JP2023171937A - 改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、導入キャリア、キット、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法 - Google Patents

改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、導入キャリア、キット、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、より効率的に細胞のゲノムに目的配列を組込むことができる改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、導入キャリア、キット、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法を提供することである。【解決手段】 実施形態に従う改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドは、piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列とを含み、非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のTATタンパク質であり、典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、導入キャリア、キット、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法に関する。
トランスポゾン法は細胞のゲノムに目的配列を組込むための方法として注目されている。トランスポゾン法では、トランスポゼースと呼ばれる酵素が用いられる。トランスポゼースは、両端に認識配列を有する目的配列を切り出し、それをゲノムに挿入する機能を有する。例えば、蛾に由来するpiggyBacトランスポゼースが知られている。
細胞のゲノムに目的配列を組込む技術は遺伝子改変細胞、遺伝子改変動物の製造、遺伝子治療及び再生医療等、様々な分野において応用されている。したがって組込み技術の効率化、簡便化の需要が高まっている。
Li, Xianghong, et al. "piggyBac transposase tools for genome engineering." Proceedings of the National Academy of Sciences 110.25 (2013): E2279-E2287
本発明が解決しようとする課題は、より効率的に細胞のゲノムに目的配列を組込むことができる改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、導入キャリア、キット、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法を提供することである。
実施形態に従う改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドは、piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列とを含み、非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである。
図1は、第1実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースの一例を示す図である。 図2は、実施形態の細胞のゲノムに目的配列を組込む方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、実施形態のドナーDNAの一例を示す図である。 図4は、実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースを用いて細胞のゲノムに目的配列を組み込むプロセスの一例を示すも模式図である。 図5は、実施形態の導入キャリアの一例を示す断面図である。 図6は、第2実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースの一例を示す図である。 図7は、例5の実験結果を示すグラフである。 図8は、例6の実験結果を示すグラフである。 図9は、例7の実験結果を示すグラフである。 図10は、例8の実験結果を示すグラフである。
以下、実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、各部の厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
実施形態によれば、改変型piggyBacトランスポゼースが提供される。本明細書において単に「改変型piggyBacトランスポゼース」と記載するとき、それは改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドの形態を示す。更なる実施形態によれば改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドもまた提供され得る。
実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースは、例えば細胞のゲノムに目的配列を組込むために使用され得る。したがって、更なる実施形態によれば改変型piggyBacトランスポゼースを用いた細胞のゲノムに目的配列を組込む方法、それに用いられるキット及び細胞製造方法もまた提供される。以下、これらの各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
・改変型piggyBacトランスポゼース
第1実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース1は、図1に示す通り、核局在化シグナルドメイン2とpiggyBacトランスポゼースドメイン3とを含む。以下、核局在化シグナルドメイン2を「NLSドメイン」、piggyBacトランスポゼースドメイン3を「PBドメイン」とも称する。
PBドメイン3は、piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列から構成されるドメインである。piggyBacトランスポゼースは、蛾の一種であるイラクサキンウワバ(Trichoplushia ni)由来のトランスポゼース又はその誘導体をいう。PBドメイン3として、例えば表1に示す野生型のpiggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列(配列番号1)を用いることができる。
Figure 2023171937000002

又は、PBドメイン3の配列は上記に限定されるものではなく、例えば、表1に示す配列に含まれるアミノ酸に置換、付加、挿入、欠失等の変異がある誘導体も使用することができる。例えば、表1に示す配列と90%以上のアミノ酸配列相同性を有するものを使用することが好ましい。野生型piggyBacトランスポゼースの誘導体である表2に示す配列(配列番号2)を用いることも可能である。配列番号2は、配列番号1から下線の7か所のアミノ酸の置換を行ったものであり、トランスポゼースとしての活性がより高いため好ましい。
Figure 2023171937000003

NLSドメイン2は、核局在化シグナル(Nuclea localization signal:NLS)のアミノ酸配列から構成されるドメインである。NLSドメイン2として、公知の何れかのNLSのポリペプチドを用いることができる。NLSは、典型的(classicalな)NLSであってもよいし、非典型的(non-classicalな)NLSであってもよい。
典型的NLSとして、例えば、表3に示すシミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質のNLS(配列番号3)を用いることができる。
Figure 2023171937000004

又は、典型的NLSとして、ヌクレオプラスミン又はSex-determining Region Y(SRY)のNLS等を用いることも可能である。
非典型的NLSとして、例えば、表4に示すヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質(配列番号4)を用いることができる。
Figure 2023171937000005

