JP2023166315A - 眼科組成物 - Google Patents

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卓登 森川
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Abstract

【課題】ホウ酸を含有しながらグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇が抑制された眼科組成物の提供。
【解決手段】(A)テルペノイド、第三級アミン、ビニル系高分子化合物、ヘテロ多糖類及びベンゾピラン化合物からなる群より選択される1種以上と、(B)ホウ酸又はその塩と、を含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物であって、該シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは医薬審第645号審査管理課長通知によるソフトコンタクトレンズの分類においてグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである、眼科組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物に関する。
近年、コンタクトレンズの装用者が増えており、中でもソフトコンタクトレンズの装用者が増えている。一般的に、ソフトコンタクトレンズを装用した場合には、大気からの酸素供給量が低下するなどして、その結果として角膜上皮細胞の分裂抑制や角膜肥厚等につながる場合があることが指摘されている。そのため、より高い酸素透過性を有するソフトコンタクトレンズの開発が進められてきた。
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、そのような背景の下、高酸素透過性を有するソフトコンタクトレンズとして近年開発されてきたものである。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、ハイドロゲルにシリコーンを配合することにより、従来のハイドロゲルコンタクトレンズの数倍の酸素透過性を実現する。従って、ソフトコンタクトレンズの弱点である酸素供給不足を改善することができ、酸素不足に伴う角膜に対する悪影響を大幅に抑制できるものとして、大きく期待されている。
一般に、コンタクトレンズに使用される眼科組成物については、コンタクトレンズの種類に応じて、安全性等の影響を十分に考慮して設計することが不可欠である。特に、ソフトコンタクトレンズは、素材によってイオン性の有無や含水率の高低等が種々異なるため、ソフトコンタクトレンズに使用される眼科組成物は、対象となるソフトコンタクトレンズの特性に応じて製剤設計を行うことが肝要である。
例えば、特許文献1には、ポリヘキサニドと、クロルフェニラミン等とを含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物が開示されている。
特開2011-136980号公報
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは医薬審第645号審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(平成11年3月31日)により4つのグループに分類されている。このうち、グループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズはイオン性で含水率が50%以上のレンズであるが、ホウ酸を含有する眼科組成物にグループ4のレンズを浸漬すると、レンズの弾性率が著しく上昇するという新たな課題が見出された。本発明の目的は、ホウ酸又はその塩を含有しながらグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇が抑制された眼科組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、ホウ酸を含有する眼科組成物中に(A)テルペノイド、第三級アミン、ビニル系高分子化合物、ヘテロ多糖類及びベンゾピラン化合物からなる群より選択される1種以上を配合することによって、グループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇が抑制されることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、以下の各発明を提供するものである。
[1](A)テルペノイド、第三級アミン、ビニル系高分子化合物、ヘテロ多糖類及びベンゾピラン化合物からなる群より選択される1種以上と、(B)ホウ酸又はその塩と、を含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物であって、該シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは医薬審第645号審査管理課長通知によるソフトコンタクトレンズの分類においてグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである、眼科組成物。
[2](A)成分として、メントール、クロルフェニラミン及びその塩、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩、エピナスチン及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、オロパタジン及びその塩、クロモグリク酸及びその塩、並びにプラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される1種以上を含む、[1]に記載の眼科組成物。
[3]点眼剤である、[1]又は[2]に記載の眼科組成物。
[4]シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇を抑制するために用いるための、[1]~[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[5]シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用中の目に対するコンタクトレンズのフィット性を改善するために用いるための、[1]~[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
