JP2023165754A - 基材表面上に吐糸されたミノムシ絹糸由来の糸塊生産方法 - Google Patents

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宣彦 福岡
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Abstract

【課題】基材上に吐糸されたミノムシの絹糸は、回収が困難なため従来は活用できなかった。本発明の課題は、そのようなミノムシの絹糸を損傷させずに弱い力で基材から剥離し、糸塊として回収する方法を開発し、提供することである。【解決手段】基材表面に吐糸されたミノムシの絹糸に、少なくとも20℃以上30℃未満で液体状態を呈し、該絹糸を損傷、変性、又は溶解しない湿潤液を付与した後に基材から分離するミノムシの絹糸からなる糸塊生産方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ミノムシを用いて基材表面上に足場絹糸を吐糸させることで、該絹糸からなる糸塊を生産する方法に関する。
昆虫の繭を構成する糸や哺乳動物の毛は、古来より動物繊維として衣類等に利用されてきた。特にカイコガ(Bombyx mori)の幼虫であるカイコ由来の絹糸(本明細書では、しばしば「カイコ絹糸」と表記する)は、吸放湿性や保湿性、及び保温性に優れ、また独特の光沢と滑らかな肌触りを有することから、現在でも高級天然素材として珍重されている。
しかし、自然界にはカイコ絹糸に匹敵する、又はそれ以上の特性をもつ動物繊維が存在する。近年、そのような優れた特性をもつ動物繊維を新たな天然素材として活用するために、その探索や研究開発が進められている。
その一つとして注目されているのがクモ由来の糸(本明細書では、しばしば「クモ糸」と表記する)である。クモ糸は、柔軟性や伸縮性、及びポリスチレンの5~6倍に及ぶ高い弾性力を有しており、手術用縫合糸等の医療素材、及び防災ロープ・防護服などの特殊素材として期待されている(非特許文献1及び2)。しかし、クモ糸は、クモの大量飼育やクモから大量の糸を採取することが困難なため量産ができず、また生産コストも高いという問題がある。この問題は、遺伝子組換え技術を用いてカイコや大腸菌等の宿主にクモ糸を生産させることで解決が試みられている(特許文献1及び非特許文献2)。ただし、クモ糸を生産するカイコや大腸菌は遺伝子組換え体であることから、所定の設備を備えた施設内でしか飼育や培養ができず、維持管理の負担が大きいという問題を伴う。また、大腸菌内で発現させた液状クモ糸タンパク質は、繊維に変換させる必要があり、工程数もその分、多くなるという問題もある。さらに、遺伝子組換えカイコが吐糸するクモ糸は、現段階ではカイコ絹糸に数%混在している状態に過ぎず、クモ糸の特性を100%活用できる100%クモ糸として得ることができないという問題もある。
ところで、ミノムシ(Basket worm, alias "bag worm")という昆虫が存在する。ミノムシは、チョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称で、通常は、図1Aで示すように葉片や枝片を糸で絡めた紡錘形又は円筒形の巣の中に潜み、摂食の際にも巣ごと移動する等、全幼虫期を巣と共に生活することが知られている。
このミノムシが吐糸する絹糸(本明細書では、しばしば「ミノムシ絹糸」と表記する)が、近年、カイコ絹糸やクモ糸よりも優れた特性をもつ新たな動物繊維性の天然素材として注目を集めている。例えば、弾性率に関してチャミノガ(Eumeta minuscula)のミノムシ絹糸は、カイコ絹糸の3.5倍、またジョロウグモ(Nephila clavata)のクモ糸の2.5倍にも及び、非常に強い強度を誇る(非特許文献1及び2)。また、カイコ絹糸と同等以上の光沢と艶やかさを有するだけでなく、単繊維の断面積がカイコ絹糸のそれの1/7ほどしかないため、カイコ絹糸よりもさらに木目細かく、滑らかな肌触りと、薄くて軽い布を作製することができる。
飼育面においてもミノムシは、カイコやクモよりも優れた点を有する。ミノムシは、カイコと同様に植食性のため、肉食性のクモと異なり、食餌の調達が容易で、安定的に供給できる。また、同じ植食性であってもカイコよりも有利な点を有する。例えば、カイコは、原則としてクワ属(Morus)に属する種(例えば、ヤマグワ(M. bombycis)、カラヤマグワ(M. alba)、及びログワ(M. Ihou)等)の生葉のみを食餌とするため、飼育地域や飼育時期は、クワ葉の供給地やクワの開葉期に左右される。一方、ミノムシは広食性で、餌葉に対する特異性が低く、多くの種類が様々な樹種の葉を食餌とすることができる。したがって、餌葉の入手が容易であり、飼育地域を選ばない。また、種類によっては、常緑樹の葉も餌葉にできるため、落葉樹のクワと異なり年間を通して餌葉の供給が可能となる。その上、ミノムシはカイコよりもサイズが小さいので、飼育スペースがカイコと同等以下で足り、大量飼育も容易である。したがって、飼育コストを抑制することができる。
さらに、生産性においてもミノムシは、カイコよりも優れている。例えば、カイコは営繭時のみに大量に吐糸し、営繭は全幼虫で同時期に行われる。そのため採糸時期が重なり、労働期が集中してしまう。しかし、ミノムシは、幼虫期を通して営巣時や移動時に吐糸を繰り返し行っている。そのため採糸時期を人為的に調整することで、労働期を分散できる。
以上のようにミノムシ絹糸は、カイコ絹糸やクモ糸を超える特性を有し、また生産上も有利な点が多いため非常に有望な新規天然素材として期待されている。
