JP2023161064A - 育毛剤 - Google Patents

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秀樹 高橋
Hideki Takahashi
健二 増田
Kenji Masuda
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Adjuvant Cosme Japan Co Ltd
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Abstract

【課題】頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛などの毛における毛幹成長を促進し、毛乳頭細胞における育毛に寄与する遺伝子発現を亢進し、発毛、毛幹伸長速度の向上、毛幹最大長の向上、及び毛幹径の増大する効果を奏する外用剤である育毛剤を提供することである。【解決手段】外用剤である育毛剤において、有効成分として、フィトスフィンゴシンおよびマツエキスおよびチャエキスを共に含有し、または、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上を併用するものとする。【選択図】図2

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、育毛剤に関する。さらに詳しくは、フィトスフィンゴシンと、マツエキス、茶エキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよび/またはセンブリ抽出液とを含む育毛剤に関する。
毛髪の成長は、成長期、退行期、休止期からなるヘアサイクル(毛周期)に従って成長及び脱落を繰り返している。男性型脱毛症の症状は、何らかの原因によってヘアサイクルのバランスが失われ、成長期の期間が短縮して休止期毛の比率が増加し、毛髪が軟毛(うぶ毛)化するというものである。組織学的には、成長期毛包のサイズは健常頭皮のそれと比べて小さく、毛乳頭の発達も悪く、毛包をとりまく毛細血管網も減少するとの報告がある(非特許文献1)。
そこで、ヒトを始めとする哺乳動物において、育毛効果および毛種・毛質を改善する育毛剤などの外用剤の需要が伸びている。育毛効果および毛種・毛質を改善のため、毛のライフサイクルである毛周期を調節することに寄与する有効成分が提案され、育毛剤として上市されつつある。
たとえば、育毛剤の有効成分としてミノキシジルの利用が提案され(特許文献1~3などを参照。)、ヒト臨床試験を経て、ミノキシジルを有効成分とする育毛剤が上市されている。しかしながら、その医薬用途は本邦においては男性の壮年性脱毛症に限られるなど、育毛効果および毛種・毛質改善効果を所望する幅広い消費者の要望を十分に叶えるものとはなっていない。
フィトスフィンゴシンは化粧品原材料の成分として知られているが、それが育毛効果を奏するものであることを具体的に確認した科学的な報告はなかったところ、本願出願人らは、フィトスフィンゴシンが、毛幹成長促進、毛幹伸長速度向上、毛幹最大長向上、毛幹径増大の顕著な育毛効果を奏するものであることを具体的に確認し、第296回日本皮膚科学会東海地方会(2021年6月20日開催)にて報告している。
また、育毛剤の有効成分としてタマサキツヅラフジアルカロイド、センブリエキス、パントテニルエチルエーテル、マツエキスおよび茶エキスの利用が提案されている(特許文献5~特許文献10を参照。)。しかしながら、育毛を所望する幅広い消費者の要望を十分に叶えるものとはなっていない。
米国特許第4139619号明細書 特開昭63-150211号公報 特開昭63-145217号公報 特許第3220434号公報 特許第6911187号公報 特許第6382668号公報 特開2007-169233号公報 特許第6124686号公報 特開2008-179576号公報 特開2022-509412号公報
本発明の目的は、優れた育毛作用およびスカルプケア効果を奏する育毛剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィトスフィンゴシンと、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよび/またはセンブリエキスとを有効成分とすることで優れた育毛活性を発揮させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキスを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、第1の手段の育毛剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイドを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、第1の手段の育毛剤にさらにパントテニルエチルエーテルを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第4の手段は、第1の手段の育毛剤にさらにセンブリエキスを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第5の手段は、第1の手段の育毛剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を有効成分として含有することを特徴とする育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第6の手段は、毛幹成長促進または発毛に用いるための、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第7の手段は、毛幹伸長速度を向上させるために使用する、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第8の手段は、毛幹最大長を向上させるために使用する、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第9の手段は、毛幹径を増大させるために使用する、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第10の手段は、毛数を増加させるために使用する、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第11の手段は、溶液である、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第12の手段は、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛用の、本発明の第1の手段に記載の育毛剤である。
上記の課題を解決するための本発明の第13の手段は、育毛剤の製剤にフィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする、育毛剤の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第14の手段は、第13の手段の製剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイドを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする育毛剤の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第15の手段は、第13の手段の製剤にさらにパントテニルエチルエーテルを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする育毛剤の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第16の手段は、第13の手段の製剤にさらにセンブリエキスを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする育毛剤の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第17の手段は、第13の手段の製剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする育毛剤の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第18の手段は、フィトスフィンゴシンを含有する製剤と、マツエキスおよびチャエキスを含有する製剤とを含む、育毛剤のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第19の手段は、第18の手段の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に、さらにタマサキツヅラフジアルカロイドを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第20の手段は、第18の手段の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に、さらにパントテニルエチルエーテルを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第21の手段は、第18の手段の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に、さらにセンブリエキスを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第22の手段は、第18の手段の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキットである。
上記の課題を解決するための本発明の第23の手段は、フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキスを有効成分として対象に投与することを特徴とする、育毛方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第24の手段は、フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスと、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを有効成分として対象に投与することを特徴とする、育毛方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第25の手段は、対象が非ヒト動物であることを特徴とする、本発明の第23または第24の手段の育毛方法である。
上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを有効成分として含むスカルプケア剤である。
上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、上記手段の育毛剤にさらにフィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスと、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを有効成分として含有することを特徴とするスカルプケア剤である。
さらに、上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを有効成分として含むスカルプケア剤を対象に投与することを含む頭皮症状改善方法である。
上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、上記手段のスカルプケア剤にさらにフィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスと、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを有効成分として含有することを特徴とする、頭皮症状改善方法である。
さらに、上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを有効成分として含む毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤である。
上記の課題を解決するための本発明のその他の手段は、上記手段の毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤にさらにフィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスと、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを有効成分として含有することを特徴とする毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤である。
本発明の手段により、フィトスフィンゴシンとマツエキスおよびチャエキスとを、または、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを、外用剤である育毛剤の有効成分として含有または併用するものとすることで、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛などの毛における毛幹成長促進、毛幹伸長速度の向上、毛幹最大長の向上、毛幹径の増大の効果、軟毛密度の低下、硬毛密度の増加、軟毛比率の低下、硬毛比率の増加並びにスカルプケア効果、毛乳頭細胞のVEGF産生を促進効果が奏される、優れた育毛剤、スカルプケア剤、毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤が提供され、それらを用いる優れた育毛方法、頭皮症状改善方法、毛乳頭細胞のVEGF産生促進方法が提供されることとなる。
図1は、ヒト毛乳頭細胞における、マツエキスとチャエキス、フィトスフィンゴシン、マツエキスとチャエキスとフィトスフィンゴシンによる72時間刺激によるVEGF遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図2は、ヒト毛乳頭細胞における、タマサキツヅラフジアルカロイド、フィトスフィンゴシン、タマサキツヅラフジアルカロイドとフィトスフィンゴシンによる72時間刺激によるVEGF遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図3は、陰性対照、RiUP、フィトスフィンゴシン、マウスへのマツエキスとチャエキス、および、フィトスフィンゴシンとマツエキスとチャエキスとフィトスフィンゴシンの投与による育毛促進作用確認試験の結果を示すグラフである。
図4は、ヒトにおける軟毛密度変化率の評価結果を示すグラフである。
図5は、ヒトにおける硬毛密度変化率の評価結果を示すグラフである。
図6は、ヒトにおける軟毛化変化率の評価結果を示すグラフである。
図7は、ヒトにおける硬毛化変化率の評価結果を示すグラフである。
図8は、ヒトにおける毛径変化率の評価結果を示すグラフである。
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明に係る育毛剤およびスカルプケア剤の有効成分は、フィトスフィンゴシンとマツエキスとチャエキスとを共に含有するもの、または、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを併用するものからなる。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤における上記有効成分は、育毛剤およびスカルプケア剤の全体に対し、0.00001~20重量%配合される。より具体的には、0.0001~10重量%配合される。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤は、医薬品、医薬部外品、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛用化粧品および頭皮用化粧品を含む化粧品などとし、軟膏、パップ、リニメント、ローション、外用液剤、散布剤、クリーム、ジェル、乳液、ヘアトニック、ヘアスプレー、マイクロニードルなどといった外用剤としての様々な態様の剤形を有する製剤として使用することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤は、フィトスフィンゴシンとマツエキスとチャエキスとを共に含有させる工程、または、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを併用して有効成分として含有させる工程を経ることにより製造することができる。さらに、上記各工程にくわえ、所望により、製剤化のための添加物を含有させる工程を加えたものとしてもよい。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤において、フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが別々の製剤に含有され提供される場合には、それら製剤の剤形は、同じ剤形であっても異なる剤形を組み合わせたものであってもよく、それら剤形の製剤を提供するためのキットとして提供することもできる。
