JP2023162108A - 樹脂封止型半導体装置及び電力変換装置 - Google Patents

樹脂封止型半導体装置及び電力変換装置 Download PDF

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裕充 山下
Hiromitsu Yamashita
昌和 谷
Masakazu Tani
陽 田中
Yo Tanaka
隆一 石井
Ryuichi Ishii
浩次 山崎
Hiroji Yamazaki
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Abstract

【課題】パワーモジュール自体が焼損することを防止する。
【解決手段】第2の接合材4により半導体素子2の上側の面に接合された第2のリードフレーム6と、第2の接合材4により半導体素子1の上側の面に接合された第3のリードフレーム7と、これら全体を封止するモールド樹脂10を有し、第2の接合材4の液相線温度がモールド樹脂10の発煙または発火に至る温度よりも低くなるように設定し、かつ第2の接合材4が溶融する時に、第2の接合材4がヒートスプレッダー3、16と半導体素子1、2を接合するための第1の接合材13と結合できるように第2の接合材4の量を実装する。
【選択図】図2

Description

本願は、樹脂封止型半導体装置及び電力変換装置に関するものである。
電力用半導体素子を実装した半導体装置では、近年大容量化が進んでいる。電力用半導体素子に大電流を流すためには、半導体素子に発生する熱を、接続するために使用される半田などにより効率よく放散させる必要がある。また、半導体素子のON/OFFに起因する温度サイクルによる破損のみを防止する構造があった。
従来の電力用半導体モジュールとしては、リード端子と半導体素子とを接合するリード端子下はんだの0.2%耐力が、半導体素子と絶縁基板とを接合する半導体素子下はんだの0.2%耐力よりも低くしたものがあった。これにより半導体素子の表面電極にかかるストレスを低減し、ヒートサイクルに対する信頼性の向上を図るようにしていた。
特許第6750263号
近年の半導体装置における小型化並びに高出力化の需要により、モジュール内部の半導体素子がヒートサイクル等に起因して破損した場合、半導体素子の電気抵抗値が上昇し、半導体素子が定格温度を超えて発熱し、半導体素子の温度が封止樹脂の発煙または発火に至る温度に到達し、モジュール自体が発煙並びに発火する可能性があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、半導体素子がヒートサイクル等に起因して電気抵抗値が増加した場合でも、放熱することで耐える構造にし、放熱が追い付かずに耐えられなくなった際には、半導体素子の上下で回路を短絡させることにより、それ以上の発熱を抑制させ、パワーモジュール自体が焼損することを防止することを目的とする。
本願に開示される樹脂封止型半導体装置は、
第1の接合材によりヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されている半導体素子と、
第2の接合材により前記半導体素子の第1方向上側の面に接合されたリードフレームと、
前記半導体素子と、前記ヒートスプレッダーと、前記リードフレームを封止するモールド樹脂を有するものであって、
前記第2の接合材の液相線温度が前記モールド樹脂における予め設定された温度よりも低くなるように設定し、かつ前記第2の接合材が溶融する時に、前記第2の接合材が前記第1の接合材と結合できるように前記第2の接合材の量を実装するものである。
又本願に開示される電力変換装置は、前記第2のリードフレームが隣接する平滑コンデンサの底面まで延びているものである。
本願に開示される樹脂封止型半導体装置及び電力変換装置によれば、パワーモジュール自体が焼損することを防止することができる。
実施の形態1による樹脂封止型半導体装置の平面図である。 図1におけるA-A線断面図である。 図2におけるB部拡大断面図である。 図2におけるC部拡大断面図である。 実施の形態1による樹脂封止型半導体装置と隣接する平滑コンデンサとの接続状態を示す断面図である。 実施の形態1による樹脂封止型半導体装置と隣接する平滑コンデンサとの接続状態を示す平面図である。 実施の形態1による樹脂封止型半導体装置と隣接する平滑コンデンサとの接続状態を示す回路図である。
実施の形態1.
