JP2021124551A - 把持型の対象物吸引装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸引対象物を容易に確認でき、且つ、吸引対象物へチップ先端を簡単に接近させることができる把持型の対象物吸引装置を提供する。
【解決手段】ピペッター1は、本体部2及び撮像部3を備える。本体部2は、吸引対象物であるターゲット細胞Ctが出入り可能な先端開口4Tを備えたチップ4が装着される装着部24と、先端開口4Tを通してターゲット細胞Ctをチップ4内に吸引させる吸引機構と、作業者が本体部2を把持するための把持部22とを有する。前記吸引機構は、駆動モーター25と、この駆動モーター25によって駆動される負圧化機構26とを含む。撮像部3は、本体部2に搭載され、先端開口4Tの周辺領域の画像を撮像する。撮像部3は、外付けカメラ31と、外付けカメラ31を本体部2に取り付ける保持部32とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば細胞又は細胞塊のような対象物を吸引する装置であって、作業者が手指で把持できる対象物吸引装置に関する。
例えば医療や生物学的な研究の分野では、細胞又は細胞塊等の生体対象物を移動元容器において選別し、選別された生体対象物をピッキングして移動先容器へ移動する作業が行われることがある。このピッキング作業には、細胞吸引用のチップが取り付けられたピペッター等の、作業者が手に持って取り扱う把持型の吸引装置が用いられる(例えば特許文献1)。また、裸眼では確認し難い生態対象物を扱う場合、顕微鏡観察下において前記ピッキング作業が行われる。
国際公開第2016/080411号
しかしながら、顕微鏡観察では倍率を高くする程に観察視野が狭くなる。このため、チップ先端のマクロ的なポジションを把握し難くなることから、吸引対象の生体対象物へのチップ先端の位置合わせが困難となる。また、移動元容器の上方には顕微鏡の対物レンズや照明装置等が存在し、干渉を避けねばならないことから、ピペッターのハンドリング範囲が制限される。このため、無理な姿勢でのピッキング作業を強いられ、作業者の負担が大きいという問題がある。なお、細胞の観察カメラと自動吸引ノズルとを備えたピッキング専用機も上市されているが、極めて高価である。
本発明の目的は、吸引対象物を容易に確認でき、且つ、吸引対象物へチップ先端を簡単に接近させることができる把持型の対象物吸引装置を提供することにある。
本発明の一局面に係る把持型の対象物吸引装置は、対象物が出入り可能な先端開口を備えたチップが装着される装着部と、前記先端開口を通して前記対象物を前記チップ内に吸引させる吸引機構と、作業者が把持する把持部と、を有する本体部と、前記本体部に搭載され、前記チップの先端開口の周辺領域の画像を撮像する撮像部と、を備える。
この対象物吸引装置によれば、本体部を把持する作業者は、目視にてチップの先端開口の位置をマクロ的に観察しつつ、撮像部が撮像する画像にてミクロ的に対象物も観察しながらピッキング作業を行うことができる。すなわち、マクロ的な視点で先端開口を吸引の対象物の方向へ接近させてゆくと、本体部に搭載されている撮像部も当該対象物に自ずと接近する。このため撮像部は、対象物の明瞭な画像を取得できるようになる。作業者は、その画像を観察しながら、先端開口を対象物に接近させると共に、当該対象物をチップ内に吸引させることができる。従って、把持型の対象物吸引装置において、顕微鏡観察を無用とし、ピッキング作業の容易化を図ることができる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記本体部に搭載され、吸引対象の対象物に対してレーザ光を照射可能なレーザ光源をさらに備えることが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、吸引すべき対象物にレーザ光を照射できるので、チップの先端開口の対象物へのアプローチ経路を顕在化させることが可能となる。また、吸引すべき対象物とそれ以外の対象物との区別が、撮像部が取得する画像上でも容易となり、誤吸引を防止することができる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記本体部は、一方向に長いハウジング形状を有する外装カバーを備え、前記把持部は、前記外装カバーに形成され、作業者の一方の手指で把持可能な形状を備え、前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するメカ機構と、当該メカ機構を動作させる電気的な駆動部と、作業者の他方の手指で操作可能であって前記駆動部を遠隔操作可能な操作部とを含むことが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、作業者は、一方の手指で本体部を例えば鉛筆を持つように把持しながら、他方の手指で操作部を操作して駆動部に吸引動作の開始指示を与えることができる。このため、対象物の吸引時に手ブレが発生し難くすることができる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記撮像部は、前記本体部に外付けされる保持部と、前記先端開口の周辺が撮像領域となるように前記保持部によって保持される外付けカメラとを含むことが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、保持部を介して本体部で保持可能な限りにおいて、各種のカメラを搭載させることができる。また、各種目的に応じて、カメラを取り替えることが可能となる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記撮像部は、前記先端開口を通した撮像が行えるように前記本体部に配置された内蔵カメラを含むことが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、内蔵カメラは、先端開口を絞りの開口として、対象物及びその周辺の画像を撮像することができる。また、内蔵カメラは、チップ内を撮像することが可能であるので、チップ内に吸引された対象物の観察、夾雑物や異物の存在の確認等も可能となる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記本体部の前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するための吸引経路を含み、前記内蔵カメラは、前記吸引経路中に配置されている構成とすることができる。
