JP2023160519A - レーザ加工装置、ガラス基板のレーザ加工方法、及びガラス基板の製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置、ガラス基板のレーザ加工方法、及びガラス基板の製造方法 Download PDF

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晃一 小田
Koichi Oda
明日香 三澤
Asuka Misawa
憲一 前田
Kenichi Maeda
政直 村上
Masanao Murakami
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Abstract

Figure 2023160519000001
【課題】ガラス基板の端面のレーザ加工において、ガラス基板の残留応力を低減する。
【解決手段】ガラス基板の端面をレーザ光で処理するレーザ加工装置(1)は、ガラス基板を載置するテーブル(51)と、テーブル(51)を駆動するテーブル駆動部(5)と、ガラス基板の端面に照射する第1レーザ光(L1)を発生する第1レーザ光発生部(10)と、第1レーザ光の照射領域を調整する第1伝送光学系(15)と、ガラス基板の表面に照射する第2レーザ光を発生する第2レーザ光発生部(30)と、第2レーザ光の照射領域を調整する第2伝送光学系(35)と、を備える。第2レーザ光の照射領域の面積は、第1レーザ光の照射領域の面積よりも大きい。第2伝送光学系(35)は、第2レーザ光の照射領域を、ガラス基板の表面上で、加工するガラス基板の端面(E1)に垂直な方向に、20Hz以上20kHz以下の走査速度で走査する。
【選択図】図3

Description

本開示は、レーザ加工装置、ガラス基板のレーザ加工方法、及びガラス基板の製造方法に関する。
ガラス基板を製品寸法に切り出す際に、スクライブホイールなどを用いてガラス基板にスクライブラインを形成し、その後、ガラス基板をスクライブラインに沿って製品に用いる部分同士又は製品に用いる部分とそれ以外の部分に分離する。分離後のガラス基板の端面は、基板分離時において生じたクラック等により、割れやすくなっている。
ガラス基板の端面の強度を向上させるために、ガラス基板の端面にレーザ光を照射しつつ端面に沿って走査して端面の面取りをすることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、端面に照射するレーザ光として中赤外光を用い、ガラス基板の2つの主面のうち一方の主面側のみから当該レーザ光を照射するだけで、両方の主面の端面が同時に面取りされる。
このようなレーザ光を用いたガラス基板の面取りにおいては、レーザ処理中にレーザ照射領域とその周囲とで大きな温度差ができ、冷却時の温度降下量に差があると、面取り後(冷却後)のガラス基板に、残留応力(温度降下量が大きい領域に引張応力)が生じる課題がある。このような課題に対して、特許文献2は、面取りを行うためにガラス基板の端面を加熱する第1レーザ光に加えて、第1レーザ光の照射領域の周辺部に第2レーザ光を照射して、周辺部を第1レーザ光の照射領域よりも低い温度に加熱することによって、レーザ処理中の温度差を低減し、冷却後の残留応力を低減する方法を開示している。
特開2015-124142号公報 WO2021-065440号
本開示は、特許文献2に開示の第1レーザ光及び第2レーザ光のガラス基板の照射において、第2レーザ光のガラス基板への照射方法を工夫することにより、ガラス基板の引張残留応力を低減することを目的とする。
本開示のレーザ加工装置は、ガラス基板の端面をレーザ光で処理する装置であって、
ガラス基板を載置するテーブルと、
前記テーブルを駆動するテーブル駆動部と、
ガラス基板の端面に照射する第1レーザ光を発生する第1レーザ光発生部と、
前記第1レーザ光の照射領域を調整する第1レーザ伝送光学系と、
ガラス基板の表面に照射する第2レーザ光を発生する第2レーザ光発生部と、
前記第2レーザ光の照射領域を調整する第2レーザ伝送光学系と、
を備え、
前記第2レーザ光の照射領域の面積は、前記第1レーザ光の照射領域の面積よりも大きく、
前記第2伝送光学系は、前記第2レーザ光の照射領域を、ガラス基板の表面上で、加工するガラス基板の端面に垂直な方向に、20Hz以上20kHz以下(好ましくは200Hz以上)の走査速度で走査する。
