JP2023176833A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Isao Kusuhara
光宏 泉
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Abstract

【課題】ON時電圧を低減させつつ、残留エネルギーを早期収束する技術を提供する。【解決手段】この内燃機関用点火装置1は、電圧シフト回路40を有する。電圧シフト回路40は、コイル接続端子41-第1接続点51間に第1ダイオードD1、コイル接続端子41-第2接続点52間に第1抵抗R1、第2接続点52-接地端子42間に第2ダイオードD2、第1接続点51-グラウンド間に第2抵抗R2、第1接続点51-第2接続点52間に並列にコンデンサC1およびツェナーダイオードZD、がそれぞれ接続される。ツェナーダイオードZDは第2接続点52から第1接続点51へ向かう方向を順方向とする。これにより、コンデンサに、ツェナーダイオードZDの降伏電圧相当の電荷が蓄積される。その結果、当該電圧分ON時電圧を低減するとともに、当該電荷により、点火プラグ周辺の容量成分による残留エネルギーを迅速に収束させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関用点火装置に関する。
内燃機関用点火コイルにおいては、コイルアセンブリの1次コイルに電流を流して磁界を発生させた後に電流を遮断することにより、自己誘導作用により2次コイルに高電圧を発生させる。このとき2次コイルに発生した高電圧によって、点火プラグにおいて放電が行われる。
従来の内燃機関用点火コイルについては、例えば、特許文献1に記載されている。図14には、このような内燃機関用点火コイルの簡易的な回路図が示されている。また、図15には、このような内燃機関用点火コイルの点火信号、2次コイルに流れる電流(2次電流)、および2次コイルの両端の電位差(2次電圧)の例が示されている。
特開2016-82193号公報
図14に示すような従来の内燃機関用点火コイルでは、イグナイタIgをONとして1次コイルCo1に電圧Voを一定時間供給した後に、イグナイタIgをOFFにする。すると、自己誘導作用によって、2次コイルCo2に高電圧が発生する(以下、この電圧を「放電時電圧」と称する)。これにより、点火プラグPgにおいて放電が生じる。
このとき、図15に示すように、イグナイタIgをONとした直後には、2次コイルCo2には、1次コイルCo1に供給された電圧よりも大きな電圧が生じる(以下、この電圧を「ON時電圧」と称する)。1次コイルCo1に供給する電圧が大きいほど、自己誘導作用によって2次コイルCo2に生じる放電時電圧が大きくなり、放電しやすくなる。一方で、1次コイルCo1に供給する電圧が大きいほど、2次コイルCo2に発生するON時電圧が大きくなり、ON時電圧によって放電が生じる可能性が高くなる。
例えば、水素を含めた燃料を使用する場合、水素は燃焼速度が速く、可燃範囲が広いため、着火しやすい。このため、ON時電圧による放電可能性が高くなる。また、アンモニア等の燃焼しにくい燃料を使用する場合、放電時電圧を大きくするために1次コイルCo1への供給電圧を大きくすると、ON時電圧も大きくなり、ON時電圧による放電可能性が高くなる。
また、図14に示すような従来の内燃機関用点火コイルでは、放電時に、点火プラグPgの周辺の容量成分に電荷が蓄積される。このため、図15に示すように、放電後、この残留エネルギーによって2次電圧の収束に時間がかかるという問題が生じる。
本発明の目的は、ON時電圧を低減させつつ、残留エネルギーを早期収束する技術を提供することである。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、内燃機関用点火装置であって、電磁結合された1次コイルおよび2次コイルを有するトランスと、前記1次コイルへの通電を制御する通電制御部と、前記2次コイルの高圧側端子とグラウンドとの間に電気的に接続され、内燃機関の燃焼室で着火動作を行う点火プラグと、前記2次コイルの低圧側端子と接続される電圧シフト回路と、を有し、前記電圧シフト回路は、前記2次コイルの前記低圧側端子と接続されるコイル接続端子と、グラウンドに接地される接地端子と、前記コイル接続端子と前記接地端子との間に配置される第1接続点および第2接続点と、一端が前記コイル接続端子に接続され、他端が前記第1接続点に接続され、前記コイル接続端子から前記第1接続点に向かう方向を順方向とする第1ダイオードと、一端が前記コイル接続端子に接続され、他端が前記第2接続点に接続される第1抵抗と、一端が前記第2接続点と接続され、他端が前記接地端子に接続され、前記第2接続点から前記接地端子へ向かう方向を順方向とする第2ダイオードと、一端が前記第1接続点と接続され、他端が接地される第2抵抗と、を有し、前記第1接続点と前記第2接続点との間には、第1分岐および第2分岐が並列に接続され、前記第1分岐は、コンデンサを含み、前記第2分岐は、前記第2接続点から前記第1接続点へ向かう方向を順方向とするツェナーダイオードを含む。
本願の第2発明は、第1発明の内燃機関用添加装置であって、前記第1接続点における電圧を計測する、イオン電流検出部をさらに有する。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の内燃機関用点火装置であって、前記第1接続点と前記第2接続点との間において、前記第1分岐および前記第2分岐と並列に接続される第3分岐をさらに有し、前記第1分岐において、前記コンデンサと、並列接続された第3ダイオードおよび第3抵抗と、が直列接続され、前記第2分岐において、前記第1接続点から前記第2接続点に向かって順に、第4抵抗、第3接続点、第4接続点および前記ツェナーダイオードが直列接続され、前記第3分岐は、第1MOSFET、第5抵抗、第6抵抗および第2MOSFETを含み、前記第1MOSFETは、PチャンネルMOSFETであり、前記第2MOSFETは、NチャンネルMOSFETであり、前記第1MOSFETのゲート端子は、前記第3接続点に接続され、前記第1MOSFETのソース端子は、前記第1接続点に接続され、前記第1MOSFETのドレイン端子は、前記第5抵抗の一端に接続され、前記第2MOSFETのゲート端子は、前記第5抵抗の他端および前記第6抵抗の一端に接続され、前記第2MOSFETのソース端子は、前記第2接続点に接続され、前記第2MOSFETのドレイン端子は、前記第4接続点に接続され、前記第6抵抗の他端は、前記第2接続点に接続される。
