JP2023167323A - 経口組成物 - Google Patents

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Mayuka Yamashita
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Abstract

【課題】本発明は、意欲を維持したり向上するための組成物の提供を目的とするものである。【解決手段】本発明者らは、意欲を維持したり向上する組成物を探索する中で、ジオスゲニンや、ジオスゲニンを含有するワイルドヤムが意欲を維持及び/又は向上させる効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。【選択図】図1

Description

本発明は、ジオスゲニンを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物に関する。また、本発明は、ワイルドヤムを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物に関する。
日常生活を有意義に、健康的に過ごすためには、意欲は極めて重要であるといえる。しかし、近年、日常生活の活動性の低下や加齢、疲労感、栄養不足などから、意欲が低下し、気力や活力が低下することで、有意義に、健康的に日常生活を過ごせないことが問題となっている。意欲を維持、向上させる組成物として、チオクト酸類を有効成分とする薬剤(特許文献1)やβ-アラニルロイシンなどを活性成分とする薬剤(特許文献2)などが報告されている。しかし、チオクト酸やβ-アラニルロイシンは、副作用があったり、他の成分との食べ合わせに注意が必要となる場合があるため、意欲を維持、向上させる組成物には更なる選択肢が必要と考えられる。
また、日常生活を有意義に、健康的に過ごすために、近年、健康志向の高まりを背景に種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。さらに、健康志向と同様に安全志向の高い昨今、安全な素材を用いることが好まれており、日常的に食されていたり、食すことが可能な植物素材が有する有用な機能を活用することが望まれている。例えばジオスゲニンは、骨粗しょう症の予防・治療効果(特許文献3)や皮膚加齢の兆候の防止・低減効果(特許文献4)等の機能性について広く研究されており、更なる有用な機能の研究が望まれている。また、ワイルドヤムやその抽出物は、健康食品の素材として使用されており、皮膚の老化予防効果(特許文献5)や白髪の予防効果(特許文献6)等の機能性について広く研究されており、更なる有用な機能の研究が望まれている。
特開2007-308468号公報 特開2008-255087号公報 特表2000-503020号公報 特開2005-132823号公報 特表2004-515523号公報 特開2010-195730号公報
本発明は、上述の背景を鑑みてなされたものであり、意欲を維持、向上させ、気力や活力を維持、向上させるための組成物の提供を目的とするものである。
本発明者らは、意欲を維持、向上させ、気力や活力を維持、向上させる組成物を探索する中で、ジオスゲニンが意欲を維持、向上させる効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、意欲を維持、向上させ、気力や活力を維持、向上させる組成物を探索する中で、ワイルドヤムが意欲を維持、向上させる効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ジオスゲニンを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物。
[2]ジオスゲニンがワイルドヤム由来であることを特徴とする、[1]に記載の意欲の維持及び/又は向上用組成物。
[3]ワイルドヤムを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物。
[4]ワイルドヤムがワイルドヤム抽出物であることを特徴とする、[3]に記載の意欲の維持及び/又は向上用組成物。
[5]ワイルドヤム抽出物がジオスゲニンを含有することを特徴とする、[3]又は[4]に記載の意欲の維持及び/又は向上用組成物。
本発明の組成物は、意欲を維持させたり向上させる効果を奏する。
実施例1、2の意欲の維持、向上に関する評価項目(1-1)の変化値のグラフを示す。 実施例1、2の意欲の維持、向上に関する評価項目(1-2)の変化値のグラフを示す。 実施例1の意欲の維持、向上に関する評価項目(2-1)の変化値のグラフを示す。 実施例1の意欲の維持、向上に関する評価項目(2-2)の変化値のグラフを示す。
[ジオスゲニン]