加工されるガラス基板の端面を第1端面とし、第1端面と対向するガラス基板の端面を第2端面としたとき、第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、ガラス基板の表面の第1端面の近傍から第1端面と第2端面の間の第2端面には達しない表面までである、ことが好ましい。
第1レーザ光の照射されるガラス基板の第1端面と、第1端面と対向するガラス基板の第2端面との距離をDとしたとき、前記第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、第1端面から垂直方向に第2端面側に延びており、照射領域の第2端面側の端部の位置の第1端面からの距離は、Dの0.2倍以上0.8倍以下である、ことが好ましい。
第1レーザ光発生部がレーザ発振器としてエルビウムファイバーレーザを備え、第2レーザ光発生部がレーザ発振器として二酸化炭素レーザを備える、ことが好ましい。
前記第2伝送光学系がガルバノスキャナを備える、ことが好ましい。
本発明のガラス基板のレーザ加工方法は、ガラス基板の端面をレーザ光で加工する方法であって、
第1レーザ光及び第2レーザ光を同時にガラス基板の表面に照射して、ガラス基板を加熱し溶融することでガラス基板の端面を加工する方法であって、
第1レーザ光の照射領域をガラス基板の端面に沿って走査し、
第2レーザ光の照射領域を、第1レーザ光の照射領域とともに、ガラス基板の端面に沿って走査し、かつ、ガラス基板の端面に垂直な方向に、20Hz以上20kHz以下の周期で走査する。
加工されるガラス基板の端面を第1端面とし、第1端面と対向するガラス基板の端面を第2端面としたとき、第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、ガラス基板の表面の第1端面の近傍から第1端面と第2端面の間の第2端面には達しない表面までである、ことが好ましい。
第1レーザ光の照射されるガラス基板の第1端面と、第1端面と対向するガラス基板の第2端面との距離をDとしたとき、前記第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、第1端面から垂直方向に第2端面側に延びており、照射領域の第2端面側の端部の位置の第1端面からの距離は、Dの0.2倍以上0.8倍以下である、ことが好ましい。
本発明の面取りされたガラス基板の製造方法は、前記レーザ加工方法により、ガラス基板の端面をレーザ光で加工した後、冷却する。
本開示のレーザ加工装置は、第1レーザ光によりガラス基板の端面の処理を行う際に、ガラス基板の端面に垂直な方向に、第2レーザ光を高周期で走査して照射することによって、ガラス基板の第1レーザ光の照射される端面と第2レーザ光の照射される端面以外の部分との温度差を抑制することができ、冷却時の温度降下量の差を小さくすることができ、ガラス基板端面付近の引張残留応力を低減できる。
第1実施形態のレーザ加工装置の概略外観を示す図である。 第1実施形態のレーザ加工装置の概略構成を示す図である。 ガラス基板Gの断面図である。ガラス基板Gへの第1レーザ光L1の照射領域R1及び第2レーザ光L2の照射領域R2を模式的に示している。 第2レーザ光L2のy方向のスキャンが無い場合のガラス基板Gの温度分布を示す図である。白線は、等温線を示している。 第2レーザ光L2のy方向のスキャンが有る場合のガラス基板Gの温度分布を示す図である。白線は、等温線を示している。 第2レーザ光L2の照射領域の第2端面E2側の端部の位置に対する、引張残留応力低減量の関係を示す図である。矢印は、引張残留応力低減効果が最も大きくなる位置を示す。 残留応力低減効果の計算モデルにおいて、基板表面温度の仮定を示す図である。 残留応力低減効果の計算モデルによって計算された、第2レーザ光L2の照射領域の第2端面E2側の端部の位置に対する、引張残留応力低減量の関係を示す図である。
1.第1実施形態
(1)レーザ加工装置1の構成
本実施形態のレーザ加工装置1は、ガラス基板Gの端面の面取り加工を行う装置である。
ガラス基板Gは、例えば、ディスプレイやインパネ等に使われるソーダガラスの基板、無アルカリガラスの基板が挙げられるが、ガラス基板Gの種類はこれらに限定されない。ガラス基板Gの厚さは、例えば、0.004~3mmの範囲、好ましくは0.2~0.4mmの範囲である。
本実施形態のレーザ加工装置は、図1、図2に示すように、テーブル51と、テーブル駆動部53と、第1レーザ光発生部10と、第1伝送光学系15と、第2レーザ光発生部30と、第2伝送光学系35と、を備えている。
