JP2023175314A - 便通改善用組成物及び機能性表示食品 - Google Patents

便通改善用組成物及び機能性表示食品 Download PDF

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Abstract

【課題】フコースの利用に関し、ヒトにおける機能性の根拠を提供し、その適用の幅を広げる。【解決手段】フコースを有効成分として含有する、便通改善用組成物である。また、フコースを機能性関与成分として含み、便秘傾向の方の便の回数を増やすことで便通を改善する旨の表示を付した、機能性表示食品である。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、フコースを有効成分として含有する便通改善用組成物、及びフコースを機能性関与成分として含む機能性表示食品に関する。
便秘の基準には明確な定義がないものの、その症状としては、硬便であること、便量が少ないこと、排便頻度が少ないこと及び残便感があること等が挙げられ、本人の主観的な判断によるところが大きい。統計によると、最近の有訴者数は、我が国の人口に対し2~5%であり、男性(2.5%)よりも女性(4.4%)に多い傾向を示している(非特許文献1)。また、症状を自覚していない軽度の便秘傾向の者を含むとさらに多いと考えられている。このように便秘や便通に関わる問題は本人が自覚できる症状であるため、おなかの調子を整えることや便通改善を訴求するサプリメントや食品が多数上市されている。
一方、フコースは、褐藻類に多く含まれる多糖フコイダンの構成糖である。本出願人らは、フコースをアディポネクチン分泌調節のための有効成分とすることについて開示している(特許文献1)。また、ラットに飼料と共にフコースを摂取させたところ、対照群と比べて、盲腸内容物重量が増加し、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸量及び総有機酸量が増加したことを報告している(特許文献2)。
特許第6572496号公報 特開2019-170335号公報
厚生労働省「2019年度国民生活基礎調査の概況」
従来、フコースの利用に関しては、ラット等の試験動物を対象とした報告例は存在するものの、ヒトにおける機能性の根拠となるような科学的知見には乏しいのが現状であった。
そこで、本発明の目的は、フコースの利用に関し、ヒトにおける機能性の根拠を提供して、その適用の幅を広げることにある。
本発明は以下の構成を備えるものである。
[1] フコースを有効成分として含有する、便通改善用組成物。
[2] 飲食品、機能性食品、医薬品、又は動物飼料からなる形態で用いられる、請求項1記載の便通改善用組成物。
[3] フコースを機能性関与成分として含み、便秘傾向の方の便の回数を増やすことで便通を改善する旨の表示を付した、機能性表示食品。
[4] 更に、腹部の脂肪、体重、ウエスト周囲径の低下を助けることでBMIの低下をサポートする旨の表示を付した、上記[3]記載の機能性表示食品。
[5] BMIが23以上30未満の者を対象とする旨の表示を付した、上記[3]又は[4]記載の機能性表示食品。
本発明によれば、フコースを利用して、便通改善など、優れた機能性を備えた組成物を提供することができる。
試験例1において、被験者にフコース配合チュアブル錠(被検食品)又はプラセボチュアブル錠摂取してもらい所定期間にわたり排便状況を調べた結果を示す図表である。 試験例1において、被験者にフコース配合チュアブル錠(被検食品)又はプラセボチュアブル錠を摂取してもらい所定期間経過後に身体検査を行った結果を示す図表であり、図2aは腹部内臓脂肪面積の結果を示し、図2bは腹部皮下脂肪面積の結果を示し、図2cは腹部総脂肪面積の結果を示し、図2dは体重の結果を示し、図2eはBMIの結果を示し、図2fはウエスト周囲径の結果を示し、図2gはヒップ周囲径の結果を示す。 試験例2において、被験者にフコース配合チュアブル錠(被検食品)又はプラセボチュアブル錠摂取してもらい所定期間経過後に身体検査を行った結果を示す図表であり、図3aは腹部内臓脂肪面積の結果を示し、図3bはヒップ周囲径の結果を示す。
本発明の便通改善用組成物は、フコース(fucose)(別名:6-デオキシ-ガラクトース)を有効成分として含有する。ここで、フコースには鏡像異性体が知られるが、本発明においては、L体、D体、それらの混合体やラセミ体のいずれを用いてもよい。自然界に多く存在するL-フコースを用いることがより好ましい。