本願の第1発明~第3発明によれば、コンデンサに、ツェナーダイオードの降伏電圧相当の電荷が蓄積される。これにより、2次電圧を当該電圧分、低く保つことができる。その結果、放電時電圧を小さくすることなく、シフトされた電圧分ON時電圧を低減し、ON時電圧による放電を抑制できる。また、コンデンサには、放電時に点火プラグ周辺の容量成分に蓄積される電荷を打ち消す向きに、当該容量成分に蓄積される電荷よりも大きな電荷が蓄積される。このため、点火プラグ周辺の容量成分による残留エネルギーを迅速に収束させることができる。
特に、本願の第2発明によれば、コンデンサに蓄積された電荷によって、放電終了後に点火プラグに一定の電圧がかかる。これにより、プラグに流れるイオン電流を検出することができる。
特に、本願の第3発明によれば、点火プラグの放電中、コンデンサに電荷が蓄積された後にツェナーダイオードに流れる電流を抑制できる。したがって、ツェナーダイオードにおける電気エネルギーの消費が抑制される。
第1実施形態に係る内燃機関用点火装置の回路図である。 第1実施形態に係る内燃機関用点火装置における2次電圧波形の例を示した図である。 第1実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の開始直後における電流の流れを示した図である。 第1実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の開始後一定時間経過後における電流の流れを示した図である。 第1実施形態に係る内燃機関用点火装置内の待機期間における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置の回路図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置における2次電圧の例を示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の第1段階における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の第2段階における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の第3段階における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の第4段階における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の放電期間の第5段階における電流の流れを示した図である。 第2実施形態に係る内燃機関用点火装置内の待機期間における電流の流れを示した図である。 従来の内燃機関用点火装置の簡易的な回路図である。 従来の内燃機関用点火装置における点火信号、2次電流および2次電圧の例を示した図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.内燃機関用点火装置の構成>
本発明の第1実施形態となる内燃機関用点火装置1の構成について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る内燃機関用点火装置1の回路図である。なお、図1において、1次側の詳しい回路は省略している。
本実施形態の内燃機関用点火装置1は、例えば、自動車等の車両の車体に搭載され、内燃機関用の点火プラグ90に火花放電を発生させるための高電圧を印加する装置である。図1に示すように、内燃機関用点火装置1は、トランス20と、通電制御部30と、点火プラグ90と、電圧シフト回路40とを有する。
トランス20は、電磁結合された1次コイルL1および2次コイルL2を有する。2次コイルL2は、1次コイルL1よりも巻き数が大きい。2次コイルL2は、その両端部に、高圧側端子21と、低圧側端子22とを有する。
通電制御部30は、1次コイルL1への通電を制御する。通電制御部30は、バッテリ31と、ECU(Engine Control Unit)32と、イグナイタ33とを有する。
バッテリ31は、直流電力を充放電可能な電源装置(蓄電池)である。本実施形態では、バッテリ31は、トランス20の1次コイルL1およびイグナイタ33と、電気的に接続される。バッテリ31は、トランス20の1次コイルL1およびイグナイタ33に、直流電圧を供給する。
ECU32は、車体のトランスミッションやエアバックの作動等を総合的に制御する既存のコンピュータである。ECU32は、イグナイタ33に対して点火信号を出力し、イグナイタ33のON/OFF動作を制御する。
イグナイタ33は、1次コイルL1の通電を制御する。イグナイタ33は、例えば、IGBT(Insulated Gate Biopolar Transistor)などのスイッチング素子である。イグナイタ33は、ECU32から供給される点火信号に従ってON/OFFし、1次コイルL1の通電を制御する。
点火プラグ90は、内燃機関の燃焼室の内部に配置され、内燃機関の燃焼室で着火動作を実現するための装置である。点火プラグ90は、トランス20の2次コイルL2の高圧側端子21と、グラウンドとの間に電気的に接続される。すなわち、点火プラグ90の一端は、高圧側端子21に接続され、点火プラグ90の他端は、接地される。2次コイルL2の高圧側端子21に高電圧が誘起されると、点火プラグ90のギャップdにおいて放電が起こり、火花が発生する。これにより、内燃機関に充填された燃料に点火される。
