JP2023167656A - 吸引チップおよび生体対象物移動装置 - Google Patents

吸引チップおよび生体対象物移動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微小サイズの生体対象物の吸引に適し、且つ、その製作が容易な吸引チップを提供する。【解決手段】吸引チップ1は、細胞等の生体対象物を吸引するチップである。吸引チップ1は、先端開口23Tを有する第1先端部23と、先端開口23Tに連なる管状通路2Hとを含むベースチップ2と、生体対象物を吸引する吸引口33Tと、吸引口33Tに連なる一端3HAとベースチップ2の第1先端部23を受け入れる他端3HBとを有するガイド通路3Hと、を含むサブチップ2と、を備える。ベースチップ2とサブチップ3とは、第1先端部23にガイド通路3Hの他端3HBが外嵌されることで連結一体化され、前記一体化により管状通路2Hとガイド通路3Hとが連通した一つの吸引路1Hが構成される。吸引口33Tのサイズは、先端開口23Tのサイズよりも小さく設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、生体対象物を吸引する吸引チップ、および前記吸引チップを用いた生体対象物移動装置に関する。
例えば医療や生物学的な研究の分野では、シングル細胞や細胞コロニー等の生体対象物(本明細書では、これを単に「細胞」ということがある)を培養する培養容器から、検査や観察等を行う作業容器へ前記細胞を移動する作業が行われることがある。この作業のために、吸引チップが装着されたヘッドにて、前記培養容器から所要の細胞をピッキングして保持し、保持した細胞を前記作業容器へリリースする動作を行う細胞移動装置が知られている。
上記の吸引チップとして、特許文献1には、チップ本体の先端開口に細径のガラスチューブを挿入してなる複合式の吸引チップが開示されている。この吸引チップによれば、挿入されたチューブの外周とチップ本体との間の空間が、吸引動作でオーバーフローした液体の収容部として利用される。
特開2007-315793号公報
例えばシングル細胞のような、サイズが10μmクラスの微小細胞を選択的に吸引するには、吸引チップの先端部を相応の微小サイズに成型する必要がある。基端部がヘッドに装着可能なサイズを有する一方で、先端部が上述の微小サイズを有するような吸引チップの製作は、非常に困難性が高い。例えば、特許文献1の複合式の吸引チップの形式で製作しようとしても、前記微小サイズに対応したガラスチューブを、位置決めして折損させることなくチップ本体の先端開口に挿入するのは困難である。
本発明の目的は、微小サイズの生体対象物の吸引に適し、且つ、その製作が容易な吸引チップ、および当該吸引チップを用いた生体対象物移動装置を提供することにある。
本発明の一局面に係る吸引チップは、生体対象物を吸引する吸引チップであって、先端開口を有する先端部と、前記先端開口に連なる管状通路とを含むベースチップと、前記生体対象物を吸引する吸引口と、前記吸引口に連なる一端と前記ベースチップの前記先端部を受け入れる他端とを有するガイド通路と、を含むサブチップと、を備え、前記ベースチップと前記サブチップとは、前記先端部に前記ガイド通路の前記他端が外嵌されることで連結一体化され、前記一体化により前記管状通路と前記ガイド通路とが連通した一つの吸引路が構成され、前記吸引口のサイズが、前記先端開口のサイズよりも小さい。
この吸引チップによれば、ベースチップとサブチップとの組み合わせにより吸引チップが構成される。チップ長に対して吸引口を有する先端部分が極めて小さいような、アスペクト比が非常に大きくなる吸引チップを、単一の部材で製作することは困難である。しかし、二分割型の吸引チップとすれば、アスペクト比が過大にならない範囲でベースチップおよびサブチップを各々製作し、両者を連結して一つの吸引チップを得ることができ、その製作を容易化できる。つまり、吸引口の小サイズ化が図り易くなる。
また、ベースチップの先端部にサブチップのガイド通路の他端が外嵌される構成である。このため、吸引口に連なる一端側は極小サイズとしても、前記他端側は相応のサイズを有する形態のサブチップとすることができ、組み立て作業性に優れる。さらに、サブチップの吸引口のサイズを、ベースチップの先端開口のサイズよりも小さくすることで、微小な生体対象物を選択的に精度良く吸引させることができる。当然、吸引口の小サイズ化により、当該吸引口を有する吸引チップの先端部分も小サイズ化が可能となる。
上記の吸引チップにおいて、前記ベースチップの先端部は、断面円形の第1先端部であり、前記吸引口は、前記サブチップの断面円形の第2先端部に設けられた開口であり、前記第2先端部の外径は、前記第1先端部の外径よりも小さいことが望ましい。
この態様によれば、サブチップの吸引口だけでなく、当該吸引口を有する第2先端部の外径も、ベースチップの第1先端部よりも小径とされる。従って、ターゲットとする生体対象物を、その周囲に存在する周辺生体対象物に対する選択性を良好として、吸引チップ内に吸引させることができる。また、吸引動作時に前記第2先端部が、前記周辺生体対象物に対してダメージを与え難くすることができる。
上記の吸引チップにおいて、前記ベースチップと前記サブチップとが連結一体化された状態では、前記先端部の外周面が、前記ガイド通路の前記他端の内周面に密着することが望ましい。
この態様によれば、生体対象物と共に吸引された培養液等の液体が、ベースチップとサブチップとの間の界面に進入しない。従って、吸引された前記液体および生体対象物の全てを、吸引路内に保持することができる。