しかし、ミノムシ絹糸もその実用化において、いくつかの問題点を抱えている。その一つがミノムシの巣の特徴に関連した問題である。ミノムシの巣の表面には、必ず葉片や枝片等の夾雑物が付着している。これは、巣の作製及び増設の過程で、カモフラージュのために周囲の小枝片や葉を巣に取り込むというミノムシの習性に起因する。ミノムシ絹糸を製品化するには、これらの夾雑物を完全に除去する必要がある。従来は、営巣された巣から手作業によってこれらの夾雑物を除去するか、又は温水中に長時間浸漬して巣を軟化させて夾雑物を脱離させる方法が採用されてきた。しかし、これらの夾雑物の除去作業には膨大な手間を要する。また、既存の技術では夾雑物を完全に除去することができず、最終生産物に僅かな小葉片等が混在したり、夾雑物由来の色素でミノムシ絹糸が薄茶色に染色されたりするなど、低品質な製品しか得られないという問題があった。色素除去を目的とした塩基や酸を用いた脱色処理は可能であるものの、ミノムシ絹糸の強度を損なう等の品質に著しい低下を招いてしまう。
ミノムシ絹糸には、巣を構成する巣絹糸以外にも、足場絹糸という絹糸が存在する。この足場絹糸は、図1Bで示すように、ミノムシが移動の際に、落下防止のための脚掛かり用として吐糸される絹糸である。この足場絹糸は巣絹糸よりも強靭で、優れた力学的特性を有することが本発明者らの研究結果により明らかとなった。また、足場絹糸であれば巣絹糸とは異なり、葉片や枝片等の夾雑物は混在しない。したがって、足場糸を採取し、利用することができればミノムシ絹糸として実用化することも可能となる。
しかし、問題もある。まず、足場糸は、通常、図2Aで示すように進行方向に向かってジグザグに吐糸される。ミノムシ絹糸は、繊維成分とその表面を覆う糊状タンパク質が混合した状態で吐糸されるが、足場絹糸は、ジグザグ状の折り返し点でその糊状タンパク質(図2A:大円内の矢頭)によって基材表面に固定されている。この固定は非常に強固なため、足場絹糸を基材から機械的に剥離するには強い張力を必要する。また、多くの場合、その操作によって固定部分を中心に足場絹糸が千切れて、断片化されてしまう。さらに、一般に、ミノムシの移動は制御が困難であり、同じ場所を何度も行き来し得る。その結果、図2Bで示すように、ジグザグに吐糸された絹糸が幾重にも重なり、複雑に絡み合った状態となるため、基材から損傷なしに回収することをさらに困難にしている。それ故、これまでは基材に吐糸された足場絹糸を天然繊維素材として有効に利用されることはなかった。
WO2012/165477
大崎茂芳, 2002, 繊維学会誌(繊維と工業), 58: 74-78 Kuwana Y, et al., 2014, PLoS One, DOI: 10.1371/journal.pone. 0105325
本発明の目的は、従来、回収が困難で、利用することのできなかった基材上に吐糸されたミノムシの足場絹糸を、損傷させることなく弱い力で基材から剥離し、糸塊として回収して活用できるようにする方法を開発し、提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、基材上に吐糸されたミノムシ絹糸にエタノール、水溶液、又は有機溶媒等の湿潤液を噴霧又は塗布することによって、そのような湿潤液を使用しない陰性対照と比較して僅か15%以下の力で基材からミノムシ絹糸を糸塊の状態で損傷させることなく剥離できることに成功した。本発明は、上記方法に基づき、以下を提供する。
(1)ミノムシ絹糸の糸塊生産方法であって、基材表面に吐糸されたミノムシ絹糸に湿潤液を付与する湿潤液付与工程、及び基材と前記ミノムシ絹糸を分離する分離工程を含み、前記湿潤液は大気圧下において少なくとも20℃以上30℃未満で液体状態を呈し、かつミノムシ絹糸の繊維成分であるフィブロインタンパク質を損傷、変性、又は溶解しない純物質又は混合物である前記方法。
(2)前記湿潤液付与工程前に基材表面にミノムシを配置して、該ミノムシに吐糸させる吐糸工程を含む、(1)に記載の方法。
(3)前記吐糸工程後、及び前記湿潤液付与工程前にミノムシを巣と共に回収するミノムシ回収工程をさらに含む、(2)に記載の方法。
(4)分離したミノムシ絹糸を洗浄する洗浄工程を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)分離したミノムシ絹糸を精練する精練工程を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記湿潤液が20℃未満に融点を、及び30℃以上300℃以下に沸点を有する純物質又は混合物である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記湿潤液が水溶液又は有機溶媒である、(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)基材表面上に吐糸されたミノムシ絹糸を採糸する方法であって、基材表面に吐糸されたミノムシ絹糸に湿潤液を付与する湿潤液付与工程、及び基材と前記ミノムシ絹糸を分離する分離工程を含み、前記湿潤液は大気圧下において少なくとも20℃以上30℃未満で液体状態を呈し、かつミノムシ絹糸の繊維成分であるフィブロインタンパク質を損傷、変性、又は溶解しない純物質又は混合物である前記方法。
(9)前記湿潤液が水溶液又は有機溶媒である、(8)に記載の方法。
(10)(1)~(7)のいずれかに記載の糸塊生産方法、又は(8)又は(9)に記載の採糸方法を用いて得られるミノムシ絹糸。
(11)(1)~(7)のいずれかに記載の糸塊生産方法を用いて得られる、ミノムシ絹糸で構成された不織布。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018-158762号の開示内容を包含する。
本発明のミノムシ絹糸の糸塊生産方法によれば、従来、回収することが困難であった基材表面に吐糸されたミノムシの足場糸を弱い力で、断片化させることなく回収することができる。