電圧シフト回路40は、トランス20の2次コイルL2の低圧側端子22と接続される。電圧シフト回路40は、後述するコンデンサC1に蓄積される電荷によって、低圧側端子22の電位を、所定の負電位に維持することができる。
電圧シフト回路40は、コイル接続端子41と、接地端子42と、第1接続点51と、第2接続点52と、第1分岐61と、第2分岐62と、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、第1抵抗R1と、第2抵抗R2と、コンデンサC1と、ツェナーダイオードZDと、イオン電流検出部70とを有する。
コイル接続端子41は、2次コイルL2の低圧側端子22と接続される端子である。接地端子42は、グラウンドに接地される端子である。第1接続点51および第2接続点52は、コイル接続端子41と接地端子42との間に配置される接続点である。第1分岐61および第2分岐62は、第1接続点51と第2接続点52との間に並列に接続される。
第1ダイオードD1は、一端がコイル接続端子41に接続され、他端が第1接続点51に接続される。第1ダイオードD1は、コイル接続端子41から第1接続点51へ向かう方向を順方向とするダイオードである。
第2ダイオードD2は、一端が第2接続点52と接続され、他端が接地端子42と接続される。第2ダイオードD2は、第2接続点52から接地端子42へ向かう方向を順方向とするダイオードである。
第1抵抗R1は、一端がコイル接続端子41に接続され、他端が第2接続点52に接続される。
第2抵抗R2は、一端が第1接続点51と接続され、他端が接地される。
コンデンサC1は、第1分岐61に配置される。すなわち、第1分岐61は、コンデンサC1を含む。本実施形態では、コンデンサC1は、一端が第1接続点51に接続され、他端が第2接続点52に接続される。
ツェナーダイオードZDは、第2接続点52から第1接続点51へ向かう方向を順方向とするツェナーダイオードである。ツェナーダイオードZDは、所定の降伏電圧Vz[V]を超える逆方向の電圧がかかると、ツェナーダイオードZDにかかる電圧が降伏電圧Vz[V]に等しくなるように電流が流れる。
ツェナーダイオードZDは、第2分岐62に配置される。すなわち、第2分岐62は、ツェナーダイオードZDを含む。本実施形態では、ツェナーダイオードZDは、一端が第1接続点51に接続され、他端が第2接続点52に接続される。
イオン電流検出部70は、第1接続点51における電圧を計測する。これにより、第2抵抗R2を流れる電流の大きさを計測することができる。
<1-2.内燃機関用点火装置における2次電圧の変化>
続いて、図2~図5を参照しつつ、本実施形態の内燃機関用点火装置1における2次電圧の変化について説明する。以下では、2次コイルL2の高圧側端子21における電圧を、2次電圧V2として説明する。図2は、内燃機関用点火装置1における2次電圧V2の波形の例を示した図である。具体的には、図2は、内燃機関用点火装置1についてのシミュレーション結果である。図3~図5は、各タイミングにおける内燃機関用点火装置1内の電流の流れを示した図である。具体的には、図3は放電期間T2の開始直後、図4は放電期間T2の開始後一定時間経過後、図5は待機期間T3の期間における様子を示している。
内燃機関用点火装置1においては、
通電期間T1:1次コイルL1の通電
放電期間T2:点火プラグ90における放電
待機期間T3:残留エネルギー回収/イオン電流検出
を、ピストンの動きに合わせて繰り返すことによって、定期的に燃焼室内での燃焼を行い、内燃機関における吸入・圧縮・燃焼・排気のサイクルを繰り返す。
ここで、まず、従来の内燃機関用点火装置における2次電圧の変化について、図15を参照しつつ説明する。内燃機関用点火装置の使用開始直後、すなわち、1回目の通電期間T1の前は、2次電圧は0[V]である。
通電期間T1が開始され、1次コイルへ通電が開始されると、1次コイルに電圧が供給されるのに伴って2次コイルに電圧が生じる。ここで、通電開始直後に発生するON時電圧を、Von[V]とする。1次コイルへの通電が継続すると、トランス内の磁束の形成に伴って2次電圧V2は、Vonから次第に小さくなる。
通電期間T1が終了し、1次コイルへの電力供給が遮断されると、2次コイルには、ON時電圧と逆向き(マイナス)の高電圧が発生する。これにより、点火プラグに高電圧が印加され、点火プラグのギャップにおいて放電が生じる(放電期間T2)。その後、放電に伴ってトランスに形成された磁束が弱まり、次第に2次電流の絶対値が小さくなる。これにより、点火プラグにおける放電が終了する。
その後、待機期間T3では、点火プラグ90周辺の寄生容量に蓄積された残留エネルギーにより、しばらく、2次電圧はマイナス電位となる。2次電圧は、残留エネルギーの収束に伴って、0[V]へと収束する。
このように、期間T1,T2,T3のサイクルを繰り返すため、ON時電圧は常にVon[V]となる。
続いて、本実施形態の内燃機関用点火装置1における2次電圧V2の変化について、図2~図5を参照しつつ説明する。図2には、使用開始直後の2回のサイクルにおける2次電圧V2が示されている。
まず、内燃機関用点火装置1の使用開始直後、すなわち、1回目の通電期間T1の前には、2次コイルL2、点火プラグ90、電圧シフト回路40のいずれにも電荷の蓄積はなく、これらの全ての回路内の電位は0[V]である。すなわち、2次電圧V2も0[V]である。
通電期間T1が開始され、1次コイルL1へ通電が開始されると、1次コイルL1に電圧が供給されるのに伴って2次コイルL2に電圧が生じる。ここで、通電開始直後に2次コイルL2に発生する電圧をVon[V]とすると、低圧側端子22の電圧が0[V]であるため、2次電圧V2のON時電圧もVon[V]となる。1次コイルL1への通電が継続すると、トランス20内の磁束の形成に伴って2次電圧V2は、Von[V]から次第に小さくなる。