この対象物吸引装置によれば、吸引経路のスペースを利用することで、効率的に内蔵カメラを本体部内に配置することができる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記本体部は、複数の独立チャンネルを有するチューブを備え、前記複数の独立チャンネルのうち、一の独立チャンネルは前記チップ内を負圧化するための吸引経路として用いられ、他の独立チャンネルには前記内蔵カメラが配置される構成とすることができる。
この対象物吸引装置によれば、内蔵カメラをチューブに組み付けた上で本体部へ装着することが可能となり、組み立て性を良好にすることができる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記レーザ光源は、前記先端開口の近傍において吸引軸と交差して対象物にレーザ光を照射可能に、前記本体部に外付けされていることが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、常にレーザ光源と吸引の対象物との間に先端開口が位置することになる。このため、レーザ光が対象物を照射している状態を維持しつつ、レーザ光に沿って先端開口をアプローチしてゆけば、自ずと当該対象物に先端開口が到達するようになる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記レーザ光源は、前記先端開口を貫通して対象物にレーザ光を照射可能に、前記本体部に内蔵されていることが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、レーザ光は、先端開口を貫通する光路を持つことになる。このため、レーザ光が対象物を照射している状態を維持しつつ、レーザ光に沿って先端開口をアプローチしてゆけば、自ずと当該対象物に先端開口が到達するようになる。
上記の把持型の対象物吸引装置において、前記先端開口と吸引対象の対象物との間の距離を導出する測距手段をさらに備えることが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、測距手段により、先端開口が対象物にどの程度接近しているかを把握することができる。従って、吸引動作の開始タイミングを容易に把握することができる。
上記の対象物吸引装置において、前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するメカ機構と、当該メカ機構を動作させる電気的な駆動部と、当該駆動部を制御するコントローラとを含み、前記コントローラは、予め定められた吸引条件が成立したとき、前記駆動部を動作させ対象物を前記チップ内に自動吸引させることが望ましい。
この対象物吸引装置によれば、所定の吸引条件が成立したときに対象物が自動吸引されるので、当該吸引装置の操作性を高めることができる。
本発明によれば、吸引対象物を容易に確認でき、且つ、吸引対象物へチップ先端を簡単に接近させることができる把持型の対象物吸引装置を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る対象物吸引装置(ピペッター)及び操作部を示す図であって、図1(A)はこれらの側面図、図1(B)は上面図、図1(C)はチップが取り外された状態の対象物吸引装置の側面図である。 図2は、上記対象物吸引装置の使用状態を示す斜視図である。 図3は、上記対象物吸引装置の電気的構成を示すブロック図である。 図4は、上記対象物吸引装置によるピッキング動作を示す図である。 図5は、第2実施形態に係る対象物吸引装置を示す図であって、図5(A)はその側面図、図5(B)は上面図である。 図6は、第2実施形態の対象物吸引装置の要部断面図である。 図7は、第3実施形態に係る対象物吸引装置を示す図である。 図8は、第4実施形態に係る対象物吸引装置を示す図である。 図9は、第4実施形態に係る対象物吸引装置の電気的構成を示すブロック図である。 図10は、第4実施形態の対象物吸引装置の使用状態を示す斜視図である。 図11は、第5実施形態に係る対象物吸引装置、及びその使用状態を示す図である。 図12は、第6実施形態に係る対象物吸引装置を示す図である。 図13は、第7実施形態に係る対象物吸引装置を示す図である。 図14は、第7実施形態の変形例を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る把持型の対象物吸引装置は、多岐に亘る対象物を吸引対象とすることができる。好適な対象物の一つは、生体対象物である。生体対象物としては、代表的には生体由来の細胞を例示することができる。生体由来の細胞は、例えば血球系細胞やシングル化細胞などのシングルセル(細胞)、HistocultureやCTOSなどの組織小片、スフェロイドやオルガノイドなどの細胞凝集塊、ゼブラフィッシュ、線虫、受精卵などの個体、2D又は3Dのコロニー等である。この他、生体対象物として、組織、微生物、小サイズの種等を例示することができる。とりわけ、一般的に顕微鏡観察下でのピッキングが必要とされる、シングルセル、細胞凝集塊、2Dコロニー等の特定細胞の吸引に、本発明の対象物吸引装置は好適である。以下に説明する実施形態では、対象物が前記特定細胞(以下、単に「細胞」という)である例を示す。なお、対象物は上掲の生体対象物に限られるものではなく、小型の電子部品や機械部品、有機又は無機の破砕片や粒子、ペレット等であっても良い。
