JP2023176254A - スプロケット - Google Patents

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Abstract

【課題】ダブルピッチチェーンのローラを掴みやすくする。【解決手段】ダブルピッチチェーンのローラ径d1、スプロケットの1回転当たりにローラと噛み合う作用歯数Z2、ダブルピッチチェーンのピッチP2として、(i)歯底円弧12aの半径R=(1.005d1+0.076)/2、(ii)歯元円弧12bの半径E=1.3025d1+0.038、(iii)歯底円弧12aの中心aを通り且つその中心aを通るスプロケット半径方向線BLに直交する基準方向線RLに対する、歯底円弧12aの中心aと歯先円弧16の中心bとを結ぶ方向線abの角度D=90°/Z2、(iv)歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの距離G=α・d1、(v)歯先外径da=ピッチ円直径+P2/2×(0.6-tan(90°/Z2)とし、(vi) α>1.4とすることで、山部14が備える対の歯先円弧16,16同士の理論交点19を、歯先外径ODで規定される軸心c周りの外形円18よりも外側に設定した。【選択図】図1

Description

この発明は、スプロケットに関するものである。
従来から、動力を伝達する手段として、チェーンとスプロケットを用いたチェーン伝動装置が広く使用されている。
チェーン伝動装置に用いられるチェーン及びスプロケットの規格として、例えば、日本工業規格(JIS B1801-1997)には、チェーン及びスプロケットの歯形(S歯形及びU歯形)が規定されている(非特許文献1参照)。さらに、ダブルピッチチェーン用スプロケットの規格として、例えば、日本工業規格(JIS B1803-2012)がある(非特許文献2参照)。
これらの規格によって定められる歯型の外形は、図11及び図12に示すように、谷部2の底部を構成する歯底円弧2aと、歯底円弧2aの両端に接続される歯元円弧2bと、山部4の頂部5に至る歯先円弧6と、歯元円弧2bと歯先円弧6とを結ぶ直線状の接続部2cとを備えた形状である。
ところで、通常のチェーンの2倍のピッチを備え、スプロケットの歯に対して1つ置きの歯に噛み合うダブルピッチチェーンがある。以下に、ダブルピッチチェーンを用途とするスプロケットに関し、S歯型に関するJIS B1801-1997の規定、及び、ダブルピッチチェーン用スプロケットに関するJIS B1803-2012の規定を適用した場合の諸元を要約して示す。なお、各算定式冒頭の括弧付きの符号及び算定式中の符号(図11及び図12に対応)は便宜的に付したものであり、実際のJISの規定に用いられている符号とは異なる符号を用いている箇所がある。
すなわち、歯底円弧2aと、歯元円弧2bと、歯先円弧6、及び、接続部2cに関し、ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z(このとき通常チェーンに相当する作用歯数Z=2Z)、ダブルピッチチェーンのピッチP(このとき通常チェーンに相当する作用歯数P=P/2)として、
(i) 歯底円弧2aの半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧2bの半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧2aの中心aを通り且つその中心aを通るスプロケット半径方向線BLに直交する基準方向線RLに対する、歯底円弧2aの中心aと歯先円弧6の中心bとを結ぶ方向線abの角度C=180°/Z=90°/Z
(iv) 歯底円弧2aの中心aから歯先円弧6の中心bまでの距離G=ab=1.4d1
(v) 歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
歯先外径daに関し、例えば、通常チェーン対応の40B19Tのスプロケットの歯先外径daと、ダブルピッチチェーン対応の2040B9.5Tのスプロケットの歯先外径daは同じである。これは、40B19TのピッチP=12.7、歯数Z=19に対して、2040B9.5TのピッチP=25.4、作用歯数(実効歯数)Z=9.5(割出歯数19に相当)であることに基づく。なお、歯底円弧2aの最底部を基準とする歯底径(直径)RDは、歯底円弧2aの中心aから歯底円弧2aの半径Rだけ内径側へ入った点とスプロケットの軸心とを結ぶ半径の2倍であり、ピッチ円直径(以下、PCD(直径)と称する。)は、チェーンのピッチP、スプロケットの実際の歯数をTとしたときに、一辺の長さがp、頂点の数がTである正多角形に外接する円の直径として、
PCD(直径)=P/(sin(180°/T))
(PCD:Pitch Circle Diameter/ピッチサークル・ダイアメータ)
で表される。なお、歯底円弧2aの中心aとPCDのラインとは必ずしも一致しない。
上記のような規格で規定されたスプロケットの歯型を改良した技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
JIS B1801-1997 JIS B1803-2012
特開平9-273514号公報
前述のように、非特許文献2のJIS B1803-2012によれば、1つ置きの歯にチェーンのローラが噛み合う、いわゆるダブルピッチチェーン用スプロケットの基本歯型を、S歯型又はISO歯型とする旨が規定されている。また、ダブルピッチチェーン用スプロケットに用いられるS歯型の寸法は、JIS B1801の計算式によると規定され、ただし、小型ローラ用スプロケットの場合、式中のZには作用歯数(前述のダブルピッチチェーン用スプロケットの作用歯数Z)の値を用いることとされている(非特許文献2の第23頁、A.4.基本歯形参照)。ここで、ダブルピッチチェーン用スプロケットの作用歯数Zとは、スプロケットが1回転する間にダブルピッチチェーンと噛み合う歯数、すなわち、実際にスプロケットの外周に形成されている歯の数の1/2に相当すると記載されている(非特許文献2の第19頁、A.2.種類(b)参照)。
これによると、歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z)・・・(前述の(v)式)となる。この歯先外径daの寸法を、以下、ODと表現する。すなわち、da=ODである(JIS B1803-2012の第20頁 A.3 径方向寸法の表A.1 径方向寸法 S歯型参照。)
ここで、前述のJIS B1801-1997の規定によると、図11及び図12に示すように、歯底円弧2aの中心aから歯先円弧6の中心bまでの直線距離Gは、
=ab=1.4d・・・(前述の(iv)式)
となる。そうすると、JISの規定に基づいて設定される(中心bを円の中心として形成される)歯先円弧6,6同士は、スプロケットの歯先外径ODで規定される軸心c周りの歯先外形円8よりも内側に位置する頂部5で交差してしまうという問題がある。歯先円弧6,6同士が、スプロケットの歯先外径ODよりも内径側で交差すると、図11及び図12に示すように、その交差部の歯先(山部の頂部)が先鋭で且つ低い形状となる。また、歯先円弧6,6の半径が小さいことから、チェーンのローラを掴みにくくなるという問題もある。山部の頂部は、所定の高さを有し、且つ、周方向に沿って伸びるフラットな形状であることが望ましい。
そこで、この発明の課題は、ダブルピッチチェーン用スプロケットにおいて、チェーンのローラを掴みやすくすることである。
上記の課題を解決するために、この発明は、軸心周りの外周に沿って山部と谷部とが交互に形成され、前記山部は、その頂部に至る歯先円弧を備え、前記谷部は、底部を構成する歯底円弧と、前記歯底円弧の両端に接続される歯元円弧と、前記歯元円弧と前記歯先円弧とを結ぶ接続部とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うダブルピッチチェーン用スプロケットにおいて、
前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
(i) 歯底円弧の半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧の半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧の中心を通り且つその中心を通るスプロケット半径方向線に直交する基準方向線に対する、歯底円弧の中心と歯先円弧の中心とを結ぶ方向線の角度C=90°/Z
(iv) 歯底円弧の中心から歯先円弧の中心までの距離G=α・d
(v) 歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
とし、
(vi) α>1.4
とすることで、前記山部が備える対の前記歯先円弧同士の理論交点を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心周りの歯先外形円よりも外側に設定したことを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケットを採用した。ここで、1.4<α≦2.0に設定されていることがさらに好ましい。
また、前記ダブルピッチチェーンのピッチP=25.4(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=7.92(mm)とした場合に、
[1]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
[2]作用歯数Z=7、且つ、2.05≧α≧1.47
[3]作用歯数Z=7.5、且つ、1.99≧α≧1.45
[4]作用歯数Z=8、且つ、1.94≧α≧1.44
[5]作用歯数Z=8.5、且つ、1.90≧α≧1.43
[6]作用歯数Z=9、且つ、1.87≧α≧1.42
[7]作用歯数Z=9.5、且つ、1.84≧α≧1.41