通電期間T1が終了し、1次コイルL1への電力供給が遮断されると、2次コイルL2には、ON時電圧と逆向きの高電圧が発生する。ここで、電力遮断直後の最大の2次電圧V2の値を-Vd[V]とする。これにより、点火プラグ90に高電圧のマイナス電圧が印加され、点火プラグ90のギャップにおいて放電が生じる(放電期間T2)。
放電期間T2には、点火プラグ90から2次コイルL2、電圧シフト回路40を通ってグラウンドへと電流が流れる。放電開始直後においては、コンデンサC1には電荷が蓄積されていない。このため、図3中に破線矢印で示すように、点火プラグ90から2次コイルL2を介して電圧シフト回路40へ流入した電流は、主に、コイル接続端子41、第1ダイオードD1、第1接続点51、コンデンサC1、第2接続点52、第2ダイオードD2、接地端子42を介してグラウンドへと流れる。
このように、コンデンサC1に電流が流れることにより、コンデンサC1には電荷が次第に蓄積される。このとき、コンデンサC1の第1接続点側の端子には正の電荷、第2接続点側の端子には負の電荷が蓄積される。そして、コンデンサC1に、ツェナーダイオードZDの降伏電圧Vz[V]相当の電荷が蓄積されると、第1接続点51と第2接続点52の間の電位差が降伏電圧Vz[V]となる。これにより、ツェナーダイオードZDの両端に降伏電圧Vz[V]の電圧がかかるため、ツェナーダイオードZDが降伏し、ツェナーダイオードZDにおいて、第1接続点51から第2接続点52へと向かう電流が流れる。
これにより、図4中に破線矢印で示すように、点火プラグ90から2次コイルL2を介して電圧シフト回路40へ流入した電流は、主に、コイル接続端子41、第1ダイオードD1、第1接続点51、ツェナーダイオードZD、第2接続点52、第2ダイオードD2、接地端子42を介してグラウンドへと流れる。
点火プラグ90において、しばらく放電されると、トランス20に形成された磁束が弱まり、次第に2次電圧V2の絶対値が小さくなる。これにより、点火プラグ90における放電が終了する。
その後、待機期間T3では、コンデンサC1に蓄積された電荷によって、第1接続点51と第2接続点52の間の電位差が降伏電圧Vz[V]となっている。具体的には、第2接続点52に対して第1接続点51の電位がVz[V]高くなっている。ここで、第1接続点51は、第2抵抗R2を介して接地されていることから、電流が流れていない状態において、第1接続点51の電位は0[V]となり、第2接続点52の電位が-Vz[V]となる。したがって、電流が流れていない状態において、第2接続点52と第1抵抗R1および2次コイルL2を介して接続される高圧側端子21における2次電圧V2は-Vz[V]となる。これにより、点火プラグ90に-Vz[V]のマイナス電圧が印加される。このとき、仮に点火プラグ90のギャップ間が通電すると、内燃機関用点火装置1には、図5中に破線矢印で示す向きに電流が流れる。
放電期間T2において、点火プラグ90で放電されると、燃焼室内に供給された燃料に引火し、燃焼室内で燃焼が始まる。このため、待機期間T3の初期においては、燃焼室内で燃焼が続いている。燃焼中、燃焼状態に応じて、ケミカルイオンやサーマルイオンが発生し、点火プラグ90のギャップ間に電流が流れやすい状態となる。このため、点火プラグ90間に一定の電圧を印加しておくと、これらのイオン濃度に応じて点火プラグ90間に電流が流れる。このような電流を、以下では「イオン電流」と称する。
上述の通り、コンデンサC1に蓄積された電荷によって、点火プラグ90のギャップ間に電位差が発生する。これによってイオン電流が生じると、図5中に破線矢印で示すように、点火プラグ90を流れるイオン電流は、2次コイルL2を介して電圧シフト回路40へ流入し、コイル接続端子41、第1抵抗R1、第2接続点52、コンデンサC1、第1接続点51、第2抵抗R2を介してグラウンドへと流れる。
待機期間T3において、イオン電流検出部70は、第1接続点51における電圧を計測する。これにより、イオン電流検出部70は、第2抵抗R2を流れるイオン電流の大きさを計測することができる。そして、計測したイオン電流の大きさから、燃焼室の内部の燃焼状態を推測することができる。
また、図2に示すように、待機期間T3において、コンデンサC1に蓄積された電荷により、2次電圧V2が、約-Vz[V]で安定する。
次の通電期間T1が開始され、1次コイルL1へ通電が開始されると、1次コイルL1に電圧が供給されるのに伴って2次コイルL2に電圧が生じる。この時、通電開始直後には、2次コイルL2の両端に、1回目のON時電圧と同じ電位差Von[V]が生じる。
ここで、2回目以降の通電期間T1においては、低圧側端子22の電圧が約-Vz[V]であるため、図2に示すように、2次電圧V2のON時電圧は、約Von-Vz[V]となる。すなわち、2回目以降の通電期間T1においては、2次電圧V2のON時電圧を約-Vz[V]低減することができる。
通電期間T1が終了し、1次コイルL1への電力供給が遮断されると、2次コイルL2には、ON時電圧と逆向きの高電圧が発生し、点火プラグ90に高電圧のマイナス電圧が印加され、点火プラグ90のギャップにおいて放電が生じる。2回目以降の放電期間T2においても、電力遮断直後の最大の2次電圧V2の値は、1回目の放電期間T2と同様に-Vd[V]となる。また、2回目以降の待機期間T3においては、1回目の待機期間T3と同様に、イオン電流検出部70におけるイオン電流の検出を行う。
このように、2回目以降のサイクルにおいて、放電時に点火プラグ90にかかる電圧(マイナス電圧の絶対値)を小さくすることなく、2次電圧V2のON時電圧を低減することができる。これにより、ON時電圧によって、点火プラグ90において誤って放電が生じることを抑制できる。
例えば、エンジンの始動時において、1回目のサイクルにおいては燃焼室に燃料を導入せず、2回目以降のサイクルにおいて燃焼室に燃料を導入してもよい。そうすれば、ON時電圧を低減できない1回目のサイクルにおいて、誤放電による燃焼が生じることを抑制できる。
