわたってファイバ間に製剤を安定して保持することができ、製剤による皮膚への効果をより一層向上させることができる。
このように、本発明の被膜形成用組成物を用いることで、使用環境に影響されにくく、長時間にわたって良好な膜形状と良好ななじみを安定して維持することができる、品質が安定した被膜を形成することができる。
<静電スプレーについて>
被膜形成用組成物を静電スプレーし皮膚に繊維を堆積することで被膜が形成される。
静電スプレー法は、被膜形成用組成物に正又は負の高電圧を印加して該被膜形成用組成物を帯電させ、帯電した該被膜形成用組成物を対象物に向けて噴霧する方法である。噴霧された被膜形成用組成物はクーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、その過程で、又は被膜形成対象部位に付着した後に、揮発性物質である溶媒が蒸発することで、被膜形成対象部位の表面に被膜を形成する。
[静電スプレー装置]
図1は、本発明で好適に用いられる静電スプレー装置の構成を表す概略図である。
図1に示すように、静電スプレー装置10は、低電圧電源11と、高電圧電源12と、補助的電気回路13と、液送りポンプとしてマイクロギヤポンプ14と、容器15と、ノズル16と、管路17と、フレキシブル管路18と、電流制限抵抗19と、を備える。なお、液送りポンプは、ギヤポンプ以外にピストンポンプでも代替可能であり、ノズル、ポンプは交換可能であっても良い。
低電圧電源11は、数Vから十数Vの電圧を発生させる。静電スプレー装置10の可搬性を高める目的で、低電圧電源11は1個又は2個以上の電池からなることが好ましい。また、低電圧電源11として電池を用いることで、必要に応じ取り換えを容易に行えるという利点もある。電池に変えて、ACアダプタ等を低電圧電源11として用いることもできる。
高電圧電源12は、低電圧電源11と接続されており、低電圧電源11で発生した電圧を高電圧に昇圧する電気回路(図示せず)を備えている。昇圧電気回路は一般にトランス、キャパシタ及び半導体素子等から構成されている。
補助的電気回路13は、低電圧電源11と高電圧電源12との間に介在し、低電圧電源11の電圧を調整して(増幅させて)高電圧電源12を安定的に動作させる機能を有する。
更に、補助的電気回路13は、マイクロギヤポンプ14に備えられているモータの回転数を制御する機能を有する。モータの回転数を制御することで、被膜形成用組成物の容器15からマイクロギヤポンプ14への被膜形成用組成物の供給量が制御される。
補助的電界と13と低電圧電源11との間にはスイッチSWが取り付けられている。スイッチSWの入り切りによって、静電スプレー装置10を運転/停止できるようになっている。
ノズル16は、金属を初めとする各種の導電体からなり、その外周部はプラスチック、ゴム、セラミックなどの非導電体で覆われている。
ノズル16は、その先端から被膜形成用組成物の吐出が可能な形状をしている。ノズル16内には被膜形成用組成物が流通する微小空間が、該ノズル16の長手方向に沿って形成されている。この微小空間の横断面の大きさは、直径で表して100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
ノズル16は、管路17を介してマイクロギヤポンプ14と連通している。管路17は導電体でもよく、あるいは非導電体でもよい。
ノズル16は高電圧電源12と電気的に接続され、ノズル16に高電圧を印加することが可能になっている。この場合、ノズル16に人体が直接触れた場合に課題な電流が流れることを防止するために、ノズル16と高電圧電源12とは、電流制限抵抗19を介して電気的に接続されている。
容器15には、被膜形成用組成物が収容される。容器15は、カートリッジ式の交換可能な形態をしていることが好ましい。マイクロギヤポンプ14には、フレキシブル管路18を介して容器15が接続されている。
マイクロギヤポンプ14は、容器15中に収容されている被膜形成用組成物をノズル16に供給する供給装置として機能する。
マイクロギヤポンプ14は、低電圧電源11から電源の供給を受けて動作する。
マイクロギヤポンプ14は、補助的電気回路13による制御を受けて所定量の被膜形成用組成物をノズル16に供給する。
図2は、上記静電スプレー装置10の使用例である。
図2に示す例では、静電スプレー装置10は、片手で把持できる寸法を有するハンディタイプである。静電スプレー装置10は、円筒形の筐体20を有し、該筐体20内に図1に示す構成の全てが収容されている。尚、筐体20の形状は円筒形に限定されず、典型的には片手で把持しやすい形状および寸法とすることができる。
筐体20の長手方向の一端10aには、ノズル(図示せず)が配置されている。ノズルは、その被膜形成用組成物1の吹き出し方向を、筐体20の縦方向と一致させて、肌側に向かい凸状になるように配置されている。これにより、筐体20に被膜形成用組成物が付着しにくくなり、安定的に被膜を形成することができる。
<静電スプレー法による被膜製造方法>
本発明にかかわる好ましい被膜製造方法は、製剤適用工程と、被膜形成工程と、を有する。製剤適用工程は、被膜形成工程前に行われてもよいし、後に行われてもよい。
[製剤適用工程]
