JP2023161340A - 半導体圧力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制できる半導体圧力センサを提供する。【解決手段】半導体圧力センサ1は、第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3を備え、第2シリコン基板3の主面2bには、凹部10が形成されており、凹部10には、第1シリコン基板2に向かって突出した支持部11が形成されており、支持部11は、矩形枠状に配置された4つの辺部12a、12b、12c、12dを有しており、凹部10と第1シリコン基板2との間には、支持部11よりも内側に配置された内側キャビティ5と、支持部11よりも外側に配置された外側キャビティ7と、が形成されており、第1シリコン基板2の主面2aには、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが形成されており、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき、支持部11と重なる位置又はその付近に配置されている。【選択図】図1

Description

本開示は、半導体圧力センサに関するものである。
特許文献1には、半導体圧力センサが記載されている。この半導体圧力センサは、シリコン基板を有している。シリコン基板の表面には、複数のピエゾ抵抗が形成されている。シリコン基板の裏面には、凹部が形成されている。シリコン基板のうち厚みの少ない部分は、ダイヤフラムとなる。少なくとも一部のピエゾ抵抗は、ダイヤフラムに形成されている。
特開2009-139258号公報
ピエゾ抵抗素子の形成工程、及びダイヤフラムの形成工程のそれぞれには、露光プロセスが用いられる。このため、ピエゾ抵抗素子とダイヤフラムとの間には、各工程の露光プロセスにおけるアライメント精度に起因して、相対的な位置ずれが生じ得る。したがって、圧力に対する出力電圧にばらつきが生じてしまうという課題があった。
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制できる半導体圧力センサを提供することを目的とする。
本開示に係る半導体圧力センサは、第1シリコン基板及び第2シリコン基板を備え、前記第1シリコン基板の一方の主面と、前記第2シリコン基板の一方の主面とは、互いに接合されており、前記第2シリコン基板の前記一方の主面には、凹部が形成されており、前記第1シリコン基板は、前記凹部と対向するダイヤフラムを有しており、前記凹部には、前記第1シリコン基板に向かって突出した支持部が形成されており、前記支持部は、矩形枠状に配置された4つの辺部を有しており、前記支持部の突出端面は、前記第1シリコン基板の前記一方の主面と接合されており、前記凹部と前記第1シリコン基板との間には、前記支持部よりも内側に配置された内側キャビティと、前記支持部よりも外側に配置された外側キャビティと、が形成されており、前記第1シリコン基板の他方の主面には、ピエゾ抵抗素子が形成されており、前記ピエゾ抵抗素子は、前記第1シリコン基板の法線方向に見たとき、前記支持部と重なる位置又はその付近に配置されている。
本開示によれば、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
実施の形態1に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。 図1のII-II断面を示す模式図である。 実施の形態1に係る半導体圧力センサの電気回路の要部を示す図である。 実施の形態1の比較例に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。 図4のA-A線上の第1シリコン基板に生じる相対ひずみの分布を示すグラフである。 実施の形態1に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布を示すグラフである。 実施の形態1に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布の別の例を示すグラフである。 実施の形態1に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布のさらに別の例を示すグラフである。 実施の形態1において、ピエゾ抵抗素子に位置ずれが生じた場合の半導体圧力センサの構成を示す平面図である。 実施の形態1に係る半導体圧力センサにおける支持部の幅と出力電圧変化率との関係を示すグラフである。 実施の形態1の変形例1に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。 実施の形態1の変形例2に係る半導体圧力センサの断面構成を示す模式図である。 実施の形態1の変形例3に係る半導体圧力センサの断面構成を示す模式図である。
実施の形態1.
実施の形態1に係る半導体圧力センサについて説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。図2は、図1のII-II断面を示す模式図である。図2の上下方向は、第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3のそれぞれの厚さ方向、すなわち第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3のそれぞれの法線方向を表している。
図1及び図2に示すように、半導体圧力センサ1は、第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3を有している。第1シリコン基板2の一方の主面2bと、第2シリコン基板3の一方の主面3aとは、互いに向かい合っている。第1シリコン基板2の主面2bと、第2シリコン基板3の主面3aとは、互いに接合されている。
第1シリコン基板2の他方の主面2aには、複数のピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが形成されている。主面2aは、検出対象の圧力を受ける面である。第1シリコン基板2は、単結晶シリコン基板により形成されている。第1シリコン基板2の厚さは、第2シリコン基板3の厚さよりも薄くなっている。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、同じ特性を有している。
第2シリコン基板3は、単結晶シリコン基板により形成されている。第2シリコン基板3の主面3aには、凹部10が形成されている。凹部10は、第1シリコン基板2の法線方向に見た平面視において、矩形状に形成されている。凹部10は、主面3a側から第2シリコン基板3の厚さ方向への異方性エッチングにより形成されている。このため、凹部10は、矩形状の断面を有している。
凹部10の内部には、矩形枠状の支持部11が形成されている。支持部11は、凹部10の底面10aから第1シリコン基板2に向かって突出している。支持部11は、異方性エッチングにより凹部10の形成と同時に形成されている。このため、支持部11は、矩形状の断面を有している。支持部11は、突出方向先端部に突出端面11aを有している。突出端面11aは、全周にわたって第1シリコン基板2の主面2bと接合されている。
