JP2023163090A - 角形鋼管柱の継手接合工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】角形鋼管柱を、添え板と高力ボルトを用いて長さ方向に接合する場合において、高力ボルトの締付けは、角形鋼管柱の外面側から挿入した高力ボルト頭の回転で、柱内部にセットしているナットを回転させで、ナットを締付ける工法であって、接合強度の安定確保と、微小範囲でのボルト位置変化に対応できる角形鋼管柱の継手接合工法を提供する。【解決手段】角形鋼管柱の接合部領域の内面壁に、ナット保持盤を有する添え板を当接し、前記角形鋼柱の外面側から挿入した高力ボルトに、ナット保持盤に有するナットが螺合して添え板を固定する構造と、添え板に有するナット保持盤の構造においては、座金形状より大きめに切り抜き加工を複数施した座金拘束プレートと、ナット形状より大きめに切り抜き加工を複数施したナット拘束プレ-トを重合し、薄板鋼板を加工した弁当箱形状のナットカバーを、前記重合盤のナット拘束プレート側に組み合わせている。【選択図】図1
Description
本発明は、鉄骨構造建築に角形鋼管を柱材として用いて、特に、添え板と高力ボルトを用いて長さ方向に接合する構造に於いて、角形鋼管柱の外面側から挿入した高力ボルトを、接合領域内面壁に接している、添え板のナット保持盤に設けたナットが螺合する構造に関するものである。
従来から、一般的に鉄骨構造建築物の柱はH形鋼が用いられているが、近年は、柱に角形鋼管を用いた構造が多用されている。高層の建物を構築する場合は、道路の輸送制限により、建設現場で柱の接合が行われるが、H形鋼を用いる場合は断面が開断面のため、添え板と一般的な高力ボルトを用いて容易に接合が可能である。しかし、角形鋼管では閉断面のため、添え板と一般的な高力ボルトを用いて接合することは困難である。そこで、角形鋼管柱の接合方法として、一般的に、図5に示すような方法で施工が行われている。事前に、下側角形鋼管柱12の上端部の外面側にエレクションピ-ス13を設け、上側角形鋼管柱11の下端部の外面側にもエレクションピ-ス13を設けておいて、建方時に、上側柱と下側の角形鋼管柱外面に設けたエレクションピ-ス13の孔に仮ボルト14を通して、上下柱を繋ぎ、柱の出入の調整を行いながら、仮ボルト14を締めて、柱の相互間の仮固定を行い、角形鋼管柱の端部に加工されている開先に、溶接を施し、溶接終了後にエレクションピ-ス13を切断している。
このような従来の現場での溶接接合方法は、現場溶接を行う準備として、工場で柱の開先加工等多くの加工が必要になり、また、現場での溶接作業では、高い溶接技術と厳密な品質管理が不可欠で、作業に長時間を要している。さらに、風、雨、低温等に対する対策、例えば、足場による養生シ-ト張り等が必要であり、工期とコスト的に問題がある。
このような従来の現場での溶接接合方法は、現場溶接を行う準備として、工場で柱の開先加工等多くの加工が必要になり、また、現場での溶接作業では、高い溶接技術と厳密な品質管理が不可欠で、作業に長時間を要している。さらに、風、雨、低温等に対する対策、例えば、足場による養生シ-ト張り等が必要であり、工期とコスト的に問題がある。
次に、上記の溶接接合での問題を解消するために、現在、ボルト工法で行なう場合もある。例えば、図6に示すように、下側角形鋼管柱12と上側角形鋼管柱11のジョイント部に、繋ぎ板15(16)を角形鋼管柱の内側と外側に沿わせて、高力ワンサイドボルト17を用いて、繋ぎ板同士を結合する工法である。
このような高力ワンサイドボルトでの接合方法は、ボルト工法のため、工場での部品製作の削減やUT検査が不要となる利点はあるが、ボルトとして複雑な機構で高価であり、高力ワンサイドボルトを多量に使用することにより、高コストになっている。更に、施工性にも難点がある。例えば、下側角形鋼管柱12の接合領域に、繋ぎ板15(16)の半分が仮固定され、繋ぎ板15(16)の半分は、二列で不安定の状態で上部へ突き出ている。従って、建方時に、下側角形鋼管柱12に、上側の角形鋼管柱11を組み込む場合は、上柱角形鋼管下端の小口(切断面)を、下柱から突き出ている不安定な繋ぎ板15(16)の二列の間(隙間)に、四方同時に挿入する工法のため、施工に長時間を要する。また、角形鋼管柱の外側面の繋ぎ板16は、角形鋼管柱の外側面側に当接されており、外側繋ぎ板16による局部的な出っ張り部のため、柱の耐火材被覆など場合で、仕上げ材が厚くなり、コスト高になっている。