上記の吸引チップにおいて、前記先端部の外周面が、前記先端開口へ向かうに連れて外径が小さくなる第1テーパ面であり、前記ガイド通路の前記内周面が、前記吸引口に向かうに連れて内径が小さくなる第2テーパ面であって、前記連結一体化の状態において、前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とが密着することが望ましい。
この態様によれば、ベースチップの先端部の外周面と、サブチップのガイド通路の内周面とが、テーパ面同士の嵌め合いで連結されるので、より密着状態を構成し易いと共に、密着性を向上させることができる。
上記の吸引チップにおいて、前記ガイド通路の前記他端には、前記外嵌の際に前記先端部を前記他端へ誘導する誘導テーパ面が連設されていることが望ましい。
この態様によれば、サブチップをベースチップに外嵌させる際、当該ベースチップの先端部が誘導テーパ面で案内させることが可能となる。従って、前記外嵌の際、両者の精密な位置合わせを要せず、前記先端部を前記ガイド通路へ挿入させ得る。
上記の吸引チップにおいて、前記サブチップは、前記ガイド通路の延伸方向の位置決めを可能とする第1ストッパ部を備えていても良い。
この態様によれば、第1ストッパ部を何らかの治具で保持させた状態で、サブチップをベースチップに外嵌させることができる。このため、前記外嵌の作業性が良好となる。
この場合、前記ベースチップは、前記管状通路の延伸方向の位置決めを可能とする第2ストッパ部を備えることが望ましい。
この態様によれば、第2ストッパ部を、ベースチップの先端部の外嵌深さの位置決め部として活用できる。例えば、ベースチップの先端部を、第1ストッパ部で位置決めされた状態のサブチップのガイド通路に挿入するに際し、所要の挿入深さに相当する位置に、前記第2ストッパ部が当接する何らかの治具を配置する。これにより、再現性良くサブチップをベースチップに外嵌させることができる。
上記の吸引チップにおいて、前記ベースチップおよび前記サブチップは共に樹脂製であり、前記ベースチップの前記先端部は、接着剤を介することなく前記ガイド通路の前記他端に挿入される挿入嵌合部であることが望ましい。
この態様によれば、樹脂が具備する弾性により、ガラス等の易破壊性の材料を用いる場合に比べて、吸引チップの組立時や吸引動作時における破損を抑制できる。また、外嵌された状態において、接着剤を用いることなくベースチップに対するサブチップの結合性を確保できる一方で、サブチップをベースチップから容易に取り外すこともできる。
この場合、前記ベースチップと前記サブチップとは、同一素材の樹脂であることが望ましい。
この態様によれば、ベースチップとサブチップとの親和性を良好とすることができる。また、両者の成形の条件や、毒性の評価などを共通化し易く、吸引チップの製作の容易化に寄与できる。
上記の吸引チップにおいて、前記ベースチップの前記管状通路内に摺動可能に収容され、前記吸引口に負圧を発生させるプランジャをさらに備えていて良い。この態様によれば、プランジャを進退移動させる簡易な機構で、吸引口に負圧を発生させ得る。
本発明の他の局面に係る生体対象物移動装置は、上記の吸引チップが取り付けられ、前記吸引口に吸引力および吐出力を発生させる機構を備えたヘッドと、前記ヘッドを水平移動および昇降移動させる移動機構と、を備える。
この生体対象物移動装置によれば、微小サイズの生体対象物の吸引を行える吸引チップがヘッドに装着される。従って、微小サイズの生体対象物を吸引し、これを所要の場所まで移動し、吐出させる生体対象物移動装置を提供できる。
上記の生体対象物移動装置において、前記サブチップが装着された前記ベースチップを、前記管状通路が上方を向いた状態でストックするストック部と、前記ヘッドの前記先端部に、前記ストック部において前記ベースチップを外嵌させるよう前記移動機構を制御する制御部と、をさらに備えていて良い。
この態様によれば、ベースチップとサブチップとの二分割型の吸引チップであっても、ヘッドのストック部への立ち寄りにより、吸引チップを容易にヘッドへ装着させることが可能となる。
本発明によれば、微小サイズの生体対象物の吸引に適し、且つ、その製作が容易な吸引チップ、および当該吸引チップを用いた生体対象物移動装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る吸引チップの外観を示す斜視図である。 図2は、図1に示す吸引チップのベースチップの断面図である。 図3は、前記吸引チップのサブチップの断面図である。 図4は、前記吸引チップの要部断面図である。 図5は、前記吸引チップの使用した細胞移動工程A~Dを示す図である。 図6(A)~(C)は、サブチップのベースチップへの外嵌手順の一例を示す断面図である。 図7は、細胞移動装置に組み付けられる細胞移動ラインの一例を示す斜視図である。 図8は、吸引チップへのプランジャおよびヘッドの取り付け例を示す断面図である。 図9は、細胞移動装置の電気的構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る吸引チップおよび生体対象物移動装置は、各種の生体由来の細胞、細菌、染色体などの生体対象物を吸引および移動対象とすることができる。とりわけ本発明は、サイズが10μmクラスの生体対象物の移動に好適である。生体由来の細胞は、例えば血球系細胞やシングル化細胞などのシングル細胞、Histocultureなどの組織小片、スフェロイドやオルガノイドなどの細胞凝集塊、ゼブラフィッシュ、線虫、受精卵などの個体、2Dまたは3Dの細胞コロニー等である。
[吸引チップの構造]