又は、非典型的NLSとして、ボルナ病ウイルス(Borna Disease Virus:BDV)のp10、phospholipid scramblase1(PLSCR1)、Ty1インテグラーゼ、HIV-1のRev、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)のRex、Ste12、Pho4又はYap1のNLS等を用いることも可能である。
NLSドメイン2として、上記何れかのNLSのうち一種を単独で用いてもよく、或いは同種又は異種の複数のNLSを連結して用いてもよい。例えば、典型的NLSと非典型的NLSとを連結したものをNLSドメイン2として用いてもよい。そのようなNLSドメインとして、上記のHIVのTATタンパク質とSV40ラージT抗原タンパク質のNLSとをN末端からこの順番で連結した配列を用いることが好ましい。
NLSドメイン2、PBドメイン3は、例えばN末端側からこの順で連結されていることが好ましいが、PBドメイン3、NLSドメイン2の順に連結していてもよい。
本明細書において「連結」とは、各ドメインがその機能を発揮することが可能な状態で結合されていることをいう。また、「連結」は、直接結合されている状態と、他の配列を介して結合されている状態との両方を含む。他の配列とは、各ドメインの機能に悪影響を与えないアミノ酸又はポリペプチドであればよい。例えば、他の配列は、各ドメインの由来となる生物のゲノムにおける当該ドメインの周辺の配列、或いはGGGGS配列若しくはGS配列、又はこれらを1~5回繰り返した配列等であることが好ましい。
(改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチド)
更なる実施形態によれば、改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドが提供される。ポリヌクレオチドは、例えば、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又は塩基配列を構成できるその他のヌクレオチドから構成されるポリマーである。ポリヌクレオチドは、例えば一本鎖、二本鎖又は三本鎖の、ゲノムDNA、cDNA、人工合成DNA、ゲノムRNA、人工合成RNA、或いはこれらの何れかの部位若しくは末端を化学修飾した核酸アナログ等であり得る。ポリヌクレオチドは、複数種類のヌクレオチドから構成されてもよく、BNA(Bridged nucleic acid)、LNA(Locked nucleic acid)、又はPNA(Peptide nucleic acid)等を含んでもよい。
実施形態に従うポリヌクレオチドは、例えば改変型piggyBacトランスポゼース1をコードし、NLSドメイン2をコードする領域(塩基配列)及びPBドメイン3をコードする領域を少なくとも含む。
ここで、「コードする」とは目的のポリペプチドを転写及び/又は翻訳し発現できる情報、即ち塩基配列を含むことをいう。情報は、例えばポリペプチドを構成する各アミノ酸に対応するコドンによって特定される。
以下にポリヌクレオチドがRNAである一例について説明する。このRNAは、例えば細胞内に導入されることによってメッセンジャーRNA(mRNA)として機能し、細胞内のタンパク質合成機能により翻訳され、改変型piggyBacトランスポゼース1を細胞内に供給する。
RNAの配列は、導入する細胞の生物種に従いコドン最適化して用いることが好ましい。「コドン最適化」とは、ペプチドを構成する各アミノ酸に対するコドンをその生物種で頻度の高いコドンに変更することをいう。しかしながら、「コドン最適化」は、必ずしもポリペプチドのアミノ酸配列のうち100%のアミノ酸についてコドンを変更することをいうのではなく、少なくとも1つのアミノ酸に対応するコドンが変更されていることをいう。しかしながら、50%以上のコドンが変更されていることが好ましい。
例えばヒトの細胞を用いる場合は、ヒト用にコドン最適化を行うことが好ましい。以下に、ヒトにおいて頻度が高く、ヒト用にコドン最適化する場合に好ましいコドンをアミノ酸毎に示す。
アラニン(A):GCU又はGCCが頻度が高く好ましいが、GCCが最も頻度が高くより好ましい。
システイン(C):UGC又はUGUが頻度が高く好ましいが、UGCが最も頻度が高くより好ましい。
アスパラギン酸(D):GAC又はGAUが頻度が高く好ましいが、GACが最も頻度が高くより好ましい。
グルタミン酸(E):GAA又はGAGが頻度が高く好ましいが、GAGが最も頻度が高くより好ましい。
フェニルアラニン(F):UUC又はUUUが頻度が高く好ましいが、UUCが最も頻度が高くより好ましい。
グリシン(G):GGA又はGGCが頻度が高く好ましいが、GGCが最も頻度が高くより好ましい。
ヒスチジン(H):CAC又はCAUが頻度が高く好ましいが、CACが最も頻度が高くより好ましい。
イソロイシン(I):AUC又はAUUが頻度が高く好ましいが、AUCが最も頻度が高くより好ましい。
リジン(K):AAA又はAAGが頻度が高く好ましいが、AAGが最も頻度が高くより好ましい。
ロイシン(L):CUC又はCUGが頻度が高く好ましいが、CUGが最も頻度が高くより好ましい。
メチオニン(M):使用コドンは1種(AUG)であるため、変更の必要はない。
アスパラギン(N):AAC又はAAUが頻度が高く好ましいが、AACが最も頻度が高くより好ましい。
プロリン(P):CCC又はCCUが頻度が高く好ましいが、CCCが最も頻度が高くより好ましい。
グルタミン(Q):CAA又はCAGが頻度が高く好ましいが、CAGが最も頻度が高くより好ましい。
アルギニン(R):AGA又はAGGが同程度に頻度が高く、どちらも好ましい。
セリン(S):AGC、UCC又はUCUが頻度が高く好ましいが、AGCが最も頻度が高くより好ましい。UCCがその次に頻度が高く、好ましい。
トレオニン(U):ACA又はACCが頻度が高く好ましいが、ACCが最も頻度が高くより好ましい。
バリン(V):GUC又はGUGが頻度が高く好ましいが、GUGが最も頻度が高くより好ましい。
トリプトファン(W):使用コドンが1種(UGG)であるため、変更の必要はない。
チロシン(Y):UAC又はUAUが頻度が高く好ましいが、UACが最も頻度が高くより好ましい。
終止コドン:UGAが最も頻度が高くより好ましい。
ここで、Aはアデニンであり、Uはウラシルであり、Cはチミンであり、Gはグアニンである。
しかしながら最も頻度が高いコドンの含有量が多すぎると、当該コドン用のtRNAが枯渇する、或いはポリペプチドのGC含有量が高くなりすぎる等の理由により、翻訳効率がむしろ低下する可能性がある。そのため、2番目に頻度の高いコドンも一定の割合で含ませることが好ましい。
PBドメイン3をコードする領域として、例えばpiggyBacトランスポゼースのmRNAとして知られた配列を用いることが可能である。又はこの配列を上記のようにコドン最適化した配列を用いることが好ましい。
NLSドメイン2をコードする領域として、上記何れかの所望のNLSドメイン2をコードする公知のRNA配列を用いればよい。NLSドメイン2についても用いる細胞の生物種に応じてコドン最適化することが好ましい。
実施形態に従うRNAは、RNAプロセシング前のpre-RNAの形態であってもよいし、プロセシング後の成熟RNAの形態であってもよい。実施形態に従うRNAは各ドメインをコードする領域の他に更なる配列を含んでもよい。更なる配列は、例えば開始コドン、終止コドン、5’非翻訳領域(5’-UTR)、3’非翻訳領域(3’-UTR)、5’末端リーダー配列、IRES(Internal Ribosome Entry Site)、P2AやT2Aなどの2A配列、転写終結配列又はPoly(A)配列等である。
実施形態に従うRNAは、分解耐性を有するように修飾されていることが好ましい。例えば、修飾は、RNase等によりRNAが分解されないようにする公知の修飾であればよい。そのような修飾は、例えば、RNAへの天然修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドの使用/導入、非天然配列の使用/付加、又は天然/非天然CAP構造の付加、又はPoly(A)配列の付加等である。
天然修飾ヌクレオチドは、例えば、シュードウリジン、5-メチルシチジン、1-メチルアデノシン等である。非天然ヌクレオチドは、例えば、BNA、LNA又はPNA等である。
非天然配列は、例えば、人工的に作成された天然には存在しない塩基配列であり、例えば、ランダムな塩基配列、又は天然/非天然アミノ酸と核酸のハイブリッド配列等である。非天然配列は、例えばRNAの末端に付加することが好ましい。
天然CAP構造は、例えば、CAP0(m7GpppN)、CAP1(m7GpppNm)等である。非天然CAP構造は、例えば、ARCA(Anti-Reverse Cap Analog)又はLNA-グアノシン等である。非天然CAP構造は、例えばRNAの5’末端に付加することが好ましい。
実施形態に従うRNAは、次に説明する改変型piggyBacトランスポゼースのDNA配列から、インビトロトランスクリプション法等を用いて合成することができる。インビトロトランスクリプションは、例えばCUGA(登録商標)7 kit等の市販のキットを用いて行うことができる。或いは、RNAは直接人工的に合成してもよい。
続いて、ポリヌクレオチドがDNAである例について説明する。このDNAは、例えば細胞内に導入された後、転写及び翻訳され、改変型piggyBacトランスポゼース1を細胞内に供給する。
第1実施形態のDNAは、所望の改変型piggyBacトランスポゼース1の各ドメイン(NLSドメイン2及びPBドメイン3)をそれぞれコードする領域(塩基配列)を少なくとも含む。各ドメインをコードする領域として、例えば各ドメインのポリペプチドをコードする公知のDNAの配列を用いることができる。各ドメインをコードする領域として、上記RNAの配列のウラシル(U)をチミン(T)に変更した配列、又はその相補配列(cDNA)を含み得る。
PBドメイン3をコードする領域として、例えば上記配列番号1のアミノ酸配列をコードする、野生型のDNA配列(表5、配列番号5)を使用することが可能である。
Figure 2023171937000006

ヒトの細胞に用いる場合、PBドメイン3をコードする領域は、例えば上記のヒト用にコドン最適化されたRNAを提供できるように選択されたトリプレットを用いた配列であることが好ましい。DNA配列についてコドン最適化する場合は、上記各アミノ酸に対応する好ましいコドンのUをTに変更したトリプレット又はその相補配列を用いる。例えば、上記配列番号1のPBドメイン3のコドン最適化を行ったDNA配列として、表6に示す配列(配列番号6)を使用することが好ましい。
Figure 2023171937000007

また、配列番号2のPBドメイン3のヒト用にコドン最適化したDNA配列として、例えば表7に示す配列(配列番号7)を使用することが好ましい。
Figure 2023171937000008

NLSドメイン2として、配列番号3のSV40のラージT抗原のNLSを用いる場合、NLSドメイン2をコードする領域として、次の表8に示すDNA配列(配列番号8)を用いることができる。
Figure 2023171937000009

NLSドメイン2として、配列番号4のHIVのTATタンパク質を用いる場合、NLSドメイン2をコードする領域として、次の表9に示すDNA配列(配列番号9)を用いることができる。
Figure 2023171937000010

また、HIVのTATタンパク質及びSV40のラージT抗原のNLSを連結したNLSドメイン2を用いる場合、次の表10に示すDNA配列(配列番号10)を用いることができる。
Figure 2023171937000011