支持部11は、第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dを有している。第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dは、矩形枠状に配置されている。第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dは、いずれも平面視において直線状に形成されている。第1辺部12a及び第3辺部12cは、互いに対向している。第1辺部12a及び第3辺部12cは、図1の横方向に延伸している。第1辺部12aの幅と第3辺部12cの幅とは同等である。
第2辺部12b及び第4辺部12dは、互いに対向している。第2辺部12b及び第4辺部12dは、図1の縦方向に延伸している。第1辺部12a及び第3辺部12cの延伸方向と、第2辺部12b及び第4辺部12dの延伸方向とは、互いに直交している。第2辺部12bの幅と第4辺部12dの幅とは同等である。第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dは、平面視において正方形状に形成されている。
第2シリコン基板3の主面3aには、シリコン酸化膜4が形成されている。第1シリコン基板2の主面2bと、第2シリコン基板3の主面3aとは、シリコン酸化膜4を介して接合されている。シリコン酸化膜4は、凹部10の底面10a及び支持部11の突出端面11aにも形成されている。支持部11の突出端面11aと、第1シリコン基板2の主面2bとは、シリコン酸化膜4を介して接合されている。
凹部10と第1シリコン基板2との間には、空間が形成されている。この空間は、支持部11によって内側キャビティ5と外側キャビティ7とに仕切られている。内側キャビティ5は、支持部11よりも内側に形成されている。内側キャビティ5は、平面視において凹部10の中央部に位置している。
外側キャビティ7は、支持部11よりも外側に形成されている。外側キャビティ7は、平面視において凹部10の外周部に位置している。外側キャビティ7は、内側キャビティ5の周囲を囲むように配置されている。内側キャビティ5及び外側キャビティ7はいずれも、大気圧よりも圧力の低い真空状態に維持されている。内側キャビティ5の圧力及び外側キャビティ7の圧力は、同等である。
第1シリコン基板2は、ダイヤフラム8を有している。ダイヤフラム8は、第1シリコン基板2のうち、第2シリコン基板3の凹部10と対向する部分である。ダイヤフラム8は、検出対象の圧力に応じて変形する受圧部である。ダイヤフラム8には、受けた圧力に応じてひずみが生じる。ダイヤフラム8の大きさ及び厚さによって、ひずみの程度、すなわち感圧特性が決定される。本実施の形態の構成では、第1シリコン基板2の厚さがダイヤフラム8の厚さとなる。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、ダイヤフラム8に形成されている。
第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dのそれぞれは、内壁面12eと外壁面12fとを有している。内壁面12eは、内側キャビティ5側を向いている。外壁面12fは、外側キャビティ7側を向いている。
ピエゾ抵抗素子6b及びピエゾ抵抗素子6dは、互いに対向している。ピエゾ抵抗素子6b及びピエゾ抵抗素子6dは、第2辺部12b及び第4辺部12dが対向する方向に沿って並列している。ピエゾ抵抗素子6b及びピエゾ抵抗素子6dのそれぞれの中心部同士の距離は、D1である。第2辺部12b及び第4辺部12dのそれぞれの内壁面12e同士の距離は、D2である。第2辺部12b及び第4辺部12dのそれぞれの外壁面12f同士の距離は、D3である。このとき、距離D1、距離D2及び距離D3は、D2≦D1≦D3の関係を満たしている。
本実施の形態では、距離D1は、第2辺部12b及び第4辺部12dのそれぞれの幅方向中心部同士の距離((D2+D3)/2)と等しい。すなわち、距離D1、距離D2及び距離D3は、D1=(D2+D3)/2の関係を満たしている。
ピエゾ抵抗素子6a及びピエゾ抵抗素子6cは、互いに対向している。ピエゾ抵抗素子6a及びピエゾ抵抗素子6cは、第1辺部12a及び第3辺部12cが対向する方向に沿って並列している。ピエゾ抵抗素子6a及びピエゾ抵抗素子6cのそれぞれの中心部同士の距離は、D4である。第1辺部12a及び第3辺部12cのそれぞれの内壁面12e同士の距離は、D5である。第1辺部12a及び第3辺部12cのそれぞれの外壁面12f同士の距離は、D6である。このとき、距離D4、距離D5及び距離D6は、D5≦D4≦D6の関係を満たしている。
本実施の形態では、距離D4は、第1辺部12a及び第3辺部12cのそれぞれの幅方向中心部同士の距離((D5+D6)/2)と等しい。すなわち、距離D4、距離D5及び距離D6は、D4=(D5+D6)/2の関係を満たしている。
ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dはいずれも、支持部11と接合される領域付近のダイヤフラム8上に配置されている。すなわち、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき、支持部11と重なる位置又はその付近に配置されている。ピエゾ抵抗素子6aは、第1辺部12aと重なる位置又はその付近に配置されている。ピエゾ抵抗素子6bは、第2辺部12bと重なる位置又はその付近に配置されている。ピエゾ抵抗素子6cは、第3辺部12cと重なる位置又はその付近に配置されている。ピエゾ抵抗素子6dは、第4辺部12dと重なる位置又はその付近に配置されている。
ダイヤフラム8は、第1ダイヤフラム8aと、第2ダイヤフラム8bと、を有している。第1ダイヤフラム8aは、ダイヤフラム8のうち、内側キャビティ5と対向する部分である。第2ダイヤフラム8bは、ダイヤフラム8のうち、外側キャビティ7と対向する部分である。
以上のような構成において、第1シリコン基板2の主面2aに検出対象の圧力が加えられると、第1ダイヤフラム8aには、検出対象の圧力と内側キャビティ5の圧力との差圧に応じてひずみが生じる。第2ダイヤフラム8bには、検出対象の圧力と外側キャビティ7の圧力との差圧に応じてひずみが生じる。第1ダイヤフラム8a及び第2ダイヤフラム8bにひずみが生じると、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれが形成されている領域にもひずみが生じる。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれの抵抗値は、各領域のひずみに応じて変化する。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの抵抗値は、電気信号に変換されて出力される。出力された電気信号は、拡散配線層及び金属配線を介して金属電極パッドから外部に取り出される。