図1は、本発明の実施形態に係る吸引チップ1の外観を示す斜視図である。吸引チップ1は、上掲の生体対象物を吸引および吐出することが可能なチップであって、ベースチップ2とサブチップ3との連結体からなる。図2はベースチップ2の断面図、図3はサブチップ3の断面図である。これらの図には、後述する図7および図8の方向表示にマッチするよう、上下方向に対応する+Z、-Zの方向表示が付されている。
ベースチップ2およびサブチップ3の構成材料は特に制限はなく、例えば樹脂、ガラス、セラミックあるいは金属などを前記構成材料とすることができる。これらの中でも、吸引チップ1の組立時や吸引動作時における破損を抑制する観点から、ベースチップ2およびサブチップ3は、共に所定の弾性を有する樹脂材料を用いることが望ましい。この場合、ベースチップ2およびサブチップ3は、金型および中子を用いた樹脂成型により製作することができる。
前記樹脂材料には、適宜な添加物が含まれていても良い。例えば、吸引チップ1の画像をカメラで撮像する場合にコントラストが際立ち易い色となるよう、前記樹脂材料に顔料を含ませても良い。また、吸引対象の細胞への毒性の無い樹脂材料を選定することが望ましい。前記樹脂材料の一例として、ポリプロピレン、ポリスチレン等を例示することができる。ベースチップ2とサブチップ3とは、同一素材の樹脂材料としても良いし、異なる樹脂材料としても良い。同一素材の樹脂材料を用いれば、ベースチップ2とサブチップ3との親和性を良好とすることができる。また、両者の成形の条件や、毒性の評価などを共通化し易く、吸引チップ1の製作の容易化に寄与できる。ベースチップ2およびサブチップ3の硬度は同一としても良いし、異ならせても良い。例えば、サブチップ3をベースチップ2よりも柔らかい樹脂材料で構成しても良い。
<ベースチップ>
ベースチップ2は、第1基端部21、第1本体部22および第1先端部23(挿入嵌合部)を含む。第1基端部21は、内部に中空部21Hを備えた大径の円筒体からなる。第1基端部21の-Z側(図2の左方側)には、テーパ筒部24を介して第1本体部22が連なり、+Z側には前記円筒体の開口端である第1基端開口21Tが設けられている。第1基端開口21Tには、後述のヘッド10の端部が挿入される(図8)。
第1本体部22は、第1基端部21に比較して細径で長尺の円筒体からなる。第1先端部23は、第1本体部22の-Z側に位置する断面円形の先端部であり、円形の先端開口23Tを有している。第1先端部23は、第1本体部22におけるサブチップ3が外嵌される領域である。第1本体部22の内部には、-Z側が先端開口23Tに連なり、+Z側が第1基端開口21Tに連なる管状通路2Hが構成されている。
第1本体部22の外周面は、先端開口23Tに向かうに連れて外径が小さくなる第1テーパ面T1とされている。管状通路2Hもまた、第1先端部23の領域を除き、先端開口23Tに向かうに連れて内径が小さくなるテーパ面とされている。第1本体部22および管状通路2Hのテーパ角度は、金型の抜き勾配程度の緩やかな角度である。第1本体部22の外周面は、テーパが存在しない面としても良いし、第1先端部23の外周面だけに第1テーパ面T1を設けても良い。なお、図2では、第1本体部22の肉厚が、+Z側の基端部が厚肉で、先端開口23Tに向かうに連れて薄肉となる例が示されている。この図例に代えて、第1本体部22の肉厚を一定にしても良い。
テーパ筒部24は、第1基端部21と第1本体部22とを繋ぐ部分であり、第1基端部21と第1本体部22との径差を埋めるよう、外径が-Z側に向けて縮径するテーパ形状を有している。テーパ筒部24の+Z側端部には、第1フランジ部25(第2ストッパ部)が設けられている。第1フランジ部25は、管状通路2Hの延伸方向であるZ方向の位置決めを可能とするために設けられた、Z方向と直交する方向に延びる環状の平坦面である。
管状通路2Hにおける第1先端部23の領域には、内径が一定である先端ストレート部2HSが設けられる。先端ストレート部2HSは、ベースチップ2の樹脂成形時において管状通路2Hの形成用に用いる中子の位置決めのため、当該中子の先端に外径が一定の領域を具備させる必要が有ることから、結果的に作製される部分である。図2に示すように、先端ストレート部2HSの軸方向の長さをd1、先端ストレート部2HSにおける管状通路2Hの内径をd2とするとき、d1/d2を、ここではアスペクト比と呼ぶものとする。先端ストレート部2HSのアスペクト比は、当該ベースチップ2を樹脂金型成型で製作可能な範囲とすることが望ましい。先端ストレート部2HSに対してベースチップ2の全長が長くなると、金型の加工性や樹脂注入時の流動性の問題により、先端ストレート部2HSのアスペクト比を大きくすることが困難となる。例えば、ベースチップ2の長さd3が20mm~40mm程度、先端開口23Tの内径d2が0.1mm~0.3mm程度である場合、先端ストレート部2HSのアスペクト比は、1.5~4の範囲から選択することができ、特に2~3の範囲から選択することが望ましい。なお、本実施形態では、ベースチップ2のアスペクト比を大きく設定せずとも、サブチップ3の連結にて先端開口23Tよりも小口径の吸引口を吸引チップ1に具備させることができる。
<サブチップ>
サブチップ3は、第2基端部31、第2本体部32および第2先端部33を含む。第2基端部31は、サブチップ3における+Z側の端部領域であり、比較的径の大きい円筒部分である。第2基端部31の-Z側に、第2本体部32が連設されている。第2本体部32は、-Z側に向けて細径となる円錐の外形形状を備えている。第2先端部33は、第2本体部32の-Z側に位置する断面円形の先端部であり、円形の吸引口33Tを有している。吸引口33Tは、吸引チップ1において細胞を吸引し、且つ、吸引した細胞を吐出するための開口である。