表5~表10に示す塩基配列に含まれるヌクレオチドに置換、付加、挿入、欠失等の変異があるものも使用することができる。例えば、このような変異が存在する場合、表5~表10に示す配列がコードするアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するものを使用することが好ましい。
実施形態に係るDNAは、更にDNAの5’末端にプロモーター配列、3’末端に転写終結配列を連結したpiggyBacトランスポゼース発現ユニットの構成で使用することが好ましい。プロモーター配列には、サイトメガロウイルス(CMV)の初期エンハンサー/プロモーター又はシミアンウイルス40(SV40)のプロモーター等を用いることができる。転写終結配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結配列又はシミアンウイルス40(SV40)の転写終結配列を用いることができる。当該発現ユニットは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、また直鎖状であってもよく環状であってもよい。DNAの末端は標識又は官能基で修飾されていてもよい。また、当該発現ユニットは、公知のプラスミドベクターやウイルスベクターに組込んで用いてもよい。
(細胞のゲノムに目的配列を組込む方法、細胞製造方法)
以下に、第1実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースを用いた細胞のゲノムに目的配列を組込む方法について説明する。細胞のゲノムに目的配列を組込む方法は、図2に示すように、ドナーDNAを改変型piggyBacトランスポゼース1とともに細胞に導入すること(S1:導入工程)を含む。
まずドナーDNAについて説明する。図3に示すように、ドナーDNA20は、目的配列21を含む。ドナーDNA20は、例えば二本鎖DNAであり、直鎖状であってもよいし、環状であってもよい。例えば、ドナーDNA20は、目的配列21が組込まれたプラスミドベクター又はウイルスベクターであってもよい。
目的配列21は細胞のゲノムに組込まれるDNAの塩基配列であり、本方法を行う目的に応じて選択される。目的配列21は、例えば特定の遺伝子又は遺伝子の一部をコードする塩基配列、プロモーター配列と特定の遺伝子と転写終結配列とを含む遺伝子発現カセット、又は遺伝子ではない天然の塩基配列又は非天然の塩基配列等を含む。或いは1個~数個のアミノ酸をコードする塩基配列又は3個~数十個のヌクレオチドからなる配列等を含んでもよい。
目的配列21は、その両端にそれぞれ第1のトランスポゼース認識配列22aと第2のトランスポゼース認識配列22bとを含む。第1のトランスポゼース認識配列22a及び第2のトランスポゼース認識配列22bは、トランスポゼースが目的配列21の位置を認識するための配列である。第1のトランスポゼース認識配列22a及び第2のトランスポゼース認識配列22bは、互いに逆向きの同じ配列を含む、逆向き反復配列(Inverted Repeat Sequences:IR)とも称される配列である。
目的配列21の第1のトランスポゼース認識配列22aと第2のトランスポゼース認識配列22bと除く領域の長さは、例えば、3~約20000塩基程度であることが好ましい。
「改変型piggyBacトランスポゼース1を細胞に導入する」とは、改変型piggyBacトランスポゼース1をポリペプチドの形態で導入する場合と、RNA又はDNAの形態で導入して細胞内で改変型piggyBacトランスポゼース1を発現させる場合とを含む。
改変型piggyBacトランスポゼース1をRNAの形態で導入した場合に目的配列21が細胞のゲノムに組込まれるプロセスの一例について、図4を用いて説明する。まず、図4の(a)部に示すようにドナーDNA20と改変型piggyBacトランスポゼース1のRNA30とを細胞40に導入すると、細胞40のタンパク質合成機能により図4の(b)部に示すようにRNA30から改変型piggyBacトランスポゼース1(図中、「PB」)が発現する。図4の(c)部に示すように、ドナーDNA20及び改変型piggyBacトランスポゼース1は核41内に移行し得る。
次に核内でドナーDNA20に改変型piggyBacトランスポゼース1が結合する(図4の(d)部)。例えば2つの改変型piggyBacトランスポゼース1が、ドナーDNA20の第1のトランスポゼース認識配列22a及び第2のトランスポゼース認識配列22bにそれぞれ結合し得る。次いで、改変型piggyBacトランスポゼース1はドナーDNA20の目的配列21を切り出して、図4の(e)部に示すように細胞40のゲノム42に目的配列21を組込む。
改変型piggyBacトランスポゼース1のDNAを用いる場合、当該DNAを細胞40に導入した後、当該DNAが転写及び翻訳され、図4の(b)部と同様に改変型piggyBacトランスポゼース1が発現し、次のプロセスへと続く。改変型piggyBacトランスポゼース1をポリペプチドの形態で導入した場合、直接核41内へ移行し得る。
実施形態の改変型piggyBacトランスポゼース1はNLSドメイン2を有していることにより核41内への移行効率がより向上しており、より効率的に目的配列21を組込むことができる。
また、RNA30のPBドメイン3をコードする領域が細胞の生物種に合わせてコドン最適化されている場合、改変型piggyBacトランスポゼース1がより効率的に発現し、組込み効率が更に改善され得る。
改変型piggyBacトランスポゼース1をどの形態で導入するかは導入方法の種類や入手の容易さ等に従ってより適切なものを選択すればよい。しかしながら、RNAの形態を用いることが好ましい。その場合、DNA形態を用いる場合と比較して転写工程を省略することができるので、より迅速かつ高効率で改変型piggyBacトランスポゼース1が発現され、組込み効率が向上し得る。また、RNA形態を用いる場合は、それが細胞40のゲノム42に組込まれることがないため好都合である。
導入工程(S1)は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの細胞への導入に使用される公知の何れかの方法を用いて行うことができる。例えば、リポソーム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ソノポレーション法又はマグネトフェクション法等を用いることが好ましい。導入方法は、細胞40の種類、目的配列21の種類、又は導入後の細胞40の用途等に応じて適切なものが選択される。
リポソーム法はより好適な導入方法であり、ドナーDNA20及び改変型piggyBacトランスポゼース1又はそれをコードするポリヌクレオチドをリポソーム(脂質粒子)に封入し、それを細胞40に接触させる方法をいう。リポソーム法の実施形態については後に詳述する。
リポフェクション法は、例えばドナーDNA20及び改変型piggyBacトランスポゼース1を脂質とともに複合体を形成した状態で細胞40に接触させる方法をいう。
ドナーDNA20及びRNA30は、好ましくはそれぞれ1分子~100分子程度導入することが好ましい。
細胞40は、好ましくは生体外の細胞である。生体外の細胞40は、例えば単離細胞、培養細胞又は組織等、或いは株化した細胞等であり得る。細胞40は、好ましくは哺乳動物の細胞であり、より好ましくはヒトの細胞である。
生体外の細胞40を用いて実施形態の細胞のゲノムに目的配列を組込む方法を行うことにより、目的配列21をゲノムに組込んだ目的細胞を製造することが可能である。したがって、実施形態によれば、導入工程(S1)を含む細胞製造方法が提供される。細胞製造方法は、導入工程(S1)の後、細胞40を生存に適した条件で培養する工程を更に含んでもよい。また、培養後に目的配列21が組込まれた目的細胞をスクリーニングする工程を更に含んでもよい。
実施形態に従う細胞製造方法によれば、改変型piggyBacトランスポゼース1により組込み効率が改善されているため、より効率的に目的細胞を製造することが可能である。実施形態に従う細胞製造方法は、限定されるものではないが例えば目的細胞を含む医薬組成物の製造又は物質生産細胞の製造等に使用することができる。
或いは、細胞40は生体内の細胞であってもよい。この場合、導入工程(S1)はドナーDNA20及び改変型piggyBacトランスポゼース1を生体に投与することによって行われ得る。投与は、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、硬膜外、脳脊髄腔、胸腔内、腹腔内又は局所・病巣内への注射又は点滴等により行うことができる。
(リポソーム法)
以下、改変型piggyBacトランスポゼース1のRNAを用いたリポソーム法の実施形態の一例について説明する。しかしながらリポソーム法では必ずしもRNAの形態の改変型piggyBacトランスポゼース1を用いる必要はなく、DNAの形態、他のポリヌクレオチドの形態又はポリペプチドの形態を用いてもよい。しかしながら、ポリヌクレオチドの形態であることが好ましい。
図5の(a)は、ドナーDNA20と改変型piggyBacトランスポゼース1のRNA30とを脂質粒子50に封入して得られた導入キャリア51の一例を示す。導入キャリア51を細胞40に接触させることで、例えばエンドサイトーシスにより脂質粒子50と細胞膜とが融合し、ドナーDNA20とRNA30とが細胞40内に放出され得る。
図5の(b)は、ドナーDNA20とRNA30とを別々の脂質粒子50にそれぞれ封入して得られた導入キャリア52、53の一例を示す。導入キャリア52、53は一緒に用いられる。これらは同時に細胞40接触させてもよいし、どちらかを先に接触させてもよい。
脂質粒子50は、複数の脂質分子が非共有結合で配列してできた脂質膜からなる、略球状の中空体である。その中心の内腔にドナーDNA20及び/又はRNA30が封入されている。脂質粒子50は、脂質単分子膜であってもよいし、脂質二重膜であってもよい。また、脂質粒子50は、一層の膜からなっていてもよいし、多重層の膜からなっていてもよい。
脂質粒子50の材料として、下記に例示するベース脂質を用いることができる。ベース脂質は、例えば、生体膜の主成分の脂質を用いることができる。ベース脂質は、リン脂質又はスフィンゴ脂質、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、ケファリン又はセレブロシド、或いはこれらの組み合わせ等である。ベース脂質は、細胞膜と融合しやすく、特にジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンを用いる場合、脂質粒子50の構造や粒子径の制御が容易であり、且つ細胞膜と融合しやすいため好ましい。脂質に含まれるアシル基の炭化水素鎖の長さはC10~C20であることが好ましい。この炭化水素鎖は飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。
例えば、ベース脂質として、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、
1,2-ステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DPPC)、
1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(POPC)、
1,2-ジ-O-オクタデシル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)、
1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(DODAP)、
1,2-ジミリストイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(14:0 DAP)、
1,2-ジパルミトイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(16:0 DAP)、
1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン(18:0 DAP)、
N-(4-カルボキシベンジル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(オレオイロキシ)プロパン(DOBAQ)、
1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DOPC)、
1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホクロリン(DLPC)、
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン(DOPS)、又は
コレステロール、
或いはこれらの何れかの組み合わせ等を用いることが好ましい。ベース脂質として、特にカチオン性脂質又は中性脂質の脂質を用いること好ましく、その含有量によって脂質粒子50の酸解離定数を調節することができる。カチオン性脂質としてDOTAPを用いることが好ましく、中性脂質としてDOPEを用いることが好ましい。
ベース脂質は、脂質粒子50に含まれる脂質分子全体に対して100%近く含まれてもよいが、ベース脂質の他に下記に例示する第1の脂質化合物及び/又は第2の脂質化合物を更に含むことが好ましい。これらの脂質化合物を含む場合は、ベース脂質は脂質分子全体に対して約30%~約80%(モル比)含まれることが好ましい。
第1の脂質化合物は、例えば、生分解性である。第1の脂質化合物は、Q-CHRの式で表すことができる。
(式中、
Qは、3級窒素を2つ以上含み、酸素を含まない含窒素脂肪族基であり、
Rは、それぞれ独立に、C12~C24の脂肪族基であり、
少なくとも一つのRは、その主鎖中又は側鎖中に、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-S-C(=O)-、-C(=O)-S-、-C(=O)-NH-、及び-NHC(=O)-からなる群から選択される連結基LRを含む)。
脂質粒子50が第1の脂質化合物を含む場合、脂質粒子50の表面が非カチオン性となるため、細胞導入における障害が低減され、封入物の導入効率が高まり得る。
第1の脂質化合物として、例えば、下記式で表される構造を有する脂質を用いれば導入効率がより優れているため好ましい。
Figure 2023171937000012