[第1実施形態;カメラ外付け型]
図1は、本発明の第1実施形態に係るピペッター1(把持型の対象物吸引装置)及びその操作部5を示す図であって、図1(A)はこれらの側面図、図1(B)は上面図を示している。ピペッター1は、鉛筆型の形状を有する。作業者は、ピペッター1を片手で持ち、例えば一の容器に収容されている所要の細胞を培地等と共に吸引するピッキング作業、並びにピッキングした細胞を他の容器に吐出する作業を行う。
ピペッター1は、本体部2と、本体部2に外付けで搭載される撮像部3と、本体部2に装着されるチップ4とを備えている。図1(C)は本体部2からチップ4が取り外された状態の、ピペッター1の側面図である。本体部2は、細胞の吸引のための吸引力及びその吐出のための吐出力の発生する機構を内蔵し、作業者に把持される部分である。撮像部3は、ピッキング作業時に吸引対象の細胞の画像を撮像するために本体部2に搭載されている。チップ4は、細胞が出入り可能な先端開口4Tを備え、前記吸引力によって先端開口4Tからチップ4内に取り入れられた細胞を、吐出動作が終わるまで一時的に保持する。
本体部2は、外装カバー21、把持部22、保持ベース部23、装着部24、駆動モーター25(吸引機構の一部/駆動部)及び負圧化機構26(吸引機構の一部/メカ機構)を備えている。駆動モーター25及び負圧化機構26は、本体部2の内部に収容されている。外装カバー21は、一方向に長いハウジング形状を有し、駆動モーター25及び負圧化機構26を含む吸引機構部分を覆うカバーである。
把持部22は、本体部2のうち作業者が片手で把持することを企図した部分である。本実施形態の把持部22は、外装カバー21の長手方向の先端付近に形成され、当該外装カバー21の両側面を各々凹曲面状に窪ませた部分からなる。なお、作業者が一方の手指で容易に把持できる限りにおいて、把持部22の態様には制限はない。例えば、外装カバー21から側方に突出する部分からなる把持部22としても良い。しかし、ピッキング作業時に手ブレを起こし難くするためには、作業者に鉛筆を持つ場合と同様にして本体部2を把持させることが望ましい。また、本体部2は、上記吸引機構の内蔵によって相応の太さとなることから、把持させる部分は括れさせる方が把持し易い。従って、本実施形態の通り、外装カバー21の先端付近の両側面を窪ませた把持部22とすることが望ましい。
保持ベース部23は、外付けの撮像部3を取り付けるための領域である。保持ベース部23は、外装カバー21の先端側に連設され、外装カバー21よりも小さい横幅及び縦幅を有している。装着部24は、チップ4が装着される部分である。装着部24は、本体部2の最先端に配置され、保持ベース部23よりも小さい外径を有している。なお、保持ベース部23及び装着部24は、チップ4内を負圧化するための吸引経路を形成するために、中空の形状を有している。
チップ4は、先細りのテーパ形状を有する中空体である。チップ4の一端側は、径の大きい根元部41であり、他端側は径が最も小さくなる先端部42である。先端部42には、上述の先端開口4Tが設けられている。根元部41は、本体部2の装着部24の外径よりもやや小さい内径を有している。根元部41が装着部24に嵌合されることによって、チップ4は本体部2に装着される。
駆動モーター25及び負圧化機構26は、先端開口4Tを通して細胞をチップ4内に吸引させる吸引機構を構成する。負圧化機構26は、本体部2内の吸引経路を通してチップ内を負圧化するメカ機構である。負圧化機構26としては、シリンジと、該シリンジに進退可能に収容されたピストンとを備える機構を例示することができる。この場合、前記ピストンの後退によって、チップ4の内部を負圧化して吸引動作を実行し、前記ピストンの前進によって、チップ4の内部を加圧して吐出動作を実行させることができる。駆動モーター25は、負圧化機構26を動作させる電気的な駆動部であって、上掲の例では前記ピストンを前記シリンジ内で進退移動させる駆動源である。
撮像部3は、外付けカメラ31と、この外付けカメラ31を本体部2へ取り付けるための保持部32とを含み、チップ4の先端開口4Tの周辺領域の画像を撮像する。外付けカメラ31は、CMOSセンサー等の撮像素子と、この撮像素子に被写体像を結像させるレンズ鏡筒とを含む小型カメラモジュールである。保持部32は、本体部2の保持ベース部23に外付け固定されるリング状の部分と、外付けカメラ31を保持する部分とを備えている。外付けカメラ31は、チップ4の先端開口4Tの周辺が撮像領域となるように保持部32によって保持されている。
操作部5は、駆動モーター25の動作を無線通信にて遠隔操作するためのリモコン装置である。操作部5は、作業者が片手で握るグリップ部51と、操作キー53を備えたキーベース52とを含む。ここでは、操作キー53として十字キーを例示している。例えば、操作キー53の一の方向を押下すると駆動モーター25が正転して負圧化機構26が前記吸引動作を実行し、他の方向を押下すると駆動モーター25が逆転して前記吐出動作を実行する。