A:オオミノガのミノムシ(オオミノガミノムシ)の巣の外観図である。B:オオミノガミノムシの移動時における吐糸行動を示す図である。ミノムシが足場絹糸を吐糸しながら進む様子(矢頭)、及び吐糸したミノムシ絹糸(足場絹糸)に爪を掛けている様子(細矢印)がわかる。 A:ミノムシが基材表面上を移動しながら吐糸したときのミノムシ絹糸(足場絹糸)の吐糸状態を示す模式図である。図示するように、ミノムシの足場絹糸は、梯子様のジグザク状を呈する。図中、黒矢印は、ミノムシが吐糸しながら進行する方向を示す。また、大円内の図は小円内の拡大図であり、大円内の矢頭は糊状タンパク質を表す。足場絹糸は、梯子の横板に相当するジグザグ箇所の折り返し点で基材に固定されている。B:オオミノガミノムシがプラスチックプレート上に吐糸したときのミノムシ絹糸の状態を示す図である。ジグザグ状に吐糸されたミノムシ絹糸が複雑に絡み合っている様子がわかる。 本発明のミノムシ絹糸の糸塊生産方法の工程フローを示す図である。 実施例1で行った剥離張力評価試験の結果を示す図である。図中、(A)は湿潤液未付与の陰性対照の、(B)は水を付与したときの、そして(C)はエタノール(99.5%)を付与したときの、それぞれの試験結果を示している。
1.ミノムシ絹糸糸塊生産方法
1-1.概念
本発明の第1の態様は、ミノムシ絹糸の糸塊生産方法である。本発明の生産方法は、基材表面に吐糸されたミノムシ絹糸に湿潤液を付与した後、基材とミノムシ絹糸とを分離することによって、目的のミノムシ絹糸からなる糸塊を得る方法である。本発明の方法によれば、優れた物性を有しながらも物理的損傷を与えずに回収することが困難であったため、従来利用されることのなかった足場絹糸を、損傷を与えることなく効率的に回収することができる。
1-2.用語の定義
本明細書で頻用する以下の用語について、以下の通り定義する。
「ミノムシ」とは、前述のようにチョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称をいう。ミノガ科の蛾は世界中に分布するが、いずれの幼虫(ミノムシ)も全幼虫期を通して、自ら吐糸した絹糸で葉片や枝片等の自然素材を綴り、それらを纏った巣の中で生活している。また、いずれの種も移動に際しては、進行方向先に落下防止の足掛かりとなる足場絹糸を吐糸しながら進む習性を有する。したがって、本明細書で使用するミノムシは、ミノガ科に属する蛾の幼虫であって、前記習性を有する限り、種類、齢及び雌雄は問わない。例えば、ミノガ科には、Acanthopsyche、Anatolopsyche、Bacotia、Bambalina、Canephora、Chalioides、Dahlica、Diplodoma、Eumeta、Eumasia、Kozhantshikovia、Mahasena、Nipponopsyche、Paranarychia、Proutia、Psyche、Pteroma、Siederia、Striglocyrbasia、Taleporia、Theriodopteryx、Trigonodoma等の属が存在するが、本明細書で使用するミノムシは、いずれの属に属する種であってもよい。また、幼虫の齢は、初齢から終齢に至るまで、いずれの齢であってもよい。ただし、質量的に多くのミノムシ絹糸を得るには、大型のミノムシである方が好ましい。例えば、同種であれば終齢幼虫ほど好ましく、雌雄であれば大型となる雌の方が好ましい。またミノガ科内では大型種ほど好ましい。例えば、大型種のオオミノガ(Eumeta japonica)やチャミノガ(Eumeta minuscula)は、本発明で用いる種として好適である。
なお、本発明の生産方法で使用するミノムシは、限定はしないが、巣を保持したミノムシが好ましい。「巣を保持した」とは、ミノムシが巣を携帯した状態をいう。前述のようにミノムシは、自身の巣と共に生活しており、摂食時や移動時も図1Bで示すように、一部を巣外に露出させるのみであり、原則、全幼虫期を通じて巣から全身を露出させることはない。一般に、ミノムシを人為的に巣と分離して、外界に全身を露出させた場合、裸の状態となったミノムシは、体の保護及び保温のために、移動を最小限に留め、速やかに巣の再構築を開始する。したがって、巣を保持したミノムシが好適な理由は、巣絹糸の吐糸行動を優先させず、本発明の目的である足場絹糸を積極的に吐糸させるためである。
本明細書で「絹糸」とは、昆虫由来の糸であって、昆虫の幼虫や成虫が営巣、移動、固定、営繭、餌捕獲等の目的で吐糸するタンパク質製の糸をいう。本明細書で、単に「絹糸」と表記した場合には、由来昆虫名を特定しない広く一般的な絹糸を意味し、特定の昆虫由来の絹糸を表す場合には、カイコ絹糸やミノムシ絹糸のように、その由来生物名を絹糸の前に付すものとする。
本明細書で「ミノムシ絹糸」とは、ミノムシが吐糸した絹糸をいう。本明細書のミノムシ絹糸は、単繊維、吐糸繊維及び集合繊維を包含する。「単繊維」とは、繊維成分を構成する最小単位のフィラメントであり、モノフィラメントとも呼ばれる。単繊維は、フィブロインタンパク質を主成分とする。ミノムシ絹糸やカイコ絹糸は、自然状態では2本の単繊維が接着物質のセリシンタンパク質によって結合したジフィラメントの状態で吐糸される。このジフィラメントを「吐糸繊維」という。ミノムシの巣やカイコの繭は、吐糸繊維で構成されている。また、吐糸繊維が複数本抱合されて1本の繊維束となったものを「集合繊維(マルチフィラメント)」という。一般に生糸とは、この集合繊維が該当する。さらに、生糸を石鹸、灰汁、及び炭酸ナトリウム、尿素等の塩基性の薬品、及び酵素で処理し、セリシンタンパク質を除去した絹糸は、練糸と呼ばれる。
ミノムシ絹糸には、足場絹糸と巣絹糸の2種類が存在する。「足場絹糸」とは、前述のようにミノムシが移動用に吐糸する絹糸であり、枝や葉等から落下するのを防ぐための足場(足掛かり)としての機能を有する。一方「巣絹糸」とは、巣の構成用として吐糸される絹糸であり、葉片や枝片を綴るためや、居住区である巣内壁を快適な環境にするためのミノムシ絹糸である。本発明におけるミノムシ絹糸は、その目的から足場絹糸が対象となる。したがって、本明細書では特に断りのない限り、「ミノムシ絹糸」と表記した場合、足場絹糸を指すものとする。
本明細書において「糸塊」とは、ミノムシの足場絹糸のみで構成された糸の集合体をいう。ミノムシの巣はミノムシ絹糸の集合体ではあるが、通常、小枝片や葉等の夾雑物が混在する上に、巣絹糸で構成されているため、本発明の糸塊には該当しない。限定はしないが、本明細書における糸塊は、夾雑物が混入しない、何らかの人為的工程を経て生産される足場絹糸の集合体が該当する。例えば、基材上にミノムシを配置して吐糸させたもの等が挙げられる。糸塊の状態は、限定しないが、例えば、1本又は複数本のミノムシ絹糸が、複雑に絡み合い、不織布のようなシート状を成したものであってもよいし、繰糸可能な状態でまとまった集合状態であってもよい。