このような高力ワンサイドボルトでの接合方法は、ボルト工法のため、工場での部品製作の削減やUT検査が不要となる利点はあるが、ボルトとして複雑な機構で高価であり、高力ワンサイドボルトを多量に使用することにより、高コストになっている。更に、施工性にも難点がある。例えば、下側角形鋼管柱12の接合領域に、繋ぎ板15(16)の半分が仮固定され、繋ぎ板15(16)の半分は、二列で不安定の状態で上部へ突き出ている。従って、建方時に、下側角形鋼管柱12に、上側の角形鋼管柱11を組み込む場合は、上柱角形鋼管下端の小口(切断面)を、下柱から突き出ている不安定な繋ぎ板15(16)の二列の間(隙間)に、四方同時に挿入する工法のため、施工に長時間を要する。また、角形鋼管柱の外側面の繋ぎ板16は、角形鋼管柱の外側面側に当接されており、外側繋ぎ板16による局部的な出っ張り部のため、柱の耐火材被覆など場合で、仕上げ材が厚くなり、コスト高になっている。
次いで、溶接の問題を解消する角形鋼管柱の接合構造として、例えば、特許文献1に開示されている接合構造では、角形鋼管柱の内面側のみに一面摩擦用添板を当接して、角形鋼管柱の外側で、高力ボルトによる頭締めで、添板とナットによる出っ張り部を少なくした構造が開示されている。
しかし、一般にハイテンボルトのセットはナットを回転させて締め付けることが前提となっており、特許文献1に開示されている例では、所定の張力を得られない可能性がある。例えば、図1(b)に示すように、角形鋼管柱1b内側の上端部に、一面摩擦用添板2を当接して、高力ボルト3を、その角形鋼管柱1bの外側からボルト孔1o、2oを介して、予め設置しているナットホルダー4のナット5へ螺合・締結する方法である。従って、ナット8からの締め付けは不可能である。また、図9(b)、(a)に示すように、ナットホルダー4内部に設けているナット5と座金7の位置調整には難点がある。
しかし、一般にハイテンボルトのセットはナットを回転させて締め付けることが前提となっており、特許文献1に開示されている例では、所定の張力を得られない可能性がある。例えば、図1(b)に示すように、角形鋼管柱1b内側の上端部に、一面摩擦用添板2を当接して、高力ボルト3を、その角形鋼管柱1bの外側からボルト孔1o、2oを介して、予め設置しているナットホルダー4のナット5へ螺合・締結する方法である。従って、ナット8からの締め付けは不可能である。また、図9(b)、(a)に示すように、ナットホルダー4内部に設けているナット5と座金7の位置調整には難点がある。
本発明の解決すべき課題は、角形鋼管柱のボルト継手接合構法の場合において、角形鋼管柱の内壁面に、CT形鋼で接合強度を確保した添え板を当接し、一般的な高力ボルトを用いて、上述した従来の接合方法の問題点を解決することにあり、接合強度の安定確保とともに、角形鋼管柱の外面側から挿入した高力ボルトからの回転によるナット締め付けで、一定の微小範囲でボルトの位置変化に対応できるシステムを用いて、施工性を向上させて、接合部におけるコストの削減を目的としている。
上記課題を解決するための本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造は、角形鋼管柱を長さ方向に接合する場合で、角形鋼管柱に複数のボルト孔を設け、添え板と高力ボルトを用いて接合する構造において、角形鋼管柱の接合部領域の内面壁に当接して用いる添え板であって、長方形のプレ-トに、CT形鋼で接合強度を確保し、角形鋼管柱のボルト孔に合わせた複数のボルト孔を設けて、ナット保持盤を備えた添え板の下半部を、角形鋼管の上端部内面壁へ当接し、前記角形鋼管の外面側から挿入した高力ボルトと、ナット保持盤に有するナットで添え板を固定する下側角形鋼管柱であって、前記下側角形鋼管柱の内面壁から上部へ突き出ている添え板の外面側に、上側角形鋼管柱下端部の内面壁が当接して、前記上側角形鋼管柱の外面側から挿入する高力ボルトに、前記添え板に有するナットが螺合して締結することを特徴としている。