上記で用いるフィトスフィンゴシン、パントテニルエチルエーテルは、試薬として流通しているものを使用することができる。
マツエキス(Pine Extract)は、セイヨウアカマツ Pinus Sylvestris Linne (Pinaceae)球果から水、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの混液もしくは1%尿素含有エタノール溶液、1%尿素含有1,3-ブチレングリコール溶液にて抽出して得られるエキスなどを用いることができる。また、チャエキス(Green Tea Extract)は、チャノキ Thea sinensis Linne (Theaceae)の葉から製したもの(緑茶)から水、エタノール溶液、プロピレングリコール溶液又はグリセリン溶液にて抽出して得られるエキスなどを用いることができる。これらが包含される成分としてリデンシルを使用することもできる。
タマサキツヅラフジアルカロイド/セファランチンとして流通しているものを使用することができる。
センブリエキスは、センブリ Swertia japonica Makino (Gentianaceae)の全草から水、エタノール、無水エタノール又はこれらの混液で抽出して得られるエキスなどを使用することができる。
また、さらに、本発明の育毛効果およびスカルプケア効果を妨げない程度において、医薬品、医薬部外品、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛用化粧品および頭皮用化粧品を含む化粧品などにおいて通常含有することが許容される添加物等の成分を、配合したものとしてもよい。この添加物等の成分としては、例えば賦形剤、安定剤、矯臭剤、基剤、分散剤、希釈剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性重合体、非イオン性重合体、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アルコール類、乳化剤、経皮吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、着色剤、油脂、鉱物油などの油分、保湿剤、増粘剤、ポリマー、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、保湿剤、無機塩、機能性ビーズ・カプセル類、シリコーン類、金属キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、清涼剤、消臭剤、顔料、染料、香料、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、有機酸、有機アミン、植物抽出物、粘土鉱物や各種ポリマーなどの粘度調整剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤は、発毛、育毛、養毛などの効果を有する公知の成分をさらに含有するものとしてもよい。
本発明の手段における育毛剤およびスカルプケア剤の1投与あたりの有効成分の投与量は、本発明の育毛剤およびスカルプケア剤の効果が奏されるように調節することができる。そして、その投与量は、例えば0.005~200mg、具体的には0.05~100mg、より具体的には0.5~10mgとすることができる。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤の投与回数は、本発明の育毛剤およびスカルプケア剤の効果が奏されるよう、1回もしくは複数回とすることができる。そして、本発明の育毛剤およびスカルプケア剤の投与回数は、例えば1日あたり1~6回とすることができる。そして、具体的には1日あたり1~3回、より具体的には1日あたり1~2回とすることができる。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤は、毛幹成長促進、毛幹伸長速度向上、毛幹最大長向上、毛幹径増大、発毛および脱毛防止に関するものであり、好ましくは毛幹成長促進、毛幹伸長速度向上、毛幹最大長向上、毛幹径増大および発毛に関するものである。
本明細書において、「毛幹成長促進」との用語は、毛幹伸長速度を向上させること、毛幹最大長を向上させること、および/または毛幹径を増大させることを意味する。
本明細書において、「発毛」との用語は、毛が生えていない(表皮から外に毛幹が出ていない)または毛数の少ない部位において発毛が停止した、または発毛能力が低下した毛穴から新しい毛が生えることを促進して毛数を増加させることを意味し、詳細には、毛周期における休止期を短縮すること、および/または停止した毛周期を再開させることを意味する。
本明細書において、「毛幹成長促進効果を有する」とは毛幹成長促進に有利に作用することを意味し、毛幹成長促進効果を示す特質を「毛幹成長促進活性」と称する。また、「発毛効果を有する」とは発毛に有利に作用することを意味し、発毛効果を示す特質を「発毛促進活性」と称する。
本明細書において、「脱毛」との用語は毛穴から毛幹が脱落する現象を意味し、詳細には、細胞増殖を阻害する抑制性サイトカイン等の増加および、それらの細胞死を意味する。脱毛防止効果を示す特質を「脱毛防止活性」と称する。また、「脱毛防止効果を有する」とは、抑制サイトカインの阻害もしくは減少、および細胞死の抑制を介して、毛穴からの毛幹の脱落数が減少することを意味し、毛幹成長促進、発毛効果を示す特質とは異なる生理現象である。
本明細書において、「頭皮症状」とは、ふけ、頭皮の肌荒れ、頭皮のかさつき、紅斑、かゆみ、吹き出物などの症状を意味する。そして、本明細書において「頭皮症状改善」とは、ふけ、頭皮の肌荒れ、頭皮のかさつき、紅斑、かゆみ、吹き出物などの抑制又は改善を意味する。
本発明の育毛剤は、毛幹伸長速度または毛幹最大長を向上させるために使用することができる。そして、毛幹伸長速度については、毛周期の標準データにおける毛幹伸長速度と比較して、例えば最大110%程度向上させることができ、具体的には25~110%程度向上させることができ、より具体的には33~110%程度向上させることができる。また、毛幹最大長については、毛周期の標準データにおける毛幹最大長と比較して、例えば最大49%程度向上させることができ、具体的には1~49%程度向上させることができ、より具体的には2~49%程度向上させることができる。
本発明の育毛剤は、毛幹径を増大させるために使用することができる。
本発明の育毛剤は、毛が生えていない(表皮から外に毛幹が出ていない)または毛数の少ない部位において発毛が停止した、または発毛能力が低下した毛穴から新しい毛が生えることを促進して毛数を増加させるために使用することができ、詳細には毛周期における休止期を短縮する、および/または停止した毛周期を再開させるために使用することができる。
本発明の育毛剤およびスカルプケア剤は、ヒトの他、家畜や愛玩動物などの動物用に使用することもできる。本発明の1つの側面において、フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを、または、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを含む外用剤をヒト及び家畜や愛玩動物などの非ヒト動物を含む対象に投与することを含む、育毛方法および頭皮症状改善方法が提供される。
<試験例1:ヒト毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子発現の評価>