図2は、ピペッター1及び操作部5を使用して、作業者がピッキング作業を行っている状態を示す斜視図である。図2には、ピペッター1及び操作部5に加えて、外付けカメラ31が撮像した画像を表示する表示装置6と、吸引対象の細胞を収容している容器7とが示されている。表示装置6は、表示画面を備えたタブレット端末であり、本体部2と無線通信が可能な端末である。表示装置6は、スマートフォン、パーソナルコンピュータのディスプレイ或いは専用のモニター装置であっても良い。容器7には、培地が注液され、マトリクス状に配列された多数の細胞収容部を有するマイクロプレートが、前記培地に浸漬された状態で配置されている。
ピペッター1は作業者の右手RH(一方の手指)で把持され、操作部5は左手LH(他方の手指)で把持されている。ピペッター1は、右手RHの親指と人差し指とで、外装カバー21の側面に形成された一対の凹曲面からなる把持部22が保持される態様で、作業者に把持されている。つまり、鉛筆を持つ際と同じ態様でピペッター1は把持されている。操作部5は、左手LHの人差し指乃至小指でグリップ部51が把持され、親指で操作キー53が操作可能な態様で、作業者に把持されている。
ピッキング作業時、外付けカメラ31がONとされ、容器7に収容されている細胞の画像を撮像する。撮像された画像は、表示装置6に表示される。本実施形態のピペッター1を用いれば、作業者は、目視にて容器7に対するチップ4の先端開口4Tの位置をマクロ的に観察しつつ、外付けカメラ31が撮像する画像にてミクロ的に容器7内の細胞も観察しながら、ピッキング作業を行うことができる。
すなわち作業者は、右手RHでピペッター1を持ち、マクロ的な視点で先端開口4Tを、容器7内において吸引対象の細胞が存在する領域へ大まかに接近させてゆく。すると、本体部2に搭載されている外付けカメラ31も、当該領域の細胞に自ずと接近する。このため外付けカメラ31は、ターゲットとする細胞の明瞭な画像を取得できるようになる。作業者は、その画像を表示装置6で観察しながら、先端開口4Tをターゲット細胞に接近させることができる。そして、先端開口4Tがターゲット細胞に所定距離まで接近したら、左手LHで操作部5の操作キー53を操作して、本体部2に吸引動作を実行させる。これにより、先端開口4Tを通してターゲット細胞をチップ4内に吸引させることができる。従って、ピッキング作業の容易化を図ることができる。
また、作業者は、右手RHで鉛筆を持つように本体部2を把持しながら、左手LHで操作部5を操作して駆動モーター25に吸引動作の開始指示を与えることができる。このため、先端開口4Tのターゲット細胞へのアプローチ時、並びに、ターゲット細胞の吸引時に、手ブレが発生し難くすることができる。
さらに、本実施形態によれば、片手で把持できるピペッター1を用いるので、クリーンベンチのような比較的小さな無菌室内に持ち込んでピッキング作業を行わせることができる。顕微鏡のような大型観察装置はクリーンベンチ内へ持ち込めず、コンタミネーションの問題が生じ得るが、本実施形態では当該問題を解消できる。また、顕微鏡観察では、対物レンズとの干渉を避けるために無理な姿勢でのピッキング作業を強いられることがある。これに対し、本実施形態では、容器7の上方に干渉物が存在しない状態でピッキング作業が行えるので、作業者の負担を軽減することができる。
さらに、本実施形態では、保持部32を介して外付けカメラ31を本体部2へ外付けする構成である。このため、保持部32を介して本体部2で保持可能な限りにおいて、各種のカメラ、例えば焦点距離、倍率、解像度等が異なるカメラを外付けカメラ31として代替搭載させることができる。また、蛍光観察や紫外線観察等の各種目的に応じて、カメラを取り替えることも可能である。
図3は、ピペッター1の本体部2の電気的構成を示すブロック図である。本体部2は、上記の構成に加え、コントローラ27、無線通信ユニット28及び電池20を備えている。コントローラ27は、マイクロコンピュータ等からなり、本体部2の各部を統括的に制御する。コントローラ27は、所定のプログラムが実行されることで、機能的にモーター制御部271及びカメラ制御部272を有するように動作する。
モーター制御部271は、操作部5から与えられる操作信号に応じて、駆動モーター25の動作を制御する。例えば、操作部5から吸引動作の開始指示が与えられると、モーター制御部271は、駆動モーター25を正転させ、負圧化機構26によりチップ4内が負圧化されるよう制御する。一方、操作部5から吐出動作の開始指示が与えられると、モーター制御部271は、駆動モーター25を逆転させ、負圧化機構26がチップ4内を加圧するように制御する。
カメラ制御部272は、操作部5から与えられる操作信号に応じて、外付けカメラ31による撮像動作を制御する。操作部5から撮像開始指示が与えられると、カメラ制御部272は外付けカメラ31を動作させ、撮像動作を実行させる。
無線通信ユニット28は、本体部2と操作部5及び表示装置6との通信可能に接続するための、近距離無線インターフェースである。無線通信ユニット28としては、例えば、Bluetooth(登録商標)等の通信インターフェースを用いることができる。電池20は、駆動モーター25及び外付けカメラ31、及び本体部2に搭載されている電子基板の動作電源である。
表示装置6には画像処理部61が備えられている。画像処理部61は、外付けカメラ31により取得された画像データに所要の画像処理を施して、表示装置6の表示画面に表示させる。例えば、容器7におけるターゲット細胞の座標が既知ならば、容器7に基準位置を示すマークを付しておくことで、外付けカメラ31が撮像する画像上でターゲット細胞の位置を特定することができる。この場合、画像処理部61に前記ターゲット細胞にマーキングを付す等の画像処理を行わせることが望ましい。
図4は、ピッキング動作時における外付けカメラ31の撮像動作を示す図である。シャーレ状の容器7には培地71が注液され、培地内には複数の細胞Cが分散されている。ここでは、図中の細胞Ctが、吸引対象となるターゲット細胞Ctであるとする。そして、このターゲット細胞Ctに、チップ4の先端開口4Tが垂直方向からアプローチしている状態が示されている。
