JP7386482B2 - ミノムシ絹糸の糸塊生産方法 - Google Patents

ミノムシ絹糸の糸塊生産方法 Download PDF

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Description

本発明は、ミノガ科に属する蛾の幼虫、すなわちミノムシに由来する足場絹糸からなる糸塊を生産する方法に関する。
昆虫の繭を構成する糸や哺乳動物の毛は、古来より動物繊維として衣類等に利用されてきた。特にカイコガ(Bombyx mori)の幼虫であるカイコ由来の絹糸(本明細書では、しばしば「カイコ絹糸」と表記する)は、吸放湿性や保湿性、及び保温性に優れ、また独特の光沢と滑らかな肌触りを有することから、現在でも高級天然素材として珍重されている。
しかし、自然界にはカイコ絹糸に匹敵する、又はそれ以上の特性をもつ動物繊維が存在する。近年、そのような優れた特性をもつ動物繊維を新たな天然素材として活用するために、その探索や研究開発が進められている。
その一つとして注目されているのがクモ由来の糸(本明細書では、しばしば「クモ糸」と表記する)である。クモ糸は、柔軟性や伸縮性、及びポリスチレンの5~6倍に及ぶ高い弾性力を有しており、手術用縫合糸等の医療素材、及び防災ロープ・防護服などの特殊素材として期待されている(非特許文献1及び2)。しかし、クモ糸は、クモの大量飼育やクモから大量の糸を採取することが困難なため量産ができず、また生産コストも高いという問題がある。この問題は、遺伝子組換え技術を用いてカイコや大腸菌等の宿主にクモ糸を生産させることで解決が試みられている(特許文献1及び2)。ただし、クモ糸を生産するカイコや大腸菌は遺伝子組換え体であることから、所定の設備を備えた施設内でしか飼育や培養ができず、維持管理の負担が大きいという問題を伴う。また、大腸菌内で発現させた液状クモ糸タンパク質は、繊維に変換させる必要があり、工程数もその分、多くなるという問題もある。さらに、遺伝子組換えカイコが吐糸するクモ糸は、現段階ではカイコ絹糸に数%混在している状態に過ぎず、クモ糸の特性を100%活用できる100%クモ糸として得ることができないという問題もある。
ところで、ミノムシ(Basket worm, alias "bag worm")という昆虫が存在する。ミノムシは、チョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称で、通常は、図1で示すように葉片や枝片を糸で絡めた紡錘形又は円筒形の巣の中に潜み、摂食の際にも巣ごと移動する等、全幼虫期を巣と共に生活することが知られている。
このミノムシが吐糸する絹糸(本明細書では、しばしば「ミノムシ絹糸」と表記する)が、近年、カイコ絹糸やクモ糸よりも優れた特性をもつ新たな動物繊維性の天然素材として注目を集めている。例えば、弾性率に関してチャミノガ(Eumeta minuscula)のミノムシ絹糸は、カイコ絹糸の3.5倍、またジョロウグモ(Nephila clavata)のクモ糸の2.5倍にも及び、非常に強い強度を誇る(非特許文献1及び2)。また、カイコ絹糸と同等以上の光沢と艶やかさを有するだけでなく、単繊維の断面積がカイコ絹糸のそれの1/7ほどしかないため、カイコ絹糸よりもさらに木目細かく、滑らかな肌触りと、薄くて軽い布を作製することができる。
飼育面においてもミノムシは、カイコやクモよりも優れた点を有する。ミノムシは、カイコと同様に植食性のため、肉食性のクモと異なり、食餌の調達が容易で、安定的に供給できる。また、同じ植食性であってもカイコよりも有利な点を有する。例えば、カイコは、原則としてクワ属(Morus)に属する種(例えば、ヤマグワ(M. bombycis)、カラヤマグワ(M. alba)、及びログワ(M. Ihou)等)の生葉のみを食餌とするため、飼育地域や飼育時期は、クワ葉の供給地やクワの開葉期に左右される。一方、ミノムシは広食性で、餌葉に対する特異性が低く、多くの種類が様々な樹種の葉を食餌とすることができる。したがって、餌葉の入手が容易であり、飼育地域を選ばない。また、種類によっては、常緑樹の葉も餌葉にできるため、落葉樹のクワと異なり年間を通して餌葉の供給が可能となる。その上、ミノムシはカイコよりもサイズが小さいので、飼育スペースがカイコと同等以下で足り、大量飼育も容易である。したがって、飼育コストを抑制することができる。
さらに、生産性においてもミノムシは、カイコよりも優れている。例えば、カイコは営繭時のみに大量に吐糸し、営繭は全幼虫で同時期に行われる。そのため採糸時期が重なり、労働期が集中してしまう。しかし、ミノムシは、幼虫期を通して営巣時や移動時に吐糸を繰り返し行っている。そのため採糸時期を人為的に調整することで、労働期を分散できる。
以上のようにミノムシ絹糸は、カイコ絹糸やクモ糸を超える特性を有し、また生産上も有利な点が多いため非常に有望な新規天然素材として期待されている。
しかし、ミノムシ絹糸もその実用化において、いくつかの問題点を抱えている。その一つがミノムシの巣の特徴に関連した問題である。ミノムシの巣の表面には、必ず葉片や枝片等の夾雑物が付着している。これは、巣の作製及び増設の過程で、カモフラージュのために周囲の小枝片や葉を巣に取り込むというミノムシの習性に起因する。ミノムシ絹糸を製品化するには、これらの夾雑物を完全に除去する必要がある。従来は、営巣された巣から手作業によってこれらの夾雑物を除去するか、又は温水中に長時間浸漬して巣を軟化させて夾雑物を脱離させる方法が採用されてきた。しかし、これらの夾雑物の除去作業には膨大な手間を要する。また、既存の技術では夾雑物を完全に除去することができず、最終生産物に僅かな小葉片等が混在したり、夾雑物由来の色素でミノムシ絹糸が薄茶色に染色されたりするなど、低品質な製品しか得られないという問題があった。色素除去を目的とした塩基や酸を用いた脱色処理は可能であるものの、ミノムシ絹糸の強度を損なう等の品質に著しい低下を招いてしまう。
ところで、ミノムシ絹糸には、巣を構成する巣絹糸以外にも、足場絹糸という絹糸が存在する。この足場絹糸は、図1Bで示すように、ミノムシが移動の際に枝等からの落下防止のための脚掛かり用として吐糸されるミノムシ絹糸である。この足場絹糸は巣絹糸よりも強靭で優れた力学的特性を有することが本発明者らの研究結果により明らかとなった。また、足場絹糸であれば巣絹糸とは異なり、葉片や枝片等の夾雑物は混在しない。したがって、足場糸を採取し、利用することができればミノムシ絹糸として実用化することも可能となる。