続いて、角形鋼管柱内面壁に接している、添え板のナット保持盤に設けたナットが移動する構造において、角形鋼管柱外面側から挿入する高力ボルトの面取り部分が、ナット保持盤に設けた、座金孔の下底に有している座金中孔の上側に接触し、面取りの勾配によって座金が上部へ微小に動くことにより、前記高力ボルトは、座金中孔を通過してナットのねじ穴の上部に当接する。当接された前記ナットも、面取りの勾配によって上部へ微小に動くとともに、ナット保持盤を形成している弁当箱形状のナットカバーの内面へ移動し当接して、高力ボルトを螺合した後、高力ボルトの回転を続けることにより、前記ナットは、前記高力ボルトの頭部方向へ、前記高力ボルトのねじ山沿いに移動し添え板に当接し、ナットからの締め付けにより、前記添え板が角形鋼管柱の内面壁に密着することを特徴としている。
上記のナット保持盤の構造において、ナット保持盤を形成している長方形のプレート面に、座金直径より大きい円形形状で複数の型抜きを施した座金拘束プレ-トと、前記座金拘束プレ-トと外形寸法が一回り小さいプレ-トで、ナット形状より大きめに切り抜き加工を複数施しているナット拘束プレ-トを重合し、薄板鋼板を加工した弁当箱形状のナットカバーを、前記重合盤のナット拘束プレ-ト側組み合わせて形成したナット保持盤を特徴としている。
続いて、角形鋼管柱内面壁に接している、添え板のナット保持盤に設けたナットが移動する構造において、角形鋼管柱外面側から挿入する高力ボルトの面取り部分が、ナット保持盤に設けた、座金孔の下底に有している座金中孔の上側に接触し、面取りの勾配によって座金が上部へ微小に動くことにより、前記高力ボルトは、座金中孔を通過してナットのねじ穴の上部に当接する。当接された前記ナットも、面取りの勾配によって上部へ微小に動くとともに、ナット保持盤を形成している弁当箱形状のナットカバーの内面へ移動し当接して、高力ボルトを螺合した後、高力ボルトの回転を続けることにより、前記ナットは、前記高力ボルトの頭部方向へ、前記高力ボルトのねじ山沿いに移動し添え板に当接し、ナットからの締め付けにより、前記添え板が角形鋼管柱の内面壁に密着することを特徴としている。
上記のナット保持盤の構造において、ナット保持盤を形成している長方形のプレート面に、座金直径より大きい円形形状で複数の型抜きを施した座金拘束プレ-トと、前記座金拘束プレ-トと外形寸法が一回り小さいプレ-トで、ナット形状より大きめに切り抜き加工を複数施しているナット拘束プレ-トを重合し、薄板鋼板を加工した弁当箱形状のナットカバーを、前記重合盤のナット拘束プレ-ト側組み合わせて形成したナット保持盤を特徴としている。
(A)本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造によれば、一般的にハイテンボルトの締め付けは、ナットを回転させて締め付けることが前提条件になっている。H形鋼柱での接合の場合は、柱断面が開断面のため、添え板と一般的な高力ボルトを用いて容易に接合ができる。しかし、角形鋼管柱の場合は、閉断面のため、鋼管内部から、ナットを回転させることは不可能である。本発明においては、角形鋼管柱の内面壁側に、ナットの回転と位置の微調整ができる、ナット保持盤を設けた添え板を当接し、一般的な高力ボルトを用いて、接合の施工性を向上させ、接合強度の安定確保とともにコスト削減ができる。
(B)本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造によれば、高力ボルトの頭回転によるナット締め工法である。工場でナット保持盤内部にセットしたナットと座金は、施工現場での角形鋼管柱の立設時には、下底に移動するが、高力ボルトの挿入時には、ナットと座金は、上部の所定のボルト軸芯線で作動する工法である。従って、極めて実用性の高い接合手段を得ることができる。