本実施の形態は、モールド樹脂で封止してなる樹脂封止型半導体装置に関するものであり、特にその構造及び実装方法に関するものである。
まず、樹脂封止型半導体装置の構成について説明する。図1は本実施の形態による樹脂封止型半導体装置の平面図、図2は図1におけるA-A線断面図である。図2において、装置の垂直方向を第1方向とし、第1方向に対して垂直な方向である水平方向を第2方向とする。そして装置の垂直方向において上側に位置する場合を第1方向上側とし、装置の垂直方向において下側に位置する場合を第1方向下側とする。更に図3は図2におけるB部拡大断面図であり、図4は図2におけるC部拡大断面図である。図5は樹脂封止型半導体装置と隣接する平滑コンデンサとの接続状態を示す断面図であり、図6は同じく平面図である。更に図7は樹脂封止型半導体装置と隣接する平滑コンデンサとの接続状態を示す回路図であり、以下に示すパワーモジュールを備えた電力変換装置を示す回路図である。
樹脂封止型半導体装置は、パワーモジュール100と、冷却器12を備えている。冷却器12の第1方向上側の面には、パワーモジュール100がモジュール接合材11により接合されている。冷却器12におけるパワーモジュール100の実装面と対向する面、即ち冷却器12の第1方向下側の面には、図示しない複数の放熱フィンが設けられている。尚冷却器12は、金属製の平板状のヒートシンクにより構成されているが、たとえば内部に冷却液を通流させる流路を備えた液冷式の冷却器であってもよい。
パワーモジュール100は、半導体素子1(第1半導体素子)と、半導体素子2(第2半導体素子)を有する。又パワーモジュール100は、第1のヒートスプレッダー3と、第2のヒートスプレッダー16と、半導体素子上側接合材(第2の接合材)4と、第1のリードフレーム5と、第2のリードフレーム6と、第3のリードフレーム7と、第4のリードフレーム17と、制御端子18と、ボンディングワイヤ19と、絶縁層8と、銅板9と、モールド樹脂10と、半導体素子下側接合材(第1の接合材)13を備えている。
半導体素子1は、半導体素子下側接合材13により第1のヒートスプレッダー3の第1方向上側の面に接合されている。半導体素子2は、半導体素子下側接合材13により第2のヒートスプレッダー16の第1方向上側の面に接合されている。そして半導体素子1、2の第1方向上側がソース電極であり、下側がドレイン電極である。第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16の第1方向下側の面は、絶縁層8を介して銅板9の第1方向上側の面に固定されている。銅板9の第1方向下側の面は、パワーモジュール100のモールド樹脂10の第1方向下側の面から露出しており、モジュール接合材11により冷却器12の第1方向上側の面に接合されている。これにより、パワーモジュール100と冷却器12とが一体に接合され、樹脂封止型半導体装置が構成されている。
出力端子となる第1のリードフレーム5は、図示しないリード接合材により第2のヒートスプレッダー16の第1方向上側の面に接合されている。又第4のリードフレーム17は、図示しないリード接合材により第1のヒートスプレッダー3の第1方向上側の面に接合されている。リード接合材は、第2のヒートスプレッダー16と第1のリードフレーム5、および第1のヒートスプレッダー3と第4のリードフレーム17との間の電気的導通を確保するために、半田接合材による接合、もしくは超音波による金属接合などにより形成されている。これにより第1のヒートスプレッダー3と第4のリードフレーム17、および第2のヒートスプレッダー16と第1のリードフレーム5を一体に接合している。
第2のリードフレーム6は、半導体素子上側接合材4(第2の接合材)により半導体素子2のソース電極(半導体素子2の第1方向上側の面)に接合され、第3のリードフレーム7は第2のヒートスプレッダー16に接合されるとともに、半導体素子上側接合材4により半導体素子1のソース電極(半導体素子1の第1方向上側の面)に接合されている。また、半導体素子上側接合材4は、以下に示すようにモールド樹脂10が発煙または発火に至る前に溶融する時に、半導体素子下側接合材(第1の接合剤)13と結合することができるように100μm以上の厚さを有するように構成されている。更に半導体素子上側接合材4の液相線温度は、モールド樹脂10の発煙または発火に至る温度(予め設定された温度)よりも低くなるようにしている。このように構成することにより、半導体素子1、2がヒートサイクルなどによる劣化又は破損などにより電気抵抗値が上昇し、設計温度を超えた際には、モールド樹脂10が発煙または発火に至る前に、半導体素子上側接合材4がその液相線温度を超え、半導体素子上側接合材4が溶融し、半導体素子上側接合材4が半導体素子下側接合材13と短絡することにより、パワーモジュール100が焼損することを防止する。