本発明によれば、ホウ酸又はその塩を含有しながらグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇が抑制された眼科組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、特に記載のない限り、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
〔1.眼科組成物〕
本実施形態のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物は、(A)テルペノイド、第三級アミン、ビニル系高分子化合物、ヘテロ多糖類及びベンゾピラン化合物からなる群より選択される1種以上(単に「(A)成分」とも表記する。)と、(B)ホウ酸又はその塩(単に「(B)成分」とも表記する。)とを含有する。
テルペノイドは、環式テルペン及び非環式テルペンを含み、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
環式テルペンは、分子内に少なくとも1つの環構造を有するテルペノイドである。環式テルペンとしては、例えば、メントール、メントン、カンフル、カルボン、ボルネオール、シネオール、アネトール、オイゲノール、リモネン、ピネン、シンナミルアルデヒド、チモール、レチノール、グリチルリチン酸、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
非環式テルペンは、分子内に環構造を有しないテルペノイドである。非環式テルペンとしては、例えば、ゲラニオール、シトロネロール、リナロール、酢酸リナリル、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
モノテルペンは、上記環式テルペン及び非環式テルペンにおいて、2つのイソプレン単位を有するものである。モノテルペンとしては、メントール、メントン、カンフル、カルボン、ボルネオール、シネオール、リモネン、ピネンなどの環式モノテルペン、ゲラニオール、シトロネロール、リナロールなどの非環式モノテルペンが挙げられる。
また、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油等が挙げられる。
テルペノイドはd体、l体及びdl体のいずれでもよく、l-メントール、d-メントール、dl-メントールが例示される。ただし、ゲラニオール等のようにテルペノイドによっては光学異性体が存在しない場合もある。
テルペノイドとしては、本発明による効果をより一層高める観点から、メントール、メントン、カンフル、カルボン、ボルネオール、シネオール、リモネン、ピネン、ゲラニオール、シトロネロール、リナロールなどのモノテルペンが好ましく、メントール、メントン、カンフル、カルボン、ボルネオール、シネオール、リモネン、ピネンなどの環式モノテルペンがより好ましく、l-メントールが更に好ましい。
テルペノイドは、市販されているものを使用することもできる。テルペノイドは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分としてテルペノイドを含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるテルペノイドの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、テルペノイドの総含有量が、0.0001~1w/v%であってよく、0.0005~0.8w/v%であってよく、0.001~0.6w/v%であってよく、0.001~0.4w/v%であってよく、0.001~0.2w/v%であることが好ましく、0.001~0.1w/v%であることがより好ましく、0.001~0.08w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.06w/v%であることが特に好ましい。
(A)成分としてモノテルペンを含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるモノテルペンの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、モノテルペンの総含有量が、0.0001~0.1w/v%であることが好ましく、0.0005~0.08w/v%であることがより好ましく、0.001~0.06w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.05w/v%であることが特に好ましい。
第三級アミンは、分子内に鎖状又は環状の第三級アミノ基又は第四級アンモニウム基を有する化合物及びその塩であり、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
第三級アミンとしては、例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ケトチフェン、オロパタジン、エピナスチン、フェキソフェナジンなどの分子内に第三級アミノ基を有する化合物及びこれらの塩、ネオスチグミンなどの分子内に第四級アンモニウム基を有する化合物及びこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、本発明による効果をより一層高める観点から、クロルフェニラミン、エピナスチン、ネオスチグミン及びこれらの塩が好ましく、マレイン酸クロルフェニラミン、エピナスチン塩酸塩、ネオスチグミンメチル硫酸塩、オロパタジン塩酸塩がより好ましい。
第三級アミンは、市販のものを用いることもできる。第三級アミンは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分として第三級アミンを含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物における第三級アミンの含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、第三級アミンの総含有量が、0.001~0.3w/v%であることが好ましく、0.0025~0.2w/v%であることがより好ましく、0.005~0.1w/v%であることが更に好ましい。
ビニル系高分子化合物は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ビニル系高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン及びそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、本発明による効果をより一層高める観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンとしては、粘性特性値(K値)が90、60、30、又は25であるものが好ましく、K90であるものがより好ましい。粘性特性値(K値)は、毛細管粘度計によって測定される相対粘度値(25℃)であり、例えば、国際公開2017-094552に記載の方法で算出できる。