(C)本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造によれば、現在、角形鋼管柱のボルト継手接合の場合、高価な高力ワンサイドボルトを使用して高コストになっている。当工法では、一般的な高力ボルトを使用し、微小範囲でボルトの位置の変化に対応するシステムで、節減を可能にしている。また、柱接合部の外面側の添え板は不要なため、木質ハイブリッドビルには合理的な設計となる。
以下、図1~6に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造で、下側角形鋼管柱へ添え板を挿入する過程と、上側角形鋼管柱との接合する過程の一例を示す立体説明図面である。図2は継手接合構造の一例を示す図面であり、(a)は平断面図、(b)はA-A平断面図である。この例において、角形鋼菅柱1、下側角形鋼管柱1a、上側角形鋼管柱1b、添え板2、長方形プレート2a、CT形鋼2b、ナット保持盤3、ナットカバー3a、ナット拘束プレ-ト3b、座金拘束プレ-ト3c、ボルト孔4、ナット5、ねじ穴5a、ナット孔6、高力ボルト7、面取り7a、座金8、中孔8a、及び座金孔9から構成されている。以下、これに沿って説明する。
まず、下側角形鋼管柱1aと添え板2の結合方法を説明する。図1に示すように、添え板2を下側角形鋼管柱1aの内面壁へ挿入して、下側角形鋼管柱1a外面側から、高力ボルト7をボルト4に挿入し、添え板2に設けたナット保持盤3のナット5が高力ボルト7を螺合する仕組みになっている。
次に、角形鋼管柱1と添え板2のボルト孔4の位置関係について説明する。図2(a)に示すように、角形鋼管柱1の四方面でのボルト孔4の位置と、添え板2(プレート2a)のボルト孔4は同位置に設けており、CT形鋼2bのフランジ部と、ナット保持盤3のボルト孔4も同じ配置になっている。
続いて、ナット保持盤3の構成について説明する。図3(立体説明図)に示すように、ナット保持盤3は、ナットカバー3a、ナット拘束プレ-ト3b、及び座金拘束プレ-ト3cで構成されている。以下、これに沿って説明する。
まず、座金拘束プレ-ト3cについて説明する。座金拘束プレ-ト3cは、図3に示すように、長方形で所定寸法に加工したプレートに、座金8の形状より大きめの円形状の型抜加工を施した複数の座金孔9を設けて、図4に示すように、座金8より厚いプレートを用いている。
次に、ナット拘束プレ-ト3bについて説明する、ナット拘束プレ-ト3bは、図3に示すように、座金拘束プレ-ト3cより外形寸法は一回り小さいプレ-トで、図4(b)に示すように、座金拘束プレ-ト3cより厚い板厚を用いて、ナット5の形状より大きめのナット孔6を複数加工している。
次いで、ナットカバー3aについて説明する、ナットカバー3aは、図3に示すように、ナット拘束プレ-ト3bのプレ-ト寸法に合わせて、鋼板(薄板)を弁当箱形状に加工を行い、ボルト孔4の複数加工を施している。
まず、座金拘束プレ-ト3cについて説明する。座金拘束プレ-ト3cは、図3に示すように、長方形で所定寸法に加工したプレートに、座金8の形状より大きめの円形状の型抜加工を施した複数の座金孔9を設けて、図4に示すように、座金8より厚いプレートを用いている。
次に、ナット拘束プレ-ト3bについて説明する、ナット拘束プレ-ト3bは、図3に示すように、座金拘束プレ-ト3cより外形寸法は一回り小さいプレ-トで、図4(b)に示すように、座金拘束プレ-ト3cより厚い板厚を用いて、ナット5の形状より大きめのナット孔6を複数加工している。
次いで、ナットカバー3aについて説明する、ナットカバー3aは、図3に示すように、ナット拘束プレ-ト3bのプレ-ト寸法に合わせて、鋼板(薄板)を弁当箱形状に加工を行い、ボルト孔4の複数加工を施している。