吸引口33Tのサイズは、ベースチップ2の先端開口23Tよりも小さい。すなわち、吸引口33Tの口径は、先端開口23Tの口径よりも径小である。また、第2先端部33の外径は、ベースチップ2の第1先端部23の外径よりも小さい。すなわち、サブチップ3の連結により、ベースチップ2単体では製作が困難な、外径の小さい第2先端部33および口径の小さい吸引口33Tを、吸引チップ1に具備させることができる。
サブチップ3の内部には、ガイド通路3Hが設けられている。ガイド通路3Hは、吸引口33Tに連なる-Z側の一端3HAと、ベースチップ2の第1先端部23を受け入れる+Z側の他端3HBとを有する。ガイド通路3Hの内周面は、吸引口33Tに向かうに連れて内径が小さくなる第2テーパ面T2とされている。図3では、第2本体部32の肉厚が、吸引口33Tに向かうに連れて薄肉となる例を示しているが、同一肉厚としても良い。また、ガイド通路3Hは、テーパ型とせず、内径が均一な通路としても良い。
第2基端部31と第2本体部32との境界部には、第2フランジ部34(第1ストッパ部)が設けられている。第2フランジ部34は、ガイド通路3Hの延伸方向であるZ方向の位置決めを可能とするために設けられた、Z方向と直交する方向に延びる環状の平坦面である。第1フランジ部25および第2フランジ部34の役目については、図6に基づいて後述する。
ガイド通路3Hの他端3HBには、ベースチップ2へのサブチップ3の外嵌の際に、第1先端部23を他端3HBへ誘導する誘導テーパ面35が連設されている。誘導テーパ面35は、ガイド通路3Hにおいて最も内径の大きい他端3HBから、+Z向けてさらに拡径するテーパ面からなる。誘導テーパ面35は、前記外嵌の際、ベースチップ2の第1先端部23を案内させ、ベースチップ2とサブチップ3との連結を容易とすることを企図して設けられている。例えば、ベースチップ2とサブチップ3とのZ軸上の位置合わせを精密に行える機構が別途利用できるのであれば、誘導テーパ面35を省いたサブチップ3としても良い。
[ベースチップとサブチップとの連結構造]
図4は、ベースチップ2へのサブチップ3の外嵌部分を示す、吸引チップ1の要部断面図である。ベースチップ2とサブチップ3とは、第1先端部23にガイド通路3Hの他端3HBが外嵌されることで連結一体化される。換言すると、ベースチップ2の第1先端部23が、他端3HBからガイド通路3Hへ挿入されることで、ベースチップ2とサブチップ3とが一体化される。前記挿入の際、誘導テーパ面35が存在するので、ベースチップ2とサブチップ3とに少々の芯ズレが生じていても、第1先端部23はガイド通路3H内へ容易に進入できる。
上記の連結一体化により、ベースチップ2の管状通路2Hとサブチップ3のガイド通路3Hとが連通した一つの吸引路1Hが構成される。つまり、ベースチップ2の先端開口23Tがガイド通路3H内の空間に臨むことで、管状通路2Hとガイド通路3Hとが連通状態となる。管状通路2Hおよびガイド通路3Hの各内周面に、吸引される液体に対して撥水性を持つよう撥水処理を施しても良い。
両チップ2、3が連結一体化された状態では、第1先端部23の外周面が、ガイド通路3Hの他端3HBの内周面に密着した状態となる。換言すると、第1テーパ面T1と第2テーパ面T2との界面同士が密着する。このため、前記界面がシール性を有する状態となる。従って、前記連結一体化状態で、ベースチップ2の+Z端に位置する中空部21Hに負圧または正圧を作用させれば、吸引路1Hを通して吸引口33Tに負圧または正圧を発生させることができる。なお、前記シール性を良好とするために、第1テーパ面T1と第2テーパ面T2とは、同一または類似のテーパ角を持つテーパ面とすることが望ましい。
第1先端部23の外周面と、ガイド通路3Hの内周面との嵌め合い面には、接着剤等の接合剤を介在させても良いし、介在させなくても良い。但し、接着剤を介在させず、第1先端部23がガイド通路3Hの他端3HBへ単純挿入される挿入嵌合部とすれば、ベースチップ2とサブチップ3との連結一体化、取り外しの工程を簡素化出来るので好ましい。ベースチップ2およびサブチップ3として、適宜な弾性を有する樹脂材料で構成すれば、その弾性変形力で前記一体化の結合力を確保することが可能である。なお、前記嵌め合い面を、加熱処理や超音波処理等により融着させても良い。
以上の通り本実施形態の吸引チップ1は、ベースチップ2とサブチップ3との組み合わせからなる二分割型の吸引チップである。チップ長に対して吸引口を有する先端部分が極めて小さくなるような、アスペクト比が非常に大きくなる吸引チップを、単一の部材で製作することは困難である。しかし、本実施形態のように二分割型の吸引チップ1とすれば、アスペクト比が過大にならない範囲でベースチップ2およびサブチップ3を各々製作し、両者を連結して一つの吸引チップ1を得ることができ、その製作を容易化できる。つまり、細胞を吸引する吸引口33Tの小サイズ化が図り易くなる。
また、ベースチップ2の第1先端部23にサブチップ3のガイド通路3Hの他端3HBが外嵌される構成である。このため、吸引口33Tに連なる第2先端部33を極小サイズとしても、第2基端部31は相応のサイズを有する形態のサブチップ3とすることができる。特許文献1の吸引チップのように、サブチップに相当するチューブをベースチップ2の先端開口23Tに挿入する形態では、前記チューブの微小化が求められる場合は、前記挿入の作業が非常に困難となる。しかし、サブチップ3をベースチップ2へ外嵌させる本実施形態の形態によれば、両者を連結一体化する組み立て作業を容易化できる。
さらに、サブチップ3の吸引口33Tのサイズを、ベースチップ2の先端開口23Tのサイズよりも小さくすることで、微小な細胞を選択的に精度良く吸引させることができる。例えば、ディッシュの底面にランダムに存在している細胞群の中からターゲットとする細胞を、その周囲に存在する周辺細胞に対して選択性を良好として、吸引チップ1内に吸引させることができる。また、吸引動作時に第2先端部33が、前記周辺細胞に対してダメージを与え難くすることができる。