図3は、本実施の形態に係る半導体圧力センサの電気回路の要部を示す図である。図3に示すように、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、ホイートストンブリッジをなすように接続されている。ピエゾ抵抗素子6aの抵抗値はR1である。ピエゾ抵抗素子6bの抵抗値はR2である。ピエゾ抵抗素子6cの抵抗値はR3である。ピエゾ抵抗素子6dの抵抗値はR4である。
各ピエゾ抵抗素子の抵抗値とダイヤフラムのひずみ量との関係は、抵抗値をRとし、ひずみ量をεとし、ひずみによる抵抗値の変化量をΔRとし、ピエゾ抵抗素子のゲージ率をKsとすると、式(1)によって表される。ゲージ率は、ピエゾ抵抗素子の材料によって決まる定数である。
ΔR/R=Ks・ε ・・・(1)
ピエゾ抵抗素子6a及びピエゾ抵抗素子6cは、互いに対称となる位置に配置されている。ピエゾ抵抗素子6b及びピエゾ抵抗素子6dは、互いに対称となる位置に配置されている。抵抗値R1の変化量及び抵抗値R3の変化量が等しく、抵抗値R2の変化量及び抵抗値R4の変化量が等しく、ホイートストンブリッジに入力される電圧をVinとすると、VbとVaとの間の出力電圧Voutは、式(2)によって表される。
Vout=(R1・R3-R2・R4)/((R1+R2)(R3+R4))・Vin ・・・(2)
抵抗値R1、R2、R3、R4が全て同じ値であるとき、Vout=0となる。各抵抗値が変化してバランスが崩れると、Vout≠0となる。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの全てにひずみゲージが用いられており、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれのゲージ率が同じであるとすると、出力電圧Voutは、式(3)によって表される。
Vout=Ks/4・(ε1-ε2+ε3-ε4)・Vin ・・・(3)
図4は、本実施の形態の比較例に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。図4に示すように、本比較例における凹部10の内部には、キャビティ5aが形成されている。凹部10の内部には、枠状の支持部11が形成されていない。凹部10の外側には、支持部13が形成されている。
図5は、図4のA-A線上の第1シリコン基板に生じる相対ひずみの分布を示すグラフである。横軸は位置を表している。位置は、キャビティ5aの中心からの距離[μm]によって表されている。横軸において、200μm以下の範囲は、ダイヤフラムとなる領域を表している。縦軸は、相対ひずみ(ε/εmax)を表している。相対ひずみは、最大ひずみ量を1としてひずみ量を無次元化した値である。
図5に示すように、第1シリコン基板に生じる相対ひずみは、ダイヤフラムの外周端において最大になる。相対ひずみは、ダイヤフラムの外周端から内側方向に遠ざかると減少し、ダイヤフラムの外周端から外側方向に遠ざかっても減少する。ダイヤフラムの外周端から外側に10μm離れた位置では、相対ひずみは約0.65となる。各ピエゾ抵抗素子の基準位置は、相対ひずみが最大となる位置に設定される。基準位置とは、設計上の目標位置のことである。相対ひずみが最大となる位置は、ダイヤフラムの位置によって決まる。このため、各ピエゾ抵抗素子の基準位置は、ダイヤフラムの位置に対して相対的に定まる。
ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの形成工程及び凹部10の形成工程のそれぞれには、露光プロセスが含まれる。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dには、各露光プロセスにおけるアライメント精度に起因して、ダイヤフラムの位置に対して位置ずれが生じ得る。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じると、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが実際に形成される位置は基準位置からずれる。
各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図4中の横方向に5μmずれた位置に形成された場合、式(3)によると、出力電圧は1.2%減少する。同様に、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが図4中の縦方向に5μmずれた位置に形成された場合、出力電圧は1.2%減少する。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが図4中の斜め方向に5μmずれた位置に形成された場合、出力電圧は2.3%減少する。
ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置ずれによって出力電圧が変化する要因は、ダイヤフラムに生じるひずみ量が位置によって異なることである。比較例の構成では、ダイヤフラムの外周端にひずみが集中している。このため、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置が基準位置からずれると、ひずみ量が大きく変化する。ピエゾ抵抗素子の位置がずれたとしてもひずみ量の変化を小さくするためには、ひずみが集中する領域を拡大し、ひずみを均一化することが有効である。
図6は、本実施の形態に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布を示すグラフである。図6には、支持部11の辺部12a、12b、12c、12dのうちの1つの辺部の幅方向におけるダイヤフラム8のひずみ分布が示されている。横軸は位置を表している。位置は、支持部11の外側に向かう方向を正とした場合の辺部の幅方向中心部からの距離[μm]によって表されている。縦軸は、相対ひずみ(ε/εmax)を表している。第1シリコン基板2の主面2aには、圧力が加えられている。
ここで、内側キャビティ5の縦幅及び横幅はいずれも200μmであり、外側キャビティ7の幅は150μmである。支持部11の幅、すなわち支持部11の各辺部の幅は36μmである。図6の横軸において、-18μm以上18μm以下の範囲は、支持部11と重なる領域である。-18μmよりも小さい範囲は、第1ダイヤフラム8aの領域である。18μmよりも大きい範囲は、第2ダイヤフラム8bの領域である。図6に示すように、ひずみが集中する領域は、支持部11の辺部の幅方向中心部よりも内側及び外側の両方に形成されている。支持部11と接合される領域付近では、ダイヤフラム8に生じるひずみが均一化されている。相対ひずみは、辺部の幅方向中心部を中心とした±20μmの範囲の全域において、0.8以上である。
ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれの基準位置は、支持部11の対応する辺部における幅方向及び延伸方向の中心部に設定される。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の横方向に5μmずれた位置に配置された場合、式(3)によると、出力電圧は1.0%増加する。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の縦方向に5μmずれた位置に配置された場合、出力電圧は0.4%増加する。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の斜め方向に5μmずれた位置に配置された場合、出力電圧は1.4%増加する。