外付けカメラ31は、チップ4の先端開口4Tの周辺が画角Av内に収まるように、保持部32に保持されている。このため、作業者は、外付けカメラ31が撮像する画像を表示装置6で観察することにより、先端開口4Tのターゲット細胞Ctへの接近状態を的確把握することができる。図4では、外付けカメラ31の撮像光軸OP上に、ターゲット細胞Ctが位置している状態を示している。この場合、ターゲット細胞Ctは、表示装置6の表示画像の中央に表示される。作業者は、表示装置6が表示する言わばミクロ観察画像を確認しながら、簡単且つ的確にターゲット細胞Ctのピッキングを行うことができる。
[第2実施形態;カメラ内蔵型]
図5は、第2実施形態に係るピペッター1Aを示す図であって、図5(A)はその側面図、図5(B)は上面図である。上記第1実施形態では、撮像部3として、本体部2の外側に外付けカメラ31が取り付けられる例を示した。第2実施形態では、本体部2に撮像部3が内蔵される例を示す。
ピペッター1Aは、本体部2Aと、本体部2に内蔵される態様で搭載される内蔵カメラ33(撮像部)と、本体部2Aに装着されるチップ4とを備えている。本体部2Aは、第1実施形態と同様に、外装カバー21、把持部22及び図5には表れない装着部24、駆動モーター25及び負圧化機構26を備えている。これらについては、重複を避けるため説明を省く。内蔵カメラ33は、先端開口4Tを通して当該先端開口4Tの周辺領域の撮像が行えるように、本体部2内に配置されている。
図6は、ピペッター1Aの要部断面図である。本体部2Aの内部には、チップ4内を負圧化するための吸引経路である、連通経路201及び終端開口部202が備えられている。内蔵カメラ33は、前記吸引経路中に配置されている。連通経路201は、負圧化機構26のシリンジに連通する経路であり、吸引動作時には負圧化機構26によってエアが吸引される経路となる。終端開口部202は、連通経路201の終端に連設され、連通経路201よりも水平断面積が大きい空間を区画している。終端開口部202は、連通経路201とチップ4の内部空間とを連通する部分であると共に、内蔵カメラ33を収容する部分である。
内蔵カメラ33は、レンズ鏡筒331と、このレンズ鏡筒331によって被写体像が結像される撮像素子332とを含む小型カメラモジュールである。内蔵カメラ33としては、例えば医療用の内視鏡に搭載されるカメラ装置を適用することができる。内蔵カメラ33は、円筒型のモジュールであり、その円筒外周部において、周方向に間隔を置いて配置された複数の支持梁34で支持されている。
支持梁34は、終端開口部202の内壁から径方向中心に向けて延出している。例えば、本体部2Aの外周面から内部に向けて螺合され、内蔵カメラ33の外周部分とも螺合する締結ネジを、支持梁34として用いることができる。連通経路201とチップ4内の空間とは、終端開口部202における内蔵カメラ33の外周側の空間を通して連通している。このように、本体部2A内に不可避的に設けねばならない吸引経路のスペースを利用することで、効率的に内蔵カメラ33を本体部2A内に配置することができる。なお、内蔵カメラ33への給電及び画像信号の伝送のために、ケーブル333が内蔵カメラ33に接続されている。本体部2Aは、このケーブル333を配線するためのケーブル収容孔203が備えられている。
内蔵カメラ33は、先端開口4Tを貫通する撮像光軸OPを持つ。内蔵カメラ33の撮像範囲は、先端開口4Tの開口範囲となる。つまり、内蔵カメラ33は、先端開口4Tを絞りの開口として、吸引対象のターゲット細胞Ct及びその周辺の画像を撮像することができる。作業者は、当該画像を観察しながら、ピッキング作業を行うことができる。また、内蔵カメラ33は、チップ4内を撮像し、チップ内空間の様子を観察することを可能とする。このため、本実施形態では、チップ4内に培地と共に吸引されたターゲット細胞Ctの観察、夾雑物や異物の存在の確認、さらには先端開口4Tの詰まりの確認等を行うことも可能である。
[第3実施形態;カメラ内蔵型の他の例]
図7は、第3実施形態に係るピペッター1Bを示す図である。ここでは、第2実施形態で例示した内蔵カメラ33の、他の配置例を示す。ピペッター1Bの本体部2Bの内部には、複数の独立チャンネルを有するチューブ35が備えられている。図7では、チューブ35が、三つの独立チャンネル;第1チャンネル351、第2チャンネル352及び第3チャンネル353を備える例を示している。これらチャンネル351、353、353は、チューブ35に独立的に形成された中空通路である。
第1チャンネル351(他の独立チャンネル)には、内蔵カメラ33及びそのケーブル333が配置されている。内蔵カメラ33は、第1チャンネル351の終端開口部付近に、先端開口4Tを通して撮像が行えるように配置されている。第2実施形態と同様に、内蔵カメラ33は、先端開口4Tを貫通する撮像光軸OPを持つ。内蔵カメラ33は、先端開口4Tを通してターゲット細胞Ctの画像を撮像することが可能であると共に、チップ4の内部を撮像することが可能である。
第2チャンネル352(一の独立チャンネル)は、チップ4内を負圧化するための吸引経路として用いられる。つまり、第2チャンネル352は、負圧化機構26が動作した際に空気が吸引される経路として用いられる。第3チャンネル353には、適宜な装置や部材を組み込むことができる。例えば、チップ4内を撮像する場合等に照明光を提供する光ファイバ式ライトガイドを、第3チャンネル353に配置することができる。
第3実施形態のピペッター1Bによれば、内蔵カメラ33やその他必要な部材をチューブ35に組み付けた上で本体部2Bへ装着することが可能である。従って、カメラ内蔵型のピペッターの組み立て性を良好にすることができる。