10μmクラスの微小細胞を吸引対象とする場合の、サイズの一例を挙げておく。ベースチップ2の第1先端部23の外径を0.3mm、先端開口23Tの内径d2を0.18mm、ベースチップ2のZ方向の長さd3を30mm、先端ストレート部2HSのZ方向の長さd1を0.5mmとする。先端ストレート部2HSのアスペクト比d1/d2は、0.5/0.18=2.8である。サブチップ3の第2先端部33の外径を0.1mm、吸引口33Tの内径を0.05mm、サブチップ3のZ方向の長さを9.0mmとする。d3=17.5mmクラスで、且つ、先端部の外径が0.1mmクラスの吸引チップを単一の部材で成型することは困難である。しかし、本実施形態のように二分割型の吸引チップ1とすれば、吸引口33Tが開口する第2先端部33の外径を0.1mmクラスに設定できる。
[吸引チップの使用例]
続いて、上述の吸引チップ1の使用例を説明する。図5は、吸引チップ1の使用した細胞移動の工程A~Dを示す図である。吸引チップ1に対して負圧供給機構100が付設される。負圧供給機構100は、負圧または正圧を供給することで、吸引口33Tに負圧または正圧を発生させる機構である。負圧供給機構100としては、吸引ポンプや、プランジャ等を用いたピストン機構を用いることができる。
工程Aは、吸引チップ1の位置決め工程である。移動すべき細胞Cは、移動元の第1容器D1に貯留されている細胞培養液Lm1中で培養されているものとする。吸引チップ1を吸引対象とする細胞Cの真上に移動させる。つまり、吸引口33Tとターゲットとする細胞Cとが同軸上に配置されるよう位置合わせを行う。
工程Bは、吸引チップ1に細胞Cを吸引させる工程である。吸引チップ1を全体的に下降させ、吸引口33Tを第1容器C1の細胞培養液Lm1中に突入させる。このとき、なるべく吸引口33Tをターゲットの細胞Cに接近させる。そして、負圧供給機構100に負圧を発生させ、吸引口33Tに吸引力を生じさせる。この動作により、細胞Cと一部の細胞培養液Lm1とが、吸引チップ1の吸引路1H内に吸引される。工程Cは、細胞Cの移動工程である。吸引路1H内に吸引された細胞Cを保持した状態で、移動先の第2容器D2へ吸引チップ1を移動させる。
工程Dは、吸引チップ1から細胞Cを吐出させる工程である。吸引チップ1を下降させ、吸引口33Tを第2容器D2の細胞培養液Lm2に接近もしくは細胞培養液Lm2中に突入させる。そして、負圧供給機構100に正圧を発生させ、吸引口33Tに吐出力を生じさせる。この動作により、吸引チップ1の吸引路1H内に保持されていた細胞Cが、第2容器D2の細胞培養液Lm2内に吐出される。以上の工程A~Dの実行により、細胞Cが、第1容器D1から第2容器D2へ移動される。
[サブチップのベースチップへの外嵌方法]
図6(A)~(C)は、サブチップ3をベースチップ2へ外嵌する手順の一例を示す断面図である。この例では、装着治具7を用いる例を示す。装着治具7は、サブチップ3およびベースチップ2が挿入されるガイド孔70を有する。ガイド孔70は、+Z側(上側)の第1孔71と、この第1孔71よりも内径の小さい第2孔72とを含む。第1孔71と第2孔72との境界には、両者の内径差に基づく段差部である第1係止部73が設けられている。
第1孔71の内径は、ベースチップ2の第1基端部21よりもやや大きい。第2孔72の内径は、第1基端部21よりもやや小さい一方、サブチップ3の第2基端部31よりも大きい。このため、ガイド孔70の+Z端からベースチップ2を第1先端部23側から挿入すると、第1フランジ部25が第1係止部73に係止される。一方、サブチップ3をガイド孔70に挿入すると、第1係止部73を通過して第2孔72へ至る。第2孔72のZ方向の長さは、ベースチップ2の第1本体部22よりも長く設定されている。
ガイド孔70の-Z端付近には、受け筒74が挿入されている。受け筒74は、サブチップ3の第2基端部31よりも径小である一方、第2本体部32を受け入れ可能な断面円形の中空部74Hを有している。第2孔72と中空部74Hとの境界には、両者の内径差に基づく段差部である第2係止部75が設けられている。ガイド孔70に挿入されたサブチップ3は、第2係止部75において第2フランジ部34が係止されることになる。
前記外嵌の手順を説明する。まず図6(A)に示すように、サブチップ3をガイド孔70に挿入し、第2フランジ部34を第2係止部75に当接させて位置決めする。なお、受け筒74をガイド孔70に対して着脱自在とし、受け筒74にサブチップ3をセットした状態で、当該受け筒74をガイド孔70の-Z端から挿入しても良い。
次いで図6(B)に示すように、ベースチップ2をガイド孔70の+Z端から挿入する。ベースチップ2の第1基端部21が第1孔71の内壁でガイドされるので、ベースチップ2は鉛直に近い姿勢をもって、ガイド孔70内を下降できる。このため、第1先端部23を、サブチップ3のガイド通路3Hへ挿入できる。仮に、少々ベースチップ2の鉛直姿勢が乱れても、第1先端部23は誘導テーパ面35に誘導されてガイド通路3Hへ入り込める。従って、第1先端部23がサブチップ3の管壁に衝突して変形、折損することを抑止できる。
最後に、図6(C)に示すように、押下ロッド76を用いてベースチップ2を押下し、第1先端部23を所定深さだけガイド通路3Hへ押し込み、サブチップ3がベースチップ2に外嵌される。押下ロッド76は、第1基端部21の中空部21H(図2参照)に入り込み、テーパ筒部24の+Z側端面を押圧する。押下が進行すると、やがてベースチップ2の第1フランジ部25が第1係止部73に当接するので、第1先端部23は一定の押し込み深さでガイド通路3Hに挿入される。