上記[1]~[7]のいずれか一つを採用することができる。
また、前記ダブルピッチチェーンのピッチP=31.75(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=10.16(mm)とした場合に、
[11]作用歯数Z=6.5、且つ、2.18≧α≧1.53
[12]作用歯数Z=7、且つ、2.10≧α≧1.51
[13]作用歯数Z=7.5、且つ、2.04≧α≧1.49
[14]作用歯数Z=8、且つ、1.99≧α≧1.48
[15]作用歯数Z=8.5、且つ、1.94≧α≧1.46
[16]作用歯数Z=9、且つ、1.91≧α≧1.45
[17]作用歯数Z=9.5、且つ、1.87≧α≧1.44
[18]作用歯数Z=10、且つ、1.84≧α≧1.43
[19]作用歯数Z=10.5、且つ、1.82≧α≧>1.43
[20]作用歯数Z=11、且つ、1.79≧α≧1.42
[21]作用歯数Z=11.5、且つ、1.77≧α≧1.41
[22]作用歯数Z=12、且つ、1.76≧α≧1.41
上記[11]~[22]のいずれか一つを採用することができる。
前記ダブルピッチチェーンのピッチP=38.1(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=11.91(mm)とした場合に、
[31]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
[32]作用歯数Z=7、且つ、2.05≧α≧1.47
[33]作用歯数Z=7.5、且つ、2.00≧α≧1.46
[34]作用歯数Z=8、且つ、1.95≧α≧1.44
[35]作用歯数Z=8.5、且つ、1.91≧α≧1.43
[36]作用歯数Z=9、且つ、1.87≧α≧1.42
[37]作用歯数Z=9.5、且つ、1.84≧α≧1.41
上記[31]~[37]のいずれか一つを採用することができる。
前記ダブルピッチチェーンのピッチP=50.8(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=15.88(mm)とした場合に、
[41]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
[42]作用歯数Z=7、2.05≧α≧1.47
[43]作用歯数Z=7.5、1.99≧α>1.46
[44]作用歯数Z=8、1.95≧α≧1.44
[45]作用歯数Z=8.5、1.90≧α≧1.43
[46]作用歯数Z=9、1.87≧α≧1.42
[47]作用歯数Z=9.5、1.84≧α≧1.41
上記[41]~[47]のいずれか一つを採用することができる。
前記ダブルピッチチェーンのピッチP=63.5(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=19.05(mm)とした場合に、
[51]作用歯数Z=6.5、且つ、2.04≧α≧1.45
[52]作用歯数Z=7、且つ、1.98≧α≧1.43
[53]作用歯数Z=7.5、且つ、1.93≧α≧1.42
上記[51]~[53]のいずれか一つを採用することができる。
また、上記の課題を解決するために、この発明は、軸心周りの外周に沿って山部と谷部とが交互に形成され、前記山部は、その頂部に至る歯先円弧を備え、前記谷部は、底部を構成する歯底円弧と、前記歯底円弧の両端に接続される歯元円弧と、前記歯元円弧と前記歯先円弧とを結ぶ接続部とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うスプロケットの設計方法において、
前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
(i) 歯底円弧の半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧の半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧の中心を通り且つその中心を通るスプロケット半径方向線に直交する基準方向線に対する、歯底円弧の中心と歯先円弧の中心とを結ぶ方向線の角度C=90°/Z
(iv) 歯底円弧の中心から歯先円弧の中心までの距離G=α・d
(v) 歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
とし、
(vi) α>1.4
とすることで、前記山部が備える対の前記歯先円弧同士の理論交点を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心周りの外形円よりも外側に設定することを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケットの設計方法を採用した。
さらに、上記の課題を解決するために、この発明は、軸心周りの外周に沿って山部と谷部とが交互に形成され、前記山部は、その頂部に至る歯先円弧を備え、前記谷部は、底部を構成する歯底円弧と、前記歯底円弧の両端に接続される歯元円弧と、前記歯元円弧と前記歯先円弧とを結ぶ接続部とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うスプロケットの製造方法において、
前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
(i) 歯底円弧の半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧の半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧の中心を通り且つその中心を通るスプロケット半径方向線に直交する基準方向線に対する、歯底円弧の中心と歯先円弧の中心とを結ぶ方向線の角度C=90°/Z
(iv) 歯底円弧の中心から歯先円弧の中心までの距離G=α・d
(v) 歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
とし、
(vi) α>1.4
とすることで、前記山部が備える対の前記歯先円弧同士の理論交点を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心周りの外形円よりも外側に設定した前記山部及び前記谷部を形成することを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケットの製造方法を採用した。
この発明は、ダブルピッチチェーン用スプロケットにおいて、チェーンのローラを掴みやすくできる。
この発明の実施形態を示す要部拡大正面図 図1のさらなる拡大図 歯先の詳細図 スプロケットの全体正面図 歯先の詳細図 歯先の詳細図 歯先の詳細図 歯数と歯先外径との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2040) 歯数と歯先外径との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2050) 歯数と歯先外径との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2060) 歯数と歯先外径との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2080) 歯数と歯先外径との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2100) 歯数とαの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2040) 歯数とαの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2050) 歯数とαの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2060) 歯数とαの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2080) 歯数とαの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2100) 歯数とαmaxの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2040) 歯数とαmaxの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2050) 歯数とαmaxの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2060) 歯数とαmaxの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2080) 歯数とαmaxの値との関係を示す図表(JIS規格スプロケット2100) 従来例の拡大図 従来例のスプロケットの全体正面図
この発明の実施形態を図1~図10に基づいて説明する。この実施形態は、ダブルピッチチェーンが巻回されるダブルピッチチェーン用スプロケット10に関するものである。
ダブルピッチチェーン用スプロケット10(以下、単にスプロケット10と称する)は、無端状のチェーンを駆動するために用いられる部材である。スプロケット10は、図1~図3に示すように、回転軸が挿通される軸穴部11が軸心に形成された円筒状のボス部と、ボス部と別体で形成され、ボス部の外周に嵌る歯車部とを備えたものが一般的である。ただし、円筒状のボス部とその外周の歯車部とが一体の部材で構成されるもの、あるいは、軸穴部11を備えた1枚の板状部材でスプロケットが構成される場合もある。