また、放電期間T2において、点火プラグ90に電流が流れることにより、点火プラグ90周辺の容量成分には、電荷が蓄積される。具体的には、点火プラグ90の接地側には正の電荷、2次コイルL2側には負の電荷が蓄積される。この残留エネルギーが大きいと、図15の従来の例のように、放電後の待機期間T3に、2次電圧V2の収束に時間がかかるという問題が生じる。本実施形態では、コンデンサC1に、放電期間T2に、コンデンサC1の第1接続点側の端子には正の電荷、第2接続点側の端子には負の電荷が蓄積される。またコンデンサC1の静電容量(例えば数十μF)は、点火プラグ90周辺の寄生容量(例えば数十pF)と比べて十分大きい。このため、放電期間T2の終了後すぐに、点火プラグ90周辺の寄生容量に蓄積された電荷がコンデンサC1に吸収される。このように、コンデンサC1に蓄積された電荷によって、点火プラグ90周辺の残留エネルギーを迅速に収束させることができる。
<2.第2実施形態>
<2-1.内燃機関用点火装置の構成>
次に、本発明の第2実施形態となる内燃機関用点火装置1Aの構成について、図面を参照しつつ説明する。図6は、第2実施形態に係る内燃機関用点火装置1Aの回路図である。なお、図6において、1次側の詳しい回路は省略している。また、以下の説明および図6では、第1実施形態と同等の構成については、同じ符号を付している。
図6に示すように、内燃機関用点火装置1Aは、トランス20と、通電制御部30と、点火プラグ90と、電圧シフト回路40Aとを有する。トランス20、通電制御部30および点火プラグ90は、第1実施形態と同等であるため、説明を省略する。
電圧シフト回路40Aは、トランス20の2次コイルL2の低圧側端子22と接続される。電圧シフト回路40Aは、後述するコンデンサC1に蓄積される電荷によって、低圧側端子22の電位を、所定の負電位に維持することができる。
電圧シフト回路40Aは、コイル接続端子41と、接地端子42と、第1接続点51と、第2接続点52と、第3接続点53と、第4接続点54と、第1分岐61と、第2分岐62と、第3分岐63と、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、第3ダイオードD3と、第1抵抗R1と、第2抵抗R2と、第3抵抗R3と、第4抵抗R4と、第5抵抗R5と、第6抵抗R6と、コンデンサC1と、ツェナーダイオードZDと、第1MOSFET81と、第2MOSFET82と、イオン電流検出部70とを有する。
コイル接続端子41は、2次コイルL2の低圧側端子22と接続される端子である。接地端子42は、グラウンドに接地される端子である。第1接続点51および第2接続点52は、コイル接続端子41と接地端子42との間に配置される接続点である。第1分岐61、第2分岐62および第3分岐63は、第1接続点51と第2接続点52との間に並列に接続される。第3接続点53および第4接続点54は、第2分岐62に含まれる接続点である。
第1ダイオードD1は、一端がコイル接続端子41に接続され、他端が第1接続点51に接続される。第1ダイオードD1は、コイル接続端子41から第1接続点51へ向かう方向を順方向とする。
第2ダイオードD2は、一端が第2接続点52と接続され、他端が接地端子42と接続される。第2ダイオードD2は、第2接続点52から接地端子42へ向かう方向を順方向とする。
第1抵抗R1は、一端がコイル接続端子41に接続され、他端が第2接続点52に接続される。
第2抵抗R2は、一端が第1接続点51と接続され、他端が接地される。
第1分岐61には、コンデンサC1と、第3ダイオードD3と、第3抵抗R3とが含まれる。第1分岐61において、コンデンサC1と、並列接続された第3ダイオードD3および第3抵抗R3とが、直列接続される。第3ダイオードD3は、第1接続点51から第2接続点52へ向かう方向を順方向とする。
本実施形態では、コンデンサC1は、一端が第1接続点51に接続され、他端が第3ダイオードD3の一端と、第3抵抗R3の一端と接続される。また、第3ダイオードD3の他端と、第3抵抗R3の他端とは、第2接続点52に接続される。このように、本実施形態では、コンデンサC1が第3ダイオードD3および第3抵抗R3よりも第1接続点51側に配置されるが、コンデンサC1は、第3ダイオードD3および第3抵抗R3よりも第2接続点52側に接続されてもよい。
第2分岐62は、第4抵抗R4、第3接続点53、第4接続点54およびツェナーダイオードZDを含む。第2分岐62には、第1接続点51から第2接続点52に向かって順に、第4抵抗R4、第3接続点53、第4接続点54およびツェナーダイオードZDが直列接続される。
ツェナーダイオードZDは、第2接続点52から第1接続点51へ向かう方向を順方向とするツェナーダイオードである。ツェナーダイオードZDは、所定の降伏電圧Vz[V]を超える逆方向の電圧がかかると、ツェナーダイオードZDにかかる電圧が降伏電圧Vz[V]に等しくなるように電流が流れる。
第3分岐63は、第1MOSFET81、第5抵抗R5、第6抵抗R6および第2MOSFET82を含む。第3分岐63において、第1接続点51から第2接続点52に向かって順に、第1MOSFET81のソース端子、第1MOSFET81のドレイン端子、第5抵抗R5、第2MOSFET82のゲート端子、および、第2MOSFET82のソース端子が直列接続される。
第1MOSFET81は、PチャンネルMOSFETである。第1MOSFET81のゲート端子は、第3接続点53に接続される。第1MOSFET81のソース端子は、第1接続点51に接続される。第1MOSFET81のドレイン端子は、第5抵抗R5の一端に接続される。
第2MOSFET82は、NチャンネルMOSFETである。第2MOSFET82のゲート端子は、第5抵抗R5の他端および第6抵抗R6の一端に接続される。第2MOSFET82のソース端子は、第2接続点52に接続される。第2MOSFET82のドレイン端子は、第4接続点54に接続される。
第5抵抗R5は、第3分岐63において、第1MOSFET81のドレイン端子と第2MOSFET82のゲート端子との間に接続される。すなわち、第5抵抗R5の一端は、第1MOSFET81のドレイン端子に接続される。また、第5抵抗R5の他端は、第2MOSFET82のゲート端子および第6抵抗R6の一端に接続される。