[第4実施形態;レーザポインタ付設型]
図8は、第4実施形態に係るピペッター1Cの要部を示す図である。第4実施形態では、ターゲット細胞Ctにレーザ光を照射するレーザポインタ機能を備えるピペッター1Cを例示する。ピペッター1Cは、第1実施形態と同様に、本体部2Cと、本体部2に外付けされる態様で搭載される外付けカメラ31と、本体部2Cに装着されるチップ4とを備えている。本体部2Cは、第1実施形態と同じく、外装カバー21、把持部22、装着部24、駆動モーター25及び負圧化機構26を備えている。第1実施形態と相違する点は、吸引対象のターゲット細胞Ctに対してレーザ光Lを照射可能なレーザ光源8をさらに備える点である。
レーザ光源8は、可視光のレーザ光Lを発する発光素子を有している。レーザ光源8は、ホルダ81を介して本体部2Cに外付けされている。本実施形態では、外付けカメラ31の対極位置において保持部32にホルダ81が組み付けられ、そのホルダ81にレーザ光源8が支持されている例を示している。レーザ光源8は、チップ4の先端部42の方向を指向してレーザ光Lを発するように、ホルダ81に取り付けられている。
本実施形態では、ターゲット細胞Ctを特定しレーザ光Lでポインティングする操作を容易とするために、容器7を撮像する観察カメラ9を用いることが望ましい。図8の例では、容器7の下方に観察カメラ9を配置する例を示している。もちろん、容器7としては透光性の容器が用いられる。観察カメラ9は、容器7の底面を通して、容器7内に収容されている細胞C及びターゲット細胞Ctを撮像する。その撮像画像を見ながら、作業者は、ターゲット細胞Ctを特定すると共に、当該ターゲット細胞Ctにレーザ光Lを照射する動作を行うことができる。
図9は、第4実施形態に係るピペッター1Cの本体部2Cの電気的構成を示すブロック図である。基本構成は図3に示した第1実施形態の本体部2と同じであるが、第4実施形態の本体部2Cは、上述のレーザ光源8と、このレーザ光源8を制御するレーザ制御部273を有するコントローラ27Cとを備えている点で相違する。レーザ制御部273は、操作部5から与えられる指示信号に応じて、レーザ光源8のON/OFF動作を制御する。また、観察カメラ9は、表示装置6と通信可能に接続され、撮像した画像が表示装置6の表示画面に表示可能とされている。この表示の際、画像処理部61によって所用の画像処理が施される。
図10は、ピペッター1Cの使用状態を示す斜視図である。作業者は、レーザ光源8をONとすると共に、観察カメラ9の撮像画像を表示装置6で視認して確認しながら、ターゲット細胞Ctを特定する。ターゲット細胞Ctの座標が既知であるならば、表示装置6の表示画面上でターゲット細胞Ctにマーキングする画像処理を行わせ、特定を容易とすることが望ましい。ターゲット細胞Ctが特定されたならば、作業者はレーザ光源8が発するレーザ光Lを、表示装置6で確認しながら当該ターゲット細胞Ctに照射する。
一度、レーザ光Lでターゲット細胞Ctをポインティングすれば、作業者はチップ4の先端開口4Tとターゲット細胞Ctとの位置関係をマクロ的に把握することができる。つまり、先端開口4Tのターゲット細胞Ctへのアプローチ経路を容易に知見することができる。先端開口4Tがターゲット細胞Ctにある程度近づけば、外付けカメラ31が撮像する画像を表示装置6に表示させる。その表示画像に基づいて、作業者は、ミクロ的に容器7内のターゲット細胞Ctを観察しながら、ピッキング作業を行うことができる。第4実施形態によれば、第1実施形態のピペッター1にターゲット細胞Ctのレーザポインタ機能が付加されるので、先端開口4Tのターゲット細胞Ctへのアプローチを一層容易にすることができる。
[第5実施形態;レーザポインタ付設型の他の例]
図11は、第5実施形態に係るピペッター1D、及びその使用状態を示す図である。ピペッター1Dは、レーザ光源8の本体部2Dへの取り付けの態様が、第4実施形態のピペッター1Cとは相違している。レーザ光源8は、チップ4の軸方向と略平行に延びるアーム82を介して、本体部2Dに外付けされている。
アーム82は、L字型の形状を有し、その基端が保持部32に取り付けられ、先端が先端開口4Tに近い位置まで延びている。レーザ光源8は、先端開口4Tの近傍を通してターゲット細胞Ctにレーザ光Lを照射可能に、アーム82の前記先端に取り付けられている。つまり、レーザ光Lの光軸とチップ4の吸引軸とが先端開口4T付近で鈍角的に交差するように、レーザ光源8が本体部2Dへ搭載されている。なお、前記吸引軸は、先端開口4Tを通るチップ4の中心軸である。
第5実施形態に係るピペッター1Dによれば、常にレーザ光源8とターゲット細胞Ctとの間に先端開口4Tが位置することになる。このため、レーザ光Lがターゲット細胞Ctを照射している状態を作れば、そのレーザ光Lが示す経路がターゲット細胞Ctへのアプローチ経路となる。つまり、一旦ターゲット細胞Ctをレーザ光Lでポインティングすると、後は図11の点線で示すようにピペッター1Dを移動し、レーザ光Lに沿って先端開口4Tをアプローチしてゆけば、自ずとターゲット細胞Ctに先端開口4Tが到達するようになる。従って、先端開口4Tのターゲット細胞Ctへのアプローチを一層容易にすることができる。
[第6実施形態;レーザ光源内蔵型]
図12は、第6実施形態に係るピペッター1Eを示す図である。ピペッター1Eは、第3実施形態に係るピペッター1Bに、内蔵型のレーザ光源8Aが追加された実施形態である。ピペッター1Eの本体部2Eの内部には、複数の独立チャンネルを有するチューブ35、すなわち、第1〜第3チャンネル351、353、353を備えるチューブ35が配置されている。
