JP2023165003A - シーズニングオイル - Google Patents

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崇幸 青木
Takayuki Aoki
厚憲 内藤
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Abstract

【課題】チキン風味を付与又は増強するチキン風シーズニングオイルを開発することを課題とした。【解決手段】糖類(ラムノース及びフルクトースを除く)、シスチン及びマカダミア油を混合して加熱することによってチキン風味を付与又は増強可能なチキン風シーズニングオイルの製造することができる。本発明においては、さらに、核酸を混合して加熱することでチキン風味を付与又は増強効果を高くすることができる。また、糖類についてはグルコースが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は各種の食品に添加して、当該食品に対してチキン風味を付与することができるシーズニングオイルに関するものである。
加工食品等の食品においては、特定の風味を付加したり、増強したりするために香料や香味油(シーズニングオイル)が使用される場合が多い。このような加工食品等の食品に対してその風味を増強するための香味油(シーズニングオイル)は種々のタイプの技術が開示されている。
例えば、以下の先行技術文献1には、食用油脂と、野菜と、単糖とを加熱することにより、風味の力価が強く、良好な風味のバランスを有する香味油の製造方法について開示されている。また、以下の先行技術文献2には、長ネギを香味材として利用した香味油に関し、特に食感と香味を楽しむことが可能な香味油について開示されている。
しかし、上記のいずれについても特定の動物性原料の香味を付与又は増強するシーズニングオイルに関するものではない。一方、以下の先行技術文献3には、チキンシーズニングオイルの効率的な製造方法について開示されているものである。しかし、先行技術文献3は、動物性原料としてチキン自体を使用するものである。
チキン風味は動物性原料においても代表的な成分の一つであり、種々のスープ類のベースとなる風味である。すなわち、チキン風味は種々の加工食品において汎用される風味である。
このようなチキン風味について動物性原料(チキン)自体を使用せずに、チキン風味を付与又は増強することができるシーズニングオイルが開発されれば、動物性原料不足やコストの問題を回避することができる。
また、加工食品がチキン原料を使用する場合、当該原料の有するチキン風味を付加又は増強させることができれば、一層、加工食品の分野の発展に寄与することが可能となる。
さらに、ベジタリアンに対して動物性原料(チキン)が不使用のチキン風味の加工食品を提供することも可能となる。
特開2013-201905 特開2012-39902 特開2018-57285
そこで、本発明の発明者らはチキン等の動物性原料を利用せずに、チキン風味を付与又は増強することが可能なチキン風シーズニングオイルを開発することを課題とした。
本発明者らは、種々の原料を用いて実験を繰り返し実施した。発明者の鋭意研究の結果、驚くべきことに糖類、アミノ酸のシスチン及び植物油のマカダミア油を混合して加熱することでチキン風味を付与又は増強可能なシーズニングオイルを開発できることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本願第一の発明は、
“糖類、シスチン及びマカダミア油を混合して加熱するチキン風シーズニングオイルの製造方法。”である。
次に、本発明においては、さらに、核酸を混合して加熱すると一層チキン風味の付加又は増強が可能であることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
“さらに、核酸を混合して加熱する請求項1に記載のチキン風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
次に、前記糖類は、グルコースであることが好適である。すなわち、本願第三の発明は、“前記糖類がグルコースである請求項1又は2に記載のチキン風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
次に、本出願人は、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法により製造されるチキン風シーズニングオイル自体も意図している。
すなわち、本願第4の発明は、
“請求項1~3のいずれかに記載の製造方法より製造されるチキン風シーズニングオイル。”である。
さらに、本出願人は、請求項1~4のいずれかに記載のチキン風シーズニングオイルを含有する食品も意図している。
すなわち、本願第5の発明は、
“請求項1~3のいずれかに記載の方法により製造されるチキン風シーズニングオイルを含有する食品。”、である。
本発明のシーズニングオイルを利用することで、加工食品を始めとする各種食品にチキン風味を付与することができる。また、当該加工食品がチキン原料を使用する場合、当該チキン原料が本来有するチキン風味増強させることができる。
以下に、本発明を実施の形態に準じて詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
本願第一の発明は、
“糖類、シスチン及びマカダミア油を混合して加熱するチキン風シーズニングオイルの製造方法。”に関するものである。以下に本発明の内容を詳細に説明する。
─シスチン─
シスチンとは、シスチンは、2個の含硫黄アミノ酸であるシステイン分子がSH基の酸化によって生成するジスルフィド結合(SS)を介して繋がった構造を持つ分子である。
シスチンは、D体、L体のいずれでもよい。但し、天然に多く存在するL体を用いるのが一般的である。
また、本発明にいうシスチンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
─マカダミア油─