[吸引チップが適用される細胞移動装置]
続いて、本実施形態に係る吸引チップ1が好適に適用される細胞移動装置5(生体対象物移動装置)を例示する。図7は、細胞移動装置5の構成例を示す斜視図である。細胞移動装置5は、細胞移動ライン50、ヘッドユニット61、照明ユニット62および撮像ユニット63を含む。図7では、細胞移動ライン50を支持する基台や、各ユニットの移動機構の記載が省かれている。
ヘッドユニット61は、上述の吸引チップ1が取り付けられる複数のヘッド10を含む。ヘッド10には、装着された吸引チップ1の吸引口33Tに吸引力および吐出力を発生させる機構が備えられている。ヘッドユニット61は、X方向およびY方向に移動自在であり、細胞移動ライン50上を所定の移動経路に沿って移動することができる。また、ヘッド10はZ方向に昇降できる。
細胞移動ライン50は、移動元の容器(ディッシュ64)に収容されている細胞をピッキングし、移動先の容器(マイクロプレート65)へ移動させる一連の細胞移動工程の実施に必要なエレメントが、X方向に配列されてなる。細胞移動ライン50は、-X端からから順に、分注チップストック部52、対象物ストック部51、チップストック部54、チップ撮像部55、細胞選別部53、ブラックカバー載置部57、細胞移載部56およびチップ廃棄部58が一列に配列されてなる。
対象物ストック部51は、分注元となる、多量の細胞が分散された細胞培養液を貯留する部位である。対象物ストック部51は、上面が開口した円筒状容器からなるチューブ511を含む。チューブ511には、細胞を含む細胞培養液が貯留される。分注チップストック部52は、複数個の分注チップ15を保管する部位である。分注チップストック部52には、立設状態でマトリクス状に整列された分注チップ15を保持するホルダー521が備えられている。
細胞選別部53は、各種サイズの細胞を含む細胞培養液から、所望のサイズの細胞を選別するための部位である。細胞選別部53は、細胞培養液を収容するディッシュ64と、ディッシュ64を位置決めして保持する保持テーブル531と、ディッシュ64の上面を覆うテーブル蓋部材532とを含む。ディッシュ64は、上面側に細胞を担持するための複数の凹部を備えたプレートを含む。ここでは、ディッシュ64が移動元の細胞を保持する容器となる。前記凹部に担持された状態の細胞の画像が、照明ユニット62の点灯下で撮像ユニット63にて撮像される。これにより、吸引すべき細胞の位置が特定される。
チップストック部54(ストック部)は、上述した吸引チップ1の多数個をマトリクス状に整列して保持する保持ボックス541を含む。吸引チップ1は、ヘッドユニット61のヘッド10に対して装着および取り外しが可能である。吸引チップ1は、ディッシュ64に担持された細胞を吸引し、ヘッドユニット61の移動に伴い該細胞を運搬し、これを細胞移載部56へ吐出する機能を果たす。
保持ボックス541は、予めサブチップ3が装着されたベースチップ2を、管状通路2Hが上方を向いた状態でストックしている。つまり、吸引チップ1は、Z方向に移動するヘッド10に対して装着が容易に行い得る状態で、保持ボックス541に保持されている。なお、ベースチップ2とサブチップ3とを別個にストックし、ヘッド10に先ずベースチップ2を装着させた後に、図6に示した装着治具7を用いてサブチップ3をさらに装着させるようにしても良い。なお、チップストック部54には、吸引チップ1の吸引口33Tを湿潤させる含浸液を貯留するリザーバー542も配置されている。
チップ撮像部55は、ヘッド10に装着された吸引チップ1の画像が撮像される位置を提供するピットである。前記撮像は、撮像ユニット63によって行われる。吸引チップ1の画像並びに撮像時における焦点位置情報に基づき、当該吸引チップ1の吸引口33TのXYZ座標位置が求められる。当該座標位置と、予め定められた基準位置との差分から補正値が導出され、ヘッド10の移動制御の際の補正値として利用される。
細胞移載部56は、細胞選別部53のディッシュ64から吸引チップ1で吸引された細胞の移動先となる部位である。細胞移載部56は、マイクロプレート65と、マイクロプレート65を位置決めして保持する保持テーブル561とを含む。マイクロプレート65は、上面が開口した多数の小さなウェル66が、マトリクス状に配列されたプレートである。これらウェル66に、吸引チップ1に保持された細胞が吐出される。
ブラックカバー載置部57は、細胞移載部56に被せられる第1ブラックカバー571と、細胞選別部53に被せられる第2ブラックカバー572とが載置される部位である。第1、第2ブラックカバー571、572は、細胞の蛍光観察のため、遮光された状態で、ディッシュ64またはマイクロプレート65に担持された細胞凝集塊を撮像する際に用いられる。チップ廃棄部58は、細胞の吸引および吐出動作を終えた使用後の吸引チップ1および分注チップ15が廃棄される部位である。
照明ユニット62は、専ら細胞選別部53および細胞移載部56を上方から照明するために、細胞移動ライン50の上方に移動可能に配置されている。前記照明は、細胞選別部53または細胞移載部56に保持されている細胞を撮像ユニット63にて撮像する際に、透過照明として使用される。照明ユニット62は、X方向およびY方向に移動可能である。
撮像ユニット63は、細胞選別部53および細胞移載部56に保持されている細胞を下方から撮像するために、細胞移動ライン50の下方においてXY方向に移動可能に配置されている。本実施形態では、撮像ユニット63は、チップ撮像部55において吸引チップ1のヘッド10への装着状態を観察するためにも用いられる。