本発明の組成物は、ジオスゲニンを含有することを特徴とする。ジオスゲニンは、例えばヤマノイモ科(Dioscoreaceae)に属するDioscorea oppositifolia、Dioscorea oppositaといったワイルドヤムや、Dioscorea composita、ナガイモ(Dioscorea batatas)、タチドコロ(Dioscorea gracillima)、ヤマノイモ(山芋)(Dioscorea japonica)、オニドコロ(Dioscorea tokoro)、ヒメドコロ(Dioscorea tenuipes)、カエデドコロ(Dioscorea quinqueloba)、モミジドコロ(Dioscorea septemloba)、シオデ属植物等に含有されるステロイドサポゲニンであり、肌の美白効果(特表2010-535758)、シワとり等皮膚改善効果(特表2009-501209、特開2007-016013)、発毛効果(特開2006-273754)等の効果が知られている。本発明の組成物に含有されるジオスゲニンは、精製されたものを用いてもよく、ジオスゲニンを含有する植物を用いてもよいが、経口摂取における安全性の観点から、ジオスゲニンを含有する植物を用いることが好ましい。ジオスゲニンを含有する植物としては、ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)に属する植物を用いることが好ましく、Dioscorea oppositifolia、Dioscorea opposita、Dioscorea composita、Dioscorea batatas、Dioscorea gracillima、Dioscorea japonica、Dioscorea tokoro、Dioscorea tenuipes、Dioscorea quinqueloba、Dioscorea septemlobaがより好ましく、意欲の維持及び/又は向上作用の観点からDioscorea oppositifolia又はDioscorea oppositaと称されるワイルドヤムを用いることが特に好ましい。
本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの配合量は、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.01~80質量%含有させることができ、0.05~40質量%含有させることが好ましく、0.1~20質量%含有させることがより好ましく、意欲の維持及び/又は向上作用の観点から0.45~9質量%含有させることが特に好ましい。
本発明におけるジオスゲニンの摂取量としては特に制限はないが、その効果をより効果的に享受できる点からジオスゲニンの摂取量が、成人の1日当たり1mg以上となるように摂取することが好ましく、7.5mg以上となるように摂取することがより好ましく、15mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。
[ワイルドヤム]
本発明の組成物に使用されるワイルドヤムは、学名がDioscorea oppositifolia又はDioscorea oppositaの植物である。
ワイルドヤムは、葉、茎、花、根などを使用することができるが、本発明の組成物に含有されるワイルドヤムの使用部位は、後述のジオスゲニンを含有するため、また意欲の維持及び/又は向上の観点から茎、根であることが好ましく、根が特に好ましい。なお、ワイルドヤムの根を使用する場合、根とともに葉、茎、花の部位を含んでもよい。
本発明の組成物に使用されるワイルドヤムとしては、収穫されたワイルドヤムをそのまま用いてもよいし、加工されたワイルドヤムを用いてもよい。加工されたワルイドヤムを用いる場合、例えば粉末、顆粒などの粉砕物や、搾汁物や抽出物を用いることができる。搾汁物や抽出物は、液状やスラリー状であってもよいが、乾燥粉末を用いることが好ましい。これらの中でも、意欲の維持及び/又は向上作用の観点から粉砕物、抽出物が好ましく、ジオスゲニンを多く含む加工物を得られることから抽出物が特に好ましい。なお、本発明において抽出物とは、抽出物の乾燥粉末(抽出物を乾燥して粉末化したもの)を包含する概念である。また、ワイルドヤムの加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造されたものでもよいし、市場に流通しているものでもよい。
本発明においてワイルドヤム抽出物を使用する場合、ワイルドヤム抽出物は、抽出液や、その希釈液もしくは濃縮液、又はそれらの乾燥粉末などを挙げることができる。抽出に使用される溶媒は、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、意欲の維持及び/又は向上作用の観点から水、エタノール又は含水エタノールが好ましく、含水エタノールが特に好ましい。また、得られた抽出物を必要に応じてスプレードライ、フリーズドライなどによって粉末化してもよく、粉末化を行う際に賦形剤を添加してもよい。
ワイルドヤム抽出物を得る際の抽出方法は特に限定されず、通常用いられる方法(例えば、浸漬抽出、還流抽出、超臨界流体抽出など)によって抽出することができる。また、ワイルドヤム抽出物を得る際の抽出温度は、室温~溶媒の沸点の間で任意に設定でき、例えば室温~抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下、非振盪下又は還流下にて抽出することができる。抽出温度が沸点付近の場合には必要に応じて還流してもよい。
ワイルドヤムがジオスゲニンを含む場合、ワイルドヤム抽出物に含まれるジオスゲニンの含有量としては、5~70質量%が好ましく、7.5~60質量%がより好ましく、意欲の維持及び/又は向上作用の観点から10~50質量%が特に好ましい。