しかし、ミノムシの移動は制御が困難で虫任せのため、同じ場所を行き来する結果、吐糸された絹糸が幾重にも重なり、複雑に絡み合った状態(図1C)でしか得られないという問題があった。また、ミノムシ絹糸は、繊維成分とその表面を覆う糊状成分が混合した状態で吐糸されるが、足場絹糸の場合、その糊状成分が枝や葉の基材表面に付着することによって足場絹糸が基材に固定される。この糊状成分による固定は比較的強固なため、基材上に積層された足場絹糸の回収の際に機械的剥離により損傷し、断片化してしまう問題もあった。
WO2012/165477 WO2013/065651
大崎茂芳, 2002, 繊維学会誌(繊維と工業), 58: 74-78 Gosline J. M. et al., 1999, 202, 3295-3303
本発明の目的は、基材上に吐糸されたミノムシの足場絹糸を損傷させることなく、そのほとんどを回収する方法を開発し、提供することである。また、その方法を用いて、ミノムシの足場絹糸を新規天然素材として実用化させることである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、吐糸された足場糸を基材から剥離して回収するのではなく、基材そのものを溶かして、残った足場絹糸を回収するという逆転の発想により、剥離による物理的損傷を一切与えることなく、吐糸された足場絹糸をほぼ完全な状態で糸塊状態として回収することに成功した。回収された足場絹糸からなる糸塊は、不織布としても利用でき、また所望の立体形状の基材に吐糸させて回収することで、平面からの加工が困難な立体的な不織布も作製することができる。本発明は、上記方法に基づき、以下を提供する。
(1)ミノムシ絹糸の糸塊生産方法であって、ミノムシを溶媒可溶性基材と共に配置する配置工程、溶媒可溶性基材上に吐糸させる吐糸工程、溶媒可溶性基材を溶媒で溶解する溶解工程、及び溶媒可溶性基材と基材上に吐糸されたミノムシ絹糸を分離する分離工程を含み、前記溶媒はミノムシ絹糸を損傷、変性、又は溶解しない溶媒である前記方法。
(2)前記吐糸工程後、及び前記溶解工程前にミノムシを巣と共に回収する回収工程をさらに含む、(1)に記載の方法。
(3)前記溶媒が水である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記溶媒が低極性溶媒である、(1)又は(2)に記載の方法。
(5)ミノムシ絹糸の糸塊生産方法であって、ミノムシを熱易融性基材と共に配置する配置工程、熱易融性基材上に吐糸させる吐糸工程、熱易融性基材をミノムシ絹糸が損傷、熱変性、又は溶融しない温度で加熱して溶融する溶融工程、及び熱易融性基材と基材上に吐糸されたミノムシ絹糸を分離する分離工程を含む前記方法。
(6)前記吐糸工程後、及び前記溶融工程前にミノムシを巣と共に回収する回収工程をさらに含む、(5)に記載の方法。
(7)分離したミノムシ絹糸を洗浄する洗浄工程をさらに含む、(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)分離したミノムシ絹糸を乾燥する乾燥工程をさらに含む、(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)前記基材が支持体上に配置されている、(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)前記基材が平面形状又は立体形状を有する、(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11)(1)~(10)のいずれかに記載の糸塊生産方法を用いて得られる、ミノムシ絹糸で構成された不織布。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2018-078522号の開示内容を包含する。
本発明の糸塊生産方法によれば、基材上に吐糸されたミノムシの足場絹糸を、機械的損傷を与えることなく、高回収率で糸塊として採糸することが可能となる。
A:オオミノガのミノムシ(オオミノガミノムシ)の巣の外観図である。B:オオミノガミノムシの移動時における吐糸行動を示す図である。ミノムシが足場絹糸を吐糸しながら進む様子(矢頭)、及び吐糸した足場絹糸に爪を掛けている様子(細矢印)がわかる。C:オオミノガミノムシがプラスチックプレート上に足場絹糸を吐糸したときのミノムシ絹糸の状態を示す図である。ジグザグ状に吐糸された足場絹糸が複雑に絡み合っている様子がわかる。 本発明のミノムシ絹糸の生産方法の工程フローを示す図である。このフローでは、使用する基材が溶媒可溶性物質の場合を示している。 本発明のミノムシ絹糸の生産方法の工程フローを示す図である。このフローでは、使用する基材が熱易融性物質の場合を示している。 本発明の実施例を説明する図である。cの図中の破線円内に見られる白い円とその内部の白くモヤモヤしたものが、ミノムシが吐糸した足場絹糸である。
1.糸塊生産方法
1-1.概要
本発明の第1の態様は、ミノムシ絹糸の糸塊生産方法である。本発明の生産方法は、ミノムシを溶媒可溶性基材又は熱易溶性基材上に配置し、足場絹糸を吐糸させた後、その基材を溶解又は溶融し、基材成分と吐糸された足場絹糸を分離することによって目的であるミノムシの足場絹糸を採糸し、糸塊を得る方法である。本発明の方法によれば、剥離等の機械的操作によって基材に吐糸された足場絹糸に物理的損傷を与えることなく、かつ基材上の足場絹糸をロスせずに効率的に回収して糸塊を生産することができる。
1-2.用語の定義
本明細書で頻用する以下の用語について、以下の通り定義する。