スプロケット10の外形は、外径方向へ突出する山部(歯)14と内径方向へ凹む谷部12が、軸心c周りの外周に沿って交互に形成されている。チェーンのローラLが谷部12に入り込むことで、スプロケットとチェーンが噛み合うようになっている。なお、軸穴部11には凹状のキー溝11aが、また、軸穴部11に挿通される回転軸の外周には凸状のキーが形成されているのが一般的である。軸穴部11に回転軸が挿通された状態で、キーがキー溝11aに嵌ることによって、スプロケット10と回転軸とは軸周りに回り止めされている。
以下に、日本工業規格(JIS B1801-1997)に規定されているS歯型の定義を示す。
{1}歯底円弧半径:R=(1.005d1+0.076)/2=ds/2
{2}位相長さ:U=0.07(p-d1)+0.051 (ただし、S歯形ではU=0)
{3}A=35°+60°/Z
{4}B=18°-56°/Z
{5}acの長さ=0.8d
{6}歯元円弧半径Eの起点の水平距離:Q=0.8d ×cos(35°+60°/z)
{7}歯元円弧半径Eの起点の垂直距離:T=0.8d ×sin(35°+60°/z)
{8}歯元円弧の半径:E=cy=1.3025d+0.038
{9}弧xyの長さ=(2.605d+0.076)×sin(9°-28°/Z)
{10}ywの長さ=d1{1.4cos(17°-64°/Z)-0.8sin(18°-56°/Z)}
{11}G=abの長さ=1.4d
(点bは線XY上の点から線XYと180°/Zの角を成す直線上にある)
{12}歯先円弧半径Fの起点の水平距離:K=1.4d ×cos(180°/Z)
{13}歯先円弧半径Fの起点の垂直距離:V=1.4d ×sin(180°/Z)
{14}歯先円弧の半径:
F=d{0.8cos(18°-56°/Z)+1.4cos(17°-64°/Z)-1.3025}-0.038
(追記:dは、チェーンのローラ(小型ローラ)の外径(直径)の最大値(mm))
{15}歯型ピッチ=Pa=P{1+(ds-d)/d}
(S歯型のa-a、U歯型のe-e)ただし、Pは、チェーンピッチ(mm)。
{16}H=√{F-(1.4d-Pa/2+U/2×cos(180°/Z))}
+U/2×sin(180°/z)
(ただし、S歯形ではU=0)
{17}S=Pa/2×cos(180°/Z)+H×sin(180°/Z))
{18}歯の先がとがるときの歯先外径:Pa×cos(180°/Z)+2H
(作図上の外径であり、実際には附属書2表1のdaが適用される)
谷部12の具体的な形状は、図4に示すように、底部を構成する歯底円弧12aと、歯底円弧12aの両端x,xに接続される歯元円弧12bと、歯元円弧12bの外側端yと歯先円弧16の内側端wとを結ぶ直線状の接続部12cとを備えた形状である。また、山部14の形状は、その山部14の幅方向両側に配置される歯先円弧16と、対の歯先円弧16,16の頂部15,15間を結ぶフラット頂部18で構成されている。上記JISの規定中、Zはダブルピッチチェーンではない通常のチェーンの作用歯数である。なお、PCD(直径)は、前述のように、チェーンのピッチをP、スプロケットの実際の歯数をTとしたときに、一辺の長さがP、頂点の数がTである正多角形に外接する円の直径として求めることができ、
PCD(直径)=P/(sin(180°/T))
で求められる。
ここで、この発明では、ダブルピッチチェーン用のスプロケット10として、上記JIS B1801-1997等に規定される[11][12][13][14]の5つの式を採用せず、歯先円弧16を別の算定式[11’] [12’][13’][14’]によって定義している。すなわち、
{11’}G=abの長さ=αd(ただし、α>1.4)
{12’}歯先円弧半径Fの起点の水平距離:K=αd ×cos(90°/Z
{13’}歯先円弧半径Fの起点の垂直距離:V=αd ×sin(90°/Z
これにより、[14]歯先円弧の半径Fも必然的に変更される。
すなわち、歯先円弧の半径Fは、JIS規定によると、
{14} F=d{0.8cos(18°-56°/Z)+1.4cos(17°-64°/Z)-1.3025}-0.038
であるから、この発明での歯先円弧半径Fは、変数αを用いて、
{14’}F=d×{0.8cos(18°-56°/Z)+α×cos(17°-64°/Z)-1.3025}-0.038
の式を採用する。
以下、この発明のダブルピッチチェーン用のスプロケット10において、その諸元を決定する必要最小限の要素を、図1及び図2に基づいて説明する。ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケット10の1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
(i) 歯底円弧12aの半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧12bの半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧12aの中心aを通り且つその中心aを通るスプロケット半径方向線BLに直交する基準方向線RLに対する、歯底円弧12aの中心aと歯先円弧16の中心bとを結ぶ方向線abの角度C=90°/Z
(iv) 歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの距離G=α・d
(v) 歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
とし、さらに、
(vi) α>1.4
としている。JIS規格の規定がα=1.4であるところ、この発明では、α>1.4とし、対の歯先円弧16,16同士の理論交点19を、歯先外径(直径)daで規定される軸心c周りの外形円18よりも外側に設定できるようにしている。なお、実施形態では、歯先円弧16,16の頂部15,15同士を、スプロケット10の外形の周方向に沿う円弧で結んで、その円弧を歯先外径OD(=da)に対応する歯先外形円18に一致させているが、その頂部15,15同士を直線で結んだ態様としてもよい。
歯先外径ODは、前述のように、
歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
=P×(1/sin(90°/Z)+P/2×(0.6-tan(90°/Z))
で規定される(前述のJIS B1803-2012の第20頁 A.3 径方向寸法の表A.1)。
図中の符号BLは、歯底円弧12aの中心aと軸心cとを結ぶ半径方向の方向線である。歯底円弧12a、歯元円弧12b、接続部12c、歯先円弧16は、それぞれBLを挟んで対称である。符号RL(X-Y方向線)は、歯底円弧12aの中心aを通り、且つ、その中心aを通るスプロケット半径方向線BLに対して直交する基準方向線である。符号TLは、山部14の中心線であり、理論交点19と軸心cとを結ぶ半径方向の方向線である。歯底円弧12a、歯元円弧12b、接続部12c、歯先円弧16は、それぞれTLを挟んで対称である。符号SLは、基準方向線RLに対して歯底円弧12aの中心aで交差し、且つ、その基準方向線RLに対して角度Cをもって交差する傾斜方向線である。角度Cは、180°/Z=90°/Zで算定される。この傾斜方向線SL上に、歯先円弧16の中心b、及び、隣接する歯底円弧12aの中心aが存在する。符号RDは、谷部12の底mと軸心cとの距離である。符号ODは、前述の歯先外径である。
ここで、歯底円弧12aの中心aから歯元円弧12bの中心cまでの水平距離Qとは、図1に示すように、基準方向線RLに平行な方向への距離である。歯底円弧12aの中心aから歯元円弧12bの中心cまでの垂直距離Tとは、中心aを通るスプロケット半径方向線BLに平行な方向への距離である。また、歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの水平距離Kとは、基準方向線RLに平行な方向への距離である。歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの垂直距離Vとは、中心aを通るスプロケット半径方向線BLに平行な方向への距離である。符号Hは、傾斜方向線SLと理論交点19との距離(最短距離)である。符号Sは、中心aを通るスプロケット半径方向線BLと理論交点19との距離(最短距離)である。
ここで、(vi)式に示すαの値を、
α>1.4
とすることを前提とし、さらに、αの上限は特に限定されないものの(α=∞(無限大)であればF=∞(無限大)で歯先円弧16は直線に限りなく近い円弧となる。)、
α≦2.0
とすることが望ましい。図3では、従来例に相当するJIS B1801-1997の規定による歯先円弧6、及び、その歯先円弧6の中心b、歯先円弧6の半径Fと、歯底円弧12aの中心aから歯先円弧6の中心bまでの直線距離G/SL方向への距離)と、この発明の実施形態である歯先円弧16(16a,16b,16c)、及び、その歯先円弧16の中心b(b,b・・・)、歯先円弧16の半径F(F,F・・・)、歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの直線距離G(G,G・・・/SL方向への距離)を、比較できるように図示している。なお、各図では、理解がしやすいようにその一部を簡略化、模式化して表示している。このため、縮尺が正確でない部分もある。
図3に示すように、従来例の歯先円弧6の中心bの中心aからの直線距離GとしてG(G=1.4d)を採用すると、中心bを円の中心として形成される歯先円弧6,6同士は、歯先外径ODで規定される外形円18よりも内側に位置する頂部5で交差してしまう。しかし、例えば、この発明の実施形態で示す直線距離G,G(G=1.6d,G=2.0dを想定)を採用すると、中心b,bを円の中心として形成される歯先円弧16a,16a;16c,16c同士は、歯先外径ODで規定される外形円18よりも外側で交差(交点を符号15a,15bで示す)するので、歯先円弧16,16の半径と山部14の頂部の高さを確保でき、ダブルピッチチェーンのローラLと確実に係合し得る形状を実現できる。なお、図3において、歯先円弧16cは、直線距離Gを、G>2.0dとした場合を示している。このとき、歯先円弧16cの半径Fはさらに大きくなり、その中心bは、図示する範囲外にある。このような形態も可能であるが、歯型の形状として好ましくは、αの値を従来例の1.4よりも大きく、且つ、概ね2.0を上限とする、1.4d<G≦2.0dが推奨される。