本発明においてワイルドヤムを使用する場合、本発明の組成物におけるワイルドヤムの配合量は、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.1~100質量%含有させることができ、0.75~95質量%含有させることが好ましく、1.5~80質量%含有させることがより好ましく、意欲の維持及び/又は向上作用の観点から3~60質量%含有させることが特に好ましい。
本発明においてワイルドヤムを使用する場合、本発明におけるワイルドヤムの摂取量としては特に制限はないが、その効果をより効果的に享受できる点からワイルドヤムの摂取量が、成人の1日当たり10mg以上となるように摂取することが好ましく、50mg以上となるように摂取することがより好ましく、100mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。
[意欲の維持及び/又は向上]
本発明の組成物は、意欲の維持及び/又は向上効果を有する。本発明において意欲の維持及び/又は向上とは、気力や活力の維持及び/又は向上を意味する。より具体的には、日常生活の活動性の低下や加齢、疲労感、栄養不足による気力や活力の低下を抑制したり、改善し、気力や活力を維持させたり、向上させることを意味する。本発明において意欲とは、日常生活を有意義に、健康的に過ごすために求められたり、望ましい活動を行おうとする欲求を意味する。すなわち、本発明の組成物を摂取することにより、摂取しない場合に比べて、意欲維持効果、意欲向上効果、意欲低下の抑制効果、意欲低下の改善効果を得ることができる。
本発明の組成物は、意欲の維持及び/又は向上用経口組成物として用いることができ、かかる経口組成物としては、ジオスゲニンが含有され、意欲を維持及び/又は向上させる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、意欲の維持及び/又は向上の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。本発明の意欲の維持及び/又は向上用経口組成物は、ジオスゲニンを有効成分として表示するもの、ワイルドヤムを有効成分として表示するもの、ジオスゲニンを含有するワイルドヤムを有効成分として表示するもののいずれであってもよいが、製品の包装等に、ジオスゲニンやワイルドヤムが有効成分として表示されているものに限られない。例えば有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば摂取した人の個人的感想として意欲向上に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、意欲低下を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、ジオスゲニン、ワイルドヤムや、ジオスゲニンを含有するワイルドヤムを機能性関与成分とする機能性表示食品であって意欲の低下の抑制や改善する機能を届出表示とする機能性表示食品についても、実質的に当該届出表示は意欲向上のことを意味しているため、本発明の範囲に含まれる。
意欲の維持及び/又は向上用経口組成物の具体例は、「意欲を向上させる」、「意欲の低下を抑制する」、「意欲の低下を改善する」、「気力を向上させる」、「活力を向上させる」、「活動的な毎日のために」、「活き活きとした毎日のために」、「毎日生き生き」、「意欲を維持させる」、「気力の低下を緩和する」、「活気・活力感の低下を軽減する」、「落ち込んだ気分を前向きにする」、「前向きな気持ちにする」、「積極的な気分にする」、「生き生きとした気分になる」、「やる気になる」、「絶頂期を感じる」、「若々しくなる」、「自信がみなぎる」等を製品の包装等に表示した食品を例示することができる。
本発明の組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品等のいわゆる健康食品等として用いることができる。
本発明の組成物の形態は、例えばカプセル状、ソフトカプセル状、錠状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル錠状、スティック状等を挙げることができる。アイス、ゼリー、クッキー、ケーキ、チョコレート、ペットボトル飲料等の形態であってもよい。これらの中でも、カプセル状、ソフトカプセル状、錠状、粉末状、顆粒状、丸状、チュアブル錠状の形態が好ましく、カプセル状、ソフトカプセル状、錠状、粉末状、顆粒状が特に好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じて、ジオスゲニン、ワイルドヤムや、ジオスゲニンを含有するワイルドヤム以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。ワイルドヤム以外の他の成分としては、例えば水溶性ビタミン(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB13、ビタミンB15、ビタミンB17、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイドあるいはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物;賦形剤、滑沢剤、流動化剤等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[意欲の維持及び/又は向上に関する評価1]
以下に記載の方法により、ジオスゲニンの経口摂取が意欲の維持、向上に及ぼす影響を評価することを目的とし、健常な成人男性5名を対象とする二重盲検プラセボ対照クロスオーバー比較試験を実施した。