Figure 2023171937000013

Figure 2023171937000014

Figure 2023171937000015

特に、脂質粒子50はその構成成分として、式(1-01)の脂質化合物及び/又は式(1-02)の脂質化合物を含むことが好ましい。
第2の脂質化合物は、例えば、生分解性である。第2の脂質化合物は、P-[X-W-Y-W’-Z]の式で表すことができる。
(式中、
Pは、1つ以上のエーテル結合を主鎖に含むアルキレンオキシであり、
Xは、それぞれ独立に、三級アミン構造を含む2価連結基であり、
Wは、それぞれ独立に、C~Cアルキレンであり、
Yは、それぞれ独立に、単結合、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、チオカルボン酸エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、カルバメート結合及び尿素結合からなる群から選ばれる2価連結基であり、
W’は、それぞれ独立に、単結合又はC~Cアルキレンであり、
Zは、それぞれ独立に、脂溶性ビタミン残基、ステロール残基、又はC12~C22脂肪族炭化水素基である)。
第2の脂質化合物を含む場合、脂質粒子50への核酸の封入量が多くなり得る。
例えば、以下の構造を有する第2の脂質化合物を用いれば、核酸封入量がより優れているため好ましい。
Figure 2023171937000016

Figure 2023171937000017

Figure 2023171937000018

以上に説明した第1及び第2の脂質化合物を含む脂質粒子50を用いた場合、封入量を増加させ、且つ導入効率を高めることが可能である。かつ導入した細胞の細胞死も低減することができる。特に、式(1-01)、式(1-02)及び/又は式(2-01)の化合物を用いれば封入量及び導入効率が特に優れているため好ましい。
第1及び第2の脂質化合物は、脂質粒子50の材料全体に対して約20%~約70%(モル比)で含まれることが好ましい。
脂質粒子50は、脂質粒子50の凝集を防止する脂質を含むこともまた好ましい。例えば、凝集を防止する脂質は、PEG修飾した脂質、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ジミリストイルグリセロール(DMG-PEG)、オメガ-アミノ(オリゴエチレングリコール)アルカン酸モノマーから誘導されるポリアミドオリゴマー(米国特許第6,320,017号)又はモノシアロガングリオシド等を更に含むことが好ましい。このような脂質は、脂質粒子50の材料全体に対して約1%~約5%(モル比)で含まれることが好ましい。
脂質粒子50は、毒性を調整するための相対的に毒性の低い脂質;脂質粒子50に配位子を結合させる官能基を有する脂質;ステロール、例えばコレステロール等の封入物の漏出を抑制するための脂質等の脂質を含んでもよい。特に、コレステロールを含ませることが好ましい。
脂質粒子50に用いる脂質の種類及び組成は、目的とする脂質粒子50の酸解離定数(pKa)若しくは脂質粒子50のサイズ、封入物の種類、或いは導入する細胞中での安定性等を考慮して適切に選択される。酸解離定数(pKa)は、6.5~8.0であることが好ましい。この値であれば、導入効率を高めることが可能である。
例えば、脂質粒子50は、式(1-01)若しくは式(1-02)の化合物及び/又は式(2-01)の化合物と、DOPE及び/又はDOTAPと、コレステロールと、DMG-PEGとを含む場合、核酸封入量及び核酸導入効率が特に優れているため好ましい。
導入キャリアには、必要に応じて更なる成分が封入されていてもよい。更なる成分は、例えば、pH調整剤、浸透圧調整剤、遺伝子活性化剤又はT細胞性腫瘍細胞の他の治療薬、他の診断薬等である。pH調整剤は、例えば、クエン酸などの有機酸及びその塩等である。浸透圧調整剤は、糖又はアミノ酸等である。遺伝子活性化剤については後述する。
導入キャリアは、例えば、小分子を脂質粒子に封入する際に用いられる公知の方法、例えば、バンガム法、有機溶媒抽出法、界面活性剤除去法又は凍結融解法等を用いて製造することができる。例えば、脂質粒子50の材料を所望の比率でアルコール等の有機溶媒に含ませて得られた脂質混合物と、封入するべき成分を含む水性緩衝液を用意し、脂質混合物に水性緩衝液を添加する。得られた混合物を撹拌して懸濁することにより導入キャリアが形成される。
ドナーDNA20及びRNA30は、核酸凝縮ペプチド60で凝縮された状態で封入されていてもよい。核酸凝縮ペプチド60は、核酸を小さく凝縮する機能を持つペプチドである。核酸凝縮ペプチド60を用いることにより脂質粒子50内に多くの核酸を封入し、脂質粒子50の粒径を小さくすることができる。また、脂質粒子50外に残存する核酸の量が減少され、それによって導入キャリア同士の凝集が防止される。その結果、核酸の送達効率が向上し得る。
好ましい核酸凝縮ペプチド60は、例えば、カチオン性のアミノ酸を全体の45%以上含むペプチドである。より好ましい核酸凝縮ペプチド60は、一方の端にRRRRRR(第1のアミノ酸配列)を有し、他方の端が配列RQRQR(第2のアミノ酸配列)を有する。第1のアミノ酸配列と第2アミノ酸配列との間には、RRRRRR又はRQRQRからなる中間配列を0個又は1個以上含む。また、第1のアミノ酸配列、第2のアミノ酸配列及び中間配列のうち、隣り合う2つの配列の間に2つ以上の中性アミノ酸を含む。中性アミノ酸は、例えば、G又はYである。或いは、他方の端は第2のアミノ酸配列に変えて、RRRRRR(第1のアミノ酸配列)を有してもよい。
上記核酸凝縮ペプチドは、好ましくは、以下のアミノ酸配列を有する:
RQRQRYYRQRQRGGRRRRRR (配列番号11)
RQRQRGGRRRRRR (配列番号12)
RRRRRRYYRQRQRGGRRRRRR (配列番号13)。
更に、次のようなアミノ酸配列を有する核酸凝縮ペプチドを上記の何れかの核酸凝縮ペプチドと組み合わせて用いることもできる。このペプチドは、上記核酸凝縮ペプチドで凝縮した核酸凝集体を更に凝縮することができる。
GNQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFAKPRNQGGY
(M9)(配列番号14)
例えば、脂質粒子50に封入する前に、核酸を核酸凝縮ペプチド60と撹拌混合することによって核酸を凝縮することができる。ドナーDNA20とRNA30とを一緒に凝縮してもよいし、別々に凝縮してもよい。
以上に説明した効果を奏することから核酸凝縮ペプチド60を用いることが好ましいが、用いる核酸の種類、又は細胞の種類等によっては核酸凝縮ペプチド60を用いなくともよい。
(キット)
実施形態によれば、細胞のゲノムへの目的配列21の組込みに用いるためのキットが提供される。キットは、上記何れかの改変型piggyBacトランスポゼース1、又はそれをコードするポリヌクレオチドを少なくとも含む。
例えば、改変型piggyBacトランスポゼース1、又はそれをコードするポリヌクレオチドは、適切な担体に含まれた組成物として提供され得る。或いは、これらは上記導入キャリアの形態で適切な担体に含まれた組成物として提供され得る。適切な担体は、例えば、水、生理食塩水のような食塩水、グリシン水溶液又は緩衝液等である。
組成物は、一般的な方法によって滅菌されていてもよい。また、組成物は、液体として提供されてもよいし、それを乾燥した粉末として提供されてもよい。粉末の組成物は、例えば、適切な液体に溶解することにより使用可能となる。
キットは、組成物の保管安定性を向上させる物質を更に含んでもよい。保管安定性を向上させる物質は、限定されるものではないが、例えば、アルブミン、リポタンパク、アポリポタンパク、グロブリン等の糖タンパク等:pH調整剤、緩衝化剤、張度調整剤等;ナトリウムアセテート、ナトリウムラクテート、ナトリウムクロリド、カリウムクロリド、カルシウムクロリド等の製薬学的に許容可能であり、医薬組成物を生理的状態に近づける関与剤;フリーラジカルによるダメージを抑制する、α-トコフェロールのような脂肪親和性フリーラジカルクエンチャー;脂質の過酸化損傷を抑制し、貯蔵安定性を改良するためのフェリオキサミンのような水溶性キレーター等の脂質保護剤等である。これらは組成物に含まれてもよいし、組成物とは別々にキットに含まれてもよい。
ドナーDNAを封入した導入キャリアを含む場合を除き、キットは、ドナーDNA20を更に含んでもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態によれば、細胞分裂促進ドメインを更に含む改変型piggyBacトランスポゼースが提供される。図6の(a)に示す通り、第2実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース10は、例えば核局在化シグナルドメイン2とpiggyBacトランスポゼースドメイン3との間に細胞分裂促進ドメイン4を更に含む。
細胞分裂促進ドメイン4は、細胞分裂を促進する機能を有するペプチドのアミノ酸配列から構成される。細胞分裂促進ドメイン4として、そのような機能を有することが知られている公知のペプチドであれば何れのものも用いることができるが、例えば、表11に示すSV40のラージT抗原タンパク質のN末端側から133アミノ酸までの領域の配列(配列番号15)を用いることが好ましい。この配列は、Jドメイン及びRbファミリー結合モチーフを含む。
Figure 2023171937000019