第6抵抗R6の両端は、第2MOSFET82のゲート端子とソース端子との間に接続される。すなわち、第6抵抗R6の一端は、第5抵抗R5の他端と、第2MOSFET82のゲート端子とに接続される。第6抵抗R6の他端は、第2接続点52に接続される。
第1MOSFET81は、ソース端子に対してゲート端子に、閾値電圧を超えるマイナスの電圧が印加されると、ソース端子からドレイン端子へ向かう電流が流れる。このため、第4抵抗R4に第1接続点51から第2接続点52へ向かう方向の電流が流れ、第4抵抗R4の両端の電位差が第1MOSFET81の閾値電圧を超えると、第1MOSFET81にソース端子からドレイン端子へ向かう電流が流れる。
第2MOSFET82は、ソース端子に対してゲート端子に、閾値電圧を超えるプラスの電圧が印加されると、ドレイン端子からソース端子へ向かう電流が流れる。このため、第6抵抗R6に、第1接続点51から第2接続点52へ向かう方向の電流が流れて(すなわち、第5抵抗R5と接続される一端から第2接続点52と接続される他端へと向かう方向の電流が流れて)、第6抵抗R6の両端の電位差が第2MOSFET82の閾値電圧を超えると、第2MOSFET82にドレイン端子からソース端子へ向かう電流が流れる。
イオン電流検出部70は、第1接続点51における電圧を計測する。これにより、第2抵抗R2を流れる電流の大きさを計測することができる。
<2-2.内燃機関用点火装置における2次電圧の変化>
続いて、図7~図14を参照しつつ、本実施形態の内燃機関用点火装置1Aにおける2次電圧の変化について説明する。以下では、2次コイルL2の高圧側端子21における電圧を、2次電圧V2として説明する。図7は、内燃機関用点火装置1における2次電圧V2の波形の例を示した図である。具体的には、図7は、内燃機関用点火装置1Aについてのシミュレーション結果である。図8~図14は、各タイミングにおける内燃機関用点火装置1内の電流の流れを示した図である。具体的には、図8は放電期間T2の第1段階、図9は放電期間T2の第2段階、図10は放電期間T2の第3段階、図11は、放電期間T2の第4段階、図12は、放電期間T2の第5段階、図13は、待機期間T3における様子を示している。
内燃機関用点火装置1Aにおいては、第1実施形態と同様、
通電期間T1:1次コイルL1の通電
放電期間T2:点火プラグ90における放電
待機期間T3:残留エネルギー回収/イオン電流検出
を、ピストンの動きに合わせて繰り返すことによって、定期的に燃焼室内での燃焼を行い、内燃機関における吸入・圧縮・燃焼・排気のサイクルを繰り返す。
本実施形態の内燃機関用点火装置1Aにおける2次電圧V2の変化について、図8~図14を参照しつつ説明する。図8には、使用開始直後の2回のサイクルにおける2次電圧V2が示されている。
まず、内燃機関用点火装置1Aの使用開始直後、すなわち、1回目の通電期間T1の前には、2次コイルL2、点火プラグ90、電圧シフト回路40のいずれにも電荷の蓄積はなく、これらの全ての回路内の電位は0[V]である。すなわち、2次電圧V2も0[V]である。
通電期間T1が開始され、1次コイルL1へ通電が開始されると、1次コイルL1に電圧が供給されるのに伴って2次コイルL2に電圧が生じる。ここで、通電開始直後に2次コイルL2に発生する電圧をVon[V]とすると、低圧側端子22の電圧が0[V]であるため、2次電圧V2のON時電圧もVon[V]となる。1次コイルL1への通電が継続すると、トランス20内の磁束の形成に伴って2次電圧V2は、Von[V]から次第に小さくなる。
通電期間T1が終了し、1次コイルL1への電力供給が遮断されると、2次コイルL2には、ON時電圧と逆向きの高電圧が発生する。ここで、電力遮断直後の最大の2次電圧V2の値を-Vd[V]とする。これにより、点火プラグ90に高電圧のマイナス電圧が印加され、点火プラグ90のギャップにおいて放電が生じる(放電期間T2)。
放電期間T2には、点火プラグ90から2次コイルL2、電圧シフト回路40Aを通ってグラウンドへと電流が流れる。図8に示す放電開始直後の放電期間T2の第1段階においては、コンデンサC1には電荷が十分に蓄積されていない。このとき、ツェナーダイオードZDの逆方向であるため、第2分岐62には、第1接続点51から第2接続点52へ向かう方向の電流が流れない。また、第1MOSFET81のソース-ゲート間の電位差がないため、第3分岐63には電流が流れない。
このため、図8中に破線矢印で示すように、点火プラグ90から2次コイルL2を介して電圧シフト回路40Aへ流入した電流は、主に、コイル接続端子41、第1ダイオードD1、第1接続点51、コンデンサC1、第3ダイオードD3、第2接続点52、第2ダイオードD2、接地端子42を介してグラウンドへと流れる。
このように、コンデンサC1に電流が流れることにより、コンデンサC1には電荷が次第に蓄積される。このとき、コンデンサC1の第1接続点側の端子には正の電荷、第2接続点側の端子には負の電荷が蓄積される。そして、コンデンサC1に、ツェナーダイオードZDの降伏電圧Vz[V]相当の電荷が蓄積されると、第1接続点51と第2接続点52の間の電位差が降伏電圧Vz[V]となる。これにより、図9に示す放電期間T2の第2段階へと移行する。
図9に示す放電期間T2の第2段階では、ツェナーダイオードZDの両端に降伏電圧Vz[V]の電圧がかかるため、ツェナーダイオードZDが降伏し、ツェナーダイオードZDにおいて、第1接続点51から第2接続点52へと向かう電流が流れる。
図9中に破線矢印で示すように、点火プラグ90から2次コイルL2を介して電圧シフト回路40Aへ流入した電流は、主に、コイル接続端子41、第1ダイオードD1、第1接続点51、第4抵抗R4、ツェナーダイオードZD、第2接続点52、第2ダイオードD2、接地端子42を介してグラウンドへと流れる。このとき、第4抵抗R4に電流が流れることにより、図10に示す放電期間T2の第3段階へと移行する。