(1.試験食品)
ワイルドヤム(Dioscorea oppositifolia)の根の含水エタノール抽出物(ジオスゲニン含有)を、白色で中が見えないカプセルに封入してカプセル剤を製造した。なお、比較例は、外観で実施例のカプセルとの区別がつかないように、実施例で使用したカプセルと同様に、白色で中が見えないカプセルを使ってカプセル剤を製造した。
試験食品A(比較例):
配合物 ジオスゲニン 0mg/1カプセル
試験食品B(実施例1):
配合物 ジオスゲニンを15mg含有するワイルドヤムの根の含水エタノール抽出物/1カプセル
試験食品C(実施例2):
配合物 ジオスゲニンを45mg含有するワイルドヤムの根の含水エタノール抽出物/1カプセル
(2.試験方法)
健常な成人男性5名に、試験食品A~Cのいずれか1種類を夕食時に2カプセルずつ、各観察期で3日間摂取させ、試験食品の摂取前と3日間摂取後の意欲の低下を感じるかについて以下のアンケートの内容及び評価基準で評価させた。各観察期の間には2日間のウォッシュアウト期間をはさみ、すべての試験食品について3日間摂取させ、試験食品の摂取前と3日間摂取後それぞれにおいて意欲の低下を感じるかについて評価させた。
アンケートの内容
(評価項目1-1)若いときと比較して、肉体的・精神的健康状態の低下を感じる、気難しくなりがちである。
(評価項目1-2)若いときと比較して、よく眠くなる、しばしば疲れを感じる。
アンケートの評価基準
感じない:1点
軽度に感じる(わずかに感じる):2点
中程度感じる:3点
重度に感じる(強く感じる):4点
極めて重度に感じる(感じずにはいられない):5点
(3.結果)
得られた点数の平均点を算出し、摂取前の平均点から3日間摂取後の平均点を差し引き、意欲の低下を感じる場合の平均点の変化値を、摂取前と3日間摂取後の平均点の変化値として算出した。すなわち、変化値が大きいほど、試験食品(比較例、実施例1、2)の摂取前に比べて、3日間摂取後に意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を向上させる効果が高いことを意味する。また、摂取前の平均点を1とした場合の、3日間摂取後の平均点の割合(3日間摂取後の平均点/摂取前の平均点)を算出した。すなわち、摂取前の平均点を1とした場合の、3日間摂取後の平均点の割合が低いほど、意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を維持、向上させる効果が高いことを意味する。得られた結果を表1、2に示す。
また、摂取前の平均点に対する3日間摂取後の平均点について(3日間摂取後の平均点/摂取前の平均点)、比較例の変化割合の値を100%とした場合の、実施例1、2の割合を算出した。すなわち、比較例の値に対する実施例1、2の値が低いほど、意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を維持、向上させる効果が高いことを意味する。得られた結果を図1、2に示す。
表1、2、図1、2に示されるように、本発明の実施例1、2に係る、ワイルドヤム由来のジオスゲニンを含有する組成物は、ジオスゲニンを含有しない比較例に比べて意欲に関するアンケートの評価の点数が低く、すなわち、若いときと比較して、肉体的・精神的健康状態の低下を感じたり、気難しくなりがちになると感じることが少なかった。さらに、若いときと比較して、よく眠くなったり、しばしば疲れを感じることが少なかった。したがって、本発明に係るジオスゲニンや、ジオスゲニンを含有するワイルドヤムを含有する意欲の維持及び/又は向上用組成物は、意欲の維持、向上において有用である。
[意欲の維持及び/又は向上に関する評価2]
意欲向上に関する評価1の方法と同じ方法により、ジオスゲニンの経口摂取が意欲の維持、向上に及ぼす影響を評価することを目的とし、健常な成人男性5名を対象とする二重盲検プラセボ対照クロスオーバー比較試験を実施した。
(1.試験食品)
ワイルドヤム(Dioscorea oppositifolia)の根の含水エタノール抽出物(ジオスゲニン含有)を、白色で中が見えないカプセルに封入してカプセル剤を製造した。なお、比較例は、外観で実施例のカプセルとの区別がつかないように、実施例で使用したカプセルと同様に、白色で中が見えないカプセルを使ってカプセル剤を製造した。
試験食品A(比較例):
配合物 ジオスゲニン 0mg/1カプセル
試験食品B(実施例1):
配合物 ジオスゲニンを15mg含有するワイルドヤムの根の含水エタノール抽出物/1カプセル
(2.試験方法)
健常な成人男性5名に、試験食品A、Bのいずれか1種類を夕食時に2カプセルずつ、各観察期で3日間摂取させ、試験食品の摂取前と3日間摂取後の意欲の低下を感じるかについて以下のアンケートの内容及び評価基準で評価させた。各観察期の間には2日間のウォッシュアウト期間をはさみ、すべての試験食品について3日間摂取させ、試験食品の摂取前と3日間摂取後それぞれにおいて意欲の低下を感じるかについて評価させた。
アンケートの内容
(評価項目2-1)若いときと比較して、身体的疲労感・活力不足である。能力全般の低下、活動の低下、余暇活動への興味の低下、無気力、達成感がない、自分をせかさないと何もしない。
(評価項目2-2)若いときと比較して、自分の絶頂期は過ぎたと感じる。
アンケートの評価基準