「ミノムシ」とは、前述のようにチョウ目(Lepidoptera)ミノガ科(Psychidae)に属する蛾の幼虫の総称をいう。ミノガ科の蛾は世界中に分布するが、いずれの幼虫(ミノムシ)も全幼虫期を通して、自ら吐糸した絹糸で葉片や枝片等の自然素材を綴り、それらを纏った巣の中で生活している。また、いずれの種も巣から採り出された場合、原則として、周辺の基材を用いて営巣する習性を有する。したがって、本明細書で使用するミノムシは、ミノガ科に属する蛾の幼虫であって、前記習性を有する限り、種類、齢及び雌雄は問わない。例えば、ミノガ科には、Acanthopsyche、Anatolopsyche、Bacotia、Bambalina、Canephora、Chalioides、Dahlica、Diplodoma、Eumeta、Eumasia、Kozhantshikovia、Mahasena、Nipponopsyche、Paranarychia、Proutia、Psyche、Pteroma、Siederia、Striglocyrbasia、Taleporia、Theriodopteryx、Trigonodoma等の属が存在するが、本明細書で使用するミノムシは、いずれの属に属する種であってもよい。また、幼虫の齢は、初齢から終齢に至るまで、いずれの齢であってもよい。ただし、質量的に多くのミノムシ絹糸を得るには、大型のミノムシである方が好ましい。例えば、同種であれば終齢幼虫ほど好ましく、雌雄であれば大型となる雌の方が好ましい。またミノガ科内では大型種ほど好ましい。例えば、大型種のオオミノガ(Eumeta japonica)やチャミノガ(Eumeta minuscula)は、本発明で用いる種として好適である。
なお、本発明の生産方法で使用するミノムシは、限定はしないが、巣を保持したミノムシである。「巣を保持した」とは、ミノムシが巣を携帯した状態をいう。前述のようにミノムシは、自身の巣と共に生活しており、摂食時や移動時も図1Bで示すように、一部を巣外に露出させるのみであり、原則、全幼虫期を通じて巣から全身を露出させることはない。ミノムシを人為的に巣と分離して、外界に全身を露出させた場合、裸の状態となったミノムシは、体の保護及び保温のために巣の再構築を優先し、巣絹糸を吐糸するようになる。したがって、本発明の目的である足場絹糸を吐糸させるためには、ミノムシが巣を保持した状態にしておくことが好ましい。
本明細書で「絹糸」とは、昆虫由来の糸であって、昆虫の幼虫や成虫が営巣、移動、固定、営繭、餌捕獲等の目的で吐糸するタンパク質製の糸をいう。本明細書で、単に「絹糸」と表記した場合には、由来昆虫名を特定しない広く一般的な絹糸を意味し、特定の昆虫由来の絹糸を表す場合には、カイコ絹糸やミノムシ絹糸のように、その由来生物名を絹糸の前に付すものとする。
本明細書で「ミノムシ絹糸」とは、ミノムシが吐糸した絹糸をいう。本明細書のミノムシ絹糸は、単繊維、吐糸繊維及び集合繊維を包含する。「単繊維」とは、繊維成分を構成する最小単位のフィラメントであり、モノフィラメントとも呼ばれる。単繊維は、フィブロインタンパク質を主成分とする。ミノムシ絹糸やカイコ絹糸は、自然状態では2本の単繊維が接着物質のセリシンタンパク質によって結合したジフィラメントの状態で吐糸される。このジフィラメントを「吐糸繊維」という。ミノムシの巣やカイコの繭は、吐糸繊維で構成されている。また、吐糸繊維が複数本抱合されて1本の繊維束となったものを「集合繊維(マルチフィラメント)」という。操糸工程を経て得られる生糸は、この集合繊維に該当する。さらに、生糸を石鹸、灰汁、及び炭酸ナトリウム、尿素等の塩基性の薬品、及び酵素で処理し、セリシンタンパク質を除去した絹糸は、練糸と呼ばれる。
ミノムシ絹糸には、足場絹糸と巣絹糸の2種類が存在する。「足場絹糸」とは、前述のようにミノムシが移動用に吐糸する絹糸であり、枝や葉等から落下するのを防ぐための足場としての機能を有する。ミノムシは、移動に際して進行方向へ足場絹糸をジグザグに吐糸し、それに両脚の爪を引っ掛けながら移動する。一方「巣絹糸」とは、巣用に吐糸する絹糸であり、葉片や枝片を綴るためや、居住区である巣内壁を快適な環境にするために吐糸される。本明細書では、特に断りのない限りミノムシ絹糸は、足場絹糸を指すものとする。
本明細書において「糸塊」とは、ミノムシ絹糸のみで構成された絹糸の集合体をいう。ミノムシの巣は、ミノムシ絹糸の集合体ではあるが、一般に小枝片や葉等の夾雑物が混在するため本発明の糸塊には該当しない。したがって、本明細書における糸塊は、通常、何らかの人為的工程を経て生産することができる。糸塊の状態は限定しない。ミノムシ絹糸が複雑に絡み合った状態でも、一又は複数の糸が巻かれた束の状態であってもよい。
本明細書において「基材」とは、足場絹糸の採糸用基盤をいう。この基材表面上でミノムシを移動させながら足場絹糸を付着させることによって採糸を行う。基材を構成する素材、基材の形状等の外観については、後述する。
本発明で使用する「溶媒」は、ミノムシ絹糸、特に、その繊維成分であるフィブロインタンパク質を損傷、変性、又は溶解しない溶媒である。例えば、タンパク質を変性する強酸性溶媒や強塩基性溶媒は、本発明で使用する溶媒として好適ではない。溶媒は、極性の高低に基づいて、高極性溶媒(親水性溶媒)と低極性溶媒(疎水性溶媒)に分類できるが、本明細書ではいずれの溶媒も包含する。高極性溶媒には、水の他、一部の有機溶媒、例えば、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、及び酢酸が含まれる。また、低極性溶媒には、他の多くの有機溶媒(低極性有機溶媒)、例えば、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、アセトン、ジエチルエーテル、キシレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリル等が含まれる。取扱い(廃液処理等を含む)の容易性、安全性、及び購入コストを鑑みた場合、水(温水、及び熱水を含む)は本発明の溶媒として特に好ましい。
本明細書において「溶媒可溶性」とは、前述の溶媒に溶解し得る性質をいう。したがって、「溶媒可溶性(の)基材」とは、特定の溶媒に溶解し得る基材をいう。
本明細書において「熱易融性(又は熱易溶性)」とは、熱で容易に溶融し得る性質をいう。「熱易融性(の)基材」とは、大気圧下、常温(15℃~25℃)では固体状態で、加熱によって溶融して液体状態となり得る基材をいう。熱易融性基材の融点は、ミノムシ絹糸が損傷、熱変性、又は溶融する温度よりも低ければよい。ミノムシ絹糸は、260℃を超えると熱分解しはじめることから、融点は、少なくとも260℃以下であればよい。好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下、140℃以下、130℃以下、又は120℃以下である。加熱コストを低減し、ミノムシ絹糸を必要以上高温に晒さないためには、融点は常温よりも高い温度で、かつ100℃以下であることが好ましい。例えば、40℃~100℃、45℃~98℃、50℃~95℃、55℃~90℃、60℃~85℃、65℃~80℃、又は70℃~75℃の範囲が適当である。