また、図1に示す実施形態では、一つの谷部12に臨む歯先円弧16の中心bが、隣り合う他の谷部12の歯底円弧12aの中心aよりも外方側(一つの谷部12から遠い側)に位置することも、歯先円弧16の大きな半径を確保する上で一つの特徴となっている。
なお、歯先円弧16,16同士が、ちょうど歯先外径ODで規定される外形円18上で交差する場合、
歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
=P×(1/sin(180°/Z)+P/2×(0.6-tan(90°/Z))
を半径とする軸心c周りの外形円18と、山部14を構成する対の歯先円弧16,16同士、すなわち、
歯先円弧半径F=d×{0.8cos(18°-56°/Z)+α×cos(17°-64°/Z)-1.3025}-0.038
を半径とする中心b周りの歯先円弧16,16同士が互いに1点で交わるという条件を入力することによって、直線距離G=αdの式おけるαの値の範囲(下限)が決定されることになる。
(αの算定方法)
αの値の好適な範囲の算定方法について、その一例を説明する。図6及び図7は、その算定方法に関わるスプロケット10の要部を示し、図8A~図10Eは、その算定方法を説明する図表である。
前述のように、スプロケットの歯先外径ODはJISにより規定されており、対の歯先円弧16,16同士の理論交点19が、この歯先外径ODで規定される軸心c周りの外形円18よりも外径側に設定されなければならない。理論交点19が外形円18よりも内径側にある場合は、歯先が尖ってしまい、また、歯先の高さが低くなり、適切な歯型を構成できないからである。ここで、歯先外径ODは歯数やピッチにより変化するので、スプロケット10に設定されるピッチ毎に、歯先外径ODで規定される歯先外形円18と理論交点19との位置を比較することにより、適切な歯形を構成できない歯数の範囲を明らかにする。理論交点19の位置を結ぶ円周の直径を、以下、作図上外径FD(直径)と称し、作図上外径FDで規定される軸心c周りの仮想外形円を符号21で示す(図7参照)。
図8A~図8Eは、歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの直線距離G=G(G=1.4d)とした場合に、JISの歯先外径OD(直径)で規定される軸心c周りの外形円18と、理論交点19に相当する作図上外径で規定される軸心c周りの仮想外形円21との位置関係を、表計算ソフト「エクセル(登録商標)」を用いて求めたものである。G=G=1.4dとした場合の歯先の詳細を図6に示す。
条件として、図8A~図8Eの各表中に記載のように、
G=G=1.4d1
チエンピッチ:P
チエンローラ径:d1
作用歯数:Z
とし、
「チエンPCD」=P/SIN(RADIANS(180/Z))
「歯形PCD」=チエンPCD+0.005*d1+0.076
「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」=チエンPCD+0.5*P*(0.6-TAN(RADIANS(90/Z)))
「外径2(作図上外径/歯形OD)」=2*(gh-fg+cf)
の計算式で各数値を算定している。
この計算式は、図7に示す三角形hbgに着眼した(図6の三角形hbgも参照)。ここでは、歯先円弧16同士の理論交点19を点h、スプロケット10の中心を点c、隣り合う歯底円弧12aの中心aとdの間の中点を点f、歯先円弧16(半径G)の中心を点b、chとabの交点を点gとして、
ac=歯形PCD/2
cf=ac*COS(RADIANS(90/Z))
af=ac*SIN(RADIANS(90/Z))
ag=af/COS(RADIANS(90/Z))
fg=af*TAN(RADIANS(90/Z))
bg=1.4*d1-ag
bh=d1*(0.8*COS(RADIANS(18-56/Z))+1.4*COS(RADIANS(17-64/Z))-1.3025)-0.038
ここで、三角形hbgにおいて余弦定理により、
bh^2=bg^2+gh^2-2*bg*gh*COS(RADIANS(90+90/Z))
これを変形して、
gh^2-2*bg*COS(RADIANS(90+90/Z))*gh+bg^2-bh^2=0
二次方程式の解の公式により、
gh=0.5*(2*bg*COS(RADIANS(90+90/Z))±SQRT((2*bg*COS(RADIANS(90+90/Z)))^2-4*(bg^2-bh^2)))
よって、
「外径2(FD(作図上外径))」=2*(gh-fg+cf)
の式によって、理論交点19に相当する作図上外径(仮想外形円21の直径)を算定している。これに対して、JISで規定されている外径は、ダブルピッチの作用歯数Zとして
「外径1計算(OD(JIS外径/歯先外径OD))」=チエンPCD+0.5*P*(0.6-TAN(RADIANS(90/Z)))であり、「外径1計算(OD(JIS外径/歯先外径OD))」よりも「外径2(FD(作図上外径))」が小さい場合は、適切な歯型を構成できないこととなる。同じピッチであっても、歯数(作用歯数)により「外径1計算(OD(JIS外径/歯先外径OD))」と「外径2(FD(作図上外径))」が変化するので、歯数毎に、「外径1計算(OD(JIS外径/歯先外径OD))」と「外径2(FD(作図上外径))」を比較することによりピッチごとの歯形を構成できない歯数が判明する。
例えば、図8Aは、JIS規格スプロケット2040に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=25.4(mm)とした場合、チェーンローラ径d1=7.92(mm)、作用歯数Z=6.5~15に対するチェーンPCD、歯形PCD(歯底円弧15の中心aを通る軸心c周りの円周の直径)、「外径1(JISによる歯先外径OD/四捨五入した場合の数値)」、「外径1計算(JISによる歯先外径OD/四捨五入前の数値)」、「外径2(FD(作図上外径)/歯形OD)」、外径1-外径2の値を示したものである。従来の技術(JIS規格)では、表中の最右欄に太線で囲うように、外径1-外径2の値が作用歯数Z=10未満の場合にプラス値となっている。外径1-外径2の値がプラスということは、仮想外形円21が歯先外径ODよりも内径側に位置していることを意味し、歯先が尖る状態で且つ歯先円弧の曲率が大きくローラとの噛み合わせが悪くなっていることを意味する。したがって、外径1-外径2の値がプラス値となる作用歯数Z=9.5以下が適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象である。
図8Bは、JIS規格スプロケット2050に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=31.75(mm)とした場合、チェーンローラ径d1=10.16(mm)、作用歯数Z=6.5~15に対する同様の数値を示している。従来の技術(JIS規格/G=G=1.4d)では、表中の最右欄に太線で囲うように、外径1-外径2の値が作用歯数Z=12以下の場合にプラス値となっている。したがって、作用歯数Z=12以下が適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象である。
図8Cは、JIS規格スプロケット2060に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=38.10(mm)とした場合、チェーンローラ径d1=11.91(mm)、作用歯数Z=6.5~15に対する同様の数値を示している。従来の技術(JIS規格/G=G=1.4d)では、表中の最右欄に太線で囲うように、外径1-外径2の値が作用歯数Z=9.5以下の場合にプラス値となっている。したがって、作用歯数Z=9.5以下が適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象である。
図8Dは、JIS規格スプロケット2080に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=50.80(mm)とした場合、チェーンローラ径d1=15.88(mm)、作用歯数Z=6.5~15に対する同様の数値を示している。従来の技術(JIS規格/G=G=1.4d)では、表中の最右欄に太線で囲うように、外径1-外径2の値が作用歯数Z=9.5以下の場合にプラス値となっている。したがって、作用歯数Z=9.5以下が適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象である。
図8Eは、JIS規格スプロケット2100に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=63.50(mm)とした場合、チェーンローラ径d1=19.05(mm)、作用歯数Z=6.5~15に対する同様の数値を示している。従来の技術(JIS規格/G=G=1.4d)では、表中の最右欄に太線で囲うように、外径1-外径2の値が作用歯数Z=7.5以下の場合にプラス値となっている。したがって、作用歯数Z=7.5以下が適切な歯形を構成できない(歯先が尖る)対象である。
図9A~図9Eは、歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの直線距離Gを変化させた場合に、歯先外径OD(直径)で規定される軸心c周りの歯先外形円18と、理論交点19に相当する作図上外径で規定される軸心c周りの仮想外形円21との位置関係を求めたものである。
図9A~図9Eでは、同じく表計算ソフトを用い、
G=αd1
チエンピッチ:P