次いで、前述したナット保持盤3の各部品の接合構造について説明する。図3に示すのは、各部品の組立時の立体説明図である。まず、座金拘束プレ-ト3cとナット拘束プレ-ト3bを重ねて、その合わせ目に溶接を施して重合盤を製作する。続いて、その重合盤のナット拘束プレ-ト3bの側面に、ナットカバー3aの側面を合わせて、溶接で固定し、ナット保持盤3を形成している。
続いて、ナット保持盤3におけるナットの締め付け手順例を図4に基づき説明する。
(1)図4(a)に示すように、角形鋼管柱1のボルト孔4に挿入した高力ボルト7の面取り7a部分が、座金孔9の下底に有している座金8の中孔8a上側に接触する。接触された座金8は、面取り7aの勾配によって上部へ微小に動くため、高力ボルト7の座金中孔8aの通過が可能になる。
(2)図4(b)に示すように、座金内孔8aを通過した高力ボルト7の面取り7部分が、ナット孔6の下底に有しているナット5のねじ穴5aに接触する。接触されたナット5は、面取り7aの勾配よって上部へ微小に移動する。
(3)図4(c)に示すように、上部へ微小に動いたナット5は、ナット保持盤を形成している弁当箱形状のナットカバー3aの内面へ移動・当接して、高力ボルト7を螺合する。
(4)高力ボルト7を螺合したナット5は、六角形状のナット孔6の直線部分とナット5の角が接触して半固定状態になっており、図4(d)に示すように、高力ボルト7の回転を続けることにより、高力ボルト7のねじ山沿いに、高力ボルト7の頭部側へ移動して、座金8に当接して、当接されたら座金8は、添え板2のCT形鋼2bのフランジ面に当接する。従って、高力ボルト7の回転によるナット5からの締め付けでもって、高力ボルト7の軸部に引張力が発生して、その力で添え板2が角形鋼管柱1の内面壁に密着し、大きな軸力(張力)を得ることになる。また、図4(d)に示すように、ナット孔6は、ナット5より一回り大きい形状に加工を施し、座金孔9に於いても、座金8の直径より大きい円形形状に型抜加工を施して、縦・横等の空間を確保しており、ナット5と座金8は、全方向(上下左右)に、微小範囲の移動が得られる構造になっている。
(1)図4(a)に示すように、角形鋼管柱1のボルト孔4に挿入した高力ボルト7の面取り7a部分が、座金孔9の下底に有している座金8の中孔8a上側に接触する。接触された座金8は、面取り7aの勾配によって上部へ微小に動くため、高力ボルト7の座金中孔8aの通過が可能になる。
(2)図4(b)に示すように、座金内孔8aを通過した高力ボルト7の面取り7部分が、ナット孔6の下底に有しているナット5のねじ穴5aに接触する。接触されたナット5は、面取り7aの勾配よって上部へ微小に移動する。
(3)図4(c)に示すように、上部へ微小に動いたナット5は、ナット保持盤を形成している弁当箱形状のナットカバー3aの内面へ移動・当接して、高力ボルト7を螺合する。
(4)高力ボルト7を螺合したナット5は、六角形状のナット孔6の直線部分とナット5の角が接触して半固定状態になっており、図4(d)に示すように、高力ボルト7の回転を続けることにより、高力ボルト7のねじ山沿いに、高力ボルト7の頭部側へ移動して、座金8に当接して、当接されたら座金8は、添え板2のCT形鋼2bのフランジ面に当接する。従って、高力ボルト7の回転によるナット5からの締め付けでもって、高力ボルト7の軸部に引張力が発生して、その力で添え板2が角形鋼管柱1の内面壁に密着し、大きな軸力(張力)を得ることになる。また、図4(d)に示すように、ナット孔6は、ナット5より一回り大きい形状に加工を施し、座金孔9に於いても、座金8の直径より大きい円形形状に型抜加工を施して、縦・横等の空間を確保しており、ナット5と座金8は、全方向(上下左右)に、微小範囲の移動が得られる構造になっている。
以下に実施例として、下側角形鋼管柱1aと上側角形鋼管柱1bの接合方法を図1~図2に基づき施工手順を説明する。