更に図7において、電力変換装置は、直流電源101及びモータ106を有している。そして直流電源101はパワーモジュールに加わる直流電圧を平滑化するための平滑コンデンサ102に接続され、平滑コンデンサ102の後段には、スイッチング素子103a、103bが直列接続されたU相アーム103、スイッチング素子104a、104bが直列接続されたV相アーム104、スイッチング素子105a、105bが直列接続されたW相アーム105からなる三相インバータ回路が接続される。ここでスイッチング素子103a、104a、105aは図1、図2に示された半導体素子1に該当し、スイッチング素子103b、104b、105bは図1、図2に示された半導体素子2に該当する。又U相アーム103、V相アーム104、W相アーム105はそれぞれ樹脂封止型半導体装置を構成している。この三相インバータ回路の後段にモータ106が接続される。そして、各相アーム103~105のスイッチング素子103a~105bを所定の順番でオン、オフ制御して、三相の交流電流を生成し、モータ106を駆動している。
そして半導体素子1、2がヒートサイクルなどにより電気抵抗値が上昇し、設計温度を超えた際には、モールド樹脂10が発煙または発火に至る前に、半導体素子上側接合材4が液相線温度を超え、半導体素子上側接合材4が溶融し、半導体素子下側接合材13と短絡することにより(図7の107で示される短絡回路)パワーモジュール100自体が焼損することを防止する。即ち半導体素子1、2と第2のリードフレーム6および第3のリードフレーム7を接合する第2の接合材4の液相線温度と、パワーモジュール100のモールド樹脂10の発煙または発火に至る温度とを比較した場合に、第2の接合材4の液相線温度がモールド樹脂10の発煙または発火に至る温度よりも低くなるようにし、かつ第2の接合材4が溶融する時に、第1の接合材13と結合できるような量が実装されるようにしたものである。
モールド樹脂10は、半導体素子1、2と、第1のヒートスプレッダー3と、第2のヒートスプレッダー16と、半導体素子下側接合材13と、第1のリードフレーム5の一部と、半導体素子上側接合材4と、第2のリードフレーム6の一部と、第3のリードフレーム7と、第4のリードフレーム17の一部と、制御端子18の一部と、ボンディングワイヤ19と、絶縁層8と、銅板9の一部を内包して、これらを外部から封止するように構成されている。
以上のように構成された樹脂封止型半導体装置において、半導体素子1、2が動作した際に発生する熱は、半導体素子下側接合材13、第1のヒートスプレッダー3又は第2のヒートスプレッダー16、絶縁層8、銅板9、モジュール接合材11を介して、冷却器12から放熱される。更に第2のリードフレーム6を介して平滑コンデンサ102の底面23aから放熱される。図5、図6において、平滑コンデンサ102は、コンデンサケース21、ポッティング部22、コンデンサ素子23より構成されており、図5に示すように、第2のリードフレーム6は隣接する平滑コンデンサ102の底面まで延びており、第2のリードフレーム6を介して平滑コンデンサ102の底面から放熱されるようになっている。
更に半導体素子1および半導体素子2の間で熱的不平衡が発生した場合、例えば半導体素子1の温度の方が高いような場合には、高温側から低温側に向けて半導体素子上側接合材4、第3のリードフレーム7、第2のヒートスプレッダー16、絶縁層8、銅板9、モジュール接合材11を介して冷却器12から放熱される。
放熱の際に半導体素子間において熱的不均衡が発生すると、半導体素子の抵抗値などの性能に差が発生する。このような熱的不均衡を発生しにくくするためには、図1に示すように、半導体素子1と接続する第1のヒートスプレッダー3と、半導体素子2と接続する第2のヒートスプレッダー16は同じ幅を持ち、かつ同じ厚さを有することが望ましい。
パワーモジュール100における半導体素子1、2はIGBT(INSULATED GATE BIOLAR TRANSISTOR)、あるいはMOSFET(METAL OXIDE SEMICONDUCTOR FIELD EFFECT TRANSISTOR)のような半導体スイッチング素子により構成されている。IGBTは、負荷に大電流を流して駆動させる素子である。半導体素子1、2は、たとえばシリコン(Si)により形成されていることが好ましいが、シリコンに限定されるものではない。たとえば半導体素子1、2を構成する半導体チップが、炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム系材料(たとえば窒化ガリウム(GaN))、及びダイヤモンドからなるグループのうちの少なくともいずれか1つの材料により形成されていればより好ましい。