2.生産方法
本態様の工程フローを図2A及び図2Bに示す。この図で示すように、本態様の生産方法は、第1フロー(図2A)と第2フロー(図2B)の独立した2つのフローで構成される。
2-1.前処理
本発明の方法に使用するミノムシの前処理について説明をする。
本方法では、第1フロー及び第2フロー共に、配置工程及び吐糸工程で生きたミノムシを使用する。しかし、これらの工程では原則としてミノムシに給餌をしない。本発明では、ミノムシの単位時間当たりの移動距離が長いほど多くの足場絹糸を得ることができる。ところが、採糸中に給餌を行った場合、ミノムシが摂食に夢中になり、移動をほとんど行わなくなる可能性があるためである。しかしながら、吐糸とは、言うなれば体内で合成し、蓄積していたタンパク質(ミノムシ絹糸)の放出に相当するため、移動の際にミノムシは大量のエネルギーとタンパク質を消費している。そのため、本発明の生産方法に供するミノムシは、前処理として、事前に十分に給餌しておくことが望ましい。給餌方法や給餌時間は、限定はしない。ミノムシが摂食を停止するまで十分量の餌を供給すればよい。
また給餌後は、脱糞をさせておくことが好ましい。糞でミノムシが吐糸した足場絹糸を汚染させないためである。脱糞処理は、給餌完了後、脱糞させるのに十分な時間、通常の飼育温度で放置しておけば足りる。例えば、10~30℃、好ましくは15~25℃の温度下で、30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、又は24時間以下、20時間以下、18時間以下、15時間以下、12時間以下、又は10時間以下で放置しておけばよい。
2-2.第1フロー
第1フロー(図2A)では、基材に溶媒可溶性物質を用いることを特徴とする。本フローは、必須工程である配置工程(S0101)、吐糸工程(S0102)、溶解工程(S0104)、及び分離工程(S0106)と、選択工程である回収工程(S0103)、洗浄工程(S0107)、及び乾燥工程(S0108)を含む。以下、各工程について説明をする。
2-2-1.配置工程
「配置工程」(S0101)は、ミノムシを溶媒可溶性基材と共に配置する工程であり、本発明における必須工程である。
本工程で使用する溶媒可溶性基材は、前述の溶媒に可溶であれば特に限定はしないが、ここでは水溶性基材(水可溶性素材)と低極性溶媒可溶性基材に分類し、以下で具体的に説明をする。
本明細書において「水溶性基材」とは、水に可溶な物質で構成され、乾燥環境下では固体状態の基材をいう。「乾燥環境下」とは、標準状態(15℃~25℃で大気圧条件)で、かつ湿度50%以下、好ましくは40%以下、30%以下、20%以下、又は10%以下の環境をいう。水溶性基材の具体例として、ゼラチン、デンプン、及びプルラン等が挙げられる。本工程で用いられる水溶性基材は、限定はしないが、前記群から選択される1つ、又は2以上の基材の組み合わせでもよい。水溶性基材は、水(純水)に可溶なだけでなく、1種又は2種以上の溶質を包含する水溶液に可溶であってもよい。
本明細書において「低極性溶媒可溶性基材」とは、低極性溶媒に可溶な物質で構成され、前記標準状態下では固体の基材をいう。ここでいう「低極性溶媒」とは、主として低極性有機溶媒が該当する。具体的には、ヘキサン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、アセトン、ジエチルエーテル、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、四塩化炭素及びアセトニトリル等が挙げられる。低極性溶媒可溶性基材の例としては、限定はしないが、ポリスチレン、酢酸ビニル、酢酸セルロース、アクリル樹脂、及びポリカーボネートが挙げられる。同一溶媒に可溶であれば、2以上の低極性溶媒可溶性基材の組み合わせであってもよい。
本工程で使用する溶媒可溶性基材の厚さは限定しない。基材を厚くし過ぎた場合、基材自体が剛性を有し得るが、その反面、基材の製造コストが高くなる上に、溶解工程において基材が溶解し難くなったり、分離工程において基材と足場絹糸の分離がし難くなる。一方、基材を薄くし過ぎた場合、基材の製造コストを抑え、また溶解工程での基材の溶解や、分離工程での基材と足場絹糸の分離が容易になるが、その反面、基材自身の剛性が失われるために一定形状を保持できず、基盤としての機能を果たし得なくなる。したがって、基材の製造コスト、剛性、その後の工程での処理のし易さ等を勘案し、適宜定めればよい。通常、水溶性基材の場合、限定はしないが、基材平均厚が0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1.0mm以上、1.2mm以上、又は1.5mm以上であることが好ましく、さらに3.0mm以下、2.8mm以下、2.5mm以下、2.2mm以下、又は2.0mm以下であることが好ましい。なお、水溶性基材の平均厚が0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.5mmを下回るような薄膜で構成される場合、基材自体では一定形状を保持する剛性がないことから、基材を所望の形状を有する適当な支持体上に配置させてもよい。
本明細書で「支持体」とは、その表面に溶媒可溶性基材を配置することで、溶媒可溶性基材に剛性、及び/又は形状を付与することができる部材である。支持体は、本発明の生産方法で使用される選択的構成要素であって、必要に応じて用いることができる。
支持体の材質は、一定の形状を保持できる程度の剛性を有していれば特に限定はしない。例えば、ガラス、金属、プラスチック、合成ゴム、セラミックス、又は紙や植物片(例えば、木片を含む)、動物片(例えば、骨片、貝殻、スポンジを含む)が挙げられる。後述する熱易溶性基材を支持体とすることもできる。その他、吐糸基盤として用いる溶媒可溶性基材とは性質の異なる溶媒可溶性基材を支持体とすることもできる。例えば、水溶性基材の薄膜を吐糸用の溶媒可溶性基材とし、その水溶性基材を表面に貼付した低極性溶媒可溶性基材を支持体とする場合が挙げられる。