図8は、吸引チップ1の吸引口33Tに吸引力および吐出力を発生させる機構の一例を示す断面図である。前記機構は、ヘッド10と、ヘッド10に取り付けられるプランジャ4とを含む。プランジャ4は、吸引チップ1の吸引路1H内に摺動可能に収容され、吸引口33Tに負圧および正圧を発生させるために、当該吸引路1H内を進退移動する。プランジャ4は、円筒体からなるプランジャ基端部41と、針状のプランジャ本体部42と、プランジャ基端部41とプランジャ本体部42とを繋ぐ半球部43とを含む。
プランジャ基端部41の外径は、ベースチップ2の中空部21Hの内径よりも所定長だけ小さく設定されている。プランジャ本体部42の外径は、吸引路1Hの内径よりも僅かに小さく設定されている。半球部43の外周面の曲面形状は、テーパ筒部24の内周面の形状に合致している。プランジャ基端部41が中空部21H内に収容され、プランジャ本体部42が吸引路1Hに挿通される態様で、吸引チップ1に対してプランジャ4が組み付けられている。図8では、プランジャ本体部42が吸引チップ1に最も深く挿通されている状態を示しており、プランジャ先端部44がベースチップ2の先端開口23Tから突出している。
プランジャ4は、図8の状態から、吸引チップ1に対して+Z方向へ移動することができる。所定長だけ+Z方向にプランジャ4が移動すると、プランジャ先端部44はベースチップ2の管状通路2Hの内部に没する。この際、吸引口33Tに吸引力を発生させ、該吸引口33Tの周囲の細胞を含む液体を吸引路1H内へ吸引することができる。この吸引の後、プランジャ4を-Z方向へ移動させると、吸引路1H内へ吸引された液体を吸引口33Tから吐出させることができる。
ヘッド10は、その-Z端に吸引チップ1が取り付けられ、当該吸引チップ1に対象物の吸引および吐出動作を行わせる。ヘッド10は、Z方向に移動する第1筒状ロッド11と、第1筒状ロッド11をZ方向に移動可能に収容する不動の第2筒状ロッド12と、第1筒状ロッド11内に収容される吐出ロッド13とを含む。吐出ロッド13も、第1筒状ロッド11とは独立してZ方向に移動可能である。
プランジャ基端部41には、+Z方向の端面に開口を有する、円筒状の中空空間からなる装着孔41Hが備えられている。装着孔41Hには、吐出ロッド13の-Z端部が圧入される。プランジャ基端部41の+Z端面は、第1筒状ロッド11の-Z端面と対向している。ベースチップ2の第1基端部21が備える中空部21Hには、不動の第2筒状ロッド12の-Z端部が圧入される。吐出ロッド13がZ方向への移動によってプランジャ4が進退移動を行い、吸引チップ1に上述の液体の吸引および吐出を実行させることができる。また、吸引チップ1の使用後に第1筒状ロッド11を-Z方向に移動させることで、プランジャ4を吐出ロッド13から押し外し、併せて吸引チップ1を第2筒状ロッド12から取り外すことができる。
図9は、細胞移動装置5の電気的構成を示すブロック図である。細胞移動装置5は、ヘッド10に水平移動および昇降移動を行わせる移動機構として、X軸モータ81、Y軸モータ82、Z軸モータ83、プランジャモータ84、軸制御部85およびコントローラ80(制御部)を備えている。
X軸モータ81およびY軸モータ82は、ヘッド10を備えたヘッドユニット61を、それぞれX方向、Y方向に移動させるモータである。Z軸モータ83は、ヘッド10を全体的に昇降移動(Z方向移動)させるモータである。プランジャモータ84は、吐出ロッド13を介したプランジャ4のZ方向移動と、第1筒状ロッド11のZ方向移動とを行うモータである。軸制御部85は、X軸モータ81、Y軸モータ82、Z軸モータ83およびプランジャモータ84を駆動させる。
コントローラ80は、軸制御部85にコマンドを与えてX軸モータ81およびY軸モータ82を駆動させ、ヘッドユニット61のX方向およびY方向への移動を制御する。また、コントローラ80は、Z軸モータ83を駆動させて、ヘッド10のZ方向の移動を制御する。ヘッド10のZ方向への移動は、吸引チップ1のディッシュ64やマイクロプレート65等への接近動作、ヘッド10への吸引チップ1の装着動作を実現する。されに、コントローラ80は、軸制御部85を介してプランジャモータ84を制御することで、吸引チップ1への細胞の吸引および吐出の動作、並びに吸引チップ1のヘッド10からの離脱動作を制御する。
コントローラ80は、大別して分注チップ15による分注動作と、吸引チップ1を用いた細胞移動動作とを細胞移動装置5に実行させる。コントローラ80は、前記分注動作において、次の制御1~4を順次実行させる。
[制御1]ヘッドユニット61を分注チップストック部52上に移動させ、ヘッドユニット61に搭載された図略の分注ノズルに分注チップ15を装着させる。
[制御2]ヘッドユニット61を対象物ストック部51上に移動させ、チューブ511に貯留された、細胞凝集塊を含む細胞培養液を所定の分注量だけ分注チップ15内に吸引させる。
[制御3]ヘッドユニット61を細胞選別部53上に移動させ、分注チップ15内の前記細胞培養液をディッシュ64に吐出させる。
[制御4]ヘッドユニット61をチップ廃棄部58上に移動させ、使用済みの分注チップ15を前記分注ノズルから取り外し、廃棄部58内に廃棄させる。
コントローラ80は、前記細胞移動動作において、次の制御5~8を順次実行させる。
[制御5]ヘッドユニット61をチップストック部54上に移動させ、ヘッド10の先端部に、サブチップ3が装着されたベースチップ2(吸引チップ1)を外嵌装着させる。
[制御6]ヘッドユニット61を細胞選別部53上に移動させ、ディッシュ64に貯留された細胞を吸引チップ1内に吸引させる。
[制御7]ヘッドユニット61を細胞移載部56上に移動させ、吸引チップ1内の細胞をマイクロプレート65に吐出させる。
