JP2023159038A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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JP2023159038A JP2023063943A JP2023063943A JP2023159038A JP 2023159038 A JP2023159038 A JP 2023159038A JP 2023063943 A JP2023063943 A JP 2023063943A JP 2023063943 A JP2023063943 A JP 2023063943A JP 2023159038 A JP2023159038 A JP 2023159038A
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圭史朗 吉田
Keishiro Yoshida
ゆり 中川
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Abstract

【課題】難吸収性メディア及び非吸収性メディアに対するぬれ性が良好であり、かつ乾燥性にも優れ、さらに再溶解性にも優れたインク、そのインクを用いた印刷物の提供。【解決手段】水不溶性着色剤、有機溶剤、有機アミン、及び水、を含み、前記有機溶剤が下記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たし、前記有機アミンの沸点が90℃以上かつ269℃未満である、インクジェット用インクを提供する。条件X:下記式(1)で表される溶剤Aを含む。条件Y:下記式(2)における、n1が2以上である溶剤からなる群から選択されるいずれかの溶剤Bを含む。条件Z:下記式(2)における、n1が1でR2がフェニル基またはベンジル基である溶剤Cを含む。TIFF2023159038000014.tif1462TIFF2023159038000015.tif2174【選択図】なし

Description

本発明は、インク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクが付着した記録メディアに関する。
カラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の記録メディアに付着させ記録を行うものである。近年では商業用途や産業用途での需要が高まり、様々な記録メディアへの対応が求められている。
カタログやパンフレットなどの商業分野ではコート紙やアート紙といった、普通紙に比べてインク吸収性の低い記録メディア(以下、「難吸収性メディア」ということがある。)が用いられることが多い。また産業分野では屋外サイネージや食品軟包装などが用途として挙げられるが、これらには塩化ビニルやPET、ポリオレフィン系などのプラスチックフィルムといった、インク非吸収性の記録メディア(以下、「非吸収性メディア」ということがある)が主に用いられる。
上記難吸収性メディア及び非吸収性メディアに対しては、有機溶剤を主成分とした溶剤インクや、重合性モノマーを含有させたUVインク等の開発も進められてきた。しかしながら、これらのインクはVOCや皮膚感作性のような環境や人体への安全性の問題が多い。一方で、水性インクは水が主成分であり安全性や洗浄性が高いため、近年盛んに開発が進められてきている。しかし、水性インクは一般的には上記記録メディアに対してはぬれ広がりにくい性質があり、また記録メディアに定着させるためにはインク中の水分や有機溶剤を乾燥させる必要がある。
水性インクでは一般に、ぬれ性を向上させるために有機溶剤や界面活性剤を用いることが多いが、これらの材料を多く添加するほど、ぬれ性は向上するが乾燥性は低下する。一方で乾燥性を向上させすぎると、インクジェットヘッド部分に充填されたインクが容易に乾燥する。インクが乾燥すると、インクジェットヘッドのノズル部分に固形物を生じ、これが目詰まりの原因となる。
このようにインクジェットヘッド内で目詰まりが生じると、インクの吐出が安定して行なえず、記録画像の画質が低下するという問題を招く。この問題解決のため、インクジェットヘッド内で固形物が生じても、それを容易に溶解洗浄できる性能も強く求められている。
しかし、上記のぬれ性、乾燥性と、容易に洗浄できる性能のすべての効果を満足するインクは、未だ提案されていない。
特開2020-125382号公報 特開2020-55943号公報
本発明は、乾燥性に優れ、さらに相反する性能である再溶解性にも優れ、これまで解決できなかったぬれ性の向上も達成したインク、そのインクを用いた印刷物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水不溶性着色剤、有機溶剤、有機アミン、及び水、を含み、前記有機溶剤が下記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たし、前記有機アミンの沸点が90℃以上かつ269℃未満である、インクジェット用インクが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、以下の1)~8)に関する。
1)
水不溶性着色剤、有機溶剤、有機アミン、及び水、を含み、前記有機溶剤が下記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たし、前記有機アミンの沸点が90℃以上かつ269℃未満である、インクジェット用インクが、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
条件X 下記式(1)で表される溶剤Aを含む。
条件Y 下記式(2)における、n1が2以上である溶剤からなる群から選択されるいずれか溶剤Bを含む。
条件Z 下記式(2)における、n1が1でRがフェニル基またはベンジル基である溶剤Cを含み、上記インクジェット用インク中における、該溶剤Cの含有量を「c」、上記有機アミンの含有量を「y」、とした場合、c/yで求められる値が、0を超え16未満である。
Figure 2023159038000001
(式(1)中、Rは、C7-C12の炭化水素基を表す。)
Figure 2023159038000002
(式(2)中、Rは、フェニル基又はベンジル基を表し、n1は、1-3の整数を表す。)
2)
上記水不溶性着色剤が、顔料と分散染料からなる群から選択されるいずれか少なくとも一方を含む、1)に記載のインクジェット用インク。
3)
上記水不溶性着色剤が、顔料である、1)又は2)に記載のインクジェット用インク。
4)
上記有機アミンの沸点が、96℃以上かつ221℃未満であることを特徴とする、1)~3)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
5)
1)~4)のいずれかに記載のインクジェット用インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出させて、記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
6)
上記インクジェットヘッドが、循環機構を備えているヘッドである5)に記載のインクジェット記録方法。
7)
1)~4)のいずれかに記載のインクジェット用インクと、他のインクジェット用インクと、を含むインクジェット用インクセット。
8)
1)~4)のいずれかに記載のインクジェット用インク、又は、7)に記載のインクジェット用インクセットを用い印刷された、印刷メディア。
本発明により、難吸収性メディア及び非吸収性メディアに対するぬれ性が良好であり、かつ乾燥性にも優れ、さらに再溶解性にも優れたインクジェット用インクを提供できた。
本明細書において、「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。また、本明細書においては、実施例等も含めて「%」及び「部」は、特に断りのない限り、いずれも質量基準で記載する。
また、本明細書において「アルキレン」、「プロピレン」、「アルキル」の用語は、特に断りのない限り、直鎖、及び分岐鎖の両方の構造を包含する意味で使用する。また、インクジェット用インクを、インクあるいは水性インクと略して記載することがある。また、上記難吸収性メディア、上記非吸収メディア、上記印刷メディア、後述する記録メディアを、メディアと略して記載する場合がある。
上記インクジェット用インクは、水不溶性着色剤、有機溶剤、沸点が90℃以上かつ269℃未満の有機アミン、及び水、を含み、前記有機溶剤が上記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たす。
上記水不溶性着色剤としては、例えば、公知の、顔料、分散染料、及び溶剤染料等が使用できる。上記、顔料、分散染料、及び溶剤染料の中では、顔料と分散染料からなる群から選択されるいずれか少なくとも一方を含むことが好ましく、顔料を含むことがより好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、体質顔料及び中空粒子等が挙げられる。
上記無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
上記インクが黒インクであり、かつ、上記顔料が上記無機顔料の場合、該黒インクが含有する無機顔料としてはサーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のHiBlackシリーズ、ColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SpecialBlackシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱化学社製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等が挙げられる。
上記インクが白インクであり、かつ、上記顔料が上記無機顔料の場合、該白インクが含有する無機顔料としては、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、ジルコニウム、等の金属の酸化物、窒化物、酸化窒化物;及び、各種ガラス、シリカ等の無機化合物が挙げられる等が挙げられ、二酸化チタン、酸化亜鉛であることが好ましい。
上記有機顔料としては、例えば、アゾ、ジスアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、及びキノフタロン等の各種の顔料が挙げられる。
上記有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202、213等のイエロー;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、269、272等のレッド;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット;C.I.Pigment Orange 13、16、43、68、69、71、73等のオレンジ;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン;C.I.Pigment Black 1等のブラックの各色の顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、C.I.Pigment Blue 15:4であることが好ましい。
上記体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の着色剤と併用されることが多い。
上記中空粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号、特許第3,562,754号公報、特許第6026234号公報、特許第5459460号公報、特開2003-268694号公報、特許第4902216号公報等に記載されている公知の中空粒子を用いることができ、特に、白色顔料として用いることが好ましい。
上記分散染料としては、公知の分散染料あるいは公知の油溶性染料が挙げられる。該公知の分散染料としては、C.I.Dispers系分散染料が好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow 9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー;C.I.Dispers Red 60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド;C.I.Dispers Orange 9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ;C.I.Dispers Violet 25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット;C.I.Dispers Blue 27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルーの各色の分散染料が挙げられる。
上記公知の溶剤染料としては、C.I.Solvent系分散染料が好ましい。
上記インクの総質量中における、上記水不溶性着色剤の総含有量は、通常は0.1~30質量%であり、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~8質量%であることがさらに好ましい。
また、上記インク中における上記着色剤の平均粒径は、通常は30nm~300nmであり、50nm~250nmであることが好ましい。本明細書における平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を指す。
上記インクは有機溶剤を含む。上記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たす。
上記式(1)中、Rは、直鎖又は分岐鎖のC7-C12の炭化水素基を表し、n-ヘプチレン基、1-メチルヘキシレン基、2-メチルヘキシレン基、3-メチルヘキシレン基、1,5-ジメチルペンチレン基、2,4-ジメチルペンチレン基、n-オクチレン基、1-メチルヘプチレン基、2-メチルヘプチレン基、3-メチルヘプチレン基、4-メチルヘプチレン基、1,6-ジメチルヘキシレン基、2,5-ジメチルヘキシレン基、2-エチルペンチレン基、2-エチル-1-プロピルプロピレン基、n-ノニレン基、1-メチルオクチレン基、2-メチルオクチレン基、3-メチルオクチレン基、4-メチルオクチレン基、1,7-ジメチルヘプチレン基、2,6-ジメチルヘプチレン基、3,5-ジメチルヘプチレン基、2-ブチル-2-エチルプロピレン基、n-デシレン基、n-ウンデシレン基、n-ドデシレン基が挙げられる。上記Rとしては直鎖又は分岐鎖のC7-9の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(2)中、Rは、フェニル基またはベンジル基を表し、Rとしてはフェニル基であることが好ましい。またn1は1~3の整数を表し、n1としては2であることが好ましい。
上記溶剤Aとしては、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられ、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオールが特に好ましい。上記溶剤Aは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶剤Bとしては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられ、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルが特に好ましい。上記溶剤Bは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記溶剤Cとしては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられ、エチレングリコールモノフェニルエーテルが特に好ましい。上記溶剤Cは1種単独あるいは2種を組み合わせて用いても良い。
上記インクの総質量中における、上記有機溶剤の総含有量は、通常は0.015~12.000質量%であり、0.020~11.000質量%であることが好ましく、0.025~10.000質量%であることがさらに好ましい。
上記溶剤A、B、Cは、上記インクがメディア上に着弾した後、インクとメディアの界面に配向しやすい性質を有している。この性質により、インクとメディアの界面にて生じる界面張力を下げ、メディア上でのインクのぬれ広がりを促進することで、優れたぬれ性が発揮されていると考えている。
上記有機溶剤が満たす条件は、下記条件X~Zのいずれか一つが必須であり、二つ以上でもよい。
上記インクは、有機アミンを含む。該有機アミンとして、沸点が90℃以上かつ269℃未満の有機アミンを含む。
インク組成物中において、pHが強酸性であると金属部材の腐食を起こし、強アルカリ性であると樹脂素材への浸食が発生してしまうことが知られている。インクのpHは、インクに含まれる有機アミンの量で6-10になるように適宜調整することができる。
本発明のインク中における有機アミンの総量は、通常は0.001~11.000質量%であり、0.002~10.000質量%であることが好ましく、0.003~9.000質量%であることがさらに好ましい。
上記インク中における、上記溶剤Cの総含有量を「c」、前記有機アミンの含有量を「y」、とした場合、c/yで求められる値が、通常は0を超え16未満であり、好ましくは1.091~15.000、より好ましくは1.100~10.000、更に好ましくは1.111~8.330である
上記有機アミンとしては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)-エタノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(プロピルアミノ)エタノール、2-(イソプロピルアミノ)エタノール、2-(ブチルアミノ)エタノール、2-(イソブチルアミノ)エタノール、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、ジメチルアミノプロピルアミン等が挙げられ、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(プロピルアミノ)エタノールが好ましく、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノールが特に好ましい。上記有機アミンは1種単独あるいは2種を組み合わせて用いても良い。
上記有機アミンにおいて、通常は有機アミンの沸点が90℃以上かつ269℃未満であり、96℃以上かつ221℃未満であることが好ましく、96℃以上199℃未満であることがさらに好ましい。有機アミンの沸点が上記条件を満たすことで、インクの乾燥性と容易に洗浄できる性能を両立すると考えている。
上記インクは、水を含有する。インクが含有する水としては、金属イオン等の不純物の含有量が少ない水、すなわち、イオン交換水、蒸留水等が好ましい。そのような水は、公知の方法により調製することができる。
上記インクは、上記水不溶性着色剤、上記有機溶剤、上記有機アミン、上記水、以外に、さらにインク調製剤を含んでいても良い。インク調製剤としては、上記水不溶性着色剤、上記有機溶剤、上記有機アミン、上記水、のいずれをも含まず、例えば、分散剤、界面活性剤、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、消泡剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤、樹脂エマルション、ワックス等のインク調製剤を、必要に応じて含有することができる。インク調製剤は、いずれか1種類の1つあるいは複数を使用することも、あるいは、複数種を各1つずつ、あるいは複数種を複数個ずつ併用すること等もできる。なお、上記インク中の上記インク調製剤の含有量、あるいは、上記インク中に上記インク調製剤を複数含む場合は各インク調製剤間の分量等は、インクの用途等目的に応じ任意に設定することができる。
[分散剤]
上記の分散剤としては、市販の分散剤を用いることができる。市販の分散剤は、BASF社やビックケミー社、EVONIC社、東亜合成株式会社などから市販されており、それを用いることができる。市販品の具体例としては、例えば、東亜合成株式会社製のアロンAC-10SL等のポリアクリル酸等が挙げられる。
上記分散剤は、合成して得ることもできる。合成により得られる分散剤としては、例えば、国際公開第2013/115071号に開示されたA-Bブロックポリマーが好ましく挙げられる。
なお、上記親水性の単量体とは、アクリル酸やメタクリル酸など、カルボキシ基が重合後に残る単量体を指す。
上記分散剤の重量平均分子量(MW)は特に制限されないが、通常は3000~50000であり、好ましくは7000~25000である。また、酸価としては特に制限されないが、通常50~300mgKOH/gであり、好ましくは80~275mgKOH/g、より好ましくは80~250mgKOH/gである。
上記の分散剤は、水不溶性着色剤と混合した状態;又は、上記水不溶性着色剤の表面の一部、若しくは全てを分散剤で被覆した状態のいずれとしても使用することができる。また、これらの複数の状態が混合された存在下使用することもできる。
[界面活性剤]
上記の界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、シリコン系、及びフッ素系の各界面活性剤が挙げられる。これらの中ではノニオン系、シリコン系からなる群から選択されるいずれか界面活性剤であることが好ましい。
上記アニオン系界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸又はその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(例えば、花王株式会社製のエマルゲン A-60、A-90、A-500)等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(あるいはアセチレンアルコール)系(例えば、エボニックジャパン株式会社のサーフィノール 104、104PG50、82、420、440、465、485、オルフィン STG等);ポリグリコールエーテル系等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール 960、980;日信化学株式会社製のシルフェイス SAG001、SAG002、SAG003、SAG005、SAG503A、SAG008、SAG009、SAG010;及び、BYK Additives & Instruments社製のBYK-345、347、348、349、3450、3451、3455、;Evonic Tego Chemie社製のTEGO Twin 4000、TEGO Wet KL 245、250、260、265、270、280等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、Capstone FS-30、FS-31(Chemours社製)等が挙げられる。
[防黴剤]
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びその塩等が挙げられる。
[防腐剤]
防腐剤の例としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えば、ペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルLV、プロクセルXL-2(S)等が挙げられる。
[pH調整剤]
pH調整剤の具体例としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;及び、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
[キレート試薬]
キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
[防錆剤]
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
[消泡剤]
消泡剤としては、例えば、シリコン系、シリカ鉱物油系、オレフィン系、アセチレン系等が挙げられる。市販の消泡剤としては、例えば、いずれも信越化学工業株式会社製のサーフィノールDF37、DF58、DF110D、DF220、MD-20、オレフィンSK-14等が挙げられる。
[水溶性紫外線吸収剤]
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えば、スルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
[酸化防止剤]
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
[樹脂エマルション]
上記インクはさらに、記録メディアに対するインクの定着性向上を目的として樹脂エマルションを含んでいても良い。樹脂エマルションをインクに加えることにより、メディアに印刷した画像の耐水性や耐擦過性、耐アルコール性などの画像堅牢度を上げることができる。樹脂エマルションとしては特に限定はなく、ポリマー及びワックスからなる群から選択される、1種類以上であることが好ましい。但し、顔料や分散染料などの分散剤は、バインダーには含めない。
前記ポリマーとしては、例えば、ウレタン系、ポリエステル、アクリル系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、スチレン-アクリル系、アクリル-シリコン系、スチレン-ブタジエン系の各ポリマー又はそれを含有するエマルションが挙げられる。これらの中ではウレタン系、アクリル系、及びスチレン-ブタジエン系から選択されるポリマーが好ましい。
市販品としては、例えば、スーパーフレックス 420、470、890(第一工業製薬株式会社製のウレタン系樹脂エマルション);ハイドラン HW-350、HW-178、HW-163、HW-171、AP-20、AP-30、WLS-201、WLS-210(DIC株式会社製のウレタン系樹脂エマルション);0569、0850Z、2108(JSR株式会社製のスチレン-ブタジエン系樹脂エマルション);AE980、AE981A、AE982、AE986B、AE104(株式会社イーテック製のアクリル系樹脂エマルション)等が挙げられる。
[ワックス]
上記ワックスとしては、ワックスエマルションが好ましく、水系ワックスエマルションがより好ましい。ワックスとしては、天然ワックス及び合成ワックスを用いることができる。
天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等;褐炭系ワックスであるモンタンワックス等;植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等;動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等のワックスを、水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。
合成ワックスとしてはポリアルキレンワックス(好ましくはポリC2-C4アルキレンワックス)、酸化ポリアルキレンワックス(好ましくは酸化ポリC2-C4アルキレンワックス)、及びパラフィンワックスが挙げられる。前記のうち、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス及びパラフィンワックスから選択される1種類以上のワックスが好ましい。また、ワックスの平均粒径は、インクジェットヘッドの目詰まりを防止するために通常は50nm~5μmであり、100nm~1μmが好ましい。
また、上記ワックスは、エマルジョン化したワックス、「ワックスエマルジョン」も使用可能であり、該ワックスエマルジョンの市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のCERAFLOUR 925、929、950、991;AQUACER 498、515、526、531、537、539、552、1547;AQUAMAT 208、263、272;MINERPOL 221等;三井化学社製の三井ハイワックス NL100、NL200、NL500、4202E、1105A、2203A、NP550、NP055、NP505等;三洋化学社製のKUE-100、11、東邦化学株式会社製HYTEC E-6500、9015、6400等が挙げられる。
上記インクの総質量に対する上記樹脂エマルションの総含有量は通常は1%~20%の範囲であり、3%~15%の範囲であることが好ましい。樹脂エマルションの総含有量が1%以上の場合、インクが印刷メディアに対する良好な定着性を示し。また、樹脂エマルションの総含有量が20%以下の場合、インクの吐出性と保存安定性が良好となる。
上記インクを調製する場合、公知の製造方法を使用することができる。その一例としては、例えば、着色剤と有機化合物からなる分散液を調製し、この分散液に水、及び必要に応じてインク調製剤を加えて混合することにより、インクを調製する方法が挙げられる。
該分散液の調製方法は、公知の方法を使用することができる。その一例としては、転相乳化法が挙げられる。すなわち、2-ブタノン等の溶剤に分散剤を溶解し、中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液に着色剤を加えて分散処理を行う。このようにして得られた液から溶剤と一部の水を減圧留去することにより、目的とする分散液を得ることができる。
分散処理は、例えば、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて行うことができる。一例として、サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm~1mm程度のビーズを使用し、ビーズの充填率を適宜設定して分散処理を行うことができる。
上記のようにして得られた分散液に対して、ろ過及び/又は遠心分離等の操作をすることができる。この操作により、分散液が含有する粒子の粒子径の大きさを揃えることができる。
分散液の調製中に泡立ちが生じるときは、公知のシリコン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。
上記以外の分散液の調製方法としては、酸析法、界面重合法、in-situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が挙げられる。上記分散液の調製方法としては、転相乳化法、酸析法、及び界面重合法が好ましい。
上記インクは、金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、及び硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量の少ないインクが好ましい。このような無機不純物は、市販品の着色剤に含まれることが多い。無機不純物含有量の目安は、おおよそ着色剤の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%が理想である。
無機不純物の少ない着色剤を得る方法としては、例えば、逆浸透膜を用いる方法;着色剤の固体をメタノール等のC1-C4アルコール及び水の混合溶媒中で懸濁撹拌し、着色体を濾過分離して、乾燥する方法;又は、イオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法;等の脱塩処理が挙げられる。
また、上記インクは、インクを精密濾過することが好ましい。精密濾過をするときは、メンブランフィルター及び/又はガラス濾紙等を用いることができる。精密濾過を行うときのフィルター等の孔径は通常0.5μm~20μm、好ましくは0.5μm~10μmである。
上記インクを2種類以上含むインクセットも本願発明に含まれる。また、上記インクと、上記インク以外の他のインクと、を含むインクセットも本願発明に含まれる。
上記他のインクとは、上記インクと構成が異なるものであれば特に限定は無いが、上記インクと色相が異なることが好ましい。
上記インク又は上記インクセットを用い印刷された印刷メディア、上記インクジェット用インク、上記インクジェット用インクセットからなる群から選択されるいずれか一方、及び上記印刷メディア、を含む、インクジェット用インクメディアセット、及び、上記インク、上記インクセット、上記印刷メディア、又は上記インクメディアセットのいずれかを使用した、ぬれ性の向上方法、も本願発明に含まれる。
上記インクジェット印刷に用いる方法とは、上記インクの液滴を印刷信号に応じて吐出させて、印刷メディアに付着させることにより印刷を行う方法(以下、記録方法と記載する場合がある)である。インクの吐出を行うインクジェットプリンタのインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
インクジェット印刷方法としては、インク中の着色剤の含有量の低いインクを小さい体積で多数射出して画質を改良する方法;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方法;及び、無色透明のインクと、着色剤を含有するインクとを併用することにより、印刷メディアに対する着色剤の定着性を向上させる方法等も挙げられる。上記インクは、これらの方法においても着色剤を含有するインクとして使用することができる。
上記インクジェット印刷方法を行う際、公知の方式を使用できる。その一例としては、例えば、電荷制御方式、ドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式ともいう。)、音響インクジェット方式、サーマルインクジェット方式等が挙げられる。また、マルチパス方式、シングルパス方式(1パス印刷方式)等を用いることも可能である。
また、例えば、上記の記録方法等により、上記インクが付着した記録メディアも本発明の範囲に含まれる。記録メディアとしては特に制限はないが、難吸収性の記録メディアが好ましく、非吸収性の記録メディアが特に好ましい。難吸収性の記録メディアの例としては、インク受容層を有しない普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が挙げられる。また、非吸収性の記録メディアとしてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、塩化ビニルシート、ガラス、ゴム等が挙げられる。
インク受容層を有さない記録メディアを用いるときは、表面改質処理を施すことも好ましく行われる。
表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びフレーム処理から選択される、公知の表面改質処理が好ましい。ここで、表面改質処理の効果は、経時的に減少していくことが一般的に知られている。このため、表面改質処理工程とインクジェット記録工程とは連続して行うことが好ましく、表面改質処理工程をインクジェット記録工程の直前に行うことが好ましい。
上記インクジェット記録方法で記録メディアに記録するときは、例えば、上記のインクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置にセットし、上記の記録方法で記録メディアに記録することができる。
上記インクジェット記録方法は、本発明のインクと、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインクとを併用することもできる。
各色のインクは、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インクを含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用することができる。
産業用インクジェットプリンタは、印刷速度を高速にする目的で、ラインヘッド型のインクジェットプリンタの構成で、シングルパスでの印刷も好ましく行われる。また、近年ノズル付近までインクを循環させることによりノズル近傍でのインクの乾燥を防ぐ機構をもつ循環ヘッドが盛んに開発されている。上記インクはこのようなヘッドにも好適に使用される。上記インクにより、そのような印刷条件においても、相溶性、ぬれ性、乾燥性に優れたインクを得ることができる。
インクジェット用インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出させて、記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法、該記録メディアが、インク難吸収性又はインク非吸収性であるインクジェット記録方法、上記インクジェットヘッドが、循環機構を備えているヘッドであるインクジェット記録方法も本願発明に含まれる。
上記した全ての成分等は、そのうちの1種類のみを使用することができる。また、必要に応じて複数、及び複数の種類を選択し、それらを併用することもできる。
上記した全ての内容について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
本願発明のインクは、乾燥性、再溶解性、ぬれ性、保存安定性、再分散性、発色性、彩度に優れ、また、本願発明のインクで記録された画像は、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れる。また、画像形成の際の塗工ムラが少なく、鮮明な画像形成性にも優れる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。実施例において、分散液中の顔料固形分の定量が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製のMS-70を用い、乾燥重量法により求めた。顔料固形分は、固形分の全量から、顔料固形分のみを算出した換算値である。なお、実施例中に記載の各インクは、上記インクジェット用インクに含まれる。
[調製例1]シアン分散液の調製
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を、2-ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.68部の28%アンモニア水溶液を53部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することで高分子分散剤が溶解した乳化溶液を調製した。これにC.I.Pigment Blue 15:4(大日精化工業社製、CHROMOFINE BLUE 4851)20部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで、2-ブタノン及び水を顔料固形分13.1%となるように減圧留去し、シアン分散液を得た。
[実施例1~19、比較例1~7]
下記表1~表5に記載の各成分を混合した後、3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例1~19、比較例1~7のインクをそれぞれ得た。下記表中、ハイフン「-」は、0部であることを示す。また、下記表中の略語等は、それぞれ以下を表す。
PG:プロピレングリコール
BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
1,8-オクタンジオール:東京化成工業株式会社製
1,9-ノナンジオール:東京化成工業株式会社製
エチレングリコールモノベンジルエーテル:東京化成工業株式会社製
エチレングリコールモノフェニルエーテル:東京化成工業株式会社製
ジエチレングリコールモノベンジルエーテル:東京化成工業株式会社製
ジエチレングリコールモノフェニルエーテル:日本乳化剤株式会社製
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール:東京化成工業株式会社製
2-(2-アミノエトキシ)-エタノール:東京化成工業株式会社製
1-ジメチルアミノ-2-プロパノール:東京化成工業株式会社製
2-(メチルアミノ)エタノール:富士フイルム和光純薬株式会社製
2-(エチルアミノ)エタノール:富士フイルム和光純薬株式会社製
2-(プロピルアミノ)エタノール:東京化成工業株式会社製
2-(イソプロピルアミノ)エタノール:シグマアルドリッチ社製
2-(ブチルアミノ)エタノール:富士フイルム和光純薬株式会社製
トリエチルアミン:富士フイルム和光純薬株式会社製
ジエタノールアミン:ダウ・ケミカル社製
トリイソプロパノールアミン:東京化成工業株式会社製
トリエタノールアミン:オクサリスケミカルズ株式会社製

また、本実施例、比較例に使用したインクを分析したところ、以下の成分が検出された。
含有量の確認にはアジレント・テクノロジー社製のガスクロマトグラフを使用した。
2-(N-メチルアミノ)-2-メチルプロパノール、2-(N,N-ジメチルアミノ)-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール、2-アミノ-2-エチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール、2-アミノ-2-エチルプロパンジオール
Figure 2023159038000003
Figure 2023159038000004
Figure 2023159038000005
Figure 2023159038000006
Figure 2023159038000007
[再溶解性評価試験]
上記実施例及び比較例のインクを、ガラスシャーレ(フラットシャーレ、φ94×22mm、アズワン社製型番FS-90B)上にマイクロピペットを用いて20μL滴下した。その後、インクを60℃の恒温槽で1時間乾燥させることによりインク乾燥物を得た。そこに、実施例及び比較例のインク10g注ぎ入れ、10分静置した。ガラスろ紙(φ90、ADVANTEC社製GA-100)上にろ過を行い、再溶解せずに残ったインク乾燥物を観察し、再溶解性を下記再溶解性評価基準1~4の5段階で評価した。
(再溶解性評価基準)
1:固形物が見られず、ろ紙上に付着物がない。
2:ろ紙上に最大径が2mm未満の固形物が1~10個観察される。
3:ろ紙上に最大径が2mm未満の固形物が11~20個観察される。
4:ろ紙上に最大径が2mm未満の固形物が21個以上観察される。
5:ろ紙上に最大径が2mm以上の固形物が観察される

[乾燥性試験]
自動塗工機(テスター産業社製、PI-1210)にてバーコーターNo.3を使用し、東洋紡社製E5102に全面塗工を行い、25℃の室内で9分間乾燥させた。その後1分ごとに、インク塗工部に東洋紡社製 E5102を張り付け、インクが転写するか否かを確認した。塗工部のインクが、張り合わせた東洋紡社製 E5102に転写しなくなるまでの時間を、下記乾燥性評価基準1~5の5段階で評価した。
(乾燥性評価基準)
1:転写しなくなるまでに要した時間が2分以下である。
2:転写しなくなるまでに要した時間が2分を超え3分以下である。
3:転写しなくなるまでに要した時間が3分を超え4分以下である。
4:転写しなくなるまでに要した時間が4分を超え6分以下である。
5:転写しなくなるまでに要した時間が6分を超える。

[接触角測定]
東洋紡社製のPETフィルム(E5102)を基材として使用して、実施例及び比較例のインクとPETフィルムとの接触角を測定した。接触角計はDM-501Hi(協和界面科学株式会社製)を用いて、液滴量は2μLで測定時間はインク着弾10秒後の接触角(°)を25℃で測定した。接触角を下記評価基準1~4で評価した。接触角は数値が低い程フィルムに対しインクがよくぬれ広がるという指標であり、下記評価基準がB以上であることが実使用上好ましい。
(接触角評価基準)
1:接触角が6°以下
2:接触角が6°を超え、かつ、9°以下
3:接触角が9°を超え、かつ、12°以下
4:接触角が12°を超える
Figure 2023159038000008
Figure 2023159038000009
Figure 2023159038000010
Figure 2023159038000011
上記表6~表9の結果から、実施例のインクは、比較例のインクに比べ、ぬれ性、乾燥性、再溶解性について、優れた性能を有する。すなわち、実施例のインクは、ぬれ性、乾燥性、再溶解性を兼ね備えた優れたインクであることが分かる。
本発明のインクは、ぬれ性、乾燥性、再溶解性を兼ね備え、各種の記録用、特にインクジェット記録用インクとして極めて有用である。

Claims (8)

  1. 水不溶性着色剤、有機溶剤、有機アミン、及び水、を含み、前記有機溶剤が下記条件X~Zのいずれか少なくとも1つを満たし、前記有機アミンの沸点が90℃以上かつ269℃未満である、インクジェット用インク。
    条件X 下記式(1)で表される溶剤Aを含む。
    条件Y 下記式(2)における、n1が2以上である溶剤からなる群から選択されるいずれか溶剤Bを含む。
    条件Z 下記式(2)における、n1が1でRがフェニル基またはベンジル基である溶剤Cを含み、上記インクジェット用インク中における、該溶剤Cの含有量を「c」、上記有機アミンの含有量を「y」、とした場合、c/yで求められる値が、0を超え16未満である。
    Figure 2023159038000012
    (式(1)中、Rは、C7-C12の炭化水素基を表す。)
    Figure 2023159038000013
    (式(2)中、Rは、フェニル基又はベンジル基を表し、n1は、1-3の整数を表す。)
  2. 上記水不溶性着色剤が、顔料と分散染料からなる群から選択されるいずれか少なくとも一方を含む、請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 上記水不溶性着色剤が、顔料である、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 上記有機アミンの沸点が、96℃以上かつ221℃未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  5. 請求項1又は2に記載のインクジェット用インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出させて、記録メディアに記録を行うインクジェット記録方法。
  6. 上記インクジェットヘッドが、循環機構を備えているヘッドである請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 請求項1又は2に記載のインクジェット用インクと、他のインクジェット用インクと、を含むインクジェット用インクセット。
  8. 請求項1又は2に記載のインクジェット用インク、又は、請求項7に記載のインクジェット用インクセットを用い印刷された、印刷メディア。
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