本実施の形態では、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれの基準位置の周囲におけるひずみ変化が、比較例よりも小さくなる。このため、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
本実施の形態では、凹部10の内部に矩形枠状の支持部11が形成されているため、全体的なひずみの大きさが比較例よりも小さくなる。ひずみの大きさを増加させてS/N比を大きくするためには、ダイヤフラム8の厚さを薄くするか、又は、第1ダイヤフラム8a及び第2ダイヤフラム8bの幅を広くすることが有効である。
図7は、本実施の形態に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布の別の例を示すグラフである。図7には、支持部11の幅が32μmであるときのひずみ分布が示されている。図7の横軸及び縦軸は、図6と同様である。図7の横軸において、-16μm以上16μm以下の範囲は、支持部11と重なる領域である。-16μmよりも小さい範囲は、第1ダイヤフラム8aの領域である。16μmよりも大きい範囲は、第2ダイヤフラム8bの領域である。
図7に示すように、支持部11上では、辺部の幅方向中心部よりも内側に生じたひずみと、辺部の幅方向中心部よりも外側に生じたひずみと、が重なり合っている。つまり、辺部の幅方向中心部よりも内側にピークを有するひずみ分布と、辺部の幅方向中心部よりも外側にピークを有するひずみ分布と、が支持部11上で重なり合っている。
図6のグラフでは、辺部の幅方向中心部での相対ひずみが約0.8であるのに対し、図7のグラフでは、辺部の幅方向中心部での相対ひずみが約0.9に増加している。このように、支持部11の辺部の幅を狭くすることにより、辺部の幅方向中心部よりも内側に生じたひずみと、辺部の幅方向中心部よりも外側に生じたひずみと、が重なり合うため、支持部11と接合される領域付近でのひずみの均一性がさらに向上する。相対ひずみは、辺部の幅方向中心部を中心とした±20μmの範囲の全域において、0.85以上である。
ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれの基準位置は、支持部11の対応する辺部における幅方向及び延伸方向の中心部に設定される。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の横方向に5μmずれた位置に配置された場合、出力電圧の変化率は0.4%である。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の縦方向に5μmずれた位置に配置された場合、出力電圧の変化率は0%である。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の斜め方向に5μmずれた位置に配置された場合、出力電圧の変化率は0.4%である。これにより、ピエゾ抵抗素子の位置ずれによる出力電圧のばらつきをさらに抑制できることが分かる。
支持部11と接合される領域付近でのひずみの均一性をさらに高めるためには、辺部の幅方向中心部近傍において、当該中心部よりも外側に生じるひずみの大きさと、当該中心部よりも内側に生じるひずみの大きさと、が同等であることが好ましい。このようなひずみ分布を得るためには、外側キャビティ7の幅と内側キャビティ5の幅との関係を適切に設計する必要がある。
例えば、図7では、第2ダイヤフラム8b側の相対ひずみのピークが1であり、第1ダイヤフラム8a側の相対ひずみのピークが約0.95である。すなわち、辺部の幅方向中心部よりも外側に生じるひずみの大きさのピークは、当該中心部よりも内側に生じるひずみの大きさのピークよりも大きくなっている。この場合、内側キャビティ5の幅を増加させるか、あるいは外側キャビティ7の幅を減少させるのが有効である。これにより、辺部の幅方向中心部近傍において、当該中心部よりも外側に生じるひずみの大きさのピークと、当該中心部よりも内側に生じるひずみの大きさのピークと、を同等にすることができる。
本実施の形態では、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの基準位置は、支持部11の各辺部における幅方向及び延伸方向の中心部に配置されることが望ましい。これにより、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置が基準位置から図1の上下方向又は左右方向にずれた場合においても、出力電圧の変化率を小さくすることができる。
また、支持部11の各辺部の幅は、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのサイズと、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置公差と、の和と同等以上であるのが望ましい。これにより、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dを確実に支持部11上の領域に形成することができるため、位置ずれによる出力電圧のばらつきをさらに抑制することができる。
図8は、本実施の形態に係る半導体圧力センサのダイヤフラムに生じる相対ひずみの分布のさらに別の例を示すグラフである。図8には、支持部11の幅が29μmであるときのひずみ分布が示されている。図8の横軸及び縦軸は、図6と同様である。図8の横軸において、-14.5μm以上14.5μm以下の範囲は、支持部11と重なる領域である。-14.5μmよりも小さい範囲は、第1ダイヤフラム8aの領域である。14.5μmよりも大きい範囲は、第2ダイヤフラム8bの領域である。
図8に示すように、相対ひずみは、支持部11上の全ての領域において0.95以上となっている。すなわち、支持部11の幅が29μmのときには、支持部11上の領域において、ひずみの大きさが同等となり、ひずみが均一になる。本実施の形態では、支持部11の幅が29μmのとき、ひずみの均一性が最も高くなった。相対ひずみは、辺部の幅方向中心部を中心とした±20μmの範囲の全域において、0.85以上である。
支持部11の幅が29μmであり、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置公差が±5μmである場合、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのサイズが19μm以下であれば、位置ずれが生じたとしても各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dを確実に支持部11上の領域に配置することができる。このため、出力電圧のばらつきをさらに抑制できる。