「湿潤液」とは、大気圧下において少なくとも20℃以上30℃未満では液体状態を示し、かつミノムシ絹糸の繊維成分であるフィブロインタンパク質を損傷、変性、又は溶解しない純物質又は混合物をいう。したがって、上記温度範囲で液体以外の状態である純物質や、液体状態であってもタンパク質を変性する強酸性溶媒や強塩基性溶媒等、又はプロテアーゼ等を含む溶液等の混合物は、本発明の湿潤液として不適である。
「純物質」とは、一定の性質を有する化学物質をいい、単一元素からなる単体や複数元素からなる化合物が挙げられる。本発明における純物質は、限定はしないが通常は化合物が該当する。
「混合物」とは、複数の純物質が混合してなる物質をいう。例えば、溶液が該当する。
湿潤液は、前記条件を満たす限り、いずれの純物質又は混合物で構成されていてもよい。例えば、限定はしないが、常温(25℃)及び常圧(100kPa)下において20℃未満に融点(Melting Point: MP)を、及び30℃以上300℃以下に沸点(Boiling Point: BP)を有する化合物等が挙げられる。そのような性質を有する化合物には、他の化合物を溶質として溶かし得る「溶媒」としての性質を有するものが多い。
以下、湿潤液が化合物の場合の具体例を列挙するが、本明細書における湿潤液は以下に限定されるものではない。
湿潤液は、極性分子からなる液体(極性溶媒)であってもよい。例えば、水(MP:0℃;BP:100℃)、メタノール(MP:-96℃;BP:64.7℃)、エタノール(MP:-117℃;BP:78.3℃)、1-プロパノール(MP:-127℃;BP:97.2℃)、1-ブタノール(MP:-90℃;BP:118℃)、グリセリン(MP:17.8℃;BP:290℃)、蟻酸(MP:8.3℃;BP:100.8℃)、酢酸(MP:15℃;BP:118℃)及び酪酸(MP:-7.9℃;BP:164℃)等のプロトン性極性溶媒、及びDMSO(MP:18.5℃;BP:189℃)、アセトニトリル(MP:-48℃;BP:81.6℃)、アセトン(MP:-94℃;BP:56℃)、ジメチルホルムアミド(MP:-61℃;BP:153℃)、ジメチルスルホキシド(MP:19℃;BP:189℃)、テトラヒドロフラン(MP:-108℃;BP:66℃)、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(MP:-3.3℃;BP:58.2℃)等の非プロトン性極性溶媒が含まれる。その他にもイオン液体などが含まれる。なお、各化合物のかっこ内の数値は、常温、常圧下における融点(MP)及び沸点(BP)である(以下、本明細書において同様とする)。
また湿潤液は、非極性分子からなる非極性液体(無極性液体:非極性溶媒)であってもよい。例えば、油や、一部を除く、多くの有機溶媒(低極性有機溶媒)が含まれる。油は、常温及び常圧下で液体状態の化合物であり、例えば、一般式R-COOH(式中、Rは4≦C≦8のアルキル基)で示される脂肪酸が含まれる。非極性液体の具体的な例として、吉草酸(バレリアン酸:MP:-34.5℃;BP:186℃)、カプロン酸(ヘキサン酸:MP:-3℃;BP:205℃)、エナント酸(へプチル酸、ヘプタン酸:MP:-7.5℃;BP:223℃)、カプリル酸(オクタン酸:MP:16.7℃;BP:239.7℃)、ペラルゴン酸(ノナン酸:MP:11℃;BP:247℃)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸:MP:-0.1℃;BP:230℃)、リノール酸(オクタデカジエン酸:MP:-5℃;BP:229℃)、リノレン酸(オクタデカトリエン酸:MP:-11℃;BP:278℃)、及びアラキドン酸(イコサテトラエン酸:MP:-49℃;BP:169℃)等の脂肪酸、ヘキサン(MP:-95.3℃;BP:68.7℃)、トルエン(MP:-95℃;BP:110.6℃)、クロロホルム(MP:-63.5℃;BP:61℃)、ジクロロメタン(MP:-95℃;BP:39.8℃)、1,2-ジクロロエタン(MP:-35.7℃;BP:83.4℃)、トリクロロエチレン(MP:-86.4℃;BP:87℃)、アセトン(MP:-94℃;BP:56℃)、ジエチルエーテル(MP:-116℃;BP:34.6℃)、キシレン(MP:-25℃;BP:137℃)、四塩化炭素(MP:-23℃;BP:76.7℃)、酢酸メチル(MP:-98℃;BP:57℃)、及び酢酸エチル(MP:-84℃;BP:77℃)等が含まれる。
一方、本明細書における湿潤液が混合物の場合、その具体例として溶液が挙げられる。溶液は、限定はしないが、1種又は2種以上の異なる溶質が溶解した極性液体若しくは非極性液体からなる溶液、コロイドが分散媒である液体に分散したコロイド溶液又はゾル、2種以上の異なる液体(例えば、異なる極性液体からなる混合液等)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、極性溶液として、水に溶質が溶解した水溶液、エタノールと水のような溶媒どうしの混合溶液等が挙げられる。水溶液の場合、溶質は限定しない。例えば、塩、糖、界面活性剤等が挙げられるが、これに限定されるものではない。塩は、限定しないが、溶解度の高い塩が好ましい。例えば、塩化ナトリウム塩、塩化カリウム塩、炭酸ナトリウム塩、炭酸水素ナトリウム塩等が挙げられる。溶液の場合、溶質の濃度については、特に限定はしない。例えば、溶解度であってもよい。混合溶液の場合も特には限定しない。例えば、エタノールと水の混合液であれば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99.5%エタノールのいずれであってもよい。
前述のように湿潤液を構成する純物質又は混合物の種類は問わないが、取扱い(廃液処理等を含む)の容易性、安全性、及び購入コストを鑑みた場合、水(温水、及び熱水を含む)、水溶液、エタノール、又はそれらの混合液は好ましく、水溶液及びエタノールは特に好ましい。