第2実施形態と同様に、第1チャンネル351には、内蔵カメラ33及びそのケーブル333が配置されている。第2チャンネル352は、チップ4内を負圧化するための吸引経路として利用される。そして、第3チャンネル353には、内蔵型のレーザ光源8A及びその給電線84が収容されている。レーザ光源8Aは、第3チャンネル353の終端開口部付近に、先端開口4Tを貫通してレーザ光Lを照射可能に配置されている。
ピペッター1Eを用いれば、吸引開口である先端開口4Tを貫通する光路上で、レーザ光Lを放射させ、ターゲット細胞Ctをポインティングすることができる。作業者は、レーザ光Lがターゲット細胞Ctをポインティングしている状態を維持しつつ、レーザ光Lに沿って先端開口4Tをアプローチしてゆけばよい。そうすれば、自ずとターゲット細胞Ctに先端開口4Tを到達させることができる。その後、作業者は、内蔵カメラ33Aが撮像する画像を確認しながら、ピッキング作業を行うことになる。
[第7実施形態;測距手段付設型]
図13は、第7実施形態に係るピペッター1Fの要部を示す図である。ピペッター1Fは、図8に示した第4実施形態のピペッター1Cに、測距手段の一部を担う受光ユニット83が追加された実施形態である。ここでの測距手段は、先端開口4Tと吸引対象のターゲット細胞Ctとの間の距離を導出する手段である。図13では、測距手段がレーザ光源8と受光ユニット83との組み合わせで構成される例を示している。
受光ユニット83は、レーザ光Lに対して感度を有する受光素子を有し、保持部32を利用して本体部2Fに外付けされている。前記受光素子の受光面は、先端開口4Tの方向を指向している。受光ユニット83は、レーザ光源8が発したレーザ光Lの反射光RLを受光する。図13では、ターゲット細胞Ctに照射されたレーザ光Lの反射光RLが、受光ユニットで受光されている例を示している。
第7実施形態によれば、レーザ光Lの発光から受光までに要した時間を計測することで、先端開口4Tとターゲット細胞Ctとの間の距離を求めることが可能となる。すなわち、先端開口4Tがターゲット細胞Ctにどの程度接近しているかを把握することができる。従って、作業者は、吸引動作の開始タイミングを容易に把握することができる。例えば、先端開口4Tが吸引に適した距離までターゲット細胞Ctに接近したことを測距手段が検知したら、鳴動音を発報させる機能を付加することが望ましい。
図14は、第7実施形態における測距手段の変形例を説明するための図である。測距手段は、第2、第3、第6実施形態に例示した内蔵カメラ33が撮像する画像を画像処理することによって、先端開口4Tとターゲット細胞Ctとの間の距離を求めるものであっても良い。ターゲット細胞Ctが粒揃いの細胞であってそのサイズが概ね既知であれば、内蔵カメラ33が撮像する画像に映り込んでいる先端開口4Tとターゲット細胞Ctとのサイズ比に基づいて、両者間の距離を求めることができる。
図14は、内蔵カメラ33が撮像する画像を表示する表示画面62を示している。内蔵カメラ33は、チップ4の内側から撮像するので、先端開口4Tと、この先端開口4Tを通したターゲット細胞Ctとが画像に映り込む。図14(A)は、先端開口4Tに対して比較的遠い位置にあるターゲット細胞Ct−1を示している。この場合、画像における先端開口4Tのサイズに比べて、ターゲット細胞Ct−1のサイズは小さい。一方、図14(B)は、先端開口4Tに対して比較的近い位置にあるターゲット細胞Ct−2を示している。この場合、先端開口4Tのサイズに対するターゲット細胞Ct−2のサイズは、先のターゲット細胞Ct−1よりも大きくなる。従って、先端開口4Tとターゲット細胞Ctとのサイズ比を求めることで、両者間の距離を知見することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の第1〜第7実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、さらに種々の変形実施形態を取ることができる。例えば本発明は、次に示すような変形実施形態を採用することができる。
(1)図3及び図9に示した実施形態では、コントローラ27のモーター制御部271は、操作部5が作業者から動作指示を受け付けたときに駆動モーター25を動作させ、吸引動作を実行させる例を示した。これに代えて、作業者の操作に依存せず、予め定められた吸引条件が成立したとき、モーター制御部271が駆動モーター25を自動的に動作させ、ターゲット細胞Ctをチップ4内に吸引させるようにしても良い。
前記吸引条件としては、チップ4の先端開口4Tが吸引に適した距離までターゲット細胞Ctに接近したことが例示できる。この場合、図13に示した測距手段付のピペッター1Fを用いることができる。前記測距手段が、先端開口4Tがターゲット細胞Ctに所定距離まで接近したことを検知したとき、吸引条件が成立したとしてモーター制御部271が駆動モーター25を動作させ、ターゲット細胞Ctをチップ4内に吸引させる。この他、前記吸引条件として、細胞Cに所定波長の光を照射し、細胞Cが蛍光したことを例示できる。この場合、図8に示した、観察カメラ9を含む観察システムを用いることができる。蛍光を発生させる光源を本体部2Cに搭載し、蛍光を発した細胞をターゲット細胞Ctとしてモーター制御部271が自動吸引させる態様を例示することができる。この変形例によれば、所定の吸引条件が成立したときにターゲット細胞Ctが自動吸引されるので、当該ピペッターの操作性を高めることができる。
(2)第1実施形態では、外付けカメラ31が保持部32を介して本体部2の保持ベース部23に外付けされる例を示した。外付けカメラ31は、単一のカメラの装着だけを想定するのではなく、目的に応じて種々のカメラへ交換可能な態様とすることが望ましい。例えば、光学倍率が異なるカメラ、画素数が異なるカメラ、或いは蛍光観察や赤外線観察に適したカメラを、カートリッジ式で本体部2へ装着可能なように、保持部32及び保持ベース部23を構成することが望ましい。また、画像処理部61に光学ズーム機能を具備させることが望ましい。