製剤適用工程は、皮膚に製剤を適用する工程である。使用者又は介添者により、被膜形成対象部位を中心に製剤が適用される。製剤は、被膜形成用組成物とは異なる組成であり、好ましくは本発明の第1ポリマーを含有しない、好ましくは皮膚への適用方法が静電スプレー以外の方法による。
製剤としては、好ましくは保湿機能、抗炎症機能、殺菌消毒機能、外用痔疾用薬といった機能を有するものが挙げられる。製剤は、皮膚の症状に応じて適宜選択され得る。製剤例については後述する。
製剤は、肌への適用が容易なように、液状、クリーム状、泡状、霧状の状態で肌に適用され得る。製剤は、典型的には、被膜と皮膚との密着性を向上させる観点から、被膜形成前に皮膚に適用される。
被膜形成工程前に製剤を適用する施すことで、スプレーされた被膜形成用組成物が静電力により更に強く付着しやすくなるとともに、スプレーされた被膜形成用組成物の透明性を向上することができる。透明性が向上することで、被膜の存在が視覚的にわかりづらくなり、自然な皮膚のような違和感のない外観とすることができる。
一方、被膜形成工程後に、製剤適用工程を行った場合、静電スプレーにより形成された被膜が、製剤によってより一層皮膚になじみやすくなり、該被膜が皮膚に高密着化するとともに、一層透明性が向上する。
ここで、皮膚に製剤を適用するとは、製剤が皮膚上の対象部位に付着、塗布、担持或いは固定化される状態を指す。
製剤を皮膚に適用する手段は特に限定されない。例えば、手指、ブラシ等の道具を用いて塗り伸ばしてもよいし、スプレー等を用いて噴霧してもよい。
[被膜形成工程]
被膜形成工程は、上記静電スプレー装置10を用いて皮膚に被膜形成用組成物を直接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する工程である。
製剤と被膜を併用することで、被膜を形成する繊維が有する毛管力により、製剤は偏在を防止されて広がるとともに、繊維間及び/又は繊維表面に製剤が保持されると考えられる。
静電スプレー装置10を動作させた被膜製造方法は以下の通りである。
図2に示すように、使用者U、すなわち静電スプレーによって自己の皮膚に被膜を形成する者が、静電スプレー装置10を手で把持し、ノズル(図示せず)が配置されている静電スプレー装置10の一端10aを、静電スプレーを行う被膜対象部位に向ける。図2では、使用者Uの前腕部内側に静電スプレー装置10の一端10aを向けている状態が示されている。この状態で、静電スプレー装置10のスイッチをオンにして静電スプレーを行う。
静電スプレー装置10に電源が入ることで、ノズルと皮膚との間に電界が生じる。図2に示す実施形態では、ノズルに正の高電圧が印加され、皮膚が負極となる。ノズルと皮膚との間に電界が生じると、ノズル先端部の被膜形成用組成物は、静電誘導によって分極してその先端部分がコーン状になり、コーン先端から帯電した被膜形成用組成物の液滴が電界に沿って、皮膚に向かって空中に吐出される。空間に吐出され且つ帯電した被膜形成用組成物から溶媒が蒸発していくと、被膜形成用組成物表面の電荷密度が過剰となり、クーロン反発力によって微細化を繰り返しながら空間に広がり、皮膚に到達する。空間に吐出されている間に、溶媒である揮発性物質を被膜形成用組成物から揮発させ、溶質である被膜形成能を有するポリマー(第1ポリマー及び第2ポリマー)を固化させつつ、電位差によって伸長変形させながら繊維を形成し、その繊維を皮膚の表面に堆積させて、被膜を形成することができる。
このようにして静電スプレーが完了したら、静電スプレー装置10の電源を切る。これによってノズルと皮膚との間の電界が消失する。
静電スプレー法を行っている間は、ノズルと皮膚との間に高い電位差が生じている。しかし、インピーダンスが非常に大きいので、人体を流れる電流は極めて微小である。例えば通常の生活下において生じる静電気によって人体に流れる電流よりも、静電スプレー法を行っている間に人体に流れる電流の方が数桁小さいことを、本発明者は確認している。
静電スプレー法によって繊維の堆積物を形成する場合、該繊維の太さは、円相当直径で表した場合、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。また3000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることが更に好ましい。このように、静電スプレー法を用いて被膜を形成することで、ナノメートルオーダーの繊維が堆積してなる被膜を形成することができる。
繊維の太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(繊維の塊、繊維の交差部分、液滴)を除き、繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
[製剤例]
製剤は、水、ポリオール及び20℃で液体の油から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
水を含む製剤は、例えば水、水溶液及び水分散液等の水系液体を含む。また、水を含む製剤として、化粧水や、O/Wエマルション、W/Oエマルションなどの乳化物、ラメラ構造を有する組成物や化粧クリーム、増粘剤で増粘された水性液なども挙げられ、保湿性の観点、及び皮膚に付着した被膜のなじみを良好にする観点からラメラ構造を有する組成物である事が好ましい。