本明細書において「基材」とは、ミノムシ絹糸の採糸用基盤をいう。この基材表面上にミノムシを配置して移動させることによって、その表面にミノムシ絹糸が吐糸される。
基材を構成する材質は、糊状タンパク質によってミノムシ絹糸をその表面に固定できる限り、限定はしない。例えば、ガラス(ホーローを含む)、金属、合成樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、合成ゴムを含む)、セラミックス、又は紙や植物片(例えば、木片を含む)、動物片(例えば、骨片、貝殻、スポンジを含む)が挙げられる。ただし、使用する湿潤液によって基材自身が溶解したり、また湿潤液との間で酸化還元反応等の反応をしたりするものは、基材に吐糸されたミノムシ絹糸を回収する本発明の趣旨に馴染まない。したがって、基材を構成する材質は、本発明で使用する湿潤液に対して、不溶性かつ非反応性の素材であることが望ましい。「湿潤液に不溶性」とは、本発明で使用する湿潤液に溶解しない性質をいう。また、「湿潤液に非反応性」とは、本発明で使用する湿潤液との間で化学反応を生じない性質をいう。それ故に、本発明の基材の材質は、使用する湿潤液の種類に応じて変わり得る。例えば、湿潤液が水や水溶液であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、酢酸ビニル、酢酸セルロース、アクリル樹脂、及びポリカーボネート等の合成樹脂を使用できるが、湿潤液が低極性有機溶媒の場合、それらに溶解性のあるポリスチレン、酢酸ビニル、酢酸セルロース、アクリル樹脂、及びポリカーボネート等は使用できない。入手が容易であって、比較的安価、かつ反応性が低いガラス、セラミックス、又はポリプロピレン等は基材の材質として好適である。
本工程で使用する基材の厚さは限定しない。基材の製造コスト、剛性、その後の工程での処理のし易さ等を勘案し、適宜定めればよい。例えば、基材平均厚が0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1.0mm以上、1.2mm以上、又は1.5mm以上であることが好ましく、さらに3.0mm以下、2.8mm以下、2.5mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下であればよい。基材の平均厚が0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.5mmを下回るような薄膜で構成される場合、基材自体では一定形状を保持する剛性がないことから、基材を適当な支持体上に配置させてもよい。
本明細書で「支持体」とは、表面に基材を配置することで、基材に剛性、及び/又は形状を付与することができる部材である。支持体は、本発明の方法で使用される選択的構成要素であって、必要に応じて用いることができる。支持体の材質は、一定の形状を保持できる程度の剛性を有していれば特に限定はしない。例えば、ガラス、金属、プラスチック、合成ゴム、セラミックス、又は紙や植物片、動物片が挙げられる。
本工程で使用する基材の形状及び大きさは限定しない。形状は、例えば、シート状又はプレート状の平面形状であってもよいし、3次元的な立体形状であってもよいが、ミノムシ絹糸と基材の分離のし易さを考慮すれば平面形状が好ましい。また、基材の表面状態も、限定はしないが、ミノムシ絹糸の固着力の強い粗面よりも、分離をし易い滑面が好ましい。基材の大きさも必要に応じた大きさにすればよいが、足場絹糸が移動に伴い吐糸されるミノムシ絹糸であることを鑑みれば、下限はミノムシの大きさミノムシの体長と同等以上の大きさであることが好ましい。例えば、長軸や長径が1cm以上、2cm以上、3cm以上、4cm以上、又は5cm以上とすることができる。一方、基材の大きさの上限は問わないが、長軸や長径が10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、又は30cm以上の場合、複数のミノムシに吐糸させる方が好ましい。
1-3.方法
本態様の工程フローを図3に示す。この図で示すように、本態様の方法は、必須工程である湿潤液付与工程(S0103)及び分離工程(S0104)と、選択工程である吐糸工程(S0101)、ミノムシ回収工程(S0102)、洗浄工程(S0105)、及び精練工程(S0106)を含む。以下、フロー順に各工程について説明をする。
1-3-1.吐糸工程
「吐糸工程」(S0101)は、基材表面にミノムシを配置して、該ミノムシに吐糸させるミノムシを基材と共に配置する工程であり、本発明における選択工程である。本工程は、後述の湿潤液付与工程前に実施される。
「基材表面にミノムシを配置」とは、ミノムシが基材表面に接することができるように両者を位置付けることをいう。例えば、設置された基材上にミノムシを直接配置してもよいし、ミノムシが移動によって基材上に到達できるような配置であってもよい。後者の具体例として、蓋のない広口プラスチック容器の底面にミノムシを置いた後、基材でその容器に蓋をする場合が挙げられる。ミノムシは高い位置を好むため、広口プラスチック容器の側面を伝って移動し、容器天井に相当する基材下面に到達した後に、そこで移動をしながら足場絹糸を吐糸するようになる。ミノムシ絹糸を吐糸させる基材の設置位置については特に限定はしない。前述のように、容器天井に設置してもよいし、壁面に設置してもよい。このように、基材を底部以外に設置すれば、ミノムシが脱糞した場合にも糞は底部に落下し、吐糸面が糞で汚染されることがないため便利である。
なお、配置するミノムシの種類や個体数は問わない。例えば、ミノムシ絹糸を吐糸させる基材1つあたりに、一度にミノムシを1頭配置してもよいし、複数頭配置してもよい。また、配置するミノムシの種類や齢も問わない。複数頭配置する場合、各個体は同一種、同一齢であってもよいし、異なる種類や、異なる齢のミノムシを混合してもよい。