図9は、本実施の形態において、ピエゾ抵抗素子に位置ずれが生じた場合の半導体圧力センサの構成を示す平面図である。図9に示すように、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dには、ダイヤフラムの位置に対して位置ずれが生じている。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき支持部11と重なっていない。ただし、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、支持部11と接合される領域付近に配置されている。このように、本実施の形態では、支持部11が設けられているため、図9に示すようにピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じても、出力電圧のばらつきを抑制することができる。
ピエゾ抵抗素子の形成工程において、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置は、同一の露光プロセスにより同時に決められる。このため、ダイヤフラムの位置に対してピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6d同士の相対的な位置関係は維持される。したがって、図9の距離D1は図1の距離D1と同一であり、図9の距離D4は図1の距離D4と同一である。
各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、1素子により構成されていてもよいし、直列又は並列に配置された複数素子により構成されていてもよい。また、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、互いに異なる形状を有していてもよい。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの形状は、適切に設計されることが好ましい。
図10は、本実施の形態に係る半導体圧力センサにおける支持部の幅と出力電圧変化率との関係を示すグラフである。横軸は、支持部11の各辺部12a、12b、12c、12dの幅[μm]を表している。縦軸は、出力電圧変化率(%)を表している。グラフ中の四角印は、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の横方向に5μmずれた場合の出力電圧変化率を表している。グラフ中の丸印は、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の縦方向に5μmずれた場合の出力電圧変化率を表している。グラフ中の三角印は、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが基準位置から図1の斜め方向に5μmずれた場合の出力電圧変化率を表している。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの基準位置は、支持部11の対応する辺部における幅方向及び延伸方向の中心部である。
図10に示すように、出力電圧変化率は、支持部11の幅に対して一次関数的に変化することが分かった。各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが斜め方向にずれた場合の出力電圧変化率は、各ピエゾ抵抗素子が縦方向にずれた場合の出力電圧変化率と、各ピエゾ抵抗素子が横方向にずれた場合の出力電圧変化率と、の和になった。
また、出力電圧変化率が0になる支持部11の幅は、縦方向にずれた場合と横方向にずれた場合とで異なることが分かった。横方向の位置ずれに影響を受けるピエゾ抵抗素子6b及びピエゾ抵抗素子6dは、それぞれ第2辺部12b及び第4辺部12dと重なって配置されている。縦方向の位置ずれに影響を受けるピエゾ抵抗素子6a及びピエゾ抵抗素子6cは、それぞれ第1辺部12a及び第3辺部12cと重なって配置されている。本実施の形態では、第2辺部12b及び第4辺部12dのそれぞれの幅を29μmとし、第1辺部12a及び第3辺部12cのそれぞれの幅を32μmとしたときに、出力電圧変化率が最も小さくなることが分かった。このように、支持部11の第1辺部12a、第2辺部12b、第3辺部12c及び第4辺部12dのそれぞれの幅は、互いに異なっていてもよい。ただし、互いに対向する2つの辺部の幅は、同等であるのが望ましい。
次に、半導体圧力センサ1の製造方法について簡単に説明する。ここで、半導体圧力センサ1は、平面視において1辺が1.0~1.6mm程度の正方形状の形状を有する。第1ダイヤフラム8aは、平面視において1辺が200μm程度の正方形状の形状を有する。
まず、第2シリコン基板3の主面3aに、エッチングにより凹部10を形成する。内側キャビティ5及び外側キャビティ7の形状、つまりダイヤフラム8の形状を精度良く形成するためには、ボッシュプロセスを利用した誘導結合型の反応性イオンエッチング(ICP-RIE:Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)を用いることが好ましい。ただし、エッチング方法はこれに限定されるものではなく、水酸化カリウム(KOH)、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH:TetraMethylAmmonium Hydroxide)等のエッチング液を用いたウェット異方性エッチングを用いてもよい。
凹部10の深さは、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの容積に関わる。水素圧用の半導体圧力センサ1の場合には、水素等の何らかのガスが侵入すると、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの内圧が変化しやすい。このため、ガスが侵入したとしても内圧の変化を小さく抑えるという観点からは、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの容積は大きい方が好ましい。したがって、水素圧用の半導体圧力センサ1の場合には、凹部10の深さを可能な限り深くする方がよい。凹部10の深さが深くなると、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの容積が増加する。このため、水素ガスの侵入による内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの内圧変化を小さくすることができ、これによりセンサ出力の変動を小さくすることができる。
一方、凹部10の深さを浅くした場合、エッチング工程における加工負荷を低減できるとともに、第2シリコン基板3の機械的強度の低下を抑えることができる。大気圧用の半導体圧力センサ1の場合、ガスが侵入したとしても、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれには内圧の変化が生じにくい。このため、大気圧用の半導体圧力センサ1の場合には、凹部10の深さを浅くしてもよい。本実施の形態では、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のいずれにおいても凹部10の深さを50μmとしたが、凹部10の深さは自由に設定することができる。