製剤がポリオールを含む場合、該ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられ、皮膚に付着した被膜のなじみを良好にする観点から20℃で液状のポリオールが好ましい。
製剤がポリオールを含む場合、製剤中のポリオールの含有量は、皮膚に付着した被膜のなじみを良好にする観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、また、同様の観点から、40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。そして、製剤中のポリオールの含有量は、好ましくは3質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
製剤が20℃において液体の油(以下、この油のことを「液体油」ともいう。)を含む場合、該20℃において液体の油としては、例えば直鎖又は分岐の炭化水素油、エステル油、分岐脂肪酸或いは不飽和脂肪酸の高級アルコール、シリコーン油などが挙げられる。
上記炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン等が挙げられ、使用感の観点から流動パラフィン、スクワランが好ましい。
また、上記液体油として、20℃において液体の極性油も好ましく用いることができ、その例としてはエステル油、分岐脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸の高級アルコール、シリコーン油等が挙げられる。これらの液体油は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エステル油としては、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸と、直鎖又は分岐鎖のアルコール又は多価アルコールからなるエステルが挙げられる。具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、ナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。
また、液体油は、エステル油を含む植物油や動物油を含んでもよい。例えば、エステル油を含む液体油として、ホホバ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油などの植物油、液状ラノリン等の動物油が挙げられる。
高級アルコールとしては、炭素数12~20の液状の高級アルコールが挙げられ、具体的にはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
製剤が液体油を含む場合、製剤中の液体油の含有量は、皮膚に付着した被膜のなじみを良好にする観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%であり、また、同様の観点から、10質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。そして、製剤中の液体油の含有量は、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以上6質量%以下、更に好ましくは2質量%以上4質量%以下である。
また、製剤には固体脂なども含有することができ、皮膚に付着した被膜のなじみを良好にする観点から、疑似セラミドなどを含有することが好ましい。なお、本発明における疑似セラミドは、天然(動物)セラミド、ヒト型セラミド、合成セラミドとも呼ばれるものを含む。一例として、化粧品成分表示名称としてはセチルPGヒドロキシエチルパルミタミド、医薬部外品表示名称としてはN-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-ヒドロキシエチルヘキサデカナミド、あるいはヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド(簡略名)と呼ばれるものを指す。
<被膜形成用キット>
図3に示すように、本発明の被膜形成用キット2は、上記被膜形成用組成物が充填された容器15と、製剤が充填された容器3と、を備える。
容器15は、例えばカートリッジ式の交換可能な形態をしている。使用者又は介添者は、容器15を静電スプレー装置10にセットして用いることができる。
<その他の構成>
[被膜の吸湿度]
被膜形成用組成物を用いて形成された被膜の吸湿度は、被膜の耐湿性の向上及びなじみの向上の観点から、好ましくは1%以上10%以下、より好ましくは2%以上9%以下、さらに好ましくは3%以上7%以下である。後述する各実施例の被膜の吸湿度を表1~表4に示している。
被膜の吸湿度は、次式(3)のように加重平均で求める。
式(3)中、M1は被膜中の第1ポリマーの質量(含有量)、M2は被膜中の第2ポリマーの質量(含有量)であり、A1は第1ポリマーの吸湿度、A2は第2ポリマーの吸湿度を示す。該吸湿度は、上記式(1)を用いて算出する。尚、被膜中の第1ポリマーと第2ポリマーの質量比は、被膜形成用組成物中の第1ポリマーと第2ポリマーの質量比と同じである。
被膜の吸湿度=(A1×M1+A2×M2)/(M1+M2) …(3)
[第1ポリマーと第2ポリマーの吸湿度の関係]