細胞分裂促進ドメイン4はこれに限定されるものではなく、例えば、ヒト・ポリオーマウイルスに属するJCウイルス又はBKウイルスのラージT抗原タンパク質の細胞分裂促進ドメイン等を用いることも可能である。
細胞分裂促進ドメイン4を含む場合、各ドメインの連結される順番は例えば図6の(a)に示すように、N末端側からNLSドメイン2、細胞分裂促進ドメイン4、PBドメイン3の順であることが好ましい。しかしながらドメインの順番はこれに限定されるものではなく、例えば、N末端側から細胞分裂促進ドメイン4、NLSドメイン2、PBドメイン3の順に連結していてもよい。或いは、その他の順番であってもよい。
第2実施形態においても改変型piggyBacトランスポゼース10をコードするポリヌクレオチドが提供される。細胞分裂促進ドメイン4として配列番号15のアミノ酸配列を用いる場合、それをコードするDNA配列として、例えば、表12に示す配列(配列番号16)を用いることが好ましい。
Figure 2023171937000020

表11及び表12に示すアミノ酸配列又はDNA配列は置換、付加、挿入、欠失等の変異があるものも使用することができる。例えば、このような変異が存在する場合、表11及び表12に示す配列がコードするアミノ酸配列と90%以上相同なアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するものを使用することが好ましい。
第2実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース10も、第1実施形態で説明したものと同様の導入キャリアとして提供され得る。また、第1実施形態と同様に細胞のゲノムに目的配列を組込む方法及び細胞製造方法に使用することができる。
しかしながら、第2実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース10を細胞40に導入すると、細胞分裂促進ドメイン4の細胞分裂促進機能により、一時的に細胞40の分裂が起こりやすくなり得る。細胞40の分裂の過程で起こる核膜消失は、改変型piggyBacトランスポゼース10及びドナーDNA20の核41内への取り込みをより促進させ得る。故に、第2実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース10によれば更に目的配列21の組込み効率が更に向上し得る。
更なる実施形態によれば、細胞分裂促進ドメイン4は必ずしも改変型piggyBacトランスポゼースに含まれて使用される必要はなく、図6の(b)に示すように第1実施形態に係る改変型piggyBacトランスポゼース1と、それとは別体の細胞分裂促進ドメイン4を含むポリペプチドとを一緒に用いてもよい。この時、細胞分裂促進ドメイン4を含むポリペプチドは、NLSドメイン2を更に含んでもよい。
[例]
以下に、実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースを製造し、使用した例について説明する。
例1 改変型piggyBacトランスポゼースのDNA配列の合成
・PBドメインDNA配列の合成
野生型piggyBacトランスポゼース(WtPB、配列番号1)の遺伝子のDNA配列(配列番号5)と、配列番号5のDNA配列をヒト用にコドンに最適化した、ヒト・コドン最適化PB(HuPB)のDNA配列(配列番号6)とを合成した。加えて、アミノ酸配列を改変した高活性型PB(HyPB)のDNA配列(配列番号7)を合成した。
・NLSドメインDNA配列の合成
NLSドメインとして、HIVのTATタンパク質の核移行シグナル(TAT NLS、配列番号4)と、SV40のラージT抗原タンパク質の核移行シグナル(SV40 NLS、配列番号3)を使用した。ヒト用にコドン最適化したTAT NLSのDNA配列(配列番号9)と、ヒト用にコドン最適化したSV40 NLSのDNA配列(配列番号8)と、TAT NLS及びSV40 NLSをこの順にリンカー配列を介して連結したDNA配列(TAT-SV40 NLS、配列番号10)を合成した。
・細胞分裂促進ドメインDNA配列の合成
細胞分裂促進ドメインとして、SV40のラージT抗原タンパク質のJドメインとRbドメインを含むN末端の133アミノ酸配列(LT-J/Rb、配列番号15)を用いた。配列番号15のアミノ酸配列をコードするDNA配列(配列番号16)を合成した。
・第1実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースDNA配列の合成
上記TAT NLSのDNA配列をリンカー配列を介してHyPBのN末端に付加したT-HyPB(配列番号17)と、TAT-SV40 NLSにリンカー配列を連結してHyPBのN末端に付加したTS-HyPB(配列番号18)を作製した。これらの配列を表13、14にそれぞれ示す。
Figure 2023171937000021
Figure 2023171937000022

これらの改変型piggyBacトランスポゼースDNA配列は、TAT NLS又はTAT-SV40 NLSとHyPBとのN末端部のDNA配列を化学合成した後、合成N末端配列を取り除いたHyPBのDNA配列に連結することにより作製した。
・第2実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースDNA配列の合成
TAT-SV40 NLS(配列番号10)とLT-J/Rb(配列番号16)とを連結した、表15に示すDNA配列(配列番号19)をリンカー配列を介してHyPBのN末端に付加し、表16に示すTS-LTJ/Rb-HyPB(配列番号20)を作製した。
Figure 2023171937000023
Figure 2023171937000024