本工程の期間は、特に限定はしない。ミノムシの種類、齢、使用する個体数によって実施期間は左右されるが、いずれの場合にも、通常は、必要量が基材上に吐糸されるまで継続して行えばよい。一例として、オオミノガミノムシの終齢1頭を用いて、直径9cmの円形基材上に吐糸させる場合、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、又は7日以上吐糸させることができる。ミノムシの足場絹糸は、前述のように移動に伴い吐糸されるため、得られる絹糸量は原則ミノムシの移動距離に比例する。それ故にミノムシ単独で吐糸させるよりも複数頭で吐糸させた方が、吐糸工程の時間は短くて済む。また、摂食をさせずに吐糸させ続けるため、本工程中、ミノムシはしばしば吐糸を停止することがある。そのような場合、新たなミノムシと交換し、引き続き吐糸工程を継続することもできる。
ミノムシの単位時間当たりの吐糸量が多くなるように、本工程中の温度及び湿度は一定か、又は変化が少ない方がよい。温度は20℃前後、例えば、15℃~25℃、又は18℃~22℃の範囲内、湿度は50%前後、例えば、40%~65%、又は45%~60%の範囲内にあることが好ましい。本工程中の明暗期は、特に制限はなく、明期のみであってもよいが、周期的な明暗期を付与してもよい。例えば、24時間の中で、明期を6時間~18時間、7時間~17時間、8時間~16時間、9時間~15時間、10時間~14時間、11時間~13時間、又は12時間とし、残りを暗期とする周期であってもよい。
1-3-2.ミノムシ回収工程
「ミノムシ回収工程」(S0102)は、吐糸工程で使用したミノムシを巣と共に回収する工程であって、本発明における選択工程である。本工程は、吐糸工程後、不要となったミノムシを基材上から分離し、回収することを目的とする。
吐糸工程後の基材上には、吐糸された足場絹糸と共に、それを吐糸したミノムシが混在した状態にある。しかし、次の湿潤液付与工程では、原則としてミノムシは必要ない。また、湿潤液付与工程で使用する液体をミノムシに付与した場合、ミノムシの体液や巣に用いられる枯葉等の抽出液によってミノムシ絹糸が望ましくない染色を呈し得る。したがって、本工程は選択工程ではあるが、吐糸工程後は実施しておく方が好ましい。
基材からミノムシを回収する方法は、限定しない。ミノムシを基材から分離するあらゆる方法が利用できる。例えば、基材に接触しているミノムシを巣ごと引き剥がしてもよい。ただし、発明の目的上、ミノムシ絹糸に与える損傷を可能な限り低減できる方法が好ましい。例えば、ミノムシを基材から自発的に離脱するように誘導してもよい。この方法の具体例として、前述のミノムシが高所に移動する性質を利用して、それまで容器の天井位置に配置されていた基材を上下反転により底面にする方法が挙げられる。容器側面にミノムシを移動させた後に、基材を回収すればよい。また、基材を加熱する方法が挙げられる。ミノムシは高温から退避するために自発的に基材から離脱するので、移動後に基材を回収すればよい。加熱温度は、常温以上で、ミノムシ絹糸に損傷を与えず、かつ基材が溶融しない温度であればよい。例えば、30℃以上、33℃以上、35℃以上、38℃以上、40℃以上、42℃以上、45℃以上、48℃以上、又は50℃以上、そして80℃以下、75℃以下、70℃以下、65℃以下、60℃以下、又は55℃以下であればよい。
なお、回収したミノムシは、給餌後に本発明の生産方法に再利用することができる。
1-3-3.湿潤液付与工程
「湿潤液付与工程」(S0103)は、基材表面に吐糸されたミノムシ絹糸に湿潤液を付与する工程であって、本発明において最も重要な必須工程である。
湿潤液の付与方法は、特に限定はしない。基材表面上のミノムシ絹糸が湿潤液で十分に湿潤する方法であれば、いかなる方法も使用できる。例えば、ミノムシ絹糸が吐糸された基材表面に、湿潤液を噴霧、噴射、又は塗布する方法や、ミノムシ絹糸が吐糸された基材を湿潤液中に浸漬する方法が挙げられる。
湿潤液付与後は、所定時間、保持することが好ましい。これは、湿潤液が基材及びミノムシ絹糸間に十分に浸透できる時間を確保するためである。ここでいう「所定時間」は、特に限定はしない。付与する湿潤液の量や付与方法によって左右されるが、通常は、付与後1秒~1時間、1分~40分、2分~30分、3分~20分、4分~15分、又は5分~10分でよい。
本工程で使用する湿潤液の温度は、ミノムシ絹糸を損傷、変性、又は溶解しない温度であれば特に限定はしない。通常は室温範囲、例えば、湿潤液の融点が1℃未満、及び沸点が35℃より高い場合、1℃~35℃、5℃~32℃、10℃~30℃、12℃~27℃、15℃~25℃、又は18℃~20℃であればよい。ただし、一般に、湿潤液は温度が高いほど反応性が高くなることから、本工程においても湿潤液温度は高い方が好ましい。例えば、湿潤液が水溶液であれば、大気圧下で35℃以上、38℃以上、40℃以上、42℃以上、45℃以上、48℃以上、50℃以上、52℃以上、55℃以上、58℃以上、60℃以上、62℃以上、65℃以上、68℃以上、70℃以上、72℃以上、75℃以上、78℃以上、80℃以上、82℃以上、85℃以上、88℃以上、90℃以上、92℃以上、95℃以上、及び98℃以上が好ましい。なお、湿潤液は、本工程前に予め、及び/又は本工程中に加温することができる。
1-3-4.分離工程
「分離工程」(S0104)は、湿潤液付与工程後に、基材とその表面に吐糸されたミノムシ絹糸とを分離する工程であって、本発明における必須工程である。基材とミノムシ絹糸との分離方法は、特に限定はしない。湿潤液付与工程により、基材とミノムシ絹糸との結合力は低下していることから、比較的弱い張力で両者を分離することができる。例えば、ミノムシ絹糸の端部を把持し、基材から引き剥がすように剥離する方法、基材とミノムシ絹糸との結合面に空気、又は液体を高圧噴射して剥離する方法、基材を固定した上でミノムシ絹糸を吸引剥離する方法、又は基材を液体に浸漬した後、基材を振盪する、又は液体を撹拌する等によって液体を流動させて、その際に発生する液体圧等によって両者を分離する方法等が挙げられる。本工程で前記液体を使用する場合、限定はしないが、液体は湿潤液付与工程で使用した湿潤液が好ましい。特に、水は好適である。本工程によって、従来方法では、損傷させずに回収することが困難であった基材表面に吐糸されたミノムシの足場絹糸を得ることができる。