マカダミア油は、マカダミアの殻果から抽出される植物油である。尚、本発明においてはマカダミア油のみを利用してもよいが、当該マカダミア油を含むものであれば、これと他の油脂の混合油脂であってもよい。すなわち、コストや油脂の安定性の問題から、他の油脂と混合したものを利用してもよい。例えば、パーム油と組み合わせて混合し、当該混合油脂を利用する方法でもよい。
混合する食用油としては、種々のオイルを利用することができる。すなわち、植物油脂、動物油脂等の種々の食用オイルを使用することができる。より具体的には、植物油脂としては、パーム油、菜種油、米油、コーン油、オリーブ油、白絞油、ひまわり油等の種々の植物油脂が挙げられる。また、動物油脂としては、豚脂(ポークオイル)、牛脂(ビーフオイル)、鶏油(チキンオイル)等の種々のオイルを利用することができる。
マカダミア油と他の食用油との混合割合は特に限定されないが、混合後の油脂の全重量に対するマカダミア油の割合が0.3重量%以上あれば可能である。さらに、1重量%以上あるとさらに好ましい。最も好ましくは、2.4重量%以上である。尚、他の食用油を含まず、マカダミア油のみ(100重量%)であってもよいことは勿論である。
─糖類─
糖類としては、種々の糖類が利用可能である。例えば、グルコース、リボース、アラビノース、フルクトース、キシロース、ラムノース等の単糖や糖アルコール、また、ショ糖を初めとする二糖類やデキストリン等の多糖類を含めて種々の糖類を使用することができる。但し、これらの中でグルコースが好適である。
─糖類、シスチン、マカダミア油の混合割合─
本発明においては、シスチン、糖類、マカダミア油を混合するがこの混合割合は、以下のようになる。
すなわち、シスチン:糖類の混合割合の範囲は、10:1~1:50(重量比)が一般的である。さらに、1:1~1:10(重量比)の範囲が好ましい。
また、シスチン:油脂(マカダミア油を含む)の混合割合の範囲は、シスチン:油脂(マカダミア油を含む)が1:1~1:500(重量比)が一般的である。さらに、1:3~1:20(重量比)の範囲が好ましい。
─核酸─
本発明においては、さらに、核酸を混合して加熱することが好ましい。核酸としては、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸、シチジル酸等が挙げられる。また、本発明にいう核酸、イノシン酸、アデニル酸、グアニル酸、シチジル酸とはこれらのナトリウム塩、カリウム、カルシウム塩等の種々の塩類を含むものとする。
─核酸の混合割合─
本発明において核酸を使用する場合、この混合割合の範囲として、シスチン:核酸の範囲は、100:1~1:20(重量比)が一般的である。さらに、10:1~1:10(重量比)の範囲が好ましい。
─他の成分─
他の成分として、使用する食用オイルに対して、該食用オイルの劣化を防止する観点から、トコロフェロール、アスコルビン酸モノパルミテート、緑茶抽出物(カテキン)、ローズマリー抽出物等の抗酸化剤等を含有させることができる。
さらに、本発明のシーズニングオイルは所定の液体又は粉末スープの製造原料としてもよいことは勿論である。例えば、濃縮液体スープに添加しておくことで当該スープにチキン風味を付与したり、増強することが可能となる。
─加熱─
本発明においては、糖類、シスチン及びマカダミア油を混合した状態で加熱する。具体的な加熱方法としては、オートクレープや直火も可能である。また、加熱ニーダを利用することも可能である。
加熱温度としては、特に限定されないが、概ね90℃~160℃位の温度範囲が一般的
である。特に100℃~150℃位の温度範囲がより好ましい。さらに、好ましくは、1
10℃~140℃程度である。
加熱時間としては、低温度であれば長く、高温度であれば短くすることが好ましい。具
体的には、上記温度まで加熱し達温後5分~60分程度の加熱を行う。上述のようにオートクレープ等によって所定時間加熱することによって製造する。
─本発明のシーズニングオイルを添加する対象食品─
本発明のシーズニングオイルは、各種食品に添加して当該食品にチキン風味を付与又は増強することができる。特に加工食品に対して好適に利用することができる。より具体的には、即席麺やカップライス等の即席食品に好適に利用することができる。例えば、即席麺やカップライスの液体スープに利用したり、又は添付オイルとして利用することができる。例えば、スープの浮き油として用いることができる。これらを即席麺や即席スープの構成原料として利用することができる。
また、本発明で得られたチキン風シーズニングオイルの利用方法については、特に限定されず、例えば、これに香辛料や醤油や味噌のフレーバを加えたもの調味油として用いる方法が挙げられる。
さらに、即席麺やカップライス以外にも肉まんやシュウマイ、餃子等の惣菜系統に練り込んで風味付与に用いることもできる。これらの用途は適宜設定することができる。
以下の本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
[試験例1]糖類、シスチン及びマカダミア油等を加熱することによって製造されるシーズニングオイルのチキン風味付与効果について検討
アミノ酸としてシスチンと、植物油のマカダミア油、糖類等を混合し、加熱することによって製造されるシーズニングオイルのチキン風味の付与効果について調べた。
アミノ酸としては市販のシスチンを用いた。また、植物油としては市販のマカダミア油を用いた。また、試験の際には当該マカダミア油とパーム油(市販のタイプ)を混合したものを用いた。さらに、糖類としてはグルコースを利用した。さらに、核酸については、イノシン酸ナトリウムを用いた。
各試験区の配合(重量比)は表1に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、市販のオートクレープ機(アルプ株式会社製、型式MCS-3032L)にて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプル(シーズニングオイル)を調製した。
各試験区のサンプルについて官能評価を実施した。得られたサンプル(シーズニングオイル)についてその香りをベテランパネラー5名で評価することによって官能評価を行った。官能評価はチキン様の香り(チキン風味)の強弱を比較し、0~9までの10段階で評価した(0:チキン風味無し ⇔ 9:チキン風味強い)。官能評価の結果を表1の下段に示す。