TS-LTJ/Rb-HyPBは、TAT-SV40 NLSとLTJ/Rbとリンカー配列とHyPBとのN末端部のDNAを化学合成した後、合成N末端配列を取り除いたHyPBのDNA配列に連結することにより作製した。また、PBと連結しない細胞分裂促進ドメイン単独のポリペプチドとして、表17に示すDNA配列(TS-LTJ/Rb、配列番号21)を作製した。
Figure 2023171937000025

TS-LTJ/Rbは、TAT-SV40 NLSとLT-J/RbとのDNA配列の末端に終始コドンを付加することにより化学合成で作製した。
例2 プラスミドの作製
改変型PBのRNA調整用の鋳型DNAとして、pGEM-GL-pAに例1で得たPB(WtPB、HuPB、HyPB、T-HyPB、TS-HyPB、TS-LTJ/Rb-HyPB)のDNA配列を組込んだプラスミドを作製した。
pGEM-GL-pAは、T7プロモーターとPoly(A)配列とが組込まれた市販のRNA合成鋳型プラスミドDNA:pGEM(登録商標)-4Z(プロメガ)に、ヒトβグロビンのリーダー配列(Globin leader)とpSP64 pA vector(プロメガ)のPoly(A)配列とを組込んで作製した。例1で得たPBのDNA配列は、pGEM-GL-pAのヒトβグロビン・リーダー配列とPoly(A)配列との間に組込んだ。
また、PBドメインと非連結の細胞分裂促進ドメイン(TS-LTJ/Rb)のRNA調整用の鋳型DNAも作製した。この鋳型DNAのプラスミドは、TS-LTJ/RbのDNA配列を、pGEM-GL-pAのヒトβグロビン・リーダー配列とPoly(A)配列の間に組込んで作製した。
例3 mRNAの合成
例2で得られたpGEM-GL-pAを用いて次のようにmRNAの合成を行った。まず、プラスミドDNAを制限酵素EcoRIで切断して精製した後、1.0μgの鋳型DNAを含む20μLのin vitro transcription反応液を調整し、37℃の恒温槽で2時間反応させた。In vitro transcription反応液には、CUGA(登録商標)7 kit付属の3種のヌクレオチド(ATP、CTP、GTP)と、ヌクレオチドアナログのψUTP(Jena Bioscience)を加えた。RNA合成手順は、CUGA(登録商標)7 kitのプロトコルに従った。
反応終了後、合成RNAをMEGAclearTM transcription Clean-Up kit(インビトロジェン)で精製した。精製の操作は、同キットの手順に従った。
精製後、RNAの5’-UTRと3’-UTRとに、それぞれCap構造とPoly(A)構造とを付加してmRNA化した。Cap構造とPoly(A)構造との付加は、ScriptCapTM m7G Capping System(CellScript)とScriptCapTM 2’-O-MetHyltransferase Kit(CellScript)を用いて行った。操作は、キットのマニュアルに従って次のように行った。
得られたRNAを65℃に10分間インキュベートした後、氷上で急冷し、RNAの二次構造を破壊した。このRNAを60μg含むCapping反応液100μLを調整し、37℃の恒温槽で1時間反応させて、RNAの5’-UTRにCap構造を付加した。同溶液にA-PlusTM Poly(A) Polymerase Tailing kit(CellScript)を加えて、37℃の恒温槽で2時間反応させて、3’-UTRにPoly(A)構造を付加した。反応終了後、キットのマニュアルに従い、酢酸アンモニウム沈殿法で、反応液中のmRNAを精製した。RNAの濃度は、分光光度計(BioSpec-mini、Shimadzu)を用いて、吸光度(A260)を測定し、OD1.0=40.0μg/mL RNAとして算出した。
例4 mRNA内包導リポソームの調整
エタノール脂質液(FFT20(上記式(1-02)の化合物)/DOTAP/DOPE/コレステロール/PEG-DMG=37/10.5/5.25/60/4(mol比))100μLに、1/20量のmRNA液(1.6μg/mL)を加えて、RNA含有脂質液を105μL調整した後、695μLの10mM HEPES(pH7.3)を静かに添加して、リポソーム溶液とした。このリポソーム溶液を4セット調整し、これらを遠心式限外ろ過チューブ:Amicon Ultra 0.5mL、Ultracel-50K(Millipore社)を用いて、14,000×gの遠心で濃縮した。濃縮後、400μLの10mM HEPES(pH7.3)を加えてバッファー交換及び濃縮をおこない、最終量を100μLに調整した。リポソームの内包RNA量は、QuantiFluorTM RNA System(Promega)で測定した。
例5 WtPB、HuPB、HyPBのトランスポゾン切出し活性の測定
上記各改変型piggyBacトランスポゼースのトランスポゾン(TP)切出し活性は、TP切出し活性測定用プラスミドDNA:pMSCV-SpNLを用いて測定した。
pMSCV-SpNLには、コーディング配列をN末端側とC末端側とに2分割したNanoLuc(登録商標)(トゲオキヒオドシエビ由来の発光酵素)の遺伝子(プロメガ)が組込まれており、2分割したNanoLuc(登録商標)の遺伝子の間にpiggyBacトランスポゼース認識配列(トランスポゾンの末端配列、5’-IR及び3’-IR)を備えるTPが挿入されている。分割NanoLuc(登録商標)RNA遺伝子(Split-NLuc)のN末端側(NLuc-N)の上流には、MSCV(Mouse Stem Cell Virus)のプロモーターを、C末端側(NLuc-C)の下流には、BGH(Bovine GroWth Hormone)遺伝子のPoly(A)付加シグナル配列を、それぞれ連結した。
pMSCV-SpNLは、発光酵素であるNanoLuc(登録商標)の遺伝子を、TPの挿入によりN末端側とC末端側とに2分割しており、この状態では細胞内で活性型のNanoLuc(登録商標)は発現されない。しかしながら細胞に導入された後、TPがトランスポゼースにより切出されると、細胞のDNA修復機構により、NanoLuc(登録商標)のN末端とC末端とが連結されて活性型のNanoLuc(登録商標)遺伝子が構成される。この結果、細胞内で活性型NanoLuc(登録商標)が発現して細胞が発光する。
したがって、細胞の発光強度はトランスポゼースのTP切出し活性と相関する。したがって、pMSCV-SpNLを用いれば、PBのTP切出し活性を細胞の発光強度として定量化できる。
細胞には、ヒト急性白血病細胞:Jurkat(ATCC)を使用した。TexMACS(Miltenyi)で培養したJurkatを5.0×10細胞/mLで培地に縣濁し、50μLを96ウェル培養プレートのウェルに加えた。
ここにTexMACSを50μL加えて穏やかに混合した後、例4で作製したWtPB-mRNA内包リポソーム、HuPB-mRNA内包リポソーム、或いはHyPB-mRNA内包リポソーム(0.5μg/ウェル)と、pMSCV-SpNL(0.5μg/ウェル)とを添加して、37℃、5%CO雰囲気のインキュベータ内で細胞を培養した。72時間後、インキュベータから培養プレートを取り出し、細胞をピペッティングで縣濁した後、96ウェル黒色プレート(Thermo Fisher Scientific)に、細胞縣濁液50μLを移し、ここに等量のNanoLuc(登録商標)アッセイ液(Nano-Glo(登録商標)Luciferase Assay System、プロメガ)を加えた。室温で5分間混合した後、黒色プレートのウェルの発光強度をルミノメーター(Infinite(登録商標)F200PRP、TECAN)で測定した。
結果を図7に示す。TP切り出し活性は、WtPBと比較して、HuPBは約3倍、HyPBは約11倍であった。したがって、HuPB、HyPBが優れたTP切り出し活性を有することが示された。
例6 T-HyPB、TS-HyPBのTP切出し活性の測定
T-HyPB-mRNA内包リポソームとTS-HyPB-mRNA内包リポソームとを用いて、例5に記載の方法でTP切出し活性を測定した。
結果を図8に示す。T-HyPB、TS-HyPBのTP切出し活性は、HyPB単独の活性のそれぞれ約1.4倍、約3倍であった。更にWtPBの活性と比較するとそれぞれ約16倍、約36倍であり、両者が優れたTP切り出し活性を有することが示された。
例7 TS-LTJ/Rb-HyPBのTP切出し活性の測定
TS-LTJ/Rb-HyPB-mRNA内包リポソームを用いて、例5に記載の方法で、TP切出し活性を測定した。
結果を図9に示す。細胞分裂促進ペプチドを付加したTS-LTJ/Rb-HyPBのTP切出し活性は、TS-HyPBの活性の約16倍、WtPBの活性と比較すると約570倍に増加した。したがって、細胞分裂促進ドメインを更に付加すると更に優れたTP切り出し活性が得られることが示された。
例8 WtPB、TS-HyPB、TS-LTJ/Rb-HyPBを用いたCAR-Tの作製
例4で作製したWtPB-mRNA内包リポソーム、TS-HyPB-mRNA内包リポソーム、TS-LTJ/Rb-HyPB-mRNA内包リポソームを用いて、次のようにトランスポゾン法でCAR-T(キメラ抗体組込みT細胞)を作製した。