第1レーザ光発生部10は、第1レーザ発振器11と、第1レーザ制御部13を含む。第1レーザ発振器11は、第1レーザ光L1を発生する。第1レーザ制御部13は、第1レーザ発振器11の駆動及びレーザパワーを制御する。
第1レーザ光L1は、波長が2.7μm~5.5μmである中赤外のレーザ光である。第1レーザ発振器11としては、たとえば、ファイバーレーザ、及び半導体レーザの組み合わせである。ファイバーレーザとしては、たとえば、Erドープしたフッ化物ガラス(例えば、ZBLANファイバー)をレーザ媒体とするファイバーレーザ(波長は、2.8μm)(エルビウムファイバーレーザ。以下ではErFLと略す)である。ファイバーレーザのレーザ媒体としては、Er:Y、Er:YSGG、Er:GGG、Er:YLF、Er:YAG、Dy:ZBLAN、Ho:ZBLAN等であってもよい。半導体レーザとしては、Cr:ZnSe、Cr:ZnS、Fe:ZnSe、FeZnSなどである。
第1レーザ光L1は、ガラス基板Gの端面を加熱して面取り加工を行うために用いられる。第1レーザ光L1として、波長が2.7μm~5.5μmである中赤外のレーザ光を使用する場合は、ガラス基板Gの表面だけでなく、ガラス基板Gの内部、及び、第1レーザ光L1を入射した側とは反対側においても吸収される。これにより、第1レーザ光L1をガラス基板Gの一方の表面(第1表面S1とする)側のみから入射するだけで、ガラス基板Gの当該第1表面S1とその裏面(第2表面S2とする)とを同時に加熱できる。この結果、ガラス基板Gの端面E1が厚みの中央部が外側に膨らむように溶融し、表面(第1表面S1)側及び裏面(第2表面S2)側のエッジを同時に面取りできる。
第1伝送光学系15は、第1レーザ発振器11から発生した第1レーザ光L1を、ガラス基板Gの端面に誘導する。第1伝送光学系15は、例えば、第1集光レンズ17、複数のミラー(図示せず)、プリズム(図示せず)等を有する。第1集光レンズ17は、ガラス基板Gの表面における第1レーザ光L1の照射領域R1の大きさを調整する。本実施形態において、第1レーザ光L1は、ガラス基板Gの真上から、ガラス基板Gの表面に対して垂直に照射される。
第2レーザ光発生部30は、第2レーザ発振器31と、第2レーザ制御部33とを含む。第2レーザ発振器31は、第2レーザ光L2を発生する。第2レーザ制御部33は、第2レーザ発振器31の駆動及びレーザパワーを制御する。
第2レーザ光L2は、ガラス基板Gの端面の第1レーザ光L1の照射領域からガラス基板Gの内側に向かって所定の周期で走査されながら照射される。第2レーザ光L2の照射領域(走査範囲)は、第1レーザ光L1の照射領域よりも広い。第2レーザ光L2を照射することにより、ガラス基板Gの端面の第1レーザ光L1の照射領域と第1レーザ光L1の照射領域からガラス基板の内側に向かった領域の温度差が低減され、冷却時の温度降下量の差が低減され、冷却後(面取り処理後)のガラス基板Gの端面周辺の引張残留応力を低減できる。本実施形態においては、第2レーザ光L2は、ガラス基板Gの表面S1の法線方向に対して所定の角度を有して、ガラス基板Gに対して斜めから照射されてもよい。
第2レーザ光L2の波長は、ガラス基板Gに吸収されてガラス基板Gを加熱できる波長を有していれば、どのようなレーザ光でもよい。本実施形態では、第2レーザ光L2として、赤外光を用いる。このような第2レーザ光L2を発生する第2レーザ発振器31として、例えば、COレーザ(炭酸ガスレーザ;波長10.6μm)を使用できる。この場合、第2レーザ発振器31は、第2レーザ光L2をパルス発振する。その他、ガラス基板Gに吸収される赤外光を発生する固体レーザ、気体レーザ、液体レーザ、半導体レーザなどを第2レーザ発振器31として使用できる。
第2レーザ発振器31から発生した第2レーザ光L2は、第2伝送光学系35により、ガラス基板Gの端面E1付近に誘導される。第2伝送光学系35は、第2集光レンズ36、ガルバノスキャナ37、複数のミラー(図示せず)、プリズム(図示せず)を有する。第2集光レンズ36及びガルバノスキャナ37は、ガラス基板Gの表面における第2レーザ光L2の照射領域(走査範囲)R2の大きさを調整する。ガルバノスキャナ37は、第2レーザ光の基板への照射位置を高速で走査する。走査方向は、ガラス基板Gの端面E1に概略垂直方向(y方向)である。走査周期は、20Hz以上20kHz以下(より好ましくは、200Hz以上)である。
テーブル駆動部53は、ガラス基板Gの載置されたテーブル51を駆動する。