まず、工場において、図2に示すように、添え板2とナット保持盤3の組み合わせについて説明する。添え板2の長方形プレ-ト2aと、CT形鋼2bのフランジ部、及びナット保持盤3に、角形鋼管柱1のボルト孔4と同じピッチで、ボルト孔4の加工を施して、長方形プレート2aにCT形鋼2bのフランジ外面側を合わせて、溶接で固定して添え板2を製作する。次に、そのCT形鋼2bのフランジの内面側に、ナット5と座金8をセットしたナット保持盤3を組込み、溶接で固定している。
次いで、施工現場において、まず、地盤上で、図1に示すように、下側角形鋼管柱1aの上端内面壁に、添え板2の下半部を挿入し、前記角形鋼管柱1aの外面側から挿入した高力ボルト7と、ナット保持盤3のナット5で添え板を固定した下側角形鋼管柱1aを、所定位置に立設する。次に、図1に示すように、下側角形鋼管柱1aの内部から上部へ突き出ている添え板2の外側面と、上側角形鋼管柱1bの下端部の内面壁を摺り合わせて、下側へスライドしながら、上側角形鋼管柱1bの建て入れを行う。次いで、上側角形鋼管柱1bの外面側から挿入した高力ボルト7に、添え板2に設けたナット保持盤3のナット5が螺合し、下側角形鋼管柱1aと上側角形鋼管柱1bが接合されて、本発明の角形鋼管柱の継手接合構造となっている。
尚、ナット保持盤内部にセットしたナット5と座金8は、立柱時に下底側に移動するが、高力ボルト7の挿入時には、所定のボルト軸芯線で、高力ボルトの締め付け施工ができるようになっている。
まず、工場において、図2に示すように、添え板2とナット保持盤3の組み合わせについて説明する。添え板2の長方形プレ-ト2aと、CT形鋼2bのフランジ部、及びナット保持盤3に、角形鋼管柱1のボルト孔4と同じピッチで、ボルト孔4の加工を施して、長方形プレート2aにCT形鋼2bのフランジ外面側を合わせて、溶接で固定して添え板2を製作する。次に、そのCT形鋼2bのフランジの内面側に、ナット5と座金8をセットしたナット保持盤3を組込み、溶接で固定している。
次いで、施工現場において、まず、地盤上で、図1に示すように、下側角形鋼管柱1aの上端内面壁に、添え板2の下半部を挿入し、前記角形鋼管柱1aの外面側から挿入した高力ボルト7と、ナット保持盤3のナット5で添え板を固定した下側角形鋼管柱1aを、所定位置に立設する。次に、図1に示すように、下側角形鋼管柱1aの内部から上部へ突き出ている添え板2の外側面と、上側角形鋼管柱1bの下端部の内面壁を摺り合わせて、下側へスライドしながら、上側角形鋼管柱1bの建て入れを行う。次いで、上側角形鋼管柱1bの外面側から挿入した高力ボルト7に、添え板2に設けたナット保持盤3のナット5が螺合し、下側角形鋼管柱1aと上側角形鋼管柱1bが接合されて、本発明の角形鋼管柱の継手接合構造となっている。
尚、ナット保持盤内部にセットしたナット5と座金8は、立柱時に下底側に移動するが、高力ボルト7の挿入時には、所定のボルト軸芯線で、高力ボルトの締め付け施工ができるようになっている。
以上説明したように本発明に係る角形鋼管柱の継手接合構造において、柱の外面側から挿入した高力ボルトを、柱内部のナットが螺合する方法である。従って、ボルト締結の時間が短縮されて、接合の施工性が高まり、施工コストの節減ができる。さらに、一般的な高力ボルトを用いており、高価な高力ワンサイドボルトを用いることなく、節減を可能にしている。また、現在、開発途上にある、木質ハイブリッド耐火ビルの躯体に、角形鋼管を用いることにより、合理的な設計が可能になる。従って、建設業界での社会に与える効用は極めて大きい。
1 角形鋼管柱 1a下側角形鋼管柱、1b上側角形鋼管柱
2 添え板
2a 長方形プレート
2b CT形鋼
3 ナット保持盤
3a ナットカバー
3b ナット拘束プレ-ト
3c 座金拘束プレ-ト
4 ボルト孔、
5 ナット
5a ねじ穴
6 ナット孔
7 高力ボルト
7a 面取り
8 座金
8a 中孔
9 座金孔
11 上側角形鋼管柱
12 下側角形鋼管柱
13 エレクションピ-ス
14 仮ボルト
15 繋ぎ板(内側)
16 繋ぎ板(外側)
17 ワンサイドボルト
2 添え板
2a 長方形プレート
2b CT形鋼
3 ナット保持盤
3a ナットカバー
3b ナット拘束プレ-ト
3c 座金拘束プレ-ト
4 ボルト孔、