チエンローラ径:d1
作用歯数:Z
とし、
「外径1計算/OD(計算)」
=C2/SIN(RADIANS(180/Z))+(P/2)*(0.6-TAN(RADIANS(90/Z)))
ch=(P/SIN(RADIANS(180/Z))+(P/2)*(0.6-TAN(RADIANS(90/Z))))/2
ac=(P/SIN(RADIANS(180/Z))+0.005*d1+0.076)/2
cg=ac*(COS(RADIANS(180/Z))/COS(RADIANS(90/Z)))
gh=ch-ac*(COS(RADIANS(180/Z))/COS(RADIANS(90/Z))) ・・(A式)
ag=ac*TAN(RADIANS(90/Z))
(gh)^2 =((α*d1)*COS(RADIANS(17-64/Z))+0.8*d1*COS(RADIANS(18-56/Z))
-1.3025*d1-0.038)^2-((α*d1)-ac*TAN(RADIANS(90/Z)))^2
+2*gh*(α*d1-ac*TAN(RADIANS(90/Z)))*COS(RADIANS(90+90/Z))・・(B式)
(gh)^2= (bh)^2-(bg)^2+2(gh)(bg)cos(90+90/Z)・・・・・(C式/余弦定理)
と設定している。
ここで、ゴールシーク機能を用いる。(A式)においてghの値は算定されている(図9A~Eの各第9段目のセル参照)。このため、ゴールシーク機能の目標値とする(gh)^2の値は既知である(図9A~Eの各第15段目のセル参照)。また、(B式)はαの関数であり、(C式)において、bhとbgの数式のなかに変数αが含まれている(図9A~Eの各第16段目のセル参照)。そして、(C式)の(gh)^2の値が目標値に最も近くなるように、αの値を算定することができる(図9A~Eの各第19段目のセル参照)。
例えば、図9Aは、JIS規格スプロケット2040に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=25.4(mm)、チェーンローラ径d1=7.92(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~11.5において、「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」と「外径2(作図上外径/歯形OD)」が等しくなる時のαの値を示している。表中で、作用歯数Z=9.5以下ではαが1.4を上回っており、JISの規定に基づく従来のスプロケット(α=1.4)では、適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象であることを示している。
なお、作用歯数Z=6.5(Z=13)では、α=1.48610921であり、切り上げによりα≧1.49に設定されることが推奨される。また、作用歯数Z=7(Z=14)では、α=1.46619805であり、切り上げによりα>1.47に設定されることが推奨される。作用歯数Z=7.5(Z=15)では、α=1.44962966であり、切り上げによりα≧1.45に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8(Z=16)では、α=1.43561344であり、切り上げによりα≧1.44に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8.5(Z=17)では、α=1.42359242であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9(Z=18)では、α=1.41316239であり、切り上げによりα≧1.42に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9.5(Z=19)では、α=1.40402261であり、切り上げによりα≧1.41に設定されることが推奨される。
図9Bは、JIS規格スプロケット2050に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=31.75(mm)、チェーンローラ径d1=10.16(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~13.5において、「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」と「外径2(作図上外径/歯形OD)」が等しくなる時のαの値を示している。表中で、作用歯数Z=12以下ではαが1.4を上回っており、JISの規定に基づく従来のスプロケット(α=1.4)では、適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象であることを示している。
なお、作用歯数Z=6.5(Z=13)では、α=1.52384005であり、切り上げによりα≧1.53に設定されることが推奨される。また、作用歯数Z=7(Z=14)では、α=1.50289513であり、切り上げによりα≧1.51に設定されることが推奨される。作用歯数Z=7.5(Z=15)では、α=1.48547193であり、切り上げによりα≧1.49に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8(Z=16)では、α=1.47073294であり、切り上げによりα≧1.48に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8.5(Z=17)では、α=1.45808985であり、切り上げによりα≧1.46に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9(Z=18)では、α=1.44711670であり、切り上げによりα≧1.45に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9.5(Z=19)では、α=1.43749707であり、切り上げによりα≧1.44に設定されることが推奨される。作用歯数Z=10(Z=20)では、α=1.42899074であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z=10.5(Z=21)では、α=1.42141187であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z=11(Z=22)では、α=1.41461428であり、切り上げによりα≧1.42に設定されることが推奨される。作用歯数Z=11.5(Z=23)では、α=1.40848135であり、切り上げによりα≧1.41に設定されることが推奨される。作用歯数Z=12(Z=24)では、α=1.40234842であり、切り上げによりα≧1.41に設定されることが推奨される。
図9Cは、JIS規格スプロケット2060に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=38.1(mm)、チェーンローラ径d1=11.91(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~11.5において、「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」と「外径2(作図上外径/歯形OD)」が等しくなる時のαの値を示している。表中で、作用歯数Z=9.5以下ではαが1.4を上回っており、JISの規定に基づく従来のスプロケット(α=1.4)では、適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象であることを示している。
なお、作用歯数Z=6.5(Z=13)では、α=1.48848386であり、切り上げによりα≧1.49に設定されることが推奨される。また、作用歯数Z=7(Z=14)では、α=1.46840702であり、切り上げによりα≧1.47に設定されることが推奨される。作用歯数Z=7.5(Z=15)では、α=1.45169833であり、切り上げによりα≧1.46に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8(Z=16)では、α=1.43756158であり、切り上げによりα≧1.44に設定されることが推奨される。作用歯数Z=8.5(Z=17)では、α=1.42543578であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9(Z=18)では、α=1.41491377であり、切り上げによりα≧1.42に設定されることが推奨される。作用歯数Z=9.5(Z=19)では、α=1.40569255であり、切り上げによりα≧1.41に設定されることが推奨される。
図9Dは、JIS規格スプロケット2080に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP2=50.8(mm)、チェーンローラ径d1=15.88(mm)とした場合、作用歯数Z2=6.5~11.5において、「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」と「外径2(作図上外径/歯形OD)」が等しくなる時のαの値を示している。表中で、作用歯数Z2=9.5以下ではαが1.4を上回っており、JISの規定に基づく従来のスプロケット(α=1.4)では、適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象であることを示している。