本発明の便通改善用組成物は、その組成物中におけるフコースの含有量は、所望する機能性を発揮させるのに必要な有効量の観点から適宜設定することができる。乾燥物換算のフコースの含有量として、例えば、0.03質量%以上100質量%以下であることができ、0.03質量%以上90質量%以下であることができ、0.03質量%以上80質量%以下であることができ、0.03質量%以上70質量%以下であることができ、0.03質量%以上60質量%以下であることができ、0.03質量%以上50質量%以下であることができ、0.03質量%以上40質量%以下であることができ、0.03質量%以上30質量%以下であることができ、0.03質量%以上20質量%以下であることができ、0.03質量%以上10質量%以下であることができ、0.03質量%以上5質量%以下であることができる。また、本発明の便通改善用組成物を飲料の形態とする場合には、その組成物中におけるフコースの含有量は、例えば、1mg/100mL以上1000mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上900mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上800mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上700mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上600mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上500mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上400mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上300mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上200mg/100mL以下であることができ、1mg/100mL以上100mg/100mL以下であることができる。
本発明の便通改善用組成物には、その目的を損なわない限り、フコース以外にも他の成分を含有することについて、特に制限はない。フコース以外の他の成分としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤等が挙げられる。
本発明の便通改善用組成物の利用形態は、特に制限されないが、経口的に摂取されるようにして用いられることが好ましい。経口用組成物である場合、その利用形態の例としては、フコースをそのまま用いてもよく、必要に応じて、錠剤状(錠剤、タブレット、チュアブル錠、口腔内崩壊剤)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、粉末状(顆粒、細粒)、カプセル状(カプセル剤)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状等の形態と成してもよい。
本発明の便通改善用組成物を摂取することで、その有効成分たるフコースが生体に作用して、例えば、便通改善の作用効果など、優れた機能性を発揮させることができる。ここで「便通改善」とは、本発明の便通改善用組成物を摂取しない場合に比べて、長期間にわたって平均したときに排便回数が増えることを特に意味し、あるいは、逆に便通が思わしくなくなることを予防することをも含む意味である。
また、後述する実施例によれば、上記に例示した排便状況に関する作用効果に加えて、皮下脂肪又は内臓脂肪の低減・蓄積抑制や、腹部脂肪の低減・蓄積抑制や、ウエスト周囲径の低減・維持や、ヒップ周囲径の低減・維持や、BMIの低減・維持の作用効果なども得ることができる。ここで「低減・蓄積抑制」や「低減・維持」とは、本発明の便通改善用組成物を摂取しない場合に比べて、各項目の値が所望する程度を超えて増加しないことやそれを予防することも含む意味である。
本発明の便通改善用組成物の投与量としては、投与形態、適用するヒト又は動物の健康状態や疾患の状態、目的等に応じて適宜設定すればよく、特に制限はない。フコースは人の母乳にも含まれる成分であり、典型的に経口投与する場合には、フコース換算で、成人1日当り0.1~20,000mgの範囲で摂取することに、特に問題はない。
ただし、後述する実施例で示されるように、ヒトにおけるフコースの機能性を検証するため、被験者にフコース配合チュアブル錠(被検食品)又はプラセボチュアブル錠(対照食品)を所定期間摂取してもらい、お腹周りの脂肪や便通に対する効果などを検証したところ、お腹周りの脂肪や体型(ヒップ周囲径など)に対する効果がより好適に発揮されるためには、フコースには、好ましい摂取量の範囲があることが明らかとなった。よって、実施例の結果からみれば、1日あたり50mg超500mg以下未満のフコースが摂取されるように用いられることが好ましい。1日あたりフコースの摂取量としては、例えば、50mg超400mg以下であってよく、60mg以上300mg以下であってよく、60mg以上250mg以下であってよく、70mg以上200mg以下であってよく、70mg以上150mg以下であってよい。摂取期間としては、4週間以上にわたって摂取されるように用いられることが好ましい。摂取期間としては、例えば、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間等であってよく、これらの期間にわたって摂取されるように用いられてもよい。
本発明の便通改善用組成物は、フコースを経口的に摂取するため、例えば、飲食品、機能性食品、医薬品、動物飼料等の形態を成してもよい。あるいは、それらの原料としても用いられ得る。
飲食品としては、例えば、(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べに花油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