本工程で使用する基材の形状及び大きさは限定しない。例えば、形状はシート状又はプレート状の平面形状であってもよいし、3次元的な立体形状であってもよい。ミノムシの足場絹糸からなる平面形状の不織布を得たい場合には、平面形状の基材を用いて、その平面部の全面に吐糸させることで達成し得る。また、所望の立体形状を有する足場絹糸からなる不織布を得たい場合には、その所望の立体形状を有する基材を用いて、基材の全表面に吐糸させることで達成し得る。このような立体形状を有する不織布は、例えば、再生医療における足場(scaffold)材料となり得る。
基材の大きさも必要に応じた大きさにすればよいが、足場絹糸が移動に伴い吐糸されるミノムシ絹糸であることを鑑みれば、限定はしないが、下限はミノムシの大きさミノムシの体長と同等以上の大きさであることが好ましい。例えば、長軸や長径が1cm以上、2cm以上、3cm以上、4cm以上、又は5cm以上とすることができる。一方、基材の大きさの上限は問わないが、長軸や長径が10cm以上、15cm以上、20cm以上、25cm以上、又は30cm以上の場合、複数のミノムシに吐糸させる方が好ましい。
「ミノムシを溶媒可溶性基材と共に配置する」とは、ミノムシが溶媒可溶性の基材表面に接することができるように両者を位置付けることをいう。例えば、基材上にミノムシを直接配置してもよいし、ミノムシが移動によって基材上に到達できるような配置であってもよい。後者の具体例として、蓋のない広口プラスチック容器の底面にミノムシを置いた後、溶媒可溶性基材でその容器に蓋する場合が挙げられる。ミノムシは高い位置を好むため、広口プラスチック容器の側面を伝って移動し、容器天井に相当する基材下面に到達した後に、そこで移動をしながら足場絹糸を吐糸するようになる。
なお、配置するミノムシの種類や個体数は問わない。例えば、足場絹糸を吐糸させる基材1つあたりに、一度にミノムシを1頭配置してもよいし、複数頭配置してもよい。また、配置するミノムシの種類や齢も問わない。複数頭配置する場合、各個体は同一種、同一齢であってもよいし、異なる種類や、異なる齢のミノムシを混合してもよい。
2-2-2.吐糸工程
「吐糸工程」(S0102)は、ミノムシを移動させて、前記基材表面上に足場絹糸を吐糸させる工程であり、本発明における必須工程である。
本工程の期間は、ミノムシの種類、齢、使用する個体数によって変動するため、限定はしない。必要とする量の足場絹糸が基板上に吐糸されるまで継続してもよい。一例として、オオミノガミノムシの終齢1頭を用いて、直径9cmの円形基材上に吐糸させる場合、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上吐糸させることができる。足場絹糸は、前述のようにミノムシの移動に伴い吐糸されるため、得られる足場絹糸は基材上でのミノムシの移動距離に比例する。そのため、単独のミノムシで吐糸させるよりも複数頭で吐糸させた方が、吐糸工程の時間は短くて済む。また、摂食をさせずに吐糸させ続けるため、本工程中、ミノムシはしばしば吐糸を停止することがある。そのような場合、新たなミノムシと交換し、引き続き吐糸工程を継続することもできる。
ミノムシの単位時間当たりの吐糸量が多くなるように、本工程中の温度及び湿度の変化はないか、又は少ない方がよい。温度は20℃前後、例えば、15℃~25℃、又は18℃~22℃の範囲内、湿度は50%前後、例えば、40%~65%、又は45%~60%の範囲内にあることが好ましい。本工程中の明暗期は、特に制限はなく、明期のみであってもよいが、周期的な明暗期を付与してもよい。例えば、24時間の中で、明期を6時間~18時間、7時間~17時間、8時間~16時間、9時間~15時間、10時間~14時間、11時間~13時間、又は12時間とし、残りを暗期とする周期であってもよい。
2-2-3.回収工程
「回収工程」(S0103)は、吐糸工程で使用したミノムシを巣と共に回収する工程であり、本発明における選択工程である。本工程は、不要となったミノムシを基材上から分離し、回収することを目的とする。
吐糸工程後の基材上には、吐糸された足場絹糸と共に、それを吐糸したミノムシが混在した状態にある。しかし、次の溶解工程でミノムシは必要ない。また、吐糸工程期間内であっても、吐糸を停止したミノムシは不要となる。さらに、溶解工程で基材や足場絹糸と共にミノムシを溶媒で処理した場合、ミノムシの体液や巣に用いられる枯葉等の抽出液によるミノムシ絹糸の望ましくない染色、巣絹糸の混在可能性、ミノムシや巣による基材溶解効率の低下を生じ得る。したがって、本工程は選択工程ではあるが、溶解工程前に回収しておく方が好ましい。
基材からミノムシを回収する方法は、限定しない。ミノムシを基材から分離するあらゆる方法が利用できる。例えば、基材に接触しているミノムシを巣ごと引き剥がしてもよい。ただし、発明の目的上、足場絹糸に与える損傷を可能な限り低減できる方法が好ましい。例えば、足場絹糸を自発的に基材から離脱するように誘導してもよい。この方法の具体例として、前述のミノムシが高所に移動する性質を利用して、それまで容器の天井位置に配置されていた基材を上下反転により底面にする方法が挙げられる。容器側面にミノムシを移動させた後に、基材を回収すればよい。また、基材を加熱する方法が挙げられる。ミノムシは高温から退避するために自発的に基材から離脱するので、移動後に基材を回収すればよい。加熱温度は、常温以上で、ミノムシ絹糸に損傷を与えず、かつ基材が溶融しない温度であればよい。例えば、30℃以上、33℃以上、35℃以上、38℃以上、40℃以上、42℃以上、45℃以上、48℃以上、又は50℃以上、そして80℃以下、75℃以下、70℃以下、65℃以下、60℃以下、又は55℃以下であればよい。
なお、回収したミノムシは、給餌後に本発明の生産方法に再利用することができる。
2-2-4.溶解工程
「溶解工程」(S0104)は、溶媒可溶性基材を溶媒で溶解する工程であって、本発明における必須工程である。本工程で固体状態の溶媒可溶性基材は溶解されて液体状態となる。