VEGF遺伝子は、毛乳頭細胞において発現し、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛における毛幹成長促進、毛幹伸長速度の向上、毛幹最大長の向上、毛幹径の増大などの効果発現に寄与するとされている。そこで、ヒト毛乳頭細胞を用い、各成分におけるVEGF遺伝子の発現亢進について評価を行った。
1. 材料と方法
(1)ヒト毛乳頭細胞及び培地について
ヒト毛乳頭細胞(カタログ番号:CA602t05a、白色人種、29歳男性由来、東洋紡株式会社(日本))を購入し、プロトコールに記載されるようにして細胞を維持・培養して試験評価を行った。
(2)薬剤
試験用薬剤として、以下の各濃度(終濃度)の薬剤溶液を調製し、使用した。
比較例1:タマサキツヅラフジアルカロイド 0.0025μg/ml
比較例2:タマサキツヅラフジアルカロイド 0.01μg/ml
比較例3:フィトスフィンゴシン 0.625μM
比較例4:Redensyl 0.0009375%
比較例5:Redensyl 0.00375%
実施例1:タマサキツヅラフジアルカロイド 0.0025μg/ml、フィトスフィンゴシン 0.625μMの混合溶液
実施例2:タマサキツヅラフジアルカロイド 0.01μg/ml、フィトスフィンゴシン 0.625μMの混合溶液
実施例3:Redensyl 0.0009375%、フィトスフィンゴシン 0.625μMの混合溶液
実施例4:Redensyl 0.00375%、フィトスフィンゴシン 0.625μMの混合溶液
(3)試験方法
ヒト毛乳頭細胞を6×10個/ウェルとなるように、24ウェルプレートに播種した。COインキュベーター(5%CO、37℃)内で、1日間培養後、各試験用薬剤を含む培地に置換した。その後、細胞プレートをCOインキュベーターに戻し、さらに72時間培養した。培養後、各ウェルより、全RNAを抽出、回収して、それをcDNAに逆転写した。調製したcDNAを用いて、リアルタイムPCR法にてVEGF遺伝子の発現をそれぞれ測定した。内部標準としてGAPDH遺伝子を用い、陰性対照群との相対値としてVEGF遺伝子の発現量を算出した。
細胞からの全RNAの回収にはFastGene RNA Basic Kit(カタ
ログ番号:FG-80250、日本ジェネティクス株式会社(日本))を使用した。
ウェルあたり300μLの溶解バッファーRLを添加し、ピペッティングにて細胞を溶解した。細胞溶解液に70%エタノールを300μL添加し、ピペッティングにて混合した。サンプル溶液をFastGene RNA binding columnに添加し、10000gで1分間、室温で遠心した。カラムを通過したろ液をコレクションチューブから廃棄し、FastGene RNA binding columnを元のコレクションチューブに戻した後、600μLの洗浄バッファーRW1をFastGene RNA binding columnに加え、10000gで1分間、 室温で遠心した。FastGene RNA binding columnを新しいコレクションチューブに移してセットし、700μLの洗浄バッファーRW2をFastGene RNAbinding columnに加え、10000gで1分間、 室温で遠心した。FastGene RNA binding columnを新しいコレクションチューブに移してセットし、15000rpmで1分間、 室温で遠心した。FastGene RNA binding columnを新しいコレクションチューブに移してセットし、50μLの溶出バッファー RE をFastGene RNA binding columnのメンブレンの中央に添加し、10000gで1分間、室温で遠心し、精製したRNAを回収した。回収したRNAの濃度をNanoDrop Lite(カタログ番号:ND-LITE、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)にて測定し、-80℃にて次のcDNA化作業まで保存した。
cDNAの合成にはFastGene scriptaseII cDNAsynthesis 5× Ready Mix(カタログ番号:NE-LS64、日本ジェネティクス株式会社(日本))を使用した。新しい チューブに生成した全RNA の濃度が20ng/mL になるように、RNase Free Waterで希釈し、このサンプル溶液16μLにFastGene scriptaseII cDNAsynthesis 5× Ready Mixを4μL添加し、ボルテックスにて攪拌した。 MiniAmpサーマルサイクラー (サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)を用い、25℃で10分間、42℃で60分間、85℃で5分間インキュベートし、cDNAを合成した。
上記の方法にて合成したcDNAをリアルタイムPCRに用いた。96ウェルプレートの所定のウェルに、各cDNA template 希釈液を添加し、THUNDERBIRD SYBR qPCR Mix(カタログ番号: QPSー201、東洋紡株式会社(日本))とプライマーを添加して混合し、QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR System(カタログ番号:4485693、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)にて遺伝子発現を解析した。PCR反応として、95℃5秒間、60℃30秒間を40サイクル行った。
試験に使用したVEGF遺伝子に特異的なプライマー及び内部標準としたGAPDH遺伝子に特異的なプライマーを以下に示す。
VEGF遺伝子発現検出用プライマー
順方向:aggccagcacataggagaga(配列番号1)
逆方向:acgcgagtctgtgtttttgc(配列番号2)
GAPDH遺伝子発現検出用プライマー
順方向:catccctgcctctactggcgctgcc(配列番号3)
逆方向:ccaggatgcccttgagggggccctc(配列番号4)
以下のようにして各遺伝子の相対発現量を算出した。
各遺伝子の増幅曲線と閾値線との交点より、Ct値(PCRサイクル数)を算出した。
目的遺伝子のCt値より内部標準GAPDH遺伝子のCt値で除した値が相対発現量とな
る。
2. 結果
ヒト毛乳頭細胞に各検体を72時間作用させた後のVEGF遺伝子の発現量の変化を測定し、その結果を図1及び図2に示した。
ヒト毛乳頭細胞に対してタマサキツヅラフジアルカロイド(比較例1、2)を72時間作用させると、無添加対照群に比してヒト毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子の発現量が減少することが確認された(図1)。
一方で、タマサキツヅラフジアルカロイドとフィトスフィンゴシンの混合溶液(実施例1、2)を72時間作用させると、無添加対照群、およびフィトスフィンゴシン添加群(比較例1)と同程度にまで遺伝子発現量が増加することが確認された。
タマサキツヅラフジアルカロイドにタマサキツヅラフジアルカロイドの併用することにより、タマサキツヅラフジアルカロイドの毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子発現抑制が解除され、正常な発現量に復帰する効果が奏されるという顕著な効果を奏することが理解される。
また、ヒト毛乳頭細胞に対してRedensylとフィトスフィンゴシンの混合溶液(実施例3、4)を72時間作用させた場合には、それぞれを単独で作用させた場合(比較例4、5および比較例3)に比して、VEGF遺伝子の発現量が濃度異存的に有意に増加し、フィトスフィンゴシンとマツエキスおよびチャエキスが有効成分として含まれるRedensylとによるヒト毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子の発現亢進の相乗効果を示すことが確認された(図2)。
フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスが有効成分として含まれるRedensylを併用することにより、毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子の発現亢進の相乗効果が奏されるという顕著な効果を奏することが理解される。