[制御8]ヘッドユニット61をチップ廃棄部58上に移動させ、使用済みの吸引チップ1をヘッド10から取り外し、チップ廃棄部58に廃棄させる。
以上説明した細胞移動装置5によれば、10μmクラスの微小サイズの細胞の吸引を行える吸引チップ1がヘッド10に装着される。従って、細胞移動装置5は、微小サイズの細胞をディッシュ64から吸引し、これをマイクロプレート65の場所まで移動し、吐出させることが可能となる。また、サブチップ3が予め装着されたベースチップ2を、管状通路2Hが上方を向いた状態としてチップストック部54でストックさせ、上記「制御5」の通り、チップストック部54においてヘッド10に当該ベースチップ2を外嵌させる。このため、吸引チップ1がベースチップ2とサブチップ3との二分割型であっても、ヘッド10のチップストック部54への立ち寄りにより、吸引チップ1を容易にヘッド10へ装着させることができる。
1 吸引チップ
1H 吸引路
10 ヘッド
2 ベースチップ
2H 管状通路
21 第1基端部
23 第1先端部(挿入嵌合部)
23T 先端開口
25 第1フランジ部(第2ストッパ部)
3 サブチップ
3H ガイド通路
3HA 一端
3HB 他端
33 第2先端部
33T 吸引口
34 第2フランジ部(第1ストッパ部)
35 誘導テーパ面
4 プランジャ
5 細胞移動装置(生体対象物移動装置)
50 細胞移動ライン
54 チップストック部(ストック部)
80 コントローラ(制御部)
81 X軸モータ(移動機構)
82 Y軸モータ(移動機構)
83 Z軸モータ(移動機構)
C 細胞(生体対象物)
T1 第1テーパ面
T2 第2テーパ面

Claims (12)

  1. 生体対象物を吸引する吸引チップであって、
    先端開口を有する先端部と、前記先端開口に連なる管状通路とを含むベースチップと、
    前記生体対象物を吸引する吸引口と、前記吸引口に連なる一端と前記ベースチップの前記先端部を受け入れる他端とを有するガイド通路と、を含むサブチップと、を備え、
    前記ベースチップと前記サブチップとは、前記先端部に前記ガイド通路の前記他端が外嵌されることで連結一体化され、前記一体化により前記管状通路と前記ガイド通路とが連通した一つの吸引路が構成され、
    前記吸引口のサイズが、前記先端開口のサイズよりも小さい、吸引チップ。
  2. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップの先端部は、断面円形の第1先端部であり、
    前記吸引口は、前記サブチップの断面円形の第2先端部に設けられた開口であり、
    前記第2先端部の外径は、前記第1先端部の外径よりも小さい、吸引チップ。
  3. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップと前記サブチップとが連結一体化された状態では、前記先端部の外周面が、前記ガイド通路の前記他端の内周面に密着する、吸引チップ。
  4. 請求項3に記載の吸引チップにおいて、
    前記先端部の外周面が、前記先端開口へ向かうに連れて外径が小さくなる第1テーパ面であり、
    前記ガイド通路の前記内周面が、前記吸引口に向かうに連れて内径が小さくなる第2テーパ面であって、
    前記連結一体化の状態において、前記第1テーパ面と前記第2テーパ面とが密着する、吸引チップ。
  5. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記ガイド通路の前記他端には、前記外嵌の際に前記先端部を前記他端へ誘導する誘導テーパ面が連設されている、吸引チップ。
  6. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記サブチップは、前記ガイド通路の延伸方向の位置決めを可能とする第1ストッパ部を備える、吸引チップ。
  7. 請求項6に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップは、前記管状通路の延伸方向の位置決めを可能とする第2ストッパ部を備える、吸引チップ。
  8. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップおよび前記サブチップは共に樹脂製であり、
    前記ベースチップの前記先端部は、接着剤を介することなく前記ガイド通路の前記他端に挿入される挿入嵌合部である、吸引チップ。
  9. 請求項8に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップと前記サブチップとは、同一素材の樹脂からなる、吸引チップ。
  10. 請求項1に記載の吸引チップにおいて、
    前記ベースチップの前記管状通路内に摺動可能に収容され、前記吸引口に負圧を発生させるプランジャをさらに備える、吸引チップ。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の吸引チップが取り付けられ、前記吸引口に吸引力および吐出力を発生させる機構を備えたヘッドと、
    前記ヘッドを水平移動および昇降移動させる移動機構と、
    を備える生体対象物移動装置。
  12. 請求項11に記載の生体対象物移動装置において、
    前記サブチップが装着された前記ベースチップを、前記管状通路が上方を向いた状態でストックするストック部と、
    前記ヘッドの先端部に、前記ストック部において前記ベースチップを外嵌させるよう前記移動機構を制御する制御部と、をさらに備える生体対象物移動装置。
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