JP2023161805A - クラッチ装置、及び工作機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動軸と伝動軸の軸ずれの許容量を増大できるクラッチ装置、及び工作機械を提供すること。【解決手段】本開示のクラッチ装置は、駆動源によって回転される駆動軸と、回転工具に回転駆動力を伝達する伝動軸とを連結し、駆動軸から伝動軸へ回転駆動力を伝達するクラッチ装置であって、駆動軸及び伝動軸の2つの軸のうち、一方の軸に設けられた突状部を着脱可能に挿入される挿入溝を形成されたクラッチ部材と、駆動軸及び伝動軸の2つの軸のうち、他方の軸に対してクラッチ部材を保持する保持部材と、クラッチ部材の外周面に設けられる弾性部材と、を備え、他方の軸は、クラッチ部材を挿入する挿入穴を有し、弾性部材は、挿入穴に挿入されたクラッチ部材の外周面と、挿入穴の内周面との間に設けられる。【選択図】図5
Description
本開示は、工作機械の2つの軸を連結するクラッチ装置、及び工作機械に関するものである。
従来、旋盤のタレットは、複数の回転工具が刃物台に取り付けられる場合がある。回転工具には、ドリル、タップ、エンドミルなどの切削工具が取り付けられる。下記特許文献1には、本体側の駆動源から回転工具側へ回転駆動力を伝達するクラッチ装置について記載されている。特許文献1のクラッチ装置は、本体側の駆動源によって回転される駆動軸と、切削工具を回転させる伝動軸とを連結している。クラッチ装置は、伝動軸に設けられた突起を、駆動軸に設けられた溝に嵌め込むことで、駆動軸の回転駆動力を伝動軸に伝達し、切削工具を回転させている。
上記したクラッチ装置では、駆動軸と伝動軸とが軸ずれする虞がある。例えば、使用する回転工具を交換した際に、駆動軸と、新たに連結される伝動軸の位置がずれる虞がある。また、例えば、切削工具の回転速度を所定の速度まで増大させた場合に、各部材の固有振動数に応じて共振が発生し、駆動軸に対して伝動軸をずらそうとする力が発生する虞がある。このため、この種のクラッチ装置において、駆動軸と伝動軸の軸ずれを許容できる技術が望まれている。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、駆動軸と伝動軸の軸ずれの許容量を増大できるクラッチ装置、及び工作機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本明細書は、駆動源によって回転される駆動軸と、回転工具に回転駆動力を伝達する伝動軸とを連結し、前記駆動軸から前記伝動軸へ回転駆動力を伝達するクラッチ装置であって、前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、一方の軸に設けられた突状部を着脱可能に挿入される挿入溝を形成されたクラッチ部材と、前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、他方の軸に対して前記クラッチ部材を保持する保持部材と、前記クラッチ部材の外周面に設けられる弾性部材と、を備え、前記他方の軸は、前記クラッチ部材を挿入する挿入穴を有し、前記弾性部材は、前記挿入穴に挿入された前記クラッチ部材の前記外周面と、前記挿入穴の内周面との間に設けられる、クラッチ装置を開示する。
尚、本開示の内容は、クラッチ装置としての実施に限らず、クラッチ装置を備える工作機械として実施しても極めて有効である。
尚、本開示の内容は、クラッチ装置としての実施に限らず、クラッチ装置を備える工作機械として実施しても極めて有効である。
本開示のクラッチ装置、工作機械によれば、一方の軸に設けた突状部を、クラッチ部材の挿入溝に挿入して連結することで、駆動軸と伝動軸とに挿入溝に沿った方向の軸ずれを許容できる。また、クラッチ部材を、保持部材によって他方の軸に保持することで、駆動軸と伝動軸とに、保持部材による保持態様に応じた軸ずれを許容できる。クラッチ部材の
外周面と、クラッチ部材を挿入する挿入穴の内周面の間に弾性部材を設けることで、保持部材によって許容する軸ずれの許容量を、弾性部材の伸縮量に応じて増加させることができる。また、軸ずれが発生した場合に、弾性部材の弾性力をクラッチ部材に付与することで、クラッチ部材を所定の初期位置に復帰させることができる。
外周面と、クラッチ部材を挿入する挿入穴の内周面の間に弾性部材を設けることで、保持部材によって許容する軸ずれの許容量を、弾性部材の伸縮量に応じて増加させることができる。また、軸ずれが発生した場合に、弾性部材の弾性力をクラッチ部材に付与することで、クラッチ部材を所定の初期位置に復帰させることができる。