図10に示す放電期間T2の第3段階では、第4抵抗R4に第1接続点51から第2接続点52へと向かう方向の電流が流れることにより、第4抵抗R4の両端の電位差が第1MOSFET81の閾値電圧を超え、第1MOSFET81にソース端子からドレイン端子へ向かう電流が流れる。これにより、第2分岐62だけでなく、第3分岐63にも第1接続点51から第2接続点52へと向かう方向の電流が流れる。
具体的には、図10中に破線矢印で示すように、点火プラグ90から2次コイルL2を介して電圧シフト回路40Aへ流入し、コイル接続端子41および第1ダイオードD1を通った電流の一部が、第1接続点51から第1MOSFET81、第5抵抗R5、第6抵抗R6、第2接続点52、第2ダイオードD2、接地端子42を介してグラウンドへと流れる。ここで、第6抵抗R6に電流が流れることにより、図11に示す放電期間T2の第4段階へと移行する。
図11に示す放電期間T2の第4段階では、第6抵抗R6に第1接続点51から第2接続点52へと向かう方向の電流が流れることにより、第6抵抗R6の両端の電位差が第2MOSFET82の閾値電圧を超え、第2MOSFET82にドレイン端子からソース端子へ向かう電流が流れる。これにより、図11中に破線矢印で示すように、第2分岐62において、第1接続点51から第4抵抗R4および第3接続点53を介して第4接続点54まで流れた電流の一部が、第2MOSFET82を介して第2接続点52へと流れる。
点火プラグ90において、しばらく放電されると、トランス20に形成された磁束が弱まり、次第に2次電圧V2の絶対値が小さくなるとともに、電圧シフト回路40Aへと流入する電流が小さくなる。これにより、第4抵抗R4および第6抵抗R6に流れる電流も小さくなり、第1MOSFET81および第2MOSFET82のソース-ゲート間電圧も小さくなる。その結果、第1MOSFET81および第2MOSFET82において、ソース-ドレイン間に電流が流れなくなり、図12に示す放電期間T2の第5段階へと移行する。
図12に示す放電期間T2の第5段階では、図9に示す放電期間T2の第2段階と同様に、主に第2分岐62に電流が流れる。その後、さらに放電が継続すると、さらに2次電圧V2が小さくなり、点火プラグ90における放電が終了する。
続いて、待機期間T3では、コンデンサC1に蓄積された電荷によって、第1接続点51と第2接続点52の間の電位差がおおよそVz[V]となる。これにより、高圧側端子21における2次電圧V2は約-Vz[V]となる。これにより、点火プラグ90に約-Vz[V]のマイナス電圧が印加される。
第1実施形態と同様、点火プラグ90に印加されたこのマイナス電圧によって、待機期間T3中、燃焼室内の燃焼状態に応じて、点火プラグ90のギャップ間にイオン電流が流れる。イオン電流が生じると、図13中に破線矢印で示すように、点火プラグ90を流れるイオン電流は、2次コイルL2を介して電圧シフト回路40Aへ流入し、コイル接続端子41、第1抵抗R1、第2接続点52、第3抵抗R3、コンデンサC1、第1接続点51、第2抵抗R2を介してグラウンドへと流れる。
待機期間T3において、イオン電流検出部70は、第1接続点51における電圧を計測する。これにより、イオン電流検出部70は、第2抵抗R2を流れるイオン電流の大きさを計測することができる。そして、計測したイオン電流の大きさから、燃焼室の内部の燃焼状態を推測することができる。
また、図7に示すように、待機期間T3において、コンデンサC1に蓄積された電荷により、2次電圧V2が、約-Vz[V]で安定する。
次の通電期間T1が開始され、1次コイルL1へ通電が開始されると、1次コイルL1に電圧が供給されるのに伴って2次コイルL2に電圧が生じる。この時、通電開始直後には、2次コイルL2の両端に、1回目のON時電圧と同じ電位差Von[V]が生じる。
ここで、2回目以降の通電期間T1においては、低圧側端子22の電圧が約-Vz[V]であるため、図2に示すように、2次電圧V2のON時電圧は、約Von-Vz[V]となる。すなわち、2回目以降の通電期間T1においては、2次電圧V2のON時電圧を約-Vz[V]低減することができる。
通電期間T1が終了し、1次コイルL1への電力供給が遮断されると、2次コイルL2には、ON時電圧と逆向きの高電圧が発生し、点火プラグ90に高電圧のマイナス電圧が印加され、点火プラグ90のギャップにおいて放電が生じる。2回目以降の放電期間T2においても、電力遮断直後の最大の2次電圧V2の値は、1回目の放電期間T2と同様に-Vd[V]となる。また、2回目以降の待機期間T3においては、1回目の待機期間T3と同様に、イオン電流検出部70におけるイオン電流の検出を行う。
このように、第1実施形態と同様、2回目以降のサイクルにおいて、放電時に点火プラグ90にかかる電圧(マイナス電圧の絶対値)を小さくすることなく、2次電圧V2のON時電圧を低減することができる。これにより、ON時電圧によって、点火プラグ90において誤って放電が生じることを抑制できる。
上記の第1実施形態においては、放電期間T2の開始後、コンデンサC1の電荷がツェナーダイオードZDの降伏電圧Vz[V]に達すると、放電期間T2のその後の期間はずっと、ツェナーダイオードZDに電流が流れる。このため、ツェナーダイオードZDにおいて発熱が生じ、電気エネルギーが消費される。これに対し、この第2実施形態では、コンデンサC1の電荷がツェナーダイオードZDの降伏電圧Vz[V]に達した後、すぐに図10および図11に示す放電期間T2の第3段階および第4段階へと移行し、ツェナーダイオードZDに流れる電流を小さくできる。したがって、ツェナーダイオードZDにおける電気エネルギーの消費が抑制される。
なお、図11に示す放電期間T2の第4段階において、第2MOSFET82がON状態となると、第2分岐62および第3分岐63において第1接続点51から第2接続点52へと流れる電流量が増す。これにより、コンデンサC1に蓄積された電荷が放出され、第1分岐61に、第3抵抗R3およびコンデンサC1を介して第2接続点52から第1接続点51へ向かう方向の電流が生じる。このとき、電流が第3抵抗R3を通ることにより、コンデンサC1の電荷の放出を抑制できる。