このように、フィトスフィンゴシンをマツエキスおよびチャエキスと併用することにより、毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子の発現亢進の相乗効果が濃度異存的に奏され、また、フィトスフィンゴシンをタマサキツヅラフジアルカロイドと併用するものとすることにより、タマサキツヅラフジアルカロイドが奏する毛乳頭細胞におけるVEGF遺伝子の発現抑制効果を打ち消す効果を奏し、それら効果により、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛などの毛における毛幹成長促進、毛幹伸長速度の向上、毛幹最大長の向上、毛幹径を増大する効果を奏する育毛剤、スカルプケア剤、毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤の有効成分として有用であることが確認された。
<試験例2:マウスを用いた育毛促進作用の評価>
フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを併用することによる育毛促進作用を評価するため、マウスの発毛状態を指標に検討する試験を、関連法規、省令、および指針を遵守して、外部機関により、同機関の試験実施施設内の動物実験委員会による動物実験計画書に基づく審議・承認を得てから実施された。
1. 材料と方法
(1)動物について
使用するマウスは7週齢の雄のC3H/HeN Slc(SPF)とし、日本エスエルシー株式会社より入手した。マウスは入荷から群分け日まで馴化した。ただし,入荷日を0日として7日までの期間は検疫を行った。一般状態観察を毎日行い、体重を入荷1日(入荷翌日)、3日及び7日に測定した。入荷日に耳パンチ法により各マウス個体の識別行い、試験終了日まで、識別した各マウス個体ごとにデータを記録した。
マウスは、温度:22±3℃、湿度:50±20%、換気回数:13~17回/時間(HEPAフィルターでろ過したオールフレッシュ方式)、照明時間:8:00~20:00(明12時間,暗12時間)の環境下で飼育した。飼育器材及び床敷きはいずれも使用に先立ってオートクレーブで高圧蒸気滅菌し、ケージ、床敷き(ペパークリーン(ペパーレット株式会社製、日本))は1回以上/週,給水器は2回/週,その他の器材は2回/月の頻度で交換した。ただし、過度の汚れが認められた場合や、一般状態観察で交換が必要と認められた場合は適時交換するものとした。
飼料は、固型飼料ラボMRストック(日本農産工業株式会社製、日本)を使用した。ロットごとに有害物質および微生物検査を行った結果が標準操作手順書に定めた基準値の許容範囲内であることが確認された固形飼料を用いた。マウスへの給餌は、給餌器を使用せず、ケージの蓋の上に飼料を置くことにより行い、試験期間を通じ自由に与えた。また、固型飼料の摂餌が困難と判断される状況が発生した場合には、ガラス製粉末飼料給餌器を用いてその状況が回避されるまでの期間、固型飼料の粉砕物を与えるものとした。
飲料水は、水道水を用い、隔月ごとに行った水道水の一般検査結果が標準操作手順書に定めた基準値の許容範囲内であり、上記一般検査実施月以外には残留塩素(遊離残留塩素濃度)測定値が標準操作手順書に定めた基準値の許容範囲内であることを確認した。マウスへの給水は、ポリサルフォン製給水器(先管ステンレス製)を用い、試験期間を通じて自由に与えた。
(2)薬剤
試験用薬剤として、以下の各濃度(終濃度)の薬剤溶液を調製し、使用した。
比較例1:60v/v%エタノール溶液(陰性対照)
比較例2:RiUP(登録商標)(大正製薬、日本)
比較例3:フィトスフィンゴシン 3.15μM(溶媒は60v/v%エタノール溶液)
比較例4:Redensyl 3%(溶媒は60v/v%エタノール溶液)
実施例1:フィトスフィンゴシン 3.15μM、Redensyl 3%の混合溶液(溶媒は60v/v%エタノール溶液)
(2)試験方法について
2-1.剃毛
検疫・馴化期間中の一般状態及び体重推移に異常の認められなかった8週齢(生後58日目以降の休止期毛)のマウスを、イソフルラン麻酔下で背部約8cm(2×4cm)を電気バリカン及びカミソリを用いて皮膚を傷つけないように除毛した。
2-2.動物の選択及び群分け
マウス背部皮膚の剃毛翌日に、剃毛部位に傷及び発毛が確認されていない動物を試験に使用した。さらに,マウスの体重を測定し、得られた体重を指標として層別連続無作為化法により比較例1~比較例4および実施例1の各郡にそれぞれ5匹となるよう割り付けた。群分け終了後の残余動物については、群分け実施日に試験から除外した。
2-3.被験物質の調製
試験委託者より提供された比較例1~4および実施例1の被験物質をそのまま使用した。なお、使用に関しては、事前に必要量エッペンチューブ等に分取し,使用後の残余被験物質は医療廃棄物として処理した。
2-4.被験物質投与
群分け翌日より投与を開始した(群分け日を0日目とした)。1日1回20日間(投与開始日を1日目と定義し,投与20日目まで)、ピペットマンを用いて背部の除毛部位全体(2×4cm)に200μL/マウスの投与量となるよう、各マウスに塗布した。
2-5.写真撮影
群分け日、投与3,7,10,12,14,16,18及び21日目にイソフルラン麻酔下でマウスの背部をデジタルカメラで撮影した。
2-6.発毛スコア
各写真撮影日に,下記の判定基準に基づいて評点をつけた。
・発毛状態の判定基準
(程度) (評点) (判定基準)
- 0 変化なし
± 1 背部中央部が青色に変化
+ 2 背部中央部が青黒~灰色に変化
++ 3 背部中央部に発毛が肉眼的に観察される
+++ 4 背毛が背部中央部の約50%の面積になり除毛前の色に復帰
2-7.一般状態観察及び体重測定
一般状態観察は毎日行い、体重測定は週1回の頻度で実施した。
2-8.統計処理
得られた数値(体重及び発毛スコア)は各群で平均値及び標準誤差を算出した。
2. 結果
薬剤ごとの投与12日目の試験結果を図3に示す。マウスにおける発毛スコアは、フィトスフィンゴシンのみ、および、マツエキスおよびチャエキスが有効成分として含まれるRedensylを投与した場合に、陰性対照よりも有意に発毛スコアが上昇した。さらに、フィトスフィンゴシンにマツエキスおよびチャエキスが有効成分として含まれるRedensylが加わると、フィトスフィンゴシンのみ、および、マツエキスおよびチャエキスが有効成分として含まれるRedensylを投与した場合よりもさらに発毛スコアが上昇していた。フィトスフィンゴシンにマツエキスおよびチャエキスが加わると、マウスの毛幹伸張速度がより上昇することが確認され、フィトスフィンゴシンにマツエキスおよびチャエキスが加わるものは、育毛剤、スカルプケア剤として有用であることが確認された。
<試験例3:ヒトによる育毛促進作用の評価>
フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを併用することによる育毛促進作用を評価するため、ヒトの発毛状態を指標に検討する試験を実施した。当該試験は試験委託先の外部機関である開発業務支援機関及び研究実施医療機関によって計画され、同機関が関連法規、省令、および指針を遵守して作成した本試験に関するヒト試験計画書が当該機関とは独立した機関における倫理委員会による審議・承認を得た後、当該試験委託先の外部機関により関連法規、省令、および指針を遵守して実施された。
1.研究計画、材料と方法
1-1.被験者の選択
被験者を、研究実施医療機関の患者のみならず、広告媒体等を用いて広く募集し、30歳以上60歳以下の日本人男性から、以下に示す選択基準および除外基準の項目を全て満たすものを被験者である研究対象者とし、1群15名、合計60名を選択する。
選択基準は、以下の3項目である。
(1)30歳以上60歳以下の日本人男性である。
(2)評価試験参加への同意が得られた日時点において、TypeA・Vertexを含むハミルトンノーウッド分類II~IVの薄毛に相当する者である。
(3)本研究における評価試験に先立ち当該研究の目的及び内容を説明し、研究対象者本人にそれら説明を判断する能力があると認められ、かつ、研究対象者本人から本研究における評価試験に参加することの文書による同意が得られた者である。
除外基準は、以下の6項目である。
(1)植毛やカツラ着用を行っている者である。