テーブル51は、面取り処理するガラス基板Gを載置する。本実施形態において、ガラス基板Gは、テーブル51の表面から離間した状態で保持される。具体的には、ガラス基板Gは、テーブル51上において、テーブル51の表面に配置された第1保持部材52aと、磁力により第1保持部材52aとの間に引力を生じる第2保持部材52bとの間に挟まれた状態で保持される。ガラス基板Gをテーブル51から離間させることで、ガラス基板Gを加熱した際に生じた熱がテーブル51に伝わることを抑制する。
テーブル駆動部53は、加工テーブル51を水平方向に移動させる移動装置である。移動装置は、ガイドレール、モータ等を有する公知の機構である。
上記の構成を有する駆動装置5では、第1レーザ光L1をガラス基板Gの端面に照射し、第2レーザ光L2をガラス基板Gの端面からガラス基板Gの内側に向かって所定周期で走査した状態で、テーブル駆動部53が加工テーブル51をガラス基板Gの端面が延びる方向(図1のx方向)に移動させることで、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2をガラス基板Gの端面に平行方向に走査できる。
制御部70は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。制御部70は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。制御部70は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
制御部70は、第1レーザ制御部13、第2レーザ制御部33、テーブル駆動部53を制御する。制御部70には、図示しないが、ガラス基板Gの大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
レーザ加工装置1は、温度計90をさらに備えてもよい。温度計90は、ガラス基板Gの端面のレーザ光が照射された箇所及びその周辺の温度を測定する。温度計90は、例えば、放射温度計などの非接触にて温度を測定できる装置である。温度計90を設けることで、ガラス基板Gの端面がレーザ光の照射により、ガラス基板Gの端面が適切に加熱されているかを確認できる。
(2)ガラス基板のレーザ加工方法
本実施形態のガラス基板Gのレーザ加工方法について説明する。ここで、レーザ加工方法とは、ガラス基板Gの面取り処理である。
ガラス基板Gは、テーブル51に載置され、テーブル駆動部53によって、ガラス基板Gの端面E1に沿った方向(図1のx方向)に移動される。この間、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2がガラス基板Gに照射され、ガラス基板Gは加熱され、加工される。
第1レーザ光L1の照射領域R1は、ガラス基板の第1表面S1上で、概略円である。図3のガラス基板の断面図に示されるように、第1レーザ光の照射領域R1は、面取り加工がおこなわれる第1端面E1の近傍の小さな領域である。第1レーザ光照射領域R1は、テーブル51の移動に伴って、端面に沿ってx方向に移動する。
第2レーザ光L2の照射領域R2は、ガルバノスキャナ37の高速走査が無い状態においては、概略円である。本実施形態は、ガルバノスキャナ37の高速走査によって、第2レーザ光L2の照射領域R2は、面取り加工がおこなわれる第1端面E1から、第1端面E1から鉛直方向(y方向)に延びている。図3に示すように、第2レーザ光L2の照射領域R2のy方向の長さは、第1レーザ光L1の照射領域R1のy方向の長さより長い。照射領域R2のy方向の長さは、例えば、照射領域R1のy方向の長さの2倍以上1000倍以下とすることができる。
一方、第2レーザ光L2の照射領域R2は、基板の第1端面E1から基板の第2端面E2までには及ばない領域とするのが好ましい。言い換えると、第2レーザ光L2の照射領域R2のy方向の長さは、第1端面E1と第2端面E2との距離Dよりも短い。たとえば、第2レーザ光L2の照射領域R2のy方向の長さは、距離Dの0.2倍以上0.8倍以下である。
本実施形態の第2レーザ光L2を広域で高速に走査させることにより、レーザ加工時の第1レーザ光L1の照射領域とその周囲(第2レーザ光L2の走査範囲)の温度差を小さくすることができ、冷却時の温度降下量の差が小さくなるため、レーザ加工後(冷却後)にガラス基板の第1レーザ光L1の照射領域に残る引張の残留応力の発生を抑制することができる。
(3)第2レーザ光L2を走査する効果のシミュレーション
次に、第2レーザ光L2を走査することによって、引張残留応力の低減効果を検証するシミュレーション実験について説明する。