なお、作用歯数Z2=6.5(Z=13)では、α=1.48802824であり、切り上げによりα≧1.49に設定されることが推奨される。また、作用歯数Z2=7(Z=14)では、α=1.46791430であり、切り上げによりα≧1.47に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=7.5(Z=15)では、α=1.45117341であり、切り上げによりα≧1.46に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=8(Z=16)では、α=1.43700856であり、切り上げによりα≧1.44に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=8.5(Z=17)では、α=1.42485814であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=9(Z=18)では、α=1.41431444であり、切り上げによりα≧1.42に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=9.5(Z=19)では、α=1.40507400であり、切り上げによりα≧1.41に設定されることが推奨される。
図9Eは、JIS規格スプロケット2100に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP2=63.5(mm)、チェーンローラ径d1=19.05(mm)とした場合、作用歯数Z2=6.5~11.5において、「外径1計算(JIS/歯先外径OD)」と「外径2(作図上外径/歯形OD)」が等しくなる時のαの値を示している。表中で、作用歯数Z2=7.5以下ではαが1.4を上回っており、JISの規定に基づく従来のスプロケット(α=1.4)では、適切な歯形を構成できない(刃先が尖る)対象であることを示している。
なお、作用歯数Z2=6.5(Z=13)では、α=1.44457281であり、切り上げによりα≧1.45に設定されることが推奨される。また、作用歯数Z2=7(Z=14)では、α=1.42584726であり、切り上げによりα≧1.43に設定されることが推奨される。作用歯数Z2=7.5(Z=15)では、α=1.41026327であり、切り上げによりα≧1.42に設定されることが推奨される。
図10A~図10Eでは、同じく表計算ソフトを用い、ダブルピッチチェーン用のスプロケットとして、
G=αd1
チエンピッチ:P
チエンローラ径:d1
作用歯数:Z
とした場合に、前述のダブルピッチチェーン用のスプロケットの「外径1計算/OD(計算)」が、シングルピッチチェーン用のスプロケットとしてJISの規定に従って算定される歯先円弧16,16同士の理論交点19を通る仮想外形円21に合致するとした場合の、αの値(αmaxと称する)を求めたものである。シングルピッチチェーン用のスプロケットの仮想外形円21の直径は、(cg+gh)×2で算定される(図5、及び、図10A~Eにおいて各第32段目のセルと各第36段目のセルの数値の和を2倍した各第37段目の数値参照)。また、cg(第32段目のセル参照)、gh(第36段目のセル参照)の算定式は前述の通りである。ただし、αの数値が、このαmaxの数値を超えることも許容される(前述の段落0032参照)が、αの数値をαmax以下に留めることで、歯先が尖らないことはもちろんのこと、一般的なシングルピッチチェーン用のスプロケットの歯形に似た形状を確保できる。
すなわち、ここでは、作用歯数:Zのダブルピッチチェーン用のスプロケットの歯先外径ODを、作用歯数:Zのシングルピッチチェーン用のスプロケットの歯先外径に合致させた際のαの値を算定している。ここで、シングルピッチチェーン用のスプロケットの歯先外径は、
歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(180°/Z)
で規定されているのに対し、ダブルピッチチェーン用のスプロケットの歯先外径ODは、
歯先外径OD=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
=P×(1/sin(180°/Z)+P/2×(0.6-tan(90°/Z))
である。各表中の上寄り(第1段目~第21段目)の内容は、ダブルピッチチェーン用のスプロケットの情報であり、これは、図8の内容と同様である。各表中の下寄り(第26段目~第37段目)の内容は、対応する作用歯数(Z=2×Z)に相当するシングルピッチチェーン用のスプロケットの情報である。
図10Aは、JIS規格スプロケット2040に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=25.4(mm)、チェーンローラ径d1=7.92(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~12.5、及び、Z=10000におけるαmaxの値を示している。
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、αmax=2.12464020であり、切り捨てにより、αmax=2.12
作用歯数Z=7(Z=14)では、αmax=2.05444959であり、切り捨てにより、αmax=2.05
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、αmax=1.99678965であり、切り捨てにより、αmax=1.99
作用歯数Z=8(Z=16)では、αmax=1.94852900であり、切り捨てにより、αmax=1.94
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、αmax=1.90753092であり、切り捨てにより、αmax=1.90
作用歯数Z=9(Z=18)では、αmax=1.87225269であり、切り捨てにより、αmax=1.87
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、αmax=1.84156770であり、切り捨てにより、αmax=1.84
である。なお、現実的な歯数ではないが、仮に、作用歯数Z=10000(Z=20000)とした場合のαmax=1.40036597から判断して、作用歯数Zが増加するにつれて、徐々にαmax=1.4に近づいているものと推測できる。なお、αmaxの計算値を切り捨てとしているのは、JISに規定される歯先外径の数値を超えないようにするためである。
図10Bは、JIS規格スプロケット2050に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=31.75(mm)、チェーンローラ径d1=10.16(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~12.5、及び、Z=10000におけるαmaxの値を示している。
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、αmax=2.18484136であり、切り捨てにより、αmax=2.18
作用歯数Z=7(Z=14)では、αmax=2.10845107であり、切り捨てにより、αmax=2.10
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、αmax=2.04579575であり、切り捨てにより、αmax=2.04
作用歯数Z=8(Z=16)では、αmax=1.99342013であり、切り捨てにより、αmax=1.99
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、αmax=1.94895483であり、切り捨てにより、αmax=1.94
作用歯数Z=9(Z=18)では、αmax=1.91071577であり、切り捨てにより、αmax=1.91
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、αmax=1.87747038であり、切り捨てにより、αmax=1.87
作用歯数Z=10(Z=20)では、αmax=1.84829430であり、切り捨てにより、αmax=1.84
作用歯数Z=10.5(Z=21)では、αmax=1.82247979であり、切り捨てにより、αmax=1.82
作用歯数Z=11(Z=22)では、αmax=1.79947536であり、切り捨てにより、αmax=1.79
作用歯数Z=11.5(Z=23)では、αmax=1.77884452であり、切り捨てにより、αmax=1.77
作用歯数Z=12(Z=24)では、αmax=1.76023718であり、切り捨てにより、αmax=1.76
である。
図10Cは、JIS規格スプロケット2060に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=38.1(mm)、チェーンローラ径d1=11.91(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~12.5、及び、Z=10000におけるαmaxの値を示している。
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、αmax=2.12890406であり、切り捨てにより、αmax=2.12
作用歯数Z=7(Z=14)では、αmax=2.05819866であり、切り捨てにより、αmax=2.05
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、αmax=2.00012778であり、切り捨てにより、αmax=2.00
作用歯数Z=8(Z=16)では、αmax=1.95154164であり、切り捨てにより、αmax=1.95
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、αmax=1.91026824であり、切り捨てにより、αmax=1.91