(2)被験物質成分によりアレルギー症状を示す恐れのある者である。
(3)肌アレルギー症状を示す恐れのある者及び皮膚過敏症の者である。
(4)過去に重篤な心疾患、腎疾患、肝疾患、癌の既往例のある者及び甲状腺機能障害を有する者である。
(5)検査結果に影響する可能性のあると思われる健康食品・化粧品・医薬部外品・医薬品(例えば、育毛剤等)を使用してから6ヶ月以上経過していない者である。
(6)その他、研究責任医師が研究に組み入れることが不適当と判断した者である。
1-2.研究対象者の募集
研究対象者は研究実施医療機関の患者のみならず、広告媒体等を用いて広く募集する。
1-3.スクリーニング
研究対象者として選択基準・除外基準に適合しているかを確認するため、70症例にてスクリーニングを実施する。目標症例数に対して研究対象者が不足する場合にはスクリーニング症例数を適宜変更することができるものとする。
1-4.目標症例数
スクリーニングにより適性が確認された研究対象者を本研究に登録する。なお、本被験物質の有効性については先行研究結果がないため適切な症例数設計が出来ない。よって本研究の目標症例数は、有効性の傾向が確認されうると考えられる最小人数として60名(1群15名)とする。なお、選択基準・除外基準から逸脱している者、文書による同意が得られていない者、研究期間中の指示事項が遵守できない者、その他、研究実施が困難と判断される者については、本研究に組み入れないものとする。
また、被験者の選択時に、被験者に同意取得のための説明文書に基づき十分に説明した上で、研究への参加について「本人の自由意思による同意」を文書で得る。また、研究に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与え、かつ、被験者からの質問には十分答えた。被験者が研究に参加している間に、被験者の同意に関連し得る新たな情報が得られた場合など説明文書が改訂された場合は、その都度変更内容とその理由及び変更によって予測される安全性への影響など説明し、改めて上記と同様の方法で被験者の同意を得るものとする。
1-5.盲検化
本研究は4群1期の二重盲検試験とし、被験者である研究対象者、研究責任医師、開発業務支援機関、研究機関は研究対象者にどの被験物質が割り付けられているか判別できないものとする。
1-6.研究対象者の割り付け
登録された被験者である研究対象者は、割付責任者により被験物質P、被験物質Q、被験物質Sまたは被験物質Tのいずれか1つに割り付けられる。被験物質Pの群が15名、被験物質Qの群が15名、被験物質Sの群が15名、被験物質Tの群が15名となるよう割り付けられる。割付方法はランダム割付とした。割付結果(割付表)は割付責任者が投与24週後までの全データが固定されるまで保管し、本研究の関係者には一切開示しないものとする。ただし、有害事象等の発生により研究対象者の安全確保の為に開鍵が必要となった場合には、研究責任医師の指示に基づき割付責任者は当該研究対象者の割付結果を開示することとする。
1-7.被験物質
被験物質P、被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tを調製する。各被験物質は、無色透明の液体で、アルコール臭を有する。各被験物質における有効成分の配合は以下の通りとした。
被験物質P:有効成分は無配合
被験物質Q:マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキス
被験物質S:フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキス
被験物質T:フィトスフィンゴシン(被験物質Sの10倍量、ポリオキシエチレンセトステアリルエーテルで溶解)、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキス
また、基剤は、被験物質Pでは無水エタノールおよび精製水、被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tでは、Iーメントール、加水分解ケラチン液、濃グリセリン、ピロ亜硫酸ナトリウム、グリシン、塩化亜鉛、無水エタノール、精製水とした。
被験物質P、被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tの組成を表1に示す。
被験物質P、被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tは、スプレー型(80mL/本)の剤形・容量のものとして株式会社アジュバンコスメジャパンが製造し、上述した試験委託先の外部機関に提供した。各被験物質は、試験開始前から本試験評価完了後までの間、盲検性を確保した状態となるよう、成分名を秘匿した状態を保持している。
被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tについては、安全性試験としてパッチテスト(ヒト)を実施し、いずれの被験物質においても安全性が高いと確認された。被験物質Pの組成は精製水及びエタノールであり、十分な安全性が既知であるため実施を省略した。
1-8.被験物質の管理
被験者への被験物質の配布前は、試験委託先の外部機関またはその業務支援機関にて室温で保管する。
被験者への配布後は、被験者が各自に保管をする。このとき、浴室内など極端に高温になる場所、冷蔵庫内などの極端に低温になる場所、直射日光のあたる場所には保管しないものとする。
1-9.被験物質の交付及び回収
被験物質は0週時及び12週時に配布し、必要に応じて研究期間中にも交付した。被験者に配布した被験物質は、投与期間終了後に全て回収する。
1-10.被験物質の投与
被験物質は原則として1日2回(朝及び夜)に塗布する。また、可能な限り使用前に洗髪を実施する。洗髪は原則として1日1回以上実施し、洗髪後は頭皮および毛髪の水分をよく拭き取り、ドライヤー等でしっかりと乾かすものとする。
被験物質の使用は1日2回とし、1回あたり7プッシュ(約1.4mL)を頭部全体に塗布するた。塗布後は優しく頭皮に塗り伸ばすのみとし、揉み込むような行為は避けるようにする。塗布後は自然乾燥(ドライヤーなどで風乾させないこと)により、完全に頭皮や毛髪が乾いてから就寝することとする。この行為を投与開始後から24週時まで継続する。全投与期間における想定投与量は約470mLである。
研究期間中は、それまでの日常生活と同様に生活すること基本とし、以下の項目は注意するよう指示する。
・本研究以外の育毛治療、研究参加の禁止
・新たな検査結果に影響する可能性のあると思われる健康食品・化粧品・医薬部外品・医薬品(例えば、育毛剤等)の使用禁止
・不規則な生活を避ける
・過度な日焼け行為(日光曝露)を避ける
・毛髪の脱色やパーマネント、髪型の大幅な変化を禁止
・来院日は朝に洗髪を実施し、整髪料を不使用にする
なお、相談窓口及び緊急連絡先を開発業務支援機関及び研究実施医療機関に設け、被験者である研究対象者がいつでも連絡・相談ができるようにする。
1-11.観察項目及び研究スケジュール
被験者に対して、被験物質P、被験物質Q、被験物質S、または被験物質Tのいずれか1つを、盲検状態でランダムに被験者に割り付け、最大24週間にわたり投与した。前記割付責任者は独立組織に属しており、試験終了後においても盲検性を確保した状態を保持している。そして、以下に示すように、各被験者について、各被験物質の投与の0日目、2日目、12週目、12週+2日目、24週目、24週+2日目の合計6回の検査を行う。前記検査は、フォトトリコグラム装置(トリコスキャン)による軟毛密度変化率と硬毛密度変化率の計測と、軟毛比率変化率と硬毛比率変化率の算出、および、精密測定による毛径を測定と毛径変化率を算出などである。また、各検査時に頭部の状態をデジタルカメラで撮影した。各被験者の一般状態観察は毎日行う。
具体的な観察項目及び研究スケジュールは以下の通りである。
1) スクリーニングから投与24週後まで、観察項目は全研究対象者にて実施する。
2) スクリーニング/0週時に、研究説明及び同意取得を実施し、研究説明は研究説明文書に基づき行い、同意取得は必ず文書で得る。また、同意を得られた者から研究対象者の生活背景を確認するためのアンケートを実施する。
3) スクリーニング/0週時、12週時、24週時に研究対象者の頭部(正面、後正面、右側面、生え際、頭頂部)をデジタルカメラで写真撮影し、記録する。