ガラス基板としては、無アルカリガラス基板を用いた。40mm×60mmの長方形であり、厚みは、0.2mmである。面取り加工を行う端面は、長辺である長さ60mmの辺である。
第1レーザ光L1は、ErFLである。パワーは5Wであり、ガラス面上での照射領域(スポット径)は、0.1mmΦである。第1レーザ光L1は、ガラス基板Gの第1表面S1の第1端面E1の直近に照射される。
第2レーザ光L2は、COレーザである。ガラス面上での照射領域(スポット径)は、8.9mmΦである。第2レーザ光L2は、ガラス基板Gの第1表面S1上で、第1端面E1に垂直な方向(y方向)に、走査周期200Hzで、走査される。第2レーザ光L2の照射領域は、y方向への走査無しの円状から、y方向での走査によってy方向に延びる。
面取り加工処理は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2を同時にガラス基板Gに照射しながら、ガラス基板G(テーブル51)を第1端面E1に沿った方向に移動させる。ガラス基板Gの移動速度は、6mm/sである。
実験は、比較例1、比較例2、実施例1の3種類を行っている。
比較例1は、第2レーザ光L2の照射を行わない場合である。
比較例2は、第2レーザ光L2の照射は行うが、y方向のスキャンは行わない場合である。
実施例1は、第2レーザ光L2の照射を行い、さらに、200Hzでy方向にスキャンする場合である。スキャン幅、すなわち照射領域R2の長さLheatは、Lheat/2c(2cは第1端面と第2端面の距離Dに等しい。)=0.1~0.8の間で変化させ、何点かのシミュレーションを行った。
面取り加工中に測定したガラス基板の表面温度の分布のシミュレーション結果を図4(比較例2)、及び図5(実施例1)に示す。図4、5において白い曲線は、等温線を示す。図4、5から理解されるように、y方向の等温線の間隔は、図5の方が図4よりも広い。つまり、第2レーザ光L2の照射領域をy方向に走査させることにより、面取り加工時の温度勾配が小さくなっていること、即ち、照射領域R2の第1端面近くの領域とその他の領域との温度差が小さくなり、冷却時の温度降下量の差が小さくなることが分かる。
また、図6は、実施例1において、第2レーザ光L2の照射領域(y方向の走査幅)に対して、引張残留応力低減量をシミュレーションした結果を示すグラフである。ここで、引張残留応力低減量は、比較例1(第2レーザ光L2無し)の場合に対して引張残留応力が低減される量を示したものである。図6の縦軸では、引張残留応力低減量Δσrを、αEΔTmaxで除した値で示している。ここで、αはガラス基板の線熱膨張係数であり、Eはガラス基板のヤング率であり、ΔTmaxは、基板の最高温度と基板加熱前の温度差である。
図6中に記載しているように、比較例2(第2レーザ光L2のy方向の走査無し)の場合には、引張残留応力低減量Δσr/(αEΔTmax)は、0.75~0.8である。実施例1(第2レーザ光L2の走査あり)の場合は、比較例1に比べて、引張残留応力低減量Δσr/(αEΔTmax)が大きい(図6のより下の方である。)また、実施例1でみると、走査幅がLheat/Dが0.2から0.3までは、引張残留応力低減量Δσr/(αEΔTmax)が増大し、Lheat/Dが0.3で最大値を取り、0.3から0.6では逆に減少している。つまり、図6の場合は、Lheat/2c=0.3で、引張残留応力低減量Δσr/(αEΔTmax)が最大値を取っている。
(4)第2レーザ光L2の走査の効果を考察する1次元モデル
第2レーザ光L2の走査の効果を考察する1次元モデルについて説明する。
このモデルでは、図7に示すように、第1端面E1と第2端面E2の距離D=2cとし、第1端面E1から第2レーザ光L2による照射領域R2の長さをLheatとしたとき、第1端面E1からLheatまでの第2レーザ光の照射領域R2では、ガラス基板は一様に温度T2まで加熱されているものとし、Lheatを過ぎて第2端面E2までは、加熱前の温度T1であるものとする。
そうすると、引張残留応力低減量Δσは、
α:線熱膨張係数、
E:ヤング率、
を使って、次のように書ける。
Figure 2023160519000002
なお、ここで、-αE(T-T)は温度上昇による効果を示しており、Sは熱応力による効果を示している。
(1)式を計算すると、次の通りである。
Figure 2023160519000003