被膜形成用組成物を用いて形成された被膜の耐湿性の向上及びなじみの向上の観点から、第1ポリマーと第2ポリマーの吸湿度の差分は5%以上30%以下、より好ましくは7%以上16%以下であることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
<実施例>
以下、実施例により本発明を更に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
<<試験例1 第1ポリマーと第2ポリマーの配合割合の検討>>
実施例1~12として、第1ポリマーと第2ポリマーの質量比(配合割合)を変えた被膜形成用組成物を用いて被膜を形成し、高温多湿前後それぞれの被膜の使用性を評価した。
また、各実施例の質量比にて配合した第1ポリマー及び第2ポリマーを用いて形成されるキャストフィルム(ポリマー被膜ともいう)の耐湿性を評価した。尚、該耐湿性評価対象のキャストフィルムのファイバはナノファイバ状ではないが、ナノファイバとした場合と同等の耐湿性評価結果が得られることを確認している。
[被膜形成用組成物の作製]
実施例1~12の被膜形成用組成物として、下記第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒の混合物を作製した。
(第1ポリマー)
第1ポリマーとしてポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BH-3 積水化学工業(株))を用いた。該ポリビニルブチラール樹脂の上記式(1)で算出される吸湿度は0.9%であった。
(第2ポリマー)
第2ポリマーとして酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PLASDONE(登録商標) S630 アシュランド・ジャパン(株))を用いた。該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は16.8%であった。
(溶媒)
溶媒として、エタノール分が99.5容量%以上の無水アルコールである、99度合成アルコール(日本合成アルコール(株))を用いた。以下の実施例に関する記載において、該無水アルコールを「エタノール」と称して説明する。上述したとおり、エタノールは空気中の水分を吸収しやすいため、厳密には溶媒に水が含まれる。
エタノールは、被膜形成用組成物中93質量%の割合で混合した。
各実施例1~12において、被膜形成用組成物中の第1ポリマーと第2ポリマーの質量比(第1ポリマー:第2ポリマー)は以下の通りである。
(実施例1)71.4:28.6
(実施例2)95.2:4.8
(実施例3)90.9:9.1
(実施例4)87.0:13.0
(実施例5)83.3:16.7
(実施例6)76.9:23.1
(実施例7)66.7:33.3
(実施例8)62.5:37.5
(実施例9)55.6:44.4
(実施例10)50.0:50.0
(実施例11)45.5:54.5
(実施例12)41.7:58.3
[使用性の評価]
各実施例の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜について、その高温多湿保存前後の使用性を専門パネラー5名が評価した。
高温多湿保存前の被膜形成用組成物の評価では、専門パネラーが自身の前腕部内側に上記静電スプレー装置10を用いて被膜形成用組成物を下記の被膜形成条件で静電スプレーして被膜を形成し、該被膜を下記の評価方法に沿って評価した。
高温多湿保存後の被膜形成用組成物の評価には、まず基材層に上記静電スプレー装置10を用いて被膜形成用組成物を静電スプレーして被膜を形成したファイバシートを作製し、該ファイバシートを通気包材に梱包後、40℃、90%RH(高温多湿環境)のインキュベータに24時間静置したものを用いた。専門パネラーは、通気包材から高温多湿保存後のファイバシートを取り出し、該ファイバシートを、被膜と自身の前腕部内側とが直接接するように配置し、基材層を取り除くことによって被膜を転写し、皮膚上に被膜を形成した。基材層としてはレーヨン不織布(商品名:オーミケンシ45 オーミケンシ(株))を用いた。
静電スプレーによる被膜形成条件は、次の通りである。
印加電圧:30kV
ノズルと皮膚との距離:130mm
被膜形成用組成物の吐出量:4mL/h
環境:25℃、30%RH
[評価項目と評価方法]
使用性の評価項目は、なじみ、外観、よれ・気泡の3つとした。
専門パネラーは、皮膚に形成した被膜の皮膚へのなじみ、被膜の外観、被膜のよれや気泡の混入を評価した。尚、被膜形成前後の製剤適用は行わず評価を行った。
5名の専門パネラーが各評価項目を以下の項目評価基準に沿って1点~5点の5段階で評価し、総合平均点に基づき、下記の使用性評価基準に沿って被膜の使用性をA~Dの4段階で評価した。
表1に、各実施例の被膜形成用組成物を用いて形成した被膜の高温多湿保存前後それぞれの使用性の総合平均点及びそれに基づく評価結果と、評価項目毎の平均点を示した。
(項目評価基準)
5点…大変良い
4点…良い
3点…普通
2点…悪い
1点…大変悪い
(使用性評価基準)
A:4.5≦総合平均点≦5.0
B:4.0≦総合平均点<4.5
C:3.0≦総合平均点<4.0
D:総合平均点<3.0
[キャストフィルムの耐湿性の評価]
キャストフィルムの耐湿性は、以下のように評価した。