5 ナット
5a ねじ穴
6 ナット孔
7 高力ボルト
7a 面取り
8 座金
8a 中孔
9 座金孔
11 上側角形鋼管柱
12 下側角形鋼管柱
13 エレクションピ-ス
14 仮ボルト
15 繋ぎ板(内側)
16 繋ぎ板(外側)
17 ワンサイドボルト
Claims (3)
- 角形鋼管柱を長さ方向に接合する場合で、角形鋼管柱に複数のボルト孔を設け、添え板と高力ボルトを用いて接合する構造において、角形鋼管柱の接合部領域の内面壁に当接して用いる添え板にあって、長方形のプレ-トに、CT形鋼で接合強度を確保し、角形鋼管柱のボルト孔に合わせた複数のボルト孔を設けて、ナット保持盤を備えた添え板の下半部を、角形鋼管の上端内面壁へ当接し、前記角形鋼管の外面側から挿入した高力ボルトと、ナット保持盤に有するナットで添え板を固定する下側角形鋼管柱であって、前記下側角形鋼管柱の内面壁から上部へ突き出ている添え板の外面側に、上側角形鋼管柱下端部の内面壁が当接し、前記上側角形鋼管柱の外面側から挿入する高力ボルトに、前記添え板に設けた、ナット保持盤に有するナットが螺合して締結することを特徴とする角形鋼管柱の継手接合構造。
- 角形鋼管柱内面壁に接している、添え板のナット保持盤に設けたナットが移動する構造において、角形鋼管柱の外面側から挿入する高力ボルトの面取り部分が、ナット保持盤に設けた、座金孔の下底に有している座金中孔の上側に接触し、面取りの勾配よって、座金が上部へ微小に動くことにより、前記高力ボルトは、座金中孔を通過してナットのねじ穴上部に当接する。当接された前記ナットも、面取りの勾配によって上部へ微小に動くとともに、ナット保持盤を形成している弁当箱形状のナットカバーの内面へ移動し当接して、高力ボルトを螺合した後、高力ボルトの回転を続けることにより、前記ナットは、前記高力ボルトの頭部方向へ、高力ボルトのねじ山沿いに移動し添え板に当接し、ナットからの締め付けにより、前記添え板が、角形鋼管柱の内面壁に密着することを特徴とする請求項1記載の角形鋼管柱の継手接合構造。
- 前記ナット保持盤の構造において、ナット保持盤を形成している長方形のプレ-ト面に、座金形状より大きめに複数の型抜きを施した座金拘束プレ-トと、前記座金拘束プレ-トより外形が一回り小さいプレ-トで、ナット形状より大きめに切り抜き加工を複数施したナット拘束プレ-トを重合し、薄板鋼板を加工した弁当箱形状のナットカバーを、前記重合盤のナット拘束プレ-ト側に組み合わせて形成した、ナット保持盤を特徴とする請求項1又は2記載の角形鋼管柱の継手接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022081905A JP2023163090A (ja) | 2022-04-27 | 2022-04-27 | 角形鋼管柱の継手接合工法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2023163090A true JP2023163090A (ja) | 2023-11-09 |
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Family Applications (1)
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JP2022081905A Pending JP2023163090A (ja) | 2022-04-27 | 2022-04-27 | 角形鋼管柱の継手接合工法 |
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JP (1) | JP2023163090A (ja) |
-
2022
- 2022-04-27 JP JP2022081905A patent/JP2023163090A/ja active Pending
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