半導体素子1、2は、シリコンに比べてバンドギャップの広い、いわゆるワイドバンドギャップ半導体材料である。このようなワイドバンドギャップ半導体材料を用いて形成された半導体素子1および2は、MOSFETなどのシリコン半導体材料を用いた半導体素子に比べて、高温での動作に適用することができる。すなわち、ワイドバンドギャップ半導体材料は、大電流を流すことに適している半導体材料である。
半導体素子1、2の表面部としての能動面の電極(ソース電極)には、N側入力端子となる第2のリードフレーム6および第3のリードフレーム7が、半導体素子上側接合材4を介して接合されている。このとき、半導体素子上側接合材4をSnとSbによって構成させ、Sbを5質量%以上含有したものを用いることで融点を高くさせ、パワーモジュール100を冷却器12に実装する際のリフロー過程において、半導体素子上側接合材4が溶融し、膨張することによりモールド樹脂10にクラックを発生させたり、又半導体素子下側接合材13と短絡すること等を防ぎ、パワーモジュール100が破損することを防止している。
第1のヒートスプレッダー3、第2のヒートスプレッダー16、第1のリードフレーム5、第2のリードフレーム6、および第3のリードフレーム7には、導電性のよい金属が用いられる。導電性の良い金属の中でも、銅材が電気抵抗、加工性、コストなどの点から最適である。ここで銅材とは、純銅もしくは銅を主成分とする銅合金のことをいう。
パワーモジュール100全体は、モールド樹脂10により封止されている。モールド樹脂10としては、線膨張係数の不一致により生じる熱変形力が大きくならないように、第1のヒートスプレッダー3、第2のヒートスプレッダー16、第1のリードフレーム5、第2のリードフレーム6、および第3のリードフレーム7の線膨張係数に近い線膨張係数を備えた樹脂を用いるのが好ましい。そして純銅の線膨張係数が16(ppm/K)から17(ppm/K)であるので、モールド樹脂10の線膨張係数も15(ppm/K)から18(ppm/K)であるのが望ましい。ただし、半導体素子1、2の動作時における発熱、又はモジュール実装時における過熱に耐えるために、モールド樹脂10のガラス転移温度は170℃以上を確保する必要がある。ここで一般的な封止樹脂のガラス転移温度は170℃である。
絶縁層8は、電気的絶縁性を確保しつつ、半導体素子1、2が動作した際に発生する熱を冷却器12に伝達して放散させることが求められる。絶縁層8は、熱硬化性樹脂に、熱伝導性の大きな絶縁性の無機充填材としての無機フィラーを充填したものを用い、樹脂の熱硬化反応により、第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16と銅板9とを接着することが望ましい。他に、絶縁層8として、セラミックの絶縁体を使用し、このセラミックの絶縁体と第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16をろう材、接着剤等により接合するとともに、このセラミックの絶縁体と銅板9をろう材、接着剤等により接合するようにしても良い。
パワーモジュール100は、半導体素子1、2の動作時に発生する熱を放散させるために、図示しない放熱フィンを備えた冷却器12にモジュール接合材11を介して接合されている。高い冷却性能が求められる冷却器12としては、水冷式、空冷式のいずれであってもよい。冷却器12は、銅、アルミニウム、銅またはアルミニウムの合金からなるグループより選択される少なくともいずれか1つにより形成されていることが好ましい。なかでも冷却器12の材質としては、軽量でかつ加工性に優れたアルミニウム、又はアルミニウム合金が好ましい。
また、パワーモジュール100をモジュール接合材11により冷却器12に半田接合するために、冷却器12の接合部には高い半田濡れ性が求められる。冷却器12の本体を銅とするか、又はアルミニウムの場合は、表面を銅メッキするのが好ましい。また、銅メッキを施す際には、アルミニウムに直接銅メッキを施すのではなく、メッキ密着性と表面の濡れ性を向上させるため、下地メッキとしてニッケルメッキを施すのが好ましい。
実施の形態2.