次に、第2シリコン基板3の主面3aに、熱酸化によってシリコン酸化膜4を形成する。シリコン酸化膜4は、凹部10及び支持部11のそれぞれの表面にも形成される。一般的に、SOI(Silicon On Insulator)ウエハでは、ウエハ接合面に厚さ0.1μm~1μmの酸化膜が用いられる。水素圧用の半導体圧力センサ1の場合、シリコン酸化膜4の厚さが厚いほど、水素等のガスが透過する経路の経路断面積が増大し、外側キャビティ7及び内側キャビティ5の内部にガスが侵入しやすくなる。一方、シリコン酸化膜4の厚さが薄いと、水素圧用及び大気圧用に関わらず、接合の面内均一性が低下する可能性がある。
本実施の形態では、シリコン酸化膜4の厚さを0.5μmとした。シリコン酸化膜4の厚さは特に限定されず、一般的なSOIウエハに用いられる酸化膜の厚さとすればよい。本実施の形態では、第2シリコン基板3の主面3aにシリコン酸化膜4を形成しているが、第1シリコン基板2の主面2bにシリコン酸化膜4を形成してもよい。
次に、第2シリコン基板3の主面3aと第1シリコン基板2の主面2bとを、シリコン酸化膜4を介して真空中で接合する。これにより、内側キャビティ5及び外側キャビティ7が形成される。第2シリコン基板3と第1シリコン基板2との接合は、1100℃程度の高温の酸化雰囲気中において行われるのが好ましい。ただし、凹部10の面積がウエハ全体の面積に占める割合によっては、接合強度をさらに向上させるために、酸化雰囲気の温度を1200℃程度まで上げてもよい。
第1シリコン基板2の一部はダイヤフラム8となる。このため、第2シリコン基板3と第1シリコン基板2とが接合された後、測定対象の圧力範囲に応じて、第1シリコン基板2の厚さが調整される。具体的には、第1シリコン基板2の主面2a全体に研削及び研磨を施し、第1シリコン基板2の厚さが調整される。これにより、ダイヤフラム8の厚さは、測定対象の圧力範囲に応じて、適切な厚さに調整される。
次に、第1シリコン基板2の主面2aにピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dを形成する。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、第1ダイヤフラム8aの外縁部、すなわち、ダイヤフラム8のうち支持部11と接合される領域に形成される。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、ボロンなどの不純物のイオン注入、及びその後の熱処理等により形成される。さらに、イオン注入及びその後の熱処理によって拡散配線層を形成する。その後、スパッタリング又は電子ビーム蒸着等の方法を用いてAl、Al-Si、Al-Si-Cu等の金属膜を成膜し、金属配線層及び金属電極パッドを形成する。
以上の工程により、ウエハには、複数の半導体圧力センサ1が同時に形成される。その後、ダイシング工程によって各半導体圧力センサ1が切り離される。
次に、本実施の形態の変形例について説明する。図11は、本実施の形態の変形例1に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。図11に示すように、支持部11は、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき、4つの角部を有している。4つの角部のそれぞれには、面取り部11bが形成されている。面取り部11bは、支持部11の高さ方向の全体にわたって形成されている。面取り部11bは、外側キャビティ7に面している。面取り部11bは、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dから十分に離れている。面取り部11bは、C面取りにより形成されている。面取り部11bは、R面取りにより形成されていてもよい。
矩形枠状の支持部11において、ひずみが最も集中するのは角部である。本変形例では、角部に面取り部11bが形成されているため、ひずみの集中による角部の破損を抑制することができる。また、各辺部12a、12b、12c、12dの幅が保たれたまま、支持部11の平面形状が八角形又は角丸矩形となるため、支持部11の機械的強度を向上させることができる。
図12は、本実施の形態の変形例2に係る半導体圧力センサの断面構成を示す模式図である。図12に示すように、第1シリコン基板2の主面2bと、第2シリコン基板3の主面3aとは、シリコン酸化膜を介さずに直接接合されている。第1シリコン基板2の主面2bと支持部11の突出端面11aとの間も、シリコン酸化膜を介さずに直接接合されている。第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3のそれぞれの接合面は、シリコンのみによって形成されている。これにより、半導体圧力センサ1の機械的強度を高めることができる。また、シリコンとシリコン酸化物との接合ではなく、シリコン同士の接合となるため、異種材料が接合されることによる内部応力の影響を軽減できる。したがって、本変形例では、熱膨張に対するロバスト性を高めることができる。
内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの圧力は、経時的に変化する場合がある。各キャビティの圧力が変化してしまうと、測定対象の圧力に対してダイヤフラムに生じるひずみの大きさが変化してしまう。このため、内側キャビティ5と外側キャビティ7との間は、開口部を介して空間的につながっていてもよい。
図13は、本実施の形態の変形例3に係る半導体圧力センサの構成を示す平面図である。図13に示すように、支持部11の4つの角部のそれぞれには、開口部11cが形成されている。内側キャビティ5と外側キャビティ7との間は、開口部11cを介して空間的につながっている。開口部11cは、各ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dから十分に離れている。支持部11の幅が保たれていれば、開口部11cの開口面積は自由に設定することができる。内側キャビティ5と外側キャビティ7との間が空間的につながることにより、内側キャビティ5と外側キャビティ7とが同等の圧力に維持される。このため、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの圧力が経時的に変化するのを抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る半導体圧力センサ1は、第1シリコン基板2及び第2シリコン基板3を備えている。第1シリコン基板2の一方の主面2bと、第2シリコン基板3の一方の主面3aとは、互いに接合されている。第2シリコン基板3の主面3aには、凹部10が形成されている。第1シリコン基板2は、凹部10と対向するダイヤフラム8を有している。凹部10には、第1シリコン基板2に向かって突出した支持部11が形成されている。支持部11は、矩形枠状に配置された4つの辺部12a、12b、12c、12dを有している。支持部11の突出端面11aは、第1シリコン基板2の主面2bと接合されている。凹部10と第1シリコン基板2との間には、支持部11よりも内側に配置された内側キャビティ5と、支持部11よりも外側に配置された外側キャビティ7と、が形成されている。第1シリコン基板2の他方の主面2aには、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dが形成されている。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dは、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき、支持部11と重なる位置又はその付近に配置されている。