評価対象のポリマー(各実施例の配合比の第1ポリマーと第2ポリマーの混合物)0.35gをエタノール4.65gに溶解し、ポリマー溶液5gを作製する。該ポリマー溶液は、ポリマー7質量%、エタノール93質量%の割合で作製された溶液である。該ポリマー溶液を5cm四方のプラスチックシェーレに入れ、室温にて72時間乾燥し、エタノールを揮発させてキャストフィルムを作製した。
次に、作製したキャストフィルムを、40℃、90%RH(高温多湿環境)のインキュベータに24時間静置した。高温多湿環境下での静置前後のキャストフィルムの重量変化率を算出した。該重量変化率に基づき、キャストフィルムの吸湿性を以下のようにA~Dの4段階で評価した。評価結果を表1に示す。
A:0%≦重量変化率≦5%
B:5%<重量変化率≦10%
C:10%<重量変化率≦15%
D:15%<重量変化率
Figure 2023177929000002
図4は、表1に基づいて作成した、第2ポリマーの割合(横軸)と高温多湿保存後の被膜の使用性総合平均点(縦軸)との関係を示すグラフである。
表1及び図4に示すように、被膜形成用組成物における第2ポリマーの割合が0.05以上0.60以下である場合、高温多湿保存前後両方の被膜のなじみの評価が3以上、使用性の評価がB以上の良好なものとなった。
<<試験例2:第2ポリマーの検討その1>>
実施例1(試験例1の実施例1と同じ)、13及び14として、第1ポリマーと第2ポリマーの配合割合を同じとし、第2ポリマーに吸湿度の異なる材料を用いて被膜形成用組成物を作製し、該被膜形成用組成物を用いて試験例1と同様の形成条件で形成した被膜の高温多湿前後それぞれの使用性を試験例1と同様の手法で評価した。
また、各実施例の配合割合の第1ポリマーと第2ポリマーを用いて試験例1と同様の方法で形成されるキャストフィルムの耐湿性を試験例1と同様の手法で評価した。
また、比較例1として、ポリマーとして第1ポリマーのみを含む被膜形成用組成物を作製し、該被膜形成用組成物を用いて形成した被膜の使用性を評価し、また、第1ポリマーのみを用いて形成されるキャストフィルムの耐湿性を評価した。
表2に、各実施例及び比較例の被膜形成用組成物により形成された被膜の高温多湿保存前後それぞれの使用性の総合平均点及びそれに基づく評価結果、評価項目毎の平均点、及びキャストフィルムの評価結果を示した。
[被膜形成用組成物の作製]
実施例1、13及び14の被膜形成用組成物として、下記の第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒の混合物を作製した。該混合物の作製にあたって、第1ポリマーと第2ポリマーの質量比が71.4:28.6となるように、ポリマーを配合した。
また、比較例1の被膜形成用組成物として、下記第1ポリマーと溶媒の混合物を作製した。該被膜形成用組成物には第2ポリマーは含まれない。
(第1ポリマー)
第1ポリマーとしてポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BH-3 積水化学工業(株))を用いた。該ポリビニルブチラール樹脂の上記式(1)で算出される吸湿度は0.9%であった。
(第2ポリマー)
第2ポリマーとして各実施例で以下のものを用いた。
((実施例1))酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PLASDONE(登録商標) S630 アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は16.8%であった。
((実施例13))ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体硫酸ジエチル(商品名:Gafquat734 アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は28.4%であった。
((実施例14))ビニルカプロラクタム・ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・塩化メタクリロイルアミノプロピルラウリルジモニウム共重合体(Aquastyle300N アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は19.8%であった。
(溶媒)
溶媒としてエタノールを用いた。エタノールは、被膜形成用組成物中93質量%の割合で混合した。
Figure 2023177929000003
<<試験例3:第2ポリマーの検討その2>>
実施例1(試験例1の実施例1と同じ)、実施例15~17として、第2ポリマーにビニルピロリドン(VP)と酢酸ビニル(VA)との組成比が異なる酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体を用い、第1ポリマーと第2ポリマーの配合割合を同じとした被膜形成用組成物を用いて試験例1と同様の形成条件で形成した被膜の高温多湿前後それぞれの使用性を試験例1と同様の手法で評価した。
また、試験例1と同様の方法で各実施例の第1ポリマーと第2ポリマーを用いて形成されるキャストフィルムの耐湿性を試験例1と同様の手法で評価した。
表3に、各実施例の被膜形成用組成物により形成された被膜の高温多湿保存前後それぞれの使用性の総合平均点及びそれに基づく評価結果、評価項目毎の平均点、及びキャストフィルムの評価結果を示した。