ビニル系高分子化合物は、市販されているものを使用することもできる。ビニル系高分子化合物は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分としてビニル系高分子化合物を含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるビニル系高分子化合物の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ビニル系高分子化合物の総含有量が、0.0001~5w/v%であることが好ましく、0.001~1w/v%であることがより好ましく、0.01~0.5w/v%であることが更に好ましい。
ヘテロ多糖類は、2種以上の単糖を構成に含む多糖類であり、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ヘテロ多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、キサンタンガム、ジェランガム、ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイドなどの、構成単糖としてウロン酸を含むヘテロ多糖が挙げられる。ヘテロ多糖類の塩としては、例えば有機塩基との塩(アミン塩、アルギニン等の塩基性アンモニウム塩等)、無機塩基との塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩等)等が挙げられ、中でもナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。また、ウロン酸としては、例えば、グルクロン酸、グルロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸が挙げられ、中でもグルクロン酸、グルロン酸、マンヌロン酸が好ましく、グルクロン酸がより好ましい。ウロン酸は、d体、l体のいずれでもよい。
ヘテロ多糖類としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ウロン酸がグルロン酸及び/又はマンヌロン酸であるヘテロ多糖(例えば、アルギン酸及びその塩)、ウロン酸がグルクロン酸であるヘテロ多糖(例えば、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、キサンタンガム、ジェランガム)が好ましい。これらの中でも、構成単糖がグルクロン酸およびアミノ糖である、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩がより好ましく、構成単糖がグルクロン酸並びにアセチルグルコサミン及び/又はアセチルガラクトサミンである、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩が更に好ましく、構成単糖がグルクロン酸並びにアセチルグルコサミン及び/又はアセチルガラクトサミンである、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムが特に好ましい。
ヘテロ多糖類は、市販されているものを使用することもできる。ヘテロ多糖類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分としてヘテロ多糖類を含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるヘテロ多糖類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ヘテロ多糖類の総含有量が、0.0001~5w/v%であることが好ましく、0.005~3w/v%であることがより好ましく、0.001~1w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.5w/v%であることが特に好ましい。
ベンゾピラン化合物は、分子内にベンゾピラン環、ジヒドロベンゾピラン環、又はベンゾピラン環若しくはジヒドロベンゾピラン環に更に1以上の環が縮合した環を有する化合物及びその塩であり、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ベンゾピラン化合物としては、例えば、クロモグリク酸、プラノプロフェン、トコフェロール誘導体(例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール)及びこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、本発明による効果をより一層高める観点から、クロモグリク酸及びその塩、並びにプラノプロフェン及びその塩が好ましく、クロモグリク酸ナトリウム、プラノプロフェンがより好ましい。
ベンゾピラン化合物は、市販のものを用いることもできる。ベンゾピラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分としてベンゾピラン化合物を含有する場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるベンゾピラン化合物の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ベンゾピラン化合物の総含有量が、0.01~2w/v%であることが好ましく、0.025~1.5w/v%であることがより好ましく、0.05~1w/v%であることが更に好ましい。
(A)成分としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、メントール、クロルフェニラミン及びその塩、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩、エピナスチン及びその塩、並びにネオスチグミン及びその塩からなる群より選択される1種以上が好ましい。
ホウ酸又はその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ホウ酸の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等が挙げられる。