次に樹脂封止型半導体装置の製造方法について説明する。まずダイボンディング工程において、スイッチング素子としての半導体素子1を、第1のヒートスプレッダー3の第1方向上側の面の上に半導体素子下側接合材13を介して接合するとともに、スイッチング素子としての半導体素子2を、第2のヒートスプレッダー16の第1方向上側の面の上に半導体素子下側接合材13を介して接合し、半導体素子1と半導体素子2は互いに間隔をあけて接合される。スイッチング素子としての半導体素子1、2は、たとえば炭化ケイ素(SiC)により形成された半導体チップが用いられる。半導体素子下側接合材13は、たとえば熱伝導率、導電性及び剛性が高い銀を主成分とする焼結性フィラーを用いることが考えられるが、半田接合材、並びに銀を主成分とするろう材などの接合材を用いても良い。これらの接合材は、熱伝導性、導電性および剛性が高い接合材料である。
次に第1リフロー工程において、出力端子となる第1のリードフレーム5を、図示しないリード接合材を用いて第2のヒートスプレッダー16の端部面に接合し、P側入力端子となる第4のリードフレーム17を第1のヒートスプレッダー3の表面に接合する。また主端子となる第2のリードフレーム6を、半導体素子上側接合材4を介して半導体素子2の能動面に接合し、第3のリードフレーム7を半導体素子上側接合材4を介して半導体素子1の能動面に接合する。また半導体素子1、2の能動面と制御端子18をボンディングワイヤ19により接合する。
第2のヒートスプレッダー16と第1のリードフレーム5、および第1のヒートスプレッダー3と第4のリードフレーム17を接続するためには、半田接合材からなる図示しないリード接合材を用いる。但しそれ以外の超音波接合、溶接などの接合方法を用いてもよい。半導体素子2と第2のリードフレーム6、および半導体素子1と第3のリードフレーム7を接合するためには、厚みが一定であるリボンハンダからなる半導体素子上側接合材4を用いる。図示しないリード接合材と半導体素子上側接合材4としては、パワーモジュール100をモジュール接合材11により半田接合する第2リフロー工程における温度下でも再溶融しない融点が高い半田を用いる必要があり、SnとSbを含有し、Sbは5質量%以上含有させるものを用いる。そして半導体素子上側接合材4としてはPbの含有率が0.1質量%以下のPbフリーの半田を用い、かつSnとSbを含有させた半田を用いる。又半導体素子上側接合材4の組成として、Sbを5質量%以上含有させてもよい。
次にトランスファー成形工程において、半導体素子1、2と、第1のヒートスプレッダー3と、第2のヒートスプレッダー16と、半導体素子下側接合材13と、第1のリードフレーム5の一部と、図示しないリード接合材と、第2のリードフレーム6の一部と、第3のリードフレーム7と、第4のリードフレーム17の一部と、制御端子18の一部と、ボンディングワイヤ19と、半導体素子上側接合材4と、絶縁層8と、銅板9の一部分の周囲を熱硬化性樹脂からなるモールド樹脂10により封止する。このとき銅板9は、絶縁層8が接合されている面とは反対側の面をモールド樹脂10から露出するように成型される。
ここで絶縁層8としては、放熱性、絶縁性並びに接着性を有する材料により構成されることが望ましく、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の中に熱伝導性の高いセラミック粒子などの無機粉末充填材が含有された構成を有することが考えられるが、セラミックのみで構成された絶縁体等であってもよい。