機能性食品としては、例えば、健康食品、健康ドリンク、サプリメント、栄養補助食品、保健機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品、食品添加用素材等が挙げられる。これらの製品形態は特に限定されない。例えば、上述した形態と同様に、錠剤(錠剤、タブレット、口腔内崩壊剤)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、粉末状(顆粒、細粒)、カプセル状(カプセル剤)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状等の形態であり得る。
動物飼料が対象とする動物としては、イヌ、ネコ、トリ等のペット類や、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の家畜類や、マグロ、ハマチ、ウナギ、タイ、フグ等の養魚類等が挙げられる。この場合には、上記の他の成分の他、例えば、穀粉、糖、塩、油脂、ビタミン、アミノ酸、ポリフェノール類、核酸類、動物蛋白、植物蛋白、肉エキス、魚エキス、酵母エキス、呈味剤、色素、乳酸菌、抗生物質、ホルモン等を添加することができる。
一方、本発明の別の観点では、フコースを機能性関与成分として含む、機能性表示食品を提供するものである。その標ぼう表示としては、「便秘傾向の方の便の回数を増やすことで便通を改善する」旨の表示などであることが好ましい。また、後述する実施例で示されるように、フコースには、皮下脂肪又は内臓脂肪の低減・蓄積抑制や、腹部脂肪の低減・蓄積抑制や、ウエスト周囲径の低減・維持や、ヒップ周囲径の低減・維持や、BMIの低減・維持の作用効果なども認められるので、上記標ぼう表示には、「腹部の脂肪、体重、ウエスト周囲径の低下を助けることでBMIの低下をサポートする」旨の表示などの表示を更に付してもよい。更に、後述する実施例で示すヒトにおけるフコースの機能性の検証では、BMIが23以上30未満の者を対象としたので、「BMIが23以上30未満の者を対象とする」旨の表示などを付してもよい。
本発明に用いられるフコースとしては、特に制限はないが、経口的に摂取するのに適した素材であるという観点からは、天然物原料から調製されたものを用いることが好ましい。例えば、本出願人によるWO2018/180727号公報に開示した方法により、アスコフィラムノドサムやモズク等の海藻から抽出して得られるフコースを構成糖の一部とする多糖類の加水分解物からは、フコースを効率的に調製することができるので、そのような方法により調製されたものを用いることが好ましい。
以下には、フコースの調製方法について更に詳細に説明する。ただし、本発明に用いられるフコースは、以下に例示する調製方法によるものに限定されるものではない。
・フコースを構成糖の一部とする多糖類の抽出方法
原料の海藻としては、褐藻類が好ましく、特にアスコフィラムノドサム、オキナワモズクが好ましく用いられる。原料の海藻からフコースを構成糖の一部とする多糖類を抽出する方法としては、原料に、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、又は、酢酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸の水溶液を、pH1~5、原料濃度が乾燥物として0.1~10重量%となるように加え、10~100℃にて0~24時間撹拌して抽出する方法が挙げられる。好ましくは、原料に、塩酸を、pH2~5、原料濃度が乾燥物として3~8.5重量%となるように加え、70~90℃にて1~3時間抽出する。更に好ましくは、ミキサーなどで原料を粉砕してから抽出を行う。
・フコースを構成糖の一部とする多糖類から低分子画分を除去する方法
上記手段により得られた抽出液を濾過した後、マンニトール等の低分子物質を除去する。その手段や条件等に特に制限はないが、例えば、公知の方法に準じた限外濾過などによる手段であれば、得られた抽出液をそのままその手段に供することが可能であり、工業的な量産化生産にも適しているので好ましい。より詳細には、その分子量分画の手段が、少なくともマンニトールを透過することが可能な限外濾過膜を用いるものであることが好ましい。更により詳細には、その分子量分画の手段が、分画分子量200~200,000の限外濾過膜を用いるものであることが好ましく、分画分子量500~30,000の限外濾過膜を用いるものであることがより好ましい。
・フコースを構成糖の一部とする多糖類の加水分解
上記のようにして得られたフコースを構成糖の一部とする多糖類を原料として、加水分解を行う。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、コハク酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸を、pH0.1~5、抽出物の乾燥物換算濃度が0.1~25質量%となるように加え、10~100℃にて0~24時間撹拌して加水分解する方法が挙げられる。好ましくは、抽出物に、塩酸を、pH0.1~3、抽出物の乾燥物換算濃度が3~6質量%となるように加え、50~70℃にて1~5時間撹拌して加水分解する。