ホウ酸又はその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ホウ酸が好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物における(B)成分の含有量は特に限定されず、(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(B)成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.001~5w/v%であることがより好ましく、0.005~3w/v%であることが更に好ましく、0.01~1.8w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する(B)成分の含有比率は特に限定されず、(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(B)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.0001~7000質量部であることが好ましく、0.0005~5000質量部であることがより好ましく、0.001~3000質量部であることが更に好ましく、0.005~2000質量部であることが特に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物のpHとしては、例えば、4.0~9.5であってよく、4.0~9.0であることが好ましく、4.5~9.0であることがより好ましく、4.5~8.5であることが更に好ましく、5.0~8.5であることが更により好ましく、5.5~8.5であることが特に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤型等により異なるが、例えば、0.4~5.0とすることができ、0.6~3.0とすることが好ましく、0.7~2.0とすることがより好ましい。浸透圧の調整は無機塩類、多価アルコール等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十八改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(TV-20型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34’×R24)で測定した20℃における粘度が0.01~10000mPa・sであることが好ましく、0.05~8000mPa・sであることがより好ましく、0.1~1000mPa・sであることが更に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分に加えて種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、要指導・一般用医薬品製造販売承認基準2017年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、抗アレルギー剤、消炎剤、ステロイド剤、充血除去剤、眼筋調節薬剤、ビタミン類、アミノ酸類、収斂剤、などが挙げられる(但し、分子内に鎖状又は環状の第三級アミノ基又は第四級アンモニウム基を有する化合物及びその塩、並びにベンゾピラン化合物を除く)。
本実施形態に係る眼科組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2021(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる(但し、分子内に鎖状又は環状の第三級アミノ基又は第四級アンモニウム基を有する化合物及びその塩を除く)。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDTA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
界面活性剤:例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロクサマー類等の非イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等の陰イオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性イオン界面活性剤等。
増粘剤:例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子化合物;グアーガム;ヒドロキシプロピルグアーガム;アラビアゴム;カラヤガム;寒天;デンプン;キチン及びその誘導体;キトサン及びその誘導体;カラギーナン;ブドウ糖等の単糖類等。
(B)成分以外の緩衝剤:例えば、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、AMPD緩衝剤等。
安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等。
防腐剤:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン類第四級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ポリドロニウム、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)、アレキシジン等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
等張化剤:例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油;スクワラン等の動物油;流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
本実施形態に係る眼科組成物は、例えば、(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて他の含有成分を所望の含有量となるように添加及び混和することにより調製することができる。具体的には、例えば、精製水で上記成分を溶解又は懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