4) トリコスキャンを実施するため、被験部位の剃毛を、剃毛面積:1cm以上とする、毛髪長さ:1mm以下でほぼ均一にする、剃毛部位:頭部にスケールを当てて毎時点で同一部位を剃毛するとの条件にて、実施した。剃毛はスクリーニング/0週時、12週時、24週時に研究対象者の右後頭部又は左後頭部を剃毛した。剃毛部位より毛髪を採取し別途保管する。
5) フォトトリコグラム装置(トリコスキャン)を用いてスクリーニング/0週時(剃毛時及び剃毛2日後)、12週時(剃毛時及び剃毛2日後)、24週時(剃毛時及び剃毛2日後)に研究対象者の剃毛部位を撮影し、トリコスキャンにて毛髪パラメータを解析した。トリコスキャンでは、測定面積(cm)、毛髪本数(本)、毛髪密度(本/cm)、成長期毛率(%)、休止期毛率(%)、毛長中央値(mm)、硬毛密度(毛径40μm以上の密度:本/cm)、軟毛密度(毛径40μm未満の密度:本/cm)、硬毛比率(毛径40μm以上の比率:%)、軟毛比率(毛径40μm未満の比率:%)について解析する。
6) 毛径の測定は、測定ヘッド ベーシックタイプ IM-6020(KEYENCE社製)を用いて実施した。スクリーニング/0週時、12週時、24週時に、採取した毛髪の毛径寸法(毛幹寸法)を測定する。
7) 研究対象者は、最大24週間に渡り被験物質を使用し、投与期間中は被験物質の使用有無を使用日誌に記録するようにする。
8) 研究対象者は12週時及び24週時に使用感調査アンケートを記載する。
9) 研究責任医師は使用日誌から有害事象の有無を調査する。
10) 被験物質の配布前と配布後でその重量を比較し、研究対象者における被験物質の実際の使用量を調査する。
11) 投与終了24週後に、育毛剤S及び育毛剤Tの主要評価項目又は副次評価項目において有効性が確認された場合に、育毛剤S投与群及び育毛剤T投与群にのみ、以下に示す後観察を実施し解析する。
・写真撮影:研究対象者の頭部(正面、後正面、右側面、生え際、頭頂部)をデジタルカメラで写真撮影する。
・被験部位の剃毛及び毛髪の採取
トリコスキャンを実施するため、被験部位の剃毛を実施する。剃毛は研究対象者の右後頭部又は左後頭部を剃毛する。また、剃毛部位より毛髪を採取し別途保管する。
剃毛面積:1cm以上
毛髪長さ:1mm以下でほぼ均一にする
剃毛部位:頭部にスケールを当て、毎時点で同一部位を剃毛する。
・フォトトリコグラムの実施
フォトトリコグラム装置(トリコスキャン)を用いて研究対象者の剃毛部位を撮影し、トリコスキャンにて毛髪パラメータを解析する。トリコスキャンでは、測定面積(cm)、毛髪本数(本)、毛髪密度(本/cm)、成長期毛率(%)、休止期毛率(%)、毛長中央値(mm)、硬毛密度(毛径40μm以上の密度:本/cm)、軟毛密度(毛径40μm未満の密度:本/cm)、硬毛比率(毛径40μm以上の比率:%)、軟毛比率(毛径40μm未満の比率:%)について解析する。
・毛径の測定
測定ヘッド ベーシックタイプ IM-6020(KEYENCE社製)を用いて採取した毛髪の毛径寸法(毛幹寸法)を測定する。
2. 結果
上記の研究計画、材料と方法に従い、表1の組成の被験物質P、被験物質Q、被験物質Sおよび被験物質Tをスプレー型(80mL/本)の剤形・容量のものとして株式会社アジュバンコスメジャパンが製造し、上述した試験委託先の外部機関に提供した。これら各被験物質は、試験開始前から本試験評価完了後までの間、盲検性を確保した状態となるよう、成分名を秘匿した状態を保持するものとした。
上記の研究計画、材料と方法に従い、研究対象者を選定し、60名より同意が得られた。うち2名は試験終了を待たず参加辞退した。登録された被験者である研究対象者は、割付責任者により、被験物質Pの群が15名、被験物質Qの群が15名、被験物質Sの群が15名、被験物質Tの群が15名となるようランダム割付にて割り付けられた。
上記の研究計画、材料と方法に従い、被験者へ被験物質を配布し、被験物質の投与を行い、フォトトリコグラム装置(トリコスキャン)による軟毛密度変化率と硬毛密度変化率の計測と、軟毛比率変化率と硬毛比率変化率の算出、および、精密測定による毛径を測定と毛径変化率を算出を行うとともに、各検査時に頭部の状態をデジタルカメラで撮影し、記録を行った。
軟毛密度変化率を計測した結果を図4に示す。マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが配合された被験物質Qを投与された被験者である研究対象者の軟毛密度変化率は、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者である研究対象者と同程度の軟毛密度変化率となることが示された(図4を参照)。マツエキス、チャエキスに加え、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが育毛剤の成分として加わっても軟毛密度は低下せず、育毛効果が十分に発揮されないことが理解される。
一方、マツエキス、チャエキスを含むとともに、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含む被験物質Qの成分に、さらにフィトスフィンゴシンが添加されると、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者における場合よりも軟毛密度が12週経過後および24週経過後ともに低下することが示された(図4を参照)。フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含むものとすることで、軟毛密度が低下し、育毛の効果が生じている傾向が確認される。
硬毛密度変化率を計測した結果を図5に示す。マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが配合された被験物質Qを投与された被験者である研究対象者の硬毛密度変化率は、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者である研究対象者と同程度の硬毛密度変化率となることが示された(図5を参照)。マツエキス、チャエキスに加え、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが育毛剤の成分として加わっても硬毛密度は増加せず、育毛効果が十分に発揮されないことが理解される。
一方、マツエキス、チャエキスを含むとともに、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含む被験物質Qの成分に、さらにフィトスフィンゴシンが添加されると、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者における場合よりも硬毛密度が12週経過後および24週経過後ともに増加することが示された(図5を参照)。フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含むものとすることで、硬毛密度が増加し、育毛の効果が生じている傾向が確認される。
軟毛化変化率を計測した結果を図6に示す。マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが配合された被験物質Qを投与された被験者である研究対象者の軟毛化変化率は、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者である研究対象者と同程度の軟毛化変化率となることが示された(図6を参照)。マツエキス、チャエキスに加え、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが育毛剤の成分として加わっても軟毛比率は低下せず、育毛効果が十分に発揮されないことが理解される。
一方、マツエキス、チャエキスを含むとともに、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含む被験物質Qの成分に、さらにフィトスフィンゴシンが添加されると、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者における場合よりも軟毛比率が12週経過後および24週経過後ともに低下することが示された(図6を参照)。フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含むものとすることで、軟毛比率が有意に低下し、育毛の効果が生じることが理解される。