以下、本開示のクラッチ装置を備えた工作機械を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例に係わる工作機械が備えるタレット10の要部であって、刃物台11を平面視した状態を模式的に示している。図2は、図1に示すI-I線で切断した矢視断面図であって、タレット10の一部の断面図を示している。以下の説明では、図1及び図2に示すように、図1の図面における上下方向をX方向、左右方向をY方向、紙面に垂直な方向をZ方向と称して説明する。X方向は、後述する駆動軸33の軸方向と平行な方向であり、Z方向は、後述する旋回軸29の中心軸25と平行な方向であり、Y方向は、XY方向に直交する方向である。
工作機械は、例えば、NC旋盤であり、図1及び図2に示すように、タレット10の刃物台11にクラッチ装置13を備えている。刃物台11は、外周部分に複数のフォルダ15が設けられ、フォルダ15の各々に回転工具17やバイト(図示略)が取り付け可能となっている。タレット10は、装置内に回転体19(図2参照)が設けられている。回転体19は、軸受部材21を介して回転可能に支持されている。軸受部材21は、例えば、ボールベアリングである。回転体19の先端には、刃物台11が取り付けられている。タレット10は、刃物台11を回転させる駆動源として、サーボモータ等の旋回用モータ23(図2参照)を備えている。タレット10は、旋回用モータ23の駆動に基づいて回転体19を回転させ、Z方向と平行な中心軸25を中心に刃物台11を旋回させ、回転工具17やバイトの割り出しを実行する。刃物台11は、作業位置27に配置した回転工具17やバイトを用いてワークに対する加工を実行し、旋回することで作業位置27の回転工具17等、即ち、ワークに対して加工を実行する工具を入れ替える。
タレット10内には、中心軸25に沿って旋回軸29が設けられている。旋回軸29は、回転体19内に配置され、軸受部材31によって回転可能に支持されている。旋回軸29の基端部(図2の左側端部)には、駆動源として、例えば、サーボモータ32が取り付けられている。旋回軸29は、サーボモータ32の駆動に基づいて中心軸25を中心に回転する。尚、旋回軸29は、中心軸25とはずれた位置に設けられる構成でも良い。
刃物台11には、X軸方向に沿った駆動軸33が設けられている。旋回軸29の先端(図2の右側端部)は、刃物台11内に挿入され、駆動軸33と連結されている。駆動軸33は、例えば、略円柱形状の軸で有り、軸受部材35によって、X方向に沿った回転軸36を中心に回転可能に支持されている。駆動軸33は、例えば、かさ歯車37を介して旋回軸29と連結され、旋回軸29の回転駆動力を伝達される。駆動軸33は、旋回軸29と直交する状態で、旋回軸29の回転に応じて回転する。尚、旋回軸29と駆動軸33を連結する手段は、かさ歯車37などの歯車に限らず、カムやベルトを用いた方法でも良い
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回転工具17は、ボルトなどの締結部材39によって、刃物台11のフォルダ15に固定されている。複数の回転工具17の各々には、伝動軸41が設けられている。作業位置27に配置された回転工具17の伝動軸41は、クラッチ装置13を介して駆動軸33の先端と連結される。伝動軸41は、例えば、略円柱形状の軸であり、駆動軸33と連結された状態では駆動軸33に沿って配置される。伝動軸41は、クラッチ装置13を介して駆動軸33の回転駆動力を伝達される。従って、伝動軸41は、旋回軸29の回転に伴って回転する。
また、伝動軸41は、回転工具17に設けられた軸受部材43によって回転可能に設けられている。複数の回転工具17の各々には、伝動軸41の回転駆動力を伝達するための伝達機構47が設けられている。また、複数の回転工具17の各々には、例えば、切削工具45をチャックするコレットチャック49が設けられている。伝達機構47は、例えば、複数の歯車で構成され、伝動軸41の回転駆動力をコレットチャック49に伝達し、コレットチャック49を回転させる。コレットチャック49には、各種の切削工具45が取り付け可能となっている。切削工具45としては、例えば、ドリル、タップ、エンドミルなどを採用することができる。コレットチャック49は、回転工具17に設けられた軸受部材51により回転可能に支持されている。切削工具45は、回転工具17から先端を突出させた状態でコレットチャック49に保持され、コレットチャック49とともに回転する。複数の回転工具17の各々は、作業位置27に配置されることで、クラッチ装置13を介して伝動軸41を駆動軸33に連結され、旋回軸29の回転駆動力を伝達され、切削工具45を回転させる。尚、上記した回転工具17の構成は一例である。例えば、回転工具17は、コレットチャック49を備えず、切削工具45を交換できない構成でも良い。また、例えば、回転工具17は、伝達機構47を備えず、切削工具45を伝動軸41に直接連結する構成でも良い。あるいは、回転工具17は、コレットチャック49を伝動軸41に直接連結する構成でも良い。