ドナーDNAとして、CARトランスポゾンが組込まれたプラスミドDNA(pIRII-CAR.CD19(CD28))を使用した。プラスミドDNA内包リポソームの調整は、例4記載のリポソーム調整法に従った。細胞は、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)を使用した。
一晩培養したPBMCを、200×g、10分間の遠心で回収した後、サイトカイン(IL-7、10ng/mL;IL-15、5ng/mL)を加えたTexMACSに懸濁し、2.0×10細胞/mLの細胞懸濁液を調整した。細胞縣濁液500μLを、CD3/CD28抗体でコーティングした48ウェル培養プレートに播種し、37℃、5%CO雰囲気で培養した。培養プレートのコーティングは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で100倍希釈したCD3/CD28抗体液を、48ウェル培養プレート(Non-tissue culture treated、Nunc)に、ウェルあたり150μL加えて、37℃、5%CO雰囲気に2時間以上静置することにより行った。
PBMCの播種から24時間後に、プラスミドDNA内包リポソーム(4.0μg/ウェル)とPB-mRNA内包リポソーム(4.0μg/ウェル)を添加して、37℃、5%CO雰囲気で細胞を培養した。
2週間後、PBMCをインキュベータから取り出し、蛍光活性化セルソーター(FACS)で次のようにCAR-Tの作製率を調べた。FACSはBD BiosciencesのFACSVerseを使用した。PBMCを回収後、PBSで一度洗浄してから、50μLのPBSに細胞を懸濁し、これに抗ヒトIgG(H+L)抗体[FITC F(ab’)2 Fragment Goat Anti-Human IgG(H+L)antibody、The Jackson Laboratory]を2μL加えて、4℃、15分間の抗原抗体反応をおこなった。反応終了後、PBSで一度洗浄し、50μLのPBSに細胞を懸濁して、抗CD3抗体(V450 Mouse Anti-Human CD3、Clone UCHT1、BD Biosciences)を2μL加えた。4℃で15分間の抗原抗体反応後、PBSで一度洗浄してから、細胞を1%BSA/PBSに懸濁してFACSの分析試料とした。FACSでは、CAR発現細胞の緑色蛍光(FITC)と、CD3発現T細胞の青色蛍光(V450)を検出した。CAR-Tは、緑色蛍光と青色蛍光とが共陽性の細胞(CAR陽性かつCD3陽性の細胞)である。CAR-T作製率は、全検出細胞に対するCAR-Tの割合とした。
結果を図10に示す。CAR-Tは、WtPBではQ2領域、TS-HyPB及びTS-LTJ/Rb-HyPBではUR領域(CAR/CD3共陽性領域)の細胞である。CAR-T作製率は、図10のグラフに示す通り、WtPBでは約5%であった。これに対して、TS-HyPBでは約20%であり、WtPBの約4倍であった。また、TS-LTJ/Rb-HyPBでは約50%であり、WtPBの約10倍であった。
したがって、実施形態の改変型piggyBacトランスポゼースによれば、細胞の製造効率が大きく改善されることが示された。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の原出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、
核局在化シグナルのアミノ酸配列と
を含む、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド。
[2]
前記piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を有する[1]に記載のポリペプチド。
[3]
前記核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質、及びシミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルを連結したペプチドである、[1]又は[2]に記載のポリペプチド。
[4]
前記核局在化シグナルのアミノ酸配列は、配列番号4及び配列番号3のアミノ酸配列を連結したペプチドである、[3]に記載のポリペプチド。
[5]
細胞分裂を促進するペプチドのアミノ酸配列を更に含む、[1]~[4]の何れか1つに記載のポリペプチド。
[6]
前記細胞分裂を促進するペプチドのアミノ酸配列は、配列番号15のアミノ酸配列を有する、[5]に記載のポリペプチド。
[7]
piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、
核局在化シグナルをコードする塩基配列と
を含む、改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチド。
[8]
DNA又はRNAである、[7]に記載のポリヌクレオチド。
[9]
DNAであり、前記piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列は、配列番号5の配列を有する、[7]又は[8]に記載のポリヌクレオチド。
[10]
前記改変型piggyBacトランスポゼースを構成する各アミノ酸に対応するコドンのうち、少なくとも1つのコドンが、ヒト用にコドン最適化されている、[7]~[9]の何れか1つに記載のポリヌクレオチド。
[11]
前記ヒト用にコドン最適化されているとは、前記各アミノ酸に対して次のコドンを用いることである、[10]に記載のポリヌクレオチド。
アラニン(A)に対して、GCU又はGCC、
システイン(C)に対して、UGC又はUGU、
アスパラギン酸(D)に対して、GAC又はGAU、
グルタミン酸(E)に対して、GAA又はGAG、
フェニルアラニン(F)に対して、UUC又はUUU、
グリシン(G)に対して、GGA又はGGC、
ヒスチジン(H)に対して、CAC又はCAU、
イソロイシン(I)に対して、AUC又はAUU、
リジン(K)に対して、AAA又はAAG、
ロイシン(L)に対して、CUC又はCUG、
メチオニン(M)に対して、AUG、
アスパラギン(N)に対して、AAC又はAAU、
プロリン(P)に対して、CCC又はCCU、
グルタミン(Q)に対して、CAA又はCAG、
アルギニン(R)に対して、AGA又はAGG、
セリン(S)に対して、AGC、UCC又はUCU、
トレオニン(U)に対して、ACA又はACC、
バリン(V)に対して、GUC又はGUG、
トリプトファン(W)に対して、UGG、
チロシン(Y)に対して、UAC又はUAU、
終止コドンに対して、UGA、
ここで、Aはアデニンであり、Uはウラシルであり、Cはチミンであり、Gはグアニンであり、前記ポリヌクレオチドがDNAである場合は、Uをチミン(T)に変更したものである。
[12]
DNAであり、前記piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列は、配列番号6又は7の配列を有する、[7]~[11]の何れか1つに記載のポリヌクレオチド。
[13]
DNAであり、前記核局在化シグナルをコードする塩基配列は、配列番号8、9又は10の配列を有する、[7]~[12]の何れか1つに記載のポリヌクレオチド。
[14]
配列番号17又は配列番号18の塩基配列を有する、[7]~[13]の何れか1つに記載のポリヌクレオチド。
[15]
細胞分裂を促進するペプチドをコードする塩基配列を更に含む、[7]~[14]の何れか1つに記載のポリヌクレオチド。
[16]
DNAであり、前記細胞分裂を促進するペプチドをコードする塩基配列は、配列番号15のアミノ酸配列を有する、[15]に記載のポリペプチド。
[17]
配列番号20の塩基配列を有する、[15]又は[16]に記載のポリヌクレオチド。
[18]
脂質粒子、及び
前記脂質粒子に封入された、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチド
を備える、細胞のゲノムに目的配列を組込むための導入キャリアであって、
前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドは、piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、核局在化シグナルのアミノ酸配列とを含み、
前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、核局在化シグナルをコードする塩基配列とを含む、前記導入キャリア。
[19]
前記ポリペプチドは、細胞分裂を促進するペプチドのアミノ酸配列を更に含み、
前記ポリヌクレオチドは、細胞分裂を促進するペプチドをコードする塩基配列を更に含む、[18]に記載の導入キャリア。
[20]
前記脂質粒子に、前記目的配列を含むドナーDNAが更に封入されている[18]又は[19]の何れか1つに記載の導入キャリア。
[21]
前記脂質粒子は、その構成成分として、式(1-01)に示す脂質化合物及び/又は式(1-02)に示す脂質化合物を含む、[18]~[20]の何れか1つに記載の導入キャリア。
Figure 2023171937000026