硬毛化変化率を計測した結果を図7に示す。マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが配合された被験物質Qを投与された被験者である研究対象者の硬毛化変化率は、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者である研究対象者と同程度の硬毛化変化率となることが示された(図7を参照)。マツエキス、チャエキスに加え、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが育毛剤の成分として加わっても硬毛比率は増加せず、育毛効果が十分に発揮されないことが理解される。
一方、マツエキス、チャエキスを含むとともに、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含む被験物質Qの成分に、さらにフィトスフィンゴシンが添加されると、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者における場合よりも硬毛比率が12週経過後および24週経過後ともに増加することが示された(図7を参照)。フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含むものとすることで、硬毛比率が有意に増加し、育毛の効果が生じることが理解される。
毛径変化率を計測した結果を図8に示す。マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが配合された被験物質Qを投与された被験者である研究対象者の毛径変化率は、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者である研究対象者よりも毛径変化率が低下する傾向が示された(図8を参照)。マツエキス、チャエキスに加え、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスが育毛剤の成分として加わると毛径変化率は低下する傾向があり、育毛効果が十分に発揮されないことが理解される。
一方、マツエキス、チャエキスを含むとともに、さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含む被験物質Qの成分に、さらにフィトスフィンゴシンが添加されると、それら成分が配合されていない比較対照の被験物質Pを投与された被験者における場合よりも毛径変化率が12週経過後および24週経過後ともに増加する傾向が確認された(図8を参照)。フィトスフィンゴシン、マツエキス、チャエキス、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスを含むものとすることで、毛径変化率が増加し、育毛の効果が生じることが理解される。
本発明の手段により、育毛剤の有効成分として、フィトスフィンゴシンとマツエキスおよびチャエキスとを、または、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを、外用剤である育毛剤の有効成分として含有または併用するものとすることで、頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛などの毛における毛幹成長促進、毛幹伸長速度の向上、毛幹最大長の向上、毛幹径の増大の効果、軟毛密度の低下、硬毛密度の増加、軟毛比率の低下、硬毛比率の増加並びにスカルプケア効果、毛乳頭細胞のVEGF産生を促進効果が奏される、優れた育毛剤、スカルプケア剤、毛乳頭細胞のVEGF産生促進剤の提供が可能となる。また、それらを用いる優れた育毛方法、頭皮症状改善方法、毛乳頭細胞のVEGF産生促進方法の提供も可能となる。

Claims (25)

  1. フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキスを有効成分として含有することを特徴とする育毛剤。
  2. さらにタマサキツヅラフジアルカロイドを有効成分として含有することを特徴とする、請求項1に記載の育毛剤。
  3. さらにパントテニルエチルエーテルを有効成分として含有することを特徴とする、請求項1に記載の育毛剤。
  4. さらにセンブリエキスを有効成分として含有することを特徴とする、請求項1に記載の育毛剤。
  5. さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を有効成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の育毛剤。
  6. 毛幹成長促進または発毛に用いるための、請求項1に記載の育毛剤。
  7. 毛幹伸長速度を向上させるために使用する、請求項1に記載の育毛剤。
  8. 毛幹最大長を向上させるために使用する、請求項1に記載の育毛剤。
  9. 毛幹径を増大させるために使用する、請求項1に記載の育毛剤。
  10. 毛数を増加させるために使用する、請求項1に記載の育毛剤。
  11. 溶液である、請求項1に記載の育毛剤。
  12. 頭髪、須毛、眉毛および/または睫毛用の、請求項1に記載の育毛剤。
  13. 育毛剤の製剤にフィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスとを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする、育毛剤の製造方法。
  14. 製剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイドを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする請求項13に記載の育毛剤の製造方法。
  15. 製剤にさらにパントテニルエチルエーテルを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする請求項13に記載の育毛剤の製造方法。
  16. 製剤にさらにセンブリエキスを有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする請求項13に記載の育毛剤の製造方法。
  17. 製剤にさらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を有効成分として含有させる工程を有することを特徴とする請求項13に記載の育毛剤の製造方法。
  18. フィトスフィンゴシンを含有する製剤と、マツエキスおよびチャエキスを含有する製剤とを含む、育毛剤のキット。
  19. さらにタマサキツヅラフジアルカロイドを請求項18に記載の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキット。
  20. さらにパントテニルエチルエーテルを請求項18に記載の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキット。
  21. さらにセンブリエキスを請求項18に記載の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキット。
  22. さらにタマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される2つ以上を請求項18に記載の育毛剤のキットの製剤のいずれかまたはその両方に有効成分として含有することを特徴とする育毛剤のキット。
  23. フィトスフィンゴシン、マツエキスおよびチャエキスを有効成分として対象に投与することを特徴とする育毛方法。
  24. フィトスフィンゴシンと、マツエキスおよびチャエキスと、さらに、タマサキツヅラフジアルカロイド、パントテニルエチルエーテルおよびセンブリエキスから選択される1つ以上とを有効成分として対象に投与することを特徴とする育毛方法。
  25. 対象が非ヒト動物であることを特徴とする請求項23または請求項24の育毛方法。
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