また、図1及び図3に示すように、刃物台11内には、環状のガイドレール55が設けられている。ガイドレール55には、クラッチ装置13の位置(作業位置27)に合わせて切り欠き部55Aが形成されている。駆動軸33は、X方向における基端側に旋回軸29を連結され、ガイドレール55の切り欠き部55Aの位置に合わせて先端部を配置されている。駆動軸33の先端部には、クラッチ装置13が取り付けられている。各回転工具17の伝動軸41は、回転工具17のハウジングから突出しており、回転工具17をフォルダ15に取り付けた状態では、ガイドレール55に向かって延びている。回転工具17から突出した伝動軸41の先端には、突状部41A(図1参照)が形成されている。複数の回転工具17の各々は、フォルダ15に取り付けられた状態では、刃物台11の旋回にともなって突状部41Aをガイドレール55に沿って移動させながら刃物台11とともに旋回する。
(クラッチ装置13について)
次に、クラッチ装置13の詳細について説明する。図4は、クラッチ装置13を取り付けた状態を示しており、図3のハウジング57を取り外した状態を示している。図5は、クラッチ装置13の分解斜視図を示している。図6は、図2の破線で囲った部分を拡大した拡大図である。図4~図6に示すように、クラッチ装置13は、クラッチ部材61、ピン63、Oリング65を備えている。クラッチ装置13は、刃物台11の駆動軸33に回転工具17の伝動軸41を、連結する、又は、連結を解除する装置である。
次に、クラッチ装置13の詳細について説明する。図4は、クラッチ装置13を取り付けた状態を示しており、図3のハウジング57を取り外した状態を示している。図5は、クラッチ装置13の分解斜視図を示している。図6は、図2の破線で囲った部分を拡大した拡大図である。図4~図6に示すように、クラッチ装置13は、クラッチ部材61、ピン63、Oリング65を備えている。クラッチ装置13は、刃物台11の駆動軸33に回転工具17の伝動軸41を、連結する、又は、連結を解除する装置である。
駆動軸33の先端部67には、駆動軸33の軸方向(回転軸36)に沿って形成された挿入穴69が設けられている。先端部67は、駆動軸33の先端を加工して形成した駆動
軸33と同一の部材でも良く、駆動軸33の先端に取り付けた別部材でも良い。挿入穴69は、断面が円形の穴で有り、先端側に開口が形成されている。また、クラッチ部材61は、基部71と、連結部72を備えている。連結部72は、例えば、回転軸36の軸方向に所定の厚みを有する略円柱形状をなしている。基部71は、連結部72の駆動軸33側の端面72Aの中央から回転軸36の軸方向に沿って突出した略円柱形状をなしている。クラッチ部材61は、基部71側から挿入穴69に挿入される。従って、基部71は、連結部72よりも挿入穴69の奥側に配置される。基部71の外径は、円柱形状の連結部72の外径に比べて小さくなっている。挿入穴69は、この基部71及び連結部72の外形形状に合わせて段差を有し、内径の異なる2つの円筒形状の穴を回転軸36の軸方向に並べた形状をなしている。挿入穴69は、基部71の外形形状に合わせて円筒形状に形成された第1挿入部69Aと、連結部72の外形形状に合わせて円筒形状に形成された第2挿入部69Bを有する。第2挿入部69Bの内径は、第1挿入部69Aの内径に比べて大きくなっている。この第1及び第2挿入部69A,69Bの内径の長さの差は、例えば、基部71と連結部72の外径の長さの差である。
軸33と同一の部材でも良く、駆動軸33の先端に取り付けた別部材でも良い。挿入穴69は、断面が円形の穴で有り、先端側に開口が形成されている。また、クラッチ部材61は、基部71と、連結部72を備えている。連結部72は、例えば、回転軸36の軸方向に所定の厚みを有する略円柱形状をなしている。基部71は、連結部72の駆動軸33側の端面72Aの中央から回転軸36の軸方向に沿って突出した略円柱形状をなしている。クラッチ部材61は、基部71側から挿入穴69に挿入される。従って、基部71は、連結部72よりも挿入穴69の奥側に配置される。基部71の外径は、円柱形状の連結部72の外径に比べて小さくなっている。挿入穴69は、この基部71及び連結部72の外形形状に合わせて段差を有し、内径の異なる2つの円筒形状の穴を回転軸36の軸方向に並べた形状をなしている。挿入穴69は、基部71の外形形状に合わせて円筒形状に形成された第1挿入部69Aと、連結部72の外形形状に合わせて円筒形状に形成された第2挿入部69Bを有する。第2挿入部69Bの内径は、第1挿入部69Aの内径に比べて大きくなっている。この第1及び第2挿入部69A,69Bの内径の長さの差は、例えば、基部71と連結部72の外径の長さの差である。