本実施形態に係る眼科組成物は、目的に応じて種々の剤型をとることができ、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。これらの中でも、液剤が好ましい。また、液剤の中でも水性液剤(水性組成物)が好ましい。本実施形態に係る眼科組成物を水性液剤(水性組成物)にする場合、眼科組成物の総量に対して、例えば、水の含有量が50w/v%以上であり、70w/v%以上であることが好ましく、80w/v%以上であることがより好ましく、90w/v%以上であることが更に好ましく、95w/v%以上であることが更により好ましい。本実施形態に係る眼科組成物に用いられる水としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を使用すればよく、このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水が挙げられる。
本実施形態に係る眼科組成物は、眼科分野で用いられるものであってシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに接触するように使用されるものであれば、その製剤形態については制限されない。例えば、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤(シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装着したまま使用可能な点眼剤)、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用洗眼剤(シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装着したまま使用可能な洗眼剤)、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装着液、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズケア用液剤(シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ消毒液、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ保存液、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ洗浄液、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ洗浄保存液、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ洗浄・消毒・保存液(マルチパーパスソリューション)等)等を挙げることができる。
本実施形態に係る眼科組成物の使用方法としては、該眼科組成物をシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに接触させることとなる工程を有する公知の方法であれば、特に限定はない。例えば、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤の場合、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの装着前又は装用中に、該点眼剤の適量を点眼すればよい。また、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用洗眼剤の場合も、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの装着前又は装用中、該洗眼剤の適量を洗眼に使用すればよい。なお、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤又はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用洗眼剤は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用している時はもちろん、装用していない時でも点眼や洗眼の目的で使用することができる。また、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装着液の場合、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの装着時にシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズと該装着液の適量を接触させることにより使用される。更に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズケア用液剤の場合であれば、適量の該ケア用液剤中にシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを浸漬したり、該ケア用液剤にシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを接触させて擦り洗いすること等によって使用される。コンタクトレンズを浸漬させる場合、浸漬時間は、通常1分以上であればよく、10分以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、4時間以上が更に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物において、適用対象となるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの種類は、医薬審第645号審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(平成11年3月31日)においてグループ4に分類されるイオン性で含水率が50%以上のレンズであり、現在市販されている、或いは将来市販される全てのグループ4に分類されうるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを適用対象にすることができる。
ここで、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの「イオン性」とは、医薬審第645号審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(平成11年3月31日)に則り、原材料ポリマーの構成モノマーのうち陰イオンを有するモノマーのモル%が1%以上であるものをいう。
また、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの「含水率」とは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ中の水の割合を示し、具体的には以下の計算式により求められる。
含水率(%)=(含水した水の重量/含水状態のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの重量)×100