モールド樹脂10はトランスファー型モールド樹脂である。そしてモールド樹脂10としては、熱伝導性が高いことは不要であるため、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の中に含有される無機充填材は、熱硬化性樹脂に含有させた際に流動性がよく、線膨張係数の調整が容易である酸化ケイ素(シリカ)のうち、溶融シリカを用いることが好ましい。樹脂封止型半導体装置においては、多くの銅材を使用しているので、銅の線膨張係数にモールド樹脂10の線膨張係数を合わせれば良い。即ちモールド樹脂10の線膨張係数を銅の線膨張係数と同一もしくは近似させることにより、電力変換装置の動作などで熱の変動が発生した場合でも、樹脂封止型半導体装置の内部の熱応力の低減を図ることができる。従ってモールド樹脂10の線膨張係数を15(ppm/K)から18(ppm/K)になるように、無機充填材の量を調整する。これにより、温度サイクルに対する信頼性が向上する効果がある。
次に第2のリフロー工程において、パワーモジュール100と冷却器12を、モジュール接合材11を介して接合する。モジュール接合材11は半田リフローの際に熱抵抗の大きいボイドが発生することを防ぐために、Sn+Bi+Inの半田を使用することが考えられる。BiとInの最良の配合比率は質量%でInが1%以下、Biが3%以上であり、不可避的に混在する微量の不純物を除く残りの成分はSnで構成されているような組成である。そしてモジュール接合材11における各質量%の関係は、Snの質量%はBiの質量%よりも大きく、Biの質量%はInの質量%よりも大きくなるよう構成される。
このときモジュール接合材11の0.2%耐力は半導体素子上側接合材4および半導体素子下側接合材13の0.2%耐力よりも小さくする。更に半導体素子上側接合材4の0.2%耐力を半導体素子下側接合材13の0.2%耐力よりも小さくなるようにする。これによりパワーモジュール100の外部に伸びている第1のリードフレーム5及び第2のリードフレーム6から受ける熱応力を(モジュール接合材11)>(半導体素子上側接合材4)>(半導体素子下側接合材13)の関係で受け持つことができる。例えばパワーモジュール100の外部に伸びている第1のリードフレーム5及び第2のリードフレーム6から受ける熱応力の総和を1としたときに、モジュール接合材11が0.6、半導体素子上側接合材4が0.3、半導体素子下側接合材13が0.1の割合で受け持つことで、半導体チップにかかる熱応力を低減し、半導体素子の信頼性を向上させることができる。
また半田リフロー工程において、モジュール接合材11を溶融させる温度までパワーモジュール100および冷却器12を加熱する必要がある。この際、パワーモジュール100の中で使用している半導体素子上側接合材4および半導体素子下側接合材13も溶融する可能性がある。仮にこれら接合材が溶融した際は、半導体素子1、2の上下において短絡してしまう。このためパワーモジュール100の内部で使用する半導体素子上側接合材4および半導体素子下側接合材13と、冷却器12とパワーモジュール100とを接合するために使用するモジュール接合材11には融点差を設ける必要がある。
実施の形態3.