作用歯数Z=9(Z=18)では、αmax=1.87475881であり、切り捨てにより、αmax=1.87
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、αmax=1.84387707であり、切り捨てにより、αmax=1.84
である。
図10Dは、JIS規格スプロケット2080に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=50.8(mm)、チェーンローラ径d1=15.88(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~12.5、及び、Z=10000におけるαmaxの値を示している。
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、αmax=2.12824582であり、切り捨てにより、αmax=2.12
作用歯数Z=7(Z=14)では、αmax=2.057564087であり、切り捨てにより、αmax=2.05
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、αmax=1.99951919であり、切り捨てにより、αmax=1.99
作用歯数Z=8(Z=16)では、αmax=1.95095759であり、切り捨てにより、αmax=1.95
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、αmax=1.90970732であり、切り捨てにより、αmax=1.90
作用歯数Z=9(Z=18)では、αmax=1.87421967であり、切り捨てにより、αmax=1.87
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、αmax=1.84335840であり、切り捨てにより、αmax=1.84
である。
図10Eは、JIS規格スプロケット2100に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=63.5(mm)、チェーンローラ径d1=19.05(mm)とした場合、作用歯数Z=6.5~12.5、及び、Z=10000におけるαmaxの値を示している。
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、αmax=2.04517050であり、切り捨てにより、αmax=2.04
作用歯数Z=7(Z=14)では、αmax=1.98303962であり、切り捨てにより、αmax=1.98
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、αmax=1.93189543であり、切り捨てにより、αmax=1.93
である。
以上をまとめると、この発明では、ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、JIS規格の規定である
(i) 歯底円弧12aの半径R=(1.005d+0.076)/2
(ii) 歯元円弧12bの半径E=1.3025d+0.038
(iii) 歯底円弧12aの中心aを通り且つその中心aを通るスプロケット半径方向線BLに直交する基準方向線RLに対する、歯底円弧12aの中心aと歯先円弧16の中心bとを結ぶ方向線abの角度C=90°/Z
(iv) 歯底円弧12aの中心aから歯先円弧16の中心bまでの距離G=α・d
(v)歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
を前提とするとともに、
歯先が尖らないようにすることを目的として、JIS規格の規定α=1.4を採用せずに、それに代えて、
(vi) α>1.4
の条件を採用して、これにより、歯先円弧16,16同士の理論交点19を、歯先外径ODで規定される軸心o周りの外形円18よりも外側に設定している。
また、特に、JIS規格スプロケット2040に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=25.4(mm)、チェーンローラ径d1=7.92(mm)とした場合、
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、2.12≧α≧1.49
作用歯数Z=7(Z=14)では、2.05≧α≧1.47
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、1.99≧α≧1.45
作用歯数Z=8(Z=16)では、1.94≧α≧1.44
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、1.90≧α≧1.43
作用歯数Z=9(Z=18)では、1.87≧α≧1.42
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、1.84≧α≧1.41
に設定されることが望ましい。
また、JIS規格スプロケット2050に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=31.75(mm)、チェーンローラ径d1=10.16(mm)とした場合、
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、2.18≧α≧1.53
作用歯数Z=7(Z=14)では、2.10≧α≧1.51
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、2.04≧α≧1.49
作用歯数Z=8(Z=16)では、1.99≧α≧1.48
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、1.94≧α≧1.46
作用歯数Z=9(Z=18)では、1.91≧α≧1.45
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、1.87≧α≧1.44
作用歯数Z=10(Z=20)では、1.84≧α≧1.43
作用歯数Z=10.5(Z=21)では、1.82≧α≧>1.43
作用歯数Z=11(Z=22)では、1.79≧α≧1.42
作用歯数Z=11.5(Z=23)では、1.77≧α≧1.41
作用歯数Z=12(Z=24)では、1.76≧α≧1.41
に設定されることが望ましい。
JIS規格スプロケット2060に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP=38.1(mm)、チェーンローラ径d1=11.91(mm)とした場合、
作用歯数Z=6.5(Z=13)では、2.12≧α≧1.49
作用歯数Z=7(Z=14)では、2.05≧α≧1.47
作用歯数Z=7.5(Z=15)では、2.00≧α≧1.46
作用歯数Z=8(Z=16)では、1.95≧α≧1.44
作用歯数Z=8.5(Z=17)では、1.91≧α≧1.43
作用歯数Z=9(Z=18)では、1.87≧α≧1.42
作用歯数Z=9.5(Z=19)では、1.84≧α≧1.41
に設定されることが望ましい。
JIS規格スプロケット2080に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP2=50.8(mm)、チェーンローラ径d1=15.88(mm)とした場合、
作用歯数Z2=6.5(Z=13)では、2.12≧α≧1.49
作用歯数Z2=7(Z=14)では、2.05≧α≧1.47
作用歯数Z2=7.5(Z=15)では、1.99≧α>1.46
作用歯数Z2=8(Z=16)では、1.95≧α≧1.44
作用歯数Z2=8.5(Z=17)では、1.90≧α≧1.43
作用歯数Z2=9(Z=18)では、1.87≧α≧1.42
作用歯数Z2=9.5(Z=19)では、1.84≧α≧1.41
に設定されることが望ましい。
JIS規格スプロケット2100に対応して、ダブルピッチチェーンのチェーンピッチP2=63.5(mm)、チェーンローラ径d1=19.05(mm)とした場合、
作用歯数Z2=6.5(Z=13)では、2.04≧α≧1.45
作用歯数Z2=7(Z=14)では、1.98≧α≧1.43
作用歯数Z2=7.5(Z=15)では、1.93≧α≧1.42
に設定されることが望ましい。
上記の実施形態では、スプロケット10の歯を、前記(i)~(v)式に示す要件と、歯先円弧16の中心bの位置、及び、歯先円弧16の半径F等に関する個々の要件で規定したが、その他の要件が求められる環境である場合は、JIS B1801-1997、及び、JIS B1803-2012に規定する要件で設定すれば、歯先円弧16等を除く他の部位で、既存のスプロケット10に近似した仕様を実現できる。
また、前記(i)~(vi)式に示す要件と、山部14が備える対の歯先円弧16,16同士の理論交点19を、歯先外径daで規定される軸心o周りの外形円18よりも外側に設定するダブルピッチチェーン用スプロケットの設計方法、同じく、前記(i)~(vi)式に示す要件と、山部14が備える対の歯先円弧16,16同士の理論交点19を、歯先外径daで規定される軸心o周りの外形円18よりも外側に設定した山部14及び谷部12を形成するダブルピッチチェーン用スプロケットの製造方法を採用することで、歯先(山部14の頂部)が先鋭で且つ低い形状となりがちであったダブルピッチチェーン用スプロケット独特の問題を解決することができる。
10 スプロケット
12 谷部
12a 歯底円弧
12b 歯元円弧
12c 接続部
14 山部
16 歯先円弧
18 外形円
19 理論交点
c 軸心

Claims (9)

  1. 軸心(c)周りの外周に沿って山部(14)と谷部(12)とが交互に形成され、前記山部(14)は、その頂部に至る歯先円弧(16)を備え、前記谷部(12)は、底部を構成する歯底円弧(12a)と、前記歯底円弧(12a)の両端に接続される歯元円弧(12b)と、前記歯元円弧(12b)と前記歯先円弧(16)とを結ぶ接続部(12c)とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うスプロケットにおいて、