[22]
細胞のゲノムに目的配列を組込むためのキットであって、
請求項1~6の何れか1項に記載のポリペプチド又は[7]~[17]の何れか1つに記載のポリヌクレオチドと、
前記目的配列を含むドナーDNAと
を少なくとも含むキット。
[23]
前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドと
前記ドナーDNAとは、
脂質粒子に封入された状態である、[22]に記載のキット。
[24]
目的配列を含むドナーDNAを、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドとともに細胞に導入することを含む、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法であって、
前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドはpiggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、核局在化シグナルのアミノ酸配列とを含み、
前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、核局在化シグナルをコードする塩基配列とを含む、方法。
[25]
前記ポリペプチドは、細胞分裂を促進するペプチドのアミノ酸配列を更に含み、
前記ポリヌクレオチドは、細胞分裂を促進するペプチドをコードする塩基配列を更に含む、[24]に記載の方法。
[26]
前記導入は、リポソーム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ソノポレーション法又はマグネトフェクション法を用いて行われる、[24]又は[25]に記載の方法。
[27]
前記導入は、前記リポソーム法により行われ、
脂質粒子と、前記脂質粒子に封入された前記ドナーDNA及び前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドを前記細胞に接触させることを含む、
[26]に記載の方法。
[28]
目的配列を含むドナーDNAを、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドとともに細胞に導入することを含む、細胞の製造方法であって、
前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドはpiggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、核局在化シグナルのアミノ酸配列とを含み、
前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、核局在化シグナルをコードする塩基配列とを含む、方法。
[29]
前記ポリペプチドは、細胞分裂を促進するペプチドのアミノ酸配列を更に含み、
前記ポリヌクレオチドは、細胞分裂を促進するペプチドをコードする塩基配列を更に含む、[28]に記載の方法。
[30]
前記導入は、リポソーム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ソノポレーション法又はマグネトフェクション法を用いて行われる、[28]又は[29]に記載の方法。
[31]
前記導入は、前記リポソーム法により行われ、
脂質粒子と、前記脂質粒子に封入された前記ドナーDNA及び前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドを前記細胞に接触させることを含む、
[30]に記載の方法。
1、10…改変型piggyBacトランスポゼース、
2…核局在化シグナルドメイン、
3…PBドメイン、
4…細胞分裂促進ドメイン、
20…ドナーDNA、
21…目的配列、
50…脂質粒子、
51、52、53…導入キャリア。

Claims (22)

  1. piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、
    典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列と
    を含み、
    前記非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、かつ、前記典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである、
    改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド。
  2. 前記piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記典型的核局在化シグナル、及び前記非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列は、配列番号4及び配列番号3のアミノ酸配列を連結したペプチドである、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
  4. piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、
    典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列をコードする塩基配列と
    を含み、
    前記非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、かつ、前記典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである、
    改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチド。
  5. DNA又はRNAである、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  6. DNAであり、前記piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列は、配列番号5の配列を含む、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチド。
  7. 前記改変型piggyBacトランスポゼースを構成する各アミノ酸に対応するコドンのうち、少なくとも1つのコドンが、ヒト用にコドン最適化されている、請求項4~6の何れか1項に記載のポリヌクレオチド。
  8. 前記ヒト用にコドン最適化されているとは、前記各アミノ酸に対して次のコドンを用いることである、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
    アラニン(A)に対して、GCU又はGCC、
    システイン(C)に対して、UGC又はUGU、
    アスパラギン酸(D)に対して、GAC又はGAU、
    グルタミン酸(E)に対して、GAA又はGAG、
    フェニルアラニン(F)に対して、UUC又はUUU、
    グリシン(G)に対して、GGA又はGGC、
    ヒスチジン(H)に対して、CAC又はCAU、
    イソロイシン(I)に対して、AUC又はAUU、
    リジン(K)に対して、AAA又はAAG、
    ロイシン(L)に対して、CUC又はCUG、
    メチオニン(M)に対して、AUG、
    アスパラギン(N)に対して、AAC又はAAU、
    プロリン(P)に対して、CCC又はCCU、
    グルタミン(Q)に対して、CAA又はCAG、
    アルギニン(R)に対して、AGA又はAGG、
    セリン(S)に対して、AGC、UCC又はUCU、
    トレオニン(T)に対して、ACA又はACC、
    バリン(V)に対して、GUC又はGUG、
    トリプトファン(W)に対して、UGG、
    チロシン(Y)に対して、UAC又はUAU、
    終止コドンに対して、UGA、
    ここで、Aはアデニンであり、Uはウラシルであり、Cはチミンであり、Gはグアニンであり、前記ポリヌクレオチドがDNAである場合は、Uをチミン(T)に変更したものである。
  9. DNAであり、前記piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列は、配列番号6又は7の配列を含む、請求項4~8の何れか1項に記載のポリヌクレオチド。
  10. DNAであり、前記典型的核局在化シグナル及び前記非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列をコードする塩基配列は、配列番号10の配列を含む、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  11. 配列番号18の塩基配列を含む、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
  12. 脂質粒子、及び
    前記脂質粒子に封入された、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチド
    を備える、細胞のゲノムに目的配列を組込むための導入キャリアであって、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドは、piggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列とを含み、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、前記典型的核局在化シグナル及び前記非典型的核局在化シグナルを連結させた前記アミノ酸配列をコードする塩基配列とを含み、
    前記非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、かつ、前記典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである、
    前記導入キャリア。
  13. 前記脂質粒子に、前記目的配列を含むドナーDNAが更に封入されている請求項12に記載の導入キャリア。
  14. 前記脂質粒子は、その構成成分として、式(1-01)に示す脂質化合物及び/又は式(1-02)に示す脂質化合物を含む、請求項12又は13に記載の導入キャリア。
    Figure 2023171937000027
  15. 細胞のゲノムに目的配列を組込むためのキットであって、
    請求項1~3の何れか1項に記載のポリペプチド又は請求項4~14の何れか1項に記載のポリヌクレオチドと、
    前記目的配列を含むドナーDNAと
    を少なくとも含むキット。
  16. 前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドと
    前記ドナーDNAとは、
    脂質粒子に封入された状態である、請求項15に記載のキット。
  17. 目的配列を含むドナーDNAを、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドとともに細胞に導入することを含む、細胞のゲノムに目的配列を組込む方法であって、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドはpiggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列とを含み、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列をコードする塩基配列とを含み、
    前記非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、かつ、前記典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである、方法。
  18. 前記導入は、リポソーム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ソノポレーション法又はマグネトフェクション法を用いて行われる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記導入は、前記リポソーム法により行われ、
    脂質粒子と、前記脂質粒子に封入された前記ドナーDNA及び前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドを前記細胞に接触させることを含む、
    請求項18に記載の方法。
  20. 目的配列を含むドナーDNAを、改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチド又は改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドとともに細胞に導入することを含む、細胞の製造方法であって、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースのポリペプチドはpiggyBacトランスポゼースのアミノ酸配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列とを含み、
    前記改変型piggyBacトランスポゼースをコードするポリヌクレオチドは、piggyBacトランスポゼースをコードする塩基配列と、典型的核局在化シグナル及び非典型的核局在化シグナルを連結させたアミノ酸配列をコードする塩基配列とを含み、
    前記非典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)のTAT(Trans-Activator of Transcription)タンパク質であり、かつ、前記典型的核局在化シグナルのアミノ酸配列は、シミアンウイルス40(SV40)のラージT抗原タンパク質の核局在化シグナルである、方法。
  21. 前記導入は、リポソーム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、ソノポレーション法又はマグネトフェクション法を用いて行われる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記導入は、前記リポソーム法により行われ、
    脂質粒子と、前記脂質粒子に封入された前記ドナーDNA及び前記ポリペプチド又は前記ポリヌクレオチドを前記細胞に接触させることを含む、
    請求項21に記載の方法。
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