反応終了後、速やかに反応液を冷却し、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤によりpH7~8に中和する。この中和液を活性炭脱色、濾過、電気透析装置等により脱塩することにより、フコース含有加水分解物を得ることができる。
・フコースの分画・精製
上記加水分解物からフコースに富む画分を分離し回収する。その手段や条件等に特に制限はない。例えば、公知の方法に準じた限外濾過、脱塩、イオン交換、電気泳動、分子排斥クロマトグラフィー、モレキュラーシーブなどによる手段が挙げられる。この分離・回収により、残存するアルギン酸等の不純物が除かれて、高純度のフコースが得られる。例えば、典型的にはフコースを乾燥物換算濃度で10質量%以上含有する、より典型的には20質量%以上含有する、更により典型的には30質量%以上含有する、特に典型的には40質量%以上含有するフコース含有組成物を得ることができる。更に、公知の方法に準じた結晶化、煎糖化、遠心分離、クロマトグラフィー分離等の手段により、フコースを高度に精製することができる。これにより、典型的にはフコースを乾燥物換算濃度で90質量%以上含有する、より典型的には95質量%以上含有する、更により典型的には98質量%以上含有する、特に典型的には99質量%以上含有するフコース含有組成物を得ることができる。
本発明においては、フコースとして海藻由来組成物を用いる場合には、フコースを乾燥物当たり80質量%以上含有する海藻由来組成物を用いることが好ましく、85質量%以上含有する海藻由来組成物を用いることがより好ましく、90質量%以上含有する海藻由来組成物を用いることが更により好ましく、95質量%以上含有する海藻由来組成物を用いることが最も好ましい。この場合、その海藻由来組成物のフコース以外の糖類の含有量は、乾燥物当たり0.001質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以上10質量%以下であることが更により好ましく、0.001質量%以上5質量%以下であることが特に好ましく、0.001質量%以上3質量%以下であることが最も好ましい。
なお、フコース量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などにより測定が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
〔1.試験実施体制〕
本試験は、「ヘルシンキ宣言」(2013年10月WMAフオルタレザ総会(ブラジル)修正)及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年12月22日、平成29年2月28日一部改正)の精神に則り、常に被験者の人権保護に配慮し、医療法人公雄会こぶな整形外科医院倫理審査委員会の承認を受け、UMIN-CTRへの試験内容の登録を行った(UMIN試験ID:UMIN000038725)。すべての被験者から研究参加について文書による同意を受領し、一般財団法人船員保険会品川シーズンテラス健診クリニック及び医療法人社団祐輝会浦安せきぐちクリニックにて医師の管理の下に実施した。
〔2.被験者〕
募集したボランティアに対し事前に設定した選択基準によるスクリーニング検査を実施し、あるいは本人の希望等により選別して、所定人数を試験に組み入れ、対照食品摂取群と被験食品摂取群の2群に割り付けた。具体的には、下記〔4.身体検査〕の調査では、ボディマス指数(Body Mass Index)(BMI)が23以上30未満の者であって、且つ、慢性的な硬便または軟便などの便性状の不調を自覚する者を対象にした。また、下記〔5.排便状況〕の調査では、上記対象者全体のうち、特に、被験食摂取前の観察期間の排便回数が6回/週以下であった便秘傾向者(対照食品群8名、被験食品群11名)を対象にした。
〔3.供試食品〕
被験食品として、L-フコースを1粒中に150mgを配合したチュアブル錠を用いた。L-フコースは、食用の褐藻(Ascophyllum nodosum)を酸加水分解、脱塩、イオン交換法による精製をした後に結晶化することで調製した。フコース純度は高速液体クロマトグラム法で測定した結果、99.6%であった。対照食品には、L-フコースを含まないチュアブル錠を用いた。表1には調製した供試食品(チュアブル錠)の栄養成分をまとめて示す。なお、両チュアブル錠は、そのほか還元麦芽糖水飴、デキストリン、セルロース、乳化剤、香料を含んだ配合であって、風味、性状、外観等で識別できないように設計し、試験開始前に予め実際に識別できないことを確認した上で試験に供した。また、被験者には、供試食品(チュアブル錠)を、所定期間にわたり1日1回、決めた任意の食前に口の中で噛み砕いて摂取してもらった。
Figure 2023175314000001
〔4.身体検査〕
摂取開始前及び摂取開始から所定期間経過後に、身体検査を行った。身体検査の検査項目は、体重、BMI、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、腹部内臓脂肪面積、腹部皮下脂肪面積、腹部全脂肪面積とした。腹部内臓脂肪面積、腹部皮下脂肪面積、腹部全脂肪面積については、常法によりCTスキャンにより評価した。
〔5.排便状況〕
試験期間中の排便状況について、毎日被験者に日誌に記録してもらい、1週間あたりの排便回数をカウントした。