本工程で使用する溶媒は、吐糸工程で用いた溶媒可溶性基材を溶解可能な溶媒を用いる。例えば、吐糸工程で水溶性基材を用いた場合には、溶媒は水(純水)、又は1種又は2種以上の溶質を包含する水溶液とする。また、吐糸工程で低極性溶媒可溶性基材を用いた場合には、その基材を溶解可能な低極性溶媒とする。具体例として、低極性溶媒可溶性基材がポリスチレンやアクリル樹脂の場合、溶剤はヘキサン、キシレン、クロロホルム、四塩化炭素等の各種低極性溶媒を利用できる。
本工程で使用する溶媒の温度は、ミノムシ絹糸を損傷、変性、又は溶解しない温度で、かつその溶媒の沸点以下である限り、特に限定はしない。通常は室温範囲、例えば1℃~35℃、5℃~32℃、10℃~30℃、12℃~27℃、15℃~25℃、又は18℃~20℃であればよい。ただし、一般に溶質は、溶媒温度が高いほど溶解しやすい物質が多い。特に水溶性基材の場合には、水温が高いほど基材の溶解時間は短くなる。それ故、基材を速やかに溶解するためには溶媒温度は高い方が好ましい。例えば、溶媒が水の場合、水温は、大気圧下で35℃以上、38℃以上、40℃以上、42℃以上、45℃以上、48℃以上、50℃以上、52℃以上、55℃以上、58℃以上、60℃以上、62℃以上、65℃以上、68℃以上、70℃以上、72℃以上、75℃以上、78℃以上、80℃以上、82℃以上、85℃以上、88℃以上、90℃以上、92℃以上、95℃以上、及び98℃以上が好ましい。なお、溶媒は、本工程前に予め、及び/又は本工程中に加温することができる。
基材の溶解方法は、溶媒可溶性基材を溶媒に接触できる方法であれば、特に限定はしない。例えば、溶媒中に溶媒可溶性基材を浸漬する方法や溶媒可溶性基材に溶媒を噴霧又は噴射する方法が挙げられる。吐糸された足場絹糸が溶媒に接触してもよい。溶媒可溶性基材を溶媒に浸漬する場合、溶解効率を高めるため、その溶媒を、例えば、撹拌子や撹拌棒を用いて撹拌してもよい。
溶解時間は、溶媒可溶性基材が溶媒によって完全に溶解されるまでの時間とする。具体的な時間は、基材の材質、並びに溶媒の種類、温度及び量に基づいて適宜定めればよい。例えば、基材がポリスチレンで、キシレン又は四塩化炭素の溶媒に浸漬して処理した場合、常温で、下限は5秒以上、10秒以上、15秒以上、20秒以上、25秒以上、30秒以上、又は45秒以上、50秒以上、又は60秒以上であればよい。また、上限は10分以下、8分以下、5分以下、3分以下、又は2分以下であればよい。
2-2-5.分離工程
「分離工程」(S0106)は、溶解した溶媒可溶性基材と足場絹糸とを分離する工程であって、本発明における必須工程である。溶解工程後には、基材が溶解した溶媒とミノムシ絹糸との分離方法は、限定はしない。足場絹糸は繊維状の固体であるのに対して、基材を含む溶媒は液体であるため、既存の固体と液体の分離方法を利用することができる。例えば、脱水装置等を用いた遠心分離法により分離すればよい。また、前記回収工程を経ない場合には、ミノムシ本体や巣、及び時としてその糞も固体として残存する。この場合、限定はしないが、例えば、足場絹糸を棒等に絡ませて、溶媒から分離することで、足場絹糸をミノムシ等からも同時に分離することができる。
本工程後に、目的とするミノムシの足場絹糸を得ることができる。
2-2-6.洗浄工程
「洗浄工程」(S0107)は、分離した足場絹糸を洗浄する工程である。本工程は選択工程であり、必要に応じて行えばよい。溶媒可溶性基材が混入しない純粋な足場絹糸を得る場合には、本工程を選択することが好ましい。
分離工程後に得られた足場絹糸には、溶媒可溶性基材が溶解した溶媒が残留している場合がある。その場合、溶媒が気化することで、溶解していた溶媒可溶性基材が再重合する可能性があるため、溶媒は、洗浄によって完全に除去することが好ましい。また、この工程で、足場絹糸に付着していた糞の一部等も同時に除去することができる。
本工程で、洗浄に用いる洗浄液は、溶解工程で用いた溶媒でよい。溶解工程で低極性溶媒を使用した場合、その低極性溶媒と親和性が高い他の溶媒を洗浄液として用いることもできる。揮発性の高い洗浄液が好ましい。一例として、溶解工程でキシレンを溶媒に用いた場合、他の低極性溶媒であるトルエンやベンゼンや極性溶媒であるエタノールを洗浄液とすることができる。ただし、他成分が含まれていない溶媒を洗浄液に用いることが好ましい。例えば、水溶性基材を用いた場合には、洗浄液は、他の溶質を含む水溶液よりも純水(温水を含む)が好ましい。
洗浄方法は、足場絹糸から溶解工程で用いた溶媒を除去できる方法であれば限定はしない。足場絹糸に洗浄液を噴射してもよいし、洗浄液に浸漬してもよい。洗浄後は分離工程と同様の方法で足場絹糸に付着した洗浄液を除去することもできる。
洗浄回数は限定しない。1回又は複数回行うことができる。本明細書で「複数回」とは、例えば、2~20回、2~15回、2~10回、2~7回、2~5回、2~4回又は2~3回をいう。一般に洗浄は、複数回行う方が好ましい。洗浄を複数回行う場合、各回で使用する洗浄液は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、洗浄方法も同一であってもよいし、異なっていてもよい。
2-2-7.乾燥工程
「乾燥工程」(S0108)は、採糸した足場絹糸を乾燥する工程であって、本発明では必要に応じて行われる選択工程である。前記分離工程後、又は前記洗浄工程後に得られた足場絹糸には、溶媒又は洗浄液が残留している。本工程では、分離工程後、又は洗浄工程後の足場絹糸に残存する溶媒又は洗浄液を乾燥によって除去する工程である。本工程後に目的の足場絹糸を得ることができる。
乾燥方法は、足場絹糸を変性又は変質させることなく、残留する溶媒又は洗浄液の量を減じることができれば特に限定しない。例えば、外気に晒して溶媒や洗浄液を気化させる自然乾燥法(天日干しを含む)、送風装置等を用いて温風や冷風を当てる風乾法、密閉空間内で除湿剤と共に一定期間置く除湿乾燥法、加熱によって溶媒や洗浄液を蒸発乾燥させる加熱乾燥法、容器内で真空ポンプ等を用いて脱気して蒸発させる減圧乾燥法、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
乾燥時間は、使用した溶媒又は洗浄液、及び乾燥方法等に応じて適宜定めればよい。例えば、キシレン又はエタノールのような気化しやすい溶媒又は洗浄液を使用した場合で、風乾方法によって乾燥させた場合、乾燥時間は5秒~10分、10秒~5分、又は20秒~3分で足りる。