この構成によれば、ダイヤフラム8に生じるひずみは、支持部11と接合される領域付近において均一化される。このため、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
ここで、支持部11と重なる位置の付近とは、支持部11と重なる位置からの距離が10μm以下の範囲のことである。ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの形成工程及び凹部10の形成工程のそれぞれの露光プロセスでは、約2~3μmのアライメントずれが生じ得る。このため、各ピエゾ抵抗素子と支持部11との間には、最大で約4~6μmの位置ずれが生じ得る。また、支持部11の幅が20μmであり、支持部11の幅方向におけるピエゾ抵抗素子の幅が26μmである場合、支持部11の幅方向中心部の位置とピエゾ抵抗素子の中心部の位置とが一致したとしても、ピエゾ抵抗素子は、幅方向両側において支持部11から3μmずつはみ出す。ピエゾ抵抗素子と支持部11との間の位置ずれ幅約4~6μmと、支持部11からのピエゾ抵抗素子のはみ出し幅3μmと、を加算すると、約7~9μmとなる。すなわち、本実施の形態のピエゾ抵抗素子は、支持部11と重なる位置だけでなく、支持部11と重なる位置から約10μm離れた位置まで存在し得る。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、4つの辺部12a、12b、12c、12dのうちの1つの辺部の幅方向におけるダイヤフラム8のひずみ分布において、辺部の幅方向中心部よりも内側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、辺部の幅方向中心部よりも外側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、は同等である。この構成によれば、支持部11と接合される領域付近において、ダイヤフラム8に生じるひずみがより均一化される。したがって、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、4つの辺部12a、12b、12c、12dのうちの1つの辺部の幅方向におけるダイヤフラム8のひずみ分布において、最大ひずみ量を1としたときの相対ひずみは、辺部の幅方向中心部において0.8以上である。この構成によれば、支持部11と接合される領域付近において、ダイヤフラム8に生じるひずみがより均一化される。したがって、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、4つの辺部12a、12b、12c、12dのうちの1つの辺部の幅方向におけるダイヤフラム8のひずみ分布において、第1シリコン基板2の法線方向に見て辺部と重なる領域に生じるひずみの大きさは、辺部の幅方向において均一である。この構成によれば、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1において、4つの辺部12a、12b、12c、12dのうち互いに対向する2つの辺部の幅は同等であってもよい。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、ピエゾ抵抗素子は、互いに対向する2つのピエゾ抵抗素子6b、6dを含んでいる。2つのピエゾ抵抗素子6b、6dのそれぞれの中心部同士の距離D1は、4つの辺部のうち互いに対向する2つの辺部12b、12dのそれぞれの幅方向中心部同士の距離((D2+D3)/2)と等しい。この構成によれば、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、圧力に対する出力電圧のばらつきを抑制することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、複数のピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれは、第1シリコン基板2の法線方向に見たとき、支持部11と重なる位置に配置されていてもよい。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、4つの辺部12a、12b、12c、12dのそれぞれの幅は、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのサイズと、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dの位置公差と、の和と同等以上である。この構成によれば、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dに位置ずれが生じたとしても、ピエゾ抵抗素子6a、6b、6c、6dのそれぞれを支持部11と重なる領域に形成することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、支持部11の角部には、面取り部11bが形成されている。この構成によれば、ひずみの集中による支持部11の角部の破損を抑制することができるとともに、支持部11の機械的強度を向上させることができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、内側キャビティ5と外側キャビティ7とは、空間的につながっている。この構成によれば、内側キャビティ5と外側キャビティ7とが同等の圧力に維持されるため、内側キャビティ5及び外側キャビティ7のそれぞれの圧力が経時的に変化するのを抑制することができる。
本実施の形態に係る半導体圧力センサ1では、突出端面11aは、第1シリコン基板2の主面2bと直接接合されている。この構成によれば、半導体圧力センサ1の機械的強度を高めることができるとともに、熱膨張に対するロバスト性を高めることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
第1シリコン基板及び第2シリコン基板を備え、
前記第1シリコン基板の一方の主面と、前記第2シリコン基板の一方の主面とは、互いに接合されており、
前記第2シリコン基板の前記一方の主面には、凹部が形成されており、
前記第1シリコン基板は、前記凹部と対向するダイヤフラムを有しており、
前記凹部には、前記第1シリコン基板に向かって突出した支持部が形成されており、
前記支持部は、矩形枠状に配置された4つの辺部を有しており、
前記支持部の突出端面は、前記第1シリコン基板の前記一方の主面と接合されており、
前記凹部と前記第1シリコン基板との間には、前記支持部よりも内側に配置された内側キャビティと、前記支持部よりも外側に配置された外側キャビティと、が形成されており、