ピン63は、例えば、略円柱形状をなす金属製の部材である。駆動軸33の先端部67には、一対の貫通孔67Aが形成されている。一対の貫通孔67Aの各々は、ピン63の大きさに合わせて形成された円形の穴であり、挿入穴69の内外を連通している。一対の貫通孔67Aは、回転軸36の軸方向と直交する方向において互いに対向する位置に形成されている。
また、基部71には、一対の貫通孔67Aの位置に合わせて形成された貫通孔71Aが形成されている。貫通孔71Aは、ピン63の大きさに合わせて形成された円筒形状の穴である。ピン63は、一対の貫通孔67A、及び第1挿入部69Aに挿入された基部71の貫通孔71Aに挿入される。これにより、クラッチ部材61は、駆動軸33に対してピン63によって保持される。一対の貫通孔67A及び貫通孔71Aは、例えば、挿入されたピン63と接触、あるいは僅かな隙間を間に設けて離間している。
挿入穴69は、挿入されるクラッチ部材61の外径に比べて若干だけ大きい内径で形成され、クラッチ部材61との間に隙間が設けられている。この隙間は、例えば、0.1mm~0.3mm程度である。このため、図6では、先端部67とクラッチ部材61の2つの部材が接触しているように図示されているが、実際には僅かな隙間が間に設けられている。このため、クラッチ部材61は、回転軸36と直交する方向、即ち、ピン63の軸方向に沿って、先端部67(駆動軸33)に対して相対的に移動可能な第1の自由度を有している。この第1の自由度は、駆動軸33に対する伝動軸41の軸ずれを許容する自由度となる。そして、例えば、連結部72と、挿入穴69(第2挿入部69B)の内周面との間の隙間は、基部71と、挿入穴69(第1挿入部69A)の内周面との間の隙間に比べて若干だけ広くなっている。
また、ピン63の基端には、係合部63Aが形成されている。係合部63Aは、例えば、貫通孔67Aの内径に比べて大きい外径の円板形状をなす。ピン63は、貫通孔67Aに挿入した状態において、係合部63Aを先端部67に係合させることで、ピン63の軸方向における一方側への移動を規制される。また、ピン63の先端には、リング用溝63Bが形成されている。リング用溝63Bは、ピン63の外周に沿って形成された環状の溝である。ピン63は、一対の貫通孔67A及び貫通孔71Aに挿入された状態で先端のリング用溝63Bに金属リング81を取り付けられる。金属リング81は、例えば、C型の止め輪であり、リング用溝63Bに嵌め込まれた状態で先端部67と係合する。これにより、ピン63は、軸方向への移動を規制され、先端部67に対する相対的な移動を規制される。また、クラッチ部材61は、挿入穴69からの抜けをピン63によって規制される。尚、クラッチ部材61を駆動軸33に取り付ける方法は、上記したピン63を用いる方
法に限らない。例えば、基部71を円筒形状に形成し、内外を連通する一対の貫通孔71Aを形成する。そして、一対の貫通孔71Aと、一対の貫通孔67Aの各々をリベットによって保持しても良い。
法に限らない。例えば、基部71を円筒形状に形成し、内外を連通する一対の貫通孔71Aを形成する。そして、一対の貫通孔71Aと、一対の貫通孔67Aの各々をリベットによって保持しても良い。
また、Oリング65は、挿入穴69に挿入されたクラッチ部材61の外周面と、挿入穴69の内周面との間に設けられている。詳述すると、連結部72の外周面には、Oリング65を嵌め込む弾性部材用溝72Bが形成されている。弾性部材用溝72Bは、連結部72の外周面に沿って形成された環状の溝である。弾性部材用溝72Bは、例えば、幅と深さを一定とし、連結部72の全周に亘って形成されている。弾性部材用溝72Bの深さは、例えば、Oリング65に比べて若干だけ浅くなっている。クラッチ部材61は、Oリング65を弾性部材用溝72Bに嵌め込まれた状態で、挿入穴69に挿入される。Oリング65は、第2挿入部69Bの内周面と弾性部材用溝72Bの底部とに接触して挟まれた状態で配置される。
また、連結部72は、伝動軸41を挿入するための挿入溝72Cが形成されている。弾性部材用溝72Bは、回転軸36の軸方向において挿入溝72Cの位置よりも基部71側に設けられ、端面72Aと挿入溝72Cの間に形成されている。挿入溝72Cは、連結部72の伝動軸41側に形成され、回転軸36の軸方向と平行な方向に凹設された溝である。挿入溝72Cは、例えば、ピン63の軸方向における幅を一定としながら、回転軸36の軸方向、及びピン63の軸方向の両方に直交する方向に沿って形成されている。