Δσ/αE(T-T)の値をLheat/2cに対して計算してプロットすると、図8に示すようなグラフとなる。図8によれば、Lheat/2c=0.7の付近で、引張残留応力低減量Δσが最も大きくなることがわかる。つまり、第2レーザ光L2をy方向に所定周期で走査することにより、走査しない場合に比べて、引張残留応力低減効果が大きくなるが、引張残留応力低減量ΔσはLheat/2c=0.7で最大値を取り、Lheat/2cがさらに大きくなる、つまり、第2端面E2付近まで第2レーザ光L2を走査してしまうと、引張残留応力低減量Δσは、最適値よりも小さくなることが分かる。
2.実施形態の特徴
(1)本実施形態のレーザ加工装置1は、ガラス基板の端面処理に用いられる。ガラス基板の表面にレーザ光を照射し、ガラス基板を加熱して、端面を溶融することで、ガラス基板の面取り加工を行うことができる。
レーザ加工装置1は、テーブル51と、テーブル駆動部53と、第1レーザ光発生部10と、第1伝送光学系15と、第2レーザ光発生部30と、第2伝送光学系35と、を備える。テーブル51は、ガラス基板Gを載置する。テーブル駆動部53はテーブル51を駆動する。第1レーザ光発生部10は、ガラス基板の端面近傍に照射される第1レーザ光L1を発生する。第1伝送光学系15は、ガラス基板G上の第1レーザ光L1の照射領域を調整する。第2レーザ光発生部30は、ガラス基板の表面に照射される第2レーザ光を発生する。第2伝送光学系35は、ガラス基板上の前記第2レーザ光の照射領域を調整する。
第1レーザ光L1の照射領域におけるエネルギー密度は、第2レーザ光L2の照射領域におけるエネルギー密度よりも高い。したがって、第1レーザ光L1がガラス基板を加熱する温度は、第2レーザ光L2がガラス基板を加熱する温度よりも高い。
テーブル駆動部53は、テーブル51を駆動することで、第1レーザ光L1の照射領域及び第2レーザ光の照射領域をガラス基板Gの端面E1に沿った方向(x方向)に移動させる。これによって、ガラス基板の加工位置を端面に沿って移動させることができる。この移動は、ガラス基板と、第1レーザ光L1の照射領域及び第2レーザ光の照射領域とが相対的に移動すればよいので、たとえば、第1レーザ光L1の照射領域及び第2レーザ光の照射領域を走査することによって実現してもよい。
ガラス基板Gの表面S1において、表面内でx方向に走査しない状態で、第2レーザ光L2の照射領域R2の面積は、第1レーザ光L1の照射領域R1の面積よりも大きい。第2レーザ光L2の照射領域(走査範囲)R2の面積は、第1レーザ光L1の照射領域R1の面積の5倍以上、好ましくは、10倍以上である。
第2伝送光学系は、第2レーザ光の照射領域を、ガラス基板の表面上で、加工するガラス基板の端面E1に垂直な方向(y方向)に、20Hz以上20kHz以下の周期で走査する。第2レーザ光L2のガラス基板の端面E1に垂直な方向に走査する速度は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2のガラス基板の端面E1に沿った方向に走査する速度よりも早い。
第2レーザ光L2の照射領域をガラス基板の端面E1に垂直な方向に、高速で走査することにより、ガラス基板のy方向における端面E1付近とその他の領域との温度差が抑制され、冷却時の温度降下量の差が小さくなるため、ガラス基板の端面E1付近の引張残留応力を低減する。
(2)加工されるガラス基板Gの端面を第1端面E1とし、第1端面E1と対向するガラス基板Gの端面を第2端面E2と定義する。また、ガラス基板Gの第1端面E1と、第2端面E2との距離をDとする。
第2レーザ光L2のガラス基板Gへの照射領域R2は、ガラス基板Gの表面S1の第1端面E1の近傍から、第1端面E1と第2端面E2の間で、かつ、第2端面E2には達しない表面S1までとするのがよい。つまり、ガラス基板表面S1の全面にまで、第2レーザ光L2の照射領域R2の走査領域を広げるよりも、第1端面E1と第2端面E2の間の途中の位置までに走査領域を留める方が好ましい。後者の方が、より、ガラス基板の引張残留応力を低減することが可能となる。
より具体的には、第2レーザ光L2のガラス基板Gへの照射領域R2は、第1端面E1から垂直方向に第2端面E2側に延びており、照射領域R2の第2端面E2側の端部の位置の第1端面E1からの距離は、Dの0.2倍以上0.8倍以下である。
本発明は、ガラス基板の端面処理方法、及び、ガラス基板の端面処理装置に広く適用できる。本開示のレーザ加工装置でガラス基板の加工を行えば、引張残留応力の低減された面取りされたガラス基板が製造できる。
1 レーザ加工装置
10 第1レーザ光発生部
11 第1レーザ発振器
13 第1レーザ制御部
15 第1伝送光学系
17 集光レンズ
30 第2レーザ光発生部