Figure 2023165003000001
<結果>
グルコース、シスチン及びマカダミア油を混合したものを加熱することでチキン風味を呈するシーズニングオイルを製造できることを見出した。また、核酸であるイノシン酸を追加することでチキン風味の増強効果を有することを見出した。
[試験例2]油脂の差異によるチキン風味の付与効果について検討
糖類、シスチン及びマカダミア油を加熱することによって製造するシーズニングオイルによるチキン風味の付与効果について、油脂についてマカダミア油以外の油脂を使用した場合の効果について調べた。
各試験区の配合(重量比)は表2に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、オートクレープにて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプルを調製した。官能評価は試験例1の場合と同様である。
Figure 2023165003000002
<結果>
マカダミア油に代えて他の植物油脂を用いた場合、チキン風味を呈するものはほとんどなかった。
[試験例3]糖の差異によるチキン風味付与効果について検討
糖類、シスチン及びマカダミア油によるチキン風味の付与効果について、糖についてグルコース以外の糖を使用した場合の効果の差異について調べた。
各試験区の配合(重量比)は表3に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、オートクレープにて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプルを調製した。官能評価は試験例1の場合と同様である。
Figure 2023165003000003
<結果>
グルコースに代えて他の糖を用いた場合、グルコースと同様にチキン風味を呈するものが多かった。
[試験例4]アミノ酸の差異によるチキン風味の付与効果について検討
糖類、シスチン及びマカダミア油によるチキン風味の付与効果について、シスチンについて他のアミノ酸を使用した場合の効果の差異について調べた。
各試験区の配合(重量比)は表4に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、オートクレープにて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプルを調製した。官能評価は試験例1の場合と同様である。




Figure 2023165003000004
<結果>
シスチン以外の他のアミノ酸を利用した場合、得られたシーズニングオイルについてはチキン風味の付与効果はほとんど見られなかった。
[試験例5]核酸の種類の差異によるチキン風味付与効果について検討
糖類、シスチン及びマカダミア油に加えて核酸(イノシン酸ナトリウム)を添加することによってチキン風味の付与効果を増強させることが、試験例1の試験区1-8等において見出したが、当該核酸の種類を変えた場合の効果の差異について調べた。
各試験区の配合(重量比)は表5に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、オートクレープにて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプルを調製した。官能評価は試験例1の場合と同様である。














Figure 2023165003000005
<結果>
核酸については、イノシン酸ナトリウム、アデニル酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、シチジル酸ナトリウムのいずれの場合も大きな差異は見られず、チキン風味付与効果が見られた。
[試験例6]マカダミア油の量を変化させた場合のチキン風味付与効果について検討
糖類、シスチン、マカダミア油及びイノシン酸ナトリウムを含有し加熱することによってチキン風シーズニングオイルを製造することができるが、このうちマカダミア油の量を変化させることでチキン風味の付与効果の差異を調べた。
各試験区の配合(重量比)は表6に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、オートクレープにて125℃で、15分加熱することによって各試験区のサンプルを調製した。官能評価は試験例1の場合と同様である。
Figure 2023165003000006
<結果>
マカダミア油とパーム油を混合した油脂を利用する場合、パーム油:マカダミア油=91.12:0.56(≒163:1)程度以上マカダミア油の含量が多いと好ましいことが判明した。
すなわち、全油脂重量のうちの3重量%以上、マカダミア油を含有していれば好ましいことを見出した。

Claims (4)

  1. 糖類(ラムノース及びフルクトースを除く)、シスチン及び、マカダミア油を全油脂重量のうちの0.6重量%以上含む油脂、を混合して加熱するチキン風シーズニングオイルの製造方法。
  2. さらに、核酸を混合して加熱する請求項1に記載のチキン風シーズニングオイルの製造方法
  3. 前記糖類がグルコースである請求項1又は2に記載のチキン風シーズニングオイルの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の製造方法より製造されるチキン風シーズニングオイル。
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