次に樹脂封止型半導体装置の絶縁層8の構成について詳細に説明する。実施の形態2で述べた通り、樹脂封止型半導体装置の絶縁層8としては、放熱性、絶縁性並びに接着性を有する材料により構成されることが望ましいが、セラミックのみで構成された絶縁体等であってもよく、樹脂材料をベースとした場合の絶縁層8は、接着材としての機能も有している。このため、モールド樹脂10の熱硬化時に、絶縁層8は、第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16と銅板9とが、互いに密着するようにこれらを接着することができる。このため絶縁層8においては、第1方向上側の面及び第1方向下側の面に接着材を塗布する必要がない。接着材は熱抵抗が上昇する原因となる。従って接着材を絶縁層8の第1方向上側の面及び第1方向下側の面に塗布しないことにより、絶縁層8と第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16の間の熱抵抗が増加することを抑制することができるとともに、銅板9およびモールド樹脂10との間の熱抵抗の増加を抑制することができ、放熱性能の高いパワーモジュール100を得ることができる。以上が絶縁層8に樹脂材料を適用するのが望ましい理由である。一方で、絶縁層8がセラミック等の絶縁体により構成されている場合は、絶縁層8と第1のヒートスプレッダー3および第2のヒートスプレッダー16を接着剤またはろう材等により接着するとともに、絶縁層8と銅板9を接着剤またはろう材等により接着する必要があるが、熱伝導率が高いセラミックを絶縁層8として用いることにより、放熱性を向上させることが可能である。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
以下、本開示の諸態様を付記してまとめて記載する。
(付記1)
第1の接合材によりヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されている半導体素子と、
第2の接合材により前記半導体素子の第1方向上側の面に接合されたリードフレームと、
前記半導体素子と、前記ヒートスプレッダーと、前記リードフレームを封止するモールド樹脂を有する樹脂封止型半導体装置であって、
前記第2の接合材の液相線温度が前記モールド樹脂における予め設定された温度よりも低くなるように設定し、かつ前記第2の接合材が溶融する時に、前記第2の接合材が前記第1の接合材と結合できるように前記第2の接合材の量を実装する樹脂封止型半導体装置。
(付記2)
前記半導体素子は、第1の半導体素子と第2の半導体素子より構成されるとともに、前記ヒートスプレッダーは第1のヒートスプレッダーと第2のヒートスプレッダーより構成され、
前記第1の接合材により前記第1のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に前記第1の半導体素子が接合され、
前記第1の接合材により前記第2のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に前記第2の半導体素子が接合され、
銅板が前記第1のヒートスプレッダーおよび前記第2のヒートスプレッダーの第1方向下側の面に絶縁層を介して固定され、
冷却器が前記銅板の第1方向下側の面にモジュール接合材により接合され、
前記リードフレームは、第1のリードフレームと第2のリードフレームと第3のリードフレームと第4のリードフレームより構成され、
前記第1のリードフレームは前記第2のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されており、
前記第4のリードフレームは前記第1のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されており、
前記第2のリードフレームは前記第2の接合材により前記第2の半導体素子の第1方向上側の面に接合されており、
前記第3のリードフレームは前記第2のヒートスプレッダーに接合されるとともに、前記第2の接合材により前記第1の半導体素子の第1方向上側の面に接合されており、
前記モールド樹脂は、前記第1の半導体素子と、前記第2の半導体素子と、前記第1のヒートスプレッダーと、前記第2のヒートスプレッダーと、前記第1のリードフレームの一部と、前記第2のリードフレームの一部と、前記第3のリードフレームと、前記第4のリードフレームの一部と、前記絶縁層と、前記銅板の一部を封止する付記1に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記3)
前記第2の接合材はPbの含有率が0.1質量%以下のPbフリーの半田であり、かつSnとSbを含有させた半田である付記1又は付記2に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記4)
前記第2の接合材の組成として、Sbを5質量%以上含有させた付記3に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記5)
前記第2の接合材の厚さは100μm以上である付記1から付記4のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記6)
前記モジュール接合材はSnと、Biと、Inからなる半田であり、Snの質量%はBiの質量%よりも大きく、Biの質量%はInの質量%よりも大きい付記2に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記7)
Inは1質量%以下である付記6に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記8)
Biは3質量%以上である付記6又は付記7に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記9)
前記第1のヒートスプレッダーと、前記第2のヒートスプレッダーは同じ幅及び同じ厚さを有する付記2に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記10)