2-3.第2フロー
第2フロー(図2B)では、基材に熱易融性物質を用いることを特徴とする。本フローは、必須工程である配置工程(S0101)、吐糸工程(S0102)、溶融工程(S0105)、及び分離工程(S0106)と、選択工程である回収工程(S0103)、洗浄工程(S0107)、及び乾燥工程(S0108)を含む。以下、各工程について説明をする。
2-3-1.配置工程
第2フローの配置工程(S0101)は、必須工程であり、基本的に第1フローの配置工程と同じである。したがって、ここでは、第1フローの配置工程と異なる点についてのみ説明をする。
本工程は、基材に溶媒可溶性基材ではなく熱易融性基材を用いる点が第1フローの配置工程と異なる。
熱易融性基材の種類は、限定はしない。上記定義で説明した熱易溶性基材の特性を有するあらゆる素材を使用することができる。第2フローで使用可能な熱易融性基材の具体例として、蝋が挙げられる。蝋は、木蝋等の植物系蝋や蜜蝋等の動物系蝋を含む。また、熱易融性基材の形状や大きさについては、第1フローの溶媒可溶性基材のそれに準ずる。
2-3-2.吐糸工程
第2フローの「吐糸工程」(S0102)は、必須工程であり、基材に熱易融性基材を用いる点を除けば第1フローの吐糸工程と同じである。したがって、本工程は、第1フローの吐糸工程に準じて行えばよい。
2-3-3.回収工程
第2フローの「回収工程」(S0103)は、必須工程であり、基本的には第1フローの回収工程と変わらない。したがって、本工程は、第1フローの回収工程に準じて行えばよい。
2-3-4.溶融工程
「溶融工程」(S0105)は、第2フローに特徴的な必須工程で、熱易溶性基材を加熱溶融する工程である。本工程で固体状態の基材は溶解されて液体状態となる。
本工程で、熱易溶性基材を溶融するための加熱温度は、熱易融性基材の融点よりも高く、ミノムシ絹糸を損傷、熱変性、又は溶解しない温度である限り、特に限定はしない。加熱温度の下限である融点は、熱易融性基材によって異なることから、使用した熱易融性基材に応じて適宜定めればよい。また前述のように260℃以下であればミノムシ絹糸は熱分解を生じないことから加熱温度の上限は260℃以下であればよい。ただし、ミノムシ絹糸を長時間にわたって200℃を超える高温下に晒すと、熱により損傷又は変性する可能性を排除できないことから、加熱温度の上限は、使用した熱易融性基材の融点+50℃以下、融点+45℃以下、融点+40℃以下、融点+35℃以下、融点+30℃以下、融点+25℃以下、融点+20℃以下、融点+15℃以下、融点+10℃以下、又は融点+5℃以下であることが好ましい。
基材の溶融方法は、熱易溶性基材を加熱できる方法であれば、特に限定しない。例えば、熱易溶性基材をヒーター又はホットプレート上に配置して加熱する方法、マイクロ波オーブン(電子レンジ)内に配置して加熱する方法、熱風を当てる方法、また熱易融性基材の融点が100℃未満であれば湯煎により溶融する方法等が挙げられる。
溶解時間は、熱易溶性基材が完全に溶融されるまでの時間とする。具体的な時間は、熱易溶性基材の材質、及び加熱温度に基づいて適宜定めればよい。例えば、基材が融点62℃の蜜蝋の場合、加熱温度が80℃であれば、溶解時間は30分、40分、50分、60分、70分、80分、又は90分でよい。
2-3-5.分離工程
「分離工程」(S0106)は、必須工程であって、足場絹糸と液体状態となった熱易融性基材とを分離する工程である。第2フローの分離工程は、第1フローの分離工程と基本的に同じ手順である。第1フローでは、溶媒可溶性基材が溶解した溶媒と足場絹糸とを分離したのに対して、第2フローの本工程では、液体状態となった熱易融性基材である点が異なる。足場絹糸は繊維状の固体であるのに対して、本工程の熱易融性基材は溶融工程で液体状態となっているため、第1フローの分離工程に準じて、既存の固体と液体の分離方法を利用すればよい。ただし、本工程で温度が熱易融性基材の融点を下回ると、熱易融性基材が再重合により凝固し始める。そのため、本工程前や工程中に熱易融性基材が再重合しないようにする。例えば、本工程でも溶融工程と同程度の温度で加熱し続けるか、重合阻害剤又は重合抑制剤を投与するか、又は、次述する洗浄工程で使用する希釈液を本工程で加えて、熱易融性基材と希釈液との混合液状態にして分離するようにすればよい。
2-3-6.洗浄工程
「洗浄工程」(S0107)は、選択工程であって、分離した足場絹糸を洗浄する工程である。第2フローの洗浄工程も、第1フローの洗浄工程と基本的には同じ手順である。ただし、第1フローとは異なり、第2フローでは、溶融した熱融溶性基材が分離後の足場絹糸に付着している点で異なる。したがって、ここではその異なる点についてのみ具体的に説明をする。
本工程では、温度が熱融溶性基材の融点を下回ると、付着している基材が再重合して凝固する。そのため、熱融溶性基材は、洗浄によって完全に除去することが望ましい。
洗浄に用いる洗浄液は、足場絹糸を損傷、変性、又は溶解せず、かつ使用した熱融溶性基材の融点よりも高い温度の溶媒であれば、特に限定はしない。例えば、熱易融性基材が融点62℃の蜜蝋の場合、70℃以上の水を洗浄液として使用することで、足場絹糸に付着した蜜蝋を溶融除去することができる。より好ましい洗浄液は、熱易融性基材との親和性が高い希釈液である。この場合、希釈液の温度は必ずしも熱易融性基材の融点よりも高い必要はない。ここでいう「希釈液」とは、溶融した熱易融性基材が容易に溶解できる溶媒をいう。例えば、熱易融性基材が蜜蝋であればクロロホルムや四塩化炭素、キシレン等の溶媒が希釈剤となり得る。
2-3-7.乾燥工程
第2フローの「乾燥工程」(S0108)は、選択工程であって、第1フローの乾燥工程と同じである。したがって、本工程は、第1フローの乾燥工程に準じて行えばよい。
2-4.効果
基材上に吐糸されたミノムシの足場絹糸を、機械的損傷を与えずに採糸することは従来技術では困難という問題があった。
本発明の採糸方法と糸塊生産方法によれば、ミノムシが基材上に吐糸した足場絹糸を剥離し、採糸するのではなく、基材そのものを溶解又は溶融し、液状となった基材と繊維状のミノムシ絹糸とを分離することで、上記問題を解決して、力学的に優れた特性を備えたミノムシの足場絹糸のみからなる糸塊を安定的に得ることができる。
3.足場絹糸で構成された不織布