31 第2レーザ発振器
33 第2レーザ制御部
35 第2伝送光学系
36 集光レンズ
37 ガルバノスキャナ
51 テーブル
52a 第1保持部材
52b 第2保持部材
53 テーブル駆動部
70 制御部
90 温度計
G ガラス基板
L1 第1レーザ光
L2 第2レーザ光
E1 ガラス基板の第1端面
E2 ガラス基板の第2端面
R1 第1レーザ光の照射領域
R2 第2レーザ光の照射領域

Claims (9)

  1. ガラス基板の端面をレーザ光で加工する装置であって、
    ガラス基板を載置するテーブルと、
    前記テーブルを駆動するテーブル駆動部と、
    ガラス基板の端面近傍に照射される第1レーザ光を発生する第1レーザ光発生部と、
    ガラス基板上の前記第1レーザ光の照射領域を調整する第1伝送光学系と、
    ガラス基板の表面に照射される第2レーザ光を発生する第2レーザ光発生部と、
    ガラス基板上の前記第2レーザ光の照射領域を調整する第2伝送光学系と、
    を備え、
    前記第2レーザ光の照射領域の面積は、前記第1レーザ光の照射領域の面積よりも大きく、
    前記第2伝送光学系は、前記第2レーザ光の照射領域を、ガラス基板の表面上で、加工するガラス基板の端面に垂直な方向に、20Hz以上20kHz以下の周期で走査する、
    レーザ加工装置。
  2. 加工されるガラス基板の端面を第1端面とし、第1端面と対向するガラス基板の端面を第2端面としたとき、
    第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、ガラス基板の表面の第1端面の近傍から第1端面と第2端面の間の第2端面には達しない表面までである、
    請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 第1レーザ光の照射されるガラス基板の第1端面と、第1端面と対向するガラス基板の第2端面との距離をDとしたとき、
    前記第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、第1端面から垂直方向に第2端面側に延びており、照射領域の第2端面側の端部の位置の第1端面からの距離は、Dの0.2倍以上0.8倍以下である、
    請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記第1レーザ光発生部がレーザ発振器としてエルビウムファイバーレーザを備え、前記第2レーザ光発生部がレーザ発振器として炭酸ガスレーザを備える、
    請求項1に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記第2伝送光学系がガルバノスキャナを備える、
    請求項1に記載のレーザ加工装置。
  6. ガラス基板の端面をレーザ光で加工する方法であって、
    第1レーザ光及び第2レーザ光を同時にガラス基板の表面に照射して、ガラス基板を加熱し溶融することでガラス基板の端面を加工する方法であって、
    第1レーザ光の照射領域をガラス基板の端面に沿って走査し、
    第2レーザ光の照射領域を、第1レーザ光の照射領域とともに、ガラス基板の端面に沿って走査し、かつ、ガラス基板の端面に垂直な方向に、20Hz以上20kHz以下の周期で走査する、
    ガラス基板のレーザ加工方法。
  7. 加工されるガラス基板の端面を第1端面とし、第1端面と対向するガラス基板の端面を第2端面としたとき、
    第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、ガラス基板の表面の第1端面の近傍から第1端面と第2端面の間の第2端面には達しない表面までである、
    請求項6に記載のガラス基板のレーザ加工方法。
  8. 第1レーザ光の照射されるガラス基板の第1端面と、第1端面と対向するガラス基板の第2端面との距離をDとしたとき、
    前記第2レーザ光のガラス基板への照射領域は、第1端面から垂直方向に第2端面側に延びており、照射領域の第2端面側の端部の位置の第1端面からの距離は、Dの0.2倍以上0.8倍以下である、
    請求項7に記載のガラス基板のレーザ加工方法。
  9. 請求項6~8のいずれかに記載のレーザ加工方法により、ガラス基板の端面をレーザ光で加工した後、冷却する、
    面取りされたガラス基板の製造方法。
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