前記モジュール接合材の0.2%耐力は前記第2の接合材の0.2%耐力よりも小さく、前記第2の接合材の0.2%耐力は前記第1の接合材の0.2%耐力よりも小さい付記2に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記11)
前記モールド樹脂はトランスファー型であり、かつそのガラス転移温度は170℃以上である付記1から付記10のいずれか1項に記載の樹脂封止型半導体装置。
(付記12)
付記2に記載の樹脂封止型半導体装置における前記第2のリードフレームは隣接する平滑コンデンサの底面まで延びている電力変換装置。
1 半導体素子、2 半導体素子、3 第1のヒートスプレッダー、
4 半導体素子上側接合材、5 第1のリードフレーム、6 第2のリードフレーム、
7 第3のリードフレーム、8 絶縁層、9 銅板、10 モールド樹脂、
11 モジュール接合材、12 冷却器、13 半導体素子下側接合材、
16 第2のヒートスプレッダー、17 第4のリードフレーム、18 制御端子、
19 ボンディングワイヤ、21 コンデンサケース、22 ポッティング部、
23 コンデンサ素子、102 平滑コンデンサ、106 モータ。

Claims (12)

  1. 第1の接合材によりヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されている半導体素子と、
    第2の接合材により前記半導体素子の第1方向上側の面に接合されたリードフレームと、
    前記半導体素子と、前記ヒートスプレッダーと、前記リードフレームを封止するモールド樹脂を有する樹脂封止型半導体装置であって、
    前記第2の接合材の液相線温度が前記モールド樹脂における予め設定された温度よりも低くなるように設定し、かつ前記第2の接合材が溶融する時に、前記第2の接合材が前記第1の接合材と結合できるように前記第2の接合材の量を実装する樹脂封止型半導体装置。
  2. 前記半導体素子は、第1の半導体素子と第2の半導体素子より構成されるとともに、前記ヒートスプレッダーは第1のヒートスプレッダーと第2のヒートスプレッダーより構成され、
    前記第1の接合材により前記第1のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に前記第1の半導体素子が接合され、
    前記第1の接合材により前記第2のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に前記第2の半導体素子が接合され、
    銅板が前記第1のヒートスプレッダーおよび前記第2のヒートスプレッダーの第1方向下側の面に絶縁層を介して固定され、
    冷却器が前記銅板の第1方向下側の面にモジュール接合材により接合され、
    前記リードフレームは、第1のリードフレームと第2のリードフレームと第3のリードフレームと第4のリードフレームより構成され、
    前記第1のリードフレームは前記第2のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されており、
    前記第4のリードフレームは前記第1のヒートスプレッダーの第1方向上側の面に接合されており、
    前記第2のリードフレームは前記第2の接合材により前記第2の半導体素子の第1方向上側の面に接合されており、
    前記第3のリードフレームは前記第2のヒートスプレッダーに接合されるとともに、前記第2の接合材により前記第1の半導体素子の第1方向上側の面に接合されており、
    前記モールド樹脂は、前記第1の半導体素子と、前記第2の半導体素子と、前記第1のヒートスプレッダーと、前記第2のヒートスプレッダーと、前記第1のリードフレームの一部と、前記第2のリードフレームの一部と、前記第3のリードフレームと、前記第4のリードフレームの一部と、前記絶縁層と、前記銅板の一部を封止する請求項1に記載の樹脂封止型半導体装置。
  3. 前記第2の接合材はPbの含有率が0.1質量%以下のPbフリーの半田であり、かつSnとSbを含有させた半田である請求項1又は請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  4. 前記第2の接合材の組成として、Sbを5質量%以上含有させた請求項3に記載の樹脂封止型半導体装置。
  5. 前記第2の接合材の厚さは100μm以上である請求項1又は請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  6. 前記モジュール接合材はSnと、Biと、Inからなる半田であり、Snの質量%はBiの質量%よりも大きく、Biの質量%はInの質量%よりも大きい請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  7. Inは1質量%以下である請求項6に記載の樹脂封止型半導体装置。
  8. Biは3質量%以上である請求項6又は請求項7に記載の樹脂封止型半導体装置。
  9. 前記第1のヒートスプレッダーと、前記第2のヒートスプレッダーは同じ幅及び同じ厚さを有する請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  10. 前記モジュール接合材の0.2%耐力は前記第2の接合材の0.2%耐力よりも小さく、前記第2の接合材の0.2%耐力は前記第1の接合材の0.2%耐力よりも小さい請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  11. 前記モールド樹脂はトランスファー型であり、かつそのガラス転移温度は170℃以上である請求項1又は請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置。
  12. 請求項2に記載の樹脂封止型半導体装置における前記第2のリードフレームは隣接する平滑コンデンサの底面まで延びている電力変換装置。
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