〔6.統計解析方法〕
各データは、IBM SPSS Statistics 24を用いて解析し、平均値±標準偏差で示した。摂取開始前の検査と摂取開始後の所定期間経過後の検査の比較を、Dunnett検定(両側検定)で統計解析を行った。また、各検査時の対照食品摂取群と被験食品摂取群の比較を、対応のないt検定(両側検定)で統計解析を行った。
<試験例1>
ヒトにおけるフコースの機能性を検証するため、被験者に、フコース配合チュアブル錠(被検食品)又はプラセボチュアブル錠(対照食品)を20週間摂取してもらい、お腹周りの脂肪や便通に対する効果などを検証した(試験期間:2019年12月から2020年6月)。
具体的には、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を、次のようにして実施した。まず、統計解析責任者がスクリーニング検査を行って、性別、年齢、体重、内臓脂肪面積(VFA)を割付調整因子とした層別ブロックランダム化法により、2群にランダム化した。次いでコントローラーが、その2群を対照食品摂取群及び被験食品摂取群に割り付け、割付表を作成した。割付表はコントローラーが封絨し、割付表開封時まで密封保管した。試験期間中は、肥満、高脂血症、脂質代謝等に影響を与える可能性がある医薬品や健康食品等を使用しないこと、試験開始前と同様の生活を送ること、多量のアルコール摂取をしないこと、夕食後2時間以内に就寝しないこと、22時以降間食を含む食事の摂取をしないこと、各食事の間隔を3時間以上あけること、他の試験への参加を避けること等を、試験期間を通じての注意事項として被験者に説明した。加えて、CTスキャン検査前1週間以内には、バリウムを使用するレントゲン検査をしないこと、CTスキャン検査前日は、腸内ガスの発生を抑えるため生フルーツ、生野菜、炭酸飲料の摂取を控えること、全検査2日前からのアルコールの摂取を避けること、全検査前日21時以降の水以外の飲食を避けること、全検査当日は、起床時から検査終了まで禁煙することを各検査における注意事項として説明した。
排便状況について得られた結果を、表2及び図1に示す。
Figure 2023175314000002
また、身体検査の検査項目について得られた結果を、表3、4及び図2に示す。
Figure 2023175314000003
Figure 2023175314000004
その結果、排便状況については、表2及び図1に示されるように、被験食品摂取群では摂取開始後5、7、8、9、10、13、14、17、18、19、20週目に、摂取開始前と比較して排便回数(回/週)の有意な増加が認められた。これに対して、対照食品摂取群では、そのような排便回数の増加傾向は認められなかった。
また、身体検査の検査項目については、表3、4及び図2に示されるように、対照食品摂取群では、摂取開始前と比較して摂取開始後20週目の腹部皮下脂肪面積及び腹部総脂肪面積の有意な上昇が認められた。実測値の群間比較において、摂取開始後4、20週目のウエスト周囲径及び摂取開始後4、8、20週目のヒップ周囲径では、それぞれ対照食品摂取群と比較して、被験食品摂取群で有意な低下が認められた。変化量の群間比較では、被検食品摂取群の腹部内臓脂肪面積については摂取開始後20週目で、腹部皮下脂肪面積及び腹部総脂肪面積については摂取開始後4、8、20週目で、対照食品摂取群と比較して有意な低下が認められた。また、被験食品摂取群の体重において、摂取開始後4、8、20週目で対照食品摂取群と比較して有意な低下が認められた。
<試験例2>
試験例1と同様の試験を、1粒のチュアブル錠に含有せしめるフコースの含有量を0mg、50mg、150mg、500mgと変えて実施した(試験期間:2019年1月から2019年5月)。
身体検査の検査項目について得られた結果を、表5及び図3に示す。
Figure 2023175314000005
その結果、表5及び図3に示されるように、1粒あたりフコースを150mg含有するチュアブル錠を摂取した被検食品摂取群のみで、腹部内臓脂肪面積の低下やヒップ周囲径の低下の効果が認められ、1粒あたりフコースを50mg含有するチュアブル錠を摂取した被検食品摂取群や1粒あたりフコースを500mg含有するチュアブル錠を摂取した被検食品摂取群では、そのような効果は認められなかった。

Claims (5)

  1. フコースを有効成分として含有する、便通改善用組成物。
  2. 飲食品、機能性食品、医薬品、又は動物飼料からなる形態で用いられる、請求項1記載の便通改善用組成物。
  3. フコースを機能性関与成分として含み、便秘傾向の方の便の回数を増やすことで便通を改善する旨の表示を付した、機能性表示食品。
  4. 更に、腹部の脂肪、体重、ウエスト周囲径の低下を助けることでBMIの低下をサポートする旨の表示を付した、請求項3記載の機能性表示食品。
  5. BMIが23以上30未満の者を対象とする旨の表示を付した、請求項3又は4記載の機能性表示食品。
JP2022087697A 2022-05-30 2022-05-30 便通改善用組成物及び機能性表示食品 Pending JP2023175314A (ja)

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