[被膜形成用組成物の作製]
実施例1、15~17の被膜形成用組成物として、以下に示す第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒の混合物を作製した。該混合物の作製にあたって、第1ポリマーと第2ポリマーの質量比が71.4:28.6となるように、ポリマーを配合した。
(第1ポリマー)
第1ポリマーとしてポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BH-3 積水化学工業(株))を用いた。該ポリビニルブチラール樹脂の上記式(1)で算出される吸湿度は0.9%であった。
(第2ポリマー)
第2ポリマーとして各実施例で以下のものを用いた。
((実施例1))
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PLASDONE(登録商標) S630(組成比VP:VA=60:40) アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は16.8%であった。
((実施例15))
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PVP/VA E735(組成比VP:VA=70:30) アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は26.2%であった。
((実施例16))
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PVP/VA S535(組成比VP:VA=50:50) アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は14.6%であった。
((実施例17))
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PVP/VA E335(組成比VP:VA=30:70) アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は12.0%であった。
(溶媒)
溶媒としてエタノールを用いた。エタノールは、被膜形成用組成物中93質量%の割合で混合した。
Figure 2023177929000004
<<試験例4:第2ポリマーの検討その3>>
実施例1(試験例1の実施例1と同じ)、18及び19、比較例2及び3として、第1ポリマーと第2ポリマーの配合割合を同じとし、第2ポリマーに吸湿度の異なる材料を用いて被膜形成用組成物を作製し、該被膜形成用組成物を用いて試験例1と同様の形成条件で形成した被膜の高温多湿前後それぞれの使用性を試験例1と同様の手法で評価した。
また、各実施例及び比較例の第1ポリマーと第2ポリマーを用いて試験例1と同様の方法で形成されるキャストフィルムの耐湿性を試験例1と同様の手法で評価した。
表4に、各実施例及び比較例の被膜形成用組成物により形成された被膜の高温多湿保存前後それぞれの使用性の総合平均点及びそれに基づく評価結果、評価項目毎の平均点、及びキャストフィルムの評価結果を示した。表4において、使用性の欄に記載される「-」は、被膜が溶けてしまい評価自体を行うことができなかったことを示す。
[被膜形成用組成物の作製]
実施例1、18及び19、比較例2及び3の被膜形成用組成物として、以下に示す第1ポリマー、第2ポリマー及び溶媒の混合物を作製した。該混合物の作製にあたって、第1ポリマーと第2ポリマーの質量比が71.4:28.6となるように、ポリマーを配合した。
(第1ポリマー)
第1ポリマーとしてポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BH-3 積水化学工業(株))を用いた。該ポリビニルブチラール樹脂の上記式(1)で算出される吸湿度は0.9%であった。
(第2ポリマー)
第2ポリマーとして各実施例及び比較例で以下のものを用いた。
((実施例1))
酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(商品名:PLASDONE(登録商標) S630 アシュランド・ジャパン(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は16.8%であった。
((実施例18))
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール(商品名:プロノン124P 日油(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は8.5%であった。
((実施例19))
PEG-11メチルエーテルジメチコン(商品名:シリコーンKF6011 信越化学工業(株)) 該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は6.5%であった。
((比較例2))
ポリエチレングリコール(商品名:PEG400 和光純薬(株)) 該ポリエチレングリコールは、平均分子量360~440のポリマーである。該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は45.6%であった。