伝動軸41の先端には、突状部41Aが形成されている。突状部41Aは、例えば、伝動軸41の半径方向に所定の厚みを有する板状をなし、伝動軸41の先端面41Bから軸方向の外側に突出している(図5参照)。突状部41Aは、先端面41Bの中心を通り、円形の伝動軸41の半径方向に沿った板状をなしている。例えば、複数の回転工具17は、刃物台11が旋回する際、伝動軸41の突状部41Aの姿勢を所定方向(所定の回転位置)に保ったまま移動する。図3に示すように、刃物台11の作業位置27には、クラッチ装置13を収納するハウジング57が設けられている。図3の拡大図に示すように、ハウジング57には、ガイドレール55と並行な方向(ガイドレール55の周方向)に切り欠かれた凹部57Aが形成されている。凹部57Aは、ハウジング57の外周部分に形成され、ガイドレール55の周方向に沿った溝である。このハウジング57内には、クラッチ部材61の挿入溝72Cが露出した状態で配置されている。
複数の回転工具17の各々は、刃物台11の回転にともなって、伝動軸41の姿勢を一定に保ちながら旋回し、作業位置27において凹部57A内に突状部41Aを挿入し、突状部41Aをクラッチ部材61の挿入溝72Cに挿入する。換言すれば、回転工具17は、伝動軸41をクラッチ装置13と連結可能な姿勢を維持して旋回する。例えば、回転工具17は、突状部41Aを挿入溝72Cに挿入可能な姿勢でフォルダ15に取り付けられる。また、タレット10は、回転工具17の回転を停止する際、挿入溝72Cに突状部41Aを挿入可能な姿勢となる向き(回転位置)で駆動軸33の回転を停止させるように制御される。例えば、タレット10は、回転前と同じ回転位置で駆動軸33の回転を停止させる。これにより、刃物台11が回転すると、作業位置27まで旋回した回転工具17の突状部41Aが、クラッチ部材61の挿入溝72Cに挿入され、駆動軸33と伝動軸41とがクラッチ装置13を介して連結される。駆動軸33の回転駆動力が、クラッチ装置13を介して伝動軸41に伝達され、切削工具45が回転する。伝動軸41は、駆動軸33に対して、挿入溝72Cに沿った方向と、ピン63の軸方向との2つの方向への自由度を付与され、2つの方向への軸ずれを許容された状態で回転駆動力を伝達される。
ここで、駆動軸33と伝動軸41とは、同軸上に配置される構成となっているが、軸がずれる(例えば、0.数mmずれる)可能性がある。例えば、使用する回転工具17を交
換した際に、駆動軸33と、新たに連結される伝動軸41の位置がずれる虞がある。また、例えば、切削工具45の回転速度に応じて共振が発生し軸をずらそうとする力が発生する虞がある。あるいは、加工中にワークから切削工具45に付与される反力によって軸ずれが発生する虞がある。このような軸のずれに対し、本実施例では、上記した2つの方向への自由度を付与し、軸ずれを許容している。
換した際に、駆動軸33と、新たに連結される伝動軸41の位置がずれる虞がある。また、例えば、切削工具45の回転速度に応じて共振が発生し軸をずらそうとする力が発生する虞がある。あるいは、加工中にワークから切削工具45に付与される反力によって軸ずれが発生する虞がある。このような軸のずれに対し、本実施例では、上記した2つの方向への自由度を付与し、軸ずれを許容している。
ピン63の軸方向に発生する軸ずれの許容量は、クラッチ部材61と、挿入穴69の間の隙間を広くすることで増大させることができる。しかしながら、必要な許容量を確保できる大きさまで隙間を単純に増大させると、クラッチ部材61は、自重や回転工具17の重さによって位置がずれる虞がある。結果として重力等によってクラッチ部材61の位置がずれ、軸ずれが発生し、振動や異音が発生する虞がある。そこで、本実施例のクラッチ装置13は、クラッチ部材61と挿入穴69の間に隙間を設けるとともに、クラッチ部材61と挿入穴69の間にOリング65を設けている。これにより、隙間を大きくしたとしても、Oリング65の弾性力によってクラッチ部材61を重力等に抗して正しい位置に配置することができる。本実施例のクラッチ装置13は、この正しい位置として、例えば、環状のOリング65の中心と、クラッチ部材61の回転中心とが、駆動軸33の回転軸36上に配置される位置になる構成となっている。換言すれば、クラッチ装置13は、例えば、工作機械を動作させず、軸ずれが発生していない状態では、Oリング65の中心と、クラッチ部材61の回転中心が、駆動軸33の回転軸36上に配置される。結果として、Oリング65によるセンタリングを行うことで、クラッチ部材61と挿入穴69の隙間を増やすことができ、軸ずれの許容量を増大させることができる。また、伝動軸41に対してピン63の軸方向に沿った外力が作用した場合に、Oリング65を収縮(弾性変形)させて軸ずれを許容しつつ、回転駆動力を伝達できる。また、作用する外力がなくなった後は弾性力によってセンタリングを行うことができ、クラッチ部材61を正しい位置(初期位置)に配置できる。また、Oリング65のような弾性部材を用いることで防振効果により振動の抑制を効果的に図ることができる。