かかる含水率はISO18369-4:2017の記載に従って、重量測定方法により測定され得る。
医薬審第645号審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(平成11年3月31日)において、グループ1に分類されるソフトコンタクトレンズは非イオン性で含水率が50%未満であり、グループ2に分類されるソフトコンタクトレンズは非イオン性で含水率が50%以上であり、グループ3に分類されるソフトコンタクトレンズはイオン性で含水率が50%未満であり、グループ4に分類されるソフトコンタクトレンズはイオン性で含水率が50%以上である。
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器としては、眼科組成物を収容する容器として通常用いられる容器を用いることができ、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器として、プラスチック製を使用する場合、該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレンのいずれか1種、これらの共重合体、または2種以上の混合体が挙げられる。また、上記共重合体としては、エチレン-2,6-ナフタレート単位、アリレート単位、エチレンテレフタレート単位、プロピレン単位、エチレン単位、イミド単位のいずれか1種を主体として、他のポリエステル単位、イミド単位を含む共重合体が挙げられる。尚、本発明において例えばポリエチレンテレフタレート製容器と記載する場合は、容器の構成材質全体の重量に対し、ポリエチレンテレフタレートが含有されていればよいが、通常10w/w%以上、好ましくは50w/w%以上であるものを意味する。
また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器に備えられているノズルなどの容器注口周辺部についても、その構造、構成素材等については特に制限されるものではない。ノズルなどの容器注口周辺部の構造については、眼科組成物用容器(例えば点眼剤容器)の注出口(例えばノズル)として一般的に採用されている構造であればよく、容器本体と一体に成形されていてもよく、容器本体とは別に成形されていても良い。注口周辺部また注出口(例えばノズル)の構成素材については、例えば、上記プラスチック容器の構成素材と同様のものが例示される。
本実施形態に係る眼科組成物とすることにより、グループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇を抑制することができることから、レンズの弾性率が高いことに起因する角膜上皮障害や乳頭性結膜炎などの発症を抑制する効果が期待できる。本実施形態に係る眼科組成物は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの弾性率の上昇を抑制することにより、レンズの柔軟性が維持されて角結膜表面の形状にフィットしやすいため、コンタクトレンズの視力矯正機能がより有効的に発揮され、装用感がよくなる効果が期待できる。
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例1:弾性率の評価1]
<試験液とコンタクトレンズの準備>
表2に示す試験液及び塩化ナトリウム0.7%水溶液を常法に従い調製した。コンタクトレンズは表1に示すものを使用し、コンタクトレンズを生理食塩液(大塚製薬工場社製)ですすいだ後、コンタクトレンズ表面の水分をベンコット(登録商標)リントフリーでふき取り、試験液2mL又は塩化ナトリウム0.7%水溶液2mLを入れた24ウェルプレートにコンタクトレンズ1枚を入れた。34℃で15時間静置した。SHCL4は含水率とイオン性について、ISO18369-4:2017の記載及び医薬審第645号審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」(平成11年3月31日)に従い、グループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであることを確認した。
Figure 2023166315000001
<弾性率の算出>
MCR302レオメーター(AntonPaar社製)を使用し、パラレルプレートPP12/P12(直径12mm、格子目加工;1×0.5、製品番号:23935)、キャッププレートP-PTD200/80-77/SS/P2(格子目加工、製品番号:7894)、測定温度20℃、周波数1Hz、測定時間「時間設定なし」モードに設定し、ひずみ量0.01~1%に対するせん断応力(Pa)を測定した。具体的には、キャッププレートの上に生理食塩液0.5mLを滴下し、その上に水分を拭き取ったコンタクトレンズの凸面を載せ(キャッププレート側にレンズの凸面を向けて載せる)、生理食塩液0.5mLをコンタクトレンズの上に滴下した。パラレルプレートを降下させてキャッププレートに近づけ、2種のプレートの距離0.1mmでコンタクトレンズが挟み込まれるように位置を設定し、せん断応力(Pa)の測定を開始した。測定間隔は、ひずみ量0.01~0.1%を均等に5点およびひずみ量0.1~1%を均等に5点で測定した。ひずみ量0.01~0.1%の測定間隔2点目である0.0325%と、ひずみ量0.1~1%の測定間隔の1%を式1に用いて、弾性率(Pa)を算出した。測定は3回行い、その平均値を弾性率とした。
[式1]弾性率(Pa)=せん断応力/ひずみ量=(ひずみ量1%のせん断応力)-(ひずみ量0.0325%のせん断応力)/(1-0.0325)
<弾性率の変化の評価>
各コンタクトレンズについて、塩化ナトリウム0.7%水溶液に浸漬した場合の弾性率に対する、試験液に浸漬した場合の弾性率の変化率を求めた。具体的には、式2を用いて弾性率の変化率を算出した。
[式2]弾性率の変化率(%)=(試験液に浸漬したコンタクトレンズの弾性率-塩化ナトリウム0.7%水溶液に浸漬したコンタクトレンズの弾性率)/塩化ナトリウム0.7%水溶液に浸漬したコンタクトレンズの弾性率
Figure 2023166315000002
5種類のレンズのうち、SHCL1、SHCL2、SHCL3及びSCL1は弾性率が減少したのに対し、SHCL4のみが弾性率が上昇する変化を示した。SHCL4はホウ酸を含有する組成物によって弾性率が上昇してしまうという新たな課題があることを見い出した。
[試験例2:弾性率の評価2]
表3-1及び3-2に示す眼科組成物を常法に従い調製した。ポリビニルピロリドンはK値90を使用した。コンタクトレンズはSHCL4を使用し、その準備方法は試験例1と同じである。次に試験例1と同じ方法で各眼科組成物に浸漬したコンタクトレンズの弾性率(Pa)を算出した。