    前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
    (i) 歯底円弧(12a)の半径R=(1.005d+0.076)/2
    (ii) 歯元円弧(12b)の半径E=1.3025d+0.038
    (iii) 歯底円弧(12a)の中心(a)を通り且つその中心(a)を通るスプロケット半径方向線(BL)に直交する基準方向線(RL)に対する、歯底円弧(12a)の中心(a)と歯先円弧(16)の中心(b)とを結ぶ方向線(ab)の角度C=90°/Z
    (iv) 歯底円弧(12a)の中心(a)から歯先円弧(16)の中心(b)までの距離G=α・d
    (v)歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
    とし、
    (vi) α>1.4
    とすることで、前記山部(14)が備える対の前記歯先円弧(16,16)同士の理論交点(19)を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心(c)周りの外形円(18)よりも外側に設定したことを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケット。
  2. 1.4<α≦2.0
    に設定されている請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  3. 前記ダブルピッチチェーンのピッチP=25.4(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=7.92(mm)とした場合に、
    [1]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
    [2]作用歯数Z=7、且つ、2.05≧α≧1.47
    [3]作用歯数Z=7.5、且つ、1.99≧α≧1.45
    [4]作用歯数Z=8、且つ、1.94≧α≧1.44
    [5]作用歯数Z=8.5、且つ、1.90≧α≧1.43
    [6]作用歯数Z=9、且つ、1.87≧α≧1.42
    [7]作用歯数Z=9.5、且つ、1.84≧α≧1.41
    のいずれか一つを採用した請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  4. 前記ダブルピッチチェーンのピッチP=31.75(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=10.16(mm)とした場合に、
    [11]作用歯数Z=6.5、且つ、2.18≧α≧1.53
    [12]作用歯数Z=7、且つ、2.10≧α≧1.51
    [13]作用歯数Z=7.5、且つ、2.04≧α≧1.49
    [14]作用歯数Z=8、且つ、1.99≧α≧1.48
    [15]作用歯数Z=8.5、且つ、1.94≧α≧1.46
    [16]作用歯数Z=9、且つ、1.91≧α≧1.45
    [17]作用歯数Z=9.5、且つ、1.87≧α≧1.44
    [18]作用歯数Z=10、且つ、1.84≧α≧1.43
    [19]作用歯数Z=10.5、且つ、1.82≧α≧>1.43
    [20]作用歯数Z=11、且つ、1.79≧α≧1.42
    [21]作用歯数Z=11.5、且つ、1.77≧α≧1.41
    [22]作用歯数Z=12、且つ、1.76≧α≧1.41
    のいずれか一つを採用した請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  5. 前記ダブルピッチチェーンのピッチP=38.1(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=11.91(mm)とした場合に、
    [31]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
    [32]作用歯数Z=7、且つ、2.05≧α≧1.47
    [33]作用歯数Z=7.5、且つ、2.00≧α≧1.46
    [34]作用歯数Z=8、且つ、1.95≧α≧1.44
    [35]作用歯数Z=8.5、且つ、1.91≧α≧1.43
    [36]作用歯数Z=9、且つ、1.87≧α≧1.42
    [37]作用歯数Z=9.5、且つ、1.84≧α≧1.41
    のいずれか一つを採用した請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  6. 前記ダブルピッチチェーンのピッチP=50.8(mm)、 前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=15.88(mm)とした場合に、
    [41]作用歯数Z=6.5、且つ、2.12≧α≧1.49
    [42]作用歯数Z=7、2.05≧α≧1.47
    [43]作用歯数Z=7.5、1.99≧α>1.46
    [44]作用歯数Z=8、1.95≧α≧1.44
    [45]作用歯数Z=8.5、1.90≧α≧1.43
    [46]作用歯数Z=9、1.87≧α≧1.42
    [47]作用歯数Z=9.5、1.84≧α≧1.41
    のいずれか一つを採用した請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  7. 前記ダブルピッチチェーンのピッチP=63.5(mm)、前記ダブルピッチチェーンのローラ径d1=19.05(mm)とした場合に、
    [51]作用歯数Z=6.5、且つ、2.04≧α≧1.45
    [52]作用歯数Z=7、且つ、1.98≧α≧1.43
    [53]作用歯数Z=7.5、且つ、1.93≧α≧1.42
    のいずれか一つを採用した請求項1に記載のダブルピッチチェーン用スプロケット。
  8. 軸心(c)周りの外周に沿って山部(14)と谷部(12)とが交互に形成され、前記山部(14)は、その頂部に至る歯先円弧(16)を備え、前記谷部(12)は、底部を構成する歯底円弧(12a)と、前記歯底円弧(12a)の両端に接続される歯元円弧(12b)と、前記歯元円弧(12b)と前記歯先円弧(16)とを結ぶ接続部(12c)とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うスプロケットの設計方法において、
    前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
    (i) 歯底円弧(12a)の半径R=(1.005d+0.076)/2
    (ii) 歯元円弧(12b)の半径E=1.3025d+0.038
    (iii) 歯底円弧(12a)の中心(a)を通り且つその中心(a)を通るスプロケット半径方向線(BL)に直交する基準方向線(RL)に対する、歯底円弧(12a)の中心(a)と歯先円弧(16)の中心(b)とを結ぶ方向線(ab)の角度D=90°/Z
    (iv) 歯底円弧(12a)の中心aから歯先円弧(16)の中心bまでの距離G=α・d
    (v)歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
    とし、
    (vi) α>1.4
    とすることで、前記山部(14)が備える対の前記歯先円弧(16,16)同士の理論交点(19)を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心(c)周りの外形円(18)よりも外側に設定することを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケットの設計方法。
  9. 軸心(c)周りの外周に沿って山部(14)と谷部(12)とが交互に形成され、前記山部(14)は、その頂部に至る歯先円弧(16)を備え、前記谷部(12)は、底部を構成する歯底円弧(12a)と、前記歯底円弧(12a)の両端に接続される歯元円弧(12b)と、前記歯元円弧(12b)と前記歯先円弧(16)とを結ぶ接続部(12c)とを備え、ダブルピッチチェーンのローラが噛み合うスプロケットの製造方法において、
    前記ダブルピッチチェーンのローラ径d、スプロケットの1回転当たりにダブルピッチチェーンのローラと噛み合う作用歯数Z、ダブルピッチチェーンのピッチPとして、
    (i) 歯底円弧(12a)の半径R=(1.005d+0.076)/2
    (ii) 歯元円弧(12b)の半径E=1.3025d+0.038
    (iii) 歯底円弧(12a)の中心(a)を通り且つその中心(a)を通るスプロケット半径方向線(BL)に直交する基準方向線(RL)に対する、歯底円弧(12a)の中心(a)と歯先円弧(16)の中心(b)とを結ぶ方向線(ab)の角度D=90°/Z
    (iv) 歯底円弧(12a)の中心(a)から歯先円弧(16)の中心(b)までの距離G=α・d
    (v)歯先外径da=ピッチ円直径+P/2×(0.6-tan(90°/Z
    とし、
    (vi) α>1.4
    とすることで、前記山部(14)が備える対の前記歯先円弧(16,16)同士の理論交点(19)を、前記歯先外径ODで規定される前記軸心(c)周りの外形円(18)よりも外側に設定した前記山部(14)及び前記谷部(12)を形成することを特徴とするダブルピッチチェーン用スプロケットの製造方法。
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