また、本実施例では、クラッチ部材61やOリング65を設ける軸(本開示の他方の軸)として駆動軸33を採用している。仮に、本開示の他方の軸として伝動軸41を採用した場合、クラッチ部材61やOリング65を回転工具17の各々に設ける必要が発生する。これに対し、クラッチ部材61やOリング65を駆動軸33に設けることで、構造の簡略化や装置全体の製造コストの低減を図れる。尚、本開示の内容は、クラッチ部材61やOリング65を伝動軸41に設ける構成でも実施できる。この場合にも、上記した軸ずれの許容量の増大を図ることが可能である。
また、本実施例のクラッチ部材61は、ピン63が挿入される基部71を、連結部72よりも挿入穴69の奥側に配置する構成となっている。仮に、挿入溝72Cを有する連結部72を挿入穴69の奥側に配置した場合、例えば、基部71を先端側に配置し円筒形状にしてその穴の底部に連結部72を配置する。円筒形状の基部71に一対の貫通孔71Aを設けて、2組の貫通孔71A,67Aの各々をリベットなどで連結する。そして、回転工具17の交換時に伝動軸41や突状部41Aを挿入するスリットを、基部71に設ける構成とすることも可能である。しかしながら、このような構成では、クラッチ部材61の構造が複雑化する虞がある。これに対し、基部71を挿入穴69の奥側に配置する構成とすることでクラッチ装置13の構造の簡略化を図ることができる。
さらに、連結部72には、Oリング65を嵌め込む弾性部材用溝72Bが外周面に形成されている。基部71は、連結部72に比べて小さい外径で形成されている。これによれば、連結部72に比べて基部71をより小径にすることで、基部71に挿入するピン63の軸方向の長さを短くできる。結果として、クラッチ装置13や先端部67の小型化を図ることができる。尚、基部71は、連結部72より小径でなく、大径でも良い。また、図
7に示すように、クラッチ部材61は、基部71と連結部72が同一径となる円柱形状でも良い。
7に示すように、クラッチ部材61は、基部71と連結部72が同一径となる円柱形状でも良い。
また、連結部72と第2挿入部69Bの間の隙間が、基部71と第1挿入部69Aの間の隙間に比べて広くなっている。このため、Oリング65を設けていない状態では、連結部72は、隙間を大きくした分だけ基部71に比べて、ピン63の軸方向等へ揺動可能となる。そして、Oリング65は、連結部72と第2挿入部69Bの間の隙間に設けられている。従って、連結部72のガタツキは、弾性部材用溝72Bに嵌め込まれたOリング65によって抑制される。一方、ピン63の軸方向への外力をクラッチ部材61が付与された場合、Oリング65を弾性変形させることで、クラッチ部材61の揺動(軸ずれ)を許容できる。挿入穴69の開口により近い基部71の隙間をより大きくし、その隙間に嵌め込んだOリング65によって軸ずれを吸収できる。また、Oリング65を開口側に設けることで、Oリング65を基部71に設ける場合に比べて、クラッチ部材61の取り付け作業が容易となる。尚、例えば、図7の構成において、連結部72と第2挿入部69Bの間の隙間を、基部71と第1挿入部69Aの間の隙間と同一の大きさにしても良い。また、クラッチ部材61は、Oリング65を基部71に設ける構成でも良い。この場合、弾性部材用溝72Bを、基部71における貫通孔71Aよりも先端側に形成しても良い(図7参照)。また、連結部72と第2挿入部69Bの間の隙間を、基部71と第1挿入部69Aの間の隙間に比べて小さくしても良い。
また、本実施例では、本開示の弾性部材として、Oリング65を採用している。これにより、ピン63の軸方向だけでなく、回転軸36に直交する各方向への軸ずれをOリング65により吸収できる。また、環状のOリング65によって、クラッチ部材61のセンタリングを容易に実施できる。尚、本開示の弾性部材用溝72Bは、Oリング65に限らない。例えば、図7に示すように、弾性部材として、ウレタン83を用いても良い。例えば、直方体形状のウレタン83を、円柱形状の基部71の周方向においてピン63と同じ位置に配置しても良い。より具体的には、一対のウレタン83を、一対の貫通孔67Aの近くにそれぞれ配置しても良い。従って、本開示のクラッチ装置は、弾性部材をクラッチ部材61の全周に亘って備えなくとも良い。また、図7に示すように、Oリング65とウレタン83との2つの弾性部材を設けても良い。
また、弾性部材用溝72Bは、連結部72における挿入溝72Cの位置よりも基部71側に設けられている。Oリング65の中心と、クラッチ部材61の回転中心が、軸ずれが発生していない状態では、駆動軸33の回転軸36上に配置されている。これによれば、外力が作用し軸ずれが発生した後、外力がなくなった場合に、Oリング65の弾性力により、クラッチ部材61の回転中心を、回転軸36上に復帰させることができる。尚、クラッチ装置13は、工作機械を動作させず、クラッチ部材61に外力が付与されていない状態で、Oリング65の中心と、クラッチ部材61の回転中心が、駆動軸33の回転軸36上からずれた位置に配置される構成でも良い。
また、ピン63は、基端の係合部63Aを先端部67に係合させ、先端に金属リング81を取り付けられて駆動軸33に対する相対的な移動を規制されている。これによれば、ピン63と金属リング81を用いて、クラッチ部材61を、駆動軸33に対して保持することができる。
因みに、駆動軸33は、他方の軸の一例である。伝動軸41は、一方側の軸の一例である。サーボモータ32は、駆動源の一例である。ピン63は、保持部材の一例である。Oリング65は、弾性部材の一例である。
以上、上記した本実施例では、以下の効果を奏する。
本願の一態様であるクラッチ装置13のOリング65は、挿入穴69に挿入されたクラッチ部材61の外周面と、挿入穴69の内周面との間に設けられている。これによれば、駆動軸33と伝動軸41の互いの軸ずれの許容量を、Oリング65の伸縮量に応じて増加させることができる。
本願の一態様であるクラッチ装置13のOリング65は、挿入穴69に挿入されたクラッチ部材61の外周面と、挿入穴69の内周面との間に設けられている。これによれば、駆動軸33と伝動軸41の互いの軸ずれの許容量を、Oリング65の伸縮量に応じて増加させることができる。
また、本開示の内容は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施例では、突状部41Aを伝動軸41に設け、挿入穴69を駆動軸33に設けたが、逆でも良い。伝動軸41の先端に挿入穴69を設けてクラッチ部材61を挿入し、駆動軸33に突状部41Aを設けても良い。この場合、駆動軸33は、本開示の一方側の軸の一例である。
また、本開示の保持部材は、ピン63に限らず、リベット、ボルト、ネジ等の他の部材でも良い。
また、図7に示すように、弾性部材を、ピン63の位置より基端側(挿入穴69の底部側)に設けても良い。
また、本開示の工作機械は、旋盤に限らず、マシニングセンタやフライス盤などの回転工具を使用する他の工作機械でも良い。
例えば、上記実施例では、突状部41Aを伝動軸41に設け、挿入穴69を駆動軸33に設けたが、逆でも良い。伝動軸41の先端に挿入穴69を設けてクラッチ部材61を挿入し、駆動軸33に突状部41Aを設けても良い。この場合、駆動軸33は、本開示の一方側の軸の一例である。
また、本開示の保持部材は、ピン63に限らず、リベット、ボルト、ネジ等の他の部材でも良い。
また、図7に示すように、弾性部材を、ピン63の位置より基端側(挿入穴69の底部側)に設けても良い。
また、本開示の工作機械は、旋盤に限らず、マシニングセンタやフライス盤などの回転工具を使用する他の工作機械でも良い。
13 クラッチ装置、17 回転工具、32 サーボモータ(駆動源)、33 駆動軸(他方の軸)、41 伝動軸(一方側の軸)、41A 突状部、61 クラッチ部材、63 ピン(保持部材)、65 Oリング(弾性部材)、67A,71A 貫通孔、69 挿入穴、71 基部、72C 挿入溝、72 連結部、72B 弾性部材用溝、81 金属リング。
Claims (9)
- 駆動源によって回転される駆動軸と、回転工具に回転駆動力を伝達する伝動軸とを連結し、前記駆動軸から前記伝動軸へ回転駆動力を伝達するクラッチ装置であって、
前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、一方の軸に設けられた突状部を着脱可能に挿入される挿入溝を形成されたクラッチ部材と、
前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、他方の軸に対して前記クラッチ部材を保持する保持部材と、
前記クラッチ部材の外周面に設けられる弾性部材と、
を備え、
前記他方の軸は、
前記クラッチ部材を挿入する挿入穴を有し、
前記弾性部材は、
前記挿入穴に挿入された前記クラッチ部材の前記外周面と、前記挿入穴の内周面との間に設けられる、クラッチ装置。 - 前記一方の軸は、
前記伝動軸であり、
前記他方の軸は、
前記駆動軸であり、
前記クラッチ装置は、
複数の前記回転工具を交換して取り付け可能であり、
前記伝動軸は、
複数の前記回転工具の各々に設けられる、請求項1に記載のクラッチ装置。 - 前記クラッチ部材は、
前記保持部材を挿入される基部と、
前記突状部を挿入される前記挿入溝が形成された連結部と、
を有し、
前記基部は、
前記クラッチ部材を前記挿入穴に挿入した状態において、前記連結部よりも前記挿入穴の奥側に設けられる、請求項1又は請求項2に記載のクラッチ装置。 - 前記連結部は、
記弾性部材を嵌め込む弾性部材用溝が前記外周面に形成され、
前記基部は、
前記連結部に比べて小さい外径で形成される、請求項3に記載のクラッチ装置。 - 前記連結部と、前記挿入穴の前記内周面との間の隙間が、
前記基部と、前記挿入穴の前記内周面との間の隙間に比べて広く、
前記弾性部材は、
前記連結部と、前記挿入穴の前記内周面の間の隙間に設けられ、前記連結部と前記挿入穴の両方に接触した状態で配置される、請求項4に記載のクラッチ装置。 - 前記弾性部材用溝は、
前記外周面に沿って環状に形成され
前記弾性部材は、
環状の前記弾性部材用溝に嵌め込まれるOリングである、請求項4に記載のクラッチ装置。 - 前記弾性部材用溝は、
前記連結部における前記挿入溝の位置よりも前記基部側に設けられ、
前記Oリングの中心と、前記クラッチ部材の回転中心が、前記駆動軸の回転軸上に配置される、請求項6に記載のクラッチ装置。 - 前記クラッチ部材は、
前記挿入穴の前記内周面との間に隙間が設けられ、
前記他方の軸及び前記クラッチ部材の各々は、
前記保持部材を挿入する貫通孔が形成され、
前記保持部材は、
金属製のピンであり、基端を前記他方の軸に係合させ、先端に金属リングが取り付けられることで前記他方の軸に対する相対的な移動を規制される、請求項1に記載のクラッチ装置。 - 駆動源と、
前記駆動源によって回転される駆動軸と、
回転工具に回転駆動力を伝達する伝動軸と、
前記駆動軸と前記伝動軸を連結し、前記駆動軸から前記伝動軸へ回転駆動力を伝達するクラッチ装置と、
を備え、
前記クラッチ装置は、
前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、一方の軸に設けられた突状部を着脱可能に挿入される挿入溝を形成されたクラッチ部材と、
前記駆動軸及び前記伝動軸の2つの軸のうち、他方の軸に対して前記クラッチ部材を保持する保持部材と、
前記クラッチ部材の外周面に設けられる弾性部材と、
を有し、
前記他方の軸は、
前記クラッチ部材を挿入する挿入穴を有し、
前記弾性部材は、
前記挿入穴に挿入された前記クラッチ部材の前記外周面と、前記挿入穴の内周面との間に設けられる、工作機械。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022072385A JP2023161805A (ja) | 2022-04-26 | 2022-04-26 | クラッチ装置、及び工作機械 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022072385A JP2023161805A (ja) | 2022-04-26 | 2022-04-26 | クラッチ装置、及び工作機械 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023161805A true JP2023161805A (ja) | 2023-11-08 |
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ID=88650642
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022072385A Pending JP2023161805A (ja) | 2022-04-26 | 2022-04-26 | クラッチ装置、及び工作機械 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023161805A (ja) |
-
2022
- 2022-04-26 JP JP2022072385A patent/JP2023161805A/ja active Pending
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