<弾性率の変化の評価>
比較例1の眼科組成物に浸漬したコンタクトレンズの弾性率に対する、実施例の眼科組成物に浸漬したコンタクトレンズの弾性率の変化率を求めた。具体的には、式3を用いて弾性率の変化率を算出した。なお、以下の式3において、実施例1-1~1-7については比較例1-1を比較例とし、実施例1-8~1-11については比較例1-2を比較例とした。
[式3]弾性率の変化率(%)=(実施例の眼科組成物に浸漬したコンタクトレンズの弾性率-比較例の眼科組成物に浸漬したコンタクトレンズの弾性率)/比較例に浸漬したコンタクトレンズの弾性率
Figure 2023166315000003
Figure 2023166315000004
メントール、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する実施例1-1~1-7の眼科組成物は、これらの成分をいずれも含有しない比較例1-1の眼科組成物と比べて弾性率が減少した。また、クロモグリク酸ナトリウム、オロパタジン塩酸塩、プラノプロフェン、並びにクロモグリク酸ナトリウム及びクロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する実施例1-8~1-11の眼科組成物は、これらの成分をいずれも含有しない比較例1-2の眼科組成物と比べて弾性率が減少した。このことから、本発明の眼科組成物はグループ4のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにおける弾性率の上昇に起因する角膜上皮障害や乳頭性結膜炎などの発症を抑制するとともに、角結膜表面の形状に対するフィッティングが向上するためコンタクトレンズの視力矯正機能がより有効的に発揮され、装用感がよくなると考えられた。
[試験例3:使用感の評価1]
表4に示す眼科組成物を常法に従い調製し、10mL容量のPET製点眼容器に無菌充填した。被験者3名が、表1のSHCL4とSCL1を片眼ずつに装着し、5分間閉眼した。その後、参考例6の眼科組成物を両眼に1滴ずつ点眼し、5分間安静にした後に3回まばたきをして、まぶたを重いと感じる程度を1~5点の評価基準に従って点数を付けた。次に、実施例2-1~2-3の眼科組成物を両眼に1滴ずつ点眼し、5分間安静にした後に3回まばたきをして評価点を付けた。式4を用いてSCL1装用眼に対するSHCL4装用眼のまぶたの重みを算出した。被験者3名のSHCL4装用眼のまぶたの重み評価の平均点を算出した。結果を表4に示す。
<評価基準:瞬きの際に感じるまぶたの重み>
1点:まぶたを重く感じない
2点:ややまぶたを重く感じるが、不快に感じない
3点:まぶたを重く感じる
4点:とてもまぶたを重く感じる
5点:非常にまぶたを重く感じる
[式4]SHCL4装用眼のまぶたの重み評価=SHCL4装用眼のまぶたの重み評価点/SCL1装用眼のまぶたの重み評価点
Figure 2023166315000005
表4に示す通り、参考例6の眼科組成物を点眼した場合には、SCL1装用眼と比べてSHCL4装用眼はまぶたの重みが強くなった。一方、エピナスチン塩酸塩、ネオスチグミンメチル硫酸塩を含有する実施例2-1~2-3の眼科組成物を点眼した場合には、SCL1装用眼と比べてSHCL4装用眼はまぶたの重みが同程度にまで改善し、SHCL4装用中の快適さが向上した。
[試験例4:使用感の評価2]
表5に示す眼科組成物を常法に従い調製し、10mL容量のPET製点眼容器に無菌充填した。被験者3名が、表1のSHCL4とSCL1を片眼ずつに装着し、5分間閉眼した。参考例7の眼科組成物を両眼に1滴ずつ点眼し、5分間安静にした後に目を大きく開いた状態を10秒間維持し、目の痛みを感じる程度を1~5点の評価基準に従って点数を付けた。次に、実施例3-1~3-3の眼科組成物を両眼に1滴ずつ点眼し、5分間安静にした後に目を大きく開いた状態を3秒間維持し、評価点を付けた。式5を用いてSCL1装用眼に対するSHCL4装用眼の目の痛みを算出した。被験者3名のSHCL4装用眼の目の痛み評価の平均点を算出し、結果を表5に示す。
<評価基準:目の痛み>
1点:痛みを感じない
2点:やや痛みを感じるが、すぐに痛みは消える
3点:痛みを感じる
4点:とても痛みを感じる
5点:強い痛みを感じる
[式5]SHCL4装用眼の目の痛み評価=SHCL4装用眼の目の痛み評価点/SCL1装用眼の目の痛み評価点
Figure 2023166315000006
表5に示す通り、参考例7の眼科組成物を点眼した場合には、SCL1装用眼と比べてSHCL4装用眼は目の痛みが強くなった。一方、エピナスチン塩酸塩、ネオスチグミンメチル硫酸塩を含有する実施例3-1~3-3の眼科組成物を点眼した場合には、SCL装用眼と比べてSHCL4装用眼の目の痛みが改善し、コンタクレンズの装用感が向上した。
〔製剤例〕
表6及び7に記載の処方で、ソフトコタンタクトレンズ分類でグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物を調製し、製剤例1~40とした。表中の単位は、表中に記載があるもの以外は全て(w/v%)である。
Figure 2023166315000007
Figure 2023166315000008

Claims (3)

  1. (A)テルペノイド、第三級アミン、ビニル系高分子化合物、ヘテロ多糖類及びベンゾピラン化合物からなる群より選択される1種以上と、(B)ホウ酸又はその塩と、を含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物であって、該シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは医薬審第645号審査管理課長通知によるソフトコンタクトレンズの分類においてグループ4に分類されるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズである、眼科組成物。
  2. (A)成分として、メントール、クロルフェニラミン及びその塩、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びその塩、エピナスチン及びその塩、ネオスチグミン及びその塩、オロパタジン及びその塩、クロモグリク酸及びその塩、並びにプラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の眼科組成物。
  3. 点眼剤である、請求項1又は2に記載の眼科組成物。
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