1-3-5.洗浄工程
「洗浄工程」(S0105)は、前記分離工程で分離されたミノムシ絹糸を洗浄する工程である。本工程は選択工程であり、必要に応じて行えばよい。
分離工程後に得られたミノムシ絹糸表面には、湿潤液付与工程で使用した湿潤液が残留している。使用した湿潤液が、溶液や低極性有機溶媒の場合、それらがミノムシ絹糸表面に乾燥固着すると時間経過と共にミノムシ絹糸を劣化又は変色させる可能性がある。したがって、本工程で、使用した湿潤液を洗浄により完全に除去することが好ましい。また、この工程で、ミノムシ絹糸に糞の一部等が付着していた場合にも同時に除去することができる。
本工程で、洗浄に用いる洗浄液は、限定しない。前記使用した湿潤液が極性液体、水溶液、コロイド溶液の場合には、洗浄液として好適な液体は水(温水を含む)である。また、前記使用した湿潤液が低極性有機溶媒のような非極性液体の場合には、その低極性有機溶媒と親和性が高い他の揮発性の高い溶媒が洗浄液として好適である。一例として、湿潤液付与工程でトルエンやベンゼンを使用した場合には、他のキシレンやエタノールを洗浄液とすることができる。
洗浄方法は、湿潤液付与工程で使用した湿潤液をミノムシ絹糸から除去できる方法であれば限定はしない。ミノムシ絹糸に洗浄液を噴射してもよいし、洗浄液に浸漬してもよい。
洗浄回数は限定しない。1回又は複数回行うことができる。本明細書で「複数回」とは、例えば、2~20回、2~15回、2~10回、2~7回、2~5回、2~4回又は2~3回をいう。一般に洗浄は、複数回行う方が好ましい。洗浄を複数回行う場合、各回で使用する洗浄液は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、洗浄方法も同一であってもよいし、異なっていてもよい。洗浄後は、放置して自然乾燥させても良いし、脱水装置等を用いた遠心分離法により洗浄液を分離除去してもよい。
1-3-6.精練工程
「精練工程」(S0106)は、本工程で生産されるミノムシの足場絹糸からなる糸塊を精練する工程である。本工程は選択工程であり、必要に応じて行えばよい。
「精練」とは、ミノムシ絹糸からセリシン様の接着物質(糊状タンパク質)を除去し、フィブロイン繊維を得ることをいう。
精練方法はミノムシ絹糸の繊維成分の強度低下を与えずに接着物質を除去できる方法であれば、特に限定はしない。例えば、カイコ絹糸の精練方法を応用することができる。カイコ絹糸の精練方法では精練溶液として、0.01mol/L~0.1mol/L、0.03~0.08mol/L、又は0.04~0.06mol/Lの炭酸ナトリウム溶液を使用するが、本方法の精練工程でも同様に使用することができる。得られたミノムシ絹糸は、精練溶液である前記炭酸ナトリウム溶液中で、1秒~1時間、5秒~30分、10秒~15分、20秒~10分、又は30秒~5分煮沸処理すればよい。
なお、前記湿潤液付与工程で使用する湿潤液に、炭酸ナトリウム溶液のような精練溶液を使用する場合、引き続き精練工程で同じ精練溶液を使用することから、精練工程前の洗浄工程を必要としないので便利である。本工程で処理後は、洗浄工程と同様の方法により洗浄すればよい。
精練工程後、採糸したミノムシ絹糸を乾燥してもよい。乾燥方法は、足場絹糸を変性又は変質させることなく、ミノムシ絹糸に残留する湿潤液、洗浄液、又は精練溶液の量を減じることができれば特に限定しない。例えば、外気に晒して湿潤液、洗浄液、又は精練溶液を気化させる自然乾燥法(天日干しを含む)、送風装置等を用いて温風や冷風を当てる風乾法、密閉空間内で除湿剤と共に一定期間置く除湿乾燥法、加熱によって湿潤液、洗浄液、又は精練溶液を蒸発乾燥させる加熱乾燥法、容器内で真空ポンプ等を用いて脱気して蒸発させる減圧乾燥法、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
2.ミノムシ絹糸及びそれで構成された不織布
2-1.概要
本発明の第2の態様は、ミノムシ絹糸の足場絹糸、及びそれで構成された不織布である。本発明のミノムシ絹糸及び不織布は、第1態様の糸塊生産方法を用いて得られる。
2-2.構成
第1態様の方法で得られる糸塊は、ミノムシの移動を制御することなく基材表面上で吐糸させた場合、多くは、基材表面でミノムシ絹糸が縦横に重なった不織布の形態を成している。したがって、第1態様の糸塊生産方法により基材表面上のミノムシ絹糸を剥離したものは、そのまま不織布として利用することができる。さらに、第1態様の方法で得られる足場絹糸を既存の不織布の製法で、さらに不織布とすることもできる。既存の不織布の製法として、限定はしないが、スパンレース法やニードルパンチ法を利用できる。
一方、基材表面のミノムシ絹糸から正緒を生じさせて剥離した場合や、剥離された不織布状態から正緒を引き出して繰糸した場合には、長尺のミノムシ絹糸として得ることができる。
<実施例1>
(目的)
本発明の糸塊生産方法により、従来法では採糸が困難であった基材上に吐糸されたミノムシ絹糸(足場絹糸)を容易に採糸、回収できることを剥離張力評価試験で検証する。
(材料)
ミノムシは、茨城県つくば市内の果樹農園で採集したオオミノガの終齢幼虫(オオミノガミノムシ)を使用した。また、基材は、約30cm2のアクリル板を使用した。
(方法)
実施例で使用するミノムシには、吐糸工程の実施前日まで十分量の餌葉を与えた。
基材であるアクリル板の表面上への吐糸は、垂直に立てたアクリル板にミノムシを配置して、アクリル板壁面を登らせることによって実行した。
アクリル板表面上にミノムシ絹糸が十分に吐糸された後、その評価対象箇所に、シリンジを用いて水(純水)、30%、50%及び70%のエタノール水溶液、及び99.5%のエタノールをそれぞれ数滴滴下した。なお、陰性対照は、湿潤液を付与しないミノムシ絹糸(湿潤液未付与試料)とした。