((比較例3))
ポリエチレングリコール(商品名:PEG1450 三洋化成(株)) 該ポリエチレングリコールは、平均分子量1450のポリマーである。該ポリマーの上記式(1)で算出される吸湿度は42.0%であった。
(溶媒)
溶媒としてエタノールを用いた。エタノールは、被膜形成用組成物中93質量%の割合で混合した。
Figure 2023177929000005
また、被膜形成工程の前後に適用できる製剤の一例として、以下のプライマー液(製剤)処方を開示する。
<プライマー液処方>
疑似セラミド 1質量%
グリセリン脂肪酸エステル 0.34質量%
セチルアルコール 0.34質量%
ジメチルポリシロキサン 2質量%
グリセリン 10質量%
1,3-ブタンジオール 3質量%
ジステアリルジモニウムクロリド 0.4質量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.2質量%
コハク酸 0.005質量%
パラオキシ安息香酸メチル 0.2質量%
合計が100質量%となるように精製水でバランスをとった。
1…被膜形成用組成物

Claims (10)

  1. 被膜形成対象部位に直接的又は間接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成するための被膜形成用組成物であって、
    前記被膜形成用組成物は、
    高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が1%以下の第1ポリマーと、
    高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が5%以上29%以下の第2ポリマーと
    を含む
    被膜形成用組成物。
  2. 前記被膜形成用組成物中の前記第1ポリマーの質量をM1、前記第2ポリマーの質量をM2としたときに、 M2/(M1+M2)の値が0.05以上0.60以下である
    請求項1に記載の被膜形成用組成物。
  3. 前記第2ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンの共重合体、ポリアルキレングリコール、シリコーン構造含有共重合体から選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーを含む
    請求項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
  4. 前記第2ポリマーは、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体硫酸ジエチル、ビニルカプロラクタム・ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・塩化メタクリロイルアミノプロピルラウリルジモニウム共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、PEG-11メチルエーテルジメチコンから選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーを含む
    請求項3に記載の被膜形成用組成物。
  5. 前記第1ポリマーは、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸から選ばれる1種類又は2種類以上のポリマーである
    請求項1から4のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物。
  6. 前記被膜形成用組成物は、一価のアルコール及びケトンから選ばれる1種以上を更に含む
    請求項1から5のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物。
  7. 前記被膜形成対象部位はヒトの皮膚である
    請求項1から6のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物。
  8. 被膜形成対象部位に被膜を形成する被膜製造方法であって、
    被膜形成対象部位に被膜形成用組成物を直接的又は間接的に静電スプレーして繊維を含む堆積物からなる被膜を形成する被膜形成工程を具備し、
    前記被膜形成用組成物は、
    高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が1%以下の第1ポリマーと、
    高温多湿環境下(40℃90RH%下で24時間静置)での吸湿度が5%以上29%以下の第2ポリマーと
    を含む
    被膜製造方法。
  9. 前記被膜形成工程の前又は後に、前記被膜形成対象部位に製剤を適用する製剤適用工程
    を更に具備する
    請求項8に記載の被膜製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物と、
    前記被膜形成用組成物を用いた被膜形成の前又は後に前記被膜形成対象部位に適用される製剤と
    を備える被膜形成用キット。
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