本実施形態では、この第3抵抗R3には、第3ダイオードD3が並列接続されている。これにより、図8に示す放電期間T2の第1段階においてコンデンサC1に電荷を蓄積する際には、第3抵抗R3を介さず、第3ダイオードD3を介して電流を流すことができる。すなわち、放電期間T2の第1段階において、第1分岐61における抵抗を小さくできる。
また、図11に示す放電期間T2の第4段階において、コンデンサC1の電荷が放出されてVz[V]よりも小さくなった場合、図11に示す放電期間T2の第4段階から、図12に示す放電期間T2の第5段階への移行時に、一時的に図8に示す放電期間TA2の第1段階と同様に、第1分岐61に第1接続点51から第2接続点52へと電流が流れてコンデンサC1の電荷が蓄積する。したがって、その後の待機期間T3において、イオン電流検出部70におけるイオン電流の検出を安定的に行うことができる。
また、上記の第1実施形態と同様、この第2実施形態においても、放電期間T2において点火プラグ90周辺の容量成分に蓄積した残留エネルギーを、コンデンサC1に蓄積した電荷によって、迅速に収束させることができる。
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
本発明の内燃機関用点火装置は、自動車等の車両のみならず、発電機等の様々な装置や産業機械に搭載されて、内燃機関の点火プラグに電気火花を発生させて燃料を点火させるために使用されるものであればよい。
上記の内燃機関用点火装置の細部の形状や構造は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1,1A 内燃機関用点火装置
20 トランス
21 高圧側端子
22 低圧側端子
30 通電制御部
40,40A 電圧シフト回路
41 コイル接続端子
42 接地端子
51 第1接続点
52 第2接続点
53 第3接続点
54 第4接続点
61 第1分岐
62 第2分岐
63 第3分岐
70 イオン電流検出部
81 第1MOSFET
82 第2MOSFET
90 点火プラグ
C1 コンデンサ
D1 第1ダイオード
D2 第2ダイオード
D3 第3ダイオード
L1 1次コイル
L2 2次コイル
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第3抵抗
R4 第4抵抗
R5 第5抵抗
R6 第6抵抗
ZD ツェナーダイオード

Claims (3)

  1. 内燃機関用点火装置であって、
    電磁結合された1次コイルおよび2次コイルと有するトランスと、
    前記1次コイルへの通電を制御する通電制御部と、
    前記2次コイルの高圧側端子とグラウンドとの間に電気的に接続され、内燃機関の燃焼室で着火動作を行う点火プラグと、
    前記2次コイルの低圧側端子と接続される電圧シフト回路と、
    を有し、
    前記電圧シフト回路は、
    前記2次コイルの前記低圧側端子と接続されるコイル接続端子と、
    グラウンドに接地される接地端子と、
    前記コイル接続端子と前記接地端子との間に配置される第1接続点および第2接続点と、
    一端が前記コイル接続端子に接続され、他端が前記第1接続点に接続され、前記コイル接続端子から前記第1接続点に向かう方向を順方向とする第1ダイオードと、
    一端が前記コイル接続端子に接続され、他端が前記第2接続点に接続される第1抵抗と、
    一端が前記第2接続点と接続され、他端が前記接地端子に接続され、前記第2接続点から前記接地端子へ向かう方向を順方向とする第2ダイオードと、
    一端が前記第1接続点と接続され、他端が接地される第2抵抗と、
    を有し、
    前記第1接続点と前記第2接続点との間には、第1分岐および第2分岐とが並列に接続され、
    前記第1分岐は、コンデンサを含み、
    前記第2分岐は、前記第2接続点から前記第1接続点へ向かう方向を順方向とするツェナーダイオードを含む、内燃機関用点火装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記第1接続点における電圧を計測する、イオン電流検出部
    をさらに有する、内燃機関用点火装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火装置であって、
    前記第1接続点と前記第2接続点との間において、前記第1分岐および前記第2分岐と並列に接続される第3分岐をさらに有し、
    前記第1分岐において、
    前記コンデンサと、
    並列接続された第3ダイオードおよび第3抵抗と、
    が直列接続され、
    前記第2分岐において、前記第1接続点から前記第2接続点に向かって順に、第4抵抗、第3接続点、第4接続点および前記ツェナーダイオードが直列接続され、
    前記第3分岐は、第1MOSFET、第5抵抗、第6抵抗および第2MOSFETを含み、
    前記第1MOSFETは、PチャンネルMOSFETであり、
    前記第2MOSFETは、NチャンネルMOSFETであり、
    前記第1MOSFETのゲート端子は、前記第3接続点に接続され、
    前記第1MOSFETのソース端子は、前記第1接続点に接続され、
    前記第1MOSFETのドレイン端子は、前記第5抵抗の一端に接続され、
    前記第2MOSFETのゲート端子は、前記第5抵抗の他端および前記第6抵抗の一端に接続され、
    前記第2MOSFETのソース端子は、前記第2接続点に接続され、
    前記第2MOSFETのドレイン端子は、前記第4接続点に接続され、
    前記第6抵抗の他端は、前記第2接続点に接続される、内燃機関用点火装置。
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