感じない:1点
軽度に感じる(わずかに感じる):2点
中程度感じる:3点
重度に感じる(強く感じる):4点
極めて重度に感じる(感じずにはいられない):5点
(3.結果)
得られた点数の平均点を算出し、摂取前の平均点から3日間摂取後の平均点を差し引き、意欲の低下を感じる場合の平均点の変化値を、摂取前と3日間摂取後の平均点の変化値として算出した。すなわち、変化値が大きいほど、試験食品(比較例、実施例1)の摂取前に比べて、3日間摂取後に意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を維持、向上させる効果が高いことを意味する。また、摂取前の平均点を1とした場合の、3日間摂取後の平均点の割合(3日間摂取後の平均点/摂取前の平均点)を算出した。すなわち、摂取前の平均点を1とした場合の、3日間摂取後の平均点の割合が低いほど、意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を維持、向上させる効果が高いことを意味する。得られた結果を表3、4に示す。
また、摂取前の平均点に対する3日間摂取後の平均点について(3日間摂取後の平均点/摂取前の平均点)、比較例の変化割合の値を100%とした場合の、実施例1の割合を算出した。すなわち、比較例の値に対する実施例1の値が低いほど、意欲の低下を感じる割合が減っており、試験食品の摂取により意欲を維持、向上させる効果が高いことを意味する。得られた結果を図3、4に示す。
表3、4、図3、4に示されるように、本発明の実施例1に係るワイルドヤム由来のジオスゲニンを含有する組成物は、ジオスゲニンを含有しない比較例に比べて意欲に関するアンケートの評価の点数が低く、すなわち、若いときと比較して、身体的疲労感・活力不足であると感じることが少なく、また、若いときと比較して、能力全般の低下、活動の低下、余暇活動への興味の低下や、無気力、達成感がなかったり、自分をせかさないと何もしないと感じることが少なかった。さらに、若いときと比較して、自分の絶頂期は過ぎたと感じることが少なかった。したがって、本発明に係るジオスゲニンや、ジオスゲニンを含有するワイルドヤムを含有する意欲の維持及び/又は向上用組成物は、意欲の維持、向上において有用である。
以下に本発明の種々の態様の例を挙げる。ただし、本発明の技術的範囲はこれらに限定されない。
[処方例1~3](カプセル)
表5に示すように、ジオスゲニンを10%含有するワイルドヤム抽出物と、表5に記載する他の原料を混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むカプセル被膜に封入しカプセルを製造した(1粒あたり内容物200mg、皮膜80mg)。得られたカプセルを摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
[処方例4~6](ソフトカプセル)
表6に示すように、ジオスゲニンを15%含有するワイルドヤム抽出物と、表6に記載する他の原料を混合してソフトカプセルの内容物を製造した(1カプセルあたり300mg)。続いて、ソフトカプセルの内容物を、常法に従って、ゼラチン製のカプセル被膜(1カプセルあたり150mg)で被包しソフトカプセルを製造した。得られたソフトカプセルを摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
[処方例7~9](錠剤)
表7に示すように、ジオスゲニンを15%含有するワイルドヤム抽出物と、表7に記載する他の原料を混合した後、打錠装置を用いて成形し、錠剤を製造した(1粒あたり250mg)。得られた錠剤を摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
[処方例10~12](粉末飲料)
表8に示すように、ジオスゲニンを20%含有するワイルドヤム抽出物と、表8に記載する他の原料を混合して粉末(飲料用)を製造した。得られた粉末(飲料用)3gを水100mLと混合し摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
[処方例13~15](顆粒)
表9に示すように、ジオスゲニンを25%含有するワイルドヤム抽出物と、表9に記載する他の原料を混合した後、流動層造粒機に投入し、気流で数分間混合し、これに水300mLを1分間に30mL噴霧して造粒を行った。得られた造粒物を30メッシュの篩いで選別し、顆粒を製造した。得られた顆粒を摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
[処方例16~18](飲料)
表10に示すように、ジオスゲニンを30%含有するワイルドヤム抽出物と、表10に記載する他の原料を混合して飲料を製造し、500mLの容器に充填した。得られた飲料を摂取したところ、意欲の維持、向上効果に優れるものであった。
本発明の経口組成物は、意欲の維持及び/又は向上効果を有する食品として用いることができるため、産業上の有用性は高い。

Claims (2)

  1. ジオスゲニンを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物。
  2. ワイルドヤムを含有することを特徴とする意欲の維持及び/又は向上用組成物。
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