(3)レーザ光源8が外付けされる第4実施形態において、レーザ光源8を他のレーザ光源に取り替え可能な構成としても良い。例えば、第1の波長のレーザ光を発するレーザ光源8をデフォルト装着光源とし、レーザポインタ以外の他の目的に好適な第2の波長のレーザ光を発するレーザ光源を、サブ光源としてホルダ81に着脱可能とする例を挙げることができる。
(4)ピペッターの使い易さに、ピペッターの重さや重心位置が影響を与えることがある。作業者は、ピペッターを把持して長時間のピッキング作業を行うので、当該ピペッターの重さや重心位置がフィットしないと、精度の高いピッキング作業が阻害されたり、余計な疲労感を与えたりする不具合が生じ得る。そして、如何にフィット感を持つかについては、作業者によってまちまちである。そこで、上記実施形態のピペッター1〜1Fの本体部2〜2Fに、重さ及び重心位置を調整可能な機構を付設することが望ましい。例えば、重さ調整のための単位ウェイトを複数個搭載可能なバランサを、本体部2〜2Fに摺動自在に付設する態様を例示することができる。
C 細胞(対象物)
Ct ターゲット細胞(吸引対象の対象物)
L レーザ光
RH、LH 右手(一方の手指)、左手(他方の手指)
1〜1F ピペッター(対象物吸引装置)
2〜2F 本体部
21 外装カバー
22 把持部
24 装着部
25 駆動モーター(吸引機構/駆動部)
26 負圧化機構(吸引機構/メカ機構)
27 コントローラ
3 撮像部
31 外付けカメラ
32 保持部
33 内蔵カメラ
35 チューブ
351 第1チャンネル(一の独立チャンネル)
352 第2チャンネル(他の独立チャンネル)
4 チップ
5 操作部
6 表示装置
8 レーザ光源
83 受光ユニット(測距手段)

Claims (11)

  1. 対象物が出入り可能な先端開口を備えたチップが装着される装着部と、前記先端開口を通して前記対象物を前記チップ内に吸引させる吸引機構と、作業者が把持する把持部と、を有する本体部と、
    前記本体部に搭載され、前記チップの先端開口の周辺領域の画像を撮像する撮像部と、
    を備える把持型の対象物吸引装置。
  2. 請求項1に記載の対象物吸引装置において、
    前記本体部に搭載され、吸引対象の対象物に対してレーザ光を照射可能なレーザ光源をさらに備える、把持型の対象物吸引装置。
  3. 請求項1又は2に記載の対象物吸引装置において、
    前記本体部は、一方向に長いハウジング形状を有する外装カバーを備え、
    前記把持部は、前記外装カバーに形成され、作業者の一方の手指で把持可能な形状を備え、
    前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するメカ機構と、当該メカ機構を動作させる電気的な駆動部と、作業者の他方の手指で操作可能であって前記駆動部を遠隔操作可能な操作部とを含む、把持型の対象物吸引装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の対象物吸引装置において、
    前記撮像部は、前記本体部に外付けされる保持部と、前記先端開口の周辺が撮像領域となるように前記保持部によって保持される外付けカメラとを含む、把持型の対象物吸引装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の対象物吸引装置において、
    前記撮像部は、前記先端開口を通した撮像が行えるように前記本体部に配置された内蔵カメラを含む、把持型の対象物吸引装置。
  6. 請求項5に記載の対象物吸引装置において、
    前記本体部の前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するための吸引経路を含み、
    前記内蔵カメラは、前記吸引経路中に配置されている、把持型の対象物吸引装置。
  7. 請求項5に記載の対象物吸引装置において、
    前記本体部は、複数の独立チャンネルを有するチューブを備え、
    前記複数の独立チャンネルのうち、一の独立チャンネルは前記チップ内を負圧化するための吸引経路として用いられ、他の独立チャンネルには前記内蔵カメラが配置される、把持型の対象物吸引装置。
  8. 請求項2に記載の対象物吸引装置において、
    前記レーザ光源は、前記先端開口の近傍において吸引軸と交差して対象物にレーザ光を照射可能に、前記本体部に外付けされている、把持型の対象物吸引装置。
  9. 請求項2に記載の対象物吸引装置において、
    前記レーザ光源は、前記先端開口を貫通して対象物にレーザ光を照射可能に、前記本体部に内蔵されている、把持型の対象物吸引装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の対象物吸引装置において、
    前記先端開口と吸引対象の対象物との間の距離を導出する測距手段をさらに備える、把持型の対象物吸引装置。
  11. 請求項1又は2に記載の対象物吸引装置において、
    前記吸引機構は、前記チップ内を負圧化するメカ機構と、当該メカ機構を動作させる電気的な駆動部と、当該駆動部を制御するコントローラとを含み、
    前記コントローラは、予め定められた吸引条件が成立したとき、前記駆動部を動作させ対象物を前記チップ内に自動吸引させる、把持型の対象物吸引装置。
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