3-1.概要
本発明の第2の態様は、ミノムシ絹糸の足場絹糸で構成された不織布である。本発明の不織布は、第1態様の生産方法を用いて得られた糸塊で構成されている。
3-2.構成
第1態様の生産方法で得られる糸塊糸は、基材上でミノムシの移動に任せて吐糸されているという性質上、網目状を呈している。また幾層にも積層されるように吐糸された場合、基材上で既に不織布の形態を成している。したがって、第1態様の生産方法で得られるミノムシの足場絹糸からなる糸塊は、それ自体を不織布として利用することができる。
また、第1態様の生産方法で、基材を立体形状にして、その全面に足場絹糸を積層させた場合、得られる糸塊は、基材の立体形状をトレースした形状の不織布となり得る。基材の形状を所望の立体形状にすることで、例えば、再生医療における培養細胞の足場材料として、人体に対する影響のない天然不織布として利用することができる。
さらに、第1態様の生産方法で得られる糸塊を既存の不織布の製法で、さらに不織布とすることもできる。既存の不織布の製法として、限定はしないが、スパンレース法やニードルパンチ法を利用できる。
<水溶性基材を用いたミノムシ絹糸の糸塊生産方法>
(目的)
本発明の方法を用いて、ミノムシの足場絹糸で構成される糸塊を生産する。
(方法と結果)
ミノムシはオオミノガの終齢幼虫(オオミノガミノムシ)を用いた。基材には溶媒可溶性基材の水溶性基材としてゼラチンを使用した。
(1)ゼラチンキャストフィルムの作製
医療用カプセルで使用されるゼラチンは40℃以上の水に容易に溶解する。そこで、ゼラチンカプセルを用いてゼラチンキャストフィルムを作製し、足場絹糸を吐糸させる基材とした。水道水を適量ビーカーに用意し、ホットスターラーを用いて沸騰するまで加温した。沸騰後、ゼラチンカプセル(カプスゲル・ジャパン株式会社製)を濃度が1wt%となるように溶解した。溶解後、溶液を9cmプラスチックシャーレの底面全体に行き亘る量(10 mL)で投入し、室温で乾燥させた。これにより、直径9cm、厚さ約0.1 mmのゼラチンキャストフィルムを水溶性基材として得た(図3a)。プラスチックシャーレは、そのまま基材の支持体として用いた。
(2)ミノムシの配置と吐糸
吐糸用容器としてアイスカップ(ミネロン化成工業株式会社製)を用いた。1容器当たり1頭のオオミノガミノムシをアイスカップに投入後、上記(1)で作製した水溶性基材のゼラチンキャストフィルムを支持体のプラスチックシャーレごとアイスカップの上蓋として、ゼラチンキャストフィルムが下面となるように被せた。その後、養生テープでプラスチックシャーレをアイスカップに固定した(図3b)。続いて、未給餌の状態で温度25℃、明暗比=16:8の条件下で5日間ミノムシに吐糸させた。ただし、最初に投入したミノムシは、2日目で吐糸行動が停滞していたために回収し、新たなオオミノガの終齢ミノムシと入れ替えた。
(3)ゼラチンキャストフィルムの回収と溶解
吐糸後、ゼラチンキャストフィルムとプラスチックシャーレをアイスカップから分離した。この時点でゼラチンキャストフィルム表面には無数の足場絹糸が吐糸されていた(図3c)。続いて、ゼラチンキャストフィルムをプラスチックシャーレから剥離し(図3d)、沸騰水に攪拌条件下で5分浸漬させた(図3e)。ゼラチンキャストフィルムが沸騰水に完全に溶解した後、沸騰水に浮遊する足場絹糸を採取した。その後、新たな沸騰水で採取した足場絹糸を洗浄し、室温下で乾燥した。その結果、図3fで示す足場絹糸を得た。採糸後の足場絹糸の表面を実体顕微鏡で確認したところ、ゼラチン残留物は確認されなかった。以上により、本発明のミノムシ絹糸の糸塊生産方法で、純粋な足場糸のみで構成された糸塊を得ることができることが明らかとなった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (12)

  1. ミノムシ絹糸の足場絹糸からなる糸塊生産方法であって、
    ミノムシを溶媒可溶性基材と共に配置する配置工程、
    溶媒可溶性基材上に吐糸させる吐糸工程、
    溶媒可溶性基材を溶媒で溶解する溶解工程、及び
    溶媒可溶性基材と基材上に吐糸されたミノムシ絹糸を分離する分離工程を含み、
    前記溶媒はミノムシ絹糸を損傷、変性、又は溶解しない溶媒である
    前記方法。
  2. 前記吐糸工程後、及び前記溶解工程前にミノムシを巣と共に回収する回収工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶媒が水である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶媒が低極性溶媒である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. ミノムシ絹糸の足場絹糸からなる糸塊生産方法であって、
    ミノムシを熱易融性基材と共に配置する配置工程、
    熱易融性基材上に吐糸させる吐糸工程、
    熱易融性基材をミノムシ絹糸が損傷、熱変性、又は溶融しない温度で加熱して溶融する溶融工程、及び
    熱易融性基材と基材上に吐糸されたミノムシ絹糸を分離する分離工程
    を含む前記方法。
  6. 前記吐糸工程後、及び前記溶融工程前にミノムシを巣と共に回収する回収工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 分離したミノムシ絹糸を洗浄する洗浄工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 分離したミノムシ絹糸を乾燥する乾燥工程をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記基材が支持体上に配置されている、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記基材が平面形状又は立体形状を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ミノムシ絹糸の足場絹糸のみで構成された不織布。
  12. 平面形状、又は立体表面形状を有する、請求項11に記載の不織布。
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