ここで、本実施例で使用した剥離張力評価試験について説明をする。図2Aで示すように、ミノムシの足場絹糸は、梯子様のジグザク状を呈する。この足場絹糸が基材表面に固定されているのは、図2Aにおいて破線楕円で示す梯子の横板に相当するジグザグ箇所(本明細書では「ジグザグブロック」と表記する。)の折り返し点(「固定点」と表記する。)である。足場絹糸の剥離では、各ジグザグブロックの固定点で、最も大きな力を必要とするために張力はピークを示すが、剥離後は次の固定点まで基材に固定されていないことから、張力は初期値ゼロにまで緩和する。次の固定点でも同様に、剥離の際に大きな張力を必要とするが、剥離後は直ちに初期値となる。足場絹糸の引き剥がしの際には各ジグザグブロック間でこのサイクルが繰り返される。剥離張力評価試験では、基材表面に吐糸されたミノムシの足場絹糸の一端を引張り試験機のロードセルに固定した後、一定速度でミノムシ絹糸を引き剥がし、その時の張力の変化を連続的に記録することによって、固定点での接着が解除され、ジグザグ状足場糸が直線状へと順次解きほぐされていく過程を剥離長(引き出し距離)と張力の関係として測定することができる。
各湿潤液の塗布後、ミノムシ絹糸が十分に湿潤化したのを確認した後に、各アクリル板上のミノムシ絹糸の一端を引き出して、引張り試験機のロードセルに固定した。固定したミノムシ絹糸を一定速度(100μm/sec)で引き剥がしたときの張力の変化をロードセルで連続的に記録した。測定には、引張り試験機(島津小型卓上試験機 EZ Test)を用いた。
なお、本実施例では、剥離試験で得られる1ジグザグブロック当たりの全ピーク面積の総和を剥離長で除して、単位剥離長当たりの剥離エネルギーとして算出した。吐糸工程に用いたミノムシの個体差による接着力への影響を最小限にするため、各湿潤液使用時の結果は、同じミノムシ個体が吐糸した足場絹糸の陰性対照(湿潤液未付与試料)での剥離エネルギーで規格化し、陰性対照の剥離エネルギーを100としたときの百分率(%)として評価、比較した。
(結果)
図4及び表1に結果を示す。
Figure 2023165754000001

図4の横軸は剥離長(mm)を、また縦軸は剥離張力(N)を示している。図4(A)で示すように、陰性対照では1ジグザグブロック当たりの各固定点で0.003~0.004 Nの比較的強い剥離張力を要した。一方、水を付与した場合には、図4(B)で示すように、剥離張力が0.001N程度となり、陰性対照の約1/4にまで低下した。さらに、エタノール(99.5%)を付与した場合には、図4(C)で示すように、剥離張力が0.0001~0.0002 Nとなり、陰性対照の約1/20~1/40にまで劇的に低下することが明らかとなった。
表1で示すように、剥離エネルギーは、基材とミノムシ絹糸に対して水を付与した場合、陰性対照の約30%程度まで低下した。また、エタノール(99.5%)を付与した場合には、陰性対照の6%にまで低下し、水以上の著しい効果が認められた。このエタノールの効果は、エタノールと水の混合溶液であるエタノール水溶液の場合にも、様々な濃度にわたって維持され、いずれの濃度も水よりも高い効果が確認された。
<実施例2>
(目的)
本発明の糸塊生産方法が、水やエタノール以外の他の湿潤液でも使用できることを剥離張力評価試験で検証する。
(方法)
基本手順や基本操作は実施例1に準じた。ここでは、使用する湿潤液として、極性1価アルコールであるメタノール(MeOH)、極性含ハロゲン有機溶媒である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、極性含硫黄有機溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)、及び低極性含ハロゲン有機溶媒である四塩化炭素、また、極性3価アルコールであるグリセリン、さらに、0.05M濃度の塩化ナトリウム水溶液(NaCl aq)、及びカイコ絹糸の精練工程で広く用いられる0.05Mの炭酸ナトリウム水溶液(Na2CO3 aq)を用いた。
(結果)
表2に結果を示す。
Figure 2023165754000002

表2で示すように、いずれの湿潤液でも、付与処理により陰性対照の15%以下まで剥離エネルギーが低下した。また、いずれも水の半分以下の剥離エネルギーで足りるという高い効果が確認された。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (8)

  1. 基材表面に吐糸されたミノムシ絹糸に湿潤液を付与する湿潤液付与工程、及び
    基材と前記ミノムシ絹糸を分離する分離工程を含む採糸方法で得られるミノムシ絹糸であって、
    前記湿潤液は大気圧下において少なくとも20℃以上30℃未満で液体状態を呈し、かつミノムシ絹糸の繊維成分であるフィブロインタンパク質を損傷、変性、又は溶解しない純物質又は混合物である
    前記ミノムシ絹糸。
  2. 前記湿潤液付与工程前に基材表面にミノムシを配置して、該ミノムシに吐糸させる吐糸工程を含む、請求項1に記載のミノムシ絹糸。
  3. 前記吐糸工程後、及び前記湿潤液付与工程前にミノムシを巣と共に回収するミノムシ回収工程をさらに含む、請求項2に記載のミノムシ絹糸。
  4. 分離したミノムシ絹糸を洗浄する洗浄工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のミノムシ絹糸。
  5. 分離したミノムシ絹糸を精練する精練工程を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のミノムシ絹糸。
  6. 前記湿潤液が20℃未満に融点を、及び30℃以上300℃以下に沸点を有する純物質又は混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載のミノムシ絹糸。
  7. 前記湿潤液が水溶液又は有機溶媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載のミノムシ絹糸。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のミノムシ絹糸で構成された不織布。
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