前記第1シリコン基板の他方の主面には、ピエゾ抵抗素子が形成されており、
前記ピエゾ抵抗素子は、前記第1シリコン基板の法線方向に見たとき、前記支持部と重なる位置又はその付近に配置されている半導体圧力センサ。
(付記2)
前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、前記1つの辺部の幅方向中心部よりも内側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、前記1つの辺部の幅方向中心部よりも外側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、は同等である付記1に記載の半導体圧力センサ。
(付記3)
前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、最大ひずみ量を1としたときの相対ひずみは、前記1つの辺部の幅方向中心部において0.8以上である付記1に記載の半導体圧力センサ。
(付記4)
前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、前記第1シリコン基板の法線方向に見て前記1つの辺部と重なる領域に生じるひずみの大きさは、前記幅方向において均一である付記1に記載の半導体圧力センサ。
(付記5)
前記4つの辺部のうち互いに対向する2つの辺部の幅は同等である付記1~付記4のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
(付記6)
前記4つの辺部のそれぞれの幅は、前記ピエゾ抵抗素子のサイズと、前記ピエゾ抵抗素子の位置公差と、の和と同等以上である付記1~付記5のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
(付記7)
前記ピエゾ抵抗素子は、互いに対向する2つのピエゾ抵抗素子を含んでおり、
前記2つのピエゾ抵抗素子のそれぞれの中心部同士の距離は、前記4つの辺部のうち互いに対向する2つの辺部のそれぞれの幅方向中心部同士の距離と等しい付記1~付記6のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
(付記8)
前記支持部の角部には、面取り部が形成されている付記1~付記7のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
(付記9)
前記内側キャビティと前記外側キャビティとは、空間的につながっている付記1~付記8のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
(付記10)
前記突出端面は、前記第1シリコン基板の前記一方の主面と直接接合されている付記1~付記9のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
1 半導体圧力センサ、2 第1シリコン基板、2a、2b 主面、3 第2シリコン基板、3a 主面、4 シリコン酸化膜、5 内側キャビティ、5a キャビティ、6a、6b、6c、6d ピエゾ抵抗素子、7 外側キャビティ、8 ダイヤフラム、8a 第1ダイヤフラム、8b 第2ダイヤフラム、10 凹部、10a 底面、11 支持部、11a 突出端面、11b 面取り部、11c 開口部、12a 第1辺部、12b 第2辺部、12c 第3辺部、12d 第4辺部、12e 内壁面、12f 外壁面。

Claims (10)

  1. 第1シリコン基板及び第2シリコン基板を備え、
    前記第1シリコン基板の一方の主面と、前記第2シリコン基板の一方の主面とは、互いに接合されており、
    前記第2シリコン基板の前記一方の主面には、凹部が形成されており、
    前記第1シリコン基板は、前記凹部と対向するダイヤフラムを有しており、
    前記凹部には、前記第1シリコン基板に向かって突出した支持部が形成されており、
    前記支持部は、矩形枠状に配置された4つの辺部を有しており、
    前記支持部の突出端面は、前記第1シリコン基板の前記一方の主面と接合されており、
    前記凹部と前記第1シリコン基板との間には、前記支持部よりも内側に配置された内側キャビティと、前記支持部よりも外側に配置された外側キャビティと、が形成されており、
    前記第1シリコン基板の他方の主面には、ピエゾ抵抗素子が形成されており、
    前記ピエゾ抵抗素子は、前記第1シリコン基板の法線方向に見たとき、前記支持部と重なる位置又はその付近に配置されている半導体圧力センサ。
  2. 前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、前記1つの辺部の幅方向中心部よりも内側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、前記1つの辺部の幅方向中心部よりも外側の領域に生じるひずみの大きさのピークと、は同等である請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  3. 前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、最大ひずみ量を1としたときの相対ひずみは、前記1つの辺部の幅方向中心部において0.8以上である請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  4. 前記4つの辺部のうちの1つの辺部の幅方向における前記ダイヤフラムのひずみ分布において、前記第1シリコン基板の法線方向に見て前記1つの辺部と重なる領域に生じるひずみの大きさは、前記幅方向において均一である請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  5. 前記4つの辺部のうち互いに対向する2つの辺部の幅は同等である請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  6. 前記4つの辺部のそれぞれの幅は、前記ピエゾ抵抗素子のサイズと、前記ピエゾ抵抗素子の位置公差と、の和と同等以上である請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  7. 前記ピエゾ抵抗素子は、互いに対向する2つのピエゾ抵抗素子を含んでおり、
    前記2つのピエゾ抵抗素子のそれぞれの中心部同士の距離は、前記4つの辺部のうち互いに対向する2つの辺部のそれぞれの幅方向中心部同士の距離と等しい請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の半導体圧力センサ。
  8. 前記支持部の角部には、面取り部が形成されている請求項7に記載の半導体圧力センサ。
  9. 前記内側キャビティと前記外側キャビティとは、空間的につながっている請求項7に記載の半導体圧力センサ。
  10. 前記突出端面は、前記第1シリコン基板の前記一方の主面と直接接合されている請求項